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1966-05-13 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十三日(金曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       木村 剛輔君    木村武千代君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       谷川 和穗君    西岡 武夫君       羽田武嗣郎君    福田 繁芳君       村山 達雄君    毛利 松平君       山本 勝市君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    有馬 輝武君       小林  進君    佐藤觀次郎君       野口 忠夫君    平岡忠次郎君       藤田 高敏君    永末 英一君  出席政府委員         総理府事務官         (恩給局長)  矢倉 一郎君         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (主計局次長) 武藤謙二郎君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房厚生管理         官)      瀬尾 類治君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      辻  敬一君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    吉田富士雄君         国税庁次長   中嶋 晴雄君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 五月十二日  地震保険制度確立に関する請願小川平二君紹  介)(第四二七九号)  同(唐澤俊樹紹介)(第四二八〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第四二八一号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四二八二号)  同(吉川久衛紹介)(第四三一一号)  同(下平正一紹介)(第四三一二号)  同(中澤茂一紹介)(第四三一三号)  同(原茂紹介)(第四三五九号)  同(倉石忠雄紹介)(第四四二〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第四四二一号)  各種共済組合法増加恩給受給権者に対する不  均衡の是正に関する請願羽田武嗣郎紹介)  (第四三五八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する  法律案内閣提出第一五〇号)  所得に対する租税及びある種の他の租税に関す  る二重課税回避のための日本国ドイツ連邦  共和国との間の協定実施に伴う所得税法、法  人税法及び地方税法特例等に関する法律案(  内閣提出第一四六号)(予)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、  税務署設置に関し承認を求めるの件(内閣提  出、承認第一号)  昭和四十年度における旧令による共済組合等か  らの年金受給者のための特別措置法等規定に  よる年金の額の改定に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出第七七号)  昭和四十年度における公共企業体職員等共済組  合法に規定する共済組合が支給する年金の額の  改定に関する法律等の一部を改正する法律案(  内閣提出第一二三号)      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案及び所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税回避のための日本国ドイツ連邦共和国との間の協定実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。     —————————————
  3. 三池信

    三池委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。藤井大蔵政務次官
  4. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 ただいま議題となりました租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案外一法律案について、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  初めに、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、最近における地価の急激な上昇に対処するため総合的な対策を講ずることとしておりますが、その施策の重要な一環として、土地収用に関しその補償額算定の時期を原則として事業認定の告示のときに改めること等を内容とする土地収用法の一部を改正する法律案さき提出いたしました。これに対応して税制上におきましても、社会公共のために行なわれる土地収用に伴う譲渡所得について格段の特例を講じてその円滑化を促進するとともに、収用されない土地に実現した値上がり益に対する課税合理化をはかる等の措置を行なうため、ここにこの法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして、その大要を申し上げます。  第一は、公共事業にかかる譲渡所得課税について大幅な特別控除制度を設けていることであります。  すなわち、土地収用法の一部を改正する法律施行の日以後に収用等により資産譲渡した場合において、その譲渡買い取り等の申し出があった日から六月以内にされたときは、その譲渡所得課税にあたっては、千二百万円の特別控除を行なうこととしております。なお、納税者の選択によっては、この特別控除制度にかえて、収用された資産取得価額代替資産取得価額として引き継ぐこともできることといたしております。  第二は、公共事業実施の結果一般にもたされる土地値上がりについてその課税方法の一部を改正することであります。  すなわち、三年をこえて保有していた土地建物等譲渡所得に対する所得税課税にあたっては、現在その所得の二分の一を課税対象としておりますが、土地収用法の一部を改正する法律施行の日以後に譲渡があった場合には、その譲渡所得のうち、収入金額の五〇%に相当する部分については現行どおり二分の一課税とし、それをこえる部分については全額課税とすることとしております。なお、急激な負担の変動を緩和する趣旨から、この二分の一課税対象となる部分の割合を、昭和四十二年分にあっては収入金額の九〇%、昭和四十三年分にあっては収入金額の七〇%とする経過措置を講じております。  第三は、右に述べました第二の措置に伴って居住用財産についての譲渡所得課税方法を改正することであります。  すなわち、現在では居住用財産譲渡したときは譲渡資産取得価額を引き継ぐ制度を認めておりますが、昭和四十三年一月一日以後においては、居住用財産を買いかえまたは交換した場合の取得金額引き継ぎ制度にかえて、居住用財産譲渡した場合または土地等居住用財産に買いかえる場合の譲渡所得課税にあたっては、九百万円の特別控除を行なう制度をとることといたしております。  第四は、通常譲渡所得に関する控除額が、現在、所得金額に応じて三十万円から十五万円までとなっておりますのを、昭和四十二年一月一日以後の資産譲渡について、これを一律に三十万円とすることとしております。  次に、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税回避のための日本国ドイツ連邦共和国との間の協定実施に伴う所得税法法人税法及び地方税法特例等に関する法律案につきまして申し上げます。  政府は、さきドイツ連邦共和国との間の租税協定に署名いたしました。この協定の締結の承認については、別途今国会において御審議を願っているのでありますが、この協定国内において実施するためには、法律により特別の定めを必要とするものがありますので、これにつき所要立法措置を講ずるため、ここにこの法律案提出することとした次第であります。  以下、この法律案のおもな内容について御説明申し上げます。  まず、非居住者または外国法人の取得する配当利子及び工業所有権等使用料に対する源泉徴収所得税に関する事項であります。  わが国所得税法によりますと、非居住者または外国法人の取得する配当利子及び工業所有権等使用料につきましては、二〇%の税率により源泉徴収所得税徴収することになっております。  しかるに、このたびの租税協定によりますと、配当につきましては親子会社間のものを除き一五%、親子会社間の配当利子及び工業所有権等使用料につきましては一〇%を、それぞれこえてはならないとされております。  そこで、これらの所得に対する源泉徴収所得税税率を、それぞれその協定上の最高限度である一五%及び一〇%と定めることとするものであります。  次に、非居住者または外国法人のうち、わが国支店等を有しているものにつきましては、国内法では、配当利子及び工業所有権等使用料にかかる所得と、これら以外の他の所得とを合算して課税するたてまえになっております関係上、配当等につきまして租税協定で定める制限税率をこえて課税されることとなる場合がありますので、その点を考慮して、総合課税の場合の税額につき、租税協定規定に適合するよう、所要軽減措置をとることといたしております。  なお、この場合、このたびの租税協定におきましては、住民税及び事業税をも協定対象とすることとなっておりますので、総合課税の場合の軽減措置を講ずるにあたっては、法人税割り住民税及び事業税をも含めて制限税率をこえることのないよう、所要措置を講じております。  その他、このたびの租税協定実施するにつきまして必要な事務取り扱い等につき所要規定を設けております。  以上が、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案外一法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  5. 三池信

