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1966-03-10 第51回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十日(木曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 岡崎 英城君    理事 奥野 誠亮君 理事 渡海元三郎君    理事 和爾俊二郎君 理事 秋山 徳雄君    理事 細谷 治嘉君       島村 一郎君    中馬 辰猪君       登坂重次郎君    藤田 義光君       森下 元晴君    山崎  巖君       重盛 寿治君    島上善五郎君       安井 吉典君    門司  亮君  出席政府委員         警察庁長官   新井  裕君         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     浜中 英二君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      今竹 義一君         警  視  監         (警察庁交通局         長)      内海  倫君         自治政務次官  大西 正男君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (選挙局長)  長野 士郎君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁交通局         交通調査官)  綾田 文義君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 岡崎英城

    岡崎委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  前会に引き続き、永山国務大臣所管行政の説明に対し質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 この前大臣所信表明に対して、国家公安委員長としての所信に対する質問が時間の関係でできておりませんので、きょうその点につきまして御質問申し上げたいと思います。  所信表明の順を追うて御質問申し上げるわけでございますが、まず道路交通関係でございますが、「運転者対策の一環として、三ヵ年計画により警察庁運転者管理センターを設立し、」と書いてあるのです。この三ヵ年計画による運転者管理センター構想を聞かしていただきたい。
  4. 新井裕

    新井政府委員 運転者管理センターと申しますのは俗称でございまして、うちに飽海管理課という課がございまして、そこにつくるわけでありますが、電子計算機を三ヵ年計画で導入いたしますと同時に、電子計算機第一線警察とをテレタイプで結ぶということが一ヵ年では実現いたしませんので、三ヵ年計画にいたしておるわけであります。そこに運転者として免許を受けました者すべてを登録いたしまして、そこで違反あるいは法律違反を犯した者を記録いたしまして、たとえば一つの県で運転免許取り消しを受けまして、ほかの県に知らぬ顔をしてまた免許試験を受けるというようなことを防止する。わかりやすく言えば、そういうことでございます。そういうことによりまして、不良運転者を排除していこうということと、それから、これがだんだん整備いたしました暁には、ポイントシステムとわれわれの仲間で言っておりますけれども、持ち点制度をつくりまして、各運転者が自分の持ち点を失えば運転免許が取り消される。そういうことにおいて自動的に警告を発して安全運転を心がけるように促そうというのが、この運転者管理センター構想でございます。要するに、交通取り締まりをしていきます上において、施設あるいは取り締まりということと相まちまして、肝心の運転をする人が適性な人でなければ困りますので、そういう意味運転者管理というような名前をつけたわけでございます。  たいへん簡単でございますが、また御質問があれば詳しく御説明いたします。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 運転者管理センター構想というのは、要するにポイントシステムを採用しよう、それは膨大な件数、事務になるので、電子計算機を大々的に導入してやっていこう、こういうことのようでありますが、ポイントシステムというものについてお考えになっている構想概要をひとつ御説明いただきたいと思います。
  6. 新井裕

    新井政府委員 持ち点を十点にいたしますか二十点にいたしますか、そこまでまだ詰めておりませんけれども、もちろん重大な違反をいたしました者はすぐ取り消しいたしますが、駐車違反をしたとか、あるいは右折違反をしたというようなときに、駐車違反なら一点を引く、あるいはスピード違反であれば二点を引くというふうにいたしまして、その運転者運転免許の三年間の有効期間中にそれを全部使い尽くせば自動的に取り消しをしよう。したがいまして、言ってみますと、道路交通法違反刑法犯に触れるもの、これは大体別でございますけれども、そういうようなルール違反を失点にして排除していこう、こういうことでございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、警察庁が発行しております「警察の窓」というパンフレットがありますので、それの十七、十八にその辺の問題が書いてあるのを読んで、その概要を伺っておるにすぎないのでありますけれども、そのポイントシステムをとった場合に、減点制度がとられるわけでありますから、点がなくなれば免許をとられる。もう一つは、事故者に対してさらに再教育をする、こういうことも構想があるようでありますが、そのポイントシステムをとっていった場合に、再教育という問題と免許を取り消すという問題とは、どういうふうにして仕分けをしていくものなのでありましょう。
  8. 新井裕

    新井政府委員 具体的にはっきりした目標はございませんけれども、いま御指摘のありました運転者教育というのは、現在でも今度の道交法改正機会にやっておりますけれども、たとえば運転免許停止をいたしましても、その講習を受ければ運転免許停止期間を短縮をするというようなことをやっておりますが、そういう構想ポイントシステムとをどういうふうに具体的に組み合わせるか、これはまだ実ははっきり固まったものはございません。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 精神薄弱者運転免許を持っておった。数日前、といいましても三月に入ってから、ある新聞に、大津で起こった問題でありますけれども、「精薄者運転免許証幼女ひき逃げで発覚、道交法改正不備から」こういうことでありました。過去に免許証を持っておった人、それから精薄者であった、あるいはてんかん持ちであった、こういうのはなかなか実際問題として確認できない、そういうことで警察自体が、どうもまさに気違いに刃物だ、こういうような感想を漏らしておるわけなんですね。こういう精薄者の問題、酔っぱらい運転もありますけれども、こういう問題はポイントシステムということで完全に防げますか。
  10. 新井裕

