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1966-03-29 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十九日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 坊  秀男君    理事 山中 貞則君 理事 吉田 重延君    理事 平林  剛君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       押谷 富三君    小山 省二君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       谷川 和穗君    西岡 武夫君       羽田武嗣郎君    村山 達雄君       毛利 松平君    山本 勝市君       渡辺美智雄君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    野口 忠夫君       平岡忠次郎君    山田 耻目君       横山 利秋君    竹本 孫一君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    川村博太郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 岩尾  一君         大蔵事務官         (理財局長)  中尾 博之君         大蔵事務官         (証券局長)  松井 直行君         郵政政務次官  亀岡 高夫君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房参事         官)      尾中  悟君         住宅金融公庫副         総裁      町田  稔君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月二十五日  委員小林進辞任につき、その補欠として山本  幸一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として小  林進君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十六日  各種共済組合法増加恩給受給権者に対する不  均衡の是正に関する請願田口長治郎紹介)  (第二〇七八号)  同(増田甲子七君紹介)(第二〇七九号)  税制改正に関する請願(林百郎君紹介)(第二  一五一号)  同(平林剛紹介)(第二一九二号)  同外六件(山田耻目君紹介)(第二一九三号)  同(藤田高敏紹介)(第二二四一号)  同(武藤山治紹介)(第二二四二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公認会計士法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇二号)  昭和四十年度における公共企業体職員等共済組  合法に規定する共済組合が支給する年金の額の  改定に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二三号)  都市開発資金融通特別会計法案内閣提出第四  四号)  災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に  関する法律の一部を改正する法律案(内 提出  第五一号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇五号)      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  公認会計士法の一部を改正する法律案議題と  いたします。
  3. 三池信

    三池委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。藤井大蔵政務次官
  4. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 ただいま議題となりました公認会計士法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  公認会計士は、企業の公表する財務書類について、独立立場から監査証明を行なうことを業とするものでありまして、投資者に対し企業内容について正しい資料を提供し、投資者の保護に資することを目的とする有価証券届け出制度のもとにおいて、きわめて重要な役割を果たしております。  特に最近における企業規模拡大経営多角化等に対応して、公認会計士による監査充実し、企業経理適正化を期することが一そう必要となっております。このような事情にかんがみ、公認会計士業務改善進歩と地位の向上をはかり、その監査体制充実するため、ここに公認会計士法の一部を改正する法律案提出した次第であります。  以下、法律案内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず第一に、公認会計士自主責任体制を通じてその資質の向上及び業務改善進歩をはかるため、すべての公認会計士会員とする特殊法人日脚本公認会計士協会を設立することとしております。現在、公認会計士団体としては、民法に基づいて設立された社団法人日本公認会計士協会がありますが、任意加入制のため、未加入公認会計士に対して同協会監督及び事業効果が及ばない点において制度的に不十分でありますので、これを公認会計士法上の特殊法人とし、すべての公認会計士をその会員とすることにより、公認会計士自主責任体制を確立しようとするものであります。  この協会は、会員の指導、連絡及び監督に関する事項並びに公認会計士等の登録に関する事務を行なうことを目的としております。協会運営等につきましては、おおむね弁護士会税理士会等すでに特殊法人化が行なわれている職業団体の例と同様でありまして、監査証明業務に関する紛議の調停、公認会計士制度に関する建議、答申等を行なうことができることとしております。  第二は、企業経営規模拡大及び経営多角化に対応して、公認会計士の側においても、複数の公認会計士による組織的な監査を推進するため、監査法人制度を設けることとしております。  監査法人は、監査証明業務を組織的に行なうことを目的とする公認会計士協同組織体でありますが、アメリカ、西ドイツ等の諸国においても、このような公認会計士協同組織体制度は、今日大きな発展を見ているところであります。このような状況にかんがみ、わが国においても、この際、公認会計士が協同して組織的な監査を行ない得ることとし、これにより監査充実適正化をはかろうとするものであります。  また、監査法人は、五人以上の公認会計士を社員とする等、一定要件を備えることを要し、その設立に当たっては、大蔵大臣の認可を受けることとしておりますが、このような制度を設けることにより、監査業務内容充実独立性の維持の面で大きな効果がもたらされるものと期待されます。  以上が、この法律案提案いたしました理由及びその概要であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。     —————————————
  5. 三池信

    三池委員長 次に、昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。
  6. 三池信

    三池委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。亀岡郵政政務次官
  7. 亀岡高夫

    亀岡政府委員 ただいま議題となりました昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正し、別途、本国会提案審議を願っております恩給法等の一部を改正する法律案により行なおうとしている給付改善と同様の措置をこれらの法律適用者に対して行なおうとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律の一部改正におきましては、第一に、昭和四十年の改正により公共企業体職員等共済組合が支給する年金の額につきましては、恩給の年額の改定に準じて増額されました際、年金受給者の年齢により、その増加分の全部または一部の支給を停止する措置が講ぜられたのでありますが、今回、六十五歳以上の者及び六十五歳未満の妻、子については昭和四十一年十月分、その他の者については昭和四十二年一月分以降、この制限を撤廃しようとするものであります。  第二に、公共企業体職員等共済組合法の施行以前に退職した者の年金基礎となる実在職した組合員期間の年数が退職年金についての最短所要年限以上である年金受給者のうち、退職年金あるいは廃疾年金の額が六万円に満たない者または遺族年金の額が三万円に満たない者に対しましては、それぞれ六万円または三万円を支給しようとするものであります。  次に、公共企業体職員等共済組合法の一部改正におきましては、第一に、日本赤十字社の救護員として戦時衛生勤務に服した期間及び旧軍人の戦地勤務等に服した際に加算される期間年金を支給するための期間として計算しようとするものであります。  第二に、年金受給者年金額実質的価値を保全するため、国民の生活水準公共企業体職員給与物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに年金額改定措置を講ずるものとする旨の調整規定を設けようとするものであります。  また、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた年金の額につきまして、同日後に給付事由の生じた年金の額との調整を行なおうとするほか、恩給法等改正に伴う所要措置を講じようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  8. 三池信

    三池委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は、後日に譲ります。      ————◇—————
  9. 三池信

    三池委員長 都市開発資金融通特別会計法案災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案及び国民金融公庫法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
  10. 武藤山治

    武藤委員 私は、ただいま議題になりました災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、いささか質疑をいたしたいと存じます。  最初に、本法案による従来からの適用状況でございますが、昭和三十九年あるいは三十八年、これらの数字を見ますと、本法案適用された状況雑損控除適用した状況とを比較すると、雑損のほうが圧倒的に多い、本制度適用というものの金額は非常に少ない、こういう状況が明らかに出ております。この法案のねらいは、雑損控除がある今日の法体系の中で、一体何をねらいとしてまずこの特別な立法をしようとしているか、そこらをひとつ明らかにしてもらいたい。
  11. 川村博太郎

    川村政府委員 武藤委員指摘のように、三十八年、三十九年の災免法適用状況を見ますと、雑損控除適用対象人員に比べまして少ない、あるいは税額の点におきましても雑損控除のほうがより多いというような計数に相なっております。  この災免法趣旨でございますが、本来所得税におきまして、資産に対します損失、その損失に基づく担税力減殺を見る制度といたしましては、雑損控除がその本来の制度でございます。雑損控除の場合には、所得金額の多寡及び資産に対しまして受けた損失の大小、それに応じまして担税力減殺がそのまま税の減免に反映しますような制度となっておるわけでございますが、この災免法を設けております趣旨は、大きな災害がありました場合に、簡易な方法で、しかも画一的に迅速に処理できるということをねらいといたしまして、したがいまして、この災免法におきましては、一定所得限度以下のものについて適用する。現在で申し上げますと、所得五十万円以下のものにつきましては全免、八十万円以下のものにつきましては二分の一の減免、それから百二十万円以下の所得につきまして四分の一の減免というような画一的な事務処理をはかっておるということでございます。したがいまして、その年を終えまして、雑損控除確定申告によって清算するという場合には、その選択の道が残されているわけでございます。以上のようなことが、雑損控除適用がより幅が広いということの原因かと思います。
  12. 武藤山治

    武藤委員 この数字をちょっと参考に両三年くらいを比較してみますと、災害減免法適用したのは、三十七年にはわずか十二件、六万一千円にしかすぎない。片方、雑損適用者のほうは四千四百二十八人、五億四千万円超ですね。三十八年を見ても、災害減免は百十九名、八十四万八千円にしかすぎないわけですね。雑損のほうは六億一千五百三十六万七千円、三十九年を見ても、災害減免は五百六十九人、六百八十五万五千円、雑損控除のほうは六千八百六十三人で、十二億七百九十四万三千円、しろうと判断でこれをこう比較してみると、あまりにも災害減免法適用しているのが少な過ぎるような気がするわけですね。これは納税者がこういう制度を知らないのか、それとも、この法律が非常にシビアーに適用者をしぼっておるのでなかなか該当しにくいのか、すなわち、その半分の被害がなければ原則としてだめなわけですね。そうすると、家財財産が半分被害を受けるということはそう起こり得ない、したがって、この規定が少しきつ過ぎるのではないか、そういう感じを持つのでありますが、こんなに適用者の数が違うということはどういうところに原因があるか、大蔵省としてはどういう原因でこうなっていると判断をしておるか、その辺明らかにしていただきたい。
  13. 川村博太郎

