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1965-12-23 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十三日(木曜日)    午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 井原 岸高君 理事 岩動 道行君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       臼井 莊一君    小笠 公韶君       岡崎 英城君    塚田  徹君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    前田 正男君       湊  徹郎君   茜ヶ久保重光君       稻村 隆一君    大出  俊君       角屋堅次郎君    中村 高一君       楢崎弥之助君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松野 頼三君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         総理府総務副長         官       細田 吉藏君         総理府事務官         (人事局長)  増子 正宏君         防衛政務次官  井村 重雄君         防衛庁参事官         (人事局長)  堀田 政孝君         自治政務次官  大西 正男君  委員外出席者         自治事務官         (大臣官房参事         官)      降矢 敬義君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      鎌田 要人君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第二号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三号)      ————◇—————
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案、及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上各案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 ただいま委員長より読み上げられました関係法律案の問題について、安井総務長官並びに佐藤人事院総裁を中心にお尋ねをいたしたいと思います。きのうは、内閣委員会のたっての要請によって佐藤総理にも御出席を願い、わが党の田口君あるいは大出君のほうからそれぞれ質問戦が展開されたのでありますが、引き続きまして、基本的な問題を含めてお尋ねをいたしたい。  今日、公務員関係給与問題については、マッカーサーの政令二百一号発動以来、人事院の設置に伴って、いわゆる人事院勧告との関連においてこの問題が論議されてまいったわけであります。そこで、この人事院勧告というものが今日まで、五月実施という時期を数年来明示をして勧告されておるにかかわらず、いまだかつて一度も完全実施されたことがない、こういう事態にあることは、まことに遺憾でありまして、これは公務員労働者のみならず、われわれもまた、せっかく人事院が熱心な調査に基づいて国会並びに内閣に対して勧告を出した以上は、当然これを完全実施すべきものであるというふうに考えるわけでありますが、一体、従来人事院勧告が完全に実施されなかった根本的理由というのはどこにあるかというふうに、給与担当大臣として安井長官考えておられるか、それをまずお伺いしたいと思います。
  4. 安井謙

    安井国務大臣 従来から今日まで完全実施が行なわれてないということは、たいへん遺憾でございます。これの主たる原因は、もっぱら財政的な事情によるものであると考えております。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは全くの逃げ答弁であって、ことしのような場合は、率直に言って財政事情がきわめて困難な問題を含んでおる。これはもちろん基本的には、従来の池田内閣以来の経済政策の破綻という問題もありますけれども、それはさておいて、本年の場合についていえば、財政事情というものがこれはそれなり考えられまするけれども、従来相当な自然増収などあって財政的なゆとりがあったときにおいてもなおかつ完全実施がされなかったというのは、これは明白な事実であって、そういうところから見て、いま長官の言われるような財政事情によって完全実施をされなかったなんというのは全くの逃げ口上である、こう言わざるを得ない。  時間の関係もありまするからさらに問題を進めますけれども、とにかくそういう人事院の存在、人事院勧告内容、そういうものについて基本的に議論をすれば、公務員制度給与というものは本来どういうふうな形で決定されるべきかということについてはいろいろ議論の存するところでありますけれども、しかし、いずれにしても人事院勧告に基づいての給与の問題については、これを完全実施をするというのは当然のことである、こう思うわけであります。今日、公務員制度審議会で、例のドライヤー委員会報告等とも関連をして、公務員制度の根本的なあり方について鋭意検討が進められようとしておる段階にあるわけであります。そうしますと、今後の展望として、いわゆる国家公務員関係あるいは地方公務員関係にも、当然労働三権のうちの団結権、それにさらに加えて団体交渉権というものが付与されるであろうというふうに予期されるわけであります。しかし、それにいたしましても、公務員制度審議会議論をし、結論を出すであろうというのは、おそらく来年の六月段階ではないかというふうに思うのです。そうしますと、来年の給与の改定問題というものを前提にして考える場合には、今日の物価高騰状況その他各般の情勢からいたしまして、当然いままでの人事院レールによる勧告という形を明年については想定をしなきゃならぬ、こう思うわけであります。  そこで、そういう場合に、問題は、その人事院勧告が四月の時点において調査をされ、そしていろいろな集計、分析、検討がなされて八月の段階勧告を出される。与党諸君あるいは政府諸君は、予算決定した以降の中途の時期において勧告が出てくるということについて問題にしておるようでありまするけれども、しかし、三公社現業政府関係機関等の場合においても、いわゆる新年度予算が三月末の段階できめられてしまう。そういうふうな時点において、四月の時点で三公社現業関係の賃上げの問題が決定をする。それが少なくとも最低の内容——満足であるとか不満は別として、これがここ数年来完全に実施をされてきておる。これはやろうと思えばやれるわけであって、特に本年度の場合についていえば、三公社現業関係では、国鉄で約二百億、その他郵政あるいはアルコール専売や林野等含めて大体四百五十億近くの財源を必要としたでありましょう。そういうものを完全に実施をしておるわけであります。だとするならば、公務員関係についてだけなぜ完全実施ができないのか、こういうふうに逆に反論せざるを得ない。そこで総務長官お尋ねしたいのは、やはり今日の勧告制度レールからいくならば、当然八月の段階勧告が出てくる。それに備えて政府が完全に勧告実施するという誠意をもって考える場合においては、そういう問題を踏んまえて、予備費の問題、あるいは給与の中における運営の弾力的な操作ができるような配慮問題等、そういう問題を予算編成の時期において、あるいは予算決定過程において、十分配慮しておくべきではないのか。そういうことになれば、八月の段階勧告が出されてきても、それにすぐ即応できる、こういうことになるのであろうと思う。人事院勧告の問題について、常に勧告は尊重する、あるいは完全実施国会の決議で決定をされる。にもかかわらず、今日まで完全実施をされてきてない。明年度の問題として、完全実施ということをやるためにどういうかまえで給与担当大臣としてはいこうとするのか、こういう点について考え方を明らかにしてもらいたい。
  6. 安井謙

    安井国務大臣 公共企業体につきましては、仲裁裁定どおり、最近の趨勢としてほとんど完全実施をしておる。にもかかわらず、公務員のほうは常に時期がおくれておるではないかという、たいへんごもっともなお話だと思います。ただ、まあ公共企業体の場合につきましては、御承知のとおり仲裁裁定がおりるに際しましては、労使双方の、労働条件のみならず、経営状況も勘案した上の裁定がおりておる。また、その給与財源あるいはきめ方の過程等につきましても、この一般公務員の場合とは違った様式によっておるというような事情から、いまの人事院一般公務員に対する勧告の場合とはいささか事情が異なっておるのじゃなかろうかと思います。公務員の場合につきましては、御承知のように、公務員給与がいかにあるべきかということを一定の時点をとらえて裁定をされるわけであります。一方、国のほうの財政事情がこうだから、こういうふうにこの程度でよかろうというところまでは及んでないわけであります。そこにいま一つはギャップがあろうと思うのでございます。これがこの完全実施をはばんでおる一つ原因にもなろうかと思います。  そこで、いまお尋ねの、将来どういうふうにするか、ドライヤー勧告のといいますか、公務員制度審議会の答申につきましては、私どもこれは十分に尊重いたすたてまえでございますので、これによって具体的な一つ結論なり方策が出ますれば、私どもも十分にこれを尊重して検討いたしていきたいと思っております。いまさしあたりまして来年度以降の予算にどういうふうにこの人事院給与勧告に見合うような予算を盛り込むか、これはいわゆる予備費にでもこれを組んでいく、あるいは見込み財源といったようなものをあらかじめ組んでおくというようなことも、一つの案として考えられるのでございますが、これにはやはりまだ財政制度上非常に困難な問題が残っておりまして、私どもも、こういう点をどういうふうに克服していくかという点につきましては、与党自体にも御検討を願っており、また人事院ともいろいろと相談をいたしております。まだいまこうすればよろしいという決定案は持ち合わせがない次第でございますが、しかし、将来そういう方向に向かってどうすれば最も可能な道がとられるかという点につきましては、今後も鋭意検討を進めていきたいと思っておるわけでございます。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 先ほども言ったように、公労協関係については、本来ならば、本格予算が通ったあとでも、実際は補正等を組んで予算措置をするということが、本来のたてまえとして望ましいと思う。しかし、ことしの場合でも、約四百五十億近くの新規財源というものを必要とする給与の問題について、国鉄について言えば約二百億、先ほど国鉄のほうでそういう問題の予算操作をどういうふうに苦労してやったかということを尋ねてみたわけだけれども、そうすると、予備費から一あるいは給与総額の中で若干ゆとりがあれば捻出をする、あるいは事業費の一部を延伸をするとか、いろいろ苦労しながら相当な金額である二百億近くのものを捻出した。本来は、これは本格予算決定後であるから補正予算を組んでやるべきだけれども、それにしても完全実施ということについてはなされておるわけです。したがって、年度途中という意味では、三公社現業も、あるいは人事院も、この実施のポイントの時期については少しずれるけれども本格予算のきまった以降、そういう年度途中という意味においては、そう基本的には変わっていない。一方、そういう三公社現業のほうで、今日公労法適用を受けておる諸君の中に、たとえば農林省でいえば、林野関係については、国家公務員のほうの網をかぶる。しかし、この公労法適用によって、これは四月から仲裁裁定完全実施される。ところが、同じ農林省のかまのめしを食っておっても、他の一般職給与法適用せられる者は、人事院勧告は五月からということを言っておるけれども、あるときは十月であったり、あるいは去年、ことしは九月であったりということで値切られる。これは実際に理解できないことなんです。しかも、いずれも年度途中という意味では大同小異である。したがって、私は今日の物価その他いろいろな諸情勢からするならば、明年も、しかもまた公務員制度の今後の議論というもので新しい方策が出るにしても、それは来年の八月に想定される人事院勧告という以降の問題に法律的にはなっていくだろうということになりまするから、したがって、来年は完全実施という前提のためには、いまからそういうものができ得る予算的な体制というものを十分考えておくことは当然のことだと私は思う。特にわれわれは基本的に反対であるけれども赤字公債その他等の発行等考えに入れながら、一般的には財政は非常に苦しいんだといわれるときだけに、そういう配慮政府も当然なされていいんじゃないか。給与担当大臣としてはそういうことを予算編成過程で進言する必要があるんじゃないか、こう思うわけでありますが、再度お尋ねをいたしたいと思います。
  8. 安井謙

    安井国務大臣 お話しのとおりに、前年度の次の年の予算相当額を見込めばいいんじゃないかということも、御説のとおり一つの眼目であるし、私どもも当然これは取り上げて検討しなければならぬ問題だと思いまして、いままでもいろいろやっておるわけでございます。実際になりますと、あるいはいまの人事院のたてまえが五月における時点をつかまえて民間と公務員との現状を比べるんだというたてまえになっておりますのに、あらかじめ相当額予算を見て、こういう程度公務員はふえるであろうという裁定政府自体がいたすということについても、理論的にも相当問題があろうかと思います。また、予備費の中に組み込むというやり方についても、予備費の性格上もかなり難点があるといったような状況もございまして、いま直ちにこれに踏み切るというわけには、まだ決断ができない次第でございます。しかし、お話しのように、何とかしてこれはひとつ合理的にきめるようにという点につきましては、従来もいろいろ検討しております。これからもひとつ検討を続けていきたいと思っておるわけでございます。なかなかこれならずばりだという名案が浮かばなくて、弱っておるわけです。そこで、現実におきましては、できるだけそのときの財政状況にもよりますが、尊重の線を少しでも進めていくという努力を今日までやってきたわけでございます。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 安井さんは、給与担当大臣でありながら、五月を基準にして言われたが、これは間違いでありまして、四月の基準調査をやる。これは基本的な調査の問題でありますから、そういうことは少し勉強をしておいてもらわなければ…。
  10. 安井謙

    安井国務大臣 いまのは間違いました。五月から実施をすべき四月の時点調査と、こういうつもりを言い間違いました。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 それはそう大きく取り上げる問題ではないと思いますが、とにかく私は、ここでどういうようにするのがいいという方法論まで申し上げるつもりはありません。先ほど言ったのは、こういうことも考えたらどうだという意味で言ったのであって、やはり完全実施をするというたてまえに立った予算編成のかまえというものが、私は必要である、こういうふうに思うし、また、そういうかまえなくして目一ぱい予算編成してしまうということになると、やはり財源捻出に非常に苦労するということもあり得るのであって、そういう点では、新年度予算編成にあたっては、十分そういう面も特に給与担当大臣としては配慮して——きょうも与党諸君のほうで人事院勧告問題ということについての会合があったようでありますけれども、私はそういう検討の際には、完全実施というたてまえに立って、予算の問題について、何も予備費を組むときだって、これは給与関係分といって組むわけじゃありませんから、ただ、そういうことも配慮しながら予備費その他の面で考えておくということを一例として言ったのであって、それは私は可能だと思う。その点は、来年度予算編成の問題としては十分検討してもらいたい。そして前向きに善処をしてもらいたいと思います。  次に、問題を移して、公務員測度審議会の今後の審議の中で一つの問題は、労働三権の問題であります。そこで佐藤人事院総裁にお伺いしたいのでありますが、国家公務員あるいは地方公務員に当然にこれは団体交渉権までは付与される、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。したがって、その場合には、当然人事院のいま持っておる給与勧告という問題は変化をしてくる。これは一つ前提があるわけでありまして、国家公務員地方公務員団体交渉権が付与されるという前提があるわけでありますが、その場合には当然人事院給与勧告という問題は変化する。つまり今日三公社現業等公労法適用関係で取り扱われておるように、仲裁機関とかあるいはそのための事務局とかいうような形に変わっていかざるを得ない。その場合に、職員団体結成国家公務員法関係で認められていない、そういうものが、国家公務員対象の人の中にあるわけであります。そういうものは依然として人事院給与勧告という形で残るのであろうかと思うわけでありますが、これは非常にとっぴな仮定の議論ではなくて、現にもう公務員制度審議会議論が展開される予定でありまするし、また明年にかけてそういう問題の結論が出てくるということでございまするから、したがって、これは総理府としてもそうでありましょうし、人事院としても、そういう問題を含めて今後幾つかのケースにおける検討をしていかなければならぬ、こういうふうにふうわけであります。そこで、公務員団体交渉権を付与される場合に、人事院関係はどういうふうに変化するというふうに考えておられるか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  12. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 たいへんむずかしい、かつ重大な問題であると思います。ただ卒然と私どもが頭に浮かべますところを申し上げましても、たとえば団交権の授与と一口に申しますものの、それがどういう形のものになってあらわれるかという点につきましては、単純に現在の公社現業の場合におけるような形のものがそのまま出てくるのやら、あるいは公社現業の場合とは違って、国家公務員の場合につきましては、御承知のように、給与法という法律がちゃんとできておる。公社現業場合は、内部規定だけで、やっておるわけですが、そういう点に根本的な違いがある。そういう根本的な違いまでも一体こわしてかかるのかどうか、いろいろな面においてこれは私は複雑な問題を含んでおると思います。したがいまして、公務員制度審議会でそういう問題を取り上げられて、あらゆる観点からこれを検討されることは、たいへんけっこうなことだと思います。さて、この場で私はどう考えているかとお問いいただいても、いまのような問題をここでこう考えますというようにはっきり申し上げる自信も、とうていございません。申すまでもありませんが、私どもの現在の任務は、現在の国家公務員法において、労働基本権代償機能人事院は営めという至上命令のもとに、その代償機能をいかに完全に果たすべきかということを、あらゆる面において顧慮しておる段階でございます。まだまだその先のところまで考える心の余裕はない、率直に申し上げればそういうことでございます。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 佐藤人事院総裁にお伺いしたいと思うのですが、今日の時点では、公務員制度審議会でその問題はドライヤー報告とも関連をして直接の審議対象になってくる問題であります。しかもドライヤー報告の中では、職員団体結成禁止範囲についても十分検討する必要があるし、また公務員関係については、たてまえとして団体交渉権を付与する、可能な限り罷業権まで検討する必要があるだろうという趣旨報告をしておるわけであります。したがって、そういうことを頭に入れながら今後公務員制度審議会検討がなされるという時点において、非常にとっぴな想定質問ではなくて、当然総理府としても人事院としても、もう現状のような形でいくのか、あるいはいま言ったように公務員団体交渉権が付与される——付与される場合も、全部に付与されるということでなくて、例の職員団体禁止対象になっておるものもございますから、もう問題の仕分けとしてはそう幾つもあるわけではありません。逆にお聞きしますが、国家公務員あるいは地方公務員もそうでありますが、国家公務員団体交渉権が付与されるということになれば、その対象者については人事院給与勧告というものが除かれるということは、一応議論のたてまえとしてはそのとおりだと思うのですが、そういうふうにお考えでございますか。
  14. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど申しましたように、この団交権態様なり形なりが一体どういうものとして落ちつくべきものか、いろんな形があるわけです。ことにいまの公社の場合と国威公務員の場合とにおきましては、基本的な給与制度そのものが、たてまえがまた違っておりますから、そういう点もからみ合わせながら考えてまいりますと、空想的に考えましても、たとえば団交権勧告権の並立する形も考えられますし、全然もう勧告権なしで済まされる場合も考えられます。あれやこれやいろんな組み合わせが私は考えられると思いますので、とうてい私はここで軽々しく結論を申し上げるべき段階にもありませんし、またそのゆえをもってわれわれが不勉強であるというそしりを受けることは絶対にないものと、私は考えております。現在の当面の責務に対して全力を傾注しておる段階でございます。こう申し上げておきます。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 では安井長官のほうにお伺いしたいのですが、公務員制度審議会の今後の審議の大体のプログラムについて、そしていま申しましたようなことも含めて当然議論されるわけでありますが、先ほど言った公務員団体交渉権を付与するという問題についての私の再度の質問に対して、人事院総裁は非常にデリケートでありますから答弁を避けられましたけれども、これは安井さんの場合は、人事院に直接の場合よりも、もっとある意味では率直にものが言えるんじゃないかと思いますので、先ほど質問も含めてひとつお答え願いたいと思います。
  16. 安井謙

