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1966-05-24 第51回国会 衆議院 地方行政委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十四日(火曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 岡崎 英城君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君    理事 秋山 徳雄君 理事 華山 親義君       亀山 孝一君    島村 一郎君       周東 英雄君    田村 良平君       登坂重次郎君    藤田 義光君       村上  勇君    村山 達雄君       山崎  巖君    井手 以誠君       重盛 寿治君    島上善五郎君       安井 吉典君    門司  亮君       吉田 賢一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 永山 忠則君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁保安局         長)      今竹 義一君         自治政務次官  大西 正男君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         厚生事務官         (環境衛生局環         境衛生課長)  柳瀬 孝吉君         建 設 技 官         (住宅局建築指         導課長)    三宅 俊治君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 五月十八日  委員森下元晴君辞任につき、その補欠として重  政誠之君が議長指名委員に選任された。 同日  委員重政誠之辞任につき、その補欠として森  下元晴君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員纐纈彌三君辞任につき、その補欠として田  中六助君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十六日  地方公営企業確立に関する請願小松幹君紹  介)(第四四五三号)  同外一件(小林進紹介)(第四四五四号)  同外一件(阪上安太郎紹介)(第四四五五  号)  同(島上善五郎紹介)(第四四五六号)  同(藤田高敏紹介)(第四四五七号)  同(八木昇紹介)(第四四五八号)  同(森義視紹介)(第四四五九号)  同(赤路友藏紹介)(第四五一〇号)  同(卜部政巳紹介)(第四五一一号)  同(大出俊紹介)(第四五一二号)  同(大村邦夫紹介)(第四五一三号)  同(沢田政治紹介)(第四五一四号)  同(重盛寿治紹介)(第四五一五号)  同(田口誠治紹介)(第四五一六号)  公立学校共済組合に対する国庫負担増額に関す  る請願池田清志紹介)(第四四七二号)  風俗営業等取締法等の一部改正に関する請願(  馬場元治紹介)(第四四八六号)  同(中村高一君紹介)(第四五九八号)  同(帆足計紹介)(第四五九九号)  同(金子一平紹介)(第四六一八号)  同(三木武夫紹介)(第四六四一号)  戦傷病者に対する地方税減免に関する請願(  原健三郎紹介)(第四五一七号)  同(赤澤正道紹介)(第四六四二号)  同(仮谷忠男紹介)(第四六四三号)  消火弾簡易消火用具として採用に関する請願  (門司亮紹介)(第四五九六号)  家庭用消火器具規制に関する請願門司亮君紹  介)(第四五九七号) 同月二十日  戦傷病者に対する地方税減免に関する請願(  今松治郎紹介)(第四七一八号)  同(臼井莊一君紹介)(第四七一九号)  同(小川半次紹介)(第四七二〇号)  同(砂田重民紹介)(第四七二一号)  同(砂原格紹介)(第四七九四号)  同(西村直己紹介)(第四七九五号)  同(粟山秀紹介)(第四七九六号)  同(小沢辰男紹介)(第四八五四号)  同(亀山孝一紹介)(第四八五五号)  地方公営企業確立に関する請願卜部政巳君  紹介)(第四七九七号)  同外二件(五島虎雄紹介)(第四七九八号)  同(中村重光紹介)(第四七九九号)  同(卜部政巳紹介)(第四八五三号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案に関する請願池田清志紹介)(第四八  三六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一〇七号)  地方公営企業法の一部を改正する法律案安井  吉典君外九名提出衆法第三八号)  地方公営企業財政再建促進特別措置法案安井  吉典君外九名提出衆法第三九号)  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  安井吉典君外九名提出衆法第四〇号)  小委員長からの報告聴取      ————◇—————
  2. 岡崎英城

    岡崎委員長 これより会議を開きます。  この際、風俗営業等に関する調査小委員長から、小委員会調査経過及び結果について報告いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。風俗営業等に関する調査小委員長亀山孝一君。
  3. 亀山孝一

