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1966-04-07 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月七日(木曜日)    午前十時十三分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 長谷川四郎君    理事 大出  俊君 理事 田口 誠治君    理事 山内  広君       臼井 莊一君    加藤 高藏君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    堀内 一雄君       前田 正男君    湊  徹郎君       毛利 松平君    粟山  秀君      茜ヶ久保重光君    中村 高一君       村山 喜一君   米内山義一郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         農 林 大 臣 坂田 英一君         運 輸 大 臣 中村 寅太君  出席政府委員         防衛庁参事官         (人事局長)  堀田 政孝君         外務政務次官  正示啓次郎君         外務事務官         (大臣官房長) 高野 藤吉君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         食糧庁長官   武田 誠三君         水産庁長官   丹羽雅次郎君         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         運輸事務官         (航空局長)  佐藤 光夫君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局外務         参事官)    広瀬 達夫君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 四月七日  委員海部俊樹君及び纐纈彌三君辞任につき、そ  の補欠として毛利松平君及び粟山秀君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員毛利松平君及び粟山秀辞任につき、その  補欠として海部俊樹君及び纐纈彌三君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三三号)  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)  在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を  改正する法律案内閣提出第二九号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。伊能繁次郎君。
  3. 伊能繁次郎

    伊能委員 今回の農林省設置法の一部を改正する法律案内容は、大体水産研究所関係とさらに定員整備、この二点にしぼられたようでございます。今回の水産研究所機構整備について先般提案理由の御説明を伺ったわけでございますが、その内容について関係当局から詳細にお伺いした  いと思います。
  4. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 お答えいたします。  今回の御審議を願っております法案のうちの水産関係についてでございますが、これは一つ遠洋水産研究所の新設でございます。それからもう一点は、南海区と瀬戸内海中心といたします内海区とを統合いたす、この二点でございます。  前段は、御承知のとおり、最近国際漁業が非常にやかましくもなり、かつ国際的な資源保護問題等国際間で取り上げるような状態になりましたので、いままでのように日本の周辺だけの資源研究でなく、遠く太平洋、インド洋、大西洋にまで及びまして、漁業資源漁況、そういうものについて調査をする必要がある、こういう立場充実をはかりたい。  それから内海区と南海区を合わせました問題は、瀬戸内海とそれから和歌山鹿児島の南の海域を総合的に調査をして、その調査整備充実をはかりたいという、きわめて積極的な立場からの改正でございます。
  5. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいまの御説明で、改正概要はわかったわけでありますが、ただいまお話のありましたように、最近は単に日ソ関係北洋漁業だけでなく、世界的に漁業国際規制の問題が非常に大きな問題として取り上げられておるようでございますが、この問題に関する現状と将来の見通し等についてお話を伺えればありがたいと思います。
  6. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 御承知のとおり戦後第一回に日本とカナダとアメリカとの間でサケ中心にいたしました資源日米加漁業ができまして、国際規制のはしりに相なりました。それからもっと古い条約でございましたら国際捕鯨条約がございまして、日本も戦後間もなく加盟をいたしました。その後、日ソ間におきましてサケ中心といたします漁業協定ができました。したがいまして、現在におきましては、大きなものとして捕鯨北洋におきますサケ、マス、それからカニ、一部底魚、オヒョウ等を含めまして、この条約がございます。それから最近の傾向といたしまして、マグロ世界的に資源保護立場から資源調査をインターナショナルに共同してやろう、また将来行く行くはマグロの合理的なとり方について国際間で取りきめをしてまいりたい、こういう話が起こっておるわけでございます。  このように遠洋におきまするところの主要な資源につきましては、資源保護立場、それから全然別の角度でございますが、二国間あるいは多国間の入り会いの地帯におきまして、漁業紛争を防ぎますための協定——日韓漁業協定も両面を持っておりますが、そういう漁業協定あるいは欧州漁業条約、そういうようなものが逐次生まれつつあります。  達観をいたしますと、資源保護立場国際紛争の防止を目的とするために、二国間あるいは多国間の相互の条約が逐次できてまいりまして、さらにFAOを中心としてこれを全体的に取り上げていこうこういう傾向があるのが現状でございます。
  7. 伊能繁次郎

    伊能委員 大体現状等についてはわかりましたが、ただいまお話のように、今後の遠洋漁業はわが国にとってもきわめて大切な産業振興上の問題でもあると思いますので、これに対して将来どういう対策を講じていかれるおつもりか、その点もお伺いしたい。
  8. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 まず国際規制に対します日本国姿勢の問題でございます。日本は、御承知のとおり、世界先進国として、漁業をリードしてまいったのでありますが、やはり資源保護については世界指導的立場に立って協力をするというか、関係者と協調をしてやってまいる必要があろう、つまり秩序をもって漁業資源保護立場に立って漁業を営んでまいる、そういう立場関係国と十分相談づくで漁業を進めてまいる。もちろんその根拠といたしましては、科学的な基礎に基づいた話し合いであり、かつ一般国際法の原則の上に立ったものでなければならないことは、申すまでもないと思いますが、そういう姿勢で進んで国際的には対処してまいる。それから国内的には、日本国遠洋漁業そのものに対する対策といたしましては、その資源維持をしつつ、かつ開発考えつつ、経営が安定して伸びてまいるようにしていくことが基本的な問題であろうと思います。  開発等の問題につきましては、いままで手をつけておりませんでしたが、遠洋資源調査目的のために二千四、五百トンの調査船を今回新たにつくることにいたしまして、四十二年の五月には竣工する次第でございます。こういう調査船を使いまして、資源維持のための基礎調査と、あわせて未開発地域におきます日本漁業開発というようなことには精力的に仕事を進めてまいりたい、かような所存でございます。
  9. 伊能繁次郎

    伊能委員 今回遠洋漁業とともに新設される南西海水産研究所は 具体的にはどんな仕事をしておられるのですか。
  10. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 南西海区が新設される前の姿は、内海水産研究所と申しよして、これは瀬戸内海におきます魚族資源漁況調査を担当いたしておりました。それから高知県にございました南海水産研究所は、和歌山県から鹿児島県に面する太平洋におきます魚族漁況資源調査その他を担当いたしております。それで、瀬戸内海と、いま申しました和歌山県、鹿児島沖合いも、沿岸漁業の、沖合い漁業の一環としてこれを統合的に調査の対象にする。そのために、合わせまして一つ南西海区としてこれを広島に置く、そして部門も増強いたしまして、いま申しました魚族資源調査を担当する、こういうことでございます。
  11. 伊能繁次郎

    伊能委員 改正の第一点につきましては、大体その概要をうかがうことができたわけでございます。  第二点につきましては、「農林省本省及び食糧庁定員は、改正後の第九十一条第一項の規定にかかわらず、これらの機関ごとに、次の表の中欄に掲げる期間内は、同項に規定する当該機関定員にそれぞれ同表の下欄に掲げる員数を加えた員数とする。」かように書いてありまして、また提案理由の御説明にも、「この法律案におきましては、農林省職員定員に所要の変更を加えることといたしております」と、きわめて簡単に説明をせられておるのでありまするが、ほのかに聞くところによりますと、これについては、八郎潟農村建設事業団法に基づく事業団との関連、また仕事進捗に伴って農林省職員がそちらのほうへ転出または転職をしていくというようなことで、いろいろ御苦心もあるやに承っておるのであります。それらの実情等について一応官房長からでもお答え願いたい。
  12. 大口駿一

    大口政府委員 今回の農林省設置法定員異動について規定をいたしておりますが、ただいま伊能委員のおっしゃいましたように、主たる内容は、政府直轄事業定員八郎潟事業団事業を移しかえることに伴う二百十名の定員の問題でございます。実は四十二年度予算編成にあたりまして、農林省といたしましては新しく増員を必要とするいろいろな仕事、たとえば生鮮食料物価対策の強化に伴いまして、野菜の仕事を増加することであるとか、あるいは外国からの飼料の輸入が非常に増加していることに伴いまして、各輸入港における植物防疫仕事が十分でないので、これを充実したいとか、いろいろ新規にやらなければならぬ仕事がたくさんあるわけでありますが、政府全体として新規定員増というものは厳重に規制すべきであるという基本方針に基づきまして、これらの人間はすべて部内配置がえ等によってくふういたすこととしておりますので、直接設置法の定数の関係では表に出てまいっておらないのでございます。ただいま申しましたような八郎潟干拓事業をやっておりました事業を、新たに設立をされました八郎潟農村建設事業団委託して、十月一日以降職員八郎潟農村建設事業団に移しかえるということが一番実質的に大きな内容になっている次第でございます。
  13. 伊能繁次郎

    伊能委員 概要は一応わかったわけでございますが、ただいま御説明になった部内配置転換あるいは欠員の中から、御説明はありませんでしたが、行政管理庁もしくは大蔵省了承を得て他に新規採用するというようなこともいろいおわりだろうと存じますが、現在農林省定員として六万一千九百四十人、これについて各関係別——この六万一千九百四十人は本庁まで入れてでありますが、大体本庁食糧庁林野庁水産庁で見て欠員が現在どのくらいあるのか、その辺のところも伺いたい。
  14. 大口駿一

    大口政府委員 ただいまのお尋ねの欠員は、これは昨年十二月三十一日現在で調査した数字でございますが、農林本省として九百四十八名、それから食糧庁で四百七十三名、林野庁一般会計国有林関係職員で別々になっておりますが、前者が二十六名、後者が千七百七十四名、水産庁が五十三名でございます。
  15. 伊能繁次郎

    伊能委員 そのうち、ただいま官房長が御説明になられた当面の仕事量の増加、青果物対策とか植物防疫対策あるいは山村振興等の人員は、単なる部内の流用でなく、欠員行政管理庁大蔵省等了承を得て新規採用するものであるかどうか、その辺の関係はいかがですか。
  16. 大口駿一

    大口政府委員 先ほど申しました部内やりくりは、若干は局と局との間の移しかえをいたしておりますが、一部には行政管理庁の了解を得まして、凍結をされております欠員の補充の要員を若干認めてもらってやりくりをいたしたわけでございます。
  17. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいま御説明のように、約二百十名の減員のおもな理由は、八郎潟農村建設事業団への事業委託に伴うものである、こういうお話でございますが、八郎潟国営干拓事業を、仕事進捗とともに全面的に八郎潟農村建設事業団委託するという実質的な理由等について明らかにしていただきたいと思います。
  18. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎潟干拓事業昭和三十二年度から始まりまして、総事業費大体三百七十億円ほどの大工事でございます。そのうち四十年度までに八割弱すでに支出をいたしておりまして、干拓地をつくるためのいわば基本的な工事と申しましょうか、周囲の堤防でありますとか、あるいは排水機場でありますとか、河川の改修あるいは八郎潟から海に水を流します船越水通でありますとか、そういうものがおおむね工事が終わりまして、国営事業の今後の仕事内容は大体地区内工事用水路でありますとか、あるいは排水路でありますとか、道路とかいうものでございます。一方八郎潟中央干拓地と申しますのは、面積が大体一万六千町歩ほどございます。そのうち水田になりますものが大体一万三千町歩ほどでございます。そこに新しく農家を入れて、そこで近代的な農業を営むわけでございますから、昨年、八郎潟農村建設事業団をつくりまして、農地整備事業と、それから人を入れる関係をやらすことになったわけでございます。そういたしますと、国営事業のほうも周囲の大工事が終わりまして、地区内の工事をやりますし、八郎潟農村建設事業団も、農地整備仕事内容といたしましては、用水路排水路道路ということでございまして、仕事内容国営工事事業団工事とほとんど同じでございます。そういたしますと、一カ所に、二つの、国営工事事業団工事と並んで行なわれますことは能率が悪いばかりではなしに、いろいろ摩擦もないことはございませんので、八郎潟国営工事が、大体基本工事を終えて、地区内の工事に専念いたしますちょうどいい時期でございまして、八郎潟国営事業事業団に一括して委託して、事業団一本で事業を進めるという考えに立ったわけでございます。
  19. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいまの説明でたいへんよくわかるのですが、そうすると、昨年この事業団法をつくる当時、そういうような状況で仕事進捗すると、事業団仕事国営仕事と一体化してやる必要があるということであれば、設立当初からそれらの問題は大体予想せられたのではなかろうかと思うのでありまして、もし当時から予想せられておれば、人の同等で若干のトラブルとでもいいますか、出ていく人の不安また戻る者等待遇等について若干の意見の食い違いが職員間にあるというようなことも承っておりますが、その辺の見通しについてはどうお考えですか。
  20. 大和田啓気

