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1966-03-08 第51回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月八日(火曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 岡崎 英城君    理事 大石 八治君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 和爾俊二郎君    理事 秋山 徳雄君 理事 華山 親義君    理事 細谷 治嘉君       亀山 孝一君    中馬 辰猪君       登坂重次郎君    藤田 義光君       森下 元晴君    山崎  巖君       井手 以誠君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    島上善五郎君       安井 吉典君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 永山 忠則君  出席政府委員         警察庁長官   新井  裕君         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     浜中 英二君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      今竹 義一君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         自治事務官         (税務局長)  細郷 道一君         消防庁長官   松村 清之君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁交通局         交通企画課長) 片岡  誠君         大蔵事務官         (主計官)   佐藤 吉男君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 三月七日  委員門司亮辞任につき、その補欠として内海  清君が議長指名委員に選任された。 同日  委員内海清辞任につき、その補欠として門司  亮君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月七日  消防団員処遇改善等に関する陳情書  (第  二〇四号)  消防行政確立強化に関する陳情書  (第二〇五号)  地方行財政制度確立に関する陳情書  (第二〇六号)  地方公営企業改善に関する陳情書  (第二〇七号)  農業用固定資産税に関する陳情書外一件  (第二  〇九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 岡崎英城

    岡崎委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  前回に引き続き、永山国務大臣所管行政説明に対し質疑を行ないます。  質疑の通告があります。これを許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 きょうは、大臣のこの間の説明といいますか、あいさつをされました問題について、ごく簡単に基本の問題だけをお伺いしておきたいと思います。  最初にお伺いをいたしますのは、前段になりますことは別にいたしまして、きょうは具体的な問題からお聞きをしたいと思います。それは、大臣はこう述べられております。「地方公共団体規模につきましても、行政広域化に対応し、その合理化をはかる必要があると存じます。そのため、昨年は市町村合併の特例に関する法律を制定いたしましたが、一部の地域には府県合併に関する動きも出てまいっておりますし、地方制度調査会からはこれに関する答申をいただいておりますので、その趣旨にのっとり、府県自主的合併を円滑ならしめるための所要の措置を講ずることが適当と考え、目下その準備をいたしております。」こう書いてあります。ここで私が聞きたいのは、一部の地域府県合併の声がある、そのために法律をこしらえるというものの考え方であります。この一部の地域でそういう声があるというのはどこの地域ですか、それをひとつ明確にしておいていただきたい。
  4. 永山忠則

    永山国務大臣 広島島根との関係におきまして、両県経済懇談会がございまして、やはり将来はぜひ統合をしていくのが好ましいというようなことを懇談会が言っておりますし、愛知、岐阜、三重関係者にも、そういうようなことが望ましいという声が相当ございますし、大阪奈良和歌山方面におきましてもそうした声が出ておるような状態でございます。
  5. 門司亮

    門司委員 いまお話がありました阪奈和あるいは東海、これらの地区の合併の声があることは私も知っております。しかし、この大臣の御意向からまいりますと、一体地方自治体合併に対する基本的なものの考え方——かつて国会は御承知のように町村合併促進をきめました。この場合の発想は、七千も一万もある弱小の、運営財政的にも行政的にも非常に困難な、時代に合わないような規模のものを合併して、そして地方行政を円滑に、かつ協力していこうという発想できめられたのが町村合併趣旨であります。いま、大臣がここにお述べになっているのをそのまま読んでみますと、それから同時にいまの御発言を聞きましたが、広島島根というのは寡聞にして私は聞いておりません。同時に今日は、法律のたてまえとして、地方におきましても共同して仕事ができるという地方開発に関する法律がございます。したがって合併しなくてもある程度の仕事というものは、そういう特別地方公共団体の手によってやれる法律がちゃんとできておるのである。私が地方制度調査会におりましてこの問題を審議いたしました場合におきましても、広島あるいは島根の問題は寡聞にして私聞いておりません。しかもこの法律の目的とするところは、おそらく阪奈和であり東海三県だと私は考える。したがって、町村合併地方自治体発展のためにそういう弱小市町村合併を目途として考えたものであり、今度出されるこの法案はいうならばえり食いである。いいところだけが合併して悪いところだけが残ったら、一体どうなるのです。私は、自治省考え方をもう少しはっきり聞きたいのです。一体日本府県行政をどうするつもりか。こういうことで府県行政が完全にやれますか。しかもこのことについての内容が、いずれ法案が出ればと思いますが、自治省からいただいておりまする、今度の国会に出されると大体予定される法案内容を見てみますると、その中には特別に府県合併に対する政府の明らかな所信はないようであります。同時に、市町村合併の場合は、政府意向がそういうことで法律をこしらえたにもかかわらず地方自治体合併の困難な場合には、府県がこれを勧奨することができるようにちゃんと法律ができておる。今度こしらえられる法律については、国が、たとえばいまお話しの島根広島がくっつくことがよろしいと考えるなら、勧奨するようにお考えですか。東北六県は一つになりなさい、あるいは石川はどこと一つになりなさいというようなことを政府は勧奨する予定ですか。そういうことがなければ、いいところだけが合併をしてしまう。どうして貧乏な悪いところと合併するというようなものがありますか。これは人情です。そうしてこれが現実ですよ。自主合併自主合併というが、いかにも民主主義のように聞こえるが、地方自治体合併はそういう簡単なことに私はいかないと思う。したがって、政府はその辺を一体どうお考えになっておるか、勧奨するつもりなのか、自主合併のままに過ごされるつもりなのか、その辺をひとつはっきり聞かせておいていただきたい。
  6. 永山忠則

    永山国務大臣 自主合併でございまして、勧奨する考え方はございません。地方制度調査会答申にも、自主合併という趣旨答申をされておりますので、尊重をいたしたいと考えるのでございます。私は、今日地方民民主主義に徹して、地域の繁栄に対して非常な熱意を持ってやっておると考えておりますので、上からの勧奨を待たずして、広域経済行政からさらに政治的な教育行政自治行政発展地域民の利益のために自主的に時代とともに進めていくということを深く期待をいたしておるものでございます。
  7. 門司亮

