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1966-05-24 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十四日(火曜日)    午前十一時開議     —————————————  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 長谷川四郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 松澤 雄藏君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       相川 勝六君    岩動 道行君       臼井 莊一君    小川 半次君       海部 俊樹君    纐纈 彌三君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    堀内 一雄君       前田 正男君    湊  徹郎君      茜ケ久保重光君    稻村 隆一君       中村 高一君    村山 喜一君      米内山義一郎君    受田 新吉君  出席国務大臣         農 林 大 臣 坂田 英一君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         食糧庁長官   武田 誠三君         水産庁長官   丹羽雅次郎君  委員外出席者         農林事務官         (農政局構造改         善事業課長)  山下 一郎君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 五月二十日  同和対策審議会答申完全実施に関する請願  (田中織之進君紹介)(第四六七一号)  同外一件(大原亨紹介)(第四七一〇号)  同(八木一男紹介)(第四七一一号)  同外一件(柳田秀一紹介)(第四七一二号)  同外一件(湯山勇紹介)(第四七一三号)  同外一件(阪上安太郎紹介)(第四八五二号)  傷病恩給等の不均衡是正に関する請願外二件  (羽田武嗣郎紹介)(第四六七二号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四七一五号)  同(倉石忠雄紹介)(第四七七一号)  靖国神社の国家護持に関する請願森田重次郎  君紹介)(第四六七三号)  同(安藤覺紹介)(第四六八九号)  同(岩動道行紹介)(第四六九〇号)  同外一件(今松治郎紹介)(第四六九一号)  同(小川平二紹介)(第四六九二号)  同(大久保武雄紹介)(第四六九三号)  同外三件(唐澤俊樹紹介)(第四六九四号)  同外一件(川野芳滿紹介)(第四六九五号)  同(小泉純也君紹介)(第四六九六号)  同(小金義照紹介)(第四六九七号)  同(坂田道太紹介)(第四六九八号)  同(野田武夫紹介)(第四六九九号)  同(野見山清造紹介)(第四七〇〇号)  同(福永一臣紹介)(第四七〇一号)  同(藤田義光紹介)(第四七〇二号)  同外五件(増田甲子七君紹介)(第四七〇三号)  同(松野頼三君紹介)(第四七〇四号)  同(吉田重延紹介)(第四七〇五号)  同外八件(大西正男紹介)(第四七〇六号)  同外九件(仮谷忠男紹介)(第四七〇七号)  同外六件(田村良平紹介)(第四七〇八号)  同外九件(濱田幸雄紹介)(第四七〇九号)  同外二件(小宮山重四郎紹介)(第四七六五号)  同(關谷勝利紹介)(第四七六六号)  同(西村直己紹介)(第四七六七号)  同(保科善四郎紹介)(第四七六八号)  同外二件(粟山秀紹介)(第四七六九号)  同(森下國雄紹介)(第四七七〇号)  同(亀岡高夫君紹介)(第四八四七号)  同外一件(齋藤邦吉紹介)(第四八四八号)  同(中曽根康弘紹介)(第四八四九号)  同(古井喜實紹介)(第四八五〇号)  少年の非行対策に関する請願吉田賢一紹介)  (第四六七四号)  同外十九件(栗山礼行紹介)(第四七九三号)  国立大学教官待遇改善に関する請願外十二件  (河野正紹介)(第四七一四号)  同(井手以誠君紹介)(第四七七二号)  同(大坪保雄紹介)(第四八四三号)  同外十三件(進藤一馬紹介)(第四八四四号)  同(中島茂喜紹介)(第四八四五号)  海の日制定に関する請願外二件(山下榮二君紹  介)(第四七一六号)  同(麻生良方紹介)(第四七八二号)  同外六件(伊藤卯四郎紹介)(第四七八三号)  同(稲富稜人君紹介)(第四七八四号)  同(受田新吉紹介)(第四七八五号)  同外四件(内海清紹介)(第四七八六号)  同外一件(春日一幸紹介)(第四七八七号)  同外一件(佐々木良作紹介)(第四七八八号)  同外一件(鈴木一紹介)(第四七八九号)  同外二件(竹本孫一紹介)(第四七九〇号)  同外二件(門司亮紹介)(第四七九一号)  同(吉田賢一紹介)(第四七九二号)  青少年問題対策に関する請願松平忠久紹介)  (第四七五九号)  元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の  恩給等通算に関する請願井手以誠君紹介)(第  四七七三号)  同(伊藤卯四郎紹介)(第四七七四号)  同(上林山榮吉君紹介)(第四七七五号)  同(藏内修治紹介)(第四七七六号)  同外二件(滝井義高紹介)(第四七七七号)  同(永末英一紹介)(第四七七八号)  同(永山忠則紹介)(第四七七九号)  同(村山喜一紹介)(第四七八〇号)  同(横山利秋紹介)(第四七八一号)  同外一件(田原春次紹介)(第四八四六号)  建国記念日制定に関する請願纐纈彌三君紹介)  (第四八五一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三三号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。稻村隆一君。
  3. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 農林省事務当局農林大臣にお尋ねしたいことがあるのですが、新潟加茂市の住寺堀地区農家から、構造改善事業実施を中止してくれるように、私のほうに運動をしてくれということの請願が届いているわけです。これは単に一地方の問題ではなくして、全国において政府農業政策を実行する上において、方々で農民いじめをやっているようなことがたくさんあるわけです。それですから、私は、地方問題であるけれども、この問題についてぜひお尋ねしなければならないと思っております。  第一に、当該地域構造改善事業計画の内容はどのようなものであるかということを、簡単に事務当局から御説明願いたいのです。
  4. 山下一郎

    山下説明員 ただいま稻村先生から御質問のありました新潟県の加茂地域構造改善事業計画概要について、御説明申し上げます。  これは新潟加茂市の加茂地域でございまして、昭和四十年度から事業実施に入っております。事業を行ないます地区は、加茂市の中の住寺堀地区でございまして、基幹作目として米を取り上げております。この地域参加農家は五十六戸でございまして、この五十六戸に対しまして、事業といたしましては、土地基盤整備事業経営近代化施設整備を行なうわけでございますが、土地基盤整備の中身といたしましては、かんがい排水暗渠排水一般農道、これらの事業を行なうことにいたしております。経営近代化施設につきましては、もみの乾燥調製施設、それからトラクター導入、これに伴います格納庫の設置、なお融資単独事業といたしまして、コンバイン導入計画いたしております。四十年度から事業実施をいたしておりますが、四十年度におきましてはかんがい排水事業を行なっております。  以上が、簡単でございますが、この地区計画概要でございます。
  5. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 請願書によりますと、住寺堀地区五十六戸のうち、二十一戸が反対しているのですね。そういう事実を農林省は知っておりますか。それから、この計画関係市町村民の総意に基づいて作成されたものであることが、農業構造改善事業促進対策実施要領に示された要件の一つになっているわけです。反対があるのにやっているわけですから、この点とちょっと矛盾しているんじゃないか。その反対があることを農林省は知っておりますか。県及び市当局者のとった計画実施上の措置について、これは無理じゃないか、十分な調査をやったかどうか、この点をお聞きしたいのです。
  6. 山下一郎

    山下説明員 ただいま先生指摘の、この地区事業実施について参加農家のうちに反対している者があるが、この辺の事実を農林省として承知しているかという御指摘でございますが、実は行政といたしまして、この地域事業実施について、県、地方農政局からそのような事実が私のほうまで上がってまいっておりませんでした。先般先生からこの地域事業実施について反対陳情があるという御指示がございまして、さっそく新潟当局につきましてその事実の照会をいたしました結果、現在県の調査によりまして判明しております経過を御説明申し上げます。  この住寺堀地区につきましては、御指摘のように一部農家反対がございましたために、県も再三説得をいたしましたが、昨年の六月から七月にかけまして、地元加茂市長が中に入りまして問題解決に努力をいたしまして、加茂市の判断といたしまして、なお若干の反対が残っておるけれども、四十年度から事業実施に入って差しつかえないというところまでまいりましたために、先ほど申しましたように、四十年度にかんがい排水事業については着工いたしたわけであります。かんがい排水事業につきましては、四十年八月二十六日に土地改良法によります同意手続をとっておりますが、その際に、関係農家総数六百二十四名中五百九十三名が同意しております。九五%になっております。次に暗渠排水農道につきましては、四十年の十一月二十日に同じく土地改良法上の手続をとりまして、関係農家百五十三名中百二十九名が同意をいたしております。八四%でございまして、いずれも土地改良法に申しております三分の二以上同意要件は、備えておるわけでございます。  なお、この後の経過を申しますと、九月九日に市長から県に対しまして、現地との話し合いがついたという報告がございまして、これに基づきまして、四十年度に構造改善事業計画を県として認定をいたしたわけでございます。なお、その時点で御指摘のように、この事業参加農家五十六名のうち十七名がなお同意をしておらなかったようでございますけれども、先ほど申し上げました四十年度に実施をいたしましたかんがい排水事業につきましては、その後十七名反対をいたしておりました者のうち、十名は賦課金の納入をいたしております。また工事にも出席をいたしております。それから四十一年度以降に、基盤整備といたしましては農道なり暗渠排水事業を行なう予定になっておりますけれども、農道につきましては、関係者の間につぶれ地等の問題でなお問題が残っておるようでございますので、その辺の工法を検討し、問題の起こらないように、目下現地調整中という報告を県から受け取っております。  なお、四十一年度の事業実施につきましては、ただいま北陸地方農政局年度別計画協議を行なっておる段階でございまして、この辺の関係農家の意見の調整ができました上で、事業実施するように検討しておる段階でございます。
  7. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 私が陳情を受けたのは二週間ばかり前ですから、あなたの説明とは少し違っているようなんです。何も知らないで、出席をしたほうがいいと言うから出席したけれども、実は賛成していないのだということを、二十一名の者は全部私に会って言っておるわけです。地元反対請願書によれば、次の問題点指摘されているのです。  第一は、農道拡張等によって農地が減少するが、これに対して米の増収の確実な保障がない。それから第二は、近代化施設、すなわちコンバイン機トラクターライスセンター等導入費維持費農家負担が非常に大きく、反当たり三万六千円程度考えられる。現在の農家の経済から見て過大な負担であり、機械化貧乏に追い込まれるだけである。第三には、特にライスセンター経営は、これまでに導入した地区の例を見ても、ほとんど赤字経営である。第四は、構造改善事業の結果に生ずる余剰労働力を効果的に処理する方途が、一般的に講ぜられていない。住寺堀地区も、米を基幹作物として、肉豚と養鶏を多少ふやす程度で、この点の見通しがない。こういうふうなことで、二十一名の農家はいまでも絶対に、反対である、こう言っているわけですね。あなたのいまの説明と私の直接聞いたのとは少し違うのですが、この点もう一度。市は、これをやるときには、どうしてもやらせたいので、いろんな手段でもって県のほうに、これはみんながいいからだいじょうぶだといって申請したのですね。県のほうでも、十分な調査をしないで認可をしたというふうな形跡があるわけなんですね。そういう点についてどうですか。
  8. 山下一郎

