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1966-06-24 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十四日(金曜日)    午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       押谷 富三君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       砂田 重民君    谷川 和穗君       地崎宇三郎君    西岡 武夫君       羽田武嗣郎君    福田 繁芳君       村山 達雄君    毛利 松平君       山本 勝市君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    有馬 輝武君       小林  進君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    平岡忠次郎君       山田 耻目君    横山 利秋君       春日 一幸君    永末 英一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (主税局長)  塩崎  潤君         大蔵事務官         (国有財産局         長)      松永  勇君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐竹  浩君         国税庁長官   泉 美之松君         建設政務次官  谷垣 專一君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君  委員外出席者         検    事         (刑事局刑事課         長)      伊藤 栄樹君         大蔵事務官         (銀行局中小金         融課長)    塚本石五郎君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      松本  茂君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 六月二十三日  委員押谷富三君、野口忠夫君及び横山利秋君辞  任につき、その補欠として遠藤三郎君、中澤茂  一君及び川俣清音君が議長指名委員選任  された。 同日  委員遠藤三郎君、川俣清音君及び中澤茂一君辞  任につき、その補欠として押谷富三君、横山利  秋君及び野口忠夫君が議長指名委員選任  された。 同月二十四日  委員山田耻目君辞任につき、その補欠として帆  足計君が議長指名委員選任された。 同日  委員帆足計辞任につき、その補欠として山田  耻目君議長指名委員選任された。     ――――――――――――― 六月二十三日  入場税軽減に関する請願野原覺紹介)(第五  八七二号)  同(肥田次郎紹介)(第五八七三号)  同(栗山礼行紹介)(第五九三〇号)  同(西尾末廣君紹介)(第五九三一号)  同(西村榮一紹介)(第五九三二号)  同(井岡大治紹介)(第五九九一号)  同(鈴木茂三郎紹介)(第五九九二号)  同(松田竹千代紹介)(第五九九三号)  国民金融公庫環境衛生部融資による公衆浴場業  者の借入金利子減免に関する請願赤澤正道君  紹介)(第五九三三号)  同(坊秀男紹介)(第五九九四号)  旧陸海軍の永年勤続女子共済組合員年金支給  に関する請願灘尾弘吉紹介)(第五九三四  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月二十三日  長期譲渡所得課税方式改正等に関する陳情書  (第五九三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する  法律案内閣提出第一五〇号)  所得に対する租税及びある種の他の租税に関す  る二重課税回避のための日本国ドイツ連邦  共和国との間の協定実施に伴う所得税法、法  人税法及び地方税法特例等に関する法律案  (内閣提出第一四六号)(参議院送付)  閉会中審査に関する件  請 願    一 バナナ関税率据置きに関する請願、      (田澤吉郎君外一名紹介)(第一一号)    二 医療法人課税是正に関する請願(堀      川恭平紹介)(第三四八号)    三 企業組合に対する課税適正化に関する      請願小川半次紹介)(第五四〇号)    四 同外一件(白浜仁吉紹介)(第九九七    五 バナナ関税率据置きに関する請願      (野原正勝紹介)(第九九八号)    六 同(井出一太郎紹介)(第一〇七三      号)    七 同(増田甲子七君紹介)(第一〇七四      号)    八 同(唐澤俊樹紹介)(第一一三八号)    九 同(吉川久衛紹介)(第一一三九号)   一〇 同(下平正一紹介)(第一一四〇号)   一一 同(中澤茂一紹介)(第一一四一号)   一二 同(羽田武嗣郎紹介)(一一四二号)   一三 同(原茂紹介)(第一一四三号)   一四 同(松平忠久紹介)(第一一四四号)   一五 地方公務員互助団体掛金所得控除に      関する請願井出一太郎紹介)(第一      〇七五号)   一六 同(増田甲子七君紹介)(第一〇七六      号)   一七 同(唐澤俊樹紹介)(第一一四五      号)   一八 同(吉川久衛紹介)(第一一四六号)   一九 同(下平正一紹介)(第一一四七号)   二〇 同(中澤茂一紹介)(第一一四八号)   二一 同(羽田武嗣郎紹介)(第一一四九      号)   二二 同(原茂紹介)(第一一五〇号)   二三 同(松平忠久紹介)(第一一五一号)   二四 東京都狛江町の畦畔所有権に関する請      願(福田篤泰紹介)(第一二二九号)   二五 バナナ関税率据置きに関する請願      (小坂善太郎紹介)(第一二三〇号)   二六 同(小川平二紹介)(第一二八〇号)   二七 同(小坂善太郎紹介)(第一二六一      号)   二八 同(林百郎君紹介)(第一二六二号)   二九 医療法人課税是正に関する請願(毛      利松平紹介)(第一二三一号)   三〇 葉たばこ収納価格引上げ等に関する請      願(湊徹郎紹介)(第一二四七号)   三一 地方公務員互助団体掛金所得控除に      関する請願小川平二紹介)(第一二      六三号)   三二 同(小坂善太郎紹介)(第一二六四      号)   三三 同(林百郎君紹介)(第一二六五号)   三四 個人企業完全給与制実施に関する請      願(山田彌一紹介)(第一三二一号)   三五 各種共済組合法増加恩給受給権者に      対する不均衡是正に関する請願(小      川半次紹介)(第一四一〇号)   三六 同(原健三郎紹介)(第一四一一号)   三七 企業組合に対する課税適正化に関する      請願小川半次紹介)(第一四三四      号)   三八 各種共済組合法増加恩給受給権者に      対する不均衡是正に関する請願(高      瀬傳紹介)(第一四五六号)   三九 個人企業完全給与制実施に関する請      願外十件(森下元晴君紹介)(第一五六      三号)   四〇 税関職員の増員及び労働環境改善に関      する請願大出俊紹介)(第一六五〇      号)   四一 元室蘭税務署職員の遺族に見舞金支給      等に関する請願泊谷裕夫紹介)(第      一六八一号)   四二 各種共済組合法増加恩給受給権者に      対する不均衡是正に関する請願(小      川半次紹介)(第一七三二号)   四三 同(黒金泰美紹介)(第一七九六号)   四四 同(高瀬傳紹介)(第一八五三号)   四五 同(中曽根康弘紹介)(第一八五四      号)   四六 同(藤本孝雄君外一名紹介)(第一八五      五号)   四七 同(粟山秀紹介)(第一八五六号)   四八 貸金営業法制定に関する請願鴨田宗      一君紹介)(第一七三三号)   四九 国民金融公庫法に基づく更生資金貸付      限度額引上げに関する請願木村剛輔      君紹介)(第一八四一号)   五〇 各種共済組合法増加恩給受給権者に      対する不均衡是正に関する請願(砂      原格紹介)(第一九〇三号)   五一 同(田中龍夫紹介)(第一九〇四号)   五二 同(中野四郎紹介)(第一九〇五号)   五三 同(保科善四郎紹介)(第二〇五三      号)   五四 同(田口長治郎紹介)(第二〇七八      号)   五五 同(増田甲子七君紹介)(第二〇七九      号)   五六 税制改正に関する請願(林百郎君紹      介)(第二一五一号)   五七 同(平林剛紹介)(第二一九二号)   五八 同外六件(山田耻目君紹介)(第二一九      三号)   五九 同(藤田高敏紹介)(第二二四一号)   六〇 同(武藤山治紹介)(第二二四二号)   六一 各種共済組合法増加恩給受給権者に      対する不均衡是正に関する請願(赤      澤正道紹介)(第二二九三号)   六二 同(小川平二紹介)(第二二九四号)   六三 同(羽田武嗣郎紹介)(第二三二六      号)   六四 同(小坂善太郎紹介)(第二三四六      号)   六五 同(唐澤俊樹紹介)(第二三六二号)   六六 同(吉川久衛紹介)(第二三六三号)   六七 同(田澤吉郎紹介)(第二三六四号)   六八 同(増田甲子七君紹介)(第二三六五      号)   六九 同(松山千惠子紹介)(第二五三八      号)   七〇 税制改正に関する請願横山利秋君紹      介)(第二二九五号)   七一 同外五件(足鹿覺紹介)(第二三二四      号)   七二 同(神近市子紹介)(第二三二五号)   七三 同(足鹿覺紹介)(第二三六一号)   七四 各種共済組合法増加恩給受給権者に      対する不均衡是正に関する請願(倉      石忠雄紹介)(第二五七九号)   七五 同(坊秀男紹介)(第二六四三号)   七六 税制改正に関する請願外一件(山田耻      目君紹介)(第二五八〇号)   七七 同(井手以誠君紹介)(第二六二一号)   七八 同(只松祐治紹介)(第二六四四号)   七九 同(小林進紹介)(第二七五四号)   八〇 同外二件(山田耻目君紹介)(第二八五      九号)   八一 同外六件(山田耻目君紹介)(第二九一      三号)   八二 戦傷病者恩給担保融資額是正に関      する請願大坪保雄紹介)(第二八八      四号)   八三 同(藤本孝雄紹介)(第二九一〇号)   八四 同(森下元晴君紹介)(第二九一一号)   八五 同(西村直己紹介)(第二九五〇号)   八六 各種共済組合法増加恩給受権者に対      する不均衡是正に関する請願増田      甲子七君紹介)(第二九一二号)   八七 農業所得における専従者控除引上げ等      に関する請願池田清志紹介)(第二      九九三号)   八八 税制改正に関する請願野口忠夫君紹      介)(第二九九四号)   八九 戦傷病者恩給担保融資額是正に関      する請願相川勝六紹介)(第三〇二      六号)   九〇 同(加藤常太郎紹介)(第三〇二七      号)   九一 同(小金義照紹介)(第三一二七号)   九二 同(小川半次紹介)(第三二七七号)   九三 同(遠藤三郎紹介)(第三三三〇号)   九四 同(砂原格紹介)(第三三三一号)   九五 同(田澤吉郎紹介)(第三三三二号)   九六 同(高瀬傳紹介)(第三三三三号)   九七 国民金融公庫環境衛生部融資による公      衆浴場業者借入金利子減免に関する      請願中野四郎紹介)(第三三二八      号)   九八 公衆浴場業に対する所得税及び法人税      減免に関する請願中野四郎紹介)      (第三三二九号)   九九 戦傷病者恩給担保融資額是正に関      する請願植木庚子郎君紹介)(第三四      五一号)  一〇〇 同(赤澤正通紹介)(第三五二三号)  一〇一 同(丹羽喬四郎紹介)(第三五七九      号)  一〇二 同(野原正勝紹介)(第三五八〇号)  一〇三 同(中野四郎紹介)(第三五八一号)  一〇四 同(今松治郎紹介)(第三六〇二号)  一〇五 同(木村俊夫紹介)(第三六〇三号)  一〇六 同(田中龍夫紹介)(第三六〇四号)  一〇七 同(黒金泰美紹介)(第三七二九号)  一〇八 同(松澤雄藏紹介)(第三九七六号)  一〇九 黄色申告制度創設に関する請願(永井      勝次郎君紹介)(第三九六二号)  一一〇 都市近郊農地相続税軽減に関する請      願(福田篤泰紹介)(第三九九九号)  一一一 戦傷病者恩給担保融資額是正に関      する請願床次徳二紹介)(第四〇三      三号)  一一二 同外一件(大橋武夫紹介)(第四〇三      四号)  一一三 同(仮谷忠男紹介)(第四一六〇号)  一一四 地震保険制度確立に関する請願小川      平二紹介)(第四二七九号)  一一五 同(唐澤俊樹紹介)(第四二八〇号)  一一六 同(小坂善太郎紹介)(第四二八一      号)  一一七 同(羽田武嗣郎紹介)(第四二八二      号)  一一八 同(吉川久衛紹介)(第四三一一号)  一一九 同(下平正一紹介)(第四三一二号)  一二〇 同(中澤茂一紹介)(第四三一三号)  一二一 同(原茂紹介)(第四三五九号)  一二二 同(倉石忠雄紹介)(第四四二〇号)  一二三 同(増田甲子七君紹介)(第四四二一      号)  一二四 各種共済組合法増加恩給受給権者に      対する不均衡是正に関する請願(羽      田武嗣郎紹介)(第四三五八号)  一二五 地震保険制度確立に関する請願井出      一太郎紹介)(第四四九四号)  一二六 戦傷病者に対する所得税軽減に関す      る請願小川半次紹介)(第四五一九      号)  一二七 同(高瀬傳紹介)(第四五二〇号)  一二八 同(原健三郎紹介)(第四五二一号)  一二九 戦時中の軍部前渡金返納義務免除に関      する請願西村直己紹介)(第四五二      二号)  一三〇 国民金融公庫環境衛生部融資による公      衆浴場業者借入金利子減免に関する      請願上村千一郎紹介)(第四六七五      号)  一三一 公衆浴場業に対する所得税及び法人税      減免に関する請願上村千一郎君紹      介)(第四六七六号)  一三二 土地対策のための税制改正に関する請      願(逢澤寛君紹介)(第四七二二号)  一三三 同外一件(岡崎英城紹介)(第四七二      三号)  一三四 同(福田繁芳紹介)(第四七二四号)  一三五 同(大泉寛三君紹介)(第四八〇〇号)  一三六 同(押谷富三紹介)(第四八〇一号)  一三七 同(鴨田宗一紹介)(第四八〇二号)  一三八 同(野田卯一紹介)(第四八〇三号)  一三九 同(藤枝泉介紹介)(第四八〇四号)  一四〇 同(堀川恭平紹介)(第四八〇五号)  一四一 地震保険制度確立に関する請願松平      忠久紹介)(第四七六〇号)  一四二 各種共済組合法増加恩給受給権者に      対する不均衡是正に関する請願(小      沢辰男紹介)(第四八五七号)  一四三 土地対策のための税制改正に関する請      願(井岡大治紹介)(第四九一七号)  一四四 同(加藤常太郎紹介)(第四九一八      号)  一四五 同(菅野和太郎紹介)(第四九九〇      号)  一四六 同(渡辺美智雄紹介)(第五〇六九      号)  一四七 国民金融公庫環境衛生部融資による公      衆浴場業者借入金利子減免に関する      請願今澄勇紹介)(第四九一九号)  一四八 同(荒舩清十郎紹介)(第五〇六一      号)  一四九 同(鴨田宗一紹介)(第五〇六二号)  一五〇 同(古井喜實紹介)(第五〇六三号)  一五一 同(山本勝市君紹介)(第五〇六四号)  一五二 公衆浴場業に対する所得税及び法人税      減免に関する請願今澄勇紹介)(第      四九二〇号)  一五三 同(鴨田宗一紹介)(第五〇六五号)  一五四 同(熊谷義雄紹介)(第五〇六六号)  一五五 同外一件(小宮山重四郎紹介)(第五      〇六七号)  一五六 同(山本勝市君紹介)(第五〇六八号)  一五七 国民金融公庫都城支所設置に関する請      願(川野芳滿紹介)(第五一〇一号)  一五八 国民金融公庫環境衛生部融資による公      衆浴場業者借入金利子減免に関する      請願原健三郎紹介)(第五一一九      号)  一五九 同(砂田重民紹介)(第五一九二号)  一六〇 同(松山千惠子紹介)(第五二一八      号)  一六一 公衆浴場業に対する所得税及び法人税      減免に関する請願松山千惠子君紹      介)(第五二一七号)  一六二 同(赤澤正道紹介)(第五二五三号)  一六三 同(草野一郎平紹介)(第五二八九      号)  一六四 同(森田重次郎紹介)(第五二九〇      号)  一六五 土地対策のための税制改正に関する請      願(玉置一徳紹介)(第五二三四号)  一六六 同(石橋政嗣君紹介)(第五二五四号)  一六七 同(河野正紹介)(第五二五五号)  一六八 同(坂本泰良紹介)(第五二五六号)  一六九 同(田中武夫紹介)(第五二五七号)  一七〇 同(森本靖紹介)(第五二五八号)  一七一 同(横山利秋紹介)(第五二五九号)  一七二 同(中村梅吉紹介)(第五二九一号)  一七三 同(福田篤泰紹介)(第五二九二号)  一七四 戦傷病者に対する所得税軽減に関す      る請願木村俊夫紹介)(第五二八八      号)  一七五 土地対策のための税制改正に関する請      願(福田篤泰紹介)(第五三一八号)  一七六 国民金融公庫環境衛生部融資による公      衆浴場業者借入金利子減免に関する      請願山本幸雄紹介)(第五三一九号)  一七七 同(竹内黎一君紹介)(第五三六五号)  一七八 同(廣瀬正雄紹介)(第五三九一号)  一七九 同(八木徹雄紹介)(第五三九二号)  一八〇 同(江崎真澄紹介)(第五四三九号)  一八一 公衆浴場業に対する所得税及び法人      税減免に関する請願山本幸雄君紹      介)(第五三二〇号)  一八二 同(廣瀬正雄紹介)(第五三九〇号)  一八三 同(江崎真澄紹介)(第五四四〇号)  一八四 同(田澤吉郎紹介)(第五四四一号)  一八五 入場税軽減に関する請願佐藤觀次郎      君紹介)(第五三七三号)  一八六 同(江崎真澄紹介)(第五四六九号)  一八七 国民金融公庫法に基づく更生資金貸付      限度額引上げに関する請願木村剛輔      君紹介)(第五三八九号)  一八八 税制改正に関する請願外十九件(堀昌      雄君紹介)(第五四一二号)  一八九 都市近郊農地相続税軽減に関する請      願外二件(賀屋興宣紹介)(第五四四      二号)  一九〇 国民金融公庫環境衛生部融資による公      衆浴場業者借入金利子減免に関する      請願辻寛一紹介)(第五五二八号)  一九一 同(中垣國男紹介)(第五五二九号)  一九二 同(中野四郎紹介)(第五五三〇号)  一九三 同(大野明紹介)(第五五七一号)  一九四 同(春日一幸紹介)(第五五九六号)  一九五 公衆浴場業に対する所得税及び法人税      減免に関する請願辻寛一紹介)(第      五五三一号)  一九六 同(中垣國男紹介)(第五五三二号)  一九七 同(中野四郎紹介)(第五五三三号)  一九八 同(大野明紹介)(第五五七二号)  一九九 都市近郊農地相続税軽減に関する請      願外二件(鯨岡兵輔紹介)(第五五七      三号)  二〇〇 同(福田篤泰紹介)(第五五九七号)  二〇一 同(中村高一君紹介)(第五六六五号)  二〇二 同(岡崎英城紹介)(第五六八三号)  二〇三 入場税軽減に関する請願天野公義君      紹介)(第五六三七号)  二〇四 同(古川丈吉紹介)(第五六六六号)  二〇五 土地対策のための税制改正に関する請      願(原田憲紹介)(第五六八四号)  二〇六 都市近郊農地相続税軽減に関する請      願(福田篤泰紹介)(第五七三七号)  二〇七 国民金融公庫環境衛生部融資による公      衆浴場業者借入金利子減免に関する      請願渡辺栄一紹介)(第五七三八号)  二〇八 公衆浴場業に対する所得税及び法人税      減免に関する請願渡辺栄一君紹      介)(第五七三九号)  二〇九 同(荒舩清十郎紹介)(第五七九〇      号)  二一〇 全税関労働組合員に対する不当差別反      対に関する請願大出俊紹介)(第五      七六六号)  二一一 入場税軽減に関する請願野原覺君紹      介)(第五八七二号)  二一二 同(肥田次郎紹介)(第五八七三号)  二一三 同(栗山礼行紹介)(第五九三〇号)  二一四 同(西尾末廣君紹介)(第五九三一号)  二一五 同(西村榮一紹介)(第五九三二号)  二一六 同(井岡大治紹介)(第五九九一号)  二一七 同(鈴木茂三郎紹介)(第五九九二      号)  二一八 同(松田竹千代紹介)(第五九九三      号)  二一九 国民金融公庫環境衛生部融資による公      衆浴場業者借入金利子減免に関す      る請願赤澤正道紹介)(第五九三三      号)  二二〇 同(坊秀男紹介)(第五九九四号)  二二一 旧陸海軍の永年勤続女子共済組合員に      年金支給に関する請願灘尾弘吉君紹      介)(第五九三四号)      ――――◇―――――
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案及び所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二種課税回避のための日本国ドイツ連邦との間の協定実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。小林進君。
  3. 小林進

    小林委員 租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案に対して御質問を申し上げますが、どうもけさからの委員会開催の経過をながめておりまするというと、なかなか与党のほうに混乱が巻き起って、どうもわれわれの質問せんとする意向に対して大きな阻害をなしておるようでございます。  申し上げるまでもなく、政府と与党というものは常に一体であり、うらはらなんです。その政府がお出しになりました法案に、与党のほうの歩調がそろわないで、不謹慎にも、この委員会の中で、開催を妨害をしながらも賛成、反対の意見をたたかわせるというがごとき、どうもぶざまなかっこうを如実に見せられたかっこうでございまして、まことにわれわれ遺憾にたえない。そういう政府と与党、あるいは与党内部において意見も一致しないような法案は、この際撤回されるのが至当でありますが、この点いかがでございますか。そういう混乱を来たすような法案を国会にお出しになることはわれわれ迷惑しごくだ。即時撤回される意思ありやいなや、お伺いいたしたいと思うのであります。
  4. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 たいへんおしかりを受けまして恐縮に存じますが、この法案が非常に重要な意味を持つ改正だけに、最後の段階に至るまでいろいろ意見が活発にたたかわされておるということ自体、非常に熱心なこの問題に対する御心配でございまして、ただ御指摘のごとく、一応われわれの立場としては、党の正式の機関を通じて政府原案を出しておりますので、この原案をひとつ十二分に御審議いただきたい、このようにお願いするわけでございます。
  5. 小林進

    小林委員 もはや国会は余すところ二日しかない。その二日を前にいたしまして、まだ与党の中で政府側と折衝が固まらないというような状況なのに、このまま法案に対して御審議をいただきたいなどというのは、われわれに対するずうずうしい要望であると言わなくちゃならない。  そこで、一体与党の中でこの話がまとまるのですか。まとまる可能性がありますか。まとまる可能性があるというならば、これは武士の情けで三十分や一時間のところはお待ち申し上げて、その間他の問題に質問を移してもよろしいが、本来見込みのないものならば、いさぎよく撤回をしてもらわなくちゃいけないので、政務次官の責任ある御答弁をお願いいたしたいのであります。
  6. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 十分まとまる見通しがあると私は信じ、かつ、期待いたしております。
  7. 小林進

    小林委員 それでは、せっかく政務次官の御答弁でありますし、その答弁を信頼をいたしまして、与党、政府側の話のまとまる間、租税特別措置法に対する質問は留保をいたしまして、この間、いま巷間非常に問題を起こしております東調布信用金庫の問題について質問を申し上げたいと思うのでございます。  東調布信用金庫の不信用事件、一億数千万円という中小零細企業者の血の出るような金をだまし取られたという問題が持ち上がっておるのでございまして、いま、あるいは新聞の投書欄やら、朝のテレビやらあるいは週刊誌やら、世上至るところでこの問題が論じ尽くされているわけでございますが、これに対して私は、大蔵省当局に、これは重大な問題であるからつまびらかに調査をせられたいということを、非公式ではありますが要望をいたしておりました。その後どのように調査をせられているのか、この問題に対する大蔵当局の調査の経過を承りたいと思うのであります。
  8. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 お答え申し上げます。  東調布信用金庫の蒲田支店という店がございますが、そこの支店長代理の大八木誠也という人物が、金庫からの告訴によりまして、五月十二日警察に逮捕されました。続いて五月二十七日に業務上横領の容疑をもって起訴されたのでございます。大八木は、定期預金証書の不正発行その他の方法によりまして、金庫の取引先から資金を集めまして、金庫の帳簿を通さずに、自己の関係する会社、これには東海電線でございますとか、石忠工業というようなところがあるようでございますが、それに融資をしていたものでございまして、現在までに判明したところによりますと、被害者の数は三十八名、事故金額が一億五千三百十六万一千円ということであります。  不正行為の方法は、定期預金の申し込み者から現金を預かりまして、いわゆる簿外預金証書を発行したものもございますし、あるいは取引先から現金を預かりまして、大八木個人の名義で借用証書を発行するとか、もしくは関係会社の手形を渡す、あるいは個人の名刺を交付したもの、その他各種の手口を用いまして行なったのでございます。  そこで、この事故金額はその性質によって分類をいたしますと、おおむね三種類に分かたれるかと思います。  第一は、金庫の職員が金庫の預金とする趣旨で金銭を受け入れたと認められるもの、第二は、預金をする趣旨を確認する証拠のないもの、または取引者が会社に対する資金の担保として偽造預金証書を所持しているもの、これが第二の分類になります。第三の分類は、取引者から大八木個人に対する貸し金と見られるもの、以上三つの性質のものに分類をされるわけでございます。  以上がこの東調布信用金庫における不祥事件の概要でございます。
  9. 小林進

    小林委員 ごく大ざっぱな公式的な御答弁を承りましたが、私は、この問題については、大蔵省のいわゆる監督者の立場、それから金庫における金庫の経営者の責任の所在の問題、それからいま被告となっている支店長代理その者と金庫との関係、同時に被害者の立場、一体被害者の救済をどうするかという問題、そういう問題からこれを追い詰めていかなければならないと思うのでございますが、いま銀行局長の御答弁になりました経過並びに資料はどこから入手されたのかわかりませんけれども、一体、ああやってテレビその他で被害者が泣きながら訴えている、生まれてこのかたデモをやったこともない、組織を持ったこともない中小企業者やあるいはおつとめ人の奥さん方が、自分で手製の旗を振りながら、この暑い中を金庫の前をデモ行進をしている。まことに悲惨な現状です。そういう被害者の方々に対して直接調査をおやりになったかどうか、そういう方々から資料をおとりになったことがあるかどうか、お聞かせを願いたいのであります。
  10. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 まことにこの事件は遺憾この上もないことと考えております。経過の調査につき、ましては、信用金庫の責任者から事態の推移について事情を聴取しているわけでございますが、個々の預金者からの話はまだ聞くに至っておりません。私にぜひ会いたいという方もおられますし、近くお目にかかって、よく事情も伺ってみたい、かように思います。
  11. 小林進

    小林委員 信用金庫の責任者だけからお話をお聞きになったというのですね。こういうところの大蔵省のやり方が私は非常にきらいなのです。どうもそういうところに皆さん方の誠意のあり方を疑わざるを得ない。  お聞きいたしますが、この東調布信用金庫の役員に大蔵省出身者は入っておられませんか。あなた方の先輩か同僚か後輩が入っておられませんか。
  12. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 常務理事に一名大蔵省の出身者が入っております。——業務部長兼管理部長ということで入っておるわけでございます。
  13. 小林進

    小林委員 何という方で、これは大蔵省のどこにおつとめになっていて、大蔵省をおやめになって金庫にお入りになるまでの最終の役職は何であるか、何年ごろお入りになったか、それをお聞かせいただきたいと思います。あなたの先輩か後輩か、それもあわせてお聞きいたしたい。
  14. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 これは吉川清、就任月日は三十七年五月でございます。最終の職名は関東財務局に勤務をいたしておりました。そこから入ったわけでございます。
  15. 小林進

    小林委員 最終役職の地位は……。
  16. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 いま詳細調べております。後ほどお答えいたします。
  17. 小林進

    小林委員 私どもそういうことでどうもひがみたくないのでありますけれども、こういう資料をあなたたちがお調べなるというとこういうものだ、こういう大蔵省の出身者あたりを中心に、ともすると、管理者側あるいは経営者側の都合のいい話だけをおとりになって、ほんとうに泣かされている被害者の立場というものに対する思いやりがどうも足らないのじゃないか、そういう感じを持たざるを得ないのであります。いかがでありますか。そういうようなへんぱな見方をされておることはございませんか。どなたから一体お調べになったのか、役職員もたくさんいるようでありますから、その調査をおやりになった役職員の方のお名前もあわせてお聞きいたしたいと思います。
  18. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 直接ただいま信用金庫を監督いたしておりますのは関東財務局でありますが、関東財務局において東調布信用金庫の理事長長久保定雄、この理事長につき事情を調べたわけでございます。ただいま先生が御指摘のような一方的な調査をしたのではないか、つまり、片寄った見方をしておるのではないかという御批判がございました。私は、そういう、このような預金者保護上重要た問題について、片寄った調べやあるいは一方的な見方というものは、これはもうとうてい許さるべからざるものと思っております。あくまで事態を客観的に、しかも公平に見て、そこで正確な判断を下さねばならぬということで従来ともやってまいっておるつもりでございます。
  19. 小林進

