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1965-12-22 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十年十二月二十日)(月曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 濱地 文平君    理事 倉成  正君 理事 田口長治郎君    理事 舘林三喜男君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    池田 清志君       宇野 宗佑君    金子 岩三君       草野一郎平君    小枝 一雄君       小山 長規君    笹山茂太郎君       白浜 仁吉君    田邉 國男君       高見 三郎君    綱島 正興君       中川 一郎君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    藤田 義光君       松田 鐵藏君    森田重次郎君       亘  四郎君    卜部 政巳君       栗林 三郎君    兒玉 末男君       千葉 七郎君    松井  誠君       松浦 定義君    森  義視君       山田 長司君    湯山  勇君       小平  忠君    中村 時雄君       林  百郎君 ————————————————————— 昭和四十年十二月二十二日(水曜日)    午前十一時四分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 倉成  正君 理事 田口長治郎君    理事 舘林三喜男君 理事 長谷川四郎君    理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君    理事 芳賀  貢君       伊東 隆治君    池田 清志君       宇野 宗佑君    小枝 一雄君       笹山茂太郎君    白浜 仁吉君       田邉 國男君    高見 三郎君       綱島 正興君    中川 一郎君       丹羽 兵助君    野原 正勝君       藤田 義光君    森田重次郎君       卜部 政己君    栗林 三郎君       栗原 俊夫君    兒玉 末男君       千葉 七郎君    松井  誠君       松浦 定義君    森  義視君       山田 長司君    湯山  勇君       小平  忠君    林  百郎君     —————————————  出席国務大臣         農 林 大 臣 坂田 英一君  出席政府委員         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (蚕糸局長)  丸山 文雄君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 十二月二十二日  委員千葉七郎辞任につき、その補欠として栗  原俊夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員栗原俊夫辞任につき、その補欠として千  葉七郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十二月二十一日  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一号)  日本蚕糸事業団法案内閣提出第一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一号)  日本蚕糸事業団法案内閣提出第一二号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  一、農林水産業振興に関する事項  二、農林水産物に関する事項  三、農林水産業団体に関する事項  四、農林水産金融に関する事項  五、農業災害補償制度に関する事項以上の各事項につきまして、衆議院規則第九十四条により、議長に対し国政調査承認を求めることとし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 濱地文平

    濱地委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  4. 濱地文平

    濱地委員長 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案及び日本蚕糸事業団法案の両案を一括して議題とし、提案理由説明を聴取いたします。坂田農林大臣
  5. 坂田英一

    坂田国務大臣 繭糸価格安定法の一部を改正する法律に案つきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  繭糸価格安定法目的といたしますところは、生糸輸出増進及び蚕糸業経営の安定をはかるために、繭及び生糸価格の異常な変動を防止することにあるのでありまして、このような観点から、政府保有生糸については、申し込みに応じて最高価格で売り渡すこととしているのでありますが、最近における生糸輸出状況を見ますと、わが国生糸輸出はきわめて不振であり、これに反し、海外市場における他国産生糸の進出がきわめて顕著な現状であります。これはわが国における糸価変動が激しかったこと、一方海外需要者において糸価変動に対応する力を欠いていること、他国産生糸が比較的低い価格水準輸出されていること等がそのおもな原因と考えられるのであります。  このような事情を考えますと、今後わが国においては、糸価変動をでき得る限り小幅にとどめることが、輸出増進のためにぜひとも必要であり、このような点をも勘案の上、別に日本蚕糸事業団法案提案し、御審議を願うこととしているのでありますが、これとともに、政府保有生糸につきましても、生糸価格の騰貴により生糸輸出が減少しまたは減少するおそれがある場合において、生糸輸出を確保するため、特に必要があるときは、一般競争入札等方法により売り渡すこともできることとすることが必要であると考えられるのでありまして、このような観点から繭糸価格安定法の一部を改正しようとするのがこの法律案提案理由であります。  なお、この法律案は、さきの第四十九臨時国会提案し、前国会において審議未了となりました同一題名法律案同一内容のものであります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、日本蚕糸事業団法案につきまして、その提案理由及びおもな内容を御説明申し上げます。  近年における生糸需要は着実に増加しつつあり、今後なお長期的に見てかなりの需要増加が期待されるのであります。このような情勢を考えますと、今後繭生産の増大をはかるべき余地もまたきわめて大きいと考えられます。  また、養蚕経営の面におきましても、近年、技術の開発普及に伴い、その労働性の向上がきわめて顕著でありまして、これが生産振興をはかることはわが国農業の発展をはかる上にきわめて肝要なところであると考えられるのであります。  しかるに、最近における需給動向を見ますと、内需につきましてはすこぶる堅調でありますが、輸出はここ数年間における糸価の大幅な変動等原因により極度の不振におちいっているのであります。いまさら言うまでもないところでありますが、生糸需要増進と繭の生産増強のためには、何よりも繭糸価格の適正な水準における安定が必要であります。政府といたしましては、従来繭糸価格安定法日本蚕繭事業団法等運用、あるいは生糸取引所に対する指導監督等措置を通じまして、これについて最大の努力を傾注してまいったのでありますが、遺憾ながら、必ずしも十分な成果をおさめるには至っていないのであります。繭糸価格安定法がその目標といたしますところは、糸価の異常な変動を防止するところにあるのでありますが、養蚕農家生産意欲を振起させ、一方生糸需要、とりわけ海外における需要を確保するためには、繭糸価格の異常な変動を防止するにとどまらず、さらに一歩を進めて繭糸価格変動をより小幅な範囲にとどめ、適正な水準に安定させるための努力が必要であると考えられるのであります。  このような観点から、日本蚕繭事業団日本輸出生糸保管株式会社とを統合し、さらに民間出資を加えまして、日本蚕糸事業団設立し、繭糸価格安定法最高価格最低価格中間における適正な水準糸価を安定させる目標のもとに生糸買い入れ及び売り渡し業務を行なうほか、繭の取引が適正な水準以下の価格で行なわれるおそれがあると認められる場合には、委託を受けて乾繭売り渡し等業務を行なうことにより適正の繭価水準実現をはかり、繭糸価格安定法運用と相まって、繭糸価格の安定を一そう強化し、もって蚕糸業経営の安定と生糸輸出増進を達成しようとするのが、この法律案目的とするところであります。この法律案は、このために必要な日本蚕糸事業団組織業務財務等に関し、所要事項を定めたものであります。  以上がこの法律案提案する理由であります。  なお、この法律案は、さきの第四十九臨時国会提案し、前国会において審議未了となりました同一題名法律案同一内容のものであります。  次に、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一に、事業団組織等につきましては、政府及び民間出資法人とし、その資本金は、日本繭事業団及び日本輸出生糸保管株式会社から引き継ぎます資本金と、養蚕業者組織する農業協同組合等及び製糸業者出資金を合計した金額とするとともに、必要に応じて資本金増加ができることとしておりますほか、役員定数及び任免、運営審議会等につき所要規定を設けております。  第二に、事業団業務に関する規定であります。  まず業務範囲につきましては、生糸買い入れ及び売り渡し委託による乾繭売渡し加工生糸との交換等を行なうほか、農林大臣認可を受けて繭または生糸生産流通合理化をはかるための事業に対する助成事業を行なうことができることとしております。  なお、生糸買い入れ及び売り渡しにつきましては、事業団はあらかじめ農林大臣認可を受けて買い入れ価格及び標準売り渡し価格を定めることとしておりますが、これらの価格は、繭糸価格安定法最高価格最低価格安定帯範囲内において、生糸生産条件及び需給事情その他の経済事情から見て適正と認められる水準生糸価格を安定させることを旨として定めることとしております。また、事業団生糸買い入れを行なう場合には、出資者たる製糸業者からの申し込みにより買い入れるのでありますが、当該製糸業者は、繭の生産条件及び需給事情その他の経済事情から見て適正と認められる繭価水準実現をはかることを旨として事業団が定める基準繭価を保証する業者に限ることとしており、これによって適正の繭価水準の維持をはかることとするよう配慮しているのであります。  第三に、事業団業務及び会計につきましては、事業計画予算等についての農林大臣認可借り入れ金等について所要規定を設けております。  その他の規定といたしましては、繭の売買取引基準繭価に達しない価格で行なわれるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、農林大臣製糸業者に対し繭の買い入れにあたって基準繭価以上の価格によるべきことを勧告することができる旨の規定事業団に対する農林大臣監督罰則等規定等を設けております。  以上のほか、附則におきまして、事業団設立に関し必要な手続規定日本蚕繭事業団及び日本輸出生糸保管株式会社解散及びこれらに伴う経過規定関係法律の一部改正等規定を設けております。関係法律の一部改正のうち、繭糸価格安定法の一部改正といたしましては、政府は、輸出適格生糸を確保するため必要があると認めるときは、事業団買い入れ保管する輸出適格生糸のうち、政令で定める期間を経過してなお保管しているものを買い入れる旨の契約を締結することができることとしているのであります。  以上がこの法律案提案理由及びおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  6. 濱地文平