    安井国務大臣 公務員制度審議会は、御承知のように、発足いたしまして、いまこれから審議にかかろうという状況でございまして、その内容がこうあるであろうとかあああるであろうというふうな予測をいまから政府が立てるということは、これははなはだ禁ぜられるべきものであろうと思っておるわけであります。したがいまして、そういう意味団体交渉権がはたして付与されるかどうかというような問題について、あらかじめの想定のもとにいろいろの構想を現段階で練るということは、人事院総裁同様に非常にデリケートな問題として慎まなければなるまいと思っております。それからドライヤー勧告についていろいろ御引用をいただいておりますが、中の文句にそういうふうな趣旨のことがあることは、事実だと私は思います。しかし、あのドライヤー勧告自身も冒頭からも触れておりますように、これは全体としてまず労使相互不信という問題を取り除くという前段階から問題を片づけていくのでなければ、中へ入ってこの問題でこうある、あああるということで取り上げられることははなはだ不本意であるという趣旨もあるので、私どもいまあの勧告内容につきましても、そういうような意味で具体的にいま想定を立ててこうしよう、ああしようというふうには、ちょっと現段階では考えていないわけであります。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は率直に言って、人事院総裁の場合はいまの問題について答えられると思うのだけれども、なかなかデリケートに考えられてお答えがないのだと思いますが、私は私なりに、人事院の功罪の問題についても、歴史的に今日までやはりそれなりの大きな役割りを果たしてきたというふうに評価をしておるわけであります。しかし、局面はやはり変わろうとしておる。国際的な視野から見れば、局面は変わろうとしておる。日本の国内の政府与党諸君がそれにブレーキをかけるかどうかは別として、客観的にいえば局面は変わろうとしておるということであろうと思う。したがって、そういう点では総理府であれあるいは人事院であれ、これは対外的に明らかにしながら検討するということでなくても、十分予想される幾つかのケースについて検討を積極的に進められるということは、私は当然のことでないかと思う。まあ今日の時点では、これ以上の答弁は出るようでありませんから、私としてはやはり公務員団体交渉権が付与されるという前提に立っての積極的な検討というものがなされる必要があるということを、強く要請をしておきたいと思います。もちろんこれは罷業権を付与すべき問題の組合については罷業権を付与するという内容も含めてでありますけれども。  次に、当面の段階では代償機関として人事院が存在するわけですから、人事院勧告という問題を前提にした調査の問題について、少しくお伺いをいたしたいと思う。給与、俸給の問題については、いわゆる生計費、それから民間給与との関税、その他の事情というふうなことで、民間給与調査をやられる。あるいは十八歳の成年男子については、標準生計費というものを出しておられる。というふうなたてまえでいろいろ調査をやられるわけでありますけれども、ことしの場合でいえば、六千三百近くの事業所に対して九十一職種の職務に従事する約四十六万人について給与の実態調査をやって、それに基づいて今度の勧告を出された、こういうふうになっておるわけであります。そこで人事院報告ないしは勧告内容を見てきますと、まず調査対象になる事業所のうちから階層別にそれを分けて、そうしてそれぞれの階層の標本の抽出率をきめて、そうして無作為に標本抽出をして、そうして調査をする。全体の母集団に対して、一定の誤差の範囲内でおさまるという理論的な根拠に基づいて調査をされるということだろうかと思うのですが、ことしの調査の場合、従来もそういう例があったのかもしれませんけれども調査の事業所のうちから相当数、事業所がつぶれておるとか、あるいはいわゆる企業規模が百人あるいは事業所の人員が五十人というところにいかないとか、いろんなことが実際の調査段階で出てきて、約四、五百のものが調査からオミットされる。問題は、階層別に分けたそれぞれの階層の中で、オミットされた標本の分布がどうなっておるかという問題も検討しないと、理論的にはちょっとわかりませんけれども、しかし、いずれにしても本来標本を抽出したその標本が標本に該当しないという場合に、一定のバリアンスの範囲内におさめようとすれば、もう一回無作為に標本抽出をするということが望ましいのであって、対象の標本がちょうど規定に該当しないということで、幾つそれが出てきてもオミットしていいというものでは理論的にはないはずです。約一割近いものが、対象事業所のうちから、いわゆる調査からオミットされておる。そういう点について理論的に、あるいは各階層別の標本の分布状況はどうであったか、綿密に検討していませんけれども、いやしくも四月の時点調査をし、八月までかかって集計分析をやろうという理論的な背景のもとに調査をやろうというのであったら、そういう点に問題がなかったのかどうかという点が一つの問題であります。  それから第二点の問題は、企業規模が百人あるいは事業所が五十人ということでありますが、まあ国家公務員関係の大体官公署の業態から見て、やはりもっと上の事業規模で考えるべきじゃないか。まあ官公労の諸君は五百ということで強く主張しておるわけでありますけれども、五百であるか三百であるかは別として、これは厳格に何が一番いい、どんぴしゃりということはいかないと思うのですけれども、しかし、その辺のところで事業規模は修正されたわけでありまするけれども、さらに修正を検討する必要があるんじゃないか、こういう問題がございます。  それから標本の対象というのが、いわゆる同じような職種のところをずっと当たるという、そういう基準でやるわけでありまするけれども調査内容の説明等もずっと見てきますと、はたしてどんぴしゃり同一職種というふうに考えられるような、そういうとり方が、官公庁の場合と民間の場合でやっておるけれども、実際にそれが適正であるのかどうかという点に問題がございます。現に、この調査の結果に出てまいります官民の職種別給与較差というところで見てまいりますと、行(一)、行(二)、それから研究職、医療職(一)、(二)、これはまあ民間よりも公務員関係が低いという数字を出され、海事職の(一)、同(二)、教育職の(一)、同(二)、それから医療職の(三)、これらについては、四月の時点では公務員のほうが高いという、一応これは参考の数字だと思いますけれども、そういうものが出ておるわけです。そういう問題の結果をどういうふうに号俸等をあらわす場合に勘案をしていくのか、そういう問題も含めてひとつ御説明を願いたいと思います。
  18. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いろいろお尋ねがございました。他は給与局長からお答えをいたさせますが、いま承りました中で一番重点と私が承りましたのは、この企業規模を比較の際に、もっと上のほうの水準の規模と合わせるべきじゃないかという点がございましたから、その点私から答えさせていただきたいと思います。  御承知のように、昔は官吏の俸給というものは、まさに民間とはかかわりなくそのものずばりで白紙に数字を盛りつけておったわけでございますが、御承知のように戦後におきましては、やはり民間との格差を調べて、いわゆる民間追随主義をとっておるわけでございます。これは考え方としては、国ほど大きな企業規模のもの、事業体はないわけです。最高の企業体だ。比べようのない大きなものである。せいぜい比べるとしてもトップクラスのよくよくの大会社と比べなければ、はずが合わぬじゃないかという気持ちも私はときどきちらちらとひらめくわけでございます。しかしながら、さらに根本の現在の制度のたてまえを探ってみますと、やはり民間の企業の中に官庁の公務員の場合と同じ仕事をしておる人もたくさんおる。たとえば守衛の仕事をやっておる人は、官庁にもおりますし民間にもおるというような面にも着眼しながら、公務員給与というものは、やはり国民全体、民間全体の給与水準ということに合わせることが、納税大衆、国民大衆の納得を得られるゆえんではないか、ことに今日のような経済情勢のもとにおいては、そういう観点から現在の制度ができておると思います。したがいまして、企業規模におきましても百人、五十人というようなところから上を押えまして、その水準にこれを引き当ててみます。そうして、せめてその水準までは絶対追いつかせていただきたいというのが私どもの念願でありますし、これは法律趣旨でもあると思うのであります。今後また世の中が変わってまいりますれば、私の夢もあるいは実現するかと思いますが、今日の段階では、これが一番国民大衆の納得を得る方法ではないかというふうに考えております。
  19. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 御質問のございました中で四点ばかり、事務的な問題につきまして申し上げます。  まず、六千三百程度の事業所の調査をして、調査から除外した事業所が五百程度ある、多過ぎはしないか。もしそれができなかったならば、代替としてそれにかわるものをもう一ぺん標本調査をやり直していくべきではないかという御指摘であります。これは非常に御専門的なお考えでございまして、本式にやればそうやるのが当然だというふうに思います。ただわれわれは、限られた時間の中で、また限られた経費でやりますので、そういう事情もあります。やはりその場合に、いろいろな事由がございましょうけれども調査ができなかったもの、それが一定の範囲内のことであるならば、そこは除外して考えても許される、標本誤差の範囲にあるものである、かような考え方に立ちまして、現在は先生のおっしゃるようなことをいたしておりません。五百四十四が実際は調査から漏れたわけでありますが、それではこの内訳を見てみますと、これは昨年の十月現在におきまして、事業所規模あるいは企業規模で押えております。実際に調査をやりますのは四月でございますから、半年の経過がございます。その間に変化がある。これはやむを得ないのであります。申し上げるまでもございませんが、いかなる調査といえども、母集団を押えましてすぐやるというわけにはまいりませんから、どうしても経過がある。その間にズレがある。たとえば、実際はわれわれは常用の従業員が五十人以上であるというて押えたのでありますけれども、四月の時点においてはもう五十人未満になっておったのが百八十三、それから企業規模で百人未満にそのときにはなっておったのが二百十一、合わせて三百九十四、五百四十四の中で約四百というものがそういうものでございます。  そこで、こういう事業所の給与水準は一体どの程度のものであろうかと思うのでありますが、これはやはり一つの事業所の規模が小さくなる、あるいは二つも事業所があって、企業規模別に見た場合に百人未満になるというものは、やはり調子の悪い事業所で、そういうところにおいては十分な賃金でないかもしれない、その公算のほうがむしろ大きいというようなものがございます。したがいまして、こういうものを除いていきますと、あとに残ったものの給与水準が高くなるおそれがあるのじゃなかろうかという一つの技術的な心配がございます。しかしながら、これはもう数から見ましてごくわずかでありますし、われわれはいまかりに事業所を一つの媒体として押えておりますけれども、実際はその事業所におきまして公務と同等同種の仕事をしておるものを押えるということが主でありまして、この程度のところが漏れておっても、そのためにわれわれの調査給与水準がぐんと高くなるというようなことはないという考えでございます。  それからそのほかに事業所がもう解散しておったものが四十二、天災を受けて、その状態において調査に応じられないというものが二つ、それからまた、実際には事業所が移転しておったというものが七つ、それから争議中であってとても調査に応じていただけないというものが七つ、それから調査を拒否する——これはいろいろな事業所の方がおられまして、こういうことはわれわれとすればあまりうれしくないのでありますけれども、実際には調査を拒否されたというのが五十八、その他がございまして、いま申し上げましたような内訳でございます。したがいまして、非常に精密にやれば先生のおっしゃるようにやるべきでありますけれども、限られた予算と限られた期間内にやる場合には、この程度のことは許される、このような考えでございます。  その次に、標本の対象でありますが、公務は公務行政を執行するという立場であって、これは民間における仕事とは本質的に違うではないか、これは御指摘のとおりであります。その典型的なものは、警察官であるとか、あるいは徴税事務に従事しております税務官、こういうものは比較のしようがございませんから、これは調べておりません。一般行政職の中におきまして、たとえば会計の職員であるとか、人事の職員であるとか、総務関係の仕事でありますとか、こういうものは、その仕事を民間と比較し得ますから、そういう公務と大体同種同等のような仕事をやっておるものをとってくる。まあ現在は、わが国の実情におきましては、職階制が完全に公務においても民間においても行なわれておる現状ではございませんから、厳密な話をしますればこれはむずかしいことになります。しかし、いま大体において同種同等と認められるようなものは、これはとり得る、その限界でとっておるということでございます。  それから従来五十人規模以上で押えておったということはどういう趣旨であるかと申しますと、これは公務と同種同等のものが、規模のいかんにかかわらずおるかもしれない。たとえば金融機関等におきましては、比較的規模は小さくてもわりあい仕事が高度化しておるというような関係で、これはあるわけでありますし、それから事業場の規模は大きくてもなかなか整備されていないという場合には、規模だけでものを判断することは必ずしも適当でないというようなわけで、場合によりましては、産業の種類によって規模を分けましてとるというようなことも考えられます。しかし、これはきめ手のある問題でございません。したがいまして、現在のところはおおむねというところで、五十人というところに押えておりますが、それは五十人未満のところに公務と同じ仕事をやっておるものがいないというわけではない。いるのはいるのでありますけれども、それはやはり調査の技術的な面から考えまして、そこまで押えてかかろうとすると、急激に費用が膨張し、困難が倍加するというようなことがございますので、五十人以上というところで従来押えてきた。そこで押えれば大体いいであろうという感じであります。ちなみに五十人で押えるということはどういうことを意味しておったかといいますと、十年ぐらい前におきましては、企業規模別に、企業の規模の大きい事業場から従業員を累積して従業員を勘定してみますと、わが国の五人以上の規模の事業所における従業員のおおむね半数、それであるから五十人というところに押えたということではございませんが、そういう関係にあったわけでございます。したがって、それが一つの見合いであるならば、その後において産業において設備投資が行なわれ、企業規模が拡大した場合には、従来のそのままでいいかどうかという問題があったわけでございます。これを見ますのには、総理府統計局の事業所センサス、これは三年に一ぺん行なわれますが、それの結果によって見るよりしようがない。それで見ておりますと、なるほど多少ずつは上がっておりますけれども、それほど顕著な移動がないということで、五十人というところを急遽変えるという積極的な根拠がないままにずっときておったわけでございます。ちなみにそういうことで調査いたしまして、国会で御審議をいただきまして、国民一般が国会の場において、国会で代表されまして、まあそういうことであろうと、御承認願ったというふうにわれわれ思っておったわけでありますが、昨年公企体のほうで仲裁裁定が行なわれます際に、これは仲裁裁定でありますから、労使の言い分を聞いて、中をとってきめるという考え方もあるし、あるいは場合によっては、それが本則かもしれませんが、昨年から公労委におきましては、そういう方式でなしに、むしろ民間の事業所における平均賃金、それから春闘がどれくらい上がったか、そういうことで判断をされておるわけであります。そういうことでございまして、公企体のほうと合わせまして事業規模五十人、企業規模百人、こういうことにいたしておる次第であります。  それから最後に御指摘になりました職種別に給与は違うじゃないか、これは御指摘のとおりであります。徹底して言うならば、これは職種別に違えて民間と合わしていく考え方もあり得るわけであります。しかし、公務におきまして、やはり公務部内の均衡観というものもございますので、それはある程度参考に見ながら取り入れてはおりますけれども、全体としては公務の均衡観という点に立ちまして、相互格差ということを問題にしておる、こういう次第であります。
  20. 角屋堅次郎

