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1965-12-25 第51回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十五日(土曜日)    午前九時三十六分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 川村 継義君 理事 安井 吉典君       田村 良平君    竹山祐太郎君       登坂重次郎君    藤田 義光君       村上  勇君    村山 達雄君       森下 元晴君    山崎  巖君       和爾俊二郎君    秋山 徳雄君       井岡 大治君    阪上安太郎君       華山 親義君    細谷 治嘉君       門司  亮君    吉田 賢一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         自 治 大 臣 永山 忠則君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 鳩山威一郎君         自治政務次官  大西 正男君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   佐藤 吉男君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 十二月二十五日  委員井岡大治辞任につき、その補欠として山  本幸一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として井  岡大治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度分の地方交付税特例等に関する  法律案内閣提出第六号)  昭和四十年度地方交付税総額等特例に関  する法律案安井吉典君外八名提出衆法第三  号)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる昭和四十年度分の地方交付税特例等に関する法律案及び安井吉典君外八名提出にかかる昭和四十年度地方交付税総額等特例に関する法律案の両案を一括議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。川村継義君。
  3. 川村継義

    川村委員 大蔵大臣、せっかく来ていただきましたが、時間がたいへん少ないそうで、いろいろお尋ねすることもできないかと思いますが、一、二点この際お聞きをしておきたいと思います。  予算が夕べ通過いたしまして、大臣、少し肩の荷がおりたのじゃないかとお察ししております。ただ大蔵委員会財特法がまだ残っておりますので、はたしてきょうのような気持ちのいい天気になるか、ちょっとわからないのでありますけれども、いろいろつまらない前置きは抜きにいたしまして、第一にお尋ねをすることは、財政処理特別措置に関する法律案の中の一点をお聞きしておきたいと思います。  この法律案は、本年度主税減収に伴って五百十二億程度交付税が落ち込むであろうということをそのまま補てんしてあるわけでありますが、三税の減収見込みであります千七百三十四億というのは、これは大蔵大臣、九月決算をもとにして一年間の推計をなさったのであろうと思いますけれども、その辺のところをちょっと聞かせておいていただきたい。
  4. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 御承知のように、会社の決算は、その期のとり方がまちまちでございまして、大体九月決算というのが相当多いわけであります。そこで、九月の決算を見るということは、下半期における法人税収入を推算する上において非常に重要な点なんであります。さようなことで、この九月期の決算、これがはっきりするのが大体十一月初めになるわけでありますが、十一月初め集まります九月決算の諸資料を基本といたしまして、法人税につきましては見積もりをいたし、それからその他のものにつきましては、大体最近までの徴税の実績を基礎といたしまして、今後の見通しをこれに加味して税の収入額を算定し、それと当初の見積もり額との差額が二千五百九十億になる、こういうことに相なる次第です。
  5. 川村継義

    川村委員 わかりました。  私、時間がありませんから、要点だけお聞きしますから、どうぞそのつもりでお教えをいただきたいと思います。  本年度減収見込み法人税が一番大きい額を占めておるのでありますけれども、今日のわが国の景気がどうも思わしくないということで、政府大蔵大臣も率先していろいろと、てこ入れをしていただいておる。現状はなかなか思うように回復をしていないのでありますけれども、四十年度を全体として考える場合に、その後十一月、十二月、一月、二月、三月と、この年度末まで考えた場合に、一体景気の動向がどういうふうになるだろうかというあなたの見通し、それからそれに関係して、いままであなたのほうで推計をしておられたその税収というもの、特に法人税等について、これは大体見込みどおりに動いていくか、あるいはもっと景気回復に伴って増徴できるという見込みがあるのかどうなのか、その点いかがでございましょう。
  6. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ことしの租税収入、特に法人税収入見積もりは、昭和四十年度経済見通しにおきまして、本年度経済成長を七・五%というふうに見たわけであります。それが全く予想が狂いまして、ただいまのところでは二・五%前後かというような状態であります。この二・五%というのは、三十九年の平均に対する上昇でございますから、これを実際本年度になってからの動きを見ますと、全く今日まで景気横ばい状態で推移してきております。これはいろいろ対策もとったのですが、なかなか公共事業費支出がうまくいかなかったのであります。それは二つ理由があるのでありますが、一つは、五月に公共事業費の一割留保というのをやったのです。それは二カ月後に解除をいたしましたが、それで非常に手戻りを来たしております。それからもう一つは、地方財政中央同様税収落ち込みまして、その結果、地方で分担すべき公共事業支障を生ずるというようなこともあったわけでありますが、そういうような関係で、公共事業費につきましては、本年度予算では大幅の増額を見込んできたのでありますが、十月までの実績を見ておりますと、毎月の公共事業費支払いが、三十九年の支出実額を下回るというような低調な状態であったわけであります。しかしその後中央地方大いに努力をいたしまして、十一月からこれが逆の情勢に転じまして、十二月におきましても、公共事業費は引き続いて支払い好調であります。今日になってみると、上半期公共事業費支払いが不振であったということが逆に影響しておるのでありますが、つまりこれから年度末に公共事業費支払いが集中するというような情勢になる。それから今度の御審議をお願いいたしました補正予算におきましては、四十一年度公共事業費を繰り上げ契約することができるような措置をお願いをいたしておる。それからただいま御審議をお願いしておる地方財政対策も大体でき上がってきた、こういうことでありますから、下半期における財政支出は非常に活発化してくると思います。そういうことが、来年の春までの景気相当実効のある作用を与えていくであろう、こう見ております。  それで来年度経済動きについては、大体七%ないし八%くらい実質において成長するというふうな見通しを持っております。四十一年度、つまり来年の四月になったら断層的に今度は、ことしの二・五%が七%になるかというと、そうではないので、これはなだらかに成長して、その平均値実質七、八%ということになるのでありますから、まあ上半期はゆるやかな上昇であるけれども下半期には相当活気を呈する、こういうふうな見通しを持っております。いろいろな角度から検討しておるのでありますが、大体来年は七、八%の成長を達成していきたい、その中におきまして、民間の設備投資、これが非常に大きな問題点でありますが、私どもはこれはそう活発であるとは思っておりません。大体横ばいくらいが基調であろう、しかも七、八%の成長を達成するためには財政が大きく活動しなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。そういう考え方でただいま四十一年度予算をつくる作業を進めておるわけであります。
  7. 川村継義

    川村委員 下半期は相当上向きになるのではないかと、いまの大臣の御説明では見ることができると思います。そうすると、三税収入を当初は二兆四千百三十八億と見てあるわけですが、それが今回の補正で千七百三十四億減額されておる。そうなると、現在三税収入というものは二兆二千四百三億ということになるわけであります。私は本年度決算期においては、この二兆二千四百三億というのは、いまの大臣お話からしても、もっと増収が期待できるのではないか、こう考えるのですが、そう考えて間違いございませんか。
  8. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいまのところは、気分とすれば、再び見込み違い落ち込みが出たというようなことがないようにというので、かた目には見ておりますが、大体そんなところだ、こういうふうな感覚でございます。
  9. 川村継義

    川村委員 その辺については、実はもう少し詳しくお聞きしたいのでありますけれども、時間の制約がありますから一応お話で了解をしておきます。  そこで、この財特法三条の二項において、三税の交付税は、当初予算に計上された三税の二九・五%に相当する金額をもってする、こういうふうに書いてあります。それが私がこの際聞いておかなければならぬ一つのことであります。というのは、実は今度の五百十二億を埋めてもらう、たいへん私たちは両大臣の御努力に感謝するわけですけれども、この五百十二億を埋めてもらうときに、私としては、いわゆる三税の補正をして減額されたものに五百十二億をプラスをする、その場合に、五百十二億に見合うところの税率の改正をしてプラスをするか、あるいは税率改正しなくても、五百十二億を繰り入れて、いま地方団体に配分されておる交付税は今日の地方財政現状からして確保してもらう、こういう手立てがあったと思うのです。この点については、先日ちょっと大蔵省、自治省のほうに聞きましたが、その説明によりますと、年度途中で税率をいじるなんということは、これは正常な手段でないからとらなかった、そこで当初予算のそのままを見ていく、こういうことにいたしたのであるという説明を聞いたのであります。それらいろいろ方法があったと思うのでありますが、ただここで五百十二億を埋めてもらった、こう考えておりますと、いわゆる三条の二項の規定によって、これはもうあと精算払いはない、精算はしない。いま大蔵大臣自治大臣が、交付税落ち込み五百十二億埋めましたよとこう言っておられても、精算がないとなると、あと交付税のさらに伸びがあったというような場合には、これはあるいは実質には三百億の穴埋めでしかなかった、あるいは四百億の穴埋めでしかなかった、こういうことになるのではないか。ということは、この特別会計第四条の趣旨からいっても、どうもぴったりしないものがあるのじゃないか、なぜここで一般会計の当初予算に計上されたそのままを精算できないということで押えてしまわれたのか、伸びがあったら、やはりそれだけ後年精算をするという四条の精神を生かしておかれたほうが、地方自治体にとってあたたかい処置ではなかったか、こういうことなど考えて疑問に思っておるのでございますが、この点ひとつ大蔵大臣からお話を承りたい。
  10. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これは実情にすなおに合うような法的措置をとったわけであります。つまり今日の時点では、また特に補正予算を編成する時点におきましては、もう一般交付税のほうは配賦済みなんですね。特別交付税だけが残っておる、こういう状態であったわけであります。本来、法律に従って措置するということになりますと、もし一般交付税配賦しておらなかったならば、あるいはその予算配賦を減額するとか、あるいは後年度においてこれを精算するとか、そういう措置が必要であったか、こういうふうに思うわけであります。ところが地方財政は当初から計画を立てて地方行政を進めておる、そういう際にそういうことをするのもいかがか、こういうふうに考えるわけであります。率直にいって、配賦した実績、事実というものはこれを認め、しかもわずかな特別交付税が残っておる、これをどうするかというようなことを論議するのもまた無用の摩擦を生ずることになろう、これは配賦したという実績の上に立ってそれを認め、その上に立って地方行政が円滑にいくように、当初の見込みだけは、とにかく少なくとも確保しておく必要がある、こういうふうに考えまして、ただいま申し上げたような措置をとったわけであります。それじゃ二千五百九十億円の落ち込みがもっと落ち込んだら一体どうなんだ、あるいはそれよりもふえたら一体どうなんだ、こういう問題が起こると思うのでありまするが、それは見込み違いがありましてもそう大したことはあるまいというので、ある確実な見通しを持って地方行政が行なわれるというふうに措置したほうがいいという考え方から、これは精算はいたさない、そのかわり、落ち込みがありましてもこれを減額するような措置もいたさない。こういう考え方をとるに至ったのであります。
  11. 川村継義

