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1966-05-13 第51回国会 衆議院 地方行政委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十三日(金曜日)    午前十時十六分開議  出席委員    委員長 岡崎 英城君    理事 奥野 誠亮君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 和爾俊二郎君    理事 秋山 徳雄君 理事 華山 親義君    理事 細谷 治嘉君       亀山 孝一君    纐纈 彌三君       田村 良平君    登坂重次郎君       藤田 義光君    村上  勇君       村山 達雄君    森下 元晴君       山崎  巖君    井手 以誠君       久保田鶴松君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    島上善五郎君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       安井 吉典君    門司  亮君  出席政府委員         自治政務次官  大西 正男君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         参  考  人         (前地方公営企         業制度調査会第         一部会長)   古川 栄一君         参  考  人         (大阪交通局         長)      今岡 鶴吉君         参  考  人         (全国自治体病         院協議会長)  多賀 一郎君         参  考  人         (日本都市交通         労働組合連合会         書記長)    鈴木 富司君         参  考  人         (全日本自治団         体労働組合副中         央執行委員長) 田牧  保君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 五月十三日  委員井手以誠君及び久保田鶴松辞任につき、  その補欠として野間千代三君及び泊谷裕夫君が  議長指名委員選任された。 同日  委員泊谷裕夫君及び野間千代三君辞任につき、  その補欠として久保田鶴松君及び井手以誠君が  議長指名委員選任された。     ————————————— 五月十二日  地方公営企業の確立に関する請願井岡大治君  紹介)(第四二二四号)  同(泊谷裕夫紹介)(第四二二五号)  同外一件(野原覺紹介)(第四二二六号)  同(五島虎雄紹介)(第四三三五号)  同(沢田政治紹介)(第四三八四号)  同(横山利秋紹介)(第四三八五号)  特別区の区長公選に関する請願大柴滋夫君紹  介)(第四三三四号)  地方債増額発行に伴う財政負担に関する請願  (草野一郎平紹介)(第四四四一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公営企業法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇七号)  地方公営企業法の一部を改正する法律案安井  吉典君外九名提出衆法第三八号)  地方公営企業財政再建促進特別措置法案安井  吉典君外九名提出衆法第三九号)  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案  (安井吉典君外九名提出衆法第四〇号)      ————◇—————
  2. 岡崎英城

    岡崎委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案安井吉典君外九名提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案地方公営企業財政再建促進特別掛買法案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、以上の四案を一括して議題とし、審査を進めます。  本日は前会に引き続き、内閣提出にかかる地方公営企業法の一部の改正する法律業及び安井吉典君外九名提出にかかる地方公営企業法の一部の改正する法律案外二案について、参考人として前地方公営企業制度調査会第一部会長古川栄一君、大阪交通局長今岡鶴吉君、全国自治体病院協議会長多賀一郎君、日本都市交通労働組合連合会書記長鈴木富司君、全日本自治団体労働組合中央執行委員長田牧保君の御出席を求め、それぞれの御意見を聴取することといたします。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。参考人各位には御多川中のところ、当委員会法案審議のため御出席いただき、まことにありがとうございました。本委員会において審査中の各案について、古川参考人には地方公営企業制度調査会第一部会における審議経過を、他の参考人の方々にはそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、本案審査参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ約十五分程度にとりまとめてお述べ願い、次に委員諸君からの質疑に対しお答えをお願いいたしたいと存じます。  それでは古川栄一君、今岡鶴吉君、多賀一郎君、鈴木富司君及び田牧保君の順序でお願いします。  古川参考人
  3. 古川栄一

    古川参考人 古川でございます。ただいま御紹介ありましたように、私は地方公営企業制度調査会の第一部会長として、九回にわたりまして部会のとりまとめをいたしましたので、その要点について御報告申し上げたいと思います。  その詳細はすでにお手元に印刷物としてお渡ししてあるはずでございますが、この第一部会の取り扱いました問題は、交通関係、具体的には地下鉄電車事業バス、それに電気ガス事業でございます。地方公営企業全般ではございませんが、特に交通関係は、地方公営企業にとりましても、規模からいいましても、また内容複雑性からいいましても、また問題のあるところからいいましても、大きい問題がございます。それとの関係におきまして管理者制度の問題と職員身分労働関係給与の問題と経営形態の問題並びに重要な料金関係が取り上げられております。  この部会は私のほか九名の委員がございましたので、それぞれ意見がございまして、必ずしも完全な一致を見ておりません。多数意見少数意見がございますので、一、二、三と順番で書いたわけでございます。  時間がございませんので要点を申し上げますと、管理者制度につきましては、すでに答申の中に取り上げられておりますように、交通事業は、この部会におきましては、原則としまして独立採算のたてまえとしておるわけであります。ただし、地下鉄につきましては、原則はそうでございますけれども、若干の考慮すべき問題がございます。したがいまして、企業性を十分に発揮するために管理者独立性自主性を強化するということが中心でございまして、そのために専任管理者を置くことがたてまえとしてあります。ただし、これは規模交通事業は大中小とございますものですから、中規模以上のものは専任管理者を置いて、それに強い独立性を与えてもらう。もちろん小規模の場合はその限りでございません。この場合に、適任者は必ずしもその自治体職員でなくても、企業経営能力を有する適任者でありますならば、部外からでも選任を妨げないと定めてございます。  選任方式につきましては問題があったのでございますが、やはりこれは首長のアシスタントと申しますか、補助者でもございますので、独立機関補助でございますから、いきなり首長が直接選任いたしますよりも、議会の承認を得ました上で、その協力のもとにやっていくことのほうがよろしいのじゃないかということでございます。  任期の問題は、あまり長くても短くても、両方短所がございますから、現行を見まして大体三年程度ということになっております。これは今度四年になっておりますけれども、決して四年を否定したわけではございません。  なお、責任につきましては、予算権は何といいましても長にございますけれども提出内容につきましては管理者に与えられるのでございます。しかし、特に予算だけが問題でございませんで、決算に大きな責任を持つ、決算中心責任管理者が持つということが特に注意されておったわけでございます。  それから経営委員会制度というようなものを設けたらどうかという案がございましたけれども、いまの監査委員会制度を活用すれば——屋上屋を重ねるようなことになりますので、経営委員会制度につきましては必要ないじゃないかという案でございます。  次に、職員身分労働関係給与の問題でございますが、特に地方公営企業制度財政悪化の大きな原因労務費が多くなっているということ、ことに他の民間企業と比較いたしまして多くなっているという点からして、従来の年功序列的な制度を改めまして、一般行政職とは違う、事業の実態に合ったところの職務給的な体系に切りかえるべきである。と申しますのは、事業体でございますから、費用収益の対応の原則がございますので、一般行政でございますならば、能率をあげましても、それなりにすぐ結果が数字にあらわれてまいりませんけれども事業体は必ず費用収益面が対応してあらわれますから、悪いときにつきましては当然責任を持つべきであるということでございますので、現在のものを職務給的な能率給にかえようという程度のものでございます。したがいまして、よいときは経営成績を加味いたしまして、他のものよりもよけいもらうのもけっこうでございますので、この点刺激を与えておるわけであります。労働関係につきましては従来どおりでございます。  次に、経営形態でございますが、これは非常に問題になったところでございまして、直接方式がよろしいか、間接方式がよろしいか、直接方式にも長所と欠点がございまして、特に縛られる点がございますので、さっき申しました管理職に強力な力を与えるということによって、これも規模によって違うのでございますが、原則は直接的なものが原則になっておりますけれども東京都のような非常に大規模のところにおきましては、できましたら地方公共団体が、公団のような形で、地方公営企業体というような形でやることも考えられるのじゃないかということでございます。東京都につきまして特に間接方式が大いに議論されたわけでありますが、これにつきましては、あとで申し上げます地下鉄路面電車バスなどの一元化方式とも関係を持っておりますので、またあとで申し上げようと思います。  地下鉄はさっき申しましたように非常に莫大な先行投資を必要といたしまして、特に財政面から申しまして、労務費と相並びまして利子並びに出資金の返還などが大きな負担になっておりますので、地下鉄につきまして独立採算制を貫徹することが非常に困難な状態でありますし、非常に公共性を持っておりますから、地下鉄建設費等につきましては大幅な公共負担を必要とする、利子補給も必要とするというのが根本となっております。  路面電車は非常にむずかしい問題でございまして、地下鉄の整備に伴いまして原則的にはバスへの転換なりと相並んですみやかな廃止論でございます。しかし、仙台のようなところは、非常に路面電車が活躍しておりまして、都市交通の非常な重点をなしておりますので、そういうものはやはり既存設備の利用をはかるべきであるという意味で、土地によって非常に違いますが、原則的には路面電車廃止の方向で案ができております。  なお、この地下鉄路面電車廃止は、やはり相関連しておりまして、この部会の最も議論の活発に行なわれましたものが、都市交通における地下鉄路面電車並びにバスを総合的な一元経営にすべきかどうか、この問題が非常な議論がございまして、原則論一元経営論であります。そのほうが、たとえば路面電車をやめるにつきましても、地下鉄を整備したから路面電車をやめるというように並行的に行なわれるべきでございますので、一元経営がよろしいのではないかかというような意見でございます。これは答申のとおりでございます。  なお、採算面の悪いのは、労務費利子、莫大な設備投資と相並びまして、料金決定の適正のいかんでございます。独立採算でございますから、この料金は、原則といたしましては合理的な経営のもとにおける原価主義であります。しかし、この場合におきましても、なかなかそのとおりすぐ料金決定されるわけではございません。ことに交通料金につきましては、従来から御存じのように、申請されましてもすぐ認められておりませんので、料金決定迅速性ということが非常に問題になりまして、そこの八ページに書いてありますように、「地方公共団体議会の議決のみで足り、国の認可を必要としない」という意見が非常に強うございまして、もちろんこれにはいろいろの制約がつくわけであります。法律のとおりに、それは一カ月前に出すとか、もちろん運輸省その他はこれに対する意見を述べるとかいうことはありますが、原則料金迅速化ということがこの部会の非常に大きな課題になったわけであります。  次に、電気事業ガス事業につきましてはたいした問題がございませんで、特に電気事業につきましては、現行料金算定がやや賢い手市場という点から買いたたかれるというようなことがあったようでございます。したがって、やはり三カ年程度にきめておきまして、しかも原価主義でございますから、減価償却が進みますとだんだん料金が安くなりまして、そういう点から、また実体資本がございますから、実体資本の維持という点からして、実体資本の報酬というものをやはり考えるべきじゃないかというような問題があった程度でございます。これにはたいして問題がなかったのでございます。  最後の「料金契約期間は三年程度とし、物価、賃金の変動にスライドするような方法」ということが一つの問題になったのでございます。  以上、私のほうの審議経過でございますが、これがいろいろ答申にそのとおり取り上げられてございますし、修正されたところもございます。  若干私の意見を述べさしていただきますならば、管理者の地位は私ども部会でも取り上げてございます。この場合、広く人材を求めるということ、それから首長議会同意を得て任命するという問題、いきなり首長の任命では、さっき申しました議会援助が得られるかどうかという点につきまして問題がございます。これにつきまして、やはり議会同意ということが必要じゃないかと思っております。  それから、独立採算といいましても、公営企業でございます。私企業と違いますから、やはり企業会計一般会計との経費負担区分はあくまで明確にすべきであります。そういう前提のもとにおける、地下鉄はもちろんでございますし、普通の路面電車も、それからバスにいたしましても、これはやはり一般会計との経費負担を明確にした上で、費用性質十分収入に満たないものとか、あるいは地下鉄のように企業性質からすぐ企業が全部の費用負担し得ないというものにつきましては、一般会計から負担しまして、その費用負担区分を明確にした上での独立採算制でございます。したがって、私企業独立採算とは意味が違っていることは申し上げるまでもございません。  第二番目は料金でございますが、料金はやはり原価主義原則とすべきでありまして、これは独立採算のたてまえからいって当然であります。もちろんその原価は適正な原価でございます。能率的、合理的に運営されました前提としての原価でございます。  それから料金決定迅速性の問題、これは非常に重要な問題であります。特に、いま申しましたように、交通関係におきましては従来から問題になっております。原則としましては、やはり地方自治体にまかすべきでありまして、ただし、非常に公共的な性格を持っておりますからして、一カ月前に届け出をし、国は調整を加えて、また必要な場合には修正を命ずるという調査会答申の線でいいんじゃないかと思います。  都市交通一元化の件は、非常に東京都で問題になったわけでありまして、私の委員会におきましても、非常にこの点に熱烈な議論がかわされたわけでございますが、いずれも早期実現についての多数意見でございます。少数意見はもちろんありました。これも答申にありましたように、東京都の交通事業帝都高速度交通営団一元化が非常に問題になったように思います。  給与制度についても申したとおりでございまして、地方公務員ではございますけれども一般行政職と違いますから、その費用の効果はすぐに収益に反映するわけでございます。したがいまして、一般行政とは違いますから、これにつきましては、できるだけ原則的には能率的な制度を確立することが必要だと思います。  経営合理化につきましては、特に申し上げなくても、答申のとおりでございます。  重要なものとしまして財政再建の問題でございますが、これは直接取り上げませんでしたけれども交通卒業は多数の赤字をかかえておるわけでございますから、これを何とか整理いたしませんと、新しく再出発できないわけでありまして、財政再建は、赤字企業につきましては、五カ年程度というふうになっておりますが、大規模企業の場合は五カ年は私個人はややむずかしいのではないか、せいぜい七、八年という考え方がよろしいのではないかと思います。  それから累積赤字についての利子補給でございます。これは委員会では数字的にいろいろ案が述べられましたけれども数字答申案には出ておりません。しかし、政府原案を見ますと六・五%をこえるものについて一・五%を限度にすることになっておりますが、これは私個人としては少し低過ぎるのではないかと思います。その点社会党案が三・五%をこえるものについて四・五%を限度とすることになっております。おそらくこの四・五%の理由は、赤字県について三・五%をこえるものについての利子補給の前例に従ったのではないかと思います。もっとも地方自治体地方公営企業とは若干性格を異にいたしますから、三・五%でないにいたしましても、四%あるいは四・五%をこえる程度のものにつきましては利子補給してあげませんと、いまの膨大なる赤字の解消はなかなかむずかしいのではないかと思うわけでありまして、その点では、むしろ社会党案に近い考え方を私は持っております。  それから、いつから始めるかということでございますが、これにつきましては、私どもの資料では、三十九年度の決算までしか得られませんから、三十九年度にしていますが、現在は四十年度はわかっておりますし、さらに赤字累積をしておりますから、再建なら思い切って百尺竿頭一歩を進めまして、私もやはり四十年度のものから始めるべきではないかという個人的意見を持っております。  時間をたいへん超過したかもわかりませんが、以上大体私の担当しましたものの経過と若干の私見を加えて私の御報告にかえたいと思います。
  4. 岡崎英城

  5. 今岡鶴吉

    今岡参考人 大阪市の交通局長今岡でございます。  大阪市の交通専業電車バス地下鉄を全部市内は一元的に経営いたしております。したがって、電車バス共食い経路を持っておるとか、あるいは地下鉄収入電車が滅しているというようなことはございませんのですが、非常に大きな赤字をかかえております。四十一年度にはほぼ三百万人の乗客がございますが、そのうちで路面電車は四十万人で、トロリーバスバスで百三十三万、地下鉄が百十六万ということになっております。  経営状態が、三十九年度末で百十二億という膨大な赤中を累積いたしましたが、四十年度をこれに加えますと百五十九億赤字累積しております。本年の四月に電車トロリーバス料金改正を行ないましたけれども、四十一年度には、路面電車でまだ十九億赤字を生ずる見込みであります。バストロリーバスは一・七億でございますので、これはほぼ収支間に合っている。それから地下鉄は二十四億の赤字でございますが、これは減価償却の範囲内におさまっておりますけれども、最近建設いたしました新線部分利子、これが主としてふえて赤字ということになります。この原因は、路面交通機関速度が落ちるとか、あるいは物価人件費の上がったということで原価が上がりましたので、料金改正をやりましても追いつかない、こういうことにあるわけであります。  人口集中はどこも同じでありますし、特に大阪では、市内人口は、中心部は最近二年ほど減っております。それで周辺の隣接市というようなところにふえておる。行政区画都市集中ということではなくて、隣接しました市町村を含めて非常にふえておる。そういった方が国鉄、私鉄で、大阪で申しますと天王寺、梅田というところへ朝ラッシュで押しかけられる。夜は帰られる。したがって、流入流出人口が非常にふえましたので、三百万の乗客のうち約半数市民半数が市外からの流入流出人口であります。そういったことから大阪市では路面交通事業赤字になっても、これはどうも一般会計におぶさるわけにいかない。あくまでも独立採算でやっていかなければ、半分が市民でないのですから、それを市民のわずかな税金で穴埋めするということはできない。これはほかの都市と多少違います。  それから、自動車は御承知のように非常にふえまして、三十年から三十九年までの十年で約五倍にふえております。そういったことから路面電車バスというのは、ほかの都市よりもずっと速度がおそくなりまして、バスは十五キロかそこらを走っておったのですが、十二キロということになっては、これは将来の見込みが立たないという現状にございます。  そういったことから、大阪では、少なくとも路面に依存して大量輸送をやることは将来見込みがないということから、体質改善ということに踏み切りまして、本年の三月に、お手元にお配りしておりますが、基本計画を練り直しまして、万国博の始まります四十五年には地下鉄を六十七キロにする。現在三十二キロでございますので、ほぼ倍になります。六十七キロというのは、東京の現在の地下鉄延長距離であります。このときに、大体市内に六本交差いたしまして、中心部地下鉄だけでほぼ川が足せるという形になりますので、四十三年度中には、どうしても赤字の消えない路面電車は全部撤去いたしたい、こういう基本計画を練り直したわけであります。  そういったことから非常に大きな建設資金を必要といたしますので、資金の確保、これはぜひお願いしたいのでありますが、これも全部起債ということになりますので、現在のようなことでいきますと、四十五年ごろには経費の半分に相当する百四十億近いものが利子になって出ていくことになります。これはまあ、路面電車をはずしてきれいな舗装にいたしますと、架線がとれたら一ぺんに空が明るくなりますし、軌道がなくなって、あと電車がなくなりますと、道路状態も非常によくなりますので、都市計画道路建設というようなこととお考え合わせいただきまして、少なくとも地下鉄については補助事業にお願いしたいと思うのであります。この措置をすぐにやっていただきたいのですけれども、これがいままでの経緯からいきますと、なかなか困難であります。そういったことから、現在かすかに行なわれております利子補給を、本年度国家予算利子補給のときにいろいろお願いいたしましたが、自治省でお考えいただきました程度利子補給を至急にお立ていただきたいと思うのであります。  いま御審議になっております公営企業法によりますと、財政再建債が六分五厘以上は利子補給ということになりますが、私たちのところでは日歩一銭八厘で短期の借り入れをいたしております。ころがしておりますので、六分五厘をこすということでは、実質的な援助補給ということになりませんので、先ほど話に出ましたように、三分五厘をこえるものは利子補給ということでお助け願いたいと思うのであります。  それから累積百六十億と申し上げましたけれども、この中には、物価政策バス料金トロリーバス料金路面電車と切り離されまして、抑制された分が五十八億ございます。これはどうも全額補てんしてやろうというお話もございましたように、ぜひ五十八億については、利子補給というようなことでなくて補てんをお願いしたいと思うのであります。  以上、地下鉄建設の助成を特にお願いいたしまして、私の公述を終わりますが、公営企業法が現状のままでありますと、やはり少々努力いたしましても赤字が残るのではないか、どうしても残ります。したがって、もう少し企業的にできるように、現在審議されております公営企業法が、交通関係だけで希望するほどはっきりしたものだとは思わないのでございますけれども、いろいろな事情からこういった企業改正ということになろうかと思いますが、企業改正と、それから財政処置のほうをぜひ今国会でおきめいただきますようにお願いいたします。
  6. 岡崎英城

