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1966-03-16 第51回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十六日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君    理事 佐藤洋之助君 理事 内藤  隆君    理事 栗原 俊夫君 理事 畑   和君    理事 森本  靖君       綾部健太郎君    木部 佳昭君       佐藤 孝行君    志賀健次郎君       徳安 實藏君    服部 安司君       本名  武君    南  好雄君       大柴 滋夫君    片島  港君       中井徳次郎君    原   茂君       前田榮之助君    松井 政吉君       佐々木良作君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         郵政政務次官  亀岡 高夫君         郵政事務官         (大臣官房長) 鶴岡  寛君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  畠山 一郎君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君         郵政事務官         (電波監理局放         送部長)    館野  繁君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   三熊 文雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   赤城 正武君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 達治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   浅沼  博君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     長沢 泰治君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室総         務)      野村 忠夫君         専  門  員 水田  誠君     ――――――――――――― 三月十一日  委員佐藤孝行辞任につき、その補欠として賀  屋興宣君が議長指名委員に選任された。 同日  委員賀屋興宣辞任につき、その補欠として佐  藤孝行君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十四日  簡易保険及び郵便年金資金運用範囲拡大等に  関する請願木村剛輔君紹介)(第一六八八号)  同(塚原俊郎紹介)(第一六八九号)  同外十七件(森本靖紹介)(第一六九八号)  同外二件(森本靖紹介)(第一八七九号)  同外十四件(今松治郎紹介)(第一八八〇号)  電話架設促進に関する請願田中伊三次君紹  介)(第一六九〇号)  京都府北部都市民間テレビ難視聴解消に関す  る請願柳田秀一紹介)(第一七八一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ――――◇―――――
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人招致の件についておはかりいたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について、本件の審査が終了するまで、日本放送協会から随時参考人を招致することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人の人選、手続等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ――――◇―――――
  5. 砂原格

    砂原委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。
  6. 砂原格

    砂原委員長 まず提案理由説明を聴取いたします。郡郵政大臣
  7. 郡祐一

    郡国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和四十一年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして御説明申しあげます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣意見を付して国会提出するものであります。  これら収支予算等についての概略を申し上げますと、まず、収支予算につきましては、その規模は、収入支出とも総額九百二十五億八千万円と予定されておりまして、これを昭和四十年度に比べますと、それぞれ六十九億四千万円の増加となっております。  収支内訳といたしましては、資本収入百八十四億六千三百万円、事業収入七百四十一億一千七百万円、資本支出二百五十一億九千三百万円、事業支出六百六十九億八千七百万円、予備金四億円となっており、事業収入のうち、六十七億三千万円は、建設費等資本支出に充当することとなっております。  次に、事業計画につきましては、そのおもなものは、テレビジョン放送全国普及のための積極的な置局の推進、教育テレビジョン放送番組強化拡充テレビジョン放送におけるカラー放送時間の増加等となっております。  郵政大臣としましては、これら収支予算等につきまして検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元にお配りいたしましたとおりの意見を付して提出した次第であります。  何とぞ御審議の上すみやかに御承認くださいますようお願いいたします。
  8. 砂原格

    砂原委員長 次に、参考人日本放送協会長前田義徳君より補足説明を聴取いたします。前田義徳君。
  9. 前田義徳

    前田参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和四十一年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げる機会をお与えくださいましたことに対し、厚くお礼申し上げます。  協会は、昭和三十七年度を起点とする第二次六ヵ年計画を策定し、委員各位の御協力を得まして、着々その実現に努力いたしておりますが、昭和四十一年度における事業運営につきましては、この第二次六ヵ年計画の第五年度としての諸計画を各部門にわたり積極的に推進することとし、テレビジョンラジオ放送全国普及早期達成につとめるとともに、すぐれた放送実施して、国民の要望にこたえ、国民生活充実向上に資することといたしております。  次に、そのおもな計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画から申し上げますと、テレビジョンにつきましては、総合教育とも全国放送網早期完成をはかるため、総合教育テレビジョン局とも百二十局の建設を完成し、五十局の建設に着手することといたしております。これらによりまして、四十一年度末におきましては、総合放送教育放送とも放送局数は五百二十八局となり、全国世帯に対するカバレージも両者九五%となる予定であります。  一方、ラジオにつきましては、放送の受信困難な地域解消をはかるため、大阪大電力放送局建設するほか、第二放送二局の増設を実施することといたしております。また、超短波放送普及をはかるため、四十局の建設を行なうことといたしております。  これらによりまして、四十一年度末の全国世帯に対するカバレージは、第一放送九九・七%、第二放送九八・四%、超短波放送八七%となる予定であります。  また、放送規模拡大放送内容多様化に対処し、放送センター第二期工事を取り進めることといたしております。  このほか、ローカル放送充実に対処するための地方局演奏所整備テレビジョンラジオ放送設備充実改善研究用施設局舎、宿舎、業務合理化のための機器の整備等実施することといたしております。  これらの建設計画実施するために必要な経費総額は百八十億円でありますが、これの資金手当につきましては、自己資金により百二十一億七千万円、外部資金により五十八億三千万円を調達することといたしております。  このうち、自己資金につきましては、減価償却引き当て金及び固定資産売却代金百一億七千万円のほか、受信料からの繰り入れ二十億円を予定いたしております。また、外部資金につきましては、放送債券の発行によるもの三十億円、長期借入金の借り入れによるもの二十八億三千万円でありますが、放送債券のうち、十億円につきましては、財政投融資資金の融資を予定いたしております。  次に、事業運営計画につきまして申し上げます。  まず、国内放送につきましては、テレビジョンラジオとも番組内容向上刷新につとめることといたしておりますが、テレビジョンにおきましては、特に、教育放送放送時間を一時間三十分増加いたしまして、一日十六時間三十分の規模をもちまして、学校放送番組通信教育番組等充実をはかることといたしております。  また、カラーテレビジョン放送につきましても、放送時間を三十分増加して一日三時間とし、カラー番組の積極的な編成につとめることといたしております。そのほか、ローカル放送につきましては、地域社会に直結した報道教養番組充実をはかることといたしております。  ラジオにおきましては、特に新しい放送分野である超短波放送におきまして、そのすぐれた特性を生かした番組刷新強化を行なうことといたしております。このほか、報道取材体制整備放送番組利用促進等の諸計画実施することといたしております。  また、国際放送につきましては、十八方向、一日三十六時間の規模により、放送実施することといたしておりますが、アジア近隣諸国向け等について、一日二回の放送実施計画いたしております。  次に、受信契約者普及協会事業周知につきましては、UHFテレビジョン置局地域に対する受信者維持開発対策テレビジョン共同受信施設に対する助成、事業周知強化等によりまして、受信契約者維持増加につとめるとともに、受信料の収納につきましても、一そう確実を期するよう努力することといたしております。  調査研究につきましては、番組技術それぞれ基礎的分野調査研究を重点といたしまして、国民世論動向調査テレビジョン及びラジオ番組聴視状況調査並びに意向調査放送衛星開発に関する研究UHF放送技術研究カラーテレビジョン改善研究等を積極的に実施することといたしております。  経営管理関係につきましては、事業規模拡大に伴う業務の増大に対処いたしまして、業務全般にわたり合理化を積極的に進め、経費の節減につとめますとともに、職員に対する教育訓練実施等によりまして、企業能率向上をはかることといたしております。  また、給与につきましては、社会水準に比し、適正な水準を維持し得るよう改善をはかる所存であります。  最後に、これらの事業計画に対応する事業収支につきまして申し上げますと、まず、四十一年度における受信契約者の増減につきましては、契約甲においては、年度初頭千八百五万六千件に対し、年度内八十五万件の増加契約乙においては、年度初頭百四十六万七千件に対し、年度内三十三万件の減少を見込みまして、これによる受信料収入を七百三十一億四千八百万円と予定いたしております。  このほか、国際放送関係等交付金収入一億四千万円、預金利息等雑収入八億二千九百万円を合わせまして、事業収入総額は、七百四十一億一千七百万円であります。  これに対する支出といたしましては、放送債券償還積み立て金外部資金返還金受信料からの建設費充当などの資本支出関係六十七億三千万円のほか、事業支出関係に六百六十九億八千七百万円、予備金に四億円を充てることといたしております。  以上、昭和四十一年度日本放送協会事業計画につきまして、そのあらましを申し述べさせていただきましたが、わが国経済文化の発展、国民生活向上放送の果たすべき使命が、ますます重要となっていることに思いをいたしまして、従業員一同総力をあげ、この責務遂行努力する所存でありますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞすみやかに御審議承認賜わりますようお願い申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。
  10. 砂原格

    砂原委員長 これにて提案理由及び補足説明を終わりました。  この際、森本委員から発言を求められておりますので、これを許します。森本委員
  11. 森本靖

    森本委員 冒頭に、資料要求をいたしておきます。すでにこれは非公式に放送協会に連絡をいたしてありますので、この資料については本日じゅうに直ちに当委員会に御提出を願いたい、こういうことを冒頭に申し上げておきたいと思います。  まず第一番目に、毎年要求いたしておりますように、NHKの代表的なテレビドラマ番組制作費の一回当たりの平均額をひとつお願いしたい。二番目に、学校放送利用状況。次に、放送視聴グループ育成状況。次に、日本放送協会学園四十年度計画、さらにできれば四十一年度計画もお願いしたい。それから、日本放送協会学園昭和三十九年度の決算。それから、沖縄向け番組提供状況国際放送受信状況と反響。電信電話公社回線借用料内訳カラーテレビジョン受信機普及状況。それから、UHFテレビジョン・コンバーターの普及状況。超短波受信機普及状況NHK相談室利用状況。それから受信料集金方法別割合。それから経営委員会開催状況。それから技術研究費年間予算。それから技研の最近の成果。それから、これに載っております雑収入予算内訳。さらに職員給与体系。次に外部団体の役員の一覧表。  それから、これは言うてなかったわけでありますけれども、すぐできると思いますが、NHK組織外部から見ますと、郵政省、電電公社と違って非常に複雑多岐で、だれに一体命令権があるのかさっぱりわからぬ場合があります。たとえば、総務がおったり、専務がおったり、理事がおったり、会長、副会長、一体どこからどういう指揮命令系統であるかということが非常にわかりにくい点がありますので、NHK会長、副会長を頂点としたところの、いわゆる組織指揮命令系統を、ひとつ一覧表としてお出しを願いたい。たとえば、一番末端の放送記者に対するところの指揮命令系統は、会長からどういう経路を通ってどうなっていくか、このいわゆるNHK組織指揮命令系統を、ひとつ図表にして早急に御提出を願いたい。  以上、資料要求をいたします。
  12. 砂原格

    砂原委員長 都合により、この際、暫時休憩いたします。    午前十時五十九分休憩      ――――◇―――――    午後一時十三分開議
  13. 砂原格

    砂原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大柴委員
  14. 大柴滋夫

    大柴委員 NHKに関するいろいろの問題を聞きたいわけでありますけれども、私はNHKというものは、できるだけ多くの日本人によい内容のものを安い料金で見させるというか、聞かせるというか、そういう使命があるだろうと思うのです。昨年私はそういう問題で、党の代表として沖縄へ参ったわけでありますが、この沖縄におけるテレビのことを聞く前に、一、二沖縄に対する基本的なものの考え方について、郡郵政大臣にお尋ねしておきたいと思うのであります。  御存じのとおり、いま沖縄のいろいろの問題をめぐって、この国会もたいへん紛糾をしているわけでありますが、現在日本の一部である沖縄は、たいへん不幸な関係にあるわけであります。たとえば学校で教えておる金銭の呼称は円であり、銭であるけれども、実際のお金はドルであるしセントである。あるいは日本の国旗も自由に立てさせられない、そういうような不幸な関係にあるわけでありますが、一体いまの政府意向としては、沖縄というものはできるだけ早い機会日本沖縄県に復帰することを望んでおるのかどうなのか。大臣はまたそういう方向においてすべてのものごとを指導しておるのかどうなのか、そういう考えをまずお聞きしたいのであります。
  15. 郡祐一

    郡国務大臣 私が申すまでもなく、潜在の主権と現実の施政権と別個の形態にございまする沖縄につきましては、大柴さんの御指摘のように、いろいろむずかしい問題もございます。しかし郵政大臣といたしましては、いまも御指摘ありましたように、テレビの援助でありますとか、現に先島地区に対しまするマイクロでありまするとか、こうした少しでも現地の御希望に沿う施設充実してまいる、これを可及的すみやかに進めることにいたしたいと思っております。
  16. 大柴滋夫

    大柴委員 そういうテレビ設置とかいろいろ積み上げていくという方針はよくわかるわけでありますが、要するに日本の一部である沖縄が、沖縄県として日本復帰するということを望んでいる態度でそういうことを行なっているのかどうなのか。あるいはいうところの何か安保条約が固定的にあって、あのような不幸な関係が長引くような関係においてやっているのかどうなのか、方向は一体どうなんですか。
  17. 郡祐一

    郡国務大臣 これは沖縄の置かれている現状というものは、大柴さん自身がもうよく御承知のことであります。したがいまして、佐藤総理も、さきに沖縄に訪問に行かれました際に、沖縄住民本土に対して持っている希望、愛着、こうしたものに対して十分こたえるためにいろいろな、ことに民生上の処置を約束しております。そうしたことをやはり積み重ねていくということを現在としてはお答えしておくことにしたいと思います。
  18. 大柴滋夫

    大柴委員 私はしばしば申し上げているように、方向を聞いているわけであります。現在どういう状態にあるかということはわれわれも知っているし、あなたも知っているのだろうと思います。つまりこれが日本沖縄県として、一日も早く日本に帰ってほしい、そういう方向においてすべてのことをやっているのかどうなのか、その方向を聞いているわけです。
  19. 郡祐一

    郡国務大臣 復帰をいたしたい、いますぐ沖縄県というお話がございました。私自身も古い、もう三十年以上前でありまするが、事実沖縄振興の第一期五ヵ年計画、第二期五ヵ年計画を扱った経験がございます。したがいまして、その地方組織というようなことについては別といたしまして、本土復帰をいたしたいという希望、これをあらゆる機会日本としては好意を持って対処していく、これはもう当然のことだと思います。
  20. 大柴滋夫

    大柴委員 復帰のいろいろについて好意を持って対処したい、そういうならば、現在行なわれているところの施政権返還運動とか、あるいは本土復帰運動というものは、一体現政府にとって好ましいものであるのか、あるいは困った問題であるのか、どっちなんです。
  21. 郡祐一

    郡国務大臣 これはもう佐藤総理沖縄に行かれましたときも、沖縄の島民ということばは避けますが、沖縄にお住まいの方々の希望をできる限り聞こうという態度、したがいまして、ほんとうに熱情あふるる気持ちに対しては十分な好意を持っていく、迷惑だというようなことは、私はだれも考えていないと思っています。
  22. 大柴滋夫

    大柴委員 御存じのとおり、いま施政権返還運動というものが行なわれているわけであります。おそらくきょうあたりも大きな問題になっているのだろうと思いますが、あなたが先ほど言ったように、沖縄県民復帰に対する運動に対しては、あたたかい心を持って対処するというならば、この種の運動も少なくともこれはいけない運動だ、あるいはこれは排除しなければいけない運動だ、そういう方向ではないわけですね。
  23. 郡祐一

    郡国務大臣 一口に申せば排除すべきだ、いけないものだとは申せませんけれども、これは一つ一つの具体の場合に行き過ぎの場合もございましょう。いろいろな場合もございましょう。一がいに申し述べることは、私はこの際は避けたいと思います。
  24. 大柴滋夫

    大柴委員 一つ一つ運動が、佐藤さんを取り巻いたとか、佐藤さんに赤旗振ったとか、そんなことの問題ではなくて、要するに沖縄日本復帰しようとする、あるいはまたその前提であるところの施政権返還運動というようなものは好ましい運動である、あるいはこれは現地民としてあたりまえな運動である、こういうようにお考えになっているわけですか。その運動総体であります。   〔委員長退席佐藤(洋)委員長代理着席
  25. 郡祐一

    郡国務大臣 運動総体と申しますか、沖縄住民が一様に持っております本国に対する、日本に対する感情というもの、これは私は先ほど来申しますように、十分尊重もし力を十分かさなければいけないことだと思っております。
  26. 大柴滋夫

    大柴委員 きわめて不得要領な御返事でありますが、これ以上は逓信委員会でありますからやめておきますけれども、昨年私どもテレビ本土-沖縄間の上りマイクロ回線設置政府はどういうように努力するか、これは努力をしてすみやかにこの回線設置できるようにするという御返事がありましたが、この一ヵ年にどういう努力をなさいましたか。
  27. 郡祐一

    郡国務大臣 先島地区の住民を対象といたしまして、同地区にテレビジョン放送施設建設して、これを琉球政府に贈与いたしたということは、これはすでに大柴委員御存じのとおりでありまして、そしてこれを四十一年ないし四十二年の二カ年に整備することとして、四十一年度予算調査費を計上しております。それで上り回線のことは、これは私、まだ速記録等について十分拝見はいたしておりませんが、徳安大臣から努力するというお話があったそうでございます。そうした点につきまして、沖縄から本土向けテレビ中継回線を設けますこと、私はこれは好ましいことだと思います。私将来の問題として考えさしていただきたいと思います。   〔「電気通信監理官を呼んでこい」と呼ぶ者あり」〕
  28. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 ただいま畠山監理官がこちらへ向かっております。  この那覇-鹿児島間の上り回線の問題でございますが、私どものほうで具体的にこれを現地調査その他のことはまだその段階まで至っておりませんが、私どもが一応電電公社等と打ち合わせて計算をいたしました概算では、その総経費は大体一億二千万くらいを要するであろうというような見当をつけて、そういう段階調査をやろうということにいたしております。
  29. 大柴滋夫

    大柴委員 その一億二千万か三千万かかるという調査だけはわかった。それからどうしたわけですか。
  30. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 ただいま大臣の御答弁にもありましたように、ただいまの段階におきましては、まだ先島地区に対しましてテレビ局設置をしよう、その経費がようやく四十一年度国会に出ておるような現状でございますので、まずこれを先に行ないまして、第二の段階として、上り回線のほうを予算要求その他やってみたい、そういうことを考えております。
  31. 大柴滋夫

    大柴委員 昨年の返事は、上り回線は昨年中にも努力するという返事だろうと思うのです。ところがことしになって一億二千万がわかっただけで、将来やってみようという、いつやるのですか。それはことしじゅうに何かやるのか、何年先かわからぬ、とにかくやってみよう、私が将来金満家になりたいというような、それと同じような程度ですか。
  32. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 当時の徳安大臣が御答弁いただきましたときは、実はなるべく早急にという考えでおりましたが、ただいま申し上げますような、まず先島地区にテレビ局建設ということが先決問題とされましたのが一つ。もう一つは、この上り回線によります、いわばテレビ本土への逆流の問題が、私どもが当時考えておりましたのと少々違いまして、現地等から、私どもの知ります範囲におきましては、それほど強い要望もなかったように考えております。したがいましてまず第一段階には、先島へテレビ局建設、そのあとにこれを行ないたい、そのように考えておる次第でございます。
  33. 森本靖

    森本委員 ちょっと関連して。  このマイクロ回線は、官房長は熊本の郵政局長をやっていたから御承知ないと思うのだが、これは内閣委員会において、徳安さんが総務長官のときにこの法律は通ったわけであります。これは特別立法として通ったのです。その特別立法で通るときに、これは下り回線だけではだめである、上り回線も将来つけなければならないのじゃないかという質問に対して、将来そういうふうに考えますという答弁は内閣委員会においても行なっておるわけです。それから当逓信委員会においても、将来このいわゆる琉球からの、沖縄からの上り回線については考える、こういうことを言っておるわけであって、それから官房長がいま言ったように、これは沖縄の県民が要望するか要望しないかということよりも、上り回線の場合は逆に日本国民が要望するわけだ。沖縄の実態を知るためにはやはり上り回線がなければ、同時にこれは実態を知ることができないわけです。だから、これは沖縄の県民から要望がないからといってその要求が云々ということとは逆になるわけであって、われわれが知りたいのは、こっちから沖縄に流すことも重要だけれども沖縄の実態ということも同時中継によってわれわれは知るべきである。ちょうどNHKが北海道と鹿児島をネットワークをもって年末、年始に同時中継をやる。ああいうやり方で沖縄の一端を見たいというのが日本国民の要望であるわけです。だから、その要望が沖縄県民にあまりないから云々というようなことは取り消してもらいたい。しろうとがあまり出しゃばった回答するなということは、私はそういうことを言っているわけです。
  34. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員長代理 監理官が来ましたから、先ほどの質問を……。
  35. 大柴滋夫

    大柴委員 昨年、徳安郵政大臣は、本土-沖縄間の上りマイクロ回線設置努力するということをこの委員会でも約束したわけでありますが、この一年間にどういう努力をしているか、こういう質問でございます。
  36. 畠山一郎

    畠山政府委員 沖縄との関係につきましては、やはりいま森本先生からも御指摘ございましたが、実は沖縄側の要望を中心にいたしまして、それを受け入れるという方向で進んでおります。テレビ上り回線につきましても、要望があれば経費的にも比較的簡単にやれますので、やる気がまえはございますが、沖縄側といたしましてまず急いで先島との間の極超短波による電話連絡と、それから私どもの所管ではございませんが、先島におけるテレビ放送設置ということを緊急の問題として要請がございましたので、四十一年度におきましてはその方面を実施する、そういうことにいたしたわけでございます。
  37. 大柴滋夫

    大柴委員 先ほど森本君もおっしゃったように、沖縄はいろいろの要望を持っているわけですが、どっちが先であるかは別問題といたしまして、上り回線をやるならやると大臣が約束した以上、何らかの努力というものが見えなくて、そういう言を左右にするならば、一体いつこの上り回線というものをやるのですか。そういう展望がなくて、ただ約束をしただけでありますか。
  38. 畠山一郎

