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1965-12-23 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十三日(木曜日)    午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 吉田 重延君    理事 天野 公義君 理事 金子 一平君    理事 原田  憲君 理事 坊  秀男君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    齋藤 邦吉君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       谷川 和穗君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    福田 繁芳君       藤枝 泉介君    村山 達雄君       毛利 松平君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    岡  良一君       佐藤觀次郎君    只松 祐治君       平岡忠次郎君    平林  剛君       藤田 高敏君   米内山義一郎君       横山 利秋君    春日 一幸君       竹本孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (主計局次長) 鳩山威一郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 岩尾  一君         大蔵事務官         (主税局長)  塩崎  潤君         大蔵事務官         (理財局長)  中尾 博之君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐竹  浩君         国税庁長官   泉 美之松君  委員外出席者         自治事務官         (財政局交付税         課長)     横手  正君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度における財政処理特別措置に関  する法律案内閣提出第七号)  農業共済保険特別会計歳入不足をうめるた  めの一般会計からの繰入金に関する法律案(内  閣提出第八号)  中小企業に対する年末金融及び徴税に関する件      ————◇—————
  2. 吉田重延

    吉田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度における財政処理特別措置に関する法律案及び農業共済保険特別会計歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。奥野誠亮君。
  3. 奥野誠亮

    奥野委員 昭和四十年度財政処理特別措置法案関連をいたしまして、昨日に引き続いて国と地方との関係について若干お尋ねいたしたいと思います。  第三条を拝見いたしますと、所得税等三税の減収に伴って歳入欠陥となる結果、地方交付税交付金の額が五百十二億円程度減額になる、それを「一般会計の当初予算に計上されたところによる。」と、こう書かれている結果は、減収額の全額を国庫一般会計補てんするのだ、こうなっているように思うのでございます。言いかえれば、全部国庫責任で穴埋めをするのだから、将来とも地方財政の面においては負債が残らないのだ、こう考えられるわけでございまして、そのとおり、額面どおりに受け取っていいのかどうか、ただしておきたい、かように考えます。
  4. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 ただいま本年の特例といたしまして、地方交付税交付金は本年度当初予算に計上した額によりまして交付するということが、法律に書いてあるわけでございます。私ども自治省との間の折衝の過程におきましてはいろいろな経過がございましたが、最終的にはそういった法律として完結をいたしたわけでございます。ただ、従来から国と地方との間にはいろいろな経過を経ておりますので、今後地方財政が非常に自然増収多額に生ずるとか、あるいは非常な余裕財源見通しが立つとか、そういった特別な状況が将来起きましたときには、またそのときに措置を考えようということでありまして、ただいまの法律的措置としては、ただいま奥野委員がおっしゃいましたとおりでございます。
  5. 奥野誠亮

    奥野委員 国も地方国民の税金を分け合って、ともに国民から負託された仕事の処理に当たっているわけでございますので、国と地方行財政当局一体となって財政運営処理に当たっているという気持ちが非常にとうといことだ、かように考えるわけでございまして、今回の措置は非常に国の温情のある措置だ、かように受け取りたいのでございます。ただ、いま政府委員から話がございましたように、将来地方財政が非常に好転してきた場合には、返せる場合には返すのだというような出世払い的な約束ができているように承ったわけでございます。私も両大臣覚え書きを持っておりまして、これがいまおっしゃったことではなかろうか、かように考えているわけでございます。それによりますと「将来、地方交付税法第六条第二項の規定による精算額相当多額に上る等、当該年度における地方財政が著しく好転する見込があると認められる場合においては、大蔵自治大臣が協議して定めるところにより、国の一般会計返済する措置を講ずるものとする。」ということになっているようでございます。これが事実であるか、伺っておきたいと思います。
  6. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 ただいま奥野委員がおっしゃいましたとおりの覚え書きを本年の十一月に取りかわしてございます。その趣旨は、先ほど私が申し上げたとおり地方財政が著しく好転したような場合であるということで、その際には自然その行政的な措置としてこういった返済が行なわれていくのではなしに、そういったときの状況に応じまして法的措置をとりまして返済ということも考えるわけでありますから、現在の法律的な制度としては交付したままでございまして、返還債務があるということではございません。
  7. 奥野誠亮

    奥野委員 法律上は、全面的に国が補てんするのだ、こうなっておりますので、覚え書きもあくまでも政府部内の話し合いの材料にとどまるのだ、話し合いがまとまったところで、国会に付議しなければ返済という問題は起こってこないのだ、これはごもっともなことだと思うのでございます。私が特にここでただしておきたいのは、いま政府委員から話がありましたように、地方財政が著しく好転したような場合のことを約束しているにとどまるのだ、まことにそうだろうと思うのでございまして、そういうあたたかい気持ちで問題を考えていただかなければならないと思うのでございます。ただ、当事者が変わってまいりますと、場合によっては百億円や百五十億の精算額が出てきたからすぐそれを返せというような問題にならないとも限らない。そこで、あえてこの覚え書きについての考え方を私ただしておく必要がある、かように考えるものでございます。やはり五百十二億円も大きな穴があいたんだから、大きな災害を受けたようなものだから、国が全面的にこの際めんどうを見てやろうというようなあたたかい気持ちのあらわれがここに出てきている、かように考えるわけでございます。同様に、逆にまた精算額が五百億円内外も出てくるのだというような場合には、やはり著しく好転したのだから、その場合には国庫返済してもいいんじゃないか、こういう気持ちだろうと思うのであります。言いかえれば、今回は地方財源が大きく減った場合でございます。逆に、これくらい大きくふえた場合、それが著しく好転したというようなことばであらわされているのだというように理解しておきたいと思います。百億円、百五十億円の精算額があったら、そのつどそれをめぐって両省間において争いが起こってくるというようなことは、私は避けたほうがいいじゃないか、基本的には相互行財政について責任を持って処理に当っていかなければならない、かように考えるわけでございまして、こまかなことを相互に干渉しあうことはあとう限り避けたほうがよろしいのではないか、かように思うものですから、そういう意味で、法律精神そのままがこの覚え書き精神なんだ、こう私は理解したいわけでございます。この点をただしておきたい。
  8. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 まあ「著しく好転する」という「著しく」とはどの程度をいうか、あるいは「精算額相当多額」と書いてありますが、「相当多額」とはどの程度かということは、私ども具体的な金額としてどれくらい以上というようなことはお互いに全然話し合ったことはないのでございますが、まあ常識的に考えまして、非常に好転したとか非常に多額にのぼるという常識的判断でやってまいるつもりでございまして、交付税を——この運用では若干の精算額は当然毎年生ずるのが常でございますが、そういった場合を言っているのではなくて、相当そういったものが多額に出たということを私どもは考えておりますので、奥野委員のおっしゃることと私どもの解釈しておりますことは大体同じのような感じがいたします。
  9. 奥野誠亮

    奥野委員 ことばをかえて申し上げますと、法律上は全面的に国が補てんをしているわけであります。反面、政府部内で裏の覚え書きがあるわけです。その裏の覚え書きを履行する場合には、法律に示されている精神において裏の覚え書きの協議がなければならないはずだ。さらに言いかえれば、法律的には全面的に国が補てんをしているんだから、国の側から絶えず少しでも精算額が出てきた場合には国へ返せ返せというのじゃなくて、地方財政の側から、非常に好転したんだ、だからこの機会に、前に国で補てんをしてもらったのだから地方のほうから国に返しましょう、こういうことを期待しているんじゃないか。国のほうから催促がましい態度をとるんじゃなくて、地方財政の側から今度は逆に積極的にこの機会に国のほうへ返したい、これを期待する、そういうような形の覚え書きであるはずだと思う。それが覚え書き精神じゃないか。やはり法律のたてまえと覚え善きのたてまえとは不離一体のものでなければならない、そういう考え方両省間で将来この問題の処理に当たってもらいたい、こういう希望を持ち、またそれが本来の姿じゃなかろうか、かように思うわけでございまして、その点をもう一回ただしておきたいと思います。
  10. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 私どももそういった調整、実際措置をとるという場合には当然立法措置が必要でございますから、それにつきましては相当確固たる理由があってそういった措置をとるのでなければならないと思うのであります。したがいまして、少額の精算額が出たとかいうような場合、あるいは地方財政が相変わらずこういった苦しい状態にあるときに、そういった法的措置をとるということは全く常識では考えられませんから、私どもとしては、いま奥野委員のおっしゃいましたとおりの考え方でおるわけでございまして、そういったこまかい金額が出たからといって、すぐそれを返せというようなことは毛頭考えておりません。
  11. 奥野誠亮

    奥野委員 くどいようでありますが、もう一回念を押しておきたいと思います。要するに、法律的には全部国で補てんをしておるんだ、覚え書き精神は、したがってそういうことを期待しているけれども、そういう事態のない場合もあり得る。また私は、国、地方を通ずる税財政制度改正のような機会にはこういう問題も含めて処理されたほうがいいと思うのであります。言いかえれば、そういう覚え書きをなくせるときに早くなくしてしまったほうがいいんじゃないかというふうに思うわけであります。したがって、覚え書きのような事態が起こらない場合もあり得る。ほんとう出世払いだ、こう理解をしたい。  第二点は、国会にかけなければならぬ大事な問題なんだから、両省間で争いがあるままに国会に問題を持ってくるということは考えられない。ということは、逆に地方財政側も同じような気持ちになる、進んで返すべきだというような気持ちになる、そういう事態が一番望ましいと思います。本来そういう性格の内容を持った覚え書きだろう、こう理解をしておきたいわけでございます。この二点、私の所見を交えたことでございますけれども、念を押しておきたいと思います。
  12. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 私どもそのような考えでおります。
  13. 奥野誠亮

    奥野委員 第四条の関係でお伺いしたいのでございますが、人事院勧告関連をいたしまして地方公務員給与改定も行なわれる、その給与財源不足額につきまして地方交付税交付金を増額しなければならない、その交付については交付税及び譲与税配付金特別会計の中で借り入れ金をするのだ、こう書いてあるわけでございます。地方公務員といいましても、半数をこえるものは教育公務員であり、警察公務員であるわけでございます。どちらかといいますと、国家的な事務に従事している職員であるわけでございます。その公務員給与改定に必要な財源をまかなうために借り入れ金をするのだ。減収については国が全面的に補てんをしているのに、国家的な事務に従事している公務員給与については、特別会計の中で借り入れ金だけを認めてやるのだ。何かちょっと考えますと、一方では非常に温情のある措置をとっておきながら、他方では非常に過酷な措置をとっている、こういうふうにも考えられるわけでございまして、給与改定について特別会計の中での借り入れ金を認めるという制度はすでに昨年に先例のあることではありますが、どうももう一つこれで適当なんだろうかという点については疑問の解けない点でございます。したがって、まず減収補てんは全面的に国の責任でやるのだ、給与財源については全面的に借り入れ金でまかなうのだ、そう違えた考え方についてお伺いしておきたいと思います。
  14. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 給与改善費に対しまする措置につきまして、借り入れ金ではこそくであるというようなお話でございますが、これは従来この年度途中におきまして人事院勧告が出ますと、国といたしましても、地方といたしましてもたいへん財源措置に窮するわけでございます。こういった新規の財政需要につきまして、従来は御承知のように交付税自然増多額にのぼりますとか、地方税におきましても相当な自然増収がある、そういった中で人事院勧告によります所要財源がまかなえたのでございますが、昨年からそれがやや自然増だけでは財源が足りないという事態になってまいりまして、それが本年になりますと、御承知のように、本来交付税は当然減ってしまう、あるいは地方税も当初見込みを立てましたよりも減収になるというような事態になってまいったのでございます。そういったときに、地方財政対策としては、一応考え方交付税減収に対してはどういう措置をとるか、給与所要財源についてはどういった措置をとるかということでございますけれども、総体的にしてみれば、それぞれをあわせて考えていただくべきものであろう。必ずこの財源がこれに見合うというべきものではございませんで、全体が地方財源に対する対策でございます。ただ、従来給与財源につきましては、それぞれ過去におきまして自然増収と申しますか、そういったもので処理してまいった。最近はそういった自然増収でやってまいりましたが」それが非常に足りない例も過去においてございます。そういったときには、奥野委員もかねてよく御記憶のことと思いますが、ほんとう財源が詰まった場合にはやはり起債措置処理をしたときも何回かあったのでございますが、昨年からそういった給与改善費に対しまして起債で補うということは、いかにもこれはそういった経常費に対する財源として起債で補うという形になりますから好ましくないというので、昨年に、この財源が足りない場合に起債で振りかえをして補う道しかないのではないかというような段階になりましたのですが、そういったときに交付税特会のほうで借金をして配ってもらいたいというのが、自治省の御希望であったわけでございます。そういった国の特別会計におきまして借金をするということで、逆に言えば地方団体のほうでは借金はしなくても済むわけでございます。そういったことで、急場しのぎと申しますか、臨時の応急手当という意味でそういった借り入れ措置をとっておるわけでございます。したがって、これは翌年度以降に特別会計としては返済を要するわけでございますが、翌年度以降の地方財源財政措置というものは、またその年度地方財政が運営できるような措置を講じなければならぬわけでありますから、こういった借り入れというものは、地方団体側において借金として残るというものよりは、地方団体側にとってきわめて有利な制度であるわけでございます。ただ私どもの立場といたしまして、こういった借り入れ措置はあまり制度としては好ましいものとは考えておりません。こういったものは資金運用部資金を借りて補うわけでありますが、資金運用部財源としてもきわめて逼迫をいたしておりますので、こういった多額のものを借り入れ金のままにしておくということはなかなかむずかしいのでございます。そういったことで、年度を越える場合にだけ資金運用部資金を使いまして、その他は国庫余裕金で泳ぐということをしております。きわめて臨時的な、例外的な応急措置でございまして、こういうものを恒久的にこういった制度にたよろうというつもりは毛頭ないのでございますが、何分にも年度途中の、しかも相当押し詰まったところで多額給与改善費を計上しなければならぬというためにやむを得ずこういった措置をとった次第でございまして、この点はどうぞ御了承いただきたいと思います。なお、国の一般会計のほうにおきましても、給与改善費等歳出需要増加は、既定経費の節約とか、いろいろな従来一般会計が出資していました資金を取りやめるとか、そういったいろいろな既定経費節減等によりまして処理したわけでありますので、こういった国の財源事情等からやむを得ずこういった措置にならざるを得なかったということを御理解いただきたいのであります。
  15. 奥野誠亮

