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1966-06-22 第51回国会 衆議院 体育振興に関する特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十二日(水曜日)     午後一時四十八分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 大石 武一君 理事 田中 榮一君    理事 高橋 重信君 理事 前田榮之助君       伊能繁次郎君    上村千一郎君       小川 半次君    海部 俊樹君       佐藤洋之助君    橋本龍太郎君       八木 徹雄君    佐藤觀次郎君       栗山 礼行君  出席政府委員         文部事務官         (体育局長)  西田  剛君  委員外出席者         厚生事務官         (国立公園局管         理課長)    岸野 駿太君         労働事務官         (労政局福祉共         済課長)    長谷川 操君         建設事務官         (河川局河川総         務課長)    粟屋 敏信君     ————————————— 六月二十二日  委員小平忠君辞任につき、その補欠として栗山  礼行君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  体育振興に関する件(国民の健康、体力つくり  に関する問題)  河川敷地の開放に関する件      ————◇—————
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  体育振興に関する件について調査を行ないます。  国民の健康、体力つくりに関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。田中榮一君。
  3. 田中榮一

    田中(榮)委員 私は、国民体位向上につきまして、国民のごく一部でございますが、いわゆる勤労青少年体位向上につきまして一言質問をしてみたいと思うのであります。  最近、主として恵まれざる家庭子弟が多いと思うのでありますが、その恵まれざる家庭子弟が、昼間におきましていわゆる勤労青少年として職場において働き、そして夜間学校に通う、いわゆる夜学校に通って勉学をいたし、そのかたわら、やはり青少年の元気な気持ち体力をはくために相当スポーツにいそしんでおりますいわゆる定時制高等学校生徒が非常に多くなってまいりました。このことは勤労青少年体位向上のためにもまことに奨励すべきことであるのでありますが、ただ、気の毒なことには、これらの勤労青少年は、勤務ということと勉学ということとスポーツ、この三つのものをやるのでありますので、全日制高等学校青少年との関係から比較いたしますと、非常に制約をせられまして、スポーツに対しても、これを訓練をする時間、あるいはその大会参加する機会、あるいはまた大会参加する年齢等におきましてもきわめて制限を受けまして、非常に気の毒な状況であるのであります。私自身も、少年のころに、昼間つとめて、夜間学校に行って、そして夜学校柔道訓練しておったのであります。六時から三時間勉学しまして、九時に終わり、九時から十時まで、学校了解を得まして学校体育場を使って一時間柔道練習をしておったのであります。夜の九時から十時までの一時間の柔道練習というものは、一日遊んでおった少年ならばそうでもないのでありますが、一日勤労をして、三時間勉学をし、そして一時間柔道をするということは相当からだにこたえたわけでありますが、しかし、夜間学校生徒は非常にまじめで、やはり一時間の柔道をみっちりやりまして、その学校の昼間の生徒練習試合をやっても絶対に一歩もひけをとらなかったということもあったのであります。そういうことで、私は、年々これから定時制高等学校生徒もふえていくと思うのでありますが、念のために、三十八年、三十九年、四十年の全国定時制高等学校生徒数というものは何名くらいおりまするか、大体の数でけっこうでございまするが、体育とは関係ないかもしれませんが、ちょっとお知らせ願いたいと思うのであります。
  4. 西田剛

    西田政府委員 定時制生徒年次数字でございますが、三十八年が、国、公、私立を合わせまして四十五万九千九百四十七名、それから、三十九年が四十八万二千百五十七名、四十年が五十一万四千三百二名、こういうふうな数字でございます。漸増しておるような事情でございます。
  5. 田中榮一

    田中(榮)委員 三十八年が四十五万九千名、約四十六万名です。それから、三十九年が四十八万、四十年が五十一万四千三百。そういたしますと、四十一年におきましては少なくとも五十三万以上に達するのではないかと私は思っております。これは公立、私立の男女を合わせた高等学校生徒数でございまするが、このように年々二、三万ずつ高等学校生徒がふえてまいります。ふえてまいりますと同時に、このまじめないわゆる定時制高等学校生徒が、やはり体育というものに相当意を用いまして、夜間高等学校でありまするが、相当体育にいそしみまして、最近におきましては全国的な野球大会、あるいはまた本年度におきましては新たに陸上競技あるいは自転車競技というようなものも全国的に開催をいたしたいというように、いわゆる高体連高等学校体育連盟援助のもとに、全国的な陸上競技を行ないたい、これは新しく計画されたものでございます。また、昼間勤務しておりまする関係上、自転車等も実用的に使っておりまするので、自転車競技ということも、いわゆる自転車競技連盟等援助を得て、本年度から新しく行なうということでございまするが、私は、こうした体育連盟大会におきましても、全日制生徒定時制生徒との間におきまして、どうしても体位の格差というものが若干あるのではないかと思います。全日制生徒と異なりまして、いわゆる定時制生徒は、いろいろ家庭事情からいたしまして、入学の時期あるいは就学の時期と申しますか、そういうことも年次が一年くらいずれたりなにかいたします。どうしても全日制高等学校生徒と同じ年齢進学するということが非常に困難な場合がありまして、一年あるいは二年とずれるわけであります。現在の法規上からしましたならば、年齢がおくれても定時制高等学校入学は差しつかえないというたてまえになっておりますので、どうしても年齢が少し高まるわけであります。そうした場合におきまして、いわゆる全日制高等学校生徒との試合参加する場合におきまして、定時制生徒年齢が高いために年齢制限ということによって競技への参加が拒否される、年齢制限によって競技参加できないというような場合が往々にしてあるわけでありますが、勤労青年でありますので、年齢が多少高くなるということは、家庭事情なり諸種の事情からやむを得ないと思うのであります。そうした場合に、いわゆる高体連のほうにおいてこうした年齢制限について若干の考慮はできぬのであるかどうか。これは文部省そのものの主催あるいは文部省自体の行なっておる競技ではないのでありますから、文部省がどうのこうのという命令はできないのでありまするが、文部当局として、こうしたことに対していかなる御感想をお持ちであるか、また、将来こうしたことについて多少緩和させたいという御意思があるのであるか、その辺について承りたいと思います。
  6. 西田剛

    西田政府委員 ただいま定時制高校生徒につきましていろいろと貴重な御意見をいただきましたが、現在の高等学校生徒全国で三百八十万ばかりになりますが、そのうち約一四%に当たります五十一万の生徒定時制に学んでおるというような状況でございます。定時制高校、特に夜間生徒は、いわゆる働きながら学ぶという勤労青少年でありまして、さような面から特別に配慮してまいる必要があるのではないかというふうに考えております。  ただいまもお話がありましたように、私ども調べによりますと、定時制生徒体位体力は、総体的に見まして全日制のそれと比してやや劣っておるというような実情でございます。これをやや詳しく申し上げますと、たとえば、十七歳で見ますと、身長でも二センチばかり低い。体重も、男子の場合ですと一キロばかり少ない。女子の場合は、総じて、ほとんど差がないか、むしろ働く定時制の子供のほうがいいというような事情もございますが、男子で見ますと明らかにさような開きがございます。また、運動能力につきましても、たとえば走跳投、こういう面では全日制に比してやはりやや劣っておるという結果が出ております。ただ、背筋力とか握力というようなものにつきましては、むしろ勤労青年であります定時制生徒のほうがやや有利であるというような特徴も見られるような状況でございます。  いずれにいたしましても、これらの生徒は、昼間は働き、そして夜間は学ぶという状況で、健康上十分留意をすべき状態でございますが、考え方によりますと、定時制高校生徒がさように昼働いて夜またスポーツをやるというようなことは過重ではないかというような意見もあるわけでございますけれども、私ども調査によりますと、かえって定時制生徒スポーツに非常なあこがれを持っておる、そして、気分転換というような意味で、あるいは仲間つくりというような意味スポーツへのあこがれが非常に強い、ある意味では、その生徒欲求度というような点から見ますと、全日制生徒以上に定時制生徒のほうが強いというような事情も見られます。さような点から、私どもといたしましては、定時制高校体育振興についてはできるだけ力を入れてまいりたいというふうに考えております。  ただ、ただいまお話のありましたように、全国大会的な催し、これについて年齢制限をしておるようであります。高等学校全体の体育振興のための自主的な団体高等学校体育連盟というものがございますが、そこでは、一応定時制もその傘下に入れまして全日制と同様に取り扱っておるわけで、そこのルールによりますと、年齢制限は、私どもの承知している範囲では、普通の高等学校に一年を加えました十九歳までを一応の制限としてやっておるような事情も承知いたしております。スポーツ種目によりましては、特に個人種目あたりでは、年齢ということが競技の上で相当大きなウエートを占めますので、これらの点につきまして、はたして年齢を上げるのがいいのかどうかというような問題がございますが、私ども調べでは、定時制高校生徒でも、特に十九歳以上の者はそう多くございません。ただ、東京の場合にはある程度の数になっておるようでございますし、特に二十一歳あるいは二歳あたりスポーツに熱心な生徒も相当おるというような事情を聞いております。さような意味から申しますと、一応定時制生徒である限りは同一に扱って、年齢制限というようなことは多少緩和してはというような意見もあり得るわけでございますが、高体連におきましては、さような点もいろいろと従来から検討し、かつ教育的な配慮も加えまして一応実施しておるような状況と承知いたしております。ただいま先生からのお話もございましたように、事柄自体高体連が教育的な配慮のもとに自主的にきめていく性質のものであると存じますので、お話のように、文部省からかれこれと言う筋合いではありませんが、可能な限り——種目によりましては、たとえばチームゲームでは、一人か二人年齢のいった者がおっても大勢に影響はないけれども柔道あたりですと、年齢が十九か二十一かでずいぶん違うということで、一律にはまいらないかもしれませんけれども、一応高等学校生徒であるということで、種目によりましては、なるべくさような差別制限を緩和いたしまして、多くの夜間定時制生徒参加できるような方向で検討していくのがいいのではないかというふうに考えております。
  7. 田中榮一

