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1966-02-24 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十四日(木曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       臼井 莊一君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    堀内 一雄君       湊  徹郎君   茜ヶ久保重光君       稻村 隆一君    村山 喜一君      米内山義一郎君    受田 新吉君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房長)   澄田  智君         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         総理府事務官         (経済企画庁水         資源局長)   鈴木 喜治君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房企画課         長)      橋本 徳男君         建 設 技 官         (道路局地方道         課長)     伊藤 直行君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 二月二十四日  委員茜ヶ久保重光君及び受田新吉辞任につ  き、その補欠として大原亨君及び今澄勇君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員大原亨君及び今澄勇辞任につき、その補  欠として茜ヶ久保重光君及び受田新吉君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十三日  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九〇号)  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二五号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。三木通商産業大臣。     —————————————
  3. 三木武夫

    三木国務大臣 通商産業省設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  改正の第一点は、通商産業省本省の軽工業局及び繊維局を改組し、化学工業局及び繊維雑貨局に再編成することであります。  御承知のとおり、通商産業省におきましては、軽工業局において化学工業雑貨工業を、繊維局において繊維工業を所管してまいりましたが、臨時行政調査会答申に従い、行政内容の類似している繊維工業雑貨工業繊維雑貨局においてあわせて所掌させることとし、行政能率向上をはかるとともに、現在の軽工業局のうち、雑貨部門を除いた部分を化学工業局として、最近における化学工業行政拡充要請に対処したいと考える次第であります。  改正の第二点は、行政機構簡素化の見地から、公益事業局の次長を廃止することであります。  改正の第三点は、高圧ガス保安審議会高圧ガス及び火薬類保安審議会に改組することであります。  従来、火薬類保安行政については、これを調査審議する審議会は置かれていなかったのでありますが、火薬類保安行政を一そう適切に遂行していくためには、広く学識経験者意見を求め、これを制度面行政面に反映させていく必要があります。行政機構の膨脹を避けつつ、この要請に対処するため、現在の高圧ガス保安審議会を拡充強化して、火薬類保安に関する重要事項についても、調査審議できるよう改めることとしたものであります。  改正の第四点は、定員改正であります。  定員につきましては、その増加は厳に抑制することとし、通商産業省全体としては、三名の減員をすることとしております。  特許庁審査審判事務促進及び中小企業行政の充実は、緊急の要請でありますので、特許庁については百四十四名、中小企業庁については十名の定員増加を行なうこととしておりますが、これは、いずれも本省定員振りかえによってまかなうこととし、外務省に振りかえる三名を含めて本省定員を百五十七名削減することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、今回の機構改正に際しましては、臨時行政調査会答申を十分に尊重し、行政事務能率向上機構簡素化につとめるとともに、定員増加が必要な部局につきましても、他の部局からの定員振りかえによって対処することとしている次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いをいたす次第であります。      ————◇—————
  4. 木村武雄

    木村委員長 経済企画庁設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。伊能繁次郎君。
  5. 伊能繁次郎

    伊能委員 水資源局長おいでになるようでございますから、最近の水資源開発、管理の実情についてお伺いいたしたい。ことに水資源局経済企画庁に発足した数年前には、非常にこの問題が大きく取り上げられておりましたが、その後水資源開発公団発足等で、事務的には全体としては非常に円満なる運営をしておると私は聞いておるわけでございますが、最近の水資源行政実情、並びに運営内容等について、ひとまず全般的にお話を伺えれば幸いだと思います。
  6. 鈴木喜治

    鈴木(喜)政府委員 簡単にお答えいたします。御承知のように、三十七年に水資源開発促進法及び公団法施行になりまして、自来約四年ちょっとたったわけでございますが、この間におきまして、御承知のような非常に複雑な水行政について、これが広域的な、緊急な対策を促進しようということで、こういう関連法律ができたわけでございますが、約四年間、どうやら各省が共通の土俵というかっこう企画庁役割りが果たせるようになりつつあるというのが、現状ではないかと思っております。この間、最初に利根川及び淀川水系水資源開発水系として指定いたしまして、それぞれ基本計画に基づきまして着々工事の進行をはかっております。その他九州の筑後川並びに中部の木曽川水系につきまして水系指定をいたし、筑後川につきましては、ことしの初めに基本計画が一応できたわけでございます。なお、木曽川水系につきましては、目下基本計画策定をやっている最中でございます。事前に水系指定いたし、基本計画のできました利根川及び淀川につきましては、御承知のように矢木沢下久保ダム、その他のダム、あるいは最近におきましては利根川河口せき等につきまして、目下鋭意工事中でございまして、矢木沢は四十一年度には完成する。その前に利根川導水路が一部完成いたしまして——これは一部完成と申しますか、一部通水いたしまして、一昨年の東京都の異常渇水の際に相当な役割りを果たした、こういうような状況でございます。
  7. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいま当面の概況だけはお伺いしたわけでございますが、それに引き続いて、来年度の目下国会提案されておる政府予算関係として、利根川水系等についてどういう御計画があるか、その具体的な内容がまだ予算提出中でこまかいことはあるいは御計画にはなっておらないかとも存じますが、大体どういう状況になっておるか。と同時に、水資源開発審議会が設置せられておると思いますが、その運営状況、年に何回ぐらい水資源開発審議会が開かれておるか、その点もあわせてお伺いいたしたいと思います。
  8. 鈴木喜治

    鈴木(喜)政府委員 ただいま国会提案し、御審議願っております昭和四十一年度予算関連いたします水資源開発関係予算、特に企画庁関係でございますが、それは一つは企画庁プロパー予算でございまして、これは四十年度から新規に水資源開発基本計画調査費というものをつくりまして、昨年は三千万円でございます。ことしはそれを三千五百万、ただいま予算案として国会提出中でございます。  それから公団事業のほうでございますが、公団事業といたしましては、利根川淀川、その他木曽川の一部につきまして、公団事業規模としまして二百五十三億、昨年が二百十億でございますから、約二割の増でございます。この予算をもちまして、利根川水系につきましては、先ほど申しましたように矢木沢ダムは四十一年度で完成、それから下久保ダム河口せき導水路群馬用水印旛沼開発等につきましては、それぞれ予定工期で終わる程度の予算を盛り込んでおるわけであります。その他、利根川水系につきましては、神戸ダムが昨年は実施設計でございましたが、四十一年度より着工という内容になっております。  それから淀川水系につきましては、継続事業としましては高山ダム青蓮寺ダム等が、それぞれ予定工期に合わせて予定しておるわけでございます。その他昨年実施設計のございました室生ダム、正蓮寺川利水事業につきましては、着工予定しております。  木曽川につきましては、水系指定をいたし、まだ基本計画はできておりませんが、長良川の河口せきにつきまして、実施設計調査費予算案に盛り込んであるわけでございます。  それから御質問の第二点の水資源開発審議会でございますが、水資源開発審議会につきましては、それぞれの水系につきまして部会を設置いたしまして、基本計画策定に至るまで、部会はそれぞれ数回現地並びに東京におきまして部会を開催いたしまして、その部会案のまとまったところで審議会にかけて基本計画をつくっておるわけでございます。毎年大体三回程度開催いたしております。
  9. 伊能繁次郎

    伊能委員 それから私が特に今日お尋ねをし、お願いをしたいと思いますことは、印旛沼導水計画については、おかげでたいへん順調に進んでおりますので、これは地元住民の非常に感謝しておることと思いますが、利根川下流の潮どめダムにつきましては、これまた最近の画期的な計画として、沿岸住民並びにこれを利用する水関係の者は、上総用水、あるいは大利根用水等の今後完成によって、畑地かんがいその他広く千葉東中部、東の真中辺までその利益に均てんできるということでたいへん喜んでおりますが、当面の問題として、あそこに潮どめ堰堤ができることによりまして、東庄から銚子の河口に至る沿岸農民の問題がございます。それは現在茨城県並びに千葉県の許可を得て、現に河川敷になっておるところが、だんだん土がたまって耕作適地になっておる、それを千葉県、茨城県の県庁の許可を得て農民耕作をしておるわけです。もし潮どめ堰堤完成をいたしますと、堰堤から上流には、今日では渇水期には御承知のように塩水がずっとさかのぼってまいって、御承知のように常陸川はそれを防止するためにああいう堤防ができましたし、利根の下流の潮どめ堰堤もその効果があるわけでございますが、そのかわりに河口ぜきから下のほうは、塩害を受ける被害度が非常に強くなります。こういうことを沿川住民が非常に心配をいたしておりまして、ことにいまの河川敷になっておるところを、県の許可を得て両岸で農民が現に耕作をしております。それで、そこの護岸の問題ですが、事実上護岸がほとんどないという状況で、もし潮どめ堰堤完成する際に、その点もあわせて御調査を願い、何らかの施設をしていただきませんと、せっかく両県の農民が長い間努力をして耕作適地として米、蔬菜等を植えておりますのが、一朝にして塩水に浸され、あるいは水に浸されるというような状態になるということで、目下沿岸住民がいろいろ協議をいたしておりまして、私ども、そういう問題については、水資源担当経済企画庁長官並びに水資源公団に十分まだ早い時期にその点を陳情をして、適切な措置をとっていただくようにお願いをしなければならぬぞと忠告を与えておりますが、おそらくこの問題は近々——そういう点であるいはもうすでに御当局のほうへそういう陳情が参っておるかと存じますが、そういう重大な、そこへせきをつくることによって下流のほうに塩害の非常な招来のおそれがあるという事態をひとつ御認識いただきまして、今後の御計画において、水資源公団のほうへも私お話しをするつもりではおりますが、水資源局におかれても、その点の御調査を願って、適切な御処置をいただきたい、かように考えておりますが、御承知かどうか、その点もお伺いいたしたいと思います。
  10. 鈴木喜治

    鈴木(喜)政府委員 ただいま先生の御指摘の点でございますが、河口せきは、御承知のように利根川相当下流のところを締め切りまして、塩害を防止するとともに、いままで維持用水として使っていたうち約二十トンにつきまして、千葉県その他埼玉、東京等都市用水にこれを使おう、将来は千葉県の北総東部台地農業用水にもこれを使う、こういう計画になっております。計画の当初から、ただいま先生の御指摘のような農業の問題あるいはいままで川をさかのぼっておった魚、漁業の問題、これらがございまして、いままでのところ完全な解決には至っておりませんが、昨年十五億の予算工事を始めます際には、これは四十五年までの工期になっておりますので、その間に十分に調査をしてそれぞれの問題を解決するということで、地元の了承を得て工事を始めておるような状況でございます。なお、ただいま先生指摘の具体的な点につきましては、必ずしも十分承知しておりませんので、十分研究した上で、公団が補償なり関連工事なりというかっこうでやるか、あるいは建設省工事をやるか、これらの点につきまして十分検討したいと思います。
  11. 伊能繁次郎

    伊能委員 たいへん周到な御配慮を願っておるようでございますが、建設省お話が出ましたので、私ども建設省にも大きな関連がありますから、あわせて陳情をいたし、協力を願いたいと考えておりますことは、建設省ドレッジャーがあそこへ入っております。ドレッジャーの能力が必ずしもあまり大きなものでないので、沿岸農民期待に十分沿っておらないようでありますが、建設省ドレッジャーによっていまの河川敷になっておるところをある程度土盛りをいたしますと、私は、護岸も比較的楽になるし、沿岸塩害被害を受けることも少なくなると思いますので、この問題は建設省水資源開発公団とで協力をしていただくことによって、あまり金をかけずに当初の目的を十分に達成することができるのではないか、かようにも考えておりますので、その辺のところも、調整の機能を持っておられる経済企画庁水資源局としてあわせて御検討、御調査をいただきたい、かように思います。
  12. 鈴木喜治

