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1966-04-19 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十九日(火曜日)    午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       大泉 寛三君    奥野 誠亮君       押谷 富三君    小山 省二君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       谷川 和穗君    西岡 武夫君       福田 繁芳君    山本 勝市君       渡辺 栄一君    渡辺美智雄君       有馬 輝武君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    野口 忠夫君       平岡忠次郎君    山田 耻目君       横山 利秋君    春日 一幸君       永末 英一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         自 治 大 臣 永山 忠則君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (主計局次長) 鳩山威一郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 岩尾  一君         大蔵事務官         (主税局長)  塩崎  潤君         大蔵事務官         (銀行局保険部         長)      上林 忠男君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局次長) 広瀬 駿二君         厚生事務官         (大臣官房審議         官)      広瀬 次郎君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第七〇号)  地震保険に関する法律案内閣提出第七三号)  地震保険特別会計法案内閣提出第七四号)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 大臣にお伺いをいたしますけれども、この前の本会議でのわが党の細谷議員の質問に答えて、特別地方債の千二百億円というものは元利とも財政上の処置をする、こういうふうな御答弁があるわけですけれども、この地方債について元利とも財政上の処置をするということは、具体的にはどういう処置になるのでしょうか。
  4. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 具体案はまだきまっていないのでありますが、基本方針としては、とにかく特別の起債でありますので、その元利償還地方財政に圧迫とならないように、ひとつ何らか政府責任を持って措置を講じよう、こういうふうにいたしておるわけですが、まあ、地方財政、いろいろその他にも問題がありますので、総合的な対策の一環としてそういう基本方針のもとできめていきたい、まだ具体的になっておらないのでございます。
  5. 堀昌雄

    堀委員 私もこまかい具体策を伺うつもりはないのですが、いまのお話はちょっと抽象的に過ぎる感じがするのです。地方財政と国の財政を分けて考えて、今度の千二百億円というものの性格が、言うなれば、七千三百億円の建設国債に見合う地方負担分だ、こういう感触で私も理解をしておるわけですけれども、そうしますと、その七千三百億円のほうは、どっちにいたしましても、この前の答弁等を伺っておると、七年目に全部が償還できるわけではないから借りかえになるだろうというような御答弁が、参議院かどこかでもあったように、私、ちょっと新聞で拝見したわけです。私どもとしては、この問題は来年も出る、引き続きしばらくは出るという御発言もありますから、それなりの償還方法というものは当然考えられる、こう思いますけれども、いまの特別地方債の問題というのは、そういうことになると、これは来年も再来年もやはりそういうことにならざるを得ない性格のものではないのか。セットになっておりますからね。そうすると、やはり大体のめどというのは、利子のほうは何らかの処置を入れていくとしましても、元本の問題というのは、国債性格が非常に似たかっこうになってくるのじゃないのか、こういう感じがするわけですね。ですから、具体策まではけっこうなんですが、大体のものの考え方としては、これは国債と同じかっこうでセット的に処置がされていく、国債償還するときには、地方債も国のほうで何らかの財政資金を入れて償還を同時的にしていく、そういうことになるのかどうか、そこらの感触をちょっと伺いたい。
  6. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 そこまで国のほうの起債と一体としての考え方という進んだ考え方じゃありません。ありませんが、私は、景気回復すると地方財政のほうの様相も変わってくると思いますが、ともかく、臨時的にとられたこの措置につきましては、そういう基本的な地方財政の動きにかかわらず、政府責任のある措置をしたい、こういう考え方なんです。  それで、一つ考え方として出されておりますのは、地方財政需要としてこ元利償還を見る、そうして交付税の配分においてあんばいをするという考え方なんです。それがはたしていいのかどうか、そして、その交付税総体の調整で処置しようという考え方もあるわけなんであります。これは一つ考え方であります。ほかには、特別償却措置というような考え方をとったらどうかというような説をなす人もありますし、いろいろ考え方は出ておりますが、これは、私は、ほかに固定資産税の問題とかいろいろありますので、そういう他のものの処置とも関連しないと結論が出せないのじゃないか、ただいまそういう段階でございます。
  7. 堀昌雄

    堀委員 私どもは、少なくともいまは出された当初でありますから、その程度でやむを得ないかもわかりませんが、四十二年度地方財政計画なり、国の予算が組まれるときにはやはり国債償還計画というものは、もう少し明らかにしていただかなければ、いつまでも何となく出しますでは、われわれは了承できないわけです。同時にそれは、いまの特別地方債の問題についても、そういうふうな今後の償還のプログラムというものが、もし四十二年度にも特別地方債が出るとするならば当然それは出されるべきであろうと思いますけれども、その点はいかがでありますか。
  8. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 国債昭和四十二、三年は引き続いて相当出る、おそらく私は、昭和四十二、三の両年度はことしよりもややふえるのじゃないか、そんな見通しを持っております。それに対しまして地方債はどうなるか、これは景気情勢が非常に大きく地方財政に響いてくると思うのです。それにもよりますが、特例債というようなものを出すという状況でありますれば、やはり昭和四十一年度においてこれからどういうふうに処置するかという方式を踏襲しなければならぬかなと、いま考えておるわけでございます。
  9. 堀昌雄

    堀委員 自治省にお伺いをしますが、地方税弾性値は、GNPに対して大体どのくらいになりますか。ときどきに減税をやっておりますから、現在、ことしの減税をしたあの地方税の体系で考えたら、いまも大臣が、お話しになったように、地方財政も明らかに今後の景気見通しにかかわりがあると思います。あると思いますが、ここで問題になるのは、地方税としての弾性値と、それから地方交付税として出てくる三税の弾性値、こういうもののあり方によって、私は、地方税あり方というのは景気カーブにいろいろ問題があろうと思うのです。私の感触では、景気がよくなってきたときには、どちらかというと、国のほうの弾性のほうがカーブが強くなってきて、国のほうに先に収入がふえてきて、地方税のほうの収入は、御承知のように一年おくれになっておるわけですから、どっちにしてもタイムラグがあるし、弾性値も低いのではないか、こういうふうに思うのですが、やはり地方税としてのそういう経済成長に見合う弾性値というのは、いま大体どのくらいになっておりますか。
  10. 柴田護

    柴田(護)政府委員 ちょっといま正確な資料を持ち合わせておりませんけれども、大体国の半分くらいというのがいままでの実績でございます。
  11. 堀昌雄

    堀委員 主税局長伺いますが、財政局長お話では、地方税弾性値は大体国税の弾性値の半分くらいだ、こういうような御答弁がいまありました。そこでいま大臣は、特別地方債償還問題については、今後の地方財政状態景気に関連して関係がある、こういう御答弁があったわけですが、地方税あり方というのは、弾性値はおそらく低いから、景気が少しよくなってきてもなかなか地方税伸びない、ただ、その場合に、三税のほうは、所得税と酒税はそんなに差がないけれども法人税景気回復すればぐっと伸びてくるから、この部分交付税のはね返りというかっこうでこれは大きくなるスピードが早い、こう思っているわけです。  そこで、これはちょっと早過ぎますけれども、今年度のやつはもう出ましたが、経済成長が、政府が言うように、本年かりに七・五%に実質上がったとすると、その後の経過から見て、来年の法人税伸びというか、どっちかというと、三税の伸びといったほうがいいでしょうが、三税の伸びというのはどのくらいに予想しておりますか。
  12. 塩崎潤

    塩崎政府委員 来年度租税収入見込みでございますが、私どもの通例の作業といたしまして、現在のところ、まだどの程度弾性値であるかは試算いたしてございません。本年度は、御存じのように一・二四の弾性値でございます。先般GNPが全体修正されましたので、これで私どもが二十九年から三十九年までの弾性値を平均してみますと、一・三二になるような見込みでございます。そこで低迷期から回復期に至る弾性値がいろいろな数字がございままして、なかなかむずかしいわけでございますが、来年度もそのような数字になりますかどうか。三十一年度は一・九八という年もございます。それから三十三年が低迷期でございましたが、三十四年は一・三三でございまして、これは一年くらいずれて一・七八に三十五年には上がっている、こんなような数字でございますが、このような数字経験値として来年度の見積もりは立ててみたい、かように考えております。
  13. 堀昌雄

    堀委員 いま局長の御答弁の三十四年からこう上がりかけたのですが、一・三三ということは、私はやはり今度の経済回復というのは非常にゆるやかになるだろう、こう思いますから、急激に上がるときには弾性値も急にふえますけれども、上がり方がゆるやかであるとあまりふえない。まあ一・三三というくらい、全体の平均値くらいのところに落ちつくのではないだろうか。そういうふうに見ますと、この三税の伸びは、実は来年度も私はあまり期待できないと思うのですね。おまけに、地方税はその半分しか弾性値がないということになりますと、地方税の、特に府県民税市町村民税というのは前年度所得に対してかかってくるわけでございますから、タイムラグもあるということになると思います。となると、私は、来年度地方税というものもあまり景気影響を受けにくいのではないか、こう思いますけれども、そういう段階においていまのこれらの処置がとられておるわけですね。これはやはり問題としてはかなり重要である。どちらかというと、国としての景気刺激てこの一部に地方財政がやはり使われながら、地方財政自体のほうはなかなか波及効果は及びにくい、こうなってくると、私は、いまの問題というのは、かなりはっきりしためどを立てて処置をしていかないとまずいのではないか、地方側としてはそういう不安感を持つおそれがなきにしもあらずではないか、こういうふうに思いますので、ひとつその点、できるだけ早くこの特別地方債の問題というのは少し考えておいていただかなければならぬ問題ではないか。特に、私もこれは少し調べてみて感じたのでありますけれども、本来なら基準財政需要額の中にある約五百八十九億円という公共投資分が今回は基準財政需要額からはずされた、そして、本来なら地方交付税の対象になるものをはずして特別地方債にしたというのは——私は、やはりこれははずさなくても、残りだけを特別地方債にして、これはそのまま残しておいて、どっちにしたって国で財政処置をするということなら、地方交付税のほうの問題の処置をしてもよかったのではないか、あと先の問題はありますけれども……。これをどうしてこういうふうにはずさなければならなかったのか、この点はどうお考えですか。
  14. 柴田護

    柴田(護)政府委員 いままでの投資的経費に対する財源措置のしかたというのは、その年で、大部分一般財源で見るというやり方をとってきたわけでございます。それは昭和三十年ごろ地方財政が非常に苦しかったときに、過去において地方債を乱発したものですから、その地方債の乱発の反動といいますか、反省がございまして、やはり国と同じように非募債主義に近づけよう、そういうことからこういうやり方をとってきたわけでございます。そのため、交付税の算定上はいろいろ苦心をしてまいったわけでございますが、昭和四十一年度におきましては国も税収が非常に伸び悩み、その上に加えてさらに減税をする、一方、投資的経費につきましては、公債を発行してこれをまかなう、こういう措置をとったわけでございます。したがいまして、そこには財源振りかえが行なわれているわけでございます。地方の場合におきましても、先ほど来御指摘がございましたように、同じように税収がやはり伸び悩んでおるわけでございますが、一方、投資的経費につきましては、国の措置を即応してこれを増大をしていかなければならぬというような要請があるわけでございますから、やはり同じように財源振りかえを行なうほかはない、なるべくは、増加経費につきましては、経常系統に属するものは一般財源措置をしていくということを念願いたしておりましたが、結果的には、経常系統増加経費に対しましては、経常系統財源増加によってまかなう、しかし、投資的経費につきましては地方債の増発によってこれをカバーしていく、こういう措置をとらざるを得なかったのでございます。したがって、必要最小限度財源振りかえを行なった、それが交付税のほうに反映してまいりますと、基準財政需要額振りかえ、こういうことにならざるを得ない、こういうことであります。
  15. 堀昌雄

    堀委員 私は、いまのこの問題は二つの角度があると思うのです。一つは、地方に迷惑をかけないで、元来財政措置をするというくらいなら、一緒に八千五百億円国債を発行して、国で全部それだけやっても同じことじゃないか。感触ですけれどもね。要するに、私はこれを見ながら、国は今度七千三百億円の国債を発行したというけれども現実は八千五百億円出しているのだ、そういう感じがしているのです。これを見ておりまして、結果としてはそういう感じになるのです。そうじますと、いま地方財政と国の財政の仕組みが複雑に入り組んでいるものですから、何とかもう少し簡明直截に——国債を発行しなくなったときは話は別だ。そんな財政需要額をここに使っている間は別だが、てこを入れぬときは、そんな複雑なしかたで、こちらの補助率はこうで、あと残り起債でこうでということをやらないで、直轄で国でぽんとやってしまって、それを国債措置してしまうというほうが簡明直蔵でいいじゃないか。それが済んでしまえばまた元に戻すということでいいのではないか。そういう考え方大臣どうでしょう。あまり複雑になり過ぎるような感じがしますけれども
  16. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 実態として見ます場合にはお話のような点があるのですが、しかし、やはりどこまでも地方財政地方財政で、これは独自のたてまえをとっているわけですから、そのたてまえは堅持していかなければならぬ。そういうところで、やや複雑ではございまするが、ただいまのような措置をとっているのであります。
  17. 堀昌雄