    山下説明員 先生のところへ地元反対をしておる農家からの反対の理由として、いま御指摘になりましたいろいろな問題点があるということでございますが、その辺につきまして、率直に申しまして、まだ私どものほうで一応県に電話で照会をした程度でございますので、先生のほうに関係農家から申し出ております事情と、それからこの事業実施に至るまでの、あるいは現在の関係農家のほんとうの考え方等について、あるいは県が市を通して理解をしております実情と異なっております点がございますかもしれませんので、御指摘の点につきましては、なお再度県に対しまして調査をいたしたいと考えております。
  9. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 農林大臣にお尋ねしたいのですが、農業構造改善事業は、もう至るところに行き詰まっているわけですね。それは行き詰まるわけなんですよ。年に六分五厘で七カ年の年賦償還というふうなことで、コンバイン機トラクターを買ってやっているわけなんですが、これは絶対にこんな高い金でもって——三分五厘もありますよ。やっていけるわけはないのです。日本農業金融高利であり、短期であることは、世界文明国家では第一番ですから、こういう無理なことをして農民に借金させるわけです。だから、農業構造改善事業は、至るところに抵抗を受けておるわけだ。それでも、その間違いを農林省は強行しようとしているわけです。これは私は非常に重大問題であって、日本のような貧乏な農民が、六分五厘の金を借りて機械を買って、どうして間に合うか、これは常識でもわかるわけです。現在耕うん機のような小型なものでも、あれは三町歩以上なければ、採算はあなたも知っているとおり合わないのです。ところが、何百万台という耕うん機農村に入っている。それがためにどんどん農民機械貧乏に追われて、それが離村の重大な原因になっておるわけです。デンマーク農業を御存じでしょうけれども、平均二十二町歩耕しております。その二十二町歩は男二人でやっている。女は、デンマークでは農耕に、外の仕事に出ませんで、うちの仕事をやっておりますから。そういうデンマークのような二十二町歩を二人でやっている、コンバインやあるいはトラクターをもってやっているようなところでも、機械なんか買っていません。至るところに農機具サービスセンターがあって、そこから借りてくるのです。われわれは農業基本法を制定するときに、農機具サービスセンターを設けろと言ったのですよ。ところが、大蔵省が反対したり、農林省反対したりして、そういう具体的なものを削って、抽象的な農業基本法をつくり上げたわけなんですね。そういうわけで、いかなる国に行っても、社会主義の国に行こうが、あるいは資本主義のヨーロッパのあらゆる国を回っても、たいがい利息は三分五厘以下、三十年以上の年賦償還デンマーク六十カ年、オランダ百カ年という調子なんです。そうでなければ農業経営は成り立たない。日本のような非常に過小性農業経営において、六分五厘や七分の金を借りてトラクターコンバイン機を買って、そんなものが払えるわけはない。払うときは必ず不動産を売って返さなければならぬ、七年たったら、あるいは十年たったら。それだから、いまの日本農業政策は、これは事実上農民を収奪して、だんだん離農させるようなことになるんです、結果は。いまや農業政策官僚がやっているんですから。私はこの前も赤城農林大臣に申し上げたんですけれども、日本農業技術世界の最高水準であるし、官僚農業政策というものは、明治以来非常に功績がある。ところが、農民を中心とする農業経営じゃないんだから、役所のための農業経営になってしまっている。それだから、無理なことを平気でやり通すのですね。これが農家を没落させ、離農させる。これが私はいまのいわゆる農業構造改善事業じゃないかと思うのです。あなたも農業のことは非常に詳しいんだが、あのような生活程度の高いデンマークのようなところですら、農機具サービスセンターからトラクターとかあるいはコンバイン機とか、あるいは耕うん機を借りてきてやっているのに、日本のような貧乏な農民が、幾ら共同であろうが何であろうが、六分五厘の金を借りてコンバイン機トラクターを買ってきてやって、それで一体償還ができると思うのですか。償還したら、必ず二町の田んぼは一町三反になり、一町五反になるということになるわけですから、そういうことに対して、農林大臣は一体どうお考えでありますか。しょっちゅう大臣がかわるものですから、大臣責任がない。官僚がやっているのです。官僚責任がないですから、これはただしゃくし定木でもってものをやるだけであって、そうして無理ないわゆる構造改善事業なんかをやって、農家をいじめつけている。自分の責任の上からも、農民が納得しないものを無理に納得させるようなことをやって、そうしてこういうふうなことをやっているから、そこで、これはたいへんだ——やってみてたいへんだということで、あとで問題が起こる、こういうことになるんですが、そういうふうなことに対して、農林大臣は一体どういうお考えを持っておられるか、お聞きしたいのです。
  10. 坂田英一

    坂田国務大臣 稻村委員の御説でございますが、実際私も昨年就任いたしましてから、構造改善の問題について、非常によくいっている実例も相当ある、しかし、中にはそうでない実例も耳にするし、私も見ておる。そういう関係から、現在の農業構造改善の実績はどうなっておるかという調査をひとつやってもらいたいというので、昨年の暮れころに全体的な大体の調査をいたしたわけでございます。その結果も取りまとめております。それによりますと、やはり大多数としては、その結果は大体よろしいという調査の結果に相なっておりますが、中には、やはりいまお話しのような面に向かってこれはかなり考えなければならぬというものも若干あるように、その調査の結果見ております。そこで問題は、第一にはやはり農村実情に即応していかなければならぬという問題が——これは当初からその予定でございますけれども、やっておる最中にはそうでない方向に進む場合があります。そういうようなことで、たとえば農道もあまり十分ないというところへ大きな機械が入ってきたということになりますと、機械は入ってきたけれどもなかなか使いにくいという実例もあったりして、その間の順序においていろいろ間違っておる点もないとも限らないということもございまして、実情から言うと、そういう点で、私は現地を知りませんから何でございますが、いま稻村委員のおっしゃったような点について悩みを持っておる地帯もあるように私も存じております。その調査の結果によりましても、若干そういうのがございます。したがいまして、そういう点につきましては、よく実情に即応して、そして施設をやる場合においても、順序を間違えずに進めていくようにするという、これはもともとの方向でございますが、なおさらに一そうそういう面に向かって進めてまいるということで進んでおるわけでございます。  なお、大きなコンバインとか、あるいはライスセンターの問題でございますが、これも能率をあげる点において、これは非常にいいものであると思うのでございますが、その地帯に実は合うか合わぬか、また経営とよく密着していけるかどうかという問題をよく検討を加えるべきときである。こういうふうに、ところによっては多くそういうところがございますから、その点はなお十分これはやはり注意をして、そして使い方についても、またそれが能率的に使えるか、経済的に使えるかという点について、十分検討を加えていかなければならぬものが多かろうと思います。大体大きな機械は、一人で持つなり、あるいは小さな、少数の人で持つというのでなしに、大きなものほど大きな団体で大きく持っていくという方向に、これはもちろんいかなければならぬと思うのでございます。大体この大きなようなものにつきましては、やはり補助金と金利の問題で、補助金はやはり半額補助をするとか、あるいはその他県でも助成をするとか、その残りの分について資金の貸し付けをするとかいうような方向で進んでおったものもあると聞いておるのでありますが、これらの点については、なお十分検討を加えるべきものであろうと思います。
  11. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 私は、いまの農業構造改善事業はほとんどうまくいかないと思うのですよ。それはうまくいっているところもごく小部分であるけれども、これは長い目で見ればうまくいかない。それにきまっているのですよ。六分五厘、七分の金を借りて機械を買って、それで成り立つわけがない。そうすると、必然的に、結果において大農だけが残るということになります。だから、こういうふうな機械というものは、農民に買わせるべきじゃない。農機具サービスセンターを、予算の関係もあろうけれども、農協とか町村でもって国の補助をもらってそういうものを設ける。機械農民個人——耕うん機でも、農民個人が買うなんてことは、農民個人に買わせることは、間違っているのですよ、実際上。農村ではだれもいなくなるものだから、五反百姓が耕うん機を買っているのですよ。これは買わなければ、嫁の来手もないし、長男もいなくなるということだから、買っているんですよ。それだから、日本農村は非常に混乱しているのですよ。それに対して農林省はほとんど無関心ですよ。だから、私は、農業構造改善事業も、長い目で見れば、六分五厘の金を借りて農機具を買うということになっているから、これはだめですよ。計算してごらんなさい。必ず何年か後にたいへんな赤字になりますから、そうすると、大きなものだけにそれをやらせるということになるわけです。小農は借金でもってやらなければならぬということになるのです。そういう点に対して、もっと根本的な考え方政府として、農業政策として必要じゃないか。農民に自力で機械を買わせるようなことをやめさせるように農業政策を樹立しないと、農業構造改善事業なんというものは、絶対うまくいかないと思うのです。これは常識から見ても、目の子算でわかりますよ。六分五厘とか七分とか、はなはだしきは農協が間に入って、たまに一割なんという高利の金がある。高利貸しです。結局農民仕事をやらせるとかなんとかいろいろなことを言って、アイデアを与えて仕事をやらせる。そうすると、仕事をやるはいいが、しまいには農民はみんな土地を売って、不動産で返さなければならぬというような農業政策は、この辺で改めなければならぬと思う。その点はどうですか、どうお考えになりますか。   〔委員長退席辻委員長代理着席
  12. 坂田英一

    坂田国務大臣 先ほど申しましたのですが、なお言い足らぬ点がございましたのでありますが、大きな機械等については、国で半額を補助する、その残りについて近代化資金を出すといったようなことに相なっておりますので、実際の負担は六分とか、そういうことで計算されたものにはならぬはずであると思います。これは一つであります。しかし、いまおっしゃったとおりに、大きな機械の問題からいきますと、私どももでき得るだけ能率の高い機械というものを採用させてまいりたいと思うが、しかし、これは農家の状態とも関連して考えなければならぬことはお説のとおりでございますので、やはり大きな機械である場合、また非常に高いものであるというような場合においては、農業協同組合とかあるいは連合会とかというところを通じてそういう機械を使用するという方向に向かうべきものであるとは思います。そこで、これは昨年でしたか、機械導入という問題に関連して、そういう方向で進むことがよかろうという意味の通牒を出しておるはずでございます。そういう方向にこれは向かわなければならぬ。小さな機械ならば一人一人日本でもいきますが、大きなものは、やはり農業協同組合あるいは連合会というところで使わすようにしなければならぬ。一番極端な場合は、ヘリコプターによる防除なんというのは、日本に十か二十あればいいのであって、それを頼んで利用していくというような方向でございますが、それよりずっと小さいものになりますから、やはり農協とかあるいは連合会というところで進んでいくことがよろしかろう。稻村委員のお説の点については、私どももそういう意味において同感でございます。
  13. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 これでやめますけれども、そういうふうな考えでいまおっしゃったようなことを実行しようとしておるのですか。つまり大きな機械農協なんかに置いて、必要に応じて農民に提供するというようなことを考えておるのですか。
  14. 坂田英一

