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1966-04-19 第51回国会 衆議院 逓信委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十九日(火曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 上林山榮吉君 理事 佐藤洋之助君    理事 内藤  隆君 理事 栗原 俊夫君    理事 畑   和君 理事 森本  靖君       綾部健太郎君    小渕 恵三君       金丸  信君    木部 佳昭君       小泉 純也君    佐藤 孝行君       志賀健次郎君    徳安 實藏君       服部 安司君    星島 二郎君       本名  武君    三原 朝雄君       南  好雄君    安宅 常彦君       大柴 滋夫君    金丸 徳重君       中井徳次郎君    原   茂君       前田榮之助君    松井 政吉君       栗山 礼行君    佐々木良作君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         郵 政 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         郵政政務次官  亀岡 高夫君         郵政事務官         (大臣官房長) 鶴岡  寛君         郵政事務官         (監察局長)  山本  博君         郵政事務官         (郵務局長)  長田 裕二君         郵政事務官        (簡易保険局長) 武田  功君         郵政事務官         (人事局長)  曾山 克巳君         郵政事務官         (経理局長)  淺野 賢澄君  委員外出席者         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 四月十六日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  栗山礼行君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員大野明君、片島港君及び栗山礼行辞任に  つき、その補欠として三原朝雄君、金丸徳重君  及び佐々木良作君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員三原朝雄君及び金丸徳重辞任につき、そ  の補欠として大野明君及び片島港君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第三一号)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  この際、一言申し上げます。  郵便法の一部を改正する法律案の審査のため、去る四月十五日及び十六日の二日間、大阪府に委員を派遣して現地調査会を開催し、各界の代表者から意見を聴取いたしてまいりましたので、この際、便宜上私から簡単に御報告を申し上げます。  派遣委員は、団長である私のほか、佐藤洋之助君、加藤常太郎君、金丸信君、森本靖君、畑和君、佐々木良作君でありますが、なお栗山礼行君が逓信委員として現地参加されました。  現地調査会は、四月十六日午前十時より大阪市にある大阪府庁別館会議室において開催し、私から派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営順序等についてあいさつを行なった後、日赤奉仕団婦人部長美延よし子君、主婦藤田寿君、神戸大学教授竹中龍雄君、大阪市立大学教授小野義彦君、兼松株式会社顧問内藤卯三郎君、総評大阪地評事務局長帖佐義行君、以上六名から参考意見陳述を聴取し、質疑を行なったのでありますが、その詳細は速記録によって御承知願いたいと存じます。  以上をもって報告を終わりたいと思いますが、現地調査会は、大阪郵政局大阪府庁、その他地元関係者多数の御協力により、きわめて円滑に行なうことができた次第であります。この機会に、関係者各位に対し、あらためて深甚の謝意を表し、私の報告を終わります。  この際おはかりいたします。  ただいま委員派遣の御報告で申し上げたとおり、大阪における会議記録は後ほどできてまいりますが、その記録会議録に参照として記載することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  4. 砂原格

    砂原委員長 郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を続行いたします。中井徳次郎君。
  5. 中井徳次郎

    中井委員 私は、先般来この郵便料金値上げ関連をいたしまして質問をいたしまして、途中で審議がストップをいたしたというような形の中で済んでいるのですが、それに関連をいたしまして、質問経過からいいまして、この際三つばかり早急に資料を提出していただきたいと思うのであります。早急と申しましても、きょうあすでなくて、この次の逓信委員会でけっこうですが、その要求をいたします。  第一は、質疑の中に出ましたいわゆる逓送会社といいますか、郵便物を運搬いたしております会社が全国で六十六もたくさんあるということでございましてばく然としているので、これの名前と資本金と地名と社長名、これの一覧表を四月一日現在で出していただきたい。  それから経理の問答の中で、電電会社とこの郵政特別会計との間の予算収支経理収支のやりとりの基本的な契約書のようなものがあるように伺いました。その取りきめの内容と、それから具体的に昭和四十一年度予算を組まれましたときの、何をどうしたか、何をどうしたかというふうな具体的な経過、これが第二点。  第三は、貯金関係郵便関係、これとの相互間の、いま申しました電電会社郵政省との取りきめと同様のもの、これは大蔵省の預金部との関連でありますかどうですか、その辺のところを私はまだ正確に把握はいたしておりませんが、これはやはり原則的に契約書、取りきめ的なものと、四十一年度の具体的な決定のもの、この三つをひとつ資料として要求をいたしたいと思います。
  6. 長田裕二

    長田政府委員 御趣旨のように提出することにいたします。
  7. 砂原格

  8. 森本靖

    森本委員 郵便法審議もだんだん大詰めに近づいてきたようでありますけれども、まだ残っておる重要な点がだいぶありますので、御質問をいたしたいと存じます。  まず最初に、二八%という引き上げだ、こういうわけでありまするが、今回の値上げによって、七月一日からの増収分幾ら、それから四月一日から小包料金値上げによって幾らと、この増収額幾らでございますか。
  9. 郡祐一

    郡国務大臣 七月からで二百八十六億、四月一日からの小包分は三十二億でございます。
  10. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、二百八十六億と三十二億との合計額値上げ金額ですか。
  11. 郡祐一

    郡国務大臣 三十二億と申しましたのは、二百八十六億のうちでございます。
  12. 森本靖

    森本委員 その二八・八%というのは、増収率の二八・八%、こういう率ですか。
  13. 郡祐一

    郡国務大臣 さようでございます。
  14. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、二八・八%というのは、平均郵便料金増収額でありまして、実際の郵便料金値上げ率平均して一体幾らになりますか。
  15. 長田裕二

    長田政府委員 実は今度の郵便法改正によりまして、種別体系をすっかり変更いたします。五種と一種の統合、それから従来の一種あるいは五種、主として五種ですが、書籍小包への転換、あるいは学術刊行物への移行、そういうようなものがずっと複雑にからみ合いまして、あるいはまた非定形から定形への移行等がからみ合いますので、平均率というものを出しますのがたいへんむずかしいわけでございます。しかし利用減等もある程度見込んでおりますので、値上げそのもの平均の率は二八・八%を多少上回っているわけでございます。
  16. 森本靖

    森本委員 二八・八%というのは郵便の総収入に対する収入額であって、たとえば一種定形については五〇%の引き上げになっておる。それから非定形については一五〇%の引き上げになっておる。第二種の通常はがきについては四〇%、さらに往復はがきについても四〇%、第三種の低料扱いについても五〇%、第四種のごときは二〇〇%ということになるのであって、それからいきますと、値上げ率というものは一種から四種までをずっと平均をいたしますると九〇%の値上げ率になるわけでありまするが、これは大臣、どうお考えですか。
  17. 郡祐一

    郡国務大臣 私は総括原価主義で配賦しておりませんから、したがってそれぞれ一種等の値上げ率も高くなっておるものもございますが、値上げの幅と申しますれば、二八・八%というものを出しまして、それをもって全体の値上げ幅と見ておいていただくのが筋だろうと思います。
  18. 森本靖

    森本委員 いや二八・八%というのは値上げの幅ではないのです。二八・八%というのは、一種なり二種なり三種なり四種なり、それぞれ利用度が違うわけですね。だから利用度が違いまするから、それぞれの増収分も違うわけです。そこでそれぞれの増収分が違いまするけれども、それを総合計をいたしまして、平年度のいわゆる収入額の中から見ると、二八・八%の増収に今回の値上げによってなる。ところが実際の値上げ幅の率というものをパーセンテージで示したならば、私がいま言ったように九〇%の値上げの率になるであろう。だから具体的に、それじゃ九〇%にならぬということでしたら、一種から四種まで、私がいま値上げ率を示したわけでありますから、増収分は二八・八%だけれども、実際の値上げの率というものは九〇%になるのではないか。だから利用する人によっては九〇%以上になる人もあり得る、こういうことになるわけですね。だからたとえば一五〇%の非定形を非常にたくさん利用する人については、これは非常に高い率になる。ところがたとえば通常はがきの四〇%の分を利用する人は、これは確かに四割以下にしかならない、こういうことになりまするけれども平均値上げ率というものは、郵政省は絶えず二八・八%、二八・八%と言っておるけれども、実際の値上げ率は九〇%になる。このことはお認めですか。
  19. 郡祐一

    郡国務大臣 おっしゃるように、二八・八%は増収率でございまするから、値上げ幅と申しますならば、一種から四種までの個々について、さらに定形、非定形等に分けて、そしてそれぞれの値上げ幅はこれこれという言い方をすべきことだと思います。
  20. 森本靖

    森本委員 いや、だから私の言っておるのは、一種定形については五〇%、非定形については一五〇%というふうに、第四種については二〇〇%という値上げ率でありまするから、これを一種から四種まで平均をいたしますると、九〇%の値上げになる。あなた方が言っておる二八・八%というものは増収率の問題であって、値上げの幅の率が九〇%になるということについては、数字の問題ですから、インチキでも何でもないわけですから、はっきり認めておいていただきたい。
  21. 郡祐一

    郡国務大臣 二八・八%は増収率、それから個々にそれぞれ値上げの率が違っております。したがいまして、それを寄せましたものが九〇%とおっしゃるのは、そういう計算でいきますと九〇%と別に出すことに格別の意味はなくて、個々一種では幾ら、非定形幾らというぐあいに、いまお示しのとおりのそれぞれの値上げ幅がございますから、おっしゃいますように、利用者によってはかなり差ができてまいりますことは、おっしゃるとおりだと思います。
  22. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、それでは一種から四種までの値上げの率は、二八・八%は増収率があるけれども、一番低い第二種に至っても四〇%の率である。だから二八・八%というのは、いかにも三割程度しか値上がりをしていないということを言っておるけれども個々に実際に利用する場合には、最低が四〇%だ。第一種定形に至っては一割五分の値上がりである、こういうことになるわけですね。
  23. 長田裕二

    長田政府委員 仰せのように、二八・八%よりは個々料金で高いものが多うございます。しかしただいま仰せのように九〇%と申しますのは、一種最低のところをとられまして五割、二種が四割、三種が五割、あるいは据え置き、四種がこれは据え置きのものもあります。通信教育盲人用据え置きでございます。それから農産物種苗が三倍、学術雑誌がこれは逆に安くなっておる。一種におきましても二十グラムないし二十五グラムは安くなっておる。四十グラムと五十グラムも安くなっておりまして、上へいけばいくほど非常に安くなるというようなことなどもございますので、そこらも御考慮を願いたいと存じます。
  24. 森本靖

    森本委員 一種の上にいくに従って安くなると言いますが、一種は上にいくに従って利用度は少なくなるのです。そんなしろうとにごまかしがきくようなことを言ってもらっては困る。一種はだんだん上にいくにしたがって安うなるようなかっこうになっているけれども、それは利用度は非常に少ない。一種についてはやはりこの十五円のものが一番利用度が高い、実際問題としてはこういうことになるわけですね。だから、この二八・八%という数字に非常に魔術師みたいな言を言っておるけれども、実際は個々にそれぞれの人々がこれを利用する場合には、もっともっと値上がりをしてくるということになるわけです。  そこでもう一つふしぎな点は、増収率が二八・八%程度であって、一種、二種、三種、四種については最低値上げ率が四〇%であるにかかわらず、小包み料金特殊料金は別でありますけれども、それにいたしましても増収率が二八・八%というのは、値上げの率からいきまして、科学的に考えてちょっと低過ぎはしないか。この点大臣どうですか。これは事務当局でなしに勘でものが言えることですね。実際問題として二八・八%の増収率だ。ところが、いま私が説明したように、一種から四種まではそれぞれ値上げ率が出てきておる。その値上げ率最低はわずかに二八・八%よりも上回った四〇%が最低になっている。にもかかわらず、増収率が総体で二八・八%というのは、この増収率というものは相当少なく見ておるのではないかということを懸念せざるを得ないことになるわけですが。
  25. 郡祐一

    郡国務大臣 私も四十一年度見通しを立てます場合には、かなり過度に利用減を見込んだり何かいたしませんように、収入の面でも支出の面でも気をつけて指図はいたしております。ただし、とにかく料金改定をいたす際でございますから、物の利用減というものをわりに手がたく見ておるということは申せるかと思います。ただ収支を正確に——正確にと申しますか綿密に立てました結果得ました二八・八%でございますから、おそらく実際はそれに近いものになるだろうと考えております。
  26. 畑和

    畑委員 関連。  いまの増収率の問題ですが、この前私ちょうど大臣がおらないときに答申と比べて質問をしたのです。どうもはっきりわからなかったのですが、この答申によりますと、五年間で三六・八%の増収を確保し得る料金改定が必要と思われる、こういうことを言っておって、しかし五年間では見通しの問題もあることだから、これを三年に縮める。その結果の収入支出が出ておりまして、その結果、この改正案による平均値上げ率は約二九・五%と計算される、こういうふうに出ておる。三年間で二九・五%、五年間でいま言った三六・八%と、こういう見通しが出ている。そこで今度の答申とそれから改正案との間の食い違いというのは少々あるにはあります。あるにはありますけれども答申案でそれだけ上げてないやつをよけい上げているのもあるし、また第三種のごときは答申ではもっと上げろといっているのにうんと下げておる。むしろ上げ幅は非常に少なくしておるという点はあろうけれども、この差が答申と今度の場合あまりに大き過ぎる。改正案では御承知のように五年間ということになっていますね。だから最初答申のときには三六・八%、今度のときが二八・八%、そういうことでいま森本委員がおっしゃった質問趣旨関連して、やはり私の非常に疑問なんです。したがって、値上げ幅が少ないということにしようとして、二八・八%という数字にしたようなふうに思われるのです。どうもこういう点が依然として疑問なのであのとき質問したのですけれども、いいかげんな程度にとどめた。いま森本氏の質問で思い出したわけなんですけれども、この二八・八%のとり方ということは、答申の線とその答申の線のときの値上げ率というものと関連をしても、どうも二八・八%は少な過ぎるのじゃないか。答申のほうがあるいはデータが悪くて、そのために多くなっているのかどうかという点の疑問を持ったのですが、その点をひとつ森本氏の質問関連をして質問をいたします。ひとつ答えていただきたい。
  27. 郡祐一

    郡国務大臣 郵政審議会の御審議を得ましたときには、物数伸びを非常に低く見ております。四十三年度以降が三・五%であったと思います。これは手がたく見てくださるということは、将来の計画を立てます上には非常に大切なことだと思いまするけれども、日本の郵便物伸びが三・五%というようなことはあまりに低過ぎることでございます。主としてそれがもとになりまして、郵政審議会値上げ幅が出てまいりました。私どもは手がたく見積もるといたしましても、そこまで手がたくと申しますか、それでは実情に合わなくなるだろうということを考えまして、値上げ幅をさきに御提出申し上げましたようなぐあいに見ましたのです。そういたしますと二八・八%ということで落ちつき得るのだ、こういうぐあいに考えております。
  28. 畑和

    畑委員 この前にもやはり長田郵務局長からもそういう答弁があった。私も先回りして、そういうことが大きな原因かもしらぬ、物数見通しがだいぶ違っておる、その関係によって物数答申の線よりも多く見込んでおるから、したがって収入が非常にふえた。だからパーセンテージとしてはわりに少ないけれども、実際は相当増収率が上がっておる、こういうことで先回りして言うてみたのですけれども、それはそれとして次の質問になるのですが、たまたま大臣がおられるから申し上げます。そのときにも申ましたが、答申資料になったデータはいつ出たと言うたら、去年の一月ごろのことである、それから今度の改正案の出た物数見込み、それはいつかと言うたら、それから半年以内だというようなことだったと思うのです。それにしてもだいぶ見通しが違い過ぎる。答申が十二月九日に出たのじゃないか。それでこの法案はいつ出たのかということで、幾ばくもなく出ておるじゃないか。その点でこう物数見通しが違うということは責任じゃないか、こういうことを長田君に言うたのですが、そのとき大臣がおられないで、残念ながら大臣答弁を得られなかった。今度は関連してそこの問題について、そう違うのはあまり見込みが違い過ぎる。そうだとすれば今度の改正案の基礎になった物数というのは、またそれが変わるのじゃないか。そんな見通しが悪くてどうするのだ、こういう意味質問をしたのですが、大臣どう思われますか。今度こそ見積もりは変わりませんか。
  29. 郡祐一

    郡国務大臣 確かにおっしゃるとおりの気持ちをお持ちになることはごもっともと思います。郵政審議会へ提出いたしました昨年の四月ごろをとらえました資料というのは、確かにその当時が非常に物の減少を強くいたしておりまして、ある意味ではいままでの物の傾向が比較的順調であったので、私ども見込みのほうがある程度強かったという反省もしなければいけないかと思います。思いますが、その差が非常に顕著に出ておったということでございますから、郵政審議会資料をお目にかけ、また郵政審議会で御判断をいただいたときも、確かにやや手がたくと申しますか、悲観的にごらんになったということはあると思います。しかしながらその後昨年中の経過をとってみますると、これはいろいろな見方ができると思いますが、郵便物というものはそれほど景気なり社会の動向で影響を受けるものでない制度でありますから、ほんとうの一時の特殊現象といたしまして、大体やはり長期に展望していいような見通しができておりまするので、このたびの五カ年の収支見込みのほうが正確なものであり、これは狂わずにもし期待し得べくんばもう少し上のカーブをとり得るものじゃないだろうか、こんなぐあいに考えております。
  30. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この二八・八%というのは四十一年度増収率ですか。
  31. 郡祐一

    郡国務大臣 さようでございます。
  32. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、平年度増収率幾らに見ておるわけですか。
  33. 郡祐一

    郡国務大臣 二百八十六億を平年度化いたしますと三百六十四億でございますが、その後の増収率も同じような二八・八%を大体見込んでおります。
  34. 森本靖

    森本委員 その後もかりに二八・八%の増収率で見るということになりますと、これはやはり私はちょっとおかしいと思うのです。もっともここでこの問題を相当論争しておると時間が長くなりますので、ひとつこれはどちらが是か非かということについては、たとえば郵便の主体性のあるものは一種から四種までしかないのです。あとはいわゆる特殊取り扱い小包になるわけです。それで一種定形が五〇%、非定形が一五〇%、二種は四〇%上がる。第三種が五〇%上がる。第四種が二〇〇%上がる。合計五三〇%だから、平均率が九〇%の値上がりになる。だから最低値上がり率でさえ四〇%値上がっておる。にもかかわらず平年度においても二八・八%の増収率にしかならぬということについては、これはだれが聞いてもちょっとおかしいのじゃないか、何かそこにからくりがあるのじゃないかということを、この数字数字として物語ると私は思うのです。私が言っておるのは政策の問題じゃありません。数字が明らかに——この二八・八%というものが四十二年も四十三年も続いていくとするならば、あるいは本年はたとえば七月の一日からの値上げであるから増収率がこれだけ少ないのだ、しかし四十二年からは三〇何%になるのだとか、あるいは四〇%をある程度こえるということになれば数字が合ってきますけれども値上げ率が、いま言ったように平均をとりますと九〇%の値上げ率にもなっておるにもかかわらず、実際の増収率というものが二八・八%しかないということは、ちょっとこれは常識で考えても郵政省数字魔術ではないか、これ以上深追いはしませんけれども、ちょっと聞いて、大臣そんな感じがしませんか。
  35. 郡祐一

    郡国務大臣 一応この収支を立ててみまして、これはいろいろな見方があると思いますが、私どもはああやった物数伸びを見、今後の人件費伸びを見、また物件費等を見てまいりまして、大体これからの五カ年もしくはあとうべくんばそれ以上も持ちこたえていきますならば、二八・八%という増収率がそのままずっと続いていく。これはおそらくこれ以上の見込みの狂いは来たすことのない、あるいはおっしゃるようにもう少しいいものが期待できれば、それは郵便事業といたしましては将来の計画、さらに見通しがつくのかと思いまするが、私は二八・八%というのは、魔術と申しますよりは、そのくらいは間違いなく期待できる数字としてお受け取りを願ってよろしいのじゃないかと思いますが……。
  36. 森本靖

    森本委員 だから私ははっきり言って大臣の誠意はよく認めますが、いま私が説明をしたように、一種から四種までは平均をすると九〇%、最低の率でさえ四〇%も上がっておる。にもかかわらず増収率が毎年毎年二八・八%で上がっていくということは、常識で考えてどうしてもつじつまが合わぬのじゃないか。だからものすごく物が減ったりしても、最低が四〇%ですから、それ以下に下がるということは、何か小包特殊取り扱いで大損をしておるということになるとするならば別でありますけれども、この郵便料金だけを見ていった場合は、どう考えてもこの値上げの率が九〇%の値上げの率になっておる。ところが増収は今後三年間は二八・八%が続いていくのだということになると、これはどなたが考えてもおかしいような気がするのではないか。だから大臣はそのおかしいということについて一体どう考えておられるのか。これが大体せめて最低の四〇%に同調しておれば、まあ一五〇%の非定形なんというものはそんなにないと思いますということで、うん、なるほど大体その程度かなということはわかりますけれども、あまりにもこの値上げの率と増収率というものが違いがあり過ぎる、これは何かからくりがあるのじゃないかという想像ができるわけです。その辺大臣としてちょっと疑問にお感じにならぬかというわけです。疑問に感じないとするならば、この率が違うのは一体どこにその原因があるか。——これは大臣でなけりゃだめだ。これは常識で答えられる問題だよ。
  37. 長田裕二

    長田政府委員 大臣がお答えする前に、ちょっと先ほどのを補足させていただきますが、お話のように四十一年度、初年度につきましては、二八・八%の値上げというものから利用減一億五千九百万通というものを引いたものが二百八十六億でございます。四十二年度からはその利用減の部分は回復するというふうに見込まれますから、平年状態に返るわけですが、ただいまお話のように個々値上げ率を総合しましたものは二八・八%を上回る——九〇%というのはちょっとごかんべん願いたいとも思いますけれども、上回ることは事実でございます。それが二八・八%になりますのは、利用減は別といたしまして、非定形から定形に移る。いままで十円だったものが二十五円になったりするダイレクトメイルが、それにたえられないで定形化の方法をいろいろ考える、これを四十一年度で三億通ぐらい考えております。その問題が一つと、それから軽量化の問題も考えられます。そういうことを合わせますと、これは大体二八・八が継続するわけでございます。
  38. 砂原格

    砂原委員長 この際申し上げます。  総理と官房長官がお見えになりましたが、総理、官房長官の日程は、三十分間を経過いたしましたら次の日程がございますので、質疑をなさいます各委員の方々は簡潔にお願いを申し上げます。森本靖君。
  39. 森本靖

    森本委員 先ほどの増収率の問題についてはあとでやることにいたしまして、総理と官房長官が来られましたので、総理並びに官房長官に特にお聞きしたいと思いますが、総理も官房長官もこの逓信委員会に出てこられることはめったにないわけでありますので、こういう際にひとつ総理のお考え方をはっきり聞いておきたいと思いますが、まず私は、その前に総理にちょっと聞いておきたいと思いますることは、当委員会としてはあとまだ重要法案として放送法、電波法というような法律が残っておるわけであります。そこで現在の国会の会期の五月十八日ということを考えた場合には、連休その他がありますので、これは相当審議あとあと無理になってくるわけでありますが、私のほうは反対の法案でありまするから、別に意に介せぬわけでありますが、このごろ新聞等において会期延長の問題がとやかく言われておるわけでありますが、総理としては今次の国会の会期について一応どういうふうにお考えになっておるか、これは今後の当委員会の審議の状況についても非常に影響がありますので、この会期の問題についてまず総理にお伺いしておきたいと思います。
  40. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 国会の会期は、新しい憲法のもとではずいぶん大幅に会期があるわけであります。この五カ月の会期で所要の法律案の成立を期すというのがたてまえでありますので、私どもは国会の御審議に協力をする、政府は、そういう立場で、どうか御自由に御審議をいただくように、また同時に、その審議に十分間に合うというか、その間に成立できる、こういうたてまえで法案の提出等も各省を督励いたしまして出しておるのであります。しかし国会の審議の状況等は、なかなか私どもの予想したとおりにもいかない場合がある。これは国会をとやかく申すのではございません。いろんな事情がありまして、なかなか計画通りにすらすらといかない。ことにただいま言われますように、社会党としてはこういう法案は反対だ、こういうようなことになりますと、なかなか審議がうまくいかない、御協力も得がたい、こういうような状況です。私どもこの段階で、会期をどうするかということはまだ考えておりません。しばしば官房長官を督励したり、また幹事長や国会対策委員長を督励いたしまして、法案の成立は一体どういう状況になっているかということを絶えず督励はいたしておりますが、ただいまお尋ねになりましたような会期の延長、あるいは延長しないとか、こういうような点についてはまだ全然考えたことはございません。
  41. 森本靖

    森本委員 総理としては、現在の段階においてはそういうようにお答えするしかないと思います。ただ当逓信委員会としては、これは模範的な国会審議をやってきたというふうに考えておるわけであって、他の委員会が休んでおる土曜日も公聴会を開いてまでやっておる。これまで審議審議を尽くして、この国会の会期までの間に、われわれは大いに審議に協力をしておる。しかしこれが時間切れになればもうやむを得ない。だから時間切れになったからといって、会期を延長してしゃにむに自分たちの意見を通すということもおかしいのじゃないかというふうにわれわれのほうとしては考えておるわけであって、いま総理が言われたように、国会が十分に審議し尽くしておるということであるとするならば、まあ私のほうとしてはそういう点についてはまだ考えておるともおらぬとも言っておりませんが、いずれにしてもわれわれとしては会期延長ということは望ましくない。一つのきまった会期という土俵のワク内においてお互いに慎重に審議をし尽くして、そしてあげるものはあがっていく、慎重審議をし尽くしてあがらないものはこれはやむを得ない、こういうのがわれわれの考え方で、これが国会審議のほんとうのルールだと私は思うわけであります。そういう点からいくとするならば、少なくとも総理としては、私は会期の延長はやりませんということはこのあたりではっきりと言ってもらいたいわけでありますけれども、総理の立場としては、それはいますぐ言うということはなかなか困難だと思います。  そこで、会期の問題についてはその程度にいたしますが、この郵便法について総理にひとつ基本的な問題についてお聞きしておきたいと思うわけでありますが、ここの委員会で相当審議をしてまいりましたけれども郵便法で一番問題になりました点は、やはりこういうふうな公共的な料金、しかも万国共通であるというような郵便料金については、世界各国特にアメリカ等においては、一般会計から赤字の郵便料金に対してはかなり繰り入れをしておるわけです。そういう点からいたしまして、当委員会でも相当論議になったことは、二百八十億円程度の赤字についてはやはり一般会計からある程度郵便事業特別会計に繰り入れをして、そして総理が言っておりまするいまの物価の安定ということにも寄与するし、さらにまたこの郵便は万国共通であるしまた公共的なものである、こういう考え方に立った場合には、何としても一般会計から二百八十億円程度は繰り入れをして、せめて郵便料金だけでも今日の物価上昇の際に値上げをしてもらいたくない、こういうのがこの委員会における第一番目の焦点になっておるわけでありますが、この辺ひとつ総理どうですか。これはアメリカあたりでも——よく総理はアメリカのことを例に出しますが、アメリカあたりでもかなり一般会計から出しておるわけであります。ひとつ総理、これは思い切って一般会計から出して善政を施すというふうな考え方はありませんか。
  42. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 あまりそういう考え方がないのですが、ただいまアメリカの例を言われましたが、社会党さんはあまりアメリカを引き合いに出されないのが特に出される、そこらにも一つ意味があるだろう、かように思いまして私もよく考えてみたのでございます。しかしいままで議論されております今回の赤字、これは郵便の特殊な種別についてこの赤字が出ている。あるもの、封書などはプラスです。だからこういう特殊なものについて社会的理由で安い料金にしておる、こういうものは一般会計でまかなうべきじゃないか、こういう理論的な根拠を与えておる、かように考えております。そういう意味で政府は何か考えられないか、別にアメリカの例をとるまでもなくその議論だと思うのですよ。森本君にしてもこの話をうまくするためにアメリカを引き合いに出されたので、本来はそういう点は専門ですからよく御存じのことだと思うのです。ただその場合、お話にもありましたように郵便そのものは公共事業です。公共事業というものは全体としてパブリックサービスをしておる。非常に負担力のないもの、これに高い料金を取るとかあるいはまた社会的な意義のあるものにそのめんどうを見ないとか、こういうのは困るから、それぞれの料金を高くあるいは安くしておる、こういうことなんです。だから総合的に全体としてプラスかマイナスか、それが郵便料金に課せられた独立採算の考え方、かように私は理解しておるのです。したがいまして、この赤字が特殊な理由でできているのだから、それはひとつ一般会計でまかなえ、これには実は賛成をいたしません。また一般会計でまかなうということは、申すまでもなくこれは税金でまかなうということなんです。国民の負担において処理するということでありますから、これは国民の負担をそこまで拡大することはどうだろうか。これはアメリカでそういうことをやっておりましても、わが国ではその制度は賛成しない。また一ぺんそういう道を開きますと、あとこれはまたたいへんに尾を引く問題でありますので、この際はやはり総合的に独立採算、そのたてまえでこの郵政事業があるべきだ。一般国民の負担とは別にすべきだ、利用者の負担においてこれを処理すべきだ、かように実は考えておる次第であります。
  43. 森本靖

