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1966-04-20 第51回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十日(水曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 有田 喜一君 理事 加藤 高藏君    理事 藏内 修治君 理事 壽原 正一君    理事 多賀谷真稔君 理事 松井 政吉君    理事 八木  昇君       大坪 保雄君    神田  博君       田中 六助君    西岡 武夫君       野見山清造君    三原 朝雄君       細谷 治嘉君    伊藤卯四郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (石炭局長)  井上  亮君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      森  五郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   吉瀬 維哉君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      鎌田 要人君         参  考  人         (産炭地域振興         事業団理事)  堀坂政太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五四号)  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五五号)      ————◇—————
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。  なお、本日、両法案審査のため、参考人として産炭地域振興事業団理事堀坂政太郎君が出席されることになっております。  質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、ただいま議題になりました産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案について、主として、基本計画なり実施計画推移、あるいは事業団業務内容、それから産炭地域自治体財政問題、さらに産炭地域の教育問題、こういう問題について順を追うて質問いたしたいと思います。  まず、通産省にお尋ねしたいのでありますが、昨年暮れの十二月、日はいつだったかわかりませんけれども、初旬ころだったと思うのでありますが、石炭局長においでいただきまして、私ども予算要求内容についてヒアリングをやったのであります。その節、今度通産省が出す予算案というものは、石炭鉱業審議会の結論が出た後に抜本策を立てるのだけれども、その間のつなぎとして、との要求はびた一文まけることができないものなんだ、びた一文削られると石炭産業は守れないのだ、こういうおことばを聞いたのでありますけれども、結果は、私がいま御質問しようとする産炭地域関係振興対策費にいたしましても、かなり減っております。その他の石炭対策についても要求どおり通っておらないのでありますけれども、その中でも、特に石炭地域振興対策という点について、どうも通産省熱意というのが、石炭プロパーの問題にあまりに急なるあまりといいますか、それに頭が一ぱいであって、産炭地域というのは副次的な扱いを受けているのじゃないかという感がいたすのでありますが、この間の経緯について、これでいいと思うのかどうか、石炭局長にお尋ねしておきたいと思うのです。
  4. 井上亮

    井上政府委員 私ども、特に現在の産炭地域がきわめて疲弊しておるということから、産炭地振興事業につきましては、数年前から、政府も及ばずながら、年々、たとえば産炭地域振興事業団業務拡大するとか、あるいはその予算拡大を通じまして、あるいは基盤整備につきまして関係省とも連絡をとりまして、いわゆる振興計画の線に沿って、各省にも御協力をいただいてやっておるわけでございまして、ただ、現実が、現在の産炭地域疲弊の度合いがあまりに深刻でありますために、なおきわめて不十分だというおしかりは、私一応お受けいたさなければならないと思っておりますが、政府といたしましても、逐年いろいろな面で施策の充実をはかってまいっておるわけでございます。  そこで、熱意の点も御指摘があったわけでございますが、熱意におきましては、私ども決してこれをゆるがせに考えておるものではございません。むしろ、ただいま申しましたように、現在の産炭地域疲弊現状、回復のテンポのおそさというような点からいたしますると、私ども責任を感じておる次第でございます。十分今後この振興について努力いたしていく所存でございます。  それから、予算の点につきまして御指摘がありましたが、予算の点につきましては、金額的には、四十一年度におきましては四十一年度予算に比べますと若干の増というようなことになっております。四十年度予算で二十五億、四十一年度予算で二十八億という伸びになっておりますが、内容的には、これは前にも御説明申し上げたと思いますけれども新規予算要求項目につきましては一応全部通していただいております。そのおもな内容は三点ございます。第一には、従来これは懸案になっておりましたが、産炭地域基盤整備の一環といたしまして、特に企業誘致等につきまして不可欠な問題でありました工業用水建設につきまして、多目的ダム建設クリーク用水の活用というような点につきまして、産炭地域振興事業団がみずからそういう工業用水造成業務を営むというような業務を新たに認められたのが第一点であります。それから、第二点は、産炭地域新規企業をつくりますときに、事業団から出資をしてこの育成に当たるというような業務が認められました。それから、第三点といたしましては、これまた産炭地域誘致企業から非常に熱望のありました運転資金の貸し付けにつきまして、従来産炭地域振興事業団設備資金の低利の貸し出しということをいたしておりましたが、それと今度は並行いたしまして、長期運転資金貸し出しも可能なような予算措置も講じたわけでござまして、新規予算要求は一応今回全部通していただきましたわけでございます。ただ、金額の面におきまして、まだ私自身必ずしもこれで満足すべきものとは思っておりませんけれども、一応そういう事情になっております。  それから、全体の予算規模が二十五億から二十八億と、そう大きくふえなかった大きな原因は、むしろこれは、従来産炭地域振興事業団でやっております設備資金融資業務が、昨年来の不況のために、これは何も産炭地域に限りませんで全国的な問題でございますが、いわゆる企業の新増設がきわめてテンポが鈍ったことによって、事業団融資金余裕がありましたために、この予算につきましてはむしろ私どもとしては実情に合わした要求をし、その反面新規事業の拡充という点に重点を置きましたために、予算伸びはわずか三億程度でございますけれども内容的には相当の前進を見たのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 二十五億が二十九億になりまして、実際の増というのが三億弱なんですね。その中に、いまお話しの三点、金額にいたしますと二億七千五百万程度新規事業が認められたということはそのとおりでありますけれども、これは予算が零細なんですね。要求した予算自体が三十五億五千万程度なんでしょう。私がさっき言ったように、局長は、大蔵査定にあう直前に、何も輪をかけて要求していないんだ、必要最小限度、零細でしかも効果的だと思われるものということで、昨年と比べますと大体において十億ふやして要求しただけなんですね。それがわずか三億弱ということなんですよ。三割しか通っていないということです、新しいものは三つ認められましたけれども。これは、大蔵大臣がよく言うのでありますが、通産省あるいは石炭局自体も、どうも予算要求のための予算要求をしてはったりをかけておったんではないかという気がしてならないのです。この点については、もう一度、はったり要求であったかどうか、伺っておきたい。大蔵大臣はそう言っていますよ、何でもそう言うのですから。しかし、今日陥没した産炭地実情から言って、これは許されないと思うのです。いかがですか。
  6. 井上亮

    井上政府委員 私ども予算要求をいたしますに際しましては、大蔵省信頼関係の立ち得る内容でありませんと、私ども自身も困りますし、大蔵省としても困るというような関係でございますので、説明のつきがたい要求はいたさない方針にいたしております。ただ、しかし、それがもしそうならば、相当大幅に削られたのは不当ではないかということにもなろうかと思いますが、その点につきましては、要求としては、従来の産炭地域振興についての伸び率がございますので、その伸び率から著しくこえない限りにおいて要求をいたします。しかし、実態的にいろいろ大蔵省査定に際しまして検討されますと、そこに両者の意見相違が出てまいります。その相違の一番大きいのが、産炭地域振興事業団にはなお設備投資設備資金融資等につきまして余裕金があるだろう、この余裕金があるという現実、それから、同時に、最近の景気動向というような点からすれば、特に融資業務については少しスローダウンしてもいいのではないかというような意見が出まして、私どもとしましては、今後の企業誘致努力等によりましては消化可能でないことはないという見解を出したわけでありますが、現実問題として二十億程度余裕金があるということになりますと、そうむげにも最後にはがんばり切れないというような事情で、その点は現実的な妥協をしたというような事情でございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 現実的な妥協をしたということばを聞きますと、私は異議がある。あなた、現実的な信頼感の持てる予算要求をしたというのでしょう。それが現実なんでしょう。現実的な要求をしたのですから、それが三割弱しか通らないということになりますと、現実的な妥協ということじゃないですよ。非現実的な妥協をしたということですよ。私はそう思うのですよ。しかし、このことについては、私は、あの段階において、びた一文欠けても石炭産業は守れないのだという石炭局長ことばを信頼しておったのですけれども、一月十四日に予算ができたのを見まして、いささか局長はったりをかけたなという不信感を持った。  そこで、質問を続けますが、今度の産炭地域振興臨時措置法の改正の内容一つは、この期限が限時立法でありますから、五年間延長するということであります。たいへんけっこうなことでございます。  ところで、まずお尋ねしたいことは、大臣提案理由説明をした際に、こういうことばがあるのですね。「産炭地域実情は、三十七、八年当時に比べると改善のきざしが見え始めているとはいえ、その疲弊は依然として著しいものがあり、産炭地域振興のための施策を継続する必要性はなお続いている現状にあります。」、こういう認識がどういうところから出たのでしょうか。納得のいく説明をいただきたい。
  8. 井上亮

