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1966-06-23 第51回国会 衆議院 地方行政委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十三日(木曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 岡崎 英城君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君    理事 和爾俊二郎君 理事 秋山 徳雄君    理事 華山 親義君 理事 細谷 治嘉君       亀山 孝一君    周東 英雄君       田中 六助君    田村 良平君       藤田 義光君    村上  勇君       森下 元晴君    山崎  巖君       井手 以誠君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    島上善五郎君       安井 吉典君    吉田 賢一君  出席政府委員         自治政務次官  大西 正男君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         議     員 秋山 徳雄君         議     員 重盛 寿治君         議     員 細谷 治嘉君         参議院議員   沢田 一精君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 六月二十一日  地方公営企業確立に関する請願秋山徳雄君  紹介)(第五七三五号)  戦傷病者に対する地方税減免に関する請願(  吉川久衛紹介)(第五七三六号) 同月二十二日  戦傷病者に対する地方税減免に関する請願(  森下元晴紹介)(第五九二九号)  特別区の区長公選及び自治権拡充に関する請願  (鈴木茂三郎紹介)(第五九八七号)  自動車税及び軽自動車税軽減に関する請願(田  邉國男君紹介)(第五九八八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月二十二日  都道府県議会議員年金制度のうち標準報酬月  額の最高限度額引上げに関する陳情書  (第五七五号)  交通事故防止対策に関する陳情書  (第五七六号)  地方財政確立に関する陳情書  (第五七七号)  地方公共団体公共事業施行促進に関する陳情  書  (第五八七号)  地方公営企業法の一部を改正する法律案反対に  関する陳情書(  第五九二号)  町村職員定年制早期実現等に関する陳情書  (第六一〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治法の一部を改正する法律案阪上安太  郎君外八名提出衆法第四五号)  地方財政法の一部を改正する法律案川村継義  君外八名提出衆法第四号)  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律  案(川村継義君外八名提出衆法第五号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出第一一九号)(参議院送付)  都道府県合併特例法案内閣提出第一四七号)  地方自治に関する件(地方公務員職員団体等  に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 岡崎英城

    岡崎委員長 これより会議を開きます。  阪上安太郎君外八名提出にかかる地方自治法の一部を改正する法律案川村継義君外八名提出にかかる地方財政法の一部を改正する法律案、及び同じく地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案を順次議題とし、提出者より提案理由説明を聴取いたします。     ―――――――――――――
  3. 岡崎英城

  4. 重盛壽治

    重盛議員 私は、提案者を代表し、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明をいたしたいと存じます。  特別区における自治行政円滑化をはかるため、区長選任方法議会による選任制から、住民による直接公選制に改める必要がある、これがこの法律案提出する理由であります。  御承知のように、昭和二十二年特別区は市と同様の権限を有して発足し、以来区政は目ざましく進展してきたことは御承知のとおりであります。しかるに昭和二十七年に現行制度のごとく地方自治法改正され、区長都知事の同意を得、区議会選任するという制度に改められました。  日本社会党といたしましては、このような地方自治法改正では、行政機構中央集権化を強め、住民自治原則にもとるものであるという態度を、その当時より今日に至るまで一貫してとってまいっております。  改正案成立して以来十数年を経過いたしましたが、その間に、私たち指摘したとおり、各種の欠陥や矛盾が顕著にあらわれてきました。特に区長選任のために長期間を費やし、区政の渋滞を生じ、区政運営上重大な悪影響をもたらしているという事態は、一刻も早く解消させなければならないと考えます。  区の処理する事務は直接住民日常生活に結びつくものでありますから、それらの事務を処理すべき区長は、国民意思を反映して選ばれ、区民に対し直接責任を負うべきものでなくてはなりません。そのことにより、区民意思が直接行政面に反映し、民主的かつ能率的に遂行されることにより区民福祉は増進し、末端行政円滑化により区民生活の向上は疑いのないところであります。  加えて、昭和三十九年七月の地方自治法改正により、区民生活に身近な事務事業の移管が実施された現在、区民はより強く区長公選を要望しており、東京都知事、都議会、特別区の区長、特別区の議会もあげて区長公選制の復活を強く要望しているところであります。  この際、都民の声を反映し、民主政治の根底である住民自治発展を期するため、現行地方自治法第二百八十一条の二とそれに関連する法規を改正し、二十七年八月の改正以前の状態に戻し、特別区の区長選任住民の直接選挙によるように改めることにするというのが、この改正案のねらいであります。  以上がこの法律案提案趣旨でございます。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかにに可決くださるようお願いをいたします。     ―――――――――――――
  5. 岡崎英城

  6. 秋山徳雄

    秋山議員 私は日本社会党を代表し、ただいま議題となりました地方財政法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  ここ数年来、地方財政はますます悪化してきており、国と地方間の行政財政の乱れはひどく、国は不十分な財源措置事業計画地方に押しつけ、補助金助成金も単価が低く、当然、国でやるべきものまで負担地方に強制しているありさまであります。したがって、それに伴い都道府県市町村間、または地方公共団体住民間の財政秩序は、ばく大な税外負担寄付金等の強制で大きく乱されているのであります。  これら地方公共団体間並びにこれらと住民間の財政秩序適正化をはかり、地方財政のより健全な運営を確保することは、当面の緊急事であります。  これが本法律案提案理由であります。  次に、本法律案内容要旨を御説明申し上げます。  第一は、都道府県住民にその負担を転嫁してはならない経費についてであります。昭和三十九年四月一日から、都道府県が行なう高等学校施設建設に要する経費について、これを市町村負担させることを禁止し、また、住民にその負担を転嫁させてはならないことになりましたが、新たに、現在、過大な税外負担によってまかなわれている都道府県立高等学校給与に要する経費及び都道府県立高等学校施設維持及び修繕に要する経費を追加いたしたのであります。小中学校では、すでに数年前より禁止対象になっているこの二項目の措置高等学校にも適用することは税外負担の解消を前進させる上から当然の指貫であろうと考えるのであります。  第二は、市町村住民にその負担を転嫁させてはならない経費についてであります。市町村職員給与に要する経費及び市町村立小学校及び中学校施設維持及び修繕に要する経費については、政令により住民負担を禁止せられているところでありますが、この政令への委任を改め法定し、新たに市町村立小学校及び中学校施設建設事業に要する経費を追加し、税外負担強要多発現象を解消し、地方財政秩序健全化をはからんとするものであります。  以上が本法律案提出する理由並びにその要旨であります。  慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  7. 岡崎英城

  8. 細谷治嘉

    細谷議員 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提案趣旨及び内容概要を御説明申し上げます。  最近の急速な経済成長の陰で、わが国の社会保障水準は相変わらず低い状態に置かれております。さらに物価高を背景として、社会保障の飛躍的な拡充が望まれるところであります。  特に、最近における医療費の急激な増加は、各種共済組合財政収支を悪化させ、組合員に過重な負担をしいる掛け金引き上げを余儀なくさせており、このまま放置するならば医療保険は崩壊の危機に追い込まれるのであります。また、老後の生活安定のための年金保障制度確立は、今日、労働者の切実な関心となっているのであります。  このときにあたりまして、国は社会保障立場から強力な財政措置を講ずる必要があると考えるものであります。  すなわち、まず第一に、組合員掛け金及びこれに見合う使用主負担財源だけで運営されている現在の保険主義原則を改め、大幅な国庫負担導入により共済組合社会保障的性格を強める必要があります。イギリスに例をとってみますと、国民保険事業に要する費用の七六%、(国六八%、地方八%)が公費負担であり、国民の生命と健康の管理には巨額の予算が組まれております。いやしくも政府福祉国家実現政治スローガンとする限り、医療保障に対する国の財政的裏づけを強化すべきことは当然であります。  第二は、大幅国庫負担導入、つまり社会保障主義の拡大をはかりつつ、ばらばらの各種医療保険を高い給付水準で統合し、医療サービス格差と不均衡等を是正することであります。政府は、医療保険の中核たる政管健保の保険料率引き上げなどを実現し、このようにして押し下げた水準で全体の統合調整を強行しようとしております。われわれは、医療給付水準切り下げ統合調整構想は不当であり、今日必要なことは働く者の医療保障を前進させる高い水準での制度統合であると考えるものであります。  以上の立場から、特に医療費増高事態に対処して、さしあたり共済組合短期給付充実強化をはかるため、この改正案提出することといたした次第でございます。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げますと、地方公務員等共済組合短期給付に要する費用につき、新たに社会保障立場から、国庫は二割相当分負担することとするものであります。これによりまして、地方公務員等共済組合につきましては、国庫としての国二割、使用主としての国五割、組合員三割の負担とすることにいたしております。  なお、この法律案は公布の日から施行することといたしております。  以上、この法律案提案趣旨及びその内容の概略を申し述べました。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  9. 岡崎英城

    岡崎委員長 以上で提案理由説明は終わりました。      ――――◇―――――
  10. 岡崎英城

    岡崎委員長 次に、参議院から送付されました内閣提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案及び内閣提出にかかる都道府県合併特例法案を順次議題とし、政府から提案理由説明を聴取いたします。大西自治政務次官
  11. 大西正男

    大西政府委員 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について、その提案理由とその概要を御説明申し上げます。  政府は、恩給制度について、日本赤十字社救護員在職期間恩給公務員別間通算する等の措置を講ずるため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会提出し、御審議を願っておりますが、これに伴い、地方公務員退職年金制度についても同様の措置を講ずる必要があります。このほか、公庫公団職員期間通算措置に準じて団体共済組合員期間公務員共済組合員期間通算する等の措置を講ずる必要があります。これがこの法律案提出した理由であります。  次に、以下この法律案概要を御説明申し上げます。  第一は、恩給制度改正に伴い、日本赤十字社救護員戦時衛生勤務に服した期間を有する地方公務員について、その期間組合員期間通算するとともに、長期在職者低額年金について、恩給制度改正措置に準じ、改善する等の措置を講ずることとしております。  第二は、地方公務員共済組合が支給する年金年額について、国民生活水準地方公務員給与、物価その他の諸事情の変動に応じて改定し得るよう調整規定を設けることとしております。  第三は、地方公務員共済組合職員である組合員及び地方団体関係団体職員共済組合組合員に対する長期給付に要する費用のうち百分の十五に相当する額については、国の職員にかかるものにあっては国が、それ以外のものにあっては地方公共団体負担することに改めることとしております。  第四は、団体職員共済組合員期間について、公庫公団職員期間地方公務員共済組合員期間への通算措置に準じ、地方公務員共済組合員期間通算することとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました都道府県合併特例法案について、提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  最近における社会経済発展に伴って、都道府県区域を越える広域にわたる行政の合理的かつ効果的な処理と広域地方公共団体としての都道府県の能力の充実強化必要性は、ますます増大しつつあります。政府は、このような情勢に対処するため、さきに地方制度調査会に対し府県の合併に関し諮問し、昨年九月その答申を得たのであります。この法案は、この答申趣旨に従い、都道府県の自主的な合併が容易に行なわれ縛るようにするため、所要特例措置を定めようとするものであります。  次に、この法律案要旨について御説明申し上げます。  第一に、この法律は、都道府県の自主的な対等合併を期待することを基本の立場とし、都道府県合併は、自然的、社会的及び経済的に一体性のある区域または将来一体性のある区域として発展する可能性の強い区域であって、広域にわたる行政を合理的かつ効果的に処理することのできる区域について行なわれ、かつ、合併関係都道府県間の格差の是正に寄与することができるように配慮されなければならないものとしております。  第二に、都道府県合併手続について、地方自治法第六条第一項による現行方式のほかに、関係都道府県の発意に基づく方式として、関係都道府県議会議決による申請に基づき、内閣総理大臣国会議決を経て処分する方法規定しております。  なお、この場合、関係都道府県議会議決が、半数をこえ、三分の二に満たないときは、当該都道府県住民の投票に付さたければならないことといたしております。  第三に、都道府県合併実施を円滑ならしめるため、国会議員選挙区、合併都道府県議会議員の任期及び定数、職員の身分取り扱い、地方交付税及び地方道路譲与税の額の算定義務教育費国庫負担法公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法等に基づく国の財政措置について、特例を設けることといたしております。  第四に、合併都道府県建設を促進するため、補助金交付及び地方債についての配慮、公共企業体等の協力について所要規定を設けるとともに、合併に伴う関連措置として、国の地方行政機関所管区域公共的団体統合整備等についても所要規定を設けることといたしております。  なお、この法律は、特例法たる性格にかんがみ、十年間の限時法とすることといたしております。  以上が都道府県合併特例法案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  12. 岡崎英城

    岡崎委員長 以上で提案理由説明は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 岡崎英城

    岡崎委員長 なお、地方公務員等共済組合決算の一部を改正する法律案参議院修正を経た議案でありますので、その修正趣旨について説明を求めます。参議院議員沢田一精君。
  14. 沢田一精

