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1966-05-12 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十二日(木曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君       相川 勝六君    小川 半次君       加藤 高藏君    藤尾 正行君       保科善四郎君    堀内 一雄君       前田 正男君    松澤 雄藏君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       稻村 隆一君    村山 喜一君      米内山義一郎君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松野 頼三君  出席政府委員         防衛政務次官  井村 重雄君         防衛庁参事官  鈴木  昇君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部長)    沼尻 元一君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部会課長) 大浜 用正君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君  委員外出席者         運輸事務官         (航空局監理部         飛行場課長)  梶原  清君         自治事務官         (税務局固定資         産税課長)   森岡  敞君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 五月十一日  委員茜ケ久保重光辞任につき、その補欠とし  て和田博雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として茜  ケ久保重光君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員野呂恭一辞任につき、その補欠として松  澤雄藏君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松澤雄藏辞任につき、その補欠として野  呂恭一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十日  旧軍人等に対する恩給処遇に関する陳情書外九  件(第三  三三号)  同外一件  (第四一六号)  旧軍人、軍属及び遺族に対する恩給処遇に関す  る陳情書外一件  (第三三四号)  紀元節復活反対に関する陳情書  (第三三五号)  建国記念日制定に関する陳情書外十件  (  第三三六号)  靖国神社の国家護持に関する陳情書外十件  (第三三七号)  同外十件  (第四一八号)  基地周辺の民生安定に関する陳情書  (第三三八号)  同和対策審議会答申完全実施に関する陳情書  外六件(第  三三九号)  同  (第四一九号)  恩給法等の一部を改正する法律案の一部修正に  関する陳情書  (第四一七号)  明治維新百年祭に関する陳情書  (第四二〇号)  中小企業省設置に関する陳情書  (第四二一号)  第三次防衛力整備計画に関する陳情書  (第四二二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛施設周辺整備等に関する法律案内閣提  出第一二二号)      ――――◇―――――
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  防衛施設周辺整備等に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 松野長官が後ほどお見えになるという話を承っておるのですが、何時ごろお見えになるのですか。締めくくりという意味で二、三伺いたいと思うのですが、予定がわかっていたらお伺いいたします。――一昨日までのところで二、三点承りたいことがあるのですが、政務次官見えになっておりますので、この場所でもけっこうなんですが、間もなく長官もお見えになるということでございますので、そこでひとつ伺いたいと思いますが、その間残りました何条かの問題について、多少事務的になりますけれども、承っておきたいと思うのであります。   〔委員長退席辻委員長代理着席〕  五条第二項の規定のうち、政令部分になります中で、例の土地あるいは建物売り渡し等をめぐりまして、あるいは移転除去等の問題とからみまして、「建物等設置植栽又留置をしないこと。」こういう文言を使っておるのですけれども、ここのところを、少しわかりにくいことばでございますから、説明しておいていただきたい、こういうふうに思います。普通読みますと、なかなかわかりませんので……。
  4. 財満功

    財満政府委員 政令の中で、「建物等設置植栽又留置をしないこと。」と書いてございますのは、それをさら地にいたしまして、そして安全の徹底を期したい、こういうことでございますし、一方に、立ちのいていただきましたあとに、高い樹木が植えられておる、あるいは高い工作物が残されておる、そういうふうなことになりますと、完全に目的を達することになりませんので、そのようなことをなされないようにということを条件にして、移転していただく補償を行なうということにいたしたものでございます。
  5. 大出俊

    大出委員 そうしますと、平たく言って、上物等があった場合に、それはあくまでもその所有者の売却以前における責任において一切を取り除く、こうしなければ対象にならない、こういう意味になりますか、いまのお話からいきますと。
  6. 財満功

    財満政府委員 そういうことに限っておりません。もちろんそのようなことを設置、あるいは植栽留置しないということは、現にそれがございます場合には、当然移転補償対象になるわけでございます。
  7. 大出俊

    大出委員 となりますと、この文章との関係はどうなるのですか。つまり、そういうものがあった場合に、それを含めてたとえば売り渡すということで、それだけはおれは売らない、こういう場合は別ですけれども、そうでなければ、そうここに文章表現をしなくてもいいように思うのですが、ことさらにこれを書いている理由がわからないものですから……。
  8. 財満功

    財満政府委員 やはりこれは、その土地所有者がそのような当該土地を国に売り渡すこと、あるいは当該建物移転もしくは除却後にこのようなものを残さないということを条件にわれわれはいたそうということで、この意味は、その残されました土地、たとえば自分土地は売りたくありません、しかし家は引っ越しましょう、しかし、その残った土地には高い植木なり工作物なりは残しますという場合には、これはちょっと移転補償をいたしかねますという趣旨を述べただけでございまして、これがために強制的に云々というふうなことをここで考えておるものではございません。
  9. 大出俊

    大出委員 そうしますと、特段に、所有者責任においてそれらのものを全部処理してからでなければ対象にならぬという意味ではないわけですね。つまり所有者が、たとえば土地上物と両方持っておる場合に、土地は売るが建物は売らぬということがあっては対象にならぬ、そういう意味ですか。念のために承ります。
  10. 財満功

    財満政府委員 これは家と建物関係についてはそうでございます。いまここで言っておりますのは、地下に埋没するものを除きました建物等設置、あるいは植物の植栽留置をしない、工作物留置をしないということでございますので、これは土地に付属いたしました問題でございます。
  11. 大出俊

    大出委員 大体わかりました。  そこで、あわせてもう一点、総括的に承っておきたいのですが、私の権利、つまり私権ということになりますかね、その制限はしない、たとえば強制措置的なことを含めて。あくまでも話し合いで、こういう理解でいいわけですね。
  12. 小幡久男

    小幡政府委員 そのとおりでございまして、その主旨となりましたのは、必ず危険があるということでございますれば、むしろ強制買い上げになるわけでございますが、ここは危険感とか騒音というものでございまして、必ずしも危険があるというものではございません。したがいまして、買い上げてほしいというお話があれば買い上げるという緩和的な措置にしたわけでございます。
  13. 大出俊

    大出委員 先般中村高一さんの質問もございましたが、あの場合でも、移転をするうちを見つけてあげる、家賃を何年間、こういう答弁が出ておりますが、いずれにしてもどうも少し安過ぎるわけなんです。これは予算との関連も当然ありましょうが、この間の質問最後のところで大和市の例などをあげまして、どうも少し安いのじゃないかという点とあわせて、そういう苦労をしてやむを得ず自分の持っている土地を手放すことになる場合に、課税対象になるというところがどうも不合理だ、こういう質問をいたしたのでありますが、一応答弁はいただいておりますけれども、時間の関係で聞き流しにしておりますので、そこのところをもう一ぺん、どうお考えになっているかという点を、具体的に申し上げますと、評価しかた等を含めまして、御答弁いただきたいわけでございます。
  14. 財満功

    財満政府委員 先般お答えいたしました最後のところで、土地買い入れにつきましては、三十八年、三十九年度七千五百円、いわば不当に安いと思われるもの、あるいはそれでは他に引っ越すことができないというふうなもの、新たに他に土地を求めることができないというふうな価格で買っておるではないかということに対しまして、私、先般の委員会最後のところで、四十年度におきましては一万二千円ないし一万三千円で地元のほうと話し合いの結果、双方に十分な合意を遂げて土地買い入れることができました、こういうふうに申し上げたわけでございまして、私どもとしましては、年々土地の値上がりに対します買収価格の引き上げということについては、努力いたしております。適正な評価によりまして、十分に御納得のいくような価格買い入れをいたしておるというふうに考えております。
  15. 大出俊

    大出委員 税金の件なんですが、たとえばある市が、つまり自治体公園なら公園用地都市計画関係とからみまして買収をしたいというふうな場合に、こういう席でこれは口にすべきことではないけれども一般個人個人の間のやりとりの場合は、表価格などというのがあり、とかく裏価格的なものがあって、税金対象等関係がございますから、特に買って二年以内などという場合は、どうしても課税対象課税額が高くなりますから、そういうやりとり一般慣行的に行なわれているものがあるわけです。ところが、公の立場で市が買うなどということになりますと、そういうわけにいきません。そうすると、せっかくの用地があっても、売りたいんだけれども売れない、それではとてもじゃないけれども税金考えると足が出る、だから売れない、こういう問題が至るところにいまあるわけです。そういう場合にどうするかということなんですけれども、一応の評価が行なわれていて、このくらいの価格だという場合に、税金がこれこれかかってくるということになると、その分を多少上乗せをして、一般価格より高く買ってその分をカバーしていくというようなことが、自治体並びに個人という間で間々見られるわけです。これは自治体の議会の問題などになった場合もありますけれども、しかし、そうでなければ片がつかないという現実があるわけです。個人土地であり、公園をという場合に、土地収用という形をとらない、そういう場合には、全く私権を殺さないという中で考えられるとすれば、そういう問題も出てまいるわけですね。そうなりますと、この間、どうも税金の問題については極力何とか大蔵省と折衝したいという話がございましたが、それが早急にそういう面で考えられればこれはまた別の話になりますけれども、そうでないという場合に、いま私が申し上げたようなものの考え方つまり評価のしかたという面で皆さんのほうが少し考えるぐらいのことをしないと、そうでなければ税金を何とかしろということになる。ここらあたりをもう少し皆さんのほうでお考えをいただけないかという気がするのですけれども地元方々現実お話を聞いてみると、そういう気がするのですが、そこらあたりどういうふうにお考えですか。
  16. 財満功

    財満政府委員 先般関係各省と、税法上の優遇措置については、許される限りにおきまして合法的な範囲内でできるだけ協力していただくという話し合いはいたしております。一方、われわれの土地買い入れにつきましては、いわゆる適正価格と称しますものは、たとえば何千円という一本だけで、それより一円もふえない、一円も減らないというような性質のものではないと存じますので、その範囲内におきまして、われわれはそういう適正な価格地元方々の御納得を得て買い入れていくということをつとめたいというふうに申し上げるほかないと思います。
  17. 大出俊

    大出委員 移転をする先の土地が買えない云々というふうな話まであってのことですから、そこらあたりは多少幅を残した御答弁になっていると思いますから、税金対象等優遇措置等を含めまして、前向きで御努力をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。  それから、法第五条第三項の規定による政令部分に移されたものがございますけれども、これは政令のほうに個条的な列挙式に何かものを書くということになるわけでございますか。
  18. 財満功

    財満政府委員 法第五条第三項につきましては、土地買い入れにつきましてはやはり条件を定めてまいりたいというふうに考えております。建物等の所在する土地、それから前項以外の土地等につきまして一定の条件を付して、その条件に合います場合に土地買い入れを行なうというふうなことにいたしたいということで、やはり個条書きに条件を示しておきたいと考えております。
  19. 大出俊

    大出委員 何かどういうふうに表現するかということをお考えですか。
  20. 財満功

    財満政府委員 われわれがいま考えておりますのは、法第五条第三項の規定によります土地買い入れは、土地所有者当該土地買い入れを申し出る場合に、次の条件を付しておりますときには買い入れる。すなわち建物等の所在する土地当該建物等所有者が、当該建物等を他に移転する、または売却する――これは先般申しましたように、建物等を除いていただきませんと、土地だけ買いましても目的を達しませんので、そのような条件を付した。それから、前項以外、つまり建物等の所在する土地以外の土地につきましては、当該土地指定区域内で防衛施設庁長官が定める区域に所在するということを条件にいたしまして買い入れるというふうにいたしておるわけであります。
  21. 大出俊

    大出委員 法第六条の「資金融通等」というのがございますね。この「資金融通等」というところにつきまして、今日やっているような、つまり市町村に対して必要な資金起債を求める云々というようなことは通常行なわれているわけでありますが、にもかかわらず、法律条文に「資金融通等」というふうにあえてうたっているということになりますと、何かそこに意味がなければならぬと私は思うわけであります。そうでなければ、単なるアクセサリーになってしまうと思うのです、条件を整えたにすぎないわけでありますから。そうなりますと、ここでいうところの法第六条の「資金融通等」は、「第三条の工事を行なう者又は第四条措置をとる市町村に対し、必要な資金融通又はあっせんその他の援助に努めるものとする。」こういうふうに書いてある限りは、何かもう少し具体的なものがなければならぬと思うのですが、そこらは何をお考えになっておりますか。
  22. 財満功

    財満政府委員 ただいまのところ、特別にどんなものが出るかということは、全体的に見通しはつけておりませんが、過去の実績によりますと、起債あっせん等につきましては、学校防音工事の場合、百分の九十を補助いたします場合、百分の十相当分につきましてさしあたり起債を申し出ておられます、そういうようなものにつきまして、多数のあっせんを申し上げたという実例があるわけでありまして、そんなことを考えております。そのほかに、先般申し上げましたが、いわゆる農林中金あたりから資金あっせんをいたす場合に協力してもらいたいということで、包括的にすでに申し入れをしてございまして、いいだろう、あと具体的なものが出れば御相談に応じましょうということになっております。
  23. 大出俊

    大出委員 そうしますと、従来やってきたこと、やってきたもの、これを条文にしたというだけのことだという考え方ですか。
  24. 財満功

    財満政府委員 従来、行政官庁あるいは関係の向きとの間の事実上の話し合いでやってまいりましたものに、一つの制度的な方向を与えた、こういうことでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 そうしますと、一つ飛びますけれども、第八条の「関係行政機関協力」というのも、似たような趣旨解釈をする、こういうことになりますか。
  26. 財満功

    財満政府委員 関係行政機関協力ということにつきまして、もちろん従来から事実上の問題としてはやってきたものがございます。しかし、今回法律の中で制度的な方向を明示するということでございまして、具体的な例を申し上げますと、東富士演習場周辺東富士開田事業を行ないました。それについて農林省の御協力を得まして、農林省のほうでやっていただいた。あるいは建設省関係で申しますと、水戸射爆場の国通のうち、一部区間につきまして、建設省計画を繰り上げて整備実施していただいたというふうな例がございますし、将来そのようなものをさらに活発化してまいりたいというふうなことが、この八条の趣旨でございます。
  27. 大出俊

    大出委員 そうすると、今日までやっておることについて、四条というふうなものも入ってきておりますから、あわせてより積極的に、前向きに資金融通等措置あるいは関係行政機関協力というものを進めてまいりたい、こういう理解をしていいわけですね。――いいようですから、前後しますけれども、第七条について一点だけ承っておきたいのですが、「普通財産を譲渡し、又は貸し付けることができる。」というのでありますが、これは今日まで相当多数便宜をはかるという意味で行なわれてきておりますか。
  28. 財満功

    財満政府委員 かなりな数を実施してまいっておりますが、一応大蔵省関係でございますから、ちょっと資料を調べさせていただきます。
  29. 大出俊

    大出委員 これもやはり法律条文にする、そういう根拠を明確にするということですから、旧来より積極的にひとつ国有財産払い下げその他を含めて協力をする、こういうことになるわけですね。
  30. 財満功

