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1966-04-01 第51回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月一日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 岡崎 英城君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君    理事 和爾俊二郎君 理事 秋山 徳雄君    理事 華山 親義君 理事 細谷 治嘉君       亀山 孝一君    纐纈 彌三君       周東 英雄君    藤田 義光君       森下 元晴君    山崎  巖君       阪上安太郎君    島上善五郎君       安井 吉典君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 永山 忠則君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         建設事務官         (都市局長)  竹内 藤男君         自治政務次官  大西 正男君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件(新産業都市  の常磐郡山地区の市町村合併問題等)      ————◇—————
  2. 岡崎英城

    岡崎委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  徳島県における道路拡張に伴う補償に対する県当局行政措置の問題及び福島県常磐地区市町村合併問題等について質疑の通告がありますので、これを許します。阪上安太郎君。
  3. 阪上安太郎

    阪上委員 最初に自治大臣に御質問いたしたいと思います。  もうすでに御案内かとも存じますけれども、最近、わが国地方政治姿勢が非常に乱れております。そのために住民地方政治に対する信頼がたいへん薄れてきております。申し上げるまでもなく、地方自治わが国民主化基盤であります。その基盤がまさにくずれようといたしておる、これはたいへんなことだと私は考えておるわけであります。まあここで事例を一々あげるのも、時間的に無理かと存じますけれども、たとえばこの一年ほどの間に表面に出たこういった種類の問題だけでも十数件を上回っている、このように考えるわけであります。古い例としては、昭和三十九年の十一月に発生いたしました大月市長たらい回し事件、これは一千万円でもって市長のいすを売買した、こういうような事件であります。それからまた、もうすでにこれは国民が全部知っております東京都議会におけるところ議長選挙による汚職事件、最近では、おもなものを拾い上げましても、新潟県知事の現金二十万円の中元事件、さらに引き続きまして、ついこの間も騒がれております神奈川県庁落成式典に伴う不当な支出事件、それからまた最近では、だんだんと芸がこまかくなってきて、東京都議会におきましては、当初予算に対して金額が入った、そうしてしかも次の議会には組みかえをするんだというような、そういう附帯決議をつけた予算を通過させるというような事件も起こっています。こういうこと等、数えてまいりますと枚挙にいとまがないのであります。たとえば、一般には忘れられているかもしれませんけれども、滋賀県の堅田町等におきましては、町長が数カ年にわたって水増しの給与を受けておった。それに対して、監査委員がこれを発見いたしまして監査報告をしようとしたところが、これに対して議会側から圧力が加わって、とうとうその監査報告をやらさぬ。そうしてこの監査委員長を更迭さしたというような事件も起こっております。きょう私が御質問いたそうとしております常磐郡山新産建設に伴う市町村合併問題これなどもやはりこういった種類事件であります。それからさらに徳島県における都市計画街路事業、これの立ちのき補償にかかる背任問題というようなものも、やはりこういった事件一つであります。私は、法案の審議はもとより大切でありますけれども、この種の事件が次々と地方自治体の中で発生しておるということにつきまして、今後一つ一つ取り上げて、徹底的にこの問題の真相を追究して、そうして地方政治姿勢を正す役割り国会の中で演じていきたい、このように考えるわけであります。  そこで、自治大臣の、これらの姿勢のくずれに対する認識の度合いといいますか、どういうふうにこの問題を見ておられるか、これについてまずお伺いをいたしたい、かように考えるわけであります。
  4. 永山忠則

    永山国務大臣 お説のように、中央地方を通じまして、特に御指摘もございましたように為政者の姿勢を正すということは、近時地方行政を推進する上において最大で最も緊要なものであると考えるのでございまして、絶えず全国町村長会議長会、その他あらゆる機会を通じまして、今日の地方行政確立をはかる上においては、まず第一にその指導者をはじめ行政担当責任者姿勢を正すということをやらなければならぬというように強く指導いたしておるのでございますが、今後におきましても、さらに一段とこの点は強く要望し、また指導していかねばならぬと考えておる次第でございます。
  5. 阪上安太郎

    阪上委員 そこで、これらの事件類型ごとに分けて考えてみますと、私は、まず一つはA型として、選挙に関するものがあると思うわけであります。たとえば新潟県知事の問題であるとか、あるいは兵庫県におけるところの、議長室参議院選挙選挙費用を渡しておるというような問題、それから東京都議会の、これは違った意味の選挙でありまして、公職選挙でありませんけれども、そういった問題、大月市の問題、神奈川県の今回の落成式に関するあの過当な費用支出ども選挙と無関係のものだとわれわれは考えていない。こういったA型が一つある。それからいま一つの型としては地域開発、ことに広域行政といったものに関連するものでありまして、香川県の番ノ州の埋め立てにからむところのああいう汚職であるとか、あるいは最近北海道の釧路等で大きく問題になりましたところ工場誘致条例、こういったものをめぐるいろいろないまわしい問題、あるいはきょう私が取り上げようといたしております常磐郡山新産都の合併の問題であるとか、岡山県南のかつて大騒ぎいたしましたところのああいった地域開発ないし新産都にからむ合併問題であるとか、こういったこと、すなわちこれは私はB型と呼んでおります。血液と同じように、これはそのほかにAプラスBのAB型というようなものも出てきておる、こういうことであります。  そこで大臣、こういった姿勢がくずれているその原因というものは一体どこにあるとお考えになっていらっしゃるでしょうか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
  6. 永山忠則

    永山国務大臣 やはり綱紀、官紀が弛緩いたしておるのではないかというように考えておるのでございまして、特にその最高指導者である議会側及び理事者側が、範となるべき者がその姿勢を正さないというところに大きな原因があるのではないかというように感ぜられておるのでございます。
  7. 阪上安太郎

    阪上委員 なるほど、大臣がそういうように御理解になっている点もよくわかりますし、現象としては、やはりそういった現象が出てきているというように考えます。私がお伺いしておるのはむしろその奥の問題でありまして、時間の関係もございますし、多少私の見解も入れて大臣の御答弁を得たいと思うのですが、私はこの根本原因は、地方自治本旨というものが国並びに地方を通じて十分に理解されていない、その結果、国は地方を無視して中央集権化方向へどんどん進めていく、ことに財政的には、戦前にも見なかったようなきわめて強い中央集権化方向をたどっておる、地方地方でもって、これはまた住民を無視して、いわゆる戦前のごとく団体自治中心方向政治が進められておる、私はこう見るわけであります。  そこで、もしそうだとするならば、やはり地方自治本旨というものに対して、憲法は御案内のように地方公共団体とは一体何であるかというようなことについても明確にいたしておりませんし、ことに地方政治運営していくためのきわめて重要なものさしである地方自治本旨ということについては、それ自体具体的に明示していない。さような関係から、地方自治本旨に対する考え方というものが解釈がまちまちになっている。こういうことが私は地方自治本旨、このものさしに対する理解が十分にされていないということにあると思うのでありまして、はなはだ恐縮ですけれども、きわめて抽象的な話になりますが、一体地方自治本旨というものに対して大臣はどのように理解されておるか、この点をひとつ伺いたい。
  8. 永山忠則

    永山国務大臣 地方自治本旨は、民意を尊重をいたして、決して権力行政、旧来の徳川幕府以来伝わっておる権力的封建政治にならないようにやることが本質であると考えるのでございます。
  9. 阪上安太郎

    阪上委員 ただいま伺いますと、元の大臣がかつて予算委員会で私に御答弁いただきましたような、ああいう抽象的な問題でなくして、かなり程度の高い理解度が発見できる。かつて某自治大臣は、予算委員会地方自治本旨をお伺いしたところが、アメリカにはアメリカ地方自治があって、日本には日本地方自治があるのだ、これが地方自治本旨でございますという答弁があったわけなのです。それから比べれば永山先生の御答弁は一歩突き進んだものだと思いますけれども、なお足りないのじゃないか、その程度のことではとても地方自治指導することはできないのじゃないかと私は思うのです。もう少し地方自治本旨というものについてはっきりさせなければなりません。地方自治基本法であるところ地方自治法を読んでまいりましても、いろいろな場所において地方自治本旨ということばが用いられておりまして、地方自治本旨というものを考えて、そして運営に当たっていかなければならぬというような場面がたくさん出てきております。そうだとするならば、地方自治本旨というものは、ただ単に口頭禅として抽象的にこれを頭に置いておるようなことであっては自治体指導もできないし、先ほど言われたような、自治体責任者がこれまたそのような程度でもって地方自治本旨を考えておるということになると、これは、今日のような姿勢のくずれはいつまでたっても立て直すことができないのじゃないか、このように考えるわけであります。  そこで地方自治本旨でありますが、これは憲法を十分に読めば、憲法がほぼどこをねらっておるかということは、私はわかるだろうと思うのです。憲法九十二条以下、これを読んでまいりますときに、憲法地方自治本旨として一体どんなものを考えておるかということがわかると思うのであります。その一つは、憲法団体自治ももちろん認めております。保障しておりますけれども、旧憲法下におけるところ団体自治一本のあの考え方、これに対して、わが国民主化基盤地方自治に求めるならば、これはそれと同時に住民自治というものをもっともっと強く保障しなければならぬという考え方一つ出ていると思うのであります。たとえば私ども国会議員は、別段憲法によって直接に選ばれる必要はありませんけれども、しかしながら自治体におきましては、これは住民の直接選挙によらなければならぬということが明確にいわれておる。それを受けた地方自治法におきましても、やはり直接請求の制度というものを設けて、住民自治の姿というものを非常に強く打ち出しておるので、団体自治に対するアンチテーゼとして憲法が強く要求しておるところのものであるということをわれわれははっきり認識しておかなければならぬと思うわけであります。そういった、住民自治地方自治本旨であるというふうに考えなければならぬと思うのでありまして、最近の一連のいろいろな、しかも住民自治を無視して、旧憲法時代団体自治一本の姿に戻ろうとするところからやはりいまわしい問題が出てきている、こういうふうに私は考えるわけであります。それと同時に、ちょっと触れましたような直接代表制というようなものが地方自治本旨として考えられていかなければならぬ。国会議員は別に直接選挙で選ばれなければならぬということは、憲法はどこにも保障しておりません。ただ、公職選挙法がそういうことをきめておるだけにすぎないのでありまして、地方自治体におきましては明らかにこれは九十三条によって保障されておるところのものであります。  それからいま一つは、固有事務だと思うわけであります。国には国の固有事務があり、都道府県には都道府県固有事務があり、市町村には市町村固有事務がある。ところが、わが国の現在の運営状態を見ておりますと、国が当然やるべき国の事務を、いわゆる委任事務という形でこれをおろしてきて、府県に九〇%ないし九五%以上の委任事務をやらしておる。市町村においてはどの程度かということにつきましてはなかなか測定できませんけれども市町村においてようやく地方自治運営していくための固有事務委任事務よりも若干上回っておるのではないかという見当がつくくらいの程度であります。そこで、こういった住民自治、それからこういった直接代表制、ことにこういった固有事務、こういうことについて、これを明白にしておくといったことが地方自治本旨である、あるいはことばをかえて言うならば、この要件が満たされない限りはこれは地方自治ではないのだというくらいのはっきりした考え方指導に当たっていく、また、地方自治体もそのように考えて自分運営していくという形が出てこなければならぬと思うのでありますが、この点につきまして先ほど言われたような大臣の御答弁は、包括的にはけっこうでありますけれども、もう少し具体的に示しておきませんと、何さま憲法は沈黙を守っておりまして、地方自治本旨についてこれこれかくかくのものであるという具体的なものを出していないために、非常に混乱が起こっておるということなんであります。こういった点について、さらに大臣見解を伺っておきたいと思うわけであります。
  10. 永山忠則

    永山国務大臣 国の委任事務が強化されて地方自治体自主性が非常に薄らいでおるという点に対しては、自治本質を歪曲いたしておるものではないかというように考えておりまして、事務の再配分、また、税の再配分補助金合理化、こういったような問題を含めまして、地方制度調査会がさらに第十一次を五月から発足いたしますので、十分検討いたしまして、自治体本質にふさわしい行政を推進いたしたいと考えておる次第でございます。御説のような、現実において地方自治本質が歪曲されようとしておる点は同感でございますので、この点をぜひ是正いたしたいと考えております。
  11. 阪上安太郎