    小林委員 それでは、ここに東調布署の村岡隆昭防犯課長の談話が載っておるのでありまするけれども、これはまたあとで御質問いたしまするけれども、盗んだ定期預金証書の用紙は二百枚余、そのうち破って捨てたものもあって、現実に使用したものが百四十枚くらいだ。その中で実際に回収した分は百十五枚、まだ未届けの被害もあるかもしれない。こういうような発表がされておりまするし、なお被害者の人数についても、あなた方のおっしゃるような三十八名などという少数の者ではない。被害者の総数は、これは推定ということばが入っておりまするけれども、推定二百人に近い、こういうことが発表せられている。これはずいぶん数字の違いがあるじゃありませんか。この点、いかがでありますか。
  20. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 ただいまの紛失しました未使用の定期預金証書について調査をいたしましたが、紛失枚数二百枚でございます。これは先生いま御指摘のとおり、そのうち回収をいたしましたのは二十枚でございます。そこで、発行された枚数、これは不正使用になったものが百十九枚でございます。したがって、所在不明分というものは差し引き六十一枚残るわけでございますが、これは本年六月の十五日現在において判明したところでございますが、なおその他のものについて目下詳細を調査続行中ということでございます。そのほか所在不明分というものの中に、いわゆる書き損じでありますとか、いわゆる期日の書きかえなんぞに使ったものもあるような模様でございますから、これもなお追って詳細確認いたしたいと思います。
  21. 小林進

    小林委員 この被害者の総数でありまするが、この中にも、いま申し上げましたように、警察署から出ている談話でありまするが、業務上横領の被害者として判明したものは、品川区南大井四の二十五、工場経営、唐沢寿美雄さん(七十)ら四十人、一方、業務上横領にならないと判断される——私は何のことかよくわからないけれども、警察当局の判断によると、ならない、大八木個人の名義で金を貸した被害者は、戸田さんを中心に約二十名がわかっている。推定二百名の中で現在判明しているのがかくのごとくもはや六十名になっておる、こう言われておる。なおそのほか被害者は六月十九日現在まだ判明しない者が多い、こうなっているのでありまするから、あなたのおっしゃる三十八名とは、この点においても数字が合わない。いかがでございますか。
  22. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 ただいまの点につきまして、中小金融課長から御説明をいたします。
  23. 塚本石五郎

    ○塚本説明員 お答えいたします。  警察の調べがどの程度進行しておりまするか、私どものところにはまだわかっておりませんですが、週刊誌等によりますると、横領の金額が、刑事事件として調べられております金額が約四千四百万円というようなことが出ております。いま銀行局長から手口について、大まかに言って、三つの分類ができるということを申し上げたのでありますが、その最初の分類の、預金者が預金をする意思で金を出した、それを受け取った、そういう部類が第一分類でございますが、これは警察で言っておると書かれている四千四百万円に当然入ると思っております。次の第二分類で銀行局長が申し上げました分でございますが、その中にもこれは調査によりまして当然金庫のほうに責任がある——というのは、本人か預金する意思で出した、それを金庫に入れないで職員が横領してしまった、そういうような金額がかなりあると思われます。これは詳細は警察が現在調査中でありますので、つまびらかにはわかっておりませんけれども、私どもで事情を聞いておりますと、その中でかなりのものが横領——本人のほうはそれを金庫に預けるつもりで金を出したが、金庫に入らなかった、そういうような金額があるように見られます。かれこれ合わせますと、警察で発表しておるというふうに週刊誌に書いております四千四百万円くらいがいわゆる刑事事件として取り上げられておる、その他の金額、約一億円ですが、これは警察でも個人の貸借分であるというふうに認定をしておるのではなかろうかと推測するわけでございます。  以上であります。
  24. 小林進

    小林委員 私はそれをあなたにお聞きしておるのではない。被害者の数をお聞きしておる。あなた方は三十八人とおっしゃる。警察のいままでの調査だけでも、業務上横領が四十名、個人の関係と思われるものももはや二十名は明確になっておる。それだけでも六十名になっておる。なお不明の分がたくさんある、こう言っておるにもかかわらずあなた方は三十八名とおっしゃる。そこに私の言わんとするところの、大蔵省はいずれも被害者の立場でものを聞こうとしない。あなた方のひもつきとは言わぬけれども、同じなべかまのめしを食ったそういう大蔵省の古手の役人が入っておる、そういう一味のグループの理事長とか理事とか、経営者だけからしか情報をとっておられないところに、客観的な事実とあまりにかけ離れたそういう調査資料が出てきたのではないか。私どもはあなた方の調査の誠意を疑っておる。その点をお聞きしておる。数が合わな過ぎるじゃないですか。いかがですか。
  25. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 私どもも、この調査をもって十分完全なものとは実は考えておらないのでありまして、今後とも先生御指摘のような意味で一そう綿密な調査を、それも単に経営の責任者側だけでなく、被害者の側からもよく話を聞いて固めてまいりたい、こう思っております。
  26. 小林進

    小林委員 ぜひひとついま少し詳細な調査資料の出ることを私は強く要望いたしておきまして、その資料が出てまいりましたならばあらためて御質問いたしたいと思います。  その被害者の実態がいかに悲惨なものであるか、これは私のところにもその実情をるる申し述べてきている書類がたくさんきております。これは一々あなた方に御披露してその悲惨な実態を申し上げたい。この中には、もはや生きる望みも失って自殺の二回ほども繰り返して未遂に終わったという人もあれば、三十年、四十年つとめた大事な夫の退職金を、いわゆる金庫の支店長代理という立場で、その金を少しつなぎ資金のために貸してくれないかという、そういうふうな強制をやられて、自分の夫にはないしょで、脅迫に耐えかねてそれをお貸しして、四十年も五十年も一緒にいた夫婦の間も分かれて離縁をさせられるというような状態で、いまさら真相を夫に訴えるわけにもいかない、身も心も泣きぬれている、こういう気の毒な人もいれば、もはや日常仕事をする意欲も失って、直ちに店を閉鎖してしまって、気違いになる寸前で苦しんでいるという、こういう状態の人々がたくさんいる。ほんとうにあなた方がこの被害を徹底的にひとつ救済をしようという意欲があるならば、銀行に行くよりもまず被害者のところに行って真相を聞くのが順序でございましょう。それをおやりにならぬところに、どうも皆さん方のこの問題に対する態度が私は了承できない、かように感じているわけでございます。  そこで、ここでひとつ刑事問題は刑事問題で、これは警察、検事局その他におまかせしておけばいいのだが、あなた方にお伺いをいたしたいことがある。  まず第一にお尋ねしたいのは、銀行でやっておる預金サービス競争に関する問題であります。いまはどこの銀行でも預金競争が激しい。そこでお得意先係というものを設けて、これが、いわゆる銀行の管理者の命令でございましょう、営業方針に基づいて、そしてお客回りをするわけです。お客回りをして、この人たちは——皆さん方も御承知のとおり、いまでは大会社あるいは大商業会社は四時か五時になると店をしまう、しまうと、経理室なり経理部というものがあって、その日一日の収入を計算をしている。そういうところへこの預金係というものか入っていって——その大会社や商店の社員や店員でも入れないような経理の室へものこのこ入っていく、これが銀行のあるいは金庫の預金係とか、得意先回りということになればだれ一人怪しむ者がないのだから、そこへ入れてその日の売り上げ金を預けてやる、貯金の手続もする、たまたまそういう人たちがその金を預かっていって、そして元帳にそれを振り込んでいない。問題はいろいろの形で発生しておる。あなた方がおっしゃるように三つの形ができ上がった、こういうことです。  そこで、まず私のお尋ねしたのいは、預金係、いわゆるお得意先回りと言って来たその人たちに金を預けた、その金が元帳に入っていないという、そのことに対して、一体銀行、金庫は責任をのがれることができるのかできないのかという問題です。その問題はどうですか。それも新しい人じゃないのですよ。みんな顔見知りなんですよ。それが金庫の係長でございます、特に、あとでも言うように支店長代理などというりっぱな肩書きを持ってくれば、どんな大会社だって——われわれが行けば、守衛は門前払いを食わせるか、電話で重役なんかに通知をするか、責任者に通知をして、入れていいか悪いか言うけれども、このお得意先回りの金庫の係なんというものは、もう守衛も信用している。つっつうと入れて、そして金を勘定しているところまでみんな入れていく、その人が信用できないなどということになったら、これは流通経済は根本的に破壊です。この問題に対してどうです。
  27. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 これは全く小林先生のおっしゃるとおりでございまして、そういう金融機関の職員は、得意先係ということでお客さまから信頼を受けておるわけですが、その信頼を受けておる職員が、いわばその信頼を逆用するというようなことで、その金を他に流用するというようなことは、これはもう絶対に許さるべからざることでございます。そういうものは、発覚次第厳重処分をいたしておるのでございますが、従来、ともすればそういう預金の獲得競争といったような、金融機関同士の過当競争からくる預金の獲得競争ということで、外回りということでお金を集める動きが非常にありまして、これは行き過ぎますといろんな弊害が起こるわけで、それに対しては先生御承知のように、昨年五月、金融機関経営の刷新に関する大蔵大臣の依命通牒が出されております。その際に、やはりこういう預金の過当サービスというものを禁止し、あわせて、たとえば預金通帳、印鑑等をお客から預かって、その保管上厳重な注意が欠けておるというようなことがあっちゃならぬ、そこは厳重に注意をするようにということを厳に戒めておるわけでございます。しかるところ、このような事件が起こってまいるということは、まことにどうも国民の皆さま方に対しても申しわけないとわれわれは痛感をいたしておるわけでございます。今後とも、一そうそういう面の監督を強化せねばならぬ、かように考えております。
  28. 武藤山治

    武藤委員 関連。  銀行局長、いま小林議員の質問は、これは信用金庫として支払う義務があるかないか、また、支払わせるように大蔵省は行政指導すべきである、こういう気持ちからの質問なんです。それについてはまだ的確な答弁をしておりませんから、はっきりこれは信用金庫として当然責任を持って返済、支払いをすべきである、私はそう考える。というのは、この大八木なる男は、本人が支店長代理という肩書きを冠して、名刺で領収書などもたくさん出している。したがって、善意の第三者は当然信用金庫の業務の一部と認識して金を出しておる。この善意の第三者までここで弁償しないという処置をとるのは不当である、こう考えるのであります。大蔵省の行政指導はどういう考え方でありますか。
  29. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 これにつきましては、基本的にはただいま武藤先生から御指摘のとおりと思います。ただ、態様は非常に千差万別になっておる場合があり得るわけでございまして、たとえば預金通帳を渡しておる、あるいは定期預金証書が出ておるとか、要するに預金の受け入れということがはっきりしていて、預金をする目的で、同時に、受け取るほうも預金を受け入れるということで受けて、そこで要するに預金の受け入れであるということが客観的に明らかになるような材料というものがある場合には、これはもちろん正当預金として当然第三者に対しては金融機関はその支払いを拒絶するわけにはいかぬだろうと私は思うのです。たとえお金が金庫の帳簿に載ってこない場合であっても、そこは内部の問題はあるかもしれませんが、対外的に善意の第三者に対抗することはできないというのが原則であろうと思います。ただ問題は、たとえばその場合に、いわゆる預金証書とかあるいは預金通帳といったような、預金というものにつながらない借用証とかなんというようなものを個人名義で出していた場合にどうなるかという点が、これは法律的にも非常に問題になってくると思います。私どもは、そういう個人名義の借用証というものが出ておる場合と、先ほど申しましたような預金証書が出ておる場合とでは、やはりどうも区別して考えなくちゃいけないのじゃないかというふうにも思います。ただ、小林先生御指摘のように、感情的に考えますと、いやしくも金庫の支店長代理という肩書きを持った人物が、白昼公然とその金庫の店の中で現金の授受を行なったということであれば、それは第三者から見れば当然その金庫へ入ったもの、金庫へ自分は預けるつもりでいて金庫のお金になったものと思われる場合が非常に多いのじゃないかと思われます。思われますが、同時に私どもは、そういうふうに一般の方がお考えになるだけに、よほどそういう支店長代理なりあるいは預金係なりの行動というものは誤解を招くようなことが一切ないようにしなければいかぬというふうに思います。ただ問題は、それじゃ、法律的に見た場合に、一体そういう個人の借用証という形で出ていたものにつき当該金融機関の責任ありやいなや、これはまたさらに分かれてまいりまして、同じ預金の場合では、さっき申しましたように、正当預金証書でなくても、これはたとえば民法の使用者責任の問題とかいうことで、第三者に対して金庫は責任を免れないということになります。ただ、そういう全くの個人名義、しかもその借用証の表面には何ら信用金庫というものを連想させるような文字もなければ表示もないという場合に一体どうなるか、全く個人間の貸借契約のような形をとっておった場合にこれを一体どう扱うかということはなかなかむずかしい問題であろうかと思います。したがって私は、最初に申しましたように、預金係がお客さまから預金を預かって持って帰ったという場合には、これは基本的にはやはり金庫の責任は免れまいということを申したわけでございますが、なおその中にいろいろ態様によって千差万別、したがってその辺は実態をよくつかんで判断していかなければならぬ問題であろうかと思いますが、いずれにしても、そういう誤解を生ずるようなことをいやしくも金融機関の職員はやるべきでない。これはかつて証券会社においても、株式の外交員がお客さまからお金を預かって株の売買をいたしますと、先生御承知のように、いわゆる一任勘定というものがあって、これをめぐりいろいろ事故が起こりまして、その場合の事故の責任の帰属は一体どちらになるのか、会社になるのか、その外交員個人になるのかというやかましい法律問題が、実は明治、大正以来今日までずっとあるわけでございます。同時にまた、保険会社についても、保険の外交員が集金をしている場合に同じようなトラブルが起こってくる、それについてどうするかという問題、これは同じように非常に複雑な態様を持って今日まで来ておりますけれども、これらについてはやはり厳重な取り締まりが必要だと思っております。
  30. 武藤山治

    武藤委員 今回の事件で、木島モーニングショーを見て信用金庫に対する信用というものが国民の間からえらく失墜した。その趨勢というものも大蔵省はすでに各地から報告を受けておると思うのですが、今回の不祥事件によってどういう影響がいま起こっておりますか、あなたたちの御認識は……。
  31. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 あのテレビをごらんになった方々が、信用金庫というのはそういうことをやっておるところかということで非常に驚かれて、自分が預けておるところの信用金庫は一体だいじょうぶなんだろうかという問い合わせがNETの放送当局のほうにもなされておるという話を聞いております。各地の財務局等を通じてもいろいろ情勢を聞いておるわけでございますが、そういう一時的に不安をお持ちになった向きもあったようでございますけれども、全般としては、そのために信用金庫の預金が大量に取り出される、つまり、取りつけ状態が起こってくるといったような情勢は、まだ今日のところ、幸いにしてと申しますか、起こってはおりません。おりませんけれども、今後その点十分気をつけてながめていきたいと思います。
  32. 武藤山治

    武藤委員 取りつけ騒ぎが起こるとなったら、これは重大問題ですが、かなり預金を引き出す傾向にあることは確かなようであります。そこで、こういう事件でさらに金庫が返済をしなかった場合の国民に与える影響は私は大だと思う。したがって、大蔵省の行政指導としては、こういう不始末を犯したのは、当然個人の責任もあるけれども、金庫のふだんの理事長の指導方針、監督という点にルーズさがあり、間違いがあるからこういう事件がかくも大きく発展をすると考えられるので、当然信用金庫は全部返済をすべきだ、こう考えますが、あなたなどは先ほどの三つの類型に分けられる中で、導入預金がありと考えて、弁償責任がすべてにあるとは言えない、こう言っているのだろうと思うのですが、一体この中で導入預金と大蔵省が認定をする額はどのくらいあるのですか。
  33. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 導入預金であるかどうか、心ずしもまだその確認をするに至っておりませんが、大ざっぱに分けてさっき三つにいたしましたが、そのうち明らかに善意の預金者の預金と解すべきもの、これは直ちに支払うべきであるということで、現に支払いをいたしましたものが、相手方の数が九名で、金額三百四十六万九千円、これはいわゆる集金の横領でございます。集金してきたのを横領しておる、これはもうはっきり預金者の預金をなにしたわけでございますから、即時支払うべき性質のもので、支払いは済んでおります。その次が第二のグループで、いわゆる第三のグループの個人貸借関係と思われるものといまの預金との間の一種のボーダーライン・ケースのような形になる部分でございますが、それが、人数で言いますと二十五名、金額で九千五百万円程度でございます。それから第三の個人貸借の分と見られるものが十三名、五千三百万円、これらを合計いたしますと、先ほど申し上げました一億五千三百万円に相なるわけでございますが、この個人貸借の分というものをしばらくおきまして、いわゆる九千五百万円の口について見ますと、この中がまた各種の態様に分かれてまいります。はっきり使用責任があると思われるものもございますし、それから、どうも必ずしもそこが明確でないと思われるものもあり、いろいろニュアンスの差がございますので、この点は目下事情を調査して交渉中でございますけれども、私どもは、金庫に対しては、明らかに善意の預金者であるという方については、いまの即刻支払い分に引き続いてどんどん支払いをすべきものである、支払いに応ずるのだということを申しておるわけでございまして、一方、警察の取り調べ等もございます。そういう警察の取り調べ等とも相まちまして、取引先のお客さまからいろいろ申し出を聞きながら交渉を進めることによってこの点の早期解決をはかる、いずれにしましても、確実な善意の預金者については、内容を確認した上、すみやかに支払いを行なうほか、その他の方々についても誠意を持って話し合いを進めるよう、金庫に対して厳重に指導をいたしておるところでございます。
  34. 武藤山治

    武藤委員 局長はいま厳重に指導しておると申しますが、長久保定雄なる理事長名で六月八日に個々の人たちに照会をして申請をさせて回答を出しておる。これは銀行局は承知だと思います。それを読んでみると「大八木が当金庫の職務を離れて、全くの個人的立場に於て行ったものであって、当金庫の職務の執行とは何等の関係をも認められませんので、甚だ遺憾ながら当金庫としては貴方様ご所持の右各証書については一切責任を負いかねますのでご承知願いたくここにご通知申し上げます。」理事長が、まだ警察当局でもって全貌が明らかになっていないにもかかわらず、一切責任がないからといって、理事長名で、金を預けた者、取引した者に対してこういう回答を出すというのは、まことにけしからぬと思います。この理事長の不誠意な態度に対しては、大蔵省はこんな通知を認めておるのかどうか、その後理事長に対して大蔵省としては適切なる行政指導の姿勢を示しておるのかどうか、ここらが非常に不満でありますが、どういう態度をとっておりますか。
  35. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 全く先生御指摘のとおりでございまして、私どもも全く同感でございます。先生がいま読み上げられました手紙は、私ども全然知らないうちにかってに経営者のほうが出した、それがわかりましたものですから、直ちに経営者に対しては厳重に警告をしてございます。このような一方的な、しかも非常に法律的にもいろいろ問題のあるものを十分な材料もそろわないうちにやることはいかにも軽率千万ではないかということで、不誠意を疑われるのもやむを得ない、今後は十分気をつけるようにということを申して、同時に、さっき申しましたように、かりに法律的に責任がないということになった場合でも、やはり道義的責任は免れないということもあるので、十分その取り扱いについて誠意を持ってよくお話を聞くようにということを指導しておるわけでございます。
  36. 武藤山治

    武藤委員 国税庁長官、先ほど銀行局長からの発表で一億五千万円ほどのこういう事件か発生した。金庫は、この不幸を幸いに転ずるために、おそらくこれを償却に計上しよう、いわゆる欠損金に載せて、銀行の経理面でこういうものを落としていこう、こういう態度をとると思うのです。私は、そういうときに国税庁としては厳格に個々のものを調査して、償却できるものとできないものとの判定で、こういう感覚の理事長の言い分をそのまますらすらと聞くような態度ではいかぬと思う。国税庁としては、銀行の所得計算の際にも厳格な態度で臨むべきだと思いますが、あなたの見解はいかがですか。
  37. 泉美之松

    ○泉政府委員 今回の東調布信用金庫に起きました事件につきまして、いろいろ問題があるわけでございます。  まず第一は、先ほど来から御質疑がございましたように、信用金面が支払いの責任を持つべき預金であるか、あるいは支店長代理であります大八木誠也個人に対する貸し金であるかどうか、そういった点が問題でございましょうし、したがって、税務の関係におきまして信用金庫が支払いの責任を負って支払うべきものが生じた場合に、これは当然大八木の業務上の横領でございますから、信用金庫は大八木に対して求償権を持つことになるわけであります。したがって、預金が入らないのにそれを払ったからすぐにそれを損金に計上したいといっても、そうはいかないわけであります。これは求償権として資産に計上して、求償権がどうしても求償し得ないことが明らかになったときでなければ、損金には認められないわけでございます。御説のとおり、信用金庫につきまして今後いろいろな税務上の問題が出てくるだろうと思いますが、私どもも十分注意してまいりたい、かように考えております。
  38. 小林進

    小林委員 私はこの問題について先ほどから銀行局長の答弁をお聞きしているのでありますけれども、あるいはこういう銀行マンとして、あるいは預金係として、どうも不正なことをしたのはけしからぬから厳重に処分すべきであるという御答弁があったが、私がいまあなたにお尋ねしているのは、不正な行為をした銀行員の処分をお尋ねしているのではない。そういう刑事上の問題とか、処分とか、法律に対する違反行為等は警察にまかせておけばよろしい。行政処分なりあるいは銀行内部の処分はまかせておけばよろしい。私どもが一番あなたにお聞きをしたいことは、こういう銀行を看板にして自分の役職、預金係長とか支店長代理とか、そういうものを肩書きにして金を借りた、あるいは不正をした、それに対して銀行が一体どこまて責任をとるべきか。あなたは、やれ道義的な責任であるとか、あるいは使用者としての責任があるとかおっしゃった。もしあなたのベースに入っていくならば、しからば使用者としての責任は一体とうなっているか、被害者に対して、使用者としての責任、銀行の経営者としての責任をどこまで及ぼすかという問題なんです。それを単なる刑事的な解釈で、いわゆる警察の結論が出る、裁判所の結論が出る、その結論によってだけ責任をとるとあなたはおっしゃる。もしあなたがそうおっしゃるならば、国のいわゆる銀行行政のあり方や大蔵省の銀行局の監督のあり方に対して私は重大なる決意をしなければなりませんよ。見てください。やはりこういう新聞の投書の中にもたいへんいろいろなことがあらわれている。  短いですから、私はここでちょっと読み上げます。これは日大の平山清さんという人です。「信金の横領事件と被害者」、「先ごろ東京東調布信用金庫で支店長代理の横領事件があった。その被害者たちは、勤倹節約して零細な金を蓄積し、しかも何百万円もの預金を奪われて悲憤の涙を流している。支店長代理という地位の者が、その支店を舞台として罪を犯したのに、金庫側は「個人対個人の問題だ」といって責任を回避し、被害者側は泣き寝入りさせられようとしている。人を殺傷した自動車運転手の雇い主には、どこまでも被害者に対する賠償の義務のあることを、金庫側は十分考えてから発言してもらいたい。犯人はもちろん、信用金庫の理事たちにも、被害者に対する賠償の道義的責任があるのはいうまでもないことで、彼らが支店長代理のような地位につく人物の選択をあやまった責任は重大である。この点は、運転手の雇用とは比較にならないし、また彼らに支払い能力の豊かである点も重視せねばならぬ。さらに監督官庁も、平素表面上の査察を行なうだけでなく、こんな大事件が生じて多くの被害者の泣いているとき、賠償の方法を考えて解決してこそ、監督の責任を全うすることになる。こういう人災についても災害救助の道があるべきではないか。」どうです。この平山教授の所見に対して意見がございますか、お聞かせを願いたい。
  39. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 その御質問にお答えします前に、先ほどちょっと答弁を留保しておったものがございますので追加いたします。  吉川理事ということを申し上げました。これは甲府の財務部長をやりまして、その後中国財務局の管財部長を経て関東財務局の首席国有財産監査官を最後といたしまして、三十七年五月に退任しておるわけでございます。  そこで、ただいま先生のお読みになりました論文の趣旨、私も全く同感でございます。まさに金融機関というものは、通常他の企業においては許されるべきことであっても、金融機関という世間の信頼を基礎に置く企業であるからには、いやしくも誤解を招くようなことは一切やってはいかぬということでございますので、当然通常の企業よりもきびしい考え方で企業責任というものは考えてもらわなければならぬということであります。  ただ一言つけ加えさせていただきますと、先ほど来私も申しておりますように、証券会社における外務員の事故、あるいは保険会社における外交員の起こした事故等々と相関連をいたしますけれども、これは内部の監督体制、管理体制に欠陥があるという問題は、内部問題として当然是正させるべきでございますけれども、法律問題として見ました場合に、これはよほどそこのところは冷静によく見なければならぬ、もちろん、いまの私は、気持においては全く先生がお読みになったあのとおりの心がまえで臨むべきだと思いますけれども、さればといって、あまりに情に走るということになりますと、要するに金融機関というものを悪用する人物が出てまいりました場合、すべて、あいまいなものだろうと何だろうと全部金庫の責任だということになると、この金庫は、当然多数の預金者のお金を預かっておるわけです。被害をお受けになった方の預金もございましょうけれども、その他の預金もまたあるわけです。したがって、その預金について、善良な管理者は注意をもって管理しなければならぬ立場でございます。したがって、単に、出先の者がどんなことをしても何んでもかんでも銀行の責任だというわけにはなかなかいかない面がある、そこのけじめというものはよほどよく実態を見てつけていかなければならぬと思いますが、基本的には先生のおっしゃることはよくわかります。
  40. 小林進

    小林委員 あなたたちがいまおっしゃった問題に関連して、それはすべての問題については裏と表がありまするから、あるいは銀行の支店長代理だとかあるいは預金係だとかいうような人が、いわゆる外回りでやった行為に対して、全部いやおうなしに金庫側に責任を持たせるということになると、今度はそういう名刺等を偽造して、そして、そういう不正な金を集める者までも銀行が責任をとって、今度は預金者その他に対して弊害を及ぼす危険がある、こうあなたはおっしゃる。それはそういう理屈も成り立つけれども、それは私は銀行の経営者側に立った言いのがれであるとしか思わざるを得ない。そういうような銀行員でもない者、顔も知らないような者がひょこっと代理の名刺を持って行ったりして、預金の勧誘をしたり金を貸せと言ったって、そうなかなか大衆というものは踊らされない。百人に一人はひっかかるかもしれない、五十人に一人はひっかかるかもしれない。しかし、百人なり五十人の中にだまされる者があるということを理由にして、その銀行に十年も二十年もいて、銀行の代理や信用係長としてすっかり顔なじみになって、裏も表も銀行と一身一体になるその地位の者がやった行為までも、そういうような理屈で銀行の責任を免除していただくようなことになれば、むしろそのために失われる被害というものは甚大であります。私は、残念ながら銀行局長のそういう御答弁をちょうだいするわけにはまいりません。これはあとでまたひとつ繰り返しますけれども、処分の問題はあとで大いにやらなければなりませんが、先ほどの平山清さんが言われたからと言うけれども、自動車の運転手はそうでございましょう。自動車の運転手の事故は会社の業務でないことは明らかなんだ。個人の失敗なんです。あれは運転手が酒を飯んで運転して人を殺せば、それは運転手個人の責任なんだ。個人の責任なんだけれども、今日のわが日本の行政、法律のあり方は、事のいかんを問わず、雇い入れた運転手の事故に対しては、これは全部会社に責任を持たせるようになっている。そういうような例が幾つもあるのじゃないですか。  しかるに、いまもここで言われるように、事、金融に関し——金融機関なんというものは、第一、自動車の運転手を会社が採用しているような問題じゃない。あらかじめ人物考査もやっているでしょう。問題が重大な限りにおいて、あらかじめ試験制度もやっているじゃないですか。そうしてやったその人たちの事故に対して、運転手を雇い入れたその自動車会社の雇い主ぐらいの責任を持てないなどということになれば、だれが一体金融機関をまともに信用することができますか。  いかがですか。自動車の運転手を雇い入れた会社の責任と、銀行がこうやって支店長代理をしている、その不正事件に対する責任と、一体どっちがその責任を持たなければならない性質のものであるか、お聞かせを願いたい。
  41. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 それは、金融機関というものの持つ社会的な役割りなり、あるいは支店長代理といったような——支店長代理に限らぬと思いますが、金融機関の役職員という社会的地位というものから考えますと、それは当然やはり金融機関の役職員の行為については一段ときびしく責任を追及すべきものである、こう思います。
  42. 小林進

    小林委員 私は、銀行の窓口を利用したり、あるいは銀行の定期預金証書を出すという問題に対しては、業務上の横領である、責任をとるとあなたはおっしゃいましたが、その問題は、あなたの答弁で満足していますから、それはそれでよろしいが、あとの問題なんです。いわゆる個人の問題だとか、あるいは個人と銀行との中間の谷間における業務に対しての銀行の責任問題をいまあなたに聞いておるんですよ。  そこでお伺いするのだが、一体、支店長代理というものの銀行における地位、権限というものはどんなものでありますか。一体どれだけの権限を持っておるか、お聞かせ願いたい。
  43. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 これは支店長代理という名称を用いておりますけれども、通常、分担がございまして、貸し付け分担、預金分担、為替分担といったようなことで、要するに支店長の事務を補佐するという性質のものでございます。したがって、内部的には、それはいわば補佐、こういうふうに御理解いただいたらよろしいかと思います。
  44. 小林進

