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1966-04-28 第51回国会 衆議院 逓信委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十八日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 上林山榮吉君 理事 佐藤洋之助君    理事 内藤  隆君 理事 畑   和君    理事 森本  靖君       綾部健太郎君    小渕 恵三君       大野  明君    木部 佳昭君       徳安 實藏君    服部 安司君       南  好雄君    大柴 滋夫君       片島  港君    中井徳次郎君       原   茂君    前田榮之助君       松井 政吉君  出席政府委員         郵政政務次官  亀岡 高夫君         郵政事務官         (大臣官房長) 鶴岡  寛君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  畠山 一郎君         郵 政 技 官         (大臣官房電気         通信監理官)  野口 謙也君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君  委員外出席者         郵 政 技 官         (電波研究所長         心得)     河野 哲夫君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   佐々木卓夫君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         日本電信電話公         社施設局長   北原 安定君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社社長) 大野 勝三君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社副社         長)      八藤 東禧君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     板野  學君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     甘利 省吾君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      新川  浩君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      増田 元一君         専  門  員 水田  誠君     ――――――――――――― 四月二十七日  委員小渕恵三辞任につき、その補欠として唐  澤俊樹君が議長指名委員に選任された。 同日  委員唐澤俊樹辞任につき、その補欠として小  渕恵三君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十六日  戦傷病者放送受信料免除に関する請願(植木  庚子郎紹介)(第三四九三号)  同(中川一郎紹介)(第三四九四号)  同(赤澤正道紹介)(第三五三一号)  同(中野四郎紹介)(第三五八二号)  同(野原正勝紹介)(第三五八三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  電気通信に関する件(東南アジア海底ケーブル  に関する問題等)      ――――◇―――――
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、電気通信に関する件について調査を行ないます。  本日は、国際電信電話株式会社より参考人として社長大野勝三君、副社長藤東禧君常務取締役板野學君、常務取締役甘利省吾君、取締役新川浩君、取締役増田元一君、以上六名が出席されております。  質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 この前にはこの東南アジアケーブルについての問題を質問をしておりましたが、途中で切れたわけであります。この大体の経緯の説明がありましたけれども、ここでまずお聞きしておきたいことは、東京から台湾を通って、マニラを通って、サイゴンを通り、さらにバンコクを通ってジャカルタに通ずるこのケーブルでありますが、御承知のとおり戦前の英国が持っておりましたケーブルは、長崎から上海を経由して、さらに香港を経由してインド洋を経由してヨーロッパに通ずるという形になっておったわけであります。何といたしましても、中国大陸を経由せずにこういうケーブル布設されるということについては、今後の通信網の設立としては、いわゆる通信系統としては正規の中国大陸を除くということについては、現下国際情勢において考えた場合、あるいはまた現下自民党政府が考えた場合に、これは中共を除くということを考えられるかもわかりませんけれども、今日の国際情勢というものは日々変化いたしておりますし、またその変化の度合いが非常に激しいような度合いになっておるわけでありまして、現状においては確かに日本中共との通信交流というものは少ないかもわかりません。しかしながら、将来、この通信交流というものは、国交回復あるいは貿易の振興というものにつれて、相当これがふえてくるかもわかりません。さらにこの東南アジア各国中国との間における関係も出てくるかもわからぬわけでありますが、そういう点で、今回中共を経由してこれが通っていないわけでありますが、本来ならば東京-台湾間については、東京-台湾間の独自のものを持ち、そうしてこの東南アジアにつなぐところの問題については、東京から上海を経由し、香港を経由していくというふうな計画をしても、これは私はいいのではないかというふうに考えるわけでありますが、ここで中共が除かれておるということについては、日本政府からそういう意思を中共に対して伝えたかどうか、そういう点についてまずひとつ政府に対してお尋ねしたいと思います。
  4. 畠山一郎

    畠山政府委員 現在の東南アジア海底ケーブル計画構想には、御指摘のとおり中共は入っておりません。これは中共側の要望もございませんし、何よりもまず国交関係が全然ございませんので、そういう案にしているわけでございます。  なお、こういうことについてどうするかというようなことについて、こちらから中共のほうに積極的に接触したということはございません。
  5. 森本靖

    森本委員 向こうからも話がなかったわけですか。
  6. 畠山一郎

    畠山政府委員 御指摘のとおり、先方からも別段の話はございません。
  7. 森本靖

    森本委員 これは香港を経由しておりますが、この東南アジア香港あたりからもそういう意見はなかったわけですか。
  8. 畠山一郎

    畠山政府委員 香港側からも、中共のほうに陸揚げしたほうがいいというような話は全然ございません。
  9. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この東南アジアの今回のに加入する各国については、そういう意見は全然なかったわけですか。
  10. 畠山一郎

    畠山政府委員 実は先日申し上げましたような私たちのほうの案によりまして、昨年の八月、九月に関係各国と折衝いたし、また打診いたしました。その際にインドネシアのほうからそういう話がございました。具体的に申しますと、インドネシアといたしましては上海に陸揚げすることを希望する、こういうような趣旨の話はございました。
  11. 森本靖

    森本委員 私はこの国際情勢というものは日々激動していくものであるということを言っているわけでありますが、当時のインドネシア意見が現在のインドネシア意見であるのかどうか、また、いまのインドネシア意見がいつまで続くかどうかということについても、これは国際的な情勢というものが激動点にありますので、なかなかわかりにくいのでありますけれども、そういう国際的な情勢というものを除いたりいたしましても、元来この通信経路を持っていく場合には、当然中国大陸を除外して布設をしていくということは、通信経路の正当な道としてははずれているのではないか、少なくとも七億の民、さらにその背後にあるところの人口を有するお隣の中共と全然没交渉のこのいわゆる海底ケーブル布設ということについては、これは通信経路といたしまして、そういうような政治的な問題を抜きにいたしましても、将来に非常に禍根を残すのではないか。現にイースタンのいわゆる有線電気通信海底ケーブルの際におきましては、上海を経由しておるわけでありますし、さらにまた長崎から青島にも海底電線がついておったわけであります。それが今回の計画において全然除外されるということについて、私は非常に遺憾の意を表したい。この問題については将来日本政府としてはそういうふうな国際的ないわゆる政治情勢あるいはイデオロギーその他にとらわれずして、通信網というものば郵便と同じく万国共通という考え方に立ってひとつやっていかなければならぬ、こういうふうに私は考えておるわけでありますけれども、これはいまの自民党政府の諸君のいわゆる感覚でいくとするならば、何ぼ私がここで百万言費やしたところで、なかなかそういう方向にはならぬと思いますが、とにかく私はこの東南アジアケーブルの問題についての社会党らしい――というよりも社会党としての意見を私は率直に申し上げておきたい。  確かに、この東南アジアケーブルの、南方諸国についてのフィリピン以下の問題について、こういうふうな海底ケーブル布設するということについては、これは私は当然日本が積極的に援助し、協力し、やっていくべき問題であるというように考えますけれども、その間における問題が、かりにそういうことが荒唐無稽な問題であるにいたしましても、かりにこれが東京から上海を経由し、上海から台北を経由するという海底ケーブルができれば、これが荒唐無稽といえば荒唐無稽な話でありますけれども、そこにやはり何らかの人間的な交流、平和的な交流というものができ得る道があると思いますし、かりに台湾を経由せずに、上海を経由し香港を経由してマニラを経由してこの海底ケーブル布設される。台湾がいわゆる日本との直通の海底ケーブルになっておるということになりましても、将来にそこに何らかの交流の道が開かれる。通信路線というものにつきましては、単に通信路線ということだけを考えずに、そういうふうな国際的な問題も私は考えていかなければならぬというふうに考えているわけでありますので、そういう点については大臣がおられませんので、ひとつ政務次官から御見解を承っておきたい、こう思うわけでありますが、おそらく政務次官もこれは簡単にどうこうという見解はなかなか述べにくいと思いますが、述べにくかったら述べにくいということでもけっこうでありますが、いずれにしても副大臣としてはっきりした見解をひとつ示しておいていただきたい、こう思うわけです。
  12. 亀岡高夫

    亀岡政府委員 中央との国交回復ができておりません現在、政府といたしましては、先ほど監理官から申し上げますように、この東南アジアケーブル計画の中には取り入れてございません。森本委員の御意見は御意見として拝聴しておく次第でございます。
  13. 森本靖

    森本委員 それから最終がジャカルタになっておりますが、このジャカルタにいくまでにシンガポールあたりからインド洋に延びて接続する計画はないのですか。
  14. 畠山一郎

    畠山政府委員 この地域電気通信網計画につきましては、国連のアジア極東経済委員会のたびたびの会議でいろいろ審議されております。現在のところ計画もわりあいはっきりいたしておりますので、マレー半島のペナンから西へ、セイロンへ至る英連邦海底ケーブル線というのが大体ルートとしてはさまっているという程度でございまして、そのほかにもいろいろ構想程度計画はございますが、まだ具体化しているものはございません。
  15. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、従来の英国の持っておりましたこの路線というものは、全然いまはないのですか。
  16. 畠山一郎

    畠山政府委員 現在の英連邦海底ケーブルは、すでにできておりますものは香港北ボルネオのジェッセルトン、シンガポール、この三点を結ぶ最近できました海底ケーブルだけでございます。そのほかにこの地域には現在の英連邦海底ケーブルというのは、計画はございますけれども、布設されているものはございません。
  17. 森本靖

    森本委員 そうすると、南方インド洋を経由していくような海底ケーブルはいまのところ全然ありませんか。
  18. 畠山一郎

    畠山政府委員 現在のところございません。
  19. 森本靖

    森本委員 昔からありませんでしたか。
  20. 畠山一郎

    畠山政府委員 昔の古い電信だけの海底線はあったようでございます。
  21. 森本靖

    森本委員 それは現在全然使ってないのですか。
  22. 畠山一郎

    畠山政府委員 現在ほとんど使っていないそうでございます。
  23. 森本靖

    森本委員 このケーブルはあるのでしょう。これはたとえば上海-長崎間のケーブルとか、青島ケーブルとかいうものは戦争中になくなったけれども、この南方回りイースタンケーブルについては、昔これは日本通信をやっておったわけでありまして、この海底ケーブルは、英連邦南方を経由して持っていったのと、それから要するにノーザンのいわゆるソ連を経由してヨーロッパを経由する、この二つの路線があって、あとはいわゆる無線で連絡をしておったわけでありますが、南方と北方については、それぞれ有線通信経路があったわけでありますが、これは現在切れ切れになって、ないのですか。
  24. 板野學

    板野参考人 お答えいたします。  現在古い昔の電信ケーブルがところどころ海の底には残っておると思いますけれども、現実に利用していないというふうに私ども考えます。
  25. 森本靖

    森本委員 郵政省電気通信監理官としては、国際電電の重役がいなければ答えができないというふうな郵政省では郵政省の必要はありませんよ。大体国際電電監督するという立場にありながら、実際は国際電電の、ここにおられる諸公は、確かに昔の郵政省の官僚かもしらぬ。それは昔の上官かもしらぬが、しかしながら国際電電監督するものは郵政省である。その郵政省が絶えず国際電電から報告をとり、わからぬところはどんどん聞いて、そうして郵政省が絶えずこれを掌握しなければ郵政省の頂点に立つ郵政大臣が一体何を閣議報告するのか。全然わからないようなことを閣議郵政大臣答弁をし、報告をして、それで一体済むのかどうか。もう少し郵政省としては、これは電電公社の問題でもそうだ。電電公社が出てこなければ郵政省はほとんどわからぬ、これは大臣に聞かしておきたいけれども、大臣がおらぬのでまことに残念であるが、要するにいま言ったように、これは国際電電の人は確かに一生懸命やっておることは私は認めます。だからこれは国際電電に聞けば何でもわかる、しかしそれではいかぬ。その国際電電監督するものは郵政省であるから、郵政省に聞けば国際電電に聞くと同程度の大局的なことはわかるということでなければ、これは勉強も不十分であると言われてもしかたがないわけです。そういう点についてはひとつ政務次官、今後の電電公社並びに国際電電等そういう機関に対する郵政省監督のあり方というものについてひとつ政務次官答弁を願っておきたい、こう思うわけです。
  26. 亀岡高夫

    亀岡政府委員 森本委員の仰せの気持ち、よく理解できるわけでございます。電電公社並びに国際電電監督立場にあります郵政省といたしましては、常にそれぞれの機関の実態をよく把握いたしまして、そうして国民の立場に立って適切な監督指導ができるようにあらねばならないことに相なっておるわけでございますが、一部現実におきましては、私どもの微力のいたすところ、十二分な監督指導と申しますか、そういう点に欠くるところあるということも、これも認めざるを得ない現状に私自身は認識いたしておるわけでございますが、今後十二分にその点注意をいたしまして、森本委員の御趣旨に沿えるような方向に持ってまいりたい、鋭意努力中でございます。
  27. 森本靖

