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1966-05-13 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十三日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       相川 勝六君    臼井 莊一君       小川 半次君    加藤 高藏君       纐纈 彌三君    藤尾 正行君       藤本 孝雄君    保科善四郎君       堀内 一雄君    前田 正男君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       稻村 隆一君    中村 高一君       村山 喜一君   米内山義一郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 福田 篤泰君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         内閣官房長官 竹下  登君         内閣審議官         (内閣官房内閣         審議室長)   高柳 忠夫君         内閣法制次長  吉國 一郎君         総理府事務官         (行政官理庁行         政管理局長)  井原 敏之君  委員外出席者         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 五月十三日  委員塚田徹君及び野呂恭一辞任につき、その  補欠として松澤雄藏君及び藤本孝雄君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員藤本孝雄辞任につき、その補欠として野  呂恭一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十二日  審議会等整理に関する法律案内閣提出第一  五四号)(予) 同日  建国記念日制定に関する請願外三件(小笠公韶  君紹介)(第四二一七号)  元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の  恩給等通算に関する請願阪上安太郎紹介)  (第四二一八号)  同外二件(藤枝泉介紹介)(第四二一九号)  同外二件(長谷川四郎紹介)(第四三八一  号)  傷病恩給等の不均衡是正に関する請願羽田武  嗣郎紹介)(第四二二〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第四三三二号)  同(小坂善太郎紹介)(第四三五二号)  靖国神社の国家護持に関する請願外三件(加藤  高藏君紹介)(第四二二一号)  同(小坂善太郎紹介)(第四二二二号)  同外二件(逢澤寛君外一名紹介)(第四二二三  号)  同(田中龍夫紹介)(第四三五三号)  同(保科善四郎紹介)(第四三五四号)  青少年問題対策に関する請願小川平二君紹  介)(第四二七五号)  同(唐澤俊樹紹介)(第四二七六号)  同(小坂善太郎紹介)(第四二七七号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四二七八号)  同(吉川久衛紹介)(第四三〇八号)  同(下平正一紹介)(第四三〇九号)  同(中澤茂一紹介)(第四三一〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第四四一七号)  同(原茂紹介)(第四四一八号)  同(増田甲子七君紹介)(第四四一九号)  少年の非行対策に関する請願吉田賢一君紹  介)(第四三三三号)  同外五件(吉田賢一紹介)(第四三八三号)  国立大学教官待遇改善に関する請願金子一  平君紹介)(第四三五一号)  同(原田憲紹介)(第四三八二号)  会津若松市等の寒冷地手当是正に関する請願  (野口忠夫紹介)(第四三五五号)  建国記念日制定反対に関する請願田口誠治君  紹介)(第四三八〇号)  同和対策審議会答申完全実施に関する請願  (草野一郎平紹介)(第四四四〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  内閣法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇〇号)      ――――◇―――――
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  内閣法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。  質疑の申し山山がありますので、これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま議題になりました内閣法の一部を改正する法律案について、順次質問を申し上げたいと思います。  具体的な質問に入る前に一言申し上げたいと思いますことは、この法律案内容を見ますと、内閣官房長官国務大臣をもって充てることとして、大臣の定数を一名増員すること、それに内閣調整官内閣報道官の二名の特別職、ことにこの特別職は、内閣官房長官と全く同格の特別職を増員することでございます。そこで考えまするに、わが国の行政機構については幾つかの問題がありまするし、そしてこの問題につきましては、長年の間懸案になって、いろいろと検討されておったのでございまするが、今日までその日の目を見ずにおるわけでございます。そこで臨時行政調査会、いわゆる七人委員会発足をさせた理由といたしましては、今日まで政府が行なおうとして行なうことのできなかった日本行政機構改革を完全に断行する、この大業をなし遂げるという考え方で、きわめて権威ある委員会として、発言力の強い委員会として発足をさしたことは、御存じのとおりでございます。当時の行管長官川島正次郎さんの言でございますが、今度は各省から相当の抵抗があっても、七人委員会答申は実行に移したい、こういうことをしばしば言っておられたわけでございます。したがって、私どももその点について大きく関心を持ち、またその経過を今日まで見ておったのでございますけれども臨調といたしましては、非常に熱心に、しかも長時間、また多くの経費を使って一昨年の九月、十六項目にわたる答申内閣に出したわけでございます。そこでいま私どもは、その答申一つ一つ具体化されることを大きく期待をしておるのでございまするが、それがまだ私ども期待に沿うような法律案が出てきておらないということです。特にきょう審議を始めました内閣法改正につきましては、去る二月十七日の予算委員会で、この臨時行政調査会の会長であった佐藤喜一郎さんが参考人として次のようなことを言っております。そのことは、最も重要と思われたことは、各省ばらばら行政を行なっておるきらいがある。内閣という機関があるのだから、総合調整ができるものと思って見ていたけれども、実際的にはそうなっておらない。したがって内閣総合調整機能を発揮できるよう、特にこの予算編成に関連をして内閣強化ということが非常に重要だということが考えられたので、何とかしてこの内閣総合調整機能が発揮できるような機構改革をしたいということで、この点に重点を置いて相当慎重に検討を行なったという答弁をしております。ちょうどそのときに吉田賢一委員が、佐藤総理質問をいたしておりまする内容を見ますると、内閣強化という答申に対して佐藤総理はどのように取り組んでおるか、こういう質問をいたしております。特にその中で指摘をいたしておりますることは、予算編成最終段階においては、猛烈な予算のぶんどり合いを行なっておる。こういうぶんどり合戦を規制するについては、これは内閣強化ということが非常に必要であるが、この点をどう考えておるか、こういう質問を向けております。そのときに佐藤総理は、臨調答申のポイントというものは、内閣補佐官制度であって、この問題についてはいろいろと検討しておる。したがって、本国会にも法案を提出しておるので御審議を願いたい、こういう答弁で、あたかも今度の内閣法改正臨調答申をそのまま具体化して法律化したように錯覚しておるような答弁をしておるわけであります。したがって、私どもが見ますると、臨調答申とは今度の内閣法改正は何ら関係を持っておらない、こういうことから、これから御質問をいたしたいと思いますることは、まず第一にお聞きしたいと思うのは、官房長官がこの法案を出すに至るまでに、行政管理庁長官あるいは行政管理庁職員の方々と、どの程度調整をとってこの法案を出すに踏み切ったか、この点をまず伺いたいと思います。
  4. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 ただいまの御質問に対してあるいは十分意を尽くさないことになるかもしれませんが、いろいろ実情問題あるいは政治的なものの考え方等をやはりあわせて御説明申し上げたほうが、御理解を得られると思います。もちろん政府臨調答申を受けまして、しかも長年月を要してつくられた答申案でありますから、まことに有力なる御意見が、これを占めておるわけであります。ただ、この問題、もちろん方向として、当然政府としては御承知のようにできるだけ能率のあがる政府、かつまた安上がりと言っては失礼でありますけれども、なるべく金がかからないで行政能力ができれば一番いい、いわゆる世間でチープガバメントと言っておりますが、要するに能率があがって、簡素化された強力なる行政機構ということは、これはもちろん臨調精神でもあり、また当時かねがね与野党ともこれを要望されておるわけであります。そういうことでありますが、現在のいろいろな立法等から考えますと、いま臨調答申されましたものを直ちに実行できるかといいますと、なかなか実行しにくい点があります。そこで政府といたしましては、そういう一つ方向のもとに今後検討を重ねてまいりますために、まず第一に、前回の国会において、御承知のように、行政監理委員会の設置を皆さんのお力で見てもらったのであります。行政監理委員会によって一つ具体性第一歩を踏み出したわけですが、それらによっていろいろな点を検討してもらうということが、まず第一歩であろう。しかしながら、実際問題として臨調答申の中にある、たとえば予算がいまおっしゃったように各省ばらばらではないか、内閣というものはそれを統べる機構でありながら、実際上は見ていない、これについてはこういうふうな補佐官制度がいいであろう、こういう答申案が出ておるわけですが、それだけではたして現在の行政ばらばら状態が統一せられるか。たとえば皆さんが御承知のとおりに、いま政府行政一つ簡素化を、あるいは費用の倹約等も考慮して、この数年来御承知のように欠員補充制度というものを実施しております。欠員が起きてもこれは補充しない、こういう考え方で、できるだけ人件費によって大事な税金が食われないようにということをやっておりますが、そこで今度は、戦後におけるここ十年間といいましょうか、数年間における行政上の変革に伴う定員の変更ということすらもなかなか容易でない、これは働く者の方面の考え方もあり、あるいは使用者側考え方もある、なかなかむずかしい問題があります。こういういろいろな問題から、単に予算編成権だけがいまおっしゃったようなことになることが、必ずしも私は臨調精神であるとは考えておりません。もちろんそれも重要な一項目であります。いま申しましたような全般的なことを検討して、そこで、先ほどお話がありましたような、能率のあがる、簡素化された政府をつくるためには、ある程度の時間を要する。しかし、実際問題としていまおっしゃったような各行政間のアンバランス、私はそうちぐはぐで能率があがっていないとは考えませんけれども、そういうきらいがないこともない、そういうことで、御承知のように二、三年前から内閣の中に経済閣僚懇談会というものを設置しまして、そこで横の連絡をとるためにやってまいっております。これは懇談会形式で、法律によらないものであります。私はこの臨調答申を受けて、一つの大きな将来の見通しとしては、いまおっしゃったようなことが一つの本筋であろう。けれども、いま申したように、いわゆる各省定員だけを考えても、あるいは各省におけるところの消長の問題、たとえば農林省におきましても、ある局は実際いまの産業状態から見て、かなりその人員及び能力というものを縮小しても差しつかえないものもあろうし、あるいは通産省のごとき、現在日本貿易国策をもっていく以上は、それらにおいては相当拡大しなければならぬものもある、そういう基本的な問題の整理も、なかなか容易な問題ではない。そこで、行政監理委員会を設置することによって、ひとつここで掘り下げた改革案考えてもらおう、こういうことで、行政管理庁長官とも相談をいたしまして、その委員会においてこれを進めるようにお願いをいたしております。けれども、一方においていま申したように横の連絡、各行政間の統一ある、そして能率的な運営をするためには、前には閣僚懇談会といっておりましたが、どうもこれだけでは迫力がない。のみならず、所期の目的を達成し得ませんので、そこで昨年の十一月に閣僚協議会――懇談会ではない、協議し、これをある程度きめるというために、閣僚協議会という方針に切りかえまして、閣議決定によって現在十二の閣僚協議会が設置せられて、これが各省間の横の連絡及び調整役割りをいたしております。  また、予算関係いたしましても、御承知のように、予算編成期におきましては、なるほど各省からのいろいろの要求がありますけれども、その調整は、現実的には官房長官なりあるいはその官房長官を補佐する者によってある程度調整が進められております。けれども、これでは不十分であります。そこで、いま申しましたような将来予算編成権をどうするかという問題はありますけれども現実の問題としてこれを調整するためには、何としても強力な閣僚協議会によってこれを運営していく必要性がある。たとえば予算編成の場合でも、従来はやっておりませんが、内閣機能強化されて、今回提案されましたようなことが皆さんの御承認を得ますれば、そこで予算に関する閣僚協議会というものによって、従来のある程度の弊害といいましょうか、あるいはばらばら状態調整することができる。けれども、いまのような機構人員のもとではとてもそれは実際上不可能でありますので、もちろん臨調答申とは直接関係あって今回の改正案を出したわけではありませんが、遠く将来をおもんぱかって、こういう程度のものを進めていくことによって、漸進的にこの答申案に近づき得ることであろう。現実の問題を一方においては解決の道を開き、一方においては答申案の将来への一つのかけ橋となるような機構改革として、この程度のものをこの際はぜひひとつお願いいたしたいというのが、今度の内閣法の一部改正として補佐官にかわるべき内閣調整官報道官を設けたいという意向であります。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 いまのお話を承りますと、臨調答申答申として受けとめておくけれども、これが完全な行政簡素化あるいは各省調整役割りをなすということにはならないというように判断をしたので、昨年行政監理委員会を設置して、その中で十分に検討をしてもらう、こういうことにもしておるという答弁があったわけです。私の質問申し上げたことは、本案を出すまでに、福田行政管理庁長官とどのように話し合いをつけられたかという点をお聞きしたのですが、その点はきわめて抽象的でありましたが、次には行管長官のほうにお聞きをいたしたいと思います。  いま答弁のありましたように、行政監理委員会発足は見たわけです。そこで、あの内容を見ますと、行政監理委員会方針決定というものは、行政管理庁は尊重しなければならないというたてまえになっておるわけです。したがって、そのたてまえから内容を見ますと、昭和四十年十二月二十三日に、行政監理委員会は四十一年度の予算編成にあたって、四十年度に引き続いて四十一年度以降も定員の不足は補充しない、また各省庁の新設増設というものも行なわないし、特に定員関係については各省庁の配置転換の処理によって何とか切り抜けていけ、こういう方針決定されておるわけなんです。したがって、この決定に沿って行管が作業を行なうということになりますと、ただいま出ておりますような内閣法改正は、行管長官としては認められない内容になると思うのですが、その辺の経過をひとつお示しをいただきたいと思うわけです。
  6. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御指摘のように、行政監理委員会といたしまして、四十一年度の予算編成方針の基本的な構想をまとめたことは事実でございます。その中の一つの大きな柱は、定員増あるいは新規の機構増設は認めない、それをやる場合には振りかえによって省庁内で調整をする、また特殊法人その他につきましては新設は絶対に認めない、この原則をきめまして、閣議の了解を得たことも事実でございます。ただし、これは原則でございまして、緊急やむを得ないものにつきましては、例外的に定員増加を認めたことも事実でございます。たとえば特許庁あるいは公正取引委員会などの急増する行政需要に対して、原則的には反しますが、やむを得ない行政需要に対しては例外としてその定員増加を認めたことも、実際問題として事実でございまして、このたび当委員会でいま御審議を願っております内閣法改正問題につきましても、いわば例外的に、純然たる事務的な立場から、私どもも同意をいたしたわけであります。ただ、ここではっきりしておかねばなりませんことは、これがいわゆる臨調で申します内閣機能強化の線によるものであるか、あるいは単なる行政需要あるいは事務増加に伴う処置であるか、この二つの考え方で、私ども考え方、あるいは委員会考え方も、検討の基準が変わってくるわけであります。一部最初に伝えられましたものが、これがあたかも臨調で言われる内閣機能強化に関連する、あるいはその一歩前進ではないかという説がございます。そういう観点からいたしますと、行政監理委員会といたしましては認めがたいわけであります。たとえば内閣強化の本来の臨調構想は、予算編成あり方その他もっと根本的な内閣強化の問題を示唆いたしておるわけであります。いま内閣側で提案いたしております問題は、そうではなくて、純然たる激増した事務量にいかに対処するかという点でございます。そうなりますと、行政監理委員会といたしましては、必要やむを得ないものは認める、この点ははっきり区別いたしませんと、委員会立場考え方も混迷が出てくるわけでありますけれども、数回にわたりまして官房長官から十分な事前の連絡がございましたし、この考え方をはっきりいたしまして、もしこれが初め伝えられたような内閣強化という案ならば、委員会としてはこれは否定的な判断をするのは当然でございます。しかし、事務的な需要の激増に対する処置としての例外的な定員増加ならば、これはまたやむを得ないんではないか、こういうわけで、委員会も事務的な立場で、臨調強化案とは切り離してこれに対して肯定し、そしてまた承諾をしたというのが、実際の真相であり、いきさつでございます。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 いま御答弁のありましたように、本案内閣強化ではない。内閣強化ということなら、こうした案は認められない。ところが、官房事務量の多くなったこの点を解消するために、若干の機構組織をなぶるということについては、これはやむを得ないだろう、こういう内容だと思う。  そこで、私はお聞きをいたしたいと思いますが、率直に申し上げまして、官房長官国務大臣にする、国務大臣を一名増員するということは、これは事務量増加にどう関係があるのか、また事務量を消化するにどのように役立つのかという疑問が出てくるわけであります。この点を行政管理庁長官はどういうようにお考えになりますか。
  8. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 先ほどの事務量増加という点は、報道官を新たに設けるとか、そういう点でございまして、官房長官国務大臣にいわば昇格する点には、直接事務量増加の問題は私は関係ないと思います。むしろ、その仕事の性格、内容がきわめて重要であって、対国会関係、あるいは対外的な立場、あるいは閣内における種々調整的な役割りから考えまして、この際国務大臣として昇格し、国務大臣立場において官房長官の重要な任務を行なわれることは、適切ではないか、こう考えておるわけであります。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 臨調考え方は、内閣総合調整をするには、大臣をふやすということには反対である、現在よりどちらかといえば減ずるほうがいいのではないかという考え方であった。ところが、現在の日本の政治の実態からいって、そうしたことを言ってみても、これはなかなか実行不可能であるから、せめても現状より増員することは、これはしないようにしたほうがいいだろう、こういう結論を、臨調のほうは出しておるわけなんです。こういう点からいきまして、昨年総務長官国務大臣にするという一名大臣増、それから今年のこの内閣法によって官房長官国務大臣にする一名大臣増、このことは、せっかく一番隘路であるところの内閣調整機能を発揮するに、いろいろ検討した結果の結論とは逆行することになっておるわけなんですが、このことを福田長官はどのようにお考えになっておるのか、これもやはりこの際お示しをいただきたいと思います。
  10. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 臨調内閣調整あるいは内閣機能強化というものは、やはり組織的には簡素化という考えがあることは、おっしゃるとおりだと思います。ただ、臨調では、官房長官はむしろ国務大臣にすべきであるという意見が有力でございました。これは臨調の二年七カ月にわたる長い間の各権威者構想の結果の一部でございます。したがって、国務大臣にするという点では、臨調も賛成でございます。ただ、私就任いたしまして、いかに内閣機能強化、あるいは行政改革というものが、大きなむずかしい問題をあまりにも持っておるかということを痛感した一人でございまして、今月末に発表いたしたいと思いますが、いままでのような定員のマンネリズムだとか、あるいは各省庁内だけにおける配置転換では、もう病膏肓に入っておる。この際抜本的に観点を変えた行政需要実態調査をいたしまして、たとえば各省におまえの部局はこれだけふやすとか、これだけ削るとかいったようなこまかい点を、この際一切払拭して、新しい立場で中央並びに地方の行政需要実態調査特別班を実は編成いたしまして、これによって立体的な立場から、総合的に全然観点を変えての行政需要実態調査を、実は来月早々から始めることに相なっております。そうすることによって、各省庁間における配置転換――大体いま三千人ないし五千人を一応大ざっぱに予定していますが、職場転換につきましても、新しい観点から取っ組みたい。内閣機能につきましても、なかなかむずかしい問題でございまして、臨調で言われております予算編成あり方だけをとらえましても、いろいろな点で難点が続出しておるのが実情でございますが、いままでの資料の収集並びに分析のやり方をこの際変えて、全然新たな観点から、臨調の言われている、また、われわれの考えている行政簡素化改革を根本的にひとつ考えたいという考えを持っておる次第でありまして、その一環として、内閣組織の問題、それから総理としての指導力の問題、また、官房長官としての調整役割り、こういう問題がだんだん出て、明確に、どうすればいいかという、いわば裏づけの実情に即した結論が発見されるのではないか、こう考えておるわけであります。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 現在でも、内閣官房長官国務大臣をもって充てることができるようになっております。だから、必要なら内閣官房長官国務大臣大臣をもって充てればよろしい。そのことと、国務大臣を一名増員するということとは、違うわけなんです。したがって、臨調が特に総合調整というような面を検討した結果、百歩譲っても、現状より増員することはよくないという結論を出しておるのでございますから、私は、少なくともその線に沿っておやりになるのが当然だと思うのです。したがって、ただいまの答弁は、内閣官房長官国務大臣をもって充てることが必要だ、国務大臣官房長官をやってもらうことがいろいろな面で便利だという点については、今日までの法律でできるようになっておるのだから、これは消化されておるわけなんです。繰り返し申し上げますけれども、一名大臣を増員するということと、そうして内閣官房長官国務大臣にするということとは、これは切り離して考えなくてはならないと思います。この点を混同されておるのではないか、こういうように受け取れるわけなんですが、この点について、ひとつ説明をいただきたいと思います。
  12. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 今後の国務大臣の数の問題、それから官房長官国務大臣にする問題、この二つについて、いま御指摘の点も一つ考え方であろうと私も感じます。ただ、問題は、官房長官国務大臣にすることによって、今後の調整について、実際上どれだけ内閣強化に、本来の基本的な考えに近づくものかどうか、これからの実績を見たいと思うのであります。考え方といたしましては、いろいろな面で問題が残っておることは事実であります。ただ、先ほど申し上げましたとおり、現在の官房長官の任務、役割りから見て、国務大臣にしたほうがより適切であると感じたことも、私ども事実であります。
  13. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 関連して。どうも私個人の問題じゃないですけれども、ややもすれば個人に関連があるような形になりますので……。まあこれは私政治論ばかり申して恐縮ですが、この前池田総理が病気されまして、閉会中ですが、常任委員会に鈴木善幸君が呼ばれまして、そこで国政一般にわたる答弁をせよということになって、出たわけですが、そのとき、委員のうちから、おまえは何の資格で来たのだ――これは国会中は内閣官房長官政府委員ということで、内閣官房のことに関する答弁の意味において、政府委員になっております。閉会中でありますと、これは政府委員がなくなりますから、そういう意味でもって、資格の上ではそういう御質問があったのだろうと思う。おまえは何の資格で総理大臣の代理で説明できるのだ、こういう実際上の運営上の面から見ても、内閣官房長官国務大臣であることが望ましい。したがって、法律も、「充てることができる」となっているのですが、ただ、私、官房長官をやっておりまして、各省の責任者は、やっぱりこれは国務大臣でないとやりにくい点が多いようであります。数をふやすことは好ましくないのですが、実際問題としては、いやしくも省を預かっておる者が国務大臣でない場合は、閣議にも列席できない。官房長官は司会者の形で列席できますが、ほかの人は、もし国務大臣でなければ、閣議にも出席できない。しかも、一省を預かっておる、こういう場合がありますので、最近は、必ず各省長官もしくは大臣は、国務大臣を充てております。そうなると、官房長官に充てる席がなくなってしまいますために、最近の官房長官国務大臣を充てておりません。そういう意味で、実際上の運用の面から、また政治論にはなりますけれども、やはり国務大臣であることが、国会に対した場合――特に国会の場合が多いですが、総理大臣を代理して責任を持って答弁ができるという意味では国務大臣であることが望ましいというようなことからして、まあ野党の皆さんのほうからも、なぜ官房長官国務大臣でないのだという意見も、しばしば前から聞かれたわけであります。そういう意味でありますので、私が先ほど政治論として一種の強化になるといいましたが、政治論の上から言えば、一種の機能強化にはなると思います。それは先ほど十二と申しましたが、閣僚協議会というものが十四ありますが、これはある意味においてこれによって決定が行なわれておりますからして、各省の仕事がそこで実際上調整されている。最近の例を皆さんがごらんのように、かなり内閣の仕事が中心になって集約的に行なわれつつある。そういう意味で、特に官房長官総理大臣の代理という形で出る場合が多い。十四の閣僚協議会総理大臣が全部出るわけにまいりませんので、結局は官房長官がほとんどこれを主宰し、あるいは決定の場合の意思表示を行なう、こういうことになっておりますので、まあ実際上の便宜上から見ても、官房長官国務大臣のほうがいい、それが能率的である、こういうことから考えられたものであって、いろいろ議論を申されますれば、そういうぐあいに一人でもふやすことは意味がないじゃないかという議論もありますけれども、多少いわゆる給料が上がるわけですけれども、この給料が上がった以上のものは、それによってこの機能が整備されれば十分なるお返しができるという意味では、やはり能率をあげるという意味でひとつ御了承願いたいと思っておるわけであります。
  14. 田口誠治

