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1966-03-22 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第24号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十一年三月二十二日(火曜日) 午前十時二十三分
開議
出席委員
委員長
三池
信君
理事
金子 一平君
理事
原田 憲君
理事
坊 秀男君
理事
山中
貞則
君
理事
吉田 重延君
理事
平林
剛君
理事
堀
昌雄
君
理事
武藤 山治君
岩動
道行君 大泉 寛三君 奥野
誠亮
君 押谷 富三君 木村
剛輔君
小山 省二君 砂田 重民君 田澤 吉郎君
谷川
和穗
君
地崎宇三郎
君
羽田武嗣郎
君 藤枝
泉介
君 毛利 松平君 山本 勝市君
渡辺
栄一君
渡辺美智雄
君 只松 祐治君 野口 忠夫君 日野 吉夫君
平岡忠次郎
君 藤田
高敏
君 山田 耻目君 横山 利秋君 春日 一幸君
竹本
孫一
君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
通商産業大臣
三木 武夫君
出席政府委員
外務事務官
(
経済局長
) 加藤
匡夫君
外務事務官
(
経済協力局
長) 西山 昭君
大蔵政務次官
藤井 勝志君
大蔵事務官
(
主税局長
) 塩崎 潤君
大蔵事務官
(
関税局長
)
谷川
宏君
大蔵事務官
(国際金融局 長) 鈴木 秀雄君
農林事務官
(
園芸局長
) 小林 誠一君
通商産業事務官
(
貿易振興局
長) 高島 節男君
通商産業事務官
(
繊維局長
)
乙竹
虔三君
通商産業事務官
(
公益事業局
長) 熊谷 典文君
委員外
の
出席者
大蔵事務官
(
関税局企画課
長) 植松 守雄君
通商産業事務官
(
通商局次長
) 今村 昇君
通商産業事務官
(
貿易振興局経
済協力部長
) 高橋 淑郎君 専 門 員 抜井 光三君
—————————————
三月十九日
各種共済組合法
の
増加恩給受給権者
に対する不
均衡
の
是正
に関する請願(
砂原格
君
紹介
)(第 一九〇三号) 同(
田中龍夫
君
紹介
)(第一九〇四号) 同(
中野四郎
君
紹介
)(第一九〇五号) 同(
保科善四郎
君
紹介
)(第二〇五三号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 二〇号)
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 二一号)
相続税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 五六号)
関税定率法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第五九号)
関税暫定措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
第六〇号)
関税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 七二号)
関税法等
の一部を
改正
する
法律
の施行に伴う関
係法律
の
整備等
に関する
法律案
(
内閣提出
第一 〇三号)
——
——
◇—
——
——
三池信
1
○
三池委員長
これより
会議
を開きます。
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
、
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
及び
相続税法
の一部を
改正
する
法律案
の各案を一括して
議題
といたします。 御
質疑
はありませんか。
——
御
質疑
もないようでありますから、各案に対する
質疑
は、これにて終了いたします。
—————————————
三池信
2
○
三池委員長
これより各案を一括して
討論
に入ります。 通告がありますので、順次これを許します。
平林剛
君。
平林剛
3
○
平林委員
私は、
日本社会党
を代表して、
所得税法
、
法人税法
並びに
相続税法
の一部を改正する
法律案
の
減税構想
の矛盾と
税制改正
の
問題点
を指摘して、税三法それぞれに対し、反対する討論を行ないたいと思います。 私ども
日本社会党
は、最近の
経済事情
と
国民
の
税負担
の現状にかんがみ、この際、税の
不公平是正
と、いわゆる下からの
需要拡大
により
不況
を打開することを目標にして、
昭和
四十一年度
税制改正
を、
大衆所得減税
及び
中小零細企業減税
を重点にする
初年度
四千億円
減税
を断行することを提唱してまいりました。また、
徴税行政
が科学的、かつ、民主的に行なわれるよう、
大口脱税
を厳に捕捉するとともに、
租税基本法
を制定して
租税白書
を義務づけるなど、
納税者
の正当な権利を保障することを
基本方針
として
政府
と論争を続けてまいりました。 特に、
昭和
四十一年度の
減税
は、直接の
需要拡大
につながる
勤労大衆
の
所得税
、
地方税
の
減税
を重視して、
標準家族
、すなわち夫婦、子供三人の世帯で年収八十万円までは
所得税
を免税すること、また、
独身者
は三十万円までの
所得者
を
課税対象
から除外して、
所得税
の
納税人員
をおおよそ千三百万人程度に減少する
税制改正
を考えておるのであります。このため、
基礎控除
、
配偶者控除
をおのおの十六万円に、
扶養控除
をおのおの七万円に
引き上げ
、
年齢制限
をなくし、
教育経費控除
を新設して、高校以上の学生については四万円を
控除
して、父兄の
教育費負担
の軽減をはかり、
給与所得控除
を拡大して、
給与所得者
については収入の三〇%程度を経費として
控除
する方針に立って、
定額控除
七万円、
独身者
八万円、二〇%適用を六十万円まで、一〇%適用を八十万円まで、限度を二十一万円に
引き上げ
たいと思うのであります。 なお、
小規模事業者
の
家族専従者
に
給与制
を採用することを目途として、当面、青色、白色の区別なく、
専従者
一人について一律二十八万円を
控除
して、その期待にこたえ、
住宅建設控除
の新設まで考慮しておるのであります。そして、租税の公平と
所得
再分配の機能を強化するために、
所得税額
の計算は
段階控除方式
を採用し、年収百五十万円までの
所得者
には諸
控除
を全額認め、それ以上の
所得者
には、
所得
が五十万円増加するごとに
控除額
を五分の一程度ずつ減少させて、年収四百万円以上の
所得者
に対しては
控除
を認めないことといたしておるのであります。 さらに、
中小法人
に対しては、これまで徴税の面や
減税額
の少なかった傾向にかんがみ、当面の
不況脱出
をはかるためにも、
政府案
より
大幅減税
を軸として、
法人税率
も年間三百万円以下(ただし、
資本金
一億円以下の
普通法人
)には現行三一%を二七%とし、三百万円超は
現行どおり
三七%、その反面、大
企業
に対しては収益に応じた
累進税率
を適用するため、
一定期間
三カ年程度の
経過措置
を前提として
超過利潤税
を採用するなど、所要の改正をしようと思うのであります。 このほか、
交際費
については、損金不算入の割合を現行のほぼ二倍程度に
引き上げ
、
広告費
の損金不算入を制度化し、
業種別
、
規模別
の実態を考慮しながら、現行の
広告費
の二〇%程度を否認し、
租税特別措置法
における
利子配当分離課税
など、大
企業偏向
の
特別措置
を大胆に改廃することにより
税負担
の公平を実現することは、行き過ぎた大
企業
への恩恵を抑制し、かつ、自覚ある
企業
の
体質改善
とゆがめられた
税制改革
のための
緊急措置
であります。また、この
措置
をとることにより、
過剰生産
によってもたらされた
経済不況
のもとで
最終消費需要
を拡大する四千億
減税
の実現をはかることができると思うのであります。 以上、少しばかり時間をさきまして、私ども
日本社会党
の
昭和
四十一年度
税制改正
の構想と、その
基本態度
を明らかにいたしましたが、
政府提案
の税三法は、この
国民待望
の
税制改正構想
に対して相反するばかりか、
保守党政府
の
経済政策
の破綻の責任と自覚の欠如から安易な
大型公債発行
をはかり、その中で、なお大
企業
の
利潤確保
をねらう
税制改正
であって、事実上の
不況打開策
に逆行し、税の不均衡を一そう拡大するものであります。これが私どもの容認できない最大の
理由
であります。
日本社会党
の
減税政策
は、すでに述べましたように、国税、
地方税
を通じて
初年度
四千億円の画期的な大
減税
であります。これに対し、
政府提案
の
減税規模
は三千六十九億円、その内容においても多くの矛盾と誤りが充満しております。
政府
はこれを
史上最大
の
減税
と述べてまいりましたが、第一に、
昭和
四十一年度の
国税収入見積もり
は三兆四千六十七億円、
昭和
四十年度補正後の三兆二百八十七億円に比べて、実質的に三千七百八十億円の増収となっております。第二に、
昭和
三十二年
池田蔵相時代
の一千億
減税
が一兆円予算であったことと比べますと、
財政規模
が四兆三千億円をこえることしの
減税
は実質的にも戦後最大の
減税
とは言えません。第三に、
所得税
の
減税
は平年度千五百五億円、
初年度
、つまり
昭和
四十一年においては千二百八十九億円でありまして、これでは
不況
と物価高の両面から圧迫を受ける
勤労者
、
中小企業者
にとって高騰する
物価調整
の
役割り
さえ果たしておらないものであります。すなわち、
政府提案
の
所得税
の
課税最低限
は、
標準家族
において、四十一年では年収六十一万円余りで、これまでより五万円程度の
引き上げ
とはなっておりますが、
物価上昇
は、
昭和
四十年度八%、
昭和
四十一年度には一〇%程度の
値上がり
が予想されておりますので、
課税最低限
は実質的に低下し、
最低生活
にまで食い込んで
課税
される現実は一向に解消されません。戦前の
昭和
九年ないし十一年当時
平均国民所得
に対する
課税最低限
の割合が一九一%、つまり、
平均国民所得
の二倍程度以上の層が
納税者
であった時代まで改善されないにしても、
総理府統計
の人口五万以上の都市の
標準世帯平均生計費
が八十万円になっておるのでありますから、
社会党
の
減税案
のように、せめて年間八十万円までは
課税
しないというのが当然であると思うのであります。
委員会
の審議においても、
マーケットバスケット方式
による
食料費
を基準にして推計した
生計費
と
課税最低限
との
比較表
を中心に、
大蔵省
の献立、
昭和
四十一年度
税制改正
の基礎となった
生計費
を批判してまいりましたが、
成人男子
一人当り二千五百カロリー、一日平均百八十六円八十七銭で食える、これ以上には税金を取るというのでは、
佐藤内閣
の
人間尊重
の政治が一体いかなるものであるかを立証しておるではございませんか。いわんや、
昭和
四十一年三千六十九億円の
減税
で、同じ年に米代の
値上げ
で六百億円、
国鉄運賃
の
値上げ
で千六百五十億円、
私鉄運賃
三百億円、
郵便料金
の
値上がり
で二百九十億円、これに
健康保険
の
標準報酬
の
値上がり
、料率の改定など、
国民
のふところから総計三千数百億円を吸い上げて、どうして
提案理由
に列記した
国民生活
の安定と
有効需要
の拡大をはかることができるのでありましょうか。
物価調整
さえできない
減税
、
人間尊重
の政治とはいえない
税制
、まして、
ゆとり
のある家庭の実現など見えすいた飾りだけの
減税案
は、私どもの反対する第二の
理由
であります。 これに加えて、私は、
政府
の
税制改正
が
史上最大
の
減税
というより
非情最低
の
減税
と言いたいのは、
所得税
における
最低税率
を八%より八・五%に
引き上げ
たことであります。
政府
は、今回の
減税
を
中小所得者
の
負担軽減
に重点を置いたと述べながら、この
最低税率
の
引き上げ
によって税額百億円に近いものを低
所得層
からそれぞれ奪ったことはどうしても納得できません。諸賢も御承知のように、
政府
は、
税率緩和
のために、
初年度
四百四十六億円、平年度五百二十二億円を振り向けて、
課税所得
三百万円の階層まで
税負担軽減
をはかりました。しかし、
課税所得
三百万円といえば、月に税込み三十万円程度の
所得
ある階層でありまして、四十年度の
税制調査会
の資料によれば、この階層、すなわち、
所得
二百万円から五百万円の
所得者
の四一・七%は
配当所得者
であります。 昨年十月の
大蔵省
の
税調提出資料
では、
課税所得
四百万円以上の
所得税納税者
は約九万八千人で、いまかりにこの十万人程度の
減税額
を大ざっぱに計算いたしますと、百十億円見当になるのであります。
納税者数
でいえば〇・六%程度のこの階層、しかも、
分離課税
や
配当軽課
の特典を十分享受できる
高額所得層
に相当の
減税
が行き渡り、低
所得層
からは
最低税率
を
引き上げ
て税額百億円を調整するというのは、思いやりのない政治の標本のようなもので、
政府構想
による
ゆとり
ある家庭の実現とは、明らかに、少数の
高額所得者
に対する
措置
にすぎないのであります。このため、
わが国
の
納税人員
は、
昭和
四十一年度においても二千万人をこえ、
昭和
四十年度の
課税階層別納税人員
と
納税額調べ
によれば、
課税所得
十万円の者が七百七十六万三千五百人、十万円から二十万円の者が五百八十三万三千三百人、二十万円から五十万円の者が三百八十九万七百人、五十万円から八十万円の者が九十三万八千二百人と、百万円以下の
課税所得層
は
納税人員
の九〇%をこえて、
文事どおり大衆重課
の状況に置かれ、
試験地獄
、
就職難
を突破して職場についた
高校卒業
の青少年からさえ、就職してすぐその七二%は税金を取るという、諸外国で例のない実態が続いておるのであります。すなわち、
政府
の
減税構想
は、低
所得層
に対して納税を強制し、高
所得層
に
ゆとり
のある家庭を与えるという生活の格差と、
大衆重課
の
税体系
と不均衡を拡大するもので、反対の第三の
理由
であります。 このような批判とともに、私どもが重視しておるのは、
政府
の
減税政策
に、露骨な大
企業救済
の
企業減税
がふくれ上がっておることであります。
昭和
四十一年度の
税制改正
が、本格的な
公債発行
という財政の転換期における
減税
として新しい条件下にあること、また、
租税政策
が財政の一環として積極的に
経済政策的意図
を加えていることに画期的な特徴があると思いますけれども、何といっても、
佐藤内閣
の
税制
が、蓄積ある
企業
、
企業
の
体質改善
という名において
企業減税重視
に傾き、法人の
留保所得
に対する
軽減税率
の引き下げをはじめ、建物の
耐用年数
の短縮など、合計一千七十七億円を集中して、まさしく
企業
にだけは確実な
減税
となっております。この結果、国税における
所得税減税
と
企業減税
の割合は、昨年約三対一であったのが、ことしは七対五となり、これに
租税特別措置
による大
企業
の恩典を加えると、
負担
の公平という
税制
の基本的な原則は著しく後退し、
所得税
の
減税
を優先せよという
国民
の期待は全く裏切られてしまいました。これは
昭和
三十九年十二月、
税制調査会
が三年間にわたり慎重審議した
わが国税制
の基本的なあり方に関する答申に重大な変貌を与え、財界や
政府与党
内の
企業減税圧力
に押しまくられて、
長期税制答申
は行くえの知れない御都合主義にじゅうりんされておるのであります。私ども
日本社会党
は、これを
政府
ならびに
大蔵大臣
の釈明のように、
所得
の源泉である
企業
を助けることが、今日の
不況
をすみやかに打開する当然の
考え方
と受け取るわけにはまいりません。
過剰生産
を中心とする今日の
不況
を打開するには、
物価抑制
と並んで、
減税政策
においても、直接
需要拡大
につながる
勤労所得税
、
住民税
の
減税
に重点を置いて、下からの需要を高めなければならないのであります。それを、いたずらに
企業減税
の拡大をはかりましても、大
企業
の
利潤確保
に血税を与えるだけで、一般においては
内部留保
と
借り入れ金
の返済に充てられるだけで、
有効需要
の拡大には遺憾ながらつながらないと思うのであります。私は、
好況期
においては、放漫な資金の
借り入れ
、無計画な
設備投資
で多大な利潤の追求をはかり、さて、
不況
になると、体質の改善、蓄積ある
企業
を口実にして、
企業減税
を要求する財界、大
企業
の態度には痛憤を覚えるものでありまして、真に
企業
の
体質改善
をはかるには、何でも
政府
におんぶして、
経営悪化
の改善を
税制
にたよる根性を立て直すことが肝要と思うのであります。この意味でも、
社会党案
のように、年間五千三百億円をこえる
交際費
の乱費、三千五百億円をこえる
広告費
に対して、これを抑制する
企業努力
を求め、損金不算入の割合を高める
税制
上の
措置
をとるよう要求いたしたいと思います。いずれにしても、
政府
の
企業減税重視
は、
長期税制答申
を無視して
税負担
の公平を破り、
税制
の
経済的効果
を乱用するもので、断じて賛成することができません。 なお、
相続税法
の
改正案
につきましては、
基礎控除
の
引き上げ
、
税率
の緩和など、平年度百五十億円の
減税
となっておりますが、
高額所得者
に対する
所得税
の
減税
、配当軽
課税率引き上げ
の見送りなどとともに、
資産階層
に対する手厚い配慮は、低
所得層
に対する
課税現状
と比較するとき、その
政治感覚
に疑問を抱かざるを得ません。これ、反対の
理由
であります。 以上、私は
日本社会党
の
反対理由
を明らかにいたしましたが、
委員会
における審議の段階において、それぞれ各
委員
から要望されました諸点につきましては、
政府
においても十分今後の検討を加え、これに対して、これを
国民
の声と受け取って、善処し、改善することを心から要望いたしまして、私の
反対討論
を終わりたいと思います。
三池信
4
○
三池委員長
竹本孫一
君。
竹本孫一
5
○
竹本委員
私は、民社党を代表して、ただいま
議題
となりました
税法関係
三
法案
につきまして、
所得税
及び
法人税
の
改正法案
には
反対
、また、
相続税改正案
につきましては
賛成
の
討論
を行なわんとするものであります。
所得税
、
法人税
二
法案
に
反対
する
理由
は、第一に、
中小所得者
を
中心
とする
所得税負担
の
大幅軽減
をはかるということは、その
大衆購買力
を造成して、
不況
を克服する上からも、また、
大衆
の
負担
を
軽減
して
社会福祉
の増進をはかる上からも、きわめて適切妥当な手段でありまして、
政府
もしきりにその
軽減
を強調せられておりますが、事実は、百万円から三百万円の
所得層
の
負担軽減
に力が入り、百万円以下の
所得層
については
物価
の
値上がり——
今
年度
三千数百億円といわれておりますが、その
犠牲負担
のほうがより大きいことを指摘したいのであります。
わが国所得税
の
納税者
の九〇%以上は年百万円以下の
所得
でありますが、その
納税者
の人数について見ましても、
昭和
二十八年から三十四年ころまでは一千万人もしくは一千百万人
程度
にとどまっていたのでありますが、それが三十九年以来、御
承知
のごとく二千万人を突破するに至り、今回のいわゆる
大幅減税
でもその数は特に減っていないのであります。これは
高度成長
によって
国民
の
所得
はふえ、
納税者
が増加したというよりも、
物価
のおそるべき
高騰
によって、いままで税を納めなかった
大衆所得層
までが
納税者
となった、すなわち、
物価上昇
とともに、いよいよ
わが国財政
の
大衆課税
がより広範に、より苛烈になってきたと解すべきであります。
課税最低限
を六十三万円にしたことも、
大衆
の
要望
とは大きく離れておるのであります。特に、今回の
所得税法改正
では、これまで八%であった十万円以下のものについては、これが八・五%へと、〇・五%の
引き上げ
が行なわれたり、また、
新規高卒
の者にまで
課税
が及んでいるという事実とともに、
社会開発
を強調される
佐藤内閣
の
指導理念
の不徹底をはなはだ遺憾に存ずる次第であります。 第二に、
個人事業者
の
体質
を強化するために
専従者控除
を大幅に
引き上げ
た御
努力
には、一応の敬意を払いますが、
青色申告
は一律二十四万円に
引き上げ
られましても、いまだ
完全給与制
の
要望
には遠く及ばないことも事実であります。いわんや、
白色専従者
が十二万円から十五万円に
引き上げ
られましても、なお
白色
との間に九万円もの差をつけたということは、何としてもわれわれの了解し得ざるところであります。
大蔵当局
の御
説明
にもかかわらず、われわれは
青色
と
白色
との間に差を設けること自体に
反対
であり、特に、
中小零細企業
が
不況
のしわ寄せで最も苦しんでおる今日この際、その差を一そう
拡大
しなければならないという
積極的理由
は全然存しないことを強く主張するものであります。 第三に、
中小法人
に対する
税負担
の
軽減
をはかり、
内部留保
の充実、
経済基盤
の安定に資するといわれておりますけれ
ども
、たとえば、
企業組合
についてみましても、これに対する不当な
差別的取り扱い
は一向に改められる様子もなく、これらの
零細企業
には
減税
の
恩典効果
がほとんど及んでいないのが
実情
であります。 第四に、今回の
減税
は、
国税
において平
年度
約三千六十九億円、
初年度
二千五十八億円で、戦後
最大
の
大幅減税
であり、仁徳天皇以来の大善政なりと
政府
は自画自讃しておられますけれ
ども
、
物価
の
上昇傾向
は依然として収束せず、インフレーションの気配は刻々に顕在化しつつあるのであります。思うに、今回の
改正案
のような
びほう策
ではすでに限界にきているのでありまして、たとえば、
法人擬制説
の
考え方
を改めて、
法人実在説
の
考え方
に基づく
法人税制
に改編する等の抜本的な対策を検討することが必要であろうと思うのであります。 最後に、
相続税
の
改正法案
につきましては、
課税最低限
の
引き上げ
、
相続税
及び
贈与税
の
税率
の
緩和
及び
夫婦
間における財産の形成、
相続
の
実情等
に顧みまして、
配偶者控除
の制度を新設する等の
措置
が講ぜられておりますが、これらの
措置
は、現在の
実情
に照らしておおむね妥当なものと認めて、
賛成
をいたします。 以上、簡単でございますが、私の
討論
を終わります。
三池信
6
○
三池委員長
これにて
討論
は終局いたしました。 引き続き採決に入ります。 まず、
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
及び
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
の両案を一括して採決いたします。 両案を
原案
のとおり可決するに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
三池信
7
○
三池委員長
起立
多数。よって、両案はいずれも
原案
のとおり可決いたしました。 次に、
相続税法
の一部を
改正
する
法律案
について採決いたします。
本案
を
原案
のとおり可決するに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
三池信
8
○
三池委員長
起立
多数。よって、
本案
は
原案
のとおり可決いたしました。
—————————————
三池信
9
○
三池委員長
ただいま可決いたしました各案中、
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
に対しまして、
堀昌雄
君外三十八名より、三
党共同提案
による
附帯決議
を付すべしとの
動議
が
提出
されておりますので、この際、
提出者
より
趣旨
の
説明
を求めます。
堀昌雄
君。
堀昌雄
10
○
堀委員
私は、自由民主党、
日本社会党
、
民主社会党
を代表いたしまして、ただいま
提案
をされました
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
に対する
附帯決議
の
提案
の
理由
を申し上げます。 最初に案文を朗読いたします。
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
に対する
附帯決議
政府
は、今後も引続き
減税
につとめると共に、最近の
経済事情
の推移を考慮して、各税にわたる
減税殊
に
所得税
の
減税
(
課税最低限
の
引上げ
、
税率
の
緩和
、
退職所得等
の
控除
の
引上げ
)に対し、積極的に
努力
すべきである。以上であります。 最近、諸
物価
の
高騰
その他
経済事情
は、働く
一般
の
国民
に対しては大きな
負担
を与えておるわけでありまして、これに対しまして、
政府
も、今回
所得税
の
減税等
について
財源不如意
の中で
努力
をされておるのでありますけれ
ども
、なおかつ、
日本
の
所得税
につきましては、その
負担
がきわめて重く、
勤労者