    田中(榮)委員 よくわかったのでありますが、実は、高体連年齢制限をしたというのは、私はよくわかりませんけれども、若干こういう事情があったのではないかと思うのであります。たとえば、野球選手で非常に優秀な選手がその学校に一人か二人おった、その生徒がおるためにその学校野球優勝する力があるといった場合におきまして、その生徒了解を得て進学を一年延ばすとか、あるいはまた卒業を一年延ばすとか、故意に、そうした年齢を上回ったような生徒に対してその学校優勝のために意識的に操作をされたというような悪い例があったために、そうした年齢制限をしたのではないかと思うのでありますが、私の考えでは、いわゆる定時制学校においては、優勝とかなんとかいうことは全然考えておりませんし、その生徒が気の毒な家庭事情によって入学がおくれたりあるいは進学がおくれたりする場合がございまして、その競技のために進学をおくらせる、卒業をおくらせるというような、学校当局の悪意的なあるいは故意操作のためではないと思うのであります。したがって、私は、少なくとも定通制生徒スポーツ大会参加に関する年齢制限は、五年も六年もということはどうかと思うのでありますが、全日制学校とはある程度違いますので、若干の年齢制限の緩和は必要じゃないか。これは、定通制学校の全体の生徒スポーツの意欲を増進し、また士気を鼓舞する上においても、そうした思いやりが必要ではないかと考えておるわけであります。そういう意味において、この点は自主的に高体連がやるわけでありますから、文部省がああせいこうせいという指揮命令はできぬと思うのでありますが、高体連が自主的にきめる場合においてはこういう点も考慮したらどうかという点を、参考に意見具申くらいはしていただければたいへんありがたいと思うのであります。  それから、先ほど申しましたごとくに、定通制、いわゆる定時制通信教育生徒全国スポーツ大会は、例年野球をやっております。それから、本年から新たに陸上競技自転車競技をこれに加えることになったのでありますが、やがて柔道全国的にやりたいという希望があるわけであります。こうした場合に、やはり高体連傘下に入ってどうしてもやらなくてはならぬということでありますが、将来競技種目が次第に独立してくるということになりますと、高体連とは別に、いわゆる定体連といいますか、そういう組織でやっていくべきではないか。現在東京都下におきましては東京定体連定時制体育連盟というものが独立してできております。全国的には定体連というものができておるかどうか私も存じませんが、今後高体連定体連というものがある程度並行してやる。競技種目がどんどんふえてまいりますと、やはり定体連——それは三百八十万対五十一万で人数は少ないけれども、五十一万という全国的な生徒の数をかかえておる定時制学校組織でありまして、これが六十万、七十万になるのでありますから、定時制高等学校体育連盟という全国的なものが当然組織され、これが自主的に指導権を取って体育の奨励に当たっていかなければならぬと考えておりますが、その辺文部省としてはいかにお考えでしょうか。御意見を伺いたいと思います。
  8. 西田剛

    西田政府委員 ただいまの定時制関係体育大会をやることと、それから全日制も含めました大会をやることとの関係でございますが、まず、定時制中心とした体育連盟が、他の全日制高校を対象にし定時制も含めましてやっておるものから離れて、別立てになっておるものが、たとえば東京の例につきまして先生からお話がありましたが、そのほかに四県ばかりございます。ただ、そうした場合、お話のように、たとえば野球とか陸上とか自転車とか、さらには柔道というようなことも計画があるようにお聞きいたしておりますが、そのような種目別にはすでに高体連の全日制のものとは別建てにやっておるというような経緯もあるので、組織別建てにしてはどうかというような御意見でございますけれども、ただいまの現状では、定時制高校も全日制高校も同様に高体連傘下に入って、差別なしにやっておるというような現状でございます。これを区別してやることがはたしていいかどうかというような点は、教育的にもいろいろ問題があるわけでございます。また、実際に、大会をやった場合に、はたして見ばえがし、刺激になり、あるいは生徒が非常に希望する形でうまくいくかどうか、これはなかなかむずかしいところでして、水準も全日制よりはやや劣りましょうし、そうしたところに、観客にもなしにやるということがはたしていいかどうかという問題もあろうかと思います。また、考え方によりましては、もともと定時制生徒というものは多少無理がある。昼働いてきて夜は勉強もする。さらにこのスポーツに親しんで健康を維持増進していきたいという気持ちがある。この三本建てでいこうとするところに相当無理がある。そういう生活環境にある定時制生徒中心全国的な競技というようなものを一般の全日制と同じように考えていくことが、はたして生徒のしあわせになるかどうか。これは種目生活環境等々と結びつく関係もありまして、いま先生からお話のありました種目などは、やや定時制にもなじみやすい種目だと思います。自転車なんか特にそうだと思います。そういう点の配慮考慮の上検討さるべき問題ではなかろうかというふうに思います。  いずれにいたしましても、定時制関係生徒スポーツに非常にあこがれておる、やりたがっておる。そうして、やる限りは、その記録とか、そういうこととは別に、できるだけ鼓舞激励していくような方法は奨励していきたいというような考えでおりますが、そのために、はたして別建てでいくほうがいいかどうか、傘下になって一緒にいくほうがいいのか、これは経費関係もいろいろからまることでございますから、十分高体連においてそうした定時制特殊性というものを考慮した上で心あたたかい検討をしていただくのが望ましいのじゃないかというふうに思います。  それから、補助につきましては、スポーツ関係では、野球のほかに陸上競技自転車につきまして、自転車振興会のほうから補助が出る。陸上競技ですと二百万ばかり、それから自転車関係ですと百七十万近い補助といいますか援助が出ているわけでございます。それらにつきましては、文部省も関連をして、できるだけ多くその方面にさいてもらいたいということで、ことしはさような現状になっておるわけでございます。
  9. 田中榮一

    田中(榮)委員 たまたま競技会の物質的な援助の問題、助成の問題になってまいりましたので、これに関連しまして一言お尋ねしたいと思うのでありますが、全日制高等学校全国大会と申しますか、たとえば野球大会であるとか、バスケットであるとか、バレーであるとか、陸上競技であるとか、そうした全国的の大会が開かれたときに、国体なんかは別でありまするが、文部省当局として直接こうした大会に予算的な財政的な助成をされるようなことがあるのかどうか。  それからまた、もう一つは、後援という名義を貸すとか、援助助成とか、そういった応援をするとか後援をするとか、そういうような場合があり得るかどうか、ちょっとお尋ねしてみたいと思うのです。
  10. 西田剛

    西田政府委員 高体連のほうの全国大会は三十種目ばかりにわたりまして実施されておりますが、これは最近の傾向では総合体育大会ということで全種目を大体数県に集中しまして実施していくというやり方でやっておるようでございますが、この高等学校の各種目を含めての総合体育大会に対する経費補助として、国から一千二百万円の補助を出しております。そうして、その高等学校総合体育大会に対しましては文部省といたしましても後援をいたしておるような実情でございます。
  11. 田中榮一

    田中(榮)委員 高体連総合体育大会には文部省として一千二百万円の助成をしていただいておるのでありまするが、将来定体連でこうした総合体育大会が開催されたときに、やはり文部省としても高体連と同様に財政的援助をしていただけるものであるかどうか、その辺の御意向を承っておきたいと思うのですが、その規模とか、そういうものはまた別としまして。
  12. 西田剛

    西田政府委員 先ほど来申し上げましたように、一応現段階では、定時制高等学校生徒大会は全日制生徒大会傘下に入りまして、平等の扱いで高等学校体育大会が行なわれておる現状でございます。そうして、ややそれと別建て組織がなっておる県が数県あるというような状況でございます。今後どういうふうな進み方をするかは自主的に高体連検討していただくことになろうかと思いますが、先ほど来申し上げましたように、定時制生徒特殊事情生活環境というようなものもございましょうから、はたして定時制生徒全国的な大会というものを望ましいこととして進めていくことがいいのかどうかというような点も、あわせて十分検討さるべきことではなかろうかと思います。ただ、現実の問題として、組織が別になって大会をやるというようなことにかりに自主的に話がまとまるというようなことでありますれば、その段階十分検討をいたしたい、こういうふうに考えております。
  13. 田中榮一

    田中(榮)委員 それでは、もう一言お伺いしますが、一千二百万円を高体連総合体育大会のほうへ支出していただいておるのですが、現在の定時制体育大会というものが高体連傘下に行なわれ、それに参加しておる場合においては、その体育大会に対しては一千二百万円の助成費がこれに一応支出されておる、こう考えてよろしいわけですね。
  14. 西田剛

    西田政府委員 さようにお考え願ってけっこうでございますが、実際問題としては、全国的な大会ですから、それまでに定時制生徒参加できるものが、決勝なり、チームゲームによりましては地域的なあれもありましょうし、あるいは、陸上で言えばその県を代表してといったようなことになりますから、その中に入ってくれば当然に使われるということになりまして、それぞれの定時制学校に幾らやるというようなやり方でございません。したがいまして、高体連総合大会のある種目によりましては、定時制生徒でもなかなかいい成績でもとより参加してまいりますが、総じて言えば、定時制のほうから全国的の大会参加する率は全日制に比して低い、こういうふうに考えられますけれども、全体としては一千二百万円は平等に流されておるというふうに考えていただいてけっこうであります。
  15. 田中榮一

    田中(榮)委員 それでは次に移りたいと存じますが、こうした財政的な援助というものは、後援という名前をいただくこともたいへんけっこうですけれども、何と申しましても、スポーツ団体学校スポーツというものは、どこに参りましても、われわれ聞いてみますと、とにかく金が足りなくて、訓練もできない、練習もさせられない、運動器具も十分買えないというのがざらでありまして、ことに夜間学校のごときは、とかく運動器具も十分でないし、また練習の期間もちぐはぐになってできないし、非常に不利な状態に置かれてあると思うのであります。そこで、いまお話しのように全日制総合体育大会に千二百万円の金が出るわけでありますが、実は、体育特別委員会有志議員、そのほか自民、社会民社関係スポーツに非常に関心を持っておる議員の方々が、過般来、競馬法を改正しまして、そうして競馬を年に二回くらいよけいに開催して、そうして、その利益金を、ある公益団体をつくって、あるいは民法にいうところの財団法人のようなものをつくって、それにその利益金を交付して、その財団法人が適当なるスポーツ団体あるいはスポーツ事業に対して、あるいはスポーツ施設に対して援助したらどうかという意見がまとまっておるのでありますが、私は、将来こうしたものができたときに、いまの定時制高等学校体育大会とかそうしたものに、文部省自体が直接助成金を交付できないような場合においては、いわゆる公益団体がこうしたものに助成金でも出すような道を講じたならば、いわゆる学校スポーツ民間スポーツ振興のための一つのてこになるんじゃないかと思うのでございます。これは文部省にお伺いすることはどうかと思いますが、その点について文部当局としての御意向を一ぺん承っておきたいと思います。
  16. 西田剛

    西田政府委員 学校スポーツ、あるいは社会スポーツも含めまして、これが振興をはかるために、それらの各種の事業あるいは施設につきまして、その財源をたとえば競馬の益金というような方法で考えるのはいかがかというような御趣旨の御質問かと思いますが、もとより、国といたしましても、学校の施設はもとよりのこと、社会の施設につきましても、国が直接に補助をしていく、そうして設置者である市町村に公的な施設をつくっていただくのは望ましいのですけれども、何と申しましても限度もありましょうし、特に大会等の事業系統の経費につきましては、国の補助として出す性質にはやや似つかわしくないものもあり得ましょうから、さような意味を広くカバーするという意味で、たとえば、ただいまお話のありました競馬法の改正による益金を目当てにいたしまして考えるというようなことは、非常に望ましい一つ体育振興の方法ではなかろうか、かように考えております。
  17. 田中榮一