    田口(誠)委員 考えていただきたいことは、内閣官房内閣の補助機関である。そうしますると、ただいまのお話でいきますと、大臣になっておったほうが便利がいい、こういうことですが、この便利というのは、閣議のときに席を同じゅうすることだけだと私は思うのです。そうでなかったら、別に内閣官房長官大臣になっておるから、発言権があるのないのということではないと思うのです。あとから申し上げまするけれども、今度の法案の中に入っておる二人の特別職が、特に問題になりまするところの予算編成等のときにイニシアをとるということになりますれば、これは私は内閣強化ということにもなり、非常に効果を得られるかもしれぬと思いまするが、ただ事務量増を理由に、事務量消化という考え方内閣官房長官大臣になり、そうして二人の特別職をここに新設するということは、これは意味がないのじゃないか、こう思うわけなんです。だから、あくまでも私が考えますることは、臨調答申というのは、これはまあいろいろと人によっては理屈をつけられるであろうけれども、この臨調発足のときには、一番最初に申しましたように、歴代の内閣が行なおうとして行なえなかったところの日本行政機構改革を十分に検討し、研究をし、そしてその結論答申をしてもらって、その答申に従って内閣強化をはかり、各省の合理化を行なうんだ、こういうことであるのであって、ただいまの答弁からいきますと、ちょっと的はずれなような気がするのです。それで、まあこの法案がいつ通るかわかりませんけれども、通りますると同時に、官房長官大臣に任命されるわけなんです。その御本人を前に置いての質問もやりにくいし、答弁者も答弁がしにくいと思いますけれども、これはドライでやらなければならぬと思う。だから、私はいまの答弁では、納得のできる答弁内容ではないわけなんです。したがって、ここを最も有効的に内閣機能を発揮させる方法を考えられるのが、これは福田長官役割りであるのであって、ただいまの官房長官の御答弁のような内容なら、むしろ私はこういう法案はこの際お取り下げしなさったほうがいいのではないか、こう思うわけなんです。ほかに重要な意義があるということなら、ここで御説明をいただきたい。これは福田長官にお願いいたしたいと思います。
  15. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 いま官房長官からも御答弁がありましたが、現在の官房長官の任務、役割りから見て、これは行政監理委員会でも、本来の臨調のいう内閣強化の線ではわれわれもいろいろ検討し、また議論の余地が十分あるが、官房長官国務大臣にすることは、全会一致で認めた次第であります。先ほど申したとおり、臨調におきましても、官房長官あり方は、理想的にいえば副総理格であり、そうして国務大臣という資格を与えて、十分の調整力を発揮せしむべきである、これが臨調考え方でございます。これに一歩近づく法案でございますので、私どもけっこうだ、いろいろ御審議願ってお認め願いたいと思っております。
  16. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまの答弁どおりに持っていこうとすれば、そのワンステップということでこの法案を出されたとするなれば、この調整官の職務が、財政経済の関係に大きな発言権を持ち、そうしてここがイニシアをとるということなら、私はいまの長官の御答弁に沿うと思うのですけれども、現在の仕事の分布を見ますと、そうなっておらないところに、私ども反対意見を持っておるわけなんです。だから、これは現在各省大臣になっておられる方も、それから与野党を問わず、予算編成当時には、とにかく大蔵省にぺこぺこと頭を下げて、そうして予算のぶんどり合い、ぶんどり合戦をする、こういう見苦しいことを、何か内閣強化によってこれを解消していかなくてはならない。これは政治家はもちろんのこと、全国民がそうした大きな要請をいたしておるところであるわけです。したがって、予算編成のときに、わが省に有利な予算をとろうとすれば、平素大蔵省の課長さんまでに大臣がぺこぺこと頭を下げておらなければならぬというのが、現在の実態であるわけなんです。このようなことでは、日本行政を、国民の意思を反映して行なうということは困難だと思うのです。私は、臨調答申が出たときを機会に、思い切って福田さんの手元で、これは今度の法律案のようなものでなしに、りっぱに内閣強化されるものが出されてしかるべきであったろうと思うのです。今日まで幾つかの法案が出ておりますけれども、この法案くらい各新聞が取り上げてけちをつけておる法案はないわけなんです。祝日法案もございまして、相当新聞は取り上げましたけれども、これは別の角度で取り上げておりますが、けちをつけておるというのは、私は、国会に出てから、この法案が一番最初であるというように考えておるわけなのです。その証拠の数点を申し上げますならば、日にち的には順不同になりますけれども、二月二十三日の朝日新聞には「宙に迷う「内閣機能強化」」、「官房改革案は決ったが……」と、こういうような見出しを出しております。「看板だおれに終る」「本気でなかった政府のハラ」「行監委の意向ほおかむり」、これは一番最初に官房長官が御答弁されましたように、臨調答申は出たけれども行政監理委員会を設けて十分に検討をしてもらう、こういうことで、委員会発足さした、検討をしてもらっておる、こういうことでございますが、その結論も、先ほど私の申しましたように、昭和四十一年度の予算編成にあたって、一つ結論を出しておるわけなんです。この結論に逆行しておるものが出されておるのが、いまの内閣法内容であるわけなんです。私はそういう点からきわめて遺憾に思います。それから読売の二月三日には「官房長官制をやめ「補佐官」四人置く」、こういう見出しで、臨調方針内容にも触れ、そうして現在出されておる内閣法内容にも触れて、論文式の意見が出されております。これも非常に私は読んで傾聴するに値があると思います。二月二十六日の朝日新聞では、「十八人の閣僚」という見出しで、囲みに論文を出しております。この中にも、昨年は総理府の総務長官大臣にし、一名増をした。また今年も官房長官大臣にして一名増員するんだ。逆に臨調のほうでは減員を必要としておったけれども、現在の政治情勢としては減員ということはむずかしいから、現状よりは増員しない、こういう今日までの経過から、こうした論文が書かれております。そうしてなお、朝日新聞の二月十二日には、「内閣強化官房強化か」、こういう書き方がしてありますが、これはいまの御答弁ではっきりしましたように、内閣強化ではない、官房強化官房事務量増を消化するための処置だということははっきりしましたけれども官房強化ということには、あまり報道関係も関心がないらしいのです。とにかく内閣強化ということに関心があるので、こうした記事を出していると思うのでございます。なお、毎日の二月九日の囲みを見ますと、行政監理委員会、それから官房の食い違い、この点を指摘をいたしております。これは特に「きらわれる”補佐官”の名称」云々ということもつけ加えておりますが、非常に指摘をしております。それから東京新聞の二月八日を見ましても、これで「内閣機能は強まるのか」ということで、内容的には相当皮肉って書いてあるわけでございます。そうしてりっぱな進歩的な内容も盛られております。それから特に毎日の二月八日の「内閣機能強化について」は、これは社説としてりっぱな論文が出ております。それからなお朝日の一月二十九日には「内閣官房に広報官」云々ということで、この点については若干ぼくらもうなずける点がございますけれども、これは事務量関係でありまするけれども、非常に今度の法案に対して関心を持って出しております。それから読売の二月十日には「もたつく“内閣機能強化”」こういう見出しで出しております。それから日経は三月八日に、「行政改革の行方を見守ろう」、こういう見出しで、これは社説で論文を出しております。それから最も最近出ております新聞の内容を見ますと「大臣インフレ」というような見出しを出したり、「能力よりも順番、当選五回でその気になる」、「政党はこれでよいのか」、こういう見出し、これは全く私は同感するところがございます。それからなお「政権長もちの“武器”」、「論功行賞の派閥均衡で」というようなことで、今度の大臣一名増は、これはそうしたことに苦しい内閣改造のときの実態から、もう一名なり二名なり大臣があったらというところをついて、非常に総理大臣が苦労をしておるところがありありと出ております。そして内閣定員二十越す目近い」、こういうことでございますが、これは現在のような考え方でいきますと、全くそのとおりであろうと思いますし、特に「大臣インフレ」、「納税者忘れた省増設案」というようなことで、「政党はこれでよいのか」というようなことをいっております。それから特にまだこの法案決定されないうちに、内閣報道官に近藤氏を起用するのだという記事が出ておりますが、これはしばしばこういうことがあって、これはあとに別に指摘をいたしたいと思いまするが、ただいま申し上げましたように、私の目についたものだけでも、非常に報道関係は現在の出されておる内閣法改正については大きな関心と批判的な記事を出しておるわけであります。こういう記事を出しておるにもかかわらず、なぜこうやらなければならないかということは、これは何回答弁を求めても、おそらく官房長官のほうでは事務量の増ということでございましょう。それ以外には何ものもないと思うのです。そうしますと、現在でも内閣官房長官大臣にすることができるということになっておるのだから、大臣一名増とは違うのだから、この点はもう少し福田長官の手元でセーブしてもらわなければならないのではないかと私は考えておる。当時の川島正次郎長官のときは、ものすごい勢いで、そして熱心に、この七人委員会結論については、相当各省に抵抗があってもこれは実行に移していきたいという意向を持っておられたのだから、この考え方を引き継いでおられる福田長官であるから、私はこれを認められたということについては、非常に納得がいかないわけです。ただ一つ答弁を聞きまして納得のいきましたことは、この内閣法改正内閣強化であるということなら、これは絶対に反対なんだ、これは認めないんだ。ところが、官房事務量の増に対して、事務量を消化するためにこの法案が出されたから、これは認めたんだ、こう言っておられるわけでございますので、私は前に申し上げたことについては了解できますけれども、あとに私の申し上げましたことについては、どうしても大臣を一名増しなければならないという点は腹に入らぬので、もう少し大所高所から、この問題をどう考え、近い将来この内閣強化をしなければならない、またそれを検討しなければならない福田行政管理庁長官は、どのような抱負を持っておられるのか、承っておかなければ、この問題を審議するにも大きな支障があると思います。
  17. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 福田長官の前に、ちょっと途中のいきさつ等、新聞で御紹介がありましたから、お答え申し上げたいのですが、御承知のように、新聞社の諸君は非常に熱心でありまして、途中まだ事務段階で検討中のものがちょいちょい出ましたために、何かもたついたような印象を与えておるようでありますが、福田長官と私が話し合いをいたしますときには、もうすでに御承知のいまの最終案について――最終案といいますか、その案について決定をするに至った。その前は決定でもなければ、ただ事務段階でいろいろな話し合いが出たことが、新聞社の熱心なために外に出てしまったということだと思います。私は、事務量増加は何としてもこれは処理をしなければいかぬ、また同時にいま申しましたように、国会に出ましても何の資格で出るのかわからぬというのでは――実はせんだっても建設委員会に呼ばれましたが、建設委員会に呼ばれた場合に、どういう理由でぼくが呼ばれるのかわからぬ、結局は建設委員会理事会では、総理大臣の代理として話をせい、こういうような御要求があって、建設委員会でも答弁をする。そういう意味で、実際上の運営から考えても、官房長官国務大臣であることは必要なる条件ではないだろうかという意味で、これは田口さんのおっしゃるように……。(田口(誠)委員「できるようになっているんです。」と呼ぶ)できるようになっているんだから、そっちでやったらいいじゃないかということでありますが、することができるということじゃなくて、でなければならないんじゃないのかと思うわけです。あえて大臣になりたいという意味ではありませんけれども、ほんとうに仕事をしていくためには、やはりこの立場を確立するほうがやりいいことは、皆さんの御賛同を得られると思うのです。そういう意味で、その後新聞社関係も、大体こういうような考え方でいわゆる報道官調整官というものが必要だということは、大部分の方が実際上の面ではこれを御了承願っておる、かように感じておるわけであります。
  18. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 いま官房長官が答えられたとおりでございます。随時この問題はお互いに協議し合いながら、また私どもも、行政監理委員会委員長立場から、委員会の空気を具体的に、率直に官房長官にお伝えしておるわけであります。これは最初申し上げましたとおり、内閣強化であるならば、われわれとしては非常に批判的である。特に、報道官はわかるけれども調整官についてはきわめてきびしい案が出されております。いろいろな点を具体的に申し上げました。最終段階においては、両長官の発表のとおりでありまして、これはいわゆる臨調のいわれる内閣強化ではない、急増する行政事務に対するものであるということは、はっきりいたしたわけであります。なお、誤解を避けるためにも補佐官という名称を避けまして、報道官あるいは調整官という名を官房できめたことも、そういう配慮からでございます。これは臨調におきましても、官房長官国務大臣になるということは、その必要性から見ても私どもは最終的に認めた次第でございまして、途中の経過については、いろいろな議論があります。また、委員会としての意思表明も、一部中間において誤解的な議論もないとは言えませんが、最終的には国務大臣行政管理庁長官として、内閣の一員として賛意を表したわけであります。問題は、今後はたして私ども考えている本来の内閣強化に一歩前進するものであるのか、今後の実態なり実際の成果を見なければならないと判断をいたしておるわけであります。
  19. 田口誠治

