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1966-06-16 第51回国会 衆議院 逓信委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月十六日(木曜日)    午後一時三十一分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 内藤  隆君    理事 畑   和君 理事 森本  靖君       綾部健太郎君    小渕 恵三君       木部 佳昭君    志賀健次郎君       徳安 實藏君    服部 安司君       南  好雄君    片島  港君       中井徳次郎君    佐々木良作君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         郵政政務次官  亀岡 高夫君         郵政事務官         (大臣官房長) 鶴岡  寛君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君         郵政事務官         (電波監理局放         送部長)    館野  繁君  委員外出席者         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 六月十一日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  受田新吉君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として佐  々木良作君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月十五日  放送法の一部を改正する法律案等反対に関する  請願松井政吉紹介)(第五三七四号)  同(森本靖紹介)(第五三七五号)  同(安宅常彦紹介)(第五三七六号)  同(畑和紹介)(第五四二五号)  同(原茂紹介)(第五四二六号)  同(前田榮之助君紹介)(第五四二七号)  同(加藤進紹介)(第五四五七号)  同外四件(栗原俊夫紹介)(第五四五八号)  郵便物の日曜配達廃止に関する請願(林百郎君  紹介)(第五四五六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  この際一言申し上げます。  電波法及び放送法の一部を改正する法律案審査のため、去る十三日愛知名古屋市に委員を派遣して現地調査会開催し、各界の識者から意見を聴取いたしましたので、この際便宜上私から簡単に御報告いたします。  派遣委員は、団長の私のほか佐藤洋之助君、志賀健次郎君、木部佳昭君、森本靖君、畑和君及び受田新吉君であります。  現地調査会は、午後一時より名古屋市内愛知文化会館会議室において開催し、私からあいさつを行なった後、派遣委員及び意見陳述者紹介並びに議事運営順序等について説明した後、三重婦人連絡協議会会長岩下かね君、日本放送労働組合中部支部放送対策部長江口芳夫君、三重開発公社理事長奥井亮三郎君、名古屋大学文学部助教授竹内良知君、日本碍子株式会社社長野淵三治君及び愛知地方同盟書記長村山一之君、以上六名から参考意見陳述を聴取した上、質疑を行なったのでありますが、その詳細は速記録によって御承知願いたいと存じます。  なお現地調査会は、名古屋郵政局その他の地元関係機関等多数の御協力によりまして、きわめて円滑に行なうことができた次第であります。この機会に関係者各位に対し深甚の謝意を表する次第であります。  はなはだ簡単でございますが、以上をもちまして私の報告を終わります。     —————————————
  3. 砂原格

    砂原委員長 この際おはかりいたします。  ただいま委員派遣の御報告で申し上げたとおり、名古屋における会議記録は後ほどできてまいりますが、この記録会議録参照として掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。   〔現地調査会記録本号末尾に掲載〕
  5. 砂原格

    砂原委員長 この際、都合により暫時休憩いたします。    午後一時三十四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕   〔参照〕    逓信委員会現地調査会記録     ————◇————— 一、期日及び場所  昭和四十一年六月十三日(月)  名古屋市(愛知文化会館) 二、案件  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第一一六号)  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第一一七号) 三、出席者  (1)派遣委員          団     長           (逓信委員長) 砂原  格君                   木部 佳昭君                   佐藤洋之助君                   志賀健次郎君                   畑   和君                   森本  靖君                   受田 新吉君  (2)政府側出席者          郵政政務次官   亀岡 高夫君          郵政省電波監理          局長       上田 弘之君  (3)意見陳述者     (発言順)          三重婦人連絡          協議会会長    岩下 かね君          日本放送労働組          合中部支部放送          対策部長     江口 芳夫君          三重開発公社          副理事長     奥井亮三郎君          名古屋大学文学          部教授      竹内 良知君          日本硝子株式会          社社長      野淵 三治君          愛知地方同盟書          記長       村山 一之君     —————————————    午後一時八分開会
  6. 砂原格

    座長砂原委員長) これより衆議院逓信委員会現地調査会開催いたします。私が委員長砂原格でございます。申合せによりまして、私がこの会議座長をつとめますので、よろしくお願いをいたします。  まず、私から派遣委員を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。この会議におきましては、内閣提出にかかる電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案について、各界代表者の御意見を伺うことになっておりますが、御意見をお述べいただく前に、この会議開催並びに運営方針等について申し上げたいと存じます。  この会議は、先ほど申し上げました電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案審査参考に資するために、委員会成規手続によって当地における各界の御意見をつぶさにお聞きするために開催されるに至ったものであります。  同法案は、放送その他の分野における電波使用発達と、電波監理実績にかんがみ、周波数計画的使用並びに放送の健全な発達をはかる等の趣旨に基づいて、放送局免許基準及びその手続整備あるいは国内放送の体制、放送番組編集、協会及び一般放送事業者に対する事項についての規定整備等を行わんとする改正案として、去る三月十五日内閣より衆議院に提出されたものでありますが、国民生活に不可欠とも言われるテレビラジオ放送等に関する重要議案でありまして、本会議における趣旨説明の後逓信委員会に付託され、目下当委員会において鋭意審査中のものであります。御意見陳述くださる方々には、本日は御多忙中のところ、この会議に御出席くださいましてまことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。以上の趣旨をおくみ取りくださいまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようにお願いいたします。  それでは、まず本日の出席者を御紹介いたします。私の右側に自由民主党の佐藤洋之助君、同じく志賀健次郎君、同じく木部佳昭君、私の左側が日本社会党森本靖君、同じく畑和君、民主社会党受田新吉君であります。なお郵政省よりは亀岡政務次官上田電波監理局長出席いたしております。  本日各界を代表して意見を述べていただく方々を御紹介申し上げます。向って右側から三重婦人連絡協議会会長岩下かね君、三重開発公社理事長奥井亮三郎君、日本碍子株式会社社長野淵三治君、名古屋大学文学部助教授竹内良知君、日本放送労働組合中部支部放送対策部長江口芳夫君、愛知地方同盟書記長村山一之君、以上の方々でございます。  次に、出席されております方々に、あらかじめ申し上げておきますが、この会議運営につきましては、会議開催要領理事会において決定し、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則議事手続に準拠して行なうことといたしております。つきましては、議事の整理、秩序の保持は、団長である私が行なうことといたし、傍聴者につきましても、報道の任に当たられる方々、その他の方々で、特に団長許可を得られた方々のみこの会議場にお入りになっているわけであります。傍聴方々もその点を御了承の上、静粛にお願い申し上げます。  なお念のため申し上げておきますが、発言される方々は、必ず座長の許しを得て発言をしていただくこととしております。  また、この会議において御意見陳述される方々は、委員に対しましての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願います。  次に、会議順序を簡単に申し上げますと、まず、各意見陳述者から順次御意見をお述べいただき、そのあとで、委員の側から質疑を行なうことになっております。したがいまして、時間の関係上、御意見陳述の時間はお一人おおむね十分程度にお願いいたしたいと存じます。また、発言順序座長においてきめさせていただきます。  それでは岩下かね君からお願いいたします。
  7. 岩下かね

    岩下かね君 放送法が初めてわが国に制定されましたのが、昭和二十五年と聞いております。その間、十年間民放は特に大きな成長を続けております中に、この十年間の法の一部改正は、いわゆるその場的な、こう薬ばり的な改正しかなされていなかったやに受け取れるのでございます。そして昭和三十七年にいわゆる法の改正についての審議会と申しますか、そこに諮問され、そしてその諮問委員会たるや二年町にわたって五十数回の会合をなし、そして昭和三十九年にその答申が出されましたように承っておるのでございます。そして以後今日に至るまで、一応二年余りの、議会に本法案が提出されるまでの期間に、私たち特に社会教育関係いたします者は、今日のマスコミ特にテレビラジオの今日日本的な問題となっております青少年不良化、あるいはあらゆるマスコミの無責任の姿に、われわれは口を開けば何とかしてもらわなければというのが、私たちのそうした場における話し合いでございました。したがって私は、今回出されましたこの一部改正が遅きに失したのではないかとすら思うものでございます。したがって、今回の改正に私が特にこれから申し述べます点について規制をされましたことについては、特に賛成の意を表するものでございます。  その内容に至りまして、はっきりとNHK民放のお仕事が明確になったと申しましょうか、そういったものがまず言えると思うのでございます。またさらにただいま申し上げましたように、こう言ってはまことに失礼ではございますが、特に私たち問題にいたしておりますのは、民放には商売的なマスコミが多過ぎるのではないかと、そしていたずらに言論の自由、そういうものを私も尊重するものではございますが、しかし私は自由というものは責任の上に立って守らなければならないと承知いたしておるものでございます。そういう意味において、放送番組編集という問題につきまして、特に今回準則を定められましたことは、これは当然の措置だと思うのでございます。二年ほど前になりますが、ある大新聞は現在のマスコミをもって一億国民総白痴とさえ言われたような現状であったと思うのでございます。  またこのなかにありまして、この番組編集の中で、今回第三条の二で第六号まではっきりときめられたということについては、特に私は当然であると思うのでございます。また今回の放送世論調査委員会というものをつくられたということについて、広く放送内容について、この番組の推賞、またあるものによっては必要な勧告をする、そして放送事業者はこれを尊重して必要な措置をしなければならないとまできめられたことに対しては、私敬意を表する次第であります。またさらに身勝手のことを申し上げれば、現在の民放におけるマスコミの量が多過ぎるのではないか、またこれが放送についても全くその気分をこわすようなところまでマスコミがいっている点について、私諸外国の例を聞かせていただいておりますときに、特にそれを何とかならないものかということさえ感ずるものでございます。またさらに申し上げますなれば、一応中立国として有名な、また私たち見習うべきだと思うスイスにおきましても、スウェーデンにおきましても、文部省から視察に参りましたときに、そのテレビラジオ放送時間に、こういう時間にはこういうものを出さないというところまで規制されておるということを聞きましたときに、日本の自由というものが、ほんとうにわれわれはうれしいのやら、あるいはこれでよいのかということさえ感じたくらいでございます。そして今回さらにいえることは、NHKのみ国会放送を行なうという点においては、NHKのその内容において日本の信用を得るところの立派なものであり、そして中正、公正なものであるということを裏づけられているようにも感じられて私はけっこうだと思うのです。  そしてさらにNHKの中にあります経営委員会でございますが、これの組織において私は地方をはっきりと八つに仕切って、その中で必ず得られなければならないということについては同意はしかねるのでございますが、しかし全国的な方が四人、そして地方的な人が八人ということは守り抜いていただきたいのでございます。また申し上げるならば婦人を入れるということを忘れないようにするということ、これを活用して委員会人選については何とか好ましい姿にしていただきたいと思うのでございます。  そしてさらに申し上げたいことは、よく申しますごね得というようなことのないという意味におきまして、NHKというものに対しまして現に私たちの使っておりますテレビあるいはラジオに対しまして、これが聴視することができる設備を設置したものは払わなければならないとはっきりきめていただいたということは、これは私はけっこうだと思うのでございます。そしてさらにNHKにおきまして教育番組をやらなければいけないと、これも私は大いに敬意を表する次第でございます。それこそ文部省にこだわることなく、教育中正をあくまでもNHKを通して私はりっぱにやっていただきたいということを思うものでございます。  そしてさらに民放に対しまして、いわゆる許可制度というものを、私薬剤師でございますが、国家的な免許をいただきながらも、開業いたしております今日、私たちは毎年毎年更新をいたすのでございます。したがって、人の命をあづかり、あるいは国家的な大事なお仕事をするならば、私は三年の更新ということは当然ではないかと思うのでございます。そういうことをいろいろ考えてまいりますときに、ただいま申し上げたような今日の日本の姿をながめますときに、私は今回の改正に対しまして、全面的に賛意を表するとは申し上げませんが、私たちが常に痛感しているところに十分に触れていただいたとは申し上げかねますが、しかしいまやらなければならない、いま一番念を要することにおいて、この法律案が出されたということに、私は敬意を表するものでございます。  以上時間がまいりましたので、終わらせていただきます。
  8. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  次は江口芳夫君にお願いいたします。
  9. 江口芳夫

