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1966-03-29 第51回国会 衆議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十九日(火曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 岡崎 英城君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 渡海元三郎君 理事 和爾俊二郎君    理事 秋山 徳雄君 理事 華山 親義君    理事 細谷 治嘉君       亀山 孝一君    纐纈 彌三君       島村 一郎君    登坂重次郎君       藤田 義光君    村山 達雄君       森下 元晴君    井手 以誠君       久保田鶴松君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    島上善五郎君       安井 吉典君    門司  亮君       吉田 賢一君  出席政府委員         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         大蔵事務官         (国有財産局         長)      松永  勇君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         自治政務次官  大西 正男君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (税務局長)  細郷 道一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      佐々木四郎君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      木戸 四夫君         農林事務官         (林野庁林政部         調査官)    斎藤 清三君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      鎌田 要人君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月二十六日  地方公務員定年制法制化反対に関する請願(  田中武夫紹介)(第二〇七六号)  料理飲食等消費税撤廃に関する請願穗積七郎  君紹介)(第二〇七七号)  農業用地固定資産税引上げ反対に関する請願  (安井吉典紹介)(第二一九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第七  一号)      ————◇—————
  2. 岡崎英城

    岡崎委員長 これより会議を開きます。  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 ただいま提案されております法案に関連いたしまして、きょうは特に国有林野交付金の問題についてまずお尋ねいたしたいと存じます。  今度の改正法案の中には、国有林野に関する交付金について全く触れられていないわけでありますが、この法律対象になります国有資産等評価の問題については、各資産ともにそれぞれ多くの問題を持っているように思います。特にこの法律民間資産に対する固定資産税身がわりとしてできたという経緯があるにもかかわらず、一般固定資産税と国の交付金納付金との間のアンバランスはおおうべくもない問題だと思います。とりわけ国有林野の問題につきましては、私も昨年の三月三十一日のこの委員会地方税法に関連いたしてお聞きをいたした経過がございますが、昨年質問をいたしました当時、つまり四十年度の交付金額は六億八千万円余であったのが、四十一年度の政府予算の中では八億三千三百万円程度引き上げられているわけでありまして、増加をしているという点についてはもちろん私も好感を持つわけでありますが、しかし、その算定基礎の問題になりますと、なお問題があるように思います。  現在国有林野交付金対象になっております市町村はどの程度か、その対象国有林野面積はどの程度か、したがって、一ヘクタール当たり交付金額はどの程度になっているか、さらに、一般林野に対する固定資産税について、対象山林面積はどの程度で、一ヘクタール当たり税額は四十一年度においてどの程度になるか、それをひとつ資料によって御説明願いたいと思います。
  4. 木戸四夫

    木戸説明員 対象市町村は千七百四十ヵ町村になっております。それから面積は七百五十一万町歩になっております。ヘクタール当たりどれくらいになっておりますかは、ちょっと計算しませんとわかりませんので、後ほどお答えいたしたいと思います。
  5. 細郷道一

    細郷政府委員 固定資産税のほうでまいりますと、民有林野面積は四十年度で七百二十六万六千町歩、その税額は二十三億五千四百万円、反当たりに割り出しますと、反当の平均価格は二千三百十四円、こういうことでございます。
  6. 安井吉典

    安井委員 税額を聞いているのですがね、反当——じゃあ、それはあと計算してください。反当税額、四月からはヘクタールになるわけですが、ヘクタール当たり固定資産税額と、それから国有林野の場合の交付金額比較を知りたいわけでありますが、もう一度計算の結果をお知らせください。
  7. 細郷道一

    細郷政府委員 民有林野の反当の税額は、ただいま申し上げました反当価格に一・四%かけますと、三十二円でございます。
  8. 安井吉典

    安井委員 計算はまだですか。
  9. 木戸四夫

    木戸説明員 反当十一円程度になると思います。
  10. 安井吉典

    安井委員 今度の国有林野交付金引き上げによりまして、反当たり交付金額は若干上がったようでありますが、それでも固定資産税については反当たり三十二円、交付金のほうは十一円、このうち固定資産税についてはたしか四十年度の数字というふうに聞いたのですが、そうですね。——四十年度の数字だそうですから、四十一年度においてはこれよりも一割ないし二割くらいの増額になっているはずです。こう比較いたしますと、国有林の場合は保安林が多いとか、そういういろいろな事情もあろうと思いますけれども、まだバランスが十分にとれていないというふうな印象を受けるわけであります。  そこで林野庁のほうのお考えを伺いたいわけでありますが、今度の引き上げは、算定基礎になっている台帳価格を変更したものではないと思いますが、この根拠はどのように置かれているのか、それをひとつ伺います。
  11. 木戸四夫

    木戸説明員 四十一年度におきましては、昭和三十九年三月三十一日現在におきまして、国有林野近傍類似民有地につきまして、固定資産税課税標準額調査したわけでございます。それと国有林野台帳に載っております台帳価格とを比較いたしまして、そこから算定をいたしたわけでございます。そこで台帳価格比較いたしまして、固定資産税課税標準額が五〇%以上一〇〇%未満のものにつきましては一・五、それから一〇〇%以上一五〇%未満のものにつきましては二倍、それから一五〇%以上上回ったものについては二・五をそれぞれ台帳価格に乗じまして得た額を交付金算定標準額といたしまして、それに法定の百分の一・四を乗じて得た額を交付することにいたしたわけでございます。
  12. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、四十年度の計算の仕方と四十一年度では変わったわけですね。
  13. 木戸四夫

    木戸説明員 国有林野交付金は、固定資産税よりも一年おくれになっておるわけでございます。固定資産税につきましては三十九年に評価がえになったわけでありますけれども、四十年度につきましては、それをもとにして交付するはずでございましたけれども、時間的に調査が間に合わなかったことが第一点。それから固定資産税課税額につきましては、従来の額の一・二倍と、こういうことになっておりますので、それを基準にいたしまして、三十六年度と三十九年度の違いが一・二倍、こういうことで推定をいたしまして、四十年度に交付金を交付することにいたしたわけです。四十一年度につきましては、三十九年三月三十一日の実際の調査結果がまとまりましたので、それをベースにして正確に計算をした、こういうことに相なっております。
  14. 安井吉典

    安井委員 法律規定によりますと、第八条の価格修正の方法によるところの御決定だというふうに受け取れるわけでありますが、第八条では、「国有財産台帳等に記載された当該固定資産価格当該固定資産に類似する固定資産固定資産税を課されるものに係る固定資産税課税標準基礎となるべき価格と著しく異なると認める場合においては、」この規定に基づくものだと思うのでありますが、台帳そのものについての評価がえ、そういうような措置ではないわけですね。
  15. 木戸四夫

    木戸説明員 台帳価格そのもの修正ではございません。
  16. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、第八条の、私がいま引用いたしました条文のその次の規定にあります、「前年の十一月三十日までに、国有財産台帳等に記載された固定資産価格と異なる価格当該固定資産の所在地の市町村長当該固定資産に係る交付金算定標準額基礎とすべき固定資産価格として通知することができる。」という規定に基づく通知はなされたわけですか。
  17. 木戸四夫

    木戸説明員 価格修正通知はしてあります。
  18. 安井吉典

    安井委員 それは十一月三十日までになされたか、さらにこの規定は、続けて、算定根拠についてもあわせて通知しなければならないと義務づけているわけでありますが、その措置はおとりになりましたか。
  19. 木戸四夫

    木戸説明員 通知は、四十年度そのままの価格で一応通知してあるわけでございます。四十一年度の予算成立いたしますと、あらためて通知のし直しをする予定でございます。
  20. 安井吉典

    安井委員 この規定によりますと、四十一年度の交付金については、前年のですから、つまり昨年の十一月三十日までに通知がなさるべきであり、その際には算定根拠をもあわせて通知すべきだ、こういうふうな規定になっているようでありますが、どうですか。
  21. 木戸四夫

    木戸説明員 本来はそういうことで通知をすべきでありますけれども予算がまだ成立しておりませんので、その前年度のままをそのまま通知をしておる、こういうことでございます。
  22. 安井吉典

    安井委員 私は、この規定の置き方は、予算がきまったとかきまらないとか、そういうふうなことで左右される規定ではないというふうに思います。これはどう見ましても予算の範囲内とかなんとかいうふうなものになっていないわけで、算定基礎がはっきりきめられ、それにかけられる率も法定されているわけです。そういうふうな法律規定によって、当然的に計算がはじかれて支出がなさるべきで、そのはじかれた額そのままを予算の上に計上する、これが筋道ではないかと私は思うわけです。予算がきまっていないからというふうな形で問題を処理すべきものじゃないわけで、たとえば国の税あるいは地方の税も、予算がきまってから税金をはじくのじゃなしに、法律や条例の措置が行なわれれば、それに基づく当然の計算として数字がはじかれ、それが予算の上に載せられる、これが筋だと私は思うのですが、これも同じものだと思うのであります。どうですか。
  23. 細郷道一

