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1966-04-15 第51回国会 衆議院 逓信委員会 第23号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十五日(金曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 上林山榮吉君 理事 佐藤洋之助君    理事 内藤  隆君 理事 栗原 俊夫君    理事 畑   和君 理事 森本  靖君       綾部健太郎君    小渕 恵三君       金丸  信君    木部 佳昭君       佐藤 孝行君    徳安 實藏君       服部 安司君    本名  武君       大柴 滋夫君    原   茂君       前田榮之助君    松井 政吉君       佐々木良作君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         郵政政務次官  亀岡 高夫君         郵政事務官         (大臣官房長) 鶴岡  寛君         郵政事務官         (郵務局長)  長田 裕二君         郵政事務官         (経理局長)  淺野 賢澄君  委員外出席者         参  考  人         (日本空港ビル         デング株式会社         社長)     秋山  龍君         参  考  人         (日本労働組合         総評議会総務企         画局長)    大木 正吾君         参  考  人         (横浜市立大学         教授)     田島 四郎君         参  考  人         (薬店経営主) 中島 清重君         参  考  人         (日本事務能率         協会経営コンサ         ルタント)   野中 貞亮君         参  考  人         (東洋大学教         授)      御園生 等君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 四月十三日  戦傷病者放送受信料免除に関する請願(大坪  保雄君紹介)(第二八九〇号)  同(藤本孝雄紹介)(第二九四〇号)  同(森下元晴君紹介)(第二九四一号)  同(西村直己紹介)(第二九六六号) 同月十四日  戦傷病者放送受信料免除に関する請願(相川  勝六君紹介)(第三〇三八号)  同(加藤常太郎紹介)(第三〇三九号)  同(小金義照紹介)(第三一七二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第三  一号)      ————◇—————
  2. 砂原委員長(砂原格)

    砂原委員長 これより会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  去る七日の委員会の決議により、本案について参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、日本空港ビルディング株式会社社長秋山龍君、日本労働組合評議会総務企画局長大木正吾君、横浜市立大学教授田島四郎君、薬店経営主中島清重君、日本事務能率協会経営コンサルタント野中貞亮君及び東洋大学教授園生等君、以上六名の方であります。  御出席参考人各位には、きわめて御多忙中にもかかわりませず、当委員会に御出席くださいましてまことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。  さきにお送りいたしました資料によっても御承知いただいたことと存じますが、今回の郵便法改正案は、国民生活に重大な影響を及ぼす郵便サービス、並びにその料金に関する問題でありますので、当委員会といたしましても慎重に審議を重ねておるわけでありますが、参考人各位におかれましても、右の趣旨をおくみ取りの上、それぞれのお立場から率直な御意見をお述べいただきますようお願いいたします。  御意見開陳は、時間の都合等もありますので、おおむね十分程度におまとめいただくようお願いいたします。また、御発言は委員長指名順にお願いいたします。  なお、御意見開陳の後、委員から参考人各位に対して質疑を行ないますが、参考人から委員に対しては質疑ができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。  それでは秋山参考人にお願いいたします。
  3. 秋山参考人(秋山龍)