    濱地委員長 次に、日本蚕糸事業団法案について補足説明を聴取いたします。丸山蚕糸局長
  7. 丸山文雄

    丸山政府委員 日本蚕糸事業団法案につきまして、補足して御説明申し上げます。  この法律案提案する理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、ここでは省略することといたしまして、以下この法律案の細目につき、若干補足して御説明申し上げます。  法律案構成といたしましては、全七章及び附則からなっておりますが、以下、章を追って御説明申し上げます。  第一章は、目的法人格、事務所、資本金出資等総則に関する規定であります。  まず、第一条においては、日本蚕糸事業団蚕糸業経営の安定と生糸輸出増進に資するため、生糸買い入れ及び売り渡し委託による乾繭売り渡し等の操作を行なうことによって繭糸価格の適正な水準における安定をはかることを目的とすることを規定しております。繭糸価格安定法におきましては、繭及び生糸価格の異常な変動を防止することをその目的としておりますが、この法律案は、同法とあわせて運用することにより、繭糸価格のより一そうの安定を確保しようとする意図に基づくものであります。  また、第四条におきましては、事業団資本金は、日本蚕繭事業団に対する政府出資を承継して事業団出資するものとする十償円及び日本輸出生糸保管株式会社出資する営業の価額並びに事業団設立に際して養蚕団体及び製糸業者出資する金額合計額とし、必要に応じ追加出資ができるものとしております。  第五条におきまして、養蚕業者が直接または間接構成員となっている農業協同組合並びに製糸業者及び製糸業者が直接または間接構成員となっている商工組合等は、事業団に対して出資をすることができるものと規定しております。  第二章は、役員職員及び運営審議会に関する規定であります。  役員定数は、理事長一人、理事四人以内、監事一人のほか、非常勤の理事二人以内とし、理事長及び監事農林大臣が任命し、理事理事長農林大臣認可を受けて任命することといたしております。また、事業団運営審議会を置くこととし、理事長農林大臣認可を受けて任命する十五人以内の委員をもって構成することとし、事業団業務運営に関する重要事項を調査審議することといたしております。その他役員の職務及び権限、役員欠格条項職員任命等に関する規定を設けております。  第三章は業務に関する規定であります。  まず、第二十八条第一項におきまして、事業団の本来の業務範囲につき、生糸買い入れ及び売り渡し委託を受けて行なう乾繭売り渡し加工または生糸との交換加工または交換にかかわる生糸について当該委託者委託を受けて行なう売り渡し、これらの業務に伴う生糸または乾繭保管並びにこれらの業務に付帯する業務とする旨定めております。  また、同条第二項及び第三項におきまして、事業団は、あらかじめ農林大臣認可を受けて、繭または生糸生産または流通合理化をはかるための事業に対する助成及び生糸流通円滑化をはかるための生糸短期保管業務を行なうことができることといたしております。  次に、第二十九条は、生糸買い入れ方法について定めたものでありまして、事業団は、出資者たる製糸業者等申し込みにより、その者の製造した生糸買い入れることができることとしております。この場合の買い入れ価格は、第三十四条に規定しておりますとおり、繭糸価格委定法最高価格最低価格中間において、生糸条件及び需給事情その他の経済事情から見て適正と認められる水準生糸価格を安定させることを旨として農林大臣が定める基準糸価基準として、事業団が定めることといたしております。なお、第二十九条第二項において、買い入れ一定期間内は、買い入れ価格にその保管費用を加算した額で売り戻す旨の約定をしなければならないことといたしております。このようなことを定めておりますのは、買い入れまたは売り戻しによって極力糸価の安定を確保するとともに、一方製糸業者に対しては、糸価変動に伴う負担を軽減し、もって基準繭価の確保を容易ならしめんとする意図に基づくものであります。なお、事業団が毎事業年度買い入れることができる数量につきましては、同条第三項において、政令で定めることといたしております。  次に、第三十条は、生糸売り渡しについて定めたものであります。事業団は、その買い入れ保管する生糸のうち、買い戻しの約定期間を経過してなお保管しているものを売り渡すことができることとしております。この場合、政府以外の者に売り渡しをすることができるのは、糸価が、農林大臣の定める基準糸価基準として事業団が定める標準売り渡し価格をこえて騰貴し、またはそのおそれがあると認められる場合に限られ、また、この場合の売り渡し方法は、一般競争入札を原則とすることといたしております。  また、第三十一条は、生糸買い入れまたは売り渡しをしない場合について定めた規定であります。申し込みをした製糸業者基準繭価に達しない価格で繭を買い入れまたは買い入れるおそれがあると認めるとき、売り渡しを受ける旨の申し込みが買い占めを目的として行なわれたと認めるとき等には、生糸買い入れまたは売り渡しをしないことといたしております。  次に第三十三条は、乾繭売り渡し等受託について定めた規定でありまして、事業団は、繭の売買取引基準繭価に達しない価格で行なわれるおそれがあると認められる場合には、農業協同組合連合会申し込みによって、乾繭売り渡し加工し、または生糸交換すべきことの委託を受けることができることとしております。これは、従来日本蚕繭事業団につい認めらてれておりましたものとほぼ同様の趣旨の規定であります。この場合、受託数量の限度については、農林大臣承認を受けて、事業団が定めることといたしております。  基準繭価につきましては、第三十四条において、繭の生産条件及び需給事情その他の経済事情から見て適正と認められる繭価水準実現をはかることを旨として、農林大臣の定める基準糸価を参酌して、事業団が定めるものと規定いたしております。このほか、第三十二条において、保管生糸品質低下による損失を避けるための買いかえの措置について、第三十五条において、事業団業務方法書について、それぞれ規定しております。  第四章は、財務及び会計に関する規定であります。  第三十六条においては、事業団事業年度を、生糸年度に合わせて、六月一日から翌年の五月三十一日までと定め、第三十七条において、事業計画予算及び資金計画について農林大臣認可を受けなければならないものとしているほか、第三十八条以下において、財務諸表、利益及び損失の処理、借入金、余裕金運用等について定めております。  第五章は、事業団に対する農林大臣の一般的な監督に関する規定であります。  第六章は雑則に関する規定であります。  これらのうち、特に、第四十六条においては、農林大臣は、繭の売買取引基準繭価に達しない価格で行なわれるおそれがある場合に必要があるときは、製糸業者に対し、養蚕業者から繭を買い入れるにあたり基準繭価以上の価格取引すべきことを勧告することができる旨を規定しております。  第七章は、罰則に関する規定であります。  附則におきましては、第二条から第六条までは、事業団設立手続について、第七条及び第八条で日本蚕繭事業団及び日本輸出生糸保管株式会社解散について、第十一条から第十三条まで事業団助成事業及び事業年度についての経過措置をそれぞれ規定しております。また、第十八条として繭糸価格安定法の一部改正規定を設けておりますが、これは政府輸出適格生糸を確保する必要があると認める場合に、事業団買い入れ保管する輸出適格生糸のうち、一定期間を経過してなお保管しているものを一定数量範囲内で買い入れることができるようにするための同法第九条の二の改正を含むものでありまして、事業団事業に対する政府の援助の意味を持つものであります。第十九条から第二十三条までは同法の一部改正に伴う経過規定であり、第二十四条から第三十三条までにおいては、糸価安定特別会計法その他各種関係法律について所要改正を行なうことといたしております。  以上をもちまして、日本蚕糸事業団法案についての補足説明を終わります。      ————◇—————
  8. 濱地文平

    濱地委員長 この際、参考人出頭要求に関する件につきましておはかりいたします。  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案及び日本蚕糸事業団法案について、参考人出頭を求めその意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 濱地文平

    濱地委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 濱地文平

    濱地委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  午後一時再開することといたしまして、これにて休憩いたします。    午前十一時二十九分休憩      ————◇—————    午後一時三十九分開議
  11. 舘林三喜男

    舘林委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案及び日本蚕糸事業団法案の両案を一括議題として、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原俊夫委員
  12. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいま議題となりました日本蚕糸事業団法案、この法案は、前々臨時国会提案されて、同僚委員からもたくさん質疑が行なわれておりますが、私も私なりに数点問題点をお尋ねいたしたいと思います。  大臣お見えにならぬので、政務次官にお尋ねしますが、繭糸価格の安定については、繭糸価格安定法という法律があって今日までやってきておるわけでありますが、今回蚕糸事業団法ができる。言うならば、屋上屋を重ねるような感じがしないでもありませんが、なぜ繭糸価格安定法があるのに、さらに蚕糸事業団法なるものをつくり、蚕糸事業団を置かねばならないか、このことについて、ひとつ率直にわかりやすい御解明を願いたい、こういうふうに思います。
  13. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 具体的な問題については局長のほうからお答えを申し上げることにしまして、いろいろ御質問のような御意見もあると思うのでありますけれども、御承知のように、最近の生糸需給動向やあるいは輸出状況等を見ますと、繭糸価格安定を一そう強化充実する必要がある、そういうふうに考えまして、ここに蚕糸事業団設立をいたしまして、さらにその全きを期していきたい、こういう考え方で実は設置をいたしたわけでありまして、むしろ屋上屋というよりも、さらに、突っ込んで強化をいたしていこうという観点から、その熱意からこういう事業団設置を考えたわけでありまして、御了解をいただきたいと思います。
  14. 栗原俊夫

    栗原委員 まことにわかったような、わからないような回答でございます。繭糸価格安定法を強化する必要がある、そこで、安定法よりもさらに事業団法をつくり、事業団設置するのだ、こういうのですが、なぜ安定法改正によって目的を達することができないのか、なぜ事業団をつくらなければならないのか、ここが私どうしてもわからない。いま一度よしわかったという、納得のいくような御解明を願いたいと思います。
  15. 丸山文雄

    丸山政府委員 ただいまの御質問の点につきましては、実は先般のこの席でも若干御答弁を申し上げたように記憶いたしておりますけれども、いささか形式論になる面もございますが、形式論的な申し上げ方をしますと、いわゆる現在の繭糸価格安定法の思想なるものが、第一条にも書いてあるわけでございますけれども、あくまでも異常なる変動を防止するために置くという考え方に立っておるわけでございます。おそらく御質問の趣旨を演繹してまいりますと、たとえば第二条を改正して、通常変動の場合でも政府が直接やったらいいではないかという御疑問も持たれるかと思います。しかしながら、一方、大体市場における売買関係を主として起こる変動の幅に対しまして、政府みずからがしよっちゅう介入関与をするということ自体に、ある意味におきましては経済流通一般論とのかね合いからいたしましても、行き過ぎではないかという見解もあろうかと思います。そういう点につきましては、場合によればあるいは見解の相違か、あるいはそれぞれのなお解明すべき問題が残っているかもわかりませんけれども、そういうことを一応の前提といたしまして、それで政府が介入する前段において、特に業界の出資等もいただきまして、業界の自主性が相当加わった機構でもって、小幅の変動と申しますか、通常変動と申しますか、そういうことには対抗するほうが、制度としても観念的にもよりいい、そうあるべきであるというような見解も当然あり得るだろうと思います。そういう意味におきまして、一見非常にややこしい感じにはなりますけれども、ただいま申し上げましたようなことも考えられますので、中に一つの機構をつくって運営していくという結論にわれわれとしてはなっているわけでございます。
  16. 栗原俊夫

    栗原委員 繭糸価格安定法にさらに小幅な動きに対応するための事業団、こういうお話でございますが、御承知のとおり、三十三年の繭糸価格の大暴落の当時は、繭糸価格安定法の値幅は、上値二十三万、下値十九万、その上下限の値幅というものは四万円だったわけです。今日は上値三十三万、下値二十四万、九万に広がっておる。ありていに言いますと、もちろん国内の養蚕家あるいは製糸家、さらには内需筋でも繭糸の安定が必要であり、望まれることでありますけれども、特に繭糸価格の安定を必要としておる場面は内需ではなくて、外需である。われわれも三十三年のあの暴落以降数次にわたってアメリカにも行って、いろいろ調べてまいりましたけれども、日本の生糸に手が出しかねる最大の理由は、値ごろが高いのではなくして、安定度がないからだ、まじめな実業としての加工事業をやろうとするときに、原料である生糸の値があまりにも値幅の動きが激しいので、安心してこの事業に携われないんだ。したがって、値ごろの問題よりも安定の問題なんだ、こういうことを強く言っておりましたが、そういう観点に立つと、値幅を狭く安定して海外市場の信頼を得る、こういうことが一番大事なことだと思うわけであります。そのときに、かって四万円幅であった値幅を九万円幅と大幅に広げてしまった。このことが、今日繭糸価格安定法がありながら、安定法としての所期の目的を達し得ない、最大の原因だと思うわけなんですが、いまこの中間安定帯なるものを考える蚕糸事業団ができれば、繭糸価格安定法の値幅というものは、そのまま九万円幅ないしは中間安定帯を維持しようとする事業団ができたのだから、ときによっては九万円をもっと広げてもいい、こういうものの考え方なんですか。この辺はどうなんですか。
  17. 丸山文雄