    畠山政府委員 テレビ専用回線設置いたしますには、琉球電電公社日本電電公社との話し合いで実施するわけでございますが、琉球電電のほうからの要請がございませんでしたので、今回、四十一年度では考えなかったという次第でございます。
  39. 大柴滋夫

    大柴委員 琉球電電から話がなかったとあなたはおっしゃいますけれども日本でもいろいろ不幸な関係にある沖縄の状態を知りたい、そういうような要望に基づいて私どもが前に質問をした、そのことに対して徳安さんは答えたわけですね。その答えたことに関して、それじゃ全然方針を変換したわけですか。言を左右に――変なことばでありますけれども、琉球電電のほうから要求がなければやらないということになるわけでありますか。
  40. 畠山一郎

    畠山政府委員 やらないというわけではございませんが、琉球側からまずこれを急いでやってほしいというようなものがございましたので、それを先に手をつけたという次第でございます。
  41. 森本靖

    森本委員 こういう問題は琉球側からまずやってくれということは、それは石垣島なりその他にテレビジョンをつけてくれということが出てきたことは当然ですよ。上り回線については、やはり全国的にネットワークとして中継をしてやりたいからひとつやらぬかという話を、逆にこっち側から向こうに持っていってしかるべきなんです。それを向こう側が持ってこぬから私は一切話をしませんというのでは、全然誠意がないじゃないか。こっち側からそういう話を持っていって向こうに断わられたというならまだ話はわかるけれども、向こうから何もありませんから私のほうは黙っておりますということでは、これは答弁にならぬよ。そんなばかなことあるかね、はっきり言って。第一向こうから来る時間というものは少ないですよ。上り下り見た場合に、当然こっちから行く場合の時間が多くて、向こうから上がってくる時間が少ないのはあたりまえなんです。しかしその少ない時間でも、日本国民沖縄の県民の状況を見たいということは、日本国民全体の要望なんだ。だからそれを琉球電々の要望がないから私のほうは取り上げません、そんな誠意のない答弁があるかね。
  42. 畠山一郎

    畠山政府委員 先ほどから御答弁申し上げましたように、こちらから全然やらなかったというわけでございません。こちらから話を持ち出しましたが、それよりももっとやってほしいものがあるということで、現在……。
  43. 大柴滋夫

    大柴委員 私は畠山さんなり官房長の話を聞いていたわけですが、日本国民の要望なんです。今日われわれはやはり沖縄というものに対して――行ってみればわかりますけれども、いろいろな面で日本国民が実情を知るということが一番必要なことだろうと思います。佐藤さんがこの間囲まれてしまったとか、アメリカ軍の宿舎に逃げ込んだというようなことを映されると困るから、上り回線を置かぬのかもしれませんけれども、いずれにしても郡さんはこれを努力をして、沖縄日本を結ぶ上り回線というものに努力を払っていただきたいと思うのです。  さらにお尋ねいたしますが、先ほど復帰に対する沖縄県民要求をあたたかい心をもって対処をする、そういうことでありますれば、将来どういうことになるか知りませんけれども、社会党はもちろんそうでありますから、沖縄日本沖縄県に将来なるだろうと思っております。またそうならなければならないと思っておりますが、その方向においてするとするならば、一体このNHKというものと沖縄というようなものは、将来どういう関係になっていくのか。あるいは日本の熊本とか鹿児島と同じような、一般放送教育放送の二つ置くというようなつもりで指導なされるのかどうなのか、その辺は郵政大臣どうでありますか。
  44. 郡祐一

    郡国務大臣 これも根本に立ち入るわけでございますけれども、現在は異なった法秩序のもとに行政が行なわれております。しかしながらこうしたテレビというようなものについては、あとうべくんば将来できる限り同じような便益が受けられるということになれば望ましいものだと私は思っておりますけれども、現在の行政の実情から申しますと、いま直ちにNHKがどういたすというわけにもまいらない状態でございます。これは、あわせて十分福祉をはかっていくという上では、私は考えるべき問題があると思っております。
  45. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると、こういうように確認していいわけでありますか。いろいろ異なった法秩序のもとにあるとしても、テレビというようなものに関しては、将来日本の県としていくようにいろいろな努力をする、あるいはまた施政権返還ですね、その種の運動についてはあたたかい心をもって接する、郵政大臣たるあなたはそういう態度でおるということを、たとえば沖縄におるところのNHKの記者その他が確認をしていろいろ行動をする、こういうような考えでいいわけですか。
  46. 郡祐一

    郡国務大臣 県とおっしゃいますが、その点は先ほど来大柴さんとお話しし合った点で、それは別といたしまして、私申しましたように、ラジオテレビの恩恵に十分浴し得るようにするということ、それと、しかし現状におきましては琉球の持っておりまする電波法との関係で、どうにもNHKも力の出しようもない、しかしながら私は技術的な援助等あとう限りにおいてはNHKもやってくれることが望ましいと思いますが、しかしそれはそれといたしましても、ラジオテレビについてでき得る限り十分沖縄住民の満足できるようなことができれば、それはけっこうだし、私ども努力もごくあたりまえの方法で、そうしてそうしたことがだんだんと御満足のいくようにやっていってみたいものだとは思っております。
  47. 大柴滋夫

    大柴委員 だいぶ不得要領でありますけれども、いずれにしても大臣のことばの裏に方向というものが確認できたことは喜ばしいと思います。  質問を先に進めますが、先ほど先島地区のテレビ建設計画というようなことをおっしゃいましたが、これは一体予算というものがどのくらいであり、具体的にいつからこれが見えるようになるのでありますか。さっきの上り回線と同じようなものでありますか、どっちですか。
  48. 郡祐一

    郡国務大臣 四十一年、四十二年の二ヵ年で整備をいたし、そして演奏所及び送信所を持つテレビジョン放送局を宮古、石垣の二ヵ所に建設をいたすというような骨子で検討いたされておりますが、予算なりまたその進捗の計画等は政府委員のほうからお答え申し上げます。
  49. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 お答えを申し上げます。予算につきましては親局二局、中継局三局を建設整備するのに必要な経費といたしまして、二ヵ年計画総額六億九百五十余万円程度国会で御審議願うようになっております。このうち昭和四十一年度の歳出額としましては二億一千五百六十二万七千円でございまして、ただいま御審議中であるわけでございます。  なお第二の点でございますが、建設に要する期間や、それの放送開始の時期は大体いつごろになるかという点でございます。これは大体先島地区のテレビジョン放送局の建設には、工事着工しましてから一年三ヵ月ないし一年半かかるというように私ども考えております。したがいまして本年の四月から本格的作業に取りかかりました場合には、四十二年の六月ころ一部の局におきまして試験電波の発射が可能になりましょうし、十二月ころまでには全局が本放送をできるのではなかろうか、そのように考えております。
  50. 大柴滋夫

    大柴委員 これは郵政省がつくるのでありますか。
  51. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 ただいま説明が少し不十分でございましたが、予算は一応総理府の所管で成立をしております。予算は分掌上総理府についたが、向こうにおきましては、建設計画あるいはその他能力等がないので、郵政省にこれをやってくれないかという相談がただいまあるわけでございます。私どもも事情やむを得ないものとして、そのようなことに取り進むのではなかろうかと、現在その引き取り交渉を続行中の段階でございます。
  52. 大柴滋夫

    大柴委員 向こうと言いますが、そのあなたの言う向こうの具体的な名前を教えてください。
  53. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 私どもが当面事務折衝の相手としておりますのは、総理府の特連局でございます。
  54. 大柴滋夫

    大柴委員 その実際的にやるのは沖縄のどこと郵政省は相談してやるわけですか。
  55. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 本件につきましては、結局予算と申しますか経費日本政府経費でございます。現地におきまして琉球政府その他の援助を得て工事の着工、施行をしなければならないので、琉球政府の所管の局と折衝することになるわけでございます。
  56. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると郵政省が現地の所管の局と相談をしてつくる、こういうのでありますが、郵政省はいままでテレビ局をつくるとか、そういうことの御経験があるわけですか。
  57. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 御案内のように私ども電波監理局、そういうところではもちろん現実に工事を施行するということはいたしていないわけでございます。したがいまして、現在総理府との折衝、交渉の結果、私どものほうでやることになりました場合、どのような機構をもってこれをとり行ないますか、それはどういうふうな方面の援助を得て――と申しますのは実際の工事の設計、施行等の問題でございます。そういうような点については現在検討中の段階でございます。
  58. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると、幸いにしてどういう形でかそれができる、所有権というものとかあるいはこれの使用権というか、専用権というか、そういうようなものはどこにあるわけでありますか。
  59. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 私どもが総理府から聞いております限りにおきましては、工事を施行いたしまして完成をいたしますまでは日本政府の所有に帰しておりますが、これはお尋ねのようにいわゆる沖縄援助の一環でございますので、その後において法律その他をもちまして琉球政府へ譲渡をされるというように了解をしております。
  60. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると所有は琉球政府ということになりますと、その運用はやはり琉球政府にまかせっぱなしになりますか、あるいは日本でも多少いろいろとこれに対して善意な意味で指導するとか、あるいは入っていっていろいろ発言権があるとか、こういうようなことになるのですか。
  61. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 そのような点におきましては、おっしゃいますように先方の琉球政府の所有に帰しまして、その担当もしたがいまして琉球政府になるわけでございます。それじゃそれに対する善意の援助等についてはどうかというお尋ねでございますが、これは日本政府総体として沖縄に対する基本的な態度、それによって具体的にはきまることと存じます。ただいまそこのところまで私どもといたしましては検討いたしておりません。
  62. 森本靖

    森本委員 官房長、それは確かに最終的に琉球政府の問題になりますか。
  63. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 先方に法律をもって譲渡いたしました後におきましては建物の所有権も琉球政府のものでございますし、それをいかように運営いたしますかは、これはやはり琉球政府の所管であろうと考えます。
  64. 森本靖

    森本委員 だからそれは琉球政府に渡すまでは郵政省の責任だけれども、いわゆる琉球政府に渡った以下については琉球政府が責任を持ってやるけれども、最終的に琉球政府がこれを行なうということにはならぬでしょう。沖縄放送琉球政府がやっているの。
  65. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 終局的には琉球政府の判断にその問題はかかるかと存じます。実はそういう点につきましては総理府の問題でございますので、私どもの省としましては建設について担当をする、その範囲の相談しか総理府から受けておりませんので、そのような点につきましては特別検討したわけではございません。
  66. 森本靖

    森本委員 これは要するに電波放送のことでありますから、所管事項としては総理府でありますけれども、現実の内容としてはこれが実際問題として日本政府の資金でできる、そうして琉球政府にこれを譲り渡す、そのあとは琉球政府がどういうふうにこれを運営する、どこの放送会社にこれを貸す、どういうようになっていく、そういうところまでちゃんと突き詰めた見通しを持っていかなければ、日本国民の税金を使うわけでありますから、それについては、都合悪うなったら総理府の所管だから私は知りませんじゃいかぬ。そこまでちゃんと知っていかなければ初めから答弁をするな。やはり答弁をするくらいなら最後まで答弁ができるようにちゃんと筋道を立てて知っておかなければならぬ。最終的には琉球政府のものになるはずはない。貸すなら貸す、あるいは貸与するなら貸与する、譲り渡しをするなら譲り渡しをする、どこが放送をする、こういうふうにものごとをきちんとけじめをつけていかなければならぬ。だから最終的にはそれがどういうふうになるかということを聞いておるわけですよ。わからぬところは、総理府でございますから私は知りませんと言うなら初めから総理府に答弁をしてもらうほうがいい。これは徳安さんは総理府の長官をやっておったから、十分詳しいだろうと思うから、場合によっては徳安さんに答弁をしてもらったらいいけれども、しかしながら現在は政府側じゃないからそれは筋が通らぬ。とにかく答弁をするくらいならそれだけの用意はちゃんとして最終的にきちんと答弁ができるようにしてもらいたい、はっきり言うと、こういうことですよ。
  67. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもが総理府からいわば委嘱を受けておりますのはテレビ局建設の分野でございます。そして建設後においてはそれを琉球政府に法律をもって譲渡するのだというところまでしか私どもは聞かされておりません。その後の運営につきましては、これは先ほど申しますように、総理府のいわば対沖縄政策の一つでございますので、私どもとしてはこれに入っていないわけでございます。
  68. 森本靖

    森本委員 ぼくはそれがいかぬというのだ。そういう君の官僚的な答弁が気に食わぬ。それだったら世界的な放送情勢をわれわれが質問したときに、管理局長なり郵政大臣が答弁をする必要はないじゃないか。アメリカの放送情勢はどうなのか、フランスのいわゆる聴取料金はどうなっておるかということを質問したら答弁するじゃないか。当委員会としては電波放送に関することについては責任を持って審議しておるわけだ。なるほど沖縄に対する政策については総理府が持っておるけれども、その中における電波放送についての専門的な分野においては、この逓信委員会なり郵政省の助言と援助がなければできないはずだ。そういう点については当委員会が責任を持っておるわけだ。所管外であっても、その先はどういうようになっていくかということについてはやはり知っておく必要があるわけだ。そこから先は総理府だから私は知りませんという答弁では私は気に食わぬわけだ。それなら世界の放送情勢を質問したときに、それは外務省でございますから答弁の限りではございません、こう答えたらいいじゃないか。そうでなしに、やはりそういう質問があったならば、電波放送に関する限りについては、郵政省なりNHKがそれぞれ答弁をする義務を持っているじゃないか。琉球政府にそれを渡す、琉球政府は今後それを、二つの放送局があるけれども、その系統にどういうようにこれを持っていく、どういうように運営をする、その貸与のしかたはどうする、譲り渡しはどうする、あるいは琉球政府自体が運営をするのか、そういう点についてまで、やはり郵政省としては一応研究討議を総理府としておく必要がある、こういうことを言っておるわけです。それをいつものとおりあなたのほうでは、いよいよ肝心のところにくると、総理府でございます。それだったら、初めから、郵政省は一切知りませんと言って、答弁しなければいい。ここは電波と放送の問題について質問をしておるのだから、それに答える責任があるわけです。まだそこまで話をしておらぬのだったら、話をしておりません、そこから先の話も、さらに総理府と煮詰めて聞いてみます、こういうふうに答えるのがほんとうじゃないか。
  69. 郡祐一

    郡国務大臣 琉球政府に贈与をいたす、琉球政府は当然沖縄内の民放と相談をいたす、これも森本さん御承知のように、これの今後の維持管理ということは、ことに経済的の意味合いで非常にいろいろな問題があろうと思います。したがいまして、私はその点については、設備をこしらえますること、これは予算があればできることでございます。それから先がむずかしい問題があると思います。したがってそれから先がやっていけますように琉球政府努力をいたさなければならないことでございまするけれども、われわれもまたそれが可能な方法ということは十分相談にも乗り、知恵を出すべき責任があろうと思います。そういたしませんと、これから先の発展が期待できません。ことに六億何がしという予算のことを申し上げておりまするけれども、この予算は決して十分な予算じゃございません。私は将来にもいろいろな問題があろうと思います。したがいまして、そういう点につきまして、贈与がどう段取りがつきましても、これは贈与をいたす、また先ほどもお話のございました沖縄との関係でありまするから、十分政府部内でも、どうしたらやっていけるか、これはどうしたらやっていけるかがなかなか出てこないので、苦しい問題を琉球政府もたくさんかかえておると思いますけれども、私ども政府内部でも十分検討いたします。ことに政府の中でこうしたことを、いよいよテレビジョン放送施設建設するという段になりまして、総理府の特連局ではどうにも仕事ができぬ、そして比較的郵政省が、縁が濃いということではありますけれども建設ということをやる役所でもございません。しかしこういう特殊のことでございまするから、力はかすことにいたしまするけれども、いたしまする以上、その後の問題については十分政府の中で議を練らしていただきたいと思います。
  70. 大柴滋夫

    大柴委員 さっきの話を続けますと、上り回線は全然要求がなかった、先島地区のテレビ局要求があったからこういうことをやったんだ、さもやったんだ、やったんだと言っているわけです。しかしそれを聞いてみると、建てる方向と金がかかる方向だけはきまったけれども、どこが運営するのか、どうするのかまだわからないということで、国会審議をしろ、こういうことでありますか。あとはおれたちにまかせろ、とにかくおまえら、先島地区にテレビ局をつくるのだ、これだけで審議をしろということでありますか。
  71. 郡祐一

    郡国務大臣 ただいま建設予算をお願いしているところでございます。しかし建設いたしました以上、それが十分沖縄住民の利益になるように運用されなければなりません。ただその運用につきましては、相手方のあることでございます。したがいまして、その折衝なりまた相談をいたしますために最善を尽くしたいと思う次第でございます。
  72. 大柴滋夫

    大柴委員 ひとつできるだけ早くこの運用の形態というものをわれわれに知らしてほしいと思います。  ところで、こういうことにつきましてNHKでは、郵政省なりあるいは総理府なりから何か御相談を受けているわけでありますか。
  73. 前田義徳

    前田参考人 ただいまのところ具体的な御相談にはあずかっておりません。私どもといたしましては、関係当局から協力の御要請があれば、先ほど来大臣が御説明になっているたてまえで、私ども沖縄住民のために協力申し上げたいという考え方を持っております。
  74. 大柴滋夫

    大柴委員 これについて郵政省はどうでありますか。こういうことに関しまして――そのために私は先ほどわざわざ沖縄県ということばを使って言ったのでありますけれども、何かNHKその他にもそういうことを相談するようなつもりでいるわけでありますか。まだそれも後刻の問題であってきまっておらぬということでありますか。
  75. 郡祐一

    郡国務大臣 先ほど申しましたように、沖縄それ自身が独自の電波法をもって規律をしているというような法域と申しまするか、そういう行政のやり方になっております。しかしながら私は、NHKがそうした制約を前提としながら、技術的な援助等NHKがして適当な部分があると思います。そうしたことについてはNHKの持っておる先進的な能力と申しますか、そうしたもので十分貢献してもらうことは当然必要なことになると思います。
  76. 大柴滋夫

    大柴委員 沖縄放送現状でありますけれども、いま沖縄放送というものは、内地からいっておるものあるいは沖縄自体でつくっているもの、特に内地からいっておるものでNHKからいっておるものあるいはまた民放関係から持っていっておるもの、一体どのような情勢になっておるか、だれかわかっておる方がありましたらちょっと……。
  77. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 放送局といたしましては、沖縄におきましてはラジオが琉球放送ラジオ沖縄でございます。なお、ラジオの分野につきましては、NHKが名瀬局に第一放送、第二放送を持っておりまして、徳之島にまた第一放送を持っております。テレビ関係につきましては琉球放送沖縄テレビ局がございます。大体そのような現状でございます。
  78. 大柴滋夫

    大柴委員 番組はどうですか。
  79. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 テレビ関係におきましては、沖縄放送番組の大部分はNHK及び国内の一般放送事業者、いわゆる民放が提供いたしております。三十九年の九月一日に、御案内のような日本-琉球間のマイクロ回線が運用開始になりましたのでNHK提供番組の大部分といわゆる民放提供番組の相当部分はマイクロ回線を使って電送されるようになっております。  一日の放送時間でございますが、琉球放送におきましては、大体一週間計七十二時間十分でございます。沖縄テレビは七十三時間三十五分でございまして、内訳は、自社制作の番組は琉球放送に駒きましては一週間計五時間三十六分になっております。沖縄テレビにおきましては、一週間計自社制作番組が四時間五十分でございます。NHKと民放の比率は、実は本件に関しましては、省内の分掌上、官房におきまして……
  80. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ちょっとお答え申し上げます。  十分御満足のいくような資料を持ち合わせておりませんので、後刻つくりまして提出いたしたいと思います。
  81. 大柴滋夫

    大柴委員 初めからそう言ってください。  NHKのほうへお尋ねいたしますが、説明の一に、「第二次六か年計画を策定し、」云々「着々その実現に努力いたしておりますが、」と、これはこの予定どおり進んでいるわけでありますか。
  82. 前田義徳

    前田参考人 結論から申し上げますと、御質問の御趣旨のとおりでございます。御審議をいただく四十一年度は第二次六ヵ年計画の第五年目に当たりますが、計画全体からいきますると、予定どおり進捗しており、ことに、毎回決議をいただいておる置局につきましては、予定を上回っているというのが現状でございます。
  83. 大柴滋夫

    大柴委員 予定を上回っているということはどういうことですか。
  84. 志賀正信

    志賀参考人 ただいま会長からお答え申し上げました点につきまして、実際の局数の上回り状況について御説明いたしたいと思います。  テレビジョンの置局に関しましては、ただいま第四年度目を経過中でございますが、この四十年度末で、当初第二次六ヵ年計画を策定いたしましたときには総合教育それぞれについて二百八十局という予定でございましたが、昨年度審議をいただきました予算並びに実行上努力をいたしました結果、これに対しまして本年度末には、四百八局に総合教育それぞれ到達する予定でございます。
  85. 大柴滋夫

    大柴委員 二百八十と四百八というたいへんな違いがあるわけでしょう、あなたの説明によれば。そうでしょう。
  86. 志賀正信

    志賀参考人 さようであります。
  87. 大柴滋夫

    大柴委員 これはどこからくるのですか。それなら初めから四百八にしておいたほうがよろしいじゃないですか。
  88. 志賀正信

    志賀参考人 三十六年度末すなわち第二次六ヵ年計画のスタートいたしましたときには九十三局でございましたが、三十七年度には三十二局の予定でございました。これに対して実績は二十七局でございましたが、その後三十八年度には三十五局に対しまして四十六、それから三十九年度には五十局に対しまして八十九局、四十年度には、当初の第二次六ヵ年計画におきましては七十という予定でございましたが、現在百五十まで引き上げて実施をいたしております。
  89. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると第二次六ヵ年計画というのはほぼ完成したということでありますか。
  90. 志賀正信

