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1966-04-01 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月一日(金曜日)    午前十時十三分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 山中 貞則君 理事 吉田 重延君    理事 平林  剛君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       小山 省二君    田澤 吉郎君       谷川 和穗君    西岡 武夫君       羽田武嗣郎君    福田 繁芳君       毛利 松平君    山本 勝市君       渡辺 栄一君    渡辺美智雄君       有馬 輝武君    小林  進君       只松 祐治君    野口 忠夫君       日野 吉夫君    横山 利秋君       内海  清君    春日 一幸君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (主計局次長) 岩尾  一君         大蔵事務官         (主税局長)  塩崎  潤君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐竹  浩君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         建設事務官         (都市局長)  竹内 藤男君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      赤羽  桂君         国民金融公庫副         総裁      吉田 信邦君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 四月一日  委員地崎宇三郎君及び春日一幸辞任につき、  その補欠として谷川和穗君及び内海清君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員内海清辞任につき、その補欠として春日  一幸君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  都市開発資金融通特別会計法案内閣提出第四  四号)  災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に  関する法律の一部を改正する法律案内閣提出  第五一号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇五号)      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  都市開発資金融通特別会計法案及び災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案に対して、金子一平君外三十八名より、三党共同提案にかかる修正案がそれぞれ提出されております。
  3. 三池信

    三池委員長 この際、提出者趣旨説明を求めます。金子一平君。
  4. 金子一平

    金子(一)委員 ただいま議題となりました両法律案に対する修正案について、提出者を代表して修正趣旨を御説明いたします。  案文の朗読は、便宜省略させていただきます。  御承知のように、政府原案では、両法律施行期日は、「昭和四十一年四月一日」からと定められておりますが、これを「公布の日」からとし、なお、都市開発資金融通特別会計法につきましては、昭和四十一年度分の予算から適用することに改めようとするものであります。  施行期日をこういうふうに改めましたのは、国会審議とにらみ合わせて必要と認めたからにほかならないからであります。  何とぞ、御審議の上、御賛成あらんことを希望いたします。
  5. 三池信

    三池委員長 これにて両修正案趣旨説明は終わりました。  御質疑はありませんか。——質疑もないようでありますので、両案並びに両修正案に対する質疑は、これにて終了いたします。     —————————————
  6. 三池信

    三池委員長 これより討論に入るのでありますが、両案並びに両修正案につきましては、討論の申し出がありませんので、これより順次採決に入ります。  まず、都市開発資金融通特別会計法案及び同案に対する修正案について、採決いたします。  まず、金子一平君外三十八名提出修正案について、採決いたします。  本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について、採決いたします。  これを可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本案修正議決いたしました。  次に、災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について、採決いたします。  まず、金子一平君外三十八名提出修正案について、採決いたします。  本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について、採決いたします。  これを可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本案修正議決いたしました。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  12. 三池信

    三池委員長 国民金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。野口忠夫君。
  13. 野口忠夫

    野口委員 国民金融公庫法の一部改正案について、若干質問したいと思うのであります。  一部修正内容は二、三点あるわけでございますが、この際、国民金融公庫の現状について一応お伺いしたいと思いますので、概略でけっこうでございますから、お答え願いたい。  国民金融公庫法改正案を通じて本委員会審議されたのは、昭和三十七年以降なかったものと思うわけでありますが、いわば、国民金融公庫設立趣旨は非常に新しい角度を持ったものであって、昭和二十四年設立以来、庶民的な金融機関として、一般的な金融機関恩恵を受けることのできないものを対象とする金融機関として、国庫資金を使って、それらの零細小口事業者対象とするという国民金融公庫の性格というものに非常に法律的に一つの規制があるわけでございますが、そういうことの中で、三十七年以降この問題が国会の中で討論されておりませんでしたから、その事業内容資金関係、現在までの貸し出し状況等につきまして、副総裁のほうからひとつ伺いたいと思います。
  14. 吉田信邦

    吉田説明員 国民金融公庫の三十七年以後の最近までの業務の概況を申し述べさせていただきます。  国民金融公庫貸し付け高は、普通貸し付けといたしまして昭和三十七年には千三百八十五億円でございましたが、昭和四十年の貸し付け金額につきましては、三月の数字がまだまとまっておりませんが、大体二千四百二十一億円というふうになる見込みでございます。なお総貸し付け高といたしましては、このほかに恩給担保貸し付け等ございますので、四十年の金額としては二千六百四十一億円の貸し付けを行なう予定でございます。そして貸し付け残高でございますが、貸し付け残高といたしましては、昭和三十七年には普通貸し付けで千四百十七億円でございましたのが、四十年といたしましては二千五百四億円というふうに相なる見込みでございます。この間、貸し付け伸び率は大体毎年二〇%ぐらいずつ伸びておりまして、また、一件別の金額につきましても、三十七年には大体三十二万円ぐらいの平均でございましたが、四十年におきましては四十八万円ぐらいの平均になっております。これは一件当たり金額が若干伸びておりますが、これはやはり経済発展等に応じて、国民金融公庫としても少しずつ一件当たり貸し出しの増加があるのもやむを得ないと考えております。  それから貸し付け期間でございますが、従来の公庫貸し付け期間につきましては、大体昭和三十六年度では二年以下の期間のものが五四%でございましたが、四十年度では四〇%というふうになり、反対に二年超の貸し付けが三十六年の四五%から四十年は約六〇%にのぼっております。これはやはり貸し付けが漸次増加してまいったということに相なるわけでございます。  以上のように、小企業ないし零細業者に対する貸し付けが、資金の需要も多うございますし、また政府からもそれに応じて必要な資金を供給を受けまして努力してまいった次第でございます。  さらに、金利につきましては、昭和三十七年当時は年九分の金利でございましたが、昨年九月一日からこれを三厘下げて八分七厘といたし、本年度、本日からさらに三厘下げて、金利は八分四厘といたしました。まあ、中小企業方々金利負担に資することができれば幸いであると存じております。
  15. 野口忠夫

    野口委員 あらましの報告を受けますと、大体、年ごとにこの金融機関増勢というような姿が見られるわけでございますので、その点たいへんけっこうなことだと思うのでございますが、もう少し詳しく聞いてみたいのですが、国民金融公庫に対しての申し込み数とそれに対する貸し出しの数の割合ですね。年度ごとに、件数割合はどんなふうになっておりますか、わかりましたら、お知らせ願いたいと思います。
  16. 吉田信邦

    吉田説明員 これは私どものほうの普通貸し付けと申しているのが全体の九割を占めておりますが、それについての申し込み状況でございますが、昭和三十七年度におきましては、申し込み件数で五十二万四千件、金額で二千二百九十三億円でございまして、それが四十年度に入りまして、第一四半期十二万七千件、第二四半期十二万五千件、第三四半期十九万四千件というふうな数字に相なっておりますが、申し込みに対する貸し付け率といたしましては、三十七年度におきましては六〇・四%でございます。それが三十八年度は六六・四%、三十九年度には六六・五%、四十年度には、これは四月から一月までの数字でございますが、六九・五%ということで、申し込みに対する貸し付けの率といたしましては、三十七年度の六〇%から四十年度の約七〇%近くというふうになっております。
  17. 野口忠夫

    野口委員 やはり貸し付けを受けることのできないものが、四十年度でだいぶ伸びましたけれども、まだ三〇%近くあるわけでございますね。  もう一つお聞きしたいのですが、なかなかこれはめんどうなことかとは思うのですが、一応の基準をつくっておられるようでございますけれども、いわば零細小口業者に対する貸し付けの制度であれば、その対象範囲は相当広いものであろうと思うわけです。この対象範囲に対して、公平にこの国民金融公庫恩恵を与えていくという立場になりますと、対象範囲の数と、それから生まれる申し込みの数と、それに与える貸し付けと、この三つで考えていかなければならぬと思うのですが、その点おわかりでございましょうか。
  18. 吉田信邦

    吉田説明員 私ども対象といたしましては、御承知のように、小ないし零細企業ということでございまして、普通貸し付け相手方としては、資本金は、商業サービス業では千万円以下、その他で千五百万円以下ということにしておりますし、従業員も、商業サービス業では五十人以下、その他でも百五十人以下ということにいたしております。また、その他の売り上げ高、所得というような面から、中小零細企業ということを主眼にしておりますが、これらの企業数が全体の事業数のどの程度になるかということにつきましては、ただいま手元に資料がございませんのですが、一応全国事業所と申しますか、会社のみならず、個人の、いわゆる商工業に限らず、そういった事業を行なっておるものの数は、一応私どもの調べでは三百九十万事業所全国にあると想定しておりますが、そのうちで、私ども貸し付け対象としておると申しますか、現実にお取引を願っている形の、つまりお貸しした方は、そのうちで八十二万、結局、現在では日本全国の全体の事業所数の二〇%あまり、正確に申しますと二一%でございますが、現実貸し付けお客相手としておるわけでございます。
  19. 野口忠夫

    野口委員 ただいまの御説明でいうと、この国民金融公庫対象とする事業所が三百九十万……。
  20. 吉田信邦

    吉田説明員 いや、全事業でございます。
  21. 野口忠夫

    野口委員 それは大企業も入っておるという意味ですね。——このうち大企業を抜いてもそれほどの数じゃございませんでしょうから、大体この数が対象になるという考え方でもいいわけですね。そのうちの大体二〇%までいっている、こういうことでございますが、こうした申し込みに対する貸し付けにおいて三〇%の差があった、全事業者の数の上からいくと二〇%だということになりますと、残り八〇%がまだ国民金融公庫というものから恩恵を受けていないということになるわけでございます。非常に増勢はしているわけでございますが、こうしたような貸されなかった者たちの声というものは、やはり国民の中では、率直に言うて、国民金融公庫はもっと私たちにという声になってきていると思うのです。そのことがいろいろな意味であらわれてきていると思うのですが、何か、やはり国民金融公庫の各支所における窓口等に対しましても、私たちのほうは非常に零細だ、結局は、倒産をしない回収可能層にばかり貸し付けておるのではなかろうか、われわれはその恩典に浴し得ないというような声がまだ出る余地がこういうところにあるのだろうと思うのです。ぼくらが近くの中で聞いているところでは、そういうような声を聞くわけでございますが、やはり申し込みに対して残っている三〇%のもの、対象者残りの八〇%のものというようなものが、いわば、どちらからも相手にされないというような形になることになるわけです。国民金融公庫を設置したその精神が、いわば一般金融対象にならないというもの——三百九十万ではないと思いますが、しかし、そのうちの貸し付けられているものが二〇%であるということになりますと、最小に見積もっても、やはり五〇%、半分ぐらいのものは、これは恩恵を受けることができないでいる層が各事業所の中にあって、こういう経済不況の中で非常にうだつの上がらぬ中で苦しんでいるという声が私どもの耳に聞こえてくるのではないかというふうに思うわけでございますが、こういう点に関して、国民金融公庫側としては、こういう手が及ばなかったところがあるだろう——そういうものは全然ございませんということではなくて、あるわけですからね。業績は逐年上がってはおりますけれども国民金融公庫本来の精神というものを、ほんとうに金融界の中で国民全体に公平に幸福を与えていこうというふうな姿にさらにこれを増勢していくためには、やはりお考えがあるべきであろうと思うのですが、その辺のことについてはどうでございますか。
  22. 吉田信邦

    吉田説明員 さっき申し上げた数字にちょっと説明が足りなかった点がありますので、まず補足させていただきますが、先ほど約七〇%と申し上げましたのは、これは申し込み金額に対する貸し付け金額の率でございまして、他方、件数と申しますか、申し込んだ方にどれだけ貸したかという数字につきましては、昭和三十七年度が八四%、それが四十年度に入りましては九〇・二%というふうに、九〇%をこえるようになってまいりました。そういう意味では、現実にお申し込みになった方々に対して極力お貸しできるようにいたしたいということで、努力を続けております。  それからまた、全体のいま申しました三百九十万の事業所、この中には大企業やその他大きいところもございますし、それに、借りないでも済むというような方もございますので、私どものほうとしては、相当深く浸透してきたのじゃないかというふうに考えておりますが、しかし、御指摘のとおり、中小零細企業につきましては、今後ともできるだけ努力して、広くお貸しできるようにつとめ、また、支所末端等におきましても、そういう点では極力気をつけるようにさせていくという方針でおります。
  23. 野口忠夫

    野口委員 いまの、金額でいうと七〇%で、件数でいうと九〇%ということは、これはどういうことなんですか。
  24. 吉田信邦

    吉田説明員 たとえば、件数で申しますと、百人申し込んだ方のうち九十人にお貸ししたということになりますが、九十人お貸しした方につきましても、たとえば、二百万円の事業内容をいろいろ見ていくと、百五十万円程度でできそうだというような方も多いわけでございますから、申し込んだ金額で申しますときには、そのお貸ししなかった人の金額が減りますのみならず、貸した方の金額も幾らか減る場合があるということで、そういう数字が出たわけでございます。
  25. 野口忠夫

    野口委員 非常に少ないもので多くの者に与えようとする親心のあらわれだというように思うわけですが、そうではないわけですね。実際は、申し込んだものがそのまま件数も九〇%、金額も九〇%、こうならなければ、いま副総裁の言うように、たいへんよくなったというふうにはなかなかいかないわけです。それを薄く延ばして、数だけは多くした。それだけの数で、金融公庫の副総裁として、非常に心のある金融行政をうまくやったということにはいかぬように思うのですが、そういう意味では、まだまだ国民金融公庫資金面においても、事業においても満ち足りない部面が多いわけでございましょう。  私の考えでいいますと、昭和三十五年の国勢調査等によりますと、大体世帯数が千九百五十七万世帯だといわれておりますが、そのうち、国民金融公庫対象世帯数が三分の二くらいと見て、千四百万世帯ぐらいあるとすると、今度の資金ワクでいいますと、一世帯当たり大体二万円程度きりならぬじゃないか。いわば、零細庶民層というものに対しての金融という意味から考えまして、一世帯に対して大体年間二万円程度資金量きりないということになっていきますと、申し込みやあるいは貸し付けにおいて、何らかの親心であらわれたもので数が上がってくるだけにとどまっておって、現に国民金融公庫から恩恵を受けようとする国民大衆立場からいいますと、非常な不満が起こってくるのもその辺にあるのではないかというように思うわけです。そういう意味では、資金ワクというものの増大もさらに考えるべき点があるのではないかというように思うわけです。ことに、こうした経済不況の中で、中小企業あるいは零細企業者が非常に倒産が多いという、この倒産の対策に対して、まことにどうも手薄の点があるのではないかというように思うわけですが、あとで政務次官等にこの問題についてもお尋ねしたいと思いますが、やはり国民金融公庫立場からは、もう少し充実するような方向でお考えいただきたいと思うのです。地方の声を聞きますと、地域によって、国民金融公庫貸し出し状況に非常に格差があるというような声を聞くのでございますけれども、いまの貸し出し状況は、地域別にいいますと、実際にはどういうぐあいになっておるものでしょうか。
  26. 吉田信邦

