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1966-03-03 第51回国会 衆議院 体育振興に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三日(木曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 川崎 秀二君 理事 田中 榮一君    理事 田邉 國男君 理事 只松 祐治君    理事 前田榮之助君       上村千一郎君    海部 俊樹君       佐藤洋之助君    砂田 重民君       古井 喜實君    小林  進君       佐藤觀次郎君    栗山 礼行君  出席政府委員         文部事務官         (体育局長)  西田  剛君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  角井  宏君         参  考  人         (日本体育協会         専務理事)   大庭 哲夫君         参  考  人         (日本学校給食         会理事長)   清水 康平君         参  考  人         (日本栄養士会         会長)     田中 静雄君         参  考  人         (埼玉縫製協         同組合中央訓練         所講師)    山下 久吉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  体育振興に関する件      ————◇—————
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  体育振興に関する件について調査を行ないます。  本日は、国民の健康、体力つくり関係施策等に関しまして、参考人から意見を聴取することにいたします。  御出席参考人は、日本体育協会専務理事大庭哲夫君、日本学校給食会理事長清水康平君、日本栄養士会会長田中静雄君、埼玉縫製協同組合中央訓練所講師山下久吉君、以上四名の方々でございます。  この際、委員長より一言ごあいさつを申しあげます。  本日は、御多用中にもかかわらず、わざわざ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございました。  最近、わが国民の健康、体力は、年々改善の方向に向かっておりますが、諸外国の水準に比べると、なお立ちおくれが痛感されるところでございます。国民すべてが健康を楽しみ、日常生活を通して積極的に健康の増進体力増強にいそしめるような環境的諸条件の整備をはかることが、きわめて必要なことであると存じておるのでございます。  本委員会といたしましては、保健及び栄養改善体育スポーツ及びレクリエーションの普及並びに強固な精神力、つまり、いわゆる根性を養い育てるなど、国民の健康、体力つくり対策について調査を進めておるのであります。したがいまして、本日は、御出席参考人方々に、それぞれの立場から忌憚のない御意見が承われますれば幸いと存じます。  なお、御意見の開陳はお一人十五分程度お願いすることとし、そのあと委員の質疑にお答えを願うことといたします。  それでは順次御意見を承ることといたします。  初めに、大庭参考人お願いをいたします。
  3. 大庭哲夫

    大庭参考人 御指名を受けました体育協会専務理事大庭でございます。  本日、私から申し上げたいことは、一つには、体育協会としてスポーツ振興をどういう計画で進めつつあるかということと、二つには、それに対して、いろいろ体育協会といたしまして政府に御要望する件等を申し上げて、私の責めをふさぎたいと存じているわけでございます。  御承知のように、オリンピックアマチュアスポーツ団体といたしまして、技量的には世界の水準に達していながら体力的に劣る、したがって、結果的にいい成績が出てこない、ひとつスポーツにおきまして体力増強をはかっていかざるを得ないのじゃないか、そのためにはどういう方法ではかっていくかということが問題になりまして、オリンピック後日時を重ねて計画を立て直しまして、昨年来それが計画の成果を得まして、これを実行に移しつつある段階であります。  と申しますのは、一つには、現在の選手をいかにして体力つくりしていくかという問題と、次に、選手にならんとする者をどうして基礎体力をつけていくか、次には、長期計画として選手の層をふやし、そういった選手になる段階において、体力つくりする必要のない程度にまで国民体力つくりをしておきたい、それにはいかにするかという、申せば、短期長期計画を打ち立てたわけであります。現在の選手層あるいは選手にならんとする層の基礎体力増強にはいかにするか、これは、現在コーチ層の再訓練と申しますか、再教育と申しますか、それを充実することによって、選手層体力増強と、あわせてオリンピックで得ました技量強化をはかっていける、したがいまして、新しいコーチ制度というものを打ち出して、現在これが訓練講習に進みつつあるわけであります。  二つには、長期計画としてどうするか。御承知のとおり、学術的にもいわれているとおりに、十歳以後の少年から十八歳、二十歳に達する青年、この層の伸びんとする体力をうまく訓育、鍛練していくことによって基礎的な体力が得られるのではないか。いま国家が取り上げておりますスポーツ振興法に基づく体育増強、あるいは体力つくり国民会議で取り上げられております国民運動ということの一端体育協会としてになえるのではないか。目的一つではないかというところから、体育協会としては、三年前につくられておりましたスポーツ少年団拡充強化、かつ、それを充実するために指導者講習訓練というものがまず最初に必要ではないかというところから、指導者講習訓練に今日かかりつつあるわけであります。したがいまして、どっちかというと、体育協会として従来やってきたところの短期計画、またそれの増強と申しますか、選手体力技量向上はそれでやっていけるわけでありますが、長期計画の、十歳以上の少年から訓育していくということになりますと、いろいろそこに困難な問題が、社会的に発生してきているわけであります。とにもかくにもことし四年目を迎えました体育協会スポーツ少年団発達は、団として一万余、それの団員を総計しますと、今日二十七万人という数字に達しているわけであります。体育協会のこれらに対する計画としましては、大体今日までが計画時期であって、あとの三年を拡充期とし、あとの三年を完成期とし、大体十年を一つの目安として進んできているわけであります。これらが大学を出、社会に出て、スポーツ少年団指導者となって還元されたときに、初めて一つの大きな望みが達せられると申しますか、成功の域に入ってくるのではないか。しかし、十歳から十五歳と申しますと、これは義務教育期間でありまして、単に選手層拡大と申しますと、いろいろそこに問題点があるわけでありまして、体育協会として考えていることは、その年齢層に応じた体力テストをやらし、かつまた毎年一回の健康診断をやらし、それによりましてその年齢に応じた、自分標準体力を持っておるかいないかという自覚を持たせ、また、自分の健康がはたして健全であるかどうかというその自覚を持たす、その自覚において、自分からその標準体力をつけるにはどうしたらいいか、かつまた、自分からだ健康状態にし、あるいはそれを保っていくためにはどうしたらいいかという自覚精神を起こさして、それを指導者によって、その趣味趣味競技をやらして体力をつけさしていきたい。したがって、義務教育期間に私たち選手をつくろうという気持ちは一つも持っていないわけであります。しかしながら二次的には、これが高等学校に入りまして体力がいい、あるいはそのスポーツ基礎体力はそこでつけられているというその効果から、選手層拡大と申しますか、底辺の増大と申しますか、それが得られてくる、どこまでもそれは二次的に考えて、現在進みつつあるわけであります。  以上が、大体の体育協会としての計画でありまして、四十一年度の体育協会事業予算からいいまして、大体現在予算は総額的に——政府補助金はきまりましたが、公営競技からいただく補助金はまだきまっていないわけでありますが、体育協会予算としましては、大体事業費としまして七億九千万円というものを要求しているわけであります。それで、選手強化費用としては三億円余りあと長期計画と申しますか、スポーツ振興並びにスポーツ少年団に対する事業費としまして大体四億余り費用を要求しているわけであります。体育協会として、従来はほとんど選手強化費というものでありましたものを、スポーツ振興のために、選手強化費以外に、またそれよりも大きく費用をかけて、底辺拡充と申しますか、国家体育向上体力つくり国民運動体育協会としても貢献をしたいというように考えて、現在その事業予算をつくっているわけであります。しかしながら、漸次長期計画が進み、また、これが国民的な運動となってきますと、いま申しましたように、私のほうのスポーツ少年団でも団として一万、団員の総計は二十七万に達しているわけです。しかもまた全国的な組織であります。今日までは、彼らは、場所のあるものは大体団をつくり、あるいは場所を利用してその目的を達成しつつあったわけですが、今後、これは漸次場所のないところまで拡充されてくるのではないか。したがいまして、もしも政府スポーツ振興法に基づく施策拡充をされ、あるいは国民会議としての体育つくり国民運動政府の大きな方針として打ち出されるとすれば、当然そこには財政的な問題が生じてくる。また、私たちはそれをお願いせざるを得なくなってくる。この点につきまして、ひとつ政府として振興法に基づくこの方針拡充され、今後国民運動として取り上げていかれるという大方針がおきまりになった以上は、ひとつ特別法とかあるいは政府的な特例をお設け願いまして、一面には、たとえば免税措置とか、あるいは大会社に対してそういう遊ぶ場所の義務づけとか、あるいは今日たくさんできつつありますゴルフ場にそういうような遊ぶ場所をつくる義務づけというような、取り上げれば、政府としてやっていただけばやっていただける問題点が多々あるのではないか。それらをひとつ御研究願いまして、少なくとも体育協会としては、単に選手強化だけでなしに、オリンピック後の自分たち目的を達成する以外に、政府の大きな方針一端をになっているのであるということを、ひとつこの際御確認願いまして、私たちの今後の計画施策に対しまして、万般の御協力、御援助をお願いいたしたいと存ずる次第であります。  簡単ではありますが、一応概略の御説明なり希望なりを申し述べた次第であります。
  4. 福永一臣

