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1966-03-24 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十四日(木曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 長谷川四郎君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       臼井 莊一君    加藤 高藏君       海部 俊樹君    纐纈 彌三君       塚田  徹君    野呂 恭一君       保科善四郎君    堀内 一雄君       前田 正男君    湊  徹郎君       稻村 隆一君    田中 武夫君       村山 喜一君    受田 新吉君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 大慈彌嘉久君         通商産業事務官         (貿易振興局         長)      高島 節男君         通商産業事務官         (企業局長)  島田 喜仁君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君         通商産業事務官         (軽工業局長) 伊藤 三郎君         特許庁長官   倉八  正君         中小企業庁長官 山本 重信君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部調査課長) 中西  清君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 三月二十三日  委員茜ケ久保重光君及び楢崎弥之助辞任につ  き、その補欠として山中日露史君及び松平忠久  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松平忠久君及び山中日露史辞任につき、  その補欠として楢崎弥之助君及び茜ケ久保重光  君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員中村高一君辞任につき、その補欠として田  中武夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中武夫辞任につき、その補欠として中  村高一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九〇号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 ベトナム特需の問題につきまして、私、横浜だもんですから、関係受注入札させるセクション等幾つかありまして、かつまたいろんなことが耳に入るわけですが、したがってそのあたりを少し伺いたいと思います。  冒頭に、多少技術的な点なんですけれども、地位協定との関係で、受注その他について通産省の側でとらえにくい面があると思うのでありますが、その辺の法的な関係をどう御理解されておるかという点を冒頭お答えをいただきたいと思います。
  4. 三木武夫

    三木国務大臣 特需は、まあどれだけが正確にベトナムにいったかということはとらえにくいわけです。しかし、アメリカ特需に対しては、御承知のように二通りあるわけです。円セールがある。これはみなやはり日銀で出るわけです。それからもう一つは、米軍の預金の払い込み、これはやはり物資役務、これもやはり日銀統計で出るわけです。だから、アメリカ特需に対しては正確につかんでおるわけです。ところが、一体そのアメリカ特需の中でどういうものがどの程度ベトナムにいくかということは、実際問題として捕捉しがたいわけです。あるいは大使館なんかの情報提供を求めるとか、あるいはまた契約の場合に仕向け地を書いてあるのもありますから、そういうことでこの程度いっておるのではないかという推測はできるにしても、やはりなかなか正確にはつかみにくい。アメリカ特需に対しては、これはもう全部つかめる。だから、全体としての傾向をわれわれは把握しておる。だから、ベトナム紛争が起こって非常にアメリカ特需がふえたということになれば、ベトナム影響というものを考えるし、全体としての傾向からながめるということ、これが正直なお答えでございます。
  5. 大出俊

    大出委員 この地位協定、正式に言えば安保条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定ですね。これでいきますと、調達分について日本政府への報告義務はないと思います。さらに、ベトナム特需のような海外向けに運び出される場合に、外国為替管理令等臨時特例措置という形が一つありますね。輸出貿易管理令の適用を除外されているということになる。したがって、一般輸出のように契約について許可あるいは税関での確認、報告義務等が一切ない、こういうことになっておりますね。にもかかわらず、一面通産省一つ統計を出しておられますね。この統計の根拠をひとつ御説明いただきたい。
  6. 三木武夫

    三木国務大臣 これはやはりいま商社、それからアメリカ大使館から提供されておる資料日銀統計、そういうものからであります。
  7. 大出俊

    大出委員 いまのお話商社ということばがあったのですが、そこのところはどういうことになりますか。
  8. 三木武夫

    三木国務大臣 統計としては、商社はきていないようです。大使館日銀統計
  9. 大出俊

    大出委員 この三十九年度までですね、米軍から入ってくるドル収入内訳を分析をされて、たとえば総特需収入三億一千五百十万ドル、その内訳は、駐留軍がわが国で支出した軍需予算の総額が一つ、それから物資調達、それから修理作業等役務提供、さっきもお話がありましたが、さらに基地などにおける日本人労働者の労務なんというものも、これは含んでおります。このうちで韓国台湾沖繩向けの調達分四百二十六万ドルという区分を通産省はされておる。大きな区分けにはなりますけれども、一応の数字をあげておられるわけなんですね。ただこれを世間誤解を与えるからという理由で解消されましたけれども、これを疑問に思うわけなんです。そこらのところをあわせてお願いしたい。
  10. 三木武夫

    三木国務大臣 やはりこれは、いま御指摘になったアメリカの軍人の地位協定、あるいは貿易管理令臨時措置法なんかによって、実際はわからないですね。調達された物資がどこへいくかということは、輸出承認義務から免ぜられていますから、いろんな契約書などによる仕向け地などでそういうのを推算しておったので、実際から言えば、そういうことは必ずしも正確かどうかということにも疑問があるでしょうし、そういうことで、まあほんとうはつけられないものであったということで——特にいままではそういうふうな統計を出しておったことがあるのですが、実態からいったら実際は正確にはわかりにくい点があるので、これを改めたのは、そういう根本がなかなか正確に把握できないというものであったのでありますから、そういう意味で、正確を期する意味でこれを取りやめたものだと考えております。
  11. 大出俊

    大出委員 私は、わからぬから取りやめたというだけでは済まない昨今の事情にあると思うわけです。というのは、クリスマス停戦が終わって三十人目ぶり北爆再開というニュースが伝わって、日本株式市場がえらい騒ぎになって、ここに統計がありますけれども、非鉄金属、あるいは石油、海運のいわゆる戦争関連株ですね。   〔委員長退席伊能委員長代理着席〕 かと思いますると、第三次防を含む防衛計画のほうにまで及んできて、たいへんなブームに発展をする。一日の出来高が平均二億七千万株、ダウ平均が十四円八十六銭高ということで、一挙に千四百八十五円二十五銭という昨年以来かつてないところにはね上がるという、こういう非常に大きな影響を持っているわけです。そうなりますと、それだけ大騒ぎをして、産業界を含めて世間一般の耳目もそこに集中するといろことになっているのに、かつての川崎さんの質問ではないけれども、まことにもって無責任きわまる御答弁を、しかも予算委員会でされているわけですね。これは日本国内から出ていくわけですからね。そうなりますと、根本的な点で正確を欠くからやめちゃったという、それで事済むかという問題です。そうすると、通産省としては全くもってわからないというだけでまかり通ってしまうということになる。この点は、それだけじゃ済まぬと思うのです。したがって、日本国内の各産業が引き受けて物をつくっているわけですから、たとえばサンドバック一つを例にとっても、土嚢なんというものをほかで使うわけではないのですから、そうなりますと、これは調査をされようというふうにお考えならば、わからないはずはない、こう考えるわけですよ。各商社はみんな百も承知でやっておるのですから。そうなりますと、いま申されましたように、かいもく見当がつきませんで事を済ましておるということではおさまらない段階にきておる、株の急騰などというような例からいたしましても。したがって、その後あれだけ問題が取り上げられておるのですから、何がしかのお考えがなければならない筋合いだと思うの下すが、そこらあたりをどうお考えですか。
  12. 三木武夫

    三木国務大臣 いろいろお話になりましたけれども、全体としてのアメリカ特需傾向は、特需ブームというようなものではないのですよ。それは十二月ごろからふえてはいますよ。ふえたところで、一時朝鮮動乱の場合におけるような、ああいうものではない。おそらく今年度においても、三億ドルベースではないかと見ておるわけであります。昭和三十四、五年ごろは、四億ドルあったのですからね。これは大体として減っておる。多少ふえたといっても、ベトナムのああいう紛争が起こってから、特需というものがブームになった、そういうふうには見ていない。多少の増加はあっても、ブームというようなものではない。そのことが日本経済に大きな影響力を与えるというふうには見ていないのであります。したがって、これは実際はいま言ったようなアメリカ軍地位に関する協定などによって、差別待遇はできない。輸出承認は必要でないというのですから、そういうことから正確にこれは把握できない。米軍に対して報告義務を課するということはできない。だから、われわれとしては絶えずどういうところにこれが向けられておるかということは、通産省としてできる限りの情報をとることは必要でしょう。しかし、全く正確にできるかというと、それはできないですから、大きな傾向としてそういう資料などをとって、絶えずこれに対して注意をするという以外の方法は、怠慢ではないかと責められても、これは現協定などを変更すれば別ですけれども、どうも現状のもとにおいてはそれはできない。しかし、全体として見たら特需ブームというようなものではないのじゃないかということだけは、われわれはいまの数字から見てわかると考えております。
  13. 大出俊

    大出委員 これは大臣特需ブームなんていうようなことになったらたいへんなことで、何でもないと言われるのだが、ブームであっては困るわけでね。というのは、ますますもって戦争が激化するということでなければ、ブームはこないわけですからね。しかし、どうもますますもって激化しそうだわいという株式市場における先行きの人気などというようなものも、出ておるわけです。それからいま大臣が言われる、全体として三億ドルくらいしか伸びないであろうということ、それにしても昨年に比べれば相当ふえるわけです。しかし、そういう見方をされるにしても、個々産業別に当たってみますと、たとえばカメラ業界をながめてみましても、不況カルテルからようやく抜け出そうとしておる。この不況カルテルが切れて幾つかぶっつぶれそうになっておるのを、大船PXあたりでどんどんカメラを買うというので、しかも、これが価格の比較的低い、したがって台数の非常に多いものに集中的に受注していますね、私は大船PXのそばにいますから、よくわかるのですがね、そういう状態でようやくカメラ業界は息をつく。したがって、個々に当たっていきますと、そういう大臣のどこへいくかわからないというようなことでなくて、具体的に産業界を動かしておる一つの筋になっておるのですね。だとすれば、簡単にたいしたブームなんていうものではないからしかたがないのだというように言われても、それだけでは済まされないと思うのです。したがって、かつて一つ統計数字を出しておられて、どういう意味かわかりませんが、誤解を生ずるからやめてしまう。そろなると、これはますますもってどうもおかしなことになる、いままで何とか苦労をしながらも概略の数字をつかもうという努力をされてきたはずなんだから、それをやめちゃったという理由が、不正確だからという——不正確だからこそ、一生懸命皆さんのほうは資料を集めて、統計を出しておられるわけでしょう。これは私は逆ではないかと思う。そこのところをもう一ぺんお答え願いたい。
  14. 高島節男

    高島政府委員 私、遅刻いたしましてはなはだ申しわけございませんが、現在特需把握のルートは、先生承知のように二つございまして、日銀の入金になる場合、これは金でございますから非常に正確なものが出てまいります。あと特需というものが、日本経済の中で、おっしゃいますように、物資によって相当な影響がございます。たとえば主食あたりに急な買い付けがきたりすると、需給関係のアンバランスが出てまいりますので、そういう意味で、通産省として先行指標をできるだけ握りたいという観点から、現在アメリカ大使館を通じまして、先方の契約のデータを入手いたしまして、これを極力通産省で分析しまして、先行きどうなるだろうかというところをつかまえる努力をいたしております。その点につきましては、物資ごとについてはこれは今後も続けてまいりますし、またいろいろ御要望もありますので、できるだけ早く整理をして発表していくようにしていきたい、こういう気持ちでさらに努力を重ねてまいりたいと思っております。
  15. 大出俊

    大出委員 私は、地元新聞社その他をいろいろ使いまして、調べてみているわけですよ。地元におりますから、横浜なんですから。そこでいろいろ数字が、精数といわれるようなものが、幾つもあるわけです。だから、各産品別にずっと質問をしていきますと、皆さんのほうが全く知らないとおっしゃるなら、これはこちらのほうからお教えしなければいかぬのだけれども、中身というものがおおむね出てきてしまうわけですね。だから、われわれが調べてみて、産品ごと入札回数から何から全部わかる、入札している商社からみんなわかるので、あなたのほろで調べてわからぬなんというばかげた話はないと私は思っている。たとえば今回、昨年の十一月、十二月、この二カ月間で調べてみて、二十二回、あとから一回中途はんぱなものがありまして、二十三回入札が行なわれているわけですね。ところがことしになって、一月が三十二回ですよ。二月に入りまして四十回、こういうふうにふえているわけですね。調達額が約六千万ドル、五千九百七十何万ドルですよ。ここまではっきりしてきているわけです。昨年末から比べると、急激に上昇してきているわけです。こういう状態になっているのに、先ほど大臣がおっしゃるように、私は何もこの問題で一本とろうと思ってしゃべっているのじゃないのだから、実情を明らかにしたいから申し上げているので、率直に御答弁いただきたいのですが、どうも不満足だが、せっかくやっていたその統計を私もたよりながら、実際にその正否のほどを当たってみているわけですが、おおむね苦労して集めておられるわけです。それを誤解を生ずるからといってやめちゃったとなると、どうも少し特需ブームの形がぼつぼつ出始めて、株の急騰なんというものも出てきて、カメラ業界が息をついた、どこが息をついたなんということが出てきて、そういう中でおかしな受注発注も出てきて、どうもあまり通産省統計数字などを出していると、いろいろ勘ぐられる数字が出てくるなどということで、地位協定にいうところのことを一つのたてにして、まずもってやみからやみにしておいたほうが無難だなんということになってしまったんでは、後ほど申し上げますが、先行き非常に大きな問題が出る、私はそういうふうに思うので、質問冒頭に実はそこらあたりをはっきりさしておいていただきたい、こう思っておるわけです。そこのところどうですか。やめちゃったという理由をもう一ぺん言ってください。
  16. 高島節男

