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1966-04-01 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月一日(金曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君    理事 長谷川四郎君 理事 藤枝 泉介君    理事 大出  俊君 理事 田口 誠治君    理事 山内  広君       臼井 莊一君    加藤 高藏君       纐纈 彌三君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    保科善四郎君       堀内 一雄君    前田 正男君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       村山 喜一君    楢崎弥之助君      米内山義一郎君    受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         運 輸 大 臣 中村 寅太君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  稲木  進君         外務事務官         (大臣官房長) 高野 藤吉君         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         運輸事務官         (船員局長)  岡田 良一君         運輸技官         (港湾局長)  佐藤  肇君         運輸事務官         (航空局長)  佐藤 光夫君  委員外出席者         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         労働事務官         (職業安定局雇         用調整課長)  広政 順一君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号)  在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出第八三  号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 中心点二つを質問をしたいわけでありますが、その一つ陸運事務所地方事務官制度でございますけれども、これを行政管理庁等がいま全国的な調査を始めておられて、最近の話によりますと、一応調査が終わった段階だろうと思うわけでありますけれども、これについて当該の運輸省皆さん考え方をひとつ明らかにしておいていただきたいと思うわけであります。  ところで、大臣に総括的に承りたいのですが、自治体移管をするという陸運事務所移管の問題ですが、いろいろな摩擦、障害がこれによって起こるというふうに思うわけでありますけれども、いま申し上げましたように、総括的に大臣がこれをどういうふうに御判断なさっておるかという点を、ひとつ中心点だけとりあえずお答えをいただきたいのであります。
  4. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 陸運事務所の問題は、これはいろいろいままでいきさつもあったようでございますが、私は、名実とも運輸省出先機関としての体制を整えたい。陸運事務所が担任しております行政事務というものは、一地域の問題ではなく、やはり広域行政性格を多分に持っておりますので、これは運輸省出先機関としての体制を整えることのほうが、行政の円滑をはかる上においても適当である、こういう考え方に立っております。ただ、関係省庁との間に調整を要する点等がございますので、目下関係省庁との間に調整をはかりつつある実情でございまして、私としては、最も近い機会にこれをはっきりした体制に改めたい。地方陸運事務所職員等も、この問題についてはいろいろ不安な気持ちに置かれておるようでございますから、一日も早く地方陸運事務所職員等が安心した気持ち行政に専念できることの体制を至急に確立したい、かように考えております。これに対する見通しも十分持っておる次第でございます。   〔委員長退席伊能委員長代理着席
  5. 大出俊

    大出委員 たいへんはっきりした御答弁をいただいたわけでありますが、関係局長さんがおいでにならぬようでございますけれども部長さんがお見えになっておるようでありますから承りたいのでありますけれども、過去に警察行政のような形になっておった時代がありまして、終戦後またいろいろ変化してまいりましたが、要点をとらえての移り変わりの経緯をまずもって御説明を賜わりたいわけですが。
  6. 深草克巳

    深草政府委員 所管の自動車局長が隣の委員会に出ておりますので、官房長の私から経過を御説明申し上げます。  戦前は、自動車運送に関する地方行政は、主として地方長官が担当いたしておったわけであります。実質的に事務をやりますのは、各都道府県警察所掌をいたしておったわけであります。ところが、昭和二十二年三月二十二日、臨時物資需給調整法によりまして、自動車用の石油の資材配給割り当て制度ができたわけであります。それを、当時鉄道局自動車事務所というものがございまして、これが各都道府県庁の所在地に設置されまして、同じく二十二年の五月十五日に、自動車運送事業等監督事務都道府県から移管をされたわけであります。次いで昭和二十三年一月一日に旧道路運送法が施行されまして、先ほど申しました鉄道局自動車事務所廃止されまして、運輸省支分部局でございます道路運送管理事務所というものが、各都道府県に五十三カ所設置をされて、自動車輸送管理行政車両管理行政及び自動車に関する資材行政所掌をいたしております。このうち、東京ほか九カ所は、特定道路運送管理事務所として広域行政をつかさどっております。管理行政現業管理を分離するGHQの方針に基づきまして、昭和二十四年六月一日に運輸省国鉄が分かれまして、それぞれ運輸省及び公共企業体国鉄として発足をいたしました。それに伴いまして、地方におきましては、従来鉄道局所掌いたしておりました鉄道監督行政通運行政等と、特定道路運送管理事務所所掌いたしておりました自動車行政とを併合いたしまして、九つの地方陸運局が置かれたわけであります。運輸省設置法に基づきまして、同年の八月一日から道路運送管理事務所にかわりまして陸運局分室が設けられまして、末端における自動車行政を担当いたしております。その際、当時のGHQ占領政策一つでありました都道府県、市町村への権限委譲のサゼスチョンによりまして、各省それぞれやむなく権限の一部を地方に委譲することになりました。出先機関地方委譲のための措置が閣議了解されまして、通産局の分室及び陸運局分室が、同年十月三十一日限りで廃止をされまして、十一月以降は分室事務は全面的に都道府県に委譲することになりました。一方、自動車行政国家事務としての重要性にかんがみまして、関係職員地方事務官地方技官その他の国家公務員といたしまして、知事直属独立機関を構成することになったわけであります。続いて同年十月に陸運局分室地方委譲に伴う職員の処遇その他に関する件が閣議了解されまして、将来における国家行政地方行政の再配分の問題が考慮されたわけでございます。昭和二十四年の十一月一日に、前記の閣議了解の線に沿いまして、地方自治法施行規定に基づきまして、都道府県規則によりまして、各都道府県に一カ所、ただし北海道は七カ所でございますが、計五十二カ所の陸運事務所設置をされまして、陸運局分室廃止をされたわけであります。陸運事務所は、知事に直属する独立した外局的な機関でございまして、その所掌事務は、陸運局分室事務を引き継いでおります。なお、陸運事務所のこのようなあり方につきましては、その後数次にわたりまして行政管理庁勧告において、その変則的な性格を改めるような指摘がなされております。最終的には、先生も御質問なさいましたように、行政管理委員会からああいう勧告が出たわけであります。
  7. 大出俊

    大出委員 そうしますと、今日五十二カ所あるわけですが、歴史的な過程がいまの御説明のようにありまして、私が一つ非常に心配するのは、かつての警察行政一環のような形をとっていた時代経緯を調べてみますと、きわめて非民主的であると思われるような現実幾つもあったように耳にするわけでありまして、一つ間違うと非常にむずかしいことになる。今日の経緯過程では、おそらく自動車行政の一元化というふうなものが一つ念頭にあって、形の上では都道府県知事下部機関のごとき状態に置かれておりますけれども、その実態は、人事にしても予算にしても、運輸省所掌をしておる。職員身分も、したがって国家公務員である。こういう事情が現実にあるのだろうというように思うわけでありまして、そういう点からいたしますと、私のほうの党も慎重にこれは検討しておるところでありますけれども、先ほど大臣の言われるように広域行政と、こういうようなことばを使われましたが、その行政面広域行政という問題は別として、自動車行政という面からいたしますと、それをおのおの分離をするということから起こる弊害、相当これはいろいろなものが出てくると私は思うわけであります。それを所管される皆さんの立場から見て、一元化すべきであるという立論に立たれるのか、あるいは都道府県に委譲されたとしても、自動車行政全般から見て特段の支障はないと御判断なさるのか、そこのところを明確にしていただきたいわけであります。
  8. 深草克巳

    深草政府委員 私どもは、大臣が基本的な考え方を述べられましたが、当初から、従来の経緯その他も勘案しまして、これは絶対に——地方事務官制度廃止という臨時行政調査会策申自体については、異論はございません。非常にぬえ的な存在を解消するという意味においては賛成でございますが、ただ、その際にそれを地方に移すというような解決方法については、われわれとしては反対でございまして、あくまでも運輸省名実とも直轄化の方向で進んでおるわけでございます。  そのわれわれの反対の理由でございますが、一つ自動車登録業務でございます。これは、ほかの、たとえば法務省の直轄不動産登記とかあるいは法人登記運輸省でやっております船舶の登録とか、そういったものと同じように、国が全国的に統一した観点で行なうべきであるということが第一点でございます。第二点は、自動車検査でございますが、これは自動車安全確保というような観点から、一つは専門的な技能、知識を要するということ、あるいは均衡論から言いましても、鉄道車両や船、航空機、これらの各輸送機関を全部運輸省直轄機関でやっておる。そういったバランスの関係もございます。また特に、自動車の増加に伴いまして、検査施設拡充、あるいは要員の拡充、こういった問題が、かりに地方移管された場合には、貧乏県ではなかなかそういったことができない。したがいまして、全国的に見た場合に、地方によりまして非常にちぐはぐな施設整備状態が出てくる。これでは自動車の安全が確保されないというのが第二点でございます。それから一部行なっております道路運送事業に対する規制監督の問題でございます。これは先ほど大臣からも申されましたように、いまや自動車動き方は、御案内のように一都道府県にとどまる問題ではございませんで、そういった観点から、ぜひこれは広域行政一環として、つまり陸運局下部機構として監督を行なうべきであるというのが、第三点でございます。こういった意味から、私どもはぜひ早急に国の支分部局として陸運局のもとに名実ともに置きたいということでございます。  それから、これは理屈の問題ではございませんが、人事管理の問題から考えますと、地方職員が行きますと、もうその都道府県でかたまってしまうのが通例でございます。そうしますと、たとえば検査官がだんだん年をとりまして、検査課長になるとかあるいは所長になる。それでその府県だけで終わりになるわけでございまして、さらに陸運局には七つか八つの圏がございますが、そういったところをうまく人事交流といいますか、あるいは陸運局陸運事務所との間の人事交流、こういったことで、おのずから本人の昇進の道も開けまして、励みも出るというような問題、つまり職員の士気に非常に影響する問題もございますので、そういったいわゆる理論外の問題もございまして、われわれとしては、先ほど申しましたように、名実ともに国の支分部局としてやっていくという希望を持っております。
  9. 大出俊

    大出委員 これは大きく言って二つに分かれると思うのですが、一つ行政面からくる筋の問題があると思うのです。もう一つは、職員身分その他を含む具体的な問題があるわけです。そこで、整理する意味でお聞きしたいのですが、今日この地方事務所がやっている中心的な業務は、これは道路運送法あるいは車両法、いろいろ関係法律がございますが、何と何と何だということをずばりと提起をしていただきたいわけでございます。
  10. 深草克巳

    深草政府委員 これは陸運事務所人員配置からいいまして、仕事量中心登録検査でございます。そのほか、先ほども申しましたように、道路運送法に基づきまして都道府県知事が行なう業務がございます。たとえばハイヤータクシー増車の問題とか、あるいは、バスの停留所をどこへするかというような、そういった問題。比較的軽微な問題ではございますが、これも陸運局仕事も非常にふえておりますので、なるべく地方におろしたいというようなことで、われわれとしては、輸送業務と言っておりますが、そういったいわゆる道路運送法に基づきまして、都道府県知事に委任している仕事事務所で行なっているわけであります。
  11. 大出俊

    大出委員 そうすると、登録並びに検査、あるいはハイヤータクシー増車その他の輸送業務というふうなことがおおむね中心になる、こういうことになるのだろうと思うのでありますが、現在の実態として、都道府県知事権限、こういう形で一つありますけれども専決事項のような形で事務所長が実際には仕事をやっておられるように見えるのでありますが、私は、まさに知事権限というのは形式的であって、ほとんどの事務手続その他は知事手元を経由しないで現実に行なわれているように受け取れるわけでありますけれども、そこらはどういうふうになっておりますか。
  12. 深草克巳

    深草政府委員 その点につきましては、先生の御指摘のとおりでございまして、ほとんどの都道府県権限委任をしておる、判こを預かっておるというのが、実情でございます。それと、ほかの地方事務官と違いますのは、ほかの地方事務官は、特に同じ県庁の建物の中に一緒に住んでおるわけでございますが、陸運事務所の場合には、全部別の個所に住んでおるわけでございます。  それから、ほとんどの都道府県と申しましたが、一、二例外はございます。私の記憶に誤りがなければ、たしか京都府だったと思いますが、これもほんとうにこまかい問題でございますが、一時白タクがはやったときに、白タクをつかまえまして車両使用停止処分をやったことがございます。その際に、その点だけにつきまして、たしか京都府では知事室側も出向いてきて、その処分だけにいわゆる知事側のほうで判こを押したというような例がございます。そのほかは、ほとんどこちらに委任されております。
  13. 大出俊

    大出委員 そういう例外はありましょうけれども、逆な例外で、たとえば長野県のように、県知事は名前を出さぬ、事務所長が全部やっておるというふうなところも、これまたあるわけでございます。知事判こ事務所長のところに預けっぱなし、特殊な判こ一つ置いてある、こういうふうになっておるところが大多数、こういうことだろうと私は思うわけであります。そこで、いまのお話の登録なり車検なり、こういうところが一つ大きなウエートを占めている。これは法的に突き詰めてみると、登録することによって、車というのは使用者所有者があるわけですね、したがって、第三者に対する法律的な対抗要件が伴うわけです。こういう点等から見ると、各県ごとばらばらでは、非常に困ったことになりはせぬかという問題が一つある。  それからもう一つ、これに伴う事故対策ですね。これも何かやはり一元化されたものがないと、ナンバー登録その他ですから、これまたいわば何かあったときに、さあどこにその車が行ったか見当がつかぬというような問題が出てくる。そういうふうな面で、登録業務そのものをながめてみても、一貫性がなければならない必然性があるような気がするわけであります。その点について一つお答えをいただきたいのと、それから検査なんかにつきましても、これは施設等も含むと思うのでありますけれども自動車の少ない県、あるいは山ほど密集している県等々と、これはございましょう。そうなりますと、これはそのための特別会計みたいなものをつくっている面もございますから、そうなりますと、施設についても、金があるところ、ないところ、千差万別になっていくということは、どうも私は感心しないような気がする。となりますと、やはりそういう平準化と申しますか、全国均衡一つ求めるということになりましょうか、そういう面からやはり何か一貫したものが必要になるのではないかというのが、第二番目の疑問点です。  さらに第三番目は、そうはいっても車両法なりあるいは運送法なりあるわけでありますから、法律的に地方規制することはできるじゃないかということも一つ考えてはみたのですけれども、しかし、今日、各種の法律がございまして、それが自治体を拘束する形のものもありますけれども自治権というものと競合いたしますから、してみると、条例等によって一つ規制自治体で行なわれた場合に、はたして行政指導という面が、それとの競合の関係でどこまで一体徹底できるかという点については、今日までたくさんの事例がございまして、徹底を欠く、また欠いてあたりまえ、こういう今日の行政的なたてまえ、自治権のたてまえになうておるというふうに思うのでありますが、そういう面からも、一つやはり一貫したものが出てくる必要がある、そういう気がするわけであります。これが三つ目であります。  時間の関係で列挙をいたしましたけれども、もう一つだけあわせて承っておきたいのは、保険行政等関係をおそらくいま官房長は言われたのだろうと思うのでありますけれども、これと今回の陸運事務所等の問題は、私は本質的に何かありはせぬかという気がするのであります。というのは、保険行政なんかの面からいきますと、各自治体一つのセクションがあるわけでありまして、それとの関係において行なわれるというところに、一緒のところにいて事務をとるということで出てくるわけであります。ところが、先ほど冒頭幾つか申しましたように、ほとんど知事手元を、権限的なものは別といたしまして、経由しておらないという今日の実態等からいたしますと、そこに大きなやはり実情の開きがございます。  私はいま指摘したような疑問点を持っているわけでありますが、こういう点を皆さん方のほうでどういうふうにお考えになっておられますか。
  14. 深草克巳