    井上政府委員 大臣提案理由説明の中に、「石炭鉱業合理化本法制定当時予想した以上に急速かつ大規模に行なわれたこと等の事情を反映して、産炭地域実情は、三十七、八年当時に比べると改善のきざしが」というように書いてあるわけですが、これは、御承知のように、昭和三十七年、三十八年は、石炭産業の歴史の上でかつて見ない、また諸外国にもおそらく例を見ない、非常に大きな閉山合理化政策が断行された時期でございまして、その当時、もう産炭地域は非常な苦境に立ち、特に生活保護者も、先生承知のように、非常に激増いたしたわけでございます。それから、滞留失業者筑豊中心といたしまして数万という大きな量にのぼり、それから、さらには、それらを反映いたしまして、地方財政も非常に疲弊のどん底にあったわけでございます。しかし、昭和四十年、四十一年、最近に至りますと、その後のいろいろ指数をとってみますと、滞留離職者も逐次ではございますが漸減の傾向をとっております。それから、生活保護者の数、あるいは指数で申したほうがいいと思いますが、これも、昭和三十八年には生活保護者が千人中百三十五、六人というような割合が、三十九年は千人中百三十人、四十年には百十八人というふうに、逐次生活保護者の千人当たりの数も減ってまいってきている。それから、なお、これは一つの面でございますが、他の面から見ますと、今度は企業誘致の面も、これまた先生からいろいろ御批判も出ようかと思いますけれども、いずれにいたしましても、数の上におきましては相当な実績を示しまして、四十年現在では三百三十九くらいの企業誘致もこの疲弊した産炭地域に行なわれております。そういったいろいろな諸指標、あるいはそういった実情からいたしまして、三十七、八年に比べれば若干はよくなったけれども、しかし、ここで大臣提案理由で言わんとしているのは、それにもかかわらず依然としてまだ疲弊は著しいということを強調しておられるわけでございまして、決して、よくなったからもう何もしなくていいという趣旨ではございません。そういう指標で見れば当時に比べて若干は改善されておりますけれども、なお依然として疲弊は著しい、こういうことを申しておられると思います。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 どうも、いまの石炭局長ことばを聞きますと、改善のきざしが見え始めているということは形容詞か副詞的な意味しか持たないように私は伺ったのでありますが、この点について、自治省鎌田参事官が見えておりますからお伺いいたしますが、せんだって、最も深刻だと言われます福岡県なり北九州市の行政監査を行ないましたね。その際にやはり、自治体財政に及ぼす産炭地の問題ということについて、調査の重要な面としてとらえてきたと思うのです。通産省認識しているように、つぶさに調査した結果、そういう同じ認識に立っていらっしゃいますか。
  10. 鎌田要人

    鎌田説明員 昨年の七月中旬でございましたか、一週間にわたりまして福岡県並びに北九州市の行財政調査自治省において実施いたしたわけでございます。  御案内のように、石炭産業疲弊によりまする市町村財政状況はきわめて悪うございます。これは、何と申しましても、歳入の面では税収のほとんど見るべきものがない、歳出の面におきましては、生活保護費がかさむ、あるいはまた鉱害復旧事業に伴いまする地元負担というものがかさんでまいる、こういう状態でございまして、中には、極端な例でございまするというと、生活保護費に伴いまする地方負担分というものが一般財源の三割、四割を食いつぶしておる、こういった状態の市も少なくないわけでございます。そういった状態から、全体といたしましては、産炭地市町村財政状態というものにつきましては、私ども、非常に憂慮すべきものがあるという認識に立っておるわけでございます。ただ、ここで事態を分けて考えなければならないと思いますのは、現在の市町村全体に通ずる財政の苦しさという問題と共通の要素を持っておる面と、それから、産炭地としての独自の苦しさを持っておる面、この両面はやはり分けて考えてみる必要があるだろう、こういう感じを持っておるわけでございます。概括的な話でまことに恐縮でございますが、全体といたしましてはまことに憂慮すべき財政状態にある、こういう認識を持っておるということでございます。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 石炭局長さん、いまおことばのとおりなんですね。去年相当大規模調査団を派遣いたしまして、鎌田参事官が団長として一週間筑豊実態を調べたわけなんです。いまの石炭局長ことばに、いわゆる保護率、千分率の百三十五ぐらいのものが百十八とか九になったということがありましたが、その当時は少し下り坂にあったのです。現在また上昇しておりますよ。御存じですか。
  12. 井上亮

    井上政府委員 現在の点につきましては、まだ私どもはっきりしたよるべき資料を持ち合わせておりませんので、正確には存じません。しかし、いずれにいたしましても、依然として生活保護率全国平均に比べますれば非常に高いという認識だけは持っております。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 自治省はこの点御存じですか。
  14. 鎌田要人

    鎌田説明員 承知いたしております。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 石炭局長、いま自治省承知している。確かに、おっしゃるように去年の一月ぐらいから少し下降ぎみだった。いいきざしだ、こういうふうにいわれたのです。これは、実態というよりも、むしろ人の移動あり、事務的なものを含め、あるいはまた失対行政のある面におけるシビアな締めつけ、そういうものも要素として考えておかなければならぬことであって、その後現実にはふえておるのですね。ですから、私の認識は、三十七、八年ごろと比べますと改善のきざしはまだ見えない、こういうふうに認識するのが正しいのではないか、こう思っております。そういうことでひとつ認識していただきたいのです。  ちょうど政務次官進藤さんは福岡出身でありますから、肌でこの辺の認識は持っていらっしゃると思うのですが、産炭地実態についていま私がとらえている面から、政務次官の御見解をひとつ承っておきたい。
  16. 進藤一馬