    川村政府委員 先ほど申し上げましたように、災害減免法は、地震、風水火災というような天変地異によるそういう場合の画一的な敏速な処理をはかるということがねらいでございます。したがいまして、雑損控除対象になります災害よりは災害減免法災害のほうがよりカバレージが少ないということがまず第一の原因と思います。第二の問題は、先生が御指摘になりましたように、災害減免法は、ただいま申し上げたように、画一的な処理、迅速な処理ということをねらいといたしております関係上、住宅家財の半分以上が被害を受けるということが要件になっております。この二つが、災害減免法適用雑損控除に比べて少ないということの原因だろうと思います。いまの災免法目的から申し上げますと、それはまた妥当なこととも考えられるのでありますが、御指摘年次以前の、たとえば、伊勢湾台風あるいは第二室戸台風がありました三十四年あるいは三十六年で見ますと、適用人員、あるいはそれによって減殺された税額、これは災免法のほうがかなり多いということが言えると思います。
  14. 武藤山治

    武藤委員 三十四年を見ても災免法のほうが少ないですよ。ずっと少ないですね。だから私は、やはりこの個々のものを拾ってみると、伊勢湾台風以外の場合はほとんど火災ぐらいしか適用されていないのではないかと思う。たとえば、三十七年、三十八年、三十九年と見て、一番近い三十九年の五百六十九件の内訳をちょっとお尋ねいたしますが、これの災害原因というのは一体どういう災害が多うございますか。
  15. 川村博太郎

    川村政府委員 個々年次災免法適用人員内訳は、ちょっと資料関係でわかりかねます。おっしゃるように、火災による分、これがかなりのウエートを占めると思いますが、ここでもう一つ御注意をいただきたいことは、当初災免法適用を受けましても、確定申告段階では雑損控除適用を受けることが選択できます。したがいまして、予定納税段階あるいは源泉徴収段階災免法適用を受けていた者が、確定申告によりまして雑損控除を受けたということになりますと、この計数からは省かれてまいります。それが一つ原因と思います。
  16. 武藤山治

    武藤委員 そこで、どうでしょう。この災免法評価額の半分の被害がなければ適用されないという、この規定が非常にきつ過ぎるのではないだろうか、たとえば、新潟やあるいは秋田などの雪害地域などは、雪の被害というものは非常に大きい。年々国会でも取り上げて大騒ぎしていますね。しかし、住宅が半分だめになるということは、これはそうたくさんはない。しかし、かなり被害はある。そういうのは全然この適用にならない。そうかといって、雑損控除をしようとしても、所得全額の十分の一ということで、やはり一割をこえなければ、それ以下では適用にならない。そういう規定からいくと、この災免法のほうの十分の五以上の被害という規定が少しきつ過ぎるのではないだろうか。一体、どういう判断——たとえば、伊勢湾台風の場合、それから第二室戸台風の場合、半壊以上ですね。半分以上の被害というのは、税務当局としてはどんな基準で一応見ているのですか。どこの報告を一応基礎にするのですか。
  17. 川村博太郎

    川村政府委員 この受けた災害の額の認定につきましては、いろいろあると思いますが、おおむね申し上げられることは、地元の消防署長証明によりまして判定していることが大部分でございます。いま先生がおっしゃいましたような五〇%というのがきついのではないかということでございますが、災免法趣旨が迅速にかつ画一的に行なっていくということでございまして、それから、そのことと関連いたしまして、一定所得限度をきめて、二分の一なりあるいは四分の一なり、場合によっては全免するというような非常にラフな制度でございますので、一定損害額をオーバーするものだけについて認める、所得税の本来の制度としては、やはり雑損控除適用していくというのが、負担の公平上からいいましても妥当なことではないかと考える次第でございます。
  18. 武藤山治

    武藤委員 どうも私は、十分の五というのはあまり現実に合ってないのじゃないだろうか、妥当ではないのじゃないだろうかという気がするわけです。しかし、本職じゃありませんから、事務を取り扱っていない立場からですから、その辺ははっきり断定はできませんけれども、いずれにしても、先ほど読み上げた数字から見ても適用者があまりにも少ない。だから、雪の被害だの、あるいは部分的な地域被害というものはほとんどこれには当てはまらない。これはもう国をあげての大災害以外はほとんど適用にならぬという法律ではないだろうか。これをもっと、たとえば率を変えてもいいから、十分の五だけじゃなくて、一本じゃなくて、それ以下の被害があった場合でも、もう少し軽度のものであっても直ちにこれが発動できるという法改正が必要ではないだろうか。特に、雪の地帯は私はそういうことを強く望むのではないかと思うのですが、そういう声は聞いたことはないか、また、そういう改正点を検討する必要はないかどうか、お考えはいかがでございましょうか。
  19. 川村博太郎

    川村政府委員 この災免法適用範囲を広げてはどうかということは、寡聞でありますが、私まだ納税者の方面から聞いたことはございません。確かに、きめのこまかい配慮をいたします場合には、たとえば、資産損失の割合と、それから所得の額と、それに応じて減免する。パーセンテージにつきましても、もっと数段階設けるという考え方も立法上の考えとしてはあると思います。しかしながら、一定の、かなり大きな被害というような場合には、おおむね税務署も一緒に被害を受けておるというようなことが多いと思います。そういう場合に、災害を受けた方々の税の減免につきまして、できるだけ迅速に、しかも画一的にやるということが災害対策といたしましては一番肝心のことではないか、そういうことを考えますと、あまりにこれをきめこまかくしますことが、かえってその迅速な処理をできなくさせるというようなことになりますと、本末転倒と申しますか、災害減免法の本来の趣旨にかなわないというようなことも考えられますので、なおこの限度等につきましては慎重に検討すべき問題であろうと思うわけであります。
  20. 武藤山治

    武藤委員 この法律は、所得税ですから、個人だけで、法人の場合はこういう規定は他の法律に基づいてやられておるのですか。法人もこれを適用しておるのですか。
  21. 川村博太郎

    川村政府委員 所得計算に関する、あるいは税の計算に関する特別な制度といたしましては、法人はこれには乗っかりません。ただ、災害を受けたことによりまして資金繰り等で非常にきつくなるというような場合の徴収猶余につきましては、国税通則法法人適用を受けます。
  22. 武藤山治

    武藤委員 それは、徴収の猶余だけは法人適用されるけれども、法人資産かなりあるわけですね。法人資産が、今回の改正限度額の百万円まで、あるいは百五十万円まで、二百万円までというこの規定で、法人のほうにも何らかの恩典を与える措置をしないということは片手落ちになるような気がするのですが、法人は何かそれ以外に、そういうものは実際額で経費として落とせるからいいのだとか、何か救済措置が特別にあるのですか。
  23. 川村博太郎

    川村政府委員 災害減免法趣旨は、本来年々の所得のフローとは関係のない、住宅家財損失、それに対しまして所得税減免をしよう、こういう制度でございますが、法人につきましてはそういった生活用資産という観念がございません。すべて事業用の損金と相なりますので、それにつきましては法人税法におきまして十分手当てがなされております。それで問題は、所得税の非常に零細な所得者、これが一々所得計算をした上でないと減免ができないということ自体が適当ではないというようなことに基づきまして、所得税だけにつきまして災害の場合の特別な手当てをしておるということであると存じます。
  24. 武藤山治

    武藤委員 そうすると、これは個人生活に直接直ちに影響を与えるような災害のときには救済ができる。しかし、法人の場合でも、いまは節税をねらいとした小さい合名会社合資会社株式会社——それこそ、とうちゃん社長、かあちゃん専務といったようなのが一ぱいあるわけですね。そういうのは事務所兼住宅になっている、あるいは工場兼住居になっている、そういう零細な法人というのはたくさんあるわけです。そういうものは被害を受けても、これは会社用財産だから、工場の中の一角だから住宅とは別だという、こういう拾い分けか何かで、法人は全くこれには適用しない。そうすると、零細なそういう法人というのは何か権衡を失するような気がしますが、いかがでしょうか。
  25. 川村博太郎

    川村政府委員 おっしゃるような節税の場合でも、たとえば、その社長であるおやじさん、あるいは奥さんが会社の役員になっておるような場合には、これは給与所得者でございますから、給与所得者としての災免法適用はあるわけです。それから、会社内に居住しておりましても、その居住が、たとえば会社からの賃貸家屋であるという場合は別といたしまして、自分の所有家屋を、一部会社、一部生活用というような場合には、その生活用部分につきましてはこの災免法適用はあるわけでございます。したがいまして、法人税自体につきましてはございませんけれども、現実には、いまおっしゃったような設例ではこの災免法によって救済は十分はかられておるということが言えると思います。
  26. 武藤山治

    武藤委員 はかられる——論理的にそうなる。しかし、実際にはこれは数字から見るとほとんど出していない。雑損控除のほうへほとんど回っているでしょう。  それからもう一つ、従来五十万円までを全免、それを今回百万円までを全額免税、二百万円までを区切ったわけですが、これは所得水準が高まり、物価が上がり、あらゆるもののインフレートされた現状だからいじるんだ、それだけのねらいですか。いまの日本所得構成からいくと、この程度の所得に該当する個人というのは、全納税者の何%くらいを占めていますか。
  27. 川村博太郎

