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1966-03-04 第51回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月四日(金曜日)    午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 岡崎 英城君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君    理事 和爾俊二郎君 理事 秋山 徳雄君    理事 華山 親義君 理事 細谷 治嘉君       亀山 孝一君    纐纈 彌三君       島村 一郎君    周東 英雄君       中馬 辰猪君    藤田 義光君       村上  勇君    森下 元晴君       山崎  巖君    井手 以誠君       島上善五郎君    安井 吉典君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 永山 忠則君  出席政府委員         警察庁長官   新井  裕君         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     浜中 英二君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         自治政務次官  大西 正男君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         自治事務官         (税務局長)  細郷 道一君         消防庁長官   松村 清之君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 岡崎英城

    岡崎委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  永山国務大臣所管行政の説明に対し、質疑の通告がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 先だって行なわれました自治大臣所信表明について、順を追うて質問したいのでありますが、その前に、重箱のすみを針で突つくようなお話で恐縮でありますが、私は大臣所信表明を朗読しておる過程におきまして、読み違いじゃなくて大臣気持ちがあらわれたんだろうと思うのでありますが、この原稿と違った読み方をしているので実質的な意味が違ってくる点を、あとでまた読み返しまして発見したのですが、これはどうなんですか。速記にはそうなっていると思うのですが、一々点をあげませんけれども三、四点あるのですよ、意味がだいぶ違ってくるのが。予算関係するような点があるのですが、これは文章どおりだと、確認していただくと、速記のほうは直していただかなければいかぬ点があるのじゃないかと思うのですが……。
  4. 永山忠則

    永山国務大臣 そのとおりでございますので、読み違えました点は速記を直していただくようにひとつさしていただきたいと思います。訂正いたします。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは質問いたしたいと思いますが、まず第一番にお尋ねいたしたい点は、予算委員会が始まりましてからたいへん大きな問題となって、国会の焦点になってまいりました例の固定資産税問題、昨晩三党の幹事長書記長会談等を経まして一応結論が出たわけです。その実質的な審議というのは、これからこの地方行政委員会にゆだねられるわけでございますが、非常に膨大な作業も必要でございましょうし、重要な課題というものを地方行政委員会は背負った、こういうふうに申してよろしいかと思うのです。これについて、まず自治大臣としての姿勢をお伺いしておきたいと思います。
  6. 永山忠則

    永山国務大臣 院議は尊重いたしたいと考えております。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 委員会結論、これを尊重するという大臣基本的姿勢のようでありますから、せんだっての新聞等にもありましたように、よりよいものをつくる、こういう形で、この地方行政委員会もこれから慎重に掘り下げた上で結論を出すかと思いますけれども、それをひとつ大臣も誠意を持ってやっていただきたいということをまずお願い申し上げておきたいと思います。  そこで、私は大臣所信表明を順を追うて御質問をいたすわけでありますが、個々の問題につきましては、これから法律案審議等を通じまして掘り下げた質疑、討論が行なわれるわけでありますから、私は大ざっぱという形で順を追うて御質問をしたいと思います。  まず第一番にお尋ねいたしたい点は、昨年、継続継続を重ねて地方行政連絡会議法、こういうものができたのでありますが、これはどういうような効果をあげているのか、どういう実績をあげているのか、これをひとつお尋ねしたいと思います。
  8. 松島五郎

    松島政府委員 昨年法律ができましてから、それぞれの地域ごと連絡会議が設置されてまいりましたが、一番おくれておりました北陸地方行政連絡会議も上月の三十一日に第一回の会議を開催いたしまして、発足をいたしております。この会議におきましては、それぞれの地方特殊性に従がいまして、取り上げられてまいりました問題も必ずしも同じではございませんで、たとえば北海道地方行政連絡会議におきましては、昨年の五月の二十九日に第一回会合を行ないまして、冷害対策としての営農問題というようなものを中心会議を行ない、さらに東北会議におきましては東北地方全般地域開発問題あるいは広域観光ルートの開発の問題というようなものを取り上げてまいるわけであります。その他の地域におきましては、それぞれその地域が持っております切実な問題を取り上げまして、会議でいろいろ検討をされておるのでございます。なお、会議運営といたしましては、さらに特殊問題を審議いたしますために、たとえば北海道の例を申し上げますと、物価部会でありますとか、公害の部会でございますとか、交通安全部会とか、そういったいろいろな部会を設置をいたしまして、特殊問題をさらに掘り下げていくというようなやり方をやっております。最近におきましては来年度の公共事業の消化の問題に関連いたしまして、九州並び東北地方ではごく最近連絡会議を行ないまして、公共事業を推進するにつきましてのその地方のいろいろな問題点を取り上げて、いかにそれに対処すべきかというような協議を行なうというような状況でございます。その効果はどうかというお話でございますけれども、こういう会議の性格上、会議をいたしてその場でもってすぐ効果があがるということを期待しがたいのでございますけれども、いま申し上げましたような、この地域における切実な問題を取り上げることによって、関係都道府県はもちろんのこと、またその地域地方行政機関におきましても、問題の所在を相互に認識して前進をするという意味においては効果があがってきておるものと考える次第でございます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 いま各九つのブロックについての動きの一端が報告されたわけでありますけれども、ひとつ現在までのブロックにおけるこの連絡会議運営実績といいますか、そういうものをひとつ資料として後日いただきたい、こう思いますが、よろしいですね。
  10. 松島五郎

    松島政府委員 整えまして提出をいたします。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、この連絡会議法ができて連絡会議ができ上がったって、新聞等によりますと、この連絡会議というのができたのは、国会法律が通ってから半年も過ぎてからのところがかなり多いかと思うわけであります。私は率直に言って、ブロックで一回、熱心なところで二回か三回程度しか開いておらぬのじゃないか。新聞等によりますと、必ずしも実効をあげておらない、こういうことが書かれたことを記憶しております。円滑な運営実効を確保いたしたい、こういうことでございますが、執念のようにしてできた法律でありますから、せっかくできた法律でありますから、もっと連絡調整ができるように配慮する努力をしていただく必要があるのではないか、こう思うのであります。  そこで、さらにお尋ねいたしたいのでありますか、大臣所信表明の中で、府県自主的合併を進める法律案を今度の国会に出されるということが書いてございます。大臣、おっしゃっております。府県合併に関する特例法というのは出す御予定なんですか。出す決意なんですか。
  12. 永山忠則

    永山国務大臣 前に読みましたような、目下その準備をいたしておるのでございまして、まだ各省関係事務的にも連絡がついていないのでございますが、出したい考え準備をいたしておるところでございます。各関係省連絡まで進んでおりません。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 準備中ということで、まだあまり進んでおらないようでありますが、詳しいことは時間がありませんから聞きませんけれども、重要な点として、ひとつ自治省態度といいますか、伺っておきたい点があるのです。どういうことかと言いますと、第十次地方制度調査会答申によってと、こう書いてあるのですね。第十次地方制度調査会答申というのはこれだけですか。
  14. 佐久間彊

    佐久間政府委員 第十次地方制度調査会答申は、行政事務の再配分に関する答申もございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 第十次地方制度調査会答申というのは、行政事務の再配分に関する答申、もう一つ府県合併に関する答申と、二つになっておるわけですね。なぜ地方制度調査会答申をして——経過からいきますと、第九次地方制度調査会は、こういうことをやっていただきたいということで、行政事務の再配分についてその調査検討を第十次地方制度調査会に委任したものである。いわば地方制度調査会始まって以来連綿としてといいますか、必然的に第十次地方制度調査会がその責任として負うたものである。それに二十回になんなんとする会議をやって、そして十分調査した結果が答申がされたのだ、そのものについては法律案準備をなさっておるのですか、お聞きします。
  16. 佐久間彊

    佐久間政府委員 行政事務の再配分の問題につきましては、御指摘のとおりに、第九次地方制度調査会から引き続きまして御審議をいただいたのでございます。当初の予定といたしまして、第十次地方制度調査会行政事務の再配分に関する一切の御審議は終了されるということでございましたが、非常に一生懸命御審議をいただきましたけれども、時間の関係で、行政事務配分関連をします財源措置の問題につきましては御審議をいただく余裕がなかったわけでございます。そこで、答申の中におきましても、この点については、引き続き次の調査会において検討をするようにという申し送りをされておるわけでございます。したがいまして、この点につきましては、第十一次の調査会で御審議をいただくことになっておるわけでございます。そこで、この実施について財源措置を必要としないような問題、たとえば国の地方公共団体に対する関与を整理するというような問題につきましては、別段の措置を必要としないわけでありますので、そういう問題につきましては私どものほうから関係省庁にこの答申についての意見を求めまして、関係省庁から異存ないという回答をいただいているものもございますが、これについてはなお意見があるということもございます。そこで現在の段階におきましては、今回国会関係省庁から提案をされる法律案が相当ございます。それらにつきましては私どものほうに合い議にかけておりますが、その法案の中で、この答申趣旨を織り込めるものにつきましては、私ども関係省庁と折衝いたしましてできる限り織り込むというようなことに配意いたしておる次第でございます。したがいまして、そういうことで部分的には調査会答申実現するように努力いたしておりますが、全体といたしましては、さっき申したようなことで、次の調査会結論を待って措置いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 次の調査会答申を待つということでありますけれども財源を伴わない事務、私はこれもちょっとおかしいと思っていますけれども、少なくともたくさんの財源を伴わない事務ということが言えると思うのです。そういうものも具体的に列拳されておるのでありますから、答申を尊重なさる、それならなぜこれをやらないのですか。二つ答申されているなら、二点について法案準備を進めるのがあたりまえのことでしょう。なぜ一方だけやるのですか。
  18. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘のような気持ちで私どももやっておるわけでございまして、格別の財源措置を必要としないもの、たとえば国の許認可をはずすとか、あるいは承認を要するものを届け出に変えさせるとか、こういうような関与の是正の点、これは特段財源措置を必要としないものでございますし、関係省庁が今国会提案をいたします法律案の中で、これに関連したものはできるだけ答申を織り込む、こういう方針で現在折衝をいたしておりまして、だいぶ、部分的ではございますが、関係法案の中で、この答申が織り込めるものもだんだんに出てまいることと存じております。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 第十一次地方制度調査会というのはできましたか。
  20. 佐久間彊