    秋山参考人 私、ただいま御紹介を賜わりました秋山龍でございます。  私は、三、四十年前の古い郵便経験者でございますので、多少時勢の食い違いがあるかもしれませんが、この際意見を申し述べさせていただくことはたいへん光栄と存ずるところでございます。  私、郵便経験をいたしました当時を顧みますと、大体三つの事柄が非常に強く印象に残っておるのでございます。  第一は、郵便事業電信電話事業と違いまして、完全な非資本的事業である。設備の投資をもって事業改善をするということができませんで、人の労力中心とする事業であるということでございます。  第二には、郵便事業を構成する骨子であります種別の問題でございますが、これはその当時は通信送達、その独占通信の秘密の確保という大体三つの柱があったように思うのでございまして、その中心として第一種というものがあったのでございます。第一種は筆書ということと、それから封緘ということと、この二つが要件になっておったのでございますが、この送達独占になっておりまして、これに最高の料金を課しまして、このうち封緘という要件を制約する、つまり内容を知らしめるということが条件に無封書状、第二種はがき以下第五種の農産物種子小包郵便といったような種別に分かれまして、それにおのおの政策的に安い料金が課せられている、こういう形であったと思います。  第三には、郵便料金サービスの対価であるにかかわりませず、会計上は収入と支出が分離されておりまして、経費一般行政費として一般会計から計上される、つまり経営上必要な経費は幾らでも一般財源から出すというたてまえであったのでございまして、郵便料金のほうには郵税というような呼び方さえあったのでございますが、実際はこのありがたいたてまえと反しまして国は郵便収入の約四割近くをもうけていたようでございます。したがって、この不公正をなくするための多大の労力が払われまして、通信特別会計制度ができたのでございます。  以上三つの古い知識でございますが、その前に、郵便事業の本質、これはいつの世でも変わらないと思うのでございますけれども送達迅速性信頼性、この二つ郵便の大きな足でございまして、これが達成されなければ郵便事業国家独占ということの意味は全くなくなる、かように考えておるのでございます。  今回の改正を拝見いたしますと、郵便種別につきまして私どもの考えから見ますと、まことに革命的というべき変化が行なわれようとしております。料金は約三〇%程度の引き上げが考えられておられるようでございます。もし郵便の速度の向上あるいは信頼性の回復の確立ということのために十分な配意がなされまして、そういう裏づけがあって、それに対して、最近の経済情勢に照らしてこの程度値上げがやむを得ないものであるということがわかれば、利用者といたしましてはこれを是認するほかはないのではなかろうかというふうに考えるものでございます。  そこで、この考え方に立ちまして現在の郵便というものを考えてみました場合に、私は、郵便信頼性確立ということをいたしますためには、大体六つの項目が必要であるかと考えるのでございます。  まず第一は、郵便取り扱い機械化ということ。第二には逓送施設の強化ということ。第三には取り扱い量でこぼこをなるべくなくするということ。それから第四には、取り扱いの技能をなるべく公開的なものにしてこれを平準的なものにするということ。それから第五には、労働環境整備改善ということ。第六には、これとうらはらをなしまして事業精神高揚確立、大体この六項目が必要のように考えるのでございます。  第一の郵便取り扱い機械化につきましては、世の中の科学技術の発達をできるだけ取り入れまして、そして人力を機械力または電気力に置きかえるということであると思うのでございますが、取り集めとか配達とかいう面におきましては、従来からモーターサイクル、スクーター、トラックその他を用いまして非常に弾力的に実情に応じたいろいろな施策が行なわれておるようでございまして、今後もますますその方向に進められるそうでございます。これにつきましては、その整備の速度につきましていろいろ議論はあると思いますけれども、大体において妥当な計画であると存じております。  一番の問題は区分という作業の機械化でございますが、これは四十年も前から実は内外郵便関係者一つの夢でございまして、何とかこれを達成したいということは当時の私どもも十分に考えておったところでございます。その場合に一番障害になりますこと、つまり第一の前提と考えられますことは郵便物画一性ということでございます。  その次には、あて名の機械による読み取りということでございます。この実現はなかなかむずかしいのでございまして、特にこの後者が難物でございます。この機械による読み取りということが可能性があるならば、郵便画一性を求めることは妥当だと思うのでございますが、もしそうでなければ、これは利用者の自由の不当な制限になるかと考えるのでございます。私は最近、アメリカにおきまして、紙幣を読み取りまして、これを硬貨に自動的に変える機械というものを実際に目で見てまいりました。郵政当局の御説明によりますと、わが国におきましても、最近数年この方面の研究が非常に進んだということでございまして、漢字を読み取るということは困難であるということでございますが、もしこれを番号に置きかえて数字によりまするならば、相当に可能性が見えてきたということでございます。もしそれが可能になれば、区分の仕事を自動化するということができるわけでございます。  今回の種別改正におきましては、第一種郵便物信書性——そのものが信書であるか否かということによりませんで、外形の物的性質からこれを定形のものと否定形のものに分けまして、そして定形のものには優遇した料金を設定しようとしているようでございます。したがって、これは冒頭に述べました考え方から申しますと、きわめて革命的な変化であるというふうに考えるのでございます。しかしながら、いま申し上げましたような区分機械化ということが、たとえ番号という方法によるといたしましても、可能性があるということでございますれば、その画一的なものに対しまして優遇するということは了解できることでございます。将来はあて先を番号で書いたものは普通の漢字で書いたものよりも優遇するというような考え方も当然導入せられるのではないかというふうに考えられるのでございます。これに関連いたしまして省令案のほうを見ますと、簡易書簡のほうでは、十グラムまでの異物の封入というものを認めるということでございますが、私はいままで考えてきました大きな一つの流れから見ますと、多少逆行であるというふうに考えられますので、この点は御当局の御再考をわずらわしたいと思うのでございます。  それから第二に、逓送強化ということでございますが、郵便事業は長く逓送、すなわち局と局との間の運送は他の交通機関に依存するということを主義といたしておったのでございます。特に運送途中の時間を利用いたしまして、郵便物区分取り扱いのできる鉄道郵便というものは、逓送の花形という地位を占めておったのでございます。しかるに鉄道は、飛行機のようなより高速な交通機関競争者として立ちあらわれましてから、郵便に対しまして十分な配慮をするという余地がなくなったのでございます。私はこの際、郵便は他の輸送機関便乗的部分的利用ということではなくして、輸送の一単位をまるまる利用できる、たとえば自動車でありますとか、あるいは航空機でありますとかいうものの利用を積極化すべきだという考えを持っておったのでございますが、今回の料金改正を機会に、高等信の全部を専用航空機に搭載して東京及び大阪から出るものは全国ほとんど一〇〇%に近いものを翌日配達にするというふうな御計画だそうでございます。この点は御当局の御勇断に対しましてまことに敬意を表する次第でございます。自動車のほうを見ますと、わが国にもようやく自動車専用道路網という時代が来たのでございまして、道路網計画も国会において法律として御決定になろうというような次第でございます。郵政当局は、逓送専用自動車化についてますます御研さんを怠らないように希望いたす次第でございます。この点につきまして、諸外国では郵政郵便物逓送中心にバスを経営されまして、そしてこれに旅客を便乗させるというような制度もあることをこの際御指摘申し上げたいと思うのでございます。  次に第三の取り扱い量でこぼこをなくするという問題でございますが、郵便速達性、あるいは信頼性という点から考えますというと、あらゆる取り扱いの節々がみな最大のキャパシティー、容量を持っているということが望ましいのでございますけれども、これは経済的にとうていできないことでございます。しかるに一方、差し出し人が、経済の発達や大規模な企業ができました関係上、一時に大量に出されるというような現象が非常に顕著でありますが、その場合には、ちょうどヘビがカワズをのみましたようなぐあいに、郵便取り扱い量の頭のほうの部分に大きなこぶができまして、これが局部的障害となり、あるいは一般郵便物の不消化を起こしまして送達の遅延になるという現象は、しばしば経験されるところであります。したがって、こういう一時大量差し出しの相手方に対して局内事務、つまり差し立て区分援助協力を得て全体の料金を幾ぶんか割り引くという制度が導入されようとしておるのでございますが、これは全く時宜を得たものとして賛成でございます。ただ、その割引の程度が省令にまかされようとしておるのでありますが、従来の官庁のこの種割引に対する態度を見ますと、きわめて消極的でありまして、十分に相手方の納得を得ないきらいがあるのでございます。この点今回は思い切った手を打っていただきたいということを希望いたす次第でございます。  次に、取り扱い技能公開化の問題でありますが、これは差し立て関係区分自動扱いにより、配達関係住居表示制度の推進によって、着々と手が打たれておるようでありますので、この点は多くを申し上げません。ますますこの方面に対する御努力をお願いするだけでございます。  最後に、労働環境整備事業精神高揚確立でございますが、この二つうらはら関係でありまして、どちらを欠いても人力中心郵便サービス信頼性確立はできないと思うのでございます。  環境整備の第一は局舎の改善でございます。これは郵便の長い歴史で一番不十分な点であったのでございますが、今回の御計画でも相当思い切った数が計画されておるということでございますけれども特定局まで入れて考えました場合にはまだまだたいへんな問題でございます。今後一段と御当局のごくふうと御努力を希望する次第でございます。環境整備改善という中には、被服の改善とかあるいは進んでは給与の問題等も含んでおると思うのでございます。優秀な人材が喜んで入ってくるような環境整備してつくり出しつつ、反面において専業精神高揚確立努力をしていただくのが筋であろうと思います。私どもが若い時分には、便と便とをつなぐことを結束という妙なことばで言いますが、これを失敗すること、すなわち不結束という事態は、郵便計画上の運行にそごを来たすことでございまして、郵便人としては最大の恥辱であったのでございます。したがって、これを起こしました責任者には厳罰をもって臨まれた次第でございます。  以上、分析的に事業改善方向を見てまいりましたが、多少の注文はありますが、大体の方向はけっこうであろうと考えるのでございます。  そこで値上げについて考えてみたいと思うのでございます。値上げの主要因は事業改善費ではなく、一般的な人件費物件費の高騰でありまして、十年間据え置かれました一種、二種の料金のもとでは、将来三年または五年を予想しますと、独立会計としての収支の合わないというところにあるようでございます。まず人件費の値上がりの予想といたしましては、最初三カ年は年々七%、次の二カ年は五%と見ておられるようでございます。一般企業人件費増加率は、世帯主勤労収入調べの過去五カ年間の実績によりますと、一〇%を少し上回っております。これは主として政府におきまして経済高度成長の音頭をとられました所得倍増計画下数字でございます。いまでは政府は、経済安定成長を唱えておられますから、この数字は多少低下するかもしれませんが、将来五カ年間にわたって御当局予想される程度で済むかどうか若干の疑問なきを得ないのでございます。物件費のほうは年率三・五%の増加ということのようでございます。これは消費者物価指数を見ますと、過去五カ年間の実績は六%でございます。しかし郵便事業のような国営の大企業でございますから、大量に調達される物資があると見た場合には、卸売り物価指数のほうが反映するのではないかと考えられますので、彼此考え合わせますと三・五%というような程度がまずまず妥当なところと思われます。事業増進率は五%と見ておるようでございまして、これは今後の景気変動関係があるので的確な予想はむずかしいと思いますけれども、何となくちょっと内輪ではないかというような感じがいたします。しかしその予想がかりにはずれました場合には、それだけ全体の労力といいますか仕組みに余力があるようでございまするので、それだけを吸収をいたしまして、それが経費のほうの見積もりの不安と相殺するかに見えるのでございます。  以上見てまいりますと、サービス改善方向が妥当であり、全体の収支見積もりもまあまあであるといたしますと、利用者といたしましては料金は安ければ安いほどよいと申しましても、全体として、すなわち総括原価といたしましては、この程度値上げはやむを得ないのではないかというふうに考えざるを得ないのでございます。  これに対しまして、一部には一般財源から繰り入れて補助してはどうかという考え方もあるようでございますが、私は冒頭述べました郵便事業特別会計といたしました経緯から見まして、独立経理の線をくずすということは重大な問題でございまして、非常に事理が不明確になるという感じがいたしまして、賛成いたしかねるのでございます。  その他郵便料金の今回の値上げの結果と他の公共料金値上げといったようなものを考え合わせてみますと、郵便が出過ぎたという時代はないように考えます。  また、生計費に関する郵便料金負担を見ましても、きわめて微々たるもののようでございますので、やはり国家の神経系統の一部であります郵便事業信頼性確立するような業態の改善裏づけにして値上げをされるということは、これは納得せざるを得ないかと思われます。  私は以上総合いたしまして、若干の希望意見を申し述べながら、原案に賛成するものでございます。(拍手)
  4. 砂原委員長(砂原格)

    砂原委員長 ありがとうございました。  参考人の方にお願いをしておきますが、なるべく時間を十分以内に簡潔にお結びいただくよう、重ねてお願いいたします。  大木参考人
  5. 大木参考人(大木正吾)