    大和田政府委員 昨年、八郎潟農村延段事業団法の御審議をわずらわしましたときに、実は内部的にどうするかということの議論はいたしたわけでございますけれども、とにかく膨大な干拓事業がようやく干陸の段階にまいっただけで、今後圃場の整備についての具体的な内容もなお今後の検討にゆだねられておった時期でございますから、事業団に一括してまかすかどうかというようなことは結論に到達していなかったわけでございます。しかし、その後干陸が大体終わりまして、事業団ができまして、基本計画なり、あるいは事業実施計画等が逐次具体的化するにしたがいまして、いま申し上げましたように、だんだん外から内部に向かって仕事がこまかくなって入り込んでいくわけでございますから、事業団事業と錯綜するので、これは一本にやはりすべきではないかということになったわけであります。
  21. 伊能繁次郎

    伊能委員 事務的な経緯につきましてはたいへんよくわかるわけですが、この種の事業団への転出あるいはまたそれから農林本省復帰するというようなことにつきましては、住宅公団あるいは道路公団鉄道建設公団、あるいは近く新設される新空港公団等にもよく例のあることであろうかと思いますので、これらの転出する職員等についての取り扱いの問題は、官庁あるいは省によって若干の取り扱いの違いはあろうかと思いますが、政府としては大体従来の例に準じていろいろ各省各省のカラーに応じたそれぞれのやり方があろうかと思いますので、それらの点を詳細に御説明をいただけば、ある程度円満な推移を見るのではないかと思いますが、その点について農地局長の御意見を伺いたい。
  22. 坂田英一

    坂田国務大臣 ごもっともな御質問でございまして、今回の委託に伴いまして、八郎潟事業所職員の一部は事業団転出して、一部は他の国営事業所等に移動させる予定でございますが、職員転出につきましては、本人の希望を十分に尊重いたしまして、人事を行なうことにより、職員の不安をなからしめるようにいたしますことを基本的な方針といたしたいと存じます。また、将来農林省復帰希望する職員につきましては、その希望一を十分に尊重する方針でございます。  なお、今回のような事例はすでに過去にもあったことでございまして、円満にこれらを処理しておるような実情でございます。  なお、詳細については、農地局長からお答えをいたさせます。
  23. 伊能繁次郎

    伊能委員 いま大臣から基本的なお考えについて伺ったわけでありますが、今回の二百十名というもののほかに、八郎潟農林省干拓事業として仕手をしている全体の人数はどのくらいですか。
  24. 大和田啓気

    大和田政府委員 国営事業所におります職員の数は、昨年の十月は三百四十八名でございましたけれども、最近事業の縮小に伴いまして多少人事異動をいたしまて、ごく最近の四月一日の数字で申し上げますと、三百五人程度であります。
  25. 伊能繁次郎

    伊能委員 そうして、そのうち約二百名余りが極出をするいうことになりますが、そうすると、約百名近い人は付近の農林省関係役所復帰といいますか、転任するのですか。なお、一部、八郎潟仕事としては監督その他いろいろな問題もあろうかと思うので、完成まで農林省現地職員か残存するのか、その辺の関係はどうですか。
  26. 大和田啓気

    大和田政府委員 ことしの十月に事業委託をいたしますと、二百十人の定員八郎潟事業団のほうに移るわけでございます。それで先ほども申し上げましたように、現在三百人職員がございますから、私どもこれから職員意見もよく聞きまして、任地等希望十分当人たち意見を尊重いたしまして、事業団に行く人、それから農林省では現在国営事業を方々でやっておりますので、その国営事業——東北はかりでなしに、全国各地でやっておりますけれども、この国営事業配置がえをいたすつもりでおります。いずれにいたしましても、現在八郎潟事業団職員の全部にわたってこの事業委託に伴う措置の趣旨は十分行き渡ってないようでもございますので、先般来私ども農地局の幹部も現地に出向きましてよく話しをいたしておるわけでございます。いま大臣が申しましたように、とにかくいままでも農地局といたしましては、印旛沼干拓水資源公団委託したり、あるいは豊川用水を愛知用水公団が取り組んだり、いろいろ経験もございます。その際には、何といいますか、職員のほうからすれば身分が変わることにつきまして多少の不安があるものでございますから、反対ということも事実あったわけでございますけれども、その後よくよく話し合いの上で、決して無理な人事はいたしておらないわけでございますが、希望する者、希望しない者を適宜振り分けまして現在も円満にやっておりますので、今回も、これから十月まで、よく八郎潟干拓事業所職員とも話をしてその意見も十分聞いて、事業団に行く人、国営事業所配置する人を振り分けて、円滑に処理を進めたいと考えております。
  27. 伊能繁次郎

    伊能委員 大臣、御都合があればどうぞ御退席願ってけっこうです。  いまの大臣並びに農地局長お話で、役所としての基本的な考え方、ことに職員に対するいろいろと深い配慮等についてはよくわかるわけでありますが、ただいまの農地局長お話のように、そのことが現実に現地職員に十分徹底しないと、とかく心配や誤解を生ずるおそれがあるので、この点はぜひ行き届いたきめのこまかい処理をしていただきたいと思うわけでございます。御説のように、印旛沼あるいは豊川等——印旛沼等については私の郷里ですから若干承知をいたしておりますが、そのようなトラブルの話もあまり聞いておりませんでしたけれども、あの水資源公団委託をする際に、農林省職員水資源公団のほうの工事の現場へ転出をしたというような事実がございますか。
  28. 大和田啓気

    大和田政府委員 それは豊川事業ばかりてはございませんで、印旛沼のほうも水資源公団職員転出した例がございます。
  29. 伊能繁次郎

    伊能委員 そこで、さらに人事の具体的な内容についてお伺いしたいと思いますが、転出することによって、なお公務員として農林省職員として在職していることとの経済的な利害関係、給与その他の関係ですが、その辺については、もちろんこまかいことは人々により、具体的な内容によって異なると思いますが、恩給その他いろいろ俸給等関係については、従来どういうような処理がなされておるか、この辺もおわかりになっておれば伺っておきたい。
  30. 大和田啓気

    大和田政府委員 農林省職員から事業団のほうに出向をいたします場合に、また本省復帰希望する人でありますれば、私どもできるだけその希望を尊重して将来において復帰ができますように、あるいは場合によりましては、各地農地国営事業をやっておりますから、人事異動をやればやり得るわけでございますから、事業団事業が終わります前にできるだけ人事異動をして、復帰させる者は復帰させる、あるいはまた事業団に出向させるということをやっていきたいと思います。それは現在、愛知用水公団豊川等についても、私どもやっておるところです。したがいまして、また復帰希望者復帰いたします場合の共済年金等の通算は当然いたすわけでございます。また事業団待遇国営事業職員待遇は、本俸で比較いたしますと、少なくとも事業団に参りますほうが一五%は高くなるわけでございます。
  31. 伊能繁次郎

    伊能委員 そういうようなこまかいところまで配慮をして今後も処理に当たるということであれば、大体過去にもしばしば事例があるということでありますので、職員関係当局との間で、いろいろな将来に対する職員の不安とか懸念とかいったような問題が従来の実績に徴してそれほど起こるはずがないと思うのです。何かこの問題については、そういう点について依然として釈然としない向きがあるというようなことをわれわれほのかに聞いておるのですが、この辺のところについては、長い間手がけておられる農林当局のことでもありますから、本法案の通過によって十分自信を持って円演処理できるとわれわれも信じておりますけれども、その辺の見通し等はいかがでありますか。
  32. 大口駿一

    大口政府委員 今回の農林省設置法改正に伴いまして、八郎潟事業団転出をする職員取り扱い等の詳細につきましては、ただいま直接担当の局長である農地局長からお答えをいたしたとおりでありますが、私ども公務員気持ちといたしまして、やはりお互いの身分が変わる問題は、所、立場を問わず不安なことは十分理解ができるわけでありまして、大臣も先ほど基本的な方針についてお答えになりましたが、この問題は単に農地局だけの問題としてではなくて、農林省全体の職員人事管理という立場から職員の不安を今後一切なくしていくようにつとめてまいるということを基本的な方針にいたして、あらゆる問題の処理に当たって、過去の例ですべて円満にいっておるから、今回も簡単に片づくのだというような軽々しい気持ちで事に当たるつもりは毛頭ございません。その間の事情については、現地職員人たちの間はもちろんのこと、職員組合等の間の話し合いを通じましてもできるだけ私どものほうの考え方十分理解をしてもらうことにつとめまして、この問題の処理の結果、いささかたりとも部内に問題を起こさないようにつとめてまいりたい、かように考えております。
  33. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいま官房長から本問題の取り扱いに関する件について重ねて明快に御意見を伺ったので、われわれその点を十二分に了とする次第であります。どうかいまのお話しのような趣旨で、職員転出した場合においても気持ちよく働き、また仕事が済んで、あるいは本人の事情でまた復帰をしたいというような際には十二分にその配慮があたたかくできるような点については、ぜひひとつお考えおきを願いたいと思います。それは希望として申し上げておきます。  次にお伺いしたいのは、先年の農林省設置法改正の際に、地方農政局を設置する問題についていろいろ大きな問題があって、当委員会としてもかなり活発な論議が展開されたわけでございます。その後地方農政局ができてから、われわれが心配するような点等については私ども何も聞いておりませんが、地方農政局設置以後の本省と地方農政局の関係、また地方自治体と地方農政局との関係、一般公衆との関係等についてどういう状況になっておるか、伺っておきたい。こういう点は非常によくなっておるとか、先般心配されたような点については万々ないというような点について御意見があれば、この機会にぜひお聞かせをいただきたい。
  34. 大口駿一

    大口政府委員 地方農政局の問題は農林省全体の問題でございますので、私からお答えいたしたいと思います。  地方農政局を設置いたしましてすでに両三年を経ておるわけでございますが、当初他からの御批判もあり、またわれわれも内部で気がついておりました問題としては、地方農政局を設置をすることによって、いままでの中央政府各地方公共団体の間にむだな一つの階段がふえることによって地方の方々に対するいろいろな事務的な渋滞が起きることを極力気をつけなければならぬというふうに考えておるわけでございまして、地方農政局発足と同時に、また、その後もたびたび中央の本省が持っております権限ですでに地方農政局に事務上委譲しても差しつかえないようなものは極力地方農政局に委譲することによりまして、たとえば県庁の職員が地方農政局のほうに行って話をし、さらにまた東京にもう一回出てこなければならぬというようなむだなことができないようにいたすという配慮はいたしておりまして、逐次その実効があがっておるものと私は思っております。  それから地方農政局をわれわれが設置をいたしました一番の大きなねらいは、やはり農作物というものを相手として仕事をいたしております農林行政は、地方によって非常に地理的な条件あるいは社会的な条件によって違うわけで、全国画一的にこれを行なうということがどうしても実情に沿わないということから、できるだけ地方の実情を農林行政に反映をする方途としておもなところに地方農政局を設置をするということを基本的なねらいとしております。  このような配慮でつくりました地方農政局の活動は、もちろん設置当初、まだふなれなためにいろいろこまかい点で他から御批判を受けることもございますが、すでにおおむねその事務体制も軌道に乗りましたし、各都道府県との関係もむしろ連絡が緊密になるというような点もございますので、私どもとしましては、やはり農林行政の今後の推進の上に地方農政局を設置をしてきわめてよかったというふうに実は考えております。しかし、まだまだ今後改善すべき問題だとか、あるいは中央の事務をもっとさらに地方へ委譲をして、できるだけ地方ですべてものが片づくようにするとかいうような問題で今後改善をする点がございますが、その点はいま申しましたような基本的な方向をできるだけ確立をするという方向で今後私ども検討をしてまいりたい、かように考えております。
  35. 伊能繁次郎