    森本委員 これは総理もかつて電気通信大臣をやられて、この電気通信事業についてはかなり詳しいと思います。御承知のとおり戦争前については、いわゆる電電公社の現在やっておる仕事も国際電電のやっておる仕事も郵政事業のやっておる仕事も、全部ひっくるめて一本の逓信省でやっておった。その当時は御承知のとおり逆に政府に納付金を納めさせられておったほど、その中における会計のやりくりというものがスムーズにいっておった。ところが現在はもうかる国際電電はもう会社に切り離された。それから電信電話は電電公社に切り離された。結局残ったのは郵政事業として一番もうからぬものが残ったということになったわけですね。そこで、総理のいま言った一般会計から取り入れぬということを一応受け入れたといたしましても、同じ郵政事業の特別会計の中にありますところの郵政貯金事業特別会計、これがたしか総理が大蔵大臣のときだったと思いますが、御努力によって、御承知のとおり郵政省が大蔵省から借りておりました赤字の、いわゆる預託金利についての借金のたしか五百億程度だったと思いますが、これを棒引きにしてもらって、そうしてそれ以来預託金利を六分五厘にしたわけですね。その関係で、今日でも郵便貯金事業特別会計の剰余金が積もり積もって四十一年度で大体三百二十億円程度と思いますが、毎年度これが大体四十億円ないし五十億円程度剰除金がふえていきつつあるわけであります。これは同じように郵政事業特別会計の中にある会計としては、珍しく剰余金が出ておるわけであります。それから簡易生命保険特別会計については百八十億円程度出ております。しかしこの簡易生命保険の特別会計の黒字の百八十億円については、これは生命保険の相互扶助という観点から、もうかったならばこれは加入者に対する還付金として配当をふやせということが法律にあるわけでありますから、この簡保の剰余金は別として、郵便貯金特別会計の剰余金の三百二十億円は、再来年はさらにこれが四百億円近いものになる。この中には、年間九億になんなんとするところの没収金も入っておるわけであります。要するに、郵便貯金は十年間預け入れ、払い戻しをやらなかったら国庫に没収になるわけでありますから、そういう金も入っておるのですが、それが今年三百二十億円ある。とりあえず今年この三百二十億円の金を郵政事業特別会計に繰り入れしたならば、今年はあなたが言うところの物価安定のために、郵便料を一つも上げぬでもおつりが来る、こういう形になるわけでありますが、こういう点について大蔵大臣あたりは郵便貯金と郵便とは全然別だ、こういうように言い切っております。そういうふうに大蔵省の人たちは考えておるかもしらぬけれども、実は逓信省の昔から、郵政省の内部において実際仕事をしておる者は、貯金から郵便に変わり、郵便から貯金に変わるというように、それほど貯金と郵便が変わったものとしては考えておらぬわけだ。そういう考え方からいくとするならば、貯金の剰余金あたりから今回繰り入れをしたならば全然値上げをする必要はない、これは常識でわかることでありますから、総理としてどういうふうにお考えか、ひとつお聞かせを願いたい。
  44. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 森本君御承知のように、私かつて郵政大臣また電通大臣をいたしたわけであります。また大蔵大臣もいたしました。したがいまして、それぞれの立場において申すのでありますが、全部を経験しただけに一番公平な意見を持っておる、かような意味でお聞き取りをいただきたいと思います。  また、逓信委員会が、当時も私は出てまいりまして、たいへん皆さま方が熱心に御審議をいただいておる、これは他の委員会がもって範とするに足る、かように実は思って感謝しております。この点では大いにそれだけの自信を持たれていいことだと思います。  これは余談でありますが、そこで、ただいまお話がありましたように、電通大臣として電電公社をつくり、また国際電電は会社にいたしました。これは私が大臣のときにそれができたと思っております。また私は鉄道出身でありますので、鉄道の公社をつくった当の本人でもあります。そこで、国有鉄道の公社と電電公社との間にもやや違いがあるのですが、これはあとでできた電電公社のほうが、経営者、管理者の意向が十分に透徹するような機構にくふうしたのであります。ただいま、もうかるものは会社にした、こういうお話でありますが、私はもうかるものを公社あるいは会社にする、こういうことでなしに、いかにすればサービスを一番期待に沿うように上げることができるか、それにはやはり民営がよろしいというので、実はこの問題はいたしたのでございます。  しからば、この郵政では一体どうなのか、こういうことですが、これになりますと今日のような国営でやることが最も望ましい状態である、これを中途はんぱに民間や何かに移しましても困りますし、万国一様のものである、こういう意味で、一つの歴史が非常に尊重されている。でありますから郵便自身はこれを切り離さないで、そして電気通信、電話のほうだけ実はいたしたのであります。  そこで、ただいま、郵政でやっております簡易保険あるいは郵便貯金、こういうものについて触れられました。これは大蔵大臣の言っているのが、あるいはことばが不十分かわかりませんが、とにかくこれを区別して考うべきものだ、かように実は思っております。郵政大臣をした私、大蔵大臣をした私がただいま申し上げるのでありますから、これは別に福田君の思想に私はかぶれたわけじゃないので、これはやはり別途に考えるべきだ。と申しますのは、貯金の場合はこれは預金者本位に考える、これはもうよくおわかりだと思う。また簡易保険も、簡易保険制度を設けましたその時期と沿革とをお考えになると、これはやはり一般郵便とは区別して考うべきだ、これはおわかりがいただけるのではないかと存じます。したがいまして、今回いろいろな御議論がございますが、これは郵政省が不評を買わないように、こういう意味からの御配慮だと思いますが、私はこういう事柄はやはり筋目筋目を明らかにして、そういうことでないと国民も理解しないのじゃないか。このほうが都合がいいから、今日赤字を貯金の黒字で埋める、そうすれば国民も納得するじゃないか、こういうイージーゴーイングな考え方には、実は私は賛成しないのです。むしろ郵便郵便として、御承知のように人件費が七割だといわれております。これは最近のようなたいへんな情勢から見ますと支出が増高しておる。だからこれをひとつできるだけ合理化もするし機械化もし、そして国民の期待に沿うような公共のサービスを提供する。しかも従業員の地位等については、これはもう管理者として責任を持って、政府として十分これの保障もする必要がありますし、安心してこの公共事業に専念できるように、そういう考え方をすべきだ、かように思います。そのためにはやはり国民が納得のできる程度料金改正、これもまたやむを得ないのではないか、かように私は思うのであります。  申すまでもないことですが、赤字が出ればこれをどこかで借り入れをしたらいいだろう、また料金を上げるとか、その他の一般会計からそれをまかなうとか、三つの方法が普通考えられますけれども、借金をすることはこれは根本的解決じゃありませんから、恒久的な対策としては望ましくないし、一般会計からこれを補てんする、あるいは特別会計から補てんする、こういうようなことはこれはそのたてまえ上から見まして望ましいことじゃない、料金改定せざるを得ない、その道の方向へ行くわけです。ただこれが一般に影響するところが非常にありますし、消費者物価に影響もしますので、そのときにはやはりその上げ率あるいはその上げる時期等について私どもがくふうしていくということで、今回郵政省が特にこの実施の時期等も鉄道の場合とは変えておりますのも、そういうようなくふうがなされたんだ、かように御理解をいただきたいと思います。
  45. 森本靖

    森本委員 まあ総理の御意見はわかりましたけれども、われわれとしてはこれは反対であります。  そこで総理に聞いておきたいと思いますのは、この郵便貯金の剰余金が三百二十億円四十一年度にある。これはこのままでいくと年間四十億ないし五十億円ずつふえていくわけですね。そうするとやはり総理としてもこれは郵便貯金の加入者に何らかの形において還元をすべきものであるというふうにお考えになるのは当然だろうと思う。ところが郵便貯金についての金利は一般市中銀行の金利その他とかみ合わせて、そうむやみやたらに上げることはできない形になっているわけですね。そうなってまいりますと、たとえば本年、郵政大臣のほうから実は郵便貯金の貸し付けの法案を持っていったところが、これは大蔵大臣にけられてそのまますごすごと郵政大臣は帰ってきたという形になっておるわけですね。このままでいくと、この郵便貯金の剰余金というものはどんどんふえていくんですね。一体この金はそれじゃどう使うのか、こまかく言うのは別として、大まかに言って、総理、この郵便貯金の剰余金は二、三年すれば四百億をこすことになりますよ。それじゃこれを何らかの形において郵便貯金の加入者に還元をするような形の施設をつくるなりなんなりに使ってもよろしい、こういう考え方に総理は立つかどうか。そうじゃなければ、これはもう三百億ないし四百億の金が宙に浮いてしまうのですよ。この辺はひとつ総理、もし郵政事業特別会計に使っていかぬということであるならば、それなら郵便貯金の加入者に対するサービスに何らかの形において使うということは妥当ではないか。この中には御承知のとおり、毎年九億円の没収金が入っておるわけです。この辺総理の、ひとつ何かおみやげ的な発言の一つくらいは逓信委員会でもらわなければ話にならぬ、こう考えるわけです。
  46. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは、いまの森本君、またその他の方の御意見に沿うべく郵政大臣が努力をいたしておられます。  そこで、郵政大臣が提案をしてすごすごと実は帰ってこなかった。実は総理もたいへんこの問題では頭を悩ました問題でございますから、内閣不統一を来たさないでおさまった問題でございます。いわゆるすごすご引き返したという状態ではございません。しかしこの運用の問題については、実際問題としてたいへんむずかしい問題でございます。ただいままで簡易保険については一部還元融資をしておる。これは御承知のとおりであります。皆さん方の御要望に沿ったんだと思います。私もこういう問題について、郵政大臣でありましただけに、大蔵省としばしばぶつかっていろんな議論もしました。しかし大蔵大臣としてこういうものを考えると、国家的資金というものをやはり一応に運用していくことが望ましい姿だ、かように実は考えておりますので、ただいままで、これが郵政省の考えどおりにもいかない。ただ、いま利益がどんどん上がる上がると言われておりますが、利ざや等の状況は必ずしもそうでもないだろう、かように私は思います。簡単にいまの金利だけを上げて預金者を保護するというだけでもなく、この辺にもいろいろ問題があるのじゃないだろうかと思います。しかしこの際に、結論を申さないのですが、ただいまの御提案になりましたこと、これはとにかくもっとさらに掘り下げて検討する問題である、かように私は思いますので、その点だけははっきりお答えしておきたい、かように思います。
  47. 森本靖

    森本委員 いま、総理は大蔵大臣もやられ、郵政大臣もやられたということになると、まっこうから反対と賛成の意見大臣をやっておるわけですが、郵政省側としてはこの貯金の剰余特別会計については、郵政事業特別会計に使わしてくれなかったならば、さらに郵便貯金の伸びるような方向に使いたい。たとえば御承知のとおり、簡易保険についてはすでに年間六十億円の福祉事業団ができて、非常に大きな成績をあげておるわけです。簡易保険の募集には大きな成績をあげておる。ところが財投の資金を得るために内閣自体としては郵便貯金に求める額が非常に大きい。ところが貯金に対するサービスというものは、銀行から見ると非常に落ちておる。せっかくこういうふうな剰余金がある。そんな剰余金を今日まで郵政事業特別会計には使わしてくれない。それなら一体どうすべきかということになると、できればこれは郵便貯金の加入者に対してサービスの還元をするような方向に内閣全体が、ひとつ総理、前向きの方向で、前進をする方向で御協議願いたい、あるいは御討議を願いたい。いまここですぐそれがいいか悪いかとかいうことの回答を求めておるわけではありませんが、しかしいずれにしても貯金というものは、この前も私が本会議で言ったように、そんなにだまっておってできるものじゃない。従業員がかなり苦労しつつこれはできておる。しかも財投の資金というものは、政府自体はかなり有効に使っておるわけです。そういう点からいくとするならば、この貯金の会計の剰余金については、やはり郵便貯金の加入者に対しては還元ができるような方向において、そうして郵便貯金の募集ができやすいようにしてやるのがやはり政府のやり方ではなかろうか、こう思うわけです。これは前向きの方向で、ひとつ総理としても閣内で十分に論議をしていただきたい。私は、すごすご郵政大臣が帰ってきたといういやみを言いましたけれども、それはすごすごとは思いませんが、いずれにしてもこの案が通らなかったことは事実であります。だから将来については、そういう点について総理としても十分にお考え願いたい、こう思います。
  48. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまの森本君の発言は、私はたいへん建設的な御意見だと思って、非常に喜んでおりますが、ただ、私この際に指摘しておきたいのは、郵便貯金がなぜどんどんふえるか。これはただいま、郵政職員の非常な努力だ、こう言われるのですが、やはり基本的には国の信用だ、そういう意味で、労せずして金が集まるのだ、かように思います。これは一部最近の景気から申しまして、あるいはインフレだとか何とかいわれましても、郵便貯金は予定をどんどん上回って、そして貯金されておる。これはやはり国が経営しておる、国の信用だ、この点もとにかく忘れてはならないことだと思います。したがいましてこういう点を考えて、そしてただいま言われますように、何かこれについて報いるべき方法があるかどうか、さらに私先ほど来申すように考うべきことだ、かように思います。そういう際に従業員の努力、これが報いられるのも一つの方法でしょうし、預金者自身に報いる方法があればこれにこしたことはない。同時にまた国自身の信用だ、かようにも考えますから、その考え方がやや真一文字になかなか進みかねる点もあるんだろう、かように思いますその辺はひとつ十分検討し、相談してみる、ここらを考えてまいりたい、かように思います。重ねてこの問題だけをそう簡単に扱っておるものでない、この点だけ申し上げまして御了承をお願いします。
  49. 森本靖

    森本委員 総理のいまの発言の中で、ちょっと気にかかる点がありますので一つだけ言っておきたいと思います。確かに国の信用ということは二〇%ないし三〇%はあります。しかし郵便貯金が財政投融資に入るものは純増額と申しまして、実際にはその年に貯金をして、預金を入れて出さないところの純増額が財投に入っておる。純増額というものは郵便局ですわっておって入ってくる通常郵便貯金ではありません。いいですか大臣。これは実際に定額郵便貯金と積立郵便貯金というものが純増額の大半を占めておる。この定額貯金と積立郵便貯金というものは、窓口にすわっておって入ってくるものではありません。これは貯金の募集員がそれぞれの家を回っていって募集をしなければなかなかとりにくい貯金であります。その点を総理は、国の信用だからそう従業員の、ということは、ちょっと郵政大臣に聞いてもらったらよくわかると思いますが、これはやはり純増額という点からいくと、従業員の苦労というものは相当あるわけであります。そういう点について私がいま言ったように、加入者に対するサービス事業というものをある程度展開をしていくならば、いまの簡易生命保険が福祉事業団のおかげでかなりふえてきておる。そういう点からいくとするならば、非常にプラスになるということを言っておるわけでありますから、総理ともあろう方がそういう点についてはこまかいことだから知らぬと言われればそれまでだけれども、それは重要なことでありますから、ひとつこれはとくと御記憶を願っておいてもらいたい、こう思うわけです。
  50. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど申しましたが、私は期間は短かかったが郵政大臣をしております。したがいまして従業員の努力はよく私は知っております。ただいままた重ねてそういう点で注意の喚起がございましたから、今後とも忘れないようにいたします。
  51. 森本靖

    森本委員 それでは総理はどうぞ……。  官房長官にひとつ御質問いたします。官房長官も逓信委員会で長年やってこられたので、郵便の問題について私は官房長官にお聞きしようとは思いません。ただ今回の値上げについては、人件費が八〇%を占めておる。これによって待遇改善その他についてはかなり違っておるということをしばしば答弁をしておるわけであります。ところがいま一番大切なことは、この春闘の問題について、公労協に対する問題がきわめて重要な段階に差しかかっておるわけであります。その公労協の中におきましても、この郵政関係の従業員というものは相当多数占めておるわけであります。そこで私は官房長官に特に要望と同時に質問をしておきたいと思いますことは、例年のように五百円か六百円出しておいて、そうして仲裁裁定にでも持っていって、延ばせるだけ延ばしていって、値切れるだけ値切るというようなことをやるような官房長官ではないと私は思う。だから官房長官がつぶさにそういう従業員の苦労を知っておるならば、鉄鋼その他の回答も、だんだん民間産業も出ておるわけでありますから、そういうものとの歩調をどうせおそらく政府は考えると思いますが、私は、最初からうそ偽りのないはっきりとした有額回答を出して、誠意を持って組合側と政府側とはひとつ交渉してもらいたい。これにはそういうものに一番認識の深い官房長官が幸いいま在任中でありますので、最適任であろう、こう考えておるわけであります。今回の春闘に対する——特に公労協ですね。この逓信委員会としては、公労協に対する回答については、政府もひとつ誠意ある回答をもってこの春闘がまるくおさまるようにぜひお願いをしたい、こう思うわけであります。その辺のことについて、官房長官からひとつ公式にお聞きをしておきたい、こう思ったわけです。
  52. 橋本登美三郎

    ○橋本政府委員 どうも当委員会で答弁することは何か面はゆい感じがいたしますが、まだ国務大臣でありませんので、いわゆる責任ある答弁ができないことは残念だと思っております。  ただ、森本君からお話がありましたように、昨年の春闘以来私が関係閣僚の協議会の司会をして、できるだけ法律の上から見ても、また社会情勢から見ても妥当なりという線を出すために努力をしてまいっております。本年の春闘も、御承知のように経済界は必ずしも楽観を許さない。その状況下で民間の回答がそろそろ出つつありますけれども、中にはもちろん昨年あるいは昨年を上回るような回答がありましたが、また中小企業等はかなり悪い回答といいますか、要求に応ぜられないような状態もあることは御承知のとおりであります。このような状態において、政府及び政府が管掌するような企業体に対して、どういう態度をとるべきかはなかなか政治的に判断すればむずかしい問題であります。けれども、また一方考えれば、御質問のように政府関係企業体はストライキ権を禁止されております。したがって、調停あるいはその段階を過ぎれば中労委の裁定によってこれに最終的な結論を出す、こういうような法律の規定がありますので、したがって、特にストライキが禁止されておるという状況から考えれば、政府としては全体の情勢をにらみ合わせて、しかも納得のいく回答をすることが当然の義務であります。そういう方針からして、昨年来私官房長官になりまして、有額回答というものの方針をきめて、ことしの春闘につきましても、いわゆる賃上げの要求に対しては有額回答をする方針をもって関係閣僚との協議を進めておるわけであります。本日の午後におきましても、大蔵省を加えた関係閣僚の協議会を開いて、いずれの時期に有額回答を出すか、またどういうような当事者能力というものをどこまで十分に出し得るか、そういう点をきめたいと思っております。でき得べくんば、かような景気回復の途上でありますからして、政府関係の機関がストライキのごとき非常手段、立法を破るがごときことのないように寄与し、またそれに対応するような回答もしたい。誠心誠意をもってそれらの措置を行ないたい、かように考えておる次第でございます。
  53. 森本靖

    森本委員 官房長官は立場上ストライキのことばかり言っておりますけれども、それは官房長官は官房長官なりの御意見と解釈するわけでありますけれども、私たちとしては、これはやはり各企業体の企業内容についてもそれは相当考慮しなければならぬということはわかります。しかしながら実際の賃金体系とした場合については、現在のいわゆる公労協と民間との賃金差、さらに昨年の賃上げ以来の物価の上昇、こういうものを見きわめながら妥当な額を出したとするならば、これは違法な行為とあなた方がおっしゃるような行為をあえて組合はやらぬと思う。要するにそれぞれの企業体に合うような形で賃金を出そうとするし、できれば値切れるだけ値切りたいというのが今日までの政府のかっこうになっておるわけでありますので、そこら辺にたとえばさっき言ったように、民間との賃金の差、さらに昨年来の物価の上昇、そういうものを考えながらの有額回答をするとすれば、組合側にしてもそうわからぬことを言うものでない、こういうふうに考えておるわけであって、そこは賢明な官房長官でありますので、そういうふうな会合の際においても、私がいま言ったような形の有額回答が出て、しちめんどうくさい手続を経て解決に向いていくということより、あっさりと解決をつけるという方向に政府自身がひとつ向きを変えてもらいたい。またそういう前向きの方向においてリードしてもらいたいということを官房長官に特に要望し、最後に官房長官の決意を聞いて長官に対する質問を終わりたいと思います。
  54. 橋本登美三郎

    ○橋本政府委員 森本君はその道の専門家でありますので私より詳しいと存じますが、御承知のように公企業体、公社の持っておるいわゆる当事者能力という問題と、もう一つはいま申したような物価、いわゆる生活権の問題、この二つの問題がある。そこで公社が答え得る範囲内は、御承知のとおり当事者能力の範囲内において答えられる、こういうことであります。そこで郵政なりあるいは電電の例で申し上げますれば、郵政特別会計においては本年の七月から郵便料金値上げしなければ、いわゆる経常経費すらもやっていけない、こういう前提でいま郵便料金値上げの御審議を仰いでおります。そういう点から考えますと、おのずと当事者能力という点では限定される点は賢明なる森本委員御承知のはずでありまして、国鉄においても同様であります。そこで今回の場合においては当事者能力の点から言えば、いわゆる企業範囲内における収入の分をどうしてベースアップに持っていけるかという企業当事者の当事者能力というものは非常に限定されるわけであります。そういう意味において、あるいは今回の別の問題、いわゆる物価が騰貴しつつある、他の民間産業との関係がどうなろうか、こういう点が今度は判断されなければならぬ。それだけに従来公社当局がゼロ回答をせざるを得なかったゆえんもおわかりだと思う。ただ、ここで一カ年間における節約、合理化その他からある意味においては有料回答が行なわれ得て、そこでまず従業員の生活を守るための最小限度を考える。そこで当事者能力のある部分が出るのですが、さような状態でありますので、その辺における公社責任者と組合との交渉が難航に至っておるということは理解できる。ただ政府としては、先ほど来から森本君の御意見がありましたように、一般の民間給与との関係及び生活権の確保、そういう点から政治的判断をいかにすべきか、こういう問題が残されるわけであります。そういう点からして、官房長官がある意味において、これらの関係者とも打ち合わせをして、最善の努力をして、いわゆる国民から見てなるほどという回答が出ますれば、これで御納得を得まして、いわゆるストライキをやめるようにお願いをいたしたいと考える次第であります。
  55. 森本靖

    森本委員 総理に聞きたいと思っておったけれども、時間がなかったのでなんですが、郵政大臣から総理の代理としてひとつ聞いてみたいと思いますが、今回大蔵委員会に地震保険がかかっておるわけであります。この地震保険というのは、私が調べたところによりますと、百億円以上については国庫がある程度出し、五百億円以上については全額国庫で出すという形になっておるわけであります。こういうふうな地震保険については、本来ならば、全国に窓口を持っており、全国民を対象とし、しかも非常にやりやすい立場に立っておるところの簡易生命保険あたりが一緒にやるべきではないかという考え方を私は前々から持っておるわけでありまするが、この地震保険について閣議で決定をされるときに、郵政大臣はどういう御発言をなされましたか。
  56. 郡祐一

    郡国務大臣 これに対しては特に発言はいたしませんでした。
  57. 森本靖

    森本委員 これは前に当委員会において、この地震保険というものについては、やはり局所局所で起こるものについては相当問題があるので、やるならば全国のいわゆる保険加入者を持っておる国営であるところの簡易生命保険がやるべきであるということを私が質問をしたことがありまするが、そういたしますと、民間生命保険会社から猛反撃を食ったことがありますけれども、これは委員会においてもそういう論議がなされておるわけであります。そこで、そういうときに郵政大臣が黙っておったということはどうも私は解しかねるわけであります。しかも、これは百億円以上になった場合にはある程度の率を国が出す。五百億円以上になった場合には全額出す。現在大蔵委員会で審議しておるものはそれだけの恩典を国が与えておるわけであります。ところが、簡易生命保険でやった場合に、はたしてそれだけの補助金が要るかどうか。簡易生命保険で全国の保険加入者を対象として地震保険を創設をした場合に、それだけの国庫補助が要るかどうかという点については非常に疑問になります。こういうふうな公共的な問題こそは私は、簡易生命保険が取り扱ってしかるべきじゃないか、こういうふうに考えておるわけでありまするが、こういう点について、大臣が閣議で全然御意見を述べられなかったということは、私は非常に残念でありますが、こういう地震保険こそ私は国がやるべきである。しかも、今回の場合は国が補助することになっておるわけでしょう。その補助金も簡易生命保険がやれば私は、ある程度下がってくるじゃないか。どうですか。大臣
  58. 郡祐一

    郡国務大臣 私は、簡易生命保険が、地震保険という損保にそこまで入ることが適当かどうか。私はむしろ——事柄としてできないことはないと思います。簡易生命保険という生命保険の主体の機構を使って、一つの窓口として損保についての扱いをすることは、できないことはないと思います。しかしながら、私は地震保険という損保そのものについて、いま簡易生命保険をすぐ使うということは、すぐには踏み切れないんじゃないか、そういう疑問のほうを持ちます。
  59. 森本靖

    森本委員 これは法律を簡易生命地震保険、こうすればいいのであって、これは法律を簡単に改正すればいいわけですから、これは何もできぬことはないわけであって、しかも、今回の地震保険については国が相当補助しなければならぬでしょう。そういうことは、いまの簡易生命保険と同じような形態における持ち方を持った場合には、その国の補助金すら少なくて済むのじゃないか。そういうことをやる会社自体も、これは損ならやりませんから、もうかるからやるわけでありまするから、そういうことこそ私は国がやるべきではないか。簡易生命保険というものは生命保険だけである、損保はどうもというような考え方でなくして、こういうものこそ私は、郵政省が乗り出していって、大蔵大臣と渡り合っても国民から決して非難を受けない。かえって国民からかっさいを受けるのじゃないか、こう思うのですがね。この点はたとえば今度の松代地震についても、いま現在地震のあるところは、それは一生懸命加入する。しかし損害補償の点からいけば、やはりこれは簡易生命保険というような形でやれば私は、要賠償額等についても危険負担率というものも相当下がってくるのじゃないか。私は、地震というものについてちょっと個人的に調べてみたのですけれども、ところが、日本国じゅう、それは百年か二百年という差はありますけれども、やはり地震というものはいつかどこかであっておるのです。だから、そういう点を考えた場合には私は、全国を確実に持っておるところの簡易生命保険事業がやるのが最も妥当ではないかというふうに考えたわけです。もっともこれはもう大蔵委員会で審議をして大体採決のまぎわになっておるわけでありますので、いまから言っても非常におそいわけでありますけれども、何かしかしこれはひとつ大臣、今後郵政省としても検討してみる必要がありませんか。
  60. 郡祐一

    郡国務大臣 生命保険としてあれだけ十分な組織を持っておるのですから、今度特殊の損保を扱いますること、これは検討さしていただきたいと思います。
  61. 森本靖

    森本委員 それではもとへ返りまして、この郵便法についてお聞きいたしますが、先ほど私が言いましたように、今年度値上げが二百八十億円ということになりますが、今年度の総予算額は、郵政事業特別会計は四千百九十七億円ですか。
  62. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 四千百七十八億でございます。
  63. 森本靖

    森本委員 総額が四千百七十八億で、このうちの他会計からの繰り入れは幾らですか。
  64. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 千五百七十四億であります。
  65. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、純郵便事業収入幾らですか。
  66. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 千五百二十七億であります。
  67. 森本靖

    森本委員 郵便事業が千五百二十七億、千五百七十四億が他会計からの繰り入れとすると、その残金はあと何ですか。
  68. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 業務外収入支出でありますが、収入印紙等の取り扱いにおける七百九十億の業務外収入でございます。
  69. 森本靖

    森本委員 それで全部数字が合いますか。
  70. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 それ以外に資本収入といたしまして九十七億ございます。
  71. 森本靖

    森本委員 それで合いますか、数字が。
  72. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 先ほどの業務外収入数字が間違っておりました。八百五十三億であります。合計で四千百七十八億であります。
  73. 森本靖

    森本委員 これは業務外収入というのは、収入印紙だけですか。
  74. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 収入印紙と失業保険、両方ございます。
  75. 森本靖

    森本委員 雑収入はどこへ入っていますか。
  76. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 受託業務収入……
  77. 森本靖

    森本委員 それはどこに……。わからぬ。
  78. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 雑収入が、事業収入の中に、郵便業務収入とそれから受託業務収入、雑収入、こういうことに相なっております。
  79. 森本靖

    森本委員 そうすると千五百二十七億円の中に入っておりますか。
  80. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 これは別でございます。
  81. 森本靖

    森本委員 いや、もう一ぺんわかりやすく言いますけれども、他会計からの繰り入れ千五百七十四億円、郵便収入が千五百二十七億円、業務外収入が八百五十三億円、資本収入が九十七億円、これで四千百七十八億円になりますか。
  82. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 もう一度申し上げます。事業収入としまして、郵便業務収入、為替貯金業務収入、それから受託業務収入、雑収入合わせまして三千二百二十七億、それから資本収入が九十七億、業務外収入が八百五十三億、以上合わせまして四千百七十八億であります。
  83. 森本靖

    森本委員 そうすると、この三千二百二十七億円のうち郵便事業だけの収入が千五百二十七億円、こういうことですね。
  84. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 さようでございます。
  85. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この他会計からの繰り入れの単価は、郵便料金値上げすると同じような単価の率が上がっておりますか。
  86. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 これはそれぞれに必要な額を、現在の状況に合ったようにもらっております。
  87. 森本靖