    沢田参議院議員 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案参議院における修正部分修正理由及びその概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、今回の政府原案におきましては、地方公務員共済組合期間地方団体関係団体職員共済組合期間との、いわゆる公庫公団方式による通算措置が講ぜられておりますが、団体職員のうちには、団体側からの要請もあって、地方公務員退職していかれた方々も多数あることにかんがみ、それらの方々が十年以上もの間団体の業務に貢献され、しかも地方公務員在職期間団体職員在職期間を合算するとすれば、二十年以上にもなるような場合でありながら、余儀ない事情により再び地方公務員に復帰することなく退職した場合等において、退職一時金の給付のみで年金給付されないということは、酷ではないかと思われるのであります。それゆえ、このような場合におきましては、団体共済退職年金制度特例を設ける必要があると思われるのであります。  第二には、廃疾年金の額について最低年額引き上げることであります。  次に、そのおもな内容について申し上げます。  地方団体関係団体職員団体職員共済組合組合員であった朝岡が十年以上二十年未満の者が退職した場合において、その者の団体職員共済組合期間に常勤の公務員としての在職期間を合算すれば、二十年以上となる場合は、恩給、退隠料及び共済年金を受けることのできる場合を除き、その者に退職年金を絆付することとしたものであります。  この場合に合算される公務員期間は、年金受給のための資格期間として取り扱うこととし、年金額算定にあたっては、団体職員共済組合員期間のみをもって基礎とすることといたしております。次に、退職年金年限未満の者にかかる廃疾年金で六万円未満のものについてはその年額を六万円とすることといたしたものであります。  以上が修正趣旨及びその概要であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  15. 岡崎英城

    岡崎委員長 以上で修正趣旨説明は終わりました。      ――――◇―――――
  16. 岡崎英城

    岡崎委員長 次に、地方自治に関する件について調査を進めます。  地方公務員職員団体等に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。秋山徳雄君。
  17. 秋山徳雄

    秋山委員 私は、先般来国内においていろいろな角度から、あるいはまたいろいろなところで話題となり、かつまたいろいろ問題を引き起こしております問題、すなわちILO八十七号条約の批准に基づきまして、それに伴う政令のことにつきまして少しばかり質疑を行ないたいと思うわけであります。  この政令実施ということになりますと、いろいろ国会でも問題がございまして、特に国会の終末に近い時期にいろいろ問題をかもしたことは皆さん方承知のとおりだと思います。これほど問題を起こしたということについて、一応国民皆さん方も私たちも、もう一たび考えてみる必要があるのではないかという気もしないわけではございません。元来私は、自分の心持ちといたしましては、法律で定める場合に、それに伴う政令というものは、いわゆる私どもが政府行政の面につきましての委任をしたことになりますので、これらについて深くものを尋ねたりあるいは究明をしたりということは好まない性質であります。しかしながら今度のように、これほど問題を引き起こした以上は、やはりそれに伴っての間起点が数多くあるがためにこういう問題が起こったのではないかという気がするわけであります。端的に言って、労使関係というものの望ましい形は、やはり両者がおのおのの立場を理解し合いまして、そうして許された範囲内においてお互い態度を考え、そしてまた各種の置かれておる立場というものを理解し合って、その上に立っていろいろの取りきめをなしていく、こういうことでなければならないと思うわけであります。そのために、少なくも新しい法律ができたり、それに伴う政令が施行されたりなどいたしたために混乱が起こったということであれば、これは初めからそういう問題と取り組まないほうがいいのであって、今度の場合には、労使関係に少しでも問題が起こらないように両者お互いに努力し合うべきではないか、こういう観点に立ちまして質疑を行ないたいと思いますので、自治省の人におかれましてもこの点を十分理解をして、わかりよく御説明をいただければ幸いだと思うわけであります。  そこで自治省お尋ねをいたすわけでありますが、先般の制度審議会におきましていろいろなことが考えられて、結局最後には公務員制度審議会答申が出されたということでありますが、聞き及びますところによりますと、構成メンバーの一部分であります労働者側委員が一名も出席をしないその中で答申案がつくられたわけでありまして、これを基調にした答申がなされたと聞いておりますが、こういう答申に対しまして自治省はどういうふうな心持ちを持ってこの問題と取り組み、対処をしていくか、このことにつきましてまずお答えを願いたいと思うわけであります。
  18. 大西正男

    大西政府委員 いまお尋ねのような経緯があったように伺っておるのでございますが、公務員制度審議会令におきまして、審議会全員過半数出席をもって成立をし、その議事は出席委員過半数をもって議決することとされているのでございます。したがいまして、政府としましては、過半数委員出席のもとに多数の賛成を得て採択されました答申でございますので、その答申成立には手続上何らの瑕疵がない、こういうふうに考えておるのでございます。
  19. 秋山徳雄

    秋山委員 私は法律の解釈の問題を言っているのじゃなくて、当初申し上げましたように、せっかく国際的な条約といたしまして成立をした、それに伴っての政令を定めるのでありますから、こういう問題について、なるほど労使は相反する利害の問題がありますので、多少のことはやむを得ないといたしましても、できれば全会一致制をもって答申をなさっていただく、こういうことが望ましいことだと思うわけであります。したがって、法律的にはどうでありましょうとも、私が言うのはそういうことじゃなくて、その精神をどういうふうに受け取ってこれから事に処していくか、こういうことをお尋ね申し上げておるのでございまして、そういう労働者に対するあたたかい心持ちを持っての御答弁を承れれば幸いだと思うわけです。
  20. 大西正男

    大西政府委員 御指摘のようなことは非常に望ましいことでございまして、さようあるべきものと思うのでございますけれども、しかし意見の対立することはいかなる世界にもあるわけでございまして、その意見の対立するものが最終的にまとまらないときには、そこに手続というものをきめまして、その手続によって事を処していかないと決定を見ることができないわけでございます。そういうわけで、その手続に従って今回なされておるのでございますから、政府としてはその答申について、出てきた答申手続瑕疵のない以上は、これを尊重し、それに従っていかなければならないと思うのでございます。しかし御指摘のような、全員一致をして答申が出ることは望ましいことであったと思うのでございます。
  21. 秋山徳雄

    秋山委員 これをここでいろいろ議論しておりますと時間も非常に必要になってまいりますのでできるだけ省略をしていかねばならぬと思いますので、この点はここらで一応やめたいと思いますが、法律を施行する、あるいは政令を施行するにあたりましては、やむを得ないことかもわかりませんが、少なくとも私が申し上げましたようなことごとにつきまして、できるだけその精神をどこかに盛っていただいて、これからの事に処していただければ幸いだと思います。  続いてお尋ねを申し上げたいことは、この中で問題になったことはいろいろありますけれども、まず私たちが考えなければならぬことの問題は、登録制の問題と同時に、また交渉の問題あるいはまた職員団体についての労働者の組合をつくる原則的な組合員の資格、こうしたものに集約されるのが常識だろうと思います。したがって、ここで理解しておきたいことは、昭和二十六年ごろでしたか、府県の人事委員会あるいは国の人事院などにおいて、管理職というものはこういうものであるということを示したことがあるはずであります。それに基づきまして今日までいろいろのことごとが取りきめられたりあるいは交渉をなされたりしてまいったのでありますが、これから先になりますと、登録、非登録団体ということになってまいりまして、この区別ができるのだということにも考えられるわけでありますが、現在の、できている労働組合、職員組合、こうした人たちがいろいろなことを考えながら、現在各府県におきましては、それぞれの形で両者の話し合いがなされつつあるようでございます。したがって、これらにつきましていま尋ねてみますと、自治省のほうでは、政令は出したようなものの、たとえば管理職についての問題などについて、こういうものが管理職となり得る要素を持っているとかというふうなことで別表が出ることになっているそうでありますが、これらについてもまだ実現がなされていない、こういうことであろうかと思います。そうこうしているうちに、各府県におきましては、現在ある労働組合団体と人事委員会との折衝が重ねられておると思いますが、そこでかりに両者の了解事項ができまして、管理職の範囲というものが両者間ではきめられてきた、こういうことがかりに起こった場合に、あとで追っかけていく通達、あるいは別表と申しますか、それらがそれと合わない場合があることも予想しなければなりません。そういうふうなことを考えたとぎに、自治省は一体どちらを重点的にとっていかねばならないか、こういうことも考えられると思います。おそらく自治省方々も、こういう事例が起こってもそれには関係しないで、せっかく両者が話し合いがまとまったならば、それを基調として府県の人事委員会で条例をつくっていく、こういうことではなかろうかと思いますが、こういうことについて自治省ではどういうふうに現在お考えになっておりますか、この点もお尋ねを申し上げておきます。
  22. 大西正男

    大西政府委員 かなり専門的な問題でございます。技術的な問題でもございますから、まず局長からお答えをいたさせます。
  23. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 管理職員等の範囲の決定でございますが、これは人事委員会または公平委員会が決定をすることになっております。しかし、人事委員会、公平委員会が主観的に判断してきめるというものではございませんで、職制なり権限の分配に基づきまして客観的に認定をする、こういう筋合いのものでございます。そこで私どもただいま検討をいたしておりまして、なるべく早く地方に参考として示したいと思っておりますのも、基準的な一つのモデルでございまして、それぞれの地方公共団体におきましては、具体的の状況に応じましてよく実態を調べた上で人事委員会、公平委員会が判断を立てることになるわけでございますから、私どもの考えております参考例と現実に個々の人事委員会、公平委員会におきまして決定をされますところと本来違うべき筋のものではないであろう、かように考えております。しかし、現実問題といたしましては、自治省の通達が非常におくれることになりますと、各人事委員会、公平委員会が先に作業を進めて決定をするというようなことも起こり得ようかと思いますけれども、そのようなことの起こりませんように、私どもとしてはできるだけ早く通達を出すようにしたい、かように考えております。実は内々の案は、大体成案に近いものを得ておるわけでありますが、国家公務員につきまして人事院の規則が出ますのがもう少しかかるようでございますので、やはり国家公務員のほうと地方公務員のほうと歩調を合わせる必要もありますので、いましばらく待っておるような状況でございますが、先生の御心配になるような状態は起こらぬようにできるだけ早く出したい、かように考えておる次第でございます。
  24. 秋山徳雄

    秋山委員 府県などになりますと、一等級、二等級、三等級、こうしたものもありますし、またそれと別に部局長あるいは課長、係長、あるいは参与、いろいろな名目の職制がいまつけられております。これは最近日本の国で考えねばならぬことかもわかりませんが、通俗的なことばを使えば、いま世相の一つとして、大学を出なければ人間でないように思っておる人もあるわけであります。そういうことを基調として考えられたものかどうかわかりませんけれども、たとえば府県の人が中央の政府に対していろいろな運動に来る、お願いに来る、あるいはまた市町村職員住民と接する場合に、何か主任とか参与とか、そういう何も名前がついておらないただの市の吏員であるとか県の職員であるとかいうことでは、なかなか交渉ごとがうまくない、そういうふうなことの上に立って設けられた職名というものもあるわけでございます。そういうふうなことごとを考えたときに、あなた方は現在の立場において、職名によるいわゆる課長なら課長、そういうものをとらえましても、これが一等級の課長もあれば二等級の課長もあるはずであります。また地方の出先なんかになりますと、三等級であってもこれが何かの長の名前がついておる、こうしたこともあるわけであります。特にまた小さい出先なんかになりますと、三等級で所長というりっぱな名前を冠したところもあるわけであります。そういうふうなことを考えてまいりますと、どの等級では管理職に入れる、入れない、こういうことも考えなければなりません。特にまた、三等級で所長たる人が管理職の中に入っておって、これが人事異動によって本庁に転勤になったということになりますと、この人は組合員になるというふうなことが起こってくるわけであります。そうすると、一年ないし一年半で人事異動が常時行なわれておりますと、ある人はその間管理職になったり、また組合員になったり、また戻ったりなどしていかなければならぬ、こういう不便が起こってくるのじゃないかと思いますが、これらについて、どういうことでこの解決を求めるか、こういうことについてお尋ねを申し上げておきたいと思います。
  25. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 管理職員の範囲をきめるにあたり、ましては、管理監督の地位にあるかどうか、こういうことが判断の基準になるわけでございます。給与上の一等級、二等級、三等級という等級は、これは面接は管理監督の地位にあるかどうかということとは関係なしに、給与政策の観点からきめられた等級でございます。そこで、いま先生の御指摘になりましたように、たとえば出先の機関の課長、所長というような者が、本庁に帰りました場合には係長になってしまうというような事例も起こるわけでございますが、これは管理職員をきめます場合の観点が、労働関係と申しますか、人事管理上の権限を持っているかどうか、人事関係、労働関係につきまして管理もしくは監督の地位にあるかどうかという観点からきめることになりまするので、出先の長あるいは課長になっております者が、給与上の等級から申しますと本庁の係長に相当するような場合がございましても、出先の機関の長としては、これは職員の労働関係について管理もしくは監督の地位に立つわけでございますから、これは管理職員に入れなければいかぬ、かようなふうに考える次第でございます。その場合、一体労働関係について管理もしくは監督の地位に立つかどうかにつきましては、先ほど申し上げましたように職制なり権限の分配なり、これは御承知のように地方団体の内部で規則等によっていろいろきめてあるわけでありまするから、そういうものを人事委員会が客観的に検討いたしました上で判断をすることになるわけでございます。その結果、御指摘のように、出先の機関におりますときには管理職になっておったのが、本庁に戻ってきた場合に管理職員でなくなる、こういうような事例が多少出ることもあろうかと思いますが、それは今回の管理職員を決定いたします趣旨が、俸給表上の等級とは違った観点からなされるわけでございますので、これはやむを得ないことである、かように考えておる次第でございます。
  26. 秋山徳雄

