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1966-03-08 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月八日(火曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       押谷 富三君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       地崎宇三郎君    西岡 武夫君       村山 達雄君    毛利 松平君       山本 勝市君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    有馬 輝武君       小林  進君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    日野 吉夫君       平岡忠次郎君    藤田 高敏君       横山 利秋君    春日 一幸君       竹谷源太郎君    永末 英一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (主計局次長) 岩尾  一君         大蔵事務官         (主計局次長) 武藤謙二郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐竹  浩君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      辻  敬一君         日本開発銀行総         裁       平田敬一郎君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 三月五日  委員砂田重民君及び渡辺栄一辞任につき、そ  の補欠として坂村吉正君及び大橋武夫君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員大橋武夫君及び坂村吉正辞任につき、そ  の補欠として渡辺栄一君及び砂田重民君が議長  の指名委員に選任された。 同月八日  委員西岡武夫君及び春日一幸辞任につき、そ  の補欠として谷川和穗君及び竹谷源太郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員竹谷源太郎辞任につき、その補欠として  春日一幸君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月四日  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月七日  個人企業完全給与制実施に関する陳情書外四  件  (第一二六号)  地方公共団体職員の負担する互助会掛金社会  保険料所得控除対象に関する陳情書外七件  (第二〇八号)  海外投資金融の拡大に関する陳情書  (第二一三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第四一号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇五号)  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第四九号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第四二号)      ――――◇―――――
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議開きます。  国民金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 三池信

    三池委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。藤井大蔵政務次官
  4. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  第一は、国民金融公庫理事定員を一名増加し、七名とすることであります。  国民金融公庫は、昭和二十四年に設立されて以来、銀行その他一般金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金を供給することにつとめてまいっているのでありまして、その貸し出し規模は、国民大衆資金需要に対処して逐年増加し、昭和四十一年度におきましては、二千七百八十七億円の貸し出しを予定いたしているのであります。  このような業務量の増大に加えて、同公庫において昭和四十一年度には特に環境衛生業種に対する融資の充実を予定している次第もあり、この際、公庫業務の円滑な運営をはかるため、理事定員を一名増加する必要があるのであります。  第二は、国民金融公庫監事の権限を明確にしようとするものであります。  政府といたしましては、国民金融公庫設立の目的が十分達成されるよう常に努力いたしているところでありますが、さらに同公庫業務が適正かつ能率的に運営されるよう、監事が監査の結果に基づき、必要があると認める場合には意見を総裁または大蔵大臣提出することができることとしようとするものであります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  5. 三池信

    三池委員長 これにて提案理由説明は終わりました。本案に対する質疑は、後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 三池信

    三池委員長 国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。
  7. 平林剛

    平林委員 それでは、私から国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案について、若干質疑をいたしたいと思います。  初めに、宿泊料日当改定が行なわれるわけでありますが、これは内閣総理大臣等指定職職務又は一等級職務にある者、二等級職務にある者、三等級以下五等級以上の職務にある者、六等級以下の職務にある者、都合五つ区分がされておるわけでありますが、一方、移転料改定額のほうにまいりますと、その区分はそれぞれ等級別にこまかく分けられておりまして、合計九つ区分をされておるわけですね。それで、一方においては等級五つ区分をされ、片方ではさらに細分化されているというぐあいに、国家公務員等旅費に関する全般的なバランスといいますか、こういうふうに区分を別々にしたという理由は一体どこにあるのでしょうか。
  8. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 お答え申し上げます。  移転料のほうは、御承知のとおり、家財道具が多いか少ないかということが大きなファクターになります。そういう意味で、いろいろ調査してみましても、家財道具は大体所得に比例して多くなっております。したがいまして、これはカーブをかくと、所得の多いほうがだんだん多くなっている。こういうことになりますので、それをなるべく忠実に反映するということになりますと、こまかく分けたほうがいいだろう、こういうことでできております。それをまたグループに分けるということになりますと、一方、なるべく過剰なものは払わないということになりますと、幾つかのクラスのものを一つに分けるということにいたしますと、その平均というようなことになるかと思いますが、そういたしますと、多いほうは足りない、下のほうは余剰だということになりかねませんので、なるべくこまかくしておいたほうが実情に合うんじゃないか、そう考え移転料のほうはこまかくいたしております。
  9. 平林剛

    平林委員 私はそのあべこべで、むしろもっと縮小したほうがいいんじゃないかという見解を持っておるのです。いまお話のように、移転料のほうだけを申しますと、これだけ区分する必要があるかどうか。こういうふうに区分をしたのは、所得がふえるに従って家財道具が多くなるからむしろ親切にやったのだ、そういう配慮が加えられておるというお話のように聞きました。あるいはそういう趣旨からこまかくされたものかとも思いますけれども、しかし、現実考えてみますと、機械的に細分化するほうが、移転をする場合の実情に合った、親切になっているかどうか、この点は私少し疑問に感じておるのであります。むしろこれよりも、所得もさることながら、勤続が長くなればなるほど、やはりその世帯に必要な道具がふえてくるという形で、もし親切な気持ちがあるならば、勤続年数によって少しあんばいをしていくというようなやり方のほうが現実的になるのじゃないかという感じがするのでありますが、そういうことについては、どういうお考えを持っていますか。あなた方従来検討なさったことがあるかどうか、そういう点について、ひとつお尋ねしたいと思うのであります。
  10. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 お答え申し上げます。  先ほど等級別でこまかく申しましたのが実情に即しているかどうか、この点どう考えるかというのが第一の御質問でございますのでお答え申し上げますが、私ども調査いたしましたところ、大体級別不足割合があまりひどく違っておりませんので、それでこの級別のままでさしあたりスライドしていいだろう、そういうふうに考えております。  なお、家財道具ということになりますと、それでは級別以外にいろいろなファクターがあるんじゃないか。たとえば、いま先生お話しになった勤続年数ということもありましょうし、年齢ということもありましょうし、いろいろあると思いますけれども、いまの旅費のたてまえですと、やはり給与に比例してやるというたてまえが適当だろうと思っております。そういうことになりますと、われわれの調査いたしました、先ほど申し上げましたように、級別不足割合がそうひどく違っておりませんので、これをそのままスライドさせて上げる、そういうことが適当だと思って御提案した次第でございます。
  11. 平林剛

    平林委員 結局、私は、現実移転する場合の実費とここに掲げられた改定額との開きがなるべく縮まっていくことが望ましい、そういう意味で、行政上の必要から転勤をせなければならない者に対してある程度補償をしていくという考え方をとるためにはどういう形が現実的であるか。いまのように等級区分をしたことは一つ考え方かもしれませんけれども、やはり、もっと条件を加味するならば、勤続だとか世帯だとかいうことも考えてもいいと思うのですが、総体的にはやはり額の問題になるだろうと思うのです。額が見合っておれば、あまり文句は出てこないと思うのであります。ところが、最近の荷づくりであるとか運搬経費だとかいうものが、物価上昇と並行してこれらも高くなっておる。今回の改定が行なわれたのもそこにあると思うのですけれども、職員側希望というのはもっと高いところにあるように思うのです。私も昨年か一昨年、北海道の国税局を視察いたしたときにもそういう話を聞いてまいりまして、実際の支給額現実に必要な経費との間には相当の開きがございましたけれども、大蔵省のほうの調べでは、こういうものについてはどの程度締め得たとお考えになっておりますか。
  12. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 昨年財務局等を通じまして調査いたしまして、その結果で出たものに対して、国鉄運賃値上がりもありますので、それに伴ってふえる分もあるだろうということで、移転料のほうはそれも加味しまして、調査の結果の上へ加えまして、これで大体六割でございますから、当分不足はしないだろうと思っております。あらかじめ申し上げますが、実は六割という数字を出しますと、それでは、いままで何をしていたんだとしかられやせぬかと心配しながら出したような数字でございます。
  13. 平林剛

    平林委員 ある程度移転料が増額したということは私認めます。認めますが、いま等級のこまかく分かれていることが必ずしも実態に合うかどうか、もう少し配慮する必要があるのでないかということで、総体的には金額の面になるのだ。お話ではかなり引き上げが行なわれたということは事実でございましょうが、実際私が関係方面意見だとか希望を聞いてみますと、たとえて言うと、一、二、三等級あたりにいたしましても、今回一等職の場合に三万二千三百円になりましたけれども、実際には四万二千円くらいは必要なんだという議論があるのであります。また、二等級は今回の場合三万四百円になりましたが、これもこまかく区分しないで四万二千円程度はほしいというのが、職場の実際に移転をする人たちの切実な声になっておるわけであります。さらに、四等級以下になりますと、五十キロ未満のことを中心に申し上げておるわけですが、少なくとも三万三千六百円程度はほしい。ところが、四等級でも改定額は二万六千六百円、五等級でも二万二千八百円、六等級では二万九百円、七等級では一万九千円と、実際希望している額とかなり違っておるわけなんですね。これはたぶん大蔵省でも公務員団体お話しになったときある程度お聞きになったことと思いますけれども、こんなに開いている理由はどこにあるとお考えになりますか。
  14. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 いま先生がおっしゃったように、希望とはまだ隔たりがあるということは承知いたしております。私ども実際に引っ越しした者の調査をいたしまして、この程度なら足りるだろう、今度国鉄運賃が上がりますので、貨物の輸送のほうもふえるだろう、それで、調査の結果ですと五割弱でいいということになりますけれども、鉄道運賃値上がりのはね返りがあるだろうということで、それを加味しまして六割ということにいたしましたので、希望とは残念ながら離れておりますけれども、移転実情に合った額はこれで払える、そういうふうに考えております。
  15. 平林剛

    平林委員 この改定額は、昭和三十七年に定額が改定されて以来久しぶりの改定になっておるわけでありますが、いま私が指摘いたしましたように、実際の職員の声として生まれてきておる移転料の実額と見られるものは、今回の改定額よりも上回っていることは事実なんであります。これはいろいろそのケース・バイ・ケースによって事情が異なることがあると私は思います。また、便宜な方法を使えば、あるいは安上がりにあがるということもないわけではないと思います。しかし、一般的なあたりまえのやり方をとれば、今回の六割上げたといいましても、なおこういう声が出てきておるということは、必ずしも適当になっているとは考えられない、そういうことを考えますと、私は、こうした改定については、引き続き物価その他経済事情変化と見合わせて、なるべく至急に直していくというような心がけをしてもらうことが必要である、こう考えておるのでありまして、この点は、政務次官から、移転料の検討についても、現状はなお開きがあるように思いますから、時期を失せずこうした問題について善処するというお答えをひとついただいておきたいと思います。
  16. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 ただいまの平林委員の御意見もっともでございまして、このたびは昭和三十七年から足かけ四年ぶりという改定でございまして、その間、物価上昇、生活還境の変化、そういう面からいうと、いささか長くたまり過ぎたという感じもいたすわけでございまして、実費弁償趣旨から申しましても、その事情変化をできるだけ早く反映して、これが改正に万全を期さなければならぬ、こういうふうに考えております。
  17. 平林剛