    福永委員長 次に、清水参考人お願いいたします。
  5. 清水康平

    清水参考人 私、清水康平でございます。日本学校給食会理事長という立場でなく、一市民として卑見を述べることをお許し願いたいと思います。  国民全体の健康、体力増進を考えます際、その中心的な対象は、何と申しましても私は千八百万の多数にのぼっておる児童生徒ではないかと思うのであります。しかも、日本はこれから老人が多くて子供が多いということを考えますと、なおさら児童生徒の健康、体力増進ということを全面的に取り上げて考えていかなければならないと思うのであります。これら児童生徒の健康、体力増進は、いろいろな考え方もありましょうが、三つの要素によってささえられていると思います。  その一つ保健であります。これは学校保健といっておりますが、保健であり、その一つ栄養であり、その一つ運動能力ではないかと思います。保健、すなわち学校保健栄養、すなわち学校給食運動能力スポーツと申しますか、この三つお互いバランスのとれているものでないといけないと私は思います。一方が先んじたり、一方がおくれたりしてはいけないので、調和のとれたバランスの上に充実、発展さしていかなければならないと思うのであります。それならば、ちょっと参考的に現状をのぞいてみたいと思うのであります。  学校保健現状を申しますと、たとえばトラホーム、結膜炎、あるいは中耳炎、蓄膿症、アデノイド、あるいはしらくも、皮癬、とびひというような伝染性皮膚疾患、あるいはまた蟯虫、回虫、十二指腸虫というような寄生虫病を持っている児童生徒、これらは学校病といわれておるのでございますが、その他の病気をかかえている児童生徒は、ここにもございますが、三十九年度の文部省指定統計によりますと三〇数%に達しておるのでございます。そのほか虫歯まで入れますと、虫歯は八〇%をこしております。とにかくこのような学校病、その他の病気をかかえておっていいのかどうか。終戦後、この学校病は一進一退、率は下がっておりません。これでいいかどうか。これで義務教育を円滑に実施できるかどうか。私は、義務教育学習にきわめて支障が多いと思うのでございます。この点につきましては、学校保健について文部省は、私の知る限りにおきましては、逐年予算措置を講じておるのでございまするけれども、比較的じみというか、薬くさいというか、どうも後援団体がないせいか、あまり進展いたしておりません。私は、何とか治療しつつ学び、あるいは学びつつ治療する必要があるのではないかと思うのであります。体位向上し、体力増進するのはけっこうだけれども、三〇数%以上の学校病その他をかかえておっていいであろうか、こういうふうにつくづく私は思うのであります。  次に体育、特にスポーツについて申し述べたいと思うのでございます。これは全く私の蛇足でありまするけれども、昨今いろいろなところへ参りますと、おかあさんが、うちの子は子供だというのになりばかり大きくなって、と言って悲鳴をあげておりますが、私は、まことにうれしい悲鳴でありまして、まことにけっこうだと思うのであります。しかし、このような身体的な発達ということは、どちらかというと形態的な発達であります。能力的と申しますか、機能的な発達が、はたしてこれに伴っているかどうかということを考えますると、やはり今後その点に留意していく必要があるのではなかろうか。形に力が伴っていないような気がいたすのでございます。この点、文部省体育局におきましても、体育協会におきましても、オリンピックも過ぎたことでもあり、国民全体に層を厚くして、底辺を広くする意味において、運動能力をつけるという計画もあるやに聞いておりますることは、全く同慶に存ずる次第でございます。  次に、学校給食について申し述べたいと思うのでありますが、学校給食が戦後始まって二十年になりまするが、いまでも国民の一部に、こういう考え方を持っている者があります。学校給食、それはいいことだから、貧困家庭さえ救えばいいんだという考え方があります。政府財政当局にもあるかもわかりません。なるほど戦争前、昭和の初めから学校給食というものを始めておりました。しかし、これは貧困家庭の救済でありましたし、終戦後行なわれた学校給食は、食糧不足を補う意味で行なわれたのでございますけれども、今日の学校給食は、御存じのとおりそうではないのであります。現在の学校給食は、よき栄養を与えることによって体位向上させ、ひいては国民の食生活の改善という二つ目的によってなされております。全くそのとおりでありまするが、実はそれ以上に大きな意義効果のあるのは、人間開発と申しましょうか、人間形成、人つくりに非常に大きな役割りを果たしておるということであります。この問題は、学校給食がいかに体位向上のほかに人つくりに役立っておるかということは、天野貞祐先生の「学校給食人間形成」あるいは倉澤剛先生の「学校給食教育的意義とその効果」という論文を見るまでもなく、今日小中学校におきましては、学校給食をしろとはどこにも書いてはありません。奨励なのであります。にもかかわらず、ここまで学校給食を発展させたということは、学校校長先生をはじめ関係者が、からだのためになる、人つくりになるという、子供に対する愛情からここまで進んだということに、私どもは留意する必要があると思うのであります。それにもかかわりませず、今日の学校給食は、教育課程における地位はどうなっているかと申しますと、御存じのとおり、行事等に入っておるということになっております。教育課程は、よく御存じのとおり、教科道徳特別教育活動学校行事等の四つに分かれておるのでありますけれども、学校行事等というのは、ちょっと変なことばを使いますと、教科にも、道徳にも、特別教育活動等にも入っていないその他のものを全部入れたというようなかっこうで、学校給食をやっておれば学校行事等に入っておるということになり、やっていなければ入らないということになるわけです。体位向上教育的意義がこのように大きなものであるにもかかわらず、これでいいかどうかということは、識者の間で問題になっておるのでございまして、先般文部大臣が、諮問機関であるところの保健体育審議会に諮問され、学校給食のあるべき姿、基本方策について諮問されたので、目下そこで審議中でもあり、また承りますると、来年秋ごろですか、これまた文部大臣諮問機関であるところの教育課程審議会でも、この問題をどういうふうに取り上げるであろうかということを、私は期待しておるものであります。この際私は、学校行事等に入っておるということになっておりますけれども、一年二百日以上もやっている学校給食が、どこにも学校給食ということば教育課程に出てこないということは、やはりまずいような気がいたすのであります。堂々と学校給食という新しい領域を設けるか、百尺竿頭一歩を進めて、教科道徳特別教育活動のほかに健康体力というような領域ができれば、それにこしたことはないと思います。そうすることによって、教育課程は改正され、法令も整備され、したがって、先生方の勤務時間——必要な定数をふやすなり、給食人員も置くことができるでありましょう。そういうことを考えずして、ただ単に先生愛情だけにたよっておるというような、もうそういう時期ではありません。今日までの学校給食の大きな意義は果たしたのでございますけれども、今後は、別な立場から考えていく必要があるのではなかろうか、かように思っておるような次第でございます。  このように、学校給食体位向上のほかに教育的意義があるにもかかわらず、現行を見ますと、千八百万人弱の児童生徒で、完全給食を受けている者は九百万人、補食給食ミルク給食も受けていない者が約四百万人おります。もちろん、文部省関係団体協力によりまして、昭和四十五年までに全国津々浦々の学校完全給食を実施しようという意気込みでおられますけれども、現状はそういう状況であります。教育機会均等は、終戦教育政策樹立の最も大きな課題の一つであるにもかかわらず、四百万人の児童がいまだにその機会に浴していないということは、やはり心すべき問題ではなかろうか、かように私は思うのでございます。  以上申しました学校保健運動能力学校給食という三つの柱は、お互いに有機的に関係し、調和のとれたものでなければならないのであります。終戦文部省は、義務教育充実にいろいろの手を打ってこられました。まことにけっこうなことでございます。一つの例を申し上げますと、学校先生方の俸給を半額国庫で負担するとか、あるいは数次にわたる教育課程の改定でありますとか、あるいはまた公立文教施設に多額の補助金を出すとか、あるいは教科書の無償とか、まことにけっこうであり、それぞれの目的を果たしつつあり、また、その方面についていろいろの施策を行なわれております。これも、すべて児童生徒を考えてのことでありますけれども、どちらかというと直結というものではない。文部省体育局でやっております学校保健学校給食スポーツ能力というものは、教育対象である児童生徒そのものに密着しておるのでございます。もちろん、今日まで予算その他において年々相当な飛躍はしつつありますけれども、これからはより一そう児童生徒に密着した保健と、給食と、それからスポーツ能力に、より一そうの重点を置いて施策を行なうべきじゃなかろうか、私はかように思うのであります。これらの学校保健と、学校給食と、運動能力というものは、考え方によりましては義務教育基盤である。これを無視して学習は行なわれない。義務教育基盤であるどころか、義務教育以前の問題ではなかろうかと私は思うのであります。  昔から、ことばは古いが、常に脈々たる意味を持っておりますところの知育徳育体育のうちで、私、個人的な意見といたしましては、知育偏重というどうもそういう気がいたします。さもなかったならば、健康、体力、広い意味に解するところの体育が軽視されておったのではなかろうか。知育徳育体育というものは、これまた三つとも調和のとれたバランスの上に打ち立てていかなければならない。かように思うときに、健康、体力増進により一そうの力を尽くすということは、むしろ当然ではなかろうかと思うのであります。おかあさん父兄立場から、小さな子供に対して何を一番望み、何を一番心配しているかというと、学力増進でもなければ、いい成績をとってもらいたいということではないと私は思います。父兄子供に対して何よりもまっ先に心配し望んでいるのは、病気にもならず、元気でほがらかに学校へ通学してもらいたい、それが第一です。その次に勉強ができるいい子供学力をつけてもらいたいと思うのじゃないでしょうか。それを思い、これを考えますときに、私は、いよいよますます学校保健充実いたしまして、そうすることによって健康を維持し、学校給食をより一そう充実、発展させまして体位向上させ、そして運動能力を普及させることによって、日本民族体質改善と申しますか、日本民族のバイタリティを涵養していく必要があるのじゃないか、こう思うのであります。  たいへん口幅ったいことを申し上げましたが、どうかお許しのほど願いたいと思います。
  6. 福永一臣