    高島政府委員 特需契約統計は、十一月、十二月、一月とずっと続けて整理いたしまして、発表いたしております。物資ごとのある程度の分類もいたしております。従来は少し荒い分類でございました。たとえば繊維品であるとか金属であるとか、そういう概念分類でやっておりましたのを、若干商品についてもつかむように努力いたしまして、これは正確な数字はなかなかわからないと思いますが、最近どういうものがふえているかという方向はつかむようにいたしてまいっております。これは御質問に応じて、内容によって答弁をいたしてまいります。したがって、この統計を特にやめるとかいうような形のことは考えておりません。これは結局地位協定等関係から申しますと、ベトナム向けであるとか韓国向けであるとかということは、これは日本側のほうにわからないといたしましても、特需日本経済の中で、物資需給関係上どういう動きをしているかは、われわれとして調査努力ということは続けてまいる所存でおります。
  17. 大出俊

    大出委員 そうすると、調査漏れ等があったり世間誤解を与えるおそれがあるということで、通産省貿易振興課としては打ち切る、こういうことになったという新聞記事等がありますけれども、それは事実ではないということですね。先ほど大臣から事実だという御説明があったのですけれども、食い違うのです。その点はっきりしておいてください。
  18. 高島節男

    高島政府委員 私、ちょっと遅刻いたしまして、あるいは食い違っておったかもしれませんが、全体の物資需給という観点からどういう品物がどうであるかという統計と申しますか、調査でございますが、これはずっと続けてまいっていくつもりでございます。ただ向け先につきましては、これは非常にわかりにくいことは、地位協定等関係もございましてございますが、物資がどんなものがあるかという点は追及してまいりたいと思います。ただ、大船等入札がございますあのときは、ほかの国のものもテンダーに参加しておることがございます。それから駐留軍労務者契約、これは相当の金額でございますが、それも報告の中にはいつも入れて出しておるようでございます。したがって、その数字とわれわれのほうで集めましたものとの間に高低はあるのでございますが、これは基礎が違っていると思います。したがって、できるだけ早く情報を握る努力のほうにむしろまいりたい、それはあくまでも物資ごと観点でやっていきたいと思っております。
  19. 大出俊

    大出委員 だいぶお詳しいようなんで重ねて承りたいのですが、横浜の例の中区にありますAPAですね、APA発注をするときに、いまお説のようにCTC、これは例の台湾政府機関です、日本流中央信託局、こういっているわけですが、これが直接参加の形をとっています。それからKPAというのがあります。これは韓国調達本部ですね。これも同時に参加をしております。軍服なんかにしても、百万着のものが八割ぐらい韓国にいっちゃっているわけです。だいぶこれは最近もつれているわけですよ。したがって、産品別にながめていきますと、たいへんな獲得合戦、ありとあらゆる手段、方法に訴えて、担当米軍の方々にコネをたよっていろいろなことをやっている。ちょっとこの席で言いかねるようなことがあるのです。そういう激しさを加えている。これは国内商社ですからね。横浜には意外に少ないのですよ。少ないのですけれども、日本全体的に見ると、おおむね大メーカー、大商社が中心になっておりますけれども、下のほうにいけばいくほどたいへんな争いがいま展開をされている。私は相当な金を使っていると思う。それを皆さんのほうで、担当所管庁として黙って見ておるという手はないと私は思うのです、これほど激しい状態が起こっているという事実があるのですから。したがって、いま言われるように、日本だけではない、おっしゃるとおり各国が入ってきていることは事実なんですから、その辺の入札をめぐるいろいろな事情について御存じですか。
  20. 高島節男

    高島政府委員 入札をめぐりましていろいろな過当競争が行なわれているという感じは、一つ持っております。これはただ、相手が一本でこちらが大ぜいおりますと、一般買い付けあるいは貿易等でもよく起こる現象でございまして、日本商社あるいは日本の景気それ自身があまりよくないときに、そういう際にこういった注文生産品でなく、一般物資的なものが多くなってまいりますと、そういった現象が全般的に出てくることは、これはどうも非常に困ったことだという感じを持っております。われわれのほうとしましては、結局、これは自由競争のたてまえをとっておりますものですから、それに対して指導をしていく以外に方法がないということでございます。ただ、国内不況あつれきというものが相当ございますから、その競争がどうしても激しくなる。また、弱い者ほど思い切ってやっていくという形をとって、これは実に困難な、一般問題ともつながる一つの極端な現象が見えているのではないか。個々の事例につきましては、これはむしろ先生のほうが専門だと思いますので、私の所管ではございませんので、その点はお許し願いたいと思います。
  21. 大出俊

    大出委員 そこで承りたいのですが、あまりといえばあまりな過当競争状態が出ている。これも、国内不況の原因が一つ大きくあると思います。そうなると、これはある意味では政府の不信ということにもなりかねないということになると、いまおっしゃるように、ある種の行政指導くらいはしなければならぬ。何が起こるかわからないという段階、妙な不正だなんという騒ぎになったときに——私も実は調べているのですが、もう少し先にいって資料をよけい集めてものを言いたいと思って、いま言う気はありませんけれども、目に余る状態です。したがって、そこらあたり皆さんのほうが指導をしなければ、このままで動いていったらえらいことになりかねないと私は思っているわけです。必要ならば、幾つか例をあげてもいいですよ。そうなると、これは新聞種ですよ。ですから、こういう国内の雰囲気の中でベトナム特需というものをめぐってこんなことが行なわれているんだということになったら、これは困ると思うのです。だから、そうだとするならば、皆さんがいまいみじくも口にのぼせられた指導ということばが出ましたが、その必要があると思う。となると、ますますもって、大臣はわからぬとおっしゃるが、どうなっているかということがおわかりにならぬ以上は、指導のしかたも何もないわけです。してみると、どうしても、何らかの実情把握するという、そこまでものを考えなければならぬ段階だというふうに思うので、冒頭ああいう質問のしかたをしているのですが、大臣、もう一ぺんそこらあたりお答えいただきたいのですが……。
  22. 三木武夫

    三木国務大臣 それは、やはり日本産業界にも影響を与えますから、実情把握ということは、必要です、しなければならぬ。だが、公表ということになれば、いま言ったように、責任を持つ統計数字といろのはなかなかむずかしい。だから、そういうことができないまでも、やはり通産省行政として、これをあらゆる方法でできるだけ実情把握するという努力はしなければならぬ問題だ、それは私も同様に考えております。
  23. 大出俊

    大出委員 ところで、少し横道にそれますが、一つは、米国の上院議員が、ベトナム向けの鉄鋼の輸出粗悪品で高いということで、したがってこれは一時ストップをしろというような形のものの言い方が日本に伝えられていますね。もう一つ、また、ソウルの十七日の晩の共同通信によると、韓国における日本商社の活動の禁止、これは韓国日刊紙の中央日報の伝えるところで、韓国政府が吉田公使に対して、日本政府韓国の一次産品の輸入を制限をしておるから、これを何とかしない限りは、日本商社韓国における活動は当分禁止をする、こういうふうなものが伝えられている。これが、私どものほうで横浜中心に調べておりますと、全くもって無関係にあらわれているのではない。それなりにすべて関連を持っている。筋道としてはこういうことになるのです。したがって、特需問題でいろんなことが行なわれている、かつ起こっているというようなそれだけならば、大臣が言われるように、まあせいぜい伸びたって三億ドルくらいのものなんだから、日本経済にとってはどうということはない。しかし、地位協定もあるんだから、不正確な数字をあげるよりはやめたほうがいい、こういうことでやめちゃったという、そういうことでは済まないと思うのです。いまの二つの例をあげましたが、そこらあたりは、皆さんのほうでどういうふうにおとりになっておりますか。
  24. 高島節男

    高島政府委員 韓国との関係においては、いろんな問題が全面的にございます。近いうちに有償、無償の経済協力を中心にいたしまして、先方との話し合いが正式に行なわれる。あとは、ニュースといたしましてまだ確かめ切っておらない段階でございます。  それから前者はどういうことでございますか。
  25. 大出俊

    大出委員 きょうの新聞に出ておりますが、日本ベトナム向け鉄鋼が粗悪品でかつ高いというので、中止しろという米国議会における発言が出ておりますね。ここらあたりは、実情はどうなんです。   〔伊能委員長代理退席、長谷川(四)委員長代理着席〕
  26. 高島節男

    高島政府委員 まだ事実を承知いたしておりません。最近の日本の鉄鋼は、これは想像でございますが、品質は概して非常に向上していると思います。世界全体に対して鉄は非常に大きく伸びておりまして、先方の産業との競合はございますにしましても、粗悪品というのはどういった形か、まだその辺実情調査をいたしておりません。
  27. 大出俊

    大出委員 どうもきのうまで熱を出して寝ていたものですから、順序が不同になりそうですが、ごかんべん願いたいと思います。  ところで、いまお話が出たから、ここでひとつ聞いておきたいのです。韓国経済協力の問題は、今後いろいろおやりになるというお話なんですが、ここでひとつ聞かしていただきたいのは、韓国のこの議会における補正予算との関連で、二億四千万ばかりのものは、韓国内経済を将来に向かって発展をさせるという意味で使われなければならぬという、これは日韓特別委員会の議事録もここにございますけれども、窓口が外務大臣になっておりますから外務大臣お答えになっておりますけれども、実際にはこれは中身は通産省関係が非常に多いわけです。そこで、日韓特別委員会における議事録からいきますと、明らかにこれは協定違反ではないかというふうに思われる、そういう方向にここで予定をされておるのですけれども、そこらのところはどういうふうに把握されておりますか。
  28. 高島節男

    高島政府委員 日韓の有償、無償の具体的な初年度の計画、これは現在先方のほうで成案を一応整えまして、これからわれわれのほうと協議を事務的に始めるという段階にございます。あります部門は、どちらかと申しますと、経済開発的なもの、あるいはインフラストラクチャー的な、基礎的なものが多うございまして、通産省と直の関係は比較的薄うございますが、およその傾向といたしましては、無償でまいりますものは、農業とかあるいは漁業とかそういうものを中心にいたしまして、基礎的な産業の発展、競争力が非常に弱うございますし、生産性が低い、そういう分野をまず上げていくという方向に思想が向いてまいっておると思います。それから第二に、有償で低利長期の融資をしてまいる二億ドルのほうの部門では、これもまだ抽象的な段階ではございますけれども、あるいは鉄道の建設でありますとか、海運の確立とか、あるいは中小企業関係の部門とかいうあたりが予定をいたしておるように見えまして、経済の発展ということをわりに地道に考えて有償、無償の金を使っていこうという姿勢にあるように思います。ただ、これは先方とせり合いをしてみませんと、具体的にどういうところに問題があるか、まだ十分把握できない段階でございますが、近々にそういうステップに入るわけでございます。
  29. 大出俊

    大出委員 まだわからない段階だ、こう言われると、当面質問のしようがなくなるのですが、そういうふうに日韓経済協力の問題は特別委員会でも受け答えされておりますし、そうならなければならぬ筋合いです。それが協定の筋だと思うわけなんです。ところが、向こうから伝えられる内容は、この協定の筋を追わないで、つまり国内商社その他に対する民間補償ですね、言うならば、こういう形で予算が計上されて、立案されて、しかも国会に出されておる。こうなってまいりますと、これからやるなどというのんきなことを言って、はたしてそうなるかどうかという問題があるわけですね。そこらの向こう側の実情をあなたのほうはどうとっておられるか。それはあなたのほうが答弁される段階からすれば、日韓特別委員会でお答えになっているのだから、それ以外のことを答弁すればえらいことになる。だから、それを聞きたいのではなくて、相手の出方のほうを聞きたい。どういうふうにあなた方が受け取っているかという点を聞きたい。
  30. 高島節男

    高島政府委員 ただいまのお話の賠償と申しますか、補償と申しますか、そういったかっとうのものが入ってくるということを新聞紙上で私も拝見いたしました。しかし、外務省のほうでそういった形のアプローチがあるとは、現在のところ聞いておりません。
  31. 大出俊

    大出委員 もう何回も新聞に出ておりまして、これは三回目かそこいらですが、三月十五日の東京新聞です。これは比較的詳しく書いてありますね。私がこっちで調べたのは、通信関係の記者から聞いたのですが、ところでこの新聞記者のほうから聞いたほうはまあ非公式ですから深く申しませんが、新聞に出ているほうからいきましても、これは明らかな民間補償です。つまり賠償だという受け取り方をして、したがってその経済協力云々という形の、先ほどおっしゃったワクにこだわる必要はない、こういうことで、韓国のほうは民間補償委員会を早急につくって、この予算に計上されておる二億四千万ウォンというものの取りきめを民間補償委員会でする、こうなっているわけです。そうなりますと、十五日の新聞で、この前にも出ておるのですから、きょう二十四日で——韓国と言ったって、私も行ったことがあるけれども、目と鼻の先で、いままであなたのほうで、新聞で見ましたが、知りません、そういう不見識な話はなかろうと私は思うのですが、もう一ぺん答えてください。   〔長谷川(四)委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 高島節男