    細郷政府委員 いまお尋ねの第八条の仕組みは、おっしゃるとおりの仕組みになっております。
  24. 安井吉典

    安井委員 自治省のほうではそのとおりだと言われるわけでありますが、御担当農林省のほうがそういうふうなお考え方措置されるのではおかしいわけですね。予算担当大蔵省はどういうことなんですか。
  25. 長岡実

    長岡説明員 この法律の八条の趣旨は、ただいまの自治省税務局長からお答えになりましたように、まさにそのような趣旨だと思います。ただ一般的にいわゆる国税、地方税は、租税法定主義原則によって課税標準税率もはっきり法定されておりますので、それによって予算成立を待たずにその率は算定ができますが、国有林所在市町村交付金につきましては、趣旨は同様の趣旨計算はされますけれども、この課税標準基礎となるべき価格といいますか、この交付金算定する基礎となるべき価格につきましても、また、極端なことを申しますと、その税率にかわるべき一・四という率につきましても、この国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律附則によりますと、国有林については特例が出ておるというようなところから、必ずしもこの八条の趣旨に沿って十一月三十日に唯一無二の結論が出るような仕組みになっておりません。したがいまして、現実問題といたしまして、最近の例といたしましては、一応十一月三十日までに前年度の標準通知をいたしておきまして、予算成立と同時に新しい標準通知するというような措置をとっておるような次第でございます。
  26. 安井吉典

    安井委員 そういうふうな便宜措置制度を非常にゆがめたものにしているのではないかと私は思います。いまのような御答弁で、いままで私どもはずっと半分了解したようなしないような形できている。こういう国会の態度も問題があるのかもしれませんが、やはり法律で、はっきりとした規定がある以上、その措置に従うのが正しいやり方で、この交付金という仕組みは、地方財政に対する単なる援助措置だとか、地方財政が苦しいから補助金を出してやるのだとか、そういうふうな仕組みではないと私は思います。この法律趣旨は、国有資産等には民有財産なら必ずかかるべき固定資産税を賦課するわけにいかない、その代償的な措置として設けられているということではないかと思います。そういうような趣旨からいっても、あくまで税金にかわるものだ、そういうふうな考え方で処理されないと、今日関係の市町村に非常に大きな不満があるわけでありますが、そういうような不満をさらに増大させることになるものだと思います。その点もう少し今後の運用において改善していかなければならないと思うのですが、どうですか。これは大蔵省のお考え方にも、あるいはまた農林省のお考え方にも大事なことだと思いますので、両方に伺います。
  27. 長岡実

    長岡説明員 大蔵省から最初にお答え申し上げます。  御趣旨はよくわかりましたので、私どもも十分にこの法律の八条の趣旨も尊重して運営の改善につとめてまいりたいと思います。ただ現実問題といたしまして、国有林所在市町村交付金につきましては、先生おっしゃるように一種の税金的なものであることは事実でございますけれども、必ずしも民間固定資産に対する固定資産税と全く同一の性格のものとも言い切れない面があるわけでございます。たとえば先生も先ほどおっしゃいましたように、民有林であれば保安林が除かれる、国有林の場合は保安林対象になるといったようなこまかい点もございますし、また国有林という一つ国営企業の立場から考えまして、その一番大宗をなす資産である国有林評価をいつどういうふうにしていくかということにつきましても、一般国有資産所在市町村交付金につきましては国有財産を五年ごと評価がえをするという原則になっておりますけれども国有林については必ずしも五年ごとという評価がえの原則によってはいない。それから先ほど私が申し上げましたように、国有林財政状態等も勘案してある程度弾力的措置が許されるような法律条文もございます。私どもといたしましては、御趣旨はよくわかりますので、でき得る限りこういう原則に沿って運営していくように努力いたしたいと思いますけれども、たとえば四十二年度からこの八条どおりに、十一月三十日までに必ず翌年度の予算に織り込まれるべき評価額通知できるかという御質問であるといたしますと、ちょっと私といたしましては自信がないとお答えせざるを得ない状態でございます。
  28. 木戸四夫

    木戸説明員 農林省といたしましても、できるだけ八条の趣旨に沿うたような運営をいたしていきたいと考えておりますけれども、八条にも書いてありますように「固定資産税課税標準基礎となるべき価格と著しく異なると認める場合においては、」そうする、こういう規定もありますし、こういう場合の運用をどうするかということにつきましては、今後十分検討してまいりたいと考えております。
  29. 安井吉典

    安井委員 その問題は大事な問題ですから、あとでまたさらにお尋ねをすることにいたしまして、この第八条の規定でありますが、自治省の御見解をひとつ伺っておきたいと思うのです。「当該固定資産に類似する固定資産固定資産税を課されるものに係る固定資産税課税標準基礎となるべき価格」というこの字句は、地方税法三百八十八条の固定資産評価基準をさすものではないかと思うのですが、どうですか。
  30. 細郷道一

    細郷政府委員 「基礎となるべき価格」は、年々の課税ベースになる価格ということであります。
  31. 安井吉典

    安井委員 この法律では、一般的な交付金の算出のしかたは帳簿価格であるわけですね。ただ第八条では、その帳簿価格と、いま問題にしておりますこの価格との差が大きい場合には、その変動に応じた措置をとるという規定になっているわけでありますが、その問題の台帳価格比較さるべき価格、この価格は、いまの御答弁ではどうも不確かなんですが、「固定資産税課税標準基礎となるべき価格」ということばは、地方税法三百八十八条の固定資産評価基準をいうのではないかというお尋ねであります。重ねて伺います。
  32. 細郷道一

    細郷政府委員 おっしゃるとおり八条に書いてありますものは、いわゆる課税標準基礎となるべき評価額というわけでございますが、現在、昭和三十九年度の新評価をいたしまして、負担調整措置が進行いたしております。その間は負担調整措置による調整率を乗じた額とするというふうに、法律でその部分の経過的な読みかえをいたしておるのでございます。
  33. 安井吉典

    安井委員 つまり経過措置はあるけれども、現在ある山林評価基準を意味するものだ、こういう理解でよろしいわけですね。
  34. 細郷道一

    細郷政府委員 第八条にありますものを、現在の国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律附則第十五項におきまして、四十年度から四十二年度までの分については、負担調整をされた場合の基礎となる価格であると読みかえが行なわれておるのでございますが、今回、四十年度から四十二年度までの暫定措置改正によりまして、さらに地方税法の今回の改正案附則二十一条によりまして、その附則十五項を改正して、現実的にはそういう読み方をいたしておる、こういうことであります。
  35. 安井吉典

    安井委員 自治省の御見解はそういうことでありますが、農林省のこの価格についての考え方は、昨年の私の質問において資料要求をいたしまして説明書類を出していただいたわけでありますが、それによりますと、いわゆる地利級指数だとか、そういうふうなものを基礎にいたしました価格であって、自治省固定資産評価基準とはだいぶ逢うように思うわけであります。その点を私は伺いたいために、自治省としての法律見解をまず伺って、それから、農林省一体自治省の考えております基準とは違う形で数字をはじき出しているのじゃないかということを伺うわけでありますが、どうですか。
  36. 斎藤清三

    斎藤説明員 事務的なお話でありますので、私からお答えすることにいたします。  国有林野評価は、二十九年に近傍類地の地価を基準として定めたわけでございますが、ただいま安井先生から御質疑がございますように、交付金法八条の規定によりまして、私ども台帳価格がこれと類似する民有林固定資産課税標準価格と苦しく異なります場合には、この台帳価格修正しまして、固定資産課税標準価格さや寄せをする、こういう修正措置がとられるわけでございます。したがいまして、国有林野評価額が違うから交付金が違うではないかということにはつながらない問題であろうと思います。しかし先生お尋ねでございますので、私ども評価額につきまして、三十九年に民有林固定資産との開きがどのくらいあるか実態調査をいたしたわけでございますけれども、その際、私ども調査とそれから市町村の一部にございます御意見を比較をいたしますと、つまるところ標高差による調査相違があるようでございます。町村側の御主張は非常にこまかく標高差をきめてお出しでございますし、私ども標高差は四段階に分けてきめておるわけでございまして、この標高差の違いがいわば両者の主張の違いでございまして、これを地利級——これはもより市場に対します運搬の便宜であるかむずかしいかということを示す指数でありますけれども地利級の問題につきましてその標高差を当てはめてみましても、それほど見るべき相違がないわけでございます。したがいまして、評価の問題につきましても、町村側と私ども林野庁なりとそれほどの違いもないし、また実態上も、法律八条の規定によりまして、交付金算定標準額決定にあたりましては、固定資産課税標準価格さや寄せをする、こういう措置がとられておりますので、実態上もまた規定上も支障がないというふうに考えております。
  37. 安井吉典