    門司委員 私は、学者はそれでよろしい、そういう理論でいいと思いますよ。しかし、現実政治をするということになると、いいところだけ合併して、取り残された府県に対しては、これは政治は責任を負わなければなりますまい。学者ならいまの大臣答弁でよろしいかと思います。できようとできまいと理想を述べればそれでよろしいのでありますから、それで済むかもしれません。しかし現実政治はそれでは済みません。だから私は聞いているのであって、取り残されたものが必ずできてまいります。いま広島島根お話をされておりまするが、私もいろいろ調査もし、話も聞きましたけれども、これがどういうことにまで進展しているかということも聞きませんし、それから九州一体どうなるのか、四国はどうするのか。私は、いま政府考えることは、格差の非常にはなはだしい今日の地方状態を、どういうふうに格差を縮めていくかということ、そうして住民福祉をどうして伸ばしていくかということである。ゼロが三つ集まってもゼロであります。したがって単に合併だけがよくなるという筋合いではございません。これは市町村とは違います、府県というものは。市町村発想のときは、さっき何度か申し上げましたように、そういう意味で、これも円満に遂行できるためにということで、ある程度の強制力府県に持たしたのである。取り残されないとは大臣保証できないでしょう。この問題は、いずれ問題が出てきたときに、もう少し進めてお話をいたします。  それからその次に、この問題に関連して聞いておきたいと思いますことは、この法律は、憲法九十五条との関係はどうなりますか。その辺をひとつはっきりしておいていただきたい。
  8. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生承知のように、現在地方自治法の第六条で、都道府県合併につきましては法律で定めるという規定がございまして、この法律憲法九十五条にいう「一の地方公共団体のみに適用される特別法」に該当するというのが政府の従来とってまいった解釈でございます。今回地方制度調査会答申によりますと、その現行法による方式のほかに、関係都道府県議会議決を経て、内閣総理大臣国会議決を経て処分をするという方式をあわせて設けることが適当であるという趣旨の御答申をしておられます。したがいまして、現在検討中の法案の中には、この答申に書いてございます手続規定をいたそうかと考えておるわけでございます。この手続によりますと、ちょうど町村合併におきます手続と同様な考え方で、ただそれぞれ一段上の段階処分がなされる、かようなことになりますので、この処分内閣総理大臣処分でございまして、議会議決は経ますけれども、それは法律の形式をとりませんので、憲法九十五条には該当しない、かような解釈をいたしております。
  9. 門司亮

    門司委員 私はさっき申し上げましたように、事務的に、これがかりにいまの政府のようなお考えがあるといたしましても実際には特別の地方にだけこれは適用される法律であると考えても、大体政治的に間違いがないと思う。そのことは、一方においてそういう勧奨する道があいていないとすれば、結局一つ地方に特別の法律を施行する、こういう形にならざるを得ない。たとえば京都、奈良にあります国際観光都市あるいは神戸や横浜の国際港都なんというものも、これは地元の要求でできた法律ですよ。しかしこれはみんな特別の法律として住民投票にしていることは御承知のとおりであります。したがって、町村自主的合併というものがこういう形で——全体の普遍的のそういう要素を備えた府県は、こういう形で政府はいくんだという形で出される法律と、こういう部分的のものを持っていこうという法祖とは、自体のたてまえが違うと私は思う。これを同じようにものを考えていくということに大きな間違いがあると考えるが、しかしこの問題もここでこれ以上は私は議論いたしません。しかし憲法の九十五条との関連性は非常にむずかしいと思う。  そこで私は自治省にもう一つ聞いておきたいのは、昭和三十二年のこの地方制度調査会答申にも府県合併論が書いてあります。このときはなぜ一体やらなかったのです、あなた方は。今度の地方制度調査会答申した幾つかの答申の中で、これ一つ抜き出したというのはどういうわけです。この問題はいま始まった問題じゃない。三十二年の——あなた方のところにもあるでしょう。私のところにも同じものがある。このときも、ややこれは道州制に片寄った形でいろいろ議論はございました。しかし、日本府県行政というものがいまのように格差があったのではかなわん。たとえば東京都の国民所得が大体、全国平均して二〇%。二割以上は東京都に富が集められておる。鹿児島は〇・五%だ、こういう都道府県の大きな格差がある。したがって住民生活にも非常な格差が出てきておる。これはどうしても直さなければならぬ。これを基礎とした地方自治体運営財政的にきわめて困難である。それを何とか是正しなければならないというのが昭和三十二年のやや道州制に近い答申であったことに間違いはない。このときはそういう発想で出てきておる。しかし今度の大臣説明をそのまま読んでみますと、一つ地域一つ地方からそういう声があったからといって任意の合併をさせるということは、私は当を得たことであるかどうかということである。なぜ一体三十二年のときに検討しなかったのですか。このときは自治省は何も考えていない。そして、せっかく三十二年のときはそういう発想——ここに図面もございます、こういう形に分けて。そして、日本の道州制にやや近いというので問題があった。これも憲法趣旨に抵触する、日本現行憲法が現在の地域というものを大体承認して、制度を承認してできた憲法である限りにおいては。自治法にもそう書いてあります。地方公共団体の区域は現在のとおりとするということをちゃんと自治法にも書いておる。これは憲法趣旨を受けた自治法である。そういう場合に、道州制ということは一応考えられはするが、憲法との関連性一体どうかという議論もこのとき私どもはしたはずである。そういうことで、図面までこしらえて、このときはかなり綿密な調査が行なわれたと私は思う。人口の数あるいは富の力、住民負担力あるいは交通関係というようなものが考えられて、図面までこしらえて答申がしてあるはずである。しかしそのときは異論はありましても、自治省はこれをほおかぶりしておって、今度はほんとう——私は地方制度調査会におったからよくわかっておるのだが、地方制度調査会が視察したのも阪奈和でしょう。自治省がこういう一部の地域意見と、何の圧力か私はわからぬが、一部のものの考え方法律をこしらえられるということになりますと、これは明らかに一つ地方公共団体ということで、憲法九十五条に抵触するといわれてもしようがないと思う。これ以上私は議論は進めませんが、大臣に聞いておきたいのは、大臣のこういう問題に対する基本的の方針として、地方制度調査会答申を忠実に実行されるかどうかということである。こういう一部の、問題をかもし出すような問題だけでなくて、地方制度調査会はそのたびごと行政全体に対していろいろな勧告をしておる。ところが地方制度調査会勧告を、あなた方はほとんど聞いたことはないでしょう。法律に直したことはないでしょう。たまたま法律に直そうとすれば、こういう一部の問題を取り上げられる。一体どういうわけなんです。自治省ほんとうに、地方住民の今日の所程格差あるいは地方自治体のそれからくる財政格差運営のやりにくい状態というようなものを心配しているのですか。もし自治大臣ほんとうに全国の都道府県の今日の財政をお考えになり、ここをこうしなければならないというようなお考えがあるならば、阪奈和とかあるいは東海三県というようないいところだけでなくて、むしろ最も悪いところをどうよくするかということが法律のたてまえとしてあらわれてこなければならぬ。これは大臣考え方は逆じゃないですか。したがって、いままでの地方制度調査会勧告に対して、これを取り入れなかった理由一体どこにあるのか。同時に、今度の勧告案のここだけを取り入れたというのはどういう理由があるのか。その点をひとつはっきりしておいてもらいたい。
  10. 佐久間彊

    佐久間政府委員 昭和三十二年の地方制度改革に関する答申につきましては、御指摘のとおりにその後実施をいたしておらないのでございますが、先生も御承知のようにこの答申におきましては、いわゆる道州制案府県統合案とが調査会の内部におきましてほぼ互角の議論でございまして、最後の採決の結果、一方が多数で答申内容になり、他方が少数意見として添付されたのでございます。政府といたしましては多数、少数の差が僅少でございますので、これをもって直ちに世論の動向であると判断することはいかがかと考えまして、自来この点につきましては慎重な態度をとってきた次第でございます。今回の府県合併の問題につきましては、昨年の地方制度調査会答申趣旨を尊重いたして進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  なお、昨年の調査会からは、行政事務の再配分に関する御答申もいただいておりまするが、この御答申は、これまた先生よく御承知のとおりに、時間の関係で、事務の再配分に関連する財源措置につきましては審議の余裕がございませんでしたので、次期調査会に申し送りをするということに相なっております。したがいまして、次期調査会答申を得ました上で全面的に実施をいたしたい、かように考えておるわけでございます。なお、格別の財源措置を必要としないような問題につきましては、まあ実施のできるものにつきましては各省と相談をいたしまして、幾らかでも実施をいたそうということで、現在努力をいたしておるところでございます。
  11. 門司亮