    三池委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は、後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 三池信

    三池委員長 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。
  7. 平林剛

    平林委員 ただいま議題になりました税務署設置に関し承認を求めるの件で若干お尋ねをいたしたいと思います。  今回提出をされましたのは、新設する税務署として東京雪谷福岡西福岡税務署を設けようとするものでありますが、その税務署の陣容といいますか、その規模、そういう関係について少し説明をしていただきたいと思います。
  8. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 このたび、地方自治法上の承認案件といたしまして、税務署の二署の分割承認をお願いしておるわけでございますが、これはただいまお話がありましたように、大森税務署から雪谷税務署を分離し、福岡税務署から西福岡税務署を分離することでございます。  大体の内容を申し上げますと、ただいまの大森税務署職員が二百八十一名おります。徴収決定税額が二百四十二億円でございます。税務署執務体制といたしましても、やや管理の限界にきておるような感じがいたしますので、これを大森税務署雪谷税務署の二カ所に分割いたしたいということが内容であります。分割いたしました結果は、雪谷税務署は大体雪谷地区調布地区中心になりまして、職員の定数といたしましては、これは御承認をいただいたあとで、設置いたしました後の問題でありますけれども、私ども考えておりますのは、百二十名程度職員を置きまして、七十億円前後の税収になるのではないかというふうに考えております。  次に、西福岡税務署でございますが、ただいまの福岡税務署は二百二十六名の職員がおりまして、徴収決定税額が百八十三億円でございます。分割後につきましては、残ります福岡税務署は、福岡市のうちで福岡地区の東部を管轄することになりますし、新設されます西福岡税務署は、福岡市のうちの西部並びに糸島郡、早良郡の二郡が含まれることに相なります。職員数といたしましては、大体七十七名から八十名程度徴収決定税額といたしましては、十八億円程度を大体予想いたしております。  概略申し上げました。
  9. 平林剛

    平林委員 今回は地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づいて、ただいまの二つの税務署設置に関して承認を求めておるわけでありますが、私承知しておりますところによると、全国で六カ所か七カ所税務署廃止するところがあると聞いておるわけでございます。それについては具体的にはどことどこでございましょうか。
  10. 中嶋晴雄

  11. 平林剛

    平林委員 そこで、この七カ所の税務署をそれぞれ至近税務署統合していくということを予定をしております理由、どういう理由でこういう措置をとられることにしておるのか、その根拠といいますか、考え方につきまして御説明をいただきたいと思います。
  12. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 ただいま国税局職員は五万人程度おるわけでございますが、国税賦課徴収事務は、経済取引が非常に複雑になってまいりますにつれまして、非常に複雑化してまいっております。しかも、その様相が、大都市を中心といたしまして非常にふくれ上がっておるというような状況でございます。ところが、税務署設置につきましては、これまでのいろいろな情勢に即応して税務署設置されてきたわけでございまして、過去の情勢に適応する設置が現在ではなかなか現在の情勢に合わないようなものになってきている部分もございます。したがいまして、国全体から見て、いまのところあまり必要度がないと思われるところにつきまして税務署廃止いたしまして、そのかわりに現在非常に必要度の高い地区につきまして税務署設置していきたい、全体としての税務行政能率を上げてまいりたい、かような考えでやっておる次第でございます。
  13. 平林剛