    安井委員 固定資産評価基準のきめ方は、基準地を置いてそれで出していくわけでありますが、その基礎自治大臣の示す基準によって行なわれるわけです。ところが農林省でおやりの分はそれとは別な基準でおやりになる。そこに私は一つの問題があると思います。市町村長側の言うところとだいぶ食い違いがあるというふうに言われますが、市町村がかってにやっているのではなしに、これは法律に基づく自治大臣評価基準仕組み基礎にして主張されているのではないかと思うのです。つまり法律による固定資産評価基準と比べて、それと台帳価格とを比べて、その変動に応じた措置をとるという法律規定である以上、その台帳価格と一方対比すべき現在の評価基準、その基準考え方法律とまるきり違ったような形ではじかれるということになりますと、これは私は問題があると思うのですが、自治省はどう見ておりますか。
  38. 細郷道一

    細郷政府委員 国有資産価格につきましては、一般的には御承知国有財産台帳価格、この国有林野につきましても台帳価格を使うわけでありますが、それぞれ、やはり財産管理上の目的からくる価格の表示がなされておるわけでございます。固定資産税のほうの課税標準となるべき価格は、御承知のようなこの税のための課税標準となるべき価格算定をいたすわけでございますので、やはりそこに、本来の趣旨相違があるわけでございます。ただこの国有資産等所在市町村交納付金につきましては、固定資産税にかわるべきものと考えておりますので、その結果出ております価格が、本来ならば一致することが望ましいと私どもは思っておるわけでございますが、いま申し上げましたような価格算定趣旨に、多少本来的なものの違いがございますので、多少の違いはやむを得ないかと思うのでございます。ただそれが著しく違っておるということになりますれば、固定資産税がえということのこの交納付金制度目的が達成せられませんので、その著しく違いますものにつきましては、価格修正を各省各庁の長でやっていただくなり、あるいは市町村のほうで現地的にこの違いをついて価格修正の申し出をするなり、こういったような法律上の道を開いておるわけでございます。
  39. 安井吉典

    安井委員 その法律上の道はいいのですけれども、その算定基礎になる考え方が違うというところに問題があるのではないか、そういう、ふうなことなんでありますが、自治省評価基準農林省の考えている、そして現に実行しております地利級指数なるものによる評価のしかたと、たが出ている。その点について私は集中的にお尋ねをしているわけでありますが、先ほどの税務局長の御答弁によりますと、固定資産一般に通用させられております固定資産評価基準基準として評価が行なわれるべきだという御見解がさっき示されているわけですね。ところが林野庁のほうは林野庁で、地利級指数という、ふうな特殊な考え方をもって評価をされている。そういう基礎がまるっきり違うわけです。その点をどうかということをお尋ねしているわけです。どうですか。
  40. 細郷道一

    細郷政府委員 私ども固定資産税にかわる交納付金という面から見ますれば、価格としては同じであることが望ましいと思います。また、同じ価格が出るような評価仕組みが望ましいことだと思っております。ただ、先ほども申し上げましたように、国有財産には国有財産の管理上の問題としての価格の表示という問題もございますので、おのずとそこに本来のねらいとするところに相違があるわけでございます。そこで、その両方の仕組みの調整を、こういったいま申し上げたような交納付金の中のあるいは八条とか、あるいは九条とかいったようなことに置いておるわけでございまして、本来であれば全部一致することが望ましいことは申し上げるまでもないわけであります。それぞれの成立の沿革もございますので、現段階におきましては、こういった仕組みによって調整をはかっていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  41. 安井吉典

    安井委員 つまり、国有林だけを取り上げてみましたら、これについての交付金については、率は百分の一・四という点は、これは変わりありません。ところが、そのもう一つ算定基礎になりますところの評価基準のほうは、実は二重帳簿になっているわけです。一つは第三条本文によるところの交付金算定標準額で、これはいわゆる台帳価格によってきめられているわけですね。この価格というのが一つある。それからもう一つは、第八条あるいは第九条第二項による交付金算定標準額基礎とすべき価格通知した価格というのが一つあるわけですね。ですから、二通りの考え方で、つまり、帳簿価格と、通知価格といいますか、そういうものと二つあって、現実にはその通知価格のほうで算定が行なわれる、こういうことなわけです。ですから、私は、台帳価格そのものにも問題があると思うので、これはまたあとお尋ねするわけでありますけれども、現実の市町村に交付される価格は、二重帳簿のあとのほうのいわゆる通知価格計算が行なわれるわけです。それだけにその通知価格のほうが、交付金額決定の重大な要素となっていくわけです。その要素である価格のほうが、この条文を読んでみましただけでは、固定資産自治大臣のきめた評価基準によって算定されるべき価格だというふうに私は読み取るわけでありますけれども、どうも税務局長の先ほど来のお話ですと、はじめはそういうふうなおっしゃり方をしておきながら、あとでは、国有林は独自の方式でも差しつかえないのだというふうなことで、どうも御見解がぐらぐらしているような気がするわけです。一体市町村の側は、何を基礎にして、ことしの交付金額はこうなってくるのだということを期待すればよろしいのかということになると思う。先ほどは、予算の情勢によって変わるというふうなお話もありました。どうもそういうふうな政治情勢の動き等によって、肝心の基準額が変わっていくような、そういう仕組みでは、私はおかしいと思うわけです。やはり事務的、機械的に、計算によってすぐあらわれてくる、こういうような仕組みにすることが、この交付金制度を生かす道であるというふうに思います。これはぜひそういうような方向に進めていただかなくてはならないと思うのでありますが、はっきりした見解自治省農林省との間で確定すべきではないか、こう思うのですが、どうですか。
  42. 細郷道一

    細郷政府委員 国有林野交付金につきましては、御指摘のように、いろいろ現在の交付金額そのものについても議論があるわけでございます。私どもも、この交納付金制度の創設以来、年々その改善と本来の趣旨の徹底のために努力をしてまいっておるのでございます。ここ三、四年来は、そういったこともございまして、国有林野交付金が、いままでに比べますれば、かなり実は伸びを示してきておるのでございます。私どももなお今後この問題につきましては、均衡のとれた交納付金制度の実現のために、なお一そうの努力をしてまいりたい、こう考えるわけでございまして、その具体的な方法は、いろいろ御指摘のございました評価のしかたの問題もございましょうし、また、現実問題としては総額の問題もございましょうし、いたしますので、その辺につきましても、なお関係当局とも鋭意折衝してまいりたい、かように考えております。
  43. 安井吉典

    安井委員 農林省はどうですか。
  44. 木戸四夫

    木戸説明員 一般国有財産評価につきましては、固定資産評価につきましては五年ごと評価がえを行なうことになっておりますけれども国有林野特別会計法におきましては、事業財産ということになっておりまして、取得原価をもって記帳する、こういうたてまえになっておるわけでございますので、その点に一つの問題点があるわけでございます。それから、もう一つの問題点といたしましては、先ほど税務局長からもいろいろ御説明がありましたように、これは沿革的にもいろいろありますし、この法律の体系におきましても、国有財産国有林野特別会計の収支の状況答も勘案大した上で交付をする、こういうことになっておるわけでございます。しかしながら、御指摘の評価方法等につきましては、以上のような制約はございますけれども、できるだけ自治省のほうとも相談をした上で今後やっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  45. 安井吉典

    安井委員 ここで直ちに結論が出るものでもありませんので、ただいまの自治省細郷税務局長農林省林野庁木戸林政部長の御答弁で、今後の検討を約束していただいたわけですから、これ以上きょうはこの問題についてお尋ねを進めませんが、いずれにしても、先ほど来私が申し上げておりますように、台帳価格台帳価格としても、現実の計算基礎になります基準がぐらぐらしているというふうなことでは、非常に問題があるわけです。したがって、その基準価格をだれでもが信頼できるようなものにする努力をぜひ進めていただきたいということを、ただいまの御答弁を中心にして私からもお願いをしておきたいと思います。  それからなお、台帳価格もきわめて現実無視の姿になっているわけで、この台帳価格そのものが現実の姿に近ければ問題はないわけでありますが、それがそうでないものですからいまのようなことになってしまうわけです。台帳価格そのものについての評価変更といいますか、そういうふうな手はずは、ごく最近の段階ではどういうふうになるのですか。
  46. 木戸四夫

