運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-04-22 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十二日(金曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 坊  秀男君    理事 山中 貞則君 理事 吉田 重延君    理事 平林  剛君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       木村 剛輔君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    谷川 和穗君       西岡 武夫君    羽田武嗣郎君       福田 繁芳君    毛利 松平君       山本 勝市君    渡辺 栄一君       佐藤觀次郎君    只松 祐治君       野口 忠夫君    日野 吉夫君       平岡忠次郎君    藤田 高敏君       山田 耻目君    横山 利秋君       永末 英一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (主計局次長) 岩尾  一君         大蔵事務官         (証券局長)  松井 直行君         大蔵事務官         (銀行局保険部         長)      上林 英男君         国税庁長官   泉 美之松君  委員外出席者         大蔵事務官         (証券局企業財         務課長)    安井  誠君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 四月二十二日  委員西岡武夫辞任につき、その補欠として大  倉三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大倉三郎辞任につき、その補欠として西  岡武夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十一日  戦傷病者恩給担保融資額の是正に関する請願  (小川半次紹介)(第三二七七号)  同(遠藤三郎紹介)(第三三三〇号)  同(砂原格紹介)(第三三三一号)  同(田澤吉郎紹介)(第三三三二号)  同(高瀬傳紹介)(第三三三三号)  国民金融公庫環境衛生部融資による公衆浴場業  者の借入金利子減免に関する請願中野四郎君  紹介)(第三三二八号)  公衆浴場業に対する所得税及び法人税減免に関  する請願中野四郎紹介)(第三三二九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地震保険に関する法律案内閣提出第七三号)  地震保険特別会計法案内閣提出第七四号)  公認会計士法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇二号)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  公認会計士法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤觀次郎君。
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 松井局長にお尋ねしますが、今度の公認会計士法改正において、社団法人日本公認会計士協会特殊法人として、すべての公認会計士をこれに加入させるということになっておりますが、聞くところによりますと、公認会計士団体はほかにもう一つあるように聞いておりますが、これとの調整はどのようにするのか、この点の詳しい事情をひとつお尋ねしておきます。
  4. 松井直行

    松井政府委員 お答え申し上げます。  仰せのとおり、現在民法法人としての日本公認会計士協会のほかに、特例試験で通りました、いわば計理士出身者公認会計士がつくっておる団体がございます。全日本公認会計士会という名前のものでございます。しかしながら、その設立の時期、運用の実績並びに加入会員の数等からいたしますと、日本公認会計士協会がただいま主軸をなしておるようでございまして、事実上は日本公認会計士協会母体にいたしまして、これは現在の公認会計士の約七七%がこれに加入しておるということに相なっておる関係上、これが母体といいますか、主体になることは間違いはありませんけれども、いままでこの日本公認会計士協会全日本公認会計士会との間におきましては、その出身経緯、それから試験制度を通ってきたその経緯相違等から、感情的にもいろいろ不和がございまして、この間に争いがあったということも事実でございますが、最近におきましては、お互いが排他的な態度をとっておっても無意味である、全体の公認会計士地位の向上なり制度明確化をはかる意味におきまして、今回新しく特殊法人として日本公認会計士協会というものが立法されようとしておる現在でございますので、その間において和解が成立しつつある状況でございます。したがいまして、いま御提案し、御審議をいただいております法律案が通りました暁におきましては、特殊法人としての日本公認会計士協会ができるまでに、おそらく計理士方々出身全日本公認会計士会も漸次日本公認会計士協会に合体するという形で、事実上母体一つになって新しい特殊法人に生まれかわるという経過をたどることをいま期待いたしておるのでございまして、それに必要なわがほうといたしましてのいろいろな御援助とかあるいはあっせん等については、労を惜しまないつもりであります。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それは松井さんの希望的な観測であって、日本人の感情とか、またいきさつなんか聞いてみますと、なかなかそう簡単にいかないように思うのですが、その問題をどのように——和解ができない場合にはどうされるか、そういうことももう一つ伺っておきたいと思います。  それから、協会設立に関する経過措置を見ますと、「日本公認会計士協会設立しようとするときは、三十人以上の公認会計士及び外国公認会計士設立委員となり、設立に関する事務を行なわなければならない。」ということになっておりますが、この設立委員はどういう方法によって選任されるのでありますか。当初は大蔵大臣がやることになっておる、そういうように聞いておりますが、これを改めた理由はどういうところにあるか、このいきさつもひとつ伺っておきたいと思います。
  6. 松井直行

    松井政府委員 本来、今度特殊法人化という線に沿いまして、法律規定いたします日本公認会計士協会というものは、どこまでも公認会計士自主責任体制を明確にし、その業務の効率を彼ら自身の手によってあげるということを期待しておるものでございますので、政府が一方的に設立委員というものを選任するという案もございますが、そういう性格から見て、これは強制しないで、自主的に設立委員がきまるということを期待いたしておる次第でございますが、先ほどの第一問との関連でございまして、二つ団体があるというときに、こうした自主的な立場設立委員がきまることについてもまた問題があるのではないかという御心配かと存じます。これはできるだけそれまでの間に異質の団体が合体することを期待し、そこに誘導といいますか、できるだけそこへ持っていきたいということを念願いたしておるわけでありますが、それができなくても、ある特殊の団体出身者あるいはその役員だけがこの設立委員を独占するということがないように、現在まだいずれの団体にも属しておらない公認会計士もおるわけでございますし、なお、外国公認会計士もおるわけでございますので、それらから公正に選任されるということを期待したいと考えております。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 この法案を見ますと、今度は新たに監査法人制度を設けることになっておりますが、認可の条件として、公認会計士が五人以上集まらなければ設立できないことになっております。アメリカパートナーシップ制度は二人以上ということで出発しておりますが、五人以上にした理由はどういうところにあるか、この理由をひとつ明らかにしていただきたい。
  8. 松井直行

    松井政府委員 社員の数を五人以上とした理由を説明せよというお話でございますが、これにつきましては、いろいろ審議の段階におきまして、本来、自然人のみが行なっております監査業務を、今度は法人としての組織化した形でやれることにするねらいそれ自身が、監査業務組織的にやれるというところに重点的なねらいがあるわけでありますので、監査業務組織的に行なえるということを期待する場合には、なるほど、法律上では、団体あるいは法人というものを考えますときには二人以上ということも言い得るといたしましても、相当数の人間が集まってないとこういう組織的監査はできないという観点から、むしろ十名以上も必要じゃないかという意見が一方にあったようでございます。それから、いまおっしゃったとおり、純法律的に考えますときには、団体を形成する場合には二名以上でもいいのじゃないかということも言い得ると思うわけでございますが、御存じのとおり、現在の商法に基づきます株式会社という制度実態を見てみますときには、ほとんど九七、八%までが同族的なものであり、本来の株式会社らしい株式会社というものは数%にすぎない、非常に小さな法人等におきましては、全く個人に近いようなものまで株式会社制度という名のもとに法人化が行なわれるということでございまして、実態的に株式会社のいいところ、その法がねらっている条件全部を満たしておるとは言えないというような実情から考えまして、せっかく監査法人という組織化を行ないましても、その実体を備えなくて、個人の集団のちょっと毛のはえたものというような不適格な法人ができることを未然に防止いたしまして、監査業務組織化というものが名実ともにその効果を発揮することをねらうためには、十人とはいかぬにしても、少なくとも五人以上は必要じゃなかろうかという観点から五人という案が出てまいったわけでございますが、この共同組織化を考えます以前に、現在ございます個々の公認会計士共同監査という形で大法人監査が行なわれているわけでございます。その実態から見ましても、少なくとも三人ないし五人以上の方々でもって共同監査をおやりになっているという実例に徴して考えますときには、法制的には二人以上ということは言い得るにいたしましても、実態的には、あるいはこの法律がねらっております効果を十分発揮するという観点から考えますときには、どうしても二人以上ということでは少な過ぎる、やはり三人ないし五人以上というものが必要じゃなかろうかという観点で五人以上としたわけでございます。アメリカパートナーシップの例を見てみますと、八つですか、非常に大きな監査パートナーシップがございます。非常に大きなものといたしましては三百数十名という。パートナーがあるという例がございますが、日本の現在の状況等から考えて、にわかにそんな三百名というようなパートナーを擁したパートナーシップができるものとは考えておりませんが、アメリカに範をとってわれわれいろいろ考えてきた経緯もございまして、組織的監査を行ない得る法人実体を備えたもの、しかも、その制度をりっぱなものに将来とも育成していきたいという観点から考えますときには、単に法律上の理屈だけではなしに、実態とその目的に合った線に沿って法制を考えるのが適当であろうと考えまして、五人以上という要件を必要とすると考えたわけでございます。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 この監査法人制度をつくられるのには各国の参考にされた例があると思うのですが、アメリカやイギリスなんかの制度の中でどういうところを参考にされ、どういうところを取り入れられたか、これも伺っておきたいと思います。
  10. 松井直行

    松井政府委員 一人一人の自然人がやっております監査業務組織化する場合に、いろいろな法制的な考え方があり得るわけでございます。日本の現在の法制で申しますと、組合員内部組合契約によってそういう内部関係をつくり上げるということも可能でございますが、組合契約と申しますのは、御存じのとおり、実はまだ個人的な色彩が非常に強いものでありまして、したがって、団体としての実在といいますか、日本法制におきましても法人格というものをも与えていないという状況でございます。一方、個人的色彩が非常に強い、かつ、団体としての統一性実在性を主張し得る姿といたしましては、日本では法人格を与えるという形の中で合名会社等が考えられるわけでございますが、御存じのとおり、商法におきます合名会社というのも非常に営利的な色彩が強いものである、はたして監査業務をもって営利法人規定していいかどうかということに疑問がございまして、日本に現在ございます民法上の組合なりあるいは商法上の合名会社制度そのままに乗っかるということは、その観点から不適当であろうと思います。たまたま英米法制をいろいろ調べてみますときには、日本組合でもあり、かつまた、合名会社的色彩も持っている中間的な存在としてパートナーシップという制度があることは、皆さんもよく御存じであろうと思います。これは日本組合とも言い得ますし、あるいは合名会社とも言い得る制度であるわけでありまして、実は法人格を与えるか与えないかということは、こういう英米法ではあまり問題にしないわけでございますが、日本法制を考えますときには、やはりはっきりした法人格を与えるという形をとる必要があるわけでございまして、もしパートナーシップ法というような英米法律を導入することが可能であれば、われわれも導入する道を考えたわけでございますが、商法とか民法の例外と申しますか、特別法一般的に考えるということは、単に公認会計士団体のみならず、その他の団体法上の大きな問題でございますので、特にパートナーシップ法というものの制度は考えませんでした。そこで、大部分はこの準用法規にありますとおり、合名会社制度をとったわけでありますが、それに公認会計士団体としての特性からくる要請を満たし得るだけの特別の条項を加えまして、事実上はアメリカパートナーシップが果たしておると同じような機能を期待し得るような団体に持っていこうということを考えたわけでございます。なお、ドイツの場合におきましては、会計士会社は、株式会社でもよし、有限会社でもよし、合名会社でもよし、合資会社でもよし、いずれの法制を借りてきてもそうした団体がとり得るという考え方に立っておりますが、わが国におきましては、先ほど申し上げたとおり、純粋な営利法人として規定することについてはいささか疑問があり、不似合いな点があるという観点から、英米パートナーシップのいいところを取り入れまして、組合日本合名会社の線に乗っかりまして、特別規定を置くことによってこのパートナーシップの例を導入しようと考えたわけでございます。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 監査法人制度を設けた目的は、監査を受ける法人がますます大規模な経営体となっておるので、個人としての公認会計士能力では限界に達してきた、だから、多人数の公認会計士の集まった共同組織体監査に当たるのが適当である、それで認めたと思うのですが、いまの状態監査法人の数はどのくらいの数が予想されますか。その設立については、大体の予想をつけてやっておられるかどうか、伺いたいと思います。
  12. 松井直行

    松井政府委員 ただいま監査法人社員の数について御質問ございましたが、日本の場合におきましては、にわかにアメリカ式にそういう大きなものができるということを期待し得ないことは仰せのとおりであろうと思いますが、少なくとも五名ないし十名程度、この法律案が通りますときには、監査法人として出発可能と考えられる数は大体十ないし二十ぐらいを考えております。それは、先ほどから申し上げましたとおり、現在におきましてもそうした大法人監査を徹底してやるという必要上共同監査ということが行なわれておることは、先ほど申し上げましたが、そのほかに、たとえば、事務所共同にする、計算を共同にするというような形でもってその共同化の一歩前進が行なわれておる実情でございまして、昭和四十年の四月の調べで、そうした共同事務所の数は、関東が八つ、近畿で二つ、四国で一つという実態でございますが、このほかに共同事務所としては登録されておりませんが、非常にたくさんの公認会計士事務職員として使用いたしまして、その事務職員共同監査を行なっている公認会計士事務所というのはこのほかにも幾つかあるようでございます。これらは実質的に共同事務所と見て差しつかえないものでございますので、当初設立が予想されるものはこれらの事務所母体となるであろうということを想定いたしますときには、先ほど申し上げたとおり、十ないし二十というもので出発するのではなかろうか、社員の数につきましても、先ほど申し上げましたが、大体現在の共同事務所構成員が中心になるということを考えますときには、おおむね五人ないし十人という形で出発するのではなかろうかと推定いたしております。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それから、監査法人組織した場合には、社員が大体監査法人の責務について連帯無限責任を負うことになると思うのですが、もしそうであるとすれば、社員責任負担が非常に重いので、監査法人設立しようとする公認会計士は非常に少なくなると思うが、あなた方はどういうように解釈されておりますか、これを承っておきたい。
  14. 松井直行