    平林委員 次に、私は、先ほど指摘をいたしましたように、移転料とそれから旅費日当などの区分が違っておる、移転料のほうは、先ほど来質疑がありましたような配慮が加えられて、こまかくなっておるというお話でしたが、今度は逆に、宿泊費だとかあるいは日当などの区分になりますと、むしろ、親切におやりになるならば、区分を縮小するほうが必要なのではないか、現在の区分は、現実的に見まして縮小すべきである、もし移転料について、行政上の運営を円滑にさせるために、こまかい親心というのを配慮してこまかくしたとするならば、今度は逆に宿泊費あるいは旅費などの支給区分をもっと縮小していくというほうが実情に合うのじゃないかと思うのであります。この例は、たとえて言うと、政府の案によりますと、旅費などは大体一等支給をされておるわけでありますけれども、七等級まで一等支給されまして、八等級だけはずしてあるわけですね。七等級までは大体一等支給ということになっておりますが、八等級の数を調べてみましたら、先ほど政府からいただいたのによりますと、定員区分によりましても、八等級はそんなにたくさんいるわけじゃないのですね。国家公務員一般職行政職俸給表(一)の適用者定員というのは、幾つ資料をいただきましたが、八等級は総体で五万一千九百九十三人と、あと公安職の中に六百四十四名程度あるだけでありまして、あとは大体七等級以上の等級になっておるようですね。そうすると、国家公務員旅費については、この八等級人たちだけが二等であって、他は一等になっておるという勘定になるわけでありまして、いろいろなバランスもございましょうけれども、七等級まで一等にしたならば、この八等級だけを一等から除外するというのは、かえってふしぎに思えるくらいです。全部一等にしろということが、国民的立場から見て必ずしも適当かどうかということは、やはり全般的な見地から考えなければならぬ点はあると私は思います。あると思いますけれども、それならば、八等級だけ一等を除外して、他は一等であるということも何かおかしい。どうせなら全部やってもいいのじゃないかという気もするのです。私は控え目な立場でものを申しておるわけですけれども、こんな点は、むしろ竿頭一歩を進めて、同じにしたっていいのじゃないか、同じにしないことのほうがかえって行政上ふつり合いじゃないか、こう思うのですけれども、いかがですか。
  18. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 お答えいたします。  最初は、まず旅費のほうの区分をもう少しグループを大きくできないか、したほうが適当じゃないかという御質問でございますけれども、これは実は三十七年の四月、ちょうどこの前の改正でございますが、そのときに九段階に分かれておりましたのを、先生のような御意見がございましたので、六段階に圧縮するということをいたしたわけでございます。先ほど先生もおっしゃられましたように、民間でどういうふうに見るか、公務員がぜいたくしていると言われては固まりますので、そういうことも考え旅費の問題も扱わなければいけないわけでございますが、そうしますと、結局、民間で実際どうやっているかということを参考にしてきめるということが無難なんだろうと思います。そこで、民間でどういうふうにやっているのかを見ますと、これは会社によっていろいろございますが、たとえば、部長課長、係長、平の係員、そういうふうに大体四つくらいには分けております。そこで、国家公務員の場合でございますけれども、大臣クラスを別にしますと、四つになっております。そういうことで、御意見のような方向へここまで接近したわけでございますけれども、これ以上簡単にするというのは、いまの日本の実情にかんがみると無理じゃないか、そう思っておりまして、当分この区切りはこのままでいいのではないか、そう思っております。  それから、御指摘のように、八等級だけが二等の汽車に乗ることになっている、七等級までで、八等級と七等級と区別があるという点、この点につきましても、先生たいへん広範な見地から御理解のあるお話がありましたが、それでもなおかつそこに線を引くのがどうかという御指摘でございます。確かにそこで線を引かれるということは問題もございますけれども、実は、それ以前は六等級までが一等でございましたのを、三十八年の四月から七等級までということにいたしました。そうしますと八等級が残るわけでございますけれども、八等級と申しますと、高校卒で入りまして、二十三、四まででございますので、この辺まで一等にするということは行き過ぎだろうと考えております。
  19. 平林剛

    平林委員 社会的な、見地から見てある程度差をつけるというのはやむを得ないかもしれませんけれども、八等級のところで切っておる、せっかくならば、この辺のところはもう数も少ないのだから、七等級まできている社会情勢ですから、そうなれば、何もここだけ区分する必要はないのじゃないかという感じがするのでございまして、こういう点は将来においてぜひ検討していい問題ではないかと私は考えるのです。国民も、七等級まできているならば、八等級だけ別にして、ちょっとけじめをつけるなんていうやり方は、実際的には合わないということになるのではないかと思うのでありまして、その点はもっと行政上の実際の運用をやればいいのですよ。役人のえらい人が下級職員をやたら何か雑用に使うために出張のお供させるなんていうことをやめて、実際上の等級は統一しておくというやり方は理屈が通ると思うのですよ。えらい部長さんなり課長さんがお供を連れなければ旅行できないというようなやり方は、むしろ避けるのがいいのであって、そして実際上の運用において社会的な批判が出てこないような形にすればいい。そういうことを考えますと、単独で行く場合には、いろいろな諸経費もあるだろうから一つでもいい、私はこういうふうに思うのでありまして、何か、高校を卒業して官庁に入って、二十三、四くらいまでは小使走り、雑用というようなやり方でやること自体のほうがむしろ問題があるのであって、こうした運用考えられれば、ここにけちな差別をつける必要はないのではないかという感じがするのでございまして、ぜひ将来考えておいてもらいたいと思うのでございます。  そこで、今回の改定額によりまして、旅費予算総額というのは、全体で幾らくらいになっておるのでしょうか。
  20. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 一般会計で申しますと、四十一年度の予算では、旅費予算額が二百四十億円になっておりますが、その中で、今度関係しております内国旅費関係は二百十二億円になっております。それから、この関係でどのくらい増加をみておるかということでございますが、この関係で二十六億円予算をふやしております。これは少し足りないじゃないかというお話があると思いますけれども、全般的に経費の節約ということをいたしまして、そのあとでこれに見合う分を掛け算をしてふやす、そういうことをいたしておりますので、単価のふえるほど旅費予算総額はふえておりません。
  21. 平林剛

    平林委員 今度の運賃法改正で大体どのくらい現在いままで予定されたやつがふえていくのかという点はどうですか。
  22. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 今度のと申されましたが、正確に申しますと、今度の改正関係は約十七億円でございまして、鉄道運賃の値上げによる分を九億円見ております。
  23. 平林剛

    平林委員 旅費月別支払い実績なんというのはございますか。
  24. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 いま手元調査はございません。
  25. 平林剛

    平林委員 いままでは少し甘いことを言いましたが、今度はちょっとからいことを申し上げます。  国家公務員旅費月別支払い、私もいま手元資料がないというのでわかりませんけれども、年度末になると旅行が多くなるということが国民的批判の中にあるわけであります。これは、私は、いまのお話のように、なるべくむだな経費を省くという意味では——三月になると非常に旅行者の数が多い、こういう傾向はあるんじゃないかと思うのです。この点は、私は、一つ一つ旅費その他については、必要な経費実費弁償の原則に立つべきだと思いますが、不用な、予算が余っておるから出張をしなければならぬ、旅費予算が余っておってはこの次削られるおそれがあるから、少し出張をふやすというような行政的運用は断じて避けなければならぬ、こう思うのであります。この点は、私十分政府において注意しなければならぬ点だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  26. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 ただいまの平林委員の御意見、まことにごもっともでございます。特に、御案内のように、公債発行に踏み切った昭和四十一年度の予算実態から考えますと、なおさら顧みて、いまのような余ったから使うのだという、こういう政治の姿勢はみじんもないようになくさなければならない、このように考えておる次第でございます。
  27. 平林剛

    平林委員 それから、次に入りますけれども、この宿泊費の問題について、私少し意見があるわけであります。等級による差別を縮小したほうがよろしいということは、先ほど私申し上げたとおりでありますが、今回の旅費改正説明によりますと、甲地域、乙地域がありまして、同じ宿泊料でありましても、たとえば六等級以下の職務にある者は、甲地方に行きますと一夜について二千円でありますが、乙地方であると千六百円、また、三等級以下の職員でありましても、甲地方では二千五百円の宿泊料がつくけれども、乙地方では二千円である。こういうふうに、甲地方、乙地方の区分がされておるのでありますけれども、この甲地方、乙地方の範囲というものはいかなるものであるかということで、私先回資料の要求をいたしました。この資料を一べついたしますと大体の見当はつくのでありますけれども、最近の情勢から見ると、現在の甲地方、乙地方の区分というものが必ずしも適正ではないんじゃないか、最近時に合わせて是正していく必要があるのでないかと思いますが、総括的に大蔵省のほうではどういう考えを持っておりますか。
  28. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 甲地、乙地の区分が適当であるかどうかということでございますが、これは、従来暫定手当という制度がございました時分から、その四級地と合わせております。これを詳細に見ますと、いろいろと情勢の変化があって、非常にこまかく申せば、そのたびに改正しなければいかぬということになるかと思いますけれども、行政の実務で申しますと、それを地域別に一々調査をするということは非常に困難だということが実情でございます。そこで、さしあたりこのままでやっていくよりほかに方法がないか、そういうように考えております。
  29. 平林剛

    平林委員 私の手元関係のほうから資料をいただきまして、たとえば、こうした問題については、公務員の非常に重要な関心になっておるわけでありますから、いろいろな角度で調査をしておる模様なんであります。それによると、昨年の十月に新潟県でも人事委員会現実宿泊料調査した模様であります一新潟県は、政府の甲地方、乙地方の区分によると、ただいま乙のほうに入るわけであります。ところが、この宿泊料調査によりますと、大体、交通公社の協定旅館で千七百七十六円、それから日本観光旅館連盟の加入店で千七百五十四円、サービス料、税込みでございますけれども、そういう数字が一応発表されておるわけでございます。これは一つの例でございますけれども、そうなると、この調査がある程度現実的な地域的なものといたしますれば、各県でもそれぞれこういう調査をしてくれば実態は明らになると思うのですが、かりにこれが現実に即してその乙地である新潟県のものであるとすれば、今度の宿泊料改定額、すなわち六等級以下の職務にある者は千六百円でございますから、足が出てくる勘定になるわけですね。私は、そういう点から考えますと、この宿泊料改定額というのは、少なくとも六等級にある者は、一つの例にすぎませんけれども、新潟県においては足が出るという勘定になるわけであります。これは、きょうは時間がありませんから、こまかく各県の事情を調べるわけにまいりませんけれども、もしこまかく調べていけば、おそらくこれに類する県というのはたくさん出てくるのでないか、そうなれば、六等級以下の職務にある者は、今回の改定額はちょっと不足するのではないか、こういうふろになるわけでありますが、いかがですか。したがって、私は、これをもう少し引き上げていく必要がある、それには区分を縮小する必要があるということにつながっていくわけでございまして、御意見があれば、伺いたいと思います。
  30. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃったように、実費ということになりますと、これなぞは、実際は、理論的には非常にこまかくやらなければいけないことになります。極端な例を申しますと、そこに共済の宿泊施設があるかどうかということも調べなければいけませんし、しかし、共済の宿泊施設があっても、そこが満員で泊まれないということもあると思います。それから、ある土地が急に物価が上がるというようなこともございます。非常に精密に見ますと、そうしなければいけないのでございますが、行政の実務上の点を考えますと、なかなかそうこまかくこれを不断に訂正していくということが非常に困難でございますので、従来からやっております甲地、乙地の区分、これは実際問題としてはこのまま続けていかざるを得ない、こう考えております。どうも理論的には先生のおっしゃるとおりなんですけれども、行政の実務の便宜もお考えになって、御判断願いたいと思っております。
  31. 平林剛

