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平林委員 私は、昨日、今度の
税制改正を主として低
所得階層の分野からのぞいてみることにいたしまして、たとえば、
日雇い労務者の
課税の問題、それから
勤労青少年の
税金の問題、それから
家庭の
主婦の
内職の問題などを
中心に
質疑を展開してまいったのであります。きょうは、その
質問の中で、なお
大蔵大臣からお答えをいただきたいと
考えております点を初めに解決をいたしまして、なお残された
問題点について移ってまいりたいと思うのであります。
そこで、
主税局長とも一応御相談はしていただいたと思うのでありますけれ
ども、初めに、
主婦の
内職の問題から出発をして、私のぜひ
考えてもらいたい点を申し上げたいと思うのであります。
これは、きのうも話したのでありますが、最近の
経済事情から
家庭の
主婦が
内職を始める、あるいは
内職をやることが多くなるという
現状は、大体
大臣も想像がつくと思うのであります。
世帯主である
主人の給料の不足を補うためとか、あるいは特別の支出に充てるためとか、小づかいに充てる者もあれば、
家庭によっては余暇の利用などございまして、一般的には、
家計の
補助としての
主婦の
内職というのは、最近の
経済事情においては
生活と切り離すことができなくなっていると思うのであります。
家庭から
職場に出て共かせぎをする人もあるでしょう。また、臨時的に
収入を得るために、きのうも
お話をしたのでありますが、
パートタイムになったり、アルバイトになったり、スペシャルワーカーになったり、臨時雇いになったり、いろいろの形態はありますけれ
ども、ともかく、臨時的に
収入を得るために
主婦の
職場に対する出動もあると思うのであります。
家庭の中においても同じでありまして、きのうは申し上げなかったのでありますが、私いろいろの
資料を見たら、毛糸の編みものをやっている者が、セーター一枚で
工賃単価七百円、和裁の仕立て一枚千円、封筒の
あて名書きが百枚で三十円、帯封が百枚で六十五円、造花などは一個三十五銭、雑誌の付録本折りは千個で二十五円というぐあいに、
内職の態様というのはいろいろあるのですけれ
ども、
平均をしてみると、大体最近の
事情からいきますと・四千円、あるいは多いところでは一万円をこえるものもあるし、七、八千円のものもある、いろいろな形がある。これは昨年の十月、
東京都の
労働局で
都内二十三区八千
世帯を
対象に
家内労働の
実態調査をしたのを例に申し上げたのであります。この
調査資料によりますと、現在
内職をしておる
家庭の
主婦は五・六%、現在はしていないけれ
ども内職をしたことがあるというのが九%、
内職をしたいというのが七・四%、この三つを合わせた
内職関連世帯は、
実数によりますと、
東京都の
世帯数が二百六十万
世帯ですから二二%になりまして、大体五十七万
世帯、つまり、五人に一人の割合で何らかの形で
内職と
関係がある。私も
東京都の
労働局へ行きまして
資料をもらってきましたら、こういう一冊の本になって、全部まとまっているのです。これはたいへん興味深いので、いろいろ
調べてみたわけです。私は、きのうも言ったのです。この
調査では、
内職関連世帯は二二%だけれ
ども、実際にはもっと多いのじゃないか。プライドもありますし、
調べに来ても、それをなるべくならば表に出したくないという
気持ちなどから見て、おそらく四〇%
程度のものは何らかの形で
内職をしておる、こういう見方もできないわけではない。そして、これが
平均月額四千円、年間でいえば約五万円、三十九年の
調査でございますから、これは
所得としては増加する
傾向が私あると思います。最近では、こういう
家内労働の手間賃の値上げの問題がやかましくなっておりますし、
経済事情の変化に伴って、おそらく、
平均の
数字をあげましても、まず五千円、あるいは五千五百円というふうに漸次上がってくる。また、かなり歩のいい
内職をやっているところでは月収が一万円あるいは一万二、三千円、よくても一万五千円という
程度までは上がってくる
可能性がある、私はこう
考えたわけであります。そこで、そうであるならば、現在の三月十五日に
税務署に
確定申告をするときに、五万円以上の
所得があれば
確定申告書を提出せねばならぬということは、これらの
主婦の
所得も、
内職であろうと何であろうと、とにかく
所得であることには間違いないし、それが発見される、されないにかかわらず、捕捉される、されないにかかわらず、いずれも
税法上の取り扱いとしては、厳格に言えば、
確定申告書を提出せねばならぬということになるわけであります。しかし、きのうも私は
国税庁に聞いたのですけれ
ども、実際上は、そういうことはまず捕捉されないということから、
実数としては少ない。これは
家庭の
主婦も、この
確定申告の時期になりますと内心不安を隠せない。ということは、良心というか、そういう税に対する
気持ちがあればあるほどある。
家庭の
主婦に絶えずそういう
気持ちを起こさせるというのは、結局、ここに五万円以上の
所得があれば
確定申告をしなければならぬという規定があるからでありまして、この点は、最近の実情から見て再検討する余地があるのではないかということを申し上げたわけであります。
大臣、大体おわかりだと思うのであります。そこで、私は、それだけならいいけれ
ども、もしこういうことになれば、
主人である
世帯主は
配偶者控除を受けられないことになるし、
給与所得の場合でも、
国家公務員などは
扶養家族手当の
支給対象からはずされるし、県や会社によっては
健康保険の
扶養親族の資格を失うというようなことに発展するのであるから、これはひとつ直すべきではないか、しかも、
昭和三十三年に五万円であったものであるから、その後八年間経過している時期においては、やはり是正をする
方向でなければならぬ、こう思いましていろいろ詰めたのです。きょうは、
ダイジェストで要約をいたしまして
大蔵大臣に申し上げたわけでありますけれ
ども、これに対して
大臣の
見解を承りたいと思います。