    田中(榮)委員 たとえば、この定時制生徒体育大会について、自転車競技大会なんかに自転車振興会から援助金をいただくことは、これは筋が通っていいと思うのですけれども、そのほかのスポーツにまで自転車振興会から援助を賜わるということは、どうもわれわれとしてはちょっと筋が通らないような感じがして、自転車振興会でも請求されるからしかたがないからお渡しするというようなかっこうじゃないかと思うのですが、こういう際に、私がいま申し上げたような一つ公益団体ができておるならば、そういうところからこういうスポーツ団体に対して、あるいは学校スポーツの奨励のために奨励金でも出してやったならばたいへんけっこうじゃないか、こういう意味で実は御質問したわけであります。  それから、次にもう一つ御質問したいのは、現在定時制体育連盟で、東京都だけは定体連としてある程度体を整えて、ほかの県にも四県ほどあるそうでありますが、これはきわめて組織が小さいものじゃないかと思うのです。形を整えたものは、東京都の教育委員会が指導をしていまできております定時制体育連盟、いわゆる東京定体連というものがある程度形をなしておると思うのですが、これは西田体育局長にお聞きするのはどうかと思って、きょうは実は体育協会の方に来ていただきたいと思ったのだけれども委員会が議決をしていないから体育協会をお呼びすることはできないということで、しかたがないから西田体育局長にお伺いするのですけれども、いろいろの援助をしたりなんかする場合において、東京体育連盟、いわゆる定時制体育連盟では、全国的な定体連の資格がないから、体育協会としてはそんなものは認めぬというか、いろいろ援助の対象にならぬという話なんでありますが、私は、東京都というこの大きな首都の定体連というものは、いま全国的のものができてないのですから、これに匹敵するような大きなものですから、やはり体育協会というものは、全国的であろうと何であろうと、東京都の定体連というものはやはり一つの独立したものとして認めてしかるべきじゃないか、こう思うのでありますが、いかがでありますか。
  18. 西田剛

    西田政府委員 体育協会で高体連全国大会あたりに国と同じように援助を多少いたしているようでございますが、その場合に、いわゆる東京都に限られた定時制定体連といいますか、そういうものが中心になって事業をやる場合に、全国的な措置と同じように考えるのが筋じゃないかというような御質問かと思いますけれども、やはり、補助あるいは援助する立場になりますれば、一県単位の事業にまで手をおろしますと、これに関連したいろんな事業が出てくるわけでございまして、そこで、それらの関係から、いまの体協の運営費の実情から、そこまで手が伸びないというのが実情ではなかろうかというふうに考えます。
  19. 田中榮一

    田中(榮)委員 わかりました。東京都一単位では全国単位と違うからだめだということだろうと思うのでありますが、しかし、それはそれとして、いわゆる定体連が将来大同団結して全国のものをつくる場合の一つの布石でありますから、私は、体育協会としてもそういう気持ちでこれを大いに指導し育成していく必要があろうかと存じております。  それから、次にお伺いしたいのは、お伺いというより、むしろこれは文部省から高体連関係者の方々にもお伝え願いたいのですが、幸いにただいまは定時制の各スポーツ大会におきまして高体連の役員の各位が非常な熱意を持って御協力をいただいています。たとえば、野球にいたしましても審判員を供出したり、そのほか陸上競技にしましても審判員を喜んで出している。とても定時制学校だけではまかない切れません。そういう場合におきましては、全部全日制学校体育先生方が非常な熱意を持って協力をしていただいておりますので、幸いにただいまは定時制学校体育大会も何ら支障なく行なわれておりますことは、私は非常に喜ばしいことだと思っております。この機運、この気持ちを将来長く持続していただいて、今後ともこういう全日制学校先生方の一そうの協力をわれわれは期待しているわけでありますが、ぜひとも文部当局としても、そのことについてひとつ全日制関係者の方々にもこの点の一そうの協力方を御勧奨願えれば幸いであります。  次にお伺いしたいのは、現在の定時制学校生徒体位が、いまお話しのように、男子が満十七歳において全日制よりは二センチ背が低い、それから体重では一キロぐらい軽いのではないか、しかし握力等は相当強いんだというお話であります。優劣はあると思いまするが、私は、全日制生徒よりは体位は比較的全体として劣っておるのではないかと思います。そこで、定時制生徒体力向上増進をはかるためには、私は、どうしても完全な優秀なる給食の施設を講じてやることが、ある程度それを改善してやることに一番役立つのではないかと思っております。  そこで、現在どういうことになっておるかと申しますと、東京都内におきましても、四百名以上の生徒を有する学校について、調理室をつくる場合において、東京都は百六十万円の助成を出しておる。いわゆる地方公共団体の公費で百六十万円の助成を出しておる。なお足らざる分はPTAで負担をして、施設の改善をやっているということであります。しかし、残念ながら、食堂のある夜学校というものは十学校あるかないかじゃないかということでありまするが、私は、体位向上は、どうしても食の改善、栄養食をとらせるということにあるのではないかと思うのでありまするが、そういう点につきまして、全国的に夜学校で現在給食をやっておるところは何校ぐらいあるか、ちょっと数字がわかりましたならばお知らせ願いたいと思うのであります。
  20. 西田剛

    西田政府委員 ただいまの御質問で、定時制で夜学で給食をやっているという、昼夜間の区別したものはございませんが、ほとんどの場合夜間定時制がおもでございますから、全体数で把握いたしますと、全校の千五百十校中千三百十校ということで、八六・七%が学校給食を実施しておる。そのうち、完全給食をやっておるのは二三・七%、それから、いわゆる小夜食といいますか、国の補助と地方公共団体補助によって無償で給食されておるわけですが、これが六三%でございます。それが全国的な平均でございます。東京の場合は、これが全く逆でございまして、完全給食のほうが七三%近く、小夜食のほうが二七%、こういう現状でございます。
  21. 田中榮一

    田中(榮)委員 私の数字はたいへん間違っておりまして、いまお聞きしたような数字であるとするならば、たいへんけっこうな状態であると私は思います。  そこで、現在の夜間学校に対する完全給食というものが二三・七%とお聞きしたのでありますが、やはり、給食施設をやるとするならば、ある程度完全給食のパーセンテージを少しでも高めていく必要があるのではないかと思っていますが、これは文部省としても完全給食を少しずつ高めるというような意欲を持っておられるのであるかどうか、その努力をされておるかどうか、その辺をひとつお伺いしておきたいと思います。
  22. 西田剛

    西田政府委員 文部省としては、完全給食が望ましいと考え東京都が各段の努力によりまして全国平均とは逆に完全給食のほうが非常に高率を占めておるという現状は、非常に望ましいことと考えておる次第でございます。
  23. 田中榮一

    田中(榮)委員 この点はぜひ、夜間学校生徒体力向上のために、完全給食の率をできるだけ向上していくように希望してやまない次第であります。  次にお伺いしたいのは、夜間学校におけるスポーツの施設の問題でありますが、運動場並びに照明施設の問題であります。何と申しましても、柔道なんかは屋内の体育場を使用すればいいのでありますが、陸上競技とかその他のものになりますと、どうしても屋外の運動場を使用しなければならぬという関係で、どうしても照明が必要になります。現在、照明施設に対しましては、国が三分の一、地方庁が三分の二の補助を出しておるわけでありますが、国が補助を出しても地方庁がなかなか補助を出してくれないという場合もあり得るということを聞いておりますが、現在全国的に照明施設の普及状況はどういう状況になっておりますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  24. 西田剛

    西田政府委員 夜間定時制学校は、主として大規模の全日制高等学校に併置されている場合が大部分でございます。したがいまして、体育館も、全国高等学校における体育館の保有率平均約八〇%をこえている現状でございます。体育館の場合には大体夜間照明のあるのが普通でございます。そこで、文部省といたしましては、運動場のほうも何か照明をして子供たちが伸び伸びと球技その他ができるようにしてやりたいということで、数年来夜間定時制高校における校庭に照明施設をつくるということで補助金を出すことにしております。すでに四、五年たちますけれども、昨年再検討をいたしました結果、生徒数が二百人以上の規模の学校は約六百六十ばかりございますが、そのうち校庭に夜間照明施設があるものは三九・一%というのが三十九年の実態でございます。それで、残りの約四百校につきまして五年計画でこれを整備しようということで、ことしは二年目になっております。ことしの予算としては、五千四十万円という経費で約八十四校の計画をいたしておるような次第でございます。  そして、ただいまお話のありましたように、かような場合、補助率が三分の一ということで、市町村ではちょっと持ちかねるのではないかという趣旨のお尋ねがございましたが、実情では、この八十四校の計画に対して申し出は多少多いくらいでございまして、いまのところ、三分の一の補助では無理なので設置が行なわれないという実情はございませんが、でき得るならば、かような特殊の夜間定時制ということでございますから、補助率も将来の問題としては検討していきたいと考えております。
  25. 田中榮一

    田中(榮)委員 夜間学校生徒スポーツを奨励するために一番問題なのは、この照明施設でございます。いまお聞きしますと、五カ年計画で、本年は五千万円の予算を獲得されて八十四校の設備を改善する予定になっておるそうでありまして、これは非常にけっこうなことと思います。ただ、私の聞いた範囲におきましては、国がせっかく三分の一の助成金を出すのですが、どうも地方庁としましては、経費多端のおりから、夜間学校生徒のための照明までは手が届かぬというようなことで、なかなか経費の支出にしぶるというような向きもないではないということを聞いておりますので、こういう点は、三分の一より二分の一のほうがいい。できれば全額やってやればいいのでしょうけれども、そういうことはできませんので、まず三分の一よりは二分の一くらいの援助をやって、その半額を地方庁が負担する、地元負担というのは二分の一というくらいにやっていただければ、たいへんいいのではないかと思います。  それから、PTAの関係ですが、定時制学校のPTAの気持ちでありますが、私は、全日制生徒のPTAの考え方と、それから定時制のPTAのものの考え方が、あるいは失礼な言い分であるかもしれぬが、少し違うのじゃないかと思うのです。と申しますのは、定時制生徒というのは昼間勤務しています。これはもう社会生活に一歩踏み込んでおるわけですね。あるいは会社に雇われたり、あるいは工場で働いておったり、中小企業で働いておって、そして学校に行くわけですから、そのままずっとその会社におって将来あるいは係長になり課長になっていくという可能性がある。将来自分が大学を出て、そしてまたほかの大きな会社に勤務するというような意欲がない。また、当然、その中小企業の企業者、御主人から学費を出してもらって学校に行っておるという者も相当あると思うのです。したがって、そのPTAというものも、昼間の学校のおとうさん、おかあさんであるならば、自分の子供が将来上級学校入学して、あるいは大学に入って一流の会社に入るのだというような一つの夢を持ち希望を持ってやるために、その世話になっている学校に対しても、ある程度物質的の負担もやりましょう、しかたないから負担いたしましょう、場合によってはこれだけの財政的の援助をいたしましょうという意欲があるのでありますが、どうも定時制学校生徒のPTAになりますと、その辺の気持ちが少し違うのじゃないか。したがって、いたずらに定時制学校のPTAに負担をうんとかけるということは、自分のせがれあるいは娘を十七、八歳からつとめさせるという家庭事情等も考えますと、そう物質的に大きな負担もかけられないということでありまして、そういう点で、PTAなんかの負担も非常に大きな期待をかけることができないわけであります。そういう点から申しましても、PTAの負担もできませんので、できればやはりこれは国なり公共団体が施設の改善整備については負担してやらなければなるまい、こう思うのであります。そのために、将来文部省が三分の一の国庫補助をできればひとつ二分の一に補助率を引き上げていただく。そうすれば、定時制学校夜間施設、照明施設等ももっともっと普及されてりっぱなものができるのじゃないか。これはいずれ照明施設だけでなくて給食施設に対してもやはりそういった問題がどんどんできてくるのじゃないか、こう思うわけでありますが、それについてひとつ文部省の決意を伺って、そして私の質問を終わりたいと思います。
  26. 西田剛