    吉田説明員 私どもとしては、地域別に差をつけるということがないように、極力努力しております。しかし、地域によって、先ほど申しました事業所数に対する率という点では若干の格差がございます。概して申しますと、大都市がわりに率が低く、地方ほど率が高いというような形になっております。そういう意味で申しますと、たとえば、東京では大体一五、六%くらいでございますが、北海道では、札幌は一七%ですが、帯広、釧路となりますと、三五、六%というふうに、個々の地域ということでなく、やはり金融機関が多いとか、発展性の多いところはおおむね市中銀行に依存するものが多いのでございます。私ども立場としては、市中金融機関から借りられないものをお貸しするという立場で努力しておりますので、そういう意味の差はついておりますが、特定の、いわゆる地域的な差別という気持ちは毛頭ございませんし、大体、申し込みに対して同じような歩調でいくように、これは各支所とも多少独自性を持ちますので、差がないわけではございませんが、そういう意味では、差がないように努力している次第でございます。
  27. 野口忠夫

    野口委員 公庫側にだいぶ業務報告的なことを言わせておるわけですが、こういうことはあまりしたくないと思うのですけれども、実際のところ、けさ私来ましたら、業務報告的なものが私の机の上にあがっておるようなぐあいです。なるほど、そんな一つ一つのことまでは必要とはしないだろうと思いますが、三十七年以降、国民金融公庫というものの業績についてはここでは論議されてこなかったとすれば、法案とはあまり関係がなくても、国民金融公庫の実情というようなことについての資料は、こちらから要求しなくともお出し願っておくべきものではないかと私は思うのです。  これは委員長のほうにもお話をしたいのですが、何かこちから言わないと資料を出していただけない。たとえば、国民金融公庫の場合などは、提案理由説明書一枚と、それから調査室のほうから提出したパンフレットくらいきりないわけです。こういうようなことではなく、やはり国会の中でよくわかるような、事業内容等についてのそういう参考資料というものは、要求がなくとも、親切にお出しになっていただきたいと思うのですが、お忙しい中、なかなかたいへんだと思いますけれども、こんなことを詳しく聞くことになってしまうのもそのためだというふうに御理解いただいて、今後は委員会における資料提出——私も他の委員会にもたいへんおじゃましましたが、大蔵委員会のほうは、頭のいい方ばかりおそろいのようで、頭の悪いぼくらにとっては、非常にいけないことかもしれませんが、資料が非常に足りないように思われるわけです。もっとまともに、今回のような場合の資料というようなことについては、全般的な金融関係税制関係等の問題でございますから、そういう意味での動きの方向を一応資料としてお出し願えれば、こういうことはあまりお聞きしなくともよかったと思うのです。  もう一つお聞きしますが、小口零細事業貸し付けということになっているわけですから、なるべくそういう面に及ぼしていくような貸し付け状況でなければならぬと思うのですが、貸し付け金額別の数というようなものが出ておったら、お知らせいただきたいと思うのです。
  28. 吉田信邦

    吉田説明員 まず、先ほどお話のございました資料の点でございますが、私ども不用意で、皆さまに常時お送りしてなかったことを申しわけなく存じます。これからお送りするようにいたしたいと思います。  なお、ただいまお話貸し付け金額別の構成でございますが、最近の年度である四十年の四月から二月までの数字でございますが、十万円以下が全体の六・八%、十万円から五十万円が全体の六七%、五十万円から百万円が二三%、それ以上が、三百万円ですが、三%ということになっております。これは件数でございます。それで、前年はどうであったかと申しますと、十万円以下が九・五%、十万円から五十万円が六八・六%、五十万円から百万円が二一%、百万円以上が〇・九%ということで、一件当たり金額は漸次増加いたしております。しかし、まだ依然として十万円ないし五十万円というのが主流であることには変わりございません。
  29. 野口忠夫

    野口委員 結局、あまり高額になるということが、はたしてこの精神であるかどうかなかなかめんどうだと思うのですが、あまり少ないところにばかり低迷しておることも問題ではあろうと思うのですが、その辺、国民金融公庫を運営するにあたってはなかなか御苦労のあるところだ、私もそう思うのです。なるべく額は多く、しかも数多くなるような、そういう配慮が望ましい。  それで、もう一つ回収でございますけれども、こうして貸し付け小口零細業者というものは、公庫の性格からいえば、零細であって一般的金融機関から借りられないものに貸せ、こういうことになっておるわけですね。しかし、貸しても、それは社会保障事業とまではいかないのですから、やはり回収可能層に貸さねばならぬということになろうと思うのですが、その辺のところで、公庫の本来の目的というものがほんとうに実現していくために困難性があると思う、おのずからそういう零細事業者を相手にすれば未回収層というものが予測されるだろうと思うのですけれども、これはどのような状況になっておるか、お伺いしたいと思います。
  30. 吉田信邦

    吉田説明員 現在、総体的に申しますと、毎月の延滞というのは起こりがちでございますが、しかし、最終期限がきて六カ月以上たったものにつきましては、これはほんとうの延納、滞納ということになるわけでございますけれども、総貸し付け高の、件数で〇・五%、金額で〇・一%、こういう形になっております。そういう意味では、比較的零細な業者はまじめにやってくださっておることを感謝しておる次第でございます。
  31. 野口忠夫

    野口委員 この六カ月以上経過した滞納者は、処分をした件数ということでございますか。
  32. 吉田信邦

    吉田説明員 必ずしも強制処分とまではいかないでも、いろいろと催促をしたり、あるいは保証人の方なんかにもお願いして、何とか完済できないかということで、いわば、できるだけお話し合いで処理してきておりますが、それでも困る場合で、かつ、資産が相当おありのような場合には、強制処分というようなこともございます。
  33. 野口忠夫

    野口委員 件数で〇・五%、金額で〇・一%というのですから、一般的にいえばパーセンテージは非常に低いのだと思いますが、それにしても、こういう未回収状態が出る、これが好況時代においてはある程度までそうしたものがすぐ納め得るかと思うのですけれども、不況というようなことになってきますと、貸し付けたわ、それが回収できないわというような状態が出てくるのではないかというように思うわけでございます。国民金融公庫の金を貸すという姿勢で、ございますけれども、生業資金的なものを普通貸し付けはしていない、事業資金的なものを貸し付けるということの意味は、日本の国民の中の零細な層の方々を国の施策によって引き上げていこう、そのために事業資金的に援助しよう、こういうような意味合いだと思うわけです。これが回収できないようではまことにどうも困るわけですから、あくまでも貸し付けて救い上げていこう、こういう性格になってくると、国民金融公庫のそういう経済面における指導的な権限といいますか、指導的な立場というものが、事業助成的な意味からいう経営の指導ですか、そういうことと兼ね合わせてやっていかないと、経済の波によって、回収ができなかったり、できたりするということの中で、これは非常に混乱が起こるだろうと思うのですが、多く貸し付けてほしい、しかし、貸し付けてもそれが返せないような状態のところに貸し付けることではないのだ、あくまでも事業助成的な立場でこれを引き上げていこうというような意味からいいますと、国民金融公庫立場は、単なる金融業者ではなくて、国民経済的な問題を助成し、これを救い上げていこうとするような指導的な立場というものがほしくなってくるのじゃないかと思うのです。そういう意味からいうて、国民金融公庫の現在の状態からいうても、従業員の数やそうしたことまで考えた、そういう指導的な立場に対して、金融行政に携わっておるものとしての副総裁のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  34. 吉田信邦

    吉田説明員 ただいまの、一番問題になりました景気、不景気の波による業者の苦しさというようなことにつきましては、この一、二年ことにそういう意味で不況期にございまして、これに対処するのにいろいろ考えられるのでございますが、中には、要するに、利益のあがり方が減ってきた、したがって、いままでのお約束どおり返せないというような方のうちで、いまは悪いが将来は必ずよくなりそうだというような方については、たとえば、三年の期限でお貸しして、月賦で払っていただいて、一年払ったけれども、不況に面していま非常に苦しいというような場合には、その三年の期限を五年に延ばして、いわば、あとの月賦額を半額にする、そうすると、その方としても払えるし、したがって延滞納の形になりませんし、私どもとしても、そういう形にすることによって、その方が不況を切り抜けるのをお待ちするということができるというようなことで、そういう面につきましては、ここ一、二年来特に力を入れてやっております。それらの点につきましては、私どもの職員、また、支所の所長とか課長とかいう方たちもそういう気持ちをかなり持ち、また、それがその地方で大方の要望に応じられるようなものでもございますので、そういう意味では努力をしております。
  35. 野口忠夫

    野口委員 国民金融公庫という制度が、日本の国民の恵まれない層に対してあたたかいものを持つ制度であるというような考え方の中で、二十四年当時の成立の状態を見ますと、これは明治以来からこういうことがずっと言われてきているようですけれども、超党派的な立場でこの案には賛成されて、与党からも野党からも、内容を充実せよ、その精神を大いに生かす金融情勢をつくっていけ、こういうようなことが強く要請されながら進んできていると思うわけでございます。ですから、やはりそういう好、不況の波の中で苦しんでいる、このことは、明らかに現在の経済の不況の中で——多くのものが認めている構造的不況というような中で、中小企業零細のものが救いがたいものがあるわけでございますから、そういうところに国民金融公庫というようなものが大きくさらに前進していく、その意味では、もう少し事業助成的な問題を含めた更生面における充実というようなこともお考えあって、飛躍的にやはり国民金融公庫事業実績というものがその精神に沿うて拡充発展していくような方向に、これはお願いせねばならぬじゃないか。私からいえば、非常に大企業に対してはいろいろな恩典を与えて、証券会社等に対してもだいぶの融資をするとか、大企業に対しては相当あれがあっても、零細小口の、国民の大多数を占めているものの倒産というときにこれを救ってくれるということの道はあいてないわけです。この辺のところに、国民金融公庫のあり方というものがやはりその事業助成を続けながらやっていく、私もあなたのほうの窓口の職員の方々などに会ってみますと、非常にその点で情熱を向けていらっしゃるということを見るわけなんです。何とかひとつやってやりたいと思うんだが、やはり返す当てのないものは帰してしまう。何か涙ぐみそうな気持ちがする。結局、それの悪いのはあなたが悪いんだと私に言うわけです。国会に行って、私がもう少しみんなの人に金が貸されるほうにひとつやってもらわなければ、この次あなたのことは出してやらぬからというようなことを、あなたのほうの職員から私はお聞きするわけです。この情熱はほんとうにそこに触れているものでないと出てこないものではないかと思うわけです。その意味では、もう少し事業実績の拡充ということについて、国民金融公庫という制度が飛躍的に増大するような方向に、ひとつ副総裁の新たな決意のもとにおやり願いたいということを、あなたのほうの職員にかわって私申し上げたいと思うわけなんです。  それで、ひとつこの辺で一つだけいいことをやっていただきたいと思うわけで、貸し付け条件の件なんでございますけれども、先ほどは金利の引き下げをおっしゃいました。それから、期間の延長をおっしゃいました。しかし、零細小口事業者にとって一番大事なことは、据え置き期間を置いてほしいということなんです。これは事業をやろうとして借りてくる、そうして、そこからようやく芽が出ていこうとするその月からこれの返済をしなければならぬという状態にあるのを、六カ月くらいの据え置き期間を置いて——運転資金をして数多く延べてやりたいというお気持ち、だれにもみんな公平にやってやりたいということはわかるのですけれども、六カ月の据え置きを置くことは、六カ月運転が延びただけの話であって、この問題についてはなし得ることでもあろうと考えられるので、その辺の問題について、国民金融公庫のそういう据え置き期間の問題について伺いたい。
  36. 吉田信邦

    吉田説明員 私どものほうの貸し付けの中で、季節的な短期の、半年とか一年とかいうものについては据え置き期間を設けておりませんけれども、据え置き期間につきましては、一応、設備については一年以内、運転資金については六カ月以内ということに内規で定めておりますが、従来、以内でございますので、実際の運用といたしましてはやや短目になってきているのじゃないか、これは資金量の関係等もございまして、設備が一年以内といっても、大体半年くらいというような形でもって、以内のあれでややきつ目になっているのは事実かと思いますが、今後これらの点についても、−実態的な必要に応ずるように努力したいと思います。
  37. 野口忠夫

    野口委員 据え置き期間の問題については、二十四年の十二月の国会ですか、そのときにも努力をするということをお答えになられておるのですが、なるほど、法文上や内規上から見ますと、ある期間はあるのですけれども、実質的に行なわれているのはそういうものではないという中で、ひとつこの据え置き期間の問題だけは、やはり相手零細小口業者である立場考えて、これは御検討願いたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから、これも私の聞く範囲でございますが、何か、国民金融公庫貸し付け基準というようなものが支所ごとに少し異なってくるというようなことがあるのでございますか。
  38. 吉田信邦

    吉田説明員 支所ごとに異なるということは、一般的にはございません。
  39. 野口忠夫

    野口委員 全国一律にこの貸し付け基準というものはそのままある、地域によってこれは異なることはない、こういうことでございますね。  今度の一部改正の一つの問題点でございますが、環境衛生業者に対する特別融資のワクというのが設定されて、まだ内容的には固まらないというふうなお話でございますけれども、大体聞くところによりますと、二百億円程度の金を環境衛生業者のために、国民金融公庫の中で特別ワクを設定をする、こういうような点が改正点になっているようでございます。ひとつ公庫のほうにお尋ねしますが、それはわかっておれば、関係のほうでお願いしてもけっこうでございますけれども、従来も環境衛生業者には取り扱われてきたと思うのでございますが、その取り扱われてきた状況、及び一般の貸し出し総額との関係、環境衛生業者に対して行なわれました貸し付け状況について伺います。
  40. 吉田信邦