    門司委員 私が聞いているのはそういうことを聞いているのじゃなくて、大臣に聞いているのは、地方制度調査会答申を今日までほとんど実行したことがないのですよ、はっきりいえば。ここだけどうしてこう急速に実行されるのかということです。しかも、これも地方制度調査会全会一致で通ったわけじゃないのでしょう。私が反対したんだから、少なくとも私だけ反対しているのは間違いない。全会一致で通ってはいない。一体どういうわけなんです、こういうことは。いまのような答弁を聞いていますと、だんだんもう少し詰めなければならぬようなことになるのですが、時間もあまりないようで、こればかり議論しているわけにもいきません。私は、少なくとも自治省ほんとうに、先ほど申し上げましたように、地方自治体のことをお考えになるならば、むしろ阪奈和であるとか東海三県であるとかいうようなところは、おのおの自立ができるのです。また、今日、さっき申し上げました特別地方公共団体もできるようにちゃんと法律がこしらえてあるのです。いま問題になっておりまするいろいろ地域関係をどう相談するかということは、特別地方公共団体をそのためにわざわざこしらえたでしょう。そうして、交通の問題やあるいは道路の問題や、そういうものはお互いが協議してやっていこう。この特別地方公共団体は、学校教育子その他についても、いままでの事務組合よりもむしろ発展した一つの大きな力を持って、しかもその中には起債もすることができるという権限が与えてあるでしょう。財政的の措置もすることができるという権限をちゃんと与えてあるはずだ。そうして、その構成員はおのおのの自治体から、しかも議会を代表する議長その他がやはり入ることができるように法律ができているはずだ。それ以上今日の段階合併を慫慂しようとすれば、国が一つ方針を立てて、弱小府県を救い上げていくという親心があって私はしかるべきだ〜思う。それが自治省仕事だと考える。いいところだけ合併しなさい、残ったところはどうでもいいんだということになるなら、自治省は要りはしない。——要りはしないということばは言い過ぎかもしれませんが、その点は、大臣相談ですが、どうなんです、一体自治省ほんとう考え方は……。いまのお話のように、阪奈和とか東海三県というのはいずれもいいんですよ。静岡にしたところで悪い県じゃありませんよ。愛知は非常にいい県であることは間違いないですよ。三重の今日の工業の発展というものは、発展し過ぎて困っているくらいに発展してきておる。大阪にいたしましても、奈良にいたしましても、和歌山にいたしましても——奈良はやや小さくて、そうして大阪に経済的に依存しているという行政的の問題がないわけではございません。しかしこれらも、こういう特別の法律にひとしいような法律をこしらえてまで一つにならなければならないような現状に、財政的にも行政的にも差し迫っていない。それよりもむしろ私は、ほんとう親心府県財政なり行政なりを豊かにしてあげて、そして住民福祉を願おうとするほんとう福祉行政をとっていこうとするならば、やはり北陸の県あるいは九州四国、あるいは東北というような恵まれざる地方におけるてこ入れこそ今日必要であると思う。そういう場合に、それらの府県がもし合併するならば、ちょうど町村合併と同じような特典を与えてあげるというような、あるいは財政措置はこうしてあげるというような親心があってこそ初めて自治省存在価値があるものと私は考えておる。住民の意思も聞かないで、議会議決だけだということになりますると、今日の政党政治の場合どうなります。私はいろいろなトラブルが起こることを町村合併でも経験をしておる。しかも町村合併はその趣旨においては、先ほどから申し上げ、大臣も知っておるように、地方住民生活を豊かにしていこう、行政円滑化財政を確保していこうという、いわゆる大局的見地に立って、そして地方住民のためにということであの法律ができ、これである程度強要しておるが、それでもかなりたくさんのトラブルがあったことは、自治省は知っておるはずである。こういう弱い者を見捨てるような行き方が民主主義の社会に行なわれていいかどうかということです。それがさっきの当局の御答弁のようなことで済まされるかどうかということである。学者としては言えるかもしれない。しかし現実政治を行なう者はそうはまいりません。われわれも府県合併して強くなるものならば、一日も早く合併してもらいたい、これだけはいつでも言える。しかし現実の問題としてこれをどう取り扱うかという、そこまで親心がなければならないと私は思うし、同時に一部の声という、ここにいみじくも書いておいでになりますが、一部の声であって、私は全部の声ではないと考えておる。府県議会から要請があったわけでもなければ何でもない。  私はこういう問題はこれ以上議論はいたしませんが、次に聞いておきたいと思いますことは、この前も同僚議員細谷君からお聞きされたと思いますが、これも法律が出てから議論したほうが私はよろしいと思うのですが、一応心組みだけを聞いておきたいと思います。  問題は、地方公務員年齢を制限されようとお考えになっておるようでありまするが、公務員のというよりも、むしろ働く人たち年齢を制限するということと今日の労働法との関係はどうなります。同時に憲法との関係はどうなります。この三つの関係をひとつはっきり教えておいていただきたい。そうしないと、この法案が出たときに審議するのにちょっと困ると思います。
  12. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいま御指摘のように、地方公務員定年制実施できる道を開くための立法をいたそうということで検討中でございます。労働法との関係ということでございまするが、地方公務員法におきましては、勤務条件につきましては条例で定めるということに相なっておりまするし、さらに地方公務員の分限に関するものは地方公務員法に基づかなければできない、かようなことに相なっておりまするので、法的措置を講じ、さらに条例地方公共団体実施できるようにいたしまするならば、労働法あるいは憲法との関係は問題はない、かように考えておるわけでございます。
  13. 門司亮