    佐久間政府委員 まだ発足いたしておりません。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 第十次の調査会というのは、いつ任期が終わったのですか。
  22. 佐久間彊

    佐久間政府委員 第十次は昨年の九月であったかと思います。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 昨年の九月からといいますと、もうずいぶん月日がたちますよ。そして、あなたがおっしゃるように、第十次地方制度調査会は、時間の関係財源の再配分までは手が届かなかった、しかし、やれるものは即時やってくれ、こういう内容で答申したのです。責任上、それならすぐおやりになったらどうですか。半年も徒費しているじゃないですか。私は、政府がいろいろな審議会とか調査会とか委員会等をつくるということで、最近どうも好ましくない傾向が出てきていると思っている。いわば、こういう答申が出たからといって、一種の政府の政策の隠れみの、そこに権威をゆだねて、そして法律案をつくったりなんかしているという姿勢が非常に濃くなってきた。好ましくないと思う。好ましくないと思うけれども、少なくとも、あなたがおっしゃるように、第九次地方制度調査会のものを引き継いで第十次ができて、そしてその仕事を半ばにして第十一次でこれをやってくださいといっておったその地方制度調査会すらも、今日の地方財政上重要な財源問題については触れようともしない態度じゃないですか。あるいはもっと言いますと、十次の、事務配分については答申はあったけれども、これはいまいろいろことばをあげましたけれども一つのほうはもう法律案準備中だ、一つのほうは折衝しております、こういう段階では片手落ちです。しかも重要な税財源の再配分ということについては、いまだにそういう調査機関すらも設けないということは、私は、自治省はずいぶん変な姿勢だと思うのだ。地方制度調査会の十次の人たちはおこりますよ。しかもこの府県合併の問題というのは九次から受け継いだ問題ではないのだ。第十次地方制度調査会発足した最初の日の大臣あいさつの中で、広域行政というのが今日緊急な問題だから、この点も御検討いただきますと言っている。連綿として続いている問題じゃないのだ。突然出てきた問題なんだ。それの答申だけ受け継いで、ずっと地方制度調査会が取り組んだ問題については、財源問題がまだ残っておりますから何もやりません、やれるものもある、こう言っておるのですから、やらないのはおかしいじゃないですか。これは私は自治省姿勢はどうも理解できない。ひとつ大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  24. 永山忠則

    永山国務大臣 ちょうど財政関係が急変をいたして、非常な流動性を持ってまいりました。すなわち、国の税収入が落ち込み、地方財政にも響く状態等が起き、また一方減税を必要とし、さらに公債を発行せねばならぬというような大変革の時代に直面をいたしましたので、それらの点を考慮いたしまして、本年四月から発足をいたしてこれを引き続いて御調査を願うという考え方で、空白が生じておるのでございます。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 地方制度調査会は本年四月から発足させよう、こういうことですけれども、私が質問したポイントは、二つうちの一つだけを準備をして、一つはこちらのほうに取り上げてないというのはおかしいじゃないか。しかも今日六カ月間の空通期間を過ごしてきたということは、歴代の地方制度調査会がやったことを全く無視して、自分にいいことだけをより好みして食っておる、けしからぬことだと私は思うのです。これはどうしても納得できない。しかも新聞等によりますと、府県合併人員整理ができるから、経費の節約ができるからなんということを言ったとか言わぬとか新聞にも書いてある。言語道断だと思う。自主的合併、自主的なものを阻止する何ものもないという旗じるしであなたおやりになるなら、事務配分法律を出したらいいじゃないですか。準備なさったらいいでしょう。それが公平というものですよ。もう一度ひとつはっきりとした態度を伺っておきたい。
  26. 佐久間彊

    佐久間政府委員 行政事務配分答申につきましては、先ほど申し上げましたように、この実施につきまして財源措置を必要とするものが大部分でございますので、そのほうの御審議をいただいて、答申を待って全体としては措置をしたい。しかし、国の関与を簡素化するというような面につきましては、これは特段財源措置を必要といたしませんので、関係法律提案をされます機会に、この答申趣旨実現をしてもらおう、こういうことで関係者とやっておるわけでございますが、現在までも関係省からいろいろ合い議を受けております。たとえば計量法とか優生保護法とか、幾つかの法律も現在相談を受けておりますが、それらの中で、この答申趣旨に従って措置をしてもらうように関係省相談をいたしておるわけでございます。でございますので、現在、直ちに実施のできる機会のございますものは、できるだけこの答申を尊重していきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  27. 華山親義

    華山委員 それに関連して伺いますけれども、この前の地方制度調査会自治大臣が一番答申希望されたのは府県合併のことなんです。これは間違いない。ところがあの調査会の冒頭において、いまのような自主財源も持たないいろいろな府県合併してみたところがとうてい効果があがるものじゃないじゃないか、府県合併の前提として、事務配分財政配分をしっかりきめて、府県というものをがっちりした上で合併というものはやるべきじゃないか、こういうことが総会で話に出まして、そしてあとであの分科会ができた。これは間違いがない。私はそこに出ております。間違いがないのです。したがって府県合併というものと事務配分、これに伴う財政措置というものは、これは密接不可分関係にある、そういうふうな趣旨で第二分科会ですか、小委員会ですか、私忘れましたけれども、できたのです。両方の答申が相まって初めてここに府県合併というものが考えられるのじゃないか、私はそういうふうに了解をいたしておりました。ところが、今回片方のほうだけがぽこっと出てくる。これは地方制度調査会の意向を無視するものであって、私はおかしいと思うのです。そこの点に対しまして大臣の御見解を伺いたい。調査会を尊重するならば府県合併などという案がいま出てくるはずはない。大臣の御見解を伺いたい。
  28. 永山忠則

    永山国務大臣 事務配分関係で、予算の伴わないものに対しましては計量法並びに優生保護法等、今回提案する法案の中でその問題を取り入れて進んでおると考えております。なお政令省令等に対しても、これらの答申趣旨を入れたものがあるかと存じますので、後ほどそれらの取り入れたものがございましたならば材料として提出いたしたい。どれだけやっておりますか、事務当局相談しておりませんが、材料として提出をいたして、とにかく政令をつくる段階省令段階あるいは法律をつくる段階に、つどその答申を取り入れてやりつつあるというように考えております。なお、財源的処置を伴うものに対しましては経済の変動等関係等を考慮いたしまして、本年の四月から発足をいたしまして、十分ひとつ検討を続けていきたいと考えておるのでございますが、府県合併関係は、促進法ではございませんので、自主的にその希望のあるところをやる道を開くというだけでございして、その際、現在の自治法では非常な困難なようなことになっておりますから、したがいまして、地方議会のほうでこれを希望してやった場合においては国会の皆さんのまた審議を得てやるというような、しかも地方議会審議にあたっては旧来の二分一というようなことでなしに三分の二以上の賛成の場合というようなことについて、いま原案で検討をいたしておるのでございまして、要するに希望のある自主的のものがやろうとする場合においては、現在の自治法では非常に困難な要素がありますので、多少緩和いたした、上からの理解中心にして、国会中心にしてその道を開くという道をももう一つ開いたらどうかということで、そういうような状態検討をいまいたしておるのでございます。
  29. 華山親義

    華山委員 自治大臣のお答えは私のお聞きしていることと別なことを言っていらっしゃる。それは、そういう法律がもしも出た場合にはそういう点はお聞きいたしますけれども調査会のいうことなどはただ参考なんであってどうでもいいんだ、都合のいい部分はとるということであるならば、私はそれも政府考えであるから、間違っておるけれども、それはそれでいいと思うのです。けれども、これはこの前の制度調査会において、初めは一つのつもりだった。それを二つに、第二小委員会というものをつくってやったということは、府県合併密接不可分関係においてできたものなんだ。そのほうの答申を半年も出さないでおいて、一つのほうだけを進めるということはおかしいのじゃないか。調査会を軽視するものではないか。調査会は、府県合併といえども府県そのもの仕事の分量及び財政において確立しなければこれは無意味なのだ、だからそのほうも審議しようということで始まったのが第二小委員会なんだ。そのほうの結末もつかないうちに第一小委員会結論だけを進めようというのはおかしいのじゃないかということをお聞きしたのです。大臣にお聞きしても、この前の経過などは御存じないから無理かもしれませんので、行政局長でもひとつ、その間の経緯をよく御存じのはずですから、どういうふうに御理解になっているのかお聞かせ願いたい。
  30. 佐久間彊