    川村政府委員 具体的に今度の引き上げいたしまする限度所得者に対応する所得とはいえないかもしれません。あるいは四十一年度べースでは現在推定の基礎を持っておりませんので、昭和三十九年度におきまする階級区分で申し上げますと、所得の百万円以下の納税者、この百万円以下で申し上げますと、総体の納税者の九〇%を占めております。それから二百万以下の所得者は総納税者の九八%を占めております。
  28. 武藤山治

    武藤委員 そういたしますと、二百万円という限度を設けたのは、納税者の大半を占めておる九八%が大体その程度の所得者である、こういう点からそれ以上のものは一応認めない、こういう趣旨だと理解してよろしゅうございますね。  それから、この第七条に「酒類又は砂糖、糖みつ若しくは糖水、物品税法別表に掲げる」これこれと、こういう規定がありますが、たばこは入っていないのですが、どういうわけでたばこは除かれているのか。それはどういうわけなんですか。
  29. 川村博太郎

    川村政府委員 災害減免法は、内国税に関する部分だけの規定をしております。たばこにつきましては、災免法ではなくて、別途これとほとんど軌を同じくする規定がたばこに関する法律のほうにあったと思います。
  30. 武藤山治

    武藤委員 本職だから、あったと思いますじゃなくて、何という法律の何条にそういうことがあるのですか。あなたは本職ですよ。
  31. 川村博太郎

    川村政府委員 早急に調べますので、しばらくお待ちください。ほかの問題をいただきたいと思います。
  32. 武藤山治

    武藤委員 まあ、直接税務署が徴収する税金でないから、この法律の中に入っていない、別途そういう資産を失ったときにはどうする——しかし、私は、やはりここにずっと掲げられている品目を見ると、物品税、揮発油税、ずっとこう出ているわけですからね。揮発油税なんかだって、これは個々の税務署が直接取り扱っているわけじゃないでしょう。
  33. 川村博太郎

    川村政府委員 やっています。
  34. 武藤山治

    武藤委員 税務署個々でやっているのですか。たばこだけは専売公社が直接やっているからここから落としてある。これから見ていくと、どうしてたばこが全然載っていないのか、別な法律で、納税法定主義の立場から見て、やはりどこか法律でそういう減免というのは税体系の中で認めているのでなければおかしいんじゃないかと、私はこういう感じを持ったわけです。専売法だけでそういうことが規定されていいのかどうか。そこらのことをちょっと疑問に思ったわけです。それはあとで資料を出してもらって、第何条にどういうことがあるか、ひとつお示しを願いたいと思います。  それから、農林省にお尋ねをいたしますが、いま審議しているこの法律には「震災、風水害、落雷、火災その他これに類する災害」とあるから、したがって、ひょう害もおそらくこういうものに入ると思います。ところが、この対象家財住宅、こういう資産だけなんですね。農業の場合の農産物やあるいは農地に対する土砂の流出、そういうようなものについての損害は、所得計算上、必要経費の中で落とすということで雑損控除にもこれは入らぬわけですね、農業のそういう災害は。そうすると、いろいろ調べてみると、所得計算上の必要経費で落とす以外に手はないわけですね。私は、やはりいまの自然災害で一番困るのは農業所得者だと思うのです。だから、農家の所得というものに非常な影響がある場合に、それを必要経費として落とすだけの手だてでは不十分だ、こういう気がいたすのでありますが、農林省のほうはいかがでしょうか。局部的なひょう害とか局部的な水害などの場合に、家財道具、住宅でないからこれに全然当てはまらない。それを必要経費で落とすというんでしょう。そうすると、必要経費で落とすんだということになると、これは税務署が今度各県別、村別の所得標準というものを査定するときにそれが見落とされたら、ほんとうに農民は救済のしょうがないわけですね。そういう点が非常に心配なんでありますが、農林省、いまのこの規定で農民の立場を守ってやるという立場から見てどうでしょう。これでは不十分という感じを持ちませんか。いかがでしょう。
  35. 尾中悟

    ○尾中説明員 従来から、農作物の被害につきましては、米麦それから養蚕等につきましては、農業保険制度ということで相当額の保険金を毎年支出しておるわけでございます。昨年の例を申しますと、約三百億円近い金が農家に支払われておる、そのほか、作物被害に関連いたしまして、次期の営農資金につきましては、天災法に基づく低利融資を行なうというような措置をとっておりますので、現在のところ、農作物被害につきましては、その他の措置等も含めまして、相当の手だてをやっておるというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、ただいま御指摘のございました課税の問題につきましては、固定資産と申しますか、それとはやや農作物は性格を異にしておりますので、農作物に対しましては、従来からそういう農業保険の制度あるいは天災資金の制度等の運用によって大体農家の要望にもこたえていけるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  36. 武藤山治

    武藤委員 いや、私が聞いておるのはそういうことじゃない。それは保険のあるものは保険金で埋め合わした分は当然税務署としては収入として見ますから、実際の被害額と保険金額の差額だけが収入として所得として減るわけであって、その保険に適用される作物はいいんですよ。そうじゃなくて、近年特に促成栽培のキュウリだ、トマトだ、ナスだ、やれイチゴだ、あるいは私どもの栃木県などはいつも議論する大麻、麻ですね、あるいはかんぴょう、こういうようなものは全然保険制度ないわけです。そうすると、そういうものが減収になった場合あるいは病気にかかった場合、被害かなり大きい場合、これに対する手だてというものは税務署では必要経費としてとれなかったんだから、それは被害の分だけ計算上落ちるんだ、それは理屈としてはわかるんです。ところが、実際上各村の農業所得をきめる際には、税務署が一応の標準表をつくって、何々村の畑は一反歩幾ら、裏作をつくらぬものは幾ら、つくったものは幾ら、そういうように統一した所得額で農民には賦課してくるわけですね。ですから、そういう被害に対する救済措置というのは一体あるのか。私はないと見ているわけなんです。だから、災害があると、各県から出てくる陳情書には所得税減免が必ず入っていますよ。それは完全にいまの法律でもう農民が満足し、納得できるなら、減免なんという陳情をする必要はないのだけれども、何か法の中にそういうものが落ちてしまっているうらみがあるから陳情書には必ず出てくる。農林省、そうじゃないでしょうか。いつも陳情書に所得税減免、住民税減免、必ず出てくる。いまの法律で完ぺきなら、そんなものは一々書かなくても、災害があればこの分だけはぽかっと落ちるということが確定していれば、年々それを繰り返す必要はない、こう思うんですが、農林省、どうでしょう。
  37. 尾中悟

    ○尾中説明員 いま御指摘のように、災害のつど、所得税その他の税の減免についていろいろ要望があるわけでございます。その際の考え方といたしましては、現地におきまして税務当局と常に密接な連絡をとりまして、その評価なりあるいは何なりについて適切な査定をやっていただくということに努力しておるわけなんでありまして、農業団体あるいは市町村等におきましても、そういう方向で、不十分なところはあるかとも思いますけれども、大体現地において税務当局と連絡の上で調整しておるというふうに承知しております。
  38. 武藤山治

    武藤委員 主税局、いまの農業所得の標準をきめる方法は、どういう方法をとられておりますか。
  39. 川村博太郎

    川村政府委員 これは国税庁の問題でございますので、私、正確に現実説明しかねるということでございますが、たとえば、米作でございますと、一定の標準地におきまして坪刈りを行なう、それからあとは、その標準地から比準いたしまして、収入及び必要経費を推計してまいりまして、一定地域についての所得金額を標準率としてあらわすという形であろうと思います。
  40. 武藤山治

    武藤委員 いま、主税局担当でないからよくわからないというお話だからいいんですけれども、私どものところへ来ている投書、たとえば、この間は秋田県から私のところへ来た。いままでは農民組合やあるいは村の農業団体や、そういうものの代表が集まって、税務署との話し合いで、ことしはこういう被害があったから、この地域は、この部落はこういうものを認めてくれ、そうなると、病害の場合でもみなある程度見てもらえるわけです。ところが、最近は税務署がそういう協議会というものを各地でみな廃止していっている。県の段階で税務署長会議か何か開いて、県の農業会議の代表を一人ぐらい入れて、大ざっぱな標準しか出していない。それは、農業所得というのはほとんど課税されていないからだという税務署の立場はわかるんです。全国で二十万かそこら、農業所得の課税はほんのわずかだ。だから、税務署としては非常におろそかにしてきたことはわかる。ところが、農民の立場から見ると、その所得計算が住民税にみなはね返ってくる、住民税の基礎になるわけですから、したがってそういう点、大半の農家が国税は納めなくなってきても、昔のように——昔というのは、昭和二十五、六年から三十年ごろにやっていたような権衡調査の方法というものをやはり存置してほしい、こういう要望が農民の中から私のところへ三通ばかり来ておる。そういうのを見ると、どうもいまの農民の農業被害、こういうものが完全に所得計算の中から控除されていないといううらみがあるんじゃないか、そこでわざわざ農林省に来てもらったんです。それは前みたいにちゃんと地域別にやっていれば、こまかい被害まで全部見てもらえるわけです。それを国税庁がどんどんやめてきている。ここに、農民にとっては実態に合わない、ちょっと過酷な所得金額が出てきやせぬか、それについて一体税務当局が、いやそんなことないといえるか、いや、所得税は少ないから実態ははずしておる、事実はどっちだと判断しておりますか。
  41. 川村博太郎

