○武藤
委員 第二に、もう時間がとにかくありませんから詰めてお尋ねしますが、いま外務省がやっておる海外技術
協力事業団、これは外務省の管轄で、外務省が低開発国に何をやっているかというと、この機構を通じて研修生をとにかく養成をする、あるいは技術者を派遣する、さらに民間とタイアップして何名かの派遣や研修生の受け入れをやる、主として教育の部門を担当しておるわけですね。技術教育部門の担当を外務省はしている。私は、いまの
アジアの情勢というものを見たときに、それぞれ独立国家を目ざし、文盲をどうして退治するか、あるいは宗教の相克、他の近代国家には見られない要素というものが
アジアには非常に多いわけであります。したがって、金さえ出せば
アジアは何とかなるという
状態ではないと思うのであります。こういう宗教の対立や、非常に水準の低い、文盲率の高い
アジアに対して、特に黄色人種である
日本として最も力を入れ、直ちにやり得べきことは何か、そういう点から私は十分低開発国援助というものは検討し直す必要があると思うのであります。外務省のいままでの実績を見ると、ビルマに対して研修生が、一九六四年までの間百三十三名、あるいはベトナムに二百名、ラオスに三十七名、カンボジアに二百二十七名というように、それぞれ一昨年までの間に研修生を受け入れておりますが、私はこの際思い切って、教育制度、いわゆる技術教育による
アジアの開発に
日本が最大の貢献をしてみようじゃないか、そのために国立の
アジア専門の技術大学を
日本につくって、これは
アジアの子弟で頭の優秀なのを、貧乏であろうが何であろうが、
日本政府が一切三食まかなって、衣類を着せて、
日本でひとつ技術教育をしてやろうじゃないか、一年に三千人くらいずつやってごらんなさい。二十年後、三十年後の
アジアというものはどういう姿に変わっていくか。
日本に対する感情をどう持ち、
日本の製品に対する見識をどう持つかということは、教えずして私は
アジアに根が張ると思うのであります。
かつて、私どもの大先輩である大山郁夫先生が衆議院本
会議場において田中義一内閣を糾弾したときの演説文章を読みました。そのときに大山先生は、田中内閣がだんだん軍事費を増大し、戦争の方向に進むのは危険である、このことは
日本をほろぼします、それだけの金を
アジアの子弟を教育するために、また、
日本の優秀な子供を育英制度によって教育をして
アジアに派遣することによって、戦わずして
アジアは黄色人種の
アジアとなって、
日本の血筋というものがこの中にぶち込められてって、大きな根を張るものであると言われて、戦争
政策反対だという理由の一つにそういう大構想を打ち出したのを、私は先見の羽ありといま読んで感激をいたしております。いま、三十年を経過した今日、
日本の
アジアに対する今日の
政策はまことに貧困といわなければなりません。
この辺で外務
大臣、年々受け入れている研修生を各大学にばらばらに請け負わせるよりも、ひとつ、国が
アジア諸国の青年教育をする技術大学をつくって、もっと統一的に根本的にこれらのものに対する力を入れたらどうか、こう
考えるのでありますが、この私の構想に対して外務
大臣の御見解をひとつ承りたいのであります。