    松井政府委員 仰せのとおり、監査法人組織のメンバーであります社員たる公認会計士は、合名会社規定に基づきまして、対外的に連帯無限責任を負うという非常に強い責任が課せられております。これによって、むしろ監査法人については不利だというおそれがあるのではなかろうかという御心配でございますが、これにつきましては、われわれはこの構想を練り上げるときに次のように考えました。  現在、自然人であります有資格者公認会計士が一人一人の責任に立って監査を行なっておるわけでありまして、行政上の責任、民事上の責任その他、自然人たる公認会計士が一身で持っておるわけでございます。ところが、こういう人たちが集まりましてある種の法人をつくったときには、かえってその対外的な責任関係が薄まるということになりますときには、監査を受ける会社あるいはその他一般投資家に対して、むしろその責任体制が薄くなるということではまずいのじゃなかろうかということを心配したわけでありまして、なるほど、合体して法人格はつくりますけれども、なおその個人的色彩を相当強く残しまして、法人自体としても責任を負うが、あわせてその構成員も一人一人の自然人たる公認会計士業務をやったときと少しも変わらないだけの責任を負わすということにしたほうが、対外的な責任がむしろ明確化する、その責任希薄化をわれわれはおそれたわけでございまして、なるほど、新たにこういう監査法人制度というものができた場合には、そういう御心配があろうかとは思いますけれども、それを押して、なお有効な、組織的な監査を行なえるということに主眼を置いてこの立法が行なわれておるわけであります。かつまた、そういう責任があるのだぞということについては、この立法あるいは審査会審議の途中におきまして、関係者も呼んでいろいろ聞いておりますし、事実上、全体の公認会計士の頭の中では、こういう監査法人をつくるときのその組織人となることについての公認会計士責任等につきましては、広くもう普及され、自覚はでき上がっておるものと考えますので、実際のスタートにあたりましては、むしろそういう心配はある程度消えておるのじゃなかろうか、そういう心配がこの組織化が行なわれるときの障害になることはおそらくないのではなかろうかとわれわれ考えております。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 公認会計士監査証明を行なう会社から報酬を得ておるので、たとえ不適正なことを認めても、意見を差し控える場合が多いように見受けられるのです。今回の改正案では、協会機能が強化される。たとえば、会社に不利なような監査証明を行なった場合、公認会計士との契約を解除しようというような場合が出てくるのじゃないか。協会が何らかの方法によって会社と折衝して、公認会計士地位を守ることができるかどうか。この問題についてはどのように解釈されておるか、伺いたいと思います。
  16. 松井直行

    松井政府委員 仰せのとおり、有価証券の流通の円滑化をはかり、かつ、一般投資大衆の保護に資するというために、発行会社財産状況なりあるいは収益状況を公正に大衆に公示するということが必要なことは申すまでもありません。そのためにその会社としては公認会計士職業人による監査というものが要請されておるわけでございますが、いま佐藤委員がおっしゃいましたとおり、被監査会社から報酬をもらって公認会計士監査をやるという従属関係がございます。ところが、先ほど申し上げましたとおり、一般大衆に真実を公開する、その担保として監査証明というものがあるのでありますから、できるだけ監査を受ける被監査会社から独立立場で公正な監査証明ができるという制度実態環境を整備することが一番必要なことであろうと思います。昨今、いわゆる粉飾で問題になりました会社がございますが、非常に残念なことには、一、二実例を調べてみますと、被監査会社からの圧力もあり、事実紛飾であると知りながら、粉飾でないとして監査証明を出した例もなきにしもあらずというような状態でございますので、何としても被監査会社からの独立性を維持するように持っていきたいというねらいが今回の法改正の大きな一つの柱になっておるわけでございまして、先ほど御質問がございました監査法人もその一つでございますが、実は公認会計士協会というものを特殊法人化するということもこれをねらっておるわけでございます。したがって、りっぱな公認会計士が良心に従って監査証明をしたところ、被監査会社の利益と相反するということで監査契約の解除になるという例は幾多あったようでございますが、そうした形でもって発行会社の横暴を許しておく、りっぱな公認会計士に泣き寝入りをさしておくということは決して適当ではありませんので、特殊法人業務一つといたしまして、特に監査証明業務について紛議の調停制度を設けようという案になっておりますが、具体的な手続は協会の内規できめられることになろうかと思いますが、これはどこまでも被監査会社公認会計士の間に立ちまして、会員独立立場を擁護する方向特殊法人がしかるべく力をかすということをねらっておるわけでありますので、公認会計士協会特殊法人化した趣旨を生かして十分活動するならば、いまおっしゃった面につきましても、公認会計士の中正の立場独立立場を十分発揮する方向で活動するであろうということを期待いたしております。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 公認会計士法改正と関連して、計理士制度がたしか来年の三月でなくなると聞いておりますが、なくなると、だれでも計理士名前を名のってもいいというようなことが一面に言われておりますが、そういう問題についてどのような解釈をしておられますか、伺いたいと思います。
  18. 松井直行

    松井政府委員 いまおっしゃった問題につきましては、なかなか法律上むずかしい問題でございますが、法律根拠を持った計理士という制度がなくなるわけでございます。したがって、法律根拠を持った計理士という肩書きで仕事をし、あるいは証明するということはなくなりますが、事実行為として、一体計理士という名前を使ったらどうなるかという問題もあろうかと思いますので、制度として法律上の計理士がなくなりましたあとどんな事態が起こるか等につきましては、事実行為の問題でございますので、秩序の維持、その他の観点から、われわれとしても対応しなければならない問題がいろいろ発生してまいりますので、今後とも十分検討してみたいと考えております。
  19. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 その計理士というのは、一般名前が普及しておりますから、相当専門的な人だと一般の人は思っておると思うので、そういう点でいろいろ誤解を与えて、計理士がはびこるかしれない。そういう制度がなくなっても、現実的にはそういう名前が使えるということになれば、相当悪用するような人が出てくるんじゃないかと思われますが、そういう点については、一体政令の規定があるのか、あるいはどういう方法をとるのか、これははっきりしておかないと問題が起きると思いますが、どういうふうに解釈されておるのですか。
  20. 松井直行

    松井政府委員 旧計理士法には「計理士計理士ノ稱號ヲ用ヒテ會計ニ關スル検査、調査、鑑定、證明、計算、整理又ハ立案ヲ爲スコトヲ業トスルモノトス」とあって、計理士たる資格を有しないで計理士業務を行なった者には罰金刑がございます。したがって、もう法制計理士というものはないわけでございますので、法の規定に基づきます計理士という称号と業務はなくなるわけでございます。しかしながら、いままで存在した制度であり、一般に人口に膾灸した称号でもあるということでもって、一部に不正が行なわれ、無事の大衆が被害をこうむるというようなことなきにしもあらずと、いまおっしゃるとおり心配が起こってくることも十分予想し得るわけでありますし、事実としてそういうことが行なわれる危険性があるということでございますので、いまから法制的にはっきりした対策でもってくぎを打っておくということをいまきめるわけにもまいらないむずかしさもあろうと思いますが、十分に御心配の趣旨を身に体しまして、どう処していくか、今後とも十分検討してまいりたい、こう考えております。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 いま税務署の前にその管区の税理士の名前など書いて一般の注意を引いておるのですけれども、いままでの長い習慣があって、何か計理士というと、いなかでは公認会計士より偉いんじゃないかというようなことで、世俗的なことばでありますけれども、信用されておる。これは、現実に制度は来年三月になくなっても、習慣はなかなか立ち消えないと思うのですが、そういう点で、国税局なり、そういうところで何らかの予防措置をとったならば——お医者さんなんかと違って実害はないわけですけれども、そういうばかを見る人が出てくるとたいへんだと思うので、こういう点については何か大蔵省あたりで考えておられるのかどうかということをこの際伺っておきたいと思います。
  22. 松井直行

    松井政府委員 いま仰せの御心配はまことにごもっとものことであろうと思います。制度もなくなり、そういう資格を付与される人も新たにふえるということはないわけでありまして、年がたつにつれて、自然人ですので、だんだん数は減っていって、しまいにはなくなるということになろうかと思いますが、いまおっしゃったような問題もございますので、こうした会計経理に関する特殊な職業人としては、たとえば公認会計士、あるいは税理士というものがある、こういう資格制度に基づきました職業専門会計人の制度、こういうものがある、計理士というものはいついつからなくなったということを何らかの手段方法でもって、大衆が迷わないよう、公告といいますか、告示といいますか、そういう手段を講ずることが適切であろうということは、いまお示しの線に沿って私も考えておりますので、適切な手段をとってみたいと思っております。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のように、今度日本公認会計士協会というようなものに全部強制加入させるというようなことになれば、統制とか監督というようなことの強化が考えられるんじゃないかということが心配されておりますが、そのことはどのような解釈をしてやっておられるのか。この法の精神はそういう強制的でないといいましても、実際は強制的にやらざるを得ないようなことが出てくると思うのですが、そういう点はどのようになっておりますか、お伺いいたします。
  24. 松井直行

    松井政府委員 先ほど申し上げましたとおり、公認会計士という特殊職業人自主責任体制にのっとりまして、公認会計士全体の地位の向上なり、あるいは監査技術の向上なりを通じまして社会的信頼をかちえようというところがこの特殊法人のねらいでございますが、おっしゃるとおり、政府といいますか、官からの監督規定も書いてございます。たとえば、監督措置といたしましては、検査それから報告の義務、総会の決議の取り消し、役員の解任という規定を置いておるわけでございまして、これが、自主責任体制に立ってその技術なり機能を期待しようとしておる特殊法人化の趣旨に幾ぶん反するのではないかという問題も、まさに仰せのとおりあるのではないか、こう考えますが、この特殊法人は、全体の公認会計士が強制加入ということにしようとしておりますし、登録事務を行なうというごとく、非常に公共的な機能を有する団体であり、かつ、その業務の運営は、公認会計士制度とか、あるいは有価証券制度等に非常に大きな影響を持っておるものでありますので、この特殊法人の適正な運用を担保するために最小限度の制度的な規定というものが必要であろうと思います。これは普通の公益法人といたしましての民法人につきましても、主務官庁が職権をもって業務とか財産の検査をすることができるし、その目的以外の事業を行なったときには、設立許認可の取り消しをやるという規定もあるようでありますし、また、税理士法におきましても同じような先例がございます。したがって、いま私が申し上げた程度の最小の制度担保を置くことは、極端に特殊法人機能を減殺し、特殊法人設立の趣旨に反するということはいえないと思います。最小限度の制度担保は置く必要があろうかということを考えておるわけでございます。もちろん、この協会の運営というものは、どこまでも自治機能によって適正に行なわれることを期待しておるわけでありますので、先ほど申し上げました報告とか、検査、あるいは決議の取り消し、役員の解任という監督規定は置いてはございますが、実際上はこういうものが発動されずに、自治的に彼らの手によって運営が行なわれるということを期待したいと考えております。
  25. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それから、この前あなたに質問しました中で、この改正案の中に、監査法人の仕事の中での付属的な業務と税理士の仕事とが競合しやしないかということがあるのですが、この調整はどういうふうにされるか、伺っておきたい。
  26. 松井直行

    松井政府委員 結論を先に申しますと、監査法人は税理士業務をその法人目的の中には取り入れておりません。その理由はもっぱら税理士法の側にあるのでありまして、監査業務について、新たに立法政策として法人化を考えるのが、その監査そのものの性格から見て適当であろうと考えたわけでありますが、税務代理という税理士の行為自身につきまして、いまは御存じのとおり一人一人の自然人がやっておる行為でございますが、これを法人化することにつきましては、税理士業務の本質から見て、なおいろいろ問題があろうとわれわれ考えております。公認会計士と一体同一には論じ得ないということであろうと思います。まだ今後の検討に待つところが大きいと思います。かつまた、現行の税理士法におきましては、どこまでも自然人が税理士業務を行なうということを主体にいたしておりまして、彼らが集まってある団体をつくった場合に、その団体自体が税務代理が行なえるという法制をとっておりませんので、この監査法人をつくりましたときにも、監査法人自体の業務の中にこれを挿入するということは、税理士法の観点から見てもいまのところ不可能でございますが、そのメンバー、社員たる公認会計士個人立場で税務代理の業務を禁止しておるわけではありませんので、監査法人としてはできなくても、メンバーの一人として税理士の仕事ができるという道が開かれておるわけでございます。
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のように、現在の公認会計士の人数は二千数百人といわれておりますが、登録が何人されておるかということと、同時に、いま公認会計士の実際の仕事をやっておる人は、これはあとで大臣にも伺いたいのですが、ほんとうにやっておる人はその一割かそこらで、あとはみんな税理士のような仕事をやっておるのではないのか。  そこで、今度の改正案の中には、公認会計士にいろいろ加重されたあれがあるのですが、その監査法人社員は全部公認会計士に限定されますね。こういうのを、税理士なんかを一部に入れる、そういうことはできないのかどうか。これは非常に数の多い税理士がおるので、こういう点についてはどういうように解釈されておるか、その二点について伺いたい。
  28. 松井直行