    鈴木(喜)政府委員 十分検討したいと思います。
  13. 伊能繁次郎

    伊能委員 経済企画庁長官が見えましたから、私の質問をこれで一応終わります。
  14. 木村武雄

  15. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 山村振興法の問題につきまして長官にお伺いしたいのですが、現在農村特に山村の生活は非常に悲惨でありまして、現に百万人から出かせぎに出ております。そのうちひどいものになりますと、暴力団にさらわれたりあるいは殺されたりしている者すらあるわけです。この間も二十三日に出かせぎ者の大会をやりましたけれども、いろいろ実情を聞きますと、実に涙を禁ずることができないような多くの問題もあるわけであります。そういう農山村の窮状を助ける意味におきまして、昨年制定されました山村振興法というものは、非常に期待が持たれたわけであります。ところが、この施行令をいま見ますと、これは全く実情に沿わないような点が多々ある。特に考えられることは、この山村振興法精神を全く逆のほうに持っていくように感ぜられるようなものさえあるわけであります。たとえば、これはほかの県も同じでありましょうが、私の新潟県の実情から見ますと、あの施行令では山林が七五%あるところに適用することになっておりますが、それにつきまして、私どもの県などでは、七五%ある市町村が二十六該当する。ところが、他の市町村で当然山村指定を受けなければならないところが約三十カ所もあって、それが指定を受けることができない。ただ山林の率だけできめますと、たとえば私どもの県でも、西蒲原の巻町とかあるいは岩室村、あるいは弥彦、有名な弥彦神社のあるところですが、こういうところは適用されるのです。こういうところは適用されて、それで東頸城郡というところがありますが、ここは全部山で、もう一番貧乏地帯です。そういうところは全然適用されない。山林が七五%という率に該当する場所がないものですから、そういうようなことになっておるわけであります。私は、こういうふうな施行令改正する必要があると思うのです。改正しないと実情に合わないから、ほんとうに山村振興法精神を実際に適用して、山村を救済することにならないと思う。その点長官はどうお考えになっているか、お尋ねしたいと思います。
  16. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 山村振興法ができますときに、山村をどういう範囲内にきめるかということは、相当重要な問題であると思います。当時の委員会審議経過から、あるいは委員長等の御報告から見て、林野率を相当重く見る、七五%ぐらいに見るのが適当じゃないかというような御意見もあったように思われますので、現在のような政令になったわけでございますけれども、将来これが運用をされていく場合に、いまのお話しのような問題があるいは出てくるかと思います。そういうような場合には、さらに検討をしていくことになろうと思いますが、一応、御審議経過その他から見て、いま申し上げたような政令になったわけでございます。
  17. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 私が言うのは、極端なことばで言うならば、山村振興法を適用しなくともいいようなところが適用されることになっているのです。こういう点はやはり即刻改めて、適用されなければやっていけないようなところを先にやるべきじゃないですか。こういう施行令をどうしてきめたのだということなんですね。ただ山林の率なんかできめれば、そうなりますよ。非常に裕福な——非常にと言うと語弊があります。農村には非常に裕福なんてありませんが、かなり裕福なところが救われて、全くにっちもさっちもいかないようなところが救われないということになるのですよ。そういう点は、ぼくはやはり率直に改めるようにしたらいいと思うのですが、やはり長官はそういう点は即刻改めるようにするお考えはありますか。改めていただきたいのですがね、こういう間違っている点は。
  18. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 経緯につきましてなお局長から御説明申し上げますから、お聞き取りください。
  19. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 山村要件政令で定めたわけでございますが、それはただいま長官から御説明をいたしましたように、法律制定の当時いろいろ議論がありまして、この法律は与野党の議員立法でできた法律でございますが、その間提案者の方々の御意向も、林野率のなるたけ高いところで、七五%ぐらいのところで線を引いて山村ということの要件として考えたらどうかという御意思なり、御意見があったわけでございます。それを受けまして、政令といたしましても七五%の林野率ということで山村要件にしたわけです。ただ、山村要件として林野率七五%、また人口の密度その他の要件も若干ございますが、そういうことで山村ということで考えるわけでございますが、ただ、この山村振興法によりまして、その中で振興山村指定いたしますのは、さらにいま先生のおっしゃられましたように、非常に裕福な村とかいうふうなことについてはいろいろ配慮して、実際にある程度困っている、また困っているが、同時に将来振興するに足るようないろいろな要件を備えたところについて、振興山村として指定していくというふうになるわけでございます。   〔委員長退席藤枝委員長代理着席〕 この要件の備わったところが、すべて振興山村になるというわけではないのでございます。  それからいま御指摘の単に林野率の問題だけではなく、たとえば段々畑の問題、もうこれは新潟のみならず、鹿児島とかその他にもたくさんそういう地域がございます。いろいろ問題になる点がありますが、当面ただいまの政令で出発して事業をやっていきたいと思っておりますが、将来の検討すべき問題であると、われわれの事務当局といたしましても考えているような次第でございます。
  20. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 どうもぼくはそういう答弁を聞いたところで納得できないですよ。答弁になっていないのじゃないかと思う。私の言うのは、そういうふうなしゃくし定木なことをやって、実際はこれは全くわれわれの県でもそうなんだから、当然受けられる一番悲惨なところを救わなければならないのですよ。法律施行では、なかなかいろいろむずかしいことがあってそうはいかぬのかもしれぬけれども法律をそういうふうな実情に合わせなければだめですよ。たとえば、何度も繰り返すようだけれども、われわれの県で東頚城というのは一番悲惨なところです。私の選挙区じゃないですけどね。そういう悲惨なところから先に救わなければ、あなただめじゃないですか。そういうふうな実情を考慮して、法というものは執行しなければいかぬですよ。政令をつくらなければいかぬです。全然、と言っては語弊があるけれども、ほとんど救わぬでもいいようなところ、先ほど言った弥彦のようなところ——そういうことを言えば弥彦の人にしかられるかもしれぬけれども、いろいろ言えば議員なんかも差しさわりがくるから言わぬのが当然かもしれぬが、私は率直に言うのです。こういうふうなことで、何で山村が救われますか。膨大な東頚城全体なんか、何も指定されないですよ。こういうふうなことはだめだと思う。悪く解釈すれば、りっぱな法律はつくるけれども、適用するときには、金がほしい、何がほしい、いいかげんなことをやって、ただうわべを飾るだけのようなことではどうもしょうがない。役人法律をつくるときには、むろん法律をつくる人は非常に冷静だから、情義だとかあるいは人情だとかいうものがからまぬのが普通だろうけれども法律はやはりそんなものじゃないのです。山村を救うのだから、山村振興法なんだから。われわれの県だけでも、三十カ所もそういう山村指定を受けないところがある。山林が七五%以上ないからといって、まるきり適用されないところがある。そしてたいした救う必要のないところが適用されたりするような、こういうふうなものがあるから、これは改正しろと私は言うのです。施行令を改めろ、こう言うのです。それを聞けばいいのです。それを改めるとはっきり、これは長官の答えだけでなくして、事務当局としても当然言っても差しつかえないじゃないかと思うのですけれども、その点どうですか。
  21. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 山村振興法は、稻村委員お話のように、山村で非常に貧困な村、そういうものを救うということが目的であることは当然であります。ただ、どこに線を置くかということが、なかなか政令等をつくりますのに基準がむずかしい。ただ役人手かげんというわけにもこれはいかない。ある基準を引きましたのが、いまお話し申し上げましたように、当時、議員立法関係から、提案者の御意見委員会の御意見等が、林野率七五%ぐらいのものが一番山村として認定されるのじゃないかという御意見もあったように思いますのでそういう政令をつくったわけでございますけれども、しかし、法律目的そのものは、御指摘のとおり貧窮な山村を救うのが目的でございますから、そういう意味において、それらのものをどういうふうに勘案していくか、基準の引き方はむずかしいとは思いますけれども、今後検討いたしまして、そういう基準の引き方が適当な方向で引けるようでございますれば、当然改正してしかるべきだと私は思いますので、御趣旨に沿ってその基準の引き方等について検討させてみます。
  22. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 長官の御答弁よくわかりました。ぜひともこれは改めてもらわなければならぬと思うのですが、大体、ほんとう言えば山林七五%以上なんというふうなことを基準にしたのがおかしいのだ、実際問題として、山林を持っているようなところはわりあいに裕福なんだから。それはめんどうだろうけれども農村の実態調査をやれば、収入でも何でも、どの村はどういうふうになっているかということはすぐわかるのです。そういうふうなことを中心として適用すべきである。どの農村が困る、どれはわりあいいいというのはすぐわかるのだから、山林基準としてやるなんという話は、これは間違っていると思う。第一、そういうことは何を基準として施行令をつくったかということを、私は実際不審に思うのですよ。どういう根拠をもってそれをやったかということです。そういう法律のことは私は全然しろうとでよくわからないけれども、大体山林基準としてやったなんというのはおかしいじゃないですか。
  23. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 日本の国土の中で平野面積が十数%でありますから、残りはほとんど山地ということになるわけでございます。そうしますと、山村を対象といたしますとほとんど全国をおおうわけでございますけれども、日本全国全部を振興するというふうなことになると、施策そのものも弱まってしまうので、できるだけといいますか、ある程度山村らしい山村にしばっていこうというふうなことで、何か基準はという、その一つのよりどころとして林野率ということが——これは広く申し上げますけれども、立法の当時からその点が非常に議論されまして、林野率を一つの重要なよりどころにすべきだということは、与野党両方の先生方の御意見であったわけです。それで七五%くらいが適当であろう。そうしますと、大体そういうことで要件に当てはめますと、全国の面積の約五〇%くらいが山村要件に該当するわけです。全国半分というと非常に大きな面積になりますが、そういった面積の中からほとんど大部分に近いものになろうと思いますが、振興山村をさらに指定して振興していこう、こういうふうな段取りになって考えてまいったわけでございまして、ただ、いま先生のおっしゃられますように、単純に林野率という問題だけで解決つかない問題が確かにございます。それは新潟からもお話もありましたし、またぼつぼつ具体的に法の施行に伴いまして、各県からも御意見が出ております。そういう点よく実態を把握して、林野率のみの線じゃなくて、何かいい案ができるかどうか、今後の問題として十分検討させていただきたい、こう思っております。
  24. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 しつこいようですけれども役人の方が政令をつくるときにいつもぼくら不満なんですが、われわれ悪意に解釈するかもしらぬけれども法律はりっぱなものをつくっておいて、政令をやるときには金をなるべく使わぬように、それを抑制するようなことばかりやっているのじゃないかというふうな疑いをわれわれは持っているわけなんです。それで山林の七五%以上なんというものを基準にしたのじゃないかと、私は疑っているのです。さっき言ったとおり、山林なんか持っているところは、まあ何とか木を売ったりして食える。山林も何もないところ、そういうところが、実際問題として一番救わなければならぬところなんですよ。それを第一、山林基準として施行令をつくるなんということが——そもそもそういうことを言う人があるとすれば、その人は山林を保護するとかなんとかいう立場でやるというなら、別問題です。そういう意味でもあるのですか。山林を保護するという問題で施行令をつくったのですか。
  25. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 特に森林を保護するというような意味ではございません。ただ、林野率という問題の中には、いわゆる荒蕪地といいますか、森林のないところ、そういうところももちろん入るわけです。完全に牧野として改良されたところは別でありますが、一般的に森林のない荒蕪地というところは林野率に入りますから、森林がなくとも、よりひどいところは包含されるわけです。ただ、段々畑のように実際に耕地ということになっておりますと、林野率に入らない。しかし、実際に段々畑のところでは、森林よりももっと苦労しておられるような実態もあるわけです。そういう点でどういうふうに基準考えていくかということを、今後の問題としてわれわれも検討いたしたいというふうに思っておるわけであります。
  26. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 だから、私は、林野率基準考えるなんということは、実際は必要ないと思う。つまり山村を救うということを中心に置いたら、そんな林野率基準にならぬ、この点は十分考えて再検討してもらいたい。これでは全く不合理で、山村救済にならないということを申し上げまして、十分企画庁の御検討お願いしたいのです。  それで、私は参考に申し上げますが、文部省のへき地教育振興法施行規則というものが、三十四年七月三十一日から文部省令第二十一号で出ております。これはかなりよくできております。これをなぜ参考にしなかったか。これは交通機関、医療機関、電気の有無、電話の有無というふうなものを加味してやっておる。だから、山村振興もこれを基準として政令をつくればいい。だから、林野率だけにたよるということは廃したほうがいいと思う。傾斜度とか積雪とか豪雪などというものを考えなければいかぬですよ。五月一ぱい雪が消えないところが、われわれの県へ行けばたくさんあるのです。北陸、東北、山陰地方に、そういうところはたくさんあるのです。しかし、これはそういう積雪とか傾斜度とかを見てない。交通とかそういうものをあまり加味していない。だから、こういうへき地教育振興法施行規則を参考にすればいいのです。そうすれば、これはもっといいものができたと思うが、どうですか。あなたたち事務当局は、これを参考にしましたか。いつでも法律をつくるときにいいかげんなことをやっておるから、そういう先例があるのに調べもしないでやっておる。
  27. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 繰り返し申し上げますが、法律の上でも、一つは林野率を高くということが条件に示されて、法律ですでにそういうことが示されているという点が一つございます。また、先ほど先生おっしゃられましたように、僻地という観念よりももう少し幅広く山村の振興ということを考えておるものですから、非常に困っているところを救うという問題と同時に、今後農業の近代化の基準地域としての山村地域というものをどう振興していくかということもあわせ考えるというような意味で、ある意味では山村要件としては非常に幅の広いものを考えるということで、一つのめどを林野率にとったわけですが、先ほど申し上げましたように、大体こういう要件考えますと、全国の五〇%近いもの、四八%をこすものが山村要件に該当するわけで、いわゆる僻地という観念よりもかなり幅の広いものをとったわけです。ただ一つの林野率というふうなものをものさしにしたために、若干実態の点で食い違いの出ている点が出てきたわけでありますので、そういう点につきましては、十分今後検討をしたいということを重ねて申し上げるわけでございます。そういう僻地の問題は、文部省関係あるいは自治省のほうの僻地地帯の問題につきましても、あるいろいろな基準がございます。それらの基準は、今後指定山村ということで振興山村指定していく場合にも、十分参考になるものだというふうに考えております。
  28. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 とにかくこれはどうしても改正する必要があると私は思うのですが、重ねてこれは実情に合わぬ点は改正するように、十分長官に考慮願いたいと思うのです。
  29. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 いまの僻地開発ということと山村というものとが、若干食い違った形があるかと思います。そういう点につきまして、いま稻村委員お話は、私伺っていてもっともな御意見だと思いますので、基準等の取り方その他について今後検討いたしまして、十分実情に適するようにひとつ考慮してまいりたいと思います。
  30. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 これは事務当局にお尋ねしたいのですが、山村振興計画の実施見通しについてですが、政府は、四十一年度に七十二地域を山村として指定する計画のようですね。
  31. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 新市町村の単位で、現在七十二地区が指定申請をしてきております。その申請してきた地域について、審査の上指定するわけでございます。大体本年度内に七十二地区になりますか、幾らの地区が問題点として残るかはこれからの審査によりますけれども、ほぼ七十二地区、あるいはそれに近いものが指定されるということになります。
  32. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 それで、全国で、山村として指定し、特別な補助策をとらなければならない市町村は、大体どのくらいあるのですか。また、それをどういうテンポで指定していくのか、それをお伺いしたいのです。
  33. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 この山村振興法——くどいようですが、山村という要件を備えたもの、この山村とはどういうものかということをまず第一次的に考えまして、その山村の中で振興山村というものを指定していくということになるわけでございます。その山村要件を備えたものとして認められるものが全国で、新市町村の区域単位で考えますと、約千三百くらいございます。そのうち、いろいろな意味で今後振興山村指定するにふさわしくないようなものは除外してまいりますから、どの程度になりますか、いまの段階では何とも申し上げかねますが、千三百のうちの相当部分につきまして、この法律は約十年間の時限立法でございますので、これから五、六年の間には、該当する振興山村を大体すべて指定していきたいというふうに考えております。ことし七十二でございますが、来年度は、一応調査の地区として約百を予定いたしております。その次からは、もう心し数多くそういった調査をし、指定していくというふうにいたしてまいりたいと思います。
  34. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 そこで、この山村振興法は時限立法なんですが、十年間の時限立法ですね。期間が短か過ぎやしないかと思うのですが、わずか十年間で、日本じゅうの全山村を同法の目的、立法趣旨のとおりあらゆる面で整備をすることができるかどうか、はなはだ疑問に思うのです。これは十年の時限立法では、どうも問題の解決にならぬと思うのです。これはやはり普通の法律としてつくり直す必要があるのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  35. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 山村振興は、できるだけ早い機会に、国土総合開発の見地から見てもやるほうがいいのでありまして、時限立法にしますと、行政当局としても、その間にできるだけやろうという気分になるのだと思います。時限立法であっても、それの施行が非常に十分ではなかったり、あるいはまた施行する場面が新たに出てきたというようなときには延ばしてもいいのでありまして、少なくも十年くらいの目標でこれをやるという決意でやったほうが適当じゃないか、私はそういうふうに考えております。
  36. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 この点、企画庁予算というものは調査費補助金くらいですから、そういう点、ひとついま言ったような点を十分に考慮して、そうして根本的な対策を立てていただきたい、こういうことを希望する次第です。  そのほか、建設省、文部省、厚生省についてちょっとお尋ねしたいと思うのですが、まず建設省にお尋ねしたいと思うのですが、とにかく山村振興法予算の裏づけが非常に貧弱なんです。これはやむを得ないと思う。財政上のいろいろの面からそれはわかりますけれども、たとえば建設省関係ですか、山村指定の七十二地域に対する市町村道の事業費は、九億六千万なんです。つまり、一地域に千三百万にすぎない。これで、どれだけの道路の設備ができるか。どのような条件の中で、どのような状態の道が、どれくらいの長さでできるか。これを具体的に聞きたいのですが、私は全然建設関係はしろうとでわからないのですが、たいしたものじゃないと思うのですが、このひとつお聞きしたいと思っております。
  37. 伊藤直行

    ○伊藤説明員 お答えします。  ただいまの山村関係建設省の九億六千万と申しますのは、事業費ではございません。国費でございまして、事業費に直しますと、十四億四千万ということに相なっております。これの計画としましては、はなはだ申しわけございませんですが、まだ計画がはっきり立っておりませんので、今後どういうふうに割りつけるかということについて山村振興計画の中で考えることにいたしておりますので、工種によっていろいろ変わると思います。たとえば、橋がほしいというところもございますし、バスを早く通したいというようなところもございますので、延長でどのくらいということは、いまあらかじめ申し上げることはできないと思います。それと、今後継続して行なうことにいたしますので、今年度は、この山村関係建設省予算としては初年度でございます。
  38. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 これも私は全然しろうとなんで、建設省当局にお尋ねしたいのですが、山村の道路の整備は、これはもうこれが一番重要なんですね。鉄道など、あまり人の乗らない鉄道なんかずいぶんありますが、こうした鉄道などよりも、除雪の点やその他いろいろの点においてそういうものをむしろやめて、いい道路をつけたほうが経済的じゃないですか。その点どうなんです。たとえば、私は私の県しか知りませんから、私の県のことだけ申し上げて済みませんが、小出から会津若松のほうに行く只見線というのがありますね。ああいうような、あまり人の乗らない赤字の鉄道が、ずいぶんありますよ。ああいうものは、道路にしたほうが経済的にも安上がりなんじゃないですか。その点、私はよくわからないけれども、どうですか。
  39. 伊藤直行