    福永委員長 次に、田中参考人お願いをいたします。
  7. 田中静雄

    田中参考人 私は、いま日本栄養士会会長ということにもなっておりますけれども、栄養学を専門といたしております医者の一人として、なおまた、栄養士を養成いたしております神奈川県立栄養短期大学の学長というような立場、そのほかまた厚生省、文部省その他のところで、いろいろな勤労奉仕のお仕事をお引き受けしておる者といたしまして、常々衆参両院先生たちにいろいろな意味で陳情、請願などをいたしてお世話になっておる次第であります。ただ、私は個人として、少しも自分のいわゆる利益とか、名誉とか何とかいうことには関係なしにやっておるので、いろいろな場合におきまして、私の言動が非常に勇ましいというか、よくそういうふうにひやかされるのであります。そういう意味で、きょうも遠慮のないことを申し上げたほうが御参考になるのではないかと思いまして、ひとつ申し上げたいと思います。  まず第一、体育振興という、こういう特別委員会をお持ちくださいますこと、まことにけっこうであります。しかし、日本人は字句というものに非常に引きつけられると申しますか、また、こだわりやすい習性を持っておると思います。体育、こうなると、いかにももういわゆるスポーツというものに力が入っておるように見えるわけであります。また、体力ということになりましても、この体力定義というものが、われわれ学者ではありませんが、そういう者の中でもまだはっきりとしておらないような向きがあるわけです。  そこで健康の定義ですが、この健康の定義につきましては、国連のほうで世界じゅうの学者が寄って相談いたしました結果、皆さん御承知のようなああいう定義ができたのでありますが、私は国連学者が寄ってきめたよりももっともっと前から、健康の定義を唱えておるわけでありまして、それも遠慮なしに御参考に申し上げると、ほとんど国連定義と一致しておるようでありますが、何もパテント争いする必要はございませんので、笑いながらいつも申しておるわけで、学生にもそういうことを教え、栄養士にもそれを教えておるわけであります。  私の健康の定義は、そこへ「真の健康」というふうに「まことの」という字をつけて、「かなり無理をしても疲れを感じないで、いそいそ、にこにこ、生き生きと活動し得る心身の快適状態を真の健康という」、こういうふうにいっておるわけであります。ただ単に病気であるとかないとか、そういう程度でなくて、かなり無理をしても——あまり無理をし過ぎてもいけないのでしょうが、かなり無理をしても疲れを感じないというか、心とからだと頭がいわゆる疲れを感じないで快適に活動することのできる状態をいう、こういうふうに申しておるわけであります。そういうことを唱えておる者として、私自身もそれの範を示さなければならないということで、非常に力を入れてそれの実行を続けておるわけでありますので、こうやってその健康の真の定義にふさわしい健康を保持し、確保し、増進しつつあるわけでありまして、年齢を超越して、暦の年齢などを数えないで、非常に元気で、栄養士界の先頭はもちろん、日本のいろいろな面におけるこういう栄養問題につきましては、公私ともに力を入れ過ぎるほどやっておるつもりでおります。それでも少し頭が痛いとか、疲れるとか、からだがだるいとかということはございません。こういう私がまことにうれしく味わっておる健康を、日本国民に味わっていただきたいというのが私の念願でありまして、先ほど来、スポーツのほうの御専門の方が申されましたようなスポーツ振興——スポーツと申しますか、体育振興ということにつきましては、これまた、もちろん大賛成であります。青少年の不良化防止というような点から見ても、ただ単にスポーツということにとどまらず、そういう精神面に及ぼす影響も大きいから、ますますこの方面に力を入れていただきたい。  なおまた、清水先生のおっしゃるように、学校給食、この重大さはもうすでに認識が深まりつつありますけれども、まだ一部におきましては、学校給食はおなかを大きくする、いわゆるお弁当がわりのものを与えるのだという程度しか考えておらない人もあるわけであります。清水先生おっしゃるように、私も日本学校給食会の評議員というのを文部大臣から任命を続けて受けておりますが、そういう役を承っておるからというのではなくて、学校給食こそはもっともっと国が力を入れていただいて、学校給食法を改正強化していただいて、そして、いわゆる義務教育にはぜひとも学校給食をやらなければならないということにして、そして国費をこのほうへ回していただきたい。大蔵省の方々にお会いすれば、そういう予算はないとおっしゃるけれども、ないのではなくて、回してくださるかくださらないかということであって、初めから学校給食のほうに回す税金といって取っているわけじゃないのだから、そういう方面が、より以上に日本を繁栄させる基に役立つのであるという御認識を、国会の先生たち及び大蔵省当局にしていただいて、そのほうにもっともっと力を入れていただきたい、こういうふうに陳情、請願を続けておるわけであります。こういう意味で、小学校、中学校の学童生徒全員に義務的に学校給食を実施していただくような日本学校給食会法、これの大改正、強化をしていただきたい。  その次は、栄養改善法を昭和二十七年に、いまここにいらっしゃる先生方のお力によりまして、議員立法としてつくっていただいたわけであります。日本の画期的な文化立法でありまして、私たちは大喜びしたわけであります。私は、そのときはほかの公職を持っておらなかったので、破防法で非常に長引きましたあの国会のときでありますが、八カ月間これに日夜専念いたしまして、そうして議員の先生方に、たん白質がどうだとか、ビタミンがどうだとか、カロリーがどうだとかいうようなことまでもいろいろとお話を申し上げたり、陳情、請願をもうしつこいほど行ない、また全国的な運動を展開して、そうしてやっとあの栄養改善法というのをつくっていただいたわけであります。おかげによりまして、不十分であり、第一案から第七案までに修正されましたけれども、非常に日本としては珍しいあの栄養改善法ができたために、栄養士を養成するというような学校もたいへんふえたし、また、栄養士の活動というものが合理的にやれるようにもなったわけでありました。そのときに学校給食だけが、また別にということになって、少しおくれて学校給食法ができたわけであります。  この栄養改善法は、集団給食施設における給食をどういうふうにするかという、奨励はされておるわけでありますが、義務的にするわけにはいかないそうであります。もちろんそれは無理でありましょうが、こういう、ある何食以上の集団給食施設において、いわゆる特定多数人がそこのその食べものを食べなければならないような場合、働いておる方に、同じ経費で食事をお上げするのなら、合理的な、栄養学的な、衛生的な、しかも経済的なもので安いものをお上げしたほうがいい、こういうふうな栄養改善法にしていただいたわけでありますけれども、まだまだこれが徹底いたしておりませんので、その給食の単に人数、すなわち一回百食、一日二百五十食以上というところから始まっておりますが、そういう面で、まだまだ大きなところだけが大切で——小さいところは必要でないというわけではもちろんないのでありますが、しかし、こういう栄養改善法の適用を受けるところであっても、まだ本式の栄養食が提供されておらないところが多いわけであります。そういう意味で、先生方の議員立法によってしていただいたあの栄養改善法を、もっともっと強力にしていただきたいわけであります。これは、ただ単にそこの集団給食を受ける人だけでなくて、その家族にまで、その合理的な栄養食が健康のためにいいということを認識していただくことが必要であります。学校給食を通じて、家庭の食生活改善教育になると同じように、集団給食で受けたその合理的な栄養食が家庭にまで及んで、何よりも日本繁栄のもと——それは健康な人が一人でも多くなることが繁栄の基であると信ずるわけでありまして、病人が多いほど、一家にとりましても、また地域社会にとりましても、大きな国としても不幸でありますし、非常に暗くなるわけであります。その意味で、明るくするためには、また繁栄さすためには、何としてもほんとうの健康を確保しておる国民がふえなければならないということ、それには、合理的な食生活を実行してもらうようにしなければならないと思います。  そこで、厚生省が昭和二十一年以来毎年何回も続けて、いまもなおやっております国民栄養調査成績をごらんになるとおわかりのように、だんだん改善はされつつありますけれども、いまだに四人に一人、五人に一人の割合で、へたな食生活をしておるために健康を害しておる、すなわち栄養障害におちいっている病人がおるわけであります。二千万人も二千五百万人もの病人が日本におる。これは栄養的に診断しただけでの病人ですが、私の言う眠りにくいとか、いらいらしているとか、がつがつしているとか、くよくよするとか、そういう国民栄養調査で診察するよりもう少し範囲の広い病人を加えたならば、もっともっと、日本国民の中のもう六〇%は病人ではないかと思うわけであります。とげとげとした行動をし、すごい目つきをし、そうしてあの込んだ電車で押し合いをし、いろいろな面で——国民の模範である先生方の中でも、たまにはいろいろ乱暴されるような方もあるというのは、食物が不合理であるからである、こういうように思うわけでありまして、もう少し穏やかに議事も進め、模範を示していただきたいということも、私よく笑いながら申すわけであります。  そこで、こういう意味で合理的な食生活をしておれば、からだの健康がよくなるだけでなしに、頭と心の健康もよくなるのだということ、それを確信いたしておりますので、どうぞそういう点で栄養改善法を強化していただくこと、それと学校給食法を強化していただくこと、そういうことをお願いしたい。  それから、これもまた実行に移していただきたいのですが、体育振興のためのいろいろな施設とか、またそういうふうな運動をなさるようなときには、それは決して私はブレーキをかけたりくさしたりいたしませんが、そういう場合には、必ずこの栄養食というものを並行的にそこに供給できるようにしていただきたい。ただ運動させさえすればいいのだということでなくて、トレーニングだけではいけないのだということをよく認識さして、そして年齢に応じ、男女の性別、また運動の種類、短時間、長時間のもの、またそのときの気候の温度とか湿度とか、いろいろな面で与える栄養食の内容を違えなければならないのであります。それを、同じようなものを提供しておったのではだめであるから、そういうスポーツ施設をする場合には、必ず栄養の専門の者がそこにお手伝いのできる給食施設を一緒につけるということ、これはぜひともやっていただきたいわけであります。そして、いわゆる体力づくりの国民会議というのが、ああやって昨年来活発に活動をされてきておるわけでありまして、ここにいらっしゃる古井先生が議長さんで、大活躍をされて、今後ますますこれが発展しようとしておることはまことにおめでたいことでありますが、体育文部省だけのものであるということのないように、厚生省も、労働省も、農林省も、いろんな省が加わって、加わるだけでなく団結をして、そうして総理府がまとめておられるということは、まことにこれは喜ばしいことでありますので、この体力づくり国民会議というものにもつともっと力を入れるように、政府お願いいたしたいわけであります。一億何千万円をつけていただいたそうでありますけれども、まだまだ、もっともっと大きな予算もいただき、そして熱意にあふれておる百六十八団体のいろいろな面における活動が、もっともっとやりやすいように、しかも、総理府の音頭とりが各省を超越して、また各省を網羅して、力強くやられるような組織にしていただきたいわけでありまして、それもお願いいたしたい。  そこで、その場合にも食生活改善という栄養食のいわゆるセンターを、都道府県、市町村に置いていただきたい。そこへ行けば、たとえばどういうスポーツをどのくらいの時間やるときに、何歳の子でどういう者にはどれだけの食べものを、どう食べればちょうどいいのかというようなこと、そういうことがわかるような献立表もでき、そしてそれのサンプルができ、実物も食べてみることができるというふうなセンターを、各都道府県、市町村に置いていただく、そういうのを年次計画をもって、十年計画でも百年計画でもいいからやっていただきたいというようなことも申し上げたい。  そこで、もう一つ申したいのは、この国会議事堂内における食堂のあの献立をもう少し合理的にして、そしてそれに栄養計算をして、それで価もももろん書いてありますが、これを、大切な先生方がお食べになるものでもあり、またお客というか、全国から陳情に来た者も食べるものであるから、そこへ行けば、これは何歳ぐらいのどれぐらいの体重の者が食べてちょうどいいというようなことも書いて模範を示していただきたい。そういう意味で、先ほど申したように、衆参両院のあの会館の食堂を国会直営と申しますか、国営にして、そして栄養計算をしたもので合理的な値段で食べさせて、ひとつここで模範を示してもらって帰るということにさしていただきたい。これも前にも申しましたが、そういうふうな意味お願い一つであります。  もう十五分過ぎましたので、これで終わります。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  8. 福永一臣