    松井政府委員 仰せのとおり、公認会計士の数は、最も新しいところで、四十一年二月二十八日現在の調査によりますと、二千五百四名であります。ところが、実際に監査証明を行なっておる公認会計士、これは少し調査が古うございますが、八百二十三人でございます。約四割ということに相なっておりますが、それは監査責任者としてやっておるのが八百二十三人でございまして、先ほど申し上げました共同事務所形態にのっとってやっておる例もございまして、監査責任者のもとにおいてその補助者として業務に従事しておる公認会計士というものもあるわけでございます。これは的確につかみ得ませんが、二千五百人のうち、そういうものも合わせますと、公認会計士の約六〇%が本来の監査業務を行なっておるということが言い得ると思います。それが御質問の第一の実情でございます。  第二に、監査法人ができたときに、そのメンバーの中に、公認会計士のほかに税理士も加えたらどうかというお話でございますが、どこまでもこの法人監査業務を主体にして、しかも、その業務組織的に行ない得るということをねらいにした法人でございますので、そのメンバー、つまり、主たる構成員というものは、どこまでも、個人としても公認会計士たる資格を持った者ということに限定するのが適当であり、かつまた、法の趣旨にも沿い、運用の要請からいってもそれが適当であろうと思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、税務の仕事も、実は欧米の監査法人の例をとっていろいろ調べてみますと、監査本来の業務のほかに、やはり税務代理の仕事も相当大きな分野を占めておるようでございます。そのほかにマネージメント・アドバイスといいますか、経営についての進言をも申し上げるというような業務もありまして、これらが総合的に運用されることによって、被監査会社も非常に便利であるし、監査法人といたしましても、その機能の発揮上、あるいは経営実態の確保の上からいいまして便利であることは間違いないところでございます。したがって、将来もし日本の税理士法というものが改正されまして、監査法人の兼業が許されるという法体系になりました暁におきましては、おそらく、監査法人は会計監査を主とするものではありますけれども、あわせて税務も監査法人業務の中に採用できるということに相なりますならば、税理士というものもその中に入ってくる、しかし、メンバーとして入ってくるのが適当かどうかにつきましては、先ほど申しました監査法人目的らいってまだ問題がございますが、税務サービスもあわせてこの監査法人がやるんだという法体系がとれる時期におきましては、おそらく監査法人の中にも税理士を採用し得る余地が相当できてくるのじゃなかろうか、こう考えております。
  29. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大臣が来られまして、時間の制約があるらしいので、大臣に先に時間の許す限り簡単にやります。  いま公認会計士法がかかっておるのですが、われわれも山陽特殊鋼のあの問題に関連して、公認会計士というものはいかにもでたらめだということを感じて、がっかりしたわけです。公認会計士は、御承知のように戦後できた制度であって、いま松井証券局長に伺うと、全国でわずか二千五百四名しかない現状でこういうようなことが実際に行なわれたということについては、大臣はどのようにお考えになるのか。こんなやかましい、試験を受けるのも非常にむずかしいようなことをやらしておいても、結局、会社から金をもらえば粉飾決算をなすというようなことは、これは非常に残念だと思うけれども、今度この公認会計士法改正されるようなことになりますが、こういうことについてはどのような処理をされるのか、どういうふうに考えておられますか。これは大臣に伺いたい。
  30. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 公認会計士の任務はこれからだんだん重要になってくると思うのです。イギリスあたりを見ますと、これは非常に高い経済社会における地位が与えられておるわけであります。制度的にはわが国も相当整ってきておるように思いますが、あとはやはりその衝に当たる関係者の徳義というか、道義、そういう問題になってくると思うのです。私は、こういう重大な職務を行なう公認会計士の皆さんに、ぜひその社会的、経済的任務というものをよく身に体して、それにふさわしいりっぱな行動をとってもらいたい、こういうことを期待する。制度としては、私は相当のところまできつつある、かように考えております。
  31. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ただいま松井証券局長に聞きますと、現在ほんとうの意味において公認会計士をやっておられる数は全体の四割程度——四割もやってないと私は思うのですけれども、松井さんのお話によると四割、無理をすれば六割程度まではやっておると言いますが、税理士の仕事をやるのなら、何も公認会計士がやることはないので、私は、公認会計士というものと税理士というものが別々にあるというととは、何か意味があると思うのです。そういう点について、今度の法案が出ても、いままでどおりになれば意味がないと思うのです。この点について、現状において、こういうような改正案が出ても思うとおり的確な効果があるかどうかについていろいろ疑問を感ずるのですが、その点、大臣どういうふうにお考えになっておられますか。
  32. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 制度的に考えられることは考えまして、逐次改善をしていきたいというのが、今回の、改正案の趣旨とするところであります。あとはやはり公認会計士制度というものに対する関係者、つまり、企業家、また、その衝に実際に当たる公認会計士自体のモラルの問題であり、その水準が高くならない限り、私は、そう完ぺきなことはできないのだ、漸を追うてこの制度の充実につとめていくということかと思います。どうも、制度で抜本的に一挙に改革ということ、これは、こういう問題ばかりじゃございません。やはり問題は、その運営をいかにするかということか、かように考える次第であります。
  33. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 いままで粉飾決算というのが問題になっております。粉飾決算というのは、企業経営の必要悪としてこういうことを考えられるようになったといわれております。しかし、これは投資家立場からすれば非常にひどいことで、まことに考えられないことでありますけれども、大蔵省は粉飾決算についてどのようなお考えを持っておられるのか、また、どんな措置をされるのか、これをちょっと伺いたいと思います。
  34. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 粉飾決算がありますことは、これはその会社を相手といたしまして経済行為をする人、あるいはその株主、そればかりじゃありません。広く言えば一般国民ということになりますが、そういうものに対して非常に好ましからざる損害を与えるというような事態にもなりますので、大蔵省といたしましても、行政指導を通じまして、粉飾決算はできる限りの是正につとめておる次第でございますが、それにもかかわらず粉飾決算が行なわれる、しかもこれが相当悪質のものであるというにおきましては、法の定めるところによってそれぞれの処分をいたさなければならぬ、そういう事例も今日遺憾ながら出てきておる、こういう状態でございます。粉飾決算などというものが行なわれないように、今後もできる限りの指導に当たっていきたい、かように考えております。
  35. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これは堀君とも話したのですが、いま早稲田大学でもめておる。そのもめておる原因は、月謝の値上げということが大きな原因なのです。公認会計士というものが本来の仕事をしてくれれば——この前、私は本会議で緊急質問したのですが、学校に対して国の経常費の補助があれば、監査をするというのは当然でございますから、これは各大学にはいやなことだけれども、公認会計士を一人つけて、そうして精査をさせるというようなことが必要じゃないか。まだそれまでに至っておりませんからわかりませんが、これは資格のある人がいやがることはわれわれもわかりますけれども、少なくとも、国の金を出す以上は、責任のある公認会計士を大学にはつけるようにすべきじゃないかというふうに思うのです。こういう点について新しい問題がございますから、私は堀君ときのう話したのですが、こういう点は大臣はお考えになっておられるかどうか、これもひとつ伺っておきたいと思います。
  36. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 もう、その会計が適正でなければならないということは、一般の企業と学校企業、つまり教育企業ですね、これとの間には差別をすべきものではないと私は思います。したがいまして、学校法人に対しまして公認会計士監査に当たる、これは私は、当然と申しますか、好ましいことである、こういうふうに考えます。しかし、これは文部当局が学校を直接監督しておるという立場もありますから、その間、一般の企業とはちょっと違ったところがありますが、そういう方向で私としては考えてみたい、かように思っております。
  37. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それから、これは前にも松井局長から聞いたのですが、計理士がなくなるので公認会計士の試験を受けさせてくれというので、大蔵委員会が骨を折って、どうにか試験を受けられるようになったけれども、なかなか成績が悪くて、うまくいってないので残念でありますが、しかし、一面、税理士のことをあとで松井さんに聞くつもりでおりますが、相当数ある中で、税理士はせめて一生涯税理士でありたくないという希望を持っておる人が、若い人には多いと思うのです。だから、第三次試験なんか、公認会計士の試験を受けられるようなそういう窓口をつくってやれば、将来希望も出ると思うのですが、こういう親心ができるかできないか。これは大臣、あるいは責任の当局に伺いたいと思います。
  38. 松井直行

    松井政府委員 いまの制度的な現状はどうなっておるかを私のほうから先に御説明申し上げたいと思います。  御存じのとおり、いまございます計理士制度が一定期間後廃止されるということに伴いまして、それぞれ資格に応じまして、税理士になる者は税理士、あるいは公認会計士になるものは会計士にという道を開く意味におきまして、第三次試験というむずかしい試験にかわるものといたしまして、そうした経験が豊かな計理士方々に適した試験制度を実施することによって、公認会計士におなりになる有資格者はなってもらおうということで、特例試験というものを行なってきたわけでございます。そのほかに、大体この計理士業務を生業としてやっておられる人につきましては、これは税理士審査会でございましたか、名前はちょっと違っておるかと思いますが、そこの認定によりまして税理士の資格が得られるという道も開いておるわけでございまして、大部分の方々は税理士の資格を得ておるという実情でございます。  なお、公認会計士特例試験につきましては、合格率も決して悪くないわけでございまして、過去三回ばかり特例試験が行なわれましたが、その合格の状況を見てみますと、答案提出者分の合格者ということではじいてみますと、三十九年の第一回が二三%、それから四十年に入りまして一回、二回とございましたのが、通算いたしまして第二回目に当たるものは二二%、それから第三回目に当たるものは一七%、平均いたしまして一八%、大体二割に近い方々が三回について合格をしておられる、いずれも受験者は大体千名前後でございまして、毎回百五十人ないし二百人の方々が合格をしてきておられる。あとまだ二回この特例試験があるわけでございますが、何ぶん実務経験はございますけれども試験に弱いという方々が非常に多いという話も聞いておりまして、こういう方々が試験をお受けになるのに都合がいいように、いろいろ受験のための講習等につきましては、大蔵省ないし現在の公認会計士協会等からも講師を派遣する等の方法によりまして、できるだけこうした残っておる方々があと二回の特例試験によって公認会計士たる資格をお取りになるに便利な方途を、しかも試験の公正さを確保しながらそういう方向に持っていきたいと思って、いま専心いろいろ力を尽くしておるわけでございます。  ところで、この特例誠験につきましては、三十九年にこの法案を御審議願うときにすでに附帯決議もついておるところでありまして、従来からこうした特別試験もやり、あるいは今回の特例試験をやるについては、これが最後であるぞ、これについてはもう期限は延長しない、延長されることがないように最善の努力を尽くすべきであるという附帯決議をちょうだいいたしておるところでございますので、先ほど申し上げました残っておられる方々につきまして、適格者の方々が、特例試験が廃止になるまでに、あともう二回の試験でできるだけ多く資格をお取りになるように、あらゆる面で便宜の供与をしたいというふうに努力いたしておるところでございます。
  39. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 現在税理士は何人くらいと推定されますか。これは数も多いことですからわからないかもしれませんが、どれくらいになっていますか。
  40. 泉美之松

    ○泉政府委員 税理士についてのお尋ねでございますので、私から便宜お答え申し上げたいと思います。  税理士の業務を行なう登録をいたしておられる方は、昨年の十一月未現在におきまして一万五千二百五十六名でございます。そのうち税理士会に入会されて、いわゆる税理士としての業務を行なっておられる方は一万三千六百八十二名でございます。
  41. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ちょうど泉さんが来ておられますから、二、三点伺いたいと思います。  今度の改正法案の中でいろいろ公認会計士監査法人というような問題が出てきて、相当ややこしいような状態になるのですけれども、これは私は、少なくとも二千名足らずの公認会計士は、日本の現在の経済の実情らいえば、当然大きな会社監査人としてほんとうの業務をやれば、おそらく税理士の仕事までやる余裕がないのじゃないかと思うのですが、そうすれば、税理士の仕事とこの公認会計士の仕事の分野をはっきりさせるべきではないかと思うのですが、この点はどういうようになっていますか。これは公認会計士試験だけ受けさして、資格だけ取らしてそんなに税理士の仕事をさせるというのでは、ぼくはどうも改正案の趣旨がおかしいと思うのですが、その点は泉さん、松井さん、どちらでもよろしいですが、どういうようにお考えになっていますか。
  42. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、現在のところ、公認会計士は税理士の業務を営むことができることになっておりまして、先ほど申し上げました一万五千二百五十六名の税理士登録をされておられる人の中に公認会計士の方は千七百九十六名おられるわけでございます。したがって、公認会計士二千五百人のうち千八百人に近い人が税理士としての業務を実はなさっていらっしゃるわけでございます。これは御承知のとおり、監査の対象法人が当初少なかった、そのために公認会計士としての資格を取得しても、なかなか公認会計士としての監査証明の仕事は少なくて、したがって税理士のほうの仕事をやっていかざるを得なかった、こういう面が相当強かったと思うわけです。ただ、これが今後監査法人などもできまして、公認会計士立場が強化されてまいる、そうして、語弊があるかもしれませんけれども、いままで監査証明につきまして必ずしも十分でなかったという面につきまして相当力を入れていくということになりますと、おのずから公認会計士としての本来の仕事に従事する面が多くなってまいりまして、税理士としての仕事に従事する面は若干少なくなるんではないか、このように思っておるわけでございます。ただ、先ほどもお話がございましたように、現在の税理士法におきましては、税理士業務自然人たる個人だけしか営めない、こういうことになっておるわけでございますが、今度公認会計士監査業務につきまして監査法人制度がとられてまいりまして、それによって公認会計士としての地位が高められるというふうになってまいりますと、かねてから税理士につきましても、税理士業務につきまして法人化を認めるべきかどうかという点が大きな問題になっておるわけでございます。まあ、現在までのところ、弁護士と同様に、税理士はその業務の性質から見て自然人のみが行なうことにするのが適当であるということでまいっておりますけれども、しかし、いま申し上げましたような事態から、税理士につきまして法人化を認めるかどうか、これは大きな研究問題として私どもは今後検討してまいらなければならぬと思っております。そういうことになりますと、また、公認会計士と税理士、この両方の仕事の分野をどういうふうに持っていくか、これはなかなかやっかいな問題であろう、このように思っております。
  43. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 泉さんにもう一点伺いたいのですが、最近ある国税局長が、「税理士等の関与状況調査票」、また「税理士等のカード」に対して秘密通達を出したというようなことを聞いておりますが、これはあなたのほうでお出しになったのかどうか。これは国税局長がかってにやられたのか、あまりいいことでないように聞いておりますが、どのようになっておりますか。
  44. 泉美之松