    坂田国務大臣 さような方向に向かって進むべく、昨年以来通牒も出し、その進み方をそういうように進めておりますので、その点御了承願いたいと思います。
  15. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 それに対して予算等も考えていますか。
  16. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 ただいまお尋ねの機械の共同利用と申しますか、そういうことにつきましては、大きな機械は、やはり先生指摘のように、農協なり市町村なりが持って、農家の方はそれを利用していくという形をとることが、当面必要でございます。機械化の導入の基本方針等におきましても、そういう共同利用の方向を打ち出して、先ほど大臣から御答弁のあったような方向考えておりますし、予算もそういう形で、共同利用いたします場合にも、構造改善事業としては二分の一の補助を支出いたしまして措置をいたしておるわけでございます。ちなみに現在までの大型の機械の市町村あるいは農協が所有しておりますものを過去の構造改善事業の実態から調べてまいりますと、いま三十九年までの実績が手元にございますが、トラクターにつきましては、四〇%が農協または市町村有で、残りは生産組合のような共同利用の形をとっておりまして、個人というのは対象にいたしておらないのが現状でございます。今後とも、いま大臣からお話がございましたように、機械のうち、大きな機械は、やはり対象といたします面積も非常に大きくございませんと効率があがらないわけでございますので、農協有か市町村有か、あるいは農協の下部機構等生産組織の共同利用、そういう形で推進してまいりたい、こういうふうに思っております。
  17. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 全国的に構造改善事業はだいぶ返上しているところが多いです。そういうところで今後補助等引き上げをしなければならぬと思うのですが、そういうことも検討しておりますか。それから調査の結果、もし悪いところがあったならば、それをどう処理するか、その三つの点についてお答えを願いたいと思います。  私の質問は、これで終わります。
  18. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 昨年秋、大臣の御指示もございまして、構造改善地区の実態調査をいたしたのでございますが、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、地元のこの事業に対する評価は概してよろしゅうございまして、大部分のところは、この事業によりましていろいろな利点ができたということでこの事業の歓迎をいたしておるのでございますけれども、御指摘のように、一部の場所では、計画は立てましたけれども、まだ事業実施をしておらない場所もございます。また、事業実施をいたしましたけれども、必ずしも各種の施設等が効率的に運用ができませんために、いろいろと問題点を残しておる地区もあるわけでございますが、私どもといたしましては、昨年来大臣の御指示に従いまして、特にそういう問題のあります地区について、今後重点的に指導を加えまして、手直しの工事も必要な場合にはいたしますとか、あるいは計画の変更等について考えますとか、今後のアフターケアと申しますか、指導についても予算を計上いたしまして、今後そういう問題の地区を重点的に指導をし、事業の効果があがっていくようにしてまいりたいと思っております。
  19. 辻寛一

    ○辻委員長代理 大出俊君。
  20. 大出俊

    ○大出委員 八郎潟の干拓の問題に関連をいたしまして、冒頭に大臣に承っておきたいことがあるのです。  この干拓をしたあと農民諸君を入れるわけでありますけれども、一戸当たりの収入等とのからみ合いが出てまいりますので、米価の問題が一つ気になるのであります。数日前から新聞によりますと、生産者米価を上げても消費者米価は上げないとか、いろいろなことが言われておりますが、ここらあたり、大臣は当面どう考えておられますか。
  21. 坂田英一

    坂田国務大臣 米価は、もちろん米価審議会等も近いうちに開催していろいろ諮問するつもりでございますが、生産者米価につきましては、とにかく大原則は米の再生産を可能にするということが大切なことでございます。生産費及び所得補償方式というものによって定めてまいりたい、こう考えております。
  22. 大出俊

    ○大出委員 赤城さんのときに、パリティからいま言われる生産費及び所得補償方式に切りかえたわけであります。だいぶ政治的に問題がありましたが……。私がいま承りたいと思っておりますのは、八郎潟の干拓をして人を入れるわけでありますけれども、反当たり二石五斗、あるいは二石、いろいろな算定があります。これは相当な国費を投入してやるわけでありますけれども、現在の米価で算定をいたしますと、反当たりの収入が大体三万円程度、五ヘクタールの耕作をやりますと、総額百五十万円程度、こういうことになりますが、これに対する元利償還金が五十一万円くらいありますから、五十一万の償還金を差し引くと、農家の手元に残るのは百万円くらい、これに対して営農に必要な肥料その他の経費がかかる、生産費がかかります。種子代あるいは機械、農具の燃料費、ガソリン代、こういうことになってまいりますから、相当の金がかかります。そうなると、一体幾ら残るのかという問題が出てまいります。したがって、この際、当面問題になっておる米価の問題とからんで、私はちょっと承っておきたいわけなのでありますが、先般新聞にも投書が載っておりましたけれども、例年農民諸君が相当の金を使って東京にあらわれて、そこらに蟠踞しておる。ところでしきりに各関係方面を歩き回って、さて政治米価だなどということで——米価審議会でいま論議しておるとおっしゃるけれども、審議会には反対の意見があって、相当もめて結論が出ない、こういう段階で、昨年では何か政府のほうでは幾ら幾らでございます、こういう言い方をする、こういうわけなんですが、ことしのところ、いま言われるのは、こういう方式で算定をいたしますという算定はわかるのだけれども、どういうふうになりそうかという点について、もう少しはっきり大臣からお答えをいただいておきたい。
  23. 坂田英一

    坂田国務大臣 それはまだこれからの問題でございまして、いわゆる方針としては生産費及び所得補償方式によるということでございますので、具体的にはまだこれからでございます。
  24. 大出俊

    ○大出委員 今日の生産者米価は大体幾らですか、ちょっと答えてください。
  25. 坂田英一

    坂田国務大臣 平均一万六千三百七十五円。
  26. 大出俊

    ○大出委員 生産費及び所得補償方式でいけば、何人以上の事業所をとるかという問題はありますが、つまり勤労者収入等とバランスをとるわけですから、そうなりますと、今日物価のきわめて急激な上昇その他を考え合わせますと、上げざるを得ないということだけは明らかだろう、こういうふうに思うわけでありますが、そこらあたりどうお考えですか。
  27. 坂田英一

    坂田国務大臣 生産者米価のほうは、数字の計算をまだいたしておりませんし、全体のそういう素材がそろっておりませんので、申し上げることはできないのでございますが、若干上がることになります。
  28. 大出俊

    ○大出委員 どうも気に食わぬのは、一昨日ですか、昨日ですか、与党の方々の側の責任ある方から、生産者米価は上がるけれども、消費者米価については上げたくないなどというようなことが、ちらほら新聞だねになる。いまこういう段階なんですね。素材がそろっていないから云々と、こういう答弁を担当の大臣がされておる段階で、その辺のことが別なほうからいろいろ言われるということについて、大臣自身はどうお考えになりますか。
  29. 坂田英一

    坂田国務大臣 それは御希望もあったり、いろいろあることでございますから、それは言論を圧迫するわけにいきませんでございますから、、御了承を願いたいと思います。
  30. 大出俊

    ○大出委員 どうもたよりないことを言われるので迷惑なんだが、言論を圧迫するわけにはいかないからお許しを願います、こういうのでは答弁になっていないと私は思うのですが、まあしかし、その問題にあまり時間をとっておるわけにまいりませんが、本題でございますので、途中からまたあわせて承りますけれども、大臣ではおわかりにならぬではないかと思いますから、事務担当の方に承りたいのですが、八郎潟の干拓について、さっき私が申し上げたように、これはたいへん不経済な仕事になる、こういうふうに思うのですけれども、昭和四十二年ぐらいになってから、土地が一応落ちついてきたところで農家を入れたい、こういう答弁等がありますけれども、このあたりの農家の収入、諸経費に見合う採算という面で、成り立つとお考えになっておられますか。
  31. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 八郎潟の干拓は、現在もうすでに干陸が終わりまして、大体細部の農地整備段階に入っておりますが、大体農地面積にして一万二、三千町歩の大型の干拓地でございまして、そこに五町歩、七町五反、十町歩という形で、新しい機械を取り入れたり、また共同組織を相当取り入れた営農をいたすわけでございます。ただいま反収二石程度というお話がございましたが、私ども、入植して間もないころは大体二石ぐらいの反収であろうというふうに思っております。しかし、干拓地は、土壌が落ちつきますと、土地の生産力が相当上がることはどこでも見られるところでございますから、八郎潟の干拓につきましても、数年にして土地が落ちつきますと、私ども、専門家の観測を含めて、大体三石程度の収量があるだろうというのが、現在の見通しでございます。したがいまして、採算は十分成り立つというふうに考えております。
  32. 大出俊

    ○大出委員 農林委員会の四十年三月の十七日、つまり昨年ですね、八郎潟新農村建設事業団法が提案された時点で、だいぶ長い論議が繰り返されておりますが、この内容からいたしますと、初年度二石という、いまのお話の想定を立てておられるようでありますが、この答弁からいたしますと、つまり営農経費その他大体七十万円見当、肥料、飼料その他の関係でかかる、こういう試算をしておられます。この試算の内容をもう一ぺんここで明らかにしておいていただきたい、いまの答弁とだいぶ違いますから。
  33. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども、八郎潟の事業団法の御審議を得ましてから昨年の八月に事業団をつくりまして以来、南部の干拓地で三年間営農の試験をいたしておりますが、その事実も勘案いたしまして、ただいま想定いたしております収支の見込みをかいつまんで申し上げますと、十ヘクタール配分をいたします場合を例にとりますと、十ヘクタール配分を受けて収穫地は九町七反というふうに想定をいたしますと、十アール当たりの収量四百五十キログラム、それで四十年度の米価一万六千三百七十五円で試算をいたす以外方法はございませんから、石当たり一万六千三百七十五円と置きますと、粗収入は四百七十六万円程度でございます。経営費がそれに対しまして約百六十五万円ほどございます。したがいまして、差し引き所得といたしましては、三百十一万円ほど。なお、負担金といたしましては、十町歩土地政府から買い受けます費用の償還金のほかに、現在八郎潟事業団が中心でやっております農地整備——暗渠排水等々を含めて農地整備事業費がございますが、さらにもみの乾燥貯蔵施設でありますとか、そのほかの農業生産施設の建設費がございます。また、新しく入植するわけでございますから、農家住宅を建てるわけでございますが、その償還金もございます。さらに農業機械の購入もいたすわけでございますから、その償還金もございます。それらをすべて計算をいたしますと、土地の代金の償還金が大体七十九万円、それから農地整備事業なり農村の住宅の建設等々の金が七十九万金ほど、したがいまして、負担金の償還額としては百五十八万円ほどになるわけでございます。したがいまして、農業所得からこの負担金の償還額を差し引きますと、百五十三万円程度の残余ができるわけでございます。これはなお租税公課等がございますから、未確定要素でございますが、かりに二十万円と置きますと、約百三十三万円ほどの可処分所得が生ずるということでございます。これは十ヘクタールの場合の計算でございますが、同様にいたしますと、七・五ヘクタールで約百万円、五ヘクタールの場合が七十万円足らずというのが、数年にして土壌が安定いたしました場合の収支の計算というふうに私ども現在考えております。
  34. 大出俊