    ○伊藤説明員 鉄道と道路との比較につきましては、その場所場所の問題があると思いますので、いまちょっと私のほうでお答えできかねます。
  40. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ちょっと関連して。これは長官にお聞きしたいのですが、いまお聞きしていると、十四億四千万の予算をとっているけれども、その使途についてはまだ計画はなされておらぬという。予算編成のときは、予算のぶんどり合いをやっておるのに、これだけの予算を確保しておって、そうして計画が、使途が明確になっておらぬというようなことは、こういう予算のとり方ということはどうもおかしいと私は思うのだが、総合的な計画の上に立って、藤山さんはどういうようにお考えですか。
  41. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知のとおり、山村振興計画は昨年から始まりまして、いま申し上げましたように、七十二地区程度の指定を今度はする。各都道府県から出てまいりまして、そうしてそれを指定していく。したがって、指定地域内における道路計画ということになるわけでございます。そこでその指定地域がはっきりして、その実情に応じてその設計計画等ができてまいるわけでございます。ですから、本年度においては十四億の予算をつけて、そして七十二地区が指定されてくれば、その中でこれを使っていく、こういうことでございますから、この限りにおいては御理解いただいていけるのだと思います。しかし、将来どんどんこの指定地区がはっきり指定されまして、その中で道路がまだ前年度はやっていないというものについては、今年度にこういう道路をつくるのだということがはっきりしているものは、予算要求の中でそれが出ていくと思います。しかし、出発点のところでございますから、いまも申し上げたように、指定地域が確定しない前にどこをどうというわけにまいらぬ。指定地域ができましたら、すぐに建設省でわれわれと相談し、あるいは農林省とも相談して、その地域を優先的にやるとか、あるいはその地域の橋をやるとか、その地域の道路をやるとかということがきまってこの十四億を有効に使っていく、こういうことでございます。ですから、おそらく来年になりますと、本年度そういうことを指定した中で、本年度の予算の中だけでやったもので来年度はひとつやろうというものについては、もっとはっきりしたことが御説明できるようになると思うので、初年度でございますから、ごかんべんを願います。
  42. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 答弁答弁で、そういう答弁よりできないと思うけれども、少なくとも青写真というものはあるわけだ。全く具体的なものの入っておらぬ青写真というものはないわけなので、それで特に私は今年度十四億四千万でも問題にしなければならないと思いますることは、結局建設公債とは言っておるけれども、私どもは実際は赤字公債だと思うのですが、こういう公債を発行しての予算編成のときに、ただいま言うように具体的な使途が明確になっておらずに大ざっぱに予算を取って、そうしてこれから執行するための計画を立てるというようなことは、私はあってはならないと思うし、各省ともこういうことをやっておるということになると、これはたいへんなことだと思うのです。これは大きい問題だと思うのですよ。だから、あまりこのことが悪くないような印象を受ける答弁をされておりますけれども、私はこれは大きい問題だと思いまするので、この点についてもう一度答弁をいただいて、なおこれに関連をして——ぼくは関連質問だから本質問のときにやりまするが、あと長官答弁を聞いて、他の委員のほうからも質問があろうと思います。私はいまちょっと急用ができましたので、残念ながら聞くことができません。これは同僚の議員にあとを譲って中座したいと思いまするけれども、これはそう簡単なことじゃないのです。ほんとうに重大だと思うので、ひとつそのつもりで答弁していただきたい。
  43. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御退席になるのはまことに残念ですから、暫時おいでをいただいて……。これは別に具体的目的がないというわけじゃないので、山村振興のために使う予算として確定しておるのです。ただ、具体的にどこのをやるかといえば、普通の場合ならば、たとえば何々の河川を改修するとかというような大きな項目がございますね。しかし、その河川を改修する場合でも、それに橋をどこにかけるかというような問題は、実地調査の上で若干移動してくる場合もあるわけでございまして、実施にあたってはやはりそれを考えなければいかぬと思います。もしこの九億六千万円の国費が山村振興以外の目的に使われるのだということであってはならぬので、これに使われるのだというはっきりした限定は予算の上でされる。しかし、今年度の予算は、先ほども申し上げましたように、七十二地区の指定をこれからするわけですから、指定しないところに振り当てるわけにもまいりません、山村振興の法律関係から。ですから、指定された地区の中で、たとえば緊急に橋をつくってもらいたい、あるいは緊急に道路をつくってもらいたい、自分のほうは橋でなくて道路にしてもらいたいとか、こういうことが七十二地区の中で起こってくると思います。そこでそれに向かって使うのでありまして、したがって次年度になりますと、昨年は自分のほうは橋をつくってもらったけれども、道路はあと回しにしてもらった、よそに譲ったというようなことが起こってきた場合に、それじゃ次年度で道路をつくろうというときには、この九億六千万円の中の内訳がある程度はっきり出てくると思います。しかし、今年に限ってはいま申し上げたような状態でございますから、これは一般的な問題ではないと思います。たとえば他の離島振興の予算にいたしましても、離島関係は非常に大きなものがございまして、必ずしも予算編成のときに、たとえばどこの島の何をやるのだということできめないで、離島関係の全体の予算はこうだということで、その中で一番要求の強いもの、あるいは船をつくるとかあるいはどうとかいう大体のあれはございますけれども、どこの航路を先にするかというようなことについては、実施の段階にあたってそれぞれ現地の希望もございます、ですから、それを勘案していくというのは、実情に適した運営になるわけです。それでワクをよそに持っていっちゃうのでなくて、ワクを策定している。ですから、その意味では具体的になっていると思うのでございまして、全然架空の予算を取ったということには…。
  44. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それは架空というよりも、山村振興の法案を出して、それで今後この法案の目的に沿って順次事業を行なっていくということだから、初年度にはどれだけ予算が要る、こういうことなのです。そうすれば、初年度の予算の積算基礎というものがなければならぬ。その基礎は何をやられるのかという一つの質問をしたら、結局いまのところではわからない、こういうことだから、法案を出すのだから、まあまあ今年はこの程度というようなことで、どんぶり計算のようなかっこう予算要求するというようなことは、あってはならないと思うのです。やはり予算要求するのなら、おおよそどういう方面にどれだけ、どういう方面にどれだけというような一つの基礎があると思うのです。そういう積算基礎が全然明確にされぬ予算要求というものは、私はないと思うので、そういう点について非常にこれは問題があると思うのです。だから、いま御答弁はいただいたが、いまの答弁では不満ですから、同僚の議員からこの問題についてなお継続されると思いますので、またあとから帰ってきてやりますから……。
  45. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 いまお出かけの際に、あまり誤解があってはいけませんから……。そういう、つまり大きな意味での積算基礎は、建設省で当然持っておられると思います。それはひとつ誤解のないようにしておいて御退席を願いたいと思います。
  46. 伊藤直行

    ○伊藤説明員 ただいまの、私誤解いたしましてまことに申しわけございませんでした。大体積算の基礎といたしましては、もし改良といいますか、道路をつけるということにいたしますと、一地区約一キロというような程度を初年度でやるということで考えております。それが橋になりますと一キロできないということを申し上げたかったのでございますが、それをちょっと省略したために、誤解を招きまして申しわけございません。
  47. 山内広

    ○山内委員 ちょっと関連して。その点確認しておきたいと思います。  いまここで稻村先生から資料を借りてちょっと目を通しますと、やはり初年度ですから、いろいろ指定地区の問題もあって、確定した積算の基礎がないという、これは長官の御答弁、わかるのです。ところが、これの内容を見ますと、たとえば自治省の山村振興対策特別調査補助金、これはもう十分の十ですね。十割の補助になっている。それから同じように、山村振興都道府県調査費補助費、これは二分の一です。それからこれも同じ山村振興につながる予算ですけれども審議会費というものも若干ある。事務費も組まれておる。こういうことになりますと、よほど長官のところでしっかりいまの方針を確立しておきませんと、地方の陳情が行なわれ、お役人さん方とのひもつきになって、予算の獲得で都道府県を苦しめる材料になる、そういう点を私ども心配するわけです。問題の起こらぬように、特に、あなたのところは総合調整の役も果たすのですから、いま言ったように、もう十四億何ぼつかみ取りでいいんだ、これは建設省に流してやろう、自治省には何ぼ、また農林省には幾ら、これはみんな各省にまたがっている予算ですから、こういう予算の組み方というのは、特に片っ方では赤字公債まで出そうとして苦しんでおられるのでしょう、こういうことは、お役人の不正をつくったり、中央あるいは地方公共団体に無益な運動をさせて、陳情によって予算をとろう、こういう動きが必ず出てくるのです。そういう点を私ども気をつけなきゃいかぬ。なお、もう少し私も次の機会までに資料を集めて、もう少し深く研究してみたいと思います。
  48. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 自治省にしても、何カ所どういうあれをつくるというような積算の基礎はございます。ただそれをどこにつくるかというようなときに、いまお話しのような陳情とかなんとかでやらないで、山村振興の目的に合うようにできるだけやりますことは、これはもう企画庁の責務でございますから、御指摘のようなことについては十分注意をいたします。
  49. 稻村隆一

    稻村(隆)委員 私の質問しようとしたことは、山内議員がかわってやってくださったので、またあとの機会に譲ってこれで質問を終わりますけれども、ただ今年度の予算の決定額を見ますと、計算は全部してみませんでしたけれども、去年とほとんど同じ。ですから、せっかく山村振興が出たのに、これでは何にも仕事ができないと私は思うので、その点企画庁のほうで十分計画されて、来年度にはもっと徹底した予算を取るように、ひとつ御尽力願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  50. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御趣旨に沿いまして努力いたします。
  51. 木村武雄

    木村委員長 大出俊君。
  52. 大出俊

    ○大出委員 この山村振興課を置く件ですが、これは定員は三名、こういうことですか。
  53. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 定員三名を農林省に振りかえて私ども増員していただきたい、こういうことであります。
  54. 大出俊

    ○大出委員 ですから、山村振興課を新しく置く、そういうことになりますね。
  55. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 山村振興課はすでにできておりまして、課長一名が経済企画庁定員になっております。その他各省から応援態勢で派遣された形で課が構成されております。その中の三名だけを企画庁本来の定員にいたしたい、こういうことであります。
  56. 大出俊

    ○大出委員 合計何名になりますか。
  57. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 現在は、課長以下臨時職員まで入れまして十名でやっております。
  58. 大出俊

    ○大出委員 いまの企画庁内容を調べてみますと、申しわけ的にと言うとおかしいですけれども、あまりどうもちゃち過ぎるという感じがする。たとえば国民生活局ですか、これは四十四名ですね。これは各省を通じてそういう例が全然ない。消費者対策ということを含めての物価政策課がありますね。たしか十七名だったと思うのですが、間違いございませんか。
  59. 中西一郎

    ○中西政府委員 間違いございません。
  60. 大出俊

    ○大出委員 ところで、山村振興ということで山村振興課を置く、あるいは置いている、こういうわけですが、合計十名。私は、つまりいまの企画庁機構の中で根本的な問題がある気がするわけです。したがって、あまりあれこれで人をふやすというのでなしに、やはり重点的なものを一つ明らかにして、そこに全精力をつぎ込むというような形をとらないと、どれもこれも複合世帯で、経企庁の中自体がまとまっていないというような感じがする発言が見えるわけです。そういう点で私は一つ質問があるのです。というのは、山村振興課を置くことも必要なのでしょうけれども、いま冒頭に申し上げました経済企画庁自体を一体どう考えるのか、そのほうの人の充実ということをなぜ考えないのか。したがって、ろくな——と言うと藤山先生を前に恐縮なんですけれども、ろくな物価対策しか立たないのではないか、こういう気がするわけですが、そこらあたり少しばくとしておりますが、後ほど詳しく御質問いたしますので、長官のお考えを聞かしておいていただきたい、こう思うのであります。
  61. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 企画庁の組織については、あるいは機能からくる組織と申しても差しつかえないと思いますが、大出委員の御指摘のような点が私はあると思います。それは企画庁が総合調整をやる、これは当然企画庁としての任務だと思いますが、ただ各省にわたりますもので総合調整をやってまいりますのであれば非常にいいのですが、しかし、こういう新しい仕事をやります場合に、各省にわたっての仕事がありまして、率直に申しますと、官庁の所管争いみたいにどこへ持っていったたらいいか、建設省に持っていくべきか、農林省に持っていくべきか、いろいろな問題がございます。結局はっきりきまらないから企画庁に持っていくというようなことがありまして、企画庁の私など考えても、最近はだんだんいろいろなものをかかえ込むようなきらいがございます。しかし、これも現在の過渡期ですから、ある程度総合調整をするために企画庁としてそういうものを引き受けなければならないことがありますが、企画庁自身の本来の目的からいえば、そういう課を持ち込まないで、どこかではっきりしていただいて、そしてその間の調整をほんとうにやっていく、そしてそういうものに人も充実し、有能な人を集めて協力していくというのが、本来の姿だと思います。大出委員の御指摘のところもそこにあるのではないかと思うのでして、私もそういう点については同じような気持ちでおりますけれども、現在のような実情から申して、そういう点はややあれになっております。将来の問題としてわれわれも考えていかなければならぬ、こう思っております。
  62. 大出俊

    ○大出委員 これはことばじりではないのですが、ややというふうにおっしゃったのですが、ややというよりは、全く何もできないようになっているのではないか、こういう気が実はするわけです。  二、三例を冒頭にあげておきますが、長官が昨年の十一月の記者会見のときに、公共料金の集中引き上げという印象を国民に与えることは好ましくないということで、米価を一月から上げるならば国鉄の運賃は四月なんだ、郵便料金は十月なんだ、こういうふうに発言された記事が載っておりましたが、そのあくる日に長官をまじえた政府と、それから与党首脳部との会合で、国鉄運賃は二月十五日ときまって、これまた新聞に発表せられたわけでありますが、これは端的な一つの例なんですが、この一月の十五日から私鉄運賃を引き上げるという、このことについても、同様に企画庁長官のあずかり知らぬ形でいつの間にかきまっている。これまた新聞に明らかにされているところなんですね。ちょうど国鉄運賃の値上げがきまったこの時点は、この問題を一方では運輸審議会が公聴会を開いて、経済企画庁ではこれについてどうしたらいいかという内容を含めての相当突っ込んだ論議のまつ最中ですね。そういう時点ですぽっと片方できまってしまうという、こういう状態がなぜ出てくるか、どうしてこうなるかという点を、しにくい質問なんですけれども、本質問題ですから、お答えいただきたいと思うのです。
  63. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私ども企画庁をおあずかりしておる関係からして、主として物価問題の観点から公共料金の取り扱い等について意見を申し述べ、あるいはその意見に各省が順応していただくように考えてまいるわけです。しかし、それぞれ各省としては所掌行政の関係の立場からの主張もございます。そういうものも勘案してまいりますと同時に、やはりたとえば国鉄運賃のようなものは国会審議お願いしなければならぬというようなことで、党の国会運営の立場からも御意見が出るわけで、そこいらをわれわれも考えまして、国鉄の問題その他も考えていかなければならぬので、最大限に物価を扱っていく上において、譲歩と申してはおかしいのですけれども、話し合いのできる範囲内においてはわれわれもそれに応じていかなければならぬところがございます。したがって、たとえば国鉄を一月一日に上げるというようなことについては、私はどうしても承諾いたしかねるのでございますが、それじゃ四月一日を必ず固執する、物価の上からいえばわれわれ物価をおあずかりしている官庁ですから、そういう立場をはっきりとってまいりますけれども、その辺については、やはり話し合いの上で適当な時期をきめる、こういうことでございます。  それから、運輸審議会審議しているにかかわらず発表されたということでございますが、これは運輸当局が運輸審議会等に臨まれまして、政府の立場等についていろいろ質問も受けるでございましょうし、場合によれば説明もしなければならぬというような状況がございますから、関係者が集まりまして大体の方針等をきめていくということは、これは話し合いをいたしてまいらなければならぬところでございます。そういうものがたまたま外に漏れるというようなこともあるわけで、確定的にきめてそれを運輸審議会に押しつけるという立場と、われわれは考えておるわけではございません。
  64. 大出俊

    ○大出委員 私は長官と同一選挙区だから、どうもものが言いにくくて困りますが、いま長官そうおっしゃるけれども、これだけ識見力量のおありになる長官が、ずいぶん苦労をして国民消費者全体に対してものを言っておられる、政府の政策に大きな牽制球を投げておられるわけですが、それがどうも一つ一つ各省の考え方でどんどんきまっていく。だから、そのブレーキがきいていないというふうに見えるのですが、いまのお話の調整なんですが、本来調整できないように、機構そのものがっくり上げられたときからすでにでき上がってしまっているという感じがするわけです。というのは、各省と経企庁との間の覚え書きなどというものがたくさんあるわけですね。一例をあげますと、経済企画庁の当時の次官である松村さんと高田厚生次官との間の覚え書きがありますが、これは、国民生活局ができても経企庁と厚生省の権限に変わりがないんだということが一つ。それから国民生活局の仕事をやる上で、厚生省の関係事項については経企庁と厚生省は相互に連絡をする。国民生活審議会、これは例の国民生活局が事務局になっている諮問機関ですね、の運営にあたっては、厚生省の審議会運営と競合しないようにする。こうなってくると、これが単に厚生省と経企庁との間だけではなくて、通産、農林、運輸、郵政、労働、文部、これらの省とも全部覚え書きが交換をされているわけですね。そうなると、物価のお目付役という形で経企庁がせっかく国民生活局をつくって、ささやかながら四十四名という人をかかえて、物価政策課があって十七名の人をかかえてやっていくという、こういうわけなんですが、調整というよりも、調整らしくものはおっしゃってみても、機構上、結果的に各省の思惑なり、党の幹部の方の思惑どおりに進む。ただ国民一般に対しては、こういう消費者大衆、巨大な消費者を背景とする企画庁というものがあって、諸君の消費の面における行政の一つの中心としてやっているのですよと言っているにすぎないという感じが、どうしてもするわけです。このあたりのところを、いまの御答弁はそれなりにわかりますけれども、私はやれないようにできているという気がするわけです。ちょうど具体的な個々の物価の問題について触れたいと思っておりますけれども、その基本についてこういうがんじがらめに手も足も出ないように機構そのものをつくり上げられている中における経企庁という立場、このあたりをどういうふうにお考えになっておられるかを、これは経企庁を責めてもしかたがないのですが、他の場所で、分科会その他でものを言わなければならぬ面がございますので、聞かせていただきたい、こう思うのですが…。
  65. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 企画庁と各省との関係、これはたとえばいま御指摘のような国民生活局をつくった場合に、厚生省との関係を調整する松村次官の取りかわしたものについては、これは普通一般の程度のもので、特にそれが重要な役割りをするとは思っておりません。  ただ、私ども今回物価の問題を扱ってみまして、そうしてむろん企画庁が各省に対してそれぞれ強い進言をする、あるいは強い要望をするという形においてやってまいりますときに、各省もそれぞれそれは御意見がございます。したがって、われわれの立場に立って問題を考えるのと、各省それぞれの立場で問題をお考えになるのとの間に、若干の開きがある場合がございます。それがたとえば物価問題において理由のある問題であって、われわれもその点は若干考慮しなければならぬのじゃないか、そうして一〇〇%物価に寄与しないまでも、そういうあるべき理由についてはやはり消費者の方にもわかっていただいて、そうしてこういう点はわれわれも消費者の方にもわかっていただかなければならぬ。しかし、どうしてもわれわれにしても納得行かぬものについては、それは厚生省等に対して、こういう点は不合理だからどうしても改めてもらわなければならぬということで、話し合いの上で強く要求していくということになろうかと思うのであります。そういう意味おにいて、たとえば企画庁が何か各省を指示する一つの権限を持ったらどうかという御意見もないわけではございません。しかし、それはいまの内閣機構の中で企画庁だけが各省を指示するという権限を持つことは内閣政治の上で考えるわけにもまいりませんし、また考えることが適当であるかどうかということも、問題があると思います。したがって、そういうような大きな問題になれば、やはり総理の各省に対する権限の中で、私どもは自分たちの考えていることを遂行していただくということが、機構の上においては適当であろう、こう考えるわけであります。要は企画庁が十分な勉強をいたしまして、そうして正確な各省の施策を把握して、そうしてそれを正当な理由として打ち出し得るかどうかという、企画庁自身の努力と勉強の問題にかかってくると思います。それが国民が納得することであれば、国民の御支持を得て、各省もそれに従う。その努力をわれわれは大いにしていかなければならぬと思いますので、権限の問題はさることながら、われわれ自身が正しい問題の把握をいたしまして、それを勉強を通じ、努力を通じて実現に持っていく、国民の皆さま方にも理解していただく、こういう立場によって世論におのずから正しい考えを支持していただく、少し回りくどい状態ではございますけれども、民主主義社会においてはやむを得ないことかと思います。
  66. 大出俊