    ○泉政府委員 その点につきましては、税理士の方、先ほども申し上げましたように、相当多くの方が納税者の依頼を受けまして税務書類を作成する、あるいは税務代理を行なう、税務相談に応ずるというようなことで、納税者にいろいろ接しておるわけでございます。ただ、税理士の業務のやり方を拝見いたしますと、大部分の方はきわめて適正にやっておられるわけでございますが、ごく一部の方でその業務のやり方が適正でない場合があるわけでございます。そういった方々につきましては、監督官庁である国税庁といたしましては、その税理士の方を指導いたしまして、そういう事態が改善されるような方向に持っていかなければならない、このように考えておるところでございまして、そのような考え方らいたしまして、昨年、国税庁長官から「税理士の指導監督について」という通達を出したわけでございます。これに基づきまして、ある局におきまして出しました通達を見ますと、本来国税庁で意図いたしておりますことより以上に、ややそれをふえんが過ぎまして、世の誤解を招き、穏当を欠くように見受けられる面がございます。この点につきましては、昨日も横山委員の御質問が税の執行小委員会でございまして、私どもといたしましては、それらの点につきましては、世の誤解を招くことのないように是正をはかりたい、このように考えておるわけでございます。
  45. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 泉さんからいい話を聞いたんですが、その税理士として適正でないという行為ですね。具体的に言って、どんなようなことをやったのですか。こういう公開の席だけれども、これは大事なことですから、ひとつ具体的な話を伺っておきたい。
  46. 泉美之松

    ○泉政府委員 これは、税理士につきましては税理士法の規定があるわけでございますが、それに違反していろいろな好ましからざることを行なっておるわけでございます。その内容を大ざっぱに申し上げますと、たとえば、納税に関して詐欺、横領を行なう、たとえば、この税金は私が税務署に納めて差し上げますということで受け取っておきながら、現実に納めなかった、あるいは、脱税の相談に応じてはいけないということに税理士法の規定がなっておりますが、その脱税の相談に応じて、脱税をはかった、あるいは、税理士業務に関連いたしまして、国家公務員である税務職員に贈賄を行なったということ、あるいは、税理士の業務を行なう場合に名義貸しをしてはいけないということになっておるわけでございますが、その名義貸しを行なったといったような種類のものが年々相当——いま申し上げました税理士業務を実際やっておられる一万三千人の方に比べますと、年々二十件ないし三十件程度でございますので、ごくわずかでございますけれども、そういうことで処分をせざるを得なかった事例があるわけでございます。
  47. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 その処分について、どれぐらいまで国税庁は権限があり、その点は警察とか検察庁なんかにあれしないで大蔵省でやれる権限というのは、どの程度までやれるものですか。
  48. 泉美之松

    ○泉政府委員 これは税理士法に規定がされておりまして、最高は業務禁止、それから業務停止、戒告、こういう処分になっておるわけでございます。
  49. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 いま言われた詐欺、横領とか、脱税の幇助をやるようなことは、これは絶対困りますけれども、しかし、いま言われるように、事例が全体の何千分の一ということだから、そういう悪い者はあなたの言われるように処分してもいいけれども、善良な税理士に疑心暗鬼を起こさせないようにしてもらいたい。特に私らは地方でいろいろ国税局にもやっかいになりますし、税務署とも直接関係がありますからいろいろお話しに行くのですが、そういう点について十分ひとつ検討してやっていただきたい。  それから、この前、これは泉さんのときではありませんけれども、税理士法が出たときにわれわれは非常に反対をしたのですが、それはどういうわけで反対したかといえば、これは税理士は、自分の収入の源泉としては、やはり税金の問題について利益を受ける人から金をもらうので、これは税務署の署員と同じ立場にはなり得ない点もあると思うのです。そういう点で、当時の谷川さんと盛んにわれわれ議論もしたのですが、この点が非常にむずかしいことで、私たちは、いまあなたの言われた事例について、そんなことをやっていいとは申しません。けれども、まあ、そういうようなわずかな人のために大ぜいの人が、昔からいっている、何か角をためて牛を殺してしまったようなことになると非常に悪いので、そういう点でいろいろ考えているのですが、どうも公認会計士のような試験も受けられない、それから税理士の分野はどんどん公認会計士にとられる、今度特に監査法人になれば、ますます税理士の仕事というものは非常に狭くなってくる、また収入も減ってくる、そういう杞憂なしとしないと思うのですが、こういう点については、大蔵省としてはそういう心配をしておられるのかどうか、そういうことはあり得ないと思われるのかどうか、この点もひとつ伺いたいと思います。
  50. 泉美之松

    ○泉政府委員 先ほど申し上げましたように、従来公認会計士の資格を持っておられる方も、監査証明の仕事というよりも、むしろ税理士の仕事に重点を置いておられた点が多かったように思うわけでございますが、今後公認会計士としては、監査証明の仕事にもっと力を出していくということになりますれば、これは本来の税理士としての仕事は税理士が行なうという面がむしろ出てくるのではないかというふろにすら考えておるわけでございます。ただ、監査法人という竜のができますと、その監査法人というのは相当強力なものになってくると思います。そういたしますと、個々の税理士としての経営よりも、監査法人としてやっていくほうがより強力な、また世間の信用もより多くなってくるということが考えられますが、そういたしますと、税理士としても、個人でそういう監査法人に対抗してといろわけになかなかいかない面が出てまいります。そういった面からいたしまして、先ほど申し上げましたように、税理士業務を行なうもので、いままで自然人に限っておるわけでございますけれども、法人化を考えるかどうか、これが大きな問題になってくると思います。そういう点を今後検討してまいりたいと思っておるわけでございますが、さしあたりのところ、従来公認会計士監査業務の仕事が十分でなかったのがむしろ十分に行なわれるということが主でありまして、税理士の仕事にそれほど大きな影響を来たすものとは考えておりません。
  51. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 先ほど大蔵大臣にもちょっと質問したのですが、もし公認会計士が本来の仕事をやっておれば、私は当然粉飾決算などということはあり得ないと思うのですよ。これは今度の改正ができたらそういう粉飾決算なんかは公認会計士はやらぬという保証があるかどうか。これはおそらく公認会計士のこの法案でそういうことのないような監査法人なんかつくって、本来のことをやられる御意思であろうけれども、法律は、形だけはできても、魂がなければなかなかそういうようにいかないと思うのです。こういう点については、これは泉さんからでも松井さんからでもいいですけれども、どういうように考えておられるのか。それの保証をとらなければ、われわれはこういうようなりっぱな、大きな法律をつくっても意味がないということになると思うので、そういう点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  52. 松井直行

    松井政府委員 粉飾決算をなくする有効な手段いかん、今回の公認会計士法改正だけで十分かどうか、こういうところに御質問のポイントがあるように思います。  先ほども申し上げましたが、有価証券という形で長期の金を一般大衆から集める方法でございますが、企業が正規の方法でそうした長期の資金を集める、投資大衆から見れば、そうした自分の家計の蓄積を証券という形で安心して投資できる、そういう投資家保護の観点らいいましても、またそうした家計の蓄積が有価証券という形で転々流通いたしておるわけでありますので、そういう流通の円滑化投資家保護の観点から、絶対に粉飾決算はあってはならないというのは、仰せのとおりでありますが、先ほど大臣からお答えがありましたように、制度的な面ではできるだけ手を打つが、あとは非常に道義的な面に期待しなければならない面も多いということをおっしゃったわけでありまして、まず第一番目は、その資金を集める企業家自身が、企業の自己責任、対社会責任というものを十分徹底して認識するということが出発点だろうと思います。およそ商人として守るべき法規範は商法というものがあるわけであります。商法典をはじめ、商道義に徹するということがまず基本であろうと思います。したがって、企業みずからが真実な経営内容というものを公開するという、いわゆるディスクロージャーの原則を経営責任観点に立って徹底させていくということが基本であろうと思いますが、それに加えまして、第三者的立場からこれを保証し、担保するものとしての公認会計士監査、その監査の体制の充実強化をはかろうというのが、今回のこの法改正の趣旨でございます。  大蔵省といたしまして、従来監査体制の充実強化をはかるために、今回の法改正のほかにいろいろなことをやってきております。その第一番は、企業会計審議会の答申に基づきまして、公認会計士がどんな手続で監査を進めるか、この監査実施準則というものが不徹底であるという御意見がございまして、審議会で十分審議して御答申をいただきまして、監査の内容を充実するために、この改正案というものをつくりまして、本年三月期の監査から適用しております。この内容は、すでに御存じのとおり、会社の対外債権を実際に確認するということ、それから在庫品の検査についても必ず立ち会いをやるという問題、あるいは税務申告等についてもよくこれと符合して調べてくるというような問題、あるいは主要な取引先につきましては、その会社だけとってもよくわからぬ、徹底して調べるためには、関係先へ、必要があれば往査する等のことを中心にいたしまして、監査実施準則の改正が行なわれたわけでありますが、なお、これに続きまして、監査基準、それから監査報告準則の改正につきましても現在同審議会において検討中でありまして、新しい時代の要請に沿うようこれが改正が行なわれる日も近いことだと考えております。  それから第二番目は、親会社の経理の公開と申しましても、親会社だけを徹底的に調べましても全体としての財務体質なり企業成績というものはなかなか把握しにくい、親子会社を一体に含めまして、グループとしての一つの企業体というものを考えまして、財務体質をあらわします財務諸表の制度につきましても、いわゆるコンソリデーテッド・バランスシート、連結財務貸借対照表という制度、これはすでに先進国では相当発達しておるところでございますので、その制度の導入につきましてもわれわれ現在鋭意検討中であります。わが国の実情に沿うようにそれを導入するにつきましてはなかなか問題の多いところであろうと思いますが、より一そう監査を徹底し、ディスクロージャーの制度を徹底するためには、ぜひとも先進国が行なっておりますこういう制度の導入をするということもあわせ考えなければならないと思っています。  さらに第三番目は、これは行政の実施でございますが、証券取引法及び公認会計士法が施行されてから相当年限はたつわけでありますが、事実上、有価証券報告書とかいうものを中心にいたしまして実質審査をやり、粉飾決算について訂正も命じ、あるいは場合によっては刑事訴追を行なうということは従来行なっておりませんでしたけれども、ほんとうの意味において公認会計士法及び証券取引法の精神に基づいた行政を実施する決意を固めまして、御承知のとおり、昨年の三月期の決算以降のものにつきまして報告書、届け出書の審査体制を充実してまいったところでございます。  このような措置をとることによりまして、粉飾決算に対するきびしい社会的な世論に十分にこたえていきたいというふうにいま考えておるところでございます。
  53. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点伺いたいのですが、いまの予定では、あなたの経験からすれば、公認会計士は一年に何人くらいずつふえていくかという問題、これはあらかたでいいですけれども、そういうことについてどのような見解を持っておられるのか、そのことをちょっと伺いたいと思います。
  54. 松井直行

