○堀坂
参考人 お答え申し上げます。
第一点の建物の貸与の問題でございますが、建物の貸与につきましては、今日、中小
企業対策といたしまして、ことしから中小
企業者のための建物を貸与する制度が始まったと聞いております。その点につきまして、中小
企業庁長官等とも連絡を先般いたしまして、それと
事業団の造成地とうまく結びつけられないか、ひとつ検討しようじゃないかということで、実は申し入れをいたしておるのであります。ただ、それが、中小
企業の集団化等と、
事業団のつくった造成地とがすぐ結びつくかどうかという点になりますと、必ずしもそう結びつくものが多いとは思われないのでございます。したがいまして、私
ども、これは英国やベルギーあるいはフランス等でやっておるのでございますが、やはり、
企業家が非常に手軽にやってこれるようにするための制度といたしましては、大きな
設備投資をせずにすぐ
事業を始められるようにする必要があるのでございまして、その手段といたしましては、土地をつくってもなかなか
企業というものが来にくいというようなところについては、ある規格によるところの建物を貸与するというのをやったほうが来やすいのではないか、かように思っておるのでございます。英国の言うアドバンス・ファクトリーという制度は、昨年の炭鉱の
合理化に伴いますところの十六の地域の指定に伴いまして、こういうアドバンス・ファクトリーの制度が活用されておるのでございます。日本の
産炭地の
実情は全くその点においては同様でございますので、これは今後できるだけ早く実現をさせていただきたい、かように私は思っておるのでございます。さしあたり現在あります制度を極力活用するように
努力することは当然でございますが、なお将来の問題としては、そういうことは望ましい、かように思っております。
それから、第二点のあっせんの問題でございますが、これは、私
ども、自分らのつくりました土地が早く使っていただけて、
産炭地の
振興になることを希望しているものでございまして、新聞等でもごらんいただきますように、私
ども工業関係の新聞等には極力広告を出しておるのでございます。あるいはスライドをつくりましたり、
事業団の新聞等も数千部送っております。さらに、民間の製薬会社等がやっておりますように、千数百の
企業に対しましていろいろなクェスチョネアを出しまして、こういった土地の御希望はございませんかとか、あるいは進出の御希望はございませんかというようなことを手紙で出しておるのでございますが、そうしたものに対するところの回答が非常に少ないということを非常に嘆いておるのでございます。さらに、この広告の問題でありますが、できるだけたくさんの人に知ってもらう方法を講じることが今日のこういう経営の一番大事なことであると思っておるのでございますが、何しろ広告費が非常に高くなりまして、それを使うことは
事業団の管理費なりあるいは土地の価格それ自体を高めるということになりまして、テレビあるいはその他で取り上げていただけるような環境になっていないことを非常に実は嘆いておるのでございます。しかしながら、及ばずながら、できるだけの
努力は続けていきたいと思っております。
それから、第三の税の問題でございますが、第一の固定資産税の問題につきましては、
産炭地において
企業家が
事業団の造成した土地を取得し、あるいはその上に建物を建てた場合におきましては、
臨時措置法によって減免をしていただいておるのでございますが、この全鉱連から出ておりますところの
意見は、
事業団がボタ山なり何なりを
工業用地につくった、そのつくった瞬間から税がかけられる、その税がかけられるということはそれだけ売るときの値段が高くなるので、負けてもらったらどうかということであるわけでございます。私
どももそれを希望いたすのでございますが、これにつきましては、いままで私
ども再三御要望申し上げてきたのでございますが、
政府のほうの
関係におきましては、これは住宅公団その他の面におきましても、道路とか公共用地、鉄道用地等を除きましては固定資産税が賦課されておるのであって、同じ土地について固定資産税を二回減免をすることは適切でないという御判断のようでございまして、今日までいれられていないのであります。しかし、この固定資産税を、売る前の段階において、つまり
事業団が所有しておる段階において減免していただく——固定資産税というのは、売れない間は毎年実はかかってきて、じかにあれするわけでございますが、そういうような方法もあるのではないだろうかと思っておりますが、何しろこの税の問題は他の
関係方面とのバランスの問題もあるようでございまして、再三御要望申し上げておるが、実現をいたしてないのでございます。
それから、登録税の問題でございますが、これは中小
企業金融公庫あるいは北海道東北