    ○大出委員 民主主義は時間がかかる、こうおっしゃるのですか、たとえば通産省が鉱工業製品を扱っている。農林省は農業あるいは食品業、チョコレートまで農林大臣ですからね。運輸省は運輸業一般、あるいは厚生省が医業、薬業、環境衛生などというようなことを扱っているわけですね。業種別に縦割りで各官庁が存在するわけです。その中で横の線をとらえて、経企庁というのは、物価を安定させる、あるいは下げるという、そういう仕事をしていかなければならぬ。いまの機構はそういう筋書きになっておりますね。そうしますと、この横の線での抵抗線を張って、縦割りからくる各業種別の、つまり各物価の値上がりを向こうに回してせめて経済企画庁はこれを押さえようとする、こういう抵抗線を張って一戦やろうという、そういう姿がほんとうはどんどん国民の前に出ていって、各省との間で相当な論戦が展開をされて、それが浮き彫りになっていく中で、さて総理はどうするのだろうかと国民がながめているところで、こうする、ああするときまっていくのなら、長官がいま言われたことはわかるのですよ。ところが、いまの機構はあるいは人の問題だとおっしゃるけれども、あるいはそれもあるかもしれませんけれども、今日見ていると、どこから見てもそういう状態ではないわけですね。ところで、その人の問題についても、複合世帯になっている経企庁内部からすると、記者の方々がいろいろ新聞等に書かれるところを見ていると、敵は政府与党ではなくて、経企庁内部にありという人がいる。つまりその内部に、ある人はどこどこの省から来た人であって、その省の政策については、企画庁の中にはいるのだけれども、その省についてはという考え方になる。したがって、敵は内部にありという、そういう結果になっている事実さえある。ということになると、これはやはり制度、機構の問題をはっきりしないと、中におられる方々が仕事ができぬ。したがって、国民一般、消費者大衆に対する防波堤的なものにしかなっていないのではないか。また、その限度の仕事しかできない今日の機構ではないかという気がするのです。そこのところを実は先ほど来くどいように申し上げているので、確かに長官の立場からは、どうも感心した機構ではないと言い得ないかもしれぬけれども、そこらあたりはやはり明らかにしていただかないと、将来の日本の物価政策についての、これは与野党云々の問題じゃありませんから、そういう意味で物価に対するほんとうの横の抵抗線を張って、政府各省と渡り合っても消費者の利益を守っていくという、そういう強い機構というものが、どこから考えても必要だという気がするわけですが、そこらについての御意見を伺いたいと思います。
  67. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 企画庁の現状を申し上げますれば、お話しのように各省から出向の人が多い。ある程度言えば、大部分を占めているとも言えます。これは大出さんの言われるように、それぞれ各省の意見を代表して、内部的には、その中に、たとえば何か扱う場合に、異質の者がいるのじゃないか、敵がいるのじゃないかということですが、私は企画庁長官をやっておりまして、むしろ各省から出向してきていただいている方々が、幹部会等においてそれぞれ過去の経歴からの立場でいろいろまず議論をされる。そうしてその公正な議論の上に立って、主張すべきものが出てくるということになりますと、それをもって各省に説明する、あるいは各省に要求するという場合に、必ずしも大出さんの言われるような悪い結果ではないわけでございます。それから同時に、各省から企画庁に出向してこられまして、企画庁という立場でものを判断されますと、各省にお帰りになった上で、従来の各省だけの形で育ったときよりも、企画庁というところでたとえば物価問題を扱ってみた、あるいは山村振興を扱ってみた、そういう立場に立って大蔵省に帰られたり、あるいは農林省に帰られたり、通産省に帰られたりということになりますと、非常に広範な知識を持って各省に帰られてやられるので、その意味においても、私は非常に悪いとは申しません。ですから、私は、むしろ各省が非常に優秀な人をどんどん出してくれて、そうして各省のそれぞれの出世街道と申してはおかしいかもしれませんが、その途中で一ぺん、二、三年企画庁の仕事をしてみるんだということも、実際問題としては必要じゃないかといえような気もいたします。そこで、いまの各省と渡り合うというようなことでございますが、各省とのいろいろな渡り合いは、必ずしも新聞紙上に出てくる——大きな政策問題は別といたしまして、たとえば運賃値上げについてわれわれがどういう態度をとっているか、そしてその査定等について相当きびしい態度をとって臨んでおるわけですが、そういうことについては、必ずしも新聞紙上にそう具体的にはあらわれてくるわけでないので、何か企画庁が各省の意向をのんでしまっているんじゃないかと言われるようなところもあるわけでございますけれども、必ずしも実際の運営はそうじゃございません。ただ、企画庁自身の人員なり活動なりを全体としてもっと強化していくということについては、やはりその必要があるので、従来企画庁は経済の統計の数字だけを集めていればいいんだというような一般的観念から離れて、将来、たとえば国民生活局というようなものも、これが実際に育て上がっていけば、実庭省になりあるいは国民生活省になるというようなところまで発達していってもらうのが、将来の日本の行政機構の中では必要だ。そのときには、初めてそういう意味において分野がある。しかし、これは行政機構の改革ですから、行政監理委員会等の権限もありまして、なかなかむずかい問題でありますから、一がいに私が申してもあれですけれども、率直に私が運営をやってみますると、そういう面がございます。
  68. 大出俊

    ○大出委員 これは藤山さんが、閣内あるいは各省も、あまり物価を押える、あるいは引き下げるということに協力してくれるように見えないということを記者の諸君に言ったり、あるいは生活局長の中西さんですか、だれもどうも自分のところの物価だけ上げたがって困る、そういう人ばかり集まってきてまことに迷惑だという話が出てきた。かと思うと、どうも経企庁では物価対策はできぬ、大蔵省にやらせたらどうかというような話が漏れてくるようになると、どうも理想を言われる長官の言うとおり動いていないという気がいたします。当面これだけ物価が上がって、世の中が大騒ぎになっているわけですから、私は、山村振興もけっこうなんだけれども、そういう意味経済企画庁の国民生活局なりあるいは物価政策課なんていうのは充実もせにゃいかぬし、制度も変えなければいかぬ。むしろそういうものこそこの国会に出されてしかるべきだという気がするので、そこのところを実は申し上げたいわけなんです。  ところで、長期計画については勧告ができる企画庁なんですが、個々の物価行政、物価についてこれを押えるという、そういう制度上の権限がない、こう考えなければならぬと思うのですが、その辺のところはどうお考えになりますか。
  69. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 個々の問題について権限がないことは、御指摘のとおりだと思います。しかし、現状におきましても、たとえは、これは私はいまの日本の行政の一つの欠点だと思いますが、法律をつくってしまえば目的を達したような感じになる。予算がとれれば、その執行にルーズになる。これと同じように、たとえば企画庁が物価問題について勧告をいたしてそういう処置をとっても、要するにあとの始末がほんとうにできてもらわなければならぬので、たとえば先般の製粉大手四社の問題にいたしましても、問題は、大手四社の問題もございますけれども、あとの三百に近い中小製粉業者をどうしていくかという問題が、この問題として大きな問題でございます。それが十分な解決をしない限りは、再び同じようなことが起こってくる。ですから、今回の場合に大手四社を押えると同時に、将来の問題については、農林省が中小の製粉会社をどう改善していくか。そこで企画庁としても、今度は押えたというだけでなしに、あれを押えたのはこういうところに欠点があるから押えざるを得なくなったのだ、したがって、その点について農林省が中小製粉業者の整理なり、合同なり、近代化なり、そういうものをやっていくということを、絶えず企画庁もやっぱりそれをやった立場に立ってトレースしていって、農林省にそういう勧告をしていって、それが行なわれていくようにやっていかなければならぬ。これは運営の上でわれわれがそれを絶えず考えていけば、さらに実効があがると思うので、もう一ぺん製粉の値段を大手は押えたから、あとはこの次何か値上げのときまでは知らぬ顔しているのだということであると、根本的対策にならぬと思います。ですから、そういう意味では、各省も企画庁が口を出し、あるいは勧告をすることは、御迷惑かもしれませんけれども、しかし、そういう公正の立場であれば、各省もそれを尊重して、ひとつそういう面についてあとあと再びそういうことが起こらぬように、行政上やっていただくということが大事だと思うのであります。そういう点について、われわれもこれからは常時そういう問題について各省にあと始末についての問題を十分勧告もし、注意もしていくという立場をとっていかなければならぬ、こう思っております。
  70. 大出俊

    ○大出委員 今日のこの制度上、物価問題についての目付役的な立場におられるのは、企画庁と公取だと思うのです、表面に出ておるのは。だから、そういうところが、相当各省の抵抗があっても——あるのはあたりまえなんです、なわ張り根性もあるわけですからあたりまえなんだけれども、物価を押えようというならば、あした何も今日の資本主義社会秩序が変わるわけじゃないのですから、やぼなことを考えているわけじゃございませんが、それだけに、今日のところこの時点でもなおかつ押えるべきものは押えなければならぬ、こういう結果になると思うのです。だから、そういう意味では、企画庁、公取がもっと前面に出て、大胆にそのことを世の中に明らかにしていく。なぜならば、企画庁なり公取の背景にあるのは、まさに巨大な消費者大衆なんです。行政機構じゃないのです。行政上の権限は、現実的にほとんどないと言っていいに近い。だとすれば、そういうところに視点を合わせたいい政策が、企画庁から出てこなければならぬという気がするのです。  そこで、前提として一つ承っておきたいのは、長官の本会議におけるお話なんか聞きましたが、あらためてひとつ、四十一年度どの程度の経済成長が見込まれて、物価というのは大体どうなっていくかという点について、もう一言ここで御見解を述べておいていただきたいと思います。
  71. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 一応経済がこれから正常な運営を続けていく。過去においてそれぞれ所得倍増計画その他効果はあったわけですが、そのゆがみ、ひずみが出てきて正常でなくなる。とすれば、私ども、ここ当分の間は七%から八%くらいな成長が望ましい、こういう見地に立っておるわけです。そういうことであれば、その過程においてゆがみ、ひずみは相当直していけるだろうし、その直すことによって物価問題に対しても好影響を与えてくるということを考えておるわけでございます。  そこで、たとえば四十一年度の問題につきましても、一応私ども七・五%ぐらいなめどを立てた。外国で言いますれば、たとえばアメリカなら三%とか四%の成長とか、五%以上は相当高いのですが、日本のいまの現状からいえば、やはり七・五%程度の成長率を予定しなければならぬと思います。そこで、これをやってまいりますためにどういうふうに問題を考えていくかといえば、いま非常に不景気でございますから、その景気を刺激しなければならぬということは当然です。ですから、大型予算が組まれることもやむを得ぬし、また当然だと思います、財政支出によって景気を刺激しなければならぬときでございますから。そこで、そういう大型予算が実行される場合に、やはりこれはゆがみひずみを直すようなところに使われていかなければならぬ。それで、ゆがみ、ひずみの大きなところは、物価問題から考えていきましても、道路の整備であるとか、鉄道の整備であるとか、あるいは港湾の整備であるとかいうようなことがゆがみ、ひずみの非常に大きな点でございますから、そういう面について、十分な公債発行等による財源を集中していく。そうすると、それは景気の対策にもなりますし、同時に、それが実行に移っていく数年後には、その面での物価に影響する問題は逐次解決の方途に向かっていく、こういうことになると考えられるのであります。そしていま申し上げたような七・五%という成長、これは四十一年度は、四十年度の実績が、民間設備投資というものが五兆円近かった予想が、四兆五千億に下がっております。そこで、民間設備投資を一応四兆五千五百億程度のものに見通したわけですが、あるいは景気が出てくると民間設備投資も若干もえるかもしれません。しかし、それは、私ども考え方からいえば、いま非常に稼働率の悪い状態にありますものは、過去において非常に設備投資をした大きな企業が、五〇%なり六〇%の稼働率しか持っておりません。ですから、大きな企業のほうは、景気回復と同時にすぐに設備投資の拡大をやっていただかないで、いまの稼働率を八〇%なり九〇%に上げていくことにまず主力を注いでいただく。そうして設備投資のふえていくものの多くの部分は、物価問題にも影響しております中小企業の合理化、構造改革、そういうものに金が流れていくように政府が指導していく。大企業だけの過剰設備を持っているところがさらにシェア競争で拡大するような方向に流れていくのを、なるべく中小企業の方向に流れていくように政府が指導していかなければならない。そうすれば、それだけの民間設備投資が、過去においては大企業偏重だったのが、中小企業の体質改善に回っていきますれば、十分に体質改善がその間にできる。しかもそれが景気回復にも影響してくる。こういうことで、大筋の考え方は、そういう考え方で今後二、三年の日本経済の運営をしていくべきだ、私はこう考えて、そうして予算の場合にも、あるいは今後予算運営していく場合におきましても、そういう立場に立って、大蔵省はじめそれぞれ中小企業の監督官庁なり農林省なりに話もしていくし、勧告もしていきたい、こう考えておるのでございます。
  72. 大出俊

