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1966-03-16 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十六日(水曜日)    午後一時三十二分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       小川 半次君    加藤 高藏君       塚田  徹君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    保科善四郎君       前田 正男君    湊  徹郎君      茜ケ久保重光君    稻村 隆一君       中村 高一君    村山 喜一君       楢崎弥之助君   米内山義一郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         国 務 大 臣 上原 正吉君  出席政府委員         防衛庁参事官         (人事局長)  堀田 政孝君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    梅澤 邦臣君         外務政務次官  正示啓次郎君         外務事務官         (大臣官房長) 高野 藤吉君         外務事務官         (アジア局長) 小川平四郎君         外務事務官         (北米局長)  安川  壯君         外務事務官         (欧亜局長)  北原 秀雄君         外務事務官         (中近東アフリ         カ局長)    力石健次郎君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君  委員外出席者         外務事務官         (大臣官房人事         課長)     大河原良雄君         農林事務官         (大臣官房秘書         課長)     立川  基君         運輸事務官         (航空局監理部         長)      町田  直君         労働事務官         (大臣官房秘書         課長)     小鴨 光男君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 三月十六日  委員三原朝雄君辞任につき、その補欠として塚  田徹君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十四日  公務員退職条件改善等に関する請願外九件  (五島虎雄紹介)(第一六五三号)  建国記念日制定に関する請願星島二郎君紹  介)  (第一六五四号)  同(齋藤邦吉紹介)(第一七一七号)  同外三件(長谷川四郎紹介)(第一七一八  号)  同(清瀬一郎紹介)(第一七三九号)  同外十三件(三原朝雄紹介)(第一七八二  号)  同(藤田義光紹介)(第一八三九号)  恩給年金増額等に関する請願前田正男君  紹介)(第一六五五号)  政府関係機関職員労働基本権保障に関する請  願(落合寛茂紹介)(第一六五六号)  同(石野久男紹介)(第一六五七号)  同(淡谷悠蔵紹介)(第一六五八号)  同外十一件(河野正紹介)(第一七二〇号)  恩給共済年金増額に関する請願外三件(永  井勝次郎紹介)(第一六七九号)  同外三件(芳賀貢紹介)(第一七四〇号)  同(山内広紹介)(第一七四一号)  国立大学教官待遇改善に関する請願西岡武  夫君紹介)(第一六八〇号)  同(藤本孝雄紹介)(第一六九四号)  同和対策確立に関する請願外二件(西村関一君  紹介)(第一六八六号)  釧路市の旧日本軍爆発物による被害者に対する  補償等に関する請願松浦定義紹介)(第一  六九二号)  旧軍人恩給に関する請願外一件(中馬辰猪君紹  介)(第一六九三号)  同(中馬辰猪紹介)(第一七三〇号)  国家公務員等退職手当法の一部改正に関する請  願(落合寛茂紹介)(第一七〇八号)  同(淡谷悠蔵紹介)(第一七八三号)  同(石橋政嗣君紹介)(第一七八四号)  同(角屋堅次郎紹介)(第一七八五号)  元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の  恩給等通算に関する請願田原春次紹介)(  第一七一九号)  退職公務員恩給共済年金に関する請願(徳  安實藏紹介)(第一七三一号)  靖国神社の国家護持に関する請願橋本龍太郎  君紹介)(第一八三八号)  紀元節復活に関する請願外三件(藤田義光君紹  介)(第一八四〇号)  引揚者在外私有財産補償促進に関する請願(上  村千一郎紹介)(第一八五二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二六号)  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)  在外公館名称及び位置を定める法律の一部を  改正する法律案内閣提出第二九号)  在外公館勤務する外務公務員給与に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出第八三  号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議開きます。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  おはかりいたします。本案についての質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
  4. 木村武雄

    木村委員長 次に、討論に入るのでありますが、討論申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  本案原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  5. 木村武雄

    木村委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  7. 木村武雄

    木村委員長 外務省設置法の一部を改正する法律案在外公館名称及び位置を定める法律の一部を改正する法律案、及び在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  8. 田口誠治

    田口(誠)委員 前回の委員会で、自衛官派遣の問題についていろいろとお尋ねいたしましたが、関連質問でございましたので、中途で質問を打ち切って、きょうに持ち越しておるわけであります。そこで、その問題からまず片づけていきたいと思いますが、現在外務省職員として海外派遣をしておるものは、自衛官だけでなしに、農林省、労働省等にもあるわけです。したがって、まず私はその身分関係をお伺いをしたしたいと思うのですが、各省から外務省出向をして、外務省職員身分がえされて、それから海外派遣をされておるわけです。そこでこの身分関係ですが、たとえば自衛官の場合を例にとって説明をしていただきたいと思いますが、自衛官外務省から派遣をされる場合には、これは兼務という形か、それとも全く身分がえされておるのか。その辺のところから御説明をいただきたいと思います。
  9. 高野藤吉

    高野政府委員 防衛庁から外務省出向いたしまして外務事務官になりまして、外の在外公館に配置される場合に防衛在官、これは外務職員であります。ただし防衛庁のほうとしては兼務外務省基本で、そのあと防衛庁自衛官身分兼務する、こういうふうになっております。
  10. 田口誠治

    田口(誠)委員 在外公館の場合には、全部それは一般職という身分で行くのか、特別職という身分で行くのか、その辺どうなりますか。
  11. 高野藤吉

    高野政府委員 各省並びに外務省の人は、一般職として在外公館へ行きます。
  12. 田口誠治

    田口(誠)委員 自衛官特別職である。特別職一般職に切りかえるときの手続等は、どういうような手続をされて外務省一般職職員にされておるのか、この点を解明いただきたい。
  13. 高野藤吉

    高野政府委員 防衛庁から出向命令が出まして、そして外務省一般職という職員になるわけでございます。
  14. 田口誠治

    田口(誠)委員 防衛庁は、自衛隊法なりあるいは自衛隊法施行規則なりでそれぞれ隊員の身分取り扱い等が明記されている。そこで、外務省出向を命ぜられた場合に、外務省がそれを一般職職員にして海外派遣することになりますと、そのときに手続をしなければならない。その手続は、どういうような手続をしておられるか。
  15. 高野藤吉

    高野政府委員 防衛庁から出向するということで特別職身分が失われて、外務省一般職になります。しかし、海外に行く場合にはまたそれから兼務するということで、今度は特別職を兼ねるということになります。
  16. 田口誠治

    田口(誠)委員 防衛庁は、防衛庁自衛隊員外務省出向させるときに、出向させると同時に特別職というものが消えて、そして外務省のほうでは一般職としてこれを取り扱うということですが、これは自衛隊法なり施行規則なりのどこを適用しておるのか。
  17. 堀田政孝

    堀田政府委員 一応手続的なことを申し上げますと、たとえば自衛官堀田政孝外務省出向いたします場合には、堀田政孝を何月何日外務省出向を命ず、こういう発令をいたします。その発令をされました堀田は、そのときに外務事務官任命をされるわけでございます。外務大臣堀田外務事務官に命ずるという発令を同時にされるわけであります。そして堀田は、自衛官である身分を理論的には失いまして、一般職である外務事務官にその瞬間になる、こういうわけでございます。しかしながら、同時に、ただいまのたてまえでは——これは防衛庁長官発令をするわけでございますが、あわせて、たとえば一等海佐を兼ねさせる、こういう発令をいたします。そこで同時に堀田一等海佐をその瞬間に兼ねる、こういう形に相なりまして、外務事務官であると同時に一等海佐である堀田という者ができ上がるというわけでございます。
  18. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうすると、ただいま堀田さんのほうから説明のありました手続でいきますと、自衛官出向すると同時に外務大臣のほうから外務事務官——一般職職員として辞令を出す、こういうことになっておりますが、そうなりますと、国家公務員としての取り扱いをしなくてはならない。国家公務員としての取り扱いをするということになりますと、一般職国家公務員職員取り扱いというものは、必ず試験任命という項が三十三条と三十六条にあるわけです。だから、この辺をどういうようにしておられるか。ただ出向を命ぜられてきた、受け入れのほうでは外務事務官辞令を出す、こういう早変わりはできないことになっておるのです。これはあくまでも国家公務員法適用を受けなければならないので、国家公務員法適用を受けるということになりますると、この任免とか試験とか、いわゆる国家公務員法の三十三条、三十六条、こういうところに関係があるわけなので、この辺をどういうように処理されておるか、お伺いをいたしたい。
  19. 高野藤吉