    吉田説明員 御質問のうち、環境衛生関係を今後どういうふうにするかということにつきましては、政府部内でいろいろお打ち合わせになっておりまして、最終的に私どものほうにまだ具体的な指示をいただくに至っておりませんが、従来の貸し付け状況等につきましては、私からお答えさせていただきたいと思います。  実は、数字の把握なんでございますが、私どもが従来業務分類をいたしておりましたものの中で、環境衛生関係の業種のうち、十四業種は、サービス業のうちのまた分類された計数が出ておるのでございますが、実は、そのほかに氷雪販売業、食鳥肉販売業というような業種が環営法にございますが、これは実は、私どものほうでは小売りまたは卸の中に計算しておりますので、その分の数字は入っておりません。それから、風俗営業のうちでは、料金が大衆的なものだけを貸し付け対象としておるというような関係で、環衛関係営業者に対する貸し付けという場合に、ほとんどぴったり一致した数字は出ないのでございますが、いま申しました十八業種のうちの十四業種の合計した数字で申し上げますと、三十七年度で三万七千件、それから三十九年度で四万四千件というような件数でございまして、また、金額におきましても、三十七年で八十八億円、三十九年で百四十六億円というのがこれらの業種に対する貸し付けと相なっております。ただ、今度の法律でいう環衛関係業者のうち特別な施設ということが問題になっておるようでございますが、これらの従来の貸し付けのうちでそういう施設がどの程度に入っているかという点につきましては、実は現在のところつまびらかにいたしておりません。  それからまた、これらの資金の使途でございますが、大体運転資金はこれらの業種についてはわりに少なくて、設備資金が七、八割を占めておるという結果になっております。  それから、伸び率でございますが、ほかの業種に比べて、やはりこういう関係の業種の事業が進んだ結果かとも存じますけれども、三十八年度で、一般の貸し付けが対前年比一六%伸びておるのに、この環衛関係の十四業種では二三%伸びておる、三十九年度におきましても、一般が二三%の伸びに対して、この関係業種の伸びが三三%伸びておるような形で、これは特別な目をもって見ないで、普通に私どものほうでやってまいった結果が現在のような数字になっておるわけでございます。
  41. 野口忠夫

    野口委員 従来までの環境衛生業者に対する国民金融公庫貸し出しの率が伸びてきておるという状態の中で、これに対する考え方を特に入れる必要があるだろうというようなお話でございますが、環境衛生業者関係については、厚生省のほうはどう思っておられますか。これに対しては、国民金融公庫にこれが来る以前において、実は前年でございますか、環境衛生事業団とかいうようなものを設定されて、特にこれは環境衛生のために特段の力を入れるというような話が出、それが事業団等の設置については、これはしないという方針のもとに、結局それが、何か経過的に言いますと、国民金融公庫の中にこれが入ってきて、一応当初ねらってきたようなものをここで一つやったというような形になっておるように思われるのでございますけれども国民金融公庫の中に特にこうしたものを取り入れるようになってくる過程の中で、そうした経過、あるいはそのねらい、そういうものについて、厚生省関係の方の御説明をお願いしたい。
  42. 舘林宣夫

    舘林政府委員 環境衛生営業は、非常に国民生活に直結したサービス営業でございまして、その料金等は、最近の国民生活の物価上昇に非常に大きな影響がある、同時に、国が各種の衛生法規をつくりまして、国民に公衆衛生上の悪い影響がないように規制をいたしておる特殊な業態でございまして、これに対しましては、特別立法が行なわれて、それらの営業の運営の適正化を法律で規制をいたしておる特殊の業態であるわけでございます。これらの業態の実態をながめてみますと、内容的にはかなり旧態依然たる姿のものでございまして、他の営業の多くが、近代化、合理化、協業化というものが行なわれておる中で、これらの営業は、中には、はなはだしい言い方をすれば、江戸時代のなごりが残っておるというような実態があるわけでございまして、最近の人手不足、人件費の上昇等がそのまま影響し、また、ときによると、その旧態依然たる運営のために人が集まらないというような実態があるわけでございます。これらに対して、政府といたしましては、特段の指導措置を講じたいということで、昭和四十年度から特別助成費を五千万円計上いたしまして、それによって環境衛生適正化審議会等の御意見等も聞きながら、これらの業態の近代化を指導してまいっておるわけでございます。その指導の過程においてこれらの業態を種々指導をし、また、組合を通じて指導の方式を教えるというようなこと、また、それらの事業に対する助成を行なってきております過程において、実際にそれらの業態が近代化をはかりたい、あるいは協業化をいたしたいという場合にも、資金が十分出ない、また、従来の資金貸し付け状況では、急速に近代化をはからしめるということは容易でないという状況でございましたので、特に長期低利の融資をこのためにいたしたいということを考えて、ただいまお尋ねの環境衛生営業に対しまする特別融資の公庫のようなものをつくりたいということで計画いたしたわけであります。そのワクはおおむね二百億円ということで、環境衛生営業関係の、環境衛生営業適正化に関する法律対象業種に対して特別融資をいたしたいという計画をいたしたわけでございますが、明年度予算編成に対する政府の基本方針で、このような新規の公社、公団のたぐいをつくらないという基本方針に基づきまして、新たにはつくらないということになったわけでございまして、それにかわるものといたしまして、国民金融公庫の中に別ワクを設けて、同じ趣旨貸し付けをいたしたいということになって、明年度の融資ワクの設定を見たわけでございます。したがいまして、国民金融公庫の中で許される範囲で、本来の趣旨に沿った貸し付けをいたしてまいりたい、かように考えております。
  43. 野口忠夫

    野口委員 あれは正式な名称は公社ですか。
  44. 舘林宣夫

    舘林政府委員 初め企図いたしました名称は環境衛生金融公庫というものをつくりたい、かように思っておったのであります。
  45. 野口忠夫

    野口委員 それで、いまの近代化、協業化——環境衛生業種が江戸時代的な姿が残っているから、これを近代化、合理化していこう、こういう思想から発想して金融公庫をつくろうとした趣旨は、私はわかると思うのです。しかし、国民金融公庫本来のねらいというものは、そういう外から近代化を促進し、合理化を促進するというような意味ではなくて、みずからが立ち上がって、みずからが近代化をし、合理化をしていこう。その考え方がやはりいまもろもろ言われるのですが、近代化地獄ということばが出ているのですね。一つの町の中で、一方が近代化、合理化をしたということの中では、同じ土地にパーマネント屋さんが三軒あった、その三軒のうちの一軒が近代化、合理化をした場合、他の二軒は、自分のうちの実績をりっぱなものにしていくのに間に合うかどうか、一般的なお客さんを対象とする場合は、どうしても店の改造なり近代化なりをまた進めなければならぬし、そういう意味では、近代化、合理化ということの中で、あまりに自己負担に耐え得ぬようなものを、金を借りて、そうして倒産しているというようなことも、現在の中小企業倒産の原因になっているのじゃないかと思われるのであります。先ほどお話金融公庫方式というものは、そういうような意味での近代化促進のねらいがあったわけですが、そういうものが国民金融公庫の中で扱われるというこのことでございますが、国民金融公庫本来の精神、いわば零細なものを国の金によって貸し付けて、みずからが立ち上がって自分の業績をりっぱなものにしていこう、こういう経済助成的な意味における金融公庫金融貸し出しというものと、基本的にどうも性格が違っているように思われるわけですけれども、これを国民金融公庫の中へ入れることによって、国民金融公庫本来の考え方というものが、一つは若干高額であって、そしてもう一つは若干期間が長いということであって、そういう特別ワクをつくるということが、はたしてこれでけっこうなんですか、どうですか、大蔵省のほうからひとつ……。
  46. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 確かに先生御指摘のような問題点があろうかと思います。ただ、これは、先ほど国民金融公庫の副総裁から申し上げましたように、実は三十五年ころから環境衛生関係の業種に対しまして国民金融公庫貸し出しがかなり出ております。そこの間の事情を見ますと、やはりかなり零細企業者が多いようでございまして、どちらかというと、国民公庫のいわば融資対象としてなじみやすいというようなものがあったがゆえに、そういうかなりの実績が出ておるのじゃないかと思うのです。もちろん、御指摘のように、実は国民金融公庫だけじゃございません。環境衛生関係に対する融資が中小企業金融公庫からも出ておりますし、商工中金からもあるわけでございます。現に、三十九年度の実績で見ますと、中小企業金融公庫からは大体四十六億円程度のものが出ておりますし、商工中金で見ましても九十四億円、約百億円近い実績が実はございます。したがって、今後、そういったやや規模の大きいものについては、当然中小企業金融公庫へ借り入れの申し込みをしてまいりましょうし、中小企業金融公庫といえども、これに対する融資というものを拒否するものではもちろんない。従来どおり融資をしてまいると思います。それから、商工中金もやはり環境衛生に対して、従来に引き続いて融資をしてまいると思います。ただ、ここで特に国民金融公庫の中でこれを取り上げたというゆえんのものは、先ほど環境衛生局長からもお話がございましたけれども、いわゆる指定十八業種でございますか、そういったようなものについての近代化促進、これは従来とも当然近代化の投資ということが主体であった。ただ、そこを今度は、やや厚生省が計画的に実態など把握しながらできるだけ推進していこう、こういう趣旨かと思います。それで、従来とも実績がございましたけれども、現に四十年度などは、いま副総裁お話のように、一月までとっても百四十六億円の実績がございます。三月末で締めてみれば、おそらくは二百億円近いものが四十年度におきましては出ることになるのではないかと思うのでございますけれども、そういうようなことで、現に非常になじんでおりますし、四十一年度においては、いわゆる法律に定められたところの指定設備と申しますか、特に今度はいろいろな設備の中から厚生大臣がこういうものといって設備を指定なさるようでございます。そういう指定された設備についての融資ワク、それは二百億円というものを別ワクとしてひとつまず確保しようじゃないか。じゃ、指定されなかった以外の設備というものもあるだろう、そういうものは一体どうするか、こういうことでございます。これにつきましては、環境衛生関係の融資はその指定設備のものに限るのだというようなことは国民金融公庫としては考えていないわけでございまして、特に指定設備については二百億円のいわゆる別ワクなるもので力を入れるということでございまして、その他のもので融資の申し込みがあれば、これはやはり受付をいたしまして、従来扱ってきたと同じような気持ちで見てまいるということになろうかと思うわけでございます。国民金融公庫というものに、何と申しますか、特にひさしを借りたといいますか、屋根の下に入ってきたということについては、いろいろ御批判もあろうかと思うのでございますけれども、結局、要約いたしますと、やはり零細なものが非常に多い、したがって、どこへ持っていくかというと、国民金融公庫がどうも一番なじみやすいのじゃないか、そういうことでございます。
  47. 武藤山治

    ○武藤委員 関連。  いまの説明を聞いておると、これはいろいろ調べなければ、ちょっとこの法案は採決に応じられないような問題がたくさん出てきたような気がするのです。そこで、ちょっとお尋ねしますが、一つは、業務方法書の新しく追加すべきものはすでにできておるかどうか。できておるとしたら、業務方法書の変更の内容をひとつ明らかにしてもらいたい。
  48. 吉田信邦

    吉田説明員 業務方法書につきましては、従来からもそうでございますが、大蔵省に設置された国民金融審議会の議を経て大蔵省で御認可になるというような形をとっております。去る三月二十五日にその審議会に付議されまして、業務方法書の変更をいたしたわけでございます。変更のおもな点は、一般的な金利として年八分七厘を八分四厘に下げるということが第一でございます。それから、ただいまの環境関係の問題等もあわせまして、貸し付け限度について若干の変更をいたしました。原則は三百万円以内とするということは従来どおりでございますが、例外的に従来は異例の災害その他ということになっておりましたが、今回はもう少し例外をゆるめまして、災害の復旧その他特別の事由のあるものについては別に定めるというふうに業務方法書を変更いたしました。例外の場合も大体最高六百万円という限度にいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  それからあとは、直接これとは関係ございませんが、代理所の手数料のきめ方を簡素化するというような変更をいたしております。
  49. 武藤山治

    ○武藤委員 いまの業務方法書では、第一条のただし書きの場合は、原則として五年以内とする。ただし、必要と認めるときはこれを越えることができる。今回のは七年と十年ものの超長期のものがあるわけですね。こういう長期金融国民金融公庫がやるべき筋合いのものではない。大体長期貸し付けと短期のものというのは、国民金融公庫中小企業金融公庫で分野が分かれておるわけなんです。比較的長期のもので設備のものは中小企業金融公庫で受け持っていこう、こういうように設立の性格が国民金融公庫と違うのですね。いま佐竹さんは、なじみがあるから、百四十六億円も実績融資があるからこれは国民金融公庫で取り扱うのが一番便宜だろうという気持ちからこれに入れたと言うけれども貸し付けの年限からいくと、普通の場合ほとんど二十二カ月、二十四カ月、この程度でもって国民金融公庫は流動資金の場合は使っている。今度の場合は七年、十年ものがあるわけですね。まことにこれは超長期ですよ。こういうようなものを短期金融であるべき国民金融公庫が受け持っていく、こういう点からいくと、これは国民金融公庫の性格を大きく転換する大改正だと私は思うのです。国民金融公庫法第一条の精神から見ても「国民金融公庫は、庶民金庫及び恩給金庫の業務を承継し、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆」こういう者に対して金を貸すというのが、国民金融公庫精神であると、一条にぴしゃっと書いてある。それを六百万円に引き上げて、五年、七年、十年ものの長期の貸し付けをするということは、どう考えてみても、国民金融公庫法精神に反すると思うのです。ただ単に業務方法書だけ変えれば、第一条の精神をひん曲げてもいいなどという解釈は、私はどうも今度の場合には無理があるような気がするのです。そういう点、国民金融公庫の副総裁としていかがですか。この長期のものは中小企業金融公庫で引き受けてもらうのが筋じゃないのですか。
  50. 吉田信邦

    吉田説明員 ただいまの御質問でございますが、私どものほうは従来短期の金融ということでは考えておりません。従来とも、第一条にいう「必要な事業資金の供給」というたてまえからしますと、やはり設備投資の資金を貸与するというのが原則だと存じます。ただ、最近のようになってまいりますと、設備資金よりも運転資金のほうが増加率が高くなっておりますが、これはいわば景気の関係かと思いますが、一応、現在といたしましても、運転資金については五年以内、設備資金については七年以内というふうな内規で運営をいたしておりまして、これも以内でございますから、運転資金では二、三年のものが多く、設備資金でも四、五年のものが多いというのが実情でございます。私どもの性格としては、中期ないし長期の金融といっても、大体中期が中心だとは存じますが、いまの十年というのは、実際問題としては、全く例外的と申しますか、特殊な場合に限られると考えておりまして、そういう意味では必ずしも非常に私どもの体質が変わるというふうには考えておりません。  なお、従来の一般的な行き方としては、まんべんなく、そしてあらゆる業種に差別なく融資するのが私どものほうの本来の行き方でございますが、従来も、たとえば、労働災害防止施設に対する金融といったような、特殊な政府の施策を受けて、それに対して特別な貸し出しをするということもやってまいりました。また、一般の災害の際ももちろんでございますが、そういうような意味では、労働災害防止と並んで環境衛生整備というようなことも政府の御要望に応じてすることは、本来の性質を曲げることになるとは言えないのじゃなかろうかと思っております。
  51. 武藤山治

