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1966-05-11 第51回国会 衆議院 体育振興に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十一日(水曜日)    午後一時二十五分開議  出席委員    委員長代理理事 田中 榮一君    理事 大石 武一君 理事 川崎 秀二君    理事 島村 一郎君 理事 田邉 國男君    理事 前田榮之助君       上村千一郎君    小川 半次君       佐藤洋之助君    砂田 重民君       古井 喜實君    小林  進君       坂本 泰良君    栗山 礼行君  出席政府委員         文部事務官         (体育局長)  西田  剛君  委員外出席者         運 輸 技 官         (観光局整備課         長)      林 幸二郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  体育振興に関する件(オリンピック冬季札幌大  会準備等に関する問題)      ————◇—————
  2. 田中榮一

    田中(榮)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長所用のため出席されませんので、私が、委員長の指名により、委員長の職務を行ないます。  体育振興に関する件について調査を行ないます。  オリンピック冬季札幌大会準備等に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。   〔田中(榮)委員長代理退席前田(榮)委員長代理着席
  3. 前田榮之助

  4. 田中榮一

    田中(榮)委員 私は、今回、冬季オリンピック札幌に選定をされましたことにつきまして、関係者に対して心から感謝の意を表する次第でございます。  去る四月二十六日、ローマにおきまして、強敵であるカナダパンフ候補地として立候補しておったのでありますが、当初においては、カナダパンフが相当有力である、札幌は少し悲観的であるというような予想を裏切りまして、北海道札幌市が三十二票の大量得点をいたしまして、パンフを十六票の差をもって、ただ一回の投票によって最終的に決定をされましたことは、これは、ただいまここでごあいさつがございました地元原田札幌市長さんをはじめ、特にこの札幌市に誘致のために先行をされておりました岩田氏そのほかの方々の、現場における大活躍が功を奏したものであることはもちろんでございまするが、本札幌市が冬季オリンピックとして立候補いたしましたのは、すでに遠く昭和十年、一九三五年、いまから約三十年前でございまして、すでにその当時から、札幌としては、ぜひともわが市において冬季オリンピックを行なってもらいたいという地元の熱望があったのでございます。幸いにも昭和十三年、一九三八年でございましたが、IOCにおいて、オリンピック冬季大会札幌市において行なうという決定を見たのでありますが、時たまたま国内のいろいろな事情からいたしまして、ついに開催することができず、その決定を返上いたしたことは、まことに残念であったのでありまするが、自来、地元並びに北海道の有力の方々、あるいは冬季オリンピックに対して非常に熱心な先輩各位の、熱心なる誘致運動がようやく功を奏して、今回このような成果をあげたものでありまして、すでになくなられました先輩をはじめとして、関係者並びにそのほかの方々に、今回の札幌決定に対しまして、私どもは心から敬意と感謝のことばをささげたいと思うのでございます。  そこでまず、今回の決定に際しまして、これから準備としていろいろのごとが行なわれるのでございまするが、先ほど原田札幌市長からお話がございましたように、今回札幌にきまったということは、一昨年の東京大会が、非常に好成績で世界的に好感を持たれて終わった。日本受け入れ態勢及び施設がまことにりっぱであったということ、それからまた、日本に来られた選手役員その他の方々が、日本国内歓迎状況についてきわめて好感を持っていたというようなこと、そうしたことやら、前回札幌がせっかく決定をされて、ついにそれが実らなかったというようなこと、そんなことが今回の決定一つ原因であったと思うのでありまするが、私は、せっかく札幌市が冬季オリンピックに選定された以上は、東京大会に寄せられたる世界各国人々期待と信頼を絶対に裏切ることのないように、東京大会以上の好感を持ってこれを迎えてもらえるような、りっぱな施設受け入れ態勢をひとつやっていただきたいということを、まず希望をいたしたいと思うのであります。  そこで、まず施設の点でございまするが、スケート場といたしましては、まず四百メートルのトラック、それから少なくとも一万人くらいを収容できる屋内スケート場、それからアイスホッケーのリンクといったようなものが、まず施設として必要ではないか。現在、真駒内においてこうした施設をつくるという予定はされておるのでありまするが、大体、オリンピック冬季大会は一九七二年でございます。その前にプレオリンピック大会、要するに前夜祭というものが、これは各国慣例としまして、その前年に、参加各国希望国家選手が集まって、足ならし、場所ならしという意味におきまして、その競技場大会を行なうのが慣例になっております。それからその前の年に、国内競技をその場所で行なうということも、慣例になっておるやに聞いておるのであります。一九七〇年にその国内競技をそこで行なう予定になっておるのでありまするが、そういたしますると、すべての施設スケートスキー、こうしたものは、どうしても一九七〇年の夏もしくはおそくも秋ごろまでに、すべての施設完成をしていないと、おそくなるんじゃないかと思うわけであります。ことにスキー場は、相当優秀な世界選手が参りますが、大倉山ジャンプ台をということですけれども、これは、現在のジャンプ台ではとても設備が不完全で、これも全部改修するとか、これをこわして新設するとかなんとかしなければその目標に合わないのでございますが、いま申し上げたように、少なくとも一九七〇年の夏もしくは秋ごろまでにすべての設備完成して、いつでも使えるという態勢に置かないと、冬季オリンピックとしての完全な態勢を整えたというわけにはいくまいと思っておりまするが、これに対して文部当局として、まだ組織委員会も開かれておりませんし、また、準備等も全然進んでいないようでありまするが、目標としては、そういう目標を置かねばならぬと私は思うのであります。それに対して、文部当局としてはどのような御見解を持っているか、まずそれをお伺いしてみたいと思います。
  5. 西田剛