    田口(誠)委員 いま官房長官から一例を出されて、建設委員会へ出ても、何の資格で出たのかということが明確でないので、やはり官房長官国務大臣をもって充てるということをはっきりして、国務大臣でないと仕事がやりにくい、こういうことでございましたが、これは官房長官を呼ぶ場合には、そのときによって違いますけれども総理大臣を呼ぶ場合に、総理大臣の出られないときに官房長官のおいでをいただくということも、いままであったと思うのです。したがって、そうなりますと、先ほど来私が申しておりますように、内閣調整官という、ここが財政経済のイニシアをとる、こういうことになりますれば、そこの長官国務大臣ということになれば、先ほど来お話になりました副総理格ということで、これは仕事がやれるわけなんです。そうでなかったら、何も国務大臣という名前がついてなくても、官房長官でおいでになっても、何ら私どもは支障がないと思うのです。あくまでも大臣になるということになれば、現在一番問題とされておるところの予算編成時のあの混乱をどう調整をし、どうかっこうをつけていくかというところに、これは降路があるわけでございまして、この降路を打開しようとすれば、当然私は現在出されておる法律案内容からいきまして、内閣調整官、ここで財政経済の担当、特に予算編成のイニシアをとる、こういうことになりますれば、そういう部署は、当然その大臣は副総理格の大臣というように権威づけられて、仕事ができると思うのです。そうでなしに、ばく然と、何らそれほどの強い権限もない内閣調整官なり報道官、これを新設することにおいて官房長官大臣にしなければならない、こういう理由は立たないと思うので、その辺のところが、将来そう持っていくということなら、これは私はまたこの審議のしかたもあろうと思うのです。その点どういうふうにお考えですか。
  20. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 官房長官国務大臣に充てるということは、福田長官からの答弁のように、臨調でも当然あるべきだということで、ひとつ御了承願いたいのですが、ただ内閣調整官のことはいろいろ御意見があるようでございますが、実際どういう問題をそれなら閣僚協議会なり内閣調整官たるべきものがやっていくか、いま一つの例で申し上げてもいいのですが、たとえば茨城県の学園研究都市の問題、これは一つは建設省の予算にもまたがるし、あるいは農林省の予算にもまたがる、あるいはまた文部省の予算にもまたがる、そういう場合になりますと、いわゆる各省間との連絡で、もちろんこれはある程度調整ができますけれども、なかなか調整ができない部門が、実際問題として出てまいります。事実これは数回内閣がこれの調整の役をとっております。そういうことで、予算編成時におけるぶんどり合戦を何らかの形でこれを抑止すべきではないかという御意見も尊重しなければならぬと思っておりますが、同時に、このでき上がった予算が総合的に使われるかどうか、たとえば最近でもいろいろ聞くのですが、老人ホームのようなものも、必ずしも温泉地帯とか閑静な地に老人ホームをつくることを、老人の御意見によれば、好んでおるわけでもないようですね。けれども、これまた都会につくる場合、都市計画との関係がある。そういう意味において、建設省との間でやはりこの調整をとらないと、敷地の設定とか、そういう問題がむずかしい。実際問題として、これは閣僚協議会の運営あるいは実態をごらんになってもらえばよくわかるのですが、いわゆる予算編成時における非常に重要な役割りを、調整でやっております。これは内閣官房の諸規定の中にあるわけなんですが、閣議にかかわる重要項目については、これを調整をするのが内閣官房の仕事である。そういう傾向が、最近、この数年間というものは非常に激増してきている。たとえば皆さんの御協力を得ておるコロニーの問題にしても、なるほどコロニーそれ自体からいえば、重症心身障害でありますから、厚生省の仕事であります。けれども厚生省だけの、病院扱いだけの考え方でやれば、これはほんとうの総合的な施策にはならない。やはりここには小学校も必要である、あるいは老人ホームも必要であろうし、あるいはその他のものが必要になってまいります。そういう意味で、最近の各省の事業というものは、各省だけでやっていけないのが実情であって、したがって、予算のぶんどりのときももちろん抑止することも必要ですが、この問題はなお今後検討を重ねなければなりませんけれども、与えられた予算を総合的に、国民的な規模で、また視野で、これが実行されるかどうかということも、非常に重要な行政上の問題になっておるのでありまして、その意味で、私は内閣調整官というものがどうしても必要である、それを副長官とかもしくは補佐官という形に変えて――補佐官の名前は、先ほど福田長官の言ったように、臨調考え方と必ずしも一緒でないからして誤解を招くとお話があったように、あるいは副長官四名という考え方もありますけれども、私はそういう意味で職名を明確にしていく。これからの仕事は、やはりその人の持つ責任範囲を限定し、責任の地位に置くというたてまえで、今度申し上げましたよな報道官あるいは調整官、こういう形でその職責うを全うしていくということが、やはり近代行政あり方ではないだろうか。何か分断された責任ということよりも――法律上の問題は別ですけれども、実際の問題としては、常に責任分担範囲が明確になっておる、これが行政簡素化、あるいは能率をあげるゆえんではなかろうか、こういうことから、報道官あるいは調整官という形で皆さんに御審議を願っておるわけであります。これが皆さんの御協力を得て通りますれば、おそらく皆さん期待された以上に私は効果をあげることができるという確信を持っておるわけであります。
  21. 田口誠治

    田口(誠)委員 確信の持ち方はそれぞれの考え方で迷うと思いまするが、ただいま御答弁のありましたような内容のことは、これは当然官房の所掌でやらなくてはならない問題であるわけです。現在までもやっておられる。そこで、予算を最も民主的に有効裏に使うということに対して、各省間等のいろいろな連携が必要だ、これもやはり必要だと思います。こういう点があるから、だからその該当する閣僚が、閣僚の分科会制度を設けて、そうした問題を処理しなさいというのが、臨調答申内容になっておるわけなんです。したがって、官房長官国務大臣が副総理格であるというなら、これは少しは押えもきくと思いますけれども、同列同格の国務大臣であった場合に、その取り持ちをしようと思いましても、なかなかそれはうまいこといくものではないと思うのです。国務大臣になったからその仕事がスムーズにいくというようなお考え方は、ちょっと甘いと思うのです。これはやはり副総理格というような、そういう地位の上において調整をやられる場合には、これは私は問題の処理がスムーズにいくということは考えられますけれども、あくまでも同列同格の国務大臣が、関係しておる各省国務大臣と折衝をし、そうしてその取り持ちをするということになりますれば、これはやはり大臣になっておってもおらなくても、官房長官の仕事としてはさほど大きな差はない、かように考えておりますので、そういう点はあまり力説されても、私にはぴんときません。したがって、問題は、こういう不人気な法案は廃案に持ち込むのか、取り下げをしてもらうのかということについては、これは今後内閣強化をどういうように行なわれるのかどうかということ、そういう構想をどう持っておられるかということもお聞きをしなければ、この問題の完全な結論の出し方は困難だと思うのです。それは政府は提案したのだから、与党はこれに賛成するんだというような、こういう自動的な行き方なら別ですけれども、そうでなしに、ほんとうにこうした世論が大きく批判をし、反対をし、また関心を持っておる法案をどら取り扱うかということについては、これは一番降路であるところの内閣強化を将来どうするのか、臨調答申をどう消化していくのか、こういう点がこの機会に答弁の中で明確にならないことには、これはまじめに審議をされる与党の方々も、非常に不満であろうと思う。だから私は、この点については福田行政管理庁長官に、もう一度将来の考え方を含めて御答弁をいただきたいと思う。
  22. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 臨調が苦心してつくりました答申、この実現と推進は、私どもの本来の任務でございます。これは自画自賛ではありませんが、まだ一年足らずではありますが、この線に沿ってできるものは着々と実行してまいっておるつもりであります。たとえば二十一にのぼる特殊法人新設は、一切これを抑制いたしました。また、定員増加あるいは欠員不補充の原則を貫くことも、事実認めたことはきわめて例外的な部門しかございません。また現在、これは与党側にも非常な御協力をいただきましたが、審議会等の三十四の整理統廃合も提案され、あらゆる実現の可能性は着々実行してまいるつもりであります。ただ、御指摘内閣強化、特に予算編成あり方を中心とした構想につきましては、これは問題が実に困難な、しかも条件がきびしいものばかりでございまして、これは先ほどちょっと簡単に申し上げましたが、日本行政日本の政治、もっと大きく申しますと、日本の今後の体質の改善、政治の動向とまた経済の体質の方向、あらゆる面を総合的に分析した上で、科学性、客観性を持って臨みませんと、ただ閣僚の人数をいじるとかあるいは組織をいじるだけでは、本来の目的を達し得ないわけです。その大前提をただいま私ども真剣に取っ組み始めておるわけであります。内閣強化につきましては、もうしばらく時間をいただきまして、国民の方々の納得し得る、また臨調で苦労された答申の生きた、しっかりした案を遠からずつくりたいと考えておる次第でございます。
  23. 田口誠治

    田口(誠)委員 具体的な構想としては、まだ審議されておらないのかどうか。
  24. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 具体的に内閣強化についての案を発表するまでには、まだちょっといまのところ時期尚早でございます。もう少し時間をいただきまして、あまり遠からざるうちに、大体私は下半期までには、何とかいま申し上げた日本の政治、経済あらゆるものの体質改善に見合った本質的な内閣強化の具体案を作成いたしたいと考えておりますが、今日ただいまこういうものをする、あるいはしたいと申し上げるには、時期尚早でございまして、もう少し時間をかしていただきたいと思います。
  25. 田口誠治

    田口(誠)委員 臨調答申にある内閣府の設置あるいは補佐官を置く件については、この点も検討されたのかどうか。
  26. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 いま六人の行政監理委員をお願いしておりますが、そのうち、常勤的に一日ごとに御登庁願って、ほとんど終日御検討願った方が三人ございます。その中で、内閣問題については、佐藤委員を主任といたしまして、昨年来引き続いていろいろな調査あるいは資料の調製を引き続き行なっております。
  27. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、大体進行状況は御存じだと思いますが、そうした案ができ上がった場合には、現在出されておるところのこの内閣法改正内容には、手をつける必要のものは出てこないかどうか。
  28. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 ただいま作業中でございまして、この法案と関連していろいろ批判をすることは、差し控えたいと思います。
  29. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこがぼくらのほらで審議するになかなかむずかしいのは、まあ先ほど来官房長官が力説されますように、官房長官の手元の事務量というのは非常に多い、非常に労働強化だ、二名の官房長官は手分けをしてそれぞれ補佐しておるけれども、なかなかそれもできないというようなことで今日の法案を出した、こういうことでございますけれども、それについてはどうしてもこだわりのできるのは、現在でも官房長官大臣にすることができるわけです。したがって、橋本官房長官が力説されるほど官房長官大臣でなければ非常に仕事がやりにくいということなら、次のときに官房長官国務大臣にすればよろしいのであって、増員ということとは私は切り離して考えなくてはならないと思うのです。その点はどうですか。どうもその点が私ははっきりしないんだが……。
  30. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 どうも私個人にひっかかってくるものですから何とも答弁しにくいのですが、臨調考え方にもありますように、やはりこの内閣という重要な調整の役目をする以上は、やはり国務大臣を充てるんじゃなくて、国務大臣でなければならぬということのほうが、これはやはり筋道はそうだろうと思います。私が適当であるかどうかは別としましても……。その意味で、やはり国務大臣であるべきであるという見解には変わりはない。それならほかのやつを持ってきたらいいじゃないか、こう言いますが、やはり一つの省を扱うということになれば、国務大臣としての発言がなければ、その省の予算その他の問題から考えても、やはりむずかしい問題があるとも考えますので、まあ官房長官国務大臣であるべきだという見解は、やはり臨調と私も同じような考え方を持っておる、こういうことであります。
  31. 田口誠治

    田口(誠)委員 福田行政管理庁長官は、十二時何分から退席しなければならぬのですか。
  32. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 実は十二時に招集しているものですから……。
  33. 田口誠治

    田口(誠)委員 本案審議するには、行政管理庁長官が見えなければどうも審議がむずかしいわけなんです。がしかし、どうしても席を立たなければならないということになりますれば、これを私どもがとめることもどうかと思いますので、席を立っていただいてもけっこうだと思いますけれども、十二時に席を立って何時にお帰りになるのですか。
  34. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 一時半ごろ終わると思いますが、そのあとは……。
  35. 木村武雄

    木村委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  36. 木村武雄

    木村委員長 速記を始めてください。  午後一時半まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ――――◇―――――    午後一時四十五分開議
  37. 木村武雄