    福永委員長 次に、山下参考人お願いいたします。
  9. 山下久吉

    山下参考人 ただいま御紹介いただきました山下でございます。  私の本日の議題といたしましては、諸先生方の言われたことといささかかけ離れているんじゃないかと存じます。要は、私のほうは訓練所としての立場でございまして、この訓練所は、はたして体育方面はどういうことをやっておるかということについて、いささかその体験結果を申し上げまして、また今後におきましても、これをどういうふうに持っていったらいいかということを、その対策に当たられる方々、また諸先生方の御高説を拝聴いたしまして、大いにこの訓練所に加味したいと存じますので、まかり出ましたようなわけでございます。  御承知のとおり、訓練所と申しましても、これは三つございます。一つは公共訓練所、一つは共同訓練所、一つは単独訓練所であります。公共訓練所と申しますのは、高等学校の生徒のようなものを持ってきて、これは定時制になっております。しかし、私のほうのやっておるのは、一零細業者と言うとはなはだ失礼でございますが、昔洋服屋と申しますと、からかさの修理と同等とみなした、そういう職業であったのでございます。そういう職業の方々がここに寄りまして、そうして一定の時日、まあいまのところ定休日というのがございますが、その定休日を利用いたしまして、月のうち二日ないし三日をもってこの教育並びにすべての点に充てておるのでございます。そういう点からいきましても、非常にこの生徒には余裕というのがございません。先ほども諸先生から言われたとおり、私のほうは十七歳からまず二十五歳どまりの者でございます。ことに女性が多いのでございます。なぜ女性が多いかというと、女性はこういう洋裁をするのが昔からの天分だといわれております。そういう関係から、地方のほうから東京または埼玉あたりへ行きまして、一定の職業につくにはやはり身につくものをやりたいというので、結局、職業訓練所にはこういう設備がある——いなかのほうでは、うちの子供は東京あるいはまた埼玉へ行ったならば、三年後にはりっぱな洋裁師としての資格をとってくるだろうというふうに思っております。しかし、東京へ来てみるとあにはからんや、おそらく完全なる洋服のできる者は一人もございません。しかし、それに対してわれわれ訓練所といたしましては、そういう方々をいかにしても高度の技術者に持っていきたいということでございまして、私のほうでこの訓練所を設置いたしましたのは、いまから三年前でございます。  現今におきましては、そういう子供たちは最初相当の人員が入所はいたしますけれども、いざ卒業となりますと、ほんの十分の一程度しか残らない。その残らないのもいろいろわけがございますけれども、大体、女性におきましては結婚期に満つるとか、あるいは所内においていろいろな問題がここに差しはさまりまして、そこを出るとかいうのがございます。幸いにしてこの三月をもって、一応私のほうは三期の卒業生をいささか出すことになっておりますので、そういう点からいきましても、この職業訓練所というものについて相当魅力があり、また、やればやるだけ自分の価値がつくということは言えると思うのでございます。  そういう関係上から、私のほうも訓練についてはいろいろと考えております。たとえば学科におきましても、関連学科と専門学科の二つに分かれておりまして、専門学科は、いわゆる洋裁の習得でございます。関連学科といたしましては体育でございます。この体育は、十二分というわけにはいきませんで、御承知のとおりの年齢の女の子でございますから、いろいろそこには身体の障害もあることだろうと思います。そういう方に対しては、一応基本的体育ということはでき得ないので、まあ競技体育でございます。たとえば、男子ならば野球、女子ならばバレーとかあるいはまた卓球とか、そういうものをやっております。また県当局といたしまして、訓練生のために年に一回、あの真夏の暑い最中に体育大会を開催しております。これは御承知のとおり、私どもの県知事並びに協会長が非常にこの体育に熱心な方でございまして、そういう点から年に一回は、体育の奨励の意味において必ず体育大会を開いておる。また訓練所といたしまして、春秋二回にわたりましてレクリエーションを挙行しております。たとえば、近くのところとかあるいは一泊とか、ことによれば、修学旅行のときには、少し遠方に行って、三年間の思い出をここに新たにするという観点から、そういうこともやっておる次第でございます。  つきましては、この訓練所に対しては、これは労働省直轄になっておりますので、各訓練所ごとに多少の補助金はちょうだいしております。それは一人当たり二千円内外でございまして、そのうち人件費がおもでございまして、設備費というものに対しましてはほんの少しばかりの補助金しかちょうだいしておりません。しかし、それとて私のほうは有効に使って、卓球をやりたい場合には卓球台を買うとか、あるいはまたそのほかの運動器具を買うとか、そういう方面に消費しております。  要は、私どもといたしまして、その訓練生の体育向上ということを非常に重点的に考えております。ましてや昭和四十二年においては、埼玉県において国体が開催されるというので、われわれ、訓練生の一人たりともこれに参加できるように努力しているようなわけでございますので、その点も生徒には一応申し伝えておるのでございます。  なおまた、御承知のとおり、企業団体には大きな工場もございますし、また小さなものもございますけれども、大きなところはたいていその日の時間を割愛いたしまして、運動を必ずやっております。しかし、零細業者におきましては、その機関は少ないようでございますので、その点において、訓練所へ来た生徒にはそういう恩典を与えるということになっておりますのですが、しかし、私のいままで申し上げたことは、単なる訓練所としての内幕と申しますか、過去の経験と申しますか、そういう意味合いのものでございまして、その他の問題については、先ほど諸先生から言われたとおりのことで、私はここへ参りまして大いに学ぶところがあったように思いますが、将来のことについてはまだ未知数でございまして、すべて訓練所は県の訓練課のほうの管轄のもとにございますので、その指示に従って運営の方法を改めていくより方法はないだろうと思います。  以上、とりとめのないことを申し上げましたのですけれども、一応参考までに訓練所等のあり方をちょっと申し上げた次第でございます。
  10. 福永一臣

    福永委員長 以上で、参考人意見の開陳は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎秀二君。
  11. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 大庭体協専務理事あるいは西田局長からお答えをいただきたいと思います。  札幌の冬季競技というものが、またまた見通しが暗いという情報が流れておるのです。これは第一回の招致のときには、六千万円ほどの大きな金を使って招致に惨敗をした。そのために、このたびは姿勢を立て直して、川島自民党副総裁が招致委員会会長になり、組織も充実して、そのかわりむだな経費は使わずに、実質的な活動を続けておるわけですが、なおカナダのカルガリーが最も有力で、残念ながら札幌の見通しは非常に暗いということであります。ただ、決選投票になり得る可能性もあり得るので、でき得る限り北欧諸国との連携を十分とりつつ、また南米方面あるいは中欧方面における支持を多くして、東京オリンピックで得ました成果を冬季競技の上にもあらわしたいというのが私どもの願望であります。元来、冬季競技は不幸にしてほとんどヨーロッパで行なわれているというような状態であります。この点につきまして、大庭専務理事は直接の責任者ではございませんが、体協としてはどう考えているか。あるいは西田局長は、札幌招致実行委員会の委員の一人であると思うのですが、どういうふうに御観測であるか、承りたいと思います。
  12. 大庭哲夫