    進藤政府委員 福岡県の産炭地実情は、私ども地元出身議員といたしましても十分存じておりまして、今日の地方のその状態につきましては、できるだけの努力をいたしたいと思っておるのでございます。十分に存じておるつもりでおります。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、何がそうさせたか、こういう問題です。産炭地域振興臨時措置法というのは三十六年の十一月にできましたね。現状でいきますと、ことしの十一月には、限時立法でありますから、これはおだぶつになるわけです。今日までこの法律ができてからおおよそ五年間を経過をしたわけです。法律制定時は五年の限時立法にしたわけです。そして、やがてあと半年もしますと五年が来ようとしているのです。ところが、私がいま申し上げたとおり、明るい改善のきざしはないというのが現況だとすると、この法律は、何らのとは申しませんけれども、また振興対策として特効薬なんということも私は申し上げませんが、成果をあまりあげておらない、こういうことが言えるのではないかと思うのです。  そこで、私はお尋ねしたいのでありますが、この法律に基づきまして産炭地域振興基本計画というものを通産大臣が定めまして、それにのっとりまして実施計画というものができておるわけであります。これは私いただいて、ここにあります。この基本計画あるいは地域ごと実施計画というのが、この五年間に、やがて法律期限は切れるわけでありますから、もうその成果評価されておらなければならない。計画実績がどういう推移をたどってきたのか、これをまずお聞かせいただきたいと思うのです。
  18. 井上亮

    井上政府委員 ただいま御指摘にありましたように、産炭地域振興臨時措置法に基づきまして、政府といたしましては、産炭地域振興基本計画実施計画をつくってまいったわけでございます。これを昭和三十八年につくりまして以来、この基本計画あるいは実施計画の線に沿って、通産省はもとより関係いたしますが、関係各省、この方針に沿って努力をしてまいったわけでございますが、特に私どもこの中で産炭地域における昭和三十九年の工業出荷額実績を調べておるわけでございます。これは一兆五千三百四十五億円でございまして、これは、昭和三十五年の、この臨時措置法ができる前でございますが、三十五年の一・五倍、それから、四十二年度に私どもここで想定いたしております工業出荷額があるわけでございますが、それの約六五%程度に達しておりまして、まあこの振興計画について私どもが当初予想いたしましたより若干まだスローな面はございますけれども、相当な伸びを示しておるというふうに考えております。まず概括的なお答えを申し上げた次第であります。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 この基本計画実施計画について、大体六五%程度いっている、六十五点だ、こういうふうに局長は自画自賛いたしておるわけでありますけれども、三百三十九工場を誘致された、こういうことですけれども、その中には、資金面で倒産したのもありますし、劣悪な労働条件雇用しているのもあるのでありますけれども、その問題はさておきまして、この基本計画なりあるいは法律あるいは実施計画を見ますと、やはり誘致工場の中に基幹的なものをつくらなければならぬのだという声が非常に強いのであります。この計画ですと、石炭コンビナートというような計画石油コンビナートに対抗する石炭コンビナートというものも考えるのだ、一連の工場集団である石炭コンビナートを積極的に育成振興する、こういうふうにも書いてございます。石炭消費型の工業をつくり上げるのだ、こういうふうにも書いてございます。そして石炭需要拡大し、雇用改善もはかるのだ、これは非常にりっぱなことが書いてあるのですが、いま石炭は、需要拡大どころじゃなくて、四千百万トンの需要をいかにして確保するかということでねじりはち巻きでしょう。雇用は好転しておりませんよ。石炭コンビナートはできておりませんよ。私がよく知っております筑豊地帯振興計画あるいは筑豊有明実施計画等々を現実と比べてみますと、これは竹と木を比べるよりももっとひどい違いが起こっておると私は思っておる。それをあなたは六十五点だとおっしゃっておるのだが、そういう評価はできないのではないかと思うのですよ。非常に形式的な机上の評価じゃないか、こう思うのでありますが、この点についてひとつ重ねて御答弁をいただきたい。
  20. 井上亮

    井上政府委員 御指摘のように、まだ産炭地域振興計画状況は必ずしも十分とは言いがたいと存じております。ただ、誤解を解いていただきたいと思いますが、先ほど私が達成率六五%と申しましたのは、三十九年度の実績が四十二年度の最終目標に対して六五%程度に達しておる、こういうことを申し上げたのであります。現時点はまだ四十一年度の初めでございまして、御承知のように、振興計画目標は四十二年度ということになっております。それに対しまして三十九年度の実績がそのようなことになっておるということを申し上げたわけでございます。  それから、ただいまの産炭地域振興、特に振興計画の中でうたっております石炭コンビナート、この問題がなかなか遅々として進んでいないじゃないかという御指摘でございますが、この点は、率直に申しまして、私も必ずしもスムーズにいっていないという現実を認めるわけでございますが、ただ、関係者といたしましては、先生も非常によく御存じの、三池周辺におけるいろいろのコンビナート、これについての努力をまだ捨ててはおりませんで、依然として、三池石炭中心としてその周辺電力化学工業等コンビナートを考えております。ただ、かつては砂鉄事業も加わりましての相当広範なコンビナートも考えておりましたが、これは砂鉄が一応挫折いたしましたためにスケールは少し小さくなっておると思いますが、ただ、しかし、あの周辺の今後の開発計画とも合わせまして、やはり、何と申しましても、有明三池、あの周辺におきます臨海工業地帯と申しますか、三池の炭を中心に考えていくのが一番経済的であり合理的であるというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、特にこの三池の炭をどう需要を確保していくか、こういう大問題が控えておりますだけに、地元産炭地に、火力の建設を初め、先生指摘のようなコンビナート化努力を今後ともぜひやってまいりたいと考えております。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 いま筑豊有明地域振興計画の問題が出ましたから、この点をもう少し具体的に御質問申し上げるわけでありますが、この筑豊有明地域振興計画を見ましても、なかなかいいことずくめなんです。   〔委員長退席大坪委員長代理着席〕 その振興の方法は何かといいますと、三池炭田開発によって石炭利用型産業電力消費型産業の導入をはかるのだということで、言ってみますれば、カーバイトとか、アルミニウムとか、あるいはその他電力金属冶金ですか、そういうものもやろうということなんでしょう。それでやっていきますと六万人程度雇用機会の造出が可能なんだ、こういうことが書いてございます。そして、最後の表を見ますと、鉄鋼は、三十五年から四十二年の最終年度に対して、その伸びというのは一五〇%ということなんです。一五〇%伸びる。ところが、現状はどうでしょうか。いまおっしゃった砂鉄、これは工場をつくらなくなったんですよ。コークス等の工場もつくらないということなんですよ。完全にこの計画は画餅に帰しておるのですよ。いま現に、六万人の雇用の造出どころではないですよ。現在、関連企業あたりでは、合理化による人員整理というのが現実に起こっているのですよ。雇用の造出どころか、雇用のマイナスなんですよ。大体、実施計画基本計画を見たときに、ある官僚がこう言った。ある官僚というのは非常に実力のある人ですよ。この基本計画というのはどれを見てもみな共通ではないか、九州のほうの基本計画と北海道の基本計画を見ても、酪農の振興でございます。農業の選択的拡大でございます。そういうものを含めてみな同じような内容基本計画実施計画だ、一体こんな計画というのをどうして通産省はつくったんだ、こういうように批判した人がございます。計画策定の当初においてそういうことだった。五年後の今日どうなっているか。三百三十九工場ができたでありましょう、あるいは、後ほどまた御質問いたしたいのでありますが、事業団等のいろいろな事業が進められておりますけれども、何らの実績も積み上げられなかったとは申しませんけれども、いま申すとおりです。私は、この基本計画実施計画というのは、あなたがおっしゃる現実に立ってやり直さなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、どうお考えなんです。
  22. 井上亮