の
生活
を大きく圧迫しておることを否定することはできません。私
ども
はこの点にかんがみ、今後も引き続き
政府
は
減税
につとめるとともに、ことに、
所得税
の
減税
に
留意
をし、
課税最低限
の
引き上げ
、
税率
の
緩和
、及び長年勤務をいたしまして、その結果、
給与
のあと払い的な性格を持つ
退職金
に対しても、なお大幅な
課税
が行なわれておる点に
留意
をし、少なくとも、
昭和
四十二
年度
の
税制改正
に際しては、これら
所得税
の
減税
、
課税最低限
の
引き上げ
、
税率
の
緩和
、
退職所得等
の
控除
の
引き上げ
に対していま一段と積極的に
努力
すべきものと考える次第であります。 以上が、この
附帯決議
の
提案
の
理由
でございます。 皆さんの御賛同を得たいと思います。
三池信
11
○
三池委員長
これにて
趣旨
の
説明
は終わりました。 おはかりいたします。
堀昌雄
君外三十八名
提出
の
動議
のごとく決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
三池信
12
○
三池委員長
御異議なしと認めます。よって、
堀昌雄
君外三十八名
提出
の
動議
のごとく、
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
に対し、三
党共同提案
による
附帯決議
を付することに決しました。 本
附帯決議
に対し、
政府
より発言を求めておられますので、これを許します。福田
大蔵大臣
。
福田赳夫
13
○福田(赳)国務大臣 ただいま
附帯決議
をいただきましたが、この
附帯決議
に対しましては、御
趣旨
の線に沿って
努力
をいたします。
—————————————
三池信
14
○
三池委員長
ただいま議決いたしました各
法律案
に対する
委員会
報告書の作成等につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
三池信
15
○
三池委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 〔報告書は附録に掲載〕
——
——
◇—
——
——
三池信
16
○
三池委員長
関税定率法
の一部を
改正
する
法律案
、
関税暫定措置法
の一部を
改正
する
法律案
、
関税法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
関税法等
の一部を
改正
する
法律
の施行に伴う関
係法律
の
整備等
に関する
法律案
の各案を一括
議題
といたします。
質疑
の通告がありますので、これを許します。武藤山治君。
武藤山治
17
○武藤
委員
関税関係の四
法案
に対しまして前回
質疑
に入ったわけでありますが、途中で切れたので、きょうはひとつ
法案
の具体的中身についてお尋ねしてみたいと思います。 最初に、暫定
措置
法の問題について、今回上程されておる条文の内容についてお尋ねをしたいと思います。 第一は、重要機械類の免税の期限延長でありますが、現下の
日本
の経済状態は、かなり合理化も進み、近代化が行なわれて、
設備投資
は、どちらかといえば過剰になっている。これをもうこの辺で抑制をしていくという経済情勢にあると思うのであります。ところが、今回の
改正
によると、重要機械類の免税をさらに一カ
年間
延長するというのでありますが、その積極的な
理由
、状況、そういうものをまずひとつ明らかにお示しを願いたいと思うのです。
谷川宏
18
○
谷川
政府
委員
重要機械類の免税の
措置
をさらに一
年間
延長することにつきましては、いろいろな事情がございますが、特に、今日の
日本
の
現状
からいたしますと、自由化が着々と進んでおるわけでございますが、産業界におきましてはいまなお国産の機械では間に合わない高度の技術を必要とする面が相当ございまして、なお一
年間
は、国産不可能な重要機械類の輸入につきまして、免税の
措置
を必要とすると考えておるわけでございます。
武藤山治
19
○武藤
委員
免税を必要とするという包括的な答弁でありますが、まだ合理化が進んでおらぬ、近代化のために免税をしなければならぬその品目は、一体どんなものがあるのでございますか。
谷川宏
20
○
谷川
政府
委員
免税を必要とする重要機械類の範囲は、なお相当広範囲でございまして、たとえば、製鉄業の重要機械類あるいは原子力発電用の重要機械類、船舶関係の機械類、その他相当多数あるのでございます。炭鉱関係の機械等につきましても、炭鉱の近代化を必要といたしますので、なお外国から近代的な機械を輸入する必要があるわけでございます。
武藤山治
21
○武藤
委員
そういたしますと、三十九
年度
の免
税額
が六十億円、三十八
年度
が九十億円、こういう数字になっておりますが、四十年の推移はどうなっておりますか。
谷川宏
22
○
谷川
政府
委員
重要機械類の免
税額
でございますが、四十
年度
におきましても大体四十億円
程度
免税になる見込みでございます。
武藤山治
23
○武藤
委員
私は、そういう重要機械を減免するということについては、そういう制度ができた当時は確かにそういう経済界の要請や客観情勢も必要とされたでありましょうが、だんだん経済が変わってきて、
日本
もかなり高度な技術を持ってきた。しかし、一回既得権として認められてくると、なかなか暫定
措置
というものが暫定でなくなってしまう、こういううらみがあると思うので、そこで、そういう検討を、ただ業者が従来どおりずっと免税を認めてくれという強い要求をするから、あるいは圧力があったから、通産省はそのままうのみにして、従来どおりの暫定
措置
を続けている、こういう品目がかなりあるのではないだろうか、私、一応現在の取り扱いについてこういう疑問を持たざるを得ない。そこで、暫定
措置
ができてから重要機械類についてはかなり機械を制限をして、もうこれはできた、これはできたといって落としてきているのかどうか、それとも、最初査定してからずっと重要機械類の内容というものは変化してないのかどうか、そこらの経過はどうなっていますか。
谷川宏
24
○
谷川
政府
委員
御
趣旨
きわめてごもっともな点でございます。私
ども
もそのとおりと考えておりまして、従来一
年間
に二回見直し作業をやっており、政令の別表及び告示の
改正
は毎年二回定期的に行なっておりまして、国産可能となったもの、あるいは輸入予定のなくなったもの等につきましては削除を行なうなど、ひんぱんに品目の改定を行なってきておるわけでございます。
武藤山治
25
○武藤
委員
現在、重要機械類の品目というのは何品目ありますか。きょうは大ざっぱな数だけで、後日重要なものについての品目表をわれわれに
提出
を願いたい。
谷川宏
26
○
谷川
政府
委員
重要機械類の免税につきましては、二つのめどでやっておりまして、機械の品目自体を規定しているほか、その機械を使う産業の立場からどういう業種についてのどういう機械ということに制限を加えておりまするのでなかなか複雑でございますが、大ざっぱに申しまして、大体百見当くらいの重要機械が免税対象になっておると思います。
武藤山治
27
○武藤
委員
それは局長、後刻
資料
で一応重要機械の品目をわれわれに出すことは御異存ございませんか。
谷川宏
28
○
谷川
政府
委員
提出
いたしたいと思いますが、ただ、機械と申しましても部品を含みますので、同じ一つの機械につきましても、どういう範囲で分類するかによりまして非常に数が変わってまいりますが、御
要望
の
趣旨
に沿いまして、おわかりになるような表をつくってお出ししたいと思います。
武藤山治
29
○武藤
委員
次に、今回新設をされる国内石炭業との関係で関税を還付するという制度が設けられるようでありますが、この問題について、少し通産省のほうにお尋ねをいたしたいと思いますが、現在、ガス事業者が二百余社ある、そのうち大手三社だけが別扱いで、他の中小九十七社と称される業者は揮発油類を使用してガスをつくっている。そういう業者に対して一キロリットル当たり五百三十円の関税を還付する、こういう制度でありますが、このねらいをまずひとつ
説明
願いたいと思います。
谷川宏
30
○
谷川
政府
委員
ガス事業者に対しまして揮発油の関税を還付しているわけでございますが、このガス事業者は、その燃料といたしまして、国内の石炭政策に即しまして石炭を相当量使っておる。ガス事業者からいたしますと、石炭よりも揮発油を使うということのほうが経営効率の上からいきまして得策ではございますけれ
ども
、石炭を相当量使っておるというような事情も顧慮し、また、最近におきましては、重油、石炭に加うるにナフサを燃料として使うという事情にあるわけでございまして、こういうような事情を考えますると、公共事業であります都市ガスの事業者に対しまして、関税面である
程度
の
措置
を講ずる必要があるわけでございます。大手のガス事業者につきましては、原油の点におきまして相当恩恵に浴しておったのでありますが、中小ガス事業者が最近ナフサを相当使っておるという事情にかんがみまして、今回ナフサを使っております中小ガス事業者につきましても還付の制度を
措置
したいということであります。
武藤山治
31
○武藤
委員
そうすると局長、これは二つの面を持っておるわけですが、一つは、ナフサをたいへん使っている中小事業者と大
企業
との間に従来アンバランスができた。大
企業
のほうは原油を使っていたけれ
ども
、いままで減免
措置
があった。ところが中小のほうはいままでそういうのがなかった。そのアンバランスを解消するというのが一つみねらいで今回の
改正
を行なった。しれからもう一つは、国内石炭を開発するという意味で、石炭を使用した大
企業
に対しては、その分を関税で三百二十円還付していく、そういう二つの面を今回の
改正
は兼ね備えておる、そう理解してよろしゅうございますか。
谷川宏
32
○
谷川
政府
委員
大体そのとおりでございます。したがいまして、従来大手のガス事業者は原油の関税免除の恩恵に浴しておりますので、中小ガス事業者はその点も考慮いたしまして、今回のナフサの関税還付の率につきましては、大手のガス事業者に対しまして中小のガス事業者のほうをより多く還付率をきめるということで、中小ガス事業者に対する恩恵
措置
を講じたわけでございます。
武藤山治
33
○武藤
委員
通産省、どうですか。大手業者と中小ガス業者の消費者に配給する価格、これはどういうことになっておりますか。価格差があるのですか。
——
通産省は来ていますか。
——
それでは通産省が来るまで
大蔵省
にお尋ねしておきますが、おそらく
大蔵省
はこういう新しい制度を設けて関税をまけるのでありますから、どういう価格状態になっておって、大
企業
と中小
企業
の差を縮めようとか、あるいは
利潤
率を確保するためにこうしてやろうという具体的な通産省からの
資料
に基づいてこういう
措置
がとられておるのでしょう。ですから、ある
程度
は、この
措置
によってどういう
恩典
が与えられ、どういうふうに料金にはね返ってきて
値上げ
を抑制できるとか、いろいろなデーターがあるわけですね。
大蔵省
はその辺はどの
程度
まで関知してやっておるわけですか。
谷川宏
34
○
谷川
政府
委員
通産省から詳細な
資料
をとりまして、大手ガス事業者、中小ガス事業者の経営状態を慎重に検討してやっておるわけでございますが、燃料としてのナフサに対する関税を
軽減
するということだけでは、なかなか経営全体に対して大きな影響を与えるということはむずかしいわけでございまして、ガス事業者全体としての合理化をどう展開していくか、また、その他の
需要
に対する供給を確保するために新しくガスの設備をどうするか、そういう将来の展望とも関連しますので、なかなかむずかしい問題でございますが、一応私
ども
といたしましては、大手と中小とのガスの経営上の比較をやりまして、コスト計算を一応検討し、そしてナフサガスを使っておるもの、あるいは原油を使っておるもととの関係を考えまして、原油の免税とのバランス、また石炭を引き取っております大手のガス事業者に対しまして、中小のガス事業者がどの
程度
の経営の上において不利な状況にあるかというような点を十分検討して、このような
措置
を講じたわけでございます。
武藤山治
35
○武藤
委員
通産省がおらぬと、そういう業者の問題がわかりませんが、五百三十円の還付をすることによって、一カ
年間
どの
程度
総額達しますか。四十一
年度
の見込みはどの
程度
減税
になるのですか。
谷川宏
36
○
谷川
政府
委員
四十一
年度
の還付の見込み額でございますが、中小ガス合計いたしまして約二億三千万円、大手のガス事業者につきましては、これは東京瓦斯、東邦瓦斯、大阪瓦斯の三社でございますが、約一億一千万円、合計いたしまして三億四千万円がナフサの還付の見込み額でございます。
武藤山治
37
○武藤
委員
大手三社で一億一千万円関税が安くなる。九十七社で二億三千万円、一社当たりにすると、これは大
企業
のほうはますます恩恵が厚くなって、中小事業者のほうは多くの数で分けるのですから、これはほんの微々たる金額になるわけです。そこで、料金を抑制する、
提案
趣旨
には
物価
騰貴を押えるという
趣旨
も書かれておるわけでございますが、この
程度
のこういう
措置
で大
企業
と中小九十七社との消費価格のバランスがとれるのかどうか^そこらの点は通産省によく聞きたいわけですが、まだ見えていないわけですね。そこらはどうなんですか。料金のほうは、
大蔵省
はどう見ておられるわけですか。
谷川宏
38
○
谷川
政府
委員
大手のガス会社が使用するナフサの数量と、中小ガス会社が使用するナフサの数量が非常に大きな違いがございますのでこういう結果になるわけでございますが、大手三社の四十一
年度
のナフサの使用見込み量は約四十万キロリットル、中小ガスのナフサの使用見込み量はそれを若干上回る数量で四十四、五万キロリットルということになっておりまして、全体の数量から見ますると、還付の率が中小に非常によくなっておりますので、還付総額といたしましては、逆に中小ガスのほうが大手の二倍
程度
を見込めるという状況でございます。
武藤山治
39
○武藤
委員
そこで、大
企業
が石炭を使った場合は、その石炭の一定量について従価六%に相当する三百二十円を還付する、その一定量の石炭を使うということは、石炭鉱業
審議
会の三千五百万トンの目標達成に年次計画を立てて石炭を掘っていこう、そういう施策からいくと、国内の石炭産業を振興するために、ガス業者としては年々どの
程度
年次計画で石炭を使用するようにするのか、そこらのかね合いと
減税
との問題は、
大蔵省
はどう把握されてやっておられるのですか。
谷川宏
40
○
谷川
政府
委員
この問題は、エネルギー資源全体の将来の計画をどうするかという点と関連いたしまするし、また、石炭産業に対する対策をどういうふうにとっていくかという点と関連いたすわけでございまして、これらの点につきましては、石炭鉱業
審議
会でありまするとか、エネルギー資源の計画
審議
会等におきまして慎重に検討しておるわけでございます。
大蔵省
といたしましては、そういう石炭対策の
審議
会の
答申
が近く出る見込みでございまするので、その
答申
を十分に検討いたしまして、将来、ガス事業者の使用する石炭がどういうテンポでふえていくか、あるいはどういうふうになっていくかという点も十分考えて、今後のガス製造用の原油の免税、あるいはこのナフサの還付の問題等につきましては、今後それらとの関連を十分考えて今後検討してまいりたい、しかし、ことしの四十一
年度
分といたしましては、
提案
いたしましたようなことでとりあえずやってまいりたい、こういうことでございます。
武藤山治
41
○武藤
委員
この一定の率というのは、一定量の石炭取引というのは、全体のガス会社の燃料使用量の何%石炭を使った場合という規定のしかたですか。この一定量の石炭を使うという基準は何ですか。
谷川宏
42
○
谷川
政府
委員
都市ガスの原料が石炭、コークスの固体燃料から液体燃料にだんだん変わってきておるわけでございますが、四十年の見込みで申しますると、まだ集計がすっかり終わっておりませんので、四十年の見込みの数字で申し上げますと、都市ガスの原料全体を一〇〇%といたしました場合、石炭を原料とするものが四四%となっております。
武藤山治
43
○武藤
委員
石炭を四四%使うと、トン数にしてどのくらいの石炭を使用することになりましょうか。
谷川宏
44
○
谷川
政府
委員
四十
年度
におきましては、国内原料炭の使用計画は約三百万トンでございます。
武藤山治
45
○武藤
委員
次に、暫定
措置
法関係では新たに設けられるものに石油化学製品等の触媒の免税と、LPGの製造原料の揮発油と、これは簡単にお答えを受けたいのでありまするが、この二つを新設した
理由
、これをまず明らかにしていただきたい。
谷川宏
46
○
谷川
政府
委員
触媒につきましては現在免税の取り扱いになっておりますが、今回触媒担体の免税を追加したわけでございます。これは最近触媒自体の国産化が進んでおりまして、触媒自体を国産化いたします場合に必要なものが触媒の担体でございます。この触媒の担体を免税することによって触媒の生産工業の発展をはかる、こういう
趣旨
で触媒担体の免税を追加したわけでございます。
武藤山治
47
○武藤
委員
次に、今回の
改正
の大きなねらいとしては、後進国対策の関
税率
の引き下げ、これが何といっても暫定
措置
法関係では大きな問題でありますが、この十六品目を今回新設することによって、国内の農産物、大豆やあるいはその他の豆類がたくさんございますが、そういうものに対する圧迫とか、
日本
農民の製造しておるものと競合すると思われるものはこの中にはないかどうか、この十六品目と
日本
の農産物との関係はどのように検討されておりますか。
谷川宏
48
○
谷川
政府
委員
低開発国関係の一次産品の輸入関税につきまして引き下げ等の
措置
を講じておるわけでございますが、それによりまして、国内の農業に対する影響がどうなるかという問題でございますが、私
ども
国内の農業に対する影響を最小限度に食いとめ、そうしてこれらの産品が入ってまいりましても、国内の農業の近代化進行に対しまして支障がないように配慮してやっておるわけでございます。
武藤山治
49
○武藤
委員
局長、けさの
日本
経済によると、外務省は、東南アジア閣僚
会議
を何とか持ちたい、その
会議
できめたいのは、東南アジアとの長期輸入の問題を
——
これは農林省の関係と外務省の対立になるわけでありますが、
大蔵省
はその中間で、結局、そういう輸入の大きな問題についてはまた
大蔵省
で最終的には検討しなければならぬ問題でありますからちょっとお尋ねしておくのでありますが、これによると、結局東南アジアから買ってやるものはあまりないから、米を長期契約で、年次計画で買い付ける、そうして
日本
の貿易を盛んにしようという
構想
が、けさかなり詳しく報道されております。こういうものについては、外務省が一方的にばんとこういう
構想
を打ち出す前に、
大蔵省
と一体どの
程度
打ち合わせをやっておるのでしょうか。皆さんのほうは、
日本
農民の保護という立場から、高関税をバナナにかけたり、あるいは
日本
の国内にないものは無税にしたり、いろいろそういう国家的見地から検討をしておる
大蔵省
でありますが、こういう外務省の
構想
などを幾らか聞いておるのですか。いままでに米の長期契約によって東南アジアとの貿易振興をやる、こういう外務省の
方針
などは
大蔵省
と話し合っていることですか、どうですか。
谷川宏
50
○
谷川
政府
委員
米の問題は非常にむずかしい問題でございまして、私
ども
関税政策をきめる場合に、農林物資の関税をどうするかということはなかなかむずかしい問題でございます。農業政策の面におきまして、将来米の問題をどうするかということにつきましては、農林省等で相当深い研究がなされております。これらを私
ども
聞きまして、農林物資に対する関税のあり方等を検討するわけでございますが、外国における米の栽培等の問題につきまして大ざっぱにはいろいろな問題があるということは
承知
しておりますが、具体的に今後どういうふうにするかというようなことにつきましては、まだ外務省から正式に聞いておりません。
武藤山治
51
○武藤
委員
そこで、原則的な関税取りきめの問題あるいは今日の関税関係のあり方から見て、特殊な地域だけ特別な契約を結ぶというグローバル方式と申しますか、何かそんな方式があって、そういうものを取りきめる場合には、おそらくどこの国にも平等にやれ、一定の地域だけ米の輸入について取りきめをするということは、国際関税協定というか、そういう
会議
の場では禁止されているという話も聞いている。そこで、こういうことを外務省が打ち出すからには、いろいろな角度から方々へ波及する問題が大きいと思うのです。そこで、関税関係の法規の中で、あるいは国際慣例の中で、東南アジアだけ特別に米の取りきめを長期的にやることは可能なのかどうか。そこはどうですか。
谷川宏
52
○
谷川
政府
委員
関税をできるだけ下げて国際貿易の増進をはかるということは世界の大勢でございますが、しかし、農産物につきましては、世界各国とも、国内の農業政策との関係もございまして、非常にむずかしい問題でございます。
日本
の場合におきましても、農産物の関税をどの
程度
下げるか、消費者の利益との調整をどうするか、これはきわめてむずかしい問題でございますが、私
ども
といたしましては、
日本
の農産物についての生産政策、価格政策等の動向を十分考えて、農林省とも十分連絡をして農産物に対する関税をきめていかなければならぬ。一方、農産物の輸入をした場合に、国内の農業にどの
程度
影響を与えるかは、
日本
の場合におきましても非常に大きな問題でございますが、世界各国とも、農産物を相当数量輸出している国は別として、輸入しなければいけないような国につきましては、一方、国内の農業との関係をどう調整するかが非常にむずかしい問題でございまして、関税交渉の場におきましても、それぞれその国の立場に立ちまして、農産物品についての関税をどう扱うか、非常に重要な問題でございます。
武藤山治
53
○武藤
委員
日本
の農民がそれでなくとも貿易自由化で非常な心配をしておるのでありますから、外務省がかってにばたばた米の長期買い付けを約束するなんという記事を出すだけでも農民に与える動揺は非常に大きいのでありますから、政務次官、こういう点は、各省間の連携というものをもっとはかるべきだと思うのですが、副大臣の見解はいかがですか。
藤井勝志
54
○藤井(勝)
政府
委員
武藤
委員
の御意見ごもっともでありまして、役所側も横の連絡がとかくセクショナリズムで不十分だということはわれわれも体験をしておるわけでありますが、特に国家的利益に直接関係のある問題については配慮しなければならぬことはお説のとおりであります。ただ問題は、新聞のほうも、何かちょろっとかいま聞いたことを、いかにも外務省の見解のごとく報道をするという
傾向
なきにしもあらずで、これはまだ外務省の熟した意見ではない、このように思うわけでございますが、問題の性質、お説のとおりでありますから、よくこちら側からも横の連絡をとりたい、このように思っております。
武藤山治
55
○武藤
委員
それから
関税局長
、今回の暫定
税率
の
適用
期限を延長する八十四品目のうち、ケネディラウンドの一括引き下げの中で、各国が留保するものと引き下げられるものとのリストをすでに
日本
は
提出
したわけですね。フランスはまだ出していない。EECは出していないようでありますが、この八十四品目の中で、すでにリストを
提出
して、これはこの
程度
まで下げていい、これは下げられぬという、
日本
の今日の暫定をずっと続けなければならぬ、保護しなければならぬという品目は、八十四品目のうちどのくらいあるのですか。最終的に、どうしてもこの関税問題だけは
日本
として譲れないという品目は八十四のうちどのくらいあるか。すでにガット
会議
へ出した、一括引き下げのほうへ出したりストの中で、この八十四品目の中でずっと
日本
でこの障壁だけは残さなければならぬ、自由化できない、あるいは完全な関税引き下げができないと思われるものは最終的に何品目くらいあるのですか。
谷川宏
56
○
谷川
政府
委員
日本
がガットの一括引き下げの交渉に当たりまして例外リストとして出しましたのは、鉱工業品を
中心
にして出しておるわけでございますが、二百五十六あるわけでございます。これと今回の暫定延長をする八十四品目との関係でございますが、現在各国間で例外リストの検討をやっております。
日本
の出した例外リストにつきましても、これを例外からはずして引き下げることができないかどうかという点、二国間交渉を続けておるわけでございますが、最終的にどの
程度
の線でまとめるかということは、外国との関係もございます。外国が出しておる例外リストを相手の国がどう扱うかということで、かけ引きの問題もございますので、なかなかむずかしい問題でございますが、できるだけ関係各省と十分相談をしながらこの検討を進めてまいりたいと思います。今回の八十四品目のうちのどれを最終的にまでがんばるかどうかという点につきましては、今後十分慎重に検討してまいりたい、こう思います。
武藤山治
57
○武藤
委員