    平林委員 私も出張実情については知らないわけではありません。しかし、そういうことを言っておったのでは、ここに書いてあるものはおかしいということになるわけです。しかし、一応普通の旅館に泊まるという場合には、明らかに不足であるということになるわけでありますし、そういうことを、それでは実情に合わせてきめるか、旅館にきめるかということになれば、そこにやはり矛盾がある、割り切れないものがあることは間違いないのです。しかし、われわれが審議する場合には、通常の旅館に泊まるということを前提にして考えていっていいのではないですか。私は、そういうことを原則として、法律改正額その他は考えていっていいのじゃないかと思うのです。そういう意味からいえば、足が出ます。ですから、私に言わせると、少なくとも四等級以下の人の宿泊料については、せめて現実で二千五百円程度は出していいのじゃないか、これが常識的な線じゃないか、こう思っておるのでありまして、これなども、ひとつ原則に返って考えてやっていいことだと思いますから、この点もひとつ検討してもらいたいと思うのです。  もう一つ申し上げますが、日額旅費です。この日額旅費支給額の現状についてでございますけれども、今回は、この法律に特段の改定がございません。そこで、政府から資料をいただきましたところが、調査等の業務による場合の日帰り、すなわち日額旅費については、行程が八ロキから十六キロ、または五時間ないし八時間程度出張に対しては、六等級以下八十円になっておるわけですね。三等級から五等級の者で百円でございますな。これは一体今度は直さないのですか。この八十円、百円という額を定められた期日はいつですか。
  32. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 お答え申し上げます。  これは法律ではございませんので、いま御審議願っておるほうの法律が直りますれば、それにスライドしてこちらのほうも三割増しにする、そういうことをいま考えております。
  33. 平林剛

    平林委員 そうすると、三等級から五等級程度は百三十円くらいになる。六等級以下は百四円ですか、百円ですか。どういうようになるんですか。はっきりしてください。
  34. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 これは、各省で大体こういうふうにしたいという腹案が出てくると思いますので、それを見まして、四円というのはどうかと思いますので、まるくするときにどうするかということは、各省と相談してきめようと思っております。
  35. 平林剛

    平林委員 これは現実はどうなんですか。実際には、今度の運賃法改正で、省線電車を使う場合でも十円区間というものはなくなって、最低でも二十円、ちょっと八キロとか十六キロくらいになりますと、省線に乗ったって、片道でも四十円、五十円というところがざらに出てくるでしょう。そうすると、三割上げましても、日額旅費というものは、どうも少な過ぎるのではないかと思うのですけれども、実費弁償という考え方からいきまして、現実としてはどういうふうな判断を持っておられますか。
  36. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 お話のように、国鉄の運賃で、距離によって倍になったところもございますので、実際きめますときは、そういうことも考慮に入れまして、各省とよく相談をして、機械的にならぬようにはいたしたいと思っております。
  37. 平林剛

    平林委員 結局、実情に合わせて考えないと、三割上げたから大丈夫ですというわけにはいかないというのが、私の主張です。私の言いたいことをあなたは先に言ったんだ。今度の国鉄運賃からいけば、倍以上に上がっているところがある。そうすると、三割限度という日額旅費のきめ方をされては、現状に合わない。さればといって、統一的にする場合にはむずかしいところもあると思うのですけれども、現状に合わないということだけは間違いないのです。ですから、私は、単に三割程度スライドさせるということだけでは現実には合わない部面が出てくるのではないかと思うのです。これでは、電車に乗って行ってきたら、もう外へ行けば、弁当を持っていって食うわけにもいかないし、ふだん職場で働いている以上の経費が出るわけでありますから、そうした方面については、あまり喜んで出かけるような仕事ではなくなりそうになるわけですね。こういうことは、行政能率の面からいって考えなければならぬ点があるわけですから、これはもう少し増額すべきだと思いますが、いかがですか。
  38. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 お話のように、実情に合わせて、各省とよく協議してきめたいと思っております。
  39. 平林剛

    平林委員 それでは、私の質問は、この程度で終わります。
  40. 三池信

    三池委員長 有馬輝武君。
  41. 有馬輝武

    ○有馬委員 最初に、政務次官にお伺いしたいと思いますが、このたびの旅費法の改正のねらいというものは、はっきり言って、どこにねらいを置いての改正であるかということをお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 先日の委員会でもお話が出ておりましたが、このたびの旅費改正趣旨は、端的に申し上げまして、実費弁償の原則というものをはっきり生かしていく、昭和三十七年以来改正をしておりませんので、またその後の物価上昇、生活環境の変化、そういったものを取り入れまして、この際、実費の弁償ができるように改正していく、こういうことでございます。
  43. 有馬輝武

    ○有馬委員 先ほど平林委員から御質問のありました一般行政職の旅費のトータルに対しまして、要求額は各省幾らであったのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 申しわけありませんが、手元旅費の要求額の資料を持っておりません。
  45. 有馬輝武

    ○有馬委員 それでも大体の充足率といいますか、要求に対してどの程度が充足されたか、大体のところはわかるはずですから、お聞かせいただきたいと思います。
  46. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 御承知のように、いま各省の要求に三割という天井がございますし、旅費のようなものは、そう急に職員の数もふえないということを大体各省考えておりますので、そう大きな要求はなかったと思っております。したがって、旅費については、ほかの特別の弾力的な経費と違って、査定で減った率というものは非常にわずかだと思っております。
  47. 有馬輝武

    ○有馬委員 次に、国家公務員等旅費に関する法律の第二条の第九項で、いわゆる扶養親族について、内国旅行をする場合とそれから外国旅行をする場合と区別してある理由はどういうことなんですか。
  48. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 外国旅行の場合には非常に経費もかかりますので、連れていく家族というものを制限しております。内国のほうはその範囲が広くなっております。その関係で別にしておるわけでございます。
  49. 有馬輝武

    ○有馬委員 在外公館に行くような場合にも制限をするわけですか。
  50. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 そのとおりでございます。
  51. 有馬輝武

    ○有馬委員 これは話が別になるかしれませんけれども、たとえば、岡崎さんが国連大使をしておられるときに、松井さんがその下の大使としておられた。松井さんがしょっちゅう話しておられたのだけれども、国連なんていうところは、特に、私は日本の松井大使でありまして、あるいは岡崎大使でありまして、というようなことで名刺を出しておるようなことでは仕事にならない、やはりツーカーでいくためには、顔も全部覚えなければならぬというようなことを話しておられたことがあるのですが、少なくとも、在外公館に出向く場合には、その地にすっかりなじむということがなければ所期の目的は達せられないと思うのです。それについて、たとえば赴任旅費等についても、内地の場合の扶養親族の概念と、外国に行く場合の扶養親族の概念を区別するその理由が薄弱だと思うのですが、この点について意見をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 お話のように、外交の面では個人的に非常に親しくなるということが大切だと思います。外国の場合には妻と子供というようなものは旅費が出るわけでございますけれども、父母を連れていくということは、実際上あまり必要がないのじゃないかと考えております。
  53. 有馬輝武

    ○有馬委員 あなた方が必要がないと考えるだけで、行く人にとっては、特に年とった両親なんかを残しておいたのじゃ、これはまともな仕事もできないのでして、そこら辺について、必要ではないのじゃないかと思いますというのは、非常に薄弱じゃないですか。
  54. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 この点はいろいろと御意見があるかと思いますけれども、いま外交上非常に大事なのは、妻を連れていくということだと思いますが、さらにほんとうに腰を落ちつけるということですと、年とった父母も連れていく、そのほうがベターじゃないかということはあるかと思いますけれども、いままでそういう要求もあまり聞いておりませんし、そこまで政府が払うということはいかがかと思っております。
  55. 有馬輝武

    ○有馬委員 大蔵省の仕事というのは、各省の要求に従って、それをぶった切ることが仕事じゃなくて、各省の実態を見て、先ほど政務次官から答弁のありましたように、実態に即する方途を講ずることが大蔵省の仕事ではないかと私は思うのであります。外務省の諸君というのは、エチケットについては各省の中で自分たちが一番よく心得ておるのだというような、変なエリート意識から、言うべきことも言わないからそういうことになるのでありまして、やはり、ああ、実態はこうなんだなということを、そこら辺については大蔵省が判断するということでなければ私はいかぬと思うのであります。一ぺんざっくばらんに、あなた方は友人もたくさん外務省におるのでしょうから、聞いていただいて、実態に即するように改正していただきたいと思います。これは要望事項です。  次に、政務次官にお伺いしたいと思いますが、これは一旅費の問題ではなくして、いま申し上げました在外公館の諸君の子弟の教育の面についてもそういった分野があるわけです。子弟の教育をしようと思っても、へんぴな地域にやられた者については思うにまかせない、結局、家族と別れて暮らさなければならないという場合が非常に多いと思うのであります。そういう面で、たとえば、在外公館の諸君の子弟寮というようなものを日本に設ける、こういう点について何らかの配慮があるかどうか、現実にあるとするならば、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  56. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 ただいま有馬委員からたいへん御理解のある御意見が述べられました。私も実は一、二回海外に出る機会がございまして、現地で関係者から、いま有馬委員指摘のような実情指摘を受けまして、何とかしなければならないということを政治家の一人としても感じて帰った体験を思い出すのでございますが、いろいろ従来の予算の組み方というものがそのまま引き継がれてきておりまして、なかなか新しく追加するということが実際問題として簡単にまいらないわけでございますが、御趣旨の点は十分わかりますし、特に、大きく移り変わっておる国際情勢に処する日本外交の整備充実から考えましても、一そう必要ではないかというふうに考えます。今度の四十一年度の予算におきまして、子供を本国に置いておる外交官が後顧の憂いなきよう、子弟の勉強ができるために、一応施設をつくろうというので、予算の折衝を外務省とやりまして、その最終的な結果を、私確認いたしておりませんけれども、また後ほど具体的な内容について御報告をさしていただきたいと思います。
  57. 有馬輝武

    ○有馬委員 いまの政務次官の答弁については、この次の機会に明らかにしていただいて、そして、もし要求だけに終わっておりました場合には、理事諸君はかられまして、何らかの措置を講ずるような決議案にまとめていただきますように、委員長に要望をいたしておきたいと存じます。お願いいたします。  次に、南米に移住した場合に、船が帰りにはからっぽで帰るような場合が非常に多いと聞いております。それで、これは旅費の問題ともまた離れてまいりますけれども、二十年、三十年向こうに行っておる人たちについて、その船賃その他に対する便宜をはかられないものかどうか、これは新たな問題でありますので、政務次官の御見解を伺いたいと思います。
  58. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 ただいまの片便を有効に利用するという問題、しごくごもっともお話でございまして、これまたどのように現実に処しておりますか、具体的に調査をいたしまして、後刻御報告さしていただきたいと思います。
  59. 有馬輝武

