○畑
委員 いまの
答弁ですけれ
ども、世論が教育ということにだいぶ関心があり、第二の国民の
義務というようなことで教育を強調しておる傾向にあるから、その世論をバックにしてこの条文を挿入した、こう言われるわけでありますけれ
ども、こういうことは、世論があるからこうだとかいうようなことは私は好ましくないと思う。世論があろうがなかろうが、教育ということは
放送の大きな第一のあれになっておるのですから、それをことさらに世論があるからと言って、それに迎合して、それに合ったようなことで、しいて教育ということを強調して前面に押し出すことは非常に危険がある、かように思います。そういう
意味から
お尋ね申し上げたのでありまして、教育的
効果ということ自体をわれわれ否定するものでない。またそういう世論が相当あることも承知をいたしております。ただ私は、そう簡単に世論にばかり動かされて
法律を一々変えるべきものではなかろう、もっとどっしりと大きくかまえる必要があるのではないか、あとで出てくる暴力云々の文字も、やはり同じことが言えると思います。世論がこうだからおっ取り刀でやる、どろなわ式でそういう規定を挿入するということは、むしろ権威がないのじゃないか。こういうことで、しかも教育ということを強調して、教育万能のような形に
放送が持っていかれることはあまり好ましくない、実はこういう見解なのでございます。この点はいろいろ与野党で話をしておるようでありますが、この点はそういう私の
考え方を申し述べて、教育ということをあまり強調し過ぎることの危険を私は心配しておるわけであります。
次に、第二条の問題でございます。まず第二条は定義となっております。この定義の中で一号から四号まではそのままであります。
現行法の第五号では、「「教養
番組」とは、学校教育又は
社会教育のための
放送の
放送番組をいう。」第六号では、「「教養
番組」とは、教育
番組以外の
放送番組であって、国民の
一般的教養の向上を直接の
目的とするものをいう。」となっておる。それが今度は
放送法の中から教育
番組及び教養
番組という定義が削られまして、教育
番組という別の形でほかの項目で残っております。教育の機能を強調するということとうらはらに教育
番組だけは残っており、あるいは教育
番組の審議機関が新しく設けられることになっておる。教育
番組はそういう別のところに残って、教養
番組というのは全然削られてしまっておるわけであります。このことにつきましては、前の
NHKの予算の審議の際にも私は申し上げたのでありまして、教養
番組という
ことばが
改正案の中から消え去っておるけれ
ども、これを消した理由というものについて再びお聞きしたいのです。
大体いままでの
現行法によりますと、
番組の種類の中には、教育
番組と教養
番組の二つの規定がありますが、そのほかに報道あるいは娯楽というような規定がありまして、俗に教育
番組、教養
番組あるいは娯楽
番組、報道
番組といわれておったわけであります。ところで今度、教養
番組というのがはっきり定義の中から消えてしまって、少しもどこにもそれらしいものが出ていない。この教育
番組の、いまの定義にもありますけれ
ども、「教育
番組以外の
放送番組であって、国民の
一般的教養の向上を直接の
目的とする」こういうふうになっておるのでありますが、こういう部面は相当あると思うのです。またなければならぬ。ところが、
一つも教養
番組のことについては、ほかにもこの名前はないとしても、それに近いような教養云々はない。ただ
一般的に、さっき申し上げてまいりましたが、全部の
番組の
編成について
一般的教養の向上を心がけなければならない、こういう抽象的な、全部にかぶさる規定がなされておる。それだから、教養
番組については特に規定は削っちゃったんだ、こういうようなこの前の
答弁だったと思います。それからまたもう
一つは、先に飛びますけれ
ども、第
三条の二のところ、それの第四項が「国民の
一般的教養の向上に資する」云々です。それから第二項に今度「教育、報道、娯楽等のための
放送番組の相互の間に調和を保つようにしなければならない。」先ほどちょっと出てきましたが、そういう表現がございます。これが前と違っておる。前には教育、報道、娯楽、それから教養がありました。前のあれによりますと、教養
番組または教育
番組及び報道または娯楽ですか、そういうふうなことになっておりました。それが今度は、「教育、報道、娯楽等のため」こうなっておる。「等」があるから教養
番組はここへ入るんだ、だからいいんだ、同時にまた先ほど言った四項で「国民の
一般的教養の向上に資する、」こういうふうに書いてあるからこれを無視したのではない、こういうような御
答弁があったように思うのでありますが、どうも私はこれだけでは納得できないのであります。ほかのことは報道、娯楽とこうなっておるのに、教養の点だけが特にそれがなくて「等」の中に入っておるということは、どうも教養
番組を少し虐待し過ぎているんじゃないか、軽視し過ぎているんじゃないか、かように思えてならぬ。その辺の点をもう一度あらためて、この法案の審議でありますからお伺いしたい。