    志賀参考人 当初の第二次六ヵ年計画におきましては四十二年度、六年目の終了時点までに三百六十八という予定でございます。建設総数が四百六十一局で、この期間中に三百六十八局を建設するということで、総体の数といたしましては四百六十一の予定でございましたが、ただいま御審議いただいております四十一年度建設計画の中で、これが到達できることに相なります。
  91. 大柴滋夫

    大柴委員 四十一年度の間に到達するとすれば、一年早く第二次計画は終了して、今度また新しい計画を来年度は立てる、こういうことになりますか。
  92. 小野吉郎

    ○小野参考人 第二次六ヵ年計画の全体の進行につきましては、先ほど会長も申し上げましたように、全体を通じましてきわめて順調でございます。ただ、ただいま御質問にお答えをいたしました置局の部分につきましては、当初の四十二年度末完了の六ヵ年計画の目標は四十一年度半ばくらいに到達する、その限度におきましてはきわめて計画は促進されております。自余の番組向上でございますとか、あるいは放送時間の延長等の関係につきましては、六ヵ年計画の過程を追って進行中でございますので、これは四十二年度末に予定どおり計画を完遂できるということでございます。中には当初計画の中には入れておりましたが、いろいろ電波事情等の関係によりまして、計画はございましたが、実行は計画どおりにいっておらないというものもございますけれどもNHKの第一義的な義務でございます放送網の拡充の関係につきましては、四十二年度末にテレビの置局、四百六十一局をつくる予定のものが、四十一年度の中ごろ、ちょうど一年半くらい繰り上がって目標に到達できるということに相なっておるわけでございます。
  93. 大柴滋夫

    大柴委員 主としてテレビでありますが、だんだんテレビ普及してくる。そうすると受信料問題あるいは契約者の伸びていく率の問題、あるいはそれに付随してくるところのいろいろな問題が出てくるわけでありますが、受信契約の伸び率というもの、まあ四十一年のことは書いてありますが、ここ五年間くらいにどういう見通しを持っているわけでございますか。
  94. 志賀正信

    志賀参考人 受信契約者の今後の見通しの問題につきましては、ただいまいろいろ検討いたしておるところでございますが、一応の見通しといたしまして、四十一年度にはお手元の予算に八十五万の新規の増というふうにいたしてございます。四十二年度以降につきましての推定はいろいろな角度から検討いたしております。なかなかむずかしい問題でございますが、おおよそ四十二年度につきましては七十五万程度、それから四十三年度が六十七万、以下六十万、五十五万、五十二万というような形で増加数が逓減をしていくのではないかというように過去の実績から推計をいたしておるところであります。
  95. 大柴滋夫

    大柴委員 私ども昨年でありましたか、まだ前の会長が御生存中に何か池田さんと相談をいたしまして、ラジオ受信料についてはこれをやめるといったか、やめる方向だとか、こう二人で相談をしてこられて、この委員会で質問をしたら、小野さんは、あなたは否定したわけですね。そういうことは、どういうことを言ったかしらぬけれどもNHKとしては議論したことはございません。いまこのラジオ、特に甲、乙の乙の分だけの受信料というものはどのくらいあって、これを集めるためのお金というのはどのくらいでありますか。
  96. 志賀正信

    志賀参考人 四十一年度のお手元の予算の中にございます受信料収入のうちの乙につきましては、七億七千万円でございます。これの収納に要します経費につきましては約三億円でございます。
  97. 大柴滋夫

    大柴委員 そうするとこれは池田さんと前会長がしたように、NHKの膨大な予算から見るときわめて少ないので、これはまあラジオはひとつただにする、そうなってくるとこの間の前年度のあれでは甲の料金のラジオの分が困るからどうもまずい、こういうようなお返事でうやむやになってしまったわけですが、これもひとつ料金体系というものを新たなる見地に立ってお考えになって、ラジオはサービスとして料金は取らない、こういうような方向にいくわけでありますか、あるいはまたそういう新たなる見地をとらなくて、このままで来年も再来年もいくような、どういう方針でありますか。
  98. 前田義徳

    前田参考人 私どもは、たてまえといたしましては、ラジオ単独の聴取者が少なくなったからその部分は切り捨てるという考え方は持っておりません。NHKの、国民組織として国民の皆さまから財政的な支持を受けるというたてまえでものを考えていく筋道の中では、私はやはりどのような種類の放送であろうともすべて負担の公平ということを原則として聴視料の制度を考えてまいりたいと思っております。ただ先生もよく御承知のように、現在の聴視料の制度はテレビラジオを含んだものと、ラジオだけのものという形になっておりますが、簡単に申しますと、ラジオだけの部分というのはテレビが現実にまだそこに波が到達していないという部分の実際的な料金でございます。したがいまして、私どもといたしましては、先ほど来の御質問にもお答え申し上げましたように、また各年度ごとの予算の御審議に際して結論として置局に努力せよということを勘案しながら、できるだけ一日も早くテレビカバレージラジオカバレージとを近づけてまいりたい。このような姿においてただいま申し上げたようなたてまえが、負担の公平をそこなわないというたてまえにおいて料金問題が解決されるように努力いたしてまいりたい、このように考えているわけでございます。  また、ラジオのみならず、御承知のとおりにいわゆる社会的な経済負担の能力のない方々、あるいはまた公共的な用に供するための問題につきましては、ラジオにおいても大臣の認可を経て相当額の料金の免除をいたしております。そういうことと、ただいま申し上げた基本的な態度とは別の問題でございまして、したがいまして、現状におきましては、私どもとしてはただいま申し上げたような方向でこのラジオ料金の問題を解決いたしてまいりたい、このように考えております。
  99. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると、新しい料金体系でラジオはサービスをするということはないわけですね。
  100. 前田義徳

    前田参考人 現状においては、ラジオのみはサービス的なものであるという考え方は持っておりません。
  101. 大柴滋夫

    大柴委員 この問題は私のあとに理事がたくさん質問するでしょうからこの辺で譲りますが、このごろ盛んに放送衛星開発ということが言われているわけでありますけれどもNHKはこの面についてどのような調査なり研究をしているわけでありますか。
  102. 前田義徳

    前田参考人 現実の措置といたしましては、昨年末NHKの中にこの問題の調査委員会をつくりまして、それの検討の結果、大局的な方針をきめまして、ただいま御審議をいただく明年度予算におきましては、この調査委員会の方針を具体化する第一歩として、技術研究所の中に特に放送衛星研究を活発に行なうための予算を組んでおります。
  103. 大柴滋夫

    大柴委員 私どももあまりよく知らないのでありますが、放送衛星というものは一体実現をされる時期はいつごろであるのか。あるいはそういうものが実現されたならば、テレビあるいはその他のいろいろの局というようなものも変わってくるのだろうと思います。そういう展望についてはどういうような判断というか、考えというか、そういうものをお持ちでありましょうか。
  104. 前田義徳

    前田参考人 NHKの立場から答えさしていただきたいと思います。これはもちろん根本的には国策とも関連し、あるいは国際的なそれぞれの電波ないしこれと関連する国際組織にも関係してまいるわけでありますが、NHKといたしましては、この研究開始を明年度早々に着手するといたしまして、国内の科学技術の発展の経過と勘案して予想されるところは、この研究は少なくとも今後二年以内に終わるのではないかという見通しを持っております。そのような環境の中で、ただいま申し上げましたようなNHK以外の諸問題が解決される暁におきましては、NHKとしての切実な期待、希望といたしましては放送衛星を打ち上げたいと、このように考えております。この放送衛星放送に利用するという考え方の根拠は、私どもといたしましては、少なくとも三つのことを考えております。第一には国内カバレージを早急に一〇〇%に近づけたいという考え方でございます。先ほど来御質問に対してそれぞれの担当が御説明申し上げましたように、このテレビの置局計画というものはラジオと比較いたしまして、かなり地勢、地理的状況に左右されますので、ラジオと比較して地上置局だけでは、完全に近いNHK使命を達成するにはかなりの問題点があるのではないかと考えており、これをカバーする意味からも、できれば、可能であれば、私どもとして放送衛星を使用してはどうかという研究をしているわけでございます。この点については先ほど来御質問がありましたが、地上局の置局につきましても技術の進歩に伴いまして、単価の引き下げということが可能ではございますが、これには地理的問題等勘案して、一種の限界があるかと考えられます。これに対して放送衛星を使用する場合には、それがある程度乗り越えられるという考え方を持っているわけでございます。その他の問題につきましては、御承知のように宇宙時代が始まっており、すでにある種の通信衛星はテレビの用に供せられて、これが国際的に使われるという傾向が顕著でございますが、これに関しても、私どもといたしましては最低のコストで最高の仕事ができる方向としては何であるか。特に先ほど来いろいろな御意見を伺っておりますと、たとえば沖縄をも含むアジア地域との関係、将来発展し得る可能性を予想した場合におきましても、それからまた現実の問題として、電波的に私どもの理解する限度でございますが、片やソビエトにおいてもすでに放送衛星が打ち上げられており、その他アメリカはもちろんのことでありますが、最近私が直接伺った情報によりますと、カナダもすでに打ち上げる計画を持っているというような実情の中で、その点についても、日本放送事業が、この国際的な情勢の中で孤立し、孤島になることは望ましくないという考え方も私は持っております。しかしいずれにいたしましても、私どもといたしましては、ただいま御説明申し上げた第一の理由により、もし可能であるならばこれを使用いたしたいという考え方を持っているわけでございます。
  105. 大柴滋夫

    大柴委員 何か二年たてば研究が終了する。ソビエト、アメリカがすでにこれを打ち上げておる。  これは郵政大臣にお尋ねしますが、日本としてもやがて打ち上げる時期がくるだろうと思いますけれども、実際これが実用化というか、実際に使われるときは大体いつごろと大臣はお踏みになって、こういう予算なり研究をさしているわけでありますか。
  106. 郡祐一

    郡国務大臣 私自身が知識が乏しいのでありますが、昨年もスイスでありました国際電気通信連合に行って見まして、他の国の閣僚等から、たとえばフランスの郵政大臣からソ連の通信衛星についてどう思うかというようなこと、それから自分の国ではこう利用しているとかいうような話が出ました。あるいは今年参りましたイギリスのベン郵政大臣も、衛星についての非常な関心を持っておりました。で、私は案外早い時期に実用化の可能性があるんじゃないだろうか。ただこの点は、NHK前田会長その他の方からも、また私の役所の電波監理局長などからもいろいろ話は聞いております。案外早いかもしれません。しかしそこにはいろいろな問題点があるということも同時に承知をいたしております。したがいまして私は、いつ実用化し、いつ可能性が出てくるかということは、正確には判断できないのでありますけれども、早い時期に実用化が起こった場合、立ちおくれないように準備をする、研究をする、こうしたことは十分精を出してもらいたい、こういう希望を持っております。
  107. 大柴滋夫

    大柴委員 まことにけっこうな希望ですが、研究が二年以内に終わるというときに、三年目にはできるであろうとか、ぜひしたいものだとか、そういうことにはならぬわけでありますか。大臣でなくても、だれか、そういうことのエキスパートの方……。
  108. 郡祐一

    郡国務大臣 どうも私の感じは案外早いぞという感じなんですが、さあそれが三年かどうかとおっしゃられると、私ちょっと人から聞いた受け売りでございますから、電波監理局長からお答えさせます。
  109. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの世界の情勢からいたしまして、実際に技術的に衛星放送というものができるような段階にくるのはいつであろうかということは、いま御指摘のように、非常に重大な関心事であろうと思います。しかしながら、現在の現状からいいますならば、一つには、直接の衛星放送というものを考えました場合には、相当大きな電力、電源というものを衛星に載せなければならないということでございまして、現在のような太陽電池ではとうてい間に合わぬであろうというのが一つの見方でございます。したがいまして、こういうような方面の研究からいたしますと、いまアメリカでそういう研究を基礎的に考えておるようでございますけれども、その計画は大体一九七〇年代でございます。したがいまして、大体十年ぐらいというのがわれわれの感じでございます。  そのほかにも非常に大きな問題がございまして、たとえばある一つ地域を指向いたしますようなアンテナをこしらえることが相当にむずかしい問題でもあるというようなことが、いろいろございます。そういうようなことを考えますならば、技術の面からいいましても、おそらく十年ぐらいかかるのではなかろうかと思います。  それから、実際にこういうような技術の問題が整いましても、これを放送という現実的なものに持ち込むのには非常に多くの問題がございます。政治的にも、行政的にも、また技術的にも、こういう多くの問題を乗り越えないといけないと考えられるのでございます。と申しますのは、非常に多くの影響が放送界にもたらされて、現在やっておりますような放送の秩序というものをもとから考え直さなければならぬというようなことが起こるのではないかと思います。したがいまして、技術的な問題と、それに先行いたしますところの諸問題、こういうものを両方考えた上で初めて衛星放送というものが可能になるのではないかと思います。
  110. 大柴滋夫

    大柴委員 お話はよくわかりました。いずれにいたしましても問題が二つある。一つ技術的の問題、一つは根本的に放送そのものを変えねばならない。いろいろの利権の問題とかその他があるのだろうと思いますけれども、十年後には可能だというお返事でありまして、そこで最後の質問をしておきたいのであります。
  111. 森本靖

    森本委員 ちょっとその前に、これは私、前田会長に注文をしておきたいと思いますが、私は放送衛星の問題については電監局長の答弁が一番妥当であろうと思う。NHK会長の発言というものは、これは放送界に対してかなり大きな影響力を持ちます。われわれとしては、NHKだけのことを考え放送界のことを考えるわけにはまいりません。やはり民間放送その他についても、いわゆる日本放送政策全体を考えていかなければならぬと思うわけであります。確かに前田会長の意気込みについては私は非常に了といたしますし、将来大いに研究もしてもらいたい。また技研等を通じて大いにそういうことについてはやってもらいたい、それは私は大いに歓迎いたしますけれども、この放送衛星についての発言は、ひとつかなり慎重な発言にしてもらいたい。というのは、いわゆる水鳥のはばたく水音に騒ぐというようなこともあって、しかも実力者であるといわれる前田会長が発言するということになりますと、かなり影響は激しいわけであります。またいわゆる電監局長が答弁をしたように、かりに十年後になるにいたしましても、もしそれが実現するということになるといたしますならば、現行の電波法も放送法も、一切根本からやり直さなければならぬ、さらにローカル局その他についても考えなければならぬ、さらに民間放送もどうするかということについて考えていかなければならぬということでありますから、技術的な研究あるいはそういう日に備えての用意周到な、NHKの膨大な機構を通じての研究ということについては、大いにやっていただきたいということを私は希望いたしますけれども、あなたが二年したら研究が終わるというと、三年目にはすぐできるというふうに勘違いをする方々も大いにあるわけであります、事実問題として。ことばの端々から非常に影響力が大きいということを、ひとつ御自覚を願っておきたいと思うわけであります。こういう非常に大きな問題に対するところの前田会長としての発言は、あなたは慎重な方でありますから間違いないと思いますけれども、今後とも、こういう問題についての発言は、私はやはり電監局長がいま言ったような程度のワク内における発言にとどめておいてもらいたい。研究は大いにやってもらいたいということを特に要望を申し上げておきたいと思います。これ以上質疑しておって、会長がひょっと何か言うと問題になって困りやせぬかという心配がありますので、ひとつ会長に私は特にそれを要望しておきたいと思いますが、会長のお答えを聞いておきたいと思います。
  112. 前田義徳

    前田参考人 全く御同感でございます。したがいまして、ただいま私の答弁の前提でNHKとしてはということを一言申し添えまして、そうして二年ぐらいで終わるというのは研究のほうであるということを実は申し上げたわけで、御趣旨は私といたしましても全く同感でございます。
  113. 大柴滋夫

    大柴委員 これは最後の質問でありますが、実は、私がこの前公職選挙法の委員をしておるときに、たとえば総選挙の政見発表等で、こういうことはひとつNHK努力してやったらどうかということを、わざわざ春日さんのところに行っていろいろ相談をしたことがあります。それで、どうも話を聞いていると、何か泡沫候補があるからできないとか、決定的な理由はないのでありますけれども、いずれにしてもわれわれの立候補のときの政見放送というものはできない。   〔佐藤(洋)委員長代理退席、内藤委員長代理着席〕 しかし、これをひとつ何とか、いろいろ関係者のNHKあるいは選挙管理委員等の努力によって、せっかくああいうものがあるのでありますから、総選挙の政見放送ができるように努力をしてもらいたい、これはひとつ報道関係理事の方の御努力をお願いしたいと思う。  それからもう一つ御質問でありますが、私は、いろいろ出てくるNHK番組なら番組に対して、国民は非常に言いたいことを持っているだろうと思うのであります。たとえば、ここにそういうものがいいか悪いかというような調査並びに意向調査というようなことがありますが、これはたとえばの話でありますけれども、朝八時ごろから、しばしば「たまゆら」という番組があっているわけであります。私が見ておりまして、たいへん情緒てんめんとしておりますけれども、あそこには、われわれがしている生産ということは一つもないわけであります。言うならば非常なブルジョア文学だろうと思う。ああいうものをNHKが得々として朝の八時ごろからやっていろいろな人に見せているわけでありますが、ああいうものでなくてもう少し生活とか生産が入った番組をほしい、こういうような要求国民の一部の人が持ったとしたならば、その要求は一体どこへ持っていったらよろしいのか、NHK番組に対する批判というものはどこへ持っていったらよろしいのか、これをお聞きしたいのです。
  114. 浅沼博

    ○浅沼参考人 最初のお尋ねは、テレビジョンにおける政見放送の御要望でございますが、ラジオより数倍の効果を持つテレビジョンにおきまして政見放送実施いたしますことは、全く先生の御意見と基本的には私どもは変わりございません。ただ、ちょっと先生のお話にもございましたとおり、効果が大きいだけに、それを政見放送と称して別な目的に使用されるおそれなしとはしないのでございます。これはラジオにおきましても、若干そういった例がございました。したがいまして、御趣旨は基本的にはよくわかるのでございますが、こういったことを将来チェックするために、関係政府機関とよくお話し合いいたしまして、公職選挙法におきましても万遺憾なからしめることを私は期待している次第でございます。  それから、ただいま「たまゆら」のお話が出ましたが、実はあの番組は確かに先生のおっしゃるごとく、ちょっともたもたしているような点がなしとはいたしません。ところが視聴率の点から申しますと次第に上がっておりまして、朝の番組といたしましてはかなりいい成績をおさめております。まあ川端先生が書きおろした文学ということでNHKが載せていただいた。これが今月一ぱいで終わりまして、来月からはあの時間に毎日、先生のおっしゃるごとく、早くから夫に死に別れて明治、大正、昭和と生き抜いたけなげな女性の一代記を放送する予定でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  115. 大柴滋夫

    大柴委員 私は「たまゆら」がいいとか、未亡人の、夫に死に別れたとか、そんなことはどっちでもいいのです。もしそういう注文を持っておったら、それは投書しかないのでありますか。あなたのところには番組について批判を受けるという、そういう正式な部署なら部署があって、そこで大いにNHK番組にいろいろ御批判のある方はここへ電話をください、お手紙をください、あるいは実際来てくださいというような部署があるの。すかないのですか、こういうことを聞きたい。
  116. 浅沼博

    ○浅沼参考人 それはございます。考査室というものがございまして、そこで全部投書を集めまして、投書の関係している部課にそれを全部回覧しております。それからまた一般聴視者の御要望につきましては、できるだけたくさん聴視者座談会をやりまして、そういったところのお話を伺いますし、それから番組委員会あるいは番組審議会、そういったところからのお話もよく検討してやっている次第でございます。それからNHK相談室というようなものも各局にございまして、そこにはしょっちゅう番組に関する注文やら苦情やらがたくさんまいっておりますが、これを一々関係部課に即刻伝達されまして、できるだけそういった投書を尊重して処理をいたしておるつもりでございます。
  117. 大柴滋夫

    大柴委員 私も不勉強で、初めてそういう考査室というものがあることを知りました。逓信委員も何年かやっておる私が初めて知ったのでありますから、国民の皆さんは私は知らぬだろうと思う。NHKの一体あそこの内幸町の建物の中のどこにあるかということは、おそらくたいへんなベテランの森本君だって私は知らんだろうと思う。ことほどさように、私はNHKは、実際番組何とか委員会とかいろいろな委員会のものであるかもしれませんが、一般の大衆のものでないだろうと思います。十分やはりそういうことは、たとえば入って受付のすぐそばにはそういうことを聞く人たち、あるいは部屋か何かを設けて、どうかひとつNHKというものが国民のものになるように御努力を願いたいと思います。  以上要望して質問を終わります。
  118. 内藤隆

    ○内藤委員長代理 栗原俊夫君。
  119. 栗原俊夫

    ○栗原委員 大柴さんの質問のあとを受けて、若干の質問を行なわしていただきます。  御承知のとおり、このNHK予算案はすでに国会に提案されてからかなりの日時を経過しておるわけでありますが、それが今日まで審議されなかった大きな理由は、一方で本国会提出される放送法の中で、NHK予算に関連した改定が行なわれることがあるのではないか、こういうようなことなどが考えられ、できれば一応新しい放送法説明だけでも聞いてから、その説明に基づいて予算審議に入ろう、こういうたてまえをわれわれはとっておったわけですが、まだ提案の説明は聞いておりませんけれども、法案それ自体は確定して、提案されましたので、そこでまず第一に、郵政大臣にお尋ねしたいのでありますが、この予算案に対する政府意見書の中に「今後、放送法制の改正との関連において、あらたに免許方針が策定される場合には、本建設計画は当該方針に基づいて実施されるべきものと考えられる。」こういうようにやはり予算そのものと放送法と関連して意見書がつけられておるわけであります。そこで、今回提案された放送法の改正の内容、その以前に提案されておるNHKの四十一年度予算、この関連において、何ら予算内容に手直しをする必要がない法改正なのか。放送法の改正とNHK予算との関連について、ひとつ簡明に御説明を願いたい、このように思います。
  120. 郡祐一