    阪上委員 大体私どもが考えておるような考え方というものにつきまして、自治大臣も是認を願ったようであります。それならば、一体いかようにしてこの地方自治本旨に基づいて地方自治体というものが組織され、運営される、このことのために、どんな保障が目下急務であるか、ことばをかえて言うならば、地方政治姿勢を正すために当面急務としてとるべき政府措置は一体どういうふうに持っていくべきものであるかということについて、さらに大臣見解を聞きたいと思うのであります。  そこで、具体的にはいま言われた固有事務というものを拡充していくという方向、これはことばをかえて言うならば、中央集権制の打破ということになるのでありますが、具体的には一体どうするかということなんであります。そこでいま触れられました行政事務の再配分の問題が出てくるわけでありますが、そのためには、一方において委任事務が解消されなけばならぬ、特に機関委任事務のごときに至っては、思い切ってこの際解消しなければならぬと思うのであります。後刻それぞれの局長さんにもお伺いしょうと思っておりますが、今回発生いたしております徳島県の都市計画街路国道一九五号線に対するところの立ちのき補償営業補償、こういった問題がああいった形で出てくるのには、やはりこの機関委任事務としての欠陥がそこに暴露されてきておるのではないか、こういうように考えるわけでありまして、この行政事務の再配分は、少なくとも地方自治体姿勢を正すために目下の急務として取り上げられなければならぬ問題だ、かように考えるわけであります。シヤウプ勧告以来あるいはそれに引き続いた神戸勧告以来、この問題は長い時間をかけて今日なお解決されない問題でございます。また地方制度調査会等においてもこの問題に対しての答申を要求されておるのでありますけれども、出てきた姿は広域行政府県合併の問題というような形が先に頭を出してきて、肝心かなめ行政事務の再配分という問題を、諮問を受けておりながら、なかなか答申を出してこない。こういうようなことをいつまで繰り返していくかということが私は問題であると思うのでありまして、行政事務の再配分、これに伴って委任事務——団体委任事務議会がそれにチェックをいたしますので、それほどの弊害はないと思いますけれども、ことにその中にある機関委任事務、こういったものは当然解消していかなければならぬと思うのであります。この場合、私は国にその事務を取り上げろとは言いません。そんなことをやったって国には能力がない。したがって、こういったものの解消の方途としては、できるだけ早く地方自治体固有事務としてそれをおろして、そしてそれに見合うところ財源措置をしていく、こういう形で早急にこの問題を取り上げて解決しなければならぬ問題だ。またこういった関係から、中央に対するところ自治体依存度というものが非常に高まってきている。中央集権制というものに対するところの反論を持っておりながら、実際はどうかというと、こういった事務の再配分が行なわれないために、中央中央へと依存してくる。国はまたこれをいいことにして、そして財源ひもつきでもってこれを縛っておる、こういうような形になってきているわけであります。この行政事務の再配分について、端的にいいますれば、都道府県固有事務市町村固有事務の拡充について、一体いつどういう方法でもってどういうように持っていくのだということについてのひとつ明確な御答弁を願いたいのであります。
  12. 永山忠則

    永山国務大臣 今日の中央集権的な性格を脱して真の自治行政確立するということは目下の急務であると考えるのでございまして、すみやかに第十一次の地方制度調査会を通じましてこの答申を促進をいたし、少なくとも来年度予算編成目途といたしまして、できる限りの地方自治確立に向かって最善を尽くすように努力をいたしたいと考えるのでございます。
  13. 阪上安太郎

    阪上委員 私は、大臣就任されてからの大臣のいろいろな御発言、あるいは閣議における御発言を聞いておりますが、全く何としてでも地方自治を拡充していこうという非常に強い熱意があることはよく知っております。どうかひとつこの行政事務の再配分につきましても、来年度の予算編成目途としてできるだけ早く体制を整えていきたいということについては、いま少しく具体的に取り組んでいただきたいと思うのであります。やればやるほどほかのほうに問題が派生して、府県合併とかばかりに頭を使ってくるようなことではたいへんなことだ、私はかように思っております。  次に、いま一つ本旨であります直接代表制尊重です。ここでひとつお伺いしたいのは、首長多選弊害というものは非常に出てきていると私は思う。今度の、きょうも取り上げております施政のくずれの中にもそれが原因だとみなされているものがかなりあると私は思っている。首長多選に対して、これを禁止するところ法律をつくって、徹頭徹尾そういう弊害を排除していくというような考え方があるかどうかという点が一点。  それからいま一つは、東京都の場合において行政事務の再配分は区に対して行なわれ、その区に対して行なわれた行政事務配分と見合いながら区長公選制に持っていくという問題が、臨時行政調査会その他で勧告されておるように私は了解しております。あるいは東京都の現在の東知事就任当初においても、そういった考え方を披瀝しておったように私は了解しておりますが、この区長公選制について一体どうするんだということが一点。  それから、地方議員が最近いろいろないまわしい問題を起こしておる原因一つに、議員任期中の交代制ということが依然として行なわれておる。ある自治体におきましては議長を二人つくってやっておる。これは交代制からきた問題であります。そんなばかげた地方政治が行なわれておるということでありますが、この三点について大臣の御見解を伺いたい。
  14. 永山忠則

    永山国務大臣 市長並びに知事等多選の問題に関しましては、結論的には地方住民自治本質に立ちまして解決すべきものであると私は考えておりまして、特に法律を用いて禁止をせねばならぬかどうかということに対しては、なお十分検討をいたさねばならぬと考えておりますが、お説のごとく、非常に弊害があるということをわれわれも存じておるのであります。すなわち、まだ真の民主政治が行なわれていない現段階におきまして、その権力乱用をいたし、あるいはまた、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、次にその地位を確保するために、ほんとうの地方住民の利益よりは次の選挙ということを目標にする、行政が偏向されておるのではないかというような弊害が多々見受けられておるのでございますので、これらの弊害除去をあらゆる角度でやらねばならぬと考えておるのでございますが、直ちにこれを法を持ってやるべきであるかということに対しては、検討を要する問題であると考えております。  なお、東京都特別区の関係につきましては、いわゆる特別区制の問題でございますので、これに対しましては、よく実情等をさらに慎重に検討をいたさねばならぬ問題であると考えております。お説のように、この区民の自治行政がやはりすみやかに確立されるという観点において、検討を続けねばならぬと考えておるものでございます。  私は、就任以来と申しましては失礼な言い方でありますが、議長その他議会側の役員の交代制の問題に対しては、やはり法の規定のとおりやるべきではないか、一年交代制ということは、そこに役得があるからそういうことになるのではないか、役得乱用、あるいは交際費等に対してもまた不明朗な使途をいたして、そうして権力を利用しようといったような弊害が伴うから、交代制というようなことが行なわれるのではないか、もっと地方自治体住民の福祉を増進するという観点に立って、各議員は虚心たんかいにその地位とポストをあおせるということを中心にせずに、議員という職責を真に全うする必要があるのではないかということを強く呼びかけておるのでございますが、そういう方向において将来も指導していきたいと存じます。
  15. 阪上安太郎

    阪上委員 それぞれの問題について非常な弊害がある。あるいは特別区の区長選任制の現行の制度では、こういった組織では、多分に地方自治本旨にもとる面が出てきておるというようなことに対する配慮であるとか、議長任期内の交代制などということについては、御説のとおり自治大臣としても好ましくないのだという見解を持っておられますが、そういったことが依然としてなお引き続いて行なわれておる。知事多選論なんかに至りましては、とんでもない議論が出てきております。古い者はだめだ、新しい者が出なければならぬというような論議は、多少ものの実際を考えたときに、そういうことで言うべきじゃない、自分は古い知事で、五選も六選もやろうとしておるけれども住民が支持してくれている限りにおいては、いつまでやってもいいんだというような論議をする人、そういう考え方を持っている人が非常に多いのであります。なるほど骨とう品としては値打ちがあるかもしれないけれども、やはり実用品としては値打ちがないという点を忘れてしまう。それからまた同時に、自分がやめればもっとよい知事が出るのだという崇高な地方自治の精神というものを没却してしまったような考え方が出てきておりますが、こういった点につきまして、ここで短時日の間にこうすべきである、こうしなければならぬというような具体的な論議もできますまいと思いますので、これはこの程度でひとつ了解することにいたします。  いま一つの問題として、地方自治本旨である住民自治確立について、これはもっと現在の直接請求の制度を拡充する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。そしてビルトイン・スタビライザーというようなものの考え方地方行政の自動安全装置、こういうようなものの考え方に立って、この直接請求制度というものをもっと拡充する必要がある、私はこのように考えるわけであります。ただ単に口だけで住民自治確立だとか尊重だとかいうようなことを繰り返しておっても、ものの役に立たぬと私は思います。ところが、最近の現行制度に基づく直接請求の制度というものは、ほとんど有名無実に終わっておる。おそらく人口十万以上の都市で、各種の直接請求というものが成立したという例はないのじゃないか、かように思うわけであります。何らかそこに法の欠陥があるのじゃなかろうか、こういうように考えるわけであります。過般の東京都議会のあの忌まわしい問題の中で、都民がこぞって、早く議会は解散すべきである、こういうふうに主張をいたしました。そのときに私どもは、いろいろ問題点はあるけれども、まず住民の意思を尊重する方向へ動こうではないかということでもって、自民、社会、民社三党共同でもって御承知のように地方議会の解散に関する特例法というものを実は涙をのんで出したわけであります。私どもは、直接請求制度というものがもっと拡充される可能性の上にあるならば、ああいうことをしなくても済んだのはなかろうか、こういうように考えるわけであります。しかしながら、遺憾ながら直接請求は、ことにマンモス都市においては、もうほとんどこんなものは不可能だというようなものがあるわけでありまして、どうしてもできるだけ早い機会にこの制度を拡充いたしまして——といって軽々に扱えというわけではございません。問題はこれの実現の可能性というものを法律の中に十分に盛り込んでいかなければならぬのじゃないか、こういうことであります。  それと関連いたしまして、この議会の解散に関する特例法、これはもう附帯決議条項から考えましても、何らかの検討を加えて態度を明らかにしなければならぬ段階にきておると思うのでありますが、これを一体どう取り扱うつもりでおるか。こういった点について御答弁いただきたいと思うのです。
  16. 永山忠則

    永山国務大臣 住民の直接請求制度がよりよく実現ができますように改善をするということは、自治体本質確立するゆえんであると考えておるのでございまして、これらの点は住民自治の精神という方面とも相まちまして、将来十分ひとつ検討を続けてまいりたいと存じておる次第でございます。  特に解散特例法の問題に対しましては、やはり住民がほんとうの自治の精神にまだ立脚していない要素もあるし、また法自体におきましても、マンモス都市においては事実上これが、実現が可能なことに非常なる困難性を伴うようなものがございますので、この点をあわせて考慮をいたしまして、現在できておるものは必ずしも理相的なものではないのでありまして、応急的処置としてのものでございますから、当委員会の皆さんともよく相談をいたしましてこれが対策を練っていきたいと考えておる次第でございます。
  17. 阪上安太郎