    亀山委員 風俗営業等に関する調査小委員会調査の結果につきまして御報告申し上げます。   本小委員会は、風俗に関する法制の整備および運用の適正を期することを目的として第四十六回国会に設置されまして以来、第五十回国会を除き、今国会に至るまで毎国会設置され、その間、警察庁および厚生省等関係当局者を招き、小委員会はもとより懇談会をも開くなど、慎重に調査を重ねて参りました。   とくに、第四十六回国会におきましては、本問題の重要性にかんがみ、国政調査の一環として、閉会中、大阪市において、風俗営業等に関する現地調査会を開き、実態調査のほか、ひろく世論にきくため、大阪市立大学教授原龍之助君ほか関係業者をふくめ八名の方々から意見をきき、帰京後は、再び東京において明治大学教授和田英夫君ほか関係業者をふくめ六名の参考人を招いてその意見を聴取いたしました。   今国会に入りましてからも、三月三日には社会党から提示された個室付トルコ風呂営業風俗営業として加える旨の「風俗営業等取締法の一部を改正する法律案」について討議し、三月七日には、風俗営業等規則の諸問題につきましてとくに衆・参両院婦人議員有志方々懇談会を開き、四月十九日には、トルコ風呂ヌードスタジオおよびストリップ劇場実情調査するため三班にわかれて都内視察を行なうなど熱心に調査を進めて参りました。  そもそも風俗営業等取締法は、条文こそ僅か八条にすぎませんけれども、法の規制対象とするところたるや、まことに複雑広汎でありまして、常に法の予想しない新たな問題が社会の変遷とともに生起し、法解釈上はもちろん法体系の上からも多くの問題をふくんでいるのであります。  このため、過ぐる第四十六回国会における風俗営業等取締法の一部改正におきましても、政府風俗営業等に対してさらに有効適切な取締りが可能となるよう、法の運用を徹底することはもちろん、現行法体系の欠陥を根本的に再検討する等全般的に整備するとともに風紀上、法律上に問題の多いトルコ風呂ヌードスタジオボウリング場等営業規制についても現行法令改正等によりすみやかに抜本的な対策確立してその実効を期すべき旨の附帯決議が付されているのでありまして、本小委員会も、この附帯決議趣旨に沿うよう調査を進めてきたのであります。  以下、論議の行なわれた主な点の経過につきまして私より総括して申し上げます。  まず、最も論議の集中したトルコ風呂営業より申し上げます。  風俗上、法律上に問題の多いトルコ風呂は、公衆浴場法によって、特殊浴場としての許可を受ける営業でありますが、これらのトルコ風呂営業におきましては、浴室の中で客にいかがわしいサービスが行なわれ、または売春が行なわれている等の事例が多いため、世間からは、この種営業に対して「売春防止法施行によって姿を消した娼家の変形である」などと、きわめてきびしい批判が行なわれております。  売春防止法全面施行となりましたのは昭和三十三年でありますが、これらの世の批判を裏書きするかのように、トルコ風呂およびミストルコの数は昭和三十四年六月、トルコ風呂一〇〇軒、ミストルコ一、一一三名であったものが、三十九年一月にはトルコ風呂三九〇軒、ミストルコ七、二〇三名、昭和四十年八月にはトルコ風呂五四四軒と、うなぎ昇りに増加してきているばかりでなく、風俗事犯の面からみましても、警察庁が昨年八月から九月にかけてトルコ風呂営業者の一斉取締りを行なったところによれば、全国五四四カ所のトルコ風呂営業所のうち、その約四分の一にあたる一三六カ所において違反行為が認められ、二五八名のものが各種法令違反被疑者として検挙されている実情であります。  その違反内容の主なものを申し上げますと、児童福祉法違反が一五〇名、管理売春売春場所提供など売春防止法違反が一五名、職業安定法違反が七四名となっております。  さらに法律上、最も論議の多いミストルコサービス内容についていえば、売春およびいわゆるスペシャルサービスの行なわれていると認められるものが半数をしめて七〇軒(五一%)、とくにスペシャルサービスに、至っては、検挙された営業所のほとんど全部において行なわれている有様であります。  しかも検挙された一三六営業所に働くミストルコ二、九一九名のうち、二〇才未満のものが六四六名で、このうちその八七%にあたる五六五名のものが淫行をさせられたり、あるいは違法に募集されたものでありました。  トルコ風呂につきましては、個室内で“風紀”を乱すことがないようにするため、東京都および埼玉県等では公衆浴場法第三条にもとづく条例に所要の規定を設けており、条例のないところでも内規あるいは指導要領等によって個室内の見通しができる措置をとっているのでありますが、検挙営業者の一三六軒のうち、“見通し窓”が設けられ、しかもその窓から個室内を見通すことができるような状態にあったものは、僅かに一七軒だけであります。その上、個室内には“施錠設備”をしてはならないよう指導が行なわれているにもかかわらず、一八軒のトルコ風呂において個室施錠のあることが判明しております。  しかし、条例によって“見通し窓”の設置を義務づけ、施錠設備制限している東京都ならびに埼玉県内におきましては、窓の設けられていないもの、および施錠設備のあるトルコ風呂はみられなかったのであります。  トルコ風呂営業につきましては、委員各位からも多くの有益な御意見がございましたが、ただいま述べました実態からも判断されますように、きわめて問題のある営業でありまして、これを風俗営業として警察の監督の下におくか否かはともかく、トルコ風呂営業に対しては、風俗的見地からの法的規制の強化が強く望まれるところであります。  そこで、さしあたり考えられますことは、現にトルコ風呂は、公衆浴場法によって特殊浴場としての許可を受けており、問題の“風紀”につきましても、公衆浴場法第三条にもとづき、去る昭和三十九年五月十二日、厚生省環境衛生局長より都道府県知事あてに、「公衆浴場における風紀について」の通達が出され、その通達の中で、とくにトルコ風呂について講ずべき措置基準が明示されているのでありまして、これに基づき、東京都や埼玉県などでは条例改正されている状況であります。  したがいまして、制限具体的内容については限度があるといたしましても、トルコ風呂における風紀を害する行為を防止するための必要な制限を、都道府県条例によって定めることができることは明らかと存じますので、トルコ風呂営業に対する風俗的見地からの法的規制につきましては、この際、現行公衆浴場法改正して、トルコ風呂営業者または従業者が、トルコ風呂営業に関して、売春わいせつその他の風俗犯罪を犯した場合には、営業許可の取消し、もしくは営業停止処分ができるようにすること。  さらに、これとの関連において、当然に、風俗犯罪を犯して営業許可を取り消された者や、風俗犯罪を犯して刑に処せられた者に対しては、一定期間公衆浴場許可を与えないようにすること。また、風俗環境浄化ならびに地域環境保持観点から学校周辺その他、教育環境上、および善良風俗保持上必要な場所におきましては、トルコ風呂営業を営むことを制限することができるようにすることが適当ではなかろうかと存ずるのであります。  そのほか、効果的な規制を可能にする方法としては公衆浴場法の第三条にもとづく条例違反に対して罰則を設けることも考えられてしかるべきものと存じます。  次にヌードスタジオについて申し上げます。  ヌードスタジオにつきましては、興行場法によって正規の許可を受けているものと、ヌードスタジオという文字どおり一人なり二人なりのモデル写真愛好家が集って共通に撮すという純粋に芸術的なもの(これは許可不要)と、そのいずれにも入らないいわゆるヌードスタジオの三つがあり、最後のいわゆるヌードスタジオ、すなわち一定入場料をとって、モデルの裸体を客に見せることを主な目的としているものにつきましては“風紀上”の問題として警察一般刑法にてらし、取締りを行なってきております。  このヌードスタジオが、トルコ風呂営業と同様に、善良風俗保持および社会環境浄化観点からみまして多くの問題をもっておりますことはこと新しく申し上げるまでもないところであります。  警察庁調査によれば、昭和四十年八月末のヌードスタジオ全国総数は二〇〇軒で、ここに働いているヌードモデルは約四〇〇名となっておりますが、そのうち興行場法許可を受けているのは半数以下の九六軒だけで、あとの一〇四軒は無許可営業を行なっていることが判明しております。  さらに、警察庁が昨年八月二十二日から同月二十八日までの一週間にわたってストリップ劇場およびヌードスタジオ全国一斉取締りを行なったところによりますと、ヌードスタジオについては、二〇〇軒のうち、その三四%にあたる六八軒で造反行為が認められ、公然わいせつ罪などによって、二三名が検挙されております。  また、ストリップ劇場におきましても、三一三軒のうち、その二九%にあたる九〇軒で違反行為が認められ、公然わいせつ罪などによって三八四名のものが検挙されているという実情であります。  ヌードスタジオおよびストリップ劇場は、ともに興行場法第一条にいう興行場に該当するものであり、営業者は同法第二条にもとづき都道府県知事許可を受けなければならないものとされております。しかし、いわゆるヌードスタジオについては、先に述べましたように現実に許可を受けている者はごく一部にすぎず、大部分の業者は無許可営業をしているのが実情であります。  その理由は、都道府県庁主務課が、ヌードスタジオ興行場許可を与えることは、このように問題の多い営業知事が公認するような結果を招くことになって好ましくない。また、入場者衛生を重視する興行場法立場からすれば、ヌードスタジオ興行場と見ることは常識に合わない——との観点から結局放任されていることにもとづくもののようであります。  このように、風俗的見地からとかく問題の多い興行場営業に対し、興行場法はもっぱら公衆衛生見地から興行場規制しているにとどまるため、たとえ興行場営業者が、売春わいせつ、その他の風俗事犯を犯した場合においてもこれに対し、何らの措置をも講ずることができない建前になっているのであります。  その上、ヌードスタジオ経営者あるいはモデル等の中には、過去に同様の違反によって数回検挙されているのにもかかわらずこれを繰り返す悪質の経営者等がおり、また、モデル踊り子、あるいは興行主興行場営業者が結託して違反を行なっていることが明らかな場合でも、モデル踊り子等が処罰された場合には、その罰金を営業者が負担するということで、営業者までその責任が及ばないよう工作をめぐらしているものが多く、その検挙を困難にしている実情であります。  したがいまして、現行法令活用によるだけではこの種営業における善良風俗保持することはむつかしく、ストリップ劇場とか、ヌードスタジオなどの興行場営業に対しては、風俗的見地からも規制できるようにすることが必要であると考えるのであります。  そこでさしあたりの対策といたしましては、この種営業半数近くが興行場法の適用を受けるものであり、残余のものにつきましても興行場法による許可対象となりうるものが多い状況にかんがみまして、現行興行場法改正し、ヌードスタジオまたはストリップ劇場営業者等が公然わいせつ等風俗犯罪を犯した場合には、興行場営業許可を取り消し、もしくは営業停止等処分ができるようにすること。また、ヌードスタジオまたはストリップ劇場を営もうとする者が風俗犯罪により処罰された場合等、一定欠格事由に該当する場合には不許可処分にすることができるようにすること。さらに、学校周辺その他、教育環境上および善良風俗保持上必要な場所では興行場営業を営むことを制限することができるようにすることが必要であると思うのであります。  次にボウリング場営業について申し上げます。  青少年非行化見地から弊害の著るしい深夜におけるボウリング場営業規制についても、多くの論議がかわされております。  ボウリング場に対しましては、法的規制を強くせよとの声が、かなり強かったのでありますが、その理由の主な点は、第一に、深夜にわたって営業をしていることが、少年非行を誘発し、住居地帯静穏を害していること、第二には、グループをつくってゲームを行なうため、賭の対象になるおそれがあること、第三には、青少年層に多くの愛好者をもつ遊戯でありながら、遊戯料金が比較的に高いため、いきおい、青少年遊戯料金をつくるために、犯罪に陥入るおそれがあることなどであります。  ボウリング場は、昭和三十九年初頭から増加し始め、同年二月に、全国総数僅かに五七軒であったものが、それから約一年後の四十年三月には、二二七軒、同年八月には、一七六軒、さらに、四十一年一月の全国的な実態調査では、二一九軒と急激に増えてきております。その中、東京は、四三軒、大阪は二〇軒であります。  ボウリング場は、今後もかなりのスピードで増加してゆくことが予想されます。ボウリング場をめぐる問題は、とくに一部の大都会等にみられる特殊な問題、とりわけ営業時間を中心とした若干の問題にかぎられておりますが、警察庁では、青少年不良化防止を主な狙いとして (一) 午後十一時以降は、十八才未満の客を常業所に立入らせないこと。 (二) 営業時間は原則として、午後十二時までとすること。 (四) 賞品を客に提供しないこと。 の三点を中心として、これまで全国的に指導を行なってきておりまして、かなり、良好な成果をおさめているようであります。すなわち、四十年八月の全国的実態調査の結果によれば、総数一七六軒のうち、午後十一時以降の少年(十八才未満)の入場は、平日が総入場人員の二・五%、土曜日が二・一%でありまして、同年五月の実態調査に比較すると相当によくなっております。  また、問題の営業時間につきましては、午前〇時以降営業しているものは、平日は全体の八%、土曜日は三七%、日曜日一一%となっておりまして、行政指導趣旨は、おおむね守られており、これら深夜営業の終業時間は、五月の実態調査に比べてみると、かなり早くなってきております。  次に、賞品提供の点につきましては、賞品を全然提供しないもの、および時々トロフィーやカップ等を提供するだけで、行政指導に従っているものが、全体の七六%、行政指導に従わず、時々、賞品を提供しているものが、二四%となっておりまして、これまた、四十年五月の調査に比較しますと、行政指導の効果がはっきりうかがわれるのであります。  上に述べて参りましたごとく、警察当局による行政指導、すなわち、(一)午後十二時以降は、営業しないこと。(二)午後十一時以降は十八才未満の者を入場させないこと。(三)賞品は提供しないことを主眼とする行政指導は、今日、関係業者積極的協力による自主規制と相俟ちまして実効をおさめ、最近のボウリング営業は、以前に比較しますと非常に健全化し、現段階では、ボウリング営業に対して新たに、法的規制を加える必要はないものと考えられます。  そこで、今後の措置といたしましては住居地静穏保持するため、住居地内におけるボウリング場建築制限ができるように建築基準法改正することが、さしあたり、とるべき措置として考えられるのであります。  以上の措置がとられますならば、ボウリング場による弊害も最小限に止めることができ、一般の要望にもこたえることができると信ずるのであります。  最後に、これまた論議の少なくない深夜映画興行について申し上げます。深夜映画青少年健全育成映画内容不健全性見地からみまして問題のあることはあらためて申し上げるまでもないところと存じます。  深夜映画は、もともと最近における映画産業不振の打開策の一つとして興行が行なわれ始めたものでありますが、昨年七月の警察庁調査によれば、全国約四、七〇〇の映画館のうち午後十一時以降に興行を行なっている深夜映画館は一、四三〇館に及んでいる状況であります。  少年入場状況はどうかと申しますと、同年七月十七日(土曜日)に深夜興行を行なっている五三四館について警察庁全国一斉補導を実施したところによれば、午後十一時以降入場していた十八才未満少年は三、四四六名で、当日の総入場人員の三・一%をしめております。  しかし、現状におきましては関係当局による行政指導青少年に対する補導の重点的な実施ならびに十八才未満の客を立ち入らせないよう申し合せた営業者自主規制によりまして、少年入場者は漸減しており、著しい弊害は認められない状況であります。  したがって、深夜映画に対する当面の対策といたしましては、さしあたり業者が深夜興行を続けて行なう場合には業者自主規制がさらに徹底するよう関係当局において指導を強化するとともに、青少年保護育成条例等運用あるいは映倫の審査によって実効を期すべきであると考えるのであります。  もちろん、深夜興行に対する規制が必要とあれば法的規制を行なうべきことは申すまでもありません。  なお、深夜映画に関連しましてこの際とくに言及しておきたいと思いますのは映画演劇等不良有害広告物低俗週刊誌等規制についてであります。  先般、風俗営業等都内視察を行ないましたさいにも浅草六区その他におきまして強く感じたのでありますが、映画演劇等広告物の中には青少年の健全な育成をねがう立場からみまして日にあまる有害広告物が数多くみられたのであります。  警察庁が昨年十一月上旬中央青少年問題協議会と連絡し、一週間にわたって実情調査ならびに取締りを行なったところによれば、この期間中に警察において有害広告物と認めて関係機関へ連絡した数は、映画ポスター七六七、映画ストリップ等スチール写真七二六、映画看板一八二、映画以外の看板五六種等延一、七七〇極数に及んでおります。また、青少年保護条例等違反で一三人の者が検挙されているのであります。   現在、有害広告物に対する法的規制といたしましては、二八都道府県で制定されております青少年保護条例(ただし香川県を除く。)のほか児童福祉法および刑法、軽犯罪法ならびに屋外広告物法関係規定があり、これらの活用によりまして当面措置されている実情であります。   なお、この有害広告物と同様に、青少年保護育成上および善良なる風俗保持する上からみのがすことができないのは低俗週刊誌等不良出版物の氾濫であります。   このような青少年に有害な不良広告物低俗出版物は今日増えこそすれ、些かも減るきざしを見せていないのでありまして、国の次代を担う青少年の健全な育成を願う立場から憂慮にたえないところであります。   すでに政府におきましては、青少年指導育成、保護等に関する基本的かつ総合的な施策にあたる機関として総理府に青少年局も発足したことでございますし、さらに実効ある措置がとられますよう関係当局の善処を要望いたします。   以上、主としてトルコ風呂ヌードスタジオボウリング場営業風俗上問題の多い営業実態と考えらるべき対策について申し述べて参りましたが、関係当局におかれましても、問題の緊要性にかんがみ、早急に所要の対策を講ぜられるよう希望いたします。  これをもちまして小委員会の御報告を終ります。
  4. 岡崎英城