    江口芳夫君 きょう出席公述人方々の中では、私が一番長い肩書でございますけれども公述が終わりましたらすぐ現場に帰ります。私はアナウンサーをいたしております。十二年にわたって地方局を中心に回りまして、おもにローカル番組をなるべく地元の方と密着するように、よりよいりっぱな放送をするように心がけてまいりました。今日公聴会出席するに当たって、同僚たち放送記者、カメラマン、プロデューサーの同僚たちと一緒に話した結果、結局今度の改正案の中で第転写第一条の教育目的追加の項、放送に関する通則のいわゆる編集権といいますか、放送番組編集の、自由に関する編集準則追加、五号、六号のところ、さらに第三条の五にあります放送世論調査委員会設置のところ、最後に時間の関係三条にとどめますが非常の場合の放送のところは一番関心を持っております。  まず国内放送放送番組編集等という現行法四十四条準則が、改正では三条の二にあげられまして、これまでの四つの項目のほかに、いわゆる暴力追放暴力否定の項と青少年対策の二つがあげられております。たとえば暴力のほうは編集準則の一にあがっております公安及び善良な風俗を害しないことという、いわゆる公序良俗の規定の中に私は含まれていいのではないかと思います。あえてこれを独立させる必要はないのではないかと思います。六の項目については地元愛知県の実情を申し上げて御参考にしていただきたいと思うのですが、いわゆる青少年対策というのは、青少年非行が非常にふえているところから、取り上げられているように思います。特に青少年犯罪青年非行激増ということがたびたび言われておりますが、これは愛知県の場合は集団就職青少年が非常に多いところでございまして、年間五万人ずつふえて、現在青少年人口がざっと百万ちょっとと言われておりますが、愛知県の警察本部少年犯罪統計で見てみますと、昭和三十五年と昭和四十年を比べまして、一般刑法犯特別法犯罪を合わせますと、三十五年が五万二千件だったのが、六万二千件に四十年はふえております。これをそのまま見ますと、たしかにふえておりますが、問題は私はその内容ではないかと思います。一般刑法犯といういわゆる凶悪、粗暴、窃盗、風俗知能犯というようなものの増加の率は非常に少なくて注意すべきなのは交通事故による業務上過失致死傷特別法犯罪道交法違反が全体の八五%を占めているということです。愛知県の人口が六十万人ふえ、青少年人口がふえ、都市集中化が行なわれ、そういう中できた青少年たちが、ほんとうに世上言われているような青少年犯罪激増という形では、私いろいろ取材に当たって青少年たちに聞きますと、そういう形でとってもらっては困る、もっと僕たちを明るい方向可能性のある人間としてとらえてほしいという声を、取材に当たってよく聞きます。  ですから、放送法のなかの教育目的追加とか、青少年犯罪をなんとか食いとめるといいますか、非行化を防ぐ意味青少年対策の条項をあげるのは、私は本筋ではなくて、なんか放送法の中にあげることは、先ほど岩下さんもおっしゃったように、傷口にばんそうこうを張るような点があるのではないか、騒音防止対策として騒音発生源対策をもってこなくて、被害を受けた人たちに耳に栓をしなさいという形で、青少年対策を取り上げては、私は日本として筋が合わないような気がするわけです。むしろ集団就職をした青少年労働力としてだけ受け入れられて、何か人間としてのあたたかみが欠けているような、今の労働力事情の問題といいますか、それから都市に健康なリクリエーション施設が少ない、生活環境施設が少ない、お金を出して遊ぶ盛り場はあるけれども青少年集会所は非常に少ない。そういう面から青少年の問題をとらえていただきたいと思います。  そういう意味におきまして、放送法でこういう義務づけを行なうような方向には、放送現場で働きます私どもは非常に番組がつくりにくくなるということをみんなが言っております。それと同じような意味で第一条の放送目的追加も、放送法一条のそのほかの三つの項目の中に含まれてあえてここで放送教育目的をあげることはない。これまでのところでよいのではないかというふうに考えるわけです。  放送世論調査委員会設置につきましても、いろいろ具体的にどのように運営したらよいか、人選の問題とか予算上の問題とか、そういうことはないと思いますけれども、検閲の強化になるというようなことがあっては、私ども現場としては非常に困るという意見が多うございました。特に放送世論調査委員会の中の番組編集に関して必要な勧告ができるような権限強化規定には賛成できません。  次に、非常の場合の放送の問題ですが、どうもこれは災害放送に私共当たっておりまして、納得できない面がございます。台風や水害があるというときは、家のこと、家族のことはなげうってというと、非常に弾圧的になりますけれども、これは私ども報道機関社会的責任であるということで、多少は危険をおかして河を渡って災害現地に行くこともあります。数字をあげて申し上げますと、これはNHKの場合ですが、東海北陸放送局で昨年八月下旬から九月下旬までの台風十七号から二十四号のために平時の、ふだんしなければいけないローカル番組のほかに、合せて百二十九回、二十五時間にわたる台風関係番組をいたしました。それからもっとも被害の大きかった台風二十四号について名古屋の局での数字を見ますと、平常の一日平均ローカル時間がテレビで一時間三十分なんですが、名古屋の局は愛知県、三重県、岐阜県の三県をカバーしておりまして、名古屋では十七回、七時間にもわたってテレビ放送をいたしました。ラジオのほうは一日平均ローカル時間が四時間六分ですが、二十四号の際は九時間四十七分の放送をいたしました。たとえば各県知事から現地放送局にあてた感謝状の中に、この改正法律案の文章と非常によく似ているところがたくさんあるわけです。たとえば北福井県知事からは、災害応急対策に、推進され貢献されたという表現、吉田富山県知事からは的確な情報の収集と徹宵の放送活動のために、災害地における人心の安定と、その対策活動に寄与された功績——こういうのを読み上げるのは大変おこがましいですが、松野岐阜県知事からは罹災民心の安定をはかって被害最小限度に食いとめたという、こういう感謝状の写しがあるけれども、私ども災害放送というのは、放送法にあえて規定する必要はないと思います。これはNHK民放を問わず、実績をお調べになれば明らかであろうと思いますけれども、なぜその当然であることをあえて法文化しなければいけなかったのかということになりますと、この電波法ではかなり詳しく規定してありました七十四条の規定三条の六では災害その他非常事態というふうに、非常にあいまいになっておる。そうすると、非常事態という解釈のもとでは、また別のものが登場してくるのではないかということを心配するわけです。そういう意味災害放送規定にしても、これは賛成できません。  以上私は現行放送法が十分であるなどとは決して申しません。やはり放送事業発達なり、なかんずく、技術の発達に伴う周波数の分配、使用計画などにつきましては、やはり改正すべき点はあろうかと思います。ただ言論機関として規制といいますか、倫理規定最小限にとどめなければ、戦時中の言論、日放がたどった運命をたどらないという保証はないと思います、現場で働く立場で、公正な良心的な番組がつくれなくなるような心配があるという声が圧倒的多うございます。やはり言論機関は自主的なあらゆる思想から自由であり、あらゆる行政機関から独立しているというところに、言論機関のやはり意味があると思います。自由は絶対的な自由とは私申しまんせけれども、そういう最小限にとどめるべきだと思います。どんな立派な番組をつくっても、一監督官胸一つでブザーが鳴って放送できなくなった戦時中の暗い思い出を繰り返したくないとおっしゃった、先日退職した先輩がありますけれども、私どもそういった意味合いを含めまして、言論統制にならないように、そういう心配がなければよいですけれども、そういう保証がないわけですから、やはり教育目的の強調、放送番組編集準則追加非常事態の場合の放送規定などいずれも番組規制強化のおそれがあるという意味で原案に反対いたします。公述を終わらせていただきます。
  10. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました引続いて奥井亮三郎君にお願いいたします。
  11. 奥井亮三郎