    新井政府委員 ポイントシステムだけではとても防げないと思います。いま御指摘の事案は私も新聞で見ました。前に免許を受けておりました者が、道交法改正機会に、自動的に上級の運転免許になりまして、それで運転をしておったというような、精薄者のようでございますが、われわれは今度予算も若干いただきまして、全国各府県にそういう精神病あるいは精神病質というものを何とか見分ける方法をとりたいというので、やや試験的なことでありますけれども、そういうような施設なり人なりを配置しようといって考えておりますが、完全にいまの医業で、しかも比較的簡単にこれを見分けるというようなことは、現在の状況ではなかなか至難のことでございますが、何とかそういうようなことで医学的な簡単な検査のできる方法を開発しなければならぬ。そうしませんと、いま細谷委員の御指摘のように、われわれ自身としてもたいへん不安な感じがいたしておるわけでございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 大津の問題なんというのは、最近新聞に出た代表的な例と思うのですが、昨年の十月二十六日ですか、午前三時二十分ごろ、例の西宮のLPガス爆発事故がありましたのですが、そのときの運転者というのは、聞いてみますと、その十月二十六日の二十日前に、浜松市で事故を起こしているのですね。そうしてその事故についての書類兵庫県警のほうに送付中に、二十六日の朝事故を起こしたのです。これは事務がてきぱきといっていればあるいは防げたかもしれぬ。もっともこのタンクローリー事故は、運転者の過労という問題もある。とにかく久留米大学あたりの医学部の人が専門的にやりますと、運転者が八時間をこすと、もう運転自体が危険になる、こういう医学的な証明が出ているわけですね。ところが何のことはない、徹夜状態、しかも二十日前にはスピード違反でひっつかまった、交通事故をやったそういう人が、危険なタンクローリー運転しているわけですから、たいへんなことなんです。こういう問題が起こっているわけですけれども、こういう問題については、このポイントシステムで防げると思うのですか。
  12. 新井裕

    新井政府委員 ポイントシステムは、こういうような重大な違反についてではなくて、それはすぐ取り消しなり何なりの行政処分をしなければならないことであります。いま御指摘のように、兵庫県で免許を受けておりますと、静岡県で違反をいたしましても、兵庫県へ移牒いたしまして処理することにいたしております。結局、確かに事務的といえば事務的なのでありますけれども、こういうように目に見えた危険のある者は、たとえば静岡県でとりあえず免許証を取り上げて、しばらく停止させるというような手段を講ずべきではないだろうか。もし講ずるとすると法律改正しなければなりません。これについてはわれわれも至急検討すべき事項だと実は考えておるのですが、残念なことに、たとえば東京免許を持って東京違反を犯しましても、行政処分現実には相当おくれて行なわれております。こういうような問題もございまして、いまのわれわれのほうの行政処分体制そのものがはたして適切なものであるかどうか、これは再検討を要すると、実は率直に言って考えております。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 三カ年計画、私はこれは膨大な経費がかかるかと思うのです。警察庁にいまいわゆる管理センターというものをつくるわけですから、どのくらいの経費がかかるか、これもお尋ねしたいと思っておったのですが、これもきめ手にならない、こういうようないまのおことばのようである。今度の予算等で、精神薄弱者に対する予算等はかなり大幅につけられたようでありますけれども、これだって現在の精神薄弱者状況からいきますと、私は焼け石に水だと思っておる。何か五百人に一人くらいはちょっと怪しいのだといわれておりますし、専門医というのがもう微々たるものでありますから、先ほど長官がおっしゃった、現実問題として、専門的にどうもこれは精神薄弱者の疑いがあるということを医学的に確認するということは、事実上むずかしいのじゃないかと私は思う。そうしますと、そういう精神薄弱という面からいってもはっきりしない。どうもやはり確信がある対策というのは打てない。せっかく電子計算機を入れて管理センターというのを三カ年計画で発足するにしても、これもきめ手がない。現実事故を起こした人が、書類を送っている間に、二十日後には大事故を起こしている。こういうことになりますと、一体今日問題になっておる交通問題というものを、少なくとも今日の段階において、きめ手として、これならばとにかく安心だという方法はどれであるのかということを私は疑うのですね。事務処理というものもそう簡単にはいかぬ、行政処分というものもそう簡単にはいかぬ、精神薄弱の問題もきめ手がない、管理センターをつくっても、ポイントシステムを採用してもきめ手にならぬということになりますと、国民は常に交通問題では不安にさらされている、生命の危険にさらされている、こういうことになるわけであります。もっときめ手になる、一応国民が安心できるような方途というものはありますか。法自体不備だと長官がおっしゃっているのですから、不安でたまらないですよ。その辺をひとつお答え願いたい。
  14. 新井裕

    新井政府委員 三千万あるいは四千万という数の運転免許が出ておるわけでございます。しかし、その人たちが全部危険であるとか、あるいは悪いことをするということではございません。ポイントシステムというのは、そのうち違反を繰り返す者は二割とか三割とかという数字であるということがある程度統計的にはっきりいたしておりますので、この二割なり三割の人に警告を与えて、自粛してもらうものは自粛してもらうし、排除すべきものはそういう形で排除していきたい、こういうことでございます。ところが、これだけでも排除し切れないものが、いま御指摘精神薄弱者みたいなものがおるわけでございます。これはポイントシステムとは別途に、もっと簡単な識別方法を考えて、これが第一線で、とにかく三百万という人が運転免許を毎年受けておるわけでありますから、この人たちに精密な検査をするということでは間に合いませんので、ある程度簡単な識別方法を講じまして、それに伴って精密検査をやらせるというようなことを考えなければ完全ではないと思います。いま申しましたように、交通事故に対する攻め手は、ポイントシステムだけが唯一の攻め手であるとは私ども思っておりません。そのほかの施策と相まってやっていこうということでございます。したがいまして、御指摘のように、どれをとってもきめ手じゃないじゃないかとおっしゃられればそのとおりでございますけれども、しかし、いま申しましたように、大部分運転者というものは、これによって相当安全運転の方向に持っていくことができるというふうに実は考えておるわけであります。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 大部分ということでありまして、ないよりはいいと言えると思うのですが、このおたくのほうで出しておる「警察の窓」というのに、こう書いてあるのです。「昭和三八年に、厚生省で精神病者等実態調査をしたところ、人口一、〇〇〇人について、五・九人の精神病者精神分裂症患者二・三人、てんかん病者一・〇人)がいるということになっている。」、千人に六人おるというのですから、たいへんな数なんですね。そしてその行政処分というのは、これを拝見いたしますと、交通事故が三十九年に二十万件程度あるというのです。法令違反が八十二万件もあるというのですね。これは人命関係する問題でございますから、たいへんなことであります。生き残っておっても、いつかのテレビでありましたけれども、とてももう真人間になれない、大部分が頭をやられ、頭にくるわけですから。そういうことでありますから、これは人命関係する問題でありますから、八〇%はいったけれどもあとの二割はしようがないということは許せないと思うのです。ですから、今日、あらゆる人知の限りを尽くして、一般の交通者が安心して交通できるようにするということが必要であろうと思うのです。いまおっしゃった、私がお尋ねした点からいきますと、もう不安でたまらない、これが解決のめどがないというふうに理解せざるを得ぬわけで、私もたいへん不安におびえる一人でありますけれども、これについては、十分に安心して道を歩けるという体制積極果敢にとっていただきたいということをお願いしておきたいと思うのであります。  こういう問題に関連して、今度は交通安全施設整備事業というものを取り上げて、交通安全施設が整備されておらないのは道路として完成したものでないという観念に立って、こういう整備事業をやるということはたいへんけっこうなことであって、かなり交通事故というものは防げるようになるのではないかと私は思うのであります。この点について、これはいずれ、来週合同審査があるのでありますからお尋ねしたいのでありますが、いままでのものについて、三カ年計画でやるわけであります。今後についてはこの線で、今度やろうとする整備事業について、道路の築造と同時に、間違いなくおやりになる方針かどうか、この点をちょっと簡単にお聞きしておきたい。
  16. 新井裕

