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瀧本政府委員 御
質問のございました中で四点ばかり、事務的な問題につきまして申し上げます。
まず、六千三百
程度の事業所の
調査をして、
調査から除外した事業所が五百
程度ある、多過ぎはしないか。もしそれができなかったならば、代替としてそれにかわるものをもう一ぺん標本
調査をやり直していくべきではないかという御指摘であります。これは非常に御専門的なお
考えでございまして、本式にやればそうやるのが当然だというふうに思います。ただわれわれは、限られた時間の中で、また限られた経費でやりますので、そういう
事情もあります。やはりその場合に、いろいろな事由がございましょうけれ
ども、
調査ができなかったもの、それが一定の範囲内のことであるならば、そこは除外して
考えても許される、標本誤差の範囲にあるものである、かような
考え方に立ちまして、現在は先生のおっしゃるようなことをいたしておりません。五百四十四が実際は
調査から漏れたわけでありますが、それではこの内訳を見てみますと、これは昨年の十月現在におきまして、事業所規模あるいは企業規模で押えております。実際に
調査をやりますのは四月でございますから、半年の経過がございます。その間に変化がある。これはやむを得ないのであります。申し上げるまでもございませんが、いかなる
調査といえ
ども、母集団を押えましてすぐやるというわけにはまいりませんから、どうしても経過がある。その間にズレがある。たとえば、実際はわれわれは常用の従業員が五十人以上であるというて押えたのでありますけれ
ども、四月の
時点においてはもう五十人未満になっておったのが百八十三、それから企業規模で百人未満にそのときにはなっておったのが二百十一、合わせて三百九十四、五百四十四の中で約四百というものがそういうものでございます。
そこで、こういう事業所の
給与水準は一体どの
程度のものであろうかと思うのでありますが、これはやはり
一つの事業所の規模が小さくなる、あるいは二つも事業所があって、企業規模別に見た場合に百人未満になるというものは、やはり調子の悪い事業所で、そういうところにおいては十分な賃金でないかもしれない、その公算のほうがむしろ大きいというようなものがございます。したがいまして、こういうものを除いていきますと、あとに残ったものの
給与水準が高くなるおそれがあるのじゃなかろうかという
一つの技術的な心配がございます。しかしながら、これはもう数から見ましてごくわずかでありますし、われわれはいまかりに事業所を
一つの媒体として押えておりますけれ
ども、実際はその事業所におきまして公務と同等同種の仕事をしておるものを押えるということが主でありまして、この
程度のところが漏れておっても、そのためにわれわれの
調査の
給与水準がぐんと高くなるというようなことはないという
考えでございます。
それからそのほかに事業所がもう解散しておったものが四十二、天災を受けて、その状態において
調査に応じられないというものが二つ、それからまた、実際には事業所が移転しておったというものが七つ、それから争議中であってとても
調査に応じていただけないというものが七つ、それから
調査を拒否する
——これはいろいろな事業所の方がおられまして、こういうことはわれわれとすればあまりうれしくないのでありますけれ
ども、実際には
調査を拒否されたというのが五十八、その他がございまして、いま申し上げましたような内訳でございます。したがいまして、非常に精密にやれば先生のおっしゃるようにやるべきでありますけれ
ども、限られた
予算と限られた期間内にやる場合には、この
程度のことは許される、このような
考えでございます。
その次に、標本の
対象でありますが、公務は公務行政を執行するという立場であって、これは民間における仕事とは本質的に違うではないか、これは御指摘のとおりであります。その典型的なものは、警察官であるとか、あるいは徴税事務に従事しております税務官、こういうものは比較のしようがございませんから、これは調べておりません。一般行政職の中におきまして、たとえば会計の
職員であるとか、人事の
職員であるとか、総務
関係の仕事でありますとか、こういうものは、その仕事を民間と比較し得ますから、そういう公務と大体同種同等のような仕事をやっておるものをとってくる。まあ現在は、わが国の実情におきましては、職階制が完全に公務においても民間においても行なわれておる
現状ではございませんから、厳密な話をしますればこれはむずかしいことになります。しかし、いま大体において同種同等と認められるようなものは、これはとり得る、その限界でとっておるということでございます。
それから従来五十人規模以上で押えておったということはどういう
趣旨であるかと申しますと、これは公務と同種同等のものが、規模のいかんにかかわらずおるかもしれない。たとえば金融機関等におきましては、比較的規模は小さくてもわりあい仕事が高度化しておるというような
関係で、これはあるわけでありますし、それから事業場の規模は大きくてもなかなか整備されていないという場合には、規模だけでものを判断することは必ずしも適当でないというようなわけで、場合によりましては、産業の種類によって規模を分けましてとるというようなことも
考えられます。しかし、これはきめ手のある問題でございません。したがいまして、現在のところはおおむねというところで、五十人というところに押えておりますが、それは五十人未満のところに公務と同じ仕事をやっておるものがいないというわけではない。いるのはいるのでありますけれ
ども、それはやはり
調査の技術的な面から
考えまして、そこまで押えてかかろうとすると、急激に費用が膨張し、困難が倍加するというようなことがございますので、五十人以上というところで従来押えてきた。そこで押えれば大体いいであろうという感じであります。ちなみに五十人で押えるということはどういうことを
意味しておったかといいますと、十年ぐらい前におきましては、企業規模別に、企業の規模の大きい事業場から従業員を累積して従業員を勘定してみますと、わが国の五人以上の規模の事業所における従業員のおおむね半数、それであるから五十人というところに押えたということではございませんが、そういう
関係にあったわけでございます。したがって、それが
一つの見合いであるならば、その後において産業において設備投資が行なわれ、企業規模が拡大した場合には、従来のそのままでいいかどうかという問題があったわけでございます。これを見ますのには、
総理府統計局の事業所センサス、これは三年に一ぺん行なわれますが、それの結果によって見るよりしようがない。それで見ておりますと、なるほど多少ずつは上がっておりますけれ
ども、それほど顕著な移動がないということで、五十人というところを急遽変えるという積極的な根拠がないままにずっときておったわけでございます。ちなみにそういうことで
調査いたしまして、
国会で御
審議をいただきまして、国民一般が
国会の場において、
国会で代表されまして、まあそういうことであろうと、御承認願ったというふうにわれわれ思っておったわけでありますが、昨年公企体のほうで
仲裁裁定が行なわれます際に、これは
仲裁裁定でありますから、
労使の言い分を聞いて、中をとってきめるという
考え方もあるし、あるいは場合によっては、それが本則かもしれませんが、昨年から公労委におきましては、そういう方式でなしに、むしろ民間の事業所における平均賃金、それから春闘がどれくらい上がったか、そういうことで判断をされておるわけであります。そういうことでございまして、公企体のほうと合わせまして事業規模五十人、企業規模百人、こういうことにいたしておる次第であります。
それから最後に御指摘になりました職種別に
給与は違うじゃないか、これは御指摘のとおりであります。徹底して言うならば、これは職種別に違えて民間と合わしていく
考え方もあり得るわけであります。しかし、公務におきまして、やはり公務部内の均衡観というものもございますので、それはある
程度参考に見ながら取り入れてはおりますけれ
ども、全体としては公務の均衡観という点に立ちまして、相互格差ということを問題にしておる、こういう次第であります。