    奥井亮三郎君 私は平素、放送関係仕事をしておるものでもございませんし、特に研究をしておるものでもございません。本日は茶の間で一聴取者としてラジオを聞かしてもらったり、テレビを見せてもらっている者の立場から感じたことを申し上げてみたいと思います。  放送法が制定されましてから約十五カ年になるそうでありますが、その間民放におきましては、すでに五十九社を数え、また聴取者公衆も、ほとんど国民の大部分がテレビラジオを持っておるというように、急激な発展を遂げまして、国民の教養向上のためにも非常に役立ったことと考えておりますけれども、一方、この急激な発展の過程におきまして、いろいろ弊害なり、非難と申しますか、そういう世論が出てまいりまして、こういう際に放送法の相当大幅な改正をせられますということは遅きに失したうらみはございますけれども、臨時放送関係法制調査会等のご努力によりまして、それに基づく原案を作成され、早急に制定されようとしておりますことは、まことにけっこうなことだと思うのであります。順次、法の順序に従いまして、感じておることを申し上げたいと思います。  第一は、第二条の二におきまして、全国のいかなる地域でもラジオテレビ放送NHK民放を問わずそれぞれ二つ以上の受信ができるようにすることを国の施策の目標としておるということがございますが、この目標を達成しますためには、NHKにおかれましては、速かに僻陬の土地におきましても受信ができますように、中継局等の整備を急がれたいと思います。また、一般放送事業者放送局につきましては、その地域地域の自然的、社会的条件に即して開設できるようにいたされることは当然のことであると思いますけれども、しかし、単に電波が僻陬の地に送られまして、受信ができるという物理的条件が整っただけでは意味がございません。その放送内容がその地域にマッチした、ローカル的色彩の豊かな放送がされることによって初めて意味があると思うのであります。こういう点から考えますと、法にもございますように、一都道府県一放送局の原則は速かに貫かれたいと思うのであります。近くの例を申し上げますというと、三重県におきましても、三重県の一部はもちろん名古屋の近くでありまして、名古屋民放なり、いろいろな放送によってまかなえると思いますけれども、大部分の地域はやはり相当独自の特殊性をもっておる地域でございますので、こういうような例から申しますと、やはり一都道府県一放送局の原則はNHKにおかれましても、民放事業者におきましても、すみやかに貫かれるよう御配慮いただきたいと思うのであります。  それから次には、放送番組編集にあたっての問題でございますけれども、他からも御意見がありましたが、放送事業者が守るべき準則として三項目追加せられました、人命、人権云々の項と二番目に青少年の豊かな情操の育成等についての二項目追加せられたのでありますが、この二項目は一体不可分のものでありまして、茶の間において公衆がテレビラジオを視聴しておる立場から申しますと、こういうようなことは当然過ぎるくらい当然なことで、いまさら法律に書くにも及ばんやないかというような御議論がございますけれども青少年対策なり、こういうものは総合的にいろいろな角度から施策を進められるべきものでありまして、その一環としての放送番組編集に当たってこういう注意を喚起し、こういう準則でやられることは、まことにけっこうであると思うのであります。  それから次に、第三条の五に、放送世論調査委員会を新たに設けるという項がございます。これは従来番組審議機関がありまして、さらに放送世論調査委員会が設けられて二本建ての自主規制の体制を整えられるということになりましたので、これは誠にけっこうだと思うのであります。この両者の機能が十分発揮されることによりまして、公衆の世論を反映した番組編集ができるものと思うのであります。特に今回新たに設けられようとしております放送世論調査委員会は、放送事業者に対しまして、番組編集についての、特に監督権を持たされている点がありますが、その意味においてこの放送番組の世論調査委員会責任はきわめて重大であると思うのであります。したがいまして、この世論調査委員会の調査内容と申しますか、調査内容が権威あるものでなければならぬと思うのであります。その調査内容を権威あらしめますためには、この世論調査のシステムと申しますか、方式を確立いたしまして、最小限度の調査範囲なり、年間に何回くらい調査回数を持たなければならぬとか、そういうような基準を明確にすることによりまして、その調査内容に権威あらしめることによってこの監督権がほんとうに生きてくると思うのであります。そういう点についての御配慮もいただきたいと思います。  それから次に、放送事業者災害その他、非常の事態が発生したときに、生命、財産の保護、秩序の維持に役立つような放送をするようにつとめなければならぬという項目が第三条の六にございます。私は、先ほども意見がありましたけれども民放におかれましては、企業体である関係その他から考えまして、つとめなければならないということでよいと思いますけれどもNHKに対しましては、義務づけていただきたい、後ほど出てまいりますけれども、受信料も払っておることでありますし、また身に危険が迫っておるのに知らんでおるというようなことでは、特にNHKの役割りは万全と申せませんので、NHKに対しましては、第四十四条で教育番組を持つことを義務づけられておりますように、さらに第三条の六の、もちろんこれにつきましては範囲とか、事項等の限定をいたしましてNHK放送を義務づけられるようはかっていただいたらと思うのであります。もちろんこの範囲につきましては、非常にむずかしいことと思いますが、最小限度これだけのことは災害等の発生の際には放送しなければならぬ限度と申しますか、範囲を限定いたしまして、義務づけをいたされたらどうかと思うのであります。  それから次に、第五十一条でございましたか、民放放送事業免許制度を取り入れられておりますけれども、これはいままでの免許が、電波法による付設免許であったと思いますが、さらにこの放送法改正によりまして、放送法に基づく事業免許の制度をとられることは当然の措置であろうと思うのであります。ただ、考えられます点は、電波法との関係におきまして、三カ年の有効期間というようなことになっておるようでありますけれども民放が公共性を持っておるとはいいながら、これは企業体でございますので、三カ年ごとにまあ再免許が下がるかどうかという不安と申しますか、企業体としての経営上の点から考えますと、この三カ年ごとに再免許を受けなければならぬということにつきましては、検討の余地があるのではないかと思うのであります。  それから次に、NHKの他産業への支出の問題でありますとか、受信料の問題でありますとか、そういうことがございますけれども、一方聴取者の立場から申しますと、新聞等では、これは新聞講読料だけを払っておけば毎日家へほうり込んでくれます。特に施設費というものは、一般公衆の立場からはいらぬのでありますけれどもテレビラジオの場合におきましては、相当の金をかけてラジオをつけますとか、テレビ設置しますとか、またある年度が来ますと、テレビ更新しなければ何も見れぬと、台風がきますごとにアンテナがひっくり返って付け直さんならぬ、そのつど相当多額の負担が要るのであります。したがいまして、こういう点につきまして、何らかの視聴者の負担の軽減の考慮ができないものか、特に教育放送でありますとか、災害放送でありますとか、気象状況の放送というものはNHKに義務づけられております。ということは一般公衆はすべて聞かれることを、または見られることをたてまえとして政府が施策を進められておるならば一人残らず国民テレビを見られるというような条件をつくることに努力をいたされる必要があると思うのでありますが、NHKの経営状態の内容はよく知りませんけれども、地歴業へ出資するほどの能力もあり、また受信料は今回義務づけられましたし、そういう点から考えますと、何らかの配慮が必要ではないかというぐあいに考えます。  それから、これは法律上どうということではございませんけれども、いまの、特にテレビにおきましては、一日中朝から晩までのべつまくなしにテレビが映っておりますが、途中で昼の三時か、昼の半時間は、もうどこのテレビも映っていないというような休憩時間があってしかるべきではないか、またその他の放送途中におきましても、トイレへ行くひまもないくらいあとから、あとから出てまいりますが、せめて五分間くらいは休み時間があってもよろしいのではないかというような気がいたすのであります。そういうようなことは、どこでどういうぐあいに指導して規定されるのか、私は法律上のことはよくわかりませんけれども、何かそういう点についても御配慮をいただく余地はないのかと考えるのであります。  最後に申し上げたいのは、今日中部圏開発整備法ができまして、その九条の二項には、開発法の中にはっきりと通信施設の整備に関する事項でありますとか、また教育文化施設の整備に関する事項というふうなのがございますが、今回の放送法改正に当たりまして、この法律の目標といたしておりますところに対して、どういう寄与がいたされるか、また関連が持たされるかというような点につきましても、お考えをいただければけっこうであると思うのであります。  以上をもちまして陳述を終わります。
  12. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  次は竹内良知君にお願いをいたします。
  13. 竹内良知