    森本委員 妙にわからぬが、いわゆる単価というものは、去年の郵便料金のときには、やはり一つの単価があって他会計から繰り入れしておるわけですね。国民年金にしても税務署からの問題にしても、全部他会計から繰り入れをしておる。その場合には、郵便料金は現行の郵便料金であった。郵便料金はあなた方が言っておるように二八・八%、今度は七月一日からだけれども値上がりになる。そういうときに、他会計からの繰り入れの会計については、この単価が去年と比べてどの程度上がっておるか、こういうことですよ。
  88. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 郵便料金につきましては、今後五年間を見通しました収入を見込んだものでございますから、率におきましても昨年よりは相当上がったわけでございます。それで、それ以外の他省からの繰り入れの分につきましては、四十一年度にふさわしい単価で折衝をいたしました。それによってもらっておるわけであります。
  89. 森本靖

    森本委員 そうすると、四十一年度の他会計からの繰り入れの単価は、昨年度予算単価から見てどの程度単価が上がっておりますか。
  90. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 個々によって、取り扱いの種目によって違っておりますが……。
  91. 森本靖

    森本委員 平均単価……。
  92. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 他会計繰り入れのうちで、貯金から入っております分が二二%、保険からは一三・九、その他の会計からが一五・九、政府関係機関よりの受け入れが一五%、公社から一五%というふうに、それぞれによりまして、事業の内容によりまして大体相応じた値上がり分をもらっておるわけであります。
  93. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この他会計からの繰り入れというものの金額が郵政事業特別会計に占める割合というものは半分くらいありますね。大体半分よりは少ないのですが、相当大きなワクを占めておる。この郵便料金のほうの値上げについては二八・八%を見ておる。ところが、他会計からの繰り入れは、いまいったように最高が二二%だけれども最低が一三・九%、これの他会計からの繰り入れについては、ある程度郵便料金値上がりに近いものの単価に上げていくのが妥当ではないかというふうに考えるのですが、大臣この点はどうですか。
  94. 郡祐一

    郡国務大臣 ちょっと私いま参議院の模様を聞いておりましたので、まことに申しわけないのですが、もう一度お願いします。
  95. 森本靖

    森本委員 それでは大臣わかりやすく言いますよ。いまずっと聞いておったら、四千百七十八億円が今年度郵政予算ですね。その中で郵便事業収入が千五百二十七億円、他会計からの繰り入れが千五百七十四億円、そういたしまして、この郵便事業については先ほど来お話がありますように、二八・八%の増収率になっておる。そういたしますと、他会計からの繰り入れの金額もそれに合ったような形ににおいて繰り入れをすれば、郵政事業特別会計としては非常に楽になる。そこで他会計からの繰り入れの金額を聞いてみると、二二%、一三・九%、一五・九%、一五%が二つで、最低が一三・九%で最高が二二%だ。もっとも一方では三年ないし五年を見ておる。一方では年間の予算単価であるというために違いはありますけれども、少なくとも二八・八%上げておるということになるとするならば、この他会計からの繰り入れの金額も二三%から二五%程度まで上げておけば、郵政事業特別会計としてはかなりやりやすい会計になる。今回の郵便料金値上げをこういうふうに二八・八%でやるならば、やはり他会計からの繰り入れの単価もある程度それに近いように単価を上げていくべきではないかというのが私の趣旨なんです。
  96. 郡祐一

    郡国務大臣 私も、年々必要な額は上げていく——必要な額を上げてこしらえておるのだと思いますけれどもあとう限り上げ幅をよくしてまいるということが会計としても望ましいことだと思います。
  97. 森本靖

    森本委員 望ましいことはわかっておるが、いわゆる予算の組み方を見た場合は、千五百二十七億の部分だけを二八・八%上げて、他会計からの繰り入れは平均して二〇%程度しか単価が上がらないということは、いかにも郵便のほうに比重がかかり過ぎるのではないか。一ぺん他会計から繰り入れてきたものと郵便事業収入は、一つの郵政事業特別会計から独立勘定になるわけだから、今度は他会計からの繰り入れ金については少なくとも郵便料金の収納に近い程度の単価の引き上げは必要ではないか、こういうことを聞いておるわけです。
  98. 郡祐一

    郡国務大臣 郵便のほうは、申し上げておりますように五年を大体見通しておりますし、他会計のほうは一年ごと見込んでおりまするが、おっしゃるようにことしもいろいろとかけ合いながらそれぞれがここに落ちついたところでございますけれども、私は、隔年ごとに郵便の五年の見通しとにらみ合わせながらいたすべきことだと思います。
  99. 森本靖

    森本委員 大臣も一生懸命おやりになった、しかし現実にはこれは予算折衝においてこういうふうになった、こらえてくれ、こういうことだと思いますが、それにしても、実際に郵便料金をこれだけ値上げするなら、やはり他会計からの繰り入れの単価の場合はもっと強腰で折衝すべきであったというふうに考えるわけでありますが、しかし時間の関係上、先に進みます。  そこで、四十一年度予算の全貌が大体わかりましたが、郵政事業というものは人件費のほうに食われる食われるということをよく言われるわけでありますけれども、四千百七十八億円のうちで人件費の占める割合は幾らですか。これは事務当局でけっこうです。
  100. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 郵政事業全体として見ました場合に、ことしは予算がふえましたから七九%になっております。
  101. 森本靖

    森本委員 金額にして幾らですか。
  102. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 二千四百六十一億であります。これは三会計を通じてであります。
  103. 森本靖

    森本委員 一人当たりの単価は幾らになりますか。
  104. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 従来約七十万円で計算いたしておりましたが、ちょっといま正確なところは出ておりません。
  105. 森本靖

    森本委員 そうすると基準内賃金の平均幾らになりますか。
  106. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 三万六千三百八円であります。
  107. 森本靖

    森本委員 それは基準内賃金かね。私の質問は基準内賃金という質問ですよ。
  108. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 予算上で言っております基準内単価は三万六千三百八円であります。
  109. 森本靖

    森本委員 四十一年度ですか。
  110. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 四十一年度であります。
  111. 森本靖

    森本委員 そうすると四十年度は。
  112. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 四十年度は三万二千八百三十六円であります。
  113. 森本靖

    森本委員 間違いなく基準内賃金ですか。そうすると三万二千八百三十六円と三万六千三百八円の差は何ですか。
  114. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 これは昨年のベースアップの六・二五%と昇給原資三・五%を見込んでおります。
  115. 森本靖

    森本委員 ちょっとその数字はおかしいと思うな。間違いないですね、基準内賃金で。
  116. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 これは予算上でありまして、間違いありません。
  117. 森本靖

    森本委員 もし間違うておったら、ひとつ責任をとってもらうようにして、あとから私もこれはひとつ詳しく調べてみたいと思います。  それから本省の大臣以下部局長で、特別会計と一般会計とあると思いますが、本省の部局長は全部一般会計ですか。
  118. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 政務次官、事務次官、電気通信監理官と電波監理局長であります。
  119. 森本靖

    森本委員 政務次官、事務次官、電気通信監理官、電波監理局長……。大臣は……。
  120. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 大臣はこれは当然でございます。
  121. 森本靖

    森本委員 大臣、政務次官、事務次官、電気通信監理官、電波監理局長、部局長以上で本省ではこれだけですか。  それから地方にはおりませんか。電波監理局を除いた以外の郵政局に。
  122. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 特別会計にはおりません。
  123. 森本靖

    森本委員 特別会計にはおらぬと言うて……。一般会計の人が郵政局におらぬかと聞いておる。
  124. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 郵政局にはおりません。電波監理局は別ですが。
  125. 森本靖

    森本委員 電波監理局は、これは当然全部一般会計であろうと思いますが、そういたしますと、郵政局にはおらぬ。本省における大臣と政務次官と事務次官、電気通信監理官、電波局長——電波局長はわかります。監理官もわかりますが、大臣、政務次官、事務次官といううちの事務次官、これは何で一般会計になっておるんですか。これは郵便事業も貯金事業も保険事業も一切やらぬだろうがね。
  126. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 むしろ本省の部局長以上は全部一般会計から出るのがたてまえだったと思います。それで郵政省におきましては、特に事務次官は一般会計も監督いたしておりますから、一般会計に残し、それ以外はむしろ例外的に特別会計に入れたのではないかと存じますが、(「前からきまっておったんだよ」と呼ぶ者あり、)前からきまっておったかどうか存じません。
  127. 森本靖

    森本委員 そういうことになると、経理局長もこれは一般会計のほうの経理も担当する。どうですか。
  128. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 担当いたしておりますが、実際上は一般会計の総まとめだけいたしております。
  129. 森本靖

    森本委員 それから人事局長も、電波監理当局の人事管理については一応担当するのではないですか。
  130. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 ただいま経理局長の御答弁のように、私どものほうも取りまとめをしているにすぎません。
  131. 森本靖

    森本委員 取りまとめじゃないのだろう。経理局長郵政省郵政事業特別会計、一般会計、それから人事局長人事局長の職権に関するところの人事、労働の管理については一応仕事としてやっているのでしょう。
  132. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 法律上、設置法上はそういうことに相なっております。ただ特別会計が主体でございますから、こういうふうにしたのだろうと思います。
  133. 森本靖

    森本委員 元来本省の部局長、それからかなり高い地位にある者、本省の課長クラス、郵政局の部長、郵政局長、次長、このクラスは、本来ならば管理機構として一般会計から出してもいいのではないか。これは本来なら国が行政機構としてやるべきものである。現業部門ではない。そういう非現業部門については私は一般会計が担当すべきものである、本来国が責任を持ってやらなければならぬ仕事であると思う。実際に経理局長とか、人事局長の給料は郵便事業の中から出すのはもったいないですよ。私はこれは当然一般会計から出してしかるべきだと思う。現業部門については当然特別会計として考えなければならぬ。しかし非現業部門については当然一般会計から出すべきである。そういうふうにすれば、この郵政事業特別会計の内容というものはかなり変わってくるのじゃないか。試みに聞いてみたいが、本省の課長以上と郵政局の部長以上とをはずしたら、給料は大体どの程度になりますか。大ざっぱでいいですよ。
  134. 浅野賢澄

    ○浅野政府委員 年間約二億二千万円ぐらいであります。
  135. 森本靖

    森本委員 大臣、これはちょっと検討を要する問題ではないかと思います。二億二千万円であっても、金額はなるほどこの四千百七十八億円から見ると少ない金額でありますが、これはやはり責任的な立場にあるし、現業ではございません。非現業として管理者の最高の地位に立つわけですね。現業の人の管理者については特別会計でやるのもやむを得ぬとしても、本省の部課長以上、郵政局の部長以上については、私は一般会計で補うのが当然じゃないか、これは一般会計で補っても何ら差しつかえないというふうに考えるわけであります。外国でもそういう点についてはそういうふうにやっている国もあります。この辺は今後ひとつ郵政事業の特別会計、一般会計のあり方からして検討を願いたいと思いますが、大臣、どうですか。
  136. 郡祐一

    郡国務大臣 おっしゃるように、筋論から申しましても検討する必要はあろうと思います。検討いたすことにいたします。
  137. 森本靖

    森本委員 それから、先ほどの賃金の数字はどうもちょっとおかしいと思いますが、それは別として、それで結局現在郵政省で長期療養者と要注意者は大体どの程度おりますか。
  138. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 いつかの委員会で申しましたが、要注意者は七千十八名おります。長期療養者は、病気によりますが、結核におきまして八百名だったと思います。
  139. 森本靖

    森本委員 結核だけでなしに、すべての病気療養者を入れて、いま要注意者とそれから病気療養者と入れて、現在何ぼおりますか。
  140. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 要注意者はいま申し上げましたように七千十八名でございますが、結核以外の長期療養者とを入れますと二千名でございます。
  141. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、合計で約九千名、こういうことになりますか。
  142. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 さようでございます。
  143. 森本靖

    森本委員 その九千名を現業と非現業と分けて、どういう比率になりますか。
  144. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 私の持っております資料では現業と非現業との区別はございませんで、公労法適用外職員と公労法適用職員とでございまして、公労法適用外職員が六十名でございます。したがって残りが公労法適用職員ということで、現業が主体だということになろうと思います。
  145. 森本靖

    森本委員 これは大臣、いまの統計をよくお聞きを願いたいと思うわけでありますが、現業関係がいかに相当過労であるかということで、これは後ほどまた質問をいたします局舎の環境整備その他についても出てまいりますが、今回の値上げの中で、局舎の整備ということが大きく取り上げられておりますけれども、実際にはこの局舎の環境の問題において、これだけの要注意者と病気療養者が出ておる。いま大体一万人に近いものがありますが、その中で非現業のほうは六十名だ。だから公労法適用者というのは大体現業になると思いますので、そのほうが相当膨大な数字が出ておる。いま職場環境というものはかなり悪いのだということがはっきり言えるわけでありまして、これはいつかも私は逓信病院その他の問題について大臣に要望いたしまして、大臣のほうとしてもこの問題についてはかなり熱を入れておられるようでありまして、これはまことにけっこうでありまして、ひとつ将来もそういうふうに十分御努力を願いたい、こう思うわけであります。  さらに、これは人事局長にお聞きしたいと思いますが、いまいわゆる一般会計を除いて特別会計における総人員は幾らですか。
  146. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 四十一年四月一日現在の定員は三十二万一千六百六十五名でございます。一般会計はそのうち三千百三十一名でございますので、これを除きます三十一万八千五百三十四名が特別会計でございます。
  147. 森本靖

    森本委員 三十一万八千五百三十四名のうちで実際に転勤を命ぜられるところの管理者は何名おりますか。
  148. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 転勤の対象は必ずしも管理者だけではございませんが、管理者が大宗ございます。管理者の数は二万九千九百九十八名でございます。
  149. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、一般職員住宅は何軒ありますか。
  150. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 いますぐ資料を持ってまいりますので、大体でよければ申し上げますが、大体の数は、職員用住宅は三万五千ございます。
  151. 森本靖

    森本委員 三万五千というのは、管理者を除いての住宅ですか、全部の住宅ですか。
  152. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 全部の住宅でございます。
  153. 森本靖

    森本委員 そういたしますと三十一万八千五百三十四名、その前に二万九千九百九十八名という管理者がおるということになりますると、この管理者は転勤を発令されまするから、当然これは二万九千九百九十八名に優先的に住宅が与えられるということになると思いますが、三万五千ということになりますと、そういたしますと、残りざっと見ても五千百くらいしか住宅がない、その住宅は三十一万八千五百三十四名に対して、わずかに五千ちょっとしか住宅がない、こういう状況になるわけでありますが、これは住宅手当か何か出しておりますか。
  154. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 住宅手当は、ただいま組合のほうから調停申請いたしておりますが、支給はいたしておりません。
  155. 森本靖

    森本委員 これは相当考えるべき問題ではないか。三十一万八千五百三十四名という現業職員をかかえておって、実際にこの住宅難のおりに五千軒しか住宅がないというふうなことでは、とてもじゃないが、これはベースアップの問題も非常に大事でありまするけれども、こういう厚生施設、福利施設というものは完備しなければ、これは従業員の労働意欲に非常に影響を来たす。先ほど来問題になっておりまするように、郵便事業というものは人の力によって行なうことが非常に多いわけでありまして、人を大切にするという精神がなければ、郵便事業というものは決してうまいこといかぬわけであります。いま統計を見てこれは非常に私はあ然とせざるを得ないわけでありますが、こういう点についてはいま少し考えていかないと士気に非常に影響する。それからまた病気にも影響をしてくるというふうに考えます。  そこでいまちょっと問題になっておりますることは、たとえば東京都内に炭鉱労務者の転業の人々がこの郵政事業に入ってきておる。ところがこの人たちについては、何年か労働省がお世話をする住宅がある。しかしこれはある一定の年限がくれば切れる。そうすると当然この住宅に入りたいという要望になる。ところが一方では郵政従業員として十年も二十年もたっておるけれども、まだ住宅の回りがこないという人がおる。ところが一方は炭鉱の労務者としての転職者でありまするから、当然これはやってもらわなければならぬ。この理屈も確かにあるわけであります。ところがこの炭労の人々が来られたことについては、本来ならばこれは労働省が責任を持って住宅のあっせん等も行なうべきであります。ところがその問題については、現行はやはり郵政省がかぶっていかなければならぬ、こういう形になっておると思いますが、この辺の事情をちょっと説明を願いたい、こう思うわけであります。
  156. 曾山克巳

    ○曾山政府委員 その前に先ほど二万九千九百九十八名の管理者がおると申し上げましたが、御案内のように一万六千人近くが特定局長でございますので、特定局長は主として不転勤を原則といたしますから、その点御了承願いたいと思います。  なおただいま炭鉱離職者の住宅のことについてお話ございましたが、御案内のように炭鉱離職者の住宅は、雇用促進事業団で建設いたしまして、それに入れているわけでございます。一年という期間を実際上は労働省、雇用促進事業団等と交渉いたしまして現在三年にいたしております。したがって促進事業団の建てました宿舎がへんぴなところにあって非常に不満を持っております炭鉱離職者出身の者が、現在先生のお話のように、御指摘のように五年、十年たってなお宿舎に入れないという者等が圧迫されておるという事実はただいまのところございません。しかし雇用促進事業団のほうからの要望もございまして、早く出て郵政省で引き取ってほしいという要望がございます。そのうちで、特にいま御指摘のございました東京周辺で非常に遠隔の地から、たとえば二時間以上の地から通っておるような者につきまして、十数名の者は今年度建てます宿舎に移しがえをしようという話をしておるというのが現状でございます。
  157. 森本靖

    森本委員 いまの人事局長答弁は、一応私は納得いたしますが、しかしその場合でも、本来ならば郵政省がそれをかぶらなければならぬことにはならぬわけであります。郵政省がかぶるということは、郵政省に初めからおった者がやはりある程度損をするという形になるわけであって、元来ならばその三年過ぎたあとの問題についても、これはやはり労働省のほうが郵政省のほうに対して、住宅費なら住宅費としてこれだけ出すからおたくのほうで特別に建ててくださいという形でやらなければ、同じ郵政省部内の職員としても不公平が出てくる、こういうような問題が出てくるわけであって、こういうこまかい問題は大臣もあまり御承知ないかもしれませんけれども、東京都内ではちょっともめておる問題でありますので、ひとつ十分にこれは御調査を願って、労働大臣ともかけ合わなければならぬ問題は大臣みずからかけ合いを願いたいというふうに考えるわけであります。  これからいよいよ本論の郵便法質問に入りたい、こう思いますけれども、ちょうど約束の十二時半がきましたので、一応午前中の質疑はこれで終わりまして、午後本会議終了後質問することにいたします。
  158. 砂原格

    砂原委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ————◇—————    午後三時五十五分開議
  159. 砂原格

    砂原委員長 これより再開いたします。  郵便法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。森本靖君。
  160. 森本靖

    森本委員 大臣何か四時過ぎに閣僚会議があって行かれるそうでございますね。
  161. 郡祐一

    郡国務大臣 四時半からでございます。
  162. 森本靖

    森本委員 それでは、まず大臣がおられるときに重要な点をひとつ済ましておきたいと思いますが、この前の審議の過程において問題になっておりましたところの第十九条の四「郵政大臣は、省令の定めるところにより、料額印面のついた郵便葉書又は郵便書簡で、料額印面以外の箇所につき、これを汚染し、その一部をき損し、」云々、こういうのがあるわけであります。ここでちょっとふしぎに思いますのは「郵便葉書又は郵便書簡で、料額印面以外の箇所につき、これを汚染し、」取りかえるものはそういうことになっておりますが、実際にかえる場合には「郵便葉書、郵便書簡又は郵便切手と交換する。」こうあるわけでありますが、これはたとえばはがき並びに郵便書簡を汚染した場合には、実際にははがき、郵便書簡にするけれども、ないときにはそのかわりに郵便切手で交換をする、こういう意味ですか。
  163. 長田裕二

    長田政府委員 さようでございます。
  164. 森本靖

    森本委員 さようでございますという答弁がありましたけれども、現実には、これは郵便書簡なり郵便はがきであった場合には、その郵便書簡なり郵便はがきをかえてやるのがほんとうじゃないですか。
  165. 郡祐一

    郡国務大臣 それは売り切れ等の場合のほかは該当のものを取りかえるのが当然だと思います。
  166. 森本靖

    森本委員 売り切れ等の場合ということでありますが、売り切れるということはほとんど郵便局ではありませんので、現実にはないと思います。そこで、これについて私は、この法令がある以上は、この前郵務局長が言ったように集配局というふうに限定することはいけない、やはり無集配郵便局においてもこれは取りかえをしなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。それから実際問題として、これはかりに子供が一枚持ってきてもかえざるを得ない。とにかくそのことを一度やってもらいたい。やってみてどうしてもこれはいけないということになれば、またそのときはそのときで考えてみてもいいけれども、こういう立法の趣旨から考えるとするならば、最初は、無集配郵便局においても、一枚持ってきてもかえざるを得ない、そういうことでやはり発足をしていただきたい、こういうふうに思うのですが、大臣からお答えを願っておきたいと思います。
  167. 郡祐一

    郡国務大臣 先ほど売り切れと申しましたのは、年賀状でありますとか暑中お見舞いはがきだとか、こういうものにはそういう事態の場合が起こるかと思います。それから窓口事務を扱います郵便局で、すべて交換を扱うことにいたしたいと思いますし、枚数の点は都内の郵便局などでは、ちょっと時期によりましては込むようなことがあろうかと思いますので、状況によりましては考えざるを得ないかと思いますけれども、おっしゃるように、立法のたてまえはどこまでも尊重していく、書き損じたものをかえてあげることがサービスなんだからという意味合いで扱うことにいたしたいと思います。
  168. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、これは全部の無集配郵便局において交換を行なう、こういうことですね。
  169. 郡祐一

    郡国務大臣 さよういたしたいと思います。
  170. 森本靖

    森本委員 それから、この間問題になりました第二十六条の六の項でありますが、これは非常に問題になりましたけれども、私もあえて固執はいたしませんけれども、この法律を読んだ場合は、やはり日本の学術方面については学術会議が最高の機関であるということが載っておるわけでありますので、この二十六条の六項については、原則としてやはり学術会議意見を聞いて、そして郵政審議会にかけて、最終的には郵政大臣が決定をする、こういうふうにはっきりとしたものを持っていただきたいというふうに考えるわけであって、あえて固執いたしませんが、原則としてやはり学術会議意見を聞いて郵政審議会に諮問をする、こういうことでこの点はひとつはっきりとおさめたい、こう思っているわけでありますが、大臣から聞いておきたい、こう思うわけです。
  171. 郡祐一

    郡国務大臣 おっしゃいますように、学術会議は権威のある機関でございますから、原則として日本学術会議意見を聞きまして、郵政審議会に諮問の上指定することにいたします。
  172. 森本靖

    森本委員 そこで、この条項をずっと見てみますと、いままでこの委員会において全然審議されておりませんのは、特殊料金の扱いが案外多いにもかかわりませず実はほとんど審議をされておりません。  そこで特殊料金について私は申し上げたいと思いますけれども、その前に、この第一種郵便物で、非常にこれはわかりにくいやり方にしたわけですね。定形は十五円、それから非定形については二十五円ということについてははっきりしておりますけれども、その重量が五十グラムをこえ五百グラム云々ということについては、なかなかこれはしろうとにはわかりにくいことにしておるわけです。これはわかりにくいようにしたわけですか、それともやむを得ずこういうふうにしたのか、一体どういうわけでこんなにわかりにくくしたのか。この法律を読んだだけでは、普通の人では、一体それじゃ最高何ぼになるだろう、ちょっと勘定しにくいですよ。ちょっと読んでみましょうか。「重量五十グラムまでのものにあっては二十五円、重量五十グラムをこえ五百グラムまでのものにあっては五十グラムをこえる五十グラム又はその端数ごとに十円の割合で算出した額を二十五円に加えた額、重量五百グラムをこえ一キログラムまでのものにあっては二百円、重量一キログラムをこえるものにあっては一キログラムをこえる一キログラム又はその端数ごとに五百円の割合で算出した額を二百円に加えた額とする。」いまの額をわかったという人が何ぼいるか、聞いてもらいたい。これはとてもじゃないがしろうとにはわからぬですよ、この書き方は。どうしてこんなふうなものをつけたのか、いわゆる一定の量をこえた場合は、たとえば五十グラムなら五十グラムごと、百グラムなら百グラムごとというふうにきちんと分けなかったのか、この辺ちょっと、郵務局長でけっこうですから……。
  173. 長田裕二

    長田政府委員 ただいまお読みの非定形のもの五十グラム以内が二十五円、五十グラムをこえ五十グラムまでごとに十円ずつ足してまいりまして、五百グラムをこえるものになりますと二百円、一キロをこえるものになりますと一キロまでごとに五百円を加えるという内容でございます。
  174. 森本靖

    森本委員 最高は一体何ぼか。
  175. 長田裕二

    長田政府委員 四キロで千七百円でございます。こういうふうにいたしましたのは、前半のほうは一つはコスト主義でございます。従来は二十グラムまでごとに十円ということで六キロまでずっとぶっ通しでございました。ところがコストの面からまいりますと、四十グラムのものが二十グラムの倍というわけでもございませんので、運送については倍になりますけれども、それ以外の手数はあまり変わらないということからしまして、各国とも、最近では主要な料金につきまして目方を増すごとにふやす料金は少しずつ減らしておるというのが実情でございます。コストから見ましてそういうふうになっておるわけであります。上のほうにまいりましてまたふやしておるということが一つ問題でございます。五百グラムをこえ一キロまでになりますと、普通計算でいきますと五百グラムが百十五円になり、五百グラムをこえるものが百二十五円であるはずのところが、二百円になっておるということが一つ問題でありますが、それにつきましては小包郵便物との混淆というような問題が一方ではございます。それから一方では、全体の郵便物をわりあいに第一種については小さいものでそろえていくというような考え方もございました。それらをあわせまして二百円ということにしたわけでございます。一キロ以上になりますと少しまた模様が変わってまいります。
  176. 森本靖

    森本委員 大体その趣旨はわかりましたけれども郵務局長自身が課長に聞かなければ最高額がわからぬというようなきめ方をしたのでは、一般国民はよけいにわからぬということですよ。これは根本であるから、そういういろいろな理屈はあるにいたしましても、こういう大衆に非常に親しみの深い第一種郵便物等については、いま少しだれが見てもすぐわかるようにもっと考えるべきである。あまり官僚的な考え方に立って料金体系をいじくり回すものではない。私の言いたいのは、一般の国民がざっと見てすぐわかるというような料金体系を考えろということで、いまこれはどうにもなりませんけれども、次に改正するということはおそらくなかなかあるまいと思いますが、具体的に言うならば、いま言ったようなことについてのあなたのほうの御意見はそれは御意見としてありますけれども、大衆はそういうことを知りませんから、大衆にもっとわかりやすい料金体系をつくってもらいたい、こういうことを私はあえて言いたかったのであります。これは大臣といえどもおそらく二、三回読まないとなかなかわかりかねる料金体系です。しかもこの第一種は一番大衆に影響のある郵便物でありますから、その点を今後十分に気をつけていただきたいということと、それから四十一年七月一日からこういうふうに第一種郵便物が第五種と一緒になった場合、いままでのような筆書、書状の第一種と、それからそうでないものの第一種の通数がどの程度になるというふうな分析をしておりますか。
  177. 長田裕二

    長田政府委員 従来の一種はほとんどそのままでまいります。それから従来の五種は一部、学術刊行物のほうに二百五十八万通見込んでおりますが、そのくらいまいります。それから九百五十万通は書籍小包に移ると考えます。残りは全部一種になってまいる、そのように考えております。
  178. 森本靖

    森本委員 いや、私の聞いておりますのは、今回のこの改正によります第一種の通数は一体どの程度の通数になるのか、その場合の第一種の通数のうちの従来の開封に匹敵するところの第一種、要するに非定形、その書状によるところの第一種、今回はいままでの開封のものはとにかくなくなったわけでありますから、そういうものと、実際の筆書によるところの書状、そういうものとの分け方は一体どの程度になるかということを聞いておるわけです。なぜこういうことを聞くかというと、同僚金丸委員がこの間も質問をいたしましたように、今回からは開封の郵便物というものは一切なくなるわけです。そしてそういうものは全部第一種になるわけです。本来郵便というものは飛脚時代から自分で書いた手紙を相手方に届けるということが、まず第一番目の眼目でなければならないわけであります。ところが今回は印刷物も一種として一緒になる。そういう場合にはダイレクトメールまで、実際問題として第一種になる。そこで非定形の場合には二十五円になるからある程度出す率は下がってくるであろう。しかしながら実際に定形、非定形ということになっても一種としての取り扱いは同様である。そうなってくると、本来早く到達をしなければならぬところの第一種郵便物というものがほかの、いわゆる印刷物の第一種郵便物と一緒になって、おくれはしないかという点が心配になりますので、そういう点についての分類をどうせられておるか、こういうことであります。
  179. 長田裕二

    長田政府委員 現在の第五種は二十二億ばかりございます。その中には非常に大きなダイレクトメールのようなものなどもございますが、これが一種に統合された場合に、定形のものになると見込まれますものは十四億六千万通でございます。この十四億六千万通につきましては、従来の一種、二種と同じような、いわば高等信扱いをすることになるわけであります。
  180. 森本靖