    岡崎委員長 ただいまの小委員長報告を了承することとし、所要の対策につきましては今後理事会において検討することといたしたいと存じます。      ————◇—————
  5. 岡崎英城

    岡崎委員長 次に、内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案安井吉典君外九名提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案地方公営企業財政再建促進特別措置法案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、以上の四案を一括して議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。重盛寿治君。
  6. 重盛壽治

    重盛委員 地方公営企業法の一部を改正する法律案につきまして、私はこの法律案改正することに基本的には賛成であります。しかしその改正とは、公営企業の現実に即した改正でなければならぬ。交通、水道を中心といたしまする公営企業全般にわたってはいまや重大な危機に直面をしておるといわなければならぬのであります。そういう観点から考えますならば、政府提案のこの地方公営企業法は全く時代逆行ともいうべきものではなかろうか、このような考えを持っておることを前提といたしまして、これから徐々にお尋ねをしたいと思います。  まず第一番にお尋ねしたいことは、公営企業とは一体どういう意味を持つものであるか、そしてどれだけの分野がこの中に含まれておるのか。もちろん旧公営企業法の中にはそのことはしるされてはおりまするけれども、特にこの際、公営企業の定義をどのように自治省はお考えになっておるのか。一度念のためにお伺いをしておきたいと思います。
  7. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 公営企業につきましては、法律上の文言といたしましては、地方公共団体の経営する企業ということになっておりまして、その詳細の定義につきましては法律上からは直接出てまいりません。しかし私どもといたしましては、地方公共団体の経営するものである、しかもそれは企業である、企業であるということは、やはり受益者負担の原則というものが原則として働くのだ、こういう考え方に立っておるわけでございます。しかしその中で公営企業法という法律を適用いたしまして、法律規制によって企業を経営していくというものになってまいりますと、その範囲はいろいろあるわけであります。旧法におきましては、その範囲を企業の種類によって、人数の大小によって規制をいたしておりました。しかしながら、企業経営の本質に基づいて経営を合理的にかつ能率的に運営してまいりますためには、むしろ人数による制限ではなくして、企業の種類によってこれを律するというほうが今日の段階におきましては適当ではなかろうかというように考えまして、この法作業では、水道、工業用水道、自動車運送、軌道、地方鉄道、電気、ガス、この七種類につきましては公営企業法の全面適用のものとする。ただしそのほかにも公営企業法の規定の中で適用をすべきものにつきましては、それぞれ地方団体の自主的な考え方に従って適用をしてもよろしい、こういう態度をとっております。
  8. 重盛壽治

    重盛委員 どういう経営方法でいくかというと、たとえば受益者負担ということだが、私はそういうことはまだお聞きをしないつもりでございます。しかし受益者負担ということをいま言っておりますが、これは、この法案をつくった当時はそういう考え方であったように考えるが、今日の現状でも受益者負担であるというようなことをお考えになっておるのかどうか。それから、だれが経営することが妥当であるのか、その点だけをひとつお聞きしておきます。
  9. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 やはり租税を財源として仕事をいたしてまいりまするものと、そうでないものに財源を求めて仕事をしていくもの、つまり受益者負担というのを別途に求めて仕事をしてまいるものというように、地方公共団体の行ないます仕事の中でも種類があると思うのであります。この公営企業なるものはまさに租税以外の財源、つまりその事業の提供するサービスによって受益をする者の負担において財源を求めまして事業をやっていくことになるというように考えておるわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたように受益者負担を原則とするというふうに申し上げたのであります。
  10. 重盛壽治

    重盛委員 経営の主体は……。
  11. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 経営の主体は、やはり地方公共団体の行なうものでありまして、したがって地方公共団体が経営の主体ということになるわけでございまするが、ただ、その経営の主体という意味でございまするが、これは経営のしかたが関係をしてくる。したがって、直接経営する場合も公営企業でございますが、より広域に考えまするならば、地方公共団体が実体上の経営の主体であるけれども形式上は違うといったようなものも、広い意味におきましては地方公営企業の中に該当するように考えております。
  12. 重盛壽治

    重盛委員 この法案には、いまお話のあった公営企業の大体全般の、水道事業、工業用水道事業、軌道事業、自動車運送事業、地方鉄道事業、電気、ガス事業、これが入り、さらに病院が入っておると思っておったのであるが、私の間違いであるかもしれないが、そういうようになっておる。こういう形でいくと、いまの公営企業全般の形態をこの法律によってよりよい方向づけをしようということであるならば、この際、特に病院等は別途の法律にすべきではなかったか、こういうふうに考えるのだが、その点の考えを聞かしてもらいたい。
  13. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 病院につきましては若干性格が異なると思うのであります。広い意味では、やはり受益者負担を原則とするものでございますけれども、厳格にこの法律に律しまするところの公営企業というものとは若干性格が違うだろう。広い意味におきましては公営企業といえますけれども、この法律で強制適用いたします場合の企業の種類とは若干性格が違う。したがってこの法律では、病院事業につきましては財務規定だけを適用するという態度でございます。
  14. 重盛壽治

    重盛委員 三十九年度で公営企業の赤字が六百五十九億、約六百六十億と言われておるのですね。それが交通が七二%、水道が三二%、四十年度にこれは大体九百億くらいになるだろうと言われておるのですが、その数字が正しいのかどうか。それからさらに交通、水道以外の赤字の数字がわかるならば、それもあわせて説明を願いたいと思います。
  15. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 公営企業の赤字でございまするが、昭和三十九年度の決算では、累積欠損金が六百五十八億円、不良債務額が五百九十九億円であります。そのうち最も大きなものは交通事業であります。交通事業は三百五十七億一千三百万円、不良債務額が三百六十億でございます。その次に大きなものが水道でございまして、上水道が百三十七億円の累積欠損金で不良債務額が九十六億円であります。それから第三番目に赤字の大きいものは病院でございまして、これが累積欠損金が四十一億五千七百万円、不良債務額が九十六億六千七百万円になっております。それから工業用水道が累積欠損金が十三億、不良債務額が十四億というようになっております。したがいまして、全事業の累積欠損金六百五十八億円、約六百六十億円のうち大多数は交通事業、水道事業というものによって占められている。なかんずく交通事業が非常に大きなウエートを占めておると言えるかと思います。  なお、四十年度の決算につきましては、現存地方公共団体のまとめました資料につきまして点検集計中でございますが、ほぼお話しのようなかっこうになるんじゃなかろうかというように考えております。
  16. 重盛壽治

    重盛委員 その表はございますね。あとで表をちょうだいしてからさらに研究したいと思いますが、このように経済的、また基本的な制度改正、こういうものを一本の法律にすべきではなかった。個々においても、先ほど申し上げました病院その他は別途に扱うべきものであると思うが、それらが加えられ、しかも基本的な制度改正と当面の財政措置を一本の法律にした、この点に対して説明をすると同時に、これで処理できるかどうかということもつけ加えて報告を願いたいと思います。
  17. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 先般の参考人意見聴取の席におきましてもるる御意見がございまして、私どもの考え方は、公営企業の赤字処理の問題をどう考えるかという場合に、これを暫定的なものとして考えるべきか、あるいは恒久的なものとして考えるべきかという考え方は、やはりこれは恒久的な対策という形において考えるべきではなかろうかというふうに考えたのであります。それは企業でありますから常に企業危険はつきまといまして、一ぺん整理したら未来永劫赤字が出ないというようなものではなく、いついかなるときに赤字が出るかわからないのでありまして、そうなってまいりますると、過去における非常に大きな累積赤字をいまこの際始末するということと同時に、今後出るであろう赤字についてもどうするかという問題は、やはり同時に考えておかなきゃならぬ。この法案では、調査会の答申に基づきまして起債制限規定を置いておりますけれども、そういった規定はやはり恒久的なものでなければならぬというように考えまして、またその際に、将来出ました赤字について始末をする場合にはやはり再建方式というものをとっていかざるを得ないだろう、そうしますと、暫定的な措置といえどもやはり将来一つの恒久的な赤字処理方式として採用さるべきものじゃなかろうか。したがって、両者はその意味からいいましても不可分なものである。もう一つは、公営企業法の経営体制につきましての改正を行ないます場合に、それが前提となって過去の赤字の処理というものができるのでありまして、したがって、この両者というものを分けて扱うことはいかがなものであろうかといったようなことから、との法案ではこのようにしたのでございます。
  18. 重盛壽治

    重盛委員 そういうお考えだとすると、たいへんこの現状に即しておらぬ。そういう点はまたあとで説明を申し上げますが、ここでちょっとお聞きしたいことは、工業用水道に対して通産省と交渉した、その交渉経過と、自治省は工業用水道に対してどういう態度をもって臨んだのか、他の省との折衝で、はなはだ言いにくいという面があろうかと思うが、やはりここらで明確にしておかぬと、これからの審議の関係に非常な支障を来たすのではないか。もちろん経済企画庁との関係、運輸省との関係、多く問題があろうと思いますが、当面あらわれた、この中に入った工業用水道の関係を明確にしてもらいたい。
  19. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 工業用水道につきましてもこの法律は、公営企業として公営企業法を強制適用するんだというたてまえに相なっております。しかしながら再建をどうするかという問題で、通産省当局と意見を異にいたしました。私どもといたしましては、工業用水道といえども赤字を非常に出しておるものにつきましては、やはり問題があるのでありまして、早くこれを健全な姿に持っていきたいということで、再違法に乗るようにしたいということで、まあ話をしてみたわけでございますけれども、補助工業用水道につきましてはいろいろ問題があることが、折衝の過程を通じまして明らかになりました。それは工業用水道というものに対する今日の補助行政というもののあり方、それとこの改正法による負担制度、つまり一般会計と公営企業会計との経費の負担区分のあり方等々につきまして、かなり大きな問題があることが明らかになりました。したがって、その問題につきましては、通産省当局と私どもとの間におきまして、さらに早急に意見を詰めるということにいたしまして、この際は、補助工業用水道だけは再建規定の適用を保留する措置をとったのであります。決して私どもの気持ちからいたしますれば本意ではございませんけれども、問題があることも事実でございますので、このような措置をとらざるを得なかったのが真相でございます。
  20. 重盛壽治

    重盛委員 まだ問題が残っておるが、あとでこの点は、できれば関係省と一緒においでになったときにお聞かせを願いたい、こう思っています。  そこで、原則的にちょっとお聞きしておきたいことは、この法案の基礎は、大体制度調査会の答申にその根拠がある、このように私は思うのですが、その点いかがですか。
  21. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 原則としては、公営企業制度調査会を設けまして御審議をわずらわしましたのも、こういったような措置をとるために御意見を聞くことでございました。したがって、お話しのように地方公営企業制度調査会からいただきました答申を基礎にいたしまして立案をいたしたものであります。
  22. 重盛壽治