    川村政府委員 いま武藤委員指摘のように、農業の納税人員は最近激減しております。昭和二十五年には百八十四万人でございましたが、その後毎年課税最低限の引き上げによりまして急減いたしまして、四十一年には二十万人と予定されております。国税庁は少ない税務署員でいかにして課税の公平なる把握を行なうかということで苦慮しているところと思いますが、二十万人までなりますと、全面的に標準率をつくるということ自体、税務行政としてかなり問題があるというようなことから、現在は、標準率をつくることよりも、むしろ個々の農家に直接収支計算をして課税するというような方向に向かっていると思います。ただ、現実には住民税との関係がございまして、現在市町村は、各農家の所得を把握するということについては国税ほどなれておりません。その意味で、基本的には個々の実額調査を行なうということではございますが、やはり全面的に標準率をつくってやるというようなことをしておるのが実情でございます。その場合に、市町村の当局からも実情を十分聞く、場合によっては組合の意見も聞くというようなことで努力はしておると思いますけれども、なお武藤先生指摘のような点がございますれば、国税庁のほうにはなお実情に即した標準率をつくるように連絡をしたいと思います。
  42. 武藤山治

    武藤委員 たいへん前向きの答えを出してもらったから、私もややがまんできるところまできたのでありますが、実際は、やはり税務署がまだ県下の税務署長会議できめているのです。私も自分で百姓をやっていて痛切に感じていたのですが、裏作をつくらなくても、裏作をつくれる場所、所得金額を全部出さなければ税務署は承知しない。実際は麦をつくらなくても、つくったということで出さなければならない。税務署から村別の表ができていまして、何村は一毛で幾ら、二毛で幾ら、これは変更できない。変更しようとすると、うちはつくらないんだからということを青色申告か何かにきちっと帳面をつけて持ってこい——そんなことを百姓はできっこない。だから、私が言いたいのは、税務署がそういう権衡調査をやり、所得標準表をつくらないというのなら、農業所得だけは市町村にまかせなさい。そして市町村がきちっと各種団体と協議して、各農協もあるんだし、農業委員会もあるんだし、作報調査員もおるんだし、とにかく被害があったということを、農民はうそを言わずにキャッチできるのですから、農業所得はいまの市町村にまかしたらいいんじゃないか。税務署が署長会議できめるということは実情にそぐわぬ。市町村にまかしても二十万件くらいの納税者がやはり出てくると思う。国税庁は、この辺で、農業所得の取り扱いについての権衡調査、標準調査は各市町村自治体にまかせる、こういう方向にひとつ検討願いたいと思うのです。そこで、いま法律をあけて見て何か支障になるような法文でもあるかどうか、なかったら、ひとつ前向きの検討はいかがなものであるかという提案の意見を述べたいのですが、いかがですか。
  43. 川村博太郎

    川村政府委員 農業所得の標準率の問題につきましては、武藤先生がおっしゃいましたような方向で、現実にいま国税庁は考えております。ただ、何分にも、従来、国の税務官署でつくりました標準率に市町村がそのまま乗るというような形でまいりましたために、市町村自体、いま直ちにやれと言われましてもなかなかできかねるというような実情でございます。したがいまして、国におきましては、課税の面からいいまして標準率をつくるまでの必要がないにもかかわらず、なお住民税を考慮いたしまして、国、地方の協力体制という意味で標準率をつくっているというのが実情でございます。したがいまして、先生のおっしゃるような方向に今後は逐次なっていくものと思います。  それから、先ほど、たばこはどうなっておるかという御質問でございましたが、たばこ専売法の四十一条の二に、災害のために製造たばこを滅失した場合には現物補償を専売公社がするという規定がございます。なお、葉たばこにつきましては、これはこの災免法規定というよりは、むしろ保険的なものと思いますが、災害額の二分の一の補償金を払うという規定になっております。
  44. 武藤山治

    武藤委員 いま私が申し上げた標準率の問題につきましては、ひとつ国税庁と十分話し合って、農民のほんとうに零細な所得で、国全体から見たら今日もう中枢の地位を占めていない所得の問題であるからというので雑にならないように、今後市町村に大いに末端の農民の所得が把握できるような調査の方針に切りかえるような進言を要望して、私は、これで質問を終わります。
  45. 三池信

    三池委員長 堀昌雄君。
  46. 堀昌雄

    ○堀委員 いま武藤委員の質問で、いろいろ税制に関する問題については明らかになってまいりましたけれども、この税制上の措置は、最低所得税を負担しておる者に対しては減免効果があるわけですけれども、所得税を負担をしていない人にとっては、実はこの法律は何ら恩恵の及ばないことになるわけですね。  そこで、ちょっとお伺いをしたいのは、本年度において所得税の納税世帯と非納税世帯とに分けて、大体非納税世帯というのの所得金額の状態、要するに、非納税世帯といえども、扶養家族が多ければかなり金額は高くなるわけですしするわけですが、本年度における非納税世帯の所得階層分布というものの資料がありましたら——納税世帯のほうは常に発表されているわけですけれども、非納税世帯の所得階層分布というものが推計をされておれば、ちょっと伺っておきたいと思います。
  47. 川村博太郎

    川村政府委員 堀委員の申されました非納税世帯の所得の推計は、実は基礎資料に非常に乏しいものでございますから、四十一年度にどういう形になるかは実は推計ができておりません。昭和三十七年ごろに失格者を含めまして、主税局、国税庁で統計をつくったことがございます。したがいまして、三十七年ごろのやや古い資料でございますが、それでよろしければ、資料は差し上げることができると思いますが、手元に現在持ち合わせておりません。
  48. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは、明日か金曜日には大蔵大臣に入っていただいて、締めくくりのこの問題についての質問をいたしますので、そのときに間に合うように資料をいただいて検討したいと思うのですが、実は、日本は御承知のように、災害、といいましても、特に風水害が非常に多いと思います。そのほか、雪害もありますし、地震もありますけれども、しかし、現状で一番国民が被害を受けるのは、台風によるところの風水害が一番被害が大きいだろうと思うのです。そこで、もちろん所得税を納め得る状態というものは、所得の状態からいたしましても、貯蓄が多少は行ない得るという階層になると思います。ですから、貯蓄が行なわれておるならば、災害の際にそれに対応する処置はとれるかと思うのですが、一番問題になるのは、十分な貯蓄のない低所得階層が災害に襲われたときに非常に悲惨な状態が全国的に見受けられるわけであります。それでは大体どのくらい災害によって家屋が流失をしたり、あるいは全壊をしたりしておるか調べてみますと、昭和三十七年度に発生した災害では、全壊の建物が千五百七十五戸、流失が三百九十戸ということでありますから、約千九百戸余りの住宅が全壊または流失をして居住に耐えられなくなっておる。昭和三十八年にまいりますと、全壊が千四百二十五戸、流失が四百三戸、こうなっていますから、ここもやはり約千八百戸ぐらいが使用不能になっておるわけです。昭和三十九年には、この年は非常に災害が多かったと見えまして、全壊が六千二百二十一戸で、流失が百六十一戸ということでありますから、これまでの例の大体三倍以上のものが昭和三十九年には起きておるわけです。農業災害の問題については現在救済の手が伸べられておりますが、問題は、個人災害については、実はいま災害としては何ら国から協力の手が差し伸べられていない、こういうことになっておるわけです。現在所得水準はだんだんと上がってきておりますから、その意味ではそういうボーダーライン層というものは相対的には少なくなりつつあると思いますけれども、しかし、依然としかなりのボーダーライン層の国民がいる。このかなりのボーダーライン層の国民というのは、実は最近の非常な物価高ということの中で生活に追われて十分に可処分所得がないものだから、貯蓄にまでなかなか回らない。そういう人たちが一挙に災害にあって家屋を流失する、あるいは全壊をするという場合に、これが再起をする場合には実はいま非常に困難な状態に置かれておる、こういうふうに考えるわけです。ですからこの問題は、一面的には社会保障の問題でありましょうし、一面的には、やはり雇用や生産、いろいろな関係から所得を上げる問題としてあろうと思うのです。しかし、いずれもいまの日本の場合にそれが十分には行なわれていないために、その谷間にある人たちが現存しておることは、これは否定できません。そういう人たちが風水害あるいはその他の災害にあったときには、これはもう一挙に生活保護世帯のようなところに転落してしまう以外に手がないということでは、やはり憲法第二十五条にいう気持ちから見ても、もう少し何らかの措置を検討してみる必要はないのか、こういうふうに、私は災害を実地に調査に行った結果感じておるわけです。  そこで、方法はいろいろあろうと思うのですが、やはり私どもは、生活の根拠として、まずその住むに足る家を建ててあげるということは非常に重要だと思うのです。いま住宅金融公庫のほうの出席を要求しておりますけれども、私は、住宅金融公庫の災害復興住宅の問題も一つあると思います。あると思いますけれども、実際には、これがそういう場合に、特に低所得の者については比較的利用しにくい状況にあることもまた事実でありますので、そこで、ひとつ私は政府に対して——あるいは貸し付けの制度、方法は皆さんのほうでいろいろ考えてみていただいていいと思うのですが、その借りたものを、公営住宅のようなものかなんかで建てられるのもいいでしょうが、都市の場合ならそれでもいいのですけれども、いなかになりますと、公営住宅を山や谷間のあちこちに建てるわけにもいかない。しかし、その人たちの生産手段である農地はその周辺にあるから、あまり遠方に行ってしまうわけにもいかないという限られた状態になっておる中で、私は、何らかの処置を検討してみる必要があるのではないか、こう考えるわけです。考え方としては、私はおそらく反対はないと思うのですが、具体的にどうするかというところでは、これはいろいろ議論のあるところだと思います。まあ、きょうは大臣がお見えになっておりませんから、総論的に考え方がどうかという点について、政務次官にひとつお答えをいただきたいと思います。
  49. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 堀委員の御指摘の問題は、確かに考えなければならない一つの盲点だと思うのです。ただ、私も具体的に、いまお話を聞きながらどういう方法があるか——まあ、税制では救済できないものですから、最低は生活保護法によって後だてをしておる。それに対して、住宅を中心として、さしあたり住む家の手配を——貯蓄のない、しかし生活保護法まで転落しないそのボーダーライン層に対してどういう手当てをするか、こういうことについて具体的なお答えをすべき何ものもまだ頭にございませんけれども、十分検討すべき一つの層ではないか、このように考えます。
  50. 岩尾一

