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1966-04-27 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十七日(水曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       臼井 莊一君    加藤 高藏君       纐纈 彌三君    野呂 恭一君       保科善四郎君    堀内 一雄君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       村山 喜一君   米内山義一郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         労 働 大 臣 小平 久雄君         国 務 大 臣 松野 頼三君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務官         (職員局長)  大塚 基弘君         総理府事務官         (人事局長)  増子 正宏君         防衛政務次官  井村 重雄君         防衛庁参事官  鈴木  昇君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部長)    沼尻 元一君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君  委員外出席者         外務事務官         (北米局安全保         障課長)    浅尾新一郎君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 四月二十七日  委員茜ケ久保重光辞任につき、その補欠とし  て和田博雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として茜  ケ久保重光君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十六日  少年の非行対策に関する請願外五件(伊藤卯四  郎君紹介)(第三三八八号)  同外七件(稲富稜人君紹介)(第三三八九号)  同外六件(内海清紹介)(第三三九〇号)  同外五件(栗山礼行紹介)(第三三九一号)  同外五件(小平忠紹介)(第三三九二号)  同外八件(佐々木良作紹介)(第三三九三  号)  同外七件(鈴木一紹介)(第三三九四号)  同外三件(竹本孫一紹介)(第三三九五号)  同外一件(玉置一徳紹介)(三三九六号)  同外八件(西村榮一紹介)(第三三九七号)  同外二件(吉川兼光紹介)(第三三九八号)  同外十件(吉田賢一紹介)(第三三九九号)  同外十五件(今澄勇紹介)(第三四四二号)  同外十二件(佐々木良作紹介)(第三四四三  号)  同外二十件(竹谷源太郎紹介)(第三四四四  号)  同外十件(中村時雄紹介)(第三四四五号)  同外六件(伊藤卯四郎紹介)(第三五三六  号)  同外十件(今澄勇紹介)(第三五三七号)  同外八件(受田新吉紹介)(第三五三八号)  同外四件(栗山礼行紹介)(第三五三九号)  同外三件(小平忠紹介)(第三五四〇号)  同外八件(佐々木良作紹介)(第三五四一  号)  同外九件(鈴木一紹介)(第三五四二号)  同外四件(竹本孫一紹介)(第三五四三号)  同外二十件(竹谷源太郎紹介)(第三五四四  号)  同外十件(中村時雄紹介)(第三五四五号)  同外七件(西村榮一紹介)(第三五四六号)  同外十六件(吉田賢一紹介)(第三五四七  号)  元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の  恩給等通算に関する請願受田新吉紹介)(  第三四〇〇号)  同外一件(大石武一紹介)(第三四九七号)  同外九件(保科善四郎紹介)(第三四九八  号)  同外三件(濱田幸雄紹介)(第三五七七号)  国立大学教官待遇改善に関する請願外三件  (木村武雄紹介)(第三四〇一号)  同(周東英雄紹介)(第三四〇二号)  同外一件(松山千惠子紹介)(第三四四六  号)  同(瀬戸山三男紹介)(第三五七四号)  靖国神社の国家護持に関する請願浦野幸男君  紹介)(第三四四七号)  同(關谷勝利紹介)(第三四四八号)  同(塚原俊郎紹介)(第三四四九号)  同外一件(逢澤寛君紹介)(第三五七三号)  傷病恩給等の不均衡是正に関する請願植木庚  子郎君紹介)(第三四五〇号)  同(赤澤正道紹介)(第三五二二号)  同(中野四郎紹介)(第三五七五号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第三五七六号)  行政職俸給表(二)等職員労働条件改善に関  する請願谷口善太郎紹介)(第三五四八  号)  同(林百郎君紹介)(第三五四九号)  建国記念日制定反対に関する請願西村関一君  紹介)(第三五五〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一四一号)  防衛施設周辺整備等に関する法律案内閣提  出第一二二号)  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二六号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議開きます。  労働省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 労働省設置法の一部を改正する法律案内容についてつぶさに質問を申し上げたいと思いましたが、あすまでのスケジュールの中でこの質問は時間的な規制を受けましたので、思っていたことを百八十度の変更をして質問をいたしたいと思います。  そこで、単刀直入に申し上げたいと思いまするが、労働省労働行政というのは、労働者保護立法である基準法なり、それから職安関係、その他全般の労働者に関連する問題を取り扱っておるのですけれども期待をするような方向に行政が向いていっておらぬというところに注目をしなければならないと思うのです。  したがって、ここでお聞きをいたしたいと思いますが、現在労働基準法というものが制定されており、その法律の範囲内において行政が進められております。ところが、実際に労働基準法において保護すべき内容のものが十分でないということ。そこで、例をとって質問を申し上げたいと思いますが、ここ数年前との比較数字を出していただきたいと思います。それは、労働基準監督官定員数が、数年前と昨年とどういうように変動されておるか、事業所の数がどの程度ふえておるかということ、まずこれから承りたいと思います。
  4. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 労働基準法適用事業場の推移を、昭和三十年の時点をとって見ますると、九十四万七千事業場でございましたが、その後のわが国経済発展の影響を受けまして、事業場数が非常な拡大を示し昭和三十五年には、百五十四万二千事業場になり、さらに昨昭和四十年度におきましては、二百十七万二千事業場という数に達しておりまして、昭和三十年を一〇〇といたしますれば、適用事業場数は二二九、二倍以上になっておるのでありますが、これに対して、労働基準監督官の数はどうかと申し上げますと、昭和三十年は二千三百八十五人、それが、昭和三十五年までは同じ数字でございましたが、昭和四十年におきましては二千五百九十八人というふうに、伸び率といたしましては九%だけ定員がふえておるということでございます。御承知のように、公務員定数増加するということについてはいろいろ問題がございまするが、昭和四十年度予算におきましては、二百名の監督官定数増を行ない、四十一年度におきましては、これは欠員不補充によって生じた欠員のやりくりでございますが、わずかではございますが、十名監督官増加するという形に相なっております。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっと算術をやっておりましたが、事業所パーセンテージ比較は、三十年を一〇〇として四十年度パーセンテージを出していただいておりますが、定員のほうはどういうことになりますか。
  6. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 定員伸び率は、昭和三十年一〇〇に対しまして、昭和四十年は一〇九ということでございまして、九%の伸びということでございます。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 大臣、いまお聞きのように、労働基準行政の中で最も必要なことは、監督官が十分に能力を発揮してもらうというところに妙味があるわけなんですが、いま御答弁のありましたように、昭和三十年には事業所が九十四万七千事業所であったものが、四十年度になりますと二百十七万二千事業所ということになっておるわけです。したがって、伸び率も、三十年を一〇〇にして二二九強ということになっております。一方、定員のほうはどうかと申しますると、昭和三十年に監督官が二千三百八十五名、四十年が二千五百九十八名、結局、比較をしますると、三十年を一〇〇にして一〇九ということで、九%しか定員増加されておらない。事業所は二二九強ということになっておるわけであります。こういう点で、現場のほうでは、非常に監督官労働強化されるし、そうして、どんなに労働強化で働いてみても、なかなか法に基づいての行政を行なうことができないという訴えが強く出てきておるわけなんです。だから事業場増加に伴って、この定員増加しなければなりませんが、これは単なる数字だけでもいえないと思うのです。事業そのものが、終戦後の感覚であったものが、最近は事業主感覚が相当進歩的になっておりまするので、数だけではいけないと思いまするけれども、しかし、そのことはそんなに大きく取り上げるものでもないと思います。したがって、現在のような大きな数字開き基準行政に大きな支障を来たしておるという事実が、現場から大きな声として訴えられておるわけなんであります。したがって、労働省としては、こういう隘路を今後どのように解決していこうとされて一おるのか、この点をまず承りたいと思います。
  8. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 労働基準監督機関監督体制につきましては、根本は定員等関係から、客観的な対象の変化に応ずる体制をとることが必要でありますけれども、実質的には監督やり方そのもの、あるいは監督実施機動性といった諸点も考える必要があると存じまして、この面の改善をはかっておる次第でございますが、たとえば監督体制整備にいたしましても、事業場伸び率の非常に高い地域とそうでないところがございます。御承知のように、新産業地域であるとか、新たなる工業地帯におきましては、工場も事業場もどんどんふえております。そういった地域を管轄する監督署に対しましては、昭和四十年度定員増の際には、その増加分をあげてこの地域に投入いたしまして、監督官の配置を重点的に行なったというのも一つでございます。  それから、担当も、従来の監督署内における課制を一部改めまして、方面担当式を採用いたしました。重点監督署に対しましては、組織の面においても、人の面においても、昭和四十年度から根本的な改正を加えたわけであります。  また、機動力の増強という点につきましては、昭和四十年度末における第一線機関自動車保有数が百二十でございましたが、本年度は四十四台を追加いたしまして、百六十四という数字増加する見込みでございます。監督署の約半数のものに自動車を配置いたしまして、監督実施を効率的に行なうという配慮をいたしておるような次第でございます。  なお、監督対象となります事業場の態様につきましても、大企業なり中小企業なりによってかなり様相を異にしますし、また、いわゆる産地集団といわれるような地域につきましては、特殊な監督方法を用いる、たとえば集団監督指導といったような方法を用いまして、一件一件の監督ではなくて、産地集団全体をとらえまして、集団指導を行なうといったような方法も考えておる次第でございます。つまり、監督やり方は、重点的にかつ集団的に行なう、年度当初に計画を立てまして、重点的かつ集団的に監督展開する、こういう形で実施いたしてまいりました。  なお、先生指摘のように、企業側における意識も、労働基準法で定めた法定基準を守らなければ、今後のわが国経済の中における企業としては存立できないのだというような意識がかなり浸透してきておると私どもは判断いたしております。したがいまして、監督指導の面におきましても、かなり積極的な監督展開しておりまして、数字で申し上げますれば、災害防止見地から使用停止処分を行なった件数は、従来最高件数で五百件程度でございました。しかし、昭和四十年度におきましては、使用停止処分を行なった件数が五千八百件、三十九年度比較しまして、四十年度は十倍をこえます五千八百件という大量の使用停止処分を行なった次第でございます。これは労働者の生命、身体に危険が急迫しているという場合に、法違反機械施設に対しまして使用停止を行なったわけでございますが、五千八百件というきわめて大量の使用停止処分を行なうなど、行政実績から申しますと、かつてないような積極的な行政展開しておるというような実情に相なっております。しかしながら、職員に対して負担増加いたしませんように、計画的にこれらの問題を進めるということによりまして、心理的な負担などをもたらさないようにできるだけの配慮をしておる次第でございます。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 いま御答弁のございました集団指導方式をとっておられることは、これは実績は上がっておる。ただし、この面については、当然使用者のほうにも損害を受けるという災害関係のことについては、これは真剣に使用者労働者も取り組んでおりますし、これを集団指導じょうずに指導されておりますので、この点についての実績は、私も認めておるわけであります。ところが、事使用者利害関係のあるものについては——利害関係といっても、損害を受けるという内容のものでございますれば、使用者のほうでは、労働基準局指導行政に従って努力いたしておりますけれども、その他の面につきましては、まだまだ現在の使用者としての感覚は利潤の追求本位にいっておりますので、もう少し監督をきびしくやってもらわなければならぬではないかという点があるわけなんです。こういうような点は、御存じであれば、今後の行政をその方面に向けていただけると思いますけれども、ただいまの答弁のように、集団指導方式をとっており、また使用者も、終戦後の使用者感覚とは相当感覚に大きな相違を来たしてきておるので、あまり支障がないんだ、こういうような答弁のように聞きましたが、そこのところを、私が申しましたことを分けて判断をしておるなれば、将来に私は期待がかけられると思うので、その点についてもう一度御答弁をいただきたい。
  10. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 行政実績といたしまして、先ほど使用停止処分件数を申し上げました。これは運転しておる機械を停止させるとか、あるいは建築中の足場に欠陥がある場合には作業を停止させるという、企業に対しまして直接負担のかかることでございますが、災害防止見地から、かなり積極的にこれを行ないまして、従来にない、比較にならぬほどの処分を行なっておるということを申し上げたのでありますが、一方、法違反がございましたときに司法処分に付する、その司法処分件数はどうかと申しますと、労働基準法施行以来、送検件数が千件をこえたのは昭和二十四年だけでございます。昭和二十四年度は千九十件ほどの件数でございました。しかし、昨四十年度におきましては、労働基準行政を前向きで積極的に展開をする。使用者の側においても、労働基準法は守らなければならないという意識が浸透してきた。この際、基準法違反については、厳正な態度をもって措置したいという観点から、司法処分につきましても千百件をこえる、労働基準法施行以来かつてない多数の送検を行なっております。一方、先ほど申しました使用停止処分が五千八百件という数に達しておりますので、第一線機関といたしましては、ただいま申しました事業場側の認識の高まりと相呼応しまして、監督実施につきましては、従来かつてない、比較にならぬほどの多数の行政処分を行なった、こういうことでございます。  私どもといたしましては、昨年度行政実施の貴重な経験にかんがみまして、昭和四十一年度におきましても、労働基準法監督面につきましては、昨年度方針をそのまま持続いたしまして、法の徹底を期したいと思っております。その間におきまして、いろいろな摩擦を予想したのでございますが、予想以上に摩擦がなくこれらの処分実施がなされたということにつきましては、順法意識高まりが背景にあるというふうに感じておりますので、そういった観点を考慮いたしまして、前向きに行政をさらに展開をしていきたいと考えておる次第でございます。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 詳細に指摘をして質問をいたしたいところでございますが、時間制限を受けておりますので、その点ができません。したがって、ここで伺っておきたいと思いますが、監督官定員の問題は、先ほど答弁のありました数字でございます。事業場増加率も、先ほど答弁数字でございます。したがって、いろいろなくふうをこらして行政を行なっておられますけれども現場からあがってくる声というものは、監督官があまりにも定員が少な過ぎる、そういうことから定員増を強く要求をしてきておるわけです。したがって、定員を獲得するには、予算要求等で大蔵省との折衝等困難な面はありましょうけれども数字的にいって、ただいまの答弁にありましたような大きな開きができておるのですから、どんなに行政じょうずに行なってみましても、まだまだこの点が険路として、私は今後力を入れてもらわなくてはならない点であろうと思いますので、何か将来への計画がございますればお示しをいただきたい。
  12. 小平久雄