    伊能委員 どうぞ、いまの御回答のような趣旨で地方農政局の設立の趣旨を生かしていただきたい、かように考えます。  最後に、水産庁長官はまだおいでのようでございますので、一点お伺いしたいのですが、最近の漁業関係で冷凍による鮮度の確保、これと流通機構の問題も価格の低廉化をはかるというような点でいろいろ重要な意味を持っておられると思いますが、一方完全な冷凍施設等でもできないとなかなか冷凍による鮮度の維持ということが困難だろうと思いますが、これらの点について、水産庁として将来冷凍魚の処理、それと流通機構による価格の低廉化等ついてのお考えを伺っておきたいと思います。
  36. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 御承知のとおり、水産においてはマグロ遠洋でとってまいっておりますので、冷凍技術が非常に発達しております。そして卸売り市場等には冷凍品でずっとまいっておる。そこで、それから先がだんだん還元されたり一般の鮮魚として処理されたりしております。それで申し上げたいことは、冷凍に関します基盤的な技術、施設は相当発達しておる。それから一方、ここ数ヵ年水揚げ地の冷蔵庫の増設、それから消費地の冷蔵庫の建設というようなものに対しましては、補助金等も出しまして非常に整備をしております。したがいまして基盤は相当できてまいっております。したがって問題は、これをどのように流通の過程にうまく乗っけて、さらに進みまして消費者まで届けるか、この問題としてことしも一億三千万円使いまして冷凍魚の流通市場を、これは主としてアジ、サバ、大衆魚でございますが、試験的にやってみようと思っております。できるだけ早くその冷凍魚で最末端まで流れるような方向に持っていきたい、かように考えます。
  37. 伊能繁次郎

    伊能委員 農林省に対する質疑は一応これで私はやめまして、外務大臣が見えましたから、関係の質問者にやっていただきます。      ————◇—————
  38. 木村武雄

    木村委員長 外務省設置法の一部を改正する法律案、及び在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  39. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 大臣が東南アジア開発閣僚会議議長等をしておられる関係でたいへんお忙しそうでございますが、私は要領よく質問をいたしますから、大臣も簡潔に、具体的に御答弁願います。  まず第一にお尋ねをいたしておきたい点は、今回東南アジア開発閣僚会議日本で開かれているわけでございますが、このねらいというものは純経済的な立場からの援助である開発会議である、こういう説明がなされているようでございます。私は、この際政府のこれに対する見解をお尋ねをしておきたい点は、昨年の四月、ジョンソン米大統領の十億ドル東南アジア開発援助計画が提唱をされました。それから三カ月後におきまして開かれました日米貿易経済合同委員会の直前にあたりまして、東南アジア開発会議の構想が示されたので、そのときにおいては、これはアメリカのひもつき外交ではないかという一つの見方が成り立っておりました。その後、韓国の朴大統領が反共アジア外相会議を提唱いたしまして、ことしの六月ごろにはソウルで反共統一戦線の政治会談が行なわれる、これには日本も参加をするという態度を示しているようであります。そこで、そういう一連の動きから、ビルマが招待を断わり、そしてインドネシアとカンボジアはオブザーバーとしてこれに参加をするという程度にとどまった。こういうような東南アジアの政治情勢がきわめて複雑な影響下に置かれているわけでございますが、そのような中において、純経済的な立場からこの開発会議が開かれている。とするならば、昨年七月にこのような計画、構想をお持ちになり、そして経済的に見た場合には、これから日本が東南アジア諸国に対しまして開発援助の手を差し伸べるべき流れというものは否定すべきものはないわけでございますが、そういう立場から運動を進めていくとするならば、当然それに対応するところの外務省の機構なり、運営なり、あるいは在外公館の人員の配置というようなものが出されなければならないのではないかと私は思うのであります。そうでなければ、いかにも思いつき外交の域を脱しないのではないかというそしりを免れ得ないと私は思うのでございますが、今回あなた方が提案をされました在外公館定員の増加なり、あるいは在外公館の新増設の中には、そういうようなものが日本の外交政策の方向として示され、それを具体化していく機構、人員として配置をされるような方向というものが具体的に示されているのかどうか、この点についてお答えを願っておきたいのであります。
  40. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 何べんも御説明したとおり、これは純粋に経済的性格のものでございまして、ジョンソンの構想であるとか、あるいは日米合同会議の際の会議内容とか、アジア外相会議といったようなものとは全く無関係で、まずもって自主的にこの責任閣僚がいかにして相互協力し、連帯感を強くして東南アジアを開発するかという、その意欲、構想というものを土台にして、それから出発するのでなければ、どういうことでもうまくいくものじゃないというのでこれは始めたのでございまして、きのうきょうの会議内容等からごらんになっても、全然政治的な意味がないということはおわかりのはずでございます。  それから、在外公館の陣容をこれに即応して変更するようなことを考えておるかどうかという問題でありますが、この問題とは別でございまして、もしもこういったような問題を特に推進する上において職員配置等をさらに考える必要があれば、そのときにまた適当にこれに対処してまいるということで、特に陣容を変えてこの問題に臨んでいるというようなことはございません。
  41. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 政府が具体的な外交を純経済的な立場から東南アジアの開発を推進をしていくという立場に立って進めていく上においては、それに対応するところの人員なり、機構なりというものを持たなければ、ただ東京にそういうような東南アジア開発閣僚会議を開催して、そして友好的な雰囲気を盛り上げ、アジアは一体であるという考え方から主張をするだけでは、十分な成果をあげることは私はできないと思う。そういう点からまいりますならば、当然日本政府が東南アジアの開発援助をやるのだという独自な立場において問題を処理するにあたりましては、やはり今回の外務省設置法の中においてそのようなものを設けていくというのが、当然の立場でなければならないのではないかと思いますが、いまの外務大臣お話を聞いておりますと、どうもやはり主体性のない、その場の思いつきの考え方になっているのではないかという危惧の念を抱くのであります。したがいまして、そういうようなことから、ねらいというものは一体どこにあるんだろうか。それは、東南アジア諸国を資本主義体制の中に引きずり込んでいくことにあるのではないか。そしてまた、そこには日本が新しい植民地外交政策、新植民地政策というものをやろうとしているのではないかというそしりを受けるような結果になろうと、私は思うのであります。  そこで、第二次世界大戦後新しく独立をいたしました東南アジアの国々というのは、私はやはり中立外交、非同盟政策をとっている国が主流であろうと思うのでありますが、そういうような立場から、幾ら経済的なベースで問題を処理するといたしましても、それにはやはり日本としてはどういうような外交政策のもとにおいてそういう経済援助の方向を考えるのだという一つの方向というものが、政策としてなければならないと思うのであります。それは佐藤総理があいさつの中に言われたように、いわゆる平和共存という立場から、いろいろな政治的な見解を乗り越えて経済の安定をはかるという、そのことばに尽きる考え方に立っておいでになるのか、それともアジアの恒久平和という立場の上に立って考えた場合に、東南アジアの中立保障という、たとえばアメリカの上院のフルブライト外交委員長が述べておりまするような、あるいはドゴール仏大統領が述べておりまするような、そういう構想のもとに出発をしておられるのか、それともアメリカのあと押しをするような、しり馬に乗るような外交政策をもって今後推進をしていこうとしておられるのか。やはりそこには日本政府、外務省としては、基本的な立場というものがなければならないと思うのでありますが、その方向というものはお出しになっておいでにならないのか、承りたいのであります。
  42. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 中立保障といったような構想は、これはまあ政治的な構想でございますが、一切そういうこととは関係なしにいま会議を進めております。  それから機構の問題でございますが、これは現在の機構で間に合わしていく。ただ、この会議を進めております間に、農業開発会議というものをぜひ半年あるいは一年後にこの会議の申し子として生み出して、そして専門的にもっと切り込んで研究し、調査し、そしてお互いに啓蒙していくということにしようじゃないかという強い申し合わせがありまして、これと同時に農業開発センターというようなものを適当な場所につくって、そしてそこで今度はいろいろな研究の問題、あるいはいろいろな指導、宣伝といったような仕事をするものを創設したらどうかというような提案がございまして、農林省中心にしてひとつよく研究してもらいまして、その案の作成等についてよく連絡協議をした上でこれを取り上げていく方向で進んでいこう、こういうことになっておりますので、そういったようなことがもし具体化すれば、機構の問題として浮かんでくるわけでございますが、ただいまのところは、そういう提案があって、これを取り上げる方向でやってみるが、はたしてこれが必要であるかどうか、必要な場合にはどうするかといったようなことは、ずっと将来の問題になっております。ただいまのところは、機構上の問題はございません。  それから中立保障とか、そういったような政治色は一切ない。アメリカのしり馬と、こういうわけですが、アメリカのしり馬に乗っておらない。日本の従来の明治以来歩んできた農業、それから軽工業、重工業といったような産業開発の体験を生かしていく。いま東南アジアは、経済的に非常に貧弱である、こういったようなことは、日本としても、お互いに共存共栄していくという上において、東南アジアの繁栄ということは非常に緊切な問題でございますから、日本中心となってこの問題にいま取りかかっておるわけでありまして、どこのどなたのしり馬にも乗っておるわけではございません。
  43. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 政策の問題はできるだけ私も避けて、設置法の問題に集中したいと思いますが、ただ、ここで農業開発会議が設置をされた。この開発会議の設置をめぐりまして、外務省としては食糧の開発輸入をやろうとしている。農林省としては、これに対して、いまのところビルマ、タイ以外には食糧を輸出する能力もないのだし、食糧の危機におちいっている国々が東南アジアには多いのだから、技術援助というものを中心にして問題を処理しようという構想だと新聞が伝えているのでありますが、この農業開発会議には、外務省としては食糧の開発輸入という方向で、日本の国が一次産品を買い付ける、そのかわりに工業製品、第二次製品を売り渡していく、そういうような貿易政策の上から問題を処理していくというとらえ方をしておられるのかどうか。この点については外務大臣はどういう御所見を持って、今後農業開発会議の推進を実際実務に移していく場合には、どのような方向においてやろうとお考えになっているのか、構想をお聞かせを願っておきたいと思います。
  44. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 農業開発を推進するというその主要の目的は、やはり東南アジア自体の飢餓、貧困を征服するというところに重点がございまして、日本との貿易関係から割り出したものではない。しかし、派生的な効果として、たとえばトウモロコシであるとかその他の飼料、あるいは油脂原料、そういったようなものは多々ますます弁ずでございまして、東南アジアで努力すればまだまだ増産の見込みがある。これは日本としてはもう全部引き受けてもよろしいというくらい将来非常に需要が伸びていくものでありますから、そういう点については開発輸入という構想も当てはまるわけであります。しかし、そういうことが東南アジア農業開発会議というものの本来の重点ではない、こう考えるわけであります。
  45. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、これは官房長から承りたいのですが、このたび新設の公館に二十二名、それから既設の在外公館に六十四名の増員が計画されているようであります。この新設あるいは昇格に伴う増員二十二名、これの内訳はどういうふうになっているのか、説明を願っておきたいと思います。
  46. 高野藤吉

    ○高野政府委員 新設公館二十二名でございまして、グァテマラ大使館が四名、ブルガリア大使館が四名、ナホトカの総領事館四名、高雄の総領事館四名、パースの総領事館三名、それからエドモントンの領事館が三名、合計二十二名になっております。
  47. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それらのうち、政令で定める日に実施するというのはどれとどれですか。
  48. 高野藤吉