    ○有馬委員 次に、この旅費法の第六条で航空便あるいは支度料についての規定がありますが、私は、航空便の適用についてもう少し柔軟に考えていいのではないか、この点について大蔵省の見解を伺いたいと思うのでありますが、船便を利用する場合には、天候によって二泊も三泊も、あるいは多いときには一週間も二週間も足どめされることがあるわけです。そういった場合に、私は、航空機を利用するというようなことを所属の長にまかせることが実態に即応する道ではないかと思いますが、この点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
  60. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 ただいまの御質問は、内国旅費のことでございますね。——内国旅費につきましては、航空機をどこで、どういうふうな場合に利用させるかということは、いまの制度では、三等級以上で、公務上の必要または天災その他やむを得ない事情により最も経済的な通常の経路または方法によっては旅行しがたい、そう各省の長が認めた場合に認める、そういう運用方針にいたしております。
  61. 有馬輝武

    ○有馬委員 平林君が聞きました七等級、八等級の問題についてもあとでいま一度お伺いしたいと思っておりましたが、その三等級以上というのをどうしてつけるのですか。
  62. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 実情では、非常に急いで出張して帰ってくるという必要があるのは、その辺が多いだろう、そういうことでやっておるわけでございます。
  63. 有馬輝武

    ○有馬委員 どうもぴんとこないのですね。私のお尋ねしておるのは、政務次官から、今度の旅費法の改正については実態に即応するように改正した、そこに主眼を置いたという御答弁がありましたけれども、島あたりからたとえば県庁の所在地に出てくる人たちというのは、三等級以上などという人はほとんどいないのです。壱岐、対島から出てくる、種子島、屋久島から出てくる、あるいは佐渡から出てくる、そういう点について、政務次官の答弁のように実態に即応することが今度の改正のねらいではないかと私は思うのでありますが、その三等級なんというものをへそみたいにくっつけておる理由について、いま一度お聞かせいただきたいと思います。
  64. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 先ほどお話がございましたように、たとえば、日当、宿泊まで考えれば、船でいくよりも飛行機で行ったほうが経済的な場合があるじゃないか、それはまことにごもっともでございますので、この点、各省と相談しまして、なるべく経済的にやるというのが旅費法の根本的な考え方でございますので、よく実情に合うように考慮したいと思っております。
  65. 有馬輝武

    ○有馬委員 非常に前向きの答弁をいただきましてありがたいのですが、これは経済的というよりも、とにかく天候によって左右されることがあるのです。とにかく一週間も二週間も船どめされてしまう。そういう点については、やはり飛行機の便を利用することができる、その認定は所轄の省が行なうという形にしてもらうと、実態に即応できるんじゃないかと思いますので、ぜひこれは早急に各省に通達できるようにお願いをしたいと思います。  それから、先ほどの八等級だけ二等で残した理由、いま一度お聞かせいただきたい。
  66. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 先ほど申し上げたように、三十八年の四月までは六等級までが一等ということになっておりました。それを、国会方面の御要望がございますので、さらに下げまして、七等級まで下げたわけでございます。それで、七等級でなぜ区切っておるかという点でございますが、八等級と申しますと、大体高校卒で、年齢が二十三、四歳までのところだと思います。そうしますと、そこまで一等旅費を出すということは、日本の民間実情に比べて、現状では妥当じゃないだろうと思います。そこで、八等級は、二等、そういうことにいたしておるわけでございます。
  67. 有馬輝武

    ○有馬委員 あなた方の仕事だって、とにかく八等級の諸君、七等級の諸君、六等級の諸君の仕事が積み上がってあなた方の仕事になる。その諸君が、睡眠不足数字を誤っておってもあなた方の責任になるわけである。七等級以上が一等で、八等級が二等でなければならぬという。社会情勢とにらみ合わせて、みんな一緒にすることが不都合がありますか。
  68. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 これは抽象的な理論の問題よりも、民間とのバランスの問題だと思いますが、民間のほうを調べてみましても、大体、会社へ入って、八等級相当ぐらいの、入って間もないという職員は二等というのが大部分でございますので、それに合わせておるわけでございます。
  69. 有馬輝武

    ○有馬委員 あなたとぼくの意見の分かれるところはぼくもわかっているんだ。わかっていて、あえて主張するのは、旅費という概念、これは各省におった者でなければ、旅費に対する概念というものが違う。それはあなたもおわかりでしょう。で、戦後、昭和三十年ごろまで、私は、旅費に対する各省における概念というものが、現在考えておるよりも相当違っていたと思う。それの余じんというものがいまなお残っておると思うので、先ほど平林委員から年度末の出張について御議論がありました。まさに正論であります。が、しかし、そこに集中する空気というものも、いま私が指摘したことと同じようなニュアンスで実態としてはながめられていることも、各省職員一つの気持ちではないかと思いますので、やはりそういった面から考えると、ただ単に、民間会社へ入ってしばらくの間は、というような概念だけでは律し切れない分野があるのではないかと思いますが、いま一度お聞かせをいただきたいと思います。
  70. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 たいへんむずかしい答弁なんでございますけれども、やはり根本は先ほど来申し上げておりますし、この点は御賛同いただいておるのだと思いますけれども、旅費というのは、実際に要る金を出す、こういう原則であるべきだと思います。それで、先生先ほどおっしゃられましたように、戦前はいまと多少実情が違っておりました。それから戦後もいろいろなことがございました。しかし、なるべく実情に合わせて実費支弁のほうへいく、そうして、公務員はきちんと規則どおりにやっているんだ、そういう方向へいくのが正しいと思っております。そういう点で考えまして、また一方、民間から、ある面について民間で納得しないようなことをいたしまして、そうして全般的にいろいろと妙な目で見られるということも困ることですので・いまの日本の実情考えますと、先ほど来たびたびのお話でございますけれども、やはり八等級まで一等旅費支給するというのは実情に合わないのじゃないか、そう思っております。
  71. 有馬輝武

    ○有馬委員 じゃ、七等級まで入れたときの理由はどういうことなんですか。
  72. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 国会の決議がございましたので、それを尊重いたしたわけでございますが、六等級のものを七等級まで入れたじゃないか、だから七等級まで入れたんなら、八等級までということで言われますと、私ども非常に苦しいことになるのでございます。
  73. 有馬輝武

    ○有馬委員 それじゃ、与野党理事の皆さん方に諮りまして、その苦しいことをやりたいと思いますから、そのときはいまの御答弁の筋から言いますと、苦しいことでもやらざるを得ないだろうということになると思いますので、ひとつ、この点はお含みおきをいただきたいと存じます。  次にお伺いいたしたいと思いますが、各省の試験研究機関の旅費は、実態にそぐわないものの最たるものだと思うのですが、その実態を把握しておられますか。
  74. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 いま御審議願っています単価については特に問題がないと思いますので、先生おっしゃられるのは、予算額が足りるか足りないかというお話かと思います。これは各省と相談して予算をつくっておるわけでございますし、最近研究機関については、ほかは節約節約というようなときでも、特段の考慮をいたしております。したがいまして、経費全体について、研究機関は特別に見ようということが続いておりますが、具体的に旅費について特に不足感が強いのかどうかということは、私の担当の範囲では、特にそういうことを承知しておりません。
  75. 有馬輝武

    ○有馬委員 これは困った事態で、大蔵省が悪いのか、各省が悪いのかわかりませんが、たとえば農林省設置法によりますと、二十五の付属機関があることになっております。少なくとも、私は国会議員の中でも、試験場を回っておる点においては最たるものだと思うのでありますが、どこの試験場に行きましても、旅費が足りないということを言わない試験場はないわけです。せっかくの研究をやりましても、発表の機会がありましても、発表に行けない、また、勉強したいと思っても行けないというのが実態です。その実態を、もしあなた方のところに伝えてないとするならば、農林大臣以下、これはもう怠慢もはなはだしいと思うのでありまして、そこら辺の実態について、ぜひ把握していただきたいと思います。要求しないからというなら、さっきの在外公館の諸君の実態と同じでありまして、やはり私は、各省の付属機関^その付属機関がどのような仕事をしておるか、その中で旅費はどのような内容になっておるかということを、むしろ積極的に大蔵省で検討していただくことが必要じゃなかろうかと思うのであります。もちろん、要求しない各省も悪い。これが一番悪いけれども、しかし、そうだからといって、ほったらかしておく大蔵省のあなた方の努力というものも足りないのじゃないか、そう思わざるを得ないのであります。そういう意味で、よく実態を把握していただくということを強く要望したいと思います。
  76. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 私の申し方が不完全で、農林省に迷惑をかけると何ですからもう一度申しますが、旅費の増額の要求はなかったというわけではございませんで、要求はありましたけれども、結局、最後にどれを重点にするかというところで、大体いまでき上がったような予算に落ちついておる、そこで研究費としてはふやしておるのでございますが、一つの研究機関で、限られた経費で最も能率的にやる場合に、研究機関の種類によって設備がほしいというところもあると思います。それから、旅費が一番ネックになっているんだ、そういうところもあると思います。そういう点につきましては、お話もございますので、よく農林省と相談いたしまして、これは農林省の研究機関でもいろいろあるだろうと思いますので、実態に合うように相談したい、そう思っております。
  77. 有馬輝武

    ○有馬委員 私、これで質問を終わりますが、先ほど申し上げました七等級、八等級の問題、それから航空賃の問題、それからいまの試験研究機関の問題、この三点については、ぜひ今回の改正案が論議された過程で、われわれ同僚委員から述べられた希望をきわめて早い機会に実現できるように、大蔵省の御努力を願いたいと思います。なお、七等級、八等級の問題については、ひとつ与野党の理事がおられますので、ぜひ具体的に御相談をいただきますように要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  78. 三池信