    角屋委員 先ほど佐藤さんも言われたのでありますが、企業規模を何人をとるか、それは絶対的にこれがいいということは必ずしも言えないかもしれませんけれども、やはり国家行政機構の状態からいけば、さらに規模を上げるという意味での検討が必要じゃないか、こう思うのと、もう一つは、やはり国家公務員地方公務員関係も含めて、海外への頭脳輸出とかなんとかということの問題も含めて少なくとも国の行政機関あるいは地方自治体の行政機関というものにそれなりの優秀な人材を集める、これは試験研究機関も含めてでございますけれども、そういうこともやはり考えていかなければいかぬ。もちろん国家財政全体の配慮というものを全く無視してやるというのじゃございませんけれども、それはやはり国家行政、地方行政をやるための一つのポイントになるということ等を考え、一体行政機構の状態から見て、どの程度のものを対象にするのか。しかもまた対象にする場合も、同一職種というかまえでいくけれども、なかなかこれが実際はむずかしいということもあろうと思う。  問題をさらに次に移します。  人事院ができてからずっと給与の実態調査をやり、あるときは報告になったこともございますが、数年来ずっと勧告が、今日の経済情勢あるいは賃金の民間の引き上げの状況等からなされてきたわけでありますけれども、ここでいわゆる人事院の民間の給与実態調査というものが、過去の調査の累積の上に立って、さらに早い時期に勧告ができるような、そういう内部努力というものが可能なのか。あるいはそういうことは、今日の標本理論に基づいて母集団の中から標本を選んでいくというたてまえで階層を分け、標本を選んでいくという調査のやり方で、今日の人事院の人員、予算というものからすれば、八月というのはなかなか前に繰り上げることはむずかしいということなのか。また調査内容についても、もう少し過去の調査結果というものの検討の上に立てば、さらにくふうの余地があるのかどうかという点については、これは十分検討していい問題だと思う。そういう点については、一体どういうふうに考えておられるか。特に、これは昨年の段階でもそうでありましたし、ことしの段階でも、例の五人委員会、六人委員会と言われるような関係閣僚会議の中でも、人事院勧告というものが年度半ばで出てくる、これを何とかならないだろうかという問題との関連でも、やはり検討された問題だと思う。今日の時点でそれらの問題についてどういうふうに人事院として考えておられるのか、あるいは今後検討されていこうとするのか、そういう点について総裁からお願いいたします。
  21. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お示しのとおり、勧告時期の問題とも関連して、われわれも検討しておる事柄でございますが、現在私どものやっておりますのは、申すまでもございませんが、大体民間企業の大多数の賃上げというものが、六〇%はほとんど春の時期に行なわれておる。先ほど申しましたように、民間に追随するという形をとりますならば、やはりその辺のところを一応のめどに置くのが合理的であろうということで、四月調査——近ごろは春闘はだいぶおくれますので困っておりますけれども、要するにそういうたてまえで春の調査というところに一応主点を置きまして、それから極力集計作業をやりて、その集計作業は現在では統計局の機械力等をも使いまして、もうおそらく最短距離を走っておるはずではございますけれども、なおかつ勧告の時期は八月に入らざるを得ないという実情であるわけでございます。ところで、いまその辺をもう少しスピードアップできないかという点においては、現在のやり方をとっております限りにおいては最大限の能力を発揮しておりますから、これを縮めることはできません。ただし、お話にある、たとえば累積方法とか、過去の実績を基礎にしてそれにある程度のデータをかけ合わせて積み重ねていけないかということは、もちろん考えられるわけであります。しかし、ひるがえってみますと、私どもがこの勧告を申し上げまして、政府も少なくともその実態についてはそのまま完全に取り入れていただいておる。組合側もいろいろ不満はおありですけれども、しかし、まあまあということで、結局はあきらめかもしれませんけれども、納得していただいていると思います。国民大衆も納得をしていただいていると、ひとりよがりかもしれませんが、思っております。それはやはり毎年克明に六千数百の事業所をつかまえて、四十何万人からの従業員の給与調査をしらみつぶしにやって、その年その年それだけの大規模な調査をやってのことでございますから、そこにおのずから私ども信頼性があるのじゃないかと思います。累積方法と申しましても、それにかけ合わせるデータをどういうふうにとるか、これはなお不確定的なものが入ってまいりますために、信頼性という意味からは相当危険ではないかという心配を持っております。
  22. 角屋堅次郎

    角屋委員 いまの総裁の御答弁から考え合わせると、冒頭に私が言ったように、政府としては、経済事情物価事情やあるいは給与状況やというふうなことを考えてくると、いまのようなやり方で人事院勧告を出す場合には、八月の時点より以前にはなかなかむずかしいということになればなるほど、やはり完全実施ということを常に言い、またそれを実践するためには、先ほど言ったような予算的な編成の場合におけるかまえというものが必要であろうと私は思う。これは政府に申し上げますが、同時に人事院総裁のほうには、そうは言っても、もう金科玉条にいままでの調査方法というもの以外にはなかなか一歩も変えようがないのだということでなくて、やはり十分それらの点については積極的に御検討を願いたい、こう思う。  それから完全実施の問題でもう一つ触れておきたいのは、御承知のように、昭和三十五年以降本年まで、人事院勧告実施時間を明示したにもかかわらず、それを値切ったために、すでに数字も明らかに本委員でもされておると思いますけれども、三十五年で個人的にいえば一万三千四百十円、三十六年八千九百八十五円、三十七年一万五百六十五円、三十八年九千八百二十五円、三十九年一万三百九十二円、本年の四十年が、われわれの主張する五月実施ということを与党が受けない場合においては九千四百四十円、合計いたしまして六万二千六百十七円というものが、個人的に平均をして損失をいたしておるわけであります。最近対象人員四十六万というふうに一口に言っておりますけれども公務員全体ということになればもっと数は二百万近くまでふえますが、かりに四十六万と押えても、約二百八十億に近い金額というものを、公務員労働者が当然得られるべきものを損失をしておる、こういうことが現実にあるわけであります。安井総務長官政府としては、それはきまったことだから、そのときの勝負だといってしまえば簡単なようでありますけれども、罪滅ぼしのためにも、公務員の福祉関係、その点についてはどう運営するかは別として、そういう面にいま言ったような金額に見合うものを政府出資の形で出して、あるいは融資関係に非常に好条件のものに使うとか、住宅建設その他いろんな問題が含まれると思いますけれども、何かそういう点で過去の人事院勧告完全実施をしなかったことに伴う罪滅ぼしを、新年度予算編成の場合に前向きに、公務員の福祉その他の問題の趣旨を積極的に生かして考えていく、そういうことが必要ではないか、こう思うわけであります。これはいま安井さん、そのとおりひとつがんばってみますとは言えないかもしれませんけれども趣旨とすればそういう気持ちが政府に必要なのではないか。佐藤さんの言う人間尊重というのはから念仏なのではなしに、公務員に真に政府機関あるいは地方行政機関の国民に対する公僕としてまじめに働いてもらうということを期待するためには、過去のそういう問題についても、そういう前向きな政府の施策というものが期待されていいんじゃないかと思うんですけれども、そういう点積極的に検討する気持ちはございますか。
  23. 安井謙

    安井国務大臣 公務員の福祉につきましても、私、新設されました人事局は、個々のものをどうするこうするということじゃございませんが、全般に気を配っていかなければなるまいというふうに思っております。現在は、御承知のように保障制度といいますか、救済制度が住宅の問題あるいは共済組合その他の制度としてそれぞれ存しておりますので、まずそういったものを、なるべく各省間のバランスをとりながら、今後とも総理府としてはこれを推進していくというふうなつもりでおります。この過去の損失と称せられます分の罪の滅ぼしで、その分が幾らあるからこうやろうというふうには、いまのところちょっと考えておりません。
  24. 角屋堅次郎

    角屋委員 そういう点では愛情も何もない考え方なんです。それは私が提案をしたから受け入れられないという気持ちじゃなしに、もっと自主的に前向きに考えてもらいたいと思うのです。それが私は政治だと思う。いまは公債の問題でも、財政事情でと言っているじゃありませんか、われわれは反対だけれども、いまは苦しいからとにかく借金はするけれども、いずれ力ができたら、借金だからしてそれは返す力をつけていくんだ、こういうふうなことを言っているわけですから、安井さん、冒頭私の質問に対して財政事情——私は財政事情だとは思わぬけれども財政事情だと言うならば、いま言ったようにそれにかわった前向きな公務員に対する福祉政策というようなもので罪滅ぼしを考えるのも一案ではないか、こう思うのでありまして、そういう点積極的な検討を要請しておきたいと思います。  人事院給与勧告内容に入って、これは参議院の内閣委員会等でも議論されたのでありますが、ことしの調査の結果、公務員と民間給与の格差が平均して五・六というのには、今日の物価状況あるいは民間の賃上げの状況から見て、佐藤総裁もこれは意外だ、これは少な過ぎるのじゃないかといって、再度調査内容について検討を命じたけれども調査そのものにはそごはなかったということで、実は数字の低いのに驚いた、こういうことを言っておられるわけです。私は、その数字の低いのに驚いたという根本原因検討の中で、さっきの標本理論に基づく標本調査の抽出、あるいは抽出の中の標本が一部切り捨てられた、あるいは対応すべき職種がどうであったのかという点について、標本の調査については常に顧みて検討することが必要なわけですから、単に意外だった低かったというので——たまたまことしは四月で賃上げが実現されずに、五月以降の調査をしたものを丁六%上積みをして七・二%でかっこうをつけたということでございますけれども、その辺のところを、一体なぜ低かったかという検討についてはしておられるのでありますか。
  25. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私は、少なとも国会においては何でも正直に申し上げることにしておりますために、実は驚いたということもそのとおり申し上げたのであります。そのとおりであります。しかし、その後間もなくわかりましたことは、もちろん精密な検討はさらに続けておりますが、一応のめどのつきましたことは、これはやはりことしの春闘のおくれていることが一番大きな原因であるということです。これはもう参議院でも説明申しましたし、それからここでまた機会があれば申しますけれども、要するに大きなズレがあったということが、五・六%という数字となっている。もう一つは、実は運用上だいぶ改善しているところもあるものですから、そういうようなものももちろん出てきたと思いますけれども、大体春闘のズレというものが如実に出ているということになれば——ふだんならば、春闘のズレをここに取り込むことはいたしませんということを、私はたびたびこの委員会でも申し上げておったのでありますが、こういう異常な事態が数字の上で如実に出た以上は、そこで春闘のおくれというものを見ておきませんと、来年に持ち越されますと、来年の格差がたいへんなことになるということを勘案し、今日の経済情勢をも考慮した結果きめざるを得ない。したがって、異例の措置としてこの丁六という数字を加えまして、そして勧告を申し上げた。これは正直なところであります。
  26. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、佐藤総裁はまじめな人だから、横車を押したようなことを言いたくないんだけれども、標本調査という場合は、少なくしようと思えば少なくする方法はあるわけですね。これは標本ですから、いろんな形が出てくる。あるいは標本抽出のやり方についても、ランダムといったって、実際は職員がやるわけです。まあそういう点にはそごはないと思いますけれども、やはり政府の気持ちも考え、いろいろ予算的なことも配慮し、あるいは人事院の将来も考えるというような気持ち、そういうことで佐藤総裁以下はやっておられると思いますけれども、大体こういう標本的な調査というのは、悉皆調査でない限りは、やりようによっては、あるいは対応の同一職種というものをどういうふうにとるかというとり方いかんによっては、数字が違ったものが当然考えられるというものであって、したがって、常にやった調査については、顧りみて検討分析をして新年度に生かしていくということは、積極的にやっておられると思うし、やってもらいたいと思う。この五・六、一・六という問題についてもずいぶん議論があるのですけれども、時間の関係上これは省略をいたします。ただ、たとえばこれも人事院調査の場合の愛情の問題だと思うのだけれども、期末手当なら期末手当の問題でも、せっかく調査の結果で〇・一三民間のほうが上回っておる、こういうふうに出しながら、期末手当は〇・一ということで、〇・〇三は切り捨てる。この〇・〇三というのは、なかなか今日の給与のベースからいくとちょっとした金ではなくて、個々の人にして見るとそれなりの金額になる。こういう点はもう少し、人事院がせっかく調査の結果で出したんなら、その調査の結果はできるだけその数字を生かすという気持ちがやはり必要なものじゃないですか。どうなんですか。
  27. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 〇・〇三切り捨てておるではないか、御指摘のとおりでございます。ただ、民間におきまする特別給、ボーナスというものは、これは非常に成績等によって上下が、一つの会社を見てみますと、うんとあるというようなこと、また、景気のいかんによりましては、こういうものは非常に動くという可能性のあるものでございますが、公務員では、これはもう国会でおきめ願いまして、法律の条文となって確定するというような要因もございます。そういうこともございまして、多少の差額が、〇・〇三、〇・〇幾つという程度の差額があるのは、これはやはり公務と民間との違いとしてやむを得ないものであろう、このように考えます。
  28. 角屋堅次郎

    角屋委員 各それぞれの給与表の中に入って若干お尋ねをしたいのですが、まず行政職俸給表の(一)、それから行政職俸給表の(二)の問題について若干お尋ねしたいのですが、これは人事院給与の問題をやっておられるときに、関係者の諸君がいろんな機会に要望に来る。その中で特に——全般が非常に強いのですけれども、特に行(二)関係というものが、給与条件の改善のために非常に熱心に活動をされる。私どもも、行(二)集会というのが毎年持たれる際に出て、その実態にも触れ、また要望も聞くわけです。これは同じ役所の中で、自動車の運転手あるいは小使とか用務員とか、いろいろ労務職の甲とか乙とか、そういうことは別にして、運転手必ずしも——私はもと農林省関係におったわけですけれども、運転ばかりをやっておるのではなくて、調査もやるという、現業官庁ではそういう実態になるのですけれども、私の率直な気持ちからいけば、行(一)、行(二)と分けずに、むしろ全体を包んで行政職ということでやっていくような方向の検討をされてはどうかというふうな気持ちも持っておるわけでありますけれども、今回の行(一)、行(二)の問題については、特に人事院の説明では、行(二)の内容改善については相当に努力したつもりだ、こういうことでございますけれども、基本的に、同じ役所におって行(一)、行(二)というのは、何か同じ職場内に俸給表が違うための差別感というものをかもしておる点がございます。これは病院におけるお医者さんと他の職員というのとは、ちょっと違うと思う。そういう点では、今後行(一)、行(二)の問題を全体を含めて検討する気持ちがございますかどうか、基本的な問題としてその点をお伺いしておきたいと思います。
  29. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御指摘のように俸給表が別になっておるわけであります。これは申し上げるまでもないことでありますけれども、行(一)表なり給与法のたてまえが、職務と責任に基づいてということを金科玉条に受けておりますものですから、いま御指摘のようないろいろな俸給表が出てくる。ことに教育職のごときは(一)、(二)、(三)、(四)まで出ておるというような実態、これは法の趣旨からいって私はやむを得ないことと思います。そういう目で見れば、行(一)、行(二)の区別もやはり理由はある。ただ、理由と区別、それから実態を優遇してあげるという問題は切り離して考えませんと、区別したから下のほうは踏んだりけったりというようなことには理論上なりませんので、私どもとしては、俸給表上の区別はある、また職務と責任の違いはありますけれども、その限りにおいて行(二)の俸給表の人々に対してはできるだけのことをしたいという努力が、今回の勧告にあらわれておるわけでありまして、この点は、俸給表を一本にしたからどうなることやら、これは実は行(二)の人々の中から、行(一)の俸給表の中に入れてかえって不満を招いたというような例もございます。実態の俸給の額の問題は、それはそれとして考えたほうがむしろ適切じゃないか、そういう気持ちであります。
  30. 角屋堅次郎