    門司委員 関係がないとおっしゃいますが、憲法には御承知のように、労働の権利が認められております。働く者の権利であります。この働く者の権利を抑圧するのがこの定年法であります。そうでしょう。自分は働く意思を持っておる、働く能力を持っておる、にもかかわらず年齢がきたならばやめなければならないということは、憲法のいう労働の権利に対する一つの抑圧だと考えてもあえて差しつかえない。労働基準法はどうなっておるか。地方公務員、国家公務員といいましても労働者であることに間違いはございませんよ。この中の最も大きな条件であるいわゆる雇用の条件については、自由にお互いが協議の結果これをきめなければならないことは、労働法の精神の示すとおりであります。これを法律で抑制するということがいいか悪いかということ。いま憲法に抵触しないとおっしゃいますが、それじゃ、憲法の労働の権利を自治省はどうお考えになっておりますか。働く能力を持っておる、これを抑制いたしておりまするのは——地方公務員法の中に、あるいは国家公務員法の中に、その能力が落ちたとか、あるいは職場が変わったとかというような、労働条件について大きな変更のあった場合は、これはやめさせることができると書いてあるのが現実じゃないか。著しい本人の能率の低下あるいはその職にふさわしくない性格があるとかいうような者については、法律でずっと解雇の条件が書いてある。この上に年齢によって人間の労働の能力というものを制限していこうということは、憲法の労働の権利と抵触しないとは言えないと私は考えておる。ただ一部制限をしておりますのは、特別職に対しての制限はありますよ。国家公務員の特別職、裁判所の判事あるいはこれの職員、これはいずれも特別職です。一般公務員の法の適用を受けない職員です。これらの諸君はそういう制限がしてあることは私どもは知っておる。だから、いま憲法に触れないとおっしゃられるが、どういうわけで一体憲法に触れないのですか。労働の権利というものとどれだけ違うのか。権利を抑圧するものであることに間違いはございませんよ。同じように地方の一般産業に従事しております者に定年制という法律がございますか。これはいずれも当該労働者の一つの意思決定機関である労働組合あるいは職員組合との間に、団体交渉その他の結果からきめられた一つのお互いの意思表示によってきめる問題でありますから、私はあえてこれが憲法に抵触するとは考えられない。しかしながらこれは一方的行為である、こういうお考えにはお立ちになりませんか。一体どうなんです。それから労働基本権の中にこれは入りませんか。つとめるということ、賃金ということ、これらの問題は労働条件としては最大の条件である。馘首せられる、首切りということですからね。自分の生活の根拠を失うということですから、労働条件としては最大の条件である。こういう問題ついて、今日の現行労働法の精神に触れないとは言えないと私は思う。しかも今度の、仄聞いたしますると、五十五歳というような年齢まできめようというお話があると聞いておりますが、もしそうだとすれば、機械的に人の能力をはかるということにならざるを得ないでしょう。明らかに私は憲法に抵触すると思うのですが、どうなんです。
  14. 佐久間彊

    佐久間政府委員 働く者の権利を保障していかなければならないという精神は、先生の御指摘のように憲法の精神であると考えております。そこで問題は、同じ定年制にいたしましても、定年制内容いかんにあろうかと思うのでありまして、働く者の権利を剥奪するというような非常識な年齢を定めるというようなことになりますれば、おっしゃいますような問題も起ころうかと思うのでございます。ただこの定年制につきましては、民間の企業におきましてもほとんど大部分のものが実施をいたしておりまするし、国家公務員の場合におきましても、先生のおあげになりました特別職のほかに大学教授などにも定年制はあるわけでございまするので、定年制そのものが憲法に抵触するというふうには私どもも考えていないのでございます。問題はその内容、定め方かと思うのでございます。そこで公務員につきましては、労働条件全体につきまして、法令によって雇用条件を定めるというたてまえになっておりまするので、法律並びに法律に基づく条例によりまして常識的な内容定年制を定めるということは、私どもといたしましては憲法の精神に抵触するものではない、かように考えておるわけでございます。
  15. 門司亮

    門司委員 これもあまり議論しているとまた長くなりますから、いずれ法案の出たときに——お出しになるなら、そのときに議論いたします。いまのお話をそのまま聞いているわけにはまいりません。地方自治体条例をこしらえることは何も法律に依存しなくてもよろしいのでありまして、自治法に書いてあるでしょう。法律憲法に違反しない限りは条例をこしらえることができるということ、これも憲法事項です。憲法にちゃんと書いてある。何も法律をこしらえてやらなければ、地方自治体条例ができないという理屈がどこにありますか。もう少しはっきり調べてごらんなさい。憲法だってそうでしょう。法律やあるいは憲法に違反しない限りは条例を制定することができると、九十四条にはっきりそう書いてあります。だから何もこちらからそういうことを教えなくても、地方自治体が必要があるとするなら条例をこしらえればそれでよろしい。地方行政ほんとうに円滑にいこうとするなら、いろいろな問題でできるだけ地方公務員の諸君がその理事者との間に話し合いをして、そうしてその中から理解と納得をしてはじめて問題をきめていくという真の民主主義方針が私はとりたいのである。これは自治法の精神でしょう。憲法の志向するいわゆる自治の本質というのは私はそういうことと考える。自治体においてもおのおの違います。五十五でいいところもあろうし、六十でなければならぬところもありましょうし、いろいろ職種によっても違うのである。衛生、保健に携わっておるような諸君は、就職年齢が非常に高い。これらの諸君が五十五で首切られたら、それこそ年金ももらえなければ何ももらえないようなときにやめなければならない。そういうものができてくる。自治のほんとうの精神をおくみになるならば、何も法律をこしらえなくても、地方自治体が自主的に行なえばできることになっておる、これは憲法違反でもなければ法律違反でもない。憲法はそれを志向しておる。そこまで憲法親心をもって地方自治体の円滑な運営をはかろうとしておるときに、地方住民の意思を行政の中に反映させようという制度をとっておるときに、おせっかいに、国家公務員にないのに地方公務員だけ出さなければならないという理屈は一体どこにありますか。私はこれ以上議論はいたしません。こういう問題についても、あとで総括的に大臣にお聞きしたいと思うので、以上のことを申し上げて、これから財政のことを少し聞いておきたいと思います。  大臣は、財政についてもだいぶいろいろお書きなっておりまして、「超過負担の解消等地方財源の増強のため必要な措置を講ずることといたしたのでありますが、なお、地方財政の今後のあり方につきましては、引き続き検討してまいる所存であります。」、こう書いてありますから、幾らかよくなるような方向に向かうのではないかという考えも多少持つことができるかと思いますが、超過負担なども一向減らない。それからここに「今回、地方交付税率の大幅引き上げ、臨時地方特例交付金の交付、地方債の充実、」というようなことがずっと羅列してありますが、この点をひとつ私は大臣に明確にこの際聞いておきたいと思います。地方交付税率を大幅に引き上げられたことは、数字的には事実であります。しかし、それが地方財政規模一体どういう影響を持っておりますか。昨年と比べてごらんなさい。あなたは大幅に引き上げたからとおっしゃっておりますが、大幅に引き上げても、国の主税の減税からすれば、去年の構成比より減っているでしょう。これは決して自慢にはならぬのですよ。去年の構成比と比べてごらんなさい。これは数字だから、私が言ってもいいけれども、そちらのほうでひとつ答弁願いたい。この交付税が特別交付税を入れて、去年、四十年度の財政構成の中に占めておったウエート、この二つを加えて、大臣の自慢されるように、非常に大幅に伸びたとおっしゃっておるが、一体どれだけ違いがあるのか、御答弁が願えたら御答弁を願っておきたいと思います。
  16. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 数字でございますので、私から申し上げます。  減税によります交付税の減が五百八億でございます。一・五%交付税率を上げましたことによる交付税の増は五百八十六億でございますので、税率そのものの上げ幅といたしましては、二・五%の上げ幅はたしかに大幅な上げ方でございますけれども、数字といたしましては、御指摘のように減収を見た、それに若干、八十億くらいのものが増収になる、こういう形になるわけであります。したがいまして、形の上では大幅でありますけれども、実体的には御指摘のとおりでございます。
  17. 門司亮