    佐久間政府委員 府県合併の問題が調査会で出てまいりましたのは、先生御指摘のとおりに、第九次調査会答申におきまして、行政事務の再配分とそれの受け入れ体制を整備をしなければいかぬということで、第九次の答申におきましては事務配分関連する事項一つといたしまして、府県の規模の合理化についても研究をしろということが述べられたわけでございます。自主的な合併ができることは望ましいので、その実現を期待するといったような趣旨答申があったわけでございます。でございますから、行政事務の再配分の問題の受け入れ体制を整備するという意味で、関連を持った問題でございましたが、第十次調査会におきましては、関連はあるけれども、短い期間審議を進める便宜の上から、総会におきまして、二つの小委員会を設けて審議は並行してやっていこう、こういうようなことになったと承知をいたしております。  そこで、この府県合併答申につきましても、御承知のようにその中におきまして、事務及び財源の再配分につきましては地方公共団体行財政能力充実強化をはかるために必要である、ただ、これらの事項府県合併とは別個の問題として推進すべきものである、こういうふうにうたわれておるのでございます。その御趣旨は、そんたくいたしますと、全体の問題といたしましては、事務及び財源の再配分地方公共団体行財政能力充実強化をはかる観点から進めていかなければならない。それはそのとおりだ。ただ、この府県合併につきましては十次の調査会答申自主合併をたてまえとしてやっていくということに相なっておりますので、したがいまして、自主合併ということになりますと全国的に一様に合併をするわけではございませんので、合併をした県についてだけ特別な事務配分をやるということには相なりませんので、事務配分の一般の問題としては推進をしていく。府県合併の問題は自主合併として合併がやれる、やりたいという機運の盛り上がったところでこれをやるのだ、こういうことで、関連はございますけれども、一応別個の問題として推進すべきである、こういう御答申になったものと理解をいたしておる次第でございます。
  31. 華山親義

    華山委員 もしもその法案が出るような場合には、またその点につきましてお尋ねいたします。私も勉強してまいりますが、局長もよくひとつ準備しておいていただきたいと思います。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 いま関連質問華山さんからもあったのでありますが、あまりこれに時間をとるといけませんが、今日まで十回の答申が行なわれているわけですね。その中で、それを受けて法律案として出されておらないのは、十四対十三という接近した多数決で決定された昭和三十二年の第四次調査会ブロック制だけなんですよ。あとは全部——第八次の、先ほどお尋ねいたしました地方行政連絡会議というものも、あなた方は悲願のように三べんも四へんも、七転八起の気持ちでこの法律案を通そうとしてがんばったでしょう。それくらい熱意を持ってやってきたのですよ。いままで取り上げられなかった問題は、第四次調査会ブロック制の問題だけなんですよ。これは十四対十三で接近しておりますから議論がいろいろあったし、それこそ府県合併どころじゃなくて、全国を九ブロックにしてしまおう、知事は官選だという形になってたいへんな議論を起こしたものですから、これは慎重審議で、その後またさらに検討を続けられたわけです。それだけですよ。今度になって第十次調査会二つ答申をしたものを、一方は準備しています、一方は準備していません。実質的にはいまの質問にも関連しておる。経過から言うと、正統派は事務配分だ。それを、入りむこのように大臣のあいさつの中で入ってきた府県合併だけを、答申があったから法律案準備中でございます、それもだいぶ緩和してますということで、正統派である、連綿として続いておる事務配分について取り上げない。文字どおり片手落ちです。ここでは大臣のはっきりとした御答弁がいただけないかと私は思うのですが、やはり二つ答申があるなら、二つ答申を受けて政府として法律案国会提出する、こういうのが正しいやり方であろうと思うのです。地方制度調査会の労に報いるゆえんであろうと思うのです。それを一方だけやるということは、私はどうしても理解できない。ぜひこれを一そういう問題が整うまで一ぺんに完ぺきな事務配分もできないでしょう。財源の再配分はできないかもしれません。しかしやはり、紙の表裏とは言えませんけれども密接不可分関係として二つ答申がなされたわけでありますから、準備中でありますがひとつ両方の準備が整った上で国会に出すようにする、こういうのが地方制度調査会の努力に報いるゆえんであろうし、答申を正しく受けとめた政府態度であろうと思うのです。きょうは、それでは両方準備します、そして準備が整ったら国会提出します、こういうはっきりとしたおことばを得られないかと思うのですが、ひとつ大臣から、いや、もう準備中であります、準備中でありますけれども、両方整った上でやります、こういうふうに聞ければ幸いであります。大臣、ひとつお答えいただきたいと思うのです。
  33. 永山忠則

    永山国務大臣 第十次調査会答申に従いまして、計量法あるいは優生保護法等法律案に対しては、いわゆる各省が交差いたしておる許可、免許その他の関係におきましても、事務配分趣旨に従って整理をいたしておると考えております。なお、その答申の線に従いまして、政令段階で直すべきもので直しておるものも二、三あるかと存じますので、後ほどその材料は出すことにいたしたいと存じます。したがいまして、やはりその答申に従いまして府県合併の問題についても準備を進めておるのでございまして、要するに第十次答申事務配分、すなわち財源を伴わないものに対してはこれを実現いたしつつあるのでございますので、同時にいずれも尊重して今後も実施いたしたいと考えております。ただ財源を伴う関係の分は、調査会がこの四月に発足をいたしまして、その審議を待ってやらねばならぬ、こう考えておる次第でございます。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの大臣の答弁は私は納得できない。不満です。これは片手落ちだ、こういうふうに言う以外にないと思います。しかしきょうはこの問題はこの程度で打ち切って、次に進みたいと思います。  今度、地方公務員法の一部を改正する法律案、いわゆる定年制に関する法案というのが出されるように承っておるのでありますけれども、これはたしか昭和三十一、二年ごろ国会に出されたと記憶するのです。それから今日までかなり長い間この問題は出てこなかった。今度突然こういう問題を取り上げた理由は一体どういうところにあるのですか。
  35. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘のように、昭和三十一年に一度御提案をいたしまして御審議をいただいた経過がございます。自治省といたしましては、その後も、この定年制の問題につきましては引き続き検討をいたしてまいったのでございますが、いろいろな事情もございましてなかなか結論を得るまでには至りませんでしたが、このたび準備も整いまして結論も得られましたので、御審議をいただこう、かようなことに考えておる次第でございます。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 三十一年にやった、ことしは昭和四十一年、十年かかっているんですね。十年の間何の音さたもなかったのです。そんなに準備がかかったのですか。十年間の準備というのをちょっと具体的に教えてください。
  37. 佐久間彊

    佐久間政府委員 十年間とおっしゃいますけれども、もちろんこれにかかり切っておったわけではございませんで、審議未了になりましたのが昭和三十二年でございますが、その当座はむろんこの問題の検討は一時中止をいたしておりました。しかし、やはり三十一年に提案をいたしました当時と同様な事情が地方公共団体に依然として存在いたしまするので、ここ数年来また検討を始めておったわけでございまするが、いろいろほかにも問題をかかえておったりいたしましたので、事務的にも準備が少しおくれがちでございましたが、このほど大体検討も終わりましたので御審議をいただくことにしよう、かように考えた次第でございます。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 いま行政局長のことばに、十年前と今日で同様の事情が存在しますからということがあったのですが、同様の事情というのは何ですか。
  39. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方公共団体の中におきまして職員の老齢化のはなはだしい団体が依然として相当多く存在をいたしており、それらの団体におきましてこの定年制の要望が今日におきましてもございます事情を、さような表現で申し上げた次第でございます。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 職務怠慢だな。老齢の職員がおるということで十年前と同じような事情が存在するというのなら、今日までやらなかったのは自治省の職務怠慢、そうおっしゃるなら職務怠慢だよ。そうじゃないですか。最近よくはやる事情変更がありました、客観情勢の変化がありましたということならわかるけれども、同様の事情が存在しまして十年間ほっといた、これは職務怠慢だ。そうじゃないですか。私はおそらく客観情勢の変化がありましたからという答弁があるだろうと思っていた。同様の事情がありましたからというのでは怠慢だ。同様の事情というのは何ですか。
  41. 佐久間彊

    佐久間政府委員 同様な事情は、先ほど申し上げましたように、地方公共団体の中の職員構成が相当老齢化をいたしまして、職員の新陳代謝も円滑に行なえないというような団体が今日相当多く存在をしておる、こういうことを申したわけでございます。その間全然手を打たなかったのは職務怠慢ではないかとおっしゃられますれば、あるいはそうかとも存じますが、微力にいたしましてその間、この検討が進まなかったということでございます。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 職務怠慢だったという以外にないですよね。あなたの言い分だと職務怠慢です。十年後目を開いて、これから首切ろうというわけですね。そうでしょう。老齢職員を首切ろう、こういうことでしょう。あなたは条件も何も変わっておらぬというのなら、そういう考えから出ておるこの定年制はけしからぬことだと思う。新聞で書いてあることをまるまる証明したようなものだ。大臣、そういう理由ですか。老齢職員を首切るというとちょっとおかしいですけれども、私は客観情勢の変化ということでこういうことを出したのだ、こういう答弁があるものだと期待しておったのですが、そうじゃないそうですから、大臣、やはり同様の事情ですか。十年前と同じような事情があるから老齢職員はひとつやめてもらいたい、こういうことから地方公務員法の一部を改正する法律案を出そう、こういうことなんでしょうか。大臣の所信をひとつ承っておきたい。
  43. 永山忠則

    永山国務大臣 これは長期計画的な視野に立つ昇進やあるいは計画性のある採用等、地方自治行政の効率化のためにその必要を痛感いたした次第でございます。ことに地方財政が非常に窮迫を告げている現状でございますときに、自主財源を確立する場合におきましても、行政の効率化ということは国民の世論でございますので、これらの関係に対処するためにも必要であると考えておるのであります。なおかつ地方公共団体の市町村長のほうからも強い要望等がございますので、それらを勘案をいたしまして、決してこれも勧奨とかいうような考え方はございません。その必要性のあるところが自主的にやるというだけで、決してこれを強要するとか、そういう方向へ行政指導をするとかいう考え方は毛頭持っていないのでございます。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣のお答えは納得できないわけであります。もうたいへんな構想だと私は思うのです。そういう構想で定年制を出されるということであれば、これはたいへんなことだと思うのですが、きょうはこの程度にしまして、もう一点この問題についてお尋ねします。  予算委員会の答弁におきまして、この定年制というのは行政職の一般職員あるいは地方公営企業の職員、あるいは教職員に適用するのだ、地方公務員全部に通ずる考えだ、こういうお答えでありましたが、お尋ねしたい点は、当時予算委員会における総務長官のお答えで、国家公務員には設ける意思はいまのところありませんというのですね。大体自治省の指導というのは、何でもかんでも国家公務員に準じなさい、準ずるというのはイコールだぞ、こういうお考えで指導なさっておるのですね。重要な職員の身分に関する問題について、国家公務員に設ける意思がないのに地方公務員だけ設けるというのは、これは制度としてはたいへんおかしいんじゃないですか。
  45. 佐久間彊