    高島政府委員 まことに申しわけございませんが、気にはいたしておりまして外務省のほうにも問い合わせておりますけれども、実はきょう、あすのうちに先方との間の話し合いのきっかけがあるようでございます。そこのところにまいりませんと、はたしてどういうことを考えているのか、想像でものを申すことになりまして、こっちも弱っておるわけでございます。その点は、私個人としては非常に気にしておるわけであります。
  33. 大出俊

    大出委員 それでは先ほど知らないとおっしゃったけれども、新聞で見ただけだとおっしゃったけれども、そうではなくて、気にされて、いろいろ韓国と外務省の窓口でやりとりをされていることを非常に気にしている。そんな程度の内容になっておる。したがって、きょう、あすあたりに内容についてただそう、こういうのですから、あなたのほうで向こうの出方はわかっているというわけですね。ただ公にものを言いにくい、そういうことですな。
  34. 高島節男

    高島政府委員 いまの点は、私が知っておりまして、そして公に言いにくいということではございません。新聞しか結局情報として握っておりませんので、外務省のほうも韓国側のほうの出方というものを私のほうに正式に十分に説明がまだできない段階でございまして、要するにまだ教えてもらえないということでございます。あすくらいから先方との間のアプローチが始まりますと、これがわかってくるのじゃないかと思いまして、外務省のほうに教えてもらうことを待っているという段階でございます。
  35. 大出俊

    大出委員 大臣、いまお聞きのとおりの事情なんで、これだけいままでの御答弁をいただいていて、非常に詳しく御存じなんで、おそらく気にされておるという以上は、知らないとは思えない。してみると、私がいま申し上げたように、内容を申し上げるとうんとこまかくなりますから申し上げませんが、民間補償委員会をつくって、この補償委員会で韓国の補正予算に組まれておる日本経済協力の有償、無償——無償のほうになると思うのですが、この配分を韓国の民間補償委員会できめる、こういうふうに向こうがきめているわけですね。してみると、もしそうなるとすれば、先ほどのお話にあった、本来協定に基づく農業あるいは水産業云々と言われましたが、筋とだいぶ違った方向にいってしまう、こういうことになる、韓国考えている配分のしかたでは。となると、これは日韓特別委員会の当時に逆戻りをして、あのときに政府はこう言ったではないかということに戻らなければならぬことになる。例の李ライン問題と似たようなことになりかねないわけですね。したがって、そこらのところを大臣の立場で、もし新聞が伝えているようなことであるとするならば、日本政府としては断固それについては制裁の措置をとるなり、払うべき金は差しとめるなり、そをいうことをあなたとしてはお考えにならなければならぬ筋合いだというふうに考えるわけですが、そこらあたりはどうですか。
  36. 三木武夫

    三木国務大臣 こういうことですね、いろいろ新聞には出ています。しかし、今年度の予算として無償三千万ドルですか、有償二千万ドル、このワクは変更しない。だから、もうワクは幾ら向こうが言っても変更はしない。その内容については、これもまたいろいろ新聞に出ておるけれども、これが決定になるのは、向こうがやはり実施計画を立てて日本と協議しなければならぬ。その場合に、これが協議で、韓国としてはいろいろな要求があるでしょう。しかし、日本は国会などにおいてもいろいろ答弁をしておりますような、そういう線に沿うていく。実施計画を立てる場合に、われわれと協議をする場合に、日本政府は従来国会等で答弁しておるような線に沿うて韓国と話し合いをするのだ、それをお答えいたします以上に、今日の段階では答えようがないと思うのです。高島君も、そういうことを言っておるのだと思います。
  37. 大出俊

    大出委員 確認しておきたいのですが、そうすると、ワクの中でふやしてくれといろ韓国側の言い分については認めない。有償二千万ドル、無償三千万ドルのワクで、しかもこれは譲らない、これはいいですね。
  38. 三木武夫

    三木国務大臣 ええ、よろしい。
  39. 大出俊

    大出委員 もう一つ、いま繰り返し申し上げている民間補償のための委員会を向こうがつくって、予算に計上されておる二億四千万ウォンの金についての配分をきめる。私は、こっちの手帳にありますように、全部言ってしまうのもなんだと思って言っていないけれども、どういうところに割り振るかというおよそのめどは、向こうはつけているわけです。だから、中身は新聞も伏せておりますけれども、新聞記事になるわけです。ところが、この中には非常に気になる会社に補償ワクがある。そうなると、これは私どものものの考え方、思想から言うならば、ベトナムに対する戦争協力になりはせぬかと思う。しかもベトナム特需の問題で日本との争いが起こっておる。さっき申し上げたAPAとの関係入札関係でたいへんな内部的な争いがあります。米国本国に対しても、韓国からいろいろと横浜という現地からも働きかけている、韓国になるべくよけいよこせという。そうだとすると、それらの問題が全部からんでいる、率直のところ、こういうふうに見なければならぬと私は思う。実は、これはこういうことだと言ってしまえばいいけれども、あなたのほうもなかなかおっしゃらぬので、ここでしゃべってしまうのはちょっともったいないから言いませんけれども、そうだとすると、私は大臣にはっきりものを申し上げて、重ねて御回答いただきたいのは、向こうの内訳は、やがて日韓協議の段階で出てくるわけです。その場合に、皆さんの側としては、国会で答弁をされておる事実もあるわけですから、そのワク以外のもの、つまりそうみなされる以外のものは認めない。認めないといっても、金をやってしまえば向こうはかってに使うわけですから、そこらのところを含めて、この特別委員会でお答えになっている有償、無償の支払いについての使途については、これは国民の金ですから、妙なところに使われると問題になりますので、そういう筋を追ってこれは明確にさせる。つまり民間補償委員会等がプランを立てて、こういう会社等に補償するなどということについては認めない、この本来の筋でいきます、そういう立場を貫いていただかなければ困る。ここらの点をひとつはっきり御答弁いただきたい。
  40. 三木武夫

    三木国務大臣 いま私が申し上げておるのは、ワクはふやさない。その内容については協議をすることになっておるのですから、いま日本のいう方針以外は認めないということになれば、これは協議にならないでしょう。しかし、日本考え方は、韓国経済の健全な発展に寄与するものという、これは大きなワクです。そのワクの中で先方と協議をし、日本は、韓国経済の健全な発展のためにこうするほうがいいということであるならば、できるだけ日本考え方というもので説得するように努力しなければならぬ。しかし、ワクと違って、この問題は、日本考え方以上に譲らないのだ、これは韓国に押しつけるんだということになったら、協議にはなりませんから、従来の日本の方針で、できる限り韓国を説得する努力をいたします。しかし、ワクにお答えしたように、日本考えに違えば認めない。内容については、そういうふうなものではないように、これは協議をしなければならぬ、私はこういうふうに考えております。
  41. 大出俊

    大出委員 それでは、もう一ぺん日本考え方というのを説明してください。
  42. 高島節男

    高島政府委員 先ほど申し上げました向こうとの話し合いの時期が、合同委員会は、ちょっと私誤解いたしましたが、あすというような形にはまだ迫っていないようでございます。しかし、そろそろ交渉をしていかなければならぬ。  われわれの考え方といたしましては、まず無償のほうは、基礎的な農業とか漁業とかいう分野、これに集中をしてまいる。ただ、一応原資材等を無償で提供することが、これは御承知のように協定の中にございまして、日本側はこれを考慮するということを約しておりますから、その分が全体の半分でございます。さらに対日債務があります。これは差し引いていく。これは毎年均等で差し引いていくつもりでございます。そのあたり問題ない。そういった形で、無償の内容は、基礎的な農業、漁業を中心にしたものに極力クレジットをやりたい。それが韓国経済の発展に寄与する一つの大きな線であろう、こういう考え方を極力貫いてまいりたい、と思います。  補償の問題というのは、ちょっと私も新聞記事の伝えるところの真意を捕捉しかねておるわけでございます。どういうからくりでこれが関連してくるのか。韓国韓国で予算を持ちまして、そして向こうで何らかの補償措置をとるとかいうことは、これは向こう限りでむしろ問題になってまいりますが、そうではなくて、どういうふうに関連性を持つかわからないで弱っておりますので、先ほどからその点御答弁申し上げられないでおるわけでございます。
  43. 大出俊

    大出委員 そうしますと、民間補償委員会が考えているといわれる何々工業あるいは何々商社というものに対する融資ワクみたいなものを含めた補償なんということになった場合には、あなた方のほうは、日本考え方から照らしてみて、どうお考えでありますか。
  44. 高島節男

    高島政府委員 日本から新しく財源を追加することは、これはワクの関係でもちろんできません。それから使い方といたしまして、結局韓国側の真意は聞いてみないとわかりません。しかし、経済の発展には、向こうのプロジェクトがどうなっているかにもよります。漁業についてこういう計画が幾ら、農業についてこういう開発計画があるんだということを聞いて、結局こちらがワクとして予定しております初年度の金の出し方として、無償だけで三千万ドルというところとのにらみ合わせが問題になってきて、ウエートはこういう基礎的部門に現実にプロジェクトがあれば、それが優先するのではないか、こういうふうに見ております。
  45. 大出俊

    大出委員 くどいようで恐縮ですが、いまの考え方からいけば、韓国側の意向が、基礎的な農業とか水産業というものでない、民間補償委員会などという形の中で何々工業の名のつくようなところへ融資をするなどということになっても、いまの御説明からいきますと、それは認めるというわけですね。
  46. 高島節男

    高島政府委員 先ほど大臣からお話がございましたように、結局、これはワクの中での交渉の問題、初年度の問題としての交渉の問題になってまいります。相手の出方によってしか結論が出てこない。こちらとしましては、できる限り基礎的な部門に資金を投入するのが妥当ではないかと思いますが、向こうの実情がどういうことであるか、韓国はまた韓国としての考え方があるかと思います。そこは外務省を通じまして、十分に検討もし、意向も聞いてみませんと、何とも判断ができない段階でございます。
  47. 大出俊

    大出委員 もう一つ伺っておきたいのでありますが、いま私があげたのは、将来具体的になってくると思いますが、ばくとして申し上げておきますが、つまり個々の何々工業、何々商社という形のところに金が回っていく。これは一つのワクですね。いろいろ調べてみると、融資のワクのようなことになると見られるのです。それは私どもの判断からすると、ベトナム特需その他についての買い付け、その他いろいろやっておる。第二次産品を日本に買いに来る。日本は安過ぎる云々といって、値をつり上げようとしてやっているなどという関係のある、そういうところにワクを設定をして金を回す、こういうことになるわけですが、その場合に、協定の筋からいって、それは韓国内事情だからしかたがないということになるかということを聞いておるんです。
  48. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、こういうふうなプリンシプルを考えている。一つは、韓国経済の発展に寄与する。韓国の意向も尊重しなければならぬ。そうでないと、日本考え方を押しつけるわけにいかぬ。しかも、韓国の開発計画にのっとったものであることが必要である。もう一つは、このことが利権化してはいけない。いま御質問の中に、このプリンシプルに抵触するようなことがあってはいけないということがありましたが、これに対しては、これはこれだけの有償、無償の経済協力を与えるわけですから、国民的な基盤でこの協力がなさるべきものである。一部の特定の者を利するようなことであっては、日韓の友好関係の将来のために非常に暗影を残すわけになりますから、こういう角度から、この協議の場合に検討を加えたいと思います。いまは新聞の記事を中心にしていろいろお話しでありますので、この具体的な問題でどうだこうだということは、かえって協議を束縛することになりますから、それは実際に向こうからそういう問題が出されたときに、判断をわれわれがするよりほかはないのですが、いま言ったようなプリンシプルで日本韓国との協議をいたしたい。これがわれわれの立場であります。
  49. 大出俊

    大出委員 私も無責任なことを申し上げたくないので、新聞記事が幾つか載りましたから、その記事はどういうわけで「韓国協定違反?」などという見出しを新聞が書いたのか。韓国協定違反という見出しを新聞社が取り上げて記事にする限りは、何をもって協定違反かという明確なニュースソースがなければならぬ筋合いになるわけです。そこらを私は個々に当たってみたら、そうすると、韓国協定違反だという記事を載せる以上は、かくかくしかじかの内容があるから協定違反だという記事を載せたというわけです。そのかくかくしかじかのニュースソースの内容が、具体的に申せば、非公式に調べておりますから、相手の方に迷惑をかけるから言わぬでおるのでありますが、抽象的に言うと、いまここで申し上げたようなこと、いま大臣答弁の中にあった個々の企業あるいは商社という意味の、あるいは利権ということばが入っておりましたが、そういうものは困ると言われる、そういうものに該当する、そういう内容を含むから、韓国協定違反という記事を載せているというわけです。だから、これは協議を束縛する云々ではなくして、つまり日韓の特別委員会で論議したときに、経済協力というものはこういうものだということをお答えになっておる。だから、それが基準になるからこそ、新聞記者の方々も、調べた内容が協定違反だという記事になる。基準は日韓特別委員会の中にあるわけです。だから、そのことについて、それからそれるようなことについてはうわさがあり、記事がある。しかも、記事をとったニュースソースがあるとするならば、それらのことが協議の中でどういうふうにうまく隠されて出てくるかわかりませんけれども、間違って将来大きな問題になっても困る。だから、この際、政府のその考え方の筋というものは明らかにしておいていただかなければ困る、こういうことを申し上げておるので、何もとんでもない方角からものを言っているわけではないので、そこらははっきりしていただきたいと思う。はっきりできないはずはない。個々商社であるとか、企業であるとか、利権云々ということで、そういう方向に向けられるということは政府としては認めないと、はっきり言っていただきたいと思うのです。
  50. 三木武夫