    森本委員 政務次官は出身がなかなか率直な人でありますので、私はその政務次官答弁の誠意をひとつ十分にくみ取ってこの点については――しかしながら大臣には委員会でこういう論議があったということを、ひとつ政務次官から十分にお伝え願いたい、こう思うわけであります。  次に進んでいきたいと思いますが、そこでまず、わが党としては先ほど申しましたようにこの東南アジアケーブルについては全面的に賛成するわけにはまいらぬ。というのは、先ほど来の中共の問題もありまするし、さらにまた将来ジャカルタからインド洋を経由して一体向こう側にどういうふうに連なるかという問題についての結論も出ていない。しかしながら事実問題として台湾その他の問題について延びた場合においては、要するにバンコクあるいはシンガポールジャカルタまで、そのことのいかんにかかわらず、一応の有線電気通信海底ケーブル布設されていくということについては、一つの通信路線の前進ということになるわけでありまして、そういう観点からいたしますると、まず私は、いま申し上げましたような東南アジアケーブルに対する前提を申し上げておきまして、この東南アジアケーブル建設内容について、これはその内容を明らかにするという意味において、意見をまじえずに、今度は質問だけにとどめていきたいと思うわけでありますが、そうなりますと、具体的にいわゆる東京からジャカルタまでのこの東南アジアケーブルの開設については、この間若干の説明がありましたけれども、これについてはいわゆるケーブル建設会社というものを日本に置いて、そういたしましてこのケーブルができ上がった場合には、各国がそのケーブルのでき上がった額をそれぞれ支払う、こういうことになっておるようでありまするけれども、一応このケーブル会社の全貌と、さらにそのケーブル会社が今後どういうふうに建設計画し、これができ上がった場合においてはどういうふうに各国がこれを支払い、そして具体的にはその所有権がどうなり、これを各国が具体的にどういうふうに使用していくか、そういうふうな内容について、ひとつ簡単にして要領を得た説明を願いたいと思うわけであります。
  28. 畠山一郎

    畠山政府委員 この東南アジア海底ケーブル建設し、また建設されましたあと保守を受諾するために、日本の法律によりまして日本の法人としてケーブル建設保守会社をつくりたいと考えております。この会社資本金八億円、全額国際電電出資という考え方でございますが、このほかに海外経済協力基金から二カ年にわたりまして五十八億円の貸し付けを受け、またその他銀行からも融資を受けまして事業を行なう、こういう構想でございます。ケーブル建設されますと、それぞれ関係国にいわば引き渡す、販売するわけでございますが、その場合に、先進国以外の新興国につきましては、一時にその代金を支払うことができませんので、延べ払いにしていきたいと考えております。延べ払いにいたしますと、建設費の回収はできませんので、その引き当てのために、先ほど申し上げましたように海外経済協力基金から五十八億円ばかりの低利長期貸し付けを受ける、それによってまかなっていこう、こういう考え方でございます。建設されましたあとは、このケーブル保守作業に当たるという構想でございます。
  29. 森本靖

    森本委員 そうすると、まずそのケーブル建設会社出資金とそれに要する建設資金の使途をひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  30. 畠山一郎

    畠山政府委員 まず出資金は八億円でございます。これは国際電電全額出資をする、こういうふうに考えております。それからケーブル建設して、即時払いで入りますのが五十億四千万円でございます。それから海外経済協力基金からの融資が五十八億円でございます。  以上のように資金を調達するわけでございますが、そのほかに一応の考え方といたしまして、別に市中銀行等から長期八億円、短期十五億円程度融資を受ける必要が起こってくるかと思います。これがこのケーブル建設保守会社資金調達の方法あるいは収入でございます。
  31. 森本靖

    森本委員 この五十億四千万円の即時払いというのは、どこどこが払うわけですか。
  32. 畠山一郎

    畠山政府委員 このケーブル建設計画のうちの第一期計画といたしまして、台湾からタイまでを考えておりますが、その建設費が約百二十四億円でございます。それを関係各国割り当てるわけでございますが、即時払いをいたします国は、日本香港とアメリカでございます。この割り当て額合計いたしまして四十二億三千万円となります。その他の国は八十一億五千万円の分担になるわけでございますが、そのうち一割をすぐに払ってもらう、いわゆる頭金一割というわけでございます。それが八億一千万円になります。それを両方合計いたしますと五十億四千万円ということになります。これが即時払いで入るケーブル売り渡し金でございます。
  33. 森本靖

    森本委員 その八億一千万円というものの中に延べ払い金額が入っておるわけですか。
  34. 畠山一郎

    畠山政府委員 新興国に本来割り当てますべき金額合計で八十一億五千万円となります。このうち、本来新興国分担になります分のうち三十億円をKDD肩がわりして負担するという計画にいたしておりますが、そういう関係新興国が支払うべき金額は五十一億四千万円、国際電電肩がわりいたしまして一応受け持ちます金額が三十億――正確に申しますと三十億一千万円となりますが、この両方の合計が八十一億五千万円となります。これが延べ払い対象でございますけれども、延べ払いいたします場合に、総金額の一割だけは頭金としてすぐに支払う、こういうふうな考え方でございます。したがいまして八十一億五千万円の一割、八億一千万円ばかりは即時払いと同じで、すぐにケーブル建設保守会社収入になるわけでございます。残りの七十三億四千万円が延べ払い、いわゆる年賦払いということになるわけでございます。
  35. 森本靖

    森本委員 その七十三億円の中の三十億円が肩がわりということですか。
  36. 畠山一郎

    畠山政府委員 頭金になります、すなわち即時払いになります八億一千万円のうちに三億ばかりKDD肩がわり分が入っておりますし、また延べ払いになります。十三億四千万円の中に二十七億ばかりKDD肩がわり分が入っております。
  37. 森本靖

    森本委員 そうすると、この八億円という即時払いの中にもKDD立てかえ金も入っておるわけですか。
  38. 畠山一郎

    畠山政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  39. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、結局この延べ払いとして海外経済協力基金から立てかえてもらいたいという金額は幾らになるのですか。七十三億の中から何ば引いたものになるのですか。説明が妙に回りくどくて私にはわからぬが……。
  40. 畠山一郎

    畠山政府委員 先ほど申し上げましたように、延べ払いになります金額合計で七十三億四千万円であります。海外経済協力基金がその金額の八割だけ融資いたします。したがいまして七十三億の八割でございますので、五十八億円ということになるわけでございます。この五十八億円を海外経済協力基金からケーブル建設保守会社融資してもらおうという計画でございます。
  41. 森本靖

    森本委員 そうすると結局このKDDの三十億円の立てかえというのはどこへいくのだ。
  42. 畠山一郎

    畠山政府委員 この関係国のうち日本香港、米国を除きます国は中国フィリピン、ベトナム、カンボジア、タイ、マレーシアでございますが、これは回線比例でいきますと八十一億五千万円の割り当てになるわけでございますが、このうち三十億をKDD肩がわり分担するということでございます。それもKDDといたしましては長期低利経済協力基金からの融資対象として考えていきたい、こういうことでございます。
  43. 森本靖

    森本委員 そうすると、最初一割払う金額の中にもKDD立てかえ分三十億円が入っておる、  こういうことになるわけだね。
  44. 畠山一郎

    畠山政府委員 頭金一割の中にもKDD立てかえ分三十億の一割、つまり三億円が入るわけであります。
  45. 森本靖

    森本委員 それで大体つじまが合うわけなんですが、そうすると、このKDDの三十億円というのもこの経済協力基金のほうからKDDが借りるわけですか。
  46. 畠山一郎

    畠山政府委員 KDDケーブル建設保守会社ケーブル代金として支払うわけでございます。そのうち、肩がわり分立てかえ分三十億円だけを延べ払い対象にするわけでございますが、それに対応いたしまして、その部分につきましてもケーブル建設保守会社経済協力基金から融資を受けたい、こういう計画でございます。
  47. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、私が聞いておるのは、この三十億円というKDDの金については、これはKDDの負担というのはケーブル会社への出資金が八億円でしょう。それからKDD独自の負担金が十六億円でしょう。それからそれ以外に、KDD新興国への肩がわりの負担金の延べ払い対象が三十億円、こういうことでしょう。だから、この三十億円についてはKDDの金では現実にはまかなえぬわけでしょう。だから、この三十億円については経済協力基金ですか、そのほうからKDDが借りてこれに立てかえよう、こういうことですか、こう聞いておるわけだ。
  48. 畠山一郎

    畠山政府委員 これはKDDとしまして三十億をケーブル建設保守会社に支払うわけでございますが、一時に支払う必要はございません。新興国の持ち分の肩がわりでございますから、新興国が持てるようになりますれば、その回線を相手国に売っていくわけであります。その間一時に支払わなくてもいいわけでございますので、すぐにはKDDの負担にはならないわけでございます。延べ払いになりますので、ケーブル建設保守会社のほうでは建設はいたし、売りますけれども、すぐには収入にならないので、それを補てんするために経済協力基金から融資を受けたい、こういう考え方でございます。したがって、KDDの負担といたしましては……。
  49. 森本靖

    森本委員 人の質問に対してわかるように答えなさいよ。ほかのことを言ったらさっぱりこっちはわからぬよ。KDDの三十億円をどこから借りるのか聞いておるのだ。
  50. 畠山一郎

    畠山政府委員 KDDといたしましては、ケーブル建設会社への出資金八億円とKDD独自の本来の負担分が十六億円でございますが、そのほかに肩がわり分三十億円のうちの三億は払う、やはり即時に払うわけでございますが、残りの二十七億は延べ払いで、一応われわれの希望といたしましては三年据え置きの十二年、合計十五年の年賦払いでいきたいということでございますが、KDDにつきましても、そういうことでずっとやっていくわけでございます。したがいまして、どこから出るということになりますれば、やはりKDDのほうから出るわけでございますけれども、KDDといたしましては、この間に各関係国がぼつぼつ持てるような状態になりますと回線を本来の分担国のほうに売り渡していくわけでございますので、それによってまかなうということになるわけでございます。経済協力基金から直接にKDDが借りるという契約ではありませんので、延べ払いをするケーブル建設保守会社経済協力基金からその引き当てとして金を借りていきたい、こういう計画でございます。
  51. 森本靖

    森本委員 回りくどいことになったけれども、そうすると、経済協力基金というものが東南アジア新興国家のものを保証する、その保証するときに、KDDが出すのは結局経済協力基金の金が出る形に間接的にはなる、こういうことですか。大野社長、これはどうですか。これは国際電電に聞いたほうが早い。
  52. 畠山一郎

    畠山政府委員 ただいままではいわば金のやりとりの関係を申し上げましたが、結局は日本政府資金であります経済協力基金の金によって新興国を援助するというかっこうになるわけであります。
  53. 森本靖

    森本委員 わかるように答弁をしてくれ。さっきから言っておるようにここまではわかった。ケーブル会社KDDの八億円はわかった。KDD独自の負担金十六億円というのもわかった。残りの三十億円というのはどうなるのかということを聞いておるけれども、聞いておるほうはなかなかわからぬ。だから、三十億円はどういうふうにするかといえば、君のほうは、結局これは延べ払いになるので、その間に入ってくることもある、どうこうもある、こう言っておるけれども、間接的にはこの三十億円も経済協力基金の金で立てかえなければ、KDDはそれを出す金はないだろう、ぼくはこう言っておるのだ。
  54. 畠山一郎

    畠山政府委員 おっしゃるように、間接的にはケーブル建設保守会社を仲に立てまして経済協力基金融資をするという結果になるわけであります。
  55. 森本靖

    森本委員 それでは、この三十億円の立てかえという場合にはKDDは幾らの金利でこれは立てかえるのですか。
  56. 畠山一郎

    畠山政府委員 これは私たちのほうの考え方でございまして、国内的にまだその条件についてはきめておりませんが……
  57. 森本靖

    森本委員 考え方を聞いておるんだ。
  58. 畠山一郎

    畠山政府委員 一応年利四分、期間としましては三年据え置きで十二年で償還する、合計十五年で償還をする、こういう構想でございます。
  59. 森本靖

    森本委員 その三十億円もそうですか。
  60. 畠山一郎

    畠山政府委員 肩がわり分三十億円についてそのように考えております。
  61. 森本靖

    森本委員 そうすると、KDDはえらい大金持ちになるわけでありますが、四十六億の――わからぬかね。三十億円の金の出し方がどういうからくりになって出すのか、ちょっとわかりやすいように言えぬものかな。大野社長ひとつ説明願います、参考人から。
  62. 大野勝三

    大野参考人 ただいまのケーブル建設保守会社構想は、御承知のとおりいま政府でお考えの段階でございます。私どものほうはまだ具体的に非常に詳細にお話を承っておりませんのですが、大体森本先生のおっしゃるとおりで、三十億のいまの肩がわり分につきましてはやはり後進国――後進国と言ってはあれでございますが、新興国のほうで延べ払いをしてもらう、それと同じ条件で同じ立場KDD肩がわりをするということになろうかと私は考えております。
  63. 森本靖

    森本委員 そうすると、KDD新興国――後進国と言わずに新興国と言ったらいいのだ。新興国への肩がわりをする金については、要するにKDDとしても結局経済協力基金の金を使ってやりたい、こういうことですね。
  64. 大野勝三

    大野参考人 さようでございます。
  65. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、実際問題としてKDDが独自に負担するという場合には、ケーブル会社への出資金の八億円とKDD独自の負担金の十六億円、こういうことになるわけであって、この十六億というものについては将来の共有財産になる、こういうことになるわけですね。
  66. 大野勝三

