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堀委員 私は何もジッパーだけをというわけではありませんが、たまたまこの経過を詳しく
説明を聞いてみますと、なるほ
どもっともだという感じがしてならないわけです。当初は製品で輸出をしておったところが関税でだめになり、そこで今度はジッパー・チェーンということで、初めは綿製品という形で輸出をしておったら、これも部品だということで押えられる、その次に、今度はしかたがないから向こうへ工場をつくって、そうしてテープで出す、こういうことになってきたようでありまして、その間、ひもつきテープ等は、初めは五〇%の関税であったものが二〇%に下がった等、関税のほうは下がったけれ
ども、ワクが狭められておっては関税が下がってもどうにもならない。こういう問題が実は出ておるようでありますから、ひとつその点については
——何かYKKでは、いよいよだめならば、今度は向こうにまたテープをつくる工場をつくらなければならぬ、そんなことになるのは私非常にむだな投資のように考えられますので、この点は、協定の今後の取り扱いの中で注意をして処置をしていただきたい、こういうふうに思います。
第二点の問題は、一昨日、土曜日くらいから新聞紙上にだいぶ出ておりますが、西ドイツが中国に対して鉄鋼のプラントを輸出するということです。これは西ドイツだけではなくて、欧州各国の共同になる契約のようでありますが、五年
程度の延べ払いによって応じるのだということが出て、これに対してラスク国務長官は、あまり望ましくない、何とか考えてくれというようなことを新聞で読んでおるわけです。実は
日本の中国貿易の問題を少し私
資料で見て調べてみますと、三十八年には、中華人民共和国向けの輸出が六千二百四十二万ドルで、輸入が七千四百六十万ドルくらい、そのときの台湾のほうに対する輸出が一億七百十四万ドルで輸入が一億二千二百六十四万ドル、ところが四十
年度になりますと、大体中華人民共和国向けが約四倍くらいにふえて、二億四千万ドル余りが
日本からの輸出であり、輸入が二億二千万ドル、非常に中国貿易は急激に
拡大をしてまいっております。台湾の貿易は、その間、輸出については約倍で二億一千万ドルくらいになり、輸入は一億五千万ドル
程度ということで、私は、台湾というのは小さい国でありますし、国と言っていいのか何かわかりませんが、小さい地域であるし、人口も少ないわけですから、それとの貿易量というものにはおのずから限界があって、幾らでもふえるというものではないと思います。しかし、中国のほうは、何といってもあれだけの大きな国であり、人口も六億をこえるというわけでありますから、市場としてはまことに大きな、将来性のある市場だと思います。
日本もそういうことで非常に貿易量が
拡大をしてきておる中で、今度は西ドイツか
——これまで比較的西ドイツというのは
日本に近く、アメリカと戦った同じような敗戦国の一つでありますから、その意味では比較的アメリカの意向に忠実であった国のように私は理解をしております。ところが、その西ドイツすらも、
日本のビニロン・ブラントや何かとはお話にならない鉄鋼のプラントを輸出する、それも延べ払いで輸出をするというここの
段階にきて、私たちは、
日本の今後の中国市場に対する延べ払いその他の問題がいつまでもいまのように停滞していていいものかどうか、これは私非常に重大な問題ではないかと思います。特に、
日本の今後の貿易構造は、私は、いまはなるほどアメリカが非常に大きな輸出の市場になっておりますけれ
ども、いつまでも
現状のような状態が続くと考えるのはこれはやや安易に過ぎるのではないか。やはり全体としてバランスがとれながら
——先進国向けもしかりであります。午前中、私はEEC向けの議論を少しいたしました。EECの差別の問題その他も含めて、どうもEEC関係の輸出その他が停滞をしておるわけでありますから、こういうものも伸ばしていかなければならないし、同時にまた、後進国向けの、低開発国向けの貿易もウエートが四〇%
程度あるわけでありますから、これも伸ばしていかなければなりませんけれ
ども、しかし、あわせて、最近六%近くになってきておるところの共産圏貿易というものも、これはよほど真剣に考えないと、西欧諸国にかなりイニシアチブをとられるおそれがある
段階にきておるのではないか、こういうふうに考えるわけです。これについて私は、いろいろ吉田書簡その他もありましょうけれ
ども、しかし、貿易の問題というものは、時期を失すればそれだけ向こうが地歩を占めるわけでありますから、おそらく、いま西欧を含めて輸出競争というものが相当な激しさを加えておる今日、いまのような安閑とした形での処理は許されない、こう考えるのですが、ひとつ通産大臣、この西独に関連して、対中国貿易の延べ払いについて少しお考えを伺っておきたいと思います。