    堀委員 それでは、自治大臣が入りませんから先に進みます。  この千二百億円の中で四十一年度に七百億円が縁故債になっているようですが、地方公共団体が出す四十一年度縁故債は千六百六十一億円に達しているわけですね。そこで、国有鉄道特別債利用債縁故債、それから電電公社のやはり縁故債、ずっとこういう縁故債をたどってみると、これは四千億円以上にも実はなる。大臣、私はこの起債の問題を見ながらそう思うのですけれども縁故債という起債のさせ方、これは私はどうもあまり望ましい起債あり方ではないという気がするのです。この前、国鉄が非常に大きな特別利用債なるものを縁故債という形で使われた。じゃ、どこへ持たせるかといえば、国鉄取引のあるとこへ主として持たせることになると私は思う。何か関係がないところはそんなに持ちませんからね。そうやって縁故債を持ってもらえば、今度は取引をするときは一体どうなるのか。適正な価格で納入しろと言ってみても、その分の利子分は上乗せしてくる可能性が十分あるわけです。ともかく、企業家だって金が余っている会社はないわけです。御承知のように、自己資本の比率が二〇%台という借り入れ資本状態の中で、ともかく買いたくないものを、まだ縁故債を買ってくれ、買ってくれなければ次の発注は、と、こうなれば企業家は買わざるを得ない。買ったら、今度はその分が取引の中でかぶってくるのはあたりまえのことだと思う。これをともかく国鉄がやり、電電がやり、鉄道建設公団がやり、地方公共団体が千六百六十一億円やる、こういう姿は、私は起債あり方としてはフェアではないと思うのですが、大臣どうでしょうか。
  18. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 起債方式としては、特別債とそれからいわゆる利用債と、こういうようなものがあるわけです。私は、国鉄昭和四十年度に一千何百億円になりますか、そういう形のものを出した、これはそういう形のものとしては少し多過ぎる、こういうので、本年度におきましてはこれを相当減らしておるわけなんです。いま地方団体が主でありますが、そういうものの借り入れ方式は特別の縁故債、そういう形であります。地方団体でありますから、業者があるわけじゃありません。金融機関、県でいいますれば、特に地元金融機関と話し合いまして、そして、条件は大体公募債と同じような条件になるのですが、借り入れをする、公募債によらざる形で借り入れを行なうわけであります。これは特別縁故債、こういうふうにいわれておりますが、私は、地方債公募債として消化される、こういう形はほんとうに理想的なもので望ましい、だんだんそういうふうに持っていかなければならぬ、こういうふうに思いますが、しかし、今日の段階ではまだ市場もそういうところまできておりません。そういうようなことから、地元という縁故をたどりまして、地元金融機関から融資を受ける、そういう形になっておるわけであります。だんだんと公募債がこれに置きかわるようになっていくということを期待いたしますが、現実といたしますとやむを得ざるものじゃないか。ただ、その条件が一体どうなるかということが私は一番の問題点だと思うのですが、条件のほうは七年の期限、また利率につきましても七分三厘から七分五厘というようなぐあいで、公募債とそう違いはない、こういう状態でありますのでその点は安心できるのでありますが、公募債でいければこれにこしたことはないのであります。できるだけそういう努力をしていきたい、かように考えております。
  19. 堀昌雄

    堀委員 実は、地方債につきましては、縁故債が四十年度の当初計画が七百八十六億円でありました。それが改定計画で一千三十六億円になり、四十一年度は千六百六十一億円にはね上がった。縁故債が二倍以上になるわけですね。私は、やはりこの縁故債という形のものが、たとえばいまの金融機関対の問題にいたしましても、ともかく、どこかに縁故債を買わせるためには、またそこに何らかの処置がされなければ、地方金融機関といえども、そうでなくても、国債割り当てはある、政府保証債割り当てはある、シンジケートに入っている以上はずいぶん割り当てがあるわけですね、割り当てがある上にまだこれだけかぶってくる、こういうことになるわけですから、私は、どうもこれを見ておりまして、政府起債に対する態度がやや甘過ぎるのではないのか。国債ともなるとどんどんわれわれが国会でやかましくいろいろ言うし、それについてのめどの問題を非常に議論しておりますけれども、こういう形の起債については、何か、もうきわめてルーズで、地方債のいまの問題にしたって、当初計画が七百八十六億円が三百億円近くぽんとはね上がる、その次の年は倍以上になるなんという形は、これは私はもう少し——地方自治体だけではありません。電電公社でも四十年度の当初計画縁故債百六十六億円が四十一年度四百五億円です。四百五億円も関連企業に持たせたら、これはもう正常な物品購入価格にならないと私は思うのです。電電国鉄、みなこれは取引先です。地方自治体取引先というのは金融機関ぐらいしかあまりないでしょうけれども。ですから、縁故債というものは割り切って、公募債なら公募債にきちんとするということにして、やはり電電なり国鉄コマーシャルベースの中で競争さして、安いものを買い入れるということにならないと、これは非常にうまくない問題が起きてくると思う。  私は昔、小林という阪急の社長の話をちょっと聞いたことがあるのですが、阪急というところは、社員は外へ行くときは弁当を持っていけ、外で弁当をごちそうになることはまかりならぬ、もしめしを食って自分の会社取引上に影響があってはいかぬということで、お茶以外には飲むなということが言われておった。これは初めのころのことでしょうが、私の友人の阪急社員が申しておりましたけれども、私はそれがあたりまえだと思う。ところが、こんな状態縁故債をこんなに持ってもらっておっては、私はこれはフェアな取引はできない、こう思います。地方公共団体はさておき、国鉄電電等縁故債処置というものは、今後どういうふうにされるおつもりですか、ふえる一方ですからね。
  20. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 電電はそういうものがふえていますが、国鉄のほうは逆に減っておるのです。つまり、国鉄のほうでは料金改定が行なわれました結果こういうことが可能になる。やはり私は、電電にいたしましてもあるいは国鉄にいたしましても、安定資金を持たせなければいかぬ、こういうふうに考えておるわけでありまして、いろいろ御批判もありましたが国鉄運賃の引き上げを行なったのも、そこに一つの理由があるわけなんです。何といたしましても、国の——国というか、政府じゃありません、国全体の中に流れておる資金には限りがあるわけであります。これを料金等の形で徴収する、それができないという際には借り入れ金という形になるのですが、その借り入れ金もなかなかそう簡単に調達できない。そこで、特に電電なんかは業者にこれを持っていただく、これは注文した品物の代金の一部が電電債で支払われる、こういう形になるわけですね。しかも、電電債利息を払っておるわけです。電電債を買うために、かりに金融機関から当該会社借り入れ金をするという際には、今度は利息を払わなければならぬ、こういうことになりますが、私は、あなたがおっしゃるように、そういう性格のものであって、電電債を持っていただきますけれども、ちゃんと借り入れ金に見合う利息は払っておるのですから、何といいますか、そう恩恵を感ずるという立場ではない、それが取引条件影響するというほどのことはないと思います。思いますが、そういう資金調達方法は、どっちかといえば、あまり好ましくない、こういうふうに思いますので、何とかして安定資金を持って仕事ができるというような形をだんだんつくり上げていかなければならぬというふうには存じます。
  21. 堀昌雄

    堀委員 まあ、いまの問題は電電債ももらってしまったら、人件費を払わなければいかぬ、材料費を払わなければいかぬ、金利の負担を払わなければいかぬという中で、そういう理由で持たされたものをすぐ売るわけにはいかない。持っていて借り入れをしてまかなうことになりますので、やはり問題が残っておると思いますから、最後におっしゃったように、この問題の処置は、私が屡次申し上げておるように、金利の自由化をして、オープンマーケットをつくりさえすればこんなものは解決するわけです。ともかくオープンマーケットで金を入れて出して、みながそうやってやりさえすれば解決つくことが、オープンマーケットがないからゆがんだこういう措置があっちこっちにとられておる。おまけに安易な起債態度があるということになれば、これは私重要な問題だと思いますので、私はもう大蔵委員になってから五年ぐらいこれを言っているんですけれども、金利の自由化をしなさい——この間も大臣お聞きになっていたと思うのですが、これも経済問題じゃない、政治問題だから佐藤さんにやりなさいといってもなかなかやりませんわね。なぜやれないのか、私はやはり勇気がないのではないかという気がするのですが、ひとつお考え願いたいと思います。  最後に、私は国民健康保険の問題を少し議論しておきたいと思います。  いま地方財政をずっと見ておりますと、いろいろな要因が赤字要因として確かにあります。そうして、だいぶ前から行政配分と税制配分の再編といいますか、これをやりたいという声はずいぶん前から聞いておるのですけれども、まだちっとも具体的に端緒についていないような気がするのです。ちょっと自治大臣のほうから先にお伺いしますけれども、いまの国と地方の行政配分、これをひとつ少しやり直そう、それから税制の配分も少しそういうふうに変えて地方財政をもうちょっと健全化するようにしたいというふうになっておると思うのですが、自治省としてはこれについては具体的なプログラムはないのですか。
  22. 永山忠則

    ○永山国務大臣 第十一次の地方制度調査会をこの五月に発足いたしまして、そうして鋭意検討を願って、まだ十分じゃありませんが、とにかく来年度、四十二年度予算編成までにはひとつ何らかの結論を得て、そうして行政配分や税制の配分等に対して前進したいという考えで努力しております。
  23. 堀昌雄

    堀委員 十一次の地方制度調査会、十一回もやっていて、こんな重要な問題をやらないで一体何をやっていたのでしょうね。これは大臣希望的観測を言われているけれども、いまのままなら、五月からやったっておそらく何も出ないのじゃないかと思うのです。  そこで、私は少しきょうは詰めた議論をしておきたいと思うのです。地方財政を見ながら、いま一番問題の一つは、私は国民健康保険の問題だ、こういうふうな感じがいたします。ちょっと地元のほうの関係の資料を調べてみたのですけれども、私のおりますところには阪神六市といいまして、尼崎、西宮、芦屋、伊丹、宝塚、川西という六つの市があります。この六つの市で国民健康保険の支払いなり、収入なり、そういうものは昭和三十七年から四十年まででちょうど倍になりました。ところが、私その他の市はつまびらかにしませんが、尼崎市についていえば、いま人口五十万でございますが、国民健康保険の制度ができてから今日まで国民健康保険の被保険者数は十万人なんです。ずっと十万人なんです。人口がふえてきたのは全部被用者保険の人たちがふえてきている。そうして、どういうことになっているかと申しますと、昭和三十九年について見ますと、一般会計から一億一千四百二十三万二千円という繰り入れをしながらなお七千六百万円余りの赤字になっておるわけですね。ですから、都合これは約一億八千万円くらいというものがほんとうは一般会計からでも入れなければならぬ状態になっておる。一体、都市がだんだん膨張して、その住民は被用者保険の人たちだけがどんどん入ってきて、その割合が四対一にもなって、なおかつ一億八千万円もその一の人のためにあとの勤労者が金を入れなければならぬという点は、私は実は非常な疑問があるのです。それで、国民健康保険というものの発生の過程からこれは徐々にできてきましたから、全体ができるまでは、私は地方自治体でやるというのもやむを得なかったと思うのですが、今日全国皆保険になりまして、さらに給付内容の改善がたびたび行なわれて、現在も国民健康保険法の改正が提案をされておるようですね。私たいへんけっこうなことだと思うのです。たいへんけっこうなことだと思うのですけれども、そのしわはあげて地方自治体に寄せられているということで、はたしていいのかどうか。もう時間がありませんから、ちょっと私ここでいただいた資料を申し上げると、昭和三十九年度について全市町村の数が三千四百八ありますけれども、この中で赤字団体というのが二千二百二十九であります。三分の二は赤字団体、黒字団体が三分の一、そうして、その赤字団体の赤字の総額は、三十九年度では二百四億八千六百万円に達しておるわけです。これは自治省でちょうだいした資料ですから間違いないと思いますけれども、ちょっと自治省これの数だけ確認をしてください。
  24. 柴田護

    柴田(護)政府委員 三十九年度決算は御指摘のとおりでございます。
  25. 岩尾一

    ○岩尾政府委員 先生のいまお示しになりました数字は自治省の調査かと思いますが、別途、厚生省のほうで、実際の保険財政から見ましてどういうふうに赤字、黒字を算定していったらいいかという数字がございます。その数字の中にもいわゆる国庫から精算額を補助いたしましたり、あるいは昨年、先生も御承知の臨時財政調整交付金という四十億円の金を出しました。そういうものとか、あるいは支払い未済等を全部整理いたしまして実際上の実質収支は幾らであるかというのはまた別の数字がございます。したがいまして、そういうことで御了承いただきたいと思います。
  26. 堀昌雄

    堀委員 いま私が申し上げたのは、要するに、地方自治体の一般会計からいろいろと繰り入れをしたりしたものを含めて——繰り入れした分というのは赤字分ですから、だから表に出た実質赤字のほかにそれだけの繰り入れ分を足しますと、三十九年度は二百四億円、こうなりまして、私はこれがほんとうの意味の実質赤字だと思っているのですが、あなたのほうでは幾らになりますか。
  27. 岩尾一