    奥野委員 給与改定財源について特別会計借り入れ金をする、これは昨年にすでに先例もあるとおりでありますからあえて追及しようとは考えておりません。ただ、いろいろ考えてみればみるほど、どうも納得のいかない点がいろいろあるわけでございます。そういう意味で、将来、私が疑問としている点をお考えいただいて、一そう御研究をいただきたい、かように考えるわけであります。いまお話がありましたように、借金をして給与を払っていく、これは避けるべきだと思うのであります。そういう性格のものについて、逆に特別会計借金をするということは、個々の団体借金しないのだけれども、全体で借金をするわけでありますから、そのことはやはり同じ性格じゃないか。給与の金が足りなくなってくるから借金をして払っていく、やはり特別会計借金をして払うこともいい方法ではないと思うのであります。かつて、年度中途給与改定を行なった場合に、国がその改定分について補助金を出した先例もあるように承知しております。私はそういう性格のものではないかと思うのであります。国家公務員地方公務員ひとしく公務に従事しておるのだ。公務に従事しておる職員について給料を払う金が、年度中途給与改定の結果などから足りなくなった。その場合には、国、地方一体となって処置すべきではなかろうか。そういう意味で、給与改定財源が足りなくなったその部分こそ国で補てんしてやるという態度がとられてしかるべきではないか、かように考えるわけであります。またそういう気持ちで、非常に厳格な考え方をしますと、税収というものは、減収もあるかわりに増収もある。地方交付税交付金は三税の一定割合で、精算で常に締めくくりをしていくのだ、こういうたてまえだから、それに大きな穴があいた、だから一応は借金をしておいて、将来に返済を送っていけばいいではないか、こういう考え方も立つのではないかと思うのであります。今度の措置が最善であったかどうか、先例もあったことでありますから私はあえてこれをとやかく言おうとは思いません。いま申し上げたような意味で、私自身が非常に疑問を感じておるわけであります。金額的には今回の政府措置が、私の申し上げるよりははるかに温情のある結果になっておるわけであります。ただ、ものの筋道を考えていく場合に、年度中途給与改定が行なわれて財源が足りなくなってきた、それを借金でなくて、やはりそれは国、地方一体となって財源を見つけていくべきではないか。そんなものを起債で払っていくという形は適当でないように私は考えるものですから、将来の問題として御検討をあえてわずらわしておきたい。  次に、四条の二項を見てまいりますと、昨年の借り入れ金返済もあるのでありますから、ここに書かれておりますことは、この特別会計資金運用部に返していきます金が、四十一年度は十億円に昨年借りた分の三十億円を加えて四十億円だ。四十二年度から四十五年度までは六十億円ずつで、四十六年度は七十億円だ、こういうように理解するのでありますが、それは間違いないでしょうか。
  16. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 先ほどの第一点の点につきましては、私どももこういった借り入れ金が非常に、い制度だということは毛頭考えていないのでございまして、もとをただせば、年度途中に相当多額財政需要増加が生ずる、特に人事院勧告等に基づきまして、給与費においてそういったことが起こるといったところに、非常に財政問題として大きな問題があることは、昨日のいろいろの奥野委員の御質問にもありましたとおりでございます。そういった問題がありますものですから、これをいかに合理的に財政側としてそれに対策を講ずるかという点が最大の問題だと思います。そういった点につきましては、私どもも十分研究しなければならない問題でございます。借り入れ金制度につきましても、当然こういったものはあまり好ましくないという意味では、私どもも同感でございますが、ただ、給与改善費を国のほうで補助金として考えよというお話につきましては、私どもとしてはなかなかむずかしいと思います。現実問題として財源対策として、国のほうでそういった財源対策が立たないという点に問題があると思うのであります。  それから第二点の借り入れ金処理につきましては、三十九年度分の借り入れと四十年度におきます借り入れと、これを両方返済をいたさなければならないのでありますから、四十一年度においては、おっしゃいますように四十償円の返済が必要であるということになります。以下先生のおっしゃるとおりの数字でございます。
  17. 奥野誠亮

    奥野委員 来年度財政見通しも必ずしも多額増収を期待できるような状態ではない、にもかかわらず、ことし借り入れた分について来年度すぐ一部でも償還する。これも何かつじつまの合ってない返済のさせ方を規定しているように考えるわけでございます。四十億、六十億、六十億できて、また七十億、こうなっているわけですから、こういうようなものを無理に四十一年度返済させなくてもいいじゃないか、かように考えるわけでございますけれども、なぜそういう措置をおとりになったか、考え方をただしてみたいと思います。
  18. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 この借り入れ金につきましては、やはりこれは計画的に返済をするという条件でなければなかなか借してもらえないのでございます。そういったことで、これは七年間で返済をするということでこういった借り入れをいたしたわけでございますが、それにつきましても、四十一年度はきわめて地方財政の苦しい年に当たると私ども考えておりますので、最小限度の十億にとどめて、四十二年度以降逐次段階的にふやすという形によりまして返済を行ないたいと考えておるものでございます。
  19. 奥野誠亮

    奥野委員 地方交付税法の六条の三の二項であったと思うのですけれども普通交付税総額が引き続いて余裕があったり不足があったりする場合には、地方財政もしくは地方行政にかかる制度改正または交付税総額に定める率の変更を行なうのだ、こう書いてあったと記憶いたしておるわけでございます。ここ当分の間何十億円かずつ特別会計で金を返していかなければならないというような事態は、やはりこの条文の精神から考えてまいりまますと、何らかの制度改正を行なわなければならないというような事態に類した問題が起こってきているのじゃなかろうか、かように考えざるを得ないわけであります。二年続いて借金をした。そして当分の間数十億円ずつ金を返していかなければならぬ。地方交付税法の六条の三の二項に書いてある問題に触れてきているのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。ついては、四十一年度の問題におきましても、思い切った地方行財政制度の改革が行なわれなければならぬ、かように考えるわけでございます。同時にまた、先ほど覚え書きのことをお尋ねしましたが、そのような地方行財政に国に返済する余裕が出てくる、そういう余裕が出てくれば、まずこのような借金の繰り上げ償還を先にやるべきではないか、かように思うわけであります。その二点、要するに、このように毎年数十億円返していかなければならないというような問題、これはやはり異例なことなんだ。地方公付税法六条の三の二項にも触れる問題なんだ。そのとおりだとは申し上げませんけれども精神から考えると、触れてくる問題なんで、そういう感覚で地方行財政制度の改革と取っ組んでいかなければならぬ。それが一つの問題、それともう一つの問題は、先ほど労働大臣との間の覚え書きのことに触れましたが、もし余裕が出てきた場合には国庫返済するというような問題よりも、このような借り入れ金の繰り上げ償還を優先的に行なうべきではなかろうか、かように考えるわけでございます。この両点についてお尋ねしておきたいと思います。
  20. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 第一点の、交付税の計算上の不足が長期にわたるというような場合に、地方行政制度改正とかあるいは交付税率の変更とか、そういったことをやるべきだというようなことは当然でございます。私どもそういった借り入れ金が二年続いたという事実も率直に認めなければなりませんが、こういった借り入れ金返済金額自体といたしましては、地方財政あるいは交付税総額におきます比率を考えましてもきわめて少額でございまして、こういった返済を多年にわたってしなければならぬということから、そういう交付税法の六条の規定によって何らかの措置を要するとは直ちには考えておりませんが、いずれにしても、地方財政全体を考えまして相当な財源において不足が見込まれる、長期にわたってそういった特態が続くといったようなときにはそういう改正を当然考えるべきだと思います。ただ、四十二年度におきます措置をどうするかということになりますと、これは目下いろいろ編成の作業中でありますが、税の問題につきましては、御承知のように、税制調査会等各種の機関がいろいろ検討をいたしております。しかし、明年度どういった改正措置がとれるかということは、今後もなお私ども検討しなければならないのでございますが、こういった交付税率の問題等につきましては、私どもは本年は経済が異常に落ち込んでおりますし、明年もやはりその落ち込んだ姿が尾を引くというような経済見通しにありますので、こういった異常なときにそういった抜本的な改正というものがはたしてできるかどうかということにつきましてはなかなかむずかしいのではなかろうか。やや安定したときにそういう制度を時間をかけてやるということが適当ではないかというような考え方は持っておりますが、なお各方面の皆さんの御意見をよく検討いたしまして、私どもとしても最善の案をつくりたいというふうに考えております。
  21. 奥野誠亮

    奥野委員 地方行政委員会に昭和四十年度分の地方交付税の特例等に関する法律案が付託されております。この法律に基づいて各地方団体に対する地方交付税の額の再算定が行なわれ、他方、多くの地方団体ではすでに条件づきでこの法律が成立した暁に施行するんだということで給与改定条例を議会で議決を終えているところもあるわけであります。あるいはまた、この法律が成立すれば、地方団体の長の専決処分で給与改定を行なって給与差額の支給をやりたいという準備を整えている団体もあるわけであります。そしてあとう限り年内に九月から十二月までの差額と十二月の手当の増額分を年内に払ってあげたいということで準備を了している団体も相当あるように私承知いたしておるわけであります。その点を自治省側で、私が承知している点がそのとおりであるかどうか明らかにしていただきたい、かように考えます。  それから、もし差額支給等が行なわれますならば、これは地方公務員でないと自治省でわからないだろうと思いますが、平均して公務員一人当たりどれくらいの金額を年内にもらえることになるのか、それも伺っておきたいと思います。同時にまた、かりにいま申し上げた法律が成立しましても、当委員会に付託されております暫定処理法案が成立しませんと、地方交付税交付金の穴を埋めてもらえるということが確定いたしませんし、同時にまた、三百億円の借り入れもできないわけでございますので、地方団体としては準備を整えたけれども、結果的には年内に払えないという事態になってしまうのではないか、かように考えるわけでございます。この三点について確かめておきたいと思います。
  22. 横手正

    ○横手説明員 まず第一の、地方団体の現在までの措置状況でございますが、ほとんどの団体がいまおっしゃられましたように、条例並びに予算を専決処分いたしまして、施行日だけを国の情勢待ちといったような団体、あるいは理事者と議会と話し合いまして、関連法律案予算案が成立すれば直ちに専決処分するという措置をとる、こういった団体がほとんどの状況でございます。  次に、第二の点でございますが、地方財政計画ベースでは、一人当たりの九月以降十二月までの差額分を推計いたしますと、おおむね二万二千四百円余りくらいになります。一応全国総額を見ますと、おおよそ四百十億円前後になろうかと思われます。そのうち一般財源といたしましては三百四十億円程度が必要になってまいろうかと存じます。  最後に、第三の点でございますが、おっしゃられますように、こちらの特別措置法案の関連で三百億円の借り入れが行なわれることになりますので、この法案の関係いかんによりましては、地方団体への現金送付が不可能になるおそれがあるわけでございます。  以上、お答えいたします。
  23. 奥野誠亮