次に、暫定関税免税あるいは還付制度の期限延長の中で、先ほど重要機械類についてお尋ねしたのでありますが、その他、給食用脱脂粉乳、あるいは原子力研究用物質、いろんなものがまだありまするが、給食用脱脂粉乳は、これは最近でもかなり量は減らずにきておるのか、その推移はどうなっておりますか。学校の児童は脱脂粉乳を好まないで、学校ではもう手をやいておる、こういう
実情
にあるのに、こういうものは、推移としてまだかなり減らぬ情勢にありますか。
谷川宏
58
○
谷川
政府
委員
三十五年以降の推移を見ますると、若干ずつふえてまいっております。四十年におきましては、まだ的確な数字はつかんでおりませんけれ
ども
、給食用脱脂粉乳の免税の対象になりました数字は、三十五
年度
が三万六千トン、三十六
年度
が二万三千トン、三十七
年度
が四万三千トン、三十八
年度
が五万九千トン、三十九
年度
が六万三千トンということになっておりまして、現在、なお相当数量の給食用の脱脂粉乳について免税をする必要があると考えておるわけでございます。
武藤山治
59
○武藤
委員
私はあまり貿易のことは知らぬ立場でありますが、脱脂粉乳を輸入するのは、普通の商社が輸入をして、全国給食会みたいなところに販売をする、そういう形式なのか、それとも、国が監督か管理か、そんなような形で輸入しているのか、この脱脂粉乳の輸入経路というのはどうなっておるか、その輸入する際の原価と、末端で児童に飲ませる、学校へ配給される価格というものは、一体どの
程度
開いているのか、その辺もひとつ明らかにしていただきたい。
谷川宏
60
○
谷川
政府
委員
給食用の脱脂粉乳につきましては、学校給食会が窓口になりまして、配給の具体的なやり方、また数量の取りまとめ等をやっておりますが、その学校給食会が取りまとめました数量につきまして、輸入をする場合におきまして商社と交渉するわけでございますが、実際の取引の窓口はほかの物資と同じように商社になっております。しかし、商社はかってにこれを輸入できない、学校給食会の指図によりまして商社が輸入するということで、その点、ほかの横流し等を未然に防止しなければいけないという点もございまして、厳格に輸入の手続をきめておるわけでございます。
武藤山治
61
○武藤
委員
輸入の数量につきましては、給食会が全国で数量をまとめて、下半期このくらいほしいとか、一
年間
このくらいほしいとかきめる。その点、私も別に横流しとか何かの疑問はないと思うのですが、問題は価格の問題ですね。うわさによると、全国給食会が数十億円の利益金を持っているといううわさが飛んだり、あるいは、商社が買い付けた値段よりもかなり高い値で給食会へそれを配給しているとか、そこで、輸入価格と、給食会へ売却する卸価格と、さらに県の
段階
を通じて小学校まで行くまでにかなりの経路を経て高い牛乳を飲まされている。脱脂粉乳はまずくて栄養がなくて高いと、だいぶ父兄には不満が多いわけであります。そこで、価格の
段階
別のあれがわかりますか。
谷川宏
62
○
谷川
政府
委員
脱脂粉乳の輸入価格は、最近の数字で見ますると、一キログラム当たり六十八円でございますが、これに対しまして私
ども
は関税をかけるのでございます。二五%の関税が普通であればかかるわけでございますが、給食用脱脂でございますから、これを免税にする。この六十八円の輸入価格が末端の児童に給食する場合にどの
程度
になるか、できるだけ文部省等と連絡いたしまして、せっかく免税にしているわけでございまするから、いろんな諸掛かり等をできるだけ切り詰めるように、文部省と相談をしてやっております。
武藤山治
63
○武藤
委員
相談してやっているところまでは了解しますが、その中身を知りたいわけなんです。ここでいま答弁しろと言っても、文部省を呼んでないからわからぬし、給食会の内容が十五億余剰金を握っているとか、いろいろうわさがあるけれ
ども
、それはあなたに聞いてもここでは究明できませんから、それは文部省にあとで聞くことにして、一回、一キログラム六十八円で輸入されたものが児童に幾らで飲まされているかという経路別の価格表をひとつ
資料
として文部省から皆さん取り寄せて、それから全国給食会の内容についても、いま言ったように
利潤
が十五億円もあがるなんということ自体がおかしいのでありまして、そんなにあがるのだったら、関税を免税までして恩恵を与える必要はないので、そこらの点もひとつ
大蔵省
としてきちっと調べた結果を本
委員会
に
資料
として御報告を願いたい。局長、いかがでございますか。
谷川宏
64
○
谷川
政府
委員
直接のお答えにはならぬのでございますけれ
ども
、いま手元の
資料
によりますると、小学生の場合、一人一食当たり二十六グラムでございますが、この給食の原価が一円九十五銭諸掛かり等が約十八銭ということで、一割足らずでございます。こういう点から考えますると、
経費
等につきましては相当合理化をはかっておるのじゃないかということが言えると思います。 なお、学校給食会の問題等につきましては、文部省のほうから
資料
を出すことが筋道だと思いまするので、そのように連絡をしておきたいと思います。
武藤山治
65
○武藤
委員
いまのは、ひとつ
委員会
としても、正式に文部省から、その価格の推移について、輸入価格、全国給食会が受ける価格、県に渡す価格、さらに、それを各学校に配給する価格、これらの
資料
を取り寄せられるように、ひとつ
委員長
としても事務当局に手配を願いたい。
三池信
66
○
三池委員長
承知
いたしました。
武藤山治
67
○武藤
委員
次に、きょうは
法案
の賛否をきめる質問のつもりでやっておりますので、こまかく一つ一つお尋ねいたしますが、原子力研究用物質、これも免税になっておるのでお尋ねいたします。 つい最近、何かアメリカから送ったウラン鉱か放射性物質が税関で行くえ不明になっちゃった。テレビもラジオも新聞も、見つかった人はすぐ申し出てくれということでだいぶやっておりましたが、その後これは発見されたのですか。発見されたとしたら、どういう手落ちで、税関のどういうところでこういうものが行くえ不明になってしまったのか、人間が少な過ぎるのか、機構が不備なのか、そこらの点もひとつそれに関連してお答え願いたい。
谷川宏
68
○
谷川
政府
委員
最近羽田の空港の中で紛失した問題があるわけでございますが、これは航空会社が輸送してまいりまして、航空会社の保税上屋に保管している間に紛失したのではなかろうかということで、現在調査しているわけでございますが、税関といたしましては輸入の正規の許可をしておりまするし、その物品に対する搬出届けを
提出
しておりますので、実際の
需要
者が航空会社から荷物を受け取る態勢にあるわけでございまして、問題は、その航空会社の保管がどういう状態にあったか、責任があるかどうかという点につきまして、主として捜査当局で調査を進めておることでございまして、税関当局としては関係がないという問題でございます。
武藤山治
69
○武藤
委員
しかし、税関に責任はないとしても、保税倉庫なり保税上屋なり、そこに、飛行機からおりたら荷物をすぐに直接持っていくわけですね、上屋に入れておいていいものは……。そういう場合には税関は全然ノータッチで保税倉庫や上屋へは貨物は入ってしまうのですか。その入るときにどっかで一回検査するということはないわけですか。そこはいかがなんですか。
谷川宏
70
○
谷川
政府
委員
輸入物件につきましては、原則として検査をするたてまえになっておりますが、事務の合理化をはかるたてまえから、私
ども
内部で検査を必要としないものと必要とするものと分けておるわけでございますが、従来、検査しなくても弊害ないというようなものにつきましては、検査してない、先般紛失いたしましたものにつきましても、輸入の検査をしなくてもいい種類の物品でございました。 なお、その保税上屋の監督は税関でございませんで、航空会社の保税上屋につきましては、運輸省が監督しておるということでございます。
武藤山治
71
○武藤
委員
保税上屋の監督は全部運輸省ですか。
——
そうすると、今度法
改正
で保
税制
度の簡素化、合理化が行なわれて、かなりゆるくなるわけですね。そうなると、
大蔵省
の監督、税関の監督が十分できないような管理権を運輸省が持っていて、税関はただそれを動かして搬出したりする場合だけ許可を与える。入れるときには運輸省がかなりの、半分くらいですか、何%くらいかわからぬけれ
ども
、税関の許可なしに、調査なしに上屋へ入れられることになると、今回の
改正
で簡素化、合理化をはかることによって、一そうこの間みたいな問題が起こり得るし、また脱税もしやすくなる、そういううらみが出てきやせぬかと思うのですが、心配ありませんか。今度の簡素化、合理化で申告制にしたり、あるいは二
年間
工場の中に常置しておけて、またそれを再輸出すれば心配ないかと、いまのような状態ではかなり問題が出てきやせぬかと私は心配しますが、いかがですか。
谷川宏
72
○
谷川
政府
委員
いまのお話のような心配は毛頭ないわけであります。保税上屋は、単に物をそこに一時置いておくというための設備でございますが、そこに入っているものについての関税面についての監督は、もちろん税関当局が責任を持ってやるわけでございますが、輸入物品が入ってきたその保税上屋から物を出す場合のチェックも税関当局がやっておるわけでございます。一ぺん保税上屋に入ってきたものがかってに持ち出されるということはないわけです。持ち出す場合におきましては、搬出届けを出す、また、その前に輸入の許可の手続を踏まなければならない。輸入許可をするかしないかにつきまして、いろいろな点も考慮して税関当局が厳格にやっておるわけでございます。ただ、航空会社の保税上屋の管理、監督につきましては、いまのところは運輸省が監督しておるということでございまして、物に対する監督、管理は、
大蔵省
か十分手続を通じて厳格に施行するということになっております。
——
先ほど、保税上屋の監督につきまして、税関でございませんで、運輸省が監督しておると申し上げましたが、これは少しことばが足りませんでしたので、訂正させていただきます。 保税上屋の監督は、税関と運輸省との共管でありますので、御了承いただきたいと思います。
三池信
73
○
三池委員長
武藤
委員
に申し上げます。いま通産省から熊谷
公益事業局
長、南島
貿易振興局
長、今村
通商局次長
、高橋経
済協力部長
、四人がお見えになっておりますから……。
武藤山治
74
○武藤
委員
せっかく、いま羽田の税関問題が、ウランが紛失したところまでいって、いいところまでいったわけですから、これをもう少し続けます。 過般、私たちは羽田の税関の視察に行きました。御
承知
のように、羽田空港は世界でも非常に飛行機の乗り入れの多いところになり、しかも、
日本
が自由天国だというので、飛行機が一斉に夜着陸するようなスケジュールが非常に多い。そのために、羽田の職員は昼間ひまで、夜集中して作業にかかる。しかも、飛行機がひんぱんに時間を詰めて来るものですから、携帯品のさばきが非常にのろい。おそらく局長も世界を歩いたと思いますが、世界の飛行場をずっと歩いてみて、荷物の処理される時間は、
日本
の羽田が非常におそいという時間的統計数字が出ているように私たちは聞き及んでおる。そういう東京税関の定員の問題を調べてみても、東京は千百七名が定員、横浜が千四百五十一名、神戸が千六百八十九名、これの絶対数字が多い少ないということは、私は論ずる資格はありません。しかし、羽田の場合には品物だけをさばくのではなくて、人間が一緒についてきている。生きた人間を相手にしているわけですね。ですから、あまり時間を待たせて不愉快な思いをさせたりすることは、観光
日本
の玄関口でがっかりさせられてしまう、こういう問題が羽田の定員をめぐる大きな問題としてあると思う。そこで、本年は
大蔵省
設置法の
改正案
は出してない。したがって、絶対数の増員はしないのかもしれませんが、こういういまの羽田空港の
実態
というものを局長は認識されて、これに対して何らかの処置をしなければならぬとお考えにならなければならぬと思うのでありますが、その辺についての局長の現在の検討状況はいかがでございますか。
谷川宏
75
○
谷川
政府
委員
お話のとおり、羽田空港の税関業務をさらに円滑にやらなければいけないということにつきましては、私
ども
同じように考えておるわけでございますが、何ぶん輸入物件の件数もふえてまいりますし、また、
日本
に入ってくる入国の旅客の数もふえてまいっておりますので、そのふえ方に対しましてなかなか人の配置がうまいぐあいにやっていけない非常にむずかしい事情がございますけれ
ども
、三十五年以降羽田のこの五
年間
の税関支署の人員は、特に旅具の監視、こうした人員につきまして約倍
程度
にふやしておるということでございまして、倍にふやしても、なおかつ、飛行機の数あるいは旅客の数等がそれ以上上回ってふえておりますので、今後業務の合理化、
重点
化
——
もちろん取り締まりを厳格にやる必要がある面につきましては、
重点
的に、機動的に取り締まりをやらなければいけませんけれ
ども
、業務全体をもっとより合理的に、計画的にやることによって人員の不足をカバーしてまいりたい、ことし四十一
年度
におきましても、定員は、税関全体として十八名、
大蔵省
内部のやりくりでふえておるのでございますが、東京税関、特に羽田税関支署に対しましては、欠員の補充等を含めまして約五十名
程度
人をふやしたい。これは四十
年度
におきましては約三十名
程度
の増員がございましたけれ
ども
、それ以上に、全国の税関の人員を操作いたしまして、羽田空港の業務の処理に遺憾ないように人の配置を考えてやってまいりたい、こういうふうに思います。
武藤山治
76
○武藤
委員
そうすると、本年はどこかの税関の人員を配置転換して、東京へ持ってくる、こういう考えですか。その場合、大体予想できるのは、どこの税関をどこへ持ってこようと考えているのか、その辺具体的にひとつ……。
谷川宏
77
○
谷川
政府
委員
大きな
考え方
といたしましては、地方の税関から業務の非常にきつい税関に人を回すという
方針
でございますが、四十一
年度
といたしましては、四十一
年度
当初の欠員が全国的に約百五十名
程度
ございますので、その欠員を
——
政府
一般
の
方針
といたしましては補充してはいけないということでございますが、特に、税関業務の特殊性からいたしまして、これは補充してよろしいということになりましたので、この欠員を補充する、その場合に、現在の定員を一ぱいそれぞれ埋めることなしに羽田税関により厚く人が配置できるようなやり方で操作をしてまいりたい、こういうことでございます。
武藤山治
78
○武藤
委員
そういたしますと、職員の配置関係は、今回新たに九港が開港される、それから空港も二カ所ふえるわけですね。今回のこの開港だけで必要とする最少人員というのは、どのぐらいになるのですか。
谷川宏
79
○
谷川
政府
委員
今回、関税法上の開港になるもの、あるいは税関空港になるものは合計十一カ所あるわけでございますが、すでにここにおきましては、監視所でありますとか、出張所がございまして、税関の機能を営んでおりますが、今回、開港、税関空港になるに伴いまして、さらにふえる仕事もございます。しかし、これに対しましては、場合によりましては、機構の増強を行ない、また、人員の若干の増員を行なうということを考えておりますが、現在全体の人のやりくりをどうしたらいいか、目下検討中でございまして、遺憾ないように処してまいりたい、こう思います。
堀昌雄
80
○
堀委員
関連。 いまの通関の問題でありますけれ
ども
、荷物のほうはさることながら、これは私
ども
最近羽田をちょっと視察いたしましたから特に目についたのですが、おそらく、最近は羽田のような航空関係だけではなくて、横浜とか神戸とか、観光団が船で来ておる例が相当あると思うのです。そこで、私この間見た感じで、ひとつぜひこれは改めてもらいたいと思うのは一いま
一般
の税関、神戸とか横浜の税関で旅具関係で通関をする人たちと直接接触をしておる者の大体の経験年数というか、役人でいえば等級といいますか、これは一体どの
程度
の者がそういう入国する人に直接接触をしておるのか、
一般
的にお答えをいただきたいのです。
谷川宏
81
○
谷川
政府
委員
旅具の担当者につきましては、できるだけ常識豊かな職員を配置することが適当だと考えますが、一方、こういう職員は、当直、夜勤を相当ひんぱんにやる必要がございますので、あまり老年の職員でも適当ではないということでございます。
現状
におきましては、たとえば羽田の支署の例をとりますると、
一般
の東京税関全体の
平均
年齢が大体三十歳でございますが、羽田の支署の旅具関係の職員につきましては
平均
が三十五歳ぐらいでございまして、経験年数におきましても、大体十年経験の者が非常に多いという状況でございます。
堀昌雄
82
○
堀委員
私は、いまの問題は人間の数が非常に関係があると思います。特に羽田の場合には、飛行機の発着の時間等のために、午後八時から十時か十一時ごろまでの間に非常に集中的に通関業務が行なわれる、こういうことになっておりますから、やはりそこらに
——
私はこの間見に参りまして、やはりもう少しあそこにそういう時間に人が配置されておればスムーズに通関業務が行なわれるのではないか。それからもう一つは、通関の仕事の中で、古くなると事務のほうへ回っていく人がだんだんふえてくるのではないかと思いますが、やはりこれはことばもありますし、扱い方、経験等があるから、全部をそういう古い人たちばかりというわけにはいかないと思いますけれ
ども
、三名なら三名入っているのであれば、その中に一名ずつ、より熟練の者を入れて、できるだけそういう人が全体を見ながら、ちょっとまずいと思うときはかわってその人が処置をするというふうに
——
これはやはり何といっても、
日本
のいろいろな感じを一番最初に観光なりで来られる外国人が受けるのは、これは通関業務でありますから、そういう意味では、特にこの点、人員の増加とともに、内容のレベルアップ、経験の豊かな者をそこへ配置して、そうして何か事務職になったらえらくなったというような感触を払拭して、あそこが税関における第一線の最も重要な部分だという感じを職員全体が持つ、もちろん、当直その他の関係もありましょうから、そこは十分配慮していただかなければならぬとしても、それらの問題の処置は、税関付近における公務員宿舎の設備等を配慮すれば足りる面もあろうかと思いますから、その点については、単に関税局だけでなくて、次官、ちょっと聞いておいてもらいたいのですが、そういう宿舎の施設の問題を含めて、やはり
日本
の今後の国際収支の中に占める観光
収入
というものはもっと考えなければならぬ問題がたくさん含まれているわけですから、そういう面からひとつ十分検討してもらいたいと思いますので、最初に
関税局長
から私の考えに対する答弁を、あわせて、公務員宿舎等を含めて
大蔵省
全体としての処置については次官からお答えをいただきたいと思います。
谷川宏
83
○
谷川
政府
委員
まことにごもっともなことでございまして、私
ども
、現在におきましても、先ほど御
説明
申し上げましたように、できるだけ経験豊かな職員を配置しておりますが、なお一そう御
趣旨
のことを考えて将来善処してまいりたいと思います。 なお、人員の増強等につきましても、私
ども
のできる範囲内で全国の税関全体として考えて、そして仕事の繁忙なところにできるだけ人をよけい配置するということで目下計画を進めておりますので御了承いただきたいと思います。 なお、職員の宿舎等につきましても、
大蔵省
の関係部局の御協力を得まして、羽田の付近に最近においても独身の宿舎が完成する予定になっております。今後羽田税関支署に人員を増強した場合の宿舎関係についても遺憾のないように現在いろいろ計画を進めておりますので、御了承いただきたいと思います。
藤井勝志
84
○藤井(勝)
政府
委員
御
趣旨
の点、私も全く同感でございまして、実は先般航空センターが羽田の飛行場にできましたときに、私はでかけまして、先ほどの御
趣旨
のような点も強調いたしますと同時に、今後量質ともに羽田にひとつ集中するということを内部において相談をいたしております。
堀昌雄
85
○
堀委員
あわせて、先ほどからお話にありますように、旅客機の到着その他が非常にアンバランスといいますか、昼間はあまり通関かなくて、ある一時期に通関がある、こういう状況になっております。要するに、次官、ちょっと次官
会議
か何かで少しやっておいてもらいたいと思うのは、
日本
は非常に外国に対して弱いので、向こうから航空機で何時に着くなんということになると、もう向こうの言いなりほうだいに発着が行なわれる。これはやはりある
程度
日本
側としても、この発着時間についてはこういうふうにしてもらいたいとか、少し対外的に話し合いによって時間帯を分散しないと、そのことは通関業務にとどまらず、航空事故の原因にもなりかねないわけでありまして、非常にいろいろ今後問題があることでありますから、今回のああいう事故にかんがみて、これはひとつ運輸省、外務省等とも連絡をとって、飛行機の発着時間をもう少し分散するような
措置
をまずとってもらいたい。この
措置
をひとつ
政府
として考えてもらいたいということが一点。 それから二点目は、今度は税関職員につきましてもいろいろと労働密度の問題等があって、官側としてはこれでいいという考えでいろいろな取り扱いを考えておられるようでありますけれ
ども
、やはり労働の問題については、税関職員の立場にも立って、十分ひとつ話し合いの上に無理のないようなかっこうで、しかし、労働密度が
平均
的に分散をするように、こういう
措置
を考えてもらいたいと思うのです。やはり業務の特殊性とそれから業務の増加に見合って人員が必ずしも増加をしないといういろいろな複雑な面をかかえておる税関としては、そういう代替職員の問題についても、十分ひとつ慎重な配慮をしてもらいたい。この二点を特に強く
要望
しておきますので、これについてのお答えを伺って、私の関連質問を終わります。
藤井勝志
86
○藤井(勝)
政府
委員
航空機の発着時間の分散の点につきましては、従来も、
大蔵省
としても運輸省に相当積極的な申し入れをしております。しかし、相手のあることで、なかなか簡単にまいりませんけれ
ども
、御
趣旨
の点はごもっともでありますから、一そう今後横の連絡をとりまして御
趣旨
を生かしたい、このように思います。 それから、勤務環境の
改善
の問題につきましては、これまたお説のとおりでありまして、これもよくひとつ横の連絡をとり、総合的に解決していきたい、このように思います。
武藤山治
87
○武藤
委員
まあ、ウランから羽田空港
改善
策についてはこの
程度
にとどめて、通産省せっかくお見えになりましたのでお尋ねいたしますが、先ほど留守中に
大蔵省
にいろいろ尋ねてきたのでありますが、今回の
措置
でガス業者に対する関税を戻す、その場合、大手の三社と中小の九十七社のガス業者の間の、消費者に渡るガス価格の問題ですが、現在これは開きがあるのかないのか、通産省が全部統一をした価格で、大小にかかわりなく一本の価格になっているのか、これはどういうぐあいになっておりますか。
熊谷典文
88
○熊谷
政府
委員
御説のように、ガスの料金は現在のところ原価主義でやっております。現在のガス事業者といいますのは、全国で二百社をこえております。ところが、使います原料は種々雑多でございます。したがいまして、一本の料金ではないわけでございまして、それぞれ各社によって個別の料金が定められておる、こういう状況になっております。高いところは、一万カロリーで申し上げますと七十円から安いところは四十円、大体二百社がこの間にたまっておる、こういうような状況になっております。
武藤山治
89
○武藤
委員
そうすると、七十円から四十円までかなりの差があるわけでありますが、この場合は、やはり中小メーカのほうが高くなっておりますか。その差はどういうぐあいになっておるか。三大ガス業者と他の業者との価格差はどのくらいありますか。
熊谷典文
90
○熊谷
政府
委員
三大ガス事業者は大体一万カロリーで五十円見当になっております。それから、天然ガスを使っております中小ガス事業者は、これより安く大体四十円見当、こういうことになっております。ところが、それ以外の業者は五十円より高い六十円、七十円、こういうことになっておりまして、結論から申し上げますと、大手三社より天然ガスを使っているものは安い、それ以外の大部分のものは高い、こういう状況になっております。
武藤山治
91
○武藤
委員
そういたしますと、今回の免税
措置
によって、この価格差を、通産省の指導によってある
程度
差を固定させよう、そういうねらいはあるのかないのか。ただ安ければ安いほうがいいということで、圧力で、業者の希望で関税が免税になるのか、そこらの通産省の行政指導はどうなんですか。
熊谷典文
92
○熊谷
政府
委員
料金関係は先ほど申し上げたとおりでございますが、ガス事業者の経営の
実態
を見てみますと、御
承知
のように、どちらかといいますと、地方ガス、小さなガス事業者のほうの経営
実態
が悪うございます。料金は高いわけでございますが、二百社のうち、三分の一は無配なり欠損をしておる、こういう状況になっております。その
理由
と申しますのは、結局経営規模が小さ過ぎる、こういうところに原因があるわけでございます。したがいまして、通産省といたしましては、地方ガスにつきましては、御
承知
