○藤井(勝)
政府委員 ただいま議題となりました
交付税及び
譲与税配付金特別会計法の一部を改正する
法律案外二
法律案について、提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
初めに、
交付税及び
譲与税配付金特別会計法の一部を改正する
法律案について申し上げます。
昭和四十一年度の地方財政は、最近の
経済情勢を反映して地方税、地方
交付税等歳入の伸びが鈍化する一方、人件費、公共事業費等歳出の増加が見込まれることにより、きわめて困難な財政事情に立ち至るものと思われます。この
対策として、
政府におきましては、地方債計画において、地方財政特別
対策分として
政府資金債五百億円、縁故債七百億円、合計千二百億円の特別事業債を見込むとともに、
交付税率の大幅引き上げ及び臨時地方特例交付金の交付により、合計一千億円の財源措置を講ずることといたしております。
まず第一は、
交付税率の引き上げであります。これにつきましては、別途今国会に提案いたしております地方
交付税法の一部を改正する
法律案におきまして、地方
交付税の算定率を、所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の二十九・五から百分の三十二に引き上げることとし、これにより、地方
交付税交付金を五百八十六億円増額することといたしております。
第二に、
昭和四十一年度における住民税の減税に伴う減収等を考慮して、別途今国会に
昭和四十一年度における地方財政の特別措置に関する
法律案を提案し、四十一年度限りの措置として臨時地方特例交付金四百十四億円を交付することとし、このうち二百四十億円は、第一種特例交付金として、たばこの売り上げ本数により案分して不交付団体を含め各地方公共団体に交付し、残りの百七十四億円は、第二種特例交付金として、普通
交付税の配分方式に準じて交付することとしているのであります。
以上の措置に対応して、
交付税及び
譲与税配付金特別会計法においても、一般会計から
交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる
金額で、右の
交付税に相当する
金額の算定率を現行の百分の二十九・五から百分の三十二に引き上げることとし、また、
昭和四十一年度の臨時地方特例交付金の交付に関する
政府の経理を同特別会計において行ない、臨時地方特例交付金に相当する
金額は、予算で定めるところにより、一般会計から同特別会計に繰り入れることができることとする等、所要の改正を行なおうとするものであります。
次に、
地震保険に関する
法律案について申し上げます。
わが国は、
地震国といわれながら、これまで
地震による被害を受けた一般
国民が、その損害を補てんする手段としての普遍的な保険制度が存在せず、かねてから
地震保険制度の確立が要望されておりましたが、
地震災害は、その発生の頻度及び損害の程度が統計的に把握しがたく、その損害が時に異常巨大なものとなる可能性をもっておりますことから、保険制度によってその危険を担保するには種々問題があるため今日まで実現しなかったのであります。
昭和三十九年六月の新潟
地震の際におきましても、焼失した民家が、火災保険をつけておりながら、その火災が
地震を原因とするものであったために、保険金の支払いが受けられないという事態が生じ、衆議院大蔵
委員会におきましても、この問題が取り上げられ、
地震保険等の制度を
根本的に検討すべき旨の決議が行なわれた次第であります。
政府といたしましては、すみやかに
地震保険制度を確立して被災者の生活の安定に寄与すべく、同年七月保険審議会に具体的方策について諮問し四十年四月に答申を受けたのでありますが、この答申に基づいて検討を重ねました結果、ここに
地震保険に関する
法律案を
提出いたした次第であります。
以下、この
法律案の概要について御説明申し上げます。
地震災害が、その特質上直ちには民間保険事業の対象となりがたい点を持っておりますので、まず、
政府は、一定の要件を備える
地震保険契約を民間の保険会社等が締結したときは、これを再保険できることといたしております。再保険の方式といたしましては、いわゆる超過損害額再保険方式によることとし、一定額以下の保険金支払いは、すべて民間保険会社等の負担とし、これをこえる部分について
政府が再保険することといたしております。なお、一回の
地震等について
政府が支払うべき再保険金の総額は、毎年度、国会の議決を経た
金額の
範囲内といたしております。
民間保険会社等が引き受けます一定の要件を備える
地震保険とは、住宅または家財を対象とし、
地震、噴火またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没または流失を保険事故とし、それによる全損をてん補するもので、特定の損害保険契約に付帯して契約され、保険
金額はその主契約の百分の三十に相当する額を原則とするものであります。もっとも、その
金額が一定の限度をこえるときは、その限度によることとし、一方、異常巨大な
地震災害が発生した場合で、支払うべき保険金総額が民間の負担限度と
政府の負担限度との合計額をこえるときは、保険金が削減されることとしております。
以上のほか、再保険者としての
政府の措置等につきまして、諸般の規定を設けております。
最後に
地震再
保険特別会計法案について、申し上げます。
ただいま申し上げましたとおり、一定額以上の超過
地震損害を国が再保険することにより、
地震保険制度を実施するわけでありますが、この
政府の再保険事業収支を明らかにするとともに、予測しがたい大
地震の発生に際しまして、再保険金の支払いに支障を生じないよう弾力的に財政上の措置を講ずる必要がありますので、ここに
地震再
保険特別会計法案を提案することといたした次第であります。
以下、この
法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、この会計は、再保険料及び積み立て金の取りくずしによる受け入れ金を主たる財源とし、そのほか、借り入れ金または一般会計からの繰り入れ金等をもってその歳入とするものであります。他方、歳出は、再保険金または再保険金を支弁するため借り入れた借り入れ金等の償還金及び利子のほか、
事務取り扱い費、一般会計への繰り入れ金等であります。
第二に、この会計において、再保険金を支弁するため必要があるときは、その年度の再保険料等の収入が再保険
金額に不足する
金額を限度として、借り入れ金をすることができることとしております。
第三に、再保険金または借り入れ金の償還金及び利子の財源等に充てるため必要があるときは、一般会計から繰り入れることができることとしております。なお、これらの繰り入れ金は、この保険計算の長期均衡性を考慮して、後日、この会計から一般会計に繰り戻すべきものとしております。
第四に、この会計の
事務取り扱い費の財源は、毎年度、一般会計から繰り入れるものとしております。
第五に、この会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余金を生じたときは、これを積み立て金として積み立て、将来この会計の歳出の財源に充てる必要が生じたときは、この会計の歳入に繰り入れて使用することができることとしております。
以上のほか、この会計の予算及び決算その他必要な事項を定めることとしております。
以上が、
交付税及び
譲与税配付金特別会計法の一部を改正する
法律案外二
法律案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。