  7. 多賀一郎

    多賀参考人 多賀でございます。  まず、自治体病院の現状から申し上げたいと思います。  自治体病院は、戦後医療制度の改良と、地方自治の理念の変化によりまして、急速に設置されてまいりました。昭和三十九年度におきましては、県市町村立を総計いたしますと、合計千百六十病院で、病床総数は十八万七千床に達しております。わが国の総病床数の二三%、また一般病院病床から見ますと二七%を占めておるのでございます。  自治体病院は、その機能からこれを分類いたしますと、まず県の中央病院でございますが、都道府県の地域を単位とする広域診療圏の医療センターとして、きわめて高度の医療及び質的向上をはかるものであって、四十六都道府県のうち二十八都道府県、すなわち六二・二%が自治体に所属するものであります。  次に、地方の中核病院でございますが、市あるいは数市町村の地域医療の中核機関として、高度の医療の提供及び地域医療の質的向上のための活動を行なっておる一般または総合病院でありますが、おおむね自治体病院が地方中核病院の半数を占めているのが現状であります。  次に、不採算地区病院でございます。採算上他の経営主体では設置することが困難な地区の住民医療を確保するための病院でありまして、全国の町村数は二千八百四十一であります。そのうち病院を持っておる町村は九百十六であります。その九百十六のうち自治体病院が所在するものは五百にも達しております。  次に、特殊病院といたしましては、結核病院、精神病院がありますが、これらは採算面から民間病院が敬遠するような、結核重症患者、また小児、老人、犯罪、重症精薄患者の収容、及び近代医学の要請に基づく作業療法等、公共性の商い分野を担当しているのであります。また伝染病院は、伝染病予防行政の一環として、その大部分が自治体病院に併設されております。なお、そのほかにリハビリテーションセンターがありますが、これは疾病構造の変化、医学領域の拡大に伴い、肉体的、心理的後遺症の回復をはかり、患者が経済的、社会的独立ができるよう治療、訓練を行なう施設でありまして、きわめて公共性が高く、採算的に困難な施設でありまして、わが国は諸外国に比し、著しく立ちおくれておりますが、自治体におきまして、ようやく建設が進められているのが現状かと思います。  このように自治体病院は、量的にも質的にもわが国医療機関において、重要な役割りを果たしつつあるのでございます。その利用度は、年々向上し、病床利用率は、三十九年におきましては、一般病床において、都道府州立は八六・六%、市町村立は八二・六%でありまして、平均において、すでに限界ぎりぎりの線に達しております。このように自治体病院は、地方行政の理念である住民福祉の向上に大きい役割りを果たしているのであります。  今後のあり方といたしまして、医学、医術の進歩、疾病構造の変化に対応するためには、わが国の医療施設の体系的、合理的再編成とその中核となる基幹病院及び特殊病院の機能の強化が必要であります。この場合、基幹病院、特殊病院は、諸外国と同じように、機能的にも、社会的にも、財政的にも、自治体病院が主体とならなければならないと信ずるので、したがって、自治体病院の機能の強化を早急にはかるべきであると思います。また、医療における地域格差の解消は、医療が基本的人権につながるものであるだけに、不採算地区の病院の使命を再確認し、所要な措置がとられるべきであると信ずるものでございます。  次に、自治体病院の財政安定対策でございますが、自治体病院の機能を強化するためには、医学、医術の進歩に即応する病院設備の充実、医師、医療技術者の確保、診療業務、患者サービスの改善が必要であります。また、不採算地区病院の経営安定をもはかるため、諸般の対策をとる必要があります。これら自治体病院の機能の強化、経営安定をはかるためには病院財政を健全化し、安定化することが前提条件となります。自治体病院財政の安定のためには、診療報酬の適正化、一般会計との負担区分の明確化及び繰り入れの確保、経営合理化の三つが必要であり、そのいずれのうち一つでも欠けてはなりません。  診療報酬の適正化でございますが、現行診療報酬及びその体系は何ら合理的な根拠を持っておりません。地方公営企業制度調査会答申にも述べられておりますように、現行体系は投薬、注射等が優遇され、入院、手術等の重要な診療が不利になっております。われわれ協議会の部門別の原価計算の結果を見ましても、外来患者から生ずる利益により入院患者の収容、診療に要する経費赤字を埋めているという実態が証明されているのであります。このように診療報酬体系が不合理であるために、病院経営をますます困難にするとともに、開業医師所得と勤務医師所得との格差が著しく増大し、勤務医の不足による病院機能の低下をも招くという医療制度上の大きい欠陥を招いていることを強調したいと存じます。  次に、一般会計との負担区分の明確化と繰り入れの確保でございます。診療報酬が全医療機関の平均画一料金制をとっている以上、これがいかに適正化されても、自治体病院の使命に基づく高度の医療、特殊な診療、平均を上回る物的、人的サービス、不採算地区病院の経営費等については、当然診療報酬のみをもってその経営費をまかなうことは困難であります。また、看護婦等の教育施設、伝染病棟の経営、救急医療、リハビリテーション等保健衛生行政の一部を担当することによって生ずる増高経費は診療報酬に算入されていないし、算入さるべきものでもありません。  しかし、これらいわゆる公共性の維持、向上は自治体病院の持つ本質的なものであるべきであるので、これらの理由によって生ずる経費は、一般会計等において負担されなければなりません。われわれ協議会は設立以来十数年にわたり、一般会計との負担区分の明確化と繰り入れの確保とを要望し続けてまいりましたが、今回地方公営企業法改正案第十七条の二において、法的にこのことが確立することには全面的に賛意を表している次第であります。  昭和三十七年、われわれ協議会は学識経験者及び自治、厚生両省の関係局長をも含む自治体病院財政改善に関する委員会で検討していただいた改善意見井を公表いたしました。この意見書の内容は、今回の制度調査会答申とおおむね一致するものでありまして、負担区分の問題も同様に述べられております。また、この裏づけとして特別交付税の交付も受けてきたのでございます。しかし、御承知のように、地方財政の現状に加うるに、病院事業に対する地方の首長議会の認識は、一部の地方公共団体を除いては必ずしも十分ではなく、そのため一般会計からの繰り入ればなかなか思うにまかせず、特交があるにもかかわらず一般会計からは全然繰り入れられず、完全独立採算をも強要される自治体病院もいまなお多いのであります。  われわれが特に注目いたしたいのは、独算経営を除外した現法行のもとにおいて、地方公共団体の種別に一般会計の繰り入れ額を見た場合、昭和三十九年度実績を一床当たりで計算をいたしますと、六大部市では二十万四千円、県は九万七千円、市のほうでは四万三千円、町村では三万四千円と大きい格差があるのでございます。そのため市は二一・二%、町村は一八・三%の不良債務をいだいて苦しんでいるのが現実の姿でございます。このことはますます医療の地域格差を拡大するとともに、このままでは市町村の経営する自治体病院は市大な経営難におちいることは明らかであります。これを是正する道は、負担区分の法制化による国の財政措置以外にないのでございます。それゆえにわれわれは今回の法改正による負担区分の明確化は、自治体病院の使命の達成のための財政対策を一歩大きく前進させるものと信じております。  ただ、ここで特に要望しておきたいことは、法第七条の二による政令の制定にあたっては、建設費及び建設費にかかる地方債の元利償還は、答申では全部または一部となっておりますが、自治体病院の機能を強化し、住民の福祉を向上するために国立病院、労災、社会保険病院等と同様に、原則として全額一般会計負担とされたいこと、結核病院、精神病院、リハビリテーションセンター等の公共性、社会性の特に高い施設の増高経営費は全額一般会計負担とされたいということでございます。  政府が早急に診療報酬の抜本的改善をはかられることを要望するとともに、改善措置が行なわれるまでの間は、自治体病院は収支両面に弾力性を欠きますことから、国立病院と同様に、少なくとも診療報酬改正時点と人事院勧告によるベースアップとの期間的ずれに対応する人件費増高分に対する財政措置を政府が行なわれますよう要望いたしたいと思います。  法第十七条の三の補助規定については、地方財政の現状、過去の実績から、六大都市、一部の富裕県以外の大部分の地方公共団体は、実際上運用することは困難かと思われるので、法第十七条の二の負担区分の政令において、でき得る限り自治体病院の機能を向上し、公共性の確保と健全な経営を可能ならしめるよう万全の措置をとられますことを要望いたす次第でございます。  次に、経営合理化でございますが、われわれは当然最小の費用で最大の効果をあげるよう経営合理化に努力いたします。政府においてもわれわれの経営努力を助長し、その効果をあげるため、積極的に協力されますよう要望いたします。特に、答申に述べられておりますように、経営指導センターを設立し、経営の指導体制を強化していただきたいのでございます。また社会保険診療報酬の概算払い制度を確立するとともに、診療報酬請求事務を徹底的に簡素化していただきたいのでございます。また寝具、洗たく、中央材料室、給食業務等の共同処理について助成措置をとっていただきたいのでございます。医師は病院医療の基幹であり、医師の安定確保は、機能上のみならず、経営上からも最も重要な問題でございます。医師の確保のためにはいろいろと問題はありますが、その最も大きな条件の一つは給与の適正化にあります。自治体病院の医師の給与は、現在国家公務員の給与に準じております。しかし、国家公務員の医師給与は、民間勤務医師給与より三五%も下回っておりますことは人事院報告で明らかであります。まずこの不当な低給与を是正することが、医師確保、ひいては病院経営安定化の第一歩かと存じますので、まず民間勤務医師と自治体病院勤務医師の格差の解消を早急に行なわれますよう強く要望いたします。  以上で私の意見を終わります。
  8. 岡崎英城

  9. 鈴木富司

    鈴木参考人 政府の地方公営企業法の一部を改正する法律案中心意見を申し上げたいと思います。  非常に時間が限られておりますので、本改正案に密接不可分な関係にあります公営企業制度調査会答申と、本改正案の関連性に問題をしぼってまず申し上げます。次に企業職員の扱いの問題における重要な問題点を提起し、以上二つの点に問題をしぼって意見を申し上げたいと思います。  私は、都市公営交通交通に働く七万の労働者の強い期待と念願を代表して、政府提案の地方公営企業法の一部を改正する法律案に対する意見を申し上げます。  まず初めに申し上げたいことは、政府は、地方公営企業改正案の作成過程におきまして重大な三つのあやまちをおかしているということであります。  その一つは、この法律改正するよりどころとなっております地方公営企業制度調査会を設置するにあたりまして、その構成員に労働者の代表を入れなかったことであります。その制度調査会答申においてすら、地方公営企業の健全な発展は、管理者のみの努力では実現できない、企業職員及び労働組合も積極的な協力が必要である、企業と労働者は究極的には共通の基盤の上に立っている、といっております。また、政府も機会あるごとに、職員及び労働組合の協力の必要性を強調しております。にもかかわらず、二十名の委員構成の中に、ついに一名の労働代表も加えませんでした。私たちの強い要請にもかかわらず、この点はついに実現を見ることができませんでした。企業側は、現職の管理者こそ入りませんでしたが、交通局長の前職者、私鉄経営者、国鉄経営者等多くの方々が加えられております。労働者の積極的な協力は必要だ、だがしかし、意見を聞く機会はあまり必要でない。これではよりよい協力関係が生まれることを期待するほうが無理というべきであります。しかしながら、私たちは、そのような悪条件の中で、わずかな機会をも利用して最大限の努力を払い、私たちの建設的な意見を聞いていただくために懸命につとめました。このことを特に申し添えておきます。  次に第二の重要なあやまちは、政府及び制度調査会が、地方公営企業の深刻な経営危機を強調しながら、なぜ経営が悪化したかについて、その原因を徹底的に追及し、究明するという努力をしておらないということであります。制度調査会答申には経営悪化の要因についてたしか三点にわたって申し述べてあると思いますが、きわめて概念的で、突っ込んだ内容を解明しておりません。地方公営企業再建をはかるために、その制度財政改正するというのに、経営危機の根本的な原因をただす努力をなおざりにして、どうして正しい制度改正財政再建策ができるでしょうか。私は、少しうがった見方をして恐縮ですが、政府や制度調査会は、経営悪化の要因追及について、その本質を究明することを初めから故意に避けたのではないかという疑いを持たざるを得ないのであります。それは、もしかりに、経営悪化の要因を徹底的に追及し、その本質を明らかにしましたならば、その結果として当然制度調査会答申も大きく変わらざるを得なかったでありましょうし、また、政府の法改正案もずいぶんと異なったものにならざるを得なかったことと思います。私は、公営交通事業における経営悪化のおもなる要因は次の諸点にあると思います。  一、間度経済成長政策により、一方には産業と人口都市集中による過密都市の形成、それに基づく路面交通の混雑、滞留等により速度が著しく低下し、他の一方においては物価の急激な高騰を来たし、これらのしわ寄せにより経営効率の低下と経営費の増大を来たしている。人件費の増大が赤字原因だといいますが、地方公務員全般と同一歩調で企業職員給与は改定されておりますし、現在の物価高によって生活条件は少しも改善されておりません。  二、公営企業公共性から当然なことではありますが、不採算路線の運行が地域住民の要請に基づいて行なわれていること。  三、起債の元利償還の過重負担、特に支払い利息の増大。  四、公共負担的な性格のものが独立採算制のワクの中で行なわれていること。  五、公共料金が政策料金に転化し、政府の政策によって左右されていること。  六といたしまして、地下鉄建設のような都市改良事業と目されている、しかも建設費に膨大な費用を要する事業企業の力だけで進めようとしていること  そして最後に重要なことは、住民の福祉という公共性独立採算制の矛盾をそのまま両立させている現行制度のあやまち。  以上要約して申し上げましたように、要するに経営悪化の基本的な要因は、企業の内部よりはむしろ外部に存在していることであります。もし政府や制度調査会がこのような事実を正しく把握し認めていただきましたならば、おそらく、料金値上げと職員の労働条件改悪による合理化企業再建が可能であるというような結論は出なかったと思います。したがって、経営悪化の要因追及をなおざりにしたこと、ここに重大な第二のあやまちがあるというべきだと考えます。  そして第三には、私たちが基本的に反対の立場をとらざるを得なかった制度調査会答申、その答申すらも政府は正しく全面的に取り上げようとしなかったということであります。制度調査会答申の中には、私たちの理解し納得できがたい多くの点があります。しかし反面、幾つかの重要な問題提起があります。しかしながら、これらの重要な問題のほとんどが法改正にあたって抹殺されております。また、かりに取り上げられるにしても、それはきわめて消極的であり、効果が期待できない程度であります。そのような事実を具体的に申し上げますと、  一、地下鉄聖業は大都市における都市改良事業にほかならない。地下構築部については、道路等公共施設に対する国庫負担制度を勘案の上国が建設費について負担する制度を確立する必要がある、とうたわれています。  二、資本については、建設改良資金のほとんどを借入金いわゆる企業債によってまかなってきている。このようなことが現在の地方公営企業経営の一つのガンになっておりますので、元利償還の必要のない自己資本を充実することが望ましい。この原則に基づいて、当面の具体策が提起されています。  三、大都市の交通については、それが地方公共団体の行なう街路整備等都市計画事業その他都市行政との関係がきわめて密接である。この考え方に基づいて都市交通一元化地方公共団体の長の権限強化がうたわれております。特に路線の免許等についてこの点が強調されております。  四、料金は、地方公営企業の所有者であり、かつ、利用者である地域住民を代表する地方公共団体の長及び議会が決定すべきものであるので、国の許認可は原則的に廃止すべきであると主張されております。  五、最後に、地方公営企業の健全な発展をはかるためには、根本的には、地方に対する国の行政の刷新が必要である。このことは、たとえば、人口の過度集中、交通の過密化、住宅の無計画な建設などが地方公営企業経営に大きな圧迫となっていることを思えばきわめて明瞭である。政府は、都市行政の一そうの総合化を実現するよう努力すべきであるというふうにいわれております。  ここに列挙しました五つの点は、地方公営企業、なかんずく都市公営交通にとって非常に重要なことでありますが、政府の法改正案ではこれらのことが何ら考慮されておりません。  私は、制度調査会答申に基づいて政府の法改正案が提案されたという根拠に基づきまして、法案作成過程における重大な三つのあやまちについて指摘しました。そして、これらの指摘に基づく結論といたしまして、私は、政府の法改正案は、多くのあやまちと不備な点を持つがゆえに、この国会で強引に成立させるということをせず、いま一度再検討すべきであるということを主張いたします。また、この法改正案によっては、現状における地方公営企業の抜本的な再建は期待できがたいということもあわせて申し上げます。地方行政委員会の諸先生方の御賢察を心からお願い申し上げる次第であります。  次に申し上げたいことは、企業職員の問題であります。政府の法改正案においては、企業職員身分を地方公傷員とし、地方公務員なるがゆえに争議権等労働基本権にきびしい制約をしております。しかしながら、一方給与の問題については、従来の法律改正して、能率給の強化と、経営の状況を考慮して給与を決定すべきことをうたっております。この改正条文はきわめて抽象的でありまして、一見妥当性のあるがごとき印象を与えているようでありますが、その意図する内容は非常に重大な問題を含むもので、私たちはどうしても了解できません。この条文の意図するところをさらに具体的に考えてみますと次のようなことがうかがわれます。それは、企業職員給与については、公務員の給与体系から切り離して、四十歳から四十五歳程度限度にして昇給をストップさせる。俗にいう給与の頭打ちをするが、そのかわり初任給の改正について積極的にやらない。日給月給制を採用すること。諸手当を廃止もしくは減額すること。期末手当は大幅に削減すること。退職年令を切り下げること。電車バスのワンマン化を全面的に実施すること。このようなことがすべて企業経営赤字を理由にして強引に実施されようとしているということであります。身分地方公務員であるから労働基本権については当然地方公務員に準じて剥奪するといいながら、給与については、地方公務員であるというよりは企業職員であるという観点から、企業経営状況によって決定すべきであり、赤字企業にあっては、給与改定をすべきでないという考え方を打ち出す。これでは私たち企業職員には全く救いがないといわざるを得ません。本来公営企業は利潤追求の目的を持つ企業ではありませんし、現状においては、そう簡単に赤字の解消が期待できがたいという事情のとき、労働基本権を奪った中で、企業経営のワク内で給与を決定するということは、私たちの生活を破壊するという宣告以外の何ものでもありません。企業職員の問題につきましては、労働関係の問題と切り離して給与問題に対する制度のみを変えることはきわめて不合理なことであると思います。  最後に重ねて強調したいことは、地方公営企業の健全な発展は、そこに働く労働者及び労働組合の理解と協力なくしてその実現は期待できません。その立場から考えます場合、今回の政府の法改正案は、この基本的な条件を全く具備しておりませんし、またその努力も払っておりません。したがって、いま一度慎重に再検討すべきであることを強く訴え、政府の法改正案に反対し、社会党案に賛成することを申し上げる次第であります。  地方行政委員会の諸先生方にいま一度御理解と御配慮をいただくことを心から期待いたしますと共に、さらに慎重な御審議をお願い申し上げまして私の意見の開陳を終わります。
  10. 岡崎英城