    川村委員 福田大蔵大臣の今度の修正見込みでありますから、先ほどのお話のように、相当手がたく見てあるということでありますから、われわれが考えても、また、いま政府がこれから力を入れていこうという景気対策等々の諸施策を見ても、これ以上三税収入が減って交付税がそれだけマイナスするという事態になろうとは私は思いません。むしろ私は、年度決算等を見ると伸びるであろう、そうなると、ただそこに妥協の産物として、いまお話しのような形でぴしっと押えてしまうよりも、やはり特別会計の四条の精神で、あと精算できるという道を残しておかれたほうがよくはなかったか。こういうことなどを考えております。  この点につきましては、実は自治大臣のお考えも聞かなければなりませんが、これはあとでひとつお聞きすることにいたしまして、次にいま一つ続いてお尋ねをいたしますが、今日私なんかの考え方からすると、すべての常識が満足できるような形で処理する、こういうことが大事でないか、こういうものの考え方を実は持っているわけです。そういう意味で、今日地方財政がこういう状態であるからこういうように処置されるのが一番適当であるとだれでも考えるところの方途が、なかなかうまく出てこない、こういうところに一つの問題があるのではないかと思います。私がもうここでくどくど申し上げるまでもないことでありますけれども、われわれのほうから常に予算委員会あるいは大蔵委員会等でも指摘しておりますように、池田財政一つの問題が今日の財政上の問題を惹起しておる。そのあと始末をしておられる福田大蔵大臣はたいへんなことだろうと実は私はお察ししているわけです。前の大蔵大臣が、四十年度予算編成のときにあまりにもおおばんぶるまいのようなことをやってしまったので、今日のような大きな見誤りということも出てきているのではないか。その責任を福田さんだけに言うわけではありませんけれども、そういう点についても、これは今日の事態に対処するには、地方財政現状からしてもっとすなおにひとつお考えを願いたいと私は思っております。今日地方財政が非常に悪くなっておるということは、もう私がここでくどくど申し上げる必要はありません。ただ、わかっていることでありますけれども、ぜひ大臣に一言申し上げておきたいことは、地方行政を担当しておりますといろいろの困難にぶつかってまいります。今日国の政治をやるにも、やはり地方め政治というもの、地方財政というものが一体になって進まぬとできないということは当然でありまして、公共事業をやるにも、教育の問題を処理していくにも、産業、経済の仕事をやるにも、厚生、衛生の事業をやるにも、すべてこれは国の政治をやるように、地方自治体行政が大きな役割りをしていることは申し上げるまでもありません、よく三割行政などといって悪口をいわれますけれども、そういう点から考えて、やはり国は真剣に地方行政地方財政というものを見てもらう必要があると思っておるわけです。地方公務員給与改定についても、三百億を貸すから、これを借りてあと年割り償還というような、たいへん悪いやり方が今日行なわれてきておる。こういうものも、やはり当然国がそのまま見てやるという考え方が大事ではないか、こう思っているわけです。大臣も御承知のとおりに、今日、地方財政は出過負担の大きな問題であるとか、あるいは地方債の重荷をしょい込んでおるとか、いろいろの問題に当面しておりますから、少しでもやはりあたたかな考え方で対処願いたいと思うわけであります。  そこで、私はその点についていろいろと意見も申し上げたいことがありますけれども、それは省いて、ひとつまず大蔵省に、これは主計官のほうからでもけっこうですが、大臣承知ありましょうからお尋ねいたしますけれども、今度このように交付税処置をしていただいたほかに、地方債計画税収減に四百億の地方債を見てもらう。そのほか、災害の地方債を見てもらうというようなことをやってもらっておるわけであります。ところが、今度の地方債計画を見てみましても、非常に公募債というのが大きなウエートを占めておる。今度八百五十五億ですか、起債追加修正がなされておりますけれども、そのうちに政府資金というのは三百五億程度しかない。五百五十億というものは、これは全部公募によらなければならぬというような計画になっておる。そこで、まず大蔵大臣お尋ねするわけでありますけれども、今日地方団体都市銀行地方銀行から、あるいは相銀等々から借り入れているもの、融資を受けているもの、これは地方債保有を含めて約八千億と実は日銀が発表したことを記憶しているわけでありますが、その都市銀行地方銀行等から地方団体融資を受けている金額というものはどれくらいになっているのか、そういう点を少し御説明いただきたいと思います。
  12. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 ただいまの、都市銀行あるいは金融機関から地方公共団体借り入れておる金額というのは、私どもも本年に至りましてから徐々に増加を来たしておるということは日銀等の報告で承っております。おおむねただいま、私どもその程度金額地方金融機関からの借り入れになっておるというようなことは承っております。ただその中には、非常に短期借り入れ等が相当ある。どれだけが短期であるかということは、私どもまだつかんでおりません。ただ、地方債計画の中におきまして、こういった公募資金あるいは縁故資金というものを見込んでおりますのは、資金運用部のほうの資金が非常に枯渇をきたしておるということと、現在短期金融を受けているものを正式な長期の起債に振りかえるというようなことも考えまして、金融情勢から見れば、市中金融機関の金繰りによって起債ができるということは、私ども年度については絶対金融が受けられるということは確信をいたしております。
  13. 川村継義

    川村委員 どうも時間が非常にないようでまことに残念ですが、ひとつまたあとで時間がありましたら大蔵大臣ぜひ来ていただきたいと思います。  そこで、いまの数字、私のほうで調べておるものをいろいろお尋ねしなければなりませんが、いまも触れましたように、都市銀行地方銀行地方債保有も含めて公共団体融資しておるのが三十九年度末、六千四百八十八億とか日銀が言っておる。そのほか相銀等融資考えると大体八千億円になるのではないか、こうなりますと、今度新しい修正地方債計画で五百五千億に上るところの地方債公募によれ、こう言ってもらっても、うまくいくかどうかというのがひとつ心配になる。いま一つは、国債がいよいよ発行されるとなると、それだけ市場が圧迫されて地方債公債市場というものが非常に狭まってくる、そういうような窮屈な事態に追い込まれるのではないかといろいろと憂慮するわけです。そこで大蔵大臣にお聞きしますけれども、この地方債における政府資金の量をもっとふやしてやるお考えはございませんか、あるいは地方債に対するところの利子をもっと引き下げてやるというようなお考えはないか。四十一年度予算等考えても、これは切実な問題だと私は思うわけであります。実は来年度地方財政の問題についてもいろいろお聞きしなければなりませんけれども、これはあとでお聞きすることにいたしまして、今度の公債発行に伴う市場との競合、それから地方債政府資金ワクが非常に少ないということ、こういうものを是正をするお考えはないか。時間がないようでありますから、この点ひとつはっきりお聞かせいただきたいと思います。
  14. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 今度出します国債はこれを市中消化をする。日本銀行で引き受けはいたさないというたてまえであります。そういうたてまえであるということはどういうことかと申しますと、国債のほかに地方債もあり政府保証債もあり事業債もある、あるいはその他の特別債もある、こういうようなことでございまするが、それらの全部に支障がなく、国債市中消化されるということでなければならぬわけであります。ことしは地方債は、いまお話しのように地方財政事情からふえてきておるわけであります。あるいは事業債のほうも相当増加をきたしております。そういう中で突如として国債が二千五百九十億円割り込むということになりますと、地方債事業債政府保証債消化に圧迫を加えることになるわけであります。そこでそうなってはならぬというので、国債のうち、約半分はこれを資金運用部が引き受けるという措置を特にとりまして、その他の債券の消化が円滑にいくようにということを考えておるわけでありまして、ただいま地方債政府保証債事業債、全部を通じてことしの予定額は完全に消化し得るという計画のもとに、いま国債消化額考えておるわけでありまして、御心配は要りません。
  15. 中馬辰猪

  16. 門司亮

    門司委員 もう時間もないようですから、一分か二分で終わりたいと思います。  大蔵大臣、この際ひとつ地方財政のことについて姿勢を直してもらいたいということであります。この大臣説明書の中にも書いてありますように、三百億の金を借り入れて、そうしてこれを四十七年までに返す、これは昨年度地方財政の逼迫からくる借金を四十四年までに返さなければならぬ、したがって、四十七年までに返す、こういうことになっております。このことはどういうことかというと、この今度借りる三百億の大体来年度以降における、当然地方団体に配付さるべき交付税前借りであり、あるいは前食いといっても差しつかえない。これはただ前借りでありますが、いままで地方財政に対して私どもが最も遺憾に考えていたことは、もう一つは、この交付税について前借りではなくて、前食いをやっていく。たとえば本年度はそんなことありませんが、従来、その年度配賦のできないものは、翌々年度にこれが地方財政に加算されることは当然である。ところが財政が窮屈だからといって、翌々年度に当然地方財政に加算されなければならないものを、その年度にこれを使ってしまう、こういうことになってまいりますと、地方財政というのは非常に窮屈になっておるにもかかわらず、地方財政ワクの中で前食いをしたり、前借りをしたりして操作をしておるのが今日までの状態であります。これは大蔵省の最も悪いくせだと私は考える。池田さんに聞いたときに、池田総理大臣は、決して国が使うわけではない。当然再来年地方配賦するものをことし使うのだ、来年当然この地方配賦さるべきものを今年度前借りをするのだというような答弁をされておりましたけれども、このことだけはひとつこの際改めてもらいたい。そしてその年度における歳入欠陥というものはあげて国の施策——今度などはほとんど国の見込み違いですからね。ですから結局これは国がその年度始末をしてもらうという体制に直してもらわぬと、この問題だけを見ても私は地方財政はどうにもならぬと思う。ひとつその点を大蔵大臣から直していただけるかどうか。従来どおりの方針で前借りをしたり前食いをしたりして、そうして地方財政の伸展、あるいは増収というようなものを全然認めない、ということばはどうかと思いますが、考慮しないで、そのワクの中だけで操作をしていこうという悪い考え方だけはひとつ国の責任でやめてもらいたいと思う。その点だけきょうは答弁をしておいてもらいたいと思います。
  17. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 地方財政地方自治を進めるための手段であります。でありますから、もとよりこれは地方の自治的な行政がなるべく完全に生かされるということを常に念頭に置かなければならぬと思いますが、これを財政的に見ますときには、これは私は中央地方一体であろうと思うのです。したがって、中央が立って地方が立たずということがあってはならぬ。また地方が立って中央が立たぬということがあってはならないのです。その中央、地方行政の影響を受けるものは同じ国民なのでありますから、そういう考え方で一体の精神でやってまいります。技術的にいろいろの問題が出てまいりますが、要はそういう精神で今後ともやっていくということだけははっきり申し上げておきたいと思います。
  18. 門司亮