    森本委員 だから従来の第一種の十四億六千万通ということになるとするならば、それ以外の今回の第一種に入る分がどの程度見込まれておるか。
  181. 長田裕二

    長田政府委員 二十二億の五種が、そのうちで定形として十四億六千万通、それから先ほど申し上げました学術刊行物のほうに二百五十八万通、それから書籍小包のほうに約九百万通余り、残りは一種に参りますが、非定形の形で出るかと思います。
  182. 森本靖

    森本委員 いや、あわてずに答えてもらいたいのです。十四億六千万通というのが従来の第一種であるとするならば、あんたそう言うが、そうでなしに、それならもう一ぺん聞くが、今回の七月一日からの改正では第一種として、従来の第一種郵便物を何通程度見込んでおるか、そうでない第一種を何通程度見込んでおるか、こう聞いておるのです。
  183. 長田裕二

    長田政府委員 従来の一種と五種のほとんど全部が新しい一種になるわけでございます。従来の一種が二十五億余り、従来の五種が二十二億余り、合わせまして四十七億が新しい一種になるわけでございます。
  184. 森本靖

    森本委員 そういたしますと二十五億と二十二億の第一種については、郵便物の送達については同じ取り扱いになるわけですね。
  185. 長田裕二

    長田政府委員 このうち定形と非定形に分かれまして、定形のほうにつきまして従来の一種、二種と同じ扱いになるわけでございます。
  186. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、二十五億と二十二億のうちを、さらに非定形定形とに分けるわけですか。
  187. 長田裕二

    長田政府委員 抑せのとおりでございます。
  188. 森本靖

    森本委員 その定形と非定形はどういう割合になるのですか。
  189. 長田裕二

    長田政府委員 定形三十九億、非定形五億三千万、その程度を予想しております。
  190. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、その場合に、定形は同じような取り扱いをする、こういうことになるわけですね。
  191. 長田裕二

    長田政府委員 定形の中で、これは後に出てくる条文でございますが、割引制度を適用されまして、その際、おそくてもいいという申し出のあるものにつきましては、定形の優先扱いでない扱いになるわけでございます。
  192. 森本靖

    森本委員 その割引制度のものが大体どの程度と見ておるわけですか。それは市内郵便と、それ以外の割引とあると思いますが。
  193. 長田裕二

    長田政府委員 協力をされまして、割引をいたします予定のものが六億九千万ございます。これにつきましては、相当手数は省けるわけでございます。
  194. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、三十九億から六億引きますと、大体三十三億程度というものが定形の第一種郵便物として同じ取り扱いを受ける、こういうことになるわけですね。
  195. 長田裕二

    長田政府委員 さようでございます。
  196. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、四十年度の第一種郵便物は、一体どのくらいあったわけですか。
  197. 長田裕二

    長田政府委員 二十二億余りでございます。
  198. 森本靖

    森本委員 ここが今回の郵便法改正における大衆にとって一番問題のあるところだと思います。三十三億になるわけでありますから、これは同じような取り扱いをして、かなりこの高等信としての取り扱いをしなければならぬ。ところがこれが四十年度には、二十二億ということになると、十一億これによってふえるということになるわけであります。その十一億ふえた第一種郵便物というものが、従来の第一種の高等信と同じような取り扱いを受け、同じ速度をもって配達をされるかどうかというところに大きな問題があるわけであります。この辺のことが完全にいかなければ、今回の第一種郵便物を第五種郵便物と一緒にして、定形、非定形にしたことが大きな失敗である、こういうことになるわけであります。この点が一番私心配をしておることでありますけれども、そういう点については郵務当局としては自信がありますか。
  199. 長田裕二

    長田政府委員 先ほど申し上げました、旧の第五種郵便物で、新しく一種郵便物になりますものが、市内特別とか非定形などを除きまして、約十四億六千万通あるわけであります。そのうち約半分は自府県内あてでございます。自府県内あてのものは、従来から高等信扱いと三種以下の扱いとはっきり峻別いたしておりません。大体同じように扱っていたわけであります。残りの十四億六千万通のうち半分が自府県内あてで従来と同じであります。残りのものの約六億九千万通が割引の対象になって、相当御協力がいただけるということになりますので、従来の一、二種高等信扱いより若干ふえますけれども、その数は一億にもならないことを大体予想いたしております。それに航空搭載あるいは一、二種に分けないで一本で初めから引き受けるというようなことに伴う、若干のプラス等も考え合わせますと、部分的にはまだ問題の起こる局もございましょうから、定員の配置とか、あるいは局舎施設とか相当気をつけなければなりませんが、総体としては私ども相当気をつけ、努力いたしますならば、ほぼ高等信の扱いの質を低下することにはならないで済むのではないか、かように考えております。
  200. 森本靖

    森本委員 少しその考え方は、やってみたら甘いのではないかという気が私はするわけでありますけれども、これはひとつ論争になるわけであって、せっかくこの郵便法改正いたしまして、収入はふえた、飛行機も使った、しかしながら実際問題としては、第一種のほんとうの書状というものが、従来よりもサービスが悪くなったということでは、全く国民に対して申しわけがない、意味がない。この辺については、十分に定形、非定形の問題については考えていかなければならぬということを私は心から申し上げておきたい、こう思うわけであります。  同時にもう一つ聞いておきたいと思いますことは、非定形定形との取り扱いが違ってくるということになりますと、非定形の場合と定形の実際に局内における取り扱いというものはどういうふうに違ってきますか。
  201. 長田裕二

    長田政府委員 局内では大きさによりまして、定形、非定形に大体分けますが、非定形のものにつきましては、差し立てにつきまして大体従来の三種以下のものの扱い方にするつもりでございます。
  202. 森本靖

    森本委員 だからそういうことでは——これはあなたは専門家でわかっておるかもしらぬが、委員ではわかりません。だから具体的に定形、非定形というものの局内における取り扱いはどういうふうに変わってきておるか、こういうことです。
  203. 長田裕二

    長田政府委員 局内で大きさによって両方のグループに分けまして、それから内勤が区分作業をするわけでございますが、自府県内のものにつきましては大体同じ扱いですから——ちょっとことばが前後いたしましたが、自府県あてのものにつきましては区分する実益があまりございません。特に大きなものは大もの取り扱い局へ回しますが、それ以外のものについては大体もう同じ扱いでやってまいる。他府県あてのものにつきましては、新しい一種及び二種につきましては、御承知のように近間のところにつきましては鉄道の受け渡し区分をいたします。それから少し遠いところにつきましても、市区分あるいは個々の配達局区分等をしてまいります。これは距離等によりましてやり方がいろいろに変わります。  それから非定形のものにつきましては、自府県内はともかくそれ以外のものにつきましては分配局区分と申しまして、各県にきめられております一カ所ないし二カ所、大体一カ所ですが、そこあてに——県庁所在地が大部分でございます。そこに全部送りまして、その県内のものはそこからまた新しく区分して送る、そういうやり方でございます。
  204. 森本靖

    森本委員 いまその最後のことを早く言わなければいかぬわけであって、要するに、高等信の場合には、集配局単位にいわゆる区分けをしておる。そこでそのまま直送される形になる。ところがそれ以外の郵便物については、一応集中分配局なり分配局に一度おろされて、そこにおいてさらに区分をしていくということになりまするから、今回の場合、実際問題としては、場合によっては半日、一日おくれる場合があり得る。第一種のときにおきましては、定形は従来どおり一種の扱いをして、たとえば集配局についてはほとんど集配局の直送の形における締め切り行のうに区分をされる。ところが非定形の分については、大体県庁所在地のいわゆる分配局に回っていく、そうして分配局から今度それぞれの集配局にいく、場合によっては補助分配局なんかを通る場合が年賀はがき等にはあると思いますが、年賀はがきは別として……。そういたしますと、非定形郵便物というものは、同じ第一種でありましても、定形の第一種と比べると、やはり送達の速度がおそいということは否定しがたい、こう思うのですが、どうですか。
  205. 長田裕二

    長田政府委員 仰せのとおりでございます。ただ従来の一種につきましては非定形になるものの率が非常に少のうございます。これは一%か、もう二%をこえることはあまりございません。その面につきましては、従来の五種の大きなものが従来のままの扱いになるというのがかなり大きな割合でございます。
  206. 森本靖

    森本委員 しかし、この通常郵便物の今回の長さと縦横のものを見ると、やはりある程度の封筒の大きいものについては非定形になるわけであります。そこで、非定形になっても、その中に印刷物が入ろうが筆書の書状が入ろうが同じ取り扱いになるわけであります。その場合に、本来なれば、この非定形の中にも手紙を入れてもいいわけですが、いわゆる手紙を入れた非定形の場合は相当おくれてくる。(「高いんだ」と呼ぶ者あり)いま言っておりまするように、しかもその料金が二十五円に上がっておるわけでありまするから、十五円上がるという形になるわけであります。その上にこれはおそいということになった場合、実際問題として、第一種としてここに定形と非定形というように分ける意味が一体どこにあるのか。こうなってくると、定形と非定形については第一種、第五種というふうに分けるのがほんとうではないか。同じような第一種として分けるならば、少なくとも定形であろうと非定形であろうと中は同じ郵便物である。将来郵政省が機械化されて、それに協力してくれるものは定形郵便物として早くいく、ところが自分の都合によって封筒が大きくなったり小さくなったりした場合には、これは非定形でございまするからおくれます、このやり方は郵政省は少しえてかって過ぎやしないか、郵政省だけの都合ではないか、こういう点については、郵政省自体が郵便の機械化そのものをあまりにも急いだ関係から、ここにこういう定形、非定形というものが出てきた、それは定形、非定形でもけっこうでありますけれども、これを同じ第一種郵便物とするということについては私はちょっとおかしいのではないか。それならば、この非定形のものを五種なら五種にして、従来のように開封にはしなくてもよろしい、こういうふうにしたほうがもっと筋が通るのではないか、その辺はどうですか。
  207. 長田裕二

    長田政府委員 お話のように、定形一種という名前をつけ、非定形を五種なら五種という名前をつけて扱いを別にしていくといういき方もあるかと思いますが、通信の内容そのものはほとんど変更がない、質的変更がないということからしますと、同じような系統の郵便物の処理のしかたが形、重量等によって若干違う。かなり技術的な扱い方が違うということになりますので、私ども種別を異にするところまでいたしませんで、同じ一種の中の内容は同じですから、同じ第一種の中の扱い方を違えるだけというふうに考えただけでございまして、お話のように名前を違えてくっきり区別をするといういき方も考え得ないわけではございません。
  208. 森本靖

    森本委員 本来この料金値上げという問題も、郵便法については非常に大きな問題ですけれども、この郵便の根本をかなりくつがえすような、従来からいうと改革になっております。郵政省として確かに機械化をして速度を早めるという点については、これはある程度それに合ったような形をしておるわけでありますけれども、具体的にいま私が指摘をいたしましたように、大衆側に立つと、郵政省が機械化しようがどうしようが、自分の出した郵便物がやはり正確に、しかも早くいくということを願うわけであって、その辺の調和をいかなるところでとるかということが一番問題であろうと思うのです。ところが、今回の改正については、私はあまりにもその機械化ということに郵政省は重点を置き過ぎているのではないか。やはり大衆に対するところのサービスということをもっと考慮してしかるべきではないか。たとえば第一種郵便物として非定形で出した場合でも、これは若干おくれますよという宣伝はあなたのほうはしません。だから一般の大衆は、非定形であろうが定形であろうが、同じような速度で届くものと解釈をして出すわけであります。ところが実際に出した場合には、定形のほうは早く届いて、非定形のほうがおそくなっていく、こういう点については、もしかりにこれを実施するという場合には、よほどこの辺の内容を国民大衆にPRをしてかからなければ、これは大衆をまどわすもとになるのではないかと思う。だからひとつこういう点については、私がいま申し上げましたような、第一種の問題についてはよくPRをしてもらいたい。というのは、いままで郵便物は御承知のとおり、開封の書状というのがあったわけであります。これが今回は全然なくなっておるわけでございますから、これだけでもこれは根本的な改正でございます。今回は開封のいわゆる郵便物というものは一切ないわけでありますから……。そういう点でこの非定形というものがふえてきた場合に、この非定形は今回は二十五円になっておるから第一種として同じように扱われるということで出したところが、これは相当おそくなるということでは、実際問題として大きな問題でありますので、よほど——この郵便法が、かりにわれわれが反対をいたしましても、与党が多数でありまするから、多数で無理やりに強引に押し切っても成立します。成立をしても、これは、われわれとしては、少数でありまするから、やむを得ないといたしましても、そういうふうな不備な点については、通ったあとにおいても、やはり国民に相当のサービスのつもりでPRをしてから、この機構改革については考えてもらいたいということを、私は特に要望しておきたい、こう思うわけでありまして、今回の中心がここにあるわけでありまするから、大臣の御回答を得ておきたい、こう思うわけです。
  209. 郡祐一

    郡国務大臣 確かにおっしゃるとおりだと思います。定形、非定形ということばは国民の皆さんにはまことになじみの薄いことばでございます。  それからさっきの料金の点、これらの点はよほどPRをいたし、率直にこういう差別がございますということを、掛け値——掛け値はいつも申しませんけれども、ありのままを申し上げて、そうして御協力をいただくということはぜひしたいと思います。それでございますから、この法律——さっきも御指摘になりましたが、寸法のところなども確かにわかりにくいのでございまして、これをすっかり書き直した表みたいなことにして、そうして知っていただくこと、それから気づかずに、定形、非定形ということの区別がわからないで、よけいな料金を払っていただくというようなことのございませんように、PRの点は十分気をつけることにいたします。
  210. 森本靖

    森本委員 それから今回の機械化にからんで郵便局の番号簿制度というものを郵政省としては考えておるようでありますが、この番号簿制度についての概略をひとつ御説明願いたい。郵政省がかってに番号簿制度を考えても、この前一回郵政省は大きな失敗をいたしております。それは一つは、何々郵便局区内というふうに書いていただいたならば、郵便物は一番早く届きますということでやりましたところが、何々郵便局区内というふうに書くような人はあまりない。結局、失敗をした。ところが、今回は郵政省としては、いわゆる東京、大阪、そういうところの大郵便物を処理するために一つの番号簿制度をつくって、その番号によって集中区分を行なっていこう、そこでいわゆる郵便局に番号を振ってやろう、こういうふうな計画を持っておるようでありますけれども、そう簡単に一億近いところの国民が実際の郵便局の番号を覚えて、いわゆる郵便局の番号簿を活用しようというふうには考えていないと思う。その点について、一体どういうふうに具体的にこの郵便局の番号簿制度を考えておられるか、それをひとつお聞かせ願いたい、こう思うわけです。
  211. 長田裕二

    長田政府委員 郵便物に配達局に相当する番号を書いてもらいまして、それによって区分ができるということになりますと、実は現在御承知のように市町村や各区の行政区の境と郵便局の配達の区とが非常に入り組んでおりまして、そのために区分作業も非常にむずかしゅうございますし、また間違えて別のところにいって戻るというようなこと、あるいは同じ市町村の相互の郵便をずっと迂回して配達するというようなことなどが起こります。その弊害の大部分が救済されることになって、そういう面もよろしゅうございますし、また郵便の区分作業というものが、いまのように高度の熟練を要するということでなくなって、非常に簡明になってくるというようなことなどもございます関係で、アメリカ、ドイツ、それから最近ではオーストリアが実施いたしましたが、各国ともその実行に着手しているところでございます。日本でも、一つは区分の能率をよくするということと、もう一つは、さらに大きな効果が期待されるものとしましては、機械で自動区分をいたします際に——あて先が、現在のような書き方をしてありますと、これはほとんど機械で読み取るわけにはまいりません。どうしても一ぺんそれを翻訳して、郵便物の上に何かの符号をコードで打ち込んで、それを機械で区分しなければ自動区分ができません。一ぺんコードを打ち込む作業が——現在日本の郵便はわりあいに象形文字でやっておりますし、字も大きいので、区分能率がわりあいにいいわけです。そういう関係から、一ぺんコードに打ち込むということのロスと比較いたしますと、そういう形での自動区分に移るということがちゅうちょされるところでございますが、数字に書いてもらいまして、それを読み取る。別にコードに移さないで、じかに、書かれたものがそのまま自動区分されるという形になりますと、これは理想的な姿になるわけでございまして、現在数字の自動読み取り機の開発を主要な、非常に強力な会社などに委託してやってもらっているところでございます。もしそういうものができますればもちろん別でございますが、あるいはその見通しどもある程度つきましたならば、配達局——現在五千数百局あります配達局に大体四けたの番号を振りまして、そのうちおもな、目ぼしい普通局は大体三けたの番号でよろしいかと思いますが、三けたの数字までの区分をすることによりましても、冒頭申し上げました、いまの区分作業の困難、混乱というものがほとんど救われますので、そういうことにいたそうと思いまして、実は今年の一月ごろからやろうかと準備をしておったのでございますが、一方では自動読み取り機の開発状況ももう少し見たいと思いましたことと、もう一つはただいま仰せ値上げ前で非常に左前になっておりましたことなどもございまして、少し見送っているわけでございます。しかし外国の実施状況等もさらによく調べまして、強制ということではなくて、自発的な御協力をだんだん願っていくという形で、特に初めは大口の差し出し者、大口の利用者等現在でもある程度番号を使っているところがございます。保険関係などで加入者について番号などを使っているところがありますが、そういうところなどから御協力を願い始めまして、逐次広めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  212. 森本靖

    森本委員 そこでもしその番号簿制度ということになるとするならば、その番号簿というものは一冊どの程度でできますか。
  213. 長田裕二

    長田政府委員 これは広告をとったりとらなかったりすることによっても違いますが、おおむね二、三十円程度でできると思います。
  214. 森本靖

    森本委員 それではその二、三十円程度の番号簿を全国の国民に無料で分けますか。
  215. 長田裕二

    長田政府委員 実施いたします場合には、初め大口利用者からやるというような場合には少しやり方を変えますが、終局におきましては全世帯に配るつもりでおります。
  216. 森本靖

    森本委員 全世帯に配るとすると、大体どの程度になりますか。
  217. 長田裕二

    長田政府委員 周知費等も込めまして、一応七億前後を見込んでおります。
  218. 森本靖

    森本委員 七億というのは七億円ですか。
  219. 長田裕二

    長田政府委員 七億円前後であります。
  220. 森本靖

    森本委員 この番号簿については、私はおそらくこういうことになると思いますが、要するに番号簿制度をやって、そうしていまあなたが言った機械化については番号を書いてくれた人は東京、大阪だけの、いわゆる区分機にかかった場合、番号を書いてないものは横へどんどんはねられていく、そうして番号を書いてくれたものはぱっと区分されていく。結局番号を書いてないものはあとで手で区分をしなければならぬから、おくれますよ、こういうことになる。だからそういう点についてのPRがかなり徹底をしないと、この番号を——第一番号簿を見て北海道、ああどこだったかいなと見なければならぬことになって、口で言うほど簡単にいかないと思います。相当のPRをしてからかからないと、これは十億からの金をかけて失敗をしたのでは何もなりませんから、その点はよほど慎重に事を運ばないと、その機械にしてもおそらく——その機械は一台どのくらいですか。
  221. 長田裕二

    長田政府委員 実はその機械も非常に大きな高能率のもの、あるいは小さなものの読み取りができればと思って小規模のものも委託しておりますので、それによって違いますが、標準的なかなり高性能のものはいまのところ二千五百万前後からあるいはもう少し高くなることも予想しております。
  222. 森本靖

    森本委員 いずれにいたしましても、これ以上この問題は深追いいたしませんが、よほど郵政省としてはこれをやるについては慎重に事を運んでもらいたい。それから国民に対するPRをまずもって行なってもらいたい。その上にほんとうに慎重の上にも慎重にやってもらいたい。そうでないと前の郵便局区内というようなことで失敗したものをもう一回繰り返すということになりますと、この非常に零細な郵政事業特別会計の中でむだ金を使いたくないということをわれわれは考えておりますので、その点は繰り返しひとつ、あれは失敗でございましたというような答弁を当委員会でやらないように、郵務局長も未来永劫郵務局長はやらぬと思うが、いずれにしても、これは本日の委員会における私の質問については速記録に残ると思いますので、郵務局長は将来次官になるかあるいはやめるか知らぬが、いずれにしてもこの番号簿制度については相当慎重にやってもらいたいということをひとつ特に銘記しておいてもらいたい、こう思うわけでありまして、これは政務次官からお答えを願っておきたい、こう思うわけです。
  223. 亀岡高夫

    ○亀岡政府委員 郵便番号制度の実施につきましては、森本委員御指摘のとおり、今後検討を要すべき数々の点があろうかと思いますので、郵政省といたしましては、スタートする以上、かつて局区内というような制度で失敗したような二の舞いをふまないように、慎重な態度でこれを取り入れていきたいというふうに考えております。
  224. 森本靖

    森本委員 それから、二十六条の第四種の郵便物で「蚕種、家きんの卵、はち及び食用がえるで繁殖又は飼養の用に供するものを内容とするもの」というのが今度削られておるわけですが、これはのけた理由はどういうところですか。
  225. 長田裕二

    長田政府委員 第四種の中から蚕種、家禽の卵、ハチ、食用ガエル、そういうものを除きましたのは、現在ほかの運送手段で運ばれておりまして、ほとんど利用がなくなってきましたためでございます。一部残っておりましても、たとえば蚕種のごとき相当それ自体の値段もございまして、特に扱いのめんどうなものにつきましては、低料金のものをそのまましなくてもよろしいではないかというような観点からでございます。
  226. 森本靖

    森本委員 この点も、これはなるほど扱いが少なくなったということは認めます。それは認めますけれども、この蚕種、家禽の卵なんというのはもともと、これは立法の一番最初にここに入れた趣旨をあなたは知っていますか。
  227. 長田裕二

    長田政府委員 ちょっと私、いま読み違えまして失礼いたしました。蚕種は今後も残しているわけでございますのでちょっと訂正いたします。  家禽の卵等が入りましたのは、どうもその理由をあまり詳しく存じませんが、明治二十年前後、そのころからこの制度はできたものと思われますが、全般的な農業振興という観点であったのではないかというふうに考えております。当時はほかに便利な輸送手段等もありませんでしたために、郵便が、引き受けるということがいまよりも非常に必要ではなかったかというふうに考えますが……。
  228. 森本靖

    森本委員 これはやはり農産物の種子というものについては昔から郵便についてはこれを優遇する、こういう考え方に立って入っておったわけでありまして、実際問題としてこれを今回利用が非常に少ないからのけるということについては、これは確かに郵政省としては、利用の価値は少なくても、一応条文としては残しておいたほうがよかったのではないかというふうに考えるわけでありますけれども、こういう点で、郵便というものの考え方を、精神をあまり変えていかないように、どうもだんだんもうけ主義になっていくのではないかというような気がするわけであります。  それで、先ほどの第一種郵便物についてもう一度お尋ねをしますが、これが第一種郵便物の最高の値段になるわけですか。
  229. 長田裕二

    長田政府委員 長さ四十センチ、幅二十七センチ、厚さ十センチが今度の新しい通常郵便物の最高でございます。
  230. 森本靖

    森本委員 これが通常郵便物になると、小包郵便物とほとんど変わらないことになるわけですね。そこで、小包郵便物と第一種郵便物との差を一体どう持っていくか。だから、小包郵便よりはこの第一種郵便物がかなり送達が早くいかなければもう全く意味がない。そうしないと、これは小包郵便にしたほうが——小包郵便になるとこれは幾らですか。
  231. 長田裕二

    長田政府委員 小包郵便物は御承知のように、目方とそれから……
  232. 森本靖

    森本委員 目方はわかっておるのだ。四キロだ。逓減方式だから高知まで……。
  233. 長田裕二

    長田政府委員 目方が四キロで、あて先が高知で第二地帯でございますので、二百円でございます。
  234. 森本靖

    森本委員 そうすると、第一種の場合は千七百円、小包が二百円ということになると、これは料金の違いがそこだけあるとすると、一方は小包郵便よりかなり早い高等信の扱いをしなければ、これは全く意味がないのですよ、はっきりいうと。そこで、実際に先ほども言ったように、これが非定形の二十五円の料金になって第一種の高等信としての取り扱いをしないということになるとするならば、そこに非常に矛盾が出てくるわけですが、一体小包で出す場合とその第一種で出す場合と具体的に東京から高知まで行った場合送達に何日の違いがあるか。
  235. 長田裕二

    長田政府委員 これから全体の速度を相当上げる努力をいたしますが、いままでのところ、三日ぐらいまでの違いは起こることはございます。三日以内くらいかと思います。三種以下の扱いと小包の扱いと。ただ、少しお答え申したいと思いますが、そういうふうに料金は非常に違う、それから送達についても決定的な違いでない、それじゃ一種のそういう大きなものがあり得るかということでございますが、実は一種の一キロをこえますものは非常に少なうございます。東京中央郵便局あたりでもう探しまくりましても、一キロ以上のそれに当たりますようなものは一日に数十個でございます。と申しますことは結局、普通の貨物、荷物、信書ではないものは、大きくなると、たいてい小包で送られるわけでございます。小包で送ることのできない信書を含んだものが、それがどうしても一種のほうに残るわけでございます。それともう一つは、小包につきましては、現在速達でも飛行機に載せておりませんが、一種につきましては四キロまで載せております。そういう状態であります。
  236. 森本靖

    森本委員 それはわかったけれども、第一種でこのものを——だから、小包の場合は三日かかって、一種の場合はこれがそれじゃ幾日かかる。
  237. 長田裕二

    長田政府委員 私、申しましたのは、三種以下の到達日数と小包の到達日数を比べました場合に、小包のほうがおそくなる程度は三日以内くらいというふうに申し上げたわけでございます。
  238. 森本靖

    森本委員 だから、私は国民の代表だからもう具体的に大衆の側に立って質問しておるのだから、このいわゆる一種郵便物として千何ぼ払ったものはここから高知へ出した場合に何日で着くか、小包で出した場合は何日で着くかと、こう答えてもらいたいということだ。料金は、一方は二百円、一方は千七百円になるわけだ。その差がなければ意味がない。ところが、これが本を全部入れてある。それで、この小包を送りましたということを書いたら、一種になるだろう。そうだろう。それだけによって、これは千七百円になるわけだ。小包にしたら二百円になるわけだ。そこで一体それなら、私がここの国会内郵便局から高知へ出した場合に、今度の郵便法改正によって、一種で出したら何日で着くか、それから小包で出したら何日で着くか、こういうことですわ。
  239. 長田裕二

    長田政府委員 一種のほうで出されました場合には大体四日ないし五日くらいと思っております。
  240. 森本靖

    森本委員 そんなにかかるか。
  241. 長田裕二

    長田政府委員 一種の、三種以下の区分でございますが……
  242. 森本靖

    森本委員 非定形で。
  243. 長田裕二

    長田政府委員 三種以下の区分でまいりますから、まず四日目か五日目くらいになる——もちろん早いときもございますし、私どもはもっと早くするように努力いたしますけれども、いままでのところ、四日目ないし五日目になることがあるかと思います。小包につきましては、実は三種以下のものとほとんど同時に着くかと思います。と申しますのは、郵便車で送るような場合にはそう速度が変わりません。郵便分配局区分によりましてそう速度が変わりません。非常に立て込みまして、郵便物の利用が多うございまして……
  244. 森本靖

    森本委員 雑音は要らぬ。何日で行くか。
  245. 長田裕二

    長田政府委員 それより三日以内くらいおくれることがございます。
  246. 森本靖

    森本委員 そうすると、一種でいった場合にはこれでも三日か四日かかる、小包も三日か四日かかる、こういうことですか、高知で。
  247. 長田裕二

    長田政府委員 小包の場合は、一種で送った場合よりも三日以内くらいおそくなるということでございます。
  248. 森本靖

    森本委員 そうすると小包で送った場合は一種より三日か四日おそい。一種で送ったのは、ここから高知まで何日で着くか。
  249. 長田裕二

    長田政府委員 四日目ないし五日目くらいになると思います。
  250. 森本靖

    森本委員 一種郵便物が四日も五日も高知までかかるようでは、一種郵便物の用をなさぬ。それならもう私が最初に言ったように、第五種なら第五種くらいにしないと、第一種とは言えない。ここに私は今回の改正について非常に疑問があるわけだ。一種郵便物で千七百円も料金を取っておいて、小包で送ったら二百円、その一種郵便物で高知へ送ったら三日も四日もかかるというのだったら、——昔は小包でも三日か四日で届いた。少なくとも普通の高等信の第一種は、航空便に搭載をして、きょう出したらあした着くようにしましょう、こう言っているのだ、あなたのほうは。ところがこれは高等信の第一種と同じ郵便物だ。それが四日もかかるようで、千七百円も料金を取られてたまるか。これはちょっとおかしいじゃないですかね。
  251. 長田裕二

    長田政府委員 先ほどからお話がございましたように、実はその郵便物一種の非定形でございます。それを五種という名前をつけたほうがいいのじゃないかという先ほどのお話もございましたが、一種の非定形につきましては、従来の五種と送達方法は変わりないわけでございます。全般を早くするということで早くしてまいるということになります。
  252. 森本靖