    三木国務大臣 新聞もまたなかなか過当競争で、ニュースソースというものに対してなかなか熱心に新聞記者諸君も勉強されて、外交上に関係するいろんなことが出ますけれども、必ずしもそれが正確なものばかりだといえないでしょう。だから、外交交渉の場合には、具体的に向こうから——これは日本政府として協議をして、合同委員会たんかに対してその計画を確認する段階があるのですから、そういうものが出たときに、具体的な問題に対して、いま言ったように日本政府がプリンシプルを持っているのですから、そのプリンシプルにのっとって判断を加えないと、いま新聞にこういうことが出た——それはあるいはニュースソースがあるのでしょう。しかしまた、向こうがこの合同委員会などに対して提案を行なわない先に、外交問題を、新聞に出たという理由でわれわれがいろいろ推察して申し上げることは、かえって外交問題の取り扱いとして弊害があるのではないか。日本のプリンシプルだけをきょうは申し上げて、このプリンシプルにのっとって問題が具体化されたときに判断々して、将来韓国経済が真に発展のできるような形で協力ができるようにいたしたい、こういうことを申し上げておるのでございます。
  51. 大出俊

    大出委員 いまの言われる筋はよくわかります。そこで、そうしますと、ワクとしては、三千万、二千万を広げることはない。日本のプリンシプルとしては、基礎的な産業、あるいは少なくとも国内経済全体に寄与するもの、したがって、その意味からいけば、個々商社あるいは企業を利するとか、利権云々ということは困る、こういうプリンシプルを持っている。しかし、外交交渉というものを控えているから、そういう意味で、そういうことはものを言うわけにはいかない、いまの点はこういうことですね。  ところで、関係が出てまいりましたから、もう一つだけ承っておきたいのですけれども、トヨタと三菱の問題で、コルト、コロナの問題で相当そこらをにぎわしたわけですが、なぜかというと、これは例のセナラ自動車という、最近新進工業に一緒になった会社ですね、韓国内で汚職だ云々だで大騒ぎになってつぶれた形で新進工業に一緒になった、こういういわく因縁があるわけですね。これにつきまして、日韓条約をあのような形で国会でケリをつけた直後に、いろんな新聞がその当時の動きをとらえて、昨年の十一月の末ごろから各産業分野から経済協力をめぐってたいへん大きな動きが目立って、そこで鉄鋼だとか重化学工業だとかいうようなところが中心になって非常な競争が行なわれているので、汚職が心配だというような記事がぼつぼつ新聞に載るようになったわけですね。この問題につきましても、韓国から流れてくるいろんな記事によりますと、向こうでも相当問題になっているようですね。これらについては、私は、正当な取引であっても、この種のうわさあるいは記事が国内の各紙にいろいろ載るということは感心しない。したがって、そこらのところを大臣のほうとしてはどういうふうにおとりになっておりますか。
  52. 三木武夫

    三木国務大臣 私も全く同感で、こういうふうな賠償とか経済協力というものが、いろんなそういう汚職などのうわさが出るということは、私は一番憎む。これは一番悪いことであります。そういう意味で、韓国側も今度の場合は、御承知のように、資金管理委員会をつくったり、それから物資の調達に対しては公開入札制度にしたり、いろんなくふうを加えて、韓国側もこのことが汚職の種になったりしないようにという配慮をしておるわけです。日本の民間側としても、このことはことさらに韓国以上にやはり厳重に注意をして、いやしくもそういう疑いを差しはさむような余地のないようにしなければならぬということで、強く民間側に要請もしておるわけであります。民間側のほうでも、いま何か経済協力の団体をつくろうということで、お互いにそういう点は注意をしなければならぬという日本の民間側の機運も生まれつつあるようでありますから、この点はわれわれも特に今後注意をいたしまして、いやしくもこのことからそういう汚職事件のようなものが起こらないような努力をいたしたいと、現に考えておる次第でございます。
  53. 大出俊

    大出委員 何か大臣参議院のほうであれだそうですから、もう一つだけ承って、あとその間事務当局の皆さんに承りますが、私ども不思議に思うのは、今の件なんですが、十二月二十三日の朝日新聞によりますと「韓国「三菱コルト」輸入」ということで、準完成車二千五百八十台来年末までにという記事、三菱がほとんどコルトを韓国との間できめて、トヨタその他は手を引いたというぎりぎりの記事が載っているわけです。ところが、さてことしになりまして、トヨタ、三菱をうっちゃるという形でトヨタにかわって、しかもその車は、私もコルト、コロナは知っていますけれども、同じような性能を持ち、同じような大きさの車でありながら、何で一体価格の上で五百ドルもの差があるか、そういうばかなことがなぜできるのか。これは日本国内における市場一般の価格もあるわけですから、非常に大きな疑惑を持つのは当然だと思う。ここらあたり皆さんのほうはどういうふうに理解をされているのですか。
  54. 川出千速

    ○川出政府委員 三菱コルトー五〇〇cc、コロナ、これも一五〇〇ccでございまして、国内価格はそう大きな開きはないかと存じております。輸出価格は、物品税その他がございませんので、大体日本の乗用車は、平均すると千ドル前後で輸出されておるわけでございます。したがって、新聞で見たわけですけれども、三菱の千三百五十ドルというのは、これは五十万に近い金でございますので、どういう計算で出たのか、多少私は疑問に思いますが、コロナの八百五十ドル程度、これも新聞に出たわけでございますけれども、これは完成車としてでなくて、部品が約八割ぐらいで計算をしておりますので、それから全体として逆算いたしますと、やはり千ドルをちょっとこえるぐらいになるのじゃないか。一般輸出価格に比べまして、必ずしも安いほうではない、むしろ有利なほうではないかとわれわれは考えておる次第でございます。したがって、契約全体の状況がどうなっているかということを総合判断をしなければわからないのですけれども、これは純民間輸出ベースで話が行なわれておりますので、この契約について政府のほうに現在のところ申請その他出ていないわけでございますので、詳細はわからないわけでございます。
  55. 大出俊

    大出委員 大臣がいないからあれなんですけれども、一体皆さんの立場からすると——私ここに例をあげますけれども、かってなことを書くのだと言ってしまえばそれっきりなんだけれども、例の新進工業を相手にいろいろ売り込み合戦が続けられて、結果的に五百ドルの開きが出てくる。不思議な話だと思うような状態ですね。そこで、現地の記者のほうから言ってきていることは、コルト一五〇〇の例の輸出代金千三百五十ドル、この中で、相当の金がどうもばらまかれたのじゃないかというようなことが向こうでも問題になっているというふうなことで、したがって、日韓両国の国交回復にあたって懸念されていた、日本側過当競争韓国の政治的なかけ引きというふうな面から、その種のうわさになるような懸念、その一つのあらわれではないのかという、そういうような記事まで載るわけですね。してみると、ここらあたりはやはり皆さんの側で担当する官庁なんですから、どうだったのかということについて明らかにしておいていただかぬと、私は困ると思うわけです。したがって聞いているわけなんで、あなたのほうは、こういうふうな世上のうわさが記事になっていろいろ出てくるわけですから、将来次々にこの種のことは続くわけでしょうから、そうしてみると、この種の過当競争をおっぽっておくという手はないと思うのです。それらの方法を含めてどうお考えになるかという点を聞いておきたいのです。
  56. 川出千速

    ○川出政府委員 自動車の輸出、特に完成乗用車の輸出につきましては、過当競争にならないように、これはアジア各国に出ておりますので、行政指導をしておるわけでございます。ただいま御質問のありました三菱のコルトとトヨタのコロナとどういう状況であったかということでございますけれども、これの輸出輸出承認制をとっており、ませんので、民間ベースで契約、交渉を三菱の場合にも行ないましたし、トヨタの場合にも行なったわけでございまして、詳しい実情は実のところよくわかっていないわけでございます。ただ、生産体制からわれわれが推測いたしますと、コロナはすでに月産一万二、三千台のペースで大量生産に移っております。三菱コルトのほうはさような大量生産になっていないわけでありますから、その辺でコスト面において差等があることは、これは明らかなことではないかと推測できるわけでございます。
  57. 大出俊

    大出委員 そうすると、通産省として、将来この種のたいへんな売り込み合戦が行なわれる現に行なわれているわけですが、それらに対する対策という意味で何かお持ちになっておりますか。
  58. 川出千速

    ○川出政府委員 これは東南アジアその他に乗用車を輸出する場合に、過当競争が行なわれますと、非常に値段を下げて、結局輸入制限運動を引き起こすという結果にもなりますので、現在、通産省では自動車業界の団体である工業会とよく連絡をとりまして、実は乗用車の輸出懇談会というものを設けまして、そこでいろいろ情報交換をし、過当競争におちいらないように行政指導をしているわけでございます。
  59. 大出俊

    大出委員 先ほどお願いした大蔵省の方おいでにならないというので、あらためてこの次に、この分だけ保留さしていただいて承りたいと思うのであります。  そこで、最後に高島さんにいまの点明らかにしておいていただきたいのですが、ベトナム特需の問題の関係というのは、たとえば軍服にしてみても、韓国の側に大量に受注が行ってしまった、八割面こうへいってしまったということになると、第一次産品的に生地は日本に買いにくるわけですね。そうすると、これは江戸のかたきは長崎でじゃないけれども、少し高く売ろう、こういうことになり、争いが起こるわけですね。そうすると、向こうは四の五のいろいろ言ってくる、こういう状態になりますね。それが政治的にはいろいろなところに響く、こういうわけですね。韓国韓国で選挙を控えておりますし、それから例のベトナムをめぐっての経済協力団などを韓国はサイゴンに置いたり、五つの条件をつけてアメリカにものを申していますね。したがって、どんどん日本韓国台湾ベトナムヘの輸出比重が変わってくるという過去のいきさつもございますね。そうなってくると、相当これは大きな問題に発展をしていきかねない内容を含んでいるわけです。中身そのものは、ベトナム特需地位協定があってわからぬのだと言っておるが、法的にはそうかもしれない。そうかもしれないが、実際にはそうではない。してみますと、先ほどちょっと話にあったのですが、はっきりしないのですけれども、正確につかむという、そういう努力方法そこらのところは、これはやはり責任ある形で、こういう方法でこうつかむというところまでやっておいていただかなければならぬと思うのです。そこらのところをもう一ぺんお伺いしたい。
  60. 高島節男

    高島政府委員 特需把握のしかたといたしましては、先ほどお答えいたしましたとおり、現在の物資ごと把握が少し大ざっぱである。少なくとも常識的な主要な商品について、実績がわかるように努力いたしておるところであります。そういたしますと、片方で入札とか突き合わせがきいてまいりますので、そういった方向で極力やってまいりたい。同時に早くつかまえていきたい。結局これは統計といいますか、大臣の言われるのは、ほんとうの日銀統計みたいなことをするのはできない。しかし、先生がおっしゃるように、早く荷動きを握る材料をつくるということは、これはごもっともでございますから、ある意味では拙速主義になるかもしれませんけれども、一カ月くらいの期間の間には前月の実績を相当品日別に見るという方向に努力をいたしたいと思います。
  61. 大出俊