    小林委員 この問題なんかも、預金証書等を発行する権限は、支店長代理は持っておりませんか。
  45. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 それは内部委任を受けて発行の権限を持っておる場合が大部分だと私は思います。
  46. 小林進

    小林委員 それからお尋ねいたしまするけれども、いまの支店長代理は預金担当の補佐官ということにいたしましょう。その預金を集め、お得意を拡張するために相当程度の応用動作が許されておるはずでございますが、一体どの程度の応用動作が許されておるか、お聞かせ願いたい。  それでは具体的にお尋ねいたしましょう。たとえて言えば、これはどこでもやっておることなんですよ。私はいまこの人の詐欺のことをやっておる。詐欺の重大なる重点は、うちに、この銀行の非常に大きなお得意さんがおる。内容の確実なAという会社がある。しかし、その会社に金を貸せるためには、あるいは抵当権を設定する、あるいは本店の許可を得なければならない、そういうようなことのために、二週間なりあるいは十日間なりの期間を要する、その期間の余裕を置くと、大事なお得意さんが、その十日なり二週間の期間を待っておるわけにはいかないからよその銀行に行ってしまいますよ、こう言われる。支店長代理としては大事なお客さんだ。内容のいいお客さんだからそれをのがすわけにはいかない。それで、その銀行が抵当権を設定し、あるいは手続も済んで金を貸せる二週間なら二週間の間だけつなぎ資金として君の預金をちょっと活用して、そのAならA会社に貸すことを了承してくれないか、そうしてくれるならば、あなたにも応分のお礼はしますよ——調べてみましたら、それは銀行の発行する夏座ぶとんをくれてやるとか、万年筆をくれてやるとか、謝礼をしておるようでありますけれども、中には、その期間、最高三分、二分とか、一分の金を包み金の形で、謝礼の形としてくれているというケースもあるようでありますけれども、そういうようなことで、いわゆる預金者の金を引き出して——預金者とすれば、相手は支店長代理です。しかも、自分もまた将来便宜をはかってもらわなくちゃならぬという一つの弱みというものがあるわけです。そこで、その人の預金を支店長代理が引き下げて、そしてAならAという、これは架空の会社か、あるいはあななのいう石忠という会社か知りませんが、そういう会社へ融通させるというようなことを承諾したというケースも多々ある。そういうようなことは単にこの場合だけじゃございませんよ。他の銀行にも往々にして預金獲得競争の激しい中で繰り返されているということを私は二、三知っている。これに対しても銀行が責任がないとあなたはおっしゃるのかどうか。そのことに対して銀行は責任があるかないか、お尋ねしたいと思います。
  47. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 ただいま小林先生がお示しになりましたようなそういう行為というものは、およそ金融機関職員としてなすべからざる行為でございます。厳にそういうものは戒めなければならぬ、ましてや、何やら高利をつけるといって、一体その高利をどこから出してくるのか問題だと思います。また、そういう話に応じて高利をもらうということになりますと、これは別途また法律にかかるという問題もございます。私はそういうことは従来とも絶滅を期すべくやってまいりましたが、遺憾ながら間々起こる、今後ともそういうことは絶対起こらぬようにこの際厳重に警告をいたしたいと思います。
  48. 小林進

    小林委員 私はその厳重な処分をあなたに聞いているのじゃない。そういう被害者に対して銀行の責任があるかないかということを聞いているのです。銀行の経営者として、責任者として、そういう支店長代理なり、社員や行員のやった仕事に対して責任があるかないか。法律問題じゃないですよ。一般社会通念として聞いているんです。
  49. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 ただいまのような問題のケースは、場合によっては、いわゆる浮き貸しということにもなり得るかもしれません。あるいは導入預金ということになるかもしれません。それはケースによって調べてみなければわかりませんが、起こり得る場合でございます。そうなりますと、これは法に触れる行為でございます。したがって、金融機関の役職員はそのような浮き貸しをしてはならぬというように法律では禁止をされております。それが行なわれた場合には罰則の適用もございます。したがって、そのような行為は、正当な、つまり金融機関職員としての業務ではない、業務の遂行に必要な行為ではないというふうにこれは考えなければならぬと思うのです。そういたしますと、正当業務を行なっておらない、いわば不法行為をやったものに対する責任の問題である、こういうことになろうかと思います。したがって、この点はよほど個々のケースについて十分調べてみなければ一がいに申せませんけれども、先生のおっしゃるように、そういう場合でも、それは直ちに金融機関の責任ではないかとおっしゃられると、そこは私は非常に問題であろうと思います。
  50. 武藤山治

    武藤委員 それは一般の社会公共性の強くない企業ならいいと思うのです、いまの解釈で。しかし、事、銀行は、再三当委員会でも議論されているように、非常に公共性の性格が強い機関であります。したがって、こういうものを、一個人のやれ横領だ、あるまじき行為をとったのだから、したがって善意の第三者の預金者にも一切弁償責任がない、こういう論理でこれを片づけるということは、私は今後の日本の金融機関のあり方としてたいへんな問題を残すと思うのです。ですから、この際は大蔵省はき然とした態度をとって、こういうものについてはとにかくとりあえず信用金庫は払いなさい、全額処置しなさい、こういう行政指導をするのが当然だと私は思うのです。当然、預金者には全部返しておきなさい。将来それを信用金庫は今度は個人から取ったらいいのです。一般の第三者に、これはもう個人の責任ですからと、ばっと突っぱねて取れといったって取れようはないのです。当然いままでもうかった信用金庫が負担をすべきですよ。そのためにまた滞貨金償却金あるいは貸し倒れ準備金というものがあるわけでしょう。  この東調布信用金庫の貸し倒れ準備金、すなわち償却金というものはどのくらいあるのですか。現在調査した結果を明らかにしていただきたい。
  51. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 いまの数字はすぐ調べて申し上げますが、その前に、前段の点についてお答えいたします。  ですから、確かにこの問題は私はやはり二つの問題があると思うのです。一つはやはり法律問題、もう一つは、先生のおっしゃるような金融機関という非常に公共性の強い機関ということからくる社会道義的責任と申しますか、そういう問題、その問題を私はやはり混同してはならないと思います。したがって、法律問題は法律問題としてきちっと追及をして、と同時に、では一体法律上もう何らの責任もないのだから何もしなくてよろしいかということになると、私は、それはそうじゃない、そこで先生御指摘のような公共的使命が出てきて、やはりそこで道義的責任というものは出てくる、これは通常他の企業にないほどやはり重い道義的責任を感じなければならぬと思うのです。したがって、事の処理にあたってはそういうことを十分考慮しながら措置していかなければならぬ、あくまでその預金者保護ということがやはり最大の眼目でなければならぬと思います。したがって、そういう線で本件も考えなければならぬと思いますけれども、いまおっしゃいますように、とりあえず払っておく、それは貸し倒れ準備金があるのだからそれで償却したらいいじゃないかとおっしゃいますのは、これは必ずしも——お気持ちとしては非常によくわかるのです。私もそうしたいという気もいたします。だけれども、やはり一つの金融機関として経営しております場合に、ただあまり感情だけで動かすわけにもまいりません。そこはやはり法律論というものも十分固めて、その上で、一体総合的に見てどういう措置をとるべきか、その場合の一番大事なことは、やはりお客さまを大事にする、預金者を保護するという観点でその措置をするということだろうと思います。
  52. 武藤山治

    武藤委員 償却金は幾らですか。
  53. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 三億四千五百万円であります。
  54. 小林進

    小林委員 私は、いわゆる銀行の公共性の問題をいま言われた、それから使用者の問題も言わなければならぬが、一つの具体的な例を申し上げましょう。これは気の毒なんだが、これもいまおっしゃるように小林確二さんという人なんですね。これはいまの支店長代理とはやはり銀行業務を通じて長いおつき合いなんです。大森支店にいた。今度は蒲田の支店長代理に栄転をしてきた。それは大森時代からの長いつき合いです。だからお互いに便宜をはかったり、はかられたりしてやっている仲でございますから、信用している。その結果、小林確二君の家をひとつ担保に貸してくれないか。その理由は、いま言うように、銀行の大事なお得意さんで確実な営業をやっている人にひとつ金を貸す必要がある、つなぎ資金だ、手続が済んだらすぐ銀行から借りて君の家は直ちに担保を解除するからひとつ貸してくれ、こういうことでその大八木という支店長代理にその家を担保に貸した。やはりこれは個人に貸したのではないのです。銀行という看板がうしろにあるから、信用して貸せるのですよ。これは先ほどから言っているように、どうもあなたは個人関係だの、谷間の関係だの言われるが、純粋な個人関係なんか一つもありません。この大きな事件の中には、全部金庫というものに対する信頼、その金庫の中における支店長代理、係長というその地位を信用しているんだ。そこで、その家を担保に提供した。要するに百三十万円の抵当に関係をした。ところが、この事件が起きてみたら、驚くなかれ、その家が担保に取られた、その担保のために金庫が出したという百三十万円の金は、この小林確二自身のいわゆる借り入れ金になっているわけだ。だから、この事件が起きてみたら、小林確二君は、自分の家は銀行に抵当に入れられておる、なおかつ、その家の見返りで銀行から百三十万円の借金をしている、自分が銀行から百三十万円の借り入れをしている、こういう結果になっているわけです。家は取られる、一銭も見たこともない、手にしたこともない借金がちゃんと銀行に残っている、こういう実に言語道断な目にあわされている。泣きつらにハチというけれども、泣きつらにハチが千匹もとまったようなひどい目にあっている。こういうことに対しても、一体銀行に責任がないのか。法律上の問題で、これは個人の取引でやったのだから、銀行には関係がない、銀行は銀行の原簿に残っている百三十万円だけ貸している、貸しているその金だけは返してもらわなければいけない、返さなければ、これを抵当で取り上げて競売に付しても百三十万円の借金のかわりにしなくてはならぬ——いまのところはまだ言ってきませんけれども、そのうちには延滞利子くらいつけて取るくらいの冷酷な気持ちでいる。残酷非道な男だ、こいつは。こういうやつですが、こういうことをやっているのに対しても、それはおまえたち個人の取引だといわれたら、一体被害者の立場はどうなるか、あなたはどうお考えになりますか。
  55. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 先生のおっしゃることはよくわかります。ですから私は、先ほどから責任がないということを申しているわけじゃない、つまり事の性質に応じて、これは結局民事責任の問題である、民事責任があるかないかという問題と、それからいまおっしゃるような、結局金融機関という信用を背景にしていたからこそできたのじゃないかという点、そこは非常に大事だと私は思うのですが、その大事な点に対する社会道徳的責任と申しますか、そういうものと、二つある、そこで先生はおそらく後者のほうのことをおっしゃっているのだと思います。私はたまたま法律上の民事責任としては成り立ち得ない場合があるかもしれませんということをまず申しました。しかしそうかといって、それでは法律上責任がないから金融機関としての責めを免れるかというと、そこはそうはいかぬだろう、やはり社会的使命というものから見まして、道義的な責任というものは残ってくるのじゃないか、つまり、そういう金融機関に対して寄せてくださっている世間の信頼というものを、言ってみれば逆用したわけですね。裏切ったどころじゃない、逆用して、そして悪事を働いておのれの私腹を肥やす、そういう人物を支店長代理というような重要な職に任命したこと自体に、もともと非常に問題があると私は思います。これは今後そういう内部管理の体制を十分やらなくてはいかぬこともわかります。したがって、先生のおっしゃるように、たとえ本人がどんな悪者であろうとも、本人のやった不法行為でも何でもみんな金庫が責任を負って金を払え、そうしてしまえば、金庫としてもこれはやっぱりおかしな者を雇っておけない、うかつな人事はできないぞという意味で、非常な警告になるというおそらくお気持ちだろうと思うのです。私はその点非常によくわかります。わかりますが、しかし、一方において金庫は、先ほど申しているように、他の預金者をかかえております。先ほど貸し倒れ準備金三億四千五百万円と申しましたが、これは全体として百七、八十億程度の貸し出し残高がございます。それに見合って二億円近い預金があるわけです。そういうもの全体に対してこれは備えておるわけです。ということでもありますので、先生の御趣旨は私もほんとうによくわかりますから、今度とも十分指導上遺憾なきを期してまいりたいと思います。
  56. 小林進

    小林委員 どうもあなたは私の気持ちはわかる、わかると言うけれども、結論においてさっぱりわかっていない。佐竹さん、あなたも今度はいよいよ公庫の副総裁に御栄転になるというような新聞辞令を拝見いたしました。これはいつになるか知りませんけれども、近き将来でしょう。そういう公庫の副総裁になるとき逃げ口上をいまからつくっておるということになりませんか。そうじゃありませんか。そういう銀行の支店長や係員のやった仕事の中で、これまでは個人の仕事だから銀行は責任を持てない、これまでは預金証書を出して銀行の窓口で扱った仕事だから、これだけは責任をとります、そういうことを言われるならば、今度は預金をする者は支店長の行為に対して一つ一つ確認をしていかなければならぬ。  話が前後しますけれども、あなたのおっしゃった証券会社の外交員の仕事、それから保険の外交員の集めてきた金の着服、そういう問題も全部保険会社や証券会社で責任を持つべきだと私は思っている。それは明治以来から問題になり、大正から問題になり、昭和から問題になったか知りませんけれども、あなた方の気持ちが、金融機関や証券会社あるいは保険会社や、そういう経営者や管理者の立場ばかりとっておられるからなかなかこの問題はこんがらかってくる。ものをきちっと割り切っていけば、保険の外交員であろうと、証券会社の何であろうとも、それは全部会社が責任を負うべきだ。その責任の負い方についてあなたたちが監督を不十分にしておくからこういう事故が絶えないのです。証券会社等の勧誘員が手張りをやったり、店を看板にして自分で相場を張ったりするようなことに対して、どうして一体大蔵省あたりが監督を厳重にしないかと、私はかねがね非常に憤りを感じている。ましてやこの問題なんかは、保険の外交員が保険金を着服したとか、あるいは一証券会社の勧誘員が手張りをやるとか、自分で着服するというようなことは、残念ながら、同じ大蔵省の監督行政の中でも、これはやや世間の了承とまではいきませんが、やむを得ないという気持ちがあったけれども、金融機関の中でも、特に銀行行政や金庫行政に対しては、そんな証券会社や保険会社の外交員程度のあいまいな人の採用のしかたもしていないだろうし、また、そういうような不正なことをさせるような監督や、内部のぶざまな不行き届きなこともやっていないだろうと、私は実は信用したい。これが世間一般の常識です。ところが、驚くなかれ、去年はあの森脇、吹原産業事件に関連して、大三菱銀行だの、大大和銀行等を舞台にして、二十億円だの三十億円だのの手形詐欺が行なわれるなどということで、全くわれわれ驚天動地の驚きを感じた。けれども、それは持てる者同士の争いだし、政界の黒幕である官房長官の念書が入ったとか入らなかったとか、これは指導階級、上層階級、トップクラスの争いだから、庶民階級には影響がないから、われわれはそれほど興味がなかった。しかし今度の問題は、ほんとうに命をかけた、これがなければ生きていけないようなそういう人々に対する大きな被害なんであります。スケールはわずか一億五千万円や二億円の金であっても、これの及ぼす影響は実に甚大であると私は考えざるを得ない。  そういう意味におきましても、もしあなたが、そういうような銀行の支店長代理だの係長だのがやった仕事に対して、個人の責任だ、銀行の責任だなんということを区別して処置をするという考え方ならば、銀行の外回りなどという制度を全部やめさせなければいけない。全部やめさせることができるか。それから、銀行の窓口に金を預けるのも、支店長代理だから、補佐だから責任はないのだ、原簿にないとだめだというならば、必ず支店長の判こを一々——理事長の判こが預金証書に押してあるのだけれども、支店長みずからが判こを押すか、そうでなければ、銀行の中でも、おまえは支店長代理だけれども、ほんとうに間違いがあるのかないのかということを一人一人預金者に確認させて、ふところの中に、この支店長代理は絶対に悪いことをする人ではございませんという大蔵省発行の証明書でも持たして、その上で金の取引をやらせるか、そういうことをやらしてもらわなければ私は問題の解明にならぬと思うのです。どうですか、あなたそう思いませんか。
  57. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 金融機関というものは、まあどんなささいなことでも絶対に間違いがないところである、こういうことでなければならぬと私は思います。そういう意味で、まさに先生の御指摘のとおり、そういう間違いが起こるおそれが常にあるというような体制であること自体が、私は非常に問題だと思います。その点は確かにおっしゃるように、政府、大蔵省の監督体制が決して十分でないということの、いわばこれはあらわれかもしれません。そういう意味で、私どもも率直に実は反省をいたしておるわけでございますが、今後とも、こういうことの絶無を期するように厳重な警告、通牒も出し、厳重な指導もしてまいりたい、また同時に、検査等にあたりましても、そのつど十分その辺の実態を見きわめまして、間違いが起こらないような体制をつくっていく、そして、真に世間の信頼にこたえ得るような体制をどうしても立てていかなくてはいかぬ、かように思います。
  58. 小林進

    小林委員 私は厳重な警告やあなた方の監督をお聞きしているんじゃないのです。何回も繰り返して申し上げますけれども、銀行の行員だってりっぱな人もいるでしょうけれども、魔がさすということもあるんだから、こういうようなことはやはり人間の世界である以上あとを断たない。ただ、そのときに銀行の経営者の責任がどこまで及ぶかという、その銀行の責任の範囲です。行員の私的行為と思われる行為、しかし、ぼくらから言わせれば私的行為じゃない、被害者の立場から見れば、全部銀行をバックにしてやっているんだから。銀行の都合のために一時こうしてくれ、銀行の発展のためにこうしたつなぎ資金として貸してくれ、銀行のためにこれはやらしてくれ、自分の個人の生活の問題だとか、自分の個人の利害得失のために支店長代理は決して金を借りているんじゃない、全部銀行がバックなんだ。そういうような不正事件にかかっているのは、全部、銀行だから間違いがないだろう、銀行だからこういうような融通をしてもいいだろうということを言っている被害なんです。そういう被害に対して、あなた方が、ここまでは銀行の業務上の責任はあるが、これだけは、支店長代理であっても個人との取引だから銀行は責任がないと言われれば、その責任関係を今度被害者は一々確認しなければ一銭の金も預けられないじゃないですか。銀行の窓口へ行ったところで、それを確認しなければ金を預けるわけにいかぬじゃないですか。銀行の窓口へ行って金を出したときに、あなたは絶対間違いはありませんか、これはあなたの個人の資格で金を預かるのですか——警察へ行っておまわりさんの官服を見て、おまわりさん、あなたは間違いなく警察のおまわりさんで、この警察の仕事をやっているんですかと一々確認しなければならないと同じ理屈だ。そうならざるを得ないじゃないですか。そこまであなた方は厳格な指令を飛ばしますか。そうして、銀行のいわゆる外回りが来て——いまだってそうでしょう、外回りがみな個人の店で金をとっていくんだから。銀行の窓口ではなく、そうして持っていった金を元帳に入れるのか入れないのかだれもわからぬ。あなたはほんとうに元帳へ入れてくれますかと言って、その証拠を確認しなければ金を預けられないという結果になるじゃないですか。そういうふうなシステムでもつくりますか。
  59. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 その話を分けますと、いまのような集金上起こった事故、これはさっきも最初にお答え申し上げましたように、集金に伴う事故は当然金融機関が払うべきものであって、即時支払いをしているわけです。したがって、まずその点は解決済み、そうすると問題は、先ほど来先生がいろいろ御指摘になっております個人貸借という形をとっておるその部分の責任問題です。現に先生もそうおっしゃったわけです。そこで、その個人貸借という問題です。つまり、正常な預金をし、正常な借り入れをしている限りにおいては、これは問題は起こってくるはずはないと思うのです。つまり預金というものは、さっき申したように、なるほど外務員が回って歩いても、万一事故が起これば必ず銀行が払うのだから、これは問題ない、ところが問題は、支店長代理か何か直接の関係になってきて、月三分の利息がつく、これは年率にしたら三六%です。三割六分ということが一体通常の銀行業務、金融機関業務から出てくるかということは、ちょっと考えたら、常識のある人ならすぐわかるはずなんですね。しかも、正規の銀行との貸し金契約書じゃない、全く個人名——なるほどそれは支店長代理という肩書きはあるかもしれないけれども、あくまでも個人の名前でこしらえた借用証書、そういう取引というものが正常な取引ということになるでしょうかという問題が私はあると思うのです。だから、そういう問題については、やはり実態をよく見きわめて処理しませんと、つまり善意の預金者、正常な預金者、善意の取引者、正常な取引者、これはもう完全に保護されておると私は思うし、いま先生も大体満足だとおっしゃいました。しかし問題は、そうでないおそれのある方——これはそうでないということは断言できません。できませんけれども、そこに必ずしも明確に割り切れない、だからそこは十分事情を調査して、誠意を持って処理に当たれということを私どもは金融機関に申しておるわけなんです。決して責任がないということを何も私言っておるわけではございません。ですから、その点は誤解をいただかないようにお願いを申し上げたいと思います。
  60. 平林剛

    平林委員 関連。  結局、小林さんの気持ちはわかる、わかるということだけれども、最終的にくると結論がつかないという理由は、私はやはり銀行局長のものの考え方をもう少し直してもらえばよいと思うのです。なぜかというと、今度の東調布の問題について、かりに支店長代理が二百万円か三百万円の問題で事件を起こしたならば、これは早う解決しておるはずです。二百万円か三百万円程度のものであったら、おそらく東調布の支店長も理事長も、当信用金庫の信用を保持するために、これは私どもが責任を負って処理いたします、こう言って、みえを切るにきまっているのですよ。私はそうだと思うのです。ただ、金額が大きくなったから、いろいろな理由をつけて何か煮え切らない態度をとるし、そうして、ふらちな通牒を出したりしておる、私はこう見ている。金額が小さかったら、きっといいことを言って、信用金庫の信用のためになんて言って処理するにきまっているのですよ。私はそこで、大きい小さいの違いはあっても、やはり信用金庫のとるべき態度というものがあるじゃないか、大きいから何かいろいろな理由をつけて責任をのがれようとすることはやめたらいいじゃないか、こういうことを言いたいのですよ。そういう意味では、銀行局長もその方向でひとつ指導する、こうおっしゃっていただければ解決つくのじゃないですか。
  61. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 実は先ほど来私がるる申し上げておりますのもそういう趣旨でございまして、ただいま平林委員の御指摘になったことと全く同感なんでございます。したがって、先生のただいまの御指摘の趣旨に沿って解決をはかるべく指導をしてまいりたいと思います。
  62. 小林進

    小林委員 あなたは三分とおっしゃったけれども、そんな三分の高利なんというものは常識で考えられぬとおっしゃった。しかし、いま被害者はみんな聞いているのですよ。三分を利子なんかと思っていないのです。中には、若干謝礼金の形で持ってきたものを換算して計算してみたら三分くらいの高利に当たっているのがあるかもしれませんけれども、形は三分の高利をやるから貸せというようには言っていないのです。けれども、かりに最高三分の金利をおまえにくれるからと言っても、あなたの良識と一般の中小企業者の銀行に預けている者の良識というものは、同様に考えられないですよ。銀行の支店長代理なんといえば、いまの被害者などはみんな偉い人だと思っている。われわれと能力も違うし、金融に関する限りは専門家だとみんな思っている。その人たちが持ってきた謝礼金であり、金であるから、それが銀行業務の正常な運営の中で無理であるか無理でないかを被害者や預金者に判断せいということ自体、あなたの主張に大きな間違いがあるんですよ。そういうことで被害者に責任を持たせようなんということは、これはとんでもないあなたの論調です。それで、いまの場合その問題は私は賛成できない。  それからいま一つの、個人の場合なんと言うけれども、ここに戸田勉君という者がいるんだ。これもあなた方銀行の解釈は個人だと言っておりますけれども、これは蒲田の銀行からものの三十間も行かないところでお菓子屋をやっている。毎日毎日自分の集めた金はそこへ預けておいた。この人なんかは、子供のときから小僧に行って、二十七歳までに百万円ためた。いよいよ店を持とうというので、それじゃ親もおまえに金を貸してやろうというので、親のほうから血の出るような金を百万円借りて、二百万円集めたのを銀行に預けた。それから毎日の売り上げ金も集めて二百十万円になった。銀行は毎日支店長代理や係長が出入りし、金を集めたりして長い間来た。先ほど言うように、銀行が大事なお客さんのつなぎ資金のために一間週か十日ばかり必要だから、おまえの金をその期間だけ少し融通をしてくれないか、こう言ったというんです。——いいですか。そう言ったら、この人はこういうことを言っている。私もお世話にならなければならないし、それほどおっしゃるのであれば、やむを得ずお貸しいたしまするけれども、その貸し方は確実にしておいてくださいよ、こういうことを言っている。しろうととしてはこれしか言えないですよ。その確実な相手は専門家なんだから、どうか間違いないように確実に預かってくれ、あなたも支店長の肩書きで間違いないと思いますからお貸ししますけれでも、確実にしておいてください、こういうことを言っていたのです。そしてその確実という以上、いままでの普通預金通帳の金を取り出してつなぎ資金として貸せと言うのだから、一週間もたったらもっと確実な方法で通帳あるいは定期預金通帳か何か確実なものを持ってくると思って、一生懸命待っておったけれども持ってこない。持ってこないからおかしいと思って、一体あの金はどうなったんだ、あれをどういうふうに確実にしておいてくださったんですかということを督促した。督促したら、一ヵ月ですか、一ヵ月半ですか、二ヵ月たったあとで初めて、六十万円、二十万円、百万円、三十万円、計二百十万円の約束手形を持ってきた。この約束手形は全部不払いになってしまった。架空なものや、とても回収不能な手形を持ってきた。こういう問題に対しても、金庫側は、それは金庫支店長代理と個人の取引で、あなた方の約束だから金庫は責任を負えませんと言って、個人貸借と思っているのだが、一体これをあなたの言うような個人の貸借関係と言い得るかどうか、その解釈の問題です。いかがですか、こういうようなケースは。
  63. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 これは形はやはり個人の貸借関係ということになっておると思います。ただしかし、おっしゃるように、その背景というものはやはり考えなければなりません。これは金融機関そのものとの貸借でないことは実は明らかでございますから、そこは区別して考えなければなりませんけれども、しかし、おっしゃるように、支店長代理というような地位にある者がいやしくもそういう行なうべからざる行為をやって、そのために第三者の方に御迷惑をかけておる、まさにそういう実態なんでございますから、それについては、やはり金融機関というものは、そういう者を使用しているということからくる道義的責任というものは免れないのじゃないか。つまり、お客さんは信用金庫を信用なすってそういうことをやっておられる部分が私は相当あると思う。そうなると、それはかりに法律上の民事責任は免れても、道義的責任は免れない、したがって、それに対して金庫としてやはり当然適正な処理はしなければいかぬのじゃないか、これが先ほど平林委員の御指摘について私が同感だと申したゆえんでございます。
  64. 武藤山治

    武藤委員 その同感だということは、六月八日に長久保理事長名で被害者に返事を出した、この文章は適切でない、こういう処理のしかたはまことにけしからぬ——さっきそういう私の質問に対してあなたはうなずきましたね。だとすれば、銀行局としてどういう指導をするのか。私はこの処理の方法はあると思うのです。たとえば、銀行局が言うような預金で預かったものは全額返す、それ以外に、預かったものが第三者の担保として入ってしまった、こういうものについては、この第三者と信用金庫との間で今後とも賃貸契約関係が続けていける状態のものであるかどうかを個別に信用金庫は調査して、じゃ、その分は相手方がやがてなすというから、なすときには、信用金庫のほうにきちっと定款に基づいた取引をやって、それにいかぬ間に信用金庫は取り立てる。被害者には直ちに払っておいて、第三者のものはそういう形で一応処理する。もう一つの、個人が三分なり五分の高利を取った、導入預金と目されるこういうものについては、被害者個々に対しては正式な信用金庫の利息範囲で、それ以上超過するものは差し引き勘定しますよ、信用金庫の役員会としては導入はけしからぬ、高利を取ったものはけしからぬという意見でありますから、一定の約束以上のオーバー分についてはおたくのほうの貸し金から取りますよ、差し引き勘定しますよ、そういう処理にして、実害がないように被害者に全部払うのが私は当然だと思うのです。中小金融課長、かって昭和三十年に常盤相互銀行がこれと同じような不始末をおかしたときには、常盤相互の会長、頭取ですか、青木さんという方は、適切に全額被害者には払って、公的な金融機関の信用失墜を極度におそれて処理したじゃありませんか。そういう例があるのですよ。今回のこの長久保さんの回答というものはまことにけしからぬ回答である。銀行局は直ちに、こういう回答はだめじゃ、もしこんな態度でいくならば信用金庫の許可は取り消す、このくらいな強い態度で被害者をこの際救済すべきだ。先ほどの三つの問題についての具体的処理方法というのは、煮詰めればあるはずでありますから、そういうことを長久保理事長は検討して被害者に通告すべきであります。そういう指導は大蔵省はできませんか。ただけしからぬ、武藤委員のおっしゃるとおりでありますと、うなずくだけであっては、この問題は私は前進しないと思うのでありますが、銀行局長いかがですか。
  65. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、金庫側が出しました手紙、これはまことに軽率であり、適正な処理とは思われないということで、厳重警告を発したことは先ほど申し上げたとおりでありますが、同時に、今後の処理につきまして、それは、たとえばいま武藤委員が幾つかの方法を例示なさいました。どういう方法がいいかは、それはいろいろ検討の余地もあろうかと思います。今後の問題だと思いますが、いかなる方法によるにせよ、ともかく本件の処理について、十分誠意を持って事に当たれということはかねがね申しておることでもございますし、今後とも十分その処理の状況を私ども見守りまして、厳重にひとつ規制していきたい、こう思っております。
  66. 武藤山治