    ○高野政府委員 これは予定は、できれば四月一日ということに考えておりましたのですが、設置法が通りましてからいろいろ準備その他がございまして、大体高雄以外はだいぶおくれまして、来年の一月ごろから発足いたしたいと考えておる次第であります。
  49. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、ソビエトとの間の領事条約は、大筋においては一致しながら、今日なお領事条約は締結されていない。日本とソビエトとの場合においては、領事条約に基づいて新しいナホトカの総領事館が設置されると思うのです。ところが、その領事条約が成立をしないのにこの在外公館を新設をするという考え方は、一体どういうことですか。
  50. 高野藤吉

    ○高野政府委員 御説のとおり、ナホトカに領事館を開きたい、現在モスクワにおきまして領事条約の交渉をいたしておりまして、大体大詰めになってきていまして、近くできる。それの結果、領事館を来年の一月から開きたいと考えている次第であります。
  51. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その領事条約の案がまとまつて、それを国会に提案をする、それはいつごろになりますか。
  52. 高野藤吉

    ○高野政府委員 大体四月の終わりから五月の初めを目途としてやっております。
  53. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、今国会においてそれが批准される、こういう見通しの上に立って今回この外務省設置法の提案をされた。それが狂ってくるという心配はございませんか。
  54. 高野藤吉

    ○高野政府委員 大体所期の目的でいきたいと考えておりますが、何かの事情で今国会で通りませんでしたら、ソ連との間は大体基本的な問題では話がついておりますから、便宜的に、アンダースタンディングで一応領事館を開くという便法もあるかと考えております。
  55. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、それは国際法の慣行の上から話し合いによって措置するということなんですか。
  56. 高野藤吉

    ○高野政府委員 領事館を開く場合に、領事条約がございますれば非常にいいわけでございますが、こまかい領事条約がございませんでも、相互の政府話し合い、了解のもとに領事館を開くということは、可能なわけでございます。
  57. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、既設の公館に配置増になるのが六十四ございますが、これを各国別に大きく、一つ一つ取り上げてまいりますのには非常に時間的なロスもありますので、地域ごとにどういうような増配計画であるか。たとえば北米は何名、アジアは何名というふうに、大まかな数でよろしいですが、それを説明願っておきたい。
  58. 高野藤吉

    ○高野政府委員 北米は、現在国連代表、ロスアンゼルス、シアトル、カナダを含めまして五名、中南米が五名でございます。それからアジア関係が六名、それから豪州が二名、それからアフリカ関係が五名、それからヨーロッパ関係が八名、そのほか、場所はきめておりませんが、研修員といたしまして九名、合計四十名、それ以外に韓国におきまして十五名、それで五十五名、それ以外に九名の各省の方、合計六十四名になるわけでございます。
  59. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、各省から派遣をいたしましても外務公務員であることは間違  いないわけです。ですから、各省からとおっしゃると、まるで外交一元化の命令系統が異なるような印象を私は受けますので、この点は、いわゆる配置がえになった職員ですから、その職員については、北米が二名、それからアジアが一名、ヨーロッパが四名、それにまだ保留してある分が二名、こういうことに受け取ってよろしゅうございますか。
  60. 高野藤吉

    ○高野政府委員 各省関係におきましては、北米が二名でございます。それからまだ固まってはおりませんが、ヨーロッパが五名でございます。
  61. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これは業務量に応じて増員がされるものだと思うのでありますが、この増配置基礎的な考え方というものは、研修定員の九名等はそのワクには入らないと思うのでありますけれども、どういうような考え方で増員の問題をお考えになったのか。と申しますのは、あなた方のほうから資料としていただきました「在外公館官房関係定員調」というのがございます。これを見てみますと、従来よりも比率においては落ちている。官房事務が在外公館においては非常にしわ寄せになっているということは、われわれもよく聞くのであります。そういうような立場から、これは外交官として専門の仕事をしておられる人たち中心考えておられるんだろうと思いますが、地域別に北米が七名、それにヨーロッパが十三名、こういうような増員計画というものは、一体何を中心考えて増配置計画というものを立てられたのか、この算出の基礎について説明を願いたい。
  62. 高野藤吉

    ○高野政府委員 世界各国にある各公館において、経済事務、政治事務、それからRP事務、いろいろふえてまいりまして、各公館から増員の要求が非常にございます。それで、本省といたしましては、これを一々実情に照し合わしまして、少ない数でどういうふうに配置するかということを勘案いたしまして、経済事務、政治事務及び官房事務ということを各館にわたりましてふやした次第であります。
  63. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、これは在外公館各地からの要望に基づいて、その必要性に応じて配属をしたということなんですね。そういたしますと、外務省としては、たとえば日本の貿易なりというものを中心考えていった場合には、これからどういうところに重点を置いていかなきゃならないという目安を設けてやっておられるものだと私は思うのでありますが、何を中心にあなた方は増員の基準というものを設定をされているか。経済外交であるとか、あるいは一般にいうところの外交政策の展開のために必要であると考えての増配置であるのか。国によりましては、外務省の在外公館が直接そういうような貿易の業務に当たらなければならないような地域もあると思うので、そういうような点から見て、何を中心にこれだけの人員の増をはかろうとしておられるのかということをもっと説明を願っておかなければ、各出先から言うてきたものに見合って、それに合理的に配分をしたというだけでは、納得はできないと思う。その点について説明を願います。
  64. 高野藤吉

    ○高野政府委員 私、ちょっとことばが足りなかったかも存じませんが、もちろん本省でいろいろ判断いたしまして、それにプラス各公館からの希望なり実情をあれして配置したわけでございまして、在外公館だけの希望なり要望に従ってやったわけではございません。  それから何が中心かと申されますが、これは限られた定員でやっていくわけでございまして、各館におきまして、急に貿易量がふえるという点につきましては経済関係の人をふやす。逆に政治問題等が忙しくなるという場合には、政治関係の人をふやす。それに即応いたしまして官房事務が、電信、会計等がいろいろふえる、とてもやっていけないという館におきましては、官房事務をふやす。本省が全体を見合わせまして、また各館の要望等々を考慮してやったわけでございます。
  65. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この際韓国に十五名新たに増員をされるということでございますので、その内訳について私聞いてまいりたいと思いますが、釜山は領事館を総領事館に格上げ、大使館は八名を十二名に増員、こういうことだと思うのでありますが、韓国との場合には、いわゆる領事条約というものが別にあるわけじゃない。これはやはり相互主義に基づいて在外公館の数は設置されているものだと思うのであります。ところが、韓国の日本におけるそういう在外公館は、いま何カ所ありますか。
  66. 高野藤吉

    ○高野政府委員 現在東京に大使館、それから領事館は大阪と福岡にあります。
  67. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、日本は釜山とソウルの二カ所、韓国の場合には東京も入れまして三カ所。そういたしますと、ソウルにあります日本大使館は、領事部を持っておるわけですか。領事事務もやるのかどうか。
  68. 高野藤吉

    ○高野政府委員 ソウルにおける大使館におきましては、もちろん領事部というものはございませんが、領事事務はやっております。
  69. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 韓国は日本の国内に東京まで入れまして三カ所、日本は二カ所というのは、これはいわゆる相互主義という考え方からまいりますと、日本のほうが在外公館の設置数が少ないということになりますが、そういうようなものは必要に応じて話し合いできめていくということになっておりますか。
  70. 高野藤吉

    ○高野政府委員 日本の場合におきましても、日本がある一つの国に対して領事館をたくさん置いている、しかし、相手国は日本に対してあまり領事館を置いてない、また逆の場合もありまして、相互主義というのは、必ずしも厳密な意味においてそうでなければならぬということではなくて、両国政府のお互いの必要に基づいて話し合いがつけば、必ずしも同数でなくてもいいということになっております。
  71. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、これだけの人員を増加するにあたりましては、外交事務の業務量の増大、あるいは相手国の日本における在外公館の格上げ、それに見合う分の昇格の分というようなものもあるだろうと思うのでありますが、釜山を領事館から総領事館に格上げをされるわけですね。といたしまするならば、これは何かに見合うものとして考えられたものか、それとも業務量の増大という点においてお考えになったのか、この点については、どういうふうになっているのか、説明を願いたいと思いますと同時に、これらのいわゆる在外邦人というものがどういうふうに増加しているか、これも説明を願いたい。
  72. 高野藤吉

    ○高野政府委員 釜山におきましては、御承知のとおり、韓国第二の大都会でありまして、それから交通の要衝でございまして、船が相当入っている。それからこの付近がだんだん工業地帯になっていくということで、わがほうの領事館も非常に繁忙になるということを考えまして、領事館から総領事館へ、したがって定員をふやしたわけでございます。それから現在あそこに日本籍の方が大体千二、三百名おられると思いますが、今後いろいろの経済関係等で往来する人も多くなる。また、あそこで仕事をする方も多くなるということを考えまして、総領事館としたわけでございます。  それから、これは特に韓国のどこの見合いということではございませんで、韓国との話し合いによりまして、事務量の増大に伴いまして領事館を総領事館にした。したがって、定員もふやすということに相なった次第でございます。
  73. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 高雄に在外公館を新設されるということなんですが、台湾における在外邦人は、三十九年の七月で三千七百名だと承るのであります。そのうち女が三千名と聞くのであります。私もいろいろな関係で台湾の実情について聞くのでありますが、この三千七百名のうちの三千人が女性だということ、これは主として戦後向こうに参りました者が大部分でございます。それらは中国人と結婚して世帯を持っている者もありますが、大部分は日本に進駐しておりましたアメリカ軍が当時連れていった。そしてまた、第三国人の手に渡った日本人が、人身売買とまではまいりませんけれども、転々として職を変えられて、バーであるとか、キャバレーであるとかいうところにつとめて、そうしていまや生活の悩みから日本に帰ろうと思っても帰れないような仕組みの中に彼女たちが入れ込まれておるという、そういう情報を耳にするのであります。こういうような在外邦人に対する外務省の保護政策というものは、今日までどのようなもので処理されてまいったのか、それをお伺いしたいのであります。
  74. 高野藤吉

    ○高野政府委員 在外邦人の方は、大別しまして、向こうに永住している方と、短期滞在者及び旅行者となるかと存じます。向こうに永住されている方は、主として中南米で、これは移住局におきましていろいろ生活が立つように保護、指導しているわけでございます。それから短期滞在の、仕事上の方には、大使館ないし領事館がいろいろ御便宜をはかるということで、これは生活の内容までは入らない。それから旅行者におきましては、いろいろ旅行の便宜をはかって差し上げる。いま御指摘の中華民国におきまする在外邦人におきましては、いろいろ身分上のことないしは家庭上のことを大使館におきまして親身になっていろいろお世話を申し上げておるわけでございまして、ほかの国における在留邦人とは若干感触が違いますので、大使館としては種々御相談にも乗り、またできることは大使館として事務的な処理をしているわけでございます。
  75. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういう形式的な答弁ではだめですよ。そういうような悩みを訴えてくるのがあるんです。外務大臣はそれを御承知ですか。私は、おそらく外務大臣はそういうような悲惨な生活におちいっている日本人があるということは、御承知なかろうと思う。これは厳重に調査をして、対策を講じてもらわなければならないと思うのです。どうなんですか。外務大臣の御所見をお伺いします。
  76. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 いろいろ自分の希望が達せられないという者、そういう境涯の人たちについては、救済の手を伸べてやらなければならないと思います。その点は、よく調査をいたしまして、善処いたします。
  77. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 調査していただいて、善処をお願いしたいと思うのです。  これは韓国の問題であります。木村四郎七初代駐韓日本大使が、赴任に先立って、七日の午後四時に、日本外務省でもって韓国人記者との記者会見で次のようなことを言われて、出発されたということであります。「韓・台・日の提携は、膨脹する中国を阻止するのに貢献し、韓国軍のベトナム増派は、米国のベトナム政策を支援する意味で緊密な措置であり……私個人の立場としても適切な措置と思うし……特に経済協力は至急な問題である。」こういうふうに述べられたということが朝鮮日報に出ておるのでありますが、そういうふうな事実があるのかどうか。この問題については、韓国の国内においても、第二次のベトナム増兵をめぐりまして異論が相当出ておる。そういうような場合において、日本の大使が赴任をされるにあたってそのような重大な発言をされるということは、私はきわめて危倶しなければならない問題だと思うのでありますが、そういうような事実があったかどうかをお知らせ願いたい。
  78. 広瀬達夫