    ○大出委員 いまの点、話が出ましたから一言だけ意見を申し上げておきますが、ちょうど各組合が春の賃金の引き上げをやり始めている段階ですから、論議はまた別な機会にやりたいと思っておりますけれども、いまおっしゃる経済の成長率と物価の関係なんですが、同盟会議の諸君なんかでも、ことしの賃金の引き上げの要求の中を読んでみますと、成長率を七%くらいに見込んで、物価が八%くらい上がる、こういうものの見方をまずするわけです。成長率が七%上昇するということは、きわめて単純な計算——全体ではもっとコンプリケートなところがありますが、単純な計算でいけば、労働生産性がそれだけ上がるのだというものの見方で、したがって七%の賃上げ要求は当然だ、あわせて物価が八%程度上がるとすれば、その分もまた見込まなければいかぬということで一五%、こういう要求になってくるわけですね。これが四千七、八百円の額になる、こういう出し方ですね。中小企業についてのものの言い方は、いまの固定資本形成と労働分配率との関係で、欧州の例を見て、西ドイツあるいはイタリアが多少低いですけれども、おおむね労働分配率は六〇%をこえている、こういうものの見方を立てて、日本の場合には五〇ないし五二くらいだけれども、しかし、大企業と中小企業を例にとると、大企業のほうは、電機産業なんか特に低くて——まあ年齢構成の低いせいもありますが、大体三九%とか、悪いところは三六%くらいしかない。ところが、中小企業のほうは、ほとんどもう六〇%をこえちゃっているわけですね。なぜかといえば、それだけ財政金融の面で優遇されていないからということに、一面からいえばなるのですね。だから、その点では中小企業の諸君の賃金の引き上げというのは政治問題だということ、そういう感覚が、同盟に限らず、電機労連傘下でも、あるいは総評系統でも、いま一般的な空気です。それらのことも前提にしてこれは考えておいていただかないと、五・五%以内に押えたいということを言われるけれども、相当なことにこれからなっていくという気がするのです。そこで、それ以上に問題は、個々の物価についてどう取り組むかということですね。そこのところを、たとえばフランスあたりがやっておりますジスカールデスタン——これはさっきちょっと触れましたが、大蔵省がやれという意見もあるのだけれども、ドゴールが文句を言って、ジスカールデスタン大蔵大臣が前面に出て、ちょうど三年前、前年度に比べて八十六品目生活必需物資をとって、その中でマージン規制という形で、三分の一以内に押えるということで、ずいぶん混乱をしましたね。去年の初めですか、ジスカールデスタン氏が日本に来たときに、エコノミストで座談会をやって取り上げておりますけれども、それなりに成功してきているわけです。これはまあ直接規制だから、ある意味ではむずかしい問題をいろいろ含みますけれども、そこまでやっている国もあるわけですね。だから、そういうことになると、日本の場合でも、直接的にどう押えるかという問題をやはり企画庁あたりが考えてみる必要が、私はあるのじゃないかと思う。ところが、各省間で何か言われているように受け取れる面もあるけれども、具体的にはこういうものはこうするのだという政策提起的なものが出てきていない、こう見なければならぬと思うのですよ。  そこで、公取の皆さん、そういう意味で実は公正取引委員会の皆さんの側も、前回私は何回か質問したこともありますけれども、組織、機構、制度、権限という意味でずいぶんどうも弱いという感じがする。同じことがいえるわけですね。だから、もの言わぬというか、組織できない消費者大衆の利益をという面にある企画庁なりあるいは公正取引委員会なりというところが弱過ぎるということは、一体これはどうしたことかという面で質問を申し上げておきたいわけなんです。たとえば再販価格の維持契約制度等をとらえましても、これは最近の例——昨年の七月ごろからですか、薬なんかの場合でも、目薬なんというのは、いまほとんどどこの薬屋へ行ったって二百五十円で、安売りしていない。ところが、この二百五十円の目薬の原価から、仕入れから、マージンから、それからリベートから、全部調べてみると、二百五十円の目薬一つについて百七十五円で仕入れています。そうすると、七十五円その間に薬屋さんは利益があるという勘定になります。ところが、それにリベートが十二円ばかり加わりますから、大体八十七円くらいになる。それから累進リベートが六円くっついていますから、九十三円になる。そうすると、利益率が五二、三%になるわけですね。半分以上もうかるわけですね。こういうことになってくると、これは消費者こそいいつらの皮で、百円割れても買えた薬か——内容か違うかどうかそれは知らぬけれども、原価を調べてみると、たいした変わりはないですよ。そういうところから、どうもメーカーというのはやたらもうかるわけですね。そういう維持契約を結んだのだから、違約金をとられるのはたいへんなことになる。しかも利幅が何とかかんとか高いから、まあ小売り屋さんもそれなりに売っていく。ひねくれた人は安売りしているところも一、二ありますが、いまそういう状態ですね。だから、そういうことは、ある意味ではせっかく下がる物価を押し上げているということになる。だからこそ上原正吉さんじゃないけれども、きょう科学技術庁もお見えになるところだったけれども、それこそ日本の最高利益を得ておるかっこうになってしまう、端的な例だけれども。そういう形にしておくということはよろしくないわけですよ。前回さんざんこの席で私はその点についてものを言ったことがあるのです。内閣委員会始まって以来あんなことを言ったやつはないと言われて困ったことがありますけれども……。ところがことしになって、九品目の中で何品目かはずすということが出てきていますね。ですから、私はこの際、なぜ再販価格維持契約制度なんというものはやめちまえないのかということを、まず公取の皆さん方に聞いておきたい。
  73. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 前段のお話の、経済成長率が七・五%、それに物価の騰貴が五・五%だから、一三%ですか、それは賃上げの基礎になるという議論には、ちょっと私どもどうしても納得いかないところがございます。ですから、その点は深く触れませんけれども、それぞれの労働団体の方々等と私ども意見が違うところではないかと思います。  それから再販価格の問題につきましては、これは私どももやはり検討しなければならぬ、こういうふうに思って、いま幸いに物価問題懇談会等におきましても、この問題をまつ先に取り上げて、いろいろ公取の御意見も伺っておるわけです。ただ問題は、再販価格のできた理由というのは、定価売りという——一般の定価は別として、再販としての定価ですね。定価売りというものが全然消費者にマイナスかというと、マイナスでない場合があるのじゃないか。たとえば甲の店で買ったら十円だった。方々さがし歩いて乙の店に行ったら八円だった。丙の店に行ったらそれが九円だったというようなことで、消費者があちこちさがし歩いて努力をされることは必ずしも消費者の利便かどうかということに、私は若干の疑問を持ちます。これは私個人の考えでございますが、まだ私ども検討中でございます。ですから、いまお話しのように、再販価格を全部やめちまうほうがいいかどうかという問題については、これは相当検討をすることが必要だと思いますが、ただ御指摘のように、再販価格によって相当に小売り店も利益がある。小売り店が利益があるということは、その商品を非常にたくさん売るということになりますから、メーカーの製造数量というものは非常にふえてくる。そうすると、たとえば一万個つくっていたのが三万個になるという場合には、われわれ経済の常識からいえば、当然コストが下がってきている。その場合にもなお百円という定価を維持していくのか。いくことが必ずしも適当だとは私は思わない。それはメーカーが定価を八十円に下げる努力をしなければならぬと思います。そうすれば、再販価格維持というものも合理的に運営されるのじゃないか。そういうことのためにはどうしたらいいかということになると、先般朝日新聞にも出ておりました伊東さんのように、再販価格を維持契約した人に対しては、あるいはコスト計算なり何かを提出させるというようなことも、これは一つの方法じゃないか。ところが、それについても、しかしメーカーにそういうものを出させたってほんとうのものは出さぬだろうということでございますが、やはりそれだけの義務を負わせれば、全然つくったものといってもそれを審査すればある程度わかるのですから、これは原料の値段が上がっているかどうか、また同じ値段であっても、品質が非常に向上しているということであれば——それでも値段は維持されているけれども、品質が非常によくなっているのだということであれば、これまた了解できるところもございます。ですから、再販価格の問題は全然やめちまえという問題ではなくて、何かそういうことで消費者に便利でもあり、自由競争の美点も包括できるような方法がないかということを、いま実は企画庁検討いたしておりまして、物価問題懇談会等の御意見も伺っているわけでございます。そういうようなことで一応結論が出れば、私どもも、どうしたらいいかというようなことについて考えていかなければならぬ、こう思っておるわけであります。
  74. 大出俊

    ○大出委員 公取のほう御意見ありますか。
  75. 竹中喜満太

    ○竹中(喜)政府委員 再販売価格維持制度は、御承知のように昭和二十八年ころにできたわけでありますが、この制度につきましては、欧米でもいろいろ問題になっております。私のほうといたしましても、最近物価問題が非常にやかましいおりからでございますので、この制度を再検討しようじゃないかということになっておりますが、とりあえずは、先ほどお話がありましたように、現在指定しておる商品で必要がないと思われるものを削ろうじゃないかということで、先般四品目を取り消したわけであります。それと同時に、指定する商品は自由な競争が行なわれなければならぬというたてまえになっておりますので、指定してから相当時日がたっているものもございますので、その後市場の状況がどうなっているかということを検討して、必要のないものはこれを取り消したい、こう思っております。  それから先ほどお話がありました目薬の例でございますが、こういうものがございますれば、二十四条の二の第一項に、消費者の利益を不当に害する場合この限りにあらずという規定がございますので、そういう実態でございますれば、指定商品でありましても、これを違反として処理することができると考えております。
  76. 大出俊

    ○大出委員 違反としてなかなか処理をしてくれないものですから、それで実はいままで苦労しているのです。私は、総評本部で副議長をした時代に、物価対策委員長を三年やっているのです。だから、あの時代もずいぶん方々でものを言ったのです。また社会党の方々を通じて問題にしてもらったこともあるんだけれども、たとえばキャラメルを一つ例にとっても、あれができる当時のいきさつは、議事録もあるんだが、質をよくする云々ということがくっついているけれども、質は悪くなって、粒が小さくなって、数が減るという、そういう形で維持契約制度が続けられてきたという現実もあるんです。だから、時もきたんだから、けっこうもうけたからということでやめてしまったのでは、消費者はたまったものではない。したがって私はさっきの例をあげたわけなんだが、いままでその事実がわかっておってほっぽっておく手はない。皆さんが、はたして目薬の原価は幾らか、わかっておいでになるか、承っておきたい。
  77. 竹中喜満太

    ○竹中(喜)政府委員 いままで私のほうは、再販売価格維持制度の運用につきまして、確かに初めのなにでありましたから、かような制度もとっておりました。この間あたりから、もう少し届け出書を詳細にとってこれを処理しなければいかぬじゃないか——それで先ほどお話がございましたけれども、維持契約制度で公正に競争が行なわれておれば、競争がありますもので、かってな価格はなかなかつけにくいと思われますが、維持契約が守られるような商品は、往々にして、競争といいましても、何といいますか、嗜好品と同じように、実際上は代替品が登場してくる。それで価格は自由につけられるということで、相当高い値段がつけやすいということもありますので、そういう点は十分検討したいと思います。  それと同時に、最近指定商品以外でこの制度を用いておるものが相当ございます。これは当然独禁法違反になりますので、先般育児用のミルクあるいは洗剤につきまして、これを違反として指定しております。
  78. 大出俊

    ○大出委員 一つだけつけ加えておきますが、だから、私は、そう単純なものでなくて、もっとコンプリケートなものだということを前置きしたのです。これは複雑なんですね。ただ、しかし、一般の皆さんは、経済学者がそろってその場に当たられておるわけではないと思う。きわめて単純化してものを言わなければわからぬ。それでそういう例をとったというわけなんです。この論争は、おっしゃられるとおり、また時期がまいりますから、どっかでまた取り上げたいと思っております。  ところで、いまのあとのほうでおっしゃった消費者が、あっちへ行ってもこっちへ行っても値段が違うから、安いところを何軒かかけずり回ってさがさなければならぬというお話なんですけれども、そのことをおっしゃるなら逆な例がある。たとえばチョコレートならチョコレートを例にとりますと、これは森永、明治、グリコ、不二家が大メーカーで、ナガサキヤが五番目で、全国で六十からチョコレートメーカーがあるが、あとは御承知のとおり中がなくて小ばかりなんです。ところで、四大メーカーの二十円のチョコレートを子供さんに買いにやれば、お菓子屋さんで二十円で買ってくるが、これの仕入れ原価は十六円五十銭ですよ。森永も明治もグリコも、建て値と称して一ボール二十円のが六十個入っている。これが九百九十円、何年たっても変わらないわけです。だから、建て値をくずさなければ小売り商店はたいへんなことになっているのです。というのは、どこでも十六円五十銭で仕入れて二十円で売るのですから、利益は三円五十銭、利益率は一割七分二厘ですよ。ところが、税務署のとらの巻があるのです。これは私も何回か手に入れましたが、これによると、二十円のチョコレート一個に対する税金は二割三分から五分かかることになっている。そうなると、一割七分二厘しかもうからぬ。この建て値は公取が認めているのです。そうなると、一割七分二厘しか利益がないということは、二割三分から五分かけるとすれば、売り上げをごまかさなければやっていけない。これではごまかせと言わんばかりだ。そういう状態に現実になっている。最近、新製品の例のココアパウダーが自由化されて、チョコレートは需要が戦前の二十倍をこえているから、どんどんつくっている。原料が半額以下なんだから……。おかげさんでココアパウダーをつくっている会社が、三田食品以下みなつぶれた。これは政策のミスですよ。これは外国あたりから七百円ばかりのココアパウダーが三百七十円くらいで入ってくるから、どんどん影響を受けた。最近つくったエリートとかハイクラウンは七十円で売る。それを東光ストアに行くと、五十五円で売っています。こういうばかなこともある。小売り店の仕入れるのは幾らか。五十六円五十銭で仕入れたままでいきなり売ったって、東光ストアのほうが安い。これは何が原因か。三分から一割のリベートがあるからです。一ボール買ったのではリベートがつかないけれども、五十ボール、百ボールと買えばリベートがつくから、リベートをふところに入れてぶん回せば、これが五十五円で売れる。自由競争だとおっしゃるなら、そこのところは一体どういうことになるか。一軒一軒回って安い店をさがすような再販売価格維持制度がいいということなら、いまの問題はどうするか。こういう矛盾が出てくるわけですね。じゃあ建て値九百九十円は何なんだ、協定価格ではないのかといったら、全部同じなんだけれども、協定価格ではないのだろうと言う。しかも公取の皆さんは、個人的に話をすると、相手が大き過ぎると言う。だから、的確な協定価格だという確証のあるものをお与えいただけば、直ちにそれをやめさせますと言う。だがしかし、専門にやっている公取のほうが詳しいはずなんですよ。われわれのほうにも、確証に近いものがあります。しかし、確かに相手が大きいのだから、確証だと言えないところに非常なむずかしさがあります。いまだに確証にうんと近いところに行っていませんが、私たちのほうもしかしやがて確証になるかもしれない。とすると、それまで公正取引委員会は何をしたのかということになる。このチョコレートは、申し上げておきますが、再販売価格維持制度に入っていない。先ほどの目薬等の問題と比べてみれば、これは一体どういうことになるか。どっちが問題なんだということになってくる。しかも税金を取るのは国なんですから、そういうばかげた税制、税金のとらの巻なんというものをこしらえて税務署が徴税する。それでは小売り商店はたまったものではないですよ。だから、ここらのところは、考えてみると、どうも前後撞着をする。筋の通らない公取のものの考え方、あるいは政府考え方ということになると思う。それらは一体どうお考えになるかという点を、私はただしておきたい。
  79. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私ども、再販売価格の問題については、いま申し上げたようないろいろな理由があるから、さらに消費者の立場に立ってどういうふうに扱ったらいいか、大出さんの言われるように廃止したほうがいいのか、あるいは廃止はしないけれども、その中で何らかのメーカーが自由な競争の利益をもって消費者に定価を下げていってサービスする、あるいはその維持された値段で品質が向上していくということにどうしたらできるかということを、いま検討しているわけであります。したがって、いずれがいいかということは、最終的結論は私はまだ申し上げているわけではないのですが、考え方としては、そういうことで検討しておるわけであります。  そこで、いまの小売り店の販売の問題、これはお話のように税金の問題も出てまいります。私は、今度この物価問題を取り扱っていまして、一番われわれが中心的に考えていかなければならぬことは、これは小売り商というような零細企業者いじめになってはならぬということだと思うのです。ですから、それについて、相当に消費者の立場を擁護しながら、しかも零細企業者いじめにならぬようにどう処置していくかということが、問題の焦点で、一つの大きな政策になってくる。そこでいまお話しのような税金の問題等につきましても、そういうような消費者のための行政をやっていって、そして小売り商にもやはりある程度の利益を見ていただかなければならぬが、いまの日本の零細小売り商その他については必ずしも十分な利益を——一つの商品については別ですけれども、総括的にいえば、十分な収入を得ているかどうかということについて疑問がございます。ですから、小売り商いじめにならぬようにするためには、これはやはり商法上の問題その取り扱い等についても並行して私は考えていかなければならぬ、こう思うのでございまして、その辺非常に複雑なむずかしい点がございますが、われわれ関心は、そこも含めていかなければならぬ、こう思っております。
  80. 大出俊

    ○大出委員 いまの点、公取のほうの皆さんどうですか。
  81. 竹中喜満太

    ○竹中(喜)政府委員 相手が大き過ぎるからというようなことをだれが申したかわかりませんけれども、(大出委員「後藤さんですよ」と呼ぶ)、大体そういうことを申したとすれば、はなはだ遺憾に存じます。御承知のように、私のほうもかつては三井、三菱その他の銀行を被審人としたこともございますし、最近もセメント会社を取り調べておりますが、事実上はそういうことはないと思います。
  82. 大出俊