    松井政府委員 何人ずつくらい公認会計士がふえていくかということでございますが、第三次試験の合格者の推移がどうなっておるかによってお答え申し上げるより方法はないと思います。四十年度の一回、二回の第三次試験の合格者の合計を見ますと、一回が百十九人、二回が百二人で二百二十人余り、三十九年の一回、二回を見てみますと、一回が八十八人、二回目が百十五人、大体二百人程度の者が第三次試験として新たに公認会計士の資格を取ってくるわけでございますが、とのほかにもう二回特例試験がございます。この特例試験の合格者は、先ほど申し上げましたとおり、率にいたしまして一五ないし二〇%くらいの合格率でございますが、合格者の実数を申し上げますと、第一回が二百七人、第二回が九十六人、第三回が百五十五人ということでございまして、平均百五十人くらいはこれの上積みとしてあと二回の特例試験によって有資格者がふえるという実情でございます。
  55. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 何といっても税理士が一万五千人以上ある中で公認会計士は二千数百人、二十年たっても三千人か三千五百人にしかならない。いわば非常に高級な、りっぱな一つの権威ある公認会計士だと思うのです。試験も非常にむずかしいらしい、なかなかたいへんなようでありますが、しかし、せっかく公認会計士法が新たに改正をされる以上は、これが有効適切に、やはり一般社会からも非常にりっぱなものだという尊敬と信頼を持たれる必要があると思う。そういう意味において、私は公認会計士法というのは重要な法律だと思うのですが、その点について、最後に藤井さんから、どういうような趣旨で今後処理されていくのか、その点をひとつ政務次官からお伺いして、私の質問は終わります。
  56. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 先刻来証券局長らいろいろ御答弁いたしておりますように、やはり今後日本の企業がいわゆる開放経済体制に入りまして国際的なレベルで会社の経理内容が公開をされていく、こういう線に沿うには、やはりそれに値するような監査機能が確立されなければならぬ、このように考えるわけでございまして、とりあえず、今度の改正はその趣旨に沿うた一歩前進である、今後またいろいろ具体的な問題に直面いたしまして改善をはかることにやぶさかであってはならない、このように考えておる次第であります。
  57. 三池信

    ○三池委員長 永末英一君。
  58. 永末英一

    ○永末委員 公認会計士の数を先ほど承ったのですが、これが監査をしております相手方の会社の数は幾らぐらいですか。
  59. 松井直行

    松井政府委員 先ほど公認会計士の数を二千五百人と申し上げましたが、四十年十二月末現在におきまして、証券取引法に基づいて監査を受けねばならない会社の数は二千二百二十六社でございまして、被監査会社一社当たり大体一人の公認会計士という割合に相なっております。
  60. 永末英一

    ○永末委員 会計士の数と会社の数とが、数だけ見ると合っておりますが、内容は、一人の公認会計士で最大限何社持っておるのがおるか。そういうことはどの程度わかっておりますか。
  61. 松井直行

    松井政府委員 一番多い例は、いま四十四、五社持っておるという例が一番多いようでございますが、これは先ほどから申しておりますように、自然人たる一人おやじの一人事務所というのではなしに、相当大きな組織的な事務所を持っておりまして、一人のおやじのもとにアシスタントとして有資格者たる公認会計士を相当使っておるという事務所形態をとっておるところにおきまして四十数社の被監査会社を持っておるという例がございます。
  62. 永末英一

    ○永末委員 まあ、アシスタントを持って四十ないし四十五、六社持っておる。そうすると、公認会計士というものは、一人当たりにして大体どの程度の監査能力があるとお見込みですか。幾らでもできるのか。個人であるならば、大体人間の能力には限界があるはずですから……。
  63. 松井直行

    松井政府委員 御存じのとおり、日本法人はほとんど半期決算をとっておるので年に二回やることになると思います。したがって、法人数一と申しましても二件という計算になる場合が多いのでございますが、一人おやじでやっております公認会計士が適正に監査し得る、十分徹底した監査が可能であると思われるのは、おそらく一人につきましては、三、四社がせいぜい限度じゃなかろうか、現在そうしたいろいろな形態をとっておりますのを総平均しまして、まあ一人当たり二社ないし三社の監査をやっておるというのが実情でございますので、能力の限度は大体そんなところじゃなかろうかと推定いたしております。
  64. 永末英一

    ○永末委員 現在この法律によって一応監査対象になっておるものが二千二百数社である、そして試験制度によって毎年二百名くらい公認会計士になる。先ほどの説明によりますと、現在でも公認会計士の中で監査業務をやっておるのがその六〇%くらいであろう、そうしますと、対象会社はどんどんふえていくのか、ふえていかないとすれば、公認会計士がふえてくれば、一人当たりの担当する会社数はふえないでめしは食えない、そうすると税務業務ばかりやっていくことになると思いますが、その辺の見通しはどう考えておられるかお伺いしたい。
  65. 松井直行

    松井政府委員 御存じのとおり、被監査会社と申しますものは上場会社です。そのほか、五千万円以上の増資を行なった会社等がございますが、それらを充足していく会社は年々ふえていく、企業資本の充実の傾向に伴いましてふえていく、したがって被監査会社の数はどんどんふえていくということでございますが、一方、先ほどから申し上げておりますように、監査の手数といいますか、内容といいますか、それを充実させていく必要があるというところに大きな問題があるわけでございます。現にADRなんかを発行いたしております日本法人につきましては、すでに日本公認会計士監査をやっておるのですが、あらためてアメリカパートナーシップ組織による公認会計士日本に参りまして、日本公認会計士がやっておる数倍の陣容と数倍の日数をかけて徹底して監査をやっておる、そうしないと、どうも日本公認会計士だけの監査では信用しないという傾向があるようでございます。一昨日ですか、新聞にも載っておりましたが、イギリスの某アンダーライターである大きな証券業者が来ておりまして、日本の株式について英国の関心は非常に薄いのだけれども、同時に、日本会社に対する監査というものがアメリカほど徹底しておらないところに日本の株式に対する心配があるというようなことを言っておった記事も、私拝見いたしたのでありまして、対外的にも信用を博し、広く海外に資本を求めるように相なる情勢が来るのに対応いたしましても、もっと徹底した、充実した監査をやってもらわなければいかぬというわけでございますし、先ほど申し上げましたとおり、監査実施準則も非常に幅を広げて仕事の範囲をふやしておりますし、それからコンソリデーテッド・バランスシートという制度を導入いたしますと、いまよりも徹底した監査、もっと広い監査、もっと手数のかかる監査が必要になってくるわけでございますので、公認会計士が仕事がなくなるということじゃなくして、ますます公認会計士に対する需要というものがこの面でもふえてくるんじゃないか、こういうふうに考えております。
  66. 永末英一

    ○永末委員 つまり、監査内容をもっとしっかりしたものにするためには公認会計士の数が必要だ。ところで、上場株でやっておる会社数の最折の伸びはどういう傾向ですか。
  67. 松井直行

    松井政府委員 上場会社の数はあとで御報告申し上げますが、上場その他の要件がございまして、被監査会社というものが規定されておるわけでございます。したがって、御質問の趣旨は被監査会社の数の伸びであろうと思いますので、その被監査会社の数の推移について申し上げたいと思います。  二十六年九月三十日、これは監査実施の当初でございますが、四百四十六社でございます。それが二十九年十二月になりまして八百四十三、それから三十一年十二月になりまして九百五十二、三十四年に入りまして初めて一千台になり、千百八十七、それが三十六年十二月に千七百二十九、これは東証その他の主たる取引所で第二部の市場が開設されたすぐあとでございます。三十七年十二月、千九百七十六、三十八年十二月、二千百五十五、三十九年十二月、二千二百二十九という推移に相なっております。
  68. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、ここ数年の間大体百ないし百五、六十というところで伸びておるわけですね。大体それぐらいは経済に激変がない限り今後も伸びていくだろう、こういうお見込みですか。
  69. 松井直行

    松井政府委員 おおむね仰せのとおり推定いたしたいと思います。
  70. 永末英一

    ○永末委員 そこで、監査内容の深度が深まってくれば監査のやり方も変わってこざるを得ない。アメリカ等でやっておりますのは、人数だけ多いのか、たとえば計算機等の人間の使用する器具機械、そういうものも大いに使っておるのか。わが公認会計士さんはそろばん以外の何を使っているのか、ちょっとお知らせ願いたい。
  71. 松井直行

    松井政府委員 最後に申されました計算の機械化ということにつきましては、監査の特質上そんなに影響するところもございませんし、そうした計算機の発達等につきましてもそう遜色はないと思うのですが、非常に大きな違いは、先ほどから申しておりますとおり、組織的な監査が非常に徹底しておる、したがって、アメリカから日本会社を見に来る、調べに来ますときにも、実働隊としての兵隊だけが来るというのじゃなしに、まず最初に乗り込んで来るのは、何人くらいの編成で、どういう専門家を何日くらい従事させればいいか、そうした監査のプランを立てる責任者が参ります。そういう計画に従いまして実施をやるという点におきまして、監査それ自身が非常に計画化、組織化されて行なわれておるというところが非常に大きな違うところでございまして、われわれ日本もそういうふうにやっていきたいというふうに考えております。  さらに、監査の徹底の程度でありますが、人員と申し、監査日数と申し、監査実施基準、実施準則その他が、どうも日本よりももう少し徹底しておるようでありまして、いずれも日本で行ないます投入人員、所要日数よりも相当数時間をかけ、人も投入してやっておるというのが実情でございますが、日本の場合におきましても、先ほど申し上げました関係会社に将来連結貸借対照表という制度が導入されますときには、いやがおうでもそういう方向に進んでいかなければならないという命運にあると考えております。
  72. 永末英一

    ○永末委員 そういう人員においてもよく組織化され、また数においても多い、こうなれば、その監査を受ける会社が支払わなくちゃならぬ部分もきわめて多くなってくる。わが国の場合には自然人である単独監査がいままではたてまえでございましたから、したがって、公認会計士の受ける報酬もそういうところに基準を置いて支払われてきておったと思います。  そこで、例をあげてわが国の報酬の立て方と、たとえば、アメリカのそういう巨大なる組織、人員を擁する監査の場合の報酬の立て方、これを御説明願いたい。
  73. 松井直行

    松井政府委員 わが国で行なわれています監査報酬の基準がどうなっておるかということからまず申し上げようと思います。  何ぶん、一人一人の公認会計士と被監査会社との契約ということで、公認会計士独立性の維持などが非常にむずかしいという問題が従来からございまして、日本公認会計士協会と経済団体連合会との間の申し合わせでこの報酬の標準がつくられるということに相なっております。これによりますと、日本監査報酬の体系は、基本報酬と執務報酬に分かれております。基本報酬と申しますのは、一事業年度ごとに幾ら、たとえば、一部の上場会社でございますと三十万円、二部の上場会社でございますと二十万円というような形で基本報酬がきめられておりまして、そのほかに執務報酬というのは、実際会社に参りまして調査をいたします日数一日について幾らというふうにきめられております。監査責任者につきましては、一日が一万円、それから監査補助者につきましては、これは二つございまして、公認会計士たる資格を持っておる者が七千円、それから会計士補が四千円ということに相なっていまして、総括といたしまして、実際には一事業年度当たり大体五十万円、したがって、半期決算であれば年間百万円というのが大まかの大体の水準でありまして、こういう例が多いというふうに聞いております。アメリカ報酬は、まだ非常に徹底して調べておるわけでもございませんので詳しい資料はございませんが、先ほど申し上げた従事日数に応ずる執務報酬等につきましては、もっと厳格でございまして、一日当たり幾らでなしに、一時間当たり幾ら、これは非常にアメリカ流だろうと思います。そのほかに、まず職階制でございます。職階制によっていろいろ報酬も違うという制度をとっておるようでありまして、一つの与えられた仕事を完遂するために日本報酬アメリカ報酬等をじかになかなか比較しにくいわけでありますが、大体日本の十倍くらい監査報酬を取っておると考えて大体間違いがないのじゃなかろうかというふうに計算をいたしております。
  74. 永末英一

    ○永末委員 もともと監査証明をやるというのは、第一のねらいは、投資家がその会社について的確な判断ができるように、そういう内容を明らかにするというのが一つ目的ではないかと思うのです。そうしますと、それぞれの事業会社は、自分の会社の経理の内容というものを正確に、法律上義務かどうか知りませんが、投資大衆に示すことが義務ではないか。そこで、一体、自分のところが一事業年度でどの程度の商売をやり、どの程度の利潤をあげてくるかということに関連しますと、いま御説明のありましたように、一事業年度百万円程度というのが一体合理的なのかどうか。いまアメリカ日本の場合を比べますと、アメリカは十倍くらいと言われたのでありますが、実額は問題ではなくて、その会社の持っておる一事業年度の商売の高、利潤、それと見合いながらどの程度のものを監査のためにさかなくちゃならぬか、こういう客観的な一つの基準というものが出てきておるのではないか、そういう感じがいたすのですが、その辺に対する考え方を伺いたい。
  75. 松井直行