    大木参考人 私は労働組合を代表いたしまして、三つ観点から、今回上程されました郵便料金値上げについて反対する立場から、若干の見解を申し上げたいと思います。  一つは、ごく最近の公共料金値上げの状態、これが一般国民生活にきわめて密接な関係を持ちます消費者物価に対するはね返りという立場から、ぜひやめていただきたい、こういう観点であります。ごく最近の労働省の統計等によりましても、特に東京大阪等におきましての大都市の勤労者の実際の消費支出が非常に悪くなっておりまして、エンゲル係数等を見ますと実に四〇%以上が食費に食われている関係にあることは、各委員も御承知だろうと思います。特に米価が、推定によりまして五百億、あるいは国鉄と私鉄合わせて約二千億、昨晩ですかあがりました健保等医療関係によりまして約一千億、こういった金が実際には国民の非常に下層の諸君負担として高まっておりまして、一千四、五百億程度減税等によりましてはとても一般勤労者生活負担の増を消すことはできません。特にこれはなかなか科学的に算出はできませんが、昨年の消費者物価が七・六%上がった際には、公共料金関係においては国鉄運賃や、あるいは郵便料金のように非常に大きな関係を持つものは実はなかったのでありまして、国鉄私鉄等はね返りが実際には二、三%、こういう話も伺うのであります。こういう中から計算してまいりますと、今回の郵便料金値上げが、さらに一般消費者物価に対するはね返りを含めて、政府計画の五%前後で物価を抑える、こういったこともおそらく困難ではないか、こういう感じがいたします。特に私が心配いたしますことは、第一種郵便物、あるいは赤字でありますが第二種、これは赤字の非常に大きな部分を占めていますところの第三種や、あるいは大口小包、こういうものを差し出す側は、主として法人関係でありまして、一般の第一種あるいははがき関係が、むしろ国民の大多数に対して五割もあるいは四割も上がるということは、ムード的に物価上昇のもとをつくる、こういったことを非常に心配しておりまして、国鉄財政事情郵政財政事情等は、違いがあるとは存じますが、私どもの見た限りでは、郵政関係内容において、今回の料金値上げについては、ぜひ差し控えることが可能ではないか、こういうふうに考えまして、一つ公共料金から一般国民生活への、消費物価へのはね返りを心配する立場から反対であります。  二つ目の問題として申し上げたいことは、会あるいは郵政省当局が出しました値上げ内容が、ずばり申し上げれば、赤字の主たる部分が、たとえば新聞関係中心とする第三種郵便物、あるいは大口普通小包中心とする小包料金赤字中心なんでありまして、この赤字を埋めるために、一般国民生活関係の深い一種、二種等を値上げして穴埋めをするということについては、何といっても、これは国民感情からして了承できかねます。同時に郵政事業が、外国等の例を見てみますと、郵政労働者諸君あるいは職員の諸君国家公務員でありまして、一方ではストライキの権利を押えられておりますし、同時に相当物量増加合理化も進んでいるようであります。そういう観点からしますと、たとえば郵便事業全体を独立採算という立場をとるならば、なぜ同じ郵便局の中で扱っている貯金、保険にからむ利益の問題等を一緒にできないか。あるいは独立採算趣旨を貫くならば、一種等は上げないで、赤字部分三種小包を上げないのか。その辺はどう考えても、私たちは一般国民感情として、中身を見れば見るほど納得がいたしかねます。同時に限界費用とかあるいは政策料金といわれます新聞関係については、この中の定額部分が、三種のうち八割を占めていると聞いておりますけれども、これが審議会の討議の過程では、現行二円のものを五円にしたい、こういう限界費用説が出たようでありますけれども郵政省当局審議する過程で、今国会に出ました法案では、何と三円になっている事態でありまして、これは審議会をつくっている立場からいたしましても、どうも政策料金といいましても、科学的な根拠に乏しい、こういう感じがいたしまして、その辺の問題についてもぜひ御再考いただきたいと考えるのであります。  第三に申し上げたいことは、私は実は経済企画庁の経済審議会企画部会委員、さらに税制調査会委員をやっておりますけれども内閣税制調査会とかあるいは行政調査会、さらに労働者関係の深い雇用審議会とか医療協議会、たくさんございますが、最近の政府のやり方等見てみますと、経済審議会に対しても労働代表を呼んで、委員の一部に、さしみのつまかどうか知りませんが、加えてくださって、意見を聞いてくれるのであります。しかし国鉄審議会とか、今回の郵便関係の特別審議会等におきましては、たまたまここに来て私が意見を申し上げる機会を得たことは感謝いたしますけれども、なぜこの審議会に、政府にならって労働代表なりあるいは一般利用者代表、消費者代表というものを入れないのか。これについては何としても納得いたしかねますので、これはぜひ政党関係を越えた立場で、各委員の皆さん方が、これから郵政審議会あるいは国鉄審議会等に、当該労働組合代表の推薦する者あるいは利用者代表等を含めたりっぱな審議会にしていただくことを期待してやまないのであります。  申し上げることはたくさんございますが、ぜひそういった内容等を含めまして、本委員会一般国民大衆が心配をする物価公共料金問題について国民の気持ちをごそんたくいただいて、相当部分の修正と、特に労働代表といたしましての立場からこの種審議会に私たちの代表が入れるようにお考えいただきたい、このことをお願い申し上げます。(拍手)
  6. 砂原委員長(砂原格)

    砂原委員長 ありがとうございました。  田島参考人
  7. 田島参考人(田島四郎)