    新井政府委員 御指摘のように、私どもは、そういう道路である以上は、交通安全施設有機的部分であるというふうに観念して仕事を進めてもらいたいということを建設省に強く要望いたしておるわけであります。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 次に、私は、銃砲刀剣関係について、あるいは少年不良化問題に関連してお尋ねいたしたいのでありますが、私が非常に心配になりましたのは、あの京都事件です。警察官が腰に下げておった拳銃をとられたわけですね。その拳銃でとにかく人を殺した、こういう事件が起こったのです。そんなに簡単に拳銃というものはとられるものなんですかね。新聞によると、とにかく皮一枚で押えてあるから簡単にとれるのだと言っておりますが、これはいかがですか。
  18. 新井裕

    新井政府委員 簡単にとれるものではございません。ホルスターというものに納っておりまして、さらに環で、ひもで肩と連関をいたしておりますから、簡単にとれるわけではございませんけれども、身につけておりますので、もし命を奪われ、あるいは抵抗を抑止する程度の重傷を負わされれば、簡単に身ぐるみはぐこともできるわけでありますから、そういう意味では簡単にということになるのかどうか知りませんが、簡単にはとれないようにできております。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ、うしろから来て、やあっと刺されて、そうしてもうどうにもならなくなってとられることは、京都事件のように、やむを得ないのですけれども、これは新聞に書いてあるのですがね。「奪われやすい警官の短銃」、事実やはり奪われやすいと書いてありますね。その人間がしっかりしていればいいけれども京都のようにやられればしょうがないわけですけれども、こういう事故が起こって、新聞等には、警察のその後の手配等もいろいろと指摘されているわけであります。けれども、問題は、パトロール中に一人で歩くということにやはり一つ問題点があるのではないかと思うのですが、この辺はいかがですか。
  20. 新井裕

    新井政府委員 私は、日本の国内の治安が、警察官が常に複数でなければあぶないというほど危殆に瀕しているとは思っておりません。したがいまして、やはり警察官個人が十分に訓練をいたしまして、そういう抵抗に十分に対処できるように訓練することも必要でございましょうけれども、たとえば夜間の警らのごときはできるだけ二人にするとか、あるいは非常に危険であればもう少し多くをやらせるというごとはいたします。パトロールそれ自体は、ことに昼間のパトロールというのは原則として一人で十分だと思っております。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題については後ほどもう一ぺんお尋ねしたいと思います。  不良化問題について国民運動を起こしたい、こういうことでありますが、私どもの住んでおるところには産炭地関係が非常に多いわけです。産炭地の児童あるいは少年等不良化問題というのが非常に大きな問題になっておるわけですけれども警察庁としてはどういうふうにこれをとらえて、どういうふうに対策を講じておるのか、これをお尋ねします。
  22. 新井裕

    新井政府委員 お尋ねのことが産炭地だけのことでありますのか、少年非行全般のことでありますのか、両方だと思うのですけれども全般を申しますと、最近は、少年非行の数はやや頭打ちの傾向でございます。いろいろ原因はございましょうけれども、たとえば粗暴犯、暴行、傷害というようなものが減っておりますのは、私どものやっております暴力団一斉取り締まりというものもある程度功を奏したものだと思っておりますが、あるいは少年人口というもののふえ方が若干鈍化しておるということかもしれません。そういう意味ではやや小康は得ておると思いますが、御指摘のように、そうは申しましても成人と比べますと、人口千人に対する犯罪を犯す率というものは非常に高くなっておりまして、決してこれが満足といいますか安心できるという数字ではないと思います。たとえば刑法犯につきまして、成人は千人について九人くらいでありますけれども少年は十一人ということで、それだけ多いわけでありますから、私どもも重要な問題だと思っております。  そして警察はいかにこういうものに対処していくかということを申し上げますと、私どもは、少年問題を全部警察の問題だというふうにもちろん思っておりません。われわれ警察官第一線に常に活躍し、あるいは警らをしておりますので、そういう点から、そういう不良行為というものを外見的に早く発見する、したがって早く処置し、早く補導するということがわれわれに与えられた一番の責任じゃないかと思っております。そういう意味で、早期発見早期補導ということをわれわれの第一の任務と考えております。それからもう一つ、われわれは、少年をこういう悪に導く環境的な犯罪、こういうようなものの取り締まりをするということが、われわれの本来の任務だと思っております。そのほか警察署少年相談所、その他、民間の人を委嘱いたしまして、補導員あるいは学校、職場にこういうものの連絡員を設置いたして、お互いに連絡をして、ともかく早く発見をして、犯罪があれば早くこれを処置をしていくということがわれわれの職分、少年問題に対するわれわれの分野だと思っております。たいへん抽象的でございますが、一応お答えいたします。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 全国的に青少年不良化問題というのは大きな問題になっているわけですけれども、私が特に申し上げておる点は、産炭地の激変、人口陥没教育陥没、こういうことから青少年、特に学童等不良化というのが顕著に出て、それが集団化しつつあるという事実であります。そこで私は、警察力でこういうものをやるというのは下の下だと思っているのです。本質的にはやはり教育陥没が起こっておるのですから、教育の面で十分な補導をしていくことが必要だと思うのでありますけれども、それが十分なされておらない。文部省自体教育陥没が起こっておることを認めておる。そこで、警察としても最善を尽くしていただかなければならぬのでありますが、そういう産炭地等長屋というと、これはもう、ハモニカ長屋といいますけれども、ほんとうにぽろんぽろんとしかおらない、学籍簿もはっきりない、三カ月どこかの炭鉱にいっていると、あとはまたBの炭鉱、Cの炭鉱と渡り歩いている、こういうのが多いわけですからたいへんです。家庭にも恵まれない、周囲の環境も悪い、こういうことでありますから、よほどの教育と、また反面警察等補導等が適宜適切に行なわれなければ私はこの問題は解決しないのじゃないかと思いますが、これについて警察自体としては、最善を尽くすといたしましても、一体どこに問題点があるのか、どういう点に弱点があるのか、この点についてひとつ長官なり警察当局としての感想を率直にお聞かせいただきたいと思います。
  24. 今竹義一