    松井政府委員 仰せのとおり、監査を受けます会社も、これは企業でございます。したがって、自分の会社が年々あるいは事業年度ごとに幾ら収益をあげるか、それで、弁護士報酬をはじめ、こうした一種の営業外の費用という気持ちを持つ方が多いかと思うのですが、弁護士とか公認会計士に幾ら払えるかということは、おそらくその会社の収益力と関連させて経営者が考えるのもやむを得ないところであろうと思いますが、いま申し上げました一事業年度当たり年平均大体五十万円と申しますのは、そう多額のものでもないと思います。一方、企業家の社会的責任という観点に立ちますときには、少々金がかかろうと、やはりこれだけの金を支払って第三者に的確な監査をしてもらうというだけの犠牲を払うととは、社会的責任から見て当然であるという感じにやはりなってもらわなければいかぬ。いまのところでは、仰せのとおり、会社内部でいろいろ監査組織を持っておりますので、公認会計士という第三者監査はいかにもよけいなものだ、よけいなものによけいな費用を払わなければならぬという感じが強いようであります。こういう経営者のものの考え方をまず徹底的に直してもらう必要があろうかと思います。これが第一点。  それから、公認会計士も、この労務を提供したその反対給付を取るという際にも、それだけの値打ちがあるものとして会社からやはり喜んで払ってもらうだけのいい監査、いい仕事をやるということが必要になってくるんじゃなかろうかと思います。先ほどもちょっと申し上げましたが、米国の場合におきましては、単にSECがあるから、あるいは新たにアンダーライターに株や社債を引き受けてもらうために、法制上必要だからやむを得ず監査を受けておるんだということのほかに、この監査人からあわせて税務のサービスも受けますし、その他経営の管理等につきまして、その公認会計士がほかの同種の会社をいろいろ監査をやっておるそういう実例、経験等に徴していいアドバイスも行なうということでもって、監査を受ける会社公認会計士監査について非常に感謝してその監査を受けているのでありまして、こういうメリットが生じてくるならば、少々の犠牲でも、この社会的責任と符合して考えますときには、相当な報酬公認会計士に払うのは当然であるという概念になってくるはずでございますが、一日も早くひとつそういう方向日本も持っていきたいというふうにわれわれは考えております。
  76. 永末英一

    ○永末委員 会社のほうは、公認会計士監査を受けるのが自分の正常な事業運営の不可欠の要素である、メリットがあるから払うというのじゃなくて、そういう気持ちにならなければ、この法律をつくる、しかも、公認会計士を強制的に一括加盟せしめる特殊法人をつくるというのは意味がないのじゃないか。不可欠の要素だ、そう思ってもらわなければならぬとぼくは思うのですが、どうですか。
  77. 松井直行

    松井政府委員 私もそういう趣旨で申し上げたと考えておりますが、まさに仰せのとおりであります。
  78. 永末英一

    ○永末委員 そこで、現在は、先ほどの御説明によりますと、公認会計士協会と経団連とが申し合わせをしてああいう標準をつくった。いつつくったか知りませんが、いつつくったかということと、いよいよ今度の法律では、「その会員の受ける報酬に関する標準を示す規定」は、新しくできる協会一つの事業の内容になります。これは一体協会が単独でこの基準を示せるのか、それとも、いままでの慣例に従って、経団連等と相談をしてきめるのか、その二点をひとつ伺いたい。
  79. 松井直行

    松井政府委員 報酬は、三十二年に標準報酬規程というものが申し合わせでできておりまして、その後、三十七年に改定し、先ほど申し上げましたのは、四十年十月の改定の分でございまして、四十年十月には相当大幅の引き上げになってきておるところでございます。  さらに、第二の御質問の、監査法人に対する報酬はどうしてきめるのかという問題でございますが……。
  80. 永末英一

    ○永末委員 いや、監査法人じゃないんだ。四十四条の八号「会員の受ける報酬に関する標準を示す規定」というのは、これは全部にかかるのでしょう。
  81. 松井直行

    松井政府委員 自然人たる公認会計士のみならず、監査法人の受ける報酬につきましても、この公認会計士協会でもってこの標準報酬をきめるということにいたしておりますので、これも経済団体連合会との間でネゴシェートが行なわれる必要があろうかと思います。
  82. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、自然人たる公認会計士がやる場合の基準として、先ほどのような申し合わせが経団連といままでの協会との間にある。いよいよ監査法人をつくって、しかも、それは五人以上ということになりますと、同じ基準では、五人ではぐあい悪いわけですね。その点では、当然その標準報酬についての基準が変わっていかなければならぬと思います。ところが、受ける企業のほうは、出すのは自分のところひとつであって、そうすれば個人に請け負わしたほうが安く、監査法人が高い、そうすると、監査法人を相手にしない、こういう現象が起こったのでは、監査法人という新しい制度をつくられようとする趣旨が貫かれない、こういうことになるのじゃないかと思います。その辺の見解並びに指導はどういうふうにやられるか、伺いたい。
  83. 松井直行

    松井政府委員 おっしゃる問題も起こってきょうかと思いますが、現実にどんな形で報酬の標準が示されるか、いまにわかに決定的なことは申し上げられませんが、個人ならば安いが、監査法人では高いということには相なるまいと思います。何となれば、非常に大きな法人でございまして個人監査では不徹底だという場合には、現在行なわれておりますように、共同監査という形で数人が相寄って監査が要請されるということに相なるわけでありまして、監査法人の場合でもメンバーが全部それに参加するのではなしに、その中の特定人、数人が必要の限度に応じて監査に従事するということに相なるわけでありますので、実際その会社について何をどの程度見る場合には幾ら要るかということは、個人の集合であろうと法人内部から派遣される公認会計士の数であろうと、そこは変わりはないものと考えます。したがって、やはり監査法人の場合でも基本報酬というものもございましょうし、それから普通の報酬につきましては、現実に投入された人数というものが基準になってくるのじゃないかと思いますが、さらに事態が発展いたしまして、長年の間にりっぱな監査証明をやる、社会的な信用がつく、そこの監査法人監査証明のあるものについては、大蔵省に出したいろいろな申請書についても非常に早くあっさりと通るという社会的信用がだんだん自然のうちに積まれてくることもわれわれ期待しておるわけでありまして、そういうふうに持っていきたいと思っております。そうなったときには、やはりこの監査法人報酬が、監査法人がなかったときよりも幾ぶん高いのではないかという問題が起こりましても、さすがに、そういう信用のある監査法人から監査をしてもらったならば、一般の投資者に対する証明の程度も非常に有効であるし、大蔵省も信用してくれるということに相なりますと、それだけの報酬を払っただけの値打ちはあるということにもなってくるわけでもありますので、ここは合理的に、その信用度に応じて、報酬というものが個人の場合と法人の場合にはそう懸隔なしにきめられるのではないか、また、そういう方向に持っていきたいとわれわれは考えております。
  84. 永末英一

    ○永末委員 いままででも共同して何人かの公認会計士が大きな事業会社の場合には当たっている、監査法人をつくってもそれは変わらぬのだ、こういうお話ですが、しかし、監査法人を設けられた意味合いは、たとえば、証券行政を見ている目から見れば、ある一定度の大きさの事業体は、やはり個人個人ではなくて監査法人にすべきだという趣旨が先行しておるやに思うのですが、そうなれば、行政指導として、この程度の事業内容を持つこれくらいの規模以上のものは、個人個人ではなくてやはり監査法人でやれ、こういう指導がなされるべきだと思いますが、いかがですか。
  85. 松井直行

    松井政府委員 先ほど私、監査報酬の御質問でございましたので、報酬中心にいろいろお答えしてまいったのでありますが、いま伺いますと、ポイントが少し違っておったように思いますので訂正いたしますが、おっしゃるとおり、個人の臨時的な集団による監査では、まず継続性がございません。それから、監査証明をしたという個人の集団でございまして、監査主体というものを対外的に表示するすべもないということでございますが、あわせて機能的に組織的な監査をやろうと思いますならば、先ほど私が申し上げましたアメリカの例にありますとおり、やはり法人組織をとったもの、内部経営体制というか監査体制というものを強化して、その効果を十分発揮するということを期待しなければならないわけでありまして、単なる個人の集団の場合を乗り越えて、組織的な監査効果が発揮し得るというのが今度の監査法人のねらいでありますので、当然そうした方向に帰納するようにわれわれもしたいし、行政指導もしなければならないと思います。あわせて、被監査会社の側にとりましても、非常に大きな会社とか、非常にむずかしい会社とか、いろいろな業種にわたって一体として監査証明をするという場合には、当然そうした組織化された監査法人監査を受けるのが適当であると思いますし、また、そういう方向に自然に進みましょうし、行政指導の観点からもそういう方向に持っていきたい、仰せのとおり、そういうふうに考えておるわけでございます。
  86. 永末英一

    ○永末委員 会計士補という制度法律に書いてありますが、これを読みますと、第二次試験後第三次試験を受けるまでに三年以上実務に携わらなければならない。会計士補が報酬を得てやる業務も書いてありますが、これはしかし公認会計士業務の中のごくごく一部分である。そうしますと、第二次試験を受けて、何歳になるかわかりませんが、大体何歳くらいの人がそれになっておるか、これも伺いたい。  それから、先ほどのお話では、年々第三次試験の合格者は二百名程度である、そうすると会計士補の現在人員でどの程度でこれが消化されて公認会計士になれるのか、あるいはどの程度が浪人をやらなければならぬか、この辺のお見通しを伺いたい。
  87. 安井誠

    ○安井説明員 会計士補と申しますのは、御指摘のとおり第二次試験を合格しました者が会計士補の資格を得るわけであります。その後三年間、うち一年間は実務補習、二年間は業務補助をいたしまして、三年たちますと、第三次試験の受験資格が得られるわけであります。現在までの試験の経過を見てまいりますと、両方とも試験の合格率が非常に低うございまして、第二次試験、つまり最初に会計士補になるのにも約七%から八%であります。それから第三次試験の合格率が大体一三%程度と記憶しております。したがいまして、会計士補になりました者が、会計士補では、御承知のとおり公認会計士としての監査証明業務は行なえないで、公認会計士監査証明業務の補助を行なうにすぎないわけでありまして、どうも職務そのものが安定しておらぬという議論があるわけであります。現在でも公認会計士補の方々、特に会計士補を通られて公認会計士になられた方々の御意見では、何とか現在の制度を直してほしいということを承っておるわけであります。
  88. 永末英一

    ○永末委員 現在の会計士補は何人ですか。
  89. 安井誠

    ○安井説明員 現在会計士補といたしまして登録をいたしておりますのが、二月二十八日現在でございますが、六百五十三名でございます。二次試験に合格いたしまして、まだ登録はいたしてない者の数が約七百名ぐらいこのほかにあろうかと思います。
  90. 永末英一

    ○永末委員 その会計士補の中で、いま承りますと、三次試験に合格するのが二二%程度だ、毎年毎年七、八%程度の二次試験合格者、大体数字は何ぼかわかりませんが、その数字をお知らせ願えれば——会計士補を長年やっておる人というのがおるわけですね。この人々は制度上きわめて微々たる報酬しか受けられない。こういうぐあいになってきておると、この会計士補という人に対しては、この提案されております法律案はきわめて酷である、こういう結論が出てくるわけですね。その辺の御見解を承りたい。
  91. 安井誠

    ○安井説明員 現在の公認会計士法改正案会計士補に酷ではないかというお話を承ったのでございますが、実は現在の公認会計士法改正案の中に二つございまして、一つ監査法人というものを新たに設けることにいたしております。この監査法人業務の運営と申しますか、さかのぼりまして認可の要件の場合にも監査法人目的組織的な監査を行なうということにございますので、先ほど御議論がございましたように、監査法人パートナーと申しますか、社員の数は公認会計士が五名いなければいけないということになっているわけでございますが、同時に、法律上の認可の要件といたしまして、組織的監査を行なうに足りる人員を持たなければいけないということを法律の上でも規定しているわけでございまして、むしろ私どもといたしましては、こういった組織的監査を行なう場としての監査法人ができますことによって、この会計士補に監査補助者としての業務が非常にふえてまいるのではないかというふうに考えているわけでございます。  また、法律の第二の改正点といたしまして、公認会計士協会特殊法人化するわけでございますが、この場合にも、この新たに特殊法人になりました日本公認会計士協会が、会計士補の処遇等につきましても、従前にもましていろいろ努力をしてくれるだろう、このように期待しているわけでございます。
  92. 永末英一

    ○永末委員 監査法人設立見込みは、先ほど違う数字をあげられましたが、大体二、三十ですか、いまお見込みになっているのは。
  93. 松井直行

    松井政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、十ないし二十は当初に設立が予想されるのではなかろうかと考えております。
  94. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、この会計士補というのは、登録している者、またそれに該当しそうな人々が千三百人程度ある。そこで、いまあなたのお話を伺うと、それも監査法人の中に入ってくるのだ。ところが、その数は十ないし二十、とうなりますと、監査法人会計士補を引き受ける能力は約六十名から百二十名だ、そういうことになりますね。そんな監査法人をお考えなのですか。
  95. 安井誠

    ○安井説明員 私申し上げましたのは、監査法人の要件といたしまして、この「業務を公正かつ的確に遂行することができる人的構成及び施設を有すること。」という要件を設けまして、会計士補にも監査法人の職員として仕事をしていただく場をつくっていきたいという意味で申し上げたわけでございまして、先生の御指摘のとおり、現在監査法人ができます数が、私どもの予測といたしまして、局長の申しましたように十ないし二十でございます。また、それに使われる会計士補の数もそれほど多くないのではないかということは御指摘のとおりでございますけれども、現在の状況に比べますと、一歩進むのではないかという意味で申し上げたわけでございます。
  96. 永末英一