    平林委員 そこが現状では実情に合わない、あまり必要がないと考えられるというのも、恣意にわたってはならぬわけでありまして、一応の基準税務署としては考えておられると思います。それを私は伺いたいのです。
  14. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 ただいまお尋ねの点は、はなはだ重要な点であろうと思います。実はまだ数字にあらわしますようなはっきりした基準があるわけではございません。ただ、全体の考え方を申し上げてみたいと思いますが、まず、管轄の市町村の数とか、人口あるいは面積等におきまして、過去において農業課税が盛んでありました時代に必要があった、現在は農業課税が、御案内のように非常に少なくなっておりますので、その必要度がなくなったというようなところにつきまして廃止考えたいということが一つでございます。  第二に、税務署の定員から申しまして、二十名ないし三十名程度の非常に小規模税務署につきましては、やはり内部の管理事務について相当人員がさかれるわけでありまして、外部の調査事務に人手が回らないというような事情もございます。そういうようなところにつきましては、もう少し大規模税務署統合いたしまして全体としての能率を高めたい、かように考えておる次第でございます。  それから、これに関連いたしますけれども、国税徴収徴税コストと申しますか、そういうものも一応の参考にいたしております。全体といたしますと、国税徴税コストは一円八十銭くらいであろうと思いますが、ただいま申し上げました各税務署につきましては、それぞれ十円前後あるいは二十円前後の徴税コストがかかっております。したがいまして、そういうコストの高い税務署につきましては、統合して能率を高めたい、かように考えておる次第でございます。もちろん、その基礎には、徴収決定税額が大いか少ないかというような点が問題になるわけでございますが、大体、先ほど申し上げました税務署におきましては一億円から三億円までの税額税務署でございまして、この際統合いたしたい、かように考えております。ただし、税務署がいままでございました地区納税者の方に御迷惑をかけないようにどうしたらうまくいくかという点もあわせ考えながら統合を進めてまいりたい、かように考えております。
  15. 平林剛

    平林委員 ただいまのお話、一応基準にしておると思うのでありますが、そうすると、全国で何百カ所とある税務署の中で、これに近い線とか、あるいは近い将来になお基準を高くして廃止したほうがいいと考えられるような税務署もまだかなりあるのじゃないでしょうか。その点はどうなんですか。
  16. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 先ほど申し上げましたのは、今年度税務署分割するのに伴いまして廃止予定いたしておる税務署でございますが、来年以降の問題につきましては、実は私どもまだはっきりした方針をただいまのところ持っておりません。しかしながら、先ほど申し上げましたいろいろな基準の点から考えまして、今後も税務署廃止統合と新しい設置という問題につきましては、そのときどきの経済情勢に合わせて弾力的に考えていくべきものである、要は、納税者に便宜になるように全体としての国税賦課徴収事務が円滑にいくように、そういう観点から考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  17. 平林剛

    平林委員 そこで、私は政務次官にちょっとお尋ねしておきたいのですけれども、税務署設置に関しては、地方自治法第百五十六条第六項の規定承認を求めなければならぬことになっておりますので国会提出されるわけであります。ところが、廃止の場合には規定がないのですけれども、なぜこの規定がないのであるか。その根拠はどこにあるのか、ひとつ政務次官からお話をいただきたいと思います。
  18. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 お尋ねの問題はいろいろ議論もあろうかと思うのでありますが、いわゆる住民自治のたてまえから国の出先機関地方設置される、こういう場合は、いわゆる住民自治体の中に国の施設がふえるわけでございますから、住民自治の侵害という意味ではないけれども、一応国民の代表としての国会承認を経る、ところが、廃止する場合は、むしろ住民自治見地からいえば、何ら問題が起こらないという見地から、廃止の場合には国会承認案件ではない、このように理解すべきではないだろうか、こういうように思います。
  19. 平林剛