    田島参考人 田島でございます。  私の考えを申します前に、結論を先に申し上げます。私は条件つき賛成をいたします。もとより私は政策的とかあるいは政治的とかいう立場でございませんで、一学究として私の考えるところを率直に申し上げます。こまかいことを問題にいたしませんで、料金の問題のささえになっておる基礎的な点を一、二申し上げまして、このようにしないといけないのだということを申し上げます。  まず第一は、郵便事業の特質でございます。一部の郵便取り扱い部局には非常に近代化された施設なども見えますけれども、全般として見ますと、たとえば電電とかあるいは国鉄とかなどに比べますと、きわめて非近代性を持ったのが郵便事業の特質かと思います。先ほどもどなたか申されましたが、経費の八〇%が人力に依存しております。電電などのように需要者のところにまで機械を据えつけて、人力を省くというようなことは不可能な状態であります。山間僻地までも一々人力利用して目的を果たしておる。国鉄ども相当人力は使っておりますが、それでも主要な場所だけに路線を敷いております。郵便事業などとはとうてい比較にならぬものであります。  ところでその労力依存主義、機械化が完全にできないということに立ちまして常に考えさせられるのは、人件費が次第次第に高騰していくということでございます。ことに郵便関係の従業員は公務員であります。人事院の勧告に従いまして給与を引き上げなければならない。毎年のようにこの問題が起こってまいります。  そういう特質を持った郵便事業に対してもう一つ根本的な問題は、独立採算制度をどのように理解するかという問題であります。これは学者の間にも独立採算制とは何ぞやということにつきましては必ずしも定説はございません。私は郵便事業独立採算制につきましては、厳密な意味の独立採算制を考えております。先ほどどなたかの発言にもありましたが、郵便事業赤字一般会計から繰り入れたならばどうかという問題でありますが、私はこれはいかぬと思っております。と申しますのは、おそらく郵便事業のような状態に立たされておる各省庁などはほかにもたくさんあるかと思います。郵便事業一般会計からの繰り入れということを受けるようになりますれば、当然まずこれと同じような事情に立つ各省庁から、われもわれもといって一般会計のほうへのねらいが実際予算の要求になってくるのではないだろうかと思います。してみますと、一般会計はおそらく一般会計自体で破産するのであって、そのあとに続くものは何だろうか、これは増税ということになりはしないかと思います。これはまた別に大きい問題を起こしますので、なるべくそれを防ぐという意味から、この際郵便事業独立採算は厳密に考えるべきである。  もう一つの理由もありますが、それはあまり大きい問題じゃないかと思います。  一々一般会計からの繰り入れを求めるということは、ある点においては郵便事業の運営が非常に困難化するのではないか。相当大きい干渉というと語弊がありますが、コントロールを外部から受けなければならないようになるのではないだろうか。おしまいにもちょっと触れたいと思いますが、企業主義に徹するか、あるいは文化主義に徹するかというようないろいろな問題がありますけれども、私は一部には企業主義を残して、ほんとうに郵便事業の創意くふうというものを郵便事業の担当各位にまかせてやっていくのがよろしい。そうした点から言いましても、あまり一般会計に依存するということには私は賛成しかねるわけであります。  この二つの点から一般会計からの繰り入れは適当でない。あとに増税を伴うということ、それから郵便事業担当者としての創意くふうを十分生かせない面が出てくるのではないだろうか、こういう点を心配いたします。そうしますと、もう一つの問題が生じます。それは一体独立採算というのは省単位の独立採算なのか、あるいは各事業単位の独立採算なのかということでございます。郵政省所管の事業のうちで、ある事業についてはいまのところ剰余金を生んでおります。郵便事業に関する限りは非常に赤が心配される現状でありますけれども、他の事業の剰余金を生むところがあるから、省単位の厳密な独立採算考える場合には、他の事業の剰余金を郵便事業のほうへ回して、そうして独立採算考えたらどうだ、これはわれわれも一応はそれを考えます。けれども郵政事業として現在行なっている仕事はみな国民経済に非常に関係を持っておる事柄、そこで保険にせよ、あるいは貯金にせよ、それぞれの加入者に対して、他の同業の民間事業を圧迫しない限度においてできるだけ低利の利息を支払い、しかもできるだけ多くのサービスを提供する、こういう方針になっております。ただいまのところ同種の他の民間事業に対して、貯金なり保険なりが非常にサービスの提供がまさっておるということが言えるかと考えますと、これは必ずしもそうではございません。そうした意味において現在出ておる剰余金のうちで、たとえば貯金の剰余金、これで他の不足金を補うということは、郵便貯金法の設定のときも、非常に大きい危険が考えられますので、これは流用を禁止する。たまに特定時点において剰余金が出たとしても、それは将来の備えに必ず積み立てなければいけないということを言明しております。独立採算と申しますと、各業種の成績を明確に計算上示すと同時に、全体の立場からしますれば、他の事業の不足金を補うというのは、これは民間の諸会社などでやっております。田園都市化が非常に成績があがったならば、運用の方面の不足分を補う、これはおそらく電鉄会社などでやっておりましょう。私ども関係しております大学にしてみましても、総合大学で大学単位に、理工科系及び医学部などにつきましては、これはどのような月謝の値上げをいたしましょうとも、独立での採算というものは不可能であります。ところが、私はそうなんですが、商科、経済科などの学部につきましては施設が比較的安上がりで済む、マスプロをするというようなところから、私学などにおいては相当剰余金が出る学部がございます。そうして剰余金の一部を他学部の非常にコストのかかる学部へ流せということはやっておりますけれども郵便事業に関しましては為替、貯金というようなところにたとえ剰余金が出ましても、これはむしろ私は、それらを利用しておる加入者に運営上差しつかえないだけの準備をした上で剰余が出たならばこれを還元する、そういうサービスの向上ということに振り向けるべきである、こういうふうに考えます。それを考えますと、いまの貯金、為替などが十分なサービスを提供しておるかどうかという場合に、もうすでに十分やっているのだというようなことは言えない立場にあるのじゃないか、これを心配いたします。  そうした意味で、この際、小単位の独立採算、これはまだ望めない状態にある。そこで郵便事業郵便事業としての独立採算をしなければいけない。その場合に問題になるのは、一体企業主義かあるいは文化主義かということだと思います。私は、ぬえ的な考え方ですけれども企業主義を加味し、文化主義を取り入れた独立採算ということを考えております。それは先ほどのお話にもありましたが、郵便事業の特質が非常に文化ということ、そうして一部のものには信用ということ、率直に申しますれば秘密厳守ということを考慮しなければならないのですから、単なる企業主義はもとよりできません。しかし、その根底は、やはりコストをカバーする料金郵便事業制度利用する受益者が負担するということが公平ではないだろうか、こう考えます。先ほどの一般財政から不足分を繰り入れろという御主張は非常に公平、平等というふうに考えられますけれども、そうした場合には郵便事業利用しない人たちがその郵便事業の不足分を補ってやるということになります。これは平等も悪平等になるのじゃないだろうかという気がいたします。郵便制度を多く利用する者が多くの負担をするということが必要かと思います。そうした意味で郵便事業にかかったコストは全体として郵便事業の受益者が負担するということが至当だと考えます。そういう見地から営利主義はもとより避けるべきですけれども、受益者負担という見地から郵便料金はコストをかばうものであってしかるべきだ。  そこで問題になるのが、それならばいま出しておる郵便事業のコストは信頼できる数字なのかということかと思います。この点につきましては、私は、一応郵便事業の現在算出しておるコストを算出方法から振り返ってみて必ずしも全面的に差しつかえない、これは公正妥当なものだということは断言しかねる点がまだあるかと思います。昭和二十四、五年ごろに原価計算要綱を作成いたしました。私もそのときに微力をいたしたわけでございますが、当時の方法は実は原価計算をやりません。統計的な観察で原価計算の前段階的なことをやりました。しかしながら、それでもなお当たらずといえども遠からずという数字は出ていると私は確信いたします。その理由は、コストに物数をかけ合わせたその総額は一般財務会計における総額とほぼ一致しております。均一料金ですから、したがって個々の点を考えてみますとまだまだいろいろな問題は出てきますが、全体的に見て当たらずといえども遠からず。これは大体会計がそういうような性格のものでありまして、減価償却をするといった場合に、減価償却費というのは、ほんとうに信頼できる数字というのは、固定資産を除却したとき初めてきまるものであります。それを事前に何年あるいは何十年というような見積もりをする、こうした場合にはどうしても見積もり数字が入りますから、絶対正確ということは会計全体が断言できない性格のものです。しかし、当たらずといえども遠からず、これだけはわれわれ、現在の状態において、学問の発展段階の現時点において、これが合理的な数字だということは言い得るつもりでおります。そうした意味でいまのコストをカバーするための料金というものを考える必要がある。その場合にその料金の基礎になっておるコストは信頼してよろしい、こう申し上げることができるかと思います。  ただいまどなたかの発言に、心理的な影響、生活を乱すというような点がありましたが、この点につきましてはもうすでに資料が出ておりますが、おそらく、郵便料金生活費の中で占める割合というものを考えてみますと、これは他の料金に比べてそう著しい値上げにはなっておらないと思います。第一種、第二種以下の問題につきましては、全体がコストをささえるというプリンシプルをとる限り、その内部において第一種はどうするか、第二種はどうするか、これは政策の問題でありますから、その点についてはやはり文化主義を加味しまして適当にきめればよろしい。私はこの点はこまかいことは申し上げません。  そこで、それならば全面的に賛成か、こう申しますと、私はまだまだこれで郵便事業合理化問題につきましてはいろいろ考えなければならない点が多々あるかと思います。他の各省庁はともかくとして、郵便事業につきましてはそう著しいむだをやっておるとは思いませんけれども、しかし、それにしても能率向上あるいは経費節減というような問題はあるかと思います。人事管理などにつきましてもこれで一〇〇%よろしいということはいえません。そこで私は、そういうような合理化をこれからなお一そう推し進めるということを前提条件にしまして、今回の値上げの案はやむを得ない、こう考えまして賛成するものでございます。  以上でございます。(拍手)
  8. 砂原委員長(砂原格)

    砂原委員長 ありがとうございました。  中島参考人
  9. 中島参考人(中島清重)