    大庭参考人 お答えをいたします。  御承知のように、札幌市の要望によりまして、冬季オリンピックを札幌に招致したい。いま先生からお話がありましたとおりに、前期におきましては完敗いたしたわけでありますが、これをもう一度やるべく招致運動が発足して、今日まで進めてきたわけであります。体育協会としましては、どちらかと申しますと、前期には、東京オリンピックというものがありまして、それに集中して精力をかけていた関係上、これを御援助することに不足であったかもしれなかった。しかしながら、オリンピックも済んだことでありますので、札幌第二回招致運動の開始とともに、体育協会としましては全面的にこれを支援する。かつまた、その支援団体としましてはJOCというものがありますから、これが全面的に札幌招致に応援するということで、今日まであらゆる機会をつかんで招致運動をいたしてきた次第であります。過日、JOCの委員長であり、招致委員会の副委員長である竹田氏が全世界を回りまして帰ってきた結果は、決選投票まで持っていかれるんじゃないか、大体そこらまできた、それも、委員長としての全国を回った予測では、大体対・対のところまできたのではないか、しかし、その日になってみないと結果的にはわからないが、大体そこらまで雰囲気が盛ってきた、こういうのが過日委員長が帰られた結果の報告であります。これの決選投票が四月の二十六日、二十七日にイタリアのトリノであるわけでありまして、これにつきまして最終的な猛運動を展開いたしまして、決選投票に至った場合に、でき得べくんば札幌に招致が決定いたすように、あらゆる努力を今後も重ねていきたいというように決意を新たにいたしておる次第でございます。以上、御回答申し上げます。
  13. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 決選投票に持ち込まないことには、いまの票読みでは、若干負けているように私も見ているわけです。  そこで、第二に重要なことは、カルガリーと札幌と、それからフィンランドのラハチというのが候補地になっている。フィンランドのラハチは、地形的にも非常にいいところですけれども、何せ極北である。スキー競技は、耐久競技は非常に強いけれども、ジャンプ場が欠けているというような関係もあって、たぶんラハチは第三位であろうと思うのです。そこで、ぜひお願いしたいのだが、スウェーデンの国際氷上連盟の名誉会長をしているラフマンという人は、非常に影響力があり、かつ親日家でありまして、かつて日光で世界スケートスピード選手権大会を開いたときにも、好意的に日本に持ってきてくれた人である。昨年ユニバーシアード大会の日本招致のために、スウェーデン側の協力を得るために、私は去年の夏にもお会いいたしましたが、冬季競技のことについても非常に同情的であり、決選投票の場合には、スウェーデンは日本に対して好意を持つということをはっきり言っておるわけですから、彼の指導によって北欧四、五カ国というものが固まれば、これは有利に展開ができるのではないか。また、西ドイツはかねてからスポーツというスポーツ、青年運動という青年運動、ことごとく日本に対して深い理解と支持を与えてくれておる国です。ですから、これも決選投票ということになるならば相当に変化する。これらの点を十分見渡して真剣な対策を立てて、札幌に冬季競技の招致に御努力を願いたい、こう思う次第であります。これは、これ以上質問をいたしません。  そこで、新しい提案があるのです。それは、来年のユニバーシアード大会というものは、宣伝不足でまだ盛り上がっておらぬ。これはよほど努力をしなければならないと思っておるわけでございますけれども、何せ料理でいえばメインディッシェスが先に出てしまって、オリンピックをやったあとに学生オリンピックというのですから、ちょっと盛り上がりが足りない。これはよほど考えなければならないと思って、あとで提案もしますが、幸いにユニバーシアード大会では日本の発言権が非常に強いのです。これはなぜ強いかというと、学生競技日本は非常に実力が強いということが一つと、いままで、いわゆるユニバーシアードの前身である世界学生スポーツ大会に一回も欠席しておらぬこと、有力な選手団を送ったこと、理事会に、北澤清君をはじめ数名の理事が入っておる、こういう関係です。私も、一時はユニバーシアードヘは日本の代表として名を連ねておったことがあったが、政界が忙がしいものですからなかなか行くことがありませんでしたが、多少私どもの同志もユニバーシアードの理事会の中にいるわけです。西ドイツ、フランス等は非常に日本に好意を持ってくれている。これが最近、もし札幌の大会がとれなければ、ユニバーシアードの冬季競技日本へ先に持っていってやろうではないかということを、向こうから言い出している。一九七〇年のユニバーシアード冬季大会です。北澤清君もこれは十分知っておるわけであります。したがって、ぜひ札幌招致ということを成功させたいけれども、たとえ今度の一九七二年のがとれなくても、その後の七六年ということを目指して、逆に冬季のほうはユニバーシアード、前菜のほうを先にやって、そしてオリンピックあとでという考え方もあるわけです。ですから、そういうことも十二分に考慮に入れつつ、ユニバーシアードそのものの明年における大会の成功、そして冬季競技というものを招致するということが適策であるというふうに考えるのでありますが、これは大庭専務理事からも、また西田さんからも答弁をしてもらいたい。そういうような場合には、支持し得るかどうかということを伺っておきたいと思います。
  14. 大庭哲夫

    大庭参考人 川崎先生のおっしゃること、まことにごもっともでございます。先ほどの札幌の冬季オリンピック、これは招致の問題でございまして、実はこれは右のものとも左のものともまだ決定しておらない。できる限り招致したい。来年のユニバーシアードの問題は決定しておるわけです。来年これを東京に招致して競技大会を開く。しかしながら、これは夏季の問題であります。冬季の、いわゆる一九七〇年度にこれを招致するかという問題につきましては、一部新聞に誤報があったように承知しておるわけでありますが、まだ体育協会としましては、また体育協会の中にありますJOCとしては、それを招致するかどうかにつきましては決定をいたしておりません。今後いろいろこれについての問題があがってくれば、これをいかように取り扱うかについては、後日委員会にはかりまして決定をしていきたいというように考えておるわけであります。
  15. 西田剛

    ○西田政府委員 体育協会その他の関係団体の招致運動とも関連いたしまして、政府側といたしましても十分協力してまいりたい、かように思っております。
  16. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 ユニバーシアードの夏季大会は、明年八月二十六日から開始をされて、九月初旬まで東京で繰り広げられるわけです。だんだん認識も関係者には高まってきておるし、また、スポーツに興味を持つ者は知っておるけれども、一般国民は、おそらくユニバーシアードということばすらも十分わからない。学生オリンピックと言えばわかるわけですけれども。そういう点で、ユニバーシアードをこの秋から来年の春にかけて相当盛り上げなければならない。私の主張には、一部相当有力に支持をしてくれておる人もいますので、文部省もひとつ取り上げたらどうかと思うのです。というのは、ユニバーシアードはすばらしい。四十七、八カ国が集まる。アマチュアリズムの純粋性ではオリンピックを上回る。現にオリンピックでは、ソビエトロシアのような大きな国が代表団を派遣しておりますけれども、あれが純粋なアマチュアリズムであるかということについては、かなり問題があるですね。少なくともステートアマチュア、国家で養成しておる選手が相当におるのじゃないだろうか。また、一方においてサッカー競技などは、共産圏あるいはイタリア、フランスというような国々の選手の中にも、この春までプロスポーツでけっておって、そうして試合のときだけアマチュアに転向するサッカー選手が多い。だからいろいろ考えてみると、オリンピックには、アマチュアリズムの上からいえば純粋性が確保されておるか、こういうことになると、今度のユニバーシアードは学生でなければだめなんです。イギリスあたりは、ほんとうの大学生そのものでなければだめだと言っておる。いまは、学校を卒業して二年間たった者も入れておるという状態ですが、こういう点でユニバーシアードのアマチュアリズム、あるいは学生らしい素朴さというものは、来年は、特に天候のいい秋でなくてもいい、夏の灼熱のときにやろう、雨さえ降らなければそれでいい、そのときにやろうというので、八月という季節がきまったのですが、そういう意味で、若人の元気はつらつたるところを示すのにはいいけれども、しかし考えてみると、それだけで日本中が拍手するような、またオリンピックの第二の感激を味わうようなところまではいかないのではないか。私は、どうしてもこれは青年学生の祭りの中のユニバーシアードというようなものにする必要があるのじゃないだろうかと思う。  来年は明治百年、これは国会図書館あたりでは、再来年か来年かということで論争しておるけれども、おそらく来年の十月二十何日というものが一番有力なことになってくるだろうと思うのですが、あの明治維新の青年の壮挙を思い出して、青年学生祭の中でのユニバーシアードの構想が、ずっと国民の気持ちに共感を覚えせしめることになるので、できれば何か青少年の大きな大会をしなければならない。ことしはWAYの大会が八月にあります。世界青年連盟ですね。その世界総会、これは来るのは大体青少年指導者ですよ。したがって、青少年そのものずばりの大会ではないので、来年はそういう構想を文部省全体としても打ち出したらどうだろうかというふうに感ずるのです。これは世界ということが困難なら、アジアにおける最も盛んな工業国として、日本の実態を見せるために、アジアの青年会議あるいはアジアの青少年のキャンプというようなものをやって、近年における日本の発展が、アジアの青年の景仰の的だというような雰囲気を盛り上げるのにいい機会ではないかというふうに考えております。これは文部省でもぜひひとつお考えをいただきたいと思うが、そういう構想が、自民党なりあるいは超党派的に打ち出されたときには、文部省はそれに対応する気持ちがあるかどうか、また、体育協会ではいささか無理とは思うけれども、御答弁あらば承りたいと思います。
  17. 西田剛

    ○西田政府委員 オリンピックに際して、世界青少年キャンプが御案内のとおり行なわれまして、たいへん有意義であったのでございますが、来年行なわれます学生オリンピック、ユニバーシアード大会に際して、そのような催しが考えられないかというお話でございますが、たいへんけっこうなお話とは存じますけれども、来年といいましても八月のことですし、準備の都合もあり、現実の問題といたしましては、ユニバーシアード大会そのものの準備につきましても、きまりましてから準備期間が非常に少ないというような状況で、非常に不安を感じておるような実情でございますので、なかなか困難な点があろうかと思います。なお、ユニバーシアード組織委員会のほうでそのようなことをお考えになるというような向きもございますれば、いろいろと相談をしてまいりたいと思います。
  18. 大庭哲夫