    ○永末委員 一歩進むと言いますけれども、それは別の問題です。ぼくの伺いたいのは、今回の法律の趣旨が、公認会計士並びにこれに関連する人々が、日本の証券取引の公明さというか、あるいは発展を望むために、一つの国の組織としてこういう制度をつくるわけですね。そうなれば、その中に入っておる会計士補というものも、それにふさわしい待遇を与えられてしかるべきだ。ところが、この法律は、待遇の面についてはきわめて極限された範囲しか認めていない。そこで、同様の——同様というのは、いま国の制度としてやっている制度の中で、弁護士の司法修習の制度がありますね。国はその司法修習生についてはどういうことをやっているのですか。あなたの所管でないかもしれませんが、比較検討されておられるのでしょう。この会計士補というものと比べてみたら、一体国の方針が一致しておるかどうかわかると思うのですが、お答えが願えるなら、ひとつお答え願いたい。
  97. 松井直行

    松井政府委員 仰せのとおり、司法官につきましては、司法修習制度というものがございまして、国が費用を持ち、それは管理をしておる。大部分は判事、検事の養成の場であるといいながら、弁護士にもなるということでありますが、これは法曹界におかれます法曹一体の原則という思想もございまして、そうした司法担当者につきましては、国が責任を持ち、国が管理して、これを教育するという制度が昔からございますし、その重要性からいって、あるいはまた、国家的な責任らいってそういう制度がとられているのだと思います。この公認会計士の場合の場合も、一国の産業をになっております企業の監査をやるという社会的使命、国家的な必要性から申しまして、何らかの形において、こうした修習期間中においても厚い待遇があっていいのではないかという仰せは、一応私もごもっともだろうと思いますが、かといって、同時にすぐそのまま司法修習生の制度と結びつけていくのには幾ぶん無理があるように思います。したがいまして、今回の法改正につきましては、第二次試験を通りました会計士補の問題については触れてはおりませんが、およそ公認会計士たる資格を取るのにはどういう道を踏ますか、これは先ほどから御質問がありました被監査会社が年々幾らふえていくか、その需要に応ずるためには公認会計士の有資格者を年々幾らにふやしていくべきなのか、その需給の関係がどうなるのか、ある程度長い目でもって計画的に事を処理していかねばならないという面からの御意見はごもっともであろうと思います。現に、むずかしい試験で、第二次試験に合格した者は公認会計士補で、第三次試験の浪人がたいへんにおられるということは、まことに遺憾なことでありますが、公認会計士一般の質的水準を上げるという強い要請から申しますときには、第三次試験をもっと軽くするとか、あるいは第三次試験を廃止してしまうというようなことは、そう簡単には考えられないわけでございます。現在の日本公認会計士が非常に劣っておるとは私は思いません。一人一人の公認会計士の能力を比較しますときに、欧米諸国と比べてちっとも遜色のない人が相当程度おられると思いますが、残念ながら水準としては、富士山のてっぺんは高いのですが、すそ野におられる方がたくさんおって、そういうものを平均した水準としてはまだ欧米のところに達していないというのが事実でございます。したがって、そういう社会的な要請を生かしつつ、ほんとうに資格のある人に公認会計士になってもらう、その段階として、一次試験、二次試験、三次試験というものがあるわけでございますが、これらの試験制度制度的な面あるいは運用面につきまして、いまおっしゃったような問題がございますので、今回の法改正のあとにすぐ続きまして、公認会計士審査会におきまして、これらの問題を試験制度改正という観点から新たにおっつけすぐ取り上げて審議してもらいたい、こういうふうに考えております。
  98. 永末英一

    ○永末委員 この会計士補並びにこれに該当する人が千三百人でしょう。そして、法律で、実務等をやれるのは三年となっている。合格率は大体二百人程度だ。こうなりますと、算術計算したって、全部消化するのに六年かかる一わけだ。そうしますと、この法律では、会計士補というものを、制度としてそういう職種を認めておる、こういうことになる。認めておるのならば、その報酬についてもっとたくさん上がるようにしなくちゃならぬ。六年といいますと三十歳をこえてくるでしょう。三十歳をこえてきて、制度上非常に収入が上がらぬ。こういうことで、私はその制度はいい制度とは思えない。局長は試験制度等もひとつ審査会にかけたいとおっしゃいますが、やはり早く一本立ちの公認会計士になれるような道をつけるのが必要です。もちろん試験は能力がなければ合格することはむずかしいと思います。ただ、おかしいのは——実務をちゃんとやれと法律で命令していることと、試験に合格するということとは無関係なんですね。実務をやったけれども、試験は試験で別個にやられる。そうしますと、何年やっておっても、試験に合格せぬ限りだめだ。そうすると、そういう職種を制度上置いておくということはきわめておかしいということになります。したがって、お医者のほうでも、インターンの制度について、やはり無報酬はいかぬから報酬を出せ、こういう議論が出てくるのも当然のことである。やはり近代社会においては、それぞれの職種に正当な報酬が支払われるような道を法律上やはりつくっておくというのが、私は基本的な考え方ではないかと思う。その方向にやられるわけですな。お答え願いたい。
  99. 松井直行

    松井政府委員 おっしゃる問題は十分われわれも理解するところでございますが、公認会計士に要請される人格なり識見なりあるいは能力なりというものは、非常に高いところに水準を置いております関係から、非常に試験がむずかしいというところに一つの大きな難点があるわけでありますが、やはり適格者たる公認計会士を得たいという、また、そういうような社会的要請にもこたえる必要がありまして、第三次試験というのは非常にむずかしい、したがって浪人が多いということにも相なっていますが、これが試験制度及びインターン制度等につきまして、いまおっしゃた趣旨に基づきまして、できるだけ合理化をはかるようこれから検討してまいりたいと思いますが、できれば、こういうむずかしい試験を通らなくても、ある程度の試験でもってどんどん公認会計士になれる、公認会計士が平素実務をやっておる過程において、いい仕事をする人は信用を博して残るし、能力のない、信用のない人は自然に没落していくという、社会的淘汰が自然に行なわれるような組織がございますならば、入り口の関門である試験もこんなに厳格なものにしなくても済むのじゃないかというような問題もございますので、そういう問題も含めまして、試験制度全体を考え直してみたい。あわせて、インターン制度を残すなら残すで、いまおっしゃたように、生活の保障ができるようにするにはどうあるべきか、試験制度、インターン制度全体につきまして、公認会計士審査会で、この法案を通過さしていただきましたあとには、すぐまた審議に入ってもらおうと考えております。
  100. 永末英一

    ○永末委員 大臣に総まとめでひとつお答えを願いたいのですが、私どもの見ておりますところでは、この公認会計士制度というのは、現在の資本主義社会においては、その企業というものが公共的立場から見てやはり正確に投資家に映る必要がある。同時に、それは企業でなくても、たとえば政府資金を取り扱っておるような関係のところでいろいろな紛擾が起きないためには、やはり厳格なる経理内容というものが明らかにされておる必要があると思うわけであります。したがって、新しい職種ではございませんけれども、私どもはこれを強化し、そういう専門的な一つの判定の場、たとえば、われわれの肉体管理に対する医師のような立場、これが企業であろうとそうでなかろうと、そういう一つの診断をし、判定をする機関として育成強化するべきだと思います。  そこで、先ほど学校法人だけの話が出ましたが、そのほか農協にしろ、政府資金の関係のあるところで、あるいはまた大蔵省自体が監督され、各省が監督をされておるところもございます。これは行政機関としての監査、監督業務であります。しかし、同時に、この制度を育成強化するとするならば、こういう第三者機関の監査というものを義務づけて、そうして明確にしていくということも一つ方法ではないか。それが公認会計士制度というものを育成する上に、非常にわれわれは有用だと考えます。この辺の方向について大臣からお答えを願いたい。
  101. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 永末さんの御意見、私は方向としてごもっともだと思います。公認会計士の役割りを考えますと、これはどうしてもその地位を向上させ、その公認会計士の認定に対する一般の信頼度を高めていく、これはどこまでもこの制度をやっていく上においては基本的に考えていかなければならぬ問題だと考えます。そういう角度から、政府の監督行政の及ぶもろもろの企業体につきましてもこの会計士の活動が及ぶようにという配意が私は必要だと思います。そういうことから考えまして、学校企業のようなものは、私はもう適用したほうがいい、そういうふうに考えます。ただ、いま設例の金融機関、これは政府の監督が非常に厳重にいっているわけでありまして、特別の監督に関する立法もございますし、それに従いまして常時検査もいたしておる、これは相当行き届いた検査をいたしておるわけでありますので、いま直ちにそこまで会計士の働きを及ぼすかどうか、これはまだ私は問題があるのではないかというふうに考えます。しかし、御趣旨、御意見としては大筋において私も同感でありますので、今後なお検討させていただきたい、かように思っておる次第であります。
  102. 永末英一

    ○永末委員 質問を終わります。      ————◇—————
  103. 三池信

    ○三池委員長 地震保険に関する法律案及び地震保険特別会計法案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。横山利秋君。
  104. 横山利秋

    ○横山委員 先般、地震保険につきまして五つばかり政府に、大臣ないしは政務次官から最終的なと私は考えておるのですが、御答弁を伺いたいとお願いしておきました。以下、きわめて簡潔な御質問でございますが、お答えを願いたいと思います。  第一は、保険料率の問題であります。第五条に「収支の償う範囲内においてできる限り低いものでなければならない。」とされております。私の主張は、地震保険の保険料率はもちろんでありますが、一般の保険会社の保険料についてもなお低減をする余地は多いと考えています。たとえば、三十九年度の生命保険会社は、収入保険料六千六十四億円ですが、契約者配当準備金繰り入れ前では一五%にあたる九百四億円、配当準備金繰り入れ額では一四%にあたる八百八十億円、それだけ還元がされておることになります。そうだとすれば、少なくともその相当部分は初めから収入保険料、つまり保険料率を低減できる余地があると痛感されるわけであります。この一般の生命保険料率並びに地震保険の保険料率の低減方の政府のお考えを伺いたいと思います。
  105. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 生命保険会社の保険料率につきましては、いつぞやも横山さんからお尋ねがございましてお答えいたしたのですが、これはもう法律にきめられておりますとおり低率主義でいかなければならぬ、これはもう私も当然そうあるべきだと考えております。過去の保険事故発生の統計、こういうものをより合理化すること、それからさらにはこの保険企業の運営の合理化、近代化、こういうことをやりまして、そうして料率の低下、これは今後といえども努力をしていかなければならぬ、さように考えますので、さような行政指導をしていきたい、かように考えます。  それから地震保険の料率ですが、この問題につきましては、これは御承知のとおり、何百年来の起こった地震というようなことから推算いたしまして、大体この程度が適当であろう、こういうのですから、これはなかなか保険統計というものの正確は期しがたかったわけであります。推計的要素も相当あるわけであります。さようなことで、今回はとにかくこうしておきますが、この実施状況等を見て、さらにこれが改善、合理化につとめる、こういう考えであることを御了承願いたいと思います。
  106. 横山利秋

    ○横山委員 第二番目の問題は、保険会社に関する法人税のあり方であります。先般指摘をいたしましたように、他の一般企業と比較をいたしますと、常識的に考えて、保険会社法人税の納税状況はきわめて安い。それはそれだけの理由なしとはしません。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕 しませんが、また性格上問題がある、それだけの理由があるということもわかるのでありますが、社会常識からいって、保険会社の水揚げ、三十九年度において収入保険料、利息、配当金、その他収入約七千五百億円、そうして法人税が二億円にすぎない。このことには理由があるとは思いますが、それにしても、この制度について改善を加える必要がある。私が他の各国の状況を聞いてみまして痛感をされる一つのモデルとしては西ドイツ方式であります。最低限課税の制度が西ドイツにあり、「事業所得が欠損でも保険料払い戻し金及び払い戻し整備金控除前の純益(いわば生保会社の公表剰余金に当たる)の五%相当額は課税所得とされる」という西ドイツ方式がございます。私はこれが一つのモデルだと思うのであります。今日、保険会社は株価の評価減で痛手があることは事実でありますが、それは何も保険会社だけの問題ではございません。数年前私が本委員会で取り上げまして、そして法人税が若干適正化されたのでありますが、そのいろいろな方法をもってしてまだ不均衡を来たしておると思います。この際、保険会社法人税については、他の一般企業と比較して、まず常識的な水準にまで是正をすべきではないかと思われるのですが、いかがですか。
  107. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 保険会社といたしましては、生命保険会社、損害保険会社とありますが、横山委員は主として生命保険会社について御指摘かと思います。これはちょっと見てそんな感じが私どももするのであります。しかし、しさいに観察というか、考えてみますと、生命保険会社はその多くが相互組織をとっておるわけです。契約者が相互にその生命を保険し合うという仕組みでございます。そういうようなことから契約者配当準備金の繰り入れということが税法上認められておる。そこで、一般会社でありますと、利益金として出てくるのが経費として——経費というか、租税対象外として控除されておる、こういう形になるわけであります。これは相互組織ということ、また生命保険会社という一つの社会保障の補完的な役割りを尽くすという会社のたてまえからきておるというふうに思うわけでございまして、私は、一応これは筋の通っておる制度であるというふうには考えます。しかし、社会的に見まして、どうも利益があるのに少し少な過ぎるじゃないかという感触の払拭し切れぬ面も確かにあるのでありまして、これはなお、どういう税制の扱いがいいかということは今後の問題として検討さしていただきたい、かように考えます。
  108. 横山利秋