    門司委員 もう一つだけ。そういうことになると、なお抽象的なことでは困るので、いま私がお聞きしておるのは、こういう悪いくせをやめられるかどうかということを聞いておるのであって、やめてもらわぬと、これは自治省が幾らやってもなかなか問題の解決はつきません。いまのような御答弁を大臣がされるなら、もう一つ聞いておきたいと思う。  その問題は、国がとっております租税特別措置法、これは国の産業政策からくる一つ特例であります。これはあるいは必要かもしれない。しかし、そのことのために地方の自治体が税源に対してかなり大きな損をしているということは、大臣も御承知だろうと思う。国税を、いまのように二千億、三千億というようなものが租税特別措置法で減額されてくると、それに見合うだけの地方税はとっておりません。したがって国の産業政策のために地方の自治体が犠牲になっているといっても差しつかえない。これらの問題はやはり審議してもらわなければならない。そういうことですね。大臣は、国と地方と一体にやっているとおっしゃっていますけれども、これではあまり一体にやっていないんで、国のほうだけは都合のいいことを考え財政措置をとられているが、地方は非常に迷惑する。これらの点についてもひとつ大臣のお考えおきを願いたいと思います。大臣は参議院の約束があって、十五分までだそうでありますから、これ以上申し上げませんが、その点はどうですか。両方勘案して考え直すということは言えませんか。
  19. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これは中央と地方は一体でありますから、中央、地方の間の財政措置の調整、これはもう非常な大きなスケールで出てくるわけであります。そういう中において、ただいま申し上げたような精神をできる限り織り込んでいくということをはっきり申し上げておきたいと思います。
  20. 細谷治嘉

    ○細谷委員 一問だけ。これは私、新聞で見たのですけれども大蔵省では地方財政再建計画、これは長期財政構想の一環としてということですが、四十一年度から三カ年の計画でおやりになる。その内容というのは、歳出の合理化、財源の確保、こういう二点に焦点をしぼってその内容も発表されておるわけでありますが、そういう構想があるのかどうか。そういうお考え大臣、お持ちかどうか、それを簡単にお聞きしたい。
  21. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 国のほうでも少し三年、五年ぐらいな長期の財政考え方を持ちたいと思っております。私は地方のほうもそうあってほしいと思います。しかし国のほうが財政の相当大きな転換も昭和四十一年度、来年度からするわけです。その影響を地方はずいぶん大きくかぶるわけでありますが、そういうことで、四十一年度からというのはむずかしいのじゃないかと思いますが、とにかく中央でも少し長目の考え方をするに伴いまして、地方のほうでももう少し根本的な財政問題の考え方というものをしたほうがいいのじゃないか、こういうふうに思います。ただいま新聞をごらんになってのお話がございましたが、そういう具体的なことは考えておりません。まだ抽象的な意味におきまして、地方はたいへんな財政状態になってきた、どこかの時点で少し根本的に考え直さなければならぬ時期にきている、こういうことは考えておるのです。
  22. 中馬辰猪

    中馬委員長 大臣、ありがとうございました。
  23. 川村継義

    川村委員 いま大蔵大臣に二、三お伺いしましたけれども、ほんとうに地方財政に対する確たる方針というものがなかなか短い時間では伺えませんでしたが、私続いていまの点にも触れながら、今度は自治省当局にお考えをこの際聞いておきたいと思います。もういろいろこまかな数字にわたって聞くような時間はないと思いますから、ひとつ的確にお答えいただきたい。  いま私が大蔵大臣に初めて第一に聞いた問題でありますけれども、この三条二項に関係する、いわゆる精算はしないという、これをきちっときめてしまったということであります。私は年度決算で大きな穴があくなんということは、これはおそらく政府考えるはずもないし、そういう見込みを立てるなんというばかなことはいままでだってありませんし、これはないと思う。やはり年度決算からすると、三税の収入は今度修正されて、新しい見込み額となった二兆二千四百億よりもやはり上回った決算額が出る。そうなった場合には、これは後年精算をするということをやはり生かしておいたほうが地方財政に大きなプラスをするものではなかったかと私は実は考えておる。それが三十億であろうと五十億であろうと、もらうべきものはやはりもらうというようなことが必要ではないか。特に昨年は百五十億を給与改定に借りた。ことしは三百億借りる。それを毎年返していく、この先食いをしていくところの状態などということは、私たちはたいへん残念に思うんです。そういう意味で、これは政務次官にお考えをお聞きしますけれども精算をしないときめてしまったことと、精算をするという従来の四条の規定を残しておいたほうと、どっちが一体よかったかということなんであります。政務次官、あなたのお考えはいかがですか。
  24. 大西正男

    ○大西政府委員 お尋ねの点につきましては、見込みの問題でございますので、結果を見なければ何とも申し上げられないのでございますが、今回の措置は、交渉の過程におきましてそういうことになったわけでございます。なお、詳しくは局長のほうからお答え申し上げます。
  25. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 補足いたしましてお答え申し上げます。  川村先生がおっしゃるような考え方、これも確かに一つ考え方であります。私どもも交渉の過程でいろいろ思い悩んだ点でございます。しかし、昨年の事例を考えますと、ともかく決算上の特別の操作をしてまでも、そのつじつまを合わさなければならなかったといったような事情もありました。それから今年度の状況ももちろんかた目に見積もるでございましょうけれども、それによって特別異常な増収が出てしまうということがあり得るかというと、まずむずかしい。そうしますると、そこで精算規定を生かすような形でいろいろ問題を処理しようといたしますると、別にまたそれに付随する問題などがいろいろ出てくるおそれがある。むしろ、そこはあっさりと割り切ったほうがよくはないか、交付税の総額というものについて特別の規定を置くという方針をとったほうが、むしろ問題を総合的に見た場合に片づけやすかろう。これはまあ理屈はいろいろございますけれども、実際問題としてまいりますれば、いろいろの措置がからみ合っておるわけでございますので、どうせ、精算がかりに出てまいりましても、そうたいした額にはならぬだろう、そういう判断に立ったわけでございまして、全体としての措置交付税だけでございませんで、地方債措置だとか、あるいは前借り金額だとか、いろいろなものを総合的に判断いたしました結果、そこは踏み切ったわけでございます。
  26. 川村継義

    川村委員 自治省の苦心というのは、お話からよく察知できます。ただ今日の地方財政、来年度以降の地方財政、いろいろ考えていけば、自治省が五百十二億を減額させないでこれを埋めさせるというようなこと、あるいは給与の財源を借り入れるというような手だて等々を配慮して、いまのお話のように精算しないことに踏み切った、いわば譲った、そういう点もわからぬではないですけれども、そこのところはあまり妥協の産物として出過ぎたのじゃないか。金額はたいしたことはないかもしれませんよ。しかしやはり特別会計の四条という規定がある以上は、それを特例特例で押えつけていくというような考え方では、私はどうも納得がいかないという考え方が残っておるわけです。地方財政が非常に豊かなときならばいざ知らず、これからもっともっと苦しくなっていこうと考えるときに、しかも来年度交付税伸びというものはおそらく期待できないかもしれない。先ほど大蔵大臣は、来年度は七%から八%の伸びだと考えると言っているけれども、はたしてどうなることかわからぬわけです。また自信あるように大蔵大臣言っていますけれども、変な見込み違いをしたらたいへんな事態になるということも一応踏まえておいていただきたい。そういうことから、この三条の二項の規定については、私が申し上げたような疑問点が残ってしかたがない、こういうことであります。  それから第二点としてお聞きしたのでありますけれども、先ほど大蔵大臣は、いわゆる起債の問題について、心配ない、心配するな、公債でも半分は政府資金で持つのだ、運用部資金で持つのだ、こういうようなことを言っておりますけれども、これはあらゆる人たちが、財界筋等も心配しておる問題であります。そういう点から考えると、私としては、たいへん憂慮しているわけですが、その辺について、ひとつ今度は財政局長から少し釈明をしていただきたい、よく説明を聞かせておいてもらいたいと思います。自治省のほうでもおわかりだと思いますけれども、初めに私が申し上げるような数字が適当であるかどうかの説明と、それに対する考え方、これをひとつぜひ聞かせていただきたい。私が先ほど申し上げましたように、地方財政が全般的な悪化の状況にあることは、もうここでくどくど私が申し上げるまでもありません。いつか日銀が公表した数字だと私覚えておりますけれども都市銀行地方銀行地方公共団体融資をしている額が、これは地方債保有を含めて三月末現在で六千四百八十八億、こういうふうにいわれております。これは昨年の同じ時期の融資に比べると、千六百六十一億、三四・四%も増加をしておる。しかもこれは三十九年度財政計画の二割に相当する、こういう額だ。このことは先ほど申し上げましたように、相互銀行とか生命保険、損害保険会社、こういうものから融資を受けておるものを含めて三月末現在で八千億円に上っておると見込まれておる、こういうことであります。これはたいへんな負担だと実は思っておるわけです。こういう状態の中に、本年度地方債計画にもずいぶんと公募債が大きく出ておる。公募債が当初千七百七十四億でしたか見込まれておるわけです。今度地方債計画で修正追加をされたのに、私がいただいておる資料によると八百五十五億となっておる。その中で公募債が五百五十億ある。いまも銀行等は、特に都銀あたりの意見によりますと、地方公共団体には預貸率が二一九・九%となっておって、富裕団体はいざ知らず、ほかの地方団体にはもうとてもとても融資をするどころのあれはないんだ、非常に警戒をしておるというような状況だそうであります。そういう中に今度公債が発行される。これは市中消化、いわゆる割り当てをして消化をさせようと考えておる。当然そこに地方債公募と競合する部面が出てくるのではないか。はたしてうまくいくかどうか。非常に地方団体の苦しい財政の中にそういう状況があらわれてくると、地方団体はますます財源繰りに苦労をせざるを得ない状況に追い込まれるのではないか、こういうことを心配しておるわけです。  そこで、先ほどお尋ねしましたように、その都市銀行等々から借り入れておるところの今日の現況、それから公債発行等に伴う地方財政に与える、あるいは地方債消化等の問題についての影響等々を、ひとつお考えを聞かせてもらいたいと思うのです。
  27. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 先ほどの御質問、私がお答えしようかと実は思ったのですが、大蔵当局に対します御質問でございましたので控えましたが、私どもの調査では、昭和三十九年度末におきまする地方債の推定現債高、三十九年度の発行見込み額が明確につかめておりませんので、ここに若干推定が入りますが、現債高は二兆二千七百億、その中で政府資金が一兆四千億でありまして、残り八千六百八十億というものは御説のとおり公募債でございます。ただしこの中には交付公債が六百億含まれております。それで、この消化がどうなるかということでありますが、今年度は実は産業界の状態がやや沈滞ぎみでございまして、逆に地方債に対する投資状況は進んでおるわけでございます。いままでのところ、公募債消化状況、買い入れ状況というものはきわめて順調でございまして、いままで地方債に応募しなかったようなものも地方債に対して手を出しかけておる、こういうような情勢すらあるのでございます。先ほど大蔵大臣がいろいろおっしゃいました中で、本年度国債の問題に触れておられましたが、いままで既定の投融資計画がございまして、その投融資計画というものに対してあまりショックを与えずに国債が割り込んでいくためにはどうしたらいいか、こういう観点から預金部資金国債を買うといったような手段をとらざるを得ない、こういうようなことのようであります。本筋から申しますと、預金部資金国債を買うということ自身が、私どもからいわせますれば本筋じゃないのじゃないかというように実は思うのでございまして、私どもといたしましては、やはり政府資金の集めてまいりますルートからいいますならば、政府資金地方債への還元の度合いを高めるというのが、政府資金のあり方としては本筋じゃなかろうか、こういう考え方を貫いてまいっておりまして、なお毎年交渉に当たってきたわけでございますけれども、結果的には、残念ながら政府全体の投融資計画、特に投融資の持つ経済に対する指導的役割り、従来金融と税制というものでもっていろいろ財政を動かし、経済を動かしてまいりましたそういう経緯、政府資金というものが相当対産業政策に活用されたこういう経緯から、必ずしも私どもの意図するような方向には行っておりません。しかし本筋からいいますれば、やはり政府資金というものはなるべく地方に還元させるべきではないか、そういうことで事あるごとにこのことはやかましくいっております。今後におきましても、そういうことをずっと主張し続けていくつもりであります。特に来年度になってまいりますと、国債の額が比較的大きくなってまいります。そうすると、どうしても地方債の、特に公募消化につきましてははなはだ心配される状態であります。来年の財政状態を見ますれば、一般会計に対しまする地方債の額も、理想論はいろいろございますけれども、理想論はともかくとして、現実問題として考えますれば、いやでもふえていかざるを得ないだろう。そうすると、かりにそこに公募というものが入り込んでくるということになってまいりますと、一体どうして消化を保証するかといった問題も出てくるおそれがあるのではなかろうかということをひそかに心配しておるわけでございます。現在までのところは、公募債は相当持っておりますけれども、いままでのところはあまり心配がない。現に地方債計画以外のワク公募債につきましても相当順調に融資の道が開けておるような状態であります。しかし景気回復調に向かってまいりますると、この傾向が逆になるおそれがある。そうしますと、御心配になるようなことがもっとはっきりした形をとってあらわれてくるのではなかろうか、こういう心配を抱いておるわけであります。全体の方向としては政府資金の充当率を高めるべきであるが、もし、政府資金が十分でない場合においては、たとえば公営企業の公庫債等の政府保証債はこれをもって大幅に増額すべし、こういう考え方を基調として折衝に当たるつもりであります。
  28. 川村継義