    深草政府委員 先ほど御指摘になりました点につきましては、私どももそういった点を非常に心配をいたしておるわけでございます。  まず登録でございますが、自動車は広域化しているとともに、非常に転々と譲渡されるというような問題もございます。また、それに伴う犯罪もございます。われわれとしましては、地方にかりに移管した場合に、その点を非常に心配しておるわけで、たとえば国の支分部局一つ系列下にある場合には、Aという県からBという県に移った場合にも、陸運局を通じまして連絡が非常にスムーズにいく。それが地方に移った場合に、はたしてそういった円滑な——これは通信施設の問題もございましょうが、円滑な連絡がはたして可能かどうかというような点を非常に心配をいたしております。  それから検査施設の問題でございますが、これは冒頭に申し上げましたように、各県ばらばらであってはいけないということから、検査登録特別会計をこの前つくったわけでございます。この趣旨は、たとえば貧乏県が金を出せなくて検査が粗漏になるということを防ぐために、富裕県であがりました手数料を貧乏県に回しまして、各県とも平準化していくということが最も大きなねらいでございまして、ようやくそれを緒につけて、曲がりなりにも各個所人員施設とも充実をはかってきている次第でございます。  それから法律による規制地方自治との関連でございますが、これはいろんな他の法律によります問題は、私ども横から見ておりましても、特にこういった陸運行政につきましては、これがはたしていろいろ地方のいわゆる政治的な問題もからんでまいりますので、そういった意味からいいまして、はたして行政指導が行き届くかどうかということは、非常に私どもも懸念をいたしておるわけでございます。そういった観点から、地方に委譲した場合のマイナス面が非常に大きかろうということを考えております。  それから保険行政につきましては、私ども何にも申し上げなかったわけでございますが、どういったことでございましょうか。
  15. 大出俊

    大出委員 大体わかったわけでありますが、ここでもう一つ念を押しておきたいのは交通事故、いまの事故対策ですが、何か聞くところによりますと、各県別になっているというと、番号照会その他いろいろ困った問題が出てくるというようなことで、全国一連番号登録のようなことを考えているような話も聞くのでありますけれども、それもやはり事故対策の万全を期すということのためには必要な気がするのでありますが、そういうふうなお考えがあるのかどうか、あわせて承っておきたいと思います。
  16. 深草克巳

    深草政府委員 登録照会とかいうものは、非常に件数も多くなりまして、事務合理化と、それから盗難防止とか、交通事故対策とか、あるいは犯罪捜査とか、そういった観点から電子計算機を使いまして、全国統一的にやるということでございます。詳細につきましては部長から答弁させます。
  17. 宮田康久

    宮田説明員 いまの電子化計画でございますが、全国にいま各事務所ごと登録原簿を置いてありますが、これを全国一本に電子機械に入れまして、たちどころにどこの車でも中央で全部わかるという計画をいま進めておりまして、四十年度から準備に入りまして、四十一年度から五カ年計画完成させたいと思っております。
  18. 大出俊

    大出委員 私は、そのことによる現場の人の動きその他気になる点もたくさんあるのです。また一面、逆に私は人事院規則その他よく知っているほうなんですけれども夜番号照会がやたら入ってくるなどということで宿直勤務なるものがきわめて変形させられてしまうのですけれども、これは逃げ場として、人事院が一昨年の十二月ですか、人事院規則を新たに出しまして、旧来の行政解釈とは違ったものを考えて、かつ所轄庁の長にある意味裁量権を与える形でこれは明らかに逃げたんですが、そういう点等とあわせて何とかこれは合理的な解決をはからなければいかぬ問題だと思っているのですが、しかし、それらのその場その場で起こる人の配置動きなどという困った問題、心配の問題もありますが、しかし、大きな筋で考えれば、今日の事故対策の万全を期す意味で何らかを考えなければ、三十年ごろからどんどんふえてきた今日の自動車そのものをながめたときに、行政面の責任という問題も出てまいりますから、それにしても、それはやはり一つの一貫した思想を持つ行政あり方というものが求められてくる、こういうふうな気がするのであります。もう一度あわせて承っておきたいのですが、いわくJAFと申しますか、これも事故関連を持つわけでありますが、ジャパン・オートモビール・フェデレーションなどというものがございますが、外国の例からいきましても、故障した場合に、その施設を積んで、そこまで出かけていってたちどころに直すということになるのですが、これも施設の規模その他を考えますと、小さい地域では成り立たない仕事だということになります。そうなりますと、この辺からいきましても、何か一貫性ある行政形態がないと、将来に向かって自動車行政というものは前進をしないのではないかという気がするのでありますけれども、そこらあたりについてお気づきの点がありましたら、あわせて御答弁いただきたいと思います。
  19. 宮田康久

    宮田説明員 いまお話のとおり、自動車がどんどんふえてまいりますと、お話しのとおり自家用車のウエートが非常に大きくなりまして、諸外国の例を見ましても、八割、九割は自家用車ということになり、自家用車に対する事故対策というものは、なかなか問題でありまして、やはり組織化が必要でございます。その点、先生がいまお話しがありましたとおり、アメリカにおきましても、イギリスにおきましても、ヨーロッパ各国におきましても、自家用の組織——いまお話しのJAFは日本の組織でありますが、これに類した組織がございまして、路上で故障を起こしましたときには、直ちに救援をし、故障を直す、そういうようなロードサービスの面その他非常に活躍して、安心して車が使える、あるいは車を使う人に対しての安全指導その他非常に活躍している組織が各国にございます。そこで日本におきましても、御承知のとおり、最近自家用車が非常な増加ぶりでございまして、それに対しましての処置といたしまして、運輸省といたしましても、運輸省の公益法人として、四年ほど前、いまお話しのJAF——日本自動車連盟という組織を法人の許可をいたしまして、ただいまのところ会員数約五万になりまして、東京を中心としました関東地区から、名古屋を中心としました東海地区、さらに大阪を中心としました近畿地区まで、いまロードサービスのネットを拡大しております。さらに、本年から来年にかけまして、中国の地域、九州の地域、北海道の地域、順次なるべく早い機会に全国のネットを完成いたしまして、事故防止の面でも万全を期したいと、運輸省は大いに督励をしておる際でございます。
  20. 大出俊

    大出委員 ところで、先ほどの広域行政ということについては別途私は意見がございますし、またいまのJAF自体についても意見はいろいろあるのです。あるのですが、とにかく今日これだけふえてきた交通事情その他を考えますときに、何よりも優先しなければならないのは自動車行政そのものだろうと私は思っているわけでありまして、それがどうも後退をするということは好ましくない。そういうたてまえからすると、いまいろいろ例をあげましたような点で御答弁いただきましたが、私は、むしろもっと積極的な面でそのことはこれから改革をし、考えなければいかぬ、こういう段階に来ていて、あわせて陸運事務所というものはあまりといえばお粗末過ぎる状態である、労働条件も悪過ぎるという実態にある、だからむしろそれを何とか金をかけて直していかなければならぬ、こういうふうに思うわけなんですが、地方移管ということになった場合に、今日の窮迫した自治体の事情の中で、はたしてそこまでの手がつくかどうかという点、皆さん運輸省でございますから、おそらく即座に貧乏県に何ができる、こう言うのだろうと思うのですけれども、その感情を離れて冷静にお考えになって、私がこういうことを申し上げるのは、将来どうなるかわかりませんが、いずれにせよ、もう少しいまの事務所は何とかしなければ、これは働く人間だってたまったものではないという気がするので、あわせて申し上げているのですけれども、そこらのところを地方移管ということを前提にひとつ考えてみたときにどういうことになるだろうかという点を、他のセクションからまた伺いたいと思っているのですけれども皆さんの立場からひとつお聞かせいただきたいと思います。
  21. 深草克巳

    深草政府委員 御指摘のありました陸運事務所の充実の問題でございますが、私どもも、その点につきまして決して満足すべき状態とは思っておりません。したがいまして、それを改善するためにも、特別会計というものをつくりまして、ささやかな定員増あるいは施設の増ではございますが、それも特別会計ができます以前に比べますと、格段の進歩はしておるということで、今後も、その点につきましては運輸省全体をあげまして努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  22. 大出俊

    大出委員 私は横浜ですけれども、横浜の陸運事務所へ行ってみましても、これはぼろの建物のせいもありますけれども、まさにたばこの煙が人の顔が見えぬくらい充満してしまって、本来ならば陸運事務所の諸君がやらなければならぬ仕事を、業者の諸君が一々やって出す。さらにまた、登録なんかにしても、セールスマンをおやりになっている方々が、月末になりますと、収入等の関係があるということで、どんどん登録申請をする。そうして登録させておいて、売れればよし、売れなければ、会社名の登録ですから、抹消をする。そのたびに事務はふえる。むしろ移管云々の前に、こういうふうな問題こそ、ずいぶんむだな行政費を使うわけですから、何とか規制をし、解決をするくらいのことまで考えなければならね世の中だと私は思っている。そのしわはどこに寄るかといえば、みんなそこに働いている人に寄る。そういうことまで含めてきめのこまかな対策を立てていただかなければ、あまりといえばあまりという感じが、私は事務所に入っていってみてするわけですよ。  それはそれとして、いまの御答弁でわかりますように、予算の範囲に縛られるでしょうけれども、前向き、積極的に御努力をいただくという御答弁ですから、それはぜひそういうふうにお願いをしたい、こう思っているのですが、あわせて、移管に伴う身分の不安定——大臣も先ほどお話ございましたように、たとえば検査なんかにしても、特殊技術、特殊技能でございますから、これが地方移管をされてその中に入った場合、特殊技能を生かして仕事をするという形で人も限られてしまう。そうすると、行くことになっても、さあ課長になるわけでもなければ、部長になるわけでもない、一生そこに埋もれてしまうということになりかねない心配も、一面ございます。直接聞いてみても、そういう心配をされる方もおります。さらにまた、何か横から入ってきたかっこうになりますから、加えてこの予算の窮迫している自治体の事情等からいたしますと、いわば埋没することになる、こういう面が一つございます。さらにもう一つ陸運局なり陸運事務所なりの交流をはかられておるということになりますと、かつ、陸運局陸運事務所の相互の交流をはかるということによると、九州の大臣の足元の福岡の原田近辺の人が東京に交流で出てきて、そこでやっている。今度は、自治体側に移管されるということになると、そこに行かなければ仕事がないのですから、いつの日か福岡に帰りたいと思っておっても、自治体職員になってしまうということになりますと、これは帰りようがない。何年かこっちにつとめて帰ればいいのだということで、女房を向こうに置いてあるということが出てくると、これは一つの悲劇を構成する。人道上の問題にもつながることになる。一つ間違えばやめてしまえということになる心配も、一面人事の面ではございます。それらの点について、皆さんのほうでお気がつきになっておれば、御答弁をいただきたいわけです。
  23. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、この陸運事務所の問題は、先ほど申しましたように、中央の運輸省出先機関として整備するということ、同時に、自動車が非常に急速な増加状態でございますので、陸運事務所施設も整えるということが一つ。それから、やはり人員を整備するということが第二点。それから、業務をやっております実態を視察してみますと、労働環境がきわめてよろしくない。こういう環境の整備とか、あるいは労働条件も過重労働にならないように配慮してあげなければならない。そういうことを考えますときに、陸運事務所がやっております業務に対しても、これは一つの整理と申しますか、くふうがあるのではないか。地方の事業団体等に、自動車の整備の業者の組合等を厳重な条件等できちっとしたものをつくらせて、そういうところにある程度移管するとか、そしてそれの監督行政をやっていくとか、いろいろ業務の内容にも整理を加えて、そして労働過重になっておる実態から抜け出させるというような配慮もやはり必要だ。それから、私は組合等の人たちと直接接触して意見を聞いてみますと、ほとんどの人がやはり国家公務員として中央の出先機関としていただきたいというきわめて強い要求を持っております。働いておる人たちのこの気持ちというものは、他の行政に支障がない限り尊重すべきである、こういう考え方に立ってこの問題は解決していきたい、かように考えておる次第でございます。
  24. 大出俊

    大出委員 時間が貴重でございますから、かけ足でものを申し上げますが、党としていま慎重に検討中であることはさっき申し上げたとおりなんですが、私も気になりましていろいろ方々聞いてみたのですけれども自治体の側でも、県によりましては、仕事はとってもよいけれども人は要らない、こういう県もある。山梨県などそうのようでありますが、そうしますと、陸運事務所には六百人も人がいるということになっているのですが、人の問題でまたぶつかるところが出てきそうな気がするわけであります。愛知県のように、人も要らないが仕事も要らないというところも出てくるということになると、この面からくる摩擦も考えられる。これはあげていけば切りがない。私も知った人たちにいろいろ聞いてみたのですが、ずいぶんこれはいろいろ問題点が多過ぎるような気がするのであります。それから、トラックなんかにつきましても、料金の面で陸運局長の権限だとか、さて路線は大臣だとか、いろいろあるわけですね。すると、これはこまかく当たっていきますと、ずいぶんとその面からも問題点が出てくるような気がする。さらに、自治体は、いまの特別会計で、さっきのお話もありましたが、手数料なんというものも貧乏県は上げかねないということになる。となりますと、これは公平を欠くことになる。そういう心配も一面出てまいります。たくさん問題があるわけで、列挙したら切りがございませんが、検査なんかにしても全然ばらばらでやっておったとか、いろんなことがあります。したがいまして、どうもそういう問題点が多過ぎるという気がしてならないわけなんです。  そこで、この辺でひとつ承っておきたいのは、外国の例からいたしまして、アメリカなんかの場合に、各州でやっておった形のものが、だんだん自動車行政が複雑になるに従って、どうも各州まかせでは無理ではないかということで、国全体として一つの一貫した体系をつくる必要があるというふうに動いているという現実ども耳に入るのでありますけれども、そこらのところを皆さんのほうでどういうふうに把握されておるのですか。
  25. 宮田康久

    宮田説明員 今月の初めにアメリカの大統領が議会に教書を送っておりますが、それによりましても、いままで相当多数にわたっておりました関係個所を集めまして、一元的に交通行政をやる必要があるということで、交通省の設置問題、さらに保安行政をもっと進めなくてはいけない、そういう意味で保安行政機構をさらに別途つくるべきだ、あるいはさらにいまお話のありました検査の問題でありますとか、自動車の安全性、公害の問題でございますとか、こういうものの規制を連邦として明確にして、さらにその研究機関あるいは試験機関を連邦がつくって、そこで十分なる車のテストもして、そうしてメーカーに対しまして指導をし、安全上の問題、それから公害上の問題についてもメーカーを強力に引っぱっていかなければならぬ、大ざっぱに申しましてそういうような内容の教書を出しております。各州にまかしておったのではいかぬ、どうしても一元的にやる必要があるということを強調しているということを最近見ました。
  26. 大出俊