    小平国務大臣 監督官定数等の問題が、先ほど来御質疑をちょうだいしているわけですが、監督行政自体立場からいたしますならば、われわれも、相当人員増加して法の施行を十分にやっていきたい、こういう気持ちでございますが、一面、また政府全体としてのいわゆる安い政府と申しますか、そういうことで、人員も万やむを得ざるもの以外は増加しないでやっていく、こういう大方針をとっておるわけでございますから、監督官についても、ふやしていくということはなかなか至難であろうと思います。その両者をどう調和していくかという問題だと思いますが、いずれにいたしましても、労働行政をあずかる労働省立場からすれば、いまの監督官人員が必ずしも十分だと思っていませんので、今後これが確保努力をいたしてまいる所存でございます。
  13. 田口誠治

    田口(誠)委員 定員不拡大方針をとっておるということでございます。そういう場合の必要の個所もあろうと思いますけれども、どんどん事業場はふえ、それから業務量はふえる。こうした場合には、当然、機械化等で補う場合は別ですけれども定員をふやしていかなければならないということは論を待たないと思う。だから、何事も一律にものを考えて、そして政府方針だといってその線に乗っては、具体的な行政の面に支障を来たすことになるわけでございますから、ただいま大臣のほうで答弁のありました定員不拡大方針は、これは労働省担当しておる事業場監督行政、すなわち事業場がこのように増大してきておるのに、その他の方法はとっておろうとも、定員が不足をしておるのだから、こういう重要なところについては、別な考え方において定員をふやす方針を強く主張してもらわなくてはならないと思うわけです。したがって、昨年の十月でございましたか、閣議でも、省あるいは局部の新設とか定員増というようなことは、拡大していかないということを決定なさったと私は記憶いたしておるのですが、それが政府みずからこの国会にもその方針を破って提案をしておる法案もあるわけでございますので、ただいま大臣から言われたそのことをずばりでいきますると、将来に大きな危倶を抱くわけです。もう一度その点を答弁していただきたいと思います。
  14. 小平久雄

    小平国務大臣 ただいま先生から御指摘のような点は、われわれも労働行政の直接の担当者として十分関係方面に強調をしておるところでございます。したがって、先ほど申しますとおり、今後も労働行政特に監督行政立場から、これが人員確保ということについては、努力をいたしてまいりますということを申し上げておるわけでございまして、そのことは、昨年も御承知のとおり特に三百人からの増員をいたしましたし、今年も、十人でございますが、振りかえによって監督官を増した、こういうことで、今後もこの必要性を決して私が否認しておるわけじゃないのです。その特質的な必要性というものを十分強調しながら努力はいたしてまいりたい、こういうことを先ほど来申しておるわけであります。
  15. 田口誠治

    田口(誠)委員 抽象的ではありまするけれども、私が要望しておることを受けとめていただいておるように聞きましたので、次に移りたいと思います。  労働災害件数でございますが、これも先ほど示しいただいたような比較で発表をしていただきたい。
  16. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 全産業におきます死傷件数から申しますと、昭和四十年の総数は六十九万五千件と推定いたしております。過去の数字を申し上げますと、昭和三十二年は七十万九千、三十五年は七十八万八千、三十六年が最高示しまして八十一万四千件。しかし、その後逐年漸滅いたしまして、昭和四十年においては六十九万五千件、こういうように逐年低下しております。しかし、一方におきましては、労働者数が急激にふえておりますので、労働者千人当たりの死傷率を見ますると死傷年千人率は、昭和三十二年を一〇〇といたしますと、五四・五というように、労働者伸び率を考えますれば件数比較的ふえていない、千人率としては漸減してきておるという傾向にございます。
  17. 田口誠治

    田口(誠)委員 この点についてもたいへん努力をしていただいておって、パーセンテージからいきますると、災害件数が減少しておるということは喜ばしいことだと思いまするが、ただ、見のがしてならないことは、労働基準局のほうから労働災害について集団指導等競争意識を高めさせて、そして労働災害防止努力させておりまするので、各事業場とも、この労働災害件数をどうして少なくするかということについて努力しておるわけです。そこで、それぞれ大きな事業場では健康保険を持っておりまするし、そうでないところは一般健康保険なり国民健康保険に加入をしておるわけです。そこで、労働災害の起きた場合の取り扱いは、普通の疾病というような取り扱い健康保険にかからせておる、そうして労働災害のほうの件数には入れずに労働災害を少なくするというような努力事業主は行なっておるわけであります。だから、ただいまお示しになった数字は、相当パーセンテージなり数字開きがありまするので、この数字に大きな開きはないと思いまするけれども、そういうような点もあるということを知っていただいて、今後の行政面では十分注意をしてその行政指導をしていただかなければ、事業主を集めて集団指導をし競争意識を高めさせて散らすことはいいですけれども、さて、それぞれその事業場において労働災害をどうして少なくするかということに努力をしておるところが、そこへ労働災害が起きたような場合には、この程度のものは労働災害としての取り扱いをせずに、一般疾病という形で健康保険の法に基づくところに従って養生をさせておる、こういうことが相当あるということを知っておいていただかなくてはならないと思います。これは御存じか御存じでないか知りませんが、そのことを知って指導していただきたいと思います。
  18. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 間々、先生指摘のようなうわさを耳にいたしまして、そういうことがあってはならぬというふうに戒めておるわけでございます。かつ、災害防止行政展開するにあたりまして、そういったものを入れない数字で情勢を判断するということでございますれば誤りがあると思いますので、先ほど申し上げました全体の数字のほかに、休業八日以上——業務上の災害のために休む日数が八日以上の件数を別に調査いたしております。これは、従来の労災保険法では、休業が七日未満であるという場合には使用者負担だ、こういうふうにされておりました。しかるに昨年法律が改正されたのでございますが、従来の基準で申しますと休業八日以上になりますと使用者負担も相当大きくなりますし、しかも労災保険上の休業補償がもらえるというので、この数はかなり正確にあらわれてくると私どもは考えております。そこで、全産業に休業一日以上の災害件数以外に休業八日以上の災害件数を労災保険給付とも関連いたしまして把握いたしております。その休業八日以上の災害件数を、先ほど労働者千人当たりの率、いわゆる死傷年千人率をもって見ましても、昭和三十二年が二五・七でございましたのが、昭和四十年は一五・〇というようにかなりダウンしてまいっております。そこで私どもは、大勢として年千人率はかなり減ってきておるという把握のしかたには大体誤りがないのじゃないかというふうに考えておりますけれども、当然労災保険の給付を受けられる人が健康保険によって処理されるということになりますのは、これはたてまえとして誤りでございます。したがって、間々そういううわさを耳にいたしますので、そういうことのございませんように特段の注意を払っておる次第でございます。
  19. 田口誠治

    田口(誠)委員 時間を守って、もう一問で終わりたいと思います。  そこで、労働省は、利潤を得る行政の部署でございませんので、したがって、庁舎等の施設が他の省の機関と比較して悪いわけです。ところによっては、このように狭いところに多くの職員に事務をとらしておって、基準法に示されておるところの基準に違反しておるのではないかというようなことで、ぼくは算術で割ってみたことがあるわけです。ところが、坪数は天井までの坪数になっておりますので、だから、結局、そうなりますると、違反にならないという、こういう法の抜け道ができておるわけなんですが、労働基準を監督される行政を指導される基準局が、非常に悪い庁舎で、しかも狭いところで仕事をさしておるというようなことは考え直してもらう必要があると思うので、きょうは設施関係の方はおいでになっておりませんけれども、官房のほうで十分に頭に置いていただいて、そうしてこの庁舎の増築、改築というようなことは、いかに利潤を得ない行政の部面といえども、必要なることは必要の要求を出して、そうしてそこに働いておる職員にあまり不便を感じさせないように努力をしていただきたい。この点は強い要望として申し上げて、私の質問を終わります。
  20. 木村武雄

    木村委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  21. 木村武雄

    木村委員長 これより本案を討論に付するのでありまするが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  22. 木村武雄

    木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認め、よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  24. 木村武雄

    木村委員長 防衛施設周辺整備等に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。村山君。
  25. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 今回提案をされました基地周辺の整備に関する法律の裏づけといたしましてことし予算措置をされたものは、騒音防止対策として基地周辺の費用は六十億、それに防災工事費二十億、周辺道路整備費十三億、それから安全措置費十四億、こういうふうに承っておりますが、とのほかに基地交付金というものがあろうかと思います。これらの問題に対する財源措置は、どういうふうになっているのか。今日予算措置をされたもの、それから基地問題を片づけるためにはどれだけの財源が要るか。新聞等で伝えられるところによると、大体二千五百億くらいの金を必要とするのではないか、こういうことがいわれているわけであります。ところが、東京新聞の伝えるところによると、この基地整備法案によって考えられているのは六百億程度を予定しているのではなかろうかというようなことがいわれているようでございますが、この法案を提出されるにあたりまして、やはり一応の見通しというものを持って提出されているに違いないと思うのですが、それに対する当局の説明を願っておきたい。
  26. 小幡久男

    ○小幡政府委員 本法案を出しますにつきまして、今年度予算は一応見合いとしまして百十二億を予定しておりますが、そのうち、先ほど先生から御指摘のございました基地関係の助成の予算は、五億を新しく取っております。  なお、今後基地対策費として幾ら必要かという御質問でございますが、これは今後なおいろいろ検討を要する問題も多々あろうかと思いますが、私の腰だめを申しますと、大体年々三百億程度のものがここ数年続くのじゃなかろうか。トータルにつきましては、まだ全体の全貌を締めくくっておりませんが、とりあえず現在の見通しでは、三百億程度は数年続くのじゃなかろうか、かように考えております。
  27. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、大体の見積もり、基地問題を解決する費用の見積もりというものが、一年間の見通しは三百億ということでございますが、その長期的な展望というものがなければならないと私は思う。それは防衛計画を定める場合等においては、あなた方は二次防とか三次防とかいうのをつくられるわけなんだから、この基地問題という問題についても、そういうような長期的な展望というものを持っておられると私は思うのだが、それの構想は、大まかなものでもけっこうですが、大体どれくらいの金があったら処理できると考えておられるか。   〔委員長退席、辻委員長代理着席〕
  28. 小幡久男

    ○小幡政府委員 ただいま御質問がございましたのでお答えいたしますが、御承知のように、防衛計画も第三次防という計画を考えております。したがって、こういう問題につきましても、当然年度を区切って一応検討するということはやっております。その程度の期間で概算いたしますと、まだ検討中でございますけれども、いまのところでは千数百億ではなかろうかというように考えております。
  29. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 やはり私は三次防計画というものは、この問題については後日提案をされる防衛二法の改正のときに触れますが、二兆七千億だといわれるような整備計画があると聞くのであります。とするならば、あなた方がやるという長期的な計画を立てるとするならば、これはやはり基地の基本法的な性格を持つ内容だと思う。とするならば、それらの問題も長期的にあなた方が試算をして、位置づけをしておかなければ、いつも自衛隊の問題がこの基地問題について出た場合に、トラブルばかり起こっている。そういうような問題を解決しなければ、あなた方が言うところの防衛体制というものの確立もできないということになるわけであります。それにはやはりそういうような長期的な展望をお持ちになった上で基地法案というものが出されたものだとわれわれは受け取っておるのですが、どうもいまの説明では納得できるような説明でないようであります。その点は、井村政務次官はどういうようにお考えですか。
  30. 井村重雄

    ○井村政府委員 この基地周辺の民生安定に関しては、ここ数年来全国の知事会あるいは都道府県議長会、市町村長会からいろいろ陳情があって、何とかしなければならないというのでいろいろ研究してまいったわけでありますけれども、まだ基地周辺のどの範囲までこれを広げるかというふうなほんとうの目安は、はっきりつけておらないのであります。それによっていろいろ数字も変わってくると存ずるわけでありますが、大体現在は防音校舎とか、そういうふうなものは滑走路の末端から大体八キロというふうな計算でやっておりますが、これらを勘案して基礎にいたしまして、どういう程度に周囲の市長村にこれを広げるかということによってきまってくると思うのであります。また、いかなる施設、いかなる状況においてどの程度のものをやるかというふうなことも、計算の基礎になると思うのでございまして、いまのところ、まだはっきりした計算に基づいて、これくらいの経費が年次的に要って、何年くらいでこれが達成できるかというふうなことは、目下まだ検討中でございますので、さよう御了承いただきます。
  31. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この法案の「自衛隊等の行為」というのは、基地の運用を含めて、適法行為をさすものであるのか、いわゆる不適法行為というものをさすのであるか、この点でございますが、いわゆる不法行為による損害の救済というものは、自衛隊法あるいは国内民事法、国家賠償法等によって措置がされる。ここに提案をされているのは、いわゆる適法行為というものを対象としてなされておるものだと思うのですが、その点については、範囲はいわゆる適法と不法行為との間における何というのですか、中間的な、適法ではあるけれども、しかし迷惑をかける、まあ不当行為といいますか、そういうようなものも含めて救済するんだということで措置されているものだと思うのですが、この法案のいわゆる範疇というものをどういうふうに押えているのかを説明願いたい。
  32. 小幡久男