    平林委員 それじゃこの点実はちょっと疑問に感ずるのです。たとえば、今度の税務署廃止される場合、熊本高千穂の例をとりますか。ここに何人税務署職員がおったか、私はこまかいことは知りません。先ほどのお話ではおそらく二十名前後でしょう。そして、その徴税額もおおよそ一億円ないし三億円の範囲内にあったに違いないのです。ここで税務署廃止になりますと、ここの納税者は、源泉徴収の場合は別ですけれども、申告納税の場合、あるいは税務署にいろいろ相談しなければならぬ場合は、汽車でも相当時間をかけて、たぶん延岡あたりまで行かねばならぬことになるわけでございます。他の地域でも、韮崎にしても、篠山にしても、川本にしても、設楽にしても、大体同様のことがあろうかと思うのです。いま政務次官お話のように、地方自治という立場から考えると、御説のとおり解釈できないことはないのですけれども、地域住民という立場から考えますと、このために不便を感ずる人もないわけではない。いまも次長から御説明があったように、地域には御迷惑をかけないように考えながら廃止統合していく、こうおっしゃっておるのでございますが、国民利便という点から考えると、むしろ廃止されるということのほうが困ったことだと感ぜられる人もあるわけです。気分的に税務署なんかないほうがいいと考える人もあるかもしれませんけれども、そういう考えを持つ人も私は納税者の中にかなりあると思う。廃止のほうは承認を求めなくてもいいというようなことは、現状に適しているのかどうかという点で疑問を感ずるわけでございますが、その点はいかがですか。
  20. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 確かに、お話のような一つ疑問点もあろうかと思うのであります。やめるのとつくるのとは裏表でありますから、表のほうだけ法律をつくって、裏のほうの面は立法事項でないというこの問題、ただ、やはり地方自治体の中に国の出先が入り込んで、国民法律的な権利義務、こういう関係にはっきりしたかまえをつくり上げるというこの点は、住民自治という制度の精神からいって、一応承認を当然求めなければならぬ。ところが、片一方はやはりそういう自治から外へ遠のくわけですから、住民のいわゆる利便考え配慮行政措置考えていい問題である。そのためには、先ほど次長からいろいろ答弁いたしましたが、分室その他、申告納税者に対しては従来より何ら不便を増さないという配慮をしたい、行政措置上の点で事が足りるのではないか、こういう理解のしかたで、片一方法律国会承認を求め、片一方承認を求めなくて行政措置でやれる、こういうふうになっておると解釈すべきではないだろうか、こういうふうに思います。
  21. 平林剛

    平林委員 現在の制度のもとでは税務署因果立場にあると思うのです。税務署設置するということになると、ある部面からは税務署なんか持ってきてもらっては困るという反対の運動も起きるでしょうし、税務署廃止するとなれば、不便をこうむる人たちはもう少し置いてくれということになるし、あまり置いておいて、やたら調べられると因るという人もなきにしもあらずで、税務署というのは因果な商売です。私はそういう点は御同情を申し上げます。これは国の政治が悪いからでございまして、税務署のあることが喜ばれるようにならなければならぬ。しかし、現状は必ずしもそうではない。  私、ちょっと問題になるのは、いま政務次官がお答えになりましたけれども、税務署を七カ所廃止をされたあと分室を設けるというような構想があるのですか。実際上、住民に不便をかけないように廃止するというのは、具体的にはどんなことなんでしょう。
  22. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 先ほど政務次官から御答弁申し上げたとおりでございますが、いままで税務署がありましたところに分室を置きまして、たとえば、確定申告期納税相談を受け付けますとか、その他酒類行政上のそれぞれの仕事をそこでいたしますとかいうようなことで、なるべく納税者の皆さんに御迷惑をかけないようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 平林剛

    平林委員 そうすると、確定申告の時期に納税相談とか、あるいは具体的に申告する場合には至近税務署から廃止された地域のところへ出張していって、そして相談を受ける、こういうお考えですね。
  24. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 分室の運営につきましてはいろいろ法力があると思いますが、最初は若干名をあるいは常駐させて納税者のサービスをはかりたいというふうに考えておりますが、仰せのように、そのうち出張したりというようなこともあわせて考えていきたい、かように思います。
  25. 平林剛

    平林委員 そこで、今度職員の問題について少しお尋ねしておきたいと思うのであります。これは予定でございますけれども、大体の方向がきまれば、いつごろ廃止統合というような計画になるのでございましょうか。
  26. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 御審議を願って決定いたしますと、可及的すみやかにという考えでございますが、おおむね七月を目途に準備を進めたい、こういうように考えております。
  27. 平林剛

    平林委員 七カ所の税務署にはかなりの職員が勤務しておったことと思います。それがそれぞれの統合廃止によりまして転勤という問題が起きてくるわけでございます。通常定期異動税務署には非常に多いことは、この間も議論になりましたけれども、今度の場合は少しく性格が違うのではないか。私思うのは、七カ所の税務署全部に私行ったことはございませんけれども、高千穂あたりは一度たずねたことがございます。勤務者もかなりその地域人たちがおられまして、かりに延岡あたり転勤になるというようなことになりますと、通勤距離は非常に長くなります。この場合にどうも生活上の問題が起きてくるのではないだろうかと考えられるわけであります。高千穂だけでなくて、牟岐においても、川本においても、あるいは篠山においても同じ条件がたぶんあるに違いないと思うのであります。そうすると、これはもちろん納税者あるいは税務行政合理化という点も考えねばなりませんけれども、職員の生活の問題も十分配慮をしなければならぬ問題でございます。いまの政務次官お話ですと、七月を目標にできるだけすみやかにその方向に向かいたいという御希望でございましたけれども、職員の側の問題点はないのでございましょうか。
  28. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 仰せのように、当該税務署に配置されております職員にとりましては、これはたいへんな勤務条件上の変化になるわけでございます。そこで、いまお話がございましたように、その土地に住んでおりまして、それから統合される税務署まで通うということになりますと、たとえば高千穂税務署におきましては、延岡との間が五十八キロばかりございまして、バスの急行で一時間半ぐらいかかるわけでございます。したがいまして、そのままですと非常に職員にとっては不便になるわけでございます。しかしながら、全体として申しますと、やはり僻遠の地から都市署への配置がえがされるわけでございますので、大体、大部分職員にとりましては、むしろ生活上便宜を得るのではないか、かように考えておる次第でございますが、しかし、受け入れ署のほうの事務の要請もございますし、また御本人の希望、身上の問題もございます。したがいまして、その辺を正確に把握いたしまして、不利にならないように、できるだけ有利に職員を配置してまいりたい、かように考えております。
  29. 平林剛