    財満政府委員 そのとおりでございます。さっき御質問ございました実績につきましては、過去十カ年間に六百三十万平方メートルの普通財産払い下げ、譲渡を行なったという事例があります。年度別に申し上げてもけっこうだと思いますが、三十一年から三十八年までの間に、そのように実行いたしております。例を申しますと、青野原演習場日出生台演習場相馬ケ原演習場、日本原の演習場、それから木更津飛行場周辺というふうなところに、その実例が見られるわけでございます。
  31. 大出俊

    大出委員 少し幅広くものを申し上げますが、四条のところで「当該防衛施設の運用により」という解釈をめぐりまして、これは井村政務次官にも御答弁いただいたのですけれども、結論を申しますと、これは相当幅広い解釈をとっていきたいという話だったわけです。したがいまして、特に予算措置を必要としない場合、たとえば先般私が例にあげました横浜市の埋め立て事業等をめぐる、富岡基地との関係をめぐる国有財産交換措置等については、これは基本的な考え方が一致をすれば、あるいは合同委員会関係もございましょうけれども、やはり積極的に協力体制をとってお進めいただかなければならぬと思うのです。というのは、既設の埋め立て地域があり、その先に一つ考えられている埋め立てであり、これは「は」地区埋め立てと申しますが、ところでその後が富岡基地で、背後地になるわけですが、基地であるために使えない。こういう問題があって、それで困って著しい阻害を受けるのに、かつ弾薬陸揚げ、その他いまベトナムの関係小型タンクなどまで陸揚げしているようでありますけれども、この岸壁まで水路をつくってくれというのを、長い間やりとりをして、埋め立て地域にその岸壁に見合うものを市の側がつくって交換をする、こういういきさつなんですから、そうすると、これは当然積極的協力があってしかるべきもの、こう考えているのですけれども、先般ちょっと質問をしたところが、御理解をいただいていないようなので、まことに残念な気がするのです。大蔵省国有財産二課との関係で、現地調査をされて、そこで方向づけをしてという下話が、一方行なわれているのですけれども防衛庁のほうの合同委員会その他を含めての特段協力がなければ、なかなか早く進まない。そういうふうな点も、予算との関係がありますから、政令の面では列挙主義大分類というような形でやっていくのでありましょうけれども、しかし、初年度ですから、今後努力するということになるわけですから、だとすると、そういう予算関係でないところについては、やればできることなんです。積極的にお進めいただかぬと、自治体計画にそごを来たす、こういうことになると思うのですが、そこらのところどうお考えか、ひとつ念のためにお答えをいただきたい。
  32. 財満功

    財満政府委員 先般御質問を受けました富岡地区の問題でございますが、その後直ちに急速な促進をはかることにいたしました。先生おっしゃいますとおり、大蔵省側におきましても現地調査に乗り出す。私どものほうは、その下準備といたしまして、米側話し合いを進めました。そうして合同委員会下部機構施設特別委員会がありまして、その中に港湾部会というのがございますけれども、その港湾部会にはかって、その等価交換を促進する、そのことにつきまして、米側のほうでも格別な異存はない、そのように申しております。ただ一つ問題になりますのは、国の立場あるいは駐留軍立場でございますので、埋め立て土地の最先端に物置き場――いわゆる交換すべき物置き場を新設いたします際に、背後地との連絡に使います通路関係、これはどのようなことになるのか。いままで海であったところに土地ができまして、そして背後地と連絡する必要がございますが、その通路関係がはっきりいたしません。日米間の意思が、まだ一致いたしません。問題は、そうなりましたときに、専用させろという要求に対して、優先使用でいいのではないか、つまり専用ということになりますと、その道路を迂回しなければならないという問題が生じたりした際に、非常にトラブルが起こるではないかという問題で話し合っておるという問題が一つ残っておりますけれども、少なくとも国有地等価交換という問題については、方向は一応定まったものと考えますし、近く行なわれます大蔵省との合同調査の結果によりまして、それはさらにはっきりしてくることだと存じます。
  33. 大出俊

    大出委員 そうしますと、合同委員会で下打ち合わせというか、下準備というお話ですが、正式決定をいただかぬと進まぬ、手続的にはそういうことになりますか。
  34. 財満功

    財満政府委員 これは現在まだ埋め立てができておりませんで、水面になっております。そこで、一応等価交換、そしてそれに伴う通路の問題ということがはっきりすれば、港湾部会合意に達すれば、それで一応処理の方針は全部きまったということに相なろうかと思います。
  35. 大出俊

    大出委員 九条について承りたいのですが、この法九条の第三章、損失補償、こことからむわけですが、大筋を簡単に承りまして、これは実は松野さんがおいでになったほうがいいと思いますから、あとに残しますけれども、手続的な点を最初に承っておきたいのです。  現行特損法がございますね。この特損法規定と、それから九条にいう「自衛隊の次に掲げる行為により、従来適法に農業、林業、漁業その他政令で定める事業を営んでいた者がその事業の経営上損失をこうむったときは、国がその損失補償する。」という、この関係ですね。つまり九条というのは、自衛隊等ではなくて、自衛隊だけなんですね。実はこの防衛施設周辺整備等に関する法律というのは、第一条において「この法律は、自衛隊等の行為」この「等」の中に駐留軍が含まれておる、こういう性格の法律なんですね。もちろん、補償が主であるかどうかという点については、問題のあるところでしょう。必ずしも補償が主ではない、補助だ、そういう問題もあろうと思います。あるいは整備だということもありましょう。しかし、この自衛隊については、法律規制というのは、損害補償についてはこの法律が初めてですね。そうなりますと、旧来は特損法に見合って見舞い金なり予算措置、こういうことでやっておられたわけですから、新しくこの法律をおつくりになって、そこに第三章、損失補償というものをお考えになるということになるならば、当然特損法というものは消えていって、この法律の第一条にいうところの自衛隊等という中に含まれているのですから、この法律のほうに移らなければならぬと私は考えるわけであります。当初防衛庁のほうもそういう考え方であったのだというふうに仄聞をしておりますけれどもそこらあたりがどうも将来に向かってすっきりしない。なぜかといいますと、したがって、今度は特損法を生かしておりますから、この法律の第三章の損失補償のところでは、何と、すでに非現行で要らなくなっておるような特損法規定まで御丁寧に並べて考えなければならないというようなことになりかねないというわけですね。たとえば防潜網なんというものは、これは佐世保近辺にあるとかないとかいわれておりますけれども、練習をやるときに張ってみるというようなことぐらいが関の山だと思っておるわけですけれども、これは特損法規定がございますから、だとすれば、それをここに適用しないとは言えないということになると思うのですが、そういうふうな、特損法というのは二十八年にできた法律ですから、ある意味では非現行な部分がある。にもかかわらず、そちらを生かして、この新しくつくる法律をそちらに合わせるというおかしなことになってくると私は思うのであります。そこらあたりは、どういうふうにお考えになりますか。新しくつくるのでありますから、これは明確にしていただきたい。
  36. 小幡久男

    小幡政府委員 御意見にもございましたように、当初、この法案で損失補償をつくる際に、米軍の損失補償規定も一緒にしたらどうかという検討をした段階がございます。しかし、いろいろ検討しております過程におきまして、やはりたとえ古いとは言え、駐留軍損失補償が損害補償の歴史的な存在になっておる。しかし、中にはおっしゃるように、実態のないものがございますけれども、やはり事こまかに法律に――実態のないものも含まれておりますが、そういうものは一応権利として保障されたかっこうに法律上なっておるわけであります。それをあと法律で簡単に改廃することはいかがなものだろうかというふうに考えまして、大体第三章には、政令まで含めて考えますと、内容はほとんど同じでございますけれども、今度は、われわれが十数年の経験からしまして、実態のないものは政令のほうに落としていくなり、将来必要があれば政令で変えていくというかまえにいたしまして、カバーする範囲は大体同じようにして、新しい体制をつくったというわけでございまして、趣旨においては、おっしゃる点はよくわかりますが、本法が大体周辺の助成措置を主眼とした法律になっておりまして、補償のほうは末尾に掲げたという経緯もございまして、歴史的な法律はそのまま残しております。これを根拠に、いろいろ駐留軍に対しては、いままで慣行的にいろいろな習慣が成立しておりますので、直ちにもって、実態がないから、あるいは法文技術上のていさいが悪いから、これを変えようというような、技術的な観点からだけの判断で、この中で前法を廃止することは、やや穏当を欠くという考えで、実態はほとんど変わりませんが、新しい皮袋に盛ったわけでございます。
  37. 大出俊

    大出委員 これは法制局の言うような単なる法律技術じゃないのですね。このことを論議し始めますと相当な時間がかかりますから、とことんまで論議しようとは思いませんが、しかし、筋だけは申し上げておかなければいかぬと思うので申し上げておくのですが、この法律防衛施設周辺の整備が主なんだから、したがって、当初原案では最初のほうの項にあった損失補償を、あくまでも整備が中心なんだというていさいを整えろということで、うしろへ移したというわけですね。これは法制局にもいろいろ聞いてみましたがね。ということになりますと、つまりこれは立法者の考え方なんですね。自衛隊というのは、今日まで、そういう補償措置という意味損失補償特損法に見合うような法律が、何もなかったのですね。これは、ある意味では、いささか政府怠慢なりと私は言わざるを得ないわけですね、正直に申し上げて。自衛隊に対する意見がどうあろうと、今日自衛隊が存在する限り、やっぱり行政府としては、当然いままでの間に立法を求めるべきなんですね。そのために、たいへんな損害を住民に与えているわけです。たとえば、自衛隊の射爆場の例を申し上げれば、射爆場において、沿岸から海に向かって射撃する、爆撃をするという場合に、船がその地域を通れませんから、迂回して、一回り回って、燃料をよけい使って、時間を使って航行するという場合に、特損法規定からいえば、駐留軍であれば、当然補償があるわけですね、法律根拠があるのですから。自衛隊の場合はない。ないから、見舞い金などということでやって、さてこの手続が非常に時間がかかる。そうなりますと、泣き寝入りというか、めんどうで、ひまっかきして採算がとれぬから請求しないということで、そのままになってしまっておるのが、たくさんあると思う。特に私はおる所がおる所ですから、話がたくさん出てくるわけですが、そういうことになりますと、やはり早く明確な法律をつくらなければならなかったわけです。それをいまここで出してくるわけですから、この損失補償というのは、初めてなんですね。だから、防衛施設周辺の整備に関する法律だというのだけれども、じゃ補償に関する法律というのは一体あるのかといえば、ない。これしかない。だとすれば、つまり法律をつくる側の、あるいは行政府としてのものの考え方、これは、初めておつくりになるのですから、そうなると、これは本来ならば防衛施設周辺の整備並びに自衛隊等の行為に基づく損失補償に関する法律というふうに書かなければいかぬ。そういうことにして、当然特損法が廃止をされて、駐留軍にかかわるものもこの損失補償の項に移ってこなければ、筋が通らない。もしもこれは整備に関するのだというならば、補償法律は別個につくらなければならぬ。整備に関する法律の中に補償を入れておく必要はない。補償というのは明確に整備ではないのですから……。だから、そういう理屈を言うのだったら、これは本末転倒なので、むしろそれよりも、問題の本質は、特損法に手をつけるということになると、騒ぎが大きくなる。現在特損法を実施してきておりますから、たくさんのこれに対する不備があり、意見がありするわけですから、特損法をここで廃止して新しくつくるのだということになると、これは各方面から相当大きな意見が出てくる。したがって、特撮法はそのままにしておいて、整備に関する法律なのだからという理由づけをして、いわばこっそりうしろのほうに損失補償が乗っかっている、こういうことになるのですね。整備だとおっしゃるなら、ここに損失補償などと言う必要はない。そこらあたり、何と言われても、私は筋が通らぬと思う。もう一ぺん御答弁いただきたい。
  38. 小幡久男

    小幡政府委員 特にこれを今回統合しなかった理由は、先ほど申し上げたとおりでございますが、末尾にまいりましたのは、いろいろ申しましたように、助成の措置予算的にもウエートが非常に大きいわけでございます。三条、四条、五条というのが、予算措置で見ましても、今度の周辺措置のほとんど大部分を占めるわけでございます。法律的には非常に重い法律でございますけれども、そういったウエートから見まして、今度は周辺整備ということに重点を置いて、その中であわせて補償をやりたいという思想に統一したというのが、現状であります。
  39. 大出俊

    大出委員 念のために、損失補償関係予算は、どのくらい見込んでおられますか。
  40. 財満功

    財満政府委員 四十一年度におきましては、二千二百万でございます。それから参考のために申し上げますと、四十年度におきましては三千三百万でございました。それから三十九年度も似たようなものでございます。
  41. 大出俊

    大出委員 二千二百万と減った理由は、どういうことですか。四十年度三千三百万というお答えなんで、四十一年度二千二百万、こういうお話なんですが、三十九年度も大体三千三百万というお話でしたから、そうしますと、一千百万減ったのですが、その理由はどういうことですか。
  42. 財満功

    財満政府委員 一応そのような事案がだんだん減ってきておるということでございます。
  43. 大出俊

    大出委員 この際ひとつあらためて承っておきますが、この法律三条関係予算は幾らですか。
  44. 大浜用正

    ○大浜政府委員 施設関係全体の経費は、百六十二億ございます。その中で三条関係は八十三億九千八百万、約八十四億円ございます。
  45. 大出俊

    大出委員 そうしますと、百六十二億のうち八十三億九千万ばかり、八十四億ですね。四条は、この間からお話しのとおり、五億ですね。そういうことになりますか、それでいいのですか。四条もう一ぺん言ってください。
  46. 大浜用正

    ○大浜政府委員 四条は、たしか五億という数字は一本でついております。それに類似したようなもの、たとえば周辺対策として富士の畜産振興をしたり、あるいは民生安定の産業のレベルアップをするというふうな性質を加味しますと、大体十二、三億になるだろうというふうに考えております。
  47. 大出俊

    大出委員 残りの予算は、ついでに施設関係全部説明してください。
  48. 大浜用正

    ○大浜政府委員 五条関係が、約十四億くらいございます。その他、たとえば先ほど申しました二千二百万というのは、特損関係補償関係でございますが、ほかに借料とかあるいは買収費とかというその他のものを入れますと、五十億ございまして、総計百六十二億六千七百万、こういう数字になります。
  49. 大出俊

