○柴田(護)
政府委員 減税の規模も明確ではございませんし、国の公共投資の
増加の
見込み等といたしましても明確ではございません。したがって、具体的に計数を確定することができませんので、いろいろの前提をたくさん置いて試算をしてみると、先ほど政務次官がおっしゃったような数字が一応出てまいります。それにはたくさんの前提がありますので、いまこの席で、具体的な計数がこうなるということを申し上げるには若干まだ計数の中身が荒過ぎるというように思いますので、具体的な問題を申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思うのありますが、いずれにいたしましても、
経済の
成長率をどう見るかということが基礎になって、現行制度のもとにおける
税収入というのが幾ら
伸びるかということが
一つのかぎです。それから社会保障関係経費のはね返りと申しますか、
地方団体に対します部分がどうなるかというのが第二番目のかぎと申しますか、それから来年の増員、減員等の関係がどうなるかというのが三つ目のかぎ、経常収支については大きく申しましてその三つが前後を左右する。それから税制改正の問題が四つ目と申しますか、それらの問題がきまりませんと、明確に計数が出てまいりません。しかし大ざっぱな傾向として言い得ることは、とにかく経常収支というものは、
税収入の鈍化ということから
考えますならば相当
伸びが落ちるだろう、従来の三十九年、四十年に比べまして相当大幅な落ちじゃないだろうか。それに対してさらに減税ということが加わってまいりますと、経常収支についていままで
考えてもみなかったような額の穴があくことはまず確実、その額が千億になるのか二千億になるのか、そこらのことはまた計数上のいろいろな問題がございますけれ
ども、相当
考えてもみなかった陥没といいますか、歳入不足が起こることはまず確実だというように思われるのであります。従来は
地方財政全体としては、金が足るとか足らぬとかいう問題はごさいました。しかし投資的経費を含めた上でのいわゆる歳入不足ということが常に問題であった。来
年度の場合は、経常の、暮らし向きそのものに事欠くというような
状態になることはまず明らかである。これはどんなことがあっても、経常的なもので詰めていただかなければ、借金して経常的な生活をしなければいかぬ。この経常的な暮らし向きの金を一体どういう形でやるか。具体論を申し上げなければ、あるいはお気に召しませんかもしれませんけれ
ども、この具体論は、いろいろ国の御都合もありましょうし、私
どもといたしましては、基本的にはでき得べくんば税源をもらいたい、
地方自治のたてまえから言いますならば、税源というものがやはり拡充されていくという方向でもってものを
考えていくのが本筋であろう。
交付税ももちろん大事でございますが、何もかも
交付税というよりか、まず基本的な主税源というものを充実する方向でものを
考えるべきだろうと思います。しかし、何ぶんにも国が公債を発行してやっていこう、
財政を講じていこうという
状態であります。国民は、国、
地方をあげて税金を減らせということを申しておるような
状態でございますので、そこらのところになってまいりますと、なかなか問題はそう簡単にいかないかもしれない。しかし私
どもの気持ちとしては、やはり第一番目には主税源、その次は
交付税、こういう問題になっていかざるを得ないのではないか。これが
地方団体の
財政をあずかるものとしては当然の
考え方ではないかと
考える次第であります。投資的経費につきましては、これは全く国の
公共事業の
伸びがどうなるかということにかかるわけでございまして、先ほど政務次官から言われました計数の基礎になっていますのは、
公共事業が相当大幅に
伸びるという前提であります。その前提がはたしてそのようなかっこうになるかどうか、国家
財政の中も決して楽じゃないようでもございますので、その辺のところが具体的に明らかになってまいりますれば、計数はおのずから固まってくる、公共投資と申しましてもいろいろございまして、たとえば普通建設に非常にウエートを置く場合、災害復旧に非常にウエートを置いている場合、あるいは直轄
事業におもなウエートが置かれている場合、それぞれによりまして
地方負担は非常に激増いたします。普通建設が
伸びますれば
地方負担は激増いたしますし、直轄
事業や災害復旧が中心になって工事をいたしました場合は、
地方負担の
伸びはそれほどではございません。したがってその辺のところは、
事業をやってまいりませんと実は何とも申し上げられない。
地方債の
現状から申しますならば、私
どもは
地方債の多きをこいねがうのではございません。投資的経費もでき得べくんば、ある
程度自主財源をもって充てられるような仕組みがほしいのでありますけれ
ども、しかし先ほど申し上げましたように国、
地方を通ずる
財政の現況を
考えますれば、そうばかりも言っておられないかもしれない、まあこのように
考えるわけでありまして、投資的経費につきましてはある
程度の
地方債というものは、
増加することはやむを得ないというように
考えておる次第でございます。