のようにLPGの競合関係がございますのでいま以上の値段にするということはますます経営をむずかしくするのではなかろうか、かように考えまして、地方ガスにつきましては、合理化とか、あるいは非常に高くつく原料につきましては原料転換ということを指導いたしております。原料転換の面になりますと、いろいろわれわれもどういう原料でやった場合に一番安くつくかということを共同研究いたしておるわけでありますが、いまの情勢から申し上げますと、やはりナフサに転換するのが相当安くつき、経営が楽になる、こういう見通しを持っておるわけであります。したがいまして、われわれといたしましては、いまの地方ガスの窮状から見まして、このナフサの量を確保してやるという問題と、それからできるだけそれを安く入れてやる、こういうことに地方ガスの活路を見出していきたい、こういうように考えておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、地方ガスにつきましては関税還付をお願いしておるような状況でございます。
武藤山治
93
○武藤
委員
本来私は、関税でいじるべき筋ではなくて、やはり近代化、合理化というものは、金融
措置
なり、
政府
の国内的な制度の
改善
でレベルアップすべきであって、やはり一国の関
税制
度というもので
企業
というものを合理化していこうというのは邪道だと思うんですね。そういう面からは、こういう制度がさらに
拡大
をされ、長期間に及ぶというようなことのないように、通産省としては適切な指導がやはり必要じゃないだろうか、こう私考えるのでありますが、あなたの所見はいかがでございますか。
熊谷典文
94
○熊谷
政府
委員
御指摘の点は私も同感に考えておるわけでございまして、やはりこういう
措置
のみによってはいまの地方ガスの今後の適正なる経営というものはなかなかむずかしかろうと思います。したがいまして、根本は合理化という問題、あるいは先ほど申し上げましたナフサの量的確保という点にあろうと思います。したがいまして、こういう制度のみにたよらず、やはりその間におきまして、根本的な対策を通産省としても地方ガスについてはぜひ考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
武藤山治
95
○武藤
委員
それからもう一つ、あなたの担当ですかどうか、この石炭の取引量に応じて一キロリットル当たり三百二十円を還付をする。これについては、通産省としては、石炭鉱業
審議
会の
答申
に基づいて、この
程度
の量、たとえば百分の四十四ですか、その会社が使う量の百分の四十四以上石炭を使用した場合には、先ほどの三百二十円を還付するということにしておる。それは
日本
のエネルギー対策を抜本的に考えた場合には、電力がどのくらい、あるいはガスがどのくらい、そういう大
方針
に基づいて今回の関
税率
をいじることにするんですか。それは通産省としてどんな計画で関
税率
をいじることに要請をしたわけですか。
熊谷典文
96
○熊谷
政府
委員
石炭関係の問題でございますが、御
承知
のように、現在総合エネルギー調査会で、石炭もその一環としまして長期見通しを立てておるわけでございます。それで、石炭も
一般
炭につきましては、御
承知
のように、電力が相当大きな量を占めておる、こういう形になっているわけでございます。原料炭につきましては、大きい面では鉄鋼でございます。鉄鋼とガス、こういうことでございます。諸外国の例を見ますと、やはり原料炭につきましては鉄鋼が主になっております。
一般
炭につきましては電力が主になっております。こういうことでございます。したがいまして、石炭の今後の出炭目標というのがどの
程度
になるかということによってきまってくる問題でございますが、私
ども
といたしましては、石炭もこういう状況でございますので、電力、鉄鋼、ガスにつきまして、可能な限り国内資源である石炭を使ってまいりたい、かような考えを持っておるわけでございます。 特に、今回ガスにつきまして関税還付をお願いいたしましたのは、御
承知
のように、一昨年であったかと思いますが、石炭価格が、
一般
炭につきましては三百円、それから原料炭につきましては二百円上がったわけでございます。これは
需要
業界にとりましては相当の痛手でございましたが、通産省といたしましては、その上がった価格で電力業界もガス業界も鉄鋼業界も引き取ってもらうように要請いたしたわけでございます。従来、鉄鋼と電力につきましては、そういう意味で還付制度があったわけでございますが、ガスについてはそういう意味での還付制度はなかったわけでございます。そのときそういう話もございましたので、今回それを
実現
していただきたい、こういう
趣旨
でございます。
武藤山治
97
○武藤
委員
国内の石炭を多く消費する、国内資源を大いに開発するということについては、私たちも前向きの姿勢で
賛成
をして、国会で大いに
審議
いたしておるわけでありますから、それは大いにけっこうであろうと思うのです。ただ、すべて関税にしわ寄せをして処理をしようという姿勢について、私たちはいろいろな角度から考えさせられざるを得ない問題がある。 それはそれとして、次に、新聞用紙が従来暫定免税、無税であったものが今度
——
通産省まだ聞きますよ。銅のほうはどっちですか。銅を聞く場合はあなたですか。
今村昇
98
○今村
説明
員 通商局でございます。
武藤山治
99
○武藤
委員
新聞用紙は暫定無税であったものが、来
年度
は基本
税率
の七・五%に戻るわけですね。これは新聞用紙がかなり豊富になってきたということなんですか。どうも
日本
は木材資源が足りぬ足りぬと大騒ぎをして、シベリアから買う、樺太からも買おう、カナダからも大いに
拡大
しよう、こういう大騒ぎをしていたのが、最近は
需要
関係が変わってきたのか、それとも供給が非常に激しくなってきたのでこうなるのか、ここらはどういう原因ですか。
今村昇
100
○今村
説明
員 新聞用紙の関税につきまして、
昭和
三十九
年度
及び四十
年度
は無税ということでございました。この
理由
は、三十九
年度
にオリンピックがありまして、新聞の部数あるいは紙数等が非常に増加するであろう、こういう見通しでございましたために、臨時の
措置
として、特に新聞用紙の輸入ということを考えなければならないという要請のもとにとられた
措置
でございます。ただいまの新聞用紙の需給状況から見ますると、相当生産能力が余っておりまして、一部には操業短縮をやらなければならぬというような状況でございますので、とうてい近い将来において新聞用紙の輸入ということを考えるような情勢にない、かような判断をいたしまして、もとの
税率
に戻したような次第でございます。
武藤山治
101
○武藤
委員
そうすると、基本
税率
七・五%をもとに戻しても、新聞紙の
値上げ
にこれが結びつくというようなことは、新聞社から口実にされませんね。それはだいじ上うぶなんですな。
今村昇
102
○今村
説明
員 さようなことはないと思います。
武藤山治
103
○武藤
委員
それから次に銅の問題でありますが、基本
税率
一〇%の銅を今回無税にする、これは一体いつごろまでそういう
措置
は続けざるを得ないのか、近き将来に解決されて、基本
税率
にまた戻れる時期は一体いつごろまでと通産省では想定されておりますか。
今村昇
104
○今村
説明
員 御
承知
のとおり、銅につきましては、最近国際的に非常に相場が
高騰
しておりまして、たとえばローデシアの問題でございます。あるいはチリの問題でございます。いろいろな関係で非常に異常な
高騰
を来たしておりますので、ただいまの御質問でございますが、この国際相場の異常な
値上がり
が平常に復するという見通しがつくまでそのような
措置
を続けたいというふうに考えておりまして、いつまでということを的確に申し上げることは、いまのところできかねるわけでございます。
武藤山治
105
○武藤
委員
しかし、チリの場合は鉱山労働者のストの問題でしょう。ローデシアの問題だって、そう大戦争でもないのだから、これだってそう長期間続くとは考えられない。何か特にローデシア、あそこを通さぬとかなんとかいう問題があって、発掘されたものが運べないという問題があると聞いております。チリとローデシアに限った場合、具体的にどういう障害ですか。
今村昇
106
○今村
説明
員 銅は国際商品でございまして、ただいま申し上げましたような事情もありまして、非帯に国際的に
値上がり
をいたしておりますので、これが正常に復するという見通しがつき次第いつでもまたもとに復するというつもりで考えております。
武藤山治
107
○武藤
委員
いや、それは大蔵
委員
に対する答えとしては、
税率
の問題、関税の問題について質問しておるからという立場からいまのお答えですが、私、いま通産行政のほうから見通しを聞いているわけです。ローデシアやチリの問題はそう何年も長く続くとは私は考えられない。問題は、それよりベトナムで、鉄砲のたまの薬きょう用の銅とか、非常に兵器に銅を必要としている。そういうことで銅の
需要
というものが非常に国際的にずっと高まっている。こういうような関係から考えると、そう簡単にこの価格が低落をするとか、
需要
が減退をするとか、輸入が急にふやせるとかいう問題にはならぬではないだろうか。そういう認識は誤りでしょうか、どうでしょうか。
今村昇
108
○今村
説明
員 ただいま御指摘のとおりでございまして、現在の銅の需給状況、これは各国とも非常に輸出の制限等の
措置
をいたしまして、自国の国内の需給状況を確保するということに
努力
をしなければならぬような状況でございます。
わが国
におきましても、やはり同様なことでございまして、この状況がある
程度
の期間は続くものというふうに考えざるを得ないと思いますので、それに対する対策を、ただいまいろいろな方法を検討中でございます。
武藤山治
109
○武藤
委員
今回の
関税暫定措置法
改正
によって輸入は確保できる。輸入の量は、去年、おととし、ずっと過去二、三年と比較して、この
改正
によって輸入増は見込める。その場合、どういう
程度
見込めるのか、また、この関税を無税にすることによって価格の騰貴を押えたい。次官の
提案
趣旨
説明
では、価格を押えるのだ、いわゆる銅の
物価
騰貴にならぬようにするんだ、こういう
提案
説明
を読んでいるわけですが、一体この関
税率
の変更によって、そういうことはどの
程度
どういう効果が出てまいりますか。通産省の試算はどうでしょう。
今村昇
110
○今村
説明
員 ただいま銅の値段は、ロンドン相場で六十万円以上の高値を呼んでおりまして、したがいまして、この関税を下げましたところで、現在の
値上がり
の幅から比べますと、このことによって輸入の量がふえるという効果は直ちには
期待
できないと思います。要は、国際市場全体の
緩和
ということがない限り、輸入の確保ということは困難な事情にあるということが
実情
であろうと思います。
武藤山治
111
○武藤
委員
通産省が何も銅対策をやらなかったという非難を受けるのはいやだから、まあ、効果はなくとも関
税率
でもいじっておこう、この
程度
のききめですな。少し業界に生産的な気分を与える
程度
で、この関
税率
をいじったからといって、実際上の効果というのはありませんね。 それはそれでよろしいとして、去年あたりからニューギニアに非常な鉱脈が発見された。あるいはシベリアの銅開発も開発すればかなりある。
日本
の商社や業者にそういう話が持ちかけられたという報道な
ども
聞いておるわけでありますが、通産省はそういう銅開発
——
この近隣の国々と銅開発についてこういう
方針
でひとつ臨もう、そういうようなことは、具体的には相談しておるのですか。
今村昇
112
○今村
説明
員 海外の鉱山資源開発につきましては、これを積極的に推進をいたします
方針
で関係業界とも連絡いたしまして、できるだけの補助なり助成
措置
をとっていきたいというふうに考えております。
武藤山治
113
○武藤
委員
では、まだ具体的にそういう話は通産省として業者から相談を持ちかけられて、国家的援助のもとでひとつ開発をしよう、そういうようなことは全然いまのところは起こっておらない、そういうことですか。
今村昇
114
○今村
説明
員 ただいまのお話にございましたシベリヤの銅鉱床の問題でありますとか、あるいはその他のニューギニア方面の銅資源の問題につきましても、情報としては話を聞いておりますが、何分にも、地理的に非常にいわば奥地でございまして、これを開発いたしますについても相当の調査なりあるいは準備を要するような状況でございまして、まだ具体的な
段階
まで至っておらないわけでございます。
武藤山治
115
○武藤
委員
私、昨年カナダへ行っていろいろ調べて、これは
日本
がもっと開発をしていいのではないかと思ったその一つが銅山でありますが、いまカナダの銅山を開発している
日本
の商社が、三菱ですか三井でしたかやっておったところを見たのでありますが、カナダなどへ
日本
はもっと力を入れて銅山開発をするのは可能じゃないでしょうか。通産省はそういう方面についてはどういう指導をされておりますか。
今村昇
116
○今村
説明
員 ただいま御指摘のとおりでございまして、カナダにつきましては、いろいろな地下資源の問題につきまして、ただいま商社、メーカー等を通じまして調査を進めておる状況でございますので、こういうものを逐次具体化してまいることが、非常に国家としても重要なことではないかというふうに考えておるわけでございます。
武藤山治
117
○武藤
委員
どうも現地へ行ってみると、そういう第一次資源を大いに開発をして
日本
に持っていこうという国の力の入れ方が、非常に薄弱だという不満の声を聞かされるわけです。だから、そういう点は、もっと国家的見地に立って、
政府
みずからがもっと検討し、手を入れなければならぬのじゃないだろうか。私は、あんなボリビアなんかに海外経済協力基金をぶち込んで銅を開発しようなんという考えよりは、もっともっとカナダなんかのほうが文化水準も高いし、
生活
環境もいいし、有望な鉱山ではないか。そういうような点、どうも
日本
の
政府
は大商社におどらされてボリビアみたいなところにぶっ込んでみたり、あの高い、もうふらふら高山病になるようなところの銅山を開発する。掘ってみたところで、何と従業員も居つかぬ。とても体力がもたぬ。高度五千メートルぐらいのところを
日本
の海外経済協力基金でやっておるのでしょう。こんなものはもう全く愚の骨頂だと私は思う。こういうものはやめて、もっと先をよく見て、カナダあたりへ手を入れなければいかぬじゃないか。これはひとつあなたから大臣にも次官にもよく進言をして
——
次長ではなかなか、あなたがここで答弁をしたからといって、あなたの考えがそのまま通らぬと思うから、答弁はけっこうですが、そういう点、どうも通産省のやり方な
ども
、もっともっと腰の入れ方を変えなければならぬ点があるのじゃないだろうか。そういう点を申し上げておきます。 それから韓国のノリの問題でありますか、本
会議
で過般通産大臣にお伺いしたときには、これは割り当て制度で輸入をするから心配はない、こう大臣答えたわけでありますが、三十九年、四十年、四十一年の割当てはどういう推移をたどりますか。それが一体
日本
の生産者に対してどの
程度
に圧迫になるかということが問題でありますので、そこらの数字をまず先に明らかにしてください。
今村昇
118
○今村
説明
員
昭和
四十
年度
におきましては、韓国ノリの輸入割当は、二億五千万枚を去年の八月に割り当てをいたしました。四十一
年度
の割り当てにつきましては、まだ現在のところ数量は決定いたしておりません。これは例年、年に一回、おおむね六月のつゆ以前に割り当てをするというのが大体のしきたりでございますが、年によっては、七月あるいは八月ごろになることもございます。昨年は八月に割り当てをいたしたのでございます。そういう次第でございまして、その割り当ての時期までに、国内の作柄あるいは市場の状況等も勘案いたしまして、農林省、通産省で協議をいたしまして数量を決定いたしたいというふうに考えております。
武藤山治
119
○武藤
委員
輸入の窓口は何社ぐらいでやるわけですか、韓国ノリについては。
今村昇
120
○今村
説明
員 現在韓国ノリ輸入協会というものがございまして、そのメンバーが六十五社ございます。
武藤山治
121
○武藤
委員
韓国ノリの現地における価格、船積みしての引き取り価格でもいいですが、それと国内生産者の価格、それの差というのは現在どんな状況になっておるのですか、コストは。
今村昇
122
○今村
説明
員 的確な数字はここに持ち合わせておりませんが、韓国の生産者の生産コストは国内のそれに比べまして相当安い、一説によれば半額
程度
であるというふうに伝えられておりますが、的確な数字はただいま持ち合わせておりません。
武藤山治
123
○武藤
委員
日本
の価格の半額ぐらいのコストだろう
——
これはだろうでは困るから、あとで三十九年、四十年、これの実績でいいですから、ひとつ数字を明らかにして、
委員会
に
資料
として配付を願いたい。
委員長
、よろしゅうございますか。いかがですか。
今村昇
124
○今村
説明
員 韓国の生産者のコストは、実はいろいろ調べておるわけでございますけれ
ども
、ただいままでの経験によりますと、どうも的確なコストがなかなかつかめないという
実情
でございますので、もし何がしか数字を出すといたしましても、推定というようなことになろうかと思います。
武藤山治
125
○武藤
委員
それでは、
日本
の港へ着いたときの価格、それと
日本
の国内生産者のコスト、それの比較でけっこうです。通産省は今回二円を一円五十銭に引き下げることによって、
日本
のコストと国内販売価格というのは大体一致するのですか、韓国ノリの価格と国産の価格が一円五十銭の関税を課することによって。それでもなお業者はかなりの利益があがるのですか。そこらはどういう計算になるのですか。
今村昇
126
○今村
説明
員 韓国ノリの価格と申しましても、ノリはたいへん品種がたくさんございまして、品種、等級が種々に分かれております。で、韓国のノリは、
日本
の国産のノリの等級に当てはめてみますと、まあ、おおむね下級品が多いわけでございます。したがいまして、韓国のノリの値段をそのまま
日本
の国内のノリの値段とすぐ並べて比較をするということは非常にむずかしいと思いますが、ただいままでの韓国ノリの関税は一枚につき二円でございます。その韓国のノリの輸入価格そのものは毎年非常に変動がございます。したがいまして、これがいまのように一枚二円という従量税になっておりますると、その元値の変動によりまして、場合によっては非常な高率な関税になるという場合があるわけでございます。したがって、これはいかにも不合理でございまして、韓国からの一次産品の輸入という中でもやはりノリが
最大
の関心品目でございますが、これについて若干の調整をする、こういう意味でございますので、それによって今後国内のノリとそれから韓国産のノリと値段が均一になるということは必ずしも申し上げられないと思います。
武藤山治
127
○武藤
委員
均一にならなくもいいんだよ。どういう
実情
になるかということを聞いておるわけですね。たとえば、一円五十銭にすることによって、国内の中品と向こうの一番下の製品とはこれだけの価格差があるとか、価格表くらいはわかるんじゃないですか。それを参考にちょっと聞かしてほしいという質問をしておるわけです。ない
——
なければいいけれ
ども
、わからぬですか。
谷川宏
128
○
谷川
政府
委員
関税局としての立場から一応御
説明
申し上げますと、韓国ノリの輸入の
平均
単価を調べてみますと、年によって、品質のでき、ふできの関係がございまして差はございますけれ
ども
、三十一年から四十年まで十カ年の
平均
を見ますと、一枚当たり五円四銭でございます。一円五十銭と申しますと、従価に換算して三〇%、これは
一般
の農水産物の有税品のおもなものが大体三割見当関税でございますので、一円五十銭ということが適当だということになるわけでございますが、現在の二円ということになりますると、約四割ということになるわけであります。一方、国内のノリとの比較でございますが、五円で入ってきたものに一円五十銭加わると六円五十銭、一枚六円五十銭ということは、韓国ノリと国内の品質の同じようなものと大体バランスをとっておるということでございます。と申しますのは、この価格をきめる場合に韓国のほうで一方的にきめるのではなくて、
日本
に入ってきた場合に、
日本
のノリの生産者あるいは販売業者が見つけをするわけです。このノリは大体どのくらいの値段であるか、国内のノリの生産者、国内産のノリの販売に対して悪影響があるかないかという点も十分考慮しまして、そうして国内の業者と韓国の輸出業者との間で十分に話し合いをしまして、そして、見つけによって値段をきめる、それが年々品質が差があるものでございますから、ある年は三円くらい、ある年は四円、最近は五円、過去十年の
平均
も五円ということで、一円五十銭というのが現在のところ最も妥当な関
税率
である、こういうように考えるわけであります。
武藤山治
129
○武藤
委員
関
税率
は妥当だということでありますが、韓国ノリの価格には非常な変動があって、コストの計算もなかなかむずかしい、通産省はそう答えておるわけですね。韓国ノリは
日本
と韓国しか
——
韓国人はあまり食べない、大体
日本
人が食べるわけですね。そうすると、向こうはでき過ぎて、
日本
が買ってくれぬことには困る、非常に安くたたいて買える、関税は一円五十銭、そうなった場合に、輸入協会がべらぼうな利益をあげるということがあり得るわけですね。そういう場合に、かつてバナナの場合にはその利益金を国家が吸い上げるわけですね。そういう制度があったわけです。韓国ノリの場合も、どうも買い手が
日本
だけと限られておりますから、構造的に韓国に非常に弱みがある。そういう場合に、協会がどえらいもうけをとっても、通産省としては別に行政指導上は何も関与はせぬ、割り当ての枚数だけ入れるんだから、あとは幾らもうかったってそれはかまわぬ、こういう
方針
の指導ですか。
今村昇
130
○今村
説明
員 韓国ノリの輸入につきましては、ただいま韓国ノリ需給調整協議会というのがございまして、これは国内のノリの生産者の団体、それから国内におけるノリの流通業者、問屋の団体、それからただいま申し上げました輸入業者の団体、この三者が協議会をつくっておるわけでございます。この三者が相談をいたしまして、その年の輸入の適正量につきまして
政府
に意見を具申する、こういう組織になっておるわけでございます。したがいまして、その年の国内の作柄あるいは国内の値段、こういうものを基準にして、毎年、数量、価格を決定いたしておりますので、輸入の
段階
において、国内の相場と無関係に非常に安く入れて、それが非常な超過
利潤
になるというようなことは、本来起こらないような仕組みになっておるわけでございます。
武藤山治
131
○武藤
委員
次に、今回の
改正
で大きな
問題点
の一つは、砂糖の弾力関税ですね。これは砂糖の価格が、いまちょっと
資料
を持ってこなかったのですが、一定の基準を越えた場合には、国会の議決を経ないで自由に関税が動かせるという包括委任の
改正
ですか。これは局長いかがですか。
谷川宏
132
○
谷川
政府
委員
砂糖価格の安定につきましては、糖価安定法というのがございまして、その
法律
に基づきまして、糖価安定事業団が糖価の安定をはかるたてまえになっておるわけでございますが、一方、現在の粗糖の輸入価格は、国際的な問題といたしまして相当低くなっております。現在におきましては輸入粗糖の価格は非常に低いわけでございますから、国内の相場もそれを反映してそれほど高くはないというわけでございまして、将来糖価が国際的に相当
高騰
した場合におきまして、糖価を安定させるために、関税を
軽減
、免除することができるような
措置
を
法律
的に講じたわけでございまして、この
関税定率法
の
改正
は、この糖価安定法に同様
趣旨
の
法律
的な規定がございますので、それを関税としてどう
措置
するかということを定率法で規定したわけでございます。将来砂糖の輸入価格が相当大幅に上がった場合に、上がった場合に応じまして弾力的に関税を
軽減
し、免除することが
法律
的にできるような
措置
を講じたわけでございます。
武藤山治
133
○武藤
委員
そうすると、これからは砂糖のそういう国際的な
高騰
の場合には国会の
審議
は要らぬわけですね。ここで包括委任してしまいますから、内部だけで自由に動かせる。いま私は、
租税
法定原則という立場からの質問で、関税
収入
というものは一つの
租税
だ、こういう立場から、こういう包括委任を行
政府
に全部預けるということは重要だ、こう考えて実は質問しているわけです。現在そういう包括的に、国会に一々承認をはからなくても、行
政府
の判断で、国際的な変動によっていじれるという品目は、何と何があるのですか。
谷川宏
134
○
谷川
政府
委員
法律
におきましてある
程度
の規定を設けまして、
政府
がかってにやれないワクは
法律
で規定するわけでございますが、あと、その
法律
の施行についての詳細の規定は政令で処理するというたてまえに、砂糖についてはなっているわけですが、現在の
段階
につきましては、同様、政令である
程度
弾力的に
措置
できるようなたてまえになっております。また、食肉につきましても現在検討を進めておるわけでございますが、
一般
的に申しまして、
租税
法定主義のもとにおいていかに現実の経済の動きに関税をマッチさせるか、非常にむずかしい問題でございます。たとえば、銅の場合におきましても、もしかりに政令で銅の価格の
高騰
に備えて関税の減免
措置
が講ぜられていたならば、銅の
需要
産業におきましては、それだけ時宜に応じた
措置