    大出委員 行政管理庁の方がお見えになっておられると思うのでありますが、私、ちょっと承っておきたいのですが、神奈川は昨年いろいろこの問題について調査をされておるようでありますが、最近一応の調査を終わって検討段階、おそらくこういうことだろうと思うのです。そこで、臨時行政調査会でいろいろ討議が行なわれて、いろいろなものが出ておりますが、たとえば許認可事務の簡素化であるとか、地方事務官制度というものをどう扱うかとか、あるいはこういうようなものを地方移管をすべきであるとかいろいろあるわけでありますが、それらは大筋を一つの方向としてきめていくという立場から、ものを論じられておられる。それなりに原則的にはわかるわけでありますけれども、さて実態は動いておりますから、その大筋に基づく原則はわかるとしても、個個の問題については、また別な角度から一つ一つ検討してみなければならぬ問題が多いわけであります。今回の国会に出されておる各種法案の中にも、そういう例がたくさんあります。そこで、陸運事務所の問題をめぐって、管理庁の皆さんのほうで、私も知った方がずいぶんおられますが、実際にこの調査に当たった方々が、どうも調べてみると、原則はわかるとしても、非常に複雑であり、むずかしい、かつ一面に、切りかえるとなれば相当摩擦を生ずるであろう、相当な摩擦を生じさせて、かつ窮迫した自治体の財政を考えると、それでもなおかつ地方移管をするというふうなことが必要なのか、一体どれだけの効果があるのだろうかという疑問を持たれている、調査をされた個々の方々の気持ちも、私は承ったことがございます。そういう点に立ちまして、手続的にこれから一体どういうふうな運び方を管理庁の皆さんはおやりになろうとお考えかという点を聞いておきたいわけでございます。大臣がお見えになっておりませんから、あまり政治的な御答弁はいただきかねると思いますので、そういう意味事務的な面を含めて、どうお考えになっているかという点を御説明いただきたい。
  27. 稲木進

    ○稲木政府委員 御承知のように、臨時行政調査会が一昨年の九月に「行政改革に関する意見」の提出が政府になされたわけであります。その中でいろいろの項目がございますけれども行政事務の配分という問題に関連して、地方事務官の問題がその中に含まれて提案されております。行政事務の配分をどういうふうにするか、国が直接行なう事務、それから地方公共団体等に委任して行なわせる事務、この振り分け方をどうするか、こういうようなことで、それについては臨時行政調査会では、現地的な業務あるいは国民に密接したような行政の分野というものは、できるだけ地方公共団体にまかせてやらしたほうがいい、それが原則的に正しいのである、こういうような提案があるわけでございます。その原則としましては、御承知のとおり、いわゆる現地性とか、経済性とか、総合性とか、いろいろな点をあげておるわけでありますが、それの適用の問題として、この行政についてある程度言及をいたしております。その中に、御承知のとおりに現在地方事務官の形で知事機関委任されている行政、たとえば車検登録関係事務とかなんとかいうものが列記されているわけでありますが、運輸省関係行政について特に臨調が指摘されております事検登録業務は、要するに現地的な業務であり、したがってそういう原則に当てはめてこれは地方にまかせるべきである。現在も一応法律のもとでは知事機関委任されておるわけでありますけれども、そういうような意味ですっきりとした形でまかしたらどうか、こういうこと。もう一つの点は、これも御承知のところでございますけれども、いわゆる府県の区域を範囲として運送しているたとえばハイヤータクシーだとか、あるいは区域関係の貨物の運送業務、こういうような行政知事機関委任したらどうだ、こういうような、主として二つの項目があると思うのでございますが、そういうような提案がなされております。そういう問題につきまして、政府としては、臨時行政調査会の答申は一応原則的にはこれを尊重するたてまえで受けておられるわけであります。そういうようなことでございますので、臨時行政調査会廃止されました後に、行政管理庁行政監理委員会が発足しまして、そしてその行政監理委員会は、臨時行故調査会の答申の実現を推進するというようなことが第一の方向、そういうことで今日までいろいろとこの審議をされておるわけでございます。昨年の暮れに、この臨時行政調査会の答申の事項の中で、この地方事務官制度の問題を一つ取り上げて、そして臨時行政調査会の答申の方向で実現するように持っていくべきであるという考え方で、行政監理委員会から行政管理庁長官に、この問題は早急に調査して、臨調の方向でひとつ実現するようにしてもらいたい、こういうような意見の提起があったのでございます。行政管理庁長官としては、その行政監理委員会の意向を受けて、われわれに実態調査を命じられたわけであります。こういうことで、現在、私ども行政監察局のほうでその調査を受け持っておる、いきさつはこういうことでございます。  非常に長く申し上げましたが、われわれは実はその点の命令を受けまして、昨年の暮れから一昨年の暮れはほとんどまだ実地調査はやっておりませんが、主としてことしの一月の中ごろから現地調査をやっております。全国的に全部網羅的に調査するのはわれわれとしても不可能でございますので、ある代表的な地域を選びまして、そうして一わたりの現地調査は終わったという段階でございます。お話のように、地方事務官の問題は、運輸省関係、それから厚生省関係、労働省関係と、三つ種類がございますが、実態が非常に違っております。そういう点で、共通面というものは非常に少ない、そういうこともございますので、調査の内容も非常に複雑でございますし、広範にわたりますので、私ども一わたりの調査は済みましたけれども、それらの調査の結果に基づきまして、もう少し補足的に調べたいことがたくさんございます。目下その補充の調査をやっているという段階でございます。私ども、これらの調査が大体終わりましたならば、ひとついろいろと整理、分析、検討するというふうにやっていく段取りにしております。実は長官からも、この問題はいろいろと各方面に関心を持たれ、また影響もあるようだから、なるべく早急に結論を出す必要がある。したがって、なるべく早く調査をやれというような督励を受けておるわけでございます。私どもそういう方向でいま一生懸命努力いたしておりますが、まだ内容的にはっきりわれわれの確信を持った結論を実は得ておらない。今後の進め方といたしましては、一応われわれのほうでいま申し上げました調査結果を整理、分析、検討しまして、その結果によりまして、この問題を調査したいきさつが、さきに申し上げましたように、行政監理委員会からの提案によって長官が取り上げられた、こういうこともございますので、調査結果は、いずれ監理委員会にもこれを報告して、そしてそれを長官がいかように裁断されるかというような段取りだと思っております。大体以上のようなことであります。
  28. 大出俊

    大出委員 時間の関係がございますから、この問題はこの辺で打ち切りますが、いまのお話を承りまして、経緯はよくわかりました。また、せっかくの御努力をいただいた結果として、労働関係やあるいは厚生関係、保険事務等の分野と、それから陸運関係等の間に、非常な違いがあることはおわかりになったと思う。いまのお話にもございました。かつまた、非常に複雑であるということも御承知のようでございますし、共通点が非常に少ないという点も御指摘のようでありますから、たいへんこれは調査の結果として、そこまで進められたのだろうという意味の理解ができるわけであります。要するに行政監理委員会ができていろいろやっていられますけれども、あの答申自体が、机の上の議論をまとめた形になっておりますから、許認可事務の簡素化といっても、何もかも当てはまるわけでもない。現実に即して処理する必要が出てくる問題だと思うわけでありまして、たとえばスキーバスなんか最近やたらにはやりますけれども、うしろのほうにスキーを一ぱい載せますから、非常にかっこうの変わったバスが走っている。いなかはいいのですが、町中は非常に狭いですから、たいへんむずかしい問題が起こる。やはり何か一貫したものがなければならぬという、それだけとらえても問題があるところでございまして、そこら辺はとくと、最近も私のほうの党も慎重にと申し上げましたが、どうかそういう長い間かかってまとめられた調査会答申は、尊重するたてまえをとるとしても、それが実態調査その他を完全に行なった上での答申でない限りは、やはりひとつ御努力をいただいて、実情に即するという面の結論というものを合理的に求める必要がある筋合いだと私は思いますから、長官がおいでになりませんので、政治的な点は御質問いたしませんけれども、くれぐれもこれは慎重にお進めを賜わりたい。また、運輸当局のほうは、きわめて明確な御答弁をいただきましたが、そういう点で十二分にひとつ内部的な御相談を、大臣にも特にお願いをいたしておきたいと存じます。時間の関係がございますので、この問題はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。  それから次に、なるべくかけ足で片づけていきたいと思うのでありますが、港湾局長さんのほうに承っておきたいことがございます。それは、四月の一日、つまり本日以降、七月目途に実施をされる港湾労働法との関連で、この登録が始まるわけでありますが、これをめぐりまして、非常に困った問題が起こっております。その数点を指摘をいたしまして、これは海運局の皆さんのほうともからんでまいりますし、大臣にも御答弁を賜わりたいところでございますが、具体的にひとつ、時間を倹約いたしまして、幾つか列挙をいたしておきますので、御答弁をいただきたいわけであります。  まず、一番問題になりますのは、三年間の猶予期間を置いて、運輸省皆さんが苦労をされて港湾運送事業法の改正等が行なわれ、届け出制になっておりましたものを免許という形に切りかえられて、その免許をするについての基準らしきものもでき上がって、たとえば足船がなければならぬとか、フォークリフトが必要だとかいうような、業者に対するそういう一つの基準を設けた。そして業者の免許をしてきたわけであります。三カ月の猶予期間をさらにつけておやりになったはずであります。前回私が御質問申し上げたところが、九十数%の免許率、こういうお話がございました。まあ訴訟等が行なわれているものもあるような話も承っておりますが……。ところが、一面では、三・三答申を受けての業に対する基準等があるのだが、しかし、その基準どおりに事が運ばれていなかったと見られる節もある、これは心配も含めまして。たとえば、足船がなかったり、フォークリフトも完全なものがなかったりしているのだが、しかし許可されている会社もある。そういうところは再下請ぐらいしかできない会社ですから、さあ今度は四月一日の登録の段階になりますと、七月からの実施を目の前にいたしまして、登録の段階になりますと、常用、臨時雇いに分けまして、臨時雇いの面をどうしてもふやしていかなければやっていけないという業があるわけであります。そこに、今回、登録をめぐってどうにもならぬような問題が、私どもながめてみても、港湾労働法というものが有名無実になりやせぬかと心配するようなものが出てきている、こういうわけなんです。  そこで、まず一つ大臣に承りたいのは、これは大臣が御就任以前の問題でございますから、ある意味では大臣の責任を問うということは無理があると思いますから、そういう意味でなくて御質問したいのでありますけれども、免許業者は足船だ、やれフォークリフトだというような形での基準に合致しておるもの、こういうお考えだとは思うのですが、その実態についてお調べになったことがあるのかないのか、ここのところをひとつ冒頭に承っておきたいわけでございます。
  29. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいま免許の基準の実態についてのお話でございますが、私どもは、免許にあたりましては、基準に合致するもののみを免許しているわけでございます。この法律の改正は昭和三十四年で、三カ年の猶予があるわけでございます。したがいまして、三十七年の十月だと思いますが、それが実は昨年の六月までかかりました。しかも、なお現在訴訟を起こされているものもある。そういうように長くかかりましたのは、基準に合致しないものについては免許をしなかったからでございまして、私どもとしては実態に即して免許しておるつもりでございます。
  30. 大出俊

    大出委員 時間がございませんから多くは掘り下げませんが、これはもうお考えいただければいいので、昨日も私非公式に港湾局長さんにはお話をいたしましたので、深追いはいたしませんが、私の足元にある会社が幾つもございまして、私は横浜でございますから、したがってよく知っているわけなんですけれども、足船もなければフォークリフトもない、電話一本で人を集めることしかできないというふうなところ、そういうところは乙仲なんかが多いのでありますけれども、そういうところを免許されておる。しかも、ある会社のごときは、免許をされたときには何もない、あわててあとからぽつぽつ機械などを入手し始めているというところも、今日ある。こういうところは、さらに実態を調べてみると、ほとんど再下請だ。そういうところは、ほんとうは事業法の改正の趣旨からいくと、免許すべきではなかったのではないか、こういうふうに私は考えるわけです。しかし、皆さんの側から合致しないものを許可しましたと言ったのでは、法律違反になりますから、そういう答弁をしろとは申し上げません。しかし、事実そういうことがございますので、そこのところは、とくと皆さんのほうもお考えおきいただきたい。御努力は認めます。つまり、集約化の方向を三・三答申によって出されましたけれども、近代化助成金その他いろいろなものを引き合いに出しまして、港運協会その他に対して皆さんが助言もされ、促進もされたわけですから、そのことを認めないわけではないけれども現実にそういう状態が起こっているということをまず認めておいていただきたい。御存じないということであればそれでもいいのですが、私が指摘するようなことについて、ひとつ腹にとめていただいて、どういうふうにそれらをこれから助成していくかということをお考えいただかないと、せっかく労働法ができましても、そのことの効用が末端の労働者に及ばないということになる。ここを私は心配をいたしますし、将来の港湾事業のあり方として、もう一つの問題がまた出てまいりますから、その点を冒頭にひとつお願いをしておきたいと思うわけであります。  そこで、労働省の課長さんお見えになっておりますので承りたいのでありますけれども、優先班と俗称しておるものがあることは、御存じのとおりだと思うわけであります。旧来は浪人組なんといっていたいろいろなものがございますが、この優先班というものを、横浜の例でまいりますと、登録にあたりまして、常用のギャングの口数が百六十口、これはいまのところ地区安定審議会で論議している中で出てきておるのですから間違いないと思いますが、百六十口でございます。ところが、横浜の荷役集中配船等における荷役全体をながめてみると、ギャング編成でいきまして二百六十八口要るというわけであります。一ギャング大体十八名ですが、そうなりますと、常用による口数が百六十だということになりますと、残りは日雇いだということになる。ここでまず、三・三答申にいわれる四分の一日雇いだという筋からいくと、大きくズレがある。港湾労働法が審議され、かつここで港湾審議会の改組の問題を審議されたときに、私も条件をつけましたが、社労でも条件がつきまして、労働省との間で取りつけができておりますけれども、そのときに非公式にも、あるいはある意味では公式にも、有馬安定局長等の言われたことからすると、その労働省の意図にも合致しない、こういう実情になっているわけであります。それは先ほどの業者との関連が根底をなしている。全部ではありませんけれども、そういうことになる。そこでこのギャングなんですが、つまり優先班なんですが、この優先班というのは大体八十口くらい、つまり臨時雇いで、日雇いで編成しなければならないギャング数八十口、これが一応登録をしたいという形の中で地区職業安定審議会で提起をされているわけであります。ところが、そのほかに全く登録を求めていないやみが、業者の言い分だけで三十口あるのです。そうしますと、通例ならば、業者のほうが三十口と言えば六十くらいになっているはずです。みんなやみからやみであります。こういうことについて、登録と紹介とは別であるなどという意見もあろうと思いますけれども、私はそう簡単にいかない問題を含んでおると思いますので、この辺の実情について御存じかどうかという点をまずもって承っておきたいと思います。  あわせて、地区職業安定審議会が審議をしているのでありますから、してみると、登録についての基準のようなものを——中央が実情を把握していなければ何もできないわけでありますから、労働省なり中央なりで基準になるべきものをお立てになって、何らかの指導をされたり、あるいは助言をされたりというふうなことをおやりになったかどうかという点をまずもって聞いておきたいわけでございます。
  31. 広政順一

