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村山(喜)
委員 好むと好まざるとにかかわらず、今日
大学教育の中で行なわれているマスプロ
教育というものの
内容をどういうふうにして高めていくかという問題は、
教育内容の問題として、当然
教授方法なり、いま話がありましたようにいろいろな施設設備を用いてこれを補強するというような方法がとられなければ、
大学教育の
内容の充実ができないわけです。ところが、ようやく国立にして初めて四校にモデル的にそういうようなのがつくられ始めている。ましてや財政的に不如意な私立関係におきましては、そういうようなものが行なわれていない。そこに一つの早稲田問題の盲点が、私はあるのではないかと思うのです。そういう点から、この問題については、そういうようなのを国立学校が
中心になってやるのも適当でありますけれ
ども、もう少しやはり私立学校あたりにそういうようなのをひとつモデル的にやらしてみるというような
方向も
検討を加えて、
内容の充実の
方向がはかられるように
措置を願っておきたいと思うのであります。
そこで、私はこの際、いわゆる早稲田の問題について
大臣に見解を
お尋ねをいたしておきたいのでございます。後ほど同僚議員のほうからも関連
質問があるようでございますが、われわれが新聞なりを見ておりまして、早稲田の
大学当局、学生、それぞれの立場があろうと思うのでありますが、どうも
教育という姿、学問の尊重という姿が欠けているところに問題があるのではないかと、新聞報道等から私たちは受け取るわけでありますが、国会の稲門会の先輩の諸君が調停に乗り出した。初めは、早稲田当局のほうがこの調停に乗ろうとはしなかった。白紙委任をしようとはしなかった。ところが、そちらのほうが今度は白紙委任をしようという形になった。学生のほうは、これに対して白紙委任は絶対にだめだという態度をとるに至った。その時間的な動きをずっと見てまいりますと、
大学の大浜総長がそういうような決定をして、そして十八、十九ですか、この両日にわたって、自分のほうでもう一回学生の諸君に話をしてみるから、そのあとにしてくれということで、十九日の夜おそくなってから、十二時過ぎですか、もう二十日になろうとする
段階の中で稲門会のほうに白紙委任ということになった。ところが二十日の日は、これは考えてみれば日曜日である。学生の諸君は、大多数はいないわけです。したがって、学生の中で収拾をはかろうとしても、二十日の朝の午前八時までですか、その時間を切っての間における調停の工作というものをやってみても、それを学生全体の大衆討議の中で処置して、そして全員投票に求めるというようなやり方の
方向をとろうとしても、それが現実的にできない。したがって、あそこの実行
委員会といいますか、闘争本部に集まっている連中にはかる。ところが、そこに集まっている連中は、いわゆる先鋭な分子が
中心になってリードしている。こういう形になってまいりますと、せっかくそういうような調停案を出しても、それが守られないような形の中に追い込まれていったんじゃないかというのが、われわれが新聞を見ての印象であります。とするならば、そういうような時間を切って、あなた方にそれを委任をしましょうという形で持ってこられても、現実に学生という対象物がおる、そういうような人たちがこれをどういうふうに受け取るかという大衆討議の場所が与えられない形の中で、結局退去しないということをきめたということで、警官が実力行使をする。それが排除されて、やれやれと今度は
大学当局が思っておったら、また再度これを占領する。そして警察がこれに介入をしていくという形の中で、どろ沼におちいってきている。しかも基本的には、これは授業料の値上げという問題から端を発した問題、施設の整備費の充実という問題、それの寄付金の
増額ということから端を発した問題です。とするならば、一体この私立
大学なり私立学校というものの経営の
内容について、
大学の
理事会あたりとしては、それについてこういう状態になっているから授業料なり施設負担金というものを上げなければならないのだという、学生に対する納得工作というものを十分にやっておったかというと、いや経営権は自分たちにあるのだから、そういうことを学生の諸君に明らかにする必要はないと言って、それを身をもって説得しようというかまえがない。
教授会においてもそのとおりだと書いてある。とするならば、これはいわゆる
教育の姿ではない。経営体とそこに学んでいる学生との間には、労使関係のような姿が
存在をしている。そこに私は、
大学の危機があり、今日の私学の問題があろうかと思うのであります。
こういうような時点から問題をとらえていった場合に、せっかく
文部省のほうとしては大蔵省とかけ合いをして、三十億円という、いわゆるうし
ろ向き融資といいますか、高利の借りかえ債というような
方向でこれをカバーをしようということが決定はした。しかし、これは三年間で百億円、いえばまさに十分の一程度の、私学の負債の額からいうならばきわめて僅少なものにすぎない。これでは基本的な問題の解決はできない。文部
大臣のほうからは、いや、それは私学問題の
審議会のほうに諮問をしてあるから、その
答申を受けてこの問題については対処するのだとおっしゃるかもしれないけれ
ども、もう今日、そういうような民主的なルールを経る
方向も必要でありますが、ここらあたりで
大臣が
教育行政の責任者として天下にその決意とそして解決の
方向を表示される
段階に、時期的に来ているのではないか、こういうふうに私は考えるので、この点について
大臣の見解を
お尋ねいたしますと同時に、今後の私学対策についての
方向を示してもらいたいと思います。