    ○広瀬説明員 木村大使が、赴任前に韓国人と記者会見をされた際に、いまおっしゃられたような内容のことを大体言われたということは承知しておりますが、いまおっしゃった内容がそのとおりであるかどうか、私は確認できませんが、個人的な見解としてベトナムの派兵なんかに自分として賛成であるというようなことは、個人的な見解として言われたということは、私も承知しております。
  79. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、どういう意図があるにせよ。他国の戦争であるからというような意味で、それを扇動をし、あるいは賛美しながら赴任をするということは、はたして日韓の将来の外交の上から見て適切であるかどうかということについては、疑問を感ずるのであります。在外公館日本大使というものは言動に慎重に留意しなければならないものだと思うのでありますが、椎名外務大臣は、いまの参事官の答弁をお聞きになって、どういうようなお考えをお持ちでございますか。
  80. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 自分の地位にかんがみて、誤解を受けるような言動はなるべく避けるようにしなければならぬと思います。十分に事実を調査して、適当な機会に、もし注意を与える必要があれば、注意を与えていきたい。
  81. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 新聞によりましても、南ベトナムをめぐる問題はきわめて大きな段階に差しかかってきているようであります。SEATOの諸国でも、一国も派遣をしておらない。ANZUSの国においても、名目的な派兵はしておりますが、今日ベトナムに大量の軍隊を送っているのは韓国だけである。そういうようなところから、私たちは、特に大使という認証官である木村大使が、そのようなことを軽々に言うべきではない。もう少し平和外交に徹してもらわなければならないと思うのであります。この点については、外務大臣調査をされて、必要によっては注意、するということでございますので、そういう立場から御留意を願っておきたいと思うのであります。  そこで、時間もありませんので、先に進みますが、在外公館へ他の省庁から転属をいたしまして派遣されている定員は、百四十九名の多きにのぼっているようでございます。この中には通産とかあるいは大蔵とか、そういうようなものについては、外交がますます専門化し、そしてそういうような日本の外交政策を経済外交を中心にやらなければならないという意味においては、私は増員をされることは賛成であるのでございますが、中を見てまいりますると、はたしてこの各省庁が独自の立場から外務省に転属をさせて外務公務員として派遣をしなければならない内容のものであるのかどうかということについて、どうもはっきりしないものがあると私は思うのであります。なぜかなれば、やはり外交一元化政策というものは、これは国の政策として当然とられなければならない。しかしながら、今日の国際機関の中において、OECDの会議なんかに参加をいたしましても、外務省だけで育ってまいりました人が、ますます専門化された内容のものにタッチすることもむずかしい、そういうようなものはやはりその各省庁のそういう権威者をこれに当てるということも必要であろうと思うのでありますが、これを見てまいりますと、あまりにも各省庁がそれぞれの立場において外務省に定員を振りかえて在外公館に勤務するという形をとり過ぎているのではないか、私はそういうような感がしてならないのでありますが、外務大臣は、これに対しまして、外務省という立場から問題を見、あるいは日本政府全体の立場から問題をながめた場合に、はたして望ましい傾向であるとお考えになっているのかどうか、この点について説明を願っておきたいのであります。
  82. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 各省にまたがっておりますが、それぞれ各省の立場に立っても必要であるというものであり、また、外務省から見ましても、必ずしも外交一元化ということで非常にこり固まって考える必要もない分野につきましては、配置に関する申し入れに適当に柔軟性を持ってこれに対処しておる、こういう状況のようでございます。もしそれが外交一元化を撹乱するというようなものであるとするならば、これはもうお断わりしなければなりません。ただいまのところでは、そういうふうなものはないように考えております。
  83. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これを見てみますと、もう各省庁にわたりまして、なるほど人員は少のうございますが、ほとんど外交事務と関係がないのではないかと思われるような省庁からも出ている。国鉄にしてもしかり、自治省においてもしかりであります。一体そういうようなところから出なければならないほど、外務省は弱体であるのかどうか。私は、外交一元化の上から、専門化されたものについては、外交政策を進める上において必要であることを認めるのにはやぶさかではございません。しかしながら、あまりにも各省のセクショナリズムというものが強ければ、これは外交政策の一元化にはならないと思う。この点については、もう一回この際——今度のはこれを認めますが、しかしながら、やはり検討を加える段階にきているのではないかと思いますので、その点、大臣しっかりした答弁を願います。
  84. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ただいまお話ししたように、外交事務の一元化をもし撹乱するようなものであれば、これはもうお断わりしなければいけません。しかし、ただいまのところは、さような撹乱的な要因は働いておらない、そしてまた、国全体から見てそういう職員を派遣しなければならぬという各省の申し入れにかんがみまして、いまそれを受け入れておるという状況でございますから、もし御指摘のような弊害が起これば、これはすみやかに改善しなければならぬと考えます。
  85. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 最後の質問ですが、先般田口委員から詳しく質問がなされました、いわゆる在外公館職員といたしまして防衛庁の職員がおります。十五名であります。これは防衛駐在官の名をもって制服を着ておるわけでありますが、他の省庁の場合には兼務は認めていない、ただ防衛庁だけは兼務を認める、こういう御説明であったのであります。一体その場合において、防衛庁だけ兼務を認める、他の省庁は兼務を認めないというこれは、どういうところに理由があるのかということであります。この点については、外務大臣が兼務を認められて、それを発令をしておりますということを防衛庁の人事局長は言っている。だから、その兼務の必要性を認めたのはやはり外務省であろうと思うので、とするならば、一体防衛駐在官の任務は、防衛の事務をつかさどるということであるが、防衛の事務をつかさどるというのは、外務省の設置法内容の中にはないでしょう。ないのに、それを適当に政令あるいは規則等において制定をして任務を付与するというのは、行政組織法上おかしいじゃありませんか。その点に対する答弁を願います。
  86. 高野藤吉

    ○高野政府委員 外務省設置法第三条に、外務省といたしましては諸外国のいろいろの事情を調査するという職務権限がございまして、外務省としては各国の政治、経済、法制等々を調査しております。そのうちに、各国の防衛システムと申しますか、防衛制度を調査することは当然含まっておると、外務省としては考えておる次第でございます。
  87. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、防衛庁設置法なり外務省設置法を見てまいりまして、そこには明確に日本が戦後平和国家として外交事務をやっていく上において、そういうような軍事的な性格を持ったものは排除される、こういう意味において、そういうばく然たる規定にひっかけて、各国の事情を調査する、その中には軍事的な目的も入っている、防衛の目的も入っているのだということになりますならば、これはそういう立法の趣旨で法律が制定されたのはいつですか。いつからそういう解釈をお下しになったのですか。
  88. 高野藤吉

    ○高野政府委員 この外務省設置法昭和二十六年でございまして、その後改正になっておりますが、この点は改正になっておりません。したがいまして、外国に関する調査ということは、外国の政治、経済、財政、あらゆる面において外務省としては調査できるというふうに、初めから考えておるわけであります。
  89. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それであるならば、なぜ十五カ国しか配属してないのですか。
  90. 高野藤吉

    ○高野政府委員 やはりおもな国及び日本関係の深い等々で——全部の国に配置するのは各省ともございませんので、やはり定員等の関係から、重点的に仕事のあるようなところに配置するわけでございます。
  91. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 外務大臣、そうしますと、防衛に関する政策、国防政策、安全保障に関する問題は、これは外務省の所掌になると思うのですが、防衛駐在官、制服の軍人が一人ぐらい行って、これは防衛庁の服務規定によって制服を着て従事しているようでありますが、そういうようなのをあなた方は受けて、安全保障政策の上においてどういうように役立たしておいでになるのですか。というのは、やはり上司の指揮命令系統というものは、外務大臣になろうと思うのです。防衛庁の駐在官が、外務省の兼任であるといいながら、防衛庁に直接連絡をするというのは、外交一元化政策の基本を乱ることになると思いますから、そういうような意味においては、外務大臣が直接そういうような報告を受けておると思うのですが、どうなんですか。
  92. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 外務省としても、各国が一体国の安全を維持する上においてどういう政策をとっておるかというようなことを知る必要がございますので、おもなるところには配置する必要はある〜考えております。
  93. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 防衛庁の職員であってもシビリアンとして駐在をする、これであるならば意味があると思う。しかし、制服の服装をして、なぜ駐在官として駐在をしなければならないのか。やはりそこには防衛庁の職員だけが兼務を認められている。兼務を認められているということは、外務大臣のもとに一元的に報告するのみならず、それだけではなくて、やはり防衛庁のほうにも報告をしなければならない義務があると私は思う。その点はどうなんですか。
  94. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 それは防衛庁長官には、区処権はないようであります。外務大臣を通じて状況を知るということで初めて可能なわけであります。
  95. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そうであるならば、やはりあなたの指揮系統に属しているというのだったら、その期間はシビリアンとして、広い立場から、ただ防衛の狭い意味だけではなくて、安全保障という大きな立場から、これはあなた方の指揮系統によって掌握していく、これはやはり防衛庁の場合でも同じようにすべきじゃないかと思うのですが、その点については検討をされる意思はございませんか。
  96. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 服装のことでございますが、やはり各国の駐在武官もみな、服装はシビリアンの服装もできるし、またそういう制服も着ることができる、こういうようにしておって、つき合い上やはり同じようなかっこうをしているほうがいろいろ便利である、こういうことのようでございます。
  97. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 終わります。
  98. 木村武雄