    ○今竹政府委員 お答え申し上げます。  七大府県全体を通じてみますと、ほかの府県少年非行は著しく減っておるのでございますが、福岡県におきましては、先生御指摘のとおり少年非行がふえておるのでございます。この点について、どういう理由でそうなっておるのかということまで私ども実はまだ詳細にとらえておりませんが、福岡県の本部長とも相談いたしまして、福岡県につきましてはほかの大府県と違う事情があるので、少年警察体制を強化していく、こういうことをお願いいたしております。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 少年警察としての体制を強化する、こういうおことばでありますが、それで足りると思っているのですか。私は、もっと根本的には教育面からの補導ということが非常に必要であろうと思うのです。少年警察の問題ばかりじゃなくて、これについては警察庁として、たとえば文部省等に対してもっと手の届くような、陥没が起こっておるのですから、少なくとも平地になるくらいの対策はしていただかなければいかぬ。警察のほうもやるけれども、それだけではいけない、教育の面からやらなければいけない、こういうような面について、青少年不良化防止対策として、文部省等々とお打ち合わせをする御意思がおありかどうか、お尋ねします。
  26. 今竹義一

    ○今竹政府委員 ただいま申し上げた福岡県の特殊な事情というのは、最近私ども調査の結果わかったことでございまして、先生のお尋ねの件につきましては、私ども中央青少年問題協議会という場がございまして、そこで各庁の担当の局長が奥まり、民間の有識者も交えて、いろいろこの問題について毎月一回ないし二回討議する、その場を通じまして、またその他の場を通じまして、文部省当局にもそういう問題を訴え、善処方を要望  いたしたい、かように考えております。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 非常な問題になっておりますから、ぜひひとつ総合的な判断で、警察にも最善を尽くしていただかなければいかぬけれども、そればかりではとてもいかないのですから、ひとつ、一大国民運動を展開するということでありますから、そういう総合的な対策を講ずるように、警察の立場からもひとつ御推進をいただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  次にお尋ねいたしたい点でありますが、最近公害問題というのがずいぶん大きくなりまして、厚生省が調べたところによりますと、もう東京のその辺は一酸化炭素が自動車の排気で限度にきているというのですね。警察の仕事というのは、警察法の人命を守るということからきているわけですから、人命が危険にさらされておるわけですね。ところが、こういう面における法の不備というのは非常に顕著なんです。公害関係と、しきりにことばは言われておりますけれども法律といいますと、大きく分けて、ばい煙に関する規制の法律、公共用水域の水質に関する規制、それから工場から出される工場排水の規制、この程度です。そして、この三つの法律しかないわけでありますけれども、その中で、ばい煙に関する規制については罰則規定もございます。公共用水域の水質の保全に関する法律には罰則規定がないのです。工場排水についても若干の罰則規定がございます。こういう現在の法律のもとにあって、警察当局として、これを取り上げた今日までの件数等はどうなっているのか、これをまずお聞きしたいと思います。
  28. 今竹義一

    ○今竹政府委員 公害の問題について、いま警察でもっぱら行なっておりますのは、一般の日常生活から生ずる騒音あるいは自動車の交通から生ずる騒音、そういう問題でございまして、軽犯罪違反、あるいは騒音に関する地方条例違反というものはございますが、御指摘のございました工場のばい煙等につきましては、法律の立て方そのものが、その措置を知事の命令等にかかわらしめておりまして、その命令等に違反した場合に罰則がある、こういう立て方になっておるものですから、第一次的には都道府県部局の行政指導、こういう形で進んでおりまして、私が警視庁について聞いておるところでも、警視庁でそういう法律違反として検挙した件数はない、こういうことでございます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 検挙した件数はない。あなた方、公安条例というのがあるでしょう。公安条例というのは非常に熱心に守っておる。そうでしょう。私は、こういう公害問題というのを何でもかんでも警察力にたよらなければできないんだという主張でもありませんし、こういうことを言うのは少し私も面はゆい気がするのです。しかし、今日の公害問題というのを見ておりますと、そんなことを言っちゃおられないという限界にきておると思うのです。私は、公安条例に対する警察庁なり警視庁の百分の一でもこの問題に努力したら、こんなところまでこなかったのじゃないかと思うのです。努力不足じゃないのですか、いままで一件もこの問題について問題になっておらぬということは。それはどうですか。
  30. 今竹義一

    ○今竹政府委員 いまさっき申しましたように、たとえば届け出書に虚偽の事項を記載した場合に罰がある、あるいは届け出を怠った、あるいは条例に基づいて発する命令に違反したという場合に罰せられる、こういう形になっておるのでございますので、どうしても都道府県の担当者から告発がないと警察としては措置できない、こういう形になっておるのでございます。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 形はそのとおりです。そのとおりでありますけれども、私はこの問題についてもっと熱意を持っていただけば、この公害問題というのもかなり善処されるのではないかと思う。いま自動車排気の問題については、アメリカのほうでも、もう排気についての装置をしていないものはこれから輸入しないんだ、自動車業界もたいへんな問題になっているのです。そういうことからいきまして、私は警察当局もこの問題についてやっぱりもっと熱意を持って、告発がないから何もしないのだというような、こういうような形じゃなくて、もりと積極的に公害防止という面について、法律もあるし、条例もあるのですから、罰則規定も不備でありますけれどもあるのですから、やはり取り組むという姿勢が必要ではないかと思うのですが、これはひとつ長官にお尋ねしたい。
  32. 新井裕