    重盛委員 制度調査会の答申は、経営の危機、すなわち企業の赤字の原因についてきわめて皮相な見方をしている。率直に言うならば、もう少し突っ込んで研究すべき重大な点が私は見落とされているように思う。悪口を言うわけではないが、故意に重要なことを見落としているんではないか、こんなように思われる点があるのですが、こういう点に対する、柴田さんの考えでなくて、自治大臣の見解を一ぺん聞いておきたいのです。大臣ひとつ答弁してください。
  23. 永山忠則

    ○永山国務大臣 制度調査会の答申につきましては、あらゆる角度から検討をされまして、ほぼ適正な答申を得ておると考えておる次第でございます。
  24. 重盛壽治

    重盛委員 どうもいまの答弁では、よく私にもわからないが、私の聞き方が悪かったかもしれぬ。  それでは私のほうから若干見解を申し述べてみましょう。これは答申の内容です。経営の悪化、すなわち経営赤字の一般的な理由として四点を大体あげています。それは「人件費、物件費等の増嵩により原価が急速に上昇してきたこと、」いわゆる人件費や物が上がった。非常に物が上がったから赤字になってくるということである。「とくに水道事業、地下鉄事業等に顕著にみられるように、社会的要請に対応して急激に巨額の建設投資を余儀なくされ、このため資本費の増嵩が企業経営に大きな負担となってきたこと、」「これら原価の上昇に対応して料金の改訂を行なう段階に立ち至った企業にあっても国の公共料金抑制策等の制約により適正な改訂が遅れがちであったこと」、「全般的に経営の合理化が不徹底であったこと」「これらの事態は、制度の運営面に根差すものも少なくないが、基本的には管理体制、給与制度、料金の決定方法等現行地方公営企業の制度そのものが時代の進展に沿わなくなったり、制度にひそむ欠陥が露呈されてきた」のである、こう言っておるわけです。これはことさらに当たっていただかなくてもいいのですが、答申案の内容の一部ですからおわかりだと思います。この答申の見方を私は全部否定するものではない。一部は正しい判断もしておる。しかし全体的にはあまりにも皮相であると言わざるを得ない。赤字原因の本質を追及したりあるいは明確に解明したりしておらぬ。こういうことが故意に重要な事柄を見落としているのではないかとさえ考えられると先ほど私は申し上げた。たいへん御苦労を願って一つの案をお出しを願ったのに、そういう言い方はどうかと思うのだが、そこで経営赤字の原因について、さらに私の見解を、人さまのものを悪口を言うばかりでは相すまぬから若干申し上げてみますからお聞きを願いたい。  赤字の原因の一番大きな根源は、何といっても政府の高度経済成長政策にある。これは一言ではなかなか困難でありましょうが、もうすでにこのことは長い間の政策でありますから、十分に皆さんが御承知だと思う。それは国際競争力を高めるために資本蓄積が異常なほどに要請された。その結果、国や地方自治体の行財政は産業基盤、施設の整備に奉仕させられてきた。そのためには住民の生活に直接結びつく公営企業は余儀なく収益事業化をさせられてきた。いわゆる独立採算制がきびしく要求され、そのことのために赤字が極端に表面化してきた。さらに産業の都市集中は、貧困な都市政策と相まって過密都市をつくり上げてしまった。水不足あるいは交通難、路面交通の混雑等をはじめ、新しい多くの都市問題を引き起こしておるが、これらがすべて企業経営の上に大きな障害となって、これが赤字の原因となっている。一言で言い尽くせないが、これがまず何といっても一番大きな理由。そして地域住民やその代表である地方議会の要請にこたえて、都市交通のごときは、路線の開発や運行をするため、いわゆる不採算路線の運行が行なわれておる。これは御承知のように俗に言う政治路線と称するものである。そのことの是非は別といたしまして、現実に行なわれておる。資本をすべて起債に求めるという地方公営企業の財政の仕組みから、元利償還の負担が非常に過重になっておる。特に支払い利息が日を追うて増加し、困難の上にさらに拍車を加えておる。また公共負担が独立採算制のワクの中で行なわれておる。先ほどあなたは、いわゆる受益者負担と言っておった。この公営交通事業を見ても、路面電車の軌道はいまや全く公道化しておるじゃないですか。もとは、独立採算が成り立った時代には、電車はたとえば専用軌道としておる。しかしこれはもうすでに都市の実態からいくと公道化され、その維持修繕費の負担が正しく行なわれていない。もしこれらがほんとうに独立採算制をやっていかなければならぬというならば、この道路の補修費というようなものは、言うならば当然建設部門で負担をしていかなければならぬものではなかろうか。また料金の面におきましても、独算制を前提とするからには、当然他の面で負担すべき性格のものがたくさんある。通学割引あるいは失対割引、早朝割引というようなもの、あるいはまた身体障害者に対する割引等がみんな企業負担になっておる。もちろん私はこういうことが悪いと言うのではない。こういうことがあるから、これはより強化しなければならぬ。だからこそ独立採算制ではいかぬのじゃないか。こういう政府の政治的な欠陥からくる実情、あるいはまたほんとうに公共企業だからこそこれがやっていかれる、こういう姿をやはり十分に考えていかなければならぬ。公共料金が現状では完全に政策料金となっておる。それに対する国の責任ある処置がなされていない。これは都市交通におけるバス料金問題においてすでに具体的に示されておる。これは自治省でもかなり骨を折ってくれて、おととしあるいは昨年、三十九年度、四十年度ですか若干の手当てはしてもらったのだが、いずれにしても国の物価抑制政策によって、これまた私は料金を上げてよいと言うのではない、よいと言うのではないけれども、国が自分の政策から、地方の、しかも都市交通等に対して料金を値上げをしていけないというのならば、われわれの要請があろうがなかろうが、自治省が交渉しようがしまいが、当然これらは国庫が負担をしていくということが明確にされていかなければ、独立採算制はでき上がるわけはありません。  最後に、これらの問題を制度的に律している現行地方公営企業法の公共制と独立採算制とを両立させて、同時に求めているところに根本的な制度の矛盾があり、あやまちがあるのではないか、私はこのように考える。したがって経営悪化の要因、すなわち経営赤字の原因に対する私のいまの見解に対して、大臣、財政局長は一体どのようにお考えになっておるのか、この点をひとつお聞きをしたいと思います。
  25. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 重盛先生のお考えは、外部要因に基づく経営の困難という問題を無視して経営内部の問題だけを取り上げるのはおかしいじゃないかという御趣旨かと拝聴いたしたのでございます。この答申は、経営赤字の原因につきまして、先ほど御披露なされましたようなことをうたっておりますけれども、答申全体をごらん願いますると、やはりそこには外部要因の問題が大きな問題としてあるということは答申も認識をしていると私は思うのでございます。たとえば末尾のところ等をごらん願いますと、「人口の過度集中、交通の過密化、住宅の無計画な建設などが地方公営企業の経営に大きな圧迫となっていることを思えば、」云々というくだりがございますけれども、やはりそういった外部要因が経営の合理的な運営を妨げてきた一つの原因であるということは答申も認めておると私は思うのでございます。しかし、考えてみますならば、やはり企業でございまするので、世の中が進歩してまいりますれば、それに即応した体制をとってまいるのは企業としてあたりまえではないか。たとえば路面電車をつかまえてみますると、世の中が非常に発達してきて交通が複雑化してまいりますれば、だんだん路面電車というものの行き方は変わってくるのであろう、そうなりますとやはり路面電車の行き方というものは別に考えていかなければならぬのじゃないか、つまり撤去という方向をたどっていくべきものじゃなかろうか、これは時代の大きな流れでございまして、その流れに抗して——原因は御指摘のように経済の発展あるいは過密都市といったような問題はございましょうけれども、しかしそういう大きな流れがあるところにおきましては、やはりそれに即応した企業のあり方というものを考えていくべきじゃなかろうかというふうに私は思うのでございます。したがって、路面電車にかわりまする代替交通機関の整備という方向に力を入れていくのは、これはあたりまえじゃなかろうか、それをしも、そのもとがけしからぬから今日の路面電車の運営をほっておいていいのだというわけにはまいらぬのじゃなかろうか、ややことばが過ぎるかもしれませんが、そういうぐあいに思うのでございます。したがって、私どもも外部要因というものにこの公営企業の経営の困難の一つの原因があることは認めるのにやぶさかではございません。しかし、かといって経営の合理化そのものを一日も怠ってよろしいというわけにもまいらぬのでございまして、今日の公営企業の経営自体が時代の進展に即さない部分がございますれば、これは一日も早く改めるのが当然ではなかろうかというふうに考えてまいったのでございます。したがって、そういう観点から、公営企業の経営体制その他の部面におきまして、実態に合わないものにつきましてはこれを改めようというような考え方からこの法案を立案したわけでございます。しかし御指摘のような問題は残されておるわけでございまして、さような問題はまた今後におきましてできるだけ解決するように、今後とも努力するつもりではございますけれども、ただ問題は、過密都市の問題一つ考えましても非常に大きな問題でございまして、そう一朝一夕に片づく問題ではございません。それが片づくまで待っておりますれば、それまでに公営企業はつぶれてしまいます。したがって、まず公営企業の範囲内でできることはこの際経営の合理化で持っていこう、基本問題の認識はあるわけでございますが、それは一朝一夕にできない、できるところからやる体制をとっていきたい、それが今日の苦境に立つ公営企業を将来どう発展させるかということについての一番大事なことであろうというふうに考えまして、本法案を立案した次第でございます。
  26. 永山忠則

    ○永山国務大臣 いま局長が答えましたとおりでございますが、お説のように赤字の原因については、重盛委員のおおむね言われました点で同感でございます。それゆえに受益者負担の関係はこれを薄らいでいいとか、あるいは経営の合理化は消極であってもいいということとは別だ、こう考えておるのでございまして、やはり公共性と経営の合理化と受益者負担との三者の総合調和をいたして経営の健全化を進めていって、そうして将来の安定をはかっていくということが必要であると考えて本法案を出したわけでございます。
  27. 重盛壽治