  11. 田牧保

    田牧参考人 田牧でございます。  私は自治労を代表して次の点について意見を申し上げます。  第一点は、内閣提出の法改正案が公営病院事業にどのような影響を及ぼすかの点であります。第二点は、今回の法律改正の重要な問題の一つである地方公営企業財政再建の問題についてであります。  まず第一点の内閣提出の法改正案が公営病院事業にいかなる影響を及ぼすかという点について若干の意見を申し述べたいと思います。  内閣提出の法改正案は、法適用事業の範囲拡大により、病院事業は新たに財務規定の全面適用と、赤字を免じた事業においては、地方公営企業法により財政再建の適用を受けることになったのであります。その結果、現行法では百人以上を常時雇用する病院事業についてのみ適用されていた財務規定が、今後は百人以下の小病院あるいは診療所などにも適用が広がり、現行法では他の地方公営企業より比較的に企業性をゆるめられていた病院事業が、公共性と同等に企業採算を追求しなければならない位置に置かれたことになり、病院事業経営をきびしい現実に直面させるに至りました。  次に、具体的な問題点に触れたいと思います。第一の問題点は次のとおりであります。  私どもは、この法案の閣議決定の前後に、鈴木厚生大臣にいろいろ陳情したのでありますが、その際大臣は、厚生省としては法改正の決定に際し、一般会計企業会計との負担区分の明確化をこの改正法案の第十七条の二に規定し得たので満足であるとの見解を述べられました。なるほど、内閣提出改正案には政令で定むるものについては一般会計企業会計との負担区分を明確にすることが抽象的でありますが規定されております。また、聞くところによれば、厚生省と自治省との間に、法案決定に際し負担区分についての政令事項、あるいは改正法案第十七条の三、一般会計からの補助の解釈について何らかの話し合いが行なわれているということを聞いております。  法律そのものの文章を文字どおりとるならば、現行法は、病院事業独立採算になじまないとして原則的に独立採算制度を適用しない立場をとっており、改正案は全面的に企業会計方式を導入しております。したがって、現行法と内閣改正案との間には大きな病院事業に対する質的変化が見受けられ、今後の病院事業が一挙に企業会計でまかなわれるという点について私どもはたいへんな心配をしております。政府は、これを一般会計企業会計との負担区分の明確化が行なわれるから心配はないという考え方であろうと存じますが、今日のごとく一般会計そのものが、四十一年度地方財政計画で二千三百三億円の赤字が見積もりをされ、地方債では普通会計の現債高が三十九年度現在で一兆七千億円に達しているときに、しかも今後の地方財政の動向を見ても、容易に赤字の解消が困難視されるときに、いわば一般会計の持ち出しを増大せしめる負担区分の明確化がはたして円滑に運用できるかどうか、私はたいへん問題が多いと存じます。  また、このままでいくならば、これをめぐって一般会計企業会計間にいたずらな争いが起こる危険がなしとはいたしません。結局、個々の自治体財政の混乱と一そうの赤字要因の増加がむしろあらわれるのではないかと心配するのであります。したがって、この問題は、制度調査会答申も指摘しているように、国の財政補助がどの程度行なわれるかがかぎであると存じます。しかるに内閣改正法案第十七条の二は、地方公共団体一般会計及び特別会計にその負担を求め、国の負担については全く触れられていないことは全く遺憾であります。これでは負担区分制度そのものが、結局は地方財政そのものを真綿で首を締める逆な作用を演ずるのではないかと考えます。この点、社会党の改正法案は、国の負担責任を明確にしており、調査会答申に沿っておるものと存じます。  もう一つの問題点は次の点であります。病院事業合理化問題であります。永山自治大臣は、この法案の趣旨説明において、この法案は、地方公営企業制度調査会答申の趣旨に基づいて、所要の改正を加えたと述べられております。その意味で、この法案と制度調査会答申はうらはらの関係にあることは明らかであります。  では、一体制度調査会答申では、病院事業合理化についていかなる見解を示しているのでありましょうか。これは次の各項目に要約されるのであります。  第一に、人件費は少数精鋭主義を徹底して節減すること。第二に、合理的根拠のない手当の廃止。欠員が出ても補充をしない。配置転換などによる給与費の節減をすること。第三に、職員の年齢構成については、定年制が法制化されるまでの間、実質上の定年制を確立すること。第四に、労働組合との団体交渉は、統一交渉という形で地方公共団体の長が交渉する方式は廃除して、企業管理者責任と権限で当たるべきこと。第五に、薬品など企業に要する資材の購入は共同購入につとめること。第六に、事務処理の機械化、集中化により、事務の簡素化、能率化をはかること。第七に、病院の清掃、洗たく、給食の作業について、民間委託、共同処理などにより費用の節減をすること。第八に、差額徴収ベッドの設置など、収入の増額をはかることなどであります。  この内容は、若干の部分を除いては、大部分が職員と住民である患者の犠牲によって病院事業合理化をはかろうとする構想であると言わざるを得ないのであります。自治省では、この調査会答申考え方を具体的に進めるために、すでに全国自治体病院協議会研修用の手引きの中で、参考書として「公営企業会計入門」をすすめ、その参考書中の第三部、病院事業経営分析のしかたとポイントの様式を示し、積極的に病院事業企業的利潤を高めるための経営のあり方を奨励しているのであります。そればかりではありません。この制度調査会答申がある以前から、病院の新築、増改築など起債を認める条件として、自治省の意向であると称し、各地の病院で労働条件の切り下げ、人員整理の示唆、欠員不補充が行なわれております。また、今日各地で病院の統廃合が行なわれておりますが、その中で清掃、洗たく、給食等の、いわゆる間接業務の民間委託あるいは縮小による末端医療行政の責任体制がくずれつつあります。さらに加えて、差額徴収ベッドの設置、あるいは特別室料金の設定などによって病院の公共性が著しくそこなわれようとしていることを指摘しなければなりません。もちろん、このような事実が、この法案に具体的に明記されているのではありませんが、制度調査会答申に沿ったこの法改正が、病院事業企業会計に全面的に位置づけたという政策意図から見るならば、独立採算を適用しない現行法における以上に、企業利潤を追求するための行政指導が一そう強化されることは明らかであると言わなければなりません。  わが国における社会保障制度の重要な一環をになう公営病院事業について、政府がほんとうに国民の立場に立とうとするならば、利用者の代表あるいは直接医療行政の一線に活躍する職員、技術者の代表も参加しないで、結果的にはその両者にたいへんな影響を及ぼす一方的な答申に基づく法改正を行なうのではなく、これらの代表も加えた民主的な制度調査会を再度構成して、慎重かつ公正に審議し、その結論を待って抜本的法改正をしていただきたいと考えます。この方途がとられるならば、内閣提出の法改正も、国民に信頼され、職員、技術者に納得のいく法改正になるものと私は確信するものであります。  以上で病院事業についての意見を終わって、次は第二点の地方公営企業財政再建の問題について意見を申し述べます。  今般国会に、内閣提出と社会党提出による地方公営企業法の一部を改正する法律案及び関係法の改正案が提出され、現在この会期末において重要法案として審議されているのでありますが、その根底には、政府、与野党ともに、現状の地方公営企業に対する危機感が存在するものと考えるのであります。すなわち地方公営企業財政実態は、その累積赤字額では、法適用事業分で三十八年度が三百七十六億円、三十九年度では一挙に六百五十五億円、それが四十年度決算見込みでは約一千億円に達しようという激増ぶりであります。企業債については、同じ法適用事業分について、昭和三十九年度決算で、現債額は実に約九千七百八十七億円にのぼり、そのうち利率六分六厘をこえる、いわゆる高利による企業債の借り入れは四千四百六十六億円の多きになっております。これをさらに借り入れ先別で見まするならば、政府資金及び公営企業金融公庫によってまかなわれている額は五千五百七十五億円であります。これを要するに、地方公営企業財政実態は、まれに見る危機に直面していると言わなければなりません。  したがって、内閣及び社会党が昭和三十年に施行された地方財政再建促進特別措置法による財政再建方式をそれぞれ想定して、この国会にそれぞれ改正案を提出したことは、状況としては十分根拠のあるところであります。しかし、ここで私どもが指摘したいのはその内容であります。内閣及び社会党がそれぞれ考えている地方公営企業財政再建が、現実としていかに地方公営企業再建の実態に即しているか。そしてまた理念的にはいかに日本国憲法に定められた地方自治の本旨に沿っているかという視点であります。その意味では、内閣提出の法改正案は、その財政再建の条項において、地財再建法とほとんど変わりはありません。それに比べて社会党提出のものは、基本的には地財再建法の本質は否定しつつも、現実的には地方公営企業累積赤字を配慮して、方法としては再建計画の策定、財政再建債の起債、これに対する利子補給方式を採用し、この再建が政府の権力作用を誘導し、結果として地方自治の本旨を侵害しないように歯どめを行なっている考えに立つと見ることができましょう。この二つの考え方に立つそれぞれの法改正案について、主権者である国民、自治体の当局あるいは自治体に勤務する職員は、そのいずれに賛意を表し、そのいずれを選択すべきでありましょうか。それは以下の意見によって明らかにいたしたいのであります。  私ども自治労は、昭和三十年に施行された地方財政再建特別措置法には実に苦い経験と思い出を持っております。おそらくこれは自治労だけではありますまい。この法の適用をよぎなくされた多くの自治体理事者あるいは地方議会議員においても、その政治的立場を越えて、この地財再建法には苦々しい記憶を持っていることと存じます。当時、この法律審議に際し、国会では、この法律を一方では毒まんじゅうであると言い、他の一方ではカンフル注射であるという議論が行なわれました。しかし、結局は多数で通過したこの法律は、各自治体に多くの混乱を与えたのであります。地域住民には、生活環境に深い関係のあるサービス事業の切り捨てにより、行政水準の低下がもたらされました。自治体職員には定期昇給のストップ、諸手当の削減、追い打ちをかけるごとく大量の人員整理が波状的に加えられたのであります。もちろん当時地方自治体当局あるいは議会がこれを率先し、喜び勇んでやったのではありません。多くの住民や自治体労働組合の激しい抵抗があり、中には一たん議決した条例内容が自治省の承認を得られず、再議に付し、修正をされるという自治権の侵害も公然と行なわれたのであります。しかし結局は、政府の再建債に対する利子補給というささやかな魅力は、自治体の主人公である住民の反対もむなしくついえ去って、どろまみれの自治体財政再建が進行していったのであります。自治労もこの戦いで多くの組合員を失業させ、多額の定期昇給、諸手当を損失したのであります。それ以上に、私は、この地財再建法によって地域住民に、自治体は税金は取り上げるが、身近な仕事はちっともやってくれないという不信感を植えつけていったことを忘れることができないのであります。  のど元過ぎれば熱さを忘れるということわざがありますが、私は、いま一たんのど元を過ぎた熱さを再びのどにする思いがしてなりません。それは、この内閣提案の法改正案の財政再建の条項に、かつての地財再建法の暗い影を見るからであります。  しかもなお、次の点において法改正案は地財再建法より一そうきびしくかつ権力的であるということを言いたいのであります。第一に、地財再建法による一般会計赤字解消は、一面では住民と自治体職員の犠牲によってその効果をあげましたが、別な意味では、未曾有の好景気による国税、地方税の自然増によって、実際には赤字を解消したと言えましょう。しかし、今日は事情がたいへん異なります。赤字を持つ企業会計そのものが融通のきかない、流動性に乏しい会計であり、支出要因はふえても収入原資はさっぱりという状況であります。しかも、現に一千億円に近い赤字を解消しなければなりません。一兆円に達する企業債を償還しなければなりません。これはたいへんなことです。かつての一般会計のように自然増収など思いもよらないのであります。たよりに思う一般会計も、それ自身膨大な借金のやりくりをしておるのですから、これまた頼みにならないのであります。では、そのしわ寄せは一体どうなるでありましょう。遺憾ながらそれは住民負担企業職員に求められることは必至であります。この法改正案は、その点では地財再建法のときより過酷な再建計画を要求することになりましょう。  第二に、再建計画の償還期間の問題であります。地財再建法では、赤字額に応じ、当初八年ぐらいから長いので二十年近いものもあったのであります。ところが内閣提出のものは、その第四十三条において、わずか五カ年間と定めているにすぎません。償還期限は、一見、短いほうがよいと考えられますが、実際には長期のほど計画に無理が生じないわけですから、長期のほうが自治体にとってプラスであり、したがって地方の混乱はより少ないと言えるのであります。結局この改正案では、第一に述べた地方財政一般の窮乏化からくるきびしさに、この償還期限の極端な圧縮からくるきびしさが付加されて、再建計画はたいへん困難なものになることが予想されます。  第三に利子補給の問題であります。地財再建法の場合は、三分五厘をこえて利子補給がありました。内閣改正案は、その第四十七条で、六分五厘をこえて一分五厘を限度とするとあります。公共性の高い、住民に最も身近な公営企業に対し、なぜ政府事業債よりも分の悪い、ましてや地財再建法による利子補給よりも分の悪い利子補給限度にとどめるのでしょうか、政府の口にする地方公営企業公共性はどうなっているのでしょうか、全く理解に苦しむものと言わざるを得ません。聞くところによれば、自治省は、法案作成に際し、せめて地財再建法の利子補給率までと大いに健闘してくださったそうでありますが、残念ながら泣く子と大蔵省には勝てず、国会で修正してくださいと言っておるやに聞いておるのであります。昨年末、私ども地方公営企業金融公庫の理事各位に陳情した際、理事の各位は口をそろえて、企業債そのものを政府事業債並みの利率に下げるべきだと述べておりましたが、この一事は、政府みずから地方自治あるいは地方公営企業公共性を軽視している重大な事実であると言わざるを得ないのであります。そればかりではありません。地財再建法で一番悪名の高かった利子補給停止などの強権措置が、内閣提案の改正法案第五十一条に、地財再建法の準用規定として、自治大臣の再建計画の執行停止権、計画変更の権限、そして利子補給の停止など一連の強権発動がそのまま存在しているのであります。  第四に、地財再建法では、財政再建を起こさないで行なう財政再建という条項があり、いわゆる自主再建による再建の道が講じられていたのであります。しかるに、この法改正では、その第五十条に、政令で定める年度以降において、政令で定める赤字企業については、この法律による財政再建を行なう場合でなければ企業債を起こすことができない旨を規定しています。これでは自主再建による再建方式をある時期に否定するのではないかという強い危惧を抱かざるを得ないと思います。  以上四点にわたって、内閣提出改正案について、これがかつての毒まんじゅうといわれた地財再建法より問題の多い法改正であることの見解を述べたのであります。  では、社会党提出の法案についての見解を簡単に申し述べます。  まず社会党案は、財政再建については、これを地方公営企業の本来的な性格と機能をきめる基本法と、財政再建の特別措置という法律を明確に区分して提出していること、再建債の償還期限を十五年以内としていること、利子補給については三分五厘をこえて四分五厘を限度として行なうこと、自主再建による企業債を認めていること、再建企業に対し、企業債の償還の繰り述べ、借りかえその他の財政再建措置について配慮していること、また、政府と企業体との関係については、地方自治を尊重し、その自主性を侵害しないたてまえにおいて、自治大臣の助言、勧告、計画変更の権限行使を認めたことなどの、私ども内閣の法改正案に持っておる批判点を取り入れておることや、事実社会党案のほうが今日の地方公営企業の実情により近い財政再建案であるということにおいて、私どもはこれを支持するものであります。おそらく自治体理事者、あるいは企業管理者、地方議会議員においても、国会における政治的な力関係への思惑を別にするならば、だれしも社会党案による地方公営企業再建を悲願するに違いないと確信いたします。社会党案は、十分今日の政府の立場をも考えつつ、財政状態をも一面考慮しつつ、実行可能な対案を提出したと私どもは観測するものであります。要は、政府及び与党関係委員各位の寛容な決断にかかるものと信じます。私ども自治体及び地方公営企業に勤務する職員の組織体であります。時により、賃金、労働条件の問題で当局と対立し、争うこともあります。しかし、だれが企業が崩壊し、あるいは企業が慢性的赤字状態でよいなどと考えましょうか。真に地方公営企業を民主的に再建し、住民の利便に役立たせるためにはどうするかという課題は、私どもの日夜思いをいたしている課題に共通するのであります。  何とぞ委員各位の格別の御検討をお願いいたしまして、私の意見の開陳を終わることにいたします。
  12. 岡崎英城

    岡崎委員長 以上で参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  13. 岡崎英城

    岡崎委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。奥野誠亮君。
  14. 奥野誠亮

    ○奥野委員 時間の関係で、お尋ねしたいことを全部申し上げてしまいたいと思います。  最初に古川参考人に二つお伺いしたいと思います。一つは、経営形態に関する問題でございます。たしか答申には、大きな企業体については間接経営形態の検討を十分すべきではないか、それ以外のものについては直営方式がよくはないかというように書いてあったのではないか、かように存じておるわけであります。私、従来地方公共団体の基本的な性格は総合行政を住民の立場において実施していくということだから、公営企業であってもやはり直営形態がいいと考えておったわけでございます。しかし、地方公営企業法改正案が国会に提案されるようになりましてから、組合の諸君から毎日いろいろなはがきが舞い込んでくるわけでありますが、その中で、独立採算強化反対、これが一点ございます。しかし、いまお話を伺いますと、私企業独立採算とは全く違うのだ、したがってまた、負担区分をきめる場合に、一般会計などでどこまで公営企業の面でやっていくか、めんどうを見ていく幅をどうきめるかというところにも問題があるから、組合の諸君に若干誤解があるように思うわけでございます。しかしながら、さらに負担区分を明確にしていくということを考えてまいりますと、企業形態を地方公共団体と別個の人格にしたほうが、たとえば、どこまで援助するか、議会において十分論議される、住民の批判も行なわれる、十分であるか十分でないか、住民の立場から必要なものが確保されるのではないか、こういう気持ちも一つ出てきておるわけでございます。  もう一つは、一部の企業体においては、ただ頭から料金値上げ反対、給与引き上げ、こういうような議論を行なっておるものですから、組合の諸君に親方日の丸的な気持ちが強過ぎるのではないかと批判される向きもございます。これはもちろん一部の組合でございましょう。そうすると、職員の自覚を求めていく場合にも、企業形態と切り離したほうがいいのではないだろうかと私自身がだんだんそういう気持ちが強くなってまいっておるわけでございます。同時にまた、争議権の問題も必要に応じては解決できるのではないだろうかというようにも思われるわけでございまして、もちろん公営企業の種類は一律には言えないと思うのでありますけれども、積極的に間接経営形態を取り上げていくべきじゃないか。たとえば、公有民営あるいはまた資本参加、地方公共団体としての発言権を留保しておきながら、経営形態について総合的なそういう配慮があってしかるべきではないか、こういうふうに思いだしたわけでございます。そこで、古川さん個人意見でけっこうでございますけれども、私いま申し上げましたようなことから、従来の考え方をだんだん変えるべきじゃないかという疑問を生じてきている過程でございますので、この点についてもう一歩突き進んだ御見解を伺っておきたい、かように考えるものでございます。  もう一つは、先ほど今岡さんからもお話が出たわけでございますが、政府が料金値上げについて抑制していきたい、あるいはまた値上げを少し待ってくれぬかという意味で協力を求めた、その期間収入が入っていない、この部分については政府でめんどうを見ろという意見がございます。もっともなことだと思うのでございます。ただ、めんどうの見方についてはいろいろあると思うのでございます。たとえば、安定した資金を供給する、それについて利子負担についてはあとう限り国のほうでめんどうを見ていくという行き方、もう一つは、国のほうから補助金を出していくという行き方、前者によりますと、窮極的にはあとの利用者が負担する料金にかぶってくるということになりましょうし、後者の方式によりまする場合には、税金の形で国民が負担していくということになるのだろうと思うのであります。現在政府は補助の道は講じていないわけでございますから、どうしても前者の道を選ぼうとしているということになろうと思います。私も考えようによっては、いつから料金を値上げするか、これはいろんな考え方があるのではないか。建設当初利用者が少ない、その場合に採算がとれるようにしようと思うと非常に高い料金を求めなければならないけれども、後々には利用者もふえてくるのだから、さしあたっては損金が出てきても低い料金できめておいて、後年においてカバーしていくんだという道もあるわけでございます。したがいまして、また料金の値上げ時期については政府に協力しながら、その経費全体はやはり利用者でかぶっていくんだ。先の利用者がかぶるか、あとの利用者がかぶるかという若干の問題はございましょうけれども、税金の形で負担するよりも、利用者が負担するというほうがむしろいろいろな意味で考えた場合に適正な負担ができるのではないかということも考えられるわけでございます。ですから、必ずしも税金の形でなければならないということではない、かように考えるわけでございますが、いま申し上げましたようなことの考え方もあり得るかどうか、御意見を伺っておきたい、かように思うわけでございます。  今岡さんにお尋ねしたいと思います。  地下鉄事業道路建設というような面も持っているわけだから、積極的に国が援助すべきだというお話がございました。われわれもそのような気持ちを持って努力しておるわけでございます。御承知のように四十一年度は従来よりも若干多い国庫補助金が計上されて、そしてこの一年間でどのような負担区分があるべき姿であるかということを求めていこうじゃないかということを政府、自民党間において話し合いをきめておるわけでございます。さしあたっては、建設資金については地方債資金を確保していかなければならぬわけでございまして、その地方債資金確保の面におきまして非常にお困りになっているようなことがあるならばお教えをいただきたい。さらにまた、政府としてこういう配慮をすべきではないかということがありますれば、それもこの機会に教えておいていただきたい、かように考えるわけであります。  もう一つ、昨日も東京都に伺ったのでありますが、バス料金が戦前と戦後どうなっているのだろうか、公共料金値上げがいろいろ言われておりますが、一般の物価よりはその上昇率は低いのではないか、こう思うのでございますけれども、念のために伺っておきたいと思います。  多賀参考人にお伺いしたいと思います。  公立病院をつくりますときに、今日では民間の個人の開業のお医者さんたちから非常な反対が起こされる、こういう傾向が強まってきているようでございます。私はやはり公立病院には公立病院としての特殊な使命があるのだ、かように考えている一人でございまして、多賀さんもそのことを強調しておられた。民間の採算に乗らないような医療部門も積極的に公立病院が取り上げていくのだ、住民の健康を確保していくということほど自治体にとって重要な仕事はないというくらいに考えているわけでございまして、そういう面から考えまして、公立病院の使命は重い、かように存じておるものでございます。したがってまたそれなりに、公立病院を経営する以上は一般会計の相当の負担を覚悟していかなければならない、かように考えるわけでございます。しかしながら自治体理事者や議会当局の自覚が必ずしも十分でないという御指摘がございました。しかしこれも今度の法律が成立いたしました場合には、一般会計がどこまで病院の経費負担していくのかということを明確にするということになっておりますから、明確にされた暁には、先ほど述べられた危惧は私は解消していくのじゃないか、こう思うわけでございます。しかしながら一般の民間の病院がはたしてそれらについて自覚を持ってくれるかどうか、私は自覚を持ってもらうように努力をしていかなければならない、かように考えているわけでございますけれども、そういう面についてどういう配慮を必要と考えておられるかどうか、これを伺っておきたいと思うのでございます。  それからもう一つ、病院関係者の給与が民間に比して著しく低いという御指摘がございました。今度の地方公営企業法改正によりますと、従来はただばく然と国家公務員の給与参考にするのだとか、地方公務員給与参考にするのだとかいうような抽象的な書き方をしておったわけでございますけれども、今度は国家公務員、地方公務員でなくても、同一の仕事に従事している職員給与参考にするのだというようなことで、比較の対象をかなり明確にしぼってきているわけであります。私は、そうすることによって先ほど御心配になった面が若干解決されていくのじゃないか、かように考えているわけでございますけれども、この地方公営企業法給与に関する改正規定についてどう判断されているかということも伺っておきたいと思います。  なお今岡さんに伺っておきたいと思うのでありますが、社会党案と政府案との大きな食い違いは、財政再建についての援助社会党案ではもっと多くする、たいへん積極的であります。公営企業にとって望ましいことだと思います。反面、地方公営企業法のプロパーの関係の規定につきましては、改正は将来に送りたいという社会党の案が、むしろ大きな違いはそこだろうと思うのであります。しかしながら政府案によりますと、料金の算定につきましても、あるいは給与のきめ方にいたしましても、あるいは管理者の権限の問題につきましても思い切った改正をして、よりどころを明確にするという方向をとっているわけでございます。私はやはりよりどころを明確にする方向が正しいのじゃないだろうか、望ましいのじゃないだろうか、そのよりどころを明確にする。明確にするしかたが悪ければ、これは直したらいいだろうと思います。悪ければ直したらいいだろうと思うのでありますが、ただ伏せておいて現行のままでいくということは、どうも感心しないように思うのでございますが、明確にしようとしている点について、非常に不満な点があれば、これを御指摘願っておきたい、かように考えるものでございます。
  15. 古川栄一