    門司委員 だから私は大臣に聞きたい。形の上でこういうことをお書きになっても、実際は、昨年の交付税の地方財政構成に占めておったウエートは二〇%であります。ことしはふえたとお書きになっておって、特別交付税もあるとお書きになっておるが、これは両方加えても構成比は一八%であります。二%だけ減っている。これは地方自治体にとって決して自慢になる話じゃございません。交付税の減っているということ、ことにはふえたように書いてあるが、決してふえていない。実際は減っている。  それからさらに、さっきお話しなさいました地方債の問題でありますが、「地方債の充実、」こう書いてありますが、地方債が昨年四十年度と四十一年度との財政構成の中に占めておる比率は一体どうなっておりますか。一応私のほうから申し上げまして、お聞きしてもよろしいのでありますが、この比率も、なるほどお金については一千億余りふえております。昨年度はたしか一千六百億内外だったと思いますが、ことしは二千八百億をちょっとこえております。去年の構成比とことしの構成比と比べてまいりますと、遺憾ながら、去年の構成比が五%であったものが、ことしは約七%になっておる。借金がふえておる、借金がふえているということは、地方財政の充実とは言えないと思うが、一体どうですか。こういうところに非常に大きな逆な数字がだんだん伸びてきておる。説明を読んでみますと、いかにも地方債が豊かになったように聞こえますけれども、実際は逆に逆に数字が出てくるのですが、どうです。この辺を大臣はどうお考えになってこういう説明をされておるのですか。
  18. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 地方債につきましては、お話のように、臨時に特別地方債という措置をとりまして、一般会計におきます地方債がふえておるわけであります。従来の形の財政措置でございますれば、これは地方債でございませんで、一般財源で始末すべきものでございます。しかし、国の地方財政におきます今回の措置から考え、国家財政の状況から考えますれば、投資的経費を支弁いたしております方法として、地方債を増額して、これによって措置していかざるを得ない、こういうことであったのであります。地方債そのものが地方財源と言えるかどうかという問題については、いろいろ御議論があるところでございますけれども、今回の措置としては、国家財政の状況等からにらみ合わせまして、精一ぱいいろいろな措置をやりまして、結果的には必要な措置を、必要な歳出を支弁するに足る措置ができた、こういうことになろうかと思うのでございます。
  19. 門司亮

    門司委員 必要な支弁だとおっしゃるのですけれども、大臣はその次には、超過負担が減ったと、こうお書きになっていますが、超過負担はどのくらい減りますか。なるほど住宅については、一種住宅あるいは二種住宅について、二種はたしか一一%くらいだったと思いますけれども、基本の単価が増額されておる。一種は六・八%だと記憶しておりますが、そのくらいふえておる。学校の問題については、鉄筋コンクリートの場合は約四%、木造の場合は一〇%ふえておるということは数学的に言えると思います。しかし、これで超過負担が解消されたとは考えられないのだが、一体どういうことですか。どの辺まで一体解消されていますか。
  20. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 超過負担につきましては、事業費、いわゆる補助職員費並びにその他の事業費合わせまして、大体ノミナルな計算で三百三十億程度、したがってそれを実質に面して計算いたしますと、約二百五十億くらい、人件費で四十億くらい、それから事業費で二百十億弱というものが直っておるのであります。私どもがかねがね調べておりますところ、これには若干問題がございますけれども、その数字からいいますならば、この数字は決して大きな数字ではございません。しかしながら、四十一年度の国庫財政の事情を背景に置きますならば、それからまた過去数年間毎回叫びながら率の上がらなかったという実情、それらをにらみ合わせますれば、今回とられた超過負担解消の措置は、金額といたしましてはそう大きな額ではございませんけれども、やはりそれ相当の努力と価値を認めていいのじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  21. 門司亮

    門司委員 大蔵省がおいでになっておるようですから、ちょうど超過負担のところで大蔵省の主計官にお聞きしたいのだが、一体大蔵省は、こういうように超過負担があるあると言っておる。自治省の発表した資料を見てみましても、昭和四十年度の超過負担の大体の見積もりは千二百幾らかになって、約千三百億くらいあると書いておる。その中でいわゆる基礎単価の少ないことによる超過負担を必要とするものが八百数十億と書いてあります。こまかい数字は資料を読めば書いてあるから読みませんが、八百数十億と書いてある。そうすると少なくとも、いろいろな資材の関係とかなんとかいうことで、そっちのほうでよけいなお金を使ったという面もあるかもしれませんが、しかし基礎単価の違いによって八百数十億の超過負担ができるということになれば、この基礎単価は完全に直しておいてもらいたい。ところが、いまお聞きのように、約三百億というように少ないのは、基礎単価によるものが約九百億あるのじゃないか。地方財政はそれでなくても非常に苦しんでおるときに、一体国がそういう形でよろしいというふうに大蔵省はお考えになっておるかどうか。したがって御答弁願いたいのは、超過負担に対しては基礎単価は実情に合ったもので必ず出すという御答弁が願えますか。
  22. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  四十一年度におきまして、超過負担の解消のために、苦しい財政事情の中でできるだけのことをしたわけでございますが、これで十分であるとは少しも思っておりません。今後も引き続きましてできるだけの努力をいたしていきたい、こういうように思っております。
  23. 門司亮

    門司委員 これは大蔵省に聞きたいのだが、大蔵省は、国のほうの仕事は、基礎単価がそんなに低いことでおやりになっておるのじゃないでしょう。あなたのほうはどこからも出てくるところがありませんから、超過負担になかなかいかぬでしょうから、本省の仕事はやはり単価は単価としておやりになっておると思う。地方自治体だけは、財政が苦しいから、そっちで超過負担やむを得ぬというようないまのお考えは、これは大体間違ってはいませんか。おかしいでしょう。国のほうは、どうもこういう単価じゃやれぬからというので、幾らお考えになっても超過負担が出る場所はございませんから、国の仕事はちゃんと単価どおりにやっておると思う。もし資材その他が高ければ、追加予算なりいろいろな手でおやりになっておると思う。ところが、地方は超過負担はできるだけ少なくするつもりでございます、国の財政も苦しいなんていうのは、これは実際言いわけにはならぬことで、国の財政が苦しいから地方に超過負担をさせるという大蔵省の考え方はやめてもらいたい。これはどうなんです、やめられませんか。
  24. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 先ほどお答え申し上げましたように、今後できるだけ解消の方向に向かって進みたいと思っております。
  25. 門司亮