が受けられるという利点があるわけでございますが、将来の大きな問題といたしまして、関税をそのときどきの経済情勢、特に国際価格の変動に即応して関
税率
をきめることがいいかどうか、外国にもそういう例があるわけでございますので、
日本
におきましても今後検討をしてまいりたい、こう思うわけでございます。
武藤山治
135
○武藤
委員
現在の場合一々国会の承認を必要とする案件が、こういう今度の
改正
によって議決を経なくていい、国会の
審議
の範囲がそれだけ狭められるわけですね。小さな問題であるかもしれぬが、砂糖の問題は、今度は国会の議決を経ない。しかし、糖価安定法という
法律
で一応価格の基準というものはきまっておるから、根本の根元は
法律
で規定されている、こうおっしゃるかもしれませんが、少なくとも、国会
審議
の範囲というものが狭められることだけは間違いないですね。局長、その解釈はいかがですか。
谷川宏
136
○
谷川
政府
委員
一つの
考え方
はおっしゃるとおりであると思いますけれ
ども
、別の
考え方
によりますれば、関税の水準をどういうところに置くかという場合に、
法律
で大ワクを規定して、それのさらに具体的な細目は政令で規定するということであれば、全面的に
政府
の恣意にゆだねるということにはならないし、逆に、かえって
法律
の円滑適正な運用を機動的に時宜に即して行なう、
法律
の
趣旨
に沿って関
税率
を調整するということにもなろうと思うのです。
武藤山治
137
○武藤
委員
そのことは行
政府
にまかされるわけですね。行
政府
の恣意で関
税率
がいじれるのですから、そういう制度をやっている国は、たとえばどういう国で、どういう制度がございますか。
谷川宏
138
○
谷川
政府
委員
フランスにおきましては、関税の実際的な運用につきましては行
政府
でやっておるということを
承知
しておりますが、その他の国におきましても、部分的に弾力的な関
税制
度をとっておる国が相当あるわけでございます。
武藤山治
139
○武藤
委員
この点については、関税局としては十分ひとつ
留意
して運用しないと、
租税
法定主義の原則をはみ出てしまうということになると、これはまた国会の論議をかなり引き起こしますから、弾力関税をやる場合には、国会に事後報告みたいな形で承認を受けるとか、何かそういうものがないと、これはやはり行
政府
に立法府がすべて一任してしまうようなかっこうになっても困る、こういう主張をわれわれはいままでも続けてまいりましたから、ここらの運用については十分ひとつ配慮しなければならぬ、こう私は考えておりますので、その点は十分考えていただきたいと思います。 次に、
関税法等
の一部
改正
でありますが、これによると、今回は賦課
課税
方式から申告
納税
方式に切りかえるのだ、こういう大きな
改正
をやるわけでありますが、申告
納税
にした場合に、完全に捕捉ができるかどうか。これは、いままでの機構というものをどのように変えるから脱税は捕捉できる、申告をすればこういう点が非常に利点である、そういう利害の問題は一体どういうことになるか、申告
納税
に切りかえた場合、いい面とあるいは欠陥と、ひとつあなたの考えを、わかっておる点を明らかにしてもらいたいと思います。
谷川宏
140
○
谷川
政府
委員
申告納
税制
度を実施した場合の関税行政の面における利点の一つは、たとえば、輸入物品に対する通関の時間の短縮がはかれると考えます。と申しますのは、現在賦課
課税
でありますので、輸入申告を輸入者が行なう場合に、税関当局が、このものの
税率
が幾らであるか、あるいは関
税額
が幾らであるかということを決定することになっておりますので、そういう情勢のもとにおきましては、輸入者におきまして輸入申告をする場合に税関まかせになりやすい、一方、今度は申告納
税制
度になりますと、商社が主として輸入業務を扱っておるわけでありますが、商社としては、その輸入物品についての関
税額
がどのくらいであるからどういうふうに販売したら収益をあげられるかということの採算の上に立って取引をやっておるわけでございますから、従来とも、その輸入物品についての関税価格についての認識はある
程度
あるわけであります。しかし、今後申告納
税制
度になりますというと、それを的確に正確に
税額
につきましても申告しなければいけなくなりますので、関税納付に対する関心の度合いが一そう高まると同時に、税関当局におきましても、正確な関
税額
の申告が出てまいりますと、税関業務の合理化、簡素化ということもできますので、業者の側についても便利であります。早く輸入貨物が通関されるわけでありますから、税関当局におきましても、輸入貨物がどんどんふえてくるのに、それに応じて職員の数が思うとおり配置できないという情勢のもとにおきましては、税関当局も非常に都合がよろしい、業者も都合がよろしい。今後私
ども
は切りかえにあたりまして円滑に事を運ぶ必要があるわけでございますので、そういう点のPRにも十分つとめますし、また、個々の通関にあたりまして、当該物品の関
税率
が幾らかというようなことにつきましても、今後税関は親切に業者に対して教えてあげるというたてまえをとってまいりたい。一方、脱税の問題でございますが、脱税を未然に防止するために、
税率
についての認識の度合いを深めてもらうと同時に、悪質な、故意な脱税に対しましては、検査によってこれを防止する、摘発するということが必要になるわけでございますが、申告納
税制
度になりまして税関業務の合理化が達成されますと、それによって浮いた人員を検査の
重点
化に投入できる。今後、私
ども
はまんべんなく、平板的な検査を従来やりがちでございましたけれ
ども
、検査のやり方等につきましても十分に考えまして、そういう脱税が起こらないように
努力
していきたい、こう思います。
武藤山治
141
○武藤
委員
そうすると、従来賦課
課税
方式をとっておりましてもかなり違反事件がある。たとえば、おたくのほうで出した
資料
によっても、密輸入をした件数が千九百六十四件、さらに、告発のほうの密輸入が二百十九件、これは非常に件数にしても多いのでありますが、これは申告
納税
にかえたら、こういうものの捕捉というものが非常にむずかしくなると思いますが、そこらは何か現在の機構を少しかえる、いま言った検査の人員をふやすとか、人間の面は触れたのでありますが、何か、特にこの通関のこういう機構をこうかえるから、申告納
税制
にしても違反者はそうふえない、それともいま言うこの数よりもふえると見るか、申告
納税
になった場合にそこらはどうでしょうか。
谷川宏
142
○
谷川
政府
委員
申告納
税制
度に原則として切りかえるわけでございますけれ
ども
、
法案
の中にも書いてございますように、例外として、旅客の携帯品あるいは引っ越し荷物あるいは郵便貨物につきましては、それぞれ特殊な事情もございますので、従来どおり賦課課
税制
度をとるわけでございます。ところで、ここにあがっておりまする関税法違反事件の統計の数字でございますが、輸入貨物についての違反も若干ございますけれ
ども
、主として密輸でございまして、正規の輸入貨物についての関税法違反というのはきわめて少ないわけでございます。そうでございますから、申告納
税制
度に切りかえるから密輸が減るかどうかという点はあまり関係ない、むしろ、
日本
の経済情勢あるいは
物価
の問題等からいたしまして、将来密輸がふえるかどうかという問題はございます。しかし、これにつきましては、検査、取り締まりの計画的
重点
化ということをいませっかく検討して、新
年度
から実施に移したい、こう考えておりますので、今後申告
納税
になったからという
理由
で、この関税法違反がふえるということにはならない、こう思っております。
武藤山治
143
○武藤
委員
現在までの違反事犯の処理状況、どうしても脱税されたものを納めない、こういうような未処理の件数というのは相当あるのですか。
谷川宏
144
○
谷川
政府
委員
関税法違反で一番多いのは輸入物品に関するものでございますが、密輸出事犯というのは年々減っておりまして、密輸入のほうは若干ふえておる、それに対する
措置
としては、通告処分を行なったり、あるいは告発をすると同時に関税及び罰金を徴収しておるわけでございまして、事案にもよりますけれ
ども
、この関税を最終的に取り得ないというものはきわめてわずかでございます。
武藤山治
145
○武藤
委員
時間の短縮になったり、申告納
税制
のほうが当然民主化され、望むところでありますので、私たちはこの点については別に異存はないのでありますが、ただ、こういう民主化されたことによって、かなり申告に虚偽のものが出てきやせぬかという心配をいたしておるわけでありますが、そういう点については、十分捕捉をするように万全を期してもらう、こういう
要望
をいたしておきます。 次に、保
税制
度の簡素化、合理化をはかるということが、今回の関税法
改正
の大きなねらいでありますが、現在保税倉庫というものがたくさんありますね。これを今回の
改正
のように、事前承認制を廃止するとか、あるいは一々許可制にしないで、届け出に変更するとか、ずいぶん業者の便宜がこれで
実現
するわけでありますが、こういうことによって一体不正が行なわれないだろうか、これも相手が善良な業者ばかりならば心配ないが、保
税制
度の簡素化をすることによって違反事件が相当起こるのではないだろうか、こういうような点はどうでしょうか。現在の人員配置、機構からいって心配は全くないのか、それと、今回こういう
改正
をいまここで急にしようというのは、前々からこういう制度に簡素化したいと思っていたのか、それとも、何か特別な事情が発生したので今同こういう
改正
をするのか、一体どういうわけで本年こういう
改正
を提起してきたのか、そこら辺のいきさつをひとつ明らかにしていただきたい。
谷川宏
146
○
谷川
政府
委員
保
税制
度の簡素、合理化の問題でございますが、この問題として一番大きなものは、保税工場の制度の簡素、合理化でございます。これは輸出の振興をはかるために必要でありまするので、いろんな手続を廃止したり、また保税工場の中におけるいろんな作業に対する税関の監督を合理的に、
重点
的にやる方向で考えておるわけであります。従来からも輸出の振興の立場から保税工場の制度をどうやってうまく活用してもらうかということについて関係者といろいろ話し合いを進めていたわけでございますが、保税工場の制度がありながら、これをなかなか利用しにくいというような事情がありました。その一つには、税関が一々うるさいことを言うものですから、貨物が入るたびに承認を受けなければいけない、あるいはその保税工場の建物を増改築する場合に一々許可を受けなければいけない、仕事のほうはどんどん進んでおるわけでありますが、一々税関の監督を受けていたのでは、保税工場の中における作業も思うとおりいかない、その結果、せっかくの輸出の振興という
趣旨
が思うとおりうまくいかないというような非常な欠点があったわけです。今回急に出てきたわけではございませんで、長い間かかってこれをどうやって合理的にうまく運用していくかということを研究した成果が、今回の申告納
税制
度の切りかえと同時にこれもやっていきたい、昨年十二月十五日から輸出の戻税の
措置
についても
拡大
をしたわけでございますので、私
ども
、この際輸出振興をはかる上において、関税の制度の上において何かやるべきことがあればどんどんやっていきたい、その一つの問題がここにあらわれておる、こういうように御了解いただきたいと思います。
武藤山治
147
○武藤
委員
現在、保税工場というのは八百九十一、これが、四十一
年度
こういう簡素化をすることによって、
傾向
としてはふえるのですか。ふえるとすればどの
程度
——
現在の申し立て件数や何かから推量して四十一
年度
はふえるのかどうか。どうでしょう。
谷川宏
148
○
谷川
政府
委員
保税工場制度の簡素、合理化によりまして、従来税関の監督が非常にきびしいために、ある業種におきましては、その活用をちゅうちょしておったというようなものも中にあると思います。しかし、大勢といたしましては、現在の輸出産業におきまして保
税制
度を利用しようとしておるものは、大体現在利用しておるというように考えてもいいと思います。新しく今後保税工場の承認を受けたいというものも若干ふえると思います。しかし、私
ども
といたしましては、現在保税工場を行なっておるものにつきまして、できるだけ簡素、合理化をはかって、しかし一方、検査、取り締まりにつきましてこれをなおざりにするということではないのでありまして、
重点
的に検査、取り締まりをやって、そして関税の面におきまして違法のことがないように十分配意してやってまいりたい。こういう実績の積み重ねによりまして、なるほど保税工場というのはいいものだということを、現在保
税制
度を利用していない輸出産業の方、ことに中小
企業
の方々が注目いたしまして、将来保税工場制度を活用したいというものもある
程度
ふえてくるんじゃなかろうか、こういうように
期待
をしておるわけであります。
武藤山治
149
○武藤
委員
専門家でないからよくわかりませんが、その保税工場に、外国輸入品の原料をまず買う、そうすると、一応は
税金
免除にして入る。菓子工場とかあるいはアルミ合金とか、いろいろな種類の業者がある、そのうちの、輸入された貨物のうち、もちろんそれは全部使うが、それ以外に、
日本
の品物がそれに原料が加わって製品になる、そういう場合に、また輸出しますね。これはやはり
日本
の原材料を使った場合は、何%使っても別にかまわない。一つの製品をつくるうち、八割は
日本
国内の原料で、二割が一たん輸入したものを使う、それでもかまわぬ。それとも、輸入された原料だけでつくるものをまた再輸出する、その場合なのか、その二つの場合、両方とも
適用
されるのですか。
谷川宏
150
○
谷川
政府
委員
関税は、御
承知
のとおり輸入した場合にだけかかるのでございまして、輸出物品につきましては関税は関係ないわけでございますので、原材料を輸入した、その輸入した原材料についての関
税負担
を排除するというのが保
税制
度でございますので、その輸入原材料に国内の生産の原材料を加えて製造する、あるいは別に関税を払った輸入原材料を保税工場の中に持ち込んで製造するという場合も許されるわけであります。私
ども
は、免税輸入原材料が適法に、正しく輸出品となっておるかどうかという点を、帳簿あるいはときどきの検査によって確認をするというたてまえをとっております。
武藤山治
151
○武藤
委員
しかし、私は疑問なのは、輸入されたもので輸出品だけ製造しておる保税工場なら心配ないですね。しかし、保税工場というのは、必ずしもそこの工場で輸出品だけつくっておるとは限らないわけでしょう。たとえば、輸入された無税のものでつくった製品が、これは輸出、これは内地
——
製品はやはり国内商品も売っておるわけでしょう。そうなると、原料を一々税関で、これは適正にこれだけ輸入された原料を使っている、これは国内に売れたということが、原料の
段階
だから、そこらがぼくはほんとうに厳密にわかるのかなという疑問があるのですが、そこをひとつ解明して教えてくれませんか。
谷川宏
152
○
谷川
政府
委員
輸入原材料のものによりまして、簡単なものと複雑なものとあるわけです。全体を通じまして税関長の承認を受けた保税工場におきましては、その輸入原材料の出し入れを明らかに記帳する、それから、その輸入原材料を使って製造する工程を、いつ税関職員が検査に行った場合でも明らかにわかるようにしておく、それから、製品の輸出につきまして、これを輸出する場合と、国内に販売する場合とございますが、その保税工場を出る場合どういう形で出るかということについて明確にするような記帳その他の手続を強制しておるわけであります。そういう輸入原材料を使ってできました製品が国内に出るときは、保税工場を出るときが輸入のときになるわけであります。それによりまして輸入関税を確実に捕促しておる、一方、原油のように保税精製工場に入ってきて、いろんな製品に変わるという場合には、なかなかその手続が複雑であるわけです。したがいまして、そういう場合におきましては、原油からできましたいろいろな製品につきまして、それが国四に売られる場合におきましては、たとえば、揮発油が
負担
しておるところの原油の関税相当分が幾らであったかということを、科学的、合理的に計算しまして、それを関税として徴収するということになっておるわけであります。そういう場合におきましては、歩どまりが安定しておるというような工場等につきまして、今後はある
程度
保税工場制度の簡素化をはかっておりますが、要するに、全体として考えた場合に、輸入原材料につきまして歩どまり計算を明らかにする、また個別に原料の流れを把握するということをやりまして、輸入原材料が無税で国内に販売されることのないようなことにつきまして、厳格に検査取り締まりを実施しておるというのが
実情
でございます。
武藤山治
153
○武藤
委員
いままで国内に出したときに、保税倉庫から国内に売った場合に、輸入関税をそこで賦課したという金額、件数はどのくらいあるのですか。
谷川宏
154
○
谷川
政府
委員
保税工場を利用したために輸入原材料が免税になった額については、百二、三十億円ということで数字が出ておりますけれ
ども
、保税工場を利用してできました製品を国内に売った額、すなわち、保税工場から出た製品の原材料としての関
税額
が幾らかということにつきましては、その一々の統計をとっておりませんけれ
ども
、かなりの金額になると思います。
武藤山治
155
○武藤
委員
かなりの金額になるということは、保税工場から国内に販売されるものもかなり出ているということですね。そうなると、私は、やはり輸入原料の一部分を使って、歩どまりをちゃんと科学的に計算をして、脱税のないように監督をしておるといえ
ども
、やはり八百九十一も保税工場があると、税関当局では監督がどうもできないわけです。国内に流しておきながら、
税金
を納めない、輸入税は免除のままになってしまう、こういうのがかなりあるような気がするわけです。いま金額はわからぬと言うからあれだけれど、たとえば、あるとしたら、どういう製品をどの
程度
入れて国内に売っているか、それがわかると、議論するのに、事実こういうことがあるじゃないかということから議論が始まるのですが、いま金額はわからぬと言うからあれだが、たとえば、国内に売るのはどういうものが率として多いわけですか。これは局長ではわからぬかもしれませんが、事務局のほうでわかるのじゃないですか。
谷川宏
156
○
谷川
政府
委員
いまのような弊害が生じないように、保税工場の承認をする場合に慎重な配慮を行なっておるわけであります。そういう原材料の製造工程における流れがどうもはっきりしないとか、あるいは、その製品が国内に販売される場合に、その製品に含まれる原材料部分が明確でないようなもの、そういう製造工程のものにつきましては、保税工場の承認をやらない。保税工場の承認をする以上は、輸入関税の逋脱が絶対ない確実なものだけを保税工場として承認をしておるわけでございまして、いま仰せのような弊害は現在のところないわけです。お尋ねの、それでは保税工場でできた製品が国内にどの
程度
出ておるか、ある
程度
あると思いますけれ
ども
、いま的確な数字はございません。しかし、保税工場の承認を厳格にしておりますので、国内に販売される製品についての輸入関税の把握は確実にやっておるわけです。何分工場が多いものですから、そういう報告は、事務簡素化のこともございまして取っておりませんが、現在の関税
収入
の中で的確につかまえておると確信しております。
武藤山治
157
○武藤
委員
その的確な数字は、あとで局長調べてお示しを願いたい。
——
事務局、わかっておるのですか。わかっておったら述べてください。
植松守雄
158
○植松
説明
員 いまの御質問でございますが、保税工場の問題につきまして、厳密にいいますと、観念を二つに分けなければならないわけでございます。と申しますのは、たとえばここに電線工場がございます。電線工場は保税工場を利用する非常に典型的な工場でございます。その場合に、保税の原材料になりますのは電気銅でございます。ところが、その電気銅につきまして、もちろん、その電気銅から製造いたしますところの電線は一部輸出にも向けられますが、大部分は国内の
需要
に充てられるということであります。その場合に、国内の電線に充てられるべしと予定されている電気銅は、大体その製造工場自体が、見込みによりまして、内国向けとして、つまり、本来の通関の輸入の手続をとった上でその保税工場で使うわけであります。それから、本来どの
程度
の電線の輸出があると見込まれる場合には、それに見合うものを保税原材料として免税に入れるというわけであります。そういうわけでありますが、たとえば電線工場全体についてみますと、その製造工場に入れますところの電気銅が国内の製造に充てられるということはございますが、それは本来の通関手続を経てやっておるということでございまして、輸出に向けられるべく予定をされているところの電線に充てられる電気銅として、保税原材料として入れられたものが、その後の事情の変化で国内に無税で入ってくるということは、これはきわめてまれでございます。そういう見込みで保税原材料にするかしないかということは、保税工場自体が判断してやっているということで、さらにそれを推定をいたしますなら、いま局長申しましたように
資料
がございませんけれ
ども
、保税工場の手数料がございます。この手数料は、保税工場がその製品を輸出に充てる場合には免除いたしております。現在保税工場では手数料はほとんどとられておりません。そういう状況からいたしまして、元来輸出に充てるべく予定をしておったものは大体において輸出に充てられておって、きわめてまれな、キャンセル等の事例があった場合にこれが国内
需要
に向けられるので、これはまれな場合でございます。
武藤山治
159
○武藤
委員
そうすると、八百九十以上もある保税工場は、ほとんど輸出専門の工場と国内品をつくる工場とが、工場の中に画然と分けているわけですか。それとも、輸出ものしかその工場ではつくらぬという制度になっているのですか。保税工場として認める何か基準、そういうものがまぎらわしくならぬようにきちっと、画然と分かれているのですか。
植松守雄
160
○植松
説明
員 それは工場の性格によって異なっております。たとえば松下電器がテレビの輸出をいたしますが、これは輸出に充てられるテレビの製品を製造する工程は他のものと完全に分別いたしております。それから、これも先ほど局長が申しましたように、歩どまりでもって
——
全体の免税で入れました原材料がはたして輸出製品に充てられているか充てられておらないかということが的確に把握できるような性質の保税工場におきましては、これは実際にはオートメーション化されておるような
現状
でございますので、これにつきましては、輸出向けのものも内需向けのものも同一の工程において行なわれておりますが、しかしそれは、歩どまりによって的確に把握できるというような
現状
でございます。
武藤山治
161
○武藤
委員
次に局長、保税工場の加工製造の期間が、従来一カ
年間
認められておったのが、今度二カ
年間
に延長される。倍の期限になるわけですね。そのねらいは何ですか。
谷川宏
162
○
谷川
政府
委員
現在の輸出産業におきましては、輸入原材料の手当につきまして、できるだけ安いときに将来の生産計画を見越しまして買い入れるという必要があるわけであります。従来の経験によりますと、一年の期間を経過しましてさらに延長を願い出るものも相当あるわけでございます。そういうような実績を考慮しまして、大体
平均
的に二年の期間を限っておけば、輸出産業として採算が合うような原材料の手当て、その後における製造ができるというふうに考えたわけであります。
武藤山治
163
○武藤
委員
二年になることによってどうですか。かえって保税原料のたなおろしをきちっとして、二年の間に監督者がかわったりして、非常に業者にやりやすくし過ぎて、かえって捕捉、監督がしずらくなる、そういうきらいはありませんか。
谷川宏
164
○
谷川
政府
委員
そういうきらいはございません。特に複雑な製造工程を有するものについて二年の期間の
適用
があるのでございまして、輸出産業におきましても早くものを売りたい、資金ぐりの関係がございますから、保税工場における期間が二年になったからといって、出し惜しみをする、したがって関税
収入
の入り方が悪くなるということはないわけでございます。
武藤山治
165
○武藤
委員
それから、現在の暫定
措置
法による免税というものが非常に大きい。もちろん、無条件免税あるいはアメリカ軍の免税、こういうようなものもかなり大きいのでありますが、駐留軍関係の免税あるいは国連軍関係、MSA免税、こういう免税というものを見る場合に、どうも軍人の家族が無税で仕入れた車その他のものを
日本
の国内で他に売却する、こういうような場合などは、実際上の捕捉ができるのですか。どういう制度で、どういう方法でこれが捕捉されるようになっておりますか。
谷川宏
166
○
谷川
政府
委員
自動車の場合におきましては、すべて自動車を登録しておりますので、登録原簿を見ますと
——
ときどき私とも検査しておるわけでございますが、
日本
人に売っておるというような場合におきましては、ときどきそういうことを発見しまして所定の手続をとっております。
武藤山治
167
○武藤
委員
それは輸入当時の原簿があって、それにナンバーが入っておって、使用者は何か定期的に税関に報告するようになっておるのですか。
谷川宏
168
○
谷川