    重盛委員 どうも財政局長も、なかなか頭がよろしいのですが、この問題に関する限りは少し角度が、失礼だが違ってやしないか。それだけの外部要因があるのに、何で独立採算制を何でもかんでもやらなければならぬのか。その点がまずおかしい。  それから、私がまるで路面電車をいつまでも持っていなければならぬと言ったように話を聞いたかもしれないが、時代に即応して路面電車を撤去して地下鉄に移行しなければならぬということは、これはもう一番先から言っておる。だが、路面電車の撤去をし、これからあとで申し上げるが、地下鉄をつくっていくために、たとえば東京を例にとっても大阪を例にとっても、どれだけの費用とどれだけの困難が伴っているかということを考える場合に、それが独立採算制のワクの中でやれるかやれないかぐらいのことは、これまた地方自治体の中心におる財政局長としては考えてもらわなければならない。私は何かあなたと理論闘争をして勝ったとか負けたとかいうけちな考え方は毛頭ないのだが、いまのような時代にこんな法律を出すことこそが、公営企業を壊滅させるのですよ。出すならやはり踏み切って、思い切って時代に即応した、従来の方針を脱皮したものにしなければならない。それは自治省だけでは率直に言ってできない。運輸省も経済企画庁も、あるいはまたどこかから横やりが入ったとか入らぬとかいうさっきの通産省のような問題も、一体になって、総合施策の上に立ってこの公営企業をどう処理していくかといういわゆる大方針が出なければいけない。  特にまた、この答申案の中で、私が言っておったのは、答申が全部悪いとは言わなかった。あなたの指摘したとおり、そのことは私も指摘した。いい部面はいい部面として取り上げるが、いい部面は取り上げるとすれば、率直言うと、独立採算制ではできないはずです。だから、答申案もかなり皮相な見方をしておるが、さらにその上に出された自治省のこの法律は、私はこれから、きょうになるかあすになるかあさってになるか知りませんが、条文についてもだんだんお尋ねをしていきますが、一つ一つあなた方がお考えになった場合に、先ほど言うように、六百六十六億の赤字をしょって、そして四十年度で九百億になる、四十一年度で一千億を突破するというときに、なるほどやらぬよりはいいとお考えになるかもしらぬが、私はこの程度おやりになるなら、財政再建債なら財政再建債だけはせめて率を、社会党の言うように三分五厘になるかどうか知りませんが、六分五厘以上めんどうを見ましょうといったって、幾らになりますか。一体一億五千万か二億かわかりませんけれども、そんなものはいまのこの赤字と比較したときに、当面を糊塗するだけだ。その必要がほんとうにあるとすれば、私はこれは少しおかしいと思うのだ。そしてそれが、当然いまの公営企業を救わなければならぬというたてまえに立って御答弁なさっているとするならおかしい。どこかの圧力で総合施策ができなくて、そして自治省は、せっかくの答申案を出していただいたのだから何か出さなければならぬというような、従来のいわゆる自治省の立場中心として出したというなら、それもわからぬことはない。国の実情をわれわれは全部知らないわけではない。みんな知っておる。官僚諸君が——君らも官僚だが、官僚諸君が何かやらなければならないというような立場でおやりになることもある。それらのことをほんとうに真剣に考えてやってくれようとするときに、どこかの政党やあるいは関係大臣の圧力でそれができない場合もある。こういう現状の中で、やはり思い切った公営企業の対策を打ち立てなければならぬ段階にきておると私は思う。私は社会党だからこの案に反対をするのだとか、社会党が別の案を出しておるから、それであなた方のものにけちをつけるのだという、そんなこまかい考え方は私自身、なまいきなことを申し上げるようだけれども、持っておらぬつもりだ。それだから、やはりほんとうにあらわれたものに対しては——従来は独立採算制であってもよかった、われわれは長い間あなたにもかなり陳情しておる。独立採算制、ことばの上ではけっこうだし、受益者負担、これは何とかの一つ覚えということを言うとえらい失礼なことになりますから、そういうものの言い方は私はいたしません。けれども、何かといえば独立採算制、受益者負担、こんなことがいまの時代に通用するとお考えになること自体がおかしい。それを踏み切って、何とか考えてやろうじゃないかという考えに変わらない限りは、こんなものを幾ら議論しても、率直に言うと結論は出ないですね。まあ自治省は改正案をつくったというだけだが、さて国からほんとうにお金が出る場合には、どれだけ出たか。どうやら一億五千万か二億ぐらい出たらしい。そんなものは、一千億の赤字、九百億の赤字を背負っていこうという人に、これが一体何になりますか。利子の補給のそのまた利子の補給にもなりやしない。その点をもう少し私は考えていただきたい。えらい悪口を言うようになってたいへん失礼ですが、それに対する見解を聞きたい。  この制度調査会で、たしか早川さんのときだったかと思うのですが、早川さんが「社会、経済の急激な発展に伴い、地方公営企業の変革が必要だ。」こういうように言っておるのですね。この地方公営企業の変革を要請する社会、経済の急激な変化、それを一体自治省は——これはお人がその次に二人ばかりかわってきたのだが、かわってきても、そう考え方が変わるわけでもないだろうし、局長は少なくともその当時からの名局長でがんばっておる。そこで、その点に対して、いま私の触れた大綱的な問題点、それからこの早川自治相が言った社会、経済の急激な変化発展に伴い、地方公営企業の変革が必要だ、そういうふうに述べている、この変革を要請する社会、経済の急激な変化というのは、一体自治省はどういうふうに認識をせられておるのか。これは大臣として、ひとつ大臣のほうが先にたまには答弁をしたらどうか。それであとで柴田局長から意見を聞きたい。
  28. 永山忠則

    ○永山国務大臣 経済の急激なる変革は、先刻重盛委員のお話しのような、高度経済成長その他の経済要因で非常に変動いたしてまいりましたので、したがいまして、やはり公営企業に対しましても、お説のごとく、公益性の強化、政府の助成措置等も一段と加わっていかねばならぬ。さらにまた企業の合理化等についても強く推進する必要がある。また負担区分を明らかにいたしまして、そうして受益者負担と公益性で負担すべき部分というようなものに対しても検討をしたいわゆる公営企業の根本的改正が必要ではないかという意味のことを言っておるのではないか、またそう考えるべきではないか、こう思っておるのであります。
  29. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 ただいま大臣からお答えがございましたとおりでございますが、独立採算制の問題を非常に言われたわけでございますが、確かに過去において、独立採算なんだからみんなここでしょってしまえといったようなことで、実際の面におきましても、また私どもの指導のしかたにおきましても、そこに問題があったことは事実でございます。でございますがゆえに、また今回の改正案におきましては、企業会計と一般会計とにおきます費用の負担の割合を明確に定めまして、一般会計で出す部分については、これはそれに必要な財源措置をしていく、こういう態度をとっているわけでございます。したがって、いまるるおしかりがございましたけれども、独立採算制に対するものの考え方につきましては、実はこの法案である意味では非常に思い切った改革をとろうといたしておるわけでございます。ただ、それを国が何もやらずに地方だけにやらすのかということが言外にあったのじゃなかろうかと推測をいたすわけでございますが、やはり原則的には地方公共団体の経営する企業であります以上、いわば株主的なものは住民でございます。したがって、その一般会計で負担すべき部分につきましては、第一義的にはその団体の一般会計で負担するというたてまえをとるべきものであろうと考えるのであります。しかし、たとえば地下鉄等について申し上げますならば、御指摘のような点もございますので、今回の法案ではそこまで持っていきたかったのですが、できなかったのでございます。しかし、とりあえずは地下鉄に対する国の補助金を大幅にふやしまして、将来は答申のいっておりますように負担区分制度を確立するのだ、こういう方向で、とりあえずの措置として国からの補助金を倍にした、こういうことを行なったわけでございます。したがって私どもは、御指摘がございましたように、単に再建債の利子補給だけが今日公営企業に対してとらるべき措置とも考えておりません。それはほんの一部でございます。一億五千万は非常に少ない金じゃないかというおしかりでございますが、これは半年分でございますので、そういうことになっておるわけでございます。しかし、そのほかには地下鉄の問題もただいま御説明申し上げましたような措置をとりましたし、また水道の起債の利下げ等に対しましては、とりあえず必要な措置はとったのでございます。それだけで十分かと言われますれば、十分とはひとつも考えておりません。しかし、ものごとはそう簡単に百八十度ひっくり返るわけでもございません。やはりできるものからやっていかざるを得ない。おまえらの力が足らぬじゃないかとおっしゃられれば、確かに力が足らぬところがございますけれども、私らといたしましては誠心誠意やったつもりでございます。  それから地方公営企業の変革と早川大臣がおっしゃいましたことばでありますが、企業を取り巻く環境等につきまして、外部環境が変わってきておりますから、公営企業のあり方等につきましても考えなければいかぬ時期に来た、こういう趣旨でございます。私どもは今日におきましても同じような考え方をとってまいっております。その認識は早川大臣当時と今日とは少しも変わっておりません。
  30. 重盛壽治

    重盛委員 非常に熱心に一生懸命にやってくだすったことには敬意を表します。感謝しておりますけれども、ただ中身がどうも、あなたの言うことに別に食いつくわけじゃないが、思うようにできなかったとおっしゃるのだが、どこのところが一体思うようにできなかったかということが一つ。それから、十分だとは考えておらぬ、この点は私と大体意見が一致していると思うのです。その十分の差がかなりまだあるだろうけれども、あなたの十分というのは一体どのくらいが十分であるか、そういう意地の悪いものの言い方はいかぬかもしれぬが、そういう点がもう少し明確になるならしてもらいたい。確かにほんの一部です。少なくともほんの一部、やらぬよりはいいじゃないか、これは私も認めます。だけれども、これだけでもやろうという考え方が政府に出たのだから、もうちょっと、十分でないまでも、何とかひとつ……。(「焼け石に涙程度だ。」と呼ぶ者あり)そういうことでありますから、ここらに対して、ほんとうはやりたかったけれどもできなかったのだ。意地の悪い質問のようになるかもしれないけれども、その辺の裏話をたまにこういうところで明確にしておいてもらいたいと思います。
  31. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 私はやはり政府委員でございまして、そうあんまり裏話をしていいのか悪いのかわかりませんが、内輪の委員会でもございますし、ある程度は申し上げたいと思います。  私どもはやはり考えましたのは、公営企業の問題として企業自身で考えていただかなければいかぬことは、やはり、これは企業だけではございません、行政全般を通ずる問題でありましょうが、合理的、能率的経営だ。そのためには企業は——今日の公営企業のやっております状況というのは決して望ましいとは考えておりません。したがって、これは企業自身でやはりできるだけ努力をしていただくということは必要でありましょうし、それができるような体制というものは、制度的にいろいろ問題があるならば、そこを改めていくのが私どもとしては責任ではないかというように考えるわけでございます。同時にまた、国としてもいろいろやるべきことがある。それは一つは、やはり何と申しましても資本費が大きいものにつきましては、資本費の軽減について措置をとる。それは資本市場という一つのものがございますし、そこにはそこのルールがあるわけでございますから、一挙に理想の状態にまで持ってくることはむずかしゅうございますけれども、やはり安い長期の金を公営企業に出してやる、こういう体制をつくっていくべきだ。これは昨年度以来ある程度私どもはやってまいったわけでございます。御不満と言われますれば御不満かもしれません。私どもも満足はいたしておりませんけれども、ある程度はやってまいりました。また、地下鉄につきましては、やはりこれは地下の道路でございます。地下の道路であれば、地下の道路に軌道が走っておるんだという考え方をとるべきであろう。そうすれば、国もこれについてただ援助するんだという体制でなくて、地下鉄の地下道についての考え方を明確にして、そこに負担制度という制度ができぬものだろうか。これが答申にも同じような意見が出ておりまして、私どもの考えと同じでございましたので、そういう形でいろいろ話し合いを進めてまいりましたけれども、何ぶんにもいままでの制度というものと百八十度以上変わるわけでございます。関係各省でも急にそれに対応する対策ができなかった。そこで実態的には補助金をうんと増して、一年間はこれでがまんをしてほしい、そのかわり四十二年度までには負担制度というものを確立しようじゃないか、こういう話でございました。予算折衝の限られた期間でございましたので、それで一応今回は話をつけたといったようなことが実情でございますが、私どもといたしましては、やはり地下鉄というものは今日の大都市におきます交通事情から言いまして早く負担制度というものを確立して、安定経営の道を開いてやりたい、こういう感じを持っておったわけでございます。これが、私どもとしましてはなすべきことでありながら、必ずしも今日の段階においては十分なるところまでいっていない点のおもなるものだと思うのでございます。  しかし、再建債の問題につきましては、政府資金並みの融通ということで一応筋が立つのじゃなかろうかというように思うのでございます。一般会計の財政再建の場合におきましては、三分五厘まで段階的に利子補給限度を下げてきております。しかし、やはり一般会計の財政再建の場合と公営企業会計の財政再建の場合は問題が若干違うのじゃなかろうか、再建の性格というものが違うのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。したがって、一般会計の場合でも三分五厘というものは別に理屈があったわけじゃないんで、六分五厘ではかわいそうじゃないかということでいろいろ御議論のあった結果、三分五厘まで下げることを国会で修正をされたわけでございます。政府原案は六分五厘でございました。私どもはかりに三分五厘というものを前提にして考えましても、公営企業の持つ性格というものと、一般会計におきます行政事務というものの性格から考えますならば、六分五厘までの利子補給ということで筋が通っておるのじゃなかろうか、この再建に関しましてはさように考えておるわけでございます。
  32. 島上善五郎