    高野政府委員 六級職以下の場合は試験でなければ採用できませんが、以上の場合はできるようになっております。   [委員長退席長谷川(四)委員長代理着席
  20. 田口誠治

    田口(誠)委員 それを具体的にひとつ説明してください。ちょっとのみ込めません。
  21. 大河原良雄

    大河原説明員 国家公務員法に基づきまして、六級職以下の人間採用する場合には、人事院が持っております試験合格者名簿の中から優先的に採らなければならないということになっております。しかし、試験合格者名簿の中で間に合わない場合には、任命権者は別途採用してもよろしいということでございます。  それから六級職以上の場合には、必ずしも人事院の持っております試験合格者名簿にとらわれることなく、各省事務の必要に応じて採用してもよろしいということになります。
  22. 田口誠治

    田口(誠)委員 いまのは何条と何条ですか。
  23. 大河原良雄

    大河原説明員 手元にその条文を持ち合わせておりませんので、いずれまた調べまして——国家公務員法第三十六条にこういう規定がございます。「職員採用は、競争試験によるものとする。但し、人事院規則の定める官職について、人事院承認があった場合は、競争試験以外の能力の実証に基く試験(以下選考という。)の方法によることを妨げない。」という規定がございます。
  24. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、自衛官の場合は、自衛隊法なり自衛隊法施行規則によって人事問題が処理されておるわけです。したがって、その特別職自衛官外務省出向させると同時に、ただいまの三十六条によって自動的に外務事務官にできるのだという解釈は、ちょっとおかしいと思う。どうですか、自衛官採用、そういうところからひとつ判断をして答弁をしていただきたい。
  25. 大河原良雄

    大河原説明員 先ほど高野官房長から御説明がございましたように、自衛官は、外務省に対して防衛庁から出向を命ぜられますと、そこで一般職公務員になります。一般職公務員採用につきましては、いま申し上げましたように任命権者人事院規則の定めるところによって選考することができるということになっておりますので、それに従って処置しているわけでございます。
  26. 田口誠治

    田口(誠)委員 それは国家公務員法の三十六条を解釈してのことか、それとも自衛隊法施行規則の六十条の解釈なのか、あるいは自衛隊法の六十条の解釈も加味してなのか、その点ひとつ説明をしていただきたい。自衛官を入れるときからのことですね。
  27. 堀田政孝

    堀田政府委員 自衛官外務事務官任命いたします例のみならず、たとえばそのほかの官庁の所属職員外務事務官任命いたします例も、すべて国家公務員法三十六条第一項、人事院規則の定める官職について、人事院承認があった場合には選考採用してよろしい、選考任命してよろしいという、この規定適用いたしまして、たとえば自治事務官外務事務官に任ず。これはやはり発令の形式は、自治省から外務省出向を命ずる、同時に外務大臣外務事務官を命ずるという手続をとるわけです。これは自衛官の場合と全く同じでございます。
  28. 田口誠治

    田口(誠)委員 そういたしますと、国家公務員法の三十一条にいうところの格づけの問題は、そのときにどういう取り扱いになるんですか。
  29. 大河原良雄

    大河原説明員 格づけに関しましては、人事院規則に基づきまして、各任命権者任命基準を持っております。したがいまして、自衛隊から外務省出向いたしまして、その段階一般職に切りかえられました元自衛隊員につきましては、任命権者たる外務大臣の持っております基準に従いまして格づけを行ないます。
  30. 田口誠治

    田口(誠)委員 抽象的にはそうですけれども、具体的にどういうようなことをしておられるか。事務官にすれば同時に格づけをどうするとか、こういうように並行してやられるのか。やはり事務官として受け入れた場合に、この人をどういう格づけでどこに使うかということをきめなければならないんだが、そういうようなことは、人事課の決裁でやれるものかどうかということです。
  31. 大河原良雄

    大河原説明員 自衛隊員として、たとえば一等陸佐一等海佐という身分を持っているその自衛隊員が、外務省出向いたしまして一般職となる場合には、それに見合う官職、具体的には、たとえば一等書記官を命ずるという辞令を出すことになっております。
  32. 田口誠治

    田口(誠)委員 派遣職務が終わって帰国した場合に、これはまた自衛官に戻るわけなんですね。その辺はどうなんですか。戻る場合もあるし、戻らぬ場合もあるということですか。
  33. 大河原良雄

    大河原説明員 外務省員としての任命を受けて防衛庁に帰ってもらいます場合には、外務省から今度は防衛庁に対しまして防衛庁出向を命ずるという辞令をまた出します。そこで防衛庁身分に戻るわけであります。
  34. 田口誠治

    田口(誠)委員 そういう場合の手続きは、防衛庁のほうはどういうふうにするんですか。
  35. 堀田政孝

    堀田政府委員 いま外務省からお話しのございましたように、任期が満了いたしまして外務事務官をやめますときには、防衛庁出向を命ずという命令外務省がお出しになり、それを受けまして、防衛庁長官は兼職を解くという発令をいたします。
  36. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、現在各省から外務省出向をして外務省職員として外地派遣をしておるのは、何名ありますか。
  37. 高野藤吉

    高野政府委員 現在百四十九名でございます。
  38. 田口誠治

    田口(誠)委員 百四十九名のうちで、防衛庁から自衛官出向されて、そして外地に出ておる者は何名ですか。
  39. 高野藤吉

    高野政府委員 十五名でございます。
  40. 田口誠治

    田口(誠)委員 十五名という数字は違っておりませんか。
  41. 高野藤吉

    高野政府委員 違っておりません。
  42. 田口誠治

    田口(誠)委員 二十六名でないですか。
  43. 高野藤吉

    高野政府委員 十五名でございます。
  44. 田口誠治

    田口(誠)委員 私の調べた範囲内の数字と相違はありまするが、これはここで何べん繰り返しても十五名ですという答弁だと思いますので、私のほうでは二十六名ということになっておるが、これはどこでどう違っておるのか、私のほうの調査が違っておるのか、それともあなたのほうの記録が違っておるのか、その点はわかりませんが、いずれにしても、いまの段階ではそういう開きがありますので、これは後日に譲りたいと思いますが、一応外務省のほうでは、私の申し上げた数字がどうして二十六名になっておるのかということについて、調査をしておいていただきたいと思うのであります。  そこで、次にお聞きいたしたいと思いますることは、先日の質問のときにも、自衛官外務省出向して、外務省からベトナム派遣をして、ベトナム戦況調査をしておる。これはあくまでも国家公務員一般職としての資格で行っておるわけです。ところが、この人たち向こう制服を着ておるということはどうもおかしいと思うのだが、どうなんですか。
  45. 堀田政孝

    堀田政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、かねて何々一佐もしくは何々二佐を命ずといち兼務発令でございますので、身分自衛官身分をあわせ持っておるわけです。その場合には、自衛隊法の第五十八条二項に、「自衛官及び学生は、長官の定めるところに従い、制服を着用し、服装を常に端正に保たなければならない。」という規定がございます。したがいまして、長官の定めるところ——施行規則でございますが、この施行規則に定められた服装をすることができるわけでございます。
  46. 田口誠治

    田口(誠)委員 最初に、身分関係兼務かどうかということと、身分の変更がされたのかどうかということをお聞きしたら、これは変更した。そうしますと、いまの堀田局長答弁はちょっとおかしいと思います。兼務ということをまだ自衛官というものは解いてないということです。どうですか。
  47. 堀田政孝

    堀田政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、発令手続を申し上げたわけでございます。外務事務官として、一等書記官職務を遂行いたしながら、同時に身分先ほども申し上げましたとおり、防衛庁長官一等海佐もしくは一等陸佐を兼ねさせるという発令をしておりますので、身分自衛官身分を持っておるわけであります。したがって、一等書記官であると同時に自衛官であるという身分在外公館で活動いたしますので、したがって、ただいま申し上げました五十八条の制服を着なければならないという規定に基づいて、向こうに参りましたときには制服を着ることができるというふうに解釈をいたします。
  48. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますと、自衛官身分外務省を通じてベトナム派遣をされておる。そうして自衛官身分を持っておる者が派遣をされて戦況調査しておるということですから、こういうようなことがだんだんと拡大していく場合に、この派兵という名称を使った場合、派遣という名称を使った場合と、拡大解釈で変なほうへいくのではないかという心配があって、国会では問題になっておるわけです。したがって、兼務ということになりまするとお聞きをしなければならないと思いますが、ただ普通の自衛隊員、普通の兵ではありませんね、これは幕僚が多いのですか。
  49. 堀田政孝