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田口誠治君。
  38. 田口誠治

    田口(誠)委員 いままでの質問の過程でいろいろ答弁をしていただいた中で関連があってお聞きをいたしたいと思いますのは、現在内閣官房には副長官が二人おるわけです。副長官内閣官房長官を総体的に助けるということになっておる。今度の法案の中で、報道官とか調整官というのは、予算上から見ても、副長官格になっているわけです。結局副長官が四人ということになるわけです。そうなりますと、現在の二人の副長官は全体的に補佐するということになるのだから、新しくできるところの報道官とか調整官の仕事に対してもやはり協力をしてやるものかどうか、この辺のところはどういうようになっておりますか。
  39. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 ただいまお話がありましたように、現在副長官二名おるのですが、法律用語をもってすれば、二人がひとしく官房長官を補佐するということになるわけですが、実際問題としては、皆さん承知のように、国会議員出身の副長官もしくは政務次官は、政務を分けて担当しておる。それからもう一人のほうの事務関係の副長官は、いわゆる行政事務の面において担当する。形式論は、設置法がいうところのものは、二人がひとしく長官を補佐する、また一面においてこれを代理することができるわけです。今度の報道官及び内閣調整官は、名の示すとおり、御承知のようにいわゆる給料等の待遇は副長官並みでありますが、仕事の面ではこの法律示しますように、報道官は報道の面において長官を補佐する、一方は内閣調整機能の面で官房長官を補佐する、こういうことになります。したがって、現在の二名の副長官は全体的に官房長官を補佐しておる、こういう内容の違いはあります。ただ、同格といいましても、給与体系が同格であって、いわゆる職務担当の面では相違がある。その点は一部改正法律案の中でも明らかにしておりますので、副長官と同じ形において官房長官を補佐するかといえば、それは違う。報道官は報道の面でこれを補佐し、同時にまた内閣調整官内閣調整機能の面でこれを補佐する、副長官はそれらをひっくるめて全体的にこれを補佐し、かつまた代理することができる、かように御理解願ってけっこうだろうと思うのです。
  40. 田口誠治

    田口(誠)委員 他の省の政務次官と事務次官との関係のようなものですか。
  41. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 他の省におきましても、政務次官、事務次官といいましても、いわゆる補佐の形式上のものは同じだろうと思っております。これは私もよその設置法はまだよく勉強しておりませんが、内閣法の場合は、明らかに官房長官というのは同じ立場でこれを補佐する。ただ、実際上の面からいえば、先ほど申しましたように、一方が実質的には政務を担当せしめておる面で補佐しておる、もう一方の人は行政事務的な面でこれを補佐する、こういう実際上の面を預かっておるということでございます。
  42. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、まだちょっと明確になりませんが、現在ある副長官二名と新しくできる報道官調整官は、副長官格ということです。副長官という名称は使っておりませんけれども、副長官ということです。そうなりますると、これは全体的な面から長官を助けるということになりまするので、そうでなしに、仕事の分布を法律できめるということになりますると、現在の官房長官も何らかのかっこうをつけなければおかしいことになる。その辺のところがどうもはっきりしておりません。
  43. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、二人の副長官は、内閣官房長官の仕事全体について補佐の役目を持っておる。今度設定いたしますいわゆる報道官もしくは内閣調整官は、その仕事の面において官房長官を補佐する、こういう形になります。それでは現在の二人の副長官は報道もしくは調整の意味で補佐する必要がないかといえば、これも全体の意味においてはもちろんその任務を持っておるわけでございます。今度与えられた人は、その面においてのみ補佐の責任を持つ、こういうふうに御理解願ってしかるべきかと思います。
  44. 田口誠治

    田口(誠)委員 内閣官房事務量の増大によって今日の法案が出されたということは、先ほどの答弁で明確になったわけです。そうしますると、現在ある二人の副長官の場合には、全体的に官房長官の補佐をしておるのですけれども、それでも内容的には仕事を大まかに分けて仕事をしておられるわけです。そこで、今度は、報道関係と財政経済の関係は、報道官調整官が受け持つということになります。そうしますると、その残りものは何をやるのですか。
  45. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 内閣官房の職責を申しますと、もちろんこれだけではありませんで、その他の職務がたくさんあるわけであります。もちろんこのうちの二つは、相当重要な仕事の内容でもあります。官房長官が病気等で欠席する場合に補佐し得る者、代行というか、代理し得る者は副長官である。報道官もしくは調整官は、代行しないわけです。しかしながら、副長官は、もちろん内閣調整の事務及び広報の事務をも補佐するという、一面の役割りも持っております。ですからして、実際上の運営で申しますれば、十四の閣僚協議会ができまして、そこで現在は石岡副長官が一人で担当しておる。一回の閣僚協議会を開くためには、その下にある幹事会というものを数回開かなくてはなりません。したがって、一人をもってしてこれをやっておるということは、結局能率の上においても十分な効果をあげることができないことは、御承知のとおりであります。十四もありますれば、一カ月に一回のものをやりましても、一回の閣僚協議会を開きますためには数回の幹事会をやりますから、なかなか全般まで回りかねる。これは今度は一部分を調整官が――一部分といいますか、原則的に調整官を置きますれば、財政経済の問題を内閣調整官がお手伝いいたしますれば、この事務量というものはかなり整理することができるようになります。そういう意味で、いわゆる副長官の任務は、まず官房長官を全体的に補佐する。もちろんその中には、いま申したような報道、広報、並びに経済政策に関する調整というものも含まれておりますが、なお、この事務量整理していくためには、この二人を置くことによって能率化することができる、かように考えておるわけであります。
  46. 田口誠治

    田口(誠)委員 提案理由の説明の中に明確に書いてありまするように、内閣調整官及び内閣報道官の身分の取り扱い等については、これは官房長官ということになります。官房長官と呼ばないだけで、身分は官房長官です。官房長官が四名になる。四名になって、二人は官房長官を総体的に助ける仕事をやっておるけれども、他の一人は報道関係、一人は財政経済の関係を担当する、こういうことになっておりますると、現在ある副官房長官は何をするかということになると、残りの仕事をするということになる。残りの仕事をするということになれば、これは政党とのいろいろな関係を担当する場合もありましょうし、いろいろあるわけですが、四人つくるということになれば、明確に事務の所掌を分ける必要があると思うのです。そこで、分けないのが二人と、そうして仕事の所掌事務を明確にしている副官房長官が二人あるということで、どうもこの辺は、法案はつくってみたけれども、ややこしいわけなんです。これはあなたのほうでちょっとおかしいと思われるだけでなしに、この法案内容を見てどうも受けとめにくい、こういうように言われておる人がだいぶ多いわけです。だから、それだけにこの点を明確にする必要があるのではないかと思っておりますが、どうですか。   〔委員長退席、辻委員長代理着席〕
  47. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 こまかい点は他の政府委員から説明させてもらいますが、いわゆる法律用語で身分と職責とは違うように思います。身分は待遇上の問題だろうと思います。したがって、それが副長官と同じ待遇であることが、職責まで混同されるとは考えておりません。たとえば、大臣の給料も同じであるが職責は違うということもありますからして、先ほど申しましたように、副長官は全体としていわゆる官房長官を補佐する。そうして報道官並びに内閣調整官は、その職責について、改正法の中に入れてありますように、「内閣調整官は、第十二条第二項の事務のうち財政経済政策に関する総合調整に係るものにつき、内閣官房長官の職務を助ける。」こう明確に職責はうたっております。また、「内閣報道官は、第十二条第二項の事務のうち広報に係るものにつき、内閣官房長官の職務を助ける。」こういうぐあいに職責まで明らかにしております。給料が同じであることは、何も副長官を四名置いたことにはならないというように考えておりますが、法律用語は詳しくありませんので、身分ということが職責ということをも一緒にしておるかどうか、これは政府委員から答弁させます。
  48. 高柳忠夫

    ○高柳政府委員 内閣官房長官の職責の中には、十二条に掲げられております内閣官房の事務のうち、財政経済、広報のほかに、いわゆる内閣の庶務的事項、人事、総務、会計、こういう事務もございます。  それからもう一つは、内閣調査室というものがございます。調査関係の事務がございます。今回設けられる内閣調整官は、その十二条のうちの財政経済政策に関すること、内閣報道官は広報に関することでございますので、一応縦割りにいたしますれば、内閣官房長官の、もっぱら調整官、報道官以外の事務で残される事務には、そういった事務があると思います。またしかし、内閣官房長官は、調整官、報道官の事務についても、それはその他一般の政務、内閣調査関係の事務との関連においても、当然関与しなければならない。またそういう判断を加えなければならない立場にありまするので、一般的に財政経済政策についても、広報についても、関与していく、こういうことでございます。
  49. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますると、調整官が財政経済関係を担当して、そしてそのほうの仕事をやっておる場合に、報道官以外の二人の副長官がその仕事も手伝ってやるということですか。
  50. 高柳忠夫

    ○高柳政府委員 手伝うということばは必ずしも適当でないと思いますが、それが財政経済政策に関して行政の分野だけで問題が解決する場合には、専門的な調整官が解決して済む、官房長官を補佐して済む場合もございますが、事柄によっては、それが政務にも関係する、また国会の問題としてまたは党との問題において処理、判断をしなければならないというときには、当然政務担当の官房長官とも共同して官房長官をお助けするということはあると思います。
  51. 田口誠治

    田口(誠)委員 一つの仕事をやる場合に、いわゆる副長官が四人おれば、報道関係を担当しておる人も合議に加わる場合もあるでしょう。あるでしょうけれども、それは軽い考え方で加わるわけなんです。それはあくまでも報道関係報道官、それから財政経済の関係調整官、こういう仕事の分布をしておりまするので、いろいろ官房長官会議等をやられる場合には、もろもろの問題が議題になって、そこに参画されるであろうとは思いますけれども、しかし、仕事の分野というのは大きく仕分けられております。そうしますると、あとの二人の場合も、ほんとうに官房長官を助けようとすれば、仕事の分野を法律的にも明確にあらわしておかなければおかしいじゃないかと思いまするし、いままでの答弁を聞いておりますると、報道官調整官といっても、これは一つの事務屋のようなものであって、しかし、事務屋ではあるけれども、これは一つの身分、官房長官と同格に見られておるのだから、同じ格でいろいろな問題の討議、検討に加わって官房長官を補佐する、こういうことになるように受け取れるわけなんですが、どうもそこのところが、私ははっきりとつかめないわけです。どうでもこの報道官それから調整官が必要だということなら、私がいま申し上げましたような方法をとることが、長官を助けるに大きく力が発揮できるだろうと思うのです。そういう点をそのままにしてあるのは、どういうことですか。
  52. 竹下登

    ○竹下(登)政府委員 いまの田口先生の御質問でありますが、内閣調整官は、内閣官房長官と同様、直接に内閣官房長官の職務を助けるということであります。したがって、内閣官房長官にもちろん隷属するものでなく、これと並列し、かつその身分、取り扱い等については、全く同様であります。ただ、先ほど官房長官が申し上げましたように、内閣官房長官、すなわち今日の私の立場で申しますならば、内閣官房の事務のすべてについて内閣官房長官を一般的に補佐して、そうして調整官、報道官は専門的に補佐していく。だから、広い狭いとでも申しましょうか、補佐の範囲で申しますならば、広い狭いの関係がございますし、また補佐の深度の問題については、非常に専門的に補佐するから、一般的と専門的との違いが出てくるであろうと思われます。  なお、いまの田口先生のお話によりますと、さてそれならこの十四条の二項でありますか、「内閣官房長官は、内閣官房長官の職務を助ける。」というだけに今日なっておるわけでございまして、いまの調整官の財政経済に関する調整、それから報道官の広報に関する事務、それとかりに法律上分けて書くとすると、これはなかなか実際問題としてはむずかしいことになろうかと思われます。やはり一般的に補佐するということで御理解をいただきたいものである、このように考えております。
  53. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は、臨調答申というのが頭の中にありますので、ときどきそれに関連をして質問を続行しておるわけですが、国務大臣というのと各省大臣というのは、一体どういう仕分けをしてお考えになっておられるか。これは福田行政管理庁長官のほうからお伺いをいたしたいと思うのです。
  54. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 政府委員より答弁させます。
  55. 井原敏之

    ○井原政府委員 国務大臣は、内閣を構成するメンバーの立場大臣でございます。各省大臣は、行政長官として行政事務を分担、管理しておる長官でございます。そういう立場で、立場が違うわけでございます。
  56. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうなりますると、日本行政機構を専門的に処理できるというのは、これは福田行政管理庁長官だけだと思います。国務大臣は別だ。そうなりますれば、臨調答申等をいろいろ行政監理委員会検討してもらっており、また行政管理庁のほうでも検討しておるのだが、なおいまはその検討中であるので、ここで発表はできないが、半年くらい先になれば結論が出るだろうというお話があったわけなんです。そこで、いま各省大臣国務大臣関係は明確に答弁されましたが、大臣の数をふやすということは、これは総合調整をますます困難に追い込んでいくことになると、私は判断をするわけなんです。その点は臨調のほうでも、できれば現在の閣僚数を減らす必要があるけれども、いまの現状からそういうことを持ち出してみても実現不可能だから、現状よりはふやさない、こういう考え方をまず出しておるわけなんです。だから、先ほど委員会を休憩したときに、竹下官房長官と雑談をいたしておりましたら、現在実際に担当をしておる仕事を国務大臣をもって充てようとすると、二十二くらいあるのだ、こういうことなんです。だから、今年は一人の増員であるけれども、そういう考え方からいきますると、二十二人になる、場合によっては二十五人にもなるわけです。そうなりますると、結局臨調考え方も私は同感ですが、大臣の数がふえることは総合調整に大きな支障を来たすということは、これは明確であるわけです。いつかの閣議でございましたが、佐藤総理が、この閣議各省の担当長官という考え方でなしに、内閣全体を考えておるところの国務大臣としての考え方でいろいろ発言をし、検討をしてもらいたい、おそらく予算編成のときだったと思いまするが、そういう発言を佐藤総理がされたということが新聞に出ておりましたが、全くそのとおりだと思うのです。そのとおりだと思うのですが、それぞれの各庁がありまするが、その長官国務大臣をもって充てるというようなことになりますると、それぞれの、長官がセクトが出て、そうして予算編成のときにはたとえ百万でも五十万でも予算を多く獲得して、そうして自分の担当しておる省の行政をアピールさしたい、また国民の要請にこたえた仕事をしていきたいという気持ち一ぱいでありまするので、これは予算のぶんどり合いということは、必然的になるわけです。それが十八人でぶんどり合いをやる場合と、二十二人でやる場合、二十五人でやる場合は、これは総合調整をやる場合に、二十二人、二十五人ということになりますると、よけい困難になると思うのです。こういうことを考え臨調考え方が出されておるわけでございまするので、私は先ほど二十二名云々ということも聞きまして、こういう考え方からいきますると、二十二名までは大臣をつくっていくのだというようなことに、必然的にこれはなりやしないか。そうなると、いま一番隘路とされておるところの内閣強化、その中でも内閣総合調整ということが困難になるのではないか、こういう危倶を抱いたわけでございまするが、そういう点については、福田行政管理庁長官はどういうようにお考えであるか承っておきたい。
  57. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 二年七カ月にわたる臨調検討の過程におきまして、中間報告的な一応の思想の発表があった。正式な発表ではありません。中間報告的には、いまおっしゃたような閣僚の数を減らすことが望ましいという方向である。結論では数に触れませんで、ただ官房長官としては副総理級の国務大臣がしかるべきであるというふうに触れている。一般論といたしますと、やはり総合調整する対象の問題の内容によって、いろいろ違うと思うのであります。したがって、ただ数だけで調整の困難、容易ということは言えませんが、一般的にいえば田口委員の御指摘のとおりと思いまして、やはりあまり細分化、専門化しないほうが、調整の場合にはやりいいだろうということは言えると思います。したがって、臨調結論としては、数につきましては明確な結論は出していないわけでございます。
  58. 竹下登