    西田政府委員 冬季オリンピック招致が、ただいまお話のありましたように、圧倒的な結果で札幌にきまりましたことを、心から喜んでおる次第でございます。ただ、さてきまったということになりますと、さっそく準備をいたさなければならぬのでございまするが、いまお話もありましたように、時期は一九七二年でございまして、七年先というような感触もいたすけれども、実際問題としましては七二年の二月ということになりますので、予算措置その他考えますと、六年に満たない期間でございます。したがって、それまでに施設その他いろいろと準備万端をしてまいらなければならない。また、ただいま先生からお話がありましたように、今回の札幌招致が成功いたしましたのは、一つには、さきオリンピックにおきまして、受け入れ態勢にしろあるいは競技関係施設にいたしましても、あるいは国をあげての歓迎といいますか、諸般の点で非常に外国好感が持たれた。まあ、前のオリンピックの成功ということが、今回の招致に非常に大きな原因になっているというようなこともあるようでございますので、それらの各国期待と申しますか、それに十分こたえるような準備を、滞りなくしてまいる必要があろうかと思います。  ただいま施設の問題で、どういう手順になるかというようなお話がございましたが、一応七二年と申しましても、ただいまのお話のように、プレオリンピックというのが、冬季オリンピック開催地では通常行なわれておる慣例のようでございます。それで、少なくともそれには間に合うようにいたしたいというふうな考えでおりますが、なお、ただいまもお話がありましたように、さらに一年前に国内のいろいろな競技等をやる。それは、選手強化とも関連してやっておるというような事情もあるようなことをただいま承りましたので、一応施設完成ということでは、お話がありましたように、少なくとも二年ぐらい前を目標にぜひ整備していくような方向で臨みたい。何といいましても冬季施設でございまして、いろいろとまだ研究の不足の点もございますが、工期が、冬の場所でもございますので、温暖の土地におけるように、年間を通じて工事をやるというわけにもまいりませんので、そのような点も考えて、できるだけ早く全体の計画を立て、国が援助すべきものは国が援助するというような方向で、ぜひお話のような、一九七〇年には使えるような方向努力をいたしたい、こういうふうに思っております。  いまのお話にございましたが、冬季種目といいましても、六競技、そうして三十数種目ばかりのものがございます。そうしてただいまも二、三お話がございましたが、市及び招致委員会のほうで今日まで検討してまいったところでは、ただいまお話のありましたように、真駒内地区にスピードのリンクあるいはスケート関係のもの、ホッケー、フィギュア等も含めまして、真駒内地区にひとつ施設を整備したい、あるいは大倉山のシャンツェを大改造して、これを十分な国際級施設として整備したいというような問題がございますが、新しい種目でありますルージュとかあるいはボブスレーというようなことになりますと、まだどの程度施設を必要とするかというような点、今後研究してまいらなければならぬというような問題もありますので、研究調査を至急行ないまして、間に合うような方向努力をいたしたいと思います。  そこで、まず問題になりますのは、東京オリンピックのときもそうでございましたけれども、そもそも国際級施設としてどの程度のものが要るかという規模の問題が、一つ調査の対象になろうかと思います。それから、そうした施設が今後地元において十分に活用されていく、大会の済んだ後に国内において十分使われないというようなことでは問題がございますから、そういう点で、将来の活用という点に着目して、どの程度のものを永久的な施設として整備する必要があるか、あるいは大会のために仮設施設としてどの程度規模のものを用意する必要があるかというような問題もございますし、また経理面といいますか、管理面、こういう点で収支の面をどうしたらいいかとか、どういうふうな予想が立つかとか、あるいは将来にわたって、管理上どういうふうに、どこが主体になってやったらいいかというような、いろいろな問題がございます。さような点を総合的に検討いたしまして、一応施設の全体計画考えてみる必要があるのではないかというふうに思います。いろいろと国に施設をつくってもらいたいという御要望もありますが、さような点を十分に検討いたしまして、東京オリンピックの前例もあることでありますから、国としてもできるだけの御協力を申し上げたい、こういうふうに考えております。
  6. 田中榮一

    田中(榮)委員 大体了承いたしましたが、私は、この冬季オリンピックをこれからうまく実施していくためには、これを実施するために責任大臣というものを一日も早く決定をされて——きょうは文部大臣が見えておりません。大臣に申し上げるのが一番いいと思うのでありますが、責任大臣を一日も早く決定をして、その責任大臣窓口になって、各省と折衝をして事を進めるということが、まず先決問題ではないかと思います。  それから次に、その執行部であるところの組織委員会というものを一日も早くひとつつくっていただきたい。まる五年、足かけ六年あるからといって安穏としておりますると、なかなか複雑な問題も起こると考えますので、一日も早くひとつ組織委員会組織をつくっていただいて、そしてその組織委員会が、執行部として動く中心になっていただきたいと思います。  それから、組織委員会本部は、おそらく私は東京に置かれるものと思うのでありますが、前回組織委員会本部東京にあって、施設は大体において東京、神奈川、埼玉というところにあったので、地理的にも比較的監督も十分できたと思いまするが、今回は競技をする場所北海道札幌になってまいりまするので、組織委員会本部札幌に置くかあるいは東京に置くかということは、十分研究をしていただきまして、かりに東京に置くとした場合においては、札幌にその出張所といいますか、その組織下部組織札幌に置いて、きわめて密接な連携を保つような方向をぜひとっていただきたいと思います。  それから、いま局長お話によると、国はできるだけ施設をつくってやるということでありまするが、単に物的に施設をつくってやるということ以外に、前回東京大会では人口一千万を擁する、国の予算の十分の一の予算を擁する大都市東京がその招致主体になったのであります。   〔前田(榮)委員長代理退席大石(武)委員長   代理着席〕 今回は、やはり札幌市が招致主体になって、札幌市が何か責任者のようになりますが、そうではなくて、やはりオリンピック冬季大会というものは、なるほど形式は、招致札幌市でありますが、やはりあくまでこれは国の行事としてわれわれは考えていかねばならぬのじゃないか。こういう意味におきまして、施設も国で十分に整備し、またそのほかの諸般の事項についても、国のあらゆる機関を動員して市のために便宜を供し、あるいは市のできないことは国もしくは道がかわって事業を行なうというくらいの気持ちを持ってやってあげないと、とても札幌市の地元財源だけではできないのじゃないか。かような観点から、やはりあくまで国が責任をとり、そうしてあくまで国がやっていくというような気持ちでこの冬季オリンピックを進めていきたい、こう思うのでありますが、それに対して文部省としてはどういう考えを持っておりますか。
  7. 西田剛