    堀田政府委員 私、田口委員の御質問をちょっと勘違いをいたしておりまして……。先ほど申し上げましたのは、ベトナムに行っておる、大使館に勤務をする者で云々というふうにお尋ねがあったと思ったものでございますから、たとえばタイ国勤務をしております防衛在官ベトナム出張いたしましたときに、これはやはり身分一等書記官であると同時に自衛官でございます。そのことをお尋ねかと思いまして申し上げたわけでございますが、問題になっておりますのは、ベトナムに行っておる長期出張者でございます。長期出張者でございまして、外務省職員にはなっていないわけでございます。純粋に自衛官だけというふうに御解釈いただいてけっこうでございます。
  50. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうすると、これは外務省一等書記官ではあるが、自衛隊員である、こういうことなんですね。
  51. 堀田政孝

    堀田政府委員 いまお尋ねになりましたベトナムに行っておる人間というのは、これは長期出張で行っておる自衛官でございます。外務省職員ではございません。
  52. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこでお聞きをしたいことは、先ほど十五名と二十六名というこの数字開きもありましたね。だから、ただいま堀田局長から答弁のあったようなこともあるので、私のほうの調査では二十六名という数字になっておるかもわかりませんが、外務省を通じずに、長期自衛官海外派遣をしておるのは、いま何名ぐらいですか。
  53. 堀田政孝

    堀田政府委員 アメリカ二名、ベトナム一名、計三名でございます。
  54. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは堀田さん、三名は間違いないですか。
  55. 堀田政孝

    堀田政府委員 間違いなく三名でございます。アメリカ二名、南ベトナム一名。
  56. 田口誠治

    田口(誠)委員 インドネシアへたしか行っておるはずなんですが、これはいまでもインドネシアにおるのかどうか。
  57. 堀田政孝

    堀田政府委員 防衛庁職員は、長期出張インドネシアに対してはさしておりません。
  58. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは外務省からはやっておりますか。
  59. 高野藤吉

    高野政府委員 一名駐在しております。外務省身分を持って、防衛在官ということで一名行っております。
  60. 田口誠治

    田口(誠)委員 インドネシア外務省から派遣をしておるのが、直接防衛庁から長期出張としてベトナム派遣をしておるのに応援にインドネシアのほうからベトナムのほうへ行っておるのですか。それでもう一度わかるように聞きますが、インドネシアへ一名派遣してあるこの人は、インドネシアでいま仕事をしておるのか、ベトナムのほうへまた出張さしておるのかどうか。
  61. 高野藤吉

    高野政府委員 インドネシアに行っている人は、インドネシア勤務しておるわけであります。
  62. 田口誠治

    田口(誠)委員 こういうことを確かめるには、答弁されればそれでそのとおりということになってなかなかむずかしいのですが、インドネシア派遣をしておる事務官が、南ベトナムへいま行っておるというように聞いておるわけですが、そうすると、ベトナムが二人になるわけです。だから、その辺のところはどうなんですか。
  63. 高野藤吉

    高野政府委員 インドネシアに駐在している駐在官はそこにおりまして、あと先ほどから堀田局長からお話があったように、ベトナムには防衛在官が一人出張しておる、そういうことになるわけでございます。
  64. 田口誠治

    田口(誠)委員 まあそれはそのとおり聞いておきましょう。  そこで、堀田局長にもう一度確認をいたしたいと思いますが、アメリカへ二名とベトナムへ一名というのは、これはベトナム戦況調査ですけれども、アメリカの場合はどういう任務をさしてあるのですか。
  65. 堀田政孝

    堀田政府委員 これは御承知のとおり、MASの手伝いと申しますか、相互援助条約に基づきましてアメリカからいろいろな装備品が送られてまいるわけでございますが、それの連絡、調整、促進という仕事派遣をいたしております。べーイヨンに一名、サクラメントに一名の二名でございます。
  66. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、外務省から派遣をしておるのは、これは全部在外公館員、こういう身分でございますか。
  67. 高野藤吉

    高野政府委員 さようでございます。
  68. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますと、外務省から派遣をしておるのは在外公館員という身分で行っておるのだが、防衛庁から直接派遣をしておるその三名は、向こう在外公館員になった場合の待遇は、私どもはおよそ把握をしております。把握をしておりますが、防衛庁から即派遣をしておる三名の待遇というものは、在外公館員とほぼ同じなのか、それとも待遇は悪いのか、いいのか。待遇の点についてひとつ明確にしてもらいたい。
  69. 堀田政孝

    堀田政府委員 これはお尋ねの御趣旨が、待遇とおっしゃいますがたとえば俸給等の問題でございました場合には、これはあくまでも外務省職員でございませんで、防衛庁職員ということになっておりますので、月給は自衛官としての月給をもらっております。そうして向こうへ参ります場合には、たとえばベトナムであった場合には、留学生等外国旅費ということで参っております。したがって、外交官としての扱いを受ける、外交官としての待遇を受けておるということは、全然ございません。
  70. 田口誠治

    田口(誠)委員 したがって、外交官より待遇が悪いのか、いいのかです。
  71. 堀田政孝

    堀田政府委員 私、外務省勤務したことがございませんので、給料の点については正確なことは申し上げられません。
  72. 田口誠治

    田口(誠)委員 それは人事局長、正確なことは答弁できないと言われるけれども、少なくとも防衛庁職員海外派遣をしておる場合、長期出張をさしておる場合には、どの程度の待遇をしておるのかというようなことが、あなたのところで把握されておらぬようなことではお粗末だと思う。したがって、私がお聞きしたいことは、在外公館の場合には、いろいろ差はありますけれども、私は把握しております。しておりますが、直接自衛官として派遣をしておる分については把握しておらぬので、それをお聞きしておるわけなんで、大体何倍ぐらいになるかということは、あなたのほうで把握しておって、そうしてその待遇で勤務のできるような勤務態様をつくってやらなければならないと思うのです。この辺のところが不明確なことではいけないと私は思う。どうですか。
  73. 堀田政孝

    堀田政府委員 長期出張者につきましては、先ほどから申し上げておりますように、外務省職員でございませんので、外務省職員としての、たとえば家族手当とかあるいは在外加俸といったようなものは、全然ついていないわけでございます。もらいますものは、自衛官としての俸給並びに留学生等外国旅費による支給分だけでございまして、したがって、私どもといたしましては、たとえばMAS等の件で長期出張しております者については、毎年大蔵省にお願いをいたしまして、なるべく防衛在官としての定員をいただきたいということでお願いをするわけでございますが、なかなか定員がいただけませんで、いまだに長期出張者が残っておるという状況でございます。
  74. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでは、農林省のほうから外務省のほうへ出向をさせて、外務省職員に肩がわりして外地派遣をしておる分は、どういうふうな待遇をしておられるのか、そして現在何名あるのか、そしてどういうような仕事をさせておるのか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  75. 高野藤吉

    高野政府委員 農林省から外務省出向している現定員は、十六名でございます。外務省在外公館員と同じような待遇をもちろん受けておるわけでございます。仕事は、向こうの農業制度並びに日本の農産物の買い入れ等の貿易事務、それから現地各国における農業関係調査とかいたしております。
  76. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは研究に行っておるのか。国によってはシビリアンということも考えられるが、どちらなんですか。
  77. 高野藤吉

    高野政府委員 在外公館員として仕事向こうでしておるわけでございます。研究ということではございません。
  78. 田口誠治

    田口(誠)委員 農林省おいでになっておりますね。いま外務省のほうからお聞きいたしましたように、あなたのほうから外務省のほうへ出向させておる分は、特別職が何名で、一般職が何名であって、そうしてその後の待遇等についてどういうように把握されており、そして今度任務を終わって帰ってきたときには、先ほど防衛庁のほうから答弁があったように、農林省のほうへまた帰属することになろうと思うわけですが、そういう場合に、身分上の取り扱いをどういうようにされるのか、これを伺っておかなくてはならないのです。
  79. 立川基