    門司委員 そこで自治省にお聞きをするのですが、自治省はこれらの問題について——これはみんな資料を読めばいいのですけれども、これはある市の、現在市会にかけられている資料であります。これは府県の資料でありますから間違いないと思う。この中で超過負担がどのくらいか出してみてくれと頼んで、ずっと書いたものを持ってきてもらった。これはえらい超過負担になるのですよ、実際の問題として考えてみると。だから超過負担の解消については自治省を責めるよりは、ほんとうは大蔵者がひとつ考えを直してもらいたい。したがって、もし地方財政計画等で必要があれば、ひとつ大臣に来てもらって、そしてこの問題は徹底的にやりませんと、地方財政が今日のように苦しくなっておったのではどうにもならない。政府がどんなに住宅政策をやかましく言われても、その住宅政策を受けて立って、それを遂行るだけの能力を持っている自治体は私は少ないと思う。結局国の政策はうまくいかぬのじゃないかと思うのです。だからこれはほんとう住民のためを考えるならば、大蔵省も、全部お出しになったところで千三百億ぐらいですから、地主の補償に千五百億お出しになる大蔵省が、そんなに私は地方自治体をいじめなくてもよさそうなものだと思うのです。この辺は大蔵省でひとつお考えを願っておきたいと思います。  それからもう一つ財政のことで聞いておきたいと思いますことは、問題は国家予算と地方予算との関係から来る問題で、財政のすべての問題についてひとつお考えを願いたいのは、国家予算の四兆三千百四十二億という中で、税収あるいは専売納付金を入れますと三兆三千七百九十億というのが約八〇%です。七八%は税収でまかなっております。ところが地方自治体はそれがまったく逆であって、一兆五下七百四十一億という税収は財政計画のわずかに三七%、三八%にはならない、こういう実態である。この実態を大蔵省はどうお考えになりますか。そしてこういう苦しい中から超過負担をしなければならないことになっておるのを、どう大蔵省はお考えになりますか。
  26. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 地方財政の歳入の構成内訳で地方税収入が三八%である、御指摘のとおりでございます。地方財政の歳入項目としましては、御承知のように国からの補助金それから地方交付税、こういうふうなもの、それから先ほどお話にありました起債というようなもので構成されておりまして、地方税だけでやっていく、こういうたてまえではないので、こういう比率になっておるものと考えております。
  27. 門司亮

    門司委員 税金だけ聞いたのではなくて、超過負担のことを聞いたのだが、その辺でよろしいとして先に進みます。  そこで私はもう少し掘り下げて公債の問題を聞いておきたいと思いますが、国がなるほどことし御存じのように七千三百億ですか、去年二千五百九十億ですか約二千六百億の借金をされておることは事実であります。ところがこの問題にからんでおりまする公債費、その借金を元利払いをするという段階になってまいりますと、国のほうの本年度の予算を見てみますると、四百八十八億がこの公債費ということに大体書いてあるように私は記憶をしておる。ところが地方自治体は、財政計画を見てみましても大体千四百七十六億という公債費が必要になる。この公債費は税収の約一割であります、税収が一兆五千億でありまするから。国のほうは、四兆三千億の予算を持った中で四百八十八億で済むかもしれない。しかし地方は税収の一割というものが借金払いに使われなければならないということになって、これでいま大蔵省のお話しのように起債その他でやっていくということになって、来年からどんどん起債がふえてくると一体どうなりますか。現在でも税収の一兆五千七百四十一億は公債費の千四百七十六億に給与費の一兆四千億幾らという数字を加えてまいりますと、大体千億近いものが足りないのです。地方は、税収では、公務員の給与と借金払いをしてなおかつ千億足りない。あとは交付税その他にたよらなざるを得ないのである。これで地方財政が健全だということが一体大臣言えますか。三割自治とかなんとかいうことだけじゃない、実際の今日の財政構成というものはこういう事態になっているのです。住民が非常に重い税金を納めながら、その税金は公務員の給与と借金の元利払いをすると、まだ千億足りないのだということになっている。とんでもないことになってしまう。借金をするために苦労しなければならないのが今日の地方自治体の姿であります。これに対して大臣はどのようにお考えになりますか。
  28. 永山忠則

    永山国務大臣 本年度国も大幅な減税をして公債を発行するという経済政策を樹立いたして、そうして地方開発、社会資本を充実して地域間の格差を是正しながら経済の安定成長をやろうという考え方でございますので、やはり国と地方とは一体的な理念で進むべきでございます。この場合、地方財政の根本的な問題を取り上げるということに対しては困難でございますので、将来にわたりまして地方財政の健全化に向かって一そうの努力をいたしたいと考えておるのでございます。今年度の財政計画といたしましては、交付税率の引き上げ等によりましてこれが処置をとったのでございますが、将来におきましては自主財源の増強等を考慮いたしまして、健全なる財政計画に向かって強く推進をいたしたいと考えておる次第でございます。
  29. 門司亮

    門司委員 きわめて政治的な答弁で、別に具体的に何もお答えなかったのでありますが、いま申し上げましたように、数字からいいますと、地方自治体が全部の仕事をするお金というのは、もう国に依存せざるを得ない。ただわずかに道があるとすれば住民の税外負担、いわゆる寄付行為その他によってこれを多少まかなっておる。この数字が今度の財政計画の中にはっきりあらわれてきておる。どこにあらわれているかといえば、雑収入が去年と同じ比率に書かれておる。ここだけが去年と同じ比率に書かれておる。雑収入の中に寄付行為というものを受け入れたものがここにありはしませんか。したがって、この住民の税外負担に対して自治省はどうお考えになっているのか、この問題の調査も私はかなり進められていると思います、自治省のほうでお書きになったものの中にも書いてあるようでありますから。どのくらい住民の税外負担を見込まれておりますか。
  30. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 税外負担につきましてはいろいろ調査をいたしておりまするが、やはりいっとき非常に負担がふえましたのは、高等学校の建築等が最盛期になりました時代であります。しかし最近はそれがだんだん減ってまいっておりまして、推計でございますけれども、昭和三十九年度ではおよそ百億強のものになっておるように考えられるのであります。昭和三十六年度に三百億をこえておりました税外負担というものは、昭和三十九年度におきましては百億強という姿になっておるというように思うのであります。御指摘でございますけれども、財政計画の中には、税外負担は初めから勘定には入れておりません。ただ、お話のとおり寄付金は入っておりますが、寄付金即税外負担とは私は考えていないわけでございます。財政計画にあがっている寄付金はほんとうの寄付金、そのほかに税外負担としてあるというように考えておるわけでございます。これは若干のものは財政計画の中には寄付金として繰り入れております。しかし、一般的に税外負担の状況というものは、いっときに比べましてずっと減ってきておるということは言えると思います。
  31. 門司亮