    竹内良知君 私は、昭和二十五年に放送法が制定されましてから、その後の経過の中で放送法をめぐって幾つかの点を考えなければならないという点は否定いたしません。三十九年の九月に出されました臨時放送関係法制調査会の答申は必ずしも十分なものでないと私は考えますけれども、この限りでなら、まだ一応承認できる点もあるわけですけれども、この答申と、今度の放送法並びに電波法改正をめぐって、この法律案の違いを考えてみますと、かなり懸念すべき点があると思います。放送関係、これは新聞も含めてマスコミニュケーションという言葉で日本でも通用するようになってまいりましたけれども、そのマスコミニュケーションに関する研究が、これはアメリカで一番進んでいることはご承知のとおりだと思います。アメリカのマスコミ研究というものが常に重点をおいてきましたのは、マスコミニュケーションといわれるものと、民主主義の運命と非常に密接な関係があるということで、民主主役を擁護していくためにマスコミニュケーションがどういう問題を含んでいるかという、こういう比較での研究が主流になってきたと思います。その限りでマスコミに対する批判もいろいろ行なわれてきたわけですし、そうした批判が日本に入ってきて、マスコミということばが日本語で定着をしてきたわけですけれども、その場合にマスコミニュケーションの問題点と、民主主義の運命という問題は必ずしも一般に了解されているとは限らないと思う。マスコミニュケーションといわれるものが、非常に大きな技術的な可能性を持っていまして、人間の生活に大変重要な意味合いを持っているということは、これは申すまでもありません。そもそもコミニュケーションといわれるものは、人間の生活にとって本質的なものであるわけですから、これは当然なことと思うわけでありますが、その場合に、やはりどうしてもマスコミニュケーションを、たとえば一億総白痴化という言葉が先ほど出てまいりましたけれども、これはかなり誇張した言葉であって、その後日本国民が白痴になった事実を私は知りませんけれども、しかしそういう言葉が出るこの一面の背後には、こういう事情があろうかと思います。コミニュケーションの持っている可能性というのは大変大きいわけで、しかもそれが人々の世論の形成なり、考え方なりというものにかなり大きな影響を与えていくと、そこで、たとえばこれはたしかラザースヘルドという名前のアメリカの学者だったと思いますが、マスコミュケーションは原子爆弾に匹敵する威力を持っているということを言ったことがあります。これもかなり誇張だとは思いますけれども、コミニュケーションというものは、それだけの大きな意味マスコミニュケーションという形になれば持ってまいります。それだけに、国民生活とそれから特に民主主義の運命にとって重要な意味合いを持っているわけですから、この放送法改正というのは、そういう意味言論立法という非常にデリケートな問題を含んでいるだろうと思う。その点から申しますと、この臨時放送関係法制調益会の答申よりも言論に対する統制の側面がわりに強く出てきているのではないかと私には考えられます。先ほど来、この第一条の四から、第三条の六に至るまでの問題点がたくさん出てまいりましたけれども、特に青少年問題ということになってまいりますと、これはマスコミ責任という形でよく理解されがらですけれども、現在の国民生活の全面的な把握の上でやはりつかまなければならないことであろうと思います。  それから放送ということが、教育的機能を持つことはたしかでありますし、これは重要な側面だと思いますけれども、しかし、この場合にはやはり放送というものは、そういう威力を持っているだけに受け取る受け手の側の自主性というものが保証されていなければならないわけですし、ですから放送において教育目的を強調するよりも、むしろ放送によって、報道の真実と、あるいは受け手がそれを自分の判断の材料にしていくという側面が強められなければならないのだと思います。その面から申しますと、私は教育目的を特にうたう必要はないと思いますし、放送世論調査委員会というものができることは一応けっこうのように見えますけれども、しかし、日本ではまだいろいろな形での放送に対する批評の機能というものは確立していないわけであります。一番大事なことは、私は聴視者の間でと申しますか、国民の間で放送に対する批判、批評の機能というものが確立していなければ、放送世論調査委員会というものがかなり一方的な形で放送内容をチェックすることになるだろうと思います。  それから人命を大事にするとか、いろいろのことをうたうということ、これ自明なことであるわけで、そうしたことは特にうたわれなければならないという点は、先ほどの他の公述人からもいろいろお話がございましたけれども、とくに生命を大事にするとか、そうした問題という人間の内面性にかかわってくる問題でありまして、人々がそれをどういうふうに受け取っていくのかということは、その人々のやはり生活経歴というようなものや、いろいろな点で受け取られていくわけで、これに対して、何らかの意味で統制的であるよりも、批判の機能が強調されてしかるべきだと思います。今日のマスコミが無責任であるということもよくいわれますし、そう思える側面がないとは私は思いませんけれども、しかし、自由があれば責任があるというのは逆であって、自由のないところには責任がないわけで、これは道徳の問題を考えていくときに当然であろうと思います。したがって言論立法という意味を持つ限りは、やはり第一条の四、第三条の二、特に五、六、それから第三条の四、それから第三条の五、特にこの五、それから第三条の六というのは、私は余分なものであるばかりでなしに、なんらかそこに特殊な考慮が働いていはしないかと考えられます。と申しますのは、経営委員会NHK経営委員会における政府の権限が非常に強化されてきていると、国民の民主的なこの参加という側面よりも、そっちのほうが強化されておりますし、それから民放に対しては免許制という形が出されてきております。この二つの点を考えてみますと、これは教育目的の強調と結びついて、何らかの意味でそこに言論統制あるいは言論の操縦という余地が働く、そういう面が強く感じられるわけであります。特にこの経営委員会のこの問題というのは、さまざまな形でこの放送法の問題につながってくると思います。たとえば三十二条で受信料の義務化が出されております。これは非常にデリケートな問題で、受信料は要らないんだという説もありますし、むしろ税金みたいにしたほうがいいという説もありますし、デリケートな問題で、その面からいきますと、私は現状が一番穏当ではないかと考えます。その際に、この問題は、経営委員会が真に民主的でなければ集まった受信料というもの、これが国民にどういう仕方で還元されていくのかと、つまり放送内容が真に国民のものになっていくのに、どういう形でなっていくのか、この点は経営委員会の民主化ということ抜きには、私は受信料の問題というのは考えられないのではないかと思います。特に第九条の二の2には、NHKの外部出資が問題になっておりますけれども、外部に出資するだけの予算があるのならば、むしろ放送料の値下げをやるべきではないのかということすらも考えられます。NHKのさまざまの事業が、放送強化のために必要であるということはわかりますけども、外部出資がなぜ必要であるかということは、私には十分納得ができないわけです。  それから第四十条の監査の問題というものも、経営委員会の民主性の度合いにかかわってくるわけで、この面から申しますと、経営委員会が必ずしも、私は今度の法改正によって、民主化されていくというふうには思えないわけです。むしろ民主化を逆行していく方向を持つのではないかと思います。したがって、この面から、この経営委員会の問題と民放に対する免許制、この問題、いずれもやはり言論統制的な性格を非常に強く持ってくると思います、五十一条のこの免許制の問題は、電波法の第七条の二の二に連関をしてくる問題だと思いますが、この点から申しますと、電波法のこの問題では臨時放送関係法制調査会が答申いたしております中で、独立の電波行政委員会の必要を強調されておられるわけですけれども、この側面が取り入れられておりませんし、それから免許をめぐる問題で再免許のときなんかに業務の遂行の状態というものが調べられるという問題がありますが、これは場合によればそれぞれの放送企業内における労務政策というものとも結びつきかねない側面を持っていると思う。そういう面から考えまして、私には教育機能の、教育目的強化という側面、それから経営委員会の政府の任免権の強大化という側面、それから免許制、この三つの点から考えて、やはり言論立法という側面からいって十分な考慮が払われているとは思えないわけで、やはり日本の民主主義の運命にかかわる側面を持っているように思われます。  それから教育放送の問題が出てまいります。放送の持つ教育機能が非常に強いということを考えますと、教育放送が必要であることは確かでありますけれども、この場合に先ほど一人の公述人の方は、文部省の干渉なしにどんどんやってほしいということを言われましたけれども、これが教育番組審議会という形で問題が出てきたときに、これは必ずや、私は何らかの意味でやはり官僚統制的な側面が直接ではないにしても、たとえば文部官僚につながっていく人たちの力が放送内容に入ってくるという問題が出てきやしないか、その点をおそれます。教育の問題ということになりますと、学校教育の問題は、やはりあくまで学校が主体でなければならないわけで、教育は補助的な教材の放送はそれに対して、やはり補助的な意味を占めるということは確かであろうと思います。したがって、その場合の教育番組審議会というもののあり方もかなり懸念をされるわけで、それだけでは必ずしも懸念をしないわけでありますけれども経営委員会強化、それから教育目的の強調というふうな形で、何と申しますか、やはり国民生活の深部で働いているさまざまな構造というものが十分に配慮されないままで、いくらか対症療法的に考えようとされている点があるのではないかと思います。現在の日本の社会の諸条件から申しましたならば、さまざまな否定的な状況が多いわけですけれども、その責任を、やはりマスコミの無責任という形だけで済ますのは、私は大変安易な考え方であろうと思います。そういう面から考えまして、言論立法の意味を持つわけですから、そのデリケートさというものを十分に尊重すべきであるし、マスコミニュケーションが原子力に匹敵する力を持っているということになれば、言論操縦や、世論の操縦という性格を持つことは、国民としては望ましくないと思います。そういう意味でこの法案の中に幾つかの点で必要な条項があることは私は認めますけれども、原案に反対いたします。
  14. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  次は野淵三治君にお願いをいたします。
  15. 野淵三治

    野淵三治君 現在の電波法放送法ともに先ほど陳述人からお話がございましたとおり、その基本は昭和二十五年、いまだ本邦におきましてはNHKラジオ放送しかなかった時代の法律でございます。時が進み電波放送に関する諸事情が制定当時とはずいぶん違ってきた今日におきまして、この両法につきまして訂正の議の起こるのは当然のことでございます。第五十一回の国会におそまきながら改正法案が提出されまして、熱心に御討議されておることはまことにけっこうなことと存じます。なお、右の両改正案につきまして、一応の研究をさせていただきましたが、私といたしましては、両改正案とも大体において妥当なものと認めざるを得ないわけでございます。ただ現在の電波法につきましては、非常に難解であり、かつ繁雑の感を深く抱いたものでございます。アメリカの直訳的な、なにかのコミッティの直訳的なにおいがふんぷんとするものでございます。  まず、電波法改正案でございますが、現行法に照して考える場合、行政の一貫性と公正とが欠如しておるような感が深いのでございますが、改正案は右の二点を正しく国民の前に表明したように思います。すなわち周波数の分配計画、周波数使用計画を政府に定めしめておるのがその例でございます。これが制定によりまして、情勢はずいぶんと楽になるものと私としては考える次第でございます。  なお、放送法改正案につきましては、まず放送体制の確立と、国の施策の目標を明定したことである。また番組の自主規制の原則堅持と放送番組の向上のための方途を講じたことなどであり、私といたしましては一大進歩であると愚考するところでございます。すなわち国内放送体制といたしましては、NHK民放の二本立てが明確になったことであり、国の施策の目標が明確にされましたのは、NHK民放も全国でラジオテレビそれぞれ二つの音波が視聴できる目標が樹立されたように書かれておることでございます。また放送番組の編成は、放送事業者がその責任において行なうものとするという明文がございます。法律に定める権限に基づく場合でなければ何人からも干渉され、または規律されないとあります。低俗番組責任をスポンサーに押しつけるようなことがもはやできなくなったことはまことにけっこうなことと思います。  次に第三条の二に放送事業者の、放送番組編集及び放送に当たり定められた各項いろいろございますが、いずれも私といたしましては良識妥当なものと考える次第でございます。御質問があれば後刻お答えをいたしますが、さように考えておるものでございます。  次に、この両改正案につきまして感ずるところを、時間の許す範囲におきまして陳述さしていただきたいと思います。まず、放送法第二条の二の三の末項に、「一般放送事業者放送局については地域の自然的、経済的、社会的諸条件に即して開設できることとなるように配慮しなければならない。」という条文がございますが、財政的問題を無視して申請する度合いの多い現状におきまして、まことによき条文であると考える次第でございます。なおこれは私の陳情ではございませんが、財政的には十分に成り立つと考えられる当地方におきましての、もう一つぐらいのチャンネルがあっても十分財政的に立ちいくものと私といたしましては考える次第でございます。  なお、放送世論調査委員会の問題、これは第三条の五の原則どおりけっこうと考えまするが、ただ、あまり金のかからぬ、しかも一時的なものではなく、永続的なものとなって、有名無実にならぬよう、さらに何か賢明な立法考案に御努力願う余地はございませんでしょうかということを提唱いたしたいと思います。番組向上のため世論を聞くことは好ましいし、またここで定められておるものは、自主的な調査機関でございますから、私は言論規制にはならないと思うものでございまするが、本問題は、私は事業者のみではなく、受信者も積極的に協力すべき問題ではないかと思うものでございまするから、さらに賢明なご研究を願えないかと、こういうふうな提案をいたしたいものでございます。  なお、次には、日本放送協会の出資に関する第九条の二でございまするが、私は原案どおりでよいと考えるものでございます。その理由は大臣の認可、政令、国会での予算承認の三つでしばられておるのでございますからこれが放漫に流れるものではないと、厳正にこれを考慮いたしまするならば放漫に流れるものではないと考えるものでございます。  次に、地域のための放送に関しまして、第五十一条の三に明文をもって放送事業者はローカル放送に努力するよう規定されましたが、これは実にけっこうなことだと腹から御賛成を申し上げるところでございます。陳述を終わります。
  16. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  次は村山一之君にお願いいたします。
  17. 村山一之