    ○武藤委員 そうすると、業務方法書の別表に掲げられている業種に今度の十八業種を新たに追加する、あるいは追加しない、これが一つ、これはかなり長期に変更することができるとなっている。この中に十八業種を追加するのかどうか。それから、追加しないとした場合、別表にある業種は全部最高限度六百万円までにしてくれるかどうか。公平の原則からいって、別表に掲げられているものについては、全部七年、十年ものも認めるか。その点を明らかにしてください。
  52. 吉田信邦

    吉田説明員 いまの別表でございますが、これは昨年別表をやめまして、あらゆる業種に差別なく行き得るというふうにいたしました。そういう意味では、別表の追加という問題は起こらないし、またその必要もないと思います。  それから第二点の、ほかの業種についても同様な例外措置を適用するかどうかという点につきましては、同様な意味においてなし得るというふうに私ども考えております。ただ、これはあくまでも例外的なものでございますから、その限りにおいては、一般的ではなくて、特別にそうしなければその事業がうまくいかないというような特殊の理由のある場合に限定をしてまいりたいと思います。
  53. 野口忠夫

    野口委員 武藤委員からも質問があったわけでございますが、国民金融公庫の性格というものは、巨額の、あまりに長く期間のかかる資金貸し付けというようなものではなくて、零細小口なものに対する事業助成資金としての意味であるとすれば、ここで、先ほど環境衛生金融公庫の中で考えられたような性格のものが入ってくることは、金融公庫の性格上問題が一つ残る。また、いま長期的、短期的という問題がございましたが、これを扱っていく国民金融公庫の今後のあり方としても、取り扱い上他の業種との関係等もあって、国民金融公庫の性格が非常に曲がっていくおそれが考えられるものですから、その点では、これはひとつ慎重に検討しなければならないのじゃないかというふうに思うわけでございます。  時間もありませんから、最後にもう一つの点は、監事制度強化の改正があるわけでございますが、手元に行政監察委員会報告書を持っておるわけでありますが、この報告書を読んでみますと、国民金融公庫についての事業調査報告書としては、監事制度に対してはまことにうまくないというような感じがするわけなんですが、報告書によると、「監事の監査目的、範囲、監査の方法及び監査結果の処理等に関する主務大臣の示達がないばかりでなく、「監事監査要領」に類するものも作成されていないため、監査結果の報告書も作成されていないばかりでなく監査に関する記録、文書等も一切保存されていない。」そういうことで、調査をするのに非常に困ったというような報告があるわけであります。こういうようなものが三十七年に出されたわけでありますが、法改正の時期にということで今回まで延びてきたということでありまして、今回は監事制度を強化する、こういうわけでありますが、ともすると、公社、公団、事業団等、そういうところが、仕事をやるほうばかり一生懸命であって、その仕事についてのあと始末とか、これを点検するとかいう仕事がどうも日本の状態の中では少ないがために国民に対していろいろな疑惑等も与えておるのでございますから、日本の行政機関の中で監事制度を強化するということについては、特段の意を用いられてお願いしたいと思うわけでございます。ことに、国民金融公庫は、新潟あるいはあちらこちらの災害等におきましても特段の御協力があって、多くの国民から感謝されているような話も聞いているわけでありますが、国民金融公庫が間違いなく国民、庶民のために発展していくような方向にその実績の拡充をお願いし、いやしくもその精神を曲げるような方向に持っていかないようにお願いして、本日は、私の質問を終わりたいと思います。
  54. 三池信

    三池委員長 小林進君。
  55. 小林進

    ○小林委員 私は、この国民金融公庫法の改正の問題については、前々日から政府側の出席を要求いたしておきました。大蔵大臣です。厚生大臣です。国民金融公庫総裁です。にもかかわらず、一人もいないじゃありませんか。私はそんなことで質問するわけにいきません。そろえてくださったら、あらためて私は質問いたします。そういう人をはかにした一どうぞひとつ答弁者をそろえたら呼びにきてください。
  56. 三池信

    三池委員長 午後一時十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ————◇—————    午後一時二十四分開議
  57. 三池信

    三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横山利秋君。
  58. 横山利秋

    ○横山委員 両大臣いらっしゃるところで率直に聞きたいのですけれども、今度理事が一人ふえるわけですね。何か巷間伝うるところによりますと、厚生省からえらい人がおいでになるということだそうです。これは国民金融公庫のみならず、ほかの公団、公庫におきましても、セクションがきまると必ず人事が内定をしておる。こういうことは、公庫、公団における長年キャリアのある人たちやあるいは職員の士気を阻喪することはなはだしいと思うのであります。私が承知するところによりますと、国民金融公庫総裁は大蔵省、副総裁は大蔵省、理事が六人の中で通産省が一人、大蔵省が二人、それからキャリアのある人が三人、つまり、総裁、副総裁以下八人おって、長年働いて能力のある人が常に少数である。こういうことはよくないことだと思う。環境衛生関係十八業種の金融の仕事が、厚生省の人でなければ貸し付けができないという特殊な理由があるのかどうか、その点を伺いたいのです。どうしてこう一生懸命に働いておる下の人たちの栄進の道をとたんにふさごうとするのか。私は、長年働いておる人が、ところてん式というのは語弊があるけれども、順次責任ある地位について、そして公庫の運営発展をはかるということをすべきなのが常道ではあるまいか。どうその点をお考えなのか、伺いたい。
  59. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 横山委員も御承知のように、今回理事を増員いたしますのは、国民金融公庫において環境衛生融資をやろう、こういうためのものであります。そういう意味合いにおいて、この趣旨を実現する上において最も適当な方が選ばるべきことは当然のことでありまして、御説のとおりであります。そういう角度から選定をいたすということでございますが、何ぶんまだ国会で御審議中でもありますので、具体的な人事につきましては、厚生大臣からも御相談を受けておりません。
  60. 横山利秋

    ○横山委員 大臣のおっしゃる環境衛生のいわゆる十八業種にだけ特別の措置を計らうということについては、私は意見が違うのです。しかし、かりにそうだとして、その十八業種の設備投資についてやるについても、どうしてその仕事が国民金融公庫のキャリアのある人たちではできないのであるか。あなたは人事はまだきまってないのだと言うけれども、これは公然たる秘密です。みんな知っている。人事までも内定している。もうお隣の大臣はよく御存じのはずです。そういうことをするから、公団、公庫というものは、常に天下りで、官僚の古手がやってきて官僚的運営が行なわれておる。長年働いてきたキャリアのある人間たちが、常に上がつかえれば下までずっとつかえて、清新はつらつたる運営ができないといわれる。だから私は、この種の人たちの人材登用の道を開くべきであって、天下りについては差し控えるべきである、こういう考えでありますが、もし大蔵大臣が人間がきまってないと言うならば、私の主張する方針に御賛成をくださるわけですか。
  61. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 御趣旨はそのとおりでありまして、これは環境衛生金融が円滑にいくというために最善の人事を行なうべきだ、こういうふうに考えます。ただ、その具体的な問題になりますと、まだ国会でも御審議中の段階ですから、具体的に私も考えておりませんし、まだ厚生大臣から御意見を承っておらぬ、こういうわけなんです。これはだれが一番いいかというと、ただいま申し上げましたように、環境衛生金融を強化する、こういうたてまえなんですから、そういうたてまえで最善の人事を行なう、こういうふうに考えます。
  62. 横山利秋

    ○横山委員 副総裁にむずかしい質問をいたしますけれども、これらの十八業種の融資について、現役人では融資の事務について差しつかえがありますか。
  63. 吉田信邦

    吉田説明員 これらの業種に対して、ことに今回は特定施設というような意味で、一般的な融資だけじゃなくて、特定の近代化その他のための融資をしようということでございます。融資そのものにつきましては、私どものほうでも十分やってのけられる問題が多いと思いますが、そういったような特殊な施設等の問題もございますので、できれば、万全を期する意味においては、そういう環境衛生関係の各業種、そして、しかもその近代化というようなことについて造詣の深い方にお手助けいただいたほうが万全を期し得るゆえんであると思います。
  64. 横山利秋

    ○横山委員 情けない話をあなたはおっしゃる。あなたもおそらく内定をしているらしいという話を聞いていらっしゃるからそうおっしゃるのかもしれない。しかし、いまあなたが言ったことを全国公庫職員が聞いたら、何と思うと思いますか。カフェー、バー、料理屋、待合、喫茶店、食肉販売、美容、理容、興行場経営、ホテル、簡易宿泊所、各種浴湯、クリーニング、これらの業種はいま貸しているのでしょう。設備資金、運転資金も貸しているでしょう。何が差しつかえるのか。何がわからないのか。それじゃ、これらをやっていることについて、欠けた点がいま業務運営上あるのですか。環境衛生関係に貸している金で、貸し方についてわからぬ点があるのですか。こういう設備投資をするについてむずかしい貸し方があるのですか。あなたはもっと責任と勇気を持って、全国の職員のために、政府からお話があればともかく、自分たちでこの業種についての融資にむずかしいとか間違いとか、困るとか、そういうことはいまありませんと、たんかを切るべき立場じゃありませんか。
  65. 吉田信邦

    吉田説明員 私の申し上げましたのは、そういうような意味での特殊施設、ことに政府が力を入れて近代化に進もうという積極的な目的を持ったそういった施設という立場から見ると、そういうことに熟知された方のお手助けを得ることのほうが、より完全になり得るという意味——全然できないかと言われれば、私どもとしても、もちろんできると思います。しかし、より完全にする意味では、そういう方のお助けを受けたほうがよかろうというふうに考えておる次第でございます。
  66. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵大臣に、もう一回意見を含めて言いたいのですが、公団、公庫の天下り人事は社会の批判の的になっているわけです。そうして、役所におったときよりも相当給料が上がって、役所におったときよりも自由奔放な仕事ができる、端的に言えば、そう言えるわけです。だから、こういうような場合においては、まず現役の中から登用をして、そしてうっくつする公庫、公団の人事の刷新をはかることが、何はともあれ私は大事だと思うのです。現状は別として、この私の主張に御賛成くださいませんか。
  67. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 原則論としては、私はそれは賛成します。現にここにおられる副総裁の選任のときも、国民金融公庫部内から選任するということでずいぶん考えてみたのです。結局、結論としては吉田君が選任されるということになったのですが、常にそういうことは考えておるわけです。御趣旨の点につきましては、私は別に何の異存もありません。
  68. 横山利秋

    ○横山委員 厚生大臣にお伺いするのですが、あなたが今回この環境衛生業種の十八業種に対して非常に理解ある態度をとられた、努力をされたことについては、私も中小企業政策を担当する者として感謝しておる一人です。ただ、あなたが所管大臣として——端的に言いますからお許しを願いたいのですが、所管の環境衛生業種のみに限定をされたことについて、大臣としてどうお考えであろうかとかねがね私は考えておる。もしもこれらの十八業種が該当するものならば、その業種とすぐ隣接する八百屋さんあるいはうどん屋さん、とうふ屋さんは何でいかぬのだろう、これは当然の理論展開です。この環境衛生関係法の該当業種ではないけれども、本来環境衛生上注意すべき業種は他にもあるはずだ。大臣として、自分の所管の業種だけでなくて、この際ほかの業種に対しても恩恵を与えるべきが当然ではないかと私は考えるのですが、立案の際にどういうお考えで、どうしてこうなりましたか。
  69. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 横山さんも御承知のとおり、環境衛生営業に従事しております業者並びに従業員は約千四百万人に及んでおります。このうち、従業員四人以下を使っております零細な環境衛生企業が七〇%から八〇%を占めておる。しかも、この環境衛生営業が近年公共料金の問題とともにサービス料金の上昇を相当来たしておる。これは国民生活に非常に密着した仕事であり、生産性の向上を、いまのままではどうしても期し得ない。賃金等も相当上がってきております。非常に経営が苦しくなっておる。そこで、私ども厚生省の環境衛生行政といたしまして、どうしても近代化と協業化を大いに促進をしなければいかぬ、こう考えておるのでありますが、これにはただ行政の面だけでなしに、やはり近代化、協業化に必要な金融面を十分考え、行政と金融がほんとうに一体の形で進められて、国民生活に密接な関係のある環境衛生営業の近代化なり協業化が促進できる、また、関係業界人の要望も非常に強いのでございます。私は、この立ちおくれておる環境衛生営業、特に国民生活に非常に大きな影響を持つこの仕事を早く近代化、協業化をはかってやる必要がある、かように考えまして、環境衛生金融公庫の創設を実は構想いたしたのであります。しかし、いろいろ政府部内で検討もいたし、また予算編成方針におきましても、昭和四十一年度においては公庫、公団は一切つくらない、こういう基本的な方針もきまりました。そして、今回国民金融公庫の中に特別な措置を講ずることによって、この環境衛生営業の近代化、協業化の対策を進める、こういうことに相なった次第でございます。
  70. 横山利秋

    ○横山委員 私の質問に答えていらっしゃらないようですが、小林委員が参りましたから、またあとにいたします。
  71. 三池信

    三池委員長 小林進君。  小林委員に申し上げますが、出席御要求の大蔵、厚生両大臣はただいま出席しておられます。石田国民金融公庫総裁は病気のため出席できないとのことで、吉田総裁が代理として出席しておられますので、御了承をお願いいたします。
  72. 小林進

    ○小林委員 御病気とあれば、これはしかたがありません。どうぞ総裁には全快されるまでごゆっくりお休みいただきますことを念願いたします。ただ、大蔵大臣や厚生大臣は、どうかそういう御連絡を密にされまして、すべからく、要求があったときには、少なくとも二十分か三十分くらい前にちゃんと来て待っているというくらいの心がけを持っていただきまするならば、この委員会の議事はなめらかに進行するであろうことを十分御勘案をいただきたいと思います。余分なことをしゃべっていると時間がありませんから、すぐ本論に入りまして、ひとつ申し上げます。  まず、いまも横山委員が質問いたしておりましたが、厚生大臣にお伺いいたしますることは、今次の予算折衝の過程において、厚生省は環境衛生金融公庫法案というものを準備をせられておりまして、これによりまするというと、内容は、政府出資三十億円を予定せられておりまして、そしてこれを設立されまして、百二十万の業者のために、ひとつ低利の融資をはかりたい、こういう案をお立てになっていた。ところが、途中で変更せられて、国民金融公庫の中にこぶを一つ設けるような、どうもおかしな形にされたのでありまするが、一体この経緯はどうなっておるのか。まず第一には、そのおつくりになりました法案の、厚生省で準備をされました資料をひとつ提出をしていただきたい。同時にまた、あれくらい世論の支持を受けながら堂々と旗を上げられたその厚生省の大きな方針を、大蔵大臣の一喝にあったのかどうか知りませんけれども、へなへなと腰を折って、そしてよそのうちに宿を借りるような、どうしてこんなぶざまな収拾をされたのか、その間の経緯もあわせてお伺いいたしたい。何しろ時間が迫られておりますので、文章で書いて、納得できるようにお願いをいたしたい。その資料もお出しをいただきたいと思うのでございます。資料が気に入らなければまたやります。  大臣にお伺いいたしたいことは、この立ち消えになった理由までは資料で出していただきまするが、来年度は、この設置の問題は、こういうような変則な形でなしに、やはり独立の、環境衛生業者のための公庫設立するという、そういう基本の方針をお持ちになっているのかどうか、もはやそれは目的達せずして、へなへなと腰を折ったままにしておくとおっしゃるのかどうか、これを一つ伺いたい。
  73. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 小林さんからお尋ねがありました点につきましては、今回の国民公庫法の改正によりまして、公庫はじめ、私どもも運用に当たって最善の努力をいたしまして、十分成果を収めたいものと期待をいたし、努力いたしたいと考えております。それが結果を見た上で、どうしても所期の目的を達成できない、こういうことでありますれば、またあらためて考えたいと私は思います。
  74. 小林進