    ○岩尾政府委員 私のほうは厚生省でおつくりになっておる資料を中心にまとめておるわけでございますけれども、実際上、いま申しましたような国庫の精算金その他を全部入れまして三十九年度におきます赤字団体は二百二十七でございます。全部の精算をいたしますと、赤字額が大体三十四億円でございます。それから、あとが全部黒字団体でございまして、その黒字団体の黒字額は百九億円でございます。それから、いま先生のお話しになりました一般会計から入れておる金でございますが、これは八十九億円だと記憶しております。この八十九億円の中には、先生がいまおっしゃるように、ほんとうに財政が赤字で入れておるというのもありますし、あるいは逆に、いま、一般の国民健康保険で認められております給付内容をもうちょっとよくしたい、たとえば家族五割というのを七割にするとか、あるいは別途の付加給付をやるといったように、決定よりも高い給付をやるために一般会計から入れているものが大体二十億円ぐらいではなかったかと思います。それからなお、保険料率等につきましてもいろいろ御意見はございますが、大体厚生省のほうで御指導されておるような保険料率まで取っていないということのために入れておるのが三十一億円ぐらいございます。そこで、そういうものを実際の赤字とは見ないで大体計算をいたしますと、赤字団体、黒字団体全部差し引きずることはどうかと思いますけれども、一応差し引きをいたしますと、百九億円から先ほどの三十四億円を引いたもの、それにいま申しましたような五十一億円のうちの赤字団体分を引いていただきますと大体三十六億円ぐらいが実質上の黒字である、こういうことでございます。
  28. 堀昌雄

    堀委員 いまのように、一つの事実について著しい食い違いがあるのでは、これはもうほとんど議論はできないわけですね。だから、私のほうの手元にある資料と、これはもう一ぺん少し検討しなければいかぬけれども、一体これはどこが正しいかというと、私は、いまの問題は地方自治体の側からやはり見なければならぬ、こういう角度でものを言っているわけですからね。そうすると、一応自治省の出したこの資料は一つの側面があるだろう、やはり二百億円の負担というものは地方財政にかかっているのじゃないか。だから私が申し上げたような、特にこの資料で言うならば、大都市は六つで、全部赤字だ。今度は、都市は五百五十三あって、その中で赤字が四百十七、ですからこれも五分の四は赤字、町村は二千八百二十三で千七百八十一ですから、これは二分の一強くらいになる。こういうふうな赤字団体と黒字団体の区別がある。ですから、私はこの問題をずっと見ておりますと、少なくともいろいろな問題を通じて国民健康保険の所得階層というのは、現状ではその他の国民の所得階層よりは実は低いのです。この分布の状態が、国民健康保険の所得階層というのはその他の所得階層よりは低いということになっておる以上、これはもう国の責任を明らかにして、少なくとも国民健康保険事業というものは国に統括をすることがいまの再配分上の非常に大きな問題ではないのか。特に地方へ行きますと、国民健康保険税なり国民健康保険料なりというものは実はいま家計に非常に大きな負担をかけておるという実情なんです。国もこれから定率国庫負担をおやりになるということでたいへんけっこうですけれども、そこまで話が進んでくるなら、何も地方自治体にまかせておかなければならぬ段階でないのではないのか、こういうふうに私は考えるのですが、自治大臣どうですか。地方財政の健全化のためには、こういう食い違いがあるけれども地方側としては赤字がある、実はこう認識をしていると思うのですよ。だから、その点については、私は、地方制度調査会の十一次ですか、ここでまず国民健康保険の国の移管についてはどうかという具体的な諮問ぐらいは出すべきだと思うのですが、いま一体自治大臣地方制度調査会にどういう諮問をしているのですか。
  29. 永山忠則

    ○永山国務大臣 地方制度調査会は、一応事務配分の問題について答申をいただいております。したがいまして、今度はこれに対する税源の配分問題というものをあわせて検討を願って、そして事務配分と総合して実施段階へ入るという方向で次の予算編成を目ざしてぜひやりたいという考えでございます。もちろん、その中におきまして国民健康保険の関係をどう扱うかということは、大きな問題としてお説のようにひとつ十分検討いただくようにしたいと考えております。  なお、いま大蔵省との差異が非常にあるように思われますけれども、事実におきましては、皆さんの御努力によりまして、四十億円の臨時調整交付金と百億円の予算見積もり不足額の金と、そして精算補助の百億円を昨年末の補正予算でいただきましたので、ああいうような大蔵省の言う数字になるわけでございますが、これはまだ統計が出ておりませんので、見通しとしては大蔵省の言うようになります。しかし、そのことは、お説のように非常なる負担をいたしているということなんでございまして、健保は総報酬制をとっておりませんけれども、国保のほうはそれをとっておるのでございまして、一世帯割りの負担は実に住民税をはるかにオーバーをいたすような税負担でございます。したがいまして、いま考えてみますのに、人生七十年ということになりましたが、あの国民健康保険をつくりました昭和十二、三年のころは人生五十年でございました。しかも、若いとき、経済能力のあるとき会社その他で働いて、いよいよもう収入がなくなって、病気にかかりやすくなった老人を全部かかえまして、負担能力のない者だけを収容いたしておるような関係でございますから、やはりこれは健保その他、いわゆる医療社会保険の総合統一へぜひひとつ入っていただかなければならぬときがきておると考えておる次第でございます。その方法論についてはいろいろございましょうけれども、自治省といたしましては、とりあえず標準保険税をつくりまして、それには医療費の問題などいろいろ総合した保険料をつくって、それをオーバーするものは調整交付金で調整してもらうという線を打ち出しつついま内部で調整をいたしておりますが、そういうことでももういかぬのじゃないかと考えまして、そこで実際は地域社会保険が医療保険の中枢をなすものだと思うのです。なぜかというと、医師会と保険者と被保険者はどうしても血の通うものでなければならぬ。総合一体でなければ医療費というものが合理化されてこぬのじゃないか。法律や権力で医療費を押えていくということは非常に困難でございます。診療を受ける際は一対一でございます。脈を持ってもらうのは一対一でございますから、信頼がなければいかぬのでございます。したがいまして、やはり地域社会保険への発展的統合ということが、一番医療費が合理化されて、医療内容が血の通うものになるのではないかというようには考えておりますけれども、しかし、もう役人が保険をやっている時代じゃないと思いますので、あるいは企業体というものをつくって、保険医療関係一つに統合した企業保険特別会計のようなものをやるとか、いずれかの方法で総合調整にぜひひとつこの場合踏み出すように、調査会のほうにおいても強く推進をいたしたい。お説のようなぐあいに十分努力をいたして総合調整するようにいたしたいと思います。
  30. 堀昌雄

    堀委員 どうもお話を聞いておると、自治大臣お話は、各種保険を地域保険にしたい。私は、それは統合すること、総合的にやることは大いに賛成なんですが、私が申し上げているのは、国のほうへ持ってきて、みんな国の責任でやるべき社会保障——いま、要するに社会保険から社会保障への移行過程にあると思うのです。いま財政上の問題が多少ありましょうからなかなかそういってないけれども、しかし、最近の傾向は、いずれも国庫負担をやっていこう、この間の健康保険法の問題のときも、ひとつ定率国庫負担についても前向きに考えようというところまできているということは、これは医療が社会保険から社会保障の医療に前進しつつある、こう見ているわけですから、そういう過程の中では、地域の自治体にまかしておくということは、制度のあり方としてはどうも問題があると思います。  時間がありませんからなんですが、ちょっと私よくわからないのは、自治大臣は、調査会では行政配分のほうはもうできた、これから税制配分をやるのだというお話のようですが、行政配分というのが先に全部できてしまって、そのうしろから税制配分がくっついていくというようになるものなのか、一つずつ行政配分をやってみたら、それに見合う税制配分が次々出てこないで、全部片方の行政配分をきちんとやればあとは税制配分がきちんとなるようなものかどうか、ちょっと疑問を感ずるのです。そうなると、いまの行政配分で、国にやるというのは、答申が出ているのですか、国にお返しするものはどれというふうに。いまの大臣の御答弁からするとそんな感じがするのですが、いかがですか。
  31. 永山忠則

    ○永山国務大臣 単なる行政事務の再配分について答申が出ておりまして、したがいまして、今回の計量法でありますとか、ああいうものなどは、窓口を一元化していくというような方法の技術的なものでございます。
  32. 堀昌雄

    堀委員 大蔵大臣にお伺いしたいのですが、福田さんはこれから当分大蔵大臣だろうと私は思うのです。いろいろ内閣改造もあるでしょうけれども、間違いない。そこで、いまの医療費問題というのは、御承知のように非常にむずかしいわけです。私は、大体厚生大臣を一年こっきりでかえていくようなことでは、医療行政をやるかまえが政府にない、こう言っている。だから、少なくとも総理大臣は、事、厚生大臣については三年くらいはやらせるというかまえでなければならぬと思うのです。この間私は鈴木さんにその話をしたら、半年でも命が縮む、こう言っているのです。命が縮むような厚生大臣を置いておいたのではこれは勝負になりませんから、ちょっとたたいてもどうもならぬくらいの、少しタフな者を厚生大臣に三年くらい置いて、がっちり一ぺんやったら問題はかなり前進する、こう思うのです。これは私は、ものの考え方としては正しい、人間の問題は別として、そういうことだと思うのですが、同時に、大蔵大臣あまりしょっちゅうかわってもらっては実は困ると思うのです。なぜかというと、しょっちゅう財政政策が変わったのでは非常に困る。そこで、ひとつ福田さんを長期大蔵大臣ということにして、いまのそういう医療行政を含めての国民健康保険のあり方というのは——医療費はやはり医学の進歩とともにだんだんふえていく、ふえていってあたりまえだと私は思うのです。多少中身の問題は議論があります。支払いのあり方なりいろいろな問題は議論がありますが、そのことはさておいて、医療というのは科学ですから、科学は進歩をするわけです。科学が進歩をするにつれて費用がかさむというのは、これは経済学的に私は当然なことだと思うのです。そうすると、それに対応する受け入れ態勢というものが行政の上でもマッチしてこないと、いまの地方自治体におけるいろいろな赤字問題にしわが寄ってくる。こう考えますと、この問題は、国に国民健康保険を移管をし、ある時期でこれを総合的な処置をするという問題はもう時間の問題ではないのか、方向としてはそうなければならぬのじゃないのか、こう思うのです。財政的な合理性の見地から見ても私はそのほうが処置がしやすくなる、こう思いますけれども大臣、ものの考え方としてはどうでしょうか。
  33. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 現在のわが国の医療保障、これはどっちかというと自然発生的にタケノコみたいな形で出てきておるという面が強く出ておると思うのです。その間に非常に不均衡もあるし、それからそういうふうにばらばらにやっている関係上、不合理な点も多々ある、そういうふうに考えておりますが、同時に、会計状態ですね。これが給付はふえる一方だ、ところがそれに対して財源措置というものが非常に停滞をいたしておる、こういうのが実相だと思うのです。これはどうしても根本的に考え直さなければならぬ時期にきておると思うのですが、私はその考える方向につきましては、いま堀さんのお話のように、これは統合だというが、まさにそういうことだろうと思います。この夏にまた特別のそういう問題だけを扱う審議会をつくるというのが政府の方針なんです。その審議会では、その根本問題だけに取り組んで、ひとつ、ことしは医療問題の長期方向を出す年にしたい、こういうことでございます。私もその構想の実現に非常に期待を寄せておるわけなんですが、何とかしてあなたのお話のように統合ということを軸といたしまして、この問題に大きな前進を見なければならぬ、そういう方向で私も側面から努力をしていきたい、かように考えております。
  34. 三池信

  35. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 先週の火曜日に、交付税に関しまして私と大蔵大臣との間で質疑応答いたしましたその締めくくり的な意味で、きょう大臣から御答弁をちょうだいしたいと思います。  本委員会に提案となっておりまする交付税及び譲与税配付金特別会計法案の実体法が先週地方行政委員会を通りました。すなわち、地方交付税の一部改正法案と昭和四十一年度における地方財政の特別措置法案が地方行政委員会において処理をされたわけです。その際に、与野党間で懸案となっておりました固定資産税免税点引き上げ等による減収額の初年度概算五十二億円に対する政府の補てんについていかように決着を見たのか、御解明をいただきたいのであります。具体的に申しますと、補てんの原資はいつ、いかなる方法で調達されることになったのか、それから各市町村への補てん額算定の基準は何であるのか、この点につきまして明らかにせられたいと存じます。
  36. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 地方税法が国会で修正になりました際に、その修正による固定資産税の減収額に対しまして、それを国において補てんをすべしという附帯決議があったわけであります。政府としては極力これを尊重していきたいという方針でございますが、そのやり方はまだ具体的になっておりません。これは先ほど申し上げましたが、地方財政の総合的な検討の結果、どういう方法がいいか、これを個別にきめなければならぬ、総合的な見地から個々具体的にきめなければならぬ、こういうふうに存じております。基本方針はきめているのです。つまり、実質的に地方財政の負担とならない方法できめる、こういうことでございます。その実質的に地方財政の負担とならない方法とは何だ、こう言いますと、それは一般財源で処理する、こういう意味合いでございます。つまり、起債などにはよらない一般財源で処理するというその方法、これはまだどういう形がいいか、今後総合的な見地から具体的にきめていきたい、そういうふうに考えておりますが、もしこれを補正予算を必要とするというようなきめ方、そういうふうに結論づけた場合におきましては、これは次の国会、すなわち、最も近い国会において御審議をわずらわす、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、なお補てん額の配分につきましては、これは交付団体、不交付団体の区別はしない。固定資産税が修正の結果、それだけ減収になったというものに対応する措置であるということを明らかにしたいと思います。
  37. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 大体その程度のお答えですと、前回の私との質疑応答からあまり進展はしていないように理解します。ただ、後段の交付団体、不交付団体を問わず配付できるようにする、この上限のきめ方はいいですけれども、まあ、下限という表現でいいのかどうか知りませんけれども、そのきめ方のもう少し具体的なめどというものはついていないのですか。たとえば、免税点の引き上げによって減収となるところは、どっちかというと、富裕ならざる市町村、概して農村地区とか、そういうことになると思うのです。そこで仄聞したことでありまするけれども、この問題の検討に際して、たばこの売り上げ本数によって配付すべしというようなことも出たそうですが、この点は、たばこをよけい消費するところは比較的富裕な市町村でありまして、今回の固定資産税の免税点引き上げで減収になる市町村と逆な立場の市町村である、そういう点からこの点も適当ではないということになったと聞いております。さっき、それならば、しょうちゅうか何かを飲んでいる市町村が多いのだから、しょうちゅうの消費の割合でこれをきめるかどうかというような冗談話もあったのですが、そうなりますと、鹿児島県とか特殊な地帯ではよけい配分を受けるというようなことにもなるわけで、われわれが考えてみましても配分の基準をどこに求めるかというのはたいへんむずかしいと思うのです。そこで、そういういろいろな手だてを模索しました結果、落ちつくべきところは、免税点を引き上げる場合と引き上げざる場合を想定しまして、個別的に市町村のものを計算すれば一番早いのではないかということに落ちつくように思うのです。ところで、自治省側の担当者に聞きましたところ、もしそのような方法を打ち出した場合におきましては、各市町村が山を張ってきて、その累計が五十二億円をはるかに突破するようなことになってしまいやしないかということも聞きました。いずれその方法につきましては一長一短があると思うのですが、具体的な配分をしなければならぬわけですから、そのめどにつきまして自治大臣はどういうふうにお考えになっておるのか、もしいい知恵がございましたら、また、あなたのお考えがかくあるべしということがございましたならば、お答えをいただきたいと思  います。
  38. 柴田護