    西田政府委員 ただいまお話がございました執行部といいますか、冬季オリンピック大会の全体の準備を進めていく責任主体といたしましては、さきオリンピック大会と同様に組織委員会というものができて、そこで責任をとっていくという形になろうかと思います。そういたしますと、諸般準備を進めてまいる組織委員会を、何と申しましても一日も早く発足させるということが必要な問題ではなかろうかというふうに思います。そういう点につきましては、地元札幌市あるいは道のほう、あるいは体協の関係の向きにおかれましても、できるだけ早い機会組織委員会発足させたいというお気持ち準備を進めておるようでございますから、私どもとしては組織委員会のすみやかな発足期待いたしておるようなことでございます。何と申しましても、施設問題にしろ、全体計画の問題にいたしましても、やはり組織委員会という責任主体をきめていくということが基本的な態勢として必要でございますから、何をおきましても組織委員会のすみやかな発足ということについて私ども期待をいたしておるようなわけであります。前回の例によりますと、東京大会の実施がきまってから四カ月目くらいに組織委員会発足いたしておりますが、さような例もございますけれども、今回はそれにも増して早目組織委員会発足できるように関係者の方に期待をいたしており、私どもとしてもできるだけのお手伝いをしてまいりたい、かように考えております。  また、さように組織委員会ができましても、ただいまお話がありましたように、オリンピックのことでございますし、国としても十分これに援助その他の態勢をとっていく必要がございますので、さような点におきまして担当大臣をきめるという問題もございますが、前回オリンピックの例によりますと、担当大臣がきまりましたのが三十七年でありまして、東京大会決定が三十四年にきまっておるから、三年ばかりたってから担当大臣というものがきまっておるような実情でありますが、今回は担当大臣につきましても、なるべく組織委員会事業進展情勢等とにらみ合わせて、適当な機会担当大臣をおきめ願うような方向で進めてまいりたいというふうに考えております。さしむきの問題といたしましては、文部省窓口となって、いろいろと冬季オリンピックに関する一般的な資料を整備して、関係各省としてどういう仕事があるかということを、オリンピックの例にならいまして、ひとつ十分に研究してまいりたい。そうして組織委員会発足し、それによって大体の方向づけが検討されましたならば、それに応じて国として分担すべき仕事もおのずから明らかになってまいりますので、そういうふうな国として行なうべき諸事業連絡調整というような関係で、担当大臣も適当な機会には置いてもらわなければならぬというようなことも起ころうかと存じます。  なお、組織委員会をどこに置くかという問題がございますが、これが前のオリンピックと違った点でございまして、どちらに重点を置いて組織委員会を置くかという問題が一つ問題点であろうかと思います。諸外国の例を見ますと、現地組織委員会を置いた例もございますが、それぞれに長短がございますので、そのような点も関係者で十分検討いたしまして、東京に置くかあるいは現地である札幌に置くかというような点について、十分な検討をしてまいりたい。いずれにいたしましても、相互連絡をはかるということが非常に緊要な問題だと思いますので、それらの点に着目いたしまして、どちらに置くことがいいか、またどちらかにきまった場合に、相互連絡をはかる上でどういうふうな形を整えるのがいいかというような問題も含めまして、十分検討してまいりたいというふうに考えます。  なお、ただいまお話がありましたように、冬季オリンピックにつきましては札幌市が招致主体でございましたが、前回東京都が招致主体であったという事情から比較いたしますと、何と申しましても札幌市の場合は、地元負担その他の点で、いろいろと道なりあるいは国の援助が、前のオリンピックにも増して配慮すべき面もあろうかと思いますので、そのような点も逐次考えてまいりたいと思いますが、国としてはできるだけの援助協力をするという立場で今後とも十分努力をしてまいりたい、かように思っております。
  8. 田中榮一

    田中(榮)委員 それから選手村のことでございますが、私は、オリンピックで一番重要なことは、やはり選手村が設備がよいか悪いかということ、並びに選手に対するもてなしがよいか悪いかということが、オリンピックをうまく運営させるかどうかという一つの大きなかぎになっているんじゃないかと思うのでありますが、この間の東京オリンピック選手村の状況はきわめて良好で、私ども選手村を数回視察いたしまして、まずこれならば大体設備が上々であろうということで、その後選手方々の意見も聞いてみると、いずれも満足の状況でありました。したがいまして、今度の冬季オリンピック選手村は、既設のものを利用するのではなくして、全然ないところへ、スケート場から約五百メートルほど離れた真駒内の地を相して、そこへ千五百名から千六、七百名くらい入れる選手村を新たにつくるわけでありますが、これのつくり方についても、これはよほど考えてつくっていただかないと、ことに冬季オリンピックでありますから、冬季オリンピックにふさわしい施設を十分考えてやっていただきたい。  と同時に、もう一つ肝心なのはテレビ関係者報道員などの宿舎であります。もちろん競技を見に来る人々施設も必要でありますが、やはり一番肝心なのは、テレビ関係者並び報道員宿舎というものが、これがよいか悪いかによりまして、来た人々に対して非常によい感じを与えるか不快の感じを与えるかということによって、そのオリンピックが成功するかしないかという、まことに重要な一つの要素になってくるのではないかと思うのでありますが、まだ皆さんのお手元にはそうした青写真もないと思うのでありますが、何か特別にこの報道員テレビ関係者収容施設についてお考えがあるかどうか、選手村についてのお考えとあわせて承っておきたいと思います。
  9. 西田剛

    西田政府委員 ただいまお話がありましたように、冬季オリンピック大会が成功するかどうかという点で、選手村がいいものができるかどうか、非常にいいという選手の高い評価を受けられるかどうかというのが、確かにやはり一つポイントだろうと思います。それで選手村につきましては、準備委員会の当初から、ただいまお話のありました真駒内地区スケートリンクのごく近くに、住宅公団方式で千五百人くらいの選手役員が泊まれるような施設考えたらどうかというような点で、一応理想的な案というか、青写真はすでに考えております。  お話プレスハウスでありますが、これは報道関係でして、オリンピック大会を成功させるかどうかというには、これも選手村に劣らない一つの大きなポイントであると思います。この面につきましては、いまのところまだ招致委員会のほうで具体的な青写真をお持ちでないようでありますけれども、今後選手村の計画とあわせて、十分さような点に手抜かりのないように、検討してまいりたいというふうに考えております。
  10. 田中榮一

    田中(榮)委員 選手村は、ある新聞紙の報道するところによりますと大体十五億、それから競技用施設としては三十五億、合計五十億ということですが、これは新聞紙の報道するところですから、われわれはよく内容はわからないのでありますが、冬季オリンピックを成功させるためには、やはり競技施設としては三十五億、それからまた選手村の施設整備費として、また選手村をつくる経費として、日本住宅公団がこれをつくるにいたしましても、やはり十五億程度の金はかかるのではないか。そういたしますと、まず競技施設費とそれから選手村の費用とで約五十億、それからプレスハウスその他によってさらに二、三億の金がかかるのではないか。そうしますと、道路その他一切がっさい入れますと相当な費用がかかるわけであります。  そこで、もう一つ大事なことは空港の問題でありますが、これは運輸省にお聞きしておきたいのですけれども観光局ではたしてその答弁ができるかどうかわからないのですが、一九七二年の世界航空の将来を考えてみますると、現在のようなジェット機ではなくて、少なくとも五、六百人を定員とするスーパージェット機、それがおそらく日本に飛んでくると思う。日本の羽田でなくて、どこになるかわかりませんが、日本国際空港に着陸する。そこでその国際空港に着陸して、さらにそれを小型飛行機に移しかえて千歳飛行場に飛んでいくというのでなくて、たとえばニューヨークから、あるいはベルリンから、あるいはローマから六百人乗りスーパージェット機が飛んでくる、その飛行機を直接千歳空港に離着陸させるというような設備が必要ではないか、かように考えるのでありまするが、はたしてそこまで千歳空港の改造ができるかどうか。この点は、運輸省観光局ではとても御答弁ができぬと思うのでありまするが、私ども希望としましては、日本国際空港に一ぺん着陸して、選手役員をさらに小型ジェット機機に移しかえて千歳空港に送るよりは、直接千歳空港に六百人乗りスーパージェット機を直行させることが、私は一九七二年の冬季オリピック大会に対する日本施設としては最適当ではないかと考えるのでありまするが、そういうことについては文部省考えがあるかどうか、参考にひとつ聞いてみたいと思います。
  11. 西田剛