    秋山委員 これは理屈を言うわけじゃないのですけれども、実際は非常にむずかしい点だろうと思います。そして考え方によりますと、これがまた人によっては、管理職という名前が非常に得がたいもののように考えている人もあるわけであります。そういう人から見れば、一たん管理職になった者が今度は管理職ではなくなったということになりますと、かなり気分の上ではさびしさを感ずるということもありがちではないか。もちろんそういう人ばかりではありませんけれども、もしそうだといたしますと、そういう人は、これからの仕事に対する意欲というものにかなり違いが出てくるのじゃないか、こういう気もしないわけではありません。もしそういうことが考えられるならば、これは能率上非常に残念なことだと思います。しかも、今度は人事権に対する問題になりますけれども、出先の人たちがただ序列をつけたり番号をふったりなどして内申する内申権と、これを実際活用していくための上に立った責任を持った内申権と、あるいはまたこれを取捨選択をしている立場の人、こういうところとはかなり大きな違いがあるはずなんです。そういうところも考えなければならぬのではないかという気もいたします。あるいはまた、ところによっては、職名はどうか知らぬけれども、運転手室なら運転手室というものが県庁なんかにはあります。そうすると、そこの車庫長などというものもあるわけです。だから、これもやはり考えてみれば、仲間の内申をする場合もあるわけですね。これらもやはり緻密な人からいわせれば管理職なんだということになるかもしれない。この程度の者は管理職ではないのだという見解も持てるわけです。そういうことを考えていくと、これはいろいろ問題があるわけです。そしてまた大きな県になりますと、いま言ったように車庫長もあれば、それからまた車を運行するための配置をする人もいるわけです。これらの区別というものも非常にむずかしくなってくるのではないかと思います。こういうこまかいことになると、自治省のほうでも完全に把握し切れないのじゃないかという気がするわけです。そういうことを考えていくと、やはり大まかなところで、たとえば二等級のうち人事を扱うところまでとかなんとかいう言い回しでこれを考えていかないと、職制あるいは職名で指示通達をしていくということになりますと、かなり解釈の面や運用の面で混乱が起きるのじゃないか、こういう気もするわけですが、こういうことをお考えになったことがありますか。
  27. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ただいま御指摘になりましたようなボーダーラインのケースと申しますか、こういうものが、実際問題といたしましても、地方の人事委員会が決定をいたします場合に問題になる点であろうかと思います。私どもの参考例の案を検討いたします過程におきましても、たとえば自治労の諸君の意見も参考にいろいろ伺いましたが、それらのときにも、御意見のありますところは、そうしたボーダーラインのところをどう考えるかという問題でございます。そこで、これは最終的に人事委員会、公平委員会が、よく職制なり権限の分配の実態を検討した上で決定をすべきものであって、ただ職名だけでもってやるというようなことは、これは適当でないと思っております。私ども、ただ職名にかかわらずその職務の実態をよく検討するようにむろん指導をいたすつもりでおります。したがいまして、たとえば県庁の課長補佐にいたしましても、同じ課長補佐が数名一つの課におりますような場合には、その課長補佐の中で人事関係について権限を持っている者、それから人事関係について全く権限のない者という場合があろうかと思います。そういう場合には、給料の点では同じでありましても、今回の管理職の決定にあたりましては、人事関係について全然権限のない、ほかの仕事だけをもっぱら所掌しておるような課長補佐であれば、これは同じ課長補佐でも管理職には入らない、かような決定をすべきものだと考えております。  それから、車庫長の例をおあげになりましたが、これは運転手が数名おります場合に、その中の一番上席の者がある程度職務上の監督もするのが通常のようでありますが、これもある程度の部下を持って職務上の監督をするといっても、いわゆる係長というような程度のものであるか、課長というような程度のものであるか、おのずからその権限の内容に違いがあろうかと思います。そういう点から考えてみますと、通常の場合、車庫長というような名前がついておりましても、それがここでいう管理職というようなことになることはまずまずないのじゃなかろうか、こんなような考えもいたしております。  いずれにいたしましても、おあげになりましたようなボーダーラインのケースについては、人事委員会、公平委員会が慎重に実態について検討した上で決定をすべきものだ、かような考え方を持って指導に当たりたいと思います。
  28. 秋山徳雄

    秋山委員 ボーダーラインということばが出たのですけれども、そういうこまかいところはやはり府県にまかしておいて、自治省では大まかなところを考えるべきじゃないかという気が私はするわけです。  そこで、先ほども話題に出ましたように、少なくも昔の古い観念でいけば、等級というものはかなり大きなウエートにもなるわけですね。ですから、原則として二等級以上の者について、人事を行なう、すなわち部課なら部課における人事担当をしているところ、いわゆる俗っぽいことばでいえば庶務課のような、あるいは庶務係のようなものでしょう、こうしたものに限っていくということのほうが私はきめ方はいいのじゃないかと思うわけです。あと、こまかいところは、実態をよく知った、あなたの答弁にもありましたように、人事委員会にまかせていくべきじゃないかという考え方が私はいいような気がします。もっとずるく考えるならば、もう少しおくれていけば、各府県で職員団体と人事委員会とがかなり折衝を続けていって大まかな線が出てくるのですから、それが出たころに、方々状態自治省が知って、それから大綱的なものを出していくといういき方もあるわけですね。だから私は、そういうことも考慮のうちに入れていくのがかなりりこうな策じゃないかという気もするわけですよ。ということは、さっきから何回も言っているように、せっかくこうした労働者の基本権益を決定する段階にきておるのですし、また、国際法上の問題もいろいろ出てくるでしょうし、これを両者がいろいろ各国の事例や何かを持ち合ってということもやられておるでしょうし、あるいはまた、現在行なっている慣例、これはもう新しく法律ができたって、慣例法は一番強いことは明らかなんですから、こうしたものをやっぱり認めていかなければならぬ。新たにそれを取り上げていくということになりますと、ここに大きな問題がまた各所で起こってくるようなことも考えなければならぬと思う。そういうことの上に立ったときに、やはり自治省では全国的な配慮をしなければならぬのですから、府県においてはいま申し上げましたようなことごとを加味をしていただいて、そして二等級について人事を扱う部門というふうなことでやっていただければ、私はかえってうまい結果が出てくるのじゃないかという気がします。同時にまた、市町村の問題になれば、これはまた府県で人事委員会や条例できめたものを基調にして市町村がそれぞれ考えていく、また、それをもって公平委員会が取り上げて決定していくのだということにもなろうかと思います。そういうことをいろいろ考慮に入れていただいて、できるだけ全国の各地で問題が起こらないように指導していったらばよい結果があらわれるのじゃないか、こういう気がいたしますので、もう一言、それらを加味をした御答弁をいただければ幸いだと思います。
  29. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先生のおっしゃいますお気持ちもよく理解ができるのでございますが、ただ、実際問題といたしますと、すでに労働組合法の二条に基づきまして、同じ公務員でも公共企業体なり地方公営企業につきましては、もう管理職の範囲というものが告示その他できまっておるわけでございます。今回、一般職員の場合につきましても大体それらの例を参考にいたしてまいっておるわけでございまして、そういうことからいたしますと、この一つの基準となるようなサンプルをつくるということもそれほどむずかしいことではないようにも思いまするし、かたがた全国の人事委員会、公平委員会等からは、昨年、今回の改正法が国会成立をしました以後、やがては自分たちがこの問題を決定をしなければならぬ立場にあるということで非常に関心を持たれまして、それぞれ連合会等の席上でいろいろお互い意見の交換や研究をやってきておられます。私どもも、そういう席上に担当官も出まして一緒にいろいろ検討をいたしましたり、それからまた、先生も御承知のように、自治労などにおきましてもこの問題についていろいろ御研究になってきておられます。そこで、今回この法律が施行になるということになりましたので、私どもとしては、われわれが従来検討してきたものと、人事委員会、公平委員会の連合会が研究されてきておるもの、それからまた職員団体側でいろいろ検討されてきているもの、また国の人事院が作業をしておるその考え方というようなものも総合いたしまして、できるだけ妥当性のあるものをつくりたいという考え方で検討してまいってきておりまするので、まあ私どものただいま地方に参考に示そうと思っておりますサンプルも大体御了解いただけるものだと信じておるわけでございます。もちろん先生の御心配になりますように、各団体によって組織もまちまちでございまするし、特に出先機関などになりますと規模その他も区々でございまするので、そういう点につきましては、こちらでそうこまかいことを縛るということなく、地方の人事委員会、公平委員会でよく実情を調べて慎重にきめるべきだという抽象的な指導をするつもりでおるわけでございます。
  30. 秋山徳雄

    秋山委員 管理職の問題につきましては、いま答弁の中にありましたように、それぞれ各団体と相談をし合ってなるべく問題の起こらないように努力を払っていただきたいことを希望申し上げておきます。  次に、今度は登録制の問題がいろいろやかましくなってくるし、交渉の問題が出てくると思います。したがって、非登録の職員団体や労働者団体が当局に交渉を申し入れてきたときなどにつきましては、答申にあるように、実際上合理的な理由がない限り恣意的に当局がその求めを拒んではいけないということのようですけれども、これらにつきましてもやはり運用の妙を得ていかないといろいろ問題が起こってくるのじゃないかと思いますので、これらについて現在お考えになっていることごとについてお尋ねをいたしたいと思います。
  31. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 登録を受けた職員団体につきましては、御承知のように、今回の改正法におきましては、職員団体から適法な交渉の申し入れがあった場合にはその申し入れに当局が応ずべき地位に立つということを非常に明確に規定をいたしました。登録を受けてない職員団体につきましては規定はございませんけれども、これも国会審議の過程におきまして政府側から見解を明らかに申し上げたところでございますが、登録を受けてない職員団体につきましても交渉能力はあるのだ、したがって、職員の勤務条件の維推改善のために望ましいと判断するときには交渉に応じていくのだ、こういう趣旨のことを明らかにしてまいった次第でございます。  なお、今回の公務員制度審議会答申におきまして、運用上の留意事項といたしまして、「実際上、合理的な理由がない限り、恣意的に当局がその求めを拒むべきでない」というような御注意もありますので、私どもといたしましても、それらの趣旨も十分体して運用に当たってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  32. 秋山徳雄

    秋山委員 また、答申をだんだん見ていきますと、「職員団体の登録の切換えにあたっては無用の混乱を生じないように配慮すること」こういうことがありますが、労働組合の立場からいきますと、組合によって大会の日時がみな違っているわけですね。そういうことを考えてまいりますと、猶予期間三カ月をこしてもなお登録ができないというふうなことも出てくるのじゃないかと思いますが、これらについて、いろいろ問題はたくさんありましょうけれども、特に在籍専従者を決定していく場合が出てきますね。こういうことごとを考えたときに、きちょうめんに三月たったということではっきり打ち切ったり何かされると、非常に問題が起こってくるおそれがあるわけです。そうしたことも考えていったときに、当局側としてどういう態度でこれらに接したらいいのか、どういう指導をしたらいいのかということが出てくるのじゃないかと思いますが、これらについてのお考えをお尋ねしておきたいと思います。
  33. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 三カ月以内に登録の切りかえをいたさなければならぬことは法律規定されておるところでございますので、この期間内に登録の切りかえをやってまいりたいと思っております。ただ、御指摘になりましたように、無用の混乱を生じないように配慮しろという審議会答申趣旨もございますので、その点につきましては、私どもとしては十分心得てまいりたいと考えております。現にこの問題につきましては、関係職員団体の連合会のほうから、それぞれ具体的な問題を持って私どものほうに御相談に見えております。私どもとしても、ただ法律規定をたてにとって重箱のすみをつつくようなことで無用の混乱を生ずるような態度はとらずに、良識をもって事に処してまいるようにしたい、そういう心組みでおるわけでございます。
  34. 秋山徳雄

    秋山委員 特に在籍専従なんかの場合には、大会で決定をして給与その他もきめていくわけです。期間も当然大会がきめていくわけです。そういうことになった場合に、当局でもある程度その期間を認めていかなければならぬ。あるいはまたそういうことが起こった場合に、当局は黙認をするとか、いろいろ関係が出てくるんじゃないかと思います。そうでないと、専従期間に空席ができてしまって、組合の仕事に差しさわりが出てくるということも間々起こってくるんじゃないかという気がしますが、これらについての指導方針はどういうふうになさるつもりですか。
  35. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私のほうから黙認をするんだということを申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういうことの必要が起こりませんように、登録の切りかえについては十分配慮をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  36. 秋山徳雄