    阪上委員 自治大臣は引く手あまたでございまして、参議院のほうから要求しているようであります。参議院は総括質向、締めくくり段階だと思いますので、あまり私のほうから御無理を申し上げるわけにいかぬと思うのです。そこで、いま一つだけ伺って大臣は放免することにいたしたいと考えます。と申しますのは、常磐郡山、ことに常磐地区合併問題とも関連することでありますので、この際明らかにしておきたいと思います。去る十月の一日に行なわれましたところの国勢調査の結果、これは地方自治体の今後の組織、運営についてきわめて重大な示唆を与えておると私は思うのであります。細部について私のほうからもいろいろと意見を加味したいと思うのでありますが、時間がございません。そこでその結果を政府、ことに自治省はどのようにして地方政治に反映するか。御承知のようにこれは二つの面が出ていると思います。二十五県でありますか、これの人口が減少している。そして一方において、特に東海道メガロポリス、このごろ私はこの名前を覚えたのでありますが、メトロポリスよりももっと人口集中をやるメガロポリス、これに集中しておるということであります。その結果、減ったところの県に対する政治のあり方、それからふえたところに対する政治のあり方、こういう二つの問題が出てくると思います。それが新産都市であるとか低開発地域工業開発であるとか、その他の国土総合開発というような関係に大きく示唆するものがある。同時にまた近畿圏、首都圏というような過密地帯がますます過密化されていくという中からくる政治施策がやはり必要である、こういうことになると思います。これらに対して、自治大臣は、この貴重な国勢調査の結果、これを国の予算、あるいは地方公共団体予算、あるいはその他それぞれの国の施策、地方自治体の施策に積極的に反映していかなければならぬ段階だと思うのであります。今度の国会においても、当然この問題が取り上げられてしかるべきだと私は思うのでありますが、いろいろな審議の過程から、そのことがなかなか時間的に無理があったようであります。この点について、自治大臣の非常なる決意を私は要望したいと思うのであります。そのことに関する所信、決意のほどを私は伺っておきたい、このように考えるわけであります。なお、この質問が終わりましたならば、御自由に御退席いただきまして、細部につきましては、なおいろいろとただしたいこともございますので、この種の地方政治姿勢を正すという問題については、今後もひとつ時間をちょうだいいたしまして、十二分に明らかにしていきたい、私はかように思っております。きょうはそういう都合で大臣が中座されますので、その点だけの御答弁を伺っておきたい、こういうふうに思います。
  18. 永山忠則

    永山国務大臣 お説のごとく、国勢調査の結果を見ますと、大阪方面、名古屋−東京間のこの地域に人口が漸次に集中をいたし、半数に及ぶ状態でございますが、今後もこのままの姿でいくならば、ヘビでいえばカエルをまん中にのんだような状態で、全くの半身不随で、ほんとうの地方自治というものは行なわれがたいのではないか、お説と同じように、非常なる憂慮をいたしておるものでございまして、これが対策に対しましては、何といっても抜本的な施策をせなければならぬと思うのであります。旧来の惰性的考え方で進んでは、とうてい解決するものではない。したがいまして、この人口の集中いたす方面の首都圏あるいは近畿圏等につきましては、近く皆さんに御審議をいただきたいと存じますが、その再開発関係に対して、政府は特別なる指導的援助等もいたし、将来においては、中部圏ももちろんそういう方向で一体になって、人口の集中するところには再開発計画を勇断をもって進めまして、さらに人口が減少する府県に対しましては、地域開発、格差是正に対しまして思い切った政策をいたしまして、ここに工場の分散もできる、さらにはまた、ことに農業政策、中小商工業者育成という地方自治の発達のための努力をいたして、食糧の自給度を高めていくというような体制と相まって、産業全体の再配分を考える、地域間の格差の是正と同時に産業全体の再配分を考えまして、そして国土の総合開発に対してはもっと総合的に積極的な再検討をいたして、それに対する政府の財政援助、指導等を強化するという方向に、旧来のようなおざなりなことばでなしに、それに即応する革命的な政策をやる必要があるというように考えておるのでございますが、これらに対しては、よき御指導をまってひとつ善処いたしたい。なおとりあえずのところは、この人口減少の地帯に対しましては、人口急減の補正、あるいは単位費用の見積もり、あるいは傾斜配分というような財政面の処置を応急的にいたしまして、そして地域格差の是正等に努力をいたしていきたいと考えておる次第でございます。
  19. 阪上安太郎

    阪上委員 それではいよいよ本論に入りまして、最初に、常磐郡山新産都地域における町村合併問題についてお伺いしたいと思います。地区としては常磐郡山でありますが、いま問題としておるのは常磐地域における町村合併であります。いかなる合併が行なわれようとしておるかということについては、自治省当局はすでに承知しておることと思います。  そこで最初にお伺いしたいのは、新産地域における新産都法、これは二十三条でありますが、に基づく合併の例は一体どのようにあるかということ、それからその他の合併が予定されておるものについて、どれくらいそういったことが行なわれようとしておるかということについて、ひとつお知らせ願いたい。
  20. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 新産業都市建設促進法の適用を受けて行ないました合併は、郡山市を中心といたしました合併でございます。それから工特法の適用を受けました合併は、松永と福山、それから徳山市が隣接の町村を合併いたしました例がございます。
  21. 阪上安太郎

    阪上委員 その他の合併について、いま合併の機運にあるところ、あるいは合併しようとしているところはどれくらいありますか。
  22. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 その他の新産、工特地域において現在合併の動きがございますところは、先ほどおあげになりました常磐五市を中心といたしましたものが一番活発な動きをいたしておりますが、そのほか話題として私ども承っておりますのは仙台・塩釜地区でございます。
  23. 阪上安太郎

    阪上委員 佐久間さん、少し調査が足らぬじゃないかと私は思うのですけれども、私の承知しておるだけでも、全国で四十八地区が合併しようとしておる、こういうように見ている。どうでしょう。
  24. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私、新産、工特地域に限って申し上げましたが、それに限らず全国的に申しますと、ただいまちょっと件数は正確に覚えておりませんが、北海道から九州に至りますまで相当ございます。おそらく、一応話題があり、今後どのように発展いたしますかわかりませんけれども、明年の統一選挙までの間には二、三十件あるいはそれ以上合併が行なわれる可能性はあろうかと思います。
  25. 阪上安太郎

    阪上委員 これは、こんなものを読み上げておったらえらい時間がかかっちゃうのですが、昭和四十年の十一月二十九日現在で、市町村合併の現況というものをわれわれ承知しております。それによると、先ほど言いましたように全国で四十八地区これをやろうとしておる。旭川、函館、深川、仙塩、石巻拳、白河−白河はA、Bと二つある。それから平、いま問題になっておる常磐、そのほかにこれは数えれば山ほどありますよ。こういった町村合併に対してあなたのほうの指導考え方、どういう考え方で臨んでおり、どういう指導をしておられますか伺いたいと思います。
  26. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 市町村合併につきましては、昨年市町村合併の特例に関する法律を御制定をいただいたわけでございますが、私どもといたしましてはあの法律の精神に沿うて指導をいたしております。言いかえますと、かつての町村合併促進法のように、全国的な一定の計画のもとに積極的に促進をするという考え方ではございませんで、全国的な町村合併としては一応一般的には一段落いたしておりますけれども、その後の社会、経済等の変化に伴いまして、あるいは地域開発等の必要によりまして、新たに合併をしたほうがいいというふうに関係市町村検討の結果自主的に判断されましたものにつきまして、私どもといたしましてもあの法律に示されておりますような指導、援助を与えていくという考え方で対処をしておるところでございます。
  27. 阪上安太郎

    阪上委員 この合併問題につきましては、いまあなたのお答えを聞いておりましても自治省としてはあまり確たる方針がないということだとぼくは思うのであります。それが証拠に、合併に関する法律は前回ようやく特例法が出まして一本化の形をとってまいりましたが、ばらばらな形でもってそれぞれの法律の中で合併が規定されているという形をとっておったのでありまして、それが思想統一されて特例法の形をとってきたものだと思います。そういう経過もございまして、在来とも合併に対してはっきりした考え方を持っていないということは私言えると思うのであります。そこで、この特例法が合併促進法でないということだけは明らかになりました。ただ、しようとするものが滞りなく住民の意思によってやっていくことができる、そういう形を整えてやったという程度のものだと思うわけであります。  そこで、それはそれといたしまして、新産都地域において合併が行なわれたと思うのでありますが、その合併された効果は一体どうなっておるかということについて伺ってみたいと思うのです。たとえば大分県の鶴崎ですか、大分市を中心とするあの合併、あれが一体成果がどういうふうにあがっておるか、あるいは全然あがっていないのか、それともまた弊害が出てきているのかというようなことについて、その他合併が行なわれたところがたくさんあると思うのです。岡山県南はああいう形になって一応挫折しておりますが、その他において新産合併をやったところがどういう成績をあげておるか、どういう効果が出たかということについて、具体的にひとつお示し願いたい。
  28. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 新産区域におきまして行なわれました合併につきましては、先ほどあげましたほかに大分・鶴崎がございますが、これは法律的に申しますと、昨年合併特例に関する法律の適用を受けて行なわれましたので先ほどあげませんでしたのでございますが、各地域において行なわれました合併のその後の状況を見ておりますと、地域によりまして必ずしも同様ではございません。いろいろ地域的な特性もございますが、合併直後におきましては、たとえば議員の数が、二年間そのまま在任するというようなことで、議会運営の面におきまして円滑を欠く、あるいはまた経過措置といたしましていわゆるタッチ・ゾーンというようなことがございまして、合併されました旧地域ごとのエゴイズムと申しますか、そういうものに災いされて総合的な財政運営に支障が出てくるというような面も見られておったのでございますが、これらの点は大同合併をいたします上から、経過的に見てある程度やむを得ない事情であったと思うのでございますが、そういう期間を過ぎました後におきましては、漸次一体的な総合的な計画のもとにおける運営が軌道に乗ってまいっておるようでございます。特に、新産都市ではございませんけれども、北九州五市の状況を見てみましても、最初の二年間、前議員が在任いたしておる間におきましては、先ほど申しましたような面も見られたのでございますが、議員の改選も行なわれまして、その後着々計画なり、計画の実施の面、あるいは住民に対するいろいろな諸施策などにつきましても、だんだん軌道に乗ってきておる、合併の成果は逐次あらわれてきておる、かような見方をいたしておる次第でございます。
  29. 阪上安太郎

    阪上委員 かつての、現行も生きておりますが、町村合併促進法ですね。これに基づくあと始末というものが若干残っているところがあるということは私も承知しております。私がいまお聞きしたいのは、この新産合併をやったところが、新産都に対してよい効果をあらわしているかどうかということなんです。一般住民の福祉という重大な問題がありますが、これは通常の合併でも言い得ることでありますから、問題はそれが新産建設に対して非常に効果的であったというようなところがはたして出ておるかどうか。それと関連して、自治省の考え方としては、新産合併というものは新産建設に不可欠のものであって、これはどうしてもやらなければならぬという考え方を持っておるのかどうかという点であります。そこを一つ伺いたい。
  30. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 第一の点でございますが、これは概括的に申し上げまして、新産都市の建設につきまして効果的であるというふうに私どもは考えております。その理由といたしまして、新産業都市建設基本計画あるいは実施計画につきましても、先生御承知のように、数市町村あるいは十数市町村の区域にまたがりまして一本の計画で総合的に事業を実施していかなければならぬという性格のものでございますので、行政主体が一本化されて、一つの長、一つ議会の意思によってこれが総合調整され、効果的に実行されていくという点の効果は、これは否定できないというふうに考えておるわけでございます。  それから第二の点でございますが、これは町村合併というものと新産業都市建設というものとは不可分のものであるとは考えておりません。新産業都市建設をよりよく、より効果的に実施してまいります上におきましては、関係市町村合併をしたほうが適当であるというような場合が多かろうと思うのでございます。一般論としてはそのとおりと思うのでございますが、具体的にどの範囲におきましてどういうような合併をしていくかということにつきましては、これはやはり地域地域につきまして利害得失を十分検討の上で決定されるべきものであって、新産業都市建設と町村合併とが不可分だというふうには考えておらないのでございます。
  31. 阪上安太郎