    大庭参考人 いま川崎先生からお話がありましたが、ユニバーシアードの東京の招致の目的そのものが、ユニバーシアードを全世界的に広めるためには、東南アジアと申しますか、アジア圏と申しますか、それの広めが足りない。東京に持ってきて、ひとつアジアの加盟を増大して、ユニバーシアードを全世界的なものに持っていこうというのが、一つ目的だということは事実であります。また、これが学生の大会でありまして、純粋のアマチュアの競技大会であるということも事実であります。先生のお話になりました青少年大会、これは全世界的なことを希望するわけでありますが、少なくともアジアの青少年はこの際に集めたいということでありまして、漸次各国に働きかけているわけであります。それにつきましては、ことしの十二月にバンコクでアジア大会が催される際に、そういう方々をそこで一堂に会することに計画が進みつつあるわけでありまして、その計画に従いまして、明年のユニバーシアードには、できる限り多くのアジアの青少年を集めたいというように計画を進めつつあるわけであります。
  19. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 大庭専務理事からたいへん力強い話を伺いました。そこで、私はたまたま自分が青少年の国際交流という仕事の責任者をやっておるので伺いたい問題がある。スポーツ少年団は、いま何歳から何歳までが会員ですか。
  20. 大庭哲夫

    大庭参考人 大体十歳から十八歳までが正当の会員になっております。
  21. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 十八歳までというと、結局少年ということになるわけですが、いまのようなアジアの青少年というものを集めたいということになると、これはやはり少年期から青年期へ脱皮する、成長する時期にも際会するので、こういう問題は日本スポーツ少年団だけでなしに、総理府あるいは文部省が行政的に管轄をしている——青年活動としては独立しておるわけですけれども、各青年団体と歩調を合わせることが望ましい。そういうユニバーシアードのときの話は、きょう初めてこの席上で伺ったが、日本の青年団体というのは、大体スポーツとか音楽とかという一つの特殊な文化分野というものから出発していないで、大体は思想運動、ことに戦後における青年の歩み方はどうすべきかということにからんで、一つのアイデア、考え方を持つ団体がずっと伸びてきたわけですね。きわめて中庸ではあるけれども、ボーイスカウトであるとかYMCAとか、やはりキリスト教の影響を非常に受けておる団体、さらには友愛青年同志会、これは故鳩山先生がつくったもので、友愛、中庸思想、あるいは日本健青会、こういうものがずっと有力な団体で伸びてきて、その他には社会党青年部、あるいは自民党青年部、政党というものを背景にしたものもあります。けれども、ニュートラルな青年団体でも、二十七の有力団体が日本にはある。過ぐるオリンピックでは、世界青少年キャンプを主催した団体であります体協のスポーツ少年団というものは、よそから見ると、スポーツ活動は非常に熱心だけれども無思想だ。スポーツというものは無思想でいいですよ。けれども、そういう点で非常に歯車が合わない。いまのように、ユニバーシアードのときに青少年を集めるというなら、そういう点で日本の青年団体との歯車を合わせることに、これから御協力もいただかなければならぬし、また体協のほうでも、ぜひ日本スポーツ少年団を指導するとともに、青少年団体の中にスポーツを持ち込むことにしなければ効果はない。十八までやったけれども、それから上の者は無関係だというなら、一番からだが成熟してくる段階の者は、体協は選手まかせだということでは意味がないので、スポーツ少年団年齢を、ドイツのように二十四、五ぐらいまでに引き上げるということも一つ考え方であるし、各青少年団体の中のスポーツ部というものを強化するために、体協が国民的組織の中に融合していく、こういうことを考えなければだめだと思うのですね。大庭さんどうですか。
  22. 大庭哲夫

    大庭参考人 仰せまことにごもっともなわけで、先ほども一応概略のときに御説明したように、日本スポーツ少年団は発足しましてまだことしで四年目でもあるので、私たち計画からいきますと、大体十年が一つ計画期だ。そうしてスポーツ少年団であった者が十八歳あるいは二十歳になり、高等学校から大学に入り、社会に出た者がスポーツ少年団のリーダー格に乗り出して初めて純粋のスポーツ少年団というものが発足していくのではないかというように考えているわけでありますし、また十八歳までのスポーツ少年団そのものは、一生スポーツ少年団としての誇りと申しますか、スポーツ少年団自分体力なり健康を自分で鍛えてきたという観念は、将来これを持たしていきたいというように考えているわけでありまして、先生のおっしゃるとおりに、青少年大会と申しますか、青年キャンプと申しますか、それにつきましては、現在のスポーツ少年団でそれを派遣するとしますと、当然リーダー格になってくる。また、思想的にも言動的にも合わしていくということになりますと、どうしてもリーダー格を派遣せざるを得ない。少年を派遣するのでは意味をなさないというような結果もありますので、その点につきましては、スポーツ少年団のほうで十分現在考慮中でございます。
  23. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 私の質問はこれで終わりますが、大庭専務理事の話がだんだん歩調が合ってきたことを満足に思っております。  そこで、いまのお話でありましたが、実は昨年私どもが世界青少年交流というのを志して、そうして十二年間続いておる日独青少年交歓というものをやった。これは向こうの受け入れ団体はスポーツユーゲントですから、したがって、スポーツの要素が多いわけです。けれども、日本ではスポーツ少年団というものはそれまでに育たなかった関係もあって、したがって各青年団体から多くの者が行きました。これは優秀な青少年を全国から選んだ関係もあって、文部省の指導も至れり尽くせりであった。二、三日前に日独青少年交歓の報告書ができた。この報告書は、エリートたち自分らでつくったものですから、天下に出して恥じない実にすばらしい、えらいものです。あれを見ると、ドイツのスポーツ施設あるいはドイツの青少年運動が一べつしてわかるように網羅されております。ただ、この日独青少年交歓が成功し、また日本ハンガリー青少年交歓も一応成功はしましたが、あの日本ハンガリー青少年交歓のときに、これは公開の席でお話するのは初めてですが、体協のスポーツ少年団のほうの代表が、何と五十七歳とかいうおじいさんが入ったり、あるいは平均年齢が三十四歳。私はヨーロッパへ行って——自分日本ハンガリー青少年交歓会の会長をやっているのですが、私が立つまでには一般青少年のほうの代表はきちっときまっておった。それはみんな十三、四から、二十四、五までの優秀な者ばかり。体協半分、スポーツ少年団半分入れないと、ユニバーシアードとの関係でまずいじゃないかというので、体協側に譲歩して、スポーツ少年団を十名、一般青少年十名というので派遣したら、向こうへ行って新聞をみたら、何でこんなものを選んだかと、私はある新聞で相当批判された。会長は私になっていますから。体協側のスポーツ少年団の代表が三十四・七歳という平均年齢で、この責任は、元来言うなら、それを選んだ体協のスポーツ少年団の委員にある。名前は申し上げない。しかし、私は現地で竹田さんからわびをしてもらったから、あえてその責任は追及しなかったわけですが、ああいうことがスポーツ少年団にあるといけませんから、今後はぜひ十分な御連絡をいただいて、そして青少年の世界交流、ことに評価を高めておるこれらの事業がもっともっと発展をして、総理府の青少年海外派遣と並んで民間における中心になるように御協力のほどをお願いしたいと思うのであります。公開の席上でこれを明らかにしましたのは初めてでありますが、大庭さんにはたいした責任はありません。責任者はあるのですけれども、その名前を申し上げると今後の円満なる推移を期待できませんので、申し上げませんが、ああいうことのないようにスポーツ少年団を御監督いただき、スポーツ少年団がますます発展するように私どもも協力したい、かように思っております。これはこの席上を通じて御感想を承り、今後の決意を御披瀝していただきたいと思っております。
  24. 大庭哲夫

    大庭参考人 仰せまことに面目次第もなかったかと存ずるわけでありますが、先ほどもるる申しますとおりに、まさにスポーツ少年団が成り立ってから三年だ。結局、少年を連れていっても話にならない。すると、どうしてもリーダー格だ。御承知のように、ドイツにおきましてはもう十年たっている。したがって、リーダー格が還元して出てきている。しかし、日本ではまだ、地方における指導者協議会と申しますか、それらの方々が大部分リーダー格になっていただいているという現象でありまして、リーダー格の年齢そのものが、三十歳、四十歳、五十歳というのが現在引き受けてやっていただいている。これが十年後には、スポーツ少年団員であった者がリーダー格になっていきまして、将来は御要求に沿うようになりますが、現段階ではやむを得なかった。しかし、それにしても、仰せのようなことで、十分今後注意いたしたいと存じております。
  25. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 どうもありがとうございました。
  26. 福永一臣