    平林委員 確かに、一面、若い人にとっては、僻地から都市署への配置がえでございますから、中には希望する向きもないわけではないと思います。しかし、年配の人となるとなかなかそうはいかないので、そこの辺は、住宅問題であるとか、あるいは分署を置く場合には考慮するとか、いろいろな情においても職員立場を十分配慮してやる措置を私はこの際希望しておきたいと思うのであります。つきましては、廃止統合の問題はもちろん労使関係において団体交渉に付すべき性質のものではないかもしれませんけれども、事は生活の根底に関する問題でございますので、私は、その点は、職員の団体との間においても十分話し合いをして、一面、管理者としては実情に抜かりのないような配慮をしなければならぬ問題だと考えるわけでありますが、そうしたことにつきましては、私から注意を受けるまでもなくおやりになっていると思いますが、いかがでございましょうか。
  30. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 御趣旨の点、全くごもっともでございまして、その点は万遺憾なきを期すべく、目下これを手配をいたしておるわけでございます。十二分に御趣旨の点を生かしていきたい、こう思います。
  31. 平林剛

    平林委員 政務次官から適切なお答えをいただきまして、私はこれで満足であります。なお、それぞれの箇所で私縁のある場所もございますから、もし政務次官のお答えに反するようなことがございましたら、ひとつ私からも申し上げますので、御善処をいただきたいと考えます。  それでは、この問題につきましては一応終わることにいたしまして、次に、ちょっと注文をかねて申し上げたいのですけれども、農業用ガソリンの問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  私、二十日ばかり前に大蔵省の主税局のほうに、農業用ガソリンの問題について調査をして、その全容がわかるような文書を提出してもらいたいと希望しておったのでございますが、いかがになったのでしょう。おくれた理由をひとつお聞かせ願いたい。
  32. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 御要求の資料は、実は用意できておりましたのですが、お届けするのがおくれてたいへん申しわけございません。
  33. 平林剛

    平林委員 その資料がいただければ、私は質問することはなかったのでございますけれども、一向に資料をいただけなかったものですから、ここでその全容につきまして少しお話をいただいて、またあとで資料を受け取って、こまかく調べたいと思います。農業用ガソリン税の最近の状況について、ひとつこの機会にお話をいただきたいと思います。
  34. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 これはいろいろ経緯がございますので、経緯から申し上げますと、農林漁業用の揮発油税について、三十四年のころからいろいろ議論がございまして、農林省から免税の要望がございました。そこで、その後いろいろ議論がございまして、大蔵大臣から、農林漁業用ガソリンの課税問題については、四十年度以降減免につき考慮したいという答弁を三十九年にいたしております。そこで、その趣旨に沿いまして、減免の方向について研究いたしましたが、何しろ減免の対象が非常に数が多いのと、それから関係の業者も非常に多いので手続が繁雑になる等、いろいろ問題がございますので、減免は困難である、そういう結論に達しました。税制調査会も、そういう事情で、政府で慎重に検討の上他の適切な措置を講ずべきであるという答申をいたしております。そこで、四十年度予算におきましては、以上のような経緯を考えまして、農林漁業用揮発油税身がわれ事業というものを起こしまして、特別な財源をつける、その財源として五十億円を計上いたす、その後国会で再び免税の問題が出ましたけれども、一応四十年度はそれで結着を見ました。  四十一年度でございますが、四十一年度の予算に際しましては、四十年度と同じような計算をいたしますと、四十年度は五十億円でございますけれども、消費量が伸びますので六十億円歳出に計上しなければいけないという計算になるのでございますが、しかし、それだけでは足りないという要望もありまして、いろいろな点を考えまして、その計算で出てくる六十億円にさらに二十五億円を追加しまして、八十五億円を計上いたしました。それから、五十億円のときに、その中に入っておりましたスーパー林道というものをこの八十五億円のときははずしておりますので、この関係が四億五千万円、合わせますと、五十億円が約九十億円という形になりまして、こういうことで四十一年度予算ができているわけでございます。
  35. 平林剛