    ○大出委員 いま私後藤さんのことを言ったのだけれども、これは非公式な話だからいろいろなことが出てくると思ったので、それで名前を言わなかったのだが、だれかとおっしゃるから、うそを言ったようになるからそれを言ったのだけれども、これは確かにおっしゃるとおり大きいですよ。それは竹中さんがお考えになっても大きいだろうと思うのですけれども、それはなかなか協定価格だとぴたっとつかめませんよ。妙なことを言っていけば、向こうは大きいからばさっとやられるということになるわけです。だから、私がさっきから言うように、公取の制度なりあるいはその機構なりというものをもう少し考えないと、とうもそういう点で消費者泣かせの面が——これは公取の皆さんが一生懸命努力しないわけではなくて、やっても結果的にそういうことになっているということでは困るというので前向きでものを言っているのですから、そこのところは誤解していただきたくない。だから、後藤さんが非公式にそういうことを言われても、私もわかるから、間違いだとは思っていない。私の言いたいのは、いま私が申し上げたのは事実なんで、小売り屋さんが、私は藤山先生とは一緒の横浜なんだけれども、横浜市内に七百軒あるわけです。七百軒の小売り屋さんが寄り集まって言うことには、実際にこの問題で苦労し抜いている。ですから、私はそのことで調べ尽くしている。それを申し上げているのです。そうすると、片やそういうようなものが置いてあって、片やいま言う目薬のようなものが置いてある。そうだとすると、一体これはどういうふうにするのだ。藤山先生おっしゃるように、片方のほうは一軒、一軒値段が違っている。たいへんなんだということになる。だから、再販価格維持契約制度というものが必要であるという理論的な一面が出てくる。ところが、いま東光ストアに行けば、エリートやハイクラウンを五十五円で売っている。小売り店は五十六円五十銭で仕入れているものだから、仕入れて一銭も利益を得ないでも東光ストアで売るよりは高くなって、売れないということになる。そうなってくると、一体、こういう点は、どっちにしたって安く買おうと思えばそこまで行かなければならぬ。そういうことになるので、そういうふうな点は筋の通らぬ話になりはしませんか。両方を対置してみた場合に、それをどうするのだという問題が出てくる。公取の皆さんの主張は、自由取引なんだから、いまの商取引は自由なんだから、こういう自由競争が必要なんだとおっしゃるのだけれども、再販価格の側からいえば、自由競争をあえて押えた形になる。しかも決してその価格は低くはつけない。そういうことになると、これは大きな矛盾ではないか、これは明らかな事実ですから。だから、そこのところを公取の皆さんの立場で御解明いただけぬかと私は申し上げておるわけであります。
  83. 竹中喜満太

    ○竹中(喜)政府委員 繰り返して申しますけれども、先ほどの大きいからという問題は、事実私は審査部長を六年間やっておりまして、そういうことを考えたことは全然ございません。ただ、私のほうで審決をいたしますと、それが最高裁判所まで上訴されますから、したがって、その証拠の点については的確な証拠をつかむのはむずかしい。また、相手方もこのような点は研究いたしまして、全然証拠を残さないようにということがございますので、むずかしいということはございますけれども、相手が大きいからどうこうということは、私は全然考えておりません。  それから裁判の問題は、先ほど申し上げましたように、とりあえず私どもで運用の面でいろいろ考えておりますけれども、やはりこの制度自体を根本的に究明しなければいかぬのではないか。これは昭和二十八年に制度を入れるときに相当議論がありまして、一応ああいうことになりましたけれども、今日になりましたら、やはりこれは根本的に検討する必要があると思います。
  84. 大出俊

    ○大出委員 まあ検討していただくということですから、それはわかりますからあれですけれども、先ほどの大きい小さいの争いは、まあ相手が大きいから相当慎重にやらなければならぬ、こういう意味だと私は理解をしますから、御本人に当たらぬでいただきたい。  それから次に、これは長官に承っておきたいのですが、昨年ビールが一本百十五円時代に、ビール戦争みたいなかっこうがあっちこっちにあって、私も調べてみたわけなんですが、長官御存じのように、横浜、鶴見のキリンビールから、天沼運送という運送会社がありまして、そのビールを直接トラックに何千本か積んで伊勢佐木町あたりのキャバレーに運んでおる。こういうキャバレーでは、一晩に三千本くらい使うのです。そうすると、帳簿価格はあくまでも百十五円です。再十五円ですけれども、ところが一本について八円六十四銭というリベートがそのキャバレーに返ってくる。そうすると、帳簿価格はあくまでも百十五円だが、一本で八円六十四銭という金が返ってくるわけです。百十五円マイナス八円六十四銭イコールということで答えを出せば、それで売ってもいいわけです。ところが、もう一つ問題は、百十五円の五二・三%が税金なんです。これは世界各国に比べて日本が一番高い。アメリカは一〇・一です。イギリスは三一・一、ドイツが八・七%、だから水みたいに安いわけです。フランスは無税です。イタリアが一九・五%、こういうことです。となると、これだけ高い五二・三%の税金を日本の政府が取っているから、百十五円に下がれば、掛ける五二・三だから、税収は大幅に減りますよ。そういう関連があります。ありますが、しかし、リベートが八円六十四銭も返ってくる。返るとすれば、それだけ高いものを飲まされている国民大衆は、たまったものじゃない。そういうことになるでしょう。この衆議院の地下食堂で売っているビールは百四十円ですよ。幾らで仕入れているのだと聞いたら、百二十八円ですと言う。これは値上げになりましたからね。ところで最近の新聞をちらっと見たら、百円で仕入れをやるというのです。つまりキャバレーに百円で売り込もうというので、何とかそのキャバレーをお得意にしたいというので、ビール会社の方々がそういう意味でたいへんなリベート合戦、割引合戦をやる。ということになると、この下で百二十八円で仕入れて百四十円で売っているのに、百円を切れるなんという騒ぎになる。そういうばかげたことになっているのです。しかもビールは、昨年からことしにかけて値上がりをしているわけです。そうなると、これは適当に飲んであわだけ残ったということになると、一つ間違うと税金だけ残したことになる。五二・三%が税金ですからね。だから、そういう税金との関係はあるけれども、しかし、やはり原価はわかっているのだし、しかもそういう取引は現に行なわれているのです。だから、それらのことをやはり放任しておくというのは——私は、やはり政治というのは、国民の皆さんがこれは困るということについて、そこに手を当ててそこのところを直してやるのが政治だと思う。そうすると、高いものを飲まされているということは百もわかっているのだ。それを飲まなければならぬということになっているわけでしまう。それを放任しておくという——これは答えは国の専売のものだから問題はありましょうけれども、そういうところは一体どういうふうにお考えになっておりますか。
  85. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 税金に関しては、蔵出しですから、直接小売りの問題には関係しないと思いますが、いまお話しのように、あるところで三千本まとめて使う。したがってリベートをする。それならば全体を下げてもいいじゃないかという御意見だと思うのです。それはいまのように販売競争が激しくなったという場合に、大口使用者に対して若干のリベートを出すようなことは、これはたとえば三千本が基準になるかどうか知りませんけれども、貨物自動車一台分を毎日使ってくれるようなところと、それから小口に配給するところと、これは費用が違うと思います。したがって、そういう経費の節約で大口に買ってくれるところに対してある程度のリベートをやる、あるいは値引きをすることは、これはやむを得ない。ただ、それが極端になってきますと、やはりそれは秩序を乱すといいますか、そうして大口の使用者がもうかる、小口の人はそれに対する恩恵に浴さない、こういうようなことになってきますから、それは影響するところが相当大きいと思います。ただ問題は、そういうことを規制するのが法律その他でできるかということです。これはなかなか私はむずかしいのじゃないかと思います。もしそういうものをあまり法律でやれば、やみ取引みたいなことになって、メーカーが隠し帳簿をつくるというようなことになってくると、かえって秩序を乱すと思うので、こういう点はやはり経営者自身の、ほんとうは良識にまってもらって、たとえばある程度大口でとってもらう人については、運送費その他も軽減になるからその面だけはあれするとか、あるいは運賃そのものを別な勘定でみるとか、そういうことによって実質的には値引きになる。たとえば小口で小さいオート三輪で運ぶよりも、大きいトラック一台で運ぶ、そうすれば、蔵出しのときのビール会社の価格は維持されても、運賃差が出てくる、その差くらいなことは、それは適当だと思います。ですから、販売競争があまりに過当になってはいけないので、それは結局日本の産業全体——輸出貿易の場でも、過当競争が非常に困る。大小にかかわらず過当競争をして、また新しく出てきたところはその過当競争のためにつぶれるとかいうことも起こっておるので、産業秩序そのものを永久に破壊してしまうことにもなるのですから、問題の扱い方は私は非常にむずかしいと思いますが、御指摘のようなことは、確かにあると思います。また売り込んでいって、あとで非常にあれするならだんだんリベートを少なくしていく、売り込んで、これは確実だと思えば少し上げていくということもあるし、リベートの率は下げましても全体の数量が少しふえてくれば、また同じようなことになりますから、それはいろいろな方法が業者で行なわれていると思います。そういう事実があることは私も認めますけれども、さてそれを法的にどう規制するかという問題になりますと、非常にむずかしい問題になるのじゃないかと思います。その辺のことについては、なおわれわれも今後の問題として十分検討はしてみるつもりでございますけれども、なかなか困難な問題がそこにいろいろあるのじゃないか。したがって、やはり業者間の過当競争というものを制限していく、できるだけ自制してもらう、あるいは企業の新設その他についてもやはり考えていくことが必要で——そうかといってあまりに新設を押えることは独占的になるきらいもございますから、その辺は行政の運営の面における私は非常にむずかしい点だと思います。
  86. 大出俊

    ○大出委員 私が質問している趣旨は、長官の言う観点と多少違うのですが、たとえばこれは酒屋さんの取り扱い数量に基づくリベート、それからいま申し上げたキャバレー、バー等の百本しか売らないところ、あるいは二百本売っているところ、あるいは千本売っているところ、たくさんあります。全部調べまして、みんなわかっています。しかし、至るところそういう隠しリベートを取ったりしておる。にもかかわらず、そのビールの値段は上げたわけですね。これは明らかに矛盾なんです。ですから、私の言っているのは、そういうきめこまかなところを押えないと、これは物価体系というのは複雑だから、端からくずれてくる。根っこを論議をすることは百も承知なんですが、それは見解の相違だ云々だというやりとりにしかならぬから、一番末端の具体的なことを話をしたほうが、端的にわかりやすいから申し上げておるのです。たとえば酒の例だって、二級一本は五百円ですよ。ところが、菊の春、正宗、加茂鶴、白鹿だとかいって、全国に三千三百銘柄がある。三千三百もありますと、酒のメーカーは、いま盛んにあわ切り歌なんか歌ってあわを切って酒をつくっているところがあるかと思えば、大工場でつくっているところもあるのです。千差万別です。にもかかわらず、法律的に幾らで売らなければならぬという法律はない。ところが、大蔵省が基準価格というものを出しておる。それは四百四十円、酒販組合が四十五円の価格協定的なものをくつけて、それで四百八十五円、地方加算金を十五円くつけて五百円で売っておるのです。これは去年の例です。片や税金を取っておるし、専売なんですから、そうなると、もう少し政府が手を入れて、これこれはこういう構造であり、こういう物価体系であり、こういう原価であり、こういうマージンで、こういう手数料なんだから、したがってこういうふうに押える。だから、これこれ下げられるというふうにやる。こういう席だから、ほんとうに立ち会ってこうだということを申し上げられないからしかたがないけれども、それをやってみたら明確なんです。行って調べてみればすぐわかる。いやでもおうでも下げざるを得ない。それをおやりになろうとしないところに、私は何としても納得しかねる点があるのです。ですから、四十四名の国民生活局、物価政策課が十七名という人たちで、とう飛び歩いても——私は築地の市場にも、神田の青果市場にも行った。あそこには五千人からの人が動いております。横浜の中央市場にも、何べんも行っております。幾ら行ってもなかなかわからぬ。だとすれば、物価政策課だとか国民生活局だとか名前はいいが、四十四人で、うち十七名が担当の課だということでは、どんなに努力されたって、間違いなくこうなんだという形のものが出てくるはずがないと思う。だから、その意味では、経済企画庁の中にこの種の局や課を置くのじゃなしに、ほんとうを言うならば、物価省をつくるなり物価庁をつくるなり、やはりそれは明らかにそういう制度的なものにつながっていくということです。だから私は、わずか三人の人の問題しか議題に上っておりませんが、事経済企画庁の人をふやす云々だということだとすれば、やはり企画庁全体を考えなければならぬ。そういう時期なんだということを実は申し上げたいわけです。いま長官の言われるのは常識ですよ。よけい買うところは下げていい、こういうことになるのは常識ですよ。常識の範囲で判断したんでは、まさに複雑ですから、割り切れるものじゃない。公取の皆さんにも来ていただいておる理由は、もうちょっとずばりものを言うべきところは、皆さんの側からも、私も具体的に言っておるのだから、言っていただかなければ、物事が前進しない、消費大衆一般の利益という面で間違いが起こる、こう思っておるので、いまの例をあげたわけです。そこらあたりは、公取の皆さんのほうからもお答えいただきたいと思うのです。
  87. 竹中喜満太

    ○竹中(喜)政府委員 いまビールのリベートの問題がございましたけれども、これは独占禁止法の問題ではございませんが、末端の小売りに行きましてわれわれがビールを買う場合は、どこの小売りに行っても同じ値段で売られておる。ところが、中間には非常に多くのリベートが出ておる。これは不都合ではないかとわれわれは考えております。衆議院の大蔵委員会でこれが常に問題になりまして、国税庁も値上げを期に非常に強力に指導しておるようです。リベート整理は、私ども直接の問題ではございませんが、常識的に考えまして、中間業者がリベートを取る、末端はどこへ行っても同じ値段で買わされる、これはおかしいじゃないか。むしろそういうことならば値段を下げられるじゃないか、われわれはこう考えております。
  88. 大出俊

    ○大出委員 たいへん時間をうっかりしておりまして、話半分になってしまったのですが、あと砂糖のカルテル延期の問題とか、独占価格、管理価格等の問題、公共料金の問題、私鉄の問題等々、どうしても明らかにしておいていただきたい問題があるのですけれども、いずれもいまの機構等とからんで、最後にせっかく公取の方がお見えになっておりますから、一つだけ承って、後の論議に残したいと思うのですが、例のリベートそのものなんですが、私的独占禁止法のたてまえからいってどうお考えになるかという点を承りたい。  つけ加えて、あとでまたもう一ぺん言わなければならぬようになるから、先に申し上げておきますが、かつて、昨年の二月十日に、三十七年にできた法律で不当景品類及び不当表示防止法という法律がありますが、例のコルゲート歯みがきのサンプルが問題になった時代にできた法律で、これの適用をして、チョコレート、そういうふうなものについて不当景品類を押えよう、そのときにリベート規制というのが原案に出て来ました。私はそれをもらったことがありますけれども、成案を得たときには消えておりました。つまり三%程度に押えるという原案だったわけです。そのときの公取の皆さんの——いろんな分担がございますから、一がいに言えないと思うのですけれども、ある担当の方々は、やはりリベートというものは規制すべきである、こういう見解に立っておられたのです。今日、いまもお認めになったようなリベートというものをどういうふうにお考えになっているかという点が一つ。  それから長官に、これが最後ですから承っておきたいのは、通産省の側でボランタリーチェーン、つまり自由連鎖店システムを欧州やアメリカ等でやっておりますが、今回一億二千二百万円の予算がついて出てきておりますが、全国二十五カ所つくるというわけですね。これが、たとえばいま例にあげましたから、ほかのことを言わずにチョコレートのことを言いますと、あの自由連鎖店方式でいきますと、一カ所につき国は五百万円、中小企業の高度化資金から出すというわけですね。そうすると、実際の県なら県が五百万円出して一千万円。そこに業者から一千万円出さして、合計二千万円でボランタリーチェーンの本部をつくる。事務所、会館、倉庫、配送の小型トラックなんというものをつくって、そしてあと金融機関、つまり政府の商工中金等から運転資金あるいは店舗改造資金等を出す。その高度化資金の面からいえば、一年据え置き、六年償還、無利子です。こういうことでやろうというわけで、予算がついていますね。ところが、このチョコレートの例でいけば、個々の小売り店が一ボールなら一ボール仕入れていたものを、今度は二百店が集まって三百ボール、四百ボール仕入れる。その場合に、何が一体ボランタリーチェーンの運転資金になるかというと、リベートです。これはつまり一軒なら一箱しか買えないけれども、二百店が集まれば二百箱買えるわけです。それなりのリベートが入って、それが運転資金のコストの中へ繰り入れられていくわけですね。そうなると、今度は逆の面からいくと、リベートの規制のしかたからいえば、ボランタリーチェーンというものを小売り店につくらしても、リベートを徹底的に押えると、運転資金に非常に困難を生じてくる。こういう逆な現象が出てくる。そうなると、物価政策というものを一貫して立てていただかないと、片方じゃボランタリーチェーンをつくるといってしきりに宣伝して、商業課長さんあたりが一生懸命やっているのでありますが、いまリベートというものは不当にやり過ぎるから、押えなければならぬ、こういう問題が出てきておるが、こういう複雑な事情にあるわけですから、そうなると、これは一本調子にものをおっしゃるのではなしに、全体としてどういうふうに物価体系というものをとらえて、押えていくかということを明らかにしていただかぬと、せっかく経企庁あり、あるいは経企庁の中の国民生活局があり、物価政策課があり、公正取引委員会があるということになっているのに、国民一般がながめてなるほどというものが何ら出てきてない。これではどうにもならぬと思うのですよ。だから、中期経済計画をこわして練り直す、それもいいけれども、物価政策ということをおっしゃるならば、そういうところまで掘り下げて、どういうふうにすれば消費者の利益であり、末端小売り商店の利益であり、メーカーと中間卸売り業者という存在はどうなるのだという、そこまでいっていただかないと、再販売価格維持契約をこしらえても片づかないことになる。これはもっと例を三、四点あげて最後に申し上げようと思ったけれども、中途はんぱになりましたが、できればお答えいただきたいと思います。
  89. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は物価問題を扱っておりまして、これは実際量と質の上で非常に広範ないろいろな問題を含んだものであって、これをほんとうに掘り下げていきますと、いまいろいろと御指摘のあったような問題が出てきて、それをどう解決していくかという問題に突き当たってくると思います。したがって、われわれも何か新しくそういうものを検討してみるという場合に、軽々にどういう改正がいいのかということを非常に言いにくいという面が、多分にございます。いまの再販売価格の問題についても、そういう感じがしますから、したがって、これはよほど慎重にやっていかなければならぬ。ただ問題は、いままでの政府の施政において、物価行政というものが、そういう意味からいえば十分に検討されてもいないし、あるいは行政の機構の上に、国民生活の立場に立って行政機能として動いてもいなかったということでございますから、これからは新しく出発した——全然新しくとも言えないかもしれませんけれども、全然新しく出発して、そうして考え直し、施策を練り、そうして進めていかなければならぬ問題でありまして、それらの問題の扱い方いかんによっては、先ほども申したように、無理に小売り業者の立場を苦しめてみるということになってもいけないところもございます。したがって、そういうことについてわれわれも慎重に検討しながら、また物価問題懇談会等の御意見も広く伺いながら、また国会等の御論議を通じて、きょうの大出さんの議論もわれわれ十分拝聴して参考になるわけでして、それらも取り入れながら物価行政全般に対して正しい行政を確立するように努力してまいりたい。それには、御指摘のように人も足りないじゃないか、何も足りないじゃないか、そのとおりだと思いますが、しかし出発点でございますから、いますぐに拡大するというわけにもまいりませんけれども、しかし、行政機構の中で人員をふやさないという形をとりながらも、少なくとも将来この問題と真剣に取り組む以上は、やはりこの問題についての機構等についても十分拡大してやっていくように、政府としても考えなければならぬ、こう思っております。
  90. 竹中喜満太