    井上政府委員 ただいまお話がありましたように、特に産炭地域の各地域別に振興計画の達成状況を見ますと、現在私ども、一応資料といたしましては、まだ四十年度の集計ができておりませんから、三十九年度現在で見ておりますけれども、この限りにおきましては、確かに、御指摘の筑後、有明地域の達成状況、特に工業出荷額目標にいたしましたときの達成率が全国で一番低いことは御指摘のとおりでございます。これは、おそらく、先生からただいま御指摘がありましたような石炭コンビナート等、あるいはこれに鉄鋼業、特に砂鉄業等の問題が加わってまいりますけれども、この計画が必ずしも所期の目的を達していないどころか、砂鉄につきましては、ただいま御指摘がありましたように、八幡製鉄のほうでも一応これを断念するというような計画のそごに大きくよるところがあると思います。こういった点、全国的に見て、特に筑後、有明計画達成が非常におくれておるというふうに考えております。なお、先ほど申しましたように、石炭コンビナート構想につきましては、考え方としては、やはり今後とも産炭地域振興政策の大きな柱になると思いますし、この努力はやっていかなければならぬと思っておりますが、しかし、地点的に見て、特にこの筑後、有明地域においてただいまのような問題点が生じておりますので、今後の改定計画に際しましては、この現実に立脚いたしまして、さらに意欲も織り込みまして、計画の改定をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 計画の変更はひとつ意欲に燃えて練り直すということでありますが、ぜひ私はそうしなければならぬと思う。ただ法律に基づいて基本計画実施計画ができてございますといって、そして、じんぜんということばは過ぎるかもしれませんが、じんぜん五カ年を過ぎようとしておる。これからの五年間というのは、これまたじんぜんと日を送られてはたまったものではない。ですから、現実に可能なものにひとつ練り直していただかなければならない、こういうふうに私は強く要望をいたしておきたいと思うんです。  これに関連いたしまして、事業団の問題について一つ御質問をしたいのでありますけれども、今度の国会に出されてあるものは、事業団業務範囲の拡大ということでございます。これは長い間要望されてきたことでありまして、たいへんけっこうなことでございますが、今度の拡大でどの程度の効果があるのか、これでよろしいと思っておるのか。もっと事業団として、特効薬とは言わぬけれども、こうやらなければいかぬのだ、こういうふうにやれば有効な手だてがあるのだ、こういうこともお考えになっているのだろうと思うんです。その辺のことをひとつ歯に衣を着せないで言っていただきたいと思うのです。通産局も五年間じんぜん日を送ったのですから、かりにこの法律案が通って五年間延びても、産炭地が期待を持てるようになるという保証は何らないわけです。いま決意のほどは聞きましたけれども、そういう意味において、事業団として、この法律案についての効果をどう考えておられるか、なお、どういう点を事業団としてはお考えになっているのか、お伺いをしておきたい。
  24. 堀坂政太郎

    ○堀坂参考人 ただいまの細谷先生の御質問に対してお答え申し上げます。  今度の法改正の三点、つまり、運転資金、それから工業用水及び出資についてでございますが、これにつきましては、御承知のように、産炭地域が今日まで工業適地といたしましては非常に不十分な条件にあるということで、業界からあまり注目されてないわけであります。そういう中に相当の企業の方に今日までは入っていただいたのでございますが、現実問題といたしましては、その企業が適正な運営を行なっていきます上におきまして最も根本的に必要でございますところの原料の調達あるいは製品の販路等につきましては、十分なルートができてない状態で入ってきております。さらに、入っておりますところの企業が大部分中小企業でございまして、資金的にも、特に資本的に非常に脆弱だという状態で入っておるのでございます。およそ産炭地振興には、先ほどから御指摘のございますように、企業に入ってもらわなければその効果が出ないのでございますが、その企業産炭地に進出せしめる条件といたしましては、現在までの設備資金だけの融資では企業がここで安心して操業し得る状態になっていないということにかんがみまして、運転資金につきましても長期安定した資金を供給し得るようにいたしたいということでございまして、この点は、日本の地域開発の中におきまして全く特例的に御措置をいただいたものであると思っております。したがいまして、この点は非常に効果があると思います。問題は、金額の問題であり、あるいは運用の問題であろうかと思っておりますので、今後努力いたしたいと思います。  工業用水の問題でありますが、工業用水は、一般論は別問題といたしまして、ただいまの法律改正に伴いまして事業団がさしあたり実施いたしたいと思っておりますのは、この産炭地疲弊の最もひどい筑豊地区の北部におきまして、現在までの段階におきましては、鉱害によりまして相当地盤沈下をいたしております。その結果といたしまして、鉱害復旧といたしまして、政府の補助を受けながら一年間に一千万トン以上の排水をいたしております。片一方に鉱害地の農地復旧が行なわれておるのでございますが、その農地復旧に使います用土が、特に表土でございますが、表土が不足いたしております関係上、その鉱害のひどいところを鉱業権者が買収いたしまして、その土を掘り上げて農地復旧をいたしたのであります。現在そこには百数十万トンの水がたまっておるのでございます。この水と、それから、今日あるいは将来とも続けなくてはならないと思われる一千万トンの排水、これを総合的に利用し得ないかということから始まったのでございまして、さらに、炭鉱の採掘によりまして汚水化しておりました西川の河川水、これをも科学的に利用することによりまして、産炭地の代表的なところである筑豊の北部におきまして約二万トン以上の水、これは北九州といたしましては最も経済的であると私は思うのでございますが、この水が確保できるということになるのでございまして、その水を工業団地に供給をするということは、この鉱害ということに伴うところのマイナス面をプラス面に転化しつつ、工業団地に水を供給することによって企業の誘致を促進しようというのでございます。こういう点につきましては、一般的にはきわめて取り上げにくい問題であるかと思いますが、諸外国にも例があることでございますし、北九州の水の現状から考えますならば、私は、産炭地振興に寄与するものと思っております。  それから、出資につきましては、やはり当面対象といたしておりますのは、ボタ山が全国で大体数億トン堆積いたしております。御承知のように、今日におきましては、石炭一トンを掘りますとボタートンが出ると言っております。そのボタにつきましては、これはすでに今日までも相当の経費をかけて捨てておりまして、その捨てる場所を海岸あるいはその山地に求めておるのでございますが、そのボタを幾らかでも工業的に利用することができないかということから検討を進めてきたものでございまして、これを今日日本で非常に不足いたしております砂利の代用として、あるいは今後もっと近代的な建築をする上において必要な軽量骨材として使うという方向の事業を興したいということで、その興すにつきましては、今日まで企業家にいろいろおすすめをいたしてきたのでございますが、いままで業界で取り上げられておった問題でないだけに、なかなか企業家が意欲を燃やしませんので、国の資金を半分程度出すことによって企業家の参加を求めて行なおうとするものでございます。これも、産炭地特有の現象、これを逆に利用いたしまして、マイナス面をプラス面に転換することによって安定した職場をつくりたいというふうな趣旨でございまして、ただいま申し上げましたところによりまして御了察いただけますように、全般的にまだそういうふうなことが実施し得るまで私どもの見当はついていないのでございますけれども、今日までの事業団の運営の経過におきまして検討を続けてきたものを政府のほうにおいてお取り上げ願うということでございます。  第二の一般論でございます。先ほど御指摘の問題でございますが、一般論といたしまして、産炭地現状につきましては、私ども非常に憂慮をいたしております。この産炭地振興する上におきましては多角的な施策の総合でなければならないのでございまして、産炭地域振興事業団はその仕事の一部を担当さしていただいておるわけでございますが、およそ産炭地振興には、御指摘のように、企業を興さなければならない。企業を興すのは、今日の日本におきましては企業家でございます。その企業家が、政府が興したいと思う地域にその興したいと思うような事業をいかに企業家の創意をもって興し得るようにするかという点が問題であろうかと思うのであります。その基本的な条件といたしましては、立地条件の整備であるとかいうことは当然でございまして、その点につきましては、政府のほうにおかれましても、他の地域から比較いたしますならば、私ども承知いたしておる限りにおきましては相当力を入れていただいておると思うのでございます。しかしながら、企業を誘致する条件といたしましては、その使いますところの用地がもっと安くなければならないということ、これはすでに何回も御指摘をいただいておるところでございますが、そういう問題があるのみではなくして、企業家が今日まで工業地帯として成長していない地区に安心して企業を持ってこれるようにするためには、相当大幅な改正が必要であるというように思っておるのでございます。   〔大坪委員長代理退席、委員長着席〕 その点につきましては、今日の日本の現状において、企業家がかりに他の地域で興したいという意欲があった場合に、そういう地域で興すよりも産炭地事業を興したほうが、労働条件も安定をいたしておるし、あるいは資金的条件もより有利である、あるいは輸送関係においても決してマイナスではないということで、総合的に検討するならば決して損をしないという条件にしなければならないと思うのであります。そういう点から申しますならば、今日私どもがやっておりますところの土地造成によって、その土地をコストベースで売るというような条件も必要である。あるいは全設備資金の四〇%程度を六分五厘で貸す。一般の開発地域では、開銀等でございますと八分四厘でございますが、その四〇%について二分程度安い金利で提供する、あるいは運転資金のめんどうを見るということだけでは、今日企業家にほんとうに産炭地に行って事業を興そうではないかという意欲を持たせるには非常に不十分であると思っておるのでございます。そのように、状態改善する方法といたしましてはいろいろ問題があるわけでございまして、地価それ自体の問題にいたしましても、これは御承知のように非常に地形が悪いところでございますので、その地形の悪いところに土地を造成してつくるという場合におきましては、私ども決して一〇〇%の合理性を持っているとはあえて申しませんが、できるだけ努力をいたしておるつまりでございますが、工業用地として他の地域に興そうとしておる企業家を産炭地にひっぱるだけの地価に持っていくのには、現在の制度ではできないことであって、それについてはなお政府の一般的な御施策を願わなければならないというふうに思っております。また、設備資金の融資、あるいは、諸外国においてやっておりますように、設備資金等に対しますところの補助金の交付というような問題をお考えいただかなければならないと思っておるのでございまして、そういう点につきましては、ここで地域開発のあり方の問題として考える必要があるのではないかと思います。いま九州だけで年間十万人以上の学校卒業者が東京、大阪、名古屋という方面に集中をいたしております。地元の父兄が多額の負担をしながら、この若い労働力はこういうところに集中いたしております。片一方に、大都市におきましては、大気汚染、公害等の問題が発生をいたしておりまして、それの防止につきましては相当多くの国費というものが使われておる。また、道路等が改善されたことで中央の企業家というものは利益を得ておるのでございます。そういう点を考え合わせますならば、もう少し人口の過大都市への集中ということを抑止する方法を講じながら、あるいはもっと積極的に合目的的に産業を配置するような方策というものが考えられるのではないであろうか、これは決して日本だけが考えるという問題ではなくして、もうすでに諸外国においてはたくさんの例があるというふうに私は思っておるのでございます。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 今日までの事業団の歩み、いまお話の中に出ておったのでありますが、たとえば、せっかく造成した土地に対して誘致工場はそっぽだ、あるいは下請が倒産したとか、地元の新聞等を見ますと、いままで事業団がやってまいったことについてもいろいろな問題点があるようでありますけれども、時間の関係で、その辺はきょうはお聞きしないで、今度の事業団法の改正というのは、先ほど来話がございましたように、長期運転資金の貸し付け、あるいは出資、あるいは工業用水開発についてひとつやっていこうということで、出資についてはボタ山利用による人工軽量骨材の製造事業をやろう、こういう三点にあるようでありますが、これに関連して、私はちょっと気がかりな新聞記事を読んだ記憶があります。スクラップしておったと思ったのでありますけれども、さがして見当たりませんから、ちょっとお尋ねしておきたいのでありますが、ある建築技術者が、人工軽量骨材を使ったビルディングは火災の際に膨張をいたしまして非常に危険だ、こういう発表をいたしまして、これが建築学会で問題になっております。事実、その軽量骨材というのが、必ずしもそういう危険性はないのだ、そういう心配はないんだとは私は断定できないものがあろうか思うので、その新聞記事が頭に残っておるわけなのであります。これについて事業団一つ事業として取り上げるからには、この問題が学会に問題になっているくらいでありますから、論争されてそれは新聞に出ているくらいでありますから、それについての成案をお持ちじゃないかと思うのでありますが、念のために、この席でひとつ事業団としてのお考えをお聞きしておきたい。
  26. 堀坂政太郎

