○平林
委員 私がお尋ねした、
国会で議論をされて、その後に大蔵省が出された文書は二つあると言われましたが、私の
承知している限り三つある。
一つは、
昭和四十年四月一日の「宅地等造成地内に所在する旧里道、畦畔等の処理について」という文書ですね。これは「
地域開発の進展に伴い、住宅団地、
工場用地等の
敷地造成が盛んに行なわれているが、これに伴って、宅地等造成地内に所在する旧里道、畦畔等について早急に処理を要するものが増大しており、その処理を迅速化する
必要性が痛感されるので、この種の事務処理の簡素化、合理化を図るため、下記により特例処理を行なうこと」として通達されたものですね。
もう
一つは、同じ
昭和四十年四月一日に建設省にあてて出した文書で「公共用財産の用途廃止に伴う引継ぎについて」という文書があります。これは「住宅団地、
工場用地その他新市街地開発のための
土地造成
事業等により用途廃止される公共用財産の引継ぎについて、下記のとおり特例処理の手続を定めましたので、通知します。」ということで、この手続の簡素化の処理をしている。これが二本出ているのですよ。これは、私と大蔵省と議論をしている所有権の問題については、別に白黒をつけていない。そればかりか、いままでのやつは早いところ処理してしまおうという形で、便宜的な通牒でございます。この問題についての
政府の取り組み方というものは非常に便宜主義的に流れて、ある
意味では理論も何もない。なくなられた大野伴睦さんではないけれ
ども、足して二で割るようなやり方の処理をやっておる。現実的かもしれませんけれ
ども、提起した私としては、事の黒白をつけないでこういうことを
政府が文書によって処理していくことは、はなはだ感心しないことで、厳格に言えば、国民の利害に関する問題です。
もう
一つ出されているのが
昭和四十一年一月七日の「畦畔、のり地等の取扱いについて」でございまして、これも私は大蔵省の態度まことにけしからぬと
考えておるわけであります。少なくとも、あれだけ議論された問題についての文書としては、少しも検討も、反省もない。「畦畔、のり地等の取扱いについては」はこう書いてある。「標記のことについては去る第四十八
国会において、それが国有であるか又は民有であるかについて論議が行なわれた。本件に対する大蔵省の見解は、
昭和三十年九月二十六日付蔵管第三一三一号「国有畦畔について」で会計検査院に対し回答しているとおりであるが、
国会における論議を通じて下記の諸点が明らかにされたので、今後の処理にあたって遺憾のないよう留意されたい。」中身を読んでみると、
国会で議論をされた民有地と認められるものはどういうものであるかということで、ある
程度明確にはされておりますけれ
ども、基本的態度は変わっていない。民有地と認められるものは、この文書によれば、
政府のほうでは、「畦畔、のり地等のうち、
土地台帳又は不動産登記簿(附属図面を含む。)に私人名義で登載されており、地番が付されているものは民有地である。したがって、
土地台帳又は不動産登記簿に「内畦畔」又は「外畦畔」と記載されているものは、本地と一体として地番が付され、私人名義で登載されているものであるから、民有地である。また、
土地台帳又は不動産登記簿付属図面(いわゆる公図)は、明治初年の地租
改正の際に作成された地引絵図又は字限図を基礎とし、明治十八年から実施された地押調査によって更正したものであるが、これらの公図において、青、薄墨等に着色されている畦畔、のり地等であっても地番が付され、かつ、私人名義になっているもの、又は本地と畦畔、のり地等の間が点線、朱線等実線と区別して画かれている畦畔、のり地等は本地と同筆であって、これらは民有地である。」こういう点は、私が議論をした中で二線引き畦畔はすべて国有地であるというところから一歩譲歩した形で民有地の区分を明確にしておりますけれ
ども、これじゃだめなんですよ。第一、ぼくは常に言っているのだが、畦畔の中には地番がないのが多いのです。これから東名高速
道路で
用地を収得していこうという足柄上郡、中郡、秦野
周辺には、絵図面を見ますと全然地番がないのですよ。しかし、明治以来ずっとこれが本人の所有とされておる。ただ、
土地台帳を見ると地番がないのです。この解釈によると、地番がなければ、民有地ではない、こういう取り扱いになるわけでございまして、大問題なんです。私人名義で内畦畔、外畦畔と登記されておりますけれ
ども、実測したわけじゃないから、実測には違いがあるでしょう。そして、絵図面にあるところの畦畔は大体地番がないですよ。私は全部調べてみたけれ
ども、地番がない。こうなると、せっかく譲歩されたような形に見られる新しい一月七日の文書によりましても問題の解決はできない。
〔金子(一)
委員長代理退席、
委員長着席〕
こういうことになるわけであります。
委員長、私は、私の問題としているところを一度実地調査をしてもらいたい。そうすれば、私が言っておる現実の問題と、大蔵省が文書で書いて、地番がないものは民有地でないと言っていることがいかにあこぎなものであるか、実情無視のものであるということがわかると思うのです。
委員長、どうですか、ひとつ適当な
機会に
委員会として実地検証をやるということについてお
考えいただきたいと思いますが、いかがですか。