    西田政府委員 ただいまお話がございましたように、この札幌選手あるいは観光客をどういうふうに輸送を考えるかという問題は、一つの問題であろうかと思います。ただ、選手そのものの数でいいますと、千五百人足らずの数でございます。それで、私どもいま聞いておる範囲では、一応そうした選手につきましては、何とか臨時的にでも千歳空港に直行できるようなことが考えられないかということが考えられております。また一般の旅客につきましては、おそらく、直行するよりは、東京に寄ってそれから行くというような関係になると思います。そういたしましても、国内空港の点その他いろいろ研究すべき問題があるのじゃないかというふうに聞いております。いずれにいたしましても、北海道の今後の発達あるいは将来の航空事情の進展等を十分に検討して、実情に沿うような計画考えられるものと思いますが、お話のように、担当の省は運輸省のほうでもございますし、また、そこまで話が進んでおりません。ただ、組織委員会その他における準備態勢が整った段階におきまして、さような点もあわせて検討されるのではないか、かように期待をいたしておるわけでございます。
  12. 田中榮一

    田中(榮)委員 そこで、運輸省観光局としては、冬季オリンピックに対してどの程度外国からの選手役員、あるいはこれに対して付き添いの人、あるいは競技を見に来る観客といいますか、そうした者がどの程度来るか、はっきりした数字はまだつかんでいないと思うのですが、大体これに対してどの程度の観客が来るか、あるいは選手役員等一切合算して、この期間中にどの程度の外客が札幌を訪問するか、ひとつその点について、もしわかっておったら知らせていただきたいと思います。
  13. 林幸二郎

    ○林説明員 冬季オリンピックに対して、選手あるいは観客がどの程度来るかという数字につきましては、各方面で御検討中だと思いますけれども観光客といたしましては、まだいまのところ具体的に把握いたしておらない実情でございます。ただ、東京オリンピックの場合におきましては、選手村あるいはプレスマンハウスというものは、それぞれの選手村の建設あるいはプレスマンハウスの建設ということでまかなわれておったようでございますが、冬季オリンピックに際して海外から見に来られる観客というものの数は、できるだけいろいろなデータを集めまして算定をする必要があると思いますし、それから現時点におきまして、私のほうでやっております国際観光ホテル整備法というもので登録された、いわゆる外客の宿泊に適するホテルあるいは旅館というものの数、それと予想される外客の数というものを勘案いたしまして、当然相当不足するのではないかというふうに考えられますので、そういう数字が出ましたならば、財政投融資の資金というようなものも相当考える必要があるのじゃないだろうか。東京のときに行なわれましたように、いろいろな方法において観客の収容力の増強ということをはからなくちゃいけないというふうに考えております。
  14. 田中榮一

    田中(榮)委員 まあ東京オリンピックのときには、当初予定しておった外人数はとうとう来なかったのでありまして、それの四分の一、三分の一程度しか来なかったのであります。冬季オリンピックにつきましてどの程度来るかということは、これは運輸省で十分ひとつ御検討を願いたいと思うのでありますが、ただ東京には、あのオリンピックを当て込んでホテル等の宿泊設備が相当増設されたのでありまするが、北海道札幌のような地方都市におきましては、急激にそうした資本を投下して、新たに施設を増設するということも、あとのことを考えますると非常に困難な事情があるのではないか。そこで、日本の旅館であるとか付近の温泉地等をできるだけ利用する、あるいは民泊等も利用するというようなことで、大体私は間に合うのではないかと思うのでありまするが、新聞紙等によりますると、ホテルの改築、増築等につきましては開銀の融資、あるいはその日本旅館の改築、増築についても中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫、あるいはそのほかの金融機関の融資を、運輸省観光局において相当あっせんをされるということを聞いておるのでありますが、できればそういうことも十二分にあっせんをしてあげて、その収容について不足のないように、万全の措置を講ずることが必要ではないかと思うのでありまするが、その点についていかがでありますか。
  15. 林幸二郎

    ○林説明員 これは、確かに来訪外客数というものの想定が非常にむずかしいと思います。ただ言えることは、現在のところ北海道の観光シーズンというものは大体夏であって、冬はオフシーズンになっておる。それから現在の施設の稼働を見ましても、雪祭りというような特別の場合は別といたしまして、どうしても冬季はオフシーズンになっております。したがいまして、そういう点も勘案して、現状施設とそれから来訪が予想される数というものを十分検討したい。それから、冬季オリンピックのときに来訪する観客というものをすべて恒久施設、ホテル、旅館の新築というようなもので解決いたしますれば、ただいま先生の御指摘がございましたように、その後の問題という相当大きな問題がございますので、御指摘のような旅館の改造あるいは民泊というようなことも、当然考慮に入れてやっていくべきものではないか、こういうふうに考えております。
  16. 田中榮一