    大出委員 いま九条について論議を進めているのですけれども、私は意見を申し上げておきますが、いまやりとりいたしましたが、これから論議をすると、長くなりますからやめます、あらためた時期にいたしますが、損失補償というのは、額はともかく、初めて根拠法規をつくるわけですから、そうなりますと、つまり表題は防衛施設周辺整備等に関する法律、こうなっておるわけですね。ところが、内容は、早い話が整備と損失補償、二つになっているわけですね。損失補償というのは、厳密にいえば整備じゃない。そうなると、やはり特損法に手をつけて、これをなくして、当初防衛庁がお考えになったように合わせて、何も九条だけ「自衛隊等」と「等」を入れないで、「自衛隊」だけにして、駐留軍のほうは、この法律にいう「自衛隊等」の「等」のほうは特損法に残っていくんだ、そういう形をとるということは、私は筋が通らぬと思っているので、あとから申し上げますけれども、その意味でたくさん問題が起こってまいります。したがって、将来に向かって御検討いただきたい項目、こう私は思っているわけです。防衛庁にしたところが、最初、これは仄聞をするのですけれども、そういう考えがあったはずなんだ。あったはずなんだが、法制局の側から聞いてみると、法制局等とだいぶ論議をおやりになったようです。結果的には、最初の原案のほうにあった損失補償を、整備が中心なんだという理論立てにする意味で、三章と一番最後にくっつけて事を処理されたといういきさつがあるんだから、いま私の理屈についていろいろ抗弁されるけれども、これはおかしいですよ。本来皆さんが、私が言うようにお考えになって立法したんだから、原案をおつくりになったんだから、法制局といろいろやり合われて、結果的にこういうていさいに改めたというふうになると、本来私が考えているように皆さん考えていたんだから、その点は肯定されて、その上でかくかくしかじかの事情があってこういうふうにしたんだというふうにお答えにならぬということは、これはみずからのものの考え方を逆に法制局流に変えて答弁することになるので、これは私は筋が通らぬと思う。長官せっかくお見えになったので、このあたり私はどうしても筋が通らぬと思っておりますから、御答弁いただきたいと思います。
  50. 松野頼三

    松野国務大臣 この法律は、題目にありますように、主として施設の周辺整備という項目が、いままで行政的、予算措置ばかりあって、権利義務が明確でない。そのために、予算委員会においても、法を制定しろという声があったというのが第一です。そこで、たまたま特損法というのがあるが、自衛隊というものは、損失補償というものを現実にやっております。やっておりますが、これも根拠法規というものが不明確であった。そういうふうに不明確なものを今回明確にしよう。主としてこれは基地周辺のほうの議題や予算が大きいものです。損失補償というのは、事柄は重大ですけれども、事件の内容、件数は必ずしも多くはない。しかし、事柄は非常に重大であるということから、いままでなかったものを全部ひとつこの際洗い出そう、あるものは現行法と同じものをここへ入れよう、こういうわけで、法制局的に考えるならば、おっしゃるように損失補償損失補償で一本にまとめて、基地周辺整備は基地周辺整備で一本にまとめる、自衛隊も米軍も一緒にしてというのが、あるいは明快な法制上の解釈であると私も考えます。しかし、今回の場合は、それよりもまず必要なものを先につくろうという方向で進んだわけで、したがって、法制的考えでも、なるべく一本にまとめて問題点を拾い上げろ、いままでなかったものを、予算措置のものを全部入れろというのが私の趣旨であって、おっしゃるように、その法制的問題や議論は、私は出たであろうと考えます。私もこの問題のときに考えました。損失補償特損法自衛隊損失補償を一本にしたらどうだろう、損失補償自衛隊及び米軍を一緒に損失補償法というもののほうがいいかなという考えを持ちました。しかし、ほとんどの予算が、損失補償よりもその他の周辺整備のほうの議題が多いものですから、この際は周辺整備がおそらく九で損失補償が一みたいに、法制上なっております。これは今後考えられる余地がありますけれども、この際はいままで問題のあるものを全部拾い上げたというところに、民生安定的な基地周辺的な考えが多いものだ。予算もただいま説明しましたように、百六十何億の中で、だんだん損失補償は減るべきものであって、また減ってきております。これは将来に残していただいて、この際一緒にすることは、悪意でなしに、善意で解釈していただきたい。
  51. 大出俊

    大出委員 特損法関係予算は、どのくらいになっておりますか。
  52. 財満功

    財満政府委員 先ほど申し上げましたように三千三百万、それから四十一年度は二千二百万です。
  53. 大出俊

    大出委員 先ほどの御答弁では、第九条、自衛隊に限る損失補償予算が二千二百万とおっしゃった。私がいま聞いておるのは、特損法を残されたのですから、この法律にいう「自衛隊等」の「等」のほうの損失補償特損法で見るわけですから、その特損法関係のほうは幾らあるかと聞いておるわけです。
  54. 大浜用正

    ○大浜政府委員 先ほど申し上げました二千二百五十三万九千円というのは、駐留軍関係の例の特損法の一次的産業である農林漁業とかあるいは林業だとか、そういうものに対する直接の現金補償として支払う金額でございます。
  55. 大出俊

    大出委員 そうすると、この九条に基づく予算は幾らなのですか。いまのお話は一次産業、つまり特損法規定を言っておられるわけなので、私がさっき聞いたのは、九条関係予算を聞いたのです。そうしたら、二千二百万とおっしゃる。九条には特損法は入ってないのですから、それをチャンポンにされたのではわからぬですから、訂正しておいてください。九条は自衛隊だけ、特損法駐留軍だけですから、その関係はどういう比率になって、どうなっておるか、御説明願いたい。
  56. 財満功

    財満政府委員 少し私の説明が混乱したかと思いますが、特損法に対するものが二千二百万、それから九条に対するものは、予算の流用によって考えたい。と申しますのは、当初そのようなものを一このような法律をつくりまするとは予定いたしておらなかったわけでございます。したがいまして、途中からこのまま立案にかかりましたので、予算要求としてはいたしておりませんが、いずれにいたしましても、米軍関係ほどには至らないという見通しがございまして、これは新しく上げるより、その発生のつど予算の流用をしてまかなっていって間に合うのじゃなかろうか、支障が起きないのではなかろうかというふうに考えたわけでございます。ただいまのところ、これがために幾ら計上しているかということはいたしておりません。
  57. 松野頼三

    松野国務大臣 ちょっといま政府委員から答弁しましたが、趣旨は、特撮法として昨年のが二千何百万かと答えたと思います。九条の関係はどうか、この法律ができていませんから、一応項目別には分けていません。しかし、ただいま委員のお尋ねの内容は、昨年どの程度支出したか、流用でも何でもいいから、自衛隊の場面について、こういいますと、項目は正確にはわかりませんが、それに該当する項目がありますから、大体八百万くらいは、昨年はこの法律はありませんが、現実には自衛隊方面は支払いをしている。しかし、八百万のこまかい内容はわかりません。九条に該当するような予算の項目を見ますると、八百万というのが、大体その項目に類似しています。したがって、今回もその程度というものが自衛隊の九条関係に流用すればいいのじゃなかろうか、そういうのがあるいは答弁としては一番近いのかもしれません。
  58. 大出俊

    大出委員 これも実は私もそこら辺は非常に疑問を持ったので、さっき質問を申し上げたのですが、私の手元にあるのからいきますと、どうも少し違うですね。これは論議を始めるとまたひっかかってしまうので、あと質問される方もあるので、ちょっともう少しうまく説明をいただけませんかな。納得さしてください。いいかげんなところで私もやめることにしますから、いま支離滅裂で困るのです。はっきりしてください。
  59. 大浜用正

    ○大浜政府委員 ただいま大臣からもお話がございましたが、予算の成立と、それから本法案をやります場合の第九条関係予算でございますが、予算成立のとき二千二百万と申しますのは、特損法を適用する場合における駐留軍の用として計上したものでございます。従来自衛隊で該当する場合における農業、林業あるいは漁業に対する補償に対する現金の見舞い補償というものは、実は予算に一億五百万の科目がございまして、賠償償還及び払い戻し金という一億五百五十万余の金がございます。現実に被害が生じた場合に、それで賠償しておった。本九条ができますと、当然当庁において処理いたします。当庁に二千二百万ございますが、二千二百万で両方を処理し得ない場合は、この一億から予算の委任支出あるいは移しかえを受けまして、これを処理していきたい、こういうふうに考えております。
  60. 大出俊

    大出委員 まあしょうがないですから、あんまり長い時間をとりたくないので、あらためてやりますけれども、これは長官にひとつ頭に入れておいていただきたいのは、今日まで自衛隊は根拠法規がないですから、請求をしていない形のものが現実にたくさんある。これはお認めになると思うのですが、たとえばさっき長官のおられぬときに申し上げたのですけれども、射爆場なんかの場合に沿岸から海に撃つわけですが、船が参りまして、一回り回っていくわけですね。燃料、時間の損失等が出てくるわけです。明確な損失補償の必要がある。旧来見舞い金の形で出しておった。ところが、現実に聞いてみると、そんなこと一々やっていたら、一週間も十日もかかってしまう。とてもじゃないが、そんなことやっていられないというわけです。だから、しょうがないから泣き寝入りになっているわけですね。それを表に出しますと、やはり予算費目を明らかにしてこうこうだということにしなければならぬ性格のものだと思うのです。しかも、法律をつくる以上は、便法措置をそういつまでもやっているわけにはいかない。そうなりますと、大蔵省折衝もしていられぬというのですが、ずいぶん不親切きわまることになるので、流用という形をおとりになるにしても、九条という明確な根拠法規が存在をする上での流用だということになると、これは国会が開かれていないなら別ですけれども、開かれているのですから、だからこれはおかしなことになりますから、そういうふうな点で、旧来の例からいって、そういう申し出なり請求をしない、そういう求償措置をしない、こういうふうなものを皆さんのほうではどうお考えになっておりますか。
  61. 松野頼三

    松野国務大臣 いままでおそらく見舞い金あるいは協力金みたいな形で、漁業協同組合あたりと話をしてやったと私思うのです。おそらくそれは燃料の問題、あるいはその期間の不便料というものでやったと思います。今回こういうふうな明確な規定を書きますと、これに該当するものは、燃料がこの期間においてこの程度迂回するためにかかるとか、あるいはこのためにこれだけの不便で現実に支出がふえたというものが、出てくると思う。出てくれば、やはりこの法律が根拠ですから、それに応ずる予算措置を講じなければならないのではなかろうか。いまから話をするのですから、まだどういうふうな立場になるかもわかりませんが、この論拠からいくと、おそらくこういうものは――これが五日間射撃する、その間船が五隻ある、この五隻があの航路を通る、そのためには、これだけ距離が延びるので、燃料はこれだけ要る、そのために、その他の間接的被害は別として、直接被害は少しく出てくるのではなかろうか、こうなると、この法律をつくります以上は、損失補償という明確なものに該当するならば、それは予算として支払わなければならないのだ、そう私は考えておるのです。したがって、間接的なもの、精神的なものはがまんしていただくにしても、明確に出るものはやはり損失補償対象ということに、この法律ではなると私は思います。したがって、予算もそういうふうな組みかえとか要求をしなければならない。ことしはまだこの法律を出すか出さぬか、御承知のようにちょっと各省がまとまりませんでしたから、ことしの予算は昨年と同じに組んだが、この法律が通りますと、来年からこの予算に応ずるものを明確に組まなければならない。ことしは流用でやるつもりでおります。その辺は、なかなか来年の予算技術には問題というか、大蔵省との折衝は、新規なものですから、相当苦労があると思います。しかし、法律ですから、大蔵省もそれは了解の上でやっておりますから、そういうふうな結果になるのではなかろうかと思います。
  62. 大出俊

    大出委員 なぜ私こういうことを言うかと申しますと、さっきから質問しておることに二つ意味があるのです。具体的に申しますからお答えいただきたいのですが、一つは、特損法をなぜ私がこちらに持ってくる筋合いだと申し上げておるかといいますと、かつまた、特損法をいじるとなると、問題は大きくなるということをおそらく予測しておられる向きがあるだろうと思いますと言っておるかといいますと、先ほど御答弁にありましたように、特損法規定からいきますと、第一次産業になっておるわけです。そうなると、特損法からいきますと、どうしても商工業などというところは該当しないのです。これははっきりしておる。ところが、現実に商工業の面でも何とかしなければならぬものがいろいろあるのだが、今日の特損法では話のしようがない。そうなると、新しい法律をおつくりになるときに、損失補償というそういう法律をおつくりになるなら、そこまで検討しなければならぬ。旧来から問題も出ておれば、要求も出ておるわけですから、今回法律をつくるにあたって、損失補償するという第三章を置きながら特損法を残す限りは、こちら側のプラスにならない。特損法と別なものをこちらでつくるなら、なぜ特損法を直さないかということになってくる。ですから、やむを得ずいまないものをくっつけて特損法とあわせてやるということは、本末転倒だ。そのことが地域住民に与える被害は、泣き寝入りの形でふえていく、こういう結果になる。第一次産業しか損失補償はないではないか。第一次産業を認めれば、第二次産業も認めざるを得ない面がある。具体的に申しますと、うんと時間がかかりますけれども、これはもういままでたくさん要求をされており、意見が出ておるところでありますから、そういう点があるということをどうお考えになるか。つまり特損法をそのままにしておいて、この第三章の第九条はそれに合わせるように苦労されておる。違ったものをここでお書きになるならば、予想されれば、なぜ特損法を直さないか。駐留軍とアンバランスになるのではないか。こうなってしまう。だから、皆さん立場から特損法を残す限り、こういう矛盾を放置することはできないというのが私の意見です。これが第一点。  それから第二点は、予算措置を明確にされないということになると、とかく予算査定の段階できわめて不合理な査定のしかたをしてしまうことになる、流用には限度がありますから。そこに与える被害がまた大きくなる、この心配がある。例をあげて申しますが、この基地周辺において農家の皆さんが畑を耕しておられるわけですが、そこにジェット機が飛ぶと、つい肩をすくめ、首をすくめるという時間が出てくる。だから、来るたびにそっと手がとまるということです。そのことを予測して今日までやっている。予算措置の面からは、ずいぶんふざけた話ですけれども、農耕阻害時間、飛行機が飛ぶ、肩をすくめる、首をすくめて手がとまるのが一分半だというのですね。こんなふざけた話はないですよ。その一分半をどういうふうに計算するかというと、一日の飛行回数を平均して、年間投入する平均労働量とそれから労賃の単価、これをかけ合わせて算出をして、この計算方式で請求をする、こういうことになるわけですね。ところが、この申請に対して、施設庁のやっていることは、査定という結果でほとんど削られる。十分の一以下です。出た請求に対しては、ほとんど十分の一くらいで切っておけば、大体予算その他と見合っていく。とにかく一分半を十分の一に切られたら九秒だ。一分半の十分の一ですよ。そういう切り方はないでしょう。実際に飛行機が飛ぶ。それから超音速ジェット機が飛んだにしても、その時間というのは、同じように継続して聞こえるのですから、それで肩をすくめる、手が休むというわけですね。これは一分半、それを計算をして出した。ところが、それを十分の一以下に切るということになると、これは理屈じゃないですね。だから長官、私はやはり予算措置というものは明確にしていただいて、そういう請求をすることに山があったりサバがあったりということだというふうに御判断になるのだとするならば、実態調査は測定の方法を厳密におやりになればいいじゃないですか。やはりそこのところは正直にやっていただかぬと、まじめに請求している人にすれば、人をばかにするなということになる。そういう不満を残しておいてはいけませんよ。だから、これはやはりそういう点は明確な算出基礎を持った予算措置をおつくりにならなければならない筋合いだ。だれが迷惑をこうむるかといえば、現実に被害を受けるその人たちですよ。だから、そういう一分半が妥当かどうかという問題もありますよ。ありますが、現実を直視すればそういう矛盾があるので、だから、私は先ほどから二つの問題を提起しているので、そこらのところをどういうふうに御判断になりますか。
  63. 小幡久男