    門司委員 いまの御答弁は一向要領を得ないのでありますが、百億内外と言われておりますが、ここに自治省のほうでお書きになった本にもちゃんと書いてあります。三十八年度の状況がはっきり書いてありますが、それによりますと、都道府県市町村が負担すべき経費を住民が負担したものと書いてある。全部で百五十九億四千五百万円、こう書いてある。これは三十八年度のですよ。これはあなたのほうで書いたのだから大体間違いはないと思うが、これが三十八年度から四十年度までの間にどれだけ膨張しているか。それから農林省が出しております同じ三十八年度の農家の租税公課諸負担に対する現状報告が去年の十月なされております。これをずっと調べてみますと、いまお話しになりましたような寄付、いわゆる市町村の寄付、学校の寄付、部落協議費、あるいは賦役その他を計算いたしてまいりますと、大体全国を平均いたしてまいりますと、遺憾ながら租税とほとんど背比べするような数字が出てくるのです。これの詳しい数字は、あなたのほうにもこの資料はあるでしょうからお調べになればわかると思うが、この農林省の統計もたいして間違いは私はないと思うのです。いま申し上げました市町村の寄付、学校寄付、部落協議費、これは大体都会も同じであります。いわゆる自治会費でありますとか、町内会費とかいうもので押えておるわけでありますから。賦役を労賃に見積もるということは、農村と都会とは多少違うかもしれませんが、いまの三つだけを合計いたしましても三千百七十円という数字になっております。この場合の地方税は、都道府県税の合計で千四百五円であります。地方税よりもこっちが大かた倍をちょっとこえておる。こういう数字が、一例でありますが書いてある。国税として五千三百十八円を納めておる。そして総計されたものが二万三千七百四十六円になっておる。この二万三千七百四十六円という数字をいま三つだけを取り上げて、そのほかたくさん項目が書いてありますけれども、これは自分の産業関係の団体その他に出しておる費用でございますから、税外負担といっても、なにも直接行政関係のあるものとは考えられません。しかし、その他の公課の負担の中には多少分析したようなものが書いてありますが、こういうものを除いても三千百七十円。そういたしますと、国税、地方税を通ずる税額の一割二、三分というものが税外負担ということになってくる。これをずっと税金の高に押しはめてまいりますと、自治省の言われる百五十九億というような数字にならないで、大体国税、地方税を通じた税額の約一割ということになってまいりますと、かなり大きな数字が税外負担として今日とられておる。そのことによってはじめて地方自治体行政が円滑に行なわれているというように私は考えざるを得ないのですが、この私の考え方が間違っておるという数字的な根拠があればひとつお知らせ願いたい。
  32. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 非常にむずかしい問題でございます。農林省統計は統計でございますし、確かにそういう数字が出ておるのだと思うのですが、全国的にこれを見た場合どうなるかといいますと、やはり農村と都市では、そういう部落会費、寄付金等の態様が違ってきております。その辺のところを精査いたしますれば、あるいは先生の御指摘の結論とも若干違う結論が出てくるかしらない。これは推測でございますが、しかし、税外負担があることは事実でございます。三十八年度が御指摘のように百五十億という数字は私どもの調査でも出ておりますが、それからの推算を加えてまいりますと、三十九年度末には百億強くらいのものになってくるだろうという推計をしておるわけでございます。なかなかこの税外負担の調査というものはむずかしゅうございまして、真実がなかなか明らかにならない。そこに困難があるわけでございます。御指摘のように私どもの調査の百五十九億円何がしというのが真実でない、真実かどうかということになってまいりますれば、そのこと自身にも問題がないとは言えないのであります。しかしながら傾向としては逐次減りつつあるということは、これは認められるのではなかろうか。私どももそのことについては関係者にも口すっぱく申しておりますし、現実には、速度は決して早くはないけれども、そういう方向に向かいつつある、こういうように思うのでありまして、なお努力をしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  33. 門司亮

    門司委員 あまり時間もございませんから、財政の問題はあと一つ二つだけ聞いて、その次に移りたいと思います。  財政問題でもう少し真剣に大蔵省も大臣考えてもらいたいと思うことは、地方自治体がいま持っております借金の総額は、特別会計あるいは公営企業を入れますと、総計二兆八千億になりますよ。ずっと私の見たところだけでも、一般で大体一兆三千億内外、公営企業その他を入れて一兆五千億内外という数字はたいして狂いはないと思う。この大きな借金を背負って、そうしてさっき申しましたように給与と借金を払えば、なお一千億足りないというような状態で、どうしてほんとう自治行政というものが行なわれますか。全部国に依存しなければならない。国にお百度参りをしなければならない。地方の自主性というものは全く失われておる。地方の自主性が失われておるということは、地方住民と役所とが離れるということです。地方自治の最も大きな問題は、住民と役所とが密接な関係にあって、自分たちの納めた税金で自分たちの村がどういうようによくなっておるかということが如実にわかるような姿になって、そうして行政を行なうものも住民も、こん然一体となっていけるところにはじめて自治体発展があり得るのであって、納めた税金は、公務員の給与を払えばあとは残らない、借金を払えば何も残らない、あとは全部国に依存しなければならないというような状態で、どうして憲法の志向するいわゆる自治の本旨の実現ができるかということです。私はこの点を非常に憂うるのであります。しかもこの傾向は年々強くなっておる。そうして反面、自治省はいやに官僚化してしまって、上から何でもかでも法律で押し切ればよろしいというような形がとられておる。大臣、ここではっきり聞いておきたいと思うことは、財政的に見ましても行政的に見ましても、破綻にひとしいというよりも、むしろ破綻しておるといってもよろしいと思う。これは公営企業であり、市町村であるからやっていっておられるのですよ。どこのうちでも、自分の扶持米と借金を払えばあとに何も残らないというのだったら、とっくに破産していますよ。これは国からもらっておるから破産しないで済んでおるのであって、こういう自立のできないような実態に追い込んだのは歴代の政府の責任だと思う。大臣、いまあなただけを責めるわけにはいかないと思いますが、これについて、大蔵省、どうお考えになりますか。これを何とか改善してあげようというお考えはございませんか。結論として私は大蔵省に聞いておきたいと思います。
  34. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 たいへん根本の問題でございまして、私のような者でお答えできかねるような問題でありますが、担当者といたしましては、地方財政が何とかよくなるようにやらせていただいております。
  35. 門司亮

    門司委員 それからもう一つ財政の問題で聞いておきたいと思いますが、国は、地方の景気刺激のために、何か国から出るお金を、前半期ぐらいに大体六割ぐらいを出して景気を刺激したいというお考えのように拝聴いたしております。大体そのとおりだと思います。ところが、国がそういう処置をとってまいっても、地方財政がこういう状態では、それを受けて立つだけの財政力が地方になければ、国の事業の遂行は困難だと思います。一体この見通しは、自治省としてはどうですか。国がそういう処置をとっても、地方がこれを受けて立つことができるという自信がございますか。
  36. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 政府全体といたしまして、不況からの脱却といいますか、景気の停滞からの脱却といいますか、そういうために早く公共事業をやろう、こういうことでございます。地方公共団体にもその趣旨をよく説明をいたしまして、先般も知事会があったわけでありますが、それぞれ了解を求めたわけでございます。したがって、地方公共団体もその趣旨を了といたしております。問題は、具体的に事務を急ぎ、それに見合う財源を早く措置しなければならぬということになるわけでございますが、事務手続、特に補助負担事業の個所づけにつきましては、例年度と異なりまして、政府自身にも推進本部をつくり、自治省にも推進連絡本部をつくりまして、関係各省と連絡を密にいたしまして個所づけを急ぐ。それから地方債等につきましてもその許可手続を簡素にし、それで事務を早くする、こういう措置をとっておるわけでございます。問題は、従来と違いまして、公共事業の財源に相当額の地方債がかんでおりますので、むしろ財源措置としては、従来と比べましてわりあい簡単に見当がつきやすい。ただ問題になりまするのは、特別地方債の中に縁故債が相当額入っており、これは従来になかったことであります。この縁故債をどう消化するか、こういうことに一つの問題点がある。そこで私どもといたしましては、この縁故債をうまく消化できるように諸般の施策を講じておるわけでございます。結局、関係金融機関等に協力を求めるということになるわけでございますが、それが行き過ぎにならなくて、しかもスムーズに消化されるということを目的といたしまして、いろいろなことをいろいろな方法によりまして関係者の協力を求めてやっていく、こういう次第でございます。ここだけがちょっと問題になるというように考えております。
  37. 門司亮