    新井政府委員 御指摘のように、産業公害というのは大都市の生活にたいへん大きな問題になっております。したがいまして、いま保安局長からお答えいたしましたように、いまの法律のたてまえからわれわれが第一線に出て処理することが著しく制限されておりますが、たとえば警察に対してそういう苦情の件数というものも相当の数にのぼっておることも事実でございます。一番問題は、基準というものがはっきりしていないというところにあると思います。われわれ技術的に必ずしも十分な知識を持っておらない者でも、こういうものであれば法律違反するのだという基準さえ法律なり命令ではっきりきまれば、もう少し積極的にできる点もあるように思います。実際、第一線においては騒音につきましては、権限の有無にかかわらず、相当警察に苦情がありまして、処理しておるものもありますけれども、そのほかの問題は、ややわれわれの問題というよりは、産業担当の役所が第一次的に措置をしてもらいたいということは、私ども強く感じております。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 むろん第一線のところが、通産省なり厚生省なり、その他がやらなければならぬことでありますけれども、私は今日の状況というのを非常に憂慮いたしておりますから、この点をあえて取り上げて警察の考え方をただしたわけです。  次にお尋ねしたい点は、三十九年に警察庁の指導によりまして、各都道府県で、かなりの数のところで小暴力防止条例というものが制定されたが、これはその後どうなっているのか。どんな効果があっているのか、どんな問題点が起こっているのか、これについてひとつお尋ねしたいと思います。
  34. 新井裕

    新井政府委員 資料を持ってきておりませんので、正確に数字的にはお答えできませんですが、大体府県のうち半分くらいの数のところに、いろいろな名称でございますが、小暴力防止とか、あるいは迷惑防止とか、あるいはぐれん隊等の防止とかいうような名前で、大体同工異曲のものをやっております。相当取り締まりを現在でもいたしております。また未制定の府県でも、だんだん人が集まるようなところがふえておるところでは、ぜひつくってほしいということで、知事さんなり県会のほうに働きかけておる県もあるように聞いております。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題で、ある新聞に、かってな判断での逮捕、続出する不起訴という形で具体的なことが書かれてあるのを、私は記事を持っておるのですけれども、どうもやはりずいぶん問題が実施の面で起こっておるようですね。検察当局もほとほとまいっている、こういう事例があるようでありますが、いま長官のお話では、効果があがっているので、もっともっとひとつ府県でつくるように協力を願う、こういうことでありますが、そういう事例は御存じですか。
  36. 新井裕

    新井政府委員 御指摘の具体的なことは承知いたしておりませんけれども、それほど弊害が既存の条例にあるというところは、実は私聞いておりません。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 検挙コンクールだというのですね。警察官もその条例の精神というものがわからないで、とにかくコンクールのように、ひっつかまえて、はっきりせぬで不起訴だ、こういうことなんです。この条例にはいろいろ問題点がありますが、弊害も出てまいっておる。全然効果がなかったということを私はここで言いませんけれども、弊害というのがかなり出てきておると思っておる。そういう点で、この問題について各府県がどういう状態になっているのか、この問題について検挙された件数というのはどのくらいになっておるのか、そして、起訴されたものはどういうふうな状況になっているのか、その辺の資料をひとつ後日、条例のあるところについて府県単位くらいでこの委員会にお出しいただきたい、こういうことをお願いしておきます。  最後にお尋ねいたしたい点でありますが、来年度から三カ年計画で外勤警察官一万八千人の増員を行なうということでございます。これはどういう内容でございましょうか。
  38. 新井裕

    新井政府委員 四十一年度六千人、四十二年度六千人、四十三年度六千人、合わせて一万八千人の外勤警察官を増員しようという計画でございます。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 六千人ずつ一万八千人を増員するのでありますが、この機会警察官の勤務制度等につきましても徹底した検討と改善を加えたいというのは、どういう御構想をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
  40. 新井裕

    新井政府委員 戦前のことを御存じかと思うのでありますけれども、戦前の警察官は、週休はもちろんございません上に、公休日というもの、あるいは年次休暇というものもほとんど与えられないような勤務体制でございました。いまは労働基準法が適用されておりますので、一応一週間の勤務時間はきめられ、あるいは週休というものを定められておるのでありますけれども、外勤警察官の実態は、細谷委員も御自分の県でよくごらんになっておわかりと思うのでありますけれども、大部分は二交代制でございます。一当務の拘束時間が実際は長くなっております。もちろん実働二十五時間とか二十六時間というのは人間わざでできるわけではございませんけれども、拘束が二十五、六時間というものがざらでございます。しかも街頭の事故その他が非常にふえておる。特に交通事故がどのいなかでもふえておりまして、外勤警察官はその処理に非常に追われておるわけであります。そこで、少なくとも労働基準法に定められた勤務時間の中で通常の職務執行ができるように、大都市について、あるいは中都市程度についてはやりたい。そこで三交代制ということをそこに書いてあります。勤務体制と申しますのは、いまの二交代制を三交代制にするというのが一番の目標でございます。それに伴いまして、現在の交番と称せられるものなども、もう少し統合をして大きな交番にして、これに機動力を与えて、第一線の急訴その他に十分に応ぜられるようにしたいということで、外勤の増員をお願いしたわけでございます。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 労働基準法を守っておらぬという長官のおことばですが、大体労働基準法というのは労働の最低の基準を示した、これは法の精神ですね。警察庁が出しております「警察の窓」の昨年の十一号に、外勤警察官の勤務状況が出ているのです。私はこれを見てたいへん驚いたのです。これを見ましても、派出所では立番勤務、見張り勤務、在所勤務六時間、警ら勤務六時間、巡回連絡勤務四時間、点検、訓練、教養一時間、計十七時間ということですね。二十四時間のうち十七時間働くというのです。ですから、労働基準法は一週四十八時間というのでありますけれども、おそらく拘束時間というのは、これにも書いてありますけれども、たいへんな時間じゃないか、七十時間を越している、こういうようなことだろうと思うのです。ですから、これは当然労働基準法に基づいて三交代にしなければならぬ、こういうことで、そういう方向で進められておるようでありますが、三カ年計画でそれが実現できますか。
  42. 新井裕