    ○広政説明員 ただいま大出先生指摘のとおり、私も横浜に優先班なるものがあることは存じております。港湾労働法で本日から登録業務を開始するということになるわけでございますが、この登録にあたりまして、先生御承知かと存じますけれども、総理府に置かれております港湾調整審議会のほうでいわゆる日雇いの定数というものをおきめいただいて、すでに御答申をいただいておるのでございますが、その数字の範囲内で御承知のように日雇いというのは登録することに相なるかと存じます。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕 ところでいま御指摘の優先班なる問題、これがいわゆる日雇いということ、さらにまたやみと俗称されておりますが、そのほかにも日雇いというものがあるということになるわけでございますが、横浜に関します限り、万国橋の安定所を利用いたしまして、横浜港についての登録の数字というものが策定されております。この数字は、結局横浜港において一体年間を通じて常用が何ぼ、日雇いが何ぼ要るかという数字を策定したものでございますから、その常用何ぼというところを埋める。それから日雇いにつきましては、これは全部登録、その登録がない場合には、優先的に港湾では働けない、いわば安定所が登録日雇い港湾労働者をプールして使う、こういうことになってまいりますので、いま先生指摘の八十口以外のいわばやみ、これも当然私どもといたしましては登録の対象になってくるべきものではないか。その面で都道府県の安定課なりあるいは港湾の安定所なりが、せっかく本日から努力いたしまして、七月一日までにはこの定数に達するように、またそれによりまして港湾運送事業が円滑に行なわれるようにつとめていく、こういうことに相なるわけでございます。したがいまして、その過程で、私どもといたしましては常用か日雇いかという問題、この問題につきまして、結局業者の方々がそれをどのように判断されるか。常用として雇い入れるのだ——常用にはいま御承知のとおり常用港湾労働者証を交付いたしますから、それが実態的にも常用であるようにという指導もいたしておりますし、日雇いなら日雇いということでこれははっきり登録をする、これは個人の希望によって登録するという形で、とにかく常用と日雇いというものをはっきりさせていきたい。これが港湾労働法の本来のねらいでございます。またいま先生指摘のように、総理府に置かれておりました港湾労働等対策審議会におきましても、常用と日雇いの関係は、二五%が日雇い依存率であるという御答申もありましたし、また三月十二日に総理府の港湾調整審議会のほうからの御答申も毎年一〇%ずつを落としていくように——横浜の場合は三〇%をこえているというのが、現実の日雇い依存率でございます。これは私ども、二、三年の計画をもちまして常用化促進、それも実質的な形での常用化促進ということで進めてまいりたい、このように考えております。
  32. 大出俊

    大出委員 いまいわれる三〇%というのは表数字なんで、さっきお話しのように中央で算定をいたしましたのは、港湾労働者が横浜の場合は一万七千五百五十人なんです。そうして日雇い港湾労働者をもって充足すべきものが六千三百八十なんですね。これはそれでいいですが、ところで問題になるのは、もうちょっと掘り下げた実態を知っていただきたいのです。というのは、さっき申しましたように、ギャング編成というのは横浜の特殊事情ですが、十八名編成なんです。まずデッキマン、これがまず上で指揮をしていろいろやる。それからウインチマン、これが揚げ荷装置の運転免許を持って運転する。ここで間違うと、えらい事故が起こったり、けがをしたりする。港湾労働は全国各種事業の事故率のうち最高の事故率を誇っておる。だから、免許が必要なんです。ところが、一ギャング十八名で編成する。それが仕事をするわけですが、一人残らず日雇いだということは一体どういうわけだ。免許を持っていなければならない、しかも重要な仕事をするウインチマン、それからデッキマンはデッキの上で指図をする、これが間違うと事故が起こる。デッキマンも日雇いであり、ウインチマンも日雇いであり、残り十六名が日雇いということになると、責任の所在というものを含めまして、一体どういうことになるか。しかもその十八名の中では、寝番と称して寝る人間ができております。これは十八名の点呼をとるときにはおりますが、終わると、そのうち二人なら二人、三人なら三人——おむね三人ですが、寝かしてしまう。仕事ができない人を連れてきておる。そうしておまえたち三百円ずつやるから——千八百円とすれば千五百円残るし、千五百円とすれば千二百円残る。これはふところに入ってしまう。三人寝て、残りの十五人で仕事をする。現実はこういうことです。みな日雇いです。しかも日雇いで構成する一ギャング十八名を一口世話するあっせん者は、一口千八百円連絡の費用になっておる。早い話が手配料ですよ。一人で三口世話すると、手配料が千八百かける三、それだけふところに入ってしまう。この人は何をやっているかというと、千五十円、千百五十円というようにランクされている自分の分をもらうということですね。こういう現実があるわけですね。それならばどういう業種が使っているかという問題、どういう会社が一体そういうものを使っているか、この問題、まだここで先ほどの免許の基準云々とからんでくるわけですが、そういう実態が現にあって、しかも暴力団の諸君が仕事がなかなかできないようになりましたから、そういう方々が大量に流れ込んでいるという現実がある。そういう方々の中で、やみのギャングの何口というようなものが請け負う形で進められている。しかもそういう中で、いまの風太郎を呼んできて寝かして三百円あてがいぶちをくれて、あとはふところに入れるというようなことが、現実に行なわれている。また、神戸のように、港湾労働法が施行される、だから日雇い確保のための金を寄こせということで、船主と渡り合って金をふんだくるなどというような例が新聞などにも出ましたが、横浜にもその気配が濃厚なんですね。そうなってまいりますと、ある会社の幹部の方のいわく、港湾労働法なんというものは、わしらがけつを振ればどこへでも飛んじゃうんだということを言って、組合とやり合うという段階になると、それとなくおまえたちは命が惜しくないかという言い方をする。そうなると、七月から施行される港湾労働法というものを目の前にして、一体責任ある運輸省なり労働省なりというものは、何をやっているのだということになる。三・三答申というものはどこに飛んじゃうんだということになる。だから、そこまでい言われる表街道の話というものはどういうふうにもできるけれども実態をつかんでいただいて、きょうから登録が開始されるのですから、三・三答申の意向を、港湾労働法をめぐって運輸省と労働省とあれだけ苦労されて、また与党の皆さんも中に入られて煮詰めてあそこまで持ってきたという、かつまた審議をして幾つかの約束事も取りつけて通しているという現実考えたときに、あまりにもどうも現場の労働者が気の毒ではないか、そういう寝たり何かするのまで入ってくるというのは。また、ギャング編成全員が日雇いだということは何を意味するかというと、常用化というものをおくれさせるのみならず、常用労働者の賃金の足を引くことにもなる。中には日雇いのほうがいいんだ。手当をもらってぶらぶらしていれば六割はくれるんだからと言う。退職金の問題もある、こういうことになると、常用労働者のほうにどうも逆にしわが寄る、そういうところまでいきかねない今日の事情です。だから、てっぺんできめた一万七千五百五十人、日雇い六千三百八十人、こうワクをきめたんだが、一体横浜における登録をめぐっての実情はどうなっているのかということをおつかみ願わないと、地区職業安定審議会が論議しているのですから、その中には組合代表も出ていれば業者の代表も出ているのですから、そうなると、そこで何が論議をされているか、何が問題になっているか。上カタの登録のしかたで別表二なんというものをつくって、A、B、Cなんてついているんです。八十キログラム以上の袋物を肩で運搬することができる者A、五十キログラム以上の袋物を肩で運搬することができる者B、五十キロ未満の袋物がC、こういうふうなランクがついて、これで登録しよう、こういうことだ。ところが、何日といってギャング編成を業者に荷役を頼んでやるときには、どういう袋物をきょうはやるんだということが明らかだ、配分しているんですから。八十キロ以上のものだということがわかっている。そんなところに、五十キロもかつげないような人間が行きっこない、行ったってかつげないんですからね。そうすると、なぜこういうふうに分けるかというと、一つには日雇いの固定化なんですよ。だから私は、そのことは紹介と登録とは別だと言って済ましてはいられないのです。つまり日雇いを固定化さしてしまうということになる。だから私は、そこらのところをもう少し皆さん方行政指導をなさらないと、せっかく発効する港湾労働法というものは有名無実に終わってしまう、こういう心配をするのです。そこのところがどうかということを承りたいわけなんです。時間がございませんから全部しゃべりましたが、そういうところで……。
  33. 広政順一

    ○広政説明員 デッキマンあるいはウインチマンというような、いわゆる機関要員と申しますか、この機関要員につきましては、私どもも、常用化するのが本来の姿ではないかというふうに、基本的には考えております。それだけに常用の行政指導と申しますか、これを進めてまいりたい、このように考えております。ただ、いま御指摘の、その他のいわゆる日雇いというものにつきまして、横浜は地区審議会で独自に、いま先生指摘のようないわゆるランクづけというのをいたしております。これは登録にあたりまして、私ども日雇い労働者の第一希望、第二希望、第三希望というあたりまで本人の希望をとりまして、それによって登録していきたいということで、できるだけ先生おっしゃいました固定化という点は避けてまいりたい。したがいまして、第一希望の仕事でなるほど登録はされた、しかし、きょうはからだの調子もおかしいというような場合には、第二のほうに行ってもらう、紹介するというようなことで、労働者につきましては、先生いま登録と紹介とは別だというのでは困る、こういうお話でございますが、まさにそのとおりでございまして、私どもも、登録登録としてやりまして、紹介にあたりましてはできるだけ労働者の機会均等と申しますか、あるいは就労日数の均等と申しますか、これを大前提に置いて考えてまいりたい、このように考えております。
  34. 大出俊

    大出委員 最低限度現段階譲っても、ウインチマンだとかデッキマンだとかいうのを、これまで日雇いで登録をさせて、何のたれ兵衛といって、そうして十八名のギャング編成、したがって全部が日雇いだという形の進め方というのは、業者は一体どういう責任を負うのだということになる。つまり港湾運送事業法をわざわざ改正をして、届け出制から免許制に切りかえて基準を設けたわけですからね。しかも、再下請というものは将来つくらせないという御答弁までいただいておるわけです。ところが、これはほとんど再下請、そういうことになると、国会の論議というのはずいぶん空疎なものになってしまう。だから、私は少なくとも責任を持たなければならないデッキマンだとか、これは全部指示するのですからね、ウインチマンだとかは、事故の原因を招来しかねない。つまりそういうところはまずもって常用でやらせろ、こう言わなければならぬ。私は、その担当官庁に責任があると思うんですよ。それで、つまりさっき申しました優先班、これは常用でないから優先班と言うのですから。しかも、その優先班の未登録が業者の方々の口から三十口と、地区職業安定審議会のやりとりの中で出てくるというばかなことはないでしょう。未登録三十口持っているんだという、それならなぜ登録せぬかということにならなければおかしいでしょう。業者がそういうことだから、まだ倍もほかにある、こういうことでしょう。この人員の割り振り見たって、百六十口の常用でやれっこない。だから、常用その他を含めて二百六十八口、十八倍してみれば、やみがどれだけあるかというのはわかるんですよ。そうでしょう。そうすると、表に出ただけでもこれだけ問題がある。だから、私は整理してもう一ぺん言い直せば、デッキマンだのウインチマンだのというところは、まずもって常用化しろ、そんなことくらいできない業者ならやめてしまえと、まず言わなければならぬと思うのです。取り消すぞと言わなければならぬ。そうしてこの八十口なんという、つまり優先班なんというものに、さらにやみに云々という、三十口とか、そのほか幾らあるかわからないというようなもの、そういうふうなものをかかえてやるような業者は、これまた免許を取り消すぞというくらいのことを皆さんの側がおっしゃらなければ、一体どこに法律上の免許基準があり一しかも労働法の側からはあれだけ論議をして、三・三答申を受けての日雇いの常用化というものがある。うらはらの関係にあるんですからね。その上に立って、さらに今回の設置法では、港湾審議会に新しい部門をもう一つ設けようというわけでしょう。これは三・三答申のいう業という部面の集約化その他を受けているわけです。それが目的だと私は思う。その上に、さらに港湾運送事業法の改正が考えられているというのでしょう。そうすると、この機会にこのくらいのことを行政指導面で強く言っても不思議ではない。そうでないと改正するぞと言えるのだから、運送事業法を改正するときに、また業の面で考えようがあるのですから。だから、運輸省皆さん方にはそちら側から押していただいて、皆さんの側からは——有馬さんにかつて労働基準法の問題点を出してくれと言って出してもらったんだが、違反のところはみな抜いてしまって、ひとつも実態に即さないものを出されたが、私どうもあの段階でごねても気の毒だと思ってやめたけれども、したがって、そういう実態皆さんのほうにおわかりになるんだから、なぜできないかということを、きょう登録の日にあたって私は聞きたいわけです。
  35. 広政順一

    ○広政説明員 いま先生指摘の点、三月十二日の港湾調整審議会の御答申の中に、「今後、次第に日雇依存度を減少するとともに、常用化の促進が実質的に実現されるように努めること。」ということで、さらにつけ加えまして、「この点については、今後とも運輸、労働両省が一層緊密な連繋をとること。」、こういう点、問題意識として十分御指摘を受けております。私ども、この観点から運輸省とも十分連絡をとりながら、常用化の促進、それも実質的な常用化の促進という点には十分意を用い、また行政指導もやってまいりたいと思っております。
  36. 大出俊

    大出委員 ここで、港湾局長なんかもおいでになるから、局長の立場なら運輸省所管の関係で相当突っ込んだ御回答をいただけるとは思うけれども、かといってここでいきなり——きのう申し上げておいたのだけれども、即答ということもできかねるかもしれませんが、皆さんの立場に立って考えてみても、やってできないことを申し上げようと思っているのじゃないのですよ。法律違反を回答することはできないのだから、免許基準に合致しておりましたから認めましたと言わざるを得ぬでしょう。しかし、私は地元にいるのですから、調べてみて、ないものはないのですから、皆さんが知らなかったと言うだけであって、実際にその業者は合致していなかったわけです。そうだとすると、まずもってそういう業者については、おまえのほうはだましたじゃないかということで取り消す、そのくらいのことをやってみせなければ、ほかのほうの会社は右へならえしませんよ。だから、おれたちがけつを振れば港湾労働法はどこへでも飛んでしまうのだというようなばかげたことを言う者が出てくるわけです。しかも、暴力団がその面の仕事警察行政によって押えられたということで港湾に流れていく。流れていった限りは、港湾労働者なんだから、私はそれでいいと思う。正規の仕事をやるならりっぱなもので、いい。むしろそれを奨励したいくらいだけれども、そのことを、旧来この人は暴力団であったということを前提にして、業者の方々がおれのところに手が山ほどいるのだから、おまえたち組合のほうが大きなことを言うならただじゃおかぬぞということを言うならば、これは重大なことです。だから、そういうことが一つの隠れみのになって強引に居すわった形をとろうとするならば、とにかくまさに日雇いばかりのギャング編成をして再下請云々などということをやっていく、そういう人たちに対しては、答申の趣旨からいっても、常用化の努力が見られないのだから、免許基準を考えて取り消すぞとか、法律で縛るぞとか、そういう形を背景にやらぬと、いまの世の中のそういう業者の方々というものは、何かそういう背景がなければうんと言わないのですよ。だから、各担当省としては、そのことを背景にしてそういうものを現実に持ち出してみなければ、なかなか常用化の方向というものは進まない。つまり答申が常用化の方向を出したということは、あわせてそれは各官庁の法律改正面に、行政指導面に、そうなるように努力をする責任を負わせたことになる。だとすれば、その努力を皆さんがやらないということは、私はおかしいと思う。ですから、そういうふうなところまで進めていただかないと、横浜なら横浜で、きょうを控えてきのうまでやっておったわけですね。ところが、地区職業安定審議会の席上でやりとりしただけでは事が片づかぬで、向こうの有力な方、こっちの有力な方がさしで話している場面も一ぱいある。あるが、その中で出てくることは、聞くにたえぬことが出てくるとなると、やはりそれが実際なんですから、そこのところまで皆さんの側も行政指導の力を発揮していただいて、具体的に変えさしていく、こういうふうにお進めいただけないかというのが、実は私の言い分なんです。もし港湾局長さんのほうでも御答弁いただければ、別な角度からの対策の問題がありますので、お答えをいただきたいと思うのです。
  37. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 先ほど免許基準のことについては申し上げましたが、実態というものが港湾においては非常に満足した状態でないことは認めます。これは答申もよく読んでみると、これを軌道に乗せることが非常にむずかしいのだという精神に満ちていると私は思います。しかし、私どもはこれをやはり前向きに、段階的によくしていくという意欲を持ってやっているわけでございまして、まず昨年港湾労働法が成立のときにも、これとうらはらの問題として港湾運送事業の近代化ということが強くいわれたわけでございます。私どもといたしましては、それを受けまして、港湾運送事業法の一部改正を今国会に提出いたしておりまして、その趣旨とするところは、まず免許基準をさらに引き上げまして、集約化をはかるということ、一貫直営体制の強化ということで直営率を高めていく、さらにいま御指摘がございました再下請の禁止ということを法律に明記する、こういうことを盛り込んであるわけでございます。また、港湾運送部会を港湾審議会の中に設けました趣旨も、実際にその集約化なり一貫直営体制というものを具体的にどういう方策でやるかということを、関係者の集まりの中で意見をまとめてもらいまして、それを行政に移したいという趣旨でございます。
  38. 大出俊