    ○立川説明員 ただいま仰せのありました農林省から外務省出向させておりますのは、先ほど外務省の官房長のお話がありましたように十六名でございます。その待遇につきましては、外務省基準によります待遇をしていただいておると考えております。一般の外務省基準に照らされまして、それと同等な扱いをしていただいておると考えます。それから外務省から三年なり四年つとめまして私のほうに帰ってまいります場合には、先ほどお話がありましたように、出向を免ぜられまして、農林事務官なりあるいは農林技官を命じまして、農林省に帰りましての待遇につきましては、農林省のわれわれが普通やっております一般基準に照らしまして待遇しております。
  80. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで防衛庁と同じようにお聞きしたいことは、兼職の関係です。これはありますか。
  81. 立川基

    ○立川説明員 私のほうの場合には、兼職の関係はございませんので、外務省外務事務官になっておるわけでございます。
  82. 田口誠治

    田口(誠)委員 労働省から外務省出向させておる職員の場合、いま農林省の方にお聞きいたしました内容について、同一であるかどうかということを伺いたいと思います。
  83. 小鴨光男

    ○小鴨説明員 農林省の方がおっしゃったのと全く同一でございます。
  84. 田口誠治

    田口(誠)委員 あなたのほうも兼職というものはない。
  85. 小鴨光男

    ○小鴨説明員 兼職は全くございません。
  86. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、労働省のほうにだけは特にお聞きをいたしたいのですが、韓国へ労働市場の調査にやっておられるのですか。
  87. 小鴨光男

    ○小鴨説明員 現在アタッシェ等の関係で韓国に行っておる者はございません。
  88. 田口誠治

    田口(誠)委員 外務省かう、外務省を通じてからのものはありますか。
  89. 高野藤吉

    高野政府委員 ございません。
  90. 田口誠治

    田口(誠)委員 ない。おかしいな。そこにもちょっと私の資料とは食い違いがございます。一名だけあると思いますが、これは近い将来そういう計画を立てられておるのかどうかということです。私のほうでは当面一人行って、労働市場あるいは労働問題の調査を行なっておるというように把握をしておるわけなので、答弁のほうでは、ない、こういうことですかう、それでは近い将来、外務省のほうあるいは直接労働省のほうで、そういうような構想を持っておいでになるかどうか、これをお聞きをしたいのです。韓国の場合には、先般条約が結ばれたばかりでございますので、おそらくいろいろと計画が立っておると思います。これは大臣、どうですか。
  91. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 私、聞いておりません。
  92. 田口誠治

    田口(誠)委員 聞いておらぬということは、大臣はおえらいさんだから、そこまで耳に入っておらないかもわかりませんが、外務省の担当局のほうでは、そうしたことの構想を練っておられるかどうかということです。
  93. 高野藤吉

    高野政府委員 労働省から、そういう申し出はまだ受けておりません。
  94. 田口誠治

    田口(誠)委員 労働省のほうから申し出は受けておらぬけれども、外務省として先ほど答弁にありましたように、労働省なりあるいは農林省の職員外務省職員に切りかえて、そうしてそれぞれの専門の任務につかしておるわけなので、したがって、そういうことから考えますと、新しく条約を結ばれたすぐ隣りの韓国に対しては、何か手を打たれるだろうと私は思っておるわけです。だから、そういう構想を全然立てておらない、頭の中にもないということになりますと、これはちょっとかたくなっており過ぎるのじゃないかというように受け取れるわけなんです。常識的に言って、そういう構想を練っておるということが普通だと思うのです。事のよしあしは別ですよ。普通だと思うのです。それを全然構想もなければ、そういうこともやっておらぬということになると、日韓条約を結んで相互の親交を厚くしようとする政府としては、何だか怠慢であるように考えられるわけなんだな。そういうことからいって、もうそのことはきめてないけれども一人は行っておるというように、私のほうの調査では把握しておるわけなんだ。だから、その点をお聞きしておるわけです。
  95. 高野藤吉

    高野政府委員 労働省からは、そういう話は現在受けておりませんが、今後の発展におきまして、四十二年度以降そういう必要がございましたら、労働省からお話があろうし、またこちらとしても御相談いたしたいと考えております。  それから、農林につきましては、釜山とソウルに一名ずつ行っております。   〔長谷川(四)委員長代理退席、委員長着席〕
  96. 田口誠治

    田口(誠)委員 労働省のほうから労働調査官というのを海外へ出してみえますね。
  97. 小鴨光男

    ○小鴨説明員 いわゆるレーバーアタッシェという形で、私のほうから四名出しておるわけでございます。
  98. 田口誠治

    田口(誠)委員 それは、職務内容はこういうことですか、国際間の労働市場の調査
  99. 小鴨光男

    ○小鴨説明員 いま申し上げましたのは、いわゆる外務事務官として外務省のほうに出向して、外務事務官として在外公館派遣するというものが四名、そういうふうにお答えしたのであります。
  100. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますと、外務省のほうでは、この四名の人の職務内容は、先ほど申しましたように国際間の労働市場の調査、いわゆる労働関係調査を行なわしめておる。在外公館員という身分ですけれども、職務内容はそういう職務をきせておる、こういうように把握しておいてよろしいのですか。
  101. 高野藤吉

    高野政府委員 四名行っておりますが、たとえばジュネーブとかOECD、これは労働関係の、ILOとかOECDにおける国際的な労働問題を研究しておりますが、それ以外の駐在員は、向こうでその国の労働事情を研究しております。そういうことになっております。
  102. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますと、いま財界等では、韓国と条約が結ばれて、そうして韓国の労働市場なりあるいは韓国へ経済協力という名目で日本の資本を入れるというような準備が、資本家によっては相当進められておるわけです。したがって、そういうことになりますと、在外公館という形、もしくは労働省直接でも、韓国のそうした労働市場の調査等は、当然やることになろうと思うわけなんです。したがって、先ほど外務省のほうでは、四十二年以降検討してみて必要があればそういうこともあるだろうけれども、いまのところでは全然頭の中に入れておらぬ、こういうことなんですが、労働省としてはどうなんですか。
  103. 小鴨光男

    ○小鴨説明員 私どものほうといたしましても、先生のおっしゃったような点についての必要性について、必要があれば、あるいは在外公館を通じ、あるいは労働省から直接という形で出すことになろうと思いますけれども、ただいまのところ、労働省としてそういう必要性についての結論というものは、まだ得ておりません。
  104. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、堀田局長にもう一度くどいようですけれども確認したいと思いますが、結局兼職というものはあるわけなんですね。そうしますと、一般の兵の、自衛官の場合は、自衛隊法施行規則によるところの六十条によって、長官がその人を派遣をしても職務には著しい支障がないということから派遣ができることになっておりますが、いま行っておられる方は、相当おえらいさんであるわけなんです。そうしますと、そういう人を派遣することは、職務に大きな影響があるわけなんですが、こういう場合をどういうように解釈されて派遣をされ、あるいは出向をさせておるか。これは兼職禁止の規定と例外の規定があるので、その辺のところをやはり明確にしておいてもらわぬと、これからずるずるとこういうことをやられては困りますので、この際明確にしておきたいと思います。
  105. 堀田政孝