    ○竹中(喜)政府委員 従来、独占禁止法上リベートは値引きと考えておりました。それで不当景品類及び不当表示防止法制定の際にいろいろこれは議論されましたが、結局値引きであるということで結論が出ておりますが、最近になりますと、再販売価格維持制度にからみまして、小売り商のマージンを非常にしぼって、再販売価格を維持するためにあとで大きいリベートを出すという問題が出てきておりますので、そうなってまいりますと、単に値引きと考えていいかどうか、非常に問題があると思います。その点は私ども認識しておりますので、これからもそういう点の検討をしなければならぬと考えております。
  91. 大出俊

    ○大出委員 制度的に、人的に、三人という目的はわかるのですが、どうも企画庁なるものが軽視され過ぎて、かすみの中にますますかすむのではないかという心配がありますので、藤山さんあたりがおやりになっている時期に、それらの点について、もうちょっと思い切って拡大案をお考えになって、こういうことをやるのだから、これだけの人をふやして、これだけの機構にするのだ、これだけの権限を与えろ、こういう形にしていただきたいという気がするわけです。公取の皆さんにも、その人を責めるのではなくて、今日残念ながら、御縁があってだいぶ連絡がとれておりますけれども、あまりといえばさびし過ぎる公取ですから、そういう意味でひとつその方面にももう少し職責を果たせるような機構と人員、こういうふうにしていただきたい、こういうことを申し上げて終わりたいと思います。
  92. 木村武雄

  93. 受田新吉

    ○受田委員 あまり時間をかけないようにしなければならぬ点もあるわけですが、ポイントを押えて、二、三点お尋ねします。  今度の改正案は、定員を農林省から三人ほど山村振興のために経済企画庁へ回すという、きわめて単調な法案であることは、よく理解できます。この機会に、この法案に直結する問題を一つお尋ねして、残余の一、二点をただしたいと思うのです。  山村振興法が去年国会を通りまして、いま実施されておるのですけれども、これは少なくともすでに一年に近い実施期間があるわけで、山村総合開発計画というものは、一応立案ができておるのではないかと思うのです。三人の定員を今度農林省から持ってくるという法案でございますから、三人の方々にさっそく具体的に仕事をしていただく準備ができておると思うのですが、一応山村基本計画の骨子だけ、ちょっと進行しておる経過報告をしていただきたいのです。
  94. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 先ほどの委員の御質問の中でもお答えいたしましたけれども、端的に言いまして、まだ振興計画はできておりません。ただいまは振興山村指定するということで、七十二の山村について申請が出ておりますので、それの審査指定をしたあとで振興計画を都道府県知事がつくって、企画庁のほうへ提出し、内閣総理大臣の承認を求める、そういう段取りになります。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 この山村振興法の中にも、国土総合開発法の地方開発計画などと調和をとりながらやるということが書いてあるのですが、国土総合開発計画の中に、地域開発について特に総理大臣が勧告権を持っておるわけですね。その勧告の中で、山村振興に関する勧告が出たことがあるかないか。昭和二十五年以来十六年、この国土総合開発法が実施されておるのでございますが……。
  96. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 特に山村に限っての勧告が出たというふうには覚えておりません。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 国土調査法というのがもう一つあります。これは国土総合開発計画を裏づける大事な法律でございますが、これは御担当ですか。
  98. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 担当でございます。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 これにもやはり地籍調査等の勧告権を総理が持っている。これについて山村に関するものは勧告をされてない、やはり同様にそういう了解でよろしゅうございますか。
  100. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 国土調査法についての勧告がどの程度地域別に出ているかということについて、現在正確に把握いたしておりませんので、十分お答えできないかと思います。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 この国土総合開発の中に占める山村とか離島とか、これは後進地域と称する地域で、非常に不幸な運命を背負うた地域でありますが、そこへ今度力点を置こうというので、離島に相次いでこの山村振興法ができた。これは私は大いに祝福していいことだと思っておるのです。ただ形だけできて中身を伴わないようなことではしょうがないのでございますが、離島振興についてはもう相当進歩した施策がとられておる。今度も学校施設等に対する国庫補助率をきわめて高率に引き上げようという動きもあるわけでございますが、山村は、この離島振興法と大体相調和できるような形に計画を進めて、国の施策をとろうという目標でございますか、一方はやはりおくれざるを得ないという形になりますか、基本的なお考えを伺います。
  102. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 地域的に見まして、山村と離島を比べますと、全般的には離島のほうが本土と隔絶しているという条件がございまして、ある意味ではおくれてもおり、また不利な立場にあろうかと思います。ただ、山村の中にも部分的には離島と比較してさらにむしろお気の毒のような状態のところもあろうかと思いますが、全般的に見た場合は、山村地域につきましては、今度の開発地域、整備地域との連絡というものもとられますし、そういう点からいいますと、山村地域のほうが条件的には有利かと思います。ただ、離島のほうが昭和二十八年の法律以来、長きにわたって振興計画を立て、またその振興を進めてきておりますので、かなり離島のほうにはいろんな意味での施策が行き届いておりますが、山村については、どちらかというと長い間置き去りになっている点がございまして、その点について、これから大いに山村振興計画を立てながら、山村地域の充実をはかっていきたい、振興をはかっていきたいというふうに考えております。ある意味では若干離島から時間的にもおくれておりまして、部分的には離島に対する対策ほどは行き届かない面もあろうかと思いますが、できるだけ離島対策に近づけるような形で進めていきたいと考えております。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 山村にも一応政令基準がありますから、その基準にかなった分だけが今度振興法の対象になるわけでございますが、縦貫道路、高速自道路などができる場合は、山村に非常につながりのあるところは利用されるようになってくると思うのです。山村振興法の対象になるところがかかってくる。そういう際に、国土調査法などの調査にあたって、その調査の成果を非常に不利にさせるとか、あるいは秘密を暴露するとかいうような形で国土調査に悪影響を与えるようなものに対しては、懲役あるいは罰金刑を科して処分するような形のものができております。これは法律の中にうたってあるわけですが、現実の問題として、そういう罰則を受けてきたような事例があるかないか。これはやはり国民、協力する側のほうから見て、国土総合開発、国土調査に対する協力ぶりというものを見る一つのバロメータになると思いますが、この調査法の罰則を適用されたような事例が各所に起こっておるか、あるいはそういうものはいままでなかったという形のものか。資料がなければけっこうでございます。
  104. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 少なくとも私が担当しておる間には、そういうことは起こりませんでしたし、その前についても、罰則を適用したということはほとんど聞いておりません。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 今度三人の方が農林省からおいでになる。これは農林行政に非常に洗練された方であろうと思います。特に山村というものを熱心に考えておる人だと思うのですが、この山村振興に当たられる職員の方が農林省だけからおいでになるという筋合いは、どこにあるのでございますか。少なくとも総合計画を立てる上においては、経済企画庁そのもののお仕事でありますので、大体経済企画庁で間に合う、あるいは建設関係などで山村に非常に理解のある役人をよこすとかいう、少し広範な人材を吸収するという立場をおとりになっていくべきではなかったかと思うのですが、農林省だけからお採りになることになった理由を示していただきたいのです。
  106. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 先ほども申し上げましたように、山村振興法を現在、課長以下兼務者とか臨時職員を入れまして十名ほどでやっております。そのうち大部分は、農林省の出身の方が山村振興の任事に携わっておられる。山村振興の仕事の内容そのものが、非常に農林省に密接な関係のあるお仕事が多うございます。一つの中心をなす山村地域の特別開発事業も、農林省の予算でおやりになります。林野系統の予算も、ほとんど農林省のほうで実行されることになっている。また、道路のほうにつきましても、建設省の道路もございますが、林道あり農道ありということで、山村振興の具体的な仕事の大半は、農林省のほうのお仕事に関係のあるお仕事であると思います。そういう意味で、農林省の方々がかなり多く山村振興課に手伝うといいますか、協力ということで来ていただいているわけですが、農林省のほうでも、定員企画庁のほうに移してでも本腰を入れてやったほうがいいだろうというお考えにも御同意していただきましたものですから、農林省のほうからとりあえず三名を移して、経済企画庁の職員にしていただくということでございます。建設省のほうからも現在一人、特に道路関係の経験者が課に来て協力していただいておりますが、それらはまだ建設省のほうの定員になっておる次第でございます。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 特に山村の生活環境などをよくするという意味から言うならば、やはり厚生省の職員なども一人くらいは来て、総合的に山村開発考えていくという必要があると思います。建設省はまだ定員が移っておらぬということでございますが、事実手伝いをしていただいておる。厚生省の関係からも、そういう僻地の厚生施設その他を専門的に研究する人が協力するというような形で、総合的な山村振興をはかれるように御留意を願いたいと思います。  機構上の問題として、経済企画庁の付属機関についてちょっとお尋ねしてみたいのですが、長官の付属機関に経済審議会というのがある。また地盤沈下対策審議会もあれば、国民生活審議会というものもある。総理府の付属機関で、ちょうど経済企画庁のやっておられるお仕事に直結する特殊土じょう地帯対策審議会とか、離島、山村の振興対策審議会とかがある。これは経済企画庁の付属機関と総理府の付属機関と性格的に見てももう全く同じであると私は言っていいくらいだと思うのです。これをなぜ経済企画庁と総理府とに、こういう経済企画関係に属する付属機関が分離されて設置されておるかということでございますが、ひとつ伺いたいのです。
  108. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまの御質問は、総理府の関係に総理大臣のほうに設置されている審議会と、それから経済企画庁の付属機関としての審議会と、どういう違いか、こういう御質問であると思いますが、現在企画庁は総理府の付属機関、こういう地位も持っておりまして、総理府の付属機関として企画庁がその庶務を取り扱う。そうしてその審議会に関する事項は、各省にもまたがることでありますし、内閣総理大臣がその審議会に諮問をする、またその審議会答申を受ける、あるいは建議を受ける、こういうような形になっておりますものは、これは総理府の付属機関、こういう形になって行なわれております。企画庁長官が諮問をする、こういうような形のものは企画庁の付属機関、こういう形になっております。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 原則はそれでわかるのですけれども、現実の問題としてここにあげてある特殊土じょう地帯対策とか地盤沈下対策とか、これは別に性格的に一方を総理府に属せしめ、一方を経済企画庁に属せしめるような筋合いではないと私は思うのです。
  110. 橋本徳男

    ○橋本説明員 法律的に申しますと、企画庁長官の権限というものは、形としましては二種類ございます。一つは企画庁長官固有の権限というもので、それからもう一つは総理大臣を補佐する権限と、二つに分かれておるのでございます。それでいろいろな、特殊土じょうとかあるいはその他の総理府に置かれておりまする審議機関、これは各省にまたがる広範な問題でございますので、総理大臣が諮問をするというふうなことになっております。それでそれを補佐するという意味におきまして、経済企画庁長官がその庶務をやっておる。したがって、それは総理府に置かれておる。ところが、経済審議会のようなものは、これは企画庁長官固有の権限の職務でもございますので、企画庁に置かれておる、こういうふうな形になっております。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 大体筋合いはそういう筋合いということはわかる。ところが、現実に地盤沈下対策にしても、ただ単に経済企画庁だけが考慮すべきではないし、特殊土じょうにしても同じことです。これは各省にまたがるという解釈にいくならば、みなまたがらせなければならない。特に特殊土じょう地帯なども総理府に、残しておくというのは、これは特殊土じょうですから、地盤沈下と全く性格は同じだ。各省にまたがるといえばまたがるし、経済企画庁の単独の業務といえばそういうふうに言えないこともないわけなんですがね。
  112. 鹿野義夫

    鹿野政府委員 特殊土じょう地帯の法律は、特殊土じょう地帯の法律として議員立法提案去れ、でき上がった法律ですが、その場合に、おっしゃるように総合的な問題があるというので総理府の付属機関にされたわけですが、地盤沈下の関係につきましては、たまさか地盤沈下の問題が起こりまして、各省どこでも扱うところがございませんので、特に地盤沈下の関係について法律提案されたわけではなく、企画庁でこれを扱うというふうなことで、企画庁の付属機関に設置されたような形になっております。多分に経過的な問題があろうかと思います。
  113. 受田新吉

    ○受田委員 これは、付属機関の設置のしかたは、議員提案で出された法律であれば総理府に持っていく、そうでない場合は各省に持っていくとかいう筋合いのものでは私はないと思う。設置の機関をどこへ置くかということについては、各省のなわ張りということではなく、もっと高度の整理統合をして、まぎらわしいような形のものは一本にしておけばいいし、それから総理府へ置くべきものであるならば、総理府でできるだけこれを引き受けてもらって、経済企画庁あるいは各省別に付属機関というようなものを置かないという形にするか、何かちょっと納得できないような印象を与えておるわけですから、これは、国務大臣としても藤山さん、やはり付属機関の置き方ですね、ちょっと思いつきで置かれておる危険が多分にあると思うのです。ひとつ今後十分検討していただいて、適正妥当な措置をしていただきたい。
  114. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 いま受田委員の御指摘もございましたので、十分検討した上で今後考えてまいります。
  115. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまちょっと説明がやや不徹底でございましたので、もう一度いまの点の基本的な考え方を補足説明をさしていただきます。  いまの企画庁の設置法によりますと、企画庁の権限は、分けますと大きく二つに分かれております。一つは企画庁長官が直接その権限を行使する。この中は、基本的な経済計画とか経済政策とか、こういったようなものに関する事項が多いわけであります。そのあとにいろいろ法律を列挙いたしまして、その法律に基づく内閣総理大臣の権限について企画庁長官がこれを補佐する、こういうことがございます。この場合は内閣総理大臣の権限になっておりまして、企画庁長官はその補佐をする、こういうことになっております。そこに国土総合開発法から始まりまして、電源開発法とか離島振興法とか各地方の開発法、あるいはいまの山村振興法等も列挙されております。この列挙されている事項について置かれております審議会は、これは本来総理大臣の権限でございまして、企画庁長官はこれを補佐するという形でございますので、その分界の間においては、先ほど御例示の地盤沈下等、どちらにも考えられるじゃないかというものもございますが、一応内閣総理大臣の権限に属する法律関連して置かれております審議会等は、これは総理府に置かれる、こういう形になっております。一応の現在の分界はそういう形になっております。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 私は、むしろ国民生活審議会のごときは、これを総理府に置くべきだ。これは国民全体の生活に関する問題であります。特に消費生活を向上する意味においても、経済企画庁だけがやるべき問題じゃないわけです。こういう国民を基盤にした生活問題を審議する、こういう審議会こそ総理府に置き、あるいはむしろ内閣に置くくらいの幅の広い強度のものにしていいと思うのです。どういうお考えでしょうか。
  117. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 運営面から見たのといまの法制上の問題から来た面とが食い違っているところが、御指摘のところだと思います。今後、そういう問題について政治的な配慮の上に立って、非常に国民総体に重要な問題であるという場合には、それらの内容等考えて、今後十分考えてまいります。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 審議会には、郵便料金の値上げをする郵政審議会等があるし、運輸審議会は国鉄運賃を値上げする審議会になっている。ところが、運輸審議会などを見ても、国鉄並びに私鉄運賃の値上げなどは、公聴会で公述された人々の声のほとんど大半が値上げ反対ですわね。にもかかわらず、諮問をしたけれども、結果的には値上げをしている。これは審議会委員に選ばれた人の顔ぶれというものが、やはり政府の息のかかったようなかっこうで、ほんのちょっぴりほど大衆代表のような者が入って、あとは学識経験者と称して政府の意図を尊重するような形の人々を選んでおるから、公述人の声は圧倒的に値上げ反対が多くても、結果的にはこれを値上げしてくるということになっておるのですね。こういう国民の実態とかけ離れた、政府の意図のかっこうのままで結末がつくような形であっては、審議会としては意味をなさないと思うのです。これは非常に大事なことであって、現に国民生活審議会というものが、私、委員の顔ぶれを調べてみますと、これは相当大衆の中から人を出しているという意味で、総評の事務局あるいは自動車産業労働組合の代表者というようなものがぽつりぽつり出ておるだけで、あとを見ると、大体これは政府の意図を尊重しそうなお方々のように見えてしょうがないのですね。現実に、私お尋ねしますが、国民生活審議会が三十六年六月以来設置されておるが、どういう答申を出し、またその答申に基づいてどういうふうに政府は施策をおとりになったのか、どなたからでもけっこうです。
  119. 中西一郎