    三池委員長 日本開発銀行法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。藤田高敏君。
  79. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、過日の委員会であらかた私の用意いたしております質問事項についてはお尋ねをしたところでございますが、質問をすればするほどどうしても理解に苦しむ点、理解しがたい点、また時間切れで留保いたしております事項もありますので、それらについて、以下質問をいたしたいと思います。  開銀の過去における融資状況を見ましても、融資対象業種の中に国際観光という業種がございます。この中にはいわゆるホテルの融資がかなり入っておると思うわけですが、私は、半ば機械的なものの解釈かもわかりませんけれども、立法の趣旨からいって、この種のホテルに融資するということは、あまり重要な理由にはならないのではないか、こういうふうに考えるわけです。ことばを変えて言えば、政府金融機関がホテル関係に融資をしなくとも、これらの融資は一般の市中銀行の融資でほとんどまかなわしてよろしいのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、これに対する見解を聞かしてもらいたいのと同時に、今後とも、このホテル関係に対して融資する考えがあるのかどうか、具体的には四十一年度の計画はどのようになっておるのか、また、過去におけるホテル融資に対する金利は、どのような金利を適用してきたか、今後融資対象にするという計画であるとすれば、金利については従来どおりでいこうとしておるのか、それとも、特利と称するような優遇的な条件を与えようとする考えがあるのかどうか、このあたりについてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  80. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 お答え申し上げます。  国際観光事業につきましては、その収入のいわゆる外貨手取り率というものが非常に高いわけでございまして、そういう意味におきましては有力な外貨獲得産業で、わが国の外貨収入に占める比率もだんだんに増大しておる状況にあるわけでございます。そこで、開発銀行におきましては、この運用基本方針というものの中に、わが国の国際収支改善という見地からの融資がございます。そこで、政府の長期的な整備計画に立脚をいたしまして、国際観光の登録ホテル——これは、御承知のように、運輸省が監督、規制をいたしておるわけでございますが、そういうものの新増設を中心に融資を行なってきたわけでございます。  次に、この最近までの融資の状況でございますが、三十一年ごろから始まりまして、三十九年度までにおいて二百十六億円の融資が出ておるわけでございます。そこで四十年度の見込みといたしましては一応三十億円を予定をいたしております。さらに、四十一年度の計画といたしましては、一応十五億円を予定いたしておるわけでございます。この点は、御承知のように、オリンピックの関係でホテルの整備が国策として非常に急がれたということもございまして、三十八年、三十九年当時に非常に増加をいたしましたが、これも一段落をいたしましたので、今日ではだんだん減少傾向にございます。  次に、この金利でございますが、金利につきましては、開発銀行のいわゆる普通金利、すなわち、従来八分七厘というものを適用いたしておったわけでございます。なお、この普通金利は本年の一月一日から八分四厘に引き下げられることになっておりますが、今後ともこれは普通金利を適用する、したがって、ただいま先生指摘になりました特利といったようなものの適用は、全然考えておらないわけでございます。
  81. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私はいささか厳格過ぎるような質問をいたしますが、この開発銀行法の趣旨からいけば、あえて申し上げるまでもなく、「開発銀行は、長期資金の供給を行うことにより経済の再建及び産業の開発を促進する」という、そのことが中心目的になっておるわけなんですが、いまの説明を聞くと、そういう直接的な目的よりも、むしろ国際収支の改善といったような、法の直接的な目的からはずれた理由が中心になっておるような気がするわけです。広い意味の解釈からいけば、なるほど、経済の再建という非常に広義な意味には解釈できるでしょうけれども、やはりこの開銀設立の目的、趣旨からいけば、いま少し狭い意味の重点的な融資を行なって経済の再建を行なう、いわば間口をどこまでも大きく広げて、ホテルであろうと何であろうと、性格的には何でもかまわぬのだ、広い意味で日本経済のために少しでも役立てば開銀融資の対象にするのだ、そういう傾向が最近は強くなってきておるのじゃないかと思うのですが、そこらについての見解はどうでしょうか。
  82. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 この点につきましては、先生指摘のように、やはり基本的には開発銀行法第一条あるいは第十八条というものに根拠を置きまして運営をいたすわけでございますが、それにのっとって、実は、政府といたしましては、年々政府資金運用基本方針を閣議の決定を経て定めておるわけでございます。四十年度の閣議決定の要綱に見ましても、一応開発銀行の融資の重点を四項目にしぼっておりまして、決して何でもやるということではございませんので、その四項目の中に国際収支の改善に寄与する産業の育成合理化、これは、産業間及び地域間の均衡ある開発発展といったようなものと並びまして、一つの項目として実は閣議決定を経て定められておるわけでございます。
  83. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 これはことばじりをとらえるような論議になりますけれども、いま答弁になられた地域間の格差解消などということは、ホテル融資に関する限り、そういう条件には該当しないのではないか。これは必要があったら、融資をしたホテルの名前をあげてもらいたいと思うのですが、オリンピックに関連をして、四国だとか、九州だとか、東北など、京阪神、京浜といった地域との地域間の格差解消をしなければいけないような、そういう地域に対して、ホテルの融資がそうなされたようには、私は思わぬわけです。そういう点からいくと、この格差解消のためにホテルに対する融資がなされたというのは、いささか詭弁に近いのじゃないかと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
  84. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 ちょっと私のことばが足りませんためにただいまのような御指摘をいただいたわけでございますが、私が申し上げましたのは、閣議決定で開発銀行の融資の四大重点というものが定められておる、その一つとして国際収支の改善に寄与する産業の育成合理化というものがございまして、国際観光ホテルというのは、その国際収支改善というところで実は見ておる、そういうような項目のほかに、エネルギーあるいは輸送力といったようないろいろなものがございますが、そのほかに産業間及び地域間の均衝ある開発発展という項目もあって、これら四つが並んでおりますという意味で申し上げたわけでございまして、決して地域間格差の解消ということで国際観光ホテルということを言っておる、そういう意味ではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  85. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は前回のときも指摘をしたわけですが、そういう点からいきますと、開発銀行の性格がだんだんと変わってきた。いわゆる基幹産業重点主義の融資が、最近は総花的な性格に変わってきておると思うわけです。これは開発銀行自身の性格論の問題としても今後に問題が残ろうかと思うわけでありますが、そのことはひとまず留保するとして、私の考えは、これまた前回にちょっと指摘をしたところですが、この種のもの、いわゆるホテルあたりに融資をするのであれば、住宅金融公庫であるとか、あるいは国民金融公庫であるとか、あるいは中小企業金融公庫であるとか、こういった同じ政府金融機関の中でその資金を重点的に、開発銀行のほうに無理にワクをさかなくとも、私がいま指摘したような分野で、もっともっと国民生活に関係の深い政府金融機関に対して資金配分をしていくことのほうが、より私は国家的な見地から見て大切ではないかと思うわけですが、そのあたりについての見解を聞かしてもらいたいと思うわけです。これは、局長から聞かしてもらうよりも、大臣おられませんから、次官のほうからひとつ聞かしてもらいたいと思うわけです。
  86. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 ただいま開発銀行の融資の具体的なあり方について種々御意見が出たわけでございますが、政府といたしましては、御承知のごとく、住宅対策あるいは中小企業政府管掌三機関に対する融資ワクの拡大、それぞれそういう手を打ちながら、開発銀行は開発銀行本来の趣旨に沿う融資のできる態勢で、そのときどきの経済情勢の変化に即応しながらやってきておる。体制金融あたりはまさにその一つではないかと思うのでございます。そういう点でございますから、片手落ちな金融政策ということにはなっておらないように御理解を賜わりたい、このように思うわけでございます。
  87. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 この点については、私は私の意見のみにとどめまして、次に体制融資の問題ですが、これは前回も体制融資に対する大蔵省自身の見解、特に開銀を通しての体制融資の問題については、いわば無原則といいますか、むやみにそのワクを広げるようなことはしないということが大綱的な見解であったと思うわけです。しかし、今年に入っても、この間も私は新聞を通して指摘をいたしましたが、ことしの二月の十九日の日経に出ておりますように、開銀自身が考えておる体制融資に対するものの考え方と、大蔵省考えておるものの考え方、さらには通産省自身の考えておるものの考え方、ここには私はかなり大きな相違があるように思うのです。体制融資というものについては、どういう金融機関を通してどうやるんだということは、政府一つの統一見解として集約をされないと、各省によって、あるいは直接担当する金融機関の意向と大蔵省との見解が食い違う、こういうことでは、私は一貫した金融政策なり産業融資というものはできないと思うのです。そういう点からいって、たとえば、自動車や石油に対する体制融資の問題についても、通産省は非常に前向きの姿勢で、たとえば、かつての特振法の融資対象にあげられた石油化学あるいは石油精製あるいは自動車あるいは合成繊維、こういったものを中心に体制融資を強化していくんだという方向が通産省の考え方として非常にクローズアップされてきておる。それに大体符合を合わした形の方向——開銀の立場としてはそういう方向を向いておるように私は理解をするわけです。ところが、大蔵省は、そういう方向に対しては、いささか消極的というか、半ば水をぶっかけるような立場にある。ここらについて、この大蔵省の見解と開銀自身の考え方を総裁からひとつお聞かせ願いたい。
  88. 平田敬一郎

    ○平田説明員 お答え申し上げます。  先般来開銀のことにつきましてたいへん詳細な御検討をいただいておりまして、感謝にたえませんが、前と関連しまして、この機会に二、三、要点だけを申し上げまして、なお御検討の材料にさせていただきたいと思います。  私は、開銀の性格自体というのは、現在までのところ変わっていないと考えております。ただ、業務の内容は、そのときの政府なりあるいは国全体あるいは社会的な要求、そういったような要請に従って順次相当変わってきていることは御指摘のとおりでございますし、その点、私も申し上げたとおりでございます。さっき第一条を御指摘になりまして、あれが開銀の本来の一番大事な性格を規定するものと思いますが、あれを逸脱しない範囲内におきまして、必要な要請にこたえまして融資をやっているという一点をまず申し上げさせていただきたいと思います。  その次に、それでは開発銀行が独自な立場でやり得る限界はいかんということですが、これは実は、毎年政府が閣議で開発銀行の融資の大綱につきまして——ここに四十年度のがございますが、こういったようなものが政府から私どもに示達がございます。開発銀行の所管が大蔵大臣になっておりますので、依命通牒の形で銀行局長から毎年実はいただいておるのでございます。先般藤田委員から私どもの営業報告書の御指摘がございましたが、あの報告書は、この方針に書いてあることを基本的な点だけほとんどまる写しに写しているわけでございまして、別に開発銀行が独自の立場で作成したものではございませんことを御了承願いたいと思うのでございます。その中に、いまいろいろ御議論がありました国際観光につきましても、それをやれという方針をもらっておりますし、それから、いわゆる体制金融ということばがいいかどうか問題でございますが、その点につきましても、たとえば、四十年度の方針でございますと、大体御存じのようなことが書いてございまして、「国際経済環境の変化に即応しつつ、産業構造の高度化を促進するため、産業体制を整備して早急に国際競争力を強化する必要がある石油化学工業、乗用車工業」云々、こういう字句がございまして、それに即応して、実は開発銀行もこの趣旨に即応することにできるだけつとめながら融資をやるということにいたしておるのでございます。  それから、さらにいろいろ議論がございましたが、この方針をきめる際には、それぞれ各省が意見を出しまして、おそらく企画庁で実際上はまとめているかと思いますが、大蔵省、各省が意見調整をはかりまして、その上でこの方針がきまっておるようでございます。もちろん、それぞれの省におきまして、開発銀行に対する期待は相当大きいのが実情でございまして、意見を出し合って、よく審議された上できまっていく、もちろん、大蔵省大蔵省立場で毎年御意見を申されてきまっていくというのが、いままでの順序のように記憶しております。もちろん、私ども銀行の立場でいろいろなことをやっておりますから、非公式にそういう際にいろいろな意見を申し述べることもあることは御趣旨のとおりでございます。しかし、きまったところに従いまして、きまったら、忠実にその趣旨に即応して運用の適正をはかりまして、何しろ国家資金のことでございますので、限られた資金をこの方針に従って最も有効に運用するということに心がけておる次第でございます。  総括的で恐縮でございましたが、それだけ私から申し上げさせていただきたいと存ずる次第でございます。
  89. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 ただいま開発銀行総裁がお答え申し上げましたとおりでございまして、大蔵省と開発銀行とは少しも食い違っておるところはございません。
  90. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 いま総裁のほうから答弁がありましたように、年度、年度の業務運営に対する基本方針については、閣議決定の線に沿って、開銀としては当然その業務方針というものを決定していくのだ。この手順、方針については、私はそのとおりだろうと思うのです。ただ、その場合に、この前にも私が指摘しましたし、いまも総裁のほうから答弁がありましたが、特に四十年度、あるいは四十一年度の方向としては、国際競争力の強化ということが業務内容の中心点に置かれてくるということは、大蔵省は、口では体制融資についてはそう積極的にはやらないんだ、むしろ消極的なんだ、こういう態度をとりながらも、国際競争力の強化ということが中心になる以上は、開銀の性格というものは、これからはだんだんと体制融資を中心にする業務運営業務内容というものが大きくなってくるのじゃないかと思うわけなんですが、その点についてはどうでしょうか。
  91. 平田敬一郎