    ○小林委員 それでは、いまのところは、来年はお出しにならない、現在の制度をもってその結果を見ていこう、こういうお考えですね。——わかりました。私は了解したわけではございませんが、大臣のお考えはそれでわかったわけです。  そこで、次にお伺いいたしまするけれども、こういう環境衛生業者に対するいままでの国民金融公庫からの貸し付けは全然ございませんでしたか。従来の国民金融公庫内における環境衛生業者に対する貸し付けの状況はいかん。
  75. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 お答え申し上げます。  環境衛生関係で、今回は十八業種ということを申しておりますが、これは、従来、国民金融公庫の統計上は実は十四業種についてでございます。さしたる差はなかろうかと思いますが、一応その資料に基づいて申し上げます。  十四業種に対する融資の実績は、昭和三十五年度におきまして六十四億円、三十六年度七十億円、三十七年度八十八億円、三十八年度百九億円、三十九年度に至りまして百四十六億円、四十年度は、一月までの実績でございますが、約百六十億円、以上のとおりでございます。
  76. 小林進

    ○小林委員 いまもお話のありましたとおり、従来もお貸し付けになっておった。あなた方からいただいた「国民金融公庫の現状」という四十一年二月末現在の月報に基づいても、サービス業——もちろん環境衛生関係だけではございませんけれどもサービス業に、四十年の四月から今年の二月に至るまでは、金額において九・五%、件数において一割強というものを貸し付けていられるわけでございます。こういう実績の中にあって、今度この国民金融公庫の中に別ワクを設けられるわけでありまするが、この、これから設けられる別ワクと従来の貸し付けの中には、利率、期限その他において格差が生ずるわけだ。その点はどうなりますか。
  77. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 金利につきましては、別して特別扱いをいたす気はございません。一般の基準金利並みでございます。
  78. 小林進

    ○小林委員 期限はどうですか。
  79. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 期限につきましては、これは実際にやってみませんと、運用上どういう結果が出ますかわかりませんが、一応たてまえといたしましては、国民金融公庫において、従来、設備融資については七年、運転資金については五年以内ということでやってまいりましたが、これについて、特に今回の十八業種の指定設備に限りまして、また、そのうちの特定の部分を厚生大臣がお選びになるわけですが、特に厚生大臣がお選びになった部分につきましては、融資償還期限を若干延長して、十年まではやれるようにしようじゃないかということで厚生省と話し合ったわけでございます。
  80. 小林進

    ○小林委員 その意味において、きょうも午前中に武藤委員が質問をいたしておりましたけれども、従来もこの国民金融公庫の中から環境衛生業者のために貸しておいたのだ、一体、なぜこと新しく貸せるような形でこういうものをつけ加えておく必要があるのか。先ほども申しましたように、厚生省のように、環境衛生業者のために、国民金融公庫でなし得ない特殊なもの、あるいは利率の点とか、長期の期間の点とか、あるいはまた条件を緩和するとかいう特殊なものをねらっていくならばいいけれども国民金融公庫のワクの中で貸せるというならば、こんなことは、法改正をしたり、こぶだんごをつけたりしなくても、従来どおりやっていることだから、そのままでいいのではないかと考えるが、この点いかがですか。
  81. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 御指摘の点、確かにごもっともな点もあるわけでございます。ただ、これは、従来とももちろん融資実績はございました。ございましたが、今回厚生省におかれましては、特に近代化、合理化を進めたい特別な施設、設備を指定いたしましてそれを促進するということは、つまり、従来になかった政策がここに打ち出されてくるわけです。その政策を行なうべく二百億円というものを別ワクで用意いたそう、ここに一つ特色がございます。
  82. 小林進

    ○小林委員 全く、あなたの言われることは、政策的な、国民や環境衛生業者や何かに対するごまかしだ。言いかえれば、これは各省大臣の政治的折衝で生まれた変則な形なんだ。もっと具体的に言えば、厚生大臣が大蔵大臣にあっさりとごまかされたというだけの話です。私どもはそう考えざるを得ない。なぜかならば、いままでやっていることと同じことをやるのだ。ただ、同じことをやっておるという中で二百億円だけ特別のワクを設けました。そんなワクなんというものは、二千億円、三千億円もある金の中から二百億円や三百億円の特別のワクを設けたということは、何も珍しいことじゃないですよ。そんなことはことばの上のいたずらである。ただ、そこで私は言うのだが、実績的に示すというと、われわれは、借りる側のほうからいえば、いままでの環境衛生業者というものは非常に零細性が強かった。だから、なかなか一般の金融機関から借りる上で制約が大き過ぎたし、国民金融公庫からも——ほんとうは一般の金融公庫からも締め出されたか弱いものを助けるのが国民金融公庫の役割りであるけれども、まだその環境衛生団体には国民金融公庫の門戸を広く開放するに至っていなかったのだ。その点をひとつ政治的に認めて、行政的処置で借りやすくしてやろうという、私はそれだけの違いじゃないかと思う。これは国民金融公庫総裁以下、あるいは大蔵省の銀行局長、その人々が行政通達か何かに基づいて、いままでは零細なふろ屋や床屋さんのほうには金を貸せる門戸を開放していなかったけれども、これからは二百億円の資金を、増して三倍の六百億円ですか、まあどの範囲か知りませんけれども、これは二百億円に限定するのですか、それ以上はだめですか。まあ、その範囲で一は、今度は貸し付けを緩慢にして貸してやりなさいという、そういう行政的の貸し付けの処置を少しゆるめたというだけの話じゃないですか。どこに違いがありますか。
  83. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 そこは、実はだいぶ違うわけでございます。と申しますのは、厚生省が非常に近代化、合理化というその政策を確立しまして、しかも、業種をはっきりと定めて、その中でこういう設備をやりなさいというはっきりした設備指定をいたすわけでございます。それについて融資をするというわけでございますから、従来はそういうものは何もございませんで、ただ個々の業者がばらばらに申し込んで、それに応じて国民金融公庫が通常の、普通の業種、こういうものと一視同仁と申しますか、一切平等無差別で審査をして貸せるものは貸すということでやってまいったわけでございます。今度はつまり厚生省の政策がそこに一つ筋金として入ってくる、そこで、それについては、つまり二百億円というものを用意いたしましょう。それじゃ、もう、いま先生御指摘の二百億円でおしまいになるのか、それ以上は一切環境衛生には貸さないのかというそういう点でございます。その点は、実はそうは考えておりません。つまり、特別な施設に対する分としては二百億円ということでございますけれども、環境衛生関係には特別に指定された設備以外のものもいろいろあるわけでございます。そういうものがやはり融資の申し込みが出てまいると思いますが、そういうものについては従来と同じようにしまして、他の業種と同じ、一切平等という一視同仁の立場でいくことは、従来と同じような公庫の態度で臨んでくると思います。ただ、それが現実にどのくらいの融資が出るかは、まあ、やってみませんとはっきりいたしませんが、少なくとも二百億円プラスアルファという形に相なるかと思います。
  84. 小林進

    ○小林委員 それでは、時間もありませんから厚生大臣にお聞きしますけれども、特定設備資金あるいは一般資金、特定設備資金あるいは運転資金等のそういう認定は厚生省がおやりになるのですか。その厚生省の認定を持つものに対しては、償還期限十年とか七年、五年というふうに差別をつけてお貸しになる、こういうことですか。これは一般の他の貸し付けとは全然ワクが違う、そういう厚生省の証明つきだということですか、この二百億円の金は。
  85. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 私ども環適法によりまして環境衛生営業の行政指導をやっておるわけでありますが、非常に大切な国民生活に密着した仕事である。一面、非常に零細性がある。そこで、これが指導ということは、金融と行政が十分表裏一体の形で進められてはじめて成果が期待できるのであります。そこで、この近代化なり協業化なりにつきまして厚生省が指導をし、また計画等を十分検討指導を加えまして、これを公庫のほうに御推薦を申し上げる、公庫は、厚生省のその行政の方向に沿ったもの、そういうものをよく御参考にされまして融資を決定していただく、こういうことにしてまいりたいと考えておるのであります。
  86. 小林進

    ○小林委員 なるほどそういうふうになりますと、これは厚生省と金融機関の統制機関に基づいて二百億円の金を準備しているけれども、あなた方のほうで、これは特定設備なり、何だかんだという証明つきということになってくれば、厚生省のいろいろな見方によると、この金は百五十億円、二百億円、貸したり貸さなかったり、これはたいへんなことになりますよ。実にかた苦しいことになる。これはたいへんなことだ。これはいよいよかぼそい者に対する統制の強化だ。これはおそるべきことで、この運営面にあたっては重大ポイントがあると思いますから、うっかり賛成はできない。  時間がありませんから、同時にいま一つ、あなたがおっしゃるように、零細な業者だから、特定のそういうワクを設けて、厚生省がめんどうを見ながら国民金融公庫から金を借りるようにして措置をしていきたいとおっしゃられたけれども、それほど零細業者がかわいいならば、一体利率の点はどうですか。八分四厘とは何事だ。私は「政府関係金融機関等主要金利一覧」というのをゆうべ寝ないで見たが、これは開発銀行なんかに至っては、電力会社に対しては幾らで出しているか。年六分五厘で出している。水力自家発電に対して幾らで出しているか。六分五厘です。外航船も六分五厘、経済援助資金も六分五厘、こういうような大企業はみな六分五厘で金を貸している。輸出入銀行は幾らだ。年利四%から七%、実効利率四%、四分じゃないか。輸出業者がかわいいかわいいというと、これはやはりみな四分で金を貸している。それじゃ一体農林漁業金融公庫の金は幾らかといえば、近代化資金だとか、まあ時間がないから簡単に申し上げるけれども、やはり農業構造改善事業推進資金が非補助で三分五厘じゃないか。補助の事業においても六分五厘じゃないか、償還期限が二十年以内、果樹園経営改善資金についても年利五分五厘、畜産経営拡大資金についても五分五厘、農地等取得資金に至っては年三分五厘、あと、たいていみな三分五厘、そういうふうにこの金利でもって保護をしておきながら、いま一番不景気のあらしの中に押しまくられて、一般金融機関のルートに乗れないからといって市中金融機関から締め出されて金が借りられないこの零細業者、だからこそ、特別の金融公庫をつくってこういう環境衛生業者のめんどうを見ようというそれほどの熱意をお持ちになっているならば、一体八分四厘とは何事だ。八分四厘の利息とは一体何事ですか。こういうようなことをやられておためごかしのお話をされても、われわれは簡単に了承するわけにはいかぬ。これは大蔵大臣がいかに白を黒と言うてもだめです。厚生大臣はだまされている。鈴木先生、あなたはいま少ししっかりがんばって——こういうような零細なるサービス業者が八分四厘の金を払って、一体営業が成り立ちますか。だめです。だからこういうことは私は賛成できないのです。もう時間もありません、本会のベルも鳴っておるようでありますから、この問題はひとつあとで書面で回答を寄せていただきたい。  それから、理事を一名増員することになっておるけれども、これなんかも一体だれを予定しているのか。現在公庫の役員は、月報で見ると十名になっておるが、これがまた十一名になるのでありますけれども、この十名の理事の出身別、経歴——総裁、副総裁はもちろんでありますが、それを書面でひとつ御提出をいただきたい。あわせて、この一名は一体だれを予定しておるのか、これもひとつ書面で御回答いただきたいと思います。  それから次に、この月報の中に載っておりますけれども、特別小口貸し付けなどという制度があるけれども昭和三十九年度における申し込み件数はわずかに一件、金額は五万円、四十年の四月から二月に至っては一件もなし、回収は二件だけであります。こういうようなものは、私は、単なる言いわけの処置であって、実行力がないと思う。何にも効用がない。こういうものは貸し付け限度を大いにふやすか、さもなければ廃止するか、実情に沿わないものは十分考えてもらわなければならぬ。こういう特別小口貸し付けなどという、いかにも零細業者に特別のめんどうを見るかのごとき看板を掲げておって、四十年で一口も借りるものがないなんという、これは羊頭を掲げて狗肉を売る、看板だけで国民をつる欺瞞の政策であると言わなければならぬ。欺瞞の政策でなければ、官僚の怠慢です。だれのためにもならないようなものをそのまま存続するということは、これは官僚政治の怠慢です。こういうものは即刻改良するか廃止しなければ、私はだめだと思う。いかがでございましょうか。これも書面でひとつ回答をしていただきたい。  それから、三十九年度貸し付けの合計金額は一千九百九十七億三千五百万円、四十年度貸し付け金額の総計は一体幾らになるか、推定でよろしゅうございますけれども、これもひとつ教えていただいて、同時に、あなた方は四十一年度二千七百八十七億円を貸し付ける予定であると、この金額を非常に大幅に宣伝せられておるけれども、四十年度に比べて四十一年度予定せられておる二千七百億円という金が一体どれだけ多いのか、この中で環境衛生関係に新しく貸し付けるというワクが設けられておるならば、その環境衛生に貸し付ける別ワクの問題を差し引いたら、一体四十年度に比較して一般に対する貸し付けを圧迫するような形にならぬのかどうか、私どもはそれを非常におそれている。ですから、四十年度貸し付けの総額と、四十一年度貸し付け推定額と、その中に占めるいわゆる環境衛生関係に関する金額、二百億円なら二百億円でよろしゅうございますけれども、それを区別して、これも時間がありませんので、文書をもって御回答いただきたいと思います。  それでは、本鈴が鳴りましたから、最後に、かけ足で申し上げますけれども、融資審査でいやしくも国民金融公庫の職員が逮捕をせられておる。「警視庁捜査二課は二月十九日、国民金融公庫元王子支所審査課、現岐阜支所管理課勤務岩部諒」、いやしくも、三十万円を借りに行ったのを四十万円を借りるように手続をしてくれと言って、その十万円をもっぱらふところに入れる、こういうことはまさに首つりの足を引っぱるのと同じことだ。こういう庶民金融の、血も涙も出ないような、疲れ切ったほんとうの低所得の庶民階級が最後の命網に借りに行く、その借り主をえさにして十万円も金をとるなどというその冷酷さ——これは私は、その人を言っているのじゃないのです。こういうような人を出すこの公庫の姿勢を問題にしているのでありまして、私は、こういう庶民大衆の血も涙もしぼり取るような仕組みであるならば、直ちに辞表を出して、みずからの責任をとります。公庫総裁は責任をとりましたか、副総裁はこの問題に対して責任をとる姿勢をお持ちになりますか。総裁、副総裁は、こういう過去のおそるべき職員の汚職事件に対して、いかなる責任をおとりになりますか。書面をもって御回答いただきたいと思います。  時間もありませんから、以上をもって、私の質問を終わります。
  87. 三池信