    大出委員 三・三答申が非常に慎重にものをいっていることは、私も百も承知、承知過ぎるくらい承知だ。また、長年の歴史のある港湾運送事業あるいは港湾荷役なんですから、非常に困難性を伴う、結局落っこちているのを上げるのですから、ある意味では水平運動なんですからね、そういうむずかしい問題であるということを承知だから、それで私も実は気をつけてものを申し上げているわけなんですが、いま前向きにというお話がございましたが、まさにそのとおりですね。前向きにものをやるのには、何かの契機がなければできないわけです。たとえば登録だとか、あるいは七月から実施をされるとかいう一つの目途があって、だからこそ審議会が審議されるわけですからね。そういう中で出てくる問題を一つ一つとらえて、これはこうしなければいけませんぞと言っていただかなければ、実は前向きに進んでいかないですね。だから、いまそこのところの例をあげたわけです。  まだたくさんありますが、私はとるに足らぬ小さい組合の大会に顔を出してみたところが、黙って論議を聞いていたら、まじめな若い港湾労働者の中で、十八名編成のギャングの上カタをやっていて、さっきの八十キロ云々なんということがあるでしょう。そうすると、日雇いというのは体力常ならぬ人を呼んでくるわけですから、かつげないのですね。日雇いでギャング編成に入ってきた連中は、使いものにならぬ。ふらふら遊んでいるわけですよ、日雇いで適当に頭数をそろえておけばいいのだという認識だから。そうすると、常用労働者でつとめているというプライドがあるから、その若い人は一生懸命、人の何倍もかついでいるわけです。三日連続の作業をやって、三日間ほかの日雇いのやつは遊んでいる。常用のその人は一生懸命かついでいる。それでとうとう四日目にのびてしまって休んだから、呼びつけられて、お前は休んだから引かれるぞという。その諸君に言わせれば——組合の大会の席上で言っているわけですよ。おれがやらなければ仕事にならぬじゃないか、だから一生懸命にやったというのです。夜うちへ帰って、しょうちゅう飲んでやった。ところがさすがに体力がもたぬ、のびちゃった。だから労働の質と量があるだろうというわけです。おれはこれだけやっているのに、おれにしわ寄せがきて、かつ金のしわ寄せがくるというのは何事だ、そうなるではないかという議論ですよ。それはなぜかというと、日雇いというものの無責任さなんですね。適さない人を頭数をそろえる意味で呼んでくるから、おれはかつげないと言えば、おまえ寝ていろ、来たのだから三百円だけやるからというので、残りは親方がふところに入れる、こういうことになるわけですね。だから、そこでやらなければならぬことは、デッキマン、ウインチマンのみならず、さらに上カタということでかついでいく方々については、一番大きな労働をやるのですから、そういう方々をどうすれば救えるかといえば、日雇いというものを規制する以外にないのです。どこから考えても、やみを規制する以外にないのです。だから、そうなると、そこまで手を差し伸べる行政指導が必要になる。それを私は、業者を含めておとりをいただけないか、労働者の側で、そこまでひとつ地域実情に即した手が打てないかということを提起しているわけです。形式的なやりとりは、港湾労働法問題にしても、港湾近代化の問題にしても、私も何べんも御質問をしてきておりますから、私自身もわかり過ぎるくらいわかっているつもりなんですけれども、こういう現実実態というのはとかく皆さんの側で見過ごされがちな問題ですから、そこを御指摘申し上げて、どういう手をお考えくださるか、こう言っているわけですから、少し広政さん、このあたり御答弁いただけませんかね。
  39. 広政順一

    ○広政説明員 たびたび御答弁申し上げるのと同じようなことになりますが、結局、デッキマン、ウインチマン要員については、先ほど申し上げましたように、本来的にはこれは常用であってしかるべきではないかというふうに私ども考えておりますが、これを一がいに全部常用にしろというわけにもいかないんじゃないか。ただ問題は、今度の港湾運送事業法等の改正で、常用という労働者の問題が取り上げられておりますから、これとの関連で、運輸省と密接な連絡を保ちながら今後もさらに強力に私ども進めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  40. 大出俊

    大出委員 いまのところ、おわかりになっているように受け取れるんですよ。基幹要員は常用化すべきである。ところで、一がいにそうもいかないのじゃないかというところが困る。基幹要員は常用化すべし、こういうように相当強く押していただいて、それでもはみ出すのですよ。そこまで皆さんが努力されれば、それでもはみ出したものについては、それは各所から、いろいろな人たちから、各方面から努力をしていかなければいかぬと思う。思うのだけれども、そこまで前に皆さん方が出ていけないから、だから現場に話がつかないのですよ。理論的にはそう思う。だったら、出てそうしろと言っていただかなければ困るわけですよ。登録にあたって、職業安定審議会の関係の方々から、日雇い登録というのはおかしいじゃないか、これは基幹要員じゃないか、こんな無責任なことをされちゃ困ると言えないか。おどかされても、それはなぜ言えないかという問題なんですね。そうすれば、政府機関の方々はそう言っているじゃないか。にもかかわらず、会社はなぜそれをやってくれないんだ。さっき私はかつぐ話をしましたが、そういう問題が起こってしまうじゃないか。それでわれわれにしわが寄っちゃうんじゃないか、満足な荷役ができないんじゃないかということになるのですからね。そういうふうにひとつ進めていただかないと困る。そこのところが抜けているものですから、何べんも聞かなければならぬことになるのですが、そこまでなぜやれないのかということです。おわかりになっているのなら、そこまでの指導をすべきでしょう。そこのところはどうなんですか。
  41. 広政順一

    ○広政説明員 港湾労働等対策審議会の御答申も、二五%という数字、これは私どもぜひ三、四年の間にはその方向に持っていきたい。まだ二五%で、それでいいんだというわけでもございません。できるだけ常用化して雇用の安定をはかっていくというのが、労働者雇用促進の仕事でもございます。それだけに、この二五%というのは、さしあたりましてここ三、四年の間には何とか計画の面で進めてまいりたい。したがいまして、四十一年度の定数の中におきましても、一〇%前年より減らすというところで、私どもは日雇いのほうを減らして常用のほうをふやすということで、横浜の定数もきまってきておるわけでございます。その過程におきまして、一番先に常用化すべきものはそれじゃ何だろうかという点になりますと、先ほど来申し上げております基幹要員というのが、まずそれに当たるだろう、こう考えますので、その面の行政指導を進めてまいりたい、こういうことを申し上げておるわけでございまして、法律でこれを常用化しろというわけにはいかないんじゃないか、そういう意味で申し上げておるわけでございます。
  42. 大出俊

    大出委員 行政指導をなさるとおっしゃるので、それはわかります。そこが一つほしかったわけですがね。  そこでもう一つ、なぜ登録の前に日雇いで、オール日雇いのギャングが三十と業者が言っているとさっき申しましたが、倍あるか、三倍あるかわからないのですけれども、これが表に出てこないかといいますと、つまり日雇いと常用のバランスがあるからですよ。何だ、おまえのほうは片っ端からみんな日雇いじゃないかということになるから、やみに隠れるわけですね。つまり当然それは登録すべきものだとさっきあなたはおっしゃったけれども、八十口は——表に出た三十口、これは業者が言っている。なぜそれをやみにするかというと、これは未登録と業者自身が言っているんですから、登録しない。なぜか、登録をすれば日雇いと常用とのバランスが、法のたてまえ、答申のたてまえ、行政指導のたてまえからいって、日雇いが多過ぎて、著しくバランスを失するわけです。だから表に出てこないのですから、あなたのほうは、つまり登録されるであろうと目される、表面の出づらを見ておれば一〇%しぼったんだからと、こう言うのだけれども、しぼったことが、現実はしぼったことになっていない。つまり、ならば登録しないということになる。それもやみで引っぱってくることになる。だから手配料的な—— 手配料だと言ったらえらいことになりますけれども、手配料と言ってない、連絡費、一人一回千八百円ということになって横行することになる。そこのところを私はいまのような形式的に——おわかりにならないで言っているとは思いませんが、いまのような形のままでは片づかない筋合いだ。単に、やみがある、それは登録すべきものだ、こう言っているだけでは、登録にはなっていかない。そこのところを皆さんのほうでどうお考えになるかということなのです。
  43. 広政順一

    ○広政説明員 ただいま先生指摘の点につきましては、これは法律の十六条の運用の問題にかかってくるかと存じます。私どもこの十六条については、港湾労働法制定の国会におきましても御答弁を申し上げておりますように、よほどの場合でなければ、この十六条のただし書きというのは認めるつもりはございません。したがいまして、まず登録を進めていく。これから三カ月の間でできるだけの数字を登録していく。そしてそれで足りない場合に、法律の十九条に基づきます安定所自身が紹介する日雇い労働者ということをまず考えておるわけでございまして、十六条は、まず発動ということは現時点におきましてはよほどの場合でなければ考えない、このような運用を進めてまいりたいと思っております。
  44. 大出俊

    大出委員 大体おわかりがいただいているように思いますので、裏側の話をこういう席で出していかがかと思うものは申し上げておりませんから、港湾局長にある程度お話ししたのもございますので、将来の法改正というふうなものをひとつ使っていただいて、ぜひ、先ほどの前向きでという面が時間的なズレなどということでまたやみからやみへ流れても困りますので、できるだけひとつ気をつかっていただいて前に進めていただく、こういうふうに御配慮いただきたいと思います。  そこで、ひとつ設置法そのものについて承っておきたいのは、ターミナルオペレーターということばがございますね。ターミナルオペレーターの導入ということが考えられているように見受けられるのですが、まず二つに分けまして、ターミナルオペレーターと言っているものは一体何だ。それから外国でターミナルオペレーターなるものの解釈が、あるいは形が多少ずつ違いがあるように私は思う。してみると、日本の運輸省が将来の港湾の近代化などを目途にターミナルオペレーターなどというものを導入しようというお考えなら、それはどういう形のものを意味するのだというところを私はいろいろつっついて皆さんから聞いてみているのですが、確たる確信を持てないので、ひとつその辺を、外国の実例等をあげていただいて、こういうことなのだというふうに定義づけていただきたい。こう思うのですよ。
  45. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ターミナルオペレータ方式を考えましたのは、これは港湾審議会の管理部会におきまして、港湾管理者の財政の問題と効率的使用の問題というものを主眼にして論議をしていただいたわけでございますが、その結論の中に、成熟した港、日本でいうと神戸などにおきましては、従来の公共事業方式ではなくて、船会社等が専用使用するような埠頭をつくったらどうか、そしてそれを利用者が金を払ってペイをしていく、そういう方式を考えたらどうかということが勧告されているわけであります。その趣旨をもとにいたしまして、実は横浜、神戸につきまして、事業団方式のものをつくって、財政資金を投入して埠頭をつくる、これを船会社等に貸し付けるということを考えたわけでございますが、その埠頭につきまして、いま御指摘がございましたようないわゆるターミナルオペレーターという方式を考えたわけでございます。これは要するに荷物の荷主からの受け取り、それから船積みまでを一貫して自分の上屋を通じて行なう、こういう作業でございまして、いわばこの答申にいわれております集約一貫直営作業ということをそのまま行なえるのは、一番理想的にいえばこういう形ではないか。しかし、現在の運送事業がやっておる場所におきまして、これをそのまま持ってくるということは、現在やっておる事業に対して非常な混乱を招くので、新しい場所について一番理想的な形としてこれを適用したらどうかというのが、いまのターミナルオペレーター方式でございます。これはいろいろな名前で呼ばれておりますが、大体ターミナルというのは港湾埠頭といわれておるようでございまして、埠頭を一貫して運営するのをターミナルオペレーターといっておりますから、各国若干の違いはありましても、大体趣旨においてはみな同じようなものではないかと思っております。  それからもう一つは、この私どもの提案に対しまして、既存の港湾運送事業者は、端的に言いますと、非常な脅威を感じたといいますか、非常に不安のようでございました。と申しますのは、これを私どもは答申にあるような一つの集約した形として考えたわけでございますが、業界の受け取り方はそうでなくて、何かたとえば日通のようなものが出てくるのではないか、こういうような受け取り方でございました。そういうような不安があるものをすぐ持っていくということでなくて、いまの港湾運送部会では、この問題も一つのテーマとして審議していただきたい、かように考えておるわけでございます。
  46. 大出俊

    大出委員 たとえば外貿埠頭事業団とか、そういうふうなものが幾つか出てきた中で、ターミナルオペレーター方式の導入などといわれると、業者の側で混乱が起こるわけです。おれたちがやっておることがなくなっちゃうのではないか。船舶六グループだとか、あるいは日通等の大資本だとか、そういうふうなものが結びついてしまうのではないか、こういう端的な心配が実は出てくるわけです。そこで、外国、英国なら英国なんかのロンドンポートの例なんかからいって、その辺のところは実際はどうなっておるのかという点を一、二点御指摘をいただけませんか。
  47. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ロンドンで申しますと、ロンドンポートオーソリティーが大体直営でございまして、ロンドンポートオーソリティーのドックマスターというのがターミナルオペレーターをやっておる、かように考えていいと思います。それからニューヨークポートオーソリティーではそうでございませんで、施設ができましたときには、あらかじめそういうターミナルオペレーターに該当するような借り主をまず見つけまして、その契約によって、そのオペレーターが使いやすいように上屋をつくってやるということで、賃貸し方式をとっておる。大体これが二つの大きな形ではないかと思います。
  48. 大出俊