政府
委員
自動車の登録は陸運局でやっておりますので、現在時点における自動車の所有者はそれを見ればわかるわけであります。それを点検することによりまして、ことに駐留軍関係の自動車につきましては別番号でございますので、容易にそれがわかるわけでございます。
武藤山治
169
○武藤
委員
三十九
年度
の駐留軍関係の免税というのは、一体どのくらいになっておるか。三十七
年度
までは書いてあるのですね、四十八億二千二百万円
——
これは段がずれておるのかね。三十九
年度
は
税額
にして六十四億五千四百万円、これだけのものを駐留軍関係に免税しておることになりますか。
谷川宏
170
○
谷川
政府
委員
欄がちょっと見にくいようでございますが、駐留軍関係免税、三十八
年度
は免
税額
九十億二千五百万円、三十九
年度
は六十四億五千四百万円、四十
年度
は大体三十九
年度
と大差がないというふうに
承知
しております。
武藤山治
171
○武藤
委員
この駐留軍関係の免税品目というものは主として何でございますか。一番多いものは何ですか。
谷川宏
172
○
谷川
政府
委員
駐留軍の軍人家族が
日本
において外国からいろいろな物を輸入する、その物品が一番多いわけでございますが、そのほかに、合衆国軍隊またはその公認調達機関が輸入する物品、あるいはPXで販売する物品その他でございます。
武藤山治
173
○武藤
委員
つい最近、
日本
に観光客がアメリカあたりから来る際に車を持ってくる。そうすると、その車が税関から許可をされて乗れるようになるのには
——
帰りのときですか、
日本
から向こうに帰るとき、これがまた非常にうるさい。特に、田原春次代議士から、いつかひまを見て
関税局長
に質問してくれと言われた。実は、きょうはネタを持ってこなかったから、ちょっといま詳しい内容はわからぬのでありますが、何か税関から乗り出すまでの間に
日本
のブローカーみたいのが税関についておって、なかなかその車を自分で乗れるようにはならぬ、日数がかかり過ぎる、観光客が非常な不満を持っておる、こういう制度はいまの
日本
の税関ではどんなことをやっておるのか、そういうぐあいにきつい質問があったわけです。現在そういう事例は絶対ないと言い切れますか。あとでまた
資料
をこまかく持ってきて、具体的なその人をさして質問したいと思いますが、どういうことになっておりますか。
谷川宏
174
○
谷川
政府
委員
観光客が
日本
に参りまして相当外貨を落とすわけでございますので、私
ども
税関当局といたしましては、観光客及びその携帯物品の搬入につきましては、できるだけ親切丁寧を旨としてやるように指示しております。なお、お尋ねのような、期間が相当長くかかったという事例は、過去においてあったと思いますが、現在におきましてはもうてきぱきと処理をさせておりますので、そういう点はおそらくないと確信しております。
武藤山治
175
○武藤
委員
大臣が出席して、堀さんが質問する約束になっておりますので、私の質問はこれで終わります。
三池信
176
○
三池委員長
堀昌雄
君。
堀昌雄
177
○
堀委員
ただいま
議題
になっております関税関係四法をいろいろと調べてみまして、大体関税というものが持っておりますのは通商貿易の一つの側面であって、私、この前本
会議
で少し議論をいたしましたけれ
ども
、実は通商貿易関係の所管が非常に各省に分かれていて、これまで私がいろいろ調べました範囲では問題が少しあると思います。 その中で、現在残っております問題の中に、先進諸国との間の関税の差別の問題が現在依然として残っておるわけです。特に欧米諸国の対日差別品目の問題でありますが、私、一九六五年四月の
資料
は大体持っておるのですが、現在イタリア、フランス、ベネルックス、西独、アメリカ、イギリス、スウェーデン、ノルウェー、これらの例の差別品目の残っておる数を最初にちょっとお答えいただきたいと思います。
谷川宏
178
○
谷川
政府
委員
ことしの一月一日現在の差別品目によりますと、フランスが八十七、イタリアが九十七、西独が二十、ベネルックスが三十三品目、スウェーデン、デンマーク、これはすべて個別ライセンス制度をとっておるわけであります。
堀昌雄
179
○
堀委員
実は、私
ども
この関税の問題、あとで通産大臣にも入っていただいて少し議論をしなければならない問題もあるのですが、特にこのイタリア、フランスが非常に差別品目が多い。この問題が実はスウェーデン、ノルウェーにはね返っておるわけでして、どうしても特にこのイタリア、フランスの差別の問題というのが解決をされないと、非常に私今後の
日本
の欧州向けの輸出というものについては問題があるように思いますけれ
ども
、今後の取り扱いについて
——
これは通商航海条約すらもイタリアとはまた結ばれていないのではないかと思うのですが、こういう面を含めて、
政府
はこれをどういう方向で処置をしようとするのか。このことは、地域統合が全般的に非常に進捗をしておる中で、さらに問題は複雑化をしてくるのではないか、こういう感じがいたしますので、あとでちょっと地域統合関係にも触れますけれ
ども
、こういう九十七、八十七というもの
——
ベネルックスは三十三とか、西独の二十とかいうのは比較的少ないほうですし、アメリカ、イギリスともに表向きは一九六五年四月では十二ぐらいになっております。それらを含めての今後のイタリア、フランスに対する働きかけについて、ひとつ大臣の見解と、外務省として現在考えておるものがあるとするならば、外務省からお答えを願いたいと思います。
福田赳夫
180
○福田(赳)国務大臣 お話のように、いま
日本
の対外通商からいいますと、EEC諸国、これは非常におくれている。その中でも御指摘のフランスとイタリアが
日本
に対して差別待遇をしておるということは、非常に目立つわけであります。そういうことが影響しまして、EEC諸国というのは、
国民
総生産からいいましても、人口からいいましても、あるいは鉄鋼生産というようなことからいいましても、アメリカに匹敵するような大きな力があるわけですね。その貿易の
日本
に対するシェアを考えてみると、これは実に惨たんたるものだ。これは、私はヨーロッパ諸国にもう少し
努力
をしなければならぬと前々から考えておるわけです。最近は幾らか
改善
はされておるのです。しかもそういうような状況なんで、
わが国
の通商発展の一つの目標がヨーロッパ大陸にあり、こういうことも考え、それからまた、そのためには貿易障害、特にフランス、イタリアの問題を解決しなければならない。これは非常にしつこくただいま交渉を続けておるところでございます。
堀昌雄
181
○
堀委員
話がここにきましたから、地域統合の問題にちょっと触れておきたいと思うのですが、実は、いまのEEC関係、それからEFTAの関係、こういうようなところはいずれも一つのサークルをつくっておる。最近は南米にはLAFTAができ、中南米にはLATFというふうなものが次々とできる。それはアフリカにもできる。アラビアにもできるということで、世界的には非常に地域統合が進んできている。
日本
と東南アジアだけが実は取り残されておるというような状態になっておると思うのです。その場合に、ちょっとEECを調べてみますと、一九五八年には輸出が、域内が三〇・一、域外六九・九であったものが、一九六四年には域内が四三・四、域外五六・六ということで、どんどん域内に比重がかかりつつある。これは輸出入ともに非常に域内の伸びが大きくなっておるわけです。一九五八年を一〇〇としてみると、域内の伸びは、輸出が二六六、域外が一五〇、輸入がやはり二六四が域内で、一六四が域外、こういうかっこうですから、この形でどんどん続いていけば、これはなかなか
日本
がこれらのEEC諸国の中へ入っていくということはむずかしいような客観的な情勢が一つある。おまけにローマ条約の百十五条を
適用
して、内部的に一回輸出をしたものがさらにEEC内部で動くことすらも制限をしようというような動きがすでに出てきている。こういうことを考えてみると、やはり
日本
の今後の貿易のパターンというものが、あまりアメリカにばかり比重がかからないで、欧州のそういう先進諸国との間にもバランスのとれた貿易をやっていくということにならないと、これは将来非常に私は困る時期がくるのではないかと思う。特に
日本
の場合には、諸外国、特に欧米の先進諸国というのは、後進地向けの輸出入のウエートが大体二〇%ぐらいのようですが、
日本
は四〇%ぐらいあるということで、ここらにも非常に今後問題をかかえておるとするならば、この問題というのは、今後の
日本
の貿易を伸ばしていくためには非常に重要な問題になる、こう思いますけれ
ども
、しかし、具体的にはどうも話が進んでいない。これが私、いまの
日本
の置かれた状態では非常に問題のあるところだと思いますので、この点について、具体的にはこれは外務省がやっておるのか、どこでどういうふうにすればこの問題は少し解決の方向に進むのか。そのいまの
努力
をしていただいておることはわかりますけれ
ども
、そういうめど等について、もう少し明らかにならないかと思いますが……。
福田赳夫
182
○福田(赳)国務大臣 これは外務省が
中心
になって、その出先公館を使ってやっておるわけなんです。それで、いまお話のように、地域統合の動きが各地で見られるわけであります。特に一番それが組織化されているのがEEC、こういうことであります。EEC諸国は、消費力、ものの
需要
からいうと、もうたいへんなものなんでありまして、そこへ
日本
がなかなか足を踏み込めないというところが、
日本
のこの貿易上の一つの隘路でおる、こういうふうな認識を持っておるわけなんです。 それからもう一つは、そのEEC諸国というのが、戦前は非常に植民地を持っておった国です。戦後は違った形において旧植民地との間の経済提携というものが行なわれておるわけであります。それももう一つこの
日本
の通商
拡大
なんかの壁になるという要因かと思います。それで、ケネディラウンドということがケネディによって主張された。私は、あの思想というものは、そういう障壁を打破する上において非常にいい影響がある、こういうことを考えますと、
日本
もケネディラウンドにまっすぐ乗っていくべきである。こういうふうに考えておるものでありますが、しかし、何せただいま申し上げましたような一つの経済共同体をつくろうという動き、また、旧植民地との関係、こういうものもあって、なかなか急速の解決は困難だという状況かと思います。いま、外務省の
経済局長
が見えていますからお答え申し上げます。
加藤匡夫
183
○加藤(匡)
政府
委員
お答えいたします。御指摘のように、ヨーロッパ、特にEEC六カ国との通商関係、これをほかの地域と比べまして伸び率が非常に少ない。EEC六カ国の
国民
総
所得
あるいは一人当たりの
所得
等から見ましても、
日本
とEEC諸国との貿易はもっともっと
拡大
してしかるべきものであるというふうに、外務省だけでなく関係各省ひとしくそういうふうに考えております。そこで、具体的にEEC諸国の差別待遇問題をどういうふうに処理いたしておるかと申し上げますと、もちろんEEC構成国の各国、ベネルックス三国はこれは一緒でございますが、あとドイツ、フランス、イタリア等々と毎年通商交渉をやりまして、自由化ないし自由化しておらないクォータ制のものにつきましてはクォータの
拡大
等、毎年長期にわたって貿易交渉をいたしまして、少しでも前進するように
努力
いたしております。それと同時に、ガットの場におきましてもケネディラウンドの交渉が始まりまして、これは関税引き下げの交渉のみならず、同時に非関税貿易障害も取り除く
努力
をするということに相なっておりますので、ガットの場を通じましても、この非関税貿易障害がEECとの貿易については一番大きな問題でございますので、これについても先方と強力に交渉をしたいという
方針
でやっておりますが、何分にも、先生御
承知
のように、EECの内部の問題がございまして、フランスが例の農業基金問題で独自の行動をいたしておるということから、EECの中で
委員会
といたしましてはやはり対日政策問題というのが非常に大きな問題だという意識がございます。そこで、対日共通政策というものを、EEC側の事情もございまして、進めよう、それができたらひとつ
日本
とEEC諸国が一本になって話をしたい、こういう意向を非公式に示しておりましたのですが、今度の問題のためにこの対日共通政策の意見の一致がなかなかできず、それが延び延びになっています。そこで、EEC諸国を打って一丸とする交渉というのはなかなかできないという事情にございますが、新聞等にも出ておりますように、パリにおきまして、OECDの場を通じまして二十三日から
日本
の通商政策並びに
日本
が通商いたしておりますOECDメンバー諸国の対日通商政策という問題につきましても、われわれは、従来ヨーロッパ諸国が非常にいわれのない
日本
人の市場撹乱という問題について、いまだに輸入制限的な
措置
をとっているのは非常に理解しがたいというようなことを申しまして、この場ではモラルプレッシャーと申しますか、そういうものをどんどん加えるように
努力
いたしております。
堀昌雄
184
○
堀委員
EEC諸国の問題というのは、急にはいかないと思いますけれ
ども
、しかし、これは少し
努力
を積み重ねていかないと、やはり
日本
の輸出というものがだんだん重化学工業といいますか、あるいは精密機械、そういうふうな方向にきておるにかかわらず、やはり先進諸国との貿易の比重が依然としてあまり伸びないというのは、今後の
日本
の貿易を
拡大
していく上には大きな問題になると思いますので、特に善処を
要望
しておきたいと思います。 その次は、今度の関税をずっとながめてみますと、これまでのナイジェリアその他の片貿易
是正
のための関税の取り扱いがかなり出ておるのと、一つは韓国との問題がいまこの関税法の中に出てきておるわけです。そこで、後進国との貿易の問題というのは、これはナイジェリア一つとってみても、われわれとその他の国の
生活
環境の相違でありますか、どうも
日本
だけがひどく出超になっていて、向こうの入超のほとんどは
日本
の出超によって埋められておる。その他先進諸国は、大体輸出入バランスがとれておるのは一体どういうところに基因しておるのか。
生活
様式の相違というものが当然あるからだろうと思うのですけれ
ども
、この点について、どなたからでもひとつお答えをいただきたいと思います。
加藤匡夫
185
○加藤(匡)
政府
委員
これはわれわれのほうも非常に問題視いたしまして、ことに、先進諸国の在外公館を通じまして、先進諸国がアフリカその他後進地域との貿易のバランス問題をどういうふうに調整しているか、特に割り高の一次産品をどういう施策をもって買い付け促進をやっておるかということを数次にわたって調査をいたしました結果、西欧諸国、これはアメリカを含みまして、
政府
の
措置
として特に割り高なものを買うというようなことは、具体的にはほとんどやっておらないという結果が出ております。ただ、御
承知
のように、アフリカをはじめ、西欧諸国の旧植民地であった関係から、そういうところの大会社が昔から根をおろしておるというようなことで、青田買いみたいな制度で、あるいは金融上のいろいろな優遇
措置
とかいうようなことで、西欧諸国が非常に根をおろしておるだけに、一次産品の買い付けについて、最近進出したわが商社に比べれば非常に有利な立場にあるということは言えるかと思います。
堀昌雄
186
○
堀委員
まあ、今後後進国とは
——
彼らのほうでは援助よりも貿易だというのが大体の考えだと思います。これは援助というのは、たいていタイドローンなんかになっておるから、向こうとしては非常に使いにくい。それよりも貿易でやってもらえれば、それによって得た外貨というものは自由に使える、こういうことがあると思いますが、ここで例を一つあげて申し上げると、今度コーヒーとココアは、これらの一次産品買い付けのために無税にする
——
基本
税率
はありますけれ
ども
、暫定無税だと思うのですが、実は紅茶だけが
日本
は三五%、EECも二五%ですけれ
ども
、非常に高い関税が取られておる。これはコーヒーとココアは国内産がない。紅茶は国内でつくっておるということに確かに問題があると思うのですけれ
ども
——
園芸局長
、入っていますね。一体
日本
の紅茶の生産量というものはどのくらいなのか。特に鹿児島に集中しておるから、ここは山中
貞則
君とかあるいは有馬輝武君とか、鹿児島県のそうそうたる者がおるのでだいぶ影響力があると思うのですが、
日本
における紅茶の生産量はどのくらいかということをこの際伺いたい。
小林誠一
187
○小林(誠)
政府
委員
お答え申します。
日本
におきます紅茶に属します品種の裁培面積が約千五百町歩でございます。その中で、ちょうど紅茶の出回ります時期は新茶が出回る時期でございますので、緑茶に相当回りまして、大体三百八十トンぐらいが緑茶に回ります。紅茶に回りますのが八百四十トンばかりで、トータルでは千二百二十トンばかりでございます。そのほかに、実は在来種のお茶から紅茶に変わりますのが大体四百トンでございまして、合わせて大体千二百トンぐらい国内産の紅茶はあるわけでございます。
堀昌雄
188
○
堀委員
この紅茶の関税問題というのは、これは非常に後進国では大きな問題になっているようですね。この前私ちょっとジェネーブに参りましたときに、青木大使もこれには非常に頭を痛めておる、こういうふうな話を聞いたわけですけれ
ども
、この紅茶は、私の聞くところでは、あまり良質のものではないようですね、国内産というものは。外国から上質のものを入れて、それにまぜて何か国産として使っておる、こういうふうに聞いておるのですが、そこらのあたりはどういうことでしょうか。
小林誠一
189
○小林(誠)
政府
委員
お答えいたします。 国内の紅茶の
需要
でございますが、これは食
生活
がだんだん変わってまいりますので、
需要
量は相当に多いわけでございまして、四十
年度
では大体三千五百トンくらいと踏んでおりましたが、四十一
年度
では、それが四千三百トンくらいになるのではないか。それで、先ほど申しました千二百トンくらいを差し引きまして、その差額の三千百トンくらいを輸入しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
堀昌雄
190
○
堀委員
私は、やはり関税を、これはものによって少し下げると同時に、農林行政として、将来どうしてもこういうような一次産品で後進国と競合する品種のものについては、少し作付転換というか、何かもう少しそういう総合的配慮をしないと、なかなかこれはむずかしいのではないか、だから、単に関税面だけの処置ではこれはいけないので、国内で紅茶ができる以上はなかなか競合になると思うのですけれ
ども
、そこらを含めて、農林行政上どうしてもいまのような紅茶でなければならないのか、あるいはそれは緑茶その他に転換をして、製法なりあるいはいろんなことで、もうちょっとこういう面で後進国側の
要望
の入れられるような方向にならないのかどうか、ちょっとその点を……。
小林誠一
191
○小林(誠)
政府
委員
御存じのとおり、紅茶の主産地は鹿児島県がほとんど大部分を占めておるわけでございまして、鹿児島県は、御存じのとおり、台風の常襲地帯でございまして、ほかによい作物がないというようなことから、やはりこの紅茶と手を切ることはなかなかむずかしいことだと思っておるわけでございます。この紅茶のいまの樹齢でございますけれ
ども
、非常に幼齢樹が多くて、これから生産が上がってくるわけでございます。しかし、全体といたしまして、今後紅茶をそれほど大きく増産をする、むしろ作付面積をふやすというようなことはあまり考えていないわけでございまして、むしろいい品種に切りかえていくというような
方針
でやっておるわけでございます。何ぶん、先ほど申しましたように、
需要
は年々これは増加するわけでございますので、そういう意味で、やはりセイロンその他の国から相当今後も輸入しなければならない、むしろその量は増加するのではないかというふうに考えておる次第でございます。
堀昌雄
192
○
堀委員
ほかのものですね、コーヒー、ココアが免税になってしまって、紅茶だけ三五%が残っているというのは、こういうものを産出しておる国としてはやはり非常に抵抗を感じるのではないかと思いますので、これは少し何か具体的な方法によって、国内産を圧迫しない
程度
で、しかし後進諸国側の
需要
も考えてあげるという処置は必要ではないかと思うのです。私自身も実はあまりコーヒーは飲まないけれ
ども
紅茶のほうは飲む、そしてみると案外
日本
で飲む紅茶というのは高いのですよ。非常に高い。これは関税だけではないと思いますけれ
ども
、もう少し紅茶なんというものは安く飲めるような処置があっていいのではないかと思うので、後進国の貿易促進との関連でひとつ今後検討してもらいたい。 本
会議
も間もなくですが、一つだけ大臣に伺いたい。実は、私
ども
これまでいろいろな貿易問題を見ておりまして、特に一昨年海外諸国を歩いてみたときに、
日本
の貿易の伸び方が、どこかに物が売れ始めると、これが算術級数的でなく幾何級数的にふえる、こういわれております。ちょうど私
ども
が西独へ参りましたときにも、ゾーリンゲンに
日本
の洋食器が洪水のように入る、あるいは洋がさの骨が非常な勢いで入ってくるということで、いろいろと話題になっておりましたけれ
ども
、私は、この問題の中に
日本
の大型商社の問題というのがどうも介在をしているような感じがしてしかたがないのです。大体、本来ならばメーカーができるだけ直接向こうのそういう取引先と交渉をするということであれば、私は、まだこういう過当競争が避けられるのではないかと思うのですが、ともかく、
日本
の商社というのは、どこかが売り込みの話がつくと、そこへ一斉に集中してきて、そしてわれもわれもと値段を下げたりリベートをしたり、いろいろなことをして過当競争を起こしておる。この問題は、
日本
の商社というものは、金融政策上からいっても私は問題のあるものだと思うし、世界的にどうも
日本
のようなマンモス商社システムというものはあまりないのではないか、こう思うのです。最近ちょっと調べたところなんですが、播磨鉄鋼という姫路にある工場が倒産しかかった。調べてみると、ここはメーンバンクがない。
設備投資
その他はどこから金が出ているかというと、これは兼松という貿易商社が金を出してやっておる。ですから、取引銀行というのは手形割り分だけしかない。そして兼松というのはメーンバンクは何かと思ったら東京銀行だ、こうなる。これはいよいよ手をあげかけてから救済してやろうにも救済の手がなかなかつきにくいような仕組みになっている。私は、どうも
日本
の商社というものが、そういうふうに
設備投資
にまで手を伸ばしてやっておることが、やはり過当競争に非常に原因をもたらすし、同時に、金融面から見ましても、まるで金融の機関のような
措置
を
日本
の商社はずいぶんやっておる。ここらを含めて、
日本
の商社というもののあり方は、金融面を含めて再検討の余地があるのではないか。こういうマンモス的商社というものが、かえって私は
——
ある一面としてはいい面があるかもしれません。しかし、過当競争という面では非常に悪い面もあるのじゃないか、こう思いますけれ
ども
、それについての大臣の答弁を伺って、午前中の私の質問を一応終わることにいたします。
福田赳夫
193
○福田(赳)国務大臣 マンモス商社、これがいい仕組みであるか悪い仕組みであるか、これは私は相当議論のあるところだと思うのです。ただ問題は、そのマンモス商社が
日本
ではあまりにも数が多いのです。これが競い合っている。そこに諸外国に対していろいろトラブルを起こす根源があるのではないか、そういうふうな感じがいたすわけです。いまこうもりの話がありましたが、外国だってこうもりメーカーもおるし、こうもりの販売店もあるわけです。そこへ
日本
のこうもりがどっと安価低廉に大量に出ていくということになれば、相手国でも中小
企業
問題が起こりましょうし、それがまた国会で論議もされましょうし、
日本
品に対するいろいろな批判が起こってくる。私は、いま御指摘の商社制度がいいか悪いかについては、にわかにここでこれが欠陥があるんだというふうには判断は申し上げかねますが、しかし、そのあり方、これには問題がある、そういうふうに思うわけであります。いま、
日本
品が諸外国でいろいろ問題を起こす。
日本
の貿易を大いに伸張させなければいかぬけれ
ども
、外国の障壁を撤去する、これも一つでありますが、同時に、その障壁を設けさせるゆえんのものをわれわれは深く反省しなければならぬ。お話ごもっともだと思いますので、最善の
努力
を尽くしていきたいと思います。
三池信
194
○
三池委員長
午後四時に
委員会
を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時五十九分休憩
——
——
◇—
——
——
午後四時二十分
開議
三池信
195
○
三池委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。
質疑
を続行いたします。
堀昌雄
君。
堀昌雄
196
○
堀委員
午前中の
質疑
に引き続きまして、現在、関税上の
措置
その他以外に、アメリカ、イギリス、カナダその他で、
わが国
が自主規制という名のもとに輸出を制限しておる問題がございますので、
現状
における自主規制というものの内容について、これは通産省でしょうか、お答えをいただきたいと思います。
高島節男
197
○高島
政府
委員