    大野参考人 将来の共有財産のうちのいわば持ち分になるわけでございます。
  67. 森本靖

    森本委員 そうしますと、この八億円の出資金については金利も何もつかぬわけですから捨て金、こういうことになるわけですね。いわゆる捨て石といいますか、そういう意味のことになるわけですね、これは配当がないわけでありますから。
  68. 大野勝三

    大野参考人 配当がなければそのとおりでございます。
  69. 森本靖

    森本委員 なければというが、これは大体政府側は配当がないつもりなんでしょう。どうなんです。
  70. 畠山一郎

    畠山政府委員 現在の計画では配当は期待できないというふうに考えております。
  71. 森本靖

    森本委員 だから配当がないということになるとするならば、八億円というものの出資金については――これはケーブル布設会社ですから、ケーブル布設して、次にまたジャカルタから先に伸びていくというなら別ですけれども、それがないということになるならば、この八億円というものはいわゆる東南アジア諸国への一種の捨て石ということになるわけですね。
  72. 大野勝三

    大野参考人 いろいろ条件があると思いますけれども、もしもおっしゃるとおりであれば、あるいはそういう形になります。
  73. 森本靖

    森本委員 捨て石になっても、ふだんもうかっておるからやむを得ぬだろうというように政府はおそらく見ているだろうと思いますが、そこで今度ナホトカ-新潟間に新しくケーブル布設する場合に、このケーブル布設会社がやれば――東南アジアケーブルだけをやらずに、東南アジアケーブルと同時に日本海のソ連とのケーブル布設についてもこの会社がやるということになれば、ある程度の利益は出てくるという見通しはないのですか。
  74. 畠山一郎

    畠山政府委員 現在の配当のないというような計画につきましては、経済協力基金資金援助も受けるというような関係もございまして、相当かたく見積っております。しかも第一次計画だけの計算でございます。したがいまして、御指摘のような事態が起こりますれば、その分はこのケーブル布設保守会社のプラスになりますので、利益が期待できるわけでございます。
  75. 森本靖

    森本委員 利益が期待できるわけでございますということですが、そういうふうにやるつもりですか。
  76. 畠山一郎

    畠山政府委員 そういうふうにやりたいと考えて、この日本海底ケーブルの交渉にも当たってもらっているわけでございます。
  77. 森本靖

    森本委員 そうなると、結局これは配当も若干出てくる、こういうことになるわけですか。
  78. 畠山一郎

    畠山政府委員 日本海底ケーブルのことにつきまして、この会社がかりに入ったといたします場合に、どういうことになるかというような計算は詳細にはいたしておりませんので、どのくらいの配当が出るというようなことはまだ出しておりません。
  79. 森本靖

    森本委員 役所は一体何の仕事をどういうふうにやっておるのか、私はふしぎでたまらぬのです。この問題を委員会で論議しているのはもう三年ぐらい前からです。ぼくだったら二、三カ月でこういうものは計算をしてこうなりますという一つのデータはこしらえてみせる。よほど役所というところはひまなところと見えて――こういう東南アジアケーブル布設会社をつくる。これは無配だということであるとするならば、それはそれとしても、一方に今度はシベリア経由の海底ケーブルもやらなければならぬ。これについてはだんだん合意に達しつつある、こういう段階であるとするならば、そういうものも総合的に郵政省としては企画、立案をする、こういうことがあってしかるべきじゃないですか。
  80. 畠山一郎

    畠山政府委員 御指摘のとおりでございますが、日本海底ケーブルにつきましては、いつ話がまとまり、いつごろ工事ができるかというようなことの見通しができるような段階に残念ながら実はまだなっておりませんので、この東南アジア海底ケーブルとあわせまして事業計画立てる段階にまできていない、私はそのように考えておる次第でございます。
  81. 森本靖

    森本委員 それではシベリアの海底ケーブルについては、どういうところで行き詰まっているのですか。私がソ連に行ったのは六年前だ。
  82. 八藤東禧

    ○八藤参考人 確かに森本先生のおっしゃいますとおり数年越しの交渉をやっておるわけでございます。難物のソビエトが重要な役割りを演じている交渉でございます。グレイトノーザンはグレイトノーザンとしてのいろいろな向こう立場もありまして、なかなか紆余曲折を経てきたわけでございます。ごく最近において問題になりましたのは、ソビエトの領海内においてケーブルに故障の起こったときに、日本ケーブルの修理ができるのだが、それを日本にやらせない。グレイトノーザンは、自分はロシアとは仲がいいんだから、ロシアのほうをやりましょう。これは私は国民として、国家的な立場から承服しがたい。やはり日本ケーブルに故障があったら、ロシアの領海内でもいいから入れてもらいたい。かようなことが一つの大きな難点でございます。  それからまたいま一つは、グレイトノーザンのほうから、一体このケーブルを近代化したところで収支償うのは、ずっと後年度である。しかしわれわれの会社は小さい会社なんだから、ひとつケーブルができてから、最初の期間に一応元が取れるような料金分収をKDDは承認しろ、こう言ってまいりました。私どもとしては対等の国家間の話として、さような不平等条約にはとうてい承服しがたいというわけでございまして、それを私たちは企業危険の負担という問題で論争をしたわけでございます。それで私どもとしては、やはり対等国として平等の条件でやってくれ、損をするなら損をしよう、あるいは長く持ちこたえられるなら一緒に持ちこたえよう、かような論点でやっております。  また一つは、何せナホトカに上陸しましてから広大なシベリア大陸を横断してまいります。その横断してまいります間の線は、これはソビエト政府の線であります。それについての料金はどうなるか、またソビエト領内を通過したあとの東ヨーロッパまたは西ヨーロッパに入ったときのそれぞれの陸上連絡線の使用料はどうなるだろうか、この点についてもいろいろと問題もございましたし、あるいは伝送費の問題もあります。かようなわけでいろいろ三つどもえでやったわけでございます。さようなことで最近の問題はそういうところにございます。
  83. 森本靖

    森本委員 これは難物のソ連ということでありましたが、国際的な問題でありますので、ソ連はというふうに言われたほうが誤解がないと思いますから――これは非公式ならいいんですが、公式な場面なので、ことばにはよく御注意願います。
  84. 八藤東禧

    ○八藤参考人 難物と申し上げましたのは取り消します。非常にむずかしい相手であります。
  85. 森本靖

    森本委員 これは交渉が非常にむずかしいことは事実でありますが、グレイトノーザンは、これはソ連とは関係がありますか。
  86. 八藤東禧

    ○八藤参考人 御存じのように、グレイトノーザンは明治四年、ウラジオと日本長崎とのケーブルをしきましたときに、ウラジオまでの間にロシアとずっとやっておるわけであります。非常に深い関係を持っております。ただいまフィンランド国のヘルシンキに至るまでの間も、これはグレイトノーザンがやっております。
  87. 森本靖

    森本委員 グレイトノーザンは現実海底ケーブルの修理船をいま極東に持っておりますか。
  88. 八藤東禧

    ○八藤参考人 ソビエトでございますか、グレイトノーザンですか――グレイトノーザンのほうは、ただいま香港に滞船しております小さな船を持っております。
  89. 森本靖

    森本委員 香港に小さな船を持っている場合に、新しくかりに同軸ケーブル布設するということになった場合に、いわゆる修理船については、現実には間に合わないじゃないですか。
  90. 八藤東禧

    ○八藤参考人 まことに御明察のとおりでございまして、グレイトノーザンは、もしもコアキシャルケーブルを直す場合には、新造船にしたいという案を私どものところに持ってまいったわけであります。
  91. 森本靖

    森本委員 あなたはなかなかさむらいだから、人を持ち上げたり下げたり答弁がうまいが、しかしながら私が言いたいのは、このグレイトノーザンがいろいろ文句を言うなら、場合によっては日本とソ連とが直接交渉によって、いまの国際情勢をうまくつかまえてそれから折衝する。もっとも明治何年以来非常にノーザンにお世話になっているから日本としては相当の義理がある。だからこのほうの意見も十分に聞かなければならぬということも道義的にはわかります。しかし国家的利益という観点からいって、それがどうしても意見が合わぬということであるとするならば、場合によっては日本とソ連が直接交渉して日本とソ連によるところの海底線布設してもいいわけなんです、理屈は。何もグレイトノーザンが従来のいわゆる権益を主張して、今回の場合に――まあこれは意見が合えばいいわけですけれども、それはそれに越したことはない、いままでお世話になっているから。しかしながらグレイトノーザンのほうとの意見が相当難航するということであるとすれば、日本とソ連との直接折衝によって日本とソ連との共有による海底ケーブル布設のほうに踏み切ってもいい。その場合おそらくソ連がどう出るかというような問題については、私はまあ予測の限りではないけれども、これは大体海底ケーブルの場合については、漁船その他の問題と違って海底ケーブルの修理その他については当然領海内に入っていかなければできないわけでありまして、これは一つの特例を設けなければ当然できないわけでありまして、そういう点については私はひとつこの折衝を急いでもらいたい。もうこれはこの間に衆議院の総選挙が二回以上ありまして、それ以来やかましく言っておるけれどもこれがちっとも進展をせぬ。こういうことではよほどのんびりムードでやらなければならぬ。幾らそれはソ連の人々が気が長いといってもそう私はこの問題について長引かす必要はない。これ以上長引くようであるとするならば、何らかの方策があるはずだ、こう思っておるわけであります。その点について三者の意見が一致するということについてはなかなかむずかしい。場合によってはそれなら二つでやるぞ、いやそれじゃ困るからということで入ってくるということで、交渉技術がへたというかじょうずというかそれはわからぬけれども、とにかく時間が長くかかるということになります。もう少しこれスピードアップをして現在のソ連と日本にある海底ケーブル、これは戦後唯一の生きているケーブルでありまするから、このケーブルを新潟とナホトカとの間にかえれば間も短くなるし、それからその布設の経費についても、この東南アジアケーブルから見ると、もっと少ない金額になると思うのです。いま少しこれの交渉については速度をひとつ早めてもらいたい、こういうふうに考えるわけでありますが、ひとつ社長これはどうですか。あなた、さむらいの副社長にばかり答弁させずに、やはりあなたが国際電電の責任者でありまするから、ひとつ国際電電の責任者としてこの交渉を――これはむろん政府がやりますが、しかし実質的には国際電電がやっていかなければならぬ。私はいま言ったようなことでもう少し交渉にスピードをかけてもらいたい、こう思うわけであります。
  92. 大野勝三

    大野参考人 全く同様にわれわれのほうも考えております。ただいままでの交渉でいろいろいきさつがございますけれども、いつも交渉は前向きなんですね。ソ連も決して反対はしておりません。デンマークも非常に一生懸命にやっております。ただやっぱりお互い事業という立場からこまかいことを言い合うことはありますけれども、大体ゴールを目ざして向かっているのです。だからいま少しと思って私どももねばり強くやっておる状態でございます。
  93. 森本靖

    森本委員 ひとつこの点は早急に進めてもらいたいと思いますが、それからもう一点、今回日韓間におけるスキャタードウエーブによるところのいわゆる通信路線がほば合意に達しておるということを聞いておるわけでありますが、それについての説明をちょっと願いたい、こう思うわけです。
  94. 板野學

    板野参考人 お答え申し上げます。  日韓間の通信幹線につきましては、この一月に韓国から陳電務局長以下参りまして、その間におきましてこの幹線の回線につきまして一応の結論に達したわけでございますが、御承知のように現在におきましても日韓間の通信は非常に不便を感じておりまして、国交正常化に伴いまして非常に物数もふえております。現在の無線通信施設をもちましてはどうしても通信がさばけない、こういうことでございますので、新しく幹線をつくりたい、こういうことで交渉をいたしてまいったのでございますが、その幹線につきましては新しくケーブルをしく、あるいは対馬と釜山の間にマイクロウエーブをもってやるとかいろいろな案はございましたけれども、韓国との間におきましていろいろ折衝の結果、やはり先ほど先生もおっしゃいました見通し外のOHシステム対流圏散乱電波による施設が最も経済的でありますし、また国際幹線としても適当であるというような結論に達したわけでございまして、先方は蔚山の付近の舞亀山、当方は島根県の浜田の二百五十キロの間にとりあえず六十回線をつくりたい。昭和四十二年の暮れまでにはこれを完成するという予定で目下先方と折衝いたしておりまして、その建設費の総額は、大体日本側におきまして約五億円でございます。韓国側も大体そのくらいかかるというように考えておる次第でございます。
  95. 森本靖

    森本委員 これは海底ケーブルと違って結局日本側は四億八千万円ですか、これは当然負担する、したがって韓国側のほうもこれは韓国側が当然負担するわけでしょうね。
  96. 板野學

    板野参考人 そのとおりでございます。
  97. 森本靖

    森本委員 これは政府側にお聞きしますが、韓国側の負担する経費は、この日韓条約によるところのいわゆる有償無償の問題とは関係ないわけですね。
  98. 畠山一郎

    畠山政府委員 日韓OH回線の韓国側の負担金と申しますのは結局韓国側が建設するということでありますので、これにつきましては旧海底ケーブル関係ございません。
  99. 森本靖

    森本委員 そうじゃないんだよ。日韓条約によるところの韓国側に対するところの日本の援助資金によってやるとかやらぬとかいうことについては、われわれのあずかり知らぬところであって韓国の内部の政治問題であるけれども、要するにそういう点については韓国側の内容についてはタッチしたところではないかどうか、こういうことを聞いておるわけですよ。
  100. 畠山一郎