    大出委員 そうすると、ターミナルオペレーターということばは、日本流に訳すとどういうことばになりますか。
  49. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは埠頭業と申しますか、たとえば日本では、私営で桜島埠頭だとか東洋埠頭だとかいう自分の埠頭を持って運送事業全体を行なっておるものがございます。埠頭業という名前がいいんじゃないかと思います。
  50. 大出俊

    大出委員 ただ、これは埠頭上屋を含むんでしょう。——そうしますと、倉庫などというもののつくり方を最近はいろいろ考えておられますね。それらとの関係はどうなんですか。それも含むのですか。
  51. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは私どもが現在考えておりますのは、先ほども申し上げましたような外国貿易港における埠頭事業団、外貿埠頭事業団のようなものがつくる埠頭を対象にしておりますので、上屋とバースを借りまして、これを一体として運営していくということで、うしろの倉庫業までは実は私ども現在のところは考えておりません。
  52. 大出俊

    大出委員 これは、この設置法にいうところの港湾審議会の所掌事務に、昭和四十三年三月三十一日までの間に港湾運送事業の合理化に関する重要事項の調査審議を加える、ここに入ってくる一項目、非常に重要な一項目だと思います。そこで、そうなると、たとえば神戸の摩耶埠頭のような場合、非常にエプロンの大きな上屋ができる。それで船荷別に、航路別に埠頭が整理されてくる。そこへ船が入ってくる。一つの固定機械なら固定機械、荷役機械が据て付けられる。一番わかりやすく言えば、石炭のように特殊貨物の場合でもそうですが、それが接岸して上がってくる、あるいは自動式でベルトコンベヤーシステムで上屋に上がってくる。そうすると、埠頭と上屋、そこまでは、その過程でチェックして検数だ何だとかで入ってくる。そうすると、カーゴつまり船荷は、ここからどこかヘランディングしていくわけですね。そうすると、向こうの運送、ここが心配になるところです。つまり既存の業者の中でも、日通のトラックが向こう側に着いた。すると、ベルトで上がっていった荷物が向こうへおりていった。そこは臨海高速だ。そこを走っていった。そうすると、荷物を運送する必要がないから、沿岸荷役もはしけ回漕も何も要らないという形になっていったならば、いまの業者は一体どうなるんだという問題が起こりますね。そこらの関係、輸送との関係はどういうことになりますか。
  53. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この問題は、荷物の種類、荷主との関係によってきまっていくものと思いますけれども、私ども考えておりますのは、輸出のための機能の改善というものが一番大きな問題でございまして、輸出の場合には比較的小口の多数の商社または荷主からの貨物が集まってくるわけでございまして、いまおっしゃる点は、一ぺんにコンベヤーに乗っていくようなかっこうにはならないわけでございますが、やはり月末その他にかけ込みというようなことで来ては、船の運航上も悪いわけでございますから、なるべくバースと上屋とが一体になっておって、そこに持ってくれば必ずアメリカならアメリカに行く船に積めるのだという形で集荷ができる、こういうことがねらいでございまして、いま従来の埠頭でやっておることをさらにすっきりした形でやりたいということだけでございます。
  54. 大出俊

    大出委員 そこで問題は、いま横浜なんかの場合、輸出貨物なら輸出貨物をとらえてみた場合に、普通なら野積みをするとか、上屋になるべく入れないわけですね。ということは、沿岸荷役をやれば金がかかる。上屋使用料をとられる。だから、船が入ってくる。出航間ぎわぎりぎりまでおっぽっておく。とっさに集めた。さあはしけ回漕で船に積み込んだ。そうしたら、うっかり四日の期限が十八時間過ぎちゃったということになると、四、五百万金をよけいとられるなんということがよくあるわけです。しかし、はしけのほうが安いから、たとえば横浜の場合でいけば、沿岸荷役は二割ぐらいで、はしけが八割ぐらい、こういうことですね。そうなりますと、いまのことをお考えになるとすれば、将来に向かって港の貨物の移動を含めての、つまり一貫作業とさっきおっしゃったけれども、それらはどういうふうに変わっていく筋合いかということを想定されるのじゃないですか。そこらはどうなんですか。
  55. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 いまお話がございましたことは、従来、バースが足らないということもございますが、いわゆるオープンという形で使っておりますから、船は船で先着順にバースを使う。それから貨物を集めるのは、大体横浜あたりでも乙仲が多いと思いますが、乙仲は自分の持ってきたものを自分の手倉に持っていって置きまして、本船が来たときにはしけへ持っていかなければならない。どちらもお先まっ暗な一方的な運営ではまずいので、やはりバースというものが、たとえば郵船なら郵船ということで専用貸しされておれば、郵船の貨物はそこへ持ってくればいいわけですから、その上屋に必ず貨物を持ってくるようにすれば、運送料金そのものの問題もございますけれども、とにかく全体として原価が安くなる。原価が安くなるということは、料金も終局的には安くなるということでございましょうし、また荷主にしても安心して荷物がまかせられるという形にもなるわけでございますから、そういうことを考えて、貨物の流れを一番合理的にして、船の回転率をよくしたいということをねらいに合理化していこうというシステムでございます。
  56. 大出俊

    大出委員 いずれにしても、横浜の場合であっても、はしけ回漕というものが相当な部分を占めて将来ともに残っていく、こういうことになるだろうと私は思っているのです。というのは、中小のたくさんの荷主もおりますし、またおっしゃるように新しくできる港というものが引き受ける分野と違う分野もございます。当然だと思うのですが、しかし、いまのようなことをぽっと出されると、混乱するわけですね、業界のほうも、あるいは労働者側のほうも。だから、なるべくそこらはわかるようにはっきりしていただかぬと困る。もちろん昨年管理部会の答申みたいなものは出ております。だから、読めばわかると思うのですが、そこで聞きたいのですが、一つは港湾審議会の中で計画部会がございますね。それから管理部会ができたわけですね。今回できるものは何部会という名前になっているのか、この三つの部会の受け持ちは将来どういうふうになっていくのかという点をはっきりさせておいていただきたい。
  57. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾審議会は、もともと港湾の開発ということを主にして審議されるためにできたものでありまして、まず最初に計画部会だけでございましたけれども、これは従来どおりやっていかなければならぬと思います。それから管理部会は、先ほど申し上げました管理者の財政の問題、効率的使用の問題、さらに広域港湾の問題も諮問されておるわけでございまして、なお港湾法全般の問題もこれに引き続いて起きてくると思いますので、管理部会というのは、今後もそういう意味では存続するものと思います。この運送部会につきまして——港湾運送部会ということを考えているわけでありますが、港湾運送部会は、この答申の趣旨を具現するために設けたものでございまして、二年間という猶予を限りましたのは、答申においてもできるものから早く近代化するという趣旨がございますし、先ほど来お話がございました港湾労働法の施行との関係もございまして、なるべく早く結論を出して一貫作業体制に持っていくという趣旨でございますので、その問題を二年という期限を限りまして、集約、合併という問題を主にして結論を得ていただく、その後は、これは臨時立法でございますから、廃止いたしたい、かように考えております。
  58. 大出俊

    大出委員 そうしますと、荷役の機械化あるいは一般的な機械化、それからその面から運送事業の機械化、近代化、それから集約化という面、それから運送料金の体系化というのですか、そういうふうなものに——港湾チャージなんかは別ですが、この辺のところの区分けはどういうことになりますか。
  59. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この港湾運送部会にかける事項は、集約、近代化の具体的方策ということと、もう一つは先ほどお話がございましたターミナルオペレーター、それから運賃、料金の合理的な体系、この三つを諮問いたしております。
  60. 大出俊

    大出委員 ところで、将来に向かってこの港湾運送事業法というのはどういうふうに持っていこうとお考えなんですか。諮問は、単に三項目ぽんと並べるんではなくて、港湾運送事業法、それがここでいうところの輸送部会なら輸送部会にこういうふうな考え方運輸省は持っているんだが、いかがなものでしょうか、そういう出し方をされるのでしょう。そこらのところはどういうふうにお考えになっておりますか。
  61. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾運送事業法につきましては、先ほど申し上げましたような改正をいたしまして、これは三・三答申の趣旨をそれによってやっていきたい。それの具体的な方策ということになりますと、たとえば六大港については、どの程度の規模というものが一番適正な規模であるかということが、一つ問題だと思います。それからそれを実際に集約してまいります場合に、一貫体制を強化するということから、いまの船内、沿岸というものをどのようにかみ合わせて規模をつくっていくのがいいのか。それからそういうことをやるためには、財政上または税制上どういうような優遇措置というものを考えているのか、また期間はどれくらいかかるのか、こういうような具体的に法律で改正される諸点、また答申の趣旨を具現するための方策と具体的なものをそこで審議していただく、こういう趣旨でございます。
  62. 大出俊

    大出委員 そうすると、この答申の求める期間というのは、この設置期間一ぱいを目途にされておるわけですか。
  63. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 そうでございます。
  64. 大出俊

    大出委員 大体考えておられる構想は、いまのお話でおおむね見当がつく気がするわけなんですが、そこで、昨年管理部会から答申が出されておりますが、あの取り扱いは、あなたのほうはどういうふうにお進めになりますか。
  65. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 管理部会の答申の大筋は、一つは補助率の問題でございまして、特定重要港湾の中でも、横浜、神戸は国の負担分が多いわけでございますが、特定重要港湾の中においてそういう不均衡がないようにそろえてやるという、補助率を上げる問題が一つございます。  もう一つは、港湾管理者の負担が大きいということから、何か目的税的なものを創設できないか、それから国の税を贈与する方策はないか、これは検討せいということになっております。  その次は、起債のワクの拡大と起債条件の緩和ということがございます。  それからもう一つは、いまの事業団方式と申しますか、専用使用バースというものの建設を示唆しておるわけであります。そこで、私ども補助率の引き上げにつきましては、とりあえず外航港湾として横浜、神戸に次ぐものは名古屋港でございまして、横浜、神戸並みの補助率アップというものを予算要求いたしましたが、これは非常にむずかしい問題でございまして、ただ、陸上施設につきまして、従来三割というような低率な補助になっていましたが、これを五割にすべきだということでやっておりますが、これは名古屋だけではなくて、大阪、東京も同じように五割ということで、ほかの港と同様になっております。  その次に、もう一つ起債の問題でございます。これにつきましては、従来一般の公共事業でやりますものについての裏負担というものが、二十年の償還期限であったわけでございます。これに合うように上屋なり荷役機械につきまして、また土地造成につきましても、二十年という償還期限にしておるわけでありまして、自治省と大蔵省と折衝いたしたわけでありますが、先ほどちょっと落としましたが、適正な土地使用料を取れということがもう一つございます。これとの関係が、必ずしも年限を延ばすのが有利であるのか、もっと使用料を上げるべきではないかということについて話し合いがつかなかったということと、もう一つ、ことしは地方財政がああいう状態で、自治省として大きな問題をかかえておりましたので、この問題は一年見送ってほしいという、この両方の理由から、これは見送らざるを得ないことになったわけであります。  それから最後に、公団の問題でありますが、これにつきましても、私どもは横浜、神戸の管理者とずいぶん折衝いたしまして、一応案をまとめて出しておるわけでありますが、公団その他政府機関の新しい設置は認めないということで、これも見送らざるを得なくなった、こういうことで、逐次あの答申の趣旨については、われわれは具体的方策を検討して実現していきたいと考えております。
  66. 大出俊

    大出委員 いま言われた最後の公団その他の設置を認めないというところでこじれていったのですが、局長も何べんか横浜にお出かけいただいたことを陰ながら聞いたりしておりますが、あれの取り扱いは、将来運輸省としてはだめになりましたで済む筋合いでないので、どういうふうに進めていかれるおつもりでありますか。これはわがほうの横浜にも関係いたしますので、はっきりしていただきたい。
  67. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 公団のことは、結論的には政府機関の新設は認められないということで、予算で認められなかったのでございますが、ああいうものをつくって答申の趣旨を具現したいという方針は変えておりません。当時大蔵省ともいろいろ話し合いをして、もっとすっきりした形、すなわち管理者との会談において十分合意ができるようにという指摘もございました。私どもも、さらに管理者と合意を得るようにいたしまして、あの方針を進めていきたいと思っております。
  68. 大出俊

    大出委員 そうすると、来年度の予算を目途にもう少し突っ込んだ相談をし合って、何とかまとめて形あるものに持ち込む、こういうことでこれからお進めになる、こういうふうに理解していいですか。
  69. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 そのとおりでございます。
  70. 大出俊

    大出委員 そこでもう一つの問題は、目的税という提起がございます。国の税金の何がしかの贈与的なものがとれないかという問題がございますね。これは前に港湾局長がおかわりになって間もなくだったのですが、国の関税収入が二千二百億くらい、当時私が目の子算ではじいてあったわけですね。そうすると、ロンドンポートのように、港税なんというものが日本の場合にはないわけですから、経営の基礎ということで、相当違った面がある。してみると、何とか関税収入の面から多少港湾近代化資金の形をとれないものか。貧乏な現在の港湾管理の実態というようなものをながめたときに、近代化近代化といっても、民間資金でも導入する公団方式でも考えなければ、無理なはずだ。してみると、公団方式をとられるのかといったら、なかなかどうも回りくどいお話で、スケジュール的にいうと、そっちのほうにいきそうな気持ちがしたのだけれども、しかもそれも問題があるところだから、してみると、先ほどの関税収入等の扱い方も、少しひねって考えようがないかといったら、局長のほうは、実は最終的にそれらのこともはかってみたいのだ、こういうお話だったのですが、いまの目的税あるいは国税のということで、そこらあたりの御検討のほどはどういうふうにこれからおやりになるか、あるいはどうお考えになっておるかという点を明らかにしていただきたい。
  71. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この問題は、審議会の答申では検討ぜいということになっておりますが、管理者からは、いまおっしゃられたような非常に強い要望があった。しかし、一般の学識経験者からは、関税というものは、たまたま日本の場合は港だけから取ってくることになるけれども、それがみな港に目的税的に還元すべきものではないのではないかという強い反対もありまして、検討ということになったわけでございます。私ども、こういうふうに検討せいということで、もちろん検討はするわけでございますが、現実の問題としては港湾だけのために税制全般に触れるようなことになるので、非常にむずかしい問題だと実は思っております。
  72. 大出俊

    大出委員 ロンドンなどの港税と称するものは、わが国に引き直すと何になるか、大体何に該当するかという、そこらあたりはどういうふうにお考えになっておりますか。
  73. 木村武雄

    木村委員長 局長、答弁を簡単にしてください。
  74. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 それは、国が取ればとん税でございますが、港湾管理者が取れば入港料、こういうものではないかと思います。
  75. 大出俊

    大出委員 いずれにしても、経営の基礎をしきりに——管理部会をお設けになるときに、港湾の経営ということを重視をされておったわけですね。そうすると、経営の基礎となるべきもの、それをやはり考えなければならぬことになる。賛否両論あって検討と、こうなったという結果なんですが、私はやはり将来これだけでは済まないだろうと思う。何カ年計画という計画なんかもありますけれども、経済の発展その他から立ちおくれた港湾というものを考えたときに、どうしても急速にこれは何らかの手を打つべきものだろうと思う。してみると、そこのところを賛否両論あったからということだけでなくて、運輸省としてもう少し再度諮問をするとかなんとか、そういうふうな点はお考えになっておりませんですか。
  76. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この問題は、この問題だけでなくて、やはり国が助成をするという場合には公団方式も考えられると思います。それから、一つ自治体として、いまのような、たとえば横浜なら横浜でやるのがいいかということで広域港湾の問題にも発展すると思います。したがいまして、これだけを取り上げて審議していただくというよりは、もっと、いま申し上げましたような広域港湾とかそういうものも審議していただきまして、これはこれとしてわれわれも事務的にはさらにもっと進めていきたいと思います。
  77. 大出俊