    中島参考人 私は都内江戸川区の小岩町でささやかな薬局を経営いたしております中島でございます。生まれて初めて出ましたので、胸がどきどきいたしております。  郵政審議会の答申を拝見いたしますと、委員の方々は天下の名士でございますし、超一流の方々の知恵の結集でございますので、その御達見と真情の吐露には心から頭が下がったわけでございます。答申によりますと、今後五カ年間の収支の見通しをつけるのが原則であるけれども困難な要素があるので三カ年にとどめたんだというふうに述べられております。この郵便物増加の指数で、赤字も長期の見通しによる料金改定というのもたいへんな狂った数字が出てくるのではなかろうかと思っておるのでございます。郵政省では、予算の要求の郵便物数の伸び率を八%とはじいておりますが、審議会では四十三年までの伸び率を四%、四十四年以降を三・五%と、非常に低く押えているような感じがいたします。郵便物というものは、必ずしも景気の変動に左右されないものだということが、御調査の結果明確になっていることだと思っております。また過去十五カ年間一種、二種を値上げせずにも済んだ物数の伸びというものも、過去の実績がございますので、この点、ちょっと変に考えている次第でございます。  以上の結果によりまして、書状は十円が十五円になり、五円のはがきが七円に値上げになったわけでございます。現在の書状の十円の料金郵便事業の黒字の約四〇%を占めているわけでございます。私たち庶民に一番親しまれており、また利用が多い書状が現在黒字であるのに五割も値上げしなければならないということが、とうてい私の頭では納得できずにいるわけでございます。年々驚異的に増加しております定期刊行物並びに新聞の値上げの幅が二円が三円になっただけでございます。私は町場で毎日暮らしておりますが、大体毎日私のところに郵便物を届けていただいております。この仕事というものは、小岩町三丁目千四百三十七番地に中島がいるということを正確に記憶している配達員の特技だと思っております。私たちが町場で居所を尋ねあぐねたときに、郵便配達員の方に、だれさん方はどこだろうかと聞きますと、たちどころに教えてくれるのでございますが、パトロール中のおまわりさんでは、このようなことは絶対不可能なことでございます。配達の仕事の合理化機械化ということがよく言われておりますが、どのような方法でなさっておられるのか、どのような御研究があるのかと、私どもも深く頭を悩ましているわけでございます。  東京都内の郵便物の量は、毎日約六百万通あるそうでございますが、その三分の一の二百万通は都内相互間に届けられているそうでございます。これの機械化、はてどんなものだろうかということをちょっと疑問に思っている次第でございます。  私の関係いたしている団体に東京都引揚者団体江戸川支部というのがございますが、毎月五十円の金でその会を運営いたしております。大体約月一、二回の連絡と印刷費で完全にこの金はなくなっておるわけでございまするが、引き揚げ者全員が会員であり、会費を納めるならば何とかこの五十円でもまかなえるのでございますけれども、よく先生方が御承知のような構成人員でございます。都営住宅の第二種にしか入れないような低所得者の層が多いものでございますので、世話人は無償の行為で毎日何とかやり繰っておるような次第でございます。このような団体がまだまだほかにもたくさんあるのではなかろうかと思っております。これらあたりは、十円が十五円になりますと直接影響する団体ではないかと思っております。  過日、元江戸川区の校長会の連合会長であります岩田さんに会ったおりに、たまたま郵便料金の話が出たわけでございます。私は小冊子をときどき発行しておりますが、最近の小包料金値上げには非常に困っておる、書籍の代金よりも郵便料、小包料金のほうが高いことがございますと言って微苦笑しておりました、また今度は書状が上がるですね、と言って困ったような顔をしておりました。  昔飛脚の手で郵便物が受け取り人払いの時代があったそうでございますが、そのとき出かせぎに行った若者が、故郷の貧しい老婆にたよりを出す場合に、手紙の中に白紙を入れておいた。白紙であるならば、自分は元気で毎日働いているから安心しなさい、しかし、手紙は受け取らなくてもいいよ、というような話を聞いたことがございますが、このような庶民は現在もまだ生きているというふうに私は信じております。  現在私は、小岩専門店会に入っておりますが、ここでは毎月二十日に請求書を千通、五種の市内の特別料金の八円で出しておりますが、これが五種が今度廃止されますので、一種になります。千通でございますので割引きがございませんので、八円が十五円になるわけでございます。新予算は八円で組んだので、どうしたらいいかというので事務長が頭をかかえておるというのが現状でございます。  郵便物利用者負担の原則というものは私もわかるつもりでございますけれども、黒字の一種を五割も値上げをして、赤字のひどい三種をわずかな幅しか値上げをしてない。また値上げ後も赤字が何十億か残るというような政策料金でございますので、審議会の答申にもございましたように、第三種郵便物についてはその特殊性からの政策料金であるから、一般会計からの繰り入れなどの方法によるのが適当ではないかと検討したけれども限界費用云々といって打ち消されておりますけれども、原価計算方式でなく、政策料金のシステムをとられる以上、一般会計からの繰り入れというのもふしぎではないのではないかというように私は考えます。また現にアメリカでも、一般会計から補てんしているというように聞いておる次第でございます。  東南アジア諸国に国民所得の一%の援助を約束された。この金額は約八億七千万ドルでございます。このような膨大な金があるのに、一番赤いポストで親しまれておる庶民の十円の書状を五割の値上げ、十五円にしなければならないということが、私の素朴な頭では非常に疑問に思っておる次第でございます。  本年に入りましてから正式に決定したものでも消費者米価の八・六%、私鉄運賃の二二・三%、国鉄運賃の二五%の平均の値上がりが決定しております。私たちの賃金は一〇%の値上げでございます。その幅から比較いたしまして、五〇%の値上げ、このようなべらぼうな値上げがあるだろうかということも考えさせらる次第でございます。このような公共料金政府が押えようと思えば簡単にできるものではないだろうか。物価を安定させるというのが現内閣の金看板だと私たちは思っておりますが、私たち物価値上げで非常に苦しんでいる庶民の生活について守っていただいているのだろうかということについて、非常な疑問が起きるわけでございます。今度の郵便料の値上げは、国鉄が上げたから何が何でも郵便を上げるんだというような便乗値上げのような気もいたしております。国債が発行されました。町場ではインフレになるんではなかろうかということを心配いたしております。しかし政府では絶対にインフレにはしないと御親切なPRが続いておりますけれども、私たちはどうしても納得できずにいる次第でございます。赤いポストで私たちに非常に親しまれておる郵便値上げになるわけでございます。国の独占事業である公共料金がこのようにメジロ押しに値上げになりますと、政府値上げをいたしました、私たちも値上げさせていただきますと、さっそくタクシー業者が名のりあげました。たまたま私は昨日、主婦の飯山うら子さんに会ったのでございますが、最近の世相は収支が償っているのに値上げのムードで、上げなければ損だというような気持ちが業者にみなぎっておりますよ、私たちは大根一本ネギ一本について神経をすり減らしておるのです、中島さん、きょうおいでになるそうですか、この点を大いに強調してくださいということを昨日私は町場で頼まれた次第でございます。健保料金値上げ、電信電話の値上がり、ガス、水道というように、私たちは何かしら毎日圧迫されるような、胸を締めつけられるような気持ちがいたしております。先生方の御英断で、よし話はわかった、郵便料の値上げというものは諸物価にこのような悪影響を及ぼすから断固反対だというような結論を出されることを期待いたしまして、私のたいへんへたな話を終わりたいと思っております。ありがとうございました。(拍手)
  10. 砂原委員長(砂原格)

    砂原委員長 ありがとうございました。  野中参考人
  11. 野中参考人(野中貞亮)

    野中参考人 参考人としてお招きいただきました野中貞亮であります。  郵便事業の近代化、また財政の改善に関する答申を尊重してつくられましたこの改正案に対して、私は賛成をいたします。値上げに反対の意見も当然ございますけれども郵便料金値上げをするというその値上げの理由、それから値上げの幅というものから考えて認めらるべきものだと考えております。ムードや心理的影響というものはもちろんございますけれども、これが私自身の台所を考えてみても、郵便料金値上げによってそれほどわが家の家計がどうだということじゃない。これはいろいろな資料でもはっきりしております。それよりもまず、この大切な郵便事業というものを維持改善しなければならない。そういう意味において、私は一国民として賛成をいたします。この値上げはほとんどが人件費をまかなうはずであります。労働集約的企業である郵政事業は、集配人をなくすることはできません。集配人の方々が忠実、勤勉につとめてくださる。それによってこの郵政事業は成り立つはずであります。そういうことを考えますと、人件費を十分まかなって待遇も改善する。それから利用者に対しては郵便サービスの向上をし、能率化をはかる、そういうことは当然でございまして、そういう意味での料金値上げということは当然じゃないか、私はそういうふうに考えております。  それから料金のきめ方についてはいろいろ意見があるかと思いますけれども、その料金のきめ方についても逐次いままで議論をされております問題が盛り込まれて、一〇〇%ではございませんけれども、そういう方向に向かっておりますので、やがて解決するかと思いますので、その料金のきめ方に対する理論的な問題については一〇〇%の点をあげられませんけれども、とりあえずこれはいい案が出ておるのだ、そういう意味において賛成をするわけであります。  それから制度につきましては、かな文字のあて名を認めまして、その記載の基準をきめております。このかな文字のあて名を書かれたところの郵便物は次第に増加の傾向がはっきりしておりますが、これを読みにくいからと言ってかな文字で書くことはいけないのだということになりますと、これは経営上たいへん不都合な問題が生ずるわけでございますので、当然認めていただかなければならない。そのかわりに基準をきめるということをしなければならないと思いますが、それが取り入れられております。それから規格を改める、すなわち郵便物の大きさや重さをきめる規格を改めるということも行なわれておりますが、これもかな文字の問題と同様に局内における作業の機械化に役立つものでありまして、その前提をつくるものでありますから当然だと思います。私どもはこれは期待をしておったことで満足いたしております。  それから第一種、第二種の料金割引制度、それから賠償限度額の値上げの問題、書き損じをしたり、あるいは印刷誤りをしたはがきの交換を認めるというような事柄、これは利用者に対して利用者の要求を聞き入れてサービスをするということなんですから、これもたいへんけっこうなことが取り入れられておるというふうに考えております。  また非常災害時の救援物資の小包郵便物の料金を免除するということも規定されておりますが、これもたいへんけっこうなことだと私は考えております。  以上のようなことから私は本案に賛成をいたします。簡単でございますが、私の所見を終わります。(拍手)
  12. 砂原委員長(砂原格)