    畠山政府委員 日本側からの韓国に対する援助とは関係があるという話はまだ聞いておりません。韓国側としましてどういうふうにその資金を調達するかという問題かと思いますが、日本の援助がほしいとかいう話は全然出ておりません。
  101. 森本靖

    森本委員 韓国の場合はこれはやっぱり韓国の政府ですか、会社ですか。
  102. 畠山一郎

    畠山政府委員 韓国側の事業体は政府でございます。
  103. 森本靖

    森本委員 そうすると公共企業体でもないわけですか。
  104. 畠山一郎

    畠山政府委員 政府直営でございます。
  105. 森本靖

    森本委員 電電公社にお聞きしますが、いまの内容において国際電電と韓国側とのこのスキャタードウエーブによるところの通信回線路線についての計画がほぼ合意に達しつつあるというふうないまの状況でありまするが、そういたしますると前の日韓条約の問題のときに非常に紛糾いたしましたけれども、そのときに私が予算委員会において総理その他に強く要望いたしまして、総理といたしましてもこの問題については早急に対処しまた解決をつけなければならぬと思う、こういう答弁をいたしておるわけでありまするが、韓国とこういうふうにスキャタードウエーブにおける通信関係が合意に達したとするならば、従来の釜山-対馬間の海底ケーブルについての帰属問題と料金問題の解決をはからなければならぬわけであります。現にこの問題についてはどういうふうな状況になりつつあるか、当面の責任者である電電公社からひとつ御回答願いたい、こう思うわけです。
  106. 秋草篤二

    ○秋草説明員 ただいまのいわゆる古い日韓ケーブルの処理、あるいはこれに伴う料金のあと始末に関する問題は、日韓条約成立後政府のほうに全部お願いいたしまして、私どもは監理官を通じて外交折衝その他のポイントの御報告は承っておりますので、その後のつぶさな状況は政府のほうで答弁していただいたほうがよかろうと思います。報告は承っております。
  107. 森本靖

    森本委員 国際電電電電公社というのはなかなか都合のいいところでありまして、むずかしいことは政府政府にということで、それから政府に聞くとわからぬので政府はまた国際電電電電公社に聞いて政府が回答する。なかなかこれはうまい仕組みになっておるわけでありますが、それは別として、いずれにしてもいまの問題については確かにこれは副総裁が言うように、これは政府間の問題であるわけであります。しかし、実質的にはこれは電電公社の未整理財産という形になっておるわけでありますので、いずれにいたしましても副総裁のそういう答弁でありますから、政府側としての答弁監理官から聞いておきたいと思います。
  108. 畠山一郎

    畠山政府委員 昨年の日韓会談にあたりまして、私たちのほうといたしましてはこの日韓海底ケーブル問題も一括解決したいと考えましたけれども、先方側の意向で昨年の会談では国交正常化に必要最小限度にしぼりたい、交渉成立後急いで解決するようにしたい、こういうふうな意見でございましたので、そのように取り運んだ次第でございます。わがほうといたしましては、十二月に私のほうの案を外交ルートを通じまして韓国側に出しまして、そのあと外交ルートによる折衝が続けられておるような状態でございますが、実は内容的にはあまり進展を見ていないような状態でございます。
  109. 森本靖

    森本委員 内容的には進展をしていないで、どういう内容で交渉しておるのですか。
  110. 畠山一郎

    畠山政府委員 現在外交交渉ということになっておりますので、内容はあまり申し上げかねるような次第でございますけれども、外交ルートで窓口でいろいろ折衝いたしておるような状態でございまして、私たちがまだ交渉の中には入っておりません。
  111. 森本靖

    森本委員 私たちが交渉の中に入っておりません、で、これはこの問題を外務省にまかしたって外務省はやれるはずがないでしょう、はっきり言って。郵政省電電公社の人間が現実には向こうの人間と折衝して、最終的に政府政府との間において取りきめを行なうというのがほんとうの交渉のやり方です。そうでなければ何にもならない。通信関係のわからぬ外務省にやらしたって何ができる。これは大臣がおらぬでどうにもならぬが、政務次官どうですか。外交官にまかして、ちっともいま発表するわけにはいかぬということですけれども、現実にこういうふうな交渉は電電公社なりあるいは電気通信監理官と、向こう郵政省なり逓信省の人間とが折衝して、その固まったものが外務省同士の話に持ち上がってくるのが当然でしょう。そうでなかったら話が進むはずがないですよ、政務次官。まあこれは政務次官を責めてもしようがないのですが、要するにどの程度までいっておるということも言えずに、とにかく外務省にまかしてありますから、私のほうは知りませんじゃ、これは話にならぬ。それじゃ次の委員会質問することにして、そういうことではちっとも法律に入れないことになるのです。  委員長、実際問題としてほんとうに何を折衝しているかさっぱりわからぬわけですが、いまの答弁では委員長としてどうお考えになりますか。
  112. 砂原格

    砂原委員長 外交交渉の問題ですから、一応お話のように進める過程においては、それは郵政省が中心になって下相談をしなければならぬと思いますが、その段階に入る前の交渉を現段階においてやっておるのじゃないか、かように私は思うのであります。
  113. 森本靖

    森本委員 それではいまの委員長の回答で、そういうことであるとするならば、これは委員長も常識でわかると思いますが、一方では新しい通信回線の折衝をしてほとんど合意に達しているのですよ。ところが日韓条約のときに、予算委員会において佐藤総理自身が私の質問に対して、早急にこれは解決をつけなければならぬ、国家的利益からしてもこれは解決をつけなければならぬという答弁をしているわけです。そのほうの一方の解決はまだ外交折衝をしている。ところが一方の新しい路線はほとんど合意に達したということで、当委員会においてはこれを黙っているわけにはいかぬ。  それでは私は委員長に要求いたしたいと思いますが、もしも外交折衝中であって、公開の席ではばかるということであるならば、委員会を秘密会にして、その内容を詳細に説明を願いたい。このことをひとつ委員長に要求いたします。そうでなければ、これはいままでの経緯からして理屈に合わぬですよ。妙に委員長質疑応答になるけれども、これははっきしておかなければならぬ。何だったら理事会で相談します。
  114. 畠山一郎

    畠山政府委員 ことしになりましてから数回折衝いたしておりますが、外交ルートと申し上げましたのは、これは本来外交ルートの問題、政府ベースの問題でございますが、窓口での折衝がなされている段階であって、本格的に詰めた折衝の段階にまだ至っておりません。また窓口での外務省ルートの折衝と申しましても、私たち内容は事前事後に十分打ち合わせをいたしておりまして承知をいたしております。ただ内容につきましては、外交折衝中の問題でございますので申し上げかねる次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  115. 森本靖

    森本委員 この内容は、私が内容を詳しく言うと時間が長くなりますから、これは予算委員会の速記録を見ていただいたならば、いわゆるその間の金額がどの程度で、どういうふうに日本が考え、向こうがどう考えているかという経緯は明らかであります。  そこでもしもいま言ったように、いま折衝されておるからその内容についてはなかなか答えにくいということについては、外交折衝としての問題としてば一応了とします。しかし一方で新しい通信路線がほぼ合意に達しつつあるという現状において、一方の問題がどういうようになっているかということがわからぬということでは、ものごとは逆だと思う。まず平和条約によるところの海底ケーブルの問題についての解決を日本政府はまずつけておいて、それから新しい通信路線をどういうふうにするかということがやり方としてはほんとうなんです。相手がむちゃ言うからということではあるまいと思うけれども、とにかくだだっ子みたいなことを言うから、それならこっちをやっておいてこっちということはこれは逆だと思う。この問題はあとでひとつ理事会ででも協議することにして、できればその内容についても詳細に御報告を願いたいと私は思いますので、ひとつ委員長のほうでこの取り扱いについては理事会で協議するようにお願いしたいと思います。
  116. 砂原格

    砂原委員長 善処します。
  117. 森本靖

    森本委員 それからもう一つ聞いておきたいと思いますが、この国際電電会社というものは、国際電信電話株式会社法によってできておるわけでありまするが、これは営利を目的としますか、しませんか。政府側に聞いておきます。
  118. 畠山一郎

    畠山政府委員 国際電電株式会社は、国際電電株式会社法によって創設された会社でございますが、やはり株式会社でございますから、営利を目的とするということはございます。ただこの事業の性格にかんがみまして、政府の規制が相当行なわれている、こういうことになろうかと思います。
  119. 森本靖

    森本委員 当然政府の規制は行なわれまするけれども、国際電電電電公社の違いはどういうところにありますか。
  120. 畠山一郎

    畠山政府委員 御質問趣旨をあるいは取り違えているかもしれませんが、電電公社は公共企業体でございまして、営利を目的としない会社でございますが、国際電電株式会社でございますから、営利を目的とするいわば株式会社であるということで、性格的には相当相違があろうかと思います。ただ、経営いたしております事業が、一方は国内公衆電気通信国際電電は国際公衆電気通信でございますので、その点の相違はございますが、この社といいますか組織の根本的な性格が相当違っておる、こういうことだろうと思います。
  121. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、日本電信電話公社は、日本電信電話公社法によって、これはいわゆる国内の電気通信については「国民の利便を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的として、」云々ということがはっきりとあるわけであります。そういう点を考えた場合に、いま監理官が言ったように、電電公社の場合は公共企業体として営利を目的としないということは、これははっきりしておるわけであります。ところが、国際電電の場合は、あなたがおっしゃったように、役職その他については郵政大臣の相当の指揮下にあることは事実であります。しかし、株式会社である以上は営利を目的とするということにならざるを得ないわけであります。その点どうですか。
  122. 畠山一郎

    畠山政府委員 先生御指摘のとおりと思います。
  123. 森本靖

    森本委員 そういう場合に、ここに問題になりますのは、先ほど言いましたように、先ほど出ておりまするような、八億円プラス十六億円、三十億円という金です。この中の十六億円のKDD独自の負担金については、これは当然所有権として帰ってきますから一応けっこうであります。それから、三十億円の肩がわりについても、これは経済協力基金としてやるとするならばいいとして、一体この八億円という問題については、これは株主に対してどういう申し開きをするか。本来ならばこの八億円という問題については、国策的な問題としてこれは出さなければならぬ。一民間会社にこれをやらすべき問題ではないのではないかというふうに私は考えるわけでありますが、その辺どういうように政府はお考えですか。
  124. 畠山一郎

    畠山政府委員 国際電電会社が営利を目的とする株式会社であるということについては、先ほど申し上げたとおりでございますが、反面、政府の規制に従います公益事業を行なう独占的な会社でございますので、ある程度はやはり国策に沿ってやっていただきたい、こういう考え方でございます。
  125. 森本靖

    森本委員 その場合に、株主総会で反対があったらどうなります。
  126. 畠山一郎

    畠山政府委員 もしこのような計画国際電電の株主総会にかかりまして否決されたらどうなるかという御質問でございましょうか。もしそうなりますと、そこへ八億円出資することは、それはできなくなるのじゃないかと思います。
  127. 森本靖

    森本委員 その場合、そういうできなくなるということについて、こういう国際電電会社に対する監督権あるいはそれに対する指揮権というものがあるけれども、かりにこの八億円の出資については株主総会としては反対であるという意思表示があった場合には、この計画はそれではすべて絵にかいたもちでこわれてしまう、こういうことですか。それでは、それほど政府の企画、立案というものはあかぬというのですか。
  128. 畠山一郎

    畠山政府委員 株主総会で否決されたならばという御質問でございましたので、そういうふうに申し上げましたが、万々そういうことはないと思いますが、国際電電法の第十五条に「郵政大臣は、会社に対し、公共の福祉を確保するため、その業務に関し必要な命令をすることができる。」とあるわけでございます。法律上最後の手段としてはそういうものがあるわけでございます。しかし、そういうことではなくて、やはりいろいろ話し合って説得して、そういうふうに持っていきたいとは考えております。
  129. 森本靖

    森本委員 そうするとこれは――あなたはいまようやくその条項をさがしたのだろう。  否決された場合には郵政大臣が、その株主総会についてのやり方は間違っておるから、こういうふうに直せという命令は出せる、こういうことですね。
  130. 畠山一郎

    畠山政府委員 実は、そういう事態が起こった先例もございませんので、とっさの御質問ですから思い浮かばなかったわけでございますが、一応法律上はできるかと思います。
  131. 森本靖