    古川参考人 ただいまの奥野委員からの御質問にお答えいたします。  まず公営企業経営形態でございますが、これも話し合いましたように、業種によってたいへん違いますし、規模によってたいへん違いますが、いま私が御報告いたしました交通関係が主として問題になったわけでございます。  初めは直営方式につきまして皆さんの御意見が非常に圧倒的に強かったわけでございますが、われわれも実はその意見であったのでございますが、だんだん研究いたしますと、そうすることによって非常に独立性は強化されますが、同時にたとえば人事の交流などにつきましても非常にはっきりした姿をとります。特に一番重要なのは責任者の継続責任と申しましょうか、管理者の継続責任といってよろしいかと思いますが、他方また資本の面、特に投資の面、それから経費負担の点につきまして、どうも必ずしも十分でないというか、だんだん後退した形でございまして、いまのような煮え切らないような結論になったのでございますが、個人意見をということですから、私個人といたしましては、現状からいいましては、独立採算を代表的に具体化する、たとえば公共企業体という形はすぐはいきにくいと思うのであります。そこで私は一つの大きな方向を持ってよろしいのじゃないかと思います。特に責任者、者が非常に責任を持ってやれますのは、やはり親方口の丸とあまり変わりないのでございますけれども、つぶれっこございませんから、気持ちが非常に——たとえば国鉄、電電あるいは専売にありましても若干違いはございますけれども企業者意識といいましょうか、経営意識という点におきましてはすぐれているのじゃないかと思います。しかし今度の法案では私ども三年という管理者の任期を、政府案では四年にしていただきました点からいうと、一番重要な管理者責任の継続性の問題、この点が解決しますと、いきなり直営にいくことは、将来の理想としてはいいといたしましても、現状では少し飛び過ぎるような気がいたします。私は個人的にそう考えます。これはやはり委員会の気持ちにあらわれたわけでございます。しかし将来私はそこまで持っていっていいのじゃないかと思いますけれども、国鉄、電電その他を見ましても、いろいろがんじがらめに縛られておるものでございますから、公共企業体としての完全な姿じゃないのじゃないかという点もあったわけでありますけれども、大きなもの、ことに交通関係につきましては、私は将来の形はそこに持っていくべきだと個人的には思っております。それは段階はあると思います。  第二の料金の、いつやったらいいかにつきましても、設備投資が大きな問題になるわけでありまして、ことに地下鉄がそうでございますが、私、個人的には、さっきもどなたかから意見が出ましたが、公営企業はほとんど自己資本を持っておりません、みな借金して、起債にいたしましても借金でございますから、この点を、設備投資を何らかの形において一般会計で相当負担することができますならば、経営費と申しましょうか、営業費ははっきり企業独立採算という形で見通しがつくならば、できるだけ早く料金を改定すべきじゃないかと思う。それが企業独立性と申しましょうか、そういうことだと思います。ですから、その元利の持ち方、自己資本の投資さえはっきりいたしますならば、できるだけ早く料金は、経営費をまかなうのが企業責任でございますので、その時期だろうと思うのでございます。お答えになったかどうかわかりませんけれども……。
  16. 今岡鶴吉

    今岡参考人 地下鉄建設資金につきましては、大阪で申しますならば三年ほど前から計画を立てまして、これは運輸大臣の諮問機関でございます都市交通議会の御審議もございましたし、市会の議決をいただきまして、地下鉄建設によって都市交通の体質を変えるということで進めてまいりました。要求どおりということはなかなか容易でないのでございますけれども、ほぼ資金のワクにつきましては十分ごめんどういただいております。本年度、四十一年度は三百七十億ぐらいな資金を必要といたしますが、現在は二百七十億の資金ワクをいただいております。従来もそういった経過でございまして、年間の実績によりまして資金は十分いただいて、一昨年、一昨々年は地元で縁故債の募集をいたしまして、二十億、三十億といった補充をいたしましたけれども資金のワクにつきましては、いまのところ不安を持っておりません。  それからお手元に、何かどぎつい表紙の、地下鉄建設助成というパンフレットをお配りいたしてございますが、大体外国の地下鉄は弔う数十年前からかなりの強い助成が行なわれております。これは全部起債その他で交通事業が借金をいたしまして、それを全部料金でとったところはございません。もちろん計算としては、十年あるいは二十年持ちこたえればだんだん返していくというような計算も成り立ちます。乗客がふえ、減価償却も減ってくるというようなことから成り立つということはできますが、その間に二千億といったような赤字をためたということになりますと、これは容易ではない。そういったことから外国では、この資料にございますが、国の援助一般会計援助なしに、地下鉄を全額起債でやっておるというようなところはお目にかかったところは一つもない。日本だけです。営団でやっている東京と、われわれがやっているように起債を全部借金して、それが七分三厘という高率の借金で、それで乗客負担というような形になっておりますのは、日本だけだと思います。この点はワクは十分にいただいておりますが、資金の質に非常に問題があろうかと思うのであります。  それから都市の交通問題、大量輸送機関を考えない都市改造、都市計画といったようなものは実際はないので、道路だけは国の補助があるけれども地下鉄は別だという、ここのところはもう一つお考えいただきたいと思うのであります。  それからバス料金の戦前戦後というお話でございましたが、バス料金は昭和十年ごろには比較的安定いたしております。昭和二年にはバスは六銭いただいておりましたが、昭和九年に五銭に下げておる。こんなのは珍しい例でございますが、これは青バスと銀バスの競争というようなことでこういうことになったようであります。それで昭和十七年にこれは六銭になっております。路面電車もその当時料金は六銭いただいておりまして、昭和十八年になりまして十銭ということになっておりますが、路面電車バスはそういったことで十年ごろに六銭、料金は同じような形のもので、路面電車よりバスのほうが安いだろうというようなことで、建設費を考えますとバスを最近は充当いたしますので、料金はほぼ同じとお考えいただきたいわけであります。それから戦後インフレ時代には、二十一年から始まりまして、二十二年には三回値上げしております。二十三年二回、こういうときには物価とかなりかけ離れております。  十年と現在とを比較いたしてみますと、十年の料金が大体現在の金に直しますと二十三円くらいになります。その中の人件費が十一円、現在大阪では二十円の料金にこの四月からしたわけでございますが、この中の人件費が二十二円。一体人件費を下げるくふうがあるのか。速度が落ちればまた人件費が上がります。それからベースアップで人件費が上がります。それでは物価に追いつくだけいまから急いで三十円あるいは三十五円まで上げ得るか、こういったことになりまして、料金は戦前よりもはるかにおくれております。内容は、いわゆる経費の中で人件費はほぼ倍になっておる、そして料金の上がり方はずっと押えられておる、こういう形であります。  それから三番目の法改正でございますが、私どもは現在の法改正で、公営交通の進み方がほんとうに明確になるのかどうかという点につきましては、まだどうも不十分ではないかと思うのであります。管理者の権限を強くしていただきましても、なかなかいまの程度のことでは、私鉄の社長がやっているように、国鉄総裁あるいは営団の総裁がやっているようなことはできなかろうかと思う。あまりたいした変わりはないと思うのでありますけれども、将来のいき方を明確にして、その上で財政措置をしていただく、これは当然であろうと思うのであります。従来のままであれば従来と同じような赤字が出る、これはそう言われてもやむを得ませんので、交通局長としては、もうこの際法改正も一歩前進ということでお願いをいたしまして、自分で姿勢を正しながら財政再建をやっていきたい。したがって、財政再建については強くお願いしたい、こういうように考えます。  それから、私に対する質問ではなかったのでありますけれども経営形態、これも非常に交通局長としては大きな問題でございますが、大体現在の都市交通というのは、地下鉄なんかを考えてみますと、行政区画に一致いたしません。行政区画をかなりはずれて通勤の形態がございますので、大阪でも府下にかなりの路線延長というようなことを考えております。こういったときには、いまの直営形態にかなり疑問があると思うのであります。いますぐの問題ではありませんが、大阪で考えましても、府下に延びていったときの、いわゆる交通実態に合わせて都市交通改正されたときには問題があろうかと思います。ロンドン、パリ、ニュヨークその他はやはり公共企業体という形で、行政区画と合わない分を間接経営の形で救済しているように思います。
  17. 多賀一郎

    多賀参考人 奥野先生の御質問の第一の、公的病院の設立の場合の反対が起きているじゃないか、こういう問題でございますが、これは世界の各国において病院診療所の機能の分離、有機的連携の体制をとっておりますのに、わが国ではこれが未分化のために非常に混乱が起きておるわけでございます。したがいまして、政府が医療制度の近代化を推進する必要があるのでありまして、こういう点を十分に検討していただきたいと思うのであります。  また、最近では公的病院の病床規制処置のために、十分に需要に応ぜられない点も相当あるのでございまして、こういう規制もむしろ逆に改善していただきたい、このように考えておる次第でございます。  また、公的病院としてのいろいろの負担区分の問題でございますが、御承知のように平均寿命が延びまして、疾病構造の変化が非常に大きいものがあるのでございます。それにつきまして、いわゆる看護サービスとかまたリハビリテーション、こういったものも出てまいっておりますし、また医学医術の進歩のために、非常に高度な検査機能、また非常に高い医療設備のために専門の医療技術者を必要といたしまして、こういうものが現在の診療報酬ではなかなかまかなえないのでございまして、やはり地方住民に高度の医療を施すためにはこういうものが必要でございますので、こういう増高経費に対しましてははっきりした負担区分をきめていただきたい、このように出与えております。  また、次の第三点の勤務医の待遇の問題でありますが、少なくともわれわれは現在の民営勤務医師と同様に考えていきたい、こういうように考えておるのでありますが、最近大学のほうでは最低のベースをきめておりまして、われわれがもらいにいきましてもなかなかくれないわけであります。もう顔がきかない。問題はやはり給与の問題にかかっておるわけでありまして、その点少なくとも民間の給与ベースに一致させるようにしてもらいたい、このようにお願いをいたしておく次第であります。
  18. 岡崎英城

  19. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私はきょうは古川さんと今岡さん、このお二人に御質問を申し上げたいと思います。たいへんきょうは御苦労さまでございます。  地方公営企業が抜本的な改正を期待いたしまして、そして地方公営企業制度調査会、この答申に対しては大きな期待も持っておったわけであります。同時に、それが法案としてどの程度政府が取り入れていくかということについても大きな期待を持ったのでありますが、出てまいりました政府の法律案というのは、これは全く審議に値しないという程度の法案でありまして、ことばはきたないのですが、全くへのような法案である、われわれはかように考えておるわけであります。ところが社会党のほうからみごとな対案が出ましたので、ようやく審議に値する、かように考えておるわけであります。  そこで、まず第一番にお伺いいたしたいと思いますのは、先ほどから古川さんのお話を伺っておりますと、どうも地方公営企業の確立という問題について何か非常に消極的な立場をとっておる、私はこのように実は感じたわけなんです。私から申し上げるまでもなく、ものの見方というものは一つはマクロ的に、巨視的にものを見ていこうという考え方が当然なくちゃならぬ。その場合、交通行政であるとか、あるいはわが国の交通経済というようなマクロ的な見地に立ってこれをながめるということがきわめて必要だと思います。同時にまたミクロ的な見地に立って、交通企業経営というような面からもこれを考えていくということもきわめて必要であります。ところが先ほどからの御意見、御高説を拝聴いたしておりますと、出てくるお説はすべてがミクロ的な見地に立った考え方であり、きわめて消極的に、いま公営企業体の持っている赤字を何とかひとつこの際解消しなければならぬというようなことであって、それ以上マクロ的なものの見方としての御見解が出ていない、こういうことであります。  そこで私は端的にお伺いしたいのですが、一体制度調査会のお考えとして、今後地方公営企業というものをさらに拡大する必要があるという見地にお立ちになっておったのか。それとも、いやこれは弔う赤字で困っているだから、この際ひとつ現状のままで何とかまあまあやっていける程度にとどめておくという配慮で御検討なさったのか、その点について私は実は疑問を持っております。端的に言いますと、もう議論をする場所ではございませんので、私のほうの意見だけを先に申し上げてみたいと思います。  地方公営企業というものは、御承知のようにその出発点におきまして、すべての企業というものは地域社会に奉仕するものだ、ところが資本主義経済下にあっては利潤追求が先に立って、とてもじゃないが地域住民に奉仕できない。したがってその資本主義の欠陥を是正しようという立場から、やむにやまれず立ち上がったのが地方公営企業ではなかったかと私は思うのであります。ところがそういう見地に立つならば、現在のわが国の民間企業のあり方等を考えてみましても、この場合特に地方公営企業というものは拡大をしていかなければならぬ立場にあるのじゃないかというように私は考えるわけでありますが、何ら是正されていない。そう考えてまいりますときに、ことに交通企業等につきましてはもっと大きな見地に立ってものを見ていく、いま少しく企業というものを拡大していく方向に頭を切りかえていただく必要があるのじゃないか。どうも何か、いま困っているから、だからひとつミクロ的に交通企業経営というものを何とかこの際現状維持のままでやっていこうじゃないか、あるいははなはだしきに至っては、民間に移行さそうじゃないかという説もあったように伺いますが、こういった点について、一体公営企業を拡大するのか、あるいはこれを縮小していくのかということについての御見解を伺っておきたい。縮小するということになれば、これは公営企業否定論だと私は思います。否定しない前提に立つならば、一体これをどうするかということになると思います。この点をひとつお伺いいたしたいと思います。  それから今岡さんの先ほどのお話を伺っておりますと、いま申した点と関連いたしまして、はなはだこれも大阪交通局は消極的だという感じが私はするのであります。伺いますと、過般の十月一日の国勢調査の結果から、過去五年間におけるところのわが国の人口動態は非常に変わってきておる。特に大都市中心とする人口動態が非常に大きな激変を見せておる。そして大阪府を見たときはドーナツ型人口動態が出てきておる。周辺に周辺にと人口が伸びているから、それらの人々が通勤の形で大阪市内に入ってくる。実際に受益者としてどういう区分があるかというと、市街地の市民として使っておるのは五〇%で、市民外がこれを受益しておるのが五〇%。そこで、これについては一般会計ないし税源でもってこれを負担するということはとうていできる性質のものではない、こういうようにあなたは先ほどおっしゃた。ところがその反面において、補助事業的な性格を持たすべきである、公共事業としての性格を持たすべきだ、あなたはこうおっしゃっておる。補助事業になると、補助金は一般会計から出るわけですから、その考え方には何か矛盾があると私は思うのです。また大都市が果たす都市交通というものの役割りは、そういう単純な小さな区域に限ったものの考え方では果たせないのじゃないかと私は思う。そういう考えを持っておりますると、ますます都市交通事業というものは萎縮してしまって伸びていかない。むしろ思い切ってそういったドーナツの肉づけされておる部分に対してどんどん交通網を伸ばしていくべきではないか。これについて関係事業法等を改正して、その方向というものを盛っていかなければならぬと私は思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、都市の連帯性というものを考えたときに、大阪市だけがひとりで存在し、東京都だけが自分だけで存在していくわけのものじゃございませんから、そういう点を考えて、いわゆる広域性、連帯性というものを考えたときに、先ほどのような御理論に立たれるということには私ははなはだ疑問がある。しかも、その点で特に考えなければならぬと思いますのは、一般税で負担すべきものでないという考え方に立つならば、料金改定以外には手はないんだというお考えが出てきたようでありますが、これは私はどうかと思うのでありまして、そういう考え方よりも、もっと連帯性、広域性というものを考えた方向へ積極的に伸ばしていくということが必要だろうと思うのであります。一例を北九州市にとって考えてみましても、御承知のように五市合併前にあったところの一市の区域内でバス事業が営まれておった。そして全市域にこれを及ぼすことができない。これは関係事業法等の関係もあり、いろんな関係からそういうふうになっておるのであります。そういう状態で、これじゃしかたがないからやめてしまうのだという状態に持っていくのか、そうじゃないんだ、もっと広域性を持たす、事業を拡張することによって、さらにこの地方公営企業の窮局を打開していくというような積極性を持たしていくのかということにつきましては、先ほど申し上げましたような公営企業の本来的な姿を考えたときには、むしろ積極的に伸ばしていくという考えを持たなければいけないのじゃないか、こういう点で私は非常に不満を感ずるわけでありまして、この二点について、いや、やはりそれはあくまでも税財源、一般財源でもって補てんしなければならないのだというふうに考えておられるのか。しかもあなたのお説の中には、地下鉄であるとかその他の都市交通というようなものについては、これは動く道路であるという概念づけがはっきりされておるのでありますから、この場合、直ちに料金で一切をまかなっていく、独立採算制というものを依然として固持していくという考え方をお持ちであるのかどうか、この二つについてお二人に確かめておきたいと思います。
  20. 古川栄一

    古川参考人 お答えいたします。  マクロとかミクロの関係というのはなかなかむずかしい問題でございますが、とり方によっていろいろ違うと思うのであります。決して小さい視野から考えておったとは思いません。先ほど御指摘ありましたが、特に交通につきましては、都市の過密人口化でありますとか、住宅問題でありますとか、道路関係等々、いずれもそういった企業等と非常に不可分の関係があることは御指摘されるとおりでございますが、今度取り上げました思想的背景というのは自由企業体制だと思っております。そういう意味におきまして、自由企業体制のうちに公営企業をどの程度に浸透させるか。今日の資本主義経済といいましても、これは完全じゃございませんで、二重構造でございますから、ある県、たとえば長野県におきましては公営企業、住宅その他を非常に拡大するお考えでございます。あるいはホテルまでも。これはやはり自由企業体制と公営企業の関連をどこまで関係させるか。やはり原則は自由企業体制でよろしいんじゃないか。そのやり切らないところがございますから、それを補足するのが公営企業じゃないかと私は思っております。縮小か拡大かということをいきなり取り上げられますと私お答えに困るのでございますけれども、そういう自由企業体制が十分やれないところを補っていくという点におきましては、やはり公営企業は伸ばしていかなければならないと思いますが、そうかといって、自由企業に全部食い込んで社会主義経済に移行するよりどころとするという考え方は持っておりません。おそらくその意味じゃなかったと思います。一部の学者の委員の方にはなかったわけではないような微妙な問題もあったと私は思いますけれども、根本の思想的背景は自由企業体制における公営企業の役割りということで取り上げたと思っております。そういう点におきまして、一つはどこまで拡大するか、拡大しないか、利用者がこれでどういうふうに便宜であるか、効果を受けるか、経済的であるかという点におきまして、全部お役人でもってやらなければならないとは思わないわけでありまして、ますます公営企業を拡大して、自由企業でやれるところまでもやるということは、役人の数がふえますから、できるだけ民間でやるべきじゃないか。そういう点において採算のとれる、たとえばバスは切り離すという意見がございましたが、そういうのは、やはり能率がいいか悪いか、結局利用者にどう影響するか、税金がからんでおるのでありまして、できるだけコストを安く能率的にやっていくのがいいわけであります。しかし、いま言ったように設備その他につきまして自由企業でやれない、営利だけで割り切れない点の事業につきましては、公営企業体制はそれを補完する作用であって、それが自由企業にとってかわる現象とは考えていませんし、また制度委員会の多くの方は、全部とは申しませんが、そういう気持ちで取り上げられているので、縮小するか拡大するかという意味じゃなくして、やはり当面した大きな問題でございますから、健全な姿にするということは是認しておるわけであります。つぶそうという考え方はもちろんございませんから、ということでひとつ御了承願いたいと思います。
  21. 今岡鶴吉