    西田政府委員 だんだんのお話、ごもっともと存じます。定時制生徒のPTA、父兄は、一般に家庭の財力も低いし、また、ただいまお話のありましたように、子供に夢をかけてそれに投資するというような気持ちで、上級学校その他のこともあるから大いに学校にはサービスしようというような気持ちも、あるいはある面では全日制よりも多少劣るような面もあろうかと思いますけれども、問題は、この体育施設あたりを整備するにあたっては国の補助が三分の一では少な過ぎはしないかということが焦点でございますが、私どもといたしましては、一応プール等の補助率はスポーツ振興法で三分の一と制定されておりますので、これを直すためにはやはり一応振興法を改正するという手続が必要かと思います。それよりもまず、三分の一というのは、高等学校一般に対する、いわゆる義務教育でない範囲の学校に対してはなべて三分の一というルールが一つございます。したがって、これを改正していくということは、それらの関連もありまして非常に問題のあるところではなかろうかと思います。三分の一かりに国が持って、残りの三分の二を公共団体が負担するという場合に、それが無理かどうかという問題にかかってくるので、これは市町村設置者あるいは都道府県設置者の熱意によって解決する問題ではなかろうか、私はこういうふうに考えております。それから、給食の場合などには多少単価が低くてどうしてもPTAに多少仰がなければ無理があるという面もありますが、夜間照明等の場合には予算上の単価その他にも無理がないのが実情でございますから、せめて三分の二は設置者である公共団体がぜひ持ってもらいたい、そのくらいの定時制に対する熱意と応援をぜひ期待したい、こういうふうに考えております。  〔委員長退席、田中(榮)委員長代理着席〕
  27. 田中榮一

    田中(榮)委員長代理 栗山礼行君。
  28. 栗山礼行

    栗山委員 体育振興特別委員会も五十一国会ではきょうが終盤ということでありまして、若干雑件をお伺いいたしたいと用意をいたしておったのでありますけれども、御出席をいただけない関係等もございまして、御出席をいただいております関係方面の二、三についてお伺いをいたしたいと思います。  まず最初に西田体育局長にお伺いを申し上げたいのであります。あとでまだ佐藤先生もお待ちのようであります。できるだけ簡潔にいたしたいと思っております。  直接体育局長の所管でございませんが、しかし、間接において関連いたすかと思いますので、御了承いただきたいと思います。私、手元に資料がございませんので、あるいは若干明確さを欠く点があろうかと思いますが、たしか、占領中におきまして、二十二年か三年に次官通達をもちまして、小中学校体育競技の対校試合は禁止をするという通達がされたと思うのであります。これはもちろん、小中学校の児童の体育上の問題に重要な影響が存在すると思いますので、十分御承知であろうかと思うのでありますけれども、私の記憶によりますと、いまなお何らこれが改変された通達等を公式に承知をいたしておらないのであります。体育局長はこの問題についてどのように把握されていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  29. 西田剛

    西田政府委員 児童生徒の対外競技の禁止通達でございますが、これはお話のように二十三年に次官通達をもって出されております。その後多少緩和をいたしてまいっておりますけれども、現に通達は生きておる現状でございます。その趣旨とするところは、小学校、中学校段階では、まだ子供の発達段階にあるので、子供の心身の発達上、全国大会をやるというようなことには無理があるというのが一つの理由でございます。むしろ、そうした競技参加するというようなことよりも、子供の基礎的な体力つくり、オールラウンドにからだをきたえていくということが小中学校段階では特に必要だ、こういうふうな観点に立っておるわけでございます。第二点は、義務教育の段階でございますので、特に大会参加するということになって経費がかかるというようなことになりますと、これはPTAの負担その他、義務制の場合ですと非常に問題があり得るわけで、かような面からも、むしろ全国的な大会に小学校、中学校の者が参加するのは望ましくないという考え方一つは立っておるわけでございます。いま一つは、体育全体の問題ですけれども、どうしても、対外競技をやるということになりますと、いわゆる小さな豆選手の養成ということに先生方は力を注ぐということになりまして、本来一般の子供を放課後その他に全体として見てやるべき先生が、どうしてもそこまで手が回らぬようになる、どちらかというと運動部に所属する子供だけの世話に追われてしまう、こういうふうな欠陥があらわでございます。かような点を考慮いたしまして次官通達をいたしておる次第でございまして、事柄の性質と基本的な観念につきましては、私ども、従来と趣旨は変わっておりませんし、この通達は必要であろう、かように考えております。ただ、なろうことならば、自主的に小学校、中学校とも先生方及び校長先生方の良識でそういうものはもう次官通達がなくても守っていけるというようなことにでもなりますれば、かような通達は、性質としてわれわれもあまり望ましい性質の通達とは思っておりませんから、自主的にさような線が確保されてやっていけるということであれば、これは近い将来に撤回していきたいというような考え方でございます。
  30. 栗山礼行

    栗山委員 その後若干の緩和の方向の通達でありますか指示事項ということで示しておる、こういう御説明をいただいたのでありますが、具体的に、次官通達に対する緩和の時期と内容について、どのように指示をされたか伺いたい。
  31. 西田剛

    西田政府委員 これは、一般論として小中学校段階では対外競技は早過ぎる、むしろ基礎体力つくりに重点を置くべきだということでありました。ところが、水泳とかあるいはフィギュアみたいなものにつきましては、これは年齢層がやや早いときに最高水準が出るというような特殊な事情がございますし、そうして、さような競技につきましては、どちらかといいますと、子供に対する負荷も他の競技に比して少ないというようなこともありまして、たとえば水泳につきまして、小学生なり中学生で相当の気力があり、体力もあり、そして学校の体制も補習等で授業のおくれをカバーできるというような条件の整っておる場合には全国大会参加してもいいというような点を、オリンピック前に緩和いたしております。
  32. 栗山礼行

    栗山委員 お伺いをいたしまして、若干私ととらえ方が違うと思うのでありますが、私は二十三年の次官通達についてはいま局長から御説明になったような理解、把握をいたしておらないということで、これは相違点、論争点になりますから、きょうは差し控えてまいりたい。  〔田中(榮)委員長代理退席、委員長着席〕  今日の時代と、当時におきます敗戦直後の、しかも日本の主権を喪失した占領下における状況とは、それはよほど異にいたしておるという角度からながめてまいらなくてはならぬ。あるいは教育制度の改廃の問題、あるいは戦後の食糧事情等々から見まして欠食児童及び体力の実態の問題、こういうような諸条件が相当中に介在することも否定できざることであろうかと思うのでありますけれども、やはり、一番大きな問題は、小学校、中学校における体位体力を基礎的につけてまいるということが青年及び未来の国民の堅持すべき健康上の中心でありますことは、局長、これは私から申し上げるまでもございません。それ自身のやはり大きな条件をなすものだと考えております。対校競技というものについては、フェアな精神を青少年の間から育成する、そして、フェアの精神の上に、ある共同行為のよい教育的方向を浸透せしめようということで、その学力及び体力に応じた、それを一つの条件としての対校競技がされておったと思うのであります。明治及び大正時代もまた、国民体力増強の方向としてそういう教育がされたと思うのでありますが、一変しましてそれを禁ずるというところに大きな問題が介在した、こういうように考えております。  それはそれといたしまして、私どもの主権をいれられざる困難な状況下においての問題が、戦後主権が回復しまして、そして食糧及びあらゆる条件が変化した中において、依然として十七、八年経過をしてその問題が現存されておるというところに、日本の体育の問題の本質的なあり方を検討しなくちゃならないのじゃないか、こういう見解が私の基本的な見解でありまして、私は、伸び行く未来のたくましい創造性をつくってまいる小学校、中学校の児童の体育あるいはスポーツ、その中における共同行為としての対校競技というものは、積極的にその禁止を解除して新しい体育行政の方向を示していかなくちゃならぬ、こういうように考えておるのでありますが、私は、いま申し上げました意見等を踏まえつつ、今日の時点における反省と問題点と施策の方向を明確に局長からお示しをいただきたい、こう考えております。
  33. 西田剛

    西田政府委員 この対外競技の禁止という次官通達ですが、ただいまのだんだんのお話、よくわかるのですけれども、ただ、この対外競技をなべて禁止しているということではないのでありまして、たとえば、小学校なら小学校で近隣の学校と運動会をやるということはけっこう、大いにやってください、こういうふうに言っているわけです。それから、中学校につきましても、県内でやってください、ただ、全国大会をやる、何でもかでも全国大会というところに無理があるのじゃないか、だから、対外競技そのものは中学校段階でもけっこうでございますという趣旨で言っておるわけです。ただ、全国大会ということで、たとえば中学校段階野球とかいろいろな全国大会としてやる場合にはいろいろな弊害があるからそれを押えておるということでして、県内で、たとえば中学校なら中学校のあらゆる大会をやるとか、あるいは近隣の郡内で大会をやるとか、親善試合をやるとか、そういうことは別に全く制限をいたしておらないわけであります。私ども考えておることは、先生のおっしゃるとおり発達段階にあるこの年代の子供の基礎体力を養成するのに、何も全国大会は必要ないじゃないか、こういうような考え方に立っておるわけであります。
  34. 栗山礼行

