○橋本
政府委員 先ほど大蔵大臣から、春闘の窓口は官房長官のようにおっしゃったが、職責上は、春闘の窓口は官房長官でもありません。これは所管大臣がその窓口であります。ただ、官房長官がこういう問題で列席をするといいますか、司会をするというのは、いわゆる内閣でいう調整の役目で出席をいたし、また調整の役目をとっておるわけであります。
これは、先ほど来から大蔵大臣と山田さんの質疑応答を聞いておりましてもわかりますように、当事者能力という問題がやかましく言われておる。事実、現在の
法律からいうと、いわゆる形式論的には当事者能力がありながら、すぐその後段で、
政府はこれに拘束されない、こう規定してある。またそのあとで、国会の承認がなければ一文も支出ができない。これは現行法の規定であります。私はここで、官房長官は法制局長官でありませんから
法律上の説明をしようと思っておりませんけれ
ども、官房長官がこれらの会合に出席をしておるゆえんのものは、やはりいまおっしゃるように、春闘問題は、ある
意味においては政治問題である。これは広く交通機関なり通信機関が影響を受けることでありまして、政治問題でありますからして、そこで官房長官も列席をしておるような次第でありますが、この当事者能力の問題は、これはもうかねてから国会でいろいろ論議がされております。その中で、労働大臣あるいは私から
答弁いたしておりますものは、いわゆる現実的にはこの当事者能力というものは制限をされておる、いいか悪いかは別として、
法律上現行法から見ると、当事者能力というものは制限をされておる、いわゆる不完全なる当事者能力である、こういう
答弁をいたしております。それが
法律上の、これは十六条でしたか何ですかに規定されております。ただ、
法律論的に言えばそうでありますけれ
ども、実際問題として調停
段階があり、その調停ととのわざるときにはいわゆる仲裁に持ち込まれる、こういう
段階になっておりますが、実際問題として、できれば調停
段階でこれが片をつけることが一番よろしいわけでありますけれ
ども、しかし、現行の
法律からいいますと、調停
段階でいわゆる資金上これが上回る場合は、実際上当事者間だけではこれが
解決できないような規定にもなっておる、そこの問題でいろいろ苦労があります。ただし、その中でも三公社の場合においては、五現業の場合にもそれぞれの規定がありますけれ
ども、予算総則の中でいわゆる弾力条項というものがあります。しかし、この弾力条項を適用するにしても、主務大臣が大蔵大臣と協議をし、主務大臣がこれを決定するという条項になっておりますから、大蔵大臣がこれらに直接的にもあるいは間接的にも
関係のあることはもちろんであります。そういう
意味で、法理論的にいえばいろいろの障害がありますけれ
ども、過去何年か続いてまいった状況から
考えて、かつまた、この三公社五現業の労使
関係というものができるだけスムーズに進むためには、
法律を拡張解釈するわけではありませんけれ
ども、できるだけ
お互いが話し合いのできる
状態に持っていくことが必要である。しかし、根本的にはなかなかいまの現行法のもとではできないということで、当事者能力についても今回
審議会の設置を見ました公務員制度
審議会の席上で当事者能力の問題をも今後検討を加えていく、こういうことになっております。
昨日の
関係閣僚
会議の模様を具体的に申し上げるほどのこともありませんけれ
ども、そこで論議されましたのは、この調停
段階でどこまで有額回答ができるかという数字までは入っておりません。ただ、方針として、従来労働大臣なりあるいは官房長官が非公式に
組合の当事者に対して有額回答を行なうという方針をとってまいりましたから、そこで、きのうは
関係閣僚を集めまして、従来官房長官なり労働大臣は有額回答をするという方針をとっておるから、それをひとつ確認をしてもらいたいということが
一つです。了承をしてもらいたい。これは有額回答をするといいましても、何も労働大臣なり官房長官が有額回答をするんじゃなくて、もちろん公社が有額回答をすることになるわけであります。そういう
意味で、その間においていろいろこまかい技術的な問題としては、当然これは
政府も
——というのは、大蔵大臣なりあるいは
関係大臣というものがこれに関与せざるを得ないわけです。いま申したような予算総則の面から
考えても、主務大臣が大蔵大臣と協議をするという事項がなければ、たとえば、独自にものを言うにしてもこれはできないわけでありまして、一応これは有額回答をするというたてまえで、その金額の大小を問わず、当然これは協議をしなければできませんので、そこで、
政府の方針としては、その場合においては大蔵大臣が十分の協議をしてもらいたい、こういう
意味での
会議で、いわゆるこの金額云々という問題にはきのうは触れておらない。ただ、
政府の当事者としては、この種の春闘というものは、一般の国民に迷惑をかけるようなことが出ることは非常に好ましくない、これが
一つです。
第二には、御
承知のように、この公企体、三公社五現業はストライキを禁止せられております。これを犯せば、これは当然この
法律に触れる、さような事態が起きることは好ましくない。したがって、できるだけ誠意のある話し合い、団交を進めることによって、
法律で禁止されておるところの争議に入らないことを希望する、かつまた、その結果国民に迷惑のかかるようなことの事態が起きないことを希望するわけであります。そういう
意味で、当事者能力は、もちろんこれは完全なものではないけれ
ども、最善を尽くして
関係当局は十分に話し合いを進めるように、こういう
趣旨がきのうの
会議の
目的であります。いま有額回答をさせるという方針になったとしても、その金額が幾らであるかというところまでわれわれは関与しておらない。ある
意味で内政干渉になりますからして、当事者能力にできるだけこれはまかせる、こういう方針でおるわけであります。