    柴田(護)政府委員 若干具体的な問題でございますので、私からお答え申し上げます。  お話のように、この問題の収拾をめぐりまして与野党間で話し合いがございましたときに、たばこ的な配分というものが簡単に考えられたのでありますが、いろいろ計算してまいりますと、どうもやはり免税点引き上げなりあるいは電気ガス税の減税等に見合った額が与えられない、つまり、それと逆の配分が出てきてしまう、そこで、それならば何か別の方法を考えなければいかぬじゃないかといったような御意見もございまして、それはもう少し実態も勘案しながら検討を要するだろうということになって今日に至っております。どちらにいたしましても、補てんすべきものは理論的な減収額でございます。実際の減収額と申しますよりか、地方税収入見込み額を算定いたしました上に立っての減収額でございますが、それを市町村の実態になるべく近いようなかっこうで割りつけをいたすためにはどうすればよいかという方法論を検討しておるのでございます。免税点の問題と電気ガス税、両方あるわけでございますので、若干その作業は複雑でございます。いままで考えられました案、あるいは言われました案ではどうも満足がいきかねる。そこで、もう少しこれはじみちに検討をしたいということで、現在まだ結論を得ておりません。いずれにいたしましても、なるべくは免税点の引き上げあるいは電気ガス税の免税点引き上げのいずれにもよる減収額に見合った額が補てんされるような方法というものを考えたい、こういうことで検討をいたしておりまして、できるだけすみやかに結論を出したいというつもりでおる次第でございます。
  39. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 結論的に申すとたいした締めくくりにならないようですが、最善の方法を早いところきめていただいて、地方のほうは早くこの配付を受けたいという願望がありますので、すみやかに処理されんことを要望しておきます。
  40. 三池信

    ○三池委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  41. 三池信

    ○三池委員長 これより討論に入ります。  通告がありますので、これを許します。武藤山治君。
  42. 武藤山治

    ○武藤委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について、反対の意思を表明し、討論をいたしたいと思います。  ただいまの質疑状況を見ましても、今日の地方自治体が非常な窮状にあることは、私が重ねて申し上げるまでもありません。昭和三十九年度の自治省の決算内容を見ましても、三十九年度起債残額は、普通財政において一兆六百億円、企業会計において一兆一千億円の借金を地方自治体はかかえております。この返済を思い、さらに金利負担を考えるならば、地方自治体の将来に私たちは非常な心配をいたすのであります。自治省の答弁によると、金利負担も年平均して約六%を占めておるというのであります。これらの負担を長期的に考えるならば、地方自治体の将来はどういうことになるであろうかと心配するのは、野党のわれわれのみではないと私は思うのであります。  しかも、三十九年度の赤字の状況をつまびらかにいたしますと、一般会計において赤字団体は三百七十六、金額にして三百七十二億円に達しております。国民健康保険会計においても、赤字団体二千二百九十二、金額において二百五億円、さらに公営企業関係における赤字団体が四百団体、金額において六百五十九億円に達するのであります。この状況を大蔵大臣自治大臣はいま頭の中に描けば、将来の日本の地方自治団体がどういう苦しい状態になるかということは想像にかたくないと思います。しかも、これらの情勢は、決して昭和四十一年度に突然に起こった現象ではありません。権力を持ち、予算の運営権を持つ政府自身は、すでに長い以前にこれらの状況を知っておるはずであります。しかるにもかかわらず、これらの地方自治団体に対する抜本的対策を自治省並びに大蔵省は立てていない。きょうの自治大臣答弁を聞くと、本年五月に第十一次地方制度調査会を開き、これから抜本策を考えるというに至っては、まことに怠慢のそしりを免れるわけにいかぬと思います。政府自民党の地方自治団体に対するかかる姿勢というものは、われわれとして断じて容認するわけにいきません。政府の怠慢を責めなければいかぬと思うのであります。  さらに、昭和四十一年度政府のとりました措置をながめますると、一千二百億円は地方債のワクを拡大し、元利とも将来国がこれを負担する、五百八十六億円については、税率をわずか二・五%の引き上げにとどめてこれを埋める、四百十四億円については、第一種特例交付金、さらに第二種特例交付金の二種類においてこれをカバーしょう、こういう財政措置をとって糊塗しょう、四十一年度のその場をしのごうというのが今回の措置であります。しかも、私は、特に反対をしなければならぬけしからぬ問題点は何かと明確に指摘をいたすならば、今回の改正によって、従来普通交付税の算定単位になっておったものが四十一年度に限ってはずされるということであります。あるいは減ぜられるということであります。すなわち、河川、道路、港湾、漁港、海岸堤防等の需要額を、従来ならば五百八十九億円見込んでいただける普通交付金を、四十一年度に限りこれを除外する、それに対する見合いの分はほんのわずかでありまして、百七十数億円にしかすぎません。かかる基準財政需要の算定単位までいじって臨時的措置をするということは、普通交付税の体系を乱し、地方自治体に対する安定した長期的資金を確保する道を閉ざす道であり、体制を混乱におとしいれ、地方交付税の好ましからざる方向への改正と断ぜざるを得ません。したがって、私たち日本社会党が反対する第一の大きな理由は、この地方交付税の体系を紊乱するという政府の態度に尽きます。  第二の問題点は、四十一年度に限って臨時特別措置を講ずるというこのこそくのやり方によっては、今日の地方自治団体の窮状を救うことはできない。したがって、われわれは今日の地方交付税率を百分の三十七に引き上げて、臨時的にたばこの売り上げ本数を基礎にして交付税を配付するとか、先ほど申し上げた財政需要の単位を減らしてさらにこういう臨時措置を講ずるという二本立てで体系を乱している。しかも、その金額がわずか二・五%というちょっぴりしか引き上げをしないということでは解決できないとわれわれは考えております。したがって、日本社会党が反対する第二の大きな理由は、交付税率を百分の三十七にすべきである、ここまで政府が考慮しなかったということは、政府の怠慢であり、地方自治団体に対する前向きの姿勢をとったとは認めるわけにまいりません。  したがって、本案に対しましては、日本社会党は、地方自治団体を代表して、これらの地方住民の意思を十分そんたくして、反対の意思を強く表明せざるを得ません。政府の今後の十分な御考慮を強く要求して、討論を終わりたいと思います。
  43. 三池信

    ○三池委員長 永末英一君。
  44. 永末英一

    ○永末委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま上程されております交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行ないたいと思います。  もともと、憲法に地方自治がうたわれておりますのは、それぞれの地方団体の自主性、実情に合わしてその地方住民の暮らしの水準が確保できる、こういう目的であったはずであります。しかし、この目的を達するためには、国の政府責任においてこれらの自治体がそれぞれ十分な財源を与えられ、その財源の使途について、公選によって選ばれる地方団体の首長と地方会議員とがその地方の実情に即した解決を与える、これが国の政府責任であります。昭和二十五年に勧告されましたシャウプ勧告に基づくシャウプ税制も実はこれを目途といたしております。ところが、この税制の目的とするところと現実に行なわれておるところとはきわめて大きな離れがあります。地方団体が与えられております住民税、特にその所得割り、あるいは府県民税でございますところの事業税にしろ、あるいはまた飲食税にしろ、国の税制の面からいくならば、これは納税者にとっては二重、三重の課税となっているわけであります。しかも、その全体の総額におきましてはきわめてわずかであり、いわゆる一割自治から三割自治といわれている根源がここにあります。したがって、国としてこ状態を改変するためには、制度的に——納税者のふところは一つでございますから、納税者、主権者が納めた税金を、もし国税で吸収するならば、地方に還元をする、この制度をはっきりと打ち出し、その上に地方自治体がそれぞれの実情に即した事業計画をやり、これを行なっていく、消化をしていく、こういう体制をとるべきが当然の憲法の精神であろうかとわが民社党は考えます。ところが、自民党政府は、憲法の基本的精神にもとり、その場限りの地方自治、地方財政問題の解決をやってまいりました。今年度、この法律案によっても明らかなとおり、地方交付税の算定率の引き上げにつきましてもきわめて不十分なのは、まさしくこの点に対する配慮が少ないのでございまして、したがって、地方自治体の首長は、自分が権力を持っていると、独自で独立税を賦課して住民をいじめておる、こういう事情も起こるのであります。まことに遺憾に存じます。  さらにまた、特別事業債なども年度限りということでやっておりますが、一体、自治体が借金をどんどん食らい込んで次年度に送っている状態というものを続けるような地方自治、地方財政に対する指導方針というものは、国の政府としてはなすべきことではない。いまや、一般の経済界においても借金時代は過ぎた、それぞれ自己資本力をつくって企業を守らなければならぬ、こういう風潮が起こっているときに、国の政府国債を発行し、地方自治体にまで地方債をどんどんお情けのごときかっこうで流して当面の財政危機を切り抜けさせようというこの態度は、われわれは賛成することができません。いわんや、臨時地方特例交付金なるものを設けて、これで本年度だけ何とかつじつまを合わせようとしておるが、なぜこれを交付税率算定に繰り入れて交付税率引き上げを行なわないのか。こういうこの場限りの地方財政地方自治体に対する方針が続く限り、日本の民主主義は根底からくずれ去る、われわれはその危険を感じます。  国の首長も、地方自治体の首長も、地方会議員も、選挙になりますと、自分たちが地方住民のしあわせを守るのだ、こういうことを言っております。財政的に法制的にこれを見れば、彼らにうそをつかせているのはだれであるかということを私はきわめて心配するのです。われわれは、日本の民主政治を守るためには、まさしくこういう場当たりのやり方ではなく、まず自治大臣責任を持って、恒常的な自主財源と、地方団体に対して方針を明確にし、これを大蔵大臣は受けて、この方針の上にその年度の問題を解決していく、この基本方針のないままにかかる法律案を賛成してくれろと言っても、民社党は賛成するわけにはまいらないのであります。  以上、反対の意見を陳述いたしました。
  45. 三池信

    ○三池委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  46. 三池信

    ○三池委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  48. 三池信

    ○三池委員長 地震保険に関する法律案及び地震保険特別会計法案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  49. 横山利秋

    ○横山委員 二、三こまかい点からお伺いするのですが、政府の再保険のあり方について、地震保険に関する法律案の第三条によりますと、政府が再保険をする。その第四項に「七十二時間以内に生じた二以上の地震等は、一括して一回の地震等とみなす。ただし、被災地域が全く重複しない場合は、この限りでない。」とありますが、この第四項というのは、政府の再保険のときにのみ該当するのであるか、一般的な定義をいっておるのですか。
  50. 上林忠男

    ○上林政府委員 一般的な定義でございまして、政府の再保険だけの場合に適用されるものではございません。
  51. 横山利秋

    ○横山委員 それならば、どうしてこの項目を改めないのですか。第三条の「(政府の再保険)」のところに第四項として整理してあるというのは、法律条文からしてもおかしいではないですか。
  52. 上林忠男

    ○上林政府委員 条文の立て方といたしましては、三条の三項に「一回の地震等により政府が支払うべき再保険金の総額は、」こう書いてあります。したがいまして、その一回の地震という定義を順序として置く必要があるということで、四項に一回の地震の定義をつくったわけでございます。これにつきましては、この一回の地震というものによりまして、政府が支払うべき再保険金の金額の定義をいたしておるのでございますけれども政府と民間との関係におきまして、一回の地震というものを明確にしておかなければなりません。これは政府の再保険の場合だけではなくして、国と民間の保険会社との両方に、この一回の地震につきましての定義が適用されるということに相なるわけでございます。
  53. 横山利秋