    丸山政府委員 ただいまの値幅の問題につきましては、どの程度いま申し上げましたようなことが影響しているかわかりませんが、もちろん単価の問題もあろうかと思います。単価が高くなりますと、生糸の値幅の問題もある意味で不確定の問題もございますが、それは別にいたしまして、御指摘になりましたのは、今後さらに広げるとかそういう問題があるかということだろうと思います。実は来生糸年度に適用すべき繭糸価格安定法の最高、最低価格は、御存じのとおり、原則として来年の三月、経済事情変動があれば四月または五月にきめるということになっておるわけでございますが、目下のところ、特にそういうことを意識してどうこうということは考えておりません。それと、もともとが生産費その他の事情を参酌して最低、最高をきめることになるわけでございますので、その基礎になるデータ自体を目下収集整理中でございますので、どういう価格になるかということ自体、現在の段階ではっきり申し上げることはできませんし、またましてや、幅がどうなるかということにつきましては、いまのところ、広げるとかあるいは狭めるとか、そういうことについて考えておりません。
  18. 栗原俊夫

    栗原委員 値幅の問題それから値ごろの問題、これは二つの大きな関連した問題ではありますが、毎年その年の養蚕期の始まる前、三月にこういうものを審議会できめる段取りになっておることは承知しております。どこへきめるかということは、いろいろな条件を通じてきまってくるかもしれませんけれども、少なくとも指導的な立場にある政府農林省は値幅はこのくらいにするんだという指導性があってしかるべきだと思うのです。その値ごろをどこに設定するかはこれはいろいろな諸条件によってきまってくると思うけれども、値幅をどの程度にするか。かつて四万円であったものがいま九万円に広がっておる。これは四万円にしろ、値幅は四万円だ、値幅が四万円であるならば、上限はどこで、下限はどこなんだ、これは値幅がきまれば、上限でも下限でも、一方をきめればきまるわけなんですが、値幅は、やはり繭糸価格を安定さしていこうという立場に立つ政府当局が、それは農林省当局であり、もっと率直に言えば、蚕糸局が主導権を持ってやはり打ち出していかなければいかぬのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  19. 丸山文雄

    丸山政府委員 いま御指摘のとおり、最低価格あるいは最高価格のきめ方についてのそれぞれの理屈はあるけれども、一口に言いまして、値幅をどれくらいにするかということくらいはいまから考えておいてもいいんじゃないかという御質問のようでございますけれども、先ほど申しましたように、来年の三月ないしは四月ごろまでに御質問のような趣旨も検討いたしまして、それで最終的にはきまるわけでございますので、いまのところ、この幅を広げたほうがいい、あるいは狭めたほうがいいということにつきましては、まだ検討に入っておらないのが実情でございます。
  20. 栗原俊夫

    栗原委員 少ししつこいようですが、海外の実需先、それは主としてアメリカですが、アメリカで実業として加工業を営む、こういうときに、原料としての生糸の値幅の動き、もちろん、こういう経済の流通過程ですから、一本相場ということは期待し得ないことは当然でありますけれども、向こうが安心して生糸を原料として加工業を営める値幅というものはどの辺なんだということは、これはいろいろ調査をすることによって導き出せると思うのです。もちろん、昨今相手になっておる中共あたりは、これはああいう国家経済ですから、一本相場をきめて、ここ五、六年はコスト関係がどういうふうに変わろうと、きめた一本値で手を振っておる、こういう話を聞いておりますけれども、日本はそこまではとてもまだいけないことはわかりますが、しかし、かつて四万円の値幅でやった、それでも四万円の値動きが、かなりこれを原料として業を営む加工業者の心配の種である、危険の種であるというならば、よし値幅は三万にしよう、こういうような積極的な方向を打ち出して、ただし、その値ごろはどこかということは、国内の生産関係の費用の関係もあるでしょうし、また国際商品でありますので、競争相手国との関係もありましょうから、これをどこへ設置するかということについては、いろいろな議論もあり、思惑も出てくると思いますけれども、値幅については、これは相手方があまりにもフラクチュエーションが強いから安心できぬのだと、こういうことなんだから、それならどの値幅にしたらば安心できるのかという答えが出せなくては、とても生糸の今後の輸出振興していくという第一歩が始まりませんよ。これはいかがでしょう。
  21. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 確かに栗原委員のおっしゃるとおりだと思います。蚕糸事業団法をつくるのも、価格を安定していこうという観点からつくるわけでありまして、そういう面からいって、値幅が、基準になる生産費の調査をして、その調査に基づいて当然できるものだとは思いますけれども、それでも、その場限りでできるものならどういう形になってもいいじゃないかという考え方ではなしに、あなたのおっしゃるような一つの指導方針と申しますか、基本方針に基づいた進め方というものが必要だと思います。そういう精神に基づいて今後は努力をし、検討をしてまいりたい、そういうふうに思います。
  22. 栗原俊夫

    栗原委員 そこで、外需を中心に、もちろん内需も安定したものこそ喜んでおるので、値幅をできるだけ狭めて価格安定のまずワクをつくる。そこで、昨今いろいろと輸出の問題が議論されて、輸出はさっぱり伸びないこういうことを言われておるわけですが、やはり蚕糸業の主たるねらいは輸出振興ということにあると思うのです。実は三十三年のあの大暴落のときにいろいろと議論が行なわれました。合成繊維、化学繊維等の発達によって生糸の存在価値というものが非常に希薄になってくる、こういうような議論がされ、またさらには、大沢蚕糸局長当時には、もう日本の蚕糸業生糸輸出産業として評価できない段階になったんだとすら、文書にして流されるという事態があったわけです。しかし、やはりそう考えてしまうと蚕糸局はっぷしたらよかろうなんという議論に相通じてくるわけですが、私はそうは思いません。蚕糸業というものは、決してそういうレーゾンデートルの希薄になったものじゃなくて、人間に趣味、しゃれけがある限りは、やはり生糸というものに大きな魅力を感じ、需要も伸びていく。現に毎年五%くらいずつは実需がふえておる、こういう数字が出ておるようでありますが、今後の日本蚕糸業の重点のかけ方、もちろん内需というものも大事でありますけれども、輸出振興というところへどういうウェートのかけ方をするのか、この辺の所信を承っておきたい、このように思います。
  23. 丸山文雄

    丸山政府委員 蚕糸業全般を通じまして、輸出振興という問題は非常に大事な問題であると考えております。御存じのとおり、この蚕糸事業団法の御審議案を願うに至りました経過におきましても、いわゆる蚕糸業振興審議会におきましてその問題に強く触れておるわけでございます。そういう経過からいいましても、また今後の問題からいたしましても、当然にわれわれといたしましては輸出振興の問題には本格的に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。ただ、この輸出振興の問題にいたしましても、国内の経済体制といたしましては、いわゆる統制経済的なそういう色彩のものではございませんので、あくまでも関係団体その他の協力、関係団体の自主性、努力、そういうものとあわせましてこれを進めていかなければならないということが考えられると思います。そういう点につきまして、さしあたりの問題といたしましては、少なくとも今生糸年度の終わりの問題としてはどういうことを考えておるか、また来生糸年度、おそらくはそのときは事業団ができておることを期待するわけでございますけれども、そういうものをささえとして、ある程度の根本的対策と申しますか、突っ込んだ対策というものはどうやったらいいかということにつきましては、今後も極力努力してまいる考えでおるわけでございます。
  24. 栗原俊夫

    栗原委員 輸出に力を入れるということになれば、勢い現段階では、そしてまた将来を展望しても、日本生糸と中共生糸、こういうことになろうかと思うわけです。中共生糸は、先ほどもちょっと触れましたけれども、ああした経済体制ですから、競争をしようとすればどこまででもでき得る、こういう体制下にあるわけですが、さればといって、戦いに勝てば損をしてもいいんだということはあり得ないと思うのです。これは蚕糸業議員としての大先輩である参議院にいる小山邦太郎さん、小山さんが常に主張しておるのですが、少なくとも日本の蚕糸業がこれから伸びていこうとするには、輸出で伸びなきゃならぬ、輸出で伸びようとすれば、中共とやはり接触する、したがって、中共でも損をしてまでも勝負に勝とうということではないはずなんだから、中共ととっくり話し合って、そして十分値段の問題等でペイのできる、そして需要が伸びる道が開かれてしかるべきではないか、こういう主張を聞かされております。私も全く同感なんでありますが、政府としては、こういう問題について、どうも中共というと、なかなかいろいろな問題でにわかにはいかぬというような立場にあるかもしれませんけれども、少なくとも蚕糸業に関する限り、海外に伸びていく上には、そうした話し合いが成立しないとなかなか容易でない場面が直ちに出てくる、こう考えますので、これに対する基本的なものの考え方、こういうことを伺ってみたい、このように思います。
  25. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 お説としては、確かにそういう点があるかと思います。現在の場合特に輸出が伸びないというのは、内需が御承知のように好調であって、価格水準が非常に高いというところに問題があると思う。したがって、当面の問題は、やはり国内の価格安定対策を考えていく、さらに技術等の改善によって生産性を向上せしめるという、そういう意味の国内体制整備が先決問題ではないかと思います。そういうふうな国内体制が十分できて、そしてまた必要があれば先生のおっしゃるような話し合い等も今後進めるべきじゃないか、かように思います。
  26. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいま価格の問題が具体的になってまいりました。昨今清算市場の相場は、きょうは五千七百七十円台を現出しておる、こういう話を聞いております。現物はそれよりはるかに低い場所にありますから、この相場はかなり仕手の投機的な値段が出かかっおる、こう考えられるわけですが、少なくとも価格の中に、内需の実需の価格、それから輸出の実需価格、これに対抗する中共の生糸価格、このほかに清算市場の投機の場としての横浜、神戸の市場価格がある。こういう中で、何といってもやはり問題になってくるのは、横浜、神戸の生糸清算市場の相場だと考えるのですが、これに対して繭糸価格安定法があり、さらに価格安定を目ざして事業団法をつくろう、こういうことなんですが、一方では相場の乱高下が市場のいんしんをきわめる要素であり、一方では価格を安定することが需要を伸ばす道である。とりわけ海外需要を伸ばす道である。これはまるで矛盾し切っておる。こういう場面に逢着しておるわけでありますが、繭糸価格安定法があり、さらにこれを強化するためというので事業団までつくって安定しようとするときに、あの投機者流の清算市場をこのままほっておいていいのかどうか、どうしようとするのか、価格安定と投機者流のあばれまくる清算市場、この関係をどう規制するのか、これはなかなか今日までも議論して納得のいく答弁、方針を示してもらえなかったのですけれども、ひとつこの事業団をつくるこの機会に確固たる所信を述べていただきたい、このように思います。
  27. 丸山文雄