    ○堀坂参考人 ただいまの点でございますが、いま御指摘の問題は、日刊工業新聞の「技術ジャーナル」に建築研究所の斎藤という研究者の方が研究の問題として取り上げられた問題でございますが、これにつきまして、その内容を私ども読んでみました。実は、私は建築のその方面の専門家でございませんので理解が不十分なところがあろうかと思いますが、その点をお許しいただきたいと思います。中に書いてありますところの斎藤さんの御指摘の記事と、軽量骨材を使った建築物は破裂する、爆裂するという表題との間には、記事の内容との間に相当のニュアンスの違いがあると思って私は読んだのでございます。その後関係者の話をいま聞いておるところでございますが、あの御指摘の問題は、およそコンクリートの建物というものは、千百度くらいの熱にあったときにおいて絶対に安心なものであるかどうかということになると、コンクリートの建物においてもこれは決して安心でないんだ、それが、軽量骨材を使った場合においては、気泡があるので、その軽量骨材の膨張度とコンクリート部分の膨張度との違いから見て、少し強いんではないかというふうな点が問題であるように私どもは理解をいたしたのでございます。それにつきましては、今日なおその方面の権威の方が検討をされ、いろいろまた反駁あるいは研究について論ぜられておるところでございまして、その結果を見ないと、私、断言的なことを申し上げることはできないのでございますが、砂利を使った場合あるいはその他のものを使った場合と軽量骨材を使った場合に、そういうふうな状態が起こる温度差がどのくらいあるのであろうかというところに問題があるのでございまして、それが非常に大きなものでないといたしますならば、この軽量骨材というものだけをそういうふうにきめつけることに若干行き過ぎた面があるのではないだろうかと私は個人的に思っているのであります。  そこで、頁岩を使いました軽量骨材その他の問題でございますが、これにつきましても、もうアメリカ等におきましては、これは三、四年前までの統計しか持っておりませんけれども、年間八百万トン以上一千万トンぐらいの頁岩を使った軽量骨材のビルその他ができておる。そういうふうに使われておるのでございますし、それから、諸外国におきましても、これは単にボタの中に入っている頁岩だけでなくて天然頁岩を使ったもののほうが多いのでございますが、そういうような頁岩を使った軽量な永久建築というものがむしろ非常に普及をいたしておるのでございます。そういう事情からいたしまして、あの記事が非常にドラスチックであっただけに、軽量骨材というものは非常に危険だというふうに一般に印象を與えたことは事実でありますが、この点についてはもっと科学的な検討を進めてもらわなければならないのでございますが、すでに十数年以上の歴史を持ってこういう耐火災建築材として使われている事実から見まして、そう心配するものではないのではないかというふうに私は思っております。この点の技術的な問題につきましては、私どもでなお一そう今後検討を進めてまいりたいと思いますが、これにつきましては特にその方面の権威者の御検討を願わなければならないのでございまして、私ども今日までの検討の過程におきましては、大学あるいは国立研究所のその方面の権威の方の御協力をいただいてきておりますので、そういう方々にもひとつ一そう御相談申し上げて、もっとはっきりしたお答えができるようにいたしたいと思っております。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのお答えを聞いて、私も、読んだ新聞が「技術ジャーナル」だということをいま思い出したのです。それに対する反論も同じ新聞に出ておったと思うのですが、終戦直後焼けビルがたくさんできました。この焼けビルについては、建築の専門家が、一体焼けビルというのは焼けない場合とどれほど強度が変わってくるかということについてかなり詳細な調査をしたわけです。その際に、やはり焼けビルというのは弱っているということなのです。弱っているけれども、まあまあ日本の高層建築ぐらいの七階、八階程度のものであれば、何割かの強度の弱りはあるけれども、ビルディングとしてはだいじょうぶだ、こういう結論が出たことを思い出したわけであります。いまは砂利が不足しまして六億トンくらいしかない。だから、今度の国会に砂利法案、ザル法案じゃなくて砂利法案というものが出るということを聞いておるのであります。そこまで来ておるのでありますから、建築の骨材として人工軽量骨材というのができればたいへんけっこうなことでありますけれども、しかし、人工軽量ということで、軽量でしかも人工、しかも火成岩を使ってやるわけですから、ポーラスなものであるからどうしても軽量になるわけであります。ポーラスなということになりますと、私は、やはり火災の際のエクスパンジョン、それから今度は一般の場合におけるコンプレッションに対する強度というものからしても、焼けビルを建築学者が調べた問題から言って、この用途というのにはやはり制限がつけられるのではないか、必ず用途に対する制限というのが起こってくるのではないか、こういうふうな気がいたします。したがって、事業団としてこういう問題をやるからには、その辺の見きわめというものを十分して指導しませんとたいへんなことになろうと思いますので、ひとつこの辺については指導に万誤りのないように特にお願いしておきたいと思うのです。  そこで、いまのお答えでは、事業団としての希望はいろいろあるようでありますけれども、遠慮なさってかどうか、きわめて抽象的でございました。そこで、産炭地振興の問題に取り組んでその活躍を期待されておる事業団についてでありますが、この事業団ができるとき、当時あなたもできてから通産省からおいでになったわけですけれども、私どもは、事業団ではなくてもっと強力な公団式にしたらどうかということを主張したのであります。しかし、事業団ということになった。そして、やってみたけれども、まあいろいろな問題点が出てきた。しかし、それなりの成果があがっておるということは認めます。それで、いま産炭地の問題で悩みに悩み抜いておる全国鉱業市町村連合会というのがあるのです。これが、事業団に対して、こういうことをしてほしいということを要望しておるのです。私は、時間がありませんから、この要望書を読みますから、通産省なり事業団なりあるいは自治省ではどう思うのか、ひとつ具体的に関係部分についてお答えをいただきたいと思う。  第一項の(一)に、「産炭地域振興事業団は、進出を要望する工場に、建物を建設し貸与することができるようにされたい。」、今度炭鉱には機械を貸与する制度ができたのですね。そうでしょう、局長。そうしますと、事業団にもひとつ、進出する工場について建物を建設し貸与するというようなことをやってほしいということを地元の市長さんが要望の第一項に書いてございます。  それから、(二)は、「産炭地への企業誘致、土地造成のあっせん等も積極的になしうるようにせられたい。」、これが出ております。  次に、二でありますが、「産炭地域振興事業団の保有する土地に対し、事業団の登録税、事業団に対する土地所有者の譲渡所得につき他の公団、事業団に認められると同程度の税制上の特別措置、固定資産税の減免補填措置、または、政府の補助金交付等の方法により、その土地の価格の割高を防止されたい。」  三、「産炭地への企業の誘致を促進するため、政府努力している商工会議所等を通ずる方式は、その効果は極めてうすいため、一貫した効果的な企業誘致体制を確立されたい。」  四、「炭鉱所有の土地及び施設が遊休しているにもかかわらず、鉱業財団等の抵当権が設定されているため、利用することができず、工場誘致のため農地を使用している不合理性を除去するため、鉱業財団等の中心となっていろ政府関係金融機関は遊休施設の合理的な利用を指導されたい。」  これは全部もっともなことが書いてあるのですが、これについてひとつそれぞれのお考えをお聞きしたいと思うのであります。
  28. 井上亮