    栗山委員 一つの問題に焦点をしぼりますと時間がかかりますから……。ただ、私の記憶の中では、いまの局長のとらえ方じゃなくて、二十三年の次官通達の意味するものはいまの局長の主観や見解に基づくものでなかったという立場において私はとらえておる点が一つの相違点であります。その後における緩和、今日的理解というものをどうするか、こういう意味においては、私はいまの局長のお説のような事柄として理解をいたしておるつもりであります。いずれにいたしましても、伸び行く盛りの小学生、中学生の体育のあり方として大きな問題が次官通達において残されておる、こういう点を指摘いたしまして、今後の体育行政の施策の方向について遺憾なきを期していただきたい、こういう御要望を申し上げておきたいと思います。  第二点の問題でありますが、これは局長の直接の所管行政行為だと思うのでありますけれども、中学校の学年別の体育時間の週別の内容についてお伺いをいたしてみたいのであります。学年別に、一年で何回、あるいは二年で何回、三年で何回、こういうことで時間の内容を明らかにお示しいただければけっこうだと思うのであります。
  35. 西田剛

    西田政府委員 お答えいたします。  中学校における保健体育の時間は毎週三時間で、したがいまして、年間百五時間、一年、二年、三年、こういうふうになっております。
  36. 福永一臣

  37. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ちょっと時間の都合で栗山さんの前に、二点ばかり西田さんにお伺いしたいのですが、ユニバーシアードと冬季オリンピックの問題がありますが、これは専任大臣が置かれるというお話でありますが、一貫した趣旨になっておりますか。
  38. 西田剛

    西田政府委員 ユニバーシアード大会及び冬季オリンピック大会のために専任の大臣が置かれるかということでございますが、私どもといたしましては、その必要性があるかどうかという問題もありますので、いまのところ確言できない性質のものと思っております。さきの東京大会の場合には、全く前例もございませんし、また、事柄の性質、大会の規模等から見ましていろいろと関連分野が非常に広かったので、そういう必要性も特にあったようでございますけれども、今回の場合、はたしてその必要性があるかどうか。特にユニバーシアードのような場合、すでに施設はほとんどオリンピックで使ったものを使う、庭球場だけは前の種目でございませんから何とか整備しなければなりませんが、あとは大会運営、こういうことになるわけです。ですから、ユニバーシアードの例をとってみれば、特に専管大臣を設けるという意味合いは、私としてはないのじゃないかというふうに思います。  それから、冬季オリンピックにしましても、組織委員会ができませんと全体の構想がまだはっきりしませんけれども選手村あるいは競技場の施設等もすでに招致の段階でほぼ見当がついておりますから、事柄等各省にわたって特に専管大臣を設けて連絡調整を必要とするというようなことはないのではなかろうか。ただ、主務大臣としては、文部大臣なら体育の主管大臣でありますから、文部大臣が責任を持ってやるほうがいいかどうか、こういう点はもう少し全貌がわかりましてから御判断をいただき、政府において検討もいたしたい、こういうふうに考えております。
  39. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 オリンピックのあとですから、両方ともオリンピックに比べれば非常に小さいものでありますけれども、もし置かれるような場合は、一貫した政策をやる意味で、できれば同一な人でやってほしいという希望を私は申し上げておきます。  それから、もう一つスポーツ行政についていろいろ問題があるのですが、どうも日本のスポーツ行政については、文部省がほんとうは主管だと思いますけれども、厚生省、労働省などにも関連があって、多少スポーツ行政というものが複雑化しているような傾向があるのですが、こういう点は局長はどのように考えておられるのですか。お伺いしたいと思います。
  40. 西田剛

    西田政府委員 日本におけるスポーツ行政が文部省以外の厚生あるいは労働省等との関連もあって複雑化しているのではないかというお話でございますが、私どもは別にそういうふうには考えておりません。それぞれの省の仕事として、関連する範囲におきましてはそれぞれ前進していただきたいし、現に前進しつつあるわけで、その点は別に問題はないのではないかというふうに感じておりますが、何か特に問題がある点がございましたら御指摘を願いたいと思います。
  41. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 先ほど田中さんから定時制の学生の問題についていろいろ御意見があったようですが、実は、私たち関連している労働組合のスポーツが非常に盛んになりまして、今日、総評が加盟四百五十万、それから同盟が百万くらい、両方で五百五十万から六百万くらいの組合の中で毎年スポーツが行なわれるような傾向になってきたわけです。ところが、たまたま田中さんが言われましたように、補助金がないので全国大会をやるのに非常に困っておるような状態にあるのですが、これは労働省か厚生省の所管になるかもしれませんけれども、私が先ほどスポーツ行政を一貫してやれと言った意味は、そういうような問題も含めた場合に何とかいい方法はないかというようなことを実はお伺いしたいために申し上げたのですが、その点はどういうふうになっておりますか。お伺いいたします。
  42. 西田剛

    西田政府委員 お話のように、最近労働組合関係でも非常にスポーツに関心を持たれて大会等を検討されておるようでございますが、従来から労働者につきましては勤労者のスポーツ大会ということで行なわれておりまして、これは労働省のほうが中心になってお世話をしてまいっておる、それから私どものほうは技術的にいろいろ御援助する範囲のことをお世話しておる、こういうような現状でございますが、補助関係につきましては、ちょっといま事情をつまびらかにしておりませんので、後ほど調べましてお答えさせていただきたいと思います。
  43. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大体日本のアマチュアスポーツというものは大学生と高校生を中心にして行なわれてきたのですが、やはり将来広範な層がアマチュアスポーツについて相当関心を持って鍛えるということがだいぶ問題になってくるのです。そういう点について、文部省は、大体学校を対象にしたスポーツを進めていくだろうが、もっと高い視野から考えて、体育局を中心にして、将来体育省ができるかもしれませんけれども、そういうようなことについてひとつ関心を持ってやっていただきたいということをお願いするわけでありますが、その点は西田局長はどういうふうにお考えになっておりますか。伺いたいと思います。
  44. 西田剛

    西田政府委員 御案内のように、国民体育大会というものがございまして、これは勤労青年も加えまして、青年の部等もありましてやっておるわけでございます。したがいまして、そういうふうな全国国民体育大会というのは、勤労者も含めた国民全体を対象とした大会になっておるわけでございます。そのほかにも、勤労者を中心にした特別の大会をやろうというようなことでございますので、文部省といたしましては、勤労者も含めた全体の大会としてのお世話は一応やってきておるわけでございます。むしろ、勤労者そのものだけの大会ということになりますと、やはり行政一般としてそちらのほうをお世話しておる省が扱うのが本旨ではないかということでいままでやってきておるようでございますけれども、それらの点は、なお国体との関連等も検討いたしまして、文部省として御協力申し上げる筋がございましたら、できるだけ積極的にやってまいりたい、こういうふうに考えます。
  45. 栗山礼行

    栗山委員 いまの中学校体育時間の問題を少しあとに回しまして、局長、こういうことじゃないですか。二十三年三月二十日に体育局長の通達があり、それから今日まで六回の通達をされておる、最終の六回目の通達は三十六年六月十日に次官通達をなさっておる、こういうふうに私のいま取り寄せた資料には示されておる。二十三年三月二十日以降前後六回にわたる通達で漸次緩和の方向を示されておる、こういうことであろうかと理解をいたしますが、三十六年から四十一年になりまして何らの通達が示されておらない、年次的にこういうふうになろうかと思います。先ほど、対外試合の問題、それから府県にまたがる問題等について、これは好ましくないということに経済上の問題も含めたということでございますが、三十六年から今日までいわゆる岩戸景気なり高度経済成長によって国民経済が非常に伸びてまいったが、三十九年以降における日本の深刻な不況、そういうような様相の変化等々がございますけれども国民生活は非常に向上いたしておる。こういうふうな経済分野の中からとらえますと、局長のとらえ方、御説明というものは、何か矛盾を感ずるのであります。しかも、小学校の対外試合を禁止されておって、ただし隣接の学校との親睦会はよい、こういうふうに、いわゆる本質的なものを否定して、そうしてあいまいな形における親睦のかっこうをお認めになる、まことに一貫性のない行政指示をされておる、こういうことでなかろうかと思います。中学校の問題については、いま御指摘がございましたとおりであろうかと思うのでありますが、これは府県にまたがる場合には不可だ、こういうふうな御意見でございましたが、経済的な理由だけでそういう中学校の県外の対校試合というものを禁ずるということが今日的な方向として行政上望ましいのであるかどうかということについては、私はいま重ねて御意見を受けたいと思わないのでありますけれども、やはりもっと前向きに、青少年体育上の重大な課題である、こういうことから、真摯な行政的な施策をひとつお進め願う、こういうふうに重ねて希望申し上げまして、御意見があればお伺いするということにいたしたいと思います。
  46. 西田剛

    西田政府委員 小学校段階ではとりわけ基礎体力の養成ということに重点を置くべきだということで、ただいまの栗山先生の御意見もさようであったと私は承知しておりますが、さような点から見ますると、小学校段階では、心身の発達上、特に競技的に記録を争うというようなこと、そこまでやる必要はないのではないか、むしろ弊害があるのではないか、こういうふうに学者諸先生方の意見が一致しているわけでして、基礎的な体力をオールラウンドにつくる。飛んだりはねたり何でもやる。ただ陸上競技なら陸上競技だけで記録を争うような子供をつくるというよりも、基礎体力を全体としてつくっていくほうがいいのではないか。これは、スポーツの世界でも、特殊のものを除きましては、サッカーでも何でも、やはりこの段階では基礎的にからだ全体が均等に均衡を保った発達をぜひはかってもらいたい、したがって、子供のころからあまりたたいて対校なんかやらすと、こじんまりと庭木みたいになっちゃう、盆栽みたいになっちゃう、こういうふうな大体の学者先生あるいはスポーツ界の意見でございまして、私どもも、心身の発達上、子供のために全国大会をやったりして記録を争そうようなやり方はいかがか、こういうふうな趣旨に立っておる点を特に御理解願いたいと思います。  それから、教員の点でございますが、体育の教員はとりわけ、日曜などもかり出されることが多くて、地域社会に対するスポーツのサービス等もございまして非常に多忙でございますが、小学校あるいは中学校をとって考えますと、特に体育先生というものがいるわけではございませんけれども、どうしても選手の世話をするというようになります。それから、私ども、教育的な観点に立てば、全国大会その他で自県を離れてよそに行くというような場合、他校と試合するような場合でも、やはり課外活動として行なう限りは先生についていってもらうというたてまえになりますから、どうしても先生の労務過重になりますし、また、特別にその選手のために練習をやるということでありますと、どうしても先生の労力はそちらのほうにとられて、一般の子供の世話を見かねるというような問題もございまして、これは私ども考えでもございますが、現に学校にあずかっておる真摯な小学校、中学校関係者、先生方の考え方として、これは是が非でも墨守してもらいたいというような背景に立っておることをひとつ御理解を願いまして、私どももただいま先生お話のありましたような観点も踏まえまして十分今後とも検討を続けてまいりたいと思いますので、御理解願いたいと思います。
  47. 栗山礼行