    森本委員 これはたとえば郵政省の共済組合なんかも、相当これは株主として持っているわけです。共済組合の運営については、なるほど郵政省も入っておりますけれども、労働者側も半数出ておりますよ。その場合に、そんなものはいかぬということにならぬとも限らぬですね、場合によっては。だから、共済組合なりその他のものがこれに出しておるということは、国際電電に協力しようとして出しておるわけじゃないのですよ、はっきり言って。国際電電という会社は絶対つぶれない、法律によってできておるから。それから配当も大体一割程度は確実である。だからこれは一番確実な投資であるというところから投資しておるわけであって、共済組合あたりは国際電電の事業に協力しようとして投資しておるわけではない。だからそういう点について、こういうことの起きてきた場合に、もしまるまる八億円損したら会社が損をする、ひいては最終的に株主が損をするからいやだということにもなりかねない場合も私はあると思う。だから、こういうふうな問題を考える場合には、あらゆる問題を想定をして考えていかなければいかぬと思う。  どうも私の考え方では、はっきり最終的に言いたいことは、郵政省としては、こういう計画について、すべてこの国際電電の問題については、もう国際電電の幹部に一切おまかせ、たまたま逓信委員会で私あたりがやかましゅう質問をすると、あわてて国際電電の幹部を呼んで、それはどうなっておる、こうなっておると、にわか勉強をしなければならぬ。それで回答しているうちに国際電電が出てきて答弁をしなければ答弁ができぬ。電電公社またしかり。こういう点から考えた場合に、一体郵政省電気通信監理に対する政策が那辺にあるかということが非常に疑問である。実際問題として、国際電気通信政策というものはほとんど国際電電がやっておる、国内の電気通信政策というものはほとんど電電公社がやる、そこに政府としての電気通信に対する政策、立案、企画、総合的なもの、こういうものが私は不足しておるのじゃないかと思う。これはあながち電気通信監理官だけ私は責めようとは思いません。今日の郵政省電気通信監理官というものの制度そのものについても、また機構そのものについても、かなり考えなければならぬと思う。あの人員と陣容において、この膨大な国際電電並びに電電公社を完全に指導あるいは企画、立案をするということは非常に困難であることは、私もはたから見ておってよくわかります。しかしながら、実際問題として、国内、国際を問わず、この電気通信の政策については政府立てるべきである。それを実行するものは国際電電であり電電公社でありますけれども、まさに電気通信の政策は今日の政府にはないといっても過言ではないような状況ではなかろうか、こういうことを私は考えておるわけであります。  ひとつこれは、国際電電の問題、電電公社の問題をからめて、この東南アジアケーブルの問題から発端をして、私がいま言いたいことは、究極の問題はそこにあるわけであります。これは、私はもう何回も、口がすっぱくなるほどこの逓信委員会で実は言っておるのですよ。ちっともこの弊害が直らぬ。そういうところをひとつ政府は十分にお考えを願いたい、私はこう思うわけでありますが、ひとつこれは、しようがないから副大臣からお答えを願いたいと思います。簡単にひとつ、いいお答えを願いたい。
  132. 亀岡高夫

    亀岡政府委員 私も、森本委員が今日まで委員会で述べられました会議録をよく読ましていただいた次第でございますが、確かに目まぐるしい発展をしております通信電波関係を通じましても、特にこの電気通信政策の面において現在の法律的措置ではたして十分かどうかというような面につきましては、再検討と申しますか前向きの方向で取り組まなければならぬのではないかという感じを強くいたす次第でございます。先ほど申し上げましたように、私個人の見解でございますけれども、電気通信の基本的な基本法とでも申しますか、そういうものが必要な世の中になってきているのではないかという感じを持ちつつ検討を加えておる次第でございます。
  133. 森本靖

    森本委員 中井委員あとから質問があるようでありますので、私のきょうの質問はこの程度で終わりますが、この経済協力基金の問題について政府部内における大体の意見がどういう方向に進んでおるかということについても、次の委員会までに回答ができるようにまとめてもらいたい。それから東南アジアケーブルについての最終的な使用計画、それからそれぞれのいわゆる回線別によるところの共有計画というようなもの、さらにジャカルタから西方に延びるところの計画、それから太平洋ケーブル東南アジアケーブルとの使う比率、そういうような内容等についても次回に明らかにしてもらいたいと思うわけでありますので、そういう点についてもう少し電気通信監理官のほうで調べてきてもらいたいということを要望しておきまして、きょうの私の質問は一応終わります。
  134. 砂原格

  135. 中井徳次郎

    ○中井委員 前回の委員会海底ケーブル、引き続ききょうも同僚の森本さんからたいへん正鵠を得た御質問の数々があったわけでありますが、私それを拝聴しながら二、三お尋ねをいたしたいと思いますが、電気通信の最近の事情をあまりよく知りませんので、あるいはしろうとの見当違いの御質問にもなるかと思いますが、ひとつ率直にお答えをいただきたいと思います。  まず第一に、先ほどから畠山さんのお話を伺っておりますと、今度できますケーブルにつきましての金の負担部分、まことに詳細に御存じでぼくはびっくりしましたが、そこまでこまかく知っておりますのには、もう話が九分九厘までまとまっておるのだと思うのですが、大体いつ契約がサインされるのですか、それをちょっと伺っておきたい。
  136. 畠山一郎

    畠山政府委員 先ほどいろいろと数字を申し上げましたのは、郵政省の案でございます。このいきさつを少し申し上げたいと思いますが、海底ケーブル計画につきまして関係国会議を二回開きましたが、第二回目が三十九年三月でございまして、その際にこういうケーブルをつくることはよかろう、ただ新興国はその建設費を一どきに負担することはできないから、日本の援助を加味した実行計画案をつくって関係各国に示してもらいたい、こういう結論になったわけでございます。それによりまして国内関係の省といろいろ打ち合わせをしました一つの試案をもちまして、昨年八、九月ごろに関係国に打診いたしまして、さらに関係国意見によりまして若干修正案をつくりまして、また国内の関係機関と打ち合わせ中、こういう状態でございます。その案がさらにまた関係国の間で了承が得られるかどうかということは、まだはっきりいたしませんし、また一方国内の関係機関との意思統一もまだ十分できたわけではございません。いずれにいたしましても郵政省の案といたしまして国内の関係機関あるいは関係国と打ち合わせ折衝しておるという程度の案でございます。
  137. 中井徳次郎

    ○中井委員 そんなもの何でこの委員会にこまかく説明するのですか。利子が四%とか、私はいささかこういうものは専門だけれども、これは君の案かしらぬが、副大臣知っているのですか。
  138. 亀岡高夫

    亀岡政府委員 この東南アジア海底ケーブルの問題につきましては、やはり東南アジア諸国家との電気通信の施設を整備しなければならないということは、これは先生も御了承のところでございまして、私も就任以来この問題に特に関心を持ちまして、事務当局を督励いたしまして国内の各省関係並びに関係諸国家といろいろ折衝をさしてきておるわけでございます。それにつきましてやはり関係諸国との事務的な連絡の際に、各国から希望のありましたような点をまとめたのがただいままで畠山監理官から御説明申し上げたような一案として現在郵政省として一応これを立てたのでありまして、そうして大蔵省あるいは経済企画庁等と折衝しつつ、また関係国との折衝を続けておるという段階でございますので、御了承いただきたいと思います。
  139. 中井徳次郎

    ○中井委員 どうも私の認識がよほどとぼけて時代おくれかしらぬが、私はそう思う。国内の大蔵省との折衝がどうとか、そういうことはどうでもいいじゃないか。だから、たとえば台湾なりタイなりインドネシアなりが、国際電電資本金八億円、あと出資十六億円とか、こうありますが、そういうことを原則として認めておるのかどうか。先ほど話を聞いておりますと、もうほとんどそういうものは話がついておるという。これは最後のものでしょう。あとは技術的に同軸ケーブルの効果はどういうものか、そういうことでしょう。そういう最後のようなものをぺらぺらと畠山君が――これは森本君の質問がじょうず過ぎたからつい引き出されたのかしらぬが、おしゃべりになって、そうしていつまとまるかと言ったら、わかりません、それじゃどうなんだね。大体いつごろまでにまとまるのかね。それからこれがまとまったら布設するのに何カ月かかるのか、何年かかるのか、そうして運行までにどうだ、これをちょっと聞かしてもらいたい。
  140. 畠山一郎

    畠山政府委員 現在関係国といろいろ話し合っておる途中でございまして、これがいつまとまるかということは、私たちの希望としてはあるいはめどとしては持っておりますけれども、実際いつまとまるかというほどのはっきりした見通しというものは立っておりません。それからこれが話がまとまり――大体現在折衝はいろいろやっておるわけでございますが、折衝いたしまして内々の話がまとまりますと、先ほどちょっと申し上げました海底ケーブル会議の結論によりますと、建設の実施の段階になったならば、関係各国建設委員会をつくってそこで協議をするということになっておりますが、大体下話がまとまりますと、建設委員会を開きまして、そこで協議をし、また一方ではケーブル建設保守協定なども申請し、サインをするということになろうと思います。それが済みましてから布設工事にかかるわけでありますが、一応この第一次計画では二年間という計画にいたしております。
  141. 中井徳次郎

    ○中井委員 大体どういうふうにしたいということか、そのまま聞いたら話はいつまとまるかわからぬ。まとまったら二年でやるということだが、私だってそれは外交を知らぬわけじゃありませんよ。たとえばナホトカと新潟に領事館を置けという話は、これはおととし私が委員会質問をして、総理が前向きでやろうということからそうなりました。この四月に大かた調印ということになったが、ソ連のほうは何かことしの秋でないと来ないと言って、きょうの新聞を見ますとまた半年ばかり延びた、そういうことはわかるのですよ。だから、この八億とかあるいは四%の利子とか、こういうことまできまっておる、それからさらにまた高雄から南のほうを先にやる、こういうことはさまっておる、大体ことしじゅうに判を押せるということになれば、四十三年の終わりとか四十四年にでき上がる、そうしたいと思っているというように――しかし、私はあなた方の責任を追及しておるわけじゃないのだ。いいですか。それは電気通信というのは日進月歩ですから、これからお尋ねしたいと思うのですけれども、あまりおそくなるならこんなのはやめてしまったらどうだという議論で私はあり得ると思うので、お尋ねをいたしておるのです。どうですか。大体二年で仕上がるということはわかりました。案外早いですね。けっこうですよ、これは。
  142. 畠山一郎

    畠山政府委員 この計画の推進にあたりましては、先ほどちょっと申し上げましたように、関係各省で大体事務的に打ち合わせしました結果つくりました一つの案をもちまして昨年の八、九月ごろに関係各国を打診いたしました。それに対しましていろいろ意見が出ておりますので、それを考慮いたしまして、修正をしてまた新しく関係各国と折衝を始めた、こういうことでございます。希望といたしましてはこの夏ごろに話をまとめたいと考えておりますが、そういうことで進めてまいりましたけれども、そのとおりにいくかどうかはっきりしたことは遺憾ながら申し上げることができない、こういうような段階でございます。
  143. 中井徳次郎

    ○中井委員 大体ことしの夏までに政府としてはまとめたい。そうしますと四十三年には一応高雄からバンコクまでですか、サイゴンまでですか、これはどちらですか、ちょっと伺いたいと思います。
  144. 畠山一郎

    畠山政府委員 第一次計画といたしましては台湾マニラ、サイゴン、シアヌクビル、バンコク、こういう区間を布設することを考えております。
  145. 中井徳次郎

    ○中井委員 それからこの案につきまして、たとえば東京-台北間、これは台湾日本だから簡単にできそうに思うのですが、これはどういうお考えですか。
  146. 畠山一郎

    畠山政府委員 現在東京からグアムを通りましてマニラまですでに海底ケーブルはできております。それに接続いたしまして台湾バンコク間をつくるということを第一期計画でいたしたわけであります。そのあと東京-台湾布設したい、こういう考えであります。なお、バンコクから南につきましてはその様子を見て布設計画を進めたい、こういう考え方で進んでおります。
  147. 中井徳次郎

    ○中井委員 東京-台湾ケーブルは、この地図を見ますと沖繩へ寄るのでしょう。どうです。これは亀岡さん、あなたからでも答弁をしてください。寄るか寄らぬか。
  148. 亀岡高夫

    亀岡政府委員 私どもの考えております計画では沖繩には寄らないようにいたしております。
  149. 中井徳次郎

    ○中井委員 それでは念を押しておきますが、目下のところ路線の変更はありませんね。
  150. 畠山一郎

    畠山政府委員 いままでの計画では沖繩へ寄るという案を立てたことはございません。なお、路線の変更はないかというお話でございますが、全般的に申しますと、建設委員会の段階になりまして関係各国いろいろ意見が出てまいると思います。そのときに若干のルートの変更は起こり得るかとは思いますけれども、先生の御質問趣旨がちょっとどういうところかはっきりいたしませんので、そういうふうに一応お答えさしていただきたいと思います。
  151. 中井徳次郎

    ○中井委員 それから先ほど森本さんもお尋ねがあったが、これはこういうふうにシナ大陸の東へずっと海の中へ埋めていくわけだが、このごろは海底ケーブルも相当技術的にも進んだでしょうから、採算はかえってこれのほうがとれるのかもしれませんけれども、たとえば香港へ行けばちょっと広東まで寄るとか、それから長崎上海、どうしてこの計画をなさらないのか。どうも私はわからないのですが、あらためてもう一度伺っておきたい。
  152. 畠山一郎

    畠山政府委員 中共方面につきましては、先方の要請も別にございませんし、また何よりも国交関係が全然ございませんので、そういうことは検討いたしておりません。
  153. 中井徳次郎

    ○中井委員 国交関係がなかったら電気通信はやらないのですか。どうなんです。いまでも北京-東京はやっておるでしょう。国交関係がないならやらないということならばやめたらいい。直江津とナホトカ、これは平和宣言はしたが、まだ完全に回復してない。どうですか。そういう答弁ではどうもちょっと納得できないのだがね。
  154. 畠山一郎