    丸山政府委員 特に最近のいわゆる生糸相場につきましては、取引の相場のみならず、現物価格としても、御指摘のような動きをしておることは事実でございます。これに対しましては、現段階におきまして、十月以降第一次、第二次、第三次規制を講じまして、極力冷やすという対策をやっておるわけでございます。若干御質問の趣旨とはそれるかもわかりませんけれども、たとえば最近の状況は、三十八年におけるいわゆる暴騰というときの状況と比べますと、仕手というものが入っておるという因子は、われわれが調べましたところによりますと、非常に少ないように考えております。そういうことを逆に言いますと、要するに需要が非常にかたい、あるいは需要の見通しが非常にかたい、あるいは見通しが甘いということにもなるかもわかりませんけれども、そういう状況のもとに蚕糸の価格が形成されておるように考えられます。そこで、事業団ができた場合におけるこの取引所ないしは清算市場、清算相場、そういうものとの関係につきましては、直接的にはこれは関係がないということになろうかと思います。しかしながら、事業団の場合におきましても、一定の売り払い価格事業団生糸を持った場合における売り払い価格というものがあるわけでございますから、それをこえて騰貴するときには、現在政府手持ちの場合に五千五百円をこえたときには買いが出てくると同じような理屈で、事業団からの手持ちの放出があるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、間接事業団がチェックしておいた生糸が市場に出ることによりまして、現物の価格はもちろん、清算取引価格の抑制策には当然これは供し得るものというふうに考えておるわけでございます。  それと、一方取引所自体の問題につきましては、最近、ただいま申しましたように、いろいろ規制措置を講じておりますけれども、今後の対策につきましては、そのつどそのつどの現象をあとから追っかけていくということでもなかなか追いつかない面もございますので、いろいろ予想し得る状況というものを考えまして、そういう場合にはこういう措置をとる、こういう場合にはこういう措置をとる、まあ極端な場合には立ち会い停止ということも考えられるわけでございますけれども、そこまでいかぬにいたしましても、取引数量の規制を考えるとか、あるいはその月に渡たすいわゆる当限と申しますか、そういうものにつきましては、現在やっております証拠金等の措置とは離れまして、ほとんど現物取引と同様にそういう金を取引所に積んでもらうとか、ただいま申しましたのは極端な場合の一例でございますけれども、そういうことにつきましてあらかじめ方針をきめまして、そのときそのときの状態に対処していきたい、こう考えておるわけでございます。それと、取引所一般論といたしましては、各種取引所の現状を考えまして、たとえば政府監督権を現状より強めるとか、また一面、委託者の保護のための措置として現在の制度でいいかどうかということが、目下関係各省、関係業界で検討されている状況でございますので、御指摘のとおり、取引所自体につきましても、われわれといたしましてはこれを放任することなく、相当厳重な態度で臨みたい、こう考えておるわけであります。
  28. 栗原俊夫

    栗原委員 この事業団ができたときに、ただいまのような清算市場の姿にどう対処するか。持っておる現物を放出することによって、上値を冷やしていく、こういうことらしいのですが、実際にはそういう現物だけを事業団は操作することによって価格の安定を求める、こういう方向だろうと思うのですが、どうも一方では国が金を出す繭糸価格安定法がある。さらには国が投資をしてまでやるところの、中間安定帯をつくる蚕糸事業団をつくる。これまで骨を折り、国の金を使って価格安定を求めておるときに、一方では値幅が乱高下しなければ成り立たない市場をそのまま許しておいていいのかどうか、こういうことが重大問題です。もちろん、いま市場を閉鎖するということになれば、その影響するところは重大であるけれども、そのことが重大なのか、蚕糸業としての、特に輸出振興を中心としての蚕糸事業振興が大事なのかどっちなのか、こういうことをはっきりときめなければならぬ場面にきているのじゃないですか。あっちも立て、こっちも立てるのだというところに、どっちも立たないという場面が出てくる。この辺もう少しぴたりと制度的に値幅をきめたら、上値、下値を取引するものは、それが現物取引であろうと、あるいは清算取引であろうと、罰則をもって厳重に規制する、制度的にこれを押えていくか、そういう中で安定を求めていくか、さもなければ清算市場ではなくて、売りと買いは、買い戻し、売り戻しということがなしに、玉を立てた以上は必ず全額を積み込んで取引をする、実物取引以外清算市場はないんだというような制度変更をするか、何かやらぬと、片一方では国費をかけて安定するというときに、いわゆる賭博者流と言えば言い過ぎかもしれませんが、投機者流の諸君が、一方供給というものは、特殊な品物ですから、さあ渡せと言えば、これはもう売っている方は踏み上げて、むやみと値を吹き上げるよりほかしようがないというような関係を利して、およそ安定とは逆の方向をつつ走る。これではせっかく政策を進めるといっても意味がない、こう思うのですが、これらに関して、これは次官、ひとつ当たりさわりはかまわずに、あなたもここへすわって言うような気持ちで、率直に意見を述べてください。
  29. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 確かにおっしゃるとおりです。せっかく事業団法をつくって国が乗り出そうというときに、それが完全に行なわれないということがあってはならぬので、いま局長が言ったように、いろいろな措置を講じてはおりますけれども、これは決して十分とは考えません。特に現在の商品取引所法ですか、これにも不備な点が相当あるようでありまして、いわゆる過当投機を抑制する、さらに委託者を保護するという観点からすれば、この法を抜本的に改正する必要があるのではないかということも考えられております。この点については、いま関係当局と検討を進めているという段階でありまして、そういうふうなものを通して、ひとつ今後の価格安定をはかっていきたいというつもりでございます。
  30. 栗原俊夫

    栗原委員 一方で価格安定を求めて、新たなる事業団までつくるわけですから、これを乱す一切の障害というものは排除していく、こういうかたい決意のもとに(検討)を続けていただきたい、このように思います。歴史の古い取引所であるけれども、だからといって、この時点において要請される要請は、これはもうもちろん経済的な賠償、補償等は必要とするだろうけれども、甘んじて受けてもらわなければならない事態にきているのではないか、このように思うわけであります。  そこで、いま一つお聞きしたいのですが、かつて生糸は日本輸出の大宗にしてと、私たち子供のころは小学校の本で教わりましたが、昨今は残念ながらそうまいっておりません。したがって、それぞれの貿易商社は、その商社の言うならばかつて大きく扱った一つの残滓というか、しにせとして生糸を扱っておる場面が多い。こういう関係に立ってくると、本来の取引がうまくいけば、これと付随する生糸関係にはあまり主力を注がずに、言うならばサービス的な取引という中から、価格というものがかなり過当競争的に見られるような様相を呈してくる場面もあるのではないかというように実は考えられるわけです。そこで、そういう人たちから直ちに生糸輸出実績というものを奪うことはなかなかたいへんだと思いますけれども、そうした古い、長い生糸輸出の実績というものをそのまま奪うのでなくて、それぞれ持ち寄った生糸輸出に関する公団的なもの、そうした窓口を一本にする何か構想は考えられないか。このことは、生糸を買う側にとって価格についてもいろいろな安心感も持てる、こういうように考えるわけですが、なかなか自由経済の中でそうしたことは容易でないと思いますけれども、相手がいわゆる国家経済の中から売り出してくる中共生糸と競争するときには、せめて輸出の窓口ぐらいは一本にする、そうしてかっての実績商社は、持ち分によってこの新たなる輸出窓口に持ち分を持つ、こういうような考え方に立った輸出の窓口の一本化、こういうことはできぬものだろうか、こう思うのですが、こういう考え方についての御所見はいかがでございましょう。
  31. 丸山文雄

    丸山政府委員 ただいまの御質問、趣旨ごもっともと思うわけでございますけれども、一般的に申しますと、大体輸出窓口一本化という問題が通常起こり得る場合というのは、いわゆる商社が競争して、値下げをしてまで売り込みにかかる、そうすればお互いに立たなくなるから、お互いに協調して一本になろうではないかということで、たとえば輸出何々会社の構想とかそういう構想が出るのが一般的な場合ではないかと考えております。この生糸の場合は、その観点から見ますと、事態は逆になっておるわけでございまして、むしろその商社のみならず、要するに、国内が高いから、何も損をしてまで売らぬでもいいという空気がないわけではない。そういうときにこの一本化ということの方向を誤りますと、かえって国内ですわっているというようなかっこうにもなりかねないと思うわけでございます。これは非常に逆な言い方で恐縮でございますけれども、現状の生糸に対する状況から見ますと、むしろ、商社が競争して安くともいいから売ってもらいたいというようなのが現状の状態になっておるわけでございます。しかし、そうは申しましても、確かにその従来の輸出商なり何なりが、生糸輸出に対する会社内におけるウエートということをいろいろ考えまして輸出努力をしない。逆に国内でいろいろ売買してもうけるという面もないことはないのではないかと考えております。そういう角度からいろいろ検討してみますと、おそらくやはり従来あったようなもの全部に輸出努力を期待するということは、少なくとも現状の段階では非常に無理なんではないかという気がいたしますので、これは一本ということになりますと、ただいま申し上げたような疑念が持たれますので、できるだけやはり実際に今後ともに努力してくれる範囲、そういうものにしぼれるものならしぼりまして、そういうところで協調と申しますか、統制と申しますか、そういう形で輸出努力を進めていくということについては、これは考えられることであろうかと思いますが、そういうことも含めまして、先ほど御答弁申し上げましたような輸出振興の中の問題の一つとして、今後われわれも検討し、また関係方面にもいろいろ呼びかけてまいりたいということは考えております。
  32. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいま局長から話がありまして、ただいまでは内需がばかに強いから、あえて輸出しなくても内需で十分さばける、こういう事態であろうかと思います。しかし、あの三十三年のときを思い返すと、これはなかなか容易ならないものがあるわけです。いつでも上値に突き当たっておるのではなくて、やはり下に突き当たった場合にどうするかということは、そのときになればなかなか政策というものは立てにくいものですから、いま必要でないときにやはり政策は立てておくことがよろしいんじゃないか、このように実は考えます。三十三年のときには、実際これはむちゃくちゃに安値過当競争をやっておりまして、ちょうど三十三年の秋にアメリカへ行ったときに、当時下値十九万円が横浜で十八万円にもなっておる。十八万円だから、安いから買うだろうと日本の方は思うかもしらぬけれども、十九万円に比べれば、確かに十八万円は一万円安いが、あした十七万、十六万にならぬという保証がどこにもない、安く見えて、これが安くないんだ、だからわれわれは手が出せないんだ、こういうことを率直に言っておりました。したがって、やはり過当競争のできないような輸出体制というようなものをいま考え、具体的に政策として実現しておく必要があるのではないか、このように特に思って強く要望するわけであります。  そこで、率直にこれから申し上げますのは、事業団ができる。ところが、この出資が、国がすでに出しておる会社の資本を横すべりさせろ。製糸業者養蚕業者からそれぞれ五億ずつ出させる。合わせて二十億三千万円でございますか、こういうような形になるようでありますが、どうもこれでは、いろいろな問題を処理していく、清算市場が本格的に整備されない、こういうときにオペレーションに出かけていく、こういうようなことまでも考えるならば、どうも資本が過少に過ぎる、こう考えます。三十三年のときに農林大臣にあった福田赳夫さんが、今日は金を出す大蔵大臣の側に立っておるわけですが、当時十億円を出した福田さんは、必要に応じてあと十億は出すんだ、こういうことを言っておったわけです。こういう事業団、率直に言って、これで万全であるとは私はゆめゆめ思いません。本来ならば、中間帯をつくったというけれども、その中間帯の上限、下限というものを繭糸価格安定法ががっちり幅寄せをして守るという方式になってもらわなければならぬと思うわけですが、福田さんが当時農林大臣として、農民に、そして製糸業者に約束した十億というものを、蚕糸事業団がいまできようというこのときに、農民も五億出す、製糸業者も五億出す、だからあのときの十億をひとつ今回加えてもらって、そして三十億の資本にするんだ、こういう方向で出発をさしたらどうかと思うのでございます。大蔵大臣には明日出席が願えるそうでございますので、その際ぜひよい答弁をしてもらおうと思っておりますが、農林当局としては、大蔵省に対して、この事業団をつくるに際して、ぜひとも十億の出資をいたしてもらいたい——一ぺんでなくていいのです。製糸、養蚕農民の側で出し切れる年次に、政府の十億も分割なり何なりして出し切る、こういうような構想でぜひ出してもらいたい、こう要求してまいりたいと思っておるのですが、農林当局としての覚悟、所見はいかがでございましょう。
  33. 丸山文雄