    ○大出委員 これは総額、国費は幾らぐらいかかりますか。
  35. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 八郎潟の国営の事業といたしましては、大体三百七十億でございます。そのほかに、八郎潟新農村建設事業団がやります土地整備その他が約百六十億程度ある。これに機械等々の補助金が加わるわけであります。
  36. 大出俊

    ○大出委員 少しこまかく順番に承りたいのですが、まずひとつ大臣に聞いておきたいのは、この農林省設置法の一部を改正する法律案の提案理由の説明がございますが、この提案理由の説明の中に、特に八郎潟の二百十名ばかりを移すというのは、定員の異動の数字の中にはございますけれども、提案理由としては、特に水産関係のほうだけになっておるように感ずるのですが、ここらあたりはどういうわけですか。
  37. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいま提案理由の内容には水産の問題だけを触れておるじゃないかという御指摘でございますが、これは実はこの種の、農林省設置法の提案理由のときには、いろいろな実質的な内容を提案理由で御説明いたしまして、またこまかい数字的な問題につきましては、提出資料によって提出をいたしておりますので、こまかくはその資料で数字的な御説明を申し上げたつもりでございます。
  38. 大出俊

    ○大出委員 別に資料で数字的な説明をしたのじゃなくて、資料を出してあるというだけではないですか。もう一ぺん答えなさい。ごまかしちゃいけませんよ。
  39. 大口駿一

    ○大口政府委員 資料として御提出を申し上げておるという趣旨で申し上げたつもりであります。
  40. 大出俊

    ○大出委員 寡聞にして提案理由の説明で聞いていないので、資料をながめてみて、人員の異動が二百十名ばかりある、こういうことですね。ところが、これは背景は、職員の組合である全農林の諸君のほうと相当なもめごとが現にあったわけですね。ところが、そのことについては何らどこでも説明をしない。水産関係だけの提案理由をべらべらと述べて、よく当たってみると、数字の上で二百十名ばかり人が落っこってどこかほかへ行く、こういうことになっている。こういう不親切きわまる提案理由の説明というものは、私はまことに不可解なんですが、どういうつもりだったのですか。大臣、これはどうですか。
  41. 坂田英一

    坂田国務大臣 これは別に不親切という意味ではございませんので、その二百十名の定員については、従来干拓地その他ができ上がりましたときに、その仕事が全部事業団に移ることに相なりますので、そのときに事業団の人としてひとつ働いてもらうということ、率直に申しますと、そういうことであります。しかし、これについては従来とも問題があったのでございまするが、それはもちろん強制的ではございませんので、希望によってそれをそういうふうに進めてまいるわけであります。いままでも、そういう方向に向かって何らのなにはなしに行なわれておるのでございます。  なお、これらの事業が進捗いたしました場合におきましては、他の公団等においてもありましたとおりに、やはり農林省の職員として、また希望がある場合においてはそれぞれ帰すというようなことをやっておるのでございまして、全く同じ仕事でございまするので、そういう方向に進むように相なっておるわけでございます。
  42. 大出俊

    ○大出委員 そこで、順序がありますから、行管に御出席をいただきましたから、冒頭に承っておきたいのですが、行管の立場として、今日各種のたくさんの事業団、公団等があるのですが、これらのものについて幾つかの指摘なども行なわれているようでありますが、全体としてどういうふうに考えておられますか。   〔辻委員長代理退席、委員長着席〕
  43. 井原敏之

    ○井原政府委員 行政管理庁は、特殊法人の審査権を持っております。一方では、一昨年の九月に、臨調が百余りの特殊法人について、十八ばかり整理統廃合、運営の改善等を提案いたしております。そこで、行管事務当局は、これを受け取りまして、いまこの国会に統合案を出すというところまでの運びにまいらなかったわけでございますが、臨調の勧告を中心といたしまして、今後の改善を検討を進めております。  それから四十一年度におきましては、予算編成方針におきまして、特殊法人は原則として厳に抑制をする——二十二の要求があったわけでありますが、二つだけを例外的に、施設の完成ないしは完成間近のものについて、いかにも役所の直営でもまずいし、公益法人でもまずいというものについて、これを認めた、こういう態度でございます。
  44. 大出俊

    ○大出委員 十八の指摘のうちたしか八つくらいは、これは農林省関係だと思うのですが、どうですか。昭和四十年五月十一日の参議院の農林委員会における北村暢委員の質問に答えて、十八のうち八つまで、農林省が具体的にこの公団、事業団については再検討しろということを指摘されているという点を認めておられますね。したがって聞いているのだけれども、違いますか。
  45. 井原敏之

    ○井原政府委員 検討を進めるということを申し上げております。
  46. 大出俊

    ○大出委員 農林省のほうは、一体ここのところはどういうふうに検討されたのですか。
  47. 大口駿一

    ○大口政府委員 農林省といたしましては、臨時行政調査会の答申に基づきまして、その内容を個別的に検討いたしまして、まず実施可能なものから実施に移すという方針で、すでに事務的な問題等は実施に移しておりますが、ただ、農林省のほうの立場からいたしまして、臨時行政調査会の答申に盛られておる内容で、実施をすることが農林省の見解としては不適当であるというものも含んでおりまするが、そうでないものにつきましては、実施できるものから実施に移すという方針で現在進んでおります。
  48. 大出俊

    ○大出委員 十八しかないのですから、十八の内容と、いまあなたの言われた二つに分けておられるようですが、何と何をどういうふうに分けているか、ついでに言ってください。
  49. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいま私が実施できるものから実施という趣旨で申し上げました具体的な例は、先般、今回の通常国会の年末の会期におきまして日本蚕糸事業団法を御可決をいただきました結果、日本蚕繭事業団と、同じく法律に基づいて設立をされております輸出生糸保管株式会社と合体をいたしまして統合をいたしたのが、すでに実施をいたしましたと私が申し上げました実例でございます。
  50. 大出俊

    ○大出委員 そのほかどんなものがあるのですか。
  51. 大口駿一

    ○大口政府委員 そのほかは、目下検討をいたしておるものが大部分でありますが、先ほど私が申し上げました農林省の見解からしてその実施が適当でないと思われるものとして考えております具体的な例を申し上げますと、魚価安定基金については、総合的な価格調整機構を設置するほうがいいという趣旨の御指摘でございますし、また、畜産振興事業団も、同じく総合的な価格調整機構に吸収したほうがいいというふうな御指摘も受けておるわけでございますが、それぞれの農産物についての価格安定なり調整のやり方等については、それぞれ制度の沿革並びに個々の農産物の生産事情その他で違いますので、このようなすべての農林畜産、水産物の価格安定機構を全部総合的な機構で処理をするということは、農林省としては適当ではなかろうという見解を持っておりまするので、この部分についての御指摘については、そういう見解で、具体的に答申の趣旨に沿った検討はいたしておりません。
  52. 大出俊

    ○大出委員 そこで行管に承りたいのですが、ことしの場合にこの種のものができることについて厳に規制をしたわけですね。その理由は一体どこにありますか。
  53. 井原敏之

    ○井原政府委員 一昨年の臨調の答申でも、現在特殊法人が乱設されておる。特に役所のいい面と民間のいい面を両方取り入れて公共的な事業の推進をやるという趣旨が、必ずしも目的を達しておらぬ。人間の売り込みとか、いろいろな別な意味に乱用されておるというような指摘があったわけであります。したがって、乱におちいっておるという、そういう趣旨がありましたので、ちょうど臨調のいろいろと指摘しました特殊法人の問題についてもはっきり結論が出ない四十一年度のやさきに新設するということは、いかにもまずいのでありまして、行管に委嘱されております行政監理委員会の意見としても、非常に強い意見であった。したがって、それが閣議決定にもなったわけであります。
  54. 大出俊

    ○大出委員 そのやさきにまたできたというわけですが、ところで行管にもう一ぺん聞きたい。この種の公団、事業団あるいは特殊法人といっていいのだと思いますけれども、この役員は、まさに圧倒的にいわゆる古手官僚だというふうに私は思うのですが、どのくらいの比率になっておりますか。
  55. 井原敏之

    ○井原政府委員 役員の一般と公務員出身との比率の資料をちょうど持ってきておりませんので、あとで資料によって御説明申し上げたいと思います。
  56. 大出俊

    ○大出委員 先ほど私が申し上げました四十年五月十一日のやりとりからいたしますと、これは圧倒的に官僚出身の方々が多い、こういう状態ですね。いま行管がものを言っておりますように、平らなことばで言えば、つまり世上一般でいわれていることばで言えば、内容を見てみると、うば捨て山、あるいははけ口を見つけたといわぬばかりの実態にあるわけです。時間がありませんから、ここにたくさんありますが、こまかく申しませんけれども……。ということになると、臨調のその種の勧告があり、かつ行政管理庁が今日いろいろ指摘事項について検討されている。こういう段階で新たな公団あるいは事業団というようなものを認めるということについては、これはよほどのことがなければならぬわけでありますが、昨年のこの八郎潟新農村建設事業団を認めるについての理由、これをもう一ぺん明らかにしていただきたい。——それではもう一ぺん言い直しましょう。あなたは先ほど、公団、事業団、特殊法人というふうなものは厳に規制してつくらせないようにしていく、こういう考え方だ。十八の指摘事項のうち八つが農林省だ。にもかかわらず、この指摘があったあとにおいて、八郎潟新農村建設事業団というものを提案をしたわけです。幸か不幸か、これは通っておりますが、しかし、それについて、そういう時点でなぜ一体行管はこれをお認めになったのかという理由を聞いているわけです。
  57. 井原敏之