    佐久間政府委員 国家公務員におきましても、定年制を必要とする職種につきましては定年制があることは御承知のとおりでございます。裁判官とか大学の教授でございますとか、自衛隊でございますとか、それぞれ必要な職務についてはあるわけでございます。今回地方公務員に定年制を実施いたそうといたします場合におきましても、一応法律としては各職種を対象にし得るたてまえにしておりまするけれども地方公共団体がやるか、やらぬかは団体の自由でございまするし、団体がその必要とする職種のものについてやるということもまた自由であります。地方公共団体の場合におきましても、団体なり職種について必要なものについてはやれる道を開こう、かような趣旨でございます。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 だいぶ苦しい答弁というか、逃げの答弁ばかりします。国家公務員といっても、それは一部にあるでしょう。自衛隊とかなんとかはあります。それは承知しております。一般職の国家公務員にはないでしょう。しかし、私もきちんとした資料をここへ持ってきておりませんけれども、国家公務員の平均年齢のほうが地方公務員より高いというのですよ。一・五歳か二歳ぐらい高いというのです。その国家公務員には必要ないと総務長官がはっきり言っている。立法措置を講ずる意思はないとはっきり予算委員会でおっしゃっておられる。すべてを国家公務員に準じさせようとする自治省が、進んでこれだけは地方公務員法の一部改正ということで制度化するんだ。それはあなたがおっしゃるように、条例でやるんだから決定権は自治体が持っているのだ、こういうなかなかうれしいことをおっしゃいますけれども、そうはいきませんぞ。だれもあなたの言うことを信用してませんよ。私はこれはずいぶん片手落ちなやり方だと思う。おやりになるんなら、国家公務員と地方公務員一緒に国会に出して審議すべきですよ。私は、何が何でも定年制というのは絶対反対だということから言っているのじゃないのです。やはり、やめた人がやめた後にも最低の生活が保障されるような条件も必要でありましょう。また、勧奨退職等をやりますと財政負担が加わるということも私は知っております。したがってそういう条件を整えなければいかぬ。あるいは終戦後引き揚げてきて、数年後に地方公務員になったという人、そういう人はあと何年かすれば六十歳になるけれどもあと三、四年しなければ年金がつかないんだという、もはや戦後でないということばもありますけれども、そういう人にとっては真剣な戦後の問題、引き揚げという戦後の事態が今日響いてきている、そういう者だってあるのですよ。そういうことで、やはり一生をささげて地方公務員としてやってきた、あるいは国家公務員としてやってきた人は、余生を隠居役でということは申しませんけれども、生活が保障されるような条件というのはやはり絶対必要だろう。共済年金制度というのができたけれども、それにひっかからぬ人もおる、こういう事情である。そういうことをお含みいただいて、やはり国家公務員と地方公務員を通じたものとして制度化するならばいいが、本チャンのほうについては触れないで、準ずるほうに持っていこうというのは、これは筋違い、本末転倒、こう思うのでありますが、ひとつ十分な再考を願いたいと思うのであります。  次に、順序に従がいまして財政問題をお伺いしたいのでありますが、今度の四十一年度の地方財政計画というのは四兆一千三百億円、前年比一四・五%という伸びをしたわけでありまして、私も近く本会議でこの問題について質問をする予定になっておりますから、そういう点は本会議にゆだねるということにいたしまして、ここで伺っておきたい点が幾つかあるのです。  まずその一つは、三月二日の新聞に「大型だが中身は借金」「一般会計本年度の一四%増」という見出しで「都道府県予算案出そろう」こういう記事が出ておりました。そして四十一年度の都道府県予算案というのは、合計いたしますと二兆八千七十九億円という数字になっております。この中で、長崎県は知事選挙がありましたので暫定予算でいっておりますから、年間予算ということになりますとこの規模を上回るということはもう明らかであります。二兆八千億という都道府県の当初予算であります。これは財政局長御存じでしょう。
  47. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 まだ正確に承知いたしておりません。いずれ各地方団体におきまして議会に提案されました上におきましては、私どものところに連絡があると思いますし、議決されますれば正式に報告があると思います。私どもは先生と同じように、そういう新聞紙上のことで、あらまし承知いたしておるだけでございます。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長、知らぬはずはないです。その中を見ますと、たとえば福井県は前年度より三九・四%伸びております。一四・五%という平均の伸び、あるいは国の予算一七・九%の前年比伸びということでありますが、二〇%を越しておる都道府県というのがずいぶんございます。そこで、時間がありませんからその新聞の記事をちょっと御紹介しますと、都道府県税というのを見ますと、二兆八千億という全国都道府県予算の中に八千五百十一億円という都道府県税が計上されております。この八千五百十一億円というのは、自治省が策定いたしました四十一年度の地方財政計画よりも、税収は六%上回っておる。金額にいたしまして五百億円程度上回っておるのでありまして、地方債もべらぼうに伸びた予算である。ですから、これは中身は借金と書くのは無理もないのであります。そういう内容であります。ところが、私は地方財政計画の中の都道府県と市町村を区別した資料を見せていただいておりませんからわかりませんけれども、かりに四兆一千三百四十八億円という地方財政計画の数字からこの都道府県予算に計上した二兆八千億円を差し引きますと、一兆三千億円くらいしか市町村の財政規模はないということになるのです。ところが、三十九年度の決算額を見ますと、市町村の決算規模というのは一兆六千億であります。地方財政計画に計上された市町村税から推算をいたしますると、市町村の財政規模は一兆三千億じゃなくて、どうしても一兆八千億くらいになるんじゃないかと私は推計するのです。そうしますと、最初からどうも地方財政計画四兆一千三百億というのは破綻を来たしておる、こういうふうに判断せざるを得ぬのでありますが、ひとつ財政局長のお考えをお聞きしたい。
  49. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 都道府県の当初予算だけをごらんになりますと、あるいはそういうような御心配を抱かれるのもわかるのでございますけれども、御承知のように財政計画と実際予算とにはいろいろ違いがございます。超過課税を引き当てにした歳出もございましょうし、あるいは税の自然増収というものの考え方によりまして、地方によりましていろいろ違うこともございます。専門家でいらっしゃいます細谷先生を前に釈迦に説法でございますけれども、いろいろありますので、そこのところで違いが出ているのはあたりまえであります。  それから市町村の場合でございますけれども府県の場合でも通り抜け勘定がたくさんあるわけでございます。受託工事みたようなものもございますし、府県を通じて市町村に流れていく金もあるわけでございます。したがって、財政計画の場合は累計でございますので、そこに違いが出てくるのはしかたがないことであります。別段ひとつもおかしくない。ただ問題は、先生おっしゃいますように、中にあるいはから財源を当てにして予算を組んでいやしないか。むしろそっちのほうが、私はあの記事を見、先生のお話を聞いておって心配であります。で、地方債等におきましては、たとえばワク外の縁故債等も当てにする向きもないことはないわけでございます。それやこれや考えますると、むしろ予算の中身がどういうことになっているのかということが心配であります。それがそれぞれ理由があるものでありますれば心配することはないのでありますが、理由がなくそういうことになっておりますれば、むしろ非常に心配であります。私どもは、昭和四十一年度は普通の年と違いますものですから、府県あるいは主要な都市の予算が出そろいますれば、その中身につきまして一応当局者の意見なり、あるいは説明を受けたい。いつもと違いましてことしはいろいろなややこうしい年でありますので、財政的な措置も、それから、すでにきまりました措置を運用してまいります場合でも、適宜適切な配慮を加えてまいらねばなりませんので、例年と違いましてひとつ詳しく内容を承ろう、こういう気持ちを持っておるわけでございます。ただ、いままでのお話では、そのことだけでたいへんだとは私は考えないのであります。福井県の場合などを考えますれば、それは災害関係の経費が非常にふえるわけでございますので、伸びるのはあたりまえだと思うのであります。また、その中には受託工事、国の工事を受託してやるものもあるいは含まれておるかもしれません。中身を調べてまいりませんと結論は出しかねるというように思うのでございます。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 都道府県と市町村の間に重複があるということは私も承知いたしております。中身を個々に検討しなければわからぬということもそのとおりであります。そこで一例を、これは私は予算を分析したわけではありませんけれども新聞にこう書いてあるのです。ちょっと紹介しておきます。「福井が補助事業費を前年度より八七・九%もふやしたのをはじめ、三〇%以上ふえているところが十四県に達している。」国の公共事業予算というのは前年比たしか二二%くらいの伸びであります。ところが「このシワ寄せをまともに受けたのが単独事業費で、たとえば補助事業費を六一%ふやした愛媛では単独事業費を前年度より二六・四%も減らしている。このほか、八府県が昨年を下回った。」とこういうふうに書いております。ところで財源のほうはどうかといいますと、「たとえば愛知県では四十年度の七倍を越える起債を計上、」七倍ですよ。「このほかにも昨年の二倍以上を計上しているのが三十道府県に及び、起債の総額は千七百四十三億七千三百万円になっている。」こういうことであります。私はたいへんな予算を組んでいると思う。なぜたいへんな予算を組んだか、これはやはり国の予算からきていると申さなければならぬのであります。この記事はこれだけでもたいへんなものであって、自治省が苦労してつくられた地方財政計画、昨年自治大臣が不眠不休で朝まで大蔵大臣のところへ行って交渉して得た、地方団体にとってはずいぶん複雑怪奇な財源もございますけれども、これを見まして私はがく然とした。都道府県の実情はこういう内容なんです。たいへん深刻な問題であって、私は、大型だが中身は借金、とこう言っておりますけれども、これ以上の深刻さ。この新聞の見出しに書いてあるより、深刻さがこの都道府県予算の中ににじみ出ていると私は思っているのです。これについて大臣なり財政局長、これはたいへんな問題でありますから、よく個々に調べて事情を聞いた上で対策を講ずるということでありますけれども、どう受け取っているかひとつ……。
  51. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 財政計画自体の中で借金がふえておるわけでございますので、これは借金がふえるのはいたしかたがない。地方財政の従来の考え方から言いますならば、はなはだ残念なことでございます。ございますけれども、国の金が一つもない。国が既定の歳出をまかなうのに税の自然増収を当てにせずに、むしろ税の自然増収をこえる減税をやって、そうして歳出の伸びは財源振りかえでやる、その穴は公債を発行して建設事業の財源に充てる、そこに財源の振りかえが行なわれるわけでございます。そういう事態のもとにおきまする地方財政といたしましては、極力財源の確保に努力いたしますけれども、そういった国全体の経済、財政状況からいたしまして、ある程度地方債というものの機能に期待せざるを得なくなった実情はわかっていただけると思うのでございます。私どもは、本意ではございませんけれども、今日置かれておりまする国、地方を通ずる財政状況、経済状況というものを考えますれば、やむを得ないのじゃないかというように考えるわけでございます。それから、こういう事態がいつまで続くのかということのほうがむしろ問題じゃなかろうかというように私ども考えておるわけでございますが、いまお話にありました地方府県の場合を考えますと、別途御審議をわずらわしております財政に関する特別措置法でありますとか、あるいは交付税法一部改正とかいったようなもので、従来のしきたりに相当変化がありますので、その変化を府県のほうにある程度寄せるという措置をとっております。それは事こまかに財源手当てあるいは財源の運用等をはかっていきます場合に、四十六団体でありますれば、その辺のところの指導と申しますか配慮と申しますか、さようなことが行き届くであろう、全国にそれをばらまきますとかえって財政運営上の混乱が起こるだろう、その混乱をできるだけ少ない範囲にとどめたい、こういうことでありますから、財政特別措置法等につきましても、その辺の配慮を府県財政に寄せております。したがって府県におきましてその予算を組みます場合に、いろいろ指導もいたしましたけれども、そこにはいろいろ府県自身の思惑もあって、あるいは府県自身の事情もあって、いろいろな配慮もあってそういうようにできておるという点もあろうかと思います。私どもも体験がございます。先生も御経験がおありであろうと思いますけれども、補助事業等につきましては多少先を読んで組む。財源等につきましても、起債等を充てます場合に先を読んで充てておる、あとは実行上配慮するというやり方は、今日でも消えておりません。そういうことを考えますれば、その中には、悪いことばで申しますとサバを読んでおるものもあるわけであります。したがいまして、中身をよく調べませんと結論は出てまいりません。しかし大勢といたしましては地方債の持つ機能によってその辺のところの運転を行ない、コントロールをしていかざるを得ない、こういう情勢でございます。
  52. 細谷治嘉