    井上政府委員 ただいま全国鉱業市町村連合会会長名で要望の出ております点を先生一応御朗読なさったわけでございますが、一応順を追いまして、私どもの考えておるところを御答弁申し上げたいと思います。  まず第一点は、産炭地域振興事業団の機能の強化の問題でございますが、その一つといたしまして、「産炭地域振興事業団は、進出を要望する工場に、建物を建設し貸与することができるようにされたい。」ということでございますが、この点につきましては、産炭地域振興事業団業務に関連いたしまして、特に事業団企業誘致について非常に大きな役割りをいま果たしておるわけでございまして、現在土地造成あるいは設備資金に対する融資業務といったようなことをやっておるわけでございますが、なおそれ以上に、こういった御要望の線までやる必要があるかどうかにつきまして、私どもといたしましては、なお今後検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、(二)として、「産炭地への企業誘致、土地造成のあっせん等も積極的になしうるようにせられたい。」ということを御要望になっておられますが、これは現実には当然できることだと私どもは了解しております。あっせん業務というのは、これは政府のほうもあっせん行政はできるわけでございますが、こういう具体的な土地造成ということになりますと、政府のあっせんということはなかなか困難でございますので、事業団現実にそういった専門家も擁しておられますので、事業団がこういったあっせん業務を積極的にやるということは必要なことではないか。持てる技術能力をできるだけ産炭地域の方々の利益に供するということですから、現在でも相当やっておるのじゃないかと思っておりますが、まだ不十分であるとすれば、これは幾らやってもいいことでございますから、私どものほうからも事業団に要請をいたしたいというふうに考えております。  それから、第二点は、産炭地域振興事業団の保有する土地に対する課税、税制上の優遇措置の点に触れられているわけでございますが、そういう優遇措置を講ずることによって、いまいろいろ御批判を受けております土地の販売価格の割り高を防止されたいという御主張でございますが、この点につきましては、私どももかねて、産炭地域振興事業団は公の目的のための事業団でございますので、事業団の持ちます土地に対してはこの御要望のような措置ができないかということで、いろいろ関係省とも打ち合わせてまいったのでございますが、何ぶんにも、この産炭地域振興事業団の持っておる土地は、これは譲渡する土地でございますので、譲渡する土地について固定資産税の減免等の問題はちょっと無理があるのじゃないかというような関係省意見もございまして、ただいまのところ、御要望のようなところまでいっていないわけでございます。私どもとしましては、これらの点については今後さらに研究をし、関係省と打ち合わせも積極的にいたしたい。問題は、免税措置もさることながら、やはり、ここで言っておられます趣旨は、産炭地域振興事業団の造成します土地価格が高いという御批判であろうと思いますので、これらの点につきましてはなお私どもとして検討いたしたい。  なお、これに関連いたしまして一言釈明させていただきます。産炭地域振興事業団のつくります土地が高いという御批判がよくあるのでありますが、これは安いところだけをつくっておるわけではございません。これは、産炭地域振興のために、特にボタ山処理というようなことをやっておりまして、普通の営利を目的とする土地の売買業者でしたら、ボタ山処理なんということは手を出さないで、一番立地条件のいい土地を整備して売るということになろうかと思います。そういう場合には土地造成費用も非常に安いわけでございます。したがいまして、販売の価格も安いということになろうかと思いますが、産炭地域振興事業団は、むしろ、単にそういう売買・営利を目的としないで、地域全体の民生安定とか、国土の有効利用というような見地、それに御承知滞留離職者に対する失業対策というような趣旨も兼ねて、そういったボタ山処理等を通じての土地造成をやらしておるわけでございますので、どうしても造成費は割り高になるという点があるわけでございまして、だからといいまして、私、割り高に甘んずるわけではありませんけれども、そういう事情もあるということでございまして、だからといって、一面企業誘致もしなければならぬ、こういう相反する目的を持っているわけでございますので、これらの点について、今後どうしたらいいかということについて検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、三点は、企業誘致について、現在、御承知のように、これは予算もいただきまして、商工会議所等を通じまして誘致の努力をいたしておるわけでございますが、確かに、御指摘のように、私も、これは率直に見まして、なかなかいまのところ迫力のある誘致体制というのは薄いとも思います。ただ、商工会議所等におきましては非常に熱心にやっていただいております。この点はお認めいただきたいと思いますが、日本商工会議所を中心といたしまして、全国商工会議所等の会議産炭地の商工会議所の会議等を随時開催いたしまして、これの誘致についての打ち合わせあるいはあっせんというようなことをやっていただいておりますので、関係者には努力していただいておりますけれども、確かにこれは、この程度だけではなかなか効果的な誘致体制とは言いかねる点もあろうかと思います。これはやはり、産炭地域振興事業団も商工会議所の系列の中に一枚加わって、積極的なリードをするものが必要であろうと思いますので、そんなような体制も考えて、善処してまいりたいというふうに考えております。最近、先生承知のように不況でございますので、なかなか関東、関西地方企業が九州まで行って工場を新設するという意欲が、特に昨年来非常にそういう動きが薄くなっておりますので、これは一般の景気動向にも関連いたすわけですが、それだけに企業誘致というのは容易ならない事態にあるというふうに考えておりますので、そういった点も配慮して、今後こういった誘致体制ということについて制度の改善を加えてまいりたいというふうに考えております。  それから、第四点は、炭鉱所有の土地、施設の利用の問題でございますが、確かに、全国的に見ますとこういう点もございます。筑豊でもいまこういうことが問題になっている地点もあることを承知いたしております。しかし、この点は、現実に炭鉱所有の土地が遊んでいると申しましても、完全に遊んでいるという土地も、生きている炭鉱についてはなかなかないわけでございまして、おそらく、御指摘の点は、閉山炭鉱あるいは第二会社化した炭鉱、小規模に縮小した炭鉱、それがかつて持っていた土地、遊休している土地、こういう意味だろうと思いますが、こういった点については、私どもは、できるだけこの趣旨を尊重しまして努力してまいりたい。ただ、担保等の問題が御指摘のようにありますから、この点については金融機関の御協力を得なければいかぬと思いますが、いずれにいたしましても、これは前向きに努力してまいりたいというふうに考えております。
  29. 堀坂政太郎