    川村委員 実は来年度の問題等も当然関係して考えなければなりませんが、実は予算編成の最終時期にも入っておるし、大臣のお考えをぜひこの際聞きたいと思いますが、大臣がおられませんから、かわって政務次官からひとついまの点についてお考えをお聞かせいただきたいと思う。政府資金がいわゆる産業界に相当多く重点的に流されておる。どうも地方公共団体の仕事をまかなっていく地方債の中に、だんだんだんだん政府資金の占める位置というものは低下してくる。公募債にたよる率が大きくなっておる。これは、いま柴田さんの御説明にもありましたが、私は非常に残念なことだと思うのです。ことしは公共事業の返上等が相当行なわれたと聞いております。そういうような事態が今後も起こるかもしれない。特に来年は公債が七千億も発行されるなんということになりますと、これはたいへんな事態になるわけです。一体地方団体公共事業等の投資的な経費をまかない得るかどうか、こういう点も心配になるわけです。そうなると、そういうものは、地方の団体が行なっていく公共事業の裏打ちになるような資金については、大量に政府資金によるところの地方債考えてやるというような筋道をとらねばならぬのではないか。今度の予算編成で、そういうような計画がどういうように編まれてくるか、たいへん実は心配をしておるわけです。そこで政務次官が今日まで努力をなさっておること、あるいは今後どういう点で努力をして、そういう意味で成果をひとつ見せてもらえるか、その辺の考えを、この際大臣にかわってひとつお聞かせいただきたいと思う。
  29. 大西正男

    ○大西政府委員 地方財政年度の問題につきまして、非常な御心配をいただいておりますことは、まことにありがたく存ずる次第でございます。御承知のように、来年度公債発行の規模、それから減税の規模、そういうものがいまだ未確定でございますけれども、大体想像されるところは、平年度三千億以上の減税と申しましょうか、それから公債発行については七千億以上の規模と申しましょうか、そういうことが一応予想をされるわけでございます。そういうふうな観点に立ちまして申し上げますと、来年度地方財政におきましては約三千三百六十億の不足をこのままでありますと来たすのではないか、こういうことが考えられるのでございまして、どうしても、地方財政の健全な発展を期するためには、いま申し上げました財源を確保する必要があるのでございます。ところで、この三千三百六十億という数字につきましては、まだ未確定の要素もたくさんあるわけなのでございます。そこで大蔵当局との間におきまして、まだその辺の数字の確定ができておらないわけでございますが、これは目下事務当局におきまして、極力この数字の点について互いに折衝をいたしておるわけでございます。お尋ねの点につきましては、わが省といたしましては、いわゆる政府資金による部分を大きく地方財政の面にもらうことができますように極力現在努力中でございます。
  30. 川村継義

    川村委員 地方債問題だけでなくて、やはり地方財源の確保のためには、特に関係の自治省において真剣に努力を願わなければならぬ問題点が多くございますから、四十一年度予算編成にあたっては格段の努力をしていただくことを、この際ぜひひとつお願いをしておきたいと思います。  そこで、簡単に来年度のお考えをひとつ聞いておきたいと思いますが、いま次官のことばの中に、来年度は財源不足というような考え方で三千億以上の問題が出てくるのではないかというおことばがあったわけであります。これは財政局長に初めお聞きいたしますが、経常的な収支で一体どれくらいの落ち込みというか不足というか、それが考えられておるのか。あるいはいよいよ二、三日すると税制調査会の答申が出るわけです。地方税の減税も出る、国税の減税も出る、三千億以上というような線が出るかもしれない。それらに伴って一体地方財政の減収というものがどれくらい出てくるのか。あるいは公共事業等のいわゆる投資的経費において一体どういう見込みになってくるのか。総計して三千三百億とかいうようなことがよく言われておるようでありますけれども、それらの一応の来年度見通し説明いただいて、それに対処するに自治省としては現在どういう考え方を持っておるのか、あるいは大蔵当局とどういう折衝をしておるのか、その辺のところを説明願いたいと思います。
  31. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 減税の規模も明確ではございませんし、国の公共投資の増加見込み等といたしましても明確ではございません。したがって、具体的に計数を確定することができませんので、いろいろの前提をたくさん置いて試算をしてみると、先ほど政務次官がおっしゃったような数字が一応出てまいります。それにはたくさんの前提がありますので、いまこの席で、具体的な計数がこうなるということを申し上げるには若干まだ計数の中身が荒過ぎるというように思いますので、具体的な問題を申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思うのありますが、いずれにいたしましても、経済成長率をどう見るかということが基礎になって、現行制度のもとにおける税収入というのが幾ら伸びるかということが一つのかぎです。それから社会保障関係経費のはね返りと申しますか、地方団体に対します部分がどうなるかというのが第二番目のかぎと申しますか、それから来年の増員、減員等の関係がどうなるかというのが三つ目のかぎ、経常収支については大きく申しましてその三つが前後を左右する。それから税制改正の問題が四つ目と申しますか、それらの問題がきまりませんと、明確に計数が出てまいりません。しかし大ざっぱな傾向として言い得ることは、とにかく経常収支というものは、税収入の鈍化ということから考えますならば相当伸びが落ちるだろう、従来の三十九年、四十年に比べまして相当大幅な落ちじゃないだろうか。それに対してさらに減税ということが加わってまいりますと、経常収支についていままで考えてもみなかったような額の穴があくことはまず確実、その額が千億になるのか二千億になるのか、そこらのことはまた計数上のいろいろな問題がございますけれども、相当考えてもみなかった陥没といいますか、歳入不足が起こることはまず確実だというように思われるのであります。従来は地方財政全体としては、金が足るとか足らぬとかいう問題はごさいました。しかし投資的経費を含めた上でのいわゆる歳入不足ということが常に問題であった。来年度の場合は、経常の、暮らし向きそのものに事欠くというような状態になることはまず明らかである。これはどんなことがあっても、経常的なもので詰めていただかなければ、借金して経常的な生活をしなければいかぬ。この経常的な暮らし向きの金を一体どういう形でやるか。具体論を申し上げなければ、あるいはお気に召しませんかもしれませんけれども、この具体論は、いろいろ国の御都合もありましょうし、私どもといたしましては、基本的にはでき得べくんば税源をもらいたい、地方自治のたてまえから言いますならば、税源というものがやはり拡充されていくという方向でもってものを考えていくのが本筋であろう。交付税ももちろん大事でございますが、何もかも交付税というよりか、まず基本的な主税源というものを充実する方向でものを考えるべきだろうと思います。しかし、何ぶんにも国が公債を発行してやっていこう、財政を講じていこうという状態であります。国民は、国、地方をあげて税金を減らせということを申しておるような状態でございますので、そこらのところになってまいりますと、なかなか問題はそう簡単にいかないかもしれない。しかし私どもの気持ちとしては、やはり第一番目には主税源、その次は交付税、こういう問題になっていかざるを得ないのではないか。これが地方団体財政をあずかるものとしては当然の考え方ではないかと考える次第であります。投資的経費につきましては、これは全く国の公共事業伸びがどうなるかということにかかるわけでございまして、先ほど政務次官から言われました計数の基礎になっていますのは、公共事業が相当大幅に伸びるという前提であります。その前提がはたしてそのようなかっこうになるかどうか、国家財政の中も決して楽じゃないようでもございますので、その辺のところが具体的に明らかになってまいりますれば、計数はおのずから固まってくる、公共投資と申しましてもいろいろございまして、たとえば普通建設に非常にウエートを置く場合、災害復旧に非常にウエートを置いている場合、あるいは直轄事業におもなウエートが置かれている場合、それぞれによりまして地方負担は非常に激増いたします。普通建設が伸びますれば地方負担は激増いたしますし、直轄事業や災害復旧が中心になって工事をいたしました場合は、地方負担の伸びはそれほどではございません。したがってその辺のところは、事業をやってまいりませんと実は何とも申し上げられない。地方債現状から申しますならば、私ども地方債の多きをこいねがうのではございません。投資的経費もでき得べくんば、ある程度自主財源をもって充てられるような仕組みがほしいのでありますけれども、しかし先ほど申し上げましたように国、地方を通ずる財政の現況を考えますれば、そうばかりも言っておられないかもしれない、まあこのように考えるわけでありまして、投資的経費につきましてはある程度地方債というものは、増加することはやむを得ないというように考えておる次第でございます。
  32. 川村継義