    細谷委員 サバを読んでいるということばがありましたけれども、サバを読もうが読むまいが、この間知事会議を招集いたしまして、とにかく六〇%は早く出してしまえ、こういうことなんでありますから、地方債も三月中にはほぼきめてしまえ、内定してしまえ、こういうことであります。組むについては、公共事業だから、サバを読んでおろうとおるまいとその読んだサバの六割というのはこれはどんどん事業に流れていくわけですから、請負契約ができてしまうのですから、これはたいへんなことです。単独事業なんというのは去年よりはるかに減ったといっておりますけれども、これは単独事業は皆無だろうと思うのです。そこで私は、いまの局長のことばじりをつかまえるわけじゃありませんけれども、たいへん重要でありますから、市町村よりも手の届きやすい都道府県にひとつしわ寄せした、こう言うからには、しわ寄せした都道府県に対しては国が責任をお持ちになるんですね。たとえば起債について元利を補給する、そのくらいのことをしなければ、しわ寄せしたのが不公平ですよ。都道府県にしわ寄せしたのですからね。借金をして公共事業をやった、その自己負担として、財源の起債については元利を補償するというようなことをやらなければ、これは何か都道府県はおれの手下だということになりますからね。自治体ですからね。大臣、しわ寄せをしたというのですから、そういう御決意でおありでしょうね。
  53. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 どういう方法でやるかという問題が残されております。しかしお話のように、千二百億の特別地方債というものをそのままにいたしておく気はございません。したがって後年度において始末する考えであります。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 これは念のためお尋ねします。後年度に始末するというが自主的に始末するということじゃないでしょう。国が責任を持つということでしょう。
  55. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 どういう方法でやるかということはまだ問題が残されておりますけれども、国が財政措置なり交付税の配分を通ずるなり、いろいろな方法でもって始末をするということでございます。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょっとごまかしがある。交付税とかなんとかいうことで。一千二百億というのは特別地方債という名前がついているのですよ。それでやらせようというわけでしょう。交付税というのは今度三二%になるわけですから、いわば既得権だ。大臣のお骨折りもあったけれども、これは既得権だ。それをやられるなら、コップの中のあらしみたいなもので、それじゃだめですよ。一つも前進しません。自治体というのは都道府県と市町村とあるわけです。その一番手の届きやすい府県にしわ寄せをしたというのですから、そのしわ寄せをやったのはだれか、政府だ。政府責任を持たなければだめです。大臣、どうも局長では答えられないでしょうから、大臣の決意のほどを簡単明瞭にひとつ……。
  57. 永山忠則

    永山国務大臣 現下の経済情勢で一番大切なことはやはり地方開発でございまして、その際におきまして、やはり財源的処置は、政府も借金をいたしておるような時代でございますので、できる限り恒久財源、一般財源の確保には努力をいたしましたけれども、十分意のごとくいきませんので、特別地方債というような形において地方開発の事業の促進をいたして、結局的には地方財政の確立、地方事業の繁栄という方面へ資せしめる考え方でございます。したがいまして、今後の経済情勢がこれによってよくなってまいりませば、負担能力もふえることであるし、なお税収入もふえてくるわけであります。なお国の税収入がふえた場合におきましては、交付税率の引き上げ等の関係もございますので、地方財源に対しましても安定線のほうへ漸次に向かうのではないかというように考えられておりますので、今後の経済情勢の推移等を見まして、地方財政の安定をはかるようなことをあらゆる点で検討をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  58. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 私から補足して申し上げます。  私が申し上げましたのは、千二百億の中にも公募債があるわけです。したがって府県だけでも、公募債の部分政府資金をもらった部分ではアンバランスになる。いかに特別措置といえどもその辺はバランスがくずれるわけです。それは放置するわけにはいかない。これは金利が違うわけですから、個々の地方団体の財政にとりましてはいろいろ影響が違ってくるわけであります。したがってそれを放置しておく気持ちは毛頭ございませんということを申し上げたわけでありますが、その方法をどうするかということでありますが、地方財政全体のワクの中で最終的には考えるということになる。その前には国家財政との関係においてまずその問題が考えられ、そして地方財政の中で考える。その場合にどういうやり方をするかということは、その方法論はいろいろございます。そういうことを申し上げたのでございます。  特別地方債というものについてどう考えるかということにつきましては、本年度限りの特別措置ということは明らかになっておりますけれども、それを財源的にどう考えるかということにつきましては、今後におきまする地方財政のあり方の問題にもつながるわけでございますので、そこで、いまどの方法でいたしますということを、結論を出すのは早いと思います。したがって全然それらはもうしかたがないのだ、それぞれ地方団体の財政の中で処理をしてくれというような気持ちはございません。これはやはり地方財政全体の中で始末をすべき問題だと考えております。しかしそれをどういう形でやるかということは、いまこの段階では、残念でございますけれども、申し上げるべき段階じゃないんじゃなかろうかというように考えておる次第でございます。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 申し上げる段階じゃないということで、なかなか申し上げられないでしょう。そこで、いろいろことばがあるのですけれども、いまあなたが国と地方財政との関係地方財政の実態、そういう中から総合判断をしてと言うのだけれども、そこまで話が出たので私は——私はたった一つしか道はないと思う。局長は、いろいろその方法があって総合的に結論を出すのだと言うけれども、私は一つしかない、元利を保証する以外にないと思うのです。そうしませんとまた話がよそへ飛びます。交付税でいままで見ておったものを六百億ばかり削るのでしょう。特別地方債に切りかえるのでしょう。既得権ですよ、これは。既得権というとまた何ですけれども、明確な期待権です。いままで地方交付税法できまっておって府県にいっておった、その交付税を今度は借金で切りかえるというわけです。その借金の名は何か、特別地方債であります。千二百億円というのは、五百億円と七百億円という原資の区別がありますけれども、厳然とした特別地方債であります。道は一つしかないですよ。元利を保証しなければいかぬ。ここで答えられなければ私は本会議でその問題もまたやるつもりでおりますが、大臣、その特別地方債という名のついたものは名実ともに特別地方債だということ、しかも交付税法とも関係があるのだということ、一つの既得権にも類するものだということ、こういうことをひとつ銘記していただいて、道はたった一つでありますから、局長にだまかされないで、この一つだけで勇往邁進していただきたいということを申し上げ、お願いしておきたいと思います。
  60. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 私がだますようなことを仰せられまして、はなはだ心外でございます。私の申し上げております趣旨が、説明がまずくてどうもおわかりいただけなかったのでございますが、私ども地方財政の状況を見てまいりますると、国と地方との財源配分という問題について、やはり片づけるべき時が来ておる、それが経済情勢等によりましてどう動くかわかりませんが、先ほど来御質問がございました再配分の問題ともからむわけでございますから、したがいまして、そういうものを総合的に勘案を加えて物事を処理すべきではなかろうか、それは一体いつやるか、これは調査会の御答申等にも基づかなければいかぬわけでございますけれども、しかしそれは客観情勢との関連があるわけでございますので、どういうことになっていくか、今後の国の財政のあり方ともつながっていくのじゃなかろうか、したがって、そういう大きなワクの中でものを考えていかなければならぬのじゃなかろうかということを申し上げたわけでございます。具体的には、かりに交付税でやりましても、お話のように元利償還金というものを見込んでいくということにならざるを得ない。方法は、先生のおっしゃっていることを別に否定しているわけではございませんが、そこまでに至る道程がいろいろあるのじゃなかろうか、特別地方債だけを従来の地方財政の中から別ワクにして見るのか、全部一緒にして見るのかということの違いじゃなかろうか、それはやはり地方財政も、地方財政だけが独立しているわけじゃございませんので、国も一般経済状況も全部含めて考えていかなければならぬのじゃなかろうか、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  61. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのごまかしたということばは取り消します。財政局長、どうも話をぼかしておりまして、いま答えたのはまたさらにぼけておりますから、大臣、これはやはり自治大臣として勇往邁進していくことをひとつ重ねてお願いしておきたいと思います。  その次に、財政局長、去年私はこの席で御質問した際に普通交付税と特別交付税というのは九四対六という割合に分けられていたのだけれども、今日ではその六%というワクが四百三十億。この間特別交付税の配分が行なわれたわけでありますが、四百三十億ということになりますと、どうも特別交付税の配分ということがおもしろくないじゃないか。プラスアルファをやるぞとか何とかいう、話が変なところに飛びますから、特別交付税の必要性は認めます、認めますが、やはり八%を六%にしたところは二百三十億か二百五十億くらいでありました。貨幣価値は違っておりますけれども、やはり災害等この交付税の八月段階で算入できなかったものを補正するというのがたてまえでありますから、私は少し額が大きくなり過ぎているのではないか、そろそろ九十四対六というのを変えたほうがいいのじゃないかという御意見を申し上げて、局長も、検討段階に来ていると思うというおことばを聞いたのですが、これはどうするつもりですか。
  62. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 お話しの点は、基本的な考え方といたしましては私ども同感でございます。ただ、いろいろそれが思わしくいきませんのは、普通交付税の算定技術と関連があるわけであります。算定技術がうまくいきますればなるべく普通交付税に入れたほうがいい。たとえば準公営企業との関係でありますとか、あるいは毎年特別交付税で計算いたしております定型的なものはむしろ普通交付税に織り込んだほうがいい、こういう感じを持っております。ただ、普通交付税に入れます場合にうまく入るかどうか、そこに問題があります。そういうお話しのような方向でなお引き続き検討してまいりたい、かように思う次第でございます。
  63. 細谷治嘉