    畠山政府委員 国交関係がございませんと、いろいろと接触する機会もございませんし、また先方からの要請も何もございませんので、そういうことにいたしたわけでございます。現在北京と東京との間で短波で電話をやっておりますし、また上海-大阪間で電報を取り扱っておりますが、これはやはりそれぞれお話がございましたのでそういうことにしたわけでございます。ソ連との間は完全な意味で平和条約ができていないのかもしれませんけれども、やはり国交はございますので、その点は話としては進めやすいかと思います。
  155. 中井徳次郎

    ○中井委員 これは今度大臣に伺いますから、あなたに聞いてもしょうがないかもしらぬが、政経分離というのは自民党でも言っているじゃないですか。このケーブルをしくのは、私はできるだけ経済の問題というふうにしぼりたいと思うのだけれども、あなた方がそういう政治に籍口した返事をなさると、これまた私も政治に籍口した質問をしなければならぬ。今度できるべきこのケーブルというのは、どうも自由主義国の通信、秘密を守る意味においてすばらしいケーブルだというふうに私は判断をしておるのです。あなた方は、あくまで経済というから、経済ならば、どうして長崎上海はやれないのですか。こういうことを聞いておるのです。この点ははっきりさしてもらいたいのです。向こうから言うてこないからやらないというなら、ジャカルタは言うてきたのですか。インドネシアはどうなんです。バンコクから、ジャカルタ言うてきたんですか、シンガポール経由で。これはこちらから勧誘したのと違うのですか。いかがですか。
  156. 畠山一郎

    畠山政府委員 中共との間は、現在電報電信とも取り扱っております。現在のところ、それで十分でございまして、なお新しく線をつくる必要はないということから、先方からの要望もないのだろうと思います。  なお、その他につきましては、いろいろ必要がございますので、こういうことをやっております。インドネシアの例がございましたけれども、インドネシア、当初は相当積極的でございました。この計画に参加いたしましたし、また二回にわたる海底ケーブル会議へも出席いたしておりますが、何ぶんにも、いろいろ政情の変化がございまして、ときどきその政策、方針が変わってくるのではないかと思います。先ほど昨年の八、九月ごろ打診した際には、消極的であったということを申し上げましたが、それではそれほど消極的ではございませんでした。なおその後は接触いたしておりませんけれども、その後のインドネシア考え方が、またどんなふうになっておるか、まだはっきりいたしません。
  157. 中井徳次郎

    ○中井委員 どうもいまの話では納得できないのです。たとえば北京と東京の間には、いま電話は何回線ありますか。それは無線ですね。無線だということになりますと、この電話は、ある意味では盗聴できますね。どうですか、その辺は。
  158. 畠山一郎

    畠山政府委員 現在、短波でございますが、二回線でございます。それで相当取り扱いとしては悪くはないというような状況でございます。
  159. 中井徳次郎

    ○中井委員 技術的に盗聴ができるのですね。どうですか。
  160. 新川浩

    新川参考人 短波通信におきましては、秘話装置を入れてありますので、普通に受けてもわからないわけでございます。
  161. 中井徳次郎

    ○中井委員 そんなしろうとだましのことを言われたって信用できない。これは日本の業者が政経分離のたてまえで北京へ参りまして、いろいろな折衝をいたしますときには、よほど気をつけなければならぬというようなことを実は言われておるのであります。したがいまして、電話などかけるときは両方で考えながらかける。幾ら考えながらかけたところで、とかくわかる。こういうことになっておるので非常に勘ぐって、心配し過ぎている意見かもしれませんけれども、やはりこれは絶対にそういう意味からも必要であるように思います。日本にとって非常な不利になるのではないかというふうに考えるのであります。でございますから、この長崎上海、その他いろいろなルートにつきましては、もっと――こういう自由主義国だけを守るというふうなことではなくて、政府としてもう少し主体性のある立場をとってもらいたい。しかしきょうは大臣がおりませんからあとに譲ります。  私、ちょっと調べてみたのですが、最近、通信衛星というものができまして、大西洋ではすでに実用に供しておる段階のようです。こういうことも聞いておるのであります。どんな状況でございますか。これは国際電電新川さんからでも御説明ください。
  162. 新川浩

    新川参考人 ただいま大西洋方面で実用化されております人工衛星は、昨年四月に打ち上げられたものでございまして、半分実用、半分実験用の目的で打ち上げられて、打ち上げ後約二カ月間、主として技術的な実験をやりまして、昨年六月二十八日から実用通信に使用されて現在に至っております。その人工衛星の能力といたしましては、電話二百四十回線を通し得る能力を持っておりますが、現在実用化されておりますのは、その半分に満たない百以下の数字でございます。
  163. 中井徳次郎

    ○中井委員 これは静止衛星といいますか、二十四時間で一回りしますが、地球の自転と同じスピードで動いておりますが、そういう衛星のように伺っております。その場合に、通話のときにどうなんですか。非常に都合がよくいきますか。電話の往復の時間その他どの程度のことになっておりますか。それからさらに聞くところによれば、太平洋にそれをことしにもひとつ上げようじゃないか、こういうことのようですがどういうふうになっておりますか。
  164. 新川浩

    新川参考人 ただいまお話のございましたとおり、大西洋に上がっております衛星は、いわゆる静止衛星といわれておるものでございまして、地球の赤道の上を、地球の回転と同じ方向に、地球が一回転いたします二十四時間というのと同じ時間で回っております関係上、地球の表面から見ますと空の一点でとまって見えるというふうな軌道を通っております。お話のとおり、その軌道を通りますためには、地球の約三万六千キロメートルの高さに打ち上げる必要を生じますので、たいへん遠方になりまして、一秒間三十万キロメートル飛ぶ電話でも、往復いたしますのに約三分の一秒かかってしまいます。それで電話のように双方の人がお互いに続けて話し合いますときに、当方の声が先方に届き、あるいはまた先方の声がこちらに届きますのに、いま申し上げたような時間だけおくれるわけであります。このおくれが、はたして通常の電話の通話として差しつかえないものかどうかという点が問題であったわけであります。先ほどの大西洋上の衛星が半分実験の目的と申し上げましたのは、六月二十八日に実用化されました以後でも、それを使いました通話者の意見をアンケートとして取りまして、その程度のおくれのある通話が、はたして実用電話として差しつかえないものかどうかという資料を集めたわけであります。その結果本年の初めに至りまして大体におきましてその程度のおくれは問題ないという結論を得ましたので、本年の夏、太平洋のほうに打ち上げられます衛星も、やはり同じような静止衛星でいく。さらにまた一九六八年ころ予定しております。いわゆる全世界をカバーいたします通信衛星系も、当初静止衛星でやるということが決定された次第でございます。
  165. 中井徳次郎

    ○中井委員 そういたしますと、通話にも差しつかえないということになれば、今後これは大いに開発されるものだと思うのでありますが、いま通信衛星一個打ち上げる経費はどれくらいかかっておりますか。
  166. 新川浩

    新川参考人 大西洋に打ち上げられました衛星の例を申し上げますと、人工衛星を一発製作いたします費用が大体三百万ドル、それを打ち上げますロケットその他の費用がやはり同様三百万ドル程度でございます。
  167. 中井徳次郎

    ○中井委員 三百万ドルというと十億少しですが、そうしますと日本でやると二十億、きのうこの話を伺いまして、二百六十五億かかるのですが、今後大いにそういうものは発達するだろうと思うのです。たとえば東京――ジャカルタなんというのは相当な経費――これは通信衛生でやったらどうですか。そういうことの研究をなすったことはありませんか。
  168. 大野勝三

    大野参考人 ケーブルと衛星とがお互いに競争するものか、あるいは助け合うものかという問題に帰着すると思います。これはおっしゃるとおりジャカルタ東京間を衛星でもって通信することは可能であります。しかしながら衛星は一個三百万ドル、しかしどうしても一個だけではいけません。いまの寿命はせいぜい長くても三年、それを五年までに延ばしたいというのがいま技術者の非常に研究努力しているところであります。しかしはたしてこの五年もつということを正確に保証できるかどうかということはだれも言い切れません。故障が起こったら、はしごをかけて修理に行くというわけにはまいりません。別の星を上げるのでなければなりません。いや別の星を上げるのでは間に合いません。星をつくるのにはどうしてもいいものになりますと、一年から二年かかります。そこで、いつでも予備の星をつくっておいて、一発は予備の衛星としてそばへ打ち上げておかなければなりません。地上にも予備のものを持っておかなければなりません。その上、地上局というような問題があります。この地上局一局つくるのに六百万ドルかかります。二十二億です。そうして、今度は地上局を操作するのには非常に高度の技術を必要といたします。そこでは非常に高度に訓練された要員を必要といたします。いろいろ考えてみますと、この通信衛星というものは非常に優秀な通信手段ではありますけれども、これを経済的に見たときに、将来の国際通信は全部衛星一本でまかなえるのだということにはいろいろ未知の問題が多うございます。そこで現在の世界のまず共通した意見は、衛星通信はどうしてもさらに将来発達するものでありましょうから、将来の国際通信の最も有力な手段としてこれは活用していかなければなりません。ことに大陸間通信にはぜひ必要なものというふうにみな意見は一致しておりますが、それのみではいけない。やはり海底ケーブルという非常に安定した、技術も高度に発達し切ったものがある。しかも太平洋では真空管を便っておる関係上、百二十八あるいは百三十八回線、それをせいぜい両方にある技術操作を加えまして、倍にまで回線をふやすことはできます。そして将来は真空管をトランジスターの中継器に変えることによりまして、現にフロリダからバージンアイランドに行かんとするケーブルは七百二十回線というような広い幅のものが取れつつあります。もっと広い幅の海底ケーブルも開発されるでありましょう。そういたしますと、安定したそういう海底ケーブルの軸と、それから何でもござれの衛星通信と、この二つはどうしても両者共存、それにもう一つ従来からございます短波の通信、これも短波には短波の長所がございますから、これも生かして使う。短波と衛星とケーブルとこの三者を組み合わせて、将来の国際通信のネットワークはできるべきものであろうというのが世界の有力者の一致した見解でありますが、問題は先生の御意見は、そういう遠大なことはとにかくとして、現にやろうとする東南アジアケーブルより衛星を使ったほうが早道ではないか、こういうお尋ねだと思いますが、いま申しましたようなわけで、衛星を東南アジア東京との間に使うには、実は距離が少し短か過ぎます。使えないことはないけれどももったいないです。ですから、むしろ東南アジア地域ケーブルで結んで、他の大陸への通信にはどこかへ集中した通信を衛星に持っていく、こういうコンビネーション、結び合わせで一応いいのではないかと、私どもはいまの段階で考えております。  これは実は決して空想ではないのです。一つの実例があるのです。それは何かと言いますと、現にアメリカの大陸とヨーロッパの大陸を結びますのに、さっき申しましたアーリーバードを使っておりますけれども、そのアーリーバードをどういうふうな使い方をしておるかというと、ドイツとフランスに地上局があり、それからイギリスにもう一つ地上局があります。この三つの主要地上局と、それからイタリアにございます。いわゆる補助的な地上局、これを組み合わせまして、ヨーロッパ通信はこの三つの地上局のどれか一つを使って、アメリカの大陸との通信は衛星でやり、大陸内の通信は主たる地上の、あるいは海底のケーブル網でつなぎ合わせて縦横無尽に疎通をいたしております。つまりイギリスとフランスとドイツの三国は、それぞれの地上局を一週間交代に使って、一つは衛星通信をやり、他は海底ケーブルあるいは地上のケーブルに使っておる、こういう実例がございます。これも賢明なやり方であります。私どもはそういうやり方が東南アジア地域、われわれの隣の地域に応用できないものであろうかということを考えておりますので、海底ケーブルという計画は、ただいま政府で非常に熱心に御推奨いただいておりますから、これができればまことにけっこうでございまし、それだからといって、衛星通信があればそれは無用の長物に変わるかというと、そうはならないと考えているわけであります。
  169. 中井徳次郎

    ○中井委員 大野さんの考えていらっしゃることを率直に披瀝されて私も拝聴いたしましたが、ただしかし、いま三百万ドルと言っているのは、永久に三百万ドルかかるとは限っておりません。こんなものはラジオやテレビと同じようで、できてしまえば右へならえで大量生産がやれるわけであります。衛星は一つ二つというふうに何十何百万上げたってかまやしません。そういう意味からいいますと、これは何か地上施設は二十二億かかる。二カ所でやって四十四億でございますから、そろばんがとれるとれないというようなことだけではありませんが、将来はうんと安くなりはせぬかというふうに考えております。  そういう点について、きょうは電電の技師長にも来てもらっておるのでありますが、いまの大野社長のお話は、国際間の話ですけれども、今度は国内の問題はどうですか。特に放送の関係は、いま日本国内を張りめぐらしておりますところの地上の線、あるいは超短波でつないでおるようでありますが、これは日本の上空に一つ上げて、放送は往復ではありませんで、送りっぱなしですから、これをひとつやったらどうだというふうな感じもしますのですが、どうですか。電電の技師長お見えになっておると思いますが、率直な御所見を承りたいと思います。
  170. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  先ほどKDDのほうからお話がございましたように、現在上げられております静止衛星につきましては、まだ寿命が私ども承っておるところでは十数カ月というような状態でございまして、これを国内的に利用するという領域からはまだはるかに遠いのではないかというふうに思っております。ただ何年先になるかわかりませんが、こういった技術的な問題というのは当然だんだん進歩してまいるでしょうし、そういう衛星の寿命がさらに延びました場合には国内的な利用の可能性というものも、あるいは出てくる可能性も感じておるわけでございますが、現在のところはまだまだ国内的にこれを利用するという段階にまで至っておらないというのが実情でございます。
  171. 中井徳次郎