    ○横山委員 つけ加えますけれども、法人税額が少なければ、事業税並びに地方に関する税がそれだけ少ない。近所づき合いもしておらない。都市の中心にありますものが、金融機関、保険会社が軒並みに並んで都市の発展をいささか阻害しておるということもまた大臣御存じのとおりであります。ですから私は、いま大臣のおっしゃるような純粋の配当と、それから契約者配当——先般も指摘したのですが、大体契約者配当ということ自身がおかしいのであって、契約者に対する配当ならば、これは純粋な配当と何ら違うところはないはずである。だからそれは、もしもあなたのおっしゃるようなことをやるならば、名前から大体直さなければならないということを指摘しておるのです。相互会社であるからという論理的な問題についてはずいぶん尽くすべき議論がありますが、しかし、時間がございませんので、大臣がおっしゃるように、きわめて常識的に、きわめて世人が納得できるような線までは引き上げる必要がある。その線というのは、ぼくは、いろいろ議論をし尽くしてみれば、西ドイツ方式が一番常識的だ、こう考えるのです。今回、きょうあたりから始まります税制調査会の議題としてもらいたいと思うのですが、いかがでございますか。
  109. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 よく検討いたすことにいたします。
  110. 横山利秋

    ○横山委員 第三番目の御返事をいただきたかった問題は、これは本日も質問の中にありましたが、公認会計士法に関連をいたします問題であります。保険会社、銀行、信託会社、私学あるいは宗教法人に対しては、少なくとも国の助成があり、非常にたくさん税金をまけ、補助金を出し、あるいは融資をする、政府の至れり尽くせりの援助があります。それらについては政府の直接監督下にはあります。それぞれ金融検査官があるのであります。それが必ずしも十全ではないということと、直接政府が監督をするけれども、しかし、ワンクッションを置くべきではないか。彼らをして自律的な内部牽制制度を置き、かつはまた、公正な第三者の監査を受けて、政府の監督を受ける前に適正化をすべきではないか。時、おりしも、公認会計士地位を高め、監査法人制度をつくって充実し、その公認会計士自身内部牽制を十分にやるという組織をわれわわは検討する段階でございますから、かつてテーブル・ファイア事件等も出しましたこれら保険会社におきましても、公認会計士監査証明を受けさせるように改善をすべきではあるまいか。公認会計士粉飾決算を適正なりとした場合においては、その職業的生命をもって制肘をされるのであります。金融検査官が、粉飾決算をした場合に、これを適正なりとし、あるいはおおむね適正なりとした場合に、だれが一体責任をとるのであるか。そういう点については、官庁組織としては最終的には大蔵大臣であるあなたの責任だと思われるのでありますが、今日までいまだかつて、この種の大蔵省の直接監査を受けました問題で、間違いがあったからといってだれかが責任をとって、職業的生命である役所を辞職したということを聞いたことがないのであります。それは役所の組織としてそういうふうになっておるから、いいことではありませんけれども、責任者がないわけであります。したがいまして、私は、この生命保険につきましても、別な角度の、大蔵省の監督はそれはそれとしまして、公認会計士監査証明を受けさせるべき制度にすべきではないか、こう考えるのでありますが、いかがでありますか。
  111. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 金融機関につきましては、非常に厳重な行政監査が行なわれておるわけであります。公認会計士一般会社に行なっておる監査ですね。のみならず、包括的な事業監査までやっておるわけであります。したがって、今日の状況といたしますと、公認会計士が金融機関に対して監査を行なうということになると、全くダブってくるような感じがするのであります。実際問題としてそういう状況ですから、私は今日この段階で公認会計士監査を金融機関に及ぼすという結論を申し上げがたいわけであります。しかし、御説のような公認会計士地位の向上とか、いろいろな角度の問題もありますから、御意見として、十分今後私どもも考えてみる、こういうことにいたしたいと思います。
  112. 横山利秋

    ○横山委員 ダブっておるということをおっしゃるならば、一般的な公認会計士監査証明について大蔵省がさらにそれを念査する、そういうことはやはりダブっているのです。ただ、金融とか生保とか信託会社は、他の一般企業に比較いたしまして大蔵省の監督権限が強いということだけでありまして、ダブることについては大なり小なりすべて同じなんであります。政府がこの種の機関を直接監督指導をする限界があると私は思う。それから、それじゃ役所が最終的に責任を一体とっておるのかどうか。先般来一部の銀行が内部紛争を起こしたり、粉飾決算をしたり、そういう場合に役所が最終責任をとっておるかどうか。とっていないわけです。ところが、公認会計士に対しては最終的責任をとらせるのであります。そこの利点というもの、長所というものを考えて、役所が一歩下がって、一つには、この種の会社に自律作用をもっと厳重にさせること、その意味では公認会計士制度を適用すること、こういうことを考え直すべきではないか。もしいま生命保険会社でどこかの会社に非常な問題があったとする。そうすると、それを常時監督しておる大蔵省財務局はどのくらい責任を負うか。何も負うしかけになっていない、常時監査をしていながら。そしてこれらのところには預金者の保護、契約者の保護という美名に隠れて事をうやむやにさせるという習慣がどうしても根強くある。本委員会におきましても、預金者の保護、契約者の保護のために、十分剔決すべき点が剔抉し得ない。そのために独善的な経営者ができて内部紛争を起こすという状況については、との辺で一ぺん考え直すべきではあるまいか。そういう意味におきましては、私学といい、宗教法人といい、あるいは大蔵省が直接監督をいたしておりますものについての監査制度について、百尺竿頭一歩を進むべきときではないか。何のために、大蔵大臣が、公認会計士法改正をもって経済の流れの中に姿勢を正させる、こう言っていらっしゃるのか、私は疑問を感ずるわけであります。
  113. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 御説の御趣旨は、私もそう思うわけであります。たとえば、宗教法人、学校法人、そういうようなものにつきましてこの監査を適用する、私はそれはそうすべきじゃないかと思います。ただ、私が申し上げておりますのは、大蔵省が金融機関に対して行なう監査、これは相当包括的な監査なんです。その中には公認会計士が行なう監査、これも含まれておる、こういうようなことを考えますときに、ダブらせ得るかどうか、これは問題のあるところじゃないか。しかし、責任の所在を明らかにするというような問題があることは、これはあなたのお話のとおりなんです。なおよく考えてみましょう、こういうふうにお答えしておきます。
  114. 横山利秋

    ○横山委員 ちょっとまだ御返事が、検討願ったにしては不十分で、右にするか左にするか、ひとつ内部で相談をしておいてもらいたいということであって、抽象的な検討をするということの御返事では、お話の約束がちょっと違うような気がするわけです。政務次官、どうですか、お打ち合わせが不十分じゃないですか。
  115. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 私、補佐の役割りを十分果たせなかったことをたいへん申しわけなく思っておりますが、大臣からのただいま御答弁で、大体の方向は横山委員に答えられたようなことでありまして、ただ、私は、やはりこの時点ではまだ右か左か割り切った答弁は、十二分に大臣に連絡をしておっても、できにくい問題ではないか、何とならば、公認会計士制度自体、まだこれから内容の整備をしようという法律改正を御提案申し上げておるわけでございますので、そのような推移と相まって、十分御趣旨の点はわれわれもしんしゃくをして、前向きで検討をする、こういうことでひとつ御理解を賜わりたい、かように思う次第でございます。
  116. 横山利秋

    ○横山委員 関連をして一つ伺いたいのですが、証券会社はいま監査証明を必要としております。しかし、証券会社が商取法の改正によって、大蔵大臣の認可制度になっておる。そうすると、監査証明を必要としないということになる。一般的な今日までの常識をもってすればそういうことになるのではないかと思います。やはりそうなりますか。証券会社公認会計士監査証明を、認可制度を機会にして必要としなくなりますか。その点は、事務当局でもけっこうですが、制度上の問題を伺いたい。——おわかりになりませんか。それではいいです。そうなると思うのですよ。政務次官、そういう場合をも含めて、私は、引き続き監査証明を必要とするということにしてもらいたい。いま大臣のおっしゃった、大蔵省が金融機関を検査する立場と、それから公認会計士監査証明する立場と少し違うことは承知をしています。承知をしていますが、それがラップしない方法があると思うのですが、この点はひとつあらためて公認会計士法律案審議の際に具体的引例をもって御質疑をしたいと思いますが、さよう願いたい。  それからその次の問題は、こういうことを御検討願いました。それは、この地震保険の質疑をしてまいりますと、先般提出を願いました数字をもってしてもきわめてラフな数字であります。契約件数の予定、保険金額の予定、純保険料の予想等を見ましても、あるいはまた地震保険料率の計算を見ましても、きわめて学理的で、今後一体どういうことになるのか十分予測しがたい、こういう感じがいたします。それから、法律の内容を見ましてもきわめて抽象的で、主管部としてこれを策定するのに困難があったのではあるまいか。また、先般指摘しました「七十二時間以内に生じた二以上の地震等は、一括して一回の地震等とみなす。」という定義も、松代の状況を考えますと、これはなかなか運用に困難であると思われる。したがって、本地震保険に関する法律につきましては、施行後その事態の推移を見て、常にその運営の改善ないしは法律改正についても弾力性を持って臨むべきではあるまいか、こう考えるのですが、御意見を伺いたい。
  117. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 地震保険は何しろ初めてのことでございます。これはもう関東大震災、あれ以来問題になりまして、しかも今日まで実現しなかったのは、それ相当の困難性があったからだと思います。今回はその困難性を乗り越えてこういう立法をしようということになりました。したがいまして、初めての試みでありますので、やや控え目の点もあります。それからもう一つは、初めての試みであると同時に、また、保険統計なんかの資料において過去のものの捕捉がきわめて困難であるというような問題もあるわけであります。そういうようなことで、今度のこの試みが必ずしも完全理想型であるとは考えておりません。今後気のついた点、また今後の経験によって判明した点、そういうようなものを考慮いたしまして、今後できる限りこれが改善につとめていく、こういうことにいたしたいと思います。
  118. 横山利秋

    ○横山委員 最後の問題は、政務次官からでもけっこうでございますが、本委員会地震保険に関して内容を具体的にいろいろ申し上げたことがある。同僚諸君からは、全壊ばかりではなくて分損を考慮すべきである等々の問題が出ましたが、それらにつきましてどういうようなお考えをされたか、一括してお伺いをいたしたい。
  119. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 先般の委員会においても、分損の問題を取り扱う考え方として、いわゆる経済的全損というものをできるだけ常識的に不公平をなくするような配慮をしなければならぬ。一応、形はたいして破壊を受けておらないけれども、これを建て直さなければならぬ、居住の用に供するわけにいかない、こういう状態ならば、当然経済的全損として、破壊の査定基準はきめこまかく、いろいろな事態を想定して、極力不公平にならないようにしなければならぬ、同時に、地震の発生いたしました現場の事態を考えると、なかなか事務的、技術的に査定の能力というものがございますから、ある程度区切りをつけなければならぬ、こういう要請もあろうかと思うのでありますが、これまた初めての制度でございますから、今後このような事態に照らして、現実的に処理していきまして、できるだけ実情に沿うように改善をする。しかも、これは今後積極的に絶えず配慮しなければならぬ問題である、このように考えておる次第でございます。
  120. 横山利秋

    ○横山委員 こまかい問題で恐縮ですが、保険部長に第十一条の罰則について、ちょっとお伺いします。  第十一条の罰則、第一項と第二項に分かれておりまして、第二項はきわめて該当者が明白であります。第一項は、その第二項を除いたものだという感じがいたしますが、一体「報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、」というのは、第二項以外のどういうものを意味しておるのでしょうか。きわめて包括的なもので、いささか危険を感ずるのです。
  121. 上林英男

    ○上林政府委員 第二項の規定は、いわゆる両罰規定でございまして、行為をなしましたる個人はもちろんのことでございますが、二項におきましては、法人の名においてこれをやりました場合に、法人責任がある、そういう場合におきましては、法人につきましても個人と同様に罰則を科する、こういう趣旨の規定でございまして、これはいろいろな場合におきまする例文でございます。
  122. 横山利秋

    ○横山委員 そうしますと、第二項は「行為者を罰するほか、」とありまして、私は第二項だけでいいのではないかという感じがしたのですが、あなたの御説明によると「行為者を罰するほか、」とは、この行為者は第一項のことである。つまり、「行為者を罰するほか、」という意味は、第二項において意味がないことばである——私の言うことわかりますね。第一項は、要するに「保険会社等の代表者又は代理人、使用人その他の従業者」のことを言っておるにすぎません。そのほかの人、一般国民すべてを適用する意味ではないということですか。
  123. 上林英男

    ○上林政府委員 「行為者を罰するほか、」といいますのは、行為者を罰します上に、その行為者が——この場合は保険会社でありますが、「保険会社等の代表者又は代理人、使用人その他の従業者」であって、保険会社業務に関して行なった、したがって保険会社責任をとるべきである、こういう場合には保険会社にも一項の三万円以下の罰金を科する、こういう趣旨でございます。
  124. 横山利秋

    ○横山委員 終わります。
  125. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 次会は、来たる二十六日午後一時より理事会、一時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十六分散会