    奥野委員 いまお話を伺っていますと、四十年度財政処理特別措置法案が早期に成立するかしないかということが、地方公務員の待遇の面におきましても、あるいはまた国内経済に与える影響の上からいきましても、非常に大きい影響を持っているというように考えざるを得ないのでございます。地方公務員について平均して二万二千四百円を年内にもらえるかもらえないかということは、やはり相当な金額だ、こう私は理解するわけでございまして、同時にまた、地方公共団体だけでも四百十億円の金が支払われるか支払われないかということは、不況対策の云々されているときにはやはり相当大きな影響を持つ問題だ、かように考えるわけでございます。つきましては、私たちとしては、この財政処理特別措置法案が早期に成立するように全力をあげていかなければならないと思います。同時にまた、自治省におかれても、あとう限り年内に支払えるように準備を整えてもらって、早期成立の暁には年内に支給できるように地方公共団体を督励していただきたい、かように考えるわけでございますが、これについての所見を伺っておきたいと思います。
  24. 横手正

    ○横手説明員 おっしゃられますとおりでございますので、私どものほうとしましても事務的な処理は逐次進めてまいっております。したがいまして、関連法案が成立しますれば直ちに地方団体にもその旨連絡し、年内にそうした給与改定が行なわれるよう指導してまいりたい。かように考えている次第でございます。
  25. 奥野誠亮

    奥野委員 地方交付税交付金を受ける団体につきましては、今回の法律措置等によりまして給与改定財源がまかなわれるわけでありますが、地方交付税の不交付団体についてはそういう措置がとられていないわけでございます。おそらく地方税減収補てんのこともあって、地方債四百億円の増額措置がとられているので、この地方債四百億円を適切に運用することによって、不交付団体給与改定措置にもできる限り支障を生ぜしめないように配慮していきたい、こう考えておられるだろうと思いますが、そうであるかどうかということと、特に不交付団体は、現状においては私はやはり交付団体と同じようにさいふはからっぽだと思うのであります。年度の中途においてはそんな余裕を残したような運用はしていない。当初から効率的の運用を考えてやってきていると思います。したがいまして、年度の中途において追加歳出を必要とするときに困ってくることは、私は交付団体であろうと不交付団体であろうと同じだろうと思うのであります。ただ、不交付団体でありますと、財政の弾力性は大きいわけでありますから、返済能力もそれだけ大きい。したがってまた、地方債については割合に寛大に許可されていって差しつかえないものじゃないか、かように考えますので、そのような運用をしてもらいたい、かように考えるわけでありますので、これらについての所見を伺いたい。
  26. 横手正

    ○横手説明員 不交付団体につきましては、仰せのように交付税による措置が不可能でございますが、特に本年のように、地方税も大幅な減収を見る、こういった状況にありますので、かねて本年度地方財政対策として措置されました公共事業の促進のための四百億円の地方債の配分につきましては、主たる配分の基礎を各地方団体減収見込み額に置きまして、半ば減収補てん的な意味合いでの地方債の配分をいたす予定になっております。また、そのうち金額的にも約半分くらいを不交付団体のほうへ配分する、こういうような予定になっておりますので、地方団体、特に不交付団体にありましても、これによりましておおむね給与改定措置等が支障なく行なわれるのじゃないだろうか、かように考えておる次第であります。
  27. 奥野誠亮

    奥野委員 次に、国債発行と地方債との関連で伺っておきたいと思うのであります。  国の一般会計で新しく公債政策をとろうとしている。地方財政の面においては、従来から公債政策をとってまいってきているわけでございます。そしてまた、おそらくことしだけでも六千億円内外の地方債を発行しているのじゃないか、かように考えるわけでございます。そうしますと、従来から地方団体はその仕事を運営していくために相当多額なものを公債に財源依存をしてきている。新たに国庫もまた金融市場に割り込んでいこう、こういうことになってくる結果は、必然的に国債と地方債の競合の問題が生じてくるわけでございます。従来から地方財政のほうでは相当に金融市場に依存をしてきている。やはりその事情も考えながら国債の消化につとめていかなければならないのじゃないだろうか、こう私は考えるのであります。国も地方もともに国民から負託された仕事を処理しているわけでございますので、仕事の重要性から考えますと、私は両者に何の差異もない、国民の立場から見た場合には全く同じだ、かように考えるわけでございます。そして、従来から金融市場に地方団体は相当に依存をしている。従来のお客さんをそっちのけにして、国庫という大きな信用力を背景にしゃにむに金融市場に国庫が割り込んでいくという態度でないことは当然だろうと私は思うのであります。そこで、どういうような配慮をいまお考えになっているか、それをただしておきたい、かように考えるのでございます。少なくとも地方債の発行に支障を来たさないというような意味においてどういう配慮をいまお持ちになっているか、それを伺っておきたいと思います。
  28. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 ただいま意見を含めた御質疑がございましたが、全くお話のとおりでございます。特に福田財政と申しましょうか、福田大臣の基本方針は、かねてからお聞き及びのとおり、国をささえる企業並びに家庭にゆとりをというこの精神は、やはり生活の現場である市町村の財政というものが健全化して初めて国の財政が健全化するという精神、思想に相一致せなければならぬというふうに思うわけでございまして、ことし国が財政制度の大転換期にあたりましては、奥野委員御指摘のような配慮によって適正な財源の配分を考えなければならぬ、これが正しい政治の姿勢であるというふうに考えるわけでございます。
  29. 奥野誠亮

    奥野委員 具体的な配慮の点をお伺いしたがったのでございますが、それはまた後日に譲りまして、少なくとも資金運用部資金のうちから地方債に向けられる割合、これは私は積極的に高めていくべきじゃなかろうか、こういう考え方を持っているものでございます。郵便貯金でありますとか、簡易保険でありますとか、郵便年金でありますとか、どちらかといいますと、政府信用で零細な資金国民各層から集めてきた資金でありますから、やはり国民各層に潤うような施策に使っていかなければならない、そう考えてくると、やはり全国津々浦々の府県や市町村の仕事に充てていくのだということが、国民各層に返していくということになるのじゃなかろうか、かように考えるものでございます。たしか、一ころは地方資金は全額資金運用部資金でまかなうのだ、こういうたてまえをとられておった時代もあるわけでございます。最近見ておりますと、どうも資金運用部資金のうちから地方資金に向けられる部分がだんだん比率が落ちてきているのじゃないか、かような心配をしておるものでございます。高度経済成長を遂げる過程におきまして、産業資金に優先的に充てていくというような方策をとられたこともございます。時期、時期に弾力的に運用されることを私は否認はいたしません。しかし、今日のような事態になってまいりますと、ことにまた国債発行という大きな問題が出てまいりますと、どうしても資金運用部資金のようなものはあとう限り地方資金に向ける、どちらかといいますと、地方資金はあとう限り資金運用部資金のような資金でまかなうべきだ。かように考えるわけでございます。そういう考え方と、むしろ比率はふやしていくべきだ、地方資金のうちで資金運用部資金でまかなわれる部分の割合を高めていくべきだ、この二点について御所見を伺っておきたいと思います。
  30. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 お話はしごくごもっともなお考えだと思うのでありますが、ただ、御承知のように、国の財政も非常に窮迫をしておる、それが大きな転換に踏み切らざるを得なかった直接の動機とも考えられるような現在の財政状況であることは、奥野委員もとくと御承知のとおりであります。したがいまして、本来ならば、当然いま御指摘のように、地方公共団体がいろいろ施策をするにあたっての財源裏づけは、できるだけ資金運用部資金にこれを依存せしむるような方向に持っていくということもごもっともでございます。しかしながら、国が直接責任を持ってやらなければならぬ仕事になかなか金が回らない、これまた奥野委員とくと御承知のとおりでありまして、財政投融資の要求は、各機関から非常に膨大な予算要求が出ておりますことは説明を要するまでもございません。これをさばきながら、しかもなお地方公共団体財源に対していまの御趣旨に沿うてどのように配分するか。これには地方側は地方側として、やはり個々に財政の合理化、近代化、こういう線を積極的にやらなければならぬ。ところが、地方の場合は国が直接責任を持って運営に当たっておりませんから、いろいろ外から見ておると、何と申しましょうか、冗費があるといってはことばが少し行き過ぎかもわかりませんけれども、どうもいろいろ問題点があるのではないかというふうに大蔵省の窓口からは見れるわけでございますが、こんなことをなすり合ってもいけません。おっしゃる精神は、やはり国と地方一体となってこの財政の難局を切り抜ける、このようなかまえで、御趣旨の線を十分生かして四十一年度予算編成に処したい、このように考える次第でございます。
  31. 奥野誠亮

    奥野委員 あるいは政務次官は、金融債を売って国債に振りかえようとしている点などをおそれて、若干積極的な御答弁をいただいていないのじゃないかというふうに考えるものでございます。私は、そういうような暫定処理の行なわれた場合にまで充当率を高めろ、こういう気持ちを持って申し上げておるわけじゃございません。同時にまた、財投の要求を全部資金運用部資金処理しなければならぬわけではないのであって、おそらく政府保証債で一般の民間消費を待とうというようなものも相当あるわけでございます。私は、やはり財投が即資金運用部資金への要求だ、こうお考えになっては大きな間違いではないか、むしろしぼられるべきものだ、こう考えるわけでございます。そうじゃなくて、地方団体の行なう仕事につきまして地方債を許すのは、これは政府が許可制度をとっておるわけであります。不要なものについて許可するはずがないわけでありまして、大体において住民全般の福利を考えて行なわれることであって、地方団体の行なっておる仕事は即住民に返っていくのじゃないか。そういう意味においては、そういうような仕事について公債政策をとる。それは資金運用部のような資金をもって充てるのが一番適当な性格のものじゃないか。現在はだんだんそのウエートが下がって、たしか二十数%にとどまっているのじゃないかと思いますが、かっては高度経済成長で産業資金に積極的に持っていかれた、これを私は否定するものではない、こう申し上げているのであります。しかし、そろそろ政策転換すべき時期に来ているのじゃないか、こう私は理解しているわけでございます。今日経済開発の上にも積極的に社会開発ということがいわれているわけでございまして、そういう役割りをになうのは、やはり三千数百の地方団体の役割りが一番大きい、かように考えているわけでございます。そういうような大きな転換期にあたって、従来のような資金運用部資金運用を続けていいのか、同時に国債発行という大きな問題が入ってきた。従来でも地方債が金融市場でまかなわれておった部分が非常に大きいわけでございます。それを一そう困難にするような事態にきているというところから、一そう資金運用部資金地方団体に向けてやるという配慮がなければならないはずじゃないか。民間消化などの場合には、国債は大きな信用力を持っておりますから、地方債の場合よりはるかに有利なはずじゃないかというようなこともあって、私は国の配慮のほどを伺っているわけであります。その配慮のほどの一つとして資金運用部資金をもって地方債に充てていく、その努力というものは、私は高めこそすれ下げるというようなことがあってはならない、かように考えているのですから、その気持ちを伺ったわけでございます。
  32. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 私も長年地方会議員の生活の体験を通じて奥野委員の言われんとする気持ちはよくわかるわけでございます。ただ、私は先ほど財政投融資を引き合いに出して答弁をいたしましたが、多少説明不足で御理解いただけなかったと思うのでありますが、これは一つの具体的な例として述べたわけでございます。おっしゃるとおり地方公共団体は国と比較いたしまして、その信用力において劣っており、いわんや弱小の町村がいかに縁故債の消化に苦労しているかという事実もよく私は認識をいたし、みずから苦労した一人でございます。そういう面から考えまして、このような大きな財政の転換期——国は公債発行に踏み切る、この転換期こそ地方財政のあり方というものを抜本的に検討すべき絶好のチャンスである、こういうかまえで、現在内部でいろいろ担当機関に私は私なりの意見を申し述べておるわけでございまして、どうかそういう点に御理解ある御指導、御鞭撻をいただきまして、四十一年度予算の中で地方財政がりっぱな座を占めるように、与党の委員としてもせっかくの御鞭撻をお願いいたす次第でございます。
  33. 奥野誠亮