    ○中井委員 もとへ戻りますが、この衛星を打ち上げる施設はまだいま日本ではないのでしょうな、どうなんですか。それはいつごろできるか、その辺のところをお伺いしたい。
  172. 新川浩

    新川参考人 お答え申し上げます。  現在においては、わが国においては人工衛星を打ち上げる設備はございません。現在いろいろ計画が進行しているようでございますが、それらも当面の目標としておられます打ち上げの人工衛星の高度一千キロメートルという程度のように伺っております。先ほど申し上げましたように、通信衛星は、高度三万六千キロメートルというような非常に高いところへ打つ必要がございますので、現在のところそういうものを打つ設備はわが国にないと申し上げていいと思います。
  173. 中井徳次郎

    ○中井委員 そこで、先ほど大野さんから一応総括的な御答弁があったわけですが、この通信衛星をどうして日本電気通信界はもっと元気を出してやらないのか、なぜ今日こういうものをほうっておくのか、テレビは世界で二番目というほど発達をして、電話も終戦後たいへんな増加率です。したがって、こんなことを言いたくはありませんけれども、電電公社あたりの経済力も非常に戦後伸びておる。しかるに東大の何とか研究所とかいうところへまかしておいて、こういう面について積極的な開発の意欲が一つもない。これは郵政省に聞くが、こういう問題は電気通信界は太平ムードですね。これを突破してやらぬことには――また通信衛星はアメリカとソ連が加入するとかせぬとかいう話を聞いておりまするし、何か一つの会社のようなものをつくっておられるようなことも聞いておりまするが、日本でも大いに開発をして、いろいろ利用されたらどうか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  174. 亀岡高夫

    亀岡政府委員 中井先生御指摘のとおり、通信衛星に対して、日本政府におきましても世界の情勢におくれないという立場をとりまして、科学技術庁あるいは文部省、郵政省電波監理局、電波研究所におきましても、鋭意研究に努力を続けておりますことは御承知のとおりでございます。郵政省におきましても、独自の開発を進めます一方、またATSのいろいろな計画にも協力するための予算措置等も講じておりますことは、予算審議のときに御審議いただいた点でも御承知願えると思う次第でございまして、中井委員の仰せのとおり、政府としてこの通信衛星の早期活用という点について努力をしておらないというような御批判があったわけでございますが、そういう点は決してそうじゃございませんので、ひとつ御了承願いたいと思っております。
  175. 中井徳次郎

    ○中井委員 そういうお答えがあれば伺いたいのだが、それじゃ国際電電郵政省電電公社、特にNHKは非常な関心があるはずだと私は思うのですが、こういう多くの技術陣が一体になって何か基本的な研究というか、膨大な研究設備を持ってやるんだというふうなことをお考えになったことがありますか。現在やっております実情はどうですか。各グループでやっておるのですか。横の連絡等を聞かしていただきたい。  それからもう一つ、いまアメリカで何かシステムがあって、日本からも出資をしておるというが、その金額はどれくらいで、どこが出しているのか。国際電電だろうと思うのですけれども、そういうことで日本との関係はどうなのか。この二つをお伺いいたします。
  176. 亀岡高夫

    亀岡政府委員 技術的な問題でございますので、電波監理局長から答弁申し上げます。
  177. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 いまの国内におきましての通信衛星並びに放送衛星に対する体制を、どういうぐあいにして研究体制を進めておるかという御質問でございます。これにつきましては、まず郵政省におきまして、どういうぐあいに考えなければならないかということにつきまして、省内において一つの協議会をつくっていま検討しているわけでございます。それは方針としては、通信衛星なりあるいは放送衛星と申しましても、どういう地域にどういう目的であげたらよろしいかということが基本的でなければなりませんので、そういう点を十分考えていくということがまず第一の目的でございます。  それから第二の問題につきましては、日本会社がアメリカと共同で出資をして何か会社をつくっておるのじゃないかというお尋ねでございますが、実は仄聞しておるところによりますと、日本電気株式会社がヒューズと協力いたしまして、地上局をアメリカにつくりつつあるということを聞いておりますが、その額等につきましては私存じておりません。
  178. 森本靖

    森本委員 電波監理局長のほうから答弁がありましたが、この間の科学技術振興特別委員会においてこの問題はかなりやったでしょう。それは科学技術庁についても、NHKについても、国際電電についても、それぞれの答弁があり、それを総合的にどういうふうに発展させていくかということのまとまった政府答弁があった。それを中井委員は求めておるわけです。要するに郵政省としてはこういうふうな計画を持っておる、はこういうふうに持っておる、あるいはメーカーはこうやっておる、NHKについてはこういうふうにやっておる、しかしこれはそういうように各個ばらばらではならないので、科学技術庁としては月に一回なら一回の連絡協議会を持って、放送衛星並びに通信衛星が総合的にいくように考えていく。なるほど通信衛星の場合については電波監理局になりますけれども、実際の衛星の問題については、ロケットそのものの問題になってくるわけでありまして、必ずしも郵政省だけではできないわけであります。これは政府が科学技術庁を中心として総合的に科学技術振興対策の一環としていまやっておるという総合的な答弁を求めておるわけです。  それから二番目は、ヒューズの会社じゃないのですよ。それは例のアメリカにおけるところの通信衛星会社について、一体どうなっているかということをお尋ねしているわけでありますから、それに対する回答をしなければならぬわけですよ。質問答弁をかみ合わしていくように答弁をしていかないと進みませんよ。
  179. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ただいまの森本委員の御質問でございますが、確かに先生の御質問をこの前聞いておりますし、それからそれに持っていくまでの段階として、郵政省の態度というものを当然固めていかなければならないし、先生もよく御存じのとおりに、これは放送衛星にいたしましても、通信衛星にいたしましても、ただやればよろしいというものじゃないことはよく御存じだと思います。そういう意味で、どういうぐあいに持っていくべきかという基本的なことの考え方をいま固めておるという段階でございまして、先生の先ほど指摘のありました方向に大いにこれから持っていく、こういう段階でございます。  それから第二の問題につきましては、私、御質問趣旨を間違えておったと思いますので、取り消します。
  180. 中井徳次郎

    ○中井委員 かまえばかり研究しておったって、ただむやみとそんなことをやっても何ともならないとおっしゃったが、何ともなりますよ。もっと科学技術というものについて積極的であってほしいと私は思います。いろんな機構だとか、その組み立て方とかそういうことでなくて、実はあなたのほうの技術屋さんに来ていただいたのは、将来それが安くなるだろうし、どのくらい日本でもでき上がるようになるのかということを、私は聞いておるのです。もっと熱心な研究があってしかるべきものだと思うのです。御案内のとおり電話はアメリカの次に日本に入ってきた、ということは通信系統のものは日本人に非常に向きますというか、何といいますか、日本は非常に発達をしておると私は思っておるのだが、ただその機構や組み立てやそういうことばかり言っておってもというふうなことでありまするのでお尋ねしたのですが、わかりました。とにかくもう何もやってないんだね、積極的に、失礼だけれども。そう言えば答えるか。
  181. 森本靖

    森本委員 電波監理局長は郵政省だけのことを答えようとしておるから回答にならないのだよ。だからこれは本来ならば郵政大臣が国務大臣として――この前に科学技術庁長官が総合的に推進をしていく、放送衛星なり通信衛星を総合的にやっていく――あなたは電波研究所のことを土台において考えておる。ところが国際電電国際電電として一つの研究機関を持っておる。NHKはNHKとしての研究機関を持っておる。科学技術庁は科学技術庁としてのロケットその他についての研究機関を持っておる。そういうことであって、ばらばらではいかぬので、それを総合的に通信衛星なり放送衛星というものをどういうように持っていくかということは国の施策として考えなければならぬ。だからそれについてはそういうものの一つの推進会議というものを持って、月一回なりあるいは週何回なりの会議を持ちながら、これを一つの方向に前進をさしていく、こういうことを科学技術庁長官が答弁をしておるわけですね。だからそのことをひとつ聞いておるわけであって、要するに一電波監理局長がどうこうということについて聞いておるわけではないのです。要するに、通信衛星についても、かりに通信衛星を打ち上げるとしても、通信衛星そのものについては、あなたの専門的な分野であっても、これを打ち上げる能力についてはこれはあなたの専門的分野ではないのです。だから総合的なものを、総合的なやり方をどういうように一体政府はやっておるか、こういうことを聞いておるわけですから、本来ならばこれは電波監理局長よりは大臣が国務大臣として総合的な判断のもとにお答えあってしかるべきだ。それからその次の衛星会社答弁はどこかに消えてしもうたが、それははっきりしておかなければならぬですよ、あるのだから。
  182. 亀岡高夫

    亀岡政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおりに、科学技術庁が中心になりまして、文部省、郵政省関係省がそれぞれ協力体制をとりまして、そうしてただいま森本委員からお話のありましたような線で政府が真剣に取り組み、また現に研究を強力に進めてきておりますし、今後もまたその体制でもって進めてまいるというふうにいたしておる次第でございます。この点御了承いただきたいと思う次第でございます。
  183. 八藤東禧

    ○八藤参考人 中井先生のお尋ねの通信衛星組織について御説明申し上げます。御承知のように一昨年世界の国が集まりまして、暫定商業通信衛星組織というものをつくりました。日本はこれに加入しております。それでそれ以後今日までに続々と各国が参加いたしまして、現在では四十八カ国、さらにまたこの加盟国がふえる見込みでございますが、これらの国々によりまして暫定商業通信衛星組織というものがございますが、この組織は大体二つによって動かされております。一つは理事会と申しますか、委員会がございまして、一・五%ですか、一定の持ち分を持った国が、あるいは集まって一定の持ち分になった国々が代表者を出しまして、ほとんど毎月一回ワシントンに集まりまして、今後この商業通信衛星組織をどうやって発展させていくか、運営していくかということを討議しておりまするし、それに属するところの幾つかの委員会がございまして、これもかわるがわる毎月会合しておりますが、大体におきまして国際電信電話会社政府の御指名によりまして一昨年の出発当初からこれに参加しております。同時にこの暫定組織は二億ドル、それで一九七〇年までの間の暫定組織、その間にアーリーバード、グローバルシステム、その改良と実験かつ開発をやっていこうという組織でございます。この二億ドルの各国割り当て分を持っておりますが、日本は二%ということで出発いたしました。したがいまして当初いろいろ申し上げますれば十四億四千万円でございますが、日本が負担するはずでございましたが、その後参加国がふえましたのでそれぞれ持ち分が減りまして現在は十三億何がし、こういうことになっていると思います。これが国際電電の現在商業通信衛星組織に対する参加状況でございますが、なお二組織によって動いていると申しましたのは、これらの組織のマネージャーといたしましてアメリカの特別法によって設立されたところの略称コムサットという通信衛星会社がございます。この会社がこの組織全体の支配人たるの地位を与えられまして、これがいろいろとその間委員会の指令に従いまして業務を推進している、こういう状況でございます。  簡単でございますが、アメリカにおける通信会社はどうかという御質問に対しての御説明でございます。
  184. 中井徳次郎

    ○中井委員 いま上田さんの御答弁の中でありました組織、システム、これは国際法上どういう地位にあるのですか。国際法の上からいってどこのどういうものの下にあるか。
  185. 畠山一郎

    畠山政府委員 この世界商業通信衛星組織は、設立協定であります世界商業通信衛星組織に関する暫定的制度を設立する協定と申します協定に基づいてできております。性格といたしましては国際的な私法人でも何でもございませんで、関係各国通信事業体の共同事業体というようなものでございます。
  186. 中井徳次郎

    ○中井委員 国際法的に共同事業体、こういうのでいいですね。こういうことでいいのですね。――それでこの協定は国会にはもちろん批准されて通っているのでしょうな。どういうものですか。
  187. 畠山一郎

    畠山政府委員 この協定は一昨年の八月二十日に成立したものでございますが、いわゆる政府間協定と申しますか行政協定という取り扱いになりましたので、国会の御承認を得るというような手法はとっておりません。
  188. 中井徳次郎

    ○中井委員 この点が非常に私は問題だと思うのです。これも大臣が来ましたら聞きますが、いまの国会におきましては、たとえばアフリカで新興国ができて、そして領事館を置く、また領事館を総領事館に変更するというようなことでも、全部国会の批准を得る。今度のこの海底ケーブルですね、これは国会の承認を要するものですか要しないものですか。ちょっとお考えを伺っておきたい。
  189. 畠山一郎