    ○堀坂参考人 お答え申し上げます。  第一点の建物の貸与の問題でございますが、建物の貸与につきましては、今日、中小企業対策といたしまして、ことしから中小企業者のための建物を貸与する制度が始まったと聞いております。その点につきまして、中小企業庁長官等とも連絡を先般いたしまして、それと事業団の造成地とうまく結びつけられないか、ひとつ検討しようじゃないかということで、実は申し入れをいたしておるのであります。ただ、それが、中小企業の集団化等と、事業団のつくった造成地とがすぐ結びつくかどうかという点になりますと、必ずしもそう結びつくものが多いとは思われないのでございます。したがいまして、私ども、これは英国やベルギーあるいはフランス等でやっておるのでございますが、やはり、企業家が非常に手軽にやってこれるようにするための制度といたしましては、大きな設備投資をせずにすぐ事業を始められるようにする必要があるのでございまして、その手段といたしましては、土地をつくってもなかなか企業というものが来にくいというようなところについては、ある規格によるところの建物を貸与するというのをやったほうが来やすいのではないか、かように思っておるのでございます。英国の言うアドバンス・ファクトリーという制度は、昨年の炭鉱の合理化に伴いますところの十六の地域の指定に伴いまして、こういうアドバンス・ファクトリーの制度が活用されておるのでございます。日本の産炭地実情は全くその点においては同様でございますので、これは今後できるだけ早く実現をさせていただきたい、かように私は思っておるのでございます。さしあたり現在あります制度を極力活用するように努力することは当然でございますが、なお将来の問題としては、そういうことは望ましい、かように思っております。  それから、第二点のあっせんの問題でございますが、これは、私ども、自分らのつくりました土地が早く使っていただけて、産炭地振興になることを希望しているものでございまして、新聞等でもごらんいただきますように、私ども工業関係の新聞等には極力広告を出しておるのでございます。あるいはスライドをつくりましたり、事業団の新聞等も数千部送っております。さらに、民間の製薬会社等がやっておりますように、千数百の企業に対しましていろいろなクェスチョネアを出しまして、こういった土地の御希望はございませんかとか、あるいは進出の御希望はございませんかというようなことを手紙で出しておるのでございますが、そうしたものに対するところの回答が非常に少ないということを非常に嘆いておるのでございます。さらに、この広告の問題でありますが、できるだけたくさんの人に知ってもらう方法を講じることが今日のこういう経営の一番大事なことであると思っておるのでございますが、何しろ広告費が非常に高くなりまして、それを使うことは事業団の管理費なりあるいは土地の価格それ自体を高めるということになりまして、テレビあるいはその他で取り上げていただけるような環境になっていないことを非常に実は嘆いておるのでございます。しかしながら、及ばずながら、できるだけの努力は続けていきたいと思っております。  それから、第三の税の問題でございますが、第一の固定資産税の問題につきましては、産炭地において企業家が事業団の造成した土地を取得し、あるいはその上に建物を建てた場合におきましては、臨時措置法によって減免をしていただいておるのでございますが、この全鉱連から出ておりますところの意見は、事業団がボタ山なり何なりを工業用地につくった、そのつくった瞬間から税がかけられる、その税がかけられるということはそれだけ売るときの値段が高くなるので、負けてもらったらどうかということであるわけでございます。私どももそれを希望いたすのでございますが、これにつきましては、いままで私ども再三御要望申し上げてきたのでございますが、政府のほうの関係におきましては、これは住宅公団その他の面におきましても、道路とか公共用地、鉄道用地等を除きましては固定資産税が賦課されておるのであって、同じ土地について固定資産税を二回減免をすることは適切でないという御判断のようでございまして、今日までいれられていないのであります。しかし、この固定資産税を、売る前の段階において、つまり事業団が所有しておる段階において減免していただく——固定資産税というのは、売れない間は毎年実はかかってきて、じかにあれするわけでございますが、そういうような方法もあるのではないだろうかと思っておりますが、何しろこの税の問題は他の関係方面とのバランスの問題もあるようでございまして、再三御要望申し上げておるが、実現をいたしてないのでございます。  それから、登録税の問題でございますが、これは中小企業金融公庫あるいは北海道東北開発公庫等の融資につきましては、その公庫のためにするところの登録ということで、公団、公庫についてはその登録税が減免をされておるのであります。ところが、不幸にいたしまして、事業団につきましては、この事業団から融資を受けまして、事業団がその財産保全のために抵当権を設定いたしますと、これについては、法律にそういう規定がございませんので、登録税がかかるのであります。この点も産炭地企業を誘致する点におきましては非常に障害になっておると思います。非常にべらぼうに大きな金額ではございませんが、やはり問題でございます。この点は御配慮を願いたいと思っておる点でございます。  それから、第四の企業誘致体制でございますが、これは、事業団といたしまして、法律にいかように書いてあろうがなかろうが、企業誘致のために努力をするということはもう当然の責務であるというふうに思っております。ただ、先ほど土地のあっせんのところで申し上げましたように、いろいろ私どもがわれわれの力の範囲内において努力をいたしましても、この産炭地というものに目を向けてくれないという今日の経済界の状況においては、非常にから鉄砲が多くなっておるという実情でございます。決して十分な努力あるいは最善のあれをやっておるとは私申しませんけれども、その点に実は非常に問題があるのでございまして、企業誘致という問題は、不況のときは別問題といたしまして、新しい投資をする場合、東京周辺でやるか、名古屋周辺でやるか、あるいは他の新産都市なり低開発地域でやるか、産炭地でやるかというときに、産炭地でやるのが一番労働条件なり資金条件がいいのだという内容があって初めて企業誘致というものは積極的に実は展開されると私は思うのであります。その点におきましては、今日産炭地については他の地域よりも最も有望視されておるということは私は確信を持っておりますけれども、それが企業家として産炭地に出ていくことがより有利であるというところまでいっているかどうかという点については、先ほど申し上げましたように、非常に疑問がございます。それと、もう一つは、一般的に産炭地は暗いという報道だけが行なわれるというようなことからいたしまして、企業誘致については、私ども個人的にも及ばずながら知っているもの等についてはできるだけ努力はしておるつもりでございますが、なかなかから鉄砲が多いという実情でございます。  さらに、この広報宣伝のためには相当の経費というものが必要でありますが、これは事業団が使う使わないの問題は別問題といたしまして、何か明るい産炭地という宣伝ができるような体制を政府のどこかでひとつやっていただくようなことをお願いいたしたいと思っておるのでございます。  それから、第五の炭鉱所有地の合理的使用の問題でございますが、まことにごもっともでございます。ただ、これにつきまして、事業団に関連いたします現状を少しく申し上げさせていただきますと、産炭地域振興事業団の現在の土地造成は、七十数%がボタ山を合理的に切りくずしてやる土地造成でございます。この場合におきましては、これはほとんどがすでに採炭をやめました炭鉱の所有地を買ってやっておるのでございまして、その場合に一番困難をいたしておりますのは、抵当権の排除とかそういう問題ではなくして、そのボタを持っていって埋め立てる土地の問題であるわけであります。それと、これをいかに経済的につくるかという二点でございます。そういう点におきまして、炭鉱の所有地の利用につきましては極力やっておりまして、その結果といたしまして、金融機関の融資分が回収されるというだけでなくて、国税あるいは地方税の滞納分あるいは社会的費用の滞納分というようなものが相当返っておることは事実でございます。ただ、現地の人々から申しますならば、たとえば筑豊の飯塚炭鉱、これは約三十万坪の荒れた土地を持っておりますが、これを利用してくれ、利用してもらうことによって、石炭の採掘によって荒れたこの地を何とか緑の地にしたいということ、また、そういう荒廃した土地であるので、その周辺におけるところの子供が非行化していく、あるいは衛生上悪いということから、こういったものを利用してくれという要望が、これは例として申し上げたのでございますが、非常に多いのでございます。ただ、この事業団の土地造成という問題が、これはやはり出資金と借り入れ金によってやっておるものでございまして、いずれはお返ししなければならない金を使わせていただいておるという観点からいたしますならば、そういう非常に荒れて工事費のうんとかかるような土地を扱っていくということについて、現在の点においては非常に無理があるという実情を申し上げさせていただきたいと思います。しかしながら、今後とも、こういう炭鉱の所有地を合理的に使っていくという点については、事業団は権力関係でやれる仕事ではございませんけれども努力をいたしたいと思っております。
  30. 鎌田要人