    ○小幡政府委員 本法案の、適法行為か不適法行為かという範疇の問題でございますが、御存じのように、不法行為につきましては、駐留軍関係は、民事特例法によっていろいろな措置が講ぜられることになっております。適法行為につきましては、いわゆる自衛隊等につきましては、今度新たに特損法になぞらいまして、第九条で適法行為に対する補償を認めておりますが、地域の周辺対策につきましても、これは適法行為ではありますが、いろいろ御迷惑をかけておる——先ほど村山先生がおっしゃったように、適法行為でありますが、いろいろ御迷惑をかけておる。その中には、あるいは社会的な許容限度を越しておるものもあるかもしれない、そういうものに対して積極的に施策を講じていこう、こういう趣旨の法律でございます。
  33. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 外務省見えておるようでございますから、私は、きょうは、この本質的な問題について若干触れてみたいと思うのです。  それは、駐留米軍に関する問題の前提といたしまして、この法律案と地位協定と特損法との関連性という問題について、説明を願っておきたいのです。御承知のように、米軍関係につきましては、特損法によって措置されるべきであると私も考えるのでありますが、今回のこの法案によりますと、第二条では、自衛隊とともに規定をしていろいろ措置されるようにしてありますが、地位協定の十八条の五項により米軍に対するいわゆる求償をするというこの権利というものは、これは放棄されたものではないと私は思うのでありますが、そういうような考え方に立って、従来この特損法により処置された事案というようなものが、どういうような状態になっているのか、求償をしたものがあるのか、その内容については、これは外務省の安全保障課長から説明を願いたいと思いますが、これらの問題については、どのように今日まで処理されているのかということについて、説明を願っておきたいと思います。
  34. 財満功

    財満政府委員 外務省の御説明に先立ちまして、従来特損法によって処理されました具体的な事案ということでございますので、私のほうから、それを年度的に、計数的に申し上げておきたいと存じます。  昭和四十年度までに約四百九十件、総額約十二億八千万円を特損法によって処理いたしております。そのおもなものは、農耕阻害、漁業阻害等でございます。昭和二十八年度以降四十年度までは、いま申し上げたようなことでございます。内容的に、四百九十件について、個々に申し上げるのは少し繁雑に過ぎますので、この程度に説明をいたしまして、御了承いただきたいと思います。
  35. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 御説明いたします。まず、他位協定の二十四条というのがございまして、その第二項で、日本国政府は、米軍に対して施設及び区域並びに路線権——路線権と申しますのは、飛行場とか港にある施設、区域のようなもので、その施設、区域に入る権利でございますが、そういう施設、区域、路線権等を米側に負担をかけないで提供する。かつ、相当の場合には、施設及び区域並びに路線権の所有者及び提供者に補償を行なうことが合意されるということが、二十四条二項で定められております。他方、ただいま先生の御質問がありました特損法と申しますのは、この二十四条を受けまして、日本側が施設、区域を提供した際に、その施設、区域の所有者あるいは路線権の設けられました地域の所有者に対して損害を与えた場合には、これに対して補償を行なうということを定めてございます。したがいまして、この二十四条の二項を受けました特損法による補償については、日本側が一方的に負担するということで、米軍に対して求償するということにはなっておりません。
  36. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 したがって、求償をした事件は一件もないということだと思います。そこで、私は民特法の分については、これはどういうふうに措置されているか、との内容の説明を願っておきたい。
  37. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 民特法は、御承知のように、これは十八条のほうに乗りますので、アメリカ側に責任がある場合には、アメリカ側に対しても求償をするということが規定になっております。具体的に個々のケースで、いままでどのくらいそういうケースがありまして、どういうふうにやったかということについては、施設庁のほうからお答えがあるかと思います。
  38. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 その十八条のいままでの金額は、ただいまここに資料を持っておりませんけれども、十八条に関する場合は、全部米側からは、地位協定十八条の規定に従いまして、こちらが補償をした額の七五%を向こうから支払いを受けております。
  39. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 七五%のそれは、地位協定に基づいて措置されるようにこの協定によって明記されているのですから、それを聞いておるわけじゃない。件数を聞いているのです。
  40. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 これは地位協定の十八条に、アメリカ側にも責任があるという場合には、日本側が二五%、アメリカ側が七五%ということが、十八条の五項の(e)項(i)ということで規定されております。
  41. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それを聞いているのじゃないですよ。協定がそういうように書いてあることは、説明を願わなくても、これは明らかになっているのです。私がいまからその質問内容を明らかにしてまいりますが、従来特損法に基づく分は、アメリカがそういうような原因者であっても、国がかわって補償をするということで措置されて、ただいまの説明では、国が措置される分は四百九十件、十二億八千万円というものを措置をしたんだ、こういうことになっておるわけです。しかし、これについて、アメリカに対しては求償措置は一件もとられていないということになってまいりますと、この九条との関連は一体どうなってくるのかということで、私たちはこの地位協定の十八条の五項、これによりますと、「公務執行中の合衆国軍隊の構成員若しくは被用者の作為若しくは不作為又は合衆国軍隊が法律上責任を有するその他の作為、不作為若しくは事故で、日本国において日本国政府以外の第三者に損害を与えたものから生ずる請求権は、日本国が次の規定に従って処理する。」(a)といたしまして、「請求は、日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する。」こういうふうになっておるのですが、今日までこの自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令というものがなかった。この法令がないゆえに、これらの不適当——不適当行為とわれわれは称しておりますが、これらの行為については、予算上の措置しかされていなかった。そこで、防音校舎等をつくる場合においても、これは法令に基づいて措置されたのではなくて、行政行為として措置された、こういうふうに承っているので、それを今回法令に従って、ここに法律が提案をされて、それに基づいて実施率、補助率の問題等については政令にゆだねることになるわけでありましょうが、はっきりした根拠を持つに至る、こういうふうになってまいりますならば、これはこのアメリカ合衆国との間における地位協定の内容を具体的に明示することになっていく、そういうようなふうに受け取っているので、したがって、提案をされております第九条との関係から、この国が補償措置を講じた場合において、当然原因がアメリカ軍のそれらの問題に伴う問題として提起された場合には、民特法による分だけではなくて、特損法に基づくところの求償という一つの権限がこれから生まれてくるのではないか、こういうふうにわれわれは考えるのでございますが、その第九条と特撮法との関係を説明を願っておきたいのであります。
  42. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 まず第一にお断わりしておきますのは、現在まで予算措置で実際上やられているという補償の性格が、主としてと言いますか、具体的にその内容を見ますと、いわゆる地位協定の第二十四条二項に言われております路線権にかかわるものでございますので、したがって、いままで日本側がすべて負担して、日米間で分担するという問題は起きておりません。  それから、今後整備法の九条第一項ができた関係上、公式的に申し上げれば、いま先生指摘になりましたように、十八条五項の(a)項に述べられております「日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令」ということになります。しかし、実際上特損法で現在やっております補償関係によって、ほとんど九条一項が予定しておりますような損害についてもいままで補償しておりますので、こういう新しい法律ができましても、米軍関係につきましてはほとんどこの特損法によって補償するということになって、現実問題としてその特損法からはみ出る範囲というものは起きないというふうに私たちは考えております。
  43. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 外務省の見解はそういうことですが、防衛庁はどういうような考え方でありますか。
  44. 小幡久男

    ○小幡政府委員 防衛庁も同様でございまして、地位協定の二十四条の関係を受けて、現在の特損法に基づいて求償する必要はないとなっております。そのままの精神で運用されるものだと考えております。
  45. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、この二十四条の二項「日本国は、第二条及び第三条に定めるすべての施設及び区域並びに路線権をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、かつ、相当の場合には、施設及び区域並びに路線権の所有者及び提供者に補償を行なうことが合意される。」という事項でございますが、これは基地を提供しておる。そこで、基地を施設として見た場合に、この施設から発進をする戦術用の基地が日本にあるわけですが、その基地から発進をするアメリカの航空隊の及ぼす損害事項等について——この基地を提供するということは、これはこの協定に基づいて無償でなければならぬ。しかしながら、そこから発進をする飛行機の爆音等によって付近の住民が迷惑をこうむる場合には、これはそのアメリカ軍の行為というものに基づいて起こる事態でありまして、とするならば、日本の自衛上必要であるとして、アメリカ軍が日本に基地を持って、そこに駐とんしておる、こういうような問題がありますけれども、それは日本を守るというだけでなくて、アメリカの安全のためにも日本に基地を必要とするのだ、こういうようなふうに解釈ができると思うのであります。そういう立場からするならば、当然これらの迷惑料というものについては、日本だけが持たなければならない筋合いのものではなくて、明らかにアメリカもそういうような利益を受けるわけでありますから、それについては、そういうような協定の拡大解釈、それに伴う付随的な問題として処理をするというのではなくて、日米間においてそれらの施設等をつくる場合、防音校舎等をつくる場合においては、日本からもアメリカに対して、こういうような施設をつくらなければならないのだからという要求がなされなければならないと私は思う。それが今日まで日本国においては法令がなかった。法令を欠いて行政措置によってなされておったために、そういうような力強い交渉というものができなかったのだと思うのですが、そういうような点は、あなた方はやる意思はないのかということでございます。
  46. 小幡久男

    ○小幡政府委員 施設を提供する際には、やはりその施設が飛行場なら飛行場として利用できるという目的を承知で提供するということがなければ、真の意味の提供にはならないと思います。そういった意味で、提供した施設が爆音で非常にうるさいというような場合におきましては、われわれとしては本法では助成措置でやることにいたしております。したがいまして、アメリカ軍に単に基地を物理的に提供するだけでなくて、その基地の使用目的も了承して提供するのでありますから、飛行機が爆音を相当出すといいましても、必ずしもすべての場合にアメリカ側にその求償を要求するということはできないと考えております。
  47. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 では、施設庁長官に私お尋ねいたしますが、今日までそういうようなものに対する日本の法令は、整備されていたとお考えになりますか。
  48. 小幡久男

    ○小幡政府委員 これは先生指摘のように、整備されておりません。おりませんが、ただいま外務省当局から御答弁がありましたように、条約の二十四条で、そういったものは求償しない、負担をかけないというふうになっておりますので、その種類のものは、法制化されましても、条約の精神に従って、求償しないということを申し上げたのであります。
  49. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、その基地の使用については、アメリカ側に、もう専有的に、どのような事態があろうとも、合法的になされる以上は日本としては干渉できない。だから、アメリカが演習用のために幾ら送信をそこでやりましても、これについては、日本の国としては、法律上これに介入する、あるいは損害賠償を求めるということはできない。まさしく地位協定に基づいて入港料や着陸料が船舶、航空機については免除されているわけですが、そういうものと同様に、基地の使用についてはいかなることがあっても介入できない、そして負担金を課するとともできない、こういうような解釈に立っておられるのですか。
  50. 小幡久男

    ○小幡政府委員 現実には、合同委員会とか施設特別委員会とか、いろいろ日米間の地位協定を実施していくための両者の合同機関がございまして、ただいまおっしゃったような、いかなる、どうこうということではいたさせません。現に夜間演習等につきましても、やはり地元の要求があればある程度制限するとか、そういう話し合いは不断に行なっておりますが、法律論としましては、先ほど来外務省からもお話がありましたように、地位協定の二十四条で施設、区域、その使用も含めた路線権、こういうものに関係あることに関しましては求償しないというたてまえになっておりますので、たとえそのことに関することが法制化されましても、その事項に関しては求償はしないという運用になっていくと思います。
  51. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、法律施行された後においても、米軍に対する求償は特損法に関する限り行なわない、このたてまえでつくられているわけですか。民特法の分については、従来のとおりこの法律に従ってやるのですか。
  52. 小幡久男

    ○小幡政府委員 御承知のように、不法行為、飛行機が落ちて非常に被害を与えたという場合ですと、民特法で従来どおり七五対二五の割合で請求いたします。しかしながら、特損法関係につきましては、従来どおり求償はいたさないということになります。
  53. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これは日米間の外交上の問題に関する問題でありますので、この内容の解釈の問題そういうような基地を提供し、その基地から発生するいろいろな問題が付随的に出てくる。それについては、いまのところ、防衛施設庁は国が救済、補償はしても、アメリカに対して求償をするという考え方はない、こういう考え方であるようでありますが、防衛庁長官は、これについては——私たちは、今日まで日本国の法令が整備されていなかった、このたびのこの法律が出されることによって法令が整備される、そうしますと、それに基づいてそういうようなものについては請求権が発生するのではないかという解釈を立てたのですが、いままでの説明では、特損法については従来どおりである、こういうようなことでありますが、この法律施行に伴って日本国の立場を明示する必要があると私は考えるのですけれども、それは日米間の合意に基づいてなされる措置であるからできないという事務当局の解釈でありますけれども、それは期待はできないのかどうか、また、将来にわたって長官としてはそれをどういうふうに措置しようとお考えになっておるのか、あわせて説明を願っておきたい。
  54. 松野頼三