自主規制という形でやっております国内制度として申し上げますと、現在、
法律
といたしましては、輸出入取引法というものがございます。これて輸出業者
——
これはメーカーも業者という立場で加わることもございますが、輸出業者及びメーカーが協定を結びまして、数量あるいは価格、品質、デザイン等々の輸出に関連する事項につきまして協定を結びまして、そして自主規制をやっております。あまり安い値段で出さないとか、あまり多量に出さないとかいう協定を自主的なやり方でやっております。その他、これは品目により、仕向け地によって非常にばらばらになっておりますが、私の記憶では二百近くできておるようであります。そういったスタイルで出しておるわけでございます。
堀昌雄
198
○
堀委員
こめ自主規制は、
わが国
の側から言えば、自主規制と名前がついているのですから、その主導性がこちらにあるように見えておりますけれ
ども
、現実には、どうも相手方、二国間といいますか、そういう間での向こう側の意向が反映しておるのではないだろうか、こういう第一点の問題があると思う。第二点は、この自主規制をやっておるものを、両方広げようという問題については、相手国は自主規制というのはおまえのほうでかってにやることで、こっちのかかわり知らぬことだという
考え方
が間々相手国から聞かされておるように私は聞いておるわけです。ですから、この自主規制という名の輸入制限といいますか、貿易制限という問題は、いま二百品目、いろいろあると思います。相手国との関係でいろいろあろうと思いますが、どの
程度
のほんとうの自主規制なのか、相手方からある
程度
強制というと言い過ぎかもしれませんけれ
ども
、強制されておる自主規制なのか、その点は、国別にも多少違いがあるのではないか、こう思うのですけれ
ども
、この点についてはどうでしょうか。
高島節男
199
○高島
政府
委員
非常にデリケートな御質問でございまして、いささか迷うわけでございますが、自主規制をやろうということになってまいります背景としましては、やはり相手国の中で何か障害を受ける産業もある、
一般
の人も騒いでおるといったようなことが
実態
的に背景になってまいります。そういうところへ、
日本
側のほうから、幾ら採算が合うからといって、力があるからといって、輸出がぐんぐん伸びるままでほうっておくということは、結局その市場を長期的に失っていく、また、狭くなっていくという形になってまいります。したがって、外交上の経緯は一々私も記憶いたしませんが、どちらから言い出したのか、どちらが強く言ったのか、これはいろいろございます。
日本
側のほうから先に、これは慎むべきだという感じでアプローチしたケースもありますれば、また、相手国のほうから、こういった問題が起こったといって強く言われて、なるほどと思ってやっていることもございます。これは非常に
段階
がございますけれ
ども
、結果においては、やはり
日本
としてはそれだけのことをやりませんと、輸出の市場の確保が結果的にはできない、こういう判断ができましたところで、ただいま申し上げましたような
法律
に基づいた自主規制の体制に入る、こういった手続をとっております。ものによっては、おっしゃるように、確かにニュアンスはいろいろございますが、これは私も一々正確に記憶いたしておりません。経緯は多岐にわたりますので、省略させていただきます。
堀昌雄
200
○
堀委員
私は、けさからいろいろ議論している中で、対日差別の問題で、一つは、さっきのような、朝ちょっと触れたのですけれ
ども
、依然としてこれまでの差別品目として残っておる問題と、もう一つは自主規制という形で残っておる問題、もう一つは、一々ライセンスをとらせるという形で、実質上はもう輸出が非常に困難になっている問題、この問題の中には三つあると思います。ですから、私は、今後の問題は
——
いまこの問題についての外務省の担当はあなたのほうじゃありませんね、経済局のほうで、いまいないようですから、それには触れませんけれ
ども
、
日本
の場合に、ナショナルインタレストという点について、どうも諸外国より
日本
のほうが弱いような感じがしてならないわけです。戦前はそんなことはなかったのでしょうけれ
ども
、戦後は、外国のほうがどうもややナショナルインタレストというものを強く主張して、わがほうは常にそれに押されがちという感じがしてならないのです。ですから、この点は、ひとつあとで大臣が来られましてから綿製品協定の問題を含めて議論したいと思っておりますけれ
ども
、自主規制というものが、本来の自主的なあり方で行なわれるならいい、ところが、間々向こう側が、おまえのほうはかってにやっているのだといわんばかりで、なかなかこれが
改善
等についての配慮が行なわれないようなものがあるとすれば、やはりこれは
日本
の貿易を今後伸ばしていく上には大きな問題になろうと思いますので、午前中に触れました対日差別の問題とあわせて、十分ひとつ通産省としても、その他
政府
として、また、通産省だけではなく、外務省もそうでしょうし、大蔵も関係があると思いますけれ
ども
、ひとつ総合的に考えていただきたいと思います。 次に、後進地域の今後の貿易のあり方として、午前中には紅茶の関税その他に少し触れたので、次に外為のときにも議論しておきたいと思いますけれ
ども
、
日本
の後進地域に対するいまの貿易量が四〇%近くになっておるところから見れば、この問題は、やはり相当長期的に考えていかなければならない。ここで、皆さんのほうでは、何か事業団によるとかあるいはジェトロによって一時的にこの問題を糊塗しようというような
考え方
があるやに聞いておるわけですけれ
ども
、通産省としての後進地域に対する
考え方
をちょっと簡単に述べていただいて、あわせて、外務省としてはこれについてはどういうふうに考えているのか、後進地域の貿易の
拡大
についての今後の方法ですね、これについてちょっと通産、外務からお答えをいただきたいと思います。
高島節男
201
○高島
政府
委員
いわゆる後進国、発展途上諸国の貿易は、最近輸出の関係で若干伸び悩みというようなことを聞いております。しかし、ウエートは非常にまだ大きいと思いますし、今後も大いに伸ばしていかなければならぬ大事なマーケットだと思っております。ただ、その際に、こういった国は大体一次産品、農産品あるいは鉱産物というようなものを主として生産いたしておりまして、
日本
としてもこれが買えるという体制になりませんと
——
これもその
程度
はございますか、いずれにしても貿易バランスということにはほど遠い。それだと、
日本
の輸出も輸入制限を受けたりするということが従来からガンになっているのは、先生御
承知
のとおりでございます。それに対しての臨み方でございますが、従来主として考えてまいりましたのは、やはりいきなりこういった国の品物を買おうといたしましても、紅茶の問題のような国内産業の関係はちょっと別といたしまして、第三国と申しますか、アメリカ、オーストラリア、カナダ等の、いわゆる先進諸国の第一次産品あるいは鉱産物というようなものが、価格からいって、安くて品質がよくて、結局
日本
の
企業
コストに安く入ってくるということであれば、どうしてもそちらを買い付けていくのが現在の自由化の体制のもとでの必然の結果になってまいります。それで、それの克服のしかたとしては、やはり安くて品質のいいものが向こうで大量に生産されるという形にできるだけ持っていきたいと思いまして、いわゆる
日本
からの海外経済協力と申しますか、あるいは投資の形でいくこともございますし、あるいは
政府
からの借款の形でいくケースも最近非常にふえてまいりました。さらに、単純なる延べ払いでも、延べ払い条件を次第に
緩和
して、プラント輸出をして開発に充てるという形で、一次産品自身を生産する
基礎
になるところにそういった資金をつぎ込む、あるいは場合によっては技術指導をやっていく、農業、工業等の技術指導をやっていくという形で、物それ自身を安くしていこう、こういったオーソドックスな方向の
努力
をずっと重ねてまいったのでございます。ただ、現実の問題としましては、そういうことが効果をあげる前に、特に東南アジアからややはずれております中近東とかアフリカとかいう諸国の
実情
を見てみますと、物が高いままに何とか買ってくれ、ヨーロッパのほうは買っているじゃないか
——
午前中に
経済局長
からちょっと答弁がございましたが、従来からの一つの歴史的つながりで向こうは買っている、しかし、こっちは買っておらぬというところをつかれる実際上の問題もございますので、こういうものに対しましては、民間の輸出業者、輸入業者が相互に話し合いまして、輸出のほうの市場を守るために、やや無理でも輸入をするという形の制度を現在やっております。これに対して若干の応援をしていきたいということが、先般の、ジェトロなり何なりを使いまして若干の新しい制度を考えていきたいというねらいでございます。それで、経済協力の基本姿勢として、安い物をまずつくらせる方向にいくことが本筋だと思いますが、輸入制限等とからんでタイミングを失することがあってはいかぬと思いまして、ああいった形のものも新しい方法として検討できぬだろうか、こういうのが私の気持ちでございます。
堀昌雄
202
○
堀委員
外務省、ひとつその同じケースについて……。
西山昭
203
○西山
政府
委員
ただいま高島局長
説明
のとおりに考えております。ことに、外務省としましては、やはり長期的に見ますれば貿易が非常に大事でございまして、結局、後進国の輸出が伸びまして貿易収支の問題が解決しませんと、長期的にはその国の経済というものはなっていかないというぐあいに考えておりますので、
日本
の輸出の面もさることながら、後進国の輸出が増大する、またその
基礎
になりまするようないろいろな
基礎
的条件の
改善
、そういうようなものに経済協力を今後
重点
をおいていきたい、こういうぐあいに考えておりまして、貿易収支の問題は直ちには解決しないかと思いますけれ
ども
、ただいま
貿易振興局
長が答えましたとおりに考えております。
堀昌雄
204
○
堀委員
この問題は、短期的な問題と長期的な問題とやはり併用しなければならないと思うのです。私は、この前も本
会議
で少し質問をしましたけれ
ども
、どうも
日本
の国際収支そのものが安定してないものだから、長期的なものがなかなかやりにくいというのが、実は
日本
のいまの
現状
じゃないかと思います。しかし、それだからといってこれをほうっておくと、ほうっておけばおくほど、今度は実は短期的な処置ではできなくなってきて、その結果は、さらに国際収支にはね返るという悪循環になるおそれもなしとしないというのが、私は最近の問題だろうと思います。この点については、私、この間少し本
会議
でも議論をしましたけれ
ども
、いまの
日本
の計画その他がやや安易に過ぎるのではないかという感じがしてなりませんので、その点についてはやはりステーディに、しかし、やらなければならぬことはきちんとやるということでやっておいてもらわぬと、先へ行っては追いつかないという問題になりかねないので、その点は特に
要望
いたしておきます。 大臣が入られましたので、私の本論のほうに話を戻しますが、きょう通産大臣にお聞きいたしたいのは二点ございます。 その一つは、いま関税法の問題をやっております中で、ファスナー、ジッパーといいますか、この問題について、昨年私
ども
大蔵
委員会
で吉田工業という富山にある工場を見学いたしました。私が非常に感心をいたしましたのは、かつては手工業でやっておりましたジッパーを、ほとんど完全に自動化をして、人件費を極度に合理化をして、私は
企業
として非常にりっぱな
企業
だというふうに思っております。この
企業
が、アメリカ、豪州その他に対して輸出をやってまいります過程で、いろいろな形で実は締め出されておるわけです。あとで
大蔵大臣
が入られましたら、関税面の問題については
大蔵大臣
のほうにお話をいたしますけれ
ども
、いまこのジッパーは、四セント以上のものについては四〇%、四セント以下のものは五〇%という高率関税が片面で課せられておるだけではなくて、今度は綿製品協定のワクの中で、そのジッパーのジッパー・チェーン及びテープそのものが極度に小さなワクの中に追い込められておる。こういうのが実は
実情
なんであります。 そこで、私が大臣にお伺いをしたいのは、日米綿製品協定の問題は、ことしの末になりますと一応協定期間が切れるわけでありまして、これはガットの
一般
協定ですかの問題でも取り上げられることになるだろうと思うのですが、私は、この
一般
的な綿製品協定というものの中には、やはりブラウスの問題とか、いろいろ問題があろうかと思うのです。しかし、そういうふうなものと、ジッパーのように
日本
の技術によって非常に合理化が促進をされて、それが本来の意味での輸出競争力を持っておるようなものについての製品までも一様に綿製品協定のワクの中で締められておるのは、非常に私は不合理だという感じがしてならないわけでございます。実は、綿製品協定ができたために、YKKではアメリカに工場をつくって、
日本
からテープを入れて、向こうの労働力で向こうで生産をしておる。ところが、その自分の工場で使うための綿テープすら制限されていて思うように向こうへ送ることができない。こういう点は、私は、綿製品協定の改定時期にあたって、
一般
的な、ただ売りっぱなしの商品と違って、
日本
がわざわざそういう新しい合理化した機械を持ってアメリカに進出をして、向こうの労働力で向こうでつくっておる、その原材料であるテープまでも、要するに、綿製品協定のワクの中で非常に圧縮をしておるというようなやり方は、これは私はもう少し考えてみる必要があるのではないか、こう思うのでありますが、ひとつ、綿製品協定の改定時期にあたって、こういう特殊的なものに対する取り扱いについて通産大臣のお考えをちょっと聞いておきたいと思います。
三木武夫
205
○三木国務大臣 堀さん御
承知
のように、国際綿製品取りきめが来年で期限が切れるものですから、その間、暫定取りきめのような形で綿製品取りきめをやったわけです。それ自体はだいぶん
改善
にはなっています。ワクを五%ふやしたり、ワク内で流用したりするのに非常に弾力的な運営をしたり、
改善
はなっておるけれ
ども
、根本的には、いま御指摘のような不合理がたくさんあると思います。これはしかし、国際綿製品取りきめが一体どういう経過をたどるか、アメリカとの関係もこれは暫定協定でありますから、国際綿製品取りきめの推移ともにらみ合わせて、いま言われたような点は、私も話を直接聞いたこともございますし、相当不合理な点もありますので、これが暫定協定でありますために、いろいろこれが本式なものになる場合には
改善
をせなければならぬ点が非常にたくさんあると思っております。
堀昌雄
206
○
堀委員
私は何もジッパーだけをというわけではありませんが、たまたまこの経過を詳しく
説明
を聞いてみますと、なるほ
ども
っともだという感じがしてならないわけです。当初は製品で輸出をしておったところが関税でだめになり、そこで今度はジッパー・チェーンということで、初めは綿製品という形で輸出をしておったら、これも部品だということで押えられる、その次に、今度はしかたがないから向こうへ工場をつくって、そうしてテープで出す、こういうことになってきたようでありまして、その間、ひもつきテープ等は、初めは五〇%の関税であったものが二〇%に下がった等、関税のほうは下がったけれ
ども
、ワクが狭められておっては関税が下がってもどうにもならない。こういう問題が実は出ておるようでありますから、ひとつその点については
——
何かYKKでは、いよいよだめならば、今度は向こうにまたテープをつくる工場をつくらなければならぬ、そんなことになるのは私非常にむだな投資のように考えられますので、この点は、協定の今後の取り扱いの中で注意をして処置をしていただきたい、こういうふうに思います。 第二点の問題は、一昨日、土曜日くらいから新聞紙上にだいぶ出ておりますが、西ドイツが中国に対して鉄鋼のプラントを輸出するということです。これは西ドイツだけではなくて、欧州各国の共同になる契約のようでありますが、五年
程度
の延べ払いによって応じるのだということが出て、これに対してラスク国務長官は、あまり望ましくない、何とか考えてくれというようなことを新聞で読んでおるわけです。実は
日本
の中国貿易の問題を少し私
資料
で見て調べてみますと、三十八年には、中華人民共和国向けの輸出が六千二百四十二万ドルで、輸入が七千四百六十万ドルくらい、そのときの台湾のほうに対する輸出が一億七百十四万ドルで輸入が一億二千二百六十四万ドル、ところが四十
年度
になりますと、大体中華人民共和国向けが約四倍くらいにふえて、二億四千万ドル余りが
日本
からの輸出であり、輸入が二億二千万ドル、非常に中国貿易は急激に
拡大
をしてまいっております。台湾の貿易は、その間、輸出については約倍で二億一千万ドルくらいになり、輸入は一億五千万ドル
程度
ということで、私は、台湾というのは小さい国でありますし、国と言っていいのか何かわかりませんが、小さい地域であるし、人口も少ないわけですから、それとの貿易量というものにはおのずから限界があって、幾らでもふえるというものではないと思います。しかし、中国のほうは、何といってもあれだけの大きな国であり、人口も六億をこえるというわけでありますから、市場としてはまことに大きな、将来性のある市場だと思います。
日本
もそういうことで非常に貿易量が
拡大
をしてきておる中で、今度は西ドイツか
——
これまで比較的西ドイツというのは
日本
に近く、アメリカと戦った同じような敗戦国の一つでありますから、その意味では比較的アメリカの意向に忠実であった国のように私は理解をしております。ところが、その西ドイツすらも、
日本
のビニロン・ブラントや何かとはお話にならない鉄鋼のプラントを輸出する、それも延べ払いで輸出をするというここの
段階
にきて、私たちは、
日本
の今後の中国市場に対する延べ払いその他の問題がいつまでもいまのように停滞していていいものかどうか、これは私非常に重大な問題ではないかと思います。特に、
日本
の今後の貿易構造は、私は、いまはなるほどアメリカが非常に大きな輸出の市場になっておりますけれ
ども
、いつまでも
現状
のような状態が続くと考えるのはこれはやや安易に過ぎるのではないか。やはり全体としてバランスがとれながら
——
先進国向けもしかりであります。午前中、私はEEC向けの議論を少しいたしました。EECの差別の問題その他も含めて、どうもEEC関係の輸出その他が停滞をしておるわけでありますから、こういうものも伸ばしていかなければならないし、同時にまた、後進国向けの、低開発国向けの貿易もウエートが四〇%
程度
あるわけでありますから、これも伸ばしていかなければなりませんけれ
ども
、しかし、あわせて、最近六%近くになってきておるところの共産圏貿易というものも、これはよほど真剣に考えないと、西欧諸国にかなりイニシアチブをとられるおそれがある
段階
にきておるのではないか、こういうふうに考えるわけです。これについて私は、いろいろ吉田書簡その他もありましょうけれ
ども
、しかし、貿易の問題というものは、時期を失すればそれだけ向こうが地歩を占めるわけでありますから、おそらく、いま西欧を含めて輸出競争というものが相当な激しさを加えておる今日、いまのような安閑とした形での処理は許されない、こう考えるのですが、ひとつ通産大臣、この西独に関連して、対中国貿易の延べ払いについて少しお考えを伺っておきたいと思います。
三木武夫
207
○三木国務大臣 御
承知
のように、いまは中共の貿易に対して輸銀の申請は出ていないのです。したがって、ここで公式的に御答弁をするとすれば、申請が出ました場合にケース・バイ・ケースで判断をいたします、こうお答えするよりほかにはない、いま出てないのですから。しかし、この問題は、まあ、それは非常に公式的な答弁でして、やはり
日本
の場合も、いま御指摘のように、中共のマーケットというものは将来無視することのできない大きなマーケットですから、貿易の
拡大
ということは、
日本
も貿易政策の上から考えざるを得ない。しかし、中共貿易が過去五カ年で五倍くらい伸びたのですから、五億ドルに接近するようですから、そういう延べ払いの方式でなくても、これくらいの力をやはり持っておるわけです。さらに、延べ払いの問題な
ども
解決されるならば貿易は
拡大
していくでしょうが、自主的な判断をするという中には、もういろいろな要素がその中に入るわけでありまして、この自主的な判断をそういう申請があった場合にすることとして、実際輸銀の問題な
ども
、やはりこれは一つの懸案事項でしょう、やはり検討をしなければならぬ問題の一つであります。ただ、しかし、西独がやったから
日本
が右、左にすぐだということにはならぬ。やはりおのおのその国の立場がありますから、西独も、それは考える場合の一つの要素ではあり得ましょうけれ
ども
、西独がやったからすぐ
日本
も、そういうふうなことではない、西独の立場と
日本
の立場との違いもありますから。しかし、西独がやった、やらぬということにかかわらず、この問題は、やはり懸案として
日本
が真剣に検討しなければならぬ課題であると私も考えておるわけです。しかし、実際には輸銀のそういう申請がありませんから、申請の出た場合に検討をいたしましょうとお答えするよりほかにはないと思います。
堀昌雄
208
○
堀委員
いまのでは抽象的で、私の伺った答弁にあまりなってないのです。なるほど、いま確かに申請が出てないでしょう。そこで、かりに、たとえばこの前出してあったようなニチボーのビニロン・プラントのようなものの申請が出たといたしますね。これはビニロン・プラントですから、何も戦争に直接関係のあるものではないのです、これは民生の安定ですから。いま、われわれがきわめて不当な処置だと思っておるベトナム戦争もアメリカがやっておる中で、何しろ製鉄事業というものはいろいろな意味で戦力に非常に関係があるが、ビニロン・プラントと製鉄プラントというのは、そういう意味では月とスッポンほど違うわけです。ベトナム戦争をやっておるアメリカと非常に密接な点では、
日本
も西独もいろいろな立場上非常に似ておると思うのですが、その西独が、あの海のかなたから割り切ってこの問題をやっておるということは、なるほど大臣のおっしゃるように、それとこれとを直接にからませなくとも、これは
日本
にとりましてはまことに重大な問題だと思うのです。これは足元から鳥が立つようなものです。ですから、そういう
段階
に、もしビニロン・プラントについての申請が出たとしたら、これはケース・バイ・ケースで、輸銀を使う、使わないということの先に延べ払いを認めるべきではないのか、こう思いますけれ
ども
、大臣どうでしょう。
三木武夫
209
○三木国務大臣 これは非常に仮定で、出た場合にどうだということをお答えすることは、この問題はここでお答えする性質のものではないと思います。それは実際に出た場合にどうするかということを
政府
がやはり判断するよりほかにない。御
承知
のように、延べ払いといっても、輸銀を使わない延べ払いならば、それはいままでもやった例もあるわけです。しかし、どうしても五年以上ということになれば輸銀を使わざるを得ないですから、結局は延べ払いというのは結果的には輸銀を使うか使わぬかということになるのですね。この問題については、一時輸銀をストップしておりますから、今後新たに輸銀を使うという問題になれば、いままでストップしておるのを、新しいものが出てくるか、いままでのものをやるかは別として、やはりそれが出てきた場合に、
政府
としていろいろな角度からこれに検討を加えざるを得ないので、ここで私が、それが出てくればやりますと答えるというわけにはいかぬ。従来からやっておれば別ですけれ
ども
、ここでは、やはりそういうものが出てきた場合に
政府
として、これは慎重に検討いたしますと言う以上にはお答えできない。しかし、この問題については、やはり
政府
も真剣に検討しなければならぬ重大な問題であるという、問題のとらえ方には私は異存はないです。しかし、いまここで出したら許すかという問いに対しては、その場合に検討いたしますとお答えするよりほかにないと思います。
堀昌雄
210
○
堀委員
それでは、ちょっと角度を変えまして現実の問題としては大臣もお答えしにくいでしょうが、理論的にはどうでしょうね。これは出てないものを出たというのは議論になりませんから、現実の問題をちょっと横に置きまして、理論的には、要するに西ドイツの場合には延べ払いをやるということの
方針
をきめてきたわけですね。
日本
の場合にはものが違うわけです。ですから、そうなってくると、理論的には同じ、要するに、あなた方の言う自由陣営内の国同士であって、それも、たとえばフランスのように、ちょっと特殊的な位置にあるのではなくて、対米関係においては
日本
と同様にきわめて密接な状態にある西ドイツの場合、そうして西ドイツというものは、いろいろな点で
日本
以上に実は共産圏問題については神経過敏な国です。その最も神経過敏な国がそこまで踏み切っておるという一つの理論的な問題がある。
日本
の場合に、理論的に考えてみるならば、まず一番に非常に近いということですね。
日本
と中国は、要するに歴史的にも非常に近い。西ドイツと根本的に違う条件が一つある。
日本
の場合には、西ドイツほど対共産圏問題というものはきびしいものではない。海がありますから、それほどきびしいものではない。その他の点についていえば、実は
日本
のほうが西ドイツに比べればもっと輸出を
拡大
しなければならないのです。西ドイツのほうは、最近は数字は少し落ちてきているとはいえ、ともかく輸出の幅なりあるいは外貨の準備なり、いろいろな点で