    鎌田説明員 事業団所有の固定資産税の問題でございます。私、ただいま税を担当いたしておりませんので、その点あらかじめお許しいただきたいと思いますが、自治省といたしましての考えは、やはり固定資産税は固定資産を所有するという事実に着目して課税をするというたてまえで、現在の非課税規定をむしろ整理する方向に向かっておるわけでございます。そういった考え方の基本にありまするものは、ただいま申し上げました固定資産税の課税に対する考え方が基礎にあるわけでございます。固定資産税が市町村の有力な財源であることは御存じのとおりでございますが、鉱業市町村が一文でも自己財源がほしいときにあえて固定資産税をまけてほしいということをおっしゃるのは、まことに異例の話でございます。それだけ異例のことをおっしゃるというそのほんとうの気持ちは、先ほど石炭局長さんからもお話がございましたが、やはり事業団の土地というものが安く売れるようにということが真意であろうと思うわけでございます。そうなりますと、ただいまも参考人のほうからお話があったわけでございますが、事業団の財源は出資と借り入れ金である。その出資をふやし、あるいは借り入れ金を長期低利資金を用いるということによって土地を安く造成する、提供するということができるのではないだろうか。それを、みずからの課税権を放棄して、固定資産税をまけろとおっしゃるのは、少し筋道が違っておりはせぬかという感じが率直にするわけでございます。なお、固定資産税の関係で申しますと、この産炭地域振興臨時措置法の第六条によって、現実に進出した企業についての固定資産税について課税免除なり不均一課税をするときは交付税でその分はめんどうを見ますという、これがやはりほんとうの企業誘致に対する地方税制の姿であろう、こういうふうに考える次第でございます。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 鎌田さんともあろう者がいやに機械的な話をして……。あなたはいま税務局関係を担当していなくて財政関係だけれども、かつては市町村税課長だったでしょう。あなた自体が、われわれがけしからぬと思うような減免措置もしているわけだ。それは整理しなければならぬことは事実であります。しかし、事業団はその土地を使う目的で造成したわけではないのですね。何とか産炭地振興しようということで造成したわけだ。その造成した土地は自分が使うわけじゃなく、やはり企業に来てもらおうということで、自分の資金も使い、できるだけ安くということでやっておるわけですね。企業が来て工場が建ったら、それは税金をとってもいい。しかし、六条の問題がありますから、これは六条の問題に関連してくるわけです。しかし、事業団が持っているときに固定資産税をとるというのは、政府石炭政策から出た産炭地域振興対策としては好ましくないんじゃないか。しかし、ちょうど委員長がおっしゃっておった時間が来ましたから、その六条の問題について、法人税とか所得税とか、そういう問題との関連、それから、これについての対象事業の範囲の問題、こういう問題についても不合理がありますし、それから、もう一つは、今度は種地の改正等も行なわれるのでありますから、人口急減についてどういう補正が行なわれるのか、そういう問題、それから、昨年つくりました産炭地財政援助の特例に関する十条、十一条の問題、それから、産炭地の不良化というのはたいへんな問題になっておるので、その教育の問題、そういう問題を時間がありませんから全部あとに保留しまして、きょうは委員長のおことばどおりこれで打ち切っておきます。
  32. 野田武夫

    野田委員長 次会は明二十一日午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会