    秋山委員 次に、答申の中には、やはり同じようなことでありましょうけれども、若干の非職員がその組合の中にいる。たとえば、一般職員の組合の中に水道職員が二、三名入っているとかいうことも全然ないとは限らないわけですが、こうしたときに登録ができないということが出てくる場合もあるわけですけれども、これも厳格にきちんきちんとやれば、いろいろな議論も起こらないとも限りません。当分の間はそういうことが間々行なわれるんじゃないかという気もいたします。これらについては当局側では、いまの御答弁をいただいたのと同じように、公式では何とも言えないけれども、何とか配慮しなければならぬということが考えられてくるんじゃないかと思いますが、それらについてはどうお考えになりますか。
  37. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 簡易水道の職員が少数職員団体に混入しているようなケースがいろいろあることは、私どもも承っております。この問題については、法律規定から申しますと、これは労働組合をつくるべきであって、職員団体にこれが加入することはできないたてまえになっております。ただ、この法律のたてまえそのものがどうかという御意見もあるようでございます。私は、この問題については立法的に検討してもいい問題ではなかろうか、かようにも考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、そういうような今後の改善の方途については、引き続き公務員制度審議会などにおいても御検討を願ってしかるべき問題じゃなかろうか。この点については、むろん、厳格に申しますと、いいと言うわけにはまいりませんけれども、お互いに改善の方途を検討し合うという方向で、この問題についての実際上の取り扱いについてはなおよく研究してまいりたいと思います。
  38. 岡崎英城

  39. 細谷治嘉

    細谷委員 まずお尋ねしたい点は、自治省行政局長名で、各都道府県知事に六月二十一日付で、地方公務員法の一部を改正する法律の施行についてという通達が出ておるようでありますが、そのとおりですか。
  40. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 そのとおりでございます。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 この通達ですべてが尽くされておりますか。
  42. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 管理職員等の範囲を決定するにあたっての参考の例でございますが、これにつきましては、先ほど秋山委員の御質問に対しましてもお答え申し上げましたように、今回の通達からははずしております。この点については、なお国家公務員について決定される状況ともにらみ合わした」で追って通達を出したい、かように考えております。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 この通達を見ますと、昨年出された自治事務次官名の通達をもとにいたしまして、いろいろなものが出ておるのでありますが、管理職員等の範囲、これは今度の政令の重要な部分です。しかも、公務員制度審議会が空中分解したといわれるのはここにあったわけです。その重要なものをどうして一緒に出さなかったのか。一番大切な基準を示さぬで、これをぽんと流したのはどういうわけですか、おかしいですよ。そして、たとえば職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例案なんというものは早々と示して、一番大切な、公務員制度審議会で一番問題になり、しかも労働者代表が総退場の中で答申という名のものをきめた問題はここにあった。その基準を示さぬで通達を出したのはどういうことですか、これはおかしいでしょう。
  44. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 管理職員の範囲の参考例も、実は一緒に通達を出したいと思って準備もいたしておったわけでございます。ただ、管理職員の範囲の中には、御承知のように国家公務員の例に準じて定めるというふうに法律にうたわれておる職種もございますし、そうでないものにつきましても、国家公務員についてのきまりぐあいも十分参考にした上で出すべきものであるということで、私どもとしては、そういう事情がございましたので、今回の通達からは切り離しまして、追って通知するということにいたしたわけでございます。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 国家公務員との関連でこの問題がおくれたということですけれども、こういうような措置をとったことはまことに遺憾だと思う。一番重要な問題について、これについてはあと規則だ、後ほど送付するから、その他のものについては全部きちんとしてという。その他のものはきちんとなるなら、これもきちんとして出すべきですよ。まとめて出すべきですよ。これだけ出したことについては、私はどうも意図があるのじゃないかと思えてしょうがない。まことに遺憾なことだと思うのです。  それでお尋ねしますが、管理職員等の範囲を定める規則の参考例というものが先ほど質問にありましたけれども、一体どういうことを考えているのですか、ポイントをここで言ってください。
  46. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ただいま検討いたしております案の要点を申し上げますと、都道府県市町村につきまして、基準的な、標準的な機関と職につきまして示したものでございます。府県の本庁について申し上げますと、知事部局におきましては、部長、次長、課長、課長補佐というようなものをまず示しております。課長補佐については、数名ある場合においては、それが労働関係に関する事務以外の事務をもっぱらやっておるというような者は除かれる、というような注釈をつけるようにいたしております。それから係長以下のものにつきましては、いわゆる機密の事務と申しますか、それも含めまして、秘書、人事、給与、服務、職員団体、予算、庁中取り締まり等の担当の係長というような者でございますとか、あるいはまた、人事、給与、服務担当、職員団体担当の者については担当の主事、場合によって主事補もこれに入れるというような案を考えてやっております。それから守衛につきましては、いろいろ御意見もございましたので、これは一般の守衛は管理職に入れない。しかし、実質的には職員の取り締まりというような権能を持った者だけに限るというようなことを考えております。  それからそのほか、各行政委員会がございますが、行政委員会につきましては、ただいま申し上げましたと同様な考え方で考えております。  それから出先機関でございますが、出先機関についての標準的な機関を列挙いたしまして、所長、次長、課長というものを例示しておりますが、ただ、出先機関の中には規模の小さいものがございまするし、非常に小さいものについてはこれを落とすというようなことで検討いたしておりますが、そうじゃないものについても、課長というものが、先ほども御指摘になりましたように、職務の実態、権限の実態もいろいろ違う点もございますから、その職務が労働関係に関する事務以外の事務にもっぱらあるというようなものは除くという趣旨をつけようと考えております。  それから市につきましては、これも規模がまちまちであります。大体標準的な市の場合におきまして、市の本庁においては部長、課長は管理職になる。そのほかの係長以下のものにつきましては、先ほど府県の本庁について申し上げましたように、特定の事務については係長以下のものも入るということにいたしております。  それから出先の場合でありますが、市になりますると出先もまちまちでございますから、出先の所長とか館長というものは一応管理職に入るというふうに考えておりまするけれども、なお、その権限が労働関係について全然ないというようなものについてはこれは除くというような考え方をいたしております。町村につきましても大体これらに準ずるというように考えております。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 いま管理職の範囲について行政局から大体答弁があったのですが、六月十四日の新聞にこういうことが書いてあるのです。「守衛も管理職に」ということで、記事の中に、「自治省の指導では、地方自治職員のうち課長補佐まで、また、経営管理事務に関係しているタイピスト、守衛なども管理職の範囲に含める方針だ」、それから昨年、自治次官の名前で出された管理職の範囲ということに関連して、これは人事委員会なり公平委員会の規則で定めるとしてあるのでありますが、特に文部省の関係になるわけでありますけれども、「公立学校の職員に係る管理職員等の範囲は、国立学校の職員の例に準じて人事委員会規則又は公平委員会規則で定めるもの」、こういうふうになっておるのですね。この文章は、あなた方、実態を知っているのでしょうけれども実態を知らぬふりしていると思うのですね。守衛は管理職ですか。何の管理をやっているのですか。タイピストが何の管理をやっているのですか。管理職というのを適当に解釈している、私はそう思うのですよ。新聞に自治大臣はこう言っているのだ。職員団体との交渉には当局側は代表者を置くことができるが、この代表者には反動的でないりっぱな人を置くように指導してほしい、こう自治大臣は言っているのですよ。ところが、やっている人はどうも反動的だとしか考えられないようなことばっかりやっているじゃないですか。守衛が管理職なのか、タイピストが管理職なのか、納得できるようにはっきり言ってください。
  48. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 その新聞の記事につきましては、私も正確には存じませんが、タイピストについては管理職とは考えておりません。それは、いろいろ検討の段階においてどうなるのかというような話が出たことはあろうかと思いまするが、私どものほうでは、現在、タイピスト衣管理職だというふうには考えておりません。  それから守衛につきましては、これは三公社の例などを見ましても、守衛も管理職にいたしておりますので、これをどうするかということにつきましては、最近まで検討の対象にいたしておりました。しかし、地方団体の実情を見ますと、守衛が管理職になるという場合は非常に少ないのじゃないか。なる場合と申しまするのは、この守衛が単なる門番ということではなくて、職員の服務の取り締まりの権限を持っているというような場合でありまして、しかも、それらの場合についても、それは多数おる守衛の中の守衛長だけを考えていったらいいのじゃないか、かようなふうに思っているわけでございます。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 守衛長ということにしぼったようでありますけれども、守衛とかタイピストというものを管理職に――これは新聞に書いてあるのですから、新聞のことは私どもは責任を負えないと言うでしょうが、火のないところには煙は立たぬというたとえがあるのです。あなた方は考えておるのでしょう。  もう一つお尋ねしますが、国立学校の職員の例に準じて、人事委員会規則、または公平委員会規則できめる――東京教育大学には付属の中学校小学校があるが、そこの校長さんはだれがやっているのですか。
  50. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 学校の問題につきましては、実はこれは教育公務員特例法関係でございまして、私のほうが主管でございませんので、実は研究をいたしておりません。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 関係ないなら、何で自治次官通達にあるのですか。あるから私は言っているのです。最初から文部大臣の関係だと言っている。自治次官通達の中にはっきり書いてあるから私は言っているのだ。関係ないなんて言わせませんよ。それなら消しなさい。
  52. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これは地方公務員法の一部を改正する法律の中に織り込まれておりますし、教育公務員地方公務員全体の中の一種類でございますから、これは事務次官の通達におきまして地方公務員法の改正全体について連絡をいたしたものでございますから、その中に触れておいたわけでございます。その意味において私どももむろん関係はございますけれども、しかし地方公務員法の特例法として教育公務員特例法がございまして、その中で公立学校の管理職員の範囲について、国立学校の職員の例に準じて定めると、こうなっておりますので、具体的に国立学校の職員の例がどう定められてしかるべきであるか、あるいはまた国立学校の職員の例がどう定められた場合に公立学校の職員の場合どう考えるべきかという内容のことにつきましては、文部省が主管官庁でございますので、もっぱら文部省のほうの御検討にお願いをいたしておりまして、私どもいまお尋ねのような事例などについても、別段調査、研究をいたしておりませんので、お答え申し上げかねる次第でございます。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 まだ納得できない。私もそれを知っておるのだ。公立学校の先生というのは地方公務員であることは間違いない。しかし特例法によって自治省関係でないことも知っておる。自治次官の通達にわざわざこう書いてあるのですから、関係ないとは言わせないですよ。教育行政については都道府県の教育委員会が持っているのですよ。それを都道府県知事にやった通達に書いてあるから、私は質問しているのですよ。関係ないならこの字句は削ったらいいじゃないか。わざわざ人の権限を侵すような通達を次有名で出す必要はないでしょう。あなたはあっさり、私は知りません、文部省に一切まかしているのだからといって、それなら人の領分にちょっかいをかけないほうがいいでしょう。はっきりしてください。
  54. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 全然関係がないということを申したとすれば、それは言い過ぎでありますが、むろん広い意味で地方公務員の一種類でございますから、地方公務員全体の問題については私どもが所掌もいたしておりますから、その意味でむろん関係はあるわけでございますが、自治事務次官の通達は、地方公務員法の一部を改正する法律について全般的に改正事項を地方団体に連絡をいたしたものでございますので、したがいまして、同じ法律の中に触れられております公立学校の職員の問題につきましても触れたわけでございます。特に人里委員会規則、公平委員会規則できめるについても、人事委員会規則、公平委員会規則が独自の判断できめるのじゃなくて、国立学校の職員の例に準じてやらなければならぬ、こういう法律趣旨もやはり一応連絡をしておく必要があるというようなこともございますし、入れたわけでございます。したがって、この制度の問題としてこういう規定ができているということについては、文部省が第一義の役所でありますけれども、第二義的と申しますか、地方公務員全体を見ておる立場においてこれはむろん関係をいたしております。関心も持っておるわけでございます。ただ、お尋ねのような具体的な内容については全然検討いたしておりませんので、この点についてはお答えいたしかねる次第でございます。
  55. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題については、もうこれ以上私は申し上げませんけれども、はっきりしておきたい。あなたは地方公務員関係のものは、特に公立学校の教職員については関係はなくはない、二義的なんだ、主管は文部省にあるのだ、こういうふうに逃げておるのであります。二義的かどうか知りませんけれども、とにかく地方公務員の全体を統括すべき責任は、自治省、あなたが持っておるのであります。それは最初答えておったでしょう。二義的じゃないですよ。総合調整的な立場にあるのだ。そうじゃないですか。総合調整的な立場であって、精神は二義的じゃないですよ。だからこの字句を書いてあるのでしょう。書いてあるなら、この精神がどういうものかはあなたは答弁できないはずはないですよ。これは文部省まかせで私は知りませんなんて言うなら、この字句は除いてもらわなければならぬ。しかしいまのことばはそうじゃない。総合調整的な立場にある、それを二義的ということで表現しておるのですが、総合調整的立場にあるのですから、一体この精神はどういうものか。私が言いたいことは、こういう簡単な字句でありますといろいろ出先で混乱が起こる。しかも国立大半にある国立学校の小学校中学校というのは、おそらく学長がやっているのだ。大学の学長なり、総長というのは何人かしかおりませんけれども、それがやっているのですよ。主事か何かが校長的な立場をとっているのです。あるいは主事補というのがあるかもしれません。市町村立の小中学校とは全く形態が違いますよ。それを準ずるなんということばだけで、常識的に混乱がないようにやれというお気持ちでしょうけれども、これはおかしいと思うのです。しかも自治次官の通達がある。あなたのほうは二義的というけれども、腹の中では総合調整的な立場にあるということをおっしゃっているのですから、いろいろ誤解を抱かせないような、混乱を起こさないような通達をすべきだと思うから申し上げている。この自治次官の通達に基づいてあなたの通達が出ているのですよ。あっちこっちみんなそれを土台にして引用しているでしょう。どっちなのか、はっきりしてくださいよ。総合調整的なのか、二義的なのか、総合調整的であるならこの精神はどういうことなのか、答えてください。
  56. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 総合調整と申しますとこれはまたむずかしいことになると思いますが、地方公務員法では、教育公務員につきましても一応適用があるわけでございます。ただ、その中で教育公務員でありますがゆえに特例を設ける必要のある問題につきましては、教育公務員特例法特例をきめておる。したがって、その特例に関する部分につきましては文部省が所管をいたしておる。しかしその教育公務員についてそういう特例を認めるということと、一般の職員について一般の規定でいくということについては、これは関係のある問題でございますから、そこで特例を設けることがいいかどうかというような問題になりますと、私どもが当然文部省にも意見を申し、いろいろ折衝もするという関係にあるわけでございます。さらに特例のないそのほかの一般的な問題につきましては、教育公務員に関する部分につきましても私どもとしてこれまた関係があるということは、これは申すまでもないことでございます。まあ総合調整という強いことばは別段私、法律上なかろうと思いますが、いま申しましたような関係ではむろん関係があるわけでございます。  そこで、お尋ねの自治次官の通達は、これは昨年地方公務員法の一部を改正する法律成立をいたしました直後に、この法律につきましてごく概略の事項を、ごく簡単な趣旨説明をして地方公共団体に連絡をいたしたものでございますから、これはこの法律に含まれております問題につきましては一通りみな触れて連絡をいたしておるわけでございます。今回私の名前で出しましたものは、いわゆるたな上げになっておりましたものが施行になりましたので、その施行に際しまして、特に注意をしてほしいと思うような事項についてだけ取り上げて通達をいたしたものでございます。この中で、管理職員等の範囲の問題が先生のお触れになっておる問題でございますが、この中で当然公立学校の教員についてどういうものが管理職員になるかということは、追って地方に連絡をすべきものかと思うのでございますが、その点につきましては法律が国立学校の例に準じてということになっておりますので、国家公務員についての人事院の決定を待たなければならぬ事情にあるわけでございますが、現在なおそれがどのようになっておるかということについては、私どももまだ聞いていないわけでございます。むろんそのことがきまりましたならば、これは文部省のほうから地方に連絡がなされることと思いますし、さらにまたおっしゃいますように、地方公務員の中の一種類だということになりますれば、あるいは私どものほうで示す中にも、文部省がきめられたものを受けてこちらのほうからも連絡をするということも考えられぬことではないと思いますが、その辺はまだ相談をいたしていない次第でございます。重ねて申し上げますが、昨年自治次官の名前で出しましたものは、一応成立しました法律の全体についてその趣旨の概略を連絡するということで連絡をいたしたものでございまして、別段他意があるわけではございません。
  57. 細谷治嘉