    川村委員 大蔵省の佐藤さんにお聞きいたしますけれども、いま私は自治省に対して、来年度からもっともっと心配になる地方財政に対して、どういう腹づもりをもって対処しようとしておられるか、その点をお聞きしているわけです。  そこで、いま柴田さんの考え方の中にも出てまいりましたが、地方団体に自主財源を与えるということ、これは非常に大きな問題でございまして、地方団体としても数年来強く要望、要求をいたしておる問題であります。このことを佐藤さんに申し上げたら恐縮でございますけれども、やはり国の施策というものは、地方団体がなければ実効があがるものではないわけでありますから、言うなれば一体としてやはり進められねばならぬ。そういう意味からは、国も地方財政というものをもっともっと重要視して考えてしかるべきである、私たちはこう思っておる。大蔵省が、地方団体地方団体だ、おまえたちはおまえたちでやれ、金が要るならばこれくらいは貸してやってもいい、そういうものの考え方でやってもらっては困る。給与財源の与え方についても、貸すというような悪いくせをつくってしまったわけでありますけれども、こういうことで地方財政を苦しめていくということはやってはならぬ。地方の公務員などというものは、ほとんど大部分国の仕事をやっているわけですからね。いわゆる国の下請みたいなことをやっておる、これが実態です。そういう意味から言うと、公務員のベースアップについて金を貸してやろうというようなものの考え方は、そのまま受け取るわけにはまいらない。ところが、その資本は三百億貸そう、それは交付税からひとつ払え、これは先食いだというかっこうになってしまっては困る。こういうようなことをあなたに申し上げて実は恐縮ですけれども大蔵大臣に実はこういう点をもっともっと明確にしてもらいたい問題であります。大蔵大臣おりませんから、またあと大蔵大臣にはさらに聞くことにいたしますけれども、いま大蔵省として自主財源を与えるということについて何か検討しておられますか。ということは、地方制度調査会で行政事務の再配分、税源の配分というのが大きな問題になっている。地方制度調査会ではまだ完全に税源の配分まで手はついていない、そういう実情にはございますけれども、やろうと思えばやれる問題があるわけです。  そこで、第一に大蔵省として地方団体の財源を確立するために、自主財源というものについていかなるものを与えるかという検討をしておられるかどうか。おられるなら、そういう考え方についてひとつお聞かせをいただきたい。それが一つ。  第二は、あなたも御存じのとおりに、いま地方団体は超過負担というものに非常に悩まされておる、これは御承知のとおりであります。三十九年度補助事業についてみても一千百億以上の超過負担をしておると調査は示しております。また一般の国民は税外負担というものに非常に苦しんでいる、この実態も御存じだと思います。税外負担の解消の問題等々ございますけれども、それはしばらくおくとして、超過負担というものは、これは国の責任において解消せねばならぬと私は思います。財政の秩序を正しくしろというこの地方制度調査会の答申が出てからもう数年になりますが、一向この財政秩序の確立というものが実効があがらない。これもやはり一つ財政運用にあると思う。超過負担の解消をはっきりやるだけの決意を持っていま大蔵省は臨んでおられるかどうか。またこの点につきましては自治省の次官でも局長でもよろしゅうございますけれども、超過負担の解消についてどういう手をいま打っておられるか、両方からひとつ第二の問題については御意見を聞いておきたいと思います。
  33. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。第一に、先生御指摘になりました自主財源の問題でございますが、自主財源は申すまでもなく、その配分を、国と地方とどういうふうに税源の配分をするかということにつきましては、国と地方との事務の配分と密接な関係がございまして、現在は現在なりの考えで配分が行なわれ、財源の配分も行なわれておるものと承知しておりますけれども、これが御指摘のようにいろいろな問題がある。これにつきましては恒久的な問題でございますので、抜本的にいろいろな角度から検討が行なわれるべきものだと考えております。ただ当面、地方財政はたいへんな苦しい状況になっている。そこで財源が、地方団体の現行の財源だけでは足りない、何か国からもっと援助をしてくれ、その援助の方法としまして一番好ましいものは自主財源である。これは交付税の配分よりももっと重要である、こういうふうに先ほど自治省から御答弁があったわけでございますが、当面の問題としまして、私どもといたしましては、自主財源なり交付税なり、そういう方法で総合的に検討しておる段階でございます。具体的には自治省のほうもいろいろ項目をあげられましていろいろ要望を受けておるわけでございますが、まだはっきりした結論に至っておりません。  それから第二の超過負担でございますが、超過負担につきましては、実は私どもとしても千百四十三億円というような巨額の超過負担があるということで、至るところで責められておるわけでございます。これにつきましては、私どもにも言いたいことが二、三あるわけでございます。  それは、第一に、その総額千百四十三億円というものは自治省において急遽おまとめになった。したがいまして、その数字の大きさその他につきましてはいろいろ検討の余地があろうかと思います。それから超過負担というのは、私ども考えておりますところでは、国が地方に補助する場合に、その補助基準というものが、これではやっていけない、こういうふうな、地方でその仕事をする以上、この単価ではやれないというようなものであれば、これはもう国の責任である、こういうふうに思います。ただ、国が補助した単価でもやれないことはないけれども、わが団体ではもう少しよくやろう、こういう意味であれば、そういう使い方は、地方自治で当然許容されておるわけでございますから、その分は超過負担という角度よりも、むしろ単独事業の変形である、こういうふうに思っております。しかしながら、現在、それでは超過負担が、大蔵省考えておるものはゼロかというと、そういうことではございません。いろいろ御批判があって、私どもも反省してやらなきやならぬ、こういうふうに思っております。したがいまして、この問題につきましては、種々御指摘のあったようなぐあいに、抜本的に改善できるかどうかについては必ずしも自信はございませんけれども、できるだけのことはしたい、こういうことで鋭意検討を進めております。しかし、いろいろ検討して痛感しますことは、これは単にひとり大蔵省だけの問題ではございませんで、やはり各省、それから各地方団体というものの全体の運び方の気がまえの問題ではあるまいか、こういう感じがしておるわけでございます。
  34. 川村継義

    川村委員 私がいまここに立っておりますのは、いわゆる予算の内示期に来ておるから、来年度のこと、あるいはそのあとのことを考えると、地方財政はたいへんじゃないか、こういうような気持ちで、いま自治省当局にも聞くし、あなたにも実はお聞きしているわけです。そこで、自主財源の問題については全然結論が出ていないということでありますけれども、そういうような考え方がいつまででも大蔵省の皆さん方の中にありますと、これこそ大きくは自治体というものを破壊していく結果になる。それも十分ひとつ考えておいていただかなければならぬ。これは地方自治に関する基本的な問題として、ぜひ検討を願わねばならぬ問題で、何としても、もっともっと自主的な税源を地方団体に移す、これは大蔵省が当然責任を持っておることで、検討すべきであります。大蔵省がりっぱな税源だけを握りしめておるということは許されない。これは、あとでまた大蔵大臣から十分聞きたいと思いますが、ただ、いまのお話の超過負担の問題については、たいへん私、異様な感じを受けているわけです。もちろん、あなたが言われたように、ある学校をつくる、この学校には十教室の教室をつくればよろしい、ところが、地方団体が、まあうちの学校はせっかくだから十五教室をつくろうという場合に、その五教室分、それをわれわれは超過負担とは言っていないのです。十教室つくらなければならぬ。文部省が十教室はつくってしかるべきだと言って認証した。ところが実際にやってみると、地方団体の持ち出し分が非常に大きいというようなことをわれわれは考え、指摘してきている。いわゆる補助単価であるとか、補助基本額であるとか、そういうものは実情にそぐわない。非常に低く見積もってある。これは国の職員であるいわゆる補助職員等の給与の、国から支給されているところの単価を見てごらんなさい。こういうことが言えるのです。そういうものを拾い出して考えるときに、自治省が調べたという、三十九年度の一千百何十億という、それがそのままぴしっとまるまる超過負担額であるかどうか別ですよ。あるいはもっと大きいかもしれませんよ。ところが、何としても信用の置けるところの調査額というものは、やはり一千億以上というものは超過負担額としてある。これは確認してもらわなければならぬ。そういうものを解消するには、やはり前々から指摘されているように、基本額を是正するとか、補助単価を適正にするとか、いろいろの方法で大蔵省が当然考えてやるべきではありませんか。それによって地方財政が大きく乱れておる。圧迫を受けておる。やがてはそれが住民に転嫁される。税外負担となって転嫁されぬというような秩序を確立することがまた一つ大事であります。そういう点について、今度の予算編成で、不合理な補助単価、あるいは基本額、そういうものを是正される用意があるのか、どうなのか、それをいま一度聞いておきたいと思います。
  35. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 超過負担の問題の解決につきましては、できるだけ本年度努力してまいるつもりでおります。
  36. 川村継義

    川村委員 自治省、どうですか政務次官。
  37. 大西正男

    ○大西政府委員 超過負担の解消ということが、地方財政の確立と申しますか、これに対して重要なウエートを持っておりますことは御指摘のとおりでございます。ただ、いま大蔵当局からもお話がありましたように、一千百億をこえる超過負担が現にあるわけでございます。これを一挙に解決することができますならば、これにこしたことはないと思いますが、そこにもいろいろ問題があろうかと思います。そこで、重点的に必要とする分をまず解消して、漸次解消していく道も考えなければならないのではないかと考えるのであります。なお、この問題は、いま大蔵当局からもお話のございましたように、各省に関係する問題でございますので、各省とも連携をいたしまして、解消の方向に大きく前進のできますようにいたしたい、このように考え努力中でございます。
  38. 川村継義