    木戸説明員 先ほど申し上げましたように、国有林野特別会計法におきましては取得原価方式をとっておりますので、経済事情に著しい変動がある場合にはこれを変えるということで、御承知のように昭和二十九年に林政統一をやりまして、内務省で所管しておりました北海道の国有林野あるいは御料林等を統一いたしまして国有林野といたしたわけでございます。評価基準等についていろいろまちまちでございましたので、その際に評価基準台帳価格を変えたわけでございます。そういうことになっておりますので、経済事情が著しく変動がある場合に変える、こういうたてまえになっておるわけでございます。ただ実際上の仕事といたしましては、林地価格につきましては、本来林地は売るべきものではない、こういうぐあいに考えておりますし、かつ蓄積につきましては、年々の成長量を伐採する、そしてそれに見合うだけの造林をするということになっておりますので、その価格変動が直接林好打別会計の損益計算上にはあまり出てこない、こういうことになっておりますので、経済事情が特に著しい変動があった場合にこれを変更する、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  47. 安井吉典

    安井委員 台帳価格そのものの問題があるわけでありますが、これは企業会計としての固定資産評価の置き方というような問題もからんでくるでしょうし、したがってここでいますぐこうするというふうな御答弁はいただけないと思いますが、ぜひ近い将来に現状に即した形にしていただくべきではないかと思います。特に固定資産のほうの評価が三十九年一月一日付の評価で、山林についても一般的に旧評価から新評価へ一躍四倍に引き上げられている、そういうふうな事態があるわけですから、それがいい悪いは別として、対比さるべき固定資産のほうにそういうふうな変更があるとすれば、それに見合って国有林のほうについてはどうあるべきかという、そういった検討が私はなくてはならないと思います。そういうような意味からも、台帳価格についての再検討をひとつ願っておきたいと思います。たとえば、聞くところによると、アメリカなどの方式は益金の四分の一を地方に交付する、それは国有林所在市町村に対する住民税、固定資産税の双方を加味してそういうふうな措置をとるというふうな例もあると聞きます。アメリカ並みの計算をするなら、この交付金の額は、国有林だけを取り上げても五十億円くらいは要るのではないかという試算もあります。ですから、国有林をかかえているような山村は例外なしに非常に財政が苦しいわけで、これが国有林でなければもっと多くの固定資産税が当然入ってくるわけです。それがないために貧乏をしているという事実があるわけですから、今後の交付金方式を考える場合に、アメリカ式のやり方も一つの参考になるのではないかと思いますが、ぜひ進めていただきたいと思います。さらに国有林の開放運動等も、これはむしろ町村長等が一生懸命になって進めておるような事情も聞くわけでありますが、これなども国有林をその地域に持っていることでかえって村が貧乏しているのだ、だから国有林は民営に開放せよ、こういうような一つの論議にもつながっているような気がいたしますので、特に配慮を願わなければならないことではないかと思うわけであります。  固定試算税が、この間の地方税法改正によりまして、いわゆる漸増方式がとられることになって、毎年毎年課税標準が上がっていくわけであります。一・一倍、一・二倍、一・三倍の三段階に分けてのぼっていくわけでありますが、その考え方の一部が、去年の上交付金額の六億八千万円台から八億三千万円台にのぼった基礎にもなっているような気もするわけです。去年よりもことしは約二二%くらいふえておりますからね。そういうような気もするわけでありますが、そのことからすると、これから御検討を願うこの交付金のあり方の基本について、どういうふうな結論が出るかは別として、今後毎年二二%くらいの幅で最小限度交付金額は上昇すべきである。これは最小限度ですよ。この結論がどう出るかのいかんによるわけでありますけれども、そういうふうな考え方が一応できないわけでもないと思うのでありますが、その点はどうお考えですか。
  48. 木戸四夫

    木戸説明員 同定資産税の改正に伴いまして今後どのような影響が出るかという点と、それから国有林野特別会計の収支の状況等を見まして今後どうすべきかということを慎重に検討していきたい、かように考えておるわけでございます。
  49. 安井吉典

    安井委員 どうもはっきりしたお答えがないのですけれども、そのどうあるべきかという考え方基礎には、私が申し上げたようなこともあるのだと理解いたします。  そこで、第九条によって市町村の側の修正申し出の動きがあるようでありますが、その申し出がありました祭にはどういうふうな形で処理なさるおつもりか、それをひとつ伺っておきたいと思います。
  50. 木戸四夫

    木戸説明員 申し出があった場合には、その申し出について慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  51. 安井吉典

    安井委員 国有林の問題につきましてはなお問題がたくさんあるわけですが、次回に譲りまして、この程度にとどめておきたいと思います。  もう一点きょうこの機会にお尋ねをいたしたいのは、工場誘致等に伴う地方税の減免に関する措置についてであります。これは最近始まったことではありませんけれども、企業を地方自治体内に誘致する運動を裏づけるために、その企業に対して地方税を減免したり、あるいはまた誘致されました企業に対して助成金やその他の便益を提供したり、そういうふうな措置が従来からあったが、いわゆる高度経済成長政策というふうなかけ声につれまして、一そう増大している傾向にあります。新産都、工特等の、あるいはまた低開発工業地域開発等の法律に基づく措置もあるわけでありますけれども、法令の基礎なしに行なっている例も非常に多いわけであります。この間資料を要求いたしまして、お出しを願ったわけでありますが、ちょっとわかりかねる点もありますので、若干の御説明を願いたいと思います。
  52. 細郷道一

    細郷政府委員 先般の御要求によりまして、きょうお配りいたしております資料は、一つは「工場誘致等に伴う地方税の減免等について」という昭和三十年十月十八日の通達でございます。この通達は、それ以前におきまして、工場誘致等の関係から、地方団体が競って誘致のために税の減免をするというような事態に対処いたしまして出したものでございますが、たまたまその当時も、非常に地方財政が御承知のような窮迫のときでもございましたので、一般的に地方税法六条の規定によって、工場誘致等のための減免をすることは適当でないという意味での通達をいたしたものでございます。  それから、それにつけて「工場誘致条例に伴う地方税の減免及び財政負担に関する状況調」というのを、県、市町村に分けて、県別に数字をお示しをしてございます。「地方税の減免」、「奨励金等の交付」、「施設的便宜供与」、こういったようなものにつきまして、府県におきましては十九億、市町村におきましては五十二億、合計七十一億五千二百万円という、三十九年度についての調査でございます。ただ、この調査につきまして、施設的の便宜供与というようなものにつきましては、いろいろ報告者の考え方もあろうと思いますので、一応の傾向をこれでごらんいただけばけっこうかと思っております。
  53. 安井吉典

    安井委員 ただいま調査の結果についての御報告がございましたけれども市町村の数にして、この表によりますと、地方税の減免を行なっておるものが二百三十五、奨励金等の交付を行なっておるものが四百五十七、施設的便宜供与を行なっておるものが百四十四、その他二十七、合計いたしますと八百六、七十程度になるようでありますが、これはほんの一部であって、三千五百の市町村のうち、私どもの印象では、こういう措置をやっていないところのほうが少ないような気がいたします。この調査そのものが十分な基礎に基づかないものではないかというような気がするわけですが、その点どうですか。
  54. 細郷道一

    細郷政府委員 これは実はわが省の企画室におきまして、開発の関係がございまして、三十九年度に照会したものでございます。この市町村数も、したがって必ずしもこの総合計が全部ということではないと思います。市町村によって両方ダブっておるところもあろうと思います。  それから、先ほども申し上げましたように、施設的な便宜供与とか奨励金等の交付といったようなものにつきましては、どこまでの範囲を工場誘致に結びつけて、これを見て報告をしてきているかというような問題がございますので、個々の工場誘致の事態と結びつけて判断するのには、そういった点では、多少全国的な趨勢を見るという程度にとどまっておるということを先ほど申し上げたわけであります。
  55. 安井吉典

    安井委員 私は、この工場誘致等に伴う市町村措置については、ずいぶん多くの問題があるように思います。現に、いまいただきました昭和三十年十月十八日付の、当時の自治庁税務部長からの都道府県知事あて通達によりましても、別記されておりますような一定の要件に留意しての措置ということを通達しているわけでありますが、このことを一々裏返しにして考えてみれば、弊害のほうが非常に多くあるように考えられます。それらの点についてどういうふうに自治省はお考えなのか。つまり現状におきましてどういうふうな問題点をお考えになっておられるのか、それをひとつ伺います。
  56. 細郷道一