    丸山政府委員 この事業団資本金につきましては、いろいろ見方によりますと、多いということはないかと思いますが、足りない。またひいては買い入れ数量の問題にもからむわけでございますが、現状におきましては、われわれといたしましては、大体この程度の資本金で出発いたしますと、特別な事情でもない限り、まあ何とかやっていけるのではないかという気持ちでおるわけでございます。理論的には三十三年のような事態も皆無とは言えないわけでございますけれども、いろいろ今後の需給推算なり何なりを試算してみますと、まあとにかく、ああいう状態は当分は起こるまいということも考えられるわけでございます。そういうことからいろいろ考え合わせまして、今後これで絶対足りるという保証は申し上げませんけれども、当分はこの程度のことで発足しまして、今後の情勢によって、これに政府追加出資をしていくということを考えてみたらどうかというふうにいまのところ考えております。
  34. 栗原俊夫

    栗原委員 そんなことじゃ弱過ぎてだめだね。それは話にならぬ。三十三年にも、当時三十億のほかに、百五十億緊急動員でやったのだけれども、あのときの問題は、予算範囲内で、こういう言うから、予算が終えたらどうするか、こういう逆説的な問題でむやみと下押していったわけです。とにかく最低限で全部買うんだ、こうやれば、百五十億の金も使わずに事を処理できる。したがって、今度の事業団も、それは二十億でできるかもしれぬけれども、三十億なら三十億、強力な資本を持っておるということが、問題の発生を未然に防ぐ。事業団はどこまでも出動してくるんだ、そうしたかまえが、出動しなくしも相済むような事態を招来すると思うのです。あとから何とかするとか、そういうことじゃやはり政治にもならぬのだね。だから、たまたま今回は農民も五億出す。率直に言って、全養連の皆さんは、農民がみんなとことんまで思い切ってぜひつくれと言っておるとあるいは言うかもしれぬけれども、実際はそうは言っておらぬのですよ。どうなるかわからぬのに銭なんか集めて何じゃというような議論も、実際はあるわけです。どうしてもやってくれるなら全部国が出してやってくれてもいいではないかという議論もあるわけなんです。そういう中からとにかく農民も製糸家も出すのだから、国からも出させる、そこでわれわれの蚕糸業というものを守っていこうとするのだ、政府にばかりおぶさるのではないのだ、こう言って、養蚕団体の指導者は養蚕農民を説得していま固めておるわけなんです。こういうときに、政府のほうはそんなに銭は要らないのだ何とかなるのだ、というようなことでは、これは話になりませんわ。かつて十億出すと時の農林大臣であった福田さんも言った。福田さんが出てきたら私は率直に言うけれども、本人は選挙区で、私は蚕だなの下でおっきりこみの煮返しを食って育ったお蚕飼いのせがれです。養蚕農民を殺しません。こう言って歩いている。そういうことなんですから、これはやはりあした私は福田さんに面と向かって話して、福田さんにはいやとは言わさぬぞと私は食い下がるつもりです。農林当局がそんな眠ったいことを言っておったのではとても話になりませんよ。それはここでもってことしのこの予算ですぐ出せとは言わぬまでも、農民や製糸家が出す間に十億出すと言ってくれなければ、これはとてもじゃないが法律は成立しませんよ。そのくらいのことを言って大蔵省に食いついてもらわなければ、これはどうにもなりませんよ。丸山さん、政務次官、ひとつ確固たる所信を表明してください。
  35. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 栗原先生の御意見はよくわかりますし、われわれも養蚕業者からそういうことは聞いております。ただ、発足当初の大蔵省との交渉の経緯について、私自体まことに申しわけありませんが、その当時の責任者でございませんで、いろいろ交渉の経過はいま局長の言ったようなことになっておるのではないかと思うのです。ただしかし、現状ではかりにそういうことができるとしても、変化が生じないということはだれも言い切れないし、そういう事態が生じたときには、そういう事態に応じて必ず検討するというところまではいっておるようでありますし、われわれもその考え方のもとに今後は積極的に詰めていきたいという気持ちは持っておりますし、御趣旨に沿って努力をしていきたいと思います。
  36. 丸山文雄

    丸山政府委員 ただいま政務次官からも答弁がありましたように、今後なお十分検討してまいりたい、こう思っております。
  37. 栗原俊夫

    栗原委員 蚕糸事業団ができて、中間帯をつくる。中間帯ができるのだから、繭糸価格安定法のほうはもう用はないのだなどということじゃなくて、やはりせっかくできた事業団のつくる中間安定帯、それは中間安定帯ではなくて、繭糸価格安定法の上下限であるというくらいに——実際の実務はたまたま事業団にやらせるけれども、事業団がきめる上限、下限というものを繭糸価格安定法もそのまま支持して守っていくのだという方向へやはり繭糸価格安定法内容も変えていくべきである、このように主張し、さらにただいまの出資金のあと十億円の問題については、明日福田大蔵大臣に対してさらに質疑を続けることを留保いたしまして、本日の私の質疑を終わります。
  38. 舘林三喜男

    舘林委員長代理 林百郎君。
  39. 林百郎

    ○林委員 最初にお聞きしたいのですけれども、第一条に事業団目的があるわけですが、これを見ますと、「蚕糸業経営の安定と生糸輸出増進」と、こう二つ目的があるわけですね。先ほどの質問にもありますように、いま問題になっておるのは、主として中国の生糸あるいは朝鮮民主主義人民共和国の生糸、社会主義国の生糸がヨーロッパ市場を支配しておるという実情の中で、この法案も必要があるのだということになっておるわけです。しかし、自由主義経済、資本主義経済の原則に立って、もうかるときにはなるべくもうけさせる、そういうプリンシプルの上に立ちながら、一方輸出増進するためには、もうけるときにもこれを押えて、価格の安定をはかっていかなければ、ヨーロッパ市場では日本の生糸に対して魅力を感じないという要因があるわけですけれども、一体この二つの目的のうちのどちらのことをほんとうは考えておるのか。二つとも両立し得ないと思うのですけれども、その辺について、大臣がいれば大臣にお聞きしたいのですけれども、次官と局長に率直なところを聞かしていただきたいと思います。
  40. 丸山文雄

    丸山政府委員 それは結論から申しますと、両方考えておるということでございます。そうは申しましても、おそらくは国内的には養蚕農家及びその原料である繭を加工する製糸を含めましてできるだけ高く、それで国内農家並びに製糸としては非常にもうかる。しかし、輸出増進するためには、その価格ではむずかしい国もあるわけでありますから、それでは話にならぬから、出すためには安くということがあるいは理想であろうかと思います。ただ、そういうことを考えてみましても、それぞれの値幅によりまして、その差額はどういう形でだれがどういう方法で一これは価格の差にもよりますけれども、補助をするかという問題も当然出てくるわけでございます。そういうこともいろいろ考えまして、輸出対策はもちろん輸出対策として、先ほども申し上げましたように、今後も引き続き検討いたすわけでありますけれども、たとえば事業団運用として考えておりますのは、いわゆる事業団標準売り渡し価格というものを一応の最高限としまして、そのあたりの価格で、大体線が引ければ、国内的にも特に損をすることはない、また、海外的にもとても問題にならぬほどそう高い価格ではなかろうということをこの法案の中で考えておりますので、冒頭に申しましたように、いわば両方の調和をとりながら運用していく、こういうことでございます。
  41. 林百郎

    ○林委員 何言ってるのか、ちっともわからない。矛盾があるからはっきりできないのだと思うのですけれども、それでは、最近の一番新しい価格一キログラム五千五百円くらいと私は聞いておるわけですけれども、これは繭糸価格の最高水準までもうきておるわけですが、これをどういうようにして抑制するつもりなんですか。それでもう現に十一月は日本は生糸輸出国ではなくて、むしろ輸入国になっておるわけでしょう。どうするつもりなんです。
  42. 丸山文雄

    丸山政府委員 当面の問題という御質問でございますが、おっしゃるとおり、現在ここしばらくの間最高価格を突破しております。そこで、そういう場合におきましては、極力実需を離れた相場につきましては、これは抑制措置をとってまいっておるわけでございますが、当面の輸出の問題としましては、たとえばこういう一面もあるわけでございます。これは常にそうであるかどうかということにつきましては、今後なお検討を要する問題でございますけれども、たとえば欧州市場等を例にとってみますと、現在一番多く欧州市場に供給しておるのは中共でございますが、そこでも生産が追いつかないために、欧州市場に対する中共の売っておる状況は、相当先の問題として契約しておるというような問題もございます。逆に言いますと、当面はなかなかどの国からも買えないというような状況、まあ供給不足と申しますか、そういう事情もからみまして、現在のところ、日本国内の蚕糸の問題とそれを結びつけてみますと、価格の問題もあるけれども、とにかくすぐ発注があったときに出す現物の問題——価格の問題もあるけれども、すぐ現物をそろえて輸出契約をするのかどうかというような問題も現在あるようでございます。そういう意味合いにおきまして、冒頭に申しましたように、当面の問題としましては、そういう状況の分析なり判断なりに基づきまして、さしあたりの輸出対策というものを考えられる余地があるのではないかという考えもありますので、そういう線で、さしあたり現在における価格の高騰と輸出の問題というものに対しましては、いま申し上げたような方向で対処してまいることを検討をし、また目下検討しておるわけでございます。
  43. 林百郎

    ○林委員 私は、何も中国の生糸がどういう実情だとか、それから必要に応じてすぐ実需に応ずるような体制が必要だとか、そういうことを聞いているわけではないので、本案の目的は、価格を操作して、そして日本の国の生糸に対するヨーロッパ市場の実需を剰激しようということだから、価格の問題が中心になるよりしようがないわけでしょう。法案目的自体がそこが中心になる。そこで、社会主義国の生糸と資本主義国の生糸が競争するというのだから、目的の中にそうあるのだから——ところが、資本主義というものは、もうけるのが原則なんだが、輸出するためには、もうけるとき押えなければならないわけでしょう。両立しないじゃないですか。もし日本の農林省がそういう政策をとっているなら、それじゃいま五千五百円なんて一番最高のところへいっているときに、なぜ何の手も打たないのか。逆に日本の国は十一月は史上初めての輸入が輸出を上回る状態になっているわけですよ。どういう手を打とうとしているのか。だからほんとうのところは、この法案のほんとうのねらいは、いまの実需が強くて、糸価がある程度上限を維持しているからいいけれども、もし糸の値が下がってきて、そして製糸家に損失を与えるような場合は、政府がそれを背負ってやる、そういうことがほんとうの目的じゃないのですか。そうでなかったらこれは両立しませんよ、あなた。そんな、もうけるときはもうけさせる、同時に輸出振興するなんといったって、繭糸価安定法最高価格最低価格のこの帯を見たって、もうもうけるに従っていつでも帯は延びていくじゃありませんか。たとえば昭和三十二年を見れば、下限が三千円、上限が四千円、下限が三千円ちょっとこして、上限が四千円ちょっと下回っている。さらに三十四年に至っては、下限が二千五百円を下回り、上限が四千円をちょっと下回っているというのに、今日はもう下限が四千円、上限が五千五百円でしょう。だから、製糸家がもうかるような糸の値が出る場合には、上限も下限もそれに沿ってどんどん上がっていったのでは、何もこの操作によって日本の糸価も安定し、ヨーロッパ市場の実需を剰激するという作用にならないのじゃないですか。私はどうしてもそう思いますが、ほんとうのところはどうでしょうか。万一糸価が暴落した場合に製糸家に損失を及ぼさないように、さらにはそれが繭価にも影響してくるから、そのときのことをいまから考えているのだと正直にそう言うならわかりますけれども、もっともらしい目的なんか一条に書いてあるものだから、どうしてもそれはわからぬのですが、どうですか。それが法律というものなんでしょうか。
  44. 丸山文雄