    細谷委員 これは責任の持てる範囲の通達を私は出すべきだと思うのです。あなたが、私の関知したことじゃないなんて言うからかどが立つのだ。ですから責任ある通達を出していただかなければいかぬ、こういうことを私は申し上げておるわけです。地方団体は、へたするとこの事項を逆用する心配もあるわけです。というのは、私が心配しているのはどういうことかというと、ILOは政府原案どおり何でもかんでも通してください、こう主張しているのが地方団体側の多くの団体ですよ。労働者側は困るのだ、既得権もあるのだということで対立している。そうしますと、あなた方が善意で書いた字句すらもどうなるかわからない。わからないということは、困難が起こるということです。ですから私は申し上げているのです。委員長、いま説明をいただいたのは素案としてどうもプリントを持っているようですから、それを資料として委員会に出していただきたい。よろしいですか。  そこで、あなたからいま御答弁いただいたようなことになりますと、先ほど秋山委員からも質問があったのでありますけれども、私はこの点は多くは触れませんけれども、町村あたりにいって、八十人か九十人ぐらいのところにいきますと、たくさん課長がおるのです。町村の小さなところになりますと、課長という名前はついておりますが、課長なんて権限を持っておらぬですよ。補佐もおるところがある。村長、助役、庶務課長、税務課長、ずっと係長もおる。管理職らしい管理職じゃない人が、全く実権を持っていない人が非組合員になってしまうのです。半分ぐらいになってしまう。そういうことが起こりますよ。実例を私は持っているのです。それでよろしいと思いますか。自治体はあなた方の言うことをそのまままともに受けて立つのですよ。それが正常な姿でしょうか、お尋ねします。
  58. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 まあ課長が多い少ない、これは町村長が自主的にきめることでございまするから、あろうと思います。ただ、いやしくも課制をとっております以上、課長というものは課員に対しまして、いわゆる労働関係について管理もしくは監督の地位にあるというふうに考えまするのが通常の常識であろうと思うのでございます。したがいまして、私どものいま検討いたしておりまする参考例の試案といたしましては、町村の場合におきましても――本庁の課長は管理職になるという考え方できておるわけでございますが、むろん出先のほうになりますると、先ほど申しましたように、町村あたりになりますと、所長というようなものであっても、お話しのように、人事関係について直接本庁でやっておって、何ら権限がないというものもあろうと思います。わざわざ注釈もつけて、これは実態をよく検討してやれというふうに指導をするつもりでおります。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 県の場合ですと本庁と出先、出先にもいろいろある。それから市、市にも五百六十七、八あるのだからいろいろある。大阪市をはじめとして二万二百人の市まであるんです。御存じでしょう。市でもいろいろあるのですよ。それに町があり村があるのです。私もある市の市長をやった経験があるのですが、私は社会党員なんで、まあ労働者というものが健全に育ってもらいたいという立場に立っております。しかし、団体交渉等やってみますと、いじめられた場合には、私だってそういう経験を通じてやったことはある。ひとつこれは自分の味方のほうをよけいにしようかなということで、課長補佐をつくったということもあるんです。町あたりにいって課長補佐をつくってごらんなさい。私と同じ立場じゃなくて、あなた方はそんなことはないと言うけれども、たとえば反動的な考え方の人があったら、六十人か七十人のところで課長補佐をつくり係長をつくって、これは管理職だといってやられたら、これは私が言うように半分以上があなたの言う意図と違った形の管理職ができますし、非組合員になってきますよ。私はそれでもそういう立場に立っていますから筋は通したつもりですけれども、筋も何もないですよ。そうなってくると、自治省が考えているように、管理運営の問題については交渉の対象にならないのだから、係長という制度をつくるということは、これは管理運営の問題だということになってくればもう対象にならない。私はたいへんなことになるのではないかということを心配しているのです。心配ないですか。あなたが考えているようなことですとそういうことになるのですよ。だからおそらく組合の当事者というのはずいぶん心配して、あなたのところにも陳情があったでしょう。あるいは交渉という名の話し合いもあったかもしれない。それで間違いなくやれると思いますか。私はやれないと思って心配している。これを逆用する自治体がたくさん出てくるんじゃないかということをおそれているんだが、そういう場合どうしますか。
  60. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 いまおっしゃいましたような場合におきましては、その町村の組織そのものがむしろおかしいと思うのであります。小さい町村で、課長、その下に課長補佐だ係長だというところ、お話しのように、職員の半分以上が係長以上になる、あるいは課長以上になるといったようなことがあるとしますと、それは私は、組織の管理の上からいたしまして、はなはだ適当でないものだと思います。そこで市町村においてどういう組織が最も合理的な組織かという検討、これは世上いろいろ研究もあるようでありますし、私どもも多少学識経験者に研究をお願いしておるということでございますが、そういうようなものも参考にしていただいて、ただ管理職をふやすために組織をおかしな組織にするというようなことは、そういう観点から私どもとしては指導してまいるようにいたしたいと考えております。しかしそういうところがあるからといって、自治省の標準的な一つのサンプルとして示すものに、町村の課長は管理職じゃないんだというようなことは、これはまたやはり筋が違うことになる。私どもとしては、少なくとも課制をしいている以上は、その課長というものは、常識的に見てやはり管理、監督の職務にあるのではなかろうか、こういう考え方をいたしております。そこのところの筋道をひとつ分けて指導をすべきものではなかろうか、かように考えております。
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんが、私はそういう点で非常に心配しているわけだ。経験があるから心配している。おそらくあなた方のほうでは、都道府県については、大体標準的にはこういう部とこういう部はしかるべきだという標準を示しておりますけれども、町村に対してはそういうことを示してないんですからね。そうでしょう。私はあなた方の意図とは全く違った問題が出て混乱が生ずるのではないかと思うから申し上げておきます。まあ十分指導するということでありますから、見ておりましょう。  次に、登録問題については、さっきお話があったのでありますが、この問題で関連をしてお尋ねしたいのでありますが、この答申には、「登録されない職員団体も法人格を取得することができるように、政府においてすみやかに検討すべきであると強く希望するものであることを付言する。」と書いてある。これはどういう方針ですか。おととしですか、自治省が東京都の監査をしたことがあるのですよ。その膨大な監査報告の中に、東京都の当局が都労連と交渉することは違法だという意味の勧告があった。ですから、せっかくの審議会答申内容の「未施行規定の取扱いに関する意見」の中にこういうことが出ているのですが、どういう御方針なのか。自治省は過去においてILO精神に違反したことをやっておったんだからな。もっとも八十七号条約が批准されない前の話であります。一年くらい前の話であります。これについてどういう方針をお持ちなんですか、伺っておきます。
  62. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 法人格の収得の点につきましては、公務員制度審議会においても種々御論議がございましたことは私も承っております。この点については、答申も申しておりますように、検討をすべき問題があるように思いまするので、政府部内におきましてもこの点については関係省とよく検討してまいりたいし、公務員制度審議会においても引き続き検討をいただけることだ、かように考えておるわけでございます。  なお、その次にお尋ねのございました都労連の問題でございますが、これにつきましては、東京都の監査報告の中には、御指摘のような文句があったと思います。これは法律のたてまえから申しますと、一方は職員団体である、一方は労働組合である、そして交渉の方式と申しますか、片一方は労働協約が締結できる、片一方は文書による協定ということでございますし、また相手の責任のある当局というものも、片一方のほうについては管理者というものがあるわけでございますし、いろいろな点があるわけでございますので、これらが統一交渉をして、そこで最終的な決定も一緒にやるということは、法のたてまえからいうて適当でないというような考えを持って当時指摘をいたしたものと思います。しかし八十七号条約が批准発効いたしました現在におきまして、そのような労働者団体、あるいは登録は受けられませんものでございましても、一つの労働者団体というものにつきまして、当局がそれらの職員の勤務条件の維持改善のために、それと統一的な交渉を持つということが望ましい場合もあるわけでございまするから、これはお互いの話し合いにおいてそういうような話し合いをするということについては、私どもがいかぬというような指導をする考えは現存は持っておりません。ただ、事実上交渉は一緒にいたしましても、最終的な決定、ものごとをきめる段階は、御承知のようにたてまえが違っておりまするから、そこは混同するわけにはいかぬと思いまするけれども、そういう団体が存在すること、その団体が統一して当局とあるいは管理者と話し合いをする、これについて私どもがいかぬというような指導をすることはいたさぬつもりでございます。
  63. 細谷治嘉