    村山一之君 それではお答えいたしますが、前もってお断りしたいと思いますことは、私も御承知のような職業でございますので、したがってこの種の問題に対するところの何の権威もございませんので、まことにこういった公述人としての御任命をいただいたわけですが、まことに困惑したわけでございますけれども、それぞれ逓信委員会等から送っていただいた資料も一日ばかり勉強させていただき、さらに私の気のつくままに特に視聴者という立場で、気のつくままに意見を申し上げたいと思いますので、その点まことにしろうとの門外漢でございますから、前もって御了解を願いたいと思います。  特に今回の現行放送法電波法が施行されましてから、すでにいろいろ公述人から申されておりますように、十五年以上を経過いたしまして、当時ラジオのみであったというのが今日の放送界ではテレビジョン時代となり、すでに放送衛星の実現も遠い将来ではないと、こういうことを言われております現在、これらの法律が今日の現状にマッチしないという観点からいって、これが改定されようとしていることは当然の要求であるというふうに考えるものであります。  今回の改正に当たっては、特にいろいろ言われておりますように、今回特に設置をされておりましたところの臨時放送関係法制調査会、これが三十九年の九月にこの答申書が提出されておりまして、この答申書の提出されるに当たりましては、各方面からのそれぞれの権威ある方が二年以上の長い間にわたりまして、まことに慎重審議をされました結果とりまとめられた内容でございまして、その内容そのものは妥当なものであるというふうに私も判断をいたすのでございます。今度の改正案は当然こういった答申を十分に尊重されてつくられたものと思っておりますけれども、一部にその答申案とは違っている点が多々あるように思いますので、こういった箇所が修正されない限り、私も原則的にこの法案に対して賛成をいたしかねるものでございます。  次に、以下いささかその問題点を二、三にわたって述べてみたいと思います。  第一にはこの放送行政機構についてでありますが、現行の法制において最も不備欠陥とされておりますことは、放送行政の民主性、それからこれが保障が欠除しているとともに、そのための放送に自主的な運営によるところの困難が生じている点であるというふうに思うものでございます。調査会の答申もこの点を指摘して、放送行政の公正中立と、一貫性を保つために放送行政に関するところの委員会設置し、放送用の周波数使用計画放送局の認可等放送行政の基本的事項に対しては、この委員会を議決機関として郵政大臣はこの議決に基づいてのみその権限を行使することが必要であると言われておりますが、しかるにこの改正案には従来どおりの電波監理審議会への諮問という項が設けられており、実質的には現在と変っておらないと言われておりますが、むしろこの電波監理審議会等もさらに権限を強められて、こういったところにもある程度の議決権を持つというような形にあったほうがよいではないかというふうに考えられるわけであります。したがって、いませっかくこういった電波法周波数や分配計画や、あるいは使用計画を定めなければならないことを肯定して、電波の計画的使用がはかられているように改正されているのにかかわらず、これがかえってしり抜けになっているという形であり、答申の内容も無視されているといわざるを得ないと思うのであります。この点について十分に答申に沿った措置がなされるよう放送行政の健全化がはかられなければならないというふうに考えるのであります。  次に第二番目の問題でございますが、それぞれ公述人方々もいろいろ申されておりますが、官僚統制の排除についてであります。そもそも今回の法改正目的は、国民に最も共通の財産ともいうべき、数が非常に少ない放送用の電波を、できるだけ有効に活用して、公共の福祉に適応するように規律し放送文化の健全な発展をはかることにある。そうしてその際特に留意されねばならないことは、放送内容に官僚統制が加えられるようなおそれがあってはならないということであろうと思います。しかるに今回の改正には、その低俗番組み批判ということにこと寄せまして、放送世論調査委員会の設定が企図されているようでございますが、そこに官僚統制が結びつくような傾向があるのではないかというふうに考えられる。言論の自由の確保、放送の自主性、自立性の確保等について注意される点があるので、この点についても十分の御配慮がいただきたいというふうに考えるのであります。少くとも放送世論調査委員会等については、その不当な放送内容の干渉にわたるというおそれがあるというふうに考えられるので、この設置することには賛成ができないというふうに考えるものであります。  第三番目の点といたしまして、これまたそれぞれ公述人から申されておりますが、マスコミの独占排除でありますが、新聞、ラジオテレビと、この三つの事業を同二地方においての経営を支配するということは非常に非民主的な大きな弊害をもたらすおそれがありますので、答申にもこれを排除するように、法律に明確に根拠を置くべきであるということが指摘されておったように思っておりますが、改正案では従来の免許方針で制限していることすら例外として認めるというような方向がとられているということについては、放送の健全な発展のためには、ラジオテレビ、新聞とこの三事業の独占は許すべきでないということであって、この点についても改正案に対する期待というものにやはり反している点があるものではないかというふうに考えるのであります。  最後に、私は特にNHK民放についてでありますが、NHKには答申にもあるように、国民を基盤とするものであって、その立場に立って国民の要望にこたえる公共的な放送事業体でなければならないわけであって、そこには国民的性格が明確に打ち出されるように措置される必要があろうと思っております。その点現行法国民の意思を反映させるために経営委員会制度がとられており、また政府の干渉を排除するために受信料制度がとられているなど、この自主、自立体制が維持できるようになっている今日の改正案においても、この経営委員会制は存続し、受信料についても支払い義務を課する等のことが明確にされていることについては、これは最も妥当であろうかというふうに考えるものであります。受信料はもちろんこのNHKを維持運営させるものでありますが、これがNHKの事業以外に使用すべきでないことは言をまたないところであります。国民の共通の財産である電波を占有して経営しているところの民放に受信料を分与したらという話があるようでございますが、これは当然許されないことであって、公正な条件のもとに、たとえばそれぞれ文化の向上のために必要とするところの調査研究とか、あるいは中継局の共同建設等を行なうような場合、放送界の全般にわたって寄与されるようなことに使用されることは、一向に差しつかえないと思っておりますが、また改正案NHKの関連企業へ出資を認めるというようなことが言われておるようでございますが、これは業務の合理化あるいは経費の節減のために出資することは否定できないように考えられますけれども、むしろNHKのようなマンモス資本をもってこれが与える影響というものは、大きく民間の企業に与えるのではないかということを考えますので、むしろこういったことも出資はやはり行なわせないというふうに法制化したほうがいいではないかというふうに考えます。  それから民放についてでございますが、民放については業務の免許制が採用されており、これから許可に対しては何らかの形で統制が加えられるおそれがあり、事業免許という考え方については、答申書を見せていただきましても、この答申書の中にはないように思うのでございますが、かかる制度を採用するということについては、やはりこれはしないほうがよいのではないかというふうに考えるわけでございます。  さらにこの民放について低俗番組みが多いということが非難されておりますけれども、一つはこれはスポンサーが番組内容に大きな発言力を持っている、こういうことにもやはり問題があるのではないかと思います。今回の改正放送番組責任放送事業者自身にあるということが明確にされているということについては、最も妥当だというふうに考えられますが、低俗番組に対するところの批判から官僚統制がこれに加えられるというような懸念が生ずるというふうに考えるものであって、今後は番組編集に当たっては特にスポンサーの介入を排除して国民から非難をされることのないような放送を一つお願いしたいというふうに考えるわけでございます。またこの放送の中味においては広告の捜入等に当たっては、一家楽しく団らんのテレビを見ているときに、同じような広告が二度も二度も三度も繰り返し繰り返し出て、これでもか、これでもかというような放送をされるということについて、まことにわれわれ視聴者に非常に不愉快な感じを与えるものでありますので、こういった点もいま少しくスマートな形にやらせた方が、むしろ宣伝効果が多いと思いますので、こういったことについても放送事業者の強い自覚と努力をここに切望いたすものであります。  以上主なる点についての意見を述べたわけでありますが、最初に述べましたように、今日のこの状況に適応しないところの放送法あるいは電波法改正が一日も早くこれが成立していただきたいという気持ちには変りはございませんけれども、先に申し上げたような答申案等の関係から考えてみましても、正しくこれが改正されることにおいて法制化されることになろうと思っております。また私もしろうとでわかりませんけれども、新聞を見ておりますと、本日の公聴会とスケージュール的にこれが本会議にあげられるように新聞紙上に出ておりますが、私はこの問題についても非常に答申案が出てから相当の期間がたち、また国会においても十分な御審議をいただいておるわけでございますが、さらに十分の時間をかけて、こういったことが時間に追いこまれるような形ではなくて、十分御審議をいただいて、国民に、ほんとうに期待に沿えるような形に立法されんことを切にお願いいたしまして、非常に簡単でございますが、私の意見を終わらせていただきます。
  18. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  以上で御意見陳述は終わりました。この際、五分間ほど休憩をいたします。    午後二時二十分休憩      ————◇—————    午後二時二十五分再開
  19. 砂原格

    座長砂原委員長) これより再開いたします。  委員から質疑をいたします。最初に佐藤洋之助君。
  20. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 私は、この際自由民主党を代表いたしまして、一、二お伺いをいたしたいと存じます。  たいへん急なこの公聴会の催しにもかかわらず、参考人の皆さまからはきわめて有力な、有益なお話を承りましてありがたく存じます。御承知のように放送法電波法は二十五年に制定いたしました以来でございます。しかもここ数年の間において非常な発展と申しましょうか、百花撩乱たる情勢を呈してきたのは皆さん御承知のとおりでございます。たとえばテレビの聴視者にいたしますると約二千万世帯に及んでおり、カバレージ九五%に達するというような状態であります。ラジオはもうほとんど空気と同じようなもので、聴くものでなくて聴けるものだという程度の状態になってまいったのであります。こういうような情勢に加うるに最近のテレビラジオの業界からいたしまして、中市がたいへんなものでございます。たとえばラジオのごときは四百三十三局、テレビのごときは三百十一局の新しき免許申請があるわけで、押すな押すなの状況でございます。これを政府が片づけなければならぬというようなことで、今回の放送法及び電波法改正というものは当然なことでありますが、答申までなしてからわれわれ自由民主党といたしましては、二年間にわたり小委員会を設けまして、かなり論議をしたのでございます。さらにまた通信部会においても論議を重ね、また文教部会とも合同委員会を開いて相当にこれは論議を尽くしたわけでございまして、ただいまはいわば煮詰めたエキスの問題でありまして、そのエキスのいわゆる足らざる問題が他党との交渉の問題ということになっていることは皆さま御承知のとおりであります。したがいまして、いつかも新聞に出ているようにこれは何か速急に合わせてやったというような印象を残したのでございますが、そういうことはないのであります。実際にわれわれは問題が大きいだけに、できるだけ慎重な審議を重ねまして、今日までやってきたことを御了承願いたいと思うのでございます。  そこでこの際私は他の同僚諸君からもいろいろ御質疑があると思いますので、ただ単に二点にしぼりましてお伺いしたいと思うものでございますが、その第一点は皆さんからお一人ずつ簡単にお答えを願いたい。  それは、従来各放送事業者はそれぞれ放送番組審議機関を設置することになっておりましたが、今回の改正案ではさらに新しく放送事業者の協議により放送世論調査委員会を設けることになっているのでございます。この点については尾上屋を重ねるとか、国家権力の介入の危険性があるとかいう人があるやに伺っておりますが、その点はいかにお考えでございましょうか、これはお一人ずつ簡単にお答えが、願いたいと思うのでございます。  第二点は、引続いて申し上げますが、マスメディアの集中ないし私的独占が生じないようにすることは、電波の公正かつ能率向上をはかる上からも必要であろうと思いますが、独占の限界と申しますか、これをどの程度まで制限するかということはむずかしい問題でございます。従来郵政当局はこの点については通達等によりその基準を定めておるのでありますが、今回の改正案においては放送事業者に対する支配の制限等について法律上の規制を行なうこととしているのであります。これは従来に比べて一段の進歩だと思いますが、このように放送につきまして大衆情報手段の集中ないし私的独占を制限することについて、今回の改正案についてどのようにお考えになっておられましょうか、これは先ほど村山さんの御陳述ではこれに対しては反対のようでございましたから、村山さんのお答えは省略いたしまして、主として竹内さんと野淵さんの御両所からこの後段の問題は御意見を承れば幸いだと思います。以上二点でございます。
  21. 砂原格