    角屋委員 いまのあとで言われた点ですね、不利益処分の救済という問題は、これはまた方法はあると思うのですけれども、行(一)、行(二)というものを区別したことによって、職場内で行(二)の諸君が受け取る気持ちというものをどう判断をするかということは、これは人間の問題ですから、私は非常に重要な問題だと思う。単に給与法に基づいて、あるいは職階制の一つのたてまえがあるからというようなことばかりじゃなしに、もっとそういう点は——それももちろん私は全面的に否定はしませんけれども、人間関係において差別感というものを職場内で解消していくということが、一つの大きな要素だと思う。私はいま直ちに行(一)、行(二)を一緒にしたらどうかというふうに言うのではありません。気持ちでは、やはり人間関係の問題で、行(一)、行(二)を含めて、全体を一つの行政職という形であらわすことも検討していいのではないか、そのための切りかえで起こる救済の問題は、私は方法はあるんじゃないか、それが理由にはならない、こういうふうに思うのでありますが、次に行(一)の問題についてさらに入りますと、たとえば農林省に例をとれば、一等級はどういうものが該当するとか二、三等級はどういうものが該当するとかいうようなことで、一般の係長にもならない職員関係は、御承知のように、今日の関係からいけば六、七、八のところに押し込められるわけですね。これは勤続年数がずっと長くなっても、六、七、八のところに押し込められる。昇格でもしない限りは、なかなか頭打ちがうまく解消できないという問題が、一般の職員の場合にはございます。同時に最近は、出張所の統廃合があります。前から続いておりますけれども、ございまして、従来出張所長であったものであれば四、五までいけるといったふうなものが、実際には出張所長でなくなったために、係長であれば五、六のランクで適用されるということになると、かつて十年前には同じように職場で出張所長で肩を並べておった者が、もう相当に金額が違ってくるという実態等もあって、今日数字を申し上げるまでもなく、公務員関係の平均年齢というものは相当に上昇してきておる。しかも新規採用というものはなかなかできにくい状態でございまするから、どうしても従来からの陣容のままで、なかなか所長とか課長とか、あるいは出張所長とか係長というものになり得ない状態の職員が、ずっと停滞ぎみに続いてきておる。しかも、これは職務の責任とか、あるいは複雑さとか、いろんなことで理屈をつけて、これはそれなりの理屈があるわけですけれども、そういうことでなかなか上に昇格することはできない。したがって、端的に言うならば、新三等級を設けて若干上のところは緩和したようだけれども、逆に下のほうでは一つ置かれたためにさらに間延びするという条件が出てくる。そういう点で、このいまの格づけの条件をもう一ランク下のほうを上げてもらいたい。これはもう私、実態調査を各事務所、出張所別に全部持っておりまするけれども、それに基づいての強い要請、これらは常に具体的な要請を受けておって、人事院としても逐次改善の努力をしてきておるわけですけれども、抜本的な解決をしないでは、これは職場内の沈滞した空気はなかなか解消しない。これらの問題はどういうふうにお考えですか。
  31. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 おっしゃるとおり、一番私どもの頭の痛い問題がそこにあるわけでございます。いわゆる中ぶくれと申しますか、だんだんと新陣代謝ができませんために、そういう状況は至るところに出ておるわけであります。しかしながら、先ほど申しましたように、職務と責任という冷たい鉄則だけはやはり旗じるしとしてつくり上げておるわけでありまするが、その中でいかに処置をするか。これは正面から申しますというと、私どものやっておる実績をかりに申しますと、たとえば昇給間差額をそのつど手直ししながら上げてきておる。それから最高号俸をさらに延ばすというようなことは、これは逐次やって、そのほうの努力はしておるわけであります。ただ、いまのような努力のほかに、もう少し何とかできないものかということで、いま鋭意検討はしておりますけれども、いまのような鉄則を全然くずすわけにもいきませんものですから、そのワクの中でできるだけやはり士気の沈滞、意気の阻喪を防ぐような方法ということで、目下盛んに努力をしておる次第であります。
  32. 角屋堅次郎

    角屋委員 この行(一)、行(二)でも、その他のものでもそうですけれども、各等級の中の号俸数というものが、これはそれぞれによって違うわけです。それはそれなりの理由はあるのだと思いますけれども、見てみると、最高は三十八くらいに号俸数が分かれておる。これは等級の数が少ないとかという問題も関連しておると思いますけれども、したがって、現行法の俸給表とそれから改正の俸給表というものを見比べて、やはりそういう職場の実態というものを見ながら、ある場合においては号俸がさらに追加をされる、あるいは基本的には格上げを一段上のところに扱うように持っていくとか、何かそういう面の努力が、人事院勧告がなされる時期に同時に考えられていかないと、いま言った問題はちょっと小手先の手直しだけではなかなかいかないのではないかと思うのですね。そうかといったって、内部の年齢構成を一新するということは現実にできない。そしてまた上へ上げるというようなことも、そう一挙にはいかない。最近はどういうことかというと、いろいろな役職を設けて、それで救済するというやり方をやっておる。しかし、そういう人は一体何の役職かということは、必ずしも明確でない場合がある。こういう変則的なやり方をやっておるわけですね。場合によっては必要なものもあるでしょうが、何か昇格で救うために役職をつくる、こういうきらいが出てきて、かえって業務の内容が非常にわかりにくくなるという場合だって、これは農林省の場合にもございます。そういう点は、何というのか、小手先と言うては語弊がありますけれども、そういうことでなく、基本的な是正方法はどういうふうにしたらいいのかということを、来年の勧告に向けての一つ検討の問題としても、また今日これがかりに実施される場合の運営の問題としても、これは前向きに検討してもらいたい。これは、給与が何ぼ上がるかという問題もありますけれども、中学、高等学校、大学を一緒に出て、あるいはこういう役についておるためにあれだけ上におって、自分はそれについておらぬためにこれだけ差があるという、この気持ちというのは、これは職場内で非常に暗いものを持ってくるのですよ。これはわれわれも役人の経験があるから、そういうことを実態として判断をするわけですけれども、そういうことはやはり解消することが必要だと思う。最近人事が非常に停滞ぎみですから、それだけに給与の頭打ちとか、あるいは格づけによって実態が非常にかけ離れてくるとかというふうな問題についても、単に号俸をどういうふうに修正を量るかというだけの問題でなくて、公務員の願っておる基本的な一つの大きな課題として、根本的に検討してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  33. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 事情は十分認識しておりますし、ただいまお示しのような趣旨でなお検討を続けていきたいと思っております。
  34. 角屋堅次郎

    角屋委員 次に、これは総理府の中になるのか大蔵省の中になるのか知りませんが、警察とか防衛庁とか、こういうものの給与号俸は、行政職その他のものと勘案して何ぼくらいにしたらいいだろうという考え方の基準は、何に基づいてやられるわけですか。
  35. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいまのお尋ねの警察と防衛でございますが、警察につきましては、御承知のように一般職の中に入っておりますので、公安職俸給表として人事院勧告対象になっておるわけでございます。それから防衛庁の職員給与につきましては、これまた御承知のように、別の、全体としてはいわゆる特別職でございますが、防衛庁職員給与法の中で扱っており、その内容につきましては、従来の関係からいいますと、沿革もございまして、警察から分かれていったというような経過からしまして、警察官の俸給、いまでいいますと公安職の俸給表を基礎にいたしまして、それに防衛庁の特殊な勤務形態といいますか、隊組織でそれぞれの駐とん地の移動等がかなりひんぱんにあるというような点で、いわゆる地域的な暫定手当などを、一般職と同じように各職務について、あるいは移動したごとに変えるというようなのは適当でないという意味で、全体を平均して俸給に加えるというような、そういう特殊な操作をいたしておりますけれども、もとになるのは、ただいま申し上げましたように公安職の俸給表を基準にするということで、従来大体の俸給表作成の方法というものを決定いたしております。
  36. 角屋堅次郎

    角屋委員 人事院調査では、警察関係調査というのは対象がないわけでしょう。警察の給与調査関連をして考える場合には、どういう基本に立って俸給表をきめられておるわけですか。
  37. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 お示しのように、警察官は民間にはないわけでございまして、これを民間給与と比較することはできないわけであります。これは徴税官吏についても、税務官吏についても同じであります。これはどういうふうにきまっているかと申しますと、これは部内の事情といたしまして、徴税事務に従事いたします者は非常に困難があるというようなことで俸給を調整をいたすというようなことがあるわけであります。これはかつてそういうことがあったわけでございます。また、警察官についても同様な事情がでございます。海上保安官等も同じでございますが、一般職の俸給表に比べまして、どれだけの関係を保っておるかということがきまっておりまして、その関係をこわさないように現在維持しておる、こういうことでございます。
  38. 角屋堅次郎

    角屋委員 手当の関係の問題で、暫定手当の問題あるいは寒冷地手当、遠隔地手当、こういうふうな関係の問題については、これはまたさらに検討を加えて、人事院勧告は一応なされたわけですけれども、さらにこういう対象勧告が出るということをわれわれも期待しておるわけですけれども、そういう問題についての考え方について、この機会にお答え願いたいと思います。
  39. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 暫定手当は、御承知のように一応凍結の形で漸次繰り入れるということになっていますから、今後の繰り入れの運びの問題としてわれわれは検討を進めております。寒冷地手当は、実は昨年一応の勧告を申し上げたわけでございます。当委員会でやりましたと思いますが、なお、さらに慎重に再検討せよというような附滞決議もございまして、われわれとしては自信を持ってお出ししたものではありますけれども、しかし、いずれにせよなお万一の粗漏があってはということで、こちらの御決議の趣旨も体しまして、その後さらにまた再検討を手広にやっております。これは非常に手広くやっておりますために、またすぐに再勧告を申し上げるというような段階のめどは全然ついておりませんけれども、そういう趣旨検討は極力続けておるという段階でございます。
  40. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは御承知の寒冷地手当の率の問題でも、八五%のやつを一〇〇%にしてもらいたい。あるいは遠隔地手当の場合の率でも、現行の百分の二十五を百分の三十にしてもらいたいというような問題も含めて、前向きにひとつ検討してもらいたい。かねてから公労協、公務員共闘との関係で強い要請があって再び問題を持ち越しました住宅手当、これは調査対象をふやして調査をされたわけですけれども、ことしはとうとう見送られたわけでね。たまたま防衛庁のあれを見ておると、営外手当というのがあるのですね。これは住宅手当とは違って、ぼくら古い軍隊の時分にもあった営外居住の問題と一緒だと思うのですけれども、ある意味においてはいわゆる住宅手当的な性格も含んでの趣旨だと思うのです。だから、まんざら住宅手当が出ておらぬとも言い切れない。これは別に飛躍した議論じゃなくて、総裁笑っておるけれども、営外手当というものは趣旨としてはそういう趣旨も含んでおると思うのです。公務員の今日の住宅事情その他については、調査をされておるからいまさらいろいろ触れようとは思いませんけれども、来年度は住宅手当は出せるという段階にいくのだろうと思いますが、どうなんですか。
  41. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 住宅手当の問題はもう数年来の大問題でございまして、私どもが最も苦慮しておるところでございます。しかしながら、先ほど申しましたような根本のたてまえとしては、給与勧告はやはり民間を見ながらということになっておりますために、第一に民間調査を克明にやってきておる。その結果を見ますると、まだ民間企業の大多数は住宅手当を支給しておるという段階にはいっておりません。そのほうのデータにおいてまだ弱いところがあるというところが一つと、それからもう一つは、これも一つのワクでございますけれども、官民格差七・二というような格差の幅でのこれは配分の問題になるわけであります。したがいまして、住宅手当らしいものを出そうということになりますと、たとえば七・二のワク内でそれを出そうということになりますと、これは普通の本俸のほうの引き上げはもうがまんしてくれということにもなりかねない。そういう関連を持っておりますために、なかなかこれは踏み切れない。それよりも、当面宿舎がないということで——まずいま営外手当の話がありまして笑いましたのは、みな営内居住ができるようになればいいなと思ったから笑ったので、ことばは悪いが、みな公務員住宅に入れるような意味の営内居住というようなものがなければならないのじゃないかという意味で笑ったのでございます。そういう方向で数年来また努力を重ねている。これはわりあい効果があったと私どもは見ておる。予算の上でも着々公務員住宅の建設の費用がふえております。そのほうはそのほうとして努力をしていくというかまえでおります。したがって、住宅手当の問題も重大問題であるという認識は、決して捨てておりません。
  42. 角屋堅次郎

    角屋委員 何かぼくらの感じでは、公務員住宅建設のほうにすりかえて、住宅手当の創設という問題については、なるほど調査した結果まだ三分の一程度実際に実施しておる程度であって、せめて半数にのぼってくれば踏み切るのだということも一部言われるのであるけれども、しかし、どこまできたら実施をする、どこまででなければ実施しないという、そういう問題について判断のパーセンテージの問題を考えるよりも、住宅問題というのは衣食住の重要な一つの要素ですし、最近の特に都市周辺の住宅事情から見れば、もう積極的にむしろ先べんをつけて考えるということも必要なんじゃないですかね。常に民間の実態調査に基づいて——私は公務員労働者の賃金はどうあるべきかというのは、むしろある意味では民間の労働者の賃金の指導的な面としてやるという行き方も二つあると思うのですけれども、まあ今日までの行き方は、人事院というものがある限りにおいては、民間調査に基づいて、しかも相当な標本を選んでやるものだから、元来賃上げにあまり乗り気でない政府も、膨大な資料を見せつけられると応ぜざるを得ないというふうなことでやってきた、率直に申し上げればそういうふうに見られる。したがって、値切れるところを少しでも値切ろうというみみっちい根性が、今日まで出てきたと私は思うのですね。そうではなくて、本来は頭脳の流出を防止する。もっと優秀な者を国教行政機関や地方行政機関に集めるという積極的な気持ちからいけば、本来労働者の賃金はこうあるべきだというそういう形のものが、ひとつやはり公務員労働者の中から出てきて、それが民間に及んでいくという形が望ましいと思うのですね。私が先ほど公務員団体交渉権というものが少なくとも前提になって考えらるべきじゃないかと言ったのは、やはりそういう意味で、いまの国家公務員地方公務員関係はおくればせながらついておるという形だけれども、むしろ労働者の賃金はこうあるべきだという前向きの形が、公務員からまず始められなければならぬというふうにも思う。そういう意味では、この住宅手当の問題も、実態調査をしてまだ三分の一程度だから踏み切れないという気持ち、これは今までの人事院のきわめて謙虚な、政府に出す場合もこれだけそろえましたからという気持ちがそのまま反映しておるかもしれませんけれども、それではやっぱり済ませないのじゃないですかね。これは住宅問題に限りません。住宅手当に限りませんけれども公務員労働者の賃金はどうあるべきかという問題について、いままでの民間賃金の実態に基づいてやるという考え方をもっと前向きに考えるという、そういう気持ちは総裁にはないのですか。
  43. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 前向きはもちろん考えておるわけでございまして、前向きよりも前進のかまえで常に考えていると申し上げたほうが正確だと思います。これは実績をごらんになっても、それはお認めいただけると思うわけであります。とにかく前向きのかまえ、前進のかまえにいたしましても、たとえば住宅問題というやつは、ほんとうに率直に申し上げますけれども、民間関係の問題も一つありますけれども、かりに今度は配分の問題としてお考えいただいた場合に、一体普通の本俸のほうの賃上げは全部がまんしてもらえるかというような、そういう一面も問題があるものですから、それをこわすとすれば、いまの官民比較の資料はいまおっしゃるように全部取っ払って、大手を振って白紙の上でやれということになる。これはまたこれで私も夢としては抱いておりますけれども、とてもこれまでのところではできないというわけで、あらゆる情勢の中で、しかもいつも前向きで進みたい、こういうかまえでおるほかないわけであります。
  44. 角屋堅次郎

    角屋委員 最後に、標準生計費の調査の問題ですが、これは内容に詳しく触れるつもりはありませんけれども、成年男子の十八歳程度の者で、たとえば一日の食費が二百二十七円二十九銭、一食七十五円七十八銭、これを東京における働き盛りの成年男子の食費として見込んでおるわけですね。マーケット・バスケット方式というのをとって、そして一日の食費が二百二十七円二十九銭、カロリー計算では二千八百二十カロリー、こういうことに前提を置いてやっているわけですけれども、またたとえば住居費の問題でも、光熱費を含んで二千七百四十円、これが算定の基礎になっておるわけですね。実際にそういうものを計算する場合には、本来そういう標準生計費としてはこれだけ必要であるというのを、控え目でなしに、もう少し現実の実態に即してやるという、標準生計費を算定する場合の基本的な考え方というものをもう少し考え直す必要があるんじゃないかというふうに思うのですが、その点どうですか。
  45. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 標準生計費の技術的なことはいまさらここで申し上げるまでもないと思いますが、私どもとしては、公務員の生活の実態を把握するという面でこれをやはりやらなきゃいけないんではないかということで、そういう角度からの調査ということを考え予算も要求しておるわけであります。そういう点とあわせていろいろな問題を解決していくのが、適切な方向を得るゆえんではないかというふうに考えております。
  46. 角屋堅次郎