    栗山委員 大体お説の趣旨を理解さしていただくことにやぶさかではございませんが、ただ、局長も御承知のとおり、やはり日本も、食糧事情の困難な時代から、あるいはたん白源の食生活の大きな変化等もございまして、確かにこの少年及び青年の体位というものが向上いたしてまいったことは事実でありますけれども、しかし、体力、体格というようなものについて、やはりどこに大きな盲点が存在するかという問題に真剣に検討を加えるべき事態に直面をいたしておるのじゃないか。まざまざオリンピックでその事実を見せつけられたというような問題等も、私どもはやはり反省点といたさなくちゃならぬ、こういうことであろうかと思います。いろいろ専門的な含蓄ある御答弁をお伺いいたすことが本来でありますけれども、私どもは素朴にそういうふうなとらえ方をしておるのでありまして、やはり、そういう点から、もっと体育行政のあるべき真摯な方向というものを、小学校、中学校及びその他の学校体育行政について検討を新たにいたすべきだということを申し添えまして、ひとつ前向きな御検討を願いたい、かように考えます。  それから、先ほどの中学校体育時間の問題でありますが、毎週三時間、年間百五十時間だという御答弁をいただきました。おそらく御答弁に間違いがなかろうかと思うのでありますが、私の記憶といいますか、頭の中には、一年と二年と三年ということで、だんだん学年が進むにつれて体育時間を延ばしてまいらなくちゃならないのが本来的であろうかと思うのでありますけれども、それが、一年から二年、二年から三年と、だんだん減少化の時間割りを示しておられると承知をいたすのでありますが、間違いございませんか。重ねてお尋ねを申し上げます。
  48. 西田剛

    西田政府委員 この保健体育といたしましては、毎週三時間で、年間三十五週でありますから、百五時間でございまして、ただいま栗山先生から、私が百五十時間と申したようなお話がありましたけれども、三十五週ですから、百五時間の間違いでございます。  それで、ただいまお話しの点でございますが、ただ、この中には保健という分野も入っておりますので、体育だけでとりますと、一年が三時間で、二年、三年には三時間のうちそれぞれ一時間を保健の時間というものに食われますので、実質的には、実技といいますか体育そのものについて言いますと、一年が三時間、二年、三年は二時間ということになっております。
  49. 栗山礼行

    栗山委員 これもまた、私の愚見を申し上げて御意見を伺いたいと思うのでありますが、逆な現象だと思うのですね。だんだん最近中学校から高等学校への進学率が増加の傾向を示しておりますことは御承知のとおりであります。したがって、やはり進学のための勉強というようなことで、非常に健康、保健上検討すべき問題等が日本の学校試験の問題について提起をせられておるわけでありますが、私は、それだけに保健を含めまして体育の時間というものをやはり増加せしめていくということが当然な方向づけでなくちゃならぬ、こういうような結論に到着するのでありますが、どうもさかさまになっておるのじゃないか。こういう考え方について局長はどのようにお考えになっておるかということをお伺いしたい。
  50. 西田剛

    西田政府委員 中学校年齢層は、お話しのように、確かに心身、特に身体の発達時期にもありますので、現在の時間では十分でないというふうに考えております。さらにこれに拍車をかけて、入学試験なんかの問題から、外国で行なわれておるような課外におけるスポーツ活動というのが非常に低調な特殊事情もございまして、それらの点もあわせ考えますと、やはりこの中学校年齢期ではもう少し体育の時間をふやすべきではないかというふうに考えております。中学校関係者も、さような点では、校長会その他大多数の意見が、もう少し体育についてはふやすべきだというような幸い意見でもございますので、最近行なわれております教育課程の改定を契機に、私どもはぜひ体育の時間をもう少しふやすようにいたしたい。ただ、全体的のいまの実情を申し上げますと、中学校では、多いところと少ないところとありますけれども、全教科の時間に課外活動とかクラブ活動等の時間も入れて計算いたしますと、週に三十六時間ないし三十七時間やっておるのが現状でございます。ところが、これは中学校の子供の年齢層にとってちょっと過重でないか、せめてクラブ活動その他ホームルーム等も入れて三十四時間くらいに全体の時間を押えたい、子供の過重を少し減らしたい、こういうふうな考え方に立っておりますので、具体的にどれだけ時間をふやし得るかという問題は今後いろいろ検討の余地がございましょうが、私どもは、少なくともからだを動かす時間、これをいまよりは多くしてもらいたい。これがかりに正課の時間がほかとの振り合いもあってどうしても無理であるということであれば、これはそれぞれの教科の時間がいまでは不十分だという要望があるわけですが、それにしましても、たとえば課外の活動に必ず毎週一回なり一時間スポーツをやるというようなことにでもして、もう少し体育の時間をふやすようにぜひしてもらいたいという考え方でございます。ただ、平たく外国に比較しますと、体育の時間は諸外国との比較では決して少ないということにはなっておらない。ただ、遺憾ながら、いまの日本の子供の進学のための勉強、その他一般的な環境から見て、施設が足りないとか、いろんな事情もありましょうが、外国の例に比して、帰ってからの子供のスポーツに親しむ時間が少ないということともにらみ合わせまして、この学校における体育の時間をもう少しふやしたいということでは最善の努力をいたしたいと思っております。
  51. 栗山礼行

    栗山委員 ぜひひとつ強力な体育行政の推進をお願い申し上げたいと思います。  先ほど田中先生からも御質問がございまして、重複面は御答弁をいただかなくてもけっこうでありまして、私もできるだけ重複を避けてまいりたいと思います。学校給食の問題でございます。これは特に定時制高校生の給食問題の重要性というとらえ方をいたしておるのでありますが、端的にお聞きをいたしますことは、学校給食の問題について、一時は粉食と粉乳、こういうようなことから、漸次生乳への方向づけが望ましいのでないかということでお進めをいただいておろうかと思うのでありますが、その比率の問題ですね。現時点のなま乳と粉乳との比率の問題、これをひとつお示しをいただければけっこうだと思います。  私の意見を申し上げますと、将来、より栄養の高いなま乳の給食を進めていただくべきだということでありまして、きょう農林関係がおいでになりませんけれども、やはり日本の食生活について新たな改善を積極的に進めてまいりまして、日本の国民体位の強化の方向に食生活の改善をいたさなければならぬということにつきましては、いまさら私どもがいろいろ論ずることでなかろうかと思うのであります。こういう点から申し上げまして、なかんずく学校給食におけるなま乳の給食の増大の方向、こういうことが望ましいのでないか、こういう意見を持ちつつ御意見をお伺いいたしたいと思います。
  52. 西田剛

    西田政府委員 学校給食におけるなま乳の使用は現在計画的に進められておりますが、昨年度は七十万石、ことしが百万石でございます。そして、ことしの百万石が全体の学校給食のミルク給食における比重はどうなっておるかというお尋ねでございますが、この百万石を脱脂粉乳にかりに換算いたしますと、約二万五千トンに当たります。そして、全体としては七万トン要るという計算になっております。なま乳を脱粉に換算して、年間に七万トン要る。そのうちなま乳百万石に相当するものが脱粉に換算すると二万五千トンになる。それで、残りの四万五千トンは脱粉を使わざるを得ない、こういうふうな比重でございますが、ただいまお話のありましたように、このなま乳に対する要望も非常に強うございますし、また、児童生徒の栄養上の点からも、なま乳は決して脱粉に劣らないものでございますし、児童生徒の好みから言いましても、なま乳のほうが非常に希望が強いというようなこともございます。また半面、わが国における酪農振興というような面も加味いたしまして、目下四十五年を目標に全部をなま乳に切りかえるという大体の計画のもとに進められておる現状でございます。大体の計算といたしましては、四十五年度には三百三十五万石ぐらいなま乳にしていく予定でございまして、その計画で農林省のほうは進めていただいておるわけであります。さような点につきましては、酪農振興法の一部改正によりまして、長期的な計画を立てるということで、ただいま申し上げました三百三十五万だと私承知いたしておりますが、これを四十五年度に達成する目標で一応計画は立てられておるような現状でございます。
  53. 栗山礼行

    栗山委員 具体的な年次計画をお伺いいたしたいとも思いますが、きょうは時間がございませんから、総論として、四十五年をもってオールなま乳に転換するという一つの方向で、いろいろ年次計画は農林省との関連及び大蔵省の財政計画との関連等がございますが、この問題はやはり政治姿勢の根幹をなす民族の体位の問題でございますから、大手を振って、実現できますように御推進をいただきたいと思います。私どももまた立法府においてそういう推進をいたします当然なる責務があると考えております。お願いをいたしたいと思います。  次の問題でありますが、海を含めまして自然利用といいますか、日本はやはり、海の日本、山の日本、自然美を持つ恵まれた環境を持っておるということであろうかと思いますが、そういう点から、海水浴という面もございましょうし、あるいはいろいろからだを練成いたします自然的条件を持っておるのでありますが、学生のいわゆる自然を利用する体位向上及び練成について、何かひとつまとまった計画的方向というものが局長にございましたら、この機会にお伺いをいたしておきたい、かように考えます。
  54. 西田剛

    西田政府委員 最近は青少年中心といたしまして特に野外活動が盛んになってまいっております。それで、民間の団体におきますユースホステル等の活動も非常に盛んで、この利用人口は非常な伸びを見せて、いまや世界で一、二じゃないかというふうにもいわれておりますし、現実に野外活動として山野に出かける青年層は非常に増大をいたしてきているような状況でございます。一方、登山における事故等もございますから、私どもといたしましては、これらの事故防止あるいは指導者の養成というような点に特に着目いたしまして、各種の養成会を実施いたしております。また、施設といたしましては、青年の家というようなものを国立でも数カ所つくっておりますし、また公立青年の家ということで現在百十カ所余りの施設が置かれているような現状でございます。これらは各省にわたりまして、国立公園の中であれば山小屋等は厚生省で見てもらうとか、あるいは国有の林野であれば林野庁で山小屋その他を整備してもらうというような事情もございますので、それらの点は、山の遭難対策の協議会が文部省中心にして置かれておりますので、事故防止の観点からも、さような山小屋の整備あるいは道標の整備とか、そういうものにつきまして格段の改善を見るように前進をいたしておるような次第でございます。
  55. 栗山礼行