    田中(榮)委員 もう一度文部省のほうにお伺いしたいと思うのでありますが、一九六八年におきましては、フランスのグルノーブルにおきまして第十回の冬季オリンピックが開催されるわけであります。その後一九七二年に札幌において冬季オリンピックが開催されるのでありますが、現在の冬季オリンピックに対する選手の訓練といたしましては、フランスのグルノーブルの第十回オリンピックに対する訓練として現在これを実施いたしておりますが、これはやはりグルノーブルに対する訓練と同時に、札幌大会に対する訓練というものが必要じゃないかと思うのであります。この二つの訓練をあわせて行なっていかなければならぬと思うのであります。一昨年の東京大会の際に、アメリカの水泳陣が、大体十六歳から十七歳の少年、少女が、世界選手権をみんな奪ってしまったのでありますが、その際にアメリカのキッパス監督は、こういうことを新聞に発表しておったのであります。実は、アメリカの水泳陣としましては、今日連れてきた十六歳、十七歳の少年の選手というものは、次のメキシコにおけるオリンピック大会目標にして私は選手として訓練をしておった。ところが、この十六歳、十七歳の少年が、東京大会においてりっぱに成長して、こんなにまで選手権を獲得することができたということは、ほんとうにわれわれとしてはもう予想だにしなかったところだと言っております。これは多少宣伝もあると思うのですが、私は、アメリカのキッパス監督の言った、十六、七歳の少年を東京オリンピックの後のオリンピック目標にして訓練しておったけれども東京オリンピックでとうとう制覇してしまったということは、まあ多少強がりであり、宣伝であろうと思うのでありますけれども、しかし、言ったそのことばの中には、実際問題として十六歳、十七歳の青少年が世界選手権をとるというところまで成長したということは、キッパス監督も、おそらく多少は期待をかけておったけれども、これほど成果をあげるとは思わなかったと思うのであります。同様に、一九七二年の札幌冬季大会というのは、これから考えますと六年あとであります。現在の選手に精力を傾けて、これをいかに訓練強化いたしましても、いまの現役の選手が、一九七二年にはたして一精鋭として日本を代表して戦ってくれるかどうかということを考えますと、現在の選手強化に対する対象、目標というものは、少なくとも現在小学校五年から六年、それから中学校一年から二年の生徒を目標にして、これらの小粒な選手目標にしてこれを育てていかなくては、一九七二年のその当時の現役選手として、これを第一線において活動せしめることは非常にむずかしいんではないか。したがって、現在の選手をそのまま一九七二年に持っていこうったって、それは無理なんです。やはりその六年後のひのき舞台に活躍させるためには、どうしてもいまの小学校五年、六年、あるいは中学校一年、二年  高等学校の生徒じゃ少しオールドボーイじゃないかと思うのですが、そういう点を考えますと、この選手強化対策というものは、少なくとも私は、体育協会が中心になって行なわれると思うのでありますが、こうした少年を中心にして行なっていく必要があるんではないか、かように考えるのであります。こうした若ごまを掘り出して、そしてこれを育て上げて四歳馬として、いわゆるダービーに出すまでに育てていかねばならぬと思うのでありますが、こうしたことについて何か特別にお考えになっておるような対策があるかどうか、それについてひとつお伺いしたいと思います。
  17. 西田剛

    西田政府委員 ただいま選手の強化策につきまして、いろいろと貴重な御意見がございましたが、まだ詳細なことは私どもも承知をいたしておりません。ただ、お話のようにオリンピック招致した場合、やはり参加することに意義があるとはいいながら、相当の成績をあげてもらうということは、これは国民一般の期待しているところで、ぜひ成果をあげていただくようにしなければならぬ。そのためには、いまから十分に選手強化対策を講じていく必要があろう。幸い前の夏季オリンピックの例もございますから、それらの経験を十分に生かしまして、この六年近い期間に十分に、それこそ若ごまその他も加えまして十分な対策を、体協が中心になって講じていただくことを期待いたしているわけでございます。国といたしましては、先般の例もございますので、たとえば  コーチの強化とか、あるいは科学的な研究スキーの用具もずいぶん発達しましたし、いろいろ科学面での研究も進んでおりますので、それらの点も十分踏まえてやるとか、あるいは強化合宿を十分やっていく、また経験を踏ませるために海外に選手を派遣して国際交流をやっていく、こういうふうな面、いろいろな面で対策を講じてもらえるものと期待をいたしております。私も不勉強で年齢層のことについてはよくわかりませんが、それぞれの競技種目によりまして、若い年ごろのほうが国際的な水準に達するというような種目もありましょうし、また、たとえばフィギュアのようなものは、ごく子供のころからやらなければなかなか伸びないというようなことは、常識的に承知しておりますけれどもスキースケート、あるいは他の新しい種目でありますルージュとか、あるいはボブスレー、こういうものは相当の経験も要しましょうから、はたしてどういうふうな年齢層に着眼をして、どういうふうな強化策を講じていくことがいいかというような問題が、選手強化上の主要なポイントになりますので、体協は、もちろん前の経験を十分に生かして、各国準備状況等も検討いたしまして、万遺憾なき対策を講じてもらうことを期待いたしているわけであります。
  18. 田中榮一

    田中(榮)委員 重ねてお伺いいたしますが、東京大会選手強化費をどの程度使われたかと思って一応調査してみましたところが、一九六〇年から六四年までの五カ年間に、名目としましては競技技術研究費、コーチカ強化費、スポーツ健康管理費、スポーツ国際交流費、施設関係費、用具関係費、強化本部費等一切がっさい入れまして、国庫補助が大体六億五千万円余ですか、競技団体の負担が一億五千万円余、それから資金財団のほうからの支出が九億九千四百万円余、ざっと約十億、かれこれ十八、九億円の金がこれに使われているわけでありますが、五カ年間にかりに二十億といたしますと、一カ年に四億の金が選手強化費に使われたと思うのでございます。今回の冬季大会種目が限定されておりますから、五カ年間に二十億円の選手強化費を使うわけにはいくまいと思うのでありますが、しかし特殊な競技でありますので、やはり選手強化費は相当な費用が必要ではないかと思うのであります。それについて、私は文部省として、国庫補助としても相当な費用を大蔵省にぜひとも要求をしていただくと同時に、資金財団のほうとも十分に交渉をして、東京オリンピック大会に支出したと同じような一まあこの程度まではいかなくても、これに準ずる相当な額を、選手強化費として支出していただけるような配慮をお願いいたしたい、こう思うのであります。その点はどうでしょう。
  19. 西田剛

    西田政府委員 ただいまお話のありましたように、選手強化のためには相当の経費が要る。   〔大石(武)委員長代理退席前田(榮)委員長   代理着席〕 そうして、これに対してどういうふうな財源の措置をしていくかというような問題があろうかと存じます。ただいまお話のありましたように、夏季の東京オリンピックの際には、約十八億見当の金がかかっております。そうして国から六億ばかりの援助費が出ているわけでございますが、大部分は資金財団のほうで調達されている経費、あるいは若干のものにつきましては、それぞれの団体の自己負担というようなかっこうになっております。そこで、選手強化の経費の大宗をになう機関として資金財団に期待をするわけでございますが、資金財団は、東京オリンピックのときには、そのことの目的のために一時つくって、そうして解散して、いまはスポーツ振興財団ということで新しい企画を考えているような段階でございます。したがって、選手強化のための経費を前のフォームでやるとするならば、資金財団に相当期待するということになります。いまのところそういうものを調達する方便、財源の支出の方法等が確立いたしておりませんので、それにつきましてはあらためて民間資金、浄財を集める方法として、前の大会と同じように資金財団のようなものを考え、そしてそれによって新しく資金の調達計画を立て、そして御協力を願うということになろうかと思いますが、何と申しましても全体的な経費がどれくらいかかるか、また、そういうものにつきまして年次割りでどういうふうに調達していくかというようなアウトラインがきまりませんと、前と同じように資金財団的なものを設けて、前と同じようにオリンピック資金財団が中心になっていろいろと金集めをしていただく、またそのためには国としても特別立法をして、資金調達の方法を考えるかどうかというようないろいろの問題がございますが、これらの問題も、逐次全体の全貌を固めていくと同時に、あわせて検討していく必要があろうか、こういうふうに考えております。
  20. 田中榮一