    阪上委員 私は、この法律に基づく市町村合併というのは、新産建設と見合ってこれが進められていくべきだという考え方を持っておるわけです。  そこで問題になりますのは、最近の新産建設なんでありますけれども、これは自治省等でもすでに御案内のとおりだと思うのでありますが、非常に隘路が出てまいりまして、思うように新産建設が行なわれていない。なかなかそのように進められない。一方において、公害その他あるいは財政難の問題あるいは立地すべき工場が立地しないというような不況関係とからんだ問題等も出てきておる。そこで、問題といたしておりますこの常磐郡山についてやはり同じような徴候が出ておりまして、このままではとても進められないので、計画を縮小していくという手直しの方向を考えなければならぬ段階がきておる。これはもう新産都全般であります。いたずらにどんどんどんどん先行投資をやって、ことに工場用地の埋め立て等をやる、約束した工場は来ないというようなかっこうでもって、ここから出る大きな障害があるわけなんであります。そういった問題であるとか、あるいはまた公害が発生いたしましてどうにもならぬ、多少進められている場所においてもそういうことが言えるし、それからこの目的でありましたところ新産建設の目標がゆがめられておるというような問題点も多々出てきておるのであります。大都市の人口と産業の集中排除の受け入れ場所としての考え方、あるいはまた相当規模の新産建設ということに対して、どう間違えたか、何か地域指定の運動を展開したときの経緯にかんがみて、何でもかんでもコンビナート方式でやっていかなければならぬ、臨海工業都市等に重点を置いていくのだというようなことでもって、最近のわが国の経済情勢に即応して考えていくという態度が全然出てこない。あほうの一つ覚えみたいに、コンビナート、コンビナートといまだにやかましく言っている。そして地場産業であるとか、あるいは内陸関係の産業に対しての配慮を全然持っていないというような行き方も実はあるわけなんであります。  それから、大きく期待しておりましたところの国の財政援助につきましては、この間、何か怪しげなる法律が出てまいりまして、わずかな、スズメの涙ほどの国の財政援助だということでもって、その負担が県あるいは関係市町村に大きなしわ寄せがきておるというようなこともございます。したがって、計画はスローダウンをして、十年計画が二十年というようなふうに大幅にやっていかなければならぬ面も出てきておる。こういった段階で、新産建設をやるために市町村合併をやるんだということでもって、強硬にこれを推進しようとしているのがこの常磐地区十四カ町村の合併なんであります。そしてその進め方につきましては、関係市町村が自主的に考えてやるという本来の姿というものを見失ってしまって、県知事が先頭に立って、県会議員を二十名、これを五個班編成いたしまして、そして町のほうは別としまして、関係市に対してこれが常駐いたしまして、数カ月にわたって朝から晩まで合併を強要している、こういう状態が続けられてきているわけなんであります。そうしてそれに対しては、いろいろあの手この手を用いて、ひどいのになりますと、おまえのところのいま背負っている地方公共団体の赤字四千万円を、合併することによって県知事は責任を持って補てんしてやるのだとかいうようなこと、あるいはまたこの合併の問題は、新産都の地域指定を受けるときの大前提であって、この問題については、すでにそれぞれの市町村長から、前に知事が約束をして、調印をしてとっている、したがって、これはどうしてもやらなければいけないのだ、こういうような行き方、あるいは何か温泉権の問題をめぐって、これに対して、合併に賛成するならば大いに温泉の権利というものを認めてやる、もうあの手この手を用いてやっているわけなんであります。私はお伺いしたいのですが、こういった考え方合併を進めることについて、自治省は法に基づいて事前に自治大臣に協議があったかどうか、こういうことなんであります。この点を伺っておきたいと思います。
  32. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 常磐五市を中心といたしました合併につきまして、法律に基づいた協議というものはまだ受けておりません。しかし事実上のいろいろな動きについては、県当局から連絡をいただいております。なお状況については、私どもの意見なども参考に聞かれたこともあるのでございますが、私のほうは、新産業都市建設促進法の二十三条の合併の趣旨から見ましても、常磐地域において合併が研究されるということは、これは自然のことであろうというふうに考えております。  そこで問題は、どの範囲でどういうような合併の進め方をするかというようなことにつきましては、これは地元で十分慎重に、あらゆる角度から利害得失を研究すべきだということを申し上げておったのでございます。  ただいま先生から合併の進め方についていろいろ具体的なお話がございました。それらの点につきましては、私どももそれほど激しい状況には伺っておりませんでしたけれども、おおよそある程度のことは伺っておったのでございますが、私どもとしては、あくまでも関係団体が自主的にいろいろ利害得失を検討した上で進めていくということを期待しておった次第でございます。
  33. 阪上安太郎

    阪上委員 新産都法の二十三条によりますと、明白に市町村が自主的に合併を進めていくの、だというものを認めているのであって、市町村が自主的にこれをやろうとしていないにかかわらず、知事が前に調印をとっておったから、これはもう前知事の遺産だから、どうしてもおれはやらなければいかぬのだというような態度でもって、市町村が催していないのに盛んにいきり立って、知事がさっき言ったような手段を用いてやっておる。私は度がはずれておると思う。ことに来会議員二十名を五個班に分けて、一カ月も二カ月もその当該市に滞在して、朝から晩まで説得をしておるという状態は一体何であるか。この新産都に基づく自主的な合併というものを全くゆがめた行為じゃないかと私は思う。こんなことを自治省は、合併新産都の不可欠な条件じゃないので、無理な合併はしないほうがいいという態度だけにとどめておって、これに対して、しかしながら合併の議がととのえば、それはもうやむを得ないのだというような考え方、こういう考え方で放置しておいていいのかどうか、こういう問題はどうなんですか。かつて岡山県南でもって、二十七カ町村でありましたか、数字ははっきり記憶しておりませんけれども、あの問題において非常におそるべきことが行なわれておる。あのときも、県当局が一生懸命になってやはり無理な合併を進めようとした。今度のはそれに輪をかけた合併を進めようとしている。こういうことなんでありまして、これこそほんとうに住民と全く無関係に進められておる。住民の意思なんか聞いたことない。また反対しておる市当局に対しては、たとえば常磐市等に対しては、いろいろな条件をつけてこれを説得しておる。なかなか言うことをきかないということで、最近は別な手でもって圧力を加えてきた、こういうようなことであります。たとえば、これは地元の新聞によるのでありますけれども常磐市がなかなか合併に同意をしない、こういうことでもって、この大同合併実現の日までは新産予算は停止する、こういうことを県議会の中にできております新産都市特別委員会が去る二十六日の午後二時から会議を開いて、このことを知事に迫っておる。これに対し、知事も、この合併ができなければ新産都というものはだめなんだから、したがってこの合併が成立するまでは常磐地区に対する新産予算というものは組まない、そうしてそこから出てくる余ったお金は全部合併して現在やっておるところ郡山地区に集中するの、だというようなばかげたことを答弁しておる。こういうことでありまして、こういったことに対する自治省の指導なり助言なり勧告なりということが当然行なわれてしかるべきじゃないか。これを知らぬ顔してながめておるというようなことであっては、自治省の存在価値がないじゃないか、こういうように私は考えるのですが、どういうふうに対処するつもりでおるかお伺いしたいのです。
  34. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 正式な協議は地元で関係団体の間に一応の議がととのいました上で自治大臣に求めてくるわけでございまして、常磐地区の場合におきましては、その段階まで現在まだ進んでおりませんでしたので、正式の協議はまだ受けていないということを先ほど申し上げたわけでございますが、ただ、事実上これはたいへんな大問題でございまするから、私どもも関心を持っておりましたし、児当局もこちらに適宜状況を連絡してまいっておったのでございます。私ども考え方は、先ほどもちょっと申し上げましたが、この常磐地区において合併検討されるということは、これは当然のことではなかろうか、常磐五市が合併をするということにつきましては、相当な合理性があるのじゃなかろうかという考え方は持っておりましたのでございます。しかし、この進め方につきましては、先生の御指摘どおりに、関係団体が住民の納得を受けて、その上で円満に話がまとまるという進め方をすべきであって、そういう点につきましては、私どもの所見といたしましても、県当局者にお伝えをいたしておったのでございます。なおまたこの常磐五市の合併が相当合理性があるものだといたしましても、具体的にどういう形の合併にしてどういうふうに進めていくかということにつきましては、いろいろと検討すべき問題点があるわけでございまして、そうした点につきましてもお話はいたしておったのでございます。  なお、この合併ができるまでは県が予算をやらないというような圧力をかけたというお話、これは私いま初めてお伺いをいたしたのでございますが、もしかりにそういうようなことがありといたしますならば、それは当を得た措置ではもちろんないわけでございますが、いろいろこの進め方の上におきまして、御指摘のありましたような問題点はあるいはあったのかもしれませんが、その辺のことにつきましては、なおよく私どももその事情を伺いまして、今後この合併をどういうふうに進めていったらよいのかということにつきましては、また県当局の御意見も伺いまして、私どもとして必要があれば適宜助言もしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  35. 阪上安太郎