    川村委員 何か具体的にめどがつきましたか。もういよいよ予算もやがてできますよ。何かめどが具体的につきましたか。ただ、次官、失礼ですけれども、そのようにひとつ努力する努力するでは、これは百年河清を待つというようなことになってしまう。一拳にできないならば、もうやむを得ません。一体どこまでどういうものが出ているのか、何か具体的にめどがありますか。
  39. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 非常に事務的な問題でございますので、私からお答え申し上げます。  超過負担の問題というのは、当委員会でもかねがね問題にされ、御議論をいただいておるわけでございます。私どもも何とか超過負担といったようなものの存在をなくしたいという気持ちで従来からおりましたし、努力もしてまいりました。しかし、その実績は、御承知のように成果は思うようにあがっておりません。なぜ一体超過負担が起こってくるかという問題をやはりもっと掘り下げて検討をして、そうしてその上に立ってこの解決をはかっていかなければならぬ、こういうことを考え直す必要があるし、同時にまた、超過負担と言われるものも、推計ではなくして、一応実態を調べてみようじゃないか、その上に立ってひとつ判断をしていこうじゃないか、こういう考え方に立って、先般超過負担の実態なるものを調べてみたわけでございます。その結果が、先ほど来御指摘のありましたように、千億をこえるという結果が出てまいったのであります。この中身をつぶさに拾ってまいりますと、いろいろここに問題があることは明らかであります。一体なぜ超過負担が起こるかといいますと、単価がともかく実態に沿わないという問題は確かにものによってございます。しかしまた逆に、査定を受けた単価を、今度は補助金を補助負担金として配ります場合に、どういう配り方をするか、その配り方の部分に、場合においてまた超過負担というものが査定の意図に反して出てまいる場合がある。第三番目には、一応補助金をもらう補助条件を受ける場合に、その条件が受けられないような条件である、財政の能力からいえば、それは困るような条件でありましても、それを唯々諾々として受けるという補助金を受ける者の態度、やはりこの三つに問題が分かれてくるのであります。したがって、予算において直すべき問題は、補助単価というものを、やはり実態に近いものにしてもらうということが一つ。それから第二番目には、補助条件というものを妥当なものにしてもらう、まともな補助金をまともに配るという仕組みというものをどうしても打ち立てなければならぬ。第三番目には、補助金を受けます地方団体からこじき根性をなくすことであります。ところが補助金の中で、負担金と、ほんとうの意味における奨励的補助金に属するものとがあり、この奨励的補助金に属するものは断われるわけでありますから、遠慮なく断わればいいのであって、そこのところははっきり理由をあげて断われるような仕組みをつくってやらなければならぬ。負担金に属するものについては、これはやはり事のよしあしを問わず、地方団体としてはやらねばならぬ問題であります。国家としてもやってもらわねばならぬ問題であります。そういう種類に属するものにつきましては、補助条件をまともにする、補助単価そのものもまともにしてもらわなければならぬ、こういうことに大体なるだろうと思います。そこで問題になるのは、何もかも扱いますと戦線がきわめて広大になりまして、とても勢力が分散してしまう。したがって、重要項目にしぼりたい。一番地方が困っておりますのは、一つは人件費系統の問題、それから土地とかあるいは建物の単価の問題、それから委託費系統の問題、国民年金でございますとか国民健康保険でございますとか、こういう問題だと思います。その辺に中心を置いて、関係各省に強力に働きかけをする。問題は、話がやや具体的になりますけれども予算には要求なければ否定なしということばがあります。したがって主務官庁が要求してもらわなければ、大蔵省としては直したくても直しようがないということになるわけでございます。したがって、予算要求をいたしますれば、どうせ査定があるにきまっている、否定があれば初めからのむわけではなくて、初めは切ってこれをやる、その場合に、そのまま引っ込んでもらえばこれは片づかぬのであります。自治省が主管でございますればそれはがんばりますけれども、残念ながらよその役所が主管でありますから、その主管の役所にそこはがんばってもらうように突っぱりをしなければならぬということになりますが、なかなか話がむずかしいのであります。むずかしいのでありますけれども、だんだん各省もその気になってきておりますし、大蔵省の中でも、何とか直せるものは直してもいいじゃなかろうかというような空気も出てきつつあるようにも、私ども横から見ておって拝見をするわけであります。従来の大蔵省の態度とはだいぶ違う。ここにおられます佐藤主計官などはいろいろ努力してもらっておるわけであります。そういうようなことで、空気は若干違います。しかし、どこまでできるかというのはやってみなければわからぬ。また二月、三月になりますればおしかりを受けるような事態になるかもしれませんけれども、われわれとしては、われわれのできる範囲においてできるだけ単価を直したい。しかしそれだけではものは片づきません。どうしてもやはり補助条件の適正化ということについて何か考えなければならぬということを私は痛切に感じるわけであります。
  40. 川村継義

    川村委員 考え方はよくわかりますが、佐藤主計官に私のほうから要望しておきます。自治省は非常に大きな期待を持っておるようですから、一拳にやれとは言いませんが、できるものを早急に是正して、税外負担、超過負担の解消に各省とよく連絡の上に実現をしてもらいたい。これだけをひとつ申し上げておきたいと思います。  実は私は、いま一つこの際、ぜひ給与問題についてお聞きをしなければならぬと考えております。ところが、あと華山委員の質問が、昨日の残りとして用意されておりますからして、この辺でやめさせていただきますが、ただ、これはひとつ政務次官からでもよろしゅうございますから、あと大臣には聞きますけれども大臣にひとつ問題を伝えておいていただきたいと思います。地方公務員給与改定について次官通達が出ております。この次官通達のものの考え方に、やはりいろいろ問題点があるということですが、どうせ給与問題をお聞きするとなると、人事院の方あるいは総理府の方に来てもらわなければならぬ。しかし、きょうはそういうことはいたしませんが、ただ一つ次官を通して問題をお考えいただきたいと思いますことは、今度の人事院勧告については、もうこれは内閣委員会で給与法は通ったわけです。人事院勧告の実施は九月からということもきまってしまった。過ぎたことをとやかく言ったっても始まらないことでありますけれども、この人事院勧告には、官民給与の比較の問題、あるいは俸給表のとり方の問題、初任給の問題、諸手当の問題等、たくさんの問題を含んでおります。ところが、地方公務員は国家公務員よりも高いといわれるところが少しはあるようであります。ところが、いつも指摘されるような町村段階になりますと、その指数は皆さん方の調査によっても明らかであります。こういうような状態の中に低い給与をそのまま押しつけていくということは、これは大きな問題であろうと思います。そこで、私は次官にひとつお聞きしますが、次官、たいへん失礼でございますけれども、次官は、一カ月にどれくらいの食費があればやっていかれる御自信がございますか。
  41. 大西正男

    ○大西政府委員 私は川村委員と別に変わらぬと思っております。
  42. 川村継義

    川村委員 おそらく次官は、一日に三百円あるいは三百五十円そこそこ、月にいたしまして一万円以内で食費はまかなっておられないと思う。ここの国会の食堂のものを食べても、これは特別かもしれませんが、そういうことが言えるわけです。そこで、今度の人事院勧告の一つの基礎になっておりますこの標準生計費にもいろいろ問題があるわけであります。実は私は、昨年もそういう点を強く指摘したと思うのですけれども、今度成年男子一人の標準生計費が月一万圧千五百九十円となっておる。成年男子の高校卒業の初任給のランクの一万五千五百九十円の中に食費は六千九百十円で、これで一カ月生活しろという。そのほか、光熱費あるいは被服費、雑費、こう見てありますが、住居光熱費にいたしましても二千七百四十円、被服費一千四百八十円、これはちょっとシャツ一枚買うたらもうおしまいになるということですから、これはたいへんな実は内容を持っておるわけです。食費にいたしましても六千九百十円、つまり一日に二百円余りで生活をしなければならぬ、こういうことであります。こういうような標準生計費の取り方というようなことで構成をされておりますから、現在の公務員の給与そのものが非常に低く押えられるという姿が出てくるわけです。幾つかの要素がございますよ。ただ生計費をとってみるとそういう点が明らかに指摘されるわけです。次官は御存じないかと思いますけれども、動物園の動物が一体一日にどれくらいで養われておるかということになりますと、人間は、実は動物園の食糧費を考えてみると、十三番目くらいになるのですね。人間の次にくるものはシマウマ、イノシシ、カモシカ、ペンギンで、シマウマがちょうど上町動物園で二百円だそうです。ところが人間よりも上のやつが、二百五十六円というニホングマがおる。牛が三百円、これよりも人間のほうが安いんですね。こういう動物の食糧費をずっと並べてみると、ちょらど人間が十三番目にくる。こういうような食べもので食っていけ、生きていけ。それが標準生計費の一要素をなしておるわけですね。こういうような問題があります。  そこでひとつあなたから大臣に——私は実は大臣にこの九月実施の問題、地方公務員に対する対策の問題、五人委員会の決定の問題等も聞いておきたいと思うのですが、きょうはおられませんので、これは宿題にしておきますから、私が申し上げたように、大臣は一体生計費をどれくらいでやっていかれるか、その辺のところをひとつあなたから、川村はこんなことを言いよったということを一言伝えておいてください。この次大臣にもまたあわせて聞きますから、それだけお願いして私の質問を終わります。
  43. 大西正男

    ○大西政府委員 御要望の点は大臣にお伝えしておきますが、ただ人間の食費を動物と比較をなさいましたけれども、これは比喩的な問題で、特にその点を重視されてのお話ではないと思いますけれども、これはその動物の食べておるお金のかかっておるものを、われわれが食ったところで食えないのでございます。そしてわれわれの人間の食物を動物に与えましても、動物はかりに人間の最上の料理を与えましても、動物はそれによって腹をこやしていくわけにもまいるまいと思います。ですからその比喩というものは当たらないのではないか、かように存じますので、一言申し上げておきます。
  44. 中馬辰猪