    今岡参考人 どうもいまのような交通をやらされておりまして責任を持てと言われておりますと、どうもミクロ的にならざるを得ぬのでございまして、非常にこまかい話を申し上げましたが、大阪人口というのは中心四区はどうしてもふえません。したがって周辺の区にふえる。周辺の区も現在ほぼ限度ではないかと思いますので、これから大阪都市圏として考えますと、さらに府下ということになろうかと思うのであります。大阪都市圏としてはかなり大きな広さを持っておるにもかかわらず、大阪市の行政区画が非常に小さい、こういった点でドーナツ型になった結果、交通事業は非常にやりにくい形になっております。そこで、現在の民営は、私どものほうのバス路面電車と違いまして、地帯制というような料金制度をおとりになりません。大体区間制でございまして、料金改正をいたしますと、いままで十円であったところが十五円になるということでなくて、いわゆる五駅四キロで二十円、それを二駅一キロ行くと三十円といったような区間制を採用されますし、私どものほうは乗ったりおりたりが非常に激しい関係上、やむを得ず地帯制均一料金をとりますのですが、民営で四回料金改正をされて、公営はその間今度やりまして二回、この辺に問題があろうかと思うのであります。公営であれば料金は押えておいてもいい、民営じゃつぶれるから料金を上げてやらなきゃならぬ。その点が、大阪では市の中では十二年間も十五円でバスは乗っていただいておりましたけれども、市の外はその間三べん値上げしている。大阪の交通は、先ほど申し上げましたように、半分が市民で半分は市民でない、そこで中馬市長に赤字の分はもらいたいと言ったら、市外の乗客はそれで喜ばれると思いますが市民はたまらぬ、堺に行きますと南海エリアですから、高い料金ですでに自分は乗っておる、府に赤字補てんをしてくださいと言ったら、堺の市長さんは反対とおっしゃるに違いない。それから北海道は私も昔勤務したことがございますが、内地がキロ当たり三円ぐらいな料金のとき北海道は五円、そして冬季割り増し料金を夏場も適用してもいいのだということで、北海道は非常に高い料金で民営をやっておられます。したがって、国にお願いしたいと言ったときに、やはり問題があろうと思うのでございます。そういったことから、せめて民営と公営とは、料金が幾らか差があってもやむを得ないのですけれども、あまり格差をつけないように、スライド制ぐらいにしていただいて、民営が上がったらそこの関連したところを上げていただくというような形にしていただけば、われわれこんなに赤字をためるというようなことはなかったろうと思うのであります。そういった点で、私、大阪では少なくとも路面電車バスについては独立採算でいきたい、地下鉄につきましては国の助成というようなことを言って論旨不徹底じゃないか、そこに矛盾があると、こういうお話でございますが、これは建設費は路面を使わしていただくものを地下につくっていただけば路面も楽になるのだから、私たちが電力料を払い、それから車両消耗、人件費を払って営業する、建設費については助成をお願いするつもりでありますけれども経営費については、もちろん経営費の中に減価償却利子というようなものを計上しなければなりませんけれども地下鉄というのは、都市計画、道路をつくると同じ効果があるのだから、せめて建設費だけはお願いしたい、こう申し上げておるのでありまして、一方で独立採算と言いながら、地下鉄建設費を助成せいというのは必ずしも矛盾があるというふうに私は考えないのであります。外国でもかなり独立採算を公共企業体という形で押し通しながら、地下鉄建設費については利子負担をやるとか、先ほどの資料にございますが、サンフランシスコでは少なくとも建設費の九〇%は一般財源であります。建設は一応起債でやるけれども、それの償還は固定資産税を三十八年間にわたって増徴して払ってやるということになりますので、わずかに七%か九%の車両だとかレールだとか人件費、電力費が料金にかかるというような形になっておりますから、地下鉄について助成をお願いするということと独立採算とは必ずしも矛盾しない。毎日かかる経費を国にお願いするというところまで言ったのでは、これは管理者として少し言い過ぎであろうと思いますので、建設費の助成をお願いして、そのあと独立採算で利用者にお願いをしたい。ということは、大阪市民が半分で市民でない方が半分、市民でない方といっても、大阪府下とかあるいはぜいぜい奈良ぐらいのところまでが通勤範囲でございますので、国に赤字を埋めていただきたいということも言いにくいと考えまして、あくまでも合理化をやるとか独立採算をやるとか言って、ミクロ的にものを考えておりますが、企業自体は私はいまのような行政区画にとどまるべきでないと思うのです。大阪のような一握りの都市の中で地下鉄をやって、あとはだれかここまで持ってきてくれというようなことを言っているのは地下鉄をやる値打ちがないのでありまして、これはあくまでも通勤圏まで、千里ニュータウンとかあるいは近く予定されております泉北ニュータウンとか石切付近までは地下鉄を延ばしまして、その点では多少積極的に考えておりますし、これらのことを民営にやってもらうというようなことは考えておりません。その意味では多少積極性はあるのですけれども、年々の赤字ということにつきましては非常にシビアーに考えておりまして、独立採算を通したい、こんなふうに考えております。
  22. 阪上安太郎

    ○阪上委員 いまの今岡さんの御答弁は、ちょっと問題がすりかわっているようです。私は国の助成を求めろということを言っているわけです。そして地下鉄も求めるが、そのほかのものでも求めなさいということを私は言っておるのでありまして、ちょっと何か食い違った方向へ出てきたようであります。そういう意味ではない。路面電車の撤去なり何なりについても同様のことが言えると私は思うのですが、こういった問題について、交通が果たす役割りというものを考えたときに、何もあなたのようにそう遠慮して、地下鉄だけが経費がかさむのだから、ひとつやってもらうのだという言い方をしなくてもいいじゃありませんか。水道でも何でも求めていったらいいじゃないかと思う。ことになかなか測定できないような水の問題なんかもありましょう。交通のほうは料金のほうでわかるかもしれないけれども、昼間人口五〇%がふえておる。その連中が大阪市内に入ってきて、どんどん水を使っておる。これは一体どこで計算するかというと、計算できやしません。こういう問題もあるのでありますから、何も遠慮せずに、工業用水でもあれだけの手厚い助成を受けておるのだから、あらゆる公営企業について、観光事業なんかは別でありますけれども公共性の高いものについては思い切って助成を求める方向に行くべきではないかという意味のことを私は聞いておるのであります。   〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕  それから先ほど古川先生は、自由経済原則はそういう形で考えておる、こう言われるのですが、非常に欠陥を持っておる。ことに交通事業等については不採算路線なんというものは走らせませんよ。いいところのみやっておる。あの状態では住民は非常な不便を感ずる。したがって、この際公営企業の果たす役割りは非常に大きいものだ。そういうところは補完的な意見においてとおっしゃいましたが、そういう意味でもなお拡大しなければならぬじゃないかということを私は考えております。これだけのことで何か御意見がありましたら伺いますが、なければこれで終わります。
  23. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 泊谷裕夫君。
  24. 泊谷裕夫

    泊谷委員 古川先生にお尋ねをしたいのですが、今度地方公営企業のことで長い間御協議いただいて、その前段でこういうことが調査会でどういうふうに扱われたのか、もし議論があれば聞かせていただきたいのです。なければ、先生の御意見だけでけっこうなんですが、いまの病院関係の資料をちょうだいしましたね。これは第二部のほうだと思うのですけれども、ものの考え方として指摘をしておきたいのですが、自治体病院が所在するものは五百ありますと指摘しておるのですね。確かに自治体病院のある町村数は五百あるのですが、この自治体病院しかない町村数はそのうち四百十三というのが自治省の統計に出ておるのです。そうしますと全体の八割二分六厘、約八割三分というものが採算の合わない地域に病院を設置しなければならぬ、こういうことが言い得るのじゃないかと思うのです。病院の関係を見ますと、私は運輸関係ですから特に不自然に考えておるのですけれども、たとえば今回地方公営企業で一つの話題に乗りました今後の方向として出ておるのですが、その部落なり町村の人々がどうしても病気でかからなければならぬ病院に対する措置と、それから今度は港湾の様子を見ますと、海運四百四十四号という運輸省から出した統計から拾ったものですけれども、横浜の港で年間収入は七百七十二億あるのですね。そのうち国は五百十三億吸い上げていっているのです。そして管理者収入、市長さんの手元に入る金はわずか四億なんです。あとの残りはどういうことかというと、船舶関係収入が百十九億で、それから貨物関係収入が百十七億、いずれも一五%程度、国が六〇%程度、そして港湾荷役をやっている人々にはわずか十九億しか入らない。しかも七百七十二億の収入のうち、管理者収入はわずか四億しかいっていないのですね。ところが市から持ち出す金を見ますと、病院関係は、病院を利用する者は、これは自治省の統計から拾ってみますと、直接収入は七割七分一厘、地方債が八割一分、その他繰り入れ金、繰り越し金その他がありまして七百二十三億という数字が計上されているのですけれども、利用する人から、全部を合わせると八割近い金をもらうわけですね。港のほうは、さっき言った七百七十二億から市には四億しかもらわないで市から持ち出すのに、直接収入でまかなっているのはわずか二割六分一厘という数字です。地方債は三割二分四厘です。こうなってみますと、きのうもありましたけれども、税負担議論がよく出るのは、一体税金はだれのために使われるのだろうという疑問を持つのです。公営の病院しか建てられないような部落で、それで利用さしてもらう者については薬代だ診療代だということで取られて、港のほうは七百七十二億のうちわずか四億しか入らない。逆に市から六割近く持ち出しているということになりますと、どうしても割り切れない。  なぜかということで考えてみますと、昭和三十年以降急激に国の施策が変わってきました。産業基盤整備ということで直接国で道路を整備する、港湾を整備することになると、市は関係なしにそこに市の財源が持ち込まれて、一般民生の安定に回される率は急速に落ちてきている。この問題を度外視して、公営企業赤字だ、赤字でないという論争は、本来百円のところを八十円を横にしておいて、二十円だけ被害者同士でけんかをさせようという議論になるので、せっかく一橋大学の先生までがお入りになって協議されたにしては、何か肝心なところをお忘れになっておるような気がしてならないのですが、先生のお考えはいかがでしょう。
  25. 古川栄一

    古川参考人 お答えいたします。病院のほうは第二部会でございまして、直接関与しなかったのですが、総会でも問題になりましたのは、僻地の病院とか、はやらないが、しかしどうしても置かなければいかぬもの、これは採算がとれませんから、そういう意味のことは取り上げましたが、港湾につきましては、実は私も全く無知でございましたし、委員会におきましても港湾に関する医療施設につきましては全然議論に乗りませんでした。その事実を知らなかったものでございますから……。ただ病院に関しましては、むしろ結核その他について、どうしても僻地の無医村に公営病院をやることが必要だということは取り上げました。そういう点につきましては、病院は必ずしも文字どおり独立採算ではいかないという点で取り上げられておりますが、港湾に関する医療施設については別に取り上げられておりませんでしたので……。
  26. 泊谷裕夫

    泊谷委員 いま先生の御議論をお伺いできればと思ったのですが、税金の使い方、七百七十二億のうち特定の大きな九割以上は国と荷主さんと船主さんなんです。港湾の仕事をしておる人は全体のわずか九%、横浜の市長の手元に入るのはわずか四億しかない、逆に市から持ち出す、それもやはり市の財政としては大きな問題でしょう。そこの部分を伏せておかれて、病院だけが、バスだけが、電車だけがという議論は、公営企業としての財源の均衡を見る場合に、根本的なものをはずされておるような気がしてならなかったものですから伺ったのです。これはいいです、北海道でずいぶん慈悲深い自治省の役人がおられますから、次回にお尋ねすることにいたします。  先生の第一部会のほうで扱った問題の中で、私は交通を中心にお尋ねしたいのですが、先生のほうでも、かくかく、しかじかしなければいけないということを指摘されておるのですが、昭和三十七年の国の総生産というものを見ましても十九兆円という数字が出ておりますね。その中で直接国が管掌できるものは約五三%という数字が出ておるのですが、それが東京、神戸間に集中的に打ち込まれているとなれば、東京大阪中心とする過密都市の交通事情の混雑、こういうものは当然出てくると思うのです。昭和三十二年は、私の記憶では自動車の生産量がわずか十八万台であったものが昨年は百八十七万台、こういう台数なんです。そういう大きな数字を示して、道路はどうかというと、ガソリン代でやるわけですね。自動車税などでやるわけですが、そこでにっちもさっちも行かなくなっておることは御承知のとおり。車の生産高はイギリス、フランスと同じだが、イギリス、フランスは半分を国外に輸出しておるけれども、日本の場合はココム制限、チンコム制限があって東南アジアには売れない。タイヤは戦略物資だということで売れないということがあります。狭い道路に車をどんどん入れられて動きがつかないということで、昭和三十九年に当時の総理大臣の池田さんから、交通の総合政策について諮問をしまして、去年の二月に答申が出たわけです。総合的な交通政策について国の責任を負うべきものを特別立法しなさいというのが重要な柱ですけれども、今度公営企業の中で交通問題を御審議される場合に、これをはずして議論は生まれないと思うのですが、審議会としてこの答申はどう扱われたのか。それがないとすれば、昨年の暮れに先生のほうで世話してもらった答申、ここのいいところだけつまんで政府が出すというならば、全く小ばかにするのもはなはだしいと思うのですが、その間の経緯をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  27. 古川栄一

    古川参考人 地方公営企業という形で取り上げられたものですから、そういう国の流通性と申しましょうか、他府県との関係交通関係は、実は正面から取り上げておりません。地方財政と国全体の財政関係は非常に密接であると思いますが、ここで直接に取り上げましたのは地方公営企業地方自治体交通関係を取り上げたものですから、いまお話しのように交通は行ったり来たり、いわゆる交通というものは地方だけに限定しておりませんから、当然考えなければなりませんが、その点でいまの国の補助という負担の点につきましては、自動車だけではございませんから、私鉄その他についての利子補給というような考え方のうちには、正面からは取り上げておりませんけれども、多分にそういう観念があったといっていいのではないかと思います。地方だけの一般会計だけではなくして、国の補助利子負担とか施設に対する起債に関しまして低利のものをやるということにつきましては地方だけで解決できないものを含んでおると思います。正面からは取り上げられなかったことは事実であります。
  28. 泊谷裕夫

    泊谷委員 そうしますと、今度先聖たちが最大にお悩みになられたのは、何はさておいても交通路線の一元化だと思います。裏を返して言えば、公営企業といえども、適正な営業単位で、利潤を求めないけれども採算を合わせる、これで悩まれたと思うのでありますけれども、それをはずされたのでは、いま大阪の交長局長も言われておりましたけれども、かりにこちらが十円のものを十五円に上げたって競争の路線、競合の路線がありますから、またこれを同一にしなければならぬ仕組みになっておりますね。民営の企業であれば多目的で収入がありますね。先日与党の政調会の副会長の西村さんが、路面電車は民営に渡したほうがいいというお話を新聞で発表されたのですが、やはり内容を知らないのもだいぶ堂に入っておるなと思ったのですが、それは私の主観ですから別といたしまして、かりに私の見ている範囲のことであっても、札幌市の例をとれば、小樽市を拠点とした民営中央バスは札幌市内の各バス人口のいるところに各駅停車が許される、市営の場合は三分の二は新しく開かれた土地、これは東急だとか京成だとか私鉄の傍系の土地会社によって新しく宅地造成されたところに逆に車を入れなければならない、最も人口の密集しているところ、人口の多いところには逆にとまれない、東京の場合にはそうでしょう、環状線の内側しか動けないのですよ。荒川放水路の制限がありますね。東京は都心部で団地造成はありません。それで片っ端から東急だ、京成だ、西武だとやっている。私鉄の関係路面交通をやっているものはもうかっているかといえば、会社で出す資産表に関する限り、軌道部門等でもうけているものは路線は一つもない、副業で株主配当を合わしている、こういう数字が出ているわけですね。  ですから、一元化の問題も、私鉄関係交通事業を含めて、国がいままでやってまいりました造船、海運、どんどんふえる自動車工業にも助成の手はいっておりますね。石炭産業は六分五厘のものが去年が三分、ことし三分五厘利子補給するんだそうですね、ゼロですね。この十日かの閣議できまりました内航海運の助成の問題についても三分五厘以上利子補給、こういう形になっているわけです。ここで二つの問題を提起してきたんですが、一つは一元化の問題で、適正な営業単位を求めるように答えを出さなければ、幾ら料金を上げようが採算は合わないしかけでしょう。そうであっても大阪交通局長さんの言われるように、昔の時速を確保してくれるならおれは黒字を出してみせると今岡さんがこれは調査会で発言された記録があるんですよ。昭和三十九年七月ごろですか、私もそれなら合うと思うのです。速度が落ちるから、市営だけは電車を続けて出さなければならない。民営であれば都合が悪い、雪が降ったといえばとめていいのです。市営だから出さなければならぬ、運転手だって多く残さなければならない、時間外を出さなければならないでしょう、そういう他動的な力を排除せずしておいて、そしてそこの部分だけとらえて、利潤はいけないけれども利子のかからない金ということになると、料金を上げろということでしょう、であるならば、その交通事情が緩和できない事情にあるならば、その分について政治的にどういう措置をとるかということと、路面交通の一元化の政策というものが前面に出てこない限り、せっかくの答申が生きてこないのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  29. 古川栄一

    古川参考人 どうもむずかしい問題を出されましたが、一元化の問題を通じまして、私鉄、私バスにまでも一元化しようという考えは、さっきもお話がございましたように、全部公営企業化するという考え方に通ずると思うのですが、そこまで議論は実は飛躍しておらなかったわけでありまして、この点につきまして確かに私バスのほうは自由に拡大しておりますし、料金のよけいとれるところもありますが、公営企業は非常にワクが狭められている点について非常に不利な点であるということが問題になっておったのでありますけれども、いまお話にありましたように、公営企業を全部私鉄あるいは私バスにとってかわるという考え方は基礎にはございませんものですから、今日の地下鉄路面電車、それから都のバス等の関係において適正化といいましょうか、合理化といいましょうか、そういうことで取り上げたわけでありまして、根本的な思想はやはり自由企業体制を基礎としまして、それを補うという意味でもって問題を取り上げておりますので、その点は一番最初お答えした考え方が基礎になっておりますから、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
  30. 泊谷裕夫

    泊谷委員 これで最後にしますが、きょう最初にいただいた資料の中に、六のバス事業の中に「郊外バスは一定のターミナルに集中させ、そこから都市圏内への輸送は、公営バスのみが当たるような近代的都市交通を確立すべきである。」こういうふうに指摘をされておりましたものですから、私は当然それは入ってくるものと理解をしたのです、これはよろしいです。  最後に一つだけ、そうしますと、その調査会で出されました先生方の気持ちは、先ほど大阪交通局長からも話がありましたが、地下鉄、このごろははやりことばのように地下鉄に逃げ込むのですが、私は議論がありますけれども、確かにニューヨークの交通公団の場合でも、資本勘定は公社の計算に含まれておりません。通勤、通学の割引分を市から公社に補てんしている、それから運賃その他諸料金を自主的に調停、調整させるようにしているのですが、これはニューヨークばかりでなく、ボストン、パリ、ロンドンも同じ扱いをいたしておると思うのです。先生方としては、当然このことも見ながら検討されたと思うのですが、であれば、いま現実に政府の出された案と私どもの修正案とが出ておるわけですね、その財政措置ですが、利子補給その他もろもろのものを含めて、先生の考え方社会党案に近いと見てよろしいのですか。
  31. 古川栄一

    古川参考人 これはさっきの関係で、全部の意見少数意見も載せたもので、多数意見少数意見の中の多数意見をとったものですから、一元化の問題については狭く解釈していただきたい。  財政再建につきましては、私は、六分五厘以上の利子補給については、どうも現実に合わないのではないかと思います。三分五厘がいいか悪いか、私はよくわからないのでありますけれども、前に赤字都市再建のときに使われたという意味で、都市自治体財政公営企業とは、若干性格は違うと思います。自分で働くのでありますから、収支を償わなければならぬ。それにいたしましても、六分五厘は私は少し高過ぎると思うわけでありまして、三分五厘は理想だと思いますけれども、あるいは四分くらいのところで、むしろ考え方としては私は社会党のほうに賛成でございます。  それから再建期間もおおむね五カ年程度というのですが、これは大中小ありまして、小さいところあるいは少ないところはよくわかりませんが、大きくなりますと、私個人としては、五年も少し無理ではないか、社会党の十五年は少し長過ぎると思いますが、これは感覚の問題でありますが、早いほどよろしいのですけれども、現実もございますから、私はせめてせいぜい五年ないし少し幅を持たしまして七、八年という、社会党案に私の考え方は近うございますことははっきりお答えいたします。
  32. 泊谷裕夫

    泊谷委員 終わりにします。
  33. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 野間千代三君。
  34. 野間千代三

