○藤田(高)
委員 私は、この体制融資の問題と開銀の性格問題に関連して、このことを半ばしつこく言うのはなぜかといいますと、今日の経済不況なり、俗に言われておる経済のひずみというものはなぜ起こってきたかということを
考えた場合に、開発銀行法の第一条の目的の中にうたわれておる「産業の開発」ということ、まだ開発していかなければならぬ部分がたくさんあると思うのです。そういう点からいけば、石油化学のように、先発、後発で欧米並みの大きなナフサセンターの分解能力を持ったような大企業に融資をしたり、それから、これだけの不況期の中でも、銀行と、あえて言えば自動車産業と言われるぐらい利益率の高い自動車、こういった方向に融資のワクを広げるよりも、この前も
指摘したように、地域開発とか、あるいは公害対策
関係であるばい煙防止対策、あるいは汚水防止設備、あるいは公共部門の事故防止設備、さらに私が
先ほど指摘したような住宅金融
関係、あるいは
国民金融公庫、中小企業金融
公庫、こういったように、むしろ重点的に産業のおくれた分野を引き上げていく、あるいはおくれた部分を開発していくという分野、今日の開銀法の
趣旨にぴったり合う分野がまだあるわけですから、そういう方向に開銀の融資の重点というものを置いていくべきであって、なるほど読み上げた四項目の中の
一つの項目ではありましょうけれども、体制融資に関連をする項目が国際競争力の強化という形でうたわれてきたのは、私の理解する限りでは、例の特振法というものが国会に出されてきて三たび流れましたけれども、あの特振法案というものが国会に出されてきた時期を契機として、この開銀融資のワクの中に体制融資の条件というものが具体的に入ってきたと思うわけです。そういう点からいって、何もおくれた分野もない、したがって、国際競争力を強化するところへ一点に集中して
政府の
金融機関を動員するのだということになれば、それはそれなりの
考え方があると私は思うのです。しかしながら、今日、先ほども
指摘したように、おくれた分野というものがまだまだたくさんあるわけですから、この開銀法の
趣旨、目的に沿って融資をする産業分野というものが多く残されているのではないか。そこへ開銀のこの融資というものを重点的に振り向けていくことのほうが、体制融資のほうへ顔を向けるよりもより重要ではないかということを、しつこいようですけれども私は言っているわけです。そういう点で、ひとつ集約的な見解を聞かしていただきたい。と同時に、私は、体制融資の具体的な問題についてひとつお聞きしておきたいのは、たとえば、これも新聞記事でありますが、ことしの二月三日の読売新聞の記事によると、「
日本開発銀行は、一月の長期金利引き下げに続き、さらに四月から自動車向け体制金融、産業公害対策融資、新技術開発融資など、特定業種の金利を石炭並みの政策優遇金利まで下げる方針を固め、
大蔵省の意向を打診しておる」、こういう具体的な記事が載っておるわけです。これも、火のないところに煙は立たぬというたとえのごとく、開銀自身としては、体制融資に対しては、少なくとも
考え方としては非常に前向きになっておるんじゃないかと私は思う。そのワクそのものもさることながら、実際の金利の取り扱いについても、石炭並みという、最高の特利といいますか、そういう特別優遇措置を講ずるようなところまで開銀としては意向を固めて、
大蔵省と検討されているような記事が載っている。これは、開銀当局としては、自動車を中心とする体制融資についても、
大蔵省が了承さえすれば取り組んでいきたいというかなり積極的な意向があるように私は理解するわけです。そういう点からいって、そこまで積極的にならなくても、いま私が言ったような方向で開銀の
運営というものを重点的にやっていくべきではないか。これについての見解をひとつ聞かしてもらいたいと同時に、いま
指摘したことに対する開銀の意向と、
大蔵省の見解、あわせて、きょうは通産省
関係を呼んでおりませんでしたが、ひとつそういう点で統一した
政府の意向というものを私は聞かせてもらいたいと思う。