    三池委員長 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後二時六分休憩      ————◇—————    午後三時三分開議
  88. 三池信

    三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横山利秋君。
  89. 横山利秋

    ○横山委員 先ほど厚生大臣に伺ったところが、厚生大臣は、何をとぼけたか知りませんけれども、別な答弁をされました。私の質問をしたことは、喫茶店、カフェー、バー、キャバレー以下十八業種と隣接した類似の業種がある。肉屋とうどん屋、八百屋ととうふ屋、肉屋は貸すけれども、うどん屋と八百屋ととうふう屋に貸さないのはどういうわけだということを聞いておるんです。厚生大臣が自分の子分と心得ておるのかもしれませんけれども、厚生省関係の十八業種だけやって、農林省関係を八分にするとは何事だということなんです。それは一体、国民金融公庫として区別がつくのか、つかぬのか。法律は区別がつきますよ。感覚的にどこが違うんだ。同じ食料品をやって、肉屋と八百屋、うどん屋とどこが一体環境衛生上違うのか。だから、国民の公衆衛生の立場から言うならば、肉屋に貸して、とうふ屋に貸さない理屈はどこにあるのか、こういうわけです。
  90. 舘林宣夫

    舘林政府委員 環境衛生関係の営業の中に、先生御指摘のような販売業もございますし、また、とうふのようなものを販売する食品の販売業種もありまして、肉類販売その他、いわゆる環境衛生に関する法律対象業種に非常に近い、当然特別融資措置を考えるような対象があることは御指摘のとおりであります。ただ、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律は、いまから十年ほど前に国会におかれまして非常に慎重な御審議をいただきまして、その業種の指定も法律の法文の中に個々に明記されておるわけでありまして、その業種を指定する場合にも非常に慎重な衆参両院の御審議があった次第でございます。これにつきましては、この法律が、御承知のように、議員提案として提出され、国会としても非常に各党慎重に御配慮をいただきましてこの業種が決定せられた次第でありまして、この法律に特別に指定せられておる業種に対して特別な営業の安定措置を講ずるための特別法が現在できておる次第でもございますので、とりあえず、今回の融資措置は環境衛生営業を対象として取り上げまして、もちろん、将来の融資のワク、運営の次第を考えまして、お尋ねのようなとうふあるいは魚介類等の販売の営業に対しましても配慮する必要があるかということは考えておる次第でございます。
  91. 横山利秋

    ○横山委員 今回この貸し付けの中に入らない類似の業種は何と何があるか、ずっと言ってください。
  92. 舘林宣夫

    舘林政府委員 一般的に食品の販売業は大部分が入りません。ただその中で、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律によりまして指定せられております氷雪販売業、すなわち氷類を販売する業種並びに食肉を販売する業種、これが入っておりまして……。(横山委員「入らない業種を並べてくれと聞いておる」と呼ぶ)入ってない業種は、食品類を販売する業種は全部入っておりません。
  93. 横山利秋

    ○横山委員 逆に聞いておるのだ。この類似の業種で入らない業種は何があるかと聞いておるのだ。あなたは入る業種を言っておるが、入らない業種を立て続けにずっと言ってください。つまり、それが言えぬということは、てんからそういうことは考えないという立場だったじゃないですか。入らない業種を一ぺんあなたの記憶の中にあるやつを言ってください。
  94. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいま申し上げましたように、原則的には食品販売業は入っておらないわけでございますので、魚介類にいたしましても、野菜類にいたしましても、くだものにいたしましても、あるいは菓子類にいたしましても、一般的に入っていないわけでございます。
  95. 横山利秋

    ○横山委員 とにかく政務次官、そういう答弁ですから、つまり、はなから考えに入れておらぬわけです。町で聞かれて、横山さん、肉屋は入るんですが、なぜわしのところは入らぬのですかと聞かれたときに、環境衛生に関係しない業種だ——わしのところだって保健所から調べられますよと言うあたりは、これは実に庶民の素朴な質問ですよ。それに対して、道理を分けてわれわれは答えることができないんですよ。国民金融公庫の窓口だって同じことが言えるとぼくは思う。隣の肉屋はいいけれども、とうふ屋はだめだといって、窓口で言ったときに、その人は納得すると思いますか。同じように保健所で調べられて、同じように検査を受けておって、なぜいかぬかということはあたりまえの質問です。なぜ大蔵省はこの法案をつくるときにそれを検討しなかったのであるか。環境衛生法があるということを念頭に置く必要がどこにある。庶民、公衆のためのことをやろうというならば、厚生大臣が何と言ってこようが、一般国民金融公庫の窓口で融資をする立場に立って、あらためて検討するのが当然ではないか。厚生大臣が公庫をつくれ、いかぬ、そんならおれのところの業種だけ入れろ、役員も入れろ、それなら入れようか、そういう取引に使うから窓口で困る、庶民をばかにしている、こう言うのです。大蔵省は何をやっておるのか。
  96. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 これは御指摘のように、衛生という観点からいきますと、食品衛生では、先生いまいろいろ御指摘ございましたが、環境衛生の法律で拾われているものはそのごく一部である、しかも拾われていないものが多いわけでございます。菓子の製造業にしても、あん類製造業、アイスクリーム製造業、乳類販売業等、まさに類似接近業務というものは無限にございます・それだけに、私どもとしては、国民金融公庫の融資にあたって、環境衛生十八業種なるがゆえに特別な金利のものを出すということはできないという、言ってみれば、逆から言うと、そういうこともございます。しかし、その中で特に十八業種までを選んで、厚生省では政策的に公共料金との関連もいろいろお考えのようでございます。公共料金あるいは消費者物価に対するいろいろな影響等の考えもあって、近代化、合理化をはかろうというようなこともございまして、それについては融資のワクとしては二百億円というものを一応別ワクとして設けておりますけれども、いま申し上げたように、金利条件はとうふ屋さんと肉屋さんは全く区別しておりません。
  97. 横山利秋

    ○横山委員 期限が違うじゃないですか。どうなんですか。
  98. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 この期限の問題も、これはやはりそれぞれケース・バイ・ケースによりまして、現実にその期限がなければ事業の目的を達し得ないというものがあれば、必ずしも環境衛生十八業種に限る必要はない、かように思っております。
  99. 横山利秋

    ○横山委員 これは異なことを承るのですけれども、先ほどのお話とちょっと違う。もしそうなら、私も納得しますよ。この融資の対象貸し付け要領は十八業種に限る必要はない、そうして、私の言うように、うどん屋やとうふ屋や八百屋に同じような条件であるならば五年、七年、十年を適用さしても差しつかえないとおっしゃいましたね。間違いありませんな。
  100. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 それは、それぞれの事業の実態に即して公庫において判断する問題、かように考えております。
  101. 横山利秋

    ○横山委員 事業の実態に即して公庫が判断する、それはあなた逃げられたような気がしますけれども、いま副総裁お聞きのとおりですが、私がこういうような庶民的な質問をすると、銀行局長はいささか私の意図をいれて、じゃ、まあおれは何とも言えぬけれども公庫で判断するだろうというふうに、私は好意ある御答弁と承った。あなたはそれを御了承なさいますか。
  102. 吉田信邦

    吉田説明員 ただいまの点でございますが、私ども国民金融公庫立場として、各業種に不公平があってはならない、したがいまして、ことに、環境衛生の立場から厚生省のいろいろな御指示を得て、そういう意味では、まず先に厚生省が御研究になった分を実施することになりますので、今後の事業対象の実情に応じまして、不公平のないように他の業種についても漸次扱ってまいりたいと思います。
  103. 横山利秋

    ○横山委員 厚生省にだめを押しておきますが、厚生省いまお聞きのとおりですが、厚生省から、自分たちの業種は十八業種だ、二百億円はおれたちの優先先取り特権がある、ほかに使ってもらっては困る、こういうことは言わないでしょうな。
  104. 舘林宣夫

    舘林政府委員 環境衛生営業の合理化あるいは近代化、協業化というような改善に対しまして二百億円を充てておることは間違いございません。
  105. 横山利秋

    ○横山委員 これは政府部内で答弁が違いますな。政務次官、これは困ります。私は、少なくともわれわれ国会議員として、皆さんも同様だと思うけれども、町へ行くと、肉屋さんが、八百屋さんはわしのところは貸してもらえぬと言って八百屋がおこっておる。肉屋と八百屋とどう違うか。八百屋がこのごろ近代的になる、うどん屋も設備を近代化しなければ保健所はおこるわけです。何でわしのところが貸してもらえぬのだろうと言われたときに、これは環境衛生の法律があるのだ、それとこれとどう違うか、わしのところも保健所で文句を言われて、この間もえらい目にあった。こう言うのです。だから、私も、それはごもっともだ、それでは一ぺん国会であなたの立場を主張してみよう、こういう素朴な質疑応答です。これはおそらく政務次官も町へ行かれて答えられませんよ。ですから、いま問い詰めたところ、銀行局長国民金融公庫の副総裁も、いざというときには公平な判断をしてみよう、こうおっしゃる。ところが、厚生省はうしろでよけいなことを言って、二百億円びた一文渡さぬ、ああいう冷たいことを言われてはちょっといけません。どうですか、政務次官。
  106. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 お話のとおり、政治というもののあり方は、素朴な庶民の気持ちに沿うた実施が行なわれなければならない。いろいろお話を聞いて、私も十分理解している点がありますけれども、実は先ほどからいろいろ話を聞いておりまして、御承知のように、環境衛生関係営業に関しては別ワク二百億円を出す、こういう打ち立てを出しておることは御案内のとおりでございます。お話のように、確かに私は、肉屋と、とうふ屋、うどん屋、八百屋、これをあれこれ考えた場合に、なかなか区別しにくいような実態になっていることもお話のとおりだと思うのでございますけれども、やはり行政執行にあたっては、一つの基準といいますか、それに打ち立てを持ちながら仕事をやっていく、その基準が、今度はさしあたって環境衛生関係営業という一つの打ち立てとして別ワク二百億円をやる。先ほど銀行局長がいろいろ説明をいたしましたのは、国民金融公庫としては、全体的に、八百屋であろうとあるいはうどん屋であろうととうふ屋であろうとやっていくのだ、こういう意味を含めた答弁であるというふうに理解すべきではないだろうか、このように思うわけであります。
  107. 横山利秋

    ○横山委員 ここのところが勘どころなんだから、わしが答弁を教えましょうか。ここのところをはっきりしなさいよ。厚生省が二百億円先取り特権がある。それは局長だったら、言わなければ、あとで厚生大臣にしかられるから言うでしょう。銀行局長もまた副総裁も、それは公平にやらなければいかぬと言っておる。あなたも公平論賛成だ。どうしたらいいか。わかったはずじゃないですか。二百億円は厚生省に渡す、あとはあとで考える、そう言えば、あなたは話が済むのじゃないですか。どうですか。
  108. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 先ほどもお答えをいたしましたように、二百億円別ワクで環境衛生関係事業に融資する。これでありますから、そうすると、結局、いままではこれがなかったわけですから、よかったわけです。だから、国民金融公庫全体としては、おっしゃる線に沿うて今後実施するということで、百歩の前進である、こういうふうに私は理解していただきたいと思うのです。
  109. 横山利秋

    ○横山委員 わかったかね、諸君。ぼくはわからぬ、ぼくは頭が悪いですから。ぼくの言ったとおりですか。ぼくの言ったとおりなら、とおりでいいというのだ。厚生省は二百億円先取り特権がある。それを取ろうとはぼくもあまり思わない。だから、それはそれでやむを得ぬけれども銀行局長も副総裁も公平論でやらなければいかぬ。うどん屋と肉屋と何で違うかということはようわかった、こういうのですが、わかったら、わかったように窓口は実行されるのでしょうね。それで、ぼくの言うとおりだというなら、そのとおりだと言えばいい。
  110. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 窓口の具体的な問題でございますから、直接窓口の責任者も見えておりますから、お答えをいたさせます。
  111. 吉田信邦

    吉田説明員 その点につきましては、私どもといたしましては、厚生省関係のいわゆる環衛業種に対する二百億円というのは、ぜひ実行いたしたいと考えております。同時に、それにふさわしいような御協力を得られることと考えております。そういう意味で、環境衛生には入っていないが、同時に、公衆衛生というような立場からいって、ほぼそれに準ずるものというのも、環境衛生関係の特定施設に融資していく間におのずとはっきりしてまいると存じます。したがって、そういうものについては、公平に資金が行き渡るように努力いたしたいと思っております。それで、こういうところで申し上げるのはどうかと思いますが、万が一それで資金が足らないようなときには、政府にお願いして増額をしていただくつもりでおります。
  112. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官、お聞きになりましたね。副総裁の発言は御了承ですね。どうです。
  113. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 ただいま副総裁からお話がございましたように、今後必要な貸し付け規模の拡大については、大蔵省の立場においても、財政の許す限り、極力ひとつ御期待に沿いたい、こういうふうに思います。
  114. 横山利秋

