○山中(貞)
委員 私は、自民、社会、民社三党を代表し、三党共同
提案にかかる
石油ガス税法案に対する修正案を提出いたします。
修正案の
内容につきましては、別途各
委員のお手元に配付してございます詳細な資料がございますので、繁雑を避けるため省略をいたし、これまたお手元に配付いたしてあります要綱で御
説明をしたいと存じます。
読みます。
石油ガス税法案に対する修正案要綱
一、税率の暫定的軽減
石油ガス税の税率(本則では、一キログラムにつき十七円五十銭)を、
石油ガス税法の施行日(
昭和四十一年二月一日)から
昭和四十一年十二月三十一日までは、一キログラムにつき五円に、
昭和四十二年一月一日から同年十二月三十一日までは、一キログラムにつき十円に軽減する。
二、施行期日の延期
石油ガス税法の施行期日(
政府原案では、
昭和四十一年一月一日)を
昭和四十一年二月一日に延期する。また、これとの見合いにおいて、
自動車用の
石油ガス容器である旨の表示義務の
規定の施行期日(
政府原案では、
昭和四十一年二月一日)を
昭和四十一年三月一日に延期する。
三、移出に係る
課税石油ガスについての
石油ガス税の納期限の延期
移出に係る
課税石油ガスについての申告納税の
石油ガス税の期限内申告による納付の期限(
政府原案では、申告書の提出期限)を申告書の提出期限から一月以内に延期する。また、移出に係る
課税石油ガスについての賦課
課税の
石油ガス税の納期限(
政府原案では、移出をした日の属する月の翌月末日)を移出をした日の属する月の翌翌月末日に延期する。
四、
課税石油ガスの販売代金の領収不能の場合の税額の控除等
課税石油ガスの販売代金の領収不能の正当性について所轄税務署長承認を受けたときは、翌月以後の申告税額から領収不能分に対する税額を控除する。また、この場合、領収不能として税額の控除を受けた
課税石油ガスの販売代金を領収したときは、その領収分に対する税額を申告納税しなければならないこととする。
五、
関係規定の
整理
以上の修正に伴い、
関係規定について、所要の
整理を行なう。以上でありますが、簡単に趣旨についてさらに補足の
説明をいたしたいと存じます。
私どもは、
提案理由にもございますように、決して、今回の
石油ガス税の新規
課税については、新たなる財源を求めて行なおうとしたものでなく、また、特定の業界に対して新規の
課税の重圧を背負わせようとした何らの意図もないものでございます。全く現在の道路の特定財源となっておりますガソリン税と同じ能力、あるいはまた同じ形態によって
自動車の走る燃料でありますLPガスに非
課税であるという現状がもたらす
課税の不公平、またそれの及ぼすアンバランスというものを是正したいと
考えて、これを提出することに踏み切ったわけでございます。しかしながら、この問題が当然今日まで
課税されなかった
状態においてLPガス
自動車の普及が行なわれたという現実に顧みますならば、新規に
課税の重圧を与えることにおいては変わりはないわけでございます。私ども
自民党の内部におきましても、すでに
提案の際においてこれらの点を配慮いたしまして、本来の税額にいたしましても、ガソリン税をそのままスライドいたしました税額より配慮いたしました金額とし、並びに施行期日にいたしましても、唐突の感のある、直ちに四月一日よりの施行日を三四半期延期をいたしまして、明年一月一日よりこれを実行する等の配慮はすでにいたしてまいった経過もあるわけでございます。しかしながら、今回与
野党三党の話し合いの結果による修正によりまして、結果的に
昭和四十三年一月一日から基本税率とする改正が行なわれますことは、われわれといたしましても、
関係業界が新たに
課税を受けるというものであります現実に立脚いたしまして、またそれ以上のわれわれの配慮がそこに修正案として盛られているという
事態に対して、賛意を表明したいと思うのでございます。またこれを納税いたしますタクシー業界につきましては、このことが営業上、営利上のある
意味のマイナスになり、また、今日楽でない営業についての相当な重圧を与えるであろうということについても、私どもは心配をいたしております。しかしながら、いかに公平の理論から
課税するといたしましても、そのような現象を私どもは黙視し得ない現実の
状態だと
考えますので、直ちにこれを料金を引き上げて、この賦課されました新規税額分を大衆に転嫁するという措置もまた、これは一般の
国民の立場から早急になし得ないところでございます。しかしながら、現実においてはそのような