    阪上委員 御承知のように、この新産業都市建設促進法が成立する段階において、衆議院では附帯決議がついておりまして、その二項に、新産都市の区域の指定は、これを不必要かつ無理な市町村合併に援用しない、こういうことになっております。ところが、この知事考え方は、これは新聞が報じておるところによりますと、先ほど申し上げた県議会新産都市特別委員会は、新産都市建設を促進するには行政の一本化が必要である、こういうことを言っております。このため県もあらゆる努力を続けてきた、こう言っております。しかし大同合併新産都心指定獲得のときの約束である、合併ができなければ新産事業に支障を来たす事態となるので、したがって、委員会がいま言われておるような問題について新産予算は一応停止するんだ、こういうことなんであります。これは大事なことであります。これからこういうケースが依然としてたくさん出てくると思いますから。この新産都においては、合併が指定のときの条件であるとか、地域指定のときの約束であるとかいうような理由だけでこれが行なわれている。附帯決議は、そういうことについて非常に配慮してある。これを新産都指定の条件に援用してはいかぬということを明記しておるのであります。こういった誤った考えで、今後新産都なりにおけるところの、あるいは過去において、こういう合併が行なわれた、かつ行なわれるとすると、これは大きな間違いをおかしておるのではないか、こういうように思うわけです。ことに、新産都についての最近の建設状況は、先ほど私が言ったとおりであります。郡山について考えてみますと、これは常盤・郡山地区の新産都というものは、隘路が非常にたくさんありまして、問題点として五つ六つあげてみてもおわかりだと思いますが、常盤地区は炭鉱斜陽との関係で非常に期待されておる。しかし、企業が子供連れの関係から期待はずれだということがいま問題になっておるのです。せっかく張りついた企業が、地場産業等を顧慮せずして、東京から、あるいは大阪から、その他から自分の系列下の企業、下請け産業を連れてくるという、この新産都がねらっておった方向というものは全く出ていない。波及的にその地域に対して大きな効力を発生するのだというような事態が出てきてない。これは岡山の場合でもみんな同じであります。ことに常磐地区は炭鉱斜陽の地区でありますが、産炭地振興等の法律が御案内のように、どうしたかげんか、カンフル注射をして、そしてこれをある程度の健康状態に戻して、しかる後に地域開発方式を用いるという方式をとってない。いきなり地域開発方式に入ってきて、新産都あるいは工特あるいは低開発地域工業開発促進というような形と同じような形でこれをやってきておる。それにかわるところの、それを補完していくところ新産都計画という特色を郡山は持っておるわけであります。これがいま言ったような状態に入っておるということでありまして、これは非常に大きな問題点であります。それから、ここは地勢上から考えてみても、海岸があのような海岸でございますから、海岸埋め立てというものは全く不可能であります。そこで、企業が張りつくとどうするかというと、必ず農地を侵害してくるという特色というか問題点が起こっておる。おそらく今回行なわんとするところ合併というものは農村部をだいぶかかえております。あの辺の町は財政力の小さなところでありまして、しかも農地をたくさん持っておる。農地目当てでもってこういった合併が行なわれてくるという一つの問題点を持っておる。もちろんここで沿岸漁業から遠海漁業に転換しなければならぬという最近の漁業関係のいろいろな問題もはらんでおる。それから市町村財政が軒並みに弱いということは皆さん御承知のとおりであります。したがって、市町村ないし県財政の負担というものが非常に大きくのしかかってきておるところであります。こういったところもやはり合併のねらいで、合併によって何とかこれを糊塗していこうという考え方があるんじゃないかと思うのであります。そのほかにいろいろな問題がございますけれども、こういった新産建設のいろいろな問題をはらんだ地区における合併なんであります。それが先ほど申し上げましたように、こういった問題をかかえておる、非常に問題点の多い新産都計画を遂行するためにぜひとも合併が必要であるという考え方、しかもそれが、すでにこの地域の指定を受けるときの条件である、また前の知事がそういうことを約束して調印までとっておるのだから文句なしにこれに従えという態度で、せっかくあのときに衆議院が心配いたしまして附帯決議をつけておる、そのこと自体を初めから踏みにじってこの合併が企図されておる、こういうことなんであります。これに対して佐久間さんがさっき言われたように、あなた非常に表面柔和な人でありまして、やわらかいもの腰で対処しておられるが、知事が処分をする直前に協議をすればそれでいいと法律はなっているのだから、処分の直前にやればそれでいいという態度については私は納得がいかない。自治省はなかなかおとなしいようなことを言われるけれども、ときどききついことをやるじゃありませんか。だれも必要がないと思うておるところへいきなり行政監査にいってみたり、助言、調査をしたり、いろいろなことをやるじゃないですか。私の知っておるところでも、いろいろな関係調査を受けたところもありますけれども、そういうことを一方でやるくせを持っておりながら、こういった問題を放置しておく手はないと思う。そこで、ごたごた言っておってもしようがないから、かりにこの処分を知事がしようとする直前に協議してくる、その段階で、こういった内容を持った合併に対して自治大臣は一体どうするのか。これはおそらく拒否できないと私は思うのです。そういうことができる法的な根拠があるかどうかということ。それから、これは告示を待たなければ効力を発生しないと思うのです。この合併が、その告示の直前において、何かいま言ったようなことで、これはどうもよろしくないという考えになったときに、それを拒否することができるのかどうか、こういったところを伺っておきたいと思います。
  36. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先ほど御指摘いただきました衆議院の附帯決議の点につきましては、私もその当時関係者といたしましていろいろ御意見を伺いまして、よく承知いたしております。合併新産都市指定の条件だというふうには毛頭考えておりませんし、また新産都市区域における合併が無理をしてはいかぬという御趣旨につきましては、その後それを体してまいっておるわけでございます。  それからなおあとのお尋ねでございましたが、自治大臣に協議があった場合に拒否できるかということでございますが、私どもはこの協議をして拒否ができると申しますか、協議がありました場合に、不適当と判断をいたした場合には協議に応じないということができると解釈をいたしておるわけであります。今日までさような形で指導いたしております。そういたしますと、地元で相当手続が進行をいたしましてからいかぬということになりましては、これはまた地方にいろいろ混乱を生ずるわけでございますので、関係市町村の間で話が事実上まとまりました段階で、内協議と申しまして、事実上の相談をしていただくように地方団体に連絡いたしております。この合併は、まだ関係市町村の間で話が事実上まとまるというところまでも至っていないわけでございますが、そこでまとまってき、また県当局もそれでよろしいということになりました場合にはどうするかということになりますれば、これは一般的に申しまして、本来市町村合併関係市町村の自主的な盛り上がりというものをもとに考えていくべきでございますので、関係団体の意思というものは尊重をしてまいるというのが従来の考え方でございます。なお、この新産都市の区域に発生しております合併は一般の合併の場合と違いまして、先生が先ほど来御指摘をくださいましたように、新産業都市建設ということと関連させて考えていかなければならないわけでございますし、新産業都市建設が現在いろいろな情勢から、かなりいろいろな問題のありますことも御指摘のとおりでございますし、この合併の規模につきましても、通常の合併よりもかなり大きな規模の合併が考えられておるようでもございまするし、それらの点から考えてみますと、通常の合併の場合と違って、合併をどういう形でどういう進め方をするかということにつきましては、私どもといたしましても慎重に検討した上で態度をきめるべきだ、かように考えておる次第でございます。これまでの自治省の態度につきましてもいろいろ御批判をいただきましたが、それらの点につきましては、今後私どもとしても反省すべき点は反省をしてまいりたい、かように存じております。
  37. 阪上安太郎

    阪上委員 先ほどあなたの御答弁の中で、いま一つ、この合併は合理性がある、こういうふうにあなたはおっしゃった。あなたの見解として、この合理性というのはどういう合理性なのですか、ちょっと伺っておきたい。
  38. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 常磐五市につきましては、新産都市の問題が起こりますかなり前から、五市間で合併をしてはどうかという話がございました。この五市の社会的、経済的な連帯性と申しますか、そういう点から考えてみまして、特に新産業都市に指定をされまして、今後その計画に基づいて建設を進めてまいるという天から考えてみますと、五市がいずれかの時期において合併を考えるということにつきましては、まあ相当な合理性があるのじゃなかろうか、かようなふうに私は考えておるわけでございます。
  39. 阪上安太郎

    阪上委員 合理性の範疇がそういうところにあるということでありますれば、新産都自体もやはりそれに期待しておるのだ、当然のことだと私は思うのです。私がいま問題にしたのは、ある時期ということばをいまあなたはおっしゃった、そこのところが問題だと私は思う。現在の時期においてということについて、むしろそういう意味では合理性がないと私は言いたいのです。先ほど私がいろいろ問題点をあげております。この新産都の地域指定当時からすでに問題点をはらんでおるわけでありますが、そういった問題点と、それから最近の新産都市建設の進捗状況、それから発生しておるいろいろな隘路等を考えて、いま直ちにこの合併をやるということについては非常に問題があるという取り上げ方を私はしておるわけなのでありまして、しかもその進め方が、法の精神といいますか、審議の過程において衆議院が意思表示をしておる附帯決議なんかを全く無視してやっておるというその進め方の問題、これもやはり問題がある。ことに新産都法の手直しをしなければならぬ段階だという点を認識して、それによって初めてそこのところ合併の時期等を考えればいいのじゃないかと私は思う。それを無理やりにこうやる。その無理やりにやる考え方が——特例法が出てきた、これは、新産都の場合、二年を経過した日においてはこの特例法が適用されてくる。そこで、その二年を経ない段階においてこれをやろうとする、その中にはあの忌まわしい三百何十名の議会を編成してそしてやっていこうとするところの実にふらちきわまる考えがある。しかも一方において特例法がそういうことに対して非常な配慮をしまして、ああいう弊害を除去した法律になっておるのに、その法律の施行を待たずして、それ以前にそれをやっていこうという考え方の中には、例によって例のごとく、ここの場合は三百二、三十名になると思うのですが、国会と同じぐらいの数でいろいろ審議をやる、いろいろな行政をやる、しかも二年間やっていこうという、こういうばかげた企図がその中に入っておるということでありまして、それらの点から考えても、非常にこれは当を得ないところ合併だと思う。ことに現段階においてこれをやるということは許されないという考え方を持っているわけなんであります。  それから、あなたに申し上げるのも釈迦に説法だと思いますけれども、こういった知事の処分というものは、明らかにその性質は国の行なう処分である。それについて知事は機関委任を受けておるものだということが私は言えるのじゃないかと思う。特例法の関係から考えても私はそういう解釈が成り立つと思うわけです。そうすると、この合併をやるところの最終最高の責任者自治大臣じゃないかと私は思う。こういう合併は、自治大臣が最高の責任者でありながら、自治省がこれに対して高見の見物をしているという考え方は、これは私は許せない。幸い先ほど答弁の中で、処分の事前に協議がある、この場合に不適当だと認めればこれは協議しないということがあり得るということを言っておられるので、私は多少その点で期待をかけている。しかしながら、いま申し上げましたように、これは機関委任事務であり、大もとはやはり国である。自治省であり自治大臣である。それが高見の見物をしているという態度は私は許されないと思うのであります。もっと積極的にこの問題と取り組んでもらうことを私は非常に希望するわけです。そして、こういう不必要かつ無理な現段階における合併はやるべきでないというところまで踏み込んだ考え方をしてもらいたいと思うのであります。あなたの答弁次第によってはこれからまた幾らでも質疑いたしますが、答弁いかんによりましては情状酌量いたしましてこの程度にとどめたいと思っております。そこはうまいこと答弁しなければいかんと思う。
  40. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先ほど来先生からるる有益な御意見あるいは御批判をいただきましたので、今後この問題につきまして私どもの仕事をいたします上に十分参考にさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。
  41. 阪上安太郎

    阪上委員 この問題はこの程度にいたしまして、次に徳島県における都市計画街路事業の立ちのき補償につきまして質問いたしたいと思います。  この事件の概要につきましては、こういうことであります。昭和三十六年度から建設省の委託事業といいますか、徳島駅蔵本線都市計画街路拡張工事、六メートルを二十三メートルにするというこういう工事が行なわれておる。これは国道一九五号線、徳島と愛媛県の西条とを結ぶところの幹線であります。そこで三十六年来いろいろと立ちのきが行なわれてきたわけであります。ところが、昭和四十年五月、この徳島市の佐古八番町の魚勘商店、これは乾物食料品を手広く営んでいる株式会社、法人でありますが、それと同時に個人三人、これに対する補償額が決定いたしまして立ちのき契約が成立した。ところが、これに対しましていろいろとうわさが出てまいりました。この補償額は土地代を除いて約四千百万円、これがいままでやった他の土地立ちのき者に対する補償額に比べてきわめて高い。そういうことで、なおこの事業の中でいま二十五軒がさらに立ちのきしなければならぬことになっておるのですが、この二十五軒に対する営業補償が三千万円、いま申しました魚勘商店ほか三人に対して四千百万円、こういったことが明らかになってまいりまして、立ちのき関係住民が非常にこれを問題にして大騒ぎをやっておる、こういうことなんであります。そこで県は、こういった行動に対し、関係住民の動きに対しまして非常にあわてて、先ほど言いました魚勘商店ほか三個人の補償額の再審査を行なった。そして、その結果、商品運搬、物品保管などの評価査定にミスがあったということが明らかになったわけであります。  この過当評価の実態はどういうことになっておるかといいますと、その概要は、営業損失契約が八百三万円、そのうち六百十八万円を不当に支払っておったということがわかったというのであります。それから商品運搬費と保管料契約、これが四百十九万、そのうち二百四十七万円程度のものを過当に支払いをした。それから使用人休業補償あるいは得意先の喪失補償契約であります。使用人休業補償については三百四十五万支払っておるのでありますが、そのうち百五十万というものは過当支払いであった。得意先喪失補償契約につきましては三百八十一万払って、二百五十一万過当払いであった。いま申し上げました数字は魚勘商店だけでありますが、そのほかの三人のものを合わせまして四千百万のうち、千九百八十万円というものが過当に支払いをしておったということで、県はあわててこれに対して約二千万に近いこれの返還要求を関係者に行なった、こういうような事件であります。これについて当時の県土木部長——いまはもうやめておるのですが、これが、「出先機関が提出した資料等で補償額を算定したものであるけれども、評価、査定のミスを事前に見抜くことができなかった。過去の非は非と認め、正すべきは正せという武市知事の指示もあったので、建設省と自治省と法務省とも協議し、そしていま言ったような過大評価額の返還を請求したものである。」こういうふうに言っているわけであります。私も現地を調査いたしまして、それから知事あるいは総務部長、あるいは県警二課長からも事情を聴取いたしましたが、すでにこの事件につきましての処分をしたあとで、総務部長も赴任をいたしておりますし、知事はその後に知事になったわけでありまして、直接にはこの知事、この総務部長は関係がないということが言えるわけでありますけれども、県のいろいろな責任事務等は継続いたしますので、知事は必ずしも私に責任がないとは言わない、あくまでこの事件は処理したい、こういうふうに言っております。  ところが、一方、百五十名に近いところのすでに立ちのいた個人はこの問題を非常に重要視いたしまして、こういうミスがわれわれが騒いだことによって一部再審査されて発見された、それならば私たちが受けた処分についてもやはり同様のミスが出てくるのではなかろうか、どうも県当局は信頼できない、こういうことで再審査の請求を要求するところの期成同盟をつくりまして、県当局と折衝しておる、こういうことでございます。  そこで私がお伺いしたいのは、この事件は全く、きわめて——適切なことばがないのでありますが、奇怪しごく、奇怪きわまる怪しげな事件であると私は判断いたしております。その一点といたしましては、補償事務がはなはだしく不明朗だ、ことに補償事務に携わっておる者、あるいは県当局の責任の所在がはなはだしく不明確である、それから魚勘商店に対する過誤払いといいますか、これの例に徴しましても、その他の補償事務に、やはり同じ人間がやったことでありますから、ミスがあるのではないか、こういうふうに考えておるわけでありまして、その結果、当然これは法律的にどうであるとか、こうであるとかいう問題ではなくして、これについてはやはり一方的に県がミスをおかした事実を持っておるのでありますから、その他にもミスがないかどうかの再審査をやはり県がみずからやるべきではないだろうか、こういうふうに考えております。  それからいま一つは、県警の捜査であります。これは非常に立ちおくれておるといいますか、非常におくれておる。そればかりではなく、どういった理由か知らぬけれども、この当面の責任者である和喜、これは徳島県出張所の係長でありますが、これを逮捕して調べておったのでありますけれども、これはすでに一段落の調べが終わって処分保留のままで釈放しておる。にもかかわらず、その内容の実態を明白にしない。そのことのためにいろいろなうわさが飛んで、そして県民はますます県に対する不信の度合いを高めておるというような状態であります。  これが大体事件のあらましでありますし、このことに関しましていまから若干の質問をいたしたいと思います。  そこで、最初に自治省、建設省の見解を求めたいと思うのでありますけれども、この種の事務、一体補償事務というのはどんな性質の事務かということをひとつお伺いしたいと思います。
  42. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 都市計画そのものは国の事務で、いわゆる機関事務と考えております。それから経費の負担につきましては地方公共団体の団体事務というふうに私どもとしては理解をいたしております。
  43. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 建設省といたしましても、同様に考えております。
  44. 阪上安太郎