    森本委員 これは最終段階だから、ここで修正することには、おそらく自民党は応じまいけれども、この第五種の料金を第一種へ持ってきてしかも一五〇%も料金を上げておいて、名前は第一種郵便物というようなていさいのいいことにして、実際は第五種の郵便物と同じような取り扱いになるということは大衆を愚弄するもはなはだしい。実際問題としてこういうやり方をするということは——もっともこういうものはあまり出ないということをあなたはさっきから言っておるけれども、たまたま私が本を二十冊送って、この中に本を送りましたと書いたらこれと同じことになるのだ。第一種郵便物は、非定形郵便物であっても、ある程度定形郵便物と同じような速度で届くようなことを考えていかなければ、第一種郵便物の中に定形、非定形というものを置いた意味がなくなってくる。だから第一種郵便物とする限りは、定形であろうが非定形であろうが速度を速めてもらいたい。それがために非定形のほうは料金が高いのですよ。そうでしょう。それがために、非定形のほうは定形にございませんからということで引き上げ額が十五円になっておるわけだ。一方は五円しか上がってないわけだから、この非定形郵便物についても、第一種郵便物とするならば、速度は同じ程度にしなければならぬ、こういうことになるわけでしょう。これを同じ速度にしないとするならば、非定形郵便物は第五種なら第五種にして、もっと料金を安くするという形にするのがほんとうじゃないですか。
  253. 長田裕二

    長田政府委員 郵政審議会答申、また今度の料金改正趣旨は、できるだけ全体が定形郵便物になるような方向に持っていって、そうして総体としてわりあいに扱いやすいものがふえ、能率が全体としてあがるようにという趣旨でございましたので、ある程度仰せのようなことになるわけでございますが、ただ、実際問題として、ただいま御指摘になりましたような郵便物は、現在の郵便局をずっとさがしましても速達以外には全然ないわけであります。速達は、通常一種郵便物は現在四キロまで航空搭載いたしますので、それを利用するということから速達になるわけでありまして、実際にそれを速達にしないで、航空搭載をねらわないものは、そういうものでかりに信書のものがあるとすれば、手紙と内容とを分けまして小包で実際には送られてくるというのが実情でありますし、おそらく今後もそういうことになると思います。
  254. 森本靖

    森本委員 君のその答弁は、郵便法の違反をやってもよいということを意味しておるのです。実際問題として、本を送って、その本の中に、この本を送りましたからといういわゆる手紙を三枚か四枚書いて小包として送っても、これを開かない限りはわからないわけだよ。速達小包として送ればそのほうが料金が安い。しかし私はそんなことをやったことは一ぺんもない。私はやはりこれはきちんとやって、そういうものを送るときでも、このくらいのものに包んでこの中に手紙を書いて入れても、ちゃんと第一種料金を払って出しておる。そうしなければ郵便法の違反になるのだから、われわれこれに関係する者として、かつてそういう違反をやったことはないわけでありまして、そういう点から見ると、今回の第一種のやり方、定形、非定形というようなことはどう考えてもちょっと納得がいかないわけです。だから郵政省の要するに機械化の問題を主にして考えたということはわかる。わかるけれども、もう少し非定形郵便物が早く着くようにやはり相当考慮しなければならぬのじゃないかということを私は言いたいのであります。というのは、たとえば三日か四日間かかるというのは、どういう逓送経路をたどりますか。これは非定形の第一種が東京から高知へ行く場合ですね。
  255. 長田裕二

    長田政府委員 都内で引き受けましたものが高知県なら高知県あてのものにまとめられまして郵袋になります。個数が十分ない場合には雑で東京中郵に行きまして、東京中央郵便局で郵袋に詰められまして、それから次に間に合います郵便車で送られます。小包の場合には、乗り切れない場合にはあと回しにするとか、あるいはまた極端に郵便物が多いときには貨車を新しく手配したりするようなことがありますが、通常の場合は郵便車に乗せてまいりまして高知まで届けられまして、それから配達にかかるわけであります。高知市内の場合は、先ほど申しましたようにもう少し速いと思います。
  256. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、小包はどういうふうに行きますか。
  257. 長田裕二

    長田政府委員 高知につきましては、ほとんどそのルートは変わりません。ただ、扱い方といたしまして貨物で行く場合もあり得ることを先ほどちょっと申し上げました。大阪からあと高知のほうへは郵便車ではまいれませんので、船でまいるわけであります。
  258. 森本靖

    森本委員 これは大阪で船に積みかえて船で行くから小包は実際問題として高知には一週間くらいかかるが、それと同じような取り扱いはしないわけですね。第一種の四キロの場合にそれをやられると全くたいへんですから…。
  259. 長田裕二

    長田政府委員 一種につきましてはさようなことは全然ございませんし、また先ほどもお話しのように、分配局の要員を充実いたしまして、航空搭載で速くまいりますのと同じにはまいらないとしても、ある程度それに近づくように努力してまいりたいと思います。
  260. 森本靖

    森本委員 いずれにいたしましても、今回の根本的な改正である第一種郵便物定形、非定形ということについては、かなり無理な点もありますので、これの実施についてはかなり慎重な配慮を要する、特に非定形定形郵便物の送達の速度については、十分に郵政省としてはこれを実行する段階において配慮を要する、こういうことを特に申し上げたいと思うわけでありまして、この配慮についてひとつ大臣からお答え願いたいと思います。
  261. 郡祐一

    郡国務大臣 現にいろいろと検討いたしておりますが、ほんとうに御指摘のような点を特に重視して、送達速度の点を確保できますように、一種として扱いましただけの値打ちのありますような送達ができますように、ひとつ省をあげて対策を検討して実施に移すことにいたします。
  262. 森本靖

    森本委員 それから次に、この第二十七条の二の項でありますが、今回の改正においても郵政省はやはり郵政省らしい改正をして、国民のほうのことを考えて改正をしていないわけであります。同一の郵便区という点については、前から私がしばしば当委員会を通じて言っておるにもかかわらず、今回もこの改正案が出ておらぬわけであります。これは、同一の郵便区内、都の同一区内または京都市、大阪市、横浜市、神戸市もしくは名古屋市の同一区内のみにおいて発着するものであること、ということは、たとえば、東京においては千代田区なら千代田区、港区なら港区、こういうことをさしておるわけであります。ところが、その同じ区内に集配郵便局が二つあるところもあります。また一つのところもあるわけであります。こういう点については、本来これは公衆の便不便を考えるとするならば、若干郵政省が不便であっても、たとえば六大都市とかあるいは県庁所在地とかいうふうに、うちのほうに集配局があろうがなかろうが、これは一つの行政区域を単位としてきめるのが至当ではないか、この考え方はあくまでも郵便局側の立場に立って考えている問題ではないか、こういう点でありますが、今回の改正の点について、その矛盾について討議したことがあるかどうか……。
  263. 長田裕二

    長田政府委員 郵便の集配区という考えを捨てて、市町村等の行政区分に徹しろというのがただいまの御趣旨かと思いますが、この市内特別郵便物料金は二割引きでございまして、相当低料にしている次第でもございます。ここまで低料にいたします理由は、運送の手数が全部ない、持ってこられたものを配達するだけだということがその主たる理由であります。ただ、これだけで徹底いたしますと、たとえば先ほど例にあげられました港区の場合でございますと、一つの行政区ですが四つ集配局がございまして、非常に狭い区域で、郵便物の量も多い関係で、あまり広くない地域につきまして集配局を四つもつくっているわけでございますので、地域としてほかの地域とバランスがとれない。地方のほうに行きますと、一区であるのに四十キロも歩くのが一つの郵便局の区になっております。東のほうに往復四十キロのそういうところとのバランス等もあまりにとれませんので、こういうところについては行政区を単位にするということで緩和をいたしたわけでございまして、二割の割引率との関係におきまして、この郵便の集配区という原則を捨てる場合もございます。
  264. 森本靖

    森本委員 私が言っておるのは、同一の郵便区というのは、たとえば高知市のように集配局が二つのところもあれば、徳島のように一つなら一つのところもあるわけである。高松のように一つなら一つのところもある。あなたのほうがその行政区内に合わして郵便局の統廃合をして、集配局を統廃合をしておるところなら別ですよ。それを郵便局のほうは、そういう統廃合をしておらないにかかわらずこれを同一郵便局ということでやることはきわめて不公平じゃないか。県庁所在地で二つの郵便局のほうもあれば一つのところもある。これは郵便局のほうがかってにそういうことをやっておる。一つのところに統合されておればこの条項が適用されるわけだ。だから郵政省としては、やはり料金値上げする以上はこういう点につては国民側に立って、せめて同じ県庁所在地の市内については市内郵便としての同一区内の取り扱いをしたらどうか、こういうことを私が前から言っておったにもかかわらず改正しておらない。そういう集配局の統廃合については郵政省自体がやらなければならぬ時期にきておるのでないか。それをサボっておいてこの条項をそのまま置くということはけしからぬではないか、こういうことを言っておるわけであって、それはやろうと思いましたけれどもちっともやる間がありませんし金もありません、こういうことでやむを得ずこういうことになりましたというなら、つべこべ言う必要はないからそうあっさり言ったらどうか、こう言っておるわけです。
  265. 長田裕二

    長田政府委員 仰せのように、利用者の面から見ますと現在の集配郵便局のつくり方というものが非常にぴしゃっとはっきりきめられたものでつくっております場合はともかく、そうでもない場合がありますので、若干不公平という点も生ずるかと思いますが、この問題を仰せのようにいたします場合に実は相当収入が減ることもございまして、収入ども考えて、今回改正の対象にはいたさなかった次第でございます。
  266. 森本靖

    森本委員 改正の対象にいたさなかったということでありますけれども、将来は、この条項を改正しないとするならば、当然考えていかなければならぬ。要するに郵便局の統廃合については行政措置として十分に考えていかなければならぬ、こういうことになります。  そこで第三種の問題については、もうしばしば触れておりますから私はここでは触れません。ただ一点参考に、私の同僚であります高知県の山奥の郵便局の外勤の人から手紙がきておりますから、これをちょっと読んでみたいと思います。これはほんとうに郵便の外勤の最先端におる人からの手紙でありますから真実であります。過日お手紙を拝見いたしました。お元気で御活躍のことはおめでとうございます。郵便法改正については私の意見を少し述べてみたいと思います。  郵便会計の赤字を解消するため信書を値上げして、信書以外の営利郵便物ともいうべき三種以下の値上げ率を小さく押えているのは合理的じゃないと思います。赤字率の大きいのは三種であって一種、二種は赤字はそれほど大きくはないのじゃないでしょうか。特に日刊新聞の一部二円という郵便料は大きな赤字の原因だと思います。三種の日刊新聞を一種料金に引き直せば五十円となり日刊新聞は信書の九割六分という大幅割引を受けておるのであります。私の局のような辺地の山の中では新聞販売店が集中受け渡しを転売しておりますが、集中受け渡しもできないような山の中の不便なところが郵送で新聞を購読しており、料金二円の三種一通を配達するために一時間もかかるようなところがたくさんあります。あの山の上まで上がっていって二円かと思うと、三種料金の安さがしみじみ感じられます。一種、二種は国民大衆の信書を送達するただ一つの方法であり値上げすべきではないが、三種以下は業務用の営業用のものであり、郵送以外にもいろいろ送達の方法があり、差し出し人は差し出すことによって幾らかの利益が上がるものでありますから、送達に要する費用だけは料金として徴収しても差しつかえないものと考えます。また最近は新聞の枚数も多くなり、一部で百グラムをこえる日がたびたびあるので、現行の百グラム二円を二百グラム十円程度値上げしてはどうかと思います。また郵政省は、赤字を理由に値上げする前に、真剣に赤字解消の努力をした上での値上げでありましょうが、郵便局制度を根本的に改めなければ私のような辺地の郵便局では問題になりません。またこれは辺地の集配のことになりますが、都市の高層建築物の配達廃止等の規定ができた現在、辺地においても隣接の集落から五百メートル、車両の通行可能な道路から五百メートル以上離れた戸数三戸以上の集落に対する配達は、受け渡し地点を指定し、受け箱を設備させることができるように改めていただくわけにはまいりませんでしょうか。毎日配達することは、うるさいとは思いませんけれども、辛い。こう書いてあります。これは実際に、私のほうの山の中の郵便局の現場の人の実感であります。実際に、高知県の山奥で一軒のところへ第三種郵便物を一通持ってくるのに一時間二時間山を上がっていかなければならぬということはたびたびあるわけです。ところがはがきは五円で持っていく、手紙は十円で持っていっても、これはありがとうというお礼はあるけれども、新聞はその日にこなかったらおこられる。どういうわけでこないかというわけでどなりつけられる。そういうことであって、これは一体二円でよろしいのかという考え方を持っておるのが第一線の従業員の偽らざる声であります。これは特にこういう声があるということを速記録に残しておきたいと思って読み上げたわけでありますが、あえて第三種の問題についてはこれ以上問いませんけれども、全国の従業員の中にも相当多数こういう声を持っておる人があるということを御記憶を願っておきたい、こう思うわけであります。  次に、今回の特殊料金でありまするが、これを全然触れておりませんので、ひとつ聞いておきたいと思いますが、いま書留は幾らですか。
  267. 長田裕二

    長田政府委員 四十円です。
  268. 森本靖

    森本委員 この四十円の書留ということは、この書留が亡失したときに郵政省幾ら補償しますか。
  269. 長田裕二

    長田政府委員 要償額を申し出ずそのための料金を払っておりません四十円だけの場合は、一千円でございます。
  270. 森本靖

    森本委員 そのPRを郵便局は一体やっておりますか、一般に。たとえば現金封筒、現金書留の場合については必ず何万円入っておりますかということを聞くわけです。そこで五万円入っております、十万円入っておりますということを言えば、これは五万円、十万円の料金を取ってその賠償をしておるわけであります。ところが書留については、書留でお願いします、よろしゅうございます、四十円——これは出した国民はこの賠償額がたったの千円と思って出しておる人は一人もないですよ。こういう点が一般の国民には一つもPRをされていない。書留で出したらこれは完全無欠だ、こう考えておる。ところが二十万円のものを入れた書留でも紛失をしたら四十円ではたったの千円しか賠償がない。そういう点について郵政省は一体そのPRをしておるのかどうか。これは必ず私は窓口でこういう点については言わなければならぬと思うのでありますが、どうですか。その辺は、大臣、これは御承知ですか、今度で知ったと思いますが……。
  271. 郡祐一

    郡国務大臣 いままではあまりよく知りませんでした。弁償してくれるものだと思っておりました。
  272. 森本靖

    森本委員 今回はこれが相当改正になりまして、この賠償額というものも相当上がったわけでありまするが、この賠償金額の上がったことについては私はここでとやかく言おうとは思いません。しかしいまの書留の郵便物の引き受けのやり方についてはもっとPRを郵政省としてはしてもらいたい。だからこれが十万円のものでございましたら十万円のものを納めてもらわぬと十万円の賠償にはなりませんよということを、もっともっとひとつPRをしていただきたいということを私は申し上げておきたい、こう思うわけであります。  それから今度の簡易書留というのはどういうふうなかっこうですか。
  273. 長田裕二

    長田政府委員 郵便物を引き受けます際の手続と、それから配達いたしました際に受領者から印をもらう、そういう手続はいままでの書留と同じでございます。しかし損害要償額は二千円までというふうに打ち切りのような形になっておりますから、要償額の申告はできないわけでございますし、また内容は貴重品は入れられないというふうになっているわけでございます。途中の記録が現在の書留は全部ずっと記録してまいりますが、簡易書留につきましては個数払いにより送達証に個数だけを書いていく。郵便局からの出入りの数をはっきり符合させる、そういうことだけにとどめておるわけでございます。
  274. 森本靖

    森本委員 この簡易書留は、そうすると二千円の要償額ということが最重点ですか。
  275. 長田裕二

    長田政府委員 途中の記録を省略して手数をある程度省かせ、それによって料金も引き下げてあるということ。それから二千円までの補償をすること、ということが特徴でございます。
  276. 森本靖

    森本委員 このPRは一体どういうようにやるつもりですか、いわゆるこの簡易書留と、いま私が言った書留の内容について。
  277. 長田裕二

    長田政府委員 この簡易書留は現在の証券代行会社などから非常に要望のありましたもので、そういうところではほかに保険制度の……
  278. 森本靖

    森本委員 そういうことを聞いておるのではない。どういうPRをしているかということを言っている。答弁を短くしてくれ。
  279. 長田裕二

    長田政府委員 これは先ほどお話しの普通の書留について損害要償額を申し出るということと、それからこちらについては二千円までだということとを特に強くPRをいたすつもりであります。
  280. 森本靖

    森本委員 特にPRはわかったけれども、PRを具体的にどうするということなんだ。全国民大衆はこの郵便の利用方法というものが一つもわからないのですよ。それを具体的にラジオなりテレビなりでPRをするのか、新聞広告をするのか、あるいは各家庭にこういう郵便改正になりましたということを一軒一軒配るのか、そういうことをどうするのか、NHKでも頼んでやってもらうのか、こういうことですよ、はっきり言うと。
  281. 長田裕二

    長田政府委員 テレビ、ラジオ、それから国電などのつるしとか、それから局内はもちろんでございます、局前のポスター、それからポストに張りますステッカー、そういうようなものでもできるだけいたすつもりでございます。
  282. 森本靖

    森本委員 私は特に申し上げておきたいと思いますが、もしかりに法律が通って施行するという段階になった場合は、全国の先ほどの郵便番号簿じゃありませんけれども、こういうふうに郵便改正になりましたよ、ひとつ利用については間違いがないようにしていただきたいという文書をわかりやすく書いて、全戸数にひとつ配っていただきたい。これは絶対にやらなければわかりませんよ、一般国民は。これは郵便をずっと配っておるわけでありますから、その合い間に超勤でも出して配ればいいわけであって、ひとつこれはぜひやっていただきたい。これはたいした金は私はかからぬと思うのですが、どうですか。   〔「研究問題だ」と呼ぶ者あり〕
  283. 長田裕二

    長田政府委員 内部の関係局ともよく打ち合わせまして、できるだけ御趣旨に沿うように努力いたします。
  284. 森本靖

    森本委員 これはいま研究すべきだというようなやじがありましたけれども、研究しておったのでは話にならぬ。これだけの大改正をやった以上は、相当国民が内容を知らないことには話にならぬですよ、はっきり言って。だから七月の一日でありまするからかなり時間もありまするから、私は全戸数にこのくらいのものを印刷して配ったところでそう金はかからぬと思う。これはやっぱり郵政省の義務として、今度郵便についてはこういうふうに変わりましたからひとつ御協力をお願いをいたしますということくらいは、責任を持ってやれるくらいの答弁をしていただきたい。研究をしてみなければわからないというようなやり方はないと思うのです。今回は画期的な改正でありまするから。これは大臣ひとつ。
  285. 郡祐一

    郡国務大臣 これはぜひいたします。そうしてこれからも郵便を大いに利用していただくように、大いに国民にお願いをいたします。
  286. 森本靖

    森本委員 そこで次に、速達料でありまするが、これが値上がりをした点についてはある程度私もわかりますから質問をいたしません。ただ引き受け時刻証明料が六十円が七十円に十円上がっておるわけであります。この十円の積算根拠はどうなっておりますか。
  287. 長田裕二

    長田政府委員 書留速達以外の特殊料金全体の扱い方といたしましては、これらは非常に利用数も少のうございますし、また特殊なものに限られております。総体といたしまして三〇%程度値上げになるということを目途にいたしまして、それぞれの内容を検討いたしまして、引き受け時刻証明などは手数のあまりかからないものでございますので、いままでの六十円を七十円というふうにとどめ、配達証明の、たとえばあとから配達証明の請求をするというようなものは非常に手続がめんどうでございますので、九十円を百二十円にする、そういう割り方でいたしました。
  288. 森本靖

    森本委員 そういたしますと引き受け時刻証明について六十円から七十円で十円上がった。内容証明について謄本一枚についてこれは一躍四十円上がっておる。それから一枚を増すごとに二十円上がっておる。これはどういう意味ですか。四十円も値上げをしなければならぬですか、これは。
  289. 長田裕二

    長田政府委員 内容証明につきましては先生もよく御存じのとおり非常に手数のかかる事柄でございます。引き受け時刻証明などは表にある程度用紙に簡単に書き込むということでできますが、これは相当手数もかかりますので、人件費も相当上がっているおりからでもございますし、このため非常に時間を食いますので、上げ幅を大きくしたわけであります。
  290. 森本靖

    森本委員 これはしかし、六十円から百円ですから、一躍四十円上がっておるわけですよ。これは、それほど上げる価値がありますか。私はどうしてもわからぬ。内容証明は、これからまた書留になるわけです。書留の料金がこの上に追加になるわけですが、この内容証明の謄本一枚で四十円、一方は二十円、この四十円と二十円の違いはどこにありますか。
  291. 長田裕二

    長田政府委員 引き受け時刻証明などの六十円と、従来の内容証明の六十円とを比較いたしますと、先生御承知のように、どうも内容証明の六十円のほうがかなり安い感じがいたします。総体として三割という範囲内で配分いたしますと、内容証明につきまして少し高めにいたしたいと思ったわけでございます。
  292. 森本靖

    森本委員 私が言っているのは、この謄本一枚について四十円を上げた、以上一枚を増すごとの分が二十円しか上げてないが、どういうわけかと。
  293. 長田裕二

    長田政府委員 これは従来、一枚目のが六十円、それから二枚目以下が三十円でございました。今度は一枚目のは百円にいたしましたので、その半分、大体いままでの比率でまいったわけであります。
  294. 森本靖

    森本委員 いままでの比率というて、このやり方を知っておるのかね。一枚のものに対して、一つの消印をボンと押すだけなんだ。一枚について、結局これは四十円上がっておるわけだ。こっちで二十円上がっておるわけだ。結局そういうことでしょう。謄本が、一枚目については四十円上がって、残りのものについては二十円とこういうことでしょうね。
  295. 長田裕二

    長田政府委員 一枚と申しますのは、この内容証明の内容が、御承知の一枚五百二十字に限られております。最初の一枚のものは六十円。これは謄本を二通つくりますが、最初のが六十円、それから文章が長いために次に——二ページと申しますが、二枚目のものが三十円、こういうことでございます。
  296. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、その二枚目のやつについては、三十円から五十円で二十円で、一枚目が六十円から百円。どう考えても、われわれにはこの四十円と二十円の根拠はわからぬな。いまの時期で、物価値上げで、ぽんぽんぽんとこう三つ消印をするのが四十円上がるということは、どこに根拠があるだろう。目分量でやっておるということならそれでいいですが、大体目分量でしょう。
  297. 長田裕二

    長田政府委員 三割程度の配分としまして、先ほどの六十円が七十円にしか上がらないものの、内容を見まして、そういうものなどと比べまして大体つくりました。
  298. 森本靖

    森本委員 これはしかし、内容証明、配達証明、引き受け時刻証明も、ほとんど大体科学的な根拠はないですな。これははっきり言って目分量だということは、あなた方の答弁としてはやむを得ぬでしょう。  もう一ぺん、参考までにちょっと聞いておきたいのですが、代金引換料が六十円から八十円に上がっておるわけですが、これも目分量じゃないですか。
  299. 長田裕二

    長田政府委員 先ほど申し上げましたような出し方で割りかけてまいったわけでございます。
  300. 森本靖

    森本委員 先ほどから言うたのは、三〇%ということですか。
  301. 長田裕二

    長田政府委員 三〇%の幅で、全体の割り振りをしてまいりました。
  302. 森本靖

    森本委員 そうすると、その三〇%という根拠はどこですか。
  303. 長田裕二

    長田政府委員 これはいろいろコストそのものを計算いたしますと、若干ゆとりはあるようでございますが、数が少なくて、利用者が非常に限定されている。非常に大衆的な基本のものとちょっと違いますので、特に率をちょっと低くするという理由が考え当たりませんでしたので、大体二八・八%のほぼ近い三〇%をめどにいたしまして割り振ったわけでございます。
  304. 森本靖

    森本委員 そういう答弁をすると、これは長くなる。二八・八%というのは、さっき言ったように増収率なんだから。料金引き上げ率というのは、さっきも言ったように、第一種、第二種、第三種、第四種は、四〇%以下の引き上げ率はない。二八・八%というものは、増収分に対する二八・八%というものなんだ。その率によって三〇%をはじいたなんということは、不見識もはなはだしい。要するに三〇%という上げた率というものが何か手数を省く——労働時間とかなんとかということを厳密に計算をしていったら、大体三〇%上げるということが、今日の物価情勢と労働力からいって妥当だと思うから三〇%程度になったということが、ほんとうの言い方なんですよ。だから、あなたがそう言ったって、その内容も、具体的にどうかということは突っ込まぬわ。突っ込んだらこれはないことはわかっておるから。しかし、それにしても、実際にこれにかかる手数というものはどの程度なのか、その手数が三〇%程度ということでわれわれは考えて、三〇%に上げた、こういうことであるとするならば一応の理屈は通る。しかし、二八・八%だからこれを三〇%にしたということになると、今度の料金値上げは全くもとから狂ってくる。その辺、もうちょっとじょうずに答弁してください。
  305. 長田裕二

    長田政府委員 個々の扱いにつきまして、よく労力とか訓練の必要とか、そういうものをずっと検討いたしまして、大体こういう料金にきめた次第でございます。
  306. 森本靖

    森本委員 それから、これはどうしても聞いておかなければならぬ問題でありますが、年賀はがきは、今回は低料の年賀はがきがなくなりました。そこで、今回ははがきが七円になったわけでありますが、例年のとおり寄付金つきのはがきを一体出すのかどうか、この点ひとつ、これは大臣からお答えを願いたいと思うのです。
  307. 郡祐一

    郡国務大臣 出すつもりでございます。
  308. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、七円プラス一円のお年玉はがきになるわけですか。
  309. 郡祐一

    郡国務大臣 さようにお願いいたしたいと思います。
  310. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、七円のお年玉はがきと七円プラス一円の八円のお年玉はがきと、二つの種類のが出るわけですか。従来は、四円のお年玉はがきと四円プラス一円のお年玉はがきが出ておったわけでありますが、この七円と八円の二つの種類のお年玉はがきが出るわけですか。
  311. 郡祐一

    郡国務大臣 寄付金つきのお年玉はがきは、確かにはがきの料金が上がりましたけれども、幸いと申しますか、いい慣行がついて、寄付金をちょうだいできておりますから、これはぜひ従来ぐらいの額はお願いいたしたいと思っております。それで、七円のものについても出すことに相なろうかと思うておりますけれども、これについては、寄付金つきのお年玉はがきを発行するということには、まだはっきり固めてはおりません。おりませんけれども、大体従来の形を引き継ぐべきものだろうかと考えております。
  312. 森本靖

    森本委員 これはひとつ郵便法審議ではっきりしておいてもらいたいと思います。それから、これはもう郵政省は直ちに取りかからなければ間に合わぬですから。要するに七円のお年玉はがきは発行する。それから七円プラス一円のお年玉はがきも発行する。従来どおり、二通りのお年玉はがきを発行するのかしないのか、こういうことであります。
  313. 郡祐一

    郡国務大臣 郵政審議会の御審議を願うことでありますけれども郵政省といたしましては、大体従来の形のようで進めてまいりたいと思います。
  314. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、七円のお年玉つきのはがきと、それから七円プラス一円の寄付金つきのお年玉はがきと、二通りに発行する、こういうことですか。
  315. 郡祐一

    郡国務大臣 そのように考えております。その場合に、プラス一円の八円のはがきのほうの売れ行きに響くかなということをちょっと懸念いたしておりますが、それほど、懸念するほどのことがなくやっていけると思いますから、従来のような形を踏襲する考えでおります。
  316. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、もう一回繰り返しますが、今回は七円のお年玉つきはがきと、七円プラス一円の八円の寄付金つきお年玉はがきと二通り発行する、こういうことですか。
  317. 郡祐一

    郡国務大臣 そのように考えております。
  318. 森本靖

    森本委員 これについては、発行額をどの程度考えておりますか。
  319. 長田裕二

    長田政府委員 従来少しずつはふえたり減ったりしておりますが、大体従来のやり方を踏襲いたしたいと考えております。
  320. 森本靖

    森本委員 従来のやり方を踏襲するというのは、日赤と共募ですか。
  321. 郡祐一

    郡国務大臣 私ども見当をつけておりますのでは、年賀はがきの枚数が、料金値上げはいたしましたが、まず減らずにいくだろうと思いまするから、本来ならば増加していく傾向でございまするけれども、十二億通発行をいたし、六億五千万枚に一円をつけ、五億六千万枚が寄付金のつかなかったものでございます。その程度のものものをやはり八円と七円で発行いたしたいと思います。
  322. 森本靖

    森本委員 結局、寄付金の配分先は日赤と共募になるんですか。
  323. 郡祐一

    郡国務大臣 これも従来のような寄付金の配分先で大体よろしいのだと考えております。日赤、共募その他、それぞれの——今年にいたしましても、かなり多くの団体に配分をいたしております。
  324. 森本靖

    森本委員 従来のように日赤と共募に一応配分額を考える、それ以外にも若干考えるところもあり得る、こういうことですね。
  325. 郡祐一

    郡国務大臣 共募が従来どおり相当大きい額を占めまして、次は日赤で、それ以外に各種の団体が入るものと考えております。
  326. 森本靖

    森本委員 このお年玉つきはがきについては、単にお年玉つきはがきに限らず、郵便切手その他についてもでき得るように、三十六年であったと思いますが、改正したわけです。それ以来この条項を使ってやった切手がありますか。
  327. 郡祐一