    ○井原政府委員 ちょうど臨調の答申が出ました直後のころであったと思いますが、八郎潟の問題は、すでにそのときは四十年度の予算要求としては事務的にははっきり話が進んでおったわけであります。一方では臨調の勧告がありましたので、行管は並行的に十八の指摘の具体化について調査を始めておったわけでありますが、この八郎潟を認めました具体的な理由を実はここに持ってきておりませんので、申しわけないのでありますけれども、まだ四十年度の段階では、もうちょっと行政改革全般が軌道に乗って前向きにいくという考えもありまして、まあ要るものは認めるという考え方があったわけであります。四十一年度にとたんにシビアーになりましたのは、四十年度の実績をいろいろ回顧いたしまして、既存のものについての整理とか統廃合ということが、つくった以上はまず不可能に近いということがはっきりいたしましたので、非常にシビアーな態度に出たわけでありますが、四十年度は、ややその点をそこまではっきりしない段階で事務的には検討が進められておった。一身上のことでありますが、私十二月に現職に参りまして、そのころは、事務的な考え方というのは、大体進行しておったわけであります。そういう経緯でありまして、いま具体的に八郎潟を認めた理由は何かという御指摘になりますと、もう一ぺん帰りまして検討いたしますけれども、用意はあるわけでありますが、いま即答がはっきり申し上げられぬわけでありますけれども、経緯といたしましてはそういう事情でございます。四十一年度は、できた以上はつぶすことが非常にむずかしいということを、われわれはっきり銘肝したわけであります。したがって、非常にシビアーな態度に出た、こういうことであります。
  58. 大出俊

    ○大出委員 農林省のほうに承りたいのですが、この議事録によりますと、当時の国務大臣増原恵吉氏が理由をここで説明しておりますが、あなたのほうは行管といろいろやりとりされたわけですが、そのときにそういうふうに受け取られたのですか。
  59. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私どもが八郎潟の事業団を設立しなければならないと考えましたのは、一つは先ほども申し上げましたように、日本でかってないような大きな干拓地に入植をさせる仕事をやるということであります。さらに入植とあわせて、承排水路あるいは道路、農地整備等の農地仕事もやらなければいかぬ。さらにあわせて、新しい農村をそこへつくるわけでございますから、学校、幼稚園、診療所、水道等の公用あるいは公共用施設をつくらなければ、ここにおける干拓が成功しない。以上のことをあわせまして、特別会計でやる方法、あるいはすでにありますところの機械公団でやる方法、あるいは秋田県でやる方法等々、いろいろの条件を勘案いたしました結果、どうしても独立の事業団が必要ではないかということでお話しをしたわけでございます。
  60. 大出俊

    ○大出委員 これは当時臨調がすでに指摘をしておって、十八の指摘のうち八つが農林省にかかわるものである。こういう時点で、行管——あなたは当時所管でなかったと言うか知らぬけれども、これははなはだ不見識きわまると私は思っているわけです。おまけに農林省にはきわめてたくさんの特殊法人がありまして、たとえば例の愛知川水にかかわる豊川市の一件、あるいは印旛沼、手賀沼等の問題、この当時、たくさん問題になったところがあるわけですね。したがって、この時点で認めたということ、ここにいろいろ理由はついておりますけれども、あなたのほうでお出しにならぬから申しませんが、私どもの考え方からすれば、これはきわめて不見識な話だと思うわけであります。  ところで、せっかく御出席いただいておりますから、先行きの方針を聞きたいのですが、この種の事業団、あるいは特殊法人、あるいは公団、管理委員会、いろいろなものがありますが、これらにおのおの期限が付されております。できてしまうとなくならぬ、こういうお話をされるのだが、これについては、先行きがどういうふうにしたらいいとお考えですか。期限がきたなどという場合、どういうふうにお考えになりますか。
  61. 井原敏之

    ○井原政府委員 現在、行政監理委員会が中心となりまして、実は検討をやっておる最中でございます。期限のきたものは、むろんその法人格は解消するわけでありますけれども、いつも問題になりますのは、そういうときに人間がついておるわけであります。やはり人間の身の振り方という問題が起こりまして、行政制度としてはそんなことに別にてんめんする必要はないわけでありますけれども、現実的にはそれが具体的に支障になるというのが、非常に多いわけであります。乱設になるというのが世論でありますので、今後は、似たような機能を持っておるものについては、統合を強力に進めていく。それから、新しい要求もずいぶんありますが、既存のもので何とかカバーできるというようなものも、相当あるわけであります。そういうことで、抑制方針というものは、監理委員会としても、行政管理庁としても、今後方針を変えずに強力に推進するという考え方であります。臨調の出した指摘については、この暮れの通常国会には、監理委員会の意見を加えまして相当具体化が前進する、かように考えております。
  62. 大出俊

    ○大出委員 この議事録によりますと、役人でない、つまり古手官僚でない、ずぶの民間の方々が役員になっておるのが一割に満たないという答弁があるわけですね。そうなると、九割をこえる方々はすべて官僚の出身であるということになる。昨年参議院で特にもめた例の食料品総合小売市場管理会法案、これはつぶれましたが、この法案をめぐって当時いろいろ論議されているときに、すでにこの役員たるべき農林官僚の何のたれべえという氏名まであがって、だれが何になるということまで行なわれているということが問題になっておりますが、こういう行き方が、事業団、あるいは特殊法人、公団、例の管理会などというふうなものについて回っているわけですね。こういうことになっているから、さて仕事は終わったんだが、しかし残しておくという、妙ななわ張り争いが続けられている。これが現実ですよ。そこへまた次から次に公団、事業団なんというものが出てくる。そのたびにそれらしい理屈をつける。理屈はつけようで何ぼでもつく。いま答弁をされている件についても、私は理屈をつけたんだというふうにしか受け取れない、こういうふうに考えるわけです。したがって、いまあなたは暮れの国会にと、こう言うのだけれども、思い切って今日のあり方を変えていくというところに重点を置いて、これはあなたのほうが本腰を入れなければ、指摘があったって、指摘指摘としてわがほうはこうだという、これまたなわ張り争い、そういうことにしかならぬわけだ。そこのところをあなたどうも先ほど来あのときはということであまり知らないようなことをおっしゃるけれども、この点だけは明確にひとつあなたのほうから臨調の答申——あの臨時行政調査会がなくなって監理委員会になっておりますけれども、せっかく検討中だとおっしゃるわけですから、それに基づく内容というものはぴしっと筋の通ったものにする、こういうことでなければならぬと思うのですが、そこらあたりの決意のほどをひとつ明らかにしていただきたい。
  63. 井原敏之

    ○井原政府委員 御趣旨のとおりに監理委員会にも説明をいたします。いま現に申し上げたように進めておりますので、御意見の趣旨はよく承っておりますし、その趣旨で、今後も私ども事務の立場としても推進をいたします。
  64. 大出俊

    ○大出委員 ついでに聞いておきますが、愛知用水公団なんというものは、仕事は終わっていると思うのですが、これは将来どういうことにするのですか。
  65. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 愛知用水公団は、愛知用水関係施設の管理以外に、現在豊川の事業を進めておるわけでございます。四十一年度を含めて二百億をこえる事業量がございますので、まだ仕事はこれからという段階でございます。
  66. 大出俊

    ○大出委員 それからもう一つこの際聞いておきたいのですが、例の機械公団のほうの仕事はどういうふうにするのですか。仕事はなくなって、どこかで仕事をつくるということを耳にするのだが……。
  67. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 機械公団が発足いたしましたときの例のパイロットファーム的なものは、現在ございませんけれども、機械公団が持っております高能率の大きな機械を利用いたしまして、他の建設業者ではなかなかやれないような圃場整備、開墾、開拓等の事業をやっております。八郎潟の事業等につきましても、機械公団が相当な事業量を持っておりまして、将来事業がなくなるというふうには私ども考えておりません。
  68. 大出俊

    ○大出委員 ところで、この八郎潟の新農村建設事業団の提案をした時点で、この事業団の人員はピーク時二百五十名という提案をされておりますね。間違いないですな。
  69. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 八郎潟の事業がどういうふうになるか、明確な見通しはなかなか当時の時点で困難であったろうと思いますが、私、何月何日に二百五十名という話が出たか正確に存じておりませんけれども、八郎潟の事業団の固有の仕事といたしましては、二百五十名からそんなに多くはずれないような人員で仕事がこなせるのではないかというふうに思っております。
  70. 大出俊

    ○大出委員 当時の方々がいまやっておられるかどうかわかりませんが、前国会で論議しておりますときの皆さんの提案、答弁、何カ所も出ておりますけれども、ピーク時二百五十名、こういう内容になっております。ところで、現在何名事業団は人員をかかえておりますか。
  71. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 現在百四十名程度でございます。
  72. 大出俊

    ○大出委員 その人員の主たる部分は、どこから入ってきておりますか。
  73. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 正確に申し上げますと百四十三人でございますが、その出向のもとを申し上げますと、農林本省が十六人、それから地方農政局地方試験場を含めまして十六人、それから八郎潟の干拓事務所、事業所を含めまして二十四人、それから他省から二人、それから秋田県庁から三十三人、それから秋田県を除く他県から三名、それから民間から四十四名、それから愛知用水その他から五名、以上百四十三名でございます。
  74. 大出俊

    ○大出委員 これは明らかにしておきたいのは、当時、予算要求の段階で二百五十名ということになっているではないかという質問に対して、あなたのほうの丹羽さんという方からの答弁は、「最盛期におきましては二百数十名、二百名と申しましたが、二百数十名、それを一応予算の際には二百五十名くらいの考えであるという説明を、財政当局にいたしたわけであります。」、こう答えているわけですね。そうしますと、当初の予測は、この答弁では冒頭は二百名という答弁をしているわけですね。それをいろいろ問い詰められた結果として、二百数十名と考えた。しかし、財政当局との折衝の段階でおかしいではないかという質問が出て、最終的に二百五十名ということで予算折衝した、こう答えているわけですね。そうすると、どう高く見積もっても、当時の考え方からするならば二百名でいいんだが、まあ二百五十名、こういうことになる。したがって、私は先ほどピーク時二百五十名、こう申し上げたのだが、これに間違いないと思うのですが、これが出発点になりますから、ひとつ当時の事情を思い起こして明らかにしていただきたい。そういうことですか。
  75. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 当初の段階で申し上げれば、おそらく事業団の固有の仕事といたしまして、人は大体二百五十人、あるいはそれから離れてもそう離れないところということであったろうと思います。これはあくまで八郎潟事業団の固有の仕事でございますから、私どもが現在考えております農業土木関係仕事を移管した場合は、また別のことになるわけでございます。
  76. 大出俊