    ○松野国務大臣 安保条約及び第六条の地位協定、それに付随する国内法というものは、一連のものであります。もちろんその文面の中には、安保条約、地位協定と国内法と多少の相違点が——全然同じものとは私は思いません。しかし、精神と基本は同じものに立っておる。したがって、国内法だけ修正が可能かどうかということは、それは事柄によって議論が分かれると思います。しかし、今回の場合は、いままでなかったもの、特損法にもなかったものというのがたくさんありますので、そのレベルには今回の国内法が追いつくということだけは、私は言えると思います。追いついても、前のものがまだ不足ではないか、よくないじゃないか、これは私はあると思います。しかし、その問題は後日に残すというとおかしいですが、この問題よりも、まずなかったところに、この保護法と申しますか、基本的な一つの権利義務のものをきめるほうが先ではなかろうかというのが、この法案の基本であります。もちろん今日まであります特損法について、不満もある、不足もある、また不備もある、これは御指摘のとおり、多々あると私も思います。しかし、それになぜ触れないかというよりか、それまでいかなかったもの、あるいは予算措置として地方住民、市町村が恩恵的にもらうのか、自分たちの当然な法律上の権利としてもらうのかというものが、不明なものが多々ございました。したがって、この法案を出すためには、約二年間政府部内では検討して、提案にならなかったのです。各市町村からは希望があって、残念ながら政府部内ではまる二年間この法案の提案ができなかった。理由は何だと申しますと、多種多岐にわたること。一つは、これを権利義務にきめていいだろうかということ。ある意味においては政府がそれだけ大きな負担を固定されるのではないだろうか。この法案は、実は御承知のごとく非常に各省にまたがっております。施設庁で提案いたしておりますが、この内容は各省にまたがっておりますので、法律に書けないようなたくさんの項目になります。それで政令を援用するという意味で、政令事項が多くなった。これは各省にまたがり過ぎて、どこが所管していいかわからないほど、実は内容が多い法案であります。そこで、それを一々法律整備が容易でないから政令にゆだねたということは、その事柄が、環境衛生一つとりましても、農林漁業をとりましても、あるいは民事上の補償をとりましても、学校をとりましても、すでにこれでも各省にまたがっております。したがって、この法案は、期待をすれば、まだ足らないところがあると私は思います。しかし、今日の場合においていままでの不足を補うには、近代的と申しますか、前進した法律だと私は信じます。したがって、村山委員の言われるように、基本の安保条約、地位協定、あるいは特撮法まで言及すれぱ多くの議論はありますが、そこまで至らなかったものを今日ここで整備するということについては、御理解と御協力がいただけるのではないかと私は思います。
  55. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私が松野防衛庁長官に質疑しておるのは、そのことではありません。それではないのです。それは国内措置としていままで行政措置でなされていたものを法令の上で明確にしようということは、私もそのとおりだと思う。しかし、私があなたにいまお尋ねをしているのは、今日まで日本国のそういうような法令がなかった。法令に従って地位協定の内容区分によりますと、アメリカのほうに対する求償措置はするようになっておる。ところが、それの根拠になる法令を欠いておったがためになされなかったのじゃないかと私たちは考える。しかし、それは先ほどの外務省の説明では、二十四条の二項というもののその施設の付随的な効果として措置されるものであって、それは特損法によってやるのだとなれば、付随的な効果としてそういうようなものが措置されるということになるならば、アメリカに対して求償はできません、こういうことでございますから、これはおかしいじゃないか。今日まで日本国の法令が整っていなかったからアメリカに対してそういうような求償措置をとらなかったのであって、このように法令が整備されてくれば、それに基づいて原因による分担金をきめるという筋合いのものが生まれて相当であるべきではないか。だから、これに対して、防衛庁長官が今後においてどういうふうに取り組んでいかれるのかということを聞いておる。
  56. 松野頼三

    ○松野国務大臣 地位協定二十四条で、その施設の提供及びその付随する行為については、日本国がある意味においてはその責任を負うということは、外国条約、ことにこの趣旨が防衛と申しますか、軍事上の目的を多分に含んでおる防衛問題については、ある意味においては日本がこの程度ののもは国内法として処理するという部面があってもいいんじゃないか。また、全然外国八が損害を与えたんだから、外国人が当然それを全額負担しろというものもありましょう。民事上においてありましょう。しかし、防衛という、この趣旨の基本からいうならば、免税措置もとられているというふうな、いろいろな場面における相互関係は、私はあると思います。したがって、その一つとして、日本の国がある程度のものは国内で処理するという趣旨からいえば、その基地提供という主目的に付随する程度のものは、私は協定の中においてあっても悪くはない、またなければならないというものでもないかもしれません。今日まではそういう基本的な協定でやってきておりますので、今後において、研究としては当然御指摘のようにあるかもしれません。いままでは、この法律ではやってきておる。また将来の研究課題として、私も御趣旨はわかります。だからといって、これがそう大きな問題だとは私は思っておりません。
  57. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その協定の内容は、施設及び区域及び路線権については提供をすると書いてある。それに付随する行為に至るまで国が提供をするとは書いてないのです。だから、いま長官が例としてあげられた免税の措置は、地位協定の十三条に明記されている。だから、われわれは、その基地を提供するという事態は、協定に基づいてなされた。しかし、その基地を提供することは、これは国が補償するということで成り立ち得る。しかし、それに伴う付随的な効果に至るまで協定で規定されているとは思わないので、その付随的な効果というのは、どこまで限界を定めておりますか。これに対する何か交換公文でもあるのですか。
  58. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 二十四条の二項に出ております路線権は、本来第三条を見ていただきますと、合衆国は施設の中で管営権を持っている。それに対しまして、「日本国政府は、施設及び区域の支持、警護及び管理のための合衆国軍隊の施設及び区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があったときは、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で、それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする。」したがいまして、路線権というのは、施設及び区域があれば、それに出入するに必要な空間あるいは土地、領水ということをさすものと私たちは解釈いたしております。
  59. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これらの路線権の必要な措置をとるということは、第三条になるほど明記されております。しかしながら、これは日米合同委員会の協議に基づいてなされる措置である。とするならば、一方的に排他権を持って基地の管理についてはアメリカが管理をする権利が与えられる。しかしながら、その基地の管理から発生する問題と、それからこの基地を使用して、今度は日本国民の一般住民について与える迷惑をかける行為、こういうようなものについては、いままで日本国に法令がなかったがゆえにそういうような求償措置をすることはできなかったというふうに解釈できませんか。基地を提供したら、付随的に当然そういうようなものが伴うんだ。だから、日本国は全面的にこれを補償し、アメリカには求償措置をとらない。これは外国の場合にはどうなっているのですか。
  60. 浅尾新一郎

    ○浅尾説明員 外国の例を私いまつまびらかにいたしませんけれども、大体この地位協定そのものが、NATOに伴う駐留軍の協定を引用しておりまして、それを考え、さらに、ここにございます特損法自身は、非常に進んだ法律というふうに私は解しております。しかし、もしいま先生指摘されたように、今度できました整備法九条のような規定がわが国にあれば、またそれはそれによって処置されていくかと思いますが、現在私たちの了解しておる範囲では、日本が持っております特損法と同じような法律で各国とも具体的に措置しておるというふうに了解しております。
  61. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 国際間の取りきめについては、国内措置をしたから一方的にこれが相手に強制をされるべき筋合いのものではもちろんなかろうと思うのです。しかしながら、今日まで米軍に対する求償措置の法令上の根拠を欠いておる。それが今回第九条において、その損失の補償というものについての明文化がされた。これに伴って、こういうようなものについては、私は立法の趣旨としては、これに基づいてアメリカに対して交渉をしていくという前向きのかまえというものがなければならない。これを全面的に日本国が背負わなければならないということはなかろうと、私は思うのです。そういう立場から私はものを言うているのであって、他の外国との比較の上においてもいろいろ検討を願わなければならないかと思いますが、私は、そういうような要求というものはできると思うのです。そういうような御意思は全然ないのですか。
  62. 松野頼三

    ○松野国務大臣 この条約は、御承知のごとく、駐留軍以来順次変革を来たしております。ある場合においては、駐留軍のほとんどの施設を日本の経費で支払った場合もあります。そういう過程の上に立って、既定の事実の変革に応じてこの条約というものは実は運用され、協定というものが結ばれたと私は思います。大体諸外国においては、どちらかというと、軍についてはもっと国内法自身が大ざっぱにできておるように、私の調査ではなっております。要するに、そこの国民と軍との関係というのは、今日の自衛隊と国民との関係とはおのずから違っておる。したがって、民事的にはある意味においては軍の力が強い。それに外国軍隊の条約というものが関連をしておる。日本の場合は、軍という特別法制上のものはありません。あくまで行政機関の一部的な、民事的な法律というものができている。それに日米安保条約、行政協定が乗っているというので、必ずしも諸外国のとおりには、私は日本の事情はなっていないと思います。したがって、ある意味においては、国民と自衛隊の関係は、民事上に入って非常にこまかくできている、これがいままでの沿革であります。  なお、いろいろな場合に、これをどっちでやるかというものは、いろいろ実はございます。ある場合には、提供の厚生施設までどちらの国で持つかという場合もあります。駐留というものの付帯事業というのはどこまでか、それは厚生施設もその付帯事業である、それは当然駐留させる国が持つべきであるという議論も出ております。しかし、これは今日は厚生施設は全額米軍負担になっております。そういうふうな沿革から今日出ておりますので、今後この第九条の、直接今回は関連いたしておりませんけれども、諸般の状況が変革する場合には、村山委員がおっしゃるように、これは米軍の負担にすればいいじゃないかという議論は、確かにございます。それは関連する付帯事業はどこまでかという範囲によって、この問題は変わってくる。ただ、今日の場合は、その施設提供に直接関連のあるもの、それから間接的関連のあるもの、この区分の中において、これは日本の負担というようにいままでのいきさつがなっておりますので、この九条ができたから直ちにそれに合わせなければならないというのとは、おのずから違うのじゃなかろうか。これは米軍の駐留の範囲及び直接提供、間接提供という場合に、これを検討されるべきものである。この国内法の第九条によって安保条約及び行政協定の変革を来たすというわけには、今回はいかなかったと私は思います。しかし、御指摘の点は、確かにこの九条ができますと、一つの将来の問題点になることは私も了承いたします。そのことについては、今後研究すべきものであると私も思います。
  63. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 検討を願わなければならない問題が具体的に私は出ていると思うのですが、この二月二十四日の新聞によりますと、三億円で米軍のゴルフ場を多摩に建設をしておる。これは日本の裁判をやりましたときに、中島航空の昭和飛行場内にある米軍のゴルフ場について、土地所有者の昭和飛行機工業が、基地として接収されながらゴルフ場に使われているのは安保条約の精神に反するということから、返還要求の訴訟をやって、三十九年に東京地裁で国が負けている。そして昨年の十二月に、ゴルフ場を四十四年の六月までにあけ渡し、政府は別な国有地にゴルフ場をつくるという条件で和解が成立をしているのですよ。これに基づいて、あなた方が三億円でゴルフ場をつくっている。とするならば、そういうようなものも安保条約の義務である、あるいは地位協定の義務であるというふうに受け取っておられるところに問題があるんじゃないか。だから、私はここでこういうような法律をつくる以上は、これに基づいて、アメリカとの間においても、この地位協定の解釈の問題については相当幅があるんだから、付随的な措置に伴うもの——まあ施設を提供するということはいいですよ。いいとしましても、それから発生をする付随的なものについては、今日まで日本国は法令を欠いておったのだから、これは当然こういうような法律ができたならば、これに基づいてアメリカと交渉をするという態度でなければならない。このことについては、施設庁内においても事務当局の間にはそういうような考え方があるじゃありませんか。そういうような考え方をやはり持ってもらって、いま長官から御説明があったような措置をとってもらわなければならぬ、この点どうですか。もう一回お尋ねします。
  64. 松野頼三

    ○松野国務大臣 その裁判は第一審で、第二審の途中で裁判官が中に入りまして、和解に持ち込んだわけであります。その趣旨は、ゴルフ場が不適当だという意味ではなかったのです。施設提供という中に付帯厚生施設が入る。これはもう議論のないところなんです。ただ、たまたま昭和飛行機の場合は、付帯的な厚生施設にあらずして、厚生施設だけで、主のほうが少ないというところに問題の議論が出たわけです。まあ八割は提供施設、二割が厚生施設というのなら、これは問題ありません。しかし、二割がいわゆる主目的で八割が従だという場合には疑義があるというのが第一審の問題で、疑義があるところ——それは判決が無効だというわけではなかった。したがって、第二審をやれば、これはおそらく私はもっと別な判決が出たんじゃなかろうかと思います。しかし、いずれにしても、基本は、民有地であるところの施設提供はなるべく返還をするというのが、政府のいままでの方針です。たまたまそれが民有地であったということから、和解ということに応じただけです。ゴルフ場というのは、これは補償措置なんです。新たにつくってやる意味じゃありません。ゴルフ場は、これは米軍の主として個人財産的なものであります。米軍の軍事費にあらざる個人財産的なものでありますから、その補償的な措置というので、それをこわすかわりに別なものを代替地として交換したという意味で、したがって、ゴルフ場であろうがあるいはクラブであろうが、建物、現物の交換で、それがたまたまゴルフ場でしたからゴルフ場の交換になったわけです。厚生施設ですから、厚生施設を禁止してはおりません。また、判決も、その趣旨を禁止してはおりません。たまたまこれが民有地であったということから、民有地の早期返還という方向で政府も和解に踏み切ったわけであります。   〔辻委員長代理退席、長谷川(四)委員長代理着席〕 これが国有地なら、おそらくこんな問題は私はなかっただろうと思う。民有地の返還ということでありますので、一審の判決もそういう趣旨で、これが不適当であるという判決文ではありません。そういう趣旨でやったもので、これが移転をする以上は、原状のものは与えるという趣旨は、私はあっていいんじゃなかろうか。これがスポーツ場、体育館、グラウンド、やっぱり同じことであります。ただ、ゴルフ場というそのことばが、ややもすれば非常に映りが悪いですけれども、国民性によっては、野球の好きな国民もあれば、柔道の好きな国民もある、ゴルフが厚生施設のものもあるのですから、その辺はまあ国情において御理解いただけるんじゃなかろうか。日本でもゴルフ場が四百くらいありますので、ある意味では大衆化しつつあるんじゃないか。そういう意味で、そのゴルフ場そのものをこわすかわりにこちらにつくる、その意味であります。
  65. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 国民から見るならば——国の施設であったならば問題はないとおっしゃるけれども、それは政府的な感覚であって、国民的な感覚から言うならば、われわれの血税を三億円も使ってアメちゃんのためにそういうような厚生施設までつくってやらなければならない、娯楽施設までつくってやらなければならないような安保条約の解釈自体が問題なんだ。だから、今度第九条でこういうふうに法令が明確になった以上は、そういうような迷惑をかけるような行為についても、この法令に基づいて、米軍と、もう一回アメリカ当局との間に交渉をしてもらいたい、こういうような考え方が、あなたのところの施設庁の中にもあるじゃありませんか。私は、そういうような考え方に立つのが、日本人の国民的な気持ちだと思うのです。それをそういうふうにあなたがお話をされるということは、国民感情にマッチしているとは思えないのですが、どうでございましょうか。
  66. 松野頼三