開発公庫等の融資につきましては、その公庫のためにするところの登録ということで、公団、公庫についてはその登録税が減免をされておるのであります。ところが、不幸にいたしまして、
事業団につきましては、この
事業団から融資を受けまして、
事業団がその財産保全のために抵当権を設定いたしますと、これについては、
法律にそういう規定がございませんので、登録税がかかるのであります。この点も
産炭地へ
企業を誘致する点におきましては非常に障害になっておると思います。非常にべらぼうに大きな
金額ではございませんが、やはり問題でございます。この点は御配慮を願いたいと思っておる点でございます。
それから、第四の
企業誘致体制でございますが、これは、
事業団といたしまして、
法律にいかように書いてあろうがなかろうが、
企業誘致のために
努力をするということはもう当然の責務であるというふうに思っております。ただ、先ほど土地のあっせんのところで申し上げましたように、いろいろ私
どもがわれわれの力の範囲内において
努力をいたしましても、この
産炭地というものに目を向けてくれないという今日の経済界の
状況においては、非常にから鉄砲が多くなっておるという
実情でございます。決して十分な
努力あるいは最善のあれをやっておるとは私申しませんけれ
ども、その点に実は非常に問題があるのでございまして、
企業誘致という問題は、不況のときは別問題といたしまして、新しい投資をする場合、東京
周辺でやるか、名古屋
周辺でやるか、あるいは他の新産都市なり低
開発地域でやるか、
産炭地でやるかというときに、
産炭地でやるのが一番
労働条件なり資金条件がいいのだという
内容があって初めて
企業誘致というものは積極的に実は展開されると私は思うのであります。その点におきましては、今日
産炭地については他の地域よりも最も有望視されておるということは私は確信を持っておりますけれ
ども、それが
企業家として
産炭地に出ていくことがより有利であるというところまでいっているかどうかという点については、先ほど申し上げましたように、非常に疑問がございます。それと、もう
一つは、一般的に
産炭地は暗いという報道だけが行なわれるというようなことからいたしまして、
企業誘致については、私
ども個人的にも及ばずながら知っているもの等についてはできるだけ
努力はしておるつもりでございますが、なかなかから鉄砲が多いという
実情でございます。
さらに、この広報宣伝のためには相当の経費というものが必要でありますが、これは
事業団が使う使わないの問題は別問題といたしまして、何か明るい
産炭地という宣伝ができるような体制を
政府のどこかでひとつやっていただくようなことをお願いいたしたいと思っておるのでございます。
それから、第五の炭鉱所有地の合理的使用の問題でございますが、まことにごもっともでございます。ただ、これにつきまして、
事業団に関連いたします
現状を少しく申し上げさせていただきますと、
産炭地域振興事業団の現在の土地造成は、七十数%がボタ山を合理的に切りくずしてやる土地造成でございます。この場合におきましては、これはほとんどがすでに採炭をやめました炭鉱の所有地を買ってやっておるのでございまして、その場合に一番困難をいたしておりますのは、抵当権の排除とかそういう問題ではなくして、そのボタを持っていって埋め立てる土地の問題であるわけであります。それと、これをいかに経済的につくるかという二点でございます。そういう点におきまして、炭鉱の所有地の利用につきましては極力やっておりまして、その結果といたしまして、金融機関の融資分が回収されるというだけでなくて、国税あるいは
地方税の滞納分あるいは社会的費用の滞納分というようなものが相当返っておることは事実でございます。ただ、現地の人々から申しますならば、たとえば
筑豊の飯塚炭鉱、これは約三十万坪の荒れた土地を持っておりますが、これを利用してくれ、利用してもらうことによって、
石炭の採掘によって荒れたこの地を何とか緑の地にしたいということ、また、そういう荒廃した土地であるので、その
周辺におけるところの子供が非行化していく、あるいは衛生上悪いということから、こういったものを利用してくれという要望が、これは例として申し上げたのでございますが、非常に多いのでございます。ただ、この
事業団の土地造成という問題が、これはやはり出資金と借り入れ金によってやっておるものでございまして、いずれはお返ししなければならない金を使わせていただいておるという観点からいたしますならば、そういう非常に荒れて工事費のうんとかかるような土地を扱っていくということについて、現在の点においては非常に無理があるという
実情を申し上げさせていただきたいと思います。しかしながら、今後とも、こういう炭鉱の所有地を合理的に使っていくという点については、
事業団は権力
関係でやれる仕事ではございませんけれ
ども、
努力をいたしたいと思っております。