    ○島上委員 ちょっと関連して、これは大臣からぜひお答えをいただきたいのです。  いままでの答弁に関連して、大臣に二点だけ伺いますが、先ほど、企業であるから受益者負担を原則として経営されなければならぬということを非常に強調されておりますが、しかし公共企業なんですね。公共企業ということで、私企業に比較いたしまして、採算を度外視して、みすみす損をすることを承知の上でやらなければならぬ部分が非常に多いということ、これはもちろんお認めだと思うのですね。私企業ならば、採算のとれないものはさっさとやめてしまう。しかし公共企業であるがゆえに、採算を度外視して、みすみす損することがわかりながら、毎日毎日赤字を出していくことを承知の上でやらなければならぬ部分が非常に多いということ、そしてそれがますます多くなりつつあるというこの現実はお認めかどうか。  もう一つは、ことばじりをとらえるわけではありませんけれども、世の中が進展するからそれに即応するのが当然だ、こういうことですが、私もそれは否定いたしません。しかし、むしろ先を見通して長期的な計画を国家的な見地に立って立てるのが、大都市の場合必要ではないかと思うのです。この東京はじめ大都市における人口の急増、いわゆる過密都市の現象は偶然にして起こったわけではないのです。突然異変でも何でもないのです。先を見通す政治家ならば、五年先、十年先を見通す計画を立てようと考えるならば、当然考慮をされなければならぬことなんですね。赤字がたくさん出てどうにもこうにもならなくなってから時代に即応するということは、これはにっちもさっちもいかなくなってから、やっとみこしをあげたといわざるを得ないのです。いま、地下鉄については、単に地下鉄と考えないで道路政策の一環として考えなければならぬ、そのとおりなんです。東京はじめ大都市における人口の過密、交通の停滞、水道の需要量の増大ということは、一朝にして起こったことではないのです。三年前、五年前に考えられたことなんです。そういうような時代に即応するのではなくて、私をして言わしめれば、先を見て長期的な計画を国家的な見地に立って立てるというところに非常に欠けるものがあったのじゃないかと思うのです。その点をお認めかどうか。私は関連質問ですから、あまり多く伺いませんけれども、あらためて私の番にきた際に伺いますけれども、私はその長期の見通し、国家的な見地に立つ計画の実施というようなことは、少なくとも大都市の交通や水道に関してはゼロにひとしかったのではないか、あるいは非常な怠慢であったのではないかという反省がまずなければならぬと思うのです。そういう点、大臣、どのようにお考えですか。
  33. 永山忠則

    ○永山国務大臣 お説のように採算性を無視して公共性でやらねばならぬ点が非常に増大してきているということは同感でございますし、なお、長期的視野に立って国家的立場で計画を推進せねばならぬこともお説のとおりでございます。したがいまして、どの程度にどうするかということは、これは総合判断の問題でございまして、この点に対して、運営にあたりまして、いわゆる公共性が非常に増大しておる、したがって負担区分に対して一般会計並びに政府の持つべきものはどういう方向でいくべきであるかということ、さらに長期的視野で都市再開発をどう持っていくかというような点に対しては、他の諸政策と総合して十分検討して諸施策を樹立せねばならぬというふうに考えておりますので、概念的には同一の考え方を持っておるわけであります。具体的な諸問題については、またいろいろ検討をせなければならぬと考えておる次第でございます。
  34. 島上善五郎

    ○島上委員 具体的な諸問題については検討しなければならぬと言うのですが、具体的な問題について法律をいまここで出しているわけでしょう。大事なことをあと回しにして、これでは本末転倒ではなかろうかと思うのです。私はいまの御答弁では満足しませんが、もう一度伺います。  私は、これもすでに手おくれだと思いますが、路面の交通と地下の交通とは一体のものでなければならぬと思うのです。これは答申の中にもはっきりしております。一体性を保たなければならぬ。ところが、東京は地下鉄は営団が早くからやっており、現に地下鉄の路線はどんどん拡張しておる。一体性ということをいままで考えたことがあるかどうか。一体化しなければならぬということ、あるいは一元化しなければならぬということ、そういうことはとっくに考えられて、検討ではなくて具体策を立てなければならぬものだったと私は思いますけれども、それをしなかった。これも怠慢です。しかし、いまからでもおそくないということばがあります。怠慢であったけれども、いまさら過去の怠慢を責めただけでは問題は解決しませんから、いまこの時点に立ってどうするか。これは具体的な問題をいまこの法律でもってきめようとしている際ですから、これまたこの重大な時期に、答申にあった重要項目の一つでありますが、これを取り残して今後どうするお考えですか。東京における地下鉄と路面電車の一体化、一元化という問題について、今回は取り残しておる。とっくにやらなければならぬことをやらずにおって、今度また取り残しておる。今後どうするつもりであるか。
  35. 永山忠則

    ○永山国務大臣 お説のように路面交通と地下交通と一体的な感覚におきましてこれに対処しなければならぬということは同感でございまして、この点に対しましても、とりあえず本年度は、しばしば申しますように旧来の地下鉄の補助金四億を八億に増大をいたし、そしてこの間の負担区分、いわゆる政府の持つべきものをどういうように財政的援助をやるかということとあわせて検討をいたしまして、これが目的を十分到達するように努力をする考えでございます。
  36. 島上善五郎

    ○島上委員 これは運輸大臣の分野かもしれませんので、私は運輸大臣がおいでの際にさらに突っ込んで伺いたいと思いますが、御同感です、御同感ですと同感ばかりしてもらっても、それに対する措置が何らないということでは、ことばだけけっこうなことばをいただいても満足するわけにいきませんから、運輸大臣の参りました際にさらに突っ込んで伺うことにして、関連質問ですからこれで終わっておきます。
  37. 重盛壽治

    重盛委員 たまたま私がお聞きしようと思ったことを島上委員から聞いてくれたわけですが、先ほどから、現状に即して努力をした、しかし、努力をしたけれども、率直に言うと、自治大臣と局長の御努力、いわゆる自治省の御努力によっては、これが現状では目一ぱいだった、こういうふうに聞こえるんだが、皮肉な言い方かもしれませんが、そういうことですね、結論的には。
  38. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 この段階では、私どもといたしましては、時間的な制約等も頭に入れた上でできるだけのことはしたつもりでございます。こういうことでございます。
  39. 重盛壽治

    重盛委員 そういうことになると、もうこの法案はだめですし、これはひとつやめなさいと言わざるを得ないことになるし、これからあんまり聞くのも張り合いがなくなるので、そういう現状に来た理由は一体どこにあったか、このことをまず聞いておかなければならぬし、それから先のことは、それはあなたのほうから言うならば、議員さんの、あなた方のお役目ですよ、こういうことになるのではなかろうかと私は思う。あなた方、もう少し進めたかった、そうしてもう少し現実に沿うものにすべきであったと私は思う。そういう中には、どうやら私どもの言ったいわゆる受益者負担というような従来のことばのみでは処置がつかないんだというようなことまで感ずるように私は思う。さっきあなたはたいへんいいことを言った、内々の委員会ですからかなり具体的に話をして、議員のほうへ知らせるべきことは知らせるべきだ、そういう意味合いでひとつ答弁してもらいたい。
  40. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 先ほどの島上先生のお答えとも関連があるわけでありますが、やはり企業であります以上は、本来は受益者負担というのが原則だということは、やはりそう考えるべきだと思うのでございます。それを利用するものがその負担において受益するんだということが本来のたてまえであろうと思うのであります。しかし、先ほど来お話がございましたように、その間の受益者負担原則というのがややいままで乱に流れておったということは、これまた率直に申し上げまして事実でございます。したがって、そこのところをくみ上げまして、負担区分というものの線を引くことによってその間の区分けを明確にしよう、こういうことでございます。したがって、その上に立ちますれば、従来の考え方というものはそこに非常に大きく変わっておるのでありまして、決して私どもは独立採算制だとか受益者負担の原則だということを従来どおりの態度でもって申し上げておるわけではございません。したがって、その間には、実体的な非常に大きな変更があるということを御了解いただきたいのでございます。  先ほど来東京都の地下鉄の問題等ございましたが、これは御指摘のように、いままで何しておったかといわれれば、まさにそのとおりかと思いますけれども、何ぶんにも問題は非常に大きな問題でございます。これを一体的に運営しろということは、私どもの公営企業関係でなくて、都市交通のほうの審議会等におきましても、たびたび答申が出されておる、しかしいろいろな事情でできない、その間に問題が非常にこじれてしまっておるというようなこともあるわけでございまして、これを片づけますためには、そう一朝一夕にはまいりません。また片づけ方といたしましても、経営主体をどうするか等の問題もあるわけでございます。本法案の中では、公共企業体といったような構想を一つ出しまして、そういったようなものの具体化に資するような体制をまずしこう、こういうことでこの規定を置いたわけでございます。私どもといたしましては、公営企業法というのは各種の公営企業を横で連絡しておる。それぞれ縦に各事業法があるわけでございまして、財政あるいは組織という形で横の線を公営企業法が受け持っておるわけでございまして、公営企業法の万全を期しますためには、横の線と縦の線が脈絡一貫になっておらなければならぬというように思うのでございますけれども、しかし残念ながら、現状では横の線と縦の線が必ずしも有機的連絡がとれていない。そこに今日の公営企業の経営上のいろいろな問題があることも御指摘のとおりであります。したがって、両者の有機的連絡がとれますように、逐次、制度等の欠陥がありますものはこれを改め、また運営上欠陥があるものにつきましては改めていくという体制をとっていくべきものだと思いますが、何ぶんにも問題は非常にこじれております。それを一挙に片づけろといわれましても、実際問題としてなかなか片づかない。その中には、先ほど来お話のございましたように、国会の力によらなければならぬものもあろうかと思うのであります。同時にまた、政府として指導面におきまして、また公営企業自体が経営自体の面におきまして、なすべき点もあろうかと思います。御質問に対しましては非常に不十分なお答えかと思いますけれども、今後この問題は、政府としてなすべき面も残されておる、また企業としてなすべき面も残されておるわけでございまして、すべてを国会にお願いいたします、さような考え方は持っておりません。
  41. 重盛壽治