    細郷政府委員 この通達に示されておりまする考え方は、工場誘致等のための税の減免については、これを厳格に解していくように、この「記」の第一にございますように、「ひろく住民一般の利益を増進するものである場合に限り、」そうして「財政上支障のない」ものに限る、こういう基本の考え方を示しておるものでございます。この通達自身は、当時の地方財政の状況と、開発と申しますか、工場誘致の異常な、地方団体間における過当ともいわれる競争状態、そういったようなものにつきまして出したものでございまして、工場を誘致することが地域団体として必要な場合には、むしろ税の減免というよりは、歳出の面でいろいろ工場誘致のための施策をとっていくのが適当であるという考え方を示しておるものでございます。現在でもその基本的な考え方に変わりはございません。
  57. 安井吉典

    安井委員 いまの御答弁は正面からおっしゃっているわけですが、それを裏返しすれば、幾つもの弊害が予想される、だからそういう点に留意しなさい、こういうふうな形での通達だと思います。私が見た限りにおいても、幾つかの条例を見ますと、投下資本が二千万円以上の工場に適用するとか、あるいは三千万円以上でなければならないとか、あるいは従業員が五十人以上でなくてはならないとか、そういうふうな制限を付しているようです。もっとも、その市町村内にどんな小さな工場ができても、すべて当てはめて税金を安くするということになりましたら、これはもうたいへんなことになるわけですから、自然にこういうふうな制限を付与する形になっているのだろうと思いますが、そういうことになりますと、いわゆる大企業にだけ適用するというわけです。この税金免除やその他の特例措置を大企業にだけ施すということは、言いかえれば中小企業者やあるいは一般の住民の負担において大企業にだけ税金を安くしたり各種の特権付与を行なう、こういうことになるわけで、これくらい負担不均衡、あるいは応能的な税負担の考え方に対する大きな問題は私はないというふうな気がするわけであります。これによって市町村に対して利益が将来期待されるのだ、こういう説明が行なわれますけれども、それ以上に、当面のそういう負担不均衡論からの問題点というものが大きいと思うわけでありますが、この点はどうお考えですか。
  58. 細郷道一

    細郷政府委員 公益上その地域の住民一般に広く利益があるかどうかという判断の問題でございます。これは個々の地方団体によって、その産業構成なりあるいは立地条件なり、あるいは人口の増減状況なり風土的な問題なり、いろいろな要素がございますので、一がいには申し上げかねると思うのでございます。従来まま見られます例は、比較的その地域に欠けておる産業を招致するといったような場合に、それにつきまして将来長きにわたる利益というものを判断をいたしまして適用されておる、あるいはこの措置がとられておるというのが、私どもの実は多く聞いておる事例でございます。どの程度のものがそれに当たるかどうかということは、やはりその団体において判断をしてもらう以外にないのではないだろうか、こういう、ふうに考えております。
  59. 安井吉典

    安井委員 私の入手しておりますある工場誘致条例に関連して、その市長と誘致された工場との間で契約が結ばれて、契約書が締結されております。その契約書の中にこういう規定もあります。「甲は乙が」、「甲」というのは市長、「乙」は会社のほうです。「甲は乙が操業開始後毎年市に納付する電気ガス税、市民税、法人税割、固定資産税の全額を五ヵ年間奨励金として交付する」。誘致する工場と市長とがこういう契約書を取りかわすというような形で税の減免を措置するというふうな考え方は、私は、これは地方税法第六条の公益減税の趣旨を逸脱するものだと思うのでありますが、どうですか。
  60. 細郷道一

    細郷政府委員 その具体的の事例は私も承知いたしておりませんので、そのままのお答えにもなりかねますが、やはり第六条を発動する場合には条例の手続をとってすべきものと考えます。
  61. 安井吉典

    安井委員 税務局長、ずいぶん遠慮された御発言をされておりますが、第六条の規定をそう乱用されては困るわけです。税金をたくさんとるということで、固定資産税の場合はきわめて勇敢である税務局長ですから、この税金をこういう軽減をするということが公益に反するというふうな場合も、ひとつ勇断をもって当たっていただかなくてはならぬと私は思うのです。いまのような御答弁で、少し弱いけれども、あくまで公益を守るという立場で減税が行なわれることは差しつかえないが、単なる私益追求に奉仕するという形ではだめだ、こういうことに理解してよろしいと思うのですが、どうですか。
  62. 細郷道一

    細郷政府委員 市長と会社と個別の契約できめるのはいけないので、やはり条例の手続をとる、こういう意味で申し上げたわけでございますが、第六条自体の考え方はおっしゃるとおりであります。
  63. 安井吉典

    安井委員 たとえ条例できめられても、これは現実の減免措置は、こういう契約のあとに条例できめたのだろうと思います、条例がなければ減免措置できないわけですから。しかし条例で措置するにしても、あくまで、その事前に、あるいは事後でもいいですけれども税金をまけるということを個人と市長との間で契約をするというふうな考え方自体に私は問題があると思うのです。これは、この契約だけで減税が行なわれたということではないと思います。この前かあとかに必ず条例の措置があると思いますけれども、その条例の措置がたとえあっても、こういう契約の形で減税するというふうな形で処理するのは実におかしいと思うのです。私はそういう意味で伺っているわけです。どうですか。
  64. 細郷道一

    細郷政府委員 やはり税でございますから、議会にかけて、そうして議会の意思を求めてきめるべきものだと私は考えます。
  65. 安井吉典

    安井委員 自治庁通達のうちに「地方財政窮迫の折から当を失するものとして強くその自重を要望されていた」というふうな表現をされているわけでありますが、そう言いながら「当該地方団体の財政上支障のない範囲内において」という限定を置いておられるわけです。つまり住民一般の利益を増進するという一つの条件と、それから財政上支障のない範囲内においては許されてもいい、こういう考え方でありますが、この財政上支障のないという意味は、地方交付税をもらって市町村の財政を運用しているところはもうこの原則に沿わないものになっているのではないか、つまり地方交付税までもらってやっと運営をしている市町村が、こういう誘致条例を設けるということ自体において問題があるのではないか、そう思うのですが、この辺の御理解はどうですか。
  66. 細郷道一

    細郷政府委員 その点は、私どもはそうは考えていません。御承知のような地方交付税制度によっての財源保障をいたしておるものでございますので、財政上の支障云々はやはりその団体によって考えるべきことだと思います。
  67. 安井吉典

    安井委員 法令に特別の定めのない工場誘致条例による地方税減免の場合は、地方交付税はその分だけよけいくれるとかなんとかということはないわけですね。つまり工場誘致条例なるものによって地方税の減免が行なわれた場合には、それによってその市町村の財源が減る、その上に、地方交付税もその分だけよけいくれるというわけではない、つまり二重に財政への影響があるわけであります。そういう事態を頭に置いてこの「財政上支障のない範囲内において」ということばを読んでみますと、これは私は問題があるのではないかと思いなす。交付税ももらわなくてもいいというふうなところでありましたなら、あるいはこれは当てはまるかもしれませんけれども、交付団体でありながら工場誘致条例を置いて、特にその地域に誘致される大企業に対してだけ減免をするというふうなところは財政上支障がないものだというふうに逆に見ていいわけですから、地方公務員の給与改善措置でプラスアルファをしたら、そこの市町村は財政が豊かだからその分だけ特交を差し引くのだ、こういう御措置自治省がされているわけで、それと比較をすればあるいは次元の違う問題かもしれませんけれども、当然取るべき税金をまけて、そのために地方交付税まで減らして何とも思わないというふうな市町村は財政にきわめて余力ありと見て、特交その他で特別な措置をとるぐらいなお考えが出てもいいのではないか、私はそう思うのですが、どうでしょう。
  68. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 減免条例の適用の問題につきましては、先ほど来御議論がございますように、非常に問題がございます。卒直に申しまして、地域開発というのは企業の誘致が一番手っとり早いものでありますから、どうしても企業の誘致ということに頭がいってしまう。そういうことのために過当な便宜を供与したりあるいは税の減免をしたりということにつきましては、先ほど税務局長からもるるお話がございましたように、自治省といたしましては地方団体に厳に慎んでいただきたいという態度を堅持しておるわけでございます。  そこで、ただいまお話しになりました地方財政上支障があるかないかという点につきましては、これは単に交付税の交付団体だから支障があるんだという機械的な解釈をとりますと、不交付団体だけがどんどん企業の誘致をはかっていく、こういうことになりまして、いよいよ地方団体間の格差の拡大ということにも相なろうか。したがいまして、そこのところはやはり、財政上支障を生ずるかどうかということは、単に交付税の交付団体であるかないかということで、いわば機械的に一律にものさしを適用するということではございませんで、その団体の財政事情というものを見てまいるべきじゃないだろうか。交付税の基準財政収入は、御案内のように、入るべき標準税収入の七五%を入れておりますから、残りの二五%の範囲内で税の減免をすれば、形式的には一応そのバランスはとれる、こういうこともございまして、私どもかつて勤務いたしました県におきましては、標準税収の二五%の範囲内でとどめろ、こういう指導をいたした経験も実はあるわけでございます。
  69. 安井吉典