    ○岩尾政府委員 堀先生の御意見でございますが、御質問の趣旨は、現在いろいろ所得税等について減免措置があり、全体の日本の世帯の中で、そういうもので災害のときに救われるものもあるけれども、実際に所得税を納めないような階層については何らの対策もないではないかということで、その辺のすき間をふさぐためにきめのこまかい対策が必要ではないか、こういう御要望だと思います。現在、わが国の世帯数が大体二千四百万世帯であろうかと思います。このうち税金を納めておる世帯がどれくらいあるかというのはよくわかりませんけれども、地方税等を納めておる世帯ということでいきますと、大体千三百万世帯くらいではないかと推定されております。それから、先ほどおっしゃいました生活保護階層、これが大体六十万世帯でございますから、したがって、これのボーダーライン層ということで考えますと、大体百三、四十万世帯というところがその辺に当たるのではないか。そうすると、先ほど申し上げました千三百万とその百三、四十万との間というのが、どうも何らの対策も受けられないんじゃないかということになるかと思います。しかし、いろいろ実情を考えてみますと、現在の課税行政上は、戦後非常に家族制度が崩壊をいたしまして、だんだん別かれて、子供が東京へ出てきておる、親が残っておるというような場合、実際上東京の子供がその親を扶養しておる場合も、世帯は別ということで、二世帯というような形になっておる例が非常に多いわけです。そこで、やはり戦後の世帯数、特に課税世帯を調べます場合には、そういう点をよく検討いたしませんと、ほんとうに昔でいう世帯としてそんなにすき間があるのかということに対しては、いろいろ議論のあるところだと思います。  そういうことを前提といたしまして、われわれといたしましては、税につきましても、先ほどから議論がございましたように、これは特に災害を受けたから、したがって税金の面で非常な減免をやるということではない、やはり担税力からいって、災害が起きたのに、家が流れたのに税金を納めさすのは気の毎だという面について減免をしていくわけでございますから、決して個人災害について特に減免措置を講じていくというかまえではないと思います。そこで、税金を納められない世帯に対しては、そういう面からいえば決して片手落ちということではないので、これは税金を納めてないわけですから、特にその点でめんどうを見る必要はない、しかし、先ほど申しました住宅その他の面につきましては、現在ありますいろんな災害に関連する制度によってできるだけ救済をしていきたい、しかし、いろいろ制度にはすき間もございますので、こまかく行き渡るということはなかなかむずかしいかと思いますが、そういう点はできるだけ実際の状況で検討する、特に、もし緊急に災害が起きました場合には、すぐに災害救助法が発動されます。これは所得の多寡に関係なく、その災害状況によって、受けた人の損害に応じて直ちに仮設住宅あるいは住宅補修等をやりまして、そうして二年間それにお住みになるなら住まれて、そのあとは、先ほどから議論のありました第二種公営とかいろんな住宅が公営で建っていく、そうして、一応の所得の水準があればそこに入っていただくということで手配ができますし、それから別途、住宅金融公庫あるいはその他の政府関係機関によります融資という面においても、できるだけ低利にかつ融資を受けやすいような形にして災害の際には救助をしていくというふうなことを現在やっておるわけでございますが、これができるだけ手落ちにならないように、なお今後も手当てをしていきたい、かように考えます。
  51. 堀昌雄

    ○堀委員 次長のお話、非常に端的にいいますと、都市における災害というのは比較的処置しやすいと思うのです。いまのような緊急住宅といいますか、そういうものが建てられるのも、都市の場合には比較的簡単なわけですね、住居が集中しておりますから。同時に、第二種公営その他を建てて入ってもらうのも、都市の場合には非常に処置はしやすいと思うのです。ところが、農山村に問題が起きましたときに、実は問題の処置が非常にむずかしくなっている。これは今後のいろいろな問題に関連がありますから、主税局でもひとつ、これはサンプルでもいいから、非納税世帯の分析というものを少しやってみる必要がある。だから、私も、いま申し上げておるのは、いろいろな形で分かれておるけれども、実は所得あり、貯蓄ができる世帯もあるわけですね。しかし、そういうものをいま私は対象にしておるのではなくて、やはり日本の全体を見ると、貯蓄がしたくても、確かにいまの物価の上昇は激しいですから——しかし、この物価の上昇というのも統計上非常に問題がありますし、消費者物価指数というのは総合的に出ておりますから、実は所得階層別には、物価の値上がりの影響というのは、低所得部分と平均値の部分、高いところとは相当違うと思うのです。いまの総理府のとっている五分位階層別というようなああいうとり方では、私はまだ十分でないと思うのです。あのもう少し下を含めて——あれは世帯構成が、この前もちょっと議論しましたが、大体四人ぐらいのところになっておるわけですから、もう少し小さい世帯で世帯構成をやってみる。そして、実はそういう低所得のところは、物の上がり方が非常に激しく上がったところがストレートに影響するところですから、物価の値上がりというものは非常にこたえておると思うのです。そういう層が貯蓄をやろうと思っても、食うのに追われてなかなかできないという状態に置かれておる。そういう者がいったん災害を受けたときには、なかなか救助の手というのは伸ばしにくい。たとえば、家を建てるとしても、いろいろと物がもらえるようなことになっていればいいけれども、やはり衣類もなくなっているでしょうし、そういう災害にあった場合には、生活の便益に供するもの全部なくなっているわけですね。そうすると、やはりある程度の、最低のものをそろえる必要もあるだろうし、いろいろなところから考えて、都市が洪水とか風水害に襲われた場合の処置よりも、山村地帯におけるそういう問題というのは深刻な問題だということを、私も昨年の淡路島を襲った二回にわたる台風被害を現地へ行ってみまして、そうして非常に気の毒な被災者たちが、そういう個人災害というものが除外をされておるために非常に困っておる実情をかなり見てきたものですから、これはやはりどこかでもう少しいまのすき間の埋め方を考えてみる必要がある。それをどこで埋めるかというのは、私もいま具体的な案を持っておるわけではありませんから、たとえば、住宅の問題は、それは住宅金融公庫の災害復興住宅の取り扱い方の幅を広げればできることなら、そういうことでもよろしいでしょう。ただ、問題になるのは、そこで金を借りてやったときに、それでなくても生活基盤を失っておる者にかなりの金利負担をさせるというところは、実はちょっと問題がある。元金も返さなければいかぬ、金利も負担させるというのは、やや無理な点がある。  そこで、私が問題を提起したいのは、何とか金利部分だけは——償還は、これは当然借りたものを返すという原則はあっていいわけですから、返してもらえばいい。それはまあ据え置き期間が二年とか三年とかで、その後から返してもらえばいいと思いますけれども、金利の問題というか、ここはやはりそういう所得の低い、だれが見てもこれは非常に負担が重いという者については、少し法的な配慮があってしかるべきではないか。ですから、そのやり方は、さっきもちょっと話をしたのですが、われわれの党のほうの発想では、いわゆる地方自治体に転貸しをやって、その金を地方自治体が無担保で貸してやって——これは所得制限その他をつけて貸してあげて、それについて利子補給だけはひとつ一般会計でやってもらうというような形の発想で検討したことがあるわけですけれども、それは私は、いま具体的にこの方法でということは、規定をしなくてもいいと思うのです。ただ、そういう具体的に災害にあい、そうして同時に、そのことは自分たちの耕地を含め、あるいは果樹その他いろいろな自分たちの生産能力も破壊をされておる、だから、これに対しての援助はいろいろな角度でありますけれども、援助があったからといっても、これは急にはなかなか生産につながらない、その間やはり生活はしていかなければならないわけですから、私はその生活資金を見ろと言うのじゃないのですけれども、せめてその間の利子負担分くらいはやはり法的に配慮をしてやってもいいのではないか、全体として考えてみると、いま私がここで触れましたように、平均の年は大体二千戸内外のものです。ところが、二千戸といったって、実は所得の十分ある人たちの家屋もあるでしょうから、そうやってみると、数としては比較的少ないものになるのではないか一三十九年ですか、六千戸というような年もありますが、ずっと調べた中では、まあ二千戸内外のほうが多いようですから、そこらはひとつ財政的に見ても、そんなに大きなものにはならないのではないか、こんなふうに思いますので、貸し付けという問題については、理財局長のほうではどんなふうに考えておられるか、ちょっとその点をお聞きしたい。
  52. 中尾博之