    大出委員 古いことになりますが、昭和三十三年に日本からベトナム輸出しておったのは、資料によりますと、三千九百五十三万ドルですね。ところが、アメリカの国際開発局、AIDの援助云々の関係で、三十六年のときに六千五百三十五万ドル、こういう伸び方をしておって、三十九年に入って三千四百八万ドル、半分に急テンポに減っているわけですね。アメリカ側がこの援助費の使い方についてチェックして、韓国の派兵の問題等とからんで韓国台湾に振り向けたわけですね。ずいぶんこれは政治的に動いているわけですね。したがって、将来に向かって、これはひとつの例をあげたわけですけれども、東南アジア開発銀行構想などというものもあり、閣僚会議を開こうというようないきさつもありますし、メコン河の流域開発構想だとか、いろいろ山積しているわけですね。それも実は疑問の点もありまするので、大臣のおられるところで聞きたいわけですが、そういうふうな政治的な問題とからんで、国のあり方としては、特需を別に減らそうというのじゃなくて、ふやそうというふうに動いているように受け取れるわけです。一次産品の買い付けなどについても、いろいろなことをしていることもある意味ではわかる。それだけ大きな政治的舞台裏があるのだから、やはり明らかに押えていくところは押えておいていただかぬと、将来問題が起こる。たとえば死体袋四十万発注が行なわれたといううわさが流れて、横浜なんか大きな騒ぎですよ。四十万の死体袋なんといろのは——朝鮮戦争のときの黒い袋ですよ。それを運んだ人も横浜にはたくさんおるわけです。また、岸根の病院でないところに病院をつくって、負傷兵をどんどん入れているわけでしょう。そうなると、たいへんなうわさが流れるわけですね。なぜなれば、受注の本家が横浜にあるからです。そこにみんな集まるわけですから、そうなると、その真偽のほどはどらかと聞いた場合には、いやそういうことはございませんと、こうおっしゃるのだろうと思うけれども、じゃございませんというのだけれども、しからば自信を持ってそういうことはないと言い切れるかというと、前回からの大臣答弁からいえば、そういう事実があるとはいえないし、ないともいえない、つまりわからないというのですね。わからないということでは困ることになる。だから、そういう意味で一カ月くらいの間に何とか把握をする努力をされるとおっしゃるわけですから、いままで努力をされていたわけですから、どうかそれを打ち切るなんというのじゃなくて、私のほうも地元におりますから詳細に調べておきますけれども、やっぱり的確なものを握っておいていただかぬと、まさかのときに妙なことになる、こう思いますので、ぜひその努力はひとつお続けをいただきたい、こう思うわけです。  大臣がおられませんので、ボランタリーチェーンの問題について少し承っておきたいのですが、これは林商務課長さんのところで最初一生懸命手がけられておられて、昨今商業課長さんのほうの御担当になっているように思うのでありますけれども、事の始まりは、通産大臣の新聞発表で、百三十万の日本の小売り商のうちの一割、十三万をチェーン化する、こういう発表から実は出発しておるわけでありまして、二転、三転いたしまして、今日の予算確定の段階を迎えたわけでありますけれども、そこで冒頭に承っておきたいのは、ボランタリーチェーンなるものの発想、アメリカの例あるいは英国の例等いろいろありますが、日本国内で旧来ボランタリーチェーンという形でやっておられるところで成功をしている実例が幾つかあって、それらのことも御勘案の上でこういうふうに動いたのか、その発想のほどをひとつ承りたいわけであります。
  62. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 ボランタリーチェーンというのは、アメリカ及び西独で御承知のように非常に発達しておるわけであります。それを一つの前例にいたしまして、御承知のように、生産の面あるいは消費の面においては相当近代化されたにもかかわらず、流通の面においては非常に近代化されておりませんので、やはり商業関係の近代化とあわせて物価対策等にも寄与するために、このボランタリーチェーンという一つの構想を打ち出しまして、今年度その推進に着手したわけでございます。  なお、日本でも幾つかボランタリーチェーンというものが、現実に数は少ないわけでございますがありまして、流通面においては相当コスト引き下げに効果をあらわしておるわけでございます。そういう意味で、今後ひとつ流通機構の近代化、あるいは商業の近代化のために、ひとつボランタリーチェーンというものを推進してまいりたい、こういうことであります。
  63. 大出俊

    大出委員 ボランタリーチェーンに入ってしまいましたが、実はいま連絡がありまして、さっき担当がはっきりしないので次回にしていただけませんかという大蔵省の話がありましたのでやめたのですが、いま国税庁の中西調査課長さんが出席だということでございますので、せっかく始めましたけれども、お見えいただいたので、二、三点だけ承っておきたいと思います。  実はベトナム特需をめぐりまして何回か国会で問題になりましたが、この把握のしかたについて、いまいろいろ通産大臣とやりとりしたわけです。先般通産省の側で、いままで多少ラフな統計だといわれてはおりましたが、一応の統計数字を出しておられましたが、それを廃止するなどという記事が載ったことがありまして、大臣に念を押したところが、調査漏れ等があって誤解を招くというようなことがあり、特需そのものが三億ドルぐらいにしかならぬということでやめたのだ、こういうお話があったわけですが、後ほどそうではなくて、より一そう調査を進める、こういうことに実はなったわけであります。あわせて、実はこれは地位協定との関係がございますから、御存じかと思いますが、各種の制約がございます。そこで、これらの受注をいたしましたメーカー、商社両方あるわけでございますが、ここらあたりは、徴税の面からいきますと、どういう形で実績があらわれてくることになりますか。
  64. 中西清

    ○中西説明員 別にベトナム特需に関してどの法人がどのような所得をあげているかという統計は、国税庁ではとっておりませんので、具体的に申し上げられないのですけれども、もちろん所得は出ておりますから、法人税の課税はやっておると思います。
  65. 大出俊

    大出委員 やっておると思いますと言うのですけれども、つまり先ほど私申し上げたような地位協定の制約がありますから、関税の面からいっても、報告義務も何もないわけですね。もう一ぺん繰り返して申し上げますが、外国為替管理令等臨時特例措置、あるいは輸出貿易管理令の適用除外、それから契約についての許可、税関への確認報告義務も、一切ないわけですね。先ほどいろいろ通産省とやりとりをいたしましたが、どこからどう流れてどこへ行くかということについて、わからないという状態なんですね。そうしますと、これこれのメーカーが受注をしてこういうふうにやったのだというふうなことについて、しかも納期も一週間で納入しろとか、中には四日だ、三日だというわけですね、そうなりますと、これはちょっとやみからやみでわからぬ面が相当あるのじゃないかと思うわけです。私は横浜ですから、横浜の実際受注している関係業者にいろいろ聞いてみましたが、そうなりますと、これはつかまえようがないことになっているのじゃないかという気がするわけですね。そうすると、一般の法人税の関係で取っているのだろうと思う、こういうわけですが、そこらはもう少し、だろうではなくて、的確なところを御答弁いただけませんか。
  66. 中西清

    ○中西説明員 いま取っておるだろうと申しましたのは、国税庁で一々個々の法人についての統計を集めておりませんから、取っておるだろうと申し上げたのですが、確実に法人税を取っておると言い直してもけっこうでございますが、具体的に私もいま初めて聞きますので、調査関係はどういうふうになっておるかということはよく存じませんが、もちろん輸出があれば、仕入れ関係とかいろいろございますから、そっちの方面からもわかりますので、法人税は確実に把握しているんじゃないかと思います。
  67. 大出俊

    大出委員 たとえば大船PXカメラ受注があって、三千二百台なんていうのがあるわけですね。そうすると、カメラ業界でいろいろ入札いたしましてきまる。一週間で納品なんていう、実際やっているのは在庫整理でぱっと持っていって流してしまうのです。そうなりますと、報告義務もなければ、関税その他一切、特別措置法があるから何も関係がないのです。それは聞いても言わなくていいわけですね。そうなりますと、これはどこにも数字は上がっていかないのですよ。法人税のほうにもだから来ていただくようにしていただいたわけですが、お見えになっているというお話なんですが……。
  68. 中西清

    ○中西説明員 いやそれは大法人なんですので、全部私のほうの所管になっております。
  69. 大出俊

    大出委員 とにかくおわかりをいただければいいわけですが、そういうところについて、いままで多少お調べになったことがありますか。
  70. 中西清

    ○中西説明員 問題が非常に細部にわたっておりますので、具体的に申し上げるわけにはいかないと思うのですが、どの法人がどういう品物をベトナム特需に関して輸出をしておるとかいうようなことも、確実に把握しておりませんので、具体的にお答えできませんけれども、一応法人の調査に関しましては、こまかい準備調査をやりまして、仕入れから売り上げまで全部洗っておりますので、そういった数字を抜いたりいたしますと、たとえば在庫を抜いたりいたしますと、いろいろな利益率の比率の関係とか、そういった点が非常に他と比較して妙な数字が出てくるというようなことで、すぐ把握ができると思いますので、法人税は確実に把握していると思います。
  71. 大出俊

    大出委員 幾つかここに受注の例等もありますけれども、把握しているとおっしゃっても、証拠となって残るものは公には何もないのですね。その会社の経理だけですね。たとえば製品在庫を山ほどかかえていて、不況カルテルで、カメラ業界幾つか倒産しはせぬかなんていう話が出てきていた時期に、ベトナム米軍の増員その他が行なわれる。が然カメラに対する受注がふえてきた。PXでどんどん入札が始まるということで、最近の事情では、ようやくこの四月から不況カルテルから抜け出せるかもしれない、カメラ業界というものはここまできた、こういうわけですね。しかもそのカメラが、金額と台数が非常にアンバランスなんですね。比較的安いカメラを、しかも台数を多数注文をするからなんですね。そうなりますと、たとえばそれが狂っていたにせよ、だれもよけい税金を払おうという会社はないですからね。そうでしょう。そうなると、どこをさがしてみても、通産省でもわからぬ場合に、的確な、間違いないという資料がない。しかもどこに持っていったかもわからない。報告義務もない。調べに行っても答える必要が地位協定でないというのに、あなたはそう言うけれども、それは当てずっぽうですよね。冒頭に取っているだろうとおっしゃったけれども、取っているだろうとしかならないはずです、どこから考えても、そうでしょう。死体袋を四十万頼まれたなんという騒ぎが起こって大騒ぎになっているけれども、政府の側のほうから調べてみたって、どこもそういうものを引き受けていないという。わからない。わからぬといえばわからぬのだけれども、じゃやっているかもしれぬと言われればやっているかもしれぬ。わからぬ。そういうところへ税金のかけようがないでしょう。そこらあたりはどう考えていますか。
  72. 中西清

    ○中西説明員 輸出がありましたから、必ずその原料の仕入れ関係がございますから、いろいろな原料の仕入れ、それから在庫の関係、売り上げの関係等を調べましたら、不審な点はわかると思うのです。国税庁のほうでは、具体的に法人名がわかりませんので、私も答えにくいのですけれども、大部分が大法人だろうと思うのですが、大法人に対しましては、相当な調査日数をかけましてやっておりますので、そう脱漏はないと思っております。
  73. 大出俊

    大出委員 内容は、まさに千差万別、防衛産業まで含むわけですから、ずいぶんたくさんありますが、とにかくあなたのほうで調べに行ってみても、どこでどういうものを受け取ってどこへやったかということを言わないでいいように、法律上、地位協定でなっているのですよ。こういうふうに材料が動いているけれども、あなたのところはこれは何をつくったのだ、どこへやったのだ、それは一切申し上げられません、あなたのほうでそれを言えと言えないでしょう。そうでしょう。そうなると、材料だけ動いたからといったって、証拠がないから、あなたのほうで課税対象にできますか。できないじゃないですか。いままでこの点について、こういうやみからやみへ流れていて担当通産省がわからないというものを、大蔵省のほうで調べてみると、材料がこれだけ動いた、ほかは全部世の中へ出ている、これだけ出ていないからこれはおかしい、これはどこかへいったに違いない。ならば、その部分というのは特需だろう、こういうことだと思うのですけれども、そうなれば、大蔵省のほうからデータをとれば、大、中の法人に関する限りはほとんどわからなければならぬはずだ。ところが、そういうことは通産省のほうでは一切わからないというわけです。そうだとすると、あなたのほうではおそらく調べようがない。つまり法人経理の上で出てくるもの、明らかにそれに関連するもの、仕入れ先であるとか、あるいは売った先であるとかいうようなことを、普通一般状態と同じようにお調べになっているのだろうと私は思うのですがね。特に、こういう地位協定関係で、制約が何にもない、報告義務もない、関税その他も関係がない、こういうものについてということでお調べになったことありますか。
  74. 中西清

    ○中西説明員 なかなかむずかしい問題なんですが、国税庁のほうでは、たとえば為替管理令違反とか、そういった数字も全部把握しているわけでございます。いまのお話の、どの部分がベトナム特需にあたる所得であるかというような具体的な認定はできないわけですけれども、所得全体の中にベトナム特需は入ってきているというかっこうで把握しているだろうと思います。
  75. 大出俊

    大出委員 ずいぶんばくとした御答弁で因るのですが、外国為替管理令違反とおっしゃるけれども、違反も何もないのです。除外措置が設けられているのだから、違反には出てこない。もう一ぺん言いますよ。外国為替管理令等臨時特例措置という措置がありまして除外されているんですから、違反にたるはずはない。この法律は最初から適用されないのだから……。そうすると、違反を調べられているといったって、一件も出てきやしませんよ。そうでしょう。それから、輸出貿易管理令がございますね。これも除外ですよ。何にもないでしょう、そうなると。税関での確認だとか、許可だとか、あるいは報告がありますね。私も新港埠頭におりますから、現場も歩いてみて、この間、例の定率の問題で、戻し税制度の問題で、私も質問したばかりだけれども、現に行ってみて調べたからよくわかります。わかりますけれども、どこにもひっかかってこない、これは関係ないですから。いきなり米軍に持っていってしまうのですから、あとは向こうがやるのですから……。そうなると、これは在庫が多少減ったからといって、大法人とはいいながらも、そんなにあなたのほうで目が届いているはずがない。そうなりますと、これはわからぬままにやみからやみにこのほうも流れているのだろうと思う。しかもすべて現金決済ですから、その面からもあとは残らない。米軍が現金でくれる。しかもいきなり、その注文が、入札が落ちたら、三日とか四日とか一週間というのはざらなんだ。その間にやらなければならぬことになれば、それは皆さんのほうがどういうふうにやろうにも、それこそ大蔵省が特需班でもこしらえて別途に調査でもしないことには、おそらく税金はそのままでますますやみからやみに消えていくのだろうと思う。この点は、あなたのほうで取っているという確たる実績がございますか。
  76. 中西清

