○大出
委員 いまの点、話が出ましたから一言だけ
意見を申し上げておきますが、ちょうど各組合が春の賃金の引き上げをやり始めている段階ですから、論議はまた別な機会にやりたいと思っておりますけれ
ども、いまおっしゃる経済の成長率と物価の
関係なんですが、同盟
会議の諸君なんかでも、ことしの賃金の引き上げの要求の中を読んでみますと、成長率を七%くらいに見込んで、物価が八%くらい上がる、こういうものの見方をまずするわけです。成長率が七%上昇するということは、きわめて単純な計算
——全体ではもっとコンプリケートなところがありますが、単純な計算でいけば、労働生産性がそれだけ上がるのだというものの見方で、したがって七%の賃上げ要求は当然だ、あわせて物価が八%程度上がるとすれば、その分もまた見込まなければいかぬということで一五%、こういう要求になってくるわけですね。これが四千七、八百円の額になる、こういう出し方ですね。中小企業についてのものの言い方は、いまの固定資本形成と労働分配率との
関係で、欧州の例を見て、西ドイツあるいはイタリアが多少低いですけれ
ども、おおむね労働分配率は六〇%をこえている、こういうものの見方を立てて、日本の場合には五〇ないし五二くらいだけれ
ども、しかし、大企業と中小企業を例にとると、大企業のほうは、電機産業なんか特に低くて
——まあ年齢構成の低いせいもありますが、大体三九%とか、悪いところは三六%くらいしかない。ところが、中小企業のほうは、ほとん
どもう六〇%をこえちゃっているわけですね。なぜかといえば、それだけ財政金融の面で優遇されていないからということに、一面からいえばなるのですね。だから、その点では中小企業の諸君の賃金の引き上げというのは政治問題だということ、そういう感覚が、同盟に限らず、電機労連傘下でも、あるいは総評系統でも、いま一般的な空気です。それらのことも前提にしてこれは
考えておいていただかないと、五・五%以内に押えたいということを言われるけれ
ども、相当なことにこれからなっていくという気がするのです。そこで、それ以上に問題は、個々の物価についてどう取り組むかということですね。そこのところを、たとえばフランスあたりがやっておりますジスカールデスタン
——これはさっきちょっと触れましたが、大蔵省がやれという
意見もあるのだけれ
ども、ドゴールが文句を言って、ジスカールデスタン大蔵大臣が前面に出て、ちょうど三年前、前年度に比べて八十六品目生活必需物資をとって、その中でマージン規制という形で、三分の一以内に押えるということで、ずいぶん混乱をしましたね。去年の初めですか、ジスカールデスタン氏が日本に来たときに、エコノミストで座談会をやって取り上げておりますけれ
ども、それなりに成功してきているわけです。これはまあ直接規制だから、ある
意味ではむずかしい問題をいろいろ含みますけれ
ども、そこまでやっている国もあるわけですね。だから、そういうことになると、日本の場合でも、直接的にどう押えるかという問題をやはり
企画庁あたりが
考えてみる必要が、私はあるのじゃないかと思う。ところが、各省間で何か言われているように受け取れる面もあるけれ
ども、具体的にはこういうものはこうするのだという政策提起的なものが出てきていない、こう見なければならぬと思うのですよ。
そこで、公取の皆さん、そういう
意味で実は
公正取引委員会の皆さんの側も、前回私は何回か
質問したこともありますけれ
ども、組織、
機構、制度、権限という
意味でずいぶんどうも弱いという感じがする。同じことがいえるわけですね。だから、もの言わぬというか、組織できない消費者大衆の利益をという面にある
企画庁なりあるいは
公正取引委員会なりというところが弱過ぎるということは、一体これはどうしたことかという面で
質問を申し上げておきたいわけなんです。たとえば再販価格の維持契約制度等をとらえましても、これは最近の例
——昨年の七月ごろからですか、薬なんかの場合でも、目薬なんというのは、いまほとんどどこの薬屋へ行ったって二百五十円で、安売りしていない。ところが、この二百五十円の目薬の原価から、仕入れから、マージンから、それからリベートから、全部調べてみると、二百五十円の目薬一つについて百七十五円で仕入れています。そうすると、七十五円その間に薬屋さんは利益があるという勘定になります。ところが、それにリベートが十二円ばかり加わりますから、大体八十七円くらいになる。それから累進リベートが六円くっついていますから、九十三円になる。そうすると、利益率が五二、三%になるわけですね。半分以上もうかるわけですね。こういうことになってくると、これは消費者こそいいつらの皮で、百円割れても買えた薬か
——内容か違うかどうかそれは知らぬけれ
ども、原価を調べてみると、たいした変わりはないですよ。そういうところから、どうもメーカーというのはやたらもうかるわけですね。そういう維持契約を結んだのだから、違約金をとられるのはたいへんなことになる。しかも利幅が何とかかんとか高いから、まあ小売り屋さんもそれなりに売っていく。ひねくれた人は安売りしているところも一、二ありますが、いまそういう状態ですね。だから、そういうことは、ある
意味ではせっかく下がる物価を押し上げているということになる。だからこそ上原正吉さんじゃないけれ
ども、きょう科学技術庁もお見えになるところだったけれ
ども、それこそ日本の最高利益を得ておる
かっこうになってしまう、端的な例だけれ
ども。そういう形にしておくということはよろしくないわけですよ。前回さんざんこの席で私はその点についてものを言ったことがあるのです。内閣
委員会始まって以来あんなことを言ったやつはないと言われて困ったことがありますけれ
ども……。ところがことしになって、九品目の中で何品目かはずすということが出てきていますね。ですから、私はこの際、なぜ再販価格維持契約制度なんというものはやめちまえないのかということを、まず公取の皆さん方に聞いておきたい。