    小幡政府委員 第一の問題でございますが、農業とか林業とか漁業とか、第一次産業に限っておるのはどうかという問題ですが、これは御承知のように、農業、林業、漁業は、空間とか水域とか、土地の広がりで、自然的なものと非常に密着しているわけです。こういうものに対する被害は、非常に明白といいますか、物理的に客観的に指摘できるというふうな基準がございますので、それを第一次的にとらえたのでございますが、商工業者につきましては、これはほんの一例ですが、先ほど大臣が申し上げました、船が回るというようなのは第一次産業じゃないと思いますが、こういった明確なものがありますれば、将来そういうものが一般公害との関連で、どうしてもこれは救えというふうな観念が確立しますようなときがきますれば、われわれのほうも、「その他政令で定める行為」というところで、フレキシブルなものを残しておるわけでございます。この第九条でございます。そういうことでひとつ、当面は非常に限定しておりますけれども、将来一般公害の理論といいますか、法理論といいますか、そういうものが進んできますれば、それに合わせて考える余地は残しておるということで、御了解願いたいと思います。
  64. 大出俊

    大出委員 くどいようですが、四条のところで、「当該防衛施設の運用により」という項をめぐって、先般いろいろ御質問申し上げたのですが、これは非常に広い意味解釈をしたい。というのは、基地設置、維持、管理、こういうことが付随するわけですが、基地つまり防衛施設、施設とはどこまでをいうか、付帯施設を含めまして、これは非常にむずかしい問題だと思う。かつて予算委員会等でも、いろいろ議論になったところです。議事録等も読んでみましたが、長官の御答弁によるところのゴルフ場というのは、一体付帯施設かという問題が出てくるわけですね。だから、これは非常に微妙なものがあります。ありますが、しかし、それらのものが著しく阻害を与えている、あるいは四条にいう住民の生活または事業活動が著しく阻害されている、こういうふうに見られるものがいろいろある。そうなりますと、できるだけ広く――設置のときには何がしかの補償をして設置しちゃったんだから、その意味では維持管理なんだ。いつかランドリーの話もしましたが、維持管理に入る。こうなりますと、そういう意味にお受け取りになるなら、それはそれでいいですが、しかし、そういう広い範囲考えたんだけれども予算その他の関係で、第一年度だから、したがって列挙主義政令にうたう、生活環境云々というような形の項目を分類する、ここまでなんだ、予算的にそれしかできない、将来それを広げていきたい、こういう趣旨がこの法律を通じてあるわけですね。あるとすれば、いまの特損法関係の問題も、第一次産業とあえて限らぬでも、二次産業部門でも、要求は前からあるのですから、そこのところで多少やはり前向きに見ていくということがなければならぬ。そうなると、特損法をそのまま置いておくということはわかるのですよ。ある意味では特損法に基づく各種の訓令もいろいろあるのですから、整理するのに時間も要りましょう。しかし、あえてそれをおやりにならぬと、さっき私が言ったような矛盾が起こる。これが問題の一つです。  それからもう一つは、さっき申しました農耕の阻害時分というふうな面、予算措置がなければそういうものが起こってくる。だから、ここらをどうかひとつ長官前向きで、この法律を立案、討議するにあたっていろいろ御検討なすったのだと思うけれども、せっかく提起している問題ですから、将来に向かってその辺のところをどういうふうに考慮いただくかということを、ひとつお述べをいただきたいというように思うのです。
  65. 松野頼三

    松野国務大臣 特損法との法制上のたてまえはこれは別として、内容的には、あるいは特損法にも「その他政令で定める行為」という、ある意味においては幅の含まれる点もあります。ただ、ただいまの第二次産業、第三次産業の被害の判定の問題、直接被害なのか、精神的被害なのか、あるいは非常に間接的なものか、その判定によって私は運営はできると思います。したがって、今後もその判定が直接被害であることが明らかなものについては、第一次産業以外においても、私は政令で定め得ると思います。したがって、この問題は、法制上二本必要ないじゃないかという議論は残りますけれども、しかし、内容においてはそのような意味でやるわけです。  なお、施設の問題も、おっしゃるように施設がいろいろあります。しかし、中には誘致運動のある施設も多々ありますから、ぜひひとつ自衛隊の誘致をしてくれという地域もあるのですから、すべてが自衛隊すなわち加害者という意味じゃありません。ある意味においては利益を与える場合もあるのです。ただ、この中で非常に国民に被害を与えるものについてこれを補償対象あるいはこの法律対象にすべきだというので、どこまでが被害かということになると、倉庫はどうだとか、そうなると、なかなかこれは判定がつきません。したがって、射撃、爆撃、演習というものを特に書き上げたわけで、それ以外はしないぞという意味ではありません。「その他政令で」と書いてあります。こういうものは個々に政令できめながら、事実を調査しながら、直接被害の度合いに応じてやるべきだ、そういうふうな運用をするつもりでおります。
  66. 大出俊

    大出委員 ここで長官に、昨日所用がおありになっておられませんでしたので、一、二点承っておきたいことがあるのです。それは第五条の土地建物等移転あるいは売買というようなことをめぐりまして、その範囲をどういうふうに見るかという点なんでありますが、進入表面それから転移表面、こういうふうに分けまして、滑走路を中心にして投影部分ということで範囲をおきめになるわけでありますが、進入表面等のかつての閣議決定は、ほぼ一キロぐらいのところで線を引いておられるわけなんです。   〔辻委員長代理退席、委員長着席〕  これがそのままここできまってくると、どうも新しくこれを法律化した意味がないように思うわけであります。ところが、やりとりをしてみたところが、答弁の要約は、飛行場によっていろいろ個々に違う面もある。だから、必ずしも千メートルという線、こういうふうには画一的にはいきにくい、ここまでの答弁が出てきているわけです。私は、予算の裏づけもあるのですから、それはそれでいいとして、画一的にきめないということは、前の閣議決定にこだわらないことになるということだと思います。閣議決定でいけば、きめなければならない筋合いだと思いますが、画一的にきめない。そして大体千メートルくらいのところになるのだろうと思うがということで、そうすると、よしんば千二百メートルなり千二百五十メートルなりのところで、現実に相当な騒音で、移転あるいは売却というふうなことが現実に出てきた場合に、画一的におきめにならぬのだというのであれば、実態に即してそれが千二百メートルであっても、千二百五十メートルであっても、これはということになるとすれば、これは長官の判断事項ですから、そういう意味で何とか売却に応じていこうという、あるいは移転に応じていこうという、そういうつまり幅の広い解釈が出てきてしかるべきだろう、こういうふうに思うのでありますが、画一的におきめにならぬと言われるので、そこらあたりの運用の問題をひとつ承っておきたい、こういうふうに思うわけであります。
  67. 松野頼三

    松野国務大臣 一応いままでの既存の調査では、千メートルならば妥当であるというので、昨年の八月一応千メートルときめました。しかし、御承知のように、航空機というものの状況は変わります。機種によっても変わる。またその運用によっても変わりますから、一応昨年八月は千メートルで現状ではだいじょうぶだと私も考えましたけれども、その後事態が進展して、千二百メートルでも千メートルと同じような状況になる、あるいはそういう地形である、また飛行機の機種によってはそうなるというならば、そのときにまた閣議決定の運用というものは変えていいものでありまして、永遠のものではないということで、昨年の八月に一応千メートルにきめましたが、ただ、そういう事態が出てまいれば、その閣議決定の問題を改正することは、そんなに基本的には私どもの姿勢と相反するものではありません。そういう場合には、閣議決定の改正は、方法としては可能であります。しかし、そういう事態が事実各所に出てきませんと、千メートルをここではずしてしまえば、千二百、千三百どうだという逆論も出ますので、今日は千メートルで妥当だと思いますが、調査の結果、それと同じような結果が出るならば、千メートルを改正するということは、方向としては私どもはこの法律を変えることは少しも異論があるところではありません。
  68. 大出俊

    大出委員 一番最後のところが気になるのでちょっと承りますが、こういうものはしゃくし定木に千メートルと切れないものなんですね。たとえばNHKの問題で郵政省にお伺いしたときも、隣と同じに使っていて、ここで線が引かれていて、片方は半額、全額免除だ。ところが、同じ状態だけれども、こっちはそうじゃないという場合に、これがこれこれ離れているからといって、そのことを考慮しないわけではない。実態に即して多少の広がりがあってもきめていきます、こういう答弁が出てきているわけでありますが、同じ意味で、おおむね千メートルだということは、おぼろげながら皆さんの言われることはわかるのですが、地形ということをさっき長官も言われたのですが、地形もありましょう、ジェット機の種類もありましょう、飛行機の種類によっては爆音の相違もございますから、そういう意味で、そういうことをかつて決定してきているから、予測はするが、地形あるいは飛行機の種類等々によって多少幅のある解釈、判断を下す余地があるという理解を私はしたいのですけれどもそこらあたりはどうでしょうか。
  69. 松野頼三

    松野国務大臣 ただいまのような答弁を私もしたいのです。しかし、それをするには、そういう事実調査だけは事前に十分――千二百メートルというものが妥当であるという、千メートルの理論をもう政府はきめましたから、千二百メートル必要であるという理論的構成とその事実というものを明快にすれば、千二百メートルということも十分可能である。ただ、ここで予想もつかないものを、だいじょうぶです、改正しますというのには、まだ調査不十分のような気がします。したがって、なお私どもは千二百メートルというものを検討して、必要であるという事実の問題が認定されたときには、千二百メートルに改正します。ただ、ここでやりとりの中で千二百メートルにしてしまう、そこまで言い切れないので、ことばがあやふやだったと思いますが、事実をもっと調査させてください。そして御希望の問題は検討いたします。そしてそれが事実であるならば、千二百メートルに改正する準備をいたします、こういうわけであります。
  70. 大出俊

    大出委員 地方の方々は自家調査も自分たちでやっておりますから、そこで現実に即して調査をされて、大体三千メートルと言っているわけですね。そこまで非常に大きな影響があって、移転範囲あるいは売却その他この措置範囲に入れるべきである。それからまた幅員のほうからいきましても、一・二あるいは一・五というようなことが前々から出てきている。周辺整備などという案をつくられるときにも、すでにそういう意見がたくさん出てきているわけです。だから、これは厳密な意味合いでは、実際にお調べいただければわかるけれども、私どもが見る範囲では、千メートルなどの線が引けるものではないのですね。飛行機も変わってきております。そうなりますと、地元のいう三千メートルあるいは一・二、一・五という横の問題も、十二分に考慮の余地がある。ただ、そうなると、予算との関連が出てくるというところに問題があります。したがって、その点は、いま純粋な意味皆さんのほうでも御検討をいただくというお話なんで、あわせてそういう地元の実際の声というものを聞いていただきたい。地元方々は、この法律をここで簡単にあげられては困るという御意見なんです。何とかして公聴会等を基地周辺でやってくれという意見が、非常に強い。とにかく机上で論議されても困る、だから、実際におれのところの基地に来てみてくれぬか、その周辺の真実の声を、実際に被害をこうむっている諸君の声を聞いてくれという声が、うんとあるわけです。私はこのことを主張したいわけなんですけれども理事会等の問題もありますから、これはこの委員会の運営の問題に関しますので、長官にその意味の御答弁をいただこうとは思いませんが、そういう声が非常に強いという現実なんですから、いまの点は、何年何月に閣議でこうきめたんだからということではなしに、ひとつ前向きで検討していただきたい、こういうふうに思うのです。
  71. 松野頼三

    松野国務大臣 千メートルにきめたときには、大体一番危険な状態はどこであるかというので、被害状況及び飛行機の機種、能力というものから、千メートルあればだいじょうぶであろうということで一応きめたわけです。しかし、逆に住民の気持ちからいうならば、千二百メートルだって同じ不安があるんだ、この気持ちは私もわかります。したがって、精神論も大事であると同時に、事実論も大事でありますから、両々ひとつ相調査して、なるべく安全の度合いの深いほうがより好ましいのは当然なんで、といって無制限に安全度合いを見るというわけにもまいりませんので、この問題はもう少し――私のほうは千メートルから延ばさないという意味で答えたのではないのです。何とかそういうお気持ちに沿い得るように努力する、ついてはもう少し調査をさせてくださいというほうにとっていただくなら、私のほうも反対して抗弁しているわけではありません。ただ、いきなりここで千二百メートルにしますのには、私のほうも千メートルを出したときのような調査ができていない。したがって、もう少し調査をさせていただきたい、そういう趣旨です。何も延ばさないという意味答弁しているのではない、延ばすにしても、もう少し調査をさせてくれ、こういう意味です。
  72. 大出俊

    大出委員 政令の十四条つまり法第九条一項の関係ですが、「政令で定める事業」、こうなっておりまして、この中には特損法規定に基づく内航運送事業等の船、四十トンなんていう規定があるのですが、最近どんどん大型化しておりますから、はたして四十トンというような規定をもしこの政令の中で準用するとするならば、実情にそぐわないものが当然出てまいります。百トンぐらいのものは、もう普通なんですね。そうすると、四十トンなどというのは、どこから考えても実情にそぐわない。横浜港を中心にするはしけ回漕などを見ても、八割ははしけですけれども、いま大型のはしけがどんどんできて、おかげさまではしけだまりがどうにもならないということになっちゃっているわけです。百トン級のはしけはざらです。そうなってまいりますと、この四十トンというのはいかにも非現実的で、確かに二十八年にきめた特損法らしいところなんですが、この辺のこと等について、この政令はどういうふうにお取り扱いになるかという点を御説明おきをいただきたい。
  73. 松野頼三

    松野国務大臣 先般政府委員のほうから、一応百トンぐらいまでは考えたいという答弁もしたかと私は思います。これはやはり内航船といいますか、運輸省の所管の諸法規がありますので、おそらく補助率とか融資率とか、いろいろ各省において私はあるのじゃなかろうか、そのほうとの打ち合わせが、まだ済んでおりません。したがって、四十トンまでは既存のものですから問題はありませんが、もう少し、百トンぐらいまで考えたいということで、それをどの程度で折り合うか、運輸省の内航船規定とかいうものがあるようですが、それとまだ調整ができておりません。私の気持ちとしては、これよりもう少し引き上げていきたい。じゃ、どこまでだと言われたから、百トンくらいまでは何とかという答弁を、私はこの委員会でしたように記憶します。その辺のトン数は、もうしばらく運輸省との打ち合わせ――運輸省は運輸省としての監督官庁の理論的根拠があるでしょうから、まだ打ち合わせが完全に済んでおりません。しかし、四十トンよりももう少し上にしてもいいじゃないかという気持ちで答えたわけです。政令段階において、私のほうの第一案としては、もう少し引き上げたい。どの程度といえば、百トンくらいまではどうだろうかという気があります。そのことがまだ不明確でありますけれども趣旨はそんな趣旨ですから、もうしばらく、これは運輸省との打ち合わせをお待ち願いたいと思います。
  74. 大出俊