    ○横山委員 次へ進みましょう。  次は監事です。法律は「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は大蔵大臣に意見を提出することができる。」こととなっておる。これについては、行政管理庁の勧告があって、かなりシビアーな監事の任務をうたっておる。ところが、この法律案を見ますと、ただ「総裁又は大蔵大臣に意見を提出することができる。」だけになっておる。行政管理庁の勧告の内応をこれはいれておるのですか、いれておらぬのですか。つまり、管理庁の監事制度に対する要望は、少なくとも、監事は、総裁以下すべての業務に対して、やや客観的、第三者的態度に立って大蔵大臣とかなり直結するくらいの気持ちを持っておるわけですね。法律案は必ずしもそうではない。この法律案に基づく監事は、一体どういう権限とどういう地位、どういう給料をもらうのですか。
  115. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 この監事の職務権限でございますが、国民金融公庫法第十二条によりまして、「監事は、公庫の業務を監査する。」ということに規定されておりますことは、横山先生御承知のとおりでございますが、そこで、監事は、公庫業務の適正かつ能率的な運営というものと、会計経理の適正化ということに資するために、公庫業務の全般にわたって常時監査を行なっておるわけでございます。これに対しまして、今回御審議をお願いしておりますところの改正案は、これまた御指摘のように、先般の行政管理庁の勧告というものに基づきまして立案を行なったわけでございますが、先般、当委員会において御審議いただきました日本開発銀行法一部改正法案におきましても実は同様の規定がございまして、あれまた同じような趣旨に基づくものでございましたが、その開発銀行法の一部改正法案における法文と全く今回も実は同文でございます。
  116. 横山利秋

    ○横山委員 そんなことを聞いているんじゃないよ。勧告とどういう関係を持っておるのか。勧告を受け入れていないのかどうかということです。
  117. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 勧告に基づきまして法律改正をお願いしておるわけでございます。
  118. 横山利秋

    ○横山委員 いま公庫法を探しておるのですが、公庫法の何条で……。
  119. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 第十二条です。
  120. 横山利秋

    ○横山委員 「監事は、公庫の業務を監査する。」だけじゃないですか。どこにそんなことが書いてあるのです。
  121. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 先ほどお答えいたしましたように、国民金融公庫法第十二条の第四項でございますね。「監事は、公庫の業務を監査する。」これが現行法の規定でございます。その現行法の規定の趣旨を先ほど私が補足説明いたしたわけでございます。
  122. 横山利秋

    ○横山委員 勧告では「主務大臣は監事に対し、公社等監督上特に必要があると認める事項について監査し、およびその結果を報告すべきことを命ずることができること。」となって、また、監事は、主務大臣に直接意見を提出することができるとなっているんですね。つまり、このことは、私が言うように、監事の仕事を格上げをして、そうして、大蔵大臣なり主務大臣に直結させる、それによって監査権限を強くするという意味がある。ところが、現行法はそういう意味があまりないですよ。そこはどうだと言っているのです。
  123. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 その点はまさに御指摘のとおりでありますので、そこで今回の改正法案を御審議いただいておる、こう申しておるわけでございますが、ただ、今回の案では、御承知のように、これは「総裁又は大蔵大臣に意見を提出することができる。」こういうことに改めたいということを申し上げておるわけであります。それは例の管理庁の勧告に基づいて出てきておる、かように申し上げておるわけであります。
  124. 横山利秋

    ○横山委員 これは勧告と現行法との中間的な地位だ。それならば、この改正案について意見を申したいのだれども、この改正案によると、一体、監事は、総裁に言うことなく、総裁報告することなく、大蔵大臣に直接に意見を提出してもいいわけですね。
  125. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 差しつかえございません。
  126. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵大臣は、総裁に言わなくとも、直接に監事に対して意見を求めてもいいわけですね。
  127. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 大蔵大臣が直接監事に求めるということは規定しておらないわけでございます。
  128. 横山利秋

    ○横山委員 それはどこでそういうことが言える。なぜいけない。あなたは、勧告によってやっているというのは、これは勧告の中に書いてある。法の中には書いてないけれども改正案にはないけれども、なぜそれがいかぬのか。
  129. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 その点は、国民金融公庫法第二十八条をごらんいただきますと、ここに監督の規定がございます。これの第二項に「大蔵大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公庫に対して業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」という規定がございます。これはやはり公庫の最高責任者である公庫総裁に対して大蔵大臣が命令もしくは指示をするということであります。
  130. 横山利秋

    ○横山委員 矛盾があるじゃないですか。監事は総裁に黙って大蔵大臣に意見を提出することができる。大蔵大臣は総裁に黙って監事の報告を求めることができない。そんなばかなことがありますか。
  131. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 やはり公庫という組織体に対して大蔵大臣が監督をしておるわけでございます。その監督をするパイプとしては、やはり公庫総裁に対して命令をする、あるいは指示するということがあるわけでございますから、先生のおっしゃるように、あまり大蔵大臣が、直接、たとえば監事に対して命令をする、あるいは指示するということは、この組織として見ますと、それはやはり正規のルートを通じる、ただ、一方、監事というものは、これはもう場合によっては総裁を飛び越えて大蔵大臣に直接意見を出すことができる、その意味では、監事の地位を高める、こういうことでございますから、終局的には先生のおっしゃることが実現されるのじゃないかと思います。
  132. 横山利秋

    ○横山委員 いや、いけません、そんなばかな、佐竹さんともあろう人が。監事は総裁を飛び越えていける、監督権限を持っている大臣は総裁を飛び越えて監事に話せない、そんなばかなことがあるか。まだこっちが飛び越えてこれるというのが優先するなら話はわかりますよ。こっちは下からまん中を飛び越えていけるけれども、上からはまん中を飛び越えてこれない、これはあなたおかしいですよ。自分で腹の中ではおかしいと思っているけれども、ここは押し切らなければいかぬと思っているのじゃないですか。
  133. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 これはどういう場合に起こるかということでございますが、先生のおっしゃるお話考えますと、たとえば、大蔵大臣が公庫の監査報告等にあきたらない場合がかりにあったとして、あるいは特定事項について、直接監事をしてこういうことを調べさせたい場合がかりにあったといたします。その場合に、じゃ一体、監事に直接言わなければそういうことができないのかということになりますれば、これは、大蔵大臣としては当然総裁に対して命令なり指示なりを下せばいいわけでありますから、決して大蔵大臣の権限行為がそれによって不完全になるという心配はないんじゃないかと思います。
  134. 横山利秋

    ○横山委員 納得できません。法規課長を至急呼んでください。次に移ります。  副総裁に伺いますけれども、公団、公庫の職員の退職年金がまだ実現がされない。話はあるけれども、実現できない。いま厚生年金が施行されておるのですけれども、現在、政府職員の退職金がここでも話題になり、あるいは退職引き当て金が話題になって、最高裁の裁判官の退職金も六・五倍に引き上げられました。少なくとも公庫職員というものは、純然たる民間でなければ、国家公務員との関係、つり合いから考えて、共済組合方式による退職年金制度をつくるべきではないかと思うのですが、この点はどう思いますか。
  135. 吉田信邦

    吉田説明員 御質問の点につきましては、私ども全く同感でございまして、普通の退職金につきましては、これは従来もございますし、公務員に準じた退職金、公務員よりややいいかと存じますが、ほぼ準じた退職金が支払われます。さらに、退職年金制度につきましては、当初われわれも共済組合制度をとることを研究してまいりました。しかし、過去のいろいろな例と申しますか、簡単に申しますと、国民金融公庫は前に国家公務員として扱われておりまして、共済組合に入っておったのでございますが、途中で国家公務員ではなくなって、公庫という特別な機関の職員ということになりまして、国家公務員からはずれると同時に、共済組合からもはずれる、同時に、給与等については、国家公務員よりやや上回ったベースに押しつけるというようなことになった歴史もございます。そういったことから、共済組合として設立することについては、従来いろいろ研究してまいりましたが、どうもそういう過去の経緯からいって不適当であるということで、今回の調整年金制度、これはむしろ民間が主であるかと存じますが、これでぜひ退職年金制度をつくりたいということで、これも私どもだけじゃございませんで、七つの金融公庫が一緒になりまして退職年金制度をつくるべく目下検討を進めております。調整年金の制度によって実施いたしたいということで、目下準備しておりますが、その実施がまだ行なわれてないということが一つ、また同時に、民間の金融機関等とのバランスも考える必要がありますので、そういったものとのバランスも考えながら、できれば年度内に実施し得るように研究を進めておる次第でございます。
  136. 横山利秋

    ○横山委員 よくわからぬが、事務当局でもいいのですが、副総裁の言う調整年金というのはどういうのですか。ぼくはよくわからぬが、どなたか……。
  137. 吉田信邦

    吉田説明員 厚生年金に上乗せをする年金を厚生年金の分と一緒にして調整年金ということに……。
  138. 横山利秋

    ○横山委員 よくかわりませんが、ぼくは感覚的に言えば、これは農林関係の共済制度による共済組合の関係としか理解できないのですが、まあ、その内容は、時間の関係上おくといたしましても、これは公庫、公団は入らないのですか。
  139. 吉田信邦

    吉田説明員 いま入っておりません。
  140. 横山利秋

    ○横山委員 この財政収支その他がどうなるかわかりませんが、政府側としても、すみやかにこの退職年金制度を実行するように御協力を願いたいと思いますが、どうですか。
  141. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 その点、実は前から問題でございまして、私どももいろいろ考えさせられておるわけでございますが、これは実は先生御承知のように、共済組合制度をだんだん拡大してまいりますことについていろいろ問題がございまして、現在大蔵省の中でもいろいろ検討はされておりますけれども、なかなか問題が多いために簡単に進まないというのが、実は現状で、ございます。それで、そういうことであれば、それを待っておれないということから、先ほど副総裁からも御説明いたしましたように、つまり、全く民間企業と同じ企業年金制度を取り入れて、それを厚生年金の例の調整年金——これは先生、先刻御承知の制度でありますが、この調整年金制度はまだ発足いたしませんが、あの調整年金制度に乗せるという方向で実はいま話を進めておるわけであります。これが実現すれば、これはまさに所期の目的は達し得るというふうに考えております。
  142. 横山利秋

    ○横山委員 共済退職年金にもいろいろありますが、何でもできればよいということではないんですよ。政府側としてもよほど好意ある立場でないといけません。あなたのところの銀行局というのは大きな世帯で、都市銀行からずっと管轄しておられるから、どうも国民金融公庫のような零細なものは二の次、三の次、それにほかの公庫もあるのだし、ほかの七つの中にはおれの所管でないものもあるのだから、まあまあおれが責任を負わなくてもよいだろうとは思っていらっしゃらないと思いますが、こういう鳴かぬホタルが身を焦がしているところへ佐竹さんがびしゃっと筋金を入れてくだされば、ほんとうにありがたいと思う人が一ぱいおるのです。たくさんの金融機関の問題の仕事があるでしょうけれども、ひとつこの際、公庫関係の職員の退職年金制度に全力をふるってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  143. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 非常におっしゃること、よくわかります。私ども全力を尽くしたいと思いますが、財政面の問題もございますし、できるだけベストを尽くしたいと思います。
  144. 横山利秋

    ○横山委員 時間の関係上、こまかいことを幾つも申しますから、総括的に副総裁からお答え願えればいい。私の感想です。  一つは、この国民金融公庫が約二千三百億円くらいの金を動かしておるのに、資本金が非常に少ない。ここ数年来出資の増加が政府から少しもないということは、政府側も怠慢であるけれども、あなたのほうも、しかたがないわと思っているのではなかろうか。今度利子補給はあるけれども、こういう形はよくない、これが私の第一の意見であります。  それから、第二番目の意見は、前の前の銀行局長が約束したことなのですけれども、労働金庫の代理貸しを三年のうちに全部認めるということになっておったにかかわらず——本店、支店全部、これはもう四年ばかり前の約束です。ところが、実行しないうちにかわってしまった。佐竹さんはこの引き継ぎを受けておるかどうかわかりませんけれども、あれは理事会においてのかたい約束です。三年のうちに、三分の一、三分の一、三分の一というようにやるという約束だった。それが行なわれていないのは遺憾千万である。  それからその次、この資本の金が相当ふえてきておるにもかかわらず、支所の増加がわりあいに少ない。これは銀行局が銀行の支店についてわりあいにシビアーな態度をとっておるということと相並行するかもしれないけれども国民金融公庫支所の設置というものが年々非常に緩慢である。これはよくない。  それから、私の持っているのは十月末現在ですが、国民金融公庫が担保をまだ取るのは一体どういうわけか、私にはわからない。十月号の七ページによりますと、担保つきのやつが四・三%ある。なぜ国民金融公庫は担保を取るのか。それから、信用保証協会の保証を取るということが前にあった。いまはどうだか知りませんが、担保を取ったり、信用保証協会の保証を取るというのは何事であるかと私は考える。これはどういういきさつがあるのか知りませんけれども、それにしても、補完金融として金融機関が貸さないところを国民金融公庫なら貸すといって行く者に、何で信用保証協会からの保証をしなければならぬのか。信用保証協会で保証したものに貸せるのならば、国民金融公庫だって当然貸せるはずである。  それから、その次の意見は、何月号でしたか見ましたら、利益金が十億円あると書いてある。ちょっといま時間の関係でどこについておるかわかりませんけれども、利益金が十億円ある。ちょっと私は意外に感じた。利益が出ていかぬとは言いはしないけれども国民金融公庫はバランスがとれておればいいのであって、そんなにもうける必要はない。なぜこういうことになるのか。予算の関係があるにしても、利益金十億円ということについての感覚が私にはよくわからない。  それから、これは先ほど大臣に言うたのでありますが、総裁、副総裁として、ひとつ部内からの登用ということを考えてもらわなければいかぬ。厚生省なり——厚生省というと、えらく悪いのですけれども、よそから、政府から押しつけられたということで仕事をもらう、金をもらうということで部内の登用の道を頭からふさいでしまうことは、公庫のためによろしくない。ここはやはり総裁、副総裁として部内登用を優先に考えるべきである。有能ないい人がないというなら別だけれども、あるはずだから。また、ポストにつけば、人間は能力を発揮できるのだから、そういう気持ちを十分に考えてもらわなければいかぬ。そういう点について、一つ一つお答えになる必要はないのですが、概括的に御意見を伺いたい。
  145. 吉田信邦