    ○中西政府委員 国民生活審議会は、国民生活局が設置されました以降、開催を何回となく続けております。国民生活審議会審議会総会といいますか、全体会議でお取り扱いになった件を申し上げますと、一番初めは、川崎市で住宅災害がございました。あれに関連して、ああいう災害防止について警察、消防あるいは建設省、地方公共団体等についてそれぞれとるべき措置を強く建議するということで、建議をなさっております。その後、それについての報告を関係各省庁から受けておりますが、この建議の大きな柱は、災害が起こりましてから事後措置をするという姿勢でなしに、先手でそういう災害が起こらないように対処すべきであるというような考えでのものでございます。それぞれ関係各省庁で最近における対策を報告しまして、それの御批判をさらに受けるというようなことを続けてきております。  それから昨年の暮れになりまして、物価に対する、物価対策についての建議をいたしておられます。これにつきましては新聞等でも出たのでございますけれども、三十六年以降のいろいろな物価対策についての反省をすべきであるという点と、新しい姿勢で政府は物価対策と取り組むべきである。特に生産性のおくれた分野の問題、あるいは競争条件の問題、あるいは具体的には公正取引委員会の定員機構を充実しろというようなお話もございました。それを受けまして、昭和四十一年度の予算の編成に際しまして、従来それぞれの各省庁と大蔵省で予算が編成されておりましたが、十幾つかの項目にわたりまして経済企画庁としても考え方をもちまして、主計局にいろいろ要望をいたしたというような経緯がございます。  それから、これは建議ではございませんが、猟期の解禁時期にあたりまして、猟区の中あるいは猟区の外で銃砲によります災害が起こった事件がございます。それについては建議まではいっておりませんが、実情調査するということで関係省庁の報告を聞きまして、今後そういうことのないように対処するよう総会として要望をされたことがございます。  それから国民生活全般にわたりまして——物価と限りませんですが、全般にわたっての予算編出上留意すべき事項ということで審議会が建議されたのは、これもやはり年末でございます。  そのほか、消費者保護部会、これは消費者保護あるいは消費者教育ということを柱にした部会でございますが、大体東京で月二回ほど行なっておりますが、一回は大阪に出向きまして、現地の実情等の聴取あるいは調査をされております。そのほかに政策部会あるいは計量部会がございます。いずれも月二回ほど開いておられます。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 そのくらいでおいてけっこうです。いま幾つかの挙例をされたわけですが、実質的に効果のあるような答申のされていることも承っておるわけです。ただ、ここで国民生活全体に関する基本問題を審議する審議会というのが一つある。これは国民生活局が、経済企画庁が十分取っ組んで実践をはかっていくという過程の中で、先ほどから議論になっておる物価問題、それかいま一つ物価政策を国民生活審議会が出しておる。けれども、もう一つ物価問題懇談会というのがある。これは全く経済企画庁の思いつきの私的諮問機関のようなものであると聞いています。会合もあまりやっておらぬ、まだ政府を動かすような意見も述べておらぬようだ。これは長官、この思いつき懇談会というようなものは、これはひとつおやめになられて、ちゃんと国民生活審議会があって、そこで物価政策をぴしっと打ち出しておる。その上にさらにこういう屋上屋を重ねて、あまり用をなさぬような懇談会がある。去年の十月からでき上がったばかりですから、たいした期間もたっていませんけれども、ひとつもし物価問題と真剣に取っ組むなら、さっき大出君もちょっと触れておったが、私自身も、この機構改革について、国民の消費生活という経済目標としては、健康で文化的な生活を営ませるのがわれわれの経済の最終目標だと思うのですが、その目標にタッチする大事な問題と取っ組む機関に、懇談会のようなもので茶を濁すようなことをしないで、ひとつりっぱな、もっとより強度な、より高度な機関をつくられて、そして民間の意見が十分反映されるような形にしていただきたい。地方公営企業制度調査会ですか、これらが公共料金の地方の関係を扱っておるし、郵政審議会とか運輸審議会の顔ぶれを見てください、もうこれは官製人選ですよ。ほかのところへ行き場がなくなった方に、政界をおやめになった、代議士もおやめになられた、しかし、行き場がないからここへ置いておくか、こういうような軽い気持ちで人選がされておる。こういう意味でなくて、もっと熱心に取っ組む。官製人選でなくして、消費生活に直結するような形の——公共料金の場合の審議会の例をあげたのですが、もっと大衆の中から真剣に取っ組む代表者を選び出して、そこで総合的な検討をしてもらうようなかっこうにしていただきたい。私この点を非常に危惧しておるものですから……。
  121. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 物価問題懇談会につきましては、いま受田委員のおっしゃるような誤解が非常に強いかと思います。昨日も参議院の質問で、物価問題懇談会は物価値上げの懇談会ではないかという御質問がありましたが、これは全く違うのでございまして、ただいま申し上げました国民生活審議会答申を受けまして、そうして企画庁の中に懇談会をつくったわけなんです。これを法制上の懇談会にするかしないかという問題は、そのとき私ども検討しました。従来、国会等におきまして、組織法の中における委員会、懇談会が多過ぎる、こういうものは整理しろという非常な御意見もございました。したがって、われわれはこの物価問題懇談会を企画庁の私的機関と申しますか、私の諮問機関としてつくりまして、その実績があがってさましたら、それを組織法上の懇談会にひとつしていただきたい。実績がまだあがらないうちにただ法律だけをつくるよりも、そういう実績をあげてつくっていただくほうが御理解をいただける、こう思ったわけでございます。  そこで、物価問題懇談会は、昨年の暮れにそういう国民生活審議会答申をもととしてつくったものでございまして、今年の一月十日から発足をいたしておりまして、一回も開かぬということではございません。今日まですでに四回、そして定期的に月二回開くことにいたしております。そして、委員の人選等につきましては、こういう物価問題を扱いますことですから、私ども非常に注意をして人選をいたしたつもりでございまして、各界の代表者を網羅いたしております。たとえば学識経験者として、中山伊知郎先生ですとか、有沢先生ですとか、大来さん、馬場さん、大木さんというような大学の先生あるいは言論界の代表者の方々にそれぞれ御就任を願いまして、それから、経済界から植村さん、岩佐さん、阿部さん等銀行、産業の方。それから農業のほうからお二人お願いをいたしたのであります。一人は農業でも理論的な方、一人は実際東京の効外で自分で耕してそうした体験を持っていらっしゃる方ということを農林省に選定していただきまして、実際に畑を毎日いじっていらっしゃる方を入れたわけであります。それから、労働関係では全労の滝田さんに御参加をいただいております。それから総評の方につきましては、太田さんと岩井さんに御相談をいたしました。太田さんと岩井さんは、この趣旨は理解していただきましたけれども、ただいま春闘を前にして参加するのは困るから、春闘が済んだ後には、その趣旨は了としたから参加をするつもりであって、そのときに相談をしようということで、労働方面の組合の代表者二人を予定しておりますが、いま滝田さんだけ御就任して御出席をいただいております。それから消費者の代表としては、奥さんと関西の比嘉さん、それから田中さん、こういう方々に御就任をいただいておるのでございまして、私も毎回、四回とも出ておりますけれども、非常に活発な御意見がございますし、野菜問題については、消費者の立場からいろいろ御意見が強く出る。それに対して、実際に畑を耕していらっしゃる方からも農業実情等を説明されて、そしてそれに対して反論ではございませんけれども実情から出た御意見が出て、そうしてお互いにその理解をし合いながら話を進めておるわけでございます。そうして問題は、当面の物価の問題をいかにするかということと同時に、長期にわたってこれらの物価問題を解決していこうという立場に立って審議を進められておるのでございまして、カルテル問題等に第二回から取り組んで、そうして今度は、一応ヒアリングを終わりましたから、四つの部会に分かれて、それぞれ基本的な問題を調査するということで、これは相当実効をあげておる。私は、時間の経過につれて御了承をいただけるものと思います。したがって、そういう御了承が将来得られれば、組織法上の審議会として運営してまいるということも望み得るのではないか、こういうふうに考えておるのでございまして、ただ単に法律だけをつくって、そうしてそれから発足をするというのでは、時間的にもおそくなりますし、また実績をあげて皆さん方の御了承を得ることが国会審議等に都合がいいということを考えて発足をしたわけであります。どうぞ御了解をいただきたいと思います。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 時間が来ていますから私これでやめますが、物価問題懇談会のメンバーだけいま指摘されたのですが、しかし、私このメンバーについて反駁する資料をひとつ持っているのですけれども、いまの労働界とか農業界、あるいは消費者の中からそれを代表する人が少数入っておるからこれはだいじょうぶという御認識が誤りであって、少なくともそういうところで一部声が出ても、大勢を制することにならないわけですね、やはり多数決でいきますので。その意味で、特に私がいま指摘した運輸審議会のごときもの、これは大事な国鉄運賃の値上げを審議する、こういうところで、あのメンバーをごらんくださいませ。これは全く官製です。それから郵政審議会ですね。これでは、公聴会の公述人があれだけ反対意見が圧倒的に多い中で、最終的には審議会がこれを認めている。米価審議会でもそうですね。こういうことを考えてみますと、経済企画庁長官として、いま申し上げたような公共性を有する料金を担当する審議会等に、大衆の声が十分反映されるような委員人選を進んで長官から御提案になっていただきたい。特に公共性を有する料金の場合は他に波及する影響が非常に大きゅうございますから、国民の声を反映したような形で——官製的な審議会になる危険が多分にある。国民生活局は、私も去年ずいぶん賛意を表して設置に御協力を申し上げた一人ですが、そこでせっかく国民生活に真剣な取っ組み方をされようとするときに、一方的に他の分野でかってな料金値上げをきめていただいたのでは、国民生活全般に波及する問題にすぐひっかかってくる。こういうことを十分大所高所から御検討願って、官製的な委員会の人選にならぬように、各審議会に国務大臣として御発言を願いたい。  おしまいに、昨年も私御提案をしたのですが、消費者の側から見た物価安定、特に商品の品質とか量とかいうものが十分表示された、あるいは国民普及型の商品を十分浸透させて、それはできるだけ管理的な価格で国民に安心して購買できるようにするとかいう、そういう全般の問題を含めて安心して国民が物価と取り組めるようにするための消費者基本法というものを私の党もすでに用意しているわけですが、ひとつこういう基本的な法律を消費者のために与えてあげる。生産、販売、特に消費生活、国民は消費生活に重点があるわけですから、それを守るための基本法というものをお考えになるべきではないかと思うのでございますが、すなおにこれをお受け取りいただけるものかどうか。
  123. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 物価問題を扱ってみまして私の感じますことは、一方では生産者あり、あるいは流通事業者、そういうものに対していろいろな規制もするし、あるいはそれらに対する先ほどのお話のように、価格の値上げあるいは料金の値上げ等に対して監督をしていくということが必要であるのでございますが、同時に国民生活局でやっておりますものは、一つは消費者の教育ということでございます。物価問題は、消費者の協力なしにはなかなか十分できない。そこで消費者の判断というものが、私は非常に大事なことじゃないかと思う。たとえば、同一化粧品等につきましても、内容のいかんにかかわらず、包装がいい、あるいは高ければいい品物だというような判断でなしに、安くとも品質のいいものがあるのだ、これは外国品と日本品にもいえますし、日本品の中でもいえることで、こういうものに対する消費者の十分な話——いまお話しのような計量の問題等につきましても、同じことが消費者の立場から選択が十分にされる。そうしてその声が出てくるということが大切なことだと思う。したがって、国民生活局としても、消費者の教育という問題あるいは消費者団体との連係という問題、これは非常に大事なことだと思います。やはり消費者の声が大きく政治の上に、各方面に反映することが——たとえばよく圧力団体ということが各種のものにいわれておりますが、従来行なわれているような圧力団体というものがどうであるかということは別としまして、国民大衆全体の意向がこういうふうにあるべきだというような正しい判断、それはたとえば運賃の値上げその他についても、国鉄の事情からいって、あるいは持ち場からいって、どうあるべきかというようなことについて、理解がなければいかぬ。ただ運賃値上げ反対だというだけでなしに、運賃をこの程度上げるのはある場合にはやむを得ぬ、しかしこれ以上はこの際上げてもらいたくないとか、いろいろそういう実質的な問題について、消費者が正しい判断の上に政治に発言もされ、協力もされることが、私は非常に大事だと思います。そういう意味において、御指摘もございますように、われわれも消費大衆の意向をつかんでまいらなければなりませんが、同時に消費大衆の意向というものが正しい形において行なわれなければならぬと思いますので、その意味において消費者を教育していくということも非常に大事であって、それが欠けますと、片寄った消費者の意見ということになりますものですから、そういう意味においては、消費者の協力を得ながらやってまいるつもりでございまして、国民生活局としても、消費者の婦人団体等については十分な連係をとって理解も得たいし、あるいは助成金を出して進めていくというふうな方法もとっておるのでございます。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 これで終わりですけれども、私希望を申し上げておくのですが、いまのマスコミを通じて商品の宣伝ですね。一般消費者は、薬品にしても、栄養剤と称してくだらぬものを使用して消費生活を苦しめておる。宣伝に対する統制ということは問題でございますけれども、こういうことは——消費者の教育といま仰せられました。これは非常に大事なことですが、こういう宣伝費にばかに金をかけて商品の値段が上がっておる。こういう現実などについて——日本ほど街頭で広告宣伝がされている国はない。町がきたなくてしょうがない。汽車の窓から見ても、きたない広告が出ている。諸外国をたびたび旅行された長官としても、あの車窓から清純な緑の風景など見たときに、日本の実に目ざわりになる驚くべき街頭宣伝、また特にテレビなどにおける不要なばかりの宣伝、こういうものにばかに金をかけて商品価格を上げておるというような実態を十分把握されて、不当な宣伝、過当競争を避け、カルテル価格構成というような問題にひっくるめて、こういう方面に十分の規制を加える。これは経済企画庁として思い切った手を打っていただいて、町をきれいに、生活を豊かに、こういうところにひとつ国民にアッピールするようなりっぱな施策をとっていただく。これには経済企画庁の存在が、非常に重大だと思う。国民生活局ができて以来、経済企画庁は国民に非常に親しまれてきておるわけなんですから、この点を含めて、消費生活を擁護するための基本的な施策を、法律をつくらなければ政策要綱でも発表していただいて、そのつど施策を国会に報告する、われわれに知らしていただく、国民にも知らしていただく、こういうふうな御努力を願いたいと思います。
  125. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話のように誇大広告等の問題については、やはり消費者の方々の良識によってそれに惑わされないようにしなければなりませんけれども、しかし、誇大広告というものを一方では取り締まらなければならぬことはもちろんでございます。  それからいま御指摘のように、方々にあまり美観を呈しないような広告が乱立するというようなことについては、国民生活局としても、国民生活環境の改善という問題を取り上げて、国民生活局の仕事の一つの部類でございますから、そういう問題については今後とも国民生活局として努力してまいるつもりでございます。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 終わります。
  127. 木村武雄

    木村委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七分散会