    ○竹下(登)政府委員 田口先生の御質問の中で、私と雑談しておって云々というお話が出ましたので、その点だけ明確にいたしておきたいと思います。私が申し上げましたのは、内閣法施行当時は、省の数が十ありまして、必ず国務大臣をもって充てなければならないという機関は、経済安定本部長官とそれから物価庁長官、この二つであったわけであります。ただ今日は省の数が十二になりました。それから国務大臣をもってその長に充てる他の機関の数が、いま十になっております。すなわち近畿圏、首都圏、国家公安委員会委員長、北海道開発庁長官、そのようにして十に機関がふえておりますので、その数を合わせればたまたま二十二になるわけでありまして、二十二人にすることが好ましいとは、私も率直に言って思っておりません。ただ、たまたまそれを合わすと、二十二の国務大臣をもって充てるポストがあるという意味で御説明を申し上げた次第であります。二十二名までは将来大臣の数をふやすべきであるという考え方ではないことを申し上げておきます。
  59. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、現在は国務大臣の定数は十八名、それを分けて申し上げますと、各省大臣が十二名、それから国務大臣をもって充てることのできる行政機関の長が九、それから現在の国務大臣をもって充てることのできる行政機関の長、これは官房長官ですね、これが一つ、結局二十二ということになるわけです。   〔辻委員長代理退席、委員長着席〕 そこで私の申し上げておるのは、いつぞや大野伴睦先生が国務大臣のときに、北海道開発庁長官を専門的にやっておられました。いまは北海道開発庁長官は兼務をしておられる。別に差しつかえはないわけです。福田行政管理庁長官が兼務しておられても、別に支障はないわけですね。そうなりますると、私は前へ戻りますけれども官房長官がほんとうに国務大臣でないと仕事がやりにくいということになら、現在でも国務大臣をもって充てることができるのだから、他の長官を兼務をしてもらえば、官房長官のほうへ大臣のいすが一つあいて回ってくるわけで、こういう操作ができるわけなんです。だから、どう考えてみても、伴睦先生が北海道開発庁長官をおやりになってみえるときも、福田行政管理庁長官が兼務をしておいでになるときでも、別段変わりはないわけなんです。そう考えていきますると、私の申し上げた理屈は通るわけなんですよ。だから、新聞でも指摘しておりまするように、大臣インフレというようなことが書かれておりますが、そういうことになっては、これはまことに国民に対して申しわけないと思うので、繰り返すことでございますけれども、ほんとうに内閣官房長官大臣でないと仕事がやりにくいということなら、ぼくは大臣になっていただいてもいいと思うけれども、定数だけはふやしてもらっては困るので、どうですか、この辺のところは。両長官にお伺いいたしましょう。
  60. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 いまわが国の国務大臣の数の十八名というのは、そうインフレでもないのじゃないかと思うのです。イギリスのような国を見ましても、あるいはインドネシアというのは特別ですが――六、七十人もいますから、特別ですけれども、ただ、いまの国際情勢及び国内の行政事務というものは、分化する傾向にある。これは専門的になってきたのですね。前のたとえば科学技術庁長官というものは、文部大臣が兼務していたことがあります。しかし、最近はこれはできるだけ専任の大臣を置くことになりましたが、これは科学技術の面だけでも、日本の産業構造の上から見ても非常に重要だ。やはり経済及び行政――経済が複雑になり、国民生活が多種多様になりますと、したがって行政面でも多種多様、いわゆる複雑化を増してくる。国力が発展し、その国が文化的に進めば、どうしても行政機構というものはある意味においては複雑にならざるを得ない。また、専門的に多様化することも、私は必要だろうと思います。ただ問題は、ほんとうに根本から、一般の政治論から見て、これは別の考えから、この内閣法の問題にかかわらず、一般的なお互いの討論から言えば、別の考え方は根本的にはあると思います。たとえば会社等で社長、専務、常務といいますか、一種の国務大臣と言っていいでしょう、というものと、いわゆる平取締役というものがある。あるいはこの専務、常務というものを主にして、そこで実際上は従来取締役総務部長あるいは営業部長とかいったものを、取締役はやらないで単に営業部長というやり方もある。こういうことで、機構として将来いわゆる集中的にものをやっていくためには、少数のものをもって、いわゆる実力者といいますか、首脳部、そういうものを形成して、一方において行政長官を専門的に多数つくっていくという考え方もあろうかと思うのです。そういうことからして、いわゆるこの臨調考え方が出てきたのだろうと思うのです。内閣を中心にして――内閣行政事務というものは一つの院内キャビネットといいますか、その考え方があろうと思います。そういうことについては、臨調答申方針を十分に尊重して、現在のところ行政長官のところにおいて引き続き検討を重ねておる。このいま問題になっておりまする内閣法の一部改正の問題は、現実に激増してある仕事、これをどうしても処理したい。いま田口さんのおっしゃることは、ほかの国務大臣を持ってきてやればいいじゃないか、こういうことですが、いま申しましたように、いまの国務大臣を一名ふやすことが、日本行政の多種多様性、日本の経済上の発展、国力から見て、決してインフレではない。他の国と比較いたしましても、決して多い国務大臣ではないのでありますからして、さような意図は持っておらないのであって、より能率的な行政をやるためには、さような仕組みが必要である、かような考え方でやっておるわけであります。
  61. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 臨調におきましても、この点相当あらゆるデータを集めまして、ずいぶん議論されたようであります。議事録を見、また実際に佐藤前会長にもいろいろ再度お伺いをしたのでありますが、やはり非常にむずかしい問題で、いま官房長官答弁したとおりでございます。絶対的に、何人がいいとか、そういう具体的に判断を下すことが非常にむずかしい。いわば絶対論ではなくて比較論の問題でありまして、現在の時点における行政需要、また政治上の組織、そういう点から見ると、いま内閣法の一部改正で御審議願っていることが、一応やむを得ない処置だという考えを持っておるわけであります。ただ、御指摘のいろいろな問題については、先ほどお答えしましたとおり、全然角度を変えての日本全部の行政需要実態調査に来月から入りますが、日本の体質改善あるいは一種の経済変革、政治の動向、いままでのような機構いじりに堕しやすい観点から、一歩高い立場から根本的問題を掘り下げる計画を持っておりますので、信頼するに足る客観的な資料がそろい次第、ひとつ結論を見出したい、こう考えているわけであります。現在のところ、何人がいいとか、あるいは具体的な数字までは差し控えたいと思うわけであります。
  62. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は、各省大臣のそれぞれの受け持ちの仕事の内容からいろいろ検討しました。たとえば科学技術庁の長官は、まあ現在国務大臣をもって充ててある。科学技術庁長官は、ほとんど一年交代で大臣が交代しておる。この長官が全く専門的な放射能、原子力の問題のこまかい部分にまでわたっての知識を持って、そして行政官庁としての執務をやっておるのではないわけなんです。いろいろ専門的な局部長がいて、それぞれの案なり情勢分析をしたりして、そして仕事を集約して持ってくるものを大臣がさばくだけなんです。だから、たとえて言うなら、経済企画庁の長官と科学技術庁の長官と兼務しておったとて、それで大臣としての仕事に大きな支障を来たすというものではないと思うのです。これは専門的にこまかいところにまで入って把握をして指導行政を行なうという大臣ならば、私はその点は取り上げられる面があろうと思いますけれども、最近のように一年交代の大臣がそれぞれの専門の長官になってやっておられる、その仕事の内容からいきますると、あえて専門大臣をつくる必要のないところが、私はなお二、三カ所はあるのではないか、こう思いまするので、したがって、官房長官国務大臣でないと仕事がやりにくいということなら、現在でも国務大臣をもって充てるということになっておるのだから、他を削って官房長官国務大臣にする、こういう方法ができるのだから、こういう操作ができるのですから、やはりそういう方法をとってもらうことが、かえって内閣強化になり、内閣強化の一番隘路は何かというと、総合調整関係でありますが、このことが容易にできるのではないか、大臣をよけいつくるほど、これは非常にむずかしい総合調整という壁にぶつかるのではないか、こう考えておるのですが、どうもあなた方と考え方が違っておるわけなんです。何でもいいから大臣をつくりたい――大臣になりたいとは、官房長官の前だから、そういうことは失礼で言えませんけれども、これはまあ抜きにして考えたときに、大臣のいすを一名増員しなくても、私は、行政はうまくやっていけるのではないか、こう思っております。その点どうですか。
  63. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 先ほど午前中の御質疑でも、副総理格というようなお話が出たりなんかしましたが、身分においては国務大臣ですから同じですが、給料でも上げてくれれば実質的にはそうだと思いますが、ただこれは御参考までですが、建設委員会にかかって、衆議院を通るかもしれませんが、中部圏開発整備法案という法案が、与野党一致で出ております。その中に本部長をつくるということでありますが、その本部長はやはり国務大臣を充てる、こういうことになっております。いま田口さんがおっしゃったような意味ですと、もちろんこれは政治的な国務大臣としての役割りもないことはないから、国務大臣を充てるという与野党一致の御意見だろうと思うのですが、かなり事務的な面が多いだろうと思うのです。科学技術庁長官は、やはりいま科学技術というものは単独なものでなくして、通産にいたしましても、建設にしましても、あるいは郵政にしましても、あらゆる方面に科学技術の尊重がうたわれ、また行政におけるウエートというものは非常に高いんですね。したがって、これが国務大臣でなくして、いわゆる単なる長官として閣議にも出られないという状態であって、はたしてこの全体の科学技術を振興せしめることができるかどうか。ことに与党もそうですが、社会党の皆さんも、科学技術は尊重すべきである、その振興をはかるべきであるというお教えを承っておるわけであります。そういう意味からも、いわゆる国務大臣として待遇することは当然である。ですから、将来、先ほどのいわゆる中部圏の問題ではありませんけれども、その他においても行政事務の分化というものが行なわれるだろう。しかし、もちろんできるだけ国務大臣をふやさずして、類似の仕事は一人の国務大臣が兼務するということは可能であろうと思います。たとえば中部圏の問題、近畿圏の問題、あるいは首都圏の問題、これはさような意味で建設大臣が兼務しておる。ところが、行管長官国務大臣にしないで行政事務だけをやらしておくということになりますれば、これはいわゆる行管の仕事は実際上できません。官房長官はうしろに総理大臣がおるものでありますから、ある意味において今日までやってこられたわけですが、ただ実際上の理屈の上からいえば、これは国務大臣との折衝が官房長官の職務でありますから、しかも実際調整をなさる――皆さん官房長官のところにいわゆる陳情等がおありになるので、その意味でやはり資格を与えておいたほうが仕事がやりよい。御了承願いたいと思います。
  64. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は、資格を与えることに反対しておるわけではない。それは国務大臣をもって充てるということになっておるんだから、必要なら充てていただいてもけっこうなんです。ただ、それがために大臣定員を一名増員するということは、不必要だということなんです。その一つの例を科学技術庁にとったんです。それはいま官房長官お話しになったように、あの答弁どおり科学技術庁の関係はきわめて重要であり、私どももその成果をあげてもらわなくてはなりませんので、その点は何も異議はございません。ございませんが、その長官大臣が、一年交代に交代して何ができるかということです。どれだけ勉強ができるかということですね。その大臣の任期の関係も、やはり臨調ではいろいろ問題になっておりました。こういうようなことも考えてもらわなければならないと思うので、六カ月後に出てくるものは、どういう内閣強化のものが出てくるかわかりませんけれども、こういう点を現在兼務しておられる福田行政管理庁長官、北海道開発庁長官が、どうお考えになっておられるか、自分の体験からお話を承りたいと思います。私は何も支障はないと思う。
  65. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 先ほど来いろいろお答えしておりますとおり、数の問題でありますから、なかなか微妙なものでありますが、ソ連邦が約四十名、それから主要民主国家も大体二十五名から三十名、数からいえば、日本なんか一流国家としては一番少ない部類に属します。しかし、今後の行政あり方、そして内閣機能強化という問題については、いろいろな点で、断定的にいま何人がいいとか、そういうことを申し上げることは差し控えたいと思います。先ほど来申し上げますとおり、あらゆる資料をそろえて、臨調精神をくみながら妥当な、適切な結論を出そうと、いま検討中でございます。  なお、官房長官国務大臣問題につきましては、官房長官自身がしばしばお答えしているとおりで、われわれ今日の政治の段階においては、より適切である、便利である、また効果もあがる。これは絶対論ではありませんので、比較論として是認をいたしている次第でございます。
  66. 田口誠治

    田口(誠)委員 官房長官国務大臣にすることの便利云々については、大同小異、これはそんなに問題ではございませんけれども、せっかく国務大臣になるなれば、これは一番隘路とされているところの内閣総合調整役割りをやっていただく必要があるのではないか。その役割りを若干執務の上においてやらなければならない内容になっているけれども、現在は事実やりにくいということなんです。そこで、国務大臣になればやりいいかといえば、これはぼくは別段やりよくなるとは思わない。やりよくなるということならば、これは午前中に申し上げましたように、副総理格の国務大臣ということになりますれば、予算編成当時の調整等もこの場でやれるわけでございますので、そこまで進んだ場合には、私は成果があると思いますけれども、現在のままで、ただ国務大臣にしたということだけで大きな成果があがるというようには、考えておらないわけなんです。福田行政管理庁長官は、こういう内閣法改正が出ており、定員増というのもしぶしぶお認めになっているのだから、この場で、私は反対である、行管のほうでは反対だというような答弁はできないだろうから、いまのような抽象的な答弁をしておいでになりますけれども、これは実際に理論的に考えていただければ、反対だということは明確であるわけです。これはいままでの、この法案を出すまでのやりとりの経過を聞いてみましても、やはり反対だということで、最後にはやむを得ないから、とにかく官房の業務が非常に繁雑増大をしているのだから、これを消化させるために、この際調整官あるいは報道官を設置し、そして大臣をと、こういうことなんですが、それだけで大臣ということは、これは一番の問題の点ですが、それだけに大臣を持っていかなければならぬということはないと思うのです。どうですか、そこのところがいままでの答弁の中でちっとも明確になっておらない。それは現在二人あるところの官房長官が補佐するだけでは、官房の業務量を完全に消化することができないから、この際官房長官格の特別職を二名つくって、仕事の振り割りを報道と財政経済と振り割って、業務の増大を消化していくという、これだけのことはわかるとしましても、大臣にならなければやりにくいということがわからぬわけです。どうせ大臣になるのなら、先ほど来私が主張しておりますように、これは自民党さんのほうも大賛成のようですけれども、ほんとうに力を発揮するのには、副総理格のものでなければ、これはなかなか思うようなことにはならない、こういうことになるわけでございますので、そういう点について、もう少し私は、大臣になったのとならぬのとどこでどう違うのだ、こういう仕事がこうしやすくなるのだということを具体的に示していただきたい。私どもも、せっかく出された法案ですから、質疑の中で十分に答弁をお聞きしてこの法案の処理をいたしたいと思うので、これはまじめに聞いているのですから、その点をくんでひとつまじめに答弁をしていただきたい。
  67. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 ただいまの田口さんのお話で、内閣官房がいかに忙しいかということは御理解願ったし、したがって、報道官及び内閣調整官が必要であろう、気の毒だから必要であろうという意味での御理解と御了承を願ったことは、まことに厚く御礼申し上げます。問題はもう一つ残っているのですが、国務大臣の点は、これは田口さんが官房長官になってみなさればわかると思うのですが、とにかく内閣官房長官が扱うのは、この法律の中にもありますように、内閣にかかわる重要なる事項について、こういうことになっております。相手はみんなやはり国務大臣なんです。いわゆる事務段階とか、国務大臣同士で、たとえば郵政大臣なら郵政大臣と大蔵大臣の中で調整のつかぬものは、内閣官房長官のところへ持ってこられるわけです。ですからして、当然重要な問題を処理するときに、資格の上で一おっしゃるとおりに、必要があればほかのやつを持ってきて国務大臣にしたらいいじゃないかという意見は、よくわかります。その点は、さように従来の法律はなっておった。ところが、先ほど来申し上げますように、いわゆる世の中が分化して、たとえば先ほど科学技術庁長官はいいじゃないかというお話があったが、なるほど科学技術庁長官は重要な役割りをしているので、やはり国務大臣の必要なことも御理解願える。そういう意味で、官房長官国務大臣同士の、もちろんこれは所掌にかかわる事務ではありますけれども、それの調整の役を買って出て、最終的には判断を下すわけです。こうしてはどうか、こういう最終的な判断を、官房長官現実の仕事としてやってまいっております。そういう意味で、官房長官の資格というものは、やはり大事な条件の一つであろうと思うのです。もちろんこれは、その人によっていろいろな問題がありましょうけれども、いやしくも最近における官房長官の職務から考えてみて、この資格においてもそれを伴うことが内閣調整の仕事を十分に達成せしめるゆえんである、かように考えておるわけであって、なくてもできるのじゃないかと言いますれば、もちろんなくてできないと答弁するわけにはまいりません、内閣の重要なる調整事務をやることが、内閣官房長官の仕事でありますから。けれども、実際問題として、同じ国務大臣の争いごと、あるいは見解の相違を調整する点、そして最終的にはきめなければならない、そういうような立場にある場合は、やはりそれに伴うだけの資格を与えることが必要であるということからして、臨調も当然国務大臣にすべきである、こういう答申が出ております。それなら副総理格にしたらいいじゃないか。ごもっともであって、これは、皆さん官房長官国務大臣官房長官は副総理格である、こう御認識願えれば、そのとおり世の中は通っていくものでありますから、副総理格は、私がきめるのではないのでありまして、皆さんのほうでおきめ願えばよろしいように承ります。その意味において、何といっても国務大臣をつけていくことが、仕事においても能率化され、また仕事がやりいいということは、御理解願えるだろうと思います。
  68. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただぼくらが、官房長官国務大臣になったら、仕事をしてもらうには副総理格が必要だということは、その前提があるわけなんです。その前提というのは、仕事のやれる法律的な根拠をつくっておかなくちゃならない。それには、いまの調整官という財政、経済を取り扱うこの部署が、これは予算編成のイニシアをとるということになっておらないわけなんです。この場で予算編成までのイシニアをとって調整をするということになっていけば、勢いその国務大臣が、これはほんとうに総理の代行ができる国務大臣として置くことが必要であるということになりまするけれども、これはいろいろと行政管理庁あるいは監理委員会等の意見も聞かれて、また話のやりとりもされた結果、そうならなかったわけなんです。だから、単なる事務量増大によるところの、事務を消化する上においてこういう機構新設するのだ、こういうことなんですから、それでは大臣になってもむだである、私はこう申し上げておるわけなんです。  そこで、国務大臣というものは、先ほど御答弁がございましたし、国務大臣各省大臣との関連性をお聞きいたしましたが、国務大臣としての閣議に出たときの態度というものは、これはたとえて言うなら、建設大臣が道路行政に今年のワク内の予算を使うのか、あるいは住宅関係に使うのか、こういうようなときに非常に迷ったり、陳情攻めにあったりする場合があるわけなんです。こういうときに、国務大臣というものは、総合的な立場に立って、それではことしは道路行政本位でいきましょうとか、青少年対策に力を入れましょうとか、こういうことが閣議における国務大臣としての態度、閣議での発言でなければなりませんけれども、どうも閣議内容を聞きますると、セクト的な点が多く出ているようでございます。こういうことでは、せっかくその仲介役をしたり、そうして閣議へ持ち込むまでの前段の仕事をしていただく官房長官が、国務大臣になってもらったとて、これはあまり用をなさぬのではないか、こう考えられまするので、こういう点を解決してもらうには、やはり福田長官の手元でやってもらはなくちゃならぬわけなんです。いまの六カ月後に出されようと検討されておる検討内容は、ただいま私の申し上げましたような点が消化されるような方向に行っておるのかどうかということを、ちょっと早いですけれども、念を押しておきたいと思います。
  69. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御意見は、貴重な参考意見として拝聴いたします。
  70. 田口誠治