    大出委員 大体予定の時間がきたようでございますので、ひとつ大臣に二、三承りたいのですが、御存じのように、港湾の関係の複雑な、かつまた劣悪な労働に対する条件、それから歴史的に日本の港湾運送業者というものが成り立ってきたおい立ち等々からいたしますと、三・三答申ならずとも、これは本来大きな問題があるわけなんです。さっき私が御指摘を申し上げたような、せっかくの法律改正、免許をするしないという問題をめぐっての業の側の取り扱いの問題、これらについては、私は相当慎重に大臣から御指示をいただかないと、担当の港湾局長さん、その他関係の方が非常にやりにくい問題だと思うわけなんです。したがって、さっき幾つか申し上げましたように、基準に該当していないにもかかわらず免許されているというふうな事実があるわけですから、そこらあたりを大臣に特段の御配慮を賜わる、そういう形で御督励をいただきたいと思うのでございます。もちろん今回設置しようとする運送部会、これは仮称でございましょうけれども、それらとの関係も出てまいります。なぜならば、港湾運送事業法の改正という段階がやがてまたくるわけでございますから、そこらについて大臣の御意見を承っておきたいと思うのでございます。
  78. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 港湾の問題は、非常に複雑な問題等が多分にあるようでございますので、実態に合うように慎重に検討いたしまして合理化してまいりたい、かように考えております。
  79. 大出俊

    大出委員 それから重ねてお願いをしておきたいのですが、先ほどもお話がありましたように、三・三答申が出た結果、調整審議会等の内容からいたしまして、関係の各省の間で密接な打ち合わせをして進めていただくようになっているわけです。おそらくそういうふうにお進めをいただいているのだと思うわけですけれども、たまたまそれこそ長年の懸案であった港湾労働法ができて、登録が始まって、さて七月ごろから発動をする、こういう段階を迎えたわけですけれども、私は、この機会に、やはり運輸省大臣の側と労働大臣の側と、特に今回の登録をめぐり、それからそのための準備が続けられてきたことを振り返り、そこでひとつ法律の趣旨に基づいて間違いのない運営をという意味の、がっしりした連絡打ち合わせをしていただいて、私どものように実態が多少なりわかって御指摘申し上げたようなことについては、お調べをいただくなり、それ相当の措置をいただくなりというふうに、スムーズな進め方がほしいわけなんですが、そこらあたりのところ、大臣ひとつどういうふうにお考えか、承っておきたいわけです。
  80. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 労働省との間に緊密な連携をとりまして、調整をはかりながら速急に進めてまいりたい、かように考えております。
  81. 大出俊

    大出委員 なお五、六点問題点がございますけれども、外務大臣がお見えになりましたから、いま大臣が御答弁なさった点は、特にこれは御配慮いただかないと、またまたあとに問題が残りますので、ぜひひとつそれらのところを御配慮いただいて、七月からですから、法律の趣旨が通るような形でお願いをいたしたい、このことを重ねて要望しておきまして、終わりたいと思います。たいへんどうもありがとうございました。      ————◇—————
  82. 木村武雄

    木村委員長 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  83. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 きょうは時間がございませんから、この在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する問題だけにしぼりまして質問をし、残りました外務省設置関係あるいは外交政策の問題につきましては、その次に質疑をいたしたいと思います。  私がこの際お尋ねいたしておきたいのは、在勤俸の性格の問題でございます。  内容をいろいろ見てまいりますると、三十七年に制定されてから今日まで、物価、生活条件の変動があって、諸外国におけるところの外務公務員の給与条件との格差が著しく拡大をした、こういうような説明で、アメリカを基準にいたしましてそれぞれ引き上げることになっているわけでございます。これは、外国に参りまして、在外公館職員が非常に勤務条件の異なる地域においていろいろ苦労をしている実情はよくわかるわけでありますが、一体今回の引き上げの内容を見てまいりますると、三号から十一号にわたりましておもな改正がなされているわけであります。そういたしますと、大使なり公使あるいは参事官等が給与を受けております一号ないし二号、こういうようなところについては若干の改正は行なわれておりますが、大使クラスにおいてはほとんど行なわれていないという状況にあるわけであります。とするならば、三号俸以下のものはこれは一つの生活給的な性格のものであり、そうして二号俸以上は、これは一つの職務給的な性格のものである、こういうふうに受け取らざるを得ないと思うのでございます。とするならば、一体そういうような角度から問題をながめていった場合に、この在勤俸の性格というものはそのようなものであるのかどうかということが第一の問題点でございます。というのは、在外公館がありまして、そこに勤務いたしております大使なり公使なり、総領事なり領事というような人たちはそれぞれ、地域によってこれも異なると思うのでございますが、公邸に居住をしているように受け取るのであります。したがいまして、三号俸以下の一等書記官クラス以下のものは、それぞれの地域の適当な建物等を借用いたしまして居住をしていると思うのでございますが、それらの在外公館の長の人たちは、性格上も任務上もいろいろ違う点があろうと思うのでございますけれども、それらのいわゆる公邸の借用料というようなものは、これはやはり職務給的な性格として受けております現在の給与の中からこれを支払っているものであるのかどうか、この点についても関連性がありますので、説明を願っておきたいのであります。
  84. 高野藤吉

    ○高野政府委員 御指摘のとおり、今回の改正は大体下のほうと申しますか、中級及び下のほうに重点を置きましてベースアップいたしたものであります。それから、大使につきましては、生活給と申しますか、いま御指摘の職務給と申しますか、いろいろ仕事上の関係で外交団ないしは相手国政府との交際上ないしは折衝上必要な経費がいろいろございますので、そういうものはある程度見ておるわけでございます。  それから公邸の件でございますが、これは戦前より、大使と申しますか館長には政府から借料を払いまして、個人としては払っていない、そういう仕組みになっております。
  85. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで今回の提案理由の説明の内容を見てまいりますると、物価、生活条件の変化に応じてそれぞれの措置をなしたようであります。アメリカを基準として一〇%に押えて、それからこれを各地域にいろいろ情勢を見ながら当てはめているわけでございます。で、そのアメリカを基準として問題を処理していったという基本的な考え方というものはどこにあるのかということをまず第一に説明を願っておきたいのであります。IMFの経済統計によって昭和三十年を基点にいたしまして物価の上昇率を先進国の順位に調べてまいりますると、アメリカが一番物価の変動がない。昭和三十年に比較いたしまして、アメリカの三十九年度の統計によりますと一一七・八%、日本の場合には一四六・八%、一番消費者物価が上がっておりますのはフランスであります。一五九・四%という数字に相なっております。アメリカが一一七・八%、三十年を基点にいたしますとそういうことになろうかと思います。しかし、三十七年以降におきましては、そういうような物価の上昇というのは、一〇%も上がってはいないだろうと私たちは見ているのであります。そのような立場から見てまいりますると、一番最近における急激な上昇を引き起こしているのはもちろん日本であります。その次にはやはりフランスなりあるいはイギリスなりというところが、物価の変動はひどいのであります。そういうようなところから見てまいりますると、これは物価並びに生活条件の変化という形だけではとらえられていないんじゃないか、勤務地のいろいろな悪条件等を考慮したもの等がこの要素の中には入っているのではないかと思うのでございますが、それらのウエートはどういうふうに押えて算出をされたものか、説明を願いたい。
  86. 高野藤吉

    ○高野政府委員 まずドル建てにいたしまして、しかも基準はアメリカを基準とするということになっておる次第でございまして、在勤俸というものはある程度固定して、安定した基礎のもとに支給いたしませんと、実際に困るわけでございます。その意味からドルが一番安定しておるわけであります。それからアメリカを標準として各国の比率が一番出やすい、国連の統計等々からいきまして、アメリカを基準にしたほうが一番各国の比率が出やすいということで、ドル建てで、しかもアメリカを基準にしている次第でございます。  それから第二点の御質問で、大体三十七年に改正いたしまして、各国の俸給のベースアップというのは大体一〇%から一五%になっていますので、その点を考慮いたしまして一〇%にいたした次第であります。
  87. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで参考資料として配られた一覧表を見てまいりますと、〇%から四%のところが七館、六%ないし九%が十七館ということになっているようであります。これらの地域はほとんど——特に低いところは共産圏の国々が多い。これに比べまして非常に値上がりをいたしておりますのは、まあ後進国といったらおかしいですが、インフレその他の要素を含んだ自由主義国家の中にきわめて多い。しかもそれは後進性の強いところに多い。こういうようなのが数字的に出てくるわけであります。ということは、生活給的なものを主体に考えていくならば、その物価の変動という面において押えていかなければならないでありましょうが、ソビエトの大使館の大使が最高の給与を受けるというのは、政治的に非常に重要であるということからそういうようなふうになっているようであります。とするならば、やはり、単に生活給的なものだけではなくて、それらの地域において日本の国の代表として恥ずかしくない在外公館職員の生活というものが保証されなければならない、こういう点から考えていきまするならば、この〇%から二四%に至るまでの格差をあまりにも大きくつけ過ぎたのではなかろうかという見方も成り立ち得るのでありますが、そういうようなものに対する見解はどういうような御意見でありますか、その点をお聞かせ願いたい。
  88. 高野藤吉

    ○高野政府委員 大使におきましては、ある程度その職務の重要性によって判断をいたしております。  それから今回の改正におきましては、アフリカ、中近東におきましては、住居の問題、医療、教育の問題等々で非常に出費が多いという関係で大幅に上げたわけでございます。
  89. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この点は大臣からお答え願いたいのであります。というのは、経過規定の第二項に、「在プレトリア総領事館の在南アフリカ共和国大使館への昇格の実施に至るまでの間の在勤俸額を定める」というものがございますが、南アフリカ共和国に対しまして、日本の国は昭和三十六年に承認をした。その後においていろいろな人種の差別待遇を行なったということで、日本は通商関係が行なわれておりましたが、これに対して貿易制限等を行なうようにそれらの地域からの強い勧告が行なわれて、ようやく行政指導によってそれらの措置がなされて今日に至った。しかもまだ南アフリカ共和国大使館へ昇格をしていないという段階に今日あると思うのであります。とするならば、この南アフリカ共和国大使館というものを設置しなければならないという基本的な立場においでになるわけでありますけれども、現在のようなそういう人種差別政策が続いていく以上は、これらについては国連あたりで決定をされたような立場において、そういうような国についてはわれわれとしてはこれを承認をしないのだというような立場をとるのがたてまえではなかろうか。それをここでは単に給与の経過規定として掲げてあるわけでありますけれども、そういうような基本的な問題に対する政策の問題から大臣はどういうふうにお考えになっているのか。この点は単なる給与の問題ではございませんので、大臣の見解をお聞かせを願っておきたいのであります。
  90. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 南アに対するわがほうの態度は、両方とも相互主義でやっておりまして、いずれも大使館に昇格しておりません。  それから国連の安保理事会の決定なり方針なりというものに従って、その限度内で国交を開いておる、こういう状況でありまして、今後南アに対してどういう接触を続けていくかということについては一にかかって国連の方針に従っていきたい、こう考えております。
  91. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、国連の決定があるまでは、当分このような形のままでおいていくのだ、こういうような方向で確認してよろしゅうございますか。
  92. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 国連の方針に従い、また同時に国際間において情勢が動いてまいりましたならば、その情勢に従ってまいりたい、こう考えております。
  93. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この在外公館に勤務いたします職員の在勤俸の問題につきましては、これは在外公館設置の問題と非常に深い関係があるわけです。そういうような意味において給与だけの問題をここで論議するのもどうもつり合いがとれないわけでありますけれども、しかし、きょうのところは、在勤俸の支給の問題に限ってこれを論議するということに理事会の取りきめがなっておりますので、今日、領事館あたりで今度大使館にあるいは総領事館に昇格をする、そういうような地域の問題についてはこの際は触れませんが、いわゆるこれらの在勤俸が今回それぞれ上昇を示したわけでございます。これを諸外国と比較いたしまして、日本の外務公務員在外公館において勤務いたしておりますそれらの諸君の在勤俸というものは、どういうところにあるのかということについては何ら触れられていないわけであります。鉱工業生産力からいうならば日本の国は世界で第三位、国民所得の一人当たり平均からいうならば、ベネズエラの次に位して二十二番目である、そういうような立場からまいりますと、鉱工業の生産水準においては先進国であるが、国民所得その他の点からいうならば中進国である、こういうような状態に相なっておると思うのであります。それはやはり、在外公館といえども日本の国力というものに応じてそれぞれの立場というものをきめるべきであろうと思うのであります。これについては、今日この改正をすることによりましてどういうような位置づけになるのか、将来またそれをさらに改正をする考え方があるとするならば、どういうような方向において考えているのかということを説明を願っておきたい。
  94. 高野藤吉

    ○高野政府委員 各国のいわゆる在勤俸の制度はある程度まちまちでございまして、しかも公にはなかなか公表していないと思うのでございますので、正確なる比較ということはむずかしいのでございますが、一応外務省がパリ在勤の各国の在勤俸を比較調査いたしましたところ、参事官級につきましては、日本を一〇〇といたしまして、アメリカが大体一一九から一三九、ドイツが一〇八から一一六、イタリアが一四〇から一四四と、米独伊あたりに比べまして大体一〇%から四〇%ぐらい日本が低目でございます。これは今度の改正後でもそうでございます。それから外交官補、一等書記官、二等書記官、三等書記官におきましても、若干の比率は違いますが、大体日本よりもみな多いようなことになっております。  それから物価なりいろいろ生活条件が違ってまいりますので、今回は四年目でございますが、外務省といたしましては定期的に三年目ぐらいにこれを改正するように、今後それを目途として検討していきたいと考えます。
  95. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 もう質問もこれで終わりますが、私昨年ドイツに参りましたときに、ベルリンの日本大使館の前の建物、これはコンクリートの建物ですが、戦争によりましてだいぶひびが入ったりしているというようなことで、部分的な修繕が行なわれて、そこにはほとんど居住できないような状態になっておるのだけれども、居住しないということになると、建物の管理その他からきわめて大きな損害を及ぼすというので、これについては抜本的な大修理を行なうか、何らかの措置をしなければならないということを向こうの大使館でいろいろ説明を聞いたのであります。これらの在外公館で、どういうふうに今日そういうような修繕を要するもの、あるいは改築を要するもの等について措置されておるのか。あるいはモスクワに行きますと、まだ日本の大使館は返還をされていないというふうにも聞くのであります。そうしてソ日協会がこれに入っているというようなことも伺っておりますが、これらはどういうようになっているのか、この点についての説明をこの際承っておきたい。
  96. 高野藤吉

    ○高野政府委員 御指摘のように、ベルリンにおける旧大使館は返りまして、現在まだ大使館としては使用しておりませんが、毎年最小限度の補修をいたしまして、これを維持いたしておるわけでございます。今後もう少し大々的に修理をして、これを保存していきたいと考えております。  それからモスクワにおきましては、これは戦争前に借りておったわけでございまして、国有財産、いわゆる外交上の財産ではございませんので、戦後新しく借りておるわけでございまして、日本としてはもとのあれに入るという権利はないわけでございます。
  97. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 終わります。
  98. 木村武雄