    座長砂原委員長) それではただいま佐藤委員から、第一点については全員の参考人の各位から御意見を頂戴いたしたいということでございますので、先ほどの順位に従って岩下かねさんからお願いいたします。
  22. 岩下かね

    岩下かね君 お答えいたします。  私は決して屋上屋でないと思いますし、現段階において自民党がそれにふさわしい方をお願いしておりますが、聞くところによりますとNHKとは格段の相違のある多額の金をお礼として支払われておるその中において、いろいろ審議されてもそれは言いたいことが言えない機関であると承知いたす次第でありますから、その点においては決して屋上屋でないと私は確信いたします。
  23. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  二番目に江口芳夫君にお願いいたします。
  24. 江口芳夫

    江口芳夫君 先ほども少し触れましたように判断の基準というものが非常にむずかしいということになりますと、放送世論調査委員会の権限が、必要な勧告ができるというところまで広げると、非常に自主規制の強要といいますか、検閲の強化という点につながるという意味で、原則的に反対でございます。
  25. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  三番目に奥井亮三郎君にお願いいたします。
  26. 奥井亮三郎

    奥井亮三郎君 番組の審議機関と放送世論調査委員会と両建ての自主規制をすることは、非常にけっこうなことと思います。放送世論調査委員会設置することには賛成でありますが、ただ運用上の問題におきまして、世論調査委員会の構成の関係であるとか、調査内容に権威あらしめるためのシステムを確立するということを必要と考えますので、そういう条件で設置することに賛成であります。
  27. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  四番目に竹内良知君にお願いいたします。
  28. 竹内良知

    竹内良知君 私は、放送世論調査委員というものが、どういうふうに選ばれるかというのは、これはむずかしい問題だろうと思います。この選択の基準がむずかしいわけですし、それから放送世論と申しますけれども、その受取り方というのは実にさまざまなわけでありまして、その点から申して世論調査というものの技術的な点から非常に困難があるだろうと思います。それでむしろこういうものは、先にできていくよりもこれは別に法で規制するよりも放送に関する批評の機能が民間で強化されてゆくことを助成するほうが必要であると思います。特にこの放送世論調査委員会放送事業者に対して番組編集に対して必要な勧告をすることができるということになりましたときには、やはりかなり大きく放送内容に対する干渉の可能性が出てくると思います。そういう意味でマスメディアの質を高めていく上で必ずしも有効に働かないのではないか、たとえば映画なんかに映倫というようなものもございますけれども、映倫がどのような機能を果しているかということを厳密に調べたことはありませんけれども、しかしながらよく申しますよけいな親切というようなものの代表は映倫だというような批評が行なわれたりするが、これはまあ下世話に言うことで、いろいろ問題はあるのかと思いますが、そういう意味からいっても放送世論調査委員会が必ずしもマスメディアの健全な、しかも質の高いものを発展させる役割りを果せないだろうと思います。そういう意味で現在これをつくるよりももう少し放送というものについての国民的な批評的な機能をどこかどういうふうにやってゆくのかということで、みんなで一緒に考えてゆくことが有効であろうと思います。
  29. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  五番目に野淵三治君にお願いいたします。
  30. 野淵三治

    野淵三治君 屋上屋を架するものとは考えません。ゆえに私の申し上げたのは永続性のある、しかもあまり金のかからない調査委員会にしてもらいたいということを申し上げた次第でございます。自主的な調査機関でございまするから、言論を制圧するように私は思いません。言論の自主的な機関でございますから、決して言論を制圧するものとは思いません。しかしながら先ほど申し上げたとおり、非常に効力のある永続性のあるものにしてもらいたいと、こういう要望でございます。終わります。
  31. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  それでは第三点の問題について、村山一之君にお願いします。
  32. 村山一之

    村山一之君 それでは、私の考え方を申し上げますが、いまもそれぞれ御意見があったようでございますが、この放送のほうの委員会につきましては、いまも法文を読ましていただきますと、そのなかに推賞とか勧告というようなことばがございますが、このこと自体ことばには、私は大きな問題はないと思っておりますけれども、その委員会はどういう形において今後構成されるのか、私も承知をいたしませんけれども、どうしても私のような門外漢のしろうとがそういう委員会に入るということにはならないではないかというふうに考えられるわけなんです。そういうことになりますと、勢いこういった、いまこの委員会が開かれておりますような郵政関係を中心にした、そういった方々がやはり委員に選ばれるのが普通常道ではなかろうかというふうに一応考えてみますと、勢いそういった形のなかから出てくるものの推賞とか、勧告というのは、先ほど御意見のありましたような、それぞれ自主性をもってやるところの放送に対する一つのやはり制約になり、あるいはもっと憂えて考えるならば、私ども非常に言い過ぎかもしれませんが、その憲法の九条の解釈が非常に幅広いものと同じように、こういったことの解釈が将来幅広くなってきますと、もう、ものを言えないような形もできてくるんじゃないかというような心配があるのではなかろうかと思うわけなんです。したがって、現在私も詳しくは承知いたしておりませんけれどもNHK民放との間に番組向上のための委員会が自主的に持たれておるというふうに聞いておりますが、むしろそういった自主的に持っておられるところの委員会を、高度に生かしていただくことにおいて運営されることが、この種の委員会を制定されようとする御趣旨よりはるかに自主的なものができるのではないか、こういうふうに考えておるものでございます。
  33. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  それでは第二点の問題につきまして野淵三治君。
  34. 野淵三治

    野淵三治君 お答えいたします。  私的独占の問題でございますが、私は、現在の自民党政府が考えておられるようなところでいいと思うのでございます。大体この放送関係におきましては、西欧におきましては、国家経営的な色彩が多いように思います。日本はどちらかというと、オーストラリアとカナダのような体制をとっておるのじゃないかと、現代の法解釈で自民党の政府の御解釈でいいように思っております。お答えになっておりませんでしょうか、そんな程度で……。
  35. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  それでは竹内良知君にお願いします。
  36. 竹内良知

    竹内良知君 マスメディアの私的独占を防ぐということは、私、大変必要なことだと思います。必要であると同時に大変むずかしいわけですけれども、これで法的に規制するということが必要であるということも否定するわけではございませんけれども、しかし、それであるならばやはり臨時放送関係法制調査会でいわれたように、独立の電波行政委員会というものがやはり広く民主的に選ばれてそこできめていく必要があるのではないかと思います。それから、答申書の十九頁に出ておりますマスメディアの集中、独占の排除という、その点の考慮が今度の放送法改正で十分に実現するとは私には思えないわけで、その点からいって、やはりその面では調査会の答申のほうが進んでいて、改正法案のほうが後退しているように私には思えます。
  37. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  引き続いて森本婿君から御質問申し上げます。
  38. 森本靖

    森本委員 参考人には大変お忙しいところ、本日は貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。  時間もありませんので、二点ばかり質問を申し上げたいと思いますが、まず第一点には、ちょっとこれは意地の悪いような質問でございまするけれども、おそらく参考人には、この放送法改正案というものを一通りお読みになったと思いますが、この第五十一条の大体この法律というものは、非常にわかりやすく、どなたが読んでもすぐ頭にぴんとくるというふうな法律が一番妥当でありまするが、この第五十一条の、アラビア数字の3の一、二、三、四、五、六、七と、これを一通り読んで完全におわかりになりますか。まず最初にそれをちょっとお聞きをしたいと思うわけであります。
  39. 砂原格

    座長砂原委員長) それでは、ただいま森本靖君からの質問に対して、一番の岩下かね君からお答え願います。
  40. 岩下かね

    岩下かね君 時間をかけてゆっくり読むことにおいて解釈できると信じておりますし、私自体これをずうっと読んではまいりましたが、一々それをどうだというようなひっかかるところはございませんでした。ただし時間がかかったことは確かでございます。以上お答えいたします。
  41. 砂原格

    座長砂原委員長) 江口芳夫君お願いいたします。
  42. 江口芳夫

    江口芳夫君 私は、放送番組で法律相談室という番組を受け持っておりますが、たいていの法律は一晩でなんとかわかるんですが、これを読んだときは、特に五十一条三項の三、六十九頁にあります「その者の放送局(その者が一の放送の種類に属する放送を行なう二以上の放送局を有する場合には、そのいずれか一の放送局)の放送区域の全部又は一部がその放送局の行なう放送の属する放送の種類に係るその者の事業区域外にあること。」ということはどう考えてもわかりませんで、いろいろこの改正の法律は急にいただいて読んだんですが、全くここを中心にいたしましてほとんど難解であります。非常に難解であります。
  43. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  それでは奥井亮三郎君にお願いします。
  44. 奥井亮三郎

    奥井亮三郎君 ただいまのお話のように非常に難解でありますけれども趣旨は理解できております。
  45. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  竹内良知君にお願いいたします。
  46. 竹内良知

    竹内良知君 私も趣旨はどうやら理解できたんで五十一条についても触れましたですけれども、いま江口公述人が言われたとおりたいへんこれはむずかしい代数の問題を解くときのような頭の使い方をしなければならない。つまり大変想像力を疲れさせる文章だというふうに思いました。
  47. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  野淵三治君にお願いいたします。
  48. 野淵三治