    阪上委員 そういたしますと、経費のほうについては団体委任事務であって、事務そのものは機関委任事務である、こういう解釈であります。そういたしますと、この事務の最高の責任者は一体だれか、こういうことでありますが、これは一体どういうふうに解釈したらいいでしょう。
  45. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 都市計画事業でございますので、都市計画の事業決定というのは、都道府県の申し出によりまして、建設大臣が決定いたしております。それから事業の中身の経費の問題につきましては、都市計画事業でございまして、これは一応街路として採択いたしておりますので、建設省から街路事業費につきましては、改良事業、舗装事業につきまして、三分の二の国庫補助をするということにいたしております。
  46. 阪上安太郎

    阪上委員 これは機関委任事務だということになりますれば、これは自治法の百五十条、これがやはり法的根拠として出てくるわけであります。いまいったように、補助金であるという関係から、経費の面については、これは団体委任、こういうことで知事に責任があるんだ、こういう解釈ですね。間違いありませんか。
  47. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 都市計画事業につきましても、施行者は知事でございます。知事が責任を持つ、こういうことであります。
  48. 阪上安太郎

    阪上委員 そうすると、建設大臣はこの仕事については全然責任がない、こういうことですか。国の事務でありながら、委任しておるからもう責任はないんだ、だから地元で何をやろうとそれはもうおれたちの知ったことじゃないんだ、こういう性質のものですか。
  49. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 行政庁施行の事業でございますので、当然主管省である建設省といたしまして、監督その他につきまして責任を持つ、こういうふうに考えております。
  50. 阪上安太郎

    阪上委員 わかったようなわからぬことですが、とにかく監督の責任はある、こういうことなんですね。それじゃ補償基準というようなものは当然あって、そういったものと照らし合わせてやる、ことに補助金の決定等については、何らかの協議が事前に行なわれるのでしょう。どうなんです。
  51. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 補助金の決定にあたりましては、設計が出てまいります。その設計の中には、工事以外の用地補償関係につきましても設計が出てまいりますので、その設計を審査いたしまして、そして補助金の額を決定いたします。その場合に、審査する場合に、ものさしと申しますか、基準につきましては、補償基準というようなものをわれわれのほうで考えておるわけでございます。
  52. 阪上安太郎

    阪上委員 その補償基準というものは、これは何ですか。どういう拘束力を持っているのですか、どれだけの権威があるのですか。
  53. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 私どものほうで補助金の額をきめます場合に、基準として事務の執務上の資料といたしまして、基準を設けるわけでございます。
  54. 阪上安太郎

    阪上委員 いや、それは政令なんですか、何か訓令とかなんとかいう怪しげなものじゃないですか、怪しげなというと少しことばが悪いかもしれないが……。
  55. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 全般的には、建設省事業の全般につきましては、建設省の関係補償基準というものがございまして、これは訓令できめるわけであります。
  56. 阪上安太郎

    阪上委員 そこでお伺いしたいのですが、徳島県当局は、県当局として補償基準というものを持っているわけなんです。しかもこれはやはり訓令という形で出しているわけなんですね。こうなりますと、こういった補償基準というものはきわめてあいまいもこたるものであって、県がかってにきめれば大体それでいい。それからまたあなたのほうから出している補償基準というものについて、厳格にこれの範囲内で県は訓令を出さなければならぬというような何か行政措置でもやっておるのかどうか、そういった点のところをひとつ明らかにしてください。
  57. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 公共事業の補償基準につきましては、先般閣議決定がなされまして、各行政機関はこれによるようにという閣議決定がなされまして、それを受けまして、建設省におきまして補償基準を定める、さらに各地方公共団体に対しましては、建設省所管事業に非常に関係がございますので、これに準拠して補償基準をつくるようにというような通達を出しているわけでございます。
  58. 阪上安太郎

    阪上委員 この間出した、閣議できまったというのですが、その前はどうなっておったのですか。
  59. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 閣議決定の日付を忘れたのでございますが、たしか三、四年前に閣議決定がなされたというように記憶いたしております。
  60. 阪上安太郎

    阪上委員 この間なんと言うから……。そうすると、三、四年前だと、この事業についてはすでにそういう体制ができておった、こういうことですね、それで間違いありませんか。
  61. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 ちょっと私記憶がはっきりいたしませんのであれでしたが、この事業につきましては四十年度の事業でございますので、閣議決定、——これは直接法律的拘束力を持つものではございませんけれども、閣議決定が出され、あるいは建設省の補償基準がきめられ、県のほうにそういうような指導がなされたあとの事業でございます。
  62. 阪上安太郎

    阪上委員 訓令というのは、そうするとこれは訓示みたいなものですか。どうしてもこれは従わなければならぬという性質のものなのか、いやおれはそんな訓令はいい、おれはおれなりにやっていくんだということで、県が補償基準をつくっていく、こういうことになるのですか、そこのところはどうですか。
  63. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 ちょっと私のことばが足らなかったわけでございますが、建設省の訓令と申しましたのは、直轄事業に対します補償基準の訓令でございます。したがいまして、補助事業につきましては、通達で各県がこれに準拠してつくってくれ、こういうような指導をいたしておるわけでございます。
  64. 阪上安太郎

    阪上委員 そういたしますと、やはり県もまたそれに準じて訓令か何か出して、そして出先機関にいろいろとこれでやっていけ、こういうかっこうになっているわけですね。県は、率直にいうならば、直轄事業に対するあれを準用するという形になるということで、まあまあ適当につくればいいという形で出てくるのではないか。そうすると県でこれをばらばらでやっているということになるのですね。そういうことでしょう。
  65. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 補償基準は各県とも全部できておるわけではございませんし、各県の補償基準の内容も若干食い違っておる点があろうかと思います。
  66. 阪上安太郎

    阪上委員 補償交渉の通常の経過として、まず補償物件に対して県当局調査する、それから評価していく、それから当事者と交渉する、それから契約する、この契約は片務契約ですね、双務契約じゃないのですね、そうして最後に補償金の支払いをする、こういう経過をずっと通常たどっておる。その間に直轄事業の事業の計画、それに対しては協議はするけれども、この補償については何ら協議しないのですか。補助金の三分の二を出しておって協議しないのですか。
  67. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 先ほど申し上げましたように、最初補助金の交付決定をいたします際に、県のほうから申請書が出てまいります。その申請書に、設計の内容といたしまして、用地費、補償費というものは内訳をつけて提出されますので、それを査定いたしまして額の決定をするわけでございます。
  68. 阪上安太郎

    阪上委員 そういたしますと、先ほどの補償基準との関連で、その査定を行なう場合に、直轄事業に対するところ補償基準というものを準用しながらこれをやっていくということになるのか、県の補償基準に基づいてあなたのほうで検討することになるのか、その点はどうでしょうか。
  69. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 県の補償基準も直轄の補償基準も、そのもとになっておりますのは閣議決定になりました公共事業の補償基準でございますので、その間にそう食い違いはないと思われますので、そういうものに準拠いたしまして査定をいたします。
  70. 阪上安太郎

    阪上委員 そう食い違いはないけれどもということでありますけれども、今回の場合は食い違いどころか、大きな誤りをおかしておるわけです。過誤払いをやっておられるわけです。それをあなたのほうで、その決定の場合に、誤りを発見できなかったのですか、どうなんですか。
  71. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 四十年度の事業で当初補助金の交付決定をいたします場合の審査は、これはすべて書面審査によっている。今回の事件は、われわれ報告を受けておりますのは、基礎となる事実を誤ってとっていた。基礎となる事実を間違って把握していたというところに一番大きな原因がある。もう一つは、計算違いというのがございますけれども、そういうことで補償金額に大きな食い違いができたというふうに聞いております。
  72. 阪上安太郎

    阪上委員 そうすると、そういうたてまえでやっておるために、この種の誤りが行なわれておるという場合において、建設省としては何らそれを発見できないという仕組みになっているのですね。そういうことが言えるわけですか。
  73. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 できる限り書面、審査の上でそういうような事実の間違いなり計算違いなりを発見するようにつとめておりますけれども、この場合にはそれができなかった、こういうことでございます。
  74. 阪上安太郎

    阪上委員 どうもおかしいな。この場合にはそれができなかった。発見するようにつとめておるが、この場合はできなかった、こういう事実をあなたは述べられておるわけです。これはそういうことが的確に発見できるような仕組みというものを、あなたのほうで急速におつくりになる必要があるのではないか。どうもこの補助金の決定なんというようなのはずさんだと私は思うのでありますが、これは建設関係だけがそういうことをやっているのですか。自治省のほうに、佐久間さんのほうではそういったようなことについてどういうことをおやりになっておるか、参考までにひとつ伺っておきたいと思います。やはり同じような形式でやっておられるのでありますか、柴田局長さんからもひとつ伺っておきたいと思います。
  75. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 私どものほうでは、補助金の交付決定をいたします場合に、そういうことで書面審査でやっております。そのあと実際に事業が完了いたしますと、完了報告というのが出てまいります。完了報告に基づきましてわれわれのほうでは額の確定という適正化法上の手続をとるわけです。その場合には、いわば竣工認定でございますが、現地にまいりまして審査をいたしまして額の確定をするたてまえになっております。それ以外に建設省といたしましては、監察官という制度がございまして、監察が監察をやる、そういうような形でやっております。ただ、おっしゃいますように、特に営業補償とか物権補償とかというものにつきましては、実際に仕事が終わりますとなかなか実態が把握しにくいという面がございますので、われわれといたしましては、なおくふうをこらしまして、書面審査で大きな誤りが発見できるような方法を講じたいと思って検討したいと思っております。
  76. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 私どもが扱いますのは一般財源でございますので、私どもの所管の直接の問題としてはございません。ただ補助金等につきましては、関係各省でそれぞれおやりになっておることでございますが、これは結局補助条件の問題、補助条件に関連して適正化法上どう扱うかという問題かと存じます。扱い方は、おそらくいま建設省からお話がございましたようなやり方もございますし、あるいはもっと、しちめんどうくさい取り扱いをしているところもあるかもしれません。たとえば事業補償等もあるわけでございますが、建設関係だけではございませんで、ほかの補償もあるわけでございますが、もっぱら補助条件の問題だと考えております。
  77. 阪上安太郎