    田中(榮)委員 よくわかりました。今後十分にひとつ御努力を願って、選手強化費等におきまして不足を来たさぬように、予算が少ないからといって選手の訓練が十分でなかったという悔いを残さぬように、ひとつ御配慮願いたいと思うのであります。  そこで、選手の訓練というものは、これは冬季競技でございますから、スキースケートにしましても冬季でなくてはできない。そこで、本年は十二月ごろからこの訓練に入ると思うのでありますが、体育協会の選手の訓練費等も相当計上されておりましょうが、おそらくこれを計上した当時は、冬季オリンピック札幌大会予定されていなかったと思いますから、冬季大会札幌に来るなんということは、とても考えていなかったと思うのであります。そこで、今回幸いにも日本に、しかも札幌オリンピック冬季大会招致することに成功したのでありますので、もうすでに訓練はことしの冬から猛烈に始めねばならぬと思うのでありますが、おそらくこうした経費というものは、私は体育協会は予算の中に組まれていないと思うのでありますが、そうした予算の不足の補いというものはどういうふうにすることになるのでしょうか、その点ひとつ。あるいは文部省としてこのオリンピックの経費として、選手強化費を相当な額補正予算において要求して、そうして補正予算において予算をとって 体育協会にこれを補助する、体育協会がそれを選手強化費として、現実に冬季スポーツの選手の訓練として使用する、こういうような運びになるのであるかどうか、あるいは現在の予算をとりあえず食っておくのか、単に流用してやるのか、その辺をひとつお聞きしたいと思います。
  21. 西田剛

    西田政府委員 選手強化につきましては、ことしから直ちに始めなければならぬのではないかというお話、ごもっともだと思います。それに際しまして財源措置がとられておるか、冬季オリンピック大会札幌で行なわれるということがきまった後の態勢として、特に選手を強化していくというための経費がどういうふうになるかというお尋ねでございますが、体育協会といたしましては、相当額の予算をもって各競技種目にわたって強化策を講じておるわけでありますが、その辺の融通がどの程度つくかというような問題、また、基本的に選手強化態勢をどういうふうな形で、どういうふうな年次計画でもっていくかというふうな問題が固まりました段階におきまして、もし体育協会その他関係方面から御要望があれば、たとえば補正予算として、あるいは予備金要求をするというようなことにつきましても、積極的に御相談に応じていくということになろうかと思います。
  22. 田中榮一

    田中(榮)委員 一九七二年に大会が行なわれるわけでありまするから、ことしの冬訓練した選手がその大会に出るかどうか、これはわからぬと思うのであります。おそらくその選手は、もう相当な年配になりまして、その大会には参加すること一ができなくなるかと思うのであります。したがって、現在スキーとかスケートが盛んに行なわれておるような地方の小学校、中学校、高等学校、そうした地方の学校の少年の中から、将来のダービーにも出られるような駿足の駿馬を掘り出して、そうしてそれを将来の大会に向けなければならぬと思うのでありますが、それをするにつきましても、やはりこうしたことはムードが必要ではないかと私は思うのです。冬季大会というものを国民に知らして、一九七二年には札幌において冬季大会が行なわれる、だからいまのうちから十分訓練しなくちゃいけないのだといような、国民に一つのムードをつくるという意味におきまして、毎年の冬季大会には相当りっぱな選手をつくり上げる、同時にそれが全国的にスポーツを旺盛ならしむる一つの機運を醸成する、こういうことにならなくちゃならぬと思うのであります。したがって、ことしの冬に訓練をして、その選手を出すという意味ではなくして、いまから冬季大会のムードづくりをいたしまして、そしてそういうムードづくりをする中に、一九七二年に出場できるりっぱな幼い選手をいまから見つけ出してこれを養成する、こういう必要があるのじゃないかと思うのであります。そういう意味におきまして、ぜひともこの冬から訓練を強化してもらいたい。それには相当な経費も必要であろうから、体育協会に対して国としても相当なる思い切った助成をして、そしてこの冬季スポーツに対する援助をしていただきたい、こういう強い要望を持っているわけであります。この点、ぜひとも文部省当局としても御努力を願いたいと思います。  それから、これは観光局の林君に一言お願いするのでありますが、一九七〇年でありますか、大阪で万国博覧会が開かれるわけであります。これには世界各国のバイヤーが来るわけであります。貿易商も来るわけでありますが、その翌々年が冬季大会になるわけであります。それで、おそらく運輸省観光局としても、万国博覧会につきましては、国際観光協会を使って相当宣伝をされると私は思うのであります。いまから万国博覧会を宣伝すると同時に、札幌オリンピック冬季大会も、国際観光協会等を十分に動員して、世界各国の若い人たちがぜひとも日本に来るように、万国博覧会と同様にいい宣伝をしていただきたい。結局、やはり各国人々に来てもらう必要があろうかと思うのであります。せっかくこれだけの設備をするのでありますから、世界人々に来てもらって見てもらいたい。日本の民族は平和を愛好する民族である、日本の文化、経済がこれほど発達しているのだということを十分見てもらいたいという意味におきまして、たくさんの外国人に来てもらわなければいけないと思いますので、この点についていかがでございましょうか、ひとつあなた方のお考えをお知らせ願いたいと思います。
  23. 林幸二郎