    ○平田説明員 私が先ほど国際競争力の項を申し上げましたのは、藤田委員がそのことにたいへん御関心が強いようでありましたので、一例として申し上げたのでございまして、先ほど銀行局長が申し上げましたように、四十年度としては大きな柱が実は四つ立っておるのでございます。  その一つは「エネルギー、輸送力、産業関連施設等産業基盤の充実強化」、これが実は額からは一番多うございます。電力、石炭、海運それから私鉄といったような問題をやっておりますが、金額からいきますと、現在でも一項目が非常に多いのであります。  それから第二項といたしまして「国際競争力強化のための産業設備の近代化、合理化と国内産業体制の整備」、これが第二項に入っておりますことは御承知のとおりで、これは御指摘のとおり、四、五年前まではなかったのが、たしか一昨年か、あるいはその前の年あたりからこういう項目が入ってきたという沿革になっていることを申し添えておきたいと思います。  それから第三番目が「国際収支の改善に寄与する産業の育成合理化」、国際収支の観点を重視しておりまして、これはさっき言いました輸送力ですけれども、輸送力の中でも特に外航海運を重視するとか、あるいはさっきお話しのございました外貨獲得の可能性を持ちますところのホテル等に融資するというのが、この大きな第三項目の条項になっております。  それから最後に、四項目としまして「産業間及び地域間の均衡ある開発発展」ということがございまして、地域間の均衡ある発展というのは、先般先生指摘のとおり、地域開発の問題も実はこの大きな柱に従ってやっておりまして、これは最近数年間漸進的に拡大されつつある部門であるということを前回申し上げましたが、そういうことになっております。  この四つの大きな柱が立っておりまして、その柱に基づきまして、さらに二ページぐらいにわたり、各項目ごとに、どういうことに重点を置いて融資すべきか、基本的にどういう考えでやるべきかということを書いてございまして、私どももこの趣旨にできるだけ即応しまして、有効な運営をはかりたいということでつとめておりますことをさらに申し添えておく次第でございます。
  92. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、この体制融資の問題と開銀の性格問題に関連して、このことを半ばしつこく言うのはなぜかといいますと、今日の経済不況なり、俗に言われておる経済のひずみというものはなぜ起こってきたかということを考えた場合に、開発銀行法の第一条の目的の中にうたわれておる「産業の開発」ということ、まだ開発していかなければならぬ部分がたくさんあると思うのです。そういう点からいけば、石油化学のように、先発、後発で欧米並みの大きなナフサセンターの分解能力を持ったような大企業に融資をしたり、それから、これだけの不況期の中でも、銀行と、あえて言えば自動車産業と言われるぐらい利益率の高い自動車、こういった方向に融資のワクを広げるよりも、この前も指摘したように、地域開発とか、あるいは公害対策関係であるばい煙防止対策、あるいは汚水防止設備、あるいは公共部門の事故防止設備、さらに私が先ほど指摘したような住宅金融関係、あるいは国民金融公庫、中小企業金融公庫、こういったように、むしろ重点的に産業のおくれた分野を引き上げていく、あるいはおくれた部分を開発していくという分野、今日の開銀法の趣旨にぴったり合う分野がまだあるわけですから、そういう方向に開銀の融資の重点というものを置いていくべきであって、なるほど読み上げた四項目の中の一つの項目ではありましょうけれども、体制融資に関連をする項目が国際競争力の強化という形でうたわれてきたのは、私の理解する限りでは、例の特振法というものが国会に出されてきて三たび流れましたけれども、あの特振法案というものが国会に出されてきた時期を契機として、この開銀融資のワクの中に体制融資の条件というものが具体的に入ってきたと思うわけです。そういう点からいって、何もおくれた分野もない、したがって、国際競争力を強化するところへ一点に集中して政府金融機関を動員するのだということになれば、それはそれなりの考え方があると私は思うのです。しかしながら、今日、先ほども指摘したように、おくれた分野というものがまだまだたくさんあるわけですから、この開銀法の趣旨、目的に沿って融資をする産業分野というものが多く残されているのではないか。そこへ開銀のこの融資というものを重点的に振り向けていくことのほうが、体制融資のほうへ顔を向けるよりもより重要ではないかということを、しつこいようですけれども私は言っているわけです。そういう点で、ひとつ集約的な見解を聞かしていただきたい。と同時に、私は、体制融資の具体的な問題についてひとつお聞きしておきたいのは、たとえば、これも新聞記事でありますが、ことしの二月三日の読売新聞の記事によると、「日本開発銀行は、一月の長期金利引き下げに続き、さらに四月から自動車向け体制金融、産業公害対策融資、新技術開発融資など、特定業種の金利を石炭並みの政策優遇金利まで下げる方針を固め、大蔵省の意向を打診しておる」、こういう具体的な記事が載っておるわけです。これも、火のないところに煙は立たぬというたとえのごとく、開銀自身としては、体制融資に対しては、少なくとも考え方としては非常に前向きになっておるんじゃないかと私は思う。そのワクそのものもさることながら、実際の金利の取り扱いについても、石炭並みという、最高の特利といいますか、そういう特別優遇措置を講ずるようなところまで開銀としては意向を固めて、大蔵省と検討されているような記事が載っている。これは、開銀当局としては、自動車を中心とする体制融資についても、大蔵省が了承さえすれば取り組んでいきたいというかなり積極的な意向があるように私は理解するわけです。そういう点からいって、そこまで積極的にならなくても、いま私が言ったような方向で開銀の運営というものを重点的にやっていくべきではないか。これについての見解をひとつ聞かしてもらいたいと同時に、いま指摘したことに対する開銀の意向と、大蔵省の見解、あわせて、きょうは通産省関係を呼んでおりませんでしたが、ひとつそういう点で統一した政府の意向というものを私は聞かせてもらいたいと思う。
  93. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 総括的な問題につきまして私から御答弁申し上げ、あと、局長なり総裁から必要があれば補足をしてもらいたいと思うのでありますが、申し上げるまでもなく、いわゆる開放経済体制に移行をしました日本として、特に国際経済還境がこれまた非常に移り変わっておりますこと、藤田委員も御承知のとおりでありますが、そういう変化に即応して日本の産業構造を高度化する、こういった必要性——経済は生きものでございますので、それに対処するために、先ほど開銀総裁からるる説明ございましたような基本方針に従って開銀としては融資をいたす、そこで、これは両刀づかいと申しましょうか、やはり国際経済体制にも日本の産業構造が即応していかなければならぬ、同時に、ただいま御指摘のありましたような国内でおくれた産業との格差の是正もこれまた急がなければならぬ、両々相まって、日本の経済というものが、いわゆる安定成長の路線に乗っていくわけでございますので、どちらも両方やりたい、そのやるタイミングについては、これは現実運営をされております開発銀行において、総裁のもと、時期を失せず適切にやってもらうという現実論になってこようかと思うのであります。  それから、新聞の報道を通じていろいろ御意見が出ておるわけでございますが、特に特利の問題につきまして、確かに通産省から自動車関係体制金融についての特利の要望もあったようでございますが、これは大蔵省としても適当でない、したがって、特利扱いを新しくいたしますのは、共同石油、それから産業公害、これは特利の扱いをいたさざるを得ない、こういうことでございますので、さよう御承知を願いたいと思うのであります。
  94. 平田敬一郎

    ○平田説明員 私から特に補足して申し上げる必要はないかと思いますが、ただ一点、藤田委員のお考え、非常にごもっともなところがあると思うのですが、これは将来のいろいろな問題にも関連するかと思うのですけれども、おくれているというのを、国内的な見地だけで考えるか、あるいは国際的な見地を含めて考えるか、そこでいろいろまた考え方が出てくるんじゃなかろうかと思います。私どもは政府の方針がきまって、それに従ってやっておりますので、公式にとやかく意見を総裁として申し上げるのはどうかと思いますが、個人的に申し上げますと、やはり、日本の自動車産業、石油化学というのは、先進諸国の産業に比べますと相当まだおくれているんじゃなかろうかという感じを持っております。特に自動車産業の場合には、御承知のとおり、今後ますます国際的に輸出をふやし、あるいは国内におきましても外国の巨大事業と直接競争しなくちゃならぬという状態にぶつかっているわけでございまして、そのような見地から考えますと、藤田委員お話しになったようなラインで考えましても、このようなことが政府の方針としてきまりまして、そして開発銀行に期待されていくということは、ある程度自然な成り行きではなかろうかと存じますが、そういったような点につきまして、御参考までに申し上げまして、なお、よく御検討いただきますことをお願いいたしたいと思う次第でございます。
  95. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は過日の委員会でこの体制融資に対する見解をお尋ねをして、佐竹局長のほうから答弁されたニュアンスと、いま総裁から答弁されたニュアンスの間には、私はかなりな違いがあるような気がするのです。いま指摘されたように、国内的な産業分野の中で、進んだ部分とおくれた部分、国際的な見地から見ておくれている部分、こういうふうに言われますが、きょうは時間がありませんし、私も具体的にそのこと自体で論議をしようとは思っておりませんでしたので準備も不十分でありますが、再三指摘いたしますように、特振法が一昨年出されたときにも、いま総裁が指摘をされた特振法の協調融資というか、政府の開銀を中心とする融資産業としてあげていた石油精製、石油化学あるいは自動車、特殊鋼、こういったものについては、かなり委員会においても、はたして競争力というものについてどういうおくれがあるのかということを論議し合ったわけですね。これは個々の見方によって違いがありましょうけれども、私は先ほど一、二の例をあげましたが、鉄鋼においても、石油化学においても、自動車においても、少なくとも、四十二年、四十三年の段階になれば、わが国の花形産業というか、これらの業種については、もう国際的にはトップレベルをいくだけの実力ができるのじゃないかというのが、大かたの見方じゃないかと私は思うわけです。そういう点からいくと、先ほども言っておるように、一般的な論議としては、国際競争力の強化ということで融資の必要性は私はないとは言わぬけれども、高いところへもっこ持ちするような融資のしかたを開銀自身が積極的にやらなくとも、先ほど来指摘しておる、他のおくれた分野に融資をすることのほうがより大切ではないか、これはきょうは一々申し上げませんが、私は私なりに材料は一度整備をしたのですけれども、石油化学においても、鉄鋼においても、自動車においてもですが、大体国際競争力については互角の条件というものを整備してきておるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。そういう点からいって、間口を広げるだけではなくて、何か将来の開銀の方向というものが、だんだんと体制融資に重点を移行していくのだということであれば、それなりにはっきりお答えを願おうし、やはり重点としては、国内的に開発のおくれた分野というか、そういう面に重点を置いてやっていくのであれば、そちらに重点を置いて、少なくともことしから来年にかけてはやるという、重点の置きどころをどちらに置いていくのかという点については、私は過日の答弁からきょうの答弁にかけてちょっとニュアンスの違いが出てきたように思いますし、それから、私自身どちらに重点があるのか理解できがたくなりましたので、その点、ひとつ方針の問題として明確に聞かしてもらいたいと思います。  そのこととあわして、時間の関係もありますのでお尋ねをいたしますが、自動車については、ここ一昨年来具体的に融資の申し込みがあったと思いますが、どういう額に達しておるか、ことしの計画はどういうことになっておるか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  96. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 お答え申し上げます。  開発銀行の融資方針と申しますか、重点の置き方等につきましては、ただいま藤田先生から御指摘がございましたように、前回の大蔵委員会において私からいろいろお答え申し上げ、また、大蔵大臣からも御答弁がございましたが、あのとき申し上げたことと全く相違はございません。  次に、自動車の点でございますが、自動車につきましては、実は三十八年度におきまして初めて乗用車工業の体制整備ということで一応十五億円というものが予定されたわけでございます。しかしながら、当時、やはりこれも閣議決定で融資基準というものが定められておりましたが、その基準に合うものがまだ出てまいりませんでした。したがって、これは実績はゼロでございます。次に三十九年度におきまして、またさらに二十五億円が一応計上されました。しかしながら、これまた見るべきものなく、融資が出ておりません。したがって、この両年度を通じて合計四十億円に相なるわけでございますが、それがそのまま四十年度に実は繰り越してきております。ただいまの段階におきましては、自動車に対する開銀融資というものは、まだ全然行なわれておらない状況でございます。
  97. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 この自動車の融資に関連をしてお尋ねをしたいのですが、たいへん失礼な、意地悪い質問になりますが、開銀総裁、労働組合法をお読みになられたでしょうか。
  98. 平田敬一郎

