○武藤委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました
交付税及び
譲与税配付金特別会計法の一部を改正する
法律案について、反対の意思を表明し、討論をいたしたいと思います。
ただいまの質疑状況を見ましても、今日の
地方自治体が非常な窮状にあることは、私が重ねて申し上げるまでもありません。
昭和三十九
年度の自治省の決算内容を見ましても、三十九
年度の
起債残額は、普通
財政において一兆六百億円、企業会計において一兆一千億円の借金を
地方自治体はかかえております。この返済を思い、さらに金利負担を考えるならば、
地方自治体の将来に私たちは非常な心配をいたすのであります。自治省の
答弁によると、金利負担も年平均して約六%を占めておるというのであります。これらの負担を長期的に考えるならば、
地方自治体の将来はどういうことになるであろうかと心配するのは、野党のわれわれのみではないと私は思うのであります。
しかも、三十九
年度の赤字の状況をつまびらかにいたしますと、一般会計において赤字団体は三百七十六、金額にして三百七十二億円に達しております。国民健康保険会計においても、赤字団体二千二百九十二、金額において二百五億円、さらに公営企業
関係における赤字団体が四百団体、金額において六百五十九億円に達するのであります。この状況を大蔵
大臣、
自治大臣はいま頭の中に描けば、将来の日本の
地方自治団体がどういう苦しい
状態になるかということは想像にかたくないと思います。しかも、これらの情勢は、決して
昭和四十一
年度に突然に起こった現象ではありません。権力を持ち、予算の運営権を持つ
政府自身は、すでに長い以前にこれらの状況を知っておるはずであります。しかるにもかかわらず、これらの
地方自治団体に対する抜本的対策を自治省並びに大蔵省は立てていない。きょうの
自治大臣の
答弁を聞くと、本年五月に第十一次
地方制度調査会を開き、これから抜本策を考えるというに至っては、まことに怠慢のそしりを免れるわけにいかぬと思います。
政府自民党の
地方自治団体に対するかかる姿勢というものは、われわれとして断じて容認するわけにいきません。
政府の怠慢を責めなければいかぬと思うのであります。
さらに、
昭和四十一
年度の
政府のとりました
措置をながめますると、一千二百億円は
地方債のワクを拡大し、
元利とも将来国がこれを負担する、五百八十六億円については、税率をわずか二・五%の引き上げにとどめ
てこれを埋める、四百十四億円については、第一種特例交付金、さらに第二種特例交付金の二種類におい
てこれをカバーしょう、こういう
財政措置をとって糊塗しょう、四十一
年度のその場をしのごうというのが今回の
措置であります。しかも、私は、特に反対をしなければならぬけしからぬ
問題点は何かと明確に指摘をいたすならば、今回の改正によって、従来普通
交付税の算定単位になっておったものが四十一
年度に限ってはずされるということであります。あるいは減ぜられるということであります。すなわち、河川、道路、港湾、漁港、海岸堤防等の需要額を、従来ならば五百八十九億円見込んでいただける普通交付金を、四十一
年度に限りこれを除外する、それに対する見合いの分はほんのわずかでありまして、百七十数億円にしかすぎません。かかる基準
財政需要の算定単位までいじって臨時的
措置をするということは、普通
交付税の体系を乱し、
地方自治体に対する安定した長期的
資金を確保する道を閉ざす道であり、体制を混乱におとしいれ、
地方交付税の好ましからざる方向への改正と断ぜざるを得ません。したがって、私たち日本社会党が反対する第一の大きな理由は、この
地方交付税の体系を紊乱するという
政府の態度に尽きます。
第二の
問題点は、四十一
年度に限って臨時特別
措置を講ずるというこのこそくの
やり方によっては、今日の
地方自治団体の窮状を救うことはできない。したがって、われわれは今日の
地方交付税率を百分の三十七に引き上げて、臨時的にたばこの売り上げ本数を基礎にして
交付税を配付するとか、先ほど申し上げた
財政需要の単位を減らしてさらにこういう臨時
措置を講ずるという二本立てで体系を乱している。しかも、その金額がわずか二・五%というちょっぴりしか引き上げをしないということでは解決できないとわれわれは考えております。したがって、日本社会党が反対する第二の大きな理由は、
交付税率を百分の三十七にすべきである、ここまで
政府が考慮しなかったということは、
政府の怠慢であり、
地方自治団体に対する前向きの姿勢をとったとは認めるわけにまいりません。
したがって、本案に対しましては、日本社会党は、
地方自治団体を代表して、これらの
地方住民の意思を十分そんたくして、反対の意思を強く表明せざるを得ません。
政府の今後の十分な御考慮を強く要求して、討論を終わりたいと思います。