    郡国務大臣 この秋に考えておりまするガンの寄付金つきの切手が初めてでございます。
  328. 森本靖

    森本委員 オリンピックのときにやったんじゃないですか。
  329. 郡祐一

    郡国務大臣 オリンピックの場合は特例法を出しました。
  330. 森本靖

    森本委員 今度のガンの切手については、幾ら発行する予定ですか。
  331. 長田裕二

    長田政府委員 一応七円切手に三円を加えましたものを三千万枚と、十五円に五円を加えましたものを二千五百万枚、寄付金総額二億一千五百万円を予定いたしております。
  332. 森本靖

    森本委員 その二億一千万円はどこへ寄付することになっておりますか。
  333. 長田裕二

    長田政府委員 配分団体等につきましては、これから公募をいたしまして、応募しました団体の中からきめていく、そういう手続になっております。
  334. 森本靖

    森本委員 その切手を発行する場合には、その配分団体を明示して発行することになっておるのじゃないですか。
  335. 長田裕二

    長田政府委員 発行いたしますときは、そうでございますが、ただいままでの段階では、枚数、寄付金の総額、その程度郵政審議会答申を受けて進めております。だんだん団体の公募あるいは団体の指定というような手続に進んでまいるわけでございます。
  336. 森本靖

    森本委員 このガンに対する切手を発行するのはいつと言いましたか。
  337. 長田裕二

    長田政府委員 十月二十一日を予定しておりましたが、あるいは若干期日を早められれば早めたいという気持ちもございまして、検討中でございます。
  338. 森本靖

    森本委員 十月二十一日ということになりますと、そのときすでに二億何ぼという寄付金を集める切手を発行するということであるとするならば、その相手方が大体もうきまっていなければ私はおかしいと思うのですが、その相手は、ガンセンターならガンセンターとか、あるいは癌学会とか、そういうふうにきちんときめておるんじゃないですか。
  339. 長田裕二

    長田政府委員 寄付金つきの切手を発行してもらいたいということを対ガン協会とそれからことしの秋に予定されておりますガン征圧の相当大規模な国際会議がございますが、それの準備といいますか、それに備える国内委員会と両者の名前で申請がございました。しかしそれ以外のものにつきましては、まだ明らかになっておりません。
  340. 森本靖

    森本委員 これは、ひとつ大臣のほうでも、いわゆるそういうようなこの法律に基づく切手を発行するということを考えている以上は、あまり政治的に紛糾しない前にきちんときめてからそういう発行するということをきめていかなければ、逆に発行するということをきめておいて、これからその配分先をきめるのだということになると、いつももめてしまう。だから、やり方が逆になっているわけであって、そういう点については、とくと御忠告を申し上げておきたい。いまみたいに逆のやり方をせずに、まず配分するところをきめて、そうして使う金は一体幾ら要るということをきめて、それから記念切手を発行する、こういう計画をすべきであるにかかわらず、まず切手を幾ら発行するということをきめて、それから配分先をきめていくということではいつももめる原因になる、こういうことになるわけでありまして、そういう点をひとつ十分注意願いたいと思うわけであります。  それからこの寄付金の配分先の監査については、いま一体どうやっておりますか。
  341. 長田裕二

    長田政府委員 郵便募金管理会というものが寄付金つきの切手、はがき等を発行することに法律で規定してございまして、郵便募金管理会がこの配分額の実施等について監査することになっておりますし、現に監査もいたしまして、私ども報告をもらっておりますが、いままでの実績は、大体もう配分の目的どおりに使われているようでございます。
  342. 森本靖

    森本委員 その募金管理会の従事員は一体何人おりますか。
  343. 長田裕二

    長田政府委員 たしか八人だったと思います。
  344. 森本靖

    森本委員 その八人で今日全国の共募と日赤に対する配分が完全に監査ができますか。
  345. 長田裕二

    長田政府委員 その個所が方々にまたがっております関係で一挙にはできませんが、ついでにその前のと合わせて監査するというようなことなどもやりまして、ほとんど全部の施設にまず及んでいるように聞き及んでおります。詳しいことはいま存じません。
  346. 森本靖

    森本委員 詳しいことはわかりませんということですけれども、詳しいことはわかっていなければならぬ。郵便募金管理会については、この法律を改正したときに、はっきりと郵政大臣の権限下にあり、郵政大臣が任命するような形になっているわけであります。その募金管理会がこれに対するところの監査権を持っているわけでありますが、ただいまのような八人では、全国の日赤、共募に対する配分を完全に監査することは不可能に近い状態であります。これは現実に日赤、共募の本部の言うことを信用する以外に方法はないというのが現状でありまして、こういう問題については、やはりいま少し考えてみる必要があるのではないか。さらに、この監査の方法についても郵政省としては検討する必要があるのではないかというふうに考えているわけでありますが、これに対して大臣、ひとつ御回答願いたい、こう思うわけです。
  347. 郡祐一

    郡国務大臣 浄財の使途でございますから、監査機構をもっと整えますことは、監査を励行いたしますことは、いたすべきことと考えますから、今後さように扱うことにいたします。
  348. 森本靖

    森本委員 いずれにいたしましても、今回の郵便法改正については非常に不備な点があるわけでありまして、当委員会におきましても相当の審議をいたしましたけれども質問をいたしますると、まだまだ明確にしなければならぬ点が多々あるわけでございます。与党の諸君がなかなかやじりまするし、早うやめよ、やめよと言いまするし、次々と打ち切りをお願いしますというふうな文書が来ますし、これ以上やっておりますると、孤軍奮闘という形になりますので、私はこの程度でおきたいと思いまするけれども、特に最後に一つ要望をいたしておきたいと思いますることは……。   〔発言する者あり〕
  349. 砂原格

    砂原委員長 静粛に願います。
  350. 森本靖

    森本委員 いわゆる、逓信委員会においてえんえんとこの郵便法について審議をしてまいったということは、やはり郵便法の重要性にかんがみてここまで審議をしてまいった、この郵便法審議の際における各委員のそれぞれの注意、あるいはまた意見というものについては、大臣はそのつど答弁をせられておりまするけれども、そのつどの答弁をその場限りにしないように、大臣はひとつ十分にこの速記録あとで検討し、郵務当局としても、その内容については十分検討して、わが党は絶対に反対でありまするけれども、もしかりにそれが施行せられるという暁においては、その最小限度においても、ひとつこの注意、あるいは委員会における論議というものについては郵政大臣としては十分の注意を払ってこの実施をやってもらいたいということを要望いたしまして、一応私の質問を終わります。(拍手)
  351. 砂原格

    砂原委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  352. 砂原格

    砂原委員長 これより討論に入ります。   討論の通告がありますので、順次、これを許します。栗原俊夫君。
  353. 栗原俊夫

    ○栗原委員 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し、私は、日本社会党を代表してこれに反対の意を表明するものであります。  政府は、事あるごとに物価安定対策に懸命の努力を払う旨を公言しているのでありますが、その物価対策は全く実効のない机上のプランに終わっているのであります。政府は、四十年度の消費者物価指数の上昇率を四・五%と見込んでいたのでありますが、同年の消費者物価指数は前年の上昇率三・八%をはるかに上回り、七・六%という過去十カ年間の最高の値上がり率を示しているのであります。しかも、このような物価騰勢に拍車をかけるように、本年当初の消費者米価の値上げに引き続いて、私鉄運賃、国鉄運賃、小包郵便料金値上げがあり、また、近く、健康保険料、さらに、これを追って郵便料金値上げが行なわれようとしております。このような一連の公共料金引き上げは、必ずや一般物価の高騰を誘発し、国民の経済生活を圧迫することは必至であります。  政府は、今回の郵便料金値上げについては、郵便料金は家計費総支出のわずか〇・一四%を占めるにすぎず、また、物価に及ぼす影響は微々たるものであるなどと、全く国民大衆の実生活を顧みない言辞を弄しているのでありますが、郵便料金値上げが他の物価を刺激し、便乗値上げを招くこととなるのであります。物価上昇の誘因となる郵便料金引き上げ案はとうていこれを容認することはできません。  次に、今回の改正案におきましては、第三種郵便物料金については、いわゆる政策料金として原価を割る低料金を設定しているのであります。その結果は、今後年間数十億の赤字を生ずることは明らかでありますが、このような政策料金によって生じた赤字を、一般利用者が負担するのはきわめて不公平であり、これは当然一般会計から繰り入れられるべきものであります。政府は、郵便事業経営上発生した赤字を補てんする方法として郵便料金引き上げのみを考えているのでありますが、これは郵便事業の独立採算制を不動の鉄則かのごとく盲信しているからにほかならないのであります。  わが党は、郵便料金引き上げが物価に及ぼす影響や赤字源の性質等から見て、今回の赤字は一般会計から繰り入れるか、または郵便貯金特別会計の剰余金、あるいはまた、郵便貯金の資金を効率的に運用して得た増収分をもって補てんすべきではないか等の手段をあげて、しばしば政府に独立採算制の検討方を迫ったのでありますが、政府はあくまでも独立採算制を基盤とする郵便料金引き上げを敢行しようとしているのであります。わが党は、かかる基盤に立つ料金引き上げに絶対に反対するものであります。  次に、今回の料金改正案の内容につきましても多くの不合理さが認められるのであります。独立採算制のたてまえに徹するならば、収支均衡の原則に基づき、原価を基準とする料金を設定することが適当であるのであります。しかるに、単位原価から黒字を生じている書状、書留その他の特殊取り扱い郵便物に対して料金引き上げを行なっているのであります。また、単位原価から相当大幅な赤字を生じている第三種郵便物に対しては、低料扱い料金については一円を値上げし、その他のものについては現行どおりの料金としているのであります。これはまさに一部の大量利用者が負担すべき料金を一般利用者が負担するという不合理さを如実に示しているのであります。かかる料金改正は断じて排除しなければなりません。  次に、今回の改正案に盛られた制度関係についても遺憾な点があるのであります。第一に、郵政審議会から答申された郵便料金基準の明確化、第三種郵便物審査基準の明定等について配慮のあとが認められないのであります。第二に、郵便物の容積及び重量制限の強化等は利用条件を低下させるものであります。第三に、今回の改正により、第五種郵便物は第一種郵便物に統合され、従来のダイレクトメール等は第一種になりますので、今後、経済界の興隆に伴い、定形郵便物として多数の差し出しが予想され、このため、本来の高等信である書状、はがき等の迅速な送達が阻害されるおそれがあるのにもかかわらず、これら高等信の優先送達について何らの配慮がなされていないのであります。第四に、現金等封入の郵便物を差し出し人に還付する場合、制裁的な意味合いで、現在徴収していない書留料を徴収することは妥当でないと思われるのであります。これは、周知の徹底をはかり、規則違反の差し出しを是正させるべきであります。  最後に、わが党が、郵便事業の合理的、経済的運営に資するため、従来しばしば提案している小局管理機能の集約化について、依然として何ら具体的な積極的な施策のあとが見られないことはまことに遺憾とするところであります。郵便事業が財政的に逼迫し、赤字補てんのために今回の料金引き上げを企図しているにもかかわらず、小局経営方式の改善をはかる管理機能の集約化について真剣な検討を加えなければ、今後においても赤字の累積はとうてい免れることはできないのであります。わが党は、重ねてこの集約化を積極的に推進されることを切望するものであります。  以上述べましたとおり、今回の郵便法改正案は、最も排撃すべき郵便料金引き上げをおもな内容とし、また、その他の事項についても賛意を表しがたいものがあります。わが党は、政府原案に対し反対するものであることを表明して、私の討論を終わります。(拍手)
  354. 砂原格

    砂原委員長 服部安司君。
  355. 服部安司

    ○服部委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意を表明するものであります。  この郵便法改正法案は、政府の提案理由にもありますとおり、郵便事業の円滑な運営と、これに要する財源を確保するため、郵便物の種類体系等を整備し、料金改定するとともに、サービスの改善をはかりつつ、事業近代化の基盤を整備しようとするものであります。今日、郵便事業の実情を見まするに、近時、郵便利用の飛躍的な発展の結果として、いまや郵便事業は創業以来最大の転換期に直面している今日においては、事業財政の上に困難が加わる一方、制度上においても実情との食い違いが目立つに至っているのであります。郵便事業の近代化はかかる事情のもとに推進されようとしているのでありまして、政府がこの大きな課題に真剣に取り組もうとしていることはまさに時宜に適した措置と考えるのであります。  今回の改正案については、その内容に郵便料金の全面的な改正が含まれているため、この点に触れてとかくの批判がありますが、経済発展の基礎をなす公共企業の経営を不安定のまま放置することはとうてい許されないところであります。たとえ国民に若干の負担増を求めることになるとしても、これらの企業の経営を健全にし、安定したサービスを確保することが何よりも必要であり、またこれが恒久的な物価安定に期するゆえんでもあろうと存じます。また、今回の料金改定の物価へ及ぼす影響について見ましても、郵便料金の生計費に占める割合がわずかに〇・一四%にすぎないことからして、直接の波及効果はごく軽微なものと思われます。各種料金間のバランスも適当であり、郵便料金の大宗をなす第一種及び第二種の料金が十五年間も据え置かれてきた事情等をも勘案すれば、これはおおむね妥当な改定といえるでありましょう。  この料金改定に関して、一部には一般会計等から所要経費の繰り入れを行なうことなどによって値上げ回避をはかるべきであるとの議論もありますが、かかるびほう的な政策は事業の主体性を失わせるばかりでなく、事業の活力そのものまで枯渇させるおそれがあり、また、これは形こそ違え国民の負担であることに変わりはなく、郵政事業の将来のためにも、国民全体の利益の上からも、とるべき手段ではないと考えるのであります。かかる見地から、われわれは多少の料金引き上げをやむなしと考えると同時に、この料金改定が国民に何をもたらすかを重視したいと思うのであります。  すなわち、この改正案においては通常郵便物の種類体系等の改正料金改定と並ぶ大きな柱となっております。この種類体系等の改正は機械化の導入を前提としたものでありまして、郵政当局は、この機械化計画のほか、事業財政の改善を待って、郵便物の航空機搭載、専用自動車便の増強等による送達の迅速化、局舎の近代化、速達範囲の拡大をはかり、また郵便はがきも国際規格に合わせて大きくするなど、各般にわたってサービスの改善を行なおうとしております。これら一連のサービス改善計画は、郵便事業に対する国民の要望にこたえようとするもので、当局の意図は大いに了とすべきであります。  改正案には、前述の二大改正事項のほか、郵便物の容積、重量の制限の改正、簡易書留制度及び割引料金制度の創設、被災地あて小包郵便物料金免除、書き損じ郵便はがきの交換制度の新設などの改正事項がありますが、これらはいずれも適当な配慮として納得できるところであります。  以上の判断を総合して、わが党はこの政府提案の郵便法の一部を改正する法律案に対し賛成いたすものでありますが、最後に一言、政府当局に希望を申し上げておきたいと存じます。  あらためて申し上げるまでもなく、今日、郵便事業に対する国民の最も切実な願いは、郵便の送達が正確迅速に行なわれることであります。当局がこの国民の切望にこたえるべきであることは、法改正のいかんにかかわるものではないのでありますが、ことに今回の改正のごとく料金の負担を増大し、利用条件に制約を加え、国民の協力を求めようとする場合においては、一そうその責任を痛感すべきであります。今後、この法律の施行にあたっては、その責務を自覚し、郵便事業運営の正常化につき、総力をあげて努力されるよう要望して、私の討論を終わります。(拍手)
  356. 砂原格

  357. 佐々木良作

    ○佐々木(良)委員 ただいま議題となっております郵便法の一部改正法案に対しまして、私は民社党の立場から反対の意向を明らかにいたしたいと存じます。  すでに、賛否両論が具体的に申されておりますので、内容は省略いたしますが、第一点は、今度の値上げ計画を中心とする事業計画がはなはだずさんでありまして、国民を納得させるに十分なる内容を持っておらないという点であります。  それから第二番目は、いま服部君からいろいろ話が出ましたけれども、この計画の中に、遅配、欠配を中心とするところの現在の郵便に対しまして、国民の大きな不満と不安を解消すべき積極的な内容をわれわれは理解することができないという点であります。われわれは値上げをする限りにおきましては、あくまでもこれからはこういうふうに郵便がよくなるというめどが明確につかない限り、国民に料金の高さを要求することはできない、こういうふうに思うからであります。  第三番目は、これは郵政大臣に特別私は申し上げておきたいと思いますが、今度の料金値上げを中心とする改定に対しまして、ほとんど政治としての配慮がなされておらないという点であります。惰性のごとく事務的に、赤字が累積されてしかたがないから料金を上げてこれを解消する、こういうことでありまして、いやしくも国家事業として郵便法第一条に盛られておるところの理想を達成するだけの覚悟をもってこの問題に政府は対処されておらない。先ほど栗原君からの討論にありましたとおりに、御承知のごとく、いま政府は最大に取り組んでおりますところの物価問題に対して必ずしも成功をおさめておりません。むしろ物価問題はさかさまの方向で、失敗の方向を進みつつあるがごとき状態にあるわけであります。この際におきまして、この一般の物価を高騰せしめることに役立つような郵便料金値上げに取り組むことは、少なくとも政治的な立場から私は慎まなければならない。郵便法の一条は明確に——これはあげ足をとるようでありますけれども郵便の事業はなるべく安い料金でやらなければならぬという理想を掲げられております。なるべく安い料金でということは、これは利用者側、国民側のことばであります。使うほうのことばでありまして、事業をやるほうのことばではございません。したがって、料金というものに対しましては、国民の側で、いまは負担能力が十分であるかないか、いまは一般的に国民生活のためには、これは押えるべきものであるとか、そういう政治的な配慮が、私は最大になされなければならぬわけだと思います。したがいまして、個々の上げなければならないような理由があったといたしましても、目下のところ、朝野こぞって一般物価の高騰に対しまして、最大の物価対策が、これが政治の最大の課題でありまする限り、今回は料金値上げなどはすべきものではない、こういうふうに判断をするわけであります。政府の猛省を促しまして、反対討論を終わります。(拍手)
  358. 砂原格

    砂原委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより、採決に入ります。  郵便法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の御起立を願います。   〔賛成者起立〕
  359. 砂原格

    砂原委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  360. 砂原格

    砂原委員長 この際、森本靖君から発言を求められておりますので、これを許します。森本靖君。
  361. 森本靖

    森本委員 ただいま郵便法の一部を改正する法律案が、本委員会において残念ながら可決されたのでございまするが、私外日本社会党所属の委員九名は、この改正案に、先ほどの討論で明らかにしたとおり絶対に反対でございます。  本案については、郵便料金引き上げによって国民の負担が増大することのほか、利用条件の制約が加わるなどの点よりいたしまして、郵便法趣旨に照らして不都合と認められますので、国会法第五十四条に基づき少数意見報告をいたしたいと存じまするから、委員長においてしかるべくお取り計らいをお願いをいたします。     —————————————
  362. 砂原格

    砂原委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  363. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  364. 砂原格

    砂原委員長 郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。郡郵政大臣
  365. 郡祐一

    郡国務大臣 非常に慎重な御審議をいただきまして、ただいま郵便法の一部改正案の御可決をいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。  この委員会の御審議を通じまして承りました御意見、御議論、こうした点はことごとく私どもに深い教えとして拝聴いたしましたし、これをそれぞれ今後の郵政行政の上に具現してまいりまして、委員会の御審議におこたえ申し上げたいと思います。  重ねてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
  366. 砂原格

    砂原委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二分散会      ————◇—————   〔参照〕    逓信委員会現地調査会記録      ————◇————— 一、期日及び場所    昭和四十一年四月十六日(土)    大阪市(大阪府庁別館会議室) 二、案件    郵便法の一部を改正する法律案内閣提出    第三一号) 三、出席者  (1) 派遣委員         団     長         (逓信委員長) 砂原  格君                 加藤常太郎君                 金丸  信君                 佐藤洋之助君                 畑   和君                 森本  靖君  (2) 現地参加逓信委員                 栗山 礼行君  (3) 政府側出席者         郵政政務次官  亀岡 高夫君         郵政大臣官房長 鶴岡  寛君         郵政省郵務局長 長田 裕二君         郵政省経理局長 淺野 賢澄君  (4) 意見陳述者     (発言順)         日赤奉仕団婦人         部長      美延よし子君         主     婦 藤田  壽君         神戸大学教授  竹中 龍雄君         大阪市立大学教         授       小野 義彦君         兼松株式会社顧         問       内藤卯三郎君         総評大阪地評事         務局長     帖佐 義行君  (5) その他の出席者         衆議院逓信委員         会専門員    水田  誠君     —————————————    午前十時十二分開会
  367. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) これより衆議院逓信委員会現地調査会を開催いたします。  私が委員長砂原格でございます。申し合わせによりまして、私がこの会議の座長をつとめますので、よろしくお願いを申し上げます。  まず、私から派遣委員を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。この会議におきましては、内閣提出にかかる郵便法の一部を改正する法律案について、各界の代表の御意見を伺うことになっておりますが、御意見をお述べいただく前に、この会議の開催趣旨並びに運営方針等について申し上げたいと存じます。  この会議は、先ほど申し上げました郵便法の一部を改正する法律案の審査の参考に資するために、衆議院逓信委員会が成規の手続によって当地の御意見をつぶさにお聞きするため開催されるに至ったものであります。  本法律案は、郵便事業の円滑な運営とこれに要する財源を確保する等の理由に基づいて郵便物の種類、体系等の整備及び郵便料金改定等を行なわんとする改正案として、去る二月二日内閣より衆議院に提出されたものでありますが、国民生活上不可欠の郵便サービスに関する重要議案でありまして、本会議における趣旨説明の後逓信委員会に付託され、目下当委員会において鋭意審査中のものであります。  御意見陳述される方々には、本日は御多忙中のところこの会議に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。以上の趣旨をおくみ取りくださいまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。  それでは、まず本日の出席者を紹介いたします。私の左側に、自由民主党の佐藤洋之助君、同じく加藤常太郎君、同じく金丸信君、私の右側が、日本社会党の森本靖君。同じく畑和君。民主社会党の栗山礼行君であります。  本日各界を代表して意見を述べていただく方々を御紹介申し上げます。向かって左側から、日赤奉任団婦人部長美延よし子君、神戸大学教授竹中龍雄君、兼松株式会社技術顧問内藤卯三郎君、主婦藤田壽君、大阪市立大学教授小野義彦君、総評大阪地評事務局長帖佐義行君、以上の方々でございます。  なお、衆議院より水田逓信委員会専門員、郵政省から亀岡郵政政務次官長田郵務局長、淺野経理局長、鶴岡官房長が出席いたしております。  次に、出席されております方々に、あらかじめ申し上げておきます。この会議の運営につきましては、会議開催要領を理事会において決定し、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則、議事手続に準拠して行なうことにいたしております。つきましては、議事の整理、秩序の保持は、団長であります私が行なうものといたし、傍聴につきましても、報道の任に当たられる方々、その他の方々で、特に団長の許可を得られた方々のみこの会場にお入りになっておるわけでありますが、傍聴の方々もその点を御了承の上、静粛にお願いを申し上げます。  なお、念のため申し上げておきますが、発言をなさる方々は、必ず座長の許しを得て発言をしていただくことといたしております。  また、この会議におきましては、御意見陳述される方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知を願っておきます。  次に、会議の順序を簡単に申し上げますと、まず、各意見陳述者から順次御意見をお述べいただき、そのあとで、委員の側から質疑が行なわれることになっております。したがいまして、時間の関係上、御意見陳述の時間はお一人おおむね十分程度にお願いいたしたいと存じます。また、発言の順序は座長においてきめさせていただきます。  それでは、美延よし子君。
  368. 美延よし子

    ○美延よし子君 私は郵便法について詳しくはわかりませんが、一家庭の主婦として、また一利用者として、僭越ながら私の個人の意見を申し述べさしていただいて、皆さまの御参考にしていただきたいと存じます。  公共料金値上げにはほんとうは反対したいのでございますが、現在の郵便業務を見ると、反対ばかりしておられないような気持ちでございます。諸物価が値上がりする中で、昭和二十六年以来十五年間、第一種及び第二種郵便物料金据え置きしたこと、また人件費が八〇%以上を占めていること、郵便物の急増などで昭和四十年までに五十六億円の赤字に達しているそうでございます。  大都市の周辺などで急速に発展している場所には新設の局舎もぜひ必要であるし、また古い郵便局の中にも、時代の発展におくれて狭隘化し、老朽化して、従業員の方々の機能も十分に発揮できなくてますます混雑に拍車をかけている局舎もございます。文化国家として生活水準が高くなると、世はまさに宣伝時代ということばのとおり、ダイレクトメールなどが著しく増加して、郵政業務は繁雑になるばかりでございます。  郵便事業は独立採算制でまかなうべきであると存じますが、郵政審議会答申にも明らかでありますように、少しぐらいの値上げは認めて、局舎の設備改善に、増改築に、要員の確保に最善を尽くしてサービスの向上につとめ、合理化をはかり、全国の主要都市にあてた郵便は必ず翌日配達できるようスピードアップして、二、三年前の不名誉を挽回してもらったほうがいいのではないでしょうか。郵便業務は、他の事業のように全部を機械化するわけにいかないから、外務員の増加は必ず必要になり、したがって人件費の増加もまた必然でございましょう。審議会の答申に沿うてできる限りは機械化して、封筒の規格の統一などぜひ研究して早急に実行するのがいい方法だと存じます。高層ビルや団地アパートなどでは、一階に郵便受けを必ず備えつけて郵便外務員の仕事に協力して、能率の向上に私ども利用者側も協力してあげたらどうでございましょうか。この件は昭和四十二年十二月三十一日までの猶予期間があるように郵便法の一部改正法律案の提案理由の説明資料で拝見いたしましたが、こういうことはもっと猶予期間を短縮して、一日も早く実行してもらうよう呼びかけてもいいのではございませんでしょうか。私ども利用者に、各戸に住所氏名の表示を必ず実行して配達業務に協力するよう各機関を通じて呼びかけるのも急務であると存じます。これは郵便業務だけでなくあらゆる方面で便利なことでございますから、ぜひ研究して、実現してもらいたいものだと切望いたします。新しい外務員の方が、表札がなくて困っておられるのをよく見かけることがございます。また、正しいあて名の場合でも、郵便が混雑しているときなど返送される場合もございます。受信人のあて名をわかりやすく明記することを利用者の方々に徹底さすようにPRするのも、郵便事務のスムーズな運営の大事な方法だと存じます。  最近に私が調査した近所の中小企業に働くサラリーマンの十家庭の平均したデータを申し上げて御参考に供したいと存じます。月収手取り三万七千円といたしまして、三万七千円収入支出の内訳が、住居費が五千円、光熱費、ガス、水道、電気等二千五百円、主食費五千六百円、副食費九千円、教育費二千二百円、交際費千三百円、主人小づかい(昼食費とも)三千円、子供小づかい五百円、貯金、積み立て、保健等二千五百円。被服費千九百円、教養費千五十円、交通費千六百円、雑費八百円、通信費(はがき六枚、封書二通)五十円、締め三万七千円でございます。以上は夫婦と小学生の子供二人と四人家族を標準にいたしました。この表で見ますと、通信費は〇・一三%ぐらいでございます。総理府統計局の昭和三十九年の家計調査では、通信費が〇・一四%となっております。そこで、このたびのはがきが七円に、封書が十五円に値上げいたしましても、先ほど申し上げた平均家計の〇・一七%ぐらいになる計算でございますから、家計にたいした影響がないのではございませんでしょうか。  郵便及びそのほかの公営事業は、国民みんなの事業として関心を持って育てる気持ちにならなければいけないのではございませんでしょうか。安く、早く、正確で、信用のおける郵便とするために、郵政当局の努力はもちろん、私ども利用者側も協力することが大事であると存じます。  最後に、この法案が成立、実施されまして、一般国民へのサービスの向上と経営の合理化が実現してこそ利用者が納得できるのではございませんでしょうか。以上。(拍手)
  369. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) ありがとうございました。  次は藤田壽君。
  370. 藤田壽