    角屋委員 時間の関係もありますのでこの程度で一応終わりたいと思うのですが、細部の内容にまでは入りませんでしたけれども、いずれにしても公務員制度審議会がすでに発足をし、公務員制度の基本的なあり方について十分議論がされて、そこで俎上にのぼるべき重要な課題というのは何かというのは、これは大体規定できるわけであります。しかもILO八十七号批准に伴うたな上げ分についての問題の処理も含んでいるわけですが、そういうことも含み、また人事院としても、人事院創設以来今日までの非常な苦労の過程というのは、私も十分わかります。わかりますが、新しい局面の展開というものをやはり十分前提に置いた検討も必要でありましょうし、また今日まで続けてまいりました、たとえば給与勧告という問題に前提を置いた調査、あるいはそれらの過去のいろいろな資料の集積、検討、また新しい公務員労働者の賃金というものはむしろ民間の賃金にやはり指導的な役割を果たすという意味の前向きな姿勢というものも含んで、これは給与担当大臣として、大臣にも今後の公務員労働者の賃金問題については希望しておきたいと思います。同時に、人事院にもそういう面で新しい検討をお願いしたい。特に先ほど来申しておりますそれぞれの職場内にあるいわゆる停滞人事、いろいろなものにからむ問題について、当面是正できる面はひとつ前向きに是正をしていっていただきたい。こういうふうに強く希望いたしまして、一応終わらしていただきます。
  47. 河本敏夫

    河本委員長 村山喜一君。
  48. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いままで各委員から取り上げられました問題点とはできるだけ重複を避けましてお尋ねをいたしてまいりますが、まず第一に、この際人事院総裁お尋ねをしておきたい点から入ってまいりたいと思います。  それは、今回の「公務員の俸給表別、等級別、号俸別人員分布」というものを人事院月報によりまして見せてもらったのでございますが、四十年の一月現在の人員分布が出されております。これによりますと、行(一)、行(二)の職員の場合に、いわゆる頭打ちといいますか、特号俸を受けている者が、七等級の者が三人、六等級が二十六人、五等級が十六人、四等級が七人、それから二等級が二人、行(二)は三等級が一人、四等級が一人ということになっております。ところが、今回この給与表の別表を見てみますと、これは行(一)、行(二)につきましては、新しい号俸の設定というものがゼロということになっているのであります。ところが、税務職の場合には、五等級が二人、六等級が一人の頭打ち号俸を受けているのでありますが、二等、三等級について三つの新しい号俸を設定をしておられるのであります。それから、公安職(一)の場合には頭打ちの職員は一人もおりません。にもかかわらず二等、三等級のところが、いずれも現在の俸給表に比較いたしまして三号俸新設をされている。公安(二)につきましては五等級が二人頭打ちでありますが、これはそのところを伸ばすのではなくて、二等、三等級のところが同じように三号俸新設をされているのであります。海事職につきましては(一)、(二)とも頭打ちの者はおりませんが、これについては海事職(一)については二、三等級を二号俸伸ばしているのであります。教育職につきましても、これは非常にたくさんおります。教育職の(一)によりますと、一等級の者が十七人、二等級の者が三十五人、三等級が九人、四等級が八人、五等級一人、こういうふうになっておりますが、これに対応して新しい号俸設定をいたしましたのは、二等級を一号俸だけ新設をする、五等級を一号俸だけ新設をする。教育職(二)につきましては二等級が三人頭打ちでありますが、これは二等級のところを一号俸、三等級のところを二号俸だけ新設をいたしております。教育職の(三)については、これは二等級が一人頭打ちがありますけれども、これについては全然改めていないのであります。(四)につきましては、一等級が一人、二等級が九人、三等級が三人というふうになっておりますが、ここは二等級のところを二号俸だけ新設をしている。研究職については、これは全然改めておりません。そのほか医療職等につきましても出されているのでありますが、この医療職の場合には医療職(二)の給与を受ける者が二等級で一人頭打ちでありますけれども、一、二等級についてそれぞれ一号俸新設をする。医療職の目につきましては、二等級を受ける者が一人、三等級の者が二人超過をしておりますが、これは二、三等級を新しく二号俸ずつ新設をして、四等級を三号俸新設をする、こういうふうな形になっておるように見受けるのであります。  そこで、一体何をねらって人事院はそういうようなものをやったのかということをいろいろ検討を加えてみまするが、どうもはっきりしないのであります。頭打ちを解消するということで、そういういわゆる同一等級にわたります号俸の幅というものを伸ばしていくということは、いわゆる昇格になり得ない下等の公務員給与というものを改善をするという意味においては、私はこれは役に立つと思うのであります。しかしながら、そういうようなところは全然といってもいいほど行(一)の職員等については改善がされてないで、これからいつ出るかわからないような、現に頭打ちが一人もいないような、たとえば公安(一)の職員についての二等級、三等級のところを三号俸も新たに号俸を設定しなければならない理由というものが、どうもはっきりしない。一体これは何をねらったのであろうか。このことを考えてまいりますと、それらの職員で将来いわゆる昇格の運動をするような事態が生まれてくるのを防止する、こういうような一つのねらいというものをもって今回の給与表の改正というものをされたのか、この点についてまずお伺いをいたしたいのでありますが、ここで私は、人事院総裁がいつか言われたと思いますけれども、現在は職階法という法律はあるけれども、これは眠っておる。今日の給与表というものも、職務給と言えば言えないこともないけれども、しかし、この問題については今後研究をしていかなければならない、そして職務給の方向に発展をしていかなければならないのだという意向のお話をされたことを覚えているのであります。そうなってまいりますと、一つの等級の中で号俸を拡大するということは、これは一体職務給移行に対してノーマルな方向であるのかどうか。これは逆行する方向ではないのかという一つ考え方が浮かんでくるのであります。そういうような問題点をかかえながら、職務給移行に対しましては前提条件があるのだということも総裁は言われているのであります。それはいわゆる最低生活というものが保障をされる。そういう条件を欠いたまま職務給に移行するということは困難なんだ。現実はそういうようなものがまだ保障されていないところに、完全に職務給に移行できない問題があるのだということを言われております。それらのものを考え合わせながら今回のこの給与表の一覧表をながめてまいりますと、幾多の問題点が出てくる。この点についてどういう政策的な意図をもって新しい号俸設定をなされたのか。この点についてまずお伺いをしておきたいのであります。
  49. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいま職階制の問題に関連してこの別表をごらんになって、まことに 烱眼敬服するわけでございますけれども、私どもはそういう考え方は実はゆめにも持たずに今回の作業をやっておるわけで、私どもが申します職階制の問題は、これはただいま御引用になりましたとおりの考え方でございまして、法律はありながら実体がないということはたいへんなことだというわけで、われわれとしては責任上やはりそれを形のあるものにしなければならぬという趣旨でやっておりますが、しかし、それも特に私は日本的職階制、日本的という名前をつけて申し上げておる。その意図は、ただいま村山委員のおっしゃるとおりの趣旨から出ておるもので、現状に合わぬものは何もならぬというたてまえで、現状尊重の原則に立っての考え方でございます。いまおっしゃったおことばの中にも引用されたとおりの考え方で、今回の俸給表を組んでおります。したがいまして、頭打ちのワク外の者をある者は消化し、ある者は消化しなかったという点については、またそれぞれの具体的な現実的な理由に基づくものでありまして、ただいま申し上げますような大きな方針がここにあらわれたということとは、お考えいただかないようにお願いしたいと思います。なお、給与局長からその点の説明を補足させます。
  50. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御指摘の問題は、地方公務員との関連の問題が非常にございます。御承知のように、国家公務員におきましては、公安職、警祭官というのは非常に限られておりまして、警察官の大部分は地方職員、また教育関係につきましても、教育(二)、(三)というところは地方職員でございます。われわれは地方の職員のための問題は管轄外でございますけれども、現在の状況下におきまして、非常に密接な関係があるということもまた事実でございます。そこを逃げて通るわけにまいらない。不完全ながらわれわれ資料を収集いたしまして、地方の警察官の分布の状態はどういうふうになっておるか、あるいは地方の小中学校、高等学校の教職員の問題はどういうふうになっておるかというふうなことも勉強いたしまして、それでこの俸給表の改正等にあたっては、そういうことも考慮に入れてやっておるという次第でございます。もとより俸給表の号俸を延伸するということは、これはやはりそう安易にやるべきでないという考えがございます。しかし、先ほどお話がございましたが、現実には三十七、八歳のところを中心にいたしましてちょうちん型の、国家公務員についてもあるいは地方公務員についても年齢別人員構成になっておって、それが年々ずっと高年齢のほうへ移行していくというような問題もあるわけでございます。いろいろな事情の中におきまして、われわれは上位等級の定数を増すということも一方においてやり、また一つの等級において上位号俸の金額を増加するというようなこともやっておるわけであります。それとあわせて、必要がある場合には最小限度号俸の延伸ということもやるということをいたしておるわけであります。  今回号俸の延伸をやりましたきっかけと申しますのは、やはり警察官の特殊事情ということによっております。御存じのように、昨年行政(一)につきまして新三等級を新設いたしたのでありまするが、これが地方の場合におきましては、われわれが期待しておったよりもよほど広範囲に、地方の職員の行政職につきましてはこの新三等級が利用されたというような関係がございます。それがまた警察官のほうにはね返り、そこにアンバランスの問題が起きるというような事情があったわけであります。そういう事情を踏んまえまして、公安職(一)の三等級の号俸延伸をやり、また二等級を三等級との関連においてこれをやった。そこが根拠になりまして、公安職(一)と税務とは大体俸給表が似ておるのでございますが、この税務も公安表との関係でやる。公安(二)の関係を公安(一)との関係でやる。海事職(一)につきましては、耐用年数の関係で行(一)との関係でやるというようなことでございまして、ここにただいま申し上げましたような理由によりましてこの号俸の延伸を行なった、こういう次第であります。
  51. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 地方公務員をお考えになってそういうような号俸の設定というものをやったということであります。それは私たちもよくわかるわけでありますが、それと同じように、やはり六等級のところで二十六人も、それから五等級のところで十六人も、行(一)については頭打ちがあるわけです。これは所定の昇給期間の倍以上の期間を過ぎなければ特号俸の改定は行なわれないという仕組みになっておる、こういうような点を考えていくならば、もう少し行(一)あたりについては、そういう実態というものも国家公務員の場合にはあるのだということの上から、この際改めるべきではなかったか。  〔委員長退席、岩動委員長代理着席〕 一号俸なり二号俸なり新設を、その等級の中において必要に応じてやるべきではないか、このことを私は考えるのですが、それをなぜおやりにならなかったのか。
  52. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 行(一)につきましては、昨年六等級のところを伸ばしたという経緯もございます。また、本年の等級別定数の改定等にあたりまして、これは一般的に一般職の行(一)五等級つき出し要求というものがあったということは、御存じのとおりでございます。そこでわれわれは、一般職員の五等級つき出しということは、現在のたてまえ上これはできないのでございまするけれども、場合によりましては専門職というようなこと、あるいは現実に主任的な仕事をしておられる人というものは、やはり評価するというような考えでやっておるわけでございます。そういうことによりまして問題がある程度処理ができるのではなかろうかというような考えも持っておりまするし、またそういう号俸者につきましては、個別に当たってみて、一体どういう事情があるのであるかというようなことも研究してまいりたい、総合勘案いたしましてやっていきたい。昨年この六等級については延伸しておるという経緯もございますので、今回はさらにそこを延伸するということでなしに、別の方向でこの問題は十分検討してまいりたい、このように考えております。
  53. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういうような点は、必要に応じて俸給表というものは毎年改定をされるわけですから、地方公務員についてそのような配慮をされる以上は、やはり国家公務員についても、特に行(一)の場合には相当な数がそこに存在をしておるという事実から見まして、そういうようなものに対する救済の措置というものは、とりあえずの措置としてでもとられることが、人事院の権限でも可能である。そうしてこれが出されたら国会において承認をすることは間違いないのですから、そういうような点については、予算的にもそうたくさんの金額が伴うわけでもありませんので、今後においては十分御留意を願っておきたいと思うのでございます。  そこで次の問題やはり人事院総裁お尋ねをしておきたいのでありますが、先ほど角屋君のほうからも若干質問がありました、人事院は生計費をどういうふうにとらえてきたのかという問題でございます。と申し上げますのは、人事院のいわゆる世帯人員数別の標準生計費というものの中から、いろいろわれわれも考えさせられる点が出てくるのでございますが、非常にエンゲル係数が高過ぎるということであります。四一・九%というのが一番低いところで、五人世帯あたりになりますと四四・三という高い数値を示している。大体ヨーロッパにおいては、このエンゲル係数が三〇から三二程度であるわけでありますし、まあ日本の工業力水準というものも世界で五番目だ、こういうふうになってまいりますと、これが五〇以上になったら、こじきの生活だということになっている。そこで、この人事院のいわゆる世帯人員数別標準生計費の中から、独身男子の標準生計費というものを一万五千五百九十円というふうに押えて、そうして初任給、高卒の初級試験合格者の給与を設定されているわけですが、これを見てまいりますと、この人事院勧告の標準生計費に達している職員と達していない職員、これを高等学校卒業程度でずっと調べてまいりますならば、本俸で換算をしますと、行(一)の場合、三十一歳にならなければ結婚ができない。それから子供が生めるのは三十六歳である。ひどいのになりますと、行(二)の場合に、私きのうも申したのでありますが、あたりまえの生活ができるといいますか、八十一年間勤続をしなければあたりまえの、標準並みの生活ができないような給与体系というものがある。そこで、これは給与だけではなくて、暫定手当、扶養手当、それにいわゆる期末、勤勉手当、そういうようなもの等を入れてその収入を見るんだという見方に立つとするならば、これはやはり行(二)の場合におきましても、行(二)の中の乙の場合でも、四十七歳ぐらいで五人世帯のいわゆる標準生計費の場合に達する、こういう反論があるかと思うのでありますが、それであるならば、一体期末、勤勉手当というもの、これらは生計費を補う給与の収入として、そのような位置づけというものを人事院としては割り切ってされるという考え方に立つのか、この点について、前もらいました人事院月報の十八表によりますると、そういうような印象を受けるのでありますが、一体そういうような数字を出された感覚といいますか、基本的な考え方というものについて、生計費をどういうふうにとらえ、その上に公務員の生活というものをどういうふうに保障しようという考え方に立っておるのか、この点をお聞かせ願いたいのであります。  それと同時に、私は、安井長官にこの際お尋ねいたしておきたいのは、なるほど今回勧告をされました人事院給与内容というものは、率につきましては下級公務員等の上昇率は高いわけであります。特に行(二)につきましては一一・八%というふうに、物価上昇等を勘案をしていろいろ検討をいただいておる原案が人事院から出され、それをそのまま承認をされているのであります。しかし、金額にいたしますと、行(二)の五等級の場合には千二百円という改善額があります。これに対しまして指定職俸給表の乙の適用者の場合には四千九百八十円ということで、開きは相当大きいわけであります。行(一)の局長、部長クラスは四・二%しかアップしておりませんが、金額はおよそ四千円の増額、こういう形になってまいります。とするならば、これは佐藤総理にも私要望をいたしたのでありますが、人事院勧告内容が五月から完全に実現をされるというならばこれは別の問題になってまいりますけれども、その標準生計費にも満ち足りない給与その他の収入しかない下級公務員の場合には、これが上級職のいわゆる生計費以上の収入を得て、まあ生活上は支障はないと思われるそういうような上級職の公務員と同じように、予算関係上九月から実施だということになってまいりますと、事実上の問題として赤字が発生をする、そのしわ寄せというものは下級公務員にかかってくる、これはまさに格差を是正する方向ではなくて、拡大をする方向に向けられるのではないか。そういうような点について考えていった場合には、一律に財政上の理由によって九月から上級も下級も、標準生計費に満ちようが赤字になろうが、そういうことはかまわないでやるのだという、この給与政策というものを財政上の理由によってとられたその基本的な考え方の中には、私は、公務員に対する配慮というものが給与担当の安井国務大臣になかったのではないか。もしあるとするならば、あなたがそういうような面まで気を配っていただいたかどうか。いただいておるならばこれはけっこうなことでありますが、その私の考え方、主張というものを今後においてどのように生かされようという気持ちをあなたはお持ちになるかどうか、この点について、それぞれの関係者のほうから御答弁を願いたいのであります。
  54. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 生計費との関係でございますが、これは御指摘のとおりでありまして、三十にならなければ結婚できないというような悲痛な声は、常に私どもの耳に入っておるわけであります。ただしかし、この給与の根本が、先ほど来申しましたように、民間給与というものをめどにしておりますたてまえから申しますと、やはり民間でも御苦労があるということであれば、公務員だけがというわけにもいかぬというような面もございまして、そこに民間給与に対する比較の問題としての制約があるわけであります。標準生計費の問題は、いま御指摘にもありましたように、高校卒の初任給のささえとしてこれを使っておるわけであります。せめて初任給の面でこれを保障して、あとその他の部面にもそれを及ぼしていこうということに使っておるわけでございます。何ぶん今日の生活状態、経済状態というものも深刻なものがございますので、今回の勧告におきましては、そういう点も勘案いたしまして、ことに行(二)その他下級のほうには特別の措置をいたしたということでございまして、われわれとしても重々生活の御苦労は察しながらも、こういう勧告にならざるを得なかったというわけであります。
  55. 安井謙