    重盛委員 出ておる法案よりはだいぶ進んだように思うんだが、そこで、いま島上委員からちょっと質問があったのですが、私もこれを明確にしておかなければならぬと思う。制度調査会の答申では「とくに、東京都においては、その交通事情にかんがみ、少なくとも区部における交通事業については公的事業主体による一元的経営が可能となるよう、すみやかに東京都の交通事業と帝都高速度交通営団の事業とを一元化する等各般の措置が弾力に実施されることが必要である。」こう言っておるわけです。「大都市の交通については、それが地方公共団体の行なう街路整備等都市計画事業その他都市行政との関係がきわめて密接であること、バス、電車、地下鉄を含めて総合的一体的に都市交通を確保する必要があること等から、将来の方向としては、合理的、能率的に運営される公的事業主体による一元的経営が望ましい。」とも言っておる。もちろん、この制度調査会の答申に対して、政府はいま一応のお答えがあったし、将来のということが含まれておる。だが、きょう必ずしもやらぬということではないと思う。しかし、こういう答申に対して、政府の今回の改正案にこれを一体どういうふうに具体化したか。具体的に入っていない。  そこで、特に都市行政が重大な政治問題と化して、その都市行政と都市交通が全く不可分の関係にあるということはいままでのお話でわかってきた。そうだとすると、これに対処するためにはどうあらねばならぬか。都市行政上の最大の課題として、東京都内の交通調整、一元化に対してどう対処するか。こういう問題の答申との関連に対して、いま島上委員のあれに対しては、いろいろな事情がある、こういう説明をしておるが、いろいろな事情の内容がどういうことであるのか。それから関係方面と何か幾らかやったのか。それが話し合ってもだめだ——たとえば運輸省、あるいは営団をあなたのほうで呼ぶ立場であるのかどうか知りませんが、そういう方面と何らか折衝したのかしなかったのか。それからあとは将来どう考えておるのか。この点で、この際もろもろの事情をひとつ聞かしてもらいたい。
  42. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 これは調査会の答申をお出しになる場合におきましても、帝都高速度交通営団を呼んで事情を聞いておられます。また東京都の交通当局も呼んでおられます。それぞれの事情をいろいろ聴取された上でこういう答申になったわけであります。私どもといたしましても、たとえば大阪市の交通を考えてまいりますと、大阪市というのは地下鉄、地上交通を大阪市が一元的に経営いたしております。その結果は、路面電車から地下鉄への転換ということが非常にうまくいっておる。そういう事例もございますので、これとの関連においてやはり東京都を考えますと、そこに経営主体が分かれておることが転換がいろいろむずかしい一つの原因でもある。さように考えますと、この答申の御思想には全く賛成でありまして、その方向へ持っていくべきものと考えます。運輸当局にはやはり話もいたしておりまして、そういう方向で一つ検討してもらいたいということは申し入れております。直接東京都交通局なりあるいは交通営団を私どものところに招致いたしまして話し合いをしたことはまだございません。しかし、この問題はいずれ近い間にわれわれといたしまして何らかの手を差し伸ばすべき問題だというふうに考えておるわけでございます。具体的にどうするかというような問題は、ここには公的事業主体ということになっておりますので、この公的事業主体というものをどうするかということが一つの問題かと思うのでございます。この法案の中に入れております地方公共企業体という方法も一つの方法でございましょうし、あるいは別個の半官半民のようなものを考えるということもあるいは方法かもしれません。そこにはいろいろ方法論があろうと思うのでありますが、やはり私どもといたしましては、そういう問題もございますので、地方公共企業体といったような根拠規定を置いておるということを御了承いただきたいのでございます。
  43. 重盛壽治

    重盛委員 政府の法改正案は制度調査会の答申よりもはるかに私はいままでの御説明を聞いておると後退しておると思う。この点、具体的に政府の見解を聞きたいのだが、その前に若干私が意見を申し上げてみましょう。  制度調査会の答申に対して、基本的には私は先ほどのように賛成じゃないのです。まあ出ないよりはあるいはよかったかもしれない。個々の内容については若干の前進面をあげることができると思う。これはたいへん委員の諸君に失礼になるが、私どもの立場からの考えを率直に申しますと、政府の法改正はこれらのことが、いわゆる幾つかの前進面について、一つのことを例にとっていまお聞きしたのだが、結論から言うと何にもないのだ、こういうことになる。きわめて重要なことであるが、しかし実際にはこの段階では何にもないという答えが出ておる。それらのことが少しも生かされていないように思われるし、政府はほんとうに忠実にこの答申の実現に努力したと言えるかどうか、はなはだ私は疑問だと思う。この疑問に対して、できればもう少し納得のいくように解明してもらいたい。  具体的な問題として第一は、答申において「現在における都市交通の問題点の一つは、当該地域について包括的行政責任を有し、都市交通についても住民に対して責任を負わざるを得ない立場にある地方公共団体の長が自ら交通事業を経営するのでない限り交通事業に十分関与できない建前になっていることである。相当規模の都市にあっては、公営、民営を問わず地域内の主要交通事業に関し、路線の免許等にあたって関係地方公共団体の長の意見を尊重する等の措置を講ずる必要がある。」と言っておる。これは当然そうあらねばならぬ。また、別な面において答申は「地方公営企業の健全な発展をはかるためには、この答申に述べられたもののほか、より根本的には、地方に対する国の行政の刷新が必要であることを附言したい。このことは、たとえば、人口の過度集中、交通の過密化、住宅の無計画な建設などが地方公営企業の経営に大きな圧迫となっていることを思えば、きわめて明瞭である。」こう言っています。これらの指摘はいずれも国の施策と地方公共団体及び地方公営企業の関係、特に都市交通の関係について一つの新しい角度から問題を提起したものである、こういうふうに私は思う。要するに、都市行政が国の行政上から見ても大きな問題であるとともに、都市行政と都市交通の関係がいかに不可分な関係にあるかを指摘しておるものであるが、法改正についてはこのことについてどう取り上げられておるかということをひとつ明確に答弁してもらいたい。  立ったついでにもう少し申しますと、答申は、資本について「地方公営企業は、これまで建設改良資金のほとんどを借入金(企業債)によってまかなってきたため、民営企業に比して一般的に自己資本の割合が低くなっている。地方公営企業の自主性を強化し、その財政の弾力性を確保するという意味では、元金償還の必要のない自己資本を充実することが望ましいが、地方財政の現況、その他企業内外の諸情勢から判断すれば、一挙にその方向をたどることは困難と考えられる。しかし、当面少なくとも当該企業の資金繰りを円滑にする程度のものは必要であり、その額は、企業によって差があるため企業ごとにその実態に即して判定すべきである。」と指摘している。政府は、この資本についてどういう措置をしようとするのか、また地方財政のきわめて苦しい現状において、政府が財政援助の措置を講じてこの答申の趣旨が十分生かされるよう努力する意思が一体あるかどうか。いままでのらち内ではどうもやりたかったがやれなかったということで、大ざっぱな網の中ではこういうものが見えなかったが、趣旨が十分生かされるよう努力する意思があるかどうか、もう一ぺん聞きたい。  それから答申は、料金決定の方法について、特に都市交通の料金決定の方法について次のように言っております。「料金は、地方公営企業の所有者であり、かつ、利用者である地域住民を代表する地方公共団体の長及び議会が決定するものであるので、国の許認可はこれを廃止し、その代わり、現在国の許認可を要することとされている料金については、地方公共団体に実施前一定期間(たとえば一月)までに届け出る義務を課し、国が調整を加える必要がある場合には、実施前一定期間(たとえば一〇日)までに修正を命ずることができるようにすべきである。なお、このような措置が講じられるまでの間、国の許認可を要する料金については、国は地方公共団体の意思を尊重し、申請後一定期間内に許認可を決定すべきである。また、国は、物価政策的な立場からのみ地方公営企業の合理的な料金の改訂を抑制するような措置をとるべきでない。万一政府が政策的に合理的な料金の改訂を抑制する場合においては、それによって生ずる収入の欠陥を補うため、国において適切な措置を講ずべきである。」この答申の中に示す基本的な考え方は、地方公営企業の料金決定は地方公共団体の意思によるべきであるということになっておるのだが、現下の都市交通料金の決定方法についてどういう制度改正をしようというのか。このあらわれている中にないようであるが、運営等の改正をどういうふうに考えておるのか。これらに関連をしてお答えを願いたい。こうあまり言ってしまって、あとで簡単に答えられても困るが、一応みなメモしておいてください。時間もだいぶたったようでございますし、これはもちろん自治省だけではないと思います。こういう料金の問題は、運輸省、経済企画庁等の、いわゆる各省の自分の意見だけを通そうという闘争の一つの基本にこういう問題がなっているのではないか、こういうふうに考えるものですから、特にこの点をお聞きしたい。したがって自治省だけで答えられない部面は、これは委員長にもお願いしておきますけれども、あとで運輸省やら経済企画庁長官に来てもらって、そのときにゆだねてもいいが、自治省の考え方は、こういう交通料金の決定方法については一体どういう制度改正を考えておるか、それをひとつ答えてもらいたい。  もう一つ、答申は、地下鉄事業に対して次のように言っています。「地下鉄事業の公共性にかんがみ、建設費そのものをすべて企業に負担させることに本来問題があると思われる。」ここらは私がさっき言った、一応前進している面である。「地下鉄事業は大都市における都市改良事業にほかならないのであるから、地下構築物については、道路等公共施設に対する国庫負担制度を勘案のうえ国が建設費について負担する制度を確立する必要がある。」先ほどあなたは、いつまでも時代おくれの路面電車のようなものにくっついていることはおかしいんだ、路面電車を早く撤去して、時代に即応して早く地下鉄にいけというような意味のことを私に教えてくれたんだが、そこで私は幾らか憤慨をして、そのくらいのことは承知しておる、こういう御返事を申し上げたんだけれども、その国庫負担制度ができなければ、取りっぱなしでもなかなか地下鉄の建設ができないというのが、ここに明確にあるわけです。これは要するに大都市における地下鉄建設は路面道路の立体化、緑化にほかならないということである。したがって、その建設費は基本原則として道路管理者が負担すべきである、そういう理論である。この理論がどういうふうに生かされておるのか。実際には生かされていないし、入っていない。生かされておるのかと聞くことはちょっとおかしいと思うのですが、そういう点、どう生きるのか。漸進的に、とりあえずこの法案を出しましたという答弁をしてしまえば何にもなくなっちゃうのですね。それなら一体、こういうことをどういうふうに考えてくれたのかということでも私はいいと思うのです。それが考えられ、それが盛り込まれない案であるならば、それは幾ら拙速案であっても、私は現状に即さない案ではないかという結論にならざるを得ない。それは従来あった利子補給をわずかばかり増額することで問題を糊塗するのは、答申の趣旨に沿わないことはもちろん、問題の抜本的な解決はとうてい期待できない、こういうことになるわけで、その点、たいへんに長くなったんだけれども、柴田さんと大臣の見解をこの際明確に聞いておかないと、次にこんなにたくさんある質問へ入っていけないので、まず一応お聞きしておきたいと思います。
  44. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 交通事業について、地方公営企業制度調査会が述べております考え方につきましては、私どもといたしましては同感でございます。したがって、交渉の過程におきましては、こういうような答申の線に従って交渉いたしました。しかしながら、問題は御承知のような権限関係の問題にも深くからむわけでございますので、ものごとはそう簡単に片づかなかったわけであります。したがいまして、この法案では第五条の二という規定を設けておりますが、「国の行政機関の長は、地方公営企業の業務に関する処分その他の事務の執行にあたっては、すみやかに適切な措置を講ずる等地方公営企業の健全な運営が図られるように配慮するものとする。」という精神規定を置きまして、これによって、各事業官庁はそれぞれの公営企業の業務に関します事務を執行していただきまして、いままで指摘されましたような事態が再び起こらないようにする、こういう勧告規定を置くことにしたのでございます。  また、答申で言っております住宅その他の問題と公営企業との関連というものにつきましては、今後の各省施策、あるいはそれと私ども趣の間の関係でありまして、私どもは今後はこういった問題を十分頭に置きまして、関係各省との協議を進めてまいりたいというように考えておるわけであります。  また、地下鉄負担区分につきましては、負担区分を明確化したかったのでございますが、先ほどお答え申し上げましたような事情がございまして、これは一年ずらさざるを得なくなった。とりあえずの措置といたしましては、国からの補助金をふやすことによって当面の措置を講じた。しかし、負担区分の明確化をはかる趣旨は、今日でももちろん捨てておりません。関係各省とこの一年間相談をするということにいたしております。  また、路面電車の撤去関係の費用等につきましては、この法案が御承認いただけますれば、政令で規定いたしております負担区分の中に規定いたしまして、一般会計である旨を明定するつもりでございます。  資本金につきましては、これも具体的に法案には載っておりませんけれども、すでに御審議をいただきました地方財政計画におきましては、従来の出資金のワクを大きく拡大いたしまして、必要額を地方財政計画に計上をいたすということにいたしております。したがって、その部分につきましては、個々具体の地方団体の公営企業の実体に応じまして、必要な財源措置を具体的に講じていくつもりでございます。
  45. 重盛壽治