    堀田政府委員 お答え申し上げます。自衛官の兼職の場合には、外務事務官として発令になり、外務大臣防衛庁長官に兼ねての自衛官を命ずるということを御了承になるわけでございますから、一応外務省側からの根拠を申し上げますと、国家公務員法の第百一条という条文がございます。この条文は職務に専念する義務を課しているわけでございますけれども、その中に「職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。」とありますので、法律、政令があれば兼ねてもかまわないという反対解釈を私どもはいたすわけであります。これを受けまして人事院規則というのがございます。人事院規則の八−一二、これは職員の任免をきめたものでございますが、この二十一条にこういう規定がございます。「任命権者は、次の各号の一に該当する場合においては、併任を行うことができる。」そうしてその六号には、当該職員職務遂行に著しい支障がないと認められる場合は併任をさせてよろしいということになっております。この規定を根拠とされまして、外務大臣はたとえば外務事務官堀田何がしが兼ねて自衛官身分を持つことをお許しになるわけでございます。これを受けまして、自衛隊法の第六十条に、田口委員先ほど御指摘になりました規定がございます。それはこういう規定でございます。やはり職務に専念する義務の規定でございまして、第二項に、「隊員は、法令に別段の定がある場合を除き、防衛庁以外の国家機関の職を兼ね、又は地方公共団体の機関の職につくことができない。」したがって「法令に別段の定めがある場合」にはすることができるという解釈ができるわけでございます。これを受けまして、隊法の施行規則の第六十条、これは先ほど御指摘になりました六十条の兼職という規定を受けるわけでございまして、この中には「隊員が他の国家機関の職を兼ね、又は地方公共団体の職につくことによって、当該隊員の防衛庁における職務の遂行に著しい支障がないと長官が認める場合」には兼職をしてもかまわない。こういう規定がございますので、この規則を受けまして、防衛庁長官一等海佐もしくは一等陸佐を兼ねさせるという発令をいたすわけでございます。したがって、本務はあくまでも外務事務官であり、外務事務官のお仕事にじゃまにならない限りにおいて、外務大臣のお許しがあって、防衛庁長官がただいま読みました隊員の職務遂行に支障がないと判断をするので兼務を命ずる、こういうことに相なるわけでございます。
  106. 田口誠治

    田口(誠)委員 上官の出る場合に、国家行政組織法の十二−二十条との関係は、ちょっとおかしくなりませんか。
  107. 堀田政孝

    堀田政府委員 行政組織法の第十九条に「各行政機関の所掌事務を遂行するために恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員」、こういう規定がございます。この「恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員の定員」、この定員のワクは外務省の定員のワクでございますが、この定員ワクで専務として外務事務官を置いていただく、こういうふうに解釈いたしております。
  108. 田口誠治

    田口(誠)委員 防衛庁から直接派遣をしておる仕事の内容、あるいは制服のまま派遣しておる状態、それから外務省を通じて在外公館員として派遣をしておる実態、こういう問題については、法文的に整理をいたしますと、まだいろいろこまかく疑義のある点もございますが、時間の関係もございますので、この問題は一まずこの程度にしておきまして、次に移りたいと思います。  そこで次は、最近非常に航空機の事故が多いわけなんです。外務省がこの航空協定の条約を結んでおるわけなんですが、その内容を政令等も含めていろいろ見てみますと、そのとおり実行されておらないという点が発見されるわけです。したがって、そうなりますると、先般のような事故が相次いで起こった場合には、外務省は直接当事者ではありませんけれども、条約を結んだ当事者として一言言わなければならない立場にあるわけなんです。したがって、現在のように実際にその条約どおり守られておらないということについて、先般相続いた航空事故に対して、外務省としては、条約を結んだ当事者としてどういうように運輸省のほうへ意思表示をされたり、あるいは内容を聴取ざれたり、そうして、なおこの条約の内容の検討等をされておるのか、これはひとつ承わっておきたいと思います。
  109. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 いままでのところ、運輸省当局から何かそういう問題について御相談にあずかっておりませんが、条約上の義務に違反したというようなことは、私、全然承知いたしておりません。
  110. 田口誠治

    田口(誠)委員 あなたはあの条約内容、政令一切全部知ってみえるのですか。
  111. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 私は存じません。したがいまして、こういうことは所管の運輸省から、もし条約解釈等について疑義があれば、御相談があるべきはずでございますが、そういう御連絡を受けておりませんと、最初に申し上げたわけでございます。
  112. 田口誠治

    田口(誠)委員 まあ正直な答弁ですから好意的に受けますけれども、外務省が条約の締結当事者であるのです。その条約に基づいて航空の運航なりルールというものを守ってもらわなければならないけれども、それが守られておらないということなんです。守られておらない面があるということです。したがって、最近のような事故の発生の多いようなときには、条約を結んでおる当事者として一言言わざるを得ないという点があろうと思うのです。それを、運輸省のほうから何も別段話がないで知らぬ顔をしておるということは、私はあまりにも無責任ではないかと、こう考えたのです。だから、私の把握とあなたのほうのこの問題に対する把握と相違があるかもわからぬです。あなたのほうは、条約だから外務省が結んだだけで、内容のことは運輸省でやるのだから、私のほうは知らないのだ、こう思っておられるかもわからぬけれども、私は、どこの省に関連をしておることであっても、外務省が条約を結んでおる当事者とするなれば、その条約に関係のあることについていろいろ問題が起きたような場合には、その条約の内容を一度読み返してみて、そうして妥当にそのルールが守られておるかどうかというようなことは当然検討されて、一言言わなければならないところだと思うのです。したがって、条約は結んでおるけれども、その内容のことは私は知りませんという——まことにそれは正真な答弁で、好意的には受けるけれども、行政官として、それでは私は及第にはならないと思う。どうですか大臣、この辺のところは。関係はないとは言えませんぞ。
  113. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 日米航空協定とか、あるいは日ソ——これはまだできておりませんけれども、そういう国際的な協定の窓口はもちろん外務省が所管しておりますが、あなたのおっしゃるのは、国際民間航空協定で、事故発生の場合にはどうするこうするというようなことではないかと思いますが、もしそれでございますと、これは外務省の所管外の問題で、運輸省の問題じゃないかと私は考えております。
  114. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは運輸省の問題ではあるわけなんです。その点は運輸省の所掌の内容ではあるけれども、条約締結は外務省がやっておるのだから、外務省は条約を締結しておれば、その内容は知っておらなくてはならないし、知っておるとするなれば、こうして相次ぐ事故のときには、そのルールが完全に守られておるかどうかというようなことも検討の上、もし不備な点があった場合には、これは注意もしなければならないし、あるいは条約の内容を改正する必要があるかもしれないのであって、そういうことから、私は、まったくノータッチでおられるということは、行政として無責任であるのじゃないか、こら指摘を現在申し上げておるわけなんです。条約というのは、条約を結ぶところの窓口は外務省だから、外務省は条約を結べばそれであとは終わりというものではないわけなんです。どうですか、その点は。
  115. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 田口委員の御指摘の点につきましては、実は条約というのはほとんど森羅万象すべてに及んで結んでおるわけでありまして、郵便もございますし、航空もございますし、漁業もございます。これらのすべてにつきまして私どもが口を光らしておりまして、条約違反がないかということを一々的確に指摘することは、これは人間の能力には限度がございますから、完全に遂行することは不可能だろうと思います。日本の政府の行政組織といたしましては、やはりそれぞれの問題の主管官庁が、まず良心的に条約、それを国内法に移した法令を実施する。それにわれわれは信頼しておる。それで何か問題がありまして、外国から文句をつけられますとか、あるいは国内官庁から相談がございますとか、そういうことがあれば、私どもはもちろんそれに携わるわけでありますけれども、まず私どもがイニシアチブをとって、目を光らして監視する、そういうような立場にはないわけでございます。
  116. 田口誠治

    田口(誠)委員 まあ条文もわからないということですから、これ以上この問題で質疑応答をやってみてもらちがあきませんので、これはまた運輸省のときにゆっくりやるといたしまして、そのときには外務省のほうからおいでを願ってやりたいと思います。  そこで、これは航空関係も漁業関係も、あらゆる条約を外務省が窓口になって結んでおられるのだが、特に漁業問題等には相当勉強もして、質問すれば答弁に堂々と立たれるわけですけれども、事航空の問題についてはまことに不勉強であって、私はそうであってはならないと思う。だから、この辺は大臣の指導方針というものが、優秀な大臣であっても、あまり及第ではないと思うのです。だから、国会で答弁をじょうずにやるだけが能じゃありませんので、もう少しこまかいところへも気を使っていただいて、今後こういう問題についても遺憾なき行政をとらせるように指導をしていただきたい。この点は強く要望を申し上げておきます。  運輸省からせっかく町田監理部長においでをいただきましたが、ちょっとこれは質問が幅広くなっていきますので、ちょうどその審議をする時期がございますので、そのときにひとつ質問させていただきたいと思います。そのときには外務省のほうからも来ていただきます。外務省のほうとしても少し勉強をしてきていただくことになっておりますので、まことにわざわざ来ていただいて恐縮でございましたが、お引き取りを願ってもけっこうです。  そこで、私は時間が三時までしかありませんので次に進みたいと思いまするが、今度外務省は定員増を提案をいたしております。計八十六名を増員するということでございまするが、予算等を拝見いたしますると、これだけの増員をするのに、予算の措置がとれてないというように見受けられるわけなんです。したがって、この八十六名の増員には、他の省から出向して受け入れる分もあり、新規採用するものもありまするが、いずれにいたしましても予算の面からいきましては、早く審議をしてくれ、早く審議をしてくれと言って急がせるほど内容が深刻でないものがあるわけなんで、私としては非常におかしく思うわけなんです。極端な話でいきますると、一人の場合なんかは予算が一カ月くらいしかついておらぬじゃないですか。一カ月の予算がついておるということは、来年の三月一日に雇わなければならない、こういうことになるわけなんですが、そういうような点について、もう少し具体的にこの説明をしていただかないと、私どもは、ただいま申しましたような把握では、どうもこの問題を審議するに積極性を欠くわけでございまするので、その点をひとつ大臣でも、一番わかる官房長でもよろしいが、答弁していただきたいと思います。
  117. 高野藤吉