    安井国務大臣 お話のように、この生計費を標準にいたしますと、下級の人のほうがより苦しい事情にあることは御存じのとおりでありまして、その点につきまして、人事院勧告も下のほうに厚く上に薄くというような勧告率が出されておるように、私ども受け取っております。そこでしかし、上のほうのやつは少々ずれてもいいじゃないか、これも一つの御議論かと思いますが、やはり給与という問題は、生計費だけではかるわけにもまいりません。職務の内容あるいはまたその責任の重さの程度、そういうものも勘案して考えます場合に、これはやはり上級の人だけをおくらせてよろしいというふうにもまいるまいかと思っておるわけでございます。
  56. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 安井長官の感覚からするならば、そういうような答弁しか出てこないかと思うのでございますが、私は給与政策というものが、これは人事管理政策の内容というものが給与のその内容を位置づけるものだという立場から考えてまいりまして、特に行(二)の単純労務のような、あるいは技能職についておるような人たちの今日の年齢構成なり家族構成というものを考えてみます場合に、きわめて低い賃金が支給をされている、こういうところに一つの問題点があろうかと思うのであります。公務員なるがゆえにストライキ権も団交権も剥奪をされているような形の中で、自分たちの賃金引き上げというものが決定をされない、自分たちの生活の最低の線までも保障されないというような形で放置されているところに、非常に大きな問題があるのだと思うのであります。国の財政が窮迫しておればおるほど、そういうような点については、そのような考え方、いわゆる思いやりのある考え方というものが少なくともとられなければならない。この点については、今後においても人事院勧告を完全に実現をするという方向でおやりになるならば、これは問題は派生をしないかもしれませんが、もし来年も財政が不如意である、こういうようなことになった場合においては、重要な問題として今後において検討を願っておきたい問題点でございます。その点要望を申し上げておきたいのであります。  そこで、人事院が民間とのいわゆる賃金の対応のしかた、とり方というものを、対応等級の比較においていろいろ調べてみますと、公務員の二等級、いわゆる本省の部課長、部長クラスですかあるいは局長クラス、こういうようなところのいわゆる民間賃金との位置づけというものは一段階上にとって、官民格差が有利になるようにしているのではないか、その結果有利な位置づけをやることによって水増しを行(一)の二等級では六千三百五十九円をやっているのではないか。それと反対に、この対民間との比較におきまして、四等級以下では一段階下の階級に対応させるような官民格差をとって、それを小さくするように人為的にしておるのではないか。その結果、五等級のところでは六千百十二円という割引がなされた形の中で、民間との対応等級の比較が現実にこまかい操作としてやられておるのではないかという指摘をする人たちがあります。この点について人事院の見解をお尋ねしておきたいのでございます。
  57. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 確かにいろいろ対応関係についての御意見、御批判があることは十分承知しておりますけれども、私どもとしては、いろいろな雑念を全然去りまして、虚心たんかいに職種と職種をつかまえて、個々にわれわれは結びつけている。これはもう本来ならばこういったこまかい対照表なども発表する必要も何もないのですけれども、これはやはり堂々と公明正大に発表して、そして批判を仰ぐという態度でありますから、それにはそれだけの自信を持ってまた発表申し上げている、こういうようにお考え願いたいと思います。  なお、事務当局から……。
  58. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御指摘の点でございまするが、名称だけでこれを論ずることは非常にむずかしいと思います。といいますのは、公務におきましては課長補佐というような段階がございます。一つの課に課長補佐が大体四、五人いるという程度のことが一般のようでございますが、民間の組織におきましては、課長がおり、そしてその下に課長代理副課長、名称はいろいろございますが、課長の代行をいたしますそういうものがある場合がございます。しかし、これは全部の場合を通じてそういうものがあるとはいかないようでございまして、課長三に対して二、割合でいいますと、その程度にしかそのポストというものはないようでございます。すぐ係長、こういう段階になっておるのでございます。その関係上、われわれのほうでは課長補佐の段階がございまして、それで先ほども申したように、一つの課に四、五人いる、こういうことは、民間の係長がまあ大体その程度になっているというような、そういう名称にとらわれない比較を考えてみますと、現在われわれがやっている比較の方法というものが不当である、こういうふうには考えておりません。しかし、お話しのようなことは、しばしば御指摘を受ける問題でございますので、われわれこの問題につきまして十分研究しておりますし、今後もしてまいりたいというふうに考えているのでございます。ほんとうをいえば、これは個々の職員につきまして、その人の職務と責任というものをはっきりさせて、そうして調査するというようなことが理想かもしれませんが、しかし、それは言うべくして実際限られた時間の中でできることでございませんので、われわれは、一応五百人以上の事業所における事務職員は、年齢の幅というものを設定いたしまして、それは公務員のほうの六等級に相当する、こういうことでやっております。しかし、その問題につきましては、今後にわたって十分検討を続行してまいりたい、このように考えております。
  59. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いまその点につきましては、民間のいわゆる職業別給与資料というものが未確定である、そして年功序列型賃金体系というものを打破しなければならないという動きはあるけれども、まだそういうような年功序列型賃金体系というものを確立しているのが民間市場である、そういうような点から考えてまいりまして、これはいわゆる官職の分類なりあるいは責任の度合いというようなものが不明であるという点もよくわかるわけでありますが、しかし、民間との対応比較というものの上において、ややともすると、やはり上級職の公務員については、その権限関係という上から、責任の度合いというようなものに中心が置かれて、上位の民間等級と対比せられがちである。下級公務員の場合には、これがやはり一段階下げた形の中で適用対象として取り上げられる、そのおそれが私は十分にあると思う。今後人事院では、これらの点について不満といいますか、問題が残らないような形の中で職務内容等についても十分研究をしていただくと同時に、はっきりしたその対応のしかたというものを示していただきたいという点を要望申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、先ほど私がお尋ねをした中でまだお答えをいただかない点であります。それは東京における世帯人員別のいわゆる標準生計費の中から計算をしてまいりまするならば、労務職員の乙、いわゆる用務員クラスにつきましては、九十六歳にならなければ、そして八十一年間勤続をしなければ、五人世帯の五万五千六百四十円という収入を得るに至らない形になってくる。労務職の甲につきましては、七十五歳にならなければそれだけの生活を営む給与がもらえない、こういう形になるではないかという意見を申しました。これに対しては、それはしかしながら、いわゆる本俸だけで見るならばそういうことになるであろうが、しかし暫定手当なりあるいは扶養手当なりあるいはその他の期末勤勉手当等を入れていくならば、これは乙の場合においても四十七歳ぐらいで、三十二年間勤務したならばこの段階に到達をするんだ、あるいは甲の場合には四十歳ぐらいで、勤務が二十二年になるならば到達をするんだという説明がありました。こういうような考え方からいくならば、いわゆる期末、勤勉手当が年間を通じて四・二ヵ月分ですか、そのものも加えて計算をするという方式において説明がされたものだと思うのでありますが、そうなってまいりますると、期末、勤勉手当というものの性格は、そういうような生活設計上の、いわゆる標準生計費の上における赤字に毎月の生活費として充当するべき筋合いのものである、こういう考え方に立たない限り、そういう説明は生まれてこないと思うのであります。その場合において、いわゆる勤勉手当というものは、その本人の職務の能率といいますか、成績といいますか、そういうようなものを勘案してきめるということが法律の上では出ている。とするならば、期末、勤勉手当の性格についてどういう位置づけを人事院としてはしておられるか。そしてまた政府としては、この問題はそういうような点から考えていくならば、当然において期末、勤勉手当というものは一体化していくという考え方において問題を処理すべきではないか、このことを私は考えるのでありますが、一体どういう見解であるのかをお尋ねをしておきたいのであります。
  60. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 期末、勤勉手当というものをどういうふうに考えるかというお話でございまするが、生活というものは収入の中においてやっていくということでございまするし、現在十二カ月分の俸給、扶養手当等は各月出るわけでございまするが、そのほか四・二カ月分という期末、勤勉手当が出る。そういたしますれば、これは相当の金額でございます。これを度外視して生活を考えるわけにはいかない。したがいまして、生活というものは年間受けまする給与の中で、また期末、勤勉手当等も加えましたその中で生活設計を立ててやっていくということが、一応考えるべきことであろうというように思うのであります。そこからすぐ期末、勤勉手当というものはどういう性格か、そういうぐあいにはならないじゃないかというふうに思います。現在におきましても、期末、勤勉手当をどういうように考えるか、給与のあと払いであるというように考えるのか、あるいはこれは奨励的なものであると考えるのか、いろいろ考え方はあると思います。しかし、御承知のように、給与法を見てみますると、期末手当というものは今回の法案でそこのところを御審議願うことになっておるのでありますが、十二月一日に在職しておるということが一応の条件になっておる、こういうことになるのです。そうすると、給与というものは少なくとも労働の対価として支払われるという考え方もあるわけでありますから、そういう考え方はおかしいじゃないかという指摘もあろうかと思います。しかし、これはやはり従来からの経緯がございまして、期末、勤勉手当の最初にできたときに、その特定日に在職しているということが条件で支給されるということから、漸次この月数がふえてまいったという経緯があって、現在でもそういうことになっております。言ってみれば、すべてが解釈上きれいに割り切れておるという問題ではございません。しかし、給与というものは、本質的にはやはり勤務成績というものがそれに反映されるということは、これは当然のことでございまするので、現在程度の割合で期末、勤勉手当がきまっておるということは、これは当然のことであろう。いま直ちに期末、勤勉手当を一緒にしてしまうというようなことを人事院として考えておるものでもなし、しかし今後の推移でそれがどうなりますか、この問題は今後の研究課題というふうには考えておりまするが、現在直ちにこれを規定しておるものではない、こういうことであります。
  61. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 松野防衛庁長官もお見えになってだいぶ待ちくたびれているかっこうでございますからお尋ねをしておきますが、防衛庁職員給与法改正案が今回提案をされているわけであります。この中で問題点になりまするのは、ただ一点であります。例の退職手当の問題を、旧軍人について二十八年の八月一日から三十二年六月三十日までに新たに就職をした者については、これを通算をして四十年の九月一日から実施をするという内容であります。二十八年七月三十一日現在では、旧軍人の中でそのときに職にあった者は通算をされているわけです。しかしながら、今回新たに二十八年の八月一日から三十二年六月三十日までの間に再就職をした者についてそのような追加規定をつくらなければならない理由、このものについて航空自衛隊の発足等の関係があるということでありますが、これらの該当人員というものがどういうふうになり、そして四十年の九月一日から施行をするという場合と、これを二十八年八月一日にさかのぼって実施をする場合との該当者の数がどういうふうになり、どういうふうな所要金額が必要であるのか、これらの点について説明を願っておきたいのであります。
  62. 松野頼三

    ○松野国務大臣 今回該当して救済される者が、三千二百七十四名であります。漏れております者が五百三十九名であります。金額は十六億五千万円が当法律案によるもの、漏れております五百三十九名に該当するものが二億円でございます。
  63. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 五百三十九名分については、防衛庁としては大蔵省といろいろ話をされたやに聞くのでありますが、これはわれわれが聞いているのでは二億六千万円くらいの数字になるのではないか、こういうふうに聞いていますが、二億円だけでいいわけですか。
  64. 松野頼三

    ○松野国務大臣 村山委員のおっしゃるように、二億六千万円が正確であります。
  65. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この点につきましては、まだいま話し合いがありまするので、これ以上お尋ねをしてはおきませんが、そこで私は、この防衛庁職員給与の上において、一般職公務員と違いまして、いわゆる本俸の中に暫定手当等を入れ込んで、給与体系というものが勤務の特殊性の上から出てきている。この中で、いわゆる暫定手当率というものが、一段階分の兵なり曹の位においては四三%、それから将の最高のクラスにおきましては一五〇%、これはもちろん勤務地によります。勤務形態によって差があるとは思うのでありますが、こういうような方式をとられる方向が正しいのかどうか。私は、やはり自衛隊という勤務の特殊性から考えていくならば、曹であろうが、あるいは尉の位であろうが、佐の位であろうが、将の位であろうが、同じような勤務形態だという形において問題を判断するのはどんな考え方だろうかと思うのでありますが、やはり勤務地というものを中心にして、そういうような暫定手当率というものを考えるべきだという基本的な考え方にお立ちになるのか、この点についてお尋ねをしておきたいのであります。  それから超勤率というものがいまどのようなふうに、この予算の中に計上をされているのか。これも他の一般職公務員との関連において考えていかなければならない問題点でありますが、これらの点について、現在の状況についての説明を願っておきたいと思います。
  66. 松野頼三