    平林委員 それでは、こまかい問題については、文書をいただきまして、なおこの問題については、農業用ガソリン税の小委員会がございますから、またその際にお尋ねをすることにいたします。  きょうは私はこれで質問を終わります。
  36. 三池信

    三池委員長 永末英一君。
  37. 永末英一

    ○永末委員 今回の法案に関連いたしまして、いま、平林委員から廃止される税務署の話が出ましたが、廃止される税務署は当然統合される、そのそれぞれの距離はどれくらいありますか。
  38. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 お尋ねの点を申し上げます。  東京国税局管内韮崎税務署につきましては甲府税務署統合するわけでございますが、甲府までの距離が十二キロ、三十五分、これは中央線の沿線でございますので非常に早うございます。それから篠山税務署、これは柏原税務署統合する予定でございますけれども、距離が二十七キロ、国鉄及びバスで一時間くらいの距離でございます。それから福島県の棚倉税務署でございますが、これは白河税務署統合いたします。距離は三十八キロございまして、国鉄及びバスで四十分でございます。名古屋国税局管内設楽税務署は新城税務署統合する予定でございますが、距離が三十四キロで、私鉄及び国鉄を使いまして一時間五十分の距離でございます。広島国税局管内川本税務署は浜田税務署統合予定でございますが、距離が五十一キロ、国鉄及びバスを使用いたしまして一時間四十五分でございます。高松国税局管内牟岐税務署は阿南税務署統合予定でございますが、この間の距離が四十三キロで、国鉄で一時間二十分という距離でございます。熊本国税局管内高千穂税務署につきましては、先ほどお答え申し上げましたが、五十八キロでございまして、バスで一時間半の距離でございます。
  39. 永末英一

    ○永末委員 先ほど廃止される税務署分室を置いて、というお話でございますが、この中で分室が置かれるのはどれだけですか。
  40. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 まだ具体的な結論には到達いたしておりません。いろいろこの距離、それから納税対象、納税戸数、こういうことを勘案して目下検討中ということでございます。
  41. 永末英一

    ○永末委員 検討中ですけれども、いまお話を伺ったところでは、一番大きなもので百十分かかる、百五分、九十分、八十分という相当長い距離——これはスムーズに乗り継いでいっての計算であって、待ち時間を加えますと、はなはだしきは二時間半もかかり得る場合がある。往復しなくちゃならぬといいますと、一ぺん税務署へ行くのに一日かかることになりますね。そうしますと、おのずから分室を置かなくちゃならぬところが出てくるのじゃないか。一体、税務署に一日がかりで行かなくちゃならないようなところを廃止するというのは、政務次官どう思われますか。
  42. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 実は、大部分はいまもおっしゃったような遠距離、納税者の不便を非常に増すというようなところは分室の線でいく、したがって、分室をつくらないでも済ませる地域がどの程度かということで、いまその点を検討しておる、原則的には分室を設ける、こういうことで御了承願いたいと思います。
  43. 永末英一

    ○永末委員 それぞれの地域地方自治体はこれらの税務署廃止が話題にのぼりましてからどういう態度をとっておりますか、お答え願います。
  44. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 先ほどもお話が出ているように、考えようによっては、税務署と警察署というものはかえって近くにないほうがいいような面も実際問題として設置のときには起こり得るわけでございますけれども、いよいよ今度は廃止するという場合には、ほとんど、ひとつ存置してもらいたい、町の盛衰にもかかわる、こういうことで自治体の関係者から熱心な存置の陳情がわれわれのほうにも来ております。
  45. 永末英一