    丸山政府委員 いや、そうは考えておりませんので、かりに下がったときに、製糸及び養蚕ということになると思いますが、製糸及び養蚕の損失をカバーするために、そういうふうに動くということを考えたとします。そうしますと、事業団が糸を持つわけでございます。糸を持ちましたならば、その事業団の売る価格というものの置きどころが、大体輸出にもそう無理ではなかろう、また市場を撹乱して糸の値を猛烈に下がる、ひいては繭の値がひどく下がるということもなかろうというようなラインを考えまして、そこで事業団が持っておるものを売るわけでございますから、一方損を防ぐという作用があると同時に、天井知らずのもうけも防ぐという二つの作用があるわけでございます。
  45. 林百郎

    ○林委員 それじゃ三十八年のあの非常な暴騰したときがありましたね。これでヨーロッパ市場を日本の国としては非常に失ったのですが、そのとき幾ら政府は放出したのですか、これを押えるために。
  46. 丸山文雄

    丸山政府委員 三十八年当時におきましては、政府の手持ちだけの問題を考えますと、政府の手持ちはなかったわけです。
  47. 林百郎

    ○林委員 それじゃ今日どうするのですか。手持ちはあるのですか、ないのですか、放出するのですか、しないのですか。
  48. 丸山文雄

    丸山政府委員 現在の政府手持ちは、目下買い入れ申し込みに応じて処理しつつございます。
  49. 林百郎

    ○林委員 どのくらい出そうとしているのですか。いまどのくらいの求めがあって、どのくらい放出しようとしているのですか。
  50. 丸山文雄

    丸山政府委員 これは目下整理中でございますので、毎日毎日何俵何俵ということで出ていくわけでございますから、それともう一つは……。
  51. 林百郎

    ○林委員 だから幾ら手持ちがあるのか、言ってください。
  52. 丸山文雄

    丸山政府委員 たとえば先ほど申しましたように、本年の十月以前をとらえますと、約八千俵政府に手持ちがあるわけでございます。それが十月以降若干価格が上がっておりますので、わずかずつながら買い入れ申し込みがありまして、それで放出いたしております。それで、最近ここ十日前後相当上がってまいりましたので、それに応じて政府に対する買い入れ申し込みがございまして、中にはキャンセルなどもございますけれども、そういうものを整理してみませんと、現在の手持ちがどういう形になるか、どういう数字になるかということは、いまの段階ではわからないのであります。
  53. 林百郎

    ○林委員 あなたの言うこの法案目的は、必ずしも生糸が下がったときの救済方法ばかりでないのだ、輸出増進させる手段として、政府も手持ちの生糸があってそれを出すことができるのだ、理屈はそうであっても、実際の糸の値が上がって、そういうときにこそ、政府手持ちの生糸を放出して過熱的な状態をさまさなければならないというときに、何もやってないじゃないですか。やってないどころか、ないじゃないですか、政府に。だから法律目的に——いまだってそんなことはできることでしょう。やろうと思えば、繭糸価格安定法もあるし、事業団だってあるのですからね。そこを私は言っている。ことに三十八年度の非常な過熱状態のとき、政府は何らの冷却手段を持っておらないんじゃ、法律にどんなことを書いたって、実際の作用を及ぼさないということになるじゃないですか。今日だって、八千俵の手持ちがあるというけれども、年間三十万俵、平均すれば月に二、三万俵でしょうけれども、それで政府の手持ちの八千で、それを出せば五千五百円の値が下がるとお考えになりますか。だから、さっきの同僚議員の話にもあるように、まるでどっちつかずのような、やるなら本腰を入れてやるということでなく、何だかちょこちょこやってみて、政府も出す金をうんとちびっていっているんじゃないですか。へたなことをやれば、変な幻想だけ与えて、製糸業者養蚕業者が発動してもらいたいときには実際発動しない。下がったときもそうですよ。製糸業者がほんとうに買ってもらいたいというときに買うじゃなし、上がったときに何とか言う。上がったときには、製糸業者にはむしろ責任がない。取引所でもって貿易業者がうんとあおっておるわけでしょう。そういうときにこそ、政府が出て、過熱状態を押えることが望ましい。そういう力を持っているのは政府しかないですよ。製糸業者ではとても太刀打ちできない。そういうときには、何だかんだ理屈を言って、まるでネコかネズミみたいにおたおたする。はなはだ失礼な例でございますけれども、蚕糸局がそういう状態で、またこの法律をつくって、目的だけは一人前のことを言っているけれども、実際実効あがるかどうかという点が、私は過去の実績からいって非常に疑わしいので、あなたに遠慮なく聞いているわけでありますけれども、実際それじゃ五千五百円の値ごろを蚕糸局としては押える気はあるのですか。ちょうど値が上がって、製糸家の連中も一息ついているから、ここは一息つかしておいてやろうというところがほんとうの腹じゃないでしょうか。欧州市場がいま荒らされているから、製糸家の諸君には少し無理かもしれぬけれども、蚕糸局としてはここを押えますよ、そんな腹があるのですか。お聞きしておきます。
  54. 丸山文雄

    丸山政府委員 そういういわゆる過当投機と申しますか、過熱状態は困るということで、現在取引所に対する規制も強化しておるわけでございます。ですから、やる気がないのではございませんで、大いにそういうつもりでやっております。
  55. 林百郎

    ○林委員 それから念のために聞いておきますが、先ほど栗原委員からも質問があったのですが、取引所に対するコントロールの問題ですけれども、三十八年の過熱状態が非常に出たときに、蚕糸局では取引所に対してはどんな手を打たれたのですか。
  56. 丸山文雄

    丸山政府委員 御存じのとおり、三十八年のときには六千五百円の線までいっております。このときには、この段階でいわゆる清算取引に対するその月の当限と申しますか、その月の売買に対しまして、まる代金と申しますか、要するに全額出させて、実質上現物取引、実物取引と同じような方法を講じておるのでございます。
  57. 林百郎

    ○林委員 それでは今日ももしそれと同じ手を打とうと思えばできるわけですね。だいぶ実需が強いばかりでなくて、やはり投機的な清算取引の要素があるのですから、今日取引所に対して何か手段を取る考えを持っているのですか、いないのですか。
  58. 丸山文雄

    丸山政府委員 現段階におきましては、たとえばきのうないしきょう、おそらく一番高いのが来年の四月の取引に属する月でございまして、おそらく五千六百円か七百円ではないかと思いますが、これが五千八百円になりましたときに、証拠金を従来やっておったのに比べまして現在高めております。  そこで、現段階において全額を出さすかどうかという問題につきましては、実際の取引内容としまして、要するに、普通の需給関係も強いという見方があるわけでございます。たとえば実勢価格と申しますか、そういう見方もあるわけでございます。もちろん、それだけではございませんので、われわれといたしましては、過熱ではないけれども、いろいろな投機的因子も入っておるという判断のもとに、証拠金を増額しておるわけでございますが、なお今後そういう現状を見まして、さらにこれが非常に強くなる場合、たとえば三十八年度の例なんかとも比較いたしまして、さらにこれが実勢価格と離れた面が非常に強くなるということになりますれば、当然前例もあることでございますので、現物のときと同じような形の金なり証券なりを徴収するというようなことも考えざるを得ないとは思っております。
  59. 林百郎

    ○林委員 昨日の日経によれば、局長も御承知のとおり、十一月中の輸入が九百一俵、輸出が七百七十六俵で、輸入量が輸出量を上回った、かってない事態が起きた。これは御承知ですね。あなたの言うように、現在の値ごろが、実需が非常に旺盛で、非常に健全な値ごろだ、しかもそれはもう輸入までしなければ、日本の生糸は間に合わないのだというならば、それはしばらく続くのですか。いままで生糸輸出国であった日本が、もう実需が非常に旺盛で、輸入までしなければならないような実需になってきているのだから、値が五千五百円くらいになったって、まだ蚕糸局としては手を打つ考えはないのだ、それがしばらく続くなら、輸出振興のためにこんな法律をいまつくる必要はないじゃないですか。輸入までしなければいけないという実需だとなれば……。それをどう考えるのですか。
  60. 丸山文雄

    丸山政府委員 あるいは誤解があったかもわかりませんけれども、現在の相場が私は完全に実勢価格だとは申し上げたわけではございません。そういう基調が、たとえば三十八年に上がったときと比べますと、実勢の基調も比較的にあるということを申し上げたわけでございまして、全部が全部需要供給そのものだとは申し上げておりません。したがいまして、三段階に分けて規制もいたしておるわけでございます。したがいまして、現在できておる各月の価格そのものがこれでいいのだという判断には立っておらないわけでございまして、今後の動向いかんによりましては、さらにその規制を強めることも必要であろう、こう申し上げておるわけでございます。
  61. 林百郎

    ○林委員 そうしますと、この問題の締めくくりに局長意見、できたら次官の意見もお聞きしておきたいのですけれども、十一月の生糸輸出入の関係はどういうことでこういうことになったのか。輸入量が最高で、輸出量は最低の記録で、輸入が輸出を上回ったという、日本の生糸貿易ではかつてない事態が発生したわけです。これに対してはどういうようなお考えを持っているのですか、聞かしていただきたい。
  62. 丸山文雄

    丸山政府委員 輸出につきましては、大体十月ごろから国内価格が上昇傾向を見せ始めているわけでございます。もちろん、十月の中ごろから規制措置は講じてきてはおりますが、こういう価格上昇の傾向とのからみ合いで、相手国の輸入意欲というものが、これまでの基調よりも若干そがれたのではないかということが、一つ推定として考えられると思います。それから輸入につきましては、これはこのときに始まったわけでございませんけれども、国内価格が大体五千円以上になりますと、品質の比較におきましては非常に悪いものでございますけれども、輸入関税あるいは商社の手数料、そういうものを加えて計算いたしましても、国内価格よりも若干安いというような状況のときに、大体はいってきておる実態になっております。そういうこととからめまして、輸入につきましては、そういう一つの基調の延長と考えるわけでございますが、輸出がたまたま十一月減ったということにつきましては、これは推定でございますけれども、十月ごろから上昇を始めた国内糸価が影響しておるのではないかというふうに考えられます。ただ、これも推測でございますが、それでは十二月はさらに減るかということになりますと、目下の推定をいたしますと、先ほどちょっと触れましたけれども、海外の消費市場における品不足、そういうことからいたしまして、ある程度価格のいかんを問わず買わなければならないというような状況もあることが想像されますので、そういうことも加味して考えますと、十二月においては十一月よりは若干ふえるんじゃないかというような感じもいたしております。
  63. 林百郎