    ○大出委員 固有の仕事、固有の仕事としきりに予防線を張るけれども、丹羽さんのこの答弁は、「機構でございますか。現在のところ、総務部、建設部、管理部、指導部、東京支所というふうな考えをとりまして、職員といたしましては、四十年度においては一応百数十名、最盛期には二百名」、こういうふうにまず答えているわけですね。この時点というのは、昭和四十年五月十八日ですね。そうなりますと、約一年しかたっていないわけになる。しかも、あなたのほうがいま固有の仕事としてはと、こう予防線を張っておられる。固有でないほうの仕事、これをあなたのほうがお考えになったのは、まあなるべく控え目に見ても、この年の十一月ですね。そうなりますと、五月にものを言い始めて半年たって、つまり五月にこういう答弁をして半年たった十一月に、あなたがいま言われる固有の仕事でないほうに手をつけられる構想を持って検討を始める、一体こういう不見識な提案のしかたはないと思うのです。わずか半年でもってそれだけ変わるのは、どこに理由があるのですか。
  77. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 八郎潟の干拓は、先ほども申し上げましたけれども、私どもがかつて経験したことのない大きい仕事で、非常に未知な、アンノウンファクターがたくさんあるわけでございます。昨年八郎潟の新農村建設事業団法案の御審議をわずらわしましたときは、当然国営の干拓事業を四十四年までやるという一応の前提でこの事業団の構想が組まれておったわけでございます。八郎潟の事業団ができました場合に、国営の事業を移管するかどうかということは、決して十分な結論を得たわけではございませんし、私どもも、その際絶対に国営事業を八郎潟の事業団に移管すべきではないとか、あるいは移管しないとかいうふうにも申し上げておらないわけでございます。この点は、いわば十分検討されないまま過ぎたというふうに考えてよろしかろうと思います。私ども八月に事業団をつくりまして、先ほども申し上げましたように、干陸が大体終わりまして、これから地区内の道路をつくり、用水路、排水路をつくり、あるいは農地整備をやる段階にあたりまして、これだけの大きな仕事を、しかも国営の事業所と八郎潟の事業団と一緒のところでほとんど似たような仕事を同時にやることの非能率といいますか、仕事がうまくいかない、俗に船頭多くして何とかいうこともございますが、同じ場所で同じような仕事を国と事業団でやるということの非能率について真剣に討議をいたしまして、八郎潟の事業団に国営の干拓事業の今後のものを移管することが、むしろこれだけの大事業をスムーズに進めるために必要ではないかという結論になったわけでございます。
  78. 大出俊

    ○大出委員 いま言われる非能率、農地の造成をやるにあたって、あなたのほうは非能率と言われるのだけれども、非能率にはいつ気がついたのですか。
  79. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 事業団について内部で検討する場合に、その点についての議論も当然あったわけでございます。しかし、十分結論が出ないまま事業団法案の御審議をわずらわしたという経過については、先ほども申し上げたとおりです。そこで、事業団ができまして実際に仕事を始めるに至りますと、一つの場所に国営の事業所あり、あるいは八郎潟の事業団の事務所あり、そうして同じような仕事をするということについて、これは何とかすべきではないかということが、真剣な問題として出てきたのです。そういう経過でございます。
  80. 大出俊

    ○大出委員 どうもそういうごまかしばかり言っては、まことに困る。当時、いまの二百十名なりの移管ということが出ておれば——この事業団は、ただでさえこれだけの反論があって、ずいぶんたくさんの方々があっちこっちから突っついているわけです。終始二百十名だ云々という話をあなたのほうはしない、かろうじて通ったということです。だから、附帯決議が幾つもついているのです。ところが、八月に初めて事業団をつくって、すぐ移管という話の相談が始まる、これは明らかにごまかしですね。これは悪質きわまるやり方だというふうに私は感ずるわけです。そのときに、あなた方が事業団をつくる理由は、国の直轄事業と競合するから云々とかいうことは一言も言ってない。あなた方が理由にされたのは何かといえば、特別会計をつくることにすれば、その特別会計には一つのワクがはまってしまって、財投という形のものを投入できない。さらにあなたのほうは、これから先仕事を進める上に、企画、立案、計画を立てる場所が必要なんだ。これは国がやればいいじゃないかという議論になれば、国は基本計画は立てるけれども、具体的な現場における実際の実施計画その他については、それではできない、こういう結果になってきた。こういうことをあなたのほうはしきりに述べられて、さて受け入れのために特別会計をよしんばつくってやるとしても、その場合に町づくりもあわせて考えられるから、自治省との関係も出てくる、あるいは学校をつくればその他の関係も出てくる、こういうことになるから、農林省所管ということだけではどうにもならないというふうなことを理由にされて、かくて事業団を設立したいんだ、こういうことにあなたのほうの理由はなっておるのです。そこでもう一つ問題が出てきておるのは、しからば機械公団という既存のものがあるのではないか。機械公団設立の理由とされた仕事はなくなっておるのではないか。してるると、機械公団の改組ということも考えて、なぜそれにやらせないか、やれるはずだという意見が出てきておる。それに対しても、機械公団というものが具体的に計画立案をすべきところではないのだということを理由にして、あなたのほうは終始一貫そういう答弁をし切って、結果的にこの事業団の設立をはかられた。これだけ長い論争をやっておるのに、それに触れた質問もあるのに、あなたのほうは、その質問に対してはいま私が述べた理由一点ばりで逃げたわけです。そうなると、まさにあなたのほうは計画的にここまで持ってきたということにしかならぬ。いわばごまかしです。やってできないことはない。一番大きな問題は、あなたのほうは金です。これをどういうふうに予算と財投とを合わせていくかということを中心に考えたと思うのですけれども、ここらあたりは、私は農林省の見識のほどを疑うわけです、八月に設立をしてすぐ移管の話が始まる、予算折衝の段階までにきめようというわけですから。どうしてそういうふうに急激に変わったのですか、もう一ぺん念のために聞いておきたいのです。
  81. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 御指摘のように、事業団の法案を審議するときには、国営事業を移管するというふうには、私ども結論を出しておらなかったわけでございます。したがいまして、移管することを前提として、その点をお話をしなかったということでは毛頭ございません。しかし、八月に事業団をつくりまして——これは私どもといたしましても、一つの部屋をつくり、調査官を二人置いて、相当力を加えてやっておる大きな仕事でございますから、私ども農地局をあげてこの問題に取り組みました結果、やはり早急ではあるけれども、今後の八郎潟の干拓ないし入植を円滑に進めるためには、二つの組織が指揮命令をして仕事をするよりも、一本化することが望ましいという結論に達したわけです。したがいまして、結論を出します過程としては、時間は決して長くございませんけれども、農地局としては全面的にこの問題にまじめに取り組んだ結論でございます。
  82. 大出俊

    ○大出委員 ここではっきり念を押しておきたいのですが、いまあなたの答弁は、この八郎潟新農村建設事業団を提案したときには、移管ということについて結論を出していなかったとあなたはおっしゃる。結論を出していなかったということは、検討はしておって、相当煮詰まっておったことになる。結論を出していなかったというのが、いまのあなたの答弁ですよ。そうなると、十二分に検討されておったことになる。そうでなければ、八月に設立をして、移管の方針を持っていって予算官庁との折衝その他に入ることもできないはずです。この移管という方針は、大蔵折衝の段階からわかってきたことなんです。してみると、移管を前提にこの話をしなかったのではないと言われるけれども、移管をするということは検討してこられて、結論が出ていないだけで、おおむねそういう方向になっておって、それで言わなかったということになる。どうですか。
  83. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私が法案提出の当時に結論を得ていなかったと申し上げました意味は、十分論議を尽くしておらなかったということでございます。
  84. 大出俊

    ○大出委員 この問題は、早急ではあるけれども、こうしたという限りは、相当程度の論議をしていたはずなんです。してみると、なぜこのときに言われなかったのですか。こういう状態にあるということについて、あなたのほうは検討されておったはずなんだから……。
  85. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 十分論議はいたしておりませんので、こういう席上で申し上げる段階ではとうていなかったわけでございます。  それから、つけ加えて申し上げますならば、予算がきまるときに、正式に八郎潟の事業団の国営事業移管ということはきまったわけでございます。私ども、予算の当初要求の形においては、まだ移管までは踏み切っておらなかったわけでございます。したがいまして、予算の当初要求をしてから予算を最終的にきめるまでに十分の結論を出したというわけでございます。
  86. 大出俊

    ○大出委員 きわめて不明朗な話でありまして、参議院の側でこの問題の論議に当たった農林委員会の方々、衆議院の側でこの問題の論議に当たった方々に私当たってみましたが、一様に憤慨しているわけですね。そんなばかな話があるか、人を愚弄するにもほどがあるというわけですね。これだけ長い論争をさしておいて、しかもあなたのほうは終始一貫そういう答弁をしてきたのに、それが設立の運びに至ったとたんに移管という話が出てくる、全くもって国会の農林委員会という審議の場所を愚弄した、そういう皆さんの印象ですよ。ですから、ほかの農林関係議員の方々もこの席に何人もおいでになっておったのだが、そこに問題の中心がある。しかもこれが出てくるにあたって、あなたのほうは、組合側とも事前の計画説明等をおやりになりましたか。
  87. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 移管のことをきめましたことが、先ほど申し上げましたような結論を出す過程におきましては、短い期間でございましたので、事前には労組等に話をいたしておりません。しかし、この法案を提出いたしましてから、十分労組との話し合いに入る姿勢でもって今日までに至ったのでございます。
  88. 大出俊

    ○大出委員 あなたは、農林省の職員の皆さんの団体があり、労働組合があることは、百も御存じなはずです。そうでありますと、いまの話は、非常に旧来からの、私も組合の長い経験がありますけれども、労使慣行からいきますと、もってのほかと言いたい内容なんですね。あなたのほうは、期間もなかったから、この法案を提案をしてしまってから労働組合の方々とも話をする姿勢でおった。人をばかにするにもほどがある。あなたのほうは八月に設立をして、それまでも論議はされておって、それ以降急激にきめたというのだけれども、当初予算のときには出していないと言う。当初予算のときに出していないと言うたところで、きまるときには、すでに移管がきまって入っておったわけです。そうなると、そこまで予算折衝を最終的にやる段階でわかっていることを、なぜ前もって話さぬのですか。方法はいろいろあると思うけれども、いろいろな慣行があるのだから、なぜこれは何にも話さぬで提案まで持ってきてしまって、提案してから話をする姿勢であった、そういうやり方をおとりになったのか。何か特段の事情でもあったのですか。
  89. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私が申し上げましたのは、設置法の改正法案を提出してからということではございません。予算案の話し合いを済ましてからということでございます。
  90. 大出俊