    ○中西説明員 具体的に法人名がわかりませんので、もし法人名がわかりましたら、私のほうで一ぺん調査してみます。
  77. 大出俊

    大出委員 法人名は山のようにありますから、一ぱいわかります。わかりますけれども、あなたのほうで具体的に調査してみるといったって、それは調査対象になったところだけえらい迷惑ですよ、私がここで名前を申し上げたというわけで。サンドバッグはどこに幾つ、やれジャングルブーツはどこに幾つ、全部ここにあります。地元のローカル紙にも出ているのですからかまいませんけれども、ただ、これは横浜の新聞ですからたいへんこまかく載っていますし、この記者にもぼくは会ってみましたが、そういうようなことを全部言った日には、いまのようにきわめて不的確な御答弁をいただいているところで言うと、あわててあなたのほうでそこへ飛んでいって調べるということになると、御迷惑をかけるから。初めからあなたのほうがもっと大きな立場で、通産省にもわからない、どこにもわからないというわけだから、税金の方面でぴたりわかっていれば、これは言うところがない。ところが、税関にもどこにも関係ないものは、証拠として残るものは何もないでしょう。あとは口だけでしょう。そうだとすると、わかるはずがない。わかるはずがないから、してみると、あなたのほうは、特にしからば、日本国内でつくっているのだから——商社だけが入札したのじゃないですよ。メーカーも直接入札参加しているのですから。しかも三億ドルとおっしゃる。日本の八十何億ドルの対外貿易の中の三億ドルということになると、たいしたことないかもしれぬが、それだけ把握のしにくいものになおなるわけで、そうなると、おそらく皆さんのほうもわからないということになってくるのじゃないかと思う。商社はそれこそ山のようにございますから、あなたのほうでも知らぬことはないと思う。高桑産業とか伊藤忠だとか丸紅飯田だとか、朝鮮特需を一本にやってきたのが一ぱいある。高桑産業だとかそういう系列がいろいろなものをつくった。山ほどある。わかっている。そうだとすると、あなたのほうにわからないはずがない。特定の法人名をあげなくたって、あなたのほうはそれが仕事でやっておられるのだから、そこらのところをもうちょっと気のある答弁をしてもらえないかと私は思う。取っているだろうと思いますという答弁から始まったのでは、どうもたよりなくてしようがないですから。
  78. 中西清

    ○中西説明員 それじゃ、私のほうでベトナム特需関係のあるような法人を洗ってみまして、その内容を調べてみます。
  79. 大出俊

    大出委員 洗ってみて調べます、こういうお話になるとすると、いままで特に洗ってみて調べていなかったことになるのだけれども、そういうことでいいですか。
  80. 中西清

    ○中西説明員 ベトナム特需に関する所得は幾らあるかというような特別の調査は、やっていないという意味でございます。
  81. 大出俊

    大出委員 商社も、さっき言う大法人、たとえば日綿の冷凍プレハブだとか、あるいは東洋棉花の軍服だとか、伊藤忠の軍服だとか、丸紅飯田、これも軍服、伊藤忠のサンドバッグ、あげれば切りがない、山のようにあるのですから。だから、あなたのほうでわかっていないはずはないでしょう。あげていただければというばかな話はない。どういうところが特需受注関係を持っているかということは、おわかりでしょう。
  82. 中西清

    ○中西説明員 私のほうで一応調べてみます。ただ、ベトナム向け特需というものはわからないそうですから、特需の所得というのはわかるらしいですけれども、その点で私のほうで調査内容を報告を求めてみます。
  83. 大出俊

    大出委員 どうも通産省のほうから耳打ちがいってそう答えるのじゃ話が逆で、ほんとは大蔵省のほうから通産省のほうへこうですよと言って、通産省のほうから返事がこなければならぬ筋合いなんです。どうも大蔵省らしからぬことを言うので、ますますもって自信がないのではないかと思う。してみると、ますますやみからやみに持っていくことになる。したがって、私は、くどいようですけれども、税金の公平負担という原則が世の中にあるので、わずかに法人税課税最低限度を引きき上げたからといったって、百八十六円七十八銭の大蔵省メニューで最低限度の操作をやっているわけですから、これはまさに大蔵省メニューでしょう。とにかく上野動物園の動物より安いんだから……。上野動物園に行ってごらんなさい。象は一日二千円ですよ。サイが千五百円、ライオンが七百円です。シマウマが二百円です。百人十六円七十八銭といったら、日本のクマ、これが百八十五円です。ペンギン鳥、うんと小さいものと大きいものとあるが、大きいほうは百八十五円、そうなると、シマウマとペンギン鳥の間ですよ、大蔵省メニューというのは、そんなばかな話はないでしょう。動物園の園長がちょっと事故を起こせば首だなんて、そういうばかなことがあるでしょうか。大蔵省メニューというような、そういうみみっちいところまでおやりになって、課税最低限度をおきめになるなら、こういうとにかく兜町は北爆の再開でわいちゃって、とにかく一挙に十四円八十六銭もダウ平均の値上がりだなんて大騒ぎが起こっている世の中に、大蔵省がそちらのほうはどうなっているんだなんという、そんなばかな話はないでしょう。しかし、わからぬと言われればどうにも手がつけようがない。しかもきょうはあなたしかお見えになっていないんでしょう。だから、これは間違いだろうと思うのです。やみからやみに流れておって、どうなっておるのかということは、税金の面から把握できないということも、私はなお大きな問題だと思う。だから、そういう点、大臣がおられるから、くどいようだが言うんだけれども、かつて予算委員会答弁のような、地位協定関係があって把握できないという、そういう無責任答弁がまかり通ったのでは困る、いまのようなことでは……。国内産業なのだから、課税の公平負担だってあるのでしょう。そうでしょう。そうなると、大蔵省の側が通産省のほうから耳打ち受けなければ答弁できないようじゃ困るから、これはしかと皆さんのほうから気を使っておいていただきたいわけです。そうでないと、また調べれば調べるほどいろいろなものが出てくるので、そのつど問題提起するのはめんどうな話なので、一ぺんこれはお調べいただいて、そういう点はどういうように国税庁としてはお考えになっているかということを、できれば資料をいただきたいし、できなければ、電話でもけっこうですが、調べてみたらこんなことなんだということくらいのところは御連絡を賜わりたい、こう思うわけです。よろしゅうございますね。  それでは、先ほどのボランタリーチェーンの件ですが、確かにお説のとおり、アメリカなり西独なり英国なんかでも伸びてきているようですが、そういう先例がレギュラーチェーンに対比する形としてあるわけです。それで、通産大臣がおっしゃった百三十万の小売り商のうちで約一割をボランタリーチェーンに組織化するというのが、大臣が新聞で発表された出だしなんですね。そこで林商務課長さんのほうからいろいろとPRされながら今日まできた、こういうわけです。今日担当はと思って、ボランタリーチェーンそのものについて聞いてみたところが、企業庁は商業課だ、こう言うわけですね。そこら所管はいまどうなっているのか、まず伺いたい。
  84. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 流通機構全般につきましては、企業局の所管でございます。ただ、御承知のようにボラソタリーチェーン等小売り商の近代化、売り上げの増大、こういち点におきましては、中小企業庁の問題でもございますので、この点は企業局と中小企業庁と相談いたしまして推進をいたしております。
  85. 大出俊

    大出委員 時間の関係があるようですから、少し具体的に進めて申し上げますが、たとえばボランタリーチェーンをやる場合に、小売り商中心、あるいは中小の卸売りを入れる、こういう場面があります。私が一つ疑問に思いますのは、大臣が新聞発表をされたのは、日本に概略百三十万の小売り商がおる、その一割を組織化したい。これは大臣が立案したわけではないが、大臣の写真が載っかっておったから、私は大臣だと思うのだけれども、その一割というのは、小売り商対象で一番最初新聞記事になっておった。ところが、途中から記事の内容が変わってきて、中小あるいは大の卸売り商の方々の問題が入ってまいりまして、小売り商だけでこしらえられるボランタリーチェーンも存在するだろうし、あるいは卸売りの方々が入って、あるいは中核になってつくるボランタリーチェーンもあるというふうになってまいりました。旧来の経緯からいきまして、いまの流通機構そのものの中で卸売り商の占めているウエートというものは相当高いですから、当然そういうケースもあるだろうし、諸外国にもその例があります。だから、そのことは私はとやかく言うのではないけれども、重点はやはり私は小売り商中心のものであってほしい、そう考えるのですけれども、そこのところはどうお考えになりますか。
  86. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 お説のとおりでございまして、御承知のとおり、チェーン組織をつくる場合のメンバーの圧倒的多数は、小売り商でございます。ただ問題は、実は小売り商を近代化していく場合に、いかにして小売り商を近代化し、売り上げをふやしていくかという問題が非常にむずかしい問題でございまして、こういう近代的な経営に対する知識と能力を持っている者が、どこかにおらなければならぬわけでございます。そういう意味で、小売り商を中心にいたしまして、小売り商と仕入れをしてまいる卸との結びつきというのが重要な問題になってまいりますので、その卸が中核になりまして小売り商の近代化を考える。しかも、流通コストの軽減をはかるという意味におきまして、この中核体である、言いかえれば、卸の段階というのは、非常に重要なわけでございます。その意味で、この中核体である卸を営む者は、小売り商と一緒になって卸という形で中核体をつくってもいいし、それからいわゆる卸というものが中核体になってもいい。ただ問題は、その中核体が配送なり倉庫なりを小売り商の近代化のためにつくるわけでございますので、同時にいま申し上げましたむずかしい小売り商の近代的経営に対する知識と能力を持っている者がだれかおりませんと、小売り商だけの共同化だけではなかなか生産段階までの中間の過程における結びつきもむずかしいし、それから近代化もできない。こういう意味で、一つの組織体として考えてまいりたい。あくまでそれの中心は小売り商の近代化でございます。あわせて小売り価格の引き下げもやります。
  87. 大出俊

    大出委員 いまの答弁が私は不納得なんですよ。というのは、たとえば指導員云々だといって皆さん講習会までおやりになる傾向を持っていますね。それで講習までさせたり、あるいは時によっては海外視察に出かけている人もいるでしょう。そういう助成金を出してやっていこうという御計画ですね。ところで、問題になるのは、小売り商だけでやった場合、経営的な面で、あるいは卸その他の面でへたというのではなくて、いまの世の中の流通機構システムが、つまり小売り商にすべてしわが寄るように現実にできているのです。したがって、そこのところに問題がある。たとえば小売りだけが集まって共同仕入れをやっていこうとするならば、中間卸売り商の方々がただでおかない。メーカーにものを言う。言うと、リベートはまともには来ない。こんなふうになってくる。そういう例はいままでにもあるのですよ。スーパーだってそうですよ。だから、公取が中に入って、卸売りあるいはメーカーの中において卸さなかったのはどういうわけだという、それは間違いだなんという判定を下した場面だって幾つもあるのは、御存じのとおりです。だから、そういう面からいきますと、いまの答弁の、つまりそういう面に手なれている卸売りを入れた、小売りには知識がないから、こういうお話なんだけれども、そうではなくて、小売りに知識を持たせてつまりチェーン化していくということが、皆さんのほうの仕事の分野じゃないか、こういうことになると思うのですが、そこのところはどうなんですか。
  88. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 もちろん小売り商がそういう知識、能力を持ちまして、そうして近代的経営で独立していけるような形になるなら、これは望ましいことでございますし、また、そういう能力のあるものなら、卸が中核体になってもよろしいし、またそのチェーンの中核の一つとしての小売り商の中でそういう能力を持った者があれば、これは非常に望ましいわけでございます。それから同時に、問題はやはり小売り商というのは、単独では経営規模の近代化もなかなかむずかしい。したがって、幾つかの小売り商が、これは地区によってみんな場所は違いますけれども、そういうものが組織化された形において共同の利益を追及していく、共同仕入れをやる、あるいはマーケッティングリサーチをやる、こういうような問題を前向きに組織体としてやっていかなければならぬ。いま先生のおっしゃったように、小売り商だけが共同仕入れをすれば卸が反対をするというような問題が確かにあったわけでございますが、今度は卸の段階の結びつきにおきまして近代化が行なわれる、こういう点でございます。
  89. 大出俊

    大出委員 おそらく通産省に聞いたのであろうと思うのですが、ボランタリーチェーンというものがどうなっていくかという機構組織なんかまで、日経ですけれども、相当詳しく図解された記事が載っております。また市販されている「日本をねらう外国商品」とかいう幾つかの本がありますが、その中にも、外国のボランタリーチェーンの解説をしたものが幾つかありますが、資料も非常に数少ないようです。だから、これは親切に載せられたんだろうと思うのです。そこで、実態をまず聞いておきたいのですが、予算的な面を含めまして、ことしは何カ所、どういう規模で、どういう組織をおつくりになる御予定ですか。
  90. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 大体ボランタリーチェーンを二十前後、いまのところは考えております。
  91. 大出俊