    田口(誠)委員 福田行政管理庁長官は、きわめてことばの数が少ないだけに、この法案に対しては非常に苦しい立場に立っておられる。その立場は私は了解をいたします。了解をするだけに、先ほど来私が、各新聞社が社説とか、あるいは論文なり一般記事で出しておりましたように、この法案ぐらいいろいろと文句をつけられておる法案はないわけなんです。先ほど申しましたのは、中央新聞を切り抜いてきて申し上げましたけれども、私のほうの地元の中部日本新聞社にしても、岐阜日日新聞にしても、こういうような問題については、それぞれ適切な主張をいたしておるわけなんです。したがって、それだけにこの問題に対しては、私どもはほんとうに効果のあるような行政改革を行ないたいという考え方から質問を続けておるわけでございまするので、その点はまじめな態度でひとつお答えをしていただきたいと思います。  そこで、報道官というのが今度できるわけなんです。報道官というのができまするが、よく心配をされておりますることは、内閣官房に報道専門の官房長官ができるということになりますると、これは場合によっては言論の抑制、圧迫というようなところまでいくのではないかという、戦前のことも頭に浮かべながら心配をされておるわけなんですが、こういう点については、この際明確にしておいていただかなくてはならないと思います。
  71. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 これは法案の中でも明らかにしておりますように、「第十二条第二項の事務のうち広報に係るもの」ということで、新たに仕事の内容を付与しておるものではありません。従来の第十二条第二項による広報にかかわるものということで、従来の仕事になお特別な任務を与えるものではない。実情を申し上げますと、最近、御承知のように、内閣総理大臣を訪問する外国人も非常に多いのであります。また、いわゆる官房長官がしゃべるべき場合も非常に多いのです。現在大体の記者会見の時間は、正規のものが、原則として十時半、十二時、四時、夜の九時、四回あります。そのうちで、もちろんこれは官房長官がいろいろ会って、記事のバックグラウンドになるようなことまで話さなくてはならぬような場合もあります。そうして総理に会う人も、いろいろ雑多な人がありますから、その場合の報道に関しますと、もし一切がっさい私が総理大臣が外人もしくは皆さんにお目にかかるのに立ち会うというのでは、どうもこれはほとんど仕事になりません。したがって、ものによっては報道官が私のかわりに総理の会見に立ち会ってその報道の仕事をつかさどるということが、事務上からいくと、実際上のあんばいになるわけであります。この法に規定してありますもの以外に、しかもこの法律が従来やっております「広報に係るもの」というだけでもって、決して新しいものを全然付加しておりませんので、いわゆる報道管制とか、あるいは報道に対する言論の自由を圧迫するとか、さようなことは絶対にあり得ないことでありまして、私自身もいわゆる自由主義者でありますから、ものは自由にしゃべるというたてまえで、決して隠したりしておるようなこともありませんので、さような御心配は全くないと御了承願ってけっこうでございます。
  72. 田口誠治

    田口(誠)委員 その点は、ただいまの答弁どおりであればいいと思いますが、とかく戦前のことも頭に浮べたりして心配をされている向きがありますので、ただいまの答弁の範囲内を出ないような管理をしていただくことが、もしこれが通るとすれば、必要だと思うのです。そこで、行管のほうに念を押してお聞きしておきたいと思います。  行政監理委員会のほうでいろいろと検討をしていただいており、先ほど答弁のありましたように、ほとんど常勤をしていただいておる方もあるわけなんです。ここできまった方針というのは、福田長官のところの行政管理庁としては、その結論を受けて立つというのがこれが基本になっておりますので、大体そういう方向はおとりになるかどうかということも念を押しておかなければ、ちょうど昭和四十一年度の予算編成のときに行政監理委員会のほうから出された方針と、そして本案と少しく相違のあるところがございますので、この点も私は明確に確認しておきたいと思います。
  73. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 行政監理委員会委員長行政管理庁長官は兼ねております。したがいまして、委員会決定については委員長としても責任があります。同時にまた、行政監理委員会の性格の問題ですが、他の審議機関あるいは調査機関と違いまして、諮問に答えるだけではなくて、みずからの発議で行政管理庁長官を通じて総理に進言し得るという積極的な役割りを持ち、権限を持たされております。したがいまして、監理委員会決定につきましては、尊重ないし尊重以上の効力と申しますか、責任を私どもは持ちまして、実行するつもりでございます。
  74. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、先ほどもちょっとお伺いしたわけでございますが、昨年の十二月の二十三日に行政監理委員会は、四十一年度の予算編成にあたっては、昭和四十年度に引き続いて、四十一年度以降欠員のあった場合でもこれを補充しない、そうして各省間の配置転換によって処理をする方針が打ち出されており、また閣議においても、部局の新設増設はしないという決定も、昨年行なわれておるわけなんです。そういう中において、非常に問題になるところの、この内閣法改正をこれだけお認めになったということは、先ほど答弁はいただきましたけれども、あの程度のことで行政管理庁長官としてお認めになるということは、少し軽率ではないか、こういうようにうかがわれたわけなんです。将来のこともありますので、もう一度その点をはっきりしておいてもらわなければ、監理委員会結論としては、基本方針としてそれを尊重するということになっておる。同じ長官委員長をやっておいでになるのだから、その結論を踏襲するというお考えでございますけれども、今回の内閣法改正だけは、どうもそのとおり実行されておらない向きがございますので、その点をやはり明確にしてもらわなければ、何回りっぱなことを答弁されましても、実際的にそうした行動がなされないということになりますれば、せっかくつくった行政監理委員会の成果も何にもならないということになりますので、特に行政監理委員会をつくった経緯は、一番最初官再長官が申しましたように、臨調答申というものがあったけれども、しかし、これはなお行政監理委員会において、そのことも含めていろいろと検討していただいて、そうしてりっぱな結論を出していただいて、それを具体的に法律化をしていくのだ、こういうことでございますけれども、そうなっておらないから、私はどうもおかしいと思うのです。その点をやはり明確にしていただきたいと思います。
  75. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 午前中の委員会でお答えしたとおりでありまして、原則としては、四十一年度予算編成方針に対する原則の柱を立てまして、しかし、やむを得ないのも、あるいは必要にして緊急的なもの、これは例外として定員増ども認めております。特許庁あるいは公取委員会、こまかい問題でありますと、看護婦の問題といったようなことは、例外的にむしろ大幅な増員をしている、こういう点でありまするから、この問題も最初お答えしたとおりでありまして、内閣機能強化という臨調の論旨からいえば、われわれは反対なんでありますが、単なる官房の事務増に対する行政措置という点につきましては、賛意を表したわけであります。  なお、少し話はくどくなりますが、われわれはいわば指揮権、命令権的な司法権的な力のない並列的な官庁でありますので、私どもの立てた原則なり決定がそのままに行なわれぬ場合も、やむを得ず想像しなければならぬ点もございます。先ほど官房長官の言われた中部圏の開発の問題につきましても、行政監理委員会行政機関としての整備本部の設置には絶対反対だ、しかし国会の決議でやむを得ず認めた、こういう例もあるわけであります。しかし、あくまで原則原則として今後も忠実に最大の努力をいたしたいと思っております。
  76. 田口誠治

    田口(誠)委員 そういう点は、川島正次郎先生が長官をしておいでになるときに、相当の各省の抵抗があっても、りっぱな行政機構改革をやらなければならないし、やってみせるという態度をお示しになったわけです。したがって、行政管理庁長官は、これも副総理格でやらなければならないのではないか。このことは、いま福田長官お話しになったように、われわれとしては絶対反対だったけれども、こう押し切られた、こういうことでございますが、それでは私はだめだと思う。ほんとうの日本行政の隘路打開、すなわち行政改革、これは各内閣がなそうとしてなせない問題であるわけなんです。なそうとしてなせないということは、各省ごとに相当セクト的なものがあるということ、それからもう一つは、監理委員会なりあるいはいまの臨時行政調査会なりが、あれだけ真剣に取り組んで結論を出したものを、聞くところによりますると、官僚の方が、これは内部事情を知らぬ者がこういう結論を出したのだ、こういうようなことまで口ばしっておられるということを聞いておるのでございますが、それではいつまでたっても日本行政改革はできないと思うのです。官僚は官僚としての感覚でものを処理しようとし、あるいは政治家は政治家としての立場において処理をしようとしたときに、官僚と政治家が衝突をして、そうして現在の場合では、先ほど来申しておりますように、どの省の大臣を例にとってみましても、内容はわからぬから政府委員答弁をさせます、局長から答弁をお聞きすると、内容がよくわかっておる、こういうようなことなんです。それでも一年一年に交代なんです。選手交代なんです。こんなことでは、私は絶対にいけないと思います。それを私が二年交代にせよ、三年交代にせよということは、思っていても、こういう場での主張はできませんけれども、いまの実態を何とかやはり変えていかなければならないということだけは、これはどの政治家もお考えになっておると思いまするので、こういうような点の非常にむずかしさはあろうけれども行政管理庁長官が勇気をもって、やはり反対するものは反対をして、そして実行するものは実行し、このなそうとしてなせなかったところの行政改革の大業をなしてもらわなければならないと思うので、もう少しそういう点に何か方法はございませんですか。主張してもだめだったということになったら、これはいつまでたってもだめだと思うのだが、これはどうですかな。
  77. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 これはもう先ほど申すとおりで、自画自賛でまことにお聞き苦しいと思いますが、私も、就任以来まだ一年になりませんが、その間、臨調答申の具体化につきましては、最大の努力をしたつもりであります。絶後とは申しませんが、空前に近い実績をあげたものと確信を持っております。たとえば三十四の審議会の整理、二十一にのぼる特殊法人を一切認めなかったこと、あるいは行監の発足にあたりましての各具体的な行政刷新の調査構想、あるいは行政監察、あらゆる点につきまして、具体的に着々実行してきておるつもりでございます。ただ問題は、実にむずかしい大きな問題をかかえておるわけでありまして、特に内閣強化の問題は、歴代の長官が、総理の指導のもとに、非常に苦心をされてもなかなか解決しない。いま地方事務官制度の問題がそろそろ解決に近づいておりますが、この問題も、二十年近くなかなか解決がついておらぬ一つの問題です。内閣の問題につきましては、今後全力をあげまして、先ほど申しました主査も設けまして、昨年から掘り下げてやっておるわけであります。全然新しい観点から、来月また千名以上の者を動員して行政実態調査をやる。その背景のもとに合理的な裏づけをいたしたいと努力中であります。  なお、この案につきましておまえ反対ではないかという誤解がございますので、再度お答えいたしますが、臨調の唱える内閣強化の線から見たら、われわれは反対、しかし、それは先ほど申すとおり、そうじゃなくて、補佐官という名称すら避けたぐらいの配慮がありまして、官房における行政需要の激増に対する手段、例外的な定員増加という点で賛成をしたので、これは内閣決定でありますから、もちろん私も国務大臣として賛成したわけであります。反対ではありませんので、その点分けてお考え願いたいと存じます。
  78. 田口誠治

    田口(誠)委員 この問題で総理大臣までおいでいただくということは、非常に困難だろうと思いますが、私は、これを審議する場合に非常にジレンマにおちいりましたことは、一番最初に私が申しましたように、予算委員会で吉田委員質問に対して、臨調の行革に対するポイントは、今度相当のくふうをしてこの国会に提案しておるから、慎重審議をお願いをいたします、こう言っておられるわけなんです。あの答弁からいくと、総理が、この内閣法臨調答申を具体化したもののように誤解をされておいでになるようにうかがわれるわけなんです。だから、いま福田長官がるるお話がございましたが、これは現状のままでは同じことを繰り返すだけで何もなりませんし、特にこの内閣法改正が問題になりますことは、行政監理委員会結論、それから臨調答申、こういう点から考えてみますれば、一番おひざ元である内閣官房のいうことだけ認めたというところに、何だか行管が弱いというように受け取れるわけでございますし、逆に申しますれば、官房長官が強引であったようにも受け取れるわけなんです。したがって、こういうところから、この法案が提出された時期から報道関係も非常に問題にしておるわけでございますので、いまのままでいくなれば同じことを繰り返すのだから、これからどうするかということなんです。佐藤総理ですら、これは臨調答申を具体化した法律案というような錯覚を起こしておいでになる。それだけに、この問題は十分に質疑応答をして検討する必要があります。それでいままでの答弁をお聞きいたしますと、福田行政管理庁長官としては、立場上非常にりっぱな考え方を持っておいでになります。けれども閣議では横やりが入ってなかなかそれが通らないというのが、現在の実情であるわけなんです。その裏は何かといえば、各省庁というものがセクト的な考え方を持っておるのだ、実際に内閣強化というものはどうあるべきかという、国務大臣としての立場に立っての発言が少なくて、やはりセクト的な考え方での発言が多くて今日の提案になったように、経過的にお聞きをして私は考えられるわけでございます。そうあってはなりませんし、将来のことがございますので、私はくどいようでございますけれども、将来こういうものをどう消化していくのか。それはいま検討中である、監理委員会検討してもらっておる、六カ月先でなければ発表できないというところまではお聞きしておりまするけれども、実はその内容が、ただいま私の心配しておるようなことが完全に解消できるような内容で進められておるかどうかという点が大いに疑問であるわけで、くどいようですけれども、これはお聞きをいたしたいと思います。この点、官房長官はおそらく総理大臣答弁をお読みになっておいでになると思いまするが、ちょっと錯覚をしてみえるのではないかと思うのです。どうなんですか。
  79. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 ただいまの田口さんの御質問は、たぶん二月の十七日ですか、予算委員会の吉田さんの質疑に対する答弁でありますが、これはこう言っております。「ただいま言われますもう一つ臨調のポイントである内閣補佐官制度、これはいろいろくふうをいたしまして、もう法案も出したかと思いますが、こういう点でも御審議をいただきたいと思います。」こういうところだと思うのです。実は総理答弁なされましたときは、まだこの内閣法の一部改正法案を出す時期に至っておりません。決定しましたのが二月二十五日でございます。実は、この前のほうをごらんになってみればおわかりになると思うのですが、内閣補佐官制度を置いて一予算局をつくって、予算内閣がやるということについては、なかなかむずかしい問題があるということを総理が言っておられます。そして、次に内閣補佐官のことを触れておるわけなのですが、総理が言われましたことは、先ほどから田口さんがおっしゃっておるように、いわゆる内閣制度強化、それは当然予算編成権をやらなければだめじゃないか、こういう御意見であります。その御意見に対しては、総理答弁において、予算局を別につくるということは、いろいろな意味でまだ検討を要するのじゃないか、こういう趣旨のことを言っておられます。そしてそれとは多少切り離して、内閣補佐官制度ということについて答えをしておるわけなのです。当時総理予算委員会答弁をいたしております際は、なお検討中でありまして、いわゆる予算の問題は後日の問題として、この補佐官制度というものがこれにうまく適用できるかどうかということについては、当時事務当局におきましても、総理と私の間でも、いろいろ検討を重ね、その上福田行管長官意見も徴したりなんかしておった段階でありまして、その段階であります点を総理は申し上げたのでありまして、多少結果的には名称等が変わってきた。したがって、午前中から田口さんがおっしゃったような内閣補佐官制度というもの、内閣強化というものは、予算局というもの、予算編成権を持たないのは意味がないのじゃないか、こういうこととは、少し総理答弁は違うのであります。前段のほうを少し読みますと、「ただいまの予算編成にあたって、予算局をつくるか、予算局をつくらないまでも、予算閣僚会議を積極的につくったらどうか。もう一つは、内閣補佐官制度だ、かように思います。ずいぶん古くから予算局をつくれという主張がございます。これは、今回の臨調の報告だけではございません。またそういう意味で、もう自民党におきましてもずいぶん古くから研究されております。しかし、なかなかこれも結論が出てこないんです。これは、私が吉田君に申し上げるまでもなく、たとえば歳入のほうを別にして、歳出ばかりの予算局をつくって、それではたして動くだろうかとか、こういう問題に実はぶつかるのであります。」こう言って、予算編成権内閣に直属せしめることがいいかどうかという結論には、まだ内閣としては到達しておらない、こういうことを総理は言われております。そこでこれとは切り離して、いわゆる補佐官制度というものを別に申しておるのです。この面については、どういうことによって事務能率をあげるか、あるいはこういう多様化したものをどういう形で処理するかということは、間もなく法案が出るであろう――もう出たかと思いますというのは、近く出るであろうという意味であろうと思いますが、それがいろいろ検討の結果、今日出しましたようないわゆる内閣法の一部改正ということで結論を得た、かように御理解願えればけっこうだと思います。
  80. 田口誠治