    ○平田説明員 御質問趣旨、よく理解しかねるのでございますが、常識としてはできるだけ勉強しておるつもりでございますが、どういうお尋ねでございますか、それによりましてお答え申し上げたいと思いますが……。
  99. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 ごく抽象的な質問になりますが、政府金融機関ですから、法律できめられた労働組合法の趣旨に反するような労務政策、もっと端的にいいますと、労働組合組織そのものを破壊するような経営政策、こういう政策をとっておる企業に対しては、融資業種の中に入っておっても、市中銀行であればともかくですが、少なくとも政府金融機関としては、そういう国がきめておる労働立法にもせよ、その他の立法にもせよ、反するような行為の行なわれておるところへは融資を差し控えるべきであると思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
  100. 平田敬一郎

    ○平田説明員 金融機関——私どもも政府金融機関でございますが、金融機関の一種類と考えておりまして、労使関係につきましては、労使が責任を持って決着し、決定すべき問題でございまして、銀行とし七関与すべき筋合いのものではなかろうと、実は存じております。  なお、お話の組合法に違反しているかどうか、そういったような点につきまして、はっきりした場合にどうするか、こういう問題だろうと思いますけれども、それはその際に、どういうことでそうなっているのか、その問題がどういうところにあるのかということにつきましては、もちろん、その融資にあたりましては、関心を持ちまして融資を決定するということに相なるべきことかと存じます。
  101. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それでは、いま少し具体的に聞きますが、佐竹局長のほうから答弁のありました三十九年十五億円、四十年二十五億円、それを繰り越した形で四十一年自動車関係から融資の申請がある。この中に日産、プリンス関係の申し込み額はどれぐらいありましょうか。
  102. 平田敬一郎

    ○平田説明員 御指摘の日産、プリンスにつきましては、昨年の暮れ、実は通産省から推薦がございました。開発銀行としましては、その後十分な審査を遂げておりまして、現在審査中でございまして、結論につきましては、何とも本日まだ申し上げかねる次第でございます。
  103. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 どの程度の申し込み額があるかということです。
  104. 平田敬一郎

    ○平田説明員 通産省から融資してほしいという希望額でございますが、四十億円でございます。
  105. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それでは、四十億円というのは、日産、プリンスの関係で、自動車関係というのは、全部日産、プリンスの関係と見て差しつかえないわけですね。
  106. 平田敬一郎

    ○平田説明員 その辺のことにつきましても、貸し付けの決定にあたりましては、最終的によく審議しましてきめるつもりでございますが、通産省の期待しておりまする額はお話のとおりでございます。ただ、これは期待でございまして、もちろん、開発銀行がよく審査しまして、それによりまして額も適正な額を決定いたしたいと思っております。
  107. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 四十億円という希望申し込み額というのは、大体日産、プリンスのようですが、この日産、プリンスの合併問題を契機に、いま日産の労使関係はどういう状態になっておるかということは、総裁あらかた御承知でしょうか。
  108. 平田敬一郎

    ○平田説明員 現在のところまだ審査が終わっておりませんので、責任のある正確な報告は受けておりませんが、何か紛争があるということにつきましては、あるらしいということは、私耳に入れております。
  109. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は先ほど来から体制融資の問題についてごく大綱的な質問をいたしましたが、その具体的な一つとしていまあらわれてきておるのが日産、プリンスの合併問題を中心とするいわば寡占体制をつくっていくということだと思う。自動車産業自体の中に寡占体制をつくっていくこの方向というものは、この間からもしばしば指摘しているように、特振法の新産業構造体制でありまして、いわばその新産業体制に見合う融資体制というものが、私は、ことばをかえていえば体制融資だろうと思う。そういう一貫した体制の中で起こっておる問題が、いわゆる日産、プリンスの労使関係ではないかと思うわけです。これはそれぞれの立場で若干の見解の相違があろうかと思いますが、一つの例を取り上げると、労働組合が工場の前で労働組合のいわゆる正当な行為として組合員を啓発するためのビラまきをやる、そのビラまき自体を、会社の御用幹部というか、そういう連中が五十人も百人も工場の前に出てきて、労働組合が渡しておるビラさえ受け取らせない、中に百人か千人に一人くらいな者がたまにビラを取ると、そのビラを取った者を全部工場の中でマークして、そうして職制からのおどしをかけていく、いわばこれも明らかに労働組合法の精神をじゅうりんしたものでありまして、いま当該労組としては不当労働行為の申請もしておるようでありますが、私ども、戦後二十年の労働運動の過程で、こういうひどい労働組合破壊の手段をとっておる資本は、極端にいえば見たことないと思うのです。これが一つの新しい産業体制、しかも、一昨年来から申請が出てきておるという開銀の融資対象企業の中でこういう労使の関係が起こっておる。こういう労働組合法の趣旨に反するような、精神をじゅうりんするような経営者、資本家に対しては、少なくともそういう態度を改めない限り、国の融資なんというものは見合わすべきだ、そういう点については厳格に銀行としてはチェックをするべきだ、こういうふうに思うわけですが、その点についての見解を、ひとつこれは責任ある見解を聞かしてもらいたいと思うのです。
  110. 平田敬一郎

    ○平田説明員 先ほど申し上げましたように、労使関係は労使が責任を持って決定すべき問題でございまして、銀行として関与すべき筋合いのものではないと存じます。先ほどからもお答えしましたように、日産、プリンスの融資につきましては、目下慎重に各種の角度から審査中でございますので、審査の報告を待った上で、慎重に融資をきめたいと考えておりますことを申し上げさしていただきたいと思います。
  111. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと関連。いまの総裁の御答弁は、審査は慎重にすると言われるが、その会社の経営その他に関して、労使双方が適正な条件が生まれてこないような企業、そして、あまりに常識の範囲を越えて会社側が労働者に対して圧力を加えるようなことがもしあるとするならば、これは企業として適正な発展ができない、今後とも融資基準上の問題としてもこれは考慮に値する問題につながると思うのです。だから、私は、労使の問題は労使がやればよろしいと思います。思いますけれども、そこにはおのずから良識の範囲があるべきであって、不当に労働者を押えつける、労働組合を圧迫するようなやり方をとる企業は順調に企業が発展できると私ども考えられないのです。当然その中には話し合いによって問題を解決すべしという労働法の精神が生かされるために労働法というものが現在行なわれておると思うのでして、その点については、私は、融資のいろいろな問題の中に金融機関的な立場からも当然これは一つの問題として入る、こういうふうに理解をいたしますけれども、総裁の御答弁をいただきたい。
  112. 平田敬一郎

    ○平田説明員 企業がいい成績をあげるかどうか、うまくいくかということについて、労使関係が非常に重要なことは御指摘のとおりでございます。ただ、私が申しましたのは、金融機関として労使関係に介入するとか、関与するとか、そういうことは不適切でございますので、その限界は常に守りながら融資をやるというように心がけておるということを申し上げたのでございます。本件につきましてもそういう態度で臨みたいと思います。ただ、労使関係がその後どういうふうになっていくか、この辺のことにつきましては、もちろんよく審査の際に調べまして、そういうこともあわせて判断しまして、融資の態度をきめるということは当然のことでございまして、全体を含めまして、そういったようなことにも関心を持ちながら、適正な審査をやりまして、そして適正な貸し付けを行なうようにしたいということを、はなはだ抽象的ですけれども、本日の段階ではそれ以上個別的に申し上げるのは必ずしも不適当だと考えますので、御理解願いたいと思う次第でございます。
  113. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私の言っておりますのも、金融機関立場から具体的に労使間にまつわる問題について、こうしたらいいだろう、ああしたらいいだろうという、そういう具体的な介入をすべきだなどということは、これは一切言っていない。そういうこと自体は、広い意味におけるこれもまた不当労働行為になるかもわからないので、そういうことはいささかも言っていないわけです。いま、たまたま堀委員のほうから御指摘されたとおりのことを私も実は指摘をしたかったのでありまして、健全な労働運動、労働組合の発展というのは産業の発展につながるものであって、労働組合の組織を破壊するようなことを、たとえば、総評から脱退をしろ、あるいは社会党系の労働組合はけしからぬとか、そういうことで、私は一例をあげましたが、いまプリンスの工場前で起こっておるような、あるいはプリンスの労働組合の中で起こっておるような事態というものは、私は、個々の企業にとっても、個々の産業にとっても、決してこれはプラスにならぬ、そういう観点から、非常にアブノーマルな労使関係の起こっておるところへ政府金融機関が融資をするということは、先ほどの堀委員質問ではないけれども、やはり融資基準という立場からいけば、経営者、資本家の側がよく言うことですが、労働争議で企業がつぶれるということさえ言うわけですね。私は、ストライキをやって会社がつぶれたという例はあまり知らぬわけですが、経営者や資本家の側から言わせれば、そういうことを口にするぐらいですから、そこの労働争議、労使間の紛争がその企業にとってどういう影響を与えるかということは、これは融資基準の対象から見ても非常に現実的な大きな融資条件にならなければいかぬと私は思うのです。そういう点からいって、重ねてこれはお尋ねをいたしておきますが、この日産、プリンスの融資の問題については、労組法の精神を具体的にじゅうりんしておるようなことがあれば、そういう企業に対する融資は厳格にひとつ規制をしてもらいたいということを要望すると同時に、総裁の見解をあらためて聞かしてもらいたいと思うわけです。
  114. 平田敬一郎