    郡国務大臣 ようやく電波法、放送法を御提案申し上げまして、この意図するところについては、いずれ詳細申し上げたいと思っております。ただ、ただいま御指摘のNHK予算に関しましては、今後電波法の一つの大きなねらいといたしまして、電波の計画的使用ということを考えております。そうして新しい改正された法律のもとに全国的なチャンネルプランを策定いたしまして、新たな放送の秩序を確立いたしたい。こうした場合に、NHK建設計画について具体に個々の問題が検討されることはあろうかと思いまするけれども、しかし全体といたしましては、このNHKのただいま御承認をお願いいたしておりまする予算につきましては、特段に予算それ自体に影響する点はございません。
  121. 栗原俊夫

    ○栗原委員 お話によりますと、四十一年度のこの予算執行過程においては、新たなるチャンネルプランとか新しい免許方針、こういうものは具体的には日程にのぼってこないのだ、具体的には出てこないのだ、だからすでに提案された予算でそのままでいいのだ、こう説明されているように聞こえるのですけれども、そう受け取っていいのですか。
  122. 郡祐一

    郡国務大臣 そういうぐあいにおとりいただきますと、ちょっと私の申し上げようが悪かったのでありまして、個々のたとえば置局をどこにいたすとか、あるいは時期をいつにするとか、こういうようなことは、法改正をいただきましたあとには、チャンネルプランを作成いたしてまいりますと、年度中に建設計画総合いたしました場合には考えなければならない問題が出てくることは当然だと思います。しかし、全体といたしましては、NHK建設計画については最大限その実現がはかれることとは考えておりますが、当然年度内にそうしたチャンネルプラン作成の置局なり、その置局の時期等について関連は起こってまいります。そのような意味合いで申し上げたのであります。
  123. 栗原俊夫

    ○栗原委員 そうしますと、今度は逆の面からお尋ねしますが、法改正が成立すれば、四十一年度内にチャンネルプランや新しい免許方針、そうしてそうした免許に基づく置局、こういうものは当然発生する。しかし、そういう事態が発生しても総括的なこの予算で十分まかなっていけるのだ、こういう御説明でございますか。
  124. 郡祐一

    郡国務大臣 おおむねそういうお考えでよろしいと思います。結局NHK建設計画、これは実現がはかっていかれるであろうけれども、個々の具体の問題については、チャンネルプランの策定の時期、内容等との関連において必ずしも計画どおり実施できない場合も反面起こり得る。しかし、建設計画そのものについてはできる限りその実現をはかられるような配意はしてまいりたい、こういう意味でお聞き取りを願いたいと思います。
  125. 栗原俊夫

    ○栗原委員 いまの説明だと、率直に言うと、予算審議には前提としてなかなかむずかしいですがね。実際から言えば予算ですから、どこまでも予算ということでいいのかもしれませんけれども、一応計画があり、計画による積算のその答えが予算案になって出てきていると思うのですよ。しかし、その積算の基礎である置局の計画というものに変更があるということになってくると、これは金額を総括的に認めておいてもらって、その中において置局計画等については一括NHKにまかすんだ、こういうたてまえで予算審議しろ、こういう意味なんですか。この辺はどうです。
  126. 郡祐一

    郡国務大臣 意見書で「今後、放送法制の改正との関連において、あらたに免許方針が策定される場合には、本建設計画は当該方針に基づいて実施されるべきものと考える。」と申しました意味は、私が先ほど申しましたように、チャンネルプランの策定の内容によって、そうしてそれにのっとって本建設計画が執行されるべきものである、こういう意味合い。しかしながら、当然御承認を願おうとする建設計画につきましては、すでに政府においても審査をいたしまして意見をつけておるのでありますから、これについては政府としても十分責任を持っておることはもちろんであります。
  127. 栗原俊夫

    ○栗原委員 どうもその辺が私にもずばりとわかり切りましたと申し上げられないのですが、まあまあそのくらいで、またあとは森本君に譲ることにいたしましょう。  そこで、予算の中の歳入で一番大きな柱は何といっても聴視料でありますが、新しい放送法によれば、契約をせねばならないということから支払わねばならないということになった。この性格の変更というものはどういうものなんでしょうか。これは、私もしろうとでございますが、これだけ書きかえなければならぬということで書きかえたのだから重大な意味があるだろうと思うのです。その重大な意味を私をはじめ国民によくわかるようにひとつ説明してください。
  128. 郡祐一

    郡国務大臣 臨時放送関係法制調査会におきましても、NHKの維持運営のための受信料という名の特殊な負担金と解すべきである。現在も私は、現行法は負担金と解し、そうして契約を義務づけておるのだ、こう思います。したがいまして、受信料の特殊な負担金としての性格は変わりはございませんけれども、契約に基づいて受信料を支払うということであって、しかも契約だけ表に出ておる。これでは特殊の負担金としての性格が明瞭に出てこないのじゃないだろうか。したがって、負担金という性格はそのままでありますけれども、契約によることをやめて直接負担金ならば、一定の要件を備えたものは支払い義務があるということを明瞭にいたすことが法律として適当であり、また受信料というものを端的に、むしろその性格をあらわすことができるであろう、こういう考えで、形式は変わっておりますけれども受信料そのものの性格には何ら変更は加えていないというぐあいに御了解を願いたいと思います。
  129. 栗原俊夫

    ○栗原委員 これもわかったようなわからぬようなことなんですが、端的にお聞きしますが、いままでの法文で受信料を収納するのと今度改正した支払わねばならないという法文によって収納するのでは、収納の条件というか、そういう点についてどういう差があるか。これは法律論になってくるわけですが、契約をせねばならないということで、もし払わない場合には、これを民法上の権利という形で追っていって、なかなか手数がかかるやに聞いておりますけれども、支払わねばならないと規定しておいたならば、前の契約をせねばならないというときよりもはるかに収納を強制していくのに有利な条件になるのか、この辺はどういうことなんですか。
  130. 郡祐一

    郡国務大臣 これも調査会の答申にあったことかと思いますが、調査会の答申にはどういうことばで出ておったか、いまちょっとつまびらかにいたしませんが、契約ということを――何といってもそこに一つの擬制と申しますか、フィクションを置いておる。そのために事柄が、支払い義務というものが明瞭でない。むしろこのたびのように直したほうが法律関係が簡明である。契約というものを一つ中に置かないほうが法律関係が簡明である。したがいまして、強制徴収等のような規定は設けませんでしたけれども受信料の徴収を確保するという意味合いでもこうした契約という擬制をとらないほうが的確でもあろうし、法律関係もそのほうが筋が通っている、こういうぐあいに考えております。
  131. 栗原俊夫

    ○栗原委員 法文をこのように直すことによって受信料収納についての実益というものがどのくらい予想できるか。これは収納に当たるNHKの立場からひとつ御説明を願いたいのですが。
  132. 小野吉郎

    ○小野参考人 お答え申し上げます。  ただいま郵政大臣から簡明率直にお答えになりましたのですが、規定のたてまえといたしましては、在来の規定におきましても「契約をしなければならない。」契約の強制でございます。そこに別の条文で、「支払わなければならない。」という表現は表には出ておりませんが、前項の受信料は、NHK郵政大臣の認可を得たある一定の基準に基づいてでなければ徴収を免除してはならない、ということは徴収しなければならない、逆に申しますと支払わなければならない、こういうことなんでございますけれども、条文自体がそのようになっておりますので、一体その性格はどういうものなのか。契約と申しますと、いわゆる私法の大原則でございます契約自由と直ちに結びついて考えられます。放送法は契約の自由ではなく、一定の場合には契約をしなければならないと強制されておりますけれども、そこがなかなかこの法律の関係では現実にはそのとおりに、行なわれませんで、契約は自由だろうというような疑念も出てまいりますし、また契約となってみれば、これはそれに付随して起こる料金の支払いは、いわゆるある給付に対する反対給付、対価ではないか。そうしますと、現在民放、NHK二本立ての放送界におきまして、自分はラジオ受信機を持ちあるいはテレビの受像機を持っているけれどもNHK放送は全然聞かない、民放ばかりを聞いておる。したがってこういう対価の意味においては支払い義務がないのではないか。このようないろいろなトラブルが起きております。このことが非常にめんどうな状況になるわけでございますが、今度のような条文ではっきりいたしまして、しかもNHK業務を――この業務規定されておるわけでございますけれども、その規定業務を遂行するために支払わなければならない、こういうようなことに相なってくるわけでございます。そういう面から申しますと、法律的には非常に明確になりました。  しからばお尋ねの、これによって在来の契約の場合よりも現実の徴収にあたってどれだけの利点があり、また徴収がどの程度しやすくなるかというお尋ねでございますけれども、これはなかなかむずかしい問題でございます。こういった表現が一番適当であろうと答申をせられました臨時放送関係法制調査会の御審議の結果並びにその結果につきました答申につきましても、この受信料の問題は長い伝統のある問題であり、そういった在来の法律の表現はともかくとして、いろいろ国民とのNHK番組を通じての結びつきにおいて伝統を築き上げてきておるので、そういった面を十分に考慮して受信者に対する関係については非常な配意をすべきであろうというような副申もついております。私どももそのとおりだと思います。ただ単に法文の関係が「支払わなければならない。」いかにも強くなったようでございますけれども、これは法文が明確になったのだということにおいて、在来よりも一そう支払ってもらいやすいような努力をしなければならないと思います。この条文を振りかざして、強制的な徴収というようなことが毛頭あってはならないと思います。そういうことになりますと、かえって徴収の成績は低下するのではないかということを憂えているようなことでございますけれども、ただ郵政御当局にもいろいろ御迷惑をかけることでございますが、支払いの根拠について契約とは何か、契約の擬制は何か、それに基づいて当然に支払わなければならないのか。これは対価であるかどうか、文書をもって回答しろ、こういうわけで、文書で一応回答せられましてもなおかついろいろなトラブルを起こしまして、私どもの集金が参りましても、そういう面で非常な苦労をいたしております。そういった際に、すなおにお答えを申し上げるのにきわめて便利な規定ではないか。その意味におきましては、もちろん受信者の方々の御協力を基本にしなければ徴収が円滑にはまいりませんですけれども、今回の改正は現実にどれだけの利点があるかということは私ども努力にかかっておると思いますけれども、かなり明確になり、しかも徴収上はペイするところが多いと判断をいたしております。
  133. 畑和

    ○畑委員 関連。いまの小野さんの答弁で大体わかったのですが、放送法のいままでのいきさつというか、そういうものがありますから、最初から「支払わなければならない。」というふうに規定するにはまだ熟さなかったということで、現行の放送法においては「契約をしなければならない。」ということで間接的な強制ということであったと思います。その結果は、一体契約をしない人に対してはどういうことになるのか。そのときの相手方の義務は一体何なのかというようなことが相当問題になったろうと思います。ところで、いままで契約しない人に対して、あるいは金を払わない人に対して何か訴訟手段等でやった例があるかどうか、お聞きしたい。
  134. 小野吉郎

    ○小野参考人 契約をいたさない、あるいは契約をいたしましても支払いを拒絶されるという例はいないでもございません。この問題につきましては訴訟によって、法律上明確でございますので、これは勝てる見込みはございますけれども、かつて事例といたしましては一件も訴訟に持ち込んだことはございません。
  135. 畑和

    ○畑委員 そうすると、契約をしなければならないというわけで契約をする義務があるわけだが、契約をしない人もおり、さらに契約をしても払わないという人もおる。その契約というのは何かNHKと契約書があるのですか。私も実ははっきり覚えてないのだけれども、契約しなければならぬということになると契約書があるのだろうけれども、どういうフォームでできておるのですか。
  136. 小野吉郎

    ○小野参考人 在来の契約の場合におきましてはNHKでその契約の条項を掲げました規約なるものをつくっております。これも郵政大臣の御認可を得てつくっておるわけでありますが、その規約を印刷いたしました契約の一定のフォームの様式がございまして、それに対しまして署名と御判をいただいて契約が成立した、こういうような扱いをしておったわけでございます。
  137. 畑和

    ○畑委員 そうすると、契約をしたけれども払わないという人が相当あったか、それとも契約をしない人が多いのですか、どっちですか。両方あるかもしれぬけれども……。
  138. 小野吉郎

    ○小野参考人 契約をしない方のそれは、私どもの知り得る限りにおきましてはごく微少でございます。契約を一たんせられましても支払いにならないというのは毎年決算の関係にも、予算の面にも一定の予想をして経費に立てておりますけれども、全体のざっと一%くらいのそれは過去二年間を通じまして未収で、収入に至らないものとしてございます。これは二年間の数字でございますので、一年間で申しますと〇・五%見当でございます。しかし、それはいろいろ回収の努力をいたしまして、ざっとその半分は最近は回収できておるようでございますので、一年に〇・二五%くらいのところがどうも幾ら努力いたしましても収納に至らない。結局欠損であきらめなければならないというような状況になっております。
  139. 畑和

    ○畑委員 そこでお尋ねしますが、契約しない人に対して請求する請求権の法律的な性格、それから契約をしたけれども払わない人に対する請求権の性格、それから今度の新しい法律になった場合の直接支払い義務があるというときの請求権の性格、これがどういう違いになるか。新しいやっと、旧法上の契約をしてから金を払わないものとほとんど私は同じだと思う。聴取料の請求訴訟になると思う。ところが契約をしなかったときに対する請求は聴取料の請求ではなくて、ほかの損害賠償か何かの請求権か何かの形になると思うが、その辺はどうです。
  140. 小野吉郎

    ○小野参考人 事法律問題に関しましては郵政省の御所管かと思いますが、私どもが在来考えておりますそれは、「契約をしなければならない。」これは明らかに契約の義務があるわけであります。これに対して契約をせられないということはここに契約不履行、こういう義務違反が生ずるわけです。ただし、現在の法律では、そういう場合に罰則がございません。これに対してどうすべきかということはございませんので、事実上の争いとして訴訟で勝つ以外にないと思います。今回の「支払わなければならない」こうなりました場合には、契約の段階ではございませんので、すでに法律上の支払い義務を履行しないということになりまして、その点はその限りにおきまして相違がございますけれども、これの法律的な扱いにつきましては、今回の改正案の中にも支払わなければならない場合の罰則規定はないのでございます。したがいまして、やはり争点は訴訟で争われる以外にないというような結果になろうと思います。
  141. 栗原俊夫

    ○栗原委員 今度の改正法は詳しくまだ読んでおりませんが、現行の三十二条「協会放送を受信することのできる受信設備」こう書いてあって、ただし書きは「但し、放送の受信を目的としない受信設備を設置した者については、この限りでない。」こういうことなので、おそらくメーカーでNHK放送電波を受けられない機械をつくるようなそんなおどけはないだろうと思うのですけれども、つくろうと思えば、これは技術的にはできるのではないか、こう思うのですが、技術的にどうひねってみてもNHKの電波は受けられない、こういう機械が存在したとしたら、これはどういう取り扱いをするのですか。
  142. 小野吉郎

    ○小野参考人 現実にはそのような事態はないと思いますけれどもNHK放送を聞き得るチャンネルがない、民放関係ばかりのチャンネルしかない、こういうものでありますならば、法第三十二条のNHK放送を受信できる設備とは申しかねるのであります。これは条文の支払い義務の対象にはならないと思います。
  143. 栗原俊夫

    ○栗原委員 これは大臣にお聞きするのですが、NHK放送をして、聞こうと思えば幾らも聞ける状態をつくっておく、そういう機械を持つ、だから負担金として払え、こういうたてまえになっておるのだろうと思いますが、いま民放がこれだけ伸びてきて、かりに法をくぐって業者がNHKのチャンネルをはずした機械をつくり出すというようなことがあったとしたら、これはやはり大問題だと思うので、そういう穴はふさぐ法制的な手段を講じておかなければならないのではないかというような感じがするのですが、大臣いかがですか。
  144. 郡祐一

    郡国務大臣 これはもし必要がございましたら事務当局からお答えいたしますが、私は、日本放送協会放送に対して義務を負うもの、これはそれを聞き得る設備を持った機械でなければ、そこに義務の関係を結びつけることは無理であると思います。今度はそうした機械の設備そのものについて規制をするかどうか、これは私は別の点から判断すべき問題だと思います。これはひとつ研究問題だとは思いますが、これこれのこういう機械をこしらえ、それ以外に機械の製造を禁止するとかなんとかいうような点は別の観点からあるいは論ずべき問題があろうかと思いますが、受信料という観点から発展して、そして穴をふさぐということは少し無理ではないかと思います。
  145. 栗原俊夫

    ○栗原委員 確かに受信料の観点からやっていくということは無理だということは私にもわかります。しかし、そういう機械をつくってもいいんだということを公々然と言い放ったり、そういうメーカーを公々然と許すということになったら、これはつくりますよ。受信料なしでもってラジオテレビが見聞きできるのだ、NHKは見られないけれども、その他のものは見聞きできるのだ、そういうものをつくって販売しても、通産省も郵政省も何ら干渉しません、こういうことになってくると、これは重大だと思う。これはNHKの財政上の重大な問題が発生する危険性があると思うのだけれども、これに対して財政上の問題ですから、NHKそんなことになったら、一体それでもやっていけるという自信がありますか。ひとつ前田会長の御所見を伺います。
  146. 前田義徳

    前田参考人 先ほど来副会長からお話し申し上げておりますように、私どもといたしましては現状を基礎として考える限り、そういう事態が急速に起こるとは実は予想できないのですが、しかしただいま御質問の仮定の問題に仮定の現実が万一起こった場合はどうするかということ、この点についてはそのときに対策を講じたのではおそかろうという感じは持っておりますが、これを現実にどうするかという検討は実はまだ卒直に申し上げましていたしておりません。
  147. 栗原俊夫

    ○栗原委員 これはちょっと考えると、NHKもまあまあ全国に波を出して、わしの放送を聞かぬやつはおよそラジオテレビの聴視者ではないのだという自信というか、悪く言えばうぬぼれを持っておるだろうと思うが、しかし実際聴視料の要らないラジオテレビというキャッチフレーズで売り出すことが可能だということになればこれは売れますよ、はっきり言って。やっていいということになればやります。しかしそんなことをやれば郵政省や通産省からきついお目玉を食うだろうと思うからやらずにおるだけで、やっていいと言えばこれはやりますよ。また必ず売れる。私はそう思う。したがってこういうことについては、そんなことはあるまいと思うけれども、それは取れませんと大臣がおっしゃるならば、やはりそういうものがはびこらない何らかの対策を考えなければ、できてしまってから、そしてそういう設備が始まってからそれはいかぬのだということはこれはたいへんだと思うのです。こういう点、大臣の所見をひとつ伺っておきたいと思いますね。   〔内藤委員長代理退席、委員長着席〕
  148. 郡祐一

    郡国務大臣 私も、そういう機械が横行するようになるとまことにおかしいことだと思います。なるほどそういう設備の機械――どういうことになりますか、私もいまお話を承って首をひねっておったのですが、これはひとつ電波監理局長から答えさせたいと思います。
  149. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 補足させていただきたいと思います。先ほどただし書きと申しますか、カッコの中のことを御指摘になりましたけれども、その受信機の意味は、たとえば中波放送を聞くような受信機でございました場合に、中波を聞けるようなほかの用途の業務のための受信機というのがたくさんございます。たとえば漁船のようなものがございますし、あるいはVHFならVHFというようなところにおきましても、やはりそういうようなバンドでほかの業務をやっておるということもあります。したがって、そういうようなバンドのものがテレビのバンドも聞けるような機能を実は備えておる場合が相当にございます。そういうような場合には、いま申しましたような対象外でございます。ただしそういう対象外はいまのようなものを除きましたそのほかのもの、これはNHKなりあるいは民放なり、そういうものをひっくるめてそういうものが聞けるような受信機、したがいまして先生がいま御指摘になりましたようにNHKだけのコイルははずしてしまったというようなものについてはどうするかという場合でございますけれども、その場合も受信料の対象としてやはり考える。民放の場合、民放だけが聞けるようなチャンネルになっておりましても、いまの受信料のたてまえとしましては受信料を徴収するというたてまえになっておると思います。
  150. 栗原俊夫

    ○栗原委員 これは大臣と全然違う。大臣の言っておるのがほんとうで、監理局長の言っておるのはちょっとおかしい。技術的にそのものができるというなら話はわかりますけれども……。
  151. 郡祐一

    郡国務大臣 その点、事務当局あるいは電波監理局長あるいは放送部長等からそれぞれ私いままで耳で聞いておりますところ――一体いまのNHKと民放との国全体のチャンネルのぐあい、そしてそれをこれだけしか聞けない機械ができるものだろうか。私はできないのじゃなかろうかと思う。いまNHKのコイルの部分をはずしてということを局長は言うておりましたが、それはどこかだけを自分の聞きたい局だけを楽しみにこしらえて、NHKは聞けぬようにするという機械はあるかもしれません。だれか趣味でこしらえれば……。しかし私は売りものになる機械であって、NHKは聞けないような、チャンネルプラン全体の状況から申しまして、そういう製品を発売することは不可能であろう。商品として不可能であろうということになるのじゃないかと思います。したがいまして、いま電波監理局長の申しましたのは、私から訂正させておいていただきたいと思います。
  152. 栗原俊夫