    砂原委員長 ありがとうございました。  御園生参考人
  13. 御園生参考人(御園生等)

    ○御園生参考人 いまさら言うまでもありませんけれども、最近におきます消費者物価の上昇はきわめて著しいものがございます。年率約七%から八%という高率の消費者物価の上昇が国民生活を圧迫し、国民生活水準を押し下げるものである、こういう点が憂えられておるわけでございます。特に最近におきます消費者物価上昇の特徴といたしましては、これも御承知のことと思いますけれども、不況下においてもなおかつ七、八%の上昇が続けられておるという点でございます。  また第二に、いわゆる国家政策に基づくフィスカルポリシー、そういうスペンディングポリシーのもとにおいて年率二、三%程度消費者物価の上昇はけだしやむを得ないのだ、こういう考え方も学問的に確かに存在いたします。しかし、かりにそれがやむを得ないものであったとしても、現在の日本の物価上昇は年率二、三%ではなくて八%にのぼろうとする物価上昇でございます。こういう程度物価上昇は、決して必要悪といわれる程度のものではなくて、われわれとして重大な関心を持たなければならない。現政府におきましても、物価上昇問題を経済政策の最も重要な柱としておるという点は、実にこの点に存するものと考えられるわけでございます。この結果、国民生活を押し下げるという効果を生むと同時に、それがひいては実質賃金の低下、また労働運動の激化という状態になりまして、スパイラル的に物価上昇を引き起こし、ひいては卸売り物価の上昇に及ぶことによって、日本にとって国家政策上重要な問題である輸出の減退という事態を生むことも憂慮されておることは皆さま御承知のとおりでございます。この原因といたしましては、これも私から申し上げるまでもなく、主要な物価上昇の要因といたしましては、農水産物、たとえば三十九年から四十年までの物価上昇約七・六%のうち半分以上は農水産物の上昇によっておるわけでございます。しかし、その他第二の要因といたしましては、雑費、サービス料金の値上がり及び加工食品等の値上がりがございます。なお公共料金の値上がりは、三十九年から四十年までの七・六%の値上がり中、わずかに五・七%の寄与率しか示していないということではございますけれども、先ほどから他の参考人にしばしば指摘されておりますとおり、これについては私は心理的な影響がかなり大きいものと考えなければならない、こう考えるものでありますし、現政府におきまして、物価上昇を押えるという点がもし政策的に一つの重要な目標だとされておりますならば、その政府自体が公共料金を引き上げることによって物価上昇ムードをかき立てる、その助けをするという結果になることをおそれるものであります。特に工業製品中、大企業製品、これは加工食品を含めまして大企業製品の物価につきましては、消費者物価に与える影響がきわめて微弱である、あるいは大工業製品はほとんど値上がりをしていない、こういうことも指摘されておりますけれども、しかし私はこの背後にあるいわゆる管理価格、カルテル価格の影響といいますものが、かなり重要であるという点を注意する必要があると思います。もちろん、現実に統計上あらわれております大企業製品の物価上昇の比率といいますのは、それほど大きくはございません。むしろ弱含み、持ち合いという程度でございます。しかし、もし生産性の上昇分を価格の引き下げに十分振り向けたならば、大企業製品、耐久消費財をはじめとする大企業製品の価格がより低くなったであろう、より引き下げられたであろうということは否定することはできないと思います。もしそういうことが実現された場合には、引き下げられた大企業製品のマイナス分と物価上昇部分とがプラス、マイナスされまして、現在の七・六%というような高率の物価上昇はある程度緩和されたであろうということを私は指摘したいと思うのでございます。  もちろん、ここに問題にされております郵便料金、これは言うまでもなく国家独占による事業でございますが、そういう国家的な法律によって認められた独占というものと、一般企業独占、管理価格というものと、同列に論ずることはできません。事実、昭和二十六年十一月に全面的な郵便料金の改定が行なわれて以来、昭和三十六年の六月に一部分の改定が行なわれましたが、他の公共料金と比べましても、あるいは消費者物価一般と比べましても、郵便料金値上げがかりに二九・五%程度行なわれたとしても、その値上がり率は決して均衡を失するという程度のものではないと考えられます。また郵便事業におきましては、年々の経費の増大によりまして、三十七年は別といたしまして、三十八年以降年々大きな赤字を生んでいる。四十年に至っては、すでに五十六億円の収支の不足を告げているという事実もございます。こういう点を考えますと、今回の値上げはやむを得ないようにも一見見えるわけでございますが、しかしこの際私として皆さまの注意を喚起したいと思います点は、郵便事業における公共性の原則でございます。言うまでもなく、郵便法におきましては、郵便料金をできるだけ低く押えるという点と、郵便利用者にとってその利用が公平であり、また平等に行なわれるということをうたっております。これを通じて公共の福祉の増進ということを郵便事業の第一の目標とすべきものとされておるわけでございます。  そもそも公益事業と申しますものは、その生産物あるいはサービス、こういうものが公衆に常時必要不可欠なものである、必需性を持っているという点、それから固定資本が大であるとか、回転率がおそい、設備が非常に大きいというような点から、営利を目的とする一般の私企業にまかせることは適当でない、こう考えられる点、それから特に郵便事業につきましては、サービスの普遍妥当性、公平性及び信書の秘密保持ないしは外国郵便との関係を円滑に導くといったような点が考慮されているわけでございます。こういう点を考慮して、郵便事業国家の手によって法律独占を認められているというふうになっているかと考えられます。  しかしまた一方、こういうような公共性の原則、特に料金の低廉という必要は、郵政事業特別会計法における、いわゆる企業的に経営すべきという点と、どういうふうにバランスをとったらいいかという問題が考えられるべきだとされております。これがいわゆる独立採算制なるものを意味しているのかどうか。また独立採算制というのは、一体資本主義経済においてどういう意味を持っているのかという問題につきましては、長くなりますのでやめますが、それは別といたしましても、郵便事業収支適合の原則といいますか、そういうものは一般会計と切り離して、特に特別会計を置いたというところにある程度あらわれていると見ることができます。したがって、利用者に最小限の料金負担を課すべきこともまたやむを得ないものと考えられるわけでございます。したがって、もし赤字の増大によりまして、独立採算制の基礎があやうくなるような場合、公共性との関係をどういうふうに調整していくかが問題になるわけでございます。しかし郵政事業におきます公共性の原則というものを考えます場合に、結論から申しますと公共性を考える。つまり料金の低廉という点を考えることが第一の必要な点であっ干て、採算制の原則は、いわば公共性の原則の中に包摂されるものだと考えるのが妥当だと考えられます。いわば公共性の原則が、最小限負担による最良のサービスの提供という形で実現されるための条件になっているのだ、こういうふうに考えるべきだと私は思います。そうしてみた場合、郵便料金値上げが、たとえその幅がきわめて小さいものであったとしても、これは慎重に考えるべきであり、公共性の原則から見て背離していないかどうかという点を、二考も三考もする必要があるのではないかと考えられます。まして年率七・六%というような、高率の上昇を見ている消費者物価に対する対策としても、こういう現在郵便料金値上げすることが、はたして妥当な時期であるかどうか、これはかなり私は疑問であると考えられます。またたとえ家計に及ぼす直接の影響が〇・一四%という程度のものであったとしても、その間接的な影響を注意しなければならないと思うのでございます。  一般に工業製品、たとえば耐久消費財であるとか、あるいは加工食品等の消費者物価に入り込んでおります商品、サービス価格がますます大企業製品に関する限り、価格競争を避け、いわゆる独占的な競争といたしまして、宣伝広告のための競争であるとか、あるいは不生産的ないろいろな販売のための競争であるとかいうような、価格に反映しない競争に流れている際に、もし郵便料金値上げされたならば、たとえばダイレクトメールあるいは新聞料金、その他マスメディアの料金引き上げを呼ぶことによって、価格に生産性の上昇分を振り向けない、そういう性向をいよいよ助長する結果になるのではないかという点を、注意しなければならないのではないかと考えられます。  また、今回の郵便料金内容を見ますと、郵便収支赤字を理由としているのは、先ほど申し上げましたように、ある程度事実であるとしても、最も大衆の利用度の大きい第一種の引き上げが行なわれているという点は、きわめて問題であろうと思います。  なぜならば、第一種及び第五種——第五種は今回廃止されるわけでありますが、第一種及び第五種は従来相当の赤字を生じているからであります。  なお、ダイレクトメールその他の、従来第五種とされておりました郵便物数の伸びを、郵政当局は、三・五%とかなり低く見積もっておるようでございますが、しかし、この点につきましては、最近の高度成長の曲がりかどと申しますか、不況の状況からいいまして、一見妥当なように考えられますけれども、もはや景気はすでに立ち直りの段階に来ております。また、これらの郵便物数が景気の好、不況に必ずしも影響されないという点を考えますと、必ずしも、物数の増加率を低く見積もった郵政当局計画が妥当であるかどうか、この点はかなり精細な検討を要するものだと考えられます。  こうして赤字の幅が最も大きい第三種その他の郵便物を、黒字を生んでいる第一種をもって埋める、こういう結果になる今回の料金改定については、再考の余地が大いにあるものだと考えられますので、私といたしましては、原則として今回の郵便料金値上げに反対せざるを得ないのでございます。  以上、簡単でありますが、意見といたします。(拍手)
  14. 砂原委員長(砂原格)

