○小林
委員 しかし、特に役所の中で一番悪い官庁は文部省でございますが、これは実に悪い官庁で、何か小じゅうといじめみたいな、謹厳実直な顔をして人を小じゅうといじめするような根性しかないような役所でございまして、ここにスポーツなんかまかすと、そういう根性で、特に
学校教育等を主眼に置いて、ゆがめられた部分的な
体育やスポーツの
推進になってしまって、
国民の各階層を通じた、広く
国民的な
運動を進めていくような資格のある機構もなければ、どうもそういう根性の役人もいません。これは一番だめなところですから。その次の労働省といいましても、これはやはり労働行政にまたがる自分たちの本来の仕事の中で、派生的に労働者の健康等を考えるだけの話で、厚生省となりますれば、これがまた厚生省の管轄の身体障害者だとか、あるいは虚弱児だとか、そういう形になりますから、どうしてもこれを総合統一した
国民全般の
体力つくりというようなところへは私は進んでいかないと思う。その意味においても、これはもう理屈じゃありませんから、第一にやはり責任省を設けて、ひとつ
予算を獲得しなければいけませんよ。いままでのように連絡調整などというような弱いことを言われたのじゃ、
予算はついてまいりません。
資料にありますけれども、
国民健康・
体力増強対策総理府関係予算なんて、まことにちゃちなものじゃございませんか。四兆三千億円、公共投資を含めれば七兆円も八兆円もばらまかれる
予算の中に、この
予算なんというのは全くスズメの涙です。一億二千万円、そうじゃございませんか。昨年に比較してたった三千万円の増。何兆円の単位で論じている中に、わずかに一億円を二、三千万円ばかり出たなんというようなことで、これは
体力増強予算なんて言えません。その意味においても、私は強力な責任官庁が必要だと思っています。
それから、いまおっしゃるように、
国民会議だって、これは干渉せいと言うのじゃございません。干渉せいと言うのじゃございませんけれども、むしろ中に強力な理解のある行政庁というものがなければ、お前たち、まあ二百団体ですか、二百五十団体ですか、適当にひとつやっていろでは問題にならない。干渉と
協力はおのずから違いますけれども、ぼくはそういう意味においても、できれば文部省、労働省に
体力増強の
関係があるならもぎ取ってきて、
総理府なら
総理府の中でひとつりっぱなセクションをつくって、そこで
推進してもらうというようにお願いいたします。いいですか大臣、ひとつそのくらいの強力な行政力を発揮してくださいよ。あなたももうそんなかけ出しの大臣じゃないですから。大臣を就任せられること、もう二回ですか、三回ですか、古参格なんですから、そういうような構想を進めていただきたいというのが
一つ。
それからいま
一つは、私はあまりスポーツに社会主義的な統制を加えることはどうかと思いますが、これはひとつ誤解のないように聞いていただきたいのでありますけれども、やはり
国民が全部親しみ得る、そういう体力増進といいますか、
国民のスポーツといいますか、
国民の
体力つくりとして特に
推進、奨励をしていかれる方法が私は必要ではないかと思う。それは人の好みによりますから、何百種類のスポーツをそれぞれ平等に
推進することもいいでしょうけれども、これは先ほども
前田理事が言われたように、何百種類もあるものを、
国民の
体育だ、スポーツだということで全部専門員を
教育してやるのはなかなかたいへんなことでありますから、そこで、やはり
国民の老若男女を問わず、だれもがやれるような
運動を数種、
一つに限定すると、また統制が強過ぎていかぬと思いますから。たとえて言えば、中国あたりではバスケットを、いわゆる
国民の
運動として——いまはどうもピンポンをそれに準じて奨励しているようでありますけれども、どんな山の中やたんぼへ行っても、お百姓さんも労働者も、昼休みや休憩時間になるとバスケットをやっている。あれは場所も食いませんし、設備費もかからないし、装備費も安いですから、なるほどこれは安上がりな
国民体育運動だ、ボール
一つと網
一つあればいいのですから。それをどんな山間
僻地にもやらして、腰の曲がったおばあさんから子供までが、それをぽんぽん楽しみながら体力の増進をしている。日本なんかも、よくテレビやラジオなんか見ておりますと、最近は
農村のたんぼの中でも、
農村の奥さんたちが休み時間を利用してバレーボールをやっているとか、あるいは何かバスケットをやっているとかというようなことで、だんだん
運動を楽しむような形にふえん化してきている姿を見て、私は非常に喜んでおりますけれども、そういうようなことをいま少しバックアップするような態勢が国の中にでき上がっていったら、私は非常に好ましいのではないかと思う。野球なんかも相当
普及していますけれども、あれはたいへんです。あれはやはりアメリカからきたということで、ぜいたくなブルジョア的なもので、金がかかってしようがない。なかなかあれを日本
全国まで
普及しようというような場所もない、装備に出金がかかる、服装も金がかかる、たいへんでありますから、それはその人の好みにまかせるといたしましても、そういう点は考えていただいて、
国民全般がやれるような
運動もこの際考案して、その
運動の
指導員だとか専門員をつくり上げてください。そして、あまり優秀な選手ばかりつくることを考えないで、広く
国民の階層にそれを
普及していくようなことも考えていただきたい。以上、これは私は思いつきじゃないのです。かねがね考えていたことを大臣にお願いする次第でございます。いかがですか。