    ○栗原委員 私はしろうとだからわかっておらぬ。理屈を言っておるのだ、理屈を。現実の技術問題はわからぬ。ただ問題は、機械をつくって、きわめて安い方法でNHKの波を受けることのできないような機械にすることが可能だというと、月々聴視料を払わなくても聞けるテレビ、見れるテレビ、聞けるラジオ、こういうキャッチフレーズが成り立つわけだ。ただ技術的にそういうことが成り立つかどうか私にはわからぬ。しかしそういうことが技術的に成り立つというとそういうことが発展していく場面が予想できるのです。ただそんな度胸のあるメーカーがないということで、もしやっていいということになれば、開発できるということになれば、これは売り出しますよ。そういうことになるのです。なぜかといえば、中波を聞いているテレビもあれば、短波を聞くテレビもあるわけなんだから。だからNHKを聞けなくして、民放だけ聞けばいい。それで金は払わなければいいということをてんびんにかければ、もしそういう機械を売り出せば、おれはNHKが聞きたいから何が何でも、月々払ってもNHKの聞ける機械でなくちゃいけないという人もいるだろうし、払わなくても見れるならそれを買おうという者も出てくる危険性が多分にある。そういうことが技術的に開発できるかどうか。それもたくさん金がかかっちゃだめなんで、三百三十円と見合っての問題であって、そういうことが技術的にもし可能だというならば――私は将来可能だと思うのですよ。いますぐできなくても可能だと思う。したがって、やはりNHKの性格、そしてその財政の基礎が聴視料にあるというたてまえに立てば、聴視料を払わなくても聞けるラジオテレビの出現を封ずる何らかの構想というもりを考えておかないと、あああのとき、栗原が言ったときやっておけばよかったという二とになる危険性が多分にある、こう思う。ひとつ十分に考えておいていただきたい。
  153. 郡祐一

    郡国務大臣 電波の使用計画をどのように、これから法律をおきめいただいてからつくらなければいかぬかという大きい仕事を私ども持っておるわけでございます。そういう際に栗原さんのおっしゃいましたことを頭に置きながら、もしそういうものが出ればということはひとつ十分研究させていただこうかと思います。
  154. 栗原俊夫

    ○栗原委員 次に問題を変えます。いつもNHKで問題になるのはあまねく全国に良質な放送を送り込む、こういうことになっているわけでありますが、カバレージも非常に上がって、ほとんど満点に近いところまできているようでありますけれどもテレビでもまだ五%ばかり残っておるようですが、このまだ電波の届かない五%というのは大体どういうところでございますか。
  155. 三熊文雄

    ○三熊参考人 お答えいたします。  御承知のとおりテレビジョンの局も本年度で大体四百八局できる予定になっておるわけですが、それによりましても来年度また百二十つくらなければならない。その場合も、いま御指摘にありましたように五%近く残っている。それは現在のところいわゆる聴視者の対象が非常に少なくなりまして、いままでは第二次チャンネルプランでは三千世帯一つ地域考えまして置局していたわけです。来年は千五百世帯を目ざしていく予定になっております。そうして考えましてもだんだんとその見えない聴視者の地域がばらつきまして、あるところでは二十世帯、あるところでは五十世帯というようなぐあいに非常にばらばらになってきます。行く行くわれわれが考えておりますのは、もし五百世帯を対象といたしましても千二百五十とかいうように非常にたくさんの局をつくらなければならぬという現状でありまして、いまわれわれ一生懸命にできるだけ早くそういう数の少ない場所に対しましても置局していきたい、こう考えておるのですが、いまもお話ししたとおり、来年度におきましてはいわゆる千五百というようなところが目標になっております。したがってまだまだたくさんつくらなければならぬという状況であります。
  156. 栗原俊夫

    ○栗原委員 概略のことはわかるのですが、私がお聞きしたいのは、そういう中で共同の施設をして見えるところもありましょうし、あるいはまた波を短くしてUの波をつくって置局していけば見えるところもふえていくということで、そういうことからUの波の置局がだんだんふえてくるのではないかと思うのですが、離れ島のほうで、今日まだ放置されておる、こういうところはどんなところになっておりますか。
  157. 三熊文雄

    ○三熊参考人 離島関係におきましてはできるだけ早い機会に離島に対しては置局したいという意気込みで、現在たとえてみますと、東京都であります新島、三宅、八丈、そういうような場所にはすでに置局いたしまして、同時に一方鹿児島県の側にいたしましても、種子島、奄美大島も二ヵ所、徳之島、知名というようなところに対しましてもいたしました。それから同時に壱岐におきましても五島列島にしましても、また隠岐の島にしましても、礼文島にしましても、いわゆる離島と名のつくところ十四ヵ所、現在置局いたしております。そういうようにわれわれといたしましてもできる限り離島につきましてはほかと違って早く置局するという方針で進めていますので、大体大きな離島に対しましては一応目安どおりつくってまいる。あと残ります点は、御希望もありましょうし、またこういうところはどうしても早くしなければならぬという場所がありますから、それを率先して取り上げていきたい、こう考えております。
  158. 栗原俊夫

    ○栗原委員 そこで先ほど大柴君からもいろいろ話がありました沖縄の問題について、私は私の角度からちょっとお尋ねしたいのですが、昨年実は当委員会理事の皆さんと沖縄へ行ってまいりました。われわれの行く前に佐藤総理が行って、沖縄離島のテレビ問題をいろいろと約束してきた、そのあとを見てきたわけなんですが、行ってみますと、ビデオで送ってもらうのではなくて、なまの放送が聞きたいということが離島の人々の熱望だった。特に学校の子供さんたちが作文を書いて、私たちも日本人です、テレビを見たい、それもフィルムで送ってもらったのでは日本人になった気がいたしません、こういうような作文まで書いて、行った理事同僚も、何とかこれは送ろうというようなことで話し合って帰ってきたわけですけれども技術的になかなか容易でない、こういうことであります。聞くところによれば、総理府をてこにしていろいろと置局をして寄付をするやらに聞いておりますけれども、問題は、先ほど議論になっておったとおり、置局をして向こへ寄付をしても、これをだれが運営するかというような問題、民放でやるということになれば経営費もかかるのだが、経営費がかかるだけの効果があがらぬ、したがって、スポンサーもそれだけは金を払い込んでくれぬ、いろいろな難点があろうと思うのです。そこで私は当時行った仲間で、特に私が一人でいばって言うたんだけれども、これから施政官に会う、そのときに私はこういうことを主張しようと思ったんです。いま沖縄をアメリカが握っておる。したがって内地のなま放送が入ることをきらうならば、こういう議論はできぬけれども、現在マイクロで内地のなまの絵がどんどん入っておる、こういうことであるならば、日本のなまのものが入ることはアメリカの施政権に何ら障害はないはずだ。沖縄日本の国である。潜在主権があり、近く日本復帰する。こういうことなんだから、一番安心して経営できるのは、NHKの体制下で沖縄放送網を確立することではないか。現在もちろん向こうには沖縄の電波法、放送法関係がある。また日本には日本放送法、電波法の関係がある。したがって、このままの法制下ではそういうことができないけれども、お互いに了解がつくならば、電波だけはNHKが向こうへ出ていって電波網を経営していいのではないか。直ちにNHKということがぐあいが悪いならば、復帰したときに直ちにNHKと一緒になれる体系で、NHKOくらいのことをつけ加えて、NHK沖縄放送局、こういうような体系で当面やっておいて、そしてやっていくのがいいのではないか、こう私はいまでも信じ切っておるわけです。そういうものの考え方を私は持っておるんですが、郵政大臣、先般も分科会で総理府の長官にいろいろ食い下がってもみたんですが、ただいまの制度では制度ではと逃げ切っておりました。しかしやがて日本に返ってくる。現在も日本である。潜在主権はある。こういうところへ、要するに費用を越えて全部に聞かせるというたてまえは、やはり日本NHKがめんどうを見る以外にはないですよ。こういうたてまえに立ってひとつ郵政大臣の御所見を承りたい、このように思います。
  159. 郡祐一

    郡国務大臣 栗原さんもう十分御承知で言っていらっしゃるんで、先ほども大柴さんに技術援助するとかいろいろ申しておったのでありますが、私もおっしゃるお気持ちはよくわかるのであります。とにかく設備をこしらえて贈与いたす、そしてきれいさっぱりと沖縄に、琉球政府に贈与いたす。琉球は独自の電波法を持っておる。しかしその後の経営の状況を見れば、確かに島民の利益というのはどうしたらはかれるかということになると、問題はすぐ出てまいります。しかし、いまとしてはとにかく琉球政府に贈与する。琉球政府のほうができ得る限りこちらの気持ちをすなおに受け取ってくれるような、こちらのNHKにしてもほんとうに協力ができるような受けとめ方を琉球政府がしてくれますならば、喜んでひとつ力を貸したい。これは、これから先どういうぐあいに経営するかということは、琉球政府もいろいろと考えておることでございましょう。私どもとしても、とにかく先方に贈与いたすんだから、きれいにものは差し上げるが、しかし同時に、あとがやっていけるようにするのには先方でもいろいろものを考えましょう。考えるときの知恵は貸し、また筋が通ってNHKが力を貸せるようになるならば、それは私どもも望ましいこと。しかし第一次としては先方の出方を見るのがただいまの段階だ、こう思うのであります。
  160. 栗原俊夫

    ○栗原委員 ここまで出かかっておるんだけれども、やはり言えないんだろうと思うのですがね。ですからいま設備をして向こうへ寄付するという段階は、それで私もわかりますよ。わかるけれども、やはり基本的には潜在主権があって、できるだけ早く本国復帰というものを、それは野党であるわれわればかりではなくて、与党である自民党さん、政府もそう思っているに相違ないと私は信じてものを言っておるんです。そういう前提に立てば、こちらからほかのことはいろいろ問題もこれあり、すぐというわけにもいかぬだろうけれども、とりあえずこれだけは寄付をする。あと運営についても考えてはみるだろうけれども、たいへんであろう。したがって、将来日本復帰したときには当然NHKが入っていく筋合いのものなんだから、ただいま復帰しない前にもそういうたてまえに立てるような制度改正をやって、島民の少なくともラジオテレビに関する放送関係の福祉というものを内地と同じように与えてはどうだ、こういうような前向きの折衝をする気があるかどうか、こういうことを聞いておるんです。
  161. 郡祐一

    郡国務大臣 先ほども申し上げましたように、すでにテレビ設置自身に郵政省の設置法からいえば少しはみ出したような協力もいたすのでありますから、これは大いに関心を持ちまして、琉球の電波法を十分尊重しながら、しかしこういう地域はどうであるというような前向きのものの考え方、相手の立場を尊重しながらひとつ十分、かつ国会で有力な御意見があったということをうしろだてにいたしまして、前向きの問題の話はしたいと思います。
  162. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 関連で一言。  栗原君がいま御質問した沖縄の問題、それから大柴さんが御質問した問題、実はわれわれも先般視察いたしまして、非常な熱烈な陳情を受けたのです。問題は先島なんです。三百キロ離れているもんですからマイクロウエーブは用をなさない、一応はどうしてもあなたのほうのクリアリング・ハウスですか、あそこでつくったものをかん詰めにして飛行機で送る、それからもし速急を要さないものなら船で送る、こういうような二つの行き方で、なまのものを即時見るということはなかなか困難だ、しかし佐藤榮作さんが出かけていって、見せると言ったもんですから政府としての責任を感じてきた。何とかしてこれを見せなければならない。御承知のように、沖縄に対するあらゆる援助は昨年は二十八億円だったのをことしは五十数億にいたしまして、このテレビの問題も含まれているわけです。これは実は栗原先生もわれわれもともに行って見てきたので、かなり深刻な陳情を受けて、小学の生徒まで作文を読まれまして、涙をもって迎えたわけなんです。そこで先島に参りまして、宮古島で陳情を受け、さらに今度は八重山に行ったのですが、気象の状況が非常に悪いので、そこに泊ったら翌日帰れないというので、しかたなしに八重山に飛んだものの、十五分しかないというのです。その十五分の間、私は団長として一応ごあいさつをしたのですけれども、ブラスバンドで迎えられ非常な熱心な御希望なんです。われわれもこれは何とかしてできるだけ島民の御希望を達成してやりたいということで実は帰ってまいったのです。そのときに、いまも栗原君の言うとおり、沖縄県であればNHKが責任を持っていわゆる難視聴区域を解消してやらなければならぬじゃないかと現場で実は栗原君が言われた。私はもっともだと思うのです。そこで、先ほど政府はこれに対しましてすでに親局二局と、あるいは小さなものでもいいから、一キロでないようなもの、五百ワットぐらいのものをつくるということにして、いまのクリアリング・ハウスのつくったものを見せる第一段として、六億幾らの予算を組んだ。これは総理府もそう言ったのですが、至急にこの実現をはかって、島民の希望をかなえてあげたい。しかし、先島の人々の気持ちは日本放送したものを即時見たいのだ、なまのものをじかに見たいのだという希望なんです。かん詰めのものじゃだめだという程度まで飛躍してわれわれに陳情されておる。まことにごもっともなものであって、われわれもできるならばそこまでいきたいと思うのですけれども政府はもう予算も組んだし、四十二年には見せるという。あなたももっと積極的にやる――郵政大臣、積極的にやるんだということで、沖縄の方々にも安心を与え、そしてその熱意のあるところを示されるがいいと思うのです。何もそういう卑屈なことを言わずに、やるということを言うてください。
  163. 郡祐一

    郡国務大臣 皆さま方のお気持ちのあるところはようくわかるのです。ようくわかりますから、先ほど申しましたように贈与はいたす。そして沖縄の電波法のたてまえは現行ある法律として十分そのたてまえによらなければならない。そうしてさらにそれからの経営の問題等もございますし、前向きに、よく皆さまの御意向を体しながらいたす、こういうぐあいに御理解をいただきたいと思います。
  164. 栗原俊夫

    ○栗原委員 次に、やはりこの問題に関連してNHKにお聞きしてみるわけですが、いま言う三百キロ離れている鹿児島から本島へ送るのは、途中にいろいろつなぎがあってマイクロがいけるけれども、そういうものもない、何か技術的に空へ発射して、空の電離層か何かに反射さして持っていく方法もあるのだそうだけれどもテレビが少しむずかしい、こういう話を聞きました。ケーブルで送る方法は、金の問題は別ですよ、技術的にケーブルで送る方法は、これはできないのですか。海底ケーブルで送る方法は、金の問題は別として、技術的にできるかできぬか。
  165. 三熊文雄

    ○三熊参考人 技術のポイントだけで申し上げますと、不可能でないと思います。しかしながら、無線でやる場合に比べますと、非常なる金がかかるという別な意味のほうが大きくなると思います。技術的には不可能とは言えないと思います。
  166. 栗原俊夫

    ○栗原委員 NHKにお尋ねしますが、たまたま沖縄の先島は現在日本の立場にないからこんな議論をしていられると思うのだけれども、もし直接送り切れない島が現在日本の内地にあった場合に、これは金がかかるから直接放送はできないと言って、最後までビデオしか送らないというたてまえをNHKはとるのですか。ここら辺はどうなんです。
  167. 前田義徳

    前田参考人 日本国内におきましては、放送法のたてまえに従い、私どもとしては中継局の置局ということを主眼として全国網を完成する方向努力しているわけでございます。
  168. 栗原俊夫

    ○栗原委員 どうも私が聞くところはすいっとはずしておるわけなんだけれども、つまり空中からなまで送り切れない島がかりにあったとすれば、それはどうも仮定を前提としての質問だというようなことで今度はまた逃げられそうな感じもしないでもないけれども、海底では送れば送れるのだがそれは金がかかる。空から送るには少し離れ過ぎてじかには送れない。こういう場面のときに、金がかかるから、ここはあまねく送ってはおるけれども、それはフイルムで送るのだ、こういうことであの法律を読み切れますかどうか、こういうことを私は聞いているわけなんです。
  169. 前田義徳

    前田参考人 ただいま申し上げましたように、放送はケーブルを手段とするものではございませんので、そのような考え方は持っておりません。
  170. 栗原俊夫

    ○栗原委員 それでは、いまおそらく八丈島などは電波でもってつないでいけるから、そしてまた現に日本に残されておる島々も、あえて海底ケーブルを使わなくても空中電波で送り切れるところにのみ幸いある。もしそういうものが存在したとしたら、もっとはっきり言えば、沖縄日本復帰して、しかも先島が直接なま放送を聞きたい、見たい、こういったときに、おまえのところは銭がかかるからビデオで送るのでがまんしろ、こう言ってはねつけ切れるかどうか、こういうことを聞いているわけです。
  171. 前田義徳

    前田参考人 沖縄日本復帰した場合においては、当然放送法沖縄をも含むたてまえになると思います。  それからマイクロウエーブにつきましては、御承知のように電電公社の担当でございますので、その点でも私は当事者ではございませんが、電電公社の責任範囲は当然沖縄に広がっていくと思います。そういう関係から予想いたしますと、さような条件のもとにおいては、国内と全く同じ立場に立つのではないかと考えております。
  172. 栗原俊夫

    ○栗原委員 マイクロウエーブのことは、国際電電というようなことをおっしゃいましたが、たまたま沖縄日本関係がこういう関係でありますから、そういうことでもありましょうし、また国内的にもマイクロウエーブを担当する部面もありましょうが、将来場面によっては、NHK自身が必要であって、NHK自身のための自営のマイクロというようなものはこれは考えられないのですか。
  173. 前田義徳

    前田参考人 客観的にそれが妥当と考えられ、関係方面の御了解を得られる場合には、そういうこともあり得ると考えております。
  174. 栗原俊夫

    ○栗原委員 どうもこの議論は、どこまでいってもなかなか結論が出そうもありません。問題は先ほど佐藤同僚からもお話がありましたとおり、いま日本へ帰りたいと言っておる沖縄の、しかも先島の住民の人たちが、おれたちも日本人なんだ。だから日本放送を、しかもかん詰めではなくて、なまで直接見たいというこの血の叫びをぜひひとつ胸に刻んで、一日も早くそういうことが実現できるように、政府当局並びにNHKにもその心がまえで準備を進めてもらうように特に要望して、この問題は終わります。  次にカラーテレビの問題について少しくお尋ねいたします。たいへんカラーテレビのブームがわいてきたようでありますが、現在の日本設置されておるカラーテレビの状況について、NHKから御説明を願いたいと思います。
  175. 長沢泰治

    ○長沢参考人 お答えいたします。  若干推定が入りますけれども、今月末で十二万五千ぐらいの普及率を示すだろうと見ております。
  176. 栗原俊夫

    ○栗原委員 これは電波監理局長でもなかなかわかりにくいかもしれませんが、カラーのテレビとそれから白黒のテレビで、同じ時間のスポンサーの負担金というものは大差があるのですか、この辺はどうなっているのですか。
  177. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お尋ねでございますが、どうも私十分な知識もございませんし、資料が十分ございませんので、後ほどよく調べましてお答えいたします。
  178. 栗原俊夫

    ○栗原委員 それがわからぬというと、ちょっと質問が先に進まぬのだが、カラーテレビ普及は、結局受信機がたくさんなければ、民放では結局カラーテレビの放射はやりにくい。もし白黒とスポンサーとしての負担金が違うとすれば、おそらくそういうことだと思うのだが、したがって、やはりカラーテレビの受像機をふやしていくパイロットというか、開拓者はやはりこれはNHKだと思うのです。したがって、やはりNHKがより多くカラーテレビの波を出さなければ、やはり受像機はふえていかない、このように思うわけなんですが、こういうものの考え方は間違いでしょうか。ひとつ前田さんの御所見を伺います。
  179. 前田義徳

    前田参考人 メーカーの利益という点から見ますと、率直に私の見解を述べさしていただくと、確かに先生のおっしゃるとおりだと思います。われわれとしてはおりに触れメーカの責任者たちともお会いするわけですが、われわれも努力するが、メーカーもまず利益の限度というものをお考えいただいたらどうであろうかという話し合いはいたしております。NHKといたしましては、現在のところ、ただいま営業担当の長沢理事から申し上げましたように、実情そのものは十二万台内外という環境で、一千八百万世帯を対象とするNHKとしては、カラーに全力を注ぐということはいかがかと考えております。しかし、大勢からいっても、ただいま御質問の趣旨に従っても、私どもといたしましては、極力白黒テレビの聴視者に損害をかけない限度において、幸いに電電公社もこの三月から全国カラーマイクロの完成をいたしましたので、御審議いただく予算の中にも盛っておりますが、定時番組において一日三時間、その他局外中継その他を通じておよそ一日四時間内外のカラー放送をしていく所存でおります。
  180. 栗原俊夫

    ○栗原委員 放送の設備は、白黒で放送するのとカラー放送をするのと、設備の金がさがだいぶん違う、こういうことを聞いておるわけですが、もちろんカラーテレビで取り上げるときのいろいろな舞台面等、いろいろ白黒とは変わってくると思いますが、きわめて雑な言い方をして、白黒で放送する費用と、カラーで放送するそのときの費用との比率、それから白黒の放送機械とカラー放送の機械設備、こういうものの金の比率、何倍というような、そんなぐあいの雑な数字でいいですから、ちょっと教えてくれませんか。
  181. 三熊文雄

    ○三熊参考人 あとのほうの機械の設備のほうだけ私が初めにお答えいたしまして、あとで総局長のほうから別な番組関係を話していただきます。  機械のほうから申し上げますと、いわゆるスタジオに入れます照明、それからカメラ、そういうようなものが白黒に比べまして約三倍とお考え願ったらけっこうか、こう思います。ただし送信機のほうはそんなにしないで、五〇%増ということにお考えいただけばけっこうだと思います。
  182. 浅沼博