    武藤委員 では、この六月八日の通知に対して、いつ幾日、銀行局は厳重な誠意ある処理をすべきだという警告を発しておりますか。何月何日、どういう状況のもとですか。長久保を局長のもとに呼んでやったんですか、一片の役人の通牒でやったのですか、電話で警告したのですか、具体的にどういうことをやっているのですか。
  67. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 先ほども申しておりますように、信用金庫に対する第一次的な監督をいたしておりますのは関東財務局でございます。したがって、私のところへ呼んだわけではございませんが、関東財務局において厳重に申し入れをいたしております。
  68. 武藤山治

    武藤委員 私たちの見る目では関東財務局は非常にいろいろな疑惑をわれわれが持つような事例が多いのであります。こういう関東財務局にまかしておったらだめです。  そこで、私は、きょうの佐竹銀行局長の答弁は適切だと思うのです。したがって、その適切な答弁を裏づけし、そういう方向で処理させるためには、ここにいま傍聴に来ておる被害者の皆さんからも個々に銀行局は一人一人の事情を全部聞く——こういう長久保理事長のような態度の金庫では、調査したところでほんとうの調査を皆さんに報告しませんよ、長久保自身が悪いことをしてしるのですから。あと、きょう刑事課長を私が呼んでいるのは、長久保理事長自身がこれより悪質なことをやっている、その具体的事例をあげるために刑事課長に来てもらっておる。そういう金庫自体の姿勢に問題がある、それをぜひ私は銀行局長によく頭に入れてもらいたいのであります。  そこで、ひとつ刑事局にお尋ねしますが、この問題はただ単に大八木個人がやっておる問題でなくて、かなりの共犯者がおる。特に預金係長の山本某なる者、この者の手を通じて金を預けたという者も本日の傍聴人の中にかなりある。これは共犯であがっておりますか、おりませんか。いま逮捕されておるのは大八木一人ですか。
  69. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 本日の御質疑につきまして急に御説明を仰せつかりましたものですから、資料が十分でございません。とりあえず現在捜査をいたしております東京地方検察庁から報告を求めたところに基づきまして御説明申し上げます。  先ほど来御質疑の対象になっております東調布信用金庫蒲田支店の支店長代理の大八木という人が被疑者で、本年五月十四日から六月二十二日にわたりまして数回詐欺あるいは業務上横領ということで、きわめてたくさんの犯罪事実が東調布警察署から送致されております。身柄拘束の関係がございまして、とりあえず五月二十七日にごく一部を起訴しております。  この事実は、たまたま取引先から預かっておりました預金通帳を利用いたしまして架空の受け入れ額を記帳した上でこれを払い戻し名下に詐欺をする、こういう形で百四十五万円を詐欺した、この件でとりあえず起訴をいたしまして身柄拘束を継続しておるわけでございます。先ほど来御質疑の中にも出ておりましたように、何ぶんいろいろな手口で、たいへん零細なお金を一生懸命ためてお預けになった方や、そういったたくさんの預金者が被害者でございまして、回数、金額もまだ確定はいたしませんが、相当膨大なものになりますので、捜査といたしましてはまだほんの緒についたところでございます。したがいまして、今後これから次々に被害者の方の御事情等も聞きまして、一つ一つの事実を克明に確定いたしますとともに、それぞれ法律判断をいたしまして、いわゆる私どものことばで申します事件を固めてまいる、そのように被疑者大八木につきまして犯罪事実を固めますと同時に、この大八木の周辺にいろいろこの犯罪に加功した者、あるいはこの犯罪の結果大八木が得ましたものをまた分配にあずかったとか、その他いろいろなものがあるかもしれません。こういうものはあくまで徹底して捜査をいたしまして、金融機関役職員の姿勢を正すとともに、多数の預金者の方々が不幸な目にあっておられるようでございますから、その方々にもなりかわりまして万全の捜査をいたしたい、こういうことで、現在東京地方検察庁におきましても、この種の事件のベテラン検事を主任検事といたしまして鋭意捜査をいたしておる次第でございます。
  70. 小林進

    小林委員 それでは、銀行局長、刑事課長にもお尋ねしたいことがございますが、銀行局長に特になおつけ加えて申し上げておきたいとことは、先ほどから言うように、銀行の経営者の態度が非常にけしからぬということが武藤委員平林委員からもお話があった。私はこの問題について、特にあなたに念を押しておきます。  こういう問題が起きたために被害者の諸君が理事長の家へ行ったところが、けんもほろろのあいさつをしたのみならず、警察へ通告してパトカーを呼んで、そうしてこれを追っ払った。こんな態度が一体いいですか。それから、理事長は時には一億や二億の金はいつでも弁済してやる、百億も金があるのだからがたがた騒ぐな、こういうたんかも切っている。これが一体理事長の態度ですか。私はむだなことを言っているのではないのですから、これはひとつ確かめてください。そういうようなたんかを切りながら、今度は先ほども言うように、六月八日のそういう不当な通知書を出して、個人の関係だから責任がないような話をしている。これは武藤委員が言われたとおりだ。そのほか、現に今度は預金者の方々が個人の面会を申し込んで、たとえて言えば、蒲田の支店長のところに行くと、実に冷酷な話をしている。支店長の天明何がしなる者は、その被害者を応接間に入れたのはいいけれども、おたくの金は帳簿に載っていないのだ、大八木がこんな不始末をしたのだからいま調査中だ、待っていなさい、こういうような話で、あとは忙しいからといって、三分か五分の会談で、会談にも応じないというような冷酷な態度を続けておる。こういうのが一体いいのか悪いのか。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕 それから、いまあなた方はお調べになったと言うのでありますが、蒲田の支店へおいでになりましたか。蒲田の支店へ行くと、ちゃんと金庫内に紙が張ってあるはずです。ごらんにならなければ行って見ていらっしゃい。いまわが金庫についてはいろいろ問題があるけれども、ただ個人の不正事件で、これを受けた被害者が二、三名おるだけの話だ。取るに足らない問題でありますから、決して皆さん方に御迷惑をおかけすることはない。それは、金庫だから皆さん方に御迷惑をおかけしますという店内の張り出しはできぬだろうから、単なる個人の不正事件で被害者は二、三名しかいない——誇大広告もよろしいけれども、こういう誇小広告で人を小ばかにしたやり方だといわなければならぬ。これが金庫の理事長の態度ですよ。  それから、いま武藤委員が言われたように、関東財務局はどうもやり方がなまっちょろいといわれておる。われわれ悪意の推定はしたくないけれども、その関東財務局の監査官とかいう重要なる地位にいられた人が金庫へ入っているでしょう。業務部長だの管理部長だの、いわゆる常勤の重役だのと、こういう顕職を兼ねておる。おそらく関東財務局の中にはこういういまの東調布信用金庫の重役さんとつながる人が一ぱいいるだろう。先輩にはあまりいないかもしれない、ほとんど後輩でしょう。こういうような関係があるとすれば、私どもは痛くない腹も探りたくなるじゃないですか。探るほうが悪いですか。悪くないでしょう。李下に冠を正さずというならば、そういう足元から問題を解明して、いま少し被害者の立場でものを考えてくださいよ。しかも、その戸田勉君などというものは、今月の十五日か、たまりかねてまた理事長のうちへ行った。けれども、行って理事長のうちの玄関をあけて、あけたばかりで、ごめんくださいも言わないうちにそこへ倒れてしまって、八時間も人事不省におちいっている。心身ともに疲れ果てていたんでしょう。また玄関払いを食わされるのじゃないかという思いもあったかしれない。倒れてしまった。そうしたら何と言った。酔っぱらいが来て玄関であばれているから連れていってください——救急車を呼んだのはいいけれども、酔っぱらいが来て玄関であばれているということは一体ないでしょう。それが東調布信用金庫の理事長以下理事の態度です。これが、いささかでも公的機関である、公のための金融の業務に携わっているなどと言われますか。私はまだ問題がたくさんありますけれども、そう銀行局長にだけ質問するわけにいきませんからこれでやめますけれども、あなた方の処置が悪ければ、体会中でも参考人を呼んで、被害者に全部来てもらって、そうして問題を一つ一つやっていかなければならないと思いますが、私は結論から申し上げたい。  刑事事件は検察庁にまかせればよろしい。法律にまかせればよろしいが、銀行局としては、そんな、個人の貸し借りでありますから他人の問題でございます、窓口で預金証書を出したものだけは責任を持ちますというようなことではなしに、原則としては、私は、金融全般の信用を博する上において、この被害額は全部払ってもらわなければならぬ、これは全部払うという原則のもとに指導監督をしてもらわなければならぬというのが、私の要望です。あなた方がやらぬというのなら、私は何べんでも繰り返す。こんな気の毒な人たちに対してこれ以上めんどうをかけるわけにいかない。全部返させて、精神的に肉体的に——なおまた、店をやめて、いまは無職になっておる人々もいる。だから、こういう人々の損害、これははかりしれないものがある。それまでも弁償しろとは言わないが、一応金庫を看板にしてやった金は全部返るようにしてもらいたい。  それから第二番目には、こういう銀行の理事長以下役員、これは即刻やめてもらわなければならぬ。即刻にやめさせるというような峻厳なる行政的ないわゆる監督権を発動してもらわなければいけない。まだまだわれわれのところに、調布金庫に対する問題なんか、別のほうからとんでもない問題が山ほど来ている。とにかく、原則としてやめてもらわなければならない。  それから、きょうは日本銀行も国民金融公庫も全部ここへ呼んで、来てもらうつもりだったのでありますけれども、日本銀行は参考人の手続をしなければ呼ぶわけにいかないというので、残念ながら来ないけれども、ああいうような金庫に日本銀行の代理業務をやらしている。こういう高利貸しよりもひどいようなものに日本銀行の看板なんてかけさせるからだんだんそれを悪用して、みんなこういう気の毒な庶民を泣かしてくる。いやしくも国家関係の仕事をやらせることは全部取り上げてもらわなければならない。国の業務を代理せしめるような行為は、事のいかんを問わず、全部看板を引きあげるように即刻処置をしてもらわなくてはいけない。  以上、三点を強く要望いたしまして、これをやらなければ、私は何回でも徹底的にやりますから、どうぞひとつその点をお含みおき願いたいと思うのです。
  71. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 こういう不祥事件で多数の預金者の方々に御迷惑をかけていることにつきまして、われわれ監督の立場にあるものとして非常に深く反省をいたしております。御指摘のように、この際、本件は徹底的に究明いたしまして、峻厳なる態度をもって処理に臨みたい、かように思います。
  72. 小林進

    小林委員 銀行局長の非常に正義感に燃えたかたい決意のほどを承りまして、そのおことばをありがたくちょうだいいたします。それが直ちに具体化することを心から祈念をいたします。  次に刑事局にお尋ねをいたしたいのであります。  いまこの大八木の不正事件についてお取り調べ中であるというお話は承りましたが、実は私どもの手元へ、これは全く別のケースとして、東京都大田区大森東一丁目一番地二十三号の大竹謙治さんという人のところから、同じく東調布の問題について上申書といいますか、投書が来ています。これによると、八百万円の金を銀行から、自分の家を抵当に入れて融資を受けた。そうしたら、利息の損害金——これは期日までに金は払えなかったのでございましょう。そこで延滞利息だ。手形の振り出し分だの、手形に対する損害金だの、訴訟に要した実費だの、そのまた訴訟に要した弁護士その他の報酬及び雑費だのと称して、千六百八十四万六千九百二十一円なりの請求をする倍額の請求書を突きつけて、これを取り上げているというものです。こういう問題が起きています。私も法律のしろうとなわけではございませんけれども、参考までに私どもの友人の弁護士等に聞きましたけれども、この請求は非常に不当なものであるということを彼らも言っていたのであります。こういうことに対して、検察庁は事情をお知りになっておるかどうか、あるいはお取り調べになっておるかどうか、お聞きをいたしたいのであります。
  73. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 ただいま先生が要旨をお読み上げになりましたのと同趣旨の投書は、私どもの手元でも受け取っております。さっそく検察庁へ回付いたしまして調査を命じておるところでございます。  なお、御指摘の問題は、いわゆる高金利の処罰の法律に触れる問題になってくると思いますが、東調布信用金庫理事長につきましては別の投書等も二、三ございまして、あわせて調査をいたしておる段階でございます。
  74. 小林進

    小林委員 あなたのほうに二、三なお投書があるというならば、おそらくそれもわれわれの問題と同じものじゃないかと思います。どうもこの東調布というものは、金を貸して、期日が来てもその金を取り立てないで、あるいは延滞利息を取り立てるとか、あるいは抵当権を直ちに処分をするとかいう、町の高利貸しよりもひどいような——それが直接刑事事件に触れるかいなかは、今後私どもも研究さしていただきますし、あるいは国会の場でこの問題を取り上げさしていただきますけれども、非常に悪らつなことをやっていることは、もはや巷間だれ一人知らない者もない。かように大きな問題になっておりますけれども、いまの信用金庫などというものは全国で五百二十何ぼありまして、これは信用金庫全般の信用を高める意味においても、こういう悪なるものは、他に累を及ぼさないように峻厳なる措置を、もちろん大蔵当局にやってもらわなければなりませんが、あわせて検察当局も、そういう公共の、大ぜいの利益を守る立場において峻厳に処置せられんことを私ども期待いたしまして、その経過を非常に見つめておりますことを申し添えまして、私の質問は、きょうのところは一応打ち切ることにいたします。
  75. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 武藤山治君。
  76. 武藤山治

    武藤委員 いまの続きになりますが、いま小林委員から御指摘がありました大森の大竹謙治という人から上申書か国会議員に配られたんですが、銀行局に対してはこの上申書は提出されたんですか、読んでおりますか。
  77. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 銀行局にはまだ上申書が参っておりません。
  78. 武藤山治

    武藤委員 銀行局長、この上申書を読んでみると、東調布信用金庫の理事長なる者が、いかに金融のあるべき姿に違反した行為をとっているかということが明らかである。この人は、東調布信用庫から金を借りたところが、抵当権設定をされておる物件を創価学会の事務所が買いたいというので、創価学会に売る約束ができた。そこで、抵当権を解除してもらおうという交渉を理事長と直接いたしております。そうしましたら、貸し付け金あるいは不渡り手形分、そういうものだけを差し引き勘定するならば正当でありますが、百七十五万六千二十一円を訴訟に要したと称して、手数料みたいにこれを天引きをする、さらに二百万円を報酬及び雑費という名称で、これもまた売却代金の中から差し引きをする。そこで大竹氏は憤慨をして、こういうわけのわからぬ経費を引くとは何事だというので、再三交渉したけれども取り合ってもらえない。そこで、われわれ国会議員にこういう上申書なるものを送ってきたわけであります。  銀行業務は、定款できめられた利息以外に、こういうようなわけのわからぬ経費を差し引くことは許されますか、銀行局長
  79. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 先ほどお示しの上申書はまだ私どものところに参っておりませんけれども、こういう話を耳にいたしましたので、財務局において調査をいたしておりました。去る六月十八日に本件は当事者間において妥結を見たという報告を受けております。
  80. 武藤山治

    武藤委員 六月十八日の日に、財務局から大竹氏のところに電話があって、ぜひ理事長、営業部長と会ってくれ、こういう連絡が行っております。片方、こういう被害者に対しては、財務局は、個人の責任で、横領詐欺だといってほうかむりをさせて、国会で問題になるという上申書を出した人には財務局から、ぜひだれだれが会いたいから会ってやってくれといって親切に連絡をとっている。まことに片手落ちです。手続のしかたが公平でありません。しかも、その取り扱いたるや、どういう領収書を出したか。銀行局長、普通債務を返済した場合に、銀行というのは、きちっとした計算書、そういうものを出すのはきちっときまっておるのじゃないでしょうか。領収書とか計算書は出さなくてもいいのでしょうか。いかがでしょう。
  81. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 それは当然、きちっとした計算書をもって始末をつけるべきものとなっております。
  82. 武藤山治

    武藤委員 そういう計算書も出さない。正式な、印紙を張った領収書も出さない。こういう銀行の取り扱いに対して、何か制裁というものは全然考えられませんか。
  83. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 それは適正な事務処理とは思われませんが、それに対しては厳重に注意をして、是正を命じなければいかぬと思っております。
  84. 武藤山治

    武藤委員 東調布信用金庫の理事長は、いまの大竹某から一千六百八十四万六千九百二十一円の返済金を受領しておきながら、金庫から一枚の計算書も出してない。一千六百八十四万円の領収書に印紙も張ってない。こういうのは脱税にもなるのじゃないですか。不当利得にもなるのじゃないですか。こういう点について、東調布信用金庫のあり方を厳重に調査をしてもらいたい。  刑事局のほうで、時間の都合で法務委員会に行かねばならぬと申しますから、先に刑事局にもちょっとお耳に入れねばならぬのでありますが、いまの大竹氏の例は一例でありますが、もう一つの例は、去年の十二月二十日に一億一千百五十三万三千四百三十円の金を理事長との話し合いで東調布信用金庫から借りた。それを本年三月三十一日に不動産を抵当権解除して売却をして返済をした。その際に一億一千百万円の借り入れ金に対して、一億四千四百二十二万八千百円差し引いたのであります。三千二百六十九万四千円の差額があるのであります。定款によると、日歩六銭の利息ということになりますが、日歩六銭の計算でいっても七百万円の金利でしかるべきであります。三千二百万円の金利を引くということは、まさに不当利得であります。しかも、こういうものが正式に金庫の帳簿を通っているか通っていないかも問題であります。通っていないとすれば、おそらくこれがまた脱税のほうに関係があると思います。国税庁長官にはあとでお尋ねいたしますがこういうことを東調布信用金庫の理事長がタッチしてやっているということは背任罪に該当しませんか。
  85. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 ただいま御指摘の後段のほうの事件、すなわち、一億一千百五十三万円余りの貸し付けの関係でございますが、この関係につきましては、本年五月三十日、前田弘興業株式会社という会社が告訴人となりまして、被告訴人長久保定雄外二名に対して告訴が出ております。内容はおおむねいまおっしゃったとおりのようでございますが、告訴状によりますと、不動産の再売買の形を仮装して一億一千百五十三万円余りを貸し付け、結局一億七千八百万円の返済を得たということで、これが日歩八十三銭九厘に当たるということで、出資の受け入れ制限等の法律、すなわち高金利を取り締まる法律の五条一項違反になるという趣旨の告訴状が出ております。現在東京地方検察庁の特別捜査部で捜査にとりかかります前提としての内偵調査をやっているようでございます。
  86. 武藤山治

    武藤委員 検察陣も、こういう悪徳理事長は、ひとつ断固調査をして処断をすべきであると私は強く要望いたし、あなたの時間の都合がありますから、退席を願います。  国税庁長官、いまのは一例にすぎませんが、まだ例を出せといえば、住所氏名をあげて例は出しますが、この一事を見ても、どうも理事長個人が着服をしているとわれわれには考えられる。というのは、先ほどの例で申し上げましたように、銀行の日歩の計算の計算書も出さない、領収書も出さない、しかも、この領収書なるものは、便せんに印紙も張らずに、すべて弁護士を使って、弁護士の名前で受領している。こういう乱脈な金庫があるということをぜひひとつ税務当局も頭に置いて、いかほどの脱税をしているか、不当利得を得ているか、理事長が自分の所得にしているかということを——東調布信用金庫の場合には膨大なものがあると思うのであります。一説によりますと、理事長は個人で百五十億円の財産、資金を持っているといううわさもあります。いずれにしても、こういうばかげた処理のしかたが認められるという姿勢が問題であります。具体的な資料がほしいという場合にはいつでも提供いたしますから、国税庁当局もひとつ断固たる処置をとっていただきたいと私は期待いたしますが、長官のお考えはいかがですか。
  87. 泉美之松

    ○泉政府委員 私、現在まで、東調布信用金庫につきまして、そういったいろいろな事情があることを十分承知いたしておりません。はなはだ手抜かりで申しわけございませんが、お話を承りまして十分調査する必要があると考えておりますから、せっかく調査をいたします。
  88. 武藤山治

    武藤委員 長官はけっこうでございます。  銀行局長、いまの刑事局のお話を聞きましても、これが事実であることは明らかであります。私の聞いた数字よりもかえって大きい不当利得を得ておる。一億七千八百万円の収入を得ておるというのでありますから、この差額は六千七百万円、そのうち金利の部分として計算をした数字を引いても、これは金額にばく大な差異がある。これもひとつ、理事長がどういう領収証を出し、どういう処理をしているか、その内部関係を明らかにして、後刻報告を願いたい。よろしゅうございますか。
  89. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 承知いたしました。
  90. 武藤山治

    武藤委員 日歩八十三銭に該当するような高利を信用金庫が取っておる、そういう理事長は、大蔵省としては監督上やめさせるような指導というのは何らできないのですか。これはいかがですか。
  91. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 本件は、先ほど法務省からの答弁もございましたが、司直の手によって捜査を始めるというふうなことでもございます。そこで、事件の実体面の捜査の進行状況ともにらみ合わせて、私どもは私どもなりに実情をよく調べたいと思います。どういう実情になっているのか、その点も十分きわめまして、その上で判断を下さなければならぬ、もしかりにただいま仰せのような八十三銭という日歩を取っているとすれば、これは当然出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反でございます。まさに法律違反であります。法律違反ということになって、いわゆる法令に違反したということになりますれば、当然これに対する措置は、銀行法を準用する信用金庫法のそれぞれの監督規定に応じてしかるべき処置をとらねばならぬ、かようになると存じますが、その点がはたして法律違反ということであるのかどうか、この点は捜査の進行を待って、その上で判断をいたしたいと思います。   〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 武藤山治

    武藤委員 法律違反になるならないはいずれとしても、それならば、領収書に印紙も張らぬ、さらに計算書も出さぬ、それで理事長が金の授受をやっておる、こういう金庫の処置のしかた、姿勢でよろしいのですか。
  93. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 おっしゃる限りにおいては、そういうことが事実とすれば、それはよろしくないと思います。
  94. 武藤山治

    武藤委員 事実であるかどうか、あなたは疑っておりますが、大竹なる本人をあなたのところに連れていって本人からきちっと証書し、最後に、きょう国会で問題になるというのでお金まで返した、大竹の場合はつい二、三日前に三百五十万円返した。ずっと以前の事件をなぜ返さなければならぬのか。これはわかり切っております。理事長のやった行為が悪いからであります。間違っているからであります。こういう感覚で信用金庫を運営している人が理事長なのでありますから、今回の使い込みの場合は、これはただ単なる原則論では片づかぬ。これは特別に銀行局として厳重な調査をやって、しかもこの姿勢を正さないことには、全国の信用金庫の信用を失墜する。同時に、こういう悪徳理事長というものが役についていられるなどということになりますと、大蔵省の行政監督なんというのは一体何だ、あってないにひとしいじゃないか、大蔵省もぐるじゃないかと預金者からは疑われると思うのであります。特に私は、そういう点で、今回のこの事件を契機にして東調布信用金庫の姿勢をきちんと直してもらいたい。同時に、被害者に対しては、先ほど私が申し上げた三つの解決策があるはずでありますから、そのいずれかを至急理事長にとらせるように大蔵省として厳重に監督を願いたいと思います。
  95. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 先ほど来、いろいろ問題が東調布信用金庫にはあるわけでございますので、私どもとしてもこの際徹底的な検査、調査を行ないまして、その結果に基づいて厳正な措置をとりたい、かように思います。
  96. 武藤山治

    武藤委員 銀行局長から、厳正な処置をとるという力強い答弁がありましたので、一応この事件については了解をいたしますが、高金利で月三分から五分を取ったものが何件くらいで、金額にしてどのくらいであるか。  さらに第二には、この種の事件が、信用金庫、相互銀行別にして、過去五年くらいの間に全国的にどういう事件が起こっているか。その実績、件数を、あとでけっこうですから資料にして提出を願いたいわけであります。  第三には、関東財務局が大竹某に電話をしなければならぬ義理合いは一体どこにあるのか。東調布信用金庫の役員と会ってやってくれ、こういう電話をしているのでありますが、そういう内部の人たちの問題についても、銀行局長はひとつお調べを願って、その意図が那辺にあるか、この点もこの次に明らかに報告を願いたい。  第四には、昭和三十年に不祥事件を起こした常盤相互銀行が、被害者には全部銀行が責任を持ってお支払いをしたそのときの状況、これをひとつ提出を願いたいのであります。  この問題については、私は、第三者に対する被害を全く皆無にしたいという強い希望から、社会正義の立場からも、また善良な取引者に対する思いやりの点からも早急に処理をしていただきたい。したがって、この問題は、休会中であっても、どういう処理がなされたかということについては、小林議員と、再び銀行局の処理の状況についてお尋ねをしたいと思いますから、そのつもりで厳重なる御処置を願いたいことを強く希望して、本日の質問を終わります。よろしゅうございますね。
  97. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 ただいま御要求の資料につきましては、承知いたしました。
  98. 三池信

    ○三池委員長 平林剛君。
  99. 平林剛

    平林委員 私は、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案についていろいろ修正したいという動きがあることを承知しております。また、この法律の中で、私が年来主張してまいりました二線引き畦畔の問題についても、その登録税に関する修正が行なわれようとしておるわけでございます。そこで私は、この際この二線引き畦畔の問題につきまして、最近の事情並びに私の年来捨てることのできない主張を政府当局に対しても申し上げておきたいと思うのであります。  今国会において、私は何回も提議をしてまいりましたいわゆる畦畔は田畑に付随するものであって、その田畑が民有であれば、付随した畦畔も民有地である、これの主張は一貫してまいりました。これに対し政府は、地番のついてないものは、これは国有地と見なすという意味で、私との間に論争が続いておったわけであります。しかし、私は、今日これらの問題についてやや結論めいたことが出てくる事態においても、所説は断じて曲げるわけにはまいらない。未来永劫、畦畔が存在する限り民有地であるということの主張は、私は絶対に捨てないつもりであります。それは当然なことでございますから捨てないわけであります。しかし、当面、地域を開発するとか東名高速道路のような道路建設を進めるとか、工場の敷地がそれぞれ買収されるとかいうような現実の問題を処理するときには、原則的に民有地であると争っていましても、実際上の処理の実権が政府にございますから、現状においてはある程度妥協して、実質上私は名前を捨てても実をとるということが、これに関係する国民にとって現実の利益を代表するという立場で、若干の代表はしょうと思っておりますけれども、原則は捨てない、こういうことは私申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、この間大蔵省のほうから「普通財産にかかる取得時効の取扱いについて」という通牒が発せられました。私がこの主張をしておるものでありますから、結局この通牒によりまして、今後は、民有地か国有地かわからないようなそうした畦畔、法律用語でいうと普通財産については、時効取得という形で無償で払い下げる、こういう方針を確認をいたしました。同時に、方針を確認するとともに、このときは千分の二十五の登録税法に定める登録税を徴する、こういうことでございました。従来係争中のものが裁判によらずして無償で払い下げられるということになりますれば、現実的な問題としては解決するわけでございますから、私もこれに対しては強く反発をすることはございません。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕 ただ、しかし、この際お尋ねしておきたいのは、この通牒が発せられて、そうして今度は裁判によらずして、財務局と法務局とが相談をして、一つの国有財産の時効取得確認についての会議が設けられて、そこでみんな受け付けてやるということになったわけですね。この通牒が出されましてから、具体的に、機構といいますか、受け入れ体制というのはもうでき上がったのですか、どの程度まででき上がったのですか、そのことをひとつ明らかにしてほしいと思います。
  100. 松永勇