    ○林委員 若干この法の運営の具体的な問題についてお聞きしたいのですけれども、現在の生糸価格の実情からいって、基準価格は大体どのくらいのところへきまることになるのですか、あるいはきめようと思うのか、あるいはきまるのか。この法律運用からいうと、これは将来のいろいろの要因がありますが、現在だとどのくらいになるのですか。
  64. 丸山文雄

    丸山政府委員 これはこの法律案の御審議をお願いした当初においても御説明申し上げたわけでございますけれども、これはでき上がったあと必ず具体的に価格がそうなるというわけではございません。かりに四十年度に事業団ができておれば、政府最低価格、特別会計繭糸価格安定法最低価格が四千円で、最高価格が五千五百円ということになっておりますので、いわゆる中間安定構想ということで、大体事業団の下限といたしましては四千五百円ぐらいのところ、それから上限といたしましては、これはいわゆる売り渡し価格になるわけですが、五千円くらいのところという想定のもとに考えられてきたわけでございます。もちろん、これは政府安定帯価格、これは永久にこのままではおそらくないだろうと思いますし、したがって、事業団安定帯価格とこれは相互関連いたしますが、今後は両面からそれぞれきめていく、こういうことになろうかと思います。
  65. 林百郎

    ○林委員 そうすると、基準価格は四千五百円として、具体的に事業団買い入れ価格はどのくらいになるのか、それから五分ぐらい下回るかというようにわれわれ理解していますが、そうかどうか。それから現在の生糸の実情からは若干現実的でないかもしれませんけれども、この法案審議ですから聞いておきますけれども、買い入れる場合の表数はどのくらい買い入れるか、大体三万俵という話を聞いていますけれども、そうなのか。それが一定の期間持ち越してなお値段が回復しない場合、政府買い入れる場合はそのうちの一定の部分ということ、二万俵というような数字が出ているようですけれども、そのように理解していいかどうか。
  66. 丸山文雄

    丸山政府委員 御質問の前段の事業団買い入れる場合、これがすでにできておった場合と仮定いたしますと、四千五百円の大体五%下くらい、こういう構想になっております。  それから後段の数量につきましては、御質問のとおりでございます。
  67. 林百郎

    ○林委員 そこで、この法律目的からいって、その程度の操作で、過熱した場合の抑制だとか、あるいは暴落している状態の価格の下ささえとか、そういう作用ができるのですか。年間三十万俵、いま三十万俵こしていると思いますけれども、実際できると思いますか。過去のいろいろの実績からいって、その程度の政府の操作では——いままではこの法律でなくて、蚕繭事業団繭糸価格安定法で操作したわけですけれども、その実績からいって、その程度でこの法律目的が達成されるとお考えになりますかどうですか。
  68. 丸山文雄

    丸山政府委員 この問題は先般の栗原先生の御質問にも関連することでございますが、われわれといたしましてはできると考えておるわけでございます。  それと、もう一つは、これも御議論のありましたことでございますが、さらにそれのささえがきかなくなった場合には安定法、いわゆる特別会計が働くことになりますので、底が二重であって、不徹底だということを言われるゆえんでございますけれども、また逆にそういう二重の機構で防止していくというたてまえになりますので、それでまあなんとかやっていけるのではないかという考え方でございます。
  69. 林百郎

    ○林委員 だいぶ時間がたちましたので、最後に、私は養蚕の関係と本法との関係についてお聞きしたいわけですけれども、何といっても日本の製糸業を育成するためには、原料である養蚕が振興されなければならないので、基本的には養蚕をどう保護するかということが重要な一つのねらいにならなければならないと思うのです。生糸価格を保証してやって製糸家を見てやるということと一そのことのいい悪いは別として、私たちはまた私たちの見解を持っておりますけれども、同時に、やはり養蚕家を十分保護してやらなければならない。そういう立場からこの法案を見まして、これは間接的にこの繭値を維持してやるという方法なんですけれども、これはどうして直接的に繭を一定の値段で保証してやって買い取るというような、そういう積極的な政策がとれないのですか。
  70. 丸山文雄

    丸山政府委員 この問題につきましては、これは申し上げるまでもなく、繭は製糸工場で加工して糸にする以外に方法はない。したがって、製糸あっての繭、繭あっての製糸ということになりますが、かりに製糸の価格と無関係に繭の価格をきめていく。たとえば事業団が全量相当な値段で繭を買う、それを原料として製糸が引く場合には、一つの例といたしましては安く払い下げるとか、そういう問題が起こってくると考えるわけでございます。そういう場合におきますと、いわば繭それ自体の一種の二重価格というような形にもなりかねない。それはそういう考え方が全然あってはならないということにはならないと思いますけれども、そういう問題も出てくるかと思われるわけでございます。そういうこともいろいろ考えまして、これは繭価につきましても、とにかく繭から引かれました生糸につきましても、とにかく一定の価格以下には下げないような方法を講じていくということからスタートいたしまして、繭価につきましても、製糸の面でこれを不当に買いたたくということがないように、そういう場合には事業団が引き受ける。またそういう場合には、事業団から製糸に対して勧告するとか、また今度は逆に、そういう状況のもとで買い付けられた繭から出てきた製糸は、糸の値段が下がっても事業団は買わない、そういう横からのチェックを考えまして、そういうことでとにかく運用していってだいじょうぶなんではないかという考え方に立って構想されているわけでございます。
  71. 林百郎

    ○林委員 蚕糸局というのは、名前から蚕糸で、蚕のほうが上ですからね。そこで、聞きたいのだだけれども、今日糸値から逆算して繭値をきめてきているわけですね。これは異例な事例でしょうほんとうならば、原料代がきまって、そしてそれに対する製品の値がきまっていくのが、資本主義の社会では原則でしょう。原料費がこれだけだから、製品はこれだけというのが原則でしょう。ところが繭のほうは、糸の値がこれだから、逆算してこれだ。糸の値が下がると、繭値は暴落する。いつもそのあおりを究極にはここが食っているわけです。こういうことに対して、私は先ほど言うように、二重価格制になっても、やはり政府が一定の値段を必ず保証する。保証するということは、糸の値をささえて保証するのじゃなくて、繭値が一定の値段より下がる場合政府が買い取ってやるという生糸と同じ保護政策が、どうして養蚕家に対してとれないのか、これはどういうわけなんでしょう。
  72. 丸山文雄

    丸山政府委員 その買い取るという点につきましては、先ほども触れたかと思いますが、一定条件のもとに製糸が買わないという場合です。一定条件というのは、繭の生産費から計算されてきたいわゆる基準繭価というものができるわけでございますが、それより下回って買うという場合には、事業団が買い取るということはいたしませんけれども、事業団が販売の委託を受けまして、その繭がよけい売れれば、その利益は、あとで逆に農家に還元することになるわけでございますから、必ずしも物そのものを事業団が直接所有権を持たなくとも、そういう受託販売という形でもって解決できるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  73. 林百郎

    ○林委員 基準繭価買い入れない製糸業者に対しては、生糸の値が下がったときに事業団買い入れ申し込みをしても買い入れないということになっておるのでしょう。生糸の値が暴落したときに生糸は買ってもらえない。しかも養蚕家のほうは基準繭価よりも下回った値段で買い取られるということになれば、そこの一つの立体的な部分というものはますますしわ寄せされちゃって、製糸家は値が下がっても見てもらえない、そして養蚕家は基準繭値よりは下で買われているということになれば、結局しわ寄せは養蚕家のほうにいって救われないことになるのじゃないですが。そういう間接的な保護のしかたではそういう事例が起きてきませんか。
  74. 丸山文雄

    丸山政府委員 まず考え方としましては、糸価が暴落して製糸家が困るという事態もないようにしようということが含まれておるわけでございます。最低繭価と申しますか、基準糸価を標準として事業団がまず糸を買うわけでございますから、そこで、その意味において間接基準繭価以下になることはないだろうということが一つございます。直接的にかりに生糸が下がったときに事業団が買うという制度にはなっておりませんけれども、そういうことを仮定した場合におきましても、基準繭価を下げないように、事業団受託販売を引き受けるということになっておりますから、実際はその両方を関連さした制度でございますけれども、一つ一つを分解してみましても、養蚕農家の立場からしますと、基準繭価以下にはならないという一つの制度的な保証があるわけでございます。
  75. 林百郎

    ○林委員 私の聞きたいことは、生糸の場合は買い取るのに、乾繭の場合はどうして売り渡し方を受託するという程度でとまっているかということなのです。それなら買い取ったらいいじゃないですか。受託したって責任は負えないでしょう。受託すれば、必ずそれじゃいい値段で売ってやるという保証があるわけじゃない。ただまかせられるというだけですからね。そこを聞いているわけなのですけれども、そこで、三十一条の一項一号の、生糸買い入れ申し込みをした者について、「基準繭価に達しない価格で繭を買い入れ又は買い入れるおそれがあると認めるとき。」というのは、具体的にはどういうことを言うのでしょう。
  76. 丸山文雄

    丸山政府委員 これはいろいろ推測するわけでございますから、このあたりの運用については、どういう形にするかということが相当な検討問題だろうと思います。一つの考え方といたしましては、これはかってそうであったとか、そういうことが一つの基準になりましょうし、またいろいろ県庁の機構なりそういう機構を通じましても、一般的にそういうことがキャッチできるのではなかろうかということが考えられますので、そういうことにつきましてのできるだけ具体的な問題点をとらえまして、それによってきめていくよりしょうがない、こういうふうに考えております。
  77. 林百郎

    ○林委員 結局これは、製糸家がもうどうにもならないのでぜひ買い取ってもらいたいというとき、ことに中小製糸が事業団の発動を求めているときに、いや、おまえのところは繭を安く買いたたいているから、おまえの生糸を買ってやるわけにはいかぬ。どうせ繭を安く買うところは中小製糸で、資金も乏しいところです。しかもこれが認定でやられるのだから、これをテコにして、不況時代に中小製糸を整理するという一つの危険があると思います。過去の実績を調べるなんていっても、大製糸が繭の基準価格より安く買うということはない。大体力のない、購繭資金のないところがそういうことをやっているわけですから、これでもって不況時代に中小製糸を整理するテコにならぬですか。それもやむを得ないですか。資本主義の原則で、金のないものはっぷしていくのだというのか。それならそれでいいですよ。
  78. 丸山文雄

    丸山政府委員 そういうことはこれで考えておりませんし、また実際問題として、必ずしも大企業であるから高いとか、あるいは中小製糸であるから安いとか、そういう問題はないと思います。
  79. 林百郎

    ○林委員 それは実情を御存じないから、あなたそう思っているかもしれませんが、実情はそうなのです。  次に、三十三条ですが、さっきあなたの言われた乾繭売り渡し等受託です。第一に、これは委託の申し出があれば無制限に受託するのか。どうかそれから受託された乾繭はどのようにして保管されるのか。具体的にどのようにされるお考えですか。これを「加工し、又は生糸交換すべき旨の委託を受けることができる。」「加工し」という場合には、どのような方法でこれを事業団としてはするのか、その辺のところを具体的にはどういうように運営されるのか、説明してもらいたい。
  80. 丸山文雄