    高野政府委員 八十六名の新規増員をお願いしておるわけでございますが、そのうちで他省から来る十六名のうちの一部分のものが、御説のとおり一カ月しかついておりません。しかし、ほかの分につきましてはまるまるついておりますので、予算の裏づけは全部してあるわけでございまして、他省から来る十六名のうち一部分だけが一カ月ということになっているわけです。全体から見ればごく一部分であります。
  118. 田口誠治

    田口(誠)委員 八十六名のうちの十六名は、他の省から受け入れるのだ。そこで七十名の分は、これは完全に予算化されておるのですか。
  119. 高野藤吉

    高野政府委員 例年の例でいきますと、新規公館を建てます、これは大体三カ月予算になっておりまして、具体的に申しますれば、本年度の場合は、来年の一月から新規公館を開く。したがって、それの定員の裏づけは三カ月ということになる。しかし、既設公館の増員につきましては、新しく定員がふえますと、まるまるつく場合と半カ年の場合、三カ月の場合、一カ月の場合というふうに分かれております。
  120. 田口誠治

    田口(誠)委員 私どもは、あまり職務内容にタッチせずに、この定員増ということから判断をするから非常におかしく考えられることは、ただいまも答弁のありましたように、確認をいたしますると、結局予算は一年分ついておる人、六カ月しかついていない人、三カ月しか予算のついていない人、一カ月しかついておらぬ人、こういうようにあるわけですが、あなたのほうは、これで支障がないのですか。
  121. 高野藤吉

    高野政府委員 新しく開く場合には、やはり全体の予算がつきまして、それから現地に行って調査いたしまして、事務所、公館等々の開設準備をいたしまして、実際上金を使うのは半年後ないしは十カ月後ということになるわけであります。例年そういうふうにやっておりますので、支障は別にありません。
  122. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで、予算の要求をされるときにも、三カ月とか一カ月とか六カ月とか、こういう要求なのか、それとも、大体七カ月くらいが基準だと思いますけれども、七カ月掛ける八十六名というようなことで予算要求をされて、結果として三カ月のものもあれば一カ月のものもある、六カ月のものもある、こういうことになったのか。その辺のところを明確にしてもらわなければ、これはどなたかまた質問してもらうときに、予算要求を完全にされて、予算を削られたためにこういろ状態なら、大蔵省からも来ていただいておって次の質問者に一言質問をしてもらわなくちゃならないと思いますので、予算要求との関係を正直に申していただきたい。
  123. 高野藤吉

    高野政府委員 初めの予算要求におきましては、まるまる要求いたしますが、これは定員でもほかのあれでも査定を受けまして、定員も非常に削られますし、定員がつきましても、財政の関係で半年とか三カ月ということになっております。これは数年来の慣行になっておりまして、外務省としては、できれば最初からというふうに考えております。
  124. 田口誠治

    田口(誠)委員 予算要求は一〇〇%の要求であったけれども、それが削られて一年、六カ月、三カ月、一カ月というような予算獲得になったのだ、したがって予算要求のときには定員の数もこれより多かったけれども、その数も削られた、こういうことなんです。そこで、先ほどの航空の問題を引き合いに出しまするが、いまのところでは、定員が足りないから、なかなかそういうところまで研究をしたり、目を光らしておることができない。それの担当職員というものはないから、これは運輸省へまかせきりなんだ、こういうような答弁であったわけなんです。したがって、予算要求のときに定員を要求される場合に、絶対最小限度必要というものは、これは各省とも獲得しなければならないと思うのですが、最近は非常に税収見込みも減になって、この定員増というものはきびしくなっておって、なかなか大蔵省がうんといわないわけです。したがって、そういうことから各省とも悩んでおるわけですが、とりあえず現在提案されておる定数とそれから予算の関係は、間に合うのですかどうですか。常識で考えてみて、一〇〇%要求したのが、三カ月しかつかなかったとか、一カ月しかつかなんだといえば、私は非常に支障があると思うのですが、これはどうなんですか。
  125. 高野藤吉

    高野政府委員 八十六名ついておりまして、それが一年まるまるついておるものもございます。しかし、一カ月というのは、先ほども申し上げましたように一部分でございまして、あと新設公館のほうは半年ないし三カ月ということで、実際の仕事をやる面におきましては支障はないというふうに考えております。
  126. 田口誠治

    田口(誠)委員 支障がないようなことなら、要求するときでもそう山かけて要求する必要もありませんし、そして必要なものはねばって、必要なだけは獲得してもらわなければならぬ。何だか要求するときに大きなものが出てきて、これを小刻みに区切って、そうして最終的な予算確定をするというような現在のやり方、大蔵省に対しては課長に対してまで、その他の大臣が頭を三百六十五日ペコペコ下げておらなければならないような現在の状態では、私はいけないと思う。何もそんな山をかけて要求する必要はない。ほんとうに必要なものを要求して、必要なものは獲得する、こういう習慣をつけなければならない。これは今日のところでは言いませんけれども、私どもが要望しておったようなかっこうにいかなければ、今度内閣法の改正が出ておりまするが、その時点でこの問題を将来の問題として解決するためにうんとやりたいと思いますけれども、ただいまのようなことでは私はいけないと思うのです。大臣は総理大臣になられるか、なれぬかわからぬけれども、これは外務大臣でおられても、総理大臣になられても、現在のような予算編成時のイニシアの外務省のとり方、そうして各省の嘆願のしかたは、私はあまり正しくないと思う。そうして現在聞いておりましても、全くこの予算のつけ方は支障ないと言われるけれども、要求を一〇〇%やって一カ月しかつけてもらえなんだといえば、これは支障が常識で考えてみたってあるのだから、こういう問題をやはり解決をしていかなければならないと思うのです。ぼくは定員の関係もあるし、特に外務省関係は優秀な職員も入れなければならないし、それから各省から出向させる分の交渉ももう取りきめなければならないし、早くこの法案をあげてほしいという考え方から、外務省の法案をやってくれ、外務省の法案をやってくれと言われておると初めのうちは思っていたのですけれども、内容を検討してみたら、何だかわけがわからぬということになって、現在のところでは非常に優秀な大臣のおられるのにおかしいと思うのです。大臣、こういうようなところはあなたに確認するまでも及ばぬが、非常におかしいじゃないですか。これから外務省の運営をする上においてこういう点もやはり是正をしていく必要があると思いまするが、何かいま聞いておられるうちにいい考えが浮かんでおりませんですか。
  127. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 結局財務当局に対するわれわれの説得力の問題だと思います。十分に今後は研究して、より一そう説得力を強化して、あまり中途はんぱな予算をつけてもらわぬようにしたい、こう考えております。
  128. 田口誠治

    田口(誠)委員 私まだ質問がだいぶ残っておりますけれども、時間がありませんので、これで打ち切らしていただいて、次の委員に譲りたいと思います。
  129. 木村武雄