    ○松野国務大臣 明確に私もよく存じませんので、その内容についてさらに政府委員から答弁いたさせます。
  67. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 お尋ねのございました第一点の、暫定手当をやはりはずして別に計算をして支給したらどうであるか、こういうお尋ねでございましたが、自衛官は、部隊の新設、改編等がございますし、入港、転属等の頻度が一般公務員に比べますと大でありまして、そのつど給与を書き変えるということがたいへん繁雑であるということから、従来暫定手当としては支給をいたしませんで、これを本俸の中に繰り込むという原則を今日まで守ってまいったわけでございます。  暫定手当の計算のしかたでございますが、これは都会における者もいなかにおける者も全部が一斉に支給を受けたというふうに仮定をいたしまして、その平均額を本俸に繰り入れる、このような計算をいたしております。また、平均額を計算をいたしますのは、平均をして出した率を、暫定手当としてきまりました基準額にかけて計算します。こういう仕組みをとっております。  第二の、超勤を一般職と同じように考えたらどうか、こういう御質問かと思いますが、これは極端なことを申しますと、自衛官は二十四時間勤務である。したがって、超勤もしくは宿日直あるいは夜勤手当といったようなものは、勤務の態様から申しまし三 一括してやはり本俸に入れて考えるべきじゃないだろうか。そこで本俸は大体公安職(一)の同類の俸給額を基準として、それにスライドをさせておるわけでありますが、そういうものを全部含めたものとして一定の調整率をかけて算出をしておる、このようにお考えいただきたいと存じます。
  68. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 現状の説明ではそれでいいのですがね。問題は、私が問題を提起したのに対する見解をお尋ねしたいのですが、いわゆる将補で一〇五%くらいでしょう。それから将の、最高のところで一五〇%、兵は四三%、こういうような暫定手当率というものが勤務の形態によって本俸の中に組み込まれておる。そういうようなのが正しい考え方なのか、それともこれを一本化したほうが正しいのか、これに対してはどういう見解をお持ちなのかということを尋ねておるのであって、超勤率の問題も二二・八%というものが当初出発のころはあった。これが現在どのようになっておるのか、本俸の中にどういうふうにあらわれておるのかということをお尋ねしておるわけなんです。
  69. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 第一点でございますが、これは御指摘のございましたように、全然差をなくして一本化した率で本俸に繰り入れるという原則をとるべきではないか、こういう御意見のように思うのでございますが、一応公安職(一)の対応等級にスライドするという形式をとっておりますので、たとえば将の場合でございますと、将乙の場合には指定職の乙、将丙の場合には行(一)の一ということになりますし、士長あるいは三曹の場合には公安職(一)の六ということになりますので、これに対応させるという原則をとっております以上、やはりどうしても差が出てしまう。したがいまして、士長の場合には〇・四三、将丙の場合には〇・八七、将乙の場合には一・五というような数字になるというふうに私ども考えておるわけでございます。  それから第二点の超勤の率を調整率の中でどういうふうにきめたかという点でございますが、これは当初自衛官の俸給をきめるときに、最初にはじきました調整率の中で超勤をどのように見たかという問題になるかと思われるのでございますが、現在は調整率をつくりますときに、それをその中で超勤分がどれだけか、あるいは宿日直手当分がどれだけかという計算はいたしておらないのでございます。
  70. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 どんぶり勘定ですか。
  71. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 どんぶり勘定ということではございませんで、当初決定をいたしました数値を毎年スライドして使っておるということでございます。
  72. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 率は変わらないわけですね。
  73. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 率は毎年若干ずつ変わってきております。現在は一一・五六%でございます。現在採用いたしております率は一一・六三%、これが一一・五六%に変わっております。
  74. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 下がるわけですね。
  75. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 そうです。
  76. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 じゃ、自衛隊の問題はこれで終わりますが、次に自治省の問題、地方財政の問題について聞いておきたいと思います。  今回、地方財政の赤字対策につきましていろいろな措置がとられたわけでありますが、交付税の陥没分に見合う分につきましては特別金として支給をする、五百億の手当てをする。それから、三百六十八億ですか、いわゆる給与改善に要する資金のうち、交付団体については三百億のいわゆる借りかえといいますか、自転車操業というような形に事実上はなると思いますが、特別交付税の前借り金という形でやっていくのだ、こういうような措置が今回とられたわけであります。その結果、前に前年度は百五十億だったと思いますが、前借りをして、今回また三百億の前借りをする。これが、地方財政明年度好転をするという見通しがつくならばきわめてけっこうなことでありますが、景気の上昇その他から見て、実質的な財源収入というものもなかなか望み得ない、こういうような中において、給与に対して今後どのような措置を考えていくのかということを考えてまいります場合においては、きわめて重大な段階に地方財政は追い詰められていると言わざるを得ないと思うのであります。  そういうような点からいろいろな問題点が出てきておると思うのでございますが、第一に、いわゆる次官通達であったと思いますけれども地方公務員給与改定については、国家公務員給与か今回第五十臨時国会において決定をしなかったから、通常国会に持ち越されたので、しばらくこれが決定するまで見合わせをされたいという旨の通達をたしかお出しになったと思うのであります。ところがこのことにつきましては、地方公共団体の場合には、都道府県でまいりますると、それぞれ国の人事院に匹敵をする人事委員会がある。人事委員会は、都道府県知事に対しまして、給与の改善勧告というものを人事院勧告にのっとりまして例年やるのであります。そしてその原案を知事部局がつくりまして議会に提案をする。たいがい十二月都道府県議会に提案をする運びになっております。そしてまたそういうようなことによりまして、国が法律決定したら直ちに支給をしようというかまえのところと、この法律案が通ろうが通るまいが、国のほうにおいて将来通ることは間違いないのだから、そういうような見通しをつけて、これは今度の県会において処置すべきであるというふうに判断をしたところは、すでにそれぞれの議会において決定をしていると思うのであります。これに対しまして、自治省が出した通達というものは一体何を目的にして出されたものか。それぞれそこには地方自治団体の自主性というものもあります。こういうような点について、その通達の意義づけというものを明らかにしておいていただきたいのであります。それが第一点。  第二点の問題は、今度いわゆる九月実施ということで首相の裁断によって公務員の引き上げが決定をされた。その場合に、たしか条件がついておったようにわれわれは考えるのであります。その中では、いわゆる地方公務員給与の中で割り高なところがある、国家公務員に比較して高いところがある。そのところについてはこれを引き下げて国家公務員のようにすべきであるという一つの見解が示されておったと思うのであります。ところが、われわれが地方に参りまして実態を見てまいりますと、国家公務員に比べても、まあ都道府県や六大都市の場合には若干そういうような傾向があるかもしれませんが、市町村の場合には、とてもじゃありませんけれども、農協職員給与と対比させるようなところさえも今日においてある。いわゆる人事委員会というようなものがないところが大部分でありますから、そういうようなところにおきましては、同じ村の出身者であり、半農半労という形をとっているからというような議会や理事者側の認識等もありまして、非常に低い給与で押えつけられたまま、いわゆる給与の改善勧告がなされましても、それが現実に発動をされるのは、三月の市町村議会あたりにおいてやるところはいいといたしまして、中にはベース改定をしないで放置したままにされているところもある。こういうような問題が片一方においてはあるのであります。そういうような点から考えてまいりますると、一体この地方公務員給与という問題について、高いところを押え、低いところを引き上げるという政策を立てておられるのか。それとも、高いところだけこれをたたいて国家公務員並みに引き下げるのだという形において合理化を要請しようとしておられるのか。この自治省の考え方というものについての見解をただしてまいりたいと思うのであります。  そこで、その二点についてまずお答えを願いまして、今後の地方財政の赤字対策という問題については、さらに自治省の見解並びに大蔵省の考え方というものを尋ねたいと思うのであります。
  77. 大西正男

    ○大西政府委員 お答えいたします。第一の御質問に対しましては、御承知のとおり地方公務員給与につきましては、国家公務員のそれに準ずるということに相なっておるわけでございます。したがいまして、国家公務員に対する措置の終わりませんうちにこれをやるわけにはまいらない、こういう趣旨でございます。  それから第二の問題でございますが、御指摘のように六大都市などにおきましては、国家公務員給与に対して相当大きなといいますか、給与の率が非常に高いものもございます。また御指摘のように町村等につきましては、これよりも非常に劣っておるものももちろんあるわけでございます。その二つの場合におきまして、多いものについてこれを減額しろとか、そういう趣旨を申しておるのではございませんで、適正な措置をとっていくべきである。そうしてまた国家公務員の標準に達しておらない部分につきましては、逐次これに追いつくように措置をしていくように、こういう趣旨でございます。
  78. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 適正な措置をとれとおっしゃるんだが、適正な措置とは一体内容的にはどういうようなものなんですか。
  79. 大西正男

    ○大西政府委員 内容的な問題につきましては、多少技術的にもわたりますから、事務当局から御返答いたさせます。
  80. 降矢敬義

    ○降矢説明員 地方団体の給与につきましては、ただいま政務次官から申されましたように、高いところ並びに低いところの両方につきまして、国家公務員給与に準じてそれを是正するようにということは、かねがね指導してきたところでございます。市町村の給与の問題につきましては、しばしば御議論もございまして、われわれといたしましても、三十五年及び三十九年に局長通達を出しまして、この是正のための措置を計画的に続けていくようにという指導をいたしたわけでございます。また、是正のやり方につきましては、地方団体のそれぞれの運用の実態が千状万態でございまして、われわれとして具体的にどうしろこうしろとかいうようなことを申し上げたわけではございませんので、準ずる方向で努力していただくことを期待して、閣議決定の線に沿いまして、この旨を次官名で通達を出した次第でございます。
  81. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしますと、いつかプラスアルファを出したところについては、交付税を配分するときに勘案をするとか、そういうような強制的な措置というものはおとりにならないわけですね。
  82. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 プラスアルファに対します特別交付税の減額措置は、前年度と同様な措置をとりたいと考えております。これは地方財政現状からいたしましても、また地方公務員法のたてまえからいたしましても、当然そういう措置をとらるべきだ、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  83. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それを聞いているんじゃないのです。私が尋ねたのは、今回、給与の改善の問題で、都道府県あるいは六大都市等で高過ぎるところがある、適正な措置をとりなさいという勧告をされた。それで通達を流された。これは適正な指導をするのであって、これに対する強制的な措置というようなものは考えていないんだというふうに私は答弁から受け取ったんだが、その例として、いわゆるプラスアルファを出したようなところについては、特別交付税の場合に勘案をしたような措置はおとりにならないのだろうねということをお尋ねしたわけです。その点についてどういうような行政指導をされるつもりなのかをお尋ねしておきたい。
  84. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 給与水準の高いところがあることは、事実でございます。その給与水準の高いところにつきまして、国家公務員並みの率のベースアップをさらにやるということ自身についても、実はこの閣議決定の前後におきまして論議がございました。ただ、今回の措置といたしましては、そういうところに足踏みをさせるということまでは考えておらないわけでございます。それから今後の問題といたしまして、私どもは、やはりこれだけ地方団体の財政が窮乏してまいりまして、財源の措置ということについていろいろ国が財源の付与、移譲ということについて努力をいたしてまいります場合に、一方におきまして給与水準が、いろいろの沿革なりそれなりの理由があるにいたしましても、高いというものにつきましては、やはりこれを国家公務員に準ずるような形に順次持っていくための努力というものを重ねていただきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  85. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 地方公共団体の場合には、その職務内容の上から見て、その内容の職にある者を国家公務員のどれに位置づけるかというような問題点があります。それから、これは長い間の労使の間におけるところの慣行というものによってつくり上げられた給与体系でもある。だから、一律に国家公務員の場合に準じてということではあるけれども、そこには特殊性というものが存在をする。しかし、あまりにもこれが格段の相違があるようになってまいりますと、これは人事行政上非常にまずいことにもなる。そこで、そこにはやはり特殊性というものの存在を認めていかなければならないと思うのでありますが、いまのような答弁で、特別交付税等のもらえない、特別交付税でプラスアルファ等については調整をされたような、そういう強権的なことはやらないで、行政指導といいますか、そういうような形においてやっていくんだ、そういう程度でありますので、私はあえて追及はいたしませんけれども、そのような実情というものを見た場合に、ややもすれば、高いところを押えることには非常に積極的になりがちであるが、低いところを引き上げるのに対しましては、行政指導を加えても、いや、おれのところはこれだけでよろしいんだとそこの町村長が言えば、どうにもこうにもしようがない。またそれを取り巻く議会というものは、きわめて非近代的な考え方を持っておりますので、一向にそれが解決されないというようなことが存在をしておるわけですから、私はそういうところに重点を置いて指導を願っておきたいと思うのであります。  そこで、この際、国の財政政策の大転換の結果、国債を発行するということで、いよいよ来年はその本格的な段階を迎えるわけでありますが、公共事業債としてこれを発行する金額は七千億円程度ということで、すでにきのうの大蔵委員会等において一応の説明が大臣からなされているような状況であります。ところが、いままで、地方財政の上から見てまいりますと、交付税等によりまして都道府県あるいは市町村の公共事業に対する財源負担というものかあったわけでありますが、それは陥没をする。おまけに国債というかっこうで事業が拡大をされてまいりますと、勢いそれの裏づけをする財源というものが地方公共団体にはなくなる。したがって、ますます単独事業が食われてくるというかっこうになってまいります。そうして国の補助を伴うところの公共事業に地方自治団体の公共事業は従属をするという形になりかねない状況にございます。そこで、この公共事業の負担増に備えて、自治省では地方団体に特別交付金というものを検討されているやに聞くのでありますが、この問題について、国債の規模によって増減をしていく、そしてまた地方自治団体の財政能力といいますか、財政指数というものに応じて、それらを赤字に追い込まないような、そういうきめのこまかい配慮がこの段階において必要であろうと思うのでありますが、いままで大蔵省と折衝をしてこられたそれらの問題点についての指摘を願いたいのであります。大蔵省の主計局の方がまだ見えていませんし、これは給与課長では答えられまいと思いますので、一方交通になるわけですが、自治省の立場を説明を願っておきたいと思います。  それと、地方財政の赤字対策をめぐりまして、四十一年度予算編成関連をして、自治省は、赤字として三千三百六十億の財源不足が生ずるであろう、こういう見方で折衝をしておられるようでありますが、自治省の見解に対して大蔵省は、財源補てんは一千五百億円程度あれば足りるんだ、こういう見解であるようであります。そうなりますと、自治省の要求をする内容のものと大蔵省の考えているものとの間においてはきわめて大きな食い違いがある。今日の地方自治体の財政というものがどういうふうになっているかということについて、大蔵省が十分の認識をしていないのではないかと思われるのでありますが、これに対しましてどういうような地方財政の赤字対策というものを推進をしていかれようとしておられるのか。これは財政が整ってまいりませんと、給与の支払いという問題に大きな関係が出てまいりまするので、当然それには交付税率の引き上げというような問題も含めて要求をされるべきであろうと思うのでありますが、それがどういうような方向でいまなされているのかということについて、説明を願っておきたいのであります。  なお、この際やはり改善をしなければならない点は、いわゆる補助単価の適正化というような問題点等について、地方団体の持ち出し分というものがきわめて異常な額にのぼっている、こういう点を抜本的に再検討をしなければならない段階にきていると思いますので、この点についても、どのような措置をとろうとしておられるのかということを御説明を願っておきたいのであります。
  86. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 明年度の地方財政対策の問題につきましては、ただいま村山委員御指摘になりましたように、私どもは、現在われわれの手にし得る資料に基づきまして、三千三百六十億の歳入不足を生ずる、こういうことでございまして、現在大蔵省と事務的に数字を詰めておる段階でございます。問題は、早い話が明年度の国税の自然増収、それに伴いまして、たとえば法人事業税、法人税割りといったような地方税の自然増収のワクもきまってまいります。あるいは国税の減税規模によりまして、地方交付税なり法人税割りなり、こういったもののワクというものも左右される。さらには御指摘になりました国債の発行によりまして、公共事業の規模がどれだけ拡大するか、大ざっぱに申しまして、国の公共事業が一〇〇ふえます場合には、地方負担は五〇ふえるわけでございます。そういった比例関係がございますが、いま申しました国税の減税規模あるいは国債の発行の規模等、あるいはそれに伴います公共事業のワクの拡大、こういったすべてのものが、現在ではまだ流動的と申しますか、不確定の段階にございますために、その数字の財源不足額というものが、はたしてぎりぎりのところどれだけに詰まるかということについて、なお煮詰まらない段階にある。これはまあいたし方のないところであろうと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、大蔵省でも二千数百億の財源不足、こういうことはいまの段階でも聞いておるわけでございますので、その辺のところで来年度の地方財政対策をどうするかという問題がございます。国税の減税に伴いまする地方税あるいは地方交付税の減収については、これは完全に補てんをする。あるいは国債の発行に伴う公共事業の拡大に伴いまする地方負担の増というものにつきましても、そのほか経常一般財源の不足というものもございます、こういったものすべてをひっくるめまして、国税の移譲あるいは交付税率の引き上げ、あるいはただいま最後に御指摘になりました超過負担の解消、こういったもろもろの措置を講じまして、地方財政の収支均衡を得る方策というものを講じてまいらなくちゃならない、こういう気持ちでおるわけでございます。なお、超過負担の解消につきましては、大蔵省並びに関係各省がこれは結局その気になってくれなければならないわけでございますので、関係各省に対しましても、予算要求の際に、超過負担の解消ということで補助単価を是正した予算要求を出していただいております。今後の予算折衝の過程におきまして、やはり大蔵省並びに関係各省に対しまして、当初の線に沿ってがんばっていただく、こういうことも再度お願いしなくちゃならない、そういう形で解消を考えてまいりたい、そう考えておる次第でございます。
  87. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は当然給与の改善等の問題につきましても、自治省が地方自治団体の特異な自治法上の立場、あるいは憲法上規定されました地方自治の立場というものの上に立って、それを保護してやるといえばおかしいのですが、そういう地方自治団体側の立場において問題を処理していただかなければならない立場にあろうかと思うのでありますが、通達等にあらわれてくるあるいは特別交付税等の配分において処理するような措置等を見てまいりますと、ややもすれば、やはり下のほうにしわ寄せをするような印象を与えかねない。それで、やはり地方財政を守るという立場から考えた場合には、もう少し永山自治大臣を先頭に大西政務次官あたり元気を出してがんばっていただきたいということを要望申し上げておきたいと思うのでございます。  そこで、これは最後の質問になりますが、安井長官お尋ねをいたします。  これは十一月の十九日でありますか、「公務員の参加は違法」である。「日韓反対デモで政府見解」という記事が出ました。その後、私はこの問題について注意をしていろいろな事情を調べてまいったのでありますが、安井長官が十九日の閣議で報告をした違法行為という内客をずっと調べてまいりますと、これは人事院規則で禁止された国家公務員の政治活動に該当する事項を、政府の見解としてこういうことが公務員法違反であるという角度からまとめ上げられた問題点であるようであります。これが現実に具体的な問題としてあらわれてまいりましたのが、建設省関係の組合の機関紙に対する言論の弾圧のようであります。これは具体的な事実がここに掲げて資料として私の手元にございますが、機関紙だけでなくて、労働省の集会そのものも当局の監視下に置いて、その内容のいかんによっては解散をさせたり停止をさせたりしておる事実がある。この人事院規則の解釈につきましては、人事院はたしか二十八年度であったと思いますが、国会において決定をされたものでなければそれは政策が確定したものとは言えない、こういう見解を発表されたことがあります。もちろんこれはデモに関してではございませんけれども、政治活動に関する問題として出されたかに思うのであります。ところが、最近の安井長官がおとりになった解釈は、いわゆる閣議で決定をしたものは、これは時の内閣考えておる政策となり得るんだ、こういう出発点に立っておるのではなかろうかと思うのであります。そこで、この国家公務員に対します考え方の中から、あなた方が公務員の問題をこういうふうな形で取り上げられた。ところが、文部省は福田事務次官がこれを受け継ぎまして、地方公務員もそういうようなことが違法であるという解釈を下しているようであります。国家公務員国家公務員法適用を受ける、地方公務員地方公務員法の適用を受けるわけであります。その閣議で報告をされた内容、あるいは閣議で決定をされて現実にそのような通達が流された結果、建設省あたりにおいての労務管理政策というものに、そういうふうに機関紙を弾圧をしたりあるいは労働者の集会を当局の監視下に置くような行き過ぎた傾向が出ておると私は思うのでありますが、これについてどのような方向をおとりになっておるのか。公務員に対する団結権の問題、団体交渉権問題等については、いま公務員制度審議会において労働基本権問題等と一緒に論議をしておる最中でありますが、そういうような段階にあるにもかかわらず、このようなことで措置をされようとしている意図は、一体どういうような考え方に基づいてなされているものか、この点について説明を願っておきたいのであります。
  88. 安井謙