    ○中尾政府委員 いまのすき間というお話でございますが、実はそのすき間がどういうようなものであり、それからどの程度のものであり、それからそれに接続するところの階層の方々とどういうふうに区別して意識されるものであるべきかという点につきまして、実は私どもとしましてまだ十分に検討いたしたことはございません。したがって、その間において申し上げますが、何しろ個人住宅でございますので、住宅がなければ生活ができない、生活ができなければ生活の基盤は立たない、生活の基盤が立たなければ生活ができないという意味におきまして、別に財産と称すべきものではないのじゃないかという面はあろうかと思いますが、一方では、これはやはり個人の私有財産なのでございます。そういうものに対してどういうふうに援助していくかという問題もございまして、一つの社会保障的な感じではないかと思います。社会保障にもいろいろございまして、通常の保障もあるし、それから災害とかあるいは異常な伝染病とかいうようなものがあると思いますけれども、いずれにしても保障的なものであろうかと思います。そういう際に、住宅の困窮に対してどういう手があるかと申しますと、先ほど主計局のほうからお話がございましたように、いろいろな手があるわけです。それらのほうにおきまして、それぞれみなねらいは多少違うのです。たとえば、災害救助法の場合にすれば、必ずしも困窮者ということではなくて、さしあたりの不足に対処するという手がありますが、実際問題としては困窮者のほうに入ることになるとは思います。それから公営住宅法によりまして、やはり災害がありますと、滅失した戸数に応じまして復旧の住宅をつくるわけですけれども、これは公営住宅ですから、個人の庭先に、もとのところにつくるというわけにはいかないのでございます。しかし、滅失した戸数の基礎には農村の住宅も入っておるわけです。そういう意味におきまして農村にも手は及んでおるわけです。及んでいますが、従来あった家がこわれたあとに建てるというわけにはいかぬ。公営住宅の払い下げの手続きは開かれております。というようなことで、それぞれ公営住宅といいますと、大体都市の住宅などというものが中心にはなっておりますけれども、最近はだいぶそれが幅が広くなりまして、災害の場合には農村にもそれは入っている、それから、普通の住宅対策といわれる中でも、農村向けの住宅もありますし、農村向けの改良あるいは増築の資金といったものも出ておるわけです。そういうようなものの利用は、特にいま御指摘のような農山村の分に主たる焦点が向けられておるわけではありませんが、及ぶ姿になっておるわけです。そういうようなところでやっておるというのが現状でございます。今度はそれ以下になりますと、世帯更生だとか、母子福祉だとかいう系統がありまして、さらにその下に生活保護世帯というものがある、生活保護世帯あたりのほうの分の住宅を確保する前に、それよりかだいぶ上のほうの階層に対しまして住宅を持っていくという順序になるのかどうか、そういっても、家がなければいられないじゃないかとおっしゃればそれまでです。しかし、やはり社会保障には順序とスケジュールがございましょう。限られた金で最も緊要な部分から持っていくという場合に、どのくらいの位置づけになるかという問題、その辺はいろいろ検討を要する点であろうと思います。ただ、現実の問題といたしましては、これらの制度を、いま御指摘のような面につきまして十分意識をいたしまして運用してまいる余地は、まだ多々あろうと思うのであります。ただしかし、そこに焦点を合わせた住宅対策的な新しい貸し付けというものを、しかも無利子というようなことで打ち出すことが、社会保障体系の上におきましてどの程度の順序を持ちますかということにつきましては、なお私どもも相当検討を必要とするという感じでございます。
  53. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの理財局長の答弁を聞いておりますと、理財局長の答弁が半分で、主計局長の答弁が半分的に、非常に主計局におられた感触で感じるのですが、実は、応急仮設住宅は、これはかりに二年間というのですけれども、五坪平均で大体十五万円くらいということですが、いま一体、五坪十五万円で人間が二年も住める家がほんとうに建つのかどうか、私はちょっと疑問があるのです。世帯更生資金の貸し付けも、住宅の場合は実は十万円なんですね。一体、いま十万円でどうやって家を建てるか、これもまた問題があるわけです。実は制度は一応いろいろあるようですが、中身が実態に即していないという点があるのですね。ほんとうに臨時に、住むところがないから、雨露をしのぐに足るのなら、それは五坪平均十五万円程度以下のものもあるでしょうが、そこへ二年間住めというのは、私は、やはりこれはちょっと酷に過ぎるのではないのか。ですから、住宅金融公庫の方いまおいでになったところでしょうから、ちょっと簡単に申しますと、いま私どもは、災害に対する税の減免措置の問題をやっておるのですが、税の減免というのは、その人たちにとってのマイナス部分を引き去るという程度のことでして、いま国は、確かに災害の問題に対して積極的には個人に対してはあまり配慮が行なわれていない、こういうことになっているわけです。所得のある者は自分でやれますから、貯蓄があり所得が十分ある者はいいのですけれども、日本には依然としてボーダーラインの生活をしておる人たちがかなりあって、毎日の物価の上昇と収入の少ないという点に追われて、貯蓄も十分にない。しかし、災害はそういう人たちを特別に扱わないで、全部平均にくるわけですから、そういう人たちも災害を受ける。三十七年、三十八年で全壊、流失が約二千戸ぐらい、三十九年は六千戸ぐらいあるのですけれども、そこで、能力のある人の問題は、私はここで一応触れる必要はないと思うのです。これはいろいろなあなたのほうの貸し付けその他でも処置ができると思うのです。いまのあなたのほうの災害復興住宅の取り扱いに、低所得の人で、事実上担保といってもなかなかそう簡単にいかないというような人たちに対して、百万円を限度として融資ができるように聞いておるのですけれども、そこら辺よくつまびらかにいたしておりませんので、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  54. 町田稔

    ○町田説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  低所得者に対する住宅金融公庫の災害復興住宅の融資でございますけれども、これは私のほうでも、一般的に個人住宅の新築の融資の際には、償還金の大体六倍程度の収入が毎月あるということを条件といたしておりますが、災害の際には特に四倍程度で融資を申し上げるということにいたしておりまして、その点も、いまお話のございましたように、災害を受けます方は低所得の方も非常にたくさん含まれておりますので、なるべくそういう方にも融資ができるようにという、その点の配慮をいたしております。なお、普通の融資の際には必ず保証人等をとっておりますけれども、災害の際には一地域が非常に広きにわたりまして災害を受けますことが多うございます。適当な保証人を見出し得ない場合も多うございますので、そういう際には特に市町村長の保証をしていただくことによって一般の場合の保証人にかえるというようなこともいたしております。それから、農山村等におきましては現金収入というものがなかなか見積もり得ない場合が多うございますので、これは農協等とも連絡いたしまして、農産物で生活費をまかなって、現金収入がなくても比較的償還等も都会の場合と違ってやりやすいということもございますので、そういう際には農産物等を現金に見積もって、収入があるものとしてお貸しをするというような方法をとっております。それから、償還等につきましては、期限につきまして据え置き期間を設けましたり、償還期間の延長をいたしましたりという方法も考慮いたしまして、極力皆さんに御利用いただけるように配慮いたしております。それで、普通の場合、災害が起こりまして申し込みをされる方のほとんどの方がこれらの条件に合致いたしますので、申し込みをされました方についてお貸し付けをお断わりするというようなことはきわめてまれでございまして、ほとんどお貸しするという状況になっております。
  55. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの償還金の四倍の収入といいますか、これが一つの基準になるわけですから、貸し付け限度は一体幾らなのか、据え置きは、いまのような災害の場合には一般的にはどのくらいなのか、それから償還期間は一体何年なのか、それとの関係で、いまの所得というものがどこから上ということになるわけですね、それをちょっと目安として出していただきたいのです。
  56. 町田稔

    ○町田説明員 貸し付けの限度でございますが、耐火構造や簡易耐火構造の住宅の場合には新築で七十三万円が限度になっております。木造等の住宅につきましては、五十八万円になっております。  それから、貸し付けの期間でございますが、普通の場合は、木造につきましては十八年、耐火構造につきましては、簡易耐火が二十五年、耐火構造が三十五年、これが普通の場合でございますが、災害の場合には据え置き期間を三年認め、なお償還期間を三年延長することができるということになっております。  それから、大体災害の際には、貸した額にもよりますけれども、たとえば月三千円ずつお返しいただくということにいたしますと、四倍でございますから一万二千円の収入がおありになりますと御融資できるということにいたしております。
  57. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの三千円の償還という場合、災害のときの金利はどうなるのでしょうか。
  58. 町田稔

    ○町田説明員 災害の際も五分五厘でございます。
  59. 堀昌雄

    ○堀委員 私がいま議論をいたしております農山村の場合は、耐火構造とかそんなものはなかなかできにくいのではないか、やはりどっちかというと木造家屋が多いのじゃないかと思うのです。一軒ぽつぽつ建っておるのが多いですから、耐火といっても、自分のところの中から火が出るような、それはちょっと簡単にいきませんから、おそらく木造でしょう。そうすると五十八万円というのが最高の限度と一応見まして、それをいまおっしゃるように五分五厘にして、十八年の三年延長ですから二十一年償還として、おそらくそうなれば均等償還ということだろうと思うのですが、それに金利をつけますと大体どのくらいになるのでしょうか。いま三千円とおっしゃったのは、その場合で三千円でいいのでしょうか、その点をお伺いします。
  60. 町田稔