    ○松野国務大臣 これはちょうど片一方のものをこわすんですから、こわして移転を——ある意味においては負担をかけるのですから、そのこわすものを、こちらにつくってやるから移転しろと、こういういきさつなんです。したがって、これは一般国民においてもそうです。住宅をもし道路のためにやるということになれば、住宅地、また、建物の場合、建物の補償をするということは、一般補償にも通用することであります。土地の買収のみならず、建物の補償もするのは、原状回復程度のものはあり得るじゃなかろうか。したがって、米軍の建物、施設をこわすんですから、それと同じものをつくって与えて移転を協定する、これが私は一また、これは政府自身の考え方よりも、裁判所の判事が中に立って、和解と申しますか、争わずにいこうというふうな和解の条件の一つになったのです。政府だけ、あるいは防衛庁だけがこれを認識したわけじゃありません。裁判官自身が中に立って、この程度が一番妥協案だろうという、和解案自身がそういうことになった。現物の補償であります。それがたまたまゴルフ場であったから、ゴルフ場ゴルフ場と——ゴルフ場という意味じゃないのです。あったものがゴルフ場であるからゴルフ場、体育館なら体育館、別にゴルフ場をつくってやるというわけじゃない。また、このゴルフ場はもともと日本政府がつくってやっておるわけじゃありません。米軍の日本におけるゴルフ場は、日本政府がつくってやったものは一つもございません。全部米軍自身がつくっております。
  67. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、多摩のやつも、三億円はアメリカ軍が出してやっているんですか。新聞報道はそうじゃないじゃありませんか。
  68. 小幡久男

    ○小幡政府委員 多摩のゴルフ場につきましては、いま大臣も申されましたように、ゴルフ場そのものは、一般的には米軍がつくります。しかし、昭和飛行機のゴルフ場は、これも大臣がおっしゃいましたように、いままで主たる工場等がだんだん解除されまして、残ったものはゴルフ場だけであります。二十何万坪ありますが、これをぜひ民間に返したい、それが第一のわれわれの念願だったわけです。そういう訴訟があったわけです。われわれとしても、一刻も早く民有地は返したいと思っておった。それがたまさか米軍がクラブといいますか、いわゆる純粋の軍事費でやってない、クラブ式に経営しているゴルフ場があったわけであります。日本側の都合でこれを返したいからのいてくれという話になったものですから、それでは代替地がありましたらのきますという話になったわけでございます。したがって、その場合は、例外的にこういうところにそういうものをつくってあげるからのきなさい、そのかわり土地を返しなさい、そういう特殊なケースでありまして、通常の場合は、おっしゃるように、たとえ国有地でありましても、米軍が厚生施設でゴルフ場をつくる場合は、日本側が金を出すようなことはありません。その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  69. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これは特殊な例として、日本国が三億円出したことは間違いないわけですね。そこで、この施設がこういうふうにつくられ、その場合に防衛庁として毛、米軍専用のゴルフ場というのが、東京周辺には朝霞、あるいは座間、厚木、横浜市の根岸、群馬県の太田小泉、こういうようなところにあるのだから、それを使ったらいいじゃないかというのに対して、アメリカがいやだということでつくらざるを得なかった。そうして住民は、それができることによって、いわゆるホークの基地にすりかえられる心配があるのではないかという心配をしている。これはゴルフ場をホークの基地にするようなことはございませんね。この点は明確に答えておいていただきたい。
  70. 松野頼三

    ○松野国務大臣 今回つくっておりますのは、厚生施設の移転のゴルフ場で、ホークの基地というものとこれとは関係ございません。ホーク基地として一つの有力候補であるということは、すでにもう何べんも申し上げましたが、しかし、それとこれとをすりかえてどうのと、そんなこそくな考えは持っておりません。ホーク基地はホーク基地として有力な候補地である。ゴルフ場はゴルフ場である。それを何か一緒にしてどうの——それとこれとは別の問題である。あくまでもこれは施設としての問題であります。したがって、ゴルフ場は日本に幾つあるか知りませんが、日本政府からつくったゴルフ場はありません。これは移転だけであります。ほかのゴルフ場は、日本政府がつくったものは一つもございません。これは全部日本政府がつくったように誤解されておりますが、一つもございません。この問題は、移転を強制するための代替建造物というだけであります。
  71. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 また補償費的な性格のものだ、こういうようなふうに説明では受け取れるのです。それをすりかえるようなこそくなことはしない。だが有力な候補地である。まあことばは使いようであります。ですから、そういうようなものができたら、今度はその地帯は、そういうようなホーク基地をつくるのにわりあいにトラブルが少ないような状態になることは事実でしょう。とするならば、そういうようなふうに、今度は米軍との間に話し合いをしておいて、そして措置することも不可能じゃありませんね。そのほうが、より行政的な摩擦が少ないとするならば、それを選ぶという方向を防衛庁としてはとりたいのじゃないのですか。
  72. 松野頼三

    ○松野国務大臣 それは非常に頭のいい御想像でありますけれども、現実はそうじゃありません。御承知のとおり、ゴルフ場の面積とあの全地域の面積をお考えいただけばわかりますように、相当あの地域は広いものであります。また、ホーク基地の近くには、ゴルフ場みたいな広いものがどこでもあるわけじゃありません。ホーク基地の近くにはゴルフ場がある、じゃゴルフ場をつくるからホーク基地をつくるのだろう、こういう三段論法なら別ですが、ホーク基地の近くにはゴルフ場というものは必要なものではありません。ほかのホーク基地の周辺には、ゴルフ場は一つもありません。ホーク基地とゴルフ場が非常に相関関係があるならは、御想像のことは当たるかもしれませんが、別にその相関関係はないのですから、ゴルフ場はゴルフ場、ホーク基地はホーク基地、それと関連があるとか、あるいはその前提だとかいう想像は、少し私はうがち過ぎているんじゃないかと思います。これは別個の話であります。
  73. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 まあ話の筋としては別個な話で片づけられても、二百万平方メートルもあるわけでしょう。そういうようなのをそこにつくられる。つくられるということは、ここは多摩のニュータウンとして住宅建設の予定地になっておった。予定地になっておったけれども、そのそばにそういうようなゴルフ場ができるということで、今度はそれは転用するということが、地元ではもう現に心配されているわけですね。あなた方が、いやそこにはつくらないとおっしゃれば、その相関関係はないわけなんだけれども、つくるのには最も有力な候補地であるということになれば、話の筋道としてはなるほど相関関係はないわけだけれども、そういうような摩擦が少なくなるというような事態においてホーク基地をつくるんだから、またアメリカのほうから返してくれ、どこかほかにまたゴルフ場をつくりましょうというようなことになれば、これは非常にスムーズにいくのじゃありませんか。そういうようなことを地元としては現実の問題として心配をしている。じゃ長官は、現実の問題としてそういうようなことを心配するには及ばない、ホーク基地は別なところにつくると言い切れるのですか。
  74. 松野頼三

    ○松野国務大臣 ホーク基地としての有力候補であることは、ゴルフ場問題を抜きにして以前からあったのです。ゴルフ場はそこの地域につくらなくても、ほかに適当なところがあれば、どこでもよかったのです。それは、私の言うのは逆であります。ゴルフ場はどこでもよかった。ホーク基地としてそこが適当であるというほうが、実は先であります。先議であります。ゴルフ場は適当なところがあれば、そこでなくてもよかった。しかし、適当なところはなかなかありません。したがって、そこにゴルフ場がたまたまいったということだけであって、優先関係をいうならば、片一方のほうが優で、緩急でいうと、緩と急は逆なんです、これは。その証拠に、昭和飛行機をのかして、そのあとにホーク基地をつくるということなら、それは一つの問題がありましょう。ホーク基地をつくるためにゴルフ場を移転させた……。今日、いまのところは五十八万坪あります。その中でゴルフ場は二十万坪です。したがって、そのゴルフ場と多摩の場所との関係は、その面積の総体からいって、特に関係はない。しかし、ホーク基地の有力候補であることは、ゴルフ場をつくろうが、つくるまいが、関連なしに、これは変わりありません。
  75. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 まあそういうような説明をされましても、なおそこにつくらないという保証がないわけなんですから、最も有力な候補地であるということになると、それらの関連から一番行政上の摩擦が少ないような方向に考える。しかし、ここは都のほうの住宅専用地区に入っておる、ゴルフ場まで含めて。このことは間違いありませんね。
  76. 松野頼三

    ○松野国務大臣 それは建築基準法の何かの規定に入っていると思います。専用地区ですか、入っていると私は聞いております。
  77. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 では、その問題はそれでおきますが、先ほども申し上げますように、まあ特殊な例でありましても、移転補償費的な性格があったにしても、ばく大な金を使ってそういうようなものをやらなければならないようなことでは困るという国民的な感情は、無視できないと思うのです。また、今日まで地位協定に基づいて、特損法の場合については、基地の提供をする付随的な効果として、日本国は全部国の責任で補償をしてきておったけれども、ここに第九条という法律が明記された以上は、これに基づいてアメリカとの間に再交渉をすべきであるという気持ちは、私はこの法律期待をしている国民的な声ではなかろうかと思うのです。そういう立場から、先ほども長官が今後検討をしてやりたいということでありましたが、善処するということばではおっしゃっていないのですが、そういうような声にこたえる気持ちというものは少なくともお持ちであろうと思いますので、長官のそれに対する誠意ある回答をこの際伺っておきたいと思うのです。いかがでしょう。
  78. 松野頼三

    ○松野国務大臣 このことについては誠意ある回答を端的に申し上げたいのでありますけれども、ただ、村山委員承知のごとく、権利義務をあくまで主張しますと、米軍の権利であるが、国民感情に訴えて、ある意味においては米軍の協力を仰いでおるものがたくさんあります。権利義務をいうならば、施設提供において富士のすそ野で自由な演習ができる。しかし、ある場合においては、それは権利としては米軍が正しいけれども、国民が非常に動揺する場合には、その演習を一時延期してもらったという例もあります。これは日米間の運用によって変わるべきものであります。そういうものが多々ありますので、それを差し引きにしながら話をしないと、これだけあれば、あとは米軍は権利を十分主張してよろしいというなら別ですが、やはり私たちも仲に立っておる、米軍の権利であるけれども、日本の国民の感情を理解してくれというものが、基地問題ではたくさんございます。それと相関連しながらこれを解決していきたいというので、明快にこれだけでいいというわけにはまいらないのであります。いろいろ演習地の問題もあります。身近なところでたくさん出ておりますから、権利義務なら問題ないけれども、ただそれだけでは割り切れない。日本のほうはどっちかというと、基地問題では米軍の譲歩を仰ぐものが多々ある。それとこれとを考え合わせて、関連をしながら解決の方向に私は努力いたしますが、これだけぴしゃっと言われますけれども、じゃ、あとは聞かなくてもいいかと言われると、これも困る。安保条約は条約として固定化されておりますけれども、運用においては、日米間の連絡によって、相当国民感情を理解しながら米軍も今日運用には注意しておりますので、これは条約、条文だけでは割り切れるものではなかろう。しかし、条文はおっしゃるとおり、第九条を出しますと、多少疑義と申しますか、これは今後において考えなければならない問題があります。これだけ回答しろでは非常に困りますから、全般的に御信頼をいただきたいと私は思います。
  79. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 相手があることですから、法律をつくったからといって、それをすぐさま適用をするわけにはいかぬ、そのことはよくわかります。しかし、九条の立場に基づいて前向きに取り組んでいただくことをいまの長官の答弁の中からもくみ取って、私もこの点については終わりたいと思います。  そこで、在日米軍の基地の性格の問題でありますが、日本における軍事基地というのは、戦術的なものであって、戦略上のものではないというふうにわれわれは受け取っておるわけです。そこで、今日ありますのは、戦術空軍基地として府中に第五戦術空軍司令部があり、その下に三沢、横田、板付、立川のアメリカの第五戦術航空司令部に配属をずる部隊がある。片一方、海上航空師団基地が岩国にございます。これが陸上におけるところのアメリカの基地であろうと思うんです。それから海のほうは、第七艦隊の司令部が横須賀にある。主要基地として横須賀、佐世保というものがある。これは海に関する問題ですが、そういうような問題から見てまいりますならば、これは戦術的な基地である。こういうことから考えてまいりました場合に、もちろん核戦略体制下における基地の性格はどういうようなものかという問題にも本質的につながっておりますし、あるいはアメリカの戦略体制のもとにおける日本の基地の性格というものにも関係が当然出てくるわけでありますが、今日における日本のアメリカ軍の基地というものが、どういうふうに変わってきているのか、今日の基地の面積並びに個所、そういうようなものはどういうようになっているのか、一応説明を願っておきたいのであります。  それと、いま盛んに論議しております核の傘下の問題の中における日米安全保障条約の必要性の問題等から、有事駐留といったような問題等も論議されているようでありますが、自衛隊としては、そういうようなものは消極的な形で受けとめておるというようにも受け取れるような記事等も出ているわけでありますが、兵器の発達に伴って、基地の性格というものは確かに変わると私も思うのであります。しかし、その重要性というものは、軍事戦略的に見た場合においては変わらない、こういうような見方をしておるのがノーマルな見方だと思うのですが、そのような意味から、米軍の基地に対しては将来どういう考え方で対処されようとしているのか、その点について伺っておきたいのであります。というのは、日本における軍事基地というのは、戦術的なものである。戦術的なものであれば、それだけ流動的なものであるということから、戦術内容の転換に伴って変化し得るものもある、こういうふうに考えられますので、防衛庁としての将来の見通し等について、説明をお伺いしておきたいのであります。
  80. 松野頼三