    ○横山委員 第三条は政府の再保険についての一項、二項、三項である。四項は再保険以外の、再保険がされないものも適用されるという説明であるならば、四項は「七十二時間以内に生じた二以上の地震等」というものの独立した定義である。それをなぜ「(政府の再保険)」の中に入れておくか。これは法律の体系からいうならば、当然第三条の内容となるものを第四項で規定したとみるのが法律ていさいとしては正しいのであるから、なぜそれなら独立した条項へ置かないのか。
  54. 上林忠男

    ○上林政府委員 この「一回の地震」の定義が適用されまする場合には、政府の再保険との関係におきまして最も密接な関係を生じてまいるわけでございますが、保険会社が行ないます約款の場合にもこういうような定義を要するわけでございます。  したがいまして、一般的にこの定義は当てはまるわけでございますが、第三条に条文を入れましたのは、政府の再保険との関係におきまして一番密接な関係がありますことと、条文の書き方といたしまして一回の地震という条文が出てまいりましたのが第三条でございますので、それとの連関におきまして第三条の四項に置いたというわけでございます。
  55. 横山利秋

    ○横山委員 それは理屈で、一回の地震が第三項にあるから第四項の一回の地震とみなすといったところで、この第四項の解釈は、あなたが言うように、再保険の場合でなく、一般的にもこれを定義とするというのであるならば、独立して条項を起こすことによって明白になる。問題は、この第四項は意味が違うのです。第三項のほうは再保険の問題です。第四項は再保険する場合としない場合と両方に適用されるとするならば、これは全然独立をすべきではないか。独立した条文とすることによってまずい点があるならば聞かしてもらいたい。
  56. 上林忠男

    ○上林政府委員 そもそもこの地震保険に関します法律は、国が再保険をいたしますることによりまして地震保険の普及をはかるのが目的でございます。したがいまして、本質的には、この法案によりまする地震保険と申しますのは、国の再保険というものを考えなくてはならないものでございますが、この再保険が要らないという地震保険を一般の民間会社なり何なりほかのものでやるということになると、この法律とは無関係で成り立ち得るものでございます。ここにございます第三条の四項と申しますのは、そのような再保険と無関係地震保険がかりにあったときに、それまでを拘束する意味ではございません。しかしながら、ここにおきまする第三条の四項の七十二時間以内のこの定義は、政府の再保険の場合にのみ適用されるのではございませんで、政府と再保険契約を結びまする民間保険会社、これの約款上の規制にもなるわけでございまして、そういう約款がない民間の地震保険契約につきましては政府は再保険をしないということになろうかと思うわけでございます。
  57. 横山利秋

    ○横山委員 はっきりしてほしいのだ。さっきと話が違うようなんだが、そうすると、再保険をしていない保険契約については第四項は適用されない、こういうことになるのですか。さっきと話が違うじゃないですか。
  58. 上林忠男

    ○上林政府委員 政府の再保険を必要としないで、民間だけで地震保険というものをやる場合におきましてはこの条文の適用はないわけでございます。ただ、この七十二時間以内に生じた二つ以上の地震等を一括して一回の地震とみなすというのは、余震がいろいろございまして、どれが一回の地震であるかということをはっきりしておくという必要があるものでございまして、過去におきまして、戦時中でございますが、行ないました地震保険にも同じような扱いをいたしております。ほかの国におきましても同様な定義を置いておる場合があるわけでありますから、必然的にこうなければならないというわけではありませんけれども、単独に行なう場合においてもそういう規定が置かれることがあり得るということがあります。
  59. 横山利秋

    ○横山委員 それでは一番初めの説明とは違ったわけですね。そうだと言ってもらえば次に移ります。そうですね。
  60. 上林忠男

    ○上林政府委員 お答えをいたしましたのは、あとから申し上げたほうが正しいわけでありますが、最初お答え申しましたのは、若干私誤解をいたしたのかもしれませんが、要するに、国だけがこの適用を受けるというのではなくして、国の再保険の関係におきまして、民間の保険会社の約款においてもこの法律による地震保険の体系をとる限りにおいて、民間の保険会社においても四項が適用になる、こういう趣旨で申し上げたのでございます。
  61. 横山利秋

    ○横山委員 たとえば松代ですね。松代と四項とはどういう関係になりますか。松代は毎日毎日地震が続いておるわけですね。実際問題として切るわけにはいかないのです。どういうことになるのですか。
  62. 上林忠男

    ○上林政府委員 この一つ地震をどういうところで切るか、こういうことは、学問的に申しますと、震源地によりましてきまるようでございます。過去の地震におきましても相当の長期にわたりまして余震があったという例があるようでございますが、一般的には、大体七十二時間以内で余震がおさまってしまうというのが普通のようでございます。したがいまして、学者の御意見を伺いましても大体七十二時間というところで一つ地震という区切りをつけたらいいのじゃないかという御意見もございましたし、先ほど申しましたように、わが国にもそういう例がございました。また、外国にもそういう例があるわけでございます。  御質問の松代の場合でございますが、これも私詳しいことはわかりませんけれども、この松代におきましてもおのおの震源が同じ震源で地震が起こっている場合、あるいはそれがいろいろあちこちで起こっている場合があろうかと思うのであります。いま連続いたしておりますのは、同じ震源をもとにしてすべてが余震で起こっておるのではないのではないかと思っておりますが、そういうような意味におきまして、この一つ地震のまずどれを最初の地震に考えるかという点などにつきましては、今後被害などが起こりました場合に、その査定をいたすとぎに学者などの、これは気象庁その他地震研究所等におきまして、この地震がどこが震源であるということが判定されるわけであります。そういうおもな地震をとりまして、それから七十二時間以内というようなところで区切っていく、こういうつもりでおるわけでございます。
  63. 横山利秋

    ○横山委員 一般的、抽象的に四百六十七年ですか、それの統計をもって、あるいは外国の事例をもって「七十二時間以内に生じた二以上の地震等は、一括して一回の地震等とみなす。」ということは、われわれのいま頭の中にある松代の地震を考えますと、これはずいぶん争いのある問題になる。いま私は、率直にいって、地震保険についてあまり積極的じゃないのです。ないのだけれども、国民の関心の的である今日の松代の状況においては、不備ではあるけれども、まあひとつこれも意義があるか、こういう考えなんです。そういう考えから見ると、この第四項の規定というものがきわめて無意味な規定、無意味な七十二時間——あなたの理論的な、とをかりに当てはめて五ましても そんなことは現地の住民諸君にはわかりはせん。一般常識からいってもわかりはせぬ。だから、こういうような規定をすること自身に何か無理が伴いはせぬか、こう考えるものですが、どうですか。
  64. 上林忠男

    ○上林政府委員 確かに、松代の場合におきましては連続的に地震が起こっておりますのでそういう感じを持たれることもごもっともだと思いますが、一般的な場合につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、一回の地震、余震を伴います一回の地震が大体七十二時間以内に終わっておるということでございます。ただ、松代の場合におきましては御指摘のような状態でございますけれども、これは一回の地震の中に実質的には数個の地震が入るかもしれません。七十二時間以内に起こった地震、そういう地震が幾つか連続をして起こってまいる、こういうかっこうでこの法律が適用されていくことになろうかと思います。したがいまして、この一回の地震というものを定めざるを得ませんでした一つの理由といたしましては、国の再保険を行ないますにあたりまして、国と民間との負担区分の比例を定めますことが第一点でございます。第二点は、国が国庫債務負担行為をとります上におきまして、憲法の規定に従いまして何らかの限度を設けざるを得なかった、この二つの要請があるわけでございます。  したがいまして、この一回の地震の定義を適用を受けまする実質的な効果と申しまするのは、第一は、国と民間との負担割合、第二には、一回の地震におきまする総被害額が、四十一年度予算でございますと三千億円をこえるかどうかという問題でございます。したがいまして、かりに松代だけのことを申し上げますと、七十二時間以内に起こった地震が三千億円をこえない限りにおいては、削減という事態が生じない、したがいまして、松代のことを申し上げますと、その削減の機会がなお少なくなっておるというような事態、効果があるのではなかろうか。そういう意味におきましては、一括をいたしまして松代地震が何億の被害があったかという場合には、むしろ松代のためには有利な規定ではなかろうかと思います。というよりは、むしろ意識的にそうやったわけではございませんで、これを行ないまするゆえんのものは、一回地震が起こりまして被害が出ました場合に迅速な支払いをいたしまする意味からいいましても、一回の地震によりまする被害額というものを算定して、迅速に保険金を支払っていくというほうがより適切な、円滑な手続であろうかと思います。一括して相当長時日にわたって起こりました被害を全部集計しなければ保険金が払えないということ自体は、これは保険金支払いの方法としてはむしろ不円滑なやり方ではなかろうか、こういうふうに考えるのでございます。
  65. 横山利秋

    ○横山委員 御説明を聞くと、めっそである。各国並びに従来の統計からいってめっそである。期限をきめることが、松代にかりに考えてみて有利であるというような御説明にとどまると思うのです。そうであるならば、何も七十二時間を四十八時間にしたっていいのです。四十八時間ならどうしていかぬか、七十二時間ならどうしていいのだということになると、御答弁がおそらく歯切れが悪くなるだろうと思うのです。ですから、私の言いたいことは、この三条の四項は少し問題がある。統計的判断なり、国際的判断できめただけでは、世界における最も地震国である日本においては問題があるということを指摘をしておきます。  それから、第六条の審査の申し立てですが、えらい保険会社に義理を立てたかしりませんけれども、法律をもって「政府の再保険に関する事項につき不服があるときは、大蔵大臣に対し、審査を申し立てることができる。」となっていますね。これは本年度二千七百億円に詰める、詰める場合におきましては、政府の権限があるから文句を言わせぬ、こういうわけであります。生命保険会社が文句を言えるなら、保険契約者はどうしてこの法文の中に文句を言える筋道をつくっていかぬのですか。
  66. 上林忠男

    ○上林政府委員 六条によりまして、政府の再保険契約に関する事項につき不服があるときは、保険会社が審査を大蔵大臣に申し立てることができるという条文を置きましたのは、この再保険契約は行政処分ではないわけでございまして、国が一般の地方民間の人と同じような立場におきまして、公権力に基づかない立場におきまして再保険契約を結ぶというたてまえをとっておるからでございます。したがいまして、その再保険契約に関する不服がありまするときには、もちろん最後には民事裁判、裁判所に提訴をされることになるわけでございますが、その前段階と申しますかといたしまして大蔵大臣に審査を申し立て、この審査会において審査を経ることができることにいたしたわけでございます。一般の契約者につきましては、これは政府と直接契約を結んだわけではございませんが、窓口はすべて民間保険会社でございます。したがいまして、民間保険会社との契約関係ということになるわけでございます。もっとも、この地震保険につきましては、再保険金を支払うべき事態が起こりまして政府が介入をする、あるいは保険金削減というような重大な事態があるわけでございますが、そういう事態が起こります場合にはこの保険審査会で調査審議をするということが、七条にも規定をされているわけでございます。
  67. 横山利秋

    ○横山委員 もっと簡潔に、私の聞きたいことを率直に言ってもらいたいのですが、政府に保険会社が文句があるということは、要するに、保険契約者が文句があるということが潜在基盤になっているわけです。保険契約者は保険会社に文句を言えばいいじゃないかということだったら、保険会社だって、法律にきめなくても政府に文句を言えばいいじゃないか、こういうことになるのですよ。ですから、保険会社の保護条項があるなら、なぜ保険契約者の保護条項が法律上にないのか、こういうことを言っているのです。各証券にしたって、銀行にしたって、あるいはいろいろなもにのしたって不服処理機構というものがあるわけですね。聞けば、この保険会社にも中央の調停委員会というものがあるそうですが、中央にえらい人が五、六人おったところで個々の苦情処理が円滑に処理されるとは思わぬわけです。ですから、こういう六条のような保険会社に有利なことが書いてなければ私はそうまで言わないけれども、何か地震保険を一貫して流れるところは、この間も私は強く指摘したのですけれども、保険会社にちょっと配慮が過ぎているじゃないか、そう思われる。そうじゃないと首をかしげてみえるけれども、それなら、私の言うように、審査の申し立てと並んで契約者の審査の申し立ての機構をどうしてあわせておつくりにならないか。地震保険ばかりじゃない、損害保険なんかでもそうだ。生命保険でもそうだ。保険契約者の不服処理機構というものをなぜこの機会に確立をしないか。確立をするべく努力をなさる意思があるかどうか、はっきりしてもらいたい。
  68. 上林忠男

    ○上林政府委員 六条は、先ほど申しましたように、再保険契約の当事者でありまする政府と保険会社との関係を律するものでございまして、一般保険契約者につきましては、大蔵大臣といたしましては、単に地震保険のみにとどまりませず、すべての保険契約につきまして、それが契約者の権利を完全に守りまするように、あらゆる意味におきまして検査、監督をいたしておるわけでございます。なおまた、保険会社におきましても、その公共性にかんがみまして苦情相談所その他をつくりまして、契約者の苦情も十分解決するように努力をいたしておるわけでございまするし、もちろん大蔵省といたしましても、一般の検査、監督権に基づきまして契約者の保護が完全に行なわれまするように常に指導をし、留意をしているわけでございます。したがいまして、法律的な構成といたしましては、いま申し上げたようなかっこうになっているわけでございまして、こういうような例は、たとえば原子力保険等の法律におきまして同じような行き方をしておるわけでございます。
  69. 横山利秋