    ○藤田壽君 私たちのように毎日世帯のやりくりに苦労しております主婦にとりまして、最近のあれもこれもと続きます物価の値上がりに対しましては、一体これからどうやって生活していけばよいのかと、とほうにくれた暗い気持ちになっております。昨年に引き続きましてことしも、お正月早々からお米代の値上げ、私鉄運賃、国鉄運賃と、年が明けてまだ三月しかたっておりませんのに、また昨日は健保料率の引き上げもきまりましたし、このような公共料金の矢つぎばやの値上げには全く肝をつぶしております。このたびの郵便料の値上げが問題になっておりますが、私たちが最もおそれますことは、このような公共料金値上げは必ず他のもろもろの物価の値上げをつり上げるからでございます。それと、独立的な事業ですから、この店は高いから一円でも安いあの店で買おうという選択の自由のないもので、これまでいろいろの物価の値上がりであえぎあえぎして生活しておりますときに、またそれに追い打ちをかけるこのたびの郵便料金値上げにはどうしても反対せざるを得ません。  第二にあげたいことは、詳しい事情もわかりにくい大衆にはいつも、たいした値上ではありませんと呼びかけて、実は最も大きい負担をかけるということです。たとえば国鉄運賃のときにも、値上げ平均は二五%と聞いておりましたけれども、ちょっと経験してみますと、すぐ五〇%、六〇%という大幅値上げになっていることが多いのに驚きました。これも、貨物の赤字を旅客部門の黒字で埋める方法がとられたからだといわれております。今度の郵便料金値上げ計画でも、約二九%値上げといわれておりますが、大衆が一番利用いたします書状が五〇%、はがきが四〇%、速達が六六%と、たいへん大幅な値上げになっております。資料によりましても、毎年郵便物数が自然増加八%ぐらいで、これらの第一種、第二種のものは黒字であって、政府の政治的資料では、自然増を半分ぐらいに押えて、ちょうどあたかも書状やはがきが赤字の原因であるかのような印象を与えられているような表現になっているのは残念だと思います。書状とか小包料とか速達について主婦が感じておりますことは、きのうも道である主婦に会いましたら、ほんとうに五円の値上げなんて全く問題にならない人たちがこうやってどんどん値上げするのねえ、いままで十円で楽しい手紙のやりとりもしていたのにそれもなかなかできなくなる、とたいへん悲しそうでございました。  また、小包料が四〇%上がりますが、私たちは、いろいろ生活難のおりから、親子とか友人間などで、手づくりのものを送ったり、少々余分のものがありますとそれを送り合って生活を助けておりますが、こうなりますと、中身よりも小包料が高くつくということになり、あたたかい人間的なつながりもなかなか簡単にはできにくくなると思います。  また、速達が六六%に上がりますについて、最近は定員不足からくるかどうかいろいろな原因と思われますけれども、せっかく出した手紙がいつ先方に着くかわからないということが多かったことがございまして、以来、それと世の中全体がいろいろ複雑に忙しくなりましたために、どの家庭でも速達を使うことがたいへん多くなっておりますが、六六%の値上げでは、はがき一枚でも五十七円という大幅な値上げになるわけでございます。  第三に、三種の定期刊行物とか新聞、雑誌、点字などのものは、こういうものは社会政策的なものや文化政策的なもので、郵便事業そのものが公共事業でありますならば、今度の値上げによってこれらの赤字は埋めることができないといわれておりますし、独立採算方式でなく、これらのものは一般会計から補っていただきたいと思います。  また、政府は郵便料金の生活費に占める割合はわずか〇・一四%だからたいしたことはないといわれますが、これもいろんなものの値上げが一切がっさい合算していろいろの家庭の生活費にのしかかってまいりますから、主婦としてはたいへん困るわけでございます。それと、政府はいつもいろんな演説で、不況の克服と物価安定とを強行する、強力に推し進めると繰り返し繰り返し強調されておりますので、このように次々と公共料金を上げられますこととはどうも矛盾が多いように主婦には思われるわけでございます。  で、このごろのように物価上昇に見合わない収入は低収入になりますので、まじめに子供を育て、教育していこうとします母親たちは、最近では何らかの形で内職をせざるを得ませんし、健康に生きるために必要な食生活そのものの内容も落とさざるを得ない状態に立ち至っております。それと、物価値上げ反対の主婦の声は相当政府にも届いていると思われますが、それに対しまして納得のいく対策がない。いつも値上げ攻勢が続きますことに、主婦はたいへん不満に思っております。(拍手)
  371. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) ありがとうございました。  次は竹中龍雄君。
  372. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 郵便物料金昭和二十六年に全面的な改正が行なわれて以来、昭和三十六年に第三種及び第五種郵便物等の料金について若干の調整を加えられたほか改正が行なわれず、書状及びはがきの料金は今日まで据え置かれていますが、昭和四十年度は当初予算においてすでに五十六億円の収入不足を生じているのみならず、このまま経過すると、来年度以降引き続き相当額の赤字が予想されるので、料金改定を試みているのは一応妥当といえます。  ここで問題となる第一点は、いままでの郵便事業の経営に対し改善を加える余地があり、またその必要が認められるということです。政府は、改善の必要を痛感し、調査委員会を設け、すでに郵政審議会から郵便事業近代化に関する答申郵便事業財政の改善方策に関する答申を受け、その実行に努力されていますから、料金引き上げの額をできるだけ減縮するよう努力されています。今後引き続きこの点について一そうの努力が行なわれるものと信じるとともに、それを切望します。  第二は、単に赤字解消を問題とせず、料金体系の合理化をあわせ行なう必要がないかということです。ところがわが国の従来の郵便料金体系は、政策的配慮に力を入れ過ぎ、コストに対する配慮に欠陥が認められます。そのため、郵便事業の経済的独立採算制度の維持及び純化と矛盾する点が相当にあります。昭和三十六年の改正においてこの点につき一部の改善が試みられましたが、今回これと本格的に取り組んでいるのは大きな進歩と思います。この仕事は大事業で、一ぺんに完全なものはでき上がるわけではございませんから、試行錯誤を経てりっぱなものをつくり上げたい。その第一歩として、改正案は全体的にいうと適当であると考えます。  第三に、郵便料金を初めとして公益企業料金を長期間安定することが望ましいのは申すまでもありませんが、安定した料金は、健全にして安定した経営を基盤に持っていることが大切であります。もしも安定した料金が不健全な経営や不安定な経営の犠牲の上に立っているとしたら、このような料金は決して望ましくありません。今回の郵便法の一部改正案は、単純な料金レベルの引き上げにとどめないで、郵便事業の経営の合理化と安定化に努力し、それを郵便料金の構成の改革と競合しているのは大きな進歩で、敬意を表します。その例はいろいろのところにあらわれていますが、時間が制約されていますから一つ一つ取り上げて言うことはやめます。ただ一例だけをあげますと、経営を安定化してコストを下げるとともに、サービスの完全に役立てるために割引制度を導入しているのは賛成です。ここで問題となるのは、割引率についての検討と注意ですが、そこまで立ち入って説明する時間的余裕がありません。一般的にいうと、わが国の郵便事業の運営においてはマネージメント的なアプローチが他の公企業と比較しておくれており、劣っています。今後この点に対し一大改善を加えることを切望します。郵便事業近代化に対する答申はこの点で非常に参考になりますが、依然として欠陥が認められます。これについては時間があったらあとで再び論及します。  第三点はサービスの改善の問題であります。低料金がサービスの犠牲のもとで維持されているとしたら、そのような低料金は歓迎できません。また、料金の表面的安定がサービスの低下を黙認することによって維持されている場合には、そのような表面的な安定料金は適正料金とはいえません。いうまでもなく料金引き上げ最低限サービスの維持を必要とし、通常はサービスの改善を伴うことが要望されます。今回の料金改定は、このような条件を一応満たしています。ただその内容の吟味が必要となりますが、ここではそこまで立ち入って分析する余裕がありません。わが国の郵便事業のサービスの現状は改善を必要とするところが多く、改正案がその点に積極的に取り組む第一歩を踏み出しているのはうれしく思います。サービスの改善はなお料金体系の改正と結合して行なう必要があり、またその余地があることはあります。今度の郵便法の一部改正はこれを行なっており、本法案の進歩性が認められます。その内容も、全体的にいえば一応是認できます。ただ、部分的に研究を要すると思いますが、陳述人はその研究を完成しているわけではありませんから、ここに積極的に意見を述べることはいたしません。これを一つの手がかりとして実施に移した結果、さらに改正すべき点、補正すべき点を注意深くフォローし、反省して、腰を据えて継続的に改善の努力を重ねられることを望みます。  第四は時期の問題であります。一般的にいうと、公企業にあっては料金その他の改正が後手後手に回り、すでに発生している問題の処理にのみ追われる危険があります。それは誤りであって、常に先を見通して先手を取った経営を行なう必要があります。これが公企業のほんとうの姿です。郵便事業のごとく世界的に官庁形態を取っている公企業にあっては、その経営が事後的になる危険が多くあります。わが国の郵便事業も残念ながらその例外になっておりません。今回の改正も事後的なものである傾きがあります。料金値上げは消費者にとっては避けたいのが人情ですが、長期的に見ると、経営を近代化し、合理化することが、結局料金をできるだけ安くし、安定化させるゆえんです。ゆえに私は、今回の料金改定を認めることによって経営の近代他と合理化に努力する有力な手がかりを与え、前向きのほんとうの公企業らしい経営の実行を今後監視していきたいと思います。  今回の改正案にはこのような経営の近代化と合理化を行なう多くの具体案が含まれていますから、それを促進したく考えます。いまもし必要最低限を割るような要求を強いますと、経営の合理化が阻害され、安定化が危うくなり、多くのひずみを伴生する危険があります。過去にわれわれが犯した誤りを再び繰り返すことは厳に避けねばなりません。  次に、物価の動きとの関係、他の種の公企業料金や公営企業料金との関係について、時期がはたして適切であるかいなかが問題であります。事前的措置の場合にはこの点について十分の配慮をすることができますが、今回のごとくどちらかといえば事後的な措置の場合には、適切な処理は事実上大きく制約されます。この点については問題とすべき点があまりに多いので、深く立ち入って説明することはできません。  今回の改正案は、郵政審議会郵便事業財政の改善方策に関する答申を尊重され、それを具体化することに努力されています。陳述人は、審議会の答申は一般的にいうとよくできていると思います。ゆえに、その線に沿った改正案は賛成です。ただ、ここに注意を要するのは、両者は完全に一致しているわけではなく、若干の差異が認められます。その修正がすべて不適切であるというのではなくて、改善が認められるのはいうまでもありませんけれども、修正を加える場合に注意を要する重要問題を指摘します。  料金レベルに政策的考慮から修正を加えることについては問題が少ないのでありますが、料金体系に修正を加える場合にはより一そうの注意を要します。料金体系が経済的独立採算制を前提としてコストを尊重して構成され、それが科学化され合理化されている場合特にそうです。このような場合、行政上の便宜や政治的取引から修正を加えますと、独立採算制がこの点からくずれてきたり、体系を支持している基礎理論が破壊されたりします。いわんや部分的修正はその限度に対する反省があまり注意されないで行き過ぎにおちいる危険があります。郵便事業は過去そのような実例を有していますから、この注意は一そう重大な意味を持ちます。もちろん過去の体系は、政策料金が支柱となっていましたためそのような欠陥を生じたのであり、最近は、コストが重視され、近代的合理化が行なわれていますからそのような可能性は軽減されていますけれども、危険がないとはいえません。一々例をあげることができませんから一例だけを示しますと、第四種に学術雑誌が入っていますが、前回の改正においては学術雑誌に対する配慮が欠け、それに対する十分な研究が行なわれていませんでしたから、今回それを改正したのは適正な措置で、賛成です。ただ、これを第四種に入れる便宜手段をとった結果、第四種の性格があいまいになり、政策料金の寄せ集め、しかもこれは不徹底な行政的便宜措置となっています。答申はこの点一応筋が通っています。このような例は他にも認められます。また、便宜措置はどこまで認められるか、その限度は何かについて研究する必要があります。しかしながら私は、このような研究をすべていま完成しているわけではなく、またそのような仕事は短時日にできるものではありません。ゆえに、時間的余裕のないいま、重大な欠陥が認められない限り、原案を一応認め、その是正と補完の作業が今後継続して力強く進められることを要望します。今回の改正案は経営の合理化に努力し、幾多の具体案を持っていることは非常にけっこうです。  ただ一点強く要望したいのは、法律案の原案になっている郵便事業近代化に関する答申が運営面の合理化を軽く評価している欠陥の是正です。運営面の合理化は、これを分析すると、第一は経営管理の合理化であり、郵便事業はこの点に大きな欠陥が認められます。第二は行政管理の合理化であり、第三は第一のものと第二ものとの総合の合理化です。郵便事業はこの第三の点にも大きな欠陥を包蔵しています。もちろん、答申の主張しているところを第一義的に重点的に行ない、運営の合理化を第二義的に行なうほうが具体案としては適切でしょう。しかし、それは重要性が劣るからではなくて、短時間の間に効果をあげることが困難であり、時間をかけて持続的に行なう必要があるためです。しかし、それだからといって、重要性を見落としたり、その着手の時期を不当におくらせてはなりません。その必要性が大であり、緊急であるだけ、早く着手し、腰を据えて持続的実行をされることを強く望んでやみません。(拍手)
  373. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) ありがとうございます。  次は小野義彦君。
  374. 小野義彦

    ○小野義彦君 私は今次の料金値上げ案については基本的には反対であります。その理由に関しまして、以下およそ四点ないし五点について意見を述べたいと思います。  第一は、今次の料金値上げをどうしても行なわなければならないとするところの根拠に大きな疑問があるという点であります。改正案の提案理由及び郵政審議会答申は、これにつきまして、郵便事業は四十年度において五十六億円の赤字をすでに出しており、今後四十五年までの間におよそ二千百八十億円にものぼる膨大な赤字を生まざるを得ないという推定をしておりまして、この推定に基づいて現在の料金体系を前提にする限り今後引続いて多額の収入不足が見込まれ、したがって値上げはどうしてもやむを得ないものである、というふうに説明をしております。  しかしながらここできわめて問題であると考えますのは、このような四十五年までにわたる今後三年ないし五年間の赤字を想定した根拠でございます。その根拠としましては、答申案についてこれを見ますというと、今後の郵便物物数伸びが急速に低下していく。過去においてはおよそ六ないし七%ぐらい毎年伸びてきたのであるが、今後およそ四%ないし三・五%ぐらいに低下するであろう。物数そのものの伸びも、過去には六億通ないし七億通も伸びておったが、今後は四億通ぐらいの伸びに下がるであろうということを推定しておるということであります。  私は、このような推定は、日本経済の現状及び実績の面から考えてみまして妥当とは思えないのではないかという点を重視するものであります。法律案の一番最後についております郵政省自体の資料郵便物数の伸び率を再検討してみますというと、これはこの数字そのものから私が計算したのでありますが、過去十年の郵便物伸びは、年間平均五億通、年平均伸び率は七・五%になるのであります。それから、十年間が長過ぎるとして最近の五年間だけを取ってみましても、年間の物数伸びが五億七千万通。これを年平均伸び率にいたしましても七・二%という、郵政省及び答申が認めている想定よりもはるかに高いものが出てくるということであります。これから考えますと、郵政省資料及び審議答申の今後の伸び率というものは、過去の実績に根拠を持っていない。もし持っているとすれば、それは三十九年度に見られた物数伸びが三億六千万通、伸び率にして四・二%という過去十年間では特例的に低い、例外的なそれを一般に今後の五年間に主観的にむしろ及ぼしているのではないかというふうに考えられるのでございます。  過去のこの実績を見ますと、たとえば昭和三十三年あるいは三十七年というような不況の年におきましても、郵便物伸びは九・一%及び七・七%というふうに、七%、八%というような高い伸び率が出ております。それから三十九年度にはたとえ四%台に下がったといたしましても、この郵政省自体が見込みとしてあげております四十年度を取ってみますと、九十六億通に達すると郵政省自体が見込んでおるのでありまして、これを伸び率にいたしますと、八・七%と、ほとんど九%に近いものが出てまいります。また物数伸びも八億六千通というものが出ておるのでありまして、御承知のように昭和四十年度というのはこれは戦後最大の不況のあった年でございます。この年においてなお郵政省見通しを二倍も上回る伸び率を示しておるということを考えますと、郵便物伸びということは必ずしも景気変動に直接左右されるものではない。これはむしろ、日本経済全体の外国に比べまして高い成長率と関係があるのではないか。したがって、今後の伸びを四%以下に考えるということは妥当性を持たない。しかるになぜ一体このような低い見通しを立てたのかという点になると、逆に値上げの必要性を明らかにするためには、伸び率を低く押えけなればならない。値上げの口実つくりにむしろなされているんじゃないかという点に疑いを持つものであります。  第二点につきましては、そのように今後三年ないし五年間の物数の増加を故意に、ことさらに低く見積もるということが及ぼす影響であります。そのように伸びを低く見ます場合には、今後の郵便事業における予算要求あるいはその査定ということに際しまして、実際の物数増加はそのような低い見通しよりも高く起こってくる可能性がございますので、実際の物数増加に対応するところの定員の増加ということを著しく困難におとしいれるのではないか。その結果としては、仕事がますます増加するにもかかわらず、定員はふえないということから、しょせん労働強化を招き、サービスの改善ということをうたいながらかえって遅配などの原因をふやすことになるのではないか。答申にうたっているような、主要都市の間の翌日配達であるとか一般郵便物の速達化であるとか確実で早い郵便というこの仕事の実現という趣旨に反する結果をかえって生むおそれがあるんじゃないか。  それから、当然今後の郵便事業を近代化し機械化していく上にはいろんな最新式な自動区分機であるとか自動販売機であるとかいうものを備えつける必要があると思いますけれども、とたえば郵便物を確実に早くするという意味で航空搭載ということを今後強化するという場合にも、もしそのような改善が定員が不足するというような状態でこれが行なわれます場合には、飛行場へ行つてからは早いかもしれないが、飛行場へ行くまでの段階で郵便物が停滞するというような現象がやはり解消できないんじゃないか。この問題につきましては、やはりこのような近代化、機械化に必要な財源というものは、これは資本的な経費でございますので、このようなものを郵便物値上げによって資本的経費をはじき出そうとすること自体は、私は両営事業の本来のあり方からして妥当なものとはいえないと思うのであります。  次に第三点であります。第三点としましては、個々の料率の問題でございますが、特に問題なのは第一種書状と速達料金の大幅な値上げという点であります。この二つは最も大衆的な利用度の高いものであることはいうまでもないのでありまして、書状の値上げ率は、先ほども御指摘がありましたように二十五グラムまで五〇%、これに対して説明書の中には、たとえば五十グラムまでの場合には現行の三十円よりも二十円と下がるというようなことを理由にして値上げを合理化しておるわけでありますけれども、問題は、その利用度が一番低いものにおいて高い。すなわち一番大衆的に利用度の高いものを値上げするという形で、事実上の大衆負担というものをふやすという形になっておるという点は賛成できないのであります。  先ほど藤田氏のほうからも御指摘がありましたが、書状と速達というのは、ちょっと郵政事業について調べてみれば、これは非常な黒字の部門でありまして、この二つでもってともに四〇%ぐらいの黒字全体を負担しておる。両方合わして八〇%もの黒字が第一種と速達によって出ておる。この書状と速達で出た黒字でもって三種以下の赤字をカバーする、こういう仕組みになっておることは明瞭でございます。このように、最も大衆負担率の高いものにおいてそれ以外のものをカバーするというやり方、これは答申がうたっている適正な料金負担という趣旨に反すると考えざるを得ません。  ここで一つ疑問がございますのは、このように三種以下の赤字を大衆負担率の高いものでカバーするというやり方をとっておるのでありますが、そういうふうにしてしかもなお三種は非常な赤字になっておるという現状であります。それは、原因はいうまでもなくこの第三種において特恵的な低料金の扱いが行なわれておるということでありまして、これについて今次審議会の答申ははっきりいっておりますように、百グラムごとに五円というふうに定期刊行物週三回以上のもの、月三回以上のものについては六円というふうに、かなり引き上げ答申しておるわけであります。それ以外のものでも十円、ところがこの答申郵政省自体が無視いたしまして、郵政省自体が答申において六円のものを三円、五円のものをやはり三円、十円のものを六円というふうにことさらに従来どおりの低料扱いというものを行なっておるという点も、これまた料金負担の公平という点から考えましてきわめて大きな問題がある。もちろんこれは新聞、雑誌などの文化的政策的意図に出ておるものということは理解できるのでありますけれども、しかもなおそれを大衆負担の最も高いものにおいてそれを埋めていくというやり方は支持できないのでありまして、このような政策的意図はむしろ一般財源の措置によってこれをまかなうべきものであると考えます。時間がございませんのであと簡単に二点だけつけ加えさしていただきます。  第四点はこの速達に関してでございますが、最近郵便物は通常郵便物自体が速達化してきている。すなわち速達の利用度というものが高まってきている。したがってまた、この速達料金において六〇%以上の値上げをはかるということが最も大きな大衆負担を高めるという措置にならざるを得ないということであります。このこと自体私は実は非常に矛盾を感じますのは、答申の中にもうたってありますように、速達郵便物ではなくて普通の通常郵便物を今後は料金値上げをもし認めてくれた場合には、通常郵便物を航空搭載してこれを事実上の速達化するのだということがうたってあるということと、私はこれは全く矛盾する考え方ではないかと、こう思うのであります。速達料をこのように大幅に上げていきますというと、実はこの趣旨に逆行したことが起こるのでありまして、先にも述べたように、定員が今後あまり増加できないというようなこととからみ合いまして、結果としては普通郵便物は従来のようなやはり遅配が今後も続く。早い郵便物はきわめて値上げ幅の大きい速達料を払ってやらなければならないという矛盾した結果が生ずるおそれがあると考えます。  最後に第五種を廃止した件でございますが、ダイレクトメールなど特恵的な取り扱いを廃止して第一種に統合したということは、実はこのことが企業の過当競争などに激減されて実はいままで国民的な浪費の面を持っておったということを考えますとき、このような浪費を押えるという点で、改善であろうと思います。しかしながらそのような改善も、実はこの改善策をもって大衆負担率の高いものを押えるほうにこれが用いられないで、このような改善をしながら一種、二種、はがきにおいてもあまり大きくないとはいえ二円の値上げであり、あるいは速達というふうな高い分野の値上げを押えることができなかったというのは片手落ちであろうと考えます。以上であります。(拍手)
  375. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) ありがとうございました。  次は内藤卯三郎君。
  376. 内藤卯三郎

    内藤卯三郎君 私は貿易商社の兼松株式会社の顧問内藤でございます。この名簿によりますと、兼松株式会社技術顧問となっておりますが、実質は技術顧問かもわかりませんが、正確には顧問だけでございます。御訂正願います。  今回の郵便法改正に関しまして私も一言見解を述べさしていただきます。  まず最初に貿易商社が利用する通信の実態から申し上げます。貿易商社は商売柄通信を非常によく利用いたします。会社により、また扱い商品によりまして若干の差異はございますが、総合貿易商社における通信費は、大ざっぱに申しまして大体売り上げ高の平均〇・一五%ないし〇・二%を占めております。これは会社総経費の約一五%に相当いたします。人件費が大体総経費の約四〇%ないし四十五%程度といわれていますから、その約三分の一でございます。具体的にこれを金額で申しますと、貿易商社の通信費は、従業員一人当たり一カ月約二万円弱となっております。したがいまして一千人の従業員を有する会社では、一カ月の通信費は約二千万円。これが二千人になりますと一カ月約四千万円見当となるといわれております。通信費とは、もちろん郵便、電信、電話のことでございまして、内国関係はもちろん外国関係も含んでおります。  次に郵便法改正による影響でございますが、貿易商社が利用するこれら通信費の支払い先でございますが、これを支払い先別に見てみますと、国際電信電話、電電公社、郵政省その他となっておりまして、ほぼこの三者が三等分されております。しかし、国際電信電話とそれから電電公社がやや多くて、郵政省その他が若干少ないようでございます。そして郵政省の分は、通信費全体の二七ないし二八%程度というところでございます。もちろん商社によりましてこの割合は必ずしも一様ではございません。そして、郵便といいますと、貿易商社では何と申しましても外国郵便の需要が圧倒的に多いのでございます。そしてその外国郵便の半分が見本やあるいはその他の商品を外国へ発送するための小包料金でございます。本来はこの費用は郵便局を経由して郵便局へ支払うべきものでございますが、料金関係で私たちは比較的安い、有利な航空貨物便をもっぱら利用いたしておりまして、郵便局を通しておりません。したがいまして、これに対する費用はすべて航空会社へ支払っております。ですから郵政省へ実際支払っているのは、その分を差し引いた残りの半分の、約一三ないし一四%というところでございます。しかもその郵便料のうちの約八〇%は外国郵便であり、残りの約二割が内国郵便となるのでございます。これら郵便物を通数で示しますと、外国郵便では、発、受信合わせて従業員一人当たり一日平均一通やや下回っております。内国郵便では、発、受信合わせまして従業員一人当たり一日二通をやや上回るといったところでございます。一方この費用を従業員一人当たりに割り当ててみますと、外国郵便では一カ月一人当たり約二千円。また内国郵便では約五百円というところでございます。そしてこの五百円の部分が今回の郵便法改正、つまり料金値上げの対象となる部分でございます。ですから、その影響するところは比較的少ないのであります。  次に物価との比較でございますが、ところで私が初めて外国の通信の担当を命ぜられましたのは、いまから約四十五年前の大正十年、満十八歳のときでございます。自来今日まで四十五年間、ずっと通信を担当してまいりました。ところでその当時の郵便ですが、手紙が三銭ではがきは一銭五厘でございました。そのころの物価をいま振り返ってみますと、三銭で買えたものは、市電の乗車券一区券とうどん一ぱい、そば一ぱい程度でございます。たばこでは、「蝴蝶」が三銭、「ゴールデンバット」が十本入りで一箱四銭、軍隊の酒保で売っております「ほまれ」というたばこ、二十本入りでございますが、これが五銭。ついでに兵隊の給料でありますが、これは当時兵隊の給料は一日十二銭、ちょうど手紙の三通分でございます。その当時武藤山治さんが代議士に打って出られ、同志会を結成され、どうも兵隊の給料は安すぎる、もう少し上げなきゃいかん、といって大幅に上げられたのが十五銭。一時日給が十五銭になりました。それでも手紙の五通分でございます。  一方外国電報は、英国並びに欧州あて料金は一語一円六十七銭、豪州あて一語は一円六十九銭、南アフリカ及び南米のアルゼンチンあるいはブラジルは二円二、三十銭であったと記憶いたしております。当時一円六十七銭もあれば——これは英国あて一語当たりの電報料金ですが、——お酒が二升買えました。ビールもたしか一本二十銭ぐらいでありました。私の月給は当時三十五円でありましたから、ロンドンあてに二十語の電報を打ちますとそれはちょうど私の一カ月の給料に相当いたしたわけであります。今日手紙は十円、市電は二十円、うどん一ぱい六十円、外国あて電報料では、英国が一語わずか約九十二円、豪州あてが百五十円。しかるにお酒の一級酒が一本七百六十円。また給料は、低い低いといわれながら、高校卒の男子初任給は一カ月一万八千円ないし二万円、女子は一万六千円から一万八千円と上昇いたしております。こう見てきますと、通信費の上昇率がいかに低いかということに気づくわけでございます。そうはいいましても、単位当たりはなるほど低いが、利用度といい物量といい、今日の会社、銀行における企業の通信の利用量は昔とは比較にならないほどふえております。したがいまして、各個人は別としまして、これら企業はいずれも通信費に対し相当な負担を感じていることは事実でございます。  次に郵便法改正につきまして……。さて今回の郵便法改正でございますが、第一種定形と非定形とがございますが、貿易商社に関する限り、これは大きな影響はございません。つまり、定形では、目方によりましてはかえって割安となるものもございます。あるいは利用の方法によっては、利用のしかたによっては、料金はほとんど変わらないように考えております。ただ、これが定形でございますが、この寸法をもう少し大きくしていただいたら非常によかったのでございます。これが長形の二号と申します。この程度ならば非常に便利なんです。たとえばこういうふうな非常によく使われる用紙がそのまますぽっと入る。ところが、定形だったら入らない。ですから、長形二号程度にしていただいたら非常によかった。これですと、わずかに長形の三号と四号しか入らない。また洋形の二号、三号、それから角形ではたった八号しか入りません。ですから、できましたら定形を長形二号程度のものにしていただいたらまことにけっこうだと思います。  次に非定形でございますが、これには若干問題がございます。貿易商社では、船積み関係書類あるいは株式関係書類あるいはいろいろな商売に関する商品の売買に関する書類がございまして、いずれも目方が相当重い。ですからこの分は若干の値上げになることは間違いございません。いま会社で調査いたしておりますが、おそらく三、四割は経費増になるのではないかと考えております。しかしながら問題は、料金ではございません。料金の面よりもむしろ郵便の配達がおくれることのほうがはるかに私たちには大きな問題でございます。貿易商社の取引はほとんど通信で行なわれております。御承知のとおり、外国電報は夕方外国あてに発電いたしますとその返事が必ず翌朝にまいります。それは時差の関係でありまして、日本が夜のときは彼ら、つまり英米は昼間であって、日本が昼間どきは先方は夜間となっております。そんなぐあいで、海外に対するアテンドはいつの場合でも急を要します。外国郵便でも、最近は航空郵便なら三日、四日でニューヨークでもロンドンでも到着いたします。ですから、特に内地の場合、夕方に投函したものは翌朝に必ず配達していただきたい。到着しないと困ることが多いのでございます。ところが現状では、大体まあ到着するだろうということは想像できますが、万一ということがございますので、特に急を要するものはいずれも速達扱いにして出しておりますのが実情でございます。そんなぐあいで、商社の立場といたしましては、少々値上げとなりましても、迅速、確実な配達がなされるならば、みなこの改正案に賛成いたします。  私も仕事の関係でよく方々の郵便局へまいります。また実情もある程度存じております。そしていつも感ずることは、第一に最近のような物量の多いときに、郵便局の職員が足りない。人が足りない。また、局舎がいずれも古くてしかも狭い、狭隘だということであります。人集めするにはどうしても、やっぱりまず寄宿舎あるいは寮の設備が必要でございますが、それがほとんど郵政にございません。それは、郵政省が財源が少ないことを物語っているのではなかろうかと思うのであります。また、狭い局舎、環境の悪い職場での郵便作業、あて先区分や定められた時間内に発送する準備等ですが、これが思うにまかせず、自然それらが郵便のおくれを来たしているのではないでしょうか。今回の改正によりましてこれらがある程度かなえられ、さらに郵便の機械化や航空機搭載、また郵便番号制度の制定、その他いろいろ計画されているやに承っております。料金値上げ必ずしも私たち歓迎するものではございませんが、しかしながら若干の値上げによって設備の増強や環境の浄化あるいは経営の近代化、合理化によりまして郵便作業の正常な運行が確保されますならば、今回の郵便法改正案に私たちは全面賛成いたすものでございます。終わり。(拍手)
  377. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) ありがとうございました。  次は帖佐義行君。
  378. 帖佐義行