    ○大出委員 それじゃいつごろ話をしたわけですか。
  91. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 正確には覚えておりませんけれども、私のほうから申し入れをして、全農林の幹部と懇談をいたした記憶がございます。
  92. 大出俊

    ○大出委員 この現地の八郎潟の職場の方々が編集しているものによりますと、一月の六日に大蔵省の第一次予算査定で事業団移管が明らかになって以来、職場における関心が非常に高くなった、こういうことで事業団移管を前提としての異動希望調書を一方的にとったことに対して、撤回をすることを確認をさせるように動いた、こういうふうに書いてある。そうなりますと、ここで念のために聞いておきたいのですが、あなたのほうの現地の八郎潟において、一体異動希望調査というものをいつなされたわけですか。
  93. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 現場でどういうふうに所長以下が希望書等をとりましたか、私正確には記憶いたしておりませんけれども、私はこの八郎潟移管の問題につきましては、実は事業そのものの観点からいうと、指揮命令系統は二つ出てやるよりも一本化したほうがうまく進むというふうに思いますけれども、しかし、それはそれとして、確かに職員諸君の身分にも関係いたすことでございますから、事業所長のほうにも私のほうからよく話をして、とにかく無理をしないで——二百十名の定員の移管があるわけでございますけれども、二百十名が必ずしも八郎潟の事業所から事業団に移らなくてもいいわけでございますから、事業団に移るか移らないかということについて十分希望を尊重する、また事業団に移っても、復帰予定の者については、とにかく農地関係では四、五千名の人をかかえて、地方農政局あるいは農地関係の事務所でふところが広いわけでございますから、人事異動を十分やって、とにかく行きっぱなしということにはしないということだけを所長からよく職員に話をさせて、そうして私ども八郎潟関係で相当労組の人たちが反対運動をしていることもよく承知しておりますけれども、とにかくもう少し時間を置いて、私が申し上げました職員の身分についての基本方針をはっきり示して、そしてもう少し様子を見て善処をしたいというふうに考えているわけでございます。
  94. 大出俊

    ○大出委員 あなたのほうで最初に希望調書をおとりになったというのは、あなたのほうに連絡がないのですか。
  95. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 八郎潟の事業所の職員の人事異動についての希望というのは、私正確には存じませんけれども、おそらく今度の事業団の移管の問題とは別に、昨年の十一月か十二月ごろに、今後の人事異動に備えて所長が各職員から人事異動の希望をとった、そのことをあるいはおさしになっているのではないかと思いますが、おそらく事業団へ八郎の事業所の仕事を移管することに関連をして正式に所長が各自から希望をとったというふうには、私は聞いておりません。
  96. 大出俊

    ○大出委員 この現地の出口という事務所長は、事業団との関連について農林省首脳部の間で検討されていたことは——移管ですよ、十二月の初めに聞いて知っていた、こういうふうに答えておりますね。その上でとったということになるとすれば、あなたが幾らそこでごまかし答弁をしたところで、移管がわかっておってとった希望なら——それなら、その希望調書は、あなた方首脳部には全然相談なしにやったと言われるのですか。
  97. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども農地関係事業所をたくさんかかえておりますけれども、そこでできるだけ人事異動を円滑にするために、ときどき人事異動についての希望をとることがございます。これは先ほど申し上げましたように、十二月の初めに所長が知っていたということが、どの程度正確であるか、私何とも申し上げられませんけれども、八郎潟の事業移管の問題に関連をしてとったということではないというふうに、私は思います。
  98. 大出俊

    ○大出委員 それでは、あなたのほうは、どこに行くということでもなしに、何の目的も明らかにしないで、いきなり希望調書をとるのですか。
  99. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 これは事業所は相当いなかでございますから、また農地局の事業所は百にものぼるくらいたくさんございますから、それぞれの間の人事異動を円滑にするために、できるならば当人たちの希望をかなえて人事異動をすることが本筋でございますから、異動先について希望があるかどうかというような調査を、ときどきとることがございます。これはいろいろな事業所でやっておることでございまして、八郎潟の事業所だけで特別にやっておることではございません。
  100. 大出俊

    ○大出委員 この異動の調査の結果、事業団への希望——事業団への希望ですよ、事業団への希望が、男十八人、女十六人、計三十四名あった。こういうことになっているのですが、これは目標が明らかにならぬものではない。そういうごまかしを言ってはだめですよ。これはあなた、いかに星の数ほど事業所があったって、農林省の首脳部がこれだけそろっておって、何がどこでどうなっておるかわからない、そういう無責任な話がありますか。そんな官庁機構はないですよ。私は郵政省の出身ですけれども、郵政省だって、星の数ほど事業所があるのですよ。それをどこで何が起こっているということは、本省の者は知っていますよ。それを知らぬというのは、何ということですか。
  101. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 どうも話が混乱をしているようですが、先ほど申し上げましたように、事業団の職員が百四十三名ございまして、そのうち、事業所からすでに二十四人ほど行っておることは、申し上げたとおりでございます。したがいまして、事業団への移管ということに関連がなくても、当然希望者として事業団に行きたいという者が出てくるわけであろうと思います。
  102. 大出俊

    ○大出委員 だから、あなたの言っていることは、もう持ち出し方はいろいろな方法があるわけですよ、こういう問題については。なるべく隠密にとか……。だから、あなたのほうは、予算折衝の段階で、第一次要求のときには出していないと言うけれども、その後移管という方針が出されたのですから。そうでしょう。そうだとすると、ここに書いてありますように、一月の段階で、一月六日に第一次予算査定で事業団移管が明らかになった。第一次予算査定なのですよ、これは。いいですか。第一次予算査定で明らかになった。そうなると、移管ということで予算折衝をやっておったわけでしょう。ということで希望調書をとられれば、あなたの言うその考え方は、現地事業所の所長、出口という人は、十二月の初めに聞いて知っていたということでしょう。そうでしょう。そうだとすると、そういう考え方でとったことに間違いない。そういう方法で希望調書をとって、それがうんと山ほど出れば、みんなが行きたがっているのだからという理由をつけよう、こういうことにほかならない。ところが、これが予算折衝段階から査定の段階にかけて、組合のほうにわかってしまって、いろいろと手が入ってきた。こういうやりとりで、あなたのほうは撤回しているでしょう、この希望調書を。聞いておりませんか。
  103. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 この希望調書というのは、あくまで事業団移管に関係ございませんから、その希望調書をあとで撤回したという事実は、私、聞いておりません。
  104. 大出俊

    ○大出委員 あなたは何かというと、聞いておりませんと逃げている。聞いている人はほかにありませんか、あなた一人が答えなくていいのだから。こんな問題を聞いていない。そんな不謹慎なことがありますか。
  105. 木村武雄

    木村委員長 だれも聞いておりませんか。——だれも聞いていないそうです。
  106. 大出俊

    ○大出委員 ここにちゃんと明確に書いてある。予算査定で事業団移管が明らかになって、八郎潟当局事業団移管を前提としての異動希望調書を一方的にとったことに対しては、みんなで交渉に行ったというわけでしょう、撤回することを確認させた、こういうことになっているわけです。これはあとからどうもいっぱい出てきますがね。一月六日に明らかになってから始まったことでしょう。これはあなたのほうは、このことについてだれも聞いていないですか。
  107. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私が聞いておる事実と相違しておるわけで、なおどちらが事実に合うことか、適当な機会に確かめたいと思います。
  108. 大出俊

    ○大出委員 適当な機会では困る。あなたが聞いている事実のほうを説明してください。あなたの聞いている事実とは違うというのだから、聞いておる事実を説明してください。
  109. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私が聞いている事実を申し上げます。  八郎潟の移管の話が表面に出ましたのは一月になってからでございますから、先ほど十二月の初めに出口所長がそういうふうになっているということを聞いたということは、私はどうもどうだろうかという疑いを持っておるのであります。それから、先ほども申し上げましたように、異動の調書というものは、これはときどきとるわけでございますから、この場合も、たしか十一月から十二月にかけて希望をとったというふうに聞いておりますので、事業団の移管にひっかけてとったというふうには考えておりません。  なお、事業団に人が行くか行かないかという問題でございますけれども、私は先ほども決して無理はいたしておりませんというふうに申し上げましたが、御承知のように、愛知用水で豊川と取り組みましたときに、それから水資源公団で印旛沼の干拓を委託いたしましたときに、当局と全農林との間で多少トラブルがあった。しかし、その際も、とにかく職員の将来について保障するという確約で、行きたい者は行く、行きたくない者は行かないという形で収拾が円満についておるわけでございますから、私どもも、この八郎潟の移管の問題について、決して無理押しをする必要もないし、またそういう意思もございません。したがって、所長が非常に無理をしていろいろなことをやっておるというふうには——その必要もございませんし、また私のほうからそういうことを言っておるわけでもございませんので、そんなに当局が圧力をかけてどうこうということはございません。
  110. 大出俊

    ○大出委員 いまの話を聞いておると奇異に感ずるのだが、あなたは一切無理をしない、私が現地事業所に対してこうしろ、ああしろと言ったこともない。まるきりそれじゃ現地に対して不干渉なんだ。あなたは何も干渉していない。そこまでの考え方があるならば、これだけ長い間もめ続けているのだから——私どもの長老中村高一先生が行って、見てきているのです。私もその報告を聞いておる。だとするならば、あなたは無理にやる気がないとすれば、早くおやめになったらいかがですか、この二百十名移管は。
  111. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 仕事の面で言うなら、これは一緒にすることが当然だろう。それにまた、事業団と国営の事業とを一緒にすることについて、お話し合いをすればなるほどそうかとおっしゃる方が多いわけですから、私は仕事の面では間違いないと思います。  それから人の問題を申し上げますれば、所長に無理をするなと言いましたことは、行きたくない者を無理にやる必要はないのだ。それから事業団に移る人で復帰予定者は、とにかく人事異動を定期的にやって、何年もそこに閉じ込めるというか、そこに置きっぱなしにすることはしないということを、所長から職員の人に言ってもらいたいということを言っておるわけで、決して私ども放任しておるのではございませんし、また、この仕事が途中でどうも様子がおかしいからやめたというふうに考えておるわけでもございません。
  112. 大出俊