    安井委員 いまの鎌田参事官のお話のうち、不交付団体は別だけれども、交付団体だけを限って誘致条例けしからぬ、こういうことでは不合理が起こるのではないかというお話でありますが、その点はそのとおりだと思います。しかし、私が申し上げているのは一つの例としていま申し上げたわけで、今日の段階で、財政上少しも支障を感じないでこういう形でお金を出せるというところ、は、全国の自治体、都道府県にしても市町村にしても、皆無ではないかと思うのです。いまそういう重大な地方財政の危機にきていると思います。今日はこの通達が出された昭和三十年の段階と違って、非常に深刻な地方財政の危機の事態にあるということを頭に置いて考えていかなくてはならないわけであります。ただ不交付団体という名前がついていても、これは非常に苦しい事態に今日あるわけです。国の公債政策の影響も、四十一年度も深刻ですが、四十二年度以降になったらたいへんな事態になると思います。そういう事態にもかかわらず、財政上支障がないから工場誘致条例を設けているのだという考え方で進んでいくということになりますと、私はこれは問題だと思います。この点について、いまの段階において、これは税務局長通達でも何でもいいけれども、あるいは次官通達のほうがもっといいけれども、工場誘致等に伴う地方税の減免等についてさらに自粛すべきような、そういう通達をお出しになるべきではないか。もっと進んで、あの第六条の規定の中に、工場誘致条例というふうな形で税の不均衡を拡大したり、あるいはまた地方財政の今日の危機の段階を踏まえてそういうふうな形の条例措置は間違いであるということを、できれば立法措置で禁止するというところまでいくべきだと私は思います。しかし、いま地方税法も通ってしまった段階ですから、すぐにそれがいかないにしても、やはり大臣の通達、自治省の通達のような仕組みで全国の都道府県、市町村に対して自粛を要望する、こういうふうな措置がこの際必要ではないかと私は思うのでありますが、どうですか。
  70. 細郷道一

    細郷政府委員 きょうお配りいたしました通達の考え方は、私ども現在も堅持をしておるわけでございます。この問題につきましては単に財政上の事情、これも非常に重要でありますが、それのみならず、やはり工場誘致というものと公益上の利益の判断とのかね合いの問題がございます。確かに一部にはやや乱用されているのではなかろうかという向きもないではないわけであります。いま少しくよく実態を見きわめた上で考えてまいりたいと思います。
  71. 安井吉典

    安井委員 きょう大臣が御出席でないので、木曜日にさらに大臣の御出席をいただいてから詰めた質疑をいたしたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  72. 岡崎英城

    岡崎委員長 華山親義君。
  73. 華山親義

    ○華山委員 時間もだんだん迫っておりますけれども、せっかくおいでになった政府委員の方々に簡単に質問いたしますから、どうぞひとつ簡単にお答え願いたいと思うのであります。  この機会に農林省の方にお伺いいたしたいの、でございますが、最近揮発油税等に関係いたしまして大規模な農道の建設が行なわれております。地方に参りますと、この農道というものは一体どこの財産なんだ、今後だれが管理をするのだ、そういう点がきわめて不明確な状態になっているようでございますが、どういうふうな財政の帰属になるのか、だれが今後その農道を管理していくのか、そういう点につきまして、法律上の根拠があるのか、ないのか等々、も明らかにされながら御説明を願いたいと思います。
  74. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 農林省で実施しております農道は、かなり古くからいろいろな事業の種類をもちましてやってきております。これの根拠としております法律は土地改良法でございまして、土地改良法に基づきまして、事業といたしましては単独農道事業というものがまずございまして、これはいわゆる一般に団体営と称せられておりますが、土地改良区、そういうところが事業の主体になって仕事をしてまいっております。さらに四十年度からは、御承知のように農免農道というのが大幅に出てまいりました。これも土地改良法の規定に基づきまして仕事をしてまいっております。そのほかに、いわゆる圃場整備事業とか構造改善事業、さらには一般のかんがい排水事業、干拓事業、パイロット、その他そういういわゆる一般土地改良事業の中にも農道というものがございますが、お尋ね趣旨は、たぶん一般農道あるいは農免農道、こういったものの問題ではないかと思います。そこで、土地改良法でやっておりますけれども、これは一方では市町村道等のいわゆる道路法の規制を受ける道路に該当するものもございまして、この間の調整が実は問題でございます。さっき申し上げました古くからやっております一般農道と申しますのは、いわゆる耕作道が主体でございまして、昔からやっております耕地整理、こういうものに伴いますところの農道の改修あるいは新設、そういうものは主として耕作道、こういう範疇に入っております。それから四十年度から始まっております農免農道というのにこれよりやや規模が大きゅうございまして、市町村道が非常に多いわけです。  そこで、その管理等はどうなるかということでございますが、実は四十年度から始めておりまして、まだ完成の域に達しておるものがほとんどないわけでございますけれども、これは大体地方公共団体が管理することができるという見込みのものだけを採択して仕事を進めておりますので、この農免農道が完成いたしましたならば地方公共団体がこれを管理する、こういう仕組みになるわけです。  そういうわけでございまして、道路につきましては、あるいは一般の方々にたいへんおわかりにくい点もあろうかと思いますけれども、農業のほうでは、盛んに機械化のほうがどんどん進みますと、道路の改修が非常に必要になってくる。特に農村におきますそういう道路の改修や新設が非常に必要であり、またそういう要望も非常に多いわけでございますから、そういう農業の立場から道路事業をぜひ進めなければならぬ、そういうことから、そういう仕組みで仕事を進めておりまして、工事が完了いたしましたならば、いま申し上げたようにそれぞれの地方公共団体がこれを管理する、こういう方法をとって進めておるわけでございます。
  75. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、現在工事を施行しておるのは市町村なんでございますか。
  76. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 現在やっております道路は、工事を施行しております事業の主体は県、市町村、土地改良区、この三つの種類がございます。それでも県が県営としてやっておりますものが、一番多い。それから市町村でやっておりますし、土地改良区といういわゆる団体営、これだけの種類がございます。
  77. 華山親義

    ○華山委員 一応いまはとにかく土地というものは広く要るわけでございますから、それは一体だれの土地になっているのが常態でございますか。
  78. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 農道をやっていきます場合には、現在既設の道路を改修する場合と、それから新しくつけかえたり、新設する場合とございますが、改修する場合でも、多くの場合は幅員を広げるということでございます。その場合には、いわゆる一般民有地、そういうものが大部分になってまいります。そこで、それぞれの事業主体は、さっき申し上げました県営事業ならば県、それから市町村あるいは土地改良区、そういうそれぞれの事業主体が用地を買収いたしまして、その農道の工事をやりますために、その土地の所有は一応その事業主体のものになる、こういうことでございます。
  79. 華山親義

    ○華山委員 何かそれを将来は市町村道にするという御方針だそうですが、何かこれには法律的なそういうことのできる根拠があるのですか。
  80. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 特に法律的な根拠と申しますと、事業の施行はいま申し上げますように、土地改良法でやりますし、それからでき上がったものの管理につきましては、地方公共団体が管理する見込みのあるものについてやるということになっておりますから、一方では道路法に基づきます道路管理者、これが地方公共団体の長になりますので、そういう道路法の根拠と、それから土地改良法の根拠、この二つの体系でやれると思います。
  81. 華山親義

    ○華山委員 ただいま農免道路ということをおっしゃいましたが、この道路は非常に大きい道路のようでございまして、もちろん農民はそれを使っていると思いますけれども、私は農民ばかりが使う道路ではないと思う。相当自動車等も入り、一般の人々も使い、また便利な道路になるだろうと思いますので、この維持管理がとにかく農民だけに負担の来ないように、今後とも御指導、御注意を願いたいと思います。なお、私いろいろの点につきまして、いまのお答えではわからない点もあるのでございますけれども、きょうはほかのこともあり出すので、また伺いたいと思います。  その次に伺いますが、このたびの飛行場に対する交付金ということがございますが、飛行場は、一般飛行場といたしましてばかりではございません、アメリカ軍のための飛行場もございまするし、また自衛隊のための飛行場もございます。これにつきましても法律によって交付金が出るようになっておりますが、このための算出方法がとにかく法律によって書かれておりますけれども、アメリカあるいは自衛隊、そういうものについては予算の範囲ということだけが書いてあって、どういう計算の方法か法律に書てない。どういうわけで、この二つにこういう区別があるのでございますか、お伺いいたしたい。
  82. 細郷道一