    ○帖佐義行君 私は郵便法の一部を改正するこの法律案には絶対に反対であります。私は郵便料金値上げをすることについて意見を申し上げるわけでありますけれども、しかし郵便料金値上げだけの問題ではなしに、これは一連の公共料金その他のあらゆる物価の問題のその一つだというふうに思います。郵便料金の場合を考えてみますと、そのほかのものよりは、その必要度においては便乗したきらいがむしろあるのではないか。内容を見ますと、あるのではないかということを感ぜざるを得ません。  私が申し上げるまでもなく、この四、五年の物価の上昇はすさまじいものでありまして、そのために国民の生活は非常に困っています。これは政府もよく知っていることでありますし、自民党のみなさんも常におっしゃっていることであります。だから佐藤首相も国会で物価を安定させる、こういうようなことを言うのはそのためだというふうに思うのであります。ところがこのことしの一月一日に米価を上げました。日本の古いことばに「一年の計は元旦にあり」ということを言いますが、一月一日に、元旦に、しかも国民の主食である米の値を上げる。佐藤さんは一月元旦に、ことしはひとつ物価を一そう上げてやろう、という計画をお立てになったんだろうというふうに私は思うわけです。それから十五日したら私鉄が上がりました。こうして国鉄が上がり、市電、市バスが上がり、動物園の入園料が上がり、授業料が上がり、こういうふうにしてみますと、国民が申します佐藤物価倍増内閣ということはまさに適切なことばだというふうに私は実は思っておるわけです。  そこで郵便料金の問題について申し上げますと、このような郵便料金だけでなしに、公共料金を上げますときにいつも私どもが政府や当局者から聞きますことは、受益者負担、独立採算ということばです。公営企業だとか公共企業だとかいったようなことばは、もうそのときには消えてなくなって、常に独立採算だと、こういうことなのです。ところが今度の郵便料金の場合を考えてみますと、第一種では非常な黒字を出しているわけです。大衆が最も利用する度の高い一種だとか五種だとかそういったものは非常な黒字を出しておる。それにもかかわらず、これを値上げをしてその他の赤字をカバーするというやり方です。郵政省やその他の話を聞きますと、これは総括的にやってるんだと、こういうふうにいいますけれども、少なくとも受益者負担だ、独立採算だというそういうたてまえからいいますならば、大幅な黒字を出している一種などをあげるのは筋が通らんというふうに私は思うのです。だから私どもは、政府なり当局者なりがいうところの受益者負担だとか独立採算だとかいうことばは、都合のいいときにはそういうことばを使うけれども、実際の本音は、いつも大衆に負担をさして資本に奉仕をしていくというそういう政策の別のことばだと、こういうふうに思わざるを得ません。この郵便料金値上げについては、まさにそのことをば証明をしているというふうに私は思うのです。だからといって、もちろん私は赤字を出している三種だとかその他を値上げせよというのではありません。先ほど小野先生がおっしゃいましたように、そういったようなものについては本来の公共企業、公共性を具現するという意味で、やっぱり一般的に一般会計から出していく。こういうふうにしてもらいたい。こういうふうに思っているわけです。あらゆる物価が上がって非常に国民が生活に苦しんでる。佐藤さんも物価を安定させる、こういうふうに言ってる。こういうことを申し上げましたが、特に公共企業料金というものは、政府なり佐藤さんなりが上げまいと思えば上げないで済むものなんです。ほかの物価のように、需要供給の関係や生産や流通機構や商人の思惑や、そういうことで物価それ自身が動いていく、そういうものではなしに、これは政策ですぐに簡単にとめられるものなのであります。もしほんとうに、物価が上がって国民が苦しんでる、生活を何とかしなくちゃならんということに政策の重点を置くというお考えにお立ちになるとしますならば、公共料金値上げはすぐストップさせることができますし、また、かつて自民党の内閣でもストップをさせたこともありましたし、もちろん、ですから今回の郵便料金などの値上げについてもそれはきわめてできることだということであります。  私はこの機会に強く申し上げたいことは、公共企業に対して受益者負担だとか独立採算だとかいうごまかしの考え方や間違った考え方や、そういったようなことをやめていただいて、公共企業というものについて強く公共性を追求していただきたい。そのことを強調したいというふうに思うのです。そして特に私が申したいと思いますことは、実は独立採算というその考え方の中には、これは御都合によってはいま申し上げましたようにこの独立採算の方針をお捨てになるわけでありますけれども、もっとその考え方の基礎に、実はこれは労働者に対する合理化の攻撃がほんとはその本音ではないかというふうに思っているということであります。  先ほど小野先生が郵便物伸びについての見通しについてお話しがございました。伸び率を低く見たということは、赤字を大きく出して、そして値上げの口実をつくるというようなお話でございましたが、私がもっと強調したいことは、そういうことによって定員を押えていく。賛成をする方の御意見の中に、サービスがどうの配達をもっとよくしてほしいのという御意見がございましたが、実はこのような独立採算の考え方というものは、合理化や労働強化や賃下げや首切りや、そういうものをばほんとうはその底にひめておりますがゆえに、むしろ逆のことになっている。伸び率を低く、ほんとはもっとふえる。定員はふやさない。そういうことになるということであります。この法律案の中にも、露骨にそのようには書いてありませんけれども、そういうことばがにじみ出ているというふうに思います。大阪の市電、市バスの値上げをいたしますときに理事長が大阪市に勧告をしたことばがあります。そのことばには露骨にそのことが出ていました。合理化を強行しなさい。人件費収入のバランスについて考えなさい。こういうような露骨なことがあります。ですから私ども労働組合の者は、合理化といったら労働強化、首切りというふうに実は受け取っております。それが少なくとも今日私どもは実績だというふうに経験をしてきているわけであります。  私は、佐藤さんは物価を安定させると言うけど実は物価を上げる政策を続けているということを申しましたが、これは実は国民大衆を収奪をして資本家に奉仕をしていくという政策だということについてちょっと申し上げたいと思います。  この三月期の各会社の決算報告を読みますと、どの会社報告書にも、鉄鋼にしましても繊維にしましても化学にしましても金属機械にしましても、冒頭に一様に書いてあることがあります。それは何か。——だんだん値上がりがしてきたということで、会社の業績の見通しがよくなったということです。こういうふうに物価が上がっていくということについて資本家は非常に喜んでおります。国民が生活に苦しんでいるとき、自分の会社の製品の値段がだんだん上がっていくということについて喜びにあふれた文章がどの企業の決算報告の中にも冒頭に書いてあります。不況から立ち直ったとか、いろいろ損をしましたけれども製品が持ち直してきましたので来期は配当がもっとよくなるでしょうと、どの報告書にも書いてあります。私たちは賃上げの団体交渉をいたしますときに決算報告書をみんな見るわけでありますが、そういうことが書いてあります。まさにここでは、物価が上がれば国民が困り、資本家がもうかるという、そういう事実が出てきておるのであり、それは物価を上げる政策を取っている、その佐藤さんの政策そのものが基礎にあるということを事実をもって裏書きしているものだというふうに私は思うのであります。  最後に、政府は今度の値上げについて審議会の答申を非常に尊重したといったようなことを申しておりますけれども、事実は全くそうではなくて、値上げを先に決めておいて、審議会に値上げ案を答申さすように圧力を加えたということは、いまやだれも知らないことのない事実だということであります。こまかいことにつきましては、そして具体的なことについては特に小野先生などがお話しになりましたので重複をいたしますから申し上げませんが、このようなやり方はきわめて非民主的であり、陰険だということであります。私はこの法案に絶対に反対をするということを申し上げて私の意見を終わります。(拍手)
  379. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) ありがとうございました。  以上で御意見陳述は終わりました。     —————————————
  380. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) これより委員から質問をいたします。金丸信君。
  381. 金丸信

    金丸(信)委員 本日は大阪郵便法の一部を改正する法律案につきまして公聴会を開きましたところ、参考人にはお忙しいところを御出席願いまして、貴重な御意見を承りましてまことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。  そこで二、三御質問いたしたいと思うのですが、いま帖佐さんからいろいろお話しが出たわけでありますが、郵便事業特別会計ではなくて独立採算制をとっているが、そこで値上げを抑制するためには一般会計から金を出して値上げの補てんをしたらどうかということについてのお考えを、私は竹中先生と小野先生に承りたいと思います。  いま一つ、同じ郵政省の中の郵便貯金の特別会計は、四十年度におきましても約三十億円近い剰余金が出ております。これを郵便事業へ繰り入れたら、今度の郵便料金値上げはしなくてもいいのじゃないかということにつきまして御意見を承りたいと思います。
  382. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) 竹中龍雄君。
  383. 竹中龍雄

    ○竹中龍雄君 お答え申し上げます。  独立採算ということばをよく使われておりますが、この場合に注目を要するのは、二つの異質的なものがあるということです。第一は財政的意味における独立採算と、経済的意味における独立採算でございます。財政的意味における独立採算もやかましくいうといろんなものがあります。それは、一会計年度を独立の原則を前提にした意味における独立採算でありまして、それは昔の国家体制——国家が経済行為、企業経営行為をやらない、公債をいろんな点で積極的に買わない、すなわち経済国家、企業国家、経営国家、公債国家ということをいわれる以前のものと、そういうものが入ってきてから後の段階で違います。たとえば資本予算というような制度を日本でとっておりませんが、そういう予算制度をとっているもとにおける独立採算制度とは違うのであります。で、不完全でございますが、単純な一会計年度独立の原則のもとにおける独立採算の意味郵便事業は使っておらない。特別会計になっておりますからその意味では長期を見ておりますが、完全な意味における資本予算的なものにはなっておりません。ベルギーとかスウェーデンのようなこの方面で確立した制度を持っているところとは違っております。したがってこれは非常に日本的なものでございます。しかし、本来の姿は経済的な独立採算です。経済的な独立採算というのは、単に収支を均衡するのではなくて、収入支出というものは価格を中心にして動いていく、合理的な経済行動を土台にして動いていく、その収入は、ですから価格の意思としていろいろな経済法則に準拠して成立するもの、それが前提になっております。それが前提になっている以上は、支出の経費というものもやはり経済的に妥当するものが入ってくるのでありまして、それ以外のものは実は入ってこないのです。そういうふうに経済的に合理的な活動をやるならば、その企業が長期に生命を持っているゴーイング・コンサーンである以上は収支は均衡いたします。もし均衡しないならばその企業はなくなってしまうよりほかないと思うのであります。  資本主義経済においては危険が非常に多うございます。不測のものが非常に入ってきますから、収支の均衡といいますが、事実上はそういういろいろな要素を入れたゆとりを持っているものであります。危険保険料というようなもの——この内容はやかましく言うとたいへんでございますか、大ざっぱに言ってそういうものも含んでいる意味における独立採算、それが郵便事業のようなものにおける独立採算の本来の姿であって、単に財政的な意味のものではありません。経済法則を無視して、単に財政上の都合で赤字が出たからこれをまかないたいと、そこにいろいろな資金調達の必要から料金の中に加味したいと申しましても、それがもし経済法則と矛盾しておるか、その引き上げが需要供給の法則に違反している場合には、そういう意図を試みましても、現実においてはそういうふうにはなりません。この点が非常に重要でありますが、こういう点が明確になっておらないと思います。郵便事業は独立採算を前提にしているといっておりますが、法律のどこのものにもそういうものは書いてございません。しいて根拠を求めれば郵政事業特別会計でございましょうが、これは郵政事業特別会計でありまして、郵便事業特別会計ではございません。そこで損益計算とかコストの計算というようなものも必ずしも明確にやっておりません。そこで郵便事業でやる原価計算というものはすべて過去計算でありまして、将来計算というものは入っておりません。ですから、それを土台にして将来に適応する料金を決定する場合のコストにするというような点も、実は矛盾なのでございます。そういう点で理論的にいうといろんな矛盾を包蔵しているのでありますが、現実の必要に応じるようにトライ・アンド・エラーで重ねてきて、何とか筋道の通ったものにしているというのが現状でございます。その点をよく理解することが非常に重要ではないかと思います。この点は外国でも必ずしもそういうふうにきちっとしておりませんが、漸次アメリカにしても、イギリスにしても、ドイツにしても、フランスにしてもその方向に向かっておりまして、完全な姿にはまだなっておりませんが、それが基本的な考えであります。  それから貯金、保険との関係でございますが、料金と経営との問題は別だということをお考え願いたいと思うのです。もしも郵便事業と貯金事業と保険事業とを三つ一緒にいたしまして、そこで大ざっぱでありますが収支均衡の経営をやるというのでありますならば、相互の関連を見るということはなり立ちます。しかし郵政行政の中で、そういう企業経営というものを取り出して、明確な立場というものを立ててはおらないと思うのです。いま一応三つ特別会計になっております。その特別会計の内容なり相互関係については、理論的にいうと非常に不正確なものがありますが、とにかく別ものになっているのですから、これを一体にしてどうこうするということはこれはたてまえとしておかしいのでありまして、昭和九年の郵政事業特別会計ができる以前においては、そういうことは事実上行なわれていたと思うのです。かりに三つのものの経営を一本にしてみたといたしましても、料金そのものは、その独立採算の点からするのでありますが、郵便料金郵便についての経済的な見地できまるので、郵便についての価格として決定されるのでありまして、単に収支が均衡するとかどうこうということで決定されるものではありません。公企業とか公益企業の料金というものは大体基本的に四つの機能を持っております。一つは、国民経済的な資源の有効配分の機能であります。一つは、企業経営の能率化をはかる。これは階級的な意味のものではありません、ことばの意味でありませんので、素直な意味にとっての能率の促進、企業経営の能率促進機能であります。それから第三は需給調整機能であります。第四は所得配分機能でありまして、これは本来の姿ではなくて第二次的であります。というのは、郵便事業は所得配分というものを本来の作用にしているのではありませんで、部分的にそういうことをやっている。所得配分の形を合理化するというのには、他により有効なものがございますので、それとの関連がありますが、いま言ったようなもので、そういう角度から郵便事業の本質、特質に基づいて合理的な郵便料がどうかということが決定されます。貯金、保険においてもおのずからそこで決定されるのであります。これは総額だけでなくて、原価だけではなくて、個々料金体系においてはことにそうでございます。この個々料金体系にあらわれてくる経済的な作用というものを無視しまして、単に料金レベルだけでもって収支の均衡を保とうとすることはほんとはおかしいのでありまして、そういう考え方は企業の本質を知らない財政的なものの考え方なんでございます。そういうものがある程度通ってきたということは、郵便事業が独占事業であり、純経済的な要素が少なかったからいいのでございますが、自然にそういうものがふえてきております。三種にしても四種にしても五種にしてもそうです。価格から見て低過ぎるものがぐんぐん伸びてきております。このために全体の需給の均衡が破壊されているのであります。経済的にいえば、安過ぎますから需給が伸びている。もしも経済法則に従ってやるならば、その料金は高くして、そして全体の調整を保っていく。独立採算の立場をとる以上はその価格体系をきめて、その価格体系がコストよりもあるものはより多く、あるものは若干減ると。コスト以上のものの配分についても——このコストという場合には直接費と間接費とありまして、直接費は原則として書くべきでない。間接費——共通費の配分においていろいろな操作ができるのでありますが、そこにもおのずから限度が私はあると思うのであります。そういう意味において、片一方が黒字だから片一方は赤字だと、そういうものを操作せよということは理論的になり立ちませんし、もう一つはゴーイング・コンサーンという見地からいたしましてもおかしい。いまはそういうことをすると、あとでやれるかやれないか、これは保証がございません。  終戦後の公企業の料金を見てみますと、インフレ過程においては、インフレを是正するという意味でいろいろなストップをかけております。もしもそれを是正する以上は、デフレになった場合もやはりそれに従って政策を行なうべきでありますにもかかわらず、デフレのときにはしない。インフレのときだけ公企業料金を政策的に操作するというふうにやってきたことが、各種の事業を実証してはっきりしております。実際的な調査をやったのでそういうことは出ております。そういうことをしますると、そのひずみがあとに出てくる。郵便事業なんかもそういう意味のひずみを若干受けておりますので、そういうひずみを増さないように、またそういう行き過ぎた政策的な配慮はやはり注意して——政策的配慮はけっこうでございますが、おのずからその限度を知り、その内容を正確なものに純化するということが大切であると考えます。
  384. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) ありがとうございました。  小野義彦君。
  385. 小野義彦

    ○小野義彦君 簡単にお答えいたします。私は必ずしもいますぐ一般会計からどうでも手を打たなければならないと、そういう事態だとは必ずしも考えておらないのです。と申しますのは、今日の郵便事業の赤字は、私は特に専門家ではございませんけれども、一とおりの数字を見ただけでも、大体において経常会計における赤字である。この経常会計における赤字というのは、私の見た範囲におきましては、これは料金体系そのものの内部におけるアンバランスというものを考えれば、私はかなりの点でこれは解決できる問題じゃないかと思います。  特にそこで問題なのは、先ほど申しましたように一種と特殊は非常に大きな黒字なんであります。特に赤字が大きいのは三種であり、その他、第五種がいままではあったわけですが、五種については解決されたわけなんですが、そういう点で三種以下の特恵的な低料金扱いの問題を解決していくならば、四十年度における五十六億円程度の赤字は経常会計の範囲内で処理できる。この点からも今次の改正案の内容というものは問題であろうと、こう考えておるわけであります。しかしながら、次に今後の郵便事業の近代化、機械化という問題を考えてまいります場合に、いろんな設備の近代化——切手の自動販売機であるとか、あるいは集配、経営に関する自動機械であるとか、あるいはいろんな車両の整備であるとか、それから航空機搭載に関連したいろんな投資的な費用というものが必要になってまいると思うのでありますが、これまでのところ郵便事業においてはこれらのウェートというものはそれほど大きなものではない。しかし、今後これらが大きくなってくるということで、その財源をはじき出すために値上げということが考えられているとすれば、この点はやはり今後については、一般財源、その他の他の財源による補てんということは、公営事業のたてまえでもって行なわれてしかるべきである、こう考えておるのです。その点についてもう少し、誤解を避けるために申し上げますが、独立採算ということばはどこにも——答申にもどこにも書いてないわけでございますが、しかし精神はやはり独立採算というたてまえで貫かれておるように思うのです。ところがこのたてまえは、私実際に日本の公共事業及び公営事業を見てみます場合に、決して守られてはいない。国鉄においても、電電関係においても、あるいは地方における大阪市なら大阪市の地下鉄事業というものを見ても、これをとうてい経営会計の黒字で資本的費用をまかなっていくということは、これはもう常識から考えてできないにきまっておるわけです、今後の膨大な投資ということを考えればですね。そうすれば当然これは実際には政府の補助金なりいろんな、一般会計なり他の財源からの繰り入れによってこの投資的な費用をまかなってこなきゃならないというのは、これは政府自体が実行しておることなんであって、問題は、そういう独立採算的な考え方が、常に投資に伴って合理化、近代化をやらなきゃいかんという、その合理化を必要とするときにだけこの独立採算制が出てくる。先ほど帖佐氏はきわめて御都合的に独立採算ということばが持ち出されておるというふうに言われましたが、その点ではそのきらいが十分にあると思うのであります。独立採算というのは必ずしも実際に投資的経費をまかなうということはできないのであって、そこから実際はくずれているにもかかわらず、それが持ち出されてくると、それは多くの場合にいわゆる企業合理化的な側面を促進する場合にだけ御都合的に持ち出されてくる。こういうことには私は賛成できないわけであります。この面は、やはりそういう投資的経費につきましては、他の財源からの繰り入れという問題を真剣に考慮しなければ、これは単にこの郵便事業のみならずあらゆる公共事業というものは行き詰まってくる。もしそれをしいて独立採算のたてまえから押えるとすれば、それは当然料金値上げを強制することになり、その料金値上げというものは、実際上は税金を払っている国民からさらに高い料金を取るわけでありますから、二重課税的な性格を持たざるを得ない。こういう点はむしろ財政法上からもきわめて問題ではないだろうかというふうに考えるわけであります。
  386. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) ありがとうございました。  次は森本靖君。
  387. 森本靖

    森本委員 どうもたいへん御苦労さんでございます。非常に参考になりまして心から厚く御礼を申し上げる次第であります。なお時間がありませんのできわめて簡単にお聞きしたいと思いますが、私は美延さんと内藤さんにちょっとお尋ねしたいと思います。  先ほど来竹中さんのほうからいろいろ御意見がありました。この問題については、これは論争をすれば相当まあ理論的な問題になりまして切りがないわけでありますが、ただ美延さんの御意見を聞いておりますと、上がらぬほうが一番いいと、しかし上がってもそのことによって郵便の局舎がよくなり、あるいはまたスピードアップがされ、正確に配達がされるならばそのほうがよろしい、だから私は賛成でございますと、こういう御意見だったわけでありますが、先ほど来論争されておりますように、実は郵便貯金特別会計というものが郵政省にありまして、郵便局は郵便貯金も簡易保険も郵便も一緒にやっておるわけであります。で、いま三十七億円というふうに言われましたが、これは四十一年度に三十七億円でありまして、今年度の四十一年度総合計をいたしますと、約三百二十億円程度というものが郵便貯金特別会計の剰余金として出ておるわけであります。それから簡易生命保険の剰余金が約百八十億円あるわけであります。ところが、この簡易保険については、これはまた生命保険の加入者に還元ということになりまするから別途でありますけれども、この郵便貯金特別会計の剰余金というのは明らかにこれは郵便貯金特別会計の剰余金であります。しかもこの中には年間九億円にも達するところの没収金もあります。御承知のとおり郵便貯金は十年間払い戻しも受け渡しもしなければ、これは国庫に没収になるわけでありますが、それの中には年間九億円という膨大な金額もあるわけでありますが、とりあえずいま物価が非常に上がる、これを何とか押えたいというときにおいて、まあ理屈はいろいろあろうと思いますが、とりあえずこの金を郵便事業特別会計のほうに流用すれば、本年は全然値上げせずとも、いま郵政省計画いたしておりますスピードアップについても、局舎の改善についても完全にでき得ると、こういうことになるわけでありまするが、こういうことであったならば、理屈はともかくとしてですね、学問上の、とにかく庶民の意向としてはそういう金があるならそっちのほうを利用してもらって、郵便料を上げてもらわんほうがましであると、こういうことになりはせぬだろうかと、まあひとつ美延さんの御意見を簡単にお聞きしたい、こう思っておるわけであります。  それから内藤さんにちょっとお聞きしたいと思いますことは、私も実は昭和十一年ごろに船場郵便局におりまして、外国電報を取り扱っておりましたので、当時からの外国電報、それから外国郵便についてはかなり詳しく私も承知をいたしておるわけでありますが、内藤さんも御承知のとおり、当時の通信関係というものはいまの国際電信電話株式会社、さらに日本電信電話公社、さらに現在の郵便というものが全部一緒になった一つの体系になっておったわけでありまして、そうして年間これは相当もうかっておったわけです。もうかっておって、逆に政府に対して納付金を納めなきゃならぬ制度になっておったわけであります。ところが、終戦後これが御承知のとおりアメリカさんの命令によって、一番もうかる国際電電は会社にせられた。それからさらに電信電話については公社にせられた。もうからぬ分の郵政省だけ国営で残された。ところが、その中においていま申し上げましたように郵便貯金については相当の剰余金が出ておる。こういうかっこうにいまなっておるわけでありますが、あなたがおっしゃられた当時の一銭五厘とそれから外国電報のころとは、今日御承知のとおりテレックスの利用その他について、単価も相当変わってきておるわけでありまして、先ほど来述べられた一般物価と通信費との単価については確かに参考になりますけれども、当時の状況といまのいわゆる郵政事業、通信事業の体系というものは全くがらっと変わった状態になっておる。そういう状態において今回この郵便料金値上げされようとしているわけでありまするが、一体昔のようなやり方がいいのか、利用者として現行のようなやり方がいいのか。たとえば国際電電は現に一割以上も配当をしておるわけであります。昔郵政省はこういう配当というものは全然なかったわけであります。そういうもうけがあったならば、一応これは税金という形において政府が徴収し、国民に全部還元をするという方向になっていたわけです。それを——あなたのところの兼松株式会社なんかはおそらく外国電報の非常に利用の多い会社であると思いますが、そういう昔の制度といまの制度についてどういうようにお考えになっておるか。私は必ずしも昔の制度が全部が全部いいとは考えませんけれども、そういう点で今日の通信事業と昔の通信事業とはかなり変わった形になっておる。こういうふうな公益的な問題についてはやはり私は、国際電電あたりも郵便事業と同じような一つの国営的な方式でやるのが一番無難ではなかろうかというふうに考えるわけでありまするが、まあこれは郵便法とは若干違いまするけれども、通信全体の関係からいたしますと非常に関係があるのでお尋ねいたしたわけであります。  それともう一点、今回先ほど来御意見がありましたように第五種がなくなりまして第一種と一緒になっております。そこで非定形の分については二十五円になっておりまするから、一五〇%の値上げになっておるわけでありますが、元逓信省というものは前島密さんが始めて以来、高等信と申しまして、筆書した書状、はがきを一番優先的に取り扱いをするということがもう最大至上の命令になっておるわけですが、ところが、今度はご承知のとおりダイレクトメールとこの第一種の高等信の書状とが一緒になるわけです。そうすると郵政省としても取り扱いが全く一緒になる。そこで近代化、スピードアップということを言っておるけれども、今日のようにダイレクトメールがたくさん出ると、ある程度この二十五円ということによって初めのうちは押えられるかしらぬけれども、デパートあたりでもだんだんもうかってくるとどかっと出しはしないか。その場合に今度のような第五種を一緒にやるということが、おたくのように高等信が早く着かなきゃならぬというところからみると、今回のこの一種、五種の合併についてはかなり私は一般の商社については御迷惑になるのではないか。この点についてお聞かせを願いたい。以上簡単に御質問いたします。
  388. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) 美延よし子君。
  389. 美延よし子

    ○美延よし子君 先ほどから竹中先生もおっしゃいましたとおり、貯金と保険のほうの会計は別途にたいへん黒字になっているそうでございますが、それはいま黒字になっておりましても、各地区に郵便局保険センターというものができております。それは一般の加入者の方々に御便宜をはかって利用していただいていると思います。私も再々これを利用さしていただいている一員でございます。それからまた、そのほうのなには順を追うて加入者のほうに還元したり、またお返ししなければならないお金だと存じます。そういうことでございますから、いま赤字が出たからといってそこへ補てんしたのでは、あとになって同じことを繰り返していくんじゃないかしらと、私、しろうとでございますから、そう思いますんでございますけれども
  390. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) 内藤卯三郎君
  391. 内藤卯三郎

    内藤卯三郎君 お答え申し上げます。ただいま郵便制度——昔の制度といまの制度とはどうかというお話でございますが、私ずっとやっておりますが、今日国際電信電話のサービスが充実したと、非常によくなったと思って喜んでおります。昔ならば電報を打ってもなかなか向こうへ着かないということもあって、通信事情も非常に不安定で困ったんですが、いまお話のようになるほど国際電信電話はもうかったと、もうかったが、そのもうけは国にもお出しになったが、一方の赤字のほうに補てんされておったので、なかなか施設の改善といいますか新しい機械が入らなかった。ところが国際電信電話は独立したときに——私も実はそのお先棒をかついで独立に大きに働いた者でございまして、(笑声)一番最初私がそういったことを陳情し要望したんです。そういう関係がありますので、これは私自身は非常にけっこうだと思います。また日本電信電話公社も独立しましてから非常によくなりました。特に公社になりましてから非常に電話がよくなって、ごらんのように今日日本全国どこへでもダイヤルでいくようになった。これはまた電電公社さんが発足されたからだと思います。一方、郵政省——一番もうからぬ郵政省がどうかということですが、これはね、私もどうもいまの制度がいいかどうかよくわかりませんですが、私はできましたらもうかる外国郵便だけでも公社にしていただいたら……。(笑声)かように考えます。  それからもう一つ、一種と五種の問題ですが、これは郵政省が今度機械化されたりスピードアップされるんですから、少々大量に出ましてもさほど影響はないんじゃないか。もっとも五割も値上げになるんですから、いままでのように何十万と一ぺんにダイレクトメールが出るということはなくなるんじゃないかと思います。まあ私はその点よくわかりませんですが……。
  392. 砂原格

    ○座長(砂原委員長) これにて質疑は終わりました。  以上で、本現地調査会を終了いたしますが、今回の派遣委員団を代表いたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。  意見陳述者の方々におかれましては、貴重なるご意見をお述べいただき、本案審査に資するところきわめて大なるものがあると思います。厚くお礼を申し上げます。  また、この会議開催のために、格段のご協力をいただきました地元関係団体に対しましても、深甚の謝意を表する次第でございます。  これにて閉会をいたします。    正午散会