    砂原委員長 ありがとうございました。  これにて参考人の御意見開陳は終わりました。     —————————————
  15. 砂原委員長(砂原格)

    砂原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。松井政吉君。
  16. 松井(政)委員(松井政吉)

    ○松井(政)委員 参考人の方々には、お忙しいところ当委員会に参られまして、非常な貴重な御意見を拝聴させていただきまして、厚くお礼を申し上げます。  お忙しいときでもございますので、きわめて簡単に一回だけの質問で終わりたいと思いますので、参考人の方々全体に対しまして三つの問題について御質問をいたします。それについてきわめて簡単に、イエスかノーかのお答えをいただけばけっこうでございますので、時間をあまりとらないようにお答えを願いたいと思います。  第一点は、郵政事業全般から見て今度の値上げが妥当かどうかということについてお伺いをしたと思います。  御承知のように、郵政大臣主管の行政の中には、電電公社企業運営全般に対する監督管理の権限がありますし、電波、放送に関する権限がございますが、私が申し上げますのは、それを除いて郵政大臣が法律に基づいて管理をしなければならない事業、それから一切の責任を持たなければならない事業は、簡易保険がございます。郵便貯金がございます。それから郵政事業がございます。ところが、郵政省当局が提出をいたしました資料に基づいても、簡保の会計では剰余利益金が四十一年度百八十億が見込まれておるのです。郵便貯金の剰余金は三百十七億が見込まれているわけです。これだけ利益が出るわけです。さらにまた、その郵便事業赤字だからというので、五十六億の赤字を見越しているというので、今度の値上げとなった、こういうのです。ところが、赤字となった郵便事業から、簡保の事務費用のほうに五十九億円回そうというのです。こういう郵政大臣が責任を負うております郵政事業全般の立場から見て、簡保の剰余金、郵便貯金の剰余金、それから郵便事業と簡保会計の事務費の扱い方の点について妥当と思うかどうか。これでも値上げをしなければならぬ理由があるかどうか。こういう郵政大臣の責任を負うております郵政事業全般から見て、事業的に考えて上げる必要があるのかどうか。  もう一つは、当委員会において、与野党満場一致で決議をいたしました、簡保の積み立て金の百分の三は必ず郵便事業、すなわち局舎の建設その他郵便事業の発展のために使わなければならないという決議がある。ところが昨年は五十七億円を予算に組みましたが、本年は三十億しか組まないで、衆議院与野党一致の決議をじゅうりんした予算ができ上がっておる。これはおそらく財政投融資の関係だと思いますが、そういう経営、運営をやっておるのでありますから、独立採算立場をとっても、事業的にものを考えても、消費者すなわち国民負担をかけなければならないという値上げの理由がわれわれにはわからぬのですが、この点について、事業的に見ても上げる必要があるならある、ないならないというお答えだけでけっこうでございますが、そういう事情でございます。これが第一点であります。  もう一つは、今度一番内容について議論になりましたのは、受益者負担郵便によって利益を受ける者の負担の是非論でございまして、何といっても、第三種、第四種の赤字一種、二種で埋めようとするのが今度の内容だというので、これは議論の中心になりました。したがいまして、受益者負担というたてまえをとるならば、三種、四種の利用者がその負担をすべきであって、黒字が出ているといわれる一種あるいは二種に負担をさせるような、国民全般に負担がかかるような値上げ内容がいいのか悪いのか、これもイエスかノーかでけっこうでございますから、ひとつお答えを願いたい。  三番目に、もう一つ問題になりましたのは、一般会計からの繰り入れが可能か不可能か、是非論が議論になりましたのですが、御承知のように、郵便事業の中には、当初からも赤字であることを覚悟しながら、国策的に国民に対するサービスを実行しなければならない責任と場所がございます。不便な地域において、はがきたった二枚しかこなくても五里まで配達をしなければならない場所がございます。第三種の、新聞が三通しかこなくとも配達の義務を負わなければならないものがございます。これはもう当初から利益の出る道理がございません。しかし、国民に対して郵政省としては配達をしなければならない義務がございます。当初から赤字になっている分は——独立会計ないしは独立採算であるからというので、当初からそういう国策的に行なわなければならぬ分まで一般国民負担しなければならないという理由がございましょうか。当然国が一般会計において責任を負うべきものじゃございませんでしょうか。今度の値上げにいたしましても、第三種、第四種というのが、特殊の社会的公共性があるから値上げ幅を少なくしたとするならば、社会的公共性については、国の責任があって必要じゃございませんでしょうか。これはアメリカの例もございましたが、アメリカでもそうでございますし、あるいは電信電話事業郵政事業を国営でやっている国においては、電信電話事業の利益を郵政事業にやり、郵政事業の利益をやって、交互に負担し合ってやる場所もございます。日本の場合は、簡保に利益が出ても、郵便貯金事業に利益が出ても、やらない。これは第一点でございますが、そういう問題がございます。一般会計からの繰り入れも、国策として国民のためにやらなければならないということになれば、独立採算一般国民負担をさせるよりも、国の責任があって必要じゃございませんでしょうか。その意味において一般会計の繰り入れのときは、いかなることがあっても公共性を高く持つべき場所と、当初から何ぼそろばん持ってもこれは国のためにやらざるを得ない、損の出ることを覚悟してやらなければならぬ部分については一般会計からの繰り入れ、国の負担があってよろしいと考えますが、この点についてもイエスかノーかお答え願いたい。  以上三点につきまして、お答えは簡単でけっこうでございますが、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  17. 秋山参考人(秋山龍)

    秋山参考人 理由は要らぬということでございましたが、簡保事業の性質と貯金事業の性質、それと郵政大臣の管理責任の範囲から見まして、私は郵便料金値上げが妥当だと思います。  それから種別負担の是正の問題につきましては、これは逐次実現すべきものであるからして、現在の段階としては原案でけっこうと思います。  第三の点につきましては、長い間の郵便の均一料金制度の精神から見まして、やはり料金をもって負担すべきものであって一般会計から繰り入れないほうがよろしい、かように思います。
  18. 大木参考人(大木正吾)