    木村委員長 受田新吉君。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 時間を縮めて質問します。大臣御出席の機会に基本的な問題をひとつ伺っておきたいと思います。  認証官である重要な地位にある大公使の数が最近またふえてきたわけです。新興国がどんどん大使の交換をやるわけで、韓国も今度入ってきたし、アフリカの国々は相次いで任命されておるわけですが、現在どれだけおいでますか。認証官たる大使それから認証官でない公使の数をひとつ伺いたい。
  100. 高野藤吉

    ○高野政府委員 現在七十六名だと考えておりますが、それから認証官でない公使というのはいわゆる名称公使で、現地におきまして外交折衝上ないしは外交団のつき合い上正式のいわゆる特命全権公使と言わずに名称公使、ただノミナルに公使と言っておるのは大きな大使館におきまして次席が外務省限りにおいてそういう名称を現地で使っていいということになっております。この名称公使は制度上のものでございませんで、慣行上のもので、大体五、六名おる次第でございます。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 名称公使を含めて七十六名ですか、七十六名は認証大公使で、名称公使が五名ですか、正式な数字をひとつ伺いたい。
  102. 高野藤吉

    ○高野政府委員 大使が七十六名でございます。それから正式の特命全権公使が三名、合計七十九名でございます。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 これだけ大量の大公使は、外務省の事務官僚から上がられた方々で大半を占めておられる。事務官僚出身でない大公使がどれだけおられるか、数字を示していただきたい。
  104. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 事務官僚出身でない者はいまおりません。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 そこに日本の外交の一つのひずみが発生するわけです。国連の大使にも福島さんなど一応任命されておったが、おやめになっておる。全部事務官僚出身の大公使でいらっしゃる。私は日本の外交の欠点は、腹でやる、外交手腕のりっぱな者がそれぞれの国々の特殊事情に応じてその持ち味を十分生かすというところに外交の真価が発揮できると思うのです。事務官僚出身の方だけに大公使をやっていただいておるから、いわゆる事務的なキャリアだけは十分できておるけれども、大事な段階で腹をもって向こうの首脳部とこちらの大臣級以上の実力で交渉して外交の成果をあげるというような芸がなかなかできない。まあ当たらずさわらず、その国々で失敗をせぬようにして、いかに有終の美を発揮するかというかっこうで外交が進められているというところに日本の外交の悲劇があると思うのです。このあたりで十名か十五名ぐらいすかっと、実力を持った——外国語ができるとかなんとかということは二の次です。やはり外交官として腹ですかっとこれを行なうような人材の登用が必要であって、女性であってもけっこうです。従来そういう実力ある人を採用しておった。大臣が一々それを事務当局に聞かなければわからぬほど外務省はだれておる。このあたりで大臣が人材を発掘して、事務官僚出身の方々はもちろん大事ですが、しかしその中へ適当に外交手腕を持った大人材をすかっと途中から登用するような腹芸が私は要ると思うのですが、大臣の御見解を伺います。
  106. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 御指摘の点はごもっともな点があると思います。(受田委員「ごもっともな点があると思うじゃなくて、ごもっともです」と呼ぶ)ごもっともです。その登用の道はちゃんとあるのですが、遺憾ながら適任者がないというので、いまゼロということになっております。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 適任者がないと判断されるところに、椎名さん、あなたの認識誤りがあると思うわけです。適任者はいま各界で、女性にしてもりっぱな人が幾らでもいる。社会党でも加藤シヅエさんなどは大使としても幾らでも役に立つ。犬養道子さんなども、これはりっぱに新興国家などへ単身赴任してすかっとする仕事が幾らでもできます。そういうのをぼちぼち中へ入れて、どこかに清新味のあるものがほしい。アメリカはどうですか。アメリカの大公使で外交官出身の者がどの程度おられるか、女性の大公使はどの程度おられるか、事務当局はお調べになっておられると思うのですが、お示しを願いたい。
  108. 高野藤吉

    ○高野政府委員 アメリカはいわゆるポリティカル・アポイントと申しますか、キャリア以外の大使がだいぶおるようであります。しかもその中には女性も含まれております。しかしこの人数はそう大きくございませんで、大体五、六名ぐらいでございまして、逐次これもいろいろな関係で少なくなっているという傾向とわれわれは考えております。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 いろいろな関係で少なくなっているが、ともかく事実現実に女性の大公使がおる。アメリカを特に大事にされる自民党政府としては、これはひとつ自民党の元代議士や何か、ここにおられる方々を任命されてもみなそれぞれ偉大な実績をあげられると思う。顔を見てもすばらしい大公使になられる。こういうところを少し大臣がすかっとしたところをおやりにならなければ、事務当局の命のままに動いていって無難の外交をするということではだらけてきますよ。活気がありませんよ。これはひとつ椎名外務大臣、二カ年御在任中のピリオドを打つ意味で、特にこの法案が通る機会にすかっとしたものを、多くは言いません、一名ないし二名、椎名外交の名においてさっそくやっておかれることを希望いたします。  それで、法案に直接関係する問題として、前から言うのですけれども、この在勤俸というのは俸給の性格のものではない。これは勤務手当ですよ。この法律案要綱の説明書を拝見しましても、ちょっと私に理解のできないようなことばが出ている。「今回の改正案の要点は次のとおりである。」として、アメリカの大使館における九号俸を一〇〇として基準にしてやっておることが出ておるのですけれども、その二のほうに、「中南米の一部の地域で瘴癘度の高い勤務地における給与」と書いてある。これは大臣も御承知いただいておると思うのですが、瘴癘度とは何か。こういう字はいまごろの国民は知らぬでしょう。こういう一般に通用しないような文字が出ておる。このことばは、大臣どう説明しますか。大臣から御答弁願います。
  110. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは私どもは学校で習った字でございます。結局不衛生ということだと思います。——不衛生ということばに置きかえるとちょっとぐあいが悪いかもしれませんが……。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 不衛生の高い地域、これは一般にわかりにくいですよ。やっぱり改めなければいけない。一般に使われていないことばが出ておる。不衛生ではなしに、野口英世先生が難儀されたところといえばわかるのですが、そういう意味でこれはだれにもわかることばに切りかえる、ハードシップかどうか、その地域関係、ポストを示すならそのポストシップの関係とか、何かそこにはっきりしなければいかぬものがあると思うのです。そういうことばを使うと、ちょっとわれわれ理解に苦しむ。こういう地域は高いということになれば、これは在勤手当ですよ。そういう非常に気候が悪くて、悪疫が流行していくような地域は、いわゆる地域手当ですよ。これは在勤手当のはずなんです。それを俸給の一部として、在勤俸としているのは、大臣、不適当と思われませんか。むしろ在外勤務手当としたほうが適当である。これは何回もここで改正するように私は言うておるのですが、一向に改まっていない。これは完全な地域手当あるいは勤務地手当だ。俸給じゃないです。
  112. 高野藤吉

    ○高野政府委員 御指摘の点は、ある程度ごもっともなところでございます。しかし、在外におきましては、この在勤俸が生活ないし職務遂行上基本的な額になるわけでございまして、手当というよりも、やっぱり俸給的な性格が強いので、従来から法律でこれを実施しておるわけでございます。
  113. 受田新吉

    ○受田委員 俸給はこちらでもらっておられるのです。大使、公使、一等書記官、二等書記官、参事官、理事官、ちゃんとみなもらっておられる。ちゃんと公務員給与できちっとしたものが出ておる。それを別に勤務しておるところからもらうというのは俸給の性格じゃないですよ。完全な在外勤務地手当ですよ。俸給はこちらでもらっておるわけです。つまりこちらでいう暫定手当に当たるところ、あるいは僻地手当に当たるところ、そういう種類のものですから、俸給ではなくして、これは手当である。すかっと大臣、このあたりで割り切られちゃどうですか。そうせぬと、今度の引き上げなど見ても、国々で違うでしょう。一級地、二級地、三級地と、みな違うでしょう。
  114. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 私は、御指摘のとおりだと思いますが、しかし手当というと、おのずから金額に限度があるので、法制局あたりでぐずぐず言われるのがいやなので、いま法律でやっている、こういう実情のようでございます。
  115. 受田新吉

    ○受田委員 限度というのはだれがきめるのですか。
  116. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 手当といいますと、たいてい常識的に言っておのずから限度があるので、そのつもりで扱ってもらえばそれでいいと思いますが、十分検討してみます。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 その点を軽くいなされてしまっては問題にならぬですよ。手当の額には限度があるという規定はどこにもない。手当が本俸より多くなる場合もあるし、当然のことなんです。これは勤務地手当です。書いてある文字から見ても、これは完全な勤務地手当であることをはっきり示しておる。このあたりで研究してみますということを繰り返していただくほど、これはなまやさしい措置では困るんですよ。私は、あなたが人がいいから、もうこの辺でやめておきますが、事務当局としてはどうしても研究しておかなければいけませんよ。  それからこの住宅というのは一体どうなっているのですか。住宅官給ができているなら、もっと簡単に行くはずですが、住宅はどうなっておりますか。
  118. 高野藤吉

    ○高野政府委員 住宅の借料と申しますか、それを含めて在勤俸はやっております。しかし現在アフリカ、東南アジアで現実に住宅が、幾らお金を出してもなかなか手に入らぬ、ないしは初めに借りるときに相当大きな額を最初に払わなければならぬというところにおきましては、外務省として政府の金で住宅を建てまして支給しております。逐次東南アジアないしはアフリカにはこの制度を持っていきたいと考えております。
  119. 受田新吉

    ○受田委員 住宅は、やはり予算を取って、それぞれ勤務地に向かって行く公務員をして安心して住まいがある——アパートを探し回って、四苦八苦してばかに高いアパートを借りている。むしろ理事官とか下級の書記官のほうが苦労している。われわれが海外旅行をしても、位の低い人のほうが非常に苦労している。位の高い人は、大使公邸、公使公邸がある。ところがあとの者はアパート住まいで、どこを探しても、ばかに高いものになっている。今度のこれを見てもはっきりするのですが、俸給の十一号、十号、九号辺の下のほうを優遇するというけれども、十一号、十号のほうは優遇が非常に少ないのです。八、七、六のほうは優遇されている。一番下のほうは優遇されていない。下のほうで九、十、十一辺が薄い。こういうことはどういうことかということも考えなければならぬ。  もう一つここにある一覧表を拝見すると、コンゴの場合、レオポルドビルとブラザビル、これは在勤俸の比較論を私はこの間課長さんにも申し上げたのですが、これもおかしいじゃないか。下のほうはずっと同一である。上のほうだけがレオポルドビルのほうがいい。これは上も下もない。その国に勤務する者は一貫しておらなければならない。それが二号俸から上だけが優遇されている。それから下は同一である。こういう片手落ちをしている。上のほうに厚く、下に薄くしている。同じ国の中で同じ勤務であるならば、上から下まで同じ率であるべきです。これはおかしいですね。
  120. 高野藤吉

    ○高野政府委員 この俸給表の格差は、国内の俸給の格差を参考にいたしましてつくってあるわけでございます。  それから下の十、十一号が低いと申されますが、これは前回のときに下を重点的にやりまして、今回は中級をひとつ見ようということで改定いたしたわけでございます。  それからレオポルドビルとブラザビルであれが違うという御指摘でございますが、これはやはりある程度政治的な重要度、仕事の繁忙、重要度から若干の格差をつけているわけであります。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 仕事の重要度といえば、上から下まで同じでなければいかぬ。三号俸から下だけが同じで、それから上が違うというのはおかしいじゃないですか。勤務する者は、大使から下の理事官に至るまでみな同じ重要度です。それを相当差をつけているのはどういうわけですか。
  122. 高野藤吉

    ○高野政府委員 やはり大使ないしは参事官、理事官は外交団であり、その国の政府との交渉ないしは交際上いろいろ出費が要るわけでございます。あと、まあそれ以下になりますと、大体館内で勤務する時間ないしは仕事の量が多いのでございます。したがって、交際費的な、ないしはその他の社交上の出費がどうしても少なくなる、そういう点で若干の差異はどうしても出てくると思います。
  123. 受田新吉

    ○受田委員 おかしい説明ですね。その答弁は意味が納得できません。同じ国で同じ地域に住んでいる者が、上から下までの系統は同じであるべきだ。三号俸から下は勤務が薄い、上のほうは厚いという差はないはずです。重要度があるなら下まで重要度があるはずです。いいかげんな御説明じゃ、どうも私は意味がわからぬです。これは大事なことで、外務省がこういうものをいいかげんに扱っておったら、いいかげんなことになってしまうんですよ。いまの説明じゃ私は納得できないのです。
  124. 高野藤吉

    ○高野政府委員 私の御説明がちょっとことばが足りなかったかもわかりませんが、しかし、一つの館におきましてやはり対外的に活躍するのは大使ないし次席でございます。ですから、やはりそこにある程度財源上におきまして重く見るということは自然じゃないかと思います。(受田委員「そのほうはわかると言うんです。同じ地域で違うのはどうかと言うんです。」と呼ぶ)これはやはり政治的な重要度ないしは仕事の繁忙という点から考慮いたしたわけでございます。
  125. 受田新吉

    ○受田委員 これはどうもはっきりしないのですが、レオポルドビルとブラザビルと、それは上から下までが同じ系列にいくなら筋が通る。三号俸から下は両方とも同じ、上だけが違うというかっこうではおかしいと言うのです、同じコンゴの国です。下までやはり見るんですよ。重要度があるなら、同じように大使、公使に準じて苦労しています。大使、公使から下が急にブラザビルとレオポルドビルが同じだということはあり得ぬです。どうも同じ国でそこがおかしいのです。
  126. 高野藤吉

    ○高野政府委員 隣国でございますけれども、政治的重要度ないしは仕事の繁忙度でやはり上のほうは格差をつけるほうが至当だとわれわれは考えております。
  127. 受田新吉

    ○受田委員 これは、表を見ると、至るところに解せぬところがある。これはしようがないですね。こういう問題はやはり外務省だけにまかしておくことでなくて、もう少し与党の皆さんもこれは研究していただきたい。とにかくこれはちょっと理解に苦しむ点があることをお含みを願って、私の質問を終わることにします。
  128. 木村武雄

    木村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  129. 木村武雄

    木村委員長 ただいま委員長手元岩動道行君外二名より、本案に対する修正案が提出されております。
  130. 木村武雄

    木村委員長 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。岩動道行君。
  131. 岩動道行

    岩動委員 ただいま議題となりました在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する自民、社会、民社、三党共同提案にかかる修正案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読を省略させていただき、その要旨を申し上げますと、原案は、昭和四十一年四月一日から施行することになっておりますが、すでにその日が来ておりますので、これを「公布の日」に改め、四月一日から適用することにいたすとともに、一部在外公館の昇格等の実施時期に関連する経過措置を定めるようとするものであります。  よろしく御賛成くださいますよう、お願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  132. 木村武雄

    木村委員長 これより本案及び本案に対する修正案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、岩動君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  133. 木村武雄

    木村委員長 起立総員。よって、修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  134. 木村武雄

    木村委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。  右の結果、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長にご一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  136. 木村武雄

    木村委員長 次会は、来たる五日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十六分散会