    ○松野国務大臣 米軍基地の面積、場所については、後ほど政府委員から答弁いたさせます。  戦術的、戦略的、基本的な将来の見通し、これはなかなか大きな問題だと私は思います。大きな問題というのは、この論争というのは、世界じゅう各国の議会において行なわれております。一番端的なものでいうならば、飛行機が有人機か無人機かという問題、これなどは、まず兵器の発達、今後の装備の基本問題として、どこでも議論の出るところだと思います。かつて飛行機が先か戦艦が先かという論争が、過去においては行なわれました。戦艦が必要なのか、航空母艦が必要なのかという議論が出ました。この時代と、今日は無人機、有人機の時代に、非常な兵器の発達によって変わってきた。この議論は容易なものではないと思います。ただいえることは、無人機の時代になるにはまだ相当の段階がある。また、無人機の場合は、往々にして一方交通で、往復はなかなかできない。引き返しができない。あるいはいろんな問題があります。したがって、まだ無人機の時代には少し——戦略的に全部がそうなるとは私は思いません。したがって、有人機の時代というものがまだ当分続く。また有人機の併用というものが、世界の趨勢になる、これはある意味において見通しがいえるのではなかろうかと思います。  そこで、基地というものになるわけであります。どんな時代になりましても——なお、先ほどの第七艦隊の司令部は、ただいまおそらく海上におるのではないかと思います。私も的確には申せませんが、横須賀よりも、海上におるほうが最近は多いように私は思います。その必要のために、やはり基地というものが今後とも変わらず必要である。また、有事駐留論議は別として、日本の防衛上においては、安保条約は、今日諸外国の状況を見ますと、なお一そう必要度が増してこそおれ、減少する傾向はいまのところはまだない、こういう感じで、日本の基地問題というものは必要度が多いのではなかろうか。使用度数がやはりそれに応ずると私は思います。兵員及び数はふえておりませんけれども、やはりそれだけのものはある。なお、基地の内容、場所につきましては、政府委員から答弁いたさせます。
  81. 小幡久男

    ○小幡政府委員 現在の基地の面積とか種類を申し上げますと、大体飛行場、演習場が中心でございますが、これはいわゆる占領軍といいました時分には、進駐当時は、土地にいたしまして四億坪でございます。現在は、件数として百四十人件で約一億坪でございます。演習場、飛行場が、そのうちの八割を越えております。演習場の中では、一例を申しますと、富士演習場一つとりましても四千万坪を越えておりますので、米軍自身がここに持っておるものは、非常に大きいものでございます。なお、富士演習場以外につきましても、日米の共同使用とかいうふうに、米軍の現在の基地は自衛隊も使用しておるというふうな、非常にダブった関係がございます。いわゆる米軍の基地というものの実態が、現在では進駐当時とはよほど変わってきておる次第でございます。
  82. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この軍事基地の問題については、戦略、戦術上の問題がありますので、私は、きょうは時間的に制約されておりますから、次にまた延ばして、本日の質問はこれで終わります。      ————◇—————
  83. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員長代理 次は、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  84. 大出俊

    ○大出委員 まことに突然問題提起がありまして、参議院のほうは通ってきたわけですけれども、こちら側で修正をしてという手続をとられるならば、参議院側も受け入れてもよろしいという趣旨の話まであるわけでございます。  そこで質問を申し上げたいわけなんですが、国家公務員災害補償法の一部改正法案についてその条文で申し上げますと、第十七条の規定でございます。十七条の六「遺族補償一時金の額は、業務上の死亡に係る他の法令による給付との均衡を考慮して人事院規則で定める額(第十七条の四第二号の場合にあっては、その額からすでに支給された遺族補償年金の額の合計額を控除した額)とする。」こうあります。  ところで、時間の関係がございますので、なるべく単刀直入に承りたいのであわせて申し上げますが、二二ページの附則の第七条によりますと、「遺族補償一時金の額は、当分の間、新法第十七条の六第一項の規定にかかわらず、」当分の間という字がここで入っておるわけでありますが、「旧法の規定による遺族補償の額の範囲内において、人事院規則で定める額(第十七条の四第二号の場合にあっては、その額からすでに支給された遺族補償年金の額の合計額を控除した額)とする。」「(他の法令による給付との調整)」こう続いているわけですね。いま申し上げた第七条との関連ですが、十七条のほうをざっくばらんに申し上げてしまえば、労災との関係があるよ、こういうことをここで指導をされているんだろうと思うわけです。どうせ反論の出るところだから先に申し上げておきますが、国家公務員災害補償法二十三条に規定がございます。これとの関連等が出ておるから、こういう形を労働省の側は何と考えておられるか、あとで聞きますけれども、この条文からいきますと、その関連において十七条という条文がつくられたというふうに受け取るわけです。社会保障的なものの考え方からいくならば、労災と似たようなものにする、こういう筋、根拠が国家公務員災害補償法第二十三条だと思うのです。だから、そのことはわかっていないわけではない。このことを前提にいたします。  ところで、この附則の七条のほうは、ここで本文を殺しているわけですね。という意味は「第十七条の六第一項の規定にかかわらず、」という文言を使っているわけです。そこで「旧法の規定による遺族補償の額の範囲内において、」ということで人事院に責任をおっかぶしてしまったかっこうになっているわけですね。  ここで、以上の経緯を簡単に述べましてずばり承りたいのでありますけれども、人事院のお考えは、旧来の千日分云々というここのところをどう考えておられるか。労災でいけば四百日になるはずでありますけれども、そこのところを人事院がかつて出しておられる、衆議院議長、参議院議長あるいは佐藤総理にあてまして「国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申出」について、昭和四十一年二月二日、こういう文書がございます。この文書はあまり明確でない点があるわけなので、あわせてずばりひとつ考え方を聞きたい、こういうわけです。
  85. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいま御指摘の意見書では明確でないとおっしゃいますけれども、これは明確なんで、この千日分云々のととろは触れておらぬわけです。触れておらぬという点ではきわめて明確だと思います。その理由は、これはもう釈迦に説法でございますけれども、確かに労災法は四百日になりましたけれども、しかし公務員の災害補償法の場合はまた別の事情がいろいろ考えられるべきじゃないか。まあ基本になっております労働基準法あたりでも千日分ということも残っておりますし、それから船員法も千人十日分ということで残っておりますし、それから労災法の場合は、さらにランクによってこれが上積みされる場面もあり得る、また現にあるわけです。そういう点を考えますと、公務員の場合も直ちにこの四百日分とくぎづけにしてしまうのはどうもいかがであろうかということで、手を触れない形で意見を提出したということです。それが法案の段階になりまして、やはり一部にははっきり労災と合わせて四百日と明示すべきじゃないかという御意見もあったやに仄聞いたしますけれども、しかし、まずまずいま御指摘のような形で人事院規則におまかせいただいたということになりましたので、あとはまたわれわれの努力の余地がここに残されたということで、勝負がついたことにもならないだろうというような率直な気持ちなんです。  さて、ここで人事院規則をわれわれがどういうふうにきめるか、これはもちろんこの法案の御審議に当たられております国会の御意向をまず十分に尊重しなければなりませんが、私ども先ほど申し上げましたような根本の立場から申しますと、少なくとも千日分ということを原則にとりながら十分な補償がいくようにという方向で、現に関係各省とも折衝を続けておりますし、今後もその努力を重ねてまいるつもりでございます。
  86. 大出俊

    ○大出委員 かくて人事院があいまいであるということが明確になったわけなんですね。私がここで質問しなければならぬのも、人事院がもう少し言うべきことを明確に言い切っておれば、あるいは質問をする必要がなかったような気がするわけでございます。というのは、社会保障的な性格のもの、あるいは死んだという見地に立って、会社の場合でいうならばいろいろな弔慰金制度その他ができております、千差万別なんですけれども。だから現実に労災だけでいっているわけではない。ところが、国家公務員法あるいは関係の災害補償法の規定等からいきますと明定をされてしまうわけですね。つまり旧法からいきますと、千日分ということが明確にうたってあるわけですね。そのほかには金の出てくるところはない。そうなりますと民間とは大きな違いがあるわけですね。それから国家公務員にはいろいろな政治活動の制限であるとか職務専念義務であるとか、そういう限りない義務規定があります。そういう大きな身分規制の面からくる違いも存在をするわけであります。したがって、いきなり何もかもひっくるめて労災だ、こういうことになってしまうかどうかという点は、そうではないと言っていただきたいところなんです。  それから、もう一つ明確にしていただきたいのは、逆に、ならば遺族であれば何でもかんでもみんな拾い込むのかというと、必ずしもそうはいかない面がある。これも人事院は明確に言っていただきたいと私は思っておるわけであります。その両方を明確にすれば、おのずから論議の結論が出ると私は思っておるわけなんです。しかし、問題は、正当な遺族であって、だれが考えても当然だと考えられる方々は、つまり公務の特質という面から考えて、かつ民間のように会社、企業の個々の何々を支給するというふうなことでない、そういう性格のもの、そこからくるもう一つの特質を考え合わせて、旧来の千日分というものが不当であるということにはならぬ、あるいは見方によれば、千五百日分出したって悪くはない、こういう筋書きになるのだというふうなことを私は明確にしていただければ、参議院から回ってきてまたここで論議をしなければならぬ理屈は出てこなかったような気がするわけであります。念のために申し上げておきますが、厚生年金と恩給との相違があります。さらに労災といまの国家公務員の災害補償法の違いもあります。同じ健保等を取り上げましても、政管あるいは国保、日雇い健保等々、いろいろな違いがあります。したがって、何もかも一緒でなければならぬという理屈は、その面からも出てきません。違いは違いとしてあってよろしい。ここらあたりが、どういう理由によって違うのかという点が明確になればよろしい、こう考えるわけです。したがって、三つばかり大筋を申し上げましたが、もう一ぺんそこらのところをどういうふうにお考えになっているかを承っておきたいと思います。
  87. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 人事院の意見書において、千日分の関係を現状のままに据え置いたという理由は、先ほど申し上げたとおりで尽きておるわけでございます。根本的な考え方としては間違っては一おらないと私は思います。ただ、いまのおことばに触れますが、結局この人事院の規則できめるという筋合いで見ていただきますと、これは相当きめのこまかいきめ方も考えられるわけです。したがいまして、たとえば親族関係と申しますか、なくなられた本人との親疎の段階というのは、一応一つの考え方になると思いますけれども、何から何まで全部この千日分でいかなければならぬとむきになって突っぱるべきものでもなかろう。そこにやはり何か合理的な、どなたがごらんになってもこの程度の差別はやむを得ないという線がありはしないかという意味で、千日分を原則にとりながら、しかも合理的な十分な補償が行き渡るようにという原則で、これからさらに努力を重ねようというつもりであるわけです。
  88. 大出俊

    ○大出委員 非常に重要な御発言をいただいたので念を押しますが、何もかも千日分でなければならぬということでもなかろう。この御答弁は、原則は千日分だということになる御答弁だと考えるが、その辺について、もう一ぺんお答えをいただきたい。
  89. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 先ほど正面から申しましたように、人事院といたしましては千日分を原則にとりつつ、ということを申し上げたわけです。
  90. 大出俊

    ○大出委員 原則にとりつつ、などという非常にむずかしいことを言われると事があいまいになるのですが、私がいま申し上げたこととそこのところはそう変わっていないと思います。だとすると、単刀直入にもう一ぺん申し上げますが、この旧法の規定による遺族補償の額の範囲内において、こういう表現なんです。つまりこれは旧法の額を下回らない範囲内とか、旧法の額を考慮してとか、もうちょっと原則云々とおっしゃるなら、表現のしかたがありそうなものだという気がするわけです。これでいきますと、人事院の規則が制定をされていないのですから、ないしは案も出されていないのですから、その意味では何をどうするという具体的な人事院のお考えは明らかになっていないわけです。そうしますと、はたして人事院にまかせてみたら、権限は人事院にあるのですから四の五のとやかく言われない。制定権を持って制定された結果から見て、これはということになってもあとの祭りになります。したがって、くどいようなものの言い方であるけれども、なれば旧法の額を尊重をしてとか、そういうふうな文言の修正が必要になる。ないしは、いまあなたが御答弁になっているように、旧法の額を原則として、そういうふうにおかえをいただければ、原則はそうなんだ、しかし何もかもということには、はたして全部が全部そうなるかというとはずれる額も出てくる。そのワクの中で人事院は規則の制定権に基づく規則を制定する、こういうふうに進んでいかなければ筋が通らぬと思うのですが、そこのところはどうですか。
  91. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 基本的な先ほど立場から申しますと、欲を言えばそういう表現のほうがさらに望ましいということは申すまでもありませんけれども法律的にこれを見ますと、遺族補償の額の範囲内においてというのでありますから、結局千日分ということが定め得る形になっておりますから、先ほど申し上げたような趣旨において、これからわれわれも大いに努力すべきだという方向の問題としてつかんでいただければ、これでいいんじゃないかというふうに思います。
  92. 大出俊