    大出委員 海上運送法あるいは船舶運航事業というか、内航海運業法などがありますが、おそらくそれらとの関連をさしておられるのだと思いますが、非常に大きくなっているという現実はお認めだと思いますから、そういう意味で、早急にこれはやはりそこらで被害が残されるということのないように、ひとつ十分打ち合わせをいただいて線をひとつ考えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  それから、法第九条第一項第一号の政令で定める行為、これは何を予定されておりますか。ここで、舟艇のひんぱんな使用で政令で定めるもの、それから射撃その他の方法でこれまた政令で定めるもの、三、その他政令で定める行為、こうあるわけですね。ここのところを大体どういうふうに予定をされておるか、ひとつ承りたいと思う。
  75. 財満功

    財満政府委員 法第九条第一項一号の政令で定める行為は、ただいまのところ私ども予定いたしておりますのは、航空機の離陸、着陸等のひんぱんな実施にありましては、「農業又は漁業の実施を著しく困難にする行為。ただし、当該農業又は漁業が飛行場又は演習場周辺防衛施設庁長官の定める区域内において行なわれる場合に限る。」という、その制限の問題につきまして、ただいま検討をいたしております。それから第二番目は、機甲車両その他重車両のひんぱんな使用にありましては、「農業、林業又は漁業の実施を著しく困難にする行為」ということを考えております。それから第三番目といたしましては、船舶または舟艇のひんぱんな使用にありましては、「漁業の実施を著しく困難にする行為」というふうにいたしたいと予定いたしております。
  76. 大出俊

    大出委員 いま言われた政令の一項、最初のほうのお話で、「当該農業又は漁業が飛行場又は演習場周辺防衛施設庁長官の定める区域内」と、こうありますが、長官の定める区域内とは、何キロ、どのくらいをさすのですか。
  77. 小幡久男

    小幡政府委員 これは飛行場によって違いますが、基準となりますのは、飛行機の高度と騒音できめたいと思っております。飛行機の高度は、御承知のように、非常に低空になるという機種もございますし、訓練のしかたもございます。そういう要素と、もう一つは、やはり音響でございますね。これは低いから高いというものもありますし、新鋭機は急上昇しますが、やはり相当音響が高い。音響につきましては、大体百ホンくらいのところを考えております。それから高度は、大体三十メートルから上へ上がります、その三十メートル以下のところは、非常に危険感があるというふうに考えております。その他、地形等もございます。たとえば地形が盛り上がっておるという場合には、その高度につきましては相当距離が長くなるとか、危険感が増すとかいうことになりますので、飛行場ごとにこれはきめたいと思っております。それから射爆場につきましては、やはり標的からの距離、現在では四千メートルときめておりますが、大体そういう基準でケース・バイ・ケース、個々の飛行場を見まして応用していきたいと思っております。
  78. 大出俊

    大出委員 それにしても三キロとか四キロとかという、一応の目安は置いておられないのですか。
  79. 小幡久男

    小幡政府委員 いまの基準で測定いたしますと、大体千七百とか、二千とか、あるいは千二百とか、そういった程度のものが、現在出ております。
  80. 大出俊

    大出委員 ここで二つ私のほうから意見を申し上げておきますが、先ほど私が例にあげました農耕の著しい阻害などというのは、ここに該当すると思うのです。くわを振っている手がとまるというようなもの。これを時分計算をされて、さつき申し上げたようなことになっているのですが、十分の一以下の査定なんというものも、あまりにこれは非現実的なんですね。これはひとつ皆さんのほうで現地の実態に即して、現地の声ももっと聞いていただいて――だから公聴会をやれなんという意見も出てくるわけで、これはできれば私はぜひやっていただきたいということなんですが、それらも含めてひとつ御検討いただきたいし、それからいまの千七百云々という件についても、そうではなくて、やっぱり四キロとかいうふうな基準をつくるべきだという意見もたくさんあるし、現実に、ではそこら皆さんが行ってみたらどう感じるかという問題もございますから、これらも、新しい法律をおつくりになるわけですから、十分ひとつ調査をしてこの辺はおきめいただく、現地の声も聞いていただく、こういうように進めていただきたいのですが、いかがなものですか。
  81. 小幡久男

    小幡政府委員 特にこの第九条は、補償の権利を与えるかどうかという非常にリジッドな法案でございますので、御趣旨に沿いまして十分飛行場の調査をしたいと思っております。
  82. 大出俊

    大出委員 だいぶ時間を使いまして恐縮なんで、急いであとひとつ簡単に質問をしてまいります。  九条の一項の三号の「政令で定める行為」というのがございますね。これは防潜網だとか、水中工作物、魚礁だとか、いろいろなものが出てくるのだろうと思うのであります。魚つき林というのですか、特損法のほうにはいろいろございますが、これはおおむね特損法に合わせるというお考えだろうと思うのであります。それから訓練弾だとかその他、けさのテレビなんかも言っておりましたけれども、有体物の遺棄、トロール船で引っぱったところが海の底に砲弾があったというふうな場合、網が破れるという意味損失、あるいは取り除きようがないというような問題、そういう問題がいろいろ出てくるところなんだろうと思うのですが、このあたりのところは、どういうふうにお考えになっていますか。
  83. 財満功

    財満政府委員 防潜網その他の水中工作物設置、この問題につきましては、先ほど先生のお話のように、佐世保付近はそういうふうなものがあるかもしれぬというふうなことでございました。確かに、例は多くないと思いますが、将来絶対にないというふうなものではないと思うので、これは特損法にもそのようにうたってありますので、それをこちらへ載せまして実施する。それからあとでおっしゃいました訓練弾その他の有体物の遺棄で漁業の実施を困難にする、これはそのような例もございましたが、当然その種の損失補償をしなければならないものといたしまして、政令の中にあげて規定いたしておるものでございます。
  84. 大出俊

    大出委員 あと三点大筋を質問を申し上げて終わりたいと思います。  その一点は長官に承りたいのですが、池田さんが総理をおやりになっている時代は、この種の基地のいろいろな問題を、よく御答弁の中でケース・バイ・ケースということばを使われて、そういう処理をされてきた。ところが、一年何がしかの間に、二年間もかつてあたためていたこの種の法案を急速まとめて、ともかく法案の形をとって出してきたという、ここのところに何らかの考え方がおありだろうと思うのですが、単刀直入にずばり承りたいのです。長年そういうことでもたもたしておったのですが、ケース・バイ・ケースがいきなりこういうふうにぽんと出てくるに至った真因は、一体どこにあるのですか。
  85. 松野頼三

    松野国務大臣 基地とその関係住民との間の権利義務というものを明確にして、補償すべきものはするということを明確にすることが、紛糾の一番早い解決である。お互い水かけ論みたいなものをやっておるということは、長い意味において国民に対して迷惑をかけているんじゃなかろうかということが、第一であります。したがって、いぼまではケース・バイ・ケースでやってまいりましたけれども、ケース・バイ・ケースでやることが、基本のものさしがないために、かえって紛糾が解決ができない。したがって、今回法律で明快なものを与えることによって解決が早まるということで、この法律に踏み切ったわけであります。おっしゃるように、この法律は、いままで例のないくらい、法律条文はわずかですけれども、手広いものでありまして、おそらく、三日間御質問になったように、一つ一つがみんな問題のあるところ、それをあえて踏み切ったのは、いろんな紛糾がいつも解決しない。解決の基準がないから、今回基準を与えて、すべての問題を解決して、国民の迷惑を早く取り除きたい。予算の少ないよりも、まずその根源をたださなければならないというので、思い切って踏み切ったわけであります。これが基本的な考えでございます。
  86. 大出俊

    大出委員 その背景は、安保再延長の問題だとか、あるいは国連協力云々の問題だとか、沖縄の問題だとか、だいぶこのところ、松野さんが長官におなりになってから、その種の論争が続いてきたわけです。そうなってまいりますと、この種の問題をいつまでも遷延させておくことは、いろんな意味で、どうも政治的にまずいという御判断がおありになったんだろうと思いますが、ずばりいって、そこらのところがめどですか。
  87. 松野頼三

    松野国務大臣 ずばりいって、安保問題は一応の条約ですから、ある意味においては年限というのがあります。しかし、自衛隊の存在というのは年限はないことですから、したがって、まず自衛隊問題を中心としてこの法律を提案したわけであります。また、米軍問題については、特損法というふうに、大なり小なり法律があります。しかし、最も基本的、国民の認識の深い自衛隊法律がないということは、紛糾が常に続いて非常に不安定であるということで踏み切ったわけでありまして、したがって、これは主として自衛隊がほとんどの場面を予算的には占めるものであります。その意味で、安保問題のウェートは非常にこの法案には軽い。それよりも自衛隊に対する問題がほとんどだというので、安保の論争とこの法案とは直接関係ありません。言うなれば、自衛隊基地周辺の住民の方の関係というものが、今回は非常によりよく明確になるということであります。そう安保について勘ぐられるほどの内容は入っておりません。
  88. 大出俊

    大出委員 そのあたりになりますと見解の相違になってまいりますが、ところで、いまの話は前段でございまして、聞きたいところは次の問題なんです。つまりこの法律があって、基地周辺住民、特に市町村等をあわせまして、はたして有効なのだろうかどうか、つまり基地周辺住民並びに自治体等にとりまして、はたしてこの法律はプラスになるのかならぬのかという論議が、実は旧来から基地周辺の住民、各種団体の中にあるわけなんです。それはどういうことかというと、例を一つあげますと、がまん料のような形で、迷惑料のような形で、五億新しいものを組まれて四条ができてくる。あとはほとんど既存のものの法律根拠をつくるという意味になる。ただ、先ほど来申し上げておるように、多少私はワクは広げていただかなければならぬと思うのですが、問題は五億しかない金、これが四条にいうところの民生安定施設の助成の補助金になる、こういうわけですが、これは法律ができますと、その市町村におられる住民の方々は、市町村に対して、市町村議会等々を通しまして、こういう法律ができたんだそうだ、だからこれをやってくれ、あれをやってくれという陳情引きも切らぬことになると思う。そうなると、法律がある以上は、どうしてもその市町村理事者の方々も、市議会に携わる方々も、五億の金をめぐって陳情合戦に入らざるを得ない。何がしかを補助してもらおうということになりかねない。そういう要求が住民からあった場合に、防ぎ切れない。ところで、もしそうなって何がしかずつ金をとっていくといったような場合に、一部の補助なんですから、主体になるべきものは市町村一般財源その他で差し繰って出さなければならないことになる、こういうわけですね。県なんかの場合には、都道府県が入っておりませんから、そういう意味では法律事項でないから、裁量行為の中には入ってまいりましょうけれども、多少ニュアンスが違うんだが、市町村段階になりますと、そういうところから増してくるし、財源措置に困っているいまの市町村ですから、そうなると、新しい財源をどうするかという問題に突き当たるわけです。よしんば一般財源から捻出したにしても、それはその地域の現に困っている基地住民の税金なんですね。そうなると、別途基地交付金等がふやされるということになれば、主たる財源の捻出のしかたは出てまいりますけれども、そうでない限りは、そこでまた一つ財源捻出に非常に窮乏するということになる。そうなると、この法律は、一つ間違うと、市町村いじめ、自治体いじめの法律になりやせぬか、こういうことにもなりかねないわけです。だから、そういう面からすると、はたしてこの法律は前向きにやっていいのだろうか悪いのだろうか、プラスなのかマイナスなのかという問題まで起きかねない。だから、その問題を解決しようとすれば、どうしても皆さんの最大限の御努力を願って、先般私が御質問申し上げておりますように、ドル資産に見合うとか云々という形の交付金等の増額が考えられたわけですが、何がしかそういう面の努力が重ねられなければ、ほんとうの意味で実のあるものになっていかないという気がするわけでありまして、このことは基地周辺におられる方、あるいは理事者の方々の、県段階は入っておりませんから別でありますけれども、非常に痛切な感じ方をしているところだと思います。ここらあたりのところを長官のほうで将来に向かってどういうふうに御判断になるかということを聞かしていただきませんと、せっかくこの法律を論議するについての何か画竜点睛を欠くことになりますので、そこらあたりをどういうふうにお考えになっておりますか。
  89. 松野頼三

    松野国務大臣 いままでの基地交付金は、御承知のごとく、どちらかといえば、大体都会的なところに配分の重点が置かれておりまして、したがって、へんぴなところは固定資産の税率が少ないから、配分というものがおのずから軽減されてしまう。今度の場合は、ある意味においては逆に利用されるのではなかろうか。周辺地区の非常に財政が少ないところに、現実にはこの該当事項が出てくるのではなかろうかと思います。  そこで、一つの例で、漁港をつくりたいと言われると、漁村には財源がない。農林省から補助金をもらうけれども地元負担ができないという場面が、現実に希望が出ております。基地周辺だから、これに関連して、ひとつ基地のほうから何らか方法はないだろうかというのが、実は二、三出ております。この金額はもちろん五億以内ですから、五億あれば、いま出ておるのは大体解決すると思います。その場合、地元負担金に見合うものがあるいはこれによって補助されるならば、地元負担金が、ある意味においては、一般的公共事業費の補助金プラス基地周辺の取りつけ道路の問題というもので完成されるのではなかろうか。漁港は農林省方面でありましょうが、それに関連する事業というものは、なかなか補助金もない。地元負担がない。しかし、それがなければ漁港ができない。何とかこれにやってくれぬか、こういうものには、金額は五億でも、有効なものじゃないか。もちろん、ことしの予算が五億ですから、この地方においては、今後おそらく倍加していくのではなかろうかと思います。それは覚悟の上で実は踏み切ったわけであります。ことし五億で、来年も五億という意味じゃありません。また全国で要求が出ても、一ぺんに事業がされるわけじゃありませんが、年を追うていけば相当効果があるのではないか。御心配の点も事実ですから、運用によるもの、あるいはそこの市町村考えによるもの、また防衛庁予算のつけ方によるもの、これで相当効果的になるのではなかろうか。といって、御不安の点、大なり小なり、地方団体は知っておりますから、あります。そこで話し合いをしながらいけば、前進していけばいい案になる。また運用がよくなければ窮屈になる。御希望が多くて予算が窮屈になる。その辺は確かにあります。その辺はともかく防衛庁としては、関係市町村防衛庁との話し合いの問題できまるのではなかろうかというので、そういうところを注意しながら私はやっていきたい。ただ何でもかでも金をやるぞという言い方では、非常な迷惑になるし、みんなで要求ばかりされて、与えるものが少なかった、それで不人気になるのではないか、また市町村も困るじゃないか、そういうこともあります。そういうようなただばらまくという気持ちでなしに、一つ一つが建設的なものに結びつくという事業についてやるならば、効果はあるんじゃないかと私は思います。
  90. 大出俊