    福永委員長 前田榮之助君。
  27. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 簡単に本日の参考人の四人の方に順次お尋ね申し上げますから、ひとつ率直に御意見をお聞かせ願いたいと思います。  まず第一に、大庭さんにお尋ねを申し上げますが、大庭さんのお話、たいへんごもっともだと思います。選手強化選手となるべき候補者の養成指導、それからそのもう一つ下の底辺をいかに強化するかという三段階に分けて合理的な努力を払われておる点について、敬意を表する次第であります。ことにスポーツ少年団については、新しく団長に野津さんがなられて、実にまじめな方でありますので、私は多くの期待を持っておるわけであります。ただ、そういうこと以上に、われわれこの体育振興に関する特別委員会は、国民全般の体力つくりを目ざさなければならぬ大きい役目があるのでありまして、したがいまして、体育協会でおやりになっておるもう一つ下の広い層にわれわれはいかに具体的な努力を払わなければならぬか、この点をいろいろな角度から研究しておるわけであります。  そこで、第一にお尋ね申し上げたいのは、体育協会がお考えになっておるいまの三段階に考えられた方向が、今日の義務教育学校における体操その他の体育関係競技——これは私はいろいろな御注文があろうと思うのです。今日のような学校教育で将来世界の競争場裏に立つような民族的なからだがはたしてつくられるかどうか、こういうことを考えますと、ことにオリンピック後の日本国家としては大切なものがあると思う。また、それに対して大きい要求が当然なければならぬと思うのです。そこで、今日の学校教育上における必須科目なんかの観点からいろいろな御意見があろうと思うのでありますが、どういう御所見、希望があるか、これをまず第一にお聞かせ願いたい。  次に、川崎委員からも問題がちょっと出ましたが、体育協会もいろいろお骨折りを願っております冬季オリンピックの招致の問題であります。私は昨年当委員会から札幌へ参りまして現地を視察をしたのでありますが、もうここまでまいりますと、いわゆる決選投票になるという情勢、また、かりにこれが敗北に終わってもこの次にはということは、当然もう絶対的条件に日本は追い込まれておると私は思う。そうしますと、もうすでにその準備を——札幌よりほかに適当なところがあるとするならば別であります。それならば研究しなければなりませんが、私の研究、私の見た目からは、日本で冬季オリンピックをやるならば、まず札幌以外に手をつけるようなところはないと私は思う。その情勢のもとにおいて、冬季オリンピックをやるときには、どういう準備をせなければならぬ、どういう施設をせなければならぬ——東京で行なわれたオリンピックについては、国立の競技場があり、また都の競技場その他のものをあんばいして実施したのです。したがって、この冬季オリンピックという、世界の人々を招致してやる場合においては、施設というものはおのずからもう限度がきまっておると思うのです。本年の予算案を見ると、文部省では五百万円足らずの調査費なんです。今日調査費の段階じゃない。もう実行にだんだん移るべきときがきている。もし決選投票をやる場合においても、日本はここまでもう進んでおるということになると、勢いが違い、また向こうでもそれを見る列国の目が違ってくると私は思う。私は、その点について文部省予算の中における案はたいへん不満足でございます。しかし、この中心になるべき体協その他がほんとうに本気になってそういうことを要求するかどうかということが、むしろ、この委員会の委員が要求してなんということよりも先に立つべきものじゃないかと思う。この点についてはっきりとした御所見をお伺いしたいのであります。
  28. 大庭哲夫

    大庭参考人 御質問は二つあったかと思いますが、一つ学校教育の問題だと存じます。実はこの義務教育機関に私たちが手を伸ばしていくというそのものに相当の問題性があるわけでございます。まあいろいろ研究時期におきましては問題点はあったわけでありますが、何としてもやらざるを得ないのだということで、やむにやまれず現在発足したのがスポーツ少年団の問題でありまして、文部省の打ち出されているいわゆる政策というものとできる限りそごのないように進めていく。したがいまして、その目的も、先ほど川崎先生のほうから御指摘があったように、私たちはまだスポーツ少年団に思想というものを吹き込む考えはいま持っていませんで、先ほど申し上げましたように、平均の体力自覚させて、そして平均の体力に達するようにするためにはどうしたらいいか、指導者をつけて体力増強をはからしていこうという考え方で、希望者だけを現在やっているというのが今日の状況であります。したがいまして、これが漸次強化されてきますと、学校の課外活動というものとある程度抵触してくるやに存ぜられますけれども、これは文部省が漸次体位向上ということを目ざして施策をつくられているわけでありまして、これと十分連絡をとりながら、そこに抵触しない範囲内において、また体育協会としてできる範囲内において手を打っていきたいというのが、義務教育機関に対する私たち考え方でございます。ただ、私たちが考えていることは、先ほど先生方のお話もありましたように、まあ消化不良の子供に幾ら栄養をつけても栄養は流れてしまうわけで、せっかく給食あるいはカロリーというものの提供があるわけですから、それを十分吸収して体力増強するような人間を一人でも多くつくっていきたいというのが私たちの希望で、それのあらわれがスポーツ少年団であるというようにお考え願えればけっこうだと思います。  それから、冬季オリンピックの問題につきましていろいろ適切な御指示があったわけですが、実は日本の国情から申しましてどうしてもこれには財源を必要とする。現在の札幌の施設、札幌の位置というものはオリンピックをするのに適しているという技術的な解決もついていますし、また施設する場所、施設の規模もついているわけですが、どうしてもその財源を集めるためには招致が決定しなければいかぬ、出さぬという一つの問題があるわけでありまして、できる限り招致に努力をしたい。かつまた、先ほどお話がありましたとおりに、七二年に敗れたらどうするのか。当然、七六年度は、いろいろ調査した結果、札幌は有利な状態にあるわけであります。これはおそらく決選投票まで持っていかなくても有利な状況でないかと存じますので、この四月のIOCの総会が終わる後に、それがどうなりますか存じませんが、もしも敗れるようなことがありましても、施設の面においては漸次増強をはかっていきたい。実はこのたびの札幌招致につきまして不利な点は、現在それだけの施設がない、カナダはそれだけの十分な施設をもうすでに備えておるというところに一つの不利な点があったわけでありますから、少なくとも七六年と申しますか、それよりもできる限り早く施設の充実を今後はかっていきたい、御指摘のように努力していきたいというように考えているわけであります。
  29. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 学校教育の問題について、私の質問は、いまのお説とは私の心持ちが違うのでありまして、つまり、スポーツ少年団にかわるべきもの、こういう考えじゃなくて、スポーツ少年団がいまやっておられることは非常にいい、これを進めなさい、ことに野津さんみたいなまじめな方が一生懸命やられるなら、わき道へそれるおそれはない、こう私は信じておるので言うわけなんです。ただ、それはそうであっても、現在の学校教育の中のスポーツというよりも、ほんとうの体力つくりをする、率直に言えば、体操なんか現在やっておるのが適当であるかどうか。そういうことは、あなた方のほうが私らよりもいわば専門家の立場で議員のほうに要求して、こうあるべきものだという意見を聞かしてもらえば、今後非常に参考になると思う。たとえば千葉県の戸田中学なんかの体操をごらんになりますると、これはすばらしいものですよ。あんな体操が全国の小中学校に行なわれておったならば、私は、今日の日本義務教育学校児童生徒の体格はそっくり変わってきたと思う。ただ、いま特殊な先生がおって特殊に戸田中学校なんかでやっておるから、あそこばかりがよくて、全般的にはそうでもないということになると思っておるのですが、あなた方から見て、今日の義務教育学校におけるところのあの発育盛りの子供はもっとここをこういうようにしたらいいのじゃないか、こういう意見があると思うので、それを私らに参考までに聞かしてもらったらしあわせだと思うのであります。
  30. 大庭哲夫

    大庭参考人 お答えいたします。  実はいろいろ文部省関係があると存じまして幾らかことばを控えたところがあったわけでありますが、現在の義務教育機関におきましては、ある程度、六・三・三の問題から入学試験その他に必要な時間がさかれていて、そのさかれるのが、体育の時間をさいてそれに充当しているというのが現在でありまして、こういうようなことでいわゆる体育行政が成り立っていくのかどうか、あるいは文部省が現在義務教育機関でやられています野外活動と申しましても、遠足は遠車である。車で遠足をしているというようなことではたして体力向上されるのかどうか。とにもかくにも、いまの教育機関では、最初にきめられた体育の時間はできる限り確保するように時間の割り振りを改善していただきたい。かつまた、現在の義務教育機関における六日制と申しますか、それがはたしていいのであるかどうか。もう少し体力の伸びる期間には授業時間というものを短縮させて、できる限り屋外で遊ばす時間を多くとる。いわゆるアメリカでやられていますように五日制というものにして、二日は野外で体力向上させていくという方向に向けていただく。あるいは、それができなければ、現在の週間の時間をできる限り短縮する、それができなければ、現在の補習時間というものはできるだけやめていただいて、その時間を体育に向けていただくように私たちお願いをしたいと存じているわけであります。
  31. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 次には清水さんに、これはお尋ねよりもお願いなのですが、実は私は社会党の政策審議会の学校給食の特別委員長をしておるのです。学校給食の発展は、清水さんのおっしゃるとおり、どんどん進めなければならぬのみならず、それどころではない、われわれはもっと飛躍的な法案をさきの議会にも出しましたし、そう考えておりまするが、これは現状でそう一ぺんに高くはできませんから、漸次前進させなければならぬと思いますので、またおりを見て、ところを変えましていろいろ御相談を申し上げようと思いますから、どうかよろしくお願い申し上げます。どうか学校給食について全力をあげて御努力をお願いする次第であります。  次に田中さんにお尋ね申し上げたいのです。これはたいした問題ではないと思うのですが、お説のとおりに、いま国民の間にもことばや気風として栄養食の普及ということが高まっております。しかし、実質的にそれまでどんどん進めておるかというと、お説のとおりに、非常に不満な点が、私にもありまするし、おありだと思うのです。そこで、いまお尋ね申し上げまする問題は、栄養士の全国の分布状態でありますが、どのくらい各府県に分布して、相当広く行き渡っておるのかどうかということなんです。私は、栄養食に対する自覚国民に与えるために、各府県に政府から命令するわけにはまいりませんが、要求として、すなわち、栄養食にいたしましても、われわれしろうとが考えますと、その地方地方のものにより、それをうまく献立をして、これとこれとこれでこういうようにしろという献立表が当然できると思うのです。それで、各府県は府県知事が責任を持ってその府県の、あるいは府県でも大きい府県なら三通りにも四通りにもなると思いますが、献立表をつくり、その献立の調整の方法については、どこそこにだれという栄養士がおるから、これと相談しろ、こういうように具体的な普及の方法をどうしたらいいかという案をつくってみてもらいたいのです。それをまたわれわれのほうでは政府と相談をして、どういうように実行したらいいかということを考えてみたいと思うのですが、田中さんにその点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  32. 田中静雄