  130. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 外務大臣にお伺いをしたいのですが、十四日の夜、済州島西方の共同規制水域で、わが国の漁船二隻が臨検を受けまして、そしてうち一隻が連行をされた事件について、現在の状態がどうなっておるか、そしてどのような措置を外務省はいまとられておるか、御報告をいただきたい。
  131. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 三月十四日午後一時四十分ですが、北緯三十三度二十分、東経百二十五度五十分、これは韓国の漁業水域外の約四マイル半のところであります。そこで第五十二、第五十三海洋丸が韓国の警備艇一〇六号によりまして臨検を受けた。それから付近におりました第三十六喜代丸も臨検を受けたのであります。わがほうからは巡視船「せんだい」が現場におもむきまして、一〇六号艇と交渉して、事件の円満な解決につとめた。  他方、十四日の夜、外務省から在京韓国大使館に対し、また在韓日本大使館を通じて外務部に対しまして、これら漁船の円満な釈放を求めたのであります。−その後天候が悪化してまいりましたために、関係の船舶は済州島の西側の島陰に移動した後、十五日午前一時四十分ごろ、突然一〇六号艇が第五十三海洋丸に強行接舷をいたしまして、武装した警備艇員二名が乗り込み、すでに移乗をしていた二名の警備艇員とともに威嚇射撃を行ない、また銃じりでわがほうの乗り組み員を殴打する等の乱暴を行なった。これに対しまして、海洋丸乗り組み員が抵抗を試みようとして、きわめて険悪な状態になった。わがほうの警備艇の「せんだい」は、同乗り組み員に対しまして反抗をやめるように指示したのでございますが、そのときに九名が海中に飛び込んで「せんだい」に収容されたのであります。  二時ごろ一〇六号艇は第五十三海洋丸を山地方面に連行をして、「せんだい」はこれを追尾いたしまして、洋上において釈放要求を繰り返したのでありますが、結局午前三時ごろ一〇六号艇が韓国の領海に入ったため追尾を打ち切った、こういう次第であります。なお五十二海洋丸は現場離脱に成功いたしました。これがそのときの状況であります。  これに対して、わがほうはどういう措置をとったかということについて申し上げますと、巡視船「せんだい」が洋上で円満解決方交渉中に、海上保安庁からの依頼に基づきまして、十四日の夜外務省から先ほど申し上げたように在京韓国大使館、それから在ソウル日本大使館を通じて韓国外務部に対しまして、日本漁船は計器を持っておって、自己の位置を測定しながら操業をしていたので、漁業水域を侵犯するというようなことはあり得ないことである。したがって事態の円満な解決をはかるために、漁船を釈放してもらいたいということを申し入れたのであります。その後、韓国警備艇の艇員による発砲、殴打のあとに五十三海洋丸を連行したことにもかんがみまして、十五日午前、あらためてアジア局長から金大使に、電話をもって、今回の事件を遺憾とし、船体及び乗り組み員の早期釈放を申し入れるとともに、向こうの公使を外務省に招致いたしまして、事実関係をしさいに説明をいたし、かたがたわが方の立場を詳細にわたって申し入れ、韓国政府の善処方を強く要求いたしました。また同様の趣旨を別途在韓国の日本大使館を通じて先方に申し入れてあります。わが方が過去三カ月の順調な漁業協定の実施をしてまいった状況にかんがみて、この際早期に円満な解決を見るように希望していることは、韓国側も十分に理解しておるのであります。したがって、韓国政府は至急事実関係の確認を行なうべく鋭意努力中でありますので、近く、国交正常化後に増進を見ておる日韓友好ムードの線に沿いまして、拿捕された漁船の釈放に至るものとわれわれは期待しておる次第であります。
  132. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はこの事件は非常に重大な事件だと思うのです。昨年秋の日韓特別委員会でも、この取り締まり問題は、季ライン問題と関連さして、私どもは徹底的に明らかにしたい点がありました。しかし、あのような形で審議が打ち切られたので、問題は明らかにされないまま残っている点が非常に多いわけです。たまたまこういう事件が勃発したということも、日本の国会において問題を明白にすることなく、問題を残したところにも私は一半の責任があると思う。そこで外務省としては、十四日のこの拿捕事件がどういう点で法的に違反しておるか、外務省の見解を承りたい。
  133. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 いまこちらが向こうに申し入れているのは、専管水域をちょっと離れた場所でございまして、もしこういう状態のもとに向こうが臨検をしたとすれば、これは旗国主義に反するきわめて遺憾な行為であると言わざるを得ない。それ以前にどういうことがあったのか、こういう問題は、再びこういうことを繰り返さないように、十分に事実関係調査いたしまして、言うべきことは言い、厳重な調査に基づいた処理をすべきものである、こう考えております。  なお、どういうことがあろうと、とにかく威嚇発砲にしても発砲するとか、あるいは銃じりで殴打するというようなことは、まことに言語道断でありまして、かようなことは厳に戒むべきものだ。なお今度の拿捕あるいは乗り組み員の連行、抑留というような問題について、不当な行為に対するわが方の損害の要求も、これは取り調べまして向こうに申し入れなければならぬ問題である。それと同時に、今回の事件をひとつ十分に調査をして、将来再びかような事態を引き起こさないようにいたさなければならぬと思うのであります。それがためには、いやしくも巡視船である以上は、正確な計器を備えて、そしてはたして領海を侵したか、専管水域を侵したか、それとも共同規制水域であったかというような点について、ただ目の子で問題を処理するということでなしに、その他いろいろな点について十分に検討して将来に備える必要がある、こう考えます。
  134. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま大臣の言われたことを要約すると、これは漁業協定の第四条による旗国主義に対する重大な侵犯である、さらにこうむった損害については賠償要求をする、さらに今後こういう事態が起こらないように抗議をすると同時に、何らかの適切な措置をしたい、このような表明であったと思いますが、いいですか。——しからば、私はこの取り締まり問題で韓国とどのような話し合いがなされたかという点について少し詰めておきたい問題があります。領海の場合は当然裁判管轄権はその沿岸国にあるわけです。フィッシング・ゾーンの場合——漁業専管水域の場合は、裁判管轄権はどのような話し合いになっておりますか。
  135. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 私、交渉の過程は直接関係しておりませんでしたが、漁業水域につきましては、その沿岸国のほうに管轄権が専属するというたてまえになっておりますので、裁判管轄権も向こうにある。つまり、漁業水域に施行されている沿岸国の法律に現実に違反した場合のことでございますが、そういう場合でございましたら沿岸国にある、このように扱うのが諸外国の例でもある、かように承知しております。
  136. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それはそのように韓国と合意されておるのですか。
  137. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 それは文献の上にもあらわれておりませんし、そのことが交渉の途中で出たかどうか存じませんけれども、事柄の性質上そう解すべきだろうと思います。
  138. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そのようなことでいいですか、日本国政府として。あの日韓条約の場合に、漁業問題では、特に安全操業を中心に置いてわれわれは考えた。政府もそういう答弁をしたのです。安全操業の点に関連して、裁判管轄権が条約上何もないから、大体こういうふうに解しておるくらいの話で問題が処理されるのですか。
  139. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 文言としては、第一条に、向こうが「排他的管轄権を行使する」こうあるわけです。それから第四条に、先ほど御指摘になりましたけれども、漁業水域外における取り締まり、裁判管轄権は旗国にある。こっちのほうは沿岸国の排他的管轄権で、漁業水域から外に出たら今度は旗国の裁判管轄権だ、こういうふうになっておりますから、わざわざ漁業水域の裁判管轄権の問題については、文言の上では明記しなくともおのずから明らかであろう、こういう御趣旨をお答えしておるわけであります。
  140. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなことはありませんよ。あなたは外務省条約局長でしょう。あなたは書類を全部知っておりますか。大体そういうふうになっておるとおっしゃるが、いいですか。当然のことかと思いますけれども、領海の場合は、沿岸国に裁判管轄権があります。公海においては旗国主義です。いいですか。そして漁業水域をきめたということは、漁業に関する問題なんですよ。そして漁業に関する規制の問題が中心であるのです。それが必然的に漁業専管水域の中の裁判管轄権まで沿岸国にあるなんということは、どこを押せば出てきますか。そんなことはないです。それは条約上協定上、話し合いできめられることはあっても、解釈上そういうことが当然出てくるなんというようなことはもってのほかです。
  141. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 漁業水域に韓国が法律を施行しておったとしまして、それに違反した日本漁船があったとします。それが韓国側につかまったとします。そうしますと、かりにその漁船を日本に引き渡されましても、日本の裁判所では日本の法律に違反したらこれを罰することができるわけでございますが、日本の裁判所で韓国の法令を適用することはないわけでございます。したがって、排他的管轄権、他を排する管轄権という場合には、当然漁業水域に施行されておる韓国の法令に対する違反についての裁判管轄権も韓国にある、そうしないと、どこも、裁判するところも何もなくなるわけでございますから、いまの事件とは関係ないことだということはよく御了解の上で、私はその点は協定上はっきりいたしておると思います。