    ○野間委員 時間がだいぶ過ぎたので、残り時間が少ないのですが、たいへんいい意見を伺いましたので、二、三伺いたいと思います。  そこでこれは会長さんにひとつ伺いたいのですが、この答申を貫いている思想とまで言っては言い過ぎと思うのですが、考え方として、現在の赤字原因人件費の高騰にある、人件費の支出が非常に強い、これは今岡さんも言っておられたが、ただ今岡さんの言っておられるのはちょっと違うので、これは今岡さんにも答えていただきたいのですが、私は人件費が支出の中で占めている割合が多いということはこれを認めます。現実がそうですから認めますが、それが現在地方公営企業が危機に瀕してきた原因ではなくて、これは田牧さんがちょっと触れていらっしゃいましたが、それが原因ではなくて、その前にもう一つ原因がある、そのもう一つの原因の結果として人件費がふえた、こうだろうと思うのです。したがって、この答申に書かれておるように、人件費を民間と対比して、民間と同じような経営状態にしなさい、あるいは賃金にしてもそうしなさいと書かれておりますけれども、そういうふうなことでは、これは今岡さんが嘆かれておるように、いつまでたっても赤字は消えない結果になろう、こう思うのです。  それで、二十九年か三十年、地方財政再建措置が出ましたけれども、そのときの地方自治体の持っておった赤字原因性格と、それから三十五年以降三十九年、四十年までの地方財政あるいは地方公営企業赤字状態とには、性格的に違いがあると思うのです。三十年ごろの赤字は、これは政治のやり方が、六三制の実施であるとか、あるいは社会保障の充実であるとかという方向に、十分じゃないのですけれども多少進みまして、それに基づいて地方財政の支出がふえてきたと思うのですね。ところが三十五年以降最近の地方財政の危機に与えている性格は変わってきて、経済成長をやってきた。つまり産業を育成しようというところに政府の施策の重点が置かれてきた。したがって、それに基づいて労働人口の移動であるとか、都市の構造の変革であるとか、あるいは道路の実態の変革であるとか、自動車の急増であるとか、産業に関連をする結果としてそういう都市のあらゆる構造が変わってきた。これはこれにも書いておりますけれども、これが直接住民の生活に不可欠なサービス機関に影響を与えるということが、この危機のほんとうの原因じゃないかと私は思います。あるいは会長もそういうことを言っていらっしゃったと思います。したがって、たとえば交通に例をとれば、自動車の急増と道路行政における高度成長にしたがっての投資がなかったために、スピードが落ちてきた。十二キロになった、十三キロになったという結果、今岡さんの言うような投資をふやさなければならぬ、地下鉄を掘らなければならぬということで、収入が減ってきた。しかし物価の上昇によって賃金は当然に上げなければならぬ。ここに人件費と対比をしてくるという問題があると思うのです。したがって私は、答申を書かれるならば、人件費の問題の前に——そういう施策をもっと重点にすべきだということが書かれておりますけれども、そこにもう少し重点を置いて書かるべきじゃなかったかというふうに思うのです。その考えについて一点伺いたい。  それからもう一点は、これは今岡さんにお尋ねするのですが、そういう考え方でいけば、今度の答申に基づいて法改正が行なわれておりますけれども、法改正のほうはこの答申よりももっと後退をしておる。したがっていま私が言ったようなことの原因については全く触れていない。私が数えると十三項目くらい答申の中ですら国が負担をすべきだということを言っております。ところがそれは全くないですね。ここに自治省のえらい方が出ていらっしゃるから後ほど委員会でお尋ねしますが、全然触れていない。ところが、国の責任じゃないのだ、自治体なり企業責任だというふうに書いてあるところがやはり十一項目くらいある。そこのところは自治省の案ではほとんどとってある。そういう実態ですよ。ですからこういう状態では、今岡さんは一歩前進だと言われておりますけれども、一歩前進よりもむしろ後退する危険性があると思うのです。これでは私は再建はできないと思う。むしろもっと企業のほうが困ってきやしないかというふうに思うのです。これは答申がそのままそっくり、たとえば自治省が十一月何日かに出した通達くらいまでに法改正が行なわれればある程度の前進だったかと思いますけれども、今度の法改正ではそういう前進にならぬじゃないかというふうに思います。そういう点については、今岡さんは国会で諸先生にこれこれをやってもらいたいといま言っていらっしゃいますけれども、まずきょうは改正法律案に対するお考え方として、この改正案ではこれから都市交通を担当していく管理者としてとてもできないというふうにお考えなのかどうかについてお尋ねをしたいと思います。  ずうっと並べてしまいますから、ひとつお書きとめを願います。  次に負担区分の問題ですが、たとえば交通ですね。これはいま地下鉄の問題が主として論議をされていますが、自治省あるいは大蔵省の役人さんは、地下鉄は国でやるべきだということを言っておられたわけですが、この地下鉄の問題は、だれが考えてもそう言うのが当然だろうと思うのです。これはすでに論議がありましたから省略をしますが、たとえばバスの場合でも路面電車の問題でも、国が当然負担をしなきゃならぬ問題がたくさんあるんじゃないか。ところが法改正のほうでは、負担区分の問題は地方公営企業一般会計との負担区分だけは多少取り上げてこれをはっきりしよう、しかもそれは政令でやろうということです。したがって、近藤課長がいらっしゃいますが、近藤課長さんあたりが考えてそれをこしらえていこうというふうになっていくんじゃないかと思うのです。私はこれは政令の問題ではなくて、むしろ基本の問題じゃないかと思う。これは実際に働いていらっしゃる鈴木さんなどにも御意見があろうと思いますので、ございましたら意見を述べていただいてもう少し聞きたいと思いますが、この負担区分の問題は当然国が負担をしなければならぬ問題だということはさっきはっきりお話がございましたし、答申の中に十一ぐらいありますね。そういうふうなものはきちっと法律でする。これこれについては一般会計で国が負担する、企業はこれこれを負担するというふうに負担区分の問題についてはもっと法律できちっとすべきだというふうに私は思います。時間がないので一々例はあげませんけれども、たとえば答申の中では資本の問題、事務の問題、あるいは公益性の負担の問題についても国が負担をする部分があるというふうに書かれておることを記憶していますが、そういうふうに国が負担する問題等を法律できちっとしてほしいというふうに思います。そうでないと、ほんとうの再建策にならぬじゃないかというふうに思いますので、負担区分の問題について法律に規定すべきだという点について、実際に仕事をしておられる立場で今岡さんはどう考えていらっしゃるか、さらに会長さんあたりの御意見も伺っておきたいと思います。  それからもう一つは決定の手続です。これは答申ではきわめて明確に書かれておったのですが、運輸省のほうの制肘か何かでむざんにも切られています。柴田さんうなずいているからこれは自治省も聞いておられるでしょう。やはり決定の手続は、地方自治体が住民に直接当たっているわけですから、そこの議会なり長なりがそれをすべきだというふうに思いますが、その件について伺いたいことが一点。  それからもう一点、運賃の問題ですが、これはなかなかむずかしい問題です。ただ私は、たとえばロンドンやパリあたりではすでに三十八年あたりに電車が三十二円ぐらい、バスが三十六円ぐらいというような料金になっておったということを議会への報告で見ましたが、日本ではそのころから電車はずっと十五円ですね。私は運賃を上げろという意味ではないのですよ。そういう意味で言っているのではないのですが、これは他の公営企業が、料金の問題は法令でこれこれは原価にすべきだ、しかも資本の報酬まで原価にすべきだというふうにうたってありますけれども、交通の場合には——これは私はたしか運輸省かどこかの内規だと思います。法令でもってちゃんと原価のあるべき姿をきちっと出すというふうにしたほうがいいんじゃないか。これは組合のほうの鈴木さんに御意見を伺いたいのですが、私はやはり運賃のあるべき姿はちゃんと出していいと思う。ただ問題は、公営企業なんだから、したがって国の負担、一般財政負担、そういうものをきらんと出していけば、その分は運賃の原価に算入する必要はないわけです。そうなってくると企業負担しなければならぬものだけを原価として計算をする基礎になる。それからはじいてきた運賃というものは、それほど高くならなくて済むのではないか。少なくともこの答申くらいまでやっても相当程度減るのではないか。これをもう一歩進めて、公益性、公共性というものを基本にして運賃原価を計算してきめていけば、そう高くならぬと思います。それに対して運輸審議会なりあるいはつづめて言えば自治体なりが、その住民の負担力なりそういうものを考えて、その分についてもし一円なり二円なりを削るとすれば、その削った分はどこで負担するかということをもう一回考えるという構想にすれば、私は運賃というものはもっと理論的に積み上げていけるというふうに思うのです。そういう運賃の構成についてこれは会長と組合の立場から鈴木さんにひとつお願いをしたいというふうに思います。  もう一点、先ほど申しました民営との関係なのですが、この前の運賃改正の申請によると——つまり都市交は都市内輸送ですね、したがって大阪のようなこともあり、あるいは横浜、東京のように市民を主として運ぶことになっているのです。ところが、私鉄の場合には主として都市間の輸送です。しかも距離制によって運賃が変えられる。したがって相当収入はあげられることになっている。ところが都市交などの公共企業公共性が基本ですからそうはまいりませんし、しかも限られた都市内でもって行なうわけですね。したがって、運賃の状況も均一制になる。そうなってくると、これは利潤を生むことは当然できません。しかもそういう状態である私鉄ですら、大手十四社の私鉄が百十五億か百十九億かの赤字というふうに申請をされております。これは一割の配当に関する資本報酬を運賃に算入してあってもそうです。したがって、これは答申はたいへん民営を基本にして、民営をかがみにしているが、その民営ですらそういう状況です。しかも赤字で、その民営の従業員の人件費の問題でも、たとえばこれは特殊な例でしょうけれども地下鉄の営団のごときは、支払い利子が物件費と人件費をくっつけたと同じ額ですね。こういう状態です。そうなってくると、これは民営をかがみにするよりも、いまの状況では、民営すら救済しなければならぬということですね。民営をかがみにするというのは、おそらく審議会のほうにも制度調査会のほうにも出ておりますけれども、外国のパリでしたかどこかの意見では、民営でやってきたけれども、民営ではどうにもならなくなって、公営企業によって赤字の実態を解消してきたというふうにたしか報告がありました。したがって私は民営だけをそういうふうに基本にするよりも、問題は最終的には交通問題をどこで負担をするか、需要と供給をどういうふうに負担をするかという交通政策になるのでしょうけれども、これからまいりますと、必ずしも民営を基本にするだけではいけないのじゃないかというような感じがしますので、この件については会長さんからお答えをいただきたいと思います。  したがって、人件費の問題ですが、いまの都市交通地方公営企業職員人件費の割合というものは、先ほど申し上げた環境の中で、収入の僅少なそういう経営実態の中では高いかもしれぬ。しかし、交通事業そのものは人の手によって行なうのですね。道路にエスカレーターというわけにいかないのですから、必ず人が必要である。一台の電車に一人か二人は必要だ。したがって人の要る企業であることは事実であります。そこでは合理化の方法がないと思います。したがって、人件費をそのままにして取り上げることは間違いじゃないかというふうに思いますので、この件については今岡さんからもお答えをいただきたいというふうに思います。  次に職員の待遇の問題ですが、これは鈴木さんも田牧さんも言っておられましたが、答申なりあるいは今度の法改正でいくと、人件費を削減をしよう、これは削減をしようとは書いてないけれども、結果的にはいまの赤字状態再建をするために人件費を考えようということですから、これは削減ですよ。そしてそれはもうかったときには上げましょうと書いてある。
  35. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 野間君、時間ですから、簡潔にお願いいたします。
  36. 野間千代三

    ○野間委員 もうかったときには上げましょうと書いてある。しかしいままで国鉄でもどこでももうかったときに支給したことはない。だからこれは、もうからぬときにはいつでも切り下げるのだということですね。そういうふうにしておいて、一行だけ、労使関係はいまと同じだ、こう言っているのですね。もしそういう状況になく、つまり労働組合と管理者との間の考え方によって、討議によって賃金をきめなさいということであるならば、当然団体交渉権と罷業権、労働者の持っている基本的なものは持たすべきではないか。これは田牧さんのいられる自治労も同じだと思うのです。そいうことを全然しない、これでは全く片手落ちではないかというふうに思います。  まだたくさんあるのですが、委員長さんからしかられましたので、あまり欲ばるといけないので、以上で終わります。
  37. 古川栄一

    古川参考人 お答えいたします。  ずいぶんたくさんございますが、まず今日の危機を来たした原因について、答申は四つ述べております。一つだけではございません。どなたかさっき三つだと参考人の方が言われましたが、四つでございます。いまお話にあった人件費の増高の問題、それから利子、元金支払い、特に利子の大きくなった問題、それから経営合理化が不徹底だという問題と、最後に料金が適正を欠いているということでありまして、これはばらばらではございませんで、みな相関連しておるわけであります。  そのうちに、人件費は相当大きな割合を占めておりますから、これはさっきお話にあったようにみな関連するのでありますが、一応同種の企業といいますと、幸いに交通は民間の交通がございますから、同業者でございますから、いろいろ条件は若干違うのでございますけれども、比較可能でございまして、私、正確な数字をちょっと忘れましたけれども東京都の交通関係を見ますと、民営のバス等に比べますと、たしか平均いたしまして五、六割高かったように思う。これは年齢構成等の問題がございますから一概には申せませんけれども、それにいたしましても同じように一般にやっておりますので、やはり再建という立場、健全性という立場からいいますならば、一つの大きなポイントになると私は思っております。これだけだとは思っておりませんけれども、そういう意味におきまして、現在の労働条件、いまの賃金問題でよろしいというふうには受け取れないのじゃないかと思います。やはり企業の健全化とか再建につきましては、繰り返し申し上げましたように、従業員だけでやるのではございませんで、管理制度とか、いまお話しのような政府の施策とか、あるいは地方自治体のいろいろの補助であるとかいうことと相関連してでございますけれども、少なくともある企業につきましては、これは地下鉄とは一応別にいたしまして、労務費収入を上回っているものもございますから、これは企業体という立場から言いましたならば、決してあるべき姿ではない。普通の民間のものならつぶれるのでありますけれども、そういう意味ではこれだけとは申しておりません。四つともからんでおるのであります。その点はひとつ誤解のないように願いたいと思います。  それからいまの民営の関係というものは、そういう同業者の点でありまして、さっきもお話にありましたように、民間では交通関係だけではなくして、副業といいましょうか、他の関連等でもって全体の採算をとっておることは事実でございますけれども労務費を比較いたしますとやはり高いのでございますから、この点はやはり何かもっと合理化とか——それは必ずしも賃金を引き下げろとは言っておりません。企業全体として合理化するという意味でございまして、個々の企業の賃金を引き下げるということは少しもうたっておりませんから、その点誤解のないように願いますが、しかしいまの賃金体系がよろしいというふうには肯定できないのでございまして、行政職と違うのでございますから、その点につきましては、やはり企業の実態に即した賃金体系をつくるということは、これは常識じゃないかと思います。そういう意味で一つだけを取り上げたわけじゃございませんで、四つを関連的に取り上げた。やはり料金が低いという点もございますから、そういう意味で御了承願いたいと思うのでございます。  それから、実は資本及び事務の問題につきまして、法律でやるか、政令でやるか、どちらがよいか。これは私個人意見が多分に入るのでございますけれども公営企業の自己資本は非常に過小だと思います。そこに不安定性がございまして、やはり公営企業と申しましても、いまお話しのように、利用者もふえますし、設備の近代化もしなければいけませんし、設備といたしましては新しいものを拡大再生産する、そういう意味におきまして、企業の経済的安定性からいいましたら、もう少し自己資本をふやすべきじゃないかと思います。その負担区分関係ともからみまして、地方公営企業の特徴は、設備の金、建設資金は、理想としては——地方財政もそう豊かじゃございませんから簡単にいきませけんれども公営企業と普通の民間との違いは、公共性の点からいいまして、設備の建設は少なくとも自己資本がまかなうべきじゃないかという考えを私個人としては持っております。それにいたしましても、オペレーションズコスト、すなわち人件費、物件費という経常的な費用は、事業みずからが働かなかったら、これは独算になりません。負担区分は、そういう規模、設備というものの近代化を含めまして投資をして、そのあとの運営のしかたは、人件費と物件費は当然企業負担すべきじゃないかと思っております。  それから、決定手続の点は、きょうも経過的に御報告しました答申のとおり取り上げたわけでありまして、決定手続としてはいろいろむずかしい条件があるのでございますけれども、私自身の考え方答申のとおりでございます。  それから運賃の問題は、なかなか複雑でございます。いま申しましたように、やはり経常費、国家の金あるいは地方自治体の金、それから借金を問わず、やはり資本でございまして、企業は資本費を回収しなければなりませんから、労務費事業費、それと資本報酬は当然運賃に織り込むべきだと私は思っております。  そのようなところでよろしゅうございますか。——足りないところは質疑で申し上げることにいたします。
  38. 今岡鶴吉