    新井政府委員 いま外勤警察官は約五万おるので、完全にすべての外勤警察官を三交代制にするということであれば二万五千人増員が必要でありまして、事務的にはそういう要求を一応いたしたのでありますけれども、しかし拘束が長くても、よく調べてみますと、僻地その他においては必ずしも実働がそれほどきつくないところもあるようでありますので、いま申しましたように、都市を中心にして三交代制にしよう、こういうことでございます。  それから、労働基準法に違反しておるわけではございませんで、労働基準法に基づいてやっておりますが、非常に超過勤務が多いということ、それから、四十八時間は警察官については例外を認められておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、いまの勤務条件というのは非常に過重であることはまぎれもない事実でありますので、できるだけそういう一般的な水準に近づけるということを努力目標としてやりたいと思います。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 長官のおことばに私はちょっと納得できないのであります。警察官というのは、消防職員と同じように、労働組合とかそういう組織をつくることを禁止されているわけですから、禁止した以上は保障してやらなければならぬと私は思うのですよ。労働基準法というのは労働の最低の基準を示したというなら、そういう団結権、団体交渉権というのを否認しておる警察官消防職員に対しては、きちんとその最低限は少なくとも守ってやるということが必要であろうと思う。それを、法律には例外が認められているからという形でやってきたところに問題があると思うのです。一万八千人では足らぬ、僻地等があるから実情に即するということでありますけれども、僻地のほうだって、これはほんとうはたいへんなんです。そういうことでありますから、この一万八千人増員ということでも、やはり警察官が勤務している、その労働基準法で示されている最低限もまだ満たされぬということでありますから、私はなお問題が残っていると思う。前進しようという心がまえはいいのでありますけれども、やはり最低の基準は、法を取り締まる警察当局でありますから、守るのが当然じゃないかと思うのですが、この点についてあらためてひとつお答えを願いたいと思う。
  44. 新井裕

    新井政府委員 御指摘のようなことが、私自身のこの外勤増員を要求いたしました発想のもとでございます。いま申しましたように、僻地について三交代制にするという必要は私は別にないと思います。そのかわり、その人たちが休んだときに、僻地でないところから補勤をするというような形で補えば、私は、私の考えておる労働基準法の基準は少なくとも守ることが通常の場合であればできる、そういう方向に持っていけると思っております。また、そういう方向に持っていきたいと思っております。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 きょうは一般的な問題についての問題点をお聞きするにとどめまして、もっと具体的な掘り下げた問題はいずれまた機会を見て御質問することにして、私の質問を終わります。
  46. 岡崎英城

  47. 島上善五郎

    ○島上委員 実は私、大臣に、所信表明に関連して所管事項の一端について伺いたいと思っておりましたが、大臣が参議院に出席されて来られないということでありますから、私の大事な質問は保留せざるを得ませんし、政務次官がおいでになっておりますから、次官にその一部を伺いますが、次のなるべく早い機会大臣に伺いたいと思っております。  と申しますのは、例の選挙制度審議会で非常に重要な案件に関して審議が進められておりますので、この扱いに対する政府の考えを実は伺いたいと思っておったわけです。と申しますのは、選挙区制のような重大な、いわばルールを変更するというような問題は、一党の都合のよいような改正は許さるべきものでないと思います。これについて大臣が、たしか参議院だったと思いますが、答申があったら、野党とその取り扱いについてよく相談をしてきめたい、こういう答弁をされておった。私はその答弁の限りでは賛成なんです。答申があったら何でもそれをうのみにして出すといったようなことは軽率でありますから、野党とよく相談をしてやるという扱いをされることはぜひ必要だと思うのです。これは次官で、そういうことについて答弁できるかどうか。もし答弁できたら、こういう重大なルールの変更に関してはよく野党と協議をして取り扱いをきめるというお考えであるかどうかということをお答え願いたい。
  48. 大西正男

    ○大西政府委員 お答えいたします。  いまおっしゃる選挙制度の根本に触れます区制の問題その他につきましては、おっしゃられますように、これは一党一派のためにこの制度をいじるなんということは毛頭考えるべきことではないと思うのでございます。そういう観点に立ってこの制度の問題は考えなければならないと思うのでございます。ただ御承知のように、ただいま第四次の選挙制度審議会におきまして、政党本位の選挙制度に移行する前提といたしまして、御指摘の区制の問題を含めまして、根本的な御審議を願っておる段階でございますので、その結論を得まして、政府としては善処をすべきであるし、したい、このように考えております。
  49. 島上善五郎

    ○島上委員 実は私がこのことを伺いますのは、私自身が選挙制度審議会に出ておって様子を知っておるのですが、九つの案が出まして、これは似通ったものもありますが、全く異質のものもあるんですね。その異質のものを一本にするということはなかなかむずかしいと思うのですが、その案の批判のことはともかくとしまして、大臣は、選挙制度審議会に出た際には、答申を尊重するということを大いに力を入れて言っております。それはそう言わざるを得ないし、それでけっこうだと思うのです。ところが、尊重するということは、うのみにするということではないと思うのです。私どもはいままで政府を非難してきましたけれども、少なくともいままでの第一次審議会、第二次審議会あるいはその前の調査会当時の答申については、極端に言うならば、政府の都合のよい部分だけを尊重して、そうでない部分は取り上げなかったのです。これでも尊重というのですね。今度の場合も、私はおそらく大臣が尊重と言っているのは、そういう意味の尊重だろうと思いますが、いかがでしょうか。政府の都合のいい部分というのは少し言い過ぎかもしれませんけれども、私どもから見ればそういうふうに見られる。ある部分は取り上げて他の部分は取り上げない、こういう取り上げ方をいままではしてきたのです。ですからこれを別のことばで申しますれば、尊重ということは、そっくりそのままうのみにするということではない。いま私が尋ねたことばにもあるように、出たら野党とよく相談をして取り扱いをするという意味は、出たことを一〇〇%うのみにするということではない、そういう意味ではないということだと私ども解釈しますが、どうですか。
  50. 大西正男

