○米内山委員 なかなかこれはむずかしい問題で、
大蔵大臣はその代案があればというようなことですが、一部分に役立つかもしれないが、代案がないわけでもないのです。たとえば、
政府から出ました資料を見ますと、法人会社が交際費を五千三百億円支出しているということが明らかにされている。そうしてこれは赤字だというのでしょう。赤字でありながら交際費を出している会社ももちろん含むわけだ。これは法人税額のかなりの部分、五五%を占めている、こう書いてある。こういうものを
特別措置によって許しておる。交際費も必要欠くべからざるものもあるかもしれないが、一千円の売り上げに対して十七円三十六銭なんという交際費が公然と認められている。なおこのほかに三百億円をこえる寄付金というのもある。これはいま減税の対象、税収欠陥の対象になっている法人企業の実態なんです。大体昔からこういう税法となんとかいうのは、下にきびしく上にゆるやかなものです。われわれのほうでは、こういう税務署の
法律はクモの巣と同じようなもので、トンボやチョウチョウはかかるが、トンビカラスはかからぬものだ、こういうことを言っている。こういうこともあります。
大臣に念のために事実を申し上げておきたいが、青森県のずっと引っ込んだ農村部の人口一万ぐらいの町に映画館があります。ここの映画館の館主が不況なために例の入場券のたらい回しをした。これが税務署につかまった。同じ日に、小さな村に二つあるから、もう一つもつかまった。ところが、一つの業者は、悪いことをした意識がないのか、その後税務署の調査に対して協力をしなかった。ところが家宅捜索をした。家宅捜索をしましたら、経営者の机の中から帳簿が出た。この帳簿は三年間にわたって連日大入り満員の帳簿なわけです。実はこれは
借金で建てた映画館でして、信用金庫のほうにもその粉飾メモで毎日もうかっているようなことを出さないとだめだし、保証協会もそうだ。
相互銀行もそうだ。銀行に出すための大もうけの粉飾メモ、これに基づいて数百万円の罰金課税と一緒に税を賦課された。さらに税法違反として刑罰を食っております。同日一緒に摘発された同じ
程度の映画館は、十何万円で許されている。これには義理も人情も実情というものの調査もない。税は
法律的に正しくなければならぬと同時に、つり合いを持つことが大事でしょう。あまりにひどいこういう下に対する苛斂誅求というものは、今後こういうふうに上のほうの税源が枯れるに従って下に厚くなるのではないかという不安をわれわれ持たざるを得ない。たいへんなことです。税金が原因で倒産する人もあるし、そのために自殺する人さえ今日ある中で、この点を
大臣緩和しなければ、こういう赤字公債政策に入る前にたいへんな政治的な混乱が起き、社会不安が起きるゃじないか。税の取り方について、あえて代案ということではないが、もっとこういう法人税の中でやる
特別措置によって免除されている数千万円の金を生かすべきじゃないか。さらには、資本主義のむだといえばむだである膨大な広告費などというものも、こういう思わざる不況に際しては
財源にすることも可能ではなかろうか。何もまるっきり食えない
状態になったからといって、法人は赤字ではないのです。けっこうもうけるものは大きくもうけておる。特に金融資本というものは開闢以来の利益配当をやっているのが事実ではないでしょうか。こういうふうなことをもっときっちりとやらないことには、
国民は承服できないのではなかろうかと思う。私はこの点に対する
大臣の勇断をひとつお願いしたいと思うのです。