    ○大出委員 なおわからなくなってきたのだけれども、そうなると、一人も行かない、よしんばこういうことになった場合に、無理に行かせる気はないとおっしゃるのだから、行き手がないことになる。その場合はどうされますか。
  113. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 八郎潟の事業団に関連して労組の人たちが反対しておることは、事実であります。また別に、自分としては行きたいという人も、かなりと申しますか、多少と申しますか、あるわけであります。それは正式の方法と申しますか、いろいろな形でそういう人たちの話は私どものもとに届いております。私ども別にその人たちに、それならあなたは事業団に行ったらいいということは、現在申し上げる段階でありませんから、ただ聞くだけでありますけれども、一人も事業団に行く人がなくて何ともならぬという状態には、私はまずならないというふうに考えております。
  114. 大出俊

    ○大出委員 いまのお話は、あげ足をとるわけじゃないが、どうも混乱があるのだが、行く人がかなりというか多少というか、正式には……と、こう言うのだけれども、かなりと多少とはだいぶ違う。かなりというのは相当多いということになるし、多少というのは少しということだ。正式には言える段階ではないと言う。そうしますと、あなたは、一切無理をしないということだけは間違いない、無理に行けということは一切言わない、これはいいですね。もう一ぺん答えてください。
  115. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私は、事業団に行きたくないという人に、無理に行けというふうには申しません。
  116. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、これは行かないということになった場合には、どういうことになりますか。そこから先はどうするつもりですか。
  117. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 設置法が通りまして、しかもその事業団に行かないという事態がくるということは、全く仮定の議論でございますけれども、先ほど申し上げましたように、いろいろなルートを通じて、自分としては仕事がかわいいから、あるいは八郎潟の干拓の事業をあくまでやりたいから、八郎潟の事業団に行きたいという人はあるわけでございますから、いま私がそれを正式に申し上げる段階ではないということをその人たちに言っておりますことも、事態を円満に進めるために、行かないという人が一方にある反面、私は行きたいという人が現実にあるわけでありますから、それを、何人行きたいと言っている、あるいはだれが行きたいと言っているというようなことを言って、無用な摩擦を起こす必要もないわけでございますから、私は、その人たちに対しても、しばらく事態の推移を見ていなさいというふうに言っているわけです。したがって、八郎潟へ一人も行かなくなるという事態は、私は全然考えておりません。
  118. 大出俊

    ○大出委員 このことの発端は、無用なトラブルをあなたのほうが起こしているという感じが、私が見るとする。というのは、通常の場合は、こうこういう計画があってこうなんだと、交渉だ云々だのややこしいことは抜きにして、少なくとも直接関連のある方々なりそれを代表する方々なりに事前に話をする、説明をする、それはどこの職場へ行ったって、あたりまえのことなんですよ。特に労使関係のむずかしい全電通だとか全逓だとかいうところにおいても、たとえば自動化がどんどん進められ、いろいろな配置転換だの人のやりくりが行なわれるという場合には、必ず事前に説明をする、こういう慣行が、いずれにもできているわけです。あなたのほうは何も言わぬで黙っておって、予算折衝の段階、査定がきまる段階になってそれが組合に知れてくる、その時点ではすでに調書をとっている、こういうことで、あとから問題になっていろいろ交渉が行なわれて、この調書を撤回するなどというような形で進んでくるところに——かつまた、前回の愛知用水公団の場合、あるいは印旛沼とか手賀沼の干拓の場合等についても、似たようなトラブルがあって、いろいろそのときのやりとりがある。にもかかわらず、今回またまた一切そういうことを極秘にしながら陰で進めていこう、こういう形をお出しになるところに、あなたのほうでそれをやろうとするところに、問題の根本がある。これがますますもってこじれさす原因ですよ。これは組合の諸君に聞いてみても、こういうやり方を次々にやられたのでは、職員の身分の問題ですから、たまったものではないと言う。これはそう考えるのもあたりまえだ。だから、そういうあなたのほうのやり方がまずいのだから、その意味で理事会でいろいろな話もあって、委員長もだいぶ御苦労されたようで、そこでせっかく委員長の御意向もあったわけだから、その限り私はまとまってくれることを願っておったわけだけれども、あなたのほうの意思からすれば、これは押し通すということだから、ものごとはまとまらない。ところが、いま聞いてみると、無理は一切しない、こういうことを言われる。前回、ピーク時に二百五十名と私は言ったが、ピーク時二百名から二百五十名だと言っておられる。それを現在百四十名だとおっしゃる。これはどういうわけでいま百四十名なんですか、現在の八郎潟の事業団……。
  119. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 ピーク時に二百五十名であるか、あるいはもう少しふえるか、別問題といたしまして、入植の最盛期が私は一つのピーク時であろうと思います。現在の八郎潟干拓の段階は、農地整理が進みまして、ことしの六月か七月ごろに土地の配分計画を第一回発表をいたしまして、第一回の入植に充てる土地は、五百ヘクタール程度になるだろうと思いますけれども、それに応ずるだけの人の募集をやりまして、ことしの秋から訓練所に入れて一年間訓練して入植をさせるということでございますから、まだ仕事は最盛期に入っておりません。したがいまして、現在は百四十名程度で、今年度多少の増員はもちろんございますけれども、まだピークには達しないでも、仕事はやれる状態にございます。
  120. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、この昨年提案をして八月にでき上がりました事業団そのものが、まだ最盛期に至っていない、こういう時点で移管という問題が出てきているということになりますね、筋道は。そうでしょう。すると、なおのことそれは筋が通らぬということになります。これだけ国会で論議して、ピーク時の二百五十名程度の話まで出てきて、それもまだろくに進んでいないその段階——もちろん期間がないのだから、進んでいるはずはない。その進んでいるはずがない期間で移管しようとするところに問題がある。だから、私が先ほどここで述べたような当時の理由だけでは、納得ができない。何かそこになければならぬ。だから、移管の方針が初めからあったということに、やはり問題が返ってくるわけです。それをあなたのほうが言わない。なお問題がこじれる。これはだれが考えたってあたりまえです。ですから、あなたのほうが何と抗弁をされても、知らぬ存ぜぬと言っても、これだけ明確にいろいろある。しかも、一月二十五日には東北農政局長、二十六日には農地局長交渉、こういうことで進んでいる。ことしの一月です。このときには、東北農政局長の言い分は、組合が反対する気持ちはよく理解できるので、要求について努力する、こういう言い方をしている。したがって、組合の行動をとやかくする意思はない、こういう約束が東北農政局長との間に行なわれている。あなた御存じですか。
  121. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 それに似たことの報告はございますけれども、なかなかそう簡単にそのときの交渉の経過を要約することもむずかしいだろうと思いますが、まあ農政局長が会って、労組の言うことももっともな点があるから、今後よく本省その他とも相談しましょうという趣旨のことは言われたようでございます。
  122. 坂田英一

    坂田国務大臣 一時から衆議院農林委員会がございますので、御無礼させていただきたいと思いますが……。
  123. 大出俊

    ○大出委員 私は、実はたくさんありまして、時間を気にしながら端折ってものを言ってきておるのですけれども、どうも何時までというお話もなかったので、そのまま過ぎてきたのですが、あなたがいなくなるとおっしゃるのでは、これは質問を続けてもしようがないので、いなくなる前に一つだけ明らかにしておいていただきたいのだが、いまのやりとりをあなたは聞いておられて、出先のほうの出口さんという所長さんも、そのとった希望調書は撤回されたようだし、東北農政局長さんのほうも、組合側が移管は困るというこの要求についてはよく理解できるから、要求について努力すると言っておられるし、組合の行動についてとやかくする意思はないとも言っておられるし、しかもいまの答弁は、無理をしてまでは一切しない、行きたくないなら行かないでいいということなのですが、だとすれば、これはそう簡単には満足に人が集まらぬ、秋田県にやらせるといったって貧乏であれだし、大潟村だってできたばかりだとか、いろいろな制約があってこうなってきておるのですから、前の議事録を読むと。そうだとすれば、大臣、これは一ぺん検討の余地があるのですけれども、あなた、どうお考えですか。これ以上トラブルを続けるつもりですか。
  124. 坂田英一

    坂田国務大臣 私といたしましては、そこの事業団のほうへ移管することにつきましては、本人の希望を尊重いたしまして移管の方向に向かって進みたい、かように存じておるわけでございます。いままでの実例におきましても、決して無理はせずに、話し合いによって十分目的を達しておる面が多いのでございまして、さような方向に進みたい、かように存じておるわけでございます。
  125. 大出俊

    ○大出委員 移管するということはまことに遺憾だと、こういう話が出てこないからもう一ぺん聞くんだけれども、あなたはいま話し合いで何としても解決する、こうおっしゃったのですが、大臣、あなたが出て話し合ってみて、ひとつ解決をはかっていただけませんか。どうですか。いまの答弁は、話し合いで解決をされたいという大臣の御意思だから、話し合いで解決するという方向でひとつ御努力願えませんか。
  126. 坂田英一

    坂田国務大臣 ことばが足りませんでしたが、つまり人事異動の問題につきましては、その方向に向かって努力いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  127. 大出俊

    ○大出委員 その方向というが、その方向がはっきりしないんだ。さっきの答弁では、話し合いということをおっしゃったのですが、話し合いの方向なんだから、話し合いの方向について努力する、こういうことですね。
  128. 坂田英一

    坂田国務大臣 どうもいろいろでございますが、職員の、はっきり申しますが、転職につきましては、本人の希望を十分に尊重して人事を行なうことにより、職員の不安をなからしめるということで進んでまいりたいと思うのでございます。そういうことを基本的な方針といたしたい。また、将来農林省に復帰を希望する職員につきましては、その希望を十分に尊重する方針でございます。かように御了承願います。
  129. 大出俊

    ○大出委員 あなたはどうも書いてあるのを読んでしまって、しようがない。大臣、あなたは先ほどの答弁では、二つのことが議事録に載ることになる。あなたは、話し合いで何とかこの種のことは解決したいとおっしゃった。二回目は、その方針で努力する、こうおっしゃった。そうなれば、その方針というのは、話し合いの方針なんだ、そんなものは読まなくたって。だから、この問題は、やはりこの種のものは、あなたはおっしゃるとおり、話し合いで解決すべきですよ。ですから、そういうことであなたはひとつ早急に努力をする、こういうふうにしていただきたいと私は思うのだけれども、大臣、そこのところをもう一ぺん答えてください。そんなものを読まぬだっていいじゃないですか。話は簡単だ。
  130. 坂田英一

    坂田国務大臣 いま申し上げたとおりでございまして、繰り返して申す必要はなかろうと思います。結局、私どもとしては御希望を十分に尊重してまいりたいということでございまするから、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  131. 大出俊

    ○大出委員 それでは、大臣がおられぬところでやってもしかたがありませんから、次会にひとつ留保させていただきます。
  132. 木村武雄

    木村委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会