日本
よりは
ゆとり
があるとわれわれは思っております。そのほうが、
日本
の隣の中国に対して、それもいまのココムに関係があるとかないとか、部分的に議論があるでしょうけれ
ども
、そういう問題についてすら踏み切っておるという理論的な問題がある。そうすると、これは私はどう考えてみても、いろいろな経緯もあろうけれ
ども
、理論的にはこれは割り切れてしかるべきものではないか、残っておるのは、そうでないプラスアルファの問題が残っておる、こういうことになるのではないかと思うのですが、理論的にはどうでしょう。
三木武夫
211
○三木国務大臣 私は、堀さんのように、西独はいま自由陣営で
日本
と同じような立場にあるから、西独がやったから
日本
もやったらどうかというのが理論的だとは思わない。その場合には、それはやはり理論ではないのですよ。やはり国家的な利益というものがそういう場合の判断になる。だから、もし理論として考えるならば、プラント輸出をする場合に延べ拂いを許さないということは、やはり世界の一つの慣行に反する、だからこの問題は、そういう面から、
日本
もいつかはこの問題に対して解決すべきである、それは私も一つの理論として認めます。しかし、西独と
日本
とを、これを理論の結びつけというふうには私はものを考えないのです。
堀昌雄
212
○
堀委員
私も結びつけては言ってないです。理論的には、西独は割り切れておると言うのです。西独のほうは理論的に非常に割り切れておる。
日本
のほうは、理論的に割り切れば、いまおっしゃるように、当然プラント輸出というのは延べ拂いなしにできるはずがないということですから、
日本
のいまのあり方は、プラント輸出をさせないということなんですよ。しかし、プラント輸出というものの持っておる外貨獲得なり貿易振興なり、そういういろいろな意味から見ますと、これは小さな雑品の輸出入に比べて非常にまとまっておるし、同時に
現状
では、
日本
の近代化された工業力が非常にそのために役に立つ競争力のある輸出品なんですよ。そう考えてくると、理論的には非常に割り切れておるものが、
日本
は割り切れないで、西独のほうだけが割り切れておるということになるのは、さっき大臣がおっしゃった国家的利益から見て、その点は問題があると私は思うのです。国家的利益というのは、最近、何か外交面だけの問題に特に与党は非常に神経を使っておられるようですけれ
ども
、私は、
政治
というのは大体経済の側面だと思うのです。だから、やはり経済はやるものはやって、そのあげく
政治
的な問題が起きたものは、さらに
政治
的に調整をするなり、あるいは経済的に調整をするなりするのでないと、
政治
のほうが先に出てしまっておる限り、経済の問題というものは全然発展しないと思うのですね。ここらは、やはり通産大臣として、特に経済担当の主要なる位置におられる以上、これは閣内においても、いまのような基本的なものの
考え方
ですね、やはり経済は経済、
政治
は
政治
というかっこうで少し割り切っていかない限り、
日本
の国家的利益は将来的にマイナスになるおそれがあるのではないかというのが、私の立論の
趣旨
なんです。ですから、その点については、漫然と待つのではなくて、たとえば、向こう六カ月とか一年とか、どこかに一つ時限を限ってこの問題は検討されないと、ただずるずるこの形になって、西欧諸国がその間に完全に地歩を占めてしまうならば、それからわれわれが手を上げたのではおそいのではないか。特にプラント関係がどんどん入っていきますと それに関連したものはみなそこにいかれてしまうわけですよ。ともかく、製鉄プラントが一つ入れば、それ鋳して、圧延にしろ何にしろ関係のあるものは、やはり最初に入ったものの関係のものを使ったほうが便利がいいということになりかねないとなるならば、こっちが手を上げたころは、計画はこうなっております、全部これは向こうとの関係で計画はこうなりましたというようなことになると、まさに国家的利益は非常にそこなわれることになります。ことに、
日本
が今後経済を伸ばしていくためには、どうしても貿易を伸ばす以外に
日本
経済を国内的に伸ばすことはできないわけですね。これは国際収支が常に天井としてのしかかっておるわけです。それについては、この間後進地域開発の問題についても触れましたけれ
ども
、それもさることながら、隣にはそんな手数をかけなくとも、ともかくも、売りますよといえば、はい買いましょうという人が横に待っておるのに、後進地域にこれから投資をし、それからソフトローン
——
ソフトローンも、ともかくこの間申し上げたような三分以下で二十五年なんということがDACで出ておる現在の
段階
に、そんなべらぼうな延べ拂いでなくてもいいものが横にあって、そして
日本
の
企業
も売りたいものはあるのだというときに、ただそういう
政治
的な側面だけからチェックがかかっておるのは、まことに国家的利益にマイナスだと思うのです。ちょっとしつこいようですが、その点もう一ぺん……。
三木武夫
213
○三木国務大臣 それは経済的な側面に
政治
が従属せよという堀さんのお話ですけれ
ども
、なかなか
政治
、経済というものは分けられない。そんなに経済、貿易が伸びれば、それだけで
政治
はみんなあとについていけということは非常にむずかしい。
政治
、経済というものの関係がむずかしい。だから、
政府
がやはりこの問題をいつかは解決せなければならぬ課題であるということは、私は私自身の確信である。これはいつまでもぐずらぐずらいって、そうして未解決ではいけない。いずれの日か解決せなければいけない。その解決をする場合に、ただ買ってくれる人があるからすぐ売ればいいではないか、そうもいわれない面がある。
政府
がいろいろな自主判断の場合には、いろいろな問題、国家的な利益を
中心
としていろいろな判断をしなければならぬでしょう。そういうのだから、ただ買ってくれる人があるから売ればいいというふうには考えないで、やはりこの問題は、できるだけ
政府
自体としても解決せなければならぬ懸案の問題であるということは、私もそう思っていますが、西独がやったからといって、そんなにあわてる必要はない。ある
程度
やはりじっくり
——
それは中共だって落ちついていますよ、向こうはなかなか大国ですから。そうあわてて、こっちは右から左へというふうには考えないで、もっとじっくり落ちついて日中関係の
改善
というものは考えるべき課題であって、いまから衝動的に、西独から
日本
というふうに考えないで、これはもう外交の大問題ですから、日中問題はじっくり腰を落ちつけて
改善
を考えるべきだ、こう考えております。私は、これはうしろ向きにいま答えておるのではないのです。しかし、それくらいの問題ではなかろうか、こう考えます。
堀昌雄
214
○
堀委員
私は、いまおっしゃるように、いつまでものんべんだらりとして待っておるものではないとおっしゃいますけれ
ども
、じゃ、何かきっかけがあればそういうことが起こるのでしょうか。これはいまのままでは何にもならないわけですね。よろしゅうございますか。ですから、どうなったらそれではこの問題が解決するのか、あなたの頭の中に描いておられる何かモーメントがなければ、十年もこのままになってしまうかもしれませんね。何かモーメントが要るわけですね。このモーメントというのは一体何でしょう。
三木武夫
215
○三木国務大臣 それは流動していますから、ことにアジアは……。それだから、そんなに十年もと、そんなものでは私はないと思う。非常にやはり流動的なアジア情勢ですよ。だから、いまここで一つあげてみろということは困難で、誤解を生ずると思います。しかし、おそらく堀さんが考えてみても、ああいう状態ということはいろいろお考えになる問題があろうと思います。いろんなものが
政府
の自主判断の場合の要素にはなるのでありますが、いずれにしても、この問題はそんなに長期の問題ではない。アジアは動いておるから、案外変化が早くくるのではないか、こういうふうに考えます。
堀昌雄
216
○
堀委員
最近、アメリカの上院の外交
委員会
でいろいろな証人が出られて、これらの問題についての議論が出ております。私もずっと新聞の中でこれを読んでおりまして、やはりアメリカの中でもかなり
日本
の対中国貿易について理解を示して、制限しようとしてもむだだという意見を述べておる証言もあるわけです。私は、やはりさっきの綿製品協定の問題でもそう思いますし、この前の例の鋼管輸出についてのチェックの問題でもそう思うのですけれ
ども
、そういう点にどうも私は、
日本
のいわゆる国家的利益というものが、何かわけのわからない従属的な外交面といいますか、
政治
面といいますか、それほどはっきりしていないもののために阻害をされているような感じがしてしかたがないわけです。だから、やはり私は、
日本
も現在は独立国なんですから、フランスほどにその栄光を求める必要もいまはないと思いますが、しかし、
日本
の場合は、まあ独立国らしいふるまいがもう少しあってもいいのではないか。私は、
国民
の中に何となく漂っておるのは、なぜ
日本
政府
がこれほど対米従属の感じを常にしなければならぬのかという点の疑問が、これはわれわれ
社会党
だけでなくて、
一般
の
国民
の中に相当あると思うのです。そこに私は、もう少し
政府
としてはけじめをつけたかっこうでの処置がもうそろそろ必要な時期にきているのではないか、もう占領が終わりましてから十年以上になろうとする現在でありますのに、いつまでも占領体制のしっぽのようなものが残っておるのではないか、こう思いますので、その点は非常に流動的だそうですから、流動的ならば、これはわりに早く解決する問題かもしれませんが、ものの
考え方
として、私は、さっき経済と
政治
の問題に触れたのは、
大蔵省
とか通産省とかいうところは、これは
政治
の側面よりは、どっちかといったら経済の側面でものを考えるのが当然の役所だと思う。そこの主管大臣である三木さんが、まず経済的な側面からものを考えて、そうしてその問題についての調整なりその他は、これは外務大臣なり総理大臣が調整すればいいことであって、もう少し私は通産大臣であるあなたからはより前向きの答弁が
期待
できると思ったのですが、ちょっときょうは残念なんですけれ
ども
、あなたも将来総理大臣の最有力候補でもありますから、やはりその点、通産大臣として一歩
国民
の
期待
にこたえるような答弁がほしいと思うのですけれ
ども
、どうでしょう。
三木武夫
217
○三木国務大臣 私は、堀さんの言うことはわかるんですよ。この問題はやはり将来解決をせなければならぬ。その早く解決するためには、その背景のアジア情勢というものももっとやはり安定する必要があるでしょう。安定すれば、日中関係などに対しても、たとえばベトナムの平和的な解決というものができれば、やはりいろいろな中共をめぐる国際情勢は私は変化がくると思っていますよ。流動的というのはそればかりではありませんけれ
ども
、アジアはどこの地域よりも非常に流動的ですからね。だから、あまり
日本
が衝動的な外交はやらないほうがいい。そういうことで全般的に申し上げたのですが、通産大臣としては、イデオロギーのいかんにかかわらず貿易を
拡大
したい、そういうことでありますから、できるだけ早く解決をしたいということについては、私も同じような考えを持っている。しかし、解決するのにはやはり解決のタイミングがあるでしょうから、そういうことに対して、何も商売だけできたらいいというわけにもいかない。やはりいろいろな
政府
の判断があることですから、ここではいろいろコミットするようなことは申し上げられなかったのですが、この問題は、やはりできるだけ
政府
が解決をせなければならぬ問題の一つだということに対しては異存はないです。また、堀さんのお話の中に、アメリカの干渉とかアメリカに気がねしているのではないかということがあったが、そうではないんですよ。私は、一月に佐藤総理と一緒にワシントンへ行って、そうしてジョンソン大統領あるいはラスク長官にいろいろ話したのですが、
日本
の中共貿易に対して、これを非常に押えていこうという考えではアメリカはないです。そういう点の干渉はしない。
日本
がいろいろ自主的な判断をする場合は別として、アメリカの干渉ということは、それはアメリカはしようとは考えていない。だから、共同声明の中にも、中共に対しての関係というのは、アメリカと
日本
の違いを両方並列したですからね。共同声明の中に、アメリカと
日本
とは違うのだということをやはり世界に公表したわけですから、もしアメリカが干渉しようとするならば、これに対して抵抗したはずに違いない。共同声明には抵抗しませんでした。そういう点で、アメリカが中共貿易を干渉して、そのためにできなかったということは、実際は
日本
人の取り越し苦労ですよ。そういうことはない。これは
日本
の自主的に判断をしていい課題であるということは、堀さんにも御理解を願っておきたいのでございます。
堀昌雄
218
○
堀委員
ずっと押し問答になりますし、大臣の気持ちはわかりますけれ
ども
、ただし、どうも気持ちがわかっただけでは、これは具体的にちっとも前進しないので、やはりもう少しわれわれのほうで何かイニシアチブがとれないのかどうかという点は、少し検討をしていただく必要があるのではないか、こう思います。
大蔵大臣
、実はいま通産大臣に入っていただきまして、ジッパー、ファスナーですね、チャックといいますか、これの対米の問題と、それから中国に対する延べ払いの問題をいまやっておるわけです。いま延べ払いの話をしておりましたのですが、通産大臣きわめて慎重で、私の
期待
したような答弁はいただけなかったわけですけれ
ども
、ちょっとあわせて、午前中に話をしたものの中を含めて、通産大臣にもお聞きを願っておきたいのは、大体、最近、世界各国は地域統合的な方向に非常に急速度に動きつつあるわけです。ともかくもEECにしても、それからEFTAにしても、それからラテンアメリカのLAFTAとか、各国にどんどんそういう地域的な統合の方向が進んできて、
日本
にいま残されおてるのは、東南アジアを含めて中国というこのアジアの問題こそ、
日本
がやはりいろいろな意味で考えなければならぬところにきているのではないか。その中で、やはり市場としても大きいし、そして国家としても安定をしておるし、何といっても中国というのは非常に大きな市場なのであって、これを度外視して、われわれは今後世界貿易の中で伸びていこうという考えはやや問題があろう、こう考えておるわけなので、そういう非常にグローバルな意味から見ても、この問題はなかなかゆるがせにできない。どちらかといえば、EECの中からわが地域の中へ入ってきているわけですから、これはちょっとわれわれとしては、やはりよほど考えなければならぬ問題だなという気がしておるわけです。通産大臣は、西独がやったからといって衝動的には考えないとおっしゃるし、私も、何も衝動的に考える必要はないのですが、そういうグローバルなものの見方からしてみても、これは重大な問題なんですね。ですから、そこのところは、ひとつ
大蔵大臣
もお聞きいただいておるように、何かアジアは非常に流動的だから、いつまでもこの状態ではなくて、いい時期がくれば延べ払いをやりたいという話ですけれ
ども
、何か抽象的で、てんで雲をつかむような話の感じがしてならないものですから、その点、やはりいろいろな角度から考えておいていただかないとまずい問題ではないか、こう思いますので、その点をひとつ十分お考えおきをいただきたいと思います。 それでは、通産大臣けっこうでございます。
大蔵省
の事務当局にお伺いをしますが、さっきちょっとここで申し上げましたジッパーの製品について、四セントをこえるものの場合はアメリカは四〇%の関税、四セント以下ならば五〇%の関税という、きわめて高率な関税が設けられておりますが、一体諸外国で
——
私この間今度の関税定率表の中身をずっと調べてみましたけれ
ども
、
日本
で五〇%以上の関税があるのはバナナですね。ほかには、砂糖がまあ多少高率でありますけれ
ども
、あまり機械製品類ではそんな高率の関税をやっているものがないのですが、諸外国は一体どうでしょうね。先進諸国では四〇%、五〇%なんという関税はどのくらいあるのですか、ちょっと事務当局にそれを聞きたい。
谷川宏
219
○
谷川
政府
委員
諸外国の関
税率
の分布状況の比較を調べてみたわけでございますが、たとえば、アメリカ合衆国の場合におきましては、関
税率
四一%から五〇%のものが全体の五・六%、五一%以上のものが三%、イギリスは四一%から五〇%のものが一・五%ですね。これに比べまして、
日本
の場合におきましては、四一%から五〇%のものが、品目数で申しますと〇・〇四%、
日本
の場合は極端な、まあバナナとか砂糖というものがございますけれ
ども
、品目の数からいいますと少ないという関係になっております。
堀昌雄
220
○
堀委員
そこで大臣、お聞きをいただきたいのは、この関税の問題というのは相対的でなければならないと思うのです。
日本
の場合には、かつて二〇%であったジッパーが一五%に現在なっておりまして、それでは
日本
のいまのそういうジッバー類が非常にダンピソグをして出しておるかというと、これは実はそうではないわけです。私、昨年富山のこの工場を調査してみまして、かつては人間の手で全部つくっておったジッパーが、いまは、そこでは一貫製品になって、片方から綿花を入れて、それが糸になり、テープになりして、そして片一方のほうで原材料になる。片方からは銅の地金を入れて、この銅の地金がワイヤーになり、針金になり、そうして薄くあれしてジッパーの金具になって、そうしてそれを両方から入れると自動的にジッパーになって出てくる。まことに合理化が
日本
人の頭脳によって行なわれておる点で、私は非常にりっぱな
企業
だと思うのです。世界的に誇り得る
企業
だと思うのです。ですから、いまこのYKKはアメリカその他に工場をつくって、非常に関税障壁が高いために、
日本
から材料を送って向こうで製品化をしておる、こういう
段階
にきておるようでありますが、それにしても、五〇%の関税とか四〇%の関税なんということは、これはわれわれとしてはまことに関税としては適当でない。それが何と申しますか、非常に特殊なものならば別でありますけれ
ども
、これは日用品なんですね。ジッパーなんというものは日用品で、ダンピングなどということではなくて、合理化によっていいものが安くできておるという形になれば、こういう問題は、やはりもう少し関税上のいろいろな取り扱いをするときに、これは二国間の話し合いでもいいですけれ
ども
、もう少し何とかならないものだろうか。関税だけではなくて、通産大臣にもちょっと申し上げたのですけれ
ども
、もう一つの側面は、綿製品協定で押えられておるという、二重にワクをかけておるわけなんですけれ
ども
、ここらについて、関税上の取り扱いとしても、何かアメリカは五・六で
日本
は〇・〇四などということは、さっきのバナナや砂糖なんというのは、これはもう関税障壁の問題ではなくて、お互いの農産物の問題としてあるわけですから、これは
日本
だけが例外の問題ではないと思うのです。ですから、そうなると、よそは
日本
にいろいろな意味で自由化を迫ってきて、
日本
はばか正直に何でもかんでも自由化をしてみたり、関税を安くして、そうして向こう側はそういう非常に高い保護関税を依然として残して
日本
品を締め出そうとしている。このあり方は、私はもう少し考えてみる必要があると思うのですが、大臣、この点いかがでしょうか。
福田赳夫
221
○福田(赳)国務大臣
わが国
は七
年間
にわたって連合軍から占領をされておったわけです。そういう開係で、交易上の条件は必ずしも平等でないところがあるようであります。そういうところを精力的に
是正
していかなければならぬ、こういうふうに思うわけでありますが、ただ、
わが国
としては、農作物を相当広範に保護する必要がある。申し上げるまでもないのですが、零細集約農法である。とてもそれは諸外国と競争できないのです。その点が、私は、非常にグローバルの交渉ですから、
日本
とするとつらいところなんですが、まあしかし、その農業の立場というものは守っていかなければならぬ、そういう
基本方針
のもとに、できる限り
努力
を尽くしていきたいと思います。今後
努力
いたします。
堀昌雄
222
○
堀委員
日本
は、いろいろなことをやる場合に、占領されていた経過があるのか、報復的という表現はちょっと強過ぎますけれ
ども
、向こうが一方的にそうなら、こっちもこうしますということは、これはガットでも認められておる問題であって、もう少し何かそういう点では、関税問題その他の中でも、まあ、われわれがだれが見てもこれは無理だと思うものもだいぶんあると思います。たとえば、いまの
日本
の場合、私は、バナナとリンゴがそんなに競合するとも思わないのですけれ
ども
、やはり生産者の立場になれば競合すると思っているのでしょうから、これはいけませんが、こんなのと工業製品とは同列にいかないと思います。ですからこの問題は、もう少し関税上の交渉としても、工業製品同士の問題については、
日本
も過去にいわれたような、いわゆるチープレーバーの
段階
は越しておって、
日本
の商品に輸出競争力があるのは
日本
人の創意くふうがかなりこの中に入ってきておる。たとえば、カメラにしても、ソニーのテレビその他のものにしても、
日本
人の頭脳をいまや売っておると私は思っているわけで、そういうものに対して高い関税、いろんなそういうものの処置をされるという点は、私はやはりフェアでないような感じがするのです。今後の扱い方としては、やはりわれわれもOECDの一員にもなっておるのであるし、いろんなそういう広い場所でもう少し議論をしながら、そういう壁を取りはずしていくべきではないかと思いますが、大臣いかがでしょう。
福田赳夫
223
○福田(赳)国務大臣 全く同感です。通産省の問題ですが、
大蔵省
もできる限りの協力をいたしてまいりたい、かように思います。
堀昌雄
224
○
堀委員
最後に、さっき輸銀の問題で通産大臣といろいろ議論をいたしました。私は、さっきお話のあったように、五年以上の延べ払いについては、現在
日本
では輸銀を使う以外に手がないというのが
実情
だと思うのです。しかし、いまの対中国問題というのは、単にそういう形式的な輸銀問題ということでなくて、私は、取り扱い方として、内容的に少し検討してみる余地があるのではないか。延べ払いは輸銀だけということも、私はやや問題があるのじゃないかと思う。ですから、さっきの通産大臣の答弁では、輸銀を使わせないということは延べ払いを認めないのだ、ということは、プラントが輸出できないのだというようなことになったわけです。私はそこで、輸銀を使わないでという表現をちょっとしたわけですが、これはいま輸銀でなしに、海外経済協力基金のようなものもあるわけですし、また、発想のいかんによっては、いまどうしても輸銀問題でこだわるならば、何かそれにかわる延べ払いの問題というものは考えられないものかどうか、ちょっとこの点をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
福田赳夫
225
○福田(赳)国務大臣 延べ払いとしますと、輸銀ということになっておりますが、市中銀行だって別に延べ払いができないというわけじゃない。ただ金利が高い。これに対して、特別にどこそこの国だから安くいたしましょうということは、なかなか困難なことじゃないかと思います。その利息の点だけが解決というか、話し合いで、少し高くてもしょうがないのだということになれば、これは市中銀行でもできないことじゃないですね。ほかに延べ払いを可能ならしめる金融手段というのはどうも見当たらないように思います。
堀昌雄
226
○
堀委員
ほかになければ、やはり話は輸銀に戻るということになりますね。それでけっこうであります。輸銀の問題として処置をしていいわけでありますけれ
ども
、関税法のいろいろな問題をずっと見ておりますと、私は、この関税というのは、要するに、通商問題の何か締めくくりみたいなところにあるのであって、これが主要なテーマでないような気がしてしようがないのです。これはやはりずっと調べておると、通商問題、貿易問題が主題なんですね。そうして、その副題といいますか、うしろ側についておる問題として関税の問題があるというようになっておると思いますから、いまのように通商上の問題として、ジッパーのようなものの場合には関税もかなり一役買っておることにもなりますけれ
ども
、しかし、その裏には、そうでない通商上の区別といいますか、そういうもののほうに比重がかかっておるように思いますから、単にこのことだけで処置ができない問題が多いと思います。けれ
ども
、やはり私は、経済問題というのはもう少し国家的利益といいますか、そういうものを
中心
にしながら問題を進めるということで、今後関税問題については、やはりいろいろ朝から申し上げた差別の問題、それから自主規制なる名前によるところの締め出しのあり方、あるいはライセンスの問題とか、いろいろな形で
日本
は実は非常に通商上不利益な状態にいま置かれておると思いますし、その反面、欧米諸国のほうは、資本の自由化をしろとか、自由化品目をふやせとか、向こうのほうとしては都合のいいことを幾らでも言うわけでございますから、そこら辺については、国家的利益を踏まえて、もう少しき然たる
態度
で処置してもらいたいということを私は
要望
いたしまして、私の質問を終わります。
三池信
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○
三池委員長
次会は、明二十三日午前十時より
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十六分散会