    田口(誠)委員 佐藤総理答弁官房長官が解釈をして答弁をして、御理解願いたいということでございますけれども、これは質問者の質問内容から検討してもらえばわかるわけです。この吉田さんの質問は、内閣強化というこの臨調答申に対して、佐藤総理はどう取り組んでおるのかという意味の質問を行なっておる。そこで、なお強調いたしておりますることは、予算編成最終段階における猛烈な予算のぶんどり合いを規制していく上においても、内閣強化が必要であると考える、こういう主張をして総理答弁を求めておるわけであります。そこで、総理答弁は、いま速記録を読まれたような答弁ですけれども、その中には、臨調答申のポイントというものは結局補佐官制度であって、この問題についてはいろいろくふうしておるのだ、そうして本国会に提案した――これは、したと思うがでしょう。したと思うが、御審議を願いたい。総理は偉い人だから、こまかい、提案しておるのかしかけておるのか、そこらのことは違っておってもやむを得ませんが、自分の考え方として、御審議を願いたいということでございまするので、結局臨調答申のポイントを今度の国会内閣法改正で出されるものと解釈をしておられたというように、私どもは受け取っておるわけであります。それとは全く違うということがきょうの質疑応答の中で明確になったのだから、そういう内容のものですから、私はこの案は案として、将来の日本行政機構改革の問題を処理していく上においての取り組み方、これはやはり一貫して政府としてはりっぱな考え方を、また真剣な考え方を持っていただかなければならないと思うのです。そういうことからお聞きをしておるわけです。
  81. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 田口さんのお話はよくわかります。私も午前中答弁をいたしましたが、いまこの問題を、現行法の改正法律案という段階の考え方と、政治的な観点から申し上げますと、こう午前中申し上げております。政治的な観点から言えば、今回の改正案は、将来の内閣強化の線に長期的にはつながるものと思う。しかし、いま事務的に言えば、法律改正の面だけで言えば、この繁雑な事務をいかにして能率的に処理するかというところにある、こういうことを申し上げましたのは、一つの含みを持って申し上げたと私は考えておるのであります。そのあとにおきまして福田行管長官から、臨調答申案については引き続きまつ正面から取り組んで、いわゆる内閣強化といいますか、もっと広く言えば、行政全体の改革という面からとらえてこれをやっていきたい、それが半年なりの先においては結論を得ることができるであろう、こう答弁をされております。私自身も、行政というものは、ある一部だけが動き出しても全体が動かないものでありますから、これは全体の行政改革という大きな青写真のもとに、内閣がどうあるべきかということでなければならぬと思うのです。内閣だけの問題が、たとえそこで新しくできましても、必ずしもこれで行政全体が動いていくわけではない。もちろんこれは重要なポイントであります。その意味において、やはり近代的な行政機構というものをつくり上げるためには、まず多少の時間はかかりましても、国全体が中央地方の行政機構という大きな青写真のもとにおいて、中央の機構はどうあるべきか、また地方の機構はどうあるべきかという大観的な立場からものをきめていかなければならぬ、こういう意味で、政府は決してこそくなる態度をとっておるわけではありませんでして、近代日本行政あり方という面から、田口さんのおっしゃるような貴重な御意見を十分に参考意見といたしまして積極的にやってまいりたい、こういう熱意を持っておることをひとつ御理解願いたいのであります。
  82. 田口誠治

    田口(誠)委員 これはもちろんその点に熱意を持っていただかなくちゃなりませんが、佐藤内閣の政治の姿勢というものは、事務に少々支障を来たしても定員不補充の方針、局部の新設増設をしないというのが方針である。これは先ほど福田行政管理庁長官お話しになりましたように、その方針ではあったけれども、万やむを得ないものについてこれこれを認めたというお話でございました。これはその中には当然認めてもらわなければならない内容のものもあったので、私はその点はいいと思いますけれども、事内閣の一番おひざ元の内閣官房長官大臣への昇格やら、そうして報道官調整官の新設の問題をこの国会に出されたから、他を押えておひざ元の言うことを聞いたというところに大きな疑惑もあるわけなんで、それほどまで内閣官房がこの一年間しんぼうができなかったものか、半年たてばりっぱな結論が出てくるものを待てなかったものかどうかという点が、いまだに私の頭のほうでは消化して整理ができませんので、その点もくどいようですけれどもお伺いをいたしたい。
  83. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 先ほど来申し上げました青写真をつくる必要がある、これは御了承願ったようでありますが、家を改築する場合も、まず雨が漏っているところを先に直さないとみんな腐ってしまいますから、そういう意味では、雨漏りのところがそこにもあったということでありますが、事実また皆さんとおつき合いしておりまして、御承知のように、皆さんから党の申し入れあるいは陳情あるいは御意見、これは与野党を問わずまいります。その場合に、私自身としては、やはり国政というものは各方面の意見を聞いてそれを反映したいという気持ちがありますから、できるだけ長時間をさいてお目にかかって意見を聞く。それを官房長官としてはできるだけ各省大臣にも通じ、また調整をしていきたいという努力をいたしております。ところが、実際問題として皆さんの場合にも、とても時間がないからあしたにしてくれとか、いや一分でも二分でもいいんだからというような非常にせっぱ詰まった状態になっておる。事務の複雑化というものと事務量の激増というものが非常に切迫しておって、ほんとうに仕事をするならば、半年も待っておれないというような気持ちに私なっております。官房長官役割りは、単に閣内の事務の調整ばかりでなく、政治的の意味をいえば、与野党の皆さんにお目にかかって十分御意見を聞いて、これを政治の上に反映するというのも大きな役割りだろうと思っておるのでありますが、そういう意味ではこういう事務を私が一から十までやっておる状態、十数時間勤務をやっておる状態ではほんとうの仕事はできない。こういう意味で、能率の増進、またせっかくのデモクラシーの本源をぜひとも内閣を通じ実現したい、こういう意欲でありますので、ひとつ皆さんの御理解を得て、満場一致御承認あらんことを、心からお願いを申し上げる次第であります。
  84. 田口誠治

    田口(誠)委員 報道官調整官を設置をして事務量の増大を消化していく、この事務量の増大は、グラフに書けばどの程度か私にはわかりませんけれども答弁からいきますると、相当増大してもてあましておるというような表現であるわけです。だから、そういう場合には、それぞれの手を打っていただくということはいいと思いますが、それともう一つは、官房長官大臣でなければ仕事がやりにくいということも、それはお話しになっておるからそういう点も痛感されておると思いますけれども、しかし、内閣総合調整ということから考えてみますると、大臣の増員は総合調整には逆行する結果になるものだ、こういうことになっておりますので、したがって、どう考えましても、大臣を一名増員するということは、私どもとしては了解ができないところでございます。  そこで調整官の仕事というのは、これは大ざっぱにいえば財政経済関係を担当するということなんですが、いまどこでどういうような人たちがやっておることを今度専門に官房長官格の人がそれを掌握してやられるのかどうか、これをひとつお聞きをしたいと思います。
  85. 竹下登

    ○竹下(登)政府委員 いまどこでだれがやっておるかということになりますと、率直に申しまして内閣官房長官がやっておるということになろうかと思います。ただ、具体的な仕事といたしましては、午前中官房長官からお答え申し上げました十四の閣僚協議会――整理統廃合をいたしまして今日十四の閣僚協議会があります。もとよりそれの司会役は官房長官がやられるわけでありますが、それ一つを行なう事前に、主として各省事務次官をもって構成をいたしております幹事会を行ないます。その幹事会は、一回の閣僚協議会に対しておそらく四回程度の幹事会を持ちまして、そこで総合調整のつとめをやっていくわけであります。そういう問題の、特に財政経済に関する幹事役を調整官が引き受けてやる、このようになるわけであります。
  86. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、どう支障があるかということをお聞きしたいのです。
  87. 竹下登

    ○竹下(登)政府委員 率直に申しまして、十四の閣僚協議会をちょっと参考までに読み上げてみます。経済関係閣僚協議会、治安関係閣僚協議会、基地問題閣僚協議会、交通関係閣僚協議会、過密都市問題閣僚協議会、外交関係閣僚協議会、以下、閣僚協議会ということばを省略いたしますが、体力つくり関係、臨時同和問題、臨時麻薬対策関係、地価対策、沖繩問題、臨時新東京国際空港、臨時物価対策、日本万国博覧会関係、以上十四閣僚協議会がございます。そして、それぞれの開かれた回数、これはいまちょうど手元にございませんが、実際問題として、これらの閣僚協議会を私どもが日程にはめていきますと毎日やっておるような感じすらいたすわけでありますが、それの四倍に値する幹事会をやりますと――石岡副長官が主としてこの幹事会を主宰するわけでございますけれども、手があいておれば、われわれもいろいろ手伝ったりいたしますが、一日の日程表をごらんに入れると非常によくわかるのでございますけれども、八時半に私ども参りまして、六時までの間、その幹事会が一時間刻みにぎっしりと続いておる、そういうふうな御理解をしていただいたほうがよくはなかろうか。その場合、率直に申しまして、体力的な限界もございますし、また、それぞれの結論に基づいたところの草案をつくるための努力等から申しますと、私は、事務量の処理能力は限界に達しておるというふうに考えております。そのほかに、まだ月曜日、木曜日は事務次官会議がそれぞれありますし、また、木曜日の午前中には政務次官会議がございます。その事務次官会議、政務次官会議は副長官が主宰するわけでありますが、それらのことを私も一年半やってみて、官房長官あるいは閣議でそう御理解をいただいたからこの法案の提出の運びに相なったわけでありますが、その事務量の激増はまさに飽和点に達しておるというふうな感じが率直にいたしております。
  88. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 ちょっと補足で申し上げますが、田口さんからどんな効果があったかというお話で、一つの例を申しますと、たとえば、松代付近の地震ですね。これはやっぱり臨時に協議会をやりました。最初は閣僚協議会をやってそこでやったんですが、あれがもしばらばらだったらこれだけの対策はできなかったと思うのです。たとえば地震保険などというものもこの協議会から生まれて提案するに至った。あるいは、災害が起きたのではないにもかかわらず、予備的措置として、学校の仮校舎を別につくることができるとか、非常に効果があがっているのです。ですからして、内閣が中心になって現在は予算の使い方をやっておるという意味では、先ほど来から田口さんがおっしゃったような意向にも通じておるわけで、これは皆さん非常によくやってくれるとおほめ願ってもいいくらいに仕事はしておりますので、これはひとつ満場一致で御賛成を願いたい、こう考えておるような次第であります。
  89. 田口誠治

    田口(誠)委員 仕事はたいへん御苦労さまです。そこで、特殊なところは行管のほうでもお認めになってみえますけれども、その他のところでも、実際に定員増を認めてもらわなければ事務はなかなか消化していかないというところもストップされておるわけなんです。これは内閣官房だけではないのです。ただ、内閣官房内閣のひざ元におって強力に主張されたから獲得されたと思いまするけれども内閣官房だけではないのです。だから、そういう一つ行政管理委員会なりあるいは行政管理庁長官の基本方針にのっとってやろうとしておることを、あなたのほうは強く主張されて法案提出まで獲得されたわけなんです。だから、おひざ元からそういうような火の手をあげるくらいなら、他の重要な部門についても定員増を認めてやる必要があるのではないか、こう私は考えております。そういう点を比較対照して、内閣官房だけ事務量が増大したということだけでその一法案提出までに至ったということについてどうも納得ができませんし、これはどこまでいっても私の了解のできないことは――官房長官大臣をもって充てることができるとなっておるのだから、必要なら充ててもらってもけっこうですけれども大臣をふやすということは、今後の総合調整には逆行することになるのだから、このことに対してはやはり反対をしていかなければならないと思うわけです。先ほど福田長官のほうからお話しになりましたが、私どもは、六カ月後にこういう方針でいくという点があまり明確でありませんし、私が主張をしておる点についても、官房長官も参考にして将来の機構改革していきたいという考え方もお持ちでございまするので、私はそういう点に大きく期待をきょうのところはいたしておきたいと思います。
  90. 木村武雄

    木村委員長 岩動道行君。
  91. 岩動道行

    岩動委員 同僚の委員各位また政府皆さんには、長時間にわたってたいへん恐縮でありますが、私は、きわめて簡単に今回の内閣法改正について若干の点を明らかにしていただきたい、かように考えておるのであります。  内閣法改正は、政府の中枢部に関するきわめて重要な法律の中身を持っておりますので、特に官房長官行管長官を中心に見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。  まず第一に、臨調内閣機能強化ということが最大の問題として取り上げられたのでございまするが、この臨調答申に基づいて、今後約半年ぐらいの間に何らかの結論をお出しになるということは、先ほど田口委員に対する政府の御答弁でございましたが、しかし、それまでの間におきましても、政府立場としては、内閣機能を十分に発揮して、そして総理行政指導力あるいは権限を十分に発揮して政治を行なっていかなければならない、かように考えるわけでございます。特に戦後の総理大臣というのは、大臣の任免権あるいは解散権というようなきわめて強大な権限を持っておる立場でございますので、今日の時点におきましても、内閣機能強化をはかってまいるためには、総理大臣立場というものを十分に活用していく必要があろうかと思います。この点についてまず政府のお考えをこの際明らかにしていただきたいと思います。
  92. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御指摘のとおり、内閣機能の問題は、中枢的な重大な問題でございます。臨調もこれを最大重点の一つとして取り上げておることは御承知のとおりでございます。したがって、昨年からやっておりますが、今後も引き続いて臨調立場に応じて内閣機能強化を本質的な問題として取り組んでまいりたいと思います。  なお、これとまた別個に、いま言われたような、総理大臣を中心とした内閣行政上の事務的な効果をどうしてあげられるか、そういう点については、当然ケース・バイ・ケースで適切な強化の策を講ずることもまた当然と考えられます。両方並行して今後もやってまいりたいと考えております。
  93. 岩動道行