    野淵三治君 たいへん難解でございまして、何回となく読みますと薄ぼんやりとわかってまいって、それから一応そういう御質問をなさるなら、私から先生方に文句を言いたい。こういうふうに勉強しようとおっしゃるなら、もっと早くこういう資料をわれわれに送っていただかぬと、われわれ忙しいんですから、じゃ忙しいのにお前は何でそんな公述人なんか引き受けたと言われると弁解の余地はございませんが、私としては、いろいろな人が頼むし、まあ引き受けざるを得ないので引き受けたようなものでございまして、もうちょっと早くこれをお送りくださって、十五日ぐらい前に送ってくださって、わからぬかという御質問ならですね、わかるか、わからんかというなら、まあ、わかりますとお答えできると思うんですが、ちょっと、これ日もございませんし、難解だということを申し上げます。しかし、薄ぼんやりとはわかります。
  49. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  六番の村山一之君。
  50. 村山一之

    村山一之君 いまいろいろおっしゃっていましたように、非常にむずかしい文章でございますし、内容を読ましていただきましたが、ほんとうにぼんやりとした中に、その内容を外郭つかんだという形の中に意見を申し上げておったというふうに考えます。
  51. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。
  52. 森本靖

    森本委員 たいへんどうも失礼な質問をいたしまして申しわけないと思いますが、ただ、私が絶えず政府当局に言っておりますことは、法律というものは、一般の国民のどなたが続んでもわかりやすくしてもらいたいということが一番の眼目でありまして、そういう点からいきますと、この第五十一条というものは、今回の法律改正ではきわめて重要な改正点であります。そういう点から、こういうふうな難解な解釈をなさなければならぬ法律案というものについては非常に疑問を持っておったわけでありまして、そういう点からお聞きをいたしましたわけでございますが、非常にこれが難解であるということはよく、これで各参考人の御意見でわかったわけであります。  そこで私といたしましては、皆さんに特にお聞きしたいと思いますことは、こういうふうな言論立法というものは、この電波法放送法日本におきまするただ一つの言論立法であります。民主主義の国におきましては、少なくとも、こういう言論立法というものは、与党と野党が鋭く対立をいたしまして、そういたしまして、一方的に多数決によって押し切ってこれを行なうものではないというふうな考え方に私は基づいているわけでありますが、そこで先ほど来各参考人からいろいろ意見が出ました。特に竹内参考人、野淵参考人からいろいろの御意見が出たわけでありまするが、その中で非常に問題点がたくさん出ておりまするけれども、かりに問題点が出ておりまするところを私が分析をいたしますると、大体集約をせられまするところは、まず、この電波監理審議会の権限の問題、さらに先ほど来の公述人の御意見では、放送世論調査委員会の問題、さらにNHK経営委員会の問題、ただいま問題になっておりましたマスメディアの集中排除の問題、さらに放送界のいわゆるこの現状について、あるいはまた今回の事業免許、こういうものについての問題が集約をせられておるような参考人の御意見であるわけでありますが、それ以外に竹内参考人、江口参考人のほうから、非常放送の問題についても出ておったわけでありますが、ここで私のほうから申し上げたいのは先ほど私が言いましたように、こういうふうな言論立法はあくまでも各党の意見が一致するまで討論を行なわなければならぬ、そういう考え方に立ちまして、かりに電波監理審議会委員の問題につきましても、村山公述人が言われましたように、これについては行政委員会にしなければならぬのではないか、臨時放送関係法制調査会にはそういう御意見が出ております。しかしながら、今日の予算が通ったあとにおきまして、これを単独の行政委員会にするということはなかなか困難でございます。そういう点からいきまして、今日周波数の分配計画、使用計画というものが、今日まで政府並びに大臣の権限においてどうにもなっておったというものが今日は一応電波法に法的に規制をされております。そういう点について分配計画、使用計画というものが一応大臣の専決事項において行なわれておったものが、法律に戻ったということについては、ある程度のこれは成功だと思うわけであります。しかしながら、その分配計画と使用計画を実際に審議するところの電波監理審議会というものがかなりザル法的にしり抜けになっておるということは、先ほど村山公述人が言われたとおりであります。そこで、たとえばこれを行政委員会にいませよと言いましても、現実に予算が通ったあとにおいてはむずかしい。こういうことになった場合に、現実の問題としては、この電波監理審議会については、さらに大臣に対するところのいわゆる拘束権限というものを強めていく、そうしてあらゆるこの放送法電波法におきます問題については、すべて電波監理審議会にかけなければ大臣の専決事項としてはできないというふうにこれをかりに改正をする。さらに放送世論調査委員会についてある程度、こういうものについては必要であるということについては皆さんもお認めになっておったわけでありまするけれども、その結果、推賞権、勧告権を与え、その措置をしなければならないということに今回の法律案においてはなっておりまするけれども、かりにその措置をしなかった場合には行政権が関与する、そこで放送統制のおそれがあるのではないか、こういう御意見が出ておったわけでありまするが、こういう放送世論調査委員会におきましても、現実の問題としてそういうふうに民放並びにNHKが映倫のように自主的に放送世論調査委員会設置し、その放送世論調査委員会の調査の結果というものを一般世間に公表する程度にとどめる、そうして、その公表の批判が国民において行なわれ、それによって放送行政機関が関与することを絶対なくする、さらに先ほどのマスメディアの集中、独占の排除という声については、場合によっては、これを一項起こし、新聞とラジオテレビの兼営を禁止するという条項を一条このなかに加える。さらにNHKの民主化の問題でありまするが、この問題については、国民放送といたしまして、NHKの経営委員人選の民主化、さらにこのいわゆる関連産業に対する投資条項等については、これは郵政大臣が政令によって定めるということになっておるわけでありまするが、その場合におきましても、たとえばNHKが今日必要といたしておりまする、たとえば美術センター、あるいはN響、こういうふうに現在NHKが補助金を出しているものに限りこれを投資を認めるという制限つきの投資条項であるとするならば、ある程度この点についてはうなずけるのではないか。さらにこの民放の事業免許については、ややもいたしますると、これが放送統制に入っていくというおそれがあるということを世間では言われておるわけでありまするが、この事業免許については、これをそういう点からいたしまして削除する、そういたしまして、先ほど難解な点と言われましたところの、いわゆるマスメディアの集中排除の独占という項については、これを放送事業体として起すと、こういうふうにこの悪いところを全部とってしまうという形になるとするならば、逆に現行放送法というものが御承知のとおり、大臣の専決事項において何でもできるのが今日の放送法電波法であります。そういう考え方からするならば、ただいま私が申し上げましたような各問題がありまするところをすべてそれぞれの国会において修正をするとするならば、まだその点におきましても、非常通信その他については、いろいろ御意見があろうかと思います。あろうかと思いまするけれども現行電波法放送法によるところの、ときの政府権力によって放送事業というものがいかようにでも左右されるということを、これを国民によって牽制をしていくという点については、これがもし、私がいま申し上げましたような修正点がすべて通るとするならば、現行電波法放送法よりは、よりよい放送法電波法になるという考え方に立つかどうか、この点きわめて私は真剣に皆さんにお伺いをしたいと思うわけでありますが、そういうふうな考え方について一つ仮定の問題でまことにむずかしい問題でございまするけれども、新聞紙上等におきましても皆さん御承知のとおりの状況でありまするので、特にこれは全公述人の御意見を承っておきたいと、こう思うわけでございます。以上です。
  53. 砂原格

    座長砂原委員長) ただいまの第二点の問題について、それでは岩下かね君からお願いします。
  54. 岩下かね

    岩下かね君 お答えをします。  多々述べられましたその中で、お答えいたす要点だけをつまんで申し上げます。まず懸念されるような点は、私が冒頭に申し上げましたように、長い間の答申の期間があり、そうして答申されてから後に、また二年間も要しておるという点において私は十分審議されたものであり、そうして私自身として社会教育の場において、全国的な会議から、また小さい部落の会議から常に問題になるのがこの問題でございましたので、私はこの法律こそなぜ出してくれないのか、早くしなければならないのにと思っておるくらいでございました。なおまた、ただいま自民党と社会党の諸先生が短い時間でこれが多数決によって押し切られるというきらいを申されましたが、私はテレビにあるいは新聞によって社会党の先生の質問を聞き、見ておりますと、あまりにも長々と時間ばかり要して、同じことばかり繰り返して質問されておるやに受け取るものでございます。したがって、時間を要することの審議の時間の長期にわたることは必要と存じますが、私の考えておる点におきましては、時間をかけても同じことなら時間をかけなくて、いま急を要しておる問題は早く解決すべきだと存じます。
  55. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  江口芳夫君から御意見をお伺いします。
  56. 江口芳夫

    江口芳夫君 言論機関が、そのチェックといいますか、行政そのほかの上から監督強化によって失なう不利益と、自由な保障があって、いろいろな国民のための放送という公正放送をすることによって得る利益と比べてみますと、やはりなるべく最小限度に心配がある条項については、この際はなるべく入れないでほしいというのが現場の声でございます。よく多くの改善点を取り入れて御審議願いたいと思います。
  57. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  奥井亮三郎君。
  58. 奥井亮三郎

    奥井亮三郎君 先ほど公述の際にも二、三条件と申しますか、付け加えまして賛成を申し上げたわけでありますけれども、私は運用というものが実に大事であると考えますので、法律上不明確な点が二、三ございますが、これらにつきましては、先ほど申し上げたような具体的な措置をとるということを前提として、原案で施行されて、その法の運用に万全を期せられたいと考えるものであります。
  59. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  それでは竹内良知君にお願いいたします。
  60. 竹内良知

    竹内良知君 私は先ほども申しましたように、放送というものの問題というのはたいへん複雑で、しかもある意味国民の一人一人にとってはあまり敏感には受け止められないにしても、たいへん重大な運命をもっているものだけに、言論立法ということになれば、いやが上にも慎重であるほうがいいのだと思います。よく外国においてこうだというふうにいわれますけれども、私どもが調べておりますところと、よく引き合いに出される外国はこうだというのは、かなり違うことが多いように思います。そういう面でわりになんと申しますか、安易にいろんなことが考えられるということになると、国民としては、はかり知れないやはり打撃になるわけですから、そういう危険を感じられるという点では、できるだけ現在の国民生活の深部にわたる検討を通して、そうした弊害の起こらないようにしていくことが一番望ましいと思いますが、今日までにそういう予算上の制約もあるというようなことになりますならば、懸念される点を最大限に取り払って、そして放送の真の意味での自由な発展が保障されるように保障していただけるならば、やむなくそれは認めざるを得ないであろう、そういうふうに思います。
  61. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  それでは野淵三治君にお願いをいたします。
  62. 野淵三治