    重盛委員 この料金の決定に対して、あなた方はいわゆる受益者負担、受益者負担と何度も言っておるんだが、先ほど私が言ったように、地方の現行の、いま運輸省が許可することになっておりますね、これを届け出制にするということに対する考え方と、それから、それに対してどういう動きをしたかということをもう一ぺん聞かしていただきたい。これは、私は料金の値上げをしようということではありませんので、前もってお断わりしておきます。
  46. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 料金問題といいますのは、地方住民にとりましては非常に大きな問題でございます。したがって、このくだりが議論になりましたときにも、地方議会にまかしておけば値上げ案ばかり可決して困るじゃないかというような御心配もありましたけれども、私どもは実はさように思わない。むしろ、地方水道料金の例で見ましても明らかでありますように、料金の値上げというものは、地方議会におきましてはなかなか簡単にできない。したがって、この答申の御趣旨には賛成であります。むしろ御趣旨に沿って関係各省と交渉いたしまして、先ほど申し上げましたように——こういう許認可権というものは役所の権限に関することでございまして、率直に申しまして、ものごとはそう簡単に片づかない。先ほど申し上げましたように、第五条の二の規定を置きまして、国の行政機関の事務執行に関します義務規定を置いたわけでございます。一応はそういう規定を置いて、この際は各事業官庁にこの答申の趣旨に沿った運営がなされますように要望することといたしましたが、なお答申の趣旨の実現につきましては、今後におきまして努力することにいたしたい、かような考えでございます。
  47. 重盛壽治

    重盛委員 これは非常に露骨に言うと、官庁のなわ張り争いというやつが昔からなかなか断ち切られていない。総合施策をやれ——大臣同士なら総合施策はやれるのだが、その次の段階に来ると、総合施策はなかなかむずかしくなる面がある。そこまで自治省だけに追及してもどうかと思うので、そこで私はこの際ひとつ聞いておきたいが、一つの例を言うならば、これも前提として、料金の値上げはよろしいというのではない、ないけれども、独算制を強硬にしいながら、現状では国鉄運賃をはじめとし、米価の引き上げとかあるいは郵便料金の引き上げ等、あらゆるものが引き上げられている。私鉄料金も引き上げられている。たとえば営団が経営する地下鉄の引き上げが見られた。そうした場合に、東京都営の地下鉄は運輸審議会にかけておらぬ。こういうような態度が及ぼしていく影響性、それからあなたが言うように、独算制、独算制と言っているから、そういうことがはたしてやり得るのかどうか。それから、自治省としてこれに対してどういう考え方を持ち、どういう処置をしようとしておるのか、あるいはなさったのか、そういう点を、若干法案とは違いますが、お聞きをしておきたい。
  48. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 交通料金の問題につきましては、東京都の問題につきましては、同一区間同一料金という重盛先生十分御承知の原則があるわけでございます。さような関係で、東京都も料金の是正をいたしたいということを言っておりまするが、これは関係の民営会社の料金等との関係もありまして、私どもといたしましては、その料金改定が適正だと考えられまする限りにおきましては、関係各省に対しまして、主として交通の場合でいきますならば運輸省と経済企画庁でございまするが、それぞれ必要だと考えられます場合においては、側面的にいろいろな応援と申しまするか、助言をしてやってまいっておるといったような関係でございまして、公営だけが従来ともすれば、実際問題として結果を招いておりますように、取り残されるといったようなことのないように努力をいたしておるつもりでございます。
  49. 重盛壽治

    重盛委員 努力をしておることはわかります。努力をしておることはわかるけれども、現実に取り残されているという姿もまた逆に御承知のはずです。そうだとすると、そういう立場を考えながらあくまで独算制、独算制ということばをお言いになっておることは、少し実態に即さないのではないか。そういう点を私はお聞きをしたいわけです。
  50. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 先ほど来るる申し上げましたように、従来のような独立採算制というものを相変わらず押しつけるといったようなつもりではございません。その間におきましては、一般会計で持つべきものと考えられるものにつきましては、負担区分の確定をまってそれぞれ措置をしていくという態度をとっておるわけでございます。私どもの独立採算制というのは、従来の独立採算制とは意味は変わっておるということを、ひとつ先生御了承をいただきたいのでございます。従来のように、何もかも企業で要る費用は全部企業持ちにしろといったようなことを言っておるわけではございませんで、むしろ企業の中の費用を区分けをいたしまして、一般会計で持ってしかるべきものは一般会計で持たす、それに対して国が援助をする必要があるものは援助をする、こういう態度に切りかえようというわけでございます。従来のような、おしかりを受けますような独立採算制とは意味が違うのだというように御了承をいただきたいと思うのでございます。   〔「定足数がない」と呼び、その他発言する者あり〕
  51. 重盛壽治

    重盛委員 だいぶお話はよくなってきたように思うのだが、自民党の諸君がいないところで質問しても悪いようだから、休憩しろという意見が出ておりますが、どうしますか。——質問がだいぶ残っておりますけれども、定足数の関係とか、あるいは他の案件に急を要するものがあるようでありますから、一応きょうはこれで保留をしておきます。
  52. 華山親義

    ○華山委員 資料、要求をいたします。  今度の法律改正案の中には、政令の定むるところにより、ということがずいぶんたくさんありますけれども、その中には実質に関する部分もずいぶん多いのでございますので、この改正案中の政令につきましての案文、あるいはその要領、そういうものを至急提出していただきたいと思っております。  それから水に関しまして、一、過去十カ年の上水道の給水量、及び今後十カ年または五カ年(以下今後とあるのはこれに準ずる)の給水量増加の推計。これにつきましては、東京大阪、名古屋、横浜等の大都市は別掲にしていただきたい。二、下水道建設五カ年計画。最近閣議決定されましたが、これと、これに伴う水の使用量増加の推計。これも大都市を別掲にしていただきたい。三、過去十カ年の上水道、下水道の利用人口の総人口に対する割合、いわゆる普及率の推移と今後の推測をお願いしたい。四、東京都の上水道建設計画。これは資金計画も含みます。以下同じ。五、東京都の下水道建設計画。資金計画も含みます。六、東京都の工業用水道建設計画。資金計画及びその建設費の負担区分を明示していただきたい。七、日本主要河川の河況系数。これは建設省におっしゃれば、河況系数と言えばわかります。この中には利根川と淀川を含めていただきたい。八、工業用水道の事業別の大企業と中小企業別給水量の割合。この事業別にいたしていただきたいと申しますのは、この間、本会議におきまして私が通産大臣に質問したところ、大阪においては中小企業も相当使っているという御答弁でございましたので、各地区別におわかりのはずでございますから、大企業と中小企業別の工業用水の給水量をお願いしたい。九、上水道、工業用水道及び企業債の過去十カ年の建設費の内訳。内訳と申しますのは、政府債とか公社債とか企業債とか、そういうものでございます。十、上水道、工業用水道の現在の企業債残高のいま申し上げましたような内訳。十一、工業用水道事業(政府補助のあるもの)別の建設費をどういうふうにして負担しているかという状態。十二、工業用水道事業に対する一般会計またはその他の特別会計よりの資本費、運営費別の補助金、貸し付け金その他の経費負担をしている実態を事業別に教えていただきたい。十三、工業用水道事業別の単位当たりの原価と料金、これをお願いしたいと思います。  一度に申し上げてはなんですから、この次には、交通につきまして資料を要求いたします。
  53. 岡崎英城

    岡崎委員長 華山親義委員の資料要求に対しましては、委員長より政府に申し入れたいと思います。      ————◇—————
  54. 岡崎英城

    岡崎委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案安井吉典君外九名提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案地方公営企業財政再建促進特別措置法案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、以上四葉につきまして運輸委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾し、連合審査会を開会することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 岡崎英城

    岡崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、開会日時等につきましては、理事会において協議することとし、追って公報をもってお知らせすることといたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会