    奥野委員 藤井政務次官は従来から地方財政に非常にあたたかい気持ちを寄せていただいていることをよく承知していますので、資金運用部資金地方債への充当につきましても、政務次官の御配慮を期待してその質問はそれまでにさせていただきます。  いまお話がありましたように、個々の地方団体借金をする、非常に苦労している姿をよく知っているということばがございました。またそういうことばがございますので、地方公営企業金融公庫を設けて、政府保証をつけて地方公営企業金融公庫がまとめて資金を集めていく、その資金を個々の地方団体に貨し付けていくという政策がとられていることも言うまでもございません。いまのようなことになってまいりますと、国債が出ると個々の地方団体が市中から借金していくことは一そう困難だ。そうなってきますと、この公営企業金融公庫の政府保証債のワクも従来の考え方以上に広げていかなければならないと考えるわけでございますが、これについての御所見を伺って、あとの質問は後日に留保させていただきたいと思います。
  34. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 公営企業金融公庫の設立の趣旨から考えてみましても、現在の公営企業金融公庫のあり方、現状の姿というものがまことに遺憾な状態に相なっていることは、私は奥野委員と同じ気持ちを持っているわけでございます。したがいまして、私が先ほど答弁をいたしました考え方は、公営企業金融公庫の財政の確立という考え方を含めての答弁とお聞き取りをいただきたいと思うのでございます。ただ私がこの問題に関連いたしましてひとつともどもに御努力願いたいと思いますことは、各地方の公営企業体の経営の合理化と申しますか、こういった点にやはり真剣に取っ組まなければならない。そういった努力の積み上げによって問題の解決への前進がはかれる、このように考えるわけでございまして、どうかその点もひとつあわせてお含みを願いたいと思う次第であります。
  35. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 先ほど奥野委員の御質問で私答弁が漏れた点がございますので、つけ加えさしていただきます。  この特別会計における借り入れ金返済につきまして、非常に地方財政が好転した場合にこちらのほうを優先して繰り上げて返すべきだというお話でございましたが、私どもも、これは法律的な制度でして、借り入れ金でございますから、こちらのほうを優先して繰り上げて返すということは当然だと思います。
  36. 吉田重延

    吉田委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ————◇—————    午後一時二十四分開議
  37. 吉田重延

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米内山義一郎君。
  38. 米内山義一郎

    ○米内山委員 昭和四十年度における財政処理特別措置に関する法律案について大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。  実は、財政と申しますと、国民も非常にむずかしい難解なものとして考えております。われわれから見ましてもそうです。特に私はそういう財政などの専門的な知識を持たないものであります。それにしましても、この財政上の大転換について、政府はもっと国民に対して親切に、積極的に、この事情を解説的に知らせる必要があると思います。私はそういう観点で質問しますから、きょうはひとつ大臣地方の一日国会というようなものにでも出られたような気持ちでお答え願いたいと思うのであります。  実は、われわれ国民から見ますと、突如としてこの税収が大幅に見込みよりも減った。まことに意外にたえない。池田さんの時代は、経済のことはこの池田にまかせろと、こう言っておったわけです。日本の経済成長は世界に誇るべきものだ、こういうふうに国民に対して、いわばいまになってみれば放言してこられた。さらに佐藤内閣になりましてからも、佐藤総理は、ことしの六月でございますか、公債を発行しないということを言明しておったはずであります。さらにこの間は、国民所得白書というものが発表されまして、日本の国の一人当たりの所得が二十一万一千円だ、そうすると、五人家族にすれば百万円をこえるわけですが、どうも日本の経済というものは、この佐藤内閣の政治のもとに生きている国民の生活からくる実感と非常なズレがあるのです。そういう中で税収が大幅に減ったということはなぜか。これは不景気のせいだということはわれわれはわかるのですが、どういうわけで当初見込んだ税収がこんな大幅に狂いが出たのか。そうして財政法という重要な法律を曲げてまで赤字公債を出すに至ったか。この点は大事です。しかも、今度の法律案については、ことし一年きりということにはなっておりますものの、だれから考えてもことし一年で片づくものとは考えていない。もう障子の陰では新年度予算の編成が行なわれている。大臣財政の健全性は守るとはおっしゃっておりますものの、自民党内では一兆円公債、五千億減税というような声さえ高いわけであります。そうなりますと、一体今後の日本の納税者はどうなる、国民の生活はどうなる、こういうふうな疑問にひとつお答え願いたいと思います。  そこで、結局法人税が減収した、そのおもなる原因というものは何であるか。自然的な現象であるのか、あるいは国際的な環境によるものであるか。あるいは池田内閣以来とってきました無謀な高度成長政策の結果としてこういう事態が起きたのであるか。この点を大蔵大臣として、いわゆる政府を代表しての見解を明らかにしていただきたい。そうして、こういう事態というものは来年度脱却できるのか。来年度はさらにもっと大幅な赤字公債を出さなければならないのかどうか。そういう点を国民がわかるようにまずひとつお答え願いたいと思います。
  39. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 今日の不況は、ときどき申し上げておりますとおり、数年間設備投資が非常な過剰状態で続いておった。その結果設備が遊休状態に相当程度なっておる。その相当というスケールが大きい、非常に大きいわけであります。そこで、企業におきましては、資本費と人件費の負担、つまり設備が過剰だからといって、借金を払わないで済むか、あるいは利息を払わないで済むかというと、そういうわけにはいかない。また設備が遊休状態だといって、そのために集めた人を解雇するというわけにもまいるまい。その二つが個々の企業の収益を非常に圧迫するわけであります。それがほとんど全国的な風潮でありまする結果、ここに不況感というものが出てきて、また不況の実体が露呈されてきておる、こういうふうに考えるわけであります。昨年のちょうどいまごろ、昭和四十年度予算を編成する当時におきましては、そこまで大きな規模の設備過剰、それに伴う収益力の低下というようなことを考えなかったと思うのであります。その結果が昭和四十年度経済見通し、成長七・五%というようなことにきめられたわけでありまするが、これは現実に昭和四十年度になってみると、そうは動いてこない。企業収益が悪化するものですから、法人税を中心といたしまして租税収入はどんどん減っていく、こういう状態になってき、また、今日になってことしの経済を振り返ってみますると、大体本年度は横ばいの状態であり、前年度の平均に比べましても、まあ二%から三%の間くらいの成長にとどまるであろうという見通しがだんだん固まってきているというような状態であります。そういうような経済の予想外の落ち込みが二千五百九十億円という巨額の租税収入の減収となってあらわれてきておる。これはもう非常に異常な事態であるものですから、私は、緊急の措置を講じなければならぬこういうふうに考えまして、これに対しまして、今回財政法第四条に対する特例法の御審議をお願いする、こういうことになってきたわけでありまするが、しかし、経済をこういう状態で放置することはできない、昭和四十一年度におきましては、ことしのような状態が続いてはならぬ、その経済回復のきっかけを財政に求めたい、こういう考え方のもとにただいま昭和四十一年度予算の編成を取り急いでおるわけでありまするが、来年度におきましては、そういうような経済情勢に対処し、ことしのような臨時緊急の措置じゃありませんけれども、今後、財政考え方として私が本委員会においてもすでに申し上げておりまする構想に従いまして、公債政策を取り入れる、その第一年度として相当量の公債を財源に充てる、こういうことを考えておるわけなんであります。
  40. 吉田重延

    吉田委員長 関連質問を許します。有馬輝武君。
  41. 有馬輝武

    ○有馬委員 いまの大蔵大臣の御答弁によりますと、異常事態であって、予測できなかった、こういうことでありますけれども大蔵省は単に毎年推計で予算編成をやっておるのですか。こんな異常事態を予想し、経済を指導することが政府責任じゃないのですか。それがわからないはずはなかった。私たちも指摘してきたと思う。それを異常事態だからこういう落ち込みはやむを得ないんだというイージーなものの考え方では、政府の経済指導に対する信念というか、あれがどこにあるかわからない。この点について、異常事態ですと、割り切った答弁では私たち納得できないので、いま一度見解をお示しいただきたい。もちろん、これは福田さんの責任じゃないです。あなたはそのときまだ野になった。がしかし、これは政府全体としては見通しを誤ったのであって、率直にこの点を認めないで、口先でいまみたいな御答弁のような形で事を過ごすということは許されないと思うのです。  第二点といたしましていま大蔵大臣予算編成を急いでおるということでありましたけれども、きょう藤山さんは経済見通しについての発表を当分延ばすというようなことを言っておる。おかしいですね、だれが考えても。じゃ、どうして政府予算編成をやるのですか。この点についても政府の統一見解をお示しいただきたい。
  42. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 非常に異常な事態であり、その異常な事態が正確に捕捉できなかったという点につきましては、私は深く政府としては遺憾としなければならぬ、かように存じます。また、その遺憾とする点をどういうふうに生かしていくかということが問題だろうと思います。つまり、深くそういう点を反省し、今後再びそういうことあらしめないという努力をして国民に安心をしていただくということが、この際最大の政府責任であるかように存じます。  第二の経済見通しでありますが、これはもちろん予算編成の概貌を最終的にきめるという際には、これは経済の見通しと両々相まってきめるわけです。つまり、予算をどうきめるかということが経済の見通しに響き、また経済の見通しをどうするということが予算自体にも響くわけであります。これは両々相まってするものでありまして、企画庁長官がどう言われたか知りませんが、現時点において経済見通しはこういうふうにきめますという程度まで作業は進行しておらぬということを言っておられるのじゃないかと思います。決して矛盾があるわけではなく、緊密なる連絡をとりながらやっておるということを申し上げます。
  43. 有馬輝武

    ○有馬委員 重大な来年度の経済見通しについて、藤山さんがどういつだ見解で言われたか知らないが、というようなことでは私は予算編成ができないというのです。ちゃんと経済見通しを立てて、いま大蔵大臣が言われるように両々相まって初めて予算編成ができるのじゃないですか。そこをお伺いしておるのです。
  44. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 そんなことはもう当然やっておることなんです。企画庁の経済見通しの第一次案、それを見て、これじゃいかぬ、財政のほうはこうします、そういうことを受けて、今度企画庁のほうはまたそれを手直しをする、そういう作業は両々相まって経済見通し財政というものが同時にきめられる、そういうことであります。
  45. 有馬輝武

    ○有馬委員 いまの大蔵大臣の御答弁をもって予想するに、藤山さんがこういうことを言っておる、しかし両々相またなければならぬ、そうなると、四十一年度予算編成というものは大幅におくれるということですね。
  46. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 別に大幅におくれるわけではないのです。大体ぎりぎりのところまで……。
  47. 有馬輝武

    ○有馬委員 勢いおくれてまいりますね。
  48. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 勢いおくれるとおっしゃいますが、そうじゃない。いまボールを投げたり返したりしておるところでありまして、それももうぎりぎりに近いところまできておる。
  49. 有馬輝武

    ○有馬委員 藤山さんはボールを投げないと言っておるのです。
  50. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いや、そんなことはありません。
  51. 有馬輝武