    中馬委員長 細谷委員
  45. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、先ほどの超過負担の問題について関連して質問するのでありますが、財政局長のお答え、私どもがいままで教わっておったよりもずいぶん紳士的な態度でものを言われておりましたが、佐藤主計官のことばを聞いて私はあ然としました。私はまだ若いので、ところどころことばの荒い点があるかもしれませんけれども、質問をさせていただきたいと思います。  佐藤さんの先ほどの答弁によりますと、自治省の数字はでたらめだ。ゼロとは言わぬけれども、あんなものじゃない、こういう印象を受けるおことばであったと思うのですが、そのとおりですか。
  46. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 私の申し上げましたのは、ことばが足らなかったかとも存じますが、千百四十三億円という数字につきまして、これはいろいろ見方もあるところではなかろうか、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  47. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ゼロとは言わぬけれどもということばは、あれはどういうことですか。たいへん意味が重要な問題ですよ。ゼロとは言わぬけれどもということは、自治省の千百四十億ですか、これは荒唐無稽の数字なんだ、こういうことになるのですが、ゼロとは言わぬけれども、そのまま自治省の数字を確認することはできない。内容はいろいろあります。しかしゼロとは言わぬけれどもといりことばはたいへんなことじゃありませんか。ゼロとは言わぬというのは、本意じゃないということですね。本意じゃないということでしょう。はっきり言ってくださいよ。
  48. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 数字につきまして、ゼロとは言わないけれどもということはどうも言い過ぎでございました。
  49. 細谷治嘉

    ○細谷委員 お尋ねしますが、この春の四十八国会でたいへんな論議をかもした農地報償法案について、市町村に事務費を幾らやったか、具体的にお尋ねします。
  50. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 私の所管でないものでございますので、いまここに数字を持ち合わせておりません。
  51. 細谷治嘉

    ○細谷委員 所管ではない。総理府の所管ということでしょう。これはひとつ具体的に、農地報償法案について専務費を幾らやったか、資料を出していただきたいと思う。——わかりますか。
  52. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 県と市町村合計いたしまして二億八千百万円。
  53. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二億八千百万円といいますと、私の承知しておる範囲では、ある市、ある町等について幾つかの点について調べたのでありますけれども、大体六、七万円しかきていないのです。これでやれると思いますか。この事務はたいへんなものなんです。法務局で全部登記簿をひっくり返さなければならぬ。過去のものを、ちりの積もったやつを、六万や七万の金で一つの団体が、市なり町というのがあの事務をやれるとはとうてい考えられぬのです。たくさんの臨時の職員を雇ってやっているのです。大体どの程度充足したおつもりかどうか。大蔵省おわかりにならなければ、自治省にお尋ねします。
  54. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 農地被買収者等給付金支給事務に関係する地方団体に対します委託費は、先ほどお話のございましたように、両方合わせて二億八千百九十四万四千円でありまして、この事務を始めます場合には、私どもこの話を聞いたときには、実はちょっと少ないかなという感じは初めは持っておったのであります。しかしいろいろ聞いてまいりますと、実情は御指摘になったように、非常に足らないという団体もあります。それから、必ずしもそうでもないという団体もあります。これはやはりこの給付金支給事務のバラエティによって、多少その間に間差が出てきておるのだろうと思いますけれども、いろいろ聞くところによりますと、非常に足らぬ、半分くらいしかいっていないというところもありますし、いや、そうでもないというところもございます。まあ私どもの耳に入りますのは、足っておるところはあまり言いませんで、足らぬところが多うございますけれども、その辺のところでも、半分程度とか七割程度あるいは八割、いろいろその間にバラエティがあるようでございますが、全体としてはやっぱり足らないのだという感じを持っております。
  55. 細谷治嘉

    ○細谷委員 抽象的で、非常にことばはきれいなようでありますけれども、足らないところが多いということはお認めになった。余るはずはないわけでありますけれども、ちょうどそっくり実費がいったという個所はないようなお答えのようであります。これは実際はたいへんな負担になっておるのです。私が調べました一つの市、これは七万五千円ぐらいきている。実際は三十万円ぐらいかかっておるのですよ。私が調べました二つの町、これもたいへんな事務なんです。職員が昼休みにおべんとうを食べる日本間を、おそらく二十畳ぐらいあるでしょう、そこで全部ひっくり返して連日のように事務をやっています。一体幾らぐらいかかるのですかと言ったら、国からもらうのはわずか六万円です、こういう話です。私もこの事務費だけは、あれだけもめた法案でありますから、これは一〇〇%ついておるのじゃないかと思っておった。とたんにその町村長からたいへんな大国玉をくったのです。  そこでお尋ねしますが、この足らぬ分については、これは国の事務なんですね。端的に言いますと、法務局も上からくる経費で足らない、そして足らぬで、焼け石に水のような市町村にきた事務費を法務局のほうの事務費に現実には回してやっているという実態もあるわけで、その足らぬ分を何とかなさるおつもりはあるのかどうか、これは大蔵省にお聞きします。自治省はむろんやるつもりでしょうから、大蔵省いかがですか。
  56. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 私の担当していない事項でございますので、明確な御答弁はちょっとできかねるのでございますが、仕事のやりふりにつきましては、一応こういう予算でやってほしいということでございまして、法務局の手薄に対しまして市町村で応援したということがございましても、それにつきましてさらにその手間を計算して国のほうで追加するということは、常識的に考えましてできないのではないかと思っております。
  57. 細谷治嘉

    ○細谷委員 農地報償法案のやつは自分が主管でないから知らぬ。自治体が委託を受けてやっているのですよ。あなたが担当でしょう、主計官として。千百三十四億という三十九年度の超過負担、あれは大した数字じゃないのだ、確認できない数字だと言っている。あらゆる省に関係した数字だと言っておる。農地報償法案一つについて、自分の責任ではないから知らぬと言っている。それでどうして全体を批判する力があるのですか。おかしいじゃないですか。森の一本の木のことも知らぬで森全体のことを間違っているなんて批判するのはおこがましいですよ。  もう一つ私自治省にお願いしたい。たいへんな負担になっておりますから、実態を調べていただいて、この種のものについては、これはやはり完全に、国民健康保険事務費と同様であります。完全にひとつこの年度内にでも補てんしていただきたい、こう思うのです。これは超過負担の一例であります。超過負担というのは、おっしゃるようにいろいろな種類がございます。地方財政法に基ついて当然国が完全に事務費を出さなければならぬものを出しておらない。そういう国の補助金、負担金、あるいは単価が、あるいはこの対象面積が足らないで超過負担を強制されておるような問題、あるいは現実には権力で押しつけられて出しておるものがございますよ。いい例が、私はこの間鹿児島に行った。委員長の故郷ですよ。どういうことがあったかといいますと、警察の交番を建てるというのでありますが、一文も出ていないのです。国費は出ておりません。県費も出ておりません。みんな地元で負担させておる。自由意思に基づく寄付だと言っていますけれども、これは税外負担といっても、完全な自治省の千百三十四億に入らない数字の税外負担か何か知りませんけれども、これは超過負担ではないのですか。大蔵省どうお考えなんですか。
  58. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 細谷委員のおあげになりました例は、千百三十四億の超過負担には原則として入っていない、こういうふうに了解しております。
  59. 細谷治嘉

    ○細谷委員 お医者さんに対する保健所の費用はどのくらい見ておるのですか。主計官御存じですか。
  60. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 保健所の医師に対します補助金、その中の補助単価につきましては、現行の補助単価は三万円台でございます。
  61. 細谷治嘉

    ○細谷委員 三万円でお医者さんを雇えますか。雇えるなら雇ってください。雇えるのかどうか、きちっと答えてください。
  62. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 一人の医師を三万円で雇うという場合に、これは地方公務員になるわけでございますが、フルタイムといたしますと、   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕 まあお医者さんの経験年数と申しますか、資格をとってから何年かということでもって、俸給表における格づけがきまっておるわけでございます。したがいまして、お医者さんは公務員になった場合すべて三万三千円では雇えない、こういうことではないわけでございます。しかしながら、実情といたしましては保健所の医師は年とった方が多い、そういうことで、現実には三万二千円より上回っております。それからもう一つ、定期的と申しますか、フルタイムでずっと勤務しておる医師というものだけではなくて、パートタイム的なと申しますか、そういう医師も中に含まれておるように聞いております。
  63. 細谷治嘉

    ○細谷委員 年とったお医者さんを雇い過ぎているからということでありますけれども、ひとつ三万三千円ぐらいで雇えるなら、大蔵省でお医者さんを全部雇っていただきましょうか。そうすれば超過負担なんてややこしい問題はございませんし、私どもも、いまここでお聞きして、自治省と大蔵省の見解がまるきり違うなんていう不愉快なことを耳にしなくていいのです。お医者さんを三万三千円で雇えないということは自明です。常識であります。  では、改良普及員はどのくらいで雇えるとお思いですか。
  64. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 改良普及員につきましては標準の格づけがきめてございまして、その等級はその農業改良普及員の職種によっても異なっておるわけでございますが、七等級の四号、六等級の三号、そういうふうに職種は分かれております。
  65. 細谷治嘉

    ○細谷委員 改良普及員は、四十年度の補助単価は幾らですか。
  66. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 年間で申しまして三十四万五千円でございます。
  67. 細谷治嘉