    栗山委員 最後にもう一点だけ局長にお伺いをいたして、体育局長への質問を終わらしていただきたいと思うのであります。  御承知のとおり、学校におきましての体育施設については不十分ながら前向きに取り組みの姿勢にあろうか、かように大まかに理解をいたしておるわけであります。一番欠けておりますのは、やはり社会体育の面が貧困であるということであろうかと思います。特に産業人の中で中小企業におきます体育の問題というものが、日本の経済及び文化の問題からどのように取り組んでいくのかということが、歌を忘れましたカナリアの観が日本の政治の施策の上に出てまいっておるわけであります。これは本質的に論議を展開いたさなくちゃならぬのでありますが、そういう社会体育の劣った中において、せめて既往の施設でそれを補正するという手段が、非常に卑屈でありますけれども考えられて論じられると思うのでありますが、国及び公立の学校の施設の夜間の開放の問題、こういうことがやかましく論じられております。まだ、それだけに根強い当局の反対意見等もわれわれは具体的にお伺いをいたすのでありますが、いろいろ両極の問題点の中にあって、より一歩でも前進するというために、おくれたそういう社会体育振興いたしまするために、国及び公立の学校夜間開放ということについて、何か具体的に、どう取り組んでいきたいという、あるいは行なうべきだという施策の方向がございましたら、お示しをいただきまして、私、質問を終わりたいと思います。
  56. 西田剛

    西田政府委員 ただいま社会体育における特に施設の不備という御指摘がございましたが、数年来、特にスポーツ振興法ができましてから、社会体育施設を整備するということで、ささやかながら予算を計上、漸次増加してきているような現状でございます。体育館あるいはプール、運動場というような種類のものでございますが、これらは、戦後あるいはこの十年前と比較いたしますと、もう数倍というような急増の状況にございますが、現実に社会体育面から見て、日常生活に青少年スポーツを生かして実践を定着させるというような面になりますと、やはり施設が非常に足りない。したがいまして、世論調査等におきましても、何を望むかというようなことになりますと、やはり、時間がないというような面もございますけれども、施設が足りない、指導者がいないので、ぜひほしい、こういうところが一つの問題点になっておるのでありまして、私どもも、社会体育振興という面では、とりわけ施設の整備の必要性を考えておる次第でございます。  それで、非常に長期的な計画でございますけれども、一定規模以上の市なら市にはぜひ体育館を持つようにというような方向で現在進行いたしておるような現状でございますが、それにいたしましても、それらの長期的な計画を確実な路線に乗せるということはなかなか困難な問題でございますので、ただいま先生お話しのように、学校の施設を開放するということが最も手近な実践策の一つではなかろうか、こういうふうに考えております。六大都市における学校開放の実情調査しますると、半数をこえる学校が大体開放いたしておりますけれども、これは、どちらかといいますと、当該学校生徒あるいは付近の住民、青少年に開放いたしておりましても、昼間だけという実情でございまして、一般の勤労青少年学校の施設を使うということになりますと、どうしても、ただいまのお話のように、夜間の照明施設を整備する必要があるというふうに考えます。さような点、当委員会の御指摘もあり、また体力つくり国民会議の御要請もありましたので、文部省といたしましては予算の要求をある程度大幅にいたしたわけでございますけれども、折衝の結果は、ともかくやってみないとどの程度利用されるかわからないということで、モデル的に一応千二百万円で十カ所の予算がことしから初めてついたような次第でございます。それで、これを有効に使いまして、ぜひ十分な活用ができるという実例をそこに実現いたしまして、夜間学校開放の施設を今後は格段に拡充してまいりたい、かように考えております。
  57. 栗山礼行

    栗山委員 どうもありがとうございました。  厚生省の国立公園局の管理課長、時間がございませんから、二、三点だけお伺いをいたしたいと思います。  国立公園数は全国で二十三でございますか、何カ所か、お示しをいただきたいと思います。
  58. 岸野駿太

    ○岸野説明員 国立公園は、ただいま御指摘がございましたように、二十三カ所でございます。
  59. 栗山礼行

    栗山委員 それから、この国立公園の年間利用人口数を年次別に一、二年、四十年、三十九年をお示しいただきたいと思います。
  60. 岸野駿太

    ○岸野説明員 一番最近の数字から順々に申し上げますと、三十九年度の国立公園の利用者は一億六千万人、それから、三十八年度が一億四千万人、その前が一億二千万人、大体一割五分程度毎年伸びておるというかっこうになっております。
  61. 栗山礼行

    栗山委員 四十年度は、推定を伺ったらいいのですが、いまのような年次別の利用増加の傾向をもっておるということでありましたら、約二億近い人が国立公園を利用されておる、こういうことでございますね。
  62. 岸野駿太

    ○岸野説明員 そういうことになろうかと思います。
  63. 栗山礼行

    栗山委員 年間二億の利用がある国立公園の管理員、レンジャーと言っておりますが、いわゆる管理員はいま何人でございますか。
  64. 岸野駿太

    ○岸野説明員 非常にお恥ずかしい話でございますけれども、二十三の国立公園に対しまして、レンジャーは現在五十二名でございます。それで、各国立公園に少なくとも一名は配置されております。一番大きな国立公園では、日光とそれから富士箱根に、これは管理事務所を置きまして、ここには長以下八名の管理員を配置しておるというかっこうになります。残りを、あるところは二名、あるとこは一名、まあ三名。最小限度二十三カ所に各一名はいる。しかし、膨大な面積でございますから、やはり先生御指摘がございましたように二億近い数字になろうかと思いますけれども、その利用者に対しましてはもちろん十分ではないというぐあいに考え、今後少なくとも、一名というところはやはり管理上非常に困るので、最小限度複数制にしなくちゃいけない、あるいは管理事務所も大きな国立公園から順次全国立公園に設置する、機動力も付与するというような体制にしていかなくちゃいけない、こういうふうな考え方をもって現在検討を進めております。
  65. 栗山礼行

    栗山委員 えらい抱負を伺ったのでございますが、何か子供から一ぺんにおとなの議論へ展開されたような課長さんの御意見のように思うのでございます。二十三の、しかも年間二億に近い利用者があるというその国立公園を保護管理する役割りを持っていらっしゃるところで、これは何か数字上の間違いじゃなかろうかという驚きを私は感じたのであります。そういうことで、保護管理というものの行政が不在的要素を持っていると言ったらたいへんおしかりを受けるのでありますが、そういう少数精鋭で一生懸命がんばっておるのだという御答弁をされると思うのでありますが、国立公園の当然な保護管理の方向づけというものを一体厚生省は持っていらっしゃるのかどうか、こういうことをひとつ課長からお聞かせをいただきたい。
  66. 岸野駿太

    ○岸野説明員 非常に痛い御指摘でございますが、いまの人数でもって、せっかく厚生大臣が指定をいたしました国立公園の管理が十分だなどということは決して思っておりません。非常に不十分である。そのために、ある場合には自然保護が十分行き届いていない。人手が足りないために、とってはいけないと言われております高山植物がとられたり、尾瀬のような場所が荒らされるというような場合もしばしば新聞紙上で私どもも指摘をされるわけでございます。それで、せめて国立公園は国の責任でもってやはり管理をするという自然公園法のたてまえになっておるわけでございますので、先ほどちょっと申し上げましたように、公園局といたしましては、管理事務所をまずつくりたい、さらにまた、専門家であるそういうレンジャーを置いて、自然保護、さらにはまた激増する利用者の快適な利用あるいは安全な利用ということをもひっくるめて管理員も増強したいということで、おおよその見当は私どもも事務的に持っておりますけれども、将来社会経済が変動し、レジャー人口あるいは自然に親しもうというような社会的需要が今後ますます増大されるであろうというような情勢のもとでは、十年先、二十年先を考えまして、まずいまのままの面積でいいだろうかどうだろうか、あるいはまた、保護すべき地域とレジャーとして休養地に開放すべき地域というのをもう少し明確に分けて、保護するものはもっと厳正に保護するけれども、何のかんのと言いましてもやはり自然の中に入ってくる人口がこれからふえるという趨勢を阻止し得ないとするならば、快適な安全な休養地というものを整備をして提供するということもやはり必要ではないだろうか。将来の需要をどういうぐあいに把握するかというのは非常にむずかしいことでございますので、昨年の十一月に、これは先生御承知だと思うわけでござますけれども、自然公園審議会に対しまして、将来の自然公園のあり方、その保護の規制、あるいは利用の増大に対処する便宜の供与のしかたについて、いまのままのような方法でいいだろうかどうだろうか、新しい形態の公園というものあるいは考えられるかもわからないというようないろいろなことをひっくるめて諮問を申し上げまして、現在審議中でございます。まだ分科会でもって審議をしている現状でございまして、十年先、二十年先のことも考え現状を分析していただいておりますので、結論をいただく、あるいは中間答申もいただくという段階にまでまだ至っておりませんけれども委員さん方もいま先生が御指摘になりましたような点に非常に強い関心を持っておりますので、いずれ何らかの答申がいただけるのではないか、それを踏まえてさらに公園局といたしまして将来の自然公園行政のあり方というものに対処していきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  67. 栗山礼行

    栗山委員 これは大臣にものを申さなければ解決がつかない問題でございますから後日に譲るといたしますが、いま申し上げましたように、あるいは御意見を承りましたように、五十二名というような者でどれだけ孤軍奮闘いたしましても、科学兵器の中で竹やり戦法というようなことはもうよしてもらいたい。課長さんがほんとうに前を向いて御答弁を願うということすらお気の毒だというような管理不在の感をあらためて私どもはするわけであります。この問題は、人間の情操と自然美がなくなり、人間性を喪失する大きな問題にも関連いたそうかと思うのでありまして、いまの御意見等も含めて十分な管理の方向に一歩でも近づけるような努力をいただきたい。これは、できるだけ近い機会の国会におきまして、この体育振興委員会が一勝負いたさなければならぬというふうな大きな問題であるという点だけを指摘をいたしまして、管理課長に対する質問を終わることにいたします。  次に、労働省に二、三お伺いをいたしたいと思います。  勤労者の青少年体育増強の問題でありますが、最近、御承知のとおり、大工場においては厚生施設として体育施設を持ち、あるいはまた労働組合がみずからレクリエーションあるいはスポーツ等を自主的に行なう方向に進んでまいった。こういうことについて私ども喜びを感じておるのでありますが、本来から申し上げますと、労働省が日本の働く人たちあるいは特に勤労青少年体育及び保健施策について産業により貢献する方向から一番積極的に御推進をいただかなければならぬ、こういう見解を私は持つわけでありますが、勤労者の青少年に対しまする体育及びスポーツ等についてどのような見解をお持ちになるか、あるいはまた施策としての方向づけはどのようにお進めいただいておるかということについてお伺いをいたしたいと思います。
  68. 長谷川操