    木村委員長 受田新吉君。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 時間が非常に制限されております。端的に質問をさせてもらいます。  外務大臣、外交官の任命にあたって、私が多年主張しておるのでございますが、特に大使、公使の任命にあたっては、できるだけ国威の発揚ができ、国際親善をはかるような立場で、いわゆる幅の広い人間としての実力を持った人を多数採用すべきである。決してキャリヤだけにとらわれてはならぬということは、しばしば申し上げておる。また、ノンキャリア、いわゆる外交官試験に合格をしていないけれども、奮励努力をする人は、どんどん大使、公使に登用すべきである。特に外交官試験に毎年十名ないし二十名近く合格されるのでありますが、その人だけがたんたんたる出世街道を歩んで、それに合格しないという一事をもって、実力を持ち、奮励努力をする人が前途をはばまれておるということは、外務省多年の通弊じゃないかと思うのです。したがって、キャリアの皆さんは、たとえゴルフをやろうと、マージャンをやろうと、やがては七十六名もある大使には必ずなるのだという一つの喜びがある。一方のノンキャリアの皆さんは、いかに奮励努力をしても、そういう機会がなかなか与えられないというような形は、これは大臣としては、十分考えなければならぬことだろう。海外などを旅行をするお互いが御苦労をしていただく在外公館員の中で、キャリアの人とノンキャリアの人とあまりにもきびしい差異があることを痛感しておるのですが、こういう場合に、ひとつノンキャリアの中からも人材をどんどん採る。その数の比率からいっても、比較にならないほどノンキャリアの方が多いわけでありますから、その中から大使、公使を任命する。一人あるいは二人、まれにぽこっと芽をふくことがあるけれども、十年、五年のおくれがあったとしても、どんどん登用すべきだと思うのですが、大臣の御所感を伺いたいのです。
  100. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 御指摘のとおりだと思います。適材があれば、どんどん登用すべきだ、こう考えます。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 どんどん登用する適材がいないわけですね、いま。  それと、大臣、外務省の人事について、大臣はどのくらいの力を持っておられるか。政務次官は、いかなる関与をされておられるか。従来、外務省の政務次官なるものは、とかくつんぼさじきに置かれて、事務官僚に圧倒せられて、その空職を嘆いているという伝統があるわけですが、最近はその点で、ここに正示先生のようなすばらしい政務次官がおられるわけですが、どの程度政務次官は人事に関与できるのか。これは政務次官の職務の中にちゃんと書いてあります。大臣を補佐する大役がある。人事に対してもどういう職権があるか。それから大臣として、外務省の人事大臣の意思で、大使、公使の任命がすかっとできるものかどうか、それをひとつお答えを願いたい。政務次官にもお答えを願いたい。
  102. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 大臣の権限の中にありまして、私も意見があれば、それは通るようになっております。ただ、世界じゅうに散らばっておりまして、私もどうも忙しくて、一々見て歩くわけにいかぬ、そういうわけでございますから、大体事務次官を信頼して、そしてその方針を聞いて、多少是正すべきものがあれば是正をしてもらうというふうなことであります。  それから政務次官は、やはり政務のほうに関して補佐するわけでありまして、しかし、それ以上一歩も出ちゃいかぬということはありません。ことに正示君なんか、最も有能な政務次官でありまして、いろいろな問題について十分に自分の経編、観察は、外務省においても生かす、またわれわれもそれをできるだけ活用するという方針をとっております。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 そこで大臣人事というものは事務じゃないですよ、これは政務を含んでいるのです。いわんや大使、公使というものは、特別職なんです。その特別職の任命をするのに単なる事務処理でやろうとする大臣のお考えは、重大な誤りだと私は思うのです。したがって、大使、公使の任命は、当然事務次官の意見を聞いた上で、最後には政務次官の人事の補佐を受けるべきだと思うのですが、いま政務だから事務のほうへは関与すべきじゃないというような大臣のお考え方だったが、政務次官はその任務を御存じでございますか。人事に関与できる立場にあるわけでございます。
  104. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 政務次官でございますから——人事は単なる事務じゃない、これは御指摘のとおりであります。これも相当政務色があるのですから、そういう点について政務次官が意見があれば、それを述べる機会は十分にあります。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと政務次官の職務規定を読んでいただきたいのです。
  106. 高野藤吉

    ○高野政府委員 国家行政組織法第十七条第三項に「政務次官は、その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長たる大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する。」と書いてございます。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 特におしまいには、大臣の職務を執行する資格まであるわけです。事務次官にはそれがないのです。それほど政務次官はウェートが高く置かれている。いわんや人事において——政務次官、ちょっとお聞きしますが、大使、公使の任命を最終的に御相談をいつも受けておるかどうか、政務次官の意思が表明されるような余裕があるようになっておるかどうか、お答え願いたいのです。
  108. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど大臣お答えになりましたとおりで、必要に応じまして常に緊密に連絡をいたしております。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 緊密に連絡をしておるだけで、連絡政務次官じゃ意味がないのです。この点は、やはり大使、公使の任命だけは政務なんですから、事務的な処理でできる問題じゃないのです。これは適材があるならば、外交官出身者でなくて、たとえば他の省から出向した熱心な者があるならば、その中から大使、公使を選ぶべきです。経済問題の権威者が、その出向一等書記官や参事官の中に偉大な人材がおると思えば、OECDなどの大使などには、そういう方から人材を簡抜すべきなんです。そういう努力をして大使、公使は高い立場から人材を選ぶということ。この前私が指摘したとおりですが、婦人の大使を、りっぱな者がおるならば、それも選んでよろしいし、外交官に御縁のない人であっても、移動大使として、任地を持たないけれども、自由に移動して各国を激励して歩くための移動大使も、任命してよろしいはずです。そういう新鮮な外交人事をおやりになってはいかがですか大臣
  110. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 その基本的な考え方につきましては、全然同感でございます。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 基本的な考えには同感ということで御共鳴願っておるわけですが、御共鳴が実践されなければ意味がないわけです。大臣、あなたは二年も外務大臣として実績をあげられて、歴代外務大臣中出色の方です。この機会に一人、二人新鮮な人事をすかっとおやりになってはいかがですか。御在任中にその実行を希望する。  それからもう一つ。もう時間をとりません。今度のこの在外公館の名称及び位置を定める法律の一部改正案の中にも、総領事館が大使館になるところもある。しかし、依然として公使館が残っているのがアイスランドとホンジュラスです。この二つは大使が要らないのですか。大使にしてくれという向こうの要求がないものは、大使にしないのですか。
  112. 高野藤吉

    ○高野政府委員 これは兼任でございまして、相手の国が特に大使にしてくれという希望もございませんので、私のほうとしては特にそういう措置をとっておりません。
  113. 受田新吉

    ○受田委員 向こうの希望がなければやらない、希望があればどんな小さな国でも大使にする、こういう考え方よりも、こちらの考え方で、これは希望がなくても大使を置くべきだということになれば、こちらの考え方から私は大使館の設置をすべきだと思うのです。どうでしょう。
  114. 高野藤吉

    ○高野政府委員 御説のとおりでございますが、しかし、相手の国がこちらに大使を置きたくない、公使だということになりますと、これは相互主義になるわけで、お互いに大使を置こうという話がきまれば、もちろん大使を置くわけでございます。
  115. 受田新吉

    ○受田委員 こちらから呼びかけていくということをやっておられない。あなたまかせになっておる。そこに外交の旧態依然たる形態が見られる。  もう一つ大臣、わが国の親善外交をはかる上において、天皇御一家の海外旅行というものは、非常に意義があると思う。皇太子御夫妻はしばしば海外旅行をやられて、たしか常陸宮さんも御夫妻で出られて、大きな効果をあげたわけです。ところが、天皇、皇后両陛下の海外旅行といのは、特に天皇の場合は国事事項委任の法律ができましたから、自由に海外旅行ができることになって三年たっているが、一向これが実践されておられない。英国の女王は、自由に世界各国を旅行されて、非常な効果をあげておられる。このあたりでひとつ外務大臣、親善外交上において天皇御自身の海外旅行ということに外務大臣としてすかっとした判断を下さるべきである。皇太子御夫妻よりも、天皇御自身が御旅行されるというほうが、もっと親善外交の効果があると思うのです。
  116. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 十分に御意見として拝聴しておきます。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 あなたの御意見はないのですか。外務大臣として国際親善をはかる上に、天皇御自身の海外旅行——皇太子だけの、あるいはほかの宮さまだけの御旅行ということでなくして、天皇御自身に御苦労願う。英国を先輩国として学んでいる日本の外交の上に、私はすかっとした御措置をとられるべきだと思うのです。御意見として承っておくのでなくてあなたはどういうお考えですか。あなたの御意見を承りたい。
  118. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 宮中の問題でございますから、別に国会で論議して悪いということじゃございませんが、この際は御意見として拝聴しておきます。
  119. 受田新吉

    ○受田委員 しかし、外務大臣としての考えがなければいけないわけです、法律はできておるのだから。事実その問題はけっこうなことだということかどうか、けっこうなことならけっこうなことで、あなたの御意見がわかるわけです。承っておくというのは何ごとか。そんな力のない外務大臣だから、外交に力が抜けて御都合主義の外交をやっておる。実際だらしがない。御自身の御意見がないようなことでどうしますか。  それじゃもう一つ、この間まで日本へ駐在しておったインドネシアの大使のハルソノというのがおりました。それが日本の商社と結託して四十数億にのぼるわいろを取って、いまインドネシアは、スバンドリオ前外務大臣とその間の取引でそのもうけの四分の一をスバンドリオに渡したというので、現にインドネシア政府がこのハルソノという前駐日大使の監禁をやっておるということが報道されておるのです。これは治外法権を持っているからというので、在日外交使臣をあまりにも大事にし過ぎて、それが日本周辺に害毒を流しておるのに、日本政府としては一向関与しないというようなかっこうで、反対に向こうの国からその事実を摘出して監禁するような事態になっておるというのは、これは日本外交の上に、あるいは国務大臣として国内治安の上で、たいへんなミスを犯しておると思うのですが、いかがお考えですか。あなたは、国務大臣としての立場と外務大臣としての立場と、両方からお答え願いたい。
  120. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 そういうことを新聞で私は承知しただけてございまして、あなたがいま私におっしゃるような、そういうう内容等はまだ初めてです。これは真相というものを一体日本政府が知る必要があるのか、また知らなければならぬのか、それについても疑問がございますが、とにかくどの国にいたしたところでけっこうなことではない、こう考えております。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 私が指摘していることは、その汚職をやった対象は、日本商社と書いてある。日本の貿易商と結託をして、どっさり金をもうけるような駐日外交使臣がおるということは、これは許せないことなんです。そのことを言っておる。よその国で起こった事件じゃない。日本の国で起こって、しかも相手は日本の商社、貿易商であるということになっておるのですから、これは許せないと思うのですが、どっさりもうけて向こうに持っていかれてしまっておる。そのことについて、日ごろ駐日外交使臣に対するそういう外部的な問題について、個人の身分については治外法権を認めたとしても、対外的関係については、十分監視をする責任が私はあると思うのです。
  122. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 事がもうすでに検察当局の仕事になっておりますので、問題の真相を把握した後に、これは意見を言うべきものである。いま私の立場から、こういう問題について意見を言うことは差し控えたいと思います。
  123. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問を終わりますが、大臣も今度は次の大事な会合にお出のようですが、大臣、私があなたにお願いをしておきたい、要求したいことは、少なくとも日本の権威を保つために、日本人を相手に汚職をするような駐日外交使臣がおるということは許せませんよ。これはインドネシアの大使であるからというのでそういうことに目をつぶるような、それだけ、四十何億を盗む、汚職をするような間、よう日本政府も黙っておったものだと思うのですが、事検察に移っておるということであるから、私の関与することじゃないと言うけれども、駐日外交官に対する関係は、外務省が責任があるのですね。それが犯した罪を、外務大臣が責任を負わぬということはあり得ないことなんです。あなたに、十分真相を把握し、経過報告を途中でわれわれこの委員会にされることを求めまして、私の質問を終わります。
  124. 木村武雄

    木村委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  125. 木村武雄

    木村委員長 ただいま委員長の手元に、伊能繁次郎君より、外務省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案、及び在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。
  126. 木村武雄

    木村委員長 両修正案について、順次趣旨の説明を聴取いたします。伊能繁次郎君。
  127. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいま議題となりました二法案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  各案文はお手元に配付しておりますので、朗読は省略さしていただき、その要旨を申し上げますと、両法案は、いずれも四月一日から施行することとしておりますが、その日はすでに過ぎておりますので、これを公布の日に改めるほか、外務省設置法の一部を改正する法律案は、定員改正でありますので、本年四月一日から適用することといたしました。  よろしく御賛成くださいますようお願いいたします。
  128. 木村武雄

    木村委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  129. 木村武雄

    木村委員長 これより外務省設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案、並びに在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  130. 山内広