    ○細谷委員 三十四万というと、月給は二万ちょっとでしょう、そうでしょう、期末手当がありますから。高等学校の卒業の初任給は幾らですか。
  68. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 同等学校を卒業いたしますと、一般職の七等級の二号前後、一号加算しまして七等級の三号くらいでございますので、いまの単価よりやや低いところであります。
  69. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの単価よりやや低いでしょう。大体において大蔵省が見ているのは、高等学校を出て一、二年したくらいの技術者を雇い入れて、それで農業改良の指導ができますか。できると大蔵省はお考えでしょうか。高等学校を出て二、三年の農業改良普及員で近代的な農業技術の指導ができると思うのですか。
  70. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 補助単価としましては、職種に分かれて、それぞれ基準となるべき等級、号俸をきめておるわけでございます。したがいまして、農業改良普及員は、その主力は、いま御指摘ありましたように、七等級の四号、二万数千円でございますが、その指導的地位にある人はむろんもっと高い給与でございます。
  71. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これもたいへんな大蔵省の現実離れのした単価です。農業の改良普及といえば、医者がかなりの臨床経験がなければ一人前の医者となれないと同じように、農業改良普及員だって、農業改良に関する臨床経験がなければだめなんです。高等学校を出て二、三年の平均給料でやるなんて、これはどぶだめに金を捨てるようなものだ。しかし地方は、それじゃいけないから何とか一人前に近い、あるいは一人前の仕事ができるような改良普及員をやっている。超過負担が起こっているのですよ。こういうのを拾い上げていきますと、これはたいへんな問題です。  私はこの夏、五木村というところへ行った。衆議院の地方行政委員会の国政調査の一員として参加した。そこではどういうことがあるかというと、僻地です、無医村になるのです。医者を雇うには二十万なければ来手がないというのです。二十万だけではいけないのですよ。自動車を買って運転手をつけてやらなければ絶対来ないのです。たいへんな超過負担になっているのです。そういうことはおそらく御存じだろうと思うのですよ。大蔵省というのは、何か日本の官僚の中では一番トップクラスだ、日本の頭脳の代表だといわれているのですから、御存じだろうと思う。それを知らぬふりか、あるいは権力で自治省を押えている。今度は自治省の力をかりて自治体である市町村を押えつけている。今日の地方財政の危機なんというのは各省が超過負担を強要したというのではなくて、御本尊は大蔵省ですよ。大蔵省が実態に即しないことをやっているからだと思う。ところが最近は、自治省の財政局長がおっしゃるように、大蔵省も多少は認識を新たにしたようで、なるほど超過負担というものはこれは困りものだ、こういうことになったようでありますけれども、新聞等によりますと、それはあまり各省なり地方団体からやかましくいわれないような、超過負担はせぬように努力しよう、自治省は二カ年計画をお持ちで各省に協力方を要請しておるようでありますが、それに対して大蔵省はどうかというと、ではその辺のほうは超過負担が出ないようにしよう、そのかわり総額では変わらないで、対象人員とかなんとかを削るぞ、こういう方法を考えているというふうに新聞に書いてありましたが、まことの事柄でございましょうか、大蔵省考えをお聞きしたい。
  72. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 いろいろ超過負担について御指摘がありまして、私どももたいへん参考になったわけでございますが、いまの農業改良普及員の例等見まして、私どもの検討の中には、一体補助すべきかどうかということが、まずその補助金について超過負担があるということ以前にあるわけでございます。したがいまして、これは人件費補助ということで、中央官庁がその仕事の水準を確保するために地方団体に補助金を出してひもをつける、そういうことの必要がどの程度あるかということも超過負担の際にあわせて検討したい、こういう態度でおるわけでございます。
  73. 細谷治嘉

    ○細谷委員 当然出さなければいかぬものを、財政事情をたてにとるでしょう。超過負担というのは単価と数なんですね。その相乗積でいくのだ、結果は。単価だけを上げておいて、一方かけるほうの人数なら人数、対象人員を削れば額は変わらないのです。同じなんです、超過負担は。そういう意図を盛んに考えているようであります。いま超過負担は、頭を隠したけれども、しりはまる出しですよ。七万人の補助職員がおる、こんなもの削ってしまえ、こういうことでかまえておるように新聞で書いてあります。私は、そんな理不尽な子供だましのようなことは、トップクラスの大蔵省はおやりにならないと思うのですけれども、この超過負担についてはいろいろ言いたいことがある。自治省にも言いたい、大蔵省にもいま私は申し上げたのです。そうすると、この超過負担の問題というものは、今日の地方財政では地方団体がときとしては、三分の一の補助率を二分の一にしてくれ、二分の一の補助率を三分の二にしてくれという補助率の陳情をしておりますけれども、二分の一から三分の二にと富んでおったら、もらった金額は変わらなかった、対象を減らしているのですから。それでは意味をなさないのです。今日地方財政のほんとうの立場らいいますと、補助率を上げるなんという問題よりも、きまった補助率で、超過負担を伴わないで、きちっと国庫から出してもらう、こうやれば地方財政の危機というものはずいぶん緩和されますよ。そういうことでひとつやっていただきたいと思うのですが、これについての自治省のかまえと大蔵省の決意のほどをひとつお聞かせ願いたい。
  74. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 全体としての御議論はおっしゃるとおりだと思うのでございます。ただ財政を預かるものの立場から考えますれば、私どもはまともな補助金をまともに出してもらいたい、それが財政秩序を正すゆえんだ、こう考えるわけでございます。全体としての財源のワクというものがあるわけでございますから、その中で譲ったことを正しい方向に直して金を出すならば、それはある程度対象が縮まる場合だってやむを得ない。したがって私は、必要な仕事、どうしてもやらなきやならぬという仕事については、やはりまともな補助金をまともに出して、そして個所を減らすというようなことになれば、これは仕事に差しつかえるということであれば、個所を減らすべきじゃない。しかし、仕事によっては個所を減らしてもやむを得ないものもあろうかと思います。そこのところは、全体としての補助負担金を見渡した上で、事柄をきめていったらいいんじゃなかろうか。私どもが念願いたしておりますことは、結局そうしてかりに補助負担金をまともに近づけて直しましても、それを今度は実際に補助金を交付いたします場合にまかれてしまう、薄くなってしまう。この事例は、現に私どもが知っておりますのは、先ほど川村先金もいろいろおっしゃっておりましたが、文教関係の補助金、あるいは厚生関係の補助金には非常に多い。つまり、補助条件の段階において査定の意図というものがひん曲げられてしまったというのが相当あります。これをどうして直すかというのも、やはり一つの問題だろうと思います。私は先ほど補助金の超過負担の問題を三つに分けて申し上げましたのも、そういう趣旨でございます。まず単価を直し、対象を合理化するのも大事でございますけれども、その次にはどうしても補助条件というものの適正化に手をつけなければ秩序は変わっていかないというふうに考えるわけでございます。
  75. 佐藤吉男

    ○佐藤説明員 超過負担の解消問題といいますか、御指摘のような財政の姿勢を正す方向で努力しろ、こういうおことばでございますが、そういうふうに努力してまいりたいと思います。
  76. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの柴田局長のおことば、私はそこに悪循環があるんじゃないかと思います。特に文教関係は、本来ならば三分の一の補助が来るはずなんだ。それを文部省の段階で薄める、県教委の段階で薄めるんです。屋内体育館を建てようとすると、三分の一の補助が来たはずでありますけれども、結果としては八%とか一割くらいの補助しかない。文部省のところでまず面積を減らす。単価はもう実際単価じゃないのですから、面積を減らす。そして、今度は県教委あたりにいきますと、文部省から五つもらってきたものを八つにして配る、こういうふうなことになりますから、これは八%か一割くらいしかない。三三%もらうはずのがそうなる。そうなるものですから、地方団体の側から見ますと、どうせ超過負担というのは伴うんだから、大体三三%が一二%くらいにでもなっておればこれはけっこうなことだから、ひとつやつちゃおうじゃないか、こういうことになりまして、地方財政にとってはやはりたいへんな悪循環というものが起こってくるわけなんです。と同時に、とにかく超過負担を覚悟で、地方財政にとっては毒と知りつつのむ補助金なんです。補助金をのんでおる。これがどんどんどんどん地方財政の危機への悪循環をなしておる。こういう点で合理的な形において国の補助金等が流されるという前提に立てば、そして、超過負担というものが伴わないということであれば、これはやはりことしやらぬでも来年までひとつ待とうじゃないか、もう二年待とうか、こういうことになって、地方財政のけじめもついてくると私は思うのです。こういうふうに思っているんですが、自治省はこの超過負担の問題に対してどういう形で地方団体を指導するつもりなのか、最後にお伺いしたい。
  77. 柴田護

    ○柴田(護)政府委員 御趣旨につきましては私ども大体そのとおりだと思います。だから一番簡単な方法は、要するに、補助金をやめて一般財源に振りかえて、この範囲でやったらよかろうというのが一番徹底した方法でありますけれども、国と地方との財政関係を考えてまいりますと、そうもいかない。国と地方とが負担を分かち合ってやっていくことがいい仕事もありますけれども、また場合によっては、国が補助金を与えてやっていくということが必要なものもあります。問題は、補助金行政にまつわるいろいろな問題というのは、いまおっしゃいました問題と、一ぺん出したものはやはり膠着してしまうものだから、出すほうは少しでも削ろうとする。よけい出せばこれが大きなガンになってしまうから削ろうとする。そこで片一方はふんだくろうとする。そして削るほうと取るほうとでいろいろやっているうちに、いいかげんなところで妥協が成り立って、そのしわが地方に寄る、こういうことになる。先ほど来もおっしゃいました人間の問題などというのは、これは実際生きているなま身のものを扱うわけですから、なま身のものが中途半端で半殺しにされてはたまったものではない。これをやはりまともにしてもらわぬことには行政がゆがんでしまうのではないか。だから人件費に関する補助金というのはひとつはっきりしてもらいたい。これは考え方は二つあるわけであります。個々具体の人に対して補助金を出す、したがって現実に合って単価を減算して、それに合った人を雇うというきびしい条件をつけるというやり方、それからグロスでもって補助金を与えまして、この中でこれに合った有能な人を雇いなさい、何人でもよろしい、三人分の積算をするけれども、いい人なら二人でやりなさい、こういうやり方、そうなってまいりますと、これは補助金と申しましても、個々具体の人に対する補助金というよりかは、むしろ人件費の総体に対する考え方になるわけでありますけれども、そういう方法がとれぬものだろうかということをいままで何回か話してまいりました。しかし、それがなかなかできませんのは、やはり補助条件というものをそこでつけて行政をしばろうとするわけです。こういうことにその解決のなかなかむずかしいネックがある。そこで、それじゃ行政という立場からある一定の人間を確保しなければできないということであれば、それはまともな補助金を出すように、これを単価その他について是正をしていただかなければいかぬのじゃなかろううか、こいう方向でまず人件費の問題を取り上げていこう。それから委託費の問題、これは私は国民健康保険の問題でしょっちゅう言っておりますけれども、国民健康保険の単価が実態に合わない。なるほど地方にも、いろいろ指摘されれば改めるべきところもあるかもしれません。しかしながら、かりに一人二百円でできるならば、国が模範を示すべきじゃないか。つまり、こういう事務機構で、こういう事務の執行のやり方をすれば二百円でできるはずだ、このモデルを示して、二百円という単価で推しているのなら、それはやらない地方団体のほうに非がある。しかし、そういうモデルも示さずに二百円で何とかやってくれという態度は、世間のいわゆる委任関係ではないはずだ。弁護士さんだって、その辺はもうちょっとやかましい。だから国としては、主管官庁の大蔵省が二百円と査定されて、これでいいというので妥協するならば、こういうモデルでやってくれという、モデルといいますか基準というものを示すべきである。そこで初めてどちらに非があるかわかるのではないか。そのくらいのことをしてもよかろうという話をするわけであります。やはり人件費関係の補助金、委託費、建築費の単価、この三つはどうしても直してもらいたい、こういうことでまず初めたいと思うわけであります。
  78. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    正午休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