    丸山政府委員 受託数量につきましては、この計画といたしまして、これは無制限ではございません。大体これも資本金及び借り入れ金等々と見合う問題ではございますが、大体一年間に生糸に換算しますと一万俵程度……。
  81. 林百郎

    ○林委員 繭にして何トンですか。
  82. 丸山文雄

    丸山政府委員 大体百万貫くらいになろうかと思います。
  83. 林百郎

    ○林委員 百万貫というと、全生産量のどのくらいになるのですか。生産繭の何%くらいになりますか。
  84. 丸山文雄

    丸山政府委員 三%くらいです。
  85. 林百郎

    ○林委員 そうすると、申し込みがあった場合、その三%でとめる場合に、どのようにチェックするのですか。連合会一本でやるから連合会との話で済むわけですか。要するに、たくさん買ってもらいたいという要望があるし、各養連からいろいろの希望があった場合に、連合会一本であるから、それは連合会と話し合いで、この程度しか買えませんよということで話がつくというわけですか。
  86. 丸山文雄

    丸山政府委員 それは考え方のもとの相違だろうと思いますけれども、要するに、一万俵程度考えておりますのは、一万俵に対してさらに二万俵、三万俵という競争はないだろうという考え方に立っておるわけでございます。逆に言いますと、一万俵あれば受託数量としては十分ではなかろうかという考え方に立っているわけでございますから、競合しまして甲を先にする、乙をあとにするということではないという考え方に立っておるわけでございます。と申しますのは、製品である生糸買い入れ等の操作との関連において、基準繭価がおのずから原則として維持できるというたてまえに立ちますので、繭のまま事業団受託販売をする量は、そうそう多くは見なくてもいいではないかという考えでございますので、そういう競争があるという考え方には立っておりません。
  87. 林百郎

    ○林委員 どうも実情と局長の答えられるのとは非常にかけ離れているので、これはしかたないと思いますが、たとえば三十九年に生糸の値が下がったときがあるわけです。そのときは、業界としては、積極的に政府が買いに出てもらいたいという要望があったけれども、手が出ないので、それで、その後業界の自主的な回復でやったので、政府が別に援助したはずはないわけです。したがって、糸の値が暴落した場合は、それは養蚕家としても相当政府から買い取ってもらいたいという要望があるので、それが全生産量の三%で、それで養蚕家の保護に充てたのだ、こういうことは、実情からは沿わないと私は思います。同じような問題が買い取りの場合に出てくると思いますけれども、これはあとで私のほうで整理して聞きますが、実情はそうだと思います。  それで、その問題は見解の相違ですから、私のほうとしてはあなたと見解の相違ということで打ち切っておきますが、それでは、その後その乾繭保管する具体的な処置、加工する場合はどのようにするのか、その点を聞いておきましょう。
  88. 丸山文雄

    丸山政府委員 保管する場合におきましては、いろいろな倉庫に保管するわけでございます。それから加工する場合には、事業団のほうで製糸に委託しまして、それで加工する、こういうことになるわけであります。
  89. 林百郎

    ○林委員 同じ問題で、さっき私質問を途中でやめたのですけれども、この事業団買い入れ数量の三万俵は、生糸生産ないし流通数量の約一割に当たる。事業団が三万俵買い入れた後においてもなお糸価が下落した場合には、今度安定法の最低糸価で特別会計による買い入れが行なわれるということが考えられる。そうすると、事業団による買い入れ価格安定法の最低糸価との間にギャップがある場合には、やはり事業団買い入れ価格のほうが上位にありますから、買い入れ限度数量増加という形の要請が高まることになると思います。そういうことになりますね。考えられませんか。  さて、そういうことを考えますと、最初私が質問したように、買い入れも三万俵、繭も三%、そういう程度で、現在繭糸価格安定法があり、それから蚕繭事業団ですか、こういうものがあるのに、さらにこれをつくって目的が達せられるということについては、非常に大きな疑問があるわけですけれども、いま私の質問は、とりあえずこの三番目の、生糸がなお落潮が続いている場合に、安定法最低価格買い入れということ、要するに、事業団買い入れも、さっき局長が言うように、三万俵前後でとまってしまう、これ以上買い入れ資金はないということになると、それで安定法の最低糸価買い入れるということになると、事業団買い入れてもらいたいという希望が出てくるわけですね。そういう場合は、そのワクというものは弾力性がないのかあるのか。あるとすれば、どういう弾力性を持つのか持たないのか、その辺のところを聞いておきたい。
  90. 丸山文雄

    丸山政府委員 三万俵という数字は、これは手続的に申しますれば、政令によるものでございます。したがいまして、たとえば政府が現状における最低価格生糸一キログラム四千円というもので買い出動するよりも、なおこの事業団のワクをふやして、事業団で買い取るほうがいいという状態のときは、三万俵を直す手続といたしましては、申し上げましたように、政令改正手続になるわけであります。それから買い入れ資金のほうにつきましても、これは乾繭受託をいたしますと、そのときに基準繭価に見合う金は農家にお払いしますから、そっちのほうでも金が要るということで、いろいろ事業団自身の資金の運営の問題と、手続上三万俵のワクを改正するかどうかということの問題になろうかと思います。
  91. 林百郎

    ○林委員 養蚕対策の問題に移りますけれども、私のほうの資料によりますと、養蚕家の戸数は、昭和三十年から三十九年の十年間に約八十万が五十五万くらいに減っております。そうすると、これは四割くらい減っておるわけです。一方繭の生産量は大体コンスタントにいっているようです。私は先ほどあなたに、養蚕家の保護が製糸家の保護よりも劣っている、むしろそのほうをもっと蚕糸局としては力を入れて考えるべきじゃないかという質問をしたわけですけれども、この十年間に四割も養蚕農家の戸数が減ったのはどういう事情だとお考えになっておりますか。
  92. 丸山文雄

    丸山政府委員 これは一口に申しますと、現在の統計を年を追うて見てまいりますと、一般的傾向といたしましては、小規模の養蚕農家が養蚕をやめまして、それで比較的大規模のものが規模を拡張するという形になっております。したがいまして、その戸数は減っても、生産量は減っていないというのは、そこからくるわけでございますが、これをさらにこまかく見てみますと、これは推測の域を出ない点もございますけれども、たとえば一時のように、ある農家のおばあさんならおばあさんというような方々が、当面の小づかいを得るために掃き立てをしておった、繭をやっておった、というような形がだんだんなくなりまして、あくまでも農家の全体の家計としての現金収入の道の方向に進んでおるということが言えるのではないか、そういうふうに考えております。
  93. 林百郎

    ○林委員 これは農業全般の傾向ですから、特に養蚕農家だけの統計ではないわけですけれども、しかし、いずれにしても、六割になってしまっているということは、これはやはり日本の養蚕行政に欠ける点があるから離れていくということで、やはりもっと真剣に考えていただかなければならないと思うのです。ことに零細な養蚕農家ほど、やはり蚕で現金収入をはからなければ一家の生計が成り立たない。そういう農家が養蚕を見捨てていかなければならないということは、もっと真剣に考えてもらわなければならない。そういう意味で、本法においても、養蚕家の保護の点について全く欠けているという点を私はあなたに質問したわけです。この点はやはりもっと真剣に考えてやる必要があるのではないかというふうに思うわけです。  それから最後に、人事問題について、この法律で非常に問題があるわけなんです。これは全部農林大臣の任命ということになっているように見えるわけです。「理事長及び監事は、農林大臣が任命する。」「理事は、農林大臣認可を受けて、理事長が任命する。」こうすると、これは非常にあなた方にとっては耳が痛いかもしれないけれども、農林省のお役人さんの、何というか、おば捨て山なんて言ってはなはだ失礼で、人権を無視することになりますけれども、皆さんがここをねらっているというような非難を業界から受けるきらいがあるわけなんです。どうしてこの理事までを農林大臣認可を受けるということで、農林大臣認可範囲に入れたのか。それから理事長監事もどうして農林大臣が任命するということにしたのか。出資の点からいっても、政府はそんなに出資をしていて、それで政府監督権を行使しなければならないというほどの出資でもないわけですね。ここの人事の規定はどうしてこのようにきまったわけですか。将来これが農林省からの天下り人事にならないという保証が何かありますか。はなはだ皆さんに失礼なことばがあったかもしれませんけれども、業界でそういうことを言っている意見もあるので、私はその声を代表して聞いているわけです。
  94. 丸山文雄

    丸山政府委員 事業団、公団というものの一般的な任命システムと申しますか、そういうものは御承知のとおりでございます。それは別にいたしまして、事業団は、いろいろ御議論がございますように、ある意味では相当一種の市場操作的な機能を持ち、買い入れ値段もきめる、売り渡し値段もきめる。いろいろ御質問のとおり、こういうものは養蚕家にとっても製糸にとっても、場合によっては糸を消費する者にとっても、輸出にとっても、いろいろな相互関係を持つわけでありますが、そういうことの方針をきめ、かつそういう方針に従って運営するものでございますので、そういう意味では、まさしく事業団政府機関という色彩を持つわけでございます。そういう意味から考えましても、他の事業団と同じように、理事長監事は任命制にする、理事理事長が主務大臣認可を受けて任命するという一般的な手続に従っているわけでございます。  それと、そういう中において役人の天下りが行くかどうかということは、これはもちろん私一存できめることでもありませんし、まさしく大臣のきめることでございますけれども、要するに適材適所ということに相なろうかと思うわけでございます。
  95. 林百郎

    ○林委員 蚕糸事業団というのは、もしこの法律運用することになりますと、生糸需給関係、価格の推移、国際的なシェア、それからそのときそのときの適切な指導、買い受け、売り渡しというようなことをしなければならないので、これは実務上の経験を積んだ人がこの中枢に入らないと——この法案に対する私たちの態度自体は独自な態度がありますけれども、しかし、かりにこの法律運用する面からいっても、そういう非常に機敏な措置も必要だし、実務上の経験を積んだ人が入らないと意味がないと思うのですが、そういう意味で、将来天下り人事にならない、民間人を思う存分登用するという保証をこの際できるかどうか。これはちょっと局長ではなにですから、次官にお聞きしたい。  それから理事長については何か案があるのですか、あったら率直に言ってもらいたい。
  96. 仮谷忠男

    仮谷政府委員 人事については、公団等の問題ではいつも議会でも御意見を承るところでございまして、われわれはどこまでも適材適所で任命をしていかなければならぬ、あるいは人選しなければならぬ、そういうふうに思っております。林委員の御趣旨は十分に体して措置をしてまいりたいと思います。  それから理事長候補といったようなことは、いまのところ全く白紙でございます。
  97. 林百郎

    ○林委員 それでは私の質問はこれで終わります。いろいろ質問で疑点を明らかにしたわけですけれども、またわが党の態度については、討論の際に申し上げます。  それから、財政的な内容について、私もきょうまだ非常に不十分な答弁しか得ておりませんので、もし大蔵大臣委員会にお見えになって質問をする機会が与えていただけたら与えていただいて、もう少し資金面やいろいろ明らかにしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  98. 舘林三喜男

    舘林委員長代理 次会は明二十三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会