    ○林説明員 御指摘のとおりでございまして、札幌大会誘致決定いたしましたことを、観光行政をやっております私たちとしましても非常に喜んでおるわけでございます。といいますのは、観光行政から見ましても、日本の冬というものはオフシーズンでございまして、どうしても春と秋というときにやって来るということで、最近、私たち国際観光の宣伝の大きな一つの柱として、日本の冬というものを売ろうとしたわけであります。日本の冬というものが、たとえば本州以南におきましては非常にあたたかい。こういうものがイギリスであるとか、北ヨーロッパあたりの冬というものと相当違うわけでございまして、日本の冬を売ろうということと同時に、日本にもスキースケートができるところがあるのだということを、まだ知らない諸外国が相当あったわけでございます。これがこの冬季オリンピック招致できたということは、非常に大きなプラスになっておるというふうに考えております。日本におきましても、冬十分スポーツができる土地があるのだということを考えまして、万国博のPRと同時に、札幌冬季オリンピックの宣伝に対しましては、国際観光振興会等を通じて大いにやりたい。ごく最近、太平洋の航空運賃も相当割引といいますか、値下げがされましたし、それから冬季のオフシーズンにおけるレートというものを設定いたしまして、日本の国際観光の一つのオフシーズンであった冬を大いに売ろうとしておるわけでございます。この航空運賃の値下がりと同時に、国内における宿泊施設、ホテルあたりも冬の特別料金というものを設定したらどうかというようなことで、業界とも話し合っておりまして、日本の冬を売るということ、これがひいては六年後の札幌大会に対する大きなPRになるのではないか、このように考えておりますので、先生御指摘のとおり、万国博のPRと同時に札幌冬季大会というものを強力に推し進めていきたい、こういうふうに考えております。
  24. 田中榮一

    田中(榮)委員 最後に、これは文部当局にお願いしたいのでありますが、大会を成功裏に終わらせるためには、どうしても環境施設が肝心じゃないかと思うのであります。札幌市の区画整理であるとか、あるいはまた道路施設、あるいは札幌市に至る各幹線道路、あるいはまた空港施設、ステーションの施設であるとか、そうした環境施設の改善というものが、特に私は必要じゃないかと思っております。つきましては、文部省なり運輸省、建設省等が中心になって、できるだけ早く関係官庁の、このオリンピック大会を整備促進するために、何か連絡協議会のようなものを速急に設けていただいて、それによってできるだけ密接な関連を保ちながら、この大会の運営をきわめてスムーズにやっていただきたいと思います。私は、北辺の地北海道というものが、日本の国民に、世界の民族に十分に宣伝されるためには、最上の機会ではないかと考えておりますので、このことは札幌市民だけではなくして、北海道民だけでなくして、日本の国民として、ぜひともこのオリンピック大会を大成功のうちに終わらせることを念願いたしておる一人でございますので、関係各省緊密なる連絡をとって、本大会を成功させていただくことを心から念願いたして私の質問を終わりたいと思います。   〔前田(榮)委員長代理退席田中(榮)委員長   代理着席
  25. 田中榮一

  26. 前田榮之助

    前田(榮)委員 体育局長にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、過般の当委員会において文部大臣に、冬季オリンピック札幌誘致決定を見たことについて、要望なりまた大臣の御意見等も伺ったのであります。しかしその際には、文部大臣非常に時間を急いでおられまして、ほんとうに二、三にとどめざるを得なかったのであります。きょうも、実は大臣が御出席していただけるものだと思って、大臣に御質問を申し上げたい、また要望もいたしたい、こう考えておったのでございますが、また大臣が所用のために出られないということについて、まことに遺憾に存じておるわけであります。これは何も体育局長がもの足りないという意味でなしに、いわゆる国務大臣としての責任者に対して所見を伺いたいという私の熱望からであります。したがいまして、きょうはもう時間も相当経過いたしましたから、簡単に質問をいたして終わりたいと思いますが、どうか大臣ともよく打ち合わせをされて、私の意のあるところをお伝えを願いたいと思うのであります。  すでに、田中委員からかなり詳細にわたっての要望、質問等が行なわれて、まことに適切な御意見も出ておるわけでありまして、これに何もそうつけ加えなければならぬとは思いませんが、ただ、これは田中さんにも御理解願いたいのは、東京オリンピックのときには、当衆議院におきましては、オリンピック特別委員会という、東京オリンピックのために特別委員会が設けられて、組織委員会とタイアップされてその使命を果たされたのであります。しかし札幌大会について、はたして特別委員会が、それのみの委員会がつくられるかどうかということについてはまだ決定を見ておりませんが、あるいはそこまでいかないのではないかとも考えられる点もあるのであります。そういたしますと、当委員会がかわって、東京大会のときのオリンピック特別委員会同様の職務を執行しなければならぬことだと思います。そういう点から考えますと、われわれ委員責任はきわめて重大だと思う。ただこのことは、札幌における一つの行事だと考えるわけにはまいりません。田中委員からも申されたように、このことは、日本国民として国際的に日本の立場を明確にしながらいかに人類幸福に貢献するか、こういうことに相ならなければならぬことだと思うのであります。したがいまして、田中委員も申されたとおりに、まだ六年も七年もあるじゃないかというわけにはまいりませんので、この点を私は非常に急いで、気にかかってならぬわけでございます。  そこで、いろいろ体育局長の御答弁にもありましたとおりに、早く担当国務大臣をきめ、組織委員会を結成し、そうして、実質的にもう実行への踏み出しをしなければならぬことについては、おそらくわれわれが要望せずとも、中村文部大臣もすでに覚悟をきめられておると思いますし、また、佐藤総理をはじめとした全閣僚も、そういう決意をすでに心の中にきめられておると思うのであります。しかしながら、もうどうせ進むべき道はそう二つも三つもあるわけじゃないと思う。そこで、早く閣議において意思決定をされることが、特にこの当面の衝に当たっておる札幌市民が非常に心配されておるのであって、札幌市民に力強く前進していく決意をしてもらうためにも、これは緊急な要件だと思うのであります。その点を特に文部大臣にも伝えて、早く決定をしていただくように、まず第一にお願いを申し上げておく次第であります。  そこで、文部省体育局長に御意見をお伺い申し上げておきたいのは、まず第一に、組織委員会ができ、担当大臣もできて、それがどういう方向に進むということがきまる前に、現在のところは文部省責任の立場であることは、もう国民全般が了解しておる問題だと思う。そこで、それにはやはり一つの原案ともいうべき、心組みともいうべきものが、すでにできておらなくてはならぬと思う。ことに、当委員会の決定に基づいて、札幌現地視察を島村委員とともに私はしてきたのでありますが、その際に、私が現地関係者諸君といろいろ懇談をした際に、ほとんどやるべきもの、施設をどうするとかいう原案ともいうべきものができておったようであります。このことは、すでに文部省のほうへもそれぞれの書類が参っておることだと思います。そういうことについて、新しいものをどんどん計画あるいは立案するというもの等もそうたいしてなく、ほとんど準備が、原案としてふさわしいものができておるように私は感じておるのでありますが、その点は、いま文部省としてはどの程度にお考えになっておるか、これをまず第一にお聞かせを願いたいと思う。
  27. 西田剛