    ○松永政府委員 先ほどのこの通牒は本年の四月二十一日付で出しております。相当期間経過いたしておりまして、その間この通牒の趣旨の徹底等につきまして、本省において各財務局の担当者を呼んで会議を開く等の措置をいたしますとともに、各ブロック会議を開きまして、本省から各財務局単位の担当者にもさらに趣旨の徹底をはかるということで、現在この実施の準備に備えております。なお、法務省のほうにおきましても、先般地方の法務局の訟務部長会議が開催されまして、この趣旨の徹底並びに今後の扱いについての意思の統一等がはかられたと承知いたしております。私のほうといたしましては、この法務省及び大蔵省両省の趣旨が大体各部に徹底いたしましたので、すみやかにこの時効確認連絡協議会を聞くようにということで、各財務局にいま指令を発しております。まだ現実にこの連絡協議会に具体案がかけられるという事態には至っておりませんが、準備体制はこれで十分でき上がったというふうに判断いたしております。
  101. 平林剛

    平林委員 準備体制はでき上がったけれども、そこで、はたして実際上二線引き畦畔あるいはその他の普通財産の所有を確定をしたいということで申請してくるような国民がたくさんあると思っていますか。私そこが問題だと思うのです。受け入れ体制はできて、そして訴訟によらざる方法によって時効取得の規定で自分の財産にすることができるということは、一見ありがたいように聞こえるけれども、実際上ではそれらの関係者がここへ持ち込んでくるようになるという見通しを持っておられますか。
  102. 松永勇

    ○松永政府委員 これも、実は畦畔等の処理は全国にわたって非常に膨大な数量があるというふうに予想されております。なお、国有財産につきましては実体不明の財産がなお十万件近いものがあるので、これを年次計画によって実は処理いたしておるような状況でございます。限られた予算と人員の中でできるだけのことをいたしておるわけでございますが、この時効確認の処理がさらにそれに加わってまいるという事態になってまいったわけでございます。私たちといたしましては、この時効確認の処理を全国一斉に形式的に始めるというよりは、現実に問題をかかえているものから重点的に始めたい、また、それが事務の処理としても一番スムーズにいくというふうに判断いたしております。  具体的に申しますと、こういう二線引き畦畔等の処理が問題になってまいりますのは、その土地がたとえば開発されて市街地になるとか、団地等の建設が行なわれるとか、あるいは、先ほど先生のお話にあった東名高速の建設に即してこの土地が問題になってくる、こういうような、全国のうち緊要な問題として取り上げたものから逐次取り上げていきたい、また、私たちのほうの事務の受け入れ側としてもそれが一番望ましいというふうに考えておりますので、事務の進め方としてはそのように進めてまいりたい、しかし、個々の権利者がこの時効を主張なさるという事態になれば、もちろんそれを放置するというわけにはまいらないと思いますけれども、実際の事務の進め方は、権利者の主張等についてもいろいろ御協議願ってそのように進めてまいりたいというふうに考えております。
  103. 平林剛

    平林委員 そうすると、たとえば土地の開発が行なわれる、工場の敷地で買収の対象になる、あるいはまた道路が通る、こういうことになったとき、初めて自分の問題として考えて、こういう手続があった、そこで手続をされる、その範囲のものはくるけれども、それに関係のないものはこない、こういうふうにやはりあなたも認識されておりますか。
  104. 松永勇

    ○松永政府委員 全部が全部そうとは考えておりませんが、こういう問題が特に提起されたというのは、いまの道路とか団地の形成とかいうことを契機に最近問題になってきた。実際問題として明治以来こういう状態が続いておったのがなぜこの段階で特にこうなってきたかというのは、いまのような団地の形成あるいは道路の建設等から問題になってきたこと等から考えて、やり大宗はそういう問題のところに処理の緊急を要する問題として出てくるのじゃないかというふうに予測いたしております。
  105. 平林剛

    平林委員 この問題は、この大蔵委員会で特に二線引き畦畔について平林剛の質問を許していただいて、そして私が二線引き畦畔は民有地であるということを論争して以来、裁判によらず、時効取得で今度は自分が取得できるような措置がとられた。また、現在私ども三党間で話し合っているのは、その場合の登録税については千分の二十五であるけれども、実質上無償で払い下げたと同じような効果をあらわすには登録税は軽減をしてやりたい、こういうことに話が進んでまいりまして、当面はその措置が進められるわけでありますけれども、しかし、これによって救済できるもの、あるいはそれによって自分の取得に確定するというものは、いま局長もお話になりましたように、問題が起きたときにその周辺の人たちが処理をするだけで、その他こうした土地開発とか、道路とか、工場敷地に売らざるところのたくさんの人たちは、こういうことがあったことさえ知らないで過ぎてしまうのじゃないだろうか、私はそれを実は非常に心配するのであります。そうであれば、こういう議論が行なわれて、こういう措置が行なわれ、こうすれば、時効取得という措置だけれども自分のものになりますよというようなことを多くの国民に啓蒙する必要がある。そうしないと、その人たちは昭和四十一年のこの国会でこういう議論があったことも知らないで過ぎてしまう。そうすると、今度は一体どういうことになるでしょうか。私はそれを心配するのであります。今日、平林剛があったから、この問題についてとにかく表に出て処理できた、できそうに進んでいる。しかし、これがまた十年なり二十年たって、ほうりっぱなしになると、それまで奥地にあって開発されないところは、また新しい問題になってくる、こういうことの心配を私は感ずるのです。  なぜこんなことを言うかというと、今日二線引き畦畔が国有地であるなどという態度、あるいはそういう考え方を大蔵省がとっておるのは、やはりそういうことで長い時日を経たために、いつの間にか国有地になっている、歴史的に見て私はそう考えるのであります。そこで、どうでしょうか。そういう一般の国民に対する啓蒙措置といいますか、あるいはこうした問題についてみんなにお知らせするというような方法について何か考えることはございませんか。
  106. 松永勇

    ○松永政府委員 私、先ほど申しましたのは、当面の仕事として重点を置いてやりたいというのが、いまの道路の建設、住宅、団地建設等について申し上げたわけでございまして、もちろんこの制度を新たに開いたということは今後長きにわたって行なわれると思いますが、その間も、今後の情勢をどう見通すかということでございますけれども、そう遠くない時期にはこの問題も解決しなければならないし、また解決できるだろうというふうに考えております。財務局で一たびこういう制度を開き、こういうことが軌道に乗れば、国民のうち権利の上に眠っているという方も、その権利の自覚を持つこともあろうかと思います。  なお、私のほうといたしましても、ただいまそういうPRをどういう形で行なうかということはまだ具体的には考えておりませんが、しかし、この時効の確認をいたしたものにつきましては、国有財産中央審議会等にもこれを報告するという措置もいたしております。国有財産中央審議会の議事録等は一般に広報の措置もとっておりますので、国民一般がそういう権利の上に眠るということなしに今後目ざめてまいるという事態もあろうかと思っております。
  107. 平林剛

    平林委員 実は今度、ただいま議題になっている法律案の中で、第七十七条の五のところに「個人が民法第百六十二条の規定により取得した国有地たる土地(当該個人の所有する耕作又は養畜の用に供する土地に隣接するもので当該土地と一体として使用されてきたものに限る。)の所有権の保存の登記については、大蔵省令で定めるところにより租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律第一条の規定の施行の日から昭和四十六年三月三十一日までの間に登記を受けるものに限り、その登記の登録税の額は、登録税法第二条第一項第四号の規定にかかわらず、当該土地の価格の千分の三に相当する金額とする。」こういう修正を三党との間に御相談し、与党の好意ある配慮もありましてそういう動きに進んでおるわけでございます。ただ、私はここで申し上げておきたいことは、昭和四十六年までのものに限るということにいたしますと、あと五年間ですね。五年間の間に知らないで過ごす国民のほうが、割合といたしましては多いのじゃないか。そういうことになりますと、その後においてまたわれわれも検討せねばならぬということになると思いますけれども、かりにそのままで済んでしまうというようなことになりますと、また非常につり合いがとれないということにもなるわけであります。そこで、政府においてもこうした問題についてのPRを十分徹底してもらわなければならぬ、最小限そういうことを強調しておきたいわけであります。  同時に、私の言いたいことは、幾らPRしても、これはおれのところは国有地として申請するなんてばかげたことをやりたくないんという人が多いのです。先祖伝来おれの土地なんだ、こう思っておるわけでありますから、これは民有地だから、結局何も申請する必要はないと思ってそのままになる人が私は多いのじゃないかと思うのです。  きょうも理事会のときに、私は、私の選挙区の足柄上郡の松田町のこの土地台帳、昔の写しを見てもらったのです。ところが、この土地は、あなたはごらんになればすぐわかるように、ほとんど地番がついていないのです。二線引き畦畔全部ついていません。ところが、本人たちはこれは自分のものだと思っているわけです。地番のついていないのは国有地だというのは、大蔵省のかってな解釈です。地番がついてなくても、先祖伝来自分の土地だと考えている人たちが多いのです。ごらんなさい、一つや二つではないですよ。この土地の実地検証をすればはっきりわかる。ほとんど地番がない。そうすると、この人たちは国会でこういう議論がされておりましても、これは何も国有地とは違うのだ、民有地だ、こう思うておるかもわからない。中にはこういうのがあるのです。自分のうちの邸宅のとうろうの下のところに二線引き畦畔が残っているわけです。青地が残っている。本人はもう先祖伝来の自分の土地の邸宅だし、門内ですから、土地台帳の付図もない限り、そんなところに二線引きの青地が残っちゃいないと思っているわけです。それを、地番がついていないから国有地だというのですよ。そんなむちゃなことはないわけであります。ところが、今日の取り扱いはそういう形で処理されようとしておる。そこで、問題が起きて気がついたときは、理屈はそうだけれども、現実の問題として登録税も安くなっておるし、それから、この際自分のものに確定しようとしなければ土地の売買もできないから、現実的のことだということで、気持ちを曲げて大蔵省のほうに、国有財産を確認してください、これを払い下げてくださいとやる人はいるかもしれません。やる人はいるかもしれないけれども、腹の中では、自分のものになるからいいけれども、変なひん曲げた解釈だという人はたくさん出るはずです。だから、私は所説は絶対曲げない。平林剛ある限り二線引き畦畔は民有地であるという主張は捨てない。永遠に尽くることがないのです。現実の問題の処理は処理、しかし、われわれの主張は主張として永遠に尽くることがない。私はこの点をはっきり申し上げておきたいと思うのです。特に、地番がついていないからこれは国有地であるという解釈は、私は今後も論争を続けます。その点は政府並びに委員長、同僚議員の人も頭に入れておいてもらいたい。現実の問題を処理する場合に、必ずこの疑問に逢着します。  ただ私は、当面の措置としてこうしなければ東名高速道路も進んでいかないだろうし、地域開発もだめだろう、こう考えるから、一応この辺でちょっと妥協してやろうというだけでございますから、その点をひとつ国有財産局長もしっかり頭に入れておいてもらいたい。どうでしょうか、ちょっと返事を記録に残してください。
  108. 松永勇

    ○松永政府委員 平林先生のお説、十分よく身にしみて記憶にとどめておきます。
  109. 平林剛

    平林委員 あなたの頭の記憶に残ると同時に、これはわが国会の大蔵委員会会議録に残るわけでございます。どうかひとつ、そういうことは今後も論争が続くものだ、そして、現実的な問題にぶつかったときにもう一度考え直すことが必要であるということを委員長においても記憶をしておいてもらいたいと思うのであります。  私はそのことだけで、きょうは質問を終わっておきたいと思います。
  110. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 有馬輝武君。
  111. 有馬輝武

    ○有馬委員 私は、本日政務次官に対しまして、租税特別措置法に関連して、税法、特に酒税に関してお伺いをいたしたいと存じます。  その前に、主税局長にお伺いしたいと思いますが、これは国税庁長官のほうがいいかもしれませんが、最近の酒税の徴収状況といいますか、各年ごとに、各清酒、合成酒、しょうちゅう等がどのような形に推移してきているか、大まかでけっこうでありますからお聞かせをいただきたいと思います。
  112. 泉美之松

    ○泉政府委員 数字のことでございますから、間税部長からお答えいたします。
  113. 松本茂

    ○松本説明員 最近の酒類の課税移出の状況でございますが、三十七年度におきまして、清酒は九十七万九千キロリットルの課税移出でございます。これが、三十八年度には百十二万六千キロリットル、三十九年度には百二十七万九千キロリットル、四十年度におきましては百十五万八千キロリットルということになっております。  次に、合成清酒につきましては、三十七年度が十二万一千キロリットル、三十八年度が九万二千キロリットル、三十九年度が八万キロリットル、四十年度は七万四千キロリットルとなっております。  しょうちゅうでございますが、これは甲、乙含めまして、三十七年度が二十五万キロリットル、三十八年度が二十四万キロリットル、三十九年度が二十一万九千キロリットル、四十年度が二十一万七千キロリットルでございます。  なお、ビールにつきましては、三十七年度が百四十八万九千キロリットル、三十八年度が百七十二万四千キロリットル、三十九年度が百九十九万二千キロリットル、四十年度が百九十八万五千キロリットル、こういう数字になっております。
  114. 有馬輝武

    ○有馬委員 しょうちゅうをいま一度。
  115. 松本茂

    ○松本説明員 しょうちゅうは、合計いたしますと先ほど申し上げました数字でございます。その内訳を詳しく申し上げますと、甲、乙二つあるわけでございますが、このうち、甲の三十五度のものが、四十年度におきまして一万二千キロリットル、二十五度のものが十一万三千キロリットル、二十度のものが四万六千キロリットル、乙につきまして申しますと、四十年度におきまして三十五度のものが約三千キロリットル、二十五度のものが三万二千キロリットル、二十度のものが八千キロリットル、こういう状況になっております。
  116. 有馬輝武

    ○有馬委員 そこで、いま政務次官お聞きのとおり、他のものがある程度伸びておりますのにしょうちゅうが年々漸減の方向にあるわけです。これについてはいろいろな嗜好の問題なり何なりあるでしょうけれども、やはり政務次官が本委員会委員当叶いろいろ中小メーカーについての援助措置について質問をされ、わが党の堀、武藤委員もやはり同じ立場から論議を重ねられておるわけでありますが、やはりこの論議に尽くされておりますように、行政措置で相当この手直しをしなければならぬ面が出てきておるのではないかということを私感ずるわけであります。   〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕 その中でも、特に現在行なわれております規制措置といいますか、大手と中小との扱い方に問題点が残っておるようでありまして、その意味で、この規制措置の中の矛盾といいますか、そっちの中にも矛盾がやはり相当出てきておるのではないかと思いますが、この点について、政務次官のほうから、現在の状態をそのまま続けていっていいのかどうか、ここら辺について、日ごろ主張されておった立場からお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
  117. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、しょうちゅうの中で甲類は三十五年以降、年々対前年で一〇〇%を割りまして消費が落ちております。ただし、しょうちゅう乙類のほうは、三十八年を除きましては対前年で三%あるいは五%、一番少なかったのは三十九年の一〇一・一%という程度でございますが、しかし、甲類が前年に比べまして漸次減少しておるのに比べますと、乙類のほうは漸次増加しておるという、まあ増加率は一般酒類の増加率よりごくわずかでございますがやや増加しておるという傾向にございます。しかし、その増加の程度はきわめて鈍いものであります。また、有馬委員御承知のとおり、しょうちゅう乙類の製造は、業者数が非常に多くて、規模の小さい方たちが非常に多いわけであります。そこで酒類業組合法に基づきまして、鹿児島地区におきましては昭和二十九年から生産調整を行っておるわけであります。いまお話の内容は、そういった生産調整のやり方につきまして、中小業者と比較的大きな業者との間に不権衡が生じておるかどうか、こういう問題だと思うのであります。この生産規制それ自体は、有馬委員も御承知のとおり実績を基礎にしてやっておるわけでございますから、ある意味では中小業者のために非常に有利な措置でございまして、実績がある程度保護されるという関係になっておるわけであります。しかし、中小業者の中でも伸びていこうとするものにとりましては、前の実績が基礎になって生産調整を行なうということになりますと十分伸び切れない、こういう問題があるわけであります。そこで、年々生産規制を行なうたびごとにそういった面の考慮を十分払うべきではないかということが業者の間で問題になりまして、毎年若干ずつそういったワクの余裕を設けまして、伸びようとする業者にとって生産規制が大きな障害にならないようにということで配慮してまいっておるわけでございます。そういう意味で、年々そういう余裕ワクにつきまして改定を行なってきておりますが、しかし、それでもなおいろいろ問題があるようでございます。したがいまして、いずれ、本年の規制につきましても間もなく酒類業組合法に基づく認可の申請があることと思いますが、その際にそういった点につきまして十分業者の意向が反映するように考慮いたしたい。かように考えておるわけであります。
  118. 有馬輝武

    ○有馬委員 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の第四十二条でいま言われた規制措置をすることになっておって、これは組合自体が自主的に検討したものを第四十三条で大蔵省として見ていくという形だろうと思うのでありますが、問題はその内部の銘柄によっても非常にニュアンスがあるし、地域によってもニュアンスがあるわけです。  それで中小をどういった形でささえていくかという点について、大蔵省としてはどのような一つの方向づけといいますか、それをこの規制の中で行なっておるか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  119. 泉美之松

    ○泉政府委員 こういった生産規制を行ないます場合に常に問題になるのは、大業者であれ中小業者であれ、今後伸びようとするものが生産規制によって伸びるのをとめられるということ、それから反面においては大業者と中小業者との関係で中小業者は……。  〔「議事進行」と呼び、その他発言する者あり〕
  120. 有馬輝武

    ○有馬委員 委員長、いま与野党の委員の間で議事進行についての御発言があるようでありますが、理事諸君の間の話し合いによって質問しておるときにこういった不規則発言は許されないと思います。ですから、暫時休憩していただいて、少なくとも与野党の理事はちゃんと話をつけて委員会を開いていただきたい。
  121. 三池信

    ○三池委員長 一応休憩しないで……。
  122. 有馬輝武

    ○有馬委員 だめです、委員長
  123. 三池信

    ○三池委員長 御相談して……。
  124. 有馬輝武

    ○有馬委員 私だって、法律案がどのような進行状態にあり、各党がどのような打ち合わせをしているかも知っております。その上に立って私は質問しておるのです。お互いの理事がお互いの委員にそのくらいの連絡ができないでどうして委員会の運営ができますか。
  125. 三池信

    ○三池委員長 暫時休憩いたします。    午後二時三十七分休憩      ————◇—————    午後三時六分開議
  126. 三池信

    ○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。有馬輝武君
  127. 有馬輝武

    ○有馬委員 先ほどの国税庁長官の答弁に関連いたしまして、昭和二十八年に公取が一つの見解を出しております。それを見ますと「過不足石数の相互逼迫による補正方法が円滑に行なわれない場合、本委員会は本協定を不当に差別的になったと考えられる。かかる事態に対しては各業者は正当な販売力に比例しない過去の出荷実績をもって基準とした割当方式を現状に即して変更することが適切な措置である。しかし変更しがたいとすれば側々の業者について正当な理由がある場合は個別に制限を緩和するか、あるいは協定出荷の総量が推定需要量を上回る場合でもその出荷総量を一律に増加することもやむを得ない。」このような一つの見解を示しておるわけであります。現在、しょうちゅうは大体年間九十四、五万石の生産と思いますが、その調整石数はその中でどの程度を見ておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  128. 泉美之松

    ○泉政府委員 有馬委員の質問はしょうちゅう甲類のほうの調整石数かと存じますが、このほうは原規制石数が九十四万石に対しまして調整石数のほうは月々四千石、したがって年間四万八千石ということに相なっております。
  129. 有馬輝武

    ○有馬委員 四万八千石をいま公取が指摘したような方向で、私はいままでのやり方を変えなければならぬような時期にきているのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  130. 泉美之松

    ○泉政府委員 御承知だと思いますが、しょうちゅう甲につきましては、大業者とそれから中小業者との間の懸隔が非常に大きいものでございますから、過去におきまして中小業者にできるだけ有利になるような実績数量を求めるということでいまの規制ができております。したがいまして、しょうちゅう甲類のほうの規制でございますと、実は年々の販売制数量に反映さしておらないのでございます。したがいまして、いまの調整石数の四万八千石も、それが全量まだ使用されておらないという程度でございますので、まだ、しょうちゅう甲類につきまして現在の規制のやり方を変更しなければならぬというほどの必要は認められておらないのでございます。ただ、しょうちゆ乙類のほうでございますと、これはやや問題があるようでございます。
  131. 有馬輝武

    ○有馬委員 やはり実態に即応して無理のない形にしていくということが望ましいことだと思うのでありますが、私は、やはりこの組合自体の構成にも問題があるのじゃないかというような気がするのです。というのは、その組合の意向によって実質的には運営されるわけですけれども、ところが、その組合の意向がはたして実情に即応しているかどうかということになると、これはまた問題があると思うのです。そこら辺はどのように見ておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  132. 泉美之松

    ○泉政府委員 しょうちゅう乙のほうは、大業者と中小業者とそれほど大きな懸隔はなく、しょうちゅう甲類のほうは、先ほど申し上げましたように、ことに大メーカー四社でほとんどの数量を生産し、販売しておるというような関係がございますので、大メーカーと中小メーカーとの利害の対立が、しょうちゅう乙の場合に比べましてかなり大きくなっております。  そこで、規制のやり方につきましても、従来から中小業者の保護といいますか、その点について十分意を用いて規制の問題を考えていくという組合自身の態度でもありますし、また、国税庁の態度といたしましてもそういう方針でやってまいっております。組合内部におきましても、この規制数量についての議決につきましては、各人各組合員一票のほかに、規制数量割りのほうのものがございますが、この両方が満たされないと議決にならないということになっております。したがいまして、大メーカーだけで規制数量の多いものだけで規制をきめようといたしましても、各人一票の分が伴わないとできない、したがいまして、そこに大企業と中小企業との間でお互いにチェック・アンド・バランスが行なわれまして、組合自身の運営も、そういう意味では中小業者と大企業との間の円満な協定といいますか、円満な協調のもとに行なわれておるというふうに私どもは見ておるわけでございます。  いずれにいたしましても、中小企業の人たちがかなり多いわけでございまして、大企業とそういった中小企業との間の利害の調整につきましては、国税庁といたしましても従来から意を払っておりますが、今後もそういった点に十分気をつけていかなくてはならぬ、このように思っております。
  133. 有馬輝武

    ○有馬委員 いま長官から言明されたような大蔵省の意向であるにもかかわらず、たとえば、二十八年ごろに比べまして、二百五十社あったものが現在では百三社ですか、そして、実際に製造しているものはその半分というぐあいになっておるわけです。それで、ここに問題点が残っておるのじゃないか、実態はもっときびしい形で進んできつつある、これをどう救っていくか、この点に留意しなければならぬと思うのでありますが、そこら辺はどうですか。
  134. 泉美之松

    ○泉政府委員 確かに、過去におきまして二百社くらいありましたしょうちゅう甲類の製造業者が現在百三社になっておる、しかも、自分では製造しないで製造委託しておる業者がかなり出てきております。これは、戦後機械設備を新しく設けましてしょうちゅうの蒸留を始めたその機械の耐用年数がだんだんくることになって、設備を買いかえないといけないわけでございますが、現在設備投資を新しくいたしますと、相当コストアップになります。ところが、先ほど申しましたようにしょうちゅう甲類のほうの数量は年々減少しております。したがって、いま設備更新をして、はたしてその投下資本の回収をし、さらに利益を生ずることができるかどうかということについては非常な不安を生じております。そのために、新しく機械設備を更新するよりも、委託製造いたしまして、安いコストでつくったものを引き取るということでやっていきたいという希望がかなり出ておるわけでございます。これは機械のことでございますので、耐用年数がきたら新しくしなければならぬことは明らかなのでございますが、いま申しましたような動向からいたしまして、業界としては将来に不安を持っておるということは確かでございます。しかし、考えてみますと、だんだんと生産、消費の数量が減っていく酒類でございますので、やはりいままでの業者がそのまま立ち行くことはなかなかむずかしい、したがって、業者の間で、いかにしたらコストを低くすることができるか、合併あるいは協業といった点をよほど検討してもらわなければならぬ点が出てくると思います。したがいまして、ひとり規制の点のみならず、業界全体として、今後生産、販売のあり方を十分検討してもらわなければならぬ、このように思っておるわけでございます。私どももまたそういった点を配意しながら業者の方が今後の行くべき道を誤らないように指導しなければならぬ、このように思っております。
  135. 有馬輝武

    ○有馬委員 そこで、関連して、いま衰退の一途をたどっておるので、窮余の一策というか、リキュールなり何なりというもの、あるいは清酒に手を伸ばすという形で活路を求めようとしておるのですが、それが私の見るところではなかなか愚図にそぐわない結果に終っておるのじゃないかと思いますが、実態はどうなっておりますか。
  136. 泉美之松

    ○泉政府委員 いま詳細な資料は持っておりませんが、三十五年以降しょうちゅうの生産、消費が前年に比べて少なくなっているという傾向からいたしまして、業者の方にはそういった点を十分注意して今後のあり方について御検討願うように申し上げてあります。その結果、従来から清酒の兼業としてやっておったというような方は、しょうちゅうのほうを、製造を廃止して、いま申し上げましたように他の業者から製造したものを買い入れて販売をするということで、主力を清酒製造業のほうに持っていく、こういう方が相当数出てきております。それからまた、中には新しい酒をやりたいというのでリキュールの免許を求めるという方もおられます。リキュールにつきましては、年々消費が伸びておりますので、その新規免許を与えるというようなことをやってきておりますが、まだまだそういう点では不十分な点が多うございまして、現在まだしょうちゅうと清酒とを兼業しておられる方がかなりございます。したがって、そういった方々の中で特に数量の少ない方、そして機械の耐用年数がきて設備更新を迫られておるような方、こういった方々が今後どういうふうにやっていくべきか、これは個別の問題としてそれぞれの方々とよく御相談申し上げなければならぬ点が出てこようか、このように思っております。
  137. 有馬輝武

    ○有馬委員 政務次官にお伺いしておきますが、いま言ったような衰退の一途なんです。もちろん企業努力もやっておりますが、それがなかなか思うにまかせないというような実態であります。  ここでお伺いしたいと思うのでありますが、この前甲類、乙類については税制面でも相当の考慮を本委員会としても払ったわけです。がしかし、それでもなお追いつかない分野が多いのでありますが、これについてやはり税制面からも再検討するお考えがあるかどうか、この際お聞かせおきを願いたいと思います。こういった委員会最終日でありますので、この酒税の全般的な問題については日をあらためてお伺いしたいと思いますが、いまの一点だけをお聞かせおき願いたいと思います。といいますのは、この衰退の一途をたどっておるしょうちゅうに対して、再度甲類、乙類とも税率について検討する用意があるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  138. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 酒類業界の近代化、わけても零細規模のしょうちゅう業界においては、お説のとおりいろいろ問題が山積しておると思うのでございまして、生産規制という零細企業の保護対策のみならず、金融面における近代化資金の導入あるいは税制面においてこれがてこ入れをする等、引き続き検討すべき問題と心得ておりま
  139. 有馬輝武

    ○有馬委員 いまの御答弁でけっこうでありますが、ただ、金融面に対する特別の措置は、これはいつの国会だったか忘れましたけれども、堀委員の質問に対して当時の泉主税局長が、特別の金融措置はできませんという答弁をいたしておりますので、その点はまた後日伺いますけれども、打ち合わせておいてください。  本日の質問は、私これで終わります。
  140. 三池信

    ○三池委員長 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後三時二十二分休憩      ————◇—————    午後四時六分開議
  141. 三池信