    大出委員 地元方々のいろいろなものを書いております中に、法律ではジェット機の墜落を防げない。端的に言えば、そういうものの書き方がたくさん出ているわけです。それからこの法案が大幅修正という形において取りきめられるのであれば、ある意味では基地周辺の民政安定という意味に役立つという前向きの受け取り方ができるけれども、そうでなくて、このまま政令にゆだねられる部分が非常に多過ぎて、それが前向きに行なわれないということになるとすれば、いま私が最後に申し上げたことと相からみまして、むしろこのことは、逆に法律ができることによってマイナスの面が出てくるのではないかという意味で、むしろ黙殺すべきであるというふうな意見が、また別なところに出てきているわけです。したがって、私自身も、新米ですけれども、論議する立場にありますので、非常に責任を感じている一人なんですが、これらの方々の一番最後のほうに書いてありますことは、何と言っているかといいますと、まさに法律でジェット機の墜落は防げないという意味の、根本的のこの問題の解決は、将来の戦争の危機がなくなり、基地が要らなくなる、こういうことでなければならないということをつけ加えて書いておられる。切実に金がほしい、整備が必要だと思っている方々の言っていることの一番最後にそれがあるわけなんで、したがいまして、今後の問題としては、かと言って、住民のいないところに基地があるわけじゃないのですから、この法案をこの委員会が結論を得て打ち上げていくことになるということについては、やはりそれ相当の将来に向かっての努力のことが附帯決議の形なり何なりがとられたりして、ある意味の住民に対する約束ごとのようになっていきませんと、これらの方々の希望が満足されないだろう、こう思っておりますから、私どもはこの法律については、安保廃棄のたてまえになっておりますから、賛成できない法律ですけれども、そういう意味の格段の御配慮を皆さん方のほうでおとりいただきたいということをつけ加えまして、えらい長い時間になりまして恐縮でしたけれども質問を終わります。ありがとうございました。
  91. 木村武雄

  92. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 基地周辺の整備法が出ているわけでありますが、いまも大出委員最後におっしゃったように、私どもは安保の存在を否定しておりますし、さらには自衛隊についても、憲法違反の違憲的な存在であるからこれを認めないという立場をとっているわけであります。しかし、現実にアメリカ軍の基地が存在し、自衛隊が次々に拡張されまして、今日現存しているという事実も、否定できぬわけです。したがって、そういう立場から、この基地周辺の整備法に対する論議もしていくわけですが、私は私の都合がありまして時間がありませんので、整備法に対する質問は一応保留しまして、防衛庁長官に、十年来の懸案であります群馬県の太田小泉飛行場の件について、率直な質問をしたいと思うのであります。  先般参議院の内閣委員会長官はいろいろな点で答弁をしていらっしゃいますが、その中で、いままでのかなり長い国会における論議の中で、他のいままでの長官――ここには地元の藤枝議員もいらっしゃいますが、かつて防衛庁長官でこの問題でだいぶ苦労された経験を持っておられるわけでありますが、私ども幾代かの長官に内閣委員会では時計の振子のようにきまって必ず質問をし、また要望もしてきたわけであります。したがって、その内容なりその理由は別に申し上げるまでもなく、これはもう長官も御承知であるし、施設庁長官もよく御承知である。ただ私どもが遺憾に思うのは、参議院の内閣委員会答弁は、一年間かなりの回数使ったように答弁がありますけれども、私が最近にも現地に参りまして調査しましたところによりますと、実際にはそれほどの回数は使っていないようです。ほんとにわずかな期間しか使っていないし、使うにしても、一日に一回か二回落としたり、あるいは飛んでいっておしまい。たびたび指摘しているように、現在の太田小泉飛行場のいわゆる飛行機による物資投下演習というものは、何か私どもに言わせると、あの飛行場を確保することの一つの根拠をつくるために演習をしているというくらいにしか思えない。しかも、半分近くがゴルフ場として使用されている。私が申しませんでも、あの地区が太田、小泉両市町の今後の発展のためにいかに重大な影響を持っておるかということも、十分御承知である。群馬県としても非常に重大なことであることも、御承知である。そういう観点から、あの飛行場が今日返還されぬということは、私は何としても了解できない。むしろアメリカ軍は、日米安保条約に基づいてやっておりますけれども、ああいう飛行場は使わないで返したほうが、日米両国の親善その他あらゆる観点から非常な効果があるとすら考えられる。そこで長官は、この国会の会期中と申しますか、あるいは長官の在任中と申しますか――長官は御再任になりますかわかりませんが、一応内閣改造の話も出ております。御承知のとおり、一応国会は十八日で終わります。きょうはもう十二日、あと一週間を残しません。したがって、これはもうどうしてもきょうあたり質問しておきませんと、会期が終わったのでは質問できませんから、参議院の内閣委員会における御答弁が、今会期中にはめどをつけますというはっきりした御答弁があったので、これを受けまして、きょうはひとつほかのことは申しませんから――この答弁は三月十七日でありますから、約二カ月前であります。したがって、二カ月という日数はかなりありますし、また今国会の会期中ということは、これは当然予想されるのですから、その点についてその後どのような折衝をされ、どのような具体的な進展をしているか、お伺いをしたいと思います。
  93. 松野頼三

    松野国務大臣 参議院で確かに三月ごろ、この国会中には目鼻をつけたいと思いますという答弁をいたしました。私もそのつもりでおりますが、御承知のごとく、国会には五つの法案をただいま当委員会に提案をしております。なかなかその進展がなくて、米軍と交渉するひまがないので、早く上げていただけば早く交渉に入れるのではないかと思っておりますので、その後の進展は、まだ実は私が直接出向く時間がございません。したがって、国会が終わりますまでには施設庁長官に連絡させて、国会後において私も一度交渉したい。それで、その腹案はあるかと言われるから、腹案はもちろんなしではおりません。いまその他に二カ所ばかり代替地の候補地を見つけております。その代替地の候補地について、米軍に演習上支障がないかどうかという返答を求めておりますという話をいたしました。その事実を申し上げたのです。したがって、それについては、施設庁がある程度交渉していますが、まだ明確な返事はありませんが、国会が終わって私が一度話をすれば、そのときに明快な答えが出るだろう。それについて、早くひとつ国会のこの職務を済ませてもらいたいという気持ちでおります。そういうわけでありますが、その二カ所というのは、私どものほうは大体場所をきめて、ここならば米軍の演習に支障がないであろうとわれわれが想定できる範囲のものを二カ所ばかり実は見つけました。どうせ代替地を求めなければならない。ところが、代替地の誘致運動とか、地元に代替地として喜んでもらうことはなかなかむずかしいものですし、ついては、代替地の地元の方に反対があってはいけませんので、内々にその話を進めております。いまのところ極端な反対はまだ出ておりませんが、賛成という意見もまだ出ておりません。しかし、そういうふうなことで二カ所ばかり選んで――私たちが見て、その周辺に人家が密集しておるという危険な場所は選んでおりません。そういう関係のないところを選んで、米軍のほうに実は内々交渉しております。したがって、この国会が終わりますころには、向こうからの返事もくるであろう。二カ所のうち少なくとも一つくらいは、候補地として話がまとまりそうな場所です、というふうな話を実はいたしました。場所はどこだと聞かれたから、それを言いますと、その場所の方がまた無用の摩擦を起こして、せっかくの交渉が事前につぶれますから、それはしばらくかんべんしてくださいという話をしたわけです。それで、私のほうは空論を言っているわけじゃありません。現実にこういう努力をしております。したがって、どうぞ私のほうの苦衷も察して、法案審議にもよろしくお願いいたしたいと思います。
  94. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 常日ごろ尊敬している松野頼三先生の御答弁とも、どうも思えないのです。それは私ども個人的には親しい仲ですから、四角ばった答弁でないことはいいのですが、法案が五つあるから、その法案の審議が進んでないから、米軍との折衝がおくれているというのは、ちょっと私は納得できないのです。法案があることは当然でありますし、社会党もかなり抵抗しておりますから、それはそれなりにわかります。しかし、内閣委員会は一週間に二回か三回、それも、ここのところ施設のことで出ていますが、毎回防衛庁の法案が出るわけじゃありません。したがって、長官もお忙しいと思うけれども、これほど大事な案件であるし、長い時間もかかっておりますし、しかも、参議院の内閣委員会で、はっきりこの国会中にはめどをつけるとおっしゃっているのですから、長官は寸暇をきいて、この国会で答弁した責任を遂行していただく、それが松野長官のいいところだといままで信じていた、松野長官は信頼できると思っておった。しかも、ここに出ているから、たぶんきょうは色よい返事が聞けると期待しておったわけです。ほかの長官ならいざ知らず、松野長官や藤枝長官ならば、当然責任のある、しかもいい返事が聞けるものと実は期待しておった。新聞に出ておったから、おそらく県民も期待しておったと思う。そうなりますと、三月十七日の答弁と同じ答弁では、ちょっと私どもも困るし、長官責任も、これでは済まぬと私は思う。したがって、決して場所の明示は追及しません。しかし、少なくとも二つの場所を持ち、内面的な折衝を始め、米軍にも通報したならば、二つあるんだから、いまここへきて、この十八日の国会の幕切れまでにはっきりしたものを出せとは申しません。どうもきょうあたりの様子では、国会も社会党の反対にもかかわらず、かなりの延長があるように動いております。したがって、いまの長官答弁だけでは了承できません。やはり県民の期待にこたえるだけの責任ある答弁をしてもらいませんと困るのでございますが、いかがでございましょう。
  95. 松野頼三

    松野国務大臣 茜ケ久保委員のおっしゃるように、この問題は長い問題です。したがって、一時はいろいろな案が出ました。ところが、川向こうの案が出ますと、県が違う。今度は栃木県のほうからおれのところは反対だといって、名前が出るたびにつぶれる。それじゃ水戸の射爆場でこれを兼務した演習を行なおうとすると、水戸射爆場ではまた問題が起こるというので、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、ずいぶん苦労した経験のあることです。そこで、私どもはそういう摩擦を避けて、新たな観点からいま案をつくって米軍との交渉を実は進めておるのです。その見通しはどうだ、私は何とか五分五分くらいまでは見通しはほんとうにあるつもりです。私は全然空論で、逃げ口上を言っておるわけではありません。場所も提示して、そして米軍との条件も話しております。もう少し具体的に話を進めるならば、この可能性はあると私は思っております。おっしゃるように、国会はないからいいじゃないか、しかし、済みませんと、さっぱりした気持ちでいかぬものなんです、一つの問題がありますと。だから、やはりきっと済ませば、私はその意気で――日米間にはいろいろ問題がありますが、日米間の問題もお互いが同じ立場でおるならば、私も議員で長年委員をしておりましたから、今度こっちの立場で、こうなるのです。やはり通していただくと、私どももさっとやりいい仕事もあります。せっかくの茜ケ久保さんの御要求で、私のほうもしゃくし定木に言いません。どうぞ私の気持ちを察していただいて、何とかこれに最大の努力をする。  もう一つは、いろいろな基地問題に関連があります。こっちへ持っていった場合に、この基地はどうなるか、この基地がどうなったらこの演習をどこへ持っていくか、多少の動きはあります。それは主として米軍の動きと日本の自衛隊の動きであります。そこで候補地が二つ出た。ここへ持っていくだけでなしに、またこれから先の演習の動く可能性もあります。また大きな問題として、水戸射爆場の問題を現実に目の前にかかえております。そういう関東地方における基地問題には、相当関連の深まる問題であります。しかし、私は、十分努力をしてやるつもりでおります。時間のかかることだけはもうしばらく御猶予をいただいて、茜ケ久保さんも藤枝さんも同じ県民として相当関心がありますから、何とか――参議院で努力すると言ったことを私は忘れておりません。さらに衆議院でも、この問題について十分努力をして、見通しをつけて解決するということは、もうすでに何べんも言いましたけれども、もう一度茜ケ久保さんの御要求にこたえて、そして県民の方にも十分わかるように、あとはひとつ私を信頼してくれ、私の在任中には必ず目鼻はつける、私が早くやめるなら急がなければならないが。その前に法案だけはひとつ頼みます。そしてさっぱりしていただけば、なお努力のしがいがあります。五つございますから、どうぞ御賢察をいただきたいと思います。
  96. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 実は私も自分の時間がありまして、この件についてはもう少し――実は私も対策と意見を持っております。これは私ども反対というのでなく、何とか解決しなければならぬから対策と意見を持っておるのですが、それを申し上げると時間が長くなりますから、機会を改めて申します。  いまも長官がおっしゃるように、私ども以前から松野頼三という人は信頼しておったが、これを見ると信頼がくずれかかってくる。その信頼をくずされては、個人的にも困るし、また問題としても困る。一応信頼を戻して、信頼しておきますから、幾日間延長になるか知りませんが、さらにこの国会の終盤に至りましてこれの経過を聞きたいと思いますから、あなたに対する信頼を裏切らぬような勇気を持って対処していただいて、太田飛行場の問題は終止符を打つということでぜひ御努力を願いたいと思う。御要望を申し上げて質問を終わります。
  97. 木村武雄

    木村委員長 受田新吉君。
  98. 受田新吉

    ○受田委員 法案の立法精神には、私たちの党の立場として、現実自衛隊に対する批判を強くしているものであっても、この法案そのものには、民生とのつながりという意味において基本的には賛意を表してみたいと思っておるわけです。そういうわけで、私たちが懸念する点を二、三指摘して解明さしていただきたい、かように考えております。  最初この法案をおつくりになる前に、この法案では拝見することのできない、いわゆる特損法、正確には特別損失補償という二十八年の米軍関係法律の扱いは、一体どういう立場をおとりになられたのか、ちょっとお答えを願いたいのです。
  99. 松野頼三

    松野国務大臣 特損法は現状のまま生きておるという前提で、ある場合には、ここにも同じ条文を引用したところがございます。
  100. 受田新吉

    ○受田委員 これはやはり基地周辺整備ということになるならば、この法案は廃止して、一本化すべきじゃなかったか、かように思うのでございますがね。立法技術上の問題として、両方を残して並立させるということの真意はどこにあるか、ひとつ伺いたい。
  101. 小幡久男