    ○山内委員 ただいま議題となっております二つの法案に、私は、日本社会党を代表して反対の趣旨を申し上げたいと思います。  この二つの法案には、従来賛意を表して通してきた長い前例はあるわけでありますけれども、今回これに反対せざるを得ないということは、この法案の中には、あの日韓条約の結果である、落とし子である法案が含まれておるからであります。すなわち、釜山の領事館を総領事館に格上げしまして、二十数名の増員をいたしております。このことは、いま思い出してもぞっとするようなああいう日韓条約の締結のしかた、私どもは残念ながらあれは認めておらないのであります。しかし、そればかりでなく、この条約の結果が、どういうことになっておるか。最近は拿捕事件で非常に騒ぎました。また、きのう実は朝鮮に渡りたい、墓参に行きたいという人たちが、多数私のところに見えました。そうして、官房長官に訴えたい、ぜひ早く入国のできるように、墓参に行ってこれるような手続をしてほしいと、血の出るような訴えをいたしております。これすらも、なぜ墓参に行くのを、人道問題を拒否しておるかといえば、韓国に対する気がね以外の何ものでもないということが、はっきりしておるのであります。こういうことで、近隣友好のためといいながら、こういう結果が着々と事実としてあらわれている。こういうときに、そういう南北二つの仲をたがえるような、一方的な外交の強化だけをねらったこういう法案を含んでおるということに、私どもは賛成できないのであります。  また、台湾の高雄には、新しく総領事館の新設を提案いたしております。最近、御存じのとおり、中国との関係が非常に悪くなりました。高雄に総領事館を置くということは、これは二つの中国を認める結果になって、決して中国そのものとの善隣友好を深める道でもないし、かえって両者の間にみぞを深めるということは、言えると思うのであります。  そういう意味で、私どもこの両案に反対いたします。(拍手)
  131. 木村武雄

    木村委員長 これにて討論は終局いたしました。  外務省設置法の一部を改正する法律案について、採決に入ります。  まず、本案に対する伊能繁次郎君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  132. 木村武雄

    木村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  133. 木村武雄

    木村委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。  これにて外務省設置法の一部を改正する法律案は、修正議決すべきものと決しました。  次に、在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案について、採決を行ないます。  まず、本案に対する伊能繁次郎君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  134. 木村武雄

    木村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  135. 木村武雄

    木村委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。  これにて在外公館の名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案は、修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  136. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  137. 木村武雄

    木村委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  138. 山内広

    ○山内委員 まず、最初に大臣にお伺いしますが、きのうも話題の出ました行政監察月報七十七号、この中には「航空行政監察」、これは第二次でありますが、出ておりますけれども大臣はこれをお読みになったことがありますか。
  139. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 読んでおりません。
  140. 山内広

    ○山内委員 すなおにそう答えられると、こっちもちょっと困るのですが、これはぜひお読みになっていただきたい。と申しますのは、この行政監察月報というのは、政府部内の機関が出したものであります。これを読みまして、同時に、組合のほうからいろいろ安全航行に関する要望が、最近事故が起きておりますから、寄せられておるわけであります。   〔委員長退席、長谷川(四)委員長代理着席〕  この両方を読んでみますと、組合の表現とは違うけれども、まことに組合と同じことを書いておるのです。お読みになっておらぬということですから、この中身を一、二指摘しておきたいと思うのです。この監察月報では、たとえば「航空基本施策の確立、推進について」あるいは「国際空港の強化、拡充施策の推進」「空港整備事業の計画的実施」、それから「操縦士養成計画の策定とその推進」「航空保安対策充実について」、この点なんかは全くよく書いておる。これは組合の要求しておるのはちょっと具体的でこまかでありますけれども、ほとんどこの中に含まれておる。政府部内のりっぱな機関が、この航空行政はいかに安全航行に適さないものであるかということを認めておるのです。しかも、この中には「管制官の配置および訓練の充実」ということもあります。これを見ましても、これは運輸省ばかりでなく、通産省あるいは郵政省からも回答が出ておる。ところが、運輸省の回答を見ますと、これはまた非常にごもっともな回答をしております。ところが、これが今度出されている設置法、あるいは要求されておる予算、特に要員の充足というような問題については、何にも出ていない。私はふしぎでしょうがない。ですから、たとえば要員の要求でも、表に出てきたのは、増員どころか、かえって二十六名の減員になっております。しかし、これは凍結欠員を解除する、そういうことで二百六十名も欠員を持っておりますから、結局これを内部操作で埋め合わせる了解が大蔵省とついたとしても、二百三十名の増員にすぎない。ところが、あなた方の要求は幾ら出しておるか。大蔵省に対する四十一年度の増員要求は、四百五十四名のはずであります。それが二百三十名の増というのは、これからの折衝でどれだけ認められるかわからぬ。あなた方が当然必要だという四百五十四名に対して、これだけ少ないわけです。私はそれを非常にふしぎに思うのですが、この要員対策をどうされるつもりですか。
  141. 深草克巳

    ○深草政府委員 数字について御説明申し上げます。航空関係で四十一年度の定員要求は、四百十七名でございます。それに対しまして、つけてまいりましたのは百三十四名、要求に対しまして三二%の獲得率になっております。それから航空関係の内訳でございますが、航空局本局関係が七名、それから航空大学校が二名、それから航空保安事務所関係が百七名、それから航空交通管制本部、これが十八名、以上でございます。
  142. 山内広

    ○山内委員 四百五十四名と申し上げたのは、いま御説明のとおり、航空局四百十七名、そのほかに港湾建設局の三十七名を含めておるわけです。ですから、私の申し上げたのと数字の狂いはないわけです。  そこで、テンポを少し早めますが、実はきのう管制塔を見せていただきました。初めて見ましたが、時間がないためにもちろん上つらをなぜただけにすぎませんけれども、あのとき、現地に働いておるあの雰囲気といいますか、一人で短波の五本、六本も一ぺんに処理しておる、しかも英語で三人が管制施設の前で一生懸命仕事をしておるわけです。ですから、これは自民党の人も、三直四交代の勤務はあまりひどいじゃないか、気の毒だということを言っておる。お名前を申し上げてもいいけれども、保科さんも言っておる。いまの三直四交代の勤務体制を妥当なものとお考えになっておるかどうか、その点をお聞きしたい。
  143. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 御指摘のように、管制官につきましては、その勤務体制は四直五交体になっております。管制通信官については三直四交代、これで現場でいろいろ御説明があったわけでございます。これらの勤務体制全体につきましては、いろいろほかとのかね合いもございますので、われわれとしては将来できるだけ勤務しやすいような方向で考えていきたい。いま幾らかという答えは出しておりませんけれども、そういうことでさらに検討を進めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  144. 山内広

    ○山内委員 何かこれから調査されるようなお話ですけれども、もうこれは、この種の仕事をやる職場というのは、三直四交代というのは無理ですよ。私も連絡船の勤務を体験しておりますけれども、たとえばオペレーターのように非常に神経を使う人というのは、相当船の中でも睡眠を取らせなければいかぬ。いろいろなことで、組合が要求している四直五組の交代というのは、これは私は常識じゃないかと思うのですが、もう結論はこういうのは出ているでしょう。ただ増員が不可能だからということだと思うのです。責任の立場にあるあなた方は、これはもう四直五交代というのはお認めになったほうがいいと思う。そうしてあとは予算折衝なり大蔵省折衝をやっていけばいいのです。これは基礎をこういうふうに少なくしておくから、ほんとうはこれが大きな事故の原因だと私は思っておるのです。ですから、私は、現地でも責任者に質問をした。こんな勤務をして、そうして全日空がやった事故が出て、あと一カ月の間に大きな事故が二回出た。そうしますと、ああいう管制塔の少ない人員がおるところに、事故が起こると、電話だ、いや面会人だ、あなた方の事故調査だ、そんなところで人を取られてしまっているうちに——本来の業務をもし正常にやっていたのならば、当然あとの二件というものも、りっぱな指導でもってうまくできて、あるいはあとの二件の事故は防げたのではないか。かえって先に起こった事故が因をなして、あとの二つとも事故を誘発したという見方もある。これは証拠のないことですから申し上げられませんけれども、それくらい私はきめのこまかい配慮があってしかるべきではないか、こう思うわけです。それは希望ですが……。  次に、労働条件について若干お聞きしておきたい。私は向こうの業務内容というのがよくわかりませんけれども、この日本航空の下請をやっているAGSという会社があるそうですが、ここが経営がいいのか悪いのかわかりませんけれども、書面によりますと、労働基準法にも達しない、労働基準法を犯して、十八歳未満の者、あるいは女子労働者というものを使っておる。あるいは劣悪な条件で働いているということを聞かされておるのですが、この辺の調査はされておりますか。
  145. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 これは先生御案内のように、労働省の一般的な労働条件の監督を受けることでございまして、われわれとしては一応構内事業として関与しておるというのが実情でありまして、先生御指摘のような詳細な労働条件等は承知しておりませんか、しかし、この勤務条件との関係で労働災害等があるというような話も聞いておりますので、そういうような点からも十分安全であるように、関係の元詰会社に注意をしておるというような状態でございます。
  146. 山内広

    ○山内委員 私はどうも質問より演説が長いというようなやじがありますけれども、私のほうは、どうしたら事故か防げるかというような観点から私の意見を一応申し上げ、そこに焦点を合わしてやっておりますから、言うことが長くなるかもしれませんが、実はなぜこの問題を取り上げたかというと、特に航空行政というような、非常に何と言いますか、有機的に仕事が関連して、すべてが完全でないと、どこか一角に穴があってもこういう大きな事故が出る、そういう点で細心の注意をすべきであると思う。これは確かにAGSの会社の下請負というのは、ほんとうの荷物を運搬したり、そういう全く下の仕事なのです。こういうものを軽べつすれば、たとえば積み荷をした場合、へたに積みつけをやっていたら、それがひっくり返って大きな事故の原因にならないということは言えない。ですから、積み荷の監督からすべてをやらなければいけない。下請でよその会社だから、もうこれはいいのだ、あるいは労働省所管の労働基準局にまかせればいいのだというお考えでなく、やはり責任者というものはあそこへ行って、そういうこまかい配慮をしておかないと、これが一カ所、いま言った積み荷がくずれても、それが大きな事故の原因になり得るということを、ひとつ御忠告申し上げておきたいと思うのです。  その次は、ちょっと施設の問題でお伺いしておきたい。これはきのうの東京朝日に投書が出ておりました。これは非常におもしろい考え方だと思うのです。あのカナダ航空がぶつけた防波堤ですか、あるいは防潮堤ですか、目的はどっちかわかりませんけれども、あそこにああいうものを置くから事故が起こるのだ。あれを斜面にして四十メートルなり三十メートルなり沖へ出していって、そして傾斜をつくったら事故がなかったじゃないか。将来もあり得るから、こういう施設は改造せいという投書が出ていた。これはたしかお医者さんであります。これはしろうとの方のように思いますけれども、こういうことは非常に傾聴に値すると思う。カナダ航空がぶつける前に、同じ事故を自衛隊がやっております。これは御存じですか。もうそのときにこういう施設を改めるべきだというお考えに皆さんが立たなければならなかったと思う。そういう航空施設については私しろうとですからあまりわかりませんけれども、ここは運輸省の問題ですから、もう一つ御注意しておきます。これは前の大臣のときに申し上げたが、私のおります函館の港で、防波堤が工事途中でやめちゃっているものですから、潮が満ちてくると隠れちゃう、引いてしまうと今度は出るというものが、港の入り口にあったのです。こういうものを、置くと必ず事故になりますよと注意しているうちに、事故が起きた。洞爺丸がこれに引っかかっちゃった。これが完成していたら、洞爺丸の事故は起こらないで済んだ。それで、ああいう事故が出てから、あわてていま工事にかかっております。ちょっと余談になりましたけれども、ちょうどいまの羽田の施設と思い合わせて、こういうものはやはり早く調査の上におやりになったほうがいいと思うのです。   〔長谷川(四)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、きのう視察にまいりましたときも話が出ましたが、消防施設です。これはあなた方のほうからも大蔵省のほうに要求が出ているのを承知しておりますけれども、きのうのお話では、何か十台消防車があるのだけれども、あの事故の起きたとき十一人しかその消防車を運転する消防士がいなかった、こういう訴えがあるのですが、一体あのときの状態というのはどういうことになっておったのですか。
  147. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 羽田における消防車は、全部で十台ございます。これに対して現実に当日勤務しておった者が、十名でございます。ただ、当時の状況をやや詳細に申し上げますと、非番者の応援が六名、その他に部内の機械課からの応援が十一名、さらに民間からの応援が九名ございまして、全体で三十六名の要員か得られましたので、当日はかろうじて消防車が五分以内にとりあえず現場にかけつけるということが可能であった。しかし、救急車等は若干出動かおくれたような、その後の調査の事情でございます。もちろんこのほかに、御承知のように、いわゆる部内消防のほかに自治体消防が非常に多数かけっていただきまして、当時の緊急措置をとることができたのでございます。
  148. 山内広