    ○有馬委員 関連ですから、終わります。
  52. 米内山義一郎

    ○米内山委員 大臣は、こういう事態は突如としてということばはお使いになりませんが、思わざる事態である、こういうふうに御答弁になっておりますが、これは違うと思います。この不況というものは、今年になってから突如としてあらわれたものではなくて、池田内閣の時代からすでに高成長というものはもう壁にぶつかって、不況が露骨にあらわれてきた。その際わが党は、この不況は構造的なものであるということを幾たびとなく政府に主張しておるわけです。ところが、今日まで政府はそういうわれわれの正しい見通しに対しては耳をかさない。そうして経済の成長を上回るような予算を編成しながら、今日のこういう事態を起こしました。これは明らかです。しかもこうすればこうなるということが、およそ専門家でなくともわかるような事態にあって、なおかつ放漫な支出を節約しようとしなかった。その例を一つ旧地主に対する報償法にとってみましても、当時内閣委員会にあなたの前任者たる田中大蔵大臣が出まして、こういうふうな事態が出ると必ず歳入の不足が生ずる、そうして公債を発行するに至らざるを得なくなるのじゃなかろうか、そうして国民はそのために起きるインフレを心配するというふうな状態になるのじゃなかろうか、したがって、こういうふうな圧力団体の圧力に屈してやるような、きょうやらなくてもいいような、また不要なものはこの際差し控えるべきではないかと私が主張いたしましたときに、あなたの前任の大蔵大臣は、そんな心配はございません、こう言っております。記録にもはっきりあります。そうしますと、その事態というものはいつからそうきたのかということが問題なんです。実にこれは無責任きわまりない佐藤内閣の財政政策からきた問題であって、重大な責任問題ではなかろうかと実は思うのであります。見通しを誤ったというようなことは、弁解にもならぬはずです。要すれば、めくら、見通しのきかない者が、人の言うことにも、正しい意見にも耳をかさずに乱暴な支出をしてきたというのは、まるで酔っぱらいが自動車を運転しているようなものじゃなかろうか。しかも、今度新しい予算を編成する前にあたって来年度の経済見通しはこれを明らかにしないと、こう言う。やみ夜にライトを消した自動車に酔っぱらいが乗って運転していったらどこへ行くか、これはわかったものじゃない。私はその点を心配している。国民みんなその点を明らかにしていただきたいと思うのです。しかも、これから起きる歳入不足というもの、不況というものは、どういう段取りで、いつごろ解消されて、そうして財政が平常化するか。こういうことについて確たる見通しを承らないうちは、私としても次の質問ができないわけです。やってみるが、うまくいくかわからぬ、失敗すればそれまでだというような無責任なことではだめです。大臣がおっしゃるように、いまの不況を打開するには、財政を通して解決するよりしょうがないという御見解には、われわれも同意いたします。しかし、やってはみたが、できないというようなことではたいへんなことじゃなかろうか。どの程度の御確信を持っておられるか、もう一度ひとつはっきりさしていただきたい。
  53. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 先日申し上げましたのですが、来年度は設備投資の状況がどうも思わしくないのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。その設備投資の停滞——まあ横はい状態ぐらいじゃないか——それを補って、しかも日本経済全体として七%から八%ぐらいの成長が達成できるように財政の機能を発揮すべきときである。そういうスケールの財政というものを考えておるわけであります。一体それじゃ、今日から来年のそういう実質七、八%という成長にどういうふうにつながっていくのだろうか、こういうことを考えてみますと、ことしは非常に経済情勢は思わしくなかった。今日まで大体横ばいのような調子かと思うのであります。ただ、政府の支出の状況を見ておりますと、景気対策としてとりました一般会計の繰り上げ支出、そういうようなことが非常におくれたわけであります。これは一つは地方財政関係もあったわけであります。それから、もう一つの問題は、五月に一割留保ということをいたしまして、それはすぐ解除はしたのですが、それで計画上の手戻りを生じておるというようなこともあったかと思うのです。十月までの状態では、公共事業費の支出が予算としては相当ふえておるにかかわらず、前年の支出実額を下回るという状態で推移したわけであります。したがいまして、十一月以降に公共事業費の支出余力というものを非常に大きく残しておるわけであります。十一月の支出を見ますと、やっとこれが積極化いたしまして、前年同月の支払いを大きく上回るようになってきております。また、十二月も同じような傾向が続き一おそらく一−三月の間におきましてこの傾向がさらに積極化する、こういうふうにいまは見ております。そういうこともあり、また、補正予算で来年度予算のうち公共事業費的なものその他の繰り上げ契約をしてよろしいというふうにいたしたいという考えで、御審議をお願いしておるわけですが、それらを考えますと、この暮れから一−三月にかけての財政が景気浮揚に与える影響というものは、相当顕著なものがあるのではあるまいか、こういうふうに見ております。その情勢が昭和四十一年度につながるわけなんであります。まあ七、八%実質といいますが、さあ四十一年度になったからぽかんと七、八%上がるというわけじゃない。なだらかな上昇をしつつ、四十一年度には年平均といたしまして七、八%の成長ということになるだろう、つまりだんだんと明るさを増し、日本経済に対して皆さんが御期待されるような状態が出てくるように思うのであります。  ただ、申し上げておきたいことは、今日の不況は、先ほど申し上げましたように、異常な規模の遊休設備があるわけであります。つまり、それに対する人件費あるいは資本費の負担が各企業にとりまして非常に大きい。この状態が、昭和三十四、五年のころのように、操業度も九割何分でおる、また、物価も安定し、あるいは国際収支も安定し、金融も正常的な状態であるというころの状態に戻るまでにはまだよっぽど時間がかかるのじゃないかと思いますが、ともかくそういう状態に向かって来年度は堅実に歩み出すという状態には私はしなければならぬし、できるのであろうと、こういうふうに確信を持っておるわけであります。
  54. 米内山義一郎

    ○米内山委員 できるできないは、それは結果を見なければわからぬことだと思いますが、しかし、これはできるものじゃないと思うのです。と申しますのは、いまの大臣の不況対策というものは、公共事業費の繰り上げ支払いというような程度のことでございますが、これはまあいわば対症療法でして、虫歯に仁丹をはさんだ程度のものなんでしょう。本質的には、やはりいまおっしゃったとおり、設備の膨大な過剰、そのほかには国際収支というものの状態もあると思うし、輸出貿易の内容といいますか、いわゆる外国に聞こえれば悪い話かもしれないが、日本の国内よりも安く物を売っているというような、もうからない輸出というようなことなどもないわけではなかろうと思う。それよりももっと重大なのは、平均すれば国民一人当たりの所得が二十一万一千円というと一般国民は驚くのです。そうすると、おれは五人の家族だから百万円なければならぬはずだ、おれは七人の農家だ、そうすると、四町歩ぐらいの稲を栽培して、これをいまの米価で売ってもこれくらいの所得しかない。国全体としてはべらぼうに景気がいいと考えるが、一般国民のほうは非常に生活が苦しい。こういう中において大企業が収益が上がらぬで、そうして減税をしなければならぬというようなことはどうも解せない。結局これは所得問題からきておる。高度成長の行き過ぎからきた所得格差の拡大というのが今日の不況の大きな要素じゃなかろうか。そうじゃないでしょうか。そうだとしましたならば、所得格差をどういうふうにして積極的に縮めていくかという根本療法がなければならぬ。こういうことをどういうふうなことでお示しになるのか。どういう形で有効需要をふやそうか、これがない限り、公債政策に歯どめなんてあるもんじゃないと思う。庶民に対するどういう所得政策があるのか、この点をひとつ承りたいと思うのです。  それからもう一つは、来年度七、八%の経済の成長を考えておると申されますが、物価の上昇というものを何%ぐらいにお考えになっているか。これが明らかにならないと、名目だけ経済が伸びましても、実質がはっきりしない。とにかく去年も消費者米価を上げ、さらにことしは元旦早々消費者米価からいろいろな公共料金、さらに税金とほぼ同じな保険料さえ値上げされ、一般庶民大衆は増税です。政府は大企業のための一時的な損失のために大幅減税という。政府はいまのところ三千億円というが、自民党の中には五千億円減税という声さえある。どうも国民の立場から見ると、これはわからない、この点を、大臣の立場から、来年度予算編成についてはこういう見通しで、こういう考え方で、こうやるというような程度のことをお知らせ願いたいと思う。
  55. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 予算を編成する過程におきましてはいろいろ意見が出るわけです。その意見を戦わせ、また皆さんからもいろいろの意見がある。そういう各方面の御意見を聞かなければいかぬと思います。自由民主党の中にも、いまお話のとおり、いろいろな意見があります。しかし、意見があるといっても、これは結局調整をしなければならぬわけであります。私は、意見が全然ないという状態よりは、いろいろな意見というものが出てきて、そうして最終的にきめられる構想というものが適正なものであることがいいと思います。私は、そういう考え方を大体こなした結果、私が昭和四十一年度予算を組む考え方、その基本というものを先ほど申し上げたわけなんですが、さあそれがどういう数字になってくるかというところになりますと、まだこれを申し上げる段階に至っていないのであります。いずれ昭和四十一年.度予算等の御審議をお願いする際には、それらのこまかい、詳しい、しかもまたこれが経済の見通しとどういうふうに結びつくかというふうなことまで具体的に申し上げることになると思います。基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりであります。
  56. 米内山義一郎

    ○米内山委員 公債問題について一番懸念されるのは、これがインフレの要因になるではないかということが大きい問題なわけであります。  そこで歯どめ論というものがあるわけです。これは注文どおりに歯どめがきけばそれは心配がないでしょうが、特に大蔵大臣の考えておられるようなお考えであれば、どうも歯どめはついているが、きかない歯どめじゃなかろうかという懸念がしてならぬわけであります。これは雑誌の記事にあったことですが、大臣は十月の二十五日に大阪で講演なさっておられるわけであります。そこで公債の歯どめ論、インフレを防ぐ方法はある。その一つは、国債で得た金は産業経済発展の基礎固めとなり、経済成長の原動力となる設備投資の範囲に限る。ことを原則とする。こうおっしゃっているこれはどういう設備投資のことをお考えになっているか知りませんが、いままでの答弁の前段では、今日の不況は設備投資の過大からきているのだとおっしゃって、今度はこういう考え方のもとに、七百億円というような建設公債を出すというなら、設備投資というものはますます過大になるのじゃないか。一応景気はつくかもしれません。政府、与党がこういう表明をするから、もう物価高に影響があるでしょう。株屋さんがいち早くこれに反応して株の値を上げています。これは一般物価に反応しないわけがない。そこで、設備投資に限るというのはほんとうなのか。こういうことを口実にして財政法というものを根元から破壊しようという陰謀じゃないのか、私らはその点を実は懸念する。一体公共投資は赤字公債でないという根拠をひとつ明らかにしていただきたい。こういうことはもっとわかりよく言っていただきたい。赤字公債といえば、国民はわかる。建設公債というと、何かこれが実になって、国民生活が豊かになるような印象を与えるが、こういう大事なことをことばのあやでごまかさずに、要すれば収入が、財源が減るのだ、支出がふえるのだ、そのギャップを埋めるという意味でやるならば、これは赤字公債じゃないでしょう。現におたくの党の赤城さんは言っていますね。これは建設公債などというのはごまかしだ、赤字公債にきまっている、こういうことを言っている。そういう意味で、大臣の言う建設公債は、断じて赤字公債ではない、断じて設備投資以外にはやらない公債だということをいまここで言明できるでしょうか。できたら私はその点を明らかにしていただきたい。
  57. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 お答えする前に申し上げますが、私は公債を発行し、これをもって過去に行なわれてきたような設備投資をやろうというのじゃありません。これは建設的な投資というか、そういうことを申し上げておるわけなんです。それで、はっきり申し上げます。公債を発行しますが、この金は人件費でありますとかあるいは行政費でありますとか、そういう国の一般の費用には一切使いません。あげてこれをただいま申し上げましたような建設的、つまり使った金が国民の財産としてあとに残るもののみにこれを使用する、そういう考えであります。
  58. 米内山義一郎