    小幡政府委員 両方統合したらいいではないかという御質問と解しましたが、先ほどもお答えしたかと思うのでございますが、特損法はそれなりに一つの歴史的な存在になっておりまして、いろいろ批判はございますが、それなりになじまれておりまして、法文の中には、今日から見ますと相当実態が薄れておるものまでもありましたり、あるいは法律にまで書く必要があるかというようなところまでございますけれども、そういう点は、今度の法案では政令にゆだねて整理しておりますが、単にそういう法律技術という面から、従来出ております既存の法律を改廃することは妥当を欠くという意見がございまして、われわれもそれに従いましたのが一つ。  それからもう一つは、今度の法案が周辺の整備に関する点に重点を置いておりますので、足りないところだけきめよう。自衛隊はいま損失補償規定はございませんので、これを新たに加えることにいたしましたが、実態としましては、特損法と甲乙ない内容のものにしたというのが実情でございます。
  102. 受田新吉

    ○受田委員 私、これは深くお尋ねしません。先ほど質問があったそうでございますが、私は私なりの観点からの疑点があるわけでございますが、米軍の立場のものと日本の自衛隊立場のものとが、いかにも相違するような印象を与える懸念もあるわけです。これはすっきり一本化したほうが筋が通っていたのではないか、こう思うわけです。特に政令等で補充措置をとっておるということでございますけれども、その点でひとつお尋ねを申し上げたい。  基地を含む基地周辺の所在市町村というものに、現在自治省からいわゆる基地交付金なるものが交付されて、その地域の便宜を供与されておるわけですけれども、この自治省の措置されている基地交付金と、今度の第四条に該当する防衛施設庁が担当される民生安定施設の助成との関係をお尋ねしてみたいと思うのです。自治省の方が来ておられるようでありますから伺いますが、基地交付金の算定の基礎というものはどこに置いておられるか、お答えを願いたいのです。
  103. 森岡敞

    ○森岡説明員 自治省で所管いたしております固定資産税にかわるものといたしまして、国有提供施設等所在市町村助成交付金という制度がございます。御承知のように基地施設がございまして、非常に広大な面積が占められておりますので、その部分につきまして固定資産税収入が皆無のために、市町村の財政運営を非常に困難におとしいれておりますので、その部分の固定資産税の代替財源といたしましてこの制度を設けて、すでに十数年間交付しております。その配分の基準といたしましては、制度の趣旨がそういうことでございますので、その基地施設に関連いたします固定資産の価格に応じて分配していく、こういう方式をとっております。  ただ、創設いたしました当初、種々の経緯もございまして、米軍の使用しております施設につきましては、原則として全部対象になりますが、自衛隊の使用されております施設につきましては、飛行場、演習場、弾薬庫等に限定いたしております。同時に、飛行場、演習場につきましては、土地だけを対象にいたしております。そこで、そういう資産の範囲等につきまして若干の限定をいたしておりますこととの関連上、総額を全部資産価格で機械的に案分しませんで、全体を八割と二割に分けまして、現在、たとえば昭和四十年度におきましては十四億でございまして、十四億を八割と二割に分けまして、八割の分につきましては資産価格で単に機械的に案分する。残りの二割につきましては、たとえば飛行場等につきまして、いま申しましたように土地だけに限定されておりますので、配分額が必ずしも十分でないというふうな観点を考慮いたしまして、割り増しをして配分する。ただ、その割り増しをいたします場合にも、飛行場の資産の価格を基礎にいたしまして、それの一定比率で割り増しをしていくという方式を講じまして、飛行場、演習場等につきまして少し手厚い配慮をしていく、こういう処置を講じております。全体の配分方式としては以上でございます。
  104. 受田新吉

    ○受田委員 いま指摘された八割の分はうなずけるとして、二割の割り増し金という分については、今度の防衛施設庁の担当されるこの予算上の関係とつながりができるのじゃありませんか。
  105. 森岡敞

    ○森岡説明員 いま申し上げましたように、全体といたしまして、固定資産税の代替財源という角度で処理しております。したがいまして、二割分につきましても、資産の価格――飛行場の土地建物工作物あるいは演習場土地建物工作物、その価格をとりまして、その価格の一定割合の金額を配分する、こういう方式をとっておりますので、全部一〇〇%機械的に価格で案分しますよりは、飛行場、演習場のありますようなところは価格に応じた配分率が高い、こういう結果になっておるわけでございます。したがいまして、今回の周辺整備交付金の場合には、施設の建設なりその他に対します補助的な交付金と私ども理解いたしておるわけでありますが、やはり違うのではないかと思います。
  106. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとこれには疑点があるわけです。たとえば基地が数ヵ市町村にまたがっている。ある市町村は、その人口密集地区よりも離れたところに基地の大半があり、ある隣接市町村は、ごく一部が基地に入っているけれども、その近いところに人口密集地区がある、こういうような形のものが考えられるわけですね。そうした場合に、その基地の大半を占める市町村に、固定資産税その他で大量の交付金を出す。それから、ごく一部しかかかっていないところは、よしその近くに人口密集地があったとしても、交付金が非常に低い、こういう事態が考えられるわけです。これを今度防衛施設庁のほうでその欠陥を埋めるような考え方措置されるのかどうかです。
  107. 小幡久男

    小幡政府委員 いまお話しのように、地方交付金はその基地を管轄する市町村だけにいくものでございます。私のほうの第四条は、それだけで、いま先生からお話がありましたように、その基地がその市町村の管轄に入ってなくても、隣接市町村は非常にやかましいとか、いろいろな被害を感ずるとか、あるいは射爆場なんかは相当周辺市町村が影響を受ける、そういうところには地方交付金が少ないという結果になりますので、四条はそういう一つの格差というものを何とかなくしていきたいというところにむしろ重点があるといって差しつかえないと思っております。
  108. 受田新吉

    ○受田委員 大体御見解の真意はわかるわけですけれども、自治省の場合、いまの固定資産税を基準にされる場合に、飛行場のような広い地域を占める基地がある場合は、その土地、不動産としての土地に対しては固定資産税はもちろん徴収できますね。ところが、建物に対しては徴収できないのです。そうすると、広い地域砧演習場やら飛行場にとられておる市町村は、もし基地がなければ、工場が建ち、民衆の家が建って、別のほうで固定資産税が大幅に徴収できるであろうというそのことを配慮して交付金が交付されるのが本質じゃないかと思うのです。ところが、それは現実土地の分しか基地からは徴収できない。建物の分は対象にならないというこの問題は配慮されておるのかどうかお答え願いたいのです。
  109. 森岡敞

    ○森岡説明員 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、土地だけでなくて、現在ございます飛行場の建物工作物、これも対象に加えていきたい、こういうことで数年来大蔵省に対して要請をいたしております。予算要求の際に要望いたしております。ただ、十分それが実りませんで、いまだに土地だけということになっております。したがまして、そういうことでございまして、二割分の際に、いま申しましたように飛行場については割り増しを強くいたしまして、多額の分配ができるようにいたしてまいっておるわけであります。  それから、いまひとつお話のございました、それが飛行場でなかりせばもっと工場が建ったり、商店街ができましたりして町も繁栄し、固定資産税負担もふえるじゃないか、これは確かにこの制度をつくりましたときに非常に私どもも問題にいたしましたし、市町村からも強い要請があった問題であります。ただその分を含めまして基地交付金を算定するということになりますと、これは現在実現していない資産の将来の発展状況までも加味してやらなければならない非常に困難な、どちらかと申しますと、現在の国有提供施設等所在市町村助成交付金は、そういう将来の発展まで織り込まない現在の最低限度の固定資産税分だけは少なくとも財源は補てんしよう、こういう考え方でございます。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、自治省は基地にある土地だけでなくて建物施設にまで固定資産税をかけるべきだという主張をされておるということでございますが、これが特免されておることに対する大臣の見解をお示し願いたいのです。
  111. 松野頼三

    松野国務大臣 これは一般的な国家的建物、ある場合には国有林、ある場合には国鉄の路線、ある場合には官公庁の建物というものの比率と対象というものを私は考えてやるべきであろう、こう思います。しかし、官公庁の場合に、固定資産税を払っておるかというと、ほとんどこれは払っていないんじゃないか。しかし、国有林は国有林整備法である意味で助成金を出しておる。国鉄の場合も、路線に応じてある程度の――名前は何といいますか知らないけれども、幾らかのものを出しておる。そういうふうなことから、いままでやってまいりましたのは、土地に対するものをやってまいったわけでございます。したがって、今後建物についてもやるべきでないかという意見が出るならば、一般の行政財産においても同じような議論がここには問題点として出てくるのじゃなかろうか。その比率において考えていただきたいと私は思います。私のほうは、反対、賛成よりも、一つのそういうものとの対象において考えてもらいたい。いままでは大体米軍の住宅、その固定資産税に見合う程度のものの半分ですか、何割かが出ておると思います。一般的に官公庁及び公社公団が大体その比率で出ておるのではないか、いままでのいきさつはそれに合わしたのではないか、そう思います。今回、私のほうのものは、被害を与えるか与えないかということで判定したい。自治省のほうは固定資産税、要するに物件、土地建物でいままで配分した。今度の法律は、被害を与えるか与えないかという問題でこれをはかりたいというので、おのずから、対象は同じものであっても、ものさし、解釈は違う。したがって、面積よりも、被害を与えるか与えないかということに応じて三条、四条というものが適用されるんだ、こういうところにいままでの足りないものを補ったつもりでおります。
  112. 受田新吉

    ○受田委員 この固定資産税の賦課の問題は、自治省としては相当綿密な調査をされて官公有建築物に対してはどういう賦課方法をとるかということも研究されておると思うのです。防衛庁だけにこういう特免がされているわけでもない。そこをどういう考え大蔵省と折衝されておるのかお答えをしていただきたいと思います。
  113. 森岡敞

    ○森岡説明員 非常にむずかしい問題でございます。ただ、一般の官公庁のような建物になりますと、一つにはやはりその地域の市町村の財政に与えます影響と申しますか、そういう点がかなり違うのではないかということが一つございます。職員がそこに集中し、それに応じた住民税も相当額収入できるというふうな面もございますし、また、官公庁建物でございますと、その市町村の地域内に占めております面積と申しますか、スペースもそれほど大きくございません。しかし、飛行場、演習場等になると、その市町村の中の非常に大きなウエートを占めておる、かたがた人口がふえて収入が増加し、その地域が発展するという面においてはやはり若干異なる点があるのではないか、こういうようなことを考え合わせまして、飛行場、演習場については、建物工作物まで私どもは含めてもらいたいということで、予算折衝の際、数年繰り返して要請しておるようなわけでございます。  なお、そういうたぐいのものといたしましては、国有林野がございますが、これはいま大臣からお話しがございましたように、国有提供施設等所在市町村助成交付金とは違うものでありますが、国有資産等所在市町村交付金制度というものがありまして、それの対象にしております。やはり面積がその市町村内の非常に大きなスペースを占めておる、消極的な影響が強い、こういうふうな点に着目しております。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 今度の法律案でいろいろ具体的な措置をしていただいておるのですが、いわばこれは基地基本法というような関係のものにある程度具体性を盛った法案だというような印象もちょっと受けるのです。大臣、防衛庁だけでやり切れない広範なる各省にまたがる関連事項がたくさんあるわけですね。だからこそ、この法案にも特にいまの関係行政機関協力関係を八条にはっきりうたってあると私は思うわけです。  そこでさっそく問題になるのは、飛行場の場合、自衛隊が使い、あるいは米軍が使い、同時に、板付のように民間の航空も使うような飛行場があるわけですね。こういう板付の飛行場のような場合は、この騒音の被害に対する負担部分は一体どういうふうになるのか、防衛庁そのものが負担する部分、また民間航空、運輸省関係の負担部分というようなものを考慮されるのかどうかということをひとつお答えいただきたいのです。
  115. 小幡久男

    小幡政府委員 板付の基地は特殊な基地でございまして、いまおっしゃったように、自衛隊、米軍機のほかに民間機が相当利用しておることは事実でございます。この基地はたとえ民間機の利用部分が大部分でございましても、防衛施設の運用という意味四条に含ましたいと思っております。  なお、防音につきましては、直ちに法案の三条として適用することはできないと思いますが、行政措置としまして、従来御迷惑もかけておりますし、現在有事基地で潜在的にいつでも本基地になるという特殊な基地でございますので、三条適用と同じような行政措置をやりたいというように考えております。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 それは防衛庁が全責任を負うわけですね、板付の場合は。民間にはごやっかいにならないというかっこうになるわけですか。はっきりしておりますか。
  117. 小幡久男

    小幡政府委員 飛行機事故というか、事故が起こった場合は別でございますが、基地全体としては施設庁でやりたいと思っております。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 きょうここに運輸省の飛行場課長さんにおいでいただいておりますので、ちょっと関連してお尋ねしたいのです。  先般来三つの大きな飛行機事故が起こってたくさんの人命をなくされた、そのあとの対策として、運輸大臣を中心に、たとえば乗務員、整備員等の代表者を集めて、今後の事故防止をどうするか、滑走路の問題とか離着陸のいろいろな施設の問題とかで、いろいろと研究されておられるということであります。そういう問題はいま漸次具体的に解決する方向にあるのかどうか、ちょっとこれは関連することでございますからお尋ねするのですが、この航空機事故の非常に大きな現実の被害に対して、急いで措置をされるという運輸省当局の具体的な案というものはどうなっておるか、ちょっとお答えをいただきたいのです。
  119. 梶原清

    ○梶原説明員 この二月、三月にかけまして、いままでかつてない大きな事故が連続して起きたわけでございます。非常に遺憾でございます。私どもといたしましては、空港の整備、航空保安施設の整備、その他緊急に対策を講じなければいけない。また、航空企業の基盤強化等につきましても、鋭意努力をいたしておるわけでございますが、当面航空保安施設並びに空港の施設の強化につきまして、さしあたりやらなければいけないことにつきまして、大蔵省に対しまして現在予備折衝をいたしておるわけでございます。なお、引き続きまして、それと並行いたしまして空港整備、航空の保安施設その他の航空保安関係全体の長期的な整備計画を立案中でございます。早晩策定をしたい、かように考えておるわけでございます。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 飛行場の整備その他の対策が急がれておるということでありますけれども、これは自衛隊の航空機の事故も同様にやっぱり国民の上に非常に大きな影響力を持つわけですが、ちょっと施設庁長官、御担当ではないかもしれませんが、基地周辺自衛隊の飛行機の墜落その他の事故がどの程度あったのか。これはやはり民間航空と比較して、基地飛行場周辺の民衆に与える自衛隊の飛行機の事故というものは非常に重大なものであると思いますので、危険度というものを判定する基準になるわけでございますが……。
  121. 小幡久男