    門司委員 私は、そういう問題を聞きました中で、もう一つ聞いておきたいと思うことがある。  御承知のように、四十年度の国と地方との予算構成はほとんど同じであります。三兆六千億、国も三兆六千億で、あと五千億幾らという追加予算があったと思いますが、これは追加予算の問題であります。それから地方は三兆六千百二十一億であります。したがって、国と地方との財政規模というものはほとんど似通った数字であります。五千億幾らあとで追加した分を入れないと、ほとんど同じような数字であったはずであります。ところが、ことしはこれが非常に開いておりまして、国が四兆三千百四十二億という数字で、地方は御承知のように四兆一千三百四十八億という数字でありまして、去年よりも財政規模が縮小されておる。国の財政規模よりも地方財政規模は、頭数字を言いますと約二千億縮小されておる。そういうことで、国が積極的に地方に上半期に出てくる場合に、財政規模自体から考えてまいりましても、それを受けて立つ力が地方にはないのじゃないか。これは昨年の予算規模地方財政規模と比較してまいりますと、ことしは二千億もへこんでおる。そして国は積極的に出ようとする、地方は受けて立つというお話であって、公債がどうのこうのというお話でありますが、この数字を見てまいりますと、ことしは、どうも国は積極的に景気回復の仕事をしようという意欲がある。ところが、地方財政のほうはそれを受けて立つだけの十分な財政措置がないというように見受けられるのですが、この点はどうでしょうか。だいじょうぶですか。
  38. 永山忠則

    永山国務大臣 今回は国のほうも個所づけを急ぎまして、建設関係におきましても、その個所づけが最近きまるように聞き及んでおるのでありますが、自治省といたしましても、その許可手続の簡素化とあわせまして、やはり四月の中旬ごろまでには、この起債の配分等も通知をいたし、さらに交付税は例年のように四月にやるのでありますが、臨時特別交付税の配分を五月にもいたしまして、四、五月の金の一番入らぬときにやはり交付税を回したりというふうにいたしまして、地方の事業の促進に役立つようにいたすようにいたしておりますので、事業は例年よりはその消化を早めることができると考えておる次第でございます。
  39. 門司亮

    門司委員 私もそういうことになろうかと思います。それでなければ困ると思う。ただ私が聞いておりますのは、国は非常に積極的に出てきて、たくさんの金を出して景気刺激をやろうとしておるときに、それを受けて立つ地方財政規模が去年の比率から見ると落ちておるということです。さっき申し上げましたように、国も地方も、去年は三兆六千億という数字で、ほとんど同じ割合であった。ところが、ことしは、片方は四兆三千億、片方は四兆一千億で、二千億円ばかり去年より比率が少ないのです。大臣のお考えのようだとすると、国よりも地方財政規模のほうが少し大き目でないと、ほんとうに受けて立つということは困難ではないか。私は、そういうところに超過負担が出てき、さらに税外負担としての住民へのしわ寄せがくるということを、今度の財政構成を見てはっきり蓄えると思う。これでは地方自治体としてはやっていけないと思う。その辺のことを聞いたのでありますが、これ以上は大臣答弁は求めませんが、非常にその辺は今度の財政は冷やめし財政だと思います。大蔵省もひとつよく考えておいてください。こういう状態では、あなたのほうで幾ら金を出しても、地方で金を負担するということができなければ、また交付公債がだんだんふえるでしょう。大蔵大臣も、この間交付公債云々と言っておりましたから、地方がますます借金がふえていく、いつの間にか地方自治体の借金がふえていくという形で、昭和二十七、八年とちょうど同じような轍を踏むことが考えられる。ことに昭和三十八年、三十九年、四十年と、ずっとこの決算を見てまいりますと、大体昭和二十七、八年ごろと同じような財政構成をたどりつつあるということが言えるのであります。この点は特にひとつ気をつけてもらいたい。  この辺で、時間もございませんので一応終わりますが、今度は警察庁長官にひとついやなことを聞きたいのであります。いやなこととは、この間警察庁の幹部を非常に大幅に異動されたが、あれはもう少し待てなかったのですか。国会側から言いますと、みんな有能な人たちで、どこへおかわりになっても政治的な答弁は十分におできになると思うけれども、やはり十分な経験があり、十分お知りになっている人が国会開会中くらいは出席願ったほうが国会審議の上でやりやすいと思います。ちょうど国会開会中に警察庁の首脳部をおかえになったことは私にはちょっと解せないが、これはどういう都合でおかえになったか、言いにくいことではあろうけれども、聞いておかぬとどうもぐあいが悪いので聞くのですが、どういうわけですか。
  40. 新井裕

    ○新井政府委員 別に申しにくいことはございません。毎年三月異動をやっておりまして、三月の異動がいいかどうかということになりますと問題でありますけれども、子供の学年のことを考えますと、どうしても三月がいいということでやっております。去年は三月の二十日前後でございましたけれども、二十日前後になりますと子供の学校の転校の手続が非常に困るという希望もありましたので、少し早めたわけでございます。何ぶん国会が非常に長くございますので、これを避けますと、結局夏休み以外はなかなかやれないということで、現に夏休みにやった例もございますけれども、私どもいままでは大体三月に大きな異動をやっておりまして、今度が初めてではございません。十分に国会との関係考えてやっておるつもりでございます。なおこういうことについて、国会審議上たいへんな不都合が生じないよう十分考慮しておるつもりでございます。
  41. 門司亮

    門司委員 お話はそういうことかとも思いますが、ことしは御承知のように国会のほうがいろいろな問題が非常におくれています。そういう関係もあって、三月二十日過ぎますと大体予算のほうも終わりますし、あとは予算関係でないような法案だけ審議をすることになるので、できるだけこういう異動についても、一々あなた方を責めるわけじゃありませんけれども、私がものをただしていきたいという気持ちを持っておる、そのときに当局側がその時点におかわりになっておるというようなことになって、前任者から引き継ぎがあったかなかったかということはよくわからぬけれども、私はやりにくいと思うのです。この辺は定期異動だと言われれば、役人の定期異動がいいか悪いかということは別に議論をしなければならぬと思いますが、役人としては異動しなければ出世できないのだから、できるだけ異動が多いほうがよろしいかもしれない。しかしわれわれのほうはきわめて迷惑であって、この人ならこのくらいのことはわかっているだろうと思って聞いたことが、案外前任者から引き継ぎがないとか、あるいは十分でなかったとか、補助者の助言だけで答弁をされるようなことがたびたびある。私はそういうことが非常に遺憾でありますので、きょうはわざわざ来ていただいて、その点をはっきりとしておきたいと考えておったのであります。定期異動だと言われれば、そんな法律がどこにあるのか私よく知りませんけれども、法律に基づいてされているわけでもないと思います。あなたのほうの仕事も大事でしょうけれども、国会もあなた方を対象として国民の福祉のために議論をする場所でありますから、できるだけ内容がはっきりし、内容がつぶさにわかることのほうがいいと思う。あるいはこう言うと言い過ぎかもしれません。あなた方にすれば、とんでもないことを言うやつだとお考えになるかもしれませんが、しかし国会側の審議の過程においても、できるだけたんのうな人に来ていただいて詳細に教えていただくことのほうが審議の進め方についてもよろしいかと思いますので、その辺は御考慮をいただきたいと思います。  ちょうど約束の時間を二、三分過ぎております。これで質問を終わらせていただきます。
  42. 岡崎英城

    岡崎委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四分散会