    ○米内山委員 設備投資といえばそれは直接生産設備投資になるわけだが、たとえば鉄道とかなんとかいうのを拡充するのは公共事業でもあり、建設事業でもあり、設備投資だと思うのですが、そこで、大臣のおっしゃるとおり直接的な生産をあげ、所得を拡大し、税収の源にならないものだが、間接的にはなるものであるとすれば、そういう投資期間というものは相当長くなければならない。港湾をつくる、工場ができる、物が入ってくる、それからというと、一体この建設公債の締めくくりというものは何年後にどういう形でなされていくかということが問題になるわけです。出発当初はこれはもうかる仕事だから金を出すのだというけれども、全体としてこういう生産過剰でもあり、設備過剰でもあるときに、単純に建設事業だからおまえの考えとは違うんだということは、どうもそこに若干のズレがあるようですが、大臣、そこは質問者はそういう意味で聞いておりますから、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  59. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 どうも根本に違いがあるようでありますので、まことにお答えしにくいのですが、私は財政の活動によって民間活動の落み込みを補うという考え方を当分とっていきたい。つまり、ここ数年間のような経済情勢ではないのであります。今日は設備過剰、よく低圧型、低圧型といいますが、そういう状態である。この状態はここしばらく続くだろうと思う。どうしても政府財政が積極的に景気維持、成長推進の役割りをしなければならぬ。それには一体どうするか。いまお話を伺っていますと、均衡財政でいいのじゃないか、つまり公債を出すところはみな赤字じゃないかというようなお話でございますが、それはやろうと思えば、公共事業は昭和四十年度でも六千何百億円あるのですから、それを全部やめてしまえば黒字になります。あるいは増税したっていいわけです。一体それができないか。これは今日の経済状態から判断してみなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。今日の経済状態を見ますと、これはなかなか体質を切り下げて、そして均衡財政をやっていくというような状態じゃない。私は断じてそういう状態じゃないと思います。また、それじゃそれだけの国費を使わなければならぬ。それに対して増税をやるかというと、増税もなかなかむずかしいのであります。そういうことを考えますときに、やはりこの辺で積極的な財政方針というものを打ち出して、公債政策というものを取り入れるという考え方へ転換をしていいのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、代案がなかなかむずかしいのです。
  60. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それは私も決して財政上の均衡を維持するために公共事業を減らすべきだという主張はしてないわけです。ただこの際、ことばが足りなかったと思いますから申し上げておきたいことは、いわゆる国家財政のどんぶり勘定の中で、ここからここまでは公共事業である、ここからここまでは一般経費である、ここからここまでは公債によって得た金であるということのけじめは、札にしるしがない限りはできないわけです。ただ、本年度まで一般財源で七千億円公共事業をやってきた。それが公債を発行する段階においてその部分が減って、建設公債による公共事業費がふえてくるというなら、その分は一般財源を食い込んだことになるのじゃないでしょうか。理屈上そうなると思うのですが、大臣、それでもこれはそうじゃないとおっしゃるのですか。私らはそういうふうに考えるのですが、その点はどうでしょうか。
  61. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ます第一点の建設事業というが、それは融通無碍じゃないか、こういう疑問をお持ちのようですが、そういうことは絶対にないのです。財政法もその辺はよく考えておりまして、財政法は借り入れ金だとかあるいは公債だということは、原則として、してはいかぬ、しかし例外として公共的事業とかあるいは投資、つまり出資、それから貸し付け金というものは国会の議決を経てよろしい、こういうふうにいっておるわけです。しかし念を押して、その公共事業という範囲は、これを明らかに国会に示せ、こういっておるわけであります。いま私ども国会に対しましてどういう範囲をもって公共事業と考えておるのかということは、これは四十一年度の公債を出す際には厳格にきめまして、御審議をわずらわす、こういうふうに考えておりますので、これがふくれ上がったりあるいは縮んだりする、そういう融通性は全然ないわけなんであります。  それから、今度公債を発行する、それに伴って、いままで公共事業は一般財源であったのが浮くから、これは結局財源不足公債ではないか、こういうお話でございます。この点につきましては、そういう一面もあるわけであります。しかし、もし公債を出さないでそれを均衡財政でやっていこうとすれば、まあほかのほうの費用のことも問題はありましょうが、おおむね公共事業ということが問題になるのでしまうから、公共事業をそれだけ削るということになるわけなんです。それを削らないで、今度は公共事業をやっていくというふうに御理解していただきますれば、これは公共事業あげての財源として公債を出すという意味も御理解いただけるのじゃあるまいか、さように考える次第であります。
  62. 米内山義一郎

    ○米内山委員 なかなかこれはむずかしい問題で、大蔵大臣はその代案があればというようなことですが、一部分に役立つかもしれないが、代案がないわけでもないのです。たとえば、政府から出ました資料を見ますと、法人会社が交際費を五千三百億円支出しているということが明らかにされている。そうしてこれは赤字だというのでしょう。赤字でありながら交際費を出している会社ももちろん含むわけだ。これは法人税額のかなりの部分、五五%を占めている、こう書いてある。こういうものを特別措置によって許しておる。交際費も必要欠くべからざるものもあるかもしれないが、一千円の売り上げに対して十七円三十六銭なんという交際費が公然と認められている。なおこのほかに三百億円をこえる寄付金というのもある。これはいま減税の対象、税収欠陥の対象になっている法人企業の実態なんです。大体昔からこういう税法となんとかいうのは、下にきびしく上にゆるやかなものです。われわれのほうでは、こういう税務署の法律はクモの巣と同じようなもので、トンボやチョウチョウはかかるが、トンビカラスはかからぬものだ、こういうことを言っている。こういうこともあります。  大臣に念のために事実を申し上げておきたいが、青森県のずっと引っ込んだ農村部の人口一万ぐらいの町に映画館があります。ここの映画館の館主が不況なために例の入場券のたらい回しをした。これが税務署につかまった。同じ日に、小さな村に二つあるから、もう一つもつかまった。ところが、一つの業者は、悪いことをした意識がないのか、その後税務署の調査に対して協力をしなかった。ところが家宅捜索をした。家宅捜索をしましたら、経営者の机の中から帳簿が出た。この帳簿は三年間にわたって連日大入り満員の帳簿なわけです。実はこれは借金で建てた映画館でして、信用金庫のほうにもその粉飾メモで毎日もうかっているようなことを出さないとだめだし、保証協会もそうだ。相互銀行もそうだ。銀行に出すための大もうけの粉飾メモ、これに基づいて数百万円の罰金課税と一緒に税を賦課された。さらに税法違反として刑罰を食っております。同日一緒に摘発された同じ程度の映画館は、十何万円で許されている。これには義理も人情も実情というものの調査もない。税は法律的に正しくなければならぬと同時に、つり合いを持つことが大事でしょう。あまりにひどいこういう下に対する苛斂誅求というものは、今後こういうふうに上のほうの税源が枯れるに従って下に厚くなるのではないかという不安をわれわれ持たざるを得ない。たいへんなことです。税金が原因で倒産する人もあるし、そのために自殺する人さえ今日ある中で、この点を大臣緩和しなければ、こういう赤字公債政策に入る前にたいへんな政治的な混乱が起き、社会不安が起きるゃじないか。税の取り方について、あえて代案ということではないが、もっとこういう法人税の中でやる特別措置によって免除されている数千万円の金を生かすべきじゃないか。さらには、資本主義のむだといえばむだである膨大な広告費などというものも、こういう思わざる不況に際しては財源にすることも可能ではなかろうか。何もまるっきり食えない状態になったからといって、法人は赤字ではないのです。けっこうもうけるものは大きくもうけておる。特に金融資本というものは開闢以来の利益配当をやっているのが事実ではないでしょうか。こういうふうなことをもっときっちりとやらないことには、国民は承服できないのではなかろうかと思う。私はこの点に対する大臣の勇断をひとつお願いしたいと思うのです。
  63. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 税は最も公平にきめられ、かつ徴収されなければならぬ、これが私は根本だと思います。そういうような考え方から、今度減税をいたしますにあたりましてもその考え方を生かしてまいりたいし、また同時に、徴収にあたりましても、先般森脇脱税事件というふうなものがあって、まことに遺憾に存じておりますが、ああいうことがないように、公平に行なわれるようにできる限りの努力をしていきたいと、こういうつもりでおりますので、何とぞひとつ御協力のほどをお願い申し上げます。
  64. 米内山義一郎

    ○米内山委員 他は同僚諸君に譲りまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  65. 吉田重延

    吉田委員長 只松祐治君。
  66. 只松祐治

    ○只松委員 まず最初に、本法案は、本年度予算財政の問題、それから今後問題になってくる公債発行の問題、それからこういうもろもろのものと関連いたしました地方財政の問題、こういういわば三本の問題を一本にして法案の提出をなさっておる。本来ならば、少なくともこの法案提出は三つに分ける、少なくとも本年度財政の問題と地方財政の問題と二つに分けて出すのがほんとうではないかと思うのです。俗な言い方をすれば、地方財政という子役の芝居でへたな芝居をひとつ見せよう、こういう言い方をすれば、さほどではないようでございますけれども、この地方財政の問題をひっからめて、いま法案審議の促進その他の状況に見られますように、この法案を強行突破しょう、こういう形に出てきておられることはたいへん私は残念に思います。法案の提出のしかたとしてはきわめてひきょうな出し方だと思うのです。大臣はこういう点に対して相すまないという考えがございますかどうか。
  67. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いま三つと言いますが、二つなんですね。中央財政の税の落ち込みに対する対策と、それから地方財政の同様な事態に対する対策と、この二つなんです。これは四十一年度には実は何ら関係はないわけであります。しかし、この二つであるにしても、それをひっからめて国会運営をやろうというけしからぬ考え方というようなことですが、さような考え方は毛頭ないのです。中央、地方を通じて財源上の不測の事態に対する対策をどうするかということの御審議をお願いするものでありまして、したがって私は、そういうことをしたから、相すまぬとか遺憾であるとか、そういう考えは毛頭持っておりません。
  68. 只松祐治

    ○只松委員 ないということならそれまででございすまが、私たちとしてはたいへん残念なことで、本来別々にこれは出すべきだというふうに思っております。  それから、先ほどから、あるいはあらゆる場所で繰り返しお述べになっておりますが、ここであらためて、大蔵当局の現在あるいは来年度予算においてお考えになっておる経済成長率、物価上昇率、減税規模、こういう問題についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  69. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 来年度予算をきめるにあたりまして、どうしても経済成長論議というものが必要になってくるわけであります。その論議の前提といたしましてただいまのところ考えておりますのは、来年度の成長率を七、八%、そういうふうに考えております。それから消費者物価はどういうことになるであろうかということにつきましては、いま企画庁でできる限り確信を持った結論を出したいということで、まだきめておりません。ですから、形式的な成長率は一体どうなるであろうかということにつきまして、まだここでお答えをする段階まで立ち至っていないのです。
  70. 只松祐治

    ○只松委員 確たるものはないでしょうが、なければ、少なくとも予算編成に入ろうかというときに、来年度の物価上昇率なり減税規模というものが見込まれなくてできるはずはないと思うのです。だから、そういうあまり逃げた答弁ではなくて、確たるものじゃなくても、あるいは予想でもいいですから、ひとつお答えをいただきたい。
  71. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これは目下関係省庁の間で鋭意検討中なんです。まだ昭和四十一年度予算編成の根本方針というものをきめておるわけではないのでありまして、ここで物価が何%上がるという見通しにしようかというようなことを申し上げるまでに、これは率直のところ、まだそこまできておらないわけです。まあ数日中にはそういう結論を出してみたい、かように考えております。
  72. 只松祐治

    ○只松委員 大蔵当局として確たるものはないかもしれないけれども予算委員会でも各大臣がいろいろお述べになったり、あるいはけさの新聞等を見ると、大蔵当局の減税規模というようなものが新聞によっては出ております。したがって、こういうところから見るならば、確たるものでなくても、およそのものでいいわけです。たとえば、法案の取り扱い一つにいたしましても、補正予算あるいはこの法案を急ぎ上げてもらいたいというのは、結局年内に予算編成のめどをつけたい、あるいはそういう作業を進めたいからだと思うのです。来年でよかったら別にこれはそう急ぐ必要はないと思うのです。いろいろな角度から見て、大蔵当局がそういうことに急いでおられることは事実です。その急いでおられるときにこういうものがまだ全然言えないというのは、ちょっとおかしいんじゃないか。めどでけっこうでございますから……。
  73. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 企画庁長官は五・五とかあるいは七・五・三というので、ことしは七%だけれども、来年は五%台でとめたいとか、いろいろ言われておりますが、まだしかし、これは希望とか、そういう段階だろうと思うのです。政府の統一見解としてどういうふうになるかということにつきましては、これはまた少し時間をかさないと、まだ申し上げる段階にならないのです。しかし、そういう企画庁長官の、ときに触れ、おりに触れて申されていることは、大体常識的なところじゃないかと思うのですが、その辺でひとつ御理解をいただきたいと思います。
  74. 只松祐治

    ○只松委員 減税規模をひとつお伺いしたい。
  75. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 減税規模につきましても同様なんです。これは予算の歳出面を査定してみまして、そうしてどのくらいの余力が出てくるかということで最終的な結論が出てくるわけであります。いろいろの説がありますけれども、率直に、正直に申しまして、まだ私がここで責任を持って申し上げるまでの段階には至っておりません。
  76. 只松祐治

    ○只松委員 そうまで否定されるなら、一応その問題はそのくらいにしておきたいと思います。  国税庁関係主税局長お見えになっておりますか。
  77. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いま予算委員会のほうに出ておりますから、呼びましょう。
  78. 只松祐治

    ○只松委員 大臣でわかればなおけっこうです。本年度の税収不足額二千五百九十億円というようなことを言っておられますけれども、公債発行に見合うそういうものじゃなくて、実際上の税収不足額というものは幾らぐらいになるか、お伺いしたい。
  79. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 実際の税収不足額がその二千五百九十億円というのであります。これはいろいろな角度から検討いたしまして、今日の段階において見通し得る最も良心的な数字である、かように考えております。
  80. 只松祐治

    ○只松委員 当初予算の中からできたいろいろな経費やなんか削ってこの予算編成したいまの最終的なものが二千五百九十億円であって、実際上は四千億円ぐらいになるんじゃないですか。二千五百九十億円でとまりますか。
  81. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 そんな話は聞いたこともございません。
  82. 只松祐治