    小幡政府委員 私、前に教育局長をやっておりましたときに、自衛隊の事故を扱っておりました経験から申しますと、いわゆる全損に該当いたします墜落事故でございますね。こういうものは、最近の情勢はちょっと知りませんが、当時は年間二十三、四件、月に二件くらいありました。最近は非常に漸減いたしまして、新聞紙上等でもまれにしか事故がないという状況になっておることは御承知のとおりでございます。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 毎月二つずつ事件が、墜落事故、あるいは人命損傷に影響するような事故ですね。そういう事故が起こっておるということになると、基地周辺は非常に航空機事故に対する危険度が高いわけです。離着陸の際に事故が多いということからも、これは民間航空からだけでなくして、自衛隊のあるいは米軍の基地関係においても、むしろそのほうが件数から言えば非常に大きいわけなのです。そうしますと、この基地周辺の人々には、終始航空機墜落その他の事故不安がある、そういうものに対するこの法案による措置というものは、五条の適用と、それから損失補償の九条の適用とだけしか規定がないように思うのでございますが、そういう具体的な事故の場合は、特別損失補償法と全く同格のものが償いをするというような形になっておるのか、あるいは、そういう事故を避けるために、たとえば密集地区を避けて発進するというような施設をあらためてつくり直すとか、あるいは煙突が高いところがあればそれを削っていくというようなほうは、これは別個にあるようでありますが、そういうような配慮がいろいろなところでされておるのかどうか、それをひとつ……。
  123. 小幡久男

    小幡政府委員 先ほど自衛隊の飛行機の事故数について、私のおりました当時のことを申し上げましたが、自衛隊機は、比較的一般の飛行機が離着陸のときに多いのに比較いたしまして、どちらかといいますと、訓練が激しいものですから、空中で墜落する場合が民間機より多うございます。一般の飛行機は離着陸の場合が多く、軍用機は猛訓練ですから訓練中の事故が多いのでございます。しかしながら、一般論といたしまして、離着陸時は相当気をつけなければならないのでありまして、われわれとしましては、まず第一に、事故が起こった場合には、先生の御指摘がございましたが、国家賠償法におきまして賠償いたすことになっております。それからまた、密集地につきましては、進入方向とか、あるいは上昇方向を避けて――飛行場ですから限度はございますが、そういうところを避けて通る。それからさらに、空中でエマージェンシーが起こった場合は、夏ですと大体海のほうに向かってベールアウトするように持っていく。冬ですと山林原野、そういうところに持っていくというふうな指導を、米軍、自衛隊ともやっております。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 私は運輸省と防衛庁とよく御相談をしていただきたいのですが、航空機離着陸の際における騒音というようなものは、私はやっぱり両方が責任を負うようなかっこうにすべきだと思うのです。板付の場合などは防衛庁に全部責任をおおいかぶせて、問題になっておるようであります。また、防衛庁にいたしましても、騒音対策から当然負担しなければならぬところの、この間から議論されているラジオ、テレビの受信料、聴視料の責任、その減免措置をNHKにまかしておる。どうも責任の主体が、共管関係という点において欠けていると思うのです。これはやっぱりこの機会に、航空機騒音対策という意味からも、運輸省と防衛庁の共管事項としての立法措置をとる必要があるのではないか。これは国務大臣としてどう思われますか。将来民間航空会社はばかに繁栄することになるのでございますから、このあたりで、すかっと共同責任体制、第八条の行政機関の協力関係を、何かもっと強い法律文章にしておうたいになる必要はないかと私は思うのですがね。
  125. 松野頼三

    松野国務大臣 航空法の運営はもう一本化されて運輸省でやっております。騒音問題につきましては、かねてから基地は騒音問題が常に多年出ております。しかし、最近になってみれば、民間航空機も騒音問題がぼつぼつ大きくなっているという関連もございます。したがって、今回は過去において長い間の問題の基地の騒音問題を先に解決していく、将来においておっしゃるように航空機騒音というものはこれは問題が私出てくると思います。同時に、これは、ただいまやっております公害問題の対策委員会ができておりますが、その中において公害の一つの重要な場面を占めるものではないかと思います。たまたま公害の問題がだいぶ大きく社会的な問題になっておりますが、その中に航空機騒音というものが入ってくると思います。もうしばらくその答申と内容を検討しまして、運輸省関係とも連絡をしてみたい。一番代表的なのは、板付あたりは民間機のほうが多いかもしれません。しかし、基地という範疇に入りますので、私どもは、この法案で、これは内容は民間機の騒音は知らないというようなことはいわずに、軍用基地としてある以上、板付における離着陸は同様に見るという意味で今回入れました。そうすると、ここまできますと、その次は受田委員のおっしゃるように、では騒音は民間も軍用も一緒にしろという意見が将来はきっと出てくると思いますが、たまたま公害問題が取り上げられますので、そのほうにしばらく時間をかしていただきたい。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 この責任関係の競合をする場合の政令規定は削除されましたか、生きていますか。補助の負担割合についての競合関係の、防衛庁以外の責任のある場合における政令規定は、生かされましたか、抹殺されましたか。
  127. 財満功

    財満政府委員 いわゆる三条につきましては、補助率は原則として百分の百以内というふうにいたしておりまして、それに関連して、自衛隊等の行為とその他の行為が競合いたします場合、その部分については減じてまいりたいという考え方はいまも生きております。それからさらに、その障害防止工事をいたしますにつきまして、改良部分が加わった際には、やはり地元負担をしていただくという考え方もただいま生きております。
  128. 受田新吉

    ○受田委員 その負担部分の分担については、責任をどこがどういうふうに負うかという形、これは何の法令を根拠にされるのか、防衛庁が負担を軽減される場合の他の負担部分、これはどういうことになるのでしょうか。
  129. 財満功

    財満政府委員 防衛施設庁長官がそれを定めてまいりたいと思いますが、政令の中にそれをうたうつもりでございます。ただ、そのことに関連しまして関係各省がございます際には、それは当然関係各省お話はいたします。また、地元市町村その他の方々とも当然に協議いたしましてきめてまいるということでございますが、形式的には防衛施設庁長官がきめてまいることにいたしたいと思います。
  130. 受田新吉

    ○受田委員 この八条の関係行政機関協力というものが、これは基本に美文にすぎないような形のものになる危険があると思うのです。「努める」とか「意見を述べることができる。」とかいう、こういうことばは非常に弱いものなんでございますが、この八条というものは、いま部長さんの御答弁のような、防衛施設庁長官政令で定めるといったところで、きちっといくための協力体制をしくとかいう軽い意味か、あるいは真意はもっと強い協力関係を要請されておるのか、お答えください。
  131. 財満功

    財満政府委員 関係各行政機関の協力というふうなことにつきましては、私どもは先生のおっしゃいましたあとのほうの問題を考えております。つまり、抽象的な飾りではなくて、具体的にその実をあげてまいりたい。先ほどもちょっと申し上げたところでございましたけれども、生活環境あるいは産業基盤の整備ということに関しまして、すでに関係各省の具体的な御協力を得た事例というものは多々あるところでございます。一例だけ申し上げますと、東富士演習場におきます開田事業、これに関しまして農林省の全面的な協力を仰いで、農林省において実施していただいておるというものもあるわけでございます。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 さっきまで公害対策の担当課長に来ていただいておったのですが、私たちの党は、すでに公害対策基本法を三十八年以来六回も国会に出しておる。その中に騒音対策が入っておる。民間航空機あるいは自衛隊の航空機の騒音をその中に総合的に考慮するような案を用意してあったわけでございますけれども、政府は、まだ一向にこれを取り上げておられないわけです。審議会の答申待ちという様子でございますが、厚生省が非常に熱心に取り組んで、大臣も早く基本法を出すと何回も言明をされておる。ところが、通産省は、企業者の負担を強く考えて足踏みしている。防衛庁は、公害対策の一環である騒音対策について、運輸省の負担部分までも引き受けようとされておる。また一方では、NHKにその負担部分を転嫁しておるとか、ここはいろいろ複雑怪奇になっておるのです。このあたりで公害基本法なるものを、それはひとつ国務大臣として国会で早く各党の協力を得られ、特に私たちの党から出しておる法案を十分参考にして実施につとめられるようにしていただきたいと思うのですが、この法案に直接関連する大事な問題でありまするから、この公害基本法の制定というものをいち早く取り上げるべきではないかという大臣の御所見を伺いたい。
  133. 松野頼三

    松野国務大臣 これは私の直接の所管じゃありませんが、公害問題は相当政府部内でも、たびたび閣議でも議論が出ております。公害の中でさしあたりどこを取り上げるかということが、第一議題になりまして、あらゆる面において公害がだんだん拡大されてくる。また、その被害状況は相当ふえてきた。一番極端な例は、東京都内の空気汚染、これは相当な密度になってくる。そういうことから、自動車の排気ガスの規制をしようじゃないか、ある意味において運輸省においては排気ガス規制は踏み切っておられるものもございます。したがって、その基本法が必要でありますが、その前に時々刻々出てきた現象について、その原因と防止について別々にはやってはおるわけです。しかし、それでももちろん満足にはいきませんから、今回答申を得て、あらためて基本的な構想を固めて、権利義務あるいは行政措置の可能なものについては、その法律あるいはその制定をしながら、改正すべき時期が私は近いうちにくると思っております。しかし、何と申しましても、民社党から出されましたその精神においては、非常にわれわれも賛成であります。しかし、それを実行するには、具体的に、これは間口が広いもんですから、おそらく今回の法律以上に大きな問題じゃないかと私は思います。また、その発生する基本がだれかということになりますと、飛行機の場合になりますと、民間航空といいましても、国際的な立場に立ちます。そこにまた一つの問題も出てまいります。今回の自衛隊と駐留米軍については、これは日本の国内という規格がございますが、国際航空になりますと、外国の航空会社、航空機のほうがあるいは多いかもしれない。そうなるとやはり国際規格、国際問題というものを勘案しなければ、国内だけでこれを制限するとか、あるいは消音装置を強制的に備えさせるということにはなかなか踏み切れない場面も出てくる。もうしばらく事実を検討して一おっしゃること、問題点はよくわかっております。しかし、それを法律にするには、もうしばらく――国際問題もあるかもしれません。しばらく研究さしていただきたい。
  134. 受田新吉

    ○受田委員 時間も進んでおりますので、もう一つだけで質問を終わりますが、これは自治省の課長さんは御存じではないかと思いますが、この法案の第三条によって救われるいろいろな施設、あるいは第四条、こういうものにも関係することで、防衛庁としては、たとえば御迷惑をかける部分に対して、公民館のようなものもつくってみたい、こういうお話をこの間からしばしば聞くわけです。公民館の建設に対しては、これはかって百万円までを限度とした国の補助金が文部省から出されておる。それに今度は起債のワクが広がって、あれは百五十万円までくらいじゃないかと思うのですが、そういうものとの関係は一体どうなるのか。そういう公民館を建設するという場合に、別に、そういうものができるときに、国家がいろいろな制度で援助しているものを全部無視してでも、単独に建設をしようという意図かどうか、これをお答え願いたいのです。
  135. 財満功

    財満政府委員 法律的にうたわれてございますように、障害の緩和に資するという限りにおきましては、私どもののほうは無視という意味ではございませんけれども、それとは別に、われわれだけの補助負担によりまして、そのような施設をつくって差し上げたいというふうに考えておるところでございます。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 学校防音工事の終了計画は、初め四十一年ごろには終わるという御予定があったのじゃないですか。
  137. 財満功

    財満政府委員 現行基準によりますものはそのようになると思います。ただ、この法律とは直接の関係はございませんが、この機会に、従来より騒音の頻度及び強度を緩和した規格のものを設けまして、その防音工事をさらに続行してまいりたいというふうに考えておりまして、これは相当期間続くのではないかと思います。
  138. 受田新吉

    ○受田委員 学校の防音工事などについても順位を争う政治的な醜い関係を、私たちちょいちょい耳にしているわけです。だからこれは、防衛施設庁が決定をされる段階で、優先順位をどこにすべきかということを考慮して、全国的な立場からも、その地区の内部における立場からも、ひとつ公平な立場でこの法案の実施をやっていただかないと、この法案がせっかくできて基準ができた、しかし、同時に、これに伴って驚くべき政治的圧力が防衛庁に殺到して、防衛庁はお手あげだということにならぬように――大体この法案の実施にどのくらいの予算がかかると思うか。ここでは百五十億ばかりを考えておられるけれども、要求はいまどのくらいやっておられるのか。千億をこえておるとかいうような要求があるのじゃないかと聞いておるわけですが、いかがですか。それをどうこなすかという問題が起きるわけです。
  139. 小幡久男

    小幡政府委員 四十一年度にこの法案関係考えておりますのは百五十二億でございますが、要求といいますか、地元の要求等をいろいろ勘案いたしまして、われわれのところで腰だめで計算いたしますと、やはり年間三百億程度の予算で数年間続くのではないかというふうに感じております。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 要求です。
  141. 小幡久男

    小幡政府委員 実現してほしい額、要求がそれ以上であることは確かでございますが、要求のほうは非常に短兵急に要求されますので、千億とか千五百億という数字が出るかもしれませんが、われわれがその中から妥当なものを整理いたしまして年次計画に直しますと、全体の予算として大体三百億見当で数年というふうな感じのものになると思います。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 基地周辺範囲はさっき答弁がありましたか、距離的な範囲
  143. 財満功

    財満政府委員 いま先生のお尋ねになっておりますのは、四条にいうところの著しい損害を受けて、その障害の緩和のために生活環境施設あるいは事業経営の安定に寄与する施設をしなければならない、施設はどうなっておるのかという御質問ではないかと思いまして、その範囲内でお答えさせていただきますと、一応ジェットエンジンを主動力とする飛行機の用に供せられておる飛行場、それからいわゆる射爆撃場、それから演習場、それから特に大きな係留施設を備えられております港湾、その他というふうなことで検討しておりまして、現在まだ最終結論に達しませんが、そういったような状態に近づいております。
  144. 受田新吉

    ○受田委員 いずれにしましても、大臣及び、きょうは御苦労をいただいた運輸省、自治省――私は、防衛庁が、この問題はもちろんでございますが、自衛隊の国民への大きな信頼を高めようとされる場合に、他省の協力がなければいけないわけです。ところが、終始他省と反目して、権限争いをしておるようなことでは、これはもう、ろくな仕事はできない。特に基地は、国民がどうぞ起こしてくださいと双手をあげて歓迎するところというのは、あまりたくさんないわけです。まれにはあるかもしれないが、それほど国民から見たら迷惑がられるようなのが、これが基地であります。それを迷惑がられないように、できるだけひとつ信頼させるようにしたいという御配慮はなさっておられると思いますけれども、これを実施する上においては、終始熱心な努力をして、他省との協力関係を密にされて、そして予算等におきましても、できるだけ満足に近いものを獲得して、地区地区の住民感情をやわらげるというかっこうで努力をされることを私は要請しておきますが、これは法案ができたあとの扱い方に非常な問題があると思うのです。おそらく政治的な非常な圧力でそれぞれの地区のローカルカラーを露骨にあらわした要請も出てくると思うのでありますが、行政措置の運営を誤らぬように希望して、質問を終わります。
  145. 木村武雄

    木村委員長 次会は明十三日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十六分散会