    田中参考人 まことにありがたいおことばでございまして、先ほども申しました中に、ビジョンと申しますか、私たちが望んでおるのは、各都道府県、市町村に食生活改善センターというようなものをつくっていただきたい、そしてそれにはやはり国庫助成はもちろん、地方自治団体もそれに力を入れていただいて、それには専門の学者なり栄養士なりを配置していただいて、その地方、その時期に最もいい、いわゆる栄養素の多くあるものを安く手に入れて、そしてどういう調理方法をすれば最も栄養素が損失されずに、また損失が少なくておいしくできるかという指導をしたい、こういうように思っておるわけです。そこで、いまさしあたり、各都道府県の保健所におきまして、向こうから来る方のある一部の人についての相談は多少あずかっておるわけでありますが、それすら、保健所の数が全国で約八百ほどございますが、そこにやっと一人ぐらいずつの栄養士しかおらないわけです。そこで講習会を開いたり、また、いわゆる外へ出て働く仕事と、相談にいらした方の御相談にあずかる仕事、そのほか報告事項などがございまして、とても栄養士一人では事務的な処理だけですら時間が非常に少なくて困るというふうな状態でありますので、そこで、少なくとも私たちの申し上げる食生活改善センターができるまでは、各都道府県の保健所に栄養士を三名ぐらい置いていただきたい。大きいところ、十万人、二十万人を対象にしておる保健所にたった一人しかおらないというふうなわけでありますので、そういうものをひとつ配置していただくようにお願いをしたい。これは栄養改善法を初めてつくっていただきましたときに前田先生にもお世話になったのですが、ああいうふうなときにも、まだそこまでの段階に行かずに、ああいう程度栄養改善法になったわけでありまして、さらにそういうふうに具体的に——おっしゃるとおり、均一の献立で均一に指導しては適しないわけであります。北海道と鹿児島とでは全然違う品物が時期によって違って出てくるわけだし、それは価も違うし、新鮮度も違うわけです。そこで、消費の合理化を私たちも指導いたしますのと同時に、生産の栄養学的合理化もしていただきたい。タイをとるのにたいへんな力と金を使うよりも、とってもいいのですが、それよりももっと栄養素の多い、イワシとかサンマに限らないのですが、そういう安魚と称するものをとりやすくするように、それにまた助成をしていただくように、それで消費者もそれをじょうずに食べるように、どういう献立にしてどういう調理法をすればおいしく食べられるか——いつも先生たちがおっしゃるのは、栄養食はまずいという評判が明治の終わりごろから大正に流れたのでありますが、いまの栄養食はおいしいように指導いたしておりまして、かなりおいしくなりつつございますので、そういう点をどうぞ御認識くださって、そして各地方に適した、その時期に適したもの、また、先ほどから申すように、年齢とか性別とか、仕事の量とか運動量とか、また、妊産婦、授乳というふうなときにどうすればいいか、また、先生たちのような頭を使う仕事の方にはどういう食べものを食べていただくのが一番いいかというようなことをできるだけ合理的にお示しし、御相談にあずかるようなことにしたいというので、栄養改善法の強化、改正をいろいろやっていただきたいというわけでお願いをしておるわけでございます。全国で栄養士は約十何万人はおるわけでありますが、実際に集団給食その他保健所などで働いておるものは、三万何ぼくらいしかまだおらないわけであります。しかし、年々栄養士の養成は一万以上も卒業することになっておりますので、就職先などはもっともっと拡大していただいて、学校給食に二万、三万の栄養士を採用していただいても、あの学校給食法当時の栄養士数とは違って、十分満たされるだけの数を持ち、また教育もだんだんと向上しておるわけであります。
  33. 福永一臣

    福永委員長 ちょっと関連して——あなたはさっき議員食堂のわれわれ食べておるのをちょっと言われましたが、あれも実はごらんのとおり、もう三百六十五日同じものなんですよ。それで、あれは、いままでのいきさつがあるから、直営というわけにもいくまいが、少なくとも指導して献立くらいは専門的なものでやって、国会ですから、国会議員が食うのだから、そういうものはやはり模範的なものを、値段が高くてはまた困るけれども、そういう指導というものはできませんか、どうでしょう。
  34. 田中静雄

    田中参考人 ああいう遠慮ないことを申しまして——ときどきそういうことも笑いながら申しておるのですが、実際真剣な問題だと思います。こういうところでお食べくださっておる先生たちの食べものは、ここの昼食より以上に、夜の食事は大体食べ過ぎが多いだろうと思います。たん白質といい、またお酒といい、そのほか動物性たん白質が多過ぎる。いわゆる宴会食式のものは、ぜいたく過ぎて、からだによくないものを食べ過ぎておられる。それから、向こうに出ておるものは片寄っておるわけであります。そうしてたん白質も、動物性たん白質とか、いろいろこれを食べ、あれを食べというふうにしてまぜながら——私たちとしては、ある一つの価のものだけで食べると調子が悪いから、なるべくここではあまり食べないことにして、ずっと見て回って、多少食べることもありますが、そういう意味で、おっしゃるように、ああいうように、請負の方が入ってやっているから、われわれ栄養士とか関係の者が言うと差しつかえるらしいので、そっとしておりますが、先生たちにはこういう率直なことを申し上げて、何とかそういう相談にあずかっていただけるように、また、われわれが、いわゆるくちばしをいれるというとおかしいですが、意見をそこへ出せるように——それには、調理のいわゆる専門家だけではだめなんです。だめというわけでもありませんが、技術だけでなく、やはり栄養学的で、おいしくて、衛生的で、経済的でというふうなものをそろえるにはどうすればいいかということを、あの中に張るなり、出して、そしてどれはどうだというようなことの中身を見ていただきたい。そうすれば、きょうの昼はこのぐらい食べた、朝はこれしか食べなんだからこれで補った、晩は宴会があるからこの程度でとめておこう、まあ晩のさしみはやめておこうというようなことを先生も考えていただけるように、これは先生方年齢なり、また体格によってももちろん違うわけですが、どういう状態で一日の──一回うんと食べてあと食べ足らないではやっぱりだめなんです。二食なら二食、朝と晩にするか、朝昼晩ならそのバランスをとるという、二十四時間の中でどういうふうに食べるかというようなことをひとつ模範を示させていただきたいわけです。何か栄養士の就職先のようなことになるわけですが、そうでもなしに、顧問というのではなくても、そういうタッチできるような状態に、あれを排撃するのでなくて、させていただければ、喜んで私たちはお力添えをいたすという覚悟を持っておるわけであります。
  35. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 いまの問題は、結局、国会の中は議運のほうで取り扱う問題ですから、田邉議員なんかも関係があるので——全般的にそう規定づけることは議員はきらいますから、栄養食はどこそこの食堂のすみのテーブルにあるということをしなければならぬ。それにはやはり栄養士を金を出して、講師としてでなく、常駐させなければならぬ。そういうことをひとつ委員長もお骨折りを願ったらどうかと思います。  それで、私は最後に一つ山下さんにお尋ねするのですが、山下さんは埼玉縫製協組合中央訓練所講師をしていらっしゃるようですが、これは繊維製品の洋裁の協同組合の訓練所のようですが、埼玉県だけなのでしょうか。この中央というのは全国的な意味なのか、その点よくわかりませんが、まことにりっぱなことをやられておって、私らは、そういうことは、全国で同じ産業の発展した、つまり繊維産業の発展しておる府県には必ず一カ所二カ所なければならぬというようにならなければならぬと思うのです。そういうことをあなたに要求するのはちょっと無理なような気もするのですが、そういうことにできるでしょうか、どうでしょうか。私らはこういう事情をよく存じませんので、われわれのこの体力つくり運動も、やはりそういう産業の発展のしかたというものを実際にやってもらわなければ、国民全般へ普及する体力つくりにならぬと思うので、そういう点で、これを埼玉県だけでなく全国へ普及させるにはこういう方法があるとかいう御意見があるのか、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  36. 山下久吉

    山下参考人 ただいまの先生のお説に対しましてお答え申し上げます。  御承知のとおり、埼玉県はすべての産業上非常に発達したところで、ことに、縫製業を例にとりますと、昔から行田のたびといえば、これは埼玉県の一つの名物となっているようなわけで、したがって、行田の近くには、羽生あるいはその近辺に非常に縫製業者が多い。何となれば、この縫製業者は、埼玉県にはもと東京に住んでいた方が多く疎開して、そこに集団生活と申しますか、昔の縫製業をそこでやったというわけで、埼玉県は縫製業が非常に発達している。ついては、各製造部門におきまして、洋服であれ、あるいはまたシャツであれ、そういう点において非常に生産力は多大なものであります。東京の市場に出ているものも、ほとんど埼玉県の製品が多いやに思うのであります。それに対しまして、お説のとおり、中央訓練所というのは、一応これは名称でございます。同じ埼玉県におきましても、ある訓練所は、公共あるいは単独または共同ということで、いろいろございますが、この縫製業に至りましては、数は忘れましたが、十カ所以上ございます。そして、中央と申しますのは、俗に浦和、大宮、与野を中心にしたものを中央と名づけております。それから、草加には草加らしくそれは東縫と名づけ、熊谷は熊谷と、いま徒弟の養成について、非常に県当局あるいは、先ほど申し上げましたとおり埼玉県職業訓練協会というものもございまして、これは知事が一応顧問となっております関係上、非常に密接なる取り組みをいたしております。訓練所の所員としては、これはおそらく全国的にもあるやに思うのでありますが、私どもは先般、これは公共職業訓練所ではございませんで単独でありますが、松本のほうに参りましたところが、富士電機あるいはそういう一流の会社はほとんど訓練生の教育に当たっております。私のほうでは、訓練所の生徒の教育程度をいま一歩進めたいという考えをもちまして、幸い川口市の川口工業高校がこういう生徒を幾分なりとも引き入れたいというようなお考えもあるように思いますので、これは自然全国的にこういう方面は進んでもしかるべきじゃないかと存じます。
  37. 福永一臣

    福永委員長 他に質疑はございませんか。  参考人方々には、御多忙中にもかかわらず長時間にわたり貴重な御意見を承り、まことにありがとうございました。ここに重ねてお礼を申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる十日木曜日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時五十一分散会