    細谷委員 そういう趣旨でありますけれども、今度の法律案にはどうもそういう方向じゃなくて、これはまた交付税法の一部を改正する法律案の際に詳しく聞きたいと思うのですけれども、変なものが特別交付税のほうへ飛び火して、特例と交付税との関係で、何か変なものが飛び火したように思っております。そうして、真正面の九十四対六という問題は今度は触れられておらぬように思うのでありますが、私はやはり局長さんもおっしゃるように、そういう形にしてやったほうがいいのじゃないか。特に、かなり府県に対しては財源の切りかえというのが交付税じゃなくて、とにかく借金しろというような、そういう時期でありますから、一万円でも二万円でもやはり普通交付税で自主財源をふやしてやるというのが、大切なところにもう来ているわけですから、やはりことしからでもその辺を御考慮いただくのがよろしいのじゃないか、こう私は思っております。  もう一つ、この財政問題に関連してお尋ねしたいわけでありますが、人事院の勧告の問題について政府部内でいろいろな検討が進められておる。いまの、四月調査、そして七、八月勧告というのがいかぬのだということで、いま吉武試案とかなんとかいろいろ新聞に出ておるのでありますが、これについてどういう経過になっておるのか、ひとつお聞かせいただきたいと思う。
  64. 佐久間彊

    佐久間政府委員 いわゆる吉武試案と言われております自民党でおつくりになりましたものが、政府のほうに御連絡をいただきまして、現在関係省庁間で検討をいたしておる段階でございます。
  65. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省はどういうふうに考えておるのですか。自治省は、予算が組めないから、財源がないから、いまの勧告はやめて、新年度に予算が組めるようにしてくれというのがどうも精一ぱいの主張のようだけれども、そうじゃないですか。
  66. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは財政局長から御答弁いただくのが至当かと思いますが、自治省といたしましては、年度中途の勧告ということが地方財政運営上いろいろな面で支障が多いので、そこを何とか合理的にできるうまい方法はないかということを強く希望をいたしておる次第でございます。
  67. 細谷治嘉

    細谷委員 佐久間さん、あなたは行政局長なんだね。財政局長地方財政を守るという立場だ。行政局長というのは、財政のことも見ておかなければいかぬだろうけれども地方自治の行政というものを見るわけなんだ。行政の中をだれが推進しているかといえば地方公務員だ。地方公務員の生活を守ってやらなければいかぬ、給与も合理的にならなければいかぬ、地方公務員法の定めるところによらなければならない、こういうことになるわけですよ。あなたはそういう意味においては、財政のことは財政局長にまかしていいんだから、行政局長としての見解を言ってもらわなければいかぬですよ。財政がだめですから、予算が組めないから、それでよろしいというのは行政局長の立場じゃないですよ。財政局長の立場だ。財政局長としては苦しいでしょう。苦しいけれども財政あって公務員なしということではいかぬわけだ。行政なしというわけにいかぬですよ。行政を守るのは佐久間さんでしょう。行政局長としてはどうお考えか。人事院勧告は一年くらいおくらせてもかまわぬ、地方公務員法では人事院勧告の趣旨なんというのはいいのだ、財政が悪いから、これでは済まされないでしょう。どうお考えですか。
  68. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生の御指摘をいただきましたように、私、行政局長の立場におきましては、もちろん公務員の労働条件の改善を志しておるわけでございます。ただ実際問題といたしまして、財政上の措置が十分にしていただけませんことになりますれば、公務員の給与の改善ができないわけでございますので、その辺は財政運営のやりやすいような方法で、しかも公務員の労働条件が現行のたてまえがくずされない、こういううまい方法が見つかればそれが一番望ましいのじゃなかろうか、かような考え方をいたしておるわけでありまして、財政の便宜のために公務員の労働条件がどうなってもいいということは毛頭考えておらないところであります。
  69. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣にお尋ねしたいのです。大体いま政府部内等で検討されている三つのコースがあるように承っておる。その中で吉武試案というのが一番有力だ、こういうふうに新聞等で伺っておるわけでありますが、これに対して人事院当局は、人事院勧告の二つの柱である官民給与の格差の是正と完全実施とが保証されなければ従来のやり方を変えるわけにはいかないという方針をとっております。これは私は正しい立場だろうと思うのです。この問題について自治大臣としてはどういうふうに受け取って、どういう主張をなさっていらっしゃるのか、この点を御披瀝いただきたいと思うのです。
  70. 永山忠則

    永山国務大臣 まだ全然固まってはおりません。いま検討中でございますが、本年度の地方財政状態から見まして、中途で予算を繰り上げて給与財源を補正するというようなことはとてもできないと考えておりますので、したがいまして、政府のほうでは、旧来のような勧告がある場合におきましては、大蔵省がこの財源的処置を十分するという考え方を、政府がそういう考え方をきめなくては、地方の今回計画しておる事業を伸長していくということは支障を来たすのではないか。ですから、旧来のような勧告がある場合においては、政府責任を持って財源的処置をするという方途を講ずるか、しからざれば、今回はその政府財源的処置が非常に困難だというならば、抜本的にどうするかという基本的な考え方を持つべきである。本質的に二つあります。一つは、予算編成の当時、十二月に官民給与の格差を是正するということを中心に物価、生活等の状態を勘案をして、そうして予算編成の際に、公務員のベースの関係を織り込んで予算を編成するということが好ましい、根本的にそういう方向に検討はなされないものかどうかということを強くいま検討をしていただきたいと言っておるのであります。しかしそれは本年の予算編成に間に合わなかったのでございます。したがいまして本年度はどうするかという問題については、これは財源的処置政府が十分するということで考えていかなければ方法がないのじゃないかということを言っておるわけでございます。これらに対してまだ結論が十分出ておりませんが、基本的には、中途で予算更正のないような方途の抜本的なものを考えてもらいたい、また考えるべきときがきておる、そして完全実施をするという態度をくずしてはならぬ、旧来のような行き方ではいけないということを強く取り上げて、いま検討を進めつつある次第でございます。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 いま大臣のことばをそんたくいたしますと、人事院勧告のあり方ということについて検討をしている。しかしもうすでにことしは、国はもちろんのこと、都道府県市町村、いずれも予算編成をしたわけであります。また勧告制度も変わっておらぬわけでありますから、いずれにいたしましても、ことし勧告があることははっきりしております。その場合にも、先ほど大臣なりあるいは財政局長が述べたように、地方財政というのは枯渇しているというどころじゃなくて、また借金財政というどころじゃなくて、もうほんとうからいって破綻しているという状態でありますから、勧告を受けとめるということはできないと私は思っております。すでにもう財政計画の中でかなり大幅な、節約節約と言いますけれども、節約も二乗、三乗というのは、今日の地方財政ではあり得ないのですから、何としてでもやはり政府においてその勧告の財源等御心配いただかなければならぬと思うのですが、大臣はそのお気持ちのようにいまお答えをいただいたのでありますが、従来どおり国においてめんどうを見ると、こういうことを確認をしてよろしいわけですね。
  72. 永山忠則