事態というものがあるわけでございますので、将来、この
課税が行なわれたことによる業界の実態というものを、
政府におかれましては
関係各省連携の上つぶさに検討をいたしまして、しかるべき結論を得たならば、大衆転嫁の形式をなるべく排除しながらも、今回の新規
課税による影響というものについて、料金改定等の配慮を将来において検討される必要があろうかと存じます。
また、これは
提案者のあるいは私見に属するかもしれませんが、内々において各党の識者の賛同等も得ておることでありますだけに一言つけ加えておきますと、今日のわが国の料金メーターは走行キロ数応分メーターに相なっております。しかしながら、これも今日の都市の車両稠密過剰
状況から見まして、一キロを走るのに、時期、場所においては数十分を要するような
状態ということが予想される現状において、私どもは、単にこのキロ数においてのみの応分メーターというものについても詳細なる検討を加える必要があるのではないか。たとえば、これを時間制メーターの採用、もしくはまたアメリカ等に見られるような乗車人員がふえることに従ってメーター料金が加算されていくメーターの採用等、私どもといたしましては、なるべく直接一般大衆に迷惑をかけないような配慮においてこれを現実に処するような
考え方というものも
考えてみなければならぬと
考えるわけであります。しかしながら、これらの案を検討するにあたりましても、結果的に見て、偶然ではございますが、LPによる新規
課税をされます車の走っております地帯は、この車両稠密大都市地帯に集中いたしておる現状でございますので、かりにこの案のいずれかを検討して採択することがあるとしても、それは全国一律に行なうことなく、これらの地域についての制限、地域指定等の前提をもって検討さるべきものであろうと
考える次第でございます。
次に、第二点の、施行期日を二月一日に変更するという点でございます。これは事実上年末においての
審議が行なわれております現時点において、物理的に必要な修正と簡単に言えるわけでありますが、しかし、その
内容に触れますと、実は施行期日を二月一日とすることによりまして、次の、先ほど申しました要綱第三点とからんで、
税収の面において大きな影響をもたらしますので、第三点の問題について述べておきたいと思います。
すなわち、今回新たに納税義務者となりまする小売り業者、すなわちスタンド業の者でありますが、私どもは当然この性格から見て、蔵出し
課税を念頭に置いて検討を進めてまいったわけでありまするけれども、一般家庭用のLPガスについて
課税する意思もなく、またそれを検討するという意思すらございません今日において、蔵出し
課税の段階において
自動車用のLPガスというものについての色分けが事実上困難であるという点から、簡単に、ある
意味において、表現を変えますれば、深い検討なしに小売りのスタンドにおいて
課税することを適当と認めた次第であります。しかしながら、私どもはこの際率直に反省をしてみますと、スタンド業界の納税義務者となった
あとの実態についての検討について、私どもはやや検討不足の点があったやの感があるのでございます。したがって、私どもは、新たに蔵出し
課税ができないというだけの
理由によって、小売りの業者であるスタンド業界が納税義務者となるこのような
事態を、私どもとしてもさらに
考えるところがなければならぬのではないかということを
考えまして、いろいろ調査いたしてみますると、タクシー業界がスタンド業界に支払いまする手形のサイトは大体六十日から九十日が常識のようでございます。そういたしますると、現在の原案では一カ月の納税期限と、さらに三十日間の余裕ということを加味いたしましても六十日しかございませんので、これらの点を実態に合わせるべく、先ほど読みました要綱によって、
石油ガス税の納期限を移出をした日の属する月の翌月末日を翌翌月末日とすることによりまして、実質二カ月とさらに三十日の余裕を与えることとなりまして、この現実の手形サイトの実態に合わせることが可能ではないか、このように
考えた次第でございます。しかしながら、そのために、先ほど申しました第二点の、単純に物理的に変更いたしました施行期日の二月一日という点から、今四十年度の収入の面について目を転じますると、この延期を認めたことによりまする措置の結果として、四十年度
予算の歳入面において十五億円余の
歳入不足を現出するということを私どもは
政府に指摘し、またそれに対する
政府の善処を要望しておかなければならぬと
