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大出委員 いまいわれる三〇%というのは表数字なんで、さっきお話しのように中央で算定をいたしましたのは、港湾労働者が横浜の場合は一万七千五百五十人なんです。そうして日雇い港湾労働者をもって充足すべきものが六千三百八十なんですね。これはそれでいいですが、ところで問題になるのは、もうちょっと掘り下げた
実態を知っていただきたいのです。というのは、さっき申しましたように、ギャング編成というのは横浜の特殊事情ですが、十八名編成なんです。まずデッキマン、これがまず上で指揮をしていろいろやる。それからウインチマン、これが揚げ荷装置の運転免許を持って運転する。ここで間違うと、えらい
事故が起こったり、けがをしたりする。港湾労働は
全国各種事業の
事故率のうち最高の
事故率を誇っておる。だから、免許が必要なんです。ところが、一ギャング十八名で編成する。それが
仕事をするわけですが、一人残らず日雇いだということは一体どういうわけだ。免許を持っていなければならない、しかも重要な
仕事をするウインチマン、それからデッキマンはデッキの上で指図をする、これが間違うと
事故が起こる。デッキマンも日雇いであり、ウインチマンも日雇いであり、残り十六名が日雇いということになると、責任の所在というものを含めまして、一体どういうことになるか。しかもその十八名の中では、寝番と称して寝る人間ができております。これは十八名の点呼をとるときにはおりますが、終わると、そのうち二人なら二人、三人なら三人
——おむね三人ですが、寝かしてしまう。
仕事ができない人を連れてきておる。そうしておまえたち三百円ずつやるから
——千八百円とすれば千五百円残るし、千五百円とすれば千二百円残る。これはふところに入ってしまう。三人寝て、残りの十五人で
仕事をする。
現実はこういうことです。みな日雇いです。しかも日雇いで構成する一ギャング十八名を一口世話するあっせん者は、一口千八百円
連絡の費用になっておる。早い話が手配料ですよ。一人で三口世話すると、手配料が千八百かける三、それだけふところに入ってしまう。この人は何をやっているかというと、千五十円、千百五十円というようにランクされている自分の分をもらうということですね。こういう
現実があるわけですね。それならばどういう業種が使っているかという問題、どういう会社が一体そういうものを使っているか、この問題、まだここで先ほどの免許の基準云々とからんでくるわけですが、そういう
実態が現にあって、しかも暴力団の諸君が
仕事がなかなかできないようになりましたから、そういう方々が大量に流れ込んでいるという
現実がある。そういう方々の中で、やみのギャングの何口というようなものが請け負う形で進められている。しかもそういう中で、いまの風太郎を呼んできて寝かして三百円あてがいぶちをくれて、あとはふところに入れるというようなことが、
現実に行なわれている。また、神戸のように、港湾労働法が施行される、だから日雇い確保のための金を寄こせということで、船主と渡り合って金をふんだくるなどというような例が新聞などにも出ましたが、横浜にもその気配が濃厚なんですね。そうなってまいりますと、ある会社の幹部の方のいわく、港湾労働法なんというものは、わしらがけつを振ればどこへでも飛んじゃうんだということを言って、組合とやり合うという段階になると、それとなくおまえたちは命が惜しくないかという言い方をする。そうなると、七月から施行される港湾労働法というものを目の前にして、一体責任ある
運輸省なり労働省なりというものは、何をやっているのだということになる。三・三答申というものはどこに飛んじゃうんだということになる。だから、そこまでい言われる表街道の話というものはどういうふうにもできるけれ
ども、
実態をつかんでいただいて、きょうから
登録が開始されるのですから、三・三答申の意向を、港湾労働法をめぐって
運輸省と労働省とあれだけ苦労されて、また与党の
皆さんも中に入られて煮詰めてあそこまで持ってきたという、かつまた審議をして
幾つかの約束事も取りつけて通しているという
現実を
考えたときに、あまりにもどうも現場の労働者が気の毒ではないか、そういう寝たり何かするのまで入ってくるというのは。また、ギャング編成全員が日雇いだということは何を
意味するかというと、常用化というものをおくれさせるのみならず、常用労働者の賃金の足を引くことにもなる。中には日雇いのほうがいいんだ。手当をもらってぶらぶらしていれば六割はくれるんだからと言う。退職金の問題もある、こういうことになると、常用労働者のほうにどうも逆にしわが寄る、そういうところまでいきかねない今日の事情です。だから、てっぺんできめた一万七千五百五十人、日雇い六千三百八十人、こうワクをきめたんだが、一体横浜における
登録をめぐっての
実情はどうなっているのかということをおつかみ願わないと、地区職業安定審議会が論議しているのですから、その中には組合代表も出ていれば業者の代表も出ているのですから、そうなると、そこで何が論議をされているか、何が問題になっているか。上カタの
登録のしかたで別表二なんというものをつくって、A、B、Cなんてついているんです。八十キログラム以上の袋物を肩で運搬することができる者A、五十キログラム以上の袋物を肩で運搬することができる者B、五十キロ未満の袋物がC、こういうふうなランクがついて、これで
登録しよう、こういうことだ。ところが、何日といってギャング編成を業者に荷役を頼んでやるときには、どういう袋物をきょうはやるんだということが明らかだ、配分しているんですから。八十キロ以上のものだということがわかっている。そんなところに、五十キロもかつげないような人間が行きっこない、行ったってかつげないんですからね。そうすると、なぜこういうふうに分けるかというと、
一つには日雇いの固定化なんですよ。だから私は、そのことは紹介と
登録とは別だと言って済ましてはいられないのです。つまり日雇いを固定化さしてしまうということになる。だから私は、そこらのところをもう少し
皆さん方が
行政指導をなさらないと、せっかく発効する港湾労働法というものは有名無実に終わってしまう、こういう
心配をするのです。そこのところがどうかということを承りたいわけなんです。時間がございませんから全部しゃべりましたが、そういうところで……。