    永山国務大臣 本年度中途勧告がある場合におきましては、地方財政枯渇の状態等を勘案いたしまして、国が財政的処置を十分するという方途で進んでもらわねばならぬというように強く要請をいたしておる次第でございます。
  73. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから、税の問題につきましてもお聞きしたいのでありますけれども、きょうはタブーということにいたしまして、次に進ましていただきます。  今度、地方公営企業法の一部を改正する法律案というのが出されると承っておるのでありますけれども、仄聞いたすところによりますと、かなり難航をいたしまして、なかなか閣議決定に至らないと承っておるのでありますけれども、この経緯をひとつお聞きいたしたい、こう思います。
  74. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 私から簡単に申し上げますと、お話のように非常に難航をいたしました。しかしながらようやく本日閣議決定を見ました。近く提案をいたし、御審議をお願いできるような状態になりました。この難航いたしました原因は、大体公営企業制度調査会答申に基づいて立案をしたのでございますけれども、立案し、政府案としてまとめます場合に、関係各省と非常に折衝がある。特に公営企業でございますので、需要省と非常に関係がございます。したがって需要省との間の折衝に思わぬ手間をとったというのが実情でございます。
  75. 細谷治嘉

    細谷委員 新聞等で承りますと、自治省と厚生省との間で病院事業等のあり方についても問題があった。あるいは自治省と通産省との間で、工業用水なんていうのは一体地方公営企業にあること自体がおかしいのだ、こういうことで、はずさぬかという強い申し入れがあったようで、ずいぶん難航したようであります。その難航で、どうも十五日の閣議決定の予定が今日まで延び延びになっていると承っておるのですが、近く閣議決定ということでありますが、その内容はどうなったのか、結着点を……。
  76. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 厚生省との間の話し合いにつきましては、いろいろありましたけれども、さほどこの法案のこの国会提案を遅延せしめた大きな原因ではございません。むしろやはり問題の中心は、お話のように通産省当局との関係であります。工業用水問題というものが中心になって、いろいろ関係当局のみならず、関係者もいろいろその間に入ってくるといったようなこともございまして、非常に難航いたしました。結果的には、問題の基本のところは、公営企業に対する普通会計からの補助規定をどう扱うかという問題が基本であったのでございますが、そこのところの問題が一番重点であります。その関係で、私どもの原案の考え方、それから通産省当局の御要望というものが食い違いまして、何回か折衝を重ね、心ならずもおくれてしまったというのが実情でございます。結果的にはその間の整理をいたしまして、補助規定を置くことにいたしましたが、当初考えておりました原案とは若干考え方が違ってきているということになるわけでございます。それから、法案はきょうの閣議で決定を見ましたので、二、三日中には提案されることになるだろうかと考えております。
  77. 細谷治嘉

    細谷委員 労働省からもかなり強い意見の開陳——対立とは聞きませんが、かなり強い意見の開陳があったそうでありますが、その内容はどういうことなんですか。
  78. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 労働省との間におきましては、そんなに強い対立はございません。むしろ私どものほうが労働省当局に知恵を借りに行ったようなかっこうでありまして、そう強い対立とかなんとかいうものではございません。非常に争いがありましたのは、やはり通産省関係が一番大きなものでございます。
  79. 細谷治嘉

    細谷委員 労働省に知恵を借りに行ったということは、労働省の意見を十分にくんだということですね。まあ法案が出た上のことでありますが、そういうことですね。
  80. 華山親義

    華山委員 関連いたしてお聞きいたします。  公営企業法が出ますと、私どもの打ち合わせでは、私が質問をすることになっております。それで本会議質問することに相なっておりますが、初めの自治省考え方に基づいて私はいろいろの心がまえをしておったのでございますが、新聞等で聞くところによりますと、もう外堀が埋められてしまって骨が抜けちゃったのだというふうにも見えます。そうでしたら、実は私困っているのでございます。曲がった刀とこちらの直刀とでやり合うようなもので、どうもおかしくなってきたのでございますけれども、その点につきまして、私が質問をする場合に、一応自治省からの御説明を私は自分として承りたい。公式にここで承っておきたい。  その問題点は、工業用水道について、通産省——通産省は財界のバックがあったと思いますけれども、さらに財界からの圧力——圧力が悪ければ要望でもいいのでございますが、そのことによって独立採算制の線がくずれてしまった、自治省の企図するところのものがもう根本的に破れてしまった、こういうふうな印象を私は受けるわけでございます。そういうふうなことに変わっているのか、この公式の席で承っておきたい。
  81. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 いまのお話でございまするが、外堀が埋まったのかどうなったのか、それは第三者の判断でありまして、私どもは埋まったとは考えていないのであります。外から見れば埋まっているのかもしれませんけれども、私は埋まったとは思っていないのであります。  そこで工業用水道の問題でございますが、工業用水道につきましては、私どもは現行制度を変えたかった、もう少し何とかしたがった、それが現行制度のままになったというだけの違いでございます。
  82. 華山親義

    華山委員 それでは工業用水道だけについては、初めの意図したところと変わって、独立採算制は貫けなかった。それは、工業用水道は例外のものであって、ほかのものはやはり初めのものの考え方だ、こういうことに承知してよろしゅうございますか。
  83. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 現行法でも工業用水道は独立採算制でございます。したがって、その限りにおいては現行法と変わっていない。私ども考えましたのは、現在の独立採算制のもとにおきましても補助をする規定が置かれております。その部分について負担区分制度に切りかえたかったわけでございます。それが補助規定を存置いたしまするために、内容と負担区分というものの考え方が少し変わってきた、それだけでございます。
  84. 華山親義

    華山委員 独立採算制をある程度緩和しておったのが、私が前々からいろいろお尋ねしておりましたとおり、補助規定でございますね、補助規定があって独立採算制が緩和されていた。この補助規定を自治省では調査会意見を尊重して除こうとした。そうしますと、純粋に独立採算制になるわけでございますが、このたびそれを存置することになったということでございますが、この補助規定を存置したのは工業用水道に対してだけ置いたのであって、ほかのものにつきましてはその補助規定というものを適用しない、そういうふうな考え方に現在立脚されていますかどうですか、承っておきたい。
  85. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 いずれ法案を御審議いただきます場合に詳しく御説明申し上げたいと思っておりまするけれども、補助規定を存置いたしましたのは工業用水道に限りません。全部の公営企業に補助規定を存置することにしたわけでございます。したがいまして、当初私のほうが考えましたのは、負担区分制度というものがあって、あとはその会計で収支均衡せしめる、こういう考え方であったのでございますけれども、その間に補助規定が入ってきた。そこで、当初考えておりました負担区分というものが、どちらかというと財政法でいいます負担区分のほかに若干補助規定的な考え方も入れた負担区分を考えておったわけでございますけれども、それが峻別された。したがって負担区分の考え方というものがより狭い範囲になってきた。それを補う意味において補助規定が存置された。こういうぐあいに変わったのでございます。
  86. 華山親義

    華山委員 承ってだけおきます。
  87. 細谷治嘉

    細谷委員 地方公営企業については、だいぶ問題もありますけれども、きょうはその程度にしまして、次に進ませていただきます。  時間もだいぶたちましたし、せっかくいらっしゃっておりますから、消防の問題について一点お尋ねしたいと思います。  最近西宮のLPGの大爆発でとにかくたいへんな死人が出た。こういう事故が暮れに起こっております。タンカーといいますと、一週間に一ぺんぐらいはタンカーの火災が起こっております。最近は高層ビルの火災ということで死人がだいぶふえている。川崎の火災。ところで、今度の予算を見ますと、消防施設の整備に五千万円、七億円が七億五千万円、近代化の関係で、たとえば近代施設である科学消防というのは二億五千万が三億円ですか、五千万ずつふえたが、物価の値上がりからいきますと、予算が実質的に減ったと考えなければならぬのであります。これであなたのほうの消防庁がきめました消防体制の基準が進められると思いますか。お尋ねしたい。
  88. 松村清之

    ○松村政府委員 消防施設の整備につきましては、いま御指摘のように、従来からやっております一般の消防施設の整備強化と、それから本年度からやっております科学消防施設の整備強化と、この二通りがあるわけでございますが、前者につきましては、長年の間補助金合理化という問題にぶつかりまして、七億円という壁がなかなか破れなかったのでございます。本年度の予算折衝においても、従来の七億円を削減して大蔵省は査定をしてきておったのでございます。それをともかく七億円の壁を破って、少しとはいえ、七億五千万円まで予算復活をいたしましたことは、私はこれは額としては非常に不満でございますけれども、従来の経緯から申しまして、この辺が一つのめどではなかろうか、こういうふうに考えておるのでございます。しかし、これはいま申しましたように不満でございますから、今後とも市町村の一般消防施設の整備のためにはもっともっと補助金を支出することが必要であると考えておるのでございます。  科学消防施設のほうにつきましては二億五千万が三億になったわけでございます。これはもちろん私どもとしてはもっと増額すべきかと思ってはおるのでございますが、四十年度の状況から見まして、たとえば市町村の受け入れの能力、そしてまた消防機器業界のはしご車、化学車といったものの生産能力、こういう点を総合的に考えまして、やはり三億円程度が妥当なところではなかろうか、こういうふうに判断いたしまして、まことに額そのものとしては御指摘のように私ども満足しておるわけじゃございませんが、現段階における状況からして、その辺が一つのめどではなかろうかということで予算案をきめていただいた次第でございます。
  89. 細谷治嘉