    今岡参考人 都市交通のうちで路面電車バスは何と申しましても職員の数が問題であります。非常に大ぜいの職員を必要といたします。これは国鉄あたりはもちろんでございますが、ああいう長大列車で、一個列車で一千人とか二千人とか運びます場合は、わりあい職員人件費が少ない。それはむしろ設備費のほうで金を食うということになろうと思いますが、都市交通は大体において人間でかせいでおるという形でございます。したがって、経営の問題、赤字の問題を議論するときには、人件費が必ず問題になる。これは前の財政制度議会でもそうです。いま古川先化は民営よりも、六、七割とか高い、こうおっしゃたのですが、これは間違いであります。その点はキロ当たり幾らかかるか、一車一キロ走るのに民営は五十円であるとすると、われわれのほうは八十円かかる。したがって、六割高いということになります。この中には速度の要素が入っていない。したがって、これを比較されて経営議論されては困るのです。そこで、百キロ当たりの人件費がいまおっしゃたように六割高いという結論が出たわけです。しかし、これは速度がおそいということに一つ大きな問題がありますので、一人一人のハンドル一時間当たりはどうだ、これはバスを比較いたしましてもそれほどの差はございません。三割なんという差はない。ただ勤務時間が長いとか、準備時間が要るとか、あるいは最近やめましたけれども、私金を持っちゃいかぬというようなことで身体検査というようなものがありました。そういったものを超過勤務に加算いたしましたから、一人の人が持って帰る賃金といいますか収入、これを比較しますと、民営の人よりも長く働いてよけい持って帰る。三割くらい余分に持って帰る。しかし、一時間当たりのハンドル時間に割りつけますと、バスはそれほど差はございません。民間のバスで二十キロくらい走っておるところを、私のところが十二キロで走ったら、八割かかるのはあたりまえだ、こう思うのです。ただ、問題は路面電車職員であります。いままで百キロ走って一人前であったのが、八十キロ走っても同じ料金だ、どうしてもしようがないからもう一ぺんということになると、手当を含めて非常に大きな金額です。したがって、路面電車の高年齢者の運転士は国家公務員の課長さんよりよけい持って帰っておる。これは事実であります。その辺のところには問題があります。ただ、路面電車事業を拡張しておるわけではありませんので、構成年齢が非常に高い。路面電車と比較してどうだと習われることも、これは非常に問題があろうかと思います。しかし、私どものほうの給与が俗にいう単純労務という給料表をとっていないといって批判されているということは、われわれもこれは何とかしなければ、民間と比べてもおかしい。いわゆる頭打ちというかっこうになろうかと思いますけれども、いつの時代かにはやはり同一労働、同一賃金という形、そうしますと、一日百キロ走って五万円なら、年齢がいっても五万円、こういうことに行く行くはならなければならぬ問題ではあろうと思うのですけれども、そういう問題といま取り組んで、人件費はどうだどうだ、答申のような形で人件費人件費と言われても私らは自信がない、こういうように申し上げたわけであります。人件費の問題を解消するのは、大阪では早い機会に路面電車を全廃いたしまして、人間の数が少なくて大量輸送のできる地下鉄に持っていく、地下鉄建設コストをひとつ御支援願いたいというようなことで、お客のほうもよくなるし、早く輸送がききます。それからわれわれのほうの経営もよくなりますので、体質改善という方向で人件費節約、一人ずつの給与をどうこうするということは困難だが、ただ、大ぜいかからなくても輸送のできる方向へ持っていきたい、こういうのが私の考え方であります。  それから答申に基づく法改正と言いながら、非常に後退しておる、それで交通局長、自信が持てるのかというお話でございましたが、ここまで後退されてしまいますと、そうありがたみがないのであります。少なくとも地下鉄については法律で今後補助事業にしてやるということにお願いしたい。  それから再建債百五十億、これを背負って再建するのは容易じゃございません。これを料金で年々十億ずつ埋めることはできません。料金を上げてもまだ赤字であるという状態、したがってこの再建債につきましては、私どものほうは路面電車の車両を売る、車庫を売る、それでもってお返しすると言っておるのですが、これはまるまるとまで申し上げかねるので、三分五厘以上はぜひ補てんをお願いしたい。先ほど奥野先生にもお答えしたのですけれども料金を抑制されるというようなことは、古川先生のおっしゃる自由企業というようなことからいいますと、これは間違いであります。したがって、料金をはっきり抑制されたのですから、民営を上げておいて公営だけは三年間ストップということになっのですから、これについてはまるまる補てんをお願いしたいけれども、補てんということが困難であれば別の方法で御支援をいただきたい。それで、法改正はこれから御審議いただくわけでございますので、もう少し自治省自身で当初お考えになっておった原案くらいはお助けをいただくようにお願いしたいと思います。  それから、負担区分というお話がございましたが、地下鉄の問題は、いま言うようなことで国なり市の一般会計から建設をお願いして、経常費というような形のものを料金でという考え方をいたしております。ただ、この負担区分も、従来は非常に公営企業にしわが寄っておりまして、市の功労者とか、あるいは民生委員というような方に無賃乗車証が出ております。この無賃乗車証というようなのをこの赤字経済の公営企業にかぶせるのはよくないじゃないかというのが負担区分の明確化であります。具体的に言いますと、これは市の一般会計からちょうだいしたいと思っております。それから、路面電車が非常に都市計画事業を手伝っていけるような時期には、路面電車が電灯をつけまして防犯灯の役目もしておったわけでありますが、このごろこの路面の照明あたりを交通事業に持たされるのはかなわぬ、したがってこれは市の一般会計でお願いしたい、こういうことをわれわれさんざん申し上げたものですから、負担区分を明確化せいということになっておりまして、これは政令であろうが法律であろうが何であろうが、各企業でよく相談をして負担区分は明確化したいと思います。これは少なくとも大阪市では、本年全部すっきりとはいきませんでしたが、明年度と二年にわたりまして、負担区分はすっきり直そうじゃないか、地下鉄についてはとりあえず十億の出資をしよう、市が出資して、利子の要らない金を十億いただくというようなことになっておりますので、負担区分につきましては市長と私どものほうで直していきたいと思いますが、地下鉄の助成は三百、四百億の建設費に十億出資いただきましても、これはちょっと額が少ないのでございまして、何とか建設助成をお願いしたいと思います。  それから運賃の問題は、これはちょっと角度が違いますけれども、民営であれば、これは立ちいかないという形になりますと、助成処置がない限り運賃改正ということが進められております。それから先ほど、外国の都市は三十何円とかいうお話でしたが、大体外国の地下鉄料金は五十円、シカゴが高くて九十何円ということでございますが、大体五十円であります。ですから、まだ料金を一気に五十円というわけにいきませんけれども東京地下鉄は三十円ということになりましたが、まだある程度料金負担をしていただくというほうが正しいのではないかと私は考えるわけであります。ただ公営企業であるばかりにいろんな、選挙の前はいかぬとか、事実そういうタイミングがございまして、われわれ自身が料金改定の時期を失するわけであります。それから政府におかれましても、何らかの事情でちょっと待てということになりますので、これは先ほど申し上げましたように、料金はいいぐあいに理論的に合理的に処理されていないと私は思うのであります。それで、これはパリ、ロンドンあたりがそういうことになっておるようでありますが、政治とかそういったことに関係のない、主として経済的に理論的な料金をはじいて、そうして通学だけは割り引きしようという市長の要請があったら、その分だけは別途に出すというようなことで料金決定される、これで都市交通の十分な発展を期待できるんじゃないか。私は、そういった補てんがあるからといって、どこもかしこも地下鉄をやるというようなことにはとてもならぬと思いますが、いまの形では、都市交通は非常にゆがめられております。したがって、都市交通で三百万人の人が一日五分ずつ損されても、これはたいへんな時間ロスであります。これはいびつになっている、都市交通が十分な整理がされていないということは事実であります。その点は、運賃は別の機関できめて、市民化活を考えて、市民代表である議会で、通勤はもうちょっと割り引きせい、あるいは横浜でおやりになったように母子家庭はただにせい、こうおっしゃれば、その分だけは一般会計からもらうということがたてまえではないかと思います。運賃の決定につきましては、いまの運輸大臣の決定は非常に手数がかかりますし、タイミングをいつも失しております。この点は今度の法改正できまるのではなさそうに思いますけれども都市交通赤字を出すか出さぬかということは、端的に言えば運賃がどうきまるかにある。運賃をそういうふうにきめられた以上は、泣いても笑っても赤字を出したらつぶれます。ところが、運賃は抑えてある、赤字でもベースアップせいというような逆な結果になって、百六十億赤字をためて困ったというようなことになっているので、根本は運賃決定であります。法改正を少々していただいてもわれわれは苦労します。苦労は覚悟で法改正をお願いしておるわけであります。そうして、しょった赤字だけは何とかお助け願いたいと言っておりますけれども、これから先のことは、運賃決定をリーズナブルにやっていただかなかったらまた赤字が出る、法改正だけではいかぬ、こう思いますので、ちょっと運賃の問題で御質問と角度が違いますのですけれども、お願いをいたしたいと思います。
  39. 鈴木富司

    鈴木参考人 第一点の負担区分の問題ですけれども、この負担区分の問題提起は、公共性独立採算制とは本来両立し得ない矛盾したものなんだという指摘に対して、いや矛盾しないんだ、両立し得る方法は一般会計企業会計負担区分を明確にする、言いかえれば独立採算制公共性というものを両立し得る措置として負担区分の明確化、こういう問題提起にたしかなっていたと思うのですが、そういう意味において、じゃ負担区分の明確化は、はたして両立し得る原則前提にして明らかにされているかどうかということになると、これはきわめて疑問だ。簡単に私たちここで思い浮べて考えられる点で、今岡さんはちょっと触れませんでしたが、その問題に関連のある、たとえば軌道などは、いま完全に公の道路化して、軌道の維持修繕費というもの一体どこが持つかというようなことは必ずしもまだ十分な体制になっていない。私たちは、本質的には公共性があるから当然交通が持つべきだと思いますけれども独立採算制ということをあくまでも前提にするんでしたら、たとえば通学費なり通勤定期なり、あるいは社会保障的な、たとえば不具廃疾者に対する措置なり、そうしたものについては当然別個に考えなければならぬ。しかし公共性のある交通機関だから、公営企業であるから、いまやっておることは正しいと思いますけれども、どうしても負担区分を明確にして独算制を明らかにするとしたら、こういう問題は当然再検討を要する問題ではなかろうか、こう考えます。原則としては、あるいは考え方の基本としては、公共性独立採算性と両立できるんだという前提条件で出した負担区分のこの内容は了解し得ない、こういうことが問題であります。  第二点は、先ほど野間先生から言われましたように、法と政令の関係ですが、今回のこの法律改正案の中には、非常に重要な点がすべて政令にゆだねられておる。したがって私当初に申し上げたように、経営の状況を考慮して企業職員給与を決定するんだと言っておるのですが、これだって抽象的なことばだと、ちょっと内容が明確にならない。しかし意図する内容を少し掘り下げて聞いてみますと、先ほど言ったようなことが言われておる。こういうことについて、法そのものを条文解釈どおり御討議願っても、意図する内容の具体的な重要なものがみな政令にゆだねられて、執行権の範囲内で後にやられるということになると、ここで法文だけの審議をされても結果的には何かしり抜けの審議をしたような危険性が多分にある。したがって、やはり原則としては先年がおっしゃるように最大限度法文で明確にできるものは明確にし、どうしても明確にできない、今後時間の経過とともに具体的ないろんな問題が変化をするものに対する措置とか、そういうものは政令にゆだねてもやむを得ないと思いますけれども原則として明らかにすべき最大限度のものは法文そのもので明確にする、こういうたてまえにしないと、非常にあとに多くの危険性がある。せっかく国会で議決したものが無価値にひとしいような結果に追い込められる危険性が多分にあると考えます。  それから職員身分、取り扱いの問題になるのですが、これは私たちもしばしば反対していることで、簡単に言って、現在地方公営企業法では、身分地方公務員だから、給与も国家公務員なり地方公務員に、大体準拠して考える。と同時に、地方公務員だから、労働基本権についても一般公務員とほぼ同じに、これに準じて、公営企業職員として、団体交渉権はあるが争議権はない、こういうふうにしております。もちろん、私たちはこれにも反対ですけれども、しかしながら一歩譲って考えますと、身分地方公務員だから労働権もこれに準じて考える。そうして労働者の最大の問題点である賃金、労働条件についても考慮する。これは、ある意味においては一つの筋が通っておりますけれども、今回の制度調査会審議の過程でも、この法改正案をつくる前提条件として一貫して流れるものは、身分地方公務員だから、労働基本権、争議権は当然剥奪すべきだ、しかしながら賃金については、特に交通の場合は、民間の賃金を考慮してきめる、これに経営の状況を考慮してきめていく、こういうことが強く指摘されておる。もしかりにこういうことを前提とするのだったら、私たちの労働基本権について、この際抜本的な改革をすべきだということを議論の対象にすべきでありますけれども、ここはさっと流して、全然論議の対象になっておらない。ここに非常に問題点があるのではなかろうか。  と同時に、ここで企業職員経営の状況を考慮して賃金をきめるといっておりますけれども、私ここで皆さんにぜひひとつ御検討願いたいことは、これが具体的に地方公共団体に移った場合に、どういうことになるかということを参考までに申し上げたいのですが、百人内外を輸送するバスは、非常にたくさんの市民の生命と安全を保障しながら市内を走っております。ところが、このバス公営企業経営ずる企業職員がやっておることだから、この人たちの給料なり賃金は、企業の経常を前提にして考える。したがって、赤字だった場合は、バスの運転手の給与の改定はしない。地方公共団体に現実に移った場合には、こういう問題が出る。ところが今度は、その地方公共団体の一般職に属する、たとえば局長さんなり市長さんなりを輸送する自家用の運転手は一般職でございますから、国及び地方公務員給与改定に準じて給与改定はなさるべきであり、また当然なされております。そういたしますと、特に賃金、給与は職務の内容に応じて、責任の度合いに応じて考えるという大原則があるのですが、百名の乗客を絶えず輸送しておるバス運転手の賃金に対して、局長さんなり課長さんなり、一人か二人の特定の市の職員を輸送するための自家用の運転手さんのほうが、ある一定の期間がたつと逆に高くなるということを、地方公共団体の長が、自分の所属する地方公務員の賃金改定をするときに、そういう問題を議会に提起できるだろうか。かりに非常識をおかして議会に提起しましても、市民の代表である議員や一般市民が、私たち百人を輸送する運転手の責任の度合いと、局長さん一人を輸送する自家用車の運転手の責任の度合いはどちらが高いんだということを——選挙によって選ばれるいまの制度の民主的な機構の中で、それを勇敢に言える人が何人あるかということは非常に疑問に思いますけれども、この制度は、きょうあしたいきなりというのではなくて、二年でも三年でも経過すると、必ずそういう結果を招くことは必然だと思うのです。そういうことであれば、地方公共団体は、結局自家用車の運転手の賃金を下げろという逆の方向にいく危険性があると私は思います。一般職地方公務員企業職員とを比較するということで、現実には非常に多くの矛盾と問題を提起して、地方公共団体に働く職員の間に、あるいはそれを使用する使用者側に非常に深刻な問題を提起する。その点、この際、少なくとも不合理のない、理論的に一貫したものを求めるという御努力をぜひお願いしたい。この点に非常に重要な問題点があるのではないか、このように思います。  それから直接質問の点ではありませんけれども、先ほど今岡さんがちょっと言われた、大阪市の交通機関がいま輸送する乗客は、いわゆる市民が五〇%、市外居住者が五〇%、こうなると、これを市の一般会計負担するということに疑問があるという問題提起だろうと思いますが、とにかく現在の都市構造が急激に変化し、人口の非常に集中しているという現状から、一体都市交通と行政区域というものにどういう関連性を求めるかは一つの問題点があると思いますが、いま一つの問題は、今岡さんから御指摘のあった点です。一体市民とは何か、市民の活動というものは何かということについて再検討する必要があるのではないか。確かに堺市から大阪市に通っている地域住民は、居住地からいえば堺市民に違いないが、その方が大阪市内に通って社会活動なり産業活動をすることは、大阪市という行政区域内における産業人としての役割りをしているということが言えると思う。したがって、ベッドダウンだけを対象にして、それを市民だと割り切るにはちょっと問題がある。そういう日本の都市構造の変化してきた結果による問題をこの際再検討を必要とする段階にきているのではないか。この点について先生方の再検討をわずらわしたいと思います。  最後に、これも直接私の質問ではありませんが、人件費の問題でしばしば私どもは言われております。私も今岡さんと一緒に制度調査会の総会に参考人として呼ばれて、その点を私に質問されましたので、当時もお答えしたのでありますが、当時官庁から出された資料は、東京都営バスの運転手の一カ月の基準収入額は五万二千円、東急バスの運転手の一カ月の収入額は三万九千円である。東急より一万三千円高いという問題指摘である。そこで同じ官庁から出された資料の内容を見せていただきましたら、東急バスの一カ月における勤務時間と都営バスの運転手の勤務時間は、都営バス一〇〇に対して東急は八二・五%、約二割労働時間が短い。それから勤続年数が三・一年都営のほうが高い。平均年齢も三歳都営が高い。こういう実態に基づいて賃金に差がある。こういう資料になっておる。そこで、これは一体賃金とは何かと言えば、まず一番大きいのは、労働の対象、労働時間の格差というものが、賃金決定の場合、あるいは賃金を比較する場合の重要な要素である。第二は、現行賃金を比較対照する場合に、何と申しましても、よくても悪くても、議論は別にして、年功序列型賃金ということで、勤続年数と年齢によって現在賃金の格差が求められていることはやむを得ざる現状だと思います。そういうことから、いま申し上げたような内容については、当然内容を少し掘り下げて討議をすれば、実質的にはそう差違はない。その後の経過として、御承知のように東京交通においては多くの合理化を——労使の間でいろいろ紛争がありましたけれども、最終的に妥結して、労働者側は賃金が低下した。それから今回私鉄総連においては御承知の賃上げがあった。こういう幾つか要素を加えると、労働者としては自分の生活を前提にして考えた場合に、公営と私鉄——代表的な東京を見た場合に、賃金の差が非常に多いということを先入観にして、同庁観念にしてものを議論されていることは、われわれは非常に迷惑である、この点を私はつけ加えて申し上げたいのであります。
  40. 田牧保

    田牧参考人 先ほど野間先先のほうから若干質問がございましたので、それに触れて私の見解を申し上げたいと思います。  私は、内閣提出されているこの法改正の全体を見て遺憾に思うのは、少なくとも地方公営企業関係に従事している労働者というものは地公企労法という特別な労働関係にあるということが、この法案の中では非常に忘れ去られているのではないか。これは前に古川先生もおりますが、制度調査会そのものの中でもそのことが十分とらえられていない、この点を非常に遺憾に思うのです。たとえば一例をとれば、制度調査会答申の中に、再建計画を策定した場合に、その再建計画が達成困難なような労働協約を締結してはならない義務を管理者に強制しようとしている。もちろん、今度の内閣の法改正案にはそういうことは規定してありません。ただ、私どもおそれるのは、かりにこれが内閣提出の原案どおりに通過したという場合には、自治省得意の行政指導でこれがされるのではないかという心配を私どもはするのであります。もちろん、そういった点については委員会審議の中で十分委員の皆さんから指摘をされると思うのですが、自治省とわれわれの関係においてはしばしばうまくいかないので、非常にそういうことをわれわれは心配するのであります。ですから、もしそういうことが行なわれるということになれば、もう地公企労法というものはあってなきにひとしいということになるのでありまして、結局そうなれば、先日の日曜日に国会討論会で民社党の今澄さんがおっしゃっていたように、地公企法の改正案は、政府案どおりにいけば首切り法案じゃないか、こういうふうなことを私も言わざるを得ない、こう思うので、ぜひそういう印象のあるようなことは、この審議を通じて抹殺していただきたい、こういうふうに考えるのであります。  それからもう一つ、阪上さんからも御意見があったように、いずれにしても問題は都市問題にかかわる問題でありますから、たとえば地方公営企業で非常にうまくいかないから、ここを継ぎはぎでこうやる、今度は清掃事業のほうは、またこれはこれでこうやる、どうも政府の都市問題に対する政策そのものが根本的に御都合主義、継ぎはぎであるように感じます。したがって、もしほんとうに地方公営企業というものを根本的に改善するとすれば、政府みずからが総合的な都市問題をやはり立案する、その政策を出す。そのことがなければ、根本的にその政策は完成しないと思うのです。そういう点では、先ほどから今岡さんが、交通局長という非常に限定された管理者の立場で苦しいことをおっしゃっているのは、私は気持らとしてはよくわかるのですけれども、結果的には、私ども自治体労働組合の役員としてみれば、どうも昭和三十年以降中央統制が強まって、地方自治体首長管理者そのものが、何か自治省や政府にものが言えなくなってきているような空気がある。このことは、私はたいへん残念だと思う。私どもも非常に反省をいたしまして、いずれにしても制度調査会にわれわれの代表が一人も出られないとか、あるいはまた、われわれにとって非常に不利益である法改正がこういう形で出るということは、要するにわれわれ地方公営企業関係労働組合が弱いからそうなるのだということを、いま心から反省をしております。
  41. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 門司亮君。
  42. 門司亮

    ○門司委員 私は、非常にお約束の時間を過ぎておりますので、一つだけ皆さん各人にお聞きをしたいのですけれども、代表して古川先生と大阪の局長さんに御答弁を願いたいと思います。  それは、この法律は実は公営企業の基本の問題に触れております。赤字をどうするとかこうするとかいうような問題よりも、むしろ基本の問題に触れて、いわゆる形態の変更を求めようとしているところに問題があるのじゃないか、いわゆる法改正の四十条であります。答申案の中にもこの形態に触れております。ところが、昨日の第二部会会議録を見てみますと、これには何も書いてありません。第一部会のほうの会議録を見ますと、企業の形態に対する意見が書いてあるようでございます。したがってきょうお聞きをするのでありますが、現存の法律の九十六条の議会の権限という中の第一項の第五から七までを一応削除する。八、十を残して、そして九、十一、十二を削除する、こういうことになっております。そうなってまいりますと、一体責任の所在はどこにあるか、だれがこの公営企業の運営の全責任を負うか。もちろんこうなってまいりますと、議会の負うべき責任はきわめてわずかになってまいります。そうして長が任命した公営企業の主管者が、いままで議会の権限とされておったものにかわる権限の行使ができる、こういう形になってまいります。そういたしてまいりますと、一体この公営企業に対する権限の所在をどこに求めようとしておるのか。住民の代表であり議決機関である議会の権限を大きく除いて、形を変えれば、理事者である公営企業の長にこれをゆだねようとするところに問題がありはしないか。もしこの制度をほんとうに考えて、支配人制度のような形にするのなら、また私はそれでも一つの考え方があるかとも思います。予算決算だけは住民の代表である議会がやって、あとの行為はすべて支配人にまかせるということ、したがって、その支配人の器量によってその運営を果たしていこうとするものの見方。しかしこれは、いまの公営企業全体の資金構成から見てまいりますと、そうすることは非常に無理であります。たくさんの先行投資を背負っておる、いわゆる需要に対するかなりオーバーした財源を背負っておる地方の公営企業というものは、これはやっていけないということはだれが考えても当然だ。したがって、資金についての配分をどうするか、その問題もここから出てきておると思うのであります。こういう形態の中でこれをマネージャー・システムのような形で運営することがほんとうに正しいかどうかということであります、これでやれるかどうかということであります。この点は一面において、答申案の中を読んでみますると、従来公営企業への政治介入が非常に多かった、だから政治介入を排除することのために議会の権限を削除するということになってまいりますと、いささか問題がありはしないかと私は考える。この点については、もう長く時間がございませんので、いろいろ事例等は申し上げませんが、どういうことになろうか。大体この法律をこのまま見てまいりますと、責任の所在がきわめてあいまいになっていやしないか。そうして理覇者の都合が悪ければ任期は四年とするか三年、どこでも知事さんあるいは市長さんは首を切ることができると書いてある。ここだけを見れば、何か理覇者が全責任を負っておるように考えられるが、しかし、事業の実態はそうでないように法文ではできておる。したがって、この政府原案に対しまする公営企業責任の所在を一体どこに求めようとしておるのか。もしお気づきの点がございましたら、ひとつこの際私どもに教えていただきたいと思うのです。古川さんと大阪の局長さんからひとつ御意見を承っておきたいと思います。
  43. 古川栄一