    ○永末委員 税務署も警察署も消防署もそれぞれの事由によってそれぞれの署の設置をきめておる。ところが、実際の地方自治体というよりは、その地方地域社会、その地域社会の住民が官公署を利用する場合には、望むらくは同じところにあるということが一番いいのであって、税務署のために一日さくというよりは、そのときには何かいろいろな用事も果たしたい、これが地方住民の偽らざる要望であろうと思います。したがって、そういう観点からいたしますと、役場に呼ばれる場合と税務署に呼ばれる場合と行く先が違う、しかもきわめて離れておる、こういうことになりますと、はなはだ不便を感ずるのは住民である。そういう点で、先ほどの御説明では、農業課税という時点においてこういう税務署設置をやったのであるけれども、納税の形が変わってきたからやめるのだ、こういう話でありますが、しかし、当該それぞれの税務署住民のほうは利用はいたしませんが、利用させられるほうだけれども、これをとつつかなければならぬ。出てこいという命令を受けるのは住民納税者のほうであります。その場合に、いまのようにアンバランス、つまり、官署が一カ所にないという、大きく言えば地域経済に背反する状態が起こるということはきわめて不便だと思うわけであります。その辺の大蔵省の方針、統廃合というよりは、そういう方針は基準がないようなお話でございましたけれども、何か方針があっていろいろきめられる、無方針できめられるわけではないと思いますが、この辺の考え方を伺っておきたいと思います。
  46. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 具体的な方針は次長からまた追加補足してもらいたいと思いますが、永末議員御案内のごとく、最近日本の国内の経済構造というものが急激な変化を経済成長とともに遂げておるわけです。税務署の機能は、企業並びに個人の納税者対象にこれが職責を全うする、こういうたてまえでございますので、そのような変化に応じ、しかも大体五万人という人間のワクの中で最小の経費で能率をあげていこう、徴税コストもあまり多くしないでいこう、しかも納税者利便も傷つけないように配慮しよう、これが分室の形で遠隔地は残していく、こういうことでございますので、ただ納税者利便から考えれば、これはもう各町村単位に税務署ができればそれが一番いいでしょうけれども、そうもいきませず、そこら辺を勘案して、時代の経済成長に沿う、社会構造の変化に沿うた改正、こういう一つの基本的な考えは御理解いただけると思うのでありまして、これに対して今度の場合、具体的に、たとえば納税者に一ぺんに不便を与えないために一国税局管内で一カ所以内、こういう一つ考えも堅持しておりますし、そのほか、距離あるいはまた非常に心ない定員、こういったところを統合する、こういう考えで検討した結論が七カ所に相なっておる、このように御理解いただきたいと思うのであります。
  47. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 ちょっと補足して御答弁申し上げます。  税務署廃止統合基準はないのではないかというようなお話でございますが、私ども、基準と申しますか、一つの判断のよりどころは持っておるわけでございます。その要素を一応申し上げますと、納税者の数がどうであるか、第二に、徴収税額はどうなっておるか、第三に、職員の配置数はどうであるか、第四に、徴税コストはどのくらいであるか、最後に、納税者に対する影響、便、不便の問題を含めまして、納税者に対する影響はいかがであるか、かような点を総合勘案いたしまして廃止署を選定していきたい、かように考えております。
  48. 永末英一

    ○永末委員 次官の御説明によりますと、一局一カ所くらい今度やったんだ、こういう話でありますが、いま次長のほうで五点くらい基準らしきものを申されましたが、本庁で見ておりますと、結局、納税コストといいますか、その辺を勘案されるのが一番大きな理由になっておるのではないか。この七つの税務署廃止して何ぼ安くなりますか。いま幾らくらいかかって、どれくらい安くなるというのですか。
  49. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 実は、徴税コストのことをたびたび申し上げておるわけでありますが、この数字は、結局平均的な徴税コストから、こういう税務署がどのくらい離れておるというようなことで判断をいたしておるわけでありまして、この七署を統合することによります直接の経費の節約という点は、実は算出をいたしておりません。たとえば人件費につきましては、これはもちろん近接署へ統合するわけでございますので、節約になるわけではございません。物件費につきましても、それぞれ国有財産をどういうふうに処分するかというような問題にからみますので、いまのところ直接の節約額というものは算定いたしておりません。申し上げたいのは、全体として効率のある課税並びに税の公平な実施という面から見まして、非常にはなはだしく徴税コストの高いところは統合したほうが、全体のためによろしいんではないだろうか、かように考えて、おる次第でございます。
  50. 永末英一

    ○永末委員 納税コストというのは、会社でございますと、生産コストは別途計算できるわけだけれども、納税の場合に大蔵省側で納税コストが下がれば納税者のほうの納税コストが上がる、こういうことになりませんか。たとえば、税務署から呼び出しを食らって遠いところへ行く、いままでなら歩いて行けるところが、先ほどのお話のように、国鉄、私鉄、バス等を利用して行かなくてはならぬ。一体その交通費はだれが払ってくれるのかといえば、税務署が払ってくれるということはございませんね。そうしますと、大蔵省側から見ますと納税コストが下がるんだが、その分だけ納税者が払うんだ。こういたしますと、われわれ納税者のほうからいいますと、納税コストが上がる、そういう考えですか。上げてもいいという考えですか。
  51. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 確かに、永末委員毛仰せのように、税務官庁は、これは収益事業ではございませんので、全体としての収益がどうかというような問題には関連いたしません。ただし、税務官庁も一つの組織体でございますので、これを最も能率よく運営していきたいという点は他と変わらない、かように考えております。申し上げたい点は、大都市等で非常に課税物件、納税人員がふえておる状態に対して、地方では、あるいは僻遠の地では、そういう点が地方経済の実情に合わせまして課税物件が減っておるというような状況でございます。これをならしたいということを徴税コストというようなことばで申し上げたのでありまして、事業体の場合とは異なることは仰せのとおりでございます。
  52. 永末英一