    ○山内委員 これはいろいろ調査をされておられるだろうし、対策考えられておられるだろうと思いますが、あの現場に居合わせたある人の訴えでは、あのときもし消防車がほんとうに円滑に規律正しくすっと出てきたら、もう十人は黙って助けられたはずだ、こう言っている人がいる。消防は消すのが商売ですから、いまそこに手を伸べて引っぱり出そうと思っても、そっちのほうに手がいかないと、非常に残念がって私に訴えていた人がいました。こういう点で日ごろの心がけが大事だと思うのです。私はある新聞かなんかで見ましたけれども、運輸大臣があそこにかけつけられたのは、非常に早かったそうですね。これは非常にほめられておるのです。大臣はりっぱだった。すぐ来た。ところが、責任者がいないために、お医者さんがあそこに行っても、だれの指示に従えばいいのか、どこでどうやって助ければいいのか、手伝ってやればいいのか、その指揮系統は何にもないのだ。それでうろうろあの辺を歩いている。こういうことでは、私は申しわけないと思う。やはりもっと日ごろのそういう体制というものは、人員を充足すると同時に、指揮命令系統も、万一を考えてそれだけのことは十分におやりになる必要があろうと思います。これは余談ながら御注意申し上げておきます。  それでは、いろいろ人員については御配慮があると思います。この間からの大臣の答弁も、熱心に閣議の了解も得ているからやるということですからやっていただきたいと思いますけれども、この待遇の問題は、予算書を見て承知しておりますけれども、この新聞に非常はおもしろいことが書いてあるのです。これは読んだほうがいいと思いますので、ほんの短い部分読みます。給与は初任給一万七千九百円、八、九年勤続の主任級で三万八千円、十年選手の主管クラスで四万三千円、これに多少の夜勤手当がつく、こういうことになっております。ずっと長い記事ですからこれはいいんですが、そこで比較か一つ出ておる。国際線パイロットの俸給は二十五万円、スチュワーデスが五、六万円、これと比べて非常に差があるじゃないかという新聞の記事であります。これでは優秀な人をかかえることもできなければ、技術を覚えれば逃げていかれても、私は弁明の余地がないと思うのです。こういういいところもあるのですから、これを引きとめようとすればどうしますか。これは、大臣、ひとつ待遇考えてやってください。御見解を聞かしていただきたい。
  149. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 航空管制とか通信とかに携わっております人々の率直な意見を、私はこの間から組合の代表者を数回呼びまして聞きまして、いま山内委員が指摘なさいますように、そのやっております仕事内容と比較しますときに、待遇か非常に悪い。これは私も率直に認めるところでございます。ただ、一般の国家公務員とのいわゆる均衡といいますか、そのワクの中でこれが処理されておるというところに、問題があると私は思います。いますぐということではございませんが、根本的に検討をして、そういう特殊の技能を持ち、特殊の任務についておる人、しかもそういう人たちは、先ほど指摘なされた例の中にあるように、給与もあまり上がっていかない、現在実態が低いというようなところにいろいろ問題がありますので、こういう特殊の人たちに対する何かの一つの方法を、これは一般公務員と遣う形で遇することのできるような考え方の上に立ってひとつ検討しなければならぬと考えておるわけでありまして、できるだけ早い機会にそういうことをいたしませんと、外にはいわゆる厚い待遇で迎えるというようなところが一ぱいある。現在そういう立場で働いておられる人たち意見等を聞いてみますと、やはり自分の責任上、自分もそういうところに行きたいけれども、行ったらあとの仕事ができぬというような状態を見て、自分は離れていくことが忍びないというような非常に尊い精神で仕事についていただいておるということを承知いたしておりますので、できるだけこういう人たちの期待に沿うように、規定を変えてでも処遇をしてまいるように検討していきたいと考えておるところでございますから、いますぐというわけではございませんが、そういう方向で早急に処理してまいりたいと思います。
  150. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 ちょっと大臣の御答弁を補足いたしますと、先生のおっしゃったのは航空管制職員全般についての待遇のことと思いますが、その中で管制関係では、御承知のように、管制官には調整額を八%与えておるわけであります。それと先ほど先生からお話がございました管制通信をやっておる者に、本年度は調整額を四%認めていただいておるわけであります。こういうような全体の給与の中で考えながら必要な調整をはかるということは、今後もできるだけ努力していきたいと考えております。全般の点については大臣の申し上げたとおりでありまして、現行規定のワク内でそういうようなこともやっております。
  151. 山内広

    ○山内委員 皆さんの誠意ある御答弁を信頼いたしますから、大いに実現をしていただきたいと思います。  次に、これはきのう村山さんから質問が出て結論があいまいになったのですが、管制自動化の年次計画を示せという村山さんのお話でしたが、とうとう出なかったわけであります。しかし、私は、これはあなた方のほうから活字にしたもので承知しておりますが、これを見て私はびっくりしてしまった。これは一昨日羽田でも渡されましたけれども、この飛行機の運航回数はものすごく増加しており、過去の実績から見ると、急カーブを描いてどんどん飛行機の数はふえていくわけです。こういう激しい逆歩の中にあって、大臣は管制の自動化をどうお聞きになっておるか知りませんけれども、これが完成してでき上がる最終は五十一年ですよ。私は、国家の計画で五カ年計画とか、八カ年計画とかいうのは聞いたことはあるけれども、十年ということは——これも農地だとか山とかを直すというならわかりますよ。しかし、この航空の安全を期するために、いろいろな通信の記録だとか、あるいは過度に接近した場合に自動的に表示をされるとか、こういういまの機械の進歩はどんどんしていますから、こういうものがどんどんできるわけですよ。そしてフェーズは一、二、三と三段階に分けまして、この三の段階の最終年度を見ると、福岡——札幌間が五十一年の完成なんです。これはあなた方の計画です。これはどんどん発達していく航空行政にマッチする計画なんですか。その点をまずお聞きしたい。
  152. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 御承知のように、管制の自動化は、まず航空路管制の自動化ということで、箱根にレーダーをつけてこれを四十一年度から本格的な運用を開始すると同時に、函館、札幌等に今回御審議を願っておる三カ年計画にあわせてやるということで、これは従来のペースでは先生御指摘のような非常に長期の計画であったわけでございますが、昨日も御説明申し上げましたように、現在五カ年計画というものを内容を新たにすべて再検討いたしまして、このテンポをできるだけ早めるということを実は考えておるわけであります。ただ、先生御承知のように、航空路管制はそういうような方向で比較的早く実施に移すといたしましても、ターミナルのレーダー管制は相当施設以外の要員の充足その他の問題もございますので、そういうような問題は若干時期的にどうしてもおくれてくるし、世界的にまだ必ずしもそういうような状態にないということも御承知のとおりであります。しかし、何と申しましても今回こういうような大きな事故が続いて起きたときでございますの、われわれとしては、その時期をできるだけ早めるように、従来考えておった計画のテンポをできましたならば縮めて、五カ年計画の範囲内では、少なくとも航空路管制は完成できるような方向に向かっていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  153. 山内広

    ○山内委員 これは当然のことで、十年計画は、五年なり、できるだけ——金のことを考えちゃいかぬのです。大蔵省に遠慮なんか、そんなことはする必要はない。東久留米に第一フェーズですか、十一億もかかるのですから、私も相当の額だと思います。けれども、航空の安全は絶対至上命令なんですから、そういう立場に立って、計画をもっと早めて、十年が五年、五年が三年くらいの意気込みでおやりになるのが正当でないかと思うのです。  そこで、もうだいぶ急がれていますからやめますけれども、いろいろ要求があなたのほうから大蔵省に出されている。内容も若干私調査いたしました。そこで大臣はこれらの検討を急いでおられると思うのですが、臨時国会までに間に合いますか、この夏の。これはぜひ臨時国会に間に合わせて、そしてできるだけのことは手当てされたほうが——これはやはり責任の一端たと思う。こういう事故が出れば、国会も責任があるのですから、あなた方ばかりにまかせるというわけにもいかない。そういう意味で、私どもは、ぜひ国会に間に合わせるように、ひとつ諸対策の提案を要求しておきます。
  154. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 ただいま山内委員の御指摘になりましたいろいろの緊急施設、それから要員の増強、そういう点につきましては、できるだけ早く、臨時国会といわずに、私は予備費でやれるものはやる、それから臨時国会を待たなければならないものはもちろん臨時国会でやるということでございますが、そういうふうに、作業の間に合う範囲内で早急に解決するということで、これは政府のほうも大体閣議で了承いたしておりますので、実現に全力をあげてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  155. 山内広

    ○山内委員 もう終わりますけれども、この事故が出てから、だいぶ新聞は悪いですよ。貧弱きわまる航空行政ですか、私、新聞はたくさん持ってきているのですが、不在の航空行政だとか、相当たたいているわけです。いまひとつ、こういう事故の出たときですから、十分対策を練っていただきたい。これで終わります。
  156. 木村武雄

    木村委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  157. 木村武雄

    木村委員長 ただいま委員長の手元に、伊能繁次郎君より、本案に対する修正案が提出されております。
  158. 木村武雄

    木村委員長 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。伊能繁次郎君。
  159. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読を省略させていただき、その要旨を申し上げますと、本改正案は昭和四十一年四月一日から施行することといたしておりますが、その日はすでに経過しておりますので、これを公布の日に改め、定員に関する改正規定は、本年四月一日から適用しようとするものであります。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  160. 木村武雄

    木村委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  161. 木村武雄

    木村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の通告があります。これを許します。山内広君。
  162. 山内広

    ○山内委員 実は、この運輸省設置法の一部改正に、残念ながら私どもいろいろ相談の結果、賛成しがたい、こういう結果論が出ましたので、その理由を申し上げます。  あとで附帯決議が出されますけれども、この附帯決議の文案が示しておるように、最近三つの大きな事故が出まして、それの将来に対する設置法改正というのにはあまりに距離がある、これではとても事故の再発を防げないではないか、そういう見地に私ども立っておるわけであります。そういう意味で、おそらくどういう結論が出るかわかりませんが、臨時国会ででも大幅なものが出て、これならばまず安心できるという線が出たら、そのときは賛成したいと思いますが、残念ながら中身がないので、この設置法の一部改正には反対をいたします。
  163. 木村武雄

    木村委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、伊能繁次郎君提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  164. 木村武雄

    木村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  165. 木村武雄

    木村委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  166. 木村武雄

    木村委員長 この際、伊能繁次郎君外二名より本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、趣旨の説明を聴取いたします。伊能繁次郎君。
  167. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいま議題となりました自民、社会、民社三党共同提案にかかる附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    運輸省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  最近の度重なる航空事故の発生にかんがみ、政府は、この際航空保安の万全を期するため、すみやかに施設、要員、機構等につき再検討を加え、事故防止のため最善を尽くすべきである。   右決議する。  本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑応答を通じてすでに明らかにされたところでありますので、説明を省略いたしますが、何とぞ御賛成をお願いいたします。
  168. 木村武雄

    木村委員長 本動議について採決いたします。本動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  169. 木村武雄

    木村委員長 起立総員。よって、本案は伊能繁次郎君外二名提出の動議のとおり、附帯決議を付することに決しました。  この際、中村運輸大臣より発言を求められておりますので、これを許します。中村運輸大臣
  170. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 本案の通過にあたりまして、皆さん方からつけられました附帯決議の趣旨を十分尊重いたしまして、運輸行政万般に最善を尽くして、皆さん方の決議を付加されました期待にこたえてまいりたい、かように考えております。     —————————————
  171. 木村武雄

    木村委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  173. 木村武雄

    木村委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会