    古川参考人 これは先ほどからお話がありました直営方式間接方式かというわけで、間接方式としての公営企業体の案もあったのでございますが、先ほどお話しのように、それには長所も欠点もございますから、やはり直営方式をとっております。特別職というのは独立したわけではございませんで、仕事の上でその責任を与えられますが、究極の責任は長だと思います。委任したということは、長がその責任をのがれたわけではありませんから、運営上の責任管理者になっておりますけれども、究極の責任は当然長が持つべきだと思っております。ただ任命のときに長が面接任命するか、あるいは議会の承認といいますか、議会の承諾を得ましてやるかという手続はあるにいたしましても、結局任命権は最終的には長が持つべきでありますから、最終責任は長だと私は考えております。ただし、いままでのように運営上につきまして相当大幅な権限を与えようというところに、間接まではいきませんけれども、直営としながら、従来よりは運営上についてもっと自由裁量を持って、独立性を持って、政治的介入——これは事業体でございますから、いわゆる政治と経済といいましょうか、その分離という考え方が基本的にございますから、最終的には長でなければならない、こう思っております。
  44. 今岡鶴吉

    今岡参考人 いまの、自治省原案がそのまま議決になりましてやれるかどうかというお話でございましたが、大阪の交通というのは、戦前までは非常に順調に運営されておったようであります。したがって当時はいわゆる交通と電気を総括されておりました電気局長に、言ってみれば、今度の法改正管理者と同じ程度の権限がいっておったように思うのであります。それでかなり問題もなくいっておったように思いますが、いまのような赤字を背負って、それから料金決定その他の点で問題のございますときに、このとおりに管理者権限を強化していただきますと、責任だけは重くなるが、最後のぎりぎりのところへいきますと、管理者ではどうにもならぬというような問題が起きるのじゃないか。しかし、現在と同じようなことでは進歩がないので、やはりもう少し管理者にまかせるべきではないか、これはもっともだと思います。その辺のどこらに線を引くかというところに問題があろうかと思いますし、かりにいまの法案どおりに管理者の権限を強めることになりましても、市町村議会考え方で、運用ではいまと全然変わらないという行き方もあろうかと思うのであります。それからいまのままでは、長年の形態が残っておりますので、なかなか赤字の出るような仕事しかようせぬだろう、管理者もいまとちっとも変わったことができぬだろうということになりますので、この際管理者の権限を強めてやるからもっとうまくやれ、こういうふうにおっしゃるのはもっともであります。議会は補償は議決せにゃいかぬとか、あるいは契約は一億円をこえたら議決だということになりますと、定例年に四回ぐらい、まとめて議案を出して、それでなければ契約ができないとか補償問題も片づかぬということになりますので、そのときは主として、質問はありますけれども、これはあまり議決を要しないのじゃないかなというふうに、私はよそから入ってきて、どうして契約が一億円をこしたら議会の議決をとらなければならぬのかなとふしぎに思うものがありますので、具体的な権限は削除されましてもいいのじゃないかと思います。ただ議会のほうが、ちょっとあいつは管理者としてまかせておいたのじゃあぶないからと、あれも資料を出せ、これも資料を出せで御審議されても——削除されても、議会のたびに前もって審議があり、契約をしたものでももう一度また内容審査ということになりましょうから、これはやはりこういうことになって管理者権限をふやして責任を持たせるということになりますと、いまの管理者ではだめだ、やはりまかせられる人を市長が選んで議会の承認をとるということになろうかと思います。いまの門司先生のお話は、昔は非常に権限を持った電気局長がどんどんやっておってうまくいっておった。ですから問題はないのですけれども、いまの局長が全部管理者になったら、権限だけもらっていいかげんなことをしてしまうのじゃないかという御心配であろうと思いますが、管理者権限をふやしたらそれに見合うだけの人物を選任されるということになって、自動車が子供をけがさしたは三十万円報告だなんてものを議会にかけなければいかぬという、ああいう項目は削られても、議会としては痛くもかゆくもないのじゃないか。権限を削ったというと何か人聞きが悪いのですけれども議会としては管理者にはまかせておけぬ、たよりないということであれば、どんなことでもいまと同じにおやりになる方法はあろうかと思います。市長としても、そんな管理者は十分でない、かといってかえるわけにいかぬが、しょっちゅう呼びつけて聞こうとおっしゃれば、市長に報告しませんということにいかぬ。結局いまと同じことになるケースもあり得る。それからほんとうにいい管理者選任されれば、市長も議会もまかせておいて結果がいいということも考えられます。ですからいまの法改正としては、この方向が私は正しいのじゃないか、いまのままでは進歩がない、この管理者権限をふやすという方向はいいのじゃないかと思いますが、それはやはり人の選任というところに問題が残ると思います。
  45. 門司亮

    ○門司委員 奇怪な答弁を聞いたわけです。はなはだ遺憾に存じます。いまの御答弁をそのまま受け取って発表すると、いまの管理者はみんな無能な管理者だというふうに断定してもたいして差しつかえのないことになります。私はそんな無責任な市長はいないと思いますよ。いまの管理職でも市長さんはちゃんと十分にやれる人を選任しているとしか考えられない。そこまでいまの市長を侮辱したものの考え方の上に立って法案を考えてくるということになれば、こういうことになって、しかも長の権限はほとんど削除されておりません。いまのものとほとんど違わぬでしょう。長は任命権を持っておる、同じでしょう。むしろ強化されておる。任期途中でも罷免できるというように強化されておる。議会の権限だけが削除されておる。議会は長と違って住民の意思決定機関です。住民を代表するものは議会です。その議会の権限を大幅に全部削ってしまって、それを新しい理事者に移す、今度は新しい理事者は、いまのようなへまな理事者は雇わないからやれるのだというお考えをここで公表されることはいかがかと思う。私どもはそういう不信用な人がいま東京大阪の局長さんをおやりになっておるとは考えておりません。どんなに有能な人がおいでになりましても、赤字の出るものは赤字が出る、これは社会現象なんです。そこからきたものを一方的に理事者に押しつけようとする行き方がけしからぬと私どもは言っておるのであります。したがって、そこからくるものが結局社会現象であるとするならば、これは国が負担すべきものは国が負担してしかるべきじゃないか、これを直ちに地方の住民に負担させることはおかしいじゃないか、こういう議論は当然成り立つのであります。どんなに偉い人が出ましても、地下鉄などは赤字が出るのはあたりまえだ、国から補助をしなさいということをあなた自身が言っておる。こういうことだから申し上げるのであって、議会の権限をこれほど縮小してほんとうにやれるかどうかということと、責任の所在が、それならだれがこの責任の所在を負うべきかということ、むしろ一切おまえにまかせる、議会は干渉しない、いいようにやりなさいというならそれでよろしいかと思う。いわゆる請負制度にするなら、私はそれでもよろしいかと思う。しかしそうではないところに今度の法改正のきわめてあいまいさがありはしないか。ただいたずらに、議会がうるさいから議会の権限を縮小さえすればわれわれがのんびりやれるのだというお考えだとすれば、大きな考え違いだと思う。これは私の意見でありますから……。  したがって、もう一度お伺いをしておきたいと思いますことは、結論的には地方公営企業のこの法改正によって責任の所在は長にある、いわゆる市長にあると考え、さらにしたがってこれから運営に関係する——先ほど私が言い違えましたが、八を除いたのではなくて、五から八まで書かれておって、九が残っておって、十から十一、十二が除かれることになっておるようでありますが、こういう制度の改革の上で基本的の問題を変えようとする問題がここに伏在しておるということは、単に赤字をどうするとかいうことではない、見方によれば地方議会の権限を縮小して、ある意味においては中央集権に移行しようとするものの考え方です。ここにはっきり答申書の中に書いてある。企業に政治介入があって今日の赤字が出ておるからということで、ここにこう書いてあります。「一般に、企業は、政治的な介入を排除して自主性を強化すればするほど能率的な運営が可能となると考えられる。」こう書いてある。政治的な介入を排除しようとすれば、議会の権限をなくすことが一番手っとり早いから議会の権限を排除したものだと私は思います。そうすると、今日の地方自治法のたてまえからくる住民の意思を公営企業に反映する部面が非常に薄くなってくる、理事者の一方的考え方によってこれが行なわれてくるということになれば、これで完全にいけるかどうかという疑問が実は出てくるわけでございます。この点についてお伺いをしたのでありますが、いまのような御答弁は非常に不満であります。これはもう明らかにさっきのお話にありましたように長にある、任命権が長にあることは間違いない。しかし、実態の運営は、新しく選ばれた公営企業責任者にすべての責任が転嫁されるというよりも、むしろ押しつけられた形というように解釈するほうが実際的には正しいのではないか、こう考えるのですが、これに対する考え方をもう一審お聞かせ願えればけっこうだと思います。
  46. 古川栄一

    古川参考人 議会を排除したということはちょっと……。一応同意を得るとか、原案はちょっと変わるわけでございます。答中は議会同意を得るというように、得て、任命するわけでありますから、選ぶべきかどうか、選ぶときは最終決定権は長にありますけれども、十分あの人にまかせるかどうかといいますと、今日の企業としてはそういうのは非常に大規模な、交通が代表しておりますが、大規模な複雑多岐にわたるところの事業体でございますので、全体の責任を持つということには専門的な能力のある人という前提でございますので、しかしお金も出しますし、全体の関係を持っておりますから、最終責任は長にありますけれども、長は直接任命するのでなくして、この案はちょっと違ったようでありますが、答申のほうは議会同意を得るということで、決して排除はしておりませんが、仕事そのものが非常に専門的になってまいりますから、いわば私のことばで言いますならば専門経営者という考え方でございますね。いまの事業体、大きな普通の私企業におきましても、株主が金を出しますけれども、いわゆる資本と経営の分離という形で専門経営者におまかせをするというのは、これはむしろ常識でありまして、そのことがむしろ事業体がよくなって、同時に議会も、人民といいますか大衆に対しまして、市民に対しましてやはりよい結果をもたらすのではないかという考え方中心になっておりまして、排除するという意味は、責任を全部取ってしまったわけではございませんが、それで大きな監督をなさるわけでございますから、そういう意味で監査委員会の強化という問題が考えられたわけでございまして、経営委員会という案もありましたけれども、さっき申し上げましたように屋上屋を重ねるという意味で、今日ありますように監査委員会というものを通じまして、やはり議会管理者のやっていることに対しまして監査をなさっていいわけでございますから、全部運営はまかせますけれども、そのどうなった、こうなったかにつきましては、議会は当然市民に対して責任を持っているわけですから、そういう意味で横から監査をなさるというのは当然の行き方じゃないかと思います。そう言ってははなはだ失礼でございますけれども、しろうとでもやれますが、非常に今日大規模になって、複雑になって、大ぜいの人間になったりしますと、しろうと的意見もある意味ではじゃまになる、じゃまになるということばは悪いけれども、かえって仕事を阻害しますので、むしろ専門経営者におまかせしようという考えでございまして、排除しようというのは全部たな上げをするというのじゃなくて、監査委員会を通じて十分意見を反映できると思います。しかし、最後の締めくくり、窮極の責任というものはやはり長が持たなければいけないと思います。
  47. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 細谷治嘉君。
  48. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんから、簡単に一、二の点を御質問したいと思います。答弁もひとつ簡単にお願いしたいと思うのです。  昨日川名、きょう五名の参考人の方にいらっしゃっていただいて、きょうも二時過ぎになるわけであります。昨日も二時まで熱心に意見の交換をやったわけで、私どももたいへん得るところがあったのであります。  ところで、九名の方の御意見を拝聴いたしますと、昨日の調査会の代表としていらっしゃった方を除きますと、今度の政府の案では今日の地方財政地方公営企業再建というのはできないのだ、危機は克服できないのだ、こういう結論であり、御意見であったと私は聞いたのです。ところで、ひとつ第一部会を担当されました古川先生にお尋ねしたいのでありますが、昨日調査会のほうからおいでた荻田さんは、いま自治省の幹部がおるためかどうかわかりませんけれども調査会答申内容はかなりゆがめられた、ある意味では無原則な妥協が行なわれて法案に盛り込まれておる不満をぶちまけておったのでありますけれども、じゃあ結論はこの法案でいいのかというと、おおむねこれで地方公営企業再建は可能でございます。こういう結論を言ったのです。どうも前後の話からいくと、おおむねということばをつけて再建可能だという結論が出ないのでありますけれども、そこでひとつ第一部会責任者でありました古川先生、ずいぶんこの答申とは変わった法律案、重要な点で変わっておる点があるわけでありますが、この政府案で今回の地方公営企業の危機打開あるいは再建というのは可能だとお思いになっているかどうか、学者的立場からずばりとひとつ結論を聞かしていただきたい、こう思うのであります。  古川先生にお尋ねしたい第二点は、この問題についていわゆる資本構成という問題がたいへん大きな問題になったと思うのでありますけれども地方公営企業法二十三条にございますいわゆる永久公債、たとえば建設関係経費については永久公債を発行することができるわけでありますが、この問題についてはどの程度議論調査会でなされたのか、また先化の御意見はどうなのか、この点をひとつ承っておきたいと思うのであります。  鈴木さん、簡単にお尋ねしたいのでありますが、あなたの先ほどの陳述の中で二ページのまん中ごろに「この法改正案によっては、現状における地方公営企業再建は期待できがたい」と考えますと文章には書いてあるのでありますが、ことばじりをつかまえてたいへん恐縮でありますけれども、あなたの説明の中では、「地方公営企業の抜本的な再建は期待できがたい」と思います、こういうふうに述べられております。抜本的なことはとてもできっこないことはもう全く同様でありますけれども、それじゃごまかしでも再建をこの政府案でできるとお考えなのかどうか、重要な点でありますから、簡単にひとつイエスかノーかを聞きたい。  それから田牧さん、先ほどのことばの中で、一般会計における地方財政再建特別措置法、これによって地方財政再建がはかられたわけですけれども、そのやった結果というのは、地方自治の本旨というのがずいぶんがんじがらめになったのだ。ある意味では地方自治の本旨というものがゆがめられたどころじゃなくて、うせてしまうのだ、こういう苦い体験があるのだと、こういうあなたのおことばなんです。そうして地方財政再建ができたというのは、特別措置法に基づいたのじゃなくて、たまたま景気がよくなったから偶然の結果としてできたのだ、事実は地方財政というのは三十六年から急転直下悪化していることがそれを証明しているのじゃないか、こういうようなおことばであったのです。私も先ほど来質問なり、あるいは参考人の御意見で、この地方公営企業というものは地方自治、住民自治というものの非常に重要な土台、根幹をなしておろうと思う。その点を御心配になっておると思うのでありますけれども、今度はもっと悪いのですね。六分五厘超一分五厘までというのですから、そういう点について、地方自治との関連においてあなたの意見を率直なところをひとつこの法律に関連してを聞かせいただきたい。  以上です。
  49. 古川栄一

    古川参考人 イエスかノーかと言われますと、やはり条件つきイエスでございます。その条件つきという意味は、いまの赤字をたな上げしますならばこのままでいけるのじゃないかと思います。と申しますのは、赤字という重荷を背負っておりますから、これをどう解消するかということをあわせて考えなければいけません。その場合におきましては赤字を解消する再建計画、それには当然起債が要るわけでございますが、それに対する利子補給の点が、これは調査会では数字は出ていませんが、いろいろ案が出たわけですが、たぶん六分五厘をこえる一分五厘というものは私は困難じゃないかと思っておりますから、せめて三分五厘までいかなくても四分くらい、あるいは四分五厘をこえるものというようなところへいくと、もっと早く健全性、安全性を持つのじゃないかという点で、そういう意味の条件的な意味もございますが、あまり長くお話ししません。しかし資本の問題は、何と申しましても事業というものは、公営企業であろうと私企業であろうとを問わず労働と資本だと思うのです。資本を無視してはいけませんが、やはり公営企業の場合は非常に信用がございますから、借金政策だけで、永久社債を繰り返し繰り返ししてはいけないとはいえません。いまの私企業は資本構成を二割を割ったもの、こういうものがあると思いますが、借金政策をある意味ではやらないところはないのであります。企業の健全性、安全性、継続性からいいますれば、私は少なくとも設備程度のものは自己資本を持つのが企業の常識じゃないかと思っております。とにかく私自身はこれを非常に重んじますが、調査会におきましても十分論議されましたのですが、その点は事実はいろいろ意見が食い違いまして、私企業と違うという点が出てきたわけでありまして、借金だけで、資本はなくてもいいじゃないかという案もなかったわけではありませんが、ここでの背景はやはり自己資本を重んじなければならないという思想だと思います。それにつきまして、設備の新しいものにつきましては社債、起債をやりますけれども、なるべく利子を安くする、その新しい設備についての社債、起債は大いに重要性を持っているということで、私企業の場合と若干違うと思いますけれども、健全な姿としましてはやはり自己資本でいきませんと、自主性と申しましょうか、なかなかうまくいかないのではないかという点で、私個人はそういう意見でございます。しかしそういう意味を含めまして、私はこれが文字どおり実行されますならば、やはり運用は人にありますのですから何ともいえませんが、制度的にはよろしいのじゃないかというふうに思っております。  よろしゅうございましょうか、長くなりますからこの程度でひとつ……。
  50. 鈴木富司

    鈴木参考人 結論的にお答えしますと、ここに書いてある文章どおりなんですが、ただ一言つけ加えたいことは、十五分という制約もあるので、ただ結論だけずっと羅列しておりますので、若干内容を補足しようと思った内容が、逆に内容を多少ぼかした、こういうことになっておりますが、この企業体は法改正案を作成する過程においてすら三つの重要な誤ちをおかしておるので、このような制度改正をするということは根本的に、抜本的にこれによって公営企業再建なり将来の発展を期待することは困難だ。したがって、制度に対して抜本的だ、こういう表現を使ったはずですが、いま御質問の点について解明することは、当面の現状においては、将来においてもこのままではこの法案によって再建を期待するということはできない、非常に困難だ、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  51. 田牧保

    田牧参考人 お答えいたします。  この法案そのものは、どうも私どもから見て、いわゆる住民自治というものを発展し強化する、そのためにこの住民のためのサービス行政を向上させるという立場でこの法案ができているというふうにはどうしても読めない、どうもこの法案の中には、やはり各自治体というものを国の出先機関として見る。それからこの法律改正案のたしか四十九条だと思いますが、何か別な法律でいわゆる公共企業体に一定の華美を移していくという考え方があるわけですが、これは自治省に聞きましても、具体的にまだ法案の準備がないとのことでありますが、いずれにしても、その一つの条項をとりましても、地方公営企業そのものをいわゆる住民のために安く、しかも役立つ企業ということよりも、むしろ何か私営、民営的な私企業への移行を事実上は考えているのではないかということをわれわれは非常に強く感ずるわけであります。そういう立場からも、この地方自治の本旨である住民自治を守るためにも、どうしてもこの内閣提案の原案というものは、私どもはこの委員会を通じてぜひ盛業にしていただいて、できるならばぜひこの社会党の出している対案というものを確定をしていただきたい、こう考えております。
  52. 細谷治嘉

    ○細谷委員 古川先生、どうも恐縮でありますけれども、いま条件つきで、その条件が満たされるならばいいのではないか。やはり先生の御意見というものは、ほかの人は地方自治体関係者あるいは直接の関係者でありますからどうも何ですけれども、先生は大学の教授としてのあれですから、重要なこれからの審議参考になると思いますので、しかも調査会の第一部会長であります。条件とおっしゃったのについて、三分五厘というものが望ましいけれども、四分か四分五厘くらいという、いわゆる企業赤字をどうするか、こういうところだけを述べられたのでありますけれども、私はそれだけではなくて、赤字をどう解消していくかという問題と、今後の地方公営企業の問題というものを、調査会答申全体ということを含めて、ただ一例として述べられた、だから条件というものは一つではなくて、いろいろ等々とあるのだ、こういうふうに理解しておりますが、重要な点でありますので、どうもこの一点だけで再建できるのだという意見も世間になくはないものですから、念のためにお聞きしておきます。
  53. 古川栄一

    古川参考人 イエスかノーかというふうに割り切られて言われますと答えにくいのであります。そういう意味なら、やはり私はイエスなんです。イエスなんでありますが、全面的なイエスではない、ベターにしたい、全部完全とは思っていない、第一この答申が相当ゆがめられておるのでありますから。それにしましても、いまよりは一歩前進だと思います。でありますからして、いまの赤字のことは抜きにしましても、これでできないとは言い切れない、答申案を八分か七分は重んじていただいておるのでありますから、これが全面的にだめだ、ノーとは答えられません。私はイエスです、そういう意味でしたら。しかしベターにするために赤字の解消をすみやかにといいましょうか、できるだけ健全的に赤字を解消するためには、利子補給ということは、当然もう少しそういう親心を持って考えてやるべきではないか、こういう意味でございます。(「さっき社会党案に近いと言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)社会党案に近い、その面ではですよ。全部じゃありません。全部じゃなくて、五年をもう少し延ばすとか、それから三十九年じゃなくて四十年とか、それから利子補給とか、その点に関して社会党案に近いのであります。そういう意味でございます。全部じゃございませんから、その点誤解のないように願いたいのでございます。それはただ条件つきでございます。
  54. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 参考人の方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十八分散会