    ○大出委員 人事院のお考えは大体明らかになってまいりましたから、あわせて安井総務長官お見えになっておりますから承りたいのですが、総理府の社会保障制度審議会の会長大内兵衛さんのほうから総理大臣あての四十一年三月十九日付総社第八十七号という文書で答申が出されております。この答申の中には、慎重に処理すべきものと考える、こうなっておるわけですね。御存じのとおり、審議会の構成は、今井一夫さんのような方がおられたり、大内さんを含めて学者の方々かおられたりするわけでありますけれども、年金にするということが望ましいことは、だれが言わなくても当然なことでありまして、そのことを私ども否定をするわけではないわけであります。しかし、過渡的な扱いをしておることも現実間違いないところであります。そうすると、過渡的な扱いという段階で今日旧法にいう千日分があったわけでありますから、社会保障各種制度が万全ではないということは、制度審議会も認めているところでありますから、そこに今日種々の問題が存在をするということを考えて、過渡的なものが片や千日、片や四百日とはどういうわけだ、こういうふうな疑問等もこの論議の中には含みながら、かつ先ほど人事院総裁答弁をされたこととも非常に近いやりとりが行なわれたりいたしまして、結果的に慎重に処理すべきものと考えるという名答申文言になっておるわけであります。これは人事院の側の主張もそういう場所では明らかにされていたんだろうと思うわけであります。相通ずるものを感じます。そういうことになりますと、はたして人事局を含めて総理府の側として安井さんどう、お考えになっておるかをあわせて承りたい。
  93. 安井謙

    ○安井国務大臣 遺族に対する一時金の問題につきましては、いまやりとりありましたように、労災補償のほうの関係とある程度平氏を合わせるための年金制度をとったという意味では、できるだけ労災制度の平仄にすべてを合わせるのも一つのいき方だ、しかし、お話にありましたように事情はそれぞれ違う。その違う特殊性については、これを十分考慮しなければいかぬというようなことから、人事院の裁量にまかすと法律にきめたわけであります。人事院のほうの考え方は、もともと千日をむしろ出したいという表現にしたいというほどの気持ちもあったのであります。しかし、労災補償の関係も考慮しながらこういう法律改正をやったというたてまえもとって、そこに若干そういった考慮の余地を残す。大内さんの答申について慎重考慮ということは、文字どおりどういうふうにでもとれるのでありまして、これは文字どおりに慎重考慮するものととっておくよりしかたがあるまいと私ども思っております。したがって、おまかせする人事院がもともとそういう主張でございまするから、大体御趣旨のようなことに現実はきまるのであろう、その点はわれわれもやむを得ない、こういうふうに考えております。
  94. 大出俊

    ○大出委員 人事院が規則制定権を持ち、かつ改廃の権限も持っておられるわけですから、陸運局関係の陸運事務所等の深夜勤等について、外部から電話がかかってくる云々ということでだいぶ問題があって、私かつて取り上げようと思ったところ、私のいない間に、いつの間にか人事院規則が新しく出ておりまして、一昨年十二月前に所属長の裁量権が拡大されてひっかからないようにできておるわけですね。そういうことも世の中にはあるのでありまして、今日まさに他に類を見ない総裁がおいでになりますから、その限り心配はいたしませんけれども、これとてもいつおかわりになるかもしれぬ今日の目まぐるしい政府の人事権ですから、そうなりますと、このあたりで、総務長官もよろしいとおっしゃるなら、何も私は千日分を明定せよとは申しておりません。さっき申しましたように、旧法の規定を原則としてというふうにおかえをいただいておけば、範囲内というなら四百日であっても範囲内であるから、原則になっておれば、少なくともそれが千日が原則になって、例外的に規則でこれとこれとははずしてこうするということになってくるわけでありますから、その辺のところをここでいきなり答弁をと申し上げても、なかなか御相談が要るところでございますから、私はそういう強い意見を申し上げて、運営は理事会が御存じのとおり行なっておるわけでありますから、ここのところは、文言の表現のしかたについては御相談をいただきたいと思っております。  それから、次に、もう一つ申し上げておきたいのは、来年この地方公務員に関するものが出てきそうな感じがいたします。ところで、地方公務員の場合は、今日は基準法の適用を受けておるわけでございます。国家公務員災害補償法に見合うものがない。したがって、基準法の七十九条だろうというふうに考えるわけであります。そうなりますと、これがもう一ぺん来年出てくるとなりますと、今回おまかせをする人事院の規則なるものは、こちらとの見合いが出てまいります。そこも私は非常に心配になるところです。なぜならば、地方公務員の皆さんは、給与水準その他を含めまして条件が千差万別でございます。したがって、金のあるところもあれば、ないところもあるわけでございます。そこにも大きな心配が相関連をして出てくるわけでございます。  それから、もう一つ例を申し上げますが、防衛庁の職員の方々などの場合は、特に問題がありはせぬかと思うわけであります。というのは、今回の年金のほうは、平均給与を大体三〇%から五〇%のところ、だからこれは超勤が入ったり、共済の二〇%分を負担しますと、大体半分から七割ぐらいのところにいきそうな気が本俸についてはするわけです。悪いものではない。ないけれども、しかし、五十五歳というところに基準を置いて考えますと、さて防衛庁の場合には、若い方々で五十五歳未満のものもある。問題がいろいろ出てまいります。そうなってまいりますと、父母の年齢と隊員の年齢の関係等々からいきますと、はたして年金だけで満足し得るかどうか、一時金になる部分が四百日で切られるということになりますと、その給料からいきまして、最低二十七万円ぐらいしかもらえない隊員が出てくるわけであります。さらに三十万、四十万しか一時金がもらえない人は、年齢構成から考えますとざらでございます。そうなってくると、今日まで一時金が千日分あったのに、一つ間違って、規則制定いかんによっては二十七万か三十万しかもらえないという方が出てくる。こうなりますと、酔っぱらい運転で死んだって百五十万という金が出てくるのにという話になる。これは理の当然であります。そうなりますと、ここのところからも、一つ間違うと善意の被害者が出てくることになる。だから、そういう二つの例を指摘をいたしまして、労働省のほうにおいでをいただくように話しておいたのですが、まだお見えになりませんので、いまの見込みにつきまして、長官のほうから一つ、そういう矛盾が出てくるという点で、先ほど大臣の御意見は承りましたから、検討されておられる専門の局長さんのほうから、それらとの均衡というような問題を含めてお答えをいただきたいと思うのです。
  95. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいまいろいろと御指摘になった点でございますが、従来千日分であったものを今度変えるという問題は、実は御承知のように、労災ではそういうふうにすでになっておるわけでございます。したがいまして、そういう改正をしたことによって、いろいろと従来の場合と比較すると問題になるということは確かに御指摘のとおりであろうと思います。そこで公務員の場合には、その点若干の余裕といいますか、労災のようにずばり四百日と定めなかったわけでございます。その辺は、先ほど人事院総裁からお話がありましたように、公務の実態に即していろいろと御勘案の上にきめていただく、そういうことにして私どもは一応の解決をはかったというつもりでございます。  御指摘の中の地方公務員関係は、仰せのように現在労働基準法の適用でございますし、ここしばらくそういう形が続くわけでございます。したがって、国家公務員との開き、あるいは労災との開きというものは現実にあるわけであります。それを解決するのには、お話のように地方公務員についてまた別途災害補償制度を立案しなければならないということで、これは自治省のほうにおいていろいろ検討しておられるようであります。その際、お話のように、今度国家公務員について特に人事院規則がどうきまるかということは非常に深い関係があるということもおっしゃるとおりだと思います。  それからもう一つ、防衛庁の職員についてでございますが、これはもちろん先生も十分御承知の上での御質問だと思いますが、これはこの公務災害補償法ずばり適用ではなくて、準用である、そうして人事院規則に該当する部分は政令で定めるということでございます。したがって、先ほどお話のありました趣旨によって人事院規則が定められれば、それを考慮した上で、防衛庁の職員の実態を勘案の上でさらに適切なものをきめ得るということでございますので、御指摘のありましたようないろいろな点、私どもとしても十分考慮してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  96. 大出俊

    ○大出委員 そこで問題はまた二つ出てくるのでありますが、防衛庁の方々の場合は、実態に即して救う道がある。ところで、もう一つのほうの地方公務員の場合は、当分の間基準法七十九条の適用を受けるとなれば、これは千日分ですから、今日国家公務員の側が規則に落されて、規則のほうで妙なことという言い方はおかしいのだけれども先ほど私が考えて発言しております意に沿わぬことになる。当分の間地方公務員と国家公務員との間に差ができることになる。これも非常に大きな矛盾だと考えております。今日の国家公務員あるいは地方公務員の各種法体系全体をながめてみて、それが一年か二年か三年かの間であっても、そういう矛盾は放置できません。そうなりますと、なおのこと、そこからもこの文言を何とか修正して、原則という意味の筋は通していただきたい。そうしないと、そういう法的な差が出ていることを、ある意味では矛盾を知りながらも肯定せざるを得ないという結果になってしまう。これは私間違いだと思う。だから、そういう意味で、先ほど申し上げた七条の文言を、やはり旧来の旧法による額を千日分を原則とするというふうに修正することが必要であろう、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。  労働省村上さんがお見えになったようですから、重ねて同じことを簡単に繰り返しますけれども、いままで人事院の佐藤総裁、安井国務大臣が人事局担当ということで御質問を申し上げたのですが、御両所とも答えておられることは、社会保障制度審議会の答申などもあるが、慎重に処理すべきものと考える、こうなっているので、この文言はいずれともとれる。さらに、人事院が旧来考えているのは、千日分ということについて、民間の場合は弔慰金制度その他いろいろ企業ごとにある、ところが公務というのは公務の特質がある、各種義務規定も存在するというふうなことをいろいろ考えあわせた場合に、不当な額とは思っていなかったということであります。ただ、しかし、それは私も認めることですが、遺族の範囲等について、あれなんかもそれではいいのかということになると、ここには問題があるという筋書きになるのだけれども、そこがどうなのかということについて、私の考え方とそう変わらないお考えを、総裁も総務長官も両方からお答えをいただいているわけであります。そうなると、附則七条でありますが、七条の「遺族補償一時金の額は、当分の間、新法第十七条の六第一項の規定にかかわらず、旧法の規定による遺族補償の額の範囲内において、」こうなっているところを、私は「旧法の規定を原則として」というふうに直していただきたい。これがあくまで毛原則として貫かれて、矛盾といま言われている遺族の範囲その他というふうな問題については、人事院規則でそれなりの選択をしていただく、こういうふうに持っていくのが筋ではないか。私は実はこういう意見を申し上げて、そこで労働省に承りたい。  労働省の皆さんは、社会保障的な面での担当でございますので、おそらくお考えとしては、社会保障的な立法というものは統一すべきである、こういう原則からいけば、年金制度もしかり、さらには遺族に対する一時金、こういう問題につきましても、片や持っておられる労災の四百日に合わせたらいかがなものか、こういう意見が出ることとは無理からぬところである。しかし、私がいま申し上げましたような公務の特質というふうなこと、さらに、防衛庁の自衛隊の職員の方々のように、年金のほうは確かによくはなりましたけれども、年齢構成が非常に低いというようなことから、五十五歳という線を引きますと、ここでは非常に若い父母というふうな問題が出てまいります。したがって、一つ間違って——準用でございますから、そこのところには多少の幅はありますが、この委員会が旧来審議している準用というのは、そう幅のない、まさに準じて行なうという形の運用になっておりますので、そう大きな例外もつくり得ないと思います。そうしますと、一つ間違うと、最低二十七万円しか一時金がもらえないとか、三十万から四十万しかもらえない方々がざらに出てくる。酔っぱらい運転でも百五十万ももらうというのに、ということになりかねない面があると思います。それらのことを考えると、やはり私は原則は原則として、旧法の千日分を生かしていただく、こういう筋書きが必要だろう。特に、もう一点だけ申し上げておきますが、地方公務員の場合には、国家公務員災害補償法に類する法律はございませんから、基準法の七十九条を適用されている。これは千日分です。そうなると、改正法律なりあるいは別途法律が提案をされるまで、地方公務員の方々は基準法に基づく七十九条の規定による適用を受けていくことになる。これが当分の間続くということになると、その間は逆な矛盾が出てくる、こういうことが考えられるわけであります。したがいまして、私は、結論として、社会保障の側を担当される——お考えはわかるけれども、いま申しました趣旨に立って労働省の皆さんはどのようにお考えになるかということを、人事院の皆さん、総理府関係の皆さんの御意見はすでに承りましたが、私とそう変わった御意見ではないので、労働省の側のお考えをお聞きいたしたい、こう思うわけであります。
  97. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 昨年労災保険法を改正いたしまして大幅に保険給付の年金化をはかりました際、補償給付を年金で行なうか一時金で行なうかという点についていろいろ議論がありましたが、各国の例を見ましても、補償としては年金のほうが適切であるという判断が、皆さん一致いたしましたので、遺族補償につきましても、年金方式を原則とするということに踏み切ったわけであります。その年金を受ける受給者の資格につきましても、年金受給者としてふさわしい者に限定せざるを得ないという観点から、現行のたてまえのような受給権者の制限をするということにいたしたわけであります。しかしながら、災害補償制度はすでに半世紀を経過いたしましたけれども、その間一時金で従来やってきた、こういうことにかんがみまして、年金受給者ではないが、いわゆる遺族と称せられる者についても何らかの考慮を払うべきではないかという観点から、一定の計算方式を用いまして、四百日という一時金を計算いたしました。それを年金適用者以外の者であって、遺族であるというものについて支給する制度を設けたわけであります。  その基本的な考え方は、年金か一時金かという考え方に対しまして、年金で割り切るという方式を採用したことに伴う一つの遺制と申しますか、従来のわが国の災害補償制度の遺制として、そこに四百日分というものが残ったというふうに、私ども理論的に割り切りたいというふうに考えたわけであります。ただ、しこうしてそれが法律上の使用者の補償責任である、法定責任であるという観点から、その線にそろえていただくということが理論的には適当ではなかろうか、こういうふうに考えたわけであります。したがいまして、国家公務員災害補償法の改正を行ないます場合にも、使用者たる国の責任という場合につきまして、民間に準じた形で処理していただくことを私どもは希望し、またそのような形になっておるというふうに理解しております。  ただ、附則七条の関係でありますが、民間の場合は、法定の補償責任以上に労使の団体交渉によってさらに見舞金その他のものが考えられていますし、精神的な損害に対する考慮も払われているということでありますけれども、国家公務員の場合には、予算その他の制約がありまして、民間のようなわけにはいかぬという事情も、私どもも十分理解できるわけでございます。そこで、使用者法律上の補償責任として考える場合に、どちらを原則にとるかという点については、これは議論がありますけれども、労災補償としては御承知のような体制をとっております。しかし、民間で現実に行なわれている法定基準を上回る使用者の遺族に対する金銭の供与というものは考えられませんから、そこで理論的な原則論は別にいたしまして、そのような措置を講ずることが必要であろう。特に防衛庁職員等につきまして、職員の父母等の年齢の実際などを見ますと、年金支給が受けられないといったような場合につきましては、これは考慮さるべきではなかろうかという点については、私どもは異存はないわけでございまして、この法案につきましては、私どもも賛意を表しているような次第でございます。  ただ、従来の法律そのままで行くんだということになりますと、年金制度を採用するか一時金を採用するかという一つのプリンシプルの問題といたしまして、私どもとしましてはやや割り切れない感じがするわけでございます。したがいまして、現に御審議をいただいております法案のような形で、従来の千日分というものを運用で実態に沿うように考慮するという御配慮をいただけたならば、けっこうではないかというふうに考えておる次第でございます。何分にも将来のこういう補償体系全体にわたる問題でございますので、この際、理論の問題と現実の問題との調和という観点から、御審議いただいておりますような形のものが、私どもといたしましては適切ではないかというふうに考える次第でございます。
  98. 大出俊