    阪上委員 私はこれはくふうをすればもっと的確につかめるではないかと思うのです。どうも何か少しおくれた行政措置ではないか、こういうふうに感ずるわけなんです。  それから、いまのような行き方をしておりますと、各県ばらばらになるおそれがあるのではないかという心配も出てくる。ことにあなたが後段でおっしゃったように、そのとおりなんです。工事が終わってからの審査では、これは対象物権が消えてしまってそこらにない。つけ落ちしておったって全然わからない。あとはもう野となれ山となれ、こういうことで、しかもこれは双務契約でも何でもないんだから、一方的な契約であるかもしれませんし、聞くところによると、全部判こを持ってきなさい、話がついたから代表者が判こを持ってきなさいと言って、百人かそこらの判こを集めてきて、契約書にぽんぽんと係官が判こを押して御苦労さんでした、こういうふうにして別れてしまう性賃のものだ、だからもしこれが不公平な措置を受けたりなにかした場合、あるいは公共団体その他が非常な過誤払いをやったような場合には、実際これはなかなか、ことに営業補償等につきましてはなかなかむずかしい問題もある、そういう本来的なものを持っているし、それからいろいろな対象物権については、これは消えてしまっているというようなことで、全く水かけ論になってしまって、不当に住民が権利を侵害された、損を受けたというようなことについて、これを救済してやることもできないという形になってくるおそれがあると思うのであります。もう少しこういったものについては査定前に明確に監督できるという形をやはり建設省は打ち出す必要があるんじゃないか、このように思うわけであります。  そこで、先ほど言いましたように、再審査の請求がいま行なわれているわけであります。この点について私は知事からよく事情聴取をしたのであります。要請もいたしたのでありますが、知事はやはりこれは審決の対象にもならない、二十一日という時日が経過してしまったのです。それから行政不服審査の対象にもならない、かりになったとしても六十五日経過しているというようなことで、法的に再審査するという方途というものは見つからない、こう言っているわけなのです。しかしながらこういったミスをおかしているんだから、他のほうにおいてもそういうことがないとも言えないだろうということで、一方的にやったらどうかという意見に対しまして、ぜひひとつ善処してもらいたい、こう言っているわけです。  そこで、この再審査を県がやって、善処した場合に起こってくる一つの問題として考えられるのは、やはり過誤払いがあった、これを返せということになるのか、それから同時につけ落ち等があって、これはなかなか発見が困難であろうと思いますけれども、そういう場合に、これがはっきり判明してきたということになれば、建設省として補助金の追加というようなことができるのかどうか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  78. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 過年度の、つまり三十九年度以前の問題につきましてはすでに完了報告も出ておりますし、額の確定も終わっておりますので、これはその設計のものにつきまして追加して補助金を交付するということはできない。ただ四十年度のものにつきましてはまだ完了いたしておりませんので、手続上は再審査した結果、設計変更いたしまして額を増減するということは可能でございます。ただ、具体的に、実際問題としてどうやるかということは、詳しく調べてみなければわからぬと思いますけれども、技術的には可能でございます。
  79. 阪上安太郎

    阪上委員 そういった審査の道が年度内ならばあり得たということなんですね。これは実際問題として非常に不親切な言い方なんですね。第一、再審査に応じない、こう言っておる。これは片務的な契約であるからそんなことやる必要がないのだ、こういう立場をとっております。そして厳格に、間違いなかろうかということでもって、事務的にいろいろと審査をしていくというような熱意と愛情も欠けておって、やらない。住民は、これは何にも知らない、もう泣き寝入り以外に方法ないのだ、こう思っておる。ところが、補助金の性格としまして、過年度の支払いはできないと言っている。こういうことになると、住民としてはたまったものじゃない。その場合、国や地方公共団体が損した分について、いわゆる過誤払いした分について、年度を越えた分についてもとることができるのですか。
  80. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 補償金額を誤って余分に出したというものにつきましては、これは返還請求をやります。
  81. 阪上安太郎

    阪上委員 そういう非民主的な政治わが国においては行なわれておるのですよ。しからば、補助金の追加とかなんとかいって年度内の措置をとれなかったら、新たに補正予算を組んで追加したらどうなんですか。これはできないのですか。
  82. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 国庫補助金の問題に関しましては、すでにその事業がその設計によって終わっておりますので、これは新しく事業を興すということはできないと考えております。
  83. 阪上安太郎

    阪上委員 しかしながら、いま言ったような事実について非常な矛盾があります。渡し過ぎたものはいつでも返納させるけれども、しかしながら、非常に過小に見積もりをしてやった分については、これは補助金関係から、補助金としてはもう出せないのだ、こういうふうな行き方ではおかしいと思います。何か救済の道はあるでしょう。補助金という項目を組まなくてもいいじゃないですか。あなた方頭がいいんだから、いつもいろいろな項目を引っ張り出してきてやっておるじゃないか。それは新たにできるわけじゃないのですか。
  84. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 補助金以外ではちょっと考えられませんし、補助金も、ただいま申し上げましたとおり、法律上できない。
  85. 阪上安太郎

    阪上委員 柴田局長に伺いますが、これは、建設省がああいうふうに、どうしても制度的にはできないのだ、こう言っているが、自治省のほうは救済の手を伸べてやる必要はないのですか。建設省がそういうことを言うならばおれのほうもいやだという考えですか。たとえば、これは県の負担も当然三分の一になっておりますし、それに対しては、団体によるだろうと思いますけれども 交付税とかいろいろなものについて対象になっておるのですから。それから、こういう過誤払いをやって、追加で何らかの支出をやらなければならぬという事態が発生したとすると、それは県の財政でまかなっていけ、こういうことになるのですか。そこらのところ、どうでしょう。
  86. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 それは、やはり一義的にはその県の財政問題として処理すべき問題と考えます。しかし、全体的に全く特殊事情があって、それが県財政全般について非常に大きな問題になるという場合であれば、これはまた別にその問題だけの問題として県財政全般の立場からいろいろ考えなければいかぬというように考えますけれども、そのこと自身を取り上げてすぐ中央からいろいろな措置ということになりますると、私どもといたしましては、それは県で自分でやるべきであるというお答えしかできないだろうと思います。
  87. 阪上安太郎

    阪上委員 このことが額が非常に大きくなって、とても県の財政でまかなえないということであるならば、また何らかの方途があるというような意味のことに私は受け取れたように思うのですが、私はこの問題について、再審査を請求している側が一つの失敗が見つかったので、しかもどうも内容としては、あとで警察に伺いたいと思っているのですけれども、ごね得のような感じがするのであります。このごね得の事実を目の前に突きつけられた関係者がさらにそのごね得に便乗してごね得をやっていこうという態度は、断じて私どもは納得できない、かように考えておりますけれども、先ほど言いましたような行き方で、ほんとに不公平なものが出てきたという場合には、これはやはり何らかの方法で国家が救済してやるべきだ、こういう考え方を持っておるわけであります。  そこで、こういった事件が実は発生したのでありまして、しかも、これはもう少し詳しく言いますと、和喜という徳島県土木出張所の用地係長が最初二千万円程度の査定をしておった、ところがそれが数日を経ずしてとたんに四千百万円近くになった、こういう奇々怪々たる事件なんです。しかも、その理由は、あとから問いただすと、相手にしてやられたのだとかいうような言い方を実はしておって、それから長年上層幹部である、たとえば当時前知事は病気で寝ておりますというような関係から、これに対して副知事等が何らこの問題を事前に承知していなかった、こういうことで、だれ一人これに対して責任ある立場をとっている者はいないわけなんです。そうして下級の吏員に対して一人で責めを負わしているという、実に無責任きわまる政治が行なわれておる。こういうことなんであります。いわゆる先ほど言いました政治姿勢の問題なんです。これについて自治省は、この事件について助言とか勧告とか、こういうことをやる意思があるのかどうかということなんです。自治法の二百四十五条に基づいて、自治大臣は、これに対して助言または勧告、こういうことをやろうとする考え方があるかどうか、政務次官からひとつこれはお答えいただきたい。
  88. 大西正男

    ○大西政府委員 いままでの局長その他の方々との応答の中でもございましたように、これはまず第一義的に県におまかせをすべき問題だと思うのでございます。したがいまして、今後この問題の推移によりまして、必要が生じましたならば、そういう処置をとることもあろうかと考えております。
  89. 阪上安太郎

    阪上委員 財務監査権、これはたびたびいままでも、場合によりましては一方的に自治法の二百四十六条に基づいて行使されている例があるわけなんです。こういったこともやる意思があるかどうか。あるいはまた自治法の二百四十六条の二とかないし二百四十六条の四、政府は適正な事務処理を確保するために、これは内閣総理大臣の権限だと私は思っておるのですけれども、そういったことをやるお考えがあるかどうか、こういうことをひとつこの際あわせて伺っておきたいと思います。
  90. 大西正男

    ○大西政府委員 いま申し上げましたことと同じようなことで、必要がございましたら、そういうこともあろうかと思います。
  91. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 ちょっと政務次官から御答弁申し上げましたことを補足して申し上げますが、徳島県は財政再建団体でございます。したがいまして、財政再建が本年度で終わるわけでございます。四十一年度になりますると、財政再建の結果といいますか、新しく自主財政の運営が行使されるわけでございますけれども、通常そういった財政再建中には、実は毎年一回は必ず調べておるわけでございます。この事件につきましては、私どもも多少は承知しておるわけでございますけれども、何ぶん司直の手が入っていろいろ調べられておるという事態でございましたので、この事件につきまして直接の指示とかなんとかということは避けてまいりました。しかし、そういう事態が明らかになりますれば、財政運営措置をとる必要がございますれば、必要な措置はとるように言うつもりでございます。
  92. 阪上安太郎

    阪上委員 実は私、現地調査をいたしまして、知事とも会い、総務部長とも会ったんですが、これはまあ本人たちはこの事件と直接、事前に知っておったとか、あるいはそういうことに関与したとかいうことはないわけです。非常に清廉潔白でもって、思い切ってこの事件を処理したいと言っているわけなんです。ところが、知事からまた逆に要望として、聞くところによると、もしそういう措置をした場合に建設省は金を出してくれないというようなことで、かえって大きな迷惑がかかってくるのじゃなかろうかというようなことで、次から次へと波及するおそれもなきにもあらずです、この徳島事件は。そういうことで、非常にちゅうちょしている面があるわけなんです。早く責任の所在を明らかにしたいということも、熱意を込めて言っているわけなんでありまして、しかもかわったばかりの知事、かわったばかりの総務部長でありますし、私はお会いして、こういった事件の処理というものはあまりこまかいことを言わずに、この事件によってほんとうに県民の信頼というものが失われんとしておる段階でありますから、断固として知事はこの処置をしていくということが非常に望ましいと思いますし、本人もその気になっておられるようであります。ただ、いま言ったような点でちゅうちょしているわけなんでありますから、助言というのは、必ずしもしかるばかりが助言じゃないと私は思うのです。善良なアドバイスをしてやって、ほんとうにやりなさいというようなことを育って知事に拍車をかけて、そして県民の不安とか、あるいはそれに便乗する者もおるでありましょうから、そういった者を一掃していくという助言というものがやはり必要であり、そういう勧告というものが必要じゃないか。ただおこるばかりが能じゃない、しかりつけるばかりが能じゃない、私はこう思うのです。ぜひひとつその必要を認められて、適当な機会にそういう力づけをひとつやってやってもらいたい。そして正しい県政の姿勢をやはりこの際、いまの知事によって確立させてやってもらいたいということなんであります。  そこで、先ほどちょっと述べました三省とこの返還請求の協議をしたということ、これは新聞がそういうふうに報じておるわけであります。法務省はおりませんけれども建設省、自治省で、はたしてそういう返還の協議が行なわれたかどうか、こういうことなんであります。
  93. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私どもところに御相談のございましたのは、いまの返還請求の訴訟を起こしまする場合に、これが地方自治法九十六条第十一号に該当するかどうか、こういう照会がございました。この点につきましては、冒頭に先生がお尋ねの際にお答え申し上げましたように、経費負担は団体事務でございますので、この補償金返還請求の問題も団体事務である、したがって、それについて訴えを起こす場合には議決事項になる、こういう法律解釈を返答をいたしました。
  94. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 私どものほうに相談を受けたのは、返還請求をしたという報告と、やはり同様に向こうが応じないのでどうしたらいいかということで、これは民事訴訟によるほかないのじゃないかというようなことを、助言と申しますか、申し上げた次第であります。
  95. 阪上安太郎