    ○大西政府委員 お答えいたします。  尊重するということば意味でございますが、これは読んで字のとおりでございますけれども、まだ将来のことについて、いまその尊重ということが具体的にどうなるかということについてお話を申し上ぐべき段階ではないし、またそういうことを申し上げることはできないのではないかと思います。要するに、審議会というところにおきまして第三者的な立場で公正なものを考えていただくことを期待をいたしておるのでございます。その期待によって生じた結論に対してはこれを尊重していく、こういうふうにお答えをいたしたいと思います。
  51. 島上善五郎

    ○島上委員 私もこれから先のことについて、いま何も言質をとろうなんて考えていませんけれども、少なくともいままで——ここにちゃんとした資料もありますが、いままでの数回にわたる答申については、一〇〇%尊重はしてないのですね。はたして一〇〇%とか七〇%とかいうことばが当てはまるかどうかは別としまして、そっくりそのままは尊重していないのです。第一次審議会の答申のごときは、政治資金規正と高級公務員の立候補制限と連座制の強化、これが柱であったのです。その他のものも付随していましたが、この柱ともいわるべき重要な三点のうち、二つの点は全然取り上げず、連座制の強化をほんの申しわけ的に取り上げたという取り上げ方であった。だから私どもは尊重でないと言って非難した、中心となるべきものを取り上げないのですから。しかし当時政府は、これが尊重だと言い張ったのです。ですからいままでの政府の取り扱い方からしますれば、尊重ということは、要するにそのうちの一部分か、大部分か、半分か、三分の一か、要するにある部分を尊重したことをもって尊重、こういままで言ってきたのですから、私は一般論的に申しますならば、今後の取り扱いもそうだと思うのです。特に区制というようなものは、与野党の興亡にかかわる、民主政治の基本の変更にかかわる大問題ですから、こういうものを、与党の都合のいいものばかり出るとは思いませんけれども、そうなりかねない情勢でもありますので、野党がことごとく反対するようなものを出してくる際には、これは国会でも大問題だし、当然野党と相談をして慎重にその扱いをきめると言われた大臣の答弁、たしかこの前の参議院でしたか、その答弁を私どもは重要視しているわけです。だから、まだ答申も出ないうちからどれをどうして、どれをどうしないといったようなことはもちろん聞きもしませんが、そういう意味であるということですね。私もそう解釈しているわけです。そうですね。要するにそっくりそのままうのみにするというものではない、政党の興亡にかかわるようなものについては、野党とよく相談をして慎重な扱いをすると大臣の答弁された、その気持ちがほんとうですね、こう聞いているわけです。
  52. 大西正男

    ○大西政府委員 先生のいまの御質問のおことばを拝聴しておりますと、これは誤解をしておりましたら私訂正しますが、いまの審議会が審議してくださっております過程において、何か一党一派に偏する結論が出るかもわからない、そこでその結論についてはうのみをしないようにしたい、こういう趣旨のお尋ねだとかりにいたしますならば、私どもはいま審議会で御審議を願っておりますのは、そういう一党一派に偏する結論が出るとは期待をいたしておりませんので、出ました結論について、政府としてはそれを尊重する立場において十分に検討して善処したい、かように考える次第でございます。
  53. 島上善五郎

    ○島上委員 この問題はこれ以上伺ってもしようがないので、この程度にしておきますが、来年の春は統一地方選挙がありますね。それから、これは私の推測ですが、おそらくことしの秋には解散、総選挙があると思われる。それで現に来年の地方選挙を目ざして候補者をきめ、その候補者がいろいろ動きをしておるというところもありますし、解散近しということで、衆議院の選挙運動と見られる動きもあるんですね。私は自治省の選挙局が音頭をとって公明選挙運動、このごろは明るく正しい選挙運動と呼び名を変えているようですが、大いにやっていることに対しては敬意を表しております。しかし、役所が明るく正しい選挙運動をやることも必要ですけれども、政党が姿勢を正すということが非常に大事なことじゃないかと思うのです。候補者を立てて選挙運動するのは政党が主体ですから、なに見つかった者が運が悪いんで、要領よくやればいいんだというような考えを、政党自体や政党が公認する候補者が持っているようでは効果があがらぬと思うのです。私はいまもこの質問の問題に関連して申しましたが、第一次審議会の答申には、高級公務員の立候補制限、政治資金の規正ということに対して、かなり私どもから見れば公正でかつ必要なと思われるような答申をいたしましたが、それは取り上げられませんでした。去年の参議院の選挙ではあるいはこの前の衆議院の選挙では、このことに関する遺憾な事実が起こっておるのです。起こっておるというよりは、だんだんはなはだしくなっている。あなたに聞くのが適当かどうかわかりませんけれども、この点、総理大臣にほんとうは聞きたいところです。これは必要なら名前まであげてもいいのですけれども、いましばらく遠慮しておきますが、去年の参議院で目に余る悪質違反をやったのが二人おった。その二人とも自民党です。小林何がしは離党しました。もう一人の人も離党しました。ところが三カ月ぐらいたったら、そっとまた復党しているのですね。本人が有罪にならなかったことは事実ですけれども、運動員が多数有罪になった、全国的な大々的な悪質の選挙運動をやった、これがそっと党に復党している。私は小林章もそのうち、人のうわさは何とかで、忘れられたころ復党させるのではないかとすら懸念しておりますが、こういうような党の姿勢を正さなければ、幾ら自治省が明るく正しい選挙運動といったって、国民がああそうだといって、打てば響くようには応じてはこないと思うのです。この政党の姿勢を正すということについて、私は解散と来年の地方選挙を頭に描きながら、自民党に大いに考えてもらわなければならぬところがあると思うのですが、政党の姿勢を正すことの必要性について、私の申しましたことに対して次官どういうふうにお考えですか。
  54. 大西正男