    吉田説明員 ただいま御質問のありましたうち、まず資本金でございますが、資本金はこの十年間二百億円のままで据え置かれております。私どもといたしましては、資本金をふやしていただきたいという要望は常に続けてまいってきております。昨年度においても二十億円の増資ということが一応予算には認められたわけですが、法律が通らないということでさたやみになってしまいました。しかし、本年も、ことに金利を引き下げてまいりたいという状況のもとにおいては、出資をできるだけ多くしていただきたいということの要望を続けておりましたので、本年は財政上どうしてもしようがないということで一種の補助金をいただくことで本年度予算は終わりましたが、今後とも増資の要求は続けてまいる方針でおります。  次に、労働金庫の代理店でございますが、昭和三十五年に労働金庫五十三店舗に代理所として指定いたしてきております。しかし、その後の実績を見ますと、必ずしも活用されていない。中には実績がゼロのもの、あるいは二、三件のものというようなことで、あまり代理所として十分な活躍をしていただけないところが比較的多いものですから、現在までそのままになっておるというような事情でございます。  それから、支所につきましては、これは数は多ければ多いほどいいとも申せますが、何分にも新しい店をつくるのには相当の経費を要しますし、そしてまた、私どもの仕事は非常に零細でございますから、そういうような点からいけば、ある意味では、地方によっては代理店でやっていただくということにいたしております。しかし、それでも従来毎年数カ所ずつふやすにはふやしてまいってきております。  それから担保の点でございますが、担保につきましては漸次緩和の努力を続けております。つい昨年までは百万円以上のものについては物的担保を徴することにいたしておりましたが、本年から、特に必要な場合があれば、金額のいかんにかかわらず物的担保は徴しないということで進めてきております。  また、保証協会の問題につきましては、私どもとしては比較的消極的な立場をとっております。ということは、保証協会の保証をぜひ取ってこいというようなことはさせない、しかし、申し込み人が、適当な保証人はないけれども保証協会の保証がありますからというような場合には、ほかに保証人を立てていただかなくても……。(横山委員「暗に示唆するからだ」と呼ぶ)災害復旧なんかで急を要する場合には、その地方として一体的に保証協会の保証をするというようなこともございますが、そういう意味で、数字的に申しますと、件数は全体の〇・七%程度が保証協会の保証になっておるという程度でございます。  次に、利益金の問題でありますが、利益と書いたのが適当であるかどうか疑問なのでありまして、というのは、いわゆる裸利益、償却前利益というような意味で十億円程度が見込まれるということでございます。不動産の減価償却に二、三億円かかりました。さらに、貸し倒れ準備金というような性質の、私どもでは滞貸し償却金と申しておりますが、償却勘定に立てますので、決算といたしましては利益金がゼロという形にここ数年なっております。  それから最後に、部内の登用の問題につきましては、今後ともできるだけ努力してまいりたい、また、従来も漸次努力してまいったところであろうかと思っております。
  146. 横山利秋

    ○横山委員 この保証協会はやめてくださいよ。あなたは消極的だというなら、ここではっきり言ってください。保証協会なら緊急に災害等の保証の手続がとれる、国民金融公庫ではそういう緊急なときに審査ができないというばかなことがありますか。国民金融公庫が、そういう災害の場合においても保証協会でやれることなら、うちでもやる。電光石火のごとくできてしかるべきじゃないですか。保証協会ならなぜできる、国民金融公庫ならなぜできない、そんなばかなことはない。やめてください。
  147. 吉田信邦

    吉田説明員 お気持ちは私どももよくわかりますし、極力なしで済ませるように努力したいと思っておりますが、いわば地方的に一括して併記協会で措置してくださるというようなときには、むしろそのほうがこちらとしてはほとんど調べる必要がなくて、迅速に多数のものを解決するというようなときにはそういうものを活用するという意味でございまして、保証協会の保証を持ってこなければ貸さぬというような気持ちは全然持たせないようにいたしております。
  148. 横山利秋

    ○横山委員 最後に、私の意見を含めて聞いていただきたいのですが、先ほど小林委員も言いましたけれども、今度の環境衛生のこの新しい、銀行局長に言わせれば、一つのてこが入った、いままでの国民金融公庫の性格とちょっとニュアンスの違うてこが入った、これは私は銀行局長の言うとおりだと思うのです。それが一つの理由、それからもう一つは、いまの国民金融公庫が庶民の中で占めている地位というものは、必ずしも銀行が貸してくれぬから国民金融公庫へ行くという層はわりあいに少なくなった。国民金融公庫の持っておる層というものは一定してきておる。金を借りるなら国民金融公庫へ行くという恒常的に借りておる層が出てきている。もはや、これは補完金融ではないと私は見ている。つまり、相互銀行や信用組合や信用金庫へ行く組と、国民金融公庫へ行く組とは少し安定してきておると思うのです。で、国民金融公庫はあまりPRしないものですから——PRしないということは、補完金融でございますからといって、遠慮をしておる。もしもPRをしたとするならば、もっとわんさと国民金融公庫に集まってくる。現に支所をつくれば、そこは資金があれば必ず仕事がふえる。仕事がなくて国民金融公庫は困るということは絶対ない、そういうように安定してきたと思うのです。  したがって、以上の理由から言いますと、本来、この法律案の一番最初に国民金融公庫法の第一条の改正案がこなくてはうそだと思うのです。公庫法は「庶民金庫及び恩給金庫の業務を承継し、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、」とあって、もう現に違っておる。この公庫法を改正しなければだめだ。改正は、補完金融立場から、もっと私の希望を言えば、指導金融です。中小企業金融機関の中に位を占めて、そして、金融とは政府のやっておる金融を見習え、こういう指導金融が私は一番理想だと思うのですけれども、そこまでいかないにしても、少なくともモデル金融とでも申しますか、そういう立場にもはや現に来ておるのだから、ここで百尺竿頭一歩を進めて、この公庫法の第一条の改正をして、公庫をあらためて見直すべき時期にある、こう思うのでありますが、まず佐竹さんから言わぬといい知恵が出てこないので、佐竹さんから御意見を伺いたい。そのあとで政務次官がよろしいと言ってもらえば、私の質問は終わるわけであります。
  149. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 確かに横山先生の御指摘のような傾向がだんだん出てきていることは事実かと思います。しかし、さればといって、はたしてそれがいいのかどうか、実は私どもは常に国民金融公庫法第一条の目的に常に立ち戻らなければならぬ、これは開発銀行の場合でも同じことなんですが、常にそういう反省をいたしております。ですから、金利さえ安ければ、借りなければ損だということになるのは人情でありますから、それでは安い金利をどんどん出していけば無限に来ると思います。しかし、そういうことではたしていいのかという問題はございます。これはむしろ中小金融全般の問題としまして、これは民間金融機関から政府関係一切のものを含めまして、あるいは信用補完制度も全部含めて、現在の制度並びに運営における不備、欠陥、こういうものをいろいろ分析をしまして、その間にいろいろ改善しなければならぬことが多々あろうかと思います。こういう問題につきましては、実は金融制度調査会におきましても十分御審議をいただきながら、十分腰を据えて検討してまいりたい、その際、先生御指摘の点も十分頭に置きまして研究したいと思います。
  150. 横山利秋

    ○横山委員 あなたみたいな大男が腰を据えたらちっとも立ち上がりやせぬ。これはくどくあなたに皮肉を言って恐縮ですけれども国民金融公庫や小さい中小企業金融機関のことは、どうもあなたの頭の中にはないような気がしてしようがない。そうして、諸君御存じの大きな銀行がいま内紛を起こしておる、そっちのほうにばかり頭が行っているのじゃないか。そんなことはいけませんぞ。まあ、政務次官なら私の要望に沿った御答弁をいただけると思いますから、ひとつ政務次官にいい御答弁をお願いします。
  151. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 戦後、政府中小企業零細企業を含めた金融機関として国民金融公庫の残した足跡は高く評価されていいと私は思うのであります。ところが、御案内のように、最近日本の産業構造が大きく変化し、いわゆる構造改革を要求されておる時代です。まさに、もう一回発足の当時に立ち返って、国民金融公庫のあり方を他の金融機関との均衡の上に立って検討すべき時期が来ておる、お話のとおりだと思います。ひとつ、十二分に意のあるところをくましていただきまして、生きものである経済相手金融機関でありますから、慎重ではあっても、積極的に、迅速にひとつ処置いたしたい、このように考えております。
  152. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官のボリュームを信頼いたしまして、先ほど法規課長においでを願いましたから伺いますが、今度の公庫法の改正が「監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は大蔵大臣に意見を提出することができる。」この改正は、佐竹さんの言うところによれば、監事は総裁に黙ってでも意見を大蔵大臣に直結することができる、こういうふうに解釈をした。そこで私は、じゃ、大蔵大臣は監事に直接報告を求めることができるかと言うたら、それはだめだと、こういうわけですね。そんなおかしなことがあるか。ここは関所を飛び越えて直接言ってもいい。監督権限を持っておる大臣は、総裁を通じなければ監事に報告を直接求めることができないというのは矛盾もはなはだしい。そこであなたの登場になったわけです。
  153. 赤羽桂

    ○赤羽説明員 お尋ねでございますが、この問題、実は主計局よりお答え申し上げていいものかどうか、ちょっと疑問があるわけでございますけれども、私の私見でございますが……。
  154. 横山利秋

    ○横山委員 私見では困るね。打ち合わせするなら打ち合わせをして下ださい。それで終わりますから。
  155. 赤羽桂

    ○赤羽説明員 それでは、ちょっと打ち合わせいたします。——ただいま御質問の点でございますが、行政管理庁におきまして、監事から大蔵大臣に対して直接報告をする、同時に、大蔵大臣も直接監事から報告を取るようにしろ、かような勧告が昭和三十七年でございましたか、出ておるわけでございます。それにつきまして、当時からいろいろ検討をしておるのでございますけれども、結局、これは監事と申しますか、一般論といたしまして、監査役、これの機能、地位、そういったものが全般的な問題になるわけでございます。御承知のとおり、監事、監査役というのは、内部牽制の組織といたしまして、いろいろ選任でございますとか、あるいは、ある一定の場合におきますところの代表権につきまして非常に特殊な地位を与えられておることは御存じのとおりかと存じます。監事というものはこうあるべきであって、必ずこういう規定を置かなければならないという点につきましては、いろいろ問題点があるわけでございます。今回とりあえず、この監事のほうから大蔵大臣に報告を出してもいい、こういうような規定を置いておるわけでございますけれども、これをさらに大蔵大臣のほうから直接やるのだというような規定を置くか置かないかということにつきましては、今後いろいろ検討を要しなければならない事項かと存じます。現在、御承知のとおり、国民金融公庫等につきましては、大蔵大臣の一般的監督規定と申しますか、さらに強い規定があるわけでございます。立ち入り調査の権限でございますとか、調査を徴する権限でございますとか、そういった規定があるわけでございまして、この規定の運用におきまして、公庫全般に対して——監事それ自体を、特にその地位を高めるというような問題ではなくて、公庫全体に対する監督規定としてはこれで十分ではないか、かように考えておるわけでございます。その場合、たとえば、大蔵大臣が公庫に対してこれこれの命令をすることができるというような規定が一般的な規定としてはあるわけでございますけれども、そういった場合におきましては、公庫に対する代表権、理事長なら理事長、これを通じて行なうというようなことになりますと、監事の権限を非常に強化して、地位を中立的なものに持っていくというような考え方からいたしますと、さようなことをやっておっては監督にならぬのではないかというような御指摘があるかと存じますけれども、内部牽制として認められた監事、監査役の地位と、いままで申し上げましたような点をどういうぐあいに調整していくかということは非常に大きな問題を含んでおるものでございますから、その点まで全部踏み切れないで現行の制度のような規定を置いておるわけでございます。
  156. 横山利秋

    ○横山委員 まあ、説明としては、監事は国民金融公庫総裁を飛び越して大蔵大臣に行けるけれども、大蔵大臣は総裁を通じなければ法律上監事に接触できない、そういう佐竹さんの説明を裏書きしたというのがあなたの説明です。私はそれに納得はできない。ですから、意見だけ申し上げておきますけれども総裁は監事を任命できるのでしょう。そうですね。任命できる指揮命令系統の下の人間ですよ。下の人間が上の命命権者に黙って上へ、つまり、主管大臣に御注進をやってもよろしいということならば、その地位保全というものが何らかはかられなければうそですよね。おやじを裏切って御注進をやるのですから、それだけ給料をよくするとか、あるいは大蔵大臣の保護規定といいますか、こういうものがなくてはおかしい。それから、御注進を監事がやったときに、大蔵大臣が来るのですから、だから呼びつけて、それはおまえの書いたのはどういうことなんだということを聞くのは当然ですね。向こうから言ってくるのはよろしいけれども、聞くのはいかぬというばかげたことは、常識上おかしい。ただ、あなたが言うように、そうすると、公庫、公団すべてに対して影響があるから、事は重大であるから慎重に検討したいというのならそれでもよろしいが、それなら、どうしていまこの改正でこういう矛盾を大きくするようなことをするのか。もしも国民金融公庫の監事で硬骨漢がおって、総裁に黙って、公庫内の総裁、副総裁理事の汚職なりいろいろな問題について御注進をやる決意があって、大蔵大臣に御注進をやるときにおけるその監事の心境なり監事の立場ということを考えますと、これはきわめて矛盾した法律改正案である。こういうことではこれはだめだ。一歩を進めたためにかえって問題を起こすようなことになる、私はこう考える。もし監事がやるならば、総裁にまず意見具申をする。意見具申をしたならば、総裁はそれを大蔵大臣に報告しなければならない義務を与える、それならばいいけれども、今度の改正案は、問題を、矛盾を大きくするばかり、新しい矛盾を生むだけであって意味がない。これが意見です。     —————————————
  157. 三池信

    三池委員長 本案に対しまして、金子一平君外三十八名より、三党共同提案にかかる修正案提出されております。
  158. 三池信

    三池委員長 この際、提出者趣旨説明を求めます。金子一平君。
  159. 金子一平

    金子(一)委員 ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、修正趣旨を御説明いたします。  案文の朗読は、便宜省略させていただきます。  御承知のように、政府原案では、この法律は、「昭和四十一年四月一日から施行する。」ことになっておりますが、これを「公布の日から施行する。」ことに改めようとするものであります。  施行期日をこのように改めましたのは、国会審議とにらみ合わせて必要と認めたからであります。  何とぞ、御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
  160. 三池信

    三池委員長 これにて修正案趣旨説明は終わりました。  これにて本案及び修正案に対する質議は終了いたしました。     —————————————
  161. 三池信

    三池委員長 これより討論に入るのでありますが、本案及び修正案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、金子一平君外三十八名提出修正案について、採決いたします。  本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について、採決いたします。  これを可決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本案修正議決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  165. 三池信

    三池委員長 この際、参考人出席要求に関する件について、おはかりいたします。  金融及び証券取引に関する件について、来たる十三日、日本銀行総裁宇佐美洵君に参考人として委員会に出席を求め、意見を聴取することといたし、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、堀昌雄君より資料要求の発言を求められておりますので、これを許します。堀昌雄君。
  167. 堀昌雄

    ○堀委員 一昨年来、証券市場の不況に際しまして、日本銀行が本来の業務のあり方としての貸し出し以外の方法をもって、あるいは、通常の業務でありますけれども、ふだん行なっていないやり方等によって貸し出しをいたしましたその貸し出しの日時、金額相手先、主として証券保有組合及び日本共同証券に対する資金の供給につきまして、当委員会資料として日本銀行から提出をしてもらいたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
  168. 三池信

    三池委員長 次会は、来たる十二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時十二分散会