    ○長谷川説明員 勤労青少年体力向上の問題でございますが、大企業と中小企業で相当の施設の差がございます。企業自体でやっておりますものから申し上げますと、大企業では屋外屋内の体育施設を相当整備いたしております。しかし、中小企業では非常に貧弱だということになろうかと思います。これらの人々の体力向上ということがわが国の産業振興につながる問題でございますので、特に中小企業の従業員に対する体位向上というものに力を入れたいというふうに考えております。比較的容易な体力向上の方法であります職場体操の普及励行、あるいは中小企業のレクリエーションセンター、それから勤労青少年ホームの設置、また、先ほど文部省の局長からお答えがございましたように、学校体育施設の開放とかいうようなことを行ないまして、これらの中小企業の青少年体位向上に尽くしてまいりたいというふうに考えるわけであります。
  69. 栗山礼行

    栗山委員 御答弁にございましたように、大企業についてはよほど進んだものが最近とみにある。これは、労働省もそれだけの推進を願っており、また企業それ自身が真剣に取り組んでまいらなければならぬという方向があってそういうふうにされておる。見落とされておるのは中小零細企業における貧困な実態、これをどのようにいたしてまいるかという具体的な保護助成等の施策内容を持たぬところに今日的問題があるのではないか。たいへんおじょうずな御答弁であったかと思うのでありますけれども、全くどうもそれは私にはちょっと聞こえにくい答弁でありまして、やはり今日的課題として具体的にどう取り組んでまいるか、あるいは施策はこういう施策をもって対処いたしておりますと、こういうことがございましたらお聞かせを願いたい、こういう意味であります。
  70. 長谷川操

    ○長谷川説明員 先ほど申し上げましたように、一つには、中小企業が単独でやるということはなかなかむずかしいのじゃないかというような点からいたしまして、勤労青少年ホームというものを考えております。それは、御承知のように、屋内の体育施設は必ず考えるというようなことをいたしたい。さらに、これは地方の公共団体等が設けることになっておりますが、土地をできるだけ広くとって、屋外の運動施設をつくるように、少なくともテニスとかバドミントンとかその程度、野球までできれば幸いだと思いますけれども、そういうものもつくるようにということで、一方では融資制度、地方の起債の引き受けを考える。その方向からそういうものを持っていく。先ほど文部省の局長のお話にございましたように、できるだけ一定の市以上にはそういうものをおつくりになるようであります。けれども、それとタイアップしたような形でも考えて、勤労青少年ホームの増強というものをはかるさらに、中小企業が単独でできないということで、労働省全体としまして、施策の対象としての中小企業集団というものを昨年から指定いたしまして、それを中心にしてやるということで、その中小企業集団の共同施設としての体育施設の設置を奨励していきたい、それについては融資も考えていくというようなことで、そういう市町村にお願いする問題と、中小企業が共同で設置するというような方向でやっていきたいというように考えております。
  71. 栗山礼行

    栗山委員 これも議論を相当展開いたさなければならぬような問題点があろうかと思いますが、問題は、勤労者の体育振興の問題については、労働行政を預かられるところが、どこよりもまじめであり、どこよりも積極的であり、推進の母体としての内容を持っていただかなければならぬということです。私は、こういうふうな観点から、文部省体育局長中心にこの問題が言われるのでありますけれども、それはお門違いじゃないか、こういうような見解を持つわけなんであります。これはいろいろ議論をいたしますと適当なお答えをなさると思いますけれども、私は、労働省の役割りについての感覚といいますか、基本認識の相違点を改めなければ、ほんとうに働いておる人たちの健康を維持増進し、あるいはねぎらいを与え、創造性を高め、あるいは非行化から守る喜びと感激はわいてこないということを頭に入れつつ、皆さんの施策の方向をひとつ進めていただきたい。これは、お答えを聞くというよりも、私はひとつ訓辞的に意見を大胆に申し述べておきたいと思うのであります。ただし、栗山意見と違うということなら、これは堂々と論戦を展開いたさなければならぬ、こういうことであろうかと思います。  それから、これまた同様なことになるわけでありますが、大体、福祉施設というものについて、大企業に対して中小企業は大きなハンデがある、あるいはまた零細企業はこれが皆無である、こういうことであろうかと思います。これは、中小企業に幾ら笛を吹きましても、それだけの企業経済の実態を持たぬ。なかなか、協業化といいましても、どのようにして協業化していくかということについては多くの問題があることは御承知のとおりでありまして、一番必要なことは、やはりレクリエーション及び福祉施設の完備の推進を労働省がどのように進めてまいるか、こういうところに問題があるのじゃないかと私は考えておるわけであります。なかんずく零細企業では皆無にひとしい。こういう中に、暗たんたる暗さ、あるいはその中から絶望してレジスタンスの方向に取り組んでいく、こういう傾向を私は憂慮する一人でありますが、中小企業の労働者のいこいといいますか、あるいは明日の希望をたくわえるレクリエーションといいますか、そういう施設の方向について、これまた具体的に御見解があればひとつお示しをいただきたい、こう考えております。
  72. 長谷川操

    ○長谷川説明員 先ほど申し上げました勤労青少年ホームなり、あるいは働く婦人の家なりというようなものを具体的な施設として従来やってまいりましたが、昭和四十年度から中小企業のレクリエーションセンターというものを一カ所設置しておりまして、四十一年度にさらに一カ所と、今後逐次これをふやしていくというようなことを考えております。
  73. 栗山礼行

    栗山委員 もう一ぺん伺いますが、四十年度は施設をされたのは一カ所ですか。それで逐次ひとつマンマンデーで取り組んでまいりたい、こういうことですか。
  74. 長谷川操

    ○長谷川説明員 中小企業のレクリエーションセンターの所管そのものは直接私どもではございませんで労働省の中の別の局でやっておりますけれども、労働省全体としてはそういうものを進めていく。中小企業レクリエーションセンターの四十年度予算は一カ所でございますが、あれは五億でございますので、われわれから考えますれば相当大きい施設をつくっておりまして、これを逐次増加させていく。ことしの予算は三億というのをもって別のところに置くことになっております。
  75. 栗山礼行

    栗山委員 ちょっとどうも、九州と北海道ほどの距離があってものを申し上げておるような質問と答弁なのでどうかと思うのでありますが、これもまた適当な機会に労働大臣に特別にわが委員会にお越しいただいて取り組んでまいらねばならぬことになろうかと思います。  そこで、最後にもう一つお伺いをいたしてまいりますが、比較的金をかけずして大いに啓蒙助成をいたしまして効果のありますことは、やはりそれぞれの簡易な体操の問題であるとか、あるいは夏になりますとキャンプをして、飯ごう炊さんでひとつ手近なところで安易に共同で楽しめる、こういう問題等があろうと思うのです。私から言うと、自然利用によるレクリエーションを兼ねた体育振興の運動である。私は、ほんとうにきわめて平凡に、あるいはもう良識的な立場でこういうものを推進するが、一向お役所は仕事をなさらぬ、御答弁と資料だけを持っていらっしゃる、こういうところにやはり行政的な貧困もございますし、また、立法府がそういう立場に立つような貧困な一つの政治の姿勢ということもあらためて反省をしなくちゃならぬ、こういうふうに考えておるのであります。私は、議論よりも、高邁な政策や識見よりも、具体的に歩こうじゃないか、具体的に体操しようじゃないか、あるいは許された経済的条件のもとで自然と親しみレクリエーションをやろうじゃないか、こういうようなことを中心に労働省が指導と啓蒙をされるということが必要だ、こう考えているのですが、一体、こういうようなイロハのイをやっていらっしゃらないのかどうかということと、あるいは、私が申し上げておるように、大いに労働省がそういうことをやっていかなければいかぬのだ、こういうふうな御見解をお持ちになるか、これはもう明確にひとつお答えを願って、私の質問を終わりたいと思います。
  76. 長谷川操

    ○長谷川説明員 お話しのように、比較的容易な体力向上の方法でございます職場の体操なりあるいはキャンプなりというものは必要であろうということでございまして、職場体操の普及等につきましては、まことに申しわけございませんが、私の所管というよりも、基準局あるいは中央防災協会というようなものを通じてやっておりまして、昨年も大阪で全国大会を開くというようなことをして、指導員の養成あるいはその実施についての普及というようなことを進めております。今後ともますますそれを効果あるものにしていきたいというふうに考えております。
  77. 栗山礼行

    栗山委員 以上で終わります。      ————◇—————
  78. 福永一臣

    福永委員長 この際、前田榮之助君から、河川敷地の開放に関する件について決議をいたしたいとの申し出がありますので、これを許します。前田榮之助君。
  79. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 決議の動議を提出いたします。  まず本文を朗読いたします。    河川敷地の開放に関する件   政府は、河川審議会の答申に基づき河川敷地占用許可の準則を定めたのであるが、河川敷地占用の処理にあたっては、国民の健康の増進、体育、レクリエーション活動等の目的に供するため一般公衆の自由な利用が促進されるよう、昭和四十一年を初年度とし、三ケ年を目途とし開放計画を策定し、左記に掲げるものはこれに基づき処理方針を設けるべきである。   一、占用状態が不良であるもの。   一、交通等一般公衆の利用しやすい地域の河川敷地。   一、学校、会社等の運動場等で当分の間継続して占用するものについては、必要に応じ、一定期間一般公衆に開放すべき旨の条件を附すること。    右決議する。  本件は政府において五カ年計画の答申に基づいてされようとしておるのでありますが、すでに本委員会におきましても先年強く要望いたした案件でございまして、今日の社会情勢、ことに都会地における国民体育、運動等の増進のために必要な運動場、施設というものが非常に少ないために困っておることはすでに国民一般の認めるところでありまして、いろいろ困難な事情もございましょうけれども、五カ年では長過ぎるという見地に立って、万難を排して三カ年でこれを実行する、こういうことをわれわれは要求するものであります。このことは、もちろん本委員会におきましても政府当局と十分な質疑応答、論議を果たして明確にすべきであるとは存じますが、すでに会期も終末に近づいておるので、その時間を許さない情勢なので、政府においても多少無理だと思うこともございまするけれども、われわれは、政府を督励し、そうして国民の健康増進と体育振興のために効果あらしめたいと存ずる次第でございます。  どうか満場の決議によって決定されんことを要望いたします。
  80. 福永一臣

    福永委員長 ただいまの前田君の動議に御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました河川敷地の開放に関する決議につきましては、関係各省に参考送付いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
  83. 福永一臣

    福永委員長 この際、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  先ほどの理事会において協議いたしましたとおり、体育振興に関する件について閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
  85. 福永一臣

    福永委員長 次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託となり、その審査のため委員派遣の必要を生じた場合には、議長に対し委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお派遣委員の氏名、員数、派遣地、期間、その他所要の手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十分散会