    ○横山委員 人のことはどうでもいいのですよ。あなたの担当の保険関係について、保険会社の審査を許すならば、この際保険契約者の苦情処理機構をつくったらどうか。その基盤となっておる保険契約者の苦情が基盤になるのですからね。保険契約者が自分の利益のためにのみ異議申し立てをするとあなたはお考えですか。それならこんなものは削除しなさいよ。この審査の申し立ての基盤になっているのは、保険契約者の利益を代表してやるのだという見地に立てば、そういう考えがあるならば、その保険契約者とその保険会社の争いがこの第六条の根っこにあるはずだ。そうでしょう。ですから、土建事業にしたって、あるいは金融機関にしたって、あるいは証券機構にしたって、いまみんな苦情処理機構があるのですよ。あなた御存じないのですか。地方にあるのですよ。中央にもあるのですよ。それを、この保険会社に対する苦情処理機構だけは中央に五、六人のえらい人を配して、それでやっておるなどということは不届き千万だ。だから、前向きにこの際保険契約者と保険会社の苦情処理機構というものをつくりなさいよ。この間、歩積み、両建てに端を発しまして、財務局では金融機関等の苦情処理機構をつくったですよ。建設会社でもあるですよ。証券会社はみな取引所の中にあるですよ。なぜあなたのところだけはそんなに渋るのですか。どうして保険会社の利益をそう考えるのですか。検討するくらい言ったっていいじゃないですか。
  70. 上林忠男

    ○上林政府委員 現在におきましても各財務局には保険を担当いたします者が配置をされておりまして、もちろん第一義的には保険会社の検査、監督をやっておるわけでございますが、それに応じまして、そのほかに各契約者からいろいろ御相談がありますれば御相談に応じておるわけでございまして、したがいまして、御趣旨につきましては、地震保険につきましても財務局におきまして、いろいろの苦情がございましたらば、十分御相談に応じますように、あるいはいま御趣旨の点も考えまして、なお今後の問題につきましては十分検討させていただきたいと思います。
  71. 只松祐治

    ○只松委員 ちょっと関連。  過日、参考人がお見えになったときも、今度の地震保険ができれば百五十万円で打ち切りになりますね。そうすると、五百万円、一千万円という保険を火災保険でつけておる場合に、たとえば、松代のように地震が起きた。きのうの新聞では停電が起こった。停電が起きたからろうそくを立てた。そのろうそくがたまたま倒れて火事になった。一軒や二軒のときはこれは火災ということで処置するかもしれません。しかし、三十軒、五十軒、百軒と多数焼けた場合には、保険会社としては、当然地震保険を適用してもらいたい。(「それは一軒や二軒でもわからぬぞ」と呼ぶ者あり)こういうことになると思うのです。いま声がありましたように、一軒二軒でも地震保険を適用しろ、こういうことになるかもしれません。そうなった場合には、保険会社としては当然百五十万円で打ち切ったほうが安くなりますから、そういうことをしてもらいたいということになりますし、保険契約者のほうでは、火災保険ならば五百万円、一千万円という保険金をもらえるわけですから、それを適用しろ、こうなった場合に、これはどこで判定しますか。結局、裁判以外には究極にはないと思うけれども、しかし、通常こういうものをいきなり裁判に持っていくのではなくて、やはりいま横山さんからおっしゃったように、第三者機関というものがあるべきだ。現在の法案においてもそのことが一般国民の間に非常に要望されておる。これも、過日私が言いましたように、二百九十万円の火災保険をつけておった。この前は言わなかったが、富士火災です。それが二百二十万円にしてくれということになった。本人はそれは不服だからもう少し要求してもらいたいということで私のところに話があった。それで私が保険協会を通じて話した。その間に、保険会社のほうがやいのやいの言うから、とりあえずということで判こだけ押しておいた。しかし、保険会社で言うのには、判こを押したから円満妥結です、本人も喜んで二百二十万円で妥結しております、こういう報告を損保協会にしておるわけです。円満妥結じゃないのですよ。本人は不服だから、抗弁のしようがなかなかないから私のところに頼みに来た。ところが、保険会社は、私のところに来るときには円満妥結です、こういうでたらめな報告になる。火災保険でもそうでしょう。まして、地震保険で百五十万円で頭打ちということになれば、いま横山委員がおっしゃったように、必ずこういう問題が起こる。だから、こういう有名無実の学識経験者を中央に置くということではなくて、少なくとも府県単位くらいにそういうものを認定するものを置くべきである。これは国民の側に立つ政府なり行政機関として当然のことでしょう。そういうことがひとつも検討されない、検討に値しないと言われるのだったら、あなたたちは業界の代表だといわれてもしかたがないのですよ。もう少し国民の側に立った答弁をしてもらいたい。
  72. 上林忠男

    ○上林政府委員 ただいま御質問のありました直接間接地震による被害であるかどうかという問題につきましては、従来ともいろいろと議論がございましたし、また、相当な判例もあるわけでございます。したがいまして、最終的には裁判所が決定せざるを得ない問題でございますが、私どもは、そういう判例に基づき、この場合におきましてはそういう判例も考慮いたしまして十分検討をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、御質問のありましたような、保険会社が実質上円満妥結してないのにしておるというようなことをもし言っていることがございましたならば、そういう点につきましては十分指導をし、監督をいたしたいと思います。
  73. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは、財務局には保険担当者がおると言いますけれども、ほんとうにあなた、個々の問題についても親切に扱ってやれという通達でも出ていますか。そんなもの出ていませんよ。たとえば、何々銀行がこういうことをやっておる、おれは非常に損したというて個々の問題がいきましても、財務局としては、まず大体において、個々の具体的なケースについては、職員の諸君も何か職権を利用したり利益代表者みたいな感じを与えられるのをおそれるのあまり、特別でない限りあまりやらないのです。ですから、先般も金融問題については、国会の意思に沿って、ぼくらはあれでは不満だと思うけれども苦情処理機構をつくって、商工会議所の窓口へ行ってどうぞ何でも言ってくださいと、こういうことに一歩前進したのです。保険問題については、火事でまる焼けになったか半損になったのか、いろいろなことで常に議論があるのですよ。それに対して不服の場合に、財務局の窓口に保険問題苦情処理相談所と看板を掲げたらどうだと私は言うのですよ。どうしてあなたはそんなにいやがっているのか私にはわけがわからない。個々の問題は、いま担当者はそんなもの扱っていやせぬですよ。かえって妙に見られるということを考えていやがっているのですよ。そういうことがわからぬのですか。
  74. 上林忠男

    ○上林政府委員 御趣旨は非常にごもっともと思いますので、そういうような問題につきまして十分検討させていただきます。
  75. 横山利秋

    ○横山委員 時間も一時に近いですから、政務次官に次の五つ六つの問題をお預けをして、この地震保険の最終審議の際に、大臣かあなたか、どちらかから正確に政府の態度をお伺いしたいと思います。この五つの点は、すでに大臣から御答弁を承っておるものもありますが、しかし最終審議の際に明確にしていただきたい。  第一は、この保険の保険料の低減に積極的に検討をしてもらいたいという点であります。この点については若干説明をふえんしますけれども、先般私が引用いたしました政府数字をもって見ましても、ここ四、五年の間に保険料収入は、三十六年三千九百億円から三十九年七千五百億円に達しており、そして契約者配当準備金が約九百億円くらい還元されておる。これだけの契約者配当準備金があるなら初めから保険料を下げてしかるべきだ。年々歳々少しずつ損保も生保も保険料の引き下げが行なわれておりますが、この数字をもっては不十分きわまると私は考える。したがって、第一は保険料の問題。  第二番目は、保険会社に対する法人税あり方について、この際新しい角度で十分見直してもらいたい。この点も大蔵大臣から善処する旨の答弁がありました。私の入手いたしました政府の統計をもって見ますと、三十六年には法人税が十四億円であった。ところが三十九年はたった二億円である。この点については、政府の説明によれば株の評価損というものがあるそうです。それは事情がわからぬではない。けれども、いま同僚委員もうしろで話しておったのですが、不動産評価その他から考えれば、あるいは日生劇場その他の保険会社のいまの運営、ビルの建築等から考えれば、常識としてかかる法人税の納入は納得ができない。これは制度に問題があると思われる、ないしは運用にも問題があると思われる。したがって、保険会社法人税についてこの際十分に検討をしてもらいたい。  第三番目は、これも先般私は言ったのですが、公認会計士の監査証明を受けるように制度をつくってもらいたい。今回政府が二千七百億円の再保険をするという。場合によればいろいろなことで政府は援助をする。「(国の措置)」として第八条に、「政府地震保険契約による保険金の支払のため特に必要があるときは、保険会社等に対し、資金のあっせん又は融通に努めるものとする。」とある。これは保険会社が認可事項であるからということはありますけれども、私はこの際、保険会社の経理の近代化をさせるためにも、公認会計士法の審議の際に十分意を尽くしたいのでありますけれども、監査証明を受けるようにしてもらいたい。  第四番目は、私並びに同僚委員からいろいろ指摘いたしましたが、この地震保険の制度についてはまだ不十分な点が多い。先ほどの七十二時間にしましても、あるいは第六条の審査の申し立ての問題にいたしましても、一体実情に適合するかどうか危ぶまれる点が多い。したがいまして、本法施行後、実施状況を見ながら適時再検討をすべきではあるまいかということが痛感される。  その次は、いま申しましたが、審査の苦情処理機構というものを保険制度に行政上——私は法律上と言いたいのでありますが、法律上できなければ、行政上においてこれは設置をすべきである、それが第五番目であります。  そのほか、本法案の中で全損しか適用しないという点についても私はずいぶん議論があると思います。その他本委員会の審議の中でわれわれが申し上げたことについて、ひとつ前向きで、こういう意見があったが、これはこう考えるというような点を整理をしてくださって、最終審議の際に政府の代表としてどなたかから御答弁をいただきたい。  以上であります。
  76. 三池信

    ○三池委員長 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ————◇—————    午後三時五十六分開議
  77. 三池信

    ○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。春日一幸君。
  78. 春日一幸

    ○春日委員 私は、この際、地震保険法案について所要の質問を行ないたいと思います。  第一番に、この保険者の身分、資格条件についてでございますが、この法律の第二条によりますと、地震保険の保険者は損害保険会社のほかに、火災共済事業を行なう法人で大蔵大臣が指定するものとなっておるのでございます。したがいまして、火災保険会社のほか、少なくとも火災共済協同組合、これに対してはこの地震保険の保険者という身分がこの法律ではもう法定されておると思うのでございます。しかるところ、現実にこの中小企業団体法、中小企業等協同組合法の火災共済協同組合、その条項ではそういうことができるような法文に相なっておりません。したがいまして、少なくともこの地震保険法で火災共済に対してこ地震保険の保険者としての身分を付与しようというのが政府の考えであるならば、少なくとも、同時にこの中小企業等協同組合法の火災共済協同組合、この中に火災の事故のほかにこれがやれるということを法文で明示していかなければ、事実上、ここでできるように門戸を開いても火災共済それ自体の事業資格としてこれがなし得ないことになるのではないか、こういうふうに考えられるし、当然法律の解釈はそこに帰結すると思うのでありまするが、この点はいかがでありますか。
  79. 上林忠男

    ○上林政府委員 御指摘のとおり、この法案におきましては、保険者といたしまして、保険会社のほかに、法律上の規定を持ちまする共済組合もこの地震保険の保険者となり得る道を開いておるわけでございます。ただいま御指摘の火災共済協同組合につきましては、ただいまの業務範囲が火災のみを担保することになっておりますので、地震に伴いまする火災を担保する地震保険につきましては、現行の法律のもとにおきましても許されるわけでございまするが、ただいま考えております総合保険の自動付帯の場合には、総合保険自体をこの火災共済がなし得ないかっこうになっておりますので、火災共済協同組合として、その性格なり業務範囲を拡張するのが適当かどうか、こういう問題がまた別の問題といたしましてあるわけでございます。その問題につきましては、関係各省ともよく相談をして善処をいたしたいと考えておるわけでございますが、この法律案を立案いたしましたときには、火災共済の内部におきましても、いろいろな御議論があったようでございますし、また、地震保険につきましては、この性格にかんがみ、いろいろむずかしい問題もございまするので、準備が必ずしもできなかったというような時期的な問題もあるわけでございます。そういうようないろいろな問題があって、火災共済につきましては、この地震保険法案に乗り得る道は開いたつもりでおるわけでございまして、今後いま申しましたようないろいろな問題を検討をし、関係省とも相談をいたしまして、今後の問題につきましてはさらに検討を加えてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  80. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、法律の第二条は、この地震保険は、総合保険による自動付帯の保険として火災共済にもなし得るように道が開いてある、こういうぐあいに私は読み得ると思うのでありますが、いかがでありますか。
  81. 上林忠男