    ○浅沼参考人 それでは制作関係のほうから申し上げますと、これも番組によってだいぶ違いますので、平均何割よけいかかるかということはちょっと申し上げられませんけれども、たとえば実況放送等の場合、野球とか相撲等の場合は、これはカラー放送いたしましても、技術的な費用が若干かかるだけでございまして、放送対象そのものにはお金がかからないわけでございます。それからまた、スタジオ番組の場合、たとえば教養番組とか芸能番組ではだいぶ違いまして、お料理の献立などを放送する場合には、カラーにいたしましてもそうは値段は違いはないわけでございます。ただし「義経」等のああいった込み入ったよろいもの、こういったものをカラーにいたしますと、衣装から何から全部違ってまいりますので、これだとやはり白黒の制作費の約三割高ぐらいにはなると思います。
  183. 栗原俊夫

    ○栗原委員 何でこんなことを聞いているかというと、私は、白黒を見ておる白黒受像機と、それからカラー受像機との受信料に差がつけられるだろうかどうだろうかということをひとつ頭をひねってみよう、こう思ったのですが、先ほど前田会長から、白黒視聴者の不利益にならぬ範囲内においてということばからちょっとそんなことを考えてみたわけなんですけれども、そんなことはちょっと考えてもこれは無理ですな。どうですか、カラーを見る人は白黒の受像機よりも幾らかちょっとよけい視聴料をいただく、こういう構想は少しく無理である、こういうことですか。
  184. 前田義徳

    前田参考人 私といたしましては、放送番組制作の内容のいかんにかかわらず、聴視者に対しては同じたてまえに立つべきであるという考え方を持っております。
  185. 栗原俊夫

    ○栗原委員 そうすれば、そういう思想に基づけば、カラー放送が最終的には視聴者に一番いいところを見せるのだという前提に立てば、それに到達する過程において、たまたま白黒を見ておる人も、カラーを見ておる人もあるけれども、白黒の機械を持っている人は早くカラーのほうに入れということを希望しながらカラーがふえる方向をとることは、あながち白黒視聴者の不利益という考え方をあまり持たなくてもいい、こういうぐあいに考えてよろしゅうございますか。
  186. 前田義徳

    前田参考人 その御質問はなかなかデリケートなところだと思いますが、現況においてと先ほどもお答え申し上げましたが、ある時期においてはそういう方向に向かうかと思います。  それからもう一つ、私は先ほどメーカーの責任者たちともおりに触れ話し合ったことがあるというたてまえから申しますと、やはり私はそれに加えて、将来の展望という点から見ますと、やはり受像機が安くなり、大衆がカラーを楽しめるという時代をつくることに力を尽くすことがNHKの義務であるという考え方を持っております。
  187. 栗原俊夫

    ○栗原委員 実は先般われわれもカラーの製造工程なども見せてもらったのですが、現在難視聴地域に対して特別な共同施設をすればかなり見えるようになるという地域に対しては、共同視聴施設に対して補助制度がある。ところがカラーは、これも私は技術には全く暗いのでよくわかりませんけれども、電波の関係からか何か知りませんが、存外近いところのビルの陰とかそういうところになると比較的入りにくいところがある、こういうことを聞いておるのですが、そういう技術的な事実はあるのですか。
  188. 三熊文雄

    ○三熊参考人 御承知のとおり、カラーはその電波自体が複雑になっております。したがってそういう陰なんかに入りますといわゆるゴーストというものが出たりいろいろな問題がありまして、絵の質が少し悪くなる、こういうことはしばしばあります。したがってカラーの場合には、われわれといたしましては、受信用のアンテナに相当気をつけていただきたい。同時にNHKとしましては、カラーを置かれる場合には、できるだけ販売店と連絡をとって、そういう受信点並びに受信のアンテナその他については御指導申し上げております。
  189. 栗原俊夫

    ○栗原委員 私がお尋ねしたいのは、そういう技術的な問題があって、なかなか一ぺんに一ところにカラーがざっくり入るようなこともないかもしれませんが、カラーのテレビを買った、よく見えない、一人で見えるような施設をするには金がかかる、共同施設で受信の何らかの工作をすれば、その場所でカラーもよく受像できる、こういう条件がある場合に、ちょうど一般白黒の難視聴区域に共同施設補助があるような、そういうカラーテレビの難視聴というところへ共同施設をする設備に助成する、こういう構想は現在の制度ではないらしいのですが、そういうことをお考えになっておりますか。この辺、どうですか。
  190. 長沢泰治

    ○長沢参考人 お答えいたします。  カラーは、先ほど申しましたように、まだ十二万台程度でございますので、むしろゴーストよりも絵ズレというふうな現象がたいへん出てきております。これはたいへん簡単に直りますので、私どものほうとラジオ商と協力いたしまして直しておりますが、ゴーストの問題はやはりぼちぼちと出てきております。将来これが大きな問題になるわけでございます。とりあえず私どものほうとしましては、ことしの東京だけでゴースト地図をつくりまして、目下作業をいたしておりますが、主としていまの発展状況から見ますと、都会地が非常に多くなりますので、来年はその他の大阪、名古屋というところにもゴースト地図をつくって、その修理の体制を期したい、こんなふうに考えておりますが、現在出ている問題としましては、やはり各県、都あたりの建築局、建築部あたりにお願いいたしまして、建築主の方に御協力をいただきまして、先生の御指摘の共同受信アンテナをビルの上に立てていただく、そういうふうなことの仲介を実はいまいたして、一応目的を達しておるわけでございます。  将来の助成の問題は、目下推移を見ましてから結論を下すというふうにいたしまして、現在のところは考えておらない次第でございます。
  191. 栗原俊夫

    ○栗原委員 まだその普及段階でありますから、すぐ助成制度を設けるといってもなかなかたいへんでしょうししますが、最終的な絵を全国民に見せるのはやはり白黒よりもカラーのほうがいいのだという前提に立てば、やはりカラーが普及できるようなための助成措置というものも、無理でない範囲内ではやはり考えておくという必要があろうかと思うので、十分御研究を願いたい、このように思います。  次に、ここへ資料をもらっておるわけでありますが、放送置局候補地区名がここに一表になっております。これは先ほど冒頭にも大臣にお尋ねしたのですが、今度の放送法の成立によって、免許方針、チャンネルの問題等がきまっていく。そういう過程において、かなり変更するものがこの中から出てきますか。
  192. 三熊文雄

    ○三熊参考人 これをごらんになってもわかりますとおり、テレビジョンにおきましては、百二十地区に対して百三十五地区というように、少し多目に出ています。なおかつ候補地は、こかれらあともっともっと候補地として取り上げたい、こう考えています。また、超短波放送におきましては、四十地区に対して八十地区というように多目にその候補地が出ておりまして、もし今度チャンネルプランその他がきまりまして、個々の場所について、その場所の波の割り当てその他がある程度変更される場合におきましても、そういう候補地から拾って出すことができる、こう思っています。
  193. 栗原俊夫

    ○栗原委員 最後でございますから、どうもおまえ自分のところのことを聞いたなんて笑われるかもしれませんが、「テレビジョン放送」の「東京」の中に下仁田(群馬)、鬼石(群馬)というのが出ております。これは地元でたいへん喜んでおるようでありますが、この辺は見通しはどうですか。
  194. 三熊文雄

    ○三熊参考人 これは候補地でして、先ほどお話ししたとおり、あとあと出ました場合に郵政当局と御相談してきめたいと思います。
  195. 栗原俊夫

    ○栗原委員 できるだけひとつ実現していただきたい、こういうことを希望いたしまして私の質問を終わります。
  196. 砂原格

  197. 畑和

    ○畑委員 まず最初にお尋ねいたしたいのでありますが、昭和四十一年度ラジオテレビ番組の編成方針の基本的な考え方、どういう考え方で四十一年度ラジオテレビ番組編成を考えておられるか、これをNHK会長から大まかなところをひとつ……。
  198. 前田義徳

    前田参考人 私どもといたしましては、テレビジョンにおきましては、総合テレビジョンではやはり全国網という点では従来の方針を発展させまして、娯楽番組においては、家族こぞって楽しめるという方向で進めたいと考えておりますし、それからまた、社会教養的な番組あるいはニュース及びニュースと直結する番組を一段と強化してまいりたい。  それから、教育テレビジョンにつきましては、放送時間を一時間半延ばしまして、学校放送並びに通信教育、これに主眼を注いでまいりたい、このように考えております。  ラジオ放送につきましては、中波に関しましては、第一放送は生活に直結する番組、聞くに値する番組というたてまえで根本的な刷新をはかってまいりたい。  第二放送につきましては、これが教育教養の波であるということを一段と徹底させたいと考えております。  FM放送につきましては、実験局ないしは実用化試験局としての本質をさらに発揮させまして、まず本質に適するものを編成してまいるということを第一義といたしまして、中波の混信地域に対しましては、FMとの関係でその混信がどの程度防ぎ得るかということをさらに一段と明らかにしてまいりたい、このように考えております。  それからまた、国際放送に関しましては、番組全体を、国際放送の本質を再確認しながら、まず日本を中心とするニュースを、その回数をふやしてまいりたい。さらに多数国家間との親善、貿易の発展、経済、文化交流、相互理解、これに役立つ番組を純粋にふやしてまいりたい、このように考えております。
  199. 畑和

    ○畑委員 番組編成の基本的な大まかの考え方、それはそれで了解いたします。  ところで、新しい今度提案された放送法、それとの関連において少し聞いておきたい。これはそれに関連して聞きたいのですけれども、現行の放送法の四十四条の二、「国内番組基準」というのがございますね。四十四条の二は、「協会は、国内放送放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて国内放送放送番組の編集の基準(以下「国内番組基準」という。)を定め、これに従って国内放送放送番組の編集をしなければならない。」こういうことが書いてあります。それから四十四条の四に「協会が国内番組基準及び国内放送放送番組の編集に関する基本計画を定め、」云々、こうなっておりまして、協会はまず国内番組基準というのをきめているはずです。それからまたそれに基づいて国内放送放送番組の編集に関する基本計画というものをきめる、こういうことになっておるわけであります。  そこでいま言った国内放送番組基準は、現在のものはいつつくったものですか。
  200. 前田義徳

    前田参考人 現在のものは昭和三十四年七月に制定したものでございます。
  201. 畑和

    ○畑委員 そうすると、この前の放送法の改正があった年、その放送法の改正に基づいてきめたということになりますね。
  202. 前田義徳

    前田参考人 そのとおりでございます。
  203. 畑和

    ○畑委員 ところで今度の放送法の改正に関連して聞きたい。今度放送法が改正になってもやはり番組基準というものはきめなければならぬということになっておる。また基本計画もきめなければならぬということになっておる。この点は変わりはない。ところで今度放送法が改正になった際に、七年たった番組基準を変えるつもりがあるかどうか承りたい。
  204. 浅沼博

    ○浅沼参考人 放送法の改正案は最近細部を承知いたしましたので、目下協会内部でも検討を続けている段階でありますが、いままで私どもが承知した段階におきましては番組基準や編集の基本計画等は変えなくてもよいと存じております。今回の改正で、たとえば青少年番組に対する基準等が示されているようでございますが、この点につきましてはすでに国内番組基準でもその精神は十分盛り込まれているものと考えておりますので、将来表現だとか字句などこまかい問題で若干の修正は行なわなければならないかも存じませんが、大綱、方針につきましては、ただいま申し上げましたとおり変わっていないのではないか、そういうふうに存じております。
  205. 畑和

    ○畑委員 大綱は大体そんなに変わりはないだろうと思う、したがっていまのところこの番組基準を変えるつもりはない、こうおっしゃるのですけれども、そのことを別といたしましても、もう七年もたっておるのだから再検討してこれを改定するということの考えはないかどうか。
  206. 浅沼博

    ○浅沼参考人 ただいま申し上げましたとおり、なお改正法案を細部にわたりまして十分検討した上で、この問題については先生の御要望に沿っていきたいというふうに思います。
  207. 畑和

    ○畑委員 つきましては、全部の委員にひとつ資料として配ってもらいたいのですが、現在のNHK番組基準、それからそれに基づく基本計画、この基本計画というのは毎年つくるのですか。
  208. 浅沼博

    ○浅沼参考人 さようでございます。
  209. 畑和

    ○畑委員 そうだとすれば、四十一年度の基本計画、それをひとつ資料として提出をされたいと思います。もうつくったのがありますね。あしたまでにひとつ出してください。  その次にお聞きしたいのですが、これは郵政大臣に聞かなければならぬ。放送法の今度の改正案を、実は二、三日前に大綱というものを電監局長が私の部屋へ持ってきてくれましたので、大綱は見ました。さらに改正の法案自体はけさボックスで受け取りまして、昼休みの間にさらっと拝見をいたしました。  そこで、いずれは放送法審議の際に相当詳しく徹底的に論議をしなければならぬと思っておりまするけれども、たまたまNHK予算に関連がございます点について聞きたいのでありますけれども、私が一番聞きたいと思っておるのは教育放送の義務づけということです。これが最後まで難航したやに聞いております。この義務づけということが初めから案にあったのかなかったのか知らぬけれども、ともかく今度の案を見ますると、だいぶ変わっておると思うのです。いままでの法制によりますると、「教養番組又は教育番組」ということになっていて、どちらでもいいということになっている。それと報道番組、娯楽番組、この三色、こまかく言えば四色ですが、そういう種類がある。ただ教育番組教養番組と二つのものを並べてありますから、これはもうどっちかに入るということが言えると思う。しかもその三色の種類の番組についてはお互いに調和を保たなければならない、こういうふうに書いてある。これはNHKについても、また民放についても、この前も同様だったし、今度も両方に対する規制になっておる。ところで今度の案を見ますると、教養番組というのがなくなっているのです。もっぱら教育番組と娯楽番組報道番組、この三つになっておる。しかもNHKについては教育放送を持に義務づけておる。こういう点が私は非常に大きな違いだと思う。  そこで、これはNHKに聞いても、きょう法案が出たのだから、この段階では無理だと思うから、あえてNHKには聞かない。この法案を提出した郵政当局に聞きたいのですけれども、今度の法案に出てくる教育放送という概念ははたしてどういう概念か、それをまずお尋ねいたしたい。
  210. 郡祐一

    郡国務大臣 教育放送の概念でございますが、これは放送法の第二条に現在それぞれ定義を掲げております。その中で「「教育番組」とは、学校教育又は社会教育のための放送番組をいう。」かように相なっておりまして、この教育番組というものの内容は変わっておりません。  それからついででございますが、いま御指摘のございました現行法の四十四条4項の教養番組教育番組報道番組、娯楽番組の調和でございますが、それは今度のNHKと民放との二本立を法案に一つにして番組の編集等を書きましたので、新しい改正法の三条の二の二項のところに「教育報道、娯楽等のための放送番組の相互の間に調和」というようなぐあいに、初めにこの四十四条の前後のところがだいぶ移ってまいりましたので、その辺は少し対照をしていただかなければ相ならぬのでございます。それはともかく、教育番組という意味合いにおきましては、現行法の定義と変わっておるわけではございません。
  211. 畑和

    ○畑委員 そうすると教養番組というのは、新しい放送法ではなくなるのですか、あるのですか。
  212. 館野繁

    ○館野政府委員 ことばの問題でございますので、事務当局からお答え申し上げます。  従来の法文にありました教養番組ということばは、新法では使ってございません。ただし、その教養番組ということで放送法上期待しておりました番組内容につきましては、新法第三条の二の四項におきまして、番組の種類いかんにかかわらず「放送番組の編集及び放送に当たっては、国民の一般的教養の向上に資するようにしなければならない。」という規定をもって、現在の法律の教養番組という観念を端的にあらわしているということでございます。
  213. 畑和

    ○畑委員 どうもお答えがよくわからぬのです。ぼくはごちごちの法律家だからそういう感じを受けるのかもしれないけれども、いままでは教養番組というものがあって、それで一般的教養ということで非常にソフトな感じのものだった。ところが今度はすべて教育放送だ。しからば教育放送は何かというと学校教育放送、それからそのほかの教育放送いわば社会教育放送だ、こういうわけですね。教育放送というのは一体どういうふうにやるかというと、組織的に継続的に対象をはっきりしてと、こういう規定になっておる。これは前も今度も変わらない。ずっと計画的にやる、組織的にやる。この次はこうやってこの次はこういう番組です、こういうことを言うのだ、それで初めて教育だ、こういうことだと思う。社会教育についても同じようなことが言えるのだろうけれども、そうでない一回限りというようなもの、そういう俗にいう教養というようなものが、いまの答弁でいうと一般的教養の向上に資するものだというような形で、それでもう含まれているのだというけれども、どうも私はそれがはっきりしないのです。ごまかしのような気がする。それですべてが教育放送と娯楽と報道の三つだ。教育放送には学校教育放送と社会教育放送しかない、こういうことになると、いままでの教養番組というのは一体どこにいくのだ、こういうことなんです。それはいま言った一般的教養の向上につとめなければならぬということになっておるからそれに入るのだというけれども、やはり類別していくと、どこかはまらないものがあると思うのですが、その点がどうも疑問なんです。
  214. 館野繁

    ○館野政府委員 現行の四十四条で、教育番組または教養番組報道番組、娯楽番組と、こう書いてございますね。この放送法上の放送番組の定義というものは非常に法律特有の定義をしてございまして、第二条に定義が書いてございますけれども、あの番組この番組というのも放送番組である。それから今度はその中の一部分をとりましても、放送する事項としては番組の一部だ。それから一日の編制表、よく新聞に出ております番組表でございますが、それから一週間とか一定期間を通じましての放送をする事項の配列、これも放送番組だというように現行法――改正法もそうですか、放送法上は放送番組の定義をしておるのであります。したがいまして、従来の四十四条におきまして、娯楽番組あるいは教養番組または教育番組と申しましても、七時から一時間とかあるいは九時から十五分とか、そういう一定の題名のもとにまとまりのあるものを設けるということは、必ずしも現行法でも要請はしていないのですけれども、常識的に読みますと、そういうレッテルを張った番組を設けなければならぬというふうに一応常識的にはなるわけでございます。そこで、この教養番組というものが、何かそういう教養番組というレッテルを張ったものをとにかく放送事業者は設けなければならぬということを法律がかたく要請しているように、法律の要請以上にいままで読まれてきまして、それでこの教養番組というものにつきまして、あれは一体教養番組なのか、事業者はそのつもりか知らぬけれども、第三者から見れば教養番組なんていうものじゃないじゃないかというような、非常に業界に混乱と無用の論争を起こしていたのが実情でございます。したがいまして今度の法改正におきましては、教養ということにつきましては、放送の機能として非常に大事なことである。広い意味の教育的機能あるいは国民の教養の向上に資するという機能は放送として非常に大切であるから、それをとくと対照する必要はあるだろうけれども、教養というもののレッテルを張った番組を必ずつくりなさいという形、あるいは法律がそれを要請しておりますという形はとらないで、法律の本来の意味をあらわすにはどうしたらよかろうかと考えました結果、その教養番組というレッテルを張った番組をつくらないにしても、かりに報道番組、娯楽番組というような分類によるものでございましても、広く国民の一般的教養の向上に資するように編集すべきであるというように書きかえたわけでございます。  それから現在の四十四条の4項の「教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、」云々というところの各種の放送内容についての調和は、先ほど大臣から申し上げましたように、新第三条の二の2項に移したわけでございますけれども、そこにおきましても、国内放送の編集及び放送にあたっては、教育報道、娯楽等のための放送番組の相互の間に調和を保つようにしなければならないといたしまして、この場合の教育は、いわゆる定義上の教育番組教育ではございませんで、広く啓発と申しますか、人間の資質の向上と申しますか、次代の世代の育成と申しますか、非常に広い意味で、国語として教育報道、娯楽ということばを使っておりますので、こういうレッテルを張った番組を設けなさいという意味は含まれてないわけでございます。
  215. 畑和

    ○畑委員 ますますわからなくなった。そうなったら次に問題になるのは、今度の新しい法律案できまっているのに番組審議会があるのですけれども、今度新しく教育番組審議会というものが設けられるのですよ。これが大きな問題だとぼくは思うのです。いいかげんに妥協してやるべきじゃないのだ。あなた方当局は、下から相当突き上げがあったらしい。らしいけれども、私は妥協の産物ということがはっきりわかるのですよ。だから私ら心配なんですよ。心配だから、また放送法のこまかい審議をやるときにやるけれども、たまたま番組基準とか、そのほかの問題が出たから聞いたのですけれども、そうなると学校教育と社会教育、こういうことは要するに教育放送となると、それを管轄する教育番組審議会というものができて、それにいろいろなことをはからなければならぬのですね。そういうことになるのですよ。だからいままでであったら、NHKでいえば中央番組審議会と、それから地方番組審議会というものの二つであった。今度別に全国を統括する一つ教育番組審議会ができるわけだ、全然新たに教育と銘打って。しからばどこまで教育というか。非常に私はむずかしいと思う。教育といえば学校教育それから社会教育だ、こう簡単に言ったって、なかなか割り切れませんよ。そうなっていますね。これにも教育放送教育番組というのはそれは学校のほうと社会教育である、こうなっておるけれども、それほど簡単に割り切れない。一般教養に通ずる部分があると思うんですよ。それはどこへ行くのか。一般に行くのか、教育番組審議会の関係になるのか、その辺が非常に私は問題だと思うのです。教育という名のもとにすべてが教育化される、後進国みたいになる。日本は先進国ですよ。アメリカと同じ流儀を使っているのですよ。だからそんなにやかましく干渉する必要はないと思う。私は非常に大きな変革だと思うから聞いているのです。非常に心配なんだ。権力が介入することをおそれるのです。私はこれは非常に問題だと思う。これは大臣関係して大臣の裁断できまったのでしょう。自民党の政調でだいぶもまれてこんなあれが入ったらしい、文部省が盛んに干渉しようとしたらしい、そういううわさも聞いておりますよ。敢然としてはねつければいいのに、はねつけないで適当に妥協したらしく見えるのだが、しかし法律というのは、きまるとあとでひとり歩きするのです。いいと思ったものももろ刃のやいばになるのです。それを私らはいやというほど、たとえば政防法みたいなやつで、あるいは暴力法というもので経験をしておるのです。一方の勢力から言えばいいと思っても、片一方の勢力から言えば困る。非常にあぶない。それと同じことが私は言えると思うのです。この点が最後になってだいぶ急転して変わったらしいので、そのいきさつからどうも私の心配していたことになるらしいものだから聞いているのです。社会教育というのは一体どういうことをいうのか、学校教育でないものがすべて社会教育だ、こういうことになるのか、あるいはそうでないのか、その辺を聞きたい。
  216. 郡祐一