    ○永末委員 確かに、人口の集中しているところで納税者がふえてくるというのは当然のことだと思うのです。ただ問題は、今回の措置をされるについて国税庁側で考えられるいろいろなものがあろうと思いますが、同時にまた、その地域住民の意思、あるいはまたそこで働いている職員の意向というものは、また同時に考えなくちゃならない。先ほどの次長があげられた五点の中にも、職員の配偶等の問題もあり、また納税者利便の問題も考えたとおっしゃるのだけれども、手続として、国税庁としては、頭から国税庁の事由によって候補地をきめて、それから発足して、トラブルが起こっても押し切ってやる、こういう御方針なのか、事前にこれらのことを相談をしながらきめていく、こういう御方針なのか、これを伺いたい。
  53. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 たてまえは、廃止する場合には国税庁が判断をして、その判断に基づいて実施する、こういうことになるわけでございます。ただ、やはりお互い社会の一つの重要な事柄ですから、関係方面と円満な話し合いをして事をスムーズに運んでいくという心がまえはあくまで持ち、最善の努力は関係当局をして払ってもらっておるというふうに理解いたしております。
  54. 永末英一

    ○永末委員 上からきめますと、職員は、分室に残る者は別として、配置転換を受けなくちゃならない。ところが、僻遠の地であればあるほどいろいろな事情があるとぼくは思うのです。この件について、廃止される税務署について首切りをやる、こういうことはございませんね。
  55. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 廃止統合による人員整理、首切り、そんなことは毛頭考えておりません。同時に、十二分に一身上の希望も聞いて善処をする、こういう考え方を持っておるのであります。
  56. 永末英一

    ○永末委員 いままでは十分で税務署に行けた、いよいよ配置転換の命令が下って通勤しようと思うと、二時間もゆられなければ行けない、それならばもうやめだ、こういう職員が出てくるかもしれません。その場合に、国税庁側から見ておりますと、本人の自発的自由に基づいて退職をした、こういうことになるわけです。しかし、客観的に見れば、通勤不可能になったからやめたい、こう言ったのである。そういう場合には、その人はいままでどおり分室に残す、こういうことも考えられるし、あるいは宿舎をちゃんとつくってそこに住まわせる、こういうことが考えられなければ配置転換はスムーズにいきませんね。こういう御配慮があるかどうか。
  57. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 今度廃止予定いたしております各税務署は、大体二十名前後の職員でございます。中にはその地元の人がある程度おると思いますけれども、大部分職員はそれぞれ郷里はもちろん離れておりますし、勤務地を、いわば転勤によりまして常時動いておる職員であろうと思います。したがいまして、僻遠の地に勤務しておる、これがまた何年かそこで勤務いたしますとほかの税務署に配置がえされるということでございまして、それがそのままの姿でございましても統合される税務署のほうへ移るわけでございます。もちろん、統合される税務署へ配置がえされるばかりとは考えられませんので、その他の税務署へ配置がえされる人もあろうと思いますが、その事情につきましては、先ほど政務次官から御答弁申し上げましたように、本人の身上を十分把握いたしまして、希望も聞き、満足のいくようにしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  58. 永末英一

    ○永末委員 先ほど、いよいよ統廃合をやろうという場合には、国税庁側で案を立てられてから発足するかのごとき趣でございましたが、特に地元の納税者の意見もこれは重要でございましょうし、集約的にそこの自治体がこれを取り上げていろいろ持ってくると思うのです。しかし、そこの職員にとってはまさしくこれは職場のかわる問題である。そこで、今後そういうことをやろうとする場合には、あらかじめこれを職員団体との間で相談をする、こういう御用意があるかどうかを伺いたい。
  59. 中嶋晴雄

    中嶋説明員 税務署の新設あるいは統廃合というような問題は、これはやはり税務行政上の問題でございまして、これを職員団体とその是否につきまして協議をするという筋合いではないと存じます。ただし、廃止統合、新設等に伴いましていろいろそれに付随いたしまして職員の配置がえが起こります。この配置がえが起こる段階におきましては、それは勤務条件の重大な変更に該当するわけでございますので、そういう問題につきましては、先ほど申し上げましたように十分協議をし、遺憾のないようにしてまいりたいというふうに考えます。
  60. 永末英一

    ○永末委員 一般の私企業においても、その会社がつぶれるかどうかというのは、経営者にとっても重大問題でありますが、そこに働いておる労働者にとってもはなはだ重大問題で、そこで経営を全部廃止するか縮小してやるか、これらはそれぞれの経営者と労働者あるいは労働組合側との間で話が行なわれてやっておる。これが一方的に行なわれますと、擬装閉鎖であるとか労働者に対する不利益処分ということで、ちゃんと法律上労働者の権利を守る法制が現在もできておるわけであります。確かに税務署の統廃合というものは行政事項であるから、ここに働いている職員とは関係がないのだという、いままでの感覚ではそうかもしれない。しかし、ILO八七号条約の精神に従えば、自分の職場がなくなるかなくならないかは、きめられてからわかったというのではどうかと思いますが、その辺の考えをもう一ぺん伺いたい。
  61. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 この職場のどこどこという具体的な位置は変わるけれども、税務署そのものがなくなるわけではないのですから、私はその点