考える次第でございます。
次に、第四点の、販売代金の領収不能の際における税額控除の措置についてで、ございます。これもまたスタンド業界の実態を検討いたしました結果、かりに貸し倒れが生じた場合においては、貸し倒れ金そのものは、一般税法の定めるところにより、損金その他の措置があるわけでございまするけれども、納税義務者という立場において、貸し倒れが招来した場合におきましては、国税の税金の部門につきましての何らの特典がない。もっともこの特典は、今日国税の体系の中において他の間接税の徴収義務者において何らの恩典が認められていない
制度のもとにあるわけではございまするけれども、しかしながら、
地方税におきましては、料理飲食等消費税のごとく一、二の例がございまするように、そのような実例も実は困難な環境において、すなわち料理飲食等消費税に例をとりまするならば、本来の納税者は料理飲食をした者その者であるはずでございまするけれども、便宜上話し合いによって特別納税義務者ということにいたしておりまするための反面の措置でございます。私どもはこの措置を採用することによって現在の間接税体系に特例が生
ずるという点については、慎重なる検討もいたしたのでございますが、先ほど来申し述べますように、スタンド業者にとっては全く唐突の感のある納税義務者の立場ということがしいられるわけでございまするので、これらの点をとくと配慮をいたしまして、全くの特例として、貸し倒れ金そのものに加えまして、所轄の税務署長の承認を得たものに関しましては、その税金の徴収を結果的に免除するという措置をとった次第でございます。
次に、法律の段階ではございませんが、スタンド業界等におきましても、税法並びにそれに伴う政令等のある程度の輪郭は、すでに国会において、二国会流れておるわけでありまするので、種種検討をいたしておるようでありますが、その検討いたしました結果の共通の不安といたしまして、従量
課税という形をとられた場合に、比重を加味して、温度その他の条件等を計算いたしながら
課税をされることについては、地域あるいはまた気候等において著しく異なる条件下にある場合に問題が起こりはしないだろうか、あるいはまたその納税、徴収等の手続の複雑なために、計算方式の複雑なために、あるいはまた一部その充てん液を抽出いたしまして検査をするために、その充てん液はもとのボンベに返らないというような現実の問題等がからんで、トラブルに対する心配等があるやに承りました。したがってわれわれは、そのために、政令事項の中ではありますが、特に液容量で単純に
課税する方式というものを新たに政令に設けまして、業界自体の立場による判定によっていずれかを選択する方法というものを設定することにいたしました。これによりまして、納税義務者としての納税者の納税に対する際の不安を私どもとしては一掃したつもりでおるわけでございます。
以上、法律並びに政令に関する問題の直接の修正点を御
説明いたしましたが、さらにつけ加えて申し上げまするならば、四十一年度予定いたしておりまする税制の改正によりまして、これらのスタンド業者が高圧ガス取締法に基づいて強制的に設置をさせられまする近接民家に対する障壁あるいは事務所との間の隔壁あるいはまた爆発物地下貯蔵のための地下ピット、それらの問題につきましては、これらの今回のLPガス新規
課税並びにそれに対する納税義務者の立場を与えられる意義を十分くみまして、われわれといたしましては、国税の面におきましては償却の特例措置、すなわち耐用年数の短縮、あるいはまた特別償却等の問題を実行に移したいと
考えておりまするし、
地方税におきましては、固定資産税をその部分については免除いたしたい、かような措置等を
考えておる次第でございます。
以上のような措置をとりまして、今回各党全会一致で衆議院を通過いたすということになりましたことを、私どもといたしましては、せめて私どもの新しく踏み切りまする新規
課税に伴うあらゆる手段を尽くしたということにおいて、ある
意味の喜びを
感じたいと存
ずる次第でございます。
徴税当局におかれましては、この新規
課税であるという事実に深く思いをいたしまして、税法そのものの周知徹底をはかるとともに、納税手続その他の指導に懇切丁寧な態度をもって接せられるよう、そして、その徴税当局の心がまえが、これらのわれわれ三党共同の修正の
内容と相まって、納税者の協力をかちうる結果となりまするよう要望いたしまして、私の三党共同
提案にかかる修正案の趣旨
説明を終わる次第でございます。(拍手)