    細谷委員 自治大臣、この問題についてはたいへん御苦労いただいたというふうに新聞で承っているのですが、補助金等の合理化適正化審議会でとにかく七、五、三だと、お祝いのようなことばでありますけれども、七億、五億、三億、あとはぱあ、こういうことに消防施設についての整備の補助金を削ろうということがあったのでありますけれども、七億というのを去年、おととし維持して、ことし五千万ふえたというのは、壁を破ったという意味はありますけれども、これは消防施設の整備充実ということからはほとんど前進がない、実質的には退歩したものだ、こう思う。近代施設をやるのだということで五千万円ふえました。「近代消防」という雑誌を見ますと、五千万円でヘリコプターを買うのだということで、なかなかりっぱなことを宣伝しているのでありますが、一皮むけば後退、こういう実態であります。最近の頻発する火災、しかも必ず死傷者が出ておる、こういう事態についてやはりもっともっと国の重点政策として取り上げる必要があろうと私は思うのであります。これについてひとつ大臣にも格段の御尽力をいただきたい、こう思います。大臣、簡単にひとつ。
  90. 永山忠則

    永山国務大臣 今後さらにひとつお説のように努力を続けていきたいと考えております。
  91. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで私は非常に疑問に思っていることは、LPGというのが最近の火災の相当部分につきまとっております。タンカーといいますと、名古屋のああいう事件、これを見ますと、これまた可燃物なんですね。ところがLPGなりあるいはタンカーの燃えるものについては、自治省あるいは消防庁というものは法律上手を触れることができないのです。消防法の別表の危険物の中に入っていないのです。最近の新聞を見ますと今度はLMGというのが出てきているんですね。言ってみれば液体メタンガス、これは最近カナダからどんどん入って、これもタンカーができたというのであります。公害が起こらぬでたいへんいい。なるほどメタンが燃えるのでありますから、硫黄がないのでありますから公害が起こらぬでしょう。ところがそういう危険なものがありながら、これはなるほど高圧ガス、圧縮ガスでありますから、通産省のあれを受けなければいけませんけれども、燃えるということは事実でありますから、なぜ消防法の別表を書きかえないのか。過マンガン酸塩類とか、古いエジプト時代のような別表はありますけれども、近代的に即応するような別表に変えようとしない。  私は西宮の際にこういうことを聞こうと思った。西宮の問題について、消防庁の長官あるいは消防庁の関係者会議に出ておらぬでしょう。行ったのはどこか、通産省、運輸省、警察庁じゃないか。消しに行ったのはあなたでしょう、消防庁でしょう。消しに行った消防庁はそういう問題の対策なり会議なりには一ぺんもあずからぬで、何とか入れてくださいということで、オブザーバーでうしろのほうにすわっておったという姿です。そうでしょう。それは認めますね。
  92. 松村清之

    ○松村政府委員 そのとおりです。
  93. 細谷治嘉

    細谷委員 これはたいへんなことだと私は思う。それで私はかつてこの委員会で、池袋でアンモニアが爆発したときに、アンモニアは燃えないのですから、なぜ消防庁は消しに行ったか、消防庁の領域じゃないじゃないかということを言った覚えがあるのであります。圧縮ガスといいましても、アンモニアとか塩素とか、こういうものは燃えませんけれども、LPGとか、これからまたはやってくるLMGとか、それから重油等のタンクというものはたいへんな可燃物なんですね。燃えたら西宮のように、あたり一面火の海、逃げるも何もない、こういう事態でありますから、それに全くの傍観者。最近は自治省消防庁の非力さにあきれはてて、防衛庁は第三次防衛計画の中に、三個大隊くらいの科学消防隊をつくろうといっております。もう消防庁は消防の役に立たぬ、おれたちがやるのだ。私は防衛庁が自衛消防を持つことについては文句いいませんよ。自分でやれるだけのことをやるという自衛消防を持つことは文句言いませんけれども、防衛庁の計画というのは、三次防衛計画の中に、消防庁では当てにならぬから、今度はいろいろなコンビナートができているから、自衛隊みずからがひとつ三個大隊か四個大隊くらいの科学消防隊というのをつくって消してやろう、こういうふうになっていますよ。そうなったら消防法違反だ。違反だけれども、残念ながら消防庁は無力だ。そういう点で、もっと消防が強化されるとともに、消防体制というものが少なくとも圧縮ガスについては、圧縮ガスそのものについては技術的には通産省がやってもいいけれども消防という問題がありますから、それをチェックする。去年の消防法の改正では、建物の問題があるから消防設備士というものを設けた。建物についてはチェックしよう、消防の専門家がチェックしよう。だから設計にあたっては消防設備士でなければ設計することはできないという法律ができた。LPGについては別表すらも改正できない。これはたいへんなことだと私は思う。これはなわ張り争いかなにかからきているのだろうと思うのであります。こんなことでは消防体制はとてもできないと思うのであります。これについて自治大臣はどういうふうになさるつもりか、松村長官はどういうふうになさるつもりか。私はモチ屋はモチ屋で、圧縮ガスは通産省でやることはけっこうであります。しかし火災についてはやはり消防庁がチェックしていく。防衛庁がみずからを守る自衛消防力を持つことはけっこうでありますけれども、よそに出動するなんという想定で科学消防隊をつくる必要はない。つくるなら消防庁がつくりなさいと思うのでありますが、これについて松村さんは、どこでもいい、とにかくポンプさえふえてくれればおれのなわ張りでなくてもいいのだというようなことでは、半ば長官としての意欲を失っているのだから、ひとつ大臣と、消防庁長官の決意のほどを承っておきたい。
  94. 松村清之

    ○松村政府委員 LPGの問題につきましては、これはかねてからの懸案でございまして、当委員会におきましても、昨年の法律改正の際に決議をいただいたのでございます。この問題につきましては、結局通産省の権限でございますので、その解決はなかなかむずかしいのでございますが、昨年には大臣にもお願いいたしまして、通産大臣にもお話し願ったことがあるのでございます。また、私ども事務当局でもいろいろ折衝は重ねておるのでございますが、それとともに、実は私のほうに消防審議会という機関がございます。この機関に五人——十名の定員であったのでございますが、五人の委員の増加が認められましたので、この五人にLPGをはじめ危険物関係に詳しい学者、経験者に委員になっていただいて、現在危険物行政というものをどういうふうにすべきかということをいませっかく御検討いただいておるのでございます。あれこれいろいろな方面からLPGの問題の解決に努力をいたしておるのでございますが、現地におきましても、消防自体が法律上の権限はないにいたしましても、火災予防という観点から、LPGの販売所あたりにいろいろ指導もいたしておるのでございます。しかし、いずれにしても、法律でもってどうすべきかということを解決いたさなければならない問題かと思うのでございますが、いまそういう方向に向かって、いろいろ努力をしておる最中でございます。  なお、いま自衛隊のお話が出たのでございますが、私も新聞で、防衛庁長官が一、二そういった構想を発表されたのも見ましたので、防衛庁の責任者についてただしたのでございますが、しかし防衛庁のほうでも具体案がないのでございます。長官からはそういう話があるけれども、具体案が立てようがない。その構想は、ヘリコプターというものを主体にして、そして全国どこへでも飛んでいける、そういて消防力というものを持つというような構想でございますが、第一、空から火を消すというようなことは、私どもの研究所でもいま研究段階としてはやっておりますけれども、世界どこでもこれが実用になっておるという段階ではないのでございます。そこで、まず防衛庁としても、来年、四十二年度からやるようなふうに聞いておりますけれども、まだ具体案がない。どうしていいかわからぬ。いろいろ各国の事情を調べておりますが、具体案がない。また、私どもの研究所のほうにもいろいろ聞いておるようですが、具体案がないのでございます。そこで防衛庁のほうには、まず自衛隊の任務の上から、いかなる装備をいたされようとも私どもとしてはこれにとやかく言うべき筋ではないけれども、市町村消防の領域を侵すということがあってもらっては困る、これが一つと、それから、いろいろ具体案を作成するにあたっては、消防庁とよく協議をしてやるということ、それから、自衛隊が非常災害の場合に自分の任務の範囲内で持っておるいろいろな消防力を活動せしめるには、もちろん、いま災害等でやっておりますように、知事等の要請によって初めて出動するのだ、こういうようなことを防衛庁のほうでも前提条件として考えをまとめておるようでございますが、何にしても、具体案がいまのところ全くないようでございますので、これを取り上げてとやかく議論するような段階にも至ってはいない、こういうふうに思うのでございます。
  95. 永山忠則

    永山国務大臣 長官が話しましたとおりでございますが、さらに細谷委員から強く御激励を受けました点に対しましては、十分ひとつ胸に銘じて努力をさらに続ける、これまでも通産大臣とも直接談判はいたしておりますが、まだ事務的に進捗を見なかったことを非常に遺憾に思っております。一そう努力をいたしたいと考えます。
  96. 細谷治嘉

    細谷委員 松村さん、あなたは商売がたきになっているのだな。私のほうが知っているわ、防衛庁の計画のことを。それではいかぬと思うのだ。やっぱり消防行政というのは、自衛の問題は、各人ができるだけのことはすると同時に、今日の火災の実情に即した体制というのは、早急に整備する必要があると私は思う。その際には、根本的な欠陥というのが、やっぱり法の不備というところにあるということを、私ははっきり申し上げることができると思う。ひとつ大臣と長官、気持ちは合っているようでありますけれども、私に言わせますと、きわめて消極的であります。前向きに積極的に取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思う。  きょうは警察のほうもやりたいのでありますけれども、もう一時過ぎましたので、いずれまた機会を得て、警察問題については質問させていただくことにして、終わります。
  97. 岡崎英城

    岡崎委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会