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重盛委員 あなたはドヤイヤー勧告は別のものだとおっしゃる。これは大きな間違いだが、それは一応そのように聞いておきましょう。しかし、労使間の信頼性がないということは、これはもうドライヤー勧告の中で一番大きな筋ですね。これはこの
事業に当てはまらぬということではありまんけれ
ども、労働
関係はいまから別に
説明します。労使間の
関係をよりよくしなければならぬということは、むしろほんとうに利潤を追求するというか、金をもうけていくのだという
事業でなくて、
公営企業というようなところでより模範的なものを示していく、そうして民間
企業も金もうけだけを
考えないで、国民全体の生活、国情、文化的な
国家のあり方、そういうものを考慮の中に入れながら、みにくい戦いはしないでやっていけというものをこういう
部面から押し出していくということでなければならぬ。非常に失礼な
言い方でありますが、若干の
赤字を克服するために簡単にこんなような案をお出しになったと思う。出さぬよりはあるいはましであるかもしれない。出していただいたことのためにいろいろの事情がわかってくるということもたいへん効果があったように私は
考える。そういう
部面は別としても、ドライヤー勧告におけるところの労使間の
関係というものは、もう少し煮詰めてお
考えになっておく必要があるのではないかと思います。これは御
答弁はなくてもよろしいです。
それからいま触れたことに
関係しますが、民間
企業の賃金は一般的に低いとされており、それに見習えという。私はこれは低くはないと思う。低いというからそれに見習えというのは
——先ほど言った生活給であるとかなんとかいうことは別ですよ、年功の古い人で、苦労して年功のあるというのは別にして、もしこっちが商いというならばそのデータをお出し願いたいし、そうでなければ、何もかも賃金を引き上げてそれに見習えということで、賃金引き上げということになっていきます。これもひとつよく
考えてもらわなければならぬ。
地方公営企業に従事する職員も
地方公務員と変わりがないと言いながら、賃金体系について一般公務員といま差別しようとしておる。どうしても差別されるのです。これは労働協約締結権を含む
地方公営企業労働者の労働基本権が全く否定されてしまうという結果になると思う。あなたはたいへんいいことをさっき言った。従来の慣行をくずす必要はない、もっとも従来の慣行も正しい形ではないと言ったが、なかなか抜け道はじょうずで、従来の慣行でよろしいならよろしいだけでけっこうなんであります。よけいなことを言ってくれなくてもけっこうでありますが、知り過ぎていてかえってまずい結果になった。あなたがそういう
考え方であるとするならば非常に危険なんです。従来の慣行でいい、これだけおっしゃればいい。従来の慣行も基本的に正しいものではないような
言い方をする。私
どもは
労働者だから
——私自身は
労働者であるかないかは別として、
労働者の
立場から都合のいいようにというようなことではないのです。いまの
日本の
労働者はだれ一人として
——中には例外はありますよ。あるが、みずからの
事業を繁栄させて、その中でみずからが生きていく、生活をしていく、そういう
考え方を持たないような者は
日本民族の中にはもうおりませんよ。遊んでいてもいいから、時間がたてば金だけもらえばいいということになったら、どんなに大きな独占
資本さんでもつぶれてしまう。そんな
考え方を持つ者は一人もいない。だから、協力すべきものは協力をし、やるべき責任は遂行しながら、なお当然の権利として生活は確保していきたいというのが
一つの
考え方になっておるわけです。だから、いまのようなことでいくと、
赤字になった、
赤字になったのはまるで従業員がよけい金を取っていったから
赤字になっていったことに押しつけられようとしておりますが、こういう問題に対して
一体どのように
考えますか。具体的にいえば、
地方公営企業に限らず現在の公務員
制度の問題にもなるわけです。現在、御承知のとおり人事院で民間
企業の賃金を基礎にして勧告を出しておる。この間も五現業に民間の私鉄のやつを
基準にして勧告が出ておるわけですね。諸種の
条件を加味して幾分差し引いたが、いままで民間
企業の賃金を基礎にして出してくる。しかしそれはそれなりに出してこないです。だから、ここでいう、民間
企業に見習え、見習えというけれ
ども、民間
企業よりはむしろ低い。低いから、民間
企業を基礎にして、いろいろな
条件をつけて幾らかそれより差し引いた残りが人事院勧告としてあらわれる中身ですね。しかも、民間
企業の賃金と一口に言っても、やはり現状がストライキを背景とした労使間の力
関係できまるものであるから、交通の場合を取り上げてみると、同種の民間
企業といえば、一部を除いて私鉄総連に加盟しているわけです。そのために、日常組合員に対する風当たりも強く、賃上げのときも、これは必ずストライキ権を
確立し、ストライキをやっていく。こういう場合、
公営企業は何が何でも賃上げができない、こういうことになる。そこで
考えることは、ストライキ権のある各組合の内部としては、ストライキ権が
確立できないというような問題が残るかもしれない。しかし、
地方公営企業の
労働者は、直接その問題に触れられずに、その
影響を受けることになるわけだ。
自分の賃金が
自分たちで解決できない不合理な点についてあらためてどうしていくか、これだけはひとつ
答弁をしておいてください。