    ○町田説明員 いま五十八万円フルにお貸しした場合、利子をつけて毎月どのくらいの償還額になるか、ちょっと計算いたしますが、三千円は、五十八万円全部お貸しした場合にはもっと多くなると思います。いまちょっと計算をいたします。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、いま非常に建築費が高くなってきまして、いなかのほうはどのくらいで建つのか私もよくわかりませんが、都市部では、人間が住むためには最低五万円はかけないとなかなかできないのじゃないか。ですから、実際には、これは五十八万円最高のところで議論をしているわけですけれども、五十八万円というと、地方でもせいぜい二十坪ぐらいじゃないかと思うのですが、現状で公庫のほうは実際に建つ費用はどのくらいに見ておられますか。
  62. 町田稔

    ○町田説明員 災害の場合は、大体五十八万円の計算基礎でございますが、平米当たり一万四千五百円ということで考えておるわけなんでございまして、坪にいたしますと四万三千五百円ということになります。それで、いまお話のございましたように、普通の新築の場合には、比較的近ごろはぜいたくといってはあれですが、この程度ではなかなか建ちにくいと思いますけれども、災害の場合におきましては、公庫のこれを利用して、多少自己費用を充てていただくという程度で建てておるのが実情だと思います。  なお、先ほどの計算ですが、五十八万円で計算いたしますと、大体月にやはり三千円で一応おさまります。
  63. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっとこれは目の子算ですが、六十万円で五分五厘ということは、年間の利子が三万三千円でございますね。それから六十万円を二十年で償還するとすれば、年間の償還は三万円ですから、そうすると、三万円に三万三千円を足せば六万三千円ですから、一カ月五千円くらいになりませんか。私、いま五十八万円を六十万円に切り上げて二十年というラウンドナンバーでの概算をしてみたのだが、ちょっと小さ過ぎるのじゃないですか——はい、わかりました。金利が先にいって下がるのですね。しかし、最初は金利はそのくらいですね。そのときは償還のほうが小さくなるようになっていくわけですか。——わかりました。それならあれですね、いまの問題は三千円の四倍でありますから、一万二千円の所得があれば貸せるのだから、そうすると、いまのお話でいけば、この住宅金融公庫による災害復興住宅というものの利用方法が、災害の際にそういう山村地帯に十分徹底していないという問題が一つあるんでしょうね。市町村長が保証すればいいということなら、保証の問題は成り立つし、幾ら農家所得が低いといえども、月収一万二千円程度のものというのは、これは働いておる限り所得としてあり得るでしょうから。三十七、三十八、三十九年当時、この災害復興住宅というのは、件数としてどのくらい貸し付けが行なわれておるのでしょうか。
  64. 町田稔

    ○町田説明員 お答えいたします。  三十七年度につきまして住宅金融公庫が貸し付け契約を結びましたものは、建設と補修に分かれておりますが、建設では五百八十四戸で二億四千万円、それから補修のほうが千七百六十七戸で二億八千四百万円、三十八年度につきましては、との年は建設で五十四戸、二千百六十万円、それから補修では四十四戸で七百三十万円、三十九年度について申しますと、建設が戸数四千七百三十六戸で二十七億三千八百万円、それから補修のほうが戸数一万一千七百二十四戸で二十九億九千五百万円という程度になっております。
  65. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのお話を承って、まあ全壊、半壊その他いろいろあると思いますが、そうすると、おそらくこれは都市その他比較的に開けておるところはそういうことがよくわかっておって、借り入れが行なわれておって、やや山村地帯その他、そういう事情のよくわからないところが放置されて非常に困っておる、こういう感じがいたしますから、いまのお話のように三千円見当の償還ということなら、これはそう大きな負担にもならないでしょうし、期間も十八年で据え置き三年ですから二十一年になるわけですから、この点ひとつ、災害があったときには、公庫のほうとしても災害市町村に対して、こういう制度があるから利用するのなら利用しなさいということを今後少しPRをしていただく、そうすれば、いま私はここで新たな制度として考える必要があるかと思っていましたけれども、いまつまびらかになった点ならば、これはかなりボーダーラインの人たちを含めて災害住宅措置ができると思いますので、その点は、特に災害に対してこの住宅金融公庫の資金を使って災害復興住宅をやるということを周知をしていただきたい。あわせて、主計局のほうも、こういう制度が利用される形では、住宅金融公庫に対して、まあひとついろんな意味で、これは理財局も関係があるわけですが、資金の供給についてはそういう面を通じてやっていただけば、私は、きょうここで議論させていただいて、そのすき間の問題はかなりはっきりしてまいりましたから、ぜひその点、公庫としても、また大蔵省としても十分配慮していただいて、無利子でなければならぬということでなくて、要するに、それは負担能力の範囲で処置ができることというのが限度だと思いますけれども、いまのように三千円程度ということならば、もう少し小さければ二千円ぐらいにもなり得るわけでしょうから、その点ひとつ十分お願いをしておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  66. 町田稔

    ○町田説明員 ただいま御注意のありました点、今後私たち、災害が起きましたつど、十分気をつけて、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。それで、従来も大体私のほうの取り扱い金融機関等で、災害が起こったときには相談所等を設けましてPRにはつとめてまいりましたけれども、御注意のございましたように、農山村等におきましては地域も広うございますので、PRの行き届かなかった場合もあったと思います。十分注意いたしてまいりたいと思います。
  67. 岩尾一

    ○岩尾政府委員 住宅の問題でございますが、先ほど来お話のありましたように、実際上はかなりやっておるわけでございます。しかし、災害地、特にたとえば新潟のような場合ですと、はっきりしたところへはすぐに政府のほうからそのつど参りまして、こういう手段があるということを宣伝いたしますけれども、災害が広範にわたりまして、いなかのほうへいきますとなかなか手の届かないということもあり得ますので、そういう際に、これからはできるだけきめのこまかい対策をとりたい、それから、融資額のほうは、これは全体の住宅金融公庫の資金量としては決して大きなものではございませんので、そのつど適切な範囲で配慮をしていきたいと思います。  それから、先ほどお話がございましたけれども、やはり無利子というのは、現在世帯更生資金におきましても三分の利子を納めていただいておりますので、これは非常にむずかしいかと思います。先ほどお話のあったような程度であればと、われわれとしても考えております。
  68. 中尾博之

    ○中尾政府委員 ただいまの御意見と申しますか、御要望と申しますか、ごもっともな点であると思います。私どももそういう線に沿ってできるだけ努力をいたします。全体といたしまして、住宅金融公庫も公団も、住宅対策というので、絶対数の不足とかあるいは過密居住とかいうのが中心になって発足しておりますから、そういう関係で、比較的農村のほうに縁が薄いような感じを与えておるのでございますが、実情におきましては、いま申し上げましたような点もありますし、それから農村住宅関係あるいは農村住宅の改良関係というものに、相当実は今年度あたりも手を伸ばしております。というのは、都市の全体の計画が相当大きくなりますから、あまり重点的に都市ばかりやりますと、やはり全体としての違和を感ぜざるを得ないというような状況にあります。そういうような点につきましては、いま申し上げましたような意識を持ちまして私どももやっておりまするが、なお御注意もございましたので、今後とも気をつけてまいりたいと考えております。
  69. 堀昌雄

    ○堀委員 以上でいまの問題を終わります。  次に、過般相続税の法案がかかっておりましたときに実は論議をしておきたかったのでありますけれども、時間的な制約がありまして、私質問時間がとれませんでしたから、相続税の問題について、同じ税の法案に関してちょっと御検討をひとつお願いをしておきたい点があります。  実は、私すでに、これは二年ぐらい前だったと思いますけれども、当時の泉主税局長に要望をいたしましたままでそのままになっておる件であります。御承知のように、医療というものは、非常に公共性の高い形で処置をされておりまして、その支払い体系は完全に公的に拘束をされております。ですから、これはその診療所、病院が私的であると公的であるとを問わず、その他の企業と比べますと、きわめて公的な性格が強いということを私どもは痛感しておるわけであります。現在、そういう公的な性格を反映いたしまして、課税上の問題としては、事業所得税が社会保険に対するものは非課税になっておるということも、私はそういう公共性の一つの側面だ、社会保険診療報酬に対する減免が行なわれておるのは、そういう公共性に見合っておる、こういうふうに考えるのですが、その点はどうであるのか、ひとつ主税局のほうでちょっと答えていただきたいと思います。
  70. 川村博太郎

    川村政府委員 事業税におきまして、確かに医業は非課税とされております。これは公的な面が加味されている点もあると思いますが、やはり現在の事業税の立て方が、たとえば出版あるいは放送、これについても実は非課税になっておりまして、現在の事業税の非課税措置全般をどう考えるか、これはかなり疑問のあるところでございまして、たとえば税制調査会におきましても、この事業税の非課税措置につきましては、なお再検討をする余地があるということがいわれております。したがいまして、おっしゃるような医業について、公的な面があるから非課税になっておるのかどうかという点につきましては、若干問題もあると存じます。
  71. 堀昌雄