    ○上林政府委員 ただいま提案いたしておりまする法律案におきましては、特定の損害保険契約に付帯することということが条件になっておるわけでございます。したがいまして、ただいまわれわれの考えておりまするのは、原則的には総合保険に自動付帯という道と、さらに、御承知のように、火災保険に任意付帯という道をも考えているわけでございます。一方、火災共済の業務範囲は、ただいま申しましたように、火災のみを担保し得ることになっております。したがいまして、もし火災共済が総合共済をやりたいということになりますと、火災共済自体の業務範囲の問題に及んでくるわけでございます。これは中小企業等協同組合法の問題でもあります。その関係でどういう業務範囲にするか、こういう問題でございます。そちらのほうの問題が解決をいたしますれば、さらにこの地震保険について火災共済が十分なし得る能力もあり、その準備も整えられたという場合には、そういうかっこうで進められるということになろうかと思います。
  82. 春日一幸

    ○春日委員 私は、この法律は、このまますらっと読みますと、総合保険による自動付帯のものにしろ、あるいは火災共済に対するものにしろ、これは損保会社とそれから火災共済と二つのものをその有資格者としてこの法律が書かれておるように思いますが、そうじゃございませんか。
  83. 上林忠男

    ○上林政府委員 たてまえといたしましては、御指摘のとおりに、損保会社のほかに、大蔵大臣が指定をいたしました法律に基づく協同組合というものもこの法律の適用を受けることになっておるわけでございます。ただ、その協同組合の業務範囲は、またおのおのの根拠法規によりまして業務範囲が限られておるわけでございますから、その範囲と法律とが合致いたしませんと動かないということになるわけでございます。したがいまして、火災共済の場合には、火災に任意付帯をする地震保険というものでございますれば、現行法のもとでもなし得るということになるわけでございます。ただし、総合共済になりますと、いまの協同組合法の業務範囲との問題を調整をするという問題が起こってくるわけでございます。
  84. 春日一幸

    ○春日委員 これはよくわかると思いますが、特定の損害保険契約に付帯して締結されるという分は、これはいまのところは、現実の問題としては保険会社だけに限られ、しかもその総合保険の契約のなされたものに限る、こういう形に相なるのでございましょうが、しかし、この法律の書き方は、第二条に「この法律において「保険会社等」とは、」と書いて、すなわち「損害保険事業を営むことにつき免許を受けた者又は他の法律に基づき火災に係る共済事業を行なう法人で大臣の指定するもの」こういうふうに書いてある。したがって、指定基準が後日どう作成されるかはこれは別個の問題といたしまして、法律のたてまえとしては、損保会社並びに火災共済協同組合、この二つを保険者として対象に置いておる、こういうぐあいに読むべきではないか。したがって、どのような指定基準を設けるかという問題は、これは行政上の問題で別個の制約があってしかるべきであろうとは思うけれども、法の構成として、立法論的に言うならば、この二つのものが対等の扱いを受けておるものである、後日大蔵大臣が指定するしないという問題でチェックされる場面が出てくるけれども、チェックされるまでは、その資格条件に合うものであるならば、総合保険といえども、火災共済の分といえどもこれは同然の取り扱いをすべきものであるという想定のもとにこの法律の条文が形成されておる、こういうぐあいに理解してよろしいか。
  85. 上林忠男

    ○上林政府委員 御趣旨のとおりだと思っております。ただ、共済組合につきましては、いろいろの準備その他も不十分な点がございますので、今後そういう準備等を経ました後にこれの適用を受けるということが適当であるということになります場合におきましては、大蔵大臣の指定を行ないましてその適用を受けしめるということになろうかと思います。
  86. 春日一幸

    ○春日委員 したがいまして、現段階においては、いろいろと保険数理の上に立って、元来それだけの担保力があるかどうかという問題はこれは別個の問題として、この際新しい法律をここに制定をしようというのであるならば、内閣としては、やはりこの法律に見合って関係法の修正をしていくべきではないかと私は思うのですね。すなわち、この地震保険法では、火災共済の諸君も地震保険をやることができるんだぞという法律を書いておいて、片一方の法律ではそういうことができる形になっていないですね。すなわち、中小企業等協同組合法によりますると、第九条の七の二に規定されておりまするが、それによると「組合員のために火災によりその財産に生ずることのある損害をうめるための火災共済事業」とあるのでございますから、前に申し上げたような構成でその条文を作成するとすれば、やはりこの際、火災その他の事故によりというぐあいに、地震保険というものを担保することが、その資格としてそういう担保者たり得ることをやはり協同組合法の中で同時並行的に法の改正を行なっていくのでなければ、幾ら大臣が、将来これはもう保険数理に基づいて火災共済にそれだけの担保力ができたからこれに免許を与えようと思ったって、この中小企業等協同組合法第九条の七の二の制約に基づいてその他の共済事業ということはやることができないではございませんか。いかがです。
  87. 上林忠男

    ○上林政府委員 確かに、おっしゃるとおり問題があるわけでございますが、この地震保険を火災共済組合がやるかどうかということにつきましても、火災共済内部の議論といたしまして、一つには、それは地震保険もやったほうが適当であるという御意見、あるいは火災共済としてはもっと先にやるべきことがある、地震保険につきましてはそういう問題の解決した後にいろいろの準備を経てやるべきである、こういうような御議論もあったやに聞いております。したがいまして、総合保険をどうするかという問題につきましても同じような議論があったかと思います。そういうような観点から申しまして、火災共済に総合保険を営ましめるかどうかという問題につきましては、いましばらく検討もしたい、ある意味では地震保険と密接な関係がございますけれども、たてまえといたしましては、火災共済組合の業務範囲をどうするか、根拠法規の問題になるわけでございます。当面この地震保険法におきましてはそういう諸準備が整った、法律的な根拠も整い、火災共済自体のいろいろな料率の算定とか、その他諸準備が整いました暁におきましてはこの法律に乗り得るという道を開くということにとどめておる、こういう次第でございます。
  88. 春日一幸

    ○春日委員 私は、この問題はいま部長御指摘のとおり、即時解決を要する問題ではないと思えば思われるのでありますが、立法論としてこれは手ぬかりではないかと思われるのでございます。すなわち、この地震保険法というものではできるのだ、火災共済協同組合は総合保険の付帯保険としても火災共済は大蔵大臣が定めた基準に合致して大蔵大臣が免許を与えたならばできるのだと、書くだけ書いておいて、しかし免許しょうと思ったところで、片方において中小企業等協同組合法でそういうことはできない形に法の体系をなしておる。だから、日本国の法律全体として均衡がはかられなければならない。ここで大臣の免許を受ければできるようになっておったら、少なくともその法律のたてまえとしては火災共済協同組合法の中に所要の改正がなされて、火災共済協同組合も火災の事故あるいはその他の事故等による損害についてこれを担保することができると、こういうぐあいに中小企業等協同組合法も同時に直して、そして本人たちがやるやらぬという問題、あるいは大臣が免許を与える与えないという問題は、後日の問題に行政措置として残しても、やはり同時並行的にそのような徹底的措置を講ずべかりしものであると私は考えます。この点、大臣はどうお考えになりますか。
  89. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まあ、法律のたてまえから両方そろえるということも一つの行き方かと思います。また、地震保険に関する法律が、これが基本法であって、そしてその詳細は必要に応じて定めていくということも一つの行き方か、こういうふうに思うのですが、いずれにいたしましても、協同組合が地震保険を行なう、これは相当事前の準備段階を必要とするわけでありまして、ただいま御提案申し上げておりますのは、とにかく、たてまえははっきりしておく、しかし準備が整うのと並行しまして他の細則的な処置は講じていく、こういうことにいたしておるわけでございます。
  90. 春日一幸

    ○春日委員 他の細則的という問題ではなくて、これは法律ですね。すなわち、中小企業等協同組合法の改正を行なうのでなければ、地震保険法でなし得るというたてまえになっておっても、さて免許を与えようと思ってもできないものである、この御認識はございますね。だから、本人たちがやる意思を持ち、客観的にその基準に達した場合、ここに免許を与えようとしても与え得られないとするならば、与え得る道が法律で開かれておって与え得られないということは法律の間違いである、だからこれはしょせん直さなければならない筋合いのものであるという、こういう御認識はございますね。
  91. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 保険部長から答弁させます。
  92. 上林忠男

    ○上林政府委員 先生御存じのように、この地震保険の制度は、総合保険に自動付帯のほかに、火災保険に任意付帯という道も開いておるつもりでございます。したがいまして火災共済に任意付帯をいたしますものをやりたい、こういうことでございますと、もしこの大蔵大臣の指定がございますれば、それはできるわけでございます。問題は総合共済の場合だろうと思います。この総合共済は、まず地震保険自体を火災共済がやるかやらないかという問題、これにつきまして火災共済の部内におきましていろいろ御議論もあることも御存じかと思います。筋道といたしましては、中小企業協同組合の火災共済組合が火災共済だけをやるのにとどまるべきものなのか、それとも、そのような総合共済の範囲まで広めていくべきものなのかということがまず最初に解決されるべき問題で、これはまた法律的根拠もこの地震保険法の外の話でございます。その問題が解決をいたしますれば、地震法案におきましては火災共済組合につきましても保険者としての道が開いてあるわけでございますから、おのずからその問題が解決する、こういうたてまえになっているわけでございます。したがいまして、あるいは言い過ぎかもわかりませんが、地震共済をやるために総合共済まで火災共済組合の業務範囲を広げろ、こういうものの考え方ではなくて、火災共済組合の業務の範囲としてどこまでやるかという議論が私どもは先に立って、そこでその問題の必然的な解決としてこ地震保険法案に乗ってくる、こういう問題ではなかろうか。現在の問題といたしましても、そういうものの考え方のもとに、あるいは、地震保険というものを火災共済組合が積極的にどういうふうにやっていくか、あるいはやるべきかやらないでおくべきかというような御議論もあるやに聞いておりますので、そういう問題、あるいはやるという御決心をなさいましたときにはいろいろな準備が要るんだろうと思っておりますが、そういう準備が整い次第また考えさせていただきたい、こういうつもりでいるわけでございます。
  93. 春日一幸

    ○春日委員 大体において私はわかると思うのでありますが、お互いにこだわらず、この際後日のために十分明確な判断をしておきたいと思うのでございますが、これは第二条の第二項に書いてありますように、地震保険契約とはこれこれだ、それは総合保険に対する自動付帯、火災保険に対する任意契約、この二つのものがこの地震保険契約だ、こういっておる。このような地震保険は、火災保険会社にも火災共済にもやらせるのだ、こういうたてまえになっておるのですね。やるかやらぬか、認可を与えるか与えぬかは、大臣がその基準に基づいて指定するものにチェックされていくわけですから、やるかやらぬか、なし得るかなし得ないかは後日の問題として、やる意思がありとすれば、彼が申請をして免許が受けられるだけの資格条件は法的に与えておくのでなければ、この法律の構成としては一条と二条二項の関係で一ただし、火災共済協同組合については、任意契約の分だけに限るとかなんとか法の明文があれば別でありますけれども、そういうことはここに書いてない。書いてないとすれば、後日彼らが意思を持ち、その力量がついてきて、申請をして、大臣が許可を与えようと思っても、片方の法律でその他のことはできない、すなわち、総合保険を行なうことが許可されていないのであるから、許可を与えようと思ってもできないのである、申請しょうと思ってもできないのである。こういう法律の構成であるということはお互いに理解をしておかなければならぬと思う。それは異論ございませんね。——したがって、後日彼らがやる意思を持ち、やる力がわいてきたときには、総合保険契約をもなし得るように——その法の改正をするかしないかはそのときの政策判断でありますが、そういうたてまえにしていかなければならぬということでございますね。  それから、同時にこの際明確にしておきたいことは、少なくともその任意に基づいた火災保険契約に付帯する契約については、法律は、現在のままで一定の免許基準に達すれば火災共済はこの地震保険の保険者たり得る、現在のたてまえでもそれはなし得ることは明確でございますね。御答弁願います。
  94. 上林忠男