    細郷政府委員 私どもば基地交付金も、またこの国有資産等所在市町村交付金も、ともに固定資産税にかわる制度であると考えております。ただ現実の姿といたしましては、固定資産税に次いで、それにかわるものとして一方に交納付金制度があり、さらに基地関係のものとしてこの基地交付金制度がある、こういうことでございます。したがいまして、制度としての確実の度合いから申しますと、固定資産税に次いで交納付金、そして基地交付金、こういうような順序で申し上げることができると思います。その場合に基地交付金につきましては、そういった意味合いから、現在なお残念ながら予算の範囲内ということになっておりますので、現実にこの配分にあたりましては、飛行場でありますれば、その土地の価格に案分をして配分をするというふうなやり方をとって配分をいたしておるものでございます。
  83. 華山親義

    ○華山委員 私の聞いているのは、なぜこういうふうに区別するかということです。片一方のほうはちゃんと法律で算出のことを書いてあって、基地のほうはただ予算の範囲内でと、こういうふうに言うだけで、片一方は法律できちんときめて、片一方はぼんやりときめて、つかみ金である、どういうわけでこういうことになるのか、まずお聞きしたいと思います。
  84. 細郷道一

    細郷政府委員 これは全く沿革的な理由でございます。基地交付金制度ができますときに、自衛隊あるいは米軍の飛行場、演習場等の地元に与えます影響、そういうものを勘案して基地交付金制度をつくったわけでございます。そういった設定当時の沿革によっていまなおそれが残っておる、こういう形でございます。先ほど申し上げますように、固定資産税の代替のものとして将来だんだんこれを純化してまいりたい、こういうふうに考えております。
  85. 華山親義

    ○華山委員 そういたし出すと、沿革だからいつまでもそうでなくちゃならないということはないでしょう。初めから法律にするものなら法律にすべきものであって、沿革だから尊重しなければならぬということはないのではないか。これは将来同じように法律できめるという方向をたどられますか、沿革だからやむを得ない、片方はつかみ金で、片方は法律だ、こういう御方針ですか。
  86. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げましたように、現在違っておりますのは沿革的な理由でございます。将来だんだん純化していくべきものであると考えております。純粋なものにしていきたい、こういう考え方でございます。
  87. 華山親義

    ○華山委員 そうするとこれは不純粋なものなんですね。なぜこういうふうなものについて自衛隊とアメリカさんに遠慮して不純粋なものをきめたのですか。額の多い少ないは別ものといたしまして、片方は法律できちんときめておって——自衛隊のものについては飛行場とちゃんと書いてある、しかも片方のほうは不純粋なものをつくっておるというのはおかしいじゃないですか。なぜそういう不純粋なものでなければいけないのですか。それは自治省が聞かれたらお困りになるのかもしれませんけれども、おれに聞かないでくれというのならほかの方に聞きますから……。
  88. 細郷道一

    細郷政府委員 どうも純化、不純化の問題でたいへん恐縮でございますが、やはり昔からの軍用地に対する沿革的なものが多く働いているのが事実でございます。と申しますことは、本来、御承知でございましょうが、固定資産税に限らずに租税は相互に、国と地方団体の間では課税をしないのが原則でございます。その原則でまいりますれば、固定資産税におきまして国の持っております財産課税をするということは、租税の従来からの原則によって排除されるわけであります。しかしながらその中でいろいろ地元との受益の関係もございますので、その度合いによって固定資産税と申しますか、本来の租税の原則の例外ではあるけれども、それについてやはり地元に国なり地方団体から交付金というものを出すというのが交納付金制度なりあるいは基地交付金制度である、しかしその場合におきましても、国の財産といっても、いろいろその用途によってその使用の形態が違うわけでございます。純粋な公用財産であるものもございますれば、あるいはこれを貸し付けておりますものもあるわけでございます。現在交納付金制度の中におきましては国の貸し付けをしておる資産、それに三公社のような企業財産といったようなものを加えて交納付金制度をつくって、純粋の公用の財産でありますけれども、飛行場あるいは演習場のように地元との受益の問題もある問題につきましては基地交付金、こういうような制度になっておるのでございます。そのとおりの沿革をたどって現在にきておるわけであります。
  89. 華山親義

    ○華山委員 私はよくわからないのですけれども、そういうふうなものはきちんとしなければいけないと思うのですね。ただつかみ金でやっておく、それだったらやらないほうがいい、私はそういうことはいけないと思うのであって、これは全く純粋に同じような形にすべきだと思いますが、現在におきまして、そういうアメリカの基地及び日本の基地、そういうところにおけるところの予算算定基礎を教えていただきたい。
  90. 細郷道一

    細郷政府委員 基地交付金算定は、それぞれの施設の飛行場でございますれば土地、演習場でありますれば土地、家屋、工作物、そういったものの台帳価格基礎として額をきめて配分をいたしておるものであります。
  91. 華山親義

    ○華山委員 それではわからないですよ。私知りませんけれども、ことし幾らか若干の金があるわけでしょう。それは一体どういうふうな基礎計算されたかということを聞いておる。
  92. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げましたように法律できめられております。国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律、これによってきめられております。対象施設の台帳価格でございますが、それの価格の〇・九%にあたるものが今回基地交付金の額としてきめられておるものでございます。
  93. 華山親義

    ○華山委員 それが当地のものでございますね。そうすると、今度の飛行場に関するものとの間には違いが出てきますか、どうですか、同じでございますか。
  94. 細郷道一

    細郷政府委員 今回の交納付金に含まれております空港につきましては、民間空港でございますので、一つは空港整備法によってきめられております第一種、第二種、第三種の民間空港、それが対象になるわけでございます。施設の範囲につきましては、土地、建物、工作物というものが今回の交納付金対象になるわけでございます。空港について申しますれば、基地交付金のほうは、先ほど申し上げましたように、現在土地だけが対象になっておりますので、今回の民間空港に対する交納付金のほうが、対象範囲は固定資産税の範囲と同じものになってまいったわけでございます。
  95. 華山親義

    ○華山委員 金額について、全く同じ条件のものがあったとしますと、基地におけるところのものと、このたびの民間空港におけるものとは同じような交付金の額になりますかどうか、伺います。
  96. 細郷道一

    細郷政府委員 民間空港におきます交納付金につきましては、そこの土地、建物、工作物のうち、行政機関の使用しております部分と、公共的色彩の強いものを除きまして、その残りの価格に対しまして固定資産税相当額の一・四%の半分の額で算定をいたしまして、それぞれの所在の市町村に交付することになるわけでございます。基地交付金のほうは、従来から米軍との協定によって使用されております飛行場、また自衛隊が使用しております飛行場、こういうものについて、先ほど申し上げましたような土地の価格に案分して配分をいたすわけでございます。そこで現実の問題といたしましては、民間空港でありながら、自衛隊が使用しておるというような飛行場もあるわけでございます。そういうものにつきましては、今回の制度ができますれば、まず交納付金によってその交付金の額を算定してまいる、かように考えております。
  97. 華山親義

    ○華山委員 私、お聞きすることが、丁寧にお聞きいたしますけれども、いまここにある一定面積の土地が民間飛行場として使用されている。そのことによって、このたびの法律によって若干の金が参るわけでございますね。ところが、一面におきまして基地があり、アメリカの基地あるいは自衛隊の飛行場がある。その際に、アメリカの基地につきまして同じような面積、同じ条件の面積があった場合に、地方団体に交付する金、それから自衛隊で使っておる同じような条件の同じような面積に対して交付される金、その間にどういうふうな違いがあるか、そういうことをお伺いしているのです。おわかりにならなければもう一度申し上げてもよろしいのですが……。
  98. 細郷道一

    細郷政府委員 今回の交納付金制度では、飛行場の土地、建物、工作物——一定のものは除外いたしますが、それに対して〇・七%相当分のものが交付されるわけであります。基地交付金のほうは、飛行場についていいますれば、土地についてだけその価格に応じてこれは全国的に案分されるわけであります。全国の総額がきめられておりますので、全国的に案分をされるわけでありますすが、その場合に、八割額につきましては、それぞれの飛行場でいいますれば、土地の価格に案分をする、残りの二割額につきましては、そこの被害の状況あるいは騒音の状況といったようなことを加味いたししまして配分をする、こういうふうにいたしておるのでございます。そこで、今回この制度ができたことによりまして、民間空港でかつ自衛隊が使用している、共用していると申しますか、そういう飛行場もあるわけでございます。そのものにつきましては、今回の制度ができますことによって、まずこの交納付金によって交付金額算定いたします。基地交付金との間に、従来どおりでありますれば、そこにダブリが生ずるわけでございますので、その間はその実態に応じて調整をいたしたい、かように考えております。
  99. 華山親義