    ○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡辺美智雄君。
  142. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 私は、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案について質問をするものでございますが、実は大蔵大臣、建設大臣を要求をしておったわけでございますけれども、大蔵大臣は参議院のアジア銀行の答弁に立っておる、それが通らないと困る、こういうふうなことだそうでございますので、一応大蔵大臣がいなくてもよろしいと思います。  実は、今回の政府原案にかかわる租税特別措置法所得税法の改正案は、税制上からきわめて重大な改正といいますか、改革点がある、こういうふうに私は見ておるのでございます。  その第一は、今回土地収用法の一部が改正をせられて、土地収用に伴って土地の収用をせられた人々に何らかの税法上の思典を受けさせる、こういうふうなことと抱き合いでやらなければ土地収用そのものがどうもうまい効果をあげられない、  こういうようなことであります。しかし、巷間伝うるところによりますと、租税特別措置法所得税法の改正案が通らなければ、何か土地収用法も通らないようなことがよく流布されておるわけでございますが、これは理論的には非常におかしな話であります。土地収用法は土地収用法だけなのであります。建設省の言い分によりますと、建設省の幹部の方が何回か私のところにもお見えになりましたが、自分たちの能力不足を税法によってまかなおうというようなことであります。と申しますのは、実際問題として、土地収用法をかけてごね得をなくするんだ、ところが、ごね得をなくすといっても、実際は認定時の価格で押えるということはできないというのである。どうしてできないんだか私はよくわからないのでありますが、どうしてもできないんだ、そのために、物価の値上がりに相当するものは、ごねておる期間の間、何年間かございますれば、その分だけは認定時の価格に加算をするんだ、こういうふうなことを言っておるのであります。それだけでは、どうも——土地収用法の適用かうまくいかないから税法のほうで手助けをしてくれということらしいのでありますが、それは非常に税の体系を乱しておるんじゃないか。また、大蔵省がその土地収用法を効果あらしむるために協力をするというのはけっこうでありますが、どうも不用意に、よく考えもしないで、実務のこともよく研究しないで飛び込んでいったというような印象があってはならないのであります。  と申しますのは、土地収用を受ける者が土地を取られるわけでありますが、そのときには、いままでよりも恩典を与えて、一千二百万円の特別控除と、それから特別控除を受けて、またほかに買いかえをするという場合には、買いかえについても無税で認めるというようなことをやろうとすることでございます。この点につきましては、私は実はそう異論を持っていないのであります。やむを得ない措置ではなかろうかという程度のことでありますが、政府の原案によりますと、第二番目のものは、いままでの譲渡所得というものが二分の一課税でございますが、公共事業を実施するとその付近の土地が値上がりをする、政府が投資をして非常な値上がりをして、それが二分の一課税ではどうもしゃくにさわるから、その周辺について二分の一控除という制度を廃止して、おおむね四分の三得度について課税をする、こういうようなことをやろうということでございますが、私はこの点について実は非常に疑問を持っておったわけであります。と申しますのは、公共事業を行なうことによってその付近の土地が値上がりする値上がりした人だけが利益を得られる。だから、その周辺の人が土地を売った場合においては、その人に対して、普通の譲渡所得の控除でなくして、おおむな四分の三程度の課税——普通全額課税といわれておりますけれども、そういうことを行なおうというのでありますが、一体どうしてそれを行なうのか、その点をひとつ聞きたいと思います。これは谷垣政務次官にお願いします。
  143. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 土地収用法に連関してのお尋ねでございますが、御存じのように、土地収用法あるいは税制の問題は、ただいまの地価の非常に急激な上昇の現状に対しましてどういうような措置をとるかということが問題になりまして、政府のほうでは、土地関係、地価問題に関しまする関係閣僚の会議をもちましていろいろとこれの対策を考えてまいったわけであります。  その中で、宅地の開発をいたしまして、宅地の供給をこの際大いにふやしていくという考え方、また、既成市街地の高度利用をはかっていこう、そのために土地開発資金の融通特別会計のような制度を設けていく、それから、土地収用法を改正して、従来裁決時の価格という補償になっておりましたものを、いわゆる告示の時期においてやっていこうということを主体にいたしました改正をやっていく、あるいは税制の改善をはかりまして、地価の値上がりの利益の帰属を、その一部を国のほうに吸収していく、あるいはまた、投機的な土地投資を抑制する、こういう諸般の対策がきめられまして、その一つとして土地収用法の改正をいたした、こういうことでございます。  土地収用法の問題点としていろいろの点がございますが、先ほど御指摘のように、現在の土地収用法は、裁決時でそれを評価して買収するということになっておりますけれども、実際問題といたしまして、告示をいたしましてから裁決いたしますまでにかなり時間がかかります。したがいまして、告示をいたしたその当時の価格で補償をいたしましたものが、いわゆるごね得と申しますか、だんだん時間が延びてくるために、その間に地価上昇のために問題が生じるということがございますので、これを、いわゆる認定時の価格で補償するという制度をとってまいったわけでございます。  もう一つの、いわゆる地価上昇その他の状況の問題に対する考え方でございますが、道路をつけましたり、橋をかけましたり、その他の状況——地主自体の働きによって地価が上昇したのではない、いわゆる社会投資によって地価が上昇することがはなはだ多いわけでございますので、土地収用をいたしました場合に、その周辺の地価の値上がりと、土地収用をいたしました対象地の問題とが、土地収用法を改正いたします論議の中に出てまいったわけでございます。この税制の改正は、必ずしも土地収用法との公平の論点からのみ議論されておるわけではございませんけれども、土地収用法の立場から申しますと、土地収用法の対象になります地域とそれ以外のところとの一種の論理的公平という考え方が出てまいったのでありまして、そのために、土地収用法の対象になりましたところの免税点を引き上げるというやり方、特に、いわゆる周辺の地価の上昇に対する体制を考えていく、こういうような点が、土地収用法の点から申しますと問題になってくるのでございます。税制そのものの問題につきましては、他の方からお答えがあると思いますが、収用法に関しましての点はそういうことでございます。
  144. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 私がいままで聞いているところでは、土地収用法を通すためならば、土地収用を受ける人についてだけの恩典を強化していくということだけで十分事足りると私は思っておるのでございますが、どうも建設省のほうが、瀬戸山構想というのか何か知りませんが、土地収用をやった場合、その周辺の人がよくなって、犠牲になる人ができるから、周辺の人にまでとにかく重税を課すような方式をとらなければ権衡がとれない、こういうことに非常に執着しておるということでありますが、そういうことは別に執着しているわけではないんですか、執着しているんですか、要求しているんですか、要求しないんですか。
  145. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 土地収用をいたしました場合に、土地収用をいたしますその地域以外のところに、収用法との関係において重税を課することを期待している、そういう簡単な考え方でやっておるわけではございません。地価全体の上昇の分野のある一定のものを国家に帰属させる、何と申しますか、企業利益の帰属の問題、それから、地価の値上がりは、投機的な土地投資がかなり原因であるように思いますので、それを抑制する必要があるというような事情、さらに、先ほどお話がございましたが、土地収用をいたします地域とそれ以外の地域との理論的な公平論、これらのものでいまのようなことになってくると思います。
  146. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そうすると、公共事業をやって、土地収用法を適用した場合にはその付近の地価が上がるのは普通です。上がった人については、それを売却したときには普通の人よりも応分に多く負担してもらいたい、こういうお気持ちなんですね。
  147. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 先ほど来申し上げておりまするように、土地収用法による収用土地とその周辺の土地との公平からのみ税制のあれが行なわれたというふうには、私のほうでは考えておりません。地価上昇の企業利益を、社会投資の立場からある部分を国家のほうに納めてもらう、さらに、投機的な土地投資を抑制するためにそういう必要があるのじゃないか。さらに、先ほど来申しますように、土地収用との関係において、ものの考え方としてそういう考え方を持ったということで、土地収用法の立場からのみいま申しました均衡論を申し上げているというわけではございません。
  148. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そうすると、土地収用法だけの問題に限りますと、周辺の土地の値上がりしたことに対しては、その全額課税方式をあなた方のほうではそんなに強くは要求しない、こういうことですね。土地収用法だけに限った場合には……。
  149. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 理論的に申しますと、土地収用をいたしました近傍の地価値上がりと、土地収用の対象になります土地の不均衡是正は必要であります。ただし、一体その影響を受けますこの近傍の地価の値上がりというものがどの程度までという判定の問題になりますと、技術的にこれは非常にむずかしい問題であります。したがいまして、これをどういうふうにやるかという技術的な問題から考えまして、近傍だけという考え方の実際処置ができにくい。もしそれができますれば、私たちは均衡論からそういう必要があると思います。思いますけれども、実際問題としてやる場合、近傍というもの、あるいは影響を受けますものがどの程度かという限度の規定はなかなかむずかしいものがあります。しかし、考え方といたしましては、そういう意味の公平論は必要である、こういうことでございます。
  150. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そうすると、考え方としては、公共事業投資をするとその周辺が値上がりするから、その人たちに対しては、普通の譲渡所得の控除以上に、いわゆる全額課税をさしたい、しかしながらなかなかその限度がむずかしい、こういうことをおっしゃっておりますが、むずかしいからこれは一般に波及するような法律になるのもやむを得ないという意味だと思いますけれども、逆に、公共事業を実施すれば、必ずしも地価が値上がりするとは限らないのです。これはあなた方のほうで、公共事業を実施した場合は値上がりする、そういうふうなことが明らかにわかって、ある程度限定できるならばその人たちに対してよけいに税金を払ってもらいたいという気持ちがあるとするならば、たとえば、公共事業で東京に火葬場をつくってごらんなさい。これは必ず土地の値上がりはとまります。し尿処理場、これはどこでも反対するのです。これは最終的には土地収用法でもぶっかけなければ、し尿処理場はできないのです。それを強引にし尿処理場をつくる、火葬場をつくる、伝染病の収容所をこしらえる、こういうことになりますと、これは場合によったら土地は値下がりします。また、空港問題がいま盛んに騒がれておりますが、相当土地の値上がりしておるところにかりに空港をつくったとしたら、非常な騒音なんかの問題で、農地なんかの場合だったらむしろもっと影響を受ける。豚とか鶏とかあるいは羊とか、そういうものを飼っている場合は、牛なんかはとにかく乳が出なくなるという問題はしょっちゅう基地周辺で起きておる問題であります。そういう場合とか、たとえば火葬場をつくった場合は土地は値下がりする。値下がりする場合は、あなたのお気持としては、付近の方にはとにかく値下がり料を政府のほうでお出しになるというお気持ちを持っているわけですね。
  151. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 御指摘のように、ただいまお話しになりましたし尿処理場あるいは火葬場等の場合には、その周辺がとにかく悪い影響を受けますから、地価の値下がりがあり得るのであります。しかし、公共投資全体を達観して考えますと、これは何と申しましても、し尿処理場とか、あるいは先ほど御指摘のような火葬場とかいうものよりも、公共投資による値上がりが多いことは、これまた渡辺委員もお認め願えることだと思います。先ほど来申し上げますように、個々の問題としてその周辺とのことを言っておるのではございませんで、こういう意味の公共投資に伴いますその対象として土地収用をいたしますそれと、その以外の土地の一種の均衡論を論理的に申し上げておるわけであります。この譲渡所得の問題だと思いますが、その譲渡所得税の問題は、先ほど来申し上げますように、土地収用法のみの立場から行なわれておるのではないかというふうに私たちは考えております。一部の考え方ではあろうと思いますけれども、御了解を願います。
  152. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 私が聞いているところでは、ともかく建設大臣が非常な執念で、土地は商品じゃない、だから土地収用法をやった場合はその付近も値上がりするのだから応分のものを出してもらうという思想がどこまでも貫いているのだというふうに私は聞いているのですよ。ところが、土地収用法をかけた場合は、必ずしも値上がりする場合だけでない。鉄道をつくったって値下がりします。高速道路をつくったって値下がりします。そういうことを言うと、そんなおかしなことがと思われるかもしれませんが、鉄道をつくって、たんぼの中に高い土手をついたら、排水は悪くなり、日陰になり、風通しも悪くなる。こういうことは高速道路の場合だって同じことが言えます。こういうことが言えるのですよ。御承知ですか、そういうことは。
  153. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 御指摘のように、鉄道線路が通って、ごくその近くにあります土地が値下がりするという事実は、これはあろうかと思います。しかし、その周辺全体の広い地域の問題を考えました場合には、やはり渡辺委員も、鉄道が通ずれば地価が値上がりするという一般的な問題は御承認願えるかと思うのであります。高速道路の問題にいたしましても、万里の長城のようなものができて、すぐそばが日陰になって困るという問題はございます。しかし、その地方全体の立場で考えてみました場合、そういう道路のできますことは、やはり地価の値上がりになるというふうに私たちは考えております。いま渡辺委員の御指摘になりましたような、鉄道であるとか高速道路のような場合でも、そのごく近くの一定地域にかけて条件が悪くなるという事実は、これは認めておるのであります。
  154. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 だからこそ、高速道路、縦断道等をつくること等についても、十メートルも高いものはつくらないで、なるべく低いものをつくって、しかも両方に側道をつけて皆さんが利用できるようにしよう、それは、そういうふうな不満があるから改正するのでしょう。ですから、今回の問題は、公共投資をして、その周辺の土地が値上がりするからそれに応分の負担をさせるのだという議論は当たらないのです。間違っておるのです。土地の値上がりというものは公共投資によってだけ値上がりするものでない。国民経済の発展によって、あるいは貨幣価値の下落によって、あるいはまた民間会社がいろいろな企業を誘致したり投資をしたり、あるいはまた、偶発的な問題、たとえば温泉を山の中に見つけたとか、あるいは那須にボーリングしたところがたまたま温泉が出たとか、こういうふうなことによって異常な値上がりをすることがあるわけです。こういうことは公共投資に関係ないのです。したがって、公共事業をやるからその土地が値上がりする、しかし、その周辺だけじゃわからないから、全体について譲渡所得課税を強化するという考え方には私は賛成できない、こういうことで、政府原案に対して私はいままで実はどこまでも賛成をしなかったのであります。もともと譲渡所得というものは、これは資本課税であります。譲渡所得は取るべきじゃないという有力意見があるのです。キャピタルゲインは課税すべきじゃないという有力意見がある。考えてみれば、御承知のとおり、お金で持っておって、お金を株券にしようが別に税金がかかるわけじゃない。お金を山にしたからといって税金がかかるわけじゃない。土地のようなものは、これは売ったからといって、株にしようが、山を売って畑にしようが、畑を売って山にしようが、そういうものは別に財産がふえたわけじゃない。したがって、そういうふうなものはいわゆる資本であります。買ったときと売ったときと評価が違ったということはありましょう。ですから、もともと譲渡所得に対しては課税しなかったのです。昭和十四年に戦時立法として、船舶とか鉱掘権とか、こういうふうなものを売ることによって譲渡所得の前身というものがつくられたものであって、必ずしもこれは正当な意味での利益課税というものではないと私は思います。この点については、主税局長どう思いますか。
  155. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 ただいま渡辺先生からキャピタルゲインの課税につきまして非常に深い御意見が述べられたわけでございます。確かに、キャピタルゲインにつきましては普通所得と違ったものであり、したがって、これについては、渡辺先生のおっしゃいましたように課税すべきでないという意見もあります。また同時に、一方これに課税すべしとの意見があるということは御存じのとおりでございます。両方意見がございますが、全体的に見ました最近の傾向は、各国ともキャピタルゲインの課税の傾向にございます。
  156. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 この本は「譲渡所得の実務」という本であります。国税庁資産税課長山内宏さん監修で、資産税課の高島君という人とあと二人の事務官、直税部審理課の神蔵さんという人と直税部資産税課の岡田さんという人と共同で書いた本であります。いま山内君は第二税制課長だと思いますがね。主税局長、税制第何課長ですか。
  157. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 山内君は資産税課長でございます。
  158. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 その人が書いた本です。その序文を参考までに御紹介します。  どういうことが書いてあるかというと、私が言うようなことが書いてあるのです。「譲渡所得に対する課税制度は、昭和十四年に臨時利得税として船舶または鉱業権若しくは鉱業設備の譲渡による利得に対して課税されることとなってから、」できたものだということが書いてございます。したがって譲渡所得というものは「事業所得や不動産所得とは異なり、いわゆるキャピタル・ゲインとして、資産の譲渡により生ずる利得という特殊の性格をもつものであるとともに、一般的に、その発生において、臨時性、偶発性を有し、その内容においても、長年累積された未実現利益」が一ぺんに実現すべき筋合のものである。だからほかの所得と同一に論ずることはできない。またこういうことも書いてある。譲渡所得というのは、一生のうちに一度ないし二度の譲渡所得という発生を見る人が多い。こういうことも事実なんです。だから、この税というものについてはいろいろな恩典があるということが書いてあるわけです。これは全部一冊言えばいいのだが、時間がないから申し上げられませんけれども、そういうものの考え方なんです。それはそのとおりなんです。偶発的である、これも事実であります。継続反復して土地の売り買いをやれば、これは事業所得として認定されるのですから、だから、そういうことが何年に一ぺんかたまにあったって、それは偶発的なものだ。しかしながら、世界の立法令等から見て、土地を買ってすぐその土地を売るというような場合においては、これは譲渡所得といっても、必ずしもそうばかりとも言い切れまいということで、日本においては三年未満のうちに買った土地を転売した場合には、譲渡所得として、いわゆる二分の一の控除はしない、全額課税をするということにしております。アメリカ、イギリスは三年なんというのはない。一年とか半年とか、そういうことが多いのでありますが、日本の三年というのは長いほうでしょう。そこで、譲渡所得については、これは一応日本では相当きつく現在においても制限をしておる。早い話が、競馬、競輪、賭博の利益、こういうものは一時所得であります。一時所得は何分の一控除ですか、主税局長
  159. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 二分の一でございます。
  160. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 ばくちぶったって二分の一控除するのですよ。競馬やったって二分の一控除するのですよ。偶発的に何か金もうけがころがってきたって二分の一控除するのですよ、偶発的ですから。宝くじが当たったって二分の一控除するのですよ。全部は課税しないのです。譲渡所得というものはなぜ二分の一課税というものが行なわれておるのか。本来だったら、譲渡所得課税すべきでないと思っておる。しかしながら、何年間にわたる長い習慣で日本では課税しておるわけですが、これはぎりぎりの課税限界であると思います。と申しますのは、実際問題として、かりに異常な値上がりということばかりがいままで宣伝されておって、経済の発展に伴ったあたりまえの値上がりという問題についてはあまり議論されていない。昭和二十八年にかりに百万円の土地を買ったと仮定します。一年に一割ずつ経済の発展に伴ってその土地が値上がりしたならば、十年たったら幾らになりますか、二百三十五万円くらいになるでしょう。この程度のことは、異常な値上がりではありませんよ。しかしながら、それを売れば、これは結局百万円と二百三十五万円の差額百三十五万円、これについてまるまる課税するというのは酷でしょう。どうして酷かと申しますと、脱税したって、とにかく五年以前のものは取らない。更正決定するのだって三年間までしか更正決定しないのです。しかし、土地なんかの譲渡所得の場合には、それは二分の一制度がなかったら、全額さかのぼって取られる。もっと極端なことを言えば、先祖伝来持っていて、それが蓄積されて、明治以来現在に至るまで経済発展の未実現利益というものについて全部課税される。そういうことは非常にかわいそうだ、原価もわからないようなものについてはかわいそうだから、だから二分の一控除制度をつくっておくということが趣旨だろうと思う。私が、そういうことを言えば、おそらく主税局長は反論するでしょう。いや、間違っておる、それについては、以前昭和二十三年三月二十一日の財産税取得価額を時価としたことがあります、その後においては昭和二十八年の相続税評価額をもって時価としています、それを引いています、こういうことを言うかもしれない。しかし、実際において取引価額から見れば実は非常に安い価額であります。でありますから、こういうようなことにつきまして、譲渡所得を強化するということは、私としては納得できないのであります。そういう点、主税局長はどういうふうにお考えですか。もっと強化することが望ましいと思うのですか。
  161. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 確かに、渡辺委員はキャピタルゲインの課税につきまして深い問題点を提起されたと思うのであります。しかし、土地問題は、御存じのとおり、先ほど来谷垣政務次官からお話がございましたように、大きな政策として打ち出され、衆議院では空閑地税という形で実施したらどうかという附帯決議がございました。私、この点は技術的にも無理だし、税制上も無理があるというので採用すべきでないと思ってお断わり申し上げております。さらにまた、御存じのように、分離課税法人、個人を含めての土地課税ということもどうであろうかというお話もございましたが、これも、私は何といっても個人あるいは法人に帰属するすべての所得を総合いたしまして——これは譲渡所得といえども同じだと思いますが、総合いたしまして、その人にある種々の事情、たとえば欠損とか、そういった事情をしんしゃくして課税するのがほんとうの税であり、それがまた所得税法人税のよさだと思います。そういったいろいろの分離課税的なものは、私どもとしては税制上どうかということでお断わり申し上げ、現在の税制で、かりにそういった形で土地政策に協力を申し上げるとすれば、土地の譲渡所得について、個人について見られる半分の控除が、現在の土地価格の状況から見まして、さらにまた二分の一の控除ということが、シャウプ勧告によっても指摘されたように、譲渡所得課税としては不合理である、やはり平均課税がいいのだというようなことがございましたので、こういった角度から二分の一課税について一定部分だけ全額課税を加味することによって土地政策に協力することはどうか、かように考えた次第でございます。
  162. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そういうことはこの本に書いてあるのですよ。どういうことが書いてあるかというと「譲渡所得の性格」というところに「その所得の性格は、当初から譲渡をすることによって利益を追求しようとしたものではなく、譲渡という行為によって、それまで自己の意思に基づかない外的な条件の変化、たとえば貨幣価値の下落であるとか社会的な情勢の変化に基因して逐次発生してきた値上がり益が一挙に実現したものにほかならない」つまり譲渡所得は「結果的に生じた長年にわたる利益の累積額」である、それはそのとおりだと思います。だから、これを二分の一課税以上に強化するという思想は私にはどうしても納得がいかないのであります。  半額課税方式というものはどういうことかというと、大体二十分二十乗方式に近いだろう。結局、かりに二十年間でその土地がどんどん上がってきたとすれば、現在の税法は累積課税であります。二百万円もうかったら——この一年度で二百万円もうかったとすれば、自分の月給の上に二百万円が加算されて、ともかく、二割の税率だったら四割くらいの税率になる。非常に税率も高くなる。でありますから、そのままそっくり乗せることはむずかしい。毎年利益が実現したとしても、その利益の実現はいまになって実現したのだから、それじゃ二十年前には一体どれだけ値上がりしたのか、それによってそのときの税法だと幾らの税金が出るのか、十九年前には幾ら値上がりして、それによって幾らの税金が出るとか、十八年は幾らというふうに分けて、そうして結局二十分の二十乗、こういう方式でやる。そういう意味で、あまりむずかしく考えないで、もっと古いものもあるでしょうし、一応半額課税はぎりぎりの限界、だから半額課税という制度をとっておるのであります。今回の改正案は、土地という問題に対して提起されたものであるけれども、譲渡所得全体に対して考えられるのでなくして、土地所有者にだけしわ寄せがされるという改正案であります。そういう点で私は非常に不満です。ダイヤモンドを持っておった、書画骨とうを持っておった、こういうものは、売っても二分の一課税であります。先ほど言ったように、競馬で当たってもうかっても半分しか税金はかけません。土地を持っているがゆえに、何ゆえに全額課税が行なわれなければならぬか。先ほど言ったように公共投資で地価が値上がりしたというけれども、値上がりしたところもありましょうし、値下がりしたところもあります。こういうことをよく考えると、今度の改正はほんとうにやぶから棒に、ただ単に土地政策というものが、税法によって解決がつくのかっかないのか知らぬけれども、便乗して、そのしり馬に乗って改正したんじゃないか、原案を出したんじゃないかというにおいが強くしてしかたがない。税の体系を非常に乱す——塩崎主税局長は天下の名主税局長といわれておる、将来ある人で、次官は間違いない、将来は大臣にもなる人だろう、みんながそう思っておる。ところが、あまり功を急いだのか、あるいは内閣の鼻息をうかがうのに急だったのか、その心境は知りません、鏡をもってはかるわけにいきませんから。こういうことについては、当然相当理論的な抵抗があってしかるべきなのにかかわらず、こういう改正案を出してきたということについては、私はどうも納得がいかない。あなたも人間ですから、間違いのないことはないでしょう。どうですか、あと味のいい改正案ですか。御心境のほどをひとつお聞かせ願いましょう。
  163. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 非常にお答えしにくい御質問でございますので、私の答えが当たっておるかどうかわかぬませんが、確かに、キャピタルゲインについては非常にむずかしい問題があろうかと思います。外国におきましても種々な課税制度がありまして、常に批判があり、常に動いておるわけでございますけれども、私が見ましたところ、キャピタルゲインについての現在の二分の一課税は問題がある、これは完全な制度ではない。確かに、変動課税を平均する方法の一つとして、渡辺先生のおっしゃいましたような効果はもちろんございますが、シャウプの申されましたように、平均課税的な方法も考えられるところでございます。さらにまた、土地の値上がりが非常に強いような今日において、土地に対して何らかの課税をしろということが始終私どもに寄せられることばでございます。私どもといたしまして、各税を見渡しまして現在の土地価格政策に協力するとすれば、やはり個人の譲渡所得課税についてまだまだ問題があろうかと思います。  さらに、渡辺先生のおっしゃったように、確かに、長期譲渡所得の発生の原因は、貨幣価値の変動もあるだろう、こういったものはノミナルなものであろうということで、本来の担税力がない所得ではないかという御議論からおそらくここに提起されておるのだろうと思います。確かにそういった面もございます。しかしながら、もう御存じのように、キャピタルゲインの発生原因は、ほかに利子率の変動、あるいは将来収益の期待、あるいは法人留保の増大といったような理由がございまして、必ずしも普通所得と全く違ったものとも言えない面もございますし、発生主義ではございますが、実現主義のたてまえだといたしますと、現在のような課税方式でも十分説明することができるものではないかと、税制上私は考えておるのであります。こんな意味で種々の御批判があることは私も存じておりますが、現在のところ、私どもといたしまして、税制中土地政策として考えるならばこの点にありというふうに考えて御提案申し上げた次第でございます。
  164. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 これは、税金をよけい取れば土地が値下がりしたり騰貴しないというような考え方は大間違いですよ。現実に皆さんどうですか。皆さんがいまから一年前に譲渡所得について短期譲渡については全額課税方式をとるのだということをおっしゃったのです。私はその理由を聞いておって、土地対策の一つとして、すぐ買ってすぐ売ろうというような人に二分の一控除をするということだから、みんなが土地を買いあさる、だから、こういうものに対しては、全額課税をするということによって買う意欲を減らし、あるいはそれによって意欲が減るから土地が下がるだろうということを言われました。私はこの考えにはまっこうから実は反対だった。結果はどうです。人間の心理なんというものは、問題は手取りなんですよ。百姓が土地を売る場合においても、土地は製造できないのですから、売ればそれだけ少なくなるのだから、結局はなるべく高く売りたい。高く売ったって、名目所得で税金でごっそり持っていかれたら何にもならない。だから買った土地をすぐ売ってもいいけれども、三年持っておれば半分になるのですから、そうすれば、あと六カ月、あと一年持っておれば土地もある程度上がるだろうし、税金も軽くなるということになれば、すぐに放す土地も放さないということになって、結果は逆効果に終わった。少なくとも、土地政策に関する限りこれは逆効果に終わったと私は見ておる。ただ、税法上の公平の観念というか、正義観念というか、それはわかりませんが、そういうふうな観念からすれば、すぐ買ってすぐ売って、普通の商品なら全額課税になるものが、土地なるがゆえに二分の一課税であったということは、確かに解せない点がありましょう。私はそういう点から賛成したのです。土地対策としてはこれは下の下であったと私は思いますが、これによって土地の価格が抑制されたと思いますかどうですか、建設省の谷垣政務次官。
  165. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 たいへんに該博な税の知識でございますので、私のとても及ぶところではごいまざせん。いま御指摘の点は計画局長から御答弁いたします。
  166. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 税制問題の一つでございますので、私から簡単に御説明したいと思います。  減辺先生のお話、まことに私も思い当たる節がございます。キャピタルゲインの課税というものは資産の寝かし込みという現象を生じるというのがアメリカの学者の強い説になっておりまして、資産を寝かし込むのだ、税金がかかるから保有する傾向があるのだというようなことがいわれております。その経済効果が指摘されることがある、その一つのあらわれを、いま三年という改正をつかまえて渡辺先生が御指摘になったのであります。そこで、アメリカではそういった寝かし込みの効果を防ぐ意味において、やはり相続のときにキャピタルゲインを清算するということかどうかということが言われておることも御存じのとおりでございます。このことは、確かに譲渡所得ということだけで地価対策をやっていくことが完全でもございませんし、さらにまた、三年というような期限だけでもだめでございましょう。ただ、現実に持っておる資産につきましては、確かに、渡辺先生がおっしゃるように寝かし込みといいますか、保有を長くして供給を仰制する傾向があると思います。これは大部分現在保有しているものについてはそうでございますが、一方、このねらいは、今後思惑で買うものについては、税は三年ぐらいでは重くなるんだからということも私は一つのねらいだと思うのです。それによって、土地は、税引き利回りが短期に売ったのでは少なくなるぞ、今後のものについては、そういった効果もねらって、このとき私はおりませんでしたけれども、改正のねらいがあったのではないかと想像いたしております。ただ、実際の土地価格に及ぼす影響は、その点は私から見ても、税の効果だけ抽出することはなかなかむずかしいわけでございます。正確には言えないのではないか、かように考えております。
  167. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 これは負け惜しみを言ったところで始まらないので、地価対策や土地の流動化を阻害したことは明らかです。土地の流動化を阻害した、地価対策においてもこれは失敗だった、これは明らかです。それと同じようなことを再びここで繰り返すようになったのでは、私としてはどうも見るに忍びない、気の毒でしかたがない。ですから私はあえて苦言を呈するわけです。ことに、土地の問題については、この課税の控除額を少なくして、全額課税部分を多くするというようなことは非常に問題点が幾つも出てくる。たとえば、私が川原を買ったとするのです。二束三文なんです。湿地で、川原で、大水で流れた畑、ただと同じです。竹林ぐらいしかできない。しかし、親子五人で一生懸命山から土を運んで、三年もかかって農閑期を利用してりっぱに宅地造成を一して、それをいよいよ今度は売りに出すということになれば——日分が川原を買ったときには坪十円か二十円ぐらいで川原みたいなものは買えるのです。いなかに行ってみなさい。それが宅地にすれば坪三千円から五千円で売れるのですよ。そのときに業者を頼んで宅地造成をやれば、それは完全に取得費の中に入りましょう。しかし、自分ら夫婦で、親子で荷車やリヤカーに土を積んで、自分の馬車を使って宅地造成をした場合は、その労力と日数というものは取得価額に入りますか。主税局長、どうですか。
  168. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 所得の定義の問題を渡辺先生御指摘だと思います。私は、労働力に対する報酬は、率直に申し上げると、釈迦に説法でございまけけれども、所得だと思います。農業所得にいたしましても、幾らにもならない種から自分の労働で農産物ができ上がるわけでございます。その大部分は、御存じのよう自家労賃に対する所得、こういうものだと思います。ただ、渡辺先生のおっしゃったいまのような川原の宅地造成についての労賃によるところの宅地造成部分はただだから、同時にまた、それはキャピタルゲインだからもう少し別途に考慮すべき所得じゃないか、こういう御指摘かもしれませんが、キャピタルゲインを所得とするならば、それはやはり他人から対価を得た場合には自家労賃に対する対価が実現されたというように見るのが現在の課税所得の考え方ではないかと私は考えております。
  169. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 主税局長は私の質問に答えないんだ。逃げているんです。いいですか、どうして答えないかというと、私はそれを言っているのです。坪十円で買った川原も、五年先、、十年先に自分たちが手を入れてりっぱにしても、その取得価額は十円なんですよ。あなたはもっと高いと思うのですか。説明してください。
  170. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 キャピタルゲインの計算の根拠となります取得価額というものは、やはり私は当初の取得価額であろうと思います。そこに貨幣価値の変動があったり、あるいはその土地の値上がりがあるにいたしましても、やはり収入金から引かるべきベースとなるものは取得価額、したがいまして、その場合に坪十円で買われたならば、私は十円が取得価額になるであろう、かように考えております。
  171. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そのとおりなんです。それは間違いない。そのとおりなんですよ。それで、一坪について千円から千五百円自分が自家労働をしてそこへつぎ込んで、ともかくりっぱな土地造成をしても、売るときは経費は十円しか見てくれないのですよ、取得価額が十円だから管理費というものは資本支出じゃない。造成しても、自家労力によって造成した場合は、現在の所得税法からは取得価額に入らない。他人に頼んで払った場合は、確かにそれは払ったのだから造成費の中に入ります。自分でやった場合は造成費の中に入らない。意味がわかるでしょう。自家労賃、そういうものは一銭も見ない。売ったときには、かりに坪千円でこれを売ったとしても、売り賃から引くものが取得価額坪十円しか引いてくれないのですよ。そういう状態のときに、二分の一課税をさらに強化するというようなやり方は、これはなかなか忍びないのだ。そういう例がたくさんあるのですよ。おわかりですか。あなたはアメリカのこととか、イギリスのこととか、たくさん博学で知っているかもしれないけれども、実際に税務署の窓口で農民と税務署の職員がけんかしているのはこんなことが多いのです。しょっちゅう私はそういうものにぶつかっている。これは法律的には税務署の言うことが正しいのだが、坪十円しか引かないということは、社会通念からいったら、こんなばかなことはない。せめて二分の一控除でごまかしておいたほうが、これは分がいいのです。それは一つのごまかしなんですよ。二分の一控除というのは、一々所得というものの取得価額というものが千差万別、いろいろあるのだから結局わからない、めんどうくさいから、要するに、まあこれは俗語でいえば二分の一くらい原価でみようじゃないか、わけのわからないやつはこういうふうに解釈したっていいですよ。そういうふうに説明してやれば農民のほうは納得しちゃうのですよ。ともかく、坪何円かかったか知らないが、売り値の半分だけはこれは原価に見てやるから、控除といえば控除ですよ。それは正式にいえば控除ですよ。書きようがないから控除と書くだけなんです。そういうふうなことで、結局、一々こまかいことについてどうこうということはできないから、そういうことで十ぱ一からげにしている。  今度の税法に対して、最初は周辺土地の値上がりについて全額課税制度を結局行なう、四十三年まで暫定的ではありますが、それを行なうということであった。ところが風聞、聞くところによると、そいつの改正案が三党共同提案で出されるらしい。まだ議題になっていないから質問の限りではないかもしれない、まずその提案がなされる以前に私が質問することはこれは不穏当かもしれない、不適当かもしれない。だけれども、一応それにもちょっとだんだんに触れていってみたいと私は思うのであります。  実際問題として、譲渡所得の問題は非常にむずかしい問題であります。現在譲渡所得というものは、品物を売ったから譲渡所得がかかるわけではありません。人にただでものをくれたら、譲渡所得がかかるのですよ。いまから数年前までは、財産を相続すれば相続税、もらったほうが相続税、やったほうがこれは譲渡所得税、現在は人にものをくれれば、もらったほうが贈与税、くれたほうが譲渡所得税、こういうものがかかるのです。特定な場合明細書を添えて税務署長に、こうこうしかじかで何とかの確認書を書いて申告期限までに出せばそれはかんべんしてやるというのだ、出し忘れちゃだめだというので、人にものをくれた上に譲渡所得税を取られるのでは、ともかくこれは困ったことなんだけれども、税法がそうなっているんだからしかたがない。そこへもってきて二分の一課税制度を強化されたのではたまったものじゃない。人にものをくれて譲渡所得税を取られ、明細書を出し忘れて、そうして今度は二分の一控除の譲渡所得じゃなくて、もっと強化された譲渡所得税が取られる。あなたはこういう事実をお認めになりますか。まずそういうふうな事実、税法上そうなるかならぬかということをお認めになりますか。
  172. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 税法上はそのとおりでございます。
  173. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そうなんですよ。こういうことはしろうとはなかなか気がつかないんですよ。だから問題点があるのです。譲渡所得というのは非常にむずかしいんだ。それはこの本にも書いてあります。何べん説明してもその点はなかなか理解してくれないということがこの本にも書いてありますよ。人にものをくれて、くれた人がともかく譲渡所得税を取られるということは、その理屈が非常にむずかしくてなかなかみんなに理解してもらえないけれども、困ったものだと書いてあるんだ。だから、それはまあその程度にしておきますけれども、そういう点からいっても、譲渡所得の控除額を引き下げたり、全額課税方式をとっていくというような方向は、いろいろな問題点を将来に残していくということをあなた方は考えてもらいたいと私は思うのです。ことに、今回の改正案に対して社会党の方は、原案と修正部分と予定されるものについて賛成だというようなことでありますが、私は非常にこれは意外に考えたのであります。と申しますのは、今回譲渡所得というものは土地を売ったものだけがかかるということです。譲渡所得というのは、ダイヤモンドを売ったって譲渡所得なんだ、借家権を売ったって譲渡所得なんだ、小作権を売ったって譲渡所得なんだ、耕作権を売ったって譲渡所得なんだ。借家権、借地権、土地の上に存する権利、こういうものはみんな譲渡所得の対象になる。したがって、譲渡所得課税強化されれば、借地人、借家人がそれを第三者にかりに売って自分がほかのところに立ちのくというような場合、こういう場合は、これは譲渡所得が強化されれば、借地権、借家権に対する税金が強化される、こういうことは事実に反しますか、ひとつ御答弁願います。
  174. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 たびたびお答え申し上げておりますように、今回の措置法は、譲渡所得全般についての課税を強化するというものではございません。先ほど来谷垣政務次官のお話のありましたように、土地価格に対する一つの税制面からの側面措置でございますので、土地、それから土地の上に存する権利、建物及びその付属設備または構築物の譲渡、これに限ってございます。
  175. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 だから、もっと問題なんですよ。全体的にこういうものを考え直すというのではなく、土地対策だけだといって、土地対策土地対策につられちゃっているからほかの譲渡所得のアンバランスをここにつくるということになるのです。瀬戸山構想によれば、土地は商品ではない、天の恵み——恵みと言ったかどうか知らぬけれども、これは要するにそういう意味でしょう。商品じゃない、要するにわれわれは預かっているものだ、こういうふうなことで、そういうものでもうけるのはけしからぬ、だから、そういうものに対しては課税強化すべきだという御主張であります。しからば、水は商品であるかどうか、ひとつ建設政務次官にお伺いしたい。
  176. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 土地は商品でないということばがたいへん問題になっておるようでありますが、これは私たちは、工場生産されるとかいうふうに、生産が非常にたくさんやれるような、供給が無尽蔵にあるようなものとは違う、そういう性格を持っておる、ことに近来のように非常に宅地問題がやかましくなっております現状から、そういうような表現が出たと思っております。  それから、ただいまの水は商品であるか商品でないかという問題は、非常に哲学的な意味を含んでおりましてむずかしゅうございますから、限定してお答えをいたしたいと思います。私たちが飲んでおります東京の水道の水は、これは商品的資格を持っておるものだと思います。しかし、雨のように天から降っておるものが、はたして商品であるかどうかということは、これは問題があると思います。でありますから、水は商品であるかという御質問、まことにむずかしいので十分なお答えができないかと思いますけれども、ものによりまして、場所によりまして違いがあろうかと思います。海の水が商品であるか、これも商品である場合もあろうと思います。なかなかそこらがつかまえにくい問題であろうと思いますけれども、そのときどきの与えられました水の条件によりまして出てくるのじゃないか、かように考えております。しかし、これも一般の商品とは違うのじゃないかという意味でございますれば、確かにそれは一般の商品とは違った性格を持っておるということは言えるかと思います。
  177. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 私はそうむずかしく言ったのではないですよ。ただ常識的に言ったのですよ。土地については商品じゃないんだから、値上がりしたら課税強化するという思想に対して、それでは川の水はどうなんですかということを言ったんです。土地については所有という問題がありますが、水については所有という問題はない。しかし、土地については結局利用権があります。土地についていろいろな借地権、借家権というものがあります。水についても水利権というものがあります。温泉というものは、あれは商品ですか、売り買いできますか。主税局長にお願いしましょう。
  178. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 水利権も温泉権も、私どもの税法では同様に譲渡所得の基因となる資産、かように考えております。
  179. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 温泉そのものは売買の対象になりますか、それともなりませんか。
  180. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 私も温泉の売買、取引について専門ではございませんが、温泉権の売買はよく伺っておりますが、温泉が売買されるかどうか、経験が非常に乏しいものでございますので、お答えするにちょっとはばかるような気持ちでございます。
  181. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 それはそのとおりなんですよ。土地は売買することができるのです。温泉は売買できないのです。ですから、温泉のほうがむしろ商品でないということが言えるかもしれない。水そのものは売買できないのです。水の出ている土地は売買できるのですよ。温泉の出ている一坪の土地は売買できるのですよ。水は土地に付随するものなんです。土地のほうがむしろ商品性があるのです。水そのもののほうが商品性がないのです。水そのもの、清水、湧水、井戸水あるいはまた温泉、こういうものは商品性がないのです。市場性がないのです。土地そのもののほうが売れるのです。しかし利用権というものはあります。温泉利用権、水利権、漁業権、海についても同じことが言える。海そのものは売り買いできない。海を利用する権利は売り買いできる。温泉を利用する権利は売り買いできる。そうすると瀬戸山構想というのはおかしいんじゃないかと私は思う。土地は商品でないんだから、それで金をもうけさしちゃいけないんならば、なぜ水利権、温泉権を二分の一課税にして強化しないのか、それじゃ、ひとつこれは主税局長がいいでしょう。
  182. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 この点については渡辺先生から御批判があろうかと思いまするけれども、私どもは純粋に土地政策という角度に焦点を合わせましたので、先ほど申し上げました土地を中心といたしましての譲渡所得の強化に限定したつもりでございます。
  183. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 だから税の体系を非常に乱しちゃったのです。これは、国税庁長官来ておりますか。——どうぞこららへ出ていらっしゃい、遠慮は要りませんから。この法律が通って、しかも、この修正案か通ると、一番頭が痛くなってしまうのは国税庁です、そうでなくとも半分ノイローゼになってしまっているのだから。その話をぼつぼつこれから序論からだんだん本論に入っていきたいと思っておりますけれども、与党理事のほうから時間の関係、時間の関係といわれておりますが、これはほんとうに笑いごとじゃないのです。  税制度という立場から考えると、この譲渡所得の問題というものは、便法的にやたらにそんなに手をつけちゃったらあっちこっち矛盾だらけになってしまうのです。みんなが考えに考えていろいろいままで工作に工作してきても結局だめなんです。結局だめだから二分の一だということでごまかしているんですよ。それを、土地政策についてはこうやります、ああやりますといってこねくりまわしていったら、理論的に詰められていったら答弁できなくなってしまいます、基本的に意地悪くどこまでもやれば。私もここで主税局長を立ち往生させようと思っておりません。そういうことは、私はあなたとは親友でもあるし、人柄もよくわかっておるから、決してそういうふうな考えは毛類ございません。ほんとうですよ。ですから、それはそんな御心配しなくてもけっこうですけれども、そういう点もひとつ十分に考えてもらいたい。  そこで、今回の租税特別措置法というのの改正は三点あった。まず第一点は、公共事業の土地収用の認定に伴う部分、第二点は、結局それに付随すると称するのですが、私はどうして付随するのか知らないが、要するに土地の値上がりを防止する意味において、二分の一課税を廃止して四分の三くらいの、いわゆる全額課税と称しておりますが、全額課税に近く持っていくという案、第三番目は、要するに、家の、居住用資産の買いかえを認めなくするという案、この三つに分かれておるわけです。  まず、第二番目の問題について私はいままでいろいろと御質問をしたのでありますが、今回、社会党の方々と自民党の一部の方々、民社党の方々と共同修正ということが行なわれるのだ、そういうふうな修正案というものがつくられたんだということで、私もこの修正案をのめということを言われておるわけです。ここまできたんですから何とかしてこれを通さなければならないというお気持ち、いままでの御苦労、善意、こういうものを私は高く評価します。非常な御苦労をなさっていることも十二分に、百も承知でよくわかっています。しかし、それはそれ、一応学問的な立場から内容を検討することは検討する、これは別個の問題です。  そこで、今回の共同修正案というものを見ると、政府原案はあまり手をつけない。一番目はそのまま、二番目についてもそのまま、ただし、実施の時期が違う、こう言う、三番目についてもそのまま、つまり租税特別措置法の改正部分というものについては、結局先ほどのあぜ道の問題はこれは全然別問題で、私の議論に入っておりませんから申し上げませんが、第二番目の二分の一課税というものを強化をするという原文はそのとおり置いて、これを便法的に法律施行の日から、そういうふうにやるということだったものをどういうふうに直したかというと、特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律、昭和四十一年法律〇〇号の公布の日以後取得した、つまり土地及び土地の上に存する権利、こういうものについてこれは適用をする、こういうふうなことなんですね。これが問題なんですよ。たいしたことはない。三年間くらいは実害はないです。三カ年間実害はありません。四年目から実害が出てくるわけですな。三年間は実害なしですから、こういうことでお茶を濁して、逃げるのにはいいですよ。しかしながら一つ一つの問題についてぶつかっていったら、学問的な問題を取り上げると、これはちょっとたいへんなんですよ。基本的にもたいへんだし、実務の上においてもたいへんです。その内容について、私がいまたいへんであるか、ないかということを御質問をさしていただきます。まことに恐縮でございますが、いましばらくひとつごしんぼうをいただきたいと思います。  結局、この公布の日以後取得したと、こういうのですね。この公布の日以後取得したという、この公布の日というのはいつですか。おおむねいつの見通しなんですか。
  184. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 これは国会の御承認のいかんによってきまろうかと思います。
  185. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そうすると、これは日にちはきまっていない。採決が済めばすぐですか。
  186. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 衆議院及び参議院の国会の可決がありました後に公布いたします。
  187. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そうすると、間もなくですな。年内ですか。
  188. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 通過いたしますれば、間もなくでございます。
  189. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そうすると、もう通過するものというふうに思っておるでしょうから、国会が終われば、七月ぐらいにはこれは公布するということになりますね。そういうふうにひとつ仮定しましょう。その可能性のほうが多いようだから、そういうふうに仮定しましょう。そうしますと、ことしの八月ごろから土地を買った場合においては、あるいは借地権を買った場合においても、あるいはそのほかのいろいろな漁業権や借家権やそういうものを買った場合においても、それは新法律が適用される、こういうことになりますね。それは間違いないでしょうな。
  190. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 いま漁業権ということばがございましたが、土地に関する権利、先ほど申し上げましたものについて、この法律施行後、公布の日以後取付したものについては適用がございます。
  191. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 これは非常に問題をすりかえているのですよ。私は、実はこういうふうなことでどうだろうかということを仲間の村山君から内々話があったのです。これは暴露するわけではないのだけれども。それで、そのときは、これは事をすりかえていくのにはなかなかよさそうだというふうにも思ったのです、正直な話。そのときの村山君の話はこうだったのです。大蔵省の説明はなかったけれども、そういう趣旨で今回の改正案というものが立案されたものと私は善意に解釈をしたのです。村山君は私をだましたか。そんなことはないでしょう。したがって、大蔵省が村山さんの意見を聞かなかったか、あなた方が村山さんをだましたか、どっちかなでんすな。それはどうしてかというと——実際問題として私は事実を言うだけですが、なぜかと申しますと、とにかく皆さんがお騒ぎになる。先祖伝来持っていた土地について課税強化がされるということが騒ぐ原因だ。だから、こういうものは現行どおりにしましょう。新しくこれから買い入れたものについてだけ、しかもそれは、思惑によって売買をしたものについて結局全額課税方式というものをとっていくようにするんだ、こういうことだった。私もそのつもりでいた。だから、当然その一つ一つを規定するということはなかなか容易なものじゃない。だから私はその善意がこのとおり法文にあらわれるとすれば、法律第何号の公布の日以後取得をした土地または土地の上に存する権利のうち、別に政令で定むるものについては結局課税をする、こういうふうな法律が私は出ると思っておった。ところが法律の原案を見ると、公布の日以後取得した土地または土地の上に存する権利ということになっておる。非常に範囲が広くなってしまう。ほんとうに思惑買いでやったと思われるものだけじゃない。それ以外のものも全部入ってきちゃう。私はその点もある人に聞いたら、いや、それはそうなっているけれども、執行面とか何かでうまくやれば排除できるのじゃないか、こういうお話もあった。善意に解釈すればそうかもわからぬが、争いになって裁判ぶてば負けます。法律どおりにぴしゃっとやられます。この公布の日以後取得した土地または土地の上に存する権利、こういうふうなものと、思惑買いによって売買をしたというものは、全部ぴったり一致しますか。主税局長に御答弁願います。
  192. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 修正案のまだ詳細なる御提案理由は説明ないわけで、詳しく私から趣旨弁明するのもなかなかむずかしいのでございますが、ただいま配付されました修正案を拝見さしていただきますと、渡辺先生の御心配を反映したものが、カッコの中に「政令で定める事由による取得を除く。」と、いうふうに書いてあるようでございますので、それがどういう点が問題か、なかなかいろいろな問題もございましょうが、こういったことによって渡辺先生の御懸念を避けられるのではないか、かように私は修正案を推測いたしております。
  193. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 修正案が、すると三つ出ちゃったね。岩動修正案というのは、これは持っているのです。それから村山修正案というのはさっきもらって、ずいぶんこれは議論してきたから、私はこのままだと思っておったら、いつの間にか、われわれの了解を得ないうちにまた別の修正案が——いま刷ってきたばかりだそうでありますが、私はこの修正案は初めてなんです。(「そんなものは内部の問題じゃないか」と呼ぶ者あり)内部といったって知らないんだ。(「出てからにしなさい」と呼ぶ者あり)出てからといったって、前にはこういう修正案で話をしたという報告を受けているんだからね。それがものの三時間も過ぎないうちに修正案というのがまた変わっちゃった。そういうことについて質問をすることについて、内部事情でやめろとかどうとかということなら、私は休憩してもらってもう少し内部で話し合いをしなければだめです。私は当然そのままの案と思って、そのつもりで質問しているのですから、途中になって、修正案はこういうふうに変わっているんですといわれれば、何をかいわんやです。私が修正案について質問をするということは少し先走ったかもしれませんが、私は議事を進めるために、先走って修正案の問題等についても質問をしたいのですよ。そういうふうなことで異議があって、与党内部の者がやめろと言われれば、私は質問を保留して、委員長に暫時休憩をしてもらって、内部で話し合いをしてみたいと思うのです。(「はなはだ迷惑な話だ」と呼ぶ者あり)迷惑といったってしかたがない。(「修正案を配れよ」、「修正案なんかまだ出てないんだ」と呼ぶ者あり)修正案が出てなければ、修正案について私は質問することができない。原案についてだけしか質問できないから……。(「修正案はのけて質問しろよ」と呼ぶ者あり)ともかく、修正案について提案理由説明を聞かなければ質問できませんね。——それじゃ、私は暫時休憩しますが、今度提案されれば、修正案について質問しますからね。
  194. 三池信