    大出委員 確か二十五、こうなっておったと思いますけれども、新聞の面からいきますと、「初年度の予算ワクは大型十五——二十五チェーン、中小二十四チェーン」こうなっておりますね。「山本中小企業庁長官はこの点について「初年度は予算も少ないので、質的に充実したモデルチェーンづくりをねらう」」と言明をしたということが書いてありますが、これを見ますと、皆さんの腹づもりがそうだというなら二十でもいいですけれども、近代化資金は予算的には幾らくらいですか。
  92. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 約一億二千万円でございます。
  93. 大出俊

    大出委員 それだけですか。
  94. 島田喜仁

    ○島田(喜)政府委員 なお、中核体が卸でやる場合には、開銀の融資が十五億。
  95. 大出俊

    大出委員 それだけでほかはございませんね。
  96. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいまのボランタリーチェーンの関係の予算の御質問でございますが、いま企業局長から申し上げたのが大筋でございますが、私から若干追加して申し上げますと、中小企業庁の関係の予算では、高度化資金の中で一億二千二百万円を確保してありまして、これは中小小売り商の育成対策でございますので、そちらのほうに重点を置いて運用するつもりでございまして、チェーンの数はただいま二十五を考えております。いま企業局長お話しになりましたのは、開銀の特ワクを使うほうのことでございまして、両者並行して実施されるわけでございます。なお第一年度は、特に啓蒙宣伝といいますか、指導者の養成ということが非常に重要でございますので、中小企業庁の予算の中に約五千九百万円ほどそのための予算を計上いたしております。具体的には、外国からの専門家を招聘しますとか、先ほどお話しのありましたように、海外に視察団を出しますとか、さらに指導者の養成を中小企業指導センターですることにいたしておりますが、特にお話しのありましたように、できれば小売り商の中からりっぱな指導者を養成したい、こういう考えを持っております。それから、それに必要ないろいろなパンフレットその他の作成、こういうものが内容でございます。
  97. 大出俊

    大出委員 さて、その金をどう使うかという問題なんですが、たとえばチェーン一単位、小売り商中心につくるとした場合、国が五百万金を出す、県が五百万出す、合計一千万、こういうことになりますね。その場合に、業者、つまりチェーンをつくる側は、ここで一千万用意しろ、こうなりますと、国の五百万、県の五百万プラス業者の金が一千万、合計二千万、こうなりますね。ここでチェーン本部兼事務所みたいなものができ上がって、何がしかの小型トラックにしろ配送機関ができあがる、こういうかっこうになって準備ができる、こうなりますね。さて共同仕入れが始まる。始まるとなると運転資金が要りますが、運転資金は中小企業金融公庫から借りる、こういう目算なんですね。ところで、店舗改造費が要りますね。何がしかのチェーンをやっていこうとするならば、ショーケースその他も要ります。こうなると、店舗改造資金というものが必要になってくる、こういう勘定になりますね。たとえば、お菓子の小売り屋さんの例をとりますと、横浜市内に七百軒ありますから、かりに二百軒なら二百軒がチェーンをつくるとすると、五万ずつ出すならば一千万円の金になります。国から五百万、県から五百万、合計二千万。そうして運転資金その他店舗改造費は金融公庫から借りる、こういう筋合いになる。その場合に、国から出す金、あるいは県から出す金が、一年据え置きの六年返還になると、合計七年ですね。無利子、こういう理解でいいのかどうか。ところで、運転資金のほうは、中小企業金融公庫のほうはたしか三年くらいじゃないかと思います。そんなふうな形になるかどうか。私が言ったほうが早いから申し上げたのだが、そこらあたり具体的に構想を、私の申し上げるようなことでいいならそれでいい、実は違うというなら違うように、御説明いただきたい。
  98. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいまお話しのような組み立てを私たちのほうでも考えておる次第でございます。それから、多くの場合に、ボランタリーチェーンが組合組織を結成する場合が多いと思います。したがいまして、金融機関としましては、中小企業金融公庫のほかに商工組合中央金庫のほうも活用できると思います。その辺につきましては、そういう関係金融機関が積極的に協力するように指導したいと思います。
  99. 大出俊

    大出委員 ところで、私口にいたしました無利子は一年据え置き六年返還、それでよろしゅうございますか。
  100. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 そのとおりでございます。
  101. 大出俊

    大出委員 そうなりますと、ここで問題が出てくるのです。ドイツあたりの例からいきますと、大きな卸屋がありまして、それが相当な資金を持っていて、あるところは、一ぺんつぶれて新たにチェーン式に小売り商をかかえて、小売り商に相当な金を補助をしながらまさに自分の系列でやっていけるように育てながら、卸売りの方々が十店とか十五店から始めて七十二店、百何十店というようにがっちりしたものをつくってやっておる。こういう姿が外国の例に多い。ところが、それでいきますと、中小のほんとうに零細な商店ははみ出してしまう。小売り店として足の強さがみな違う。強いところを大卸店が中心になってピックアップして、みずからのチェーン化していく。そうなると、極端に言えば、そちらのほうがどうも売れて、零細のほうはなお落ちていく。つまりボランタリーチェーンが発展する一面、そういう小売り商店の淘汰が行なわれておるという顕著な事実があるわけです。そういうことが現実に外国の例としてあるけれども、それは、このボランタリーチェーンを皆さん考えるときに目算に入っておって、やむを得ないというお考えを持っていたのかどうかという点。これを聞いておきたい。
  102. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 日本の流通機構全体としましてはかなり複雑になっておりますので、合理化の必要性が非常に強く要請されておるわけでございます。その場合に、いままでもいろいろな対策を考えてきたのでありますが、今度のチェーン化という方式につきましては、いろいろな形態があり得ると思います。自発的に業者の間で話し合っていく形態として、メーカーが中心になりますとか、大きな問屋が卸の中心になりますとか、いろいろありますが、中小企業庁で考えておりますのは、流通機構の合理化という一般的な目的のほかに、小売り商の地位を強化していきたい、こういうねらいがあるわけでございますので、むしろ規模の小さい小売り商を団結させて、そしてこのチェーン化によりまして、そうした卸なりメーカー中心の機構の進出に対して対抗できるようなものにできるだけ育てていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。その点は、御指摘のように、今後運営の面でおそらくいろいろな問題にぶつかることが予想されると思いますけれども、基本的な考え方はいま申し上げましたところにあるわけでございますから、そういう方向に持っていくようにできるだけの努力をしてまいりたい、かように考えます。
  103. 大出俊

    大出委員 重ねて承りたいのですが、いま、できるだけ小規模の強い集団をというお話がございましたが、例をあげます。さっき私が申し上げましたように、お菓子の小売り屋さんが横浜市内に七百軒ございますが、お説のように、これまた協同組合なりあるいは会社なりをつくらなければ、融資対象ということもございますから、やっていけません。だから、そういうふうにしなければならぬことは事実です。しかし、とにかく七百軒ある中で、一軒五万ずつ出してチェーンに加盟したいという、そこまでゆとりのある店といいますと、やはり実際には二百軒くらいしかないのです。そうすると、七百軒のうちあとの五百軒というのは、五万円の金を出して加盟をすること自体も実際にはたいへんなんです。そうなりますと、その中で軒数が減れば減るだけ負担金は大きくならざるを得ない。先ほど申し上げましたように、国が五百万円出して、県が五百万円補助をして、無利子七年返還にしても、その場合には業者が合計一千万集めろ、こういうことになるわけですから、二百軒の小売り商が集まると、一軒五万円ずつ納めなければならぬ。百軒集まれば一軒十万円ずつ納めなければならぬ。そうすると、十万円出せる小売り商というのは、そこまで出してやらぬでもどうにかやっていける。五万円が出せない、十万円が出せないというところが、何とかしなければならぬ中小小売り店なのです。そうすると、ボランタリーチェーンというものは、いまの構想で進めていく限りは、またいまの御答弁の範囲でものを考えれば、強い、しかも小グループのものをつくるとなると、一軒が二十万でも三十万でも出せるところを集めてチェーン化する。そうすると、なお状態の悪いところというものは、腰の弱いところというものは、そういうところには入れなくなる。そうすると、そういうところはますますもって商売は不振になる、こういうかっこうが出てくるわけです。ここらあたりはどうお考えになりますか。
  104. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 業者の負担が大きくなりますと、どうしても先生御指摘のような状態になるわけでございますので、実情に応じまして、この辺は組合金融等をできるだけ活用することによって、実情に即した解決をしてまいりたい、かように考えております。  それから従来、この一つ一つの店の強化というのは、チェーンをつくることのほかにあるわけでありますから、小売り店としての地位それ自体を高めていくということも、当然従来の政策の継続として引き続いて考えてまいりたいと思います。
  105. 大出俊

    大出委員 大体そこではっきりしているのですが、私はここで言いたいのは、小売り店の地位を高めるとしきりに言われるのですが、よほどのことを考えなければ小売り店の地位は高まらないのです。たとえば電機メーカーなどの大メーカーをながめてみるとおわかりのように、なるべくならば代理店、特約店というようなことで販売系列をどんどんつくるわけですね。つまり価格維持の関係もありまして、何しろ五万何千円のテレビを原価一万三千円くらいでアメリカで売っておったりする、六万円のテレビを一万三千円くらいで売っているのだから、そういうところは、宣伝費とかそういう販売システムにして金をつぎ込むことができるのだから、そういうように系列化して、販売網をたくさん持っていける。そういう大メーカーは、そういうふうにみんな中間のいろんなものを排除したりという形で進めているわけです。化粧品もそうです。資生堂なんかにしてもそうです。そうすると、全く自由競争で売られている日常必需品なんというものは、われわれの身の回りのもののうちの三割くらいしかないのです。残る七割というのは、公取がいないけれども、いろいろなかっこうで縛られてきているわけです。そうすると、ささやかなお菓子の小売り店の例をあげましたけれども、そういうところこそ、実はそういう系列化されていない、まさに自由な販売店なんです。しかもこれが一番締められて苦労をしているわけです。ところが、そういう中の、いまのお話によると、地位を高めるといって、強い小さなグループをつくるということになって、そのために政府は優遇措置をとり、しかも税金面の優遇措置まで考えるということになった場合に、入れないところの一般のところはどうするか。地位を高めるどころの騒ぎではない。全くもって逆になる。ここのところをどう考えるかということを私は突っ込んで聞きたい。
  106. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 今度のチェーンの結成というのは、一つの新しい試みでございますので、小売り商の中でも、いまのままではどうにもいかぬ、やはりこの際一歩でも前進して新しい体制をつくっていかなければ新しい時代の要請に応じられない、こういうことで、積極的にその地位の向上をはかっていこうとする、その意欲が私は大事だと思うのでありまして、そういう意欲を持っている人は、政府のほうで応援をしていきたい。どうもそれもいやだ、できない、現状のままでいくだけいとうという考えの方は、これは正直申しまして手の打ちようがないわけでございまして、できるだけそうした積極的な意欲を持って、そうしていろいろなくふうをして立ち上がっていただく、それを政府のほうでできるだけ応援する、こういうことになるわけでございます。私たちのほうの考え方が、特に優良なものだけピックアップして、それをチェーン化して育てていこうという考えではございませんで、できるだけ底辺といいますか、数の多い、規模の小さい商業者の中にむしろ重点を置いて考えてまいりたい。特にチェーンというかっこうですと、いままでのように合併とかなんとかいうような非常にドラスティックな方法ではございませんから、比較的入りやすいのではないかということを考えておる次第でございます。
  107. 大出俊