  142. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 漁業問題に関する取り締まりについては、その排他的な取りきめがあるはずです。しかし、取り締まりと裁判管轄権は違うんじゃないですか。どうなんですか。
  143. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 取り締まりと裁判管轄権は違いますので、両方並べて、取り締まり及び裁判管轄権は漁業水域外では旗国にある、こういうふうに第四条に明記してあるわけでございます。
  144. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この第四条の取り締まりと裁判管轄権は旗国主義ということがあるから、したがって、あなた方は漁業水域内では取り締まり権あるいは裁判管轄権は沿岸国にある、そう解釈されるのですか、この条文からそう解釈されるのですか。
  145. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 もう一つは、第一条に、漁業水域では沿岸国に排他的管轄権があると、裏のほうも規定してあるわけでございます。その排他的管轄権という表現で、裁判管轄権という文字はあらわれておりませんけれども、他を排する管轄権でございますから、これは裁判管轄権と書いてなくても、第一条、第四条をあわせて読めば文理上明白であろう、かように申しておるわけでございます。
  146. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではいまの専管水域内の裁判管轄権は韓国側にあるということは向こうと了解に達しているのですか。合意されておるのですか。単なる日本政府の解釈なんですか。
  147. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 最初に申し上げましたように、私交渉に直接当たっておりませんので、その点についてのどういう話し合いがあったか詳しくは存じませんが、条文上はそのように解すべきものであろうという文理解釈を申し上げておるわけでございます。
  148. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは局長は、単なる協定からのあなたの解釈で、実際はどうなっておるかわからぬというわけですか。どういう話し合いになっておるかわからぬということですか。
  149. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 実際に交渉でどういう話し合いが行なわれてこういう文言に到達したか、その交渉の過程については承知しておりません。
  150. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 くどいようですけれども、これは非常に重大な問題だと思うのです。そこで大臣、これはひとつ明白にしていただけませんか。交渉過程をよく聞かれて、明白にしていただきたい。それが一つです。われわれは、直ちにそのような解釈をされることについて反対をいたします。納得できません。  そうしますと、私が先ほどから申しておりまずとおり、これは漁業に関する取りきめの問題ですね。漁業協定。そうすると、一般の船舶については、裁判管轄権はフィッシングゾーンといえども旗国主義だということですね。
  151. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 そのとおりでございます。
  152. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしたならば、専管水域で明らかに違反事実がありと認められ、その違反した漁船が専管水域外に脱出したときに、その沿岸国の取り締まり船は追跡できますか。追跡して、いわゆる取り締まり得ますか。
  153. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 領海の外で、専管水域内で漁業に関する法令に違反した船が公海外にもう出てしまったあとまで追跡してつかまえることができるかという問題だろうと思いますが、その追跡権につきましては、前に日韓条約を審議されましたときの国会でもやはり二度ほど御答弁申し上げましたが、そういう規定がこの協定にないわけでございますから、一般国際法に立ち返ってみますと、そういう場合に追跡権があるということはありませんので、これはそういう追跡を継続することはできないと考えるべきものと思います。
  154. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は大いに詰めたい点があるのですが、時間がありませんから、一応問題点だけを先に明らかにしておきたいと思います。  韓国が今度のような事件を犯しておる。これは、韓国側はどのような法的根拠によっておると思われますか。
  155. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 これまでのところ、韓国政府の立場と申しますか、見解というものは全然こちらに知らされておらないというふうに了解しております。
  156. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで私は、椎名大臣、あるいは佐藤総理のこの安全操業に対する答弁をことでもう一度読んでみたいと思います。李ラインの撤廃の問題に関して私どもいろいろと質問をいたしました。特に私は、この李ラインの撤廃問題と関連をして韓国が一九五三年に制定をいたしました漁業資源保護法、これとの関連で、これは国会でも何回も問題にしました。この日韓漁業協定が成立をすれば、韓国側のいままでの取り締まりの法的根拠になっておった漁業資源保護法を廃止するように日本政府としては当然向こうに要求をすべきであると、私どもは委員会でも追及をいたしました。椎名外務大臣はそういうニュアンスのことを一度言われたが、直ちにその翌日か翌々日にことばを変えられました。私は、こういう事件が起こってから初めてこれがまた問題になるということは、非常に残念でたまりません。韓国が十四日のような事件を起こした根拠というものは、おそらく韓国政府ははっきりしておらぬかもしれぬが、韓国の現場の出先の人たちは、いままでの過去の李ライン時代の慣習によって、いわゆる漁業資源保護法の頭でもってこういうことをやっているのです。これは明らかです。だから、漁業協定を成立させるならば、韓国の漁業資源保護法を撤廃させるように交渉しなさいということをわれわれは再三要求をいたしました。あなた方それに対して何と言われました。椎名外務大臣は、昨年の三月二十六日に、新しい李ライン、資源ライン、国防ラインなどという一方的な管轄権を設定するということは、いかなる理由においても、いかなる形においても絶対に認められない。韓国においてたとえ法律が形式上残っているにしても、すべての条約は国内法に優先する原則があり、条約が通れば、国内法は自然に効力を失うわけである、あなたはそう解釈した。したがって、そういう交渉をする必要はないとあなたは言われた。あるいは佐藤総理は昨年八月九日、こういうことを参議院の予算委員会で言われた。韓国の国内法上の問題は別として、漁業協定発効の暁には、日韓両国の漁業はこの協定のみによって律せられることになるから、李ラインは少なくとも日本にとって存在しなくなるわけである。あるいは十月二十一日、「漁業に関する限り、漁業上の安全操業はできるのだ、これだけははっきり申し上げまして、漁民の不安も一掃したいし、国民にも、李ラインの論争に巻き込まれないように御注意を願いたいと思います。」、こういう答弁をしておるのです。あなた方は確信をもって安全操業ができると言った。あえて韓国の漁業資源保護法の撤廃なんか言わなくても、この日韓漁業協定によって安全操業ができるとあなた方は確信をもって答弁しました。いまから二年前にです。農林水産委員会では、交渉に当たっておりました赤城農林大臣は、もし協定発効後、かつての李ラインみたいなああいう事件が韓国によって起こされるならば、協定の破棄も辞さないという答弁を私になさいました。椎名大臣は、いまこの段階になって一体韓国の漁業資源保護法がどうなっているのか、もう少し積極的な大臣の態度を私はお聞きしたいと思います。
  157. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 今度の問題は、結局専管水域を侵しておるという、向こうがそういう認識のもとに起こした行動でありまして、前の李ラインというものをたてにとって起こした行動では明らかにないということが言えると思うのであります。ただ海上のことでありますから、正確な計器類にたよらずに目の子でやるということになると、共同規制水域にあったというても専管水域を侵したというように誤認する場合もなくはない。でありますから今後は、十分に正確な計器を必ず備えるということにしないと私はいかぬと思いますが、今度そういうものがあったかなかったか、まだ事実の調査は終えておりませんけれども、いずれにしても専管水域を侵したという誤認のもとに起こされた行動でございますから、李ラインの問題あるいは漁業資源保護法の国内法の問題とは関係のない問題である、あくまでこれはこれとして事実を究明すべきものである、ころ考えます。
  158. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間がないそうですから、明日にこれは持ち越しますけれども、私はきょうでももう少し外務省の今後の方針、対策について確たるものを出していただきたいと思う。もうあの水域では巻き網のシーズンになるんです。こういう問題は今度はっきりしておかないと、問題をあとに残すと思うのです。いま外務大臣は、韓国の漁業資源保護法とは関係ないとおっしゃいましが、私は韓国側にあの漁業資源保護法の考え方が残っていると言うのです。だからこういう事件が起こるのです。いま条約局長がおっしゃったように、国際法の知識がありさえすれば、追跡権なんかないはずでしょう。それを当然侵すこういう考え方は、私はやはり漁業資源保護法のあの考え方が残っておるからだと思うのです。この資源保護法に対する大臣の考えを、私は明日もう少し明確にやってもらいたい。せんだってのほうが大臣は全然積極的であったと思うのです。資源保護法に関する考え方、この点を明日また承りたいと思います。
  159. 木村武雄

    木村委員長 次会は明十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十六分散会