    ○上林政府委員 仰せのとおりでございます。
  95. 春日一幸

    ○春日委員 わかりました。  それでは、実はこの間も保険関係参考人にも私御質問いたしたのでありますが、これは重要な政策問題でございますから、特に大臣から御所見を承っておきたいと思うのであります。  この地震保険の対象物件は、居住用建物及び生活用動産に限るとなっておる。ところが、零細業者、いわゆる小規模事業者なるものは、事業用の建物と生活用の建物とが一緒なんですね。それから、その商品そのものが生活、生存のための基本になっておる。だから、事業用だといったところで、それは居住用であり、生活用動産といったところで、それは事業用動産と、なかなかその区分のできないような状態に置かれておるのですね。だから、このような事態にかんがみて、私は特に小規模事業者に限っては、その一定額のもの、たとえば五百万円以下の事業用建物、百万円以下の事業用動産、こういうものはこの地震保険の対象になり得る、こういうぐあいにしてやらないと、保険にかけるといったところで、零細事業である八百屋さんや魚屋さん、その辺の散髪屋さんとかパーマネント屋さん、大工、とび、左官まで入れていけば限りがないと思うのだが、そういう人たちの事業用建物、それから生活用建物、これは区分ができないから、ここに非常に問題点があると思う。実際運営上、時と場合によってはこのような零細庶民がこの地震保険の恩恵を受けることができなくなる、保険者としての資格を持ち得なくなるような場合が、厳密なる解釈をもってやられますと絶無ではない。だから、この点については十分御検討の上、この法案が成立するまでに何らかの明快なる統一解釈をなしとげておくべき必要があると思う。これが第一点でございます。  第二点は、今度の損害をてん補するのは全損の場合に限ると書いてあるんですね。だから、全損とは何ぞやという形になりますと、これは大体八〇%以上損壊した場合これを全損とみなすということが、常識的な一つの構想の基準になっておるようでございます。ところが、実際問題として八〇%以上は全損とみなすというけれども地震なんかでぶつ倒れた場合、八〇%の破損と七五%の破損、これはなかなか区分しようがないと思う。あるいは六〇%と八〇%でも、これは見ようによってなかなかそんなものは見分けがつかない。めちゃめちゃにこわれておるのですからね。あるいは七九%と八〇%とどう区分するか。家や家財道具がひっくり返ってしまったときに、これは七九%だから保険対象にならない。八〇%だからこれは払うというような問題が起きてくると思う。普通の火災保険の場合は、これは七〇%の損害だから七〇%の割合で払う、六〇%の損害だから六〇%の割合で払うといって、これは程度の問題で解決がつくのです。ところが、地震保険の場合は全損でなければ払わないというのだから、八〇%なら最高百五十万円まで払う、七九%ならば一銭も払わない、オール・オア・ナッシングという形になってくるのでございます。だから、このような保険を何十年とかけてきて、さてこわれた、保険金をもらおうと思ったら、これを審査した人が七九%という採点をしたものだから、長い間保険料を払っておって何ら保険金を受け取ることができない。あるいは審査員か評価員鮮何かがそのときの気分がよかった、あるいはごまをするというようなことで、七〇%のものを八〇%に見ておきましょうというようなことで、全損ありたるものとみなして限度額払われる。こういうことがある。いままでの普通の損害保険は程度に応じててん補される。ところがこれはオール・オア・ナッシングだから、特に大災害のような場合にほんとうに公正明確なる判定がつくかどうか。しかも、それがことごとく国民の税金によって、二千七百億円までは国がとにかく予算外の債務負担をやるのですから、これはできるだけ正確で公正が期せられなければならぬと思う。だから大臣としては、損壊の程度の認定機関、そしてその認定の公正を期するためにどのような制度をしいていく考えでありますか。少なくとも、こういうようなことにかんがみて、分損についても何らかの考慮をしていくのでなければ、この制度そのものの運営を不可能におちいらしめるおそれはないか、この点を深く案ずるものでありますが、いかがでありますか。
  96. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 第一は、住宅用の建物というふうにいまなっておるが、営業用のものにあわせて使っているものを一体どうするかというお話ですが、営業にも使うが、同時に住宅としてもこれを使っておる、こういうようなものは今度の地震保険の対象にする、こういう考えであります。さように御了承願います。  それから第二の、全損でなくて分損の場合も、つまり一部分に損害の及んだ場合もその対象にすべきではないか、こういうお話でございますが、この地震保険という制度を始めるそもそもの考え方が、ともかく、地震という非常な災害の際に応急的に民生安定という役割りを果たす、こういう考え方に立っておるわけであります。まあ、日本は地震国でありますが、長い間地震保険という制度が考えられながらも、ついに今日までできなかった。それはなぜかというと、この地震というような、一時にこうやってくる災害、しかも大規模でやってくる、それを政府が中心になって引き受けていく、まことにこれは容易ならざることである。そういうようなことも重大な理由となって、今日までこれができなかったわけであります。さようなことでありまするが、今度いよいよ地震保険の制度をつくろう、つくるが、ただいま申し上げましたような、とにかく応急の民生安定ということを考えまして、まあ、初めから理想型ということでなくて、とにかく第一歩から踏み出すという考え方をとっておるわけでございます。そういう一つのあらわれが、ただいま御質問の問題にもあらわれておるわけでございますが、とにかく地震が起こった場合に、すべての損害を補てんするということになりますと、これはもうその査定からいいましてもたいへんなことだろうと思うのであります。応急の間には合わぬようなことにもなるし、また、損害の額もはかり知るべからざるものがある。とにかく、大体経済的に見て、まあ無価値なものになったという判断のつくものにおきましてはこれが補てんに当たろう、こういう趣旨でやっておるのでありまして、地震保険創設のこの際の問題といたしましては、まあ全損補てん主義ということで出発するのが妥当である、かように考えた次第であります。  第一の質問におきまして、事業用の商品ですね。これをどうするかというお話でありまするが、ただいま第二の質問について申し上げましたように、まあ、スタートの段階でもあるというようなこともこれあり、商品にはこれを適用しない。家財と建物、建物は併用の場合もこれを含む、こういう考えであります。
  97. 春日一幸

    ○春日委員 これは災害にあたって、その被災者を応急に救済をしていこうというところにねらいがあるわけでございまするから、大体においてわからないわけでは。こざいませんけれども、われわれが念頭に置いて判断をせなければならないことは、とにかくそういうものが思想の根底をなしておるとはいいながら、片方には災害救助法という法律があって、応急に罹災者を救済をして民生の安定をはかる、こういうことは別の法律があるのです。ここでこれをやっていくということは、やはり経済的な規模で、そこに損害保険料とそのてん補する保険金とのいろいろな保険数理の上に立ってこういうものが仕組まれておるのでございますから、したがって、ざっくばらんに、あるいはざっとやっておいて、それでいいものじゃない。政策ならばそれでいいです。何も取らないで与えるのでございますから、したがって、与え方が少ないか多いかの問題でございまするが、これは保険料をみんな被保険者が払っておるのですから、払った者に対して公正なる支払いがなし得るという、この保険数理のメカニズムというものは、やはりこの法律をつくるときに立法府が十分そこに配慮してかからなければならない問題であると思う。私が申し上げるのは、これは印象的に申し上げておるが、八〇%程度の損壊は全損とみなす、以下のものはみなさないという形になる。七九%の分損と八〇%の全損と——火災保険の場合は、損害が少なければ保険金も少ないからいいのです。少なくてももらえるからいいのです。損害保険の場合は、損害が少なければ保険金も少なく削減されていくからかまわない。もらえることはもらえるからかまわない。この場合は保険料を払っておっても、査定がそのようになされれば、一銭ももらえない。そういうようなことは、経済事業としてこれが行なわれていくという立場から判断をして、不当なことである。言うなれば、非常にずさん、ずぼらな印象をなかなか払拭し、かたい。けれども、初めは、ない制度をやってみるのだから、むろんこれは後日いろいろと改善、改革についてくふうをこらしていかなければならぬであろうが、それにしても、いま申し上げたように、八〇%と七九%の区別、そんなものはよほどの専門家がそのことだけにかかり切ったって、なかなか正確な答えは出てこぬ。何百件、何千件と集団的に大災害が起こったときに、しかも応急の処理という形になると、これは半損だ、これは全損だといって、十ぱ一からげの直観的な処理がなされていくという心配がなくはないと私は思う。だから大蔵大臣は、そのような損害審査認定の機関の設定あるいは運営というものについてよほど注意をしてもらわないと、この制度そのものの機能を失ってしまう、そして、この政策の効果というものがあらわれてこない形になる、そうしてまちまちな、あそこはもらった、おれはもらえないと言って、非難ごうごうたる形になってしまって、むしろこれは紛争の種を新しくまきつけることを私は心配する。だから、この損害審査の機関あるいは運営要綱、基準はよほどのものが策定されるのでなければ、私はたいへんなことになると思う。この点について大臣の構想あるいはお心がまえ、どういうふうに考えられておりますか。
  98. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま八〇%とかいうようなことをしばしば言われておりますが、パーセントで考えているわけじゃないのです。経済的、社会通念的に見まして、これは全損だというようなものを全損だとするわけなんです。それじゃしからば、それは具体的にどういうことだ、こういうと、全損認定基準というものをつくりまして、適正にこれが行なわれるようにやっていこう、こういうことに考えておるわけなんです。その基準はまだ作成中でございますが、また一案を得ました上は御披露申し上げます。
  99. 春日一幸

    ○春日委員 この問題について私が非常に心配するのは、この問題はわれわれがかねて提唱して、政府がこれにこたえられて策定されてきたものでありますから、それだけにわれわれは産婆の一人としてはなはだ心配にたえない。いま社会通念上あらゆる角度から全損か分損かいろいろの判断をして、さて、じゃどの程度という形になると、結局パーセンテージで表現せざるを得ない。ざっと見て八割以上こわれた、これは全損だ、これはもうだれが見たところでそういうところに帰結する。そこでこの問題をとらえると、じゃ八〇%と七九%は一体どうやって見分けるのだという疑問がわいてくる。これは率直な、すなおな疑問である。そういうようなことについて、もらえるのと、もらえないのと、オール・オア・ナッシングの分かれ目になっては物議をかもすもとである。保険金を払った人が一銭ももらえない。片方はもらえる。しかも相隣接した人のときに、そういうような有と無との差が生じてくるからたいへんだ。そういうことをなからしめるように、この際は何らかの救済手段をとらなければならぬが、そのためには、分損も払わなければならぬように将来直すか、あるいはその基準というものをあらゆる場合を想定して全く公正になし得るようなものさしをつくるか、この二つしかない。十分御考慮あって、せっかくこの政策が生きて効果を及ぼすように十分なる御善処あらんことを要望いたしまして、大蔵大臣に対する質問を終わります。  そこで、私は部長に申し上げたいのでありますが、現実の問題としてこういう新しい制度を新しく施行されようとするその制度はいかにあるべきかというような問題について、やはり民主的な手続をとられて、これを保険審議会でありますか、これに諮問を発せられた。私は、こういうようなときには、やはり対象になるものの意見を十分反映せしめるような形で委員会の構成があってしかるべきだと思う。あるいは、その構成上そういうことに難色があるとするならば、適当な段階において参考人の意見の聴取ということもあり得たと思う。私がいま冒頭質問をいたしましたように、実際問題として、法の構成においても何となくぎくしゃくした感じがするんですね。だから、火災共済協同組合というものも保険者たらしめるということが国の意思であるならば、一体この事業を行なうにあたっては、君たちの意見はどうなんだ、そして、彼らの意見はその過程においてあるいは聴取されたと思うけれども、それはやはり大蔵省へ呼んで、君らの意見はどうだと言って聞くのと、彼らの業界全体としての有権的な意見を述べる機会を与えられるのと違うと私は思うのです。また反映するところも違うと思う。大蔵省によってこれが調整されて、その意見が審議会に反映する場合もあるであろうけれども、やはり、すべからく、その保険当事者と目されておるならば、当時者がいろいろの委員会においてそれぞれの所見を述べる機会を与えられてしかるべきものであったと思う。当然その委員構成の中に加えられてもよかったし、加えることができない特別の積極的な理由があるならば、意見聴取の機会を与えられてしかるべきであったと思う。やれるのかやれないのか、火災共済の諸君の中ではよくわからぬという状態です。政府では、おまえらやれるようにしたぞと言っておるけれども、どういうぐあいにやれるのか、やるべきか、やらざるべきか。せっかく法律で資格を与えられんとする彼らがやり得るような法の構成にも現実の問題としてなっていないように思われる。やるとするならばどうしたらいいかということも不明確だ。私はこの点ははなはだ遺憾に思うが、この点に対する政府の所見はいかがでありますか。
  100. 上林忠男

    ○上林政府委員 この地震保険法の立案の過程におきましては、私どもも火災共済の方々の御意見を伺ったり、あるいは説明に参りまして、できるだけ理解をいただくように何度かつとめたわけでございます。また、保険審議会の委員中にも、この問題が討議されておりましたときには入っておられませんでしたが、最近この審議会の委員の中には、火災共済の連合会長に保険審議会の委員になっていただいているようなわけでございます。また、今後そういうような関係の問題が起こりますときには、先生の御趣旨にも沿いまして、広くそういう方々の御意見を伺うような機会をつくってまいりたいと思います。
  101. 春日一幸

    ○春日委員 とにかく、以上いろいろと申し述べたところでありますが、特にこれが新しい制度でありますだけに、しかもこれが三千億円といえば一つの政策として膨大な原資を充てようとするものでございますので、これの運営が、いまお聞きのとおり、いいと思ってやったことがたいへんな結果になるという心配もなくはないと思う。  特に、政務次官において深甚なる御配慮を願いたいと思うのだが、私は、この分損の問題にからんで実際の損害の審査機関というものの機能、これをおもんばかりみれば、ほんとうにうまくいくのかいかないのか、まことに確信が持てない状態にございます。なお十分の検討が、それらの細則、細目の策定にあたってはされていくであろうとは思いますけれども、どうか質問の趣旨を十分御吟味あって、本制度がほんとうにひとの政策として公正なもの、そうしてそのような災害に対応して的確な効果が確保できるものでありますように十分御検討ありたいことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。これに対して、藤井政務次官から何か意思表示を願いたい。
  102. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 先刻も大臣からお答えがありましたとおりでありますが、私も全く御趣旨同感でございます。特に、何しろ四百年間の期間の事実をいろいろデータとしてとって、そしてこの新しい制度を発足しようというたいへん目盛りの長い話でございますので、これが実施にあたっては、考え得る最善の配慮をして、被害の算定基準、こういったこともきめこまかに配慮しなければならない。同時にまた、これが積み立てられる保険料は、やはり別個に積み立てて、いわばノーロス、ノーペイのああいう精神を織り込んでいくべきだ。適正原価主義で、これによって保険会社がもうけるというようなこともまかりならぬわけでありますけれども、同時に、やってみなければわからぬ問題でありますから、政府が腰を入れてひとつバックアップする、こういう配慮が絶対必要だ、このように考えます。
  103. 三池信

    ○三池委員長 次会は、明二十日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十一分散会