    ○堀委員 事業税の非課税になっておりますのは、医療報酬の収入の中の社会保険診療報酬に該当する部分になっております。その他は有税なんです。実は特別所得税というのですか、それで有税になっておるわけです。そのことは、社会保険診療というものは公的なものであるという認定がない限り、そこを無税にしてこっちを有税で残すはずがない。医療そのものに対して有税なんです。しかし、社会保険診療というものの公的性格を反映して無税になっておる、こういうことになっているわけですから、この議論は出版や放送とはやや違うわけです。そうすると、現在は社会保険診療というものが、国民健康保険がだんだん全国的に広がっていって皆保険になったわけでありますから、例外的に、たとえば産婦人科等で、出産であるとかそういうものは社会保険医療の対象にならないわけです。これは、要するに疾病に対してのみ給付をしますから、出産というのは疾病でないという考え方で医療給付の外へ出ますから、この部分は特別所得税というのですか、事業税がかかるわけです。そうなっているのですから、その問題は、私は、間違いなくそういう社会保険医療の公共性との見合いで問題が出てくる、こう思います。  さらに、都市のかなり部分において固定資産税の減免処置をやっております。医療用の不動産その他に対する減免処置も行なわれております。これもやはりそういう同じような発想に基づいて減免処置を行なっておるわけであります。そこで、要するに、現在の医療機関の施設というものと収入というものに対しては、課税の面からその他の企業とは画然とした区別が公共性の面からされておる、こう理解をするわけです。  実は、この前も議論をしましたのは、最近都市における医療機関の施設及びその土地ですね。その下の使用しておる土地というものを相続するという場合が起きてきておるわけであります。ところが、これは一子相続になりませんと——何人もむすこが医者をしておればいいのですけれども、そうはなりませんから、たいていは長男なりが医者をやっておる、むすこなり娘なりが父親がなくなったあとは継承して医療を継続して行なうわけですね。そうすると、継続して行なう限りにおいては、相続は行なわれておりますけれども、これは医療機関としては何らそれによって利益が出たわけでも何でもないのですが、相続税は払わなければならぬという問題が実は出てくるわけです。ところが、いま御承知のように、社会保険診療報酬というものは、その報酬額及びその報酬額に対する基準点数表と、全部公的にきめられておりますから、これは自由に拡大することができない仕組みですから、そこでこの遺産相続の問題について、私はかつてここで二年ばかり前に提案をしてあるわけです。その提案とは何かと申しますと、相続が行なわれた場合に、その医療機関相当分、医療施設相当分、その部分についてだけの評価を相続額から一応控除をして差し引いて、要するに、その部分については相続税の長期延納を認める、延納というのは、何年ということでなくて、その施設が医療以外の用途に供せられるようになった場合、それから売買せられた場合、この二つの場合には当然いまの私の申しておる公共性の継続ということは中断をされるわけですから、その中断をされたときにその評価をして、しかしそれだけの評価では、御承知のように、相続税の分離課税のようになりますから、それはその当時に相続の行なわれたときのものと合わせて計算をして、上積みとして相続税はその時点で払いなさい、しかし、医療がそのむすこさんその他が継承をして、社会保険医療を継続しておる場合には、そういう医療の施設の公共性の中断が起きない限り、相続税その他を延納という形で先へ延ばしていくということをひとつ検討してもらいたい、こういう提案が実はしてあったわけですが、川村さんは当時からずっと主税局にいらっしゃるけれども、はたして主税局内部で検討されたことがあるのかどうか、先にそれだけちょっと伺っておきます。
  72. 川村博太郎

    川村政府委員 堀先生から、医療事業者の相続税につきましてそういう御意見があったことはよく承知しております。主税局内におきましても、税制調査会の審議等を通じまして、相続税の問題を取り扱いますときには検討はいたしました。問題は純粋の税の立場からではなしに、医療事業というものの公的な性質にかんがみましての政策的な措置でございますので、税の公平という立場をどうそれとかみ合わせるか、それから、公的な事業という場合に、医療だけでいいのかどうか、そういった面について、実はまだ検討をすべきことが残っておるということで、従来までこれを税制上取り上げるということにはなっておりません。なお今後も検討すべきものと考えております。
  73. 堀昌雄

    ○堀委員 いま医療の公共性のほうは大体確認をされたと思うのですが、その他権衡をとらなければならぬ医療の状態と同じように公共性の高いそういう私的な事業といいますか、それはどんなものがあるでしょうか。
  74. 川村博太郎

    川村政府委員 実は私、いまその比準すべきそういう公的な事業がほかに何があるかということを具体的に申し上げる用意がございません。問題は、そういういわば価値判断に属する事項、これをどこまで税制に取り込むかということに相当問題があるわけであります。確かに、一般の事業者がそれぞれの事業財産を相続していく、事業者にとりましては、相続があるなしにかかわらずその事業経営をしていかなければならないということは、医療の場合と同じだろうと思います。したがいまして、問題は、どの程度のものに相続税を課するか、相続税を課することによって著しく事業経営が支障を来たすかどうか、この判断だろうと思います。その価値判断をして、一定事業については特別の措置を講ずるかどうかというのは、その上にさらに乗っかる問題だろうと思います。政府といたしましては、従来から課税最低限を一般的に引き上げるということを通じまして、そういう価値判断にかかわらず、相続税負担によって事業経営が著しく困難になるというようなことに追い込まないような配慮を従来からいたしておるわけでございますが、これは課税最低限の引き上げのみならず、あるいは堀先生ちょっと申されました延納の措置、これがまさにそれに当たるものだろうと思います。今回も、そういった意味におきまして、課税最低限を倍額程度引き上げることにいたしておりますので、基本的には相当程度そういう事業経営についての相続税負担の緩和が行なわれておるものと考えております。
  75. 堀昌雄

    ○堀委員 私の提起は、ストレートに減税しろというふうに言っているわけではないわけですね。これは延納しなさいということですから、税はとりますよ、ただ、いまのそういう形で公共的な医療行為が継続しておる場合には、その間だけ延納を認めましょう、こういうことです。ですから、もちろん軽減にはなりますけれども、純粋の軽減ではない。それが一つ、もう一つは、実は医療法人という制度があるのです。病院については、いまなかなかどうもやかましくて、新しく医療法人の新設をしめておるようですけれども、少なくともある程度の大きさの病院については医療法人としてそういう問題が解決をされておる部分が、同じ医療行為の中にあるわけですね。そうして片や、その医療法人については、今度の租税特別措置法で留保課税についても二三%に軽減もされるという形で恩典があるわけですね。ところが、片や個人診療所の側について見ると、医療法人になりたくても認められないし、そしていまのような問題で、比較的都市の中心部にその施設を持っておるもの——やはり医療機関というものは交通の便その他から見てそういうところに比較的集中をしておるわけですね。そうしますと、今度課税最低限が確かに一千万円に上がりましたけれども、いま都市では一番大きい問題は土地だと思うのです。その評価の問題になってきまして、今度は固定資産税等の再評価もあって、評価額が非常に実質的なものに近づいてくるわけですね。当然相続税の場合のそういう基準も上がってくるということになりますと、大体都市で少しまともなところですと坪五十万円、七十万円というような価格がついておるところがかなりあるわけですね。そういたしますと、土地だけでも何千万円という評価になってしまいます。しかし、その土地なり診療施設なるものはカタツムリみたいなもので、それは営業のプラスにはなっているでしょうけれども、イコールそれを売ったらどうなるかという形でその評価をされる点については、これは相当問題が出てくるわけです。カタツムリですから、医療行為継続中は売るわけにはいかないのです。ですから、その点を含めて、もう二年も検討していただいておるわけですから、いつまでものんべんだらりでは私は困ると思うのです。藤井政務次官、あなたはそういう医療問題についてもなかなか御研さんを積んでおられますが、いまこんとんたる医療行政の問題の中で、こういう程度のことは、政府として考えても、私は課税の均衡の問題からそんなに逸脱をしないのではないか、こう思いますけれども、政務次官の感触を伺って、これは明日大臣にも伺いたいと思います。
  76. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 実は私も政務次官に就任いたす前から、ただいま堀委員からいろいろお話がございました点、同感の点が多々ございました。公共性の面においても、やはり人命を預かる仕事であるという面においては質の高い公共性を持っておるということ、同時にそれが継続性を要求されておる、その場合、いまお話のように、やはり人が出入りの便利のいいところ、すなわち都心ですね、こういうところが地価が高騰をする、相続をするために今度は裏のほうへ移らなければならぬ、これは一般大衆のためには非常に不便になってくる、こういうことを考え、あわせて、先ほどからるるお話がございましたような、公共性を認めた税制は特別な扱いをしておる。それはやはり収入がガラス張りであるという、こういう一応の基本的な制度になっておる。こういうことをあれこれ考えますと、私は、特別な扱いを何とかしなければならぬのではないかということを、自分個人としてはいまも考えております。ただ、先ほどからいろいろ答弁をいたしておりますように、ことしの税制において相続税について課税最低限を引き上げた、こういったことで、一応全体的な均衡を考えながらある程度改善をしたということでございますけれども、私は、これはまあひとつ慎重な配慮を前提としながらも、前向きで積極的に検討すべきである、このように思います。よく大臣にも御報告をいたしまして善処いたしたい、このように考えております。
  77. 堀昌雄

    ○堀委員 非常に理解のある御答弁をいただきましたので、これはやはりその他の税制上の問題としては権衡その他もありましょうし、いろいろありますから、慎重に検討していただきたいと思いますけれども、ただ、これは私が問題提起してもう二年もたっており、そして、そのこと自体そんなに、おそらく与野党通じて反対しなければならぬというほどの問題ではないというふうにも思いますので、いまの政務次官の答弁によって、ひとつ大臣とも十分御協議の上、部内で検討していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  78. 三池信

    三池委員長 次会は、明三十日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十二分散会