    大出委員 気持ちはわかるのです。あなたの言うことは、気持ちはわかる。しかし、羊頭狗肉になってしまっては困る。たとえばいまの予算でも、冒頭に聞いたように、四兆三千億のたいへんな予算を組んだわけでありますから、だとすると、こういう大臣の顔写真が二回も三回も載っかって、百三十万の小売り店のうちの一割を組織化するという大のぼりをおっ立てたのだから、立てただけのことをしてくれなければ困る。世の中は期待を持ちますからね。いまの御説明のように、意欲を持ってやろうとした中小の零細な小売り店の方々が、幾ら金の融資ワクその他を突き詰めていったところが、幾ら一生懸命になってやろうとしても、これではということになってしまう。なぜかというと、いま申し上げたように、一店舗でそんなに十万も二十万もという金を出せるような小売り店ばかりはないということです。現実に横浜市内でもそうです。そうだとすると、さっき申し上げたようなことから、一年据え置き六年無利子でという返還方法、それはいいとしても、それは、チェーン本部ができて、机が一つか二つ並んで、配送機関の一台か二台を持つということに尽きるのだから、してみると、運転資金云々ということはやはりあわせて考えてくれないと困る。公庫金融というものの内容というか、環衛公庫の構想にしても、それが言えるのですからね。いま、床屋さんでも同じですけれども、三台かそこらしか床屋の台を置いていないようなところでは、月収六、七万円ですよ。職人さんのほうの給与がいいですからね。そうなると、それも据え置き半年の三年返還なんていうことでは、職人さんは新しい店を持てませんよ。同じような意味で、そういう制度金融の面で、もう少し低利長期の融資をする。したがって、各店舗の拠出する金というか、つまり業者と国あるいは県のほうで半々だということではなくて、業者の側で三分の一ならば三分の一という形で、返済期間をもう少し延ばしてというような形で皆さんのほうが手を差し伸べて、さて意欲のない者はしかたがないぞというならばわかる。わかるけれども、いまの予算規模で、いま冒頭に伺った方法でやれといっても、話に乗りたくても乗れない。どんなに意欲があっても乗れない。そういう店舗が現実にたくさんあるということです。さっき横浜市内のお菓子屋の話をしましたが、私は、個々にいろいろ当たって見ておりますから、内容をよく知っている。そこで、そういうところにワクを広げていかないと、天はみずから助くる者を助くというような中小基本法を地で行くようなことを言ったって、それでは小売り店舗は救えない。そこをどうお考えになっておるかということを言っておるのです。乗っていきたい意欲は、どこの店舗だってみんなあるけれども、乗れない、そこのところを、ことしはしかたがないとおっしゃるならそれもわかるけれども、各種公庫等についてワクを広げる努力をされて、いろいろな意味行政指導をされて、それで金がなければないで、こういう方法で入ってこいという、つまり半分の割り当てでいけば一店舗二百軒で五万円と申し上げたのだけれども、五万円なければ一万円でも入れるような、そういうものをあなたのほうで考えなければ、小売り店の地位を高くする、しかも意欲のあるところは救っていくということにならぬ。そこを私はどう救っていくのかと聞いておるわけです。
  108. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 新年度の予算がきわめて少額でございまして、その点は全く御指摘のとおりでございます。第一年度にとりあえず二十五チェーンだけ対象にしておるような次第でございます。これは私の考えでは、全くの新しい試みでございますので、第一年度はひとつモデルケースをつくってみたい。おそらく実際やってみますと、またそこにいろいろ改善すべき点も出てくると思います。そしてそれを参考にしまして、今後さらに画期的にこの拡大をはかっていく、こういう段取りを実は考えておる次第であります。  それから所要資金の半額を国と県で出しまして、あとの半額が一応業界の調達ということになるのでございますけれども、その点につきましては、先ほどお話しのように、中小企業金融公庫、さらに商工中金のほうにも本件の特殊性をよく話しまして、積極的な協力をするようにいたしてまいりたいと思います。  それからなお金利の点につきましては、三金融機関御存じのように昨年の九月に三厘下げまして、またこの四月一日から引き続いておおむね三厘下げることに決定しておるような状況でございます。今後も中小企業者の金利負担の軽減には努力を払ってまいりたいと思いますが、本件については、そうした業者の自己調達分につきましても、できるだけ積極的に政府機関を動員してまいりたい、かように考えます。
  109. 大出俊

    大出委員 同じ小売り店でも千差万別ありまして、どこまでお調べになっておるかわからぬけれども、薬屋なんというのは、再販売価格維持契約制度とかいろいろありまして、皆さんがお買いになるものに目薬がありますが、あれは二百五十円だけれども、仕入れ原価は百七十五円ですよ。しかもそのリベートが十三円あるいは十二円くっついてくる。累進リベートは六円で、利益率が五二%ぐらいになる。そうしますと、薬屋というのは、メーカーがみんなもうかっておりますから、相当な優遇措置をとりながらやっていくから、何とか小売り店も立っていくわけです。ところが、お菓子屋なんかの例からいくと、にっちもさっちもいかない。そこでひとつ聞いておきたいのは、小売り商を中心にするチェーンができた、こう仮定をいたします。何が一体共同仕入れの妙味かというと、リベートならリベートというものが一つの妙味になってくる。たとえばチョコレートならチョコレートを例にとれば、明治、森永、不二屋、グリコ。長崎屋なんかを除いて四つにしぼって考えると、二十円のチョコレートならば、建て値が九百九十円で、一ボールの中に六十個入っておりますから十六円五十銭、そうしますと、仕入れで三円五十銭のもうけですよ。利益率は一割七分二厘です。ところが、これは大蔵省から税金が二割三分から五分かかる。ですから、二十円のチョコレート一個売れば赤字が出るような現状ですよ。売り上げをごまかす以外に手がないのです。そうすると、どこがもうかっているかというと、中間卸売り業です。ここに三分から一割五分のリベートがあるから、まとめて百箱売ったら何分というリベートがきまっている。だから、せっかく十六円五十銭で仕入れて二十円で売って、三円五十銭、つまり一割七分二厘の利益を得ても、税金のほうが高いという現実になる。そうなると、百ボール、二百ボールまとめて買えば三分から一割五分のリベートがくる。これをどう使うかが、つまり仕入れ原価が安くなるということにつながってくるのです。きのうの読売新聞でしたか、出ておりましたが、「私の提言」 「小売り店の近代化」として、宗像平八郎さんが、「政治がもっと国民生活に直接影響する、小売り商業のあり方に目を向け、零細小売りの近代化による、物価引き下げをめざす、ボランタリー・チェーンの積極育成をはかってほしい」と書いている。安くなるかならぬかでいま一例をあげたけれども、中間リベートをどういうふうに使うかということになる。そうなると、逆に今度は、ある意味で建て値をくずして三分から一割五分の中間利益を押えようということもある。そちらのほうからリベートが消えていくということになると、逆現象としては、共同仕入れをやっても実際にはうまみがないということになる。だから、そうなると何が出てくるかわからない。つまり中間卸売り業者だって抵抗するでしょう。それをたよらずに小売り業者だけでチェーンをつくれば、その場合に行政指導の面で、中間卸売り業者その他メーカーを含めて、皆さんのほうでがっちり行政責任を負ってくれなければ、せっかくつくったのだが、最初はリベート規制のほうが進んでいってリベートがなくなった、そうすれば赤字にしかならなかったということになる。なるといったって一割七分ですが、つまりそういう状態考えてみなければ、そう簡単に、チェーンをやったら販売価格が安くなるのだということは言えないはずだ。だから、私はいまのお話を聞いておると、そこまで突っ込んだ御検討の上でのお話かどうか疑問がある。そこらあたりはどう考えているか。あなたのほうのPRの新聞によれば、グロス価格幾らとかなんとかやっていますけれども、検討してみると、まるきり現状に合わない。あなたのほうはどうお考えになっておりますか。
  110. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 先生は業界のことを非常に詳しく御調査になっておられますので、私はたいへんに傾聴さしていただいたわけでありますが、業種によりましていろいろ事情が違うと思います。私たちのいままでの検討は、そういう点で必ずしも万全であるとは正直に申して考えていないのでありまして、業種、業界の実情に応じまして、いろいろ考慮しなければならない点が多いと思います。しかし、一般論といたしまして、やはりばらばらになっておる小売り商を合理化し、強くしていくという一つの方向としては、このチェーン化ということが相当有力な方法として考え得るのじゃないかということで考えておるのでありまして、実施の面につきましては、いまちょうど御指摘のような点を十分に考えまして、せっかくつくったけれどもかえってマイナスになってしまうというようなことのないようにいたしてまいりたいと思います。
  111. 大出俊

    大出委員 こういうことなんですよ。林さんもうしろにおられるようだけれども、いろいろお呼び立てして意見を聞いたこともあるのですが、さらにその後いろいろ調査もしてきたのですけれども、このボランタリーチェーンという構想の基礎になるのは独立店舗なんですからね。一軒一軒の小売り店舗というのは、あくまでも独立店舗なんですからね。これは間違いない。そうなるとどこが違うかといえば、共同仕入れなんですね。ここが違うわけですよ。つまりチェーン本部をつくって、独立店舗である二百軒なら二百軒のチェーン加盟店に対して、仕入れ面を共同で仕入れる。専門的な指導者をつくり、養成をしながら、市況というものに目を配ってできるだけ有利な仕入れ先を考えるという意味の、そこまでのことを含めての共同仕入れ機構なんですね。それに間違いない。だとすると、その共同仕入れの面で、中間卸売り業者がいないのではない。今日いる。いる中でつくろうというわけですから、しかも卸を中心にしようとすれば、その卸の系列的な形でなければやっていけない。だから、先ほど、冒頭に私は、一般の小売り店にウエートが置かれるものなのか、それとも卸を中心にというお考えなのかと言ったら、やはり今日予算その他の関係でいろいろあるけれども、本来小売り店舗の足を強くしてやるのだ、地位を高めるのだという。そういうことになれば、それが重点なんですから、中間の卸売り業者は長く根を張って、いろいろふところに入れてきておるから、小売り店にリベートを渡さないで、そのかわりに熱海に一泊御招待、年に一回やりますからと頭を下げているが、そうすると、中間の卸売り業者の力は強くない。そこで、政府が責任を持ってボランタリーチェーンを強くするなら、通産大臣名をもってPRするなり、そこまでの責任を持ってやってくれなければならぬ。そうなると、業種別に、菓子の小売りでいうならば、繊維関係でいうならばというふうに分けてみたら、さっき私が申し上げたように、自由に売っているというようなところは、品目からいって三割くらいしかないんだ。それだから、ずっと流通機構をたどって当たっていってみたら、チェーン化したらこうなるというサンプルを全部あげて、ここにいっているような卸売りではなくして、かりに当てはめたらこうなるというようなことじゃなくて、これは当てはまらないんだから、そういうところまで皆さんのほうでおやりになって、しかも金融措置その他についても気を配ってものを言っていただかないと、気のない人はしようがない、そういうことでものを出発させるなら、国の政治責任として、行政指導としてはこれは間違いですよ。つまり意欲がないものはしようがないんじゃなくて、日本人なんだから意欲を持たせるようにしなければならぬのです。だから、そういう出発をするためには、そこまで皆さんが掘り下げて、現実に現場の中小小売り店を業種別に当たってみて、それでこうなんだというものをつくり上げて、だからひとつ意欲を持ってやれ、金がなければこういう方法があるということをお考えにならなければ、私は、百三十万の小売り店のうちの十三万を組織するなんというたわごとを言ったって、卸売り中心に系列化される小売り店のグループはでき上がっても、小売り店に重点の置かれたものは、いまの状態では私はできないと思っている。そこのところを私は御検討いただきたいと思うのですが、どうですか。
  112. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 たいへんに核心をついた御意見を拝聴いたしましたので、十分に参考にさしていただきまして、これからいよいよ実施に移るわけございまして、その際、その点誤りのないように運用してまいりたいと存じます。
  113. 大出俊

    大出委員 大臣、ボランタリーチェーンというのは、いまお聞きのとおりなんですが、日本の国情というのは、私も外国歩きを長くやっておりますからよく知っておりますが、零細店舗の状態というのは、だいぶ違いますから、したがって、そこらあたりの、かつまた商品に対する各種統制的な再販価格だとか、あるいはそれに類する問屋さんの力というものを含めての、そこらあたりを相当きめこまかにお考えをいただかないと、せっかく中小零細店舗を含めての店舗の地位を高める、腰を強くするというせっかくの発想なり、着想なり、政策なりというものが、現実には比較的強いところだけしか救っていかない、零細なものであれば零細であるほど置き忘れられていく、いまより悪くなるということであっては困りますので、そういう点について、ひとつ大臣十分御配慮を賜わりたい、こう思っております。御意見ございませんか。
  114. 三木武夫

    三木国務大臣 私も、いまのいろいろと御意見を拝聴して、ごもっともだと思います。中小小売り業者に対しての対策というものは、そうあれもこれもといってなかなかやはりないのです。このボランタリーチェーンのごときは、最初にこういう芽が出たわけですから、これを私も督励をしまして、業種、地域、いろいろの点を考えて、モデルのチェーンをつくる場合でも、将来育て上げられるように、しかも世話なども、やはり融資の面などでもこういう方法があるというだけでなしに、あっせんするぐらいの熱意を持って何か育て上げてみないと、中小の小売り業者対策というのは、ほかに格別知恵をしぼってもなかなかないものですから、これは将来の対策の基本になるようにきめこまかく政策の芽を育て上げたいと考えております。
  115. 大出俊

    大出委員 大臣、この考え方について私も賛成なのですよ。ですから、林さんその他いろいろ私もちょいちょい連絡を承ってきたのだが、どうしても零細小売り店にすると、疑心暗鬼があったり、資金の面があったりして入れない、こういうことが出てきているわけですね。ですから、意欲は山ほどある、一生懸命ですよ、いまの零細店舗というものは。どうして生きていくかということですからね。だから、そこらあたりをひとつお考えになって、卸中心もそれは過渡的にやむを得ない場合もありましょうが、何とか皆さんの御努力もいただきながら、そのことを一つのサンプルにして、小売りを多くかかえるチェーンシステムをつくり上げていただく。だから、世の中の中小の零細小売り店舗もやる意思を持ってひとつやろうじゃないか、それで日本の全体の小売りシステムを変えていこうじゃないか、打ち出した以上は、そういうところまで皆さんのほうでやはり育てていく責任があると思うのです。だから、私どももそういう点でいま小売り店舗を何とかしなければならないということについては全く同感なんですから、そういう意味で一生懸命努力しようと思うのですが、そういうことを含めてぜひひとつりっぱなものを、小売り店の零細な方々を救えるような形のもの、そしてそれが終局的には物価へも響いていくというようなもののあり方というものを、ぜひつくっていただきたい、このことをお願い申し上げまして終わります。
  116. 木村武雄

    木村委員長 次会は、明二十五日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会