    ○大出委員 きわめて学識経験豊かな村上さんでございますから、私は知らぬわけではないので、わかるんですが、そこまで言われますと、これは大論争をしなければならぬことになる。というのは、しからば一体労災の四百日を千日にしたらなぜ悪いか。労災がなぜ四百日になっておるかというところから出発して、これは論議し直さなければならない。あなたがそこまで線をそろえるならば、今日日本の社会保障制度は、各種各般にわたって不完全であることは、予算がないんだから、お認めのとおり。そうなりますと、不備だらけの退職年金でもそうだし、今回せっかく物価にスライドらしいものが出てきたかと思えば、著しいということばを使って、年々じゃない、著しいときにやるんだ、そういう問題が出ておるわけであります。だから、それを言い出せば、なぜ逆に労災のほうを——今日基準法の七十九条の適用を受けている地方公務員は千日ですから、なぜ労災のほうを千日に合わせなかったかという問題も、逆に理屈を言えば出てくる。そこで、その理屈をここでやりとりする時間がありませんから、私は長い論議は避けますけれども、しかし、先ほど来ずっと論議をしてまいりまして、おらないうちに話をしてきたのでありますが、繰り返すのもめんどうだから申しませんが、ここまでくると、労働省の側も、一面理屈は言ってみても、社会保障制度審議会の議は経なければならぬのですし、この中で慎重に処理すべきものと考えるという文言を使っておる。聞いてみたら、今井さんとか大内さんを含めた他の学者の意見がいろいろ出まして、この中で年金の話も全部出ました。しかし、これは労災の四百日、これも過渡的なもの、こういう考え方の意見が出ているわけですね。そこで片や千日分、片や四百日分ということは、過渡的なものと考えてもいかがなものか、こういうふうな論理があり、千日分でいくべきだという御意見も強くある。それらをいろいろ勘案をされて、慎重に処理すべきものと考えるということになったいきさつがあるわけですね。本来ならば、これは社会保障制度審議会なんだから、その意味でいけば、いま村上さんがおっしゃる説に合わせて、年金制度を原則にしたんだから四百日でいくべきだ、こう言わなければならぬ。ところが、現実にそう言い切れないところに今日的事情があるわけですね。ところで、先ほども言ってしまったことですけれども健康保険取り扱いにしてみたって、政府管掌があり、あるいは国民健康保険があり、あるいは日雇い健保がありというぐあいに、おのおのこれは違わざるを得ない。それもまた、やむを得ないという取り扱いを今日しているわけなんですね。それから恩給と厚生年金の関係についても、これまた、何とも言い得ない現実があるわけですね。だから、そうなりますと、あまりどうも未成熟、未完成な今日の社会保障制度をとらえて、これが原則だからどうしてもそれを貫かなければという言い方では、私は、世の中は動いていかないと思うわけであります。したがって、人事院のお考えは、規則となれば労働省の権限ではございませんから、すべて人事院におまかせすることになる。おまかせする段階で心配なことは、佐藤総裁の今日のお話はわかったけれども、将来のことを考えるときに、法律上の文章をいじっておいていただきたい、こういう考え方で、私は、七条による旧法の規定、こういうところを旧法の規定を原則としてというふうに私はいじっていただきたい。こういうふうに考えているわけです。そして遺族その他について選別をして、適当である、ないということ等を含めての規則をその幅の中で人事院がおつくりをいただく、こういうことにしていただくのが筋であろうというふうに実は考えておりますので、何も特段に労働省立場を——本法のほうの十七条をどうしろというわけではないので、十七条は十七条でいいわけでありますから、その意味では、基準局長言われるとおりの筋は通っているわけであります。ところで、七条の附則のほうを私はいじっていただいて、特に、これは「当分の間」という文章が入っているわけであります。当分の間とわざわざ入れるということになるとすれば、旧法の額を原則として、あと人事院にひとつおまかせをする、こういうふうにしていただきたい、これが私の実は考え方なんで、村上さんから御意見承りましたから、ひとつそこらの取り扱いについて、これ以上、この席で安井総務長官なり人事院の佐藤総裁に承ろうということも無理がありますから、この点だけをつまびらかにさしておいていただいて、その上でひとつ与野党の間で委員会その他を通じて御相談をいただくような手続をおとりを願いたい、こういうように思っているわけでございます。
  99. 安井謙

    ○安井国務大臣 いまのようなお話、ごもっともな節も私はあろうかと思います。これは国会の審議ですから、当委員会でおきめいただくということを政府がどうしようもないわけでありますが、いままでの人事院の気持ちなり、われわれの持っておる今度の扱った気持ちをおくみいただければ、大体これで御趣旨は通っておるんじゃないか。労災法を変えたについて、これは準じて変えたというたてまえもあるものですから、そこらはやはり法文上、表現のしかたも若干われわれも苦慮したようなわけでして、でき得べくんばそういうような趣旨をおくみ取り願って、ひとつお通しいただけばありがたいと思っております。
  100. 大出俊

    ○大出委員 ですから、この法律の十ページの第十七条の六、「遺族補償一時金の額は、業務上の死亡に係る他の法令による給付との均衡を考慮して」、ここに明確に入れてあるのですからね。ですから、これはあくまでも原則なんです。附則なんですね、私のいま言っているのは。しかも、附則の中で何も「当分の間」なんて使わなくてもいいんだけれども、附則の第七条の当分の間、こういうふうに表現をして先ほど読み上げました「旧法の規定による遺族補償の額の範囲内において」、こうなっている。ここに私は将来に心配があるから、手直しをしておいていただきたい、こういうことを言っているんで、基準局長が言われる趣旨がわからぬと言っているわけではない。何も法律本文そのものを直そうというのではないのですから、そこで、労働省側はあまりこういうところに力を入れないで——そんなことを言えば、雇用対策法だって、陰で総評とさんざっぱら話をして、私もやたら頼まれるのだけれども、ほったらかすわけにもいかぬと思っているところなのですから、あまりこういうところに片意地を張らぬほうがいいのではないかと思う。
  101. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 御趣旨の点、特に実際上の要求にこたえるこたえ方という観点から見ますと、私どもも事情十分承知いたしておるわけでございます。おそらく本法に対する附則という関係で、附則の規定の書き方の関係上、こういう表現をしておるものと私ども了解しておったわけでありますが、具体的には人事院規則でどのように定めるかということによってきまるわけでございますので、先ほど長官からもお話がありましたようでございますけれども、具体的な定め方いかんによって実態的にカバーできる。その間、四百日に対する圧力が加わるかどうかという将来の見通しかと存じますけれども、労災保険のほうにおきましては、昨年法改正をいたしました際に、労災保険の強制適用で事業範囲を拡大いたしまして、いわゆる完全適用といったような方向へ持っていくべきだという方向が強く出されておりまして、労災保険としては当面適用範囲の拡大ということが問題でございまして、給付面におきますこういった問題につきましては、どうこうするというようなエネルギーは持ってないと私は感じておるわけでございます。したがいまして、法文上の理解のしかたは別といたしまして、実質的に私は先生の御心配のような点は、現在エネルギーとしてはないのではないかというふうに判断いたしておりますことを御了解いただきたいと存じます。
  102. 大出俊

    ○大出委員 いまのお話の、実質的な面なのですがね。やはり附則というものでこういう定めをする限りは、いま生きて動いている、おのおの所管になって動いている人の間でこうだからこうでいいだろう、それででき上がる場合もありますけれども、しかし、こういうものはやはりある程度はっきりさせるところはさせておかないと、将来またいろいろ問題が起こる、こういうように私は思うので、したがって、先ほど人事院の規則制定権などというものも、制定権があるということは改廃する権利もあるわけですけれども、そういうこともあるから、したがって、ここに旧来の額を尊重するとか、あるいは原則とするとか、尊重するでもいいですよ。こだわりませんが、もうちょっと、人事院が規則を定めるにあたって、不当でないという表現までなされているのだから、不当でない分については尊重していくということにしていただかないと、原則と言い切ったのではまずいと言うから、旧来の額を尊重してということでもいいのですけれども、「範囲内において」とやると、陳情がわっとくるように世の中の方々が心配をするのですね。われわれはわかるからいいけれども、やはり通すときはそこまで御配慮をいただくことがいいのではなかろうか、私はこういう考え方なのです。だから、ここのととろをあなたのほうがわかっておられて言っているのだと思うのだけれども、民間は何も千日分が千五百日になり二千日になろうと、弔慰金的なものが含まれているから幾ら出しても悪くございませんが、そこは公務の特質上の違いだから、こういうものはほかに出るところはないですからね、公務の場合は。そういうことと、地方公務員との差をそのままにしていくということは、いろいろ勘案をいたしますと、問題が必ずしもなきにしもあらずなので、来年地方公務員も出てくるとなれば、すぐ人事院規則が関係をいたしますし、そういう点を政令できめるという形の防衛庁の職員も、二十七万しかもらえぬような形が出てきたり、…十万、四十万がざらに出てくる。こうなると大きな矛盾が出てくるし、それほど大きく政令で防衛庁といえども一般公務員と変えるわけにはいかぬと思う。だから、そういう意味では、くどいようですけれども、ここの文言を多少なり、あなたの御心配になる本年度の労災の線に合わせていきたいという気持ち、年金を中心にしてこれとそれほどぶつかり合わないように、しかし、人事院規則を定めるにあたっては、大体この辺のところ間違いなく行なわれるのだというふうに手直しをしてほしい、こういうのが私の意見です。もう一ぺん聞いてみましょう、村上さん。
  103. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 先ほども申し上げましたように、本文の立て方と附則の立て方の関係だろうと思います。立法的に見ましたならば、本文の立て方と附則の立て方には意見があるところであろうと思いますけれども、私は、現実的要請にこたえられまして、人事院並びに総理府におかれまして、立法技術上と申しますか、法制常識上許される範囲においてこのような表現をとったものと考えておるわけでございます。あとは一にかかって運用にある。したがいまして、御懸念の点が実現しないように担保される方法というものが、運用上どのようになされ得るかという点について、いろいろな方法がありはしないかというふうに考えております。しかし、これ以上申し上げることは、労働省としてはやや範囲を越えておりますので、お許しを願いたいと思います。
  104. 大出俊

    ○大出委員 わかりました。私が申しておることが何らかの方法によって担保される、こういう表現を村上博士が——博士には違いないが、勇み足になりましたが、その辺を研究されている村上さんのことだから、担保された、いかにすればというところを御相談をいただいて、この委員会の運営のルールに従ってひとつ進めていただきたい、こういう気持ちなんです。言わんとするところはおわかりをいただいていると思うのでありますけれども、何とかいま最後におっしゃった、そこのところを間違いなくひとつやっていくように、かつまた人事院も制定権をお持ちなんだが、政治的には各種の制約がないわけではないので、なるべくやりやすいように規則をつくっていただく、こういうふうに進めていただきたいというのが本旨ですから、本文のほうを立てておいて、これは附則で殺しているんだから、筋としてはおかしなことだ。だから、技術的にとり得る最大限か、まん中か、知りませんけれども、技術的に表現したのだろうと思いますが、そういう意味で、いまの御説のところであとは御相談をいただく、こういうことにさせていただきたいと思います。
  105. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員長代理 次会は、明二十八日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することにいたしまして、本日はこれにて散会をいたします。    午後一時五十三分散会