    畠山政府委員 東南アジア海底ケーブルをつくります際には建設保守協定をつくるということになろうと思いますが、これは建設保守協定自体は、国際電電がたとえば太平洋海底ケーブルについて協定を結びましたのと同じようなことになろうかと思います。したがいまして郵政大臣の認可ということになります。東南アジア海底ケーブルは、それ以外に新興国に対する経済協力基金からの二国間の経済援助という意味をもちまして経済協力基金融資という問題が出てまいりますが、これらもそれぞれの個々の融資につきましては法律的その他のことについては国会の御承認を得るということはないと思います。現在までの基金の個々の融資はそのようなたてまえになっておりません。したがいましてその面をとらえましてもあるいはケーブル布設等につきましても、法律あるいは予算等の形で直接に個々の問題として国会の御審議を願うと申しますか、国会に提出されるということにはならないと思います。
  190. 中井徳次郎

    ○中井委員 私どもがこうやって審議をいたしておりまするのは、したがって法的にはあくまで国際電信電話政府監督をしておる。その政府監督が正しいかどうかということの中で聞いておる。こんなことはひどいと思うのですよ、実際問題として。自民党の皆さんにもお訴えをいたしたいのだが、サンフランシスコあるいはバンクーバー、ミッドウェー、ハワイ、これからくる何百億という金を使って、それがいつの間にか正式の承認もなしでやっておる。行政府を持っておる自民党としてはそれのほうが都合がいいかもしれませんけれども、しかし国政を審議するという重さからいえば、ひどいことだと思うのです。こんなことは、少なくともその外国との間のケーブル――国内はいいですよ、電電公社の予算ということになりますが、外国との間のケーブルは、これはやはり正式に国会にかける。これは私はとことんまで法的な、技術的なことを研究して発言しているわけではありませんけれども、実質的には二百数十億の金を使う。外国もそれを負担するだろうというけれども、大部分は海外援助資金だ。回り回って――利子は四%だとか、その八億の出資、これはさっきの森本さんの御質問で、配当は期待しておらぬとか、そんなことよりも、通信そのものの国策の問題ですね。純然たる国策の問題です。それが国会に承認とかなんとかということはない。ただこうやって質疑応答しておるだけで済まされるということは、私は非常な行政上、国政上の盲点のように思います。この点について郵政当局の見解を聞いておきたいと思うわけです。
  191. 亀岡高夫

    亀岡政府委員 中井委員のお気持ち、まことに私どもも理解できるわけでありますけれども、政府といたしましては、それぞれの関係法律に基づきまして行なっておることもひとつ御了承いただきたいと思います。  また、この東南アジア海底ケーブルにつきましては、今後ほんとうに具体化して実行に入ります場合には、海外経済協力基金というワクを一応予算できめていただくわけでございます。したがって、予算審議の過程においても国会の審議をいただく機会は十分あろうかと思いますので、この点も御了承いただきたいと思う次第でございます。
  192. 中井徳次郎

    ○中井委員 ただいまのような答弁は私はもう絶対首肯しかねます。そんなことを言えば、毎年予算の審議をすれば中身も入っているのだから――まあいいわ、亀岡さんと議論してもなんですから。  さきに返りますが、先ほども、科学技術庁でまとめていくというような非常にていさいのいいお返事だったが、これは通信衛星なんだ。打ち上げそのものについては、それは科学技術庁のいろいろななにがあるかもしれぬが、上がってしまったものは、もう完全にこれは国際電電か、日本電電か、NHKか、そういうものだな。ですから、これは、科学技術庁で総合してやります、はいさようならというわけには私は参らない。これはあくまで主体が、いま本日御出席を賜わっております。政府はもとより参考人の皆さんも一致して猛烈にやってもらうことであろうと思いますし、それから、アメリカの、先ほど伺ったシステムについては、やはりアメリカはまた別会社をつくって、それをうしろからコントロールする。それはアメリカの都合です。だから日本も、何も遠慮することはないのですから、大いに日本を主体としたこういうものを考えていったらいいと思うのですが、これはいまできております組織によって各国がそういうものをつくってはいかぬというような制限でもあるのですか、ないのですか。この点参考までにちょっと伺っておきたい。
  193. 畠山一郎

    畠山政府委員 商業通信衛星につきましては、周波数の問題あるいは通信路線その他の問題で、世界的になるべく一つのシステムでカバーすることが望ましいということが国際電気通信連合においても考えられております。したがいまして、できるだけ一つのシステムの中に世界全部が吸収きれることが望ましいという考え方でこの協定はでき、したがって現在の組織もできておるわけでございます。しかし法律的な効力をもって他のものをつくってはいけないということまでには至っておりません。
  194. 中井徳次郎

    ○中井委員 わかりました。  そこで、いまいろいろ議論になっておるものは大体国際的なものですが、先ほど佐々木さんの回答でありましたか、いま東大か科学技術庁で研究しておるのは、来年か再来年打ち上げるが、これは一千キロしか上がらない、一千キロ上がった衛星というものは、地球を何時間で一回りするのですか。
  195. 新川浩

    新川参考人 詳細に計算した数値を持っておりませんが、大体一時間半ぐらいじゃないかと思います。
  196. 中井徳次郎

    ○中井委員 そういたしますと、通信衛星というのは、要するに、われわれしろうとが考えると鏡のようなものだろうと思うので、はね返りますからね。そういう一時間半で世界を一周するというようなものを、たとえば十個なら十個、十五個なら十五個上げる、そうして切りかえていく、一時間のところで切りかえていくということは技術的に可能ですね、どうですか。
  197. 新川浩

    新川参考人 技術的には可能でございます。
  198. 中井徳次郎

    ○中井委員 そういたしますと、アメリカあるいはソ連、モスクワあたりとはあまり影響のない高さにおいて、日本の上一千キロぐらいのところを一時間半で通るという衛星を十二、三個持って、いわゆる二十四時間一周じゃなくて、そういうことで国内通信ということをやらすというふうなことも、理論的には私は可能だと思うのですが、いかがですか。
  199. 新川浩

    新川参考人 仰せのとおり、理論的には可能だと存じます。ただ経済性の点から、それに使用いたします衛星の数が非常にたくさんふえる。したがいまして、一発三百万ドルのものが十数台またふえるわけでございます。それを地球の上でやります、受けたり出したりいたします設備も、いまのお話しのように切りかえます関係上、一カ所に二台ずつ必要になります。それらの点で、経済的にたいへん不利な条件になります。
  200. 中井徳次郎

    ○中井委員 私は、技術の皆さんに経済を伺っておるわけではない。先ほど大野さんから御回答があって、私はそのことだけでも一時間ぐらい議論したいと思いましたが、こういうものは、マスプロで、型がきまりましたらそれは安くなるものですよ。いまの経済効果で十年、二十年あとのものを計算しておるというのは非常に危険だと思いますから、その点だけは申し上げておきます。一例を言いましょうか。三年でこわれるといったって、一年三億円ですね。二百億、三百億という地上の施設なんかたくさんありますよ。それが五年になったら二億になる、値段が半分になったら一億になってしまう。こういうことですから、現状の経済効果というものはよくわかりますよ、おっしゃることはよくわかりますが、そういうものを離れて、私は大いに国際電電が技術の開発という面でがんばってもらいたいと思って先ほどから尋ねておるのですけれども、どうなんです。科学技術庁でまとめていくというようなことで、皆さんの技術的良心は満足するのですか、御満足なんですか。電電公社いかがです。国際電電の方もいらっしゃるが、どうですか。これはひとつ郵政省なら郵政省が音頭をとって、通信衛星のことについては特別委員会か何か、何でもいいから、猛烈に経費を使ってやるべきものじゃないか、こういうふうに考えますが、いかがですか。――それじゃもういいです。  私の聞いておりますのは、いま国際電電がやっておるが、将来必ず国内へきますよ。これから国内へくるということになれば、電電公社と放送協会との関係があります。私は将来民放との関係も出てくると思う。いまのうちにこういうものを積極的にやっておきませんと、先ほどどなたか御返事がありましたが、いま機構について考えておりますなんというふうななまぬるいことでは片づかないし、またそのことをやることを、そんなこと早過ぎるとか高過ぎるということで国民のだれが反対しますか。(発言する者あり)そういうことについて、それじゃ具体的に何年にこうする、何年にこうするというような計画でもあるのですか。いま大いにやるのだという不規則発言がありましたが、どういうことです。
  201. 亀岡高夫

    亀岡政府委員 先ほど申し上げましたとおり、通信関係衛星を打ち上げてからの問題については、郵政省が一番関係の深い問題でありますので、その面については先生御承知のとおり、電波監理局を中心にいたしまして現在までも勉強させていただいておりますし、今後も大いに世界の進展におくれをとらないような心がまえでやっておるわけでございます。さらにそういう方面が進みましても、これを打ち上げ得る能力を持ったものの開発につきましては、文部省あるいは科学技術庁等を中心にいたしまして、相並行いたしまして通信衛星時代におくれをとらないという心がまえをもって大いにやってまいってきておりますし、また今後もやってまいる決意でおるわけでございます。  なお詳しい点につきましては、電波監理局長から御答弁申し上げます。
  202. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように、宇宙通信に関する問題につきましては、当然これは郵政省として責任がある問題でございますので、したがいまして、これについての推進に対しましては極力これを推進しなければならぬと思っております。  ただ、先ほど先生が御指摘になりましたような点、これは非常に基本的な問題を含んでおるのでございます。と申しますことは、技術的にたとえば静止衛星と低高度あるいは中高度の衛星というようなもの、こういうようなものの選択というものがどうあるべきかというと、選択というものの基準になるものは何かと申しますれば、通信そのもの、通信量をいかにさばくかということ、そして将来に対するそれらの通信量の予測ということをもちろん考えなければならない。それと同時に、先ほど先生が非常におきらいでございましたけれども、これは経済的な観点からどれだけの金がかかるかということ、それからもう一つは、時間的にどれだけの期間がかかるかというようなことは、これは当然考えなければならぬと思う。そういうようなことにつきまして十分詰めていって、一つの案というものができました上で、科学技術庁なり宇宙審議会というのが大体日本全体におけるところの宇宙計画についての議論の場と申しますか、あるいは方向づけをする審議会でございますので、そういうところに申し出をしまして、そうして打ち上げから最後のペイロードに至るまでのものを実現するように持っていくことになるかと存じます。ただいま御指摘になりましたような線というものは考えておりますけれども、いま申しましたような基本的な問題というものを十分考えていかなければならないということでございまして、その検討の途中にあるというのが現段階かと存じます。
  203. 中井徳次郎

    ○中井委員 時間ももう一時を過ぎまして、他の同僚の委員諸君から早くやめろという声がかかっておりますが、しかしながらいまの質疑応答の中で、やはり私は相当政治的に聞いておかねばならぬ点があるような感じがいたしますので、それはこの次の機会に郵政大臣から伺うことにいたしまして、あと一点だけですが、いま御答弁になりましたが、経済的なことは、私はきらいじゃないのだ。私は専門だから、失礼だけれどもあなた方がいろいろ経済のことをおっしゃるから腹が立つので、それはもちろん十分考慮に入れてやらなければなりません。  それでは最後に経済的なことを伺いますが、郵政省が今年通信衛星及びそれの研究に使います経費としましてどれだけ計上されておりますか。それから国際電電はどれだけ計上されておるか、電電公社はどうか、あるいはまた放送協会はどうか、これをひとつ概算でけっこうですからお示しを願いたい。
  204. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ただいまお尋ねの宇宙通信研究施設の拡充強化ということに対しまして、電波研究所の施設の強化のために一億九千六百万円成立しております。
  205. 八藤東禧

    ○八藤参考人 グローバルシステムの到来についてのいろいろ準備がありまして、これは二年くらいかかっておるわけでございますが、大体四十一年度中に私どもがもくろんでおりますのは、太平洋上に上がるインテルサット二号に対する対応施設として四億前後、それから基本的な研究といたしまして二億前後、これが当面支出するものとして予定しております。
  206. 佐々木卓夫

    ○佐々木説明員 先ほど申し上げましたように、私のほうの関係で国内通信用としましてはただいまのところはまだ衛星の寿命が非常に短こうございますので、経済性が、将来の問題としては考えられますけれども、現在の時点では当面対象といたしておりません。したがいまして、現在郵政並びにKDDでおやりになっております試験通信その他の関係で御協力を申し上げておるという段階でございまして、そのものずばりの研究費としては計上いたしておりません。
  207. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 NHKの予算を申し上げますと、二億一千万円でございます。
  208. 中井徳次郎

    ○中井委員 伺いましてわかりましたが、一億九千六百万円、国際電電が二億、これは政治的御答弁であったと思うのですが、電電公社がゼロ、NHKが二億一千万円、この程度ではとうてい問題にならぬと思います。これはどういうことかね。おそれ入るよりしようがないのですが、むしろ私は採算性から言っておるのです。通信衛星のほうが必ず将来採算のバランスがとれる。安くつくから、そのために金をかけろ、こういう趣旨でありますから、五億や六億では問題になりません。少なくとも来年はおのおの十倍ぐらい使う気で――もっとも国際電電さんは十倍も使うと、会社の経理に影響があると思いますから、その辺のことはわかりますが、電電公社は五、六千億の予算を組んでおって、ゼロとは一体何事であるかと思います。こういうもので大いに金を使っていただきたい。  以上のことを希望しまして、あと質問は保留をいたしまして、本日は私の質問はこれで終わります。
  209. 砂原格

    砂原委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会