    ○只松委員 二千五百九十億円ということに仮定をいたしまして論議を進めたいと思いますが、この二千五百九十億円というのは、私たちが当初予算、そのときは田中さんだったわけですが、論議をしたときに、これは本年度の税収見積もりは過大に過ぎやしないかということをしつこいほどここでお聞きし、論議したわけです。しかし、そんなことはないというようなことで、いろいろ当時の議事録をひもとけばわかるわけでございますが、予備費も例年より多い、これは完全にだいじょうぶだ、こういうことをおっしゃったわけです。あの当時から何カ月ですか。とにかく七、八カ月たつかたたないうちにこうやって完全に狂う。その前に狂っちまったわけでございます。そうして、今日こうやって、いわばずうずうしく——これを見ますと、異常な事態、さっきも異常ということば大臣もお使いになったようですが、異常な事態でこうやって公債発行をしなければならない、こういうことです。しかし、私たちは、当時から異常とは思わなくて、これに近い数字というものが赤字に出てくるんではないかということを警告申し上げておったわけです。その警告を聞くことなく、こうやってきた。大臣としては田中さんと福田さんとかわってきておりますが、しかし、事務当局として当時これを補佐した人々は、当然にその責任があると思う。一体この見積もりが違ってきた責任はどこにあるか、一体だれが負うか。こうやって、いま七、八カ月たったわけですが、そうたたない間に、とにかく二、三カ月たって税収の狂いというものが見込まれてきた。そういうずさんなもの、でたらめなもの——今後の公債発行の論議からこういう問題は全部関連してきますけれども、これはだれ一人責任をとらない。民間会社ならば、当然にもう重役の総退陣か、あるいは相当大規模な処分か何かあるわけですが、だれ一人、政府事務当局も、何も責任をとらないで、のうのうと国民に迷惑をかけてくる。こういう赤字公債というものを出してくる。大臣なり当時の事務当局、主税局長なりその他関係者、あるいは全員私は答弁していただきたいと思うけれども、この責任をだれがとるか、ひとつお答えいただきたい。政府だから何にも責任はとらない。いわゆる政治的に社会党、野党に対して多数でもってこれを乗り切っていきさえすればいいんだ。何らの責任はない。事務当局というものは、そういうものは何ら責任はない。こういうことで、すべて親方日の丸だから、国家機関だからいい。私はこういうことではないと思う。責任はおのずからあると思う。責任はだれがおとりになるか。
  83. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 事務当局は経済の見通しに従って税の算定をいたしておるわけなんです。そういうようなことで、これを突き詰めていきますと、結局経済見通しが非常に甘かった、こういうことになるわけです。七・五と見ておりましたものが二・五に終わる、こういうところに税の見積もりにそごを来たしたという根本原因がありまして、先ほど申し上げましたとおり、政府全体といたしまして、そういう見通しを誤ったことはまことに遺憾に存じております。再びこういうことをしないという気がまえでやっていきたい、かように考えております。
  84. 只松祐治

    ○只松委員 大臣といたしましては、いままでにない謙虚なおことばがありましたように、粗雑だという。しかしこれは事務当局がほとんど——田中さんやあなたたちが計算するわけではないでしょう。当然事務当局がこういう問題は試算をしてきて編成したと思う。大きな項目は自民党なり政党がやる。事務当局に何らかの責任なり、そういうものに対する処罰といっては失礼でございますけれども責任を明らかにされた、そういういきさつがございますか。まあ、あなたに言いますけれども、こういう赤字公債を発行しなければならぬという事態に落ち込んでしまった。それには大きな大蔵当局の問題になるわけです。こういうところが何ら責任をとらない、あるいはだれも責任を感じない、こういうことになったら、幾ら今日の段階でこの公債の問題を、赤字公債であるとか建設公債であるとか論議しておったって、これはぼくはほとんど役に立たないと思う。やはりそれはそれなりに責任を負っていく、こういうことが政党政治の責任であると同時に、やはり事務当局なり官僚としてもおのずからの道だと思うのです。そういうことがあったかどうかお聞きしたい。
  85. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これは税の当局が、翌年度の税がどうふうに入ってくるだろうかという算定をするにあたりましては、経済見通し、これがほんとうに根本になってくるわけであります。そこに問題があったわけでありまして、税を算定したその当局は、その経済見通しに従って正確に、正直に、率直にそれを算定したまでであると、こういうことでございまして、まあ経済見通し自体に責任がある。それにつきましては、私は、政府としてはまことに遺憾なことであった、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  86. 只松祐治

    ○只松委員 私は税務当局だけ言っているんじゃないのです。こういう経済見通しを立てたというのが、大蔵省なり、これは通産省にも関係があるかもしれませんけれども、やはりすべて関係がある。そういう人々が何らの——とにかく権力を持つ場合には強い権力を持って執行していく、しかし、こういう大きな欠陥なりマイナスが出てきた場合には、何一つそういう責任をとっていかない。これは私は大きな誤りだろうと思う。したがって私は税務当局の責任だけを言っているのじゃない。あとで税金の話は聞きますけれども、そうじゃなくて、こういうものを企画立案し、あるいは総合してやっている人のだれがどういう責任をとったか、今日まで私聞いたことがないのです。民間会社なら、これは当然責任を負うべきところだ。そういう点を、全般を言えばやはり総理大臣に聞くべきものかもしれないけれども、経済全般の一応の元締めである大蔵大臣にそういう点で何かされたかどうか、あるいはいままでないとすれば、今後される意思があるかどうかという点をお聞きいたしておきたい。
  87. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 この見通しを誤ったという点につきまして、まだ行政上の、あるいは政治上の責任というようなことは行なわれておりません。私は承知しておりませんが、私ども政府としてはまことに遺憾であった、今後再びこういうことをしてはならない、そういうために最善を尽くすことこそが当面の責務じゃあるまいか、こういうふうに考えておる次第であります。
  88. 只松祐治

    ○只松委員 それから、この一般的な税収の不足に伴いまして、あとで本委員会としても徴税強化をしないようにという決議が行なわれるように聞いておりますけれども、私たちの関知するところにおいても、徴税強化というものが非常に見受けられます。たとえば、具体的にお話してもいいけれども大臣がそう長くおいでにならないので、また大臣にあらためてお聞きしたいと思う。それから国税庁長官もおいでになっておりますが、政府の発表したものから推察してもそういうことが言える。たとえば十月末現在における租税及び印紙収入の徴収額、これを見ましても、法人税なんかは大幅に下回っております。しかし、この法人税の大法人と中小法人というのは、これはまたおのずから別になります。できれば私は、一千万円以下、五千万円、一億円というような形の資本別あるいは収入別による収益の集計をいたしたいと思っておりますけれども、この十月末現在を見ても、源泉所得はほとんどとんとんなんです。それから申告所得は、去年が十月末現在で三二・二%、本年は三二・九%、所得全体としては、去年は四九・九%、ことしは五〇・五%、不景気、不景気、いわゆる大会社や法人、日本経済全般が落ち込んでおる、こう言いながら、労働者はとんとんですが、こうやって申告して取る申告所得分、こういう人たちだけがそんなに景気がいいのですか、これはパーセンテージを言いましたけれども金額においても七十七億円ですか、上回っておる、こういう人たちが景気がいいのですか。どうしてこういう人たちが——、日本経済全体が落ち込んで、こうやって不景気になっておるときに、どうして申告者、いわゆるある意味では低所得層に属するこういう人たちがこうやって景気がいいのか、その理由をちょっと言っていただきたい。
  89. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 数字でございますので、私から御説明申し上げます。  法人税の収入歩合が前年より悪いことは、御存じのとおり三月決算、九月決算が予想以上の収益の向上がなかったためでございます。法人税につきましては、先ほど大臣からお話がございましたように、経済見通しで生産の上昇を見込んだわけでございますが、現在のような成長率、鉱工業生産指数も低迷ぎみでございますので、そのような関係で九月期は前期に対しまして九四%程度の減りぐあいでございますのでこういった現象が出ておるのでございます。その中の大法人、中小法人との区別は、あとでまた資料をつくりまして差し上げたいと思います。  それからその次は、源泉との関係でございます。源泉所得税は、御承知のように、給与の伸びが法人の収益に比べまして常に堅調でございます。そんなような関係で、源泉所得税は、ただいま御指摘のように収入歩合が好調でございます。それから申告所得税は、御存じのように前年の所得を基礎といたしまして、今年の税率をかけまして予定納税できめておるのが大部分でございます。その関係で前年の所得がそのまま載っております。したがいまして、本年の所得が測りますれば、この関係が確定決算であらわれますけれども、そんな関係で収入歩合がよろしい、こんな関係でごごいます。  なお、源泉所得税につきましては、経済活動の低迷によりまして給与の伸びも若干悪くなりまして、補正予算では九十億円ばかりの減収を立ててございます。
  90. 只松祐治

    ○只松委員 全部を言えば、これは徴税のことから何から引っぱり出してやらなければ立証することができませんが、この場合、たとえてみたって、相続税というのは去年より四四%ふえておるのですよ。去年だけ死亡者が多くて相続税がふえたということもございますまい。とにかく申告分、いわゆる税務署の査定によってできる分というのは、全体としてそんなに減ってないですね。これは十月分だって、九月分だって、ずっとごらんになってください。ほかのものは減っているのですよ。しかも大法人、中小法人を見れば、おのずから問題が明らかになります。それから現在行なわれている徴税強化というのも、私の知っている限りでも、たとえば大工さん、左官さん、こういうものは異常な力を持って操作した経過もある。ぼくは知っておる。土建とかあるいは森脇とか、こういう大きなものはぼくら大いにやりなさいと言っておるけれども、いわゆる小さい土建とか、そういう自由業に基づくようなもののいわゆる調査、徴税というものを、ぼくが知っておる限り非常に強いのです。これは大臣のところに御相談に行ってもいいけれども、幾つか私でさえも手を焼いておる問題がある。しかもこれは過去数年にわたって調査している、こういう疑いが出てきておる。そういうものがおのずからこういう数字になって出てきておる。私はこういう税務行政というものは、あとで決議もあるようでございますけれども、税収が不足になったからといってこういう自由裁量でできるような面の調査の強化、徴税の強化というものは、ぜひひとつ慎んでもらいたい。私は決議があるとは思わなかったから、これは冒頭に質問しようと思ってきたのです。大臣からもひとつ明確なお答えをいただいておきたい。
  91. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 税収が落ち込んでおりまするがゆえに徴税を強化するというような措置は、一切とっておりません。今後とも、徴税につきましては適正に行なわれるように最善の努力をいたします。
  92. 只松祐治

    ○只松委員 ぜひそのことを下に徹底するようにお願いしておきたいと思いますが、そういう本年度の税収不足ということに見合って二千五百九十億円の公債をことし出したいということで本案が提出されておるということになりますと、少なくとも本年度の公債というのは赤字公債であるということを率直にお認めになりますか。
  93. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まあ赤字公債という俗語はあるようですが、私どもは、一般財源補てんする。つまり、なお正確に言いますと税収欠陥を補てんする性格の公債である、かように申し上げておきます。
  94. 只松祐治