    ○華山委員 調整をする以上は、そこに土地——飛行場の土地というものに対して、やはり一定の基準があって基地の交付金だって出るわけでしょう。それをお聞きしているのです。一体、ある一定の面積、そういうものにつきまして、飛行場というものが幾らの面積があり、その地価というものは幾らなんだからこれだけの交付金ということが、アメリカにつきましても基地についてもあるわけでございますね。それと今度のやっとは、私ばその土地だけについて聞いているのですけれども、一体違いがあるのかどうかということを聞いているのです。ただ予算というものがこれだけあるのだから、その分け方だけを聞いておるわけじゃない。どうなんですか、その点は。受けるほうは同じですよ。アメリカさんだから安くったってしかたがない、アメリカさんだからひとつ高くとってやれとか、そういうふうなものの考え方市町村にはないでしょう。また基地だって同じでしょう。飛行場のほうは、もうかる会社のほうは営利団体だからたくさんもらうとか、片方のほうは国防だから少なくもらってもしかたがない、こういうようなものの観念は市町村にはないと私は思うのです。また立法の趣旨もそうなんですね。そうだとするならば、土地というものについて同じものの考え方というものが基準にならなければいけない、それで私は、先ほどから聞きますとおり、どういうふうに金額の面において違っているのか、あるいは大体計算してみると同じになるのか、そういう点をお聞きしたいと思っておるわけなんです。
  100. 細郷道一

    細郷政府委員 対象は、民間空港、いわゆる今度の交納付金のほうは土地、家屋、工作物でございます。基地交付金のほうは従来から土地だけでございます。したがって土地は両者共通なわけでございます。その価格はいずれも同じ国有財産としての台帳価格を使うわけであります。工作物、家屋でございますから、たとえば飛行場でいえば滑走路のコンクリートで固めてある道路、これは工作物でございます。また格納庫のようなものがございますれば、これは家屋になるということでございますので、両方を計算いたします場合の基礎になりまするのは、今回の交納付金のほうが対象として幅広くなる。民間の空港の場合には、それぞれ国なり地方団体が管理しております空港の用に供する固定資産ということで、その用に供しております固定資産の土地、家屋、工作物についての価格計算いたしまして、これに一・四%の半分、〇・七%をかける、これがその団体に交付される、こういうことになるわけであります。
  101. 華山親義

    ○華山委員 時間もたいへん長くなって困るのですが、私のお聞きするところとポイントが合いませんから、もう一度お聞きしたい。  それだったならば、いまおっしゃったように、とにかく今度の場合は土地の評価額の半分に対しまして税額をかけたものですね。基地の場合はどうなるのですか。
  102. 細郷道一

    細郷政府委員 民間空港の場合は、その管理に属しております土地の面積に応ずる価格と、それから家屋と工作物を加えたものの〇・七%、こういうことでございます。基地交付金のほうは土地だけについていくわけでございます。基地交付金の総額は全体の〇・九%相当分でございますが、そのうちの八割分、〇・七二%になりますが、八割分がその土地の価格に応じていく、こういうことでございます。
  103. 華山親義

    ○華山委員 私、おっしゃることがよくわかりませんけれども、現実には市町村としてどっちのほうが得なんですか。
  104. 細郷道一

    細郷政府委員 飛行場の状態でいろいろ違います。実態で違いますが……。
  105. 華山親義

    ○華山委員 同じ状態の飛行場で……。
  106. 細郷道一

    細郷政府委員 同じ状態でございますれば、交納付金のほうが得であろうと思います。と申しますことは、交納付金の場合は資産対象範囲が家屋、工作物と広いわけでございます。片一方は土地だけ、片一方は土地、家屋、工作物でございますので、対象資産の範囲が広いだけ一般的には有利であろうと思います。
  107. 華山親義

    ○華山委員 土地だけだったらどうなんです。
  108. 細郷道一

    細郷政府委員 今回の交納付金制度では、土地以外に家屋、工作物——飛行場でございますから、必ず滑走路とか誘導路とかあるわけでございますが、その部分はすべて工作物でございます。したがいまして必ず土地以外に工作物あるいは若干の家屋というものが含まれてまいりますので、対象が広いだけに、そこに交付される交付金の額は、従来の基地交付金よりも一般的に多くなるというふうに考えております。
  109. 華山親義

    ○華山委員 そういうふうなものを含めないで、純粋に土地だけというものを考えた場合にはどうなるか。どっちが得なんだ。
  110. 細郷道一

    細郷政府委員 おことばを返すようですが、土地だけでは飛行場になりませんので、どうしても滑走路といったような工作物が含まれるわけでございますので、土地だけということであれば、純粋には全く同じだといえるわけでございます。価格が同じでございますから同じですが、現実には土地だけの飛行場ということは考えられませんので、必ず対象資産が広いだけに交納付金のほうが一般的には有利である、こういうふうに考えていいようでございます。
  111. 華山親義

    ○華山委員 まことに架空なことをお尋ねいたしますが、ここに同じ条件の民間飛行場があった、その隣の村に全く同じような基地飛行場があった、こういたしますね。そうした場合には、こちらのほうの村とこちらのほうの村と、どっちがたくさん金が入るのですか。
  112. 細郷道一

    細郷政府委員 それは、両方の対象資産価格の大きさによって……。
  113. 華山親義

    ○華山委員 いや、私が言うのは、同じと仮定してですよ。全く同じだと仮定した場合にはどっちが金が入るか。
  114. 細郷道一

    細郷政府委員 資産価値が同じであれば、先ほど申し上げましたように基地交付金算定方法で二割の特別な配慮がなければ、ほぼ同じであります。
  115. 華山親義

    ○華山委員 どういうわけでそういう違いが出るのですか。
  116. 細郷道一

    細郷政府委員 基本的には、対象資産の範囲が違うということで両者の間に違いがあるわけであります。
  117. 華山親義

    ○華山委員 なぜ対象資産に違いが出てくるのですか。
  118. 細郷道一

    細郷政府委員 これは、先ほど最初に御指摘のございましたように、交納付金制度と基地交付金制度との違いでございまして、固定資産税のかわりではございまするけれども、現在の交納付金制度におきましては、そこの用に供する固定資産全体——土地、家屋、工作物、すなわち償却資産になるわけでございますが、全体について対象としておるのでございまして、飛行場についていえば、基地交付金は土地だけであるというところに基本的な違いがあると思います。
  119. 華山親義

    ○華山委員 なぜそういう基本的な違いが在存する理由があるのかということをお聞きしておる。
  120. 細郷道一

    細郷政府委員 これはやはり先ほど申し上げましたように両制度の立て方の違いでございまして、固定資産税は相互に国有資産には課税をしないという基本があるわけでございますが、その例外の、課税をしないもののうちで貸し付けをしたりあるいは企業用に充てられておる資産については、地元の受益を考えて交納付金制度によって交付金を交付する。基地交付金のほうは、国有資産であっても、貸し付けているわけではない、公用に供しておる、自衛隊なら自衛隊かみずからその飛行場を使っておる、いわばわれわれの役所の建物のようなものであるわけですが、そういうものについてでございますので、交納付金の場合のように、貸し付けておったりあるいは企業財産のような収益を生むものではございませんので、両制度に差が設けられておるのでございます。
  121. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、簡単に言ってしまえば、アメリカや自衛隊はもうけ仕事をやっているのじゃないから安いのだ、それから片方のほうの飛行場は局間飛行機が使ってもうけているのだから高くていいのだ、こういうことになるのですね。
  122. 細郷道一

    細郷政府委員 今回民間空港を交納付金制度に取り入れましたのは、それが広大な面積を地元市町村のうちから占有し、かつ、それによります行政施設の上でいろいろ迷惑をかけておる、かたがた空港につきましては使用料をとっておるといったようなことも加味いたしまして、交納付金制度対象に加えたものでございます。
  123. 華山親義

    ○華山委員 私ここで幾ら追及いたしましても、私のお聞きしようとすることと局長のお答えすることとマッチいたしません。この次にもう一度やりますが、この次までに、その基地及びアメリカの基地に対して予算が幾らある、その予算というものはどういう組み立てでできているのか、単価から全部ひとつ資料を出していただきたいと思います。そういうことで質問を保留します。
  124. 岡崎英城

    岡崎委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十五分散会