  195. 横山利秋

    横山委員 えらい済まぬけれども、渡辺君の休憩時間を利用いたしまして、この機会に建設次官にお伺いをしたいのであります。  土地問題に関連してこういう事件がございます。東村山市で市長以下助役、議長、副議長、自由民主党の市会議員約十名が株式会社東村山開発公社を設立いたしまして住宅建設を試みておる模様であります。市議会で問題になりまして、社会党から緊急動議が提出され、議案四一号を拒否して、審議は六月市議会に持ち越すことになったそうでございます。  問題になりましたのは、市が外郭団体として財団法人を設立することはわからないことではないけれども、株式会社をつくって、市長が社長になり、助役以下公職者外ほとんど参加しておりませんが、理事者並びに市議会の役員が株式会社をつくって、その株式会社が土地を買い、宅地を造成し、住宅を建て、そうして市がそれをいろんな方法で援助をするということは、まさに全国でもまれなあり方だと思っておるわけで、市議会で問題になりましたのは当然だと思うのであります。このようなことがもしも許されるならば、地方自治体の運営上妙な例を開くことになり、しかも、株式会社でございますから、配当があるのは当然である。したがって、市長や助役、市会議員までこの開発公社の取締役並びに監査役として配当を受けるという結果が出てくる。市がこれに対していろんな援助をするから損をすることはない、したがって利益を受けることは当然である。地方自治法で、普通地方公共団体の議会の議員は、理事者でもそうでありますが、一つの制限がある。その制限にもこれは抵触するのではないかという疑いもある。もっぱらこの問題は都市開発のことであり、この住宅、宅地を建設すること自身については全国にも例もあることでありますから、必ずしも悪いことではないと思う。一体このような状況を建設省としては御存じであるか、また、御存じでないとするならば、全国にも例を引くことでありますから、十分注意をして整理をしてもらいたいし、また、御存じであるならば、賛意を与えられておるものであるかどうか、どうお考えなのか、この機会に伺っておきたいと思うのであります。
  196. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 地方公共団体が開発公社というようなものあるいは財団法人等をつくりましてやっておる例は、地方にそれぞれ例を見る場合が多いのでありますが、株式会社の制度で、しかも自治体の理事者がそういう役員になっておるという例は、まだ私たちほとんどあまり聞いておりません。御指摘の東村山開発公社に関しましては、まだ私たち初耳でございます。御指摘のように、一体どういう実態であるのか、十分にこれは調査をいたしまして、各自治体にたいへん影響のあることだと思いますので、すみやかに実態を調査してその後でお答えをいたしたい、かように考えておる次第であります。
  197. 横山利秋

    横山委員 地方自治体がいろいろ都市開発のために土地収用法その他を適用する場合があると思う。東村山市自身が建設省に要請して収用法の適用をすることは可能であろうと思う。しかし、株式会社東村山開発公社が市の都市計画ということで、自分が買収するものに対して法律を適用することが、今日あり得るか、将来あり得るか、この点はどうですか。
  198. 谷垣專一

    ○谷垣政府委員 これは、いままで、また今後も通例考えられない事態のように思います。よく調査をいたしまして検討いたしたいと思いますが、ちょっとそういう実例はいままで聞いたことがありません。
  199. 横山利秋