    ○平田説明員 本問題について具体的にお答え申し上げるのは、どうも時期が適切ではないと思います。先ほどお答えしましたように、一般的にこういう場合における銀行の融資態度ということを申し上げた次第でございまして、そういう方針に従いまして、本件につきましても適切を期してまいりたいと思う次第でございます。
  115. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 適切を期してまいるという答弁の中に私の趣旨が十分生かされるものと理解をし、また、生かしてもらいたいということを強く要望して、この点については終わりたいと思います。  最後に一つだけ、今度の法改正の中に監事制度に関する規定が含まれておるわけですが、けさ提案説明のありました国民金融公庫監事制度の改正も、大体三十七年十二月十四日の行政管理庁の勧告に基づくものだと私は理解をするわけですが、この勧告案が出てからかれこれ三年余りになるわけです。これはもうごく常識的に考えて、今度提案をされておるような監事の監査機能をより厳格にしていくということは、二年も三年も時間をかけて検討しなくとも、だれが考えてもいいことにはきまりきっておると私は思うのです。こういうことが二年も三年もかからなければ具体的にこの法の改正として出てこないということについては、私は非常にお役所仕事の悪い面を露骨に出してきておるように考えるわけですが、なぜこんなにせっかくの勧告の趣旨というものが生かされないで今日まで延び延びになってきたのか、その理由をひとつ聞かしてもらいたいと思う。ただ、私のほうから先走って言うようでありますが、この勧告は、日本開発銀行それ自体は対象になっていないのだ、こういうことを言われるとすれば、それは私は詭弁だと思う。少なくとも、この開発銀行が直接その対象になっていないということであれば、この監査機能の問題、その強化についてはこういう改正案を出さなくてよろしいのでありまして、少なくとも、この勧告の趣旨というものは、政府関係のこの種の機関に対する勧告として、いいことはいいこととして、やはりスピーディに制度改正をやることが必要ではないかと思うのですが、それについての見解をひとつ聞かしてもらいたい。
  116. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 藤田委員の御意見、まことにごもっともでございまして、実は、私もこの改正案が出されるとき、部内においていま委員指摘されたような意見を私自身が述べたのでございます。ところが、一応事務当局としては、監事だけの改正ということもどうか、ほかの問題と含めて改正の時期を待っておりました、こういう答弁でございまして、すでに済んだことでもございますし、今後はよきことは一日も早くこれが改善を行なう、こういうことでいってもらいたい、このように話したわけでございますので、ただいまの御趣旨は今後ひとつ十分生かしていきたい、このように思っておる次第であります。
  117. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 その点は、政務次官としては、やはり答弁要領としてはそういうふうに答弁せざるを得ぬと思うので、ある意味においては、私は政治的な当たらずさわらずの答弁だろうと思うのですが、問題は、やはり担当の所管部署ですね、大蔵省だったら大蔵省、この開銀なら開銀、国民金融公庫なら国民金融公庫、そういう機関自身がどのように反省しておるのか、そういった真意のほどを聞かしてもらいたいと私は思うのです。お役所仕事というのは、実にいいことであっても、何かもったいぶるというか、こういう優柔不断な態度で、せっかくの勧告案なんかも、いわば軽視する、半ば無視する態度というものがあることをたいへん遺憾に思うわけです。そういう点について、ほんとうに誠意のある反省といいますか、そういう態度について私は見解をお聞かせ願いたいと思う。
  118. 平田敬一郎

    ○平田説明員 いまの点、これは政府から御答弁になったとおりでございますが、もともと、開発銀行の実際の運用におきましては、前から大体この趣旨で動かしておる、ただ、直接大蔵大臣意見を上申するといったようなことにつきましては、これは法律がないし、公式にはできませんですけれども、その他の点につきましては、たとえば、貸し付け事案などにつきましても、全部実は決定したあと監事に見てもらっております。それから、決算報告につきましては、これはもちろん当然前から法律に基づきまして監査を受けてもらっておりますし、それから、年に何回か地方に出かけていただきまして、地方の支店の状況等も直接現場で監査してもらうといったような趣旨で、開発銀行といたしましては、できるだけこういう趣旨に即応するように、実は前から運用につとめておりましたことを申し上げておきたいと思います。  なお一点、先ほどの御質問に関連しまして、労働組合法云々の議論がございましたが、個別的にそういう事実があるかどうかは、私現在のところまだ承知いたしておりませんので、一般論として申し上げましたことを、重ねて誤解のないようにお願いいたしておきたいと思う次第でございます。
  119. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それでは、私これで終わります。
  120. 武藤山治

    武藤委員 ちょっと関連して。時間がないので簡単に総裁にお尋ねしますが、ことしの開銀債の発行は見合わしたわけでありますか。
  121. 平田敬一郎

    ○平田説明員 外債のことでございますか。外債につきましては、御承知のとおり、開発銀行は昨年の十一月で五回発行いたしまして、一億ドルにのぼっておりますが、新年度におきましても実はもう一回だけ発行する資金計画になっておりまして、アメリカ、ヨーロッパの状況等も目下いろいろ調べておりますが、条件がなかなか簡単でないようでございますけれども、しかし、また外債の市場は案外ときによって変わり得る機会も多いわけで、私どもできるだけ新年度におきましてもいいチャンスをつかみまして、外債の発行を何とか成功するようにいたしたいと心がけるつもりでございます。
  122. 武藤山治

    武藤委員 去年の利回りよりことしは発行利回りもかなり上げないと、アメリカの市場で消化できないのじゃないだろうか、そういう心配もあるのでありますが、すでに昨年予定したもの、政府は五千七百万ドルばかり発行できなかった事実もあるわけでございますから、そこらはどうなんですか、去年よりもずっと利回りはよくして発行するという計画でございますか。
  123. 平田敬一郎

    ○平田説明員 御承知のとおり、私ども発行者の立場からしますと、できるだけ発行者にとって有利な利回りで発行をしたいという考え方は、発行する場合の一つの重要な方針にいたしておるわけでございます。ただ、金利の情勢が海外においてどう動いていきますか、その点から申し上げますと、遺憾ながら、現在の段階ではより有利に発行できる見込みがあるということは申し上げかねます。でございますけれども、実は最近まで日本経済に対する若干の不信の念が、率直にいって、海外でございましたが、これが新年度におきましてはさらにどうなりますか、結局、海外の市場の条件と日本に対する信用、ひいては開発銀行自体に対する信用ということになってきますが、そういったようなことが総合されまして、実はこの発行条件がきまるという情勢でございますので、いまのところまだ何ともちょっと具体的なことは申し上げかねます。実は、方針としましては、できるだけいいタイミングをつかみまして、発行者にとりまして有利な条件で必要な額を発行できるように心がけてまいりたいと思っておる次第でございます。
  124. 武藤山治

    武藤委員 最後に、これは非常に大ざっぱですが、総裁、現在開発銀行が借りている金は、いまちょっと表を見たら利息だけで一年間に四百九十七億円払わなければならぬ。借り入れ金、預金部資金などでも八千億円、七千三百億円ですかに達する。将来長い目で見た場合、こういうのは返すのですか、また返せるのですか。それとも、国から結局その分だけは資本金に出資をしてもらうというオーバーローンですね。言うならば、国からのオーバーローン、これは将来はどういう形に落ちつくのでしょうか、非常に長い見通しになりますか。
  125. 平田敬一郎

    ○平田説明員 もうこれは当然いまでも着々と実は返済し、さらに新規を借りておるのは借りておるわけでございますが、政府から借りておる部分は当然返すつもりで運用しておりまして、返し得ると思っております。
  126. 三池信

    三池委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  127. 三池信

    三池委員長 速記を始めて。      ————◇—————
  128. 三池信

    三池委員長 農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。平林剛君。
  129. 平林剛

    平林委員 農業近代化助成資金の設備に関する法律の一部改正案につきましては、先般同僚委員の野口さんがこまかくお尋ねいたしておりますから、私、二、三点だけ大臣に見解を承って、質問を終わりたいと思うのであります。  最初に、この法律案によりまして、最近、昭和三十六年ですか、農業近代化資金制度が創設をされまして今日までまだ五カ年間、この間立法の趣旨に基づいて、毎年のように一般会計から資金を繰り入れてまいりました。昭和三十六年度には三十億円、昭和三十七年度には五十三億円、昭和三十八年度には百六億七千二百万円、三十九年度が百億円というぐあいに、毎年のようにこの近代化資金の積み立てが行なわれたのでありますけれども、今回これを取りくずすことになりました。そこで私は、この結果この法律案というものは、当初の目的から考えますと、セミの抜けがらのようなもので、五月でいえばコイのぼりのようなもので、法律自体の実態というものが失われてきたんではないかという感じがするのでありますけれども、いかがでございましょう。
  130. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 実態からいいますると、大ざっぱにいうと、そうかと思います。十億円という限度で残滓は残っているのですが、まず御趣旨のとおりかと思います。
  131. 平林剛

    平林委員 そこで、十億円を残した理由は、どこにあるかということなんです。
  132. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 今般、予算の編成上財源をあれこれと模索した、その結果二百八十一億円の取りくずしをする、こういうことにしたのですが、この制度自体につきましてはこれを存続させたい、将来一般財源において余裕のある際には繰り入れをいたしたい、かように考えまして、制度を残すという意味をこの十億円に象徴いたしたわけであります。
  133. 平林剛

    平林委員 私はその点が聞きたかったわけなんです。そうすると、十億円を残したということは、この制度自体は残しておきたいという願望のささやかなあらわれである、したがって、財政事情が許せば、引き続き、明年度になるか再来年度になるかわからないが、従来と同じように今度はふやす方向に変わっていくのだ、こういうふうに理解をしてよろしいかどうか。
  134. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 そのとおり御理解願って差しつかえないと思います。
  135. 平林剛

    平林委員 私の質問は、これで終わります。
  136. 三池信

    三池委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  137. 三池信

    三池委員長 これより討論に入ります。  通告がありますので、これを許します。平林剛君。
  138. 平林剛

    平林委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の態度を明らかにしたいと思います。  その理由は、ただいまも大蔵大臣との間に簡単な質疑を展開いたしましたが、元来、農業近代化助成資金の設置に関する法律に基づいて、農業の近代化をはかるために、所要の財源を確保するために今日まで資金の積み立てが行なわれてまいったのであります。そして、今日では二百九十億円程度資金運用することによってこれを運営をしてまいったのでありますが、財政上の理由から、十億円を残して、他を一般会計に繰り入れてしまったという措置は、近代化助成資金の制度が設立されたときの考え方から考えまして、著しい後退を示したといわなければならないと思います。これは、政府が、しばしば現在の諸般の情勢から見て、農業や中小企業のような部門に対しては、革命的な措置を講じて諸対策を充実するという約束から見ましても、反しておるものといわなければなりません。もちろん、政府の言い分としては、利子補給その他若干の措置は行なったということで実質的の目的は達せられるという御見解のようでありますけれども、しかし、この近代化助成資金が不安定な要素を加えたということは間違いがないことでございます。  そこで、私どもとしては、第一に、財政上の理由から農業政策において著しく後退してしまったということ、第二には、やはり別の面で手当てをしたといいましても、この制度そのものは不安定な要素を加えたということは、納得することができません。特に、ただいま大蔵委員会で審議中の開発銀行法の改正案などを見ますと、この方面は資本金に対する倍率をふやして、そして所要の措置をとるという積極的な意欲が見られるのにかかわらず、こちらのほうは財源を取りくずしてしまって、不安定要素でやっていこうという考え方は、政府の今日までの国民に対する約束から反しておるものと思いますので、賛成をし得ないのでございます。  はなはだ簡単でありますけれども、以上の理由で、本法案に反対をいたしたいと思います。
  139. 三池信

    三池委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  140. 三池信

    三池委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  142. 三池信

    三池委員長 次会は、明九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十八分散会