    安井国務大臣 公務員の政治活動につきましては、従来人事院が見解を公式に発表いたしておりまして、それぞれの制約があることは御承知のとおりでございますが、なかなかこれがいろいろ解釈上、あるいは古い過去のことであるとかいったようなことで、それぞれ各省所管大臣で十分熟知をしておられない。たとえばデモであればみんないかぬというふうな考え方もあるかと思うと、特定の内閣に反対をする運動も、あるいはこれは場合によっちゃ認められるのじゃなかろうかといったような区々の解釈があるようでございまして、そういうことでは内閣全体として服務規律を正しくするために困るであろうということで、従来人事院が明確に出しておりまするこの政治活動の禁止事項を列記したものでございまして、それ以上の何ものでもないわけでございます。したがいまして、ここではっきりと違反と認められるものにつきましては、たとえば特定の内閣を打倒するとか、あるいは特定の政党を支持するとか、そういうような活動は明らかに公務員法違反になるんだ、そういう点を明示したわけでございます。
  89. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 さっき人事院に私は尋ねたのでありますが、人事院は昭和二十七年、破防法審議の際に、国会で議決をされなければ政策とはなり得ないという解釈を表明したことがあります。閣議の段階決定をされた。たとえば日韓条約反対。日韓条約を批准をするということを決定する、そうして国会に提案をする、その段階においては、これは政策としてこの人事院規則の制約を受けるものなのかどうか。あるいはたとえば佐藤内閣打倒、このことは特定の内閣ということになりましょうが、自民党の反動内閣という形において表現をしたものは、これは一体どうなのか。あるいは憲法に定めます請願権は、公務員であろうが、国民の一人として奪われることはできないいわゆる基本的な権利であります。そういうような請願のために国会に行く。こういうようなためにデモが構成をされる場合もあり得るわけです。請願デモというのですか、こういうようなものについて規制をしようという考え方があるのか。これについては建設省関係が一番先走りをするようでありますが、いわゆる機関紙の中にそういうような特定の内閣に対する反対の内容があったから、もしそいつを削らなければこれは回覧にすることはできない、あるいは掲示することは許さない。もしそれを持っているならばすみやかに差し出せ。もし差し出さないんだったら、机の中を検査をする、こういうようなところまで非常に強い当局側の態度でこれを強制をしようとしている。一体そういうようなことを企図してあなたはやられたものなのか。一体どういうようなところからこの問題を提起されたのですか。
  90. 安井謙

    安井国務大臣 先ほど申し上げましたように、いろいろと解釈がこの内閣の中で、それぞれの主管責任者で不統一であっちゃいかぬということで、従来明らかにされております条項をここへ列記して明らかにしたわけでありまして、いま御指摘の佐藤内閣打倒ということを目的として、これがデモ、あるいは集団行動、文書の公示、そういったような行動になれば、これは明らかに違反でございます。また、自民党内閣打倒、これもやはり違反のうちに入ろうかと思います。しかし、保守政策反対という一般的な主張のものであれば、これはそのときの状況、服務規律やその他の状況から照らして判断されるべき性格のものになろうかと思っております。
  91. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御承知のように、政治活動規制の人事院規則は、これは罰則がついておりまして、三年以下十万円未満というような……。したがいまして、その解釈につきましては、われわれとしては非常に慎重に臨んでおります。したがいまして、また軽々しく従来の解釈を変えるということは差し控えるべきではないかという立場でおりますから、たとえばさっき御引用になった安保のときの通牒——通牒といいますか、とにかく解釈運用がございます。それで、これは今回もその趣旨でやっていきたいと考えておるわけであります。しかし、憲法の趣旨からいえば、公務員は全体の奉仕者であり、全体の奉仕者は政治的には当然中立でなければならないということでありますから、とにかく公務員各位は政治的中立性を疑われるようなことはなさらないように大いに自重をなさるようにお願いしますということを、組合の方などにお会いするたびにたびたび言っておるわけであります。人事院規則の中の解釈としては、やはり罰則のあるものは厳格な態度で臨むべきであるという気持ちでおるわけであります。
  92. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 やはりこれは行政罰として科するという形の中で、そういうようないわゆる懲戒処分以上のものが、刑法上の罪に問われるような形のものが人事院規則の中にあるわけですね。そういうような点から考えてまいりますと、これはきわめて重要な問題であります。そうして、たとえば公務員の勤務時間外の行動にまで政府が制約を下し得るかという問題も、問題点がある。あるいは物価値上げ反対というような、時の生活につながる生活権を守らなければならない問題が出てくる。そういうような場合には、物価値上げ反対の旗を立ててデモ行進をやらなければ、物価の上昇に伴って給与改善の勧告がなされても、その勧告どおりになさないような政府の実体なんです。みずからの生活を守らなければならない。そういうような公共料金の値上げ政策とか、物価の値上げ政策とかいうようなものが起こったら、これは当然そういうようなことにおいて反対運動があり得ることは事実であります。そうして、またそれが労働者の一人として、公務員はきのう佐藤総理労働三権が原則的に認められるべきなんだという見解を出しておるわけなんですが、こういうような点については、もう少し慎重に、私は、ただ単なる解釈の統一をやっただけであるというのであるならば、それはわからないのでもないですが、現実にそういうような閣議の決定といいますか、閣議の申し合わせといいますか、それに基づいて、具体的には各国家公務員のいわゆる職場において、そのような問題が出ておる。その点をやはり御留意願いたいのであります。非常に行き過ぎた問題が発生をいたしますと、これは憲法上の国民の権利というものとの関連性が出てくるわけでありますので、この点については行き過ぎの出ておるものにつきましては、十分に御留意を願っておきたいのであります。  それから、こういうような問題が出ると同時に、公務員制度審議会における問題が、問題点の論争が重要な段階といいますか、デリケートな段階に入るというようなことで、事実上は年を越した。そうして来年でなければ開かれないような情勢が、生まれておるようであります。この中においては、すでに公務員制度審議会に付託をした公務員団体交渉権問題等も、当然出てくるわけでありますが、これらの問題をめぐる見通しについて、どういうふうに考えておられるのか、これを御説明を願っておきたいのであります。  それから私は、こういうような重要な公務員労働基本権に関するような問題を審議会等にゆだねて論議をしておる中においては、あなた方が公務員の政治活動の禁止条項を人事院規則に書いてあるからといって統一解釈というような形でお出しになるのは、労務管理に対する政策の面をめぐる佐藤内閣の政治の姿勢のあり方について、どうも佐藤内閣給与も十分に措置しようとしない、反面においてはわれわれを弾圧をしていくんだという政治の姿勢を示しているじゃないか、こういうようなことに公務員に受け取られることになるわけでありますが、こういうような点から考えましても、これらの労働基準権並びに国民の基本的な権利に関する問題については、十分な、慎重な取り扱いをされるほうがいいのではないかと思いますが、その点について安井長官の見解をお尋ねをしておきたい。
  93. 安井謙

    安井国務大臣 御指摘のように、この公務員のいわゆる政治活動と申しますか、行動について、非常に行き過ぎた規制をしようというつもりは、実は毛頭持っておりません。先ほど人事院総裁も言われましたように、公務員の特殊の身分というものから見まして、これらは好ましくないというようなことも個人的に考えられる面もございますが、たとえばいまの保守党内閣といいますか、現実の内閣が掲げておる政策全般で公務員が集団的に反対をするということは、これは私ども個人的に必ずしも好もしいとは思いませんが、しかしながら、物価値上がり反対といったようなデモに参加をしたからといって、これが時間外で、正当な時間以外の自由行動の時間であるならば、そういうものを処分しようというようなことは、毛頭まだ考えておらぬわけでございます。そういう点をむしろ明らかにするために、せんだってのこの報告事項といいますか、閣議で申し合わせましたことは、そこらの区分をむしろ明確にして、そうして全体としての公務員の姿勢を正しくしていただきたい、こういうつもりで考えておるわけでございます。  それから公務員制度審議会の問題につきましては、御説のとおりまだなかなか本論に入るところまで参っておりませんが、それぞれの立場から、前回の審議会におきましては、それぞれのお立場の御意見というものについてはかなり詳しい突っ込んだ交換がなされておるような次第でございます。見通しはどうかというお話でございますが、私どもは、この公務員制度審議会の運営自体は審議会御自身におまかせをする、ただ政府として諮問をいたしております事項は、御承知のとおり公務員労働の基本に関する事項全般、これを全体としてお願いをしております。審議会でお取り上げになっているということになれば、いろいろ団体交渉権の問題、団結権の問題といったようなものもあるいは出てくるんじゃなかろうかと思いますが、個々の問題につきまして政府は一々指定をして申し上げておるわけではございません。ただ、例のILO八十七号条約のいわゆるたな上げ部分といいますか、この追って施行の期日を指定する部分というものにつきましては、これはおのずからタイムリミットがあるのでありますから、その部分については早急な御答申を願いたい、こういう趣旨をつけ加えまして、あとは自由な審議会の御審議を願う、こういうつもりでやっております。
  94. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私はこれで終わりますが、この給与勧告の時期を予算編成問題等につきまして、自治省の試案というものがたしか出されているようであります。これは正式の自治省の試案であるのかあるいは一部局の見解であるのかわかりませんが、これは予算編成の上においての一応の見通しを与える意味においてやったんだというような話も聞くのであります。しかしながら、この問題の処理の方向というものを考えてまいりまするならば、公務員制度調査室あたりで十分検討を願ってはおると思うのですが、結論が出ていない。あるいは人事院においても、この時期の問題なりあるいは予算編成との関連における処置をどういうふうにしたらいいのかということについても前向きで検討をする方向はおとりにはなっておるようだけれども、まだどうしたらいいという結論は出ていないようであります。  そこで、先ほども角屋君のほうからも、あるいはそのほかの人たちからもお話がございましたが、毎月の勤労統計というものをここ四、五年間の状況を見てまいりますならば、いわゆる民間の給与の上昇率というものは、好況、不況にかかわらず、大体五%前後は上昇をしているという事実がはっきり客観的に証明ができるわけですね。そういうような問題をとらえて予算編成の中において考えていくという方向、やはり公務員給与政策の上からこういうふうにわれわれとしては思考をするのだというものが、当然私は労働政策の中において賃金政策の中には出てくるのではないか、そういうような方向を立てられるのが予算編成における国の、政府の責任ではなかろうかと思うのであります。公共企業体の三公社等の場合は、たとえば四百億近い財源がこの予算改定において必要であるといっても、それが自分たちの特別会計の中からやりくりができる。それはどこに原因があるかというと、退職金の中にそういうようなものが含まされて入っているというようなやり口もあるわけですね。そういうような点を考えていく。あるいはその翌年度予算の中で処理して、一時金払いという措置もとれるでしょう。そういうような何らかの措置というものが、これはやり方によっては考えられ得る方法であるし、また事実の問題として処理しようと思う意思さえあれば、これは可能だと私は思うのであります。この点については前向きの形で処理していただくように、うしろ向きの形でもう民間賃金とのズレが一年の分が二年になったりするような形の中で処理されたのではたまらないわけですから、そういうような点から、公務員給与の担当大臣としていままでも努力を願ったわけでありますが、今後その点はさらに御努力を願っておきたいのであります。  それから先ほど出席要請をいたしておりました大蔵省は、主査が出席をされているわけでありますが、もう質問の時間をはずしましたので、この際要望だけを申し上げておきたい。委員長に要望をしておきたいと思いますが、少なくとも給与の問題、財源問題等について話をし、質問をしようと思う場合には、主計局長あるいは主計局次長あたりに出席を願いたいということで出席要請をしたのでありますけれども、ただ主査が一人で出席をするというようなことでは、この委員会における論議か十分できない。したがって、今後はこういうようなことがないように、われわれが三名の次長制の採用をこの委員会で決定したわけでありますが、そのときには、国会担当のそういうような次長も必要であるという提案の理由に賛成をして、その機構改革に賛成をした立場があります。ところが、そういうのにもかかわらず、委員会に出席ができないというような状態では、これはまさに国会の権威を冒涜するものである、そういう立場から、ここに見えました主査の人は、帰りましたらそのことを厳重に報告を願っておきたいのであります。その点は委員長で、今後において十分な措置がとれるような方向、取り計らいを願っておきたいのであります。その点だけ委員長に要求をいたしまして、あとは地方財政問題等につきましては、また大蔵省にそれぞれ要求をする立場があろうかと思いますので、私の質問はこれで終わります。
  95. 岩動道行

    岩動委員長代理 ただいまの村山君の御要望に対しましては、委員長より適切なる注意をいたすことにいたします。  この際、関連質問の申出がありますのでこれを許します。田口誠治君。
  96. 田口誠治

    田口(誠)委員 政治活動の関係でいま質疑応答がされたのです。そこで確認をしておきたいと思いますが、政治活動の規制に対しての問題は、これは単なる規則をそのまま強く徹底をさして自由を縛るというようなことは困ると思いますので、この点については従来の慣行もありますので、相当研究していただかなくてはならないと思います。そこで、一つ確認をしたいことは、推薦はよろしいですね。特定人の推薦はよろしい。それは答弁できませんか。
  97. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 推薦というのは……。
  98. 田口誠治

    田口(誠)委員 選挙のときの推薦ですよ。政治活動の関係でいま質問しておるのですからね。政治活動の禁止をされておるけれども禁止されておるという御答弁がいまいろいろございましたが、特定の人を推薦する場合はよろしい、こういうことなんですか。それはよろしいのでしょう。
  99. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 選挙法のことはちょっと私忘れました。選挙法の関係のことは別として、いまの人事院規則の面からいいますと、「特定の候補者を支持し」というのがありますけれども、ただ推薦するだけのことで「支持し」に入るかどうか、ちょっとはっきりここで責任あるお答えはできません。「支持し」ということばがあるだけです。
  100. 田口誠治

    田口(誠)委員 それではぼくのほうから申し上げますが、推薦はよろしいのです。推薦がいけないということになったら、一つの町内が特定の人を推薦する場合に、町内の構成員であるわけです。その人を除くということになったら、これは八分ですよ。そういう取り扱いがなされるので、人道上の大きな問題であるから、この推薦ということは活動という面からはずされておる。このことをあなたのほうでしっかり答弁できなければ、私のほうから申し上げておきます。
  101. 岩動道行

    岩動委員長代理 午後三時三十分から再開することとし、この際休憩いたします。  午後二時四十三分休憩      ————◇—————  〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