    野淵三治君 お答えいたします。  先ほどの私の申し上げたところ少し譲歩したような申し方かもしれませんが、放送世論調査委員会がやらなければならない項目としてあげられているようなことにつきましては、先ほど森本先生がおっしゃったように、やはり公表ぐらいで、勧告ということは森本先生の御意見もございますし、おやめになっていいんじゃないか、多少行き過ぎじゃないかということを一つ感ずるわけでございます。先ほどとちょっと違った譲歩を申し上げる次第でございますが、それから電波監理審議会につきまして、これに最大の強権をもたせろというふうな御発言に、多少違っておるかもしれませんが、解しましたが、私はこういう法律がりっぱにでき上がりましたならば、郵政大臣がもし妙なことをやられましたら、これに対して訴訟ということの権限があるわけでございますから、現在でもこの審議会には多少裁判的な色彩も持っておるやに承っておりますから、たいへん強いものとは思いますけれども、やっぱりこのくらいの行政は郵政大臣が持つべきものだと私は思う。それがいけないことがあるならば訴訟をもって対抗すると、これが常道ではないかしらんと私は考えますから、私見を申し述べる次第でございます。
  63. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  次は村山一之向にお願いいたします。
  64. 村山一之

    村山一之君 ただいま電波監理審議会の事項に関して申し述べてみたいと思いますが、このことはさきに私、意見のときに申し上げましたように、むしろ現在のような諮問機関というものをむしろ決議機関にしていただいたほうがよかろうというふうに払いま申し上げたわけなんですけれども、そのことはいろいろの方々からも御意見がございますが、特に私の考えますことは、こういった郵政大臣の諮問機関ということになっております場合は、えてしてそういったことに利権が伴うような危険もあるのではないかということも考えられますので、むしろこれはいまの諮問機関よりもさらに一歩進んで、決議機関となされて、その決議決定の上に立った郵政大臣の決定権を行使されるというほうが一番適正ではなかろうかというふうに考えて申し上げたわけでございます。なお言論の問題、これは私の聞き違いがあればあるいはあやまらなければならぬ。私のお聞きしたことはマスコミの問題についてだと思っておりますが、特にこの法案の中に一地方においては、あるいはNHK教育テレビと二本、あるいは民放は二つ以上が適当だというふうに書かれておるように記憶いたしておりますが、特にこういういった、この一地方に同じような新聞、テレビあるいはラジオ等が、集中した一企業のなかに行なわれるということは、これは排除し、できるだけ多くの民放が、しかも一部重点的にアンバランスに都市に集中するのではなくして、非常に見にくいところの、全国にわたってですね。こういった形の中に、多数の人に見ていただけるような形のものができるのが好ましいのではないかというふうに考えております。この点、もし御質問の点と答えが違っておれば一つまた再質問いただければお答えしたいと思います。
  65. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  引続いて受田新吉君より御質問を申し上げます。
  66. 受田新吉

    ○受田委員 私、民社党を代表して二点について簡明な御答弁にあずかりたいと思います。  その第一点は、この法律の二条に規定してある一般放送事業者の場合の原則として、併立主義による世局方針というものを行き届かしていって、日本のどこにでも各種のテレビが見られると。あるいはラジオが聞けるというような形に、一応基本方針は出ております。東京、大阪は御存じのように民放の場合は四つの置局がある。名古屋は三つしかない。仙台や北海道や広島へ行くと二つしかない。その他は一つしかないわかけですね。これは日本国民として、このすばらしい恩恵を受ける度合いが違うわけでございますが、人口の密度に比例して、人口に比例して放送局の置局計画を立てるという方針でなくて、すなわち地域的にあらゆるものに放送の恩恵を浴させるという、そういう形を放送行政の上でとってもらいたいという希望、これは全部の力がお持ちでないかと思うのです。そこで名古屋の場合はもう一局、東京、大阪並みになる場合は、テレビの場合一置局まだ余裕が残されている、大阪並み、東京並みになるためには。ところが一方ではその方針に賛成しない一般放送事業者もあるわけである。これは聴くほうの側、見るほうの側から見て、皆さん方はこの放送局をできるだけ多く設置して、そして大都市並みにどこもできるだけ公平に恩恵に浴するという形を、皆さん御自身が強く持っておられるかどうか、経営にタッチされている公述人が今日出ておられるなら、経営者の側から既設の業者の意見というものも代弁していただけたらと思います。そうしたことが一つ。  それからもう一つは森本理事から指摘された放送法にははっきりと事業免許制が第五十一条にうたわれているわけです。電波法で従来の方式でこの免許その他の制度を確立し、一方で、こちらで事業免許という放送法にこうした規定が設けてあるわけでございますが、これにはまたいろいろ意見もあるわけでございますけれども、この五十一条の事業免許という規定を、何らかの形で削除するということに賛成か、反対かということをはっきり簡明におっしゃっていただきたい。  それから岩下先生にだけお尋ねいたします。婦人を代表して率直なお気持ちを表明されたわけなんでありますが、先ほど経営委員の構成において婦人の代表を選んで低しいというおことばがありました。もちろん教育、文化、科学、産業その他のとありまして、分野における限界が一応うたってあるが、その中へ婦人ということを入れてほしい、あるいは婦人とか、青年とか、労働とかいうのを入れてほしいということか、あるいは運用の面で婦人を入れて低しいということか、十二名の経営委員の構成内容について、法的か運営面かいずれで御希望されておるか、御趣旨は賛成でございますが、その点を一つお尋ね申し上げたい。お気の毒でございますが、岩下先生だけは一つよけいお答えを願いたいと思います。
  67. 砂原格

    座長砂原委員長) それでは受田君の質問に対しまして、岩下かね君からお答えをいただきますが、そのときには婦人に対する運営の面の御希望もかねて、三つお答えを願いたいと思います。
  68. 岩下かね

    岩下かね君 まず第一点でございますが、私は例にあげられました名古屋に一つふえることよりも、日本全国くまなく二つ以上のテレビラジオが聴けるようにすることのほうが、それを優先していただきたい。次に私は冒頭に申し上げましたように、飽くまでも三年間の更新をして民放においては免許制を主張するものであります。次に、婦人代表の点でありますが、別に何にこだわるというものではございません。ただ広い視野に立っていただいて、そして全国的にながめていただいて、そして十二人のうち一人でも三人でも婦人を入れていただくことをお願いしたいのでございます。以上であります。
  69. 砂原格

    座長砂原委員長) 次は江口芳夫君にお願いいたします。
  70. 江口芳夫

    江口芳夫君 二本建ての現行制度というのは否定できないわけですので、なるべく全国的に格差のないような形でといいますか、伸ばしていくことが大切なことだろうと思います。それから民放に対する問題だろうと思いますが、事業免許制の問題は、やはりある程度のいろいろの条件とか、実績とかを考えて支配をするという問題が出てくると思いますので、やはり事業免許制については反対であります。
  71. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  次は奥井亮三郎君にお願いいたします。
  72. 奥井亮三郎

    奥井亮三郎君 ただいま御質問の第一点については、先ほども申し上げたように、全国津々浦々までテレビラジオが聴かれるということが大切なことは申し上げるまでもないが、ただ聴けるとか見られるということでなく、放送内容が非常に大事であると思いますので、各府県の地域のローカル性を生かす意味におきまして、少くとも各府県ごとにNHK並びに一般放送事業者放送局設置されるように希望するものであります。それから第二点の事業免許制については、これは削除に反対であります。当然放送法立場からも事業免許というものがあってしかるべきだと考えます。
  73. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  次は竹内良知君からお願いいたします。
  74. 竹内良知

    竹内良知君 第一点の問題については、地域的にすべての人がマスメディアの恩恵に浴するということは、私もちろん賛成であります。ただその場合にはローカル性ということがよく強調されますけれども、ローカル性ももちろん大事でありますけれども、現在の日本国民文化の水準というものを考えてゆくことが大事であろうと思います。しかしこの点は放送内容に何らかの意味で、外からの規制でなく経営者、制作者の人たちの良識が一番重要なことになるだろうと、そういうふうに思います。それから第二点の事業免許制ですが、私さっき免許制とだけ申して、事業免許制と言わなかったように思うんですけれども、私はこの放送法改正法律案を読んで感じましたことは、やはり経営委員会の問題であると。これはNHKに対してで、民放に対しては事業免許制という形で政府の干渉が強化されるという点にあるのではないかということだったわけです。したがって事業免許制という点については、私ははっきりと不賛成である。賛成でないのであります。ですからこれはやめていただきたいと思います。
  75. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  次は野淵三治君からお願いいたします。
  76. 野淵三治

    野淵三治君 お答えいたします。  名古屋にもう一つチャンネルを設けることが今回の法律案の、全国各所に二局以上の放送網を設けるということに相反するならば、またそれを阻害するならば考えなければならぬことと思いますが、名古屋地方はその方面の人でやれるならば、ただいま申し上げたようなことを妨げるものでございませんし、またいろいろ放送事業者のよき競争ということがもたらされると思うのでありますし、また財政的にももう一局ぐらいなれば採算も立つものと考えますので、私といたしましては賛成でございます。  次にこの免許の問題でございますが、本来ならば放送事業というものは、多くの資本を投下いたしまして、もちろん政府の正しい免許の姿が好ましいのでございますが、まだどうも政府の言論統制のおそれありという気配がちまたに満ちているように、私としては感じます。それで現在のままの事業免許でない形をしばらく存続させることが正しいと思考するものでございます。
  77. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございました。  次は村山一之君にお願いいたします。
  78. 村山一之

    村山一之君 第一点については先ほど森本先生の御質問の中で答えたことになっておりますが、これは全国津々浦々に至るまで全部のものが聴けるという形に、今後法案に示されたような形のものをぜひ施行していただきたいと考えます。第二点の免許制の問題については、先ほど公述のときに申し上げたとおり、これは賛成できないという態度を申し上げておりますので、御了解いただきたいと思います。
  79. 砂原格

    座長砂原委員長) ありがとうございます。これにて質疑は終りました。  以上で現地調査会を終了いたしますが、今回の派遣委員団を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者方々におかれましては、貴重なる御意見をお述べいただき、両案の審査に資するところきわめて大なるものがあると思います。厚く御礼を申し上げます。また、この会議開催のために、格段のご協力をいただきました地元関係団体に対しましても、深く感謝の意を表するものでございます。  これにて閉会をいたします。    午後三時二十分散会