    大木参考人 先ほども申し上げましたとおり、非常に一貫性を欠く提案になっていると思いますけれども、三点簡潔にお答えいたしますと、まず第一の郵便と貯金、保険との関係でありますが、かりに独立採算制の趣旨を通すならば、この種類の金を郵便料金赤字、特に二、三種関係に向けることについては当然だと思いますし、ごく最近の私鉄経営とかあるいはおかに上がった造船という話もございますけれども、最近の各産業、企業経営からしても、同じ局なり同じ省の経営の中においては一緒に経営していただきたいと思います。同時に、いま発言ございました五十九億赤字から持っていくということは言語道断と考えております。  二つ目の受益者負担の原則、これは最近の企業経営の場合には、どこにいってもこういった筋が出ているのでありますけれども、もうかった分は隠してしまったり、赤字の分だけはこの原則を押し通す傾向がございまして、私たちまことに困るのでございますけれども、特にこの原則に立てば、赤字三種、低政策料金部分小包、こういった部分については当然これは少なくとも審議会の答申の線までは上げてしかるべき、こう考えます。  第三点ですけれども、どうもこの郵政省提案自身がはっきり筋が通ってないので困るのです。たとえば盲人用点字とか農産物、通信教育、こういったものは明らかに政府がめんどうを見るべき問題でございましょうし、五円という答申を三円にしたというこの二円の幅については全く理屈はどこをどうひっくり返してみてもわかりませんから、この辺の問題、当然政府が二円の幅についてめんどうを見るという筋を通してもらいたい、こう考えるわけであります。
  19. 田島参考人(田島四郎)

    田島参考人 大体先ほど申し上げました趣旨から、私は第一点の保険、貯金についての黒字のほうはまだまだサービス改善が十分にいっていないから、その点については完全に剰余金が出たというわけにはいかぬと思います。そうした意味でもう少しこの経理の面を検討し、そうして受益者に還元しなければならないものが相当あり得る。これはこれからの合理化サービス改善ということを推進するということを推し進めると若干違ってくるのじゃないか、こう思います。しかも現在の趨勢を見ますと、電電公社のように、あるいは特別のものに対する保険、貯金ということは、やがて公社的なものになって独立していく。いつまでも郵便事業ではぐくんで育てなければならないというような必要性はなくなるのじゃないか、このようなふうに思っております。そうして経理は完全に独立させる、こういうように考えます。  それから受益者負担の概念については、私先ほど申し上げましたとおり。それから一般会計からの繰り入れについても同じでございます。私は一般会計からの繰り入れはしないほうがよろしい、このようなふうに考えております。  簡単ですが、お答え申し上げます。
  20. 中島参考人(中島清重)

    中島参考人 第一点は、それだけの利益があるならば、なぜ値上げするのか。反対でございます。  第二点の受益者負担、これは当然だと思います。しかし政策料金のにおいがございますので、その点の若干の幅があるかと思いますが、これは当然一般会計から繰り入れてもおかしくないというふうに考えます。  三点は、これは自分が好きこのんでそのような山奥に住んでおるのではないのでございますから、当然一般会計から繰り入れてもふしぎではないのじゃないかというように考えております。  終わります。
  21. 野中参考人(野中貞亮)

    野中参考人 第一項の簡保、貯金の黒字のほうから回したらどうかということについては、これは反対であります。これはやはり料金値上げをして、郵政事業の中でまかなうべきであると考えます。受益者云々ということが出ておりますが、それはまた第二点で申し上げますけれども、私自身簡易保険あるいは貯金をしておるわけです。そちらのほうの利益は郵便のほうに持っていかれるといったら、そうしたらそれこそ受益者負担とかいうものはどうなるのですか。おかしな議論であります。私は貯金や保険のほうで利益が出たら、貯金や保険のほうに還元していただきたい、それがほんとうの話だと思います。  第二点、受益者負担の問題でありますが、これは審議会が答申をしておりますように、三種、四種の値段はあそこまで持っていくべきである。ただし、この案はやはり経過的な意味があるだろう。けさも国鉄の総裁の話をテレビで聞いておりますと、顔パスをやめさせるのは経営者の理念として当然だ、もうあの年をとった方がしっかりしたことを言っておられます。感心して聞いたのでありますが、しかしそれを当の職員のほうからすると、既得権益という考えも残る。そこにはちょっとむずかしい問題があるわけですが、第三種、四種といえども、やはりそういうことが少し残っておる。そういう配慮が全面的に審議会の答申の線まで持っていけなかったのだろうと思うのでありますけれども、いずれはそこまで持っていかれるのじゃないか。そういうふうに持っていってもらいたいと私は考えます。たとえば種の問題でございますけれども、優良な農産物種苗を全国的に普及させて、農業を改良するというような意図は、明治の時代におきましてはきわめて適切な処置であったろうと思います。しかし、今日においてもなおかつそれを補助しなければならないかということには異論があるわけです。だからこの第二点については、原則としては受益者負担という考え方審議会の答申の線までいっていただきたいが、とりあえずは本案ですみやかに実行してもらいたい、こういう考え方であります。  それから一般会計から繰り入れることの可否、これは私は独立採算制というものをとって能率の低下を防ぎ、それから増税につながらないようにしていただく、そういう意味において一般会計からの繰り入れをするようなことはしないようにしていただきたい。そのように考えております。  以上でございます。
  22. 御園生参考人(御園生等)

    ○御園生参考人 第一点、簡保あるいは郵便貯金からの繰り入れの問題につきましては、私は局舎改善あるいは機械化、そういうものについてはもう少しそれらの剰余金を使用すべきだ、こう考えます。なぜならば運用部資金が他の大企業に間接的にではございますけれども、財政投融資としていろいろ使用されておるという点から考えますと、単に郵便事業であるからといってそのほうに剰余金を使用することは妥当でないという考え方は成り立たないのではないかと考えられるわけであります。  それから第二点、受益者負担という点の妥当性でございますが、私は、いわゆる総括原価主義というのは一部においてすでにくずれている、なぜならば今度の料金値上げを見ますと、黒字を生んでいるところの第一種値上げしている、あるいは第三種を低く押えているというような点から考えまして、いわゆる独立採算制という原則というのは、やはり公共性という原則のもとにおいて多少制限さるべきものである、こう考えられるからであります。なおこれらの料金につきましては、従来ともあるいは将来においても、郵政労働者の低賃金並びに国家公務員としてのあるいは公共的な労働行為としてのいろいろな争議行為の禁止があるという点に成り立っておるものでございますから、したがってそういう点を加味いたしますと、料金をむやみやたらに原価主義に基づいて値上げするということの妥当性はきわめて疑わしいと考えられるものでございます。  最後の一般会計からの繰り入れの妥当性でございますが、もし第三種が、答申にございますとおり、文化政策的な意義を認めてその値上げを最小限にとどめるということが妥当であるとすれば、やはりこれは文教政策費その他の一般会計からの繰り入れをむしろ行なうべきものである、こう考えられます。  以上の点をお答えといたします。
  23. 松井(政)委員(松井政吉)

    ○松井(政)委員 どうも全参考人からお答えをいただきまして、たいへんありがとうございました。ちょっと私の説明が足らないので誤解を生じた点があったと思いますので、お答えは要りませんが、説明だけをさしていただきます。  単に簡保の利益金、それから郵便貯金の剰余金、こういうことばを言いましたので、何でそれだけの利益ができたかという説明を私はしなかったので誤解を生んだのではないかと思いますが、これは御承知のように、簡保の金、郵便貯金に零細に積んでいただきました金は、われわれは制限額を上げまして、郵便貯金はいま制限額を百万円まで上げておりますから、そういう金は預金部資金となり、財政投融資の金となってもろもろの民間を含めた企業体に運用するわけなんです。その利益金なんです。したがって、その利益金は、郵政事業の中の、局舎の建設や待遇の改善環境の問題に使えば、その分が余りますから、それは値上げをしなくてもいい方向へ回すことができるのではないかと考えられるので、そういう意味の御質問をしたわけであります。大体そういうことでございましたので、御了解いただきたいと思います。  たいへんどうも、お答えをいただきましてありがとうございました。  私の質問を終わります。(拍手)
  24. 砂原委員長(砂原格)

    砂原委員長 これにて参考人の御意見に対する質疑は終了いたしました。  参考人の各位には、まことに貴重なる御意見をお述べいただき、本案審査の参考に資するところきわめて大なるものがあると存じます。まことにありがとうございました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会