    郡国務大臣 先ほども申し上げましたように現在の教育番組の定義も「学校教育又は社会教育」というぐあいにいうておるのでありますから、したがいましていわゆる教育という――これは番組でございますから、厳密にいわゆる教育ということと何か感じの差はあるかもしれません。私は、いわゆる教育番組の中で学校教育にあらざるものを社会教育というのだ、したがってその教育番組の幅というものは変わっておらない。先ほど館野放送部長から申しましたように、この辺の定義ははずしましたが、先ほど御説明申し上げましたように、放送番組というものが一体こういう――個々のものは申しませんけれども、いうております意味は現行法と同じ、学校教育にあらざる教育を社会教育というぐあいに読むものだと思っております。
  217. 畑和

    ○畑委員 それだからいま言ったように、教養番組はどこへ行っちゃったんだと言うんですよ。
  218. 郡祐一

    郡国務大臣 これは事務のほうから申したらいいかもしれませんが、二条の五号、六号は、ごらんのように今度五号というところに「ラジオ放送」という定義、六号には「テレビジョン放送」という定義に置きかえてございますから、教育番組教養番組という定義は二条からははずれております。
  219. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ただいまの御質問でございますが、現行法におきましては、教育番組というものは、御指摘のように載っておるわけでございますが、この問題につきましては、この定義づけが非常にむずかしいものでございますので、定義からははずしてございますけれども、新しい三条の二の4項、こちらに移しておりまして……。
  220. 畑和

    ○畑委員 2項の「教育報道、娯楽」とこう分けて、ここで抜けちゃったんだよね。それが4にいったんだよ。
  221. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 4にまいりまして、それで「国民の一般的教養の向上に資するようにしなければならない。」というぐあいにうたったわけでございます。
  222. 畑和

    ○畑委員 だから、それはどういうわけで直したのか。「教育報道、娯楽」ということになっていて、一方別のあれで4のほうは全部に通ずるやつだよ、全部に通ずるわけだ。2のほうは「教育報道、娯楽」こうなっているわけだ。ここで教養番組が抜けちゃってるんだよ。抜けて4につけたからいい、そんなもんじゃないんだよ。これは性質が違う。全然範疇が違うんだよ。どういうわけで抜かしたか、そこに魔術があると言うんだよ。そんないいかげんに妥協してはいかぬ。郵政当局がはっきり答弁できないようでなぜこんな法案を出したのか。
  223. 郡祐一

    郡国務大臣 この点は、私の理解しておりまするところでは、別に妥協という意味合いではございませんで、こうした教養番組の中身をとらえ、教養番組ということばでなく中身をとらえてあらわそうということでございまして、これによって中身がとらえられておりますから、番組ということを持ち出さないでいいという判断をいたしております。
  224. 畑和

    ○畑委員 そこがちょっとわからぬ。そうしたらいままで教養番組といわれていた番組はどんなものか、例をあげて説明していただきたい。それが今度はおそらく社会教育番組だ、つまり教育番組だということになるのだろうと思う。そうなると教育番組審議会にかかる、その管轄になる、こういうことになる。いままでの教養という非常にソフトな感じはぼくはいいところだったと思うのです。それが教育教育ということで、教育の幅がこれによって非常に大きくなったと思うのです。すべてが学校教育――学校教育のほうははっきりしておりますよね、ちゃんと教科課程があるのだから、それに従ってNHKがちゃんとやってるんです。だから心配ないのだ。だけれども社会教育ということになると非常にばく然としている。おそらくいままで教養番組と称せられていたものが社会教育番組だということになってくる。そうするとそれがいま言った教育番組審議会の管轄になる、こういうことになる。あくまで頭から教育ということで押えつけられるということになると思うのです。NHKとしても容易じゃないと思うのです。いままでのカラーがだいぶ変わってくる、私はその点を心配している。その点はどうですか、そういうことにならぬですか。
  225. 郡祐一

    郡国務大臣 私は教育番組という考え方の幅が広がっていくというぐあいには考えません。ただ教養番組という感じ――感じと申しては不正確でありますが、教養番組と銘打ったものを置かないということで、私は、教育番組というものをどんどん広げていっては、それはものを混迷させます、そうすべきじゃないと思います。
  226. 森本靖

    森本委員 ちょっと大臣にお聞きしますが、現在のNHKテレビ放送の中で教養番組といわれているところの番組があるが、どんなものがありますか。あなたも見ておられると思いますから……。
  227. 郡祐一

    郡国務大臣 たいへん申しわけないのですが、私はあまりテレビは見てないので事務当局からお答えさして、ごかんべん願いたいと思います。
  228. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 現行の放送法二条の六号におきまして教養番組の定義が出ております。それによりますと、「「教養番組」とは、教育番組以外の放送番組であって、」とございます。この教育番組というのは、五号におきまして「学校教育又は社会教育のための放送放送番組をいう。」したがいまして、娯楽等を含みまして、いわゆる教育番組以外のやつはすべて教養番組である。具体的なことはNHKのほうから……。
  229. 森本靖

    森本委員 これはNHKとしてやるところでありますから、放送法をつかさどるのは郵政省でありますから、現行放送法に基づくところの教養番組というものは、NHKの中におけるどういう番組教養番組とあなたのほうは認識をしておるか、こう聞いておるわけです。
  230. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 私どものほうでは、御案内のように番組について資料をとるというようなことをやっておりませんので、そういう役所のいわゆる監督という点からどの番組がどうだということを申し上げるのは差し控えたいと思います。
  231. 森本靖

    森本委員 もしそういうことであるとするならば、法律をつかさどっておるところでありますから、法律をつかさどっておるものについては、具体的にそれがどうこうであるということは定義づけられると思います。それがなければ法律を提案する資格はありません。それからモニターしておるとかしてないとか、権限があるとかないとか、そういう問題があります。これは郵政省がつかさどっておる法律でありますから、その法律の解釈についてはこう解釈をする、こう解釈をするとするならば、その解釈をする実例はどうであるか、その実例はこうあります、こういう回答がなければならぬはずであります。この前法律を改正したのはたしか三十四年か五年だったと思いますが、時の電波監理局長は、はっきり回答いたしております。そこでそのときに答弁に詰まっておりますよ。実は一体教養番組というものをどういうふうに判断するのかということで詰まっておるのだ。郵政省はこの答弁に困ったわけだ。一体娯楽番組教養番組とどう判断をするか。これは先ほど、はしなくも館野君が答弁をしておった。実は教養番組というものは法律で定義づけられているが、教養番組というのは一体どこからどこまで、どう判断するかというような定義が全くむずかしい。おそらくそういう点が非常に困難であるからこういうふうな改正になったということを私は想像するけれども、現行法律がある以上は、現行法律についての解釈がこういう解釈でございますということは答えられなければならぬはずであります。これは館野君が幾ら横から入れ知恵したところでだめなんです。法律をつかさどるのは郵政省でありますから、郵政省としては現行法の教養番組についてはどういうふうに考えておる、どういうふうに考えておるということが具体的になったといたしますならば、それならば現行のいわゆるテレビジョン放送における番組については、具体的にどういう内容についてはこれが教養番組と定義づけられる、この答えができなければ、これは法律をつかさどる役人にはなれぬわけです、失格です。だから具体的な例を私は聞いておるわけです。
  232. 鶴岡寛

    鶴岡政府委員 ただいま森本先生お示しのような見地に立って私どもの見解を申し上げさせていただきますと、たとえばNHKにおきまして、私も正確な番組の名称は自信がございませんが、水曜の午後七時半から「生活の知恵」というような放送があるように存じております。あのようなものはいわゆる社会教育というものにも入らないし、また純然たる娯楽でもないように考えております。あのようなものがいわゆる教養番組一つの例ではないか、さように考えます。
  233. 森本靖

    森本委員 現在のNHKで大体教養番組とこの法律で定義づけられるものは、広義に解釈をすれば、いまNHKがよくやっておりますが、たとえば「世界各国めぐり」、これは各国の珍しい風習その他を紹介しておる。これは決して娯楽番組ではない。ある程度社会教育的な番組である。こういうものが大体教養番組というのではないかということを私は前に質問したことがありますが、現行法律における解釈はその程度ではないのですか、大臣。ただ、そういう解釈が非常にむずかしいから、今回の法律改正においては、別に私はあなたをカバーするわけじゃないし、別に他意はないけれども、こういう教養、教育ということで、どこからどこまでが教養番組であるということをいざ定義づけられると全く答弁に窮する。こういうふうなものよりかははっきりと教育報道と娯楽というふうに番組は分けたほうがいい、こういう考え方で今回の法律改正については当たったというのが本音じゃないですか、実際問題としては。
  234. 郡祐一

    郡国務大臣 私の考えておりますよりももっと正確に分類していただきましたが、とにかく教養というと、非常に使うことばでありますけれども、まちまちに使われる。おっしゃるように、私自身はあんまりテレビを見ませんために申しわけないのでありますけれども、教養というものの押え方はまことにむずかしい。社会教育ということばはむずかしいし、社会教育というと何かいままで考えがありましたが、教養ということばは非常に押えどころがない。しかし、いま森本さんにおっしゃっていただいたような分類はそのとおりだと思います。
  235. 畑和

    ○畑委員 森本氏からの助け舟が出たようですけれども、それでもまだわからない。ぼくはちょっと昼休みに見たのだけれども、今度の新しい第三条の二の3項に「放送事業者は、教育番組学校教育又は社会教育のための放送放送番組をいう。以下同じ。)の編集及び放送に当たっては、その放送の対象とする者が明確で、内容がその者に有益適切であり、組織的かつ継続的であるようにするとともに、その放送計画及び内容をあらかじめ公衆が知ることができるようにしなければならない。」とありますが、これは現行の放送法にも大体このとおりのことがありますよ。そうなると、教育番組、それは学校教育と社会教育、これはわかります。学校教育については、先ほども言いましたように、文部省できめた課程というものがある。それで組織的、継続的にずっとやっておられる。社会教育につきましても、まあ大体そういうふうにNHKもやっておると思います。ところでいま言ったいままでの教養番組に当たるようなものは組織的、継続的にやっているかどうか。一回、二回くらいでやるもので、一般的教養になるというような番組は、そうなるとどこへ当てはまるのだろうか、こういうことです。教育放送である以上は、学校教育であると社会教育であるとを問わず、組織的、継続的に対象を明確にしてやるのが教育番組であり、教育放送であらねばならぬ。一回きり、二回きりというような教養番組というのは、そうすると一体どこらに当たることになるのか。私の言うことがわかりますか。その疑問がまだ解決しないのです。そういうところにちょっと矛盾がどうしても出ているように思うのです。その点をひとつ解明してもらいたい。
  236. 郡祐一

    郡国務大臣 これはまた事務のほうから必要に応じて補足させますけれども、私は、教育番組というものについてのこうしたあり方というものを現行法と同じようにはっきりしておくことは必要でございますけれども、これがすべてについて一体――ものの考え方は似たような部分もあり、それは教養に属する番組という形でやっていくということも必要な場合もございましょう。あるいは一回、二回でいく場合もございましょう。しかしながらそれは特に法律上規律する必要がないのだ、教育番組についてだけは中身も比較的はっきりしておるので、それについてだけ規律をいたしておこう、こういう趣旨だと私は考えております。
  237. 畑和

    ○畑委員 だから私まだわからないのです。いままでの一般教養番組に属するようなものをとにかくなくしてしまう。教育番組になっちゃうのですね。そうすると教育ということで番組審議会も違ってきてしまう。そちらの新しい教育番組審議会のほうのワク内に入る。教育ということでその範囲が非常に窮屈になる。教育ということばはあまりいいことばじゃない、私はそういう感じがする。教え育てるというのですからね。小学校の生徒や高等学校の生徒なら教え育てるだけれども、社会人を教育するというのはあまり――教育教育で育てるようなつもりじゃなくてやってもらいたい。やはり一般教養ということでやってもらいたい。そういうものがだんだんなくなって、狭くなってくる。全然教養というものがなくなって全部教育になってしまう、それを私は心配するのです。この文章からいくとどうもそうなると思う。その点の心配なんですけれども^それはどうなんでしょう。
  238. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 先ほど森本先生から御指摘ございましたが、現行法におきましての定義づけということは非常にむずかしい点がございます。そういう意味で、定義づけがむずかしいので定義からはずしたということは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、いま定義として残しましたもの、要するに教育放送というものにつきましては現行法と同じでございますので、その範囲を広げるということは全然考えておりません。ただし先生のいま御指摘のように、それでは前にありましたところの教養番組というものは落ちたんじゃないか、これが教育のほうに入ってしまう、そちらのほうにみんないってしまうという御懸念でございますけれども、今度の新しい法律で考えております。先ほど御指摘のありました「教育番組の編集及び放送に当たっては、その放送の対象とする者が明確で、内容がその者に有益適切であり、」云々、こういうことは教育番組というものの効果を高めるためにはこういうぐあいでなければならぬということだけを申したのでありまして、その内容の定義と考えておりません。したがいまして一回、二回というものでももちろんございますけれども、もっと効果を高めるためにはこういうぐあいにしてほしい、こういうことでございます。
  239. 畑和

    ○畑委員 この点につきましてはいつまで議論をしておりましても何ですから、あとで放送法審議のときにゆっくり――ほかの問題もまだたくさんありますが、ちょっと私気がついたので番組について関連したものだけお聞きしたわけです。この問題はこれだけで終止符を打ちます。  たまたま教育放送あるいは学校放送というような話が出ましたので、次に今度はNHKに聞きたい。  まず教育放送について。第一には、NHKでは教育番組は、ラジオの第一、第二、テレビ総合教育それぞれ一週間何時間ぐらい放送しておるか、またこれは全放送時間の大体何%ぐらいに当たるか、それらのことをひとつ……。
  240. 浅沼博

    ○浅沼参考人 一週間の時間の集計はいま持っておりませんが、パーセンテージを御紹介申し上げますと、こまかい数字は省略いたしますが、総合テレビにおきましては教養が三五%、娯楽が二四%、報道二九%、教育が九・九%でございます。それから教育テレビジョンは、教育と称するものが八一%、教養が一六・四%、報道が二%、それからラジオにおきましては、第一放送が、教養が二七%、教育が七・三%、報道が三七・八%、娯楽が二七%、それからラジオの第二放送でございますが、これは教育テレビと同じように、先ほど会長が申されましたように教育、教養に徹するというたてまえをとっておりまして、教育、教養のパーセンテージが多くなっております。教育が五四・六%、教養が三二・五%、娯楽が二・九%、報道が一〇%、あとはFMでございますが、FMは教養が約五〇%、報道が一四・二%、娯楽が一六・八%、教育が一九・七%、大体以上のような割合になっております。
  241. 畑和

    ○畑委員 それは現行法に基づく分類ですね。
  242. 浅沼博

    ○浅沼参考人 さようでございます。
  243. 畑和

    ○畑委員 NHKでこれは教養だと考えたもの、これは教育だと考えたもの、あるいはこれは娯楽だと考えたもの、それの分類ですね。それが今度の放送法の改正によるとそういう分類でなくなって、いま言った教養番組というのは、教養というのがなくなって教育になる。それに全部含まれるようなことになると思うのでありますが、新しく法律が変わるとすると、いま言った分類の教養番組というのが教育番組というふうに考えていいですか。教養は一般にいくのですか。
  244. 浅沼博

    ○浅沼参考人 先ほど来だいぶお話が出ておりましたが、社会教育と教養放送との区別の問題でございます。これは概念規定ではある程度明確になっているようでございますが、実は実施に移しましてどの番組が社会教育、どの番組教養番組であるというけじめをつけるのにはなかなか困難な場面が実際問題としてたくさんございます。したがいましてこれは今後放送法の趣旨というものを十分検討いたしまして、個々の番組一つ一つこまかく洗い直していかなければこれからのこういった統計はとれないんじゃないか、これからの検討を盛んにやりたい、こう思っております。
  245. 森本靖

    森本委員 関連してちょっと。いまの分類を聞いていると、浅沼君のほうでちょっとはっきりしてもらいたいのは、いまの総合テレビの中で代表的な教養番組として考えておるのは大体どういう番組ですか。
  246. 浅沼博

    ○浅沼参考人 大体皆さんがごらんになっておられる番組で顕著なものは、夜の七時半の時間帯でございますね、先ほど先生のおっしゃいました「海外取材番組」とか「生活の知恵」、ああいったものは全部教養番組として私どもは計算しているわけでございます。
  247. 森本靖

    森本委員 そういうことになると、新しい法律の解釈でいくとするならば、そういう番組については教育番組以外の番組になると解釈するのがほんとうじゃないのですか、大臣
  248. 郡祐一

    郡国務大臣 そう思います。私は、教育番組の幅というものは何ら現在と変わりないというぐあいに考えてけっこうだと思います。
  249. 畑和

    ○畑委員 そうなるとまた問いたくなる。そうなると、一般のというと教育番組でないということになる。一般のというと、あとは報道とそれから娯楽、こういうことになるのじゃないですか。それ以外に何かあるのですか。
  250. 郡祐一

    郡国務大臣 これはいかがでございましょう。教育番組というのはきちんと学校教育、社会教育ときめておるし、あとは別に放送法に定義づけをして、こういうものをごうごうということをいうてないのでございますから、放送事業者がいかような分類をいたしましても――あるいは将来一つの型を示すのもいいかもしれません。いいかもしれませんが、いままでの教養番組に当たるものを教養番組としてやっていってくれることは一向差しつかえないと思います。教育番組の幅が決して変わるものでもなければ、教養番組教育番組に入れるのでもなければ、教養番組そのものは別に変わったことはない。それを法律に書かないというだけで、定義に書かないというだけで、その実体は何ら変わっていないというぐあいに御理解願いたい。
  251. 畑和

    ○畑委員 しかし番組の種類が今度新しく三つになるのですからね。そうなると、一体その番組をどんなふうに割り当てるかといったような場合に、NHKに聞かれるとNHKは困りますよ、一般という範疇はないのだから。ないと私は思います。いままで教養番組というものがあったから、教養番組という範疇に入れた。ところが、今度それがなくなっちゃうのだから、そうなると、娯楽か報道かどっちか、あるいはさもなければ教育だ。この三つしかないじゃないですか。そう規定に載っているのだから……。
  252. 郡祐一

    郡国務大臣 ここでそれぞれ法律の中でことばを使っておりまするけれども番組を分類するのに、教育番組というのは確かにきちんと出しております。しかし、それ以外の番組というものは従来のとおり分類をいたしてもよろしゅうございましょう。しかし、これもまた、別の分類をいたすことが合理的なら、それもよろしゅうございましょう。とにかくこの分類というものに、どの幾つかにすべてを当てはめてしまわなければいけないということは、私は一つもないと思います。
  253. 森本靖

    森本委員 それは法律を立案しておる提案者としては、やはりその考え方はおかしいと思うのですよ。いままで教育番組というものがあり、教養番組というものがあるわけなんだ。そこで教育番組というものは、大臣がいま答弁せられたとおり、従来のとおりということでけっこうであります。そのとおり残っておるわけでありますから……。ところが教養番組というものは今度はのいておるわけであります。いいですか。そこでこの2項に「教育報道、娯楽等のための放送番組の相互」云々ということがあるわけです。その次の4項に、館野君の言ったとおり、最後に「国民の一般的教養の向上に資するようにしなければならない。」と、こう結びがあるわけです。そこで、いま畑さんが言っておりますることを要約しますると、教育番組は従来のとおりの教育番組の定義づけでよろしい。それ以外の番組を定義づけするとするならば、報道と娯楽になる。その報道と娯楽になる場合に、「一般的教養の向上に資するようにしなければならない。」この解釈をしなければ、この法律改正についてはやりようがないですよ。そうじゃなかったならば、2項における「教育報道、娯楽等のための放送番組」ということは要らぬわけです。ここで明らかに三つに分類しておるわけですから。いままで分類をしておった教養番組というものはなくなっておるわけです。だから、教育番組の定義はいままでの教育番組の定義でよろしい。それはそのままでいいわけですよ。しかしながら、それなら今度は教養は一体どこへいったかということをいま言っておるわけでありますから、その教養というものは、しいていうならばこの「報道」と「娯楽」の中に入って、なおかつ4項によって、その教養番組ということがいままであって、それがなくなったということをこの条項において補てんをしておる、こう解釈をするのが正しくはないか。これはやはり法律の問題ですからはっきりしておきたいわけなんです。大臣みたいにむにゃむにゃとやってもろうたら困る。
  254. 郡祐一

    郡国務大臣 それでは私からひとつ私の気持ちを言いまして、また事務のほうから補足して申し上げたいと思います。  この2項にいうておりますのは、ここにあるように、「教育報道、娯楽」、それが調和しなければいけないということをいっておるのでございます。そうして全体に一般的教養の向上放送全体が資さなければならない。だから「教育報道、娯楽等」という「等」に一般がありましょうとも、すべてはそうしたものが調和をする例示をしておる。それで矛盾はいたさないのだ。したがって、今度それぞれの放送事業者が自分の放送の分類をいたします分類というのは、必ずしもこれのどれかに突っ込まなければいけないものではなくて、「等」の中に一般というのがあっても、共通というのがあっても、それは別にかまわないと私は思います。しかしまた事務当局から何か……。
  255. 森本靖