    阪上委員 建設省にお伺いしますが、この場合、前の事例と関連するのですけれども、その返還請求額が正しい額であるかというふうなことについて十二分に検討されたかどうか。具体的に、ほんとうにおやりになったらおやりになった、やらなかったらやらなかったと、はっきりお答え願いたい。
  96. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 返還請求額の基礎になっております再査定額につきましては、私どものほうで十分に審査してきめたわけではございません。それでこれは、返還請求をいたしましたという報告が参りましたので、その事後の問題について相談を受けたわけでございます。この徳島の都市計画街路の案件につきまして調査しなければいけないわけでございますけれども、先ほど柴田局長が申し上げましたと同じような事情で、司直の手が入っているということで、われわれのほうではいままでのところ詳しい調査をしてない段階でございます。これから調査をいたしたい、こういうふうに考えております。
  97. 阪上安太郎

    阪上委員 それは司直の手が入っておるからといって、そういう行政措置を、その司直の捜査が終わってからやるのだというような考え方ではおかしいじゃないですか。それこそあなたは、別にそんなことが捜査に悪影響を与えるわけでも何でもない、その請求額が適当であるかどうかということぐらいは、前に失敗しているのだから、今度だって建設省は十分にやるのがあたりまえじゃないですか。そんなことをやらぬで放置しておくという建設省の態度が、ぼくは非常に納得できない。やりなさいよ。そんなことやらなければどうするのですか。協議を受けて、これだけの額のかかりがございましたので、これをひとつ請求いたします、ところがなかなか返還に応じませんので、訴訟を起こそうと思っていますが、いかがでございましょうかというようなことを言いに来て、それはやりなさい、民事訴訟以外にないだろうというようなことを言っているのはおかしいじゃないですか。監督権を持っておるあなた方、逆にひっくり返していえば責任を持っているあなた方が、そんな態度で終始しているのはおかしい。どこでもそんなことをやっているのですか。この問題について建設省はどうしますか。
  98. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 実はこの問題は書画審査ではなかなかはっきりいたしませんので、現地に係官を出しまして調査をさせたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  99. 阪上安太郎

    阪上委員 やりますか。
  100. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 やります。
  101. 阪上安太郎

    阪上委員 それじゃ、森下委員からも何か関連質問があるようでございますので、最後に県警本部の関係で警察庁にお伺いいたしますが、先ほど言いましたように、この事件で和喜という用地係長が逮捕されております。それからたしか、収入役はちょっと記憶にありませんが、副知事がやはり参考人として呼ばれて、いろいろ事情を聴取されておるということであります。それらの捜査が一段落して、処分保留のままで釈放されたという段階なんです。これについて知事は、実は早く責任の所在を明らかにしたいと思っているが、ちょうどそういう捜査が行なわれている段階であるので、県警当局のこの事件に関する何らかの発表があってしかる後に処置したいと考えておる。行政処分でございますので、やろうと思えばやれると私は思うのでありますが、そういう慎重な態度をとっておる。ところがそういうことを長引かせていることによって、住民は非常に不安が増高しておる、県政に対する不信感がだんだんだんだん高まっているという憂慮すべき状態になっている、こういうことなんであります。そこで私は県警二課に、なぜこういう段階で中間発表しないのかということを聞いてみると、いやほかにもまだこれに関連した捜査がありますので、これだけを発表するわけにいきませんというふうな言い方をして、むしろ何かますますこれはおかしいぞというふうなことになる。それから一方において、これは時期的にそうなったと思うのでありますが、県警本部長がとたんにかわったというようなこと、それからこれの取り調べをやっておった検察当局の主任の検事が、これは栄転という話でありますが、またかわっているというようなことで、何かそこに大きな政治的配慮が背後にあって、こんなものがどんどん更迭するのではないか。そういうデマが飛んでおる。デマであるか真相であるか、私わかりませんが、そういう事態でありますので、こんなものは、できるだけ早くいままでの捜査段階において、発表できるものは発表するということにして、そしてやはり治安を維持していかなければいけないと思うわけであります。そこで、あなたのほうできょう言えることがあるなら、ひとつ内容について言ってもらいたい。どうしてもここで公開の席で言えぬなら、秘密会議にひとつ持っていっていただいて私は伺ってみたいと思うのですが、ひとつ最初の段階は、話せることだけ話してみてください。
  102. 日原正雄

    ○日原政府委員 この点につきましては、徳島の警察で背任容疑で捜査を行ないまして、本年の二月二日に徳島土木事務所の当時の用地係長を逮捕いたしまして送致いたしました。現在なお捜査は継続中でございます。この逮捕した者はその後検察庁の取り調べも受けまして、処分保留ということで身柄は釈放になっております。  この事件の捜査の問題でございますが、やはり私どものほうも捜査を早く完結いたしたいのでございまするけれども、一方また、この逮捕した者の共犯者がおる。特にこの補償に関連したものに関して共犯者がおるということになれば、これまた重大な問題であるわけでございますので、やはり捜査は、共犯者がいるかいないか、いればだれかというところまで突き詰めてやらなければならぬ。多少時間がかかりましてもやらなければならない問題であると考えるわけであります。そこで捜査継続中なわけでございまして、県警本部長その他異動いたしましたのはこれとは全然関係はございません。また政治的な配慮は一切ございません。共犯者がおるとすれば、徹底的にやって、納得のいくところまでいきたい。こういうことで、捜査は立証しなければならないわけでございますから、非常に早く証拠が集まる場合、なかなか集まらない場合、最後まで集まらない場合とか、いろいろ段階がありますが、いま少し経過を見ないと、継続中でございますので何とも申し上げられないわけでございます。ただいろいろな疑惑があるということでございますので、多少説明いたしませんと御納得いただけないかと思いますが、またあまり説明いたしますと、これからの捜査で相手方に弁解を与えるということになっても困るわけでございます。しかしまた秘密会というようなことになりますと、よけい疑惑を与えかねないわけでございますので、観点を変えまして、この事件と別個の問題といたしまして、私どものやり方をお話しして御納得をいただけたらと思うのですが、問題はこういう事件になりますと、涜職とかあるいは背任とかいう問題になるわけであります。涜職というものになりますると、その公務員の職務に関してわいろの授受という事実が必要なわけでございます。それからここで一人背任で逮捕いたしておりますが、背任ということになりますと、刑法二百四十七条で「自己若クハ第三者ノ利益ヲ図り又ハ本人二損害ヲ加フル目的」という要件があるわけでございます。これはそういう事実、そういう認識を故意犯といたしましては立証いたさなければならないのであります。ちょっとおわかりにくいかもしれませんが、ごく砕いて申し上げれば、判こを押しても、めくら判でなかったという事実の立証が必要なわけなのでございます。そういうような点でいろいろ立証していかなければならない苦労があるわけでございます。そこで捜査も長引いてくるということになるわけでございまして、そういう御説明で、言いのがれの材料を教えるようなことでなしに、御推察いただければけっこうだと思うのでありますが、そういうことで、しかしまた疑惑があるものは徹底的にやっていきたいというような関係で、捜査が延びておるというわけでございます。
  103. 阪上安太郎

    阪上委員 警察捜査の問題について国政調査権がどうである、こうであるというような、やぼなことは言わないつもりですが、ただ私が現地で得た情報によると、いま逮捕されて取り調べを受けた和喜という用地係長、これは非常にまじめな男で、うわさによると、警察のほうではどういうふうに見ておるか知らぬけれども、どうも贈賄をしたり収賄をしたりというようなそぶりの毛頭ない男である。そしてきわめてまじめな男だ。それからみな異口同音に、期成同盟の諸君の声を聞いても、私たちも面接していろいろ契約をやってきたけれども、あの人だけは実にりっぱな人だ、こういう言い方を実はしておるわけです。いろいろな和喜君の同僚たちの話を聞いてみても、県知事などに聞いても、非常にまじめな人で、そういうけれんみのない男、それが自分で提示した二千万程度の査定、これをどこでどういうふうなことによってわずか一週間もたたぬうちに、いきなり四千百万になったかということについて、しろうとが考えてもわかるような疑惑を私は持つわけです。あなたのほうはそれを立証しなければならぬので、なかなか問題が公表できない、こういうことだと私は思いますが、そういう何と申しますかここを取り巻くいろいろな住民の声がそういうところにいま集中されてきておる。このことは、実に奇怪な事件だと思う。こういうことであって、単にごね得という側からのものの考え方ではなくて、何らか背後でこれに圧力があったのではないかというような言い方になってきて、本人はむしろ同情されているというような妙な事態になってきている。こういうことでありますので、知事がさらに行政処分をやるのにちゅうちょしている理由も私はよくわかる、こう思うのです。とにかくそういう状態でありますので、できるだけ早く捜査を進められて——人手がなければ警察庁に言ってひとつ応援を出させるように私から頼もうか、実は私はこう言って帰ってきた。そういうことでありますので、ぜひひとつ善処してもらいたい。  なお、地方自治姿勢を正す問題につきましては、大臣の時間も少のうございますので十二分に審議ができませんでした。またの機会にまたひとつこれを進めていきたい、かように考えておりますので、その点委員長もよく御配慮いただきまして、きょうはこの程度で質疑を終わりたいと思います。
  104. 森下元晴

    ○森下(元)委員 ただいま阪上委員から質問や要望のありました徳島の魚勘問題、これにつきまして私、質問の点は阪上委員から十分尽くされたと思いますので、検察庁、自治省あるいは警察に御要望を簡単に申し上げたいと思っております。  いま申し上げましたように、この問題は、魚勘事件とか魚勘問題という名前のもとに徳島県政をゆさぶっておる。県会なんかも、特別委員会をつくりましてこの究明また解決策に大わらわでございます。また新任の武市知事も前向きで県政をやっておりますけれども、この問題のためにかなり心配もしておるし、県政上足を引っぱられておる問題でございまして、この点自治省におきましても、ひとつ積極的に、地方自治の問題であるというふうに簡単に考えないで、御援助、御指導を願いたいと思う次第でございます。  この魚勘問題が発生しましたのは、ちょうど一年前の今日、四月一日でございますが、去年のきょう契約をいたしております。それからこの悲喜劇が始まっておる。たまたま一年後の四月一日の今日、この問題が阪上委員から取り上げられまして、何か因縁の深さと申しますか、そもそも初めからばかばかしいと申しますか、煙に巻かれたような、キツネにつままれたような事件の発生でございます。その補償の内容にいたしましても、都市局のほうとして全体のワクはつかんでも、その内容においてもいろいろと問題があるようでもございますし、しかし、これは契約の問題でございまして、いわゆるしゃくし定木じゃなしに、補償の問題というものはいわゆるプラス・アルファ、こういう問題がからんで、また同時に解決も容易になっておるということで、はたして不当であったか、また過当であったかという問題が、今後究明の焦点じゃないかと思うようなわけでございます。ともかく、後進県徳島県がこの問題でかなり足を引っぱられて、ただでさえも困っております地方の財政、また県政上非常に憂慮されておる問題でございますので、関係自治省におかれましては、前向きで究明、指導に当たってもらいたい。  以上、要望申し上げまして、私の関連質問を終わりますが、政務次官並びに関係局長の御答弁をお願いしたいと思います。
  105. 大西正男

    ○大西政府委員 御趣旨に沿いまして善処いたしたいと思います。
  106. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 先ほど申し上げましたように、現地調査をいたします。
  107. 岡崎英城

    岡崎委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十三分散会