    ○只松委員 税収不足でございますから、これは学術用語といいますか経済用語と申しますか、俗にこれは赤字公債という。  そこで、いまから公債の問題をずっと聞きたいのですが、大臣が五十分ころお出になるということで、途中でやめておきますが、本年度の分は税収不足によってそうした赤字公債でやる、来年度から出てくるものは、いろいろおっしゃいますけれども、やはり基本的に出てくるものは、さっき言っておるように、日本経済の大きな落ち込み、見込み違い、こういうものによって出てくるいわゆる歳入欠陥、税収不足というものが一番主たる原因になって明年度から公債発行ということになるのだろうと思います。これは時間があれば、私は、今後の日本経済の動向、明年度以降どういうふうになっていくかということを前提として、大臣と若干明年度以降の経済問題を論争したいと思って準備しておった。そういうことを聞いた上で、税収不足になるならば、明年度以降の公債の問題の性格についてただしていきたい、こういうふうに思っておったわけなんです。しかし、大臣が出られるということですから、そういう問題を機があればお聞きしていきたいと思います。  一応ここで、明年度からの問題も、いろいろ原因はありますけれども、一番大きな原因は、やはりこういう税収不足という問題からこの公債という問題が起こってくるだろうと思う。そうすると、来年度からも俗にいう赤字公債だ、こういうことになる。しかし、常に、そうではなくて建設公債建設公債というようないろいろ歯どめのことも、できるかできないか、私はできないと思うけれども、いろいろおっしゃっておる。私は、明年度からも明確な赤字公債だと思う。本年度のやつが赤字公債であって、来年度からのものは赤字公債ではない、こういうことは絶対にない。もしそういうことがあるとするならば、来年度からの予算編成方針というものが、過去二十年間とってきた本年度までの編成方針とは根本的にどこが違う、こういうふうに来年度予算編成方針は違うのだ、道路なりあるいは住宅なりこういうものをつくるものは、明年度以降全然別個にして、一般予算ではなくて特別予算とするか、あるいは特別予算に別ワクを設けるか、そういうようにやっていくなら別でございます。本年度までの予算編成方針できながら、本年度のものは税収不足を補うので赤字だ、しかし明年度以降のものは赤字でない、こういうことは私は全く詭弁だろうと思う。そういう観点から、明年度以降のものも赤字である、さっき用語例を言ったが、一般財政を穴埋めするものに充当する、こういうふうなことが私は正直な、正しいお答えだろうと思います。あまり政治的なそういう発言をいままでなさらない福田大臣ですから、率直にお答えいただきたい。
  95. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ことし出す公債と来年度以降出す公債、これは生まれが違うのです。つまり来年度以降、私は建設公債と言っておりますが、この考え方は、ことしこういう税の落ち込む以前にもうすでに私どもは考えておった問題であります。なぜそういうことを考えたかというと、もう経済の客観情勢が根本的に違ってきておる。一つは、戦後政治的にも、社会的にも、経済的にもきわめて不安定であった時代じゃなくて、今日は、とにかく世界でも注目されるような経済強国になっているわが日本である。均衝といって非募債主義でいかなければならない状態ではなくて、何がしかの借金をしても少しも国の信用にかかわりない状態になってきておるという点、もう一つは、非常な設備過剰になってきておるわけであります。したがいまして、ここしばらくの間は、設備投資というものはそう旺盛にはならぬだろうと思う。つまり低圧型経済になってきておるわけであります。そういうようなことを考えますときに、一方においては、企業、また個人の家庭の蓄積を考えなければならぬという問題がある。それからまた、社会資本の立ちおくれという大きな問題にいま当面しておるわけです。そういうようなことを考えると、戦後一貫してとられた均衝財政というものを変えて、そうして公債政策を大いに活用していくという考え方に切りかえをしていい、こういう考えに基づくものでありまして、積極的にこれをやっていこうという考え方です。ところがことしはどうかというと私どもがそういう考え方をとったあとで異常な税の落ち込みという問題がある。これは率直に異常な事態であり、また税が落ち込んできて一般財源不足であるということを認めることがいいんだ、私はこういうふうに考えまして、そして、あるいは大蔵省の中にもそういう議論があった、あるいは財政制度審議会の中にもあったから、これはことしの予算の中にも六千何百億円かの建設費があるのだから、それを遂行するための公債だというふうな切りかえをして来年度以降出していこうという、積極的な意味におけるものと同じ性格に直したらどうだろうという議論がありましたが、それはいかぬ、そういうこねくり回しをしてはいかぬ、これはことしはことしでほんとうに追い詰められた公債であるということを認めていくべきである、それをまた率直に法律に表現して国会の審議を求むべきである、こういうふうに観念をいたしておるわけであります。したがって、ことしの事態と来年の事態、つまり来年の公債とことしの公債、これは根本的に考え方が生まれから変わっておるということを、とくとひとつ御了承願いたいのであります。
  96. 只松祐治

    ○只松委員 ことばの上の御説明を承りますと、なるほどと一応はそういうふうにお聞きできないこともない。しかし、日本経済は、明年突如として大勢が変化したり変異したりするものではない。予算編成方針も、ドッジさんみたいなのが来て大きな鉄槌をふるって、そうして変えていく、こういうことがあったとかいうことならば、やはりいまおっしゃったようなことにもなる。しかし、そうではなくて、いままでどおりの日本経済、いままでどおりの自民党政府のもとにおける予算編成、資本主義下における予算編成というものが、明年度から、いまことばでおっしゃったように突如として予算編成方針が変わるというのは、私はたいへんな詭弁だろうと思う。そうでなくて、ことしも大きな見込み違いをしたけれども、明年以降やはりそういう経済状態が続いていくのだ、したがって、こうこうこういうふうに公債を発行せざるを得ないのだ、こういうことが私はすなおなお答えではなかったかと思うのです。残念ながらそういうふうにお答えされない。そこで、そういうふうにおっしゃるならば、私はさっき言っているように、明年以降の予算編成方針というものをお聞きしなければ、いまのおこばも納得するわけにいかない。いままでの状態のもとにおいていまのおことばをすなおに私のほうがお聞きするわけにいかない。逆に私のほうがすなおにお聞きするならば、明年度以降の予算編成方針というものは、あるいはその前提となる日本の資本主義経済というものがこういうふうに変質してくるのだということを前提としてお聞きしなければならぬ。そこで、私が一番最初申しましたように、明年以降の日本経済の動向というものをお聞きした上で、あなたがこういうふうになるとおっしゃるときにいまのことをおっしゃるならばいいのですが、その前提がございませんから、どっちも意見の食い違いがあるかもしれない。私はいまのことばには納得しません。明年度以降の予算編成方針というものについてお聞きをしたい。  それから、一口に建設公債、建設公債とおっしゃるけれども、たとえば、いまの一般予算の中に含まれておる、あるいは国だけでなくて地方予算の中にも含まれているたくさんの建設公債に類する地方公債に、水道や下水道や、いろいろなものがございます。あるいは日本の場合には、公社あたりの、ほとんど分離されていないいろいろな公債に類似したものがあるわけです。こういうものはこういうもので、建設公債とほんとうに銘打つなら、こういうものにやっていく方法もまだいろいろあると思うのです。したがって、ただばく然と建設公債を予算の中に占める建設部門に充てるんだ、こういうことでは、ちょうど原子力潜水艦が長崎に一ぺん来て——私は一番先に言いました。一番おんぼろを一番先に持ってきて、あとはサブロックや近代的な核兵器を装備できるものを持ち込むだろう、こういうことを私は言ったことがございます。それはそのとおりなんです。初めからサブロックやポラリスを搭載できるものを持ち込めば、それは佐藤内閣だって拒否せざるを得ないだろう。こういうことは、一ぺんこういうふうに一いまそのことを持ち出さぬとおっしゃいますけれども、このことだけでなくて、日本における軍事公債、公債発行の歴史というものを、ここにありますけれどもごらんになっても、そういうことは明らかなんです。したがって、一たびここでそういうあいまいな条件のもとに私たちが許すと言うならば、日本の経済そのものが本質的に変化を遂げていくということが明らかになってくると私は思うのです。したがって、そういう問題についてお聞きしたいと思いますが、時間がございませんから、私はその意見を述べ、明年度以降の編成方針について、お答えをいただければいいしお答えいただけなければまたあとで質問を続行する、こういうことにしたいと思います。      ————◇—————
  97. 吉田重延

    吉田委員長 この際、谷川和穗君より、中小企業に対する年末金融及び徴税に関する件について発言を求められておりますのでこれを許します。谷川和穗君。
  98. 谷川和穗

    ○谷川委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党三党共同提案による、中小企業に対する年末金融及び年末徴税に関する決議を上程いたし、皆さんの御賛同をいただきたいと存じます。  まず、最初に、案文を朗読いたします。      中小企業に対する年末金融及び徴税に関する件  一、深利な不況が中小企業資金繰りを甚だしく困難にしている実情にかんがみ、政府は、先に決定をみた中小企業に対する年末金融措置の効果を十二分にあげられるよう、財政資金及び民間資金を通じて中小企業に対する年末金融の拡大に格段の努力をすること。  二、中小企業の不渡手形及び企業倒産が高水準に達する等中小企業の経営が極めて困難の度を増している現状にかんがみ、徴税当局は、去る十一月二十日に発せられた国税庁長官通達の趣旨に徹し、年末、年始の税務執行に当っては、甚だしく悪質の場合を除き、調査、検査、滞納処分並びに納税者の呼出等は行なわないよう配意すること。 趣旨を簡単に御説明申し上げます。  本年は、予想外の経済の落ち込みがありまして、特に中小企業の経営はきわめて困難の度を増しておるのであります。特に年末年始は、中小企業者は最も繁忙をきわめる時期であります。こうした情勢の中で、一日も早く経済の不況感が一掃され、充実した明るい新年を迎えることを心から待ち焦がれておるのでありまして、政府としても、この際、年末金融措置の効果を十分ならしめるため、財政資金又び民間資金を通じて、中小企業に対する金融については格段の努力を尽くすべきであると思うのであります。さらに、年末徴税に関しましては、十一月二十日付の国税庁長官の通達は時期を得た適切な措置と認めるのでありますが、なお一そうこの趣旨の徹底を期待いたしたいと思うのであります。  以上の理由から、皆さんの御賛同のもと、本委員会において決議されるよう提案をいたすものであります、(拍手)
  99. 吉田重延

    吉田委員長 ただいま谷川和穗君より、中小企業に対する年末金融及び徴税に関する件について、本委員会において決議されたいとの動議が提出されましたので、本動議について議事を進めます。  討論の申し出がありますので、これを許します、武藤山治君。
  100. 武藤山治

    ○武藤委員 ただいまの三党共同提案になる中小企業に対する年末金融及び徴税に関する決議は、例年行なわれておりますけれども、特に本年は、年の初め以来、中小企業の倒産は連続して記録を更新するような、非常に深刻な事態に見舞われております。こういう事態でありますから、例年の国税庁の通達が本年こそさらに実効あるような特段の配慮をすべきことを強く私たちは要望いたしたいと思うのであります。  さらに、中小企業の金融についても、本年の年初以来、中小企業はたいへんな事態に見舞われているのでありまして、徴税とともに金融の要望は、一そう強くなっておるのが現下の諸情勢であります。したがって、大蔵省銀行局はもちろん、民間金融機関に対しても適切なる、中小企業にあたたかい、思いやりのある配慮を、当委員会としては強く望むところであります。したがって、ただいま谷川君の趣旨説明のありました決議に対し、日本社会党は心から全面的に賛成をいたし、本決議のすみやかなる議決を要望して、賛成討論にいたす次第でございます。(拍手)
  101. 吉田重延

    吉田委員長 これにて討論は終局いたしました。  おはかりいたします。  谷川和穗君提出の動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 吉田重延

    吉田委員長 御異議なしと認めます。よって谷川和穗君提出の動議のごとく決議するに決しました。  なお、本決議は大蔵大臣あて参考送付いたしますから、御了承ください。  本決議について、藤井大蔵政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。藤井大蔵政務次官
  103. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 ただいま満場一致の御決議をいただきました年末金融並びに徴税施行にあたっての御趣旨の点は、全く時宜を得た御鞭撻でございまして、そのお気持ちに徹して万全を期していきたい、このように考えるわけでございますが、この際、すでに徴税の関係につきましては、例年のこともございますけれども、ただいま御発言がございましたように、特にことしは非常にその不況が深刻でございますので、国税庁長官通達によりまして去る十一月の二十日付をもちまして、大体正月を中心といたしまして十日間、特別に必要な事情のない限りは、おい、税務署へ来いとか、あるいはこちらから出かけて調査する、こういったことのないように厳重に手配をいたしております。  同時にまた、中小企業の年末金融につきましては、政府関係中小機関に対して、下半期貸し出し計画八百二十億円、去年よりは二十億円増の追加をいたしておるのをはじめといたしまして、民間金融機関に対しましても七千八百億円、去年は六千億円台でありましたけれども、七千八百億円台の中小企業向け金融の純増を行政指導いたしておるわけでございます。  同時にまた、信用保証事務の推進につきましては、このたびの補正予算審議におはかりをいたしております法律改正、出資の増加、こういった問題につきまして、中小企業の金融特別小口融資に対しましてその金融貸し付け条件の緩和、特にいわゆる納税条件とあるいはまた居住条件、こういたものの緩和をいたすと同時にその貸し付け額を、三十万円から五十万円にふやす、こういったこともやり、同時にまた、新しい保険制度の創設を考えておりまして、無担保で二百万円までは貸し付けができる、こういったことを急いでおります。  同時にまた、連鎖倒産を防止するためにいろいろ手配をいたしておるわけでございますので、せっかくの御決議でございますので一そう万全を期したい、このように考えておる次第でございます。
  104. 吉田重延

    吉田委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後三時一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