    ○大西政府委員 自民党について云々ということにつきましては、私がお答えを申し上げるべき限りではございませんが、ただ選挙というものに対する政党の姿勢を正さなければならないのではないかということは、選挙制度をいかに改正いたしましても、その前提として、政党がその姿勢を正すべきものであることは、これは申し上げるまでもなく当然のことだと思うのでございます。現に選挙制度審議会におきまして、根本的な選挙制度の問題について御審議を願っておりますのも、政党本位の選挙制度に移行するということを取り上げておられるわけでございまして、そうしてその政党本位に移行することによって、同時にいまおっしゃいましたような現行の選挙制度のいろいろの欠点を是正をいたしまして、御心配になっておられるような選挙の腐敗、その他の問題を制度上からも排除していくような方向に持っていきたい、こういうことなんでございます。でございますが、もちろんその前提になるべき政党自身が、これは特定の政党、いかなる政党ということを問わず、当然姿勢を正して、国民の負託にこたえる姿勢をもって、同時に国政に対する、あるいは地方政治に対する姿勢を正していかなければ、これは一党の問題ではなくて、政党政治そのものが国民から信頼を失うようになるかもわからぬのでありまして、もしそうなるならば一つの特定の政党の問題ではないのでございますから、今日、日本の政党が十分心すべき問題だというふうに私も考える次第でございます。
  55. 島上善五郎

    ○島上委員 選挙局長に伺いますが、来年は地方選挙ですから、来年の予算では間に合いませんから、たぶんことしの予算で、明るく正しい選挙運動を推進するという、かつてのいわゆる公明選挙運動の予算も多く取っていることと思いますし、普通の年よりはより積極的な運動の計画があるかと思います。衆議院の解散はこれは不確定ですから、そのときのためというわけにはまいりませんが、統一地方選挙は確定しておりますから、来年の予算予算を取ったのでは間に合わぬから、ことしの予算で、ことしの運動の計画で、いままでよりも積極的な計画がありましたらお伺いいたしたい。
  56. 長野士郎

    ○長野政府委員 選挙の啓発活動につきまして、来年の四月に統一地方選挙がありますので、それを目標にしてどういう計画を考えておるかというお尋ねでございます。現在そういう意味で、本年の後半以降において次第にそういう地方選挙等についての啓発も集中化していくような計画を検討中でございまして、まだ具体化はいたしておりませんが、御趣旨のような方向で、明るく正しい選挙運動を各地方において活発に展開していきたい、こう思っております。
  57. 島上善五郎

    ○島上委員 検討しているうちに実際の悪質選挙運動がどんどん先行していきますから、なるべく早く積極的な企画を立ててやってもらいたいと思います。これは大いに鞭撻、激励の意味ですから……。  それから、これは警察の方にも一つ伺っておきますが、いま私が申しましたように、現に選挙運動と思われる運動がかなり潜行的に、あるいは公然と行なわれております。選挙制度審議会では大体の議論として、これは前回の第二次審議会の答申にもありますけれども、言論や文書による事前運動というものは自由化してもいいのではないか、ただし買収、供応、飲食物の提供やその他寄付、金のかかる運動については峻厳に取り締まるべきものである、こういう答申をしております。いまの制度審議会の考えもそういう考えです。ところが現行法は、言論、文書も、飲食物提供もほとんど同じように規定しておりますが、私どもから見ると、言論や文書活動の弊害のない方面にはいやにやかましくて、買収、供応、観光バスを連ねてどこかへ連れていくというような寄付行為、そういったものに対しては、把握しにくいのかどうか知りませんけれども、野放し、まあ野放しというのは言い過ぎかもしれませんけれども、われわれから見ると、野放しじゃないかと思われるほど自由自在にやっておる。現に観光バスを連ねて温泉へ有権者を招待しているというのが、私の耳に入っただけでも相当あります。候補者もしくは候補者となろうとする者はそういう寄付をしてはならぬということで、百九十九条の二には一定の期限をつけておりませんから、たとえば党で候補者ときめたという者、あるいは現に公職にあって次に立つと客観的に思われる者がそういうことをやれば、これは事前運動だと思いますけれども、もっともそれはいよいよ立候補しなければ事前運動だといって逮捕はできないかもしれませんけれども、しかし捜査は、そういう候補者としてすでに決定した者が観光バスを連ねて方々へ連れていったり、ごちそうしたり、通常社交の範囲をこえる寄付をした場合には、事前運動として捜査はできるはずだと思うのです。そういう運動についていま捜査をしておりますか、する考えですか、伺いたいと思います。
  58. 日原正雄

    ○日原政府委員 警察の選挙取り締まりにつきましては、お話のように買収、供応あるいは公務員の地位の利用というようなものを重点的な取り締まり対象として特に力を入れて捜査するたてまえにいたしております。ただ言論、文書などにつきましても、違反行為がありますと、やはりあれを取り締まれ、これを取り締まれというような声もあるわけでございます。また、私どものほうで認知した場合もあるわけでございます。これを取り締まらないわけにもまいらないわけで、やはり言論、文書の取り締まりも、一応法律のたてまえとして現在あります以上、取り締まらざるを得ないと思います。重点としては、先ほど申しましたような項目を重点にいたしております。  それから事前運動の点でございますが、まだ立候補もはっきりしておらない段階では、一応情報としてはいろいろ各府県で入れておる情報もございましょう。ただ事前運動として違反になるものについては、やはり注目して捜査をしておかなければならないと思いますが、いまのところ、顕著な事件について私どものほうでは聞いておりません。全般といたしまして、選挙取り締まりについてはいろいろ非常に困難な問題もあるわけでございますが、いま言ったような方針で取り締まりをいたしておるわけでございます。
  59. 島上善五郎

    ○島上委員 実際に立候補しなければ事前運動にならぬわけですから、なかなか困難だと思いますけれども、しかし明らかに客観的に立候補すると思われる人、党で公認をきめた人がそういう運動をした場合は、捜査というか情報を集め、あまり目に余るものについては注意や警告を発するという措置は必要だと思います。犯罪はなるべく未然に防止するのが上策ですから、立候補したとたんにつかまえてしまうという前に、あなたが立候補すれば事前運動になるおそれがありますよ、こういうことについてはおやめになったほうがよろしいという注意なり警告なりするという措置は私は常時必要だと思うのです。そういう点、ひとつ目に余る悪質違反については、ぜひそうやってもらいたいと思います。  きょうはこれを希望して、質問をこの程度にしておきます。ただし先ほど申しましたように、大臣に対する質問は、できれば選挙法特別委員会でしますけれども、選挙法特別委員会はなかなか開かないものですから、保留しておいて、近い機会にぜひもう一ぺん大臣に対する質問をいたしたいと思います。
  60. 岡崎英城

    岡崎委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会