    岩動委員 そこで、今回の法律改正では、官房長官機能強化すると申しますか、立場強化して、そして内閣法第十二条に規定してありまする職務を十分に発揮していく、こういう内容を持ったものだろう、かように思うのでございます。ところで、この法律改正の当初の段階におきましては、内閣機能強化というような点が新聞等に出まして、いろいろと世間の誤解を招いたわけでありますが、先ほど来の政府側の御答弁によって、これは内閣機能強化を目的とするものではなくて、事務量増加に対処するものである、このような御答弁でありました。しかし私は、官房長官国務大臣にするということは、これは先ほど官房長官もお答えになっておりましたが、長期的な観点から見るならば、やはり内閣機能強化第一歩でもある、かようにも理解されるわけでありますし、さらに内閣の中枢であり、従来内閣の大番頭ということばでよく表現されておりますように、官房長官、昔の内閣書記官長というものは、きわめて重要な政府においての役割りを果たしてまいってきておるわけであります。したがって、官房長官の地位を強化するということは、必然的に内閣機能強化することにも結びつくもの、かように私は理解をして、したがいまして、今回官房長官国務大臣をもって充てることができるのではなくて、官房長官は当然国務大臣である、こういうお立場をとることは私はむしろおそきに過ぎたのではないか、かようにも理解するのであります。  ところで、先ほど来ややもすれば、単に事務量増加というようなことだけで御答弁がありますので、私は、その点は内閣調整官あるいは報道官についてはその説明は当たるけれども官房長官国務大臣にするということについては、単に事務量増加ということだけでは説明が十分ではない、もう少し大きな機能強化内閣の大番頭としての強固な地位をはっきりとさせて、そうして調整機能を十全ならしめる、こういう意味があるかと思うのでありますが、官房長官のこの点に対するお考えをはっきりとお示しいただきたいと思います。
  94. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 岩動さんのおっしゃるとおり、私も午前午後の答弁にわたって、長期の観点からいえばやはり内閣機能強化につながるものである。ただ臨調でいうておるような意味での内閣強化とは事が違うけれども、一歩、二歩前進という意味で、長期的な観点からいえば一種の内閣機能強化にもなり、それがまた中央政府といいますか、行政機構の中の中央における行政形態の前進を意味するのだということを申し上げましたが、その点におきましては、岩動さんがおっしゃるとおり、全く同感であります。
  95. 岩動道行

    岩動委員 そこで私は、官房長官の大きな役割りは、何といっても政府部内におきましていろいろな問題に対する強力な調整力を持つということにあろうかと思います。と同時に、国会等、対外的な折衝窓口にもなるという意味において、その地位はきわめて大事であると思います。これは重ねて申し上げるわけであります。特にまた議員内閣制度、政党内閣でありまする関係上、政策の調整の面においても、官房長官はきわめて重要な窓口としてその役割りを果たしていかなければならない、かような意味におきましても、その地位を強化するということは当然である、私はかように考えておるわけでありまして、ただいまの官房長官の御答弁を了といたすものでございます。  先ほど来の田口委員質疑を通じまして、大臣をふやすことがよくない、他の国務大臣の数をもって充てればいい、こういうお話でもございましたが、私は、内閣の構成員である国務大臣あるいは行政長官としての大臣をふやす、あるいは減らす、これを固定的に考える、あるいはいたずらに押えるということが、はたして政治行政上正しい考え方であるかどうか、この点についてはむしろ疑問を持ち、積極的にこの流動する社会、経済に対応して、政府行政機構大臣の数もそれに応じて流動的に考えていくべきものではないか、かように考えるのであります。特に今日において住宅がきわめて大きな国民の問題になっております。したがいまして、この際、住宅大臣をつくるとか、あるいは中小企業の問題が大きいので、これは社会党のほうからも中小企業省設置法を提案しておられる。したがいまして、中小企業大臣も必要である。こういうことも出てくる。あるいは、水産国としての日本におきましては水産大臣も必要ではないか。こういうように考えてまいりますと、私は必ずしも、大臣の数を制限することだけが正しい政治である、こういう見方はとらないのでございます。イギリスにおきましても三十七人の大臣がおります。そのうち二十一人がインナーキャビネットの閣内大臣であります。あるいはフランスにおきましても二十六人、ドイツは二十一人、イタリアにおきましては二十三人。議院内閣制をとっております先進ヨーロッパ諸国においては、大臣の数はかなり多いのであります。これも一つには、何と申しましても、今日の社会がきわめて複雑であり多様化してきておる。しかも高度の科学的な技術も知らなければならない。こういうように行政が多元化してまいっておりますので、その意味におきましては、行政省もその時代の進展に即応してふえてもいいのではないか。したがって、逆に統一を保つ意味での機能強化、つまり調整機能を十分に発揮するという問題も始めてそこで出てまいる、かように考えるのでございます。国務大臣をふやして時代の進展に即応するような行政機構をつくることを今後十分にお考えいただかなければなりませんが、政府におきましても、いたずらに固定化した、減らすとか現状維持でいくということが正しい政治であるというような考え方でお進みになるのか。国民のためになる政府をつくるという意味において、もっと流動的なお考えを持って今後処理をされていかれるのか、この辺についてのお考えを伺っておきたいと思います。
  96. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 全く御指摘のとおりでありまして、先ほどお断わりしたゆえんのものは、数字的なものさしで断定することは危険である。したがって、臨調もやはり数字につきましては断定を下さなかった。調整能力につきましても、細分化し専門化することによって、むしろ簡易化する場面もございます。したがって、一律には申せませんが、流動的に絶えずその時代における、また生きた、情勢の変化に応じた考えを持つべきであるという考え方には同感でございます。
  97. 岩動道行

    岩動委員 将来の問題として十分に御検討いただくことにいたしまして、次に内閣調整官の問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。  先ほど来の御答弁によりますと、閣僚協議会が十四あって、これの処理に非常に時間がかかって足りないということから、その中の特に財政経済に関する部分を担当させるというようなお考えに承ったのでありますが、それも私はたいへんけっこうだと存じます。しかしながら、予算編成期においていろいろな大きな政策問題について混乱が起こる。しかも予算の概算要求が出されてからかなりの月日があるのでありますけれども、どさくさ的な感じを与えるようなかっこうで大きな政策が決定され、予算が計上される、こういう姿はやはり好ましいものではない。そういう意味におきまして、私は、この財政経済に関する内閣調整官という役割りは、単に協議会の仕事の幹事役をやるというだけではなくて、予算編成の前に、どういう問題をどのように処理してまいるか、どういう政策を樹立するのか、財政経済に関する限り、この内閣調整官が事前の調整を行ない、あるいは政策を樹立する原案をおつくりになる、こういう前向きの役割りも果たすべきではないか、かように考えるのでありまするが、その辺はどのように内閣調整官を活用されるお考えであるか、承っておきたいと思います。
  98. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 御承知のように、いま、もちろんこれは法制上のものではありませんけれども、経済政策会議というものを不定期に持っております。これはまあ昨年の例で申しますれば、予算編成の事前に、予算編成方針をどうすべきかということをこの経済政策会議決定をいたします。これは大蔵大臣、通産大臣、農林大臣、経済企画庁長官、それに総理大臣官房長官がメンバーであります。ここで来年度予算一つ方針をきめるわけですが、その際には、従来はどうしてやっておったかといえば、まあ事務的にはやむを得ず審議室長なり、あるいは内閣官房長官も加わって準備を進める。これはほんとうは、実際上からいいままして無理なんです。そこで、こういうような問題をからめますと、当然専門的にそういうものを補佐するだけの能力と資格のある者が要るわけでありまして、したがって、いま岩動さんのおっしゃったようなことは当然運用として考えなければなりません。必ずしもこの法律にはよらぬけれども、そうした運用面においては、これは先ほど来田口さんからもお話がありましたが、総理大臣の権限は大きいのでありますから、その大きい権限を合理的に生かしていくというためにも、かような制度があることによって、運営で十分にこれをカバーしていきたい。将来根本的な改革問題ができ上がりますればまた別でありますけれども、とりあえずの方針としては、こうした制度によって、その運営面で皆さんの御期待に沿うようなこともやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  99. 岩動道行

    岩動委員 私の申したような運用のしかたについての御同意を得ましたので、これは大いにそういう前向きの積極的な活用をぜひお願いをしたい。これが将来内閣機能強化にも結びつく問題であろうかと思いますので、特に御留意を賜わりたい、かように思うのでございます。  そこで、そうなりますると、一体どういう人を調整官としてお選びになるか。これはもちろん具体的なことをここでお聞きする、あるいはそれをお話しになるということもできないと思うのでありまするが、これは特別職でございまするので、高級の官僚あるいは国会議員あるいは民間人と、広く人材を求めることができるポストになっておるわけでございまするが、大体どのような構想で――専門的な分野を受け持つというお話でございまするが、構想の概要をひとつ承りたいと思うのであります。
  100. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 まだ法案の成立も見ておりませんので、実は新聞に出ておりますことは官房長官の関知せざるところであります。(「新聞に出ているよ」と呼ぶ者あり)その点は官房長官は関知いたしておりません。新聞記者各位の鋭覚によってまあある程度出したのでしょうが、必ずしもそう決定するかどうかわかりません。それは別といたしまして、いまお話がありましたように、これは特別職でありますからして、少なくとも先ほど来の質疑応答のありましたような、いわゆる重要な財政経済政策を担当するわけでありますからして、これはいわゆる役所の人あるいは民間人あるいは国会議員、そういう広範囲のうちから練達たんのうの士を選ぶということにいたしたいという考えでおります。目下のところは具体的に考慮はいたしておりません。少なくとも法案の成立を待ってから選考に入らぬと国会軽視になりますから、その点十分に心得ておる次第であります。
  101. 岩動道行

    岩動委員 次に、報道官でございますが、先ほど田口委員質問にお答えになって、これは報道統制をするというお気持ちは全くない、従来の法律の職務の範囲内においての報道官であるということで、当然私はそうあるべきものと了解をいたしておるのでありまするが、先ほどの官房長官お話によりますると、総理大臣がいろいろと会見をされる、そういう場合に一々官房長官が立ち会ってもおられないというような場面が多いということから、報道官がその役割りを代役していくという場面もあるかと思うのでありますが、これは主として外交関係についての報道を担当するというふうに巷間も伝えられておりまするが、その辺の活用のしかた、あるいは主として報道としてもどういう方面を担当するかということについてお考えをお示しいただきたいと思います。
  102. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 いまおっしゃったような意味でいわゆる外交関係に片寄ってという考えも持っておりません。したがって、内政問題その他官房長官がスポークスマンとしてやるべき仕事全般についての補佐でありますから、必ずしも外交方面だけの報道にあずかるということは考えておりません。ただ、人選ということになりますれば、いろいろな意味において、先ほど来の田口さんの御意見もあったように、警察関係から採るということはまああり得ない、したがって、いわゆる自由人であるべき人からできるだけ採るということになろうと思いまするが、必ずしも外交問題には限っておらないということを御了承願いたいと思います。
  103. 岩動道行

    岩動委員 じゃ、最後に一つだけ伺っておきますが、田口委員も触れたのでありますが、官房長官調整官あるいは報道官との職務の分担のしかたについては、確かに何かはっきりと割り切れない面があることは、私もそう思うのでございまするが、これは竹下副長官の御説明によりますと、副長官は一般的な官房長官の補佐であり、内閣調整官は専門的な補佐をするということでございまするが、それはそれなりにことばとしては何か理解ができそうであり、しかし、なかなかまた理解もしにくいという点があるのでございまして、この点は官房長官がやはり総体的に官房長官を補佐するということになりますれば、財政経済政策については、内閣調整官は直接官房長官に結びついているという法律上の規定でもございまするが、その横の関係は一体どういうことになるのか。官房長官は、場合によっては内閣調整官に対して指揮命令をするということもあり得るのかどうか。その横の関係がどうも実際上はっきりしない。これは特に内閣というきわめて中枢的な機能に関する部分でございまするので、この辺の権限が明確になっておりませんと、大きな混乱を来たすことがないともいえないのでありまして、この点についてのいま一度明快な御説明を承っておきたいと思います。
  104. 橋本登美三郎

    橋本政府委員 いまの御質問で、あるいは副長官なり関係政府委員からもなお補足説明があると思いますが、基本的に申しますれば、いま申したような報道官もしくは調整官の場合、副長官が指揮命令ができるのかといえば、副長官官房長官の指示を得てこれは行なうことができるわけであります、その職につきましても。その意味で職責からいえば、やはり副長官は全般的に官房長官を補佐する。したがってこれは財政経済政策についても補佐する任務がある。ただ、一方は専門的である。一方は一般的である。要するに深度の差は違いがありますけれども、補佐の意味においては、ある意味においてはその問題で同列であるともいえますけれども、なお官房長官は、長官の指示を得て、この問題についてはこうという指示権はもちろん持っておるわけであります。その意味においては、ある意味において副長官官房長官を代理し得るということもいえると思うのであります。(「それはおかしいよ。」と呼ぶ者あり)代理し得るということばはちょっと法律用語として不適当かと思いますが、要するに長官の指示を得てそういうような専門的なことについても指示をすることができる、こう御理解願っていいと思います。
  105. 吉國一郎

    吉國政府委員 ちょっと補足して申し上げますが、先ほど来官房長官あるいは副長官からお答え申し上げましたように、官房長官の補佐は、官房長官の所掌事務の全般にわたって、つまり一般的に補佐をするわけでございます。これに対しまして、内閣調整官なり報道官なりの官房長官に対する補佐は、一定の事項に限って補佐をする。したがって、その権限事項については部分的には重複をするわけであります。  重複をした事項についてはどういう現象が起こるかということでございますが、あくまで官房長官は一般的な補佐として、したがって内閣調整官の所掌事務でございます財政経済政策に関する総合調整についても、これは内閣官房長官の所掌事務の一部には相なっておるわけでございます。また報道官についても同様の現象が起こる。そして、その重複した事項については、内閣調整官は財政経済政策に関する総合調整の事務を補佐するわけでございますから、その事務につきましては、いわば一般と特別な関係が立ち得ると思いますので、これは事実上の運用の問題でございましょうが、内閣官房長官の補佐について内閣調整官が専門的な事項についてはその部分についてはいわば優先するというような関係が事実上の運用としてはあり得ると思いますけれども法律上の関係といたしましては、あくまで内閣調整官はそれぞれのその専門の事項について補佐すると同時に、副長官は全般的に官房長官を補佐して、したがって内閣調整官の所掌事務についても副長官の所掌からはずれることはないということでございます。このような例は、現在の実際の行政機構においてはあまりない例でございまして、しいて申し上げますならば、現行の科学技術庁におきまして――科学技術庁は御承知のように科学技術庁長官を長といたします総理府の外局でございます。その科学技術庁長官たる国務大臣を助けるのは事務次官と政務次官があるわけでございますが、事務次官は科学技術庁の庁務全般について大臣を補佐するわけでございます。その事務次官とは別に科学審議官というものが、たしか三名だったと思いますがおりまして、これは直接科学技術庁長官を補佐するようになっております。科学技術に関する重要事項について科学技術庁長官を補佐する、この関係が、事務次官は全般的に補佐をし、科学審議官は科学技術に関する重要事項について科学技術庁長官を補佐するというたてまえに現在相なっておりますが、これが内閣官房長官の補佐と内閣調整官なりあるいは内閣報道官の補佐とが部分的に重複する関係とやや似たような関係に相なると思うのであります。
  106. 岩動道行

    岩動委員 どうもあまり、わかったようでわからぬような、せっかくの法制局次長さんの御説明も、従来の域を出ていないような感じがするわけであります。大体官房長官というものは、ここにあって内閣調整官とは相並んでいる、内閣調整官は直接官房長官を財政経済問題については助ける、こういうことに法律上はなっておるわけでございます。一方、官房長官は十二条にきめられたことについて補佐をする。つまり一般的だ。したがって、そこが先ほどの法制局次長さんの御説明のように、財政経済問題に関する限りは、重複して意見官房長官のところにいくということがあり得るわけでございます。そのようなことがあり得ることが、内閣の中枢の政策をきめていかなければならない部分で起こり得る可能性があるということは、私はきわめて大きな問題を生じはしないだろうか、非常にその点を危惧いたすのであります。したがって、実はこれは政府の提案の段階においても十分に御検討をいただいたわけでございますが、官房長官の職務のうちからカッコ書きでもして、内閣調整官の所掌にかかるものを除くというくらいのことをしないと、実は官房長官がお困りになるのではないだろうか。たとえば健康保険の料率を千分の七十五にするという政府案を六十五に修正する、こういったような問題を政府の中でさらに検討しなければならないという事態が起こったときに、調整官は、七十五でなければいかぬという意見官房長官にする、一方、同じく官房長官を補佐する副長官が六十五でいいのだ、こういうような意見がいってしまった場合に、官房長官は、もちろん国務大臣になり、えらいから、その点については大いに裁断を下されるでしょう。しかし官房長官の前の段階でものごとを整理するのが調整官の本来の役目ではないか、このように考えますと、官房長官内閣調整官との職務の分担のしかた、補佐のしかた、これについては今後十分に留意をしておやりにならないと、大きな支障を来たし、国民にもいろいろな誤解を招くというような危倶が感ぜられますので、この点について十分なる御配慮を私は特にこの機会に要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  107. 木村武雄

    木村委員長 次会は来たる十七日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会