    森本委員 いやいや、これは事務当局じゃないですよ。大臣が責任を持って答えなければならぬ。これはあなたのほうが今回法律を提案しておるわけでありますから、非常に大事なところでありますから、念を押しておるわけであって、いままでは教育番組教養番組というものが法規にちゃんと規定をせられておるわけであります。その教養番組というものは今回はなくなっておるわけであります。いいですか。教育番組というものは依然として残っておる。そこで具体的に教育報道と娯楽と、こういうことになっておる。そこで先ほど浅沼君が具体的に分類したような教養番組という場合は、これをしいて法律的に解釈しようとするならば、この「教育」の中には入らぬ、これは「報道」「娯楽」の中に入る、こうわれわれは解釈する。それからいままでの教養番組という問題については、この4項で、なくなったということについてこれを補っておる、こう法律を解釈するのが正しくはないか。これは法律の解釈として将来速記録に残りますから、事務当局云々でなしに、大臣が事務当局にいま聞いてみて、そのとおりだったら、そのとおりですと答えてください。
  256. 郡祐一

    郡国務大臣 私は、教育報道、娯楽、そこの「等」の中に幾つかのものが含まれ、したがって、「等」の中に教養ということの分類がありましてもけっこうなのでありまして、そうしたものが調和していればよろしいのでありまするが、放送全体は、娯楽であろうと何であろうと、それがすべて一般の教養の向上に資するものであらねばいけないということを2項と4項はいっておるのだと解釈いたします。
  257. 森本靖

    森本委員 それならいままでの教養というのはどこへいったかということですよ。教養番組は法律で明記をせられておる、そんなことを言うのだったら……。いままで現行法律に教養番組教育番組と二つあるわけだ。そのうちの教育番組は残っておるし、教養番組はのいたのだから、それならそれはどこへいったかと聞いておるわけですよ。法律の解釈ですからはっきりしておいてもらいたいということです。大臣の言うのは常識的な発言で、座談のときにはそれで通りますよ。しかし速記録として、将来何年か後にこの法律を解釈する場合には、いまの大臣のような感情論ではだめですよ。法律は法律としてこう解釈するということを明確にしていかなければならぬ。だから私は、私なりに法律の解釈をこう解釈しておるわけなんです。いままで教育番組教養番組というものがあった。そこで教養番組というものはのいた。そして今回教育番組というものは従来と同じようにはっきりと定義づけられておる。それからその以外に、この2項においては、定義はつけておりませんけれども、やはり「教育報道、娯楽等のため」こうある。ということになるとするならば、やはりこういうような分類のしかたになっていかざるを得ない。そうすると、いままでの教養番組というものはこのうちの「教育」に入らない。「教育」というものはここにちゃんと「学校教育又は社会教育のため」という定義づけがあるわけでありますから、いままでの教養番組というものはこの定義には入らない。だからここにおける法律上の問題は、いわゆる「報道」と「娯楽」に入るのではないか。さらに4項の「一般的教養の向上に資する」ということは教育放送のことをさしておるけれども、しかしながら教育放送については教育放送としての定義づけがはっきり前もってある。そうすると、終わりの4項については、いままでの教養という問題について、それが娯楽、報道に多分に含まれていくということを含んでおるのではないか、こう法律を解釈する、こういう法律の解釈で正しいかどうかということを聞いておるわけです。だから、これは法律論争でありますから、感情で大臣のようにお答えになったのでは困る。いまの法律解釈が正しいかどうかということなのです。
  258. 郡祐一

    郡国務大臣 私が教養番組について申します意味合いは、ほかに報道番組とか娯楽番組とかいう定義を置いていない、これは先ほどのお話にも何べんも出たところであります。教養番組というものは、概念として、定義として載せておるけれども、これは非常に不明瞭だ、概念のつかみにくいものだ、だから、これをなくしたということでございます。したがいまして、概念の不明瞭なものであるから、そうすると、ここにありまする「報道、娯楽等」と同じように、一たんそういう概念をはずしましたから、その「等」という中に教養というものが含めてある。非常に数多くのものの考え方が入っておる。しかし、ここでは調和を持っていけということだけ言っておる。したがって、教養番組という概念をはずすと同時に、教養全体の上にかぶせた、これがその法律的の読み方だと私は思います。私の言うように……。(森本委員「それじゃ私の言うのと一緒じゃないですか」と呼ぶ)けっこうでございます。
  259. 森本靖

    森本委員 だから、私の言うとおりのことだったら、そのとおりでございますという答えでいいですよ。はっきりしてください。これは法律の解釈ですから……。
  260. 郡祐一

    郡国務大臣 私は私なりに、それが先ほどの森本さんのお考えと一致していると思います。
  261. 森本靖

    森本委員 それでは繰り返して念を押します。要するに、教育番組教養番組というものが、現行法律において定義づけられておる。そして今回は教養番組というものの定義づけがなくなった。教育番組の定義づけについては、従来どおり残っておる。それから2項については調和を保つようにするということが書いてあるけれども、しかしながら、ここでやはり「教育報道、娯楽」というふうに一応書いてある。そうすると、その次の4項にあるところの「一般的教養の向上に資する」ということについては、これは教育番組もさしておるけれども教育についてはすでに教育番組というものの定義づけがなされておる。そういうことであれば、4のこの項については、従来の教養的な問題をこれに多分に含んでおる。そうなってくると、教育番組という問題については、定義づけられておるから別個である。それ以外の娯楽、報道にいままでの教養番組については含まれると解釈する。それを具体的に実行していけということが4項である、こう解釈しておるが、これが正しいかどうかということであります。
  262. 郡祐一

    郡国務大臣 さようでございます。
  263. 畑和

    ○畑委員 いま大体確認しましたけれども一つだけさらに確認しておきたい。  そうすると、教育番組というのは、新しい法律がもし通ったとしても、いまの教育番組と全然変わらない、少しも広がらない、こういうことでいいですね。
  264. 郡祐一

    郡国務大臣 現在の定義と今度の改正法でいうておりまする定義と全く同じことばを使っております。したがいまして、全く変わらない概念を持っておる、おっしゃるとおりでございます。
  265. 畑和

    ○畑委員 その点私は心配しておった。法律のあれはややこしいものだから、えらいむずかしい説明をして、一時間くらい議論しましたかな。ようやく落ちついた。結局いままでの教育番組と今度の教育番組は全然変わらない、教養番組あたりが教育番組に入り込むというようなことはない、それによって規制されることはない、こういう大臣の明快な御答弁なんですから、それでひとつNHKもやってもらいたい。それはだいぶ心配しておったんだ。その点、教育放送の問題についてまた逆戻りでそういう問題になったけれども、大体落ちついたから、それじゃ次のことをNHKに聞きます。  現行の教育番組の中にはどんなものがあるか、大体例をあげて言ってください。それと学校向けの番組学校向けでない番組とありますね。それをひとつ教えてください。担当の人から大体でよろしいです。
  266. 前田義徳

    前田参考人 現行の私どもの種類別、この中で学校放送以外の教育番組と申しますと、たとえば農事教育、職業教育、それからたとえば婦人学級、青年学級といったようなものが主軸となっております。それからまた、ある種の語学教育もその範疇に入れております。
  267. 畑和

    ○畑委員 NHKでは教育番組をこれからずっと増加するつもりだと思うのですが、増加するつもりであるとすれば、その計画内容を概略御説明していただきたい。
  268. 浅沼博

    ○浅沼参考人 教育テレビジョンの時間増を四十年度に行ないましたが、さらに次年度時間増を行ないました。そこに大学講座、一般市民の教養を高めていくような、市民もともに聞けるような大学講座といったようなものを具体的にはふやしていきたいというふうに考えております。四十一年度は一時間半の時間増を行ないまして、その中には通信教育の第四学年向けの放送番組と、それから大学講座を新設いたしております。
  269. 畑和

    ○畑委員 それでは次に、学校放送のことでちょっと聞きます。  現在学校放送がだいぶ普及しておるようであります。しかも世界的にも日本が一番優秀だ、こういう話でありますが、これの利用状況はどうなっておるか、これを概略でよろしいから聞きたいと思います。
  270. 浅沼博

    ○浅沼参考人 きわめて大まかに申し上げまして、学校放送で一番普及率の高いのは、託児所、保育所、幼稚園、小学校でございます。こまかい数字を一々申し上げませんが、大体小学校テレビ所有者の七八・四%をいっております。託児所、保育所等はそれを上回っておりまして、八〇%近くいっております。それから中学校になりますと、担任の先生がみんな時間ごとに変わってまいりますので、学校放送の時間とうまく合わない場合が出てまいるわけであります。小学校の場合ですと、一人の先生が自分の時間を差し繰って放送にうまく時間割りを割り当てるというようなことがございまして、したがって、中学校に行きますと、二四%くらいにテレビの利用率が減ってまいります。それから高等学校に行きますと、これが九・四%くらいに減ってくるというような次第でございまして、小学校、それ以下の託児所、保育所、幼稚園等において非常に効率をあげているということが申し上げられると思います。
  271. 畑和

    ○畑委員 それは一般の学校放送ですね。通信放送というのがあるでしょう。通信高等学校NHK学院の場合も含めて言ってください。
  272. 浅沼博

    ○浅沼参考人 通信高校講座の利用状況から申し上げたほうがいいと存じますが、NHKの通信学園だけではなく、全国の通信教育を受けている高等学校の生徒は、四十年度におきまして約十二万三千人ございます。その中でNHKの通信教育番組を利用している率は、三十九年の五月にうちの放送文化研究所がとった統計でございますが、利用率が大体六〇%、テレビの利用率、これは貧しい勤労青年でございますから、テレビを持っている人が少ないのだろうと思いますが、一六%、それからラジオのみの利用者が二九%、それからテレビラジオの併用者が一六%、合計先ほど申し上げました六〇%という数字が出ております。したがいましてNHKの通信高校講座というのは、通信学園のみでなく、一般の通信高校生が半分以上利用してくださるということでございます。
  273. 畑和

    ○畑委員 NHK学園の内容の問題、これは資料をもらいましたから、予算、決算の概況、経営状況、それから生徒の状況、これの応募数、それから入学数、それから脱落者数、そういうものは大体この資料によって承知いたしますが、いまのNHK学園の先生は何人ですか。六、七十人だと思いましたが、職員と合わせて百何人でしたね。
  274. 浅沼博

    ○浅沼参考人 大体百名足らずでございまして、職員が七十三、嘱託が二、非常勤が六、計八十一名でございます。
  275. 畑和

    ○畑委員 ちょっとそれについて聞いたのですが、その教師というのは、スクーリングに通ってくる人たちを教育するのですか。それと問題の添削、そういうのがあるらしいのですが、その点は一人で一日何答案くらい処理していますか。
  276. 浅沼博

    ○浅沼参考人 ただいまのお話のごとく、スクーリングの指導というのが先生の大きな任務の一つでございまして、そのほか添削でございますが、レポートの提出がございまして、それを各学科にわたって担任の教師が添削をしていくわけでございます。それからまた試験問題の採点をいたすわけでございますが、科目によりまして一人何枚くらい一日にやるかということはちょっと私どもにはわかりかねます。
  277. 畑和

    ○畑委員 私、その点どこかでちょっと聞いたことがあるのですが、一日に五答案くらいしか添削してないというような話もちょっと聞いておる。それというのは全部把握してないのじゃないか。これはうわさだから、そうでなければいいと思うのですが、どうもノルマというものが別にきまってないらしいので、それでやる人とやらない人とあるらしい。やらない人は一日に五答案くらいしかやらない。それで帰ってしまう。こういうような話も聞いておる。学校の先生のチームワークというか、そういう点で欠けるところがありやせぬか。その監督か何だか知らぬけれども、そのうわさが事実だとすると、そういう点で欠けるところがあるんじゃないか。それから学園長は森戸さんですね。森戸さんは一週間に一度午前中か午後に来るだけのことらしい。やはりそういう点で少し教師と学校長あるいは管理者、そういう人たちとの結びつきがうまくいってないような話もちょっと聞いたのですが、それは事実でなければいいのですが、その点はどうでしょうか。そういう懸念はありませんか。
  278. 浅沼博

    ○浅沼参考人 そういった話は私は不敏にして聞いておりませんが、ともかく生徒の数が約一万三千ございまして、その数の生徒からずっとレポートが提出されますので、一日五答案くらいではとても消化し切れないのではないか、私はそう推察いたします。
  279. 畑和

    ○畑委員 それでは学校放送番組の作成の手続、それはどんなふうにしてやっておるのですか。どんな手続を踏んで番組の編成をやっているのですか。その点をひとつ……。
  280. 浅沼博

    ○浅沼参考人 学校放送番組は、大体一年を単位とする教育計画の積み重ねでございまして、大体教育現場の計画に即したものでございます。それで根本的に申しますと、この学校放送は文部省の学習指導要領に準拠してつくられておりまして、放送計画をつくります場合には、NHK学校放送研究委嘱校の研究成果あるいはNHKの文化研究所の全国的な意向調査の結果、あるいは全国各地で開かれております放送教育研究会の意見などを分析して番組の企画を立てております。東京ばかりではなく、各都道府県ごとに開かれております学校放送の地方諮問委員会、それから最高諮問機関である学校放送中央諮問委員会というものがありまして、こういうところの御意見を求めまして、大体放送の一年前に計画を立案しております。この学校放送中央諮問委員会と申しますものの構成は、大体現場の教職員の代表、それから文部省、それから学識経験者、この三種類の方をもって構成されておりまして、そこで大体一年前に次年度学校放送計画を策定するわけでございます。
  281. 畑和

    ○畑委員 相当慎重な計画のもとに番組が決定する、これは非常にけっこうなことだと思う。もうすでに学校放送に関する限りは、むしろ今度の新しい法律がそのまま通るといたしましても、教育番組審議会などは要りそうもないような、なかなか周到に用意をして、準拠すべきものに準拠してやっておると私は思う。ですからその点は今度新しい法律が改正になっても、NHKのこの学校放送に関する限りは問題ないと思う。問題は私は社会教育だと思う。  社会教育というのはやはり新しく番組審議会というので特に規制されるようになると思う。この辺につきましては私は一つ心配があるのです。心配があるのですけれども、従来どおりひとつNHKの自主性に基づいて番組の編集をしていただきたい。この点だいぶ文部省系統のほうで何とかして介入したいというような考えがあるようですが、この点はひとつNHKというよりもむしろ大臣のほうにお聞きいただきたいのですが、学校教育についてはもうちゃんとやって駆りますからたいしたことはありませんが、社会教育というものは新しくそういう番組審議会によって相当変わってまいると思う。また文部省等が社会教育はおれらの領分だということで編集の自由を侵す可能性がなきにしもあらず、かように思います。この点についての郵政大臣考え方を聞きたい。
  282. 郡祐一

    郡国務大臣 放送番組の編集の自由の保障されておりますことは当然であります。いわんや具体的な番組の編集にあたりまして、政府が介入するというようなことは全然あり得ないこと、あってはならないことでございますから、番組の編集の自由については、十分な何と申しますか敬意を払って、私どもは法の運用をいたしてまいる所存でございます。
  283. 畑和

    ○畑委員 その次にお尋ねいたします。  これはNHKに聞きたいのですが、四十一年度番組についてですけれども昨年ちゃょうどこの予算委員会で提案をされて、新しくやられたNHKの画期的な番組の時間帯の変更、夜の七時三十分というゴールデンアワーに、あえて報道番組を主として編制して持ってきた、私は非常にこの点敬意を表しているのです。私らもこの時間をよく利用して報道番組を見ております。この点、一年間やった結果の一般の反響はどうか。私らはそう思うだけで、私らは私らの層に属する人たちですからわかりませんが、一般の反響はどういう反響があったか、それをひとつ承りたいと思います。
  284. 浅沼博

    ○浅沼参考人 三十九年度から七時半台に青少年及び一般家庭を対象といたしまして、報道教養番組の時間帯を設けたわけでございます。ただいままでの統計を調べてみますと、番組ごとに違っておりますが、ここに申し上げますものは、「新日本紀行」「NHK特派員報告」「生活の知恵」「海外取材番組」「現代の映像」等について申し上げます。  「新日本紀行」のほうは、三十九年の調査では、一二・一%から、四十年には一四・五%に上がっております。以下「特派員報告」「生活の知恵」「海外取材番組」「現代の映像」等はそれぞれ同じようなパーセンテージで上がっております。それでごらんになっている方々のうち、約七〇%は、ぜひ、またはなるべく見たいという積極的な見方でございまして、さらにそのうちの約三分の一がいつでも見ているというような調査がもたらされております。
  285. 畑和

    ○畑委員 そうなるとやはり四十一年度も続けてやっていく、こういう考えですか。
  286. 浅沼博

    ○浅沼参考人 そういうつもりでございます。
  287. 畑和

    ○畑委員 それから、ちょっとついでにお聞きしたいのですが、今度の新年度番組で朝の時間、一〇二が去年新しくできた。これはほかでやって、NHKはそれをまねしたようなかっこうにもなるけれども、しかしこれはまたNHKとしての独自の行き方で、しかもなかなか各地方の局と連携をとって、ほかでまねができないようなやり方でやっている。これは非常にぼくはいいと思う。ところでそのあとで今度持ってくるのに、「こんにちは奥さん」ですか、そういうやはりニュースショー的なものを持ってきて、NHKからよそに行った木島君などがやっておるちょうど同じ時間帯、それに「こんにちは奥さん」をやられるというようなことで、ちょうどそれがほかの民放のやはりショーの時間に大体ぶつかる。そういう点で一部ではNHKが何でもかんでもほかの民放と競争して同じ時間帯にやる必要はないじゃないか、一〇二だけでたくさんじゃないか――なるほど対象が違う。一〇二の対象と違って、「こんにちは奥さん」は、奥さん方が朝の仕事を終わって、さあこれでテレビ見ようという時間に「こんにちは奥さん」で呼びかける。奥さん向けの番組というようなことで対象は違うのだ、それはそのとおりだと思うのです。しかしそういった非難もあるわけで、ニュースショーばやりでありますけれども、この辺は私はちょっといかがかと考える点もある。その点は十分お考えになってやられたか。やられたとすればもちろん根拠があると思う。若干そういった非難も覚悟の上で、しからばこういう効果があるのだということでやられたと思うのですが、あるいは思いがけない一部の非難かもしらぬけれども、民放のほうではそういったような批評がもっぱらだというふうに聞いておる。この辺はどんなふうにお考えになりますか。
  288. 浅沼博

    ○浅沼参考人 実はその問題を先日ある新聞に書かれて、たいへん私も心外に思ったのでございます。実はあの番組は、ただいま放送しております朝の九時からの「くらしの窓」、その前の「茶の間の科学」、これを一本にしただけの、それで名前をああいうふうな名前に変えた、中身はあくまで家庭主婦向けの実用向けの番組が主体でございまして、あの時間にはニュース解説等は一切入っておりませんので、何か新聞のほうでちょっと違って解釈しているのではないか、私はそう思っているのでございます。
  289. 畑和

    ○畑委員 その点はそういうことで、いままでの「くらしの窓」や何かを一緒にしてやったものだということであるとすれば、なるほどそうかもしれない。だから、そういった非難はやきもちということかもしれねけれども、そういう非難があった。私もあまりつまびらかにしないけれども、そういう非難があったから、NHKのためにどうなのかと思って聞いた。それで安心いたしました。  そこで、その次にお聞きしたいのは、そのほかに四十一年度から新しく放送時間帯について配慮を加える計画があるかどうか。あるとすれば、それを聞きたい。
  290. 浅沼博

    ○浅沼参考人 大体基本的な考え方といたしましては、時間帯の特性を大きく変えたということはございません。ただ、一部の手直しを行ないましたので、それを申し上げますと、朝の午前七時台にローカル時間を設定いたしました。ただいままで朝の六時四十五分にございましたが、テレビは、御承知のように、朝の七時と夜の八時が最高の視聴率を占める時間でございます。この一番視聴率のいい時間に全国ローカル放送の時間を持ってまいった。七時のニュースの次にローカル放送を入れまして、それから一〇二の放送を行なうというふうにしたのが、朝の時間帯の大きな変化の一つであろうと存じます。  それから、ただいま申し上げました、現在やっております「くらしの窓」と「茶の間の科学」を一緒にいたしました新しいワイド番組、これが午前九時台にでき上がります。  それから、午後の八時台は、いままでは小きざみの番組がございましたが、これを一時間の大型番組にいたしました。充実感のある、重量感のある娯楽放送を出しまして、皆さんがゆっくりくつろぐときでもございますので、お楽しみいただこうと存じております。  それから、夜の九時四十分台に、芸術性の高い芸能番組をそこに持ってまいります。  これが大体総合テレビでございまして、教育テレビのほうは、時間帯は変わっておりません。先ほどの時間増で申し上げましたとおりでございます。  ラジオのほうは、これはだいぶ変えまして、大体午前十時から午後の五時ごろまではワイド番組にいたしまして、いつでも機動的なニュースが出せる。いまのラジオの聴取者のあり方と申しますものは、昼間は大体流動しておりまして、自動車の中や何かでお聞きになる方が多い。朝、夜がわりあいに目的的に聴取なさるというようなことがございますので、昼間は流動的にいつでもニュースとインフォーメーションが、トランジスタラジオを持っておれば、スイッチを入れれば、ニュースやインフォーメーションが三十分ごとに流れて、いつでも聞けるというような態勢をとるべく努力いたしました。  それから、夜の八時から九時まで一時間、いままで娯楽放送あるいは音楽放送をやっておりましたが、この八時から九時の時間を一時間、報道番組に新設いたしまして、一日のうちでこの八時から九時まで一時間お聞きになれば、その日の大きな動きは全部わかるというふうにいたしたいと思って、一時間の報道番組を設定いたしました。  大体そういったところでございます。
  291. 畑和

    ○畑委員 以上で終わります。
  292. 砂原格

    砂原委員長 次会は明十七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十分散会