    横山委員 調査の要望を付しまして、私の質問を終わります。
  200. 三池信

    ○三池委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  201. 三池信

    ○三池委員長 速記を始めて。  渡辺美智雄君。
  202. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 それでは、先ほどに引き続きまして質問をさせてもらいます。  私は、実は修正案が提案をされておらないわけでございますが、社会党のほうとも話し合いがついて、こういうことで修正案を提出をするというようなお話があったものですから、提案理由のない修正案についても質問を始めたわけであります。ところが、私の思っておった修正案というものは、法律施行後取得した土地または土地の上に存する権利というような、非常に大きな網をかぶせてきてありますので、それでは実際問題として土地の思惑買いを締め出すために譲渡所得税を強化する、こういうふうなことにならぬじゃないか、したがって、こうこうこういうものについては除くべきだという話を私がいま始めたところなんです。ところが、実はそういうふうに修正案がなっていますということを、いま印刷したばかりだということで委員部の人から配付を受けて、私が言っておるようなことが、概括的ではあるけれども、入っておるわけであります。非常に面くらったわけであります。そこで、こういうものが入っておれば、何も村山さんの名前を出さなくとも、大蔵省がだましたなんて言わなくともよかったのでありますが、入ってなかったものですから、それは非常に私も申しわけないことをしたと思ったのですが、それはそれとしてひとつ御了承を願いたい、かように思います。  そこで、せっかく大臣がお見えになったものですから、いまくどくどと質問をしたわけですけれども、少しかいつまんで、わかりやすく一ぺんお尋ねをしておきたいと存じます。  それは、譲渡所得に対するものの考え方であります。譲渡所得というものは、私の考えによれば、これは本来は課税すべきものじゃないという思想であります。しかしながら、これはキャピタルゲインであっても、いろいろな税慣行その他から課税をしておるわけですが、それは二分の一課税というようなことであります。今回の土地収用法の改正に伴って、税法でこれをあと押しをするというようなお話でありますが、その第一の土地収用法に直接関係ある一千二百万円の控除額の引き上げや、土地収用の認定を受けた者に対する土地の買いかえというようなものについては、これはその範囲内において免税するというようなことについては、私は異議ないわけであります。ただ土地収用を行なって公共事業を実行するということになると、実行された公共事業の周辺が値上がりをする、こういうふうなお話でありまして、値上がりをして、土地でもうけさせることは気に食わぬ。瀬戸山構想によれば、土地は商品でないというお話がありましたので、土地が商品でなければ、水は何だ、水のほうが商品じゃないか、温泉の売買はできないけれども、温泉のついている土地の売買はできる、こういうふうなお話をしたわけであります。しかるに、温泉利用権とか、あるいはまた水の利用権とか、漁業権とかいうものについては二分の一課税制度を存続しておる、一方においては、土地または土地の上に存する権利は、この法律が公布されて以降これについては全額課税にする、こういうふうなことでありますので、非常に不権衡ではないかというお話をしたのであります。競馬、競輪でもうけた一時所得さえも二分の一しか課税しない、先祖伝来持っている土地まで四分の三も今度は課税をされる、こういうことは土地対策にはならないのじゃないかというふうに私は見解を申し上げたわけであります。実際問題といたしまして、大蔵大臣は、そういうふうに公共事業が実施されたことによって、土地が値上がりするからといって、今後取得する土地について譲渡所得税を強化するということが、土地の値上がりを防止し、買いあさりを抑制することになるとお思いになりますかどうか、御所見を承りたいと思います。
  203. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これはいろいろ議論のあるところなんです。実際問題として、私はやってみないと的確なことはわからぬと思います。しかし、いま御提案しておりますのは、そういう問題もありますが、同時に、収用を受ける人が今度は著しく不利な待遇を受ける、それとの権衡というか、その収用を受ける人の抱く感情、こういうものとの調整をとらなければならぬのじゃないか、こういうことなんですね。  私は、この問題については、基本的に言うと二つの考え方をしているのです。つまり、土地というのは、瀬戸山建設大臣の商品ではない、これは語弊があるかもしれませんが、私も一般の商品とは違う、こういうふうに見ます。つまり、これは生産ができない、そこに非常な特異性があると思うのです。したがってこれは、社会の進歩とともに、需給の関係によって騰貴の傾向を持つと思うのです。土地を持っているという事実に基づきまして、労せずして所得を得る、こういう事態が発生する。私は、それに対しては何らか調整の必要があるのじゃないかというふうに考えるのであります。たまたま、そこへもってきて土地収用法というようなことで収容を受ける人の利益が非常に制約される、こういうことになるわけであります。それとの感情の調整というようなことをあわせ考えますと、いま御提案をいたしておるような考え方、これは、その方法についてはいろいろ御議論がありましょうが、私は、考え方を進めるという点につきましては御了解が願えるのじゃないか、さように考えております。
  204. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 大臣も、立場上、一応提案者ということになっておりますから、提案したものを、これはどうもぐあいが悪いということはいまさら言うわけにはいかないことはよくわかります。わかりますが、土地収用法を適用し、公共事業をやるからといって必ずしも土地が上がるわけじゃない。火葬場をつくったり、伝染病舎をつくったり、それからおわいの処理場をつくったりすればその周辺の土地は下がるのです。鉄道をつくっても、ともかく高いところに土手をつかれたら、その付近のたんぼは風通しが悪くなって、実入りが少なくなるのです。うちは暗くなって、日が当たらなくなって風通しが悪くなる。高速道路にしたって同じです。だから、建設省は今度は平らなところを走らせて、側線をつけて、どこからでも乗り入れられるようにしよう。そういう縦断道路をつくろうということを聞いているわけです。だから、土地収用法を適用して公共事業をやれば地価が上がるのだということは間違いであるし、また、一部には東京周辺のように上がるところもありましょうけれども、その周辺の上がった人の範囲を限定することができないために、全然土地収用法には関係のない、軽井沢の奥の山の中とか、那須の奥の山の中とか、そういうところが、経済の発展に伴って、レジャーブームその他で別荘地がいいとかで人が行って、いままでろくに使いもものにならないようなところでも、みんな金ができたから、ちょっと小屋でもつくってそこに住もうということになれば、土地が値上がりするのです。そういう人に対しても課税を強化していこうということは行き過ぎじゃないか。土地収用法の適用を受けた人に対して申しわけないなら、その人に対して恩典をもっと強化したらいいじゃないか。千二百万円の控除額で足りなかったら、全部免税にしてやったらいいじゃないかといふうに私は考えるのです。そこで幾らでも収用を受ける人とのバランスはとれるのです。周辺の人は値上がりするから取ってもいいかもしれないけれども、公共事業に関係のない人は困るのじゃないか、それを値上がりするからといって取れますか。そういうことはできないでしょう。できますか。
  205. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これはあなたもいろいろお調べのようですが、私どもは、何もおわい処理場をつくったから、あるいは火葬場をつくったからというような個々のことを言っているのじゃないのです。大きく見て、国の公共事業というもののために土地の価格が上がる、道ができればその周辺の、あるいは閉ざされるところは価値が下がるかもしらぬ、しかし、広く見て、一帯というものの価値が上がる、そういうことを言っているわけです。具体的に一つ一つあげてみればいろいろなことがありましょう。ありましょうが、価値の下がるところを問題にしておるわけじゃないのです。国の投資によって全体の価値が上がる、その全体の価値の上がるというところに着眼をしている、こういうふうに御了承願います。
  206. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 大蔵大臣は土地収用法とこの譲渡所得税をどこまでもからんで考えるからそういうことになるのであって、これは税体系を非常に乱しているのですよ。公共投資によって価値が上がるのだ、経済の発展によったって価値が上がるのだ。地方にいろいろな仕事をして低開発地域を開発するということは、地方の低開発地域の価値が上がるようにしているためにやっているのです。まして、親子代々持っておるような田畑についてまで譲渡所得税を強化をするというやり方は、やはり角をためて牛を殺すたぐいじゃないか。これは非常な怨嗟の声が全国各地から——いま農業団体が気づかないからいいけれども、農業団体等が今後気づくといろいろな問題が起きてくると私は思う。特に譲渡所得税の改正という問題は非常にむずかしい問題なんです。譲渡所得そのものが資本課税なんですからむずかしい問題なんです。そのむずかしい問題をよく研究もしないで、ただ土地収用法にからんで、ともかく全国的なところまでも改正をするというやり方は、私には実は納得できない。  もう一つは、現実の問題として、国税庁長官がおられますからお尋ねいたしますが、これは、今度は間違いのない修正案だと思いますが、この修正案によると、公布の日以後取得した土地または取得した土地の上に存する権利については結局四分の三課税、いわゆる全額課税、それから、ことしの七月以前、七月ということばかどうか知りませんが、これは公布が七月ごろになるでしょうからそういう意味で七月というのですが、それ以前に買ったものについては旧法、これ以後に買ったものについては新法ということになります。二つが併存します。税務署に行ってごらんなさい。平和共存かなにか知りませんが、たとえば自分が土地を持っておった。他人の飛び地がぼつぼつあった。それで、ことしの秋に買って自分の面積にする。だけれども、他人の飛び地ですから、これを整地したりなにかする関係上合筆するという問題が起きます。そしてあとで今度はその一部分を売るという問題が出ます。そういうときは、国税庁は一々全部その土地は一筆ごとに調べなければならぬ。何年何月何日以前に買ったものであるか、何年何月何日以後に買ったものであるか、それによって非常に手間がふえてきます。こういうことは、税制としてはあまりりこうな方法じゃない、こういうふうに私は思うのです。この税制は、国税庁からいって非常にやりやすい税制ですか、実行の面において。泉さんも、大臣の手前、これはやりにくい税制で困りますとはもちろん申せないでしょうけれども、好ましい杉だと思いますか、その点をひとつ承りたいと思います。
  207. 泉美之松

    ○泉政府委員 譲渡所得課税の問題につきましては、渡辺委員も御承知のとおり、いろいろむずかしい問題があることは御承知のとおりでございます。今回の修正案が成立しました場合におきましても、いずれにいたしましても、譲渡所得であります限り取得価額を調べなければなりませんし、取得価額を調べる際におきましても、何年何月何日に取得したかという事実は当然調べなけねばならぬ性格のものでございます。したがいまして、その調査をしなければならぬという手数が加わることは事実でございますけれども、当然調べなければならぬ事柄でありますから、特に要件が加重されたとも思っておりません。  それから、これが望ましい改正であるかどうかという点については、私がお答えすべきことではないと思っております。
  208. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 非常にこじつけた御答弁でありますけれども、実際問題として、合筆したら、どこの部分が占いもので、どこの部分のものが新しいものか、耕地整理したりなにかしたらわからなくなるのです。そういうことは不可能です。まして、十年、二十年たってごらんなさい。このとおり併存していったらたいへんなことになる。そういうことができるなら神さまみたいなものです。私が国税庁長官ならできない。そういうふうな複雑な問題があるということをひとつよく研究してもらいたい、私はそう思うのであります。  それから、今度は大蔵大臣にお尋ねいたしますが、今回こういうことで土地の値上がりを抑制する。新しく取得するものについては、買いあさりをやめさせるために、買っても譲渡所得税は重課されますよ、全額課税になりますよということで、買うほうを手控えさせるという思想です。わからないことはありません。しかし、現実に土地を値上がりさせるために、たとえば、飛行場ができるといえばわっと買いにいく者、あるいはインターチェンジができるといえばわっと買いにいく者、那須、軽井沢、箱根を開発するといえばわっと買いにいく者、これは個人がやっていますか。これは大手不動産業者です。これについては何ら手を打たない。全体の土地の買い占めをやっているのは個人ではないのです。法人です。そういうことについて全然手を打たないでおいて、たまたま個人が貯蓄した、退職金をもらった、幾らかでも投資して土地を買おうとかなんとかで、これから買ったものについては、片一方は野放しでおいて、譲渡所得税を今度は増加する、そういうことで土地対策になる——しかも、需要というものは大手業者が九割九分です。ただ一%の個人を苦しめて、そうして九九%の大手需要をそのままにしておいて、地価対策ができました、こういうことは常識からはずれていますよ。大臣、それはどういうふうにお考えになりますか。やらないよりいいということですか。
  209. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まあ、法人の場合は金額が課税の対象になっておる、その率が低率になっている、こういう違いがあるわけです。個人の場合は累進的になっている、そういうことになっておりますが、法人の場合はとにかく全部がいままでも対象となっておる。それから、しかも法人税ばかりではない、地方税もこれに賦課される。こういうことで、いまの税体系で分離課税でもしない限りちょっと手がつけにくい、こういうことです。あなたのおっしゃるような多少の味というものは残る、これは率直に認めます。
  210. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 これは大臣、多少じゃないです。これは全然効果ありません。結論を申し上げます。私の考えでは効果はない。そうして、ただ個人の人をいじめるだけで、個人の人もちょっとまとまって買おうとすれば、今度は個人というのでは買いませんよ。同族会社をつくりますよ。同族会社をつくって、個人が買いあさる場合には同族会社で買いますよ。しかし、個人がやるものの数は全体の一%くらいしかないんですよ、現実に土地を買いあさるということは。それなのに、譲渡所得税を改正して、土地の値上がり防止のために、個人が零細な貯蓄を集めて、退職金をもってこれから新しく土地を買おう、多少なりとも投資しようというような人までも縛っていくということは、不適当ではなかろうか。ことに、現在事業資産の買いかえ制度というものを法人には認めています。東京にゴルフ場を持っておる会社が、東京の土地がうんと上がったから、ゴルフ場をほかに売って、そして茨城県と栃木県にその五倍も六倍もある土地をちょっと安いから買おうということで買っても、現在は税金はかかりません。それは事業資産の買いかえ制度があるからです。それがいい悪いということは言いません。それとの権衡からいっても、個人の所得税を強化をする、譲渡所得税を強化するということは——これはここ三年間は弊害ありませんよ。現在でも短期譲渡については三ヵ年は全額課税ですから、三年間は弊害ありません。四年目からそういう弊害が起きてきます。そういう点をよく一つ一つ御研究を願わないで、ただいたずらに、この際土地対策というふうなことで建設省にあおられて、大蔵省自身が税の体系を乱すようなことをして、また、実際執行面を非常にやりづらくして、ごりやくのないようなことをおやりになることはどうかと思うというふうに私は考えているのです。  それからもう一つは、公布の日以後取得したものというのは、先ほどこれは裸で出てきたわけです。ところが、取得したものというと、買いあさりのために取得したものか、取得せざるを得なくなって取得したものかわからなかったのです。だから私は言ったのです。それじゃ、相続によって取得したものも、これは買いあさるために取得したものと思われるのか、おやじを早く殺したいと思う人はいませんが、相続税が高いんだから長生きをしてもらいたい——近ごろは、相続税が高いために孝行むすこがふえたと世間では言われておるのです。だから実際問題としてそういうふうなものも困るじゃないかということを言った。ところが、今度は新しい別な修正案というものがきたんです。それにはカッコ書きをして「(共有物の分割その他の政令で定める事由による取得を除く。)」ということが書いてある。これは相続贈与、遺贈というものは別な法律でもだいじょうぶだというお話もあるから、だいじょうぶなんでしょう。しかしながら新しく取得をするものについては、新しく取得したものが全部土地の買いあさりのために取得したものかどうかということについて疑問点があるわけです。政令で何を定めるかということは非常に重大な問題であります。その例を申し上げますと、一つは共有財産であります。共有財産を持った場合には二人共有、三人共有、物件的な信託というようなもの、それから脱退することによって、今度は自分がその土地を分割してもらう、こういう場合は土地の買いあさりのために取得をしたというふうには思われないでしょう。だから、実際問題としてそういうものも除く、こういうんでしょう。それからまた、協同組合等で牧野管理組合というのがあります。これは全国各地にあります。牧野管理組合というのは、農林省の指導によってできたものであって、開拓団等においてほとんどそうであります。開拓団の組合があります。その組合は、国有地を払い下げる便法として管理組合をつくらして、ともかく部落には払い下げられないからということで管理組合をつくって払い下げた。そして牧場を経営するということですが、出資はほとんど全部非出資団体であります。全国どこでも非出資、出資にしていないのです。そのつど金を各人から集めて、ともかく土地を払い下げたり買ったりした。現実には個人所有と実態は同じであります。登記だけは管理組合の登記になっています。それは出資もしてありませんから、申告も何もどこでもしていません。登記の面だけであります。こういうものを組合員に戻した場合において、これは新しく取得したということになりますか。こういうことを新しく取得したことにすればとんでもないことになる。こういうものも当然これは除かなければならないというように私は考えます。  それから、そのほかにたくさんあります。たとえばこういう問題はどうですか。借地権の問題があります。現在私が約百坪の土地を東京のまん中——まん中でもない、すみっこのほうに借りておる。坪十万円、東京で十万円といったらおそらくすみっこのほうでしょう。百坪を五十年来借りておる。借地権は九割だ。相続税の評価でも八割ないし九割というようなことであります。そうすると、かりにその土地が一千万円するとしても、地主から買う場合は、九割だったら百万円払えば地主から買うことができます。あるいは八割の借地権だったら二百万円払えば一千万円の土地を、五十年間も自分が使っていた土地を地主から買うことができます。そしてその土地をその人が取得します。何かの都合でその土地を一千万円とかなんかでほかに転売した場合、その一部分を売った場合、こういう場合において、これは一千万円の地価がもともとあるのですから、それについては今度は四分の三課税、全額課税、こういうことは実情に合わないでしょう。そういう点はどうするおつもりですか。こういう例はたくさんあります。私の知っているのでも三十ぐらいあるのです。
  211. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 種々御教示を賜わりましたので、この法律が施行されますれば、その政令に基づく際の一つの大きな参考資料といたしまして検討してみたい、かように考えております。
  212. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 それから、土地を買いあさるつもりでなくたって土地を取得する場合があります。金を貸します。抵当に取ります。金を払ってくれません。それで結局競売する場合もありましょうし、担保権の執行をして自分が取る場合もあります。こういう場合だって、土地を買いあさるためにやったのではないのです。金をもらいたいのに、金をくれないからしょうがなくて土地をもらったんだ。こういう場合だって、これは新しく取得したというように思われて、今度は課税評価のほうに入れられるということは非常に不適当であります。質権の執行の場合も同じであります。あるいはまた事業認定、今度公共事業で立ちのきを要求された。ほかに行くところがないから、とりあえずどこかに行った。行って住んでみたけれども、どうも商売にならない。どうも住み心地が悪い。十年ばかり住んだけれども、そこを売ってまた別のところに住みたいという場合には、新しい取得になるのですか。土地買いあさりのための取得になるのですか。こういうことが非常に問題になってくる。あるいは交換分合、土地を交換した場合、これは新しい取得になるのですか。市街地の開発、区画整理、林野整備事業、こういうようなことで交換で取得をした場合に、これは全部新しい取得になるのですか。これはなるのですか、ならぬのですか、どういうふうに考えているのですか。
  213. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 ただいまお話のありました収用あるいは交換分合その他は、現在の税法におきましても、収用等あるいは交換分合等におきまして譲渡資産の取得の時期を大体資産の取得の時期と見るというふうになっております。その規定が当然働くわけでございますが、なお詳細に渡辺先生からたくさん御例示がございましたので、それに全部該当するかどうかは、施行後政令をきめる際に検討してまいりたい、かように思います。
  214. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 これは重大なんですよ。いま言ったように、その取得の時期というふうな問題が交換をしたときというように見るのかどうか。先祖伝来から持っていたものを交換した場合、先祖伝来のものとして続けて見てくれるのか、実際に交換して登記をしたときに見てくれるのか、これは非常に問題になります。ですから、実際問題からすれば、そういうものを画一的に全部ずっと拾って抜かなければならぬ、社会通念を満足させるためには。実際問題としてこれはたいへんな手数です。そうして、ほんとうに騰貴のために買いあさりの個人だけを残すということになります。これは全く効果のない改正です。骨折り損のくたびれもうけというのはこういうときに使うために私はできたのじゃないかという気がしてならない。一方、不動産業者の大手買い付けについてはこれは野放し状態である。ですから、何のために土地収用法にからんでこういうふうなものまで手をつけなければならないのか。もう少し勉強し、もう少し研究をしてやっていく筋合いのものではないかと私は思うのです。ほんとうに収用された人だけが気の毒であるならば、その人に対する恩典をもっとつけてやる方向にいったらいいのであって、いたずらにその周辺の土地が値上がりするからというようなことによって、いろいろな条件で土地を取得するものまでも今度は徴税強化といいますか、全額課税といいますか、そういうようなことでキャピタルゲインの課税を強化するというようなやり方は、譲渡所得のつり合いからいったって不権衡です。競輪、競馬でもうけたって半分しか課税しないのだ、ダイヤモンドや骨とう品を売ったって半分しか課税しないのだ。温泉権、水利権を売ったって半分しか課税しない。土地だけが四分の三課税で全額課税される。かりに不動産会社が土地をたくさんいいところを買い付けた。その付近に何かできる、あるいは自然に値上がりした。その株をほかに売ったって一銭も課税にならないのです。不動産会社の株を持っているということは実質は権利書を持っているということと同じことです。片方は、株券対策からいってこれは一円も課税しない。退職金をもらって、ともかく額に汗をしてかせいだ金で少しばかりの土地を買ってもこれは課税をする。借地権、借家権なんかの問題についてもこれは重大な問題が派生してきます。それについては、全部そのもの、そのものについて、これは旧法適用、新法適用と、あらゆるケースを全部これは分類しなければならない。いままでのやり方では、売り値から、要するに財産譲渡の評価のいいかげんなもの、ともかく二十八年の相続税の評価額で算術的計算によって出しているものがありますから、それを差し引いて、売り上げの二分の一ということでさっとやればいい。簡単なんです。うんともうかればともかく、譲渡所得だって、これは二分の一になるかもしれないが、超過累進でうんと取れるからそれだけのことだ、社会にはけっこう奉仕しているのだから。特に公共事業ができてその付近だけがうんと地価が上がった、これは固定資産税の評価がえというものは三年ごとにやっているのだから、それで社会に十分奉仕しているはずです。  ですから、私はそういうふうなことを考えると、この際には大蔵大臣はまず第一項だけを通してもらって、あと二項、三項の部分については見合わせて、あまり勇み足をして、将来、福田大蔵大臣は総理大臣のあと継ぎぐらいにだれだって世間では思っている、その人がこういうつまらぬことでけちをつけられるということは、私は一番尊敬をしている福田大蔵大臣のためにもこれは申し上げておきたいと思うのですが、御所見をひとつ承りたい。
  215. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま精細な御研究の結果御意見がありまして、傾聴したわけでありますが、何しろ土地課税の問題というものはむずかしい問題です。御修正も今度はあるようでありますが、今後といえども、土地課税の問題はこの新法の実施の状況等も十分に見てまいる、また課税を、どうするかというようなこともよく検討してまいる、そして万全を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  216. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 そうすると、私はいろいろなことをその一つ一つについて、時間がありませんから御答弁を求めなかったけれども、いろいろのことを言っておるわけです。そのほかに三十ばかりまだあるのです。それらについては十分に大蔵大臣はその意見を尊重してもらって、これはできるだけそういうふうな買いあさり以外のものについては弊害のないように処置してくださるというおぼしめしがありますか、それを承りたいと思います。
  217. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 渡辺さんからいろいろ御意見があり、またほかの人からもあります。それらはよく承っております。今後も承ることと思います。また、この法律の実施の状況もよく見てまいりたいと思うのです。それから土地課税是正ということももっともっと掘り下げていく必要があると思います。総合いたしまして、万遺憾なきを期してまいりたい、かように考える次第であります。
  218. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 承るだけではどうも心細い限りなんですが、十分尊重していただきたいと私は思っております。十分これは尊重していただきたいと思います。これは全部というわけにもなかなかいかないところもありましょうけれども、ひとつその点は、これはほんとうに大臣、あなたのために私は言っているんですよ。ですから、事務当局にまかせっぱなしで、将来ある福田大蔵大臣が傷つくことのないように、十分われわれの意見も尊重していただきたいということを特に強く御要望いたしまして、また時間があればもう少しやらしてもらいたいのですが、大臣の時間がないようだし、社会党のほうでも何か手ぐすね引いている人もあるようだから、一応交代したい、こう存じます。     —————————————
  219. 三池信

    ○三池委員長 租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案に対しまして、村山達雄君外九名より、三党共同提案にかかる修正案が提出されております。     —————————————
  220. 三池信

    ○三池委員長 この際、提出者の趣旨説明を求めます。村山達雄君。
  221. 村山達雄

    ○村山(達)委員 ただいま議題となりました修正案について、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  修正案の案文は、お手元にお配りしてございますので、朗読は省略させていただきます。  修正のおもな内容は次の二点でございます。  第一に、ただいま同僚の渡辺委員からも問題になっておりました長期譲渡所得に対する政府原案でございます。ただいま渡辺君からも詳細にその点をついたのでございますが、第一に、これがはたして地価対策上意味があるのか。従来引き続き持っているものにつきまして、かりにいかなる原因によって値上がりしたからといっても、それに対して課税するということは、地価対策上意味があるかという点でございますが、残念ながら、われわれといたしましては、この点はノーでございます。御案内のように、この土地の値上がりの問題、この価格の問題はやはり土地の需給によってきまる問題でございます。過去におきましていかなる原因によって値上がりしたか知らないが、それに対して課税をするということは、土地政策の上からは是認できないのでございます。  第二といたしまして、かりに公共事業の施行等に伴いまして異常の値上がりした分について、何らか国に還元していただくという意味で重税を課するという思想が成り立つかどうか。今度は土地対策という点を離れましてその点を考えてみたいと思うのでございます。御案内のように、すでに所得税におきましては累進課税制度を持っているのでございます。それによりまして十分にカバーできる性質のものでございます。かりに二分の一は働くといたしましても、当然累進税が働くわけでございます。例は悪うございますが、かりに詐欺によって所得をあげたといたしましても、その所得に対しては累進課税で十分カバーできておるわけでございます。一歩譲りまして、公共事業によりまして非常に値上がりしたものに重税を課せようという趣旨をかりに是認したとしても、この提案されました政府原案はおよそそれとは無関係でございまして、すべての土地に対して、その値上がりしたものに応じまして最終的には原価の倍以上もうけた者に対して重税をかけようとするわけでございます。先ほど同僚委員から指摘がありましたように、土地の値上がりはひとり公共事業の施行によって上がるわけではありませんで、広く申しますれば、今日の日本の経済の伸展によりまして土地が上がってきた。もちろん、その間思惑需要による値上がりもあると思いますけれども、この案はその趣旨からいいましても、あまりにも過剰防衛ではないかと思うのでございます。したがいまして、この政府原案にかえて次の点から修正いたしておるのでございます。  第一には、将来の土地政策に多少でも資するような角度でいきたい。したがいまして、今後の土地取得における仮需要を押えることができれば、その範囲に限定いたしたいというのが第一の点でございます。   〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕  第二の点は、譲渡所得でございます。先ほど同僚の渡辺委員からも御説明がありましたように、なるほど土地に対する思惑買いというものにつきましては、もちろん個人の会社並びに個人の不動産業者、こういうものが大部分の思惑をしているわけでございます。ただ、これにつきましては、半額課税というような措置はございませんで、それぞれ累進課税による個人の課税なり、あるいは法人税は三五%の税率で課税しているのでございます。したがいまして、これはむしろ、税におきまして検討いたすといたしますならば、別途の見地でこの問題を新しく検討しなければならぬと思うのでございます。そこで、先ほど渡辺委員からも言いましたように、この前、三年間の短期譲渡所得について全額課税をしたために地価が値上がりしたという事実を指摘しているのでございます。私はその点を重視しているのでございます。これは何を意味しているかと申しますと、少なくとも、今日個人で、業としないで自分の資金をもって相当買いあさっている者がある。もとよりこれは実需にやるためではなくて、値上がりを目的といたしまして、業としない者が相当投資をしておるのでございます。この点を考えますと、少なくとも、不動産業者あるいは個人のブローカー等に対する対策は別といたしましても、この点について何らかの措置をとることは、それなりに有効なことだと思っているわけでございます。そういう意味におきまして、ここに提案申し上げましたのは、今後の地価に対しまして思惑買いをする、しかも、個人の半額課税という現行の制度を利用して保有する者に対して何らかの措置をとるべきである、これが今回提案した理由でございます。ただ、ここで政令で掲げるものを除くという趣旨のことを書きましたのは、そういう趣旨でございますので、所有権の移転のうち、いろいろございますけれども、そのうちやはり任意に買った者に限定するということ、並びに、この案では、御承知でございましょうが、これが実施になりますと、短期譲渡ははずされますので、三年間過ぎまして、たとえば一千万円で買ったものを二千万円で売ったというものについては、これは従来どおり二分の一課税でございます。倍以上で売った場合のもうけ部分、たとえば二千二百万円で売ったという場合の二百万円についてだけかかる問題でございます。おそらく、土地の騰勢というものはいま押えられておりますので、実際適用のありますのは、今後公共事業を施行した際に急速に値上がりがある、これに対して、業としない個人はこれを押えていこう、あらかじめもうけようというときにこの規定の適用がありまして、多少とも土地政策に役に立つものだと考えておるわけでございます。  修正の第二点は、いわゆる二線引き畦畔の保有登録税率に関する修正でございます。  御承知のとおり、去る四十八国会におきまして、平林委員の質問に端を発しまして、一般の農地に介在し、登記所の土地台帳の付図に二線引きの実線で示されております無番地の土地、いわゆる二線引き畦畔が国有地であるか民有地であるかということにつきまして、当大蔵委員会におきまして大いに論議されたところでありますが、その後、政府におきまして検討の結果、これらのもののうち、少なくと民法上の取得時効が完成しているものについては、裁判上の時効の援用を要せず、その者の申請に基づいてこれを国有財産台帳から除却して当該申請者にその所得権を移転できる旨の取り扱いがなされることと相なった次第でございます。したがいまして、このような特殊事情を考慮して、二線引き畦畔の所有権を取得時効によって取得した場合の保存登記の登録税率につきましては、一定期間に登記がなされたものに限りまして、現行の千分の六という最も軽い税率よりもさらにその半分の千分の三の課税をいたそうという特別の取り扱いを認めようとするものでございます。  何とぞ賛成あらんことをお願い申し上げまして、提案の理由を説明した次第でございます。
  222. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。  この際、修正案について、内閣において御意見があれば、述べていただきます。福田大蔵大臣。
  223. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案に対する修正案による長期譲渡所得の改正課税方式の適用対象の縮小につきましては、政府といたしましては、やむを得ないものと考えます。     —————————————
  224. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 これにて両案並びに修正案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————   〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  225. 三池信

    ○三池委員長 これより討論に入るのでありますが、両案並びに修正案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  これより順次採決に入ります。  まず、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について、採決いたします。  まず、村山達雄君外九名提出の修正案について、採決いたします。  本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について、採決いたします。  これを可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  227. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は修正議決いたしました。  次に、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税回避のための日本国ドイツ連邦共和国との間の協定実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案について、採決いたします。  おはかりいたします。  本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  229. 三池信

    ○三池委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。    〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  231. 三池信

    ○三池委員長 本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  本会期中に付託になりました請願は、二百二十一件でありまして、その取り扱いにつきましては、先刻の理事会において協議いたしたのでありますが、この際、直ちにその採否を決することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  おはかりいたします。  本日の請願日程中、日程第二ないし第四、第一五ないし第二四、第二九ないし第四〇、第四二ないし第九六、第九九ないし第一〇九、第一一一ないし第一一三、第一二四、第一二六ないし第一二八、第一四二、第一五七、第一七四、第一八五ないし第一八八、第二〇三ないし第二〇四及び第二一一ないし第二一八の各請願につきましては、採択の上、内閣に送付すべきものとし、また、日程第一一四ないし第一二三、第一二五及び第一四一の各請願につきましては、おのおの立法措置によりまして、その趣旨がすでに達成せられておりますので、議決を要しないものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  235. 三池信

    ○三池委員長 なお、本会期中、参考送付されました陳情書は十五件でありまして、印刷して配付しておきましたので、御了承願います。      ————◇—————
  236. 三池信

    ○三池委員長 閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  綱島正興君外四十名提出の勧業基金法案について、議長に対し、閉会中審査の申し出を行なうこととするに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  237. 三池信

    ○三池委員長 起立多数。よって、さよう決しました。  引き続きおはかりいたします。  有馬輝武君外十二名提出の、国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案並びに国の会計に関する件、税制に関する件、関税に関する件、金融に関する件、証券取引に関する件、外国為替に関する件、国有財産に関する件、専売事業に関する件、印刷事業に関する件及び造幣事業に関する件の各件につきましても、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、申し出の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  239. 三池信

    ○三池委員長 委員派遣承認申請に関する件について、おはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になりました場合、委員を各地に派遣し、その実情を調査するため、議長に対し、委員派遣承認申請を行なうこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  241. 三池信

    ○三池委員長 引き続きおはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になりました場合、本会期中設置いたしておりました三小委員会につきましては、閉会中もなお引き続き存置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。  なお、小委員及び小委員長は従前どおりとし、その辞任及び補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、閉会中審査におきまして、委員会及び小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十一分散会