    西田政府委員 冬季オリンピック大会に関する全体の計画見通しといいますか、そういうものについてのお話だろうと思いますが、施設につきまして、全体計画といたしましては一応四十五億ぐらいの案がこちらに参っております。ただ、中身のこさいな面にわたりましては、いろいろと検討すべき内容が多分にございます。そうして施設につきましても、一応国の施設としてつくってもらいたいという御要望の中身は参っておりますが、これにつきましても、国は、さきオリンピックの例にならいまして応分の協力努力をいたすべきことは当然でございますけれども、いまの段階では、どの程度援助をするかという大ワクがまだきまっておりません。東京大会の例で申しますと、たとえば競技施設につきましては、大体国と地元東京都が半々ぐらいで持つというような路線が敷かれておりましたが、まだそういうふうな大ワクもきまっておりませんし、それから、競技施設そのものにつきまして、一応の原案の原案的なものは、地元及び招致委員会のほうで御検討のようでございますが、これらにつきましても、各国状況その他を考えまして、なお十分に検討すべき内容のものが多分にあるということで、今後いろいろとさような面につきまして事務的に検討をしてまいりたい、かように考えております。  そういうことで、私どものほうではさっそく冬季オリンピック全体についての資料の整備その他を取り進めておるような状況で、まだ施設なら施設につきまして、どういうふうな方向で持っていくかというところまでは、具体的には進んでおらない次第であります。お話のように、できるだけ早く進める要がございますから、組織委員会発足とも並行いたしまして、諸般準備を間に合うように進めていくように努力をいたしたい、かように考えております。
  28. 前田榮之助

    前田(榮)委員 御答弁大体了解をいたしましたが、そこで、私はもう一つ希望申し上げておかなければならぬのは、要するに、札幌におけるいま候補地になっておるところを、私の観察いたしました結果から申し上げますと、世界各国のいろいろな設備事情も承りましたが、雪の質といい、風の方向といい、それから札幌市を中心とした距離といい、諸条件がきわめてりっぱで、おそらくいままでの冬季オリンピックに使われた各国施設に、条件として劣らないところであるというように私も感じ、聞かされてまいったのでありますが、そのことを日本の国民が十分に利用していくようにならなければならぬと思うので、冬季競技場としては東北もあるし、北陸もありますし、何も北海道だけではないと考えられる点もありますが、国際標準に劣らない点になりますと、何としても札幌が随一であると、折り紙つきであると私は思うのであります。そういう点で、東京オリンピック準備をした例もございますので、その例に基づいて、やはり国が行なうもの、道庁あるいは札幌市が行なうもの、それぞれあろうと思うのでありますが、これは、結局は東京オリンピック大会の前例に基づいてやらなければならぬと思うのであります。そう点にあわせて、この冬季のスポーツ競技場というものが、やはり日本の国で国際的標準はこれだというものになって、今後日本があらゆるスポーツの発展によって青少年がこれになじみ、これを十分に生かしていくという点になりますと、やはり各府県にこういうものをつくりたいけれども、そういうことは事実上困難であります。各府県には各府県が行なう程度の  ことは、それぞれ将来どんどん国が援助をしなが  らやらなければならぬと思いまするけれども、すなわち国際的標準になるものを、たか七十二年の  大会ということだけではなしに、もう永久に日本におけるところの国際標準になるのは、この札幌大会競技場が標準になるのだというように、悔い  を残さないような施設をひとつやってもらいたい  というのがわれわれの希望であります。  そういうことになりますると、まずいろいろな案をつくる原案といいますか、そういうものをひとつ文部省準備をしておいてもらって、この組織委員会等についても前から——これは国会の要求でやったと言われても差しつかえございませんから、そういうものの心組みといいますか、やはり国家的な力を入れるという態勢ができておらな  いといけないと私は思うのであります。そういう点について、ひとつ局長もうんとがんばってもらわなければならぬので、この際局長の所信を聞かしていただきたいと思うのであります。
  29. 西田剛

    西田政府委員 ただいまお話のありましたところですが、日本国内冬季オリンピック招致するという場合に、冬季競技が盛んな県は相当ありますけれども、いろいろと関係者が検討いたしました結果、札幌ということに落ちついておるのでございまして、札幌は確かに、ただいまお話もありましたように、自然的、距離的な条件等が非常に整ったいい場所でございます。そういう点も、今回札幌がカルガリその他各国候補地を破って当選した理由の一つであろうかと思います。そういう意味で、いまの札幌を中心とした施設につきましては、一応関係者のほうで素案を用意しておるのでございますが、何と申しましても冬季競技施設につきましては、特に国際級施設がどの程度のものが必要であり、どういうことになるかというような点につきましては、日本における研究はまだ十分でないような面も多分にございます。それで、そういうふうな点につきまして十分今後研究をしていく必要があるのではないかというふうに思っておる次第であります。当面いたしております競技施設の設置につきましても、この大会に必要な規模、内容というものが、一応検討の結果出てくるだろうと思います。その場合に、それを恒久的な施設として残す必要があるかどうか、オリンピック大会としては最小限必要なものであるにいたしましても、それが大会の後にどの程度活用し得るかというような、その後の利用状況をも勘案して、どの範囲のものを恒久的な施設として設置し、仮設的なものとしてオリンピック大会の際に整備する範囲のものがどの程度のものなのか、こういうふうな面も検討しなければなりませんし、また、管理運営の面で採算上どういう関係になるか、そういうふうな点も十分考えなければなりませんし、今後の管理状況等につきましても検討してまいらなければならない。さような点をいろいろと検討いたしまして、それぞれの施設のうち、はたして国が持つのがよろしいか、国が持つといたしましても、特殊法人として管理させるのがいいか、あるいは利用その他のことを考えまして、地元がこの施設の所有の主体、設置の主体となりまして、国が援助するという形でいくほうがいいか、そのような点いろいろと問題点がございますので、関係者と十分に相談をして、今後できるだけ早目にさような点を分析し、決定してまいりたい、かように考えております。
  30. 前田榮之助

    前田(榮)委員 最後に、一つお願いを申し上げておきますが、組織委員会ができまして具体的な案の作成にかかられると思うのでありますが、それについて、できました際には順次資料として当委員会へも出していただいて、当委員会は、かつての東京大会オリンピック特別委員会と同様に、ひとつ委員で真剣に研究しながら進めたいと思う次第であります。そのようにひとつ文部省もがんばっていただくことを御希望申し上げまして、私の質問を終わることにいたします。
  31. 田中榮一

    田中(榮)委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。午後二時五十六分散会