    細谷委員 先ほど秋山委員の質問に対して、答申精神でいくんだという答弁があったわけですけれども、いまの問題について答申はこう書いてあるのですね。「登録されない職員団体が当局に交渉を求めた場合においても、実際十、合理的な理由がない限り、恣意的に当局がその求めを拒むべきでないこと」この精神でやります、こう言っているわけです。ところがあなたの通達はこう書いてあるのだ。「登録を受けない職員団体についても、地方公共団体の当局が、これと交渉することが職員の勤務条件の維持改善のために望ましいと判断するときは、これらの職員団体と交渉することができるものであることに注意されたい。」職員の勤務条件の維持、改善のために望ましいと当局が判断するのですよ、恣意的に判断する可能性があるわけですね。先ほど秋山委員答申精神でやりますと言った以上は、この字句は削ったほうがいいんじゃないですか。これはあなたの答弁とちょっと違いますよ。
  64. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先生むろんよく御承知の上でお話しになっておられると思いますが、先ほど例にお引きになられました都労連というのは、これは職員団体ではないわけでございます。職員団体と幾つかの労働組合との連合組織でございます。そこでこの答申でおっしゃっておられまする登録されない職員団体というものとは違うと思います。ここで言っておりますのは、職員団体ではあるけれども登録はされていない、こういうものであろうと思います。で、登録されていない職員団体の交渉につきましては、先ほど秋山委員にお答え申し上げましたように、従来政府としての国会で答弁をいたしておりました登録職員団体の法的地位について申しておりましたことの趣旨を申したわけでございますが、さらにそれの運用にあたりまして、この答申に書いてあるような趣旨は十分体してまいりたい、かような考えでございます。
  65. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのことば、私は聞き違いかもしれませんけれども、重大な意味があるのですがね。都労連とは交渉しないというのですか。職員団体の連合体的なものでもないから、むろん登録されませんね。そうでしょう。全国的な自治団体の組織である自治労とも、そういうものとも話し合う必要はない、そういうことですか。いまのことば、はっきりしなかった。
  66. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 都労連は職員団体ではございません。それからまた労働組合でもありません。職員団体と労働組合との連合組織でございます。したがいまして、都労連はここでいっている登録されない職員団体というのには当たらないわけでございます。しかしそのような連合組織も、これは憲法の規定によって結成が認められておりまするし、またILO八十七号条約精神からいたしましても、これの結成を容認をしていくべきでございます。その結成を認めている以上、これがまた活動ができるということは当然のことでございます。ただ、法律上、地方公務員法上、そういうものについての規定がないわけでございます。そこで、そうでございまするけれども、憲法の精神なりあるいは八十七号条約精神からいたしまして、そういうものについても、当局としては交渉がそれらの職員の勤務条件の改善のために望ましいという判断をする場合には、これは交渉に応じていってしかるべきものだということであります。ただそういう労働者団体というもの、法律の一つの規格にはまってないものというのは、いろいろな種類のものがございまするから、それらの実際の取り扱いについては、それぞれ労使の話し合いによっていくべきであろう、それらについて私どものほうで干渉がましいことはいたさない、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございます。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 都労連という話が出たので、話がちょっと横道にそれましたが、私が質問したいことは、あなたの通達というものは、答申精神を尊重するんだとおっしゃいますけれども、答申には、「合理的な理由がない限り、恣意的に当局がその求めを拒むべきでない」と非登録団体に対して言っているわけですね。そうでしょう。ところがあなたの通達はこういうことだ。「登録を受けない職員団体についても、地方公共団体の当局が」、とやって、「職員の勤務条件の維持改善のために望ましいと判断するときは」、条件がついておりますよ。これは答申精神と違うのですよ。そうでしょう。なぜ通達の中に、たとえば登録を受けない職員団体についても恣意的に交渉を拒んではならぬという答申の字句を書かぬのですか。これは主観的に維持改善のために望ましいと職員団体は思っても、当局が一方的にそう思ったら交渉にならぬということになるんでしょう。恣意的でしょうが。恣意的ですよ。これは。矛盾があります、これは。ですから私はこの字句はお削りになったほうがあなたの精神に沿うておるんじゃないか、お削りになる意思はないか、こう尋ねておるのです。矛盾がある。
  68. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 通達は今度の法律の施行通達でございますので、私どもとしては従来この規定の入りました経過また国会における御論議のありました経過から見まして、登録を受けた職員団体についてはしかじかの地位に立つ、しかし登録を受けない職員団体は規定がないからこれは交渉能力がないのだというようなことも、過去においていろいろ御論議もございましたので、そこで登録を受けない職員団体であってもこれは交渉能力は持つんだという趣旨のことを、今回の法律の施行にあたってはそのことをまず書きたいということを当初から考えておったわけでございますので、ここに登録を受けた職員団体についてはこういう地位に立つけれども、登録を受けない職員団体についてはこうこうこうだ、交渉能力を持っておるのだという趣旨を強調をした書き方をいたしたわけでございます。しかしその上で、さらに運用上答申に書かれておりますような気持ちで指導をしていくべきものだというふうにむろん考えておるわけでございますので、先ほど申し上げましたように御答弁申し上げたわけでございます。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 納得できないですよ、これは。ことばのあやだ。これをそのまま読んだらそうなりませんよ。答申は「なお当審議会は登録されない職員団体が当局に交渉を求めた場合においても、実際上、合理的な理由がない限り、恣意的に当局がその求めを拒むべきでない」と、こう書いてある。職員団体は交渉能力を持っておる、持っておった場合でも、当局が維持改善のために望ましくないと判断した場合には交渉に応じなくたっていいんですから、恣意的ですよ、これは。こういうふうに書いておいて、そうして、いや答申精神でございますと言ったってごまかしですよ、これは。どうしても納得できない。はっきりしてください。私もあなたほどは知らぬけれども、日本語は話せるのだから。はっきりしていますよ、これは。これを削りたくないのならば、下のほうに、答申精神はこうだ、恣意的に拒んじゃいけないのだ、こう書いておいてください。つけ加えるか削るか、どっちかはっきりしてください。
  70. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先ほど申し上げましたような繰り返しになりまするが、この通達にはこの法律の解釈といたしまして、従来国会でも御論議がございましたし、また地方公共団体の中にも誤解がないように、登録を受けない職員団体についても交渉能力があるんだという趣旨を書くということを主眼にして書いたわけでございます。さらにその上で実際の運用にあたって、今後答申でいわれておりますような気持らで運用すべきだということは、繰り返し申し上げておる次第でございます。  なお、この文句であると恣意的に当局がやるようになるというお話でございますが、恣意的という答申の字句も、内容としてどういうことをお考えになっておるのか、私も必ずしもはっきりいたさない点もございまするけれども、おそらく気ままかってにという、全く理屈もなしに気分で断わるといったような意味かと思いますけれども、そういうようなことはむろんあり得べきことではないわけでございまして、この通達がそういうようなことを認めているような趣旨であるわけではむろんございませんし、そういうふうに読まれるということは適当でないと私は考えております。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 答弁になっていない。繰り返しますけれども、この答申の扱いについては、いま言ったように、交渉をしようというその求めを恣意的に拒否してはいかぬぞということを答申の最初のところに書いて、そして最後に、登録されないものがあるだろうけれども、その登録されない職員団体も法人格を取得することができるように政府においてすみやかに検討してほしいとやっているのですよ。登録されないものがある、そういうものについては交渉を恣意的に拒んではならぬ、しかしそういう登録されてない組合も登録されることが望ましいから、政府においてすみやかに検討しなさいとまで丁寧に書いているのです。趣旨一貫しているのですよ。ところがあなたの通達は、答申精神をくんでいませんよ。この字句を削るか、あるいは答申のこういう精神をつけ加えるかしていただかなければ、私は納得しません。そういうことで次に進みますが、これは問題があるのです。  ところで今度は、交渉は適法になされなければならぬということであります。そうしますと、適法にする交渉、予備交渉をしなければならぬと書いてある。ところがあなたのほうの「職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例案」、これは地方公共団体がつくるわけでありますから、案にすぎない。しかしあなた方の考えはこれにあるわけだ。それを読みますと、第二条に「職員は、次の各号に掲げる場合又は期間に限り、給与を受けながら、職員団体のためその業務を行ない、又は活動することができる。1法第五十五条第八項の規定に基づき、適法な交渉を行なう場合」――法五十五条の八項というのは「本条に規定する適法な交渉は、勤務時間中においても行なうことができる。」という規定ですね。「2休日及び年次有給休暇並びに休職の期間」その他はだめでございますよと、法律の予備交渉をやりなさいということが、どこにも入っていない。賃金カットしますよということです。およそこれは現実を見てない条例案を示したものだと私は思うのです。少なくとも地方団体が示すものであれば、従来の条例によりますと、勤務に関する特例条例というのがあった。そんなものは全部廃止しろということです。そして1と2だけです。たとえば従来ですと、その他任免権者が特に必要と認めた場合はいいのだとか、あるいは別に人事委員会が定めた場合はいいのだとか、そういうものがあったはずです。いわば労働団体、職員団体の既得権です。それは全部はずしてしまった。そして、とにかく適法な交渉を法五十五条第八項の規定に基づいて就業時間中にやった場合には賃金カットはしません、こう書いてある。それから、休みの日か、有給休暇をとったか、あるいは専従者で休職期間か、それ以外はやってはいかぬというのです。法律では、予備交渉もやりなさいと書いてある。それは賃金カットしますよということですね。おかしくないですか。この間の経緯を説明してください。
  72. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 お尋ねのいわゆる予備交渉も交渉でございますから、この第一号に当然入っております。
  73. 細谷治嘉

    細谷委員 ずいぶんあっさりと、入りますという話ですが、予備交渉は入るのですね。
  74. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 この条文の読み方につきまして、なおもう少し研究をさしていただきたいと思います。
  75. 細谷治嘉

    細谷委員 研究するもくそもないじゃないですか。交渉する場合の予備交渉を義務づけたのでしょう。義務づけたのですから、当然これは法五十五条第八項の交渉の範疇に入るでしょう。勤務時間中に予備交渉をやった場合には、これは入るでしょう。入らなければおかしいですよ。検討するというが、二歳の童児でも結論が出ることですよ。はっきりしてください。
  76. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 この点については、実は部内でいろいろ意見もあって、いま検討中でありますので、ちょっと相談の時間をかしていただきました上で、ひとつ後刻お答えさしていただきたいと思います。
  77. 細谷治嘉

    細谷委員 委員長、先ほど私の質問に対して、予備交渉は当然入りますという答弁を私はいただいた。あたりまえのことだと思う。うしろのほうから雑音が入ったのですよ。取り消してくださいよ。私に対する答弁を、あなたは今度は研究すると言い直したのだから、取り消してくださいよ。取り潤さないのなら、私は生かしておくべきだ、それが筋じゃないかと思うのだ。うしろのほうの雑音で、あなたの考えは変わったのだから……。
  78. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先ほど私答弁いたしましたのは、一応取り消さしていただきまして、なお研究さしていただきました上で、後刻あらためて御答弁申し上げます。
  79. 細谷治嘉

    細谷委員 これはまたたいへんな、行政局長ともあろう者が、一度言ったこと、しかもきわめてあたりまえのこと、きわめて常識的なことを取り消すということは、私は言語道断だと思う。しかし取り消したのだから、あなたを強姦するわけにはいかぬ。  今度の法律改正によりまして、もうはっきりと管理、運営に関する問題は交渉の対象にならない。従来の法律では、給与その他の勤務条件のほかに、福利厚生問題等も入っておったのですが、除かれたわけです。福利厚生なんというのは職員は考えなくていい、職員団体など考えなくていい、当局はもう心配のないように、話し合わぬでも、あなた方の満足するようにやってやる、こういう精神でございますか。
  80. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 福利厚生に関することは、五十五条の第一項に書いてございますので、当然交渉の対象になるわけでございます。
  81. 細谷治嘉

    細谷委員 現行法といいますか、五十五条は新しく変わったでしょう。いままでの五十五条によりますと、「職員給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、当該地方公共団体の当局と交渉することができる。なお、これに附帯して社交的又は厚生的活動を含む適法な目的のため交渉することを妨げない。」こうあるんですが、今度の五十五条でも「附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動」については、申し入れがあった場合には、「その申入れに応ずべき地位に立つものとする。」という団体のあれを規定しているわけですが、交渉に応ずるわけですね。
  82. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 従来の法律と今度の法律と多少表現は違っておりますけれども、職員団体の交渉の対象に福利厚生の事項が入るという趣旨は変更されておりません。
  83. 細谷治嘉

    細谷委員 あなたは、ある県で、従来は職員団体と当局とが福利厚生問題について、たとえば運動会とかレクリエーションとか共催の行事をやっておった。そういうことを今度から一切取りやめるんだ、こういうことになったのを御承知ですか。
  84. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 聞いておりません。
  85. 細谷治嘉

    細谷委員 現にある県でそうなっておりますから、お調べいただきたいと思うんです。  それから、あなたのほうが、年次有給休暇等はいいんだ、こう条例案に書いてあるんですが、有給休暇なんて認めぬぞ、出先の――あなたはれっきとした管理職だと言っていますが、出先の長が交渉する場合には、あらかじめ知事の承認を得なければなりませんぞ、絶対交渉に応じてはいかぬぞ、こういうことにしたとか、それから人数は極端に制限して五人以内とか十人以内とか、きちんとそういうふうにやったという例を私ども聞いているのですが、ないわけですか、あったとした場合、どうしますか。
  86. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 そういう例がどこかの県であるということを、つい最近自治労の諸君から耳にいたしました。一体どういうような通知を県のほうから出先のほうに出しているのか、現在照会中でございますので、それが届きましたならば、内容をよく検討いたしまして、何か指導する必要がございますれば指導をいたしたいと思います。
  87. 細谷治嘉

    細谷委員 という意味は、この職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例案というのは、これは自治省の標準案でありますが、一つ、二つと、二つしか並べておりませんが、自治団体が自主的に条例できめた場合には、もう一つや二つつけ加えてもよろしい、こういうふうに理解してもよろしいですか。たとえば人事委員会で定めたものとか、任免権者が必要と認めた場合とか、そういうものはよろしい。自治体でありますから、任免権者、知事なり市長、村長が、まあこういう場合はよろしい、野方図はいけません、特に認めた場合は条例の中に入れていくというのが私は自治体のたてまえだと思います。現実にどのくらいあるかということは自治体の自主的な判断であります。それも入れてはいかぬという形になっているわけですから。どうなんでしょう、そういうふうに理解してよろしいか。これを一字一句も追加することができないのか、あなたの示した条例案は。
  88. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これは準則でございますから、一字一句これを変更してはならぬというわけではございません。ただ、先生がちょっとおあげになりましたように、任命権者なり人事委員会が許可をした場合といったような趣旨の包括的なセービングクローズを入れますことにつきましては、私は適当でないと考えております。と申しますのは、この本条の規定が、職員給与を受けながら、職員団体のための業務を行ない、または活動してはならないという禁止の趣旨でございまして、ただその除外例を条例で定める、こういうことでございますから、法律趣旨からいたしましても、除外例は具体的に、制限的に書くべきである、かように考えております。
  89. 細谷治嘉

    細谷委員 この条例案の中につけ加えてはいかぬ、こういうことのようでありますが、そうすると、もう自治体の長なんというのは佐久町さんの小指の先で動かしていいということですね。あなたがこれをやって、これに何もつけ加えてはいかぬというわけだから、これは地方自治体なんというのは吹っ飛んでいるのですよ。自泊体の長が、福利厚生問題でひとつ職員団体もこの問題に加勢してくれぬかと言うこともできない。今度は違法になるのですから。こういうものをとにかくやるんだ、博覧会なら博覧会でもいい、博覧会の準備をするんだ、職員団体ひとつ反対せぬで手伝ってくれぬか、しかし時間中にやったら、それは賃金カットするよ、こういうことですよ。そうでしょう。こういう問題について交渉する、交渉する場合には、うまく話をするためにはお互い意思統一もしなければいかぬ。意思統一を、たとえば交渉の前に予備交渉をやって、予備交渉に基づいて、交渉に入る前に執行委員会であらかじめ打ち合わせていく、それもやってはいかぬ、それは時間外にやりなさい、こういうことなんですから、これは少しおかしい。あまりにもしゃっちょこばっているのではないかと思います。法律々々というけれども、ずいぶん過酷な条例案というよりも、非常識、非現実的な、できもしないことを法律や条例で規制している、こういうことだと私は思うのですが、考え直す余地ありませんか。
  90. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 いろいろ具体の事例もおあげになっての御質問でございますが、たとえば福利厚生活動を当局と共催でやるというようなことは、私どもとしては別段悪いというふうに申したこともございませんし、申すつもりもございません。運動会を従来当局と共催でやっておった、非常にけっこうなことじゃないかと思います。本条で問題にいたしておりますのは、職員団体のための業務でございますから、当局が職員団体と共催する起動会に出るということは、職員団体のための業務を行なうための活動ということにはならないのではないかと思っております。それから福利厚生活動のいろいろな問題をやることが一切いかぬというのじゃなくて、その交渉の対象として福利厚生に関する事項を取り上げて交渉するということは、これは当然あってしかるべきことでありまして、たまたま交渉の問題が福利厚生活動になっておるからいかぬというようなつもりはむろんないわけでございます。この規定について準則を考えるにあたって考えました考え方といたしましては、現在の労働組合法の第二条でございましたか、そこに書いておる一つの先例があるわけでございます。それにつきまして、使用者の労働組合に対する経費援助についての一つの規定がございまするが、これは一つの参考にすべきものではないかという考え方で考えた次第でございまして、別段非常に過酷なことをこの際やろうという趣旨ではございません。なおまた先ほど先化のお話の中にちょっとございましたように、職務専念義務の免除ということは、この条文とは別な三十五条の問題でございまするから、これにつきまして従来ございます条例、規則について、この際この規定との関係で変更しようというような考えも別段ないわけでございます。
  91. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、三十五条の職務専念義務に基づいてつくった条例は変更するつもりはない。だからこっちのほうに書かぬでも、そっちのほうに、その他特に任命権者が必要と認めた場合というのがあれば、それは廃止しろとかなんとかいうことは言わぬと、こういうことですか。
  92. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 三十五条のほうは職務専念義務の免除の条例でございまするから、職務専念義務を免除する場合は、三十五条に基づく条例できめられることになります。しかしその場合に給与を支給するかどうかということは、工十五条の二の六項に基づく条例の問題になる、こういう意味でございます。
  93. 細谷治嘉

    細谷委員 戸籍事務をやっておる人は、三十五条に基づいて戸籍事務に専念しなければいかぬわけですね。そうでしょう。ちょっと博覧会の準備があるから、どっかの商店とちょっと打ち合わせてきてくれと言われた場合に、それは本来の職務じゃないのだ。それは賃金カットしますか。そういう場合に、特に任免権者が必要と認めた場合という形で、条例で任免権者の自由裁量といいますか、めちゃくちゃはいけませんよ、けれども、あるわけですね。三十五条はそのための規定でしょう。それもこの五十五条の二の六項にはね返ってくるということになりますと、私の言っていることは全部否定したということになるわけであります。どうなんですか。三十五条で、職務専念の義務について特例というものが任免権者の裁量で認められてあった場合には、賃金カットなんかすることできないでしょう。三十五条に基づく条例なり規則があったとする。それとこれとは別だ。職員団体としてですからね。職員団体の行為の制限の特例である。別でしょう。あなたは一緒だと言うわけです。三十五条でやってもこれに返ってくるのだと言う。どうなんですか。
  94. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 三十五条のほうは職務専念義務を免除する場合でございます。したがって三十五条の条例によって職務専念義務が免除される場合でありましても、その場合に賃金カットを受けるかどうかということは五十五条の二の第六項のほうの問題――従来もその場合は給与条例の問題になるわけでありまして、これは一応別ものでございます。いろいろ先生、頭の中におありのことと御推察するわけでございますが、職務専念義務免除の条例は、組合活動についてもある程度幅広く認めている場合が少なくないと思います。ただその場合には職員団体の活動に従事してもかまわない、かまわないけれども、それが賃金カットを受けるかどうかという場合は、今度の五十五条の二の第六項の規定に基づく条例で書かなければならない、こういう関係になるわけでございます。
  95. 細谷治嘉

    細谷委員 職務専念義務の特例等であっても、特別な場合等であっても、任免権者の自由裁量を許さない方針、簡単に言うとそういう御方針だと理解してよろしいわけですね。五十五条に返ってくるわけです。賃金カットします、そうでしょう。わかりやすく答えてください。
  96. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 博覧会の例をおあげになりますが、これは当該地方公共団体の事業として博覧会をやる場合に、それについて職員団体も手伝ってくれと言うて、これが共催か何かの形になって、職員団体も協力するというような場合は、先ほど運動会の例について申しましたように、これは職員団体のための業務ということではないわけでございますから、それまでこれによって禁止をしようというような考えはございません。
  97. 細谷治嘉

    細谷委員 一般的に、町村等は別にしまして、たとえば中都市以上ということになりますと、博覧会をやるとか、あるいは運動会をやるとか、レクリエーションをやるという場合に、やはり人事課なら人事課、あるいは厚生課というものがあって、そして現実にはやはり職員団体の協力を得るわけだ。その形は職員団体としての行動ではないかもしらぬが、協力をしますよ。その場合に、私が言っておることは幾らでも逃げ道はあるのですよ。職員団体に、博覧会にひとつ協力してくれ、職員団体のほうでは、職員団体としての協力をしているという態勢で、その職員が応援しているかもしらぬ。任免権者のほうは、いやあれは職員団体のあれじゃないのだ――協力は求めています。協力は求めて、協力はしているのだけれども、実際はちょっとその間は本来の仕事じゃなくて、ほかの仕事をやってもらっているのだ。そういう場合には、三十五条まともにいっているわけだから、賃金カットできないです。実質的には職員組合と話し合いながら、これは職員団体の交渉とかなんとか、そういうものじゃないのだ。五十五条のほうじゃなくて、三十五条の適用だけで、職員団体としての行動ということはない。実質は協力態勢をとりながら、職員団体の行動、そういう名前じゃなくてやらしているかっこうをとれば、どんなことだって自由裁量がきくわけだ。私はすっきりしたほうがいいんじゃないか、あなたは、いや、がんじがらめにすっきりしないというわけなんだ。どんなことでもやれるのですよ。あなたが年じゅうついているわけじゃないんだから。職員組合のほんとうの仕事であっても、実際は形式的にはそうじゃないかっこうにしておけばやれるのですよ。だからすっきりしたほうがいいじゃないか。あらかじめ執行委員同士、組合の役員同士で相談することはあるでしょう。交渉する前に、あるいは終わってから打ち合わせすることもあるでしょう。予備交渉のことすらも認めてはないのだから、あなたの答弁は当然の帰結かもしれないけれども、私はずいぶんしゃくし定本な、不可能なことを押しつけておるあなたの通達であり、条例案だ、こう申さなければならぬと思うのです。しかし時間もありませんから、私は問題を保留したところもありますが、きょうのところはここで一応保留して打ち切っておきます。
  98. 岡崎英城

    岡崎委員長 安井吉典君。
  99. 安井吉典

    ○安井委員 ILO八十七号条約の批准に伴う国内法の処理の問題につきまして、たな上げ部分の政令が出るという段階を迎えたわけでございますが、私どもそれをずっと以前から関心を持って見ていた立場からいたしますと、およそ八年越しのこの問題への取り組みが、問題点のたな上げという形で一年間延びたかと思うと、公務員制度審議会ではきわめて不正常な形で結論を出してしまう、そういうふうな事態において、全く憤激にたえない次第であります。こういうふうな事態が起きたものですから、国会は非常な混乱におちいりまして、ようやく六月二十日の三党幹事長書記長会談で申し合わせを行ない、特に衆議院の正常化が果たされたわけであります。この申し合わせの中では、ILOに関しては予算委員会等で問題点を明らかにする、こういうふうな明文が置かれ、予算委員会等ということになっておりますので、きょうのこの地方行政委員会、午後はまた参議院でも行なうそうでありますが、そしてまた内閣委員会とか、それから予算委員会等におきまして、それらの問題点の解明を政府に迫るということになるだろうと思うのであります。この間の三党の会談におきましても、このILOの扱いの問題が当然のこととして一番大きな問題点になって、三党の相互了解といたしましては、委員会審議の経過を見て、必要に応じ各党でさらに話し合う、こういうふうなことにもいたしているわけでございますので、この点は実はきょうの質問の一番最初に申し上げておいたほうがよかったかと思うのですが、きょうの秋山細谷委員の質問等における問題点は、さらに私どもは別な立場からもそれを処理しなければいけない、かように考えます。特に管理職の問題については、まだ問題処理がなされていない段階でございますが、それだけに政府としての慎重な処理をぜひお願いをいたしておきたいと思います。これは慎重にという表現はこの間の答申の中にもはっきりされておりますが、先ほど来のいろいろな論議の中でも私どもの納得し得るものがきわめて少ないわけでございますので、今後の検討段階においてそういうような方向でぜひお願いをしておかたくてはならないと思います。  いままでずいぶんいろいろな角度からお話がありましたので、私は、もう時間もありませんから、きょうは多くお尋ねいたしませんが、今後の問題処理の中心になるのは人事委員会やあるいは公平委員会だと思うのでありますが、これらの組織とか機能は、今度の法改正によりまして責任が重大になっているものに比例して完全な姿になっておるかどうか、その点をひとつ伺っておきたいと思います。特に事務機構等においては、以前は公平委員会事務局長はその市町村の総務課長が兼任をしているというふうな事態もございました。ILOのドライヤー報告の中にも、完全な中止性というものについての期待を持ち、日本のそのシステムがそういうふうな方向に行くことに着目している、こういうような表現もあったように記憶いたしておるわけでありますが、使用者側の中心人物が公平委員会事務局長を兼ねている、こういうような形では、問題の処理は決して十分ではないわけでありますが、その点について最近の事態はどうなっておるか。それからまた今後どういうふうにされるおつもりか、これをひとつ伺います。
  100. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 人心委員会、公平委員会の機能を完全にいたしますように組織の上で検討を要する点がございますことは御指摘のとおりでございます。ドライヤー報告にも幾つかの提案がございますので、それらの点については今後必要によっては、公務員制度審議会の御意見も伺いながら、私どもとしても真剣に検討をしてまいりたいと思っております。さしあたり現行制度のもとにおきまして、特に公平委員会の機能を充実する方途といたしまして、かねてから共同設置、あるいは人事委員会に対する事務委託を指導いたしてまいりまして、近年そういう方向で公平委員会の機能の充実をはかるという事例がわりあいに多く出てまいってきております。今後なおそういう点で機能の充実をはかるようにしてまいりたいと思っておりますが、根本的には制度そのものにつきましても検討を要する点もございますので、これはあわせて、この点についても努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  101. 安井吉典

    ○安井委員 佐久間行政局長はそういうふうにおっしゃいますけれども、現実はなかなかそういっていないように思います。法改正によりまして、登録の仕事から、またいま両委員から一番問題にされておりました管理職の範囲の問題にいたしましても、その規則の制定なり運用なりはすべて人事委員会、公平委員会の任務になるわけでありますが、そういうようなものに値するような仕組みに私は絶対なっていないと思います。これははっきり申し上げられます。そういうような点についてもいまの御答弁ではきわめて不満足でありますので、むらと徹底的なというよりも、むしろ根本的な考え方を改める、発想を改めていく、そういうところまで私はいかなければならないと思いますので、その点だけひとつ指摘をいたしておきます。  それから管理職の問題については、大きな職員団体の場合におきましてはそれほど目立たない問題でも、小さくなるほど問題が深刻になってまいります。先ほども例が出ておりましたけれども、市町村役場等で課長が一人で課長補佐が一人、あと女の子しか課員はいない、こういうような職場もずいぶんあるようです。課長補佐まで管理職だというふうなことにしてしまえば、もう職員団体は成り立たない、こういうふうな事態もあります。民間労働組合の場合によくあるのですが、そういうような場合には、その在籍人員の何割ぐらいまで管理職でとどめるとか、そういうものも一つの考え方ではないかと思うわけです。つまり場合によっては三割から四割、ひどいところになると六割ぐらいがいまの自治省の試案的なものからいえば管理職になる可能性もあります。先ほどの行政局長の御答弁によりますと、そういうようなものはその役場や市役所の管理機構そのものに問題がある、こういうふうに言われましたけれども、その管理機構をそれでは自治省はどうやって直すことができるかということです。たとえばこちらの役場のほうでは部長のところが、こちらの役場は課長になっていたり、こちらの役場では課長制も部長制もしかないで係長になっていたり、そういうような機構もずいぶんあると思うのですよ。係長しかいないというところに、先ほども指摘されておりました自治省の試案なるものが適用されたら、そこでは管理職がいない、あるいはごく少ないことになるかもしれない。ところがやたらに課長が多いところは、管理職だらけになってしまう、そういうことになるかもしれませんから、その合理的な基準として在籍人員の一割を管理職は上回ってはいけないとか、そういうような何かの規制がないといけないのではないか。機械的、形式的な当てはめ方で問題を処理しようとすると、私は非常に問題が起きるような気がするわけでありますが、そういう点はどうだろうか。  それからまた、特に学校職員の場合の校長と教頭との問題でありますが、きょうはそこまで触れませんけれども、先ほど管理職がやたらにふやされるのではないかという点について問答があったものですから、その点だけに触れてそう感ずるのでありますが、いかがですか。
  102. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、管理職になるかならないかは、職制なり権限の分配に基づきまして客観的に認定されるべき筋合いのものでございます。そこでいまお話しのように町村で課長、課長補佐をやたらにふやすということでございますが、課長、課長補佐で係員が女の子一人しかいない、そういうような例でございますると、一体そういうものが課制をしくことがいいのかどうか、こういう問題がその前提としてあると思います。私は率直に申しまして、三人しかいないのに一人の課長、一人の課長補佐、一人の女の子というような、これは組織としておかしいと思います。そういう点につきましては、ひとつ指導をしてまいりたいと思います。これはどういう方法かというお尋ねでございますが、強制するわけにもまいりませんので、やはりこれも一つの参考となる事例というようなものを示して、研究をしてもらうという方法で考えてみたい、そういうことで、実はこれは市についてでございますが、市役所機構の合理的な機構、組織はどうしたらいいかということを学識経験者に研究をお願いしておったものがございます。そういうようなことで、市町村については千差万別ではございますけれども、一つの標準的な、合理的な組織というものはやはり研究をしていく必要があるのではないかと思っておりますので、そういう方法で、もし間違っているものがございましたら、だんだんと正していくようにしたい。しかし非常に極端な事例、いまお話がございましたような三人しかいないところに課長、課長補佐というような組織をとっているというようなことがございますれば、また私どものほうでも調査してみまして、個々に必要な助言もしてみたいと思っております。いずれにいたしましても、今回の改正法の施行を一つの契機といたしまして、組合の勢力をそぐために管理職をふやすというようなことはあるべきことではございませんし、そういう点につきましては、指導上十分留意してまいりたいと考えている次第でございます。
  103. 安井吉典

    ○安井委員 私は指導というところにおまかせする前に、お示しになる基準そのものにゆとりを置くべきだと思うんですよ。何もかもみな自治省の指導でどうするということではなしに、お示しになるものがそうぎすぎすしたようなものでなしに、市町村なり都道府県なりが独自の考え方で処理できるような、そういうゆとりのあるものにすべきだ、そういうような言い方で申し上げているわけですが、どうですか。
  104. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 現在考えております案につきましても、お話しのような御意見がほかにもございますので、相当考慮はいたしているので、これはいずれまたごらんいただきました上で御批判をいただきたいと思います。
  105. 安井吉典

    ○安井委員 これは一つの御相談でありますが、はっきり結論をお出しになる前に、そういう問題に一番関心を持っているこの地方行政委員会にお示しになって、意見を聞くというようなお考えはありませんか。
  106. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これは私から申し上げるのはいかがかと思いますが、政府にまかされた権限内のことでございますので、当委員会で正式に御意見をお伺いするということはいかがかと思うのでございますが、先ほど資料として検討中の案を提出せよというお話がございましたので、御提出申し上げますので、それにつきまして、なお御意見がいただけますれば、それも私どもとしては十分拝聴いたしまして、なおまとめる点があればまとめるという方法で処理していただいたらいかがかと思います。
  107. 安井吉典

    ○安井委員 もうはしょりますが、貫録の問題について秋山委員からも質問があったわけですが、とにかく三月以内ということでは、日教組等の大きな組織はたいへんな事態が起きて間に合わない。間に合わなければ、これはもう解散ということになってしまうわけですから、組合としての存在価値がなくなってしまうわけですから、そういうような事態については、先ほどは何か十分配慮するとかいうふうなお答えがあったように記憶するのですが、もう一度確かめておきたいと思います。
  108. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 この三月という期間は、法律に定められた期間でございますので、その期間を恣意的にいろいろ動かすというようなことはなすべきではないと考えております。問題は、その期間内に関係職員団体の登録の切りかえがスムーズにまいりますように私どもとして十分配慮していかなければならないという考えでいるわけでございまして、その点については関係職員団体からもいろいろ希望なり照会なりもございまするので、それらにつきましてもいろいろと検討をして、できるだけスムーズにこの切りかえができますように、私どもとしても十分配慮してまいりたい、かような意味で申し上げた次第でございます。
  109. 安井吉典

    ○安井委員 それではもう一つだけにいたしますが、交渉の問題について、特に時間内交渉の問題でありますが、各県の議会における状況等も、私どもの地方組織からどんどん連絡が来ているわけでありますが、各県とも条例制定について非常に大きな混乱を起こしているようであります。その一番大きな点は時間内活動制限の問題で、自治省原案ではきわめて窮屈で、そこに論点が集中しているように聞きます。地公労法にはこういう規定はないわけで、労使協議の上で、たとえばさっきの運動会についても、時間内にやるというふうな話し合いができれば、そういうふうな仕組みにできるのではないですか。
  110. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 地公労法は労働組合法を受けるわけでございまするから、そこで労働組合法におきましては、すでに使用者の労働組合に対する経費援助につきまして規定があるわけでございまして、地公労法につきましても、今回私どもの考えておるような同様の趣旨で現に運用されておるものと考えておるわけでございます。
  111. 安井吉典

    ○安井委員 いろいろ実際の例はあるわけです。局長はそういうふうにお答えになりますけれども、実際は、労働組合主催の運動会が開かれるについていろいろな便宜供与等をやっているのです。そういうようなのが実情ではないかと思います。そういうふうな現実の中では、たとえば水道の組合とそれから市役所の組合とが合同で運動会をやって、一方はわりあいに気楽な処理になる。一方はいまのこの条例で、時間内だからそれは賃金カットだ、こういうようなことになるおそれがあるわけです。たとえば水道の労働組合と学校の小使さんの労働組合とそれから市役所の職員組合とが野球をやったというふうな場合に、そういうような問題も起きてくる可能性もあるわけです。  それからまた交渉が行なわれているその交渉の際に、重大な転機が来て、理事者側から、組合側の意向を早くきちっとしてこい、交渉委員だけではそこまで頂けられていないというふうな問題が出たら、それは至急に持って帰って、執行部とも相談してこなければいけない、こういうような事態も出てくると思います。交渉委員の数を無制限にふやすことができれば、そういう事態はあるいはないかもしれませんけれども、それが一方の規定で、交渉についてのきびしい制限を置いているのですから、それはふやすことはできない。そうなると、交渉委員以外の人を集めて急に相談しなければならない。それを理事者側から、早くみんなを集めてそこで相談してこい、こういうふうなことも私は起こり得ると思うのです。しかし、今度のこの規定の場合では、理事者側がたとえそう言っても、もしそういう集まりを時間内に持てば、交渉委員だけは賃金はカットされないけれども、執行委員のほうは全部カットだというようなことも起こり得るのではないかと思います。この点は理事者側がかってにいついかなる場合でもというわけにはあるいはいかぬかもしれませんけれども、ある程度の制限をつけた形で、任免権者の都合において限定をした場合とか、あるいは人事委員会がきめた場合とか、そういうようなゆとりでもいいが、何かゆとりを置いておかなければ、取り扱い上非常に困る場合が現実に出てくるのではないか、こういうことです。どうでしょうか。
  112. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 今回私どもが示しました準則の考え方は、先ほど申し上げたとおりでございますが、このことは、従来もたてまえとしてはそういうことであったと思うのでございます。それから現在の国家公務員法の関係におきましても、そういう一つのけじめをつけておるわけでございまするし、また先ほどお尋ねのございましたように、地方公営企業職員の場合におきましても、労働組合法の一つのルールがあるわけでございますし、そういうようなものをここでただ確認をいたしたにすぎないわけでございます。実際運用にあたりまして多少ぎくしゃくした問題の起こることもあろうかと思います。これも、従来もそうであったかと思いまするけれども、たてまえをきちんといたしました上で、個々の問題についてお互いに常識をもってこれの運用に当たるということは、いかなる場合におきましてもあり得ることと思います。ただ、私どもとしては、この法律規定が、今回改正法に定められました趣旨をもちまして、この際きちんとルールははっきり確立しておきたい、かような考えを持っておる次第でございます。
  113. 安井吉典

    ○安井委員 この問題についてはルールを確立しておきたい、側々の場合はお互いの常識をもって当たることもできないではないというくらいまでの御答弁しかきょうのところはいただけないわけでございますが、時間も過ぎておりますので、きょうはこのくらいにして、あとは次の機会に譲りたいと思います。
  114. 岡崎英城

    岡崎委員長 華山親義君。
  115. 華山親義

    ○華山委員 簡単に一言だけ伺っておきます。  国における人事院は政府に対しまして独立的なものであって、組織とか人事は別でございますが、職能においては独立的なものでございます。府県における人事委員会は府県知事に対してどういうような地位を持つものでございますか、伺っておきたい。
  116. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 府県の人事委員会地方公共団体の長に対する関係は、国の人事院の内閣に対する関係と大体同様のたてまえになっておるものと理解いたしております。
  117. 華山親義

    ○華山委員 したがって、自治省は人事委員会に対してああいうことをしろ、こういうことをしろというふうなことを言うのはおかしいじゃございませんか。今度の場合はそういう気持ちがいたしますが、その法律的な関係はどうなんですか。
  118. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 人事委員会がそういう自主的な独立機関でございますから、自治省といたしましてこれに干渉がましいことをすることはいたすべきでないということは、お説のとおりでございます。ただ、地方公務員法の第五十九条の規定に「自治省は、地方公共団体の人事行政がこの法律によって確立される地方公務員制度原則に沿って運営されるように協力し、及び技術的助言をすることができる。」という規定がございますので、今回の管理職の範囲を人事委員会が定めるにあたりましても、一つの技術的な助言といたしまして参考例を示そう、こういうことでございます。特に人事委員会に不利益処分等の問題が起こりましたときの判断につきましては、私どもはこれについて容喙するというようなことはいたすべきでないというように考えておるわけでございますが、このような一つの準則をつくるというようなことについての技術的助言、これは、必要なことはやはりやってしかるべきであろうという考え方に立っておるわけでございます。
  119. 華山親義

    ○華山委員 それにしては今度の通達は少しこまか過ぎやしませんか。これは助言でしょう。何か聞かれたときに教えてやるとか、お前のところはおかしいぞ、こういうことなら助言になりましょうが、今度の通達はまるで金縛りにするような通達だ。私はこれは人事委員会の独立性というものを自治省が――知事ができないのですから、知事に対するものであるならばまた別ですけれども、行き過ぎじゃないか。私は、今度の通達というものは行き過ぎなような気がします。どうですか。それですから、大体のところ、これでいろんな質問でもあるなら教えてやろうとか、そういうふうな程度のものであって、今度のような微に入り細にわたるような通達は私は過ぎたるものである、自治省の権限を越えているものじゃないか、こういうふうな気持がいたしますけれども、御所見どうですか。
  120. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 この通達は知事あてのものでございますので、必ずしも人事委員会の権限に関係のない事項も含めてございます。なお、人事委員会にもこれの趣旨を知事から連絡をしてもらうということを期待をいたしておりますが、ただ、先生のお尋ねになりました点でございますが、人事委員会地方公共団体の長に対しては独立の権限を持ったものでございますが、自治省の協力、助言というのは、地方団体の長側に立って人事委員会にどうこうということではございませんで、まあ例がいいかどうかわかりませんが、いわば人事院が各省大臣に対していろいろ意見を申すというようなこともあることでございますが、そういういわば地方団体の長の立場でなくて法律制度を主管する、また別の立場でその法律制度趣旨がよく徹底するようにというようなことでやるわけでございますから、私は今回のような場合におきましては、各地方公共団体が非常にばらばらになるということもいかがかと思うわけでございますし、実はこの問題については人事委員会の連合会で相当いろいろ研究をされております。その御意見も十分拝聴をしながら私どもの参考案をつくっておるわけでございますので、先生の御懸念のあるような点はないというふうに考えておるわけでございます。
  121. 華山親義

    ○華山委員 たいへん不満足でございまして、私は法律趣旨の上から、そういうふうな自治省が独立的な権限を持つところの人事委員会を拘束するような、ただ準則的なものでなくて、微に入り細にわたるようなことを指示するのはどうか、こういう意味でございまして、私はたいへん不